1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和五年五月十六日(火曜日)
午前十時開会
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委員の異動
五月九日
辞任 補欠選任
高橋はるみ君 世耕 弘成君
五月十一日
辞任 補欠選任
世耕 弘成君 高橋はるみ君
竹内 真二君 山口那津男君
五月十二日
辞任 補欠選任
山口那津男君 竹内 真二君
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出席者は左のとおり。
委員長 高橋 克法君
理 事
赤池 誠章君
今井絵理子君
上野 通子君
熊谷 裕人君
伊藤 孝恵君
委 員
赤松 健君
臼井 正一君
櫻井 充君
末松 信介君
高橋はるみ君
橋本 聖子君
古賀 千景君
斎藤 嘉隆君
宮口 治子君
伊藤 孝江君
竹内 真二君
中条きよし君
松沢 成文君
吉良よし子君
舩後 靖彦君
国務大臣
文部科学大臣 永岡 桂子君
副大臣
文部科学副大臣 簗 和生君
事務局側
常任委員会専門
員 武蔵 誠憲君
国立国会図書館側
館長 吉永 元信君
政府参考人
内閣府知的財産
戦略推進事務局
次長 澤川 和宏君
文部科学省初等
中等教育局長 藤原 章夫君
文化庁次長 杉浦 久弘君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○著作権法の一部を改正する法律案(内閣提出、
衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/0
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001・高橋克法
○委員長(高橋克法君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。
政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。
著作権法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣府知的財産戦略推進事務局次長澤川和宏君外二名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/1
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002・高橋克法
○委員長(高橋克法君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/2
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003・高橋克法
○委員長(高橋克法君) 著作権法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/3
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004・赤松健
○赤松健君 自由民主党の赤松健でございます。質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
著作権法は毎年のように改正されております。私も、議員になる前からロビーイングや、参考人としてまさにそこに呼ばれていろいろお答えしたことがございます。こうやって著作権法改正案に関わってきてまいりまして、今回の著作権法の一部を改正する法律案、特に簡素で一元的な権利処理として創設される新たな裁定制度、これについてはこれ非常にインパクトが大きいものと理解しております。
それでは、質問に入ります。
これまでの裁定制度は、相当な努力を払っても権利者が不明などの理由により連絡が付かないと、こういうことが要件になっていたのに対して、今回、新しい裁定制度は、権利者の意思が確認できない場合も対象になるものと理解しております。
まず、新しい裁定制度の要件であるその意思確認ができなかったことと、既存の裁定制度の要件である連絡することができなかったことの違いについて、具体例でお示しいただきたいと思います。例えば、確認のメールを送って届いたが返事がない、あと、LINEであれば既読が付いているが返事がないケースなどは、連絡することはできたが意思が確認できなかったということになるのでしょうか。また、メールで自動応答のみが来たという場合はどうなるのか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/4
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005・杉浦久弘
○政府参考人(杉浦久弘君) お答え申し上げます。
現行の裁定制度につきましては、誰が著作権者か分からない、著作権者等の所在が不明で連絡することができない場合が対象となります。また、新たな裁定制度では、このような場合に限らず、利用の可否に係る著作権者の意思が著作物等やウェブサイトなどに示されていない場合、著作権者に連絡しても返信がない場合等が対象に含まれるところでございます。
具体的なケースにつきましては、制度のほかの要件についても考慮が必要ではございますけれども、確認のメールを送って相手方に届いたが返事がない場合や一時不在の自動送信があった場合、メッセージで既読が付いているが返事がない場合につきましては、現行の裁定制度の対象とはならないけれども新たな裁定制度の対象となり得る、また、メールを送ったがメール未達の通知があった場合には両方の制度の対象となり得ると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/5
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006・赤松健
○赤松健君 ありがとうございます。
次に、利用条件等が明示されているけれども連絡が付かないと、こういう場合、新たな裁定制度には該当しないが既存の裁定制度の要件を満たすのか、お示しください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/6
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007・杉浦久弘
○政府参考人(杉浦久弘君) お答え申し上げます。
著作物の利用可否や条件等が明示されている場合は新たな裁定制度の対象とはなりません。一方、そのような場合にも、著作権者の氏名又は住所等の著作権者と連絡するために必要な情報を得るための措置及び著作権者と連絡するための措置をとったにもかかわらず連絡することができないといった要件を満たす場合には現行の著作者不明等の場合の裁定制度の対象となります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/7
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008・赤松健
○赤松健君 ありがとうございます。
次に、新たな裁定制度と権利者不明等の場合の既存の裁定制度、両方の要件に該当するような場合があるのか、ある場合にはどういった場合なのか、具体例も交えてお示しください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/8
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009・杉浦久弘
○政府参考人(杉浦久弘君) お答え申し上げます。
新たな裁定制度と現行の権利者不明等の場合の裁定制度の両方の要件に該当するケースは想定されているところでございまして、この場合、利用者はどちらかの制度を選択することになります。
具体的には、著作物の利用可否に係る著作権者の意思が確認できないことと同時に、著作権者の氏名又は住所等の著作権者と連絡するために必要な情報を得るための措置及び著作権者と連絡するための措置をとったにもかかわらず連絡することができない場合などが該当します。例えば、ホームページ上に利用規約や権利者情報等が掲載されずにアップロードされているコンテンツなどが想定されます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/9
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010・赤松健
○赤松健君 ありがとうございます。
続けて質問いたします。
新たな裁定制度には三年という利用期間の上限がありますけれども、三年経過してもまだ利用したいという場合は改めて全く同じプロセスの申請を行う必要があるんでしょうか。権利者に最大限配慮しつつも、利用者の負担軽減の観点から、初回に比べたらここ簡素化するとか、そういう工夫は考えておられますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/10
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011・杉浦久弘
○政府参考人(杉浦久弘君) お答え申し上げます。
新たな裁定制度は、著作権者等の意思を改めて確認する機会を確保する観点から利用期限、期間に上限を設けていますけれども、裁定を受けた利用期間の経過後に改めて利用を希望する場合には再度申請を行うことが可能でございます。この際の申請につきましては、例えば、当初申請で用いた資料の再使用など、要件確認等の手続を簡素にできるよう運用面での工夫を検討いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/11
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012・赤松健
○赤松健君 ありがとうございます。
続きまして、いわゆるアウト・オブ・コマース作品の扱いについてお伺いします。
文化審議会において、アウト・オブ・コマース作品の扱いについて議論がありまして、禁無断複製、最後に書いてありますよね、こういうような定型文言をもって意思表示ありと見るべきではない、こういう意見があったと承知しています。その上で、今後の検討課題とされていますね。
改めて、このアウト・オブ・コマース作品の扱いについてどういう議論の整理になっているのか、説明をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/12
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013・杉浦久弘
○政府参考人(杉浦久弘君) お答え申し上げます。
文化審議会では、新たな裁定制度の検討に当たり、市場に流通していない、いわゆるアウト・オブ・コマースと呼ばれる著作物の利用円滑化も含めて議論が行われ、利用の可否に係る著作権者の意思が確認できない著作物の利用円滑化につきましては合意が得られた一方、いわゆるアウト・オブ・コマースにつきましては様々な意見がございました。
具体的には、まず一つ目、著作物の表紙等に記された無断転載禁止といった定型的な記載のみをもって著作権者の意思と判断すべきではない、それから二つ目、単なる品切れ、重版待ち、販売戦略等により市場に流通していない場合もあり、アウト・オブ・コマースであるかどうかの判定が難しく、流通実態等を踏まえるべき、三つ目として、アウト・オブ・コマースかどうかの判定に時間を掛けて制度の狙いとするスピード感が失われては本末転倒などの御意見を頂戴したところでございます。
文化審議会の答申におきましても、いわゆるアウト・オブ・コマースについてこれらの意見を紹介しつつ、次のように整理されているところでございます。すなわち、過去の時点での利用の可否が示されているものの、現在市場に流通していないなどにより現在の意思が確認できない場合の扱いにつきましては、実態等を踏まえて引き続き今後の検討課題とするとされているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/13
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014・赤松健
○赤松健君 今後の検討課題の中で、アウト・オブ・コマースとはどういうものなのか定義付けをする、あるいはこの枠組みを検討するなどの予定はありますでしょうか。お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/14
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015・杉浦久弘
○政府参考人(杉浦久弘君) お答え申し上げます。
文化審議会の答申を踏まえ、新たな裁定制度の対象となる著作物の中に含まれ得る、いわゆるアウト・オブ・コマースの範囲について検討を行うこととなると考えております。
なお、その検討に当たりましては、先ほども申し上げましたとおり、審議会において意見のあった単なる品切れ、重版待ち、販売戦略等により市場に流通していない場合などの流通実態やアウト・オブ・コマースかどうかの判定に時間が掛かり過ぎることのないようにするといった点に留意していかなければならないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/15
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016・赤松健
○赤松健君 確認したいんですけれども、アウト・オブ・コマース作品のような一度は公表されているがその後市場に出ていないものを利活用したいニーズというものが今回の簡素で一元的な権利処理の中に含まれていると思うんですけれども、文化庁がどのような見解か、お示しください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/16
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017・杉浦久弘
○政府参考人(杉浦久弘君) お答え申し上げます。
本制度の検討に際して、文化審議会では、アウト・オブ・コマース作品を含めた著作物等について、新たな仕組みの創設により円滑かつ迅速に利用できるようにすることとされておりました。本制度は、アウト・オブ・コマース作品を利活用したいというニーズについても応えるものでございまして、こうしたニーズについても本制度を活用することで対応できると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/17
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018・赤松健
○赤松健君 アウト・オブ・コマース作品に関する今後の検討課題について、本法案が、法律案が成立した場合、その施行日までには検討結果とかの結論が出ている予定なんでしょうか。その点も伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/18
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019・杉浦久弘
○政府参考人(杉浦久弘君) お答え申し上げます。
本法案においては、未管理公表著作物等の利用の可否についての著作権者の意思を確認するための措置は文化庁長官が定めることとしてございます。この措置は改正法の施行までに定める必要があることから、アウト・オブ・コマース作品に関する意思の適切な確認方法についても改正法の施行までに文化審議会答申を踏まえて検討を行い、適切な運用を行っていきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/19
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020・赤松健
○赤松健君 ありがとうございます。
続いて、既存の裁定制度についてお伺いしたいと思います。
私自身も二〇一八年に裁定制度を使ったことがあります、実際に。二〇一六年から二〇一九年度に裁定制度の利用円滑化に向けた実証事業というものが行われて、私もこれに関わりました。
この実証事業に関して、どういったフィードバックがあって、検証の結果はどのようなものであったか、また、この実証事業がその後の裁定制度自体とかその運用にどのように生かされているか、お示しください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/20
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021・杉浦久弘
○政府参考人(杉浦久弘君) お答え申し上げます。
文化庁においては、二〇一六年度から二〇一九年度にかけまして、著作権者不明等の場合の裁定制度の利用円滑化に向けた実証事業を行い、裁定利用に必要な権利者の捜索や文化庁への申請等を利用者の負担軽減として利用者に代わって権利者団体がまとめて行うことによる効果等について検証いたしました。
この成果としては、権利者団体が裁定に係る手続を担うことで利用者の負担を大幅に軽減できる効果が実証されたこと、権利者団体において業務を担う体制の整備が進んだことなどが挙げられました。一方、課題といたしましては、運営費用の確保といった業務を持続的に行うための方法などが挙げられました。
実証事業につきましては、二〇二〇年度以降、権利者団体等で構成するオーファンワークス実証事業実行委員会が引き続き同様の取組を行うこととなり、現在は相談業務に絞って取組を行っていると承知しています。また、新たな裁定制度の検討の際には、文化審議会においてオーファンワークス実証事業実行委員会からヒアリングを行うなど、これまでの取組を参考としております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/21
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022・赤松健
○赤松健君 その他、既存の裁定制度のこれまでの改善点や現状の課題が新しい裁定制度に生かされている点、あと、及びいまだ解消されていない課題、これについてお示しください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/22
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023・杉浦久弘
○政府参考人(杉浦久弘君) お答え申し上げます。
現行の裁定制度につきましては、これまで数次にわたり制度を利用しやすくするための見直しを行ってまいりました。一方、現状の課題といたしましては、要件確認や補償金額の決定に掛かる時間が長くなっていること、供託手続に時間と手間が掛かること、供託した補償金が活用されていないことなどが指摘されております。
こうした課題を踏まえまして、新たな裁定制度においては、要件確認や使用料相当額の算出等の手続を登録確認機関が行うことができるようにすること、補償金を指定補償金管理機関へ支払うことで供託手続を不要とすること、指定補償金管理機関へ支払われた補償金を著作物等利用円滑化事業に活用できるようにすることなどの対応を図っております。また、現行の裁定制度についても、補償金を指定補償金管理機関へ支払うことで供託手続を不要とすることとしています。
このほかにも、現行の裁定制度の運用の改善に向けまして、補償金額の目安を示す裁定補償金額シミュレーションシステムの充実とその積極的な活用、登録確認機関等との連携も見据えつつ、手続をオンラインで行えるようにすることの検討などにも取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/23
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024・赤松健
○赤松健君 今出てきました裁定補償金額算定シミュレーションシステムについて、相場と懸け離れた金額が出てきてしまうといったことも聞いております。制度の実効性のためには、裁定補償金額算定シミュレーションシステムの改善を行っていただいて、新しい裁定制度でも使えるものにしていただきたいと思っています。
裁定制度についての質問は以上です。
続けて、海賊版被害等の実効的救済を図るための損害賠償額の算定方法の見直しについてお伺いします。
海賊版対策については、私も議員になる前からもう二十年以上これ取り組んでまいりました。
お手元の資料で、漫画海賊版サイト上位十サイトのアクセス数合計の月別の変化をグラフで示したものがあります。これ、一般社団法人ABJさんの調べによるものです。
これを見ると、二〇二一年の後半に漫画のある巨大海賊版サイトが閉鎖されまして、その後、二〇二二年前半にまたこれ、更に巨大な二サイトが閉鎖されて以降、海賊版へのアクセス数がぐうっと減っているんですよね。これ、CODAとか権利者団体、弁護士、国の相互連携によってこのような成果が出ていると聞いております。
ただ、やはりまだ、まだ二億弱のアクセス数で横ばいになっている状況なんですよね。これ、引き続き対策をしていく必要があると思います。また、これからも、官民連携による摘発、特に海外の海賊版サイト運営者への国際執行や正規版への誘導、啓発活動などの取組など、対策を引き続きやっていく必要があると思います。
その中で、侵害者に経済的な利益が残らないようにするということが対策としては非常に必要です。その観点から、今回の損害賠償額の算定方法の見直し、これ大変大事なものと考えております。
そこで、今回の改正の実効性についてお伺いしたいと思います。
今回、権利者の販売能力を超える部分について、これまでは損害額から控除されていた、これが今回の改正でライセンス料相当額の損害賠償請求ができるようになること、それと、百十四条三項のライセンス相当額の損害賠償額算定に当たって著作権侵害があった前提の額を考慮できることが明確になっています。
今回の改正は特許法の近時の改正と同様になると認識しております。特許法ではこの改正によって実際に認定された損害賠償額がどれぐらい増加したのか、文化庁が把握されている特許法における実績を教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/24
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025・杉浦久弘
○政府参考人(杉浦久弘君) お答え申し上げます。
令和元年の特許法改正後に訴訟において認定された損害額といたしましては、市場における通常のライセンス料率と同程度としたものがある一方で、事業によっては通常の約一・五倍や二倍程度の損害賠償が認められた例もあると承知しております。
今般の著作権法改正におきましても、最終的には個別の事案に応じた司法判断とはなりますが、改正後は同様に訴訟において認定される損害額が高まり得る効果が期待されます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/25
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026・赤松健
○赤松健君 ありがとうございます。
著作権法改正の方でも損害賠償額が従来よりも増額されると、これが期待できるということで、実効性について今後注視してほしいと思います。
次に、ストリーミング型サイト、海賊版サイトへの損害賠償額算定についてお伺いします。
御承知のとおり、近年の海賊版サイトの多くが、これストリーミング型になっております。著作権法百十四条一項の損害賠償額算定の対象として規定されている受信複製物は、あくまで数量が特定できるもの、つまりダウンロード型、海賊版のね、を想定していまして、ストリーミング型の侵害には機能していないものと理解しております。これについて、文化審議会での検討や報告書でも、今後の裁判例や技術発展、改正後の著作権法百十四条三項の活用などによって動向を見つつ、引き続き検討していくというような形でまとめられていると思います。
しかし、数量が特定できるダウンロード型の侵害と比較して安定しないのではと考えられますね、これね。また、著作権法百十四条の二以下での立証負担緩和の規定があるものなんかもこれ承知しているんですけれども、それでも権利者サイドにおける譲渡等数量の立証負担が依然重いという問題はあると思います。
これについて、文部科学大臣の所見と、今後、具体的にどのような場でどの程度の時間軸で検討する予定なのか、これをお示しください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/26
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027・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) 赤松議員御指摘のように、文化審議会の答申では、ストリーミング型サイトにおけます著作権侵害について、更なる立証負担の軽減を図る方策を今後検討をすることが求められておりまして、私といたしましても、この点の対応というのは大変重要な課題であると、そう認識をしているところでございます。
この点につきましては、答申においてお示しされておりますように、今後の損害額の立証に関する技術の進展ですとか裁判実務の動向も踏まえつつ検討をしていく必要があると考えております。そのために、どのような場で、またどのようなスケジュールで議論を進めていくかは、現時点でお示しすることは難しいわけでございますけれども、いずれにいたしましても、今後適切に検討を進めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/27
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028・赤松健
○赤松健君 ありがとうございます。
続きまして、デジタルアーカイブに関する政策についてお伺いしたいと思います。
デジタルアーカイブの推進については、知的、知財推進計画や文化芸術推進基本計画第二期でも触れられてあります。特に、近年急速に発展している生成AIの時代において、良質なデータアセット構築、そのためのアーカイブというものが非常に重要だと思われます。
改めて、この観点も踏まえて、デジタルアーカイブの促進について文部科学大臣の所見をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/28
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029・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) 文部科学省では、政府全体方針でございます知的財産推進計画や、また本年三月に閣議決定をいたしました第二期の文化芸術推進基本計画に基づきまして、近年急速に進展しておりますデジタル化の潮流を踏まえて、我が国の多様な文化遺産など、文化芸術に関します情報のデジタルアーカイブ化を推進することとしております。
具体的には、文化庁におきまして、一つ目は、文化遺産オンラインや、またメディア芸術データベースを整備、運営するとともに、二つ目になりますが、国立文化財機構など独立行政法人におけます所蔵作品だとかまた資料などのデジタルアーカイブ化の促進、そして三つ目でございます、全国の博物館、美術館におけるデジタルアーカイブ化の取組の支援などに取り組んでいるところでございます。さらに、デジタルアーカイブを教育、学術研究などの様々な分野に役立てることを目的といたしまして、図書館や大学、研究機関などを含みます幅広い機関との連携が進められているところでございます。
デジタルアーカイブが社会が持つ様々な資源を効率的に共有をいたしまして、未来に伝え、そして知的活動を支える基盤的な役割を担っているということを踏まえて、文部科学省といたしましては、今後とも、多様な情報に誰もがいつでも簡単にアクセスができるように、引き続きましてその推進に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/29
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030・赤松健
○赤松健君 ありがとうございます。
文化資産始め様々な情報資産を持続的に収集、保存して活用していく、これはデジタルアーカイブの基盤をしっかり整える、これが様々な観点から重要だと考えております。
文化の相互発展や創作活動の促進はもちろん、情報格差の是正とか日々の学習、これ、情報リテラシー向上、研究開発、防災などにも資するものです。そのためにしっかり基盤をつくって、国家戦略として横断的にデジタルアーカイブ、これを進めていく必要があると考えております。
ただ、やはり人員や予算が必要になってきます。また、誰がそれを担うのかと、役割分担とか、どのように連携していくかという課題もあります。
そこで、デジタルアーカイブに関する基本法を含めて、それに基づく計画の策定が必要になってくると思います。こういったデジタルアーカイブに関する基本法、デジタルアーカイブ推進に関して法的な枠組みの設定の必要性に関して、大臣の所見をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/30
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031・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) 今私が申し上げましたように、現在は、我が国のいろいろな様々な機関が有する主要なコンテンツのデジタルアーカイブ化については、デジタル庁ですとか、また内閣府を中心に関係省庁が連携をして取り組んでおりまして、知的財産推進計画に基づいて日本が保有しております様々なコンテンツのデジタルアーカイブ化を推進することは大変重要だと考えております。
このため、赤松議員御指摘のデジタルアーカイブ基本法などの枠組みの設定につきましては、これデジタル庁ですとか内閣府を中心に政府全体で検討していく必要があると考えております。
こうした中で、文部科学省といたしましても、引き続きましてデジタル庁や内閣府を始めとする関係省庁と緊密に連携をしながらデジタルアーカイブ化の推進に取り組んでまいる所存です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/31
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032・赤松健
○赤松健君 ありがとうございます。
続きまして、メディア芸術であるゲームの振興、これゲームをプレー可能な状態で保存する、これプレーアブル保存と申しますけれども、この必要性についてお伺いします。
令和五年三月二十四日に閣議決定をされました文化芸術推進基本計画第二期の前文に、現代的な美術、音楽、演劇、舞踊などの芸術、映画、漫画、アニメーション、ゲームといったメディア芸術という記載があって、これ、元々ゲームって入っていなかったんですけど、私、入れていただきました。
そこで、今後五年間でゲームの振興という点について政策としてどのようなことを考えているか、文化庁、お示しください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/32
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033・杉浦久弘
○政府参考人(杉浦久弘君) お答え申し上げます。
第二期文化芸術推進基本計画の前文には、映画、漫画、アニメーション、ゲームといったメディア芸術は、世代を問わず人々の心を捉え、我が国の文化芸術の幅の広さ、奥深さ、質の高さを示していると、その重要性が記載され、今回新たにゲームも明示されたところでございます。
文化庁におきましては、ゲームを含めたメディア芸術の振興、発展を図るため、将来を担うクリエーターの育成、散逸、劣化の危険性が高い中間生成物の保存等の調査研究、所蔵館等におけるアーカイブ等の取組への支援、メディア芸術データベースの整備等に取り組んできたところであり、引き続きこれらの施策を推進してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/33
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034・赤松健
○赤松健君 文化芸術振興という点から、新しいゲームを世に送り出すのも重要なんですけれども、古いゲームを残して、それプレー可能な状態で保存すると、これ非常に重要。私も漫画家なんですけど、ゲームも作ったことがありまして、昔のゲームからインスピレーションを受けるということは非常にあります。これ、ゲームはメディア芸術であるとともに技術なので、これ技術の伝承という点からもプレー可能な状態で保存すると、利活用すると、これ非常に大事です。権利者への配慮と保護は大前提なんですけれどもね。
そこで、このようなゲームのプレーアブル保存、利活用について文部科学大臣の所見をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/34
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035・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) 確かに、昔のゲーム、まだやりたいと時々思うこともございますよね。そのことに関しましては、文部科学省におきまして、これまでも様々な施策を実施する中で、ゲーム業界の関係者の皆様とも意見交換等を行っております。
その中で、例えば、物の保存にとどめずに、ゲームを再現することによりましてその価値が生きるですとか、また過去のゲームもプレーできた方がよいため、それが実現できることが望ましいといった、ゲームのプレーアブル保存、利活用についての御意見などもございました。
今後も関係者、関係機関等とも連携を図りながら、ゲームを含めた我が国のメディア芸術の振興、発展に努めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/35
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036・赤松健
○赤松健君 ありがとうございます。
パッケージのゲームソフトに関しては国会図書館の納本制度の対象になっていますけども、その収集状況はどうなっていますでしょうか。国会図書館、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/36
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037・吉永元信
○国立国会図書館長(吉永元信君) お答えいたします。
パッケージ版のゲームソフトにつきましては、平成十二年十月以降に国内で発行されたものが納本制度による収集対象となっております。
令和四年十二月時点での収集点数は、平成十二年以降に発行されたものが約六千八百点、同年より前に発行され寄贈により受け入れたものが約四百点で、合計約七千二百点でございます。年間に数百点ほど収集しております。
なお、国内における発行数を網羅的に収集、把握することは困難でございますが、例えば、文化庁のメディア芸術データベースには平成十二年以降の物理パッケージのゲームとして約二万件が登録されております。
納本制度の対象となるものがパッケージ版のゲームソフトのうち、納入されていないものの収集につきましては、納入実績がないゲーム会社等に対して納入依頼を行い、国立国会図書館への納入につながるように努めてまいります。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/37
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038・赤松健
○赤松健君 最後に、ゲームのプレーアブル保存、利活用について、今後どうしていくか。国会図書館さん、その所見をお示しください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/38
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039・吉永元信
○国立国会図書館長(吉永元信君) お答えいたします。
国立国会図書館では、収集したゲームソフトは書庫に収蔵し、保存のために細心の注意を払って管理しております。
利活用につきましては、実際のゲーム機を用いてプレーアブルな形で提供することを一部のゲームソフトに対して試行的に行っております。
今後は、ゲームの調査研究の目的に応えることができるように、ゲーム機の種類を増やすなどの利用環境の整備を進め、資料の保存に引き続き配慮しつつ、提供対象を広げていく予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/39
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040・赤松健
○赤松健君 ゲームの調査研究の目的でないと今館内でプレーできないんですけれども、先ほど申し上げたとおり、古いゲームの内容とか技術にインスピレーションを受けて新たなゲーム開発につなげるということも大事だと思います。そういった新しいゲームの開発目的でもプレー可能になるように、目的の範囲を広げる、これも検討していただきたいと思います。
私からの質問はこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/40
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041・斎藤嘉隆
○斎藤嘉隆君 おはようございます。立憲民主党の斎藤嘉隆です。本日もよろしくお願いをいたします。
法案の審議の前に、今日的な教育現場の課題について少し質問をさせていただきたいと思います。
教職員の勤務実態調査の速報値が、先回の委員会後、あの直後でありましたけれども、公表されました。内容は、担当課長さんからも御説明をいただいて、中身も精読しましたので、説明の必要はあえてありません。
今回の調査結果から分かることは、本当に教員の長時間労働、若干の改善はあるとは思いますけれども、依然として続いているということだというふうに思います。今後、詳細な結果の検討が様々な形でなされるんだろうと思いますが、そもそも今回の調査はどういう目的で何のためにしたのか、そしてこの結果がどう今後生かされていくのか、御所見をお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/41
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042・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) お答え申し上げます。
今回の勤務実態調査は、平成三十一年一月の中教審の答申におきまして、働き方改革の取組の進展を把握するべく、平成二十八年度の勤務実態調査と比較できる形で、三年後を目途に勤務実態調査の調査を行うべきとされたことですとか、また、令和元年の給特法の改正時におきまして、衆参両院で、三年後を目途に教員、教育職員の勤務実態調査を行った上で、関係法令の規定について検討を加え、所要の措置を講ずる旨の附帯決議がされたことを踏まえて実施をしたものでございます。
また、この調査は、教師の勤務実態ですとか働き方改革の進捗状況等を把握、分析をいたしまして、今後の学校におけます指導、運営体制や処遇の在り方などの検討につなげることを目的としております。
今回の調査結果におけます在校等時間は、前回調査と比べまして減少しております。働き方改革の成果が着実に出つつあるものの、依然として長時間勤務の教師も多く、引き続き取組を加速させていく必要があると認識をしております。
今後は、有識者等から構成されます調査研究会において整理された論点を基に、中教審における検討に速やかに着手をする予定でございます。
私といたしましては、今回の調査結果等を踏まえて、教育の質の向上に向けて、働き方改革、処遇の改善、学校の指導、運営体制の充実というものを一体的にこれ進めていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/42
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043・斎藤嘉隆
○斎藤嘉隆君 ありがとうございます。
シンプルに言えば、今回の調査で明らかなことは何かというと、ほぼ全ての教員の勤務に対して、現状、適正な賃金が払われていないと、こういうことだと思います。本来支払うべき労働に対する対価を国も自治体も負担をしていないんです。安い賃金で過重な労働を言わば強いられている、サービス残業が横行していて、ある意味、ちょっと大げさな言い方をすると労働の搾取が行われているのではないかと、法令違反状況が継続していることが改めて明確になったということだと思います。
特に国は責任を負う立場でありますし、国会も必要な法整備をやはりしていくべきだと、そういう義務があるのではないかというふうに思います。これだけの労働に見合うまずは人件費をきちんと予算化すべきだと思うんですね。もうまず、まずここからなんだろうというふうに思っております。
これが調査から明らかになった最も重要な私はポイントだというふうに思いますが、このことについてコメントを頂戴したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/43
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044・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) ただいま総人件費についてのお尋ねでございました。
人的な配置ですとかやはり処遇等を通じまして、教師がその専門性を十二分に発揮をして、そして子供たちに対して効果的な教育活動を行っていくことができる環境を整備をしていくことは本当に極めて重要だと思っております。
このため、今回の調査結果等を踏まえまして、教育の質の向上に向けて、働き方改革、そして処遇の改善、学校の指導、運営体制の充実を一体的に進めていくことが重要と、先ほども申し上げましたけれども、考えております。
学校の教育の成否というのは、やはり学校の先生に懸かっているわけです。引き続きまして、教職の魅力向上を図り、必要な予算の確保に向けまして全力で取り組んでまいりたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/44
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045・斎藤嘉隆
○斎藤嘉隆君 人件費の増額というのがもちろん前提なんですけれど、仮にそれができないのであれば、今大臣も働き方改革もおっしゃいましたけれども、徹底して今の教員が担っている業務を外に出すべきなんですね。保護者の対応もそうですし、部活もそうですし、生活指導やしつけ的なものもそうですけれども、こういったものを全て外に出して、例えば授業、学習指導にもう特化できるような環境をつくっていくと、これができればいいんですけど、今もう日本の社会や学校文化の中では現状なかなか難しいのが現実ではないでしょうか。
また、そういったものを外に出してどこかに担っていただくとすると、莫大な予算が掛かるんです、結局。それを、言ってみれば、まあ言い方は適切ではないかもしれないですけど、安上がりに学校で教員が担っているというのが、これが現実なので、こういう根本的な議論を、外に、例えば財務省さんは外に出せばいいじゃないかなんてことを簡単に言うけれど、そんなことしたらもっとお金が掛かるんですよ。だから、そういったことを是非、引き続き政府内で財務も含めて議論していただきたいと思います。
その前提で、一点ちょっとお願いをしたいと思います。
負担軽減に向けていろんな手法があると思いますが、最大の特効薬は定数増だというふうに思います。あと一人、あと二人、学校現場に正規の教職員が増えればどんなに負担軽減が進むのかという声はもう本当によく聞くんです。外部からのいろんなスタッフですとか、あるいはスクールカウンセラーさんですとか、これは有り難いのはもう事実でありますけれども、本当に必要なのは常勤する教員なんです。常勤する教員なんです。
例えば、今、不登校が本当に増えて大きな課題になっています。保健室登校なんかも本当に増えていますけれども、こういった問題解決のために、例えば不登校対策のための特別な常勤の教職員を各学校に配置するなどの、こんなような要求を今後是非政府内でしていただけないでしょうか。このことについての見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/45
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046・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) やはり、質の高い教育の実現ですとか、また、先生おっしゃいますように不登校児童生徒の増加など、本当に複雑化、困難化する教育課題への対応を図る、図る上で教職員の定数の改善というのは重要であると思っております。
このため、令和五年度の予算におきましても、小学校におけます三十五人学級の計画的な整備や、高学年における教科担任制の推進、それから通級によります指導や、日本語指導等の充実、それから不登校対策など、様々な教育課題への対応に必要な定数改善を計上しているところです。
今後とも、やはり持続可能な学校の指導体制の強化充実を図るためにも、引き続きまして教職員の定数改善、これには全力で取り組んでまいる所存です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/46
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047・斎藤嘉隆
○斎藤嘉隆君 教科担任制ですとか、それから通級ですとか三十五人学級ですとか、ある程度見通しの立つものはもういいんです。いいんですと言うとあれなんですが、それは恐らく内部で努力をしていただいて、可能なんだろうというふうに思いますけれども、新たな視点で、さっき、私も、例えば不登校対応、対策推進教員とか、何かそんなメニューもつくって、新たに来年の予算に向けて概算要求などにそういったものを盛り込むなどの是非工夫もしていただきたいと思いますし、それから、この定数増の視点を骨太にも是非色濃く反映をさせていただくことも是非お願いをしたいというふうに思います。
教科担任も非常に有効だと思います。ただ、小学校の教科担任、ちょっと一個申し上げると、まあ余りにも最近四教科、理数、何だ、理数、体育、何でしたっけ、外国語か、四教科に偏り過ぎていて、僕ね、実は教員をやっている頃に、高学年の担任やると、音楽なんかやったことないんですよ。なんかって、ごめんなさい、音楽の指導したことないんですね。ピアノのスキルがちょっと足りないので、弾けないわけじゃないんですけど、やったことなくて、ほとんど教科担任の方がやっていただいていたんですが、今ね、なかなか難しいんです、それ。なぜかというと、音楽よりも優先して、さっきの理数系、外国語系に、言ってみれば、流用と言うと失礼ですが、定数が移動している部分があって、これ、生の声として結構寄せられているんですが。
こういったこともちょっと目くばせをしていただいて、もうちょっと現場マターで、恐らく制度としてはできるんだと思いますけれども、余りにも理数系、外国語みたいな視点が色濃く出過ぎちゃって、そういう技能系教科がおろそかになっている面はあると思います。こういう認識は、局長でもいいんですが、あります、あるいは大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/47
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048・藤原章夫
○政府参考人(藤原章夫君) 小学校の高学年の教科担任制を現在進めているところでございますけれども、これは令和四年度から四年程度かけて進めていくということで、とりわけ、外国語、理科、算数、体育の四教科を優先的な対象として進めていると、これが今先生から御指摘のあったとおり現在進めている施策なわけでございますけれども、ただ、これまで様々な定数を活用して、御指摘ありましたような音楽や家庭等を中心とした教科担任制も進んできておるところでございます。
その結果、昨年度実施した調査によりますと、小学校高学年で、例えば音楽は約六〇%が専科指導と、教科担任制という形になってございます。また、家庭では約四〇%、図画工作では二五%というふうな状況になっておりまして、先ほど申し上げた四教科とともに、こうした専科の指導の体制充実ということに努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/48
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049・斎藤嘉隆
○斎藤嘉隆君 ありがとうございました。ちょっと法案の審議もしないといけないので、これぐらいにさせていただきたいというふうに思っております。
それでは、今回の法案について少しお伺いをさせていただきます。
この法案の四十二条の関係で、立法、行政目的での内部資料としての利用のために行われる著作物等の公衆送信及び公の伝達については、これは著作権者等の許諾なく行うことを可能にすると、こういったことがあります。
学校教育の現場でいいますと、学校の先生が通常の授業をオンラインで行うという場合は、二〇一八年の法改正によってほぼ著作権法上の課題というのはクリアされていると認識をしているんですが、授業以外の、例えば職員研修などでこういったものを活用した場合なども含めて、これ、こういったものを行政目的という形で認識をして、新しい裁定制度の範囲に入って、それが今回の法改正によって明確になると、こういうような認識でいいのか、あるいは留意すべき点があるのかを御示唆いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/49
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050・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) お答え申し上げます。
地方公共団体の設置します学校につきましては、今般の改正によりまして、例えば、学校経営方針を決定する際に保護者からの提供資料などの他人の著作物を内部資料として職員間で共有するといった、行政目的の職務を遂行する上で必要と認められる場合に、内部資料として著作物を公衆送信等することが可能となります。
なお、著作物の公衆送信等が可能となるのは必要と認められる限度がありまして、著作物の一部しか必要とされていないのに全部を共有したり送信したりすることは必要と認められる限度を超えるということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/50
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051・斎藤嘉隆
○斎藤嘉隆君 この行政目的というのが、逐条講義の文なんかを見ると、行政庁が所管事項、所管事務遂行に関して国家意思等を決定し行使する場合などということが示されていて、非常にこれ教育現場で何か当てはめるのがストレートになかなか難しい面があって、少しちょっと足踏みをしてしまうなという感覚があります。
今、例えば講義や実習などに加えて学級の活動とかクラブ活動とか学校行事、こういうのはまあ教育目的ということで該当するのであろうと思いますけれども、例えば入学志願者に対する入学説明会とか教職員会議とか学校で行われる自治会主催の講演会とか、PTA主催の例えば親子向け講座みたいな、そのようなもの、教育機関の責任においてその管理下で教育を担当する者が学習者に対して実施する教育活動、こういったものは今大臣がおっしゃったケースに該当すると、こういう認識でよろしいでしょうか。確認です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/51
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052・杉浦久弘
○政府参考人(杉浦久弘君) 済みません、実務的というか条文の解釈に関わることなので、私からちょっとお答えさせていただきます。
今委員例示されました入学説明会あるいは自治会への説明、PTAの説明ということになりますと、これの、今回の本法に係る立法、行政の関係の公衆送信というところで読みますときは内部、内部の扱いということでありまして、この場合は、外部の方、広く外に、社会に開かれて地域に開かれた形で扱われますので、基本的には内部の扱いではないというふうに考えられます。これは一般論で申し訳ございませんが。
それで、著作物の方の引用とかをしっかりとやりまして、その旨で、もちろん必要な範囲ではございますけど、やれば、その場合は引用は可能と言うことができると思いますので、その辺りはうまくガイドライン等を示しまして、我々の方でもしっかりと皆様に周知徹底したいというふうな形で考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/52
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053・斎藤嘉隆
○斎藤嘉隆君 分かりました。是非、現場の運用判断として非常に難しい面があるので、今次長おっしゃったように、ガイドラインなどを示す、あるいは相談の窓口をつくるなどして、是非現場にとって対応しやすい環境をつくっていただきたいと、これを要望をさせていただきたいというふうに思います。
次に、今回の改正と直接的な関連があるのかないのかってちょっと難しいんですけれど、二〇一八年の法改正の三十条の四で、著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用についてということで、著作物について、その範囲内で情報解析、コンピューターによる情報処理など、言わば許諾なくですね、今の言葉で言えばAIに学習をさせてもよいと、こういうような規定だというふうに私自身は認識をしています。
先ほども質疑の中でありましたこの生成AI、AI学習に対して、一部のクリエーターの皆さんから強い反発が出ているのは御存じのとおりであります。もちろん人間も、既存ないろんな例えば作風なり画風なりを学んだ上で自分自身のそういったものをつくり上げるという、そういうような過程があると思いますから、学習自体を抑え込むという論点ではないんですけれど、とはいえ、AIによる学習というのは極めて大規模で、またスピードも速くて、また容易であるという点で人間の活動とはかなり異なると思うんですね。
条文には、著作権者の利益を不当に害することとなる場合はこの限りではないというところもあるんですが、それがどんな場合か明確でないという、そういう意見もあります。例えば、特定の作家の作品を全てAIに学習をさせて元の作品と競合するような作品をどんどん生み出していくと、こういうような場合も今申し上げたこの条文の部分に該当するのではないかというふうに思いますが、文化庁としてこの課題についてどのように認識をしているか、お聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/53
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054・杉浦久弘
○政府参考人(杉浦久弘君) お答え申し上げます。
AIによりコンテンツを生成し、それをインターネット上で公開したり販売したりするといった利用の場面では、著作物の通常の利用と同様、著作権侵害となるか否か個別に判断されるところでございます。具体的には、著作権法で著作物の利用が認められている場合を除きまして、AIにより生成されたコンテンツに既存の著作物との類似性や依拠性が認められれば、損害賠償請求や差止め請求が可能となるほか、刑事罰の対象ともなり得ます。
また、文部科学省といたしましては、文化庁としましては、著作権法の考え方を理解していただきますように、セミナー等を開催して速やかに普及啓発してまいる所存でございます。
なお、御指摘の作風とか画風といったこのようなアイデアにつきましては、著作権法上は著作物に当たらないと言われております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/54
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055・斎藤嘉隆
○斎藤嘉隆君 まあなかなか、クリエーターの皆さんの懸念もやっぱり分かるところでありますので、今の点、もう少し具体的に、どこに課題があって今後どういう方策が有効であるのかというのを少し議論を、是非この委員会の中でも深めていきたいというふうに思っています。
議事録をちょっと、衆議院の側の議事録を見ていて少し気になるところがあったので、ちょっと確認させてください。
四月十二日の質疑の中なんですけど、悪意のある利用など、著作権者の望まない利用といったことへの不安の声を受けた質疑の中で、次長が答弁をされているんですけど、こうやっておっしゃっているんですね。著作権者の意思が不明な場合、文化庁長官が決定する仕組みとしておりますけれども、実はここ、なかなか難しいところがございまして、この決定は法律上の行政処分にも当たります。そういうことから、公序良俗違反であるとか違法性が高いことが明らかな利用につきましては、実務上では裁定が極めて困難となる可能性が高いものと認識しておりますというふうに答弁をなされている。
実務上裁定が困難であるとか難しいところがあるという答弁で、そのまま、そのまま素通りをしていったんでは悪意のある利用を見逃してしまいかねないというふうに思うので、この点についての認識をもう一度明確にお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/55
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056・杉浦久弘
○政府参考人(杉浦久弘君) お答え申し上げます。
先ほど委員が引用されたところはそのとおりでございまして、実は、大変難しいところがありますのは、こういう文化芸術関係のものにつきましては、表現の自由というものも一方でございます。そういった中で、どのようなものをこの裁定にのせるかということでありまして、そういったもので、悪意のあるような形でありますと、文化庁の方が、文化庁長官がそれを裁定で認めるということ自体が一つの大きな意味を持つという可能性もございますので、今委員御引用されたところの部分のような事態が生じますれば、文化庁としてもしっかりと時間を見まして、もちろんスピーディーにはやらなきゃなりませんが、しっかりと丁寧に見まして、まず事実の確認、そしてその判断をしっかりとしていくという、慎重な判断が求められるところはあるという意味で申し上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/56
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057・斎藤嘉隆
○斎藤嘉隆君 もちろん要員的にもそういったことが、時間的にもなかなか簡単ではないというふうに思います。それだけ慎重な判断を求められれば、多くの方が関わって、多くの資料を見て、多くの時間を掛けてということになりますけれども、まあ現実的にはなかなか難しい面もあろうかというふうに思います。
外部機関への様々な委託等も含めていろいろ議論がなされているところだと思いますから、こういったことも含めて、どちらにしても、悪意のある利用、そのことによって著作権者が不利益を被るということは極力排除していく方策がどうなのかというのを、済みません、今日ちょっと私何か知恵があるわけではないんですけれど、このことについて引き続き協議を是非させていただきたいと思います。
以上申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/57
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058・熊谷裕人
○熊谷裕人君 立憲民主・社民の熊谷でございます。
著作権法、残りの時間、今回の法改正の関係と、今AIの関係が大変話題になっておりますので、両方質問させていただきたいと思います。
まず最初に、この今回の法改正に当たりまして幾つか確認をさせていただければと思っておりますが、現行の裁定制度とのまず比較をさせていただきたいなというふうに思うんですが、現行の裁定制度、著作権者が不明のケースでも利用ができます。そこも新制度で利用が可能だというふうにされているんですけれど、現行制度を使えば、この申請、裁定制度で三年という期限が区切られておりますけど、現行の制度はそれも期限がありませんので、更新の手続とか利用料というところを見ますと現行の制度を使った方が得だというような判断があるんではないのかなというふうに思っておりまして、そうなるとこの新裁定制度は進まないんじゃないのかなというふうに思っていまして、三年ごとの改正のところは、さきの赤松議員の質問のところで、再度更新のところでは資料の再利用なんかで手間を掛けないようにしますという御答弁ありましたけれど、今の裁定制度を使えばそういった手間は本当に掛からないので、新裁定制度を使わないという判断が出てしまうんではないのかなというふうに思うんですが、その点につきましてもう一度確認をさせていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/58
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059・杉浦久弘
○政府参考人(杉浦久弘君) お答え申し上げます。
新たな裁定制度と現行裁定制度につきましては、要件と効果を比較すると異なる点がございます。そのため、どちらの制度を活用するかにつきましては、利用者のニーズによって自由に選択することが可能という形となってございます。
そして、要件につきまして申し上げますと、新たな裁定制度では、利用の可否や条件など著作権者の意思が確認できない場合を対象としておりますけども、現行裁定制度の方はこの要件がより厳格でございまして、利用者が相当な努力を払っても著作権者が不明であったり連絡することができなかったりという場合を想定してございます。
効果につきましては、新たな裁定制度の方では文化庁長官の裁定により時限的な利用を認めるという形でございますけれども、現行裁定制度の方は、今委員御指摘のとおり、利用の期間の期限がございませんで、著作権者が見付かっても、見付かっても利用を継続することは可能という形でございます。
この二つの制度について、どちらを使うかは利用者のニーズによって自由に選択できることが重要と考えておりまして、いずれも必要であると、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/59
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060・熊谷裕人
○熊谷裕人君 いずれも必要という御答弁をいただきました。
同じなんですけれど、新制度の利用開始後にこの著作権者が現れて、その権者からの請求によって裁定が取り消される可能性もあるんではないかなというふうに思っておりまして、例えば、新制度を利用して書籍等の物販を念頭に置いたものを作った場合に、著作権の利用が許可をされなかった場合にその損害になると、売れなくなりますから損害になると、そういったときの費用負担を考えると、新制度を使わずにリスクを回避するために現行制度を使った方がいいんじゃないかなというふうに、今両方必要だという御答弁ありましたけれど、判断が進むんではないかなというふうに思っていますが、その点についてはいかが考えますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/60
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061・杉浦久弘
○政府参考人(杉浦久弘君) お答え申し上げます。
新たな裁定制度は、集中管理がされておりませんで、利用の可否など著作権者の意思が明確でない著作物等の利用を可能とする制度でございます。著作権の保護と利用円滑化のバランスを踏まえた仕組みという形となってございます。
委員御指摘の出版など印刷の初期コストが掛かる利用につきましては、確かに委員御指摘のとおり、新制度の方で使うということはなかなか難しくて、むしろ権利者が見付かっても利用を継続できる現行の裁定制度を利用されるということが想定されるのではないかなと、このように考えております。
一方で、書籍という形ではなくて、もうちょっとスピード感が求められるインターネットの配信、こういった場合の利用でありますと、時限的な利用であっても比較的容易に配信停止が可能ですので、こうしたものにつきましては手続が簡便な新たな制度を利用する方がいいんじゃないかという形で、そういう動きがなるものと想定されます。
今申し上げたように、利用者のニーズがそれぞれ考えられますので、どちらを御利用されるかは自由に選択できるようにするということで、著作物の利用の円滑化と著作権者への適切な対価還元、これを実施する効果が高まると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/61
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062・熊谷裕人
○熊谷裕人君 分かりました。だから両方必要だという御答弁になるわけですね。ありがとうございます。
続いて、この新制度の適用判断の期限、期間はどれくらい、今、迅速なというような、インターネットの利用のときに迅速なという話がありましたけれど、この著作権者等の情報がある場合に、利用の可否や条件を確認するための連絡を試みたけれど、連絡したにもかかわらず一定期間返答がない、先ほど、さきにも質問がありましたけど、その場合には新制度の対象とされていますが、この一定期間というところを、迅速化というところを鑑みれば、どれくらいの期間に想定をされているのか、そこの辺をお示しをいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/62
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063・杉浦久弘
○政府参考人(杉浦久弘君) お答え申し上げます。
著作権者からの返答がない期間につきましては、著作物の種類やその利用形態、許諾を得るための連絡手段により多様なケースが考えられます。このため、実際の運用に当たっては、制度の周知状況、それから利用者側のニーズ、著作権者側の負担などを総合的に配慮しながら、合理的と考えられる期間を設定することを考えてございます。
ということでございますけれども、ちょっとイメージが湧かないということと思われますので、今の、現行の著作権者不明等の場合の裁定制度、この場合の例を申し上げると、著作権者をインターネットや新聞広告などにより探索する手続取ることということをしておるんですけれども、その期間は大体一週間というふうにされております。
こういった現在の運用も参考にしながら、こういった検討をしていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/63
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064・熊谷裕人
○熊谷裕人君 ありがとうございます。
一週間ということでありました。これが、この新制度で利用を促す、そして、迅速な手続を進めたいというところのこの現行制度の一週間というところが基準になって、今度、新制度どれくらいの期間で判断をするかということになっていくんだと思いますけれど、そこは文化庁の方にお任せをしていきたいなというふうに思っておりますが。
今度は、その連絡がありました。そして、著作権者の意思表示がないというところで新裁定制度については手続に入ることが可能なんですが、もしかしたらその著作権者の方がその問合せが煩わしい、先ほど赤松議員のところでも、LINEの既読スルーじゃないですけれど、メールにもお答えをしないようなところがあって、たくさんお問合せがあるところに面倒くさくて答えないというようなこともあるんではないのかなというふうに思っておりまして。実際、クリエーターの方からそういう問合せがたくさんあって、煩雑で一々答えるの面倒くさいのでそのまま答えないようにすると、今言ったその一定期間、現行制度で一週間というところを過ぎると利用が可能になるというところなんですけれど、この答えないところは拒否、拒絶だということでもう判断をしてもらえないかなというような声が著作権者、クリエーターの方からあるんですけれど、そういった声にはどのようにお応えをしていくのか、もしお考えがあればお聞かせいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/64
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065・杉浦久弘
○政府参考人(杉浦久弘君) お答え申し上げます。
今般の新たな裁定制度において、対象となる著作物を集中管理されていないもの又は利用可否や条件等が公表されていないものに限るとされております。このため、著作権者におかれましては、管理事業者に管理を依頼するか著作物の利用に係る意思を表示していただくということによりまして、個別の対応に、問合せに対応せずともこの制度の対象外ということとなります。こうした手法を取らない場合は、これは原則に立ち戻りまして、制度上、著作権者は個々の問合せに応じて許諾を行う、自ら行っていくという形となるわけでございます。
この意思の表示方法につきましてでございますけれども、例えば、データベースや著作権者等の公式のウェブサイト等に表示し、検索等により確認できるようにするなど、簡素なものとなるよう運用上工夫したいと考えております。
この新たな裁定制度につきましては、著作権者等に必要な対応をしていただく期間を十分に確保するため、公布の日から三年以内の政令で定める日としております。著作権者に対しましては、施行までの間、このような考え方について丁寧に説明してまいりたいと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/65
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066・熊谷裕人
○熊谷裕人君 ありがとうございます。
丁寧に説明をしていただきたいと思いますし、その意思表明につきましても、今簡素という御答弁ございました。その辺、十分クリエーターの皆さんからも意見をいただいた上で、御納得いただけるような形で手続を進めていただければなというふうに思います。
続いて、指定補償金管理機関とか登録確認機関についての窓口の在り方について、ちょっとお尋ねをしたいと思います。
今言ったそれぞれの著作権等の保護利用円滑化事業への支出だったり使用料相当額の算出等の業務を行うということが想定をされておりますけれど、この業務を行っていくのにそれぞれ著作権に対する知見や公益性を有する組織であるべきだなというふうに思っておりますけれど、この利害が利用者と著作権者と相反するところも多々あるんだというふうに思っておりますので、この判断をする組織については、どちらにも偏ることがない、公平性を有する組織とするべきであるというふうに私は考えますけれど、その点については文化庁としてどのようにお考えか、お尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/66
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067・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) お答え申し上げます。
指定補償金管理機関につきましては、一般社団法人又は一般財団法人であって、補償金管理業務を適正かつまた確実に行うことができると認められるものを指定するということになっております。登録確認機関につきましては、確認等事務に従事する者に著作権等の管理に関する経験ですとか、使用料相当額の算出に必要な知識及びまた経験を有する者がいると認められるものを登録することとされております。
指定又は登録に当たりましては、こうした要件の充足につきまして文化庁にて厳格に審査をいたしまして、適正、適格性というものを判断をしてまいります。
その上で、これらの機関に対しまして、業務規程の認可、それから報告徴収等について規定することによりまして、その業務が適正かつ確実に行われますように、文化庁においてしっかりと監視、監督することとしております。こうした措置を通じまして、業務遂行の公平性や中立性をしっかりと担保をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/67
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068・熊谷裕人
○熊谷裕人君 ありがとうございます。
是非、その公平性というところはしっかりと担保していただければというふうに思いますし、今度、窓口組織の運営についても質問をさせていただきたいなというふうに思います。
この窓口組織の収入は手数料で、その手数料がその運営費に充たっていくものだというふうに理解をさせていただいておりますけれど、その運営費、その手数料収入が少なかったときに公費の投入ということが考えられるというようなことがこれまでの議論の中でも出ておりますし、この窓口組織の収入は、本来はこの著作権者への還元というところがしっかりなされるべきものであるんではないのかなというふうに私考えておりまして、その辺、手数料が足りなければ窓口組織の運営の資金に公費が投入をされたり、本来著作権者に返すべき、還元するべきものが充当されるということについて、また妥当性をどのように文化庁としてお考えか、お聞かせいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/68
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069・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) お答え申し上げます。
窓口組織の運営費用につきましては、手数料による収入を原則といたしまして、健全な財政運営を図るべきものと、そう考えております。
その上で、文化審議会答申におきましては公的な支援などを検討することが示されているところ、文化庁といたしましても、本制度の趣旨、目的を踏まえつつ、引き続きまして検討を行いたいと考えております。例えば、窓口組織のコスト削減に資するように、分野横断権利情報検索システムというものの活用等を含めて、その事務が合理化できますように検討してまいりたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/69
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070・熊谷裕人
○熊谷裕人君 ありがとうございます。
手数料がこの窓口組織の運営費に充たるということになって、この新制度の利用が進まなければ手数料収入が少ないので運営費が当然少なくなる、だから公費の投入があり得るということは私も理解をさせていただいております。
その上で、その著作物の利用希望者は、まず登録機関において当該著作物が集中管理をされているかという状況だったり、著作権者の連絡先の状況などについて相談だとか検索をすることが想定をされると思っております。この段階で著作権者と連絡が取れるようなことがあって、新裁定制度の対象外になりましたということになると、その場合、その新制度の手数料ということは生じなくなる、途中で相談で分かったので新制度を利用しなくて済みましたということになりますけれど、それまでの手間とかコストということが人件費だったりいろんなことで掛かっている、だけど収入はその窓口の方に入ってこないということになると、コストの負担はどう考えるのかなといったときにさっきの公費の投入ということになるんだと思うんですけど、その私の理解でいいのかどうか、御確認をさせていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/70
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071・杉浦久弘
○政府参考人(杉浦久弘君) お答え申し上げます。
おっしゃるとおりだと思います。
基本は手数料による収入を想定しているということでございますけども、今委員から御指摘があったような、相談が来て、結局その著作権者が判明してしまって、連絡取れて、この制度を使わなくなった場合は、その相談のところの業務のコストをどういうふうに見るかという問題がそれは生じてまいります。
ただ、一応、今考えておりますのは、基本的には、先ほどから申し上げているように、大きな枠組みとしては手数料収入というのをまず基本といたしまして、その上で運営をきちっと健全に回るように、コストの削減等々も、先ほど大臣から申し上げたような形のコスト削減もいろいろやりながら、その全体の中で動かしていくということをまず考えておりますが、文化審議会の方でも公的な支援などの検討ということも言われておるのはそういうことかと認識しておりますけれども、必要な場合がある場合はあるかもしれません。ただ、なるべくのことでありますれば、手数料による収入を前提で何とか回していけるように運営を図ってまいりたいと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/71
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072・熊谷裕人
○熊谷裕人君 ありがとうございます。
今、力強く手数料で回したいと次長に言っていただきましたので、是非、公的資金の投入がないように是非お願いをしたいなというふうに思います。
続いて、先ほど斎藤委員の方からも著作物等の公衆送信についての質問がございました。御答弁では、ガイドラインを作ってという御答弁ございましたけれど、その点について、私も、周知徹底、様々なところで利用されております、立法の関係もありますので、我々もそういったところを利用させていただいておるという一員でございまして、また院の、衆参の院の側だったり各政党の側でこの今回の公衆送信等についてのことは相当理解を進めていかなければいけないんではないか。まして立法府でありますので、作った側がそれに違反するということに、なかなかいかないんではないかというふうに思っております。
もう一度、ガイドラインを作るという御答弁いただきましたけど、周知徹底についての決意というか、その辺のお話をいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/72
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073・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) 熊谷議員御指摘のとおり、制度の施行に当たりましては、やはり利用者に制度の仕組みを正しく理解をしていただくことが重要であると考えております。
このため、文部科学省といたしましては、内部資料の解釈ですとか今般の法改正の趣旨、それから留意点につきまして分かりやすく説明した資料ですとか、あと講習会ですね、これを周知徹底してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/73
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074・熊谷裕人
○熊谷裕人君 よろしくお願いいたします。
続いて、海賊版についての質問をさせていただきたいと思います。
先ほどの質問にも、賠償額の決定のところの御質問がございました。その著作権の侵害の賠償額が少ない、低過ぎると、訴訟費用との見合いで著作権者側が訴訟に踏み切れない状況も今多々あるというふうに理解をしておりまして、あえてこの侵害のリスクを取って、訴訟にならないんじゃないか、訴えられないんじゃないかということを考えて違反をしてくるというケースが多々出てくるんではないかなというふうに思っておりまして、また賠償額を、今度高過ぎると、そのおそれを感じて、きちんと対応しようという人があえて利用しないという判断に踏み切るということも、どっちも考えられるという中で、損害、侵害の抑止効果と利用萎縮防止のバランスを考えなければいけないというところで先ほども賠償額悩まれていたんだと思いますけれど、改めて、そのバランスの良い適切な賠償制度というものはどんなことを考えているのか、改めてお聞かせいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/74
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075・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) やはり、損害賠償制度の見直しに当たりましては、権利者の保護と、それから創作活動の自由との、委員おっしゃいますようにバランスを取る、図るということが重要だと思っております。
また、こうした考えの下に検討を行いまして、今般の改正内容は、損害額の立証負担の軽減を図る観点から、損害の算定方法の見直しや、損害の認定に当たっての考慮事項の明確化を図るものとなっております。これは、現実に生じた損害の補填を目的とする不法行為制度の枠内でこれは権利者の実効的救済を図るものでございまして、利用の実態に即する形であることから、今後の自由な創作活動に影響を及ぼすものではないと考えております。
文部科学省といたしましては、今般の改正を通じまして、被害者の実効的救済策の充実を図るとともに、改正の内容や趣旨を丁寧に周知することによりまして、侵害の抑止と創作活動の萎縮の防止というものにしっかりと努めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/75
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076・熊谷裕人
○熊谷裕人君 ありがとうございます。そこのバランスを本当に程よく取っていただければというふうに思います。
続いて、立証責任に関わるところで一つ質問をさせていただきたいと思います。
この法の百十四条の二項によりますと、侵害者が受けた利益の額を損害額と推定する制度であります。そして、損害請求の侵害者利益の額の立証責任は著作権者側、侵された側が負うことになっておりますが、先ほど海外サイトの収入はストリーミングによる、その見ていただいた方のところに付いている広告収入だったりするのが一般的なので、なかなか収入額というか損害額はどれくらいあったのかというようなことを立証していくのが難しいんじゃないかなというふうに思っております。
そういったところで、サイト、そのサイトへのアクセスだったり、被害、アクセス数の立証だったり、広告収入の立証というのを侵された側、著作権者側に立証責任を負わせることは事実上は困難じゃないかなというふうに私は思っておりまして、そこの立証責任を損害者側に転換できるような推定規定を設けることが必要ではないかなというふうに思っているんですが、その点についてはいかがお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/76
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077・杉浦久弘
○政府参考人(杉浦久弘君) お答え申し上げます。
著作権法第百十四条第二項は、損害の立証責任は被害者側が負うという民法上の特則として、侵害者の得た利益を損害の額と推定し、被害者の立証負担の軽減を図るものでございます。
その上で、著作権侵害事案におきましては、権利者が侵害者の情報を把握することが困難な状況にあり、裁判実務上もこれらの点が問題になりますことから、権利者の更なる立証負担の軽減を図る方策を検討すべきとの指摘があることは承知してございます。
この点、現行法でございますけれども、現行法においては、権利者の立証負担を軽減する各種規定を設けております。例えば、著作権法でいいますと百十四条の二でございますけれども、侵害行為の特定について被告が権利者の主張を否認するときは、被告自身に対し、自らの行為の具体的態様を明示する義務を課したり、あるいは同法の百十四条の五でありますけども、権利者が損害額を立証したりすることが事実の性質上極めて困難という場合であるときは、裁判所が相当な損害額を認定できるというようなものがございます。
また、裁判実務におきましても、損害額の厳密な認定が困難な場合でも、可能な限り当事者の主張に表れた事実を相互考慮をした事実認定が行われている例もございます。
今後、こうした裁判実務の展開や損害額の立証に関する技術の進展を踏まえつつ、更なる立証負担の軽減について、引き続き検討課題として取り扱いたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/77
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078・熊谷裕人
○熊谷裕人君 ありがとうございます。その点、侵害を受けた側に不利がないように是非御検討いただければと思います。
〔委員長退席、理事赤池誠章君着席〕
法案の方はこれまでにしまして、今話題の生成AIの関係で幾つか質問をさせていただきたいと思います。
斎藤委員からも学習データの話がございました。その中に、著作権者の利益を不当に害するというところのケースについてどんなものが該当されるのか、もう一度具体的に御答弁いただきたいのと、それから、著作権者自身が学習用データに使われたくないというふうに思っている場合もこの権者の利益を不当に害する場合に該当するのかどうか、許諾が必要なのかどうか、その点についてお答えをいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/78
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079・杉浦久弘
○政府参考人(杉浦久弘君) お答え申し上げます。
今お尋ねの件につきましては、最終的には司法の場で個別具体に判断されるということとなりますけれども、著作権者の著作物の利用市場と衝突する、あるいは将来における著作物の潜在的市場を阻害するといった場合には、著作権者の利益を不当に害する場合に該当し得ると考えます。
具体的には、情報解析を行う者の用に供するために作成されたデータベースの著作物、こうしたデータベースの著作物を情報解析目的で複製する行為等は、当該データベースの著作物の販売に関する市場と衝突することとなり、権利者の利益を不当に害すると考えられます。
また、後段の御質問の件でございますけれども、著作権が財産権の一種であるということを照らしましても、お尋ねのAIの学習用データとして著作物を利用するということにつきましては、著作権法で保護する著作権者の経済的な利益を通常害するものではないということですので、このため、著作権者の許諾は不要というふうに考えられるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/79
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080・熊谷裕人
○熊谷裕人君 ありがとうございます。その辺、慎重に、大変な不安を抱えている方が多いという現状でございますので、慎重に検討していただければと思います。
〔理事赤池誠章君退席、委員長着席〕
それから、今朝五時に読売新聞が配信をしていたんですが、前回の法改正のときに今回のリスクがあるということを説明をしていなかったというようなことが記事になっておりました。
今、日本のこの著作権の関係、AIの学習データの関係は、追い付くということもあったのかもしれませんけれど、世界一緩いというふうに言われております。
そういった中で、我が国では学習用データをAIが学習に使っていくことはほぼ無条件で利用できるというふうになっておりますけれど、欧米では営利目的の利用に規制が掛けられております。我が国でも何かしらその規制が必要なんではないかなというふうに考えておりますけれど、その点についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/80
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081・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) AIを開発する場面では、やはり、他人の著作物をデータとして読み込みまして情報解析に用いる必要があります。
このような場合は、著作権者の対価回収機会を損なうというものではなくて、やはり著作権法の保護の中に、著作権者の利益を害するものではないというふうに考えられることから、我が国では、他国のように営利目的であるか否かにかかわらず、著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない行為か否かということによりまして著作物の利用を可能としているところでございます。そのため、このような場合につきましては、著作権法の第三十条の四におきまして、著作権者の許諾を得ることなく、これ著作物の利用が可能となるわけです。
なお、同条では、無条件で著作物の利用を可能とするものではなくて、その必要と認められる限度に限るとともに、著作権者の利益を不当に害することとなる場合には適用されない旨定めているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/81
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082・熊谷裕人
○熊谷裕人君 先ほどもちょっと話をしましたけれど、その著作権者が営利目的でAIの学習に使ってほしくないというような意思を持っている方もいらっしゃると思います。そういった場合に、その対象から外してもらうというようなオプトアウトの制度も必要だというふうにクリエーターの方が表明をしていたりします。そのオプトアウトの仕組みの導入についてと、それから、どんどんそういうことで、先ほどの斎藤委員の質問にもありましたけれど、仕事を奪われかねない方が出てくると。そういったときに、著作権、学習をしたというところに著作権を利用したというような形で何かしらの補償金制度というものも創設をしてもいいかなと。その二つを私自身は考えているんですけど、その点について御所見がありましたらお聞かせいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/82
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083・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) お答え申し上げます。
著作権法の第三十条の四は、著作物に表現された思想、また、又は感情の享受を目的としない利用について、著作権者の許諾なく著作物の利用を可能とするものでございます。これは、著作物に係る対価回収の機会を損なわず、著作権法が保護する著作権者の利益を通常害しない行為と考えられるものを対象としているわけでございます。
また、同条では、オプトアウトといった制度は設けておりませんけれども、著作権者の利益を不当に害することとなる場合につきましては適用されない旨を定めているわけです。利用実態ですとか権利者を含む関係者の意見を踏まえまして、著作権者の利益にも配慮しているところです。
このように、著作権法の第三十条の四を含めまして、著作権法は、利用実態や、また権利者を含む関係者の意見を踏まえまして、著作物の保護と利用のバランスを取って規定をしているというわけでございます。
文部科学省といたしましては、まずは現行の著作権制度について分かりやすい説明に努めるとともに、今後も、AIの進展や新たな技術の展開等も踏まえまして、随時研究を行ってまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/83
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084・熊谷裕人
○熊谷裕人君 済みません、時間になりましたけど、大切なことなのでちょっと要望だけさせていただきたいと思うんですが、実演家が発する演技だとか声とかいうのもこの生成AIで容易に今作ることができる、一回録音すると、それをコンピューター、AIの方で幾らでも加工ができて、一回だけやればあと何回でも使えるというようなことが出てくるというふうに言われておりますので、実演家の方の人格に属する権利として、そういったところのデジタル加工について何かしらの規制をお願いしたいということを御要望させていただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/84
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085・竹内真二
○竹内真二君 公明党の竹内真二です。本日は質問の機会をいただき、ありがとうございます。感謝を申し上げます。
それでは、早速質問に入らせていただきます。
本改正案の内容そのものに入る前に、初めに、私の方からは著作権について少し基本的なところから質問させていただきたいと思います。
著作権というのは、言うまでもなく、特許権などの財産、あっ、失礼いたしました、産業財産権とともに知的財産権の一つにくくられておりますけれども、この特許などの産業財産権というのは申請や登録などの手続がないと与えられないわけですが、一方、この著作権の場合には、手続をすることなく、著作物ができた段階から、そのときから自動的に与えられるという、その点が大きく違うという認識であります。
ですから、一般の方々が作った映像や写真、音楽なども含めて、コンテンツと呼ばれるものはその多くが著作権というものがもうあって、しかも、原則、著作者の死後七十年という長い期間その権利が続いていくと。この期間、ある意味では排他的なこの権利というものが認められておりまして、著作者の許諾を得ることなくこのコンテンツなどの著作物というものを無断利用すると、当然ですが著作権の侵害となって損害賠償を請求されたりすると。このため、このコンテンツの利用者というのは、誰もが著作権のことを考えて、必要な対価を払うなどのことによって許諾を受けて利用していくと。そして、この対価等によって、報酬等によって著作者、著作権者は次の創作に向かうという形になっております。
ですから、またこれも基本的なことですが、著作権法でも第一条で、文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もって文化の発展に寄与することを目的とすると、このようにも書かれております。
少し前置き長くなりましたけれども、このように、著作権のこの制度というのは、著作権者の権利の適切な保護という観点、これが第一にありまして、その上で、著作物等の公正かつ円滑な利用、こうしたもの、二つのバランスが非常に大事であるということで成り立っていると思います。
そこで、永岡文科大臣にお聞きしたいと思いますが、まずはこの著作権制度に関する基本的な認識というものをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/85
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086・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) お答え申し上げます。
著作権制度というのは、国民の日常生活に深く関わるものであることから、今回の法案に関する検討におきましても、著作権者や利用者、事業者、有識者など多様な関係者の御意見を丁寧にお伺いしながら進めてまいりました。
文部科学省といたしましては、今後とも、著作権の適切な保護と、それから著作物の利用の円滑化のバランスというものをしっかり考慮をしつつ、著作権制度に関します政策の推進に取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/86
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087・竹内真二
○竹内真二君 大臣、ありがとうございます。
今大臣からの答弁にもありましたように、権利保護と公正な利用、円滑な利用、この二つのバランスというのは本当に大事だというところ、そしてその先には、やはり私たちの文化の発展であるとか、もう少し広く言えば文化芸術というものをより発展させ豊かにしていく、こういうことがその先にはあるんだと、このことをまず確認させていただいた上で、今回の法改正についても質問させていただきたいと思います。
この著作権を取り巻く時代の変化というものを今回の法改正も当然踏まえたものになるわけですけれども、例えば、流通するコンテンツのデジタル化を取ってみても、デジタル化というものの進展によって、いわゆるクリエーター、プロの方であるとか又は大きな企業ということだけではなくて、一般のユーザーというものがやはりコンテンツを想像する、創作するということもありますし、また、そうしたコンテンツを利用する、そうした今誰もがここに関わっていくような今時代になっております。加えて、デジタルトランスフォーメーションという時代にも入っております。やはりグローバルなコンテンツ利用というものも今急速に拡大をしていて、こうした時代の変化に著作権制度というものも対応していくということで今回の法改正は行われていると承知しております。
そして、その柱の一つが、今までも質問にありましたように、新たな裁定制度の創設ということであります。一般の方々が作ったコンテンツや過去の作品を利用するには当然著作権者の許諾が要るわけですが、それを得ていく労力というものは今まで本当に本当に極めて大変でありまして、コンテンツ利用の大きな壁となってまいりました。そこで、利用していいかどうかなどを著作権者の意思を確認できないものについては、文化庁長官の裁定を受ければ、補償金を支払うことによって時限的に利用はできるようにしようと、こういう制度になっております。
こうした著作物の利用の円滑化というのは、コンテンツの活用の活性化というためには必要なわけですけれども、著作権制度というものがやはり保護と利用のバランスが大事であるという観点からすると、保護の観点からは、著作権者が自分が創作したものを基にして自ら収益化するということも大変重要であると考えます。
そこでお聞きしますけれども、著作権者が自らの意思で行っているこのライセンスビジネスに今回のこの新制度、影響はないのかどうか、文部科学省の見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/87
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088・杉浦久弘
○政府参考人(杉浦久弘君) お答え申し上げます。
新たな裁定制度は、コンテンツの利用円滑化を図るため、集中管理がされていない著作物や利用の可否に係る著作権者等の意思を円滑に確認できる情報が公表されていない著作物を対象とするものでございます。このため、ライセンス契約により利用ができる場合など、既に円滑に権利処理が行われている著作物等は対象とならず、既存のライセンスなどに悪影響を与えるものではございません。
さらに、新たな裁定制度におきましては、著作権者の申請により利用停止できることから、利用停止の後の著作権者自身によるライセンスが可能でございまして、著作権者の自らの意思に基づくライセンスビジネスを促すものであると、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/88
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089・竹内真二
○竹内真二君 今御答弁いただいたように、今回の新たな裁定制度というものは既にあるライセンスなどに悪い影響を与えるものではないと、こういうことを確認させていただきましたし、また、新制度であっても著作権者が申請すれば利用停止できるということで、これも安心材料であると思います。そして最後に、ライセンスビジネス促進という観点もあるということもよく分かりましたので、よくよくこの点は新制度を周知していただきたいと思います。
続いて、著作権者の意思確認と、著作権者側の利用拒否について、私からもお聞きしたいと思います。
これは端的にお聞きしますが、今回の法律案においては、著作権者が自らの著作物の利用の可否や条件に関する意思を表示していれば新たな裁定制度の対象外となるため、利用者には制度の利用に当たってその意思の確認を行う必要、行うことになりますけれども、意思の確認をどのような方法で行うのか。また、著作権者は制度による利用を明確に拒否、オプトアウトすることができるのかどうか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/89
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090・杉浦久弘
○政府参考人(杉浦久弘君) お答え申し上げます。
新たな裁定制度における著作権者の意思の確認方法につきましては、著作物やその周辺、著作権者やプラットフォームの公式ウェブサイト、SNSのプロフィール、検索エンジン等におきまして著作物の利用の可否や許諾のための連絡先を確認することや、権利情報等が記載、掲載されている各種のデータベースを用いて確認することなどを考えてございます。
また、この制度の対象とならないことを事前に申告するいわゆるオプトアウトにつきましては、著作物の利用の可否に係る著作権者の意思の一つと考えられ、こうした意思を尊重して制度の運用を行うことが重要でございます。
オプトアウトの方法につきましては、著作物等の名称や著作権者の情報など許諾に必要な情報を明らかにすること、前述のデータベースや著作権者等の公式のウェブサイト等に利用可否等の意思や許諾申請連絡先等を記載の上、検索等により簡易に確認できるようにすることなどが考えられるところでございます。
なお、著作権者等が容易にオプトアウトを行うことができるよう、著作権者単位あるいは著作物単位のいずれの方法も柔軟に認めることを考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/90
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091・竹内真二
○竹内真二君 意思確認の詳しい方法というのは告示などによって決まるということなんですけれども、円滑な利用ということを考えれば、できるだけ手間がない形で利用できるように是非していただきたいと思いますし、一方、この著作権者側が拒否、オプトアウトすることの確認も簡単にできて、そのオプトアウトもしやすいようにすると、配慮もいろいろするという御答弁でしたので、この点も是非よろしくお願い申し上げます。
そして、今御答弁いただいたように、新たな裁定による利用というのは著作権者側からの請求で止めることができるなど、著作権者自身によるライセンスに配慮がなされております。しかし、例えば、裁定によりインターネット上で配信された著作物が、裁定による利用を超えて、裁定を受けた人やその他の人によって更に複製、配信された場合には、著作権者はどのような対応をしていけばいいのか、どのような対応を取ればいいのか、見解をお示しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/91
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092・杉浦久弘
○政府参考人(杉浦久弘君) お答え申し上げます。
新たな裁定制度により裁定を受けてインターネット上で配信された著作物が更に複製、配信された場合は、当該複製、配信を行った者は著作権者の許諾を得ずに無断で著作物を利用しているということでございますので、この場合は著作権侵害を行ったこととなります。これに対しまして、著作権者は当該侵害行為の差止め請求や損害賠償請求を行うことが可能となります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/92
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093・竹内真二
○竹内真二君 今ありましたように、差止め請求、そして損害賠償請求などができると、これによって権利を保護されるということも確認をさせていただきました。これ、大事な点であります。
そして、今回の法改正が実現すると、現行の裁定制度と新たな裁定制度、この二つの制度が、先ほど来ありましたように、存在することになります。
やはり、利用者に違いを十分認識をしてもらう、理解してもらうことが重要になると思います。この制度の違いを認識した上で裁定制度の選択ができるように、是非とも周知徹底をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/93
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094・杉浦久弘
○政府参考人(杉浦久弘君) お答え申し上げます。
新たな裁定制度は、その制度趣旨の違いにより、現行裁定制度とは要件、効果が異なっております。
要件につきましては、新たな裁定制度では利用の可否や条件など著作権者の意思が確認できない場合を対象としていますが、現行裁定制度はより要件が厳格であり、利用者が相当な努力を払っても著作権者が不明であったり連絡することができなかったりする場合を対象としています。
効果につきましては、新たな裁定制度では文化庁長官の裁定により時限的な利用を認めることとしていますが、現行裁定制度では利用の期間の制限がなく、著作権者が見付かっても利用を継続することが可能です。
また、具体の利用場面といたしましては、スピード感が求められるインターネット配信等による著作物の利用であれば、時限的な利用であっても比較的容易に配信停止が可能なため、手続が簡便な新たな制度を選択することが想定されます。一方、初期コストが掛かる出版印刷による利用では、権利者が見付かっても利用を継続できる現行の裁定制度を選択することが想定されます。
このように、利用者のニーズによってどちらの制度を使うかを自由に選択できるようにすることで、著作物の利用の円滑化と著作権者への適切な対価還元の効果が高まるものと考えておりまして、制度の趣旨や内容をしっかりと周知してまいりたいと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/94
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095・竹内真二
○竹内真二君 今ありましたように、二つの制度存在して、どちらもデメリット、メリット、双方あると思いますので、しっかりと利用者さんに向けて今言ったように発信をしていただきたいと思います。
それから、新たな裁定制度ですけれども、著作物の各分野ごとの既存のデータベースに加えて、新たに分野横断権利情報検索システムの構築というものが大事になっております。本年度の分野横断権利情報検索システムに関するこの調査研究において、各分野の団体との連携、これどのように行っていくのか。また、どのようなシステム設計にしていくのかをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/95
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096・杉浦久弘
○政府参考人(杉浦久弘君) お答え申し上げます。
分野横断権利情報検索システムにつきましては、昨年度、有識者から成る研究会を開催し、基本的な考え方や今後の方向性に関する報告を取りまとめたところです。その中では、システムと連携するデータベースを保有する団体等との協力についても今後検討を進めるべき課題として挙げられています。
こうした取りまとめを受けまして、文化庁においては、本年度、システムの構築に向けた調査研究を行うこととしており、その中で著作権等管理事業者や関係団体を交えた検討と意見集約も行うこととしています。
このほか、調査研究におきましては、各団体が有するデータベースの管理状況などに関する調査、検索画面イメージなどの技術的な仕様の検討などを行うこととしておりまして、システムの具体化に向けて更に検討を進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/96
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097・竹内真二
○竹内真二君 やはりこれ、一般の方々でも利用しやすい検索システムになるかどうかというのは非常にこの新たな制度の大事な点になってくると思いますので、是非とも関係団体の皆様の御意見もよく聞いていただいて、また連携もしていただいて進めていただきたいと思います。
次に、本改正案のもう一つの柱となるんですかね、この立法、行政における著作物等の公衆送信、まあインターネット等で送ることですけれども、これを可能にする措置について質問させていただきます。
社会がデジタル化する中、立法や行政においてもその波に乗り遅れずにそれぞれの責務を果たしていくことが重要になりますが、この観点から、今回のこの法改正の意義について改めて見解をお伺いしたいと思います。また、この改正によってどのようなことができるようになるのか、特に地方自治体、地方議会ではこの改正によりどのようなことができるようになるのか、この点についても見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/97
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098・杉浦久弘
○政府参考人(杉浦久弘君) お答え申し上げます。
現行法においては、立法、行政目的の実現のため、他人の著作物について内部資料として必要な複製をする場合には著作権者の許諾なく行うことが可能ですが、メール送信やクラウド保存などの著作物を特定かつ少数に限定されない範囲で送信する公衆送信等については著作権者の許諾を得ることが必要となります。
このため、今般の改正案では、立法、行政のデジタル化への対応を進めるため、立法、行政のための内部資料として必要な公衆送信等を可能とする措置などを講じます。この改正によりまして、例えば、地方議会において条例や予算案の審議などのために必要な場合や、地方公共団体等において職務遂行上必要な場合に内部資料として部局内の職員がアクセスできるクラウドに保存したり、関係する部局の者とのオンラインミーティングを行う際に画面上で共有したりすることが著作権者の許諾なくできるようになると、このように考えております。
これらによりまして、デジタル時代に即したより適切、迅速な立法、行政の遂行が可能になるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/98
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099・竹内真二
○竹内真二君 今、地方議会、地方行政の分野でもそうしたことができるようになるということでありますので、これ関係する方もう全国にたくさんいらっしゃいますので、是非この点も周知の方をお願いしたいと思います。
次に、私の方からも海賊版の被害についてお聞きしたいと思います。
日本にはもう優れたコンテンツがたくさんありますけれども、インターネット上の海賊版サイトなどにおける不正利用によって本当に大きな被害が出ております。
そこで、まず被害の現状についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/99
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100・杉浦久弘
○政府参考人(杉浦久弘君) お答え申し上げます。
海賊版の被害状況につきましては、関連する団体において調査や試算が行われているところでございます。
一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構、いわゆるCODAと呼ばれているところでございますが、ここの調査によりますれば、令和四年のオンライン上で流通する映像、出版、音楽、ゲームの四分野における日本コンテンツの海賊版の被害額は、約一兆九千五百億円から二兆二千二十億円であると推計されております。
出版物の侵害に関しましては、一般社団法人ABJが調査を行っております。それによりますと、日本における海賊版サイトのうち、アクセス数が上位の十サイトの月間訪問数の推移は、令和四年一月に月間四億回以上でピークに達しました。その後、一部の海賊版サイトが閉鎖されたため、令和五年一月現在、月間一・八億回まで減少しております。しかしながら、新しい海賊版サイトがすぐに現れるなど、被害が常態化しておりまして、引き続き早急な対応が必要であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/100
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101・竹内真二
○竹内真二君 先ほど赤松委員からもありましたけれども、やはり、もうピークのときにはやはり約二兆円ですか、そういう単位でのやはり被害が、今現在ですかね、あるということですので、これやはり、イタチごっこというところはあるかもしれませんけれども、本当にこれ対応が大事になってくると思います。
そこで、今回の法改正になりますけれども、この対策として損害賠償額の算定方法を見直されるということで、どのような効果が期待できるのか、この点についてもお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/101
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102・杉浦久弘
○政府参考人(杉浦久弘君) お答え申し上げます。
海賊版サイトによる被害が深刻化している中、損害賠償請求に関しまして、請求する側の損害の立証が困難であり、十分な賠償額は認められず、いわゆる損害し得の状況が生じやすいとの指摘がございます。
こうした状況に対応するため、今般の改正におきましては、まず、違法に販売された数量に基づき損害額を算出できる規定につきまして、これまで損害額の算定に認められ、含められていなかった著作権者の販売能力を超える部分について、ライセンス料相当額の損害があるものとして損害額を算出できること。続いて、裁判所によるライセンス料相当額の認定に当たりまして、一般に利用期限や利用範囲等の条件が定められている中でのライセンス料と比較しまして、著作権侵害により何らかの制約なく利用していることなどを増額する要因として考慮できるよう明確化することなどの規定を整備することとしております。これにより、著作権侵害に対する損害賠償請求訴訟における権利者の立証負担が軽減され、認定される賠償額が高まり得る効果が期待できます。
文化庁といたしましては、こうした改正を通じまして、海賊版被害に対する実効的救済策の充実に努めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/102
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103・竹内真二
○竹内真二君 今次長から答弁いただいたように、請求する側の損害の立証が困難であるとか、あるいは十分な賠償額が認められず侵害した側が得をするとか、こういった声にしっかり応えた改正内容になっているということでありますけれども、法改正とその効果には私も期待する一方、損害賠償の算定方法の見直しということだけではやはり今のこの海賊版被害をなくすことには当然限界があると思います。
今後、どのように海賊版対策に取り組んでいくのかについても、是非ともお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/103
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104・簗和生
○副大臣(簗和生君) インターネット上の海賊版サイトによる被害は依然として後を絶たず、深刻な状況であると憂慮しております。
文部科学省では、これまでに海賊版対策として侵害コンテンツのダウンロード違法化などの法整備を行ってきたほか、今般、侵害に対する損害賠償請求訴訟における権利者の立証負担の軽減を図る改正により、制度的な措置を更に充実させたいと考えております。
また、こうした法制度の整備に加え、海外の著作権制度の整備支援、国民への普及啓発などに取り組んできたほか、クリエーターを含めた著作権者の権利行使を支援するため、昨年六月に著作権侵害対策の情報をまとめたポータルサイトを公開するとともに、八月には弁護士による無料の相談窓口を開設するなどの諸施策も推進をしてまいりました。
文部科学省としましては、今後とも必要な法制度の整備に努めつつ、海賊版に対応した行政施策として、引き続き相談窓口などを通じた情報収集と発信を行い、権利者による権利行使の支援を強化するとともに、諸外国や関係省庁、関係団体と連携しながら、より実効性のある取組を進めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/104
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105・竹内真二
○竹内真二君 今、簗副大臣から答弁をいただいたように、コンテンツの創作者が権利行使を支援するために、著作権の侵害対策の情報をまとめたポータルサイトであるとか弁護士による無料相談窓口の取組というものが今、昨年来行われているということで、これ大変重要だと思います。
この二つについて、改めまして利用者目線で説明していただきたいと思うんですけど、よろしくお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/105
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106・杉浦久弘
○政府参考人(杉浦久弘君) お答え申し上げます。
インターネット上で海賊版が流通することに関しまして、我が国の著作権者は、外国の著作権者と比べて、費用倒れになることへの懸念や著作権に関する知識不足等により権利行使をしない傾向があることが指摘されています。
このような指摘を踏まえまして、侵害を受けている著作権者の権利行使を支援するため、先ほど副大臣から答弁申し上げましたように、文化庁では、著作権侵害対策情報ポータルサイトを開設し、著作権制度の基本的な考え方や、クリエーター自身が、クリエーター自身の権利が侵害された際の対策について情報発信しているところでございます。
具体的には、著作権の基本的な事項から、インターネット上の海賊版に対する削除要請の仕方、それから国別の海賊版対策の詳細なノウハウをまとめた著作権侵害、括弧、海賊版と書いていますけれども、そういったものの対策ハンドブックなどを掲載してございます。また、ポータルサイト内に開設している相談窓口では、著作権を専門とする弁護士がクリエーターの方々や代理人等から著作権の侵害に関する御相談を無料で受け付けているところでございます。著作権者が相談受付フォームに記入いたしますと、弁護士からメールで回答が届くほか、案件によってはオンラインなどにより弁護士との無料個別面談も行っております。
今後、クリエーターの方々には、このポータルサイトを通じて著作権や著作権侵害に関する理解をより一層深めていただけますよう、また相談窓口を積極的に御活用いただけますよう、引き続き分かりやすい情報の発信と充実に努めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/106
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107・竹内真二
○竹内真二君 このポータルサイトなんですけども、私も実際ホームページ見てみまして、大変分かりやすくできておると思いますので、また利用者の声も聞きながらまたバージョンアップもしていただいて、ここに訪れる方本当に多くなるように、クリエーターの方一人でも多く利用できるようにやっていただきたいと思います。
それから、あと海賊版対策としては、やはり取締りという観点も大事でありまして、今年に入ってからも二月そして三月にかけて、中国とブラジル、そして台湾、そうしたところで日本のアニメやドラマといった大規模な海賊版のサイトが摘発をされたとも伺っております。これは、コンテンツ海外流通促進機構、CODAの方から刑事告発がありまして摘発につながったと、このようにも聞いておりますけれども、是非、こうした摘発による対策の強化ということも是非よろしくお願いしたいと思います。
そして、最後の質問になりますけれども、私からも、今ずっとありましたAIと著作権の関係について質問させていただきます。
まず、AIのこの人工知能については、利活用の方法から、あるいは規制の在り方、ルール作りといったものまで今様々なことが既に議論をされております。特に、チャットGPTのような生成AIをめぐっては、教育分野でもどのように対応していくのかが今課題となっております。
そして、AIに関して課題の一つになっているのが今まさにこの著作権との関係であります。例えば、著作権のある作品を生成AIが学習するときに著作権が侵害されるのではないか、あるいは許諾は必要ないのか。もう一つの観点は、AIが作ったものに著作権があるのかどうかといった、こうしたことが今様々に議論をされております。
その最初の方は、我が国の著作権法では情報解析のための権利制限規定というものがありまして、情報解析ということであれば著作権などのコンテンツを基本的には自由に使えるという、そういう法制度の立て付けになっております。ただしというのがありまして、その場合には、著作権者の利益を不当に害することとなる場合はこの限りではないという規定もきちんと付いておりまして、で、先ほど来ありますように、ではこの不当に害するというのが具体的には何かということが今様々に明確化してほしいというような声も上がっております。
そして、冒頭、著作権法についても確認させていただきましたように、やはり、これ著作権者等の権利保護というものがまず第一に来ておりまして、そして、公正な利用とのバランスを取るということで文化の発展にも寄与していくんだと、こういう目的が書かれておりますので、やはり、著作権法というものを考える上では、今回も著作権を持つ方から、皆さんから不安の声というものが出ないようにしっかりとこの説明していく、答えていく、こういう必要は私もあると思います。そのためにも、様々な議論や意見が出ておりますので、まずよく整理することも必要ではないかと。
そこでお聞きしたいのは、やはりこのAI、人工知能が進展する中で、このAIと著作権の関係について、これは永岡文部科学大臣に、今後どのように対応していくのかについて見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/107
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108・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) お答え申し上げます。
AIとそれから著作権の関係につきましては、AIを適切に利活用していく御意見がある一方で、やはり著作権が侵害をされる懸念というものがあるとの御意見も承知をしているところでございます。これらの関係を考える上では、AIの開発、学習段階というところと、AIによります生成とその利用の段階と、この二つに分けて考える必要があると思っております。
文部科学省といたしましては、このような場面に応じた著作権法の考え方を整理をしていただけますように、セミナー等を開催をして、速やかに普及啓発をしてまいります。また、AIと著作権に関する論点を整理するため、文化庁におきまして、知的財産法に詳しい専門家や弁護士などを交えて検討を進めまして、その成果を踏まえた周知啓発も行ってまいりたい、そう考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/108
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109・竹内真二
○竹内真二君 時間が参りましたので、以上で終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/109
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110・高橋克法
○委員長(高橋克法君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
午後零時二分休憩
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午後一時開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/110
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111・高橋克法
○委員長(高橋克法君) ただいまから文教科学委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、著作権法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/111
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112・中条きよし
○中条きよし君 日本維新の会の中条きよしでございます。
まず初めに、著作物の利用に関する新たな裁定制度についてお伺いをいたします。
自分の作品が人々を感動させることはとてもすばらしい体験です。デジタル技術の発達により、スマートフォン一つで誰もがすぐに自分の創作物を発表できる時代になりましたが、どれだけツールが発達しても、その創作そのものは決して簡単なことではありません。
著作権の侵害は、民事的に著作権に対し損害賠償の支払を求められるほか、刑事罰の対象となる場合もありますが、どこまでがよくて何が駄目なのか、著作権ってよく分からないという人がほとんどではないでしょうか。
音楽分野においては、著作権保護の対象となる作品や演奏は明確で、簡単に特定できる場合が多く、著作権管理団体が楽曲の管理監督、ライセンスの管理などを行い、著作権料を支払うことが当たり前とされているために、利用者側にも著作権意識が根付いていると言われ、その反面、写真やイラストの分野においては、作品が個人的に保有されていることも多く、著作権保護の範囲が曖昧であったり、著作権料を支払わなくても問題がないと考える人もあり、著作権管理団体や個人に対して著作権の意義や、著作権管理団体が個人に対して著作権の意義や著作権料徴収の重要性を啓発することが管理や徴収につながると思いますが、このような状況に対して文科省はどのように対策をお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/112
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113・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) お答え申し上げます。
著作物の利用に当たりましては、著作権者からの許諾を得ることが原則でございます。許諾の際に、これ著作権者と利用者の間で対価ですとか利用の範囲について取り決めることが可能になっております。このため、著作権者は著作物の利用の可否等に係る意向を明確にしていただくことが望ましく、やはり利用者は適切に許諾を得て利用することが求められると考えております。
今般の新たな裁定制度におきましては、これまで利用者が許諾を得ることが難しかった場面を含めまして、適正な手続により利用が可能となります。著作権者はその対価を受けることができる仕組みでございまして、著作物の適法な利用を促進するものであると、そう考えております。
御指摘のように、国民の皆様に著作権に関する意識の啓発を行うことは大変重要でございまして、これまでにもセミナーの開催ですとかQアンドA集の作成などを進めております。また、今回の改正を受けました周知、そして啓発におきましても、広く国民の方々に著作権を御理解いただけるような取組に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/113
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114・中条きよし
○中条きよし君 ありがとうございます。
クリエーターは皆、産みの苦しみを味わい、愛着を持って作品を発表しています。著作権者の権利は大切に守っていただきたいと思います。
そこで、今回の権利者不明の作品の流通を促す著作権法の改正案は、誰にでも作品の権利者を探し出すことができて、利用を可能とするための相談窓口ができ、権利者が不明な作品に対しては文化庁長官による裁定制度もできる、とても便利な制度だと思います。
しかし、そもそも他人に自分の作品を使ってほしくないと思っているクリエーターが二次使用に気付く前にネット上で公開されてしまったらどうすればよいのかと心配になります。ネット上で一度世に出てしまうと簡単には消し去ることができないため、十分な配慮が必要だと思います。
利用者が著作物を使用する際の適法化の範囲がどこまで拡大されるかにより、著作権者と利用者の意見の対立も予想されます。これらに対して文科省はどのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/114
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115・杉浦久弘
○政府参考人(杉浦久弘君) お答え申し上げます。
本制度は、裁定を受けた利用者による著作物の利用を可能とするものでございまして、それ以外の者が著作権者の許諾なく複製や配信を行った場合は著作権侵害となります。このため、著作権者が自らの著作物の望まない利用を発見したときは、許諾なく複製や配信を行った者に対しまして差止め請求や損害賠償請求をすることが可能であるほか、刑事罰の対象ともなります。
このように、第三者が許諾なく著作物を複製、配信するといった行為につきましては、通常の著作権侵害と同様の民事上及び刑事上の措置により防止できると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/115
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116・中条きよし
○中条きよし君 ありがとうございます。
次は、諸外国における著作権についてお尋ねをいたします。
近年、デジタルネットワークの急速な発達に伴って、映画や音楽、アニメ、ゲームなど、インターネット上での海賊版の流通手段は複雑で実に巧妙になり、サイトの運営者自身が国内にはおらず、サーバーそのものも海外に設置されていたりして、その対応は本当に難しい状況です。そのようなインターネット上の海賊版の流通は、正規版が発売されるとあっという間に出回ってしまい、とても深刻です。
アメリカ、カナダ、オーストラリア、イギリス、フランス、ドイツ、スウェーデンの七か国を対象とした三菱総研の二〇一六年末の調査では、海賊版はいずれの国でも多数見付かり、海賊版サイトの資金源対策が重要視されています。その対応は、コンテンツの削除、アクセスの制限、検索エンジンの結果からの削除、個人のインターネットの接続停止など、国により様々です。
条約や著作権法に基づいた判決を得る必要があったり、国内法に反映させるときにも国により異なる解釈がなされたりすることから、世界的規模の対策が必要になってきます。国としての安全対策をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/116
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117・澤川和宏
○政府参考人(澤川和宏君) お尋ねのインターネット上の海賊版でございますが、我が国のコンテンツ産業及びクリエーターの利益を著しく侵害する重大な問題でありまして、二〇一九年十月、私ども内閣府におきましてインターネット上の海賊版に対する総合的対策メニューを取りまとめ、これに基づき、関係省庁、民間団体、一体となった対策を進めているところでございます。
また、近年では、先ほどお話がございましたように、運営者の探索が困難な特定の国における海賊版サイトの運営でありますとか、また度重なるウェブアドレスの変更による摘発逃れなど、手段が巧妙化しているというふうに認識しております。
こうした状況に対応するため、先ほど申し上げました総合的対策メニューに基づきまして、例えば、海賊版サイトのリストを広告関係団体に提供して海賊版サイトに広告を表示させない取組でありますとか、また、デジタル技術を用いて運営者等を特定し、その摘発に向けた国際連携、国際執行を強化する、そういった施策を重点的に推進しているところでございます。
引き続き、海賊版への効果的な対策に取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/117
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118・中条きよし
○中条きよし君 ありがとうございます。
著作権者の権利認定の必要性が緩和されることで、悪意ある申請が増加しないこと、才能あふれる作品を心ない人たちから守っていただけることを期待しております。
そこで、海外ミュージカルの上演、映画の吹き替えの際の著作権についてです。上演する際には、著作権者の定めるルールに従う必要があり、ステージのセットや衣装、楽曲のアレンジなども許されない場合があります。
吹き替えを行う際には、吹き替えた声優やスタッフが制作した音声データ、吹き替えのための翻訳や字幕の作成にも著作権があり、これはまあ実際にあったお話なんですが、レナード・バーンスタインの作曲で有名なあのミュージカルの「ウエスト・サイド・ストーリー」、一九五七年にブロードウエーで初演ですね。その年のトニー賞の最優秀振り付け賞と舞台美術賞を受賞、一九六一年には映画化されて、アカデミー賞作品賞、監督賞、十部門を制覇しています。それだけに著作権がとても厳しく、一九六八年に宝塚歌劇団で初演の際には、ニューヨークから演出、振り付け、音楽、舞台装置、それぞれの担当者が来日し、全編原作のままで、変更はNGだったそうです。
聞くところによりますと、そのときの主演のトニー役を演じた男役の古城都さん、高さ三メーターの金網を一気に駆け上って一気に飛び降りるという、そういうシーンがあったそうですが、その当時はまだクッションの効いたスニーカーもない時代でしたから、その後何十年も足が痛かったと、そう話していたのを記憶しています。まあまあそのおかげというか、ちなみにですが、そのかいがあってその年の芸術祭大賞を受賞しています。また、それ以降の再演では金網の高さも歌のキーもアレンジが許されるようになったそうです。
クリエーターが時間と労力、魂を懸けて作り上げた作品、それを上演するに当たり適切な対価を支払う。表現者側にもルールを知り、守る責任があると思います。日本では、海外の著作権契約のように細部にわたって取決めがなされていませんが、後でもめ事が起こらないように手助けができる相談窓口も必要だと思います。文科省のお考えをお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/118
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119・高橋克法
○委員長(高橋克法君) どちらで。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/119
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120・杉浦久弘
○政府参考人(杉浦久弘君) 失礼しました。お答え申し上げます。
著作権法においては、著作権者はその著作物を複製、上演、演奏、上映、翻訳等をする権利が専有しており、原著作者は翻訳物に対して翻訳者と同一の権利を有することとされております。
御指摘の事例に当てはめますと、海外の脚本によるミュージカルを日本語に翻訳したり、洋画を吹き替えたりする、ミュージカルですね、それを翻訳したりする場合には、当該脚本家はその脚本を翻訳する権利を専有いたします。
また、翻訳された脚本につきましては翻訳家が著作権を有しますが、元の脚本家も翻訳家と同一の権利を有します。このため、翻訳物を利用して上演や吹き替えを行う場合には脚本家と翻訳者の双方に許諾を得ることが必要、こういう形となってございます。
著作権者が著作権をどのように行使するかについては、当事者間の契約で取り決めることが基本でございます。翻訳物の利用に対する報酬につきましても、当事者間の契約において、その用途や態様等の個別の事情に基づいて決定されていると承知しています。
したがいまして、窓口とかいろんな形の周知でしっかりと関係者間にそのルールを御理解いただくことが重要と考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/120
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121・中条きよし
○中条きよし君 ありがとうございます。
ここで、誰もが一度は歌ったことのあるカラオケについてです。
カラオケというのは、五十年ほど前に日本で誕生して、高度成長期末期から流行して、バブル景気とともに日本人の生活に浸透して、今ではなくてはならない大衆の娯楽となりました。
コロナ禍で厳しい状況の中、カラオケボックスではお一人様カラオケから個室を生かした様々な取組が行われています。動画撮影用の機材をそろえた撮影部屋や、映画館の椅子を備えたシアタールーム、楽器の練習ができる演奏室、占いの館やゲームができる部屋まであります。
中でも、東日本大震災の際に交通機関が止まったことによってカラオケボックスに帰宅困難者が押し寄せた経験から、水、食料、寝袋、カセットコンロなどを備蓄した防災ステーションとしても活用され、町に根付いたカラオケ店は、今、歌わないカラオケ店へと衣替えしつつあります。
その一方で、介護の現場からは、カラオケができないと高齢者の認知症の進行が心配だと、その効用が見直されています。千代田区の高齢者センターでは、カラオケサークルをつくったり歌える部屋を開放することで、お年寄りが声を出せて健康的に過ごせるように取り組んでいます。独り住まいの高齢者からも、今日初めて声を出しましたと喜ばれているそうです。
そこで、以前よりカラオケのあるスナックなどのオーナーさんたちから度々聞かされているんですが、店のキャパシティーによって著作権使用料が決められるという話です。
JASRACやRIAJ、日本レコード協会ですね、などの著作権管理団体の規約では、店の収容人数や面積、利用状況など、様々な要素を考慮して著作権使用料が決定されるとありますが、コロナ禍以降、カラオケボックスやカラオケ喫茶、カラオケのある店のオーナーたちは、コロナ禍以前から五十ある席の五十席が満席になることなど皆無で、何度でも見に来ていただいてしっかりと検証してほしいと皆さん口をそろえておっしゃっていました。
このような現場の声に対して、文科省はどのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/121
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122・杉浦久弘
○政府参考人(杉浦久弘君) お答え申し上げます。
カラオケに関する著作権使用料の徴収を行っております日本音楽著作権協会、JASRACの使用料規程においては、スナックなど飲食店でカラオケ伴奏による歌唱が行われる場合の使用料は客席面積等を基本として定められているところでございます。委員御指摘のとおりでございます。
この使用料規程は、使用料規程は、著作権等管理事業法上、管理権等、管理事業者が利用者又はその団体からあらかじめ意見を聴取するように努めつつ定めることと規定されております。また、JASRACはカラオケ演奏に関する著作権等管理事業法上の指定著作権等管理事業者となっておりまして、利用者代表から使用料規程に関する協議を求められたときはこれに応じなければならないこととされております。
こうした制度を踏まえまして、カラオケに関する使用料の在り方については、必要に応じましてこのJASRACと関係当事者間において協議いただくことが重要だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/122
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123・中条きよし
○中条きよし君 ありがとうございます。ようやく戻りつつあるささやかな憩いの場を残していただけるようにお願いをいたします。
最後になりますけれども、検索エンジンやAI検索における著作権に関する問題点や注意点についてお伺いをいたします。
著作物の使用範囲は著作権法で認められる私的利用に限られ、商業目的や二次配布などの再利用は禁止されています。著作権侵害を防止するためには、著作権者があらかじめ設定したフィルターに基づいて著作物の使用を許可するか拒否するかを自動的に判断するそうですが、間違った検出や判定が発生した場合、速やかに削除、遮断することが求められます。著作権侵害によって生じた損害賠償など適切な法的措置も必要で、自分でも気付かないうちに著作権の侵害が起こしかねないと。
まだまだ未知の世界です。問題点や注意しなければならないことがたくさんあると感じますが、文科省はどのようにお考えでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/123
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124・杉浦久弘
○政府参考人(杉浦久弘君) お答え申し上げます。
インターネット情報検索サービスにつきましては、広く一般に情報の存在や内容等を提供する社会的意義が認められますことから、著作権法においては、著作物の利用が軽微なものであり、一定の基準を満たす場合に限り、検索サービスによる検索結果の表示などの利用が認められております。
しかしながら、著作権者の中には検索サービスによる検索結果の表示を希望しない方もいらっしゃることから、情報収集を禁止する措置をとった著作物を利用することはできません。このため、この情報収集を禁止する措置をとった著作物を許諾なく検索結果に表示することは著作権侵害になりますことから、著作権者は検索サービスの提供者に対しまして差止め請求などが可能ということとなります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/124
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125・中条きよし
○中条きよし君 ありがとうございます。
検索エンジンやAI検索の利用に当たっては、著作権法を尊重し、合法的な範囲で利用することが重要だと思いました。
時間がまだ残っているようですので、最後に、皆さん御存じかどうか分かりませんが、カラオケの語源というのを御存じですか。これが宝塚歌劇団とちょっと関係がありまして、一九五六年に楽団員のストライキがあったそうです。それであわや公演中止というときに、劇団から頼まれた松下電器が演奏のテープと機材を提供して無事に公演が実施されたんですが、オーケストラボックスの中が空っぽ、すなわち空のオケボックスだったという、それが語源だというふうに聞いております。
これで終わります。ありがとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/125
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126・伊藤孝恵
○伊藤孝恵君 冒頭、通告をしておりませんので、大臣、答えられる範囲でコメントいただければと思います。
昨日、文化庁は京都の新庁舎で業務開始式だったと承知をしております。地方創生の目玉として、移転費用に十一億一千万円を計上、中央省庁が本庁を地方に移転するというのは初というか、明治以来だそうです。全十三部署のうち、文化財関係など六部署、五百九十人中三百九十人が移転をされ、著作権課は東京に残られたというふうに聞いております。
そんな中、昨日、NHKが報じた文化庁、京都移転の検証、議員への説明などリモート対応できずという記事が物議を醸しております。移転に先立って二週間の試験運転期間で議員説明の機会が十七回あったそうですけども、リモート対応できたのはゼロ。二〇一九年、二〇二〇年テストでは、二百十二回のうち八回だけだったそうです。結果、この度、京都移転に際して、東京に出張するのは年間で一千四百往復、四千七百万円が掛かるであろうと試算をされておりました。
こういった物価高騰の中、本当に痛税感かまびすしい、そういった国民感情に対して、我々は決して鈍感でいてはいけないんだというふうに思います。
もちろん大臣は、この文化庁京都移転の意味ですとか有用性、そして国会対応業務との両立策というのを語らねばなりませんし、我々もいわゆる慣例や国政調査権というものにどう向き合うか、事ここは文科委員会ですので、我が事として考えなければなりません。
五月十二日付けで文化庁から、今後、できる限りメールとか電話とかウェブ会議で対応をさせていただきたいという旨が配付をされておりますけども、皆さんのお手元に届いておりますでしょうか。なかなか、秘書さんがそのまましまっていたりして、議員本人も知らなかったりいたします。実は私も知りませんでした。そういう部分では、なかなか進んでいかないというふうに思うんです。
私も二〇一九年からブラック霞が関の課題に超党派の仲間で取り組んでおりまして、このオンラインレクの推進というのを全党の衆参の国対委員長をお訪ねして対面でお願いをして推進を申し入れてきましたけども、結局、何の変化も起きませんでした。起きないどころか、時を同じくして、厚労省の改革若手チームのオンラインレクの活用が呼びかけられておりましたので、これみんなで使ってみましょうよと呼びかけたんですけども、結局、半年間で、当時七百六人ぐらい議員がいたと思いますけども、半年間で実際にやってくださったのはたったの六人でした。なかなかこれ岩盤なんですよ。
国会議員とか秘書さんとかが電話一本で、したらば飛んできてくれるものだと、そんな意識も根強いように思います。これ、畏怖とか畏敬の話ではなくて、時代の要請として自戒を込めてこれ問題提起をさせていただきましたので、この岩盤に挑む大臣の責務は重大だと思います。応援します、頑張りましょうという意味で問題提起させていただきました。もしコメントあれば、よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/126
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127・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) 伊藤議員、本当によく言っていただきまして、大変ありがとうございます。
やはり、円滑な京都移転に向けまして、過去、文化庁が行ってまいりました事前のシミュレーションでは、やはり国会議員への説明等についてはリモート対応を行うことがなかなか難しかったという結果が出ております。これは、移転していないのに、そこの、文化庁の、霞が関の文化庁にいるわけですから、ちょっと行けば説明ができるという気持ちもありまして、なかなかそこまで各議員の先生に御説明ができなかったのかもしれないなと私は考えております。
しかしながら、もう今般、文化庁が所掌いたします業務のうち、京都移転、これは部署ですが、本当に京都にありますので、是非、担当する案件に関します国会議員の皆様への御説明に対しましては、できる限り電話、メール、そしてウェブ会議システムなど使っていただきまして対応を調整していただければ大変有り難いと存じておりますので、議員の先生方には是非よろしくお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/127
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128・伊藤孝恵
○伊藤孝恵君 思い掛けず赤池理事からも拍手をいただきましたので、この委員全員でもって、(発言する者あり)そうですね、議事録残しましたので、みんなで応援していきたいというふうに思います。
さて、著作権法の議論でありますけども、これいろいろ質疑を考えていく中で、制作物における権利とは何かと私自身も深く考える機会でもありました。先ほどから質疑を聞いておりまして、制度としてはよくよく分かったんですけども、何ともまだおなかに落ちてこないので、具体例でもって今日は質問させていただきたいというふうに思います。
今回、統一選で、私、いろんなところに応援に行ったんです。驚いたのが、公営掲示板に貼ってある、ある方のポスターが私が参議院選のときに掲げたキャッチとまるっきり同じものが書いてあって、ただ、別に、これに別に著作とかマルCとか取っているわけじゃないしなと思って、また別のところに行ったら、今度は私のホームページの一部がそのまんまコピペされてチラシになっていたりですね、これはどうなんだと、自分の中から言葉を紡ぎ出してこいよと思うところではあるんですけども、こういった言葉とか、それから演説内容とかもそうでしょうね。それから、私、SNSで川柳とかつぶやくのも大好きなんですけど、こういった私の駄作、こういった川柳とか、もちろん思想も感情も込められたものなんですけども、こういったものを流用された場合、この駄作であるSNS川柳も含めて、私は守られるべき権利、私の権利というのは生じていると考えてよろしいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/128
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129・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) お答え申し上げます。
伊藤議員がお作りになりますエッセイですとか川柳などの著作物というものは、やはり著作権法によりまして保護されております。創作が行われた時点で、創作者には財産的利益を保護するための著作権が付与されるわけでございます。
このため、著作物を他者が利用する場合には、著作権者に許諾を得ることが必要となるため、勝手に利用することはできずに、許諾なく利用した場合には著作権侵害となりまして、民法上、刑法上の責任を負うことになります。このような著作権の仕組みを著作権者、そして利用者双方がよく理解をして適切に取り扱うということが大変重要なわけですね。
文部科学省では、著作権に関します講習会ですとかセミナーの開催、また著作権に関する様々な疑問に答えるQアンドAの作成などに力を入れておりまして、引き続きまして普及啓発に取り組んでまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/129
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130・伊藤孝恵
○伊藤孝恵君 そうなんですよね。
著作物を制作した場合は、その瞬間から一切の手続なく発生するのが著作権だというふうに教わりまして、本法律案による新たな裁定制度というのは、今まで著作権等の管理事業者による集中管理がされていない著作物が対象、まさに私のSNS川柳も対象になるというふうな、そういう整理でございました。
これ、次長にお伺いしたいんですけども、この本法律案成立後は、例えば、他者の利用に私が気付きましたと、私はその後どのように手続をし、使った方はどのような裁定に臨むことになるのでしょうか。私とかはもちろん、著作権についてその知識がないので権利行使をしないというような御答弁、先ほど次長からありましたけども、まさにそうですし、例えば私は作家さんでも漫画家さんでも詩人でもアーティストでもありませんので、そんな私の制作物が著作権が発生しているというふうに思いもしないわけです。なので、権利への理解というのも広がらないし、裁定制度の利用というのも活性化しないと。
自分はこの後どういうふうに動くというのが本法律案の制定後の動きになるんでしょうか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/130
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131・高橋克法
○委員長(高橋克法君) 答弁できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/131
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132・杉浦久弘
○政府参考人(杉浦久弘君) まず、原則、基本的な話から申し上げて大変恐縮ですけれども、やっぱり著作権者の方は自分の著作物に対しましてここが権利が出ているんだなということをまず御認識いただくということで、まずあらゆるこれ著作権法の一番の出発点でございます。ですので、何かそういったことが起こっているんじゃないかという情報をキャッチしたら、まずは御自身でその権利を守る。主張しないと権利は守れませんので、まずそこが出発点です。
ただ、いろいろな仕組みはございますので、自分の権利を他者に頼んだり管理団体に頼んだりする形で管理していただくという手もありますし、もし侵害が見付かれば、それに対しまして民事上、あるいは民事上の対抗措置をとっていくという形を取るというのが基本でございます。
今回の制度の場合は、新しい制度ができますれば、一応文化庁の方でもこういったものが使われていますよということでPRさせていただきます。その際に、あれ、私のがここにあるということをお気付きになって、それでは駄目だ、自分でちゃんと管理したいということであれば手を挙げていただいて止めていただく、あるいは、これはこれでいいけれどもということであればそれはそれでもう御理解いただくという形で、やはり御自身で整理していただくというのがまず基本だというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/132
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133・伊藤孝恵
○伊藤孝恵君 そうなんです。主張しないと権利は守れないというのは重々承知なんですけど、でも、よく見るとちょっと、てにをは違うしなとか、なかなか、私のものだ、私の権利だというようなそういった意識というのが、なかなか学ぶ機会が今までなかったというのもあるんですけども、あるやに感じます。
もう一点、お伺いしたいんですけども、じゃ、私が気付かなかった場合、ほかの方が気付いてくださったりしてですね、探し出してもらうまで待つしかないでしょうか、この権利者は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/133
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134・杉浦久弘
○政府参考人(杉浦久弘君) お答え申し上げます。
この今回の法案の仕組みで例を申し上げますと、もしこの制度を使われて、新しい裁定制度を使われた場合には、この作品、こういうものが使われていますという公表がなされますので、そこのところで気が付いていただくというのが一番だと思います。そこは一回見ておいていただいた方が有り難いと思います。
先ほど申したところでちょっと足らなかって、委員の御質問で更にちょっとお付け加えあったものですけど、自分の作ったものが主張できるかどうか、著作権を。この問題はやはりこの制度そのものの根源に関わりますが、やはりこれは、創造性があるか、創作性があるかというのと、それから依拠性、そこを基にして作ったものであるかということが確認できなきゃなりませんで、この判定は法律に基づいて、これは民民の裁判での争いとなります。
それで、ですから、一般論でなかなかこうですというのは言いにくうございます。済みません。そこはもう、この法律はあくまでも民と民の皆様の方の調整をする法律でございますので、そこは行政でやれるところではございませんで、ただ、行政の方では、そういったことがなるべく穏便に、お互いに理解できるように、争いがなるべくないようにするようなルールですとか、あるいは周知徹底をさせていただくという形でもちまして、著作権が双方円滑に、利用する側、守られる側、両方が円滑に動かせるような仕組みというふうになっているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/134
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135・伊藤孝恵
○伊藤孝恵君 やはり私の駄作のSNSの権利主張するのは難しいなと、今説明を聞いていて思いました。
では、質問を変えますね。
例えば、じゃ、その川柳が大人気となって、何回も、何年にもわたって使用されたりする場合、権利者への複数回の探索とかアプローチとかという、そういうのが大変です。それから、私がいつまでも生きているかも分かりませんので、そういった生存確認もまたしなきゃいけないという中で、マイナンバーの活用等ですね、そういうものを活用してはどうかみたいな、そういう議論はなさっているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/135
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136・杉浦久弘
○政府参考人(杉浦久弘君) お答え申し上げます。
著作権の性格についてですけれども、先ほど大臣から答弁ありましたとおり、著作物が作られた時点で自動的に発生するものという位置付けでございますので、申請とか登録などの手続があったから、それを要件として著作権が発生するという形にはなってございません。
こうした著作権の性質上、マイナンバー等の特定の個人の識別のための情報とひも付けることとか、そしてそれで、ことで著作権を認めるという形の要件にするとか、著作物とひも付ける手続を義務付けるということは、ちょっとそれは制度上は難しいかなと考えております。
ただ、委員御指摘のとおり、著作物の権利者の所在が明らかであること、これは大変大切なことでございまして、著作物の利用の円滑化、あるいは著作者の皆様の方からしてもその意思表示をするという意味でも、いろんな意味でも重要なところとなってまいります。
このため、今般の改正法案を契機といたしまして、検索者側の意思表示を促していくことと著作物の集中管理を促進していくことによりまして、著作物の円滑な利用と著作権者への適切な対価還元の実現を図ってまいりたいと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/136
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137・伊藤孝恵
○伊藤孝恵君 お伺いしましたのは、私、コマーシャルを作っているときに、ある歌人の方の歌を使わせてもらうためにその方を探したんです。生きているか、生きているか、これにも大分時間が掛かって、お亡くなりになっていたんですけども、どうもそれはお嬢様がいるらしいと、じゃ、お嬢様を探せ、探せといって、もう大変な労力、お金を掛けたところがありますので、そういった、私の川柳はいいんですけども、有名な方のとか、例えば何度も使われるもの、そういったものについて活用は考えられないのかという問いでございました。
次、分野横断権利情報検索システムの構築に当たって、著作権等管理事業者が保有する既存のデータベースとの連携はもちろん必要だというふうに思いますけども、著作権侵害が一番起きそうな、例えばSNSですよね、そういったものとか、ユーチューブとの連携とか、ああいうリールとかストーリーとかって消えてしまいますので、なかなか侵害されていても見付けられないと思うんです。そういうものへの対応というのが話し合われているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/137
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138・杉浦久弘
○政府参考人(杉浦久弘君) お答え申し上げます。
著作権が侵害されている場合、権利者自身がコンテンツの削除要請等により権利交渉することが重要でございます。
ただ、委員御指摘のとおり、その権利者が自身の著作権を侵害されることに気付かない実態があるという、これもまた事実でございまして、このため、著作権が侵害されている場合の取組につきましては、企業や民間団体において様々な取組が行われております。その中には通報窓口を置いている場合もございます。
例えば、一般社団法人日本レコード協会や放送コンテンツ適正流通推進協議会などで通報を受け付けております。このほか、著作権者と信託契約を締結している管理事業者は、著作権者に代わって対策を取ることが可能でございます。一般財団、あっ、一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構は、違法コンテンツの早期発見及び各サイト事業者に対する削除要請を行っているところでございます。
文化庁としましては、引き続き、関係団体などとも連携しながら、より実効性のある取組を進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/138
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139・伊藤孝恵
○伊藤孝恵君 最後に、今日は斎藤委員、熊谷委員、竹内委員からもございましたが、著作権法におけるチャットGPTとかBardとか、対話型AIに代表される生成AIの質問、これはもちろんまさにここが主戦場ですかね。学校教育もそうですし、著作権もそうですし、まさに著作権法第三十条の四における諸課題の指摘が各委員からあったところであります。
プライバシー配慮、人権の配慮、透明性の確保、ディープフェイク、架空の画像や動画等の検証等、また、どこに重心を置いてルール作りを進めるか、EUとかアメリカとかでは先行をしておりますけども、私、すごく議論を聞いていて日本の弱点だなと思ったのは、やっぱり守らなきゃいけないからここのルールを決めよう、こんなに日々、日進月歩するものについてルールを決めても、それすぐ陳腐化します。そして、ずっとこわばっていては、世界と伍するって、教育現場に使ったら何か悪いことが起こる、そういうことを指摘する識者が同じ口で世界と伍する技術を、サービスを、世界に羽ばたく子供たちをと言うわけですね。こういったものから避けていては世界には羽ばたけません。
こういった学校で使った場合は教育の意義が低下するなどの指摘、これ私は逆だと思うんです。チャットGPTとか使われていると思いますけど、これ本当に問いの工夫、問いの芸術というか、私、この質問に当たって、チャットGPT、あなたは著作権保護の敵ですかって聞いてみました。もう驚きの、本当に示唆に富んだものが出てきました。
最後に、ちょっと時間なくなってしまいましたので、大臣に一言伺いたいと思います。こういったチャットGPT、Bardなどの対話型AI、学校で使うのの是非というのがこの後必ず起こってきます。私は積極的に使うべきだと思いますが、大臣はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/139
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140・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) お答え申し上げます。
御指摘のチャットGPTなどの生成AI、これを活用した様々なサービスが生まれる中で、やはり学校現場での生成AIの利用につきまして、本当に様々な議論、また懸念の声があるものと承知をしております。
一方、学習指導要領では、学習の基盤となります資質、能力といたしまして、情報及び情報技術を適切かつ効果的に活用して問題を発見したり、また、自分の考えを形成するために必要な能力というものというふうに書いてありますし、また、情報活用能力というものを位置付けております。新たな技術を使いこなすという視点というのも実は大変重要なのかなと思っております。
他方、チャットGPTを提供いたしますオープンAI社、この利用規則によりますと、規約によりますと、チャットGPTの利用は十三歳以上である必要がありまして、十八歳未満の場合はやはり保護者の許可というものが必要とされております。
このような観点を踏まえまして、文部科学省といたしましては、有識者の見解を伺いながら、学校現場の実践事例ですとか諸外国の事例などを収集するなどして、これは学校現場の参考となる資料をできるだけ速やかに取りまとめたいと、そう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/140
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141・伊藤孝恵
○伊藤孝恵君 知らないから規制するんではなく、分からないから禁止するんじゃなく、豊かな教育現場を子供たちに贈っていただくために御尽力をお願いいたします。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/141
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142・吉良よし子
○吉良よし子君 日本共産党の吉良よし子です。
本法案で創設される新しい裁定制度、未管理公表著作物等について文化庁長官の裁定により時限的な利用を認める仕組みについて、私も伺いたいと思います。
〔委員長退席、理事赤池誠章君着席〕
まず、改めての確認となりますが、文科大臣、この著作物の利用については著作権者等の許諾を取るというのがそもそも原則であり、今回の新しい裁定制度というのはあくまでも例外の措置であると、そういうことでよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/142
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143・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) お答え申し上げます。
新たな裁定制度は、法律上の要件を満たせば直ちに著作権者の許可なく、許諾なく利用が認められる仕組み、いわゆる権利制限規定の形を取ってはおりません。
この制度は、他人の著作物を利用する場合に著作者の、あっ、著作権者の許諾が必要であるという基本原則にのっとりまして、著作物等の利用の可否に係る著作権者の意思が確認できない場合に、文化庁の長官の裁定によりまして、その意思が確認できるまでの間、使用料相当額の補償金を支払うことで利用が認められるという仕組みになっております。
このような新たな裁定制度は、デジタル時代にコンテンツを利用いたします様々な場面の中で、クリエーターの意思や権利を尊重しながら、権利者にとりましても利用者にとりましても利用しやすい柔軟な仕組みであると考えておりまして、著作権の基本原則を転換するというものではないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/143
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144・吉良よし子
○吉良よし子君 著作権の基本的な形、原則を変えるものではないし、意思が確認できない場合に限るこの裁定制度だということでしたが、今回の新たな裁定制度というのは、著作者が不明じゃなくて、先ほどあった、意思が確認できない、連絡が取れない場合の一定期間の利用だということですが、じゃ、午前中も議論ありましたが、この連絡取れないとはどういう状態なのかと。手紙送ったり電話できたりして、こうすればいいんですけれども、ネット上の作品の場合は、多くの場合、SNSを通じた連絡になろうかと思うわけです。
〔理事赤池誠章君退席、委員長着席〕
SNSの場合には、例えば相互フォロー等の交友関係ない場合であればDM等が送れない仕組みになっているようなものもあるでしょうし、若しくは大量に連絡が来たらその中にうずもれてしまってなかなかそのメール自体を確認できないとか、若しくは詐欺的な連絡と誤解してしまうとか、又は御自身に対する誹謗中傷を目にするのを避けるために基本的にはそういう連絡機能は見ないようにしている方もいるわけで、そうした様々な事態が考えられる中、例えばこのDMやメールアドレス宛てに一度連絡さえすれば、それをもって連絡を試みたけれども連絡取れない状態だとなってしまっては著作権者にとって不利益になりかねないのではないかと思うんですが、文化庁次長、この連絡が取れない状況というのはどういう状況か、何日返信がなければ、また何度その連絡を取るためのアクションを取れば連絡が取れない状況とみなされることになるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/144
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145・杉浦久弘
○政府参考人(杉浦久弘君) お答え申し上げます。
著作権者からの返答がない期間につきましては、著作物の種類やその利用形態、許諾を得るための連絡手段により多様なケースが考えられるところでございます。
このため、実際の運用に当たりましては、制度の周知状況、利用者側のニーズ、著作権者側の負担などを総合的に配慮をしながら、合理的と考えられる期間を設定することを考えております。
現行の著作権者不明等の場合の裁定制度による利用に当たりましては、著作権者をインターネットや新聞広告などにより探索する手続を取ることとしておりますが、その期間は一週間、一週間程度とされておりまして、こうした現在の運用も参考にしたいと考えております。
今委員御指摘のいろんなパターン、いろんなことにつきましては多分皆様も本当心配されると思いますので、我々もよく現場の声を聞きながら、そこの辺りをどのような形で皆様に周知していくか、よく考えてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/145
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146・吉良よし子
○吉良よし子君 いろんなパターンについては配慮しながら対応していただくということで、是非、先ほどは権利制限ではないという御答弁でしたけれども、今回の裁定制度、どちらかというと利用円滑と権利制限でいえば権利制限の側面が強い制度でもあると思いますので、権利者に配慮した運用を是非心掛けていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
また、今回の裁定制度により、著作物の利用が認められた場合でも、著作権者等が申し出ればその利用は一旦中止してそれまでに支払われた補償金が権利者に支払われると、こういう仕組みなわけですが、じゃ、この著作物の利用期限が過ぎて利用が終わった後はどうなるのかと。この裁定制度による著作物の利用期限が過ぎた後でも権利者が申し出ればその補償金受け取れるという仕組みなのか。その補償金の受取の期限というのはどのようになっているのか、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/146
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147・杉浦久弘
○政府参考人(杉浦久弘君) お答え申し上げます。
補償金につきましては、裁定による利用期間経過後におきましても、権利者は指定補償金管理機関に請求することにより受け取ることが可能です。また、法律上、補償金を受け取る期限は設けられてはおりません。
ただし、この債権は通常の民事上の債権でございますので、こうしたことから民法の定める債権の消滅時効に掛かることとなります。
具体的な消滅時効の期間といたしましては、著作権者が補償金の支払を請求できることを知ったときから五年間又は請求できることを知っているか否かにかかわらず支払を請求できるようになったときから十年間となります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/147
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148・吉良よし子
○吉良よし子君 基本的には期限設けずに補償金を受け取れると、ただ民法の制限もありますので注意してくださいねということだったと思うんですが、いずれにしても、この裁定制度によって、特に権利者等、不利益被る人がいないように丁寧に対応していただきたいということを重ねて申し上げたいと思います。
こうして丁寧な対応を求めるのはなぜかといいますと、それは現状でも著作権者等が二次利用料をもらっていないとか、あるいは本来の権利者が承知していないところで勝手にその二次利用等がされてしまっている実態があるとの指摘もあるからです。
日本芸能従事者協会が行った芸能実演家の契約に関する実態調査によれば、著作隣接権によるこの二次利用料についても契約をしたいという方は六割以上いるにもかかわらず、その二次利用については、そもそも契約していないし、どうなっているか分からないという方が八割いて、実際に御自身が出演したり権利者として関わったりした作品の再放送や再利用の状況が分からないよという方も九割近くいるという状況だと。
寄せられた声には、演芸の場合、何度も何度も再生され、作品への冒涜だと思うという声や、せめて再放送の都度確認してほしいし、再放送料をもらいたいとか、でも二次使用料に関して問合せしてもぞんざいな対応をされることが多々あり悔しい思いしていますとか、こういう声が届いているわけですが、大臣、改めて、こうした著作物の二次利用について、その実演家などの権利者がほとんどその情報を知らない、契約時にもそうしたことが明示されない、利用料の支払もほとんどないという状態は著作権侵害としても問題であり、やはり改めていくべき課題であるかと思いますが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/148
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149・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) お答え申し上げます。
著作権法におきまして、実演家は著作隣接権というものを有しております。実演の利用に当たりましては、実演家の許諾を得ずに無断で利用することは、これは著作権等の侵害に当たります。この実演家が有します著作隣接権の行使につきましては、著作権法に定める権利が私権であるため、当事者間の契約で取り決めることが基本となっております。
文化庁では、令和四年の七月ですが、文化芸術分野の適正な契約関係構築に向けたガイドラインというものを公表したほか、研修会の実施や弁護士によります相談窓口の開設を行っているところでありまして、様々な機会を通じまして十分な意見交換に基づいた適切な契約が結ばれるように周知をしてまいります。
また、著作権の仕組みを権利者、利用者双方がよく理解をして、そして適切に取り扱うことが重要でございまして、引き続きまして著作権に関する普及啓発に広く取り組んでまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/149
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150・吉良よし子
○吉良よし子君 つまり、実演家の出ている作品の再放送、二次利用に関して、二次利用料を払わないとか、それについては元々契約で取り決めていないとかというのは著作権侵害に当たるわけで、やはり契約でちゃんと取り決めなきゃいけないよねという話だったと思うんですが。
この契約について、文化庁が行った文化芸術活動に携わる方々へのアンケートの調査結果で、この契約に当たって書面のやり取りをしていますかとの問いで、書面によりやり取りをしていない人というのはどの程度に上ったのか、文化庁次長、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/150
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151・杉浦久弘
○政府参考人(杉浦久弘君) 文化庁では、文化芸術の担い手である文化芸術家等の実態を捉え、芸術家等の活動基盤を強化していくため、新型コロナウイルス感染症の影響と活動実態を捉えることを目的として、令和二年九月に、委員御指摘の文化芸術活動に携わる方々へのアンケート、これを行いました。
その調査結果でございますが、お尋ねの文化芸術を行う団体、企業、個人事業者との契約等に当たって、以下のような書面のやり取りをしていますかという問いに対しまして、複数の選択肢から一つだけ選んでくださいという形で回答をお願いしたところ、特に文書のやり取りはなく、メールのやり取りしかない、又は特に文書のやり取りはなく、電話、対面での口頭でのやり取りしかないと回答された方は合計で全体の六二・八%に上りました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/151
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152・吉良よし子
○吉良よし子君 半数超える方々が書面で、正式な書面での契約のやり取りをしていないということなんですね。
それによりどのようなことが起こるのか。同じくこの文化芸術活動に携わる方々へのアンケートの調査結果で、これまで依頼者や雇用主との関係でどのようなことがありますかの問いで、多いもの、一番目、二番目、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/152
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153・杉浦久弘
○政府参考人(杉浦久弘君) お答え申し上げます。
一番多かったものが、依頼を受ける際に報酬や仕事に係る内容について明示されていなかった、これが一九・六%でございました。次いで、給与や、失礼しました、報酬や給与が低過ぎるなど不利な条件での仕事の受託を求められたと回答された方が一三・三%でございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/153
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154・吉良よし子
○吉良よし子君 要するに、この契約がないことで、先ほどの二次利用の支払も含め、報酬が低過ぎる不利な条件で働かされる状況が出ていると。
こうした契約がない問題を解決するために先ほどあったガイドラインというのが取りまとめられたと承知しているわけですが、このガイドライン見てみると、二次利用という言葉は直接的にはガイドラインの中のこのひな形例というのを細かく見ないと出てこないんですよね。著作権、権利について、許諾の場合の利用範囲や譲渡の範囲などは十分に考慮しましょうねということはあるんですけれども、やはり、大臣、改めて、このガイドラインの言う十分考慮すべき許諾の場合の利用範囲の中に先ほど来話している二次利用の扱いも含まれるんだと、で、契約時若しくは二次利用を行う際にきちんと実演家含む権利者の許諾得てその二次利用料を払うことが必要なんだということもちゃんと周知していくべきと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/154
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155・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) 文化庁では、令和四年の七月に公表いたしました文化芸術分野の適正な契約関係構築のためのガイドラインにおきまして、著作権等の二次利用等に応じた適正な金額となるよう双方で十分に協議すべき、また、具体の権利の取扱いを明確にし、対価の決定時に十分考慮すべきこと、契約内容の範囲を超えた利用については別途追加報酬を設定することなどを示しているところでございます。
こうしたことから、文化庁では、令和四年度から研修会の実施ですとか弁護士によります相談窓口の開設を行っているところでございまして、令和五年度につきましても引き続き実施をすることで、二次利用の取扱いを含めガイドラインの考え方の普及啓発を図りまして、芸術家等が本当に適正な契約関係を構築できるように取り組んでまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/155
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156・吉良よし子
○吉良よし子君 是非そのことを周知していただいて、この二次利用に関わって実演家や権利者が泣き寝入りしないで済むようにしていただきたいということを強く申し上げておきたいと思います。
あわせて、先ほど来議論になっておりますAIによる著作物等の利用についても私も伺っておきたいと思います。
AIが普及しつつあり、今、様々な場面での利用が始まっている中で、様々懸念、不安が出ているわけで、アメリカやハリウッドではこのAIの利用等について脚本家一万一千五百人以上が大規模ストライキを行ったとか、日本の場合でも、芸能従事者などが、AIの芸術、芸能分野への参入は、芸術、芸能従事者の著作権やその他の権利の十分な保護を伴う必要があり、必要な法的保護を導入するようという要望書を国に提出したと聞いているわけですが。
例えば、日本でもAIタレント事務所などが立ち上がったということも聞いているわけです。つまり、AIのつくったタレントが洋服などのブランドの着用モデルとして活用されるとか、様々な場面で既にそういうふうに活用されている事例もあるというふうに聞いているわけですが、このAIがつくったとは言いますが、勝手にAIがゼロのところからつくるわけではないわけで、先ほど来議論あるとおり、その前の段階で必ず基となる俳優さんの顔とか姿、形、動作、若しくは声優さんの声とか、またそうした俳優や声優が活動しているような動画作品であるとかイラストとかも含めて様々な著作物等を取り込んで作成されたものだとなるわけですね。つまり、基となる著作物や実演家等がいる、あるのが前提だと思うわけです。
現在の著作権法上、先ほど来指摘ありますが、そのAIについては、ディープラーニングをする場合には無許諾で著作物が利用できると。ただ、このディープラーニングというのは、当時の法案の説明によると、人の知覚による認識を伴わない利用だということなんですね。だから、つまりは、たとえディープラーニングをしたとしても、その後ですよね、その内容を人の知覚で認識できるような形で公表すると、そうした段階ではすなわち基の著作権者に対して許諾を得る必要があると思いますが、いかがですか、次長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/156
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157・杉浦久弘
○政府参考人(杉浦久弘君) お答え申し上げます。
おっしゃるとおりでございまして、AIで生成される、生成されたもののコンテンツにつきましては、やはりそれは著作物としてのものが、著作権の問題がどうなっているかということはきちっと処理しなければならないというふうに考えております。
AIによって生成されたコンテンツにつきましては、まず、著作権として成り立つかどうかというところで申し上げますと、既存の著作物と創作的表現が同一又は類似であること、いわゆる類似性があるかということと、あと既存の著作物を基に制作したなということ、いわゆる依拠性というふうに申し上げていますけれども、この二つが認められる場合には、その既存の、基の著作物の著作権者に許諾を得るという必要が出てまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/157
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158・吉良よし子
○吉良よし子君 つまり、AIが作成したものであっても、その基となる著作物等の類似性や依拠性というものが認められればそれに対しての許諾を取っていく必要があるし、必要に応じて利用料等を払っていかなきゃいけないと、そういうことなんですね。
ただ、問題は、結局そういう許諾というのが適正に行われていなくて、著作権者、権利者が知らないうちにそうしたAIのデータ生成等が行われてしまっているということなんですね。
このAI規制を求める要望で集められたアンケートでは、自分の作品が知らない間にAIに取り込まれて再利用されていくことに憤りを感じますと、これ作るのにどれだけの時間掛かったのかと、そういう声が上がっているわけで、やはり大臣、今の法体系の下でもその許諾を取る仕組みというのをちゃんと整えていくことはできるし、必要なんじゃないかと。AIにより作成された表現の基となった著作物等の権利者から許諾を得るための仕組み、利用料の徴収などのルール化、進めていく必要あるのではないかと思いますが、大臣、最後、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/158
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159・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) 著作権法の第三十条の四につきましては、著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用ということにつきまして、著作権者の許諾なく著作物の利用を可能とするということになっております。このような利用は、著作物に係る対価回収の機会を損なわずに、著作権法が保護する著作権者の利益を通常害しない行為と考えられることから、同条におきましては著作権者に対する補償金や利用の許諾といった仕組みとはなっておりません。
文部科学省といたしましては、今後もAIの進展や新たな技術の展開等も踏まえまして、随時研究を行いまして、引き続き著作権制度について分かりやすい説明に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/159
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160・吉良よし子
○吉良よし子君 大臣、私もそのディープラーニングをする段階で許諾を得る必要がないというのは理解しているんですが、その後にAIがその基になった著作物と類似であったり依拠性があるものを表出した場合には許諾を取る必要があるわけだし、その許諾をするための仕組みをつくることが必要ですよねということを申し上げているつもりです。
時間がありませんが、少なくとももう各国でこうしたAIの利用に関しての著作権等の在り方について議論進んでいるわけで、お隣の韓国でももう協議会などが立ち上げられてクリエーター等の保護の必要性についての議論進んでいると聞いているわけで、是非日本でも、この時代に合わせて、AI利用とクリエーターへの権利の保護の在り方についてルール化、議論を進めていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/160
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161・舩後靖彦
○舩後靖彦君 れいわ新選組、舩後靖彦でございます。本日もよろしくお願いいたします。
著作権法一部改正案に関する質疑に入る前に、まず、二月十四日閣議後会見の永岡文科大臣の発言についてお尋ねいたします。
報道によりますと、大臣は、公立高等学校入試における定員内不合格の数を初めて調査した結果について触れられ、次年度以降も定員内不合格に関する実態把握に取り組む予定であること、定員内不合格の数を把握していない都道府県教育委員会には、二三年度入学選抜以降、状況を把握するよう依頼されたことを明らかにされました。私が参議院議員になった二〇一九年から一貫して取り組んできたこの問題に、文科省としても設置者任せにせず現状把握に努めていくことを明言いただき、感謝申し上げます。
その上で、大臣にお尋ねいたします。
大臣は、文科省として、仮に障害のみを理由として入学を認めなかったということがあった場合、これはあってはならないと考えていると強調されました。これは、障害に対する合理的配慮の提供なく不合格にすることを含めてあってはならないとお考えになっていると受け止めてよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/161
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162・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) お答え申し上げます。
高等学校入学者選抜におけます合理的配慮の提供につきましては、障害の状況、状態等に応じまして各実施者において適切に実施されるものでございますが、決定に当たりましては、生徒、保護者及び学校関係者などで対話を行いながら丁寧に進めることが大変重要と思っております。
そのため、文部科学省におきましては、実施者が合理的配慮の内容を決定する際の参考となるよう、合理的配慮の具体の事例を取りまとめた参考資料を作成、公表するとともに、申請のありました受験上の配慮につきまして、仮に提供できないことを決定した場合はその理由を具体的に説明する必要があることなどを示しているところでございます。
御指摘の点につきましては、適切な手続を経た上で、希望どおりの合理的配慮が提供されない場合もあり得ますが、例えば、個別の事案につきまして、検討を行うことなく、前例がないというようなことを理由に一律に提供しない場合などはやはり不適切と考えます。
文部科学省としては、各実施者におきまして、生徒、保護者の希望、そして障害の状態等を踏まえまして、適切な配慮の下で受験がなされますように促してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/162
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163・舩後靖彦
○舩後靖彦君 ありがとうございます。
都道府県によって受験時における合理的配慮の提供にばらつきがあったり、定員内であれば入学が認められるところと定員内であっても不合格となるところがあるという自治体間における格差は受験生にとって明らかに不合理です。
文部科学省には、引き続き、このような格差を解消するために都道府県教育委員会への働きかけをお願いして、法案に関する質問に移ります。
今回の著作権法改正は、著作権者の意思確認ができない著作物などの利用に関する新たな裁定制度を新設することが主な目的です。現行法でも、著作権者不明などの場合、文化庁長官の裁定を受け、供託金を支払うことで利用は可能となっています。しかし、権利者不明を確定するまでの手続負担が重く、利用できるようになるまでに時間が掛かるのが課題と指摘されています。
そこで、現行法上の裁定制度の利用実績についてお尋ねします。二〇〇〇年頃と令和に入っての数年間で利用数に変化はあるのでしょうか。あるとしたら、その背景は何でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/163
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164・杉浦久弘
○政府参考人(杉浦久弘君) お答え申し上げます。
現行の裁定制度に基づく裁定件数に注目いたしますと、二〇〇八年度までは年間数件程度で推移していたところ、翌年度以降年々増加し、二〇二二年度においては七十四件となっています。また、裁定の対象となる著作物等の数につきましては、著作物等の利用方法により大きく異なるため、明確な傾向は見られないところですが、年度によっては数万点となる場合もあり、二〇二二年度は千七百十九点となっております。
この背景といたしましては、二〇〇九年度以降、数次にわたり制度を利用しやすくするための見直しを行ってきたこと、すなわち制度を利用しようとする場合に求められる著作権者等と連絡するための相当な努力に関する要件の明確化、また裁定申請中であっても担保金を供託することで著作物を利用できる仕組みの導入、そしてそのほかの手続の簡素化などを行ったことが考えられます。また、インターネットにおけるコンテンツ市場が拡大する中で、過去の作品についても改めて利用したいというニーズが高まっていることなども考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/164
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165・舩後靖彦
○舩後靖彦君 ありがとうございます。
デジタル化の進展に伴うコンテンツビジネスの活性化で、より簡素で一元的、迅速な権利処理を実現する必要があることは分かりました。
しかし、今回の法改正は、著作権者の利用許諾を確認できなければ利用できないという著作権法の一般原則を転換するものであり、デジタル時代の要請から避けられないとはいえ、権利者と利用者のニーズのバランスと制度設計が新制度の目的に合っているか、著作権保護の観点から慎重な制度設計、運用がなされているかの検討が必要と考えます。
そのような観点から、以下、お尋ねいたします。
新たな裁定制度が実効性を持ち、デジタル化の進展に伴うコンテンツビジネスの活性化、コンテンツ創作の好循環という法改正の目的が達成されるかどうかは、新しい裁定制度の窓口となる登録確認機関に懸かってくると存じます。この登録確認機関は、申請受付、要件確認と補償金の額の決定事務を行う、文化庁長官の登録を受けた民間機関とされています。
登録確認機関の運用資金は新しい裁定手続の際に徴取する手数料ですが、これだけで運営できるはずはありません。かといって、手数料を高くしたら、現行の裁定手続同様利用控えが起き、著作権者の意思不明のまま違法な利用が横行しかねません。著作権等管理事業者が集中管理していないものを含めた膨大かつ多種多様な著作物を分野横断的に一元的に管理するためには、データベースの構築、管理、運営が必要であり、その運営基盤が脆弱では基本インフラの継続性への懸念が生じます。
登録確認機関の運営基盤の安定化という課題がある中、文化庁としてはどのような団体が登録確認団体に名のりを上げると想定しているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/165
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166・杉浦久弘
○政府参考人(杉浦久弘君) お答え申し上げます。
登録確認機関につきましては、文化審議会答申において、著作権に関して知見があり、公益性のある団体などを念頭に体制整備を行うこととされておりまして、こうした民間団体等から登録の申請がなされることを想定しております。
登録確認機関の運営につきましては、手数料収入を元として行われますが、その運営を安定的かつ持続的に行えるようにすることが重要でございます。文化庁といたしましては、そのコストの削減に資するよう、分野横断権利情報検索システムの活用等を含めて、登録確認機関の事務が合理化できるよう検討を行ってまいります。
いずれにせよ、登録確認機関は公募による申請に基づいて登録されるものでございますことから、申請者側の、申請者の側で種々の工夫や提案がなされることとされてございます。文化庁といたしましては、登録確認機関の健全な運営が可能であるか等の観点も含めまして、しっかり審査してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/166
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167・舩後靖彦
○舩後靖彦君 ありがとうございます。
引き続き、登録確認機関についてお尋ねします。
登録確認機関の分野横断権利情報検索システムが情報をどれだけ集約できるかが新しい裁定制度の円滑な運用の土台となります。そして、この検索システムの構築には、複数の登録確認機関の間、また既に存在する分野ごとの著作権管理団体が保有するデータベースの共有、連携が大変重要になってきます。しかし、そもそもシステムの収集データの種類、フォーマットも異なるそれぞれのデータベースの共有、連携についてはかなりの準備が必要です。
文化庁が設置した分野横断権利情報データベースに関する研究会の報告書によりますと、令和六年度以降の運用を目指すとしていますが、分野横断権利情報検索システムの土台のフォーマットはどこが作るのでしょうか。そして、データベースの共有、連携に係る負担に関して、政府の支援は想定されているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/167
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168・杉浦久弘
○政府参考人(杉浦久弘君) お答え申し上げます。
分野横断権利情報検索システムにつきましては、昨年度、有識者から成る研究会を開催し、基本的な考え方や今後の方向性に関する報告を取りまとめたところでございます。
その報告書では、システムの具体化を図る中で、分野ごとのデータベースの構築に資する標準を示すこと、システムの運用主体と運営基盤の確立や、連携するデータベースを保有する団体等との協力などが今後検討を進めるべき課題として挙げられております。特に、システムの構築、運用に関する費用につきましては、今回の法案により位置付けられている窓口組織に支払われる利用者からの手数料、公的な支援、著作権法に基づく補償金制度の共通目的事業の活用等が考えられると提言されているところでございます。
こうした取りまとめを受けまして、文化庁におきましては、本年度、システムの構築に向けた調査研究を行うこととしてございます。具体的には、各団体が有するデータベースの管理状況などに関する調査、検索画面イメージなどの技術的な仕様の検討、著作権等管理事業者や関係団体を交えた検討と意見集約などを行ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/168
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169・舩後靖彦
○舩後靖彦君 ありがとうございます。
次に、指定補償金管理機関についてお尋ねします。
新裁定制度の補償金の受領や著作権者などへの支払などの業務は文化庁長官が指定する指定補償金管理機関が行うとなっています。補償金は、著作権者などが現れれば著作権者などに支払われますが、現れない場合、著作権法や著作物などの利用円滑化、創作振興などに資する事業のために使用されるとされています。
登録確認機関が登録された未管理公表著作物をインターネットなどで公表することによって著作権者などが判明することはあり得るでしょう。しかし、利用者が登録確認機関に申請する前にネットや各団体のデータベースで調べた上で意思不明と判定された著作物の著作権者が判明する率はそう高いとは思えません。しかも、この新たな裁定で補償金を払って利用できる期間は三年間であり、三年後、利用し続ける場合は再度申請して補償金を支払うわけですから、指定補償金管理機関には結構な金額がプールされることになります。そのため、指定補償金管理機関の補償金管理業務については高い透明性が担保されなければならないと考えますが、文化庁としてどのような規制、監督を考えていますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/169
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170・杉浦久弘
○政府参考人(杉浦久弘君) お答え申し上げます。
指定補償金管理機関につきましては、一般社団法人又は一般財団法人であって、補償金管理業務を適正かつ確実に行うことができると認められるものを指定することとされております。この指定補償金管理機関に対しましては、その業務の実施方法を定めた業務規程や事業計画について文化庁長官の認可事項といたしまして、さらに、文化庁長官による報告徴取や監督命令等の規定を整備することといたしております。また、法律上、区分経理を義務付けておりまして、先ほど述べました報告徴取や区分経理に違反した場合の業務停止などの行政上の措置を通じて、文化庁においてしっかり監視、監督することといたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/170
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171・舩後靖彦
○舩後靖彦君 ありがとうございます。
新しい裁定制度は、権利者不明、連絡が取れないなどの未管理公表著作物等のみを対象とし、著作権者などが判明している場合あるいは新しい裁定制度を利用後、権利者が判明した場合は、従来どおりの権利処理手続を取ることになります。つまり、著作権法の例外適用であり、権利者と利用者のバランスを取る工夫はされていると存じます。
そして、未管理公表著作物の利用期間を三年間に限定し、期限が切れたら再申請しなければならないとし、制限的な制度設計、運用となっています。しかし、利用者側にとっては、三年経過後に再度手数料を払って再申請しなければならないとなると、手数料、補償金の額にもよりますが、再申請しないでそのまま利用し続けるという違法行為も出てくる可能性も考えられます。
この利用制限期間に関してはパブリックコメントでも幾つか意見が寄せられていましたが、どのような判断で三年という期間になったのでしょうか。
また、著作権侵害は親告罪であるため、著作権者が判明しない場合、利用期限を過ぎても再申請しないで実質利用できてしまいます。このような違法状態が起こる可能性に対してはどのように対応されるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/171
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172・杉浦久弘
○政府参考人(杉浦久弘君) お答え申し上げます。
新たな裁定制度は、集中管理がされておらず、利用の可否など著作権者の意思が明確でない著作物等の利用を可能とする制度でございます。この著作権者等の意思を改めて確認する機会を確保する観点から、利用期間に上限を設けているところでございます。
利用期間の上限を三年とした理由でございますけれども、著作権者等の意思を確認する機会を確保するとともに、利用者の利便性の双方を考慮する必要があるからでございます。また、現行の著作権法では、出版権の存続期間につきまして、設定時に定めがないときは三年としているという規定もございまして、これを参考としてございます。
委員御指摘のように、著作権者が不明、不在であることにより、利用者が許諾を受けられずに著作物を利用してしまうケースは、今般の制度改正にもかかわらず、これまでにも考えられたところでございます。このような場合にも適法な利用を促進していくことが重要であることから、新たな裁定制度を活用していくことが考えられます。
また、新たな裁定制度による利用におきましては、その利用される著作物、利用方法、利用期間を広く公表するなど、著作権者が自身の著作権、著作物等を利用されていることに気付きやすくするような仕組みとし、著作権者が権利を適正に行使できるように配慮していきます。
さらに、著作物の適法な利用を促進していくことは重要でございまして、文化庁としては、著作権制度の普及啓発、それから著作権者による著作物の適正な管理の促進に努めておりまして、引き続き、違法に著作物等が使われないよう周知を行うとともに、新たな裁定制度が適切に運用されるように努めてまいりたいと考えております。
また、先ほどの御質問の最後の方にありましたその期限を超過してでの利用ということについてでございますけれども、それにつきましてでございますが、新たな裁定制度による期限を超過して著作物等を利用していることが判明した場合には、裁定利用者に対しまして再度の裁定申請を利用を促していくといった取組についても検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/172
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173・舩後靖彦
○舩後靖彦君 代読します。
終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/173
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174・高橋克法
○委員長(高橋克法君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
著作権法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/174
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175・高橋克法
○委員長(高橋克法君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、熊谷君から発言を求められておりますので、これを許します。熊谷裕人君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/175
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176・熊谷裕人
○熊谷裕人君 私は、ただいま可決されました著作権法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、立憲民主・社民、公明党、日本維新の会、国民民主党・新緑風会及びれいわ新選組の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
それでは、案文を朗読いたします。
著作権法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府及び関係者は、本法の施行に当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである。
一、著作物等の利用に関する新たな裁定制度は、著作権等管理事業者による集中管理がされていない著作物等を対象としており、これらの権利者には個人で活動するクリエイターなどが多く含まれることを踏まえ、特に本制度の利用の契機となる著作物等の利用の可否に係る意思表示について、幅広く丁寧な説明、周知を行うこと。
二、新たな裁定制度の具体化に当たっては、現行の裁定制度の現状を踏まえ、手続の簡素化に留意し、制度の利用に繋がるよう努めること。また、権利者の意思表示の確認に係る要件について明確さを旨として定めるとともに、意思表示をしていない権利者の権利保護が図られるよう、裁定手続を進める過程においても、意思表示を待つだけに留まらず、不断に権利者の探索・アプローチを進める方策に努めること。
三、登録確認機関が行う未管理公表著作物等の使用料相当額の算出に当たっては、利用者の負担軽減の観点から、利用者が使用料相当額を算定しやすい簡便な仕組みとするとともに、著作物等の利用形態に応じた一般的な使用料等の相場を踏まえた適切な額とするよう努めること。
四、著作物等の利用に係る利便性の向上とともに、権利者への適切な対価還元を図る本法の趣旨を踏まえ、登録確認機関の登録及び指定補償金管理機関の指定に当たり、それぞれの機関が権利者及び利用者の意見を適切に反映した運営が確保されるよう留意すること。
五、分野横断権利情報検索システムは新たな裁定制度において権利者の探索に重要な役割を果たすことを踏まえ、政府は、分野横断権利情報検索システムの構築に当たって、著作権等管理事業者が保有する既存のデータベースとの連携等データベースの充実に向けた支援を行うこと。その際には、著作権等管理事業者の負担となることのないよう留意すること。
六、海賊版による著作権侵害に対する損害賠償額として認定されるライセンス料相当額の考慮要素の明確化については、侵害行為の抑止の観点から、損害賠償額が適正な額となるよう制度の趣旨の周知を図ること。
七、海賊版サイトについては、運営主体の多くが海外に拠点をもっていることから、その取締りに当たっては、日本国内のみならず国際的な連携・協力の強化など、海外での不正流通防止に向けた対策に積極的に取り組むこと。
八、メタバースや非代替性トークン(NFT)等、デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展が著作物等の創作・流通・利用を取り巻く環境に大きな影響を与えていることを踏まえ、著作物等の一層の利用の円滑化及びそれに伴う著作権者の権利保護の在り方等、著作権制度の議論を加速させること。
九、DXの進展により、著作物の創作又は利用を本来の職業としない者が著作物の提供者あるいは著作物の利用者となる機会が増えたことを踏まえ、著作権等に関する法律知識の周知や契約実務の補助となるマニュアル等の普及に努めること。
十、AI技術の進展により、他者の著作物を使用した創作物が容易に作成されるようになったことを踏まえ、著作者の権利の保護に向けた取組・体制の強化を図ること。また、生成AIの開発と利用が急速に進む中、その学習行為において用いられる著作物について、著作権者の許諾が必要とされる著作権法第三十条の四における「著作権者の利益を不当に害することとなる場合」の解釈の更なる明確化、権利者側に対価を還元する仕組みの整備等を求める声があることを踏まえ、生成AIをめぐる著作権法上の諸課題について議論を進めること。加えて、著作権に対する意識の醸成及び教育機会の更なる充実を図ること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/176
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177・高橋克法
○委員長(高橋克法君) ただいま熊谷君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/177
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178・高橋克法
○委員長(高橋克法君) 全会一致と認めます。よって、熊谷君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、永岡文部科学大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。永岡文部科学大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/178
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179・永岡桂子
○国務大臣(永岡桂子君) ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/179
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180・高橋克法
○委員長(高橋克法君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/180
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181・高橋克法
○委員長(高橋克法君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後二時三十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121115104X01220230516/181
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