1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和四年十二月二日(金曜日)
午後三時六分開会
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委員の異動
十一月十五日
辞任 補欠選任
木村 英子君 舩後 靖彦君
十一月十六日
辞任 補欠選任
赤松 健君 野上浩太郎君
臼井 正一君 磯崎 仁彦君
柴 愼一君 斎藤 嘉隆君
十一月十七日
辞任 補欠選任
磯崎 仁彦君 臼井 正一君
野上浩太郎君 赤松 健君
十二月一日
辞任 補欠選任
末松 信介君 加藤 明良君
高橋はるみ君 吉井 章君
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出席者は左のとおり。
委員長 高橋 克法君
理 事
赤池 誠章君
今井絵理子君
上野 通子君
熊谷 裕人君
伊藤 孝恵君
委 員
赤松 健君
臼井 正一君
加藤 明良君
櫻井 充君
橋本 聖子君
吉井 章君
古賀 千景君
斎藤 嘉隆君
宮口 治子君
伊藤 孝江君
竹内 真二君
中条きよし君
松沢 成文君
吉良よし子君
国務大臣
文部科学大臣 永岡 桂子君
副大臣
財務副大臣 秋野 公造君
文部科学副大臣 簗 和生君
事務局側
常任委員会専門
員 武蔵 誠憲君
政府参考人
内閣府科学技術
・イノベーショ
ン推進事務局審
議官 井上 惠嗣君
文部科学省大臣
官房長 望月 禎君
文部科学省大臣
官房審議官 里見 朋香君
文部科学省初等
中等教育局長 藤原 章夫君
文部科学省高等
教育局長 池田 貴城君
文部科学省高等
教育局私学部長 茂里 毅君
文部科学省科学
技術・学術政策
局長 柿田 恭良君
文部科学省研究
振興局長 森 晃憲君
スポーツ庁次長 角田 喜彦君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○独立行政法人大学改革支援・学位授与機構法の
一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付
)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/0
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001・高橋克法
○委員長(高橋克法君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、木村英子君、柴愼一君、末松信介君及び高橋はるみ君が委員を辞任され、その補欠として舩後靖彦君、斎藤嘉隆君、加藤明良君及び吉井章君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/1
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002・高橋克法
○委員長(高橋克法君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。
独立行政法人大学改革支援・学位授与機構法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官井上惠嗣君外八名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/2
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003・高橋克法
○委員長(高橋克法君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/3
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004・高橋克法
○委員長(高橋克法君) 独立行政法人大学改革支援・学位授与機構法の一部を改正する法律案を議題といたします。
政府から趣旨説明を聴取いたします。永岡文部科学大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/4
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005・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) この度、政府から提出いたしました独立行政法人大学改革支援・学位授与機構法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
成長分野を牽引する高度人材の育成、輩出を担う大学や高等専門学校の機能強化は喫緊の課題ですが、我が国では、デジタル、グリーン等の成長分野の人材不足や、理工系の学生割合が諸外国に比べて低い状況にあり、大学や高等専門学校における成長分野への学部再編等を早急に促進する必要性が教育未来創造会議第一次提言等において指摘されています。
この法律案は、このような状況を踏まえ、中長期的な人材の育成の観点から特に支援が必要と認められる分野における教育研究活動の展開を促進するため、独立行政法人大学改革支援・学位授与機構について、大学及び高等専門学校の学部等の設置その他組織の変更に関する助成金を交付する業務を追加するとともに、当該業務に要する費用に充てるための基金を設ける等の措置を講ずるものであります。
次に、この法律案の内容の概要について御説明申し上げます。
第一に、独立行政法人大学改革支援・学位授与機構の目的に、学部等の設置その他組織の変更に関する助成金の交付を行うことにより、中長期的な人材の育成の観点から特に支援が必要と認められる分野における教育研究活動の展開を促進し、もって我が国社会の発展に寄与することを追加するとともに、機構の業務に当該助成金の交付を追加することとしております。
第二に、文部科学大臣は、助成業務の実施に関する基本指針を定めなければならないこととするとともに、機構は、助成業務の実施に関する方針を定め、文部科学大臣の認可を受けなければならないこととしております。
第三に、機構は、助成業務等に要する費用に充てるために基金を設けることとしております。
このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。
以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
何とぞ、十分御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/5
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006・高橋克法
○委員長(高橋克法君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/6
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007・櫻井充
○櫻井充君 自由民主党の櫻井充です。
今日は、大学を中心とした研究開発について質問させていただきたいと、そう思います。
今、日本の論文数というのは世界から見ると相当伸び率が低くて、数は余り代わり映えはしないんですが、ほかの国々から見ると相当減ってきています、相対的に見ると。さらに、トップテンと言われる、すごくいい雑誌の掲載率もかなり低くなってきていて、何が問題なのかというと、運営交付金が減額されてきていると。その結果、研究補助員という方々がなかなか雇えなくなっていて研究全体が非効率になってきていることが私は見ている限りでは最大の問題ではないのかと、そう思っています。
そういう点で、これまで毎年毎年減額されてきましたが、この運営交付金の減額を止めていただければと思いますが、財務省としていかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/7
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008・秋野公造
○副大臣(秋野公造君) 先ほど先生おっしゃったとおりに、世界の論文数が増加傾向にある中で、日本の大学部門の論文数が二〇〇〇年代以降伸び悩み傾向にあることは承知をしてございます。
このことに関して、国立大学法人への運営費交付金の減額によるものだという意見があることも承知をしてございますけども、国立大学法人運営交付金につきましては、平成十六年の法人化後と比較をいたしますと、これまでの削減は研究活動等に直接影響がないもの、つまり附属病院が黒字化したことによる病院赤字補填金の解消、退職者数減少に伴う退職手当の減によるものが大宗でありまして、近年は横ばいで推移をしてございます。
一方で、運営費交付金に補助金等を加えますと、国立大学に対する公的支出は、国立大学法人化以降、むしろ増加をしているということであります。一方で、科学技術に対する投資につきましては、厳しい財政事情の下にあっても、例えば、近年、科研費の増額を図るなど政府予算全体の中で重点化して確保してきており、日本の科学技術予算の対GDP比は主要先進国に比べて高い水準で推移しております。
一方で、先生おっしゃった特に注目度が高い論文の数につきまして、政府による科学技術投資の金額と比較して、ほかの主要国に比べて数が少ないところでありまして、金額当たりの生産性の引上げも課題かと言えようかと思います。背景として、研究活動の国際性の低さなど、日本の研究環境の構造的な問題も指摘されているところでありますので、令和四年度第二次補正予算におきまして、先端国際共同研究推進事業五百一億円計上したといった支援を講じたところであります。
日本の研究力を高めていくために、大学のガバナンス改革なども含めて総合的な取組が必要と考えておりまして、引き続き関係省庁と連携をしてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/8
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009・櫻井充
○櫻井充君 ありがとうございます。
今の答弁を皆さん聞いていただくと研究費は増えているようにお感じかもしれませんが、実態は全く違っています。
それは何かというと、例えば今、科研費の話が出ました。しかし、この科研費を取るために、大体資料を提出するのに三か月ぐらい掛かるわけですよ。三か月間やって、じゃ、どのぐらいの研究費が取れるのかというと、応募した人たちの大体二〇%前後ですよね。つまり、八割の方々は、三か月間その文章書きをやっているけれど、ほとんど無駄な時間を過ごしてきているわけであって、しかも、数百万の科研費を取って世界的な研究ができるはずがないし継続的な研究ができるはずがないわけですよ。
そうすると、勢い目的になっているのは、目先のすぐ書けるような論文程度しかできないような研究になっているわけであって、秋野副大臣も大学で研究されていたからよくお分かりだと思いますが、そこら辺のところを改善していかないと新しいものは生まれないんだと思っています。
そういう意味で、もう一つ、医者が、我々医療の分野でいうと、医者がほとんどのことを全てやっていると。統計を取った後のデータの分析から何から、それから例えば動物の管理、それから細胞、僕は単離心筋の研究をしていましたが、そういう心筋の取り出しとか、それから器材のセットアップとか。アメリカの場合には、みんなこういうのは研究補助員の方がやってくださって、非常に効率よく研究進んでいるわけです。
日本の研究者と、それから補助員の比率、これを見たときに、世界で最も低いのが実は日本です。ですから、日本の研究というのは非常に非効率なやり方をされてきていること自体が僕は問題だと思っていて、これは現場の先生方が、運営交付金減額されるから結果的には雇えなくなっているんだって、これもう明確におっしゃっているわけですよ。
そういう意味合いでは、効率的な研究をしていくためには、まずこの研究補助員を増やしていかなきゃいけないし、さらに、そのためには運営交付金を増加、増額していかなければいけないんじゃないかと思っていますが、簡潔に答弁お願いできますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/9
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010・秋野公造
○副大臣(秋野公造君) 繰り返しになりますけども、運営交付金の話というよりは、大学のガバナンス改革なども含めて総合的な取組が必要だと考えておりますので、引き続き関係省庁と連携をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/10
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011・櫻井充
○櫻井充君 いや、まあおっしゃることはそのとおりかもしれませんよ、財務省から見てればね。だけど、現場の方では、何で非効率なのかというと、何回も申し上げますが、研究補助員の方々を雇える財力がないというのが最大の問題なんですよ。
ですから、改めてですけども、ここで話をしてもなかなか進んでいかないので、是非文科省にもお願いは、その実態をきちんと調べた上で対応していただきたいと、そのことだけはお願い申し上げておきたいと思います。
さらに、今の限られた財源の中で研究費を確保するということは相当難しいことです。一方で、企業にはもう五百兆を超える内部留保があって、残念ながら、このコロナで厳しい状況の中でこういったお金を使ってくれるのかと思えば、内部留保がどんどんどんどん増え続けてきています。
我が国はこの先、一体何で、何て言ったらいいんでしょうか、お金を稼いで食べていくのかということを真剣に考えなければいけない時期に来ていると思って、その点でいうと、研究開発費にいかにお金を回してもらうか、特に企業が抱えている内部留保をそういう分野に、吐き出してもらうと言ったら怒られるかもしれませんが、積極的に投資をしてもらわないといけないと思うんです。
これまでももちろん自社で、例えば製薬メーカーなら製薬メーカーで新しい薬を開発するときには、これはもちろん研究費を計上してきていますが、そういうことだけではなくて、例えばほかの大学と共同研究していきますと、これも今やってきています。それだけではなくて、例えばオールジャパンで何らかの研究をしましょうと、iPS細胞でも構いませんし再生医療でも構いませんし、そういうような国家プロジェクトをつくっていって、そこで研究をしていくと。
そういったところも含めて研究開発投資に関する減税措置をもっともっと拡充して、二つ目的があります。一つは研究をどんどん進めていくことと、それから内部留保を吐き出してもらうと。そのためには今後の研究開発税制のところについて優遇措置を更に進めていく必要性があるかと思っていますが、この点についていかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/11
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012・秋野公造
○副大臣(秋野公造君) 先生おっしゃっていただいたとおり、研究開発税制につきましてはこれまでも様々な見直しを行いまして、令和三年度の研究開発、あっ、税制改正におきましては、厳しい経営環境にあっても研究開発投資を増加させる企業の税額控除の上限を引き上げるとともに、インセンティブを高めるための控除カーブを見直し等を行ってきたところであります。
本措置が本年度末で期限を迎えるということになりますけども、これは先生、私自身も研究開発税制が果たした役割は大変大きかったと考えております。与党の御議論が今なされているところでありますので、必要性や政策効果をよく見極めながら、与党での御議論を踏まえ、政府として適切に対応してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/12
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013・櫻井充
○櫻井充君 ありがとうございます。御理解いただいていること、重々承知いたしました。
改めてお願いしておきたいのは、やはり、日本がこの先、一体どういう分野で外貨を稼いでいくのかということを考えていった際に、グリーンになってくるのか、それとも医療の分野になるのか分かりませんが、そういったところに対して投資していく、そこのところを国が支援していく。方法は国としてお金を出すのか減税するのかと、そういうことしかないんだと思っていますが、是非きちんと対応していただきたいと、そう思いますのでよろしくお願いします。
それから、研究開発のところでかなり大変になってきているのは何かというと、国立大学法人になった際に、医学部とか歯学部とかお金を稼げる大学に対して、全体で一兆円の借金を背負わされることになりました。
この借金の返済が本当に大変でして、例えば東北大学の場合には、ベッドの稼働率を上げろとかさんざんなことを言われていて、ショートステイサージャリーという、例えば白内障とか、それから胆石とか盲腸とか、こういう手術も大学が実はやっております。これ民業圧迫以外の何物でもないし、本来は特定機能病院としての機能を果たさなければいけないわけであって、そういったことが全然できてこないと。できていないわけではありませんが、それまでやらされていると。この結果、そういう、済みません、ある種やらなくてもいい仕事を、民間でやれることまでやらざるを得なくなってきている結果、研究のところまで十分手が回らないって、こういう実態がございます。
そのことを考えてくると、あの当時、国立大学法人に課した借金はかなり軽減されていることは分かっていますが、この際ですから一度チャラにしていただけると、そうやって、減免、減免ではありません、なくしていただければ研究も大分進んでいくんではないかと思いますが、この点についていかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/13
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014・秋野公造
○副大臣(秋野公造君) 先生今おっしゃったとおり、医学部そして歯学部の附属病院においては、ほかの学部と異なりまして、教育研究だけではなく、診療を行い、その対価として診療報酬等が収入となっているということであります。
これ国立大学法人化される前の話ですけども、そのため、国立大学法人化以前から附属病院の施設整備等につきましては、国立大学等に係る予算を経理していた旧国立学校特別会計において財政融資資金より借入れを行ってその経費を賄い、国立大学の附属病院収入により償還を行ってきたというのが法人化する前の話であります。
これが法人化をされてから、平成十六年度に国立大学が法人化された後、ほかの建物と同様に附属病院につきましても国立学校特別会計から各国立大学法人に承継をされたという仕組みでありまして、これに係る債務も附属病院を承継した国立大学法人がそれぞれ承継したものでありますけども、国立大学の診療収入によって財政投融資を償還する点ということにつきましては法人化の前後で一切変わっていないということを認識してございます。
なお、法人化後も国立大学附属病院の施設整備には引き続き財政投融資を原資とする借入れが可能でありまして、民間金融機関等から資金調達と比べて有利な条件で借入れを可能としているものと承知をしてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/14
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015・櫻井充
○櫻井充君 まあ制度はそうなっているんですが、本当に実際これをやっていることによってかなり厳しくなっているので、その点だけは理解していただきたいと思います。
最後に、多分今日は結構眠くて大変な先生方もいっぱいいらっしゃるんじゃないかなと、そう思いますが、いや、怒られそうですが、スペインに勝てるとはとても思っておりませんでしたが、めちゃめちゃ感動いたしました。
やはり選手たちは、もう小さいときからJリーグというシステムができ上がって、それで小さいときから教育を受けていって、彼らは、Jリーガーになるということよりも多分海外で活躍していきたいという、そういうマインドがあって一生懸命サッカーをやってきたからここまでの選手たちが育ってきたんじゃないのかと思うんです。
私、まだ現職で心療内科の医者をやっていますが、診ていると、自信のない子供さんたちが本当に多いんです。何でこうやって自信がないのかというと、子供のときに褒められた経験がないという人たちがかなり多くて、今の教育の仕組みを見ていると、学校の先生方が忙しくてなかなかそこまで手が回らないということもありますが、一方で、勉強は順番が付くんです、どこどこの高校に行きました、中学行きましたみたいな。東京なんか特にそうですけれど。
ほかの分野でも、競争させると傷つく子がいるから、だから余り競争させないようにしましょうとか。逆に言うと、競争させれば、自分はサッカーが得意なんだなとか、野球が上手なんだ、足が速いんだなとか、それから、何というんでしょうか、音楽なら音楽で、歌がうまいんだとか、ダンスが上手だよねとかいろんなことが分かってくるはずであって、その多様性を認めていくということになってくると、これは仙台が特別なのかもしれませんが、余り、教育を、あっ、競争させないような、そういう教育になってきているような私は気がしているんですが、こういう方向性を、大臣、改めていかないと、やはり、何というか、前向きで元気な子供たちというのは育ってこないんじゃないかと思うんですが、その点について感想を一言いただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/15
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016・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) 櫻井先生も寝不足だったのでしょうか。今日は本当に、私も朝、前半ゼロ、一で負けているという話を聞きまして、ああと思いましたが、ふと気が付くと二、一で勝ったと、どっちがって初め聞いちゃいましたが。やはり、スペインに日本勝ったというのは相当励みになりまして、今日も朝からるんるんで国会に参りました。
今、櫻井先生御心配のようなお話、教育というのは、やはり一人一人の輝く個性を持つ子供たちがその可能性を最大限に伸ばしていけるようなものであるべきと私は考えております。そして、そうした多様な子供たちが集う学校というのは、子供たちがお互いに異なる考えに触れたり、時には切磋琢磨して競争して勝ったり負けたりする中で互いに認め合いながら一層自分の力を伸ばしていく教育の機会、そういうものを提供するところであるべきと、そう考えております。
また、学校は、決して狭い意味での勉強だけを行うものではなくて、本当に多様で多彩な様々な教育活動を通じまして、子供たちの知徳体ですね、ちょっと古いですか、そんなことないですね、これが本質だと思います。知徳体を一体として育んでいくものであるべき場所と思っております。
文部科学省では、現在、全ての子供たちの可能性を最大限に引き出す令和の日本型学校教育の実現に向けまして様々な教育改革に取り組んでおります。私もその先頭に立ちまして、全力で頑張ってまいります。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/16
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017・櫻井充
○櫻井充君 どうもありがとうございました。
思いは一緒なので、それを是非実現できるように大臣として御尽力いただきたいと、そのことを申し上げて質問を終わります。
どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/17
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018・宮口治子
○宮口治子君 立憲民主党の宮口治子でございます。
法案について質問をさせていただきます。
二〇一七年に滋賀大学が全国で初めてデータサイエンス学部を設立したのを皮切りに、学部、学科の新設が相次いでおります。来年四月には九つの大学でデータサイエンス学部、学科が新設される予定となっています。
このように、現状でも成長分野に関する学部の開設が相次ぐ中、どうして今、国として助成事業を行うのでしょうか。分かりやすい御説明をお願いします。なお、来年四月に新設される予定の九つの大学は今回の対象になるのかどうか、こちらも併せて教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/18
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019・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) 教育未来創造会議の第一次提言でも言及されておりますとおり、二〇三〇年には先端IT人材が五十四万五千人不足をするということになっております。デジタル分野を始めとした、やはり成長分野を牽引する高度専門人材の確保というのは喫緊の課題でございます。
このため、成長分野に係る大学、高専の人材育成機能の更なる強化が必要でございまして、本事業は、意欲ある大学、高専が成長分野への学部再編等の改革に踏み切れるように支援を行うものでございます。そのため、来年度開設予定の学部を対象とすることは予定はしておりませんが、その学部が更なる拡充やほかの成長分野に資する新たな学部の設置についてということになりますと、やはりしっかりと支援の対象となる予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/19
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020・宮口治子
○宮口治子君 ありがとうございます。
今回、その九つの大学が対象とならないと言われました。再来年度の学部転換から対象になるのであれば、補正予算で急いでやる必要性というのはちょっと感じられません。コロナ禍で不登校児童数が大幅に増えていることへの対応であったり、教員の数、質の拡充、物価高で、教育費の負担軽減及び教育予算の拡充を図るなど、補正予算で取り扱うべきもっと優先順位の高いことがあったのではないでしょうか。
大臣はどう思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/20
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021・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) 子供は国の宝でありますし、また国の礎でございます。様々な問題を抱えます子供たちを誰一人取り残すことなく可能性を最大限に引き出す教育を実現するために、御指摘のような諸課題の対応に必要な予算確保に向けまして、教育政策の充実をしっかりと努めているところでございます。
一方で、さきの答弁でも申し上げましたけれども、成長分野を牽引します高度の専門人材の確保というのがやはり喫緊の課題となっていることから、こうした人材の育成に向けまして、大学、高専の機能強化に早急に取り組むために必要な金額を補正予算に盛り込むとともに、本法律案を提出させていただいたところでございます。
文部科学省といたしましては、本法律案に基づく取組を始め、引き続きまして、各教育課題への対応に必要な予算確保を含め、教育政策の充実を図ってまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/21
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022・宮口治子
○宮口治子君 ありがとうございます。喫緊の課題、承知いたしました。
既に自らの費用負担により新規開設した大学と基金の支援を受けて今後新たに設置する大学との間に、その公平性についてはどのように考えていらっしゃいますでしょうか。既設の大学であっても追加投資など別の形で何か基金の利用ができるのであれば、具体的に教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/22
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023・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) この事業は、毎度申し上げますけれども、意欲ある大学そして高専が学部再編等の改革に踏み切れるように後押しをするという、そういう支援を行うものでございます。
そのため、過去に行われた学部の設置等に遡及をした支援は予定をしておりませんが、この事業を活用いたしまして、成長分野に資する既存の学部等の拡充でございますとか、また他の成長分野に資する新たな学部の設置を図ることは可能でございます。公平性はしっかりと担保されていると考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/23
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024・宮口治子
○宮口治子君 分かりました。ありがとうございます。
この機構のこれまでの主な業務は、大学等の教育研究活動の状況の評価、国立大学法人等の施設設備に必要な資金の貸付け、防衛大学校のような大学以外の高等教育段階での学習に対する学位授与となっておりますが、今般の基金の設置先をこの機構にした理由を教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/24
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025・池田貴城
○政府参考人(池田貴城君) お答え申し上げます。
大学改革支援・学位授与機構は、高等教育の発展に資することを目的として、大学、高専の教育研究活動の評価や教育研究環境の整備充実を通じて、財務、経営の改善支援などに取り組んでおります。
こうした目的や取組は、今回の法改正により新たに機構の業務に追加する学部再編等に関する教育研究環境の整備等への助成業務とも親和性が高く、これまでに蓄積した知見の活用等も期待できることから、事業を実施する機関として適切と判断したものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/25
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026・宮口治子
○宮口治子君 基金が支援する対象経費は、文部科学省が作成した本法律案の概要によると、学部、学科再編、定員変更等に要する初期投資や当面の運営経費等とされていますが、一般的に組織再編にはどの程度の費用を要するのか教えてください。
また、初期投資や運営経費が示す具体的な内容、一校当たりの支援額、当面のというのが何年程度を指すのかについても教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/26
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027・池田貴城
○政府参考人(池田貴城君) 具体的な数字に関することでございますので、私から答弁させていただきます。
組織再編に必要となる費用につきましては分野や施設設備の規模等により異なることから一概には申し上げられませんが、令和三年度に新設されたデータサイエンス系の学部については、認可に係る申請書において、校舎及び設備等の整備に要する経費として約十八億円が計上されていた例もございます。
この基金による支援の内容としては、公私立大学における特定分野への学部再編等に必要な経費として、設備整備に係る経費を中心に行います。また、国公私立大学や高専における高度情報専門人材の確保に向けた機能強化に必要な経費としては、教員の人件費や施設設備整備に係る経費を中心に措置することを想定してございます。
また、支援期間や支援額につきましては、計画に応じてになりますけれども、最長十年間で総額が数億円から二十億円程度の支援を行うことを想定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/27
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028・宮口治子
○宮口治子君 一校当たりの支援額が、今、およそ数億円から二十億円程度ということを今聞きましたが、結構、非常に大きな額でございます。大学において適切に資金が使用されたかどうか、機構は十分に調査、検証をする必要があります。
また、助成金の交付対象となるか否かは学校経営への影響が大きいです。交付対象とする学部、学科について明確な基準を事前に示すとともに、その選定方法は公正、公平かつ透明性の高いものであることが求められます。
これら資金の使用の適切性の調査、検証及び学校の選定、金額の決定に関して、今の機構の体制は十分であるとお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/28
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029・池田貴城
○政府参考人(池田貴城君) お答え申し上げます。
令和四年度の今回の二次補正予算案におきまして機構が助成業務を実施するために必要な体制整備のための費用を計上しておりまして、事業の適正な執行を確保するため、今後、運営体制の整備に取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/29
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030・宮口治子
○宮口治子君 よろしくお願いします。
政府は分野としてデジタル、グリーン等を考えているとのことですが、この分野への支援期間は何年程度を予定していますでしょうか。支援すべき分野は社会情勢によって変化していくのではないかと考えられますが、分野の見直しが行われる場合、どのような体制と頻度でなされる予定でしょうか。その際、文部科学大臣が分野の選定を行うに当たり重視する要素というのは何でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/30
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031・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) 宮口議員にお答えいたします。
本法律案では、助成対象となります分野につきまして、専門的な視点から審議会での意見を聞きつつ、文部科学大臣が定める基本指針において定めることとしております。現時点では、デジタル、グリーン等の成長分野の人材育成の観点から、理学、工学そして農学分野に係る学位を授与する学部への転換等を対象といたしまして、これらの分野への再編計画等を十年間で集中的に受け付け、支援をするということを考えているところでございます。
今回の基金はデジタル、グリーン等の成長分野の人材育成が喫緊の課題であることに鑑みた特別な措置でございまして、現時点でこれら以外の分野は想定はしておりませんが、本法律案では、基本指針におきまして、対象となる分野を定めるあるいは変更する場合、社会経済情勢の変化等の事情を踏まえる旨が規定をされておりますので、十分留意しつつ適切に判断をしてまいりたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/31
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032・宮口治子
○宮口治子君 ありがとうございます。
時間の都合で、ちょっと質問の順番を変えさせていただきます。
真に理工系人材を育成するためには小中学校段階から戦略的に指導を行っていく必要があると思いますが、この辺はどのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/32
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033・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) 先生御指摘のとおりでございます。やはり、理工系学部の学生数を増やすためには、小中学校段階においてやはり理工系人材の育成を視野に置いた教育を充実していくことも大変重要だと考えております。
このため、見通しを持ちまして観察、実験などを行うことを通じて科学的に探求する学習活動を充実することや、理科や数学、算数ですね、を学ぶことの意義や有用性を実感し、興味、関心を高める観点から、日常生活、そして社会との関係、関連ですね、を重視するという考え方に立ちまして今回の学習指導要領の改訂を行ったところでございます。
また、こうした教育活動を支えるために、実験機器などの物的環境の整備ですとか、また観察実験アシスタントの配置に係る支援など行っているところでございます。
小中だけではなくて、高等学校段階におきましても、スーパーサイエンスハイスクール支援事業で、これ先進的な理数系教育の支援も行っているところでございます。
文部科学省では、様々な支援策を通じまして、科学技術への興味、関心が高まるように、初等中等教育段階における理数教育を充実をしてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/33
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034・宮口治子
○宮口治子君 様々なことを考えてくださっていると認識いたしました。
さあ、それでは、科学技術振興機構の以前の調査で、小学校教員の五割が理科の指導がやや苦手、苦手であると回答しておりました。そのような背景もあって理科の教科担任制が進んで、今年度からは小学校高学年においては教科担任制が導入されました。
子供たちが理科に興味を持てるよう、理科教員の養成カリキュラム、設備、教員数などしっかり配置できるよう、文科省として指導を行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/34
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035・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) 理数教育の充実を図るためには、早期からの専門的な教科指導の実施が重要であります。
こうした観点から、小学校高学年におけます教科担任制の取組を推進することとしております。文部科学省といたしましては、令和四年度から四年程度掛けまして段階的に取組を推進することとしておりまして、その間の定数の改善総数を三千八百人程度と見込んでおります。
また、小学校教諭の免許状を取得するためには、理科を含みます各教科の指導法の科目におきまして、小学校学習指導要領に掲げる事項に即し包括的な内容を学習することになっております。さらには、理科の、今、先ほども申し上げましたけれども、理科の観察、実験活動に必要な理科設備の整備も重要でございますので、併せて支援の充実を図ってまいります。
引き続きまして、理数教育の充実を含め、教育の質の向上図るとともに、持続可能な学校の指導体制、また教育環境の充実を図ってまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/35
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036・宮口治子
○宮口治子君 ありがとうございます。
先日視察に行った油面小学校でも教員不足のことは言われていましたし、特別支援棟の知的障害児のクラス、これ見学できなかったんですが、生徒八人に対して教員一人なんです。とても個別最適な支援が行われているとは思えないし、足りません。
最低限のことすらできていない今の学校の現状がありながら三千億円規模もの予算が今本当にここに必要なのかということを、大臣、もう一度真剣に考えていただいて、私の質問とさせていただきます。
ありがとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/36
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037・古賀千景
○古賀千景君 立憲民主・社民の古賀千景です。質問の機会をいただき、ありがとうございます。どうぞよろしくお願いします。
独立行政法人大学改革支援・学位授与機構法の一部を改正する法律案につきまして質疑をいたします。
本改正案は、デジタル、グリーン等の成長分野を牽引する高度人材を育成するため、大学改革支援・学位授与機構に目的と業務を追加し基金を設置して、意欲ある大学と高専に対し学部等の編制の取組を支援するものと伺っております。成長分野を牽引する高度人材の育成の必要性については理解はいたしますが、今般の施策を補正予算に計上すること、また基金で措置することには疑問があります。
まず、補正予算への計上について伺います。
財政法第二十九条は、内閣が補正予算を作成し国会に提出することができるのは、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出を行う場合に限るとしています。今般の基金は成長分野への人材不足という中長期的な課題に対応するもので、令和四年度本予算成立後に緊急に発生した事態への対処する性質のものとは言えないと思います。その上、基金から大学に資金が拠出されるのは教育未来創造会議第一次提言工程表では令和五年度以降とされており、令和四年度内に大学に資金が行き渡る見込みもありません。
元々、本事業は、令和五年度の概算要求で百億円が要求されていたものであります。当初予算と比べて国会での審議時間が非常に短く、疑問をただす時間が十分とは言えないこの補正予算ではなく、令和五年度の当初予算で計上し十分な審議を行うべきではないでしょうか。
当初予算ではなく、なぜ補正予算なのか教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/37
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038・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) 古賀議員にお答えいたします。
今年五月に取りまとめられました教育未来創造会議の第一次提言でも言及されているとおり、二〇三〇年には先端IT人材が五十四万五千人不足するとされております。成長分野を牽引いたします高度専門人材の確保というのがやはり現在喫緊の課題となっているわけでございます。
文部科学省といたしましては、この提言に対応するべく本基金に係る事業につきまして令和五年度の概算要求に盛り込みましたが、その後、全国知事会や経済団体からも早急な実現を求める要望をいただいたことなどを踏まえまして今回の補正予算での対応となりました。
その際、意欲ある大学や高専が数年後にも支援の枠組みが存続していることを前提に改革に踏み切れるような後押し、そして安定感、効率的な複数年度にわたる支援を行う仕組みを構築するため基金を創設したということ、あっ、創設するということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/38
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039・古賀千景
○古賀千景君 ありがとうございます。
我が国は、国際比較で大学学部の学生に占める理工系分野の学生が少ない状況となっています。今般の基金は理工系分野の大学の学部を増加させるものですが、学部が増えても、先ほど宮口委員も言われたとおり、その学部を志望する者が増えなければ学生数は増加しません。理工系分野で多くの高度専門人材を育成していくためには、まず当該分野の志望者数を増加させる必要があります。
小中学生の成績の国際比較を見ますと、二〇一九年TIMSSでは日本の小中学生の理数系の成績は、小学四年生は五十八か国中で算数は五位、理科は四位、中学二年生は三十九か国中で数学は四位、理科は三位と、かなり上位にあります。一方、算数や理科の授業が楽しいと答える子供の割合は、小学生のうちは国際平均と大きな差はありませんが、中学生になると国際平均を大きく下回ってしまっています。
この理由は何だと思われますか。お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/39
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040・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) 古賀先生にお答えいたします。
やはり、小中学校段階におけます児童生徒の理科に対する興味、関心につきましては、TIMSSで、今お話しいただきましたように、理科の勉強は楽しいと答えた児童生徒の割合は、小学校段階では国際平均を上回っておりますし、また、しかしながら中学校段階になりますとやはり国際平均を下回っているわけでございます。
このような状況を踏まえまして学習指導要領では、見通しを持って観察、実験などを行うことを通じて科学的に探求する学習活動を充実させること、また理科を学ぶことの意義や有用性ですね、これを実感して、やはり興味、関心を高める観点から、日常生活や社会との関連を重視することとしているところでございます。
また、こうした教育活動を支えるために、先ほどから同じことを何回も申し訳ないんですが、実験機器などの物的環境の整備ですとか観察試験のアシスタントの配置に係る支援などを行うことに加えまして、小学校の高学年では教科担任制を推進しておりまして、理科などを優先的に専科指導の対象とすべき教科とさせていただいているところでございます。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/40
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041・古賀千景
○古賀千景君 ありがとうございます。
私は、学ぶ喜び、体感、体験的な活動よりも点数学力主義の考え方が今、日本では重視されているのではないかということも考えます。その最たるものが全国学力・学習状況調査です。四月に小学校六年生、中学校二年生、日本全国全ての子供たちに行われている調査です。
全国学力・学習状況調査の目的、そして予算を教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/41
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042・里見朋香
○政府参考人(里見朋香君) お答え申し上げます。
全国学力・学習状況調査は、児童生徒の学力や学習状況を把握、分析し、全ての教育委員会や学校において調査結果の活用を通じた教育施策や児童生徒一人一人への教育指導の恒常的な改善充実を図ることを目的として実施しているものでございます。
お尋ねの予算でございますが、今年度、令和四年度の全国学力・学習状況調査の実施に当たっては、約四十一億円の予算を計上しているところでございます。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/42
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043・古賀千景
○古賀千景君 ちょっと話題が変わりますが、今回、教職員の勤務実態調査、教職員の働き方の調査をした、八月、十月、十一月としていただきました。全国には三万人近い、あっ、三万校近い小中学校がありますが、二千四百校が抽出されました。
なぜこの数字になったかを教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/43
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044・藤原章夫
○政府参考人(藤原章夫君) これは、過去の調査の数字それから専門家の御意見、そうしたものを踏まえた上でこうした数字にしたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/44
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045・古賀千景
○古賀千景君 じゃ、その専門家の、過去のこととか専門家のことで抽出で一割弱だったということは、この子供たちがやっている全国学力・学習状況調査も悉皆の必要性はなく、抽出で十分なのではないかと私は考えます。
今おっしゃってくださいました四十一億の予算も軽減されるのではないかと思いますが、そこをお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/45
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046・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) 全国学力・学習状況調査は、児童生徒の学力や学習状況を把握をし分析をし、全ての教育委員会や学校におきまして調査結果の活用を通じた教育施策や児童生徒一人一人への教育指導の恒常的な改善充実を図ることを目的として実施をしているものでございます。
児童生徒一人一人への教育指導の恒常的な改善充実を図るためには、全ての学校において継続的に調査を実施していくことが重要だと考えております。このため、今後も継続的に悉皆で実施をしていくことが必要であると考えているところでございます。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/46
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047・古賀千景
○古賀千景君 小学校六年生と規定されておりますので、受検する子は毎年毎年変わっていきます。それで継続性と言えるのかなというところを思いますが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/47
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048・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) それは、毎年同じ学年の子を継続的にテストをするということで継続性ということだ、間違いないことだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/48
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049・古賀千景
○古賀千景君 子供たちのこともありますが、教職員側からも全国学力調査のことをお話ししたいと思います。
今、全国で、調査の点数や順位を上げるために学校ではどのようなことが行われているか御存じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/49
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050・里見朋香
○政府参考人(里見朋香君) お答え申し上げます。
全国学力・学習状況調査につきましては様々な報道がなされているというような状況は承知しているところでございますが、行き過ぎた取扱いがなされないように、本調査の趣旨、目的、調査への適切な対応につきまして、学校内、教育委員会と学校との間に共通理解を深め合うということが重要であるというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/50
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051・古賀千景
○古賀千景君 様々なところで対策が行われています。
石川県教職員組合の調査では、百四校中七十二校、七割の学校が事前対策を行っておりました。石川県だけではありません。多くの都道府県で行われています。私も勤めていた学校で行われていました、私はしませんでしたが。新聞記事でも一面に、うちは何位だということがどんと出ていったり、また福岡では教育事務所ごとの平均点などが出ていきました。このように、とても競争が激化しています。一年前の五年生のときから取り組んでいるという言葉や、調査が終わるまでは教科書は進まない、そんな話もあります。調査が終わると、二、三時間分の授業を一時間でするそうです。これでは子供の学力が伸びるわけはありません。
また、全国学力・学習状況調査での順位を上げるために、自治体独自で学力検査を行っている地域もたくさんあります。教職員からは、体験的な活動を増やして理科をもっと好きになってもらいたくても、全国学力・学習状況調査の対策に追われて優先順位が低くなってしまうという声も聞かれています。
理工系分野の学生が少ないのは全国学力・学習調査にも一因あるのではないかと私は考えます。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/51
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052・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) 議員御指摘の点につきましてはその詳細を把握しているわけではございませんが、仮にその数値データ上昇のみを目的としていると取られかねないような行き過ぎた取扱いがあれば、本調査の趣旨また目的を損なうものであると、そう考えております。
文部科学省といたしましては、平成二十八年に適切な取組について通知を発出をしておりまして、令和四年度の調査実施に当たっても、本通知を踏まえまして適切な取扱いを行うように周知徹底を図っております。今年十月に実施しました教育委員会等の担当者向けの会議におきましても改めてその旨を周知しておりまして、引き続きまして、各種の機会を通じて周知徹底等に取り組んでまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/52
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053・古賀千景
○古賀千景君 大臣、学生の頃、テストは好きでしたか。テストは好きでしたか、テスト。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/53
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054・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) テストはですね、しっかりと予習をしてきたテストは好きでしたが、やってこなかったテストは受けたくなかったというのが本音でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/54
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055・古賀千景
○古賀千景君 よく分かります。私も余り楽しくなかったなと思っています。
結局、勉強が厳しい子供たちには、調査とか対策とか点数とかいうのがとても子供を今追い詰めているなということを感じています。また、文部科学省も頑張ってくださっているのは知っています。二〇一六年に行き過ぎた通知をしないようにということで通知も出してくださっております。しかし、六年たった今でもこの状況は変わっておりません。より加速していると言っても過言ではない状況です。
中学校二年生まで不登校だった子が、中三の四月に、高校受験もあるけん、自分を変えなきゃって、学校へ行こうって決断をして、行くそうです、すごく悩みながら。先生との楽しい授業を受けられるって、友達と交流しようって、そんな気持ちを持って学校に行っても、学校で行われているのは、一人一人黙々と対策の事前調査、そのような時間でした。友達との交流もなく、黙々と問題を解く。不登校だったのですから、問題が分かるわけがありません。やっぱり自分は駄目だって、そう思い、傷つき、再び登校することはありませんでした。そんな子供たちも少なくないのです。
全国不登校の子供たちは過去最高になりました。点数学力主義が子供たちを苦しめています。そう考えたとき、全国学力・学習状況調査の制度を見直す必要があると私は考えます。教職員は、単元が終わるごとにテストをしています。自分が教えた内容どうだったかなって、子供はどこにつまずいとるやかって。あっ、ここを補強せないかぬ、今後どんな授業に自分は変えていかないかぬかな、日々献身しています。それで十分なのではないかと私は思います。
全国学力・学習状況調査の廃止、それが無理ならせめて悉皆を以前やっていた抽出へ戻すべきだと私は考えますが、どのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/55
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056・里見朋香
○政府参考人(里見朋香君) お答え申し上げます。
全国学力・学習状況調査が、児童生徒の学力や学習状況を把握、分析し、全ての教育委員会や学校において調査結果の活用を通じた教育施策や児童生徒一人一人への指導、教育指導の恒常的な改善充実を図ることを目的としているということ、先ほど御説明をさせていただきました。
この児童生徒一人一人への教育指導の恒常的な改善充実を図るためには全ての学校において継続的に調査を実施していくことが重要でございますので、このため継続的に悉皆で実施をさせていただきたいと考えております。
なお、教員の負担をできる限り軽減するという観点から、これまでも学校質問紙調査により簡便なウエブ回答方式の導入あるいは質問項目の精選を行うなど実施方法の見直しも行っておりますので、今後とも不断の見直しに努めさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/56
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057・古賀千景
○古賀千景君 全ての子供たちのことを理解しようとしていただいているのはとてもうれしく思います。
しかし、先ほども申し上げましたとおり、私は以前、教職員でしたが、クラスにいて、国語の力、算数の力、理科の力、社会の力、ほかに体育、音楽、全ての教科を子供たちとずっと見ていて、ああ、この子たちは今読解力が足りないから算数の問題が解けなかったんだなとか、この子は割合が苦手だからここが解けなかったんだなというのは、多分教員は一人一人の子供たちを見ていて分かります。
ですので、教職員を信じてもらって、全国学力調査、個人、個別にやっていくのは地場のテストで十分だと私は現場を経験していたときに思いました。是非、せめて抽出への、全国学力状況調査への変更を求めます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/57
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058・竹内真二
○竹内真二君 公明党の竹内真二です。本日は質問の機会をいただき、感謝を申し上げます。
早速質問に入らせていただきます。
本日は、独立行政法人大学改革支援・学位授与機構法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。
本法案は、デジタルや脱炭素化などを中心とした成長分野の人材育成に向けて、大学の理工系学部の新設や拡充などの取組を支援するために基金の創設などを行うものであります。もう少し言い方を換えれば、やはり人材不足、特に高いニーズがある理工系、この人材不足を解消するために大学側の受皿をしっかりと増やしていこうと、こういうことだと思います。
そして、大本である政府の教育未来創造会議も、今年五月に行った大学等と社会の在り方に関する提言、いわゆる第一次提言の中で、理系分野を専攻する大学生の割合を二〇三二年頃までに現在の三五%から五〇%程度に増やすと、こういう目標を掲げております。
今、外国を見ますと、英国は四五%、ドイツと韓国が四二%、米国三八%と、海外の国々、理系専攻の大学生の比率というのは日本より軒並み高くなっております。
そこで、まず、欧米など諸外国に比べて理系分野を専攻する学生の割合が低い今の我が国の現状について、まずはどのように分析をされているのか文部科学省にお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/58
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059・池田貴城
○政府参考人(池田貴城君) お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、我が国の大学においては、理工系分野を専攻する学生の割合が諸外国と比べて低い水準となっております。この背景は、一概には言えませんが、例えば理工系の学部設置や運営に求められるコストが人文社会系に比べて高いことから、理工系の学部の規模が比較的小さくなっていることなどが指摘されております。
また、高等学校におきましては、多くの生徒がいわゆる文系、理系に分かれ、二年次以降、特定の教科について十分に学習しない傾向があるとの指摘もあり、実態として理系を選択する生徒は約二割となっております。特に、女子高生が理系進路を選択しない理由として、将来像の描きにくさや、保護者、学校、社会における理系選択に関する偏った見方などの課題も挙げられております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/59
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060・竹内真二
○竹内真二君 まさに、理系、いわゆる理工系学部設置にはなかなかお金も掛かるし、そういう文系、理系のそういう選択の時期の問題もあるということで、そうしたことが今回の法案によってこの基金をつくるということにもつながっていると思うんですけれども、先ほど言った三五%という数字というのは学部卒者に占める理系分野の学位取得者の割合ですけれども、日本の場合、二〇一三年に約三三%、二〇二〇年に三五%と、七年間ぐらいの間に二%程度しかなかなか増えていないという実態がございます。何とかこれを今度、約十年ぐらいを掛けて集中的に一五%まで押し上げていこうという大きな目標があるわけですが、これなかなか大変だと思いますので、しっかりとこの点、よろしくお願い申し上げます。
こうした理系専攻の大学生の割合が低いという問題とともに、理系学部で学ぶ女子学生の割合が非常に低いという点も課題となっております。中には三割以下という数字も伺っております。四年制大学における各専攻分野の女性の比率で見ますと、理学が二七・八%、工学が一五・七%と、理系の中でも特に理工学系というのは低くなっております。
理系に進む女性が少ない理由としては、先ほどもちょっと答弁にもありましたけれども、女性は文系、理系には向かないといった周りの人たちからのジェンダーバイアスを始め、理系に関して、ロールモデル、お手本となる人たち、仕事に関する情報の不足といったものが影響しているとも言われておりますが、具体的にどのような要因がどの程度の影響をもたらしているのかは、いま一つはっきりしておりません。
女性が理系を選択しない原因をきちんと把握をして分析をする必要があると思いますが、政府としてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/60
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061・井上惠嗣
○政府参考人(井上惠嗣君) お答え申し上げます。
内閣府の総合科学技術・イノベーション会議におきましては、第六期科学技術・イノベーション基本計画に基づいて教育・人材育成に係るワーキンググループを設置しまして、本年六月に政策パッケージを取りまとめました。同パッケージにおきましては、ジェンダーバイアスの解消のための社会的ムーブメントや理系分野で活躍する女性のロールモデルの発信などに関係府省が連携、協働して取り組むこととしています。その中で、女性が理系を選択しない要因に関する大規模調査を行うことも盛り込まれてございます。
女性が理系を選択しない主な要因としては、先ほど御指摘いただきましたように、周囲からのバイアスのほか、ロールモデルや職業に関する情報不足、ライフイベントとキャリア形成の両立の不安など、様々な要因が考えられます。これらの要因が各学校段階で具体的にどのように作用したのかの調査分析が必要と考えてございます。
大規模調査は、四年制大学の学部学生を対象に、小学校から大学までの各段階におきまして理系への関心が薄れた理由や、高校の進路において理系を選択しない理由などについてアンケート方式で振り返り調査を行い、女性の理系進路選択に係る課題を統計的に把握、分析できるように令和五年度予算概算要求をさせていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/61
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062・竹内真二
○竹内真二君 今、来年度、できれば大規模調査を実施するということでありますけれども、六つのそうした角度からここまで大規模調査をするのは初めてに、実施されればですね、なると思いますので是非実施していただきたいと思うことと、できれば今後も定期的な調査というものを行って意識や動向の変化というものは把握、分析されるように、またそこも検討していただきたいと思います。
この理系女子、いわゆるリケジョについてなんですけれども、先日、IT企業に勤める女性の方から話を伺う機会がありました。このIT企業には女性社員も少なくないわけですけれども、結婚、出産そして子育てをしながら将来この会社でどのような仕事をしていけるのか、社内にはやはりロールモデルがないということで、非常にいい会社なんだけれども将来は不安だというふうにこの女性も言っておられました。やはり、理系分野の企業に就職してからも女性が理系分野で働く又は働き続けるということは、そう簡単ではないと改めて思い知らされたところであります。
そこで大臣にお聞きしたいんですけれども、この女性の理系選択を思いとどまらせる障害を取り除くとともに、女性が理系分野で安心して学び、卒業後の将来像をきちんと描けるようにしていくべきではないでしょうか。この点について、今後の取組について、永岡文部科学大臣の見解をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/62
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063・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) 竹内委員にお答えいたします。
やはり、なかなか女性が研究分野の方に、理系分野の方に行かないというのは、私もジェンダーバイアスはないと実は思っている一人なんですね。なぜかといえば、女子校だったから。余り、じゃなくてゼロですね、男性は、ですからみんな、女しかいないので、理系に行くか文系に行くかは、好きな、またできる方ということだったんですね。
よくよく考えますと、そういうところというのは、やはり女性が少ないというのは、これ共学の学校が多いわけですからまあ当然なのかなというふうにも思いますし、また、しかしながら、現在というのは男女を問わず理工系の分野の人材が強く求められているわけでございます。本当に、現在は少数にとどまっているわけでございますが、理工系分野の専門性を持った女性が活躍できる社会、これを構築していくことは大変重要だと思っております。
このため、今年の五月の末松前大臣のメッセージ等によりまして、社会全体に対して取組を促していくとともに、教育未来創造会議の第一次提言等を踏まえまして、初等中等教育段階におけます理数教育の充実、高等学校段階からの文理横断教育、これを進めること、そして女子中高生の理系分野への興味、関心を高めるその取組の支援、また理工系分野の女子などの入学者の多様性を確保する選抜の促進、今般の基金を通じました学部転換等への支援などにしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/63
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064・竹内真二
○竹内真二君 大臣の答弁にもありましたけど、やはり社会全体で取り組んでいこうという機運、これを盛り上げていくことも非常に大事だと思いますので、大臣、是非よろしくお願い申し上げます。
時間がなくなってきましたので、端的に質問してまいります。
次に、理系分野の学部再編などの取組の一方で、政府としてはこれまで、文理融合、文理横断教育の推進に力を入れてまいりました。しかし、今回のこうした取組がありますと、理系の学部再編、新設、拡充などによって文理横断の取組というものが少し足踏みしてしまうんではないかと、このように心配する方も中にはいらっしゃいます。
そこで、私自身は両者は決して矛盾するものではないと考えておりますが、文科省の見解を分かりやすく説明していただけないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/64
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065・池田貴城
○政府参考人(池田貴城君) お答え申し上げます。
予測不可能な時代において、文理の壁を越えた人材の育成が求められており、人文社会科学の知と自然科学の知の融合などにより総合知の創出、活用を図っていくことが重要だと認識しております。
この事業では、成長分野を牽引する高度専門人材を育成する観点から、理学、工学、農学分野の学位を授与する学部への転換を支援することを想定しておりますけれども、先ほど申し上げた観点から、人文社会科学の分野をも含む学位を授与する学際的な学部も支援対象とすることを想定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/65
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066・竹内真二
○竹内真二君 次に、支援が受けられる大学や高専というものをどのような基準で選定をしていくのか、また機動的かつ継続的な支援を行うというふうにも言われておりますけれども、どの程度の支援の規模等を見込んでおられるのか、この点についても説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/66
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067・池田貴城
○政府参考人(池田貴城君) お答え申し上げます。
本事業の選定に当たっての基準につきましては、今後、文部科学大臣が定める基本指針等において定めていくことになりますが、現時点では、デジタル、グリーン等の成長分野の人材育成の観点から、理学、工学、農学分野に係る学位を授与する学部への転換等を支援するということを検討しており、有識者会議による審査を経ることを想定しております。
また、この基金での支援規模等につきましては、三百校程度の大学や高専に対して、一校当たり数億円から二十億円程度の支援を最長十年間にわたって行うことを想定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/67
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068・竹内真二
○竹内真二君 規模としては三百校程度、最長十年ということで、額としても最大というんですかね、二十億円程度ということですので、かなり支援としては大きな額となりますので、先ほどもありましたけど、公平かつ透明性を確保された支援というものが大事だと思っていますので、その点についてもよろしくお願い申し上げます。
それでは、最後の質問になりますけれども、大学でデジタル人材などを育てる教員の確保についての問題であります。
学部再編による理工系、情報系学部の新設等によりましてデジタル人材などを育成する受皿が今回整備をされますけれども、その新たな学部等で教える優秀な教員の確保や実務家教員の活用などにもやはりしっかりと政府として力を入れていかなければならないと考えております。
こうした教える人材というものを今回どう確保していくのか、今後ですね、文科省にその取組についてお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/68
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069・池田貴城
○政府参考人(池田貴城君) お答え申し上げます。
高度専門人材の育成のためには、委員御指摘のとおり、優秀な教員の確保が大変重要だと認識しております。文部科学省では、本年九月、大学設置基準を改正いたしまして基幹教員制度を導入いたしました。この制度の活用によって、民間企業からの実務家教員の登用などの人材確保が非常にやりやすくなることと考えております。さらに、経済団体や大学団体、全国知事会などが構成員であるデジタル人材育成推進協議会などを活用し、産学官の連携を通じて実務家教員の確保を進めてまいります。
こうした取組を通じて、デジタル人材育成の推進に必要となる教員をしっかりと確保してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/69
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070・竹内真二
○竹内真二君 じゃ、時間が参りましたので、以上で終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/70
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071・松沢成文
○松沢成文君 日本維新の会の松沢成文でございます。
法案の質疑に入る前に、前回の私の質問で、大臣の答弁、分からなかったことがあるので確認をさせていただきたいと思います。
私は、東京五輪の組織委員会の相次ぐ汚職、不祥事、これ大変醜いものでありまして、それで、もうこれじゃ東京オリンピックのレガシーなんか吹っ飛んじゃって、二〇三〇年の札幌五輪の招致にも影響を与えると。だから、日本のスポーツ行政のトップである、トップリーダーである文科大臣が東京五輪の検証総括委員会を政府主導で立ち上げて、しっかりと総括をして、それで改革案を出して次に臨むべきだと、こう訴えました。そうしましたら大臣は、文科省としてはお答えする立場になく、文科省は関知しないと、でも、現在、組織委員会の必要とか、JOCとか東京都と連携して協力するところは協力していくと、こう答弁したんですね。
ところが、先日の予算委員会において立憲民主党の徳永議員が同じように聞きました、同じような質問をしました。そうしましたら総理は、文科省において今回の入札における不正行為等に関する今後の東京地検と公正取引委員会の動きを注視しながら適切な対応を図っていくと。総理はちゃんと、五輪の検証について適切な対応を文科省で図っていくと言っていた。
これ、文科大臣が言うことと総理大臣言うことと違うんですけども、これ、文科省による適切な対応を図っていくと総理は言っていますが、大臣、何をやるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/71
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072・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) 松沢委員にお答えいたします。
先日、委員会の場で私の方から、現在は清算法人である組織委員会が必要に応じてJOCですとかあとは東京都と連携、協力をしていくべきものと考えているところでございますと、そう答弁をさせていただいたところでございます。
文部科学省では、その後、状況の推移を踏まえまして、また元理事の逮捕、起訴事案がスポーツ界全体に及ぼす影響の重大性に鑑みまして、十一月、先月になりますが、十八日の日に、今後の大規模な国際大会の運営の透明化、公正化を図るための指針を策定をするプロジェクトチームを立ち上げました。組織委員会のガバナンス体制などについて検討を始めたわけでございます。
なお、委員の御指摘の文科省にある適切な対応でございますが、仮に、入札におけます不正事案、これが事実であり、またそれが大会の組織委員会のガバナンス体制に起因をしている問題と考えられるならばですが、このプロジェクトチームにおきまして検討をして、文部科学省として適切な対応を図ってまいりたいと思っております。
加えまして、国費分が過大に支出されている場合には、しっかりと返還を命じるなど、法令等に沿って厳正に対応してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/72
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073・松沢成文
○松沢成文君 今の大臣の答弁では文科省内にプロジェクトチームつくると言いましたけれども、これ、どんなメンバーでやるんですか。文科省の官僚の皆さん、スポーツ庁の皆さんでやるんですか。それとも、第三者委員会をつくって、外部のスポーツマネジメントとかあるいは法律の専門家も入れて、外部も入れてきちっと検証をするんでしょうか。
それで、これ札幌五輪誘致に大きな影響を与えますけれども、いつまでにその結論を出すんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/73
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074・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) 文部科学省では、元理事が逮捕された、逮捕、起訴された事案を受けまして、先日、スポーツ庁それから日本オリンピック委員会、JOCですね、を中心としたプロジェクトチームを設置をいたしました。プロジェクトチームの中には、中立的な立場でございます弁護士さんとか、あと会計士の専門家による作業チームなども設置をしております。大会組織委員会の元職員へのヒアリングですとか海外の事例等を通じましてガバナンス体制や情報公開の在り方について検討し、今後我が国で開催される大規模な競技大会において参考となるような適切な運営体制の構築に向けた指針案を作成することとしております。
いつまでにということでございますが、今年度中、二月辺りにはしっかりと対応ができるように議論を進めていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/74
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075・松沢成文
○松沢成文君 第三者も入れるということで、きちっとした体制をつくっていただきたいということと、これ札幌五輪招致にも関係しますので、影響しますので、できるだけ早く、もうこれ、招致もうどんどん進んでいますから、もう本当に来年の二月頃には結論を出して改革案をしっかり出していただきたい、強く要望しておきます。
それで、実は今日のニュースで、この委員会にもおられますが、橋本元組織委員長、会長が、もう本当にすばらしい発言したんですね、昨日。ありがとうございます。札幌五輪の招致についても聞かれたんだと思いますが、札幌招致は非常に厳しいと思っています、明確にされない限り、こういう汚職や不祥事が明確にされない限り支持率も上がらないと、東京大会の意義と真価が問われていると、新たな札幌大会のスタートが切れるようにしなければならないと。これやっぱり、検証、総括をしないと札幌招致厳しいと元組織委員会の会長がこうおっしゃられているんですよ。
私は、検証なくして招致なしです。しっかりと検証、総括をして再発防止策を公表しない限り札幌五輪を開催する資格はないと考えておりますけど、大臣はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/75
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076・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) 二〇三〇年の冬季オリンピック・パラリンピック大会の招致につきましては、現在、国内候補地となっております札幌市とJOCとが協働いたしましてIOCと継続的な対話を行っている段階にあるということでございます。
また他方で、先日、もうお話し申し上げましたスポーツ庁、JOCが中心となりましたプロジェクトチーム、これ立ち上げております。大規模な国際大会の運営の透明化、公正化を図るための指針を策定することとしておりますので、札幌市とJOCにおきましても、今後取りまとめる指針を参考にしていただきながら機運醸成に丁寧に努めて、やはり何といっても国民そして道民、札幌市民の皆様方の支持を得ていくことが大変大切であると、そう考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/76
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077・松沢成文
○松沢成文君 一歩前に動き出していただいて、感謝をしております。よろしくお願いします。
それでは、法案の質疑に入ります。
今回の法案、理工系の学生、人材をしっかりと増やしていかないと日本の将来の発展はないという危機感でできたんだと思いますが、先ほども質問ありましたけれども、理工系分野の学生が例えばOECDの平均なんかに比べると少ないというのと、やはり日本の場合は、理工系分野に進む女子ですよね、この女子が全体の割合よりも更に少ない、半分以下なんですね、OECD諸国平均の。
まず、大臣、日本で理工系の女子が少ない原因というのをどのように大臣は分析していますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/77
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078・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) お答えいたします。
日本におきましては、大学に入学する女性のうち理工系学部に入学する女性は七%にとどまっております。男性の二八%と比較して大変低くなっているわけでございますし、またOECDの平均より大幅に低い状況にございます。
この理由は、やはり、将来像が描きにくいとか理系選択に関する偏った見方があるということ、それから高等学校の段階での理系離れなどの様々な課題があるものと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/78
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079・松沢成文
○松沢成文君 そういう中で、東京工業大学が思い切って来年の入試から、約、募集人員千二十八名のうち百四十三人の女性枠をつくるということで、大胆に出たわけですね。来年度の入試では、名古屋大学、島根大学、富山大学かな、公立系の大学ではこんなところもやっているそうで、大分進んできたと思います。
ただ、これ、十年前に九州大学が理学部数学科に五人の女子枠を設置すると発表したんですが、まだその当時、時代背景も違ったと思うんですけれども、男性差別につながるとか、女子枠をつくってしまうと、それから法の下の平等に反するとか様々な反対が出て、九州大学、撤回に追い込まれたという経緯があるんですね。
だから、そこで、大学としての考え方をしっかり明らかにした上で出願資格を女子に限定する女子枠という設けることは私は問題はないと思いますけれども、こうした男性差別につながるとか法の下の平等に反するといった批判については、大臣はどう考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/79
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080・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) 松沢先生、私も先生の意見に賛成でございます。
理工系学部を卒業した学生が、男女を問わず産業界などにおいて強く求められているというのが今の現在でございますね。男性が多数を占めてきた理工系分野におきまして多くの女性が活躍してほしいということが特に期待されているわけなんですね。このような背景も踏まえまして、大学入学者の選抜実施要項に今年度から理工系の女子などを対象にした入学者の多様性を確保する選抜の実施について新たに盛り込み、各大学の取組が進むことを期待をしているところでございます。
一方で、男性差別、法の下の平等に反すると捉えられることのないように、このような選抜を実施する趣旨ですとか、また方法が合理的であることについて社会に対して丁寧な説明を行うことが必要だと考えております。
また、入学志願者の学力につきましても、やはり適切に評価をした上で各大学が合否判定をするということが重要だと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/80
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081・松沢成文
○松沢成文君 ちょっとこれ細かいことなんで政府参考人の方で結構なんですが、文科省が六月に通知した令和五年度の大学入学者選抜実施要項で、初めて理工系分野における女子枠についてこれ明記したんですね。この実施要項からも、文科省としては女子枠については、あくまでも一般入試ではなく総合型選抜、昔のAO入試みたいなやつとか学校推薦型選抜での活用を想定しているというふうに思うんです、枠がそこに入っていましたからね。
実際に女子枠を既に設けている大学や今後設ける予定の大学は、一般入試ではなく総合型選抜あるいは学校推薦型選抜で女子枠を採用しているわけなんですが、文科省としては、ちょっとこれ、昔、九州大学がやろうとしたように一般入試の合格者に女子枠を設けるということは、大学がしっかり説明責任を果たせればそれはよしとするのか、それは文科省としてはちょっと承認できないと、こういう考えなのか、どちらでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/81
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082・池田貴城
○政府参考人(池田貴城君) お答え申し上げます。
委員御指摘の大学入学者選抜実施要項におきまして、今年度から、理工系の女子などを対象にした入学者の多様性を確保する選抜の実施について、一般選抜とは別のものとして新たに盛り込んだところでございます。
このような記載を盛り込んだ趣旨は、各大学が多様性の確保を図るため、丁寧な選抜プロセスを通じて、多様な背景を有する者のうち、その特性を十分に発揮できる者を見出し確保することが重要であると考えているためです。一般入試、一般選抜におきましても、このような一定の属性を有する入学志願者を選抜する枠を設けること自体を禁止しているものではございません。
ただ、一般選抜におきまして実施する場合でも、大学において、多様性を実現していく上で必要と考えられる特性を、例えば調査書、小論文、入学志願者本人の記載する資料等を通じてしっかりと確認するとともに、そうした選抜を実施することの合理性について社会に対して丁寧に説明することが必要であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/82
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083・松沢成文
○松沢成文君 最後にいたしますけれども、今回のあれで補助率は下がるけれども、収容定員数を増やすことも基金の対象になるというふうになっていますけれども、三年前にたしか議論した法律で東京二十三区内は原則として学部の学生の収容人数を増加させてはならないということになっていますが、この成長分野の学部についてはこれはどうなんでしょうか。例外措置をするんでしょうか、それとも東京二十三区は絶対に駄目なんでしょうか。最後にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/83
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084・高橋克法
○委員長(高橋克法君) 質疑時間が終了しておりますので、簡潔に御答弁ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/84
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085・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) じゃ、短く。申し訳ありません。
今後の我が国の成長、発展には、特に人材不足が指摘をされているデジタル等の成長分野におけます人材育成が喫緊の課題だと考えておりまして、二十三区内の大学におけるこうした人材育成の在り方について、内閣官房とともに検討をしっかりと進めてまいりたいと考えております。(発言する者あり)はい、検討です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/85
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086・松沢成文
○松沢成文君 済みません。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/86
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087・伊藤孝恵
○伊藤孝恵君 先ほど櫻井委員の方から、イノベーションが生まれなくなった我が国の課題について指摘がありました。そのイノベーションの種たる論文数も、それから基礎研究に取り組めない現場の課題についても指摘がありましたので、私の方から、それらにも連なる単年度主義、そういったものの弊害について冒頭伺いたいと思います。
昨今、ビジネスの現場では、日本型短期主義の弊害が指摘されております。バブル崩壊後、特に単年度損益主義というのになりまして、設備投資もしませんし、修繕も先送りにしますし、研究開発よりも今あるものというのを改良して、それで利益をつくり出している。採用もしなければ、自社の社員たちの教育投資もしないと。その結果、イノベーションが生まれなくなったんじゃないかというような指摘があると言われています。
これガバナンスも絡んできますけども、日本の大企業って、大体三年の中期経営計画というのを二回やったら社長って交代していくんですよね。なので、文科大臣、まあ大臣職もそうかもしれませんけども、こういった、何というんですか、ガバナンス、それからトップの交代というのがあると本当に長期的な構造改革というのは難しいんじゃないかなと、私自身も正直思うところであります。
また、行政の単年度主義というものと教育や文化、スポーツ、こういった無形の財産を取り扱うという文科行政というのは特に相性が悪いんじゃないかというふうに感じるんですが、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/87
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088・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) 伊藤委員にお答えいたします。
日本では、予算を毎年、毎年度国会で決議するわけでございまして、単年度主義が原則となっておりますし、また一方で、企業経営におきましても長期的視点が必要であるように、文部科学行政におきましても実は長期的視点を持った対応が必要であります。単年度主義の弊害とは、そのような視点を欠いた対応になってしまうことを指すと考えております。今回の補正予算案では、やはり、大学や高等専門学校また研究者等に対しまして複数年度にわたり安定的また効率的な支援を行うことができるように、基金によります支援を盛り込んでいるところでございます。
文部科学省といたしましては、事業の性質に応じた適切な政策手段を用いまして、人への投資、科学技術イノベーションへの投資を通じまして我が国の未来を切り開いていくことができるように取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/88
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089・伊藤孝恵
○伊藤孝恵君 皆さんからの説明でも、今回、基金は年度をまたげるんです、年度をまたげるんですと一生懸命おっしゃるんですけども、そういう企業価値のドライバーもそうですけども、今、無形の資産から、あっ、有形の資産から無形の資産というのに評価されるものは変わってきているわけで、年度をまたぐというのが文科行政に相性が悪いんだったら、今大臣がおっしゃったようなことを、私たちは目に見えない価値をつくっているんだと、未来のシードをつくっているんだということで堂々と主張なさったらよろしいかと思いますし、特にこの人的資本というのは、一度失ったら取り返しが付かないんです。
その意味で、大臣に、本案が本当に成長分野を牽引する人材の育成につながるように、もとい、今そこにある課題に対応できているのか否かを確認させていただきたいと思います。
自動車整備士不足の問題への対応を伺いたいと思います。
昨年十二月十七日の予算委員会で、我が党の浜口誠参議院議員が岸田総理に自動車整備の現場で今本当に何が起こっているか話を聞いてくれというふうに直訴いたしまして、結果、今年の一月十三日に車座対話が実現をいたしました。もちろん、処遇の改善、長時間労働の是正という根本的な課題とともに、今の電動車の普及、電気自動車、自動運転、それら自動車の進化、高度化に対して自分たちに求められる技術や知見ももう今までとは全く違う次元のものになっていること、こういった、賃金や働き方のみならず、そういったものを学ぶ機会、インプットする機会というのを欲している現状というのを総理に聞いていただきました。
安全を守る欠かせぬ要というのが自動車整備士の皆さんであります。こういった自動車整備士不足の課題に対してどのような好影響をもたらす法案であるのか、これ、大臣に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/89
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090・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) 本事業では二つのメニューが用意されております。それぞれ、一つ目はデジタル、グリーン等の成長分野への学部再編等を行う私立・公立大学、そして二つ目でございますが、高度情報専門人材の育成に向けた体制強化を行う国公私立の大学、高専への支援を想定しているわけでございます。
今委員お話しいただきました自動車整備士さん、これ専門学校が多いと思いますけれども、自動車整備士を始めとした自動車産業につきましては、脱炭素化ですとか、あとは電動化への対応が求められていると承知をしております。本事業に関しましては、自動車産業を支えます人材育成にも寄与しているものと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/90
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091・伊藤孝恵
○伊藤孝恵君 自動車整備士に係る予算というのは、二〇一六年度、たった年間二百万円だったんです。それが、この事の重大性を鑑み、令和四年度は一億一千七百万円になっております。
これ、しかし、国交省に施策の内容をいただいて確認をしてみたんですけども、新技術というものの知見を有する指導者による教育の必要性、書いてございます。指導者自体の育成の必要性というのも課題と挙げられています。にもかかわらず、その、じゃ内容というのがそれに資するものになっているかを確認すると、例えばVR教材というので教育をしてみるのの実証実験とか実証調査というような、そういうものになっています。
新たな整備技術に関する講習会とか体験会、勉強会の実施というのもやっていたりとか、先進技術のエーミング講習会、新潟でやっているこういったグッドワークというのを発掘してきて横展開をしたりとか、そういうのもやりますというふうに書いてあるんですけども、やっぱり、とにかく国交省の施策の範囲では、やはり、教育に特化した、先進技術を学ぶためのそういった教員の採用とか、そういったところにはなかなか踏み込めないわけであります。
自動車産業というのは、言わずもがなですけど、日本の基幹産業ですから、五百五十万人の雇用を生み出している我が国の欠かせない産業でありますから、その産業を支える整備士の育成をする、そういったものの学校の重要性というのを、大臣にも、また文科省にもそれは御確認、御認識をいただきたいというふうに思うんです。
なので、今回、大学校については範囲外というふうに聞いておりますけども、こういった専門学校、大学校、こういったところで先進技術を学ぶ、またリカレント、リスキリングの観点もあると思います。こういった自動車整備士不足の課題に係る、そういったものも文科省、取り組んでいただきたい。
大臣、一言お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/91
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092・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) 自動車産業にとりましても、また自動車整備士さんにとりましても、やはり、エンジンが普通に回っているところから、昔はですね、今は電気自動車がこれ本当にメジャーになる時代でございます。そういう中で、やはり技術の習得というものが大変重要になってくる整備士さんたちでございますので、これからしっかりと検討させていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/92
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093・伊藤孝恵
○伊藤孝恵君 こういった自動車整備士さん、いなくなると、有効求人倍率がもう物語っているんです。全職種ですと一・〇一なんですけども、自動車整備士に限ったら四・五なんですよ。こういうふうに、いなくなってしまうと、大切な自動車整備士の方がいなくなってしまうと、自動車整備難民が生まれるおそれがあります。こういった自動車整備工場のネットワークが失われないために、この法案もそれに資するものとなるように、私も質問を続けてまいります。
最後に、本基金の用途について確認させていただきたいと思います。
現在、我が国の頭脳は海外流出の危機にあります。二〇一三年の改正労働契約法は十年を超える有期雇用の研究者を無期雇用に切り替えることを促すことが目的でありましたけども、大学の運営費交付金が伴っていないばかりに、実際は十年での雇い止めを生む仕組みになってしまっております。今年度末で雇い止めとなる国立大の研究者は三千九十九人に上ることは、文科省が発表している数字であります。
この基金というのは、研究者とか研究職を講師に迎え入れたり、そういったものの人件費にも使えると理解していいのか、これ大臣に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/93
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094・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) 本事業におきましては、高度情報専門人材の確保に向けた機能強化の支援につきまして、そのために必要となる教員の人件費についても支援をすることと想定をされております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/94
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095・伊藤孝恵
○伊藤孝恵君 いろいろな、じゃ新しい分野、成長分野にチャレンジをしようという学校が、そこに研究をしている、そして今回雇い止めに遭うという方を、どういうふうに出会ったり、どういうふうに探したり、そのマッチング機能というのはどこにあるんですかね。参考人で構いません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/95
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096・池田貴城
○政府参考人(池田貴城君) お答え申し上げます。
基本的には、この基金の、先ほど大臣からお答え申し上げたように、人件費にも活用できる部分がございますが、基本的な人事管理などは各大学が適切に判断していただくことになります。今いるその教員の分野ですとか御経験ですとか、それから新しくつくる学部の内容を判断して各大学が適切に管理をしていただくと。当然、雇用の安定ということも考慮をしていただきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/96
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097・伊藤孝恵
○伊藤孝恵君 今、雇い止めに遭うその研究者の方々って、自分で電話を、いろんな地方の大学とかにも自分でしまくって、しまくって、しまくって、次なる研究を続けられるか、自分のこの得た知識というのをどこかで還元できるかというのを探しているそうなんですね。
なので、そういう研究者を探している、こういう分野に取り組みたい大学等がありましたら、文科省がそういう実態を把握した上で適切にマッチングなどを果たしていただくと本当に有り難いですし、そもそも、来年三月末に迫っているこの日本の頭脳の流出の危機というのに対しても文科省にはお取り組みいただきたいということを申し上げ、質問を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/97
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098・吉良よし子
○吉良よし子君 日本共産党の吉良よし子です。
今回の法案を提出するに至った背景には、先ほどの提案理由説明にもありました教育未来創造会議の第一次提言があると承知をしております。
この提言では、成長分野への大学等再編促進として、本法案の再編に向けた初期投資や開設年度からの継続的な支援だけでなく、大学全体としての規模を抑制する仕組みの整備、私学助成に関する全体の構造的見直し、計画的な規模縮小、撤退等を含む経営指導の徹底、修学支援新制度の機関要件の厳格化、大学設置に関わる規制の大胆な緩和を挙げています。
大臣、つまり、この提言で示された本法案の内容を含めた政策というのは、全て一体に、セットで行うということでよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/98
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099・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) 吉良委員のおっしゃいますように、教育未来創造会議の第一次提言におきましては、今般の基金を通じました学部転換等の支援に加えまして、大学全体としての規模を抑制する仕組みの整備、そして私学助成に関する全体の構造的見直し、計画的な規模縮小、撤退等も含む経営指導の徹底、そして修学支援新制度の機関要件の厳格化、大学設置に係る規制の大胆な緩和について提言をされております。
文部科学省におきましては、教育未来創造会議第一次提言の工程表に基づきまして、これらの事項に関し、それぞれしっかりと取り組んでまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/99
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100・吉良よし子
○吉良よし子君 それぞれしっかりと取り組んでいくということは、やはり全体、セットにして取り組んでいくということだと思うわけですけれども、つまり今回の再編支援というのは、単純に再編を支援するだけじゃなくて、大学全体としての規模を抑制するなどということも前提としてあると。単純に、現状の大学に加え、大学の学部に加えて理工系の学部が増えていくっていう話じゃなくて、全体縮小の下で理系を増やそうと。
とりわけ、現在多くの私立大学は文系学部が中心となっているわけですが、そういう下で大学規模を抑制しつつ理工系学部を拡大とするとなると、つまり結果としては文系学部を縮小せざるを得ないと思うわけです。つまり、これ事実上の文系潰しになるんじゃないかと思うんですが、大臣、いかがですか。
〔委員長退席、理事赤池誠章君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/100
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101・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) 本法案は、成長分野への学部再編等に取り組もうとする大学、高専の主体的な改革を後押しするものでございまして、特定の分野の学部等の廃止ですとか縮小を前提とするものではございません。このため、文系学部でも、理学、工学、農学分野を含む学位を授与する学際的な学部であれば支援対象とすることを、これはしっかりと想定できるというところでございます。
文部科学省といたしましては、大学の教育研究が継続的に安定的に実施できますように、基盤的経費の確保もこれしっかりと取り組んでまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/101
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102・吉良よし子
○吉良よし子君 いや、主体的な取組の後押しっておっしゃいますけれども、でも、事実上、理工系、理工農学部を増やす、そういう取組への支援ってことになるわけで、そうなると、全体の規模縮小する中で理工系学部を増やしましょうってなると文系が減るんじゃないですかって言っているんですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/102
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103・池田貴城
○政府参考人(池田貴城君) お答え申し上げます。
それぞれの学部転換をどうするかは基本的には各大学の御判断になりますけれども、結果的に理系の学部を増やすことによって文系の割合が減ってくるということはあり得ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/103
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104・吉良よし子
○吉良よし子君 あり得るっていうことですよね。それはやっぱり私違うんじゃないかと、事実上に文系潰しっていうのは違うんじゃないかって思うんですよ。
あわせて、大学設置に係る規制の緩和っていうのは、従来よりも必要となる教員数や校舎面積などの基準が下げられると、そうなると質の面でも不十分な理工系学部が粗製乱造されかねない懸念もあるわけで、それでいいのかっていうのは私言いたいところだと思うわけです。
しかも、さらに、私学助成に関する全体の構造的見直しとか撤退等も含む経営指導の徹底という方針は、つまりは経営難となった私学をどんどん淘汰するっていう話で、文系を潰していく、私学を淘汰していくっていう話がこの法案には含まれているっていうことです。しかも、そういう私学をどんどん淘汰する話の文脈の中で修学支援新制度の機関要件の厳格化、これが挙げられているというのも重大だと私は思うわけです。
修学支援新制度っていうのは、つまりは学生への給付奨学金制度ってことなわけですけど、給付を受ける学生個人の資質とかの問題ではなくて、その学生の通う大学に対して制度の対象にするかどうかの要件、機関要件を掛けるという仕組みで、現在は、お配りした資料の左側、直前三年度全ての収支計算書の経営収支差額がマイナス、それから直前年度の貸借対照表の運用資産、外部負債がマイナス、そして直近三年度全ての在学学生数が収容定員の八割未満と、この三点全てに該当する場合は修学支援制度の対象外になるという仕組みになるわけですけれども、じゃ、現在この機関要件に該当して修学支援の対象外となっているのは何校ですか。
〔理事赤池誠章君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/104
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105・池田貴城
○政府参考人(池田貴城君) お答え申し上げます。
修学支援新制度の対象校は、令和四年度で十五校が要件を満たさず対象外になっているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/105
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106・吉良よし子
○吉良よし子君 十五校、大学、短大で四校、専門学校で十一校ということですけれども、じゃ、これを提言の言うように厳格化したらどうなるのか。先ほどの教育未来創造会議の提言では、定員充足率が収容定員の八割以上の大学とするなどの機関要件の厳格化を図るというふうに書いてあるわけですね。つまりは、現行はこの三つの条件全てが重なった場合のみが対象なんだけれども、その中から定員充足率八割未満という要件を外して独立させて、それだけでも当てはまれば修学支援制度の対象外にできるようにするという話になってくるわけですね。
この提言の条件をそのまま機械的に当てはめた場合、じゃ、新たに対象外となる大学というのはどの程度の数となると見込んでいらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/106
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107・池田貴城
○政府参考人(池田貴城君) お答え申し上げます。
大学、短大、高専について申し上げますと、収容定員充足率が八割未満を独立した要件として、今御指摘のように、そのまま当てはめた場合には、百十八校が新たに対象から外れることになります。
ただし、今、吉良委員配付資料にもございますように、右側にメモがございますように、有識者会議におきましては、このうち収容定員が八割は切っていても五割以上のものというのが百三校ございます。この百三校のうち、定員割れであったとしても質の高い教育を行う機関は引き続き制度の対象になるようにすべきだという御意見もありまして、例えば、就学、就職率が九割を超える機関については猶予を行うという案、これも議論をされているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/107
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108・吉良よし子
○吉良よし子君 いや、数を伺っているんですね。様々検討されているのは分かっていますけど、機械的にそうしたら新たに修学支援制度に外れてしまうと思われる学校の数はどの程度ですかということで、先ほど大学、短大、高専の数だけおっしゃられましたけど、専門学校も含めて、若しくは定員充足率八割未満を外した場合の残りの直近の三年度全ての経営収支差額がマイナスと、直近年度の運用資産、外部資産、負債がマイナス、これの重なった部分とかでも新たな対象が出てくると思うんですけれども、それ全てでどれぐらいかって聞いているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/108
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109・池田貴城
○政府参考人(池田貴城君) 専門学校につきましては、規模など大学とは異なっておりますので、少し扱いを変えた議論をしております。収容定員充足率が五割未満を基準とした場合、専門学校については二百三十九校が対象から外れることとなりますが、地域の社会、経済社会にとって重要な専門人材の育成に貢献していると設置認可を行っている都道府県が、都道府県知事が認める場合には猶予を行うという方向で議論が進められているところでございます。
このほか、定員充足率を独立の要件としたことで経常収支差や外部負債の超過の要件に抵触することとなる機関は七十二校ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/109
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110・吉良よし子
○吉良よし子君 つまり、いろいろおっしゃって、文科省の中では更に条件を課す中で数を絞っていこうというお話もされているようですが、提言の中身をそのまま実施すれば、現状十五校から全部合わせて四百四十四校、約三十倍、全体の八%、一割近くの学校が支援の対象外となる、そういう数字が出てきてしまうと。
かなりの規模であり、やっぱり私、教育未来創造会議の議論というのはかなり乱暴と言わざるを得ないと思うんですよ。だから文科省でもそういう様々な要件付けなきゃいけないねっていう議論になっちゃっていると思うんですけれども、この未来会議の中では、こうした厳格化を進めるのは大学の経営困難から学生を保護するためと、学生を守るためって言っているんですけど、本当にそうなのかと。
日本私立大学協会は、この機関要件によって低所得層の学生が学びたい高等教育機関で学べない矛盾が生み出されているよと、選べなくなると、そっちに行けなくなると、行きたいけれどもその学校が修学支援制度適用外になっていればそこに行けなくなると、そういう矛盾があるよという指摘もありますし、また、青森のある大学、機関要件の条件で、経営悪化で制度から対象外になったんだけれども、ただ、他の学校との兼ね合いで、同じ、国と同様の支援を実施すると、そのために、その財源を捻出するために経営が改善してきていた系列の高校の教職員の給料を不支給にすると、一時金を不支給にするなどの対応で何とか自校の制度をつくったという話を系列校の教職員に伺いましたけれども。
これ、学生を守るという話にはならないと思うわけで、やっぱり大臣、こういう修学支援新制度の機関要件そのものが不要だし、厳格化なんてもってのほかと、学生自身何ら責任のない機関要件で支援の対象外とするのはあってはならないと思いますが、大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/110
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111・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) 吉良委員にお答えいたします。
高等教育の修学支援新制度は、低所得世帯の学生を対象とする、大学などでしっかりと学んで社会で自立をして活躍することができるように経済的負担の軽減を図りまして、格差の固定化の解消ですとか少子化の進展に対処するものでございます。このために、本制度の対象機関におきましては、社会で自立をして活躍できる人材の育成を担っていただく必要がございます。
このような考えから、大学等での勉学が職業に結び付くよう、学問研究と実践的教育のバランスが取れていることなどを大学等が対象機関となるための機関要件を求めているところでございます。現在、機関要件の見直しに係る制度設計につきまして有識者会議におきまして検討をいただいているところですが、一定程度の定員割れがあったとしても、大学にですね、質の高い教育を行う大学等が修学支援新制度の対象外とならないようにするなど、適切な要件について検討をいただいているところでございます。
なお、修学支援新制度におきましては、学校が対象外になったとしても、支援対象の在学生につきましては引き続き支援を受けることができることとなっております。また、文部科学省といたしましては、学生等に不利益が生じることがないよう、引き続き必要な対応を行ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/111
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112・吉良よし子
○吉良よし子君 いや、学生を支援するための制度に機関要件は必要ないと、厳格化なんてもってのほかだということを申し上げて、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/112
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113・高橋克法
○委員長(高橋克法君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/113
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114・吉良よし子
○吉良よし子君 私は、日本共産党を代表して、独立行政法人大学改革支援・学位授与機構法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
本法案は、デジタル、グリーン等の成長分野などに今後人材不足が生じるとの見込みから、主に私立大学を対象に理工系学部への学部編制、再編等による転換を財政的に支援するものです。
理工系学部の拡大は、教育未来創造会議の第一次提言に示されたものです。提言は、成長分野への大学等再編促進として、本法案にある再編に向けた初期投資や開設年度からの継続的な支援とともに、設置認可の審査の厳格化を含む大学全体としての規模を抑制する仕組みの整備、定員割れ大学に対するペナルティーの強化などの私学助成に関する全体の構造的見直し、修学支援新制度の対象外となる大学の拡大となる計画的な規模縮小、撤退等も含む経営指導の徹底、修学支援新制度の機関要件の厳格化も求めています。
つまり、経営が困難とされる地方や中小の私立大学の早期撤退の促進、淘汰を進め、多くの私立大学が担っている文系学部の再編、縮小を進める文系潰し、私大潰しにほかなりません。経営困難な大学を淘汰することで地方から大学教育を受ける機会を奪うのではなく、地域のニーズに応じて多様な教育研究を展開している地域の貴重な高等教育機関として国が積極的に支援をすべきです。
また、大学設置に係る規制の大胆な緩和として大学設置基準が本年十月に改定され、必要な教員数、講師、校舎の面積などの基準を引き下げる規制緩和が実施されました。このまま学部再編を進めれば教育研究機関としての条件整備が不十分な理工系学部が増える可能性があり、学部の粗製乱造にもつながりかねない点は問題です。
本法案での助成を受けるためには、従来行われている設置審査に加え、政府が定める基本方針に従う必要があります。経済成長が見込めると政府が認める学問分野に適合しているかどうかを審査することは、学術の中心である大学を国家、産業界に従属させることにつながり、学問の自由を脅かしかねません。
学問の自由を尊重し、運営費交付金や私学助成といった基盤的経費の抜本的増額こそ踏み出すべきであることを申し上げ、討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/114
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115・高橋克法
○委員長(高橋克法君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
これより採決に入ります。
独立行政法人大学改革支援・学位授与機構法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/115
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116・高橋克法
○委員長(高橋克法君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、熊谷君から発言を求められておりますので、これを許します。熊谷裕人君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/116
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117・熊谷裕人
○熊谷裕人君 私は、ただいま可決されました独立行政法人大学改革支援・学位授与機構法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、立憲民主・社民、公明党、日本維新の会及び国民民主党・新緑風会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読させていただきます。
独立行政法人大学改革支援・学位授与機構法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府及び関係者は、本法の施行に当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである。
一、令和四年度第二次補正予算関連である本法の緊要性を踏まえ、独立行政法人大学改革支援・学位授与機構における基金の創設を速やかに進め、高度専門人材の育成を担う大学等が予見可能性をもって成長分野への学部再編等に取り組むための環境整備に早急に着手すること。
二、今般新たに創設される基金については、多額の国費を中心とした複数年度にわたる支援であることを踏まえ、基金の適正な執行や助成業務の実施状況等について、国会への報告を通じ高い透明性を確保すること。また、基金の活用を通じた大学等の学部再編等の結果として、我が国の成長や社会の発展に寄与しうる分野の高度専門人材の育成状況等について調査・検証を行い、その結果に基づき必要な措置を講ずること。
三、文部科学大臣が定める基本指針において、助成金の交付対象となる教育研究の分野や選定方法等を定めるに当たっては、適切な大学等に助成されるよう有識者の意見を十分に踏まえた上で公平性・公正性が確保された基準とすること。その際、定員未充足が継続するなど経営に過度に課題のある大学等に措置されることのないよう、適正な選定方法の在り方に留意すること。
四、学校法人及び公立大学法人が行う学部等の設置等については、独立行政法人大学改革支援・学位授与機構による助成金の交付対象として選定される場合においても、大学設置・学校法人審議会の審査を経て文部科学大臣の認可が必要であることから、両者の審査項目を精査し、重複するものについては、手続の簡素化を図るなど、大学等の負担軽減に努めること。
五、今般新たに創設される基金は成長分野をけん引する高度専門人材の育成を目的とするものであることを踏まえ、基金において支援する大学等の学部再編等に加え、質の高い教員の確保や教員一人当たりの学生数の改善などを通じ、学生が主体的な学修を実現するための適正な教育環境を整備するとともに、企業や地域におけるリカレント教育の促進など、高度専門人材の育成に向けた各種施策の総合的な推進を図ること。
六、量子コンピュータや人工知能など先端分野における国際競争の激化に伴い、科学技術の研究・開発やデータサイエンス分野等に係る人材が求められる現状を踏まえ、高等教育段階の理系人材を量的・質的に確保し研究力の強化を図る観点から、初等中等教育段階における自然科学に対する興味と志向の醸成に努めること。また、我が国では理工系の学部等に進学する女子の割合が男子と比較して大幅に少ないことから、その原因を調査するとともに、理工系の学部等への女子進学者を増加させる取組を行う大学等に対する支援を実施すること。
七、大学等の学部再編等に助成する基金の創設のみならず、これまで措置されてきた国立大学法人運営費交付金、私立大学等経常費補助金及び独立行政法人国立高等専門学校機構運営費交付金に係る基盤的経費や競争的研究費などの大学・高等専門学校への資金が十分に確保されるよう、引き続き大学等の長期的、安定的な運営及び研究基盤構築のための財政措置を講ずること。
八、我が国が成長・発展を持続するためには、未来への先行投資である教育の充実が何よりも重要であることに鑑み、次世代を担う子供たちが等しく教育を受ける機会を得られるよう引き続き教育費の負担軽減を図るとともに、必要な教育予算の確保に一層努めること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/117
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118・高橋克法
○委員長(高橋克法君) ただいま熊谷君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/118
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119・高橋克法
○委員長(高橋克法君) 多数と認めます。よって、熊谷君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、永岡文部科学大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。永岡文部科学大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/119
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120・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処をしてまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/120
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121・高橋克法
○委員長(高橋克法君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/121
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122・高橋克法
○委員長(高橋克法君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後五時八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121015104X00420221202/122
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