1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
令和六年三月十五日(金曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 岡本 三成君
理事 小林 鷹之君 理事 鈴木 隼人君
理事 松本 洋平君 理事 山下 貴司君
理事 荒井 優君 理事 山岡 達丸君
理事 守島 正君 理事 中野 洋昌君
井原 巧君 大岡 敏孝君
加藤 竜祥君 神田 憲次君
岸 信千世君 国光あやの君
鈴木 淳司君 関 芳弘君
冨樫 博之君 中川 貴元君
福田 達夫君 細田 健一君
堀井 学君 宮内 秀樹君
宗清 皇一君 山際大志郎君
吉田 真次君 和田 義明君
若林 健太君 大島 敦君
落合 貴之君 小山 展弘君
重徳 和彦君 田嶋 要君
山崎 誠君 市村浩一郎君
小野 泰輔君 山本 剛正君
吉田 宣弘君 笠井 亮君
鈴木 義弘君
…………………………………
経済産業大臣 齋藤 健君
内閣府副大臣 工藤 彰三君
経済産業大臣政務官 吉田 宣弘君
政府参考人
(内閣官房新しい資本主義実現本部事務局次長) 馬場 健君
政府参考人
(公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長) 片桐 一幸君
政府参考人
(金融庁総合政策局参事官) 新発田龍史君
政府参考人
(農林水産省大臣官房審議官) 勝野 美江君
政府参考人
(経済産業省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官) 上村 昌博君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 菊川 人吾君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 井上誠一郎君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 橋本 真吾君
政府参考人
(経済産業省大臣官房調査統計グループ長) 殿木 文明君
政府参考人
(経済産業省商務情報政策局長) 野原 諭君
政府参考人
(資源エネルギー庁次長) 松山 泰浩君
政府参考人
(資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官) 山田 仁君
政府参考人
(資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長) 井上 博雄君
政府参考人
(資源エネルギー庁電力・ガス事業部長) 久米 孝君
政府参考人
(中小企業庁事業環境部長) 山本 和徳君
政府参考人
(中小企業庁経営支援部長) 松浦 哲哉君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 長井 総和君
経済産業委員会専門員 藤田 和光君
―――――――――――――
委員の異動
三月十五日
辞任 補欠選任
石井 拓君 岸 信千世君
同日
辞任 補欠選任
岸 信千世君 石井 拓君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律案(内閣提出第一六号)
二酸化炭素の貯留事業に関する法律案(内閣提出第一七号)
経済産業の基本施策に関する件
私的独占の禁止及び公正取引に関する件
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/0
-
001・岡本三成
○岡本委員長 これより会議を開きます。
経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
両件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房新しい資本主義実現本部事務局次長馬場健さん、公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長片桐一幸さん、金融庁総合政策局参事官新発田龍史さん、農林水産省大臣官房審議官勝野美江さん、経済産業省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官上村昌博さん、経済産業省大臣官房審議官菊川人吾さん、経済産業省大臣官房審議官井上誠一郎さん、経済産業省大臣官房審議官橋本真吾さん、経済産業省大臣官房調査統計グループ長殿木文明さん、経済産業省商務情報政策局長野原諭さん、資源エネルギー庁次長松山泰浩さん、資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官山田仁さん、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長井上博雄さん、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長久米孝さん、中小企業庁事業環境部長山本和徳さん、中小企業庁経営支援部長松浦哲哉さん及び国土交通省大臣官房審議官長井総和さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/1
-
002・岡本三成
○岡本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/2
-
003・岡本三成
○岡本委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。大島敦さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/3
-
004・大島敦
○大島委員 おはようございます。
まず、今回の能登半島の地震について質問をさせてください。
おととし、お地元の衆議院議員の近藤和也さんのところを訪れまして、二日間ほど能登半島をずっと一周をして、能登の空港も見させていただきました。ですから、今回の震災についてはイメージができます。
能登半島、ずっと海岸沿いを車で走ると、小さな集落がたくさんあるんです。近藤和也先生に何件ぐらい集落があるのかと聞いたら、千を超えてあると伺って、今回の震災で、東日本大震災もそうでしたけれども、半島の復興が一番遅れます。ですから、この能登半島の復興復旧について、まず経済産業省としての取組を伺います。
能登半島には、伝統的工芸品があると思います、輪島塗。そのときにも石川県輪島漆芸美術館を訪れまして、大きな、一メートルを超える輪島塗の地球儀があって、すばらしい、工芸の粋を集めたものだと思います。今日時点では、まだ休館中です。
まず冒頭、能登半島の伝統的工芸産業について、対象品目がどのようなものがあるかについて答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/4
-
005・橋本真吾
○橋本政府参考人 お答え申し上げます。
伝統的工芸品産業支援補助金の災害復興事業におきましては、令和六年能登半島地震で被災した石川県、富山県、新潟県、福井県の四県において、経済産業大臣が指定した全ての伝統的工芸品を対象品目といたしておりまして、具体的には、石川県の輪島塗や九谷焼、富山県の高岡漆器、新潟県の新潟漆器、福井県の越前漆器など、合計三十九品目となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/5
-
006・大島敦
○大島委員 ありがとうございます。
能登半島の地震によって被害を受けた輪島塗を始めとした伝統的工芸品については、今答弁がありました。その復興支援についてどういう取組をしているのか、手短に答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/6
-
007・橋本真吾
○橋本政府参考人 お答え申し上げます。
経済産業省といたしましては、輪島塗を始めとした伝統的工芸品の被災事業者に対しまして、なりわい補助金、伝統的工芸品産業支援補助金、被災事業者が仮設工房として活用できる集合型仮設の整備支援事業などの支援策を講じているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/7
-
008・大島敦
○大島委員 その補助率についての答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/8
-
009・橋本真吾
○橋本政府参考人 伝統的工芸品産業支援補助金の補助率につきましては、四分の三といたしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/9
-
010・大島敦
○大島委員 経産省の皆さんにお伺いしたところ、四分の三が補助で、四分の一が自己負担だという話でした。
農水省に確認したいんですけれども、二〇一四年の大雪災害のときに被災農業向け経営体育成支援事業が行われていて、そのときの内容、補助率についての答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/10
-
011・勝野美江
○勝野政府参考人 お答えさせていただきます。
その際の補助率ですけれども、国の補助率を二分の一に引き上げまして、県と市町村を合わせて十分の四の上乗せ補助を行うことにより支援をしまして、この際、県と市町村の上乗せ負担に対する特別交付税措置も講じたところです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/11
-
012・大島敦
○大島委員 この積雪災害のときは、金曜の夜から雪が降り始めて、夜中に雪が重くなって、私、埼玉県なんですけれども、地元の百を超えるハウス農家、トマト、イチゴ、梨、花卉、ブドウ、キュウリなど、倒壊したものですから、全て取材をさせていただいて、その次の金曜日の内閣委員会で官房長官に質問をさせていただきました。農水省の支援策についても全て頭の中に入れて、どこまで可能かということを官房長官に伺ったところ、やるよと言ってくれました。
その後、何回かやり取りをさせていただいて、二週間後の金曜日か三週間後の金曜日に連絡がありまして、大島、十分の三の補助率を十分の九にするという。私、政治を実感しましたよね。役所を超えたことをするのが政治だと思っています。
ですから、是非大臣にお願いしたいのは、今の規定だと四分の三、四分の一が自己負担なんですけれども、そのとき、ハウス農家を取材すると、皆さん、息子が帰ってきてくれたって言うの、いわゆるサラリーマンを辞めて、自分の後を継ぐために息子が帰ってきてくれたと。ですから、そこの希望をできるだけ早い措置、政府の後押しによって、そのやる気をそがないということが必要だと思って質問させていただいたんです。
その後、この制度は、多分熊本の地震でも使われているし、今回の能登の地震でも使われているスキームなんです。十分の九、しっかりこれが生きているので、これを援用しながら、特別交付税措置によって補助率を上げることによって、是非、伝統工芸、皆さん困っていらっしゃるので、そこの希望の灯をともしてほしいと思うんですけれども、大臣の御決意を伺わせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/12
-
013・齋藤健
○齋藤(健)国務大臣 委員がお話しになった平成二十六年の大雪のとき、私も自民党の農政の中核の部分にいましたので、よく経緯を覚えております。埼玉県の花の業者の方も大変困っておられて、これで子供も継いでくれるとかいう話をたくさん伺った記憶があります。
それで、本件なんですけれども、もちろん、輪島塗を始めとした伝統工芸品については、その再生と復興、これは全力を挙げてやっていかなくちゃいけないと思っています。
委員御指摘の伝統的工芸品産業支援補助金の補助率ですけれども、この補助率は四分の三としているわけですが、実は、これは東日本大震災の際に講じた補助率であります。未曽有の大災害のときに講じた補助率を、今回も同じ補助率でということになっているわけであります。
残り四分の一は確かに自己負担になるわけですけれども、例えば、金利を〇・九%引き下げる日本公庫の特別貸付けですとか、それから石川県独自で無利子となる制度融資というものも創設されておりまして、必要に応じて御活用いただける体制にはなっているということだと思います。
加えまして、輪島塗については、仮設工房については、中小企業基盤整備機構が施設工事費等を全額助成するという形で、四月中のオープンを目指しているというところもございますので、我々としては、万全の対応をしているということでありますが、引き続き、被災された事業者に寄り添ってきめ細やかに対応できることがないか、そういう点では努力を続けていきたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/13
-
014・大島敦
○大島委員 大臣も承知をしていると思うんですけれども、四分の三はなかなか厳しい、四分の一は自己負担ですから、金利ゼロだとしても返済が伴いますので、なかなか厳しいと思います。ですから、やはり、四分の一負担を十分の一ぐらいの負担にするような措置を関係各府省と協議をしていただいて、希望の光をともすようにしていただくことを是非お願い申し上げます。
続きまして、下請価格の転嫁対策について伺いたいと思います。
まず、下請価格の転嫁対策なんですけれども、お手元の資料を見ていただくと、フード連合が行った取引慣行に関する実態調査について、まず、公正取引委員会、中小企業庁の受け止めを手短に伺わせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/14
-
015・片桐一幸
○片桐政府参考人 お答えいたします。
今委員御指摘のフード連合の調査で、現場の取引慣行について、若干の改善が見られることが示されている一方で、主な御意見として、古い取引慣行が根強く残っていると感じるといった声があるなど、劇的には改善していない旨の指摘がなされているというふうに承知をしております。
公正取引委員会としては、価格転嫁円滑化の取組が一定程度進んでいるとは考えられるものの、まだ道半ばの状態であるというふうに考えてございます。
公正取引委員会としては、昨年十一月に公表した労務費転嫁の指針の周知徹底を進めるとともに、価格転嫁について重点的に状況を把握するフォローアップを行うなど、指針の周知徹底に努めてまいりたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/15
-
016・山本和徳
○山本政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のフード連合が行った調査については承知をいたしておりまして、現場の取引慣行が改善しているとの回答割合が増加してはいるものの三割にとどまっているということで、公正取引委員会と同様、いまだ課題は残るものと認識しております。
中小企業庁が実施した調査におきましても、発注企業から交渉の申入れがあった企業の割合が増加するなど、受注企業にとって価格交渉しやすい雰囲気が醸成されつつある一方で、受注企業の価格転嫁額の割合は四五・七%でございまして、今後も粘り強く転嫁対策を徹底し、転嫁率を上昇させることが重要と考えております。
価格転嫁のみならず、支払い条件の改善なども含めて、引き続き取引適正化対策を強力に進めてまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/16
-
017・大島敦
○大島委員 御答弁ありがとうございます。
農水省では、食品製造業者・小売業者間における適正取引推進ガイドラインを二〇二一年の十二月に出しておりまして、お手元の資料の二ページ目、三ページ目、十四の問題となり得る取引事例として、これが農水省のガイドラインの中に盛られているものです。
これに基づいて、食品メーカーの営業の一線に立たれている一万人に聞いてみた結果なので、私は、正しいと思います、私も元営業マンなものですから。
やはり商売の実態というのは、農水省さんもアンケート調査をしているとは伺っています。ただ、会社に対してのアンケートなので、なかなか、会社が答えるのは、一つ丸くなって角がなくなっている感じがします。やはり現場の、本当に相対で取引していらっしゃる方の意見は貴重だと思っています。
一番多い、問題があったよというのが、「原材料価格等の上昇時の取引価格改定」。「大幅な原材料価格高騰にあたり、資料を基に値上げ要請をしたが、納品価格を一方的に据え置かれた。」確かに、小売も大変だと思うの、逆に考えれば。スーパーマーケットは、大きいところもあるけれども小さな小売もあるので、なかなか、消費者のことを考えれば価格転嫁に応じられないというところは理解できるんですけれども、こういう資料を出したんだけれども一方的に下げられたというのはどうかなとは思ってもみたり、あるいは、「店舗到着後の破損処理」として、どの時点で破損したか確定できず、小売業者から言われるままに返品や返還に応じざるを得ないとか、あるいは、従業員の派遣、役務の提供を求められたとか、いろいろとこういう慣習がまだ残っているところだと思うの。
ただ、今の中小・小規模企業あるいは会社の就職を考えるときに、働く環境が重視される時代になってきたと思うんですよ、働く環境が。ですから、こういう取引をもっと合理的な、つまり、受発注企業が対等な商慣習にすることも業界全体を発展させることにつながると考えておりまして、是非お願いしたいのは、農水省、経産省、公取の皆さんが意思疎通を密にしながら、それぞれ所管の業界の皆さんを承知をしていると思うので、そことの対話を通じて取引慣行の改善を図ることをお願いしたいんですけれども、それぞれ答弁をお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/17
-
018・山本和徳
○山本政府参考人 お答えをいたします。
委員今御指摘がありましたとおり、発注側、受注側の双方が共存共栄の関係の中で適正な取引を行うことは、サプライチェーン全体の強化にもつながり業界の発展にも資する、これは基本的な考え方だと存じます。
発注事業者、受注事業者が取引の際によるべき基準を定めた振興基準の中におきましても、価格など取引条件を決定する際には協議をすべきことを定めております。
これらを活用しながら、発注側、受注者側双方の事業者による対話を進めていく、この取引条件の改善を促す機運醸成に取り組んでまいります。
その際に、業種ごとの商習慣を踏まえた価格転嫁、取引適正化対策、これを効果的に進めるには、今御指摘のありました農林水産省の取組を含めて、各業所管省庁と連携した取組を実施することが必要であると考えてございます。
その実効性を高めるよう、政府内では、内閣官房副長官が主宰する関係省庁会議の場で、関係省庁に対し取組方針を協議し、また、各業界ごとの自主ガイドラインの累次の改正、改善につきましても政府全体として取り組んでおるところでございます。
引き続き、農林水産省、公正取引委員会を始めとする関係省庁、業所管庁ともしっかり連携いたしまして、価格転嫁、取引適正化に取り組んでまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/18
-
019・片桐一幸
○片桐政府参考人 お答えいたします。
先ほど御紹介いたしました労務費の指針でございますけれども、公正取引委員会、内閣官房と連名して策定をしておるものでございます。これの周知徹底につきましても、内閣官房、それから、先ほど中小企業庁からの答弁もございましたけれども、関係省庁会議の場なども通じて、周知徹底、それからフォローアップの取組を進めているところでございます。
委員御指摘の小売分野も含めまして、関係省庁と連携をして周知徹底、フォローアップを進めてまいりたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/19
-
020・岡本三成
○岡本委員長 農水省も。(大島委員「準備していなければいいよ」と呼ぶ)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/20
-
021・大島敦
○大島委員 ありがとうございます。
農水省の今日の政府参考人にも、本省に帰ったら伝えてください、関係部局の方に。
やはり、三省庁が連携しながら、業界の皆さんを一堂に会してもいいかもしれない、それで、商慣習について、今後いい人材を採ろうと思ったら是非商慣習を改めた方がいいですよというふうに言ってくれると助かるの。
二〇〇九年、公務員制度改革をしているときに、私の会社の先輩で、多国籍企業、大きな会社のアジア担当の役員の方に取材したことがあって、いや、大島、うちの会社は男女比半分半分にしていると言うんですよ。半分半分にすると、いろいろな論点が整理されて生産性が上がるとおっしゃっていたの。だから、私は、中小企業の皆さんには、男女比半分半分にすると、それは多角的な論点が精査されて会社がますます生産性が上がるぞ、そういうアプローチをしているものですから、是非、そういうふうに言って、うまく業界団体を次のステージに持っていっていただけるようにお願いを申し上げます。
引き続き価格転嫁、今のはフード連合さんの、現場の商慣習の話なので、価格転嫁の問題について議論をさせてください。
私、時々、駅でレポートとかを配っていまして、昨日の夜も時間があったから、一時間ほど駅でレポートを皆さんに配布するの。私も元サラリーマンだから景気動向とか分かるの、手に取るように。何か新聞報道だと、株価が上がっているとか、大手企業が満額回答以上回答したりしながら、非常にいい感じなんだけれども、全然違うよね、全然浸透していないですよ、日本のサラリーマンの皆さんには。これは公務員の皆さんにも関わっている問題であって、人事院勧告は五十人以上の企業ですから、中小・小規模企業の賃金が上がらないと公務員の賃金も上がらないの。ですから、ここの価格転嫁の問題について、僕は踏み込んだ方がいいと思っているの。
それで、手短に答弁願いたいんだけれども、安倍政権、菅政権、そして岸田政権、いつ頃からこの価格転嫁に取り組んできたかについて、ちょっと答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/21
-
022・山本和徳
○山本政府参考人 お答えいたします。
価格転嫁対策といたしましては、二〇一六年に、親事業者、下請事業者の望ましい取引慣行の普及、定着を目的としたパッケージとして、未来志向型取引慣行に向けてを策定しております。この中の重点課題の一つに価格決定方法の適正化が位置づけられ、不合理な原価低減要請の是正等に取り組むこととされたところでございます。
また、業種別に、自主行動計画の策定とフォローアップを促すということで、サプライチェーン全体での取引の適正化を図る取組が行われております。現在では、二十七業種六十七団体が取り組んでおるところでございます。
この間、二〇一七年に中小企業庁におきましては下請Gメンを全国に配置をいたしまして、二〇二一年から二〇二二年にかけまして百二十名から二百四十八名に増員するなど体制強化を図り、今年度予算案においては、三百三十名への増員を盛り込んでおるところでございます。失礼しました、来年度予算案におきましては更なる増員を盛り込んでおるところでございます。
さらに、二〇二一年以降、エネルギー価格や原材料費、労務費などが上昇しておる中で、新たに、年二回の価格交渉促進月間、三月、九月を設定いたしまして、発注側、受注側の双方に積極的な交渉を呼びかけ、業種別の転嫁価格率の公表、発注企業ごとの交渉、価格状況の公表及び大臣名での指導助言などを実施しておるところでございます。
加えまして、二〇二〇年以降はパートナーシップ構築宣言も推進しておりまして、現在、宣言企業数は四万社を超えるなど、価格転嫁に向けた機運醸成にも取り組んできておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/22
-
023・大島敦
○大島委員 大臣、八年間も取り組んでいる割には、成果が上がっているかなというと疑問を持たざるを得ないんですよ。与党も野党もこれだけ、価格転嫁してくれと。政府側も、各企業に対して、パートナーシップ宣言等で推進はしているし、Gメンを含めて増強しているんですけれども、政策の転換を図った方がいいのかなとは思っているの。
これから国土交通省で物流問題が審議されるんですけれども、今回国土交通省で出している、この物流の対策はよくできていると思うの。
やはり、私たちの仕事は、仕組みをつくるのが仕事なので、仕組みによって物事を解決するということが必要だと思っています。
今日の、国交省の物流に関する今後の法案の、特に、物流統括管理者を選任して、中長期計画を政府に報告を義務づけるとか、あるいは下請構造についてもしっかり分かるように帳簿を作成しろということは、私はいいことだなと思うんですけれども、簡単に説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/23
-
024・長井総和
○長井政府参考人 お答え申し上げます。
トラック運送業につきましては、今国会に提出をさせていただいております法律案におきまして、このうち、大きな、重要なポイントの一つとして、多重下請構造の可視化のために、元請事業者に対して、実運送事業者の名称等を記載した実運送体制管理簿、この作成を義務づけるということとさせていただいております。
これによりまして、元請事業者は、実運送事業者が収受すべき運賃に下請手数料を上乗せした金額、これを荷主に求め、また、荷主は、運送コストを適正化すべく、過度な下請構造の回避を運送事業者に求めることとなりまして、多重下請構造の是正が図られていく、このように考えているところでございます。
こうした取組を通じまして、適正な取引環境の実現に向けて取り組んでまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/24
-
025・大島敦
○大島委員 トラック事業者の皆さんは、物づくりとは異なって、意外とシンプルだとは思います。恐らく、ゼネコンさんと同じで、大手の元請は、納期管理であったり品質管理であったり、様々な管理を発注している。それを全部、流れを今回帳簿づけして追うことによって、商慣習含めて物流を変えようというのが今回の法改正だと私は理解をしております。
ただ、僕、メーカーでもできるのではないかなと思うの。私は元営業マンですから、東京商工リサーチのデータを持ちながら、全部企業を頭の中に入れて営業していたので、そんなに難しいことはないですよ、物づくりでも。そんな、十人、二十人、三十人を超えた物づくりの会社は、日本にそんなに、何万社も何十万社も存在しないはずなの。
そろそろ政策の転換を図らないと、私は、このことはこれまでこの場でも述べてきましたけれども、なかなか、製造業の後継ぎが今いなくなりつつあるんですよ。要は、苦労をかけさせたくないから、今現状、利益を出しているんだけれども、息子は大企業に入っているから家に戻すのはやめておこうかなという話を伺うの。
日本のサプライチェーンが大手のみだと、サラリーマンの中でも、できるだけ平準化したいと思っているの。
ですから、大臣、もう一回、規制の在り方、余り経産省にはなじまないかもしれない。ただ、省エネ法は多分、このようなスキームだったと思うの。自由、任せることと、国交省は規制官庁ですから、こういうのが得意かもしれないんですけれども、規制して、業界を、やはり仕組みをつくって満遍なく効率化を図るという大きな政策の転換を、私は、経産省としても検討したりトライしてみてもいいかなとは思うんですけれども、その点について、大臣、答弁できますかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/25
-
026・齋藤健
○齋藤(健)国務大臣 まず、問題意識は、つまり、価格転嫁を徹底していくということ、これがひいては中小企業の賃上げ実現の鍵にもなっていくわけでありますし、そうなると、人材確保にもということにつながっていきます。そして、サプライチェーン全体で取り組んでいかなくちゃいけないという点も、私は委員と思いは同じであります。
一方で、価格転嫁は最終的には消費者まで行くわけでありまして、そこができるかどうかという大問題があるわけでありますので、そこが規制で強制できれば、恐らく、遡って、サプライチェーン全体でということにつながっていくんだろうと思う。その最後の出口のところが非常に規制になじまないという難しい局面が私はあるのではないかなと思っています。
それで、我々としても、年明け以降、経営者との車座対話で、発注側、受注側双方から価格転嫁や賃上げの実態に関するお話を伺ったし、中小企業の声に基づく二百二十社の企業リストの公表ですとか大臣名での指導助言といった、かつてないような取組は講じてきているわけであります。
Gメンも人数を増員をするということもやってきていますので、私としては、価格交渉しやすい雰囲気がまずは醸成されつつある状況にあるのではないかなと思っていますが、まだまだ価格転嫁できた額の割合は四五%でありますので、気を緩めることなく、こういう価格転嫁対策を粘り強くやっていきたいというふうに思っているということでありますが、規制的手段については、やはり慎重な検討が必要かなというふうに思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/26
-
027・大島敦
○大島委員 ここは、ある程度哲学もあるかもしれないんですけれども、そろそろ転換した方がいいのと、もう一つは、日本の大企業、サラリーマン経営者です。一次下請、日本の大企業は守れるかもしれない。ただ、それは、一次、二次、三次になっていくと企業の雰囲気が変わってくることと、購買担当としては、社長からしっかりこういうふうにやってくれと言わないとなかなか応じないですから、それは八年間やってもなかなか伴わないので、ある程度、強制力まで要りませんけれども、ある程度こういう仕組みをつくる検討は必要なのかなと思うので、その点、最後に述べさせていただいて、私の質問は閉じます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/27
-
028・岡本三成
○岡本委員長 次に、小野泰輔さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/28
-
029・小野泰輔
○小野委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の小野泰輔でございます。齋藤大臣、よろしくお願いいたします。
先ほど大島委員からいい議論をされていたなと思ったので、その感想から申し上げますと、私は、日本が賃上げが起こらない原因というのは、やはり取引環境がフェアじゃないからだと思うんですね。長らくお客様は神様ですというようなことを、みんな、お客様から言われたら何でも聞かなきゃいけないんだというふうに誤解をされている。
私は、以前、建設系のコンサルティング会社にもいたんですけれども、そこは非常に面白いビジネスモデルで、コンストラクションマネジメントというビジネスモデルなんですね。これはアメリカで始まったモデルですが、例えば建設工事を請け負った場合にも、建設工事の請負額に何パーを掛けるということじゃなくて、管理費用でどれだけの人工が必要なのかということをちゃんと計算した上で、設計費とか、それから設計監理費とか、あるいは現場管理費ということを全部請求していくということなんですね。
ですから、お客さんの事情とか、あるいは不可抗力があった場合に工期が延びた場合とか設計変更があった場合には、その手数料をちゃんと人工換算をして追加請求するということを、ちゃんとその都度その都度契約を交わすということなんですが、物流二〇二四年問題も、本当に、取りあえずこの金額でやってくれということで、あとは受けた側で全部吸収してくれというようなことが行われていることが、これが結局、日本の企業が中小企業を中心に人件費が上がってこなかったということだと思うんですね。
今、政府も一生懸命頑張っておられて、春闘でもいい数字が出ているということですが、私は、やはりここを幾ら頑張っても、結局、大企業が発注するときにどれぐらいそのコストをちゃんと見た上で適切に払っているのかということが、契約ベースでちゃんと、しっかりと明らかになって合意できないと、多分いつまでたっても日本の賃金構造は上がっていかないし、それから、これは野党の側からもずっと岸田政権を批判しているように、実質賃金がずっと下がっている、上がらないということが永遠に続くと思いますので、ここは、日本が発注者側と受ける側でちゃんとフェアな、対等な関係で契約を結んでいるのかどうかということ、やはりそこにこだわっていただきたいと思うんですね。
この間の委員会でやはり同じような議論があって、隣の山本剛正さんとも話していたときに、トヨタのジャスト・イン・タイム方式というのは、これは、トヨタとしては自分のビジネスモデルとして有益なんですけれども、実際には、そのジャスト・イン・タイムを守ってもらうためにどれだけ裏で泣いているのかということをやはりトヨタだって考えなきゃいけないんじゃないかと。
そういう時代に来ているんじゃないかなというふうに思いますので、是非役所の側でも、皆さん、そういうところまで考えての政策づくり、あと、日本において、決してお客様は神様じゃないんだ、そして、ちゃんと対等の関係で仕事を一緒にやっていくんだというような環境づくりがやはり一番求められているんだというふうに思います。
質問に入りたいと思います。(発言する者あり)ありがとうございます。
それで、ガソリン補助金のことについてまずお伺いしたいと思います。これは予算委員会でも私は繰り返し総理にも質問させていただいていますが、激変緩和措置が導入されてからもう二年が経過をしています。まず最初にお伺いしたいのは、累計額としてどれぐらいの補助金が使われているのか、計画されていて執行されているのかを教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/29
-
030・松山泰浩
○松山政府参考人 お答え申し上げます。
今御質問いただきました燃料油価格の激変緩和事業でございますけれども、エネルギー価格の国際的な上昇が生じた中で、価格の急激な高騰というものから国民生活、経済活動を守るために二〇二二年一月から実施しているものでございますが、本事業ではこれまで、総額約六・四兆円の予算を計上してございまして、現時点、これは令和五年十二月末時点でございますけれども、そのうち約四・三兆円を執行してきているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/30
-
031・小野泰輔
○小野委員 とてつもない額だというふうに思うんですね。
そういう中で、今日はちょっと、ガソリンスタンド、SSの経営とか、あるいは石油元売の経営というところにこのガソリンの激変緩和措置がどう影響しているかということについて議論させていただきたいというふうに思うんです。
まず、資料の一の一を御覧いただきたいんですけれども、御承知のとおり、このように、もう二十年間にわたってガソリンスタンドの数が減り続けていて、地域でのガソリンを確保するということは非常に大変な問題にもなっています。私も、地方の方に旅行に行ったりなんかするときに、皆様も肝を冷やした思いもあると思いますが、結構、観光地の田舎の方に行くと、休日とかに、ガソリンスタンドがないとか、あと、休んでいることが多いんですね。グーグルマップで探しても、実は営業していなかったというようなことがあって、冷やっとする場面もあるんですが、それは、地元で毎日暮らされている方はもっともっと大変な思いをされていると思います。
そこで、一つちょっとお伺いしたいのは、これだけの予算を計上して補助金を入れているわけなんですけれども、実際にはガソリンスタンドの方に経営の支援という形で経産省はやっているんじゃないのと。私は、それはいい悪いとかということを言うつもりはないんですけれども、そういう側面というのが実は、地域のインフラを支える意味で、この六・四兆円ものお金が資する形で結果的に使われているのかということについて、御見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/31
-
032・松山泰浩
○松山政府参考人 お答え申し上げます。
今委員から御指摘ございましたように、ガソリンスタンドの数、これは地域の暮らしを守る意味でも非常に重要なものでございますが、年々減少傾向にございます。令和四年度末には、その前年度末から比較しまして、五百十二か所減少して二万七千九百六十三か所となってございます。一年で約一・八%減少した形になってございます。
委員からは価格の高騰の影響があるのではないかという御指摘があったわけでございますが、この背景として考えてまいりますと、まず一つには自動車の保有台数があるかと。これは増加傾向にはまだあるわけでございますが、二〇〇〇年代以降、この増加率は鈍化してきてございます。そしてまた、非常に大きいと考えてございますのはガソリン車の燃費の大幅な改善でございまして、二〇〇四年度比で考えますと、現在、八割以上の向上がなされてきてございます。そうなりますと、全体としてのガソリンの需要というものが減少している、これが非常に大きな要因かと考えておるわけでございます。
価格の高騰が個別の経営に与える影響ですとか店舗数の減少に対する影響、ここについては、むしろ、市場の競争状況ですとかガソリンスタンドの経営問題、後継ぎ問題を含めて、こういったことも含めて考えなければならないので、一概に申し上げにくいところでございますけれども、まず、需要との関係で申し上げますと、ガソリンなどのエネルギーの財について申し上げますと、需要の価格の弾力性というのは比較的小さい。価格が上昇しましても、これに応じた消費量の減少の幅というのは比較的小さいものだというふうには認識してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/32
-
033・小野泰輔
○小野委員 通告では二問というふうに分けていましたが、まとめて答えていただいたような感じなので、私もちょっとこれについては議論していきたいというふうに思うんです。
資料一の二を御覧いただきますと、先ほど松山次長がお話しいただいたように、ガソリン需要が減っているということで、これはもう既にお答えをいただきましたが、そもそも自動車に乗る人が少なくなっている。これは、少子高齢化によって、あるいは、私は東京一極集中が進んでいるということも一因だというふうにも思っていますが、だんだん車に乗らない人が増えてきているということと、それから、先ほどの御答弁で、私も驚異的だなと思いましたが、燃費がめちゃくちゃ上がっているということも大きく影響しているというようなこともありました。
ただ、そうはいっても、ガソリンスタンドがなくなってしまえば生活に困ってしまう。全部が電化するわけじゃないので、やはり一定程度残さなければいけないということはあるとは思うんですけれども、じゃ、この激変緩和措置がガソリンスタンドにどういうふうに経営としてインパクトがあるのかというと、先ほど価格弾力性が少ないということもあったので、実際には補助金がどう利いているのかというのはちょっと分からないなというところはあるかもしれないんですね。
そういう中でも、やはり、私は、ちゃんとSSが存続する、特に地域においてちゃんと安心して入れられるということが、日々の生活を支える意味でもそうですし、今回の能登地震みたいなときに、地域にちゃんと油が補給できるところがあって、消防車とか様々な災害対応の車両が動くということも大事だろうと思いますので、であれば、やはりここは、激変緩和対策は余り関係ないのかもしれませんが、ほかの手段でもちゃんとガソリンスタンドを守っていくという政策を進めていく必要があるんじゃないかなというふうに思っています。
私もいろいろ調べている中で、経産省がいい取組をしていて、SSの過疎化対策というものをやっていて、ガイドブックというのも立派なものを作っているんですね。これは、六十ページぐらいにわたって、地域のガソリンスタンドをどうやって守っていくかということの対策をいろいろな事例も交えながら説明をしていて、事業者、地域、それから自治体ということで、主体を分けた上でどういうふうに対応していくのかということを懇切丁寧に示しているんです。
ただ、私がここで申し上げたいのは、そうやってガイドブックで、地域で頑張ってくださいと言うだけじゃなくて、やはり経産省、あるいは総務省でもいいんですけれども、ガソリンスタンドを積極的に守っていくというところの取組をこれから意識してやっていただく必要があるのかなというふうに思います。激変緩和事業の話をちょっといろいろ調べている間でそういうことを思ったので、是非そこは大臣の意識にも留めていただきたいというふうに思うんですね。
今度、また激変緩和事業の補助金の話に戻りたいと思いますが、一の三の資料をちょっと見ていただきたいと思うんです。ここにマーカーがしてありますが、左側に、日常的に自動車に乗っている人はガソリン使用量が多いので補助金による負担軽減額が大きくなるということで、片や、自動車を使わない人にとってはこの補助金は恩恵がないんだというようなことを日本生命のレポートで指摘がされています。そういう側面が私もあると思うんですね。
この激変緩和事業をもう六・四兆円もつぎ込んでいて、その効果はというと、結構ばんばん、ゴルフ場にしょっちゅう行って、まあ皆さんの中では余り、ゴルフはそんなにしょっちゅう行かれていないでしょうけれども、それで、ばんばんばんばん恩恵を受けている人たちは富裕層中心だと。
ここの資料のグラフにも、右側にありますが、結局、所得の高い層の方がこの補助金の恩恵が多いということなんですが、やはりちょっと、このガソリン補助金、ずっと長く続いていますが、そろそろ見直してもいいんじゃないかというふうに思うんですね。こういった効果も生まれている。
本当に、エネルギー価格が上がって、生活に困っていらっしゃる所得の層の方々になかなか届きにくいんじゃないかということもありますが、この点、大臣、どういうふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/33
-
034・齋藤健
○齋藤(健)国務大臣 まず、今回の燃料油価格の激変緩和事業は、急速にエネルギー価格が高騰をした、そういう事態に対応するために、国民生活や経済活動を守らなくちゃいけないということで、石油製品の小売価格の急騰を全国一律で抑制をしようということで、しかも、当分の間の措置として実施しているということであります。したがって、目的として、特定の富裕層を優遇するということではないということであります。
ただ、実際にもっと生活が困窮している方への支援に重点化すべきではないかという指摘もあるのは十分認識していますが、一方で、燃料油価格の高騰は国民の皆様や事業者の方々に広く影響を及ぼすということがありまして、加えて、公共交通機関が限られている地方では車は主要な移動の手段でありまして、一世帯で複数台保有して使っているなんというケースもあります。
したがって、ガソリンの使用実態は様々でありまして、そうした中で、迅速にこの補助の効果を行き渡らせるという観点を踏まえれば、緊急に全ての方々の負担軽減を図るということにしたわけであります。
なお、物価高から国民生活を守るための措置としては、きめ細やかなものが必要でありまして、住民税非課税世帯への追加給付ですとか、より幅広い低所得世帯への給付などが別途進められているということだろうと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/34
-
035・小野泰輔
○小野委員 当面の間というような措置だというお言葉がありましたが、ただ、そうはいっても、二年なんですよね。
G7の声明でも、やはり、こういう措置はちょっともうそろそろ終えた方がいいよ、脱炭素にも反することだしと。それからあと、IMFからも同じような指摘があるということでもありますし、やはり、齋藤大臣に交代されたということで、特に、今の段階で政府は夏まではやるというふうにおっしゃっているんですが、私もずっとこの問題をやってきて、ずっとずるずるとやっているんですね。
まあ、これは政府・与党の財政政策全般にも言えることなんですが、これだけ物価が上がっていく中で、財政出動をして、そして補助金という形でやるというのは結構ゆがみがやはり大きいので、そういう意味では、必要な層にちゃんと行き届くような、これは補助金という形ではなくて、減税というものをもうちょっときめ細かくしていくとか、あるいは、先ほど大臣がおっしゃったような、給付を的確に適切な層にやっていくというようなことでやはり対応していくべきだろうというふうに思いますので、これは政府だけじゃなくて与党も是非考えていただきたいなというふうに思っているんですね。
資料の一の四を御覧いただきますと、これは最大手の元売のENEOSさんの決算書類なんですけれども、補助金がめちゃくちゃ入っているわけですね。ここでは五千九百五十億ということで、この第三・四半期の報告書で書いてあるんですけれども、これは短信には出てこなくて、ここでしか指摘されていない。それで、「売上高に含めて表示」というふうにあるんですが、これだけのお金が国税から税金で投入されているわけなので、もっともっとやはりこの状況をちゃんと、株主にもそうですし、社会全体にも言っていく必要があるんじゃないかなというふうに思います。
金融庁さん、これから、私も行政の場にいて、例えば公益法人なんかは受入れ補助金なんというのはちゃんと、しっかりと決算書の中でも明らかにしているんですが、まあTSMCの例もそうですし、今はもう本当に一般の企業に対して巨額の公金が入るという時代に変わってきたと思うんですね。
それは、私はその必要性は否定はしないんですが、ルールの開示として、企業も、これだけ多くの公金が入っていることをちゃんと分かりやすく説明する。例えば、四半期の説明資料の中に、まあパワポなんかを今使ってやっているんですが、そういうのを見ていても全然分からない。やはりこの辺は金融庁としても何か物を申すべきだと思うんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/35
-
036・新発田龍史
○新発田政府参考人 お答え申し上げます。
上場企業は、企業の事業内容ですとか財務内容ですとか、投資者の投資判断にとって重要な情報を有価証券報告書によって開示することが求められております。
先生御指摘の補助金等につきましても、上場企業が投資者の投資判断に重要だと考える場合には有価証券報告書に記載できることになっておりますけれども、他方で、こういったものを一律に義務づけるということにつきましては、それが投資者の投資判断にとっての有用性にどう考えられるのか、あるいは、この補助金、受領する企業はいろいろあると思いますけれども、実際に、私どもの開示の世界になりますと、結局、上場企業のみの開示となりますので、そういったことをどう考えるかといったことを総合的に考える必要があるんじゃないかと思ってございます。
したがいまして、私どもの方から元売会社全般に対して、補助金がどう入っていたのかということについて説明をせよとはなかなか申し上げにくいということは御理解を願えればと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/36
-
037・小野泰輔
○小野委員 でも、何かすごい他人事というか。
要は、激変緩和措置が終わった場合に、売上高が何千億単位で下がるわけですよ。それは投資家にとっても結構重要な情報なので、今みたいな答弁でいいのかというのはちょっと考えていただきたいというふうに思うんですね。これは是非金融庁の中でも考えていただきたいし、かなり投資家にとって重要だと思うので、ちょっと考えてほしいと思います。
それで、時間もちょっとなくなってきたんですが、まだ聞きたいことはありまして、やはり激変緩和措置の出口戦略ですよね。ここは前大臣の西村さんも、やはり、考えていくんだということはおっしゃっているんですが、ただ、結局、また夏までやりますと。その後また冬までというようなことも私は十分あり得ると思うんですけれども。
でも、GXも昨年さんざん議論して、法案もでき上がって、二〇二八年からは輸入する化石燃料に対しては炭素賦課金がかかっていくということもあって、そういう意味では、そういう脱炭素の動きとも全く反していますし、そこの出口戦略。
やはり、私が補助金がよくないと思うのは、出口戦略が描きにくいということなんですね。だから、やはりこの辺に関しては、今までの答弁よりも更に踏み込んで、齋藤大臣が、これからこの激変緩和措置についてどういう出口戦略を描くのかというのを示していくべきだと思いますが、この点、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/37
-
038・齋藤健
○齋藤(健)国務大臣 一言で言えば、将来、今後、石油情勢がどうなるかとかいうのが正確に予見できるのであれば、ここでこういう段取りでと言える、そういう話だと思うんですね。
それで、燃料油価格の激変緩和事業の出口戦略。出口戦略というのは、一言で言えば、当該事業を取りやめることによって、国民生活ですとか経済活動への影響を最小化しながら軟着陸をさせていくということに尽きるんだろうと思っているわけです。だから、情勢を見極める必要もあるということなんですね。
本事業については、本年四月末までの措置等を講ずるということにしておりますので、その後の対応については、現時点では何かが決まっているということは一切ありません。
ただ、申し上げたように、国際情勢、経済やエネルギーをめぐる諸情勢も踏まえながら、どういった出口にすべきかというのを考えながら、その時点で判断していくということにならざるを得ないのかなと思っています。
一方で、私自身は、御案内のように、巨額の税金も投入をいたしますし、それから、かえって消費を増やす、CO2を増やすという面も当然あるわけでありますので、この激変緩和のための措置はいつまでも続けるべきではないと思っています。
同時に、GXですとか脱炭素に取り組んでいくことによって、突発的なエネルギー価格高騰に対する対応力みたいなものも併せて講じていくということは努力をしていきたいなというふうに思っているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/38
-
039・小野泰輔
○小野委員 答弁をお聞きしていると、こういう事業というのは一遍始めるとなかなか引き際がなくなるということを実際お認めになっているような御答弁だったと思うんですが、だからこそ、やはり本当に真剣に議論していただきたい。
きめ細かく、本当に燃油の高騰によって困っている方々に対しての個別の給付をしていく、それにはやはりデジタル化が必要だと思うんですけれども、そういったところについてももっともっと真剣に考えていかなければいけないと思うので、ここはもちろん経産省だけでできることではありませんが、やはりそこを本気で考えないと、いつまでたっても、こういう事業をやめてしまえばみんなが困りますからということでやるのがいいのかどうかというのは、やはり考えなきゃいけない。
よく馬場雄基さんが質問主意書とかで、やはり中抜きがあるんじゃないかというようなことを、すごくいろいろ調べられているんですね。私は、そのこと自体よりももっと大変だと思うのは、やはり、中抜きを仮にしていなかったとしても、価格高騰のリスクの全部を国民が税金でもって負担をして、そしてガソリンの元売会社はリスクを負わずに過去最高益を得ているという事実なんですよね。
例えばほかのメーカーとかだったら、原価が高騰してしまえば、それを企業努力によって補うということを当然やっているわけなんですが、もちろん、エネルギー戦略ということで、石油の元売を守らなきゃいけないという面もあることは私も認めますけれども、やはり、それをずっとやっていてはイノベーションも起きないし、そして国民の負担が無駄に多いということにもなるので、これは、そういう真剣味を持って、経産省だけじゃなくて政府全体で考えなきゃいけないことだというふうに指摘をしておきたいなというふうに思うんですね。
トランジション戦略についてはちょっと飛ばしまして、最後にAIについてお伺いしたいと思います。
前大臣の西村さんもAIを経産省内で活用するということだったんですが、これはどういうふうに活用しているのか、それから、どういったデータセットをAIに読み込ませて学習させて使っているのか、また、使ってみて職員さんにどんな変化が起きた、効果が出たかということをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/39
-
040・上村昌博
○上村政府参考人 チャットGPTにつきましては、大変有効なツールである一方で、セキュリティーの観点についても留意が必要かと思ってございます。
そうした中、今年度、経産省業務での活用可能性の実証、検証を行っております。具体的には、例えば、白書などの公表資料の要約であったりとか、公表されているマニュアルを読み込ませ外部からの問合せ回答の原案を作成する。機密性のない情報のみを用いまして、限られた職員で生成AIの利用検証を行ってきているところであります。
その検証の結果、例えば、生成時に正しいデータを参照できるかといった正確性に関します課題、あるいは、職員による内容の確認が大前提となるというところはありますけれども、実際の実務の補助として活用できる可能性がある出力結果、また、職員の工数削減ができているという声も多く寄せられているところであります。
このため、来年度中には全省的に職員が利活用できる環境を整備すべく、調整を進めていきたいと思っております。
イノベーションを所管する経産省としても、関係省庁とも連携しつつ、生成AIの有効な利活用を進めていきたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/40
-
041・小野泰輔
○小野委員 もう時間が来るので終わりたいと思いますが、もっともっと積極的に使ってほしいんですね。来年から本格的にというのは遅過ぎると思います。私も昨年の三月から使い始めて、もう一か月ごとにどんどんAIは進化しているし、ユーザー数も増えている。だから、やはりどういうデータを読み込ませるかということには細心の注意が必要ですが、ただ、やはり、使い倒すということを是非、経産省、ほかの省庁もやっていただきたいと思います。
私もチャットGPT―4を使っていまして、今日は最後におまけに、齋藤大臣のプロフィール写真を勝手に使わせていただきまして、それでアニメにするというような、イラスト、これは是非、全然、齋藤大臣のホームページとかで使っていただいて構わないので。
ただ、一つだけ問題は、これはアメリカのAIなので、イラストにしてくださいと言うと、これはピクサー風となっていますけれども、すごく何か日本人の感覚と違うんですよね。次に、日本の漫画風にしてくれというふうに指示すると、ちょっと、でも、全然これは年齢が違うじゃないかと思うんですが。齋藤大臣は六十四歳だよというふうにまた指示するとこうなるんですが、でも、全然実物の方がイケメンだと思うんですけれども。
ただ、ここで言いたいのは、やはり、日本人がAIをどんどん作らないと、どんどんアメリカとか欧米社会にのみ込まれるんです。だから、是非皆さんでどんどん使うということ。来年から始めますじゃちょっと遅過ぎると思うので、是非大臣、そういう形で。大臣自身も是非チャットGPT―4は使っていただきたいというふうに思います。
終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/41
-
042・岡本三成
○岡本委員長 次に、山本剛正さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/42
-
043・山本剛正
○山本(剛)委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の山本剛正でございます。
さっきの小野さんのチャットGPTの絵は、私に置き換えたらどんなゴリラみたいな顔になるんだろうという思いで今ここに立っておりますけれども。
齋藤大臣とは実は私は当選同期でございまして、私はお休みが長かったので、その間、本当に齋藤大臣の御活躍は私もいろいろ目にさせていただきました。
前回、臨時国会のときに西村大臣にも申し上げたんですが、今日は所信に対する質疑ということで、私は、基本に忠実に、所信に沿ってやっていこうと思っているんですけれども、委員会の雰囲気もなんですけれども、ちょっと僕、経済産業委員会というのは明るくないと駄目だという話をしたんですよ。
日本はこれから何で食っていくんだとか、大臣もこれはおっしゃっているんですよね、潮目の変化を大きなうねりに育てる、やはり、こういった前向きな言葉を使っている所信に対して、暗いイメージで、しかめっ面で議論するというのは、私は、この国の勢いをそぐものになりかねないなというふうに本気で実は思っています。ですから、そういった意味で、私は、最初に、冒頭に冗談なんかも絡めながら、笑いも交えて、やはり明るくやっていくのが経済産業委員会だというふうに思っておりますので、是非、皆様方も下を向かないで、上を向いて議論を進めてまいりたいというふうに思っております。
ただ、僕が一つまず気になったのが、コストカット型経済という言葉を総理大臣が使われて、私は正直、ちょっとかちんときたんですよ。そんな社会を目指してやってきたわけではない。みんな握り拳をつくって、耐えながら耐えながら、コストカットなんかしたくもないのに、せざるを得ない状況がずっと続いた。これは誰のせいでもなかったんですよ。
なかなか社会環境が整わなくて、そういった社会になってしまったものを、簡単に一言でコストカット型経済と総理が、意味は分かりますよ、おっしゃっている内容の意味は分かるけれども、言葉としてはちょっと辛辣だなと。それを、経済産業省が、僕は悔しくないのかなと、そんな言葉を使われて。それをここに書かれたことは、僕は、本当にちょっと何か、やはりそこは大臣の思いも聞いてみたいなというふうに率直に思いました。
まず、事実確認なんですけれども、二〇〇〇年以降、成長戦略というものはどのぐらい策定されたものか、ちょっと教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/43
-
044・馬場健
○馬場政府参考人 お答えいたします。
歴代の政権におきましては、成長戦略に資する方針を策定しておりまして、成長戦略を厳密に定義することはなかなか難しいところがございますので、二〇一二年十二月の第二次安倍政権発足以降で数えますと、二〇一三年六月に日本再興戦略を策定して以来、毎年、成長戦略を閣議決定いたしております。
二〇二四年三月時点では、十一、策定しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/44
-
045・山本剛正
○山本(剛)委員 そうなんですよ。
二〇〇〇年以降でいうと、国会図書館のイシューブリーフというのの中では、二〇〇六年七月に策定された経済成長戦略大綱が最初の成長戦略とされている。そこから数えると、何と十八もあるんですね。それだけ皆さんが努力をして作った成長戦略、なかなかうまくいかなくて、それでコストカット型経済などという言葉に表されてしまったことは、私は本当に残念だというふうに思っています。
では、この十八作った成長戦略は、まあ十一ともおっしゃいましたけれども、コストカット型経済を目指してやっていたんですか。そういうわけじゃないですよね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/45
-
046・馬場健
○馬場政府参考人 お答えいたします。
先生おっしゃるとおり、これまで策定されました成長戦略は、成長分野などへの投資、生産性向上のための設備、人への投資など、潜在成長力の引上げ、国民所得の向上など、日本経済の好循環に向けた内容であると認識しておりまして、コストカット型の経済を推奨してきたものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/46
-
047・山本剛正
○山本(剛)委員 当然なんですよ。
取って食べないので、そんなに緊張されなくていいんですけれども。
やはり経済産業省が使う言葉じゃないと僕は思う、それを目指したわけでもないわけだから。だから、是非大臣の口から、やはりもう一度思いをちょっと述べていただきたいなというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/47
-
048・齋藤健
○齋藤(健)国務大臣 今御答弁ありましたけれども、決してコストカット型経済を目指してきたというわけではなくて、実態としてコストカット型の経済に陥っているという現状を表現をしたものではないかなと私は理解しているし、コストカットが悪いというわけでもないだろうと思っています。必死に中小企業なんかで努力をされている方々もおられるので、そういう方々の努力にまた水を差してもいけないなという思いは正直あります。
ただ、実態として、ほかの国が投資に、よくドイツと比較するんですけれども、国内投資に力を入れてきたことに比べれば、いろいろ事情はあったと思います、バブルが崩壊したとか、それからリーマン・ショックがあったとか、いろいろあったと思いますけれども、ただ、コストカットにやはり力点が置かれて企業の努力がなされてきた面というのは一方で否定できないというふうに思っていますので、もうちょっとうまい表現がもし山本先生の御指摘であればいいんですけれども、ただ、このコストカット型だけじゃ駄目だよというメッセージとしては、やはり一つの大事なメッセージなんじゃないかなというのは思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/48
-
049・山本剛正
○山本(剛)委員 いやいや、おっしゃるとおりだというふうに思います。そこは、僕は丁寧に所信でやはり言ってほしかったというか、今大臣からおっしゃっていただいたので、多分そのメッセージは伝わるというふうに思います。だから、今後そのメッセージを大切にしていただきたいなというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
次に、産業競争力の強化も言われているんですが、何と、私が一番重要だなと思っている産業競争力の強化は、三行しかなかったですね。
この経済産業委員会で、昔クールジャパンというのがあったんですけれども、もうこれに僕は食いついて、これこそ日本を変えるエンジンになると思ったんです、当時、それができたとき。私は当時、野田財務大臣に直筆で手紙を書いて、本会議場で渡して、何とかこれにやはり予算をつけてくれ、これがもう本当に日本を変えると。
何かというと、日本は、ゼロから一にする技術力というのはそんなにあるわけじゃないです、残念ながら。だけれども、一を十にする能力というのは非常に高いんですね。
これは、僕はアレンジ力と言っているんですけれども、例えば日本の料理が何であそこまで繊細になったのかというふうに考えたときに、箸というのは中国の文化じゃないですか。僕がちっちゃい頃、中国三千年と言っていたんですけれども、もう今になったら五千年になっているんですね。四十年ぐらいで二千年ぐらい進んじゃっているんですけれども、箸はずっと真っすぐなんですよ。だけれども、日本の箸は先がとがっているから、繊細な料理を作ったりすることがやはり可能になって、つかみやすいとか。
そういった知恵というのが日本というのはやはりすばらしくて、世界にいろいろ日の目を見ない技術力とかアイデアとかが埋もれていて、それが日本に集まって、日本の中小企業の皆さんやいろいろな方たちのアレンジ力によって世に出ていって、それが跳ねるというようなプラットフォームをつくることが、私は、クールジャパンで一番大事だ、そのアレンジこそがクールだということを言っていたんですけれども、いつの間にか、お金のにおいがするからなのか、何かアニメを海外に売るなど、日本にあるものをそのまま海外に売るんだったら、そんなのクールジャパンでも何でもなくて、ただの商取引なんですよ。
だから、私は、もう一度クールジャパンという言葉を使うのがいいのか悪いのかは別にして、せっかく所信で「一歩踏み込んだ産業政策」とおっしゃっているわけです。
私はそもそも、日本はそろそろ何で食べていくのかというのをきちっと決めた方がいいと。これは、前回も私、御紹介したかもしれませんが、イギリスで産業革命が起こりました。世界の工場がイギリスからアメリカに移って、イギリスは何をしたかというと、要するに、金融という概念を確立して世界を席巻して、今金融がなければ経済は動きません。アメリカから日本に世界の工場が移ったときに、要は、様々な経済摩擦はありましたけれども、アメリカは宇宙工学とITに力を入れて、私がちっちゃい頃、スペースシャトルががんがん飛んでいるのを夢があるなと思って見ていたのが、今じゃ我々が管理をされているというような時代になってしまいました。
これを考えたとき、日本は、じゃ、いまだに製造業だの自動車産業だの何だの言っている、でも、世界の工場はもう確実に移っている。それならば、やはり私は、冗談のように言うんですけれども、例えば、空はもうやはり制覇されてしまっているので、どんな熱にも耐えられる、どんな岩盤でも貫き通せるドリルを開発して、ある日、平壌の町中にぴゅんと出ていったらみんながびっくりするみたいに、それぐらいの、ちょっとくすっと笑ってしまうような新しい発想で新たな産業を私は興すべきだと思うんですが、是非、「一歩踏み込んだ産業政策」を大臣はどのように考えているか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/49
-
050・齋藤健
○齋藤(健)国務大臣 まず、山本委員がおっしゃった、日本は一を十にする能力が高いというのは、私は全く同感でありまして、一番いい例かどうか分かりませんが、文字ですよね。漢字を入れて、片仮名、平仮名をつくって、世界に冠たる日本文学を生み出してきたというところなんかを考えると、まさに、日本民族の持っている一つの力なんじゃないかなというふうには思っています。
「一歩踏み込んだ産業政策」ということなんですけれども、私は、今回、ある意味で、成長のエンジンとしてGXとかDX、そういう社会課題解決分野というものを新たな成長のエンジンとして捉えて、そこに、民間の企業の予見性を高めて投資を引き出すという意味で、財政についても思い切った積極的な対策、産業政策を講じるというのは、私は一歩というふうに言っていますけれども、もっと踏み込んでいるんじゃないかなというぐらいに感じています。
私も二十三年経済産業省に勤めていて、その後もそれなりに見てきましたけれども、ここまで例えば半導体投資にしても踏み込むというのは、かなり産業政策としては踏み込んできたのかなという印象を持っています。ただ、これにやはり民間がついてきて、実際に成果が上がるというのはこれからの努力だろうと思っていますけれども、そういう意味で、せっかく「一歩踏み込んだ産業政策」ですので、これを私は強化をしていきたいというふうに思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/50
-
051・山本剛正
○山本(剛)委員 やはり、潮目の変化にあるという自覚の下に、ここが勝負だというのであれば、どんどん、私は、一歩でも二歩でも三歩でも突っ込んでいくべきだと思う。これも大臣と共有します。そのための、私は、今回の通常国会の経済産業委員会にしなければならないというふうに思っています。
ですから、是非、今後、一般質疑とかそういった中で、本当に日本が何で飯を食っていくのか、今後、新たな産業の柱を立てていくんだ、一つの分野を確立するんだ、それで世界を席巻するんだ、そういった議論をこれから大臣と私は深めてまいりたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いをいたします。
次に、スタートアップの話をさせていただきたいんですが、今、猫もしゃくしもスタートアップ、本当にいろいろなところでスタートアップという言葉をよく聞きます。
我が国でも、政府が二〇一二年の補正予算から二〇一八年当初予算まで創業補助金というのをやっておりました。今それは、要するに、やはり民間の資金を活用すべきだということでなくなったわけですけれども、つまり、これは、スタートがあって、決着がついているんですね。これの中で、数値で、実際何件ぐらい応募があって、実際何件採択をされて、何件例えば上場をして、何件例えば倒産してしまったのかというのが分かったら教えていただきたいんですが。
何でこんなことを聞いているかというと、こういったことをきちっと、やはりスタートアップというのはそんなに簡単なものじゃないと思うんですよ。だから、難しいことだということを前提に、これは、何だ、全然うまくいっていないじゃないかなんということを突っ込むつもりは毛頭ありません。そうじゃなくて、それぐらい難しいものなんだということを認識をした上で、やはりスタートアップをどんどん育てていって、新たな産業の芽を育てていかなきゃいけない。だけれども、それは非常に苦しい道のりなんだということを知るために、やはりここを一回立ち止まって振り返る必要があると私は思っているので、それをちょっと教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/51
-
052・松浦哲哉
○松浦政府参考人 お答え申し上げます。
中小企業庁におきましては、創業の促進に当たって、創業者が直面する主な課題である資金調達と知識の習得、これらに対しまして、産業競争力強化法に基づきまして、全国の市町村を中心とする創業支援体制の整備に取り組みながら支援を講じてまいりました。
委員御指摘の創業補助金につきましては、資金調達に係る支援としまして、平成二十四年補正予算から平成三十年当初予算までに一万二千二百三十九件を採択し、新たに創業を行う皆様を支援してまいりました。
なお、この創業補助金に関しましては、私ども中小企業庁が旗振り役となり、多くの地方自治体におかれましても同様の制度が整備されてきておるところでありまして、その意味におきましても、一定の役割を果たしてきたと認識しております。
また、これに加えまして、知識習得に関する支援としては、産業競争力強化法に基づく認定を受けた創業支援等事業者が実施するところの創業スクール、創業塾でございますね、あと、地域におけるビジコン、ビジネスプランコンテスト、こうしたことごとに取り組むことによりまして、創業者の皆様の基礎的な知識習得や潜在的な創業者の掘り起こし、これらを支援してまいったところであります。
その結果としまして、全国千四百九十一の市区町村におきまして創業支援等事業計画が策定されております。これまでに、それらの市区町村から創業支援を受けた約八十三万人のうち約十四万人、つまり一七%の方々が実際に創業されております。
私ども中小企業庁といたしましては、引き続き、地域における創業促進に向けて、全力で取り組んでまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/52
-
053・山本剛正
○山本(剛)委員 ありがとうございます。
一定の役割を果たしたという、その一定の役割がどれぐらいの数値なのかというのをちょっと知りたかったんですけれども、是非これを調べていただきたいんです。別に今日じゃなくてもいいので、今後。
やはり、その数字を参考に、大体何%ぐらいの方たちがうまくいってとか、これはいろいろ事業によって違うと思うんですけれども、ある程度、定量的に見ていくことというのは私は必要だというふうに思いますので、それが将来予見性にも私はつながるというふうに思いますので、是非、今後、何かその数字が分かれば、また私の事務所にでも教えていただければなというふうに思います。
次に、カーボンニュートラルについて、これは、実は、予算委員会でやろうと思って日の目を見なかったパネルがあるので、ちょっと勝手に使おうかなと思っているんですけれども、こっちでいいのかな、大臣に見せなきゃ。まあ、資料をお渡ししているので。これは御覧のとおりなんです。日本はずっと、私もエネルギー業界にいた人間でございますので、本当に苦しい思いをしてまいりました。
そういった中で、日本は資源が乏しい中で、省エネ技術というのは、本当に昔から磨いて世界のトップランナーでもあったわけでありますが、日本の省エネ技術が世界の全てで使えるかといったらそんなことはなくて、やはり、その土地その土地、その時期その時期での省エネというのがあると思うんですけれども、今の状況は、もはや乾いた雑巾を絞って、絞って絞って絞りまくって、今後を考えてもなかなか伸び代がやはりこれ以上出てくるということは少ない、なくはないと思うんですけれども、少ないというふうに考えております。
一方、やはりCO2の今後の利用とか活用、分離、回収、貯留とかそういったものにもっと力を使っていくべきなんじゃないのかなと思っているんですけれども、残念ながら、予算を見ると、令和五年度で七千三百三十七億円、これがCO2の、省CO2の予算でありました。一方で、CO2利用予算は四百二十億円。令和六年度に至っては、三千六百二十六億円、省CO2に使っている割に、百五十四億円しか計上されていないということで、これは数字の取り方がいろいろあると思うんですが。
私は、省エネ設備とかそういったものにお金がかかるのは当然理解をしています。だから、これぐらいの予算の開きがあるというのも分かってはいるんですけれども、やはり今後、もっとCO2利活用に比重を置いていくべきなのではないかなと。この数字だとちょっとやはり先行きというか、もう少し自信を持って前に進める数字が欲しいなと思うんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/53
-
054・松山泰浩
○松山政府参考人 お答え申し上げます。
今委員から御指摘いただいておりますように、カーボンニュートラル、これは国としても、世界の求めている、目指すべき世界でございますし、先ほど御指摘いただきましたように、産業をどう生み出していくか、次なる経済政策としても非常に重要なものだということは、先ほど大臣からも御答弁あったところかと思ってございます。
その中で、今まで行ってまいりました省エネ、これは今もある設備をどう変えていくかということで、これはこれで非常に重要なこと、ここにも技術が出てまいります。しかし、一方で、CO2の利活用、今まだでき上がっているわけではございません、これから先に向けて様々な技術を開発していって、場所を調べていって導入していかなければならない。この両方は、グリーントランスフォーメーション若しくはカーボンニュートラルを目指す上では、それぞれやっていかなければならないものだと考えてございますし、委員御指摘のように、CCUS、これも非常に重要なもので、取り組んでいきたいと思ってございます。
その上で、お示しいただきました資料にございますように、予算でございます。省エネ、省CO2、こういったものについていいますと、もう既にある技術をどう導入していくかということでございますので、企業向けの省エネ設備への更新支援ですとか家庭向けの機器の導入支援ですとか、非常に広い広がりに向けた、予算規模が非常に大きく必要になってくるところでございます。
一方で、CO2の利活用となりますと、まずは技術開発となった上で、社会実装を支援していくという段階を踏んでくるものでございますので、そのフェーズということを考えておきますと、求められることに応じた形での予算支援となってございます。
ですので、今お示しいただいています資料の中でも、当初の予算の費目の中で計算いたしますと、省エネ予算の方が非常に大きな形に見えますけれども、GI基金ということを通じた、将来の開発を進めていくものについていいますと、CO2の利用、貯留、こういったことも含めたものについても、両方とも大きな位置づけを持って取組を進めているところでございまして、両方ともしっかりと力を入れて取り組んでまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/54
-
055・山本剛正
○山本(剛)委員 ありがとうございます。
やはり目指すべきは、これも前から、いつも常に言うんですけれども、脱炭素という言葉ではなくて、やはりカーボンニュートラル、いわゆるプラマイ・ゼロの世界でございます。
そういった中で、私は、先日、苫小牧のCCS実証実験の現場にも行ってまいりました。そういった中で、聞いた話では、簡単に言うと、いわゆる貯留の、井戸を掘るような技術というのはもう石油採掘の技術そのものだという話でございました。
でも、何が一番必要かといったら、やはり、貯留場所を確定すること、これは本当に難しいと思うんです。だから、そこに対する投資というのはこれから絶対に必要だというふうに思いますし、今は、やはり土地の所有者の問題がありますので内陸ができません、でも、今回、その法案でどういうふうになっているのかというところですけれども、今国会で出てきますので。
ただ、これが、やはりいろいろなところでその貯留層をしっかりと見つけていって、そこにどんどんどんどん貯留をしていくということは、これは海外でも間違いなく求められる技術でありますし、私は、これはやはり世界に売っていくものだというふうに思っています。
これは、私は、個人的には、石炭火力とセットにして、世界の潮流はやはりまだ石炭なんですよ、だから、やはり石炭火力とセットにして、これをどんどんどんどん売り込んでいく。日本のUSC若しくはIGCC、IGFCという石炭火力の最高の技術があります。そういったものを、中国の石炭火力、例えばアメリカの石炭火力、様々なところの石炭火力で日本の技術を導入していただければ、一気にCO2も下がるわけで、貯留の技術もどんどんどんどん売っていく。これは、私は、日本の成長に確実に帰すると思っておりますので、是非進めていただきたいなというふうに思います。
最後に、先ほど小野議員もおっしゃっていたガソリンの補助金についてちょっと触れさせていただきますが、やはり所信には、ガソリンの補助金については今回全く触れていないんですよ、触れていない。というのと、もう一つは、物価高対策という言葉も実は見当たらないんです、今回の所信には。
出口戦略の話はもう出ましたので、あえてそれは聞きませんが、こうなってくると、やはり計画にないものをやっていこうとする、また延長が決まったみたいなニュースもこの間出ておりましたけれども。やはりそうなると、出口戦略をこうやって、先ほど大臣の苦しい胸のうちは伺いました、だけれども、一方で、ではもう暫定税を廃止する話もやはりもう一回きちっとしなければいけないんじゃないのと私は思うんです、それは。
だって、はっきり言って、例えばどういうふうにしていいのか分からないというような状況の中で、トリガーとかそんなことはもうどうでもいいんです、私は、暫定税の廃止を、やはり議論はきちっとしなければならないと思っておりますけれども、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/55
-
056・岡本三成
○岡本委員長 資源エネルギー庁松山次長、申合せの時間が経過しておりますので、御協力お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/56
-
057・松山泰浩
○松山政府参考人 お答え申し上げます。
現在続いておりますこの燃油高騰の状況に対する対応策、現在、補助金という形で取組を進めてございます。
国際的なエネルギーをめぐる状況、経済の状況等を踏まえながら対応しているわけでございますが、その際に、税制ということでやることについては、明確でできるということで、やはり安定性がある一方で、機動性に欠けるという面もございますし、実務におけることも考えなければならない。一方で、補助金という対応になりますと、これはずるずるいってしまうんじゃないかという御指摘はありますけれども、一方で、柔軟性、状況に応じた対応策もできてくる。
これは、全体的に見れば、温暖化対策をどう考えていくかということもありますので、全体としてどういう対応策を進めていくべきか、状況をよく注視しながら慎重に検討していきたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/57
-
058・山本剛正
○山本(剛)委員 時間が来ましたので。
ただ、市場原理をゆがめますからね、余り長くやると。だから、そこだけは認識をしていただきたいと思います。
終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/58
-
059・岡本三成
○岡本委員長 次に、市村浩一郎さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/59
-
060・市村浩一郎
○市村委員 日本維新の会、市村でございます。よろしくお願いします。
まず、大臣、所信で、サイバーセキュリティー強化に取り組むとありますが、何のために取り組むんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/60
-
061・齋藤健
○齋藤(健)国務大臣 突然の御質問なので、整理された答弁ができるか分かりませんけれども、いずれにしても、企業秘密が漏えいをする危険もあるし、それから、あるいは公共的な施設についてのシステムに障害が出るかもしれないし、一言で言えば、経済活動や国民生活に多大なる影響を与えかねない脅威なんじゃないかなと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/61
-
062・市村浩一郎
○市村委員 突然済みません。今、産業の機密を守るということでありましたが、言えば情報を守るということだと思うんですね。だから、防衛、外交、産業に関わる機密情報を守るということが一番重要なことだと思うんです。
では、サイバーセキュリティー強化で本当にそれを守れるんですかということを実は先日も予算委員会で総理にお尋ねをしたところでありますが、大臣はどう思われますか。守り切れるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/62
-
063・上村昌博
○上村政府参考人 もちろん、一〇〇%完全に守れるというものはこの世になかなか存在しないんですが、ただ、現状のデジタルのDXの度合い、そしてそれに対するセキュリティー防御、これもお互い守ることの具体的な策を共有しながら進めてきておりますので、そのレベルで最高の、その時点時点で検証された最大限守れるものをしっかり取り組んでくる、これは政府あるいは重要インフラ等においての共通的なものかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/63
-
064・市村浩一郎
○市村委員 だから、現時点でやれることはやろうということなんですが、しかし、これはこの間の予算委員会でも私は総理と議論させていただきましたが、実は、世界では、もうこのサイバー空間はゼロセキュリティーである、ノーセキュリティーであるというのが常識なんです。
それで、企業の方も、もはやサイバーセキュリティーというのは関心が薄いんですね。アンケートを取ると関心が薄くて、むしろ、今現状に起こっている情報の盗取、取られること、あとは成り済ましとか改ざんとか、そっちの方がよっぽど関心が高い。つまり、サイバー空間はもうゼロトラストなんだということを前提にして、どうやったら成り済ましとか改ざんとかを防げるかということが一番の関心になっている状況の中で、日本は、サイバーセキュリティーじゃなくて、もっと上位概念である情報セキュリティーという発想で物事をやらなくちゃいけないというふうに私は議論をずっとさせていただいているんですが、一向に、サイバーセキュリティー、サイバーセキュリティーとおっしゃっているので、大丈夫かな、このように思っているんですが、大臣、どう思われますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/64
-
065・上村昌博
○上村政府参考人 歴史的には、情報セキュリティーからサイバーセキュリティーを、サイバーセキュリティ基本法も含めて、これはすなわち、デジタルがもう神経網のように経済社会に行き渡っておりますので、情報を守る、ただそれだけでは、例えば事業停止につながるような話については難しいので、ここはよりサイバーという形で、情報も含めてしっかり守っていくということかと思ってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/65
-
066・齋藤健
○齋藤(健)国務大臣 御指摘のとおり、機微技術情報を含めて、重要な情報を保護するということは、私は、サイバーセキュリティー対策の主眼の一つなんだろうと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/66
-
067・市村浩一郎
○市村委員 ですので、今、セキュリティークリアランス法案、多分、経産委員会で今度議論されると思うんですが、そのときにもまた議論したいんですが、要するに、情報を守るということが主眼なはずなんですね。
しかも、例えば、私がどこかのコンビニで缶ビールを一本買った情報なんて守らなくていいわけです。やはり守るべきは、いわゆる防衛機密、外交機密とか産業機密とか、要するに、守るべき情報は何かをしっかりと考えて、それを必ず守らなくちゃいけないということが大切だと思うんですね。そのために、サイバー空間を昨今は通していますから、やはりアベーラビリティー、すぐに情報を取れないといけないんですね。
一番いいのは、いいのかどうか分かりませんが、要するに、そんなサイバー空間を通さずに、情報を抱えたまま持っていって、その後相対で渡した方が、それはいいのかもしれません。しかし、それも、いろいろな人が途中でいろいろそれを盗もうとしたりするまでになるわけですから。特に、時間もかかる。
ならば、特にミサイル発射とか弾道ミサイル発射とか、すぐに計算して飛ばさないかぬのですけれども、その間に妨害が入ったらどうするのかという話なわけです。これは、コンマ〇〇〇〇何秒の世界でそれをやらなくちゃいけない世界にもうなっているんですね。
そのときに、サイバー空間を守るという話じゃなくて、とにかく送っている情報が絶対に改ざんされない、コンマ〇〇何秒の世界で改ざんをされないような戦いにももうなっているわけでありまして、だから、そうなると、やはり情報セキュリティー、つまり、何を守るんだということをまず考えてから、じゃ、それをサイバー空間を通す際に絶対守るためには何が必要かということをやはり議論すべきだと私は思うんですが、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/67
-
068・齋藤健
○齋藤(健)国務大臣 基本的に大変重要な視点だと私も思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/68
-
069・市村浩一郎
○市村委員 ですよね。そうすると、これは予算委員会でも申し上げましたけれども、やはり必要なのは完全暗号なんです。今でも暗号技術で情報を守っているんですが、今、量子コンピューターが出てくる世界の前であれば、まだ何とか守り切れる状況にはある。それをさっき上村審議官もおっしゃったんだと思います、現状ではまだいける。
しかし、これは耐量子という世界になります。耐というのは、耐えるという意味ですね、対するじゃなくて、耐える量子の世界。耐量子の世界になってくると、これはこの間も申し上げましたが、今、例えば、日本で一番速いスーパーコンピューターは「富岳」ですけれども、「富岳」で一兆年かかる計算を量子コンピューターだと〇・〇〇〇〇三一五秒で解くんです。一兆年かかる計算を〇・〇〇〇〇三一五秒で解くんですね。そうすると、もはや今の暗号化技術は通用しないと言われているんです。今の暗号化技術は、多分、何万桁の素数を恐らく使っているんだと思いますが、なかなかこれは通用しない。
しかも、量子コンピューターが汎用化されるのはもっと先かと思っていたら、ひょっとしたら十年後にはもうなっているかもしれない、ある程度初期的な汎用量子コンピューターが使われている可能性があるということになるんです。そうすると、もはや無理なんだと。
しかも、量子コンピューターの状況になって慌てていろいろなシステムを変えようとしても、それは、金融システムからいろいろなシステムを変えようとすると、今でもそれこそサイバーセキュリティーといってできていないのに、今、何万件ものサイバーアタック、攻撃を受けている状況なのにもかかわらず、またこれをほっておいて、量子コンピューターになったら、もう無理ですよ。
しかも、それに対応しようと思ったら十年かかるとかいう話になる。しかも、そのときには日本の技術じゃなくて、先ほどから議論されているように、海外の技術を使わなくちゃいけないということになったときに、じゃ、海外の技術を使うと、それもいろいろバックドア問題とか言われています、今。結局、メーカーがそういうのを仕込んでおいて情報を取れるようにしておくとか言われているわけです。
だから、やはり国産で、我々日本がこれからどうやって発展していくかと考えたときに、やはり情報を守るというのは、もう最低限やらなくちゃいけないことだと思うんですね。
そのときに、守り切れないと言われているわけでありまして、じゃ、守るためには完全暗号が必要なんだ、しかも、今、その完全暗号を日本で日本人ができた、二〇〇五年に完成させたと言われているので、しかし、これは、本当にそれがそうなのかということ、私はそれを判ずる力は持っていませんから、いわゆるCRYPTRECで、暗号技術の検討会が、経産省さん、総務省さん、デジタル庁さん、三省庁が共同して今あると聞いておりますから、早期にCRYPTRECで検討していただきたい、これが本物かどうか検討していただいて、本物であれば、この完全暗号をしっかりと使って、守るべき情報を守るという流れをつくらなくちゃいけないと思うんですが、大臣、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/69
-
070・齋藤健
○齋藤(健)国務大臣 政府の暗号技術検討会、CRYPTRECでは、政府のセキュリティー確保のために活用が推奨される暗号技術の選定を行っています。この選定は、暗号技術も様々なものがある中で、安全性や製品、システムでの実装及び国際標準への適合や利用実績等の観点から見て極めて高い水準を超えたものであるかを確認した上で、そこから先に行われるということになっています。
この確認を行うためには、大前提として、暗号技術評価に実績のある専門家により内容を確認された論文など、実態を正確に把握するための客観的な資料等が存在していて、それが広く一般に公開されているということが前提として求められるんだというふうに私は聞いております。
御指摘の完全暗号については、ちょっと私、特定できていないのであれなんですが、そういうものがあるのであれば、こうした客観的な資料の存在が確認できていれば検討に入ることができるし、確認できていなければ検討に入ることができないというのが今の運用だというふうに聞いています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/70
-
071・市村浩一郎
○市村委員 もちろん、論文等々もあるはずなんです、あるんです。ただ、これはまさに事が暗号技術の話だけに、非常に秘匿性が高いというか機密性が、それこそその情報自体が機密性が高いものであるので、だから、公開の場というよりも、やはりこれは閉じた、クローズの場で本当はやるべきことだと思います。何でもかんでも、それこそ公開の場でやればいいというものじゃないわけでありまして、事がまさにこういう機密情報だけに、まさに最高の機密情報だと思います。
だから、そこはやはりCRYPTRECの方でもしっかりその辺を考えていただいて、個別に呼んでいただくとかということで、公開の場で何か、さあ、どんな技術なんだ、言えといっても、それはなかなか言えるものじゃないと思いますし、そんなばかなことはされないとは思いますので、是非ともCRYPTRECの方で早期にこれを検討していただきたいと思いますが、最後にちょっと、この件に関して、じゃ、一言だけ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/71
-
072・上村昌博
○上村政府参考人 実は、ただ、暗号というのは、根本的には数学的な原理でございまして、正直一〇〇%安全なのはないというのがもう科学的にも言われ、したがって、だからこそ英知を結集して常に検証しながら、ある暗号がこの瞬間はよくても常にそれが危殆化、すなわち危なくないかをチェックする、いろいろな目で見る。だから、一般的には、広く公開された情報できちんと検証するのが国際的な形になっております。そこは御理解を賜れればと思ってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/72
-
073・市村浩一郎
○市村委員 今のお話は一つの見識なんですが、これは、この完全暗号は情報理論的安全性なんです。だから、ちょっと違うんです、はっきり言って、今の話とは。だから、そういうところを含めてしっかりと議論してほしいと私は申し上げているわけでありまして、だから、その数学的な発想ではないところの発想、情報理論的発想というところでありますから、そこも含めてしっかりと検討していただきたいと思います。
いいです、もういいです。ちょっと時間もないので、これは是非とも早くCRYPTRECでよろしくお願いいたします。
それで次に、電気自動車について、所信にも述べられていますが、大臣、これは本気で政府としては推進するんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/73
-
074・齋藤健
○齋藤(健)国務大臣 まず、世界各国の動きを見てみますと、EU始め米国、中国も、大きな政策の方向性としてEVの導入の推進というもの、これは、いろいろな見直しの動きがあっても、方向としては進んでいくんだろうと思います。
我が国は、基本的に、EVだけではなくて、EV、合成燃料、水素など多様な選択肢を追求をしていくというのが基本方針なんですけれども、今後市場が拡大するEVでも勝つ、そういう方針で取り組んでいきたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/74
-
075・市村浩一郎
○市村委員 そうですね。今まさにEVでもと大臣がおっしゃったところが大切なんだと思います。
ですから、本来であれば、日本の場合は電動自動車を普及させるという表現にした方が正確ではないかと思いますし、皆さんもまた分かりやすいと思うんですね。では、電動自動車になるのかという場合、政府の方は、EV、プラグインハイブリッド、それから燃料電池車ですか、ハイブリッド車はもう入っていないということでありまして、今この三つだというふうにお伺いしています。
その中でも、電動自動車となってきますと、やはり充電ということが重要なことになってきます。そうすると、充電ステーションですよね。さっき、ガソリンステーションの議論を小野さんがやっていただいておりました。今後、電動自動車が普及するとなると、プラグインハイブリッドはまた違うし、燃料電池車もまた違う発想ですが、EVでもということになると、やはり充電ステーションが必要ということになってまいります。
実は私も、二〇一〇年代の、当時民主党政権の頃、政権与党でしたが、その頃、二〇一五年にもなると、もうEV、電気自動車元年だみたいな話で、二〇一五年を目指して、電気自動車元年だと言って、当時も、何か充電ステーションをもっと補助金を出してどんどん造れというような話があったんですが、何となくその話はしおれてしまったということの中で、今、その当時できた充電ステーションも、余り使われないとか放置されている、旧型ですから、余り充電速度も速くないとかということで放置されてきたということがある。
ここまた数年、電気自動車と盛り上がっていたような印象もあったんですが、例えば、ヨーロッパとかは二〇三〇年までに全部電気自動車にすると言っていたのが、最近は何か二〇三五年になるとか、しかも、日本と同じように電動自動車とかいう話もなくはないかなと思っていまして。
だから、冒頭に本気でやるのかとお聞きしたのは、そういう世界の潮流もある中で、本当に電気自動車だけで突っ込んでいいとは私も思わないし、政府も思っていないということを確認する意味でお聞きしたんですね。でも、電気自動車にもある意味で張っておかないと、いやいや日本は電気自動車は絶対ない、そういっておきながら、結局、やはり周りが電気自動車になってきたときには、もう慌てても遅い。さっきの情報セキュリティーと同じように、慌てても遅いということになってしまいますから、電気自動車にも張るということでやる。そうすると充電ステーションが必要だということになってきますが、これはどんな感じで今普及が進んでいるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/75
-
076・橋本真吾
○橋本政府参考人 委員御指摘のとおり、電動車の普及には充電インフラの整備が不可欠と認識しておりまして、昨年十月に二〇三〇年の目標をこれまでの倍となる三十万口に改めたところでございまして、この目標の下、充電インフラを大幅に増加させていく方針でありまして、経産省といたしましては、充電インフラ整備への補助金の予算を、前年度と比較して倍増となる約三百六十億円を計上いたしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/76
-
077・市村浩一郎
○市村委員 それで、ちょっと友人と話をしていて、彼はテスラに乗っているんですね。テスラに乗っていたら、とてもいいと。日本のいわゆる充電方式、チャデモ方式というんですけれども、これは、十数年前にチャデモという話を聞いていて、面白いなと。これは、茶でも飲んでいる間に充電するという意味。もちろん、頭文字を取ってチャデモみたいなことになっているんですが、たまたまチャデモになったので、茶でも飲んでいる間にということで充電できるという意味だったんですが、このチャデモ方式が、テスラは何か独自の充電方式らしくて、高電圧を使ってやっているということですごく速いということなんですね。けれども、日本のチャデモは遅いと。
それを、ちょっとこの間、この質問がありましたからお聞きしていたら、結局、いわゆる電圧の違いであるということなんですね。日本は高電圧を契約すると基本料金が高いので、だから、なるべく低電圧で、事業者の方も、電気自動車がまだ普及していないですから、だから充電を余りそんなに使ってもらえないので、利益を取るためには高電圧契約をやめておこうということで、低電圧で契約するということが一つの原因になっているというふうにお聞きしたんですね。
ならば、普及させるためには、そういう高電圧の、いわば急速充電ステーションをやはり造っていく。そのためには補助金として、高電圧契約にも補助を出すとか、補助金がいいのかどうか分かりませんが、何かそこも考えていかないと、結局、日本の電気自動車は充電がやはり遅いね、テスラに乗っている人からすると遅いねということになる。ということは、結局、テスラも今はすごく、去年は減収、四四%ぐらい何か売上げが落ちたというふうに聞いていますし、だから本当に電気自動車は大丈夫かということになるわけでありますが、その点、どうですか。ちょっとお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/77
-
078・橋本真吾
○橋本政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、充電器の設置に補助金を措置しているところでございますけれども、私どもといたしましても、高出力の充電器の普及は必要だと考えておりまして、そういったものに対して補助率等を上乗せして普及を支援しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/78
-
079・市村浩一郎
○市村委員 EVでも頑張るということであれば、是非とも、やはり総体的に、総合的に考えないと、充電ステーションを造れば何とかなるという発想では絶対おかしくて、その周辺も含めて、本当に急速充電で、やはり電気自動車を買った方が利便性が高いな、いいなと思っていただかないといけないと思います。
ただ、これは本当に、今日はちょっと時間がないのでもうやりませんが、またやらせていただきたいんですが、あとは電気自動車が本当にエコなのか、これも本当に大変大切な観点だと思いますが、この間のここの議論で、自民党の小林さんだったかな、議論されたときに、一応ライフサイクルで見ると、ガソリン車よりも電気自動車がいいという話を聞いていますので、今日はここでとどめます。
それから、あとは蓄電池の問題があるんですね。今はリチウムイオン電池ですけれども、これから全固体電池が普及すると、それこそ一回の充電で千二百キロぐらい走るというふうに言われていますが、これについてはどう今考えていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/79
-
080・橋本真吾
○橋本政府参考人 委員御指摘のとおり、全固体電池というのは、従前の電池と比較いたしまして、小型化、航続距離の延長などが可能であり、将来のゲームチェンジにつながる技術と言われておりまして、今後のEVでの競争確保に向けて大変重要と認識しております。
我が国の自動車メーカーもその開発を加速させておりまして、例えば、トヨタは二〇二七年以降、日産は二〇二八年度の実用化を目指すなど、実用化を一生懸命目指しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/80
-
081・市村浩一郎
○市村委員 それと、今、燃料ということなんですが、これから水素社会を目指すということもあって、その水素なんですけれども、この間、何かネットニュースを見ていましたら、天然水素ガスというものが、どうも我々の地球の地下には、日本の下にも眠っているのかどうかは別として、天然水素ガスが結構眠っているということなんですが、それと併せて、最近、CO2から石油を作るということで、さっきカーボンニュートラルの話もありましたけれども、CO2から石油を作れるんだ、これはドリーム燃料と言っているらしいんですけれども、こういう発想もある。
私はこういうのを、今度、グリーンイノベーション基金とか、あと、経産省さんもさっき、二十兆の何かグリーン対策がある、国債というか債券を発行しているということですから、こういう将来使えそうな技術にもやはりこういう基金とか債券からつくられた基金を使ってやるべきだと思いますが、いかがでしょうか。お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/81
-
082・井上博雄
○井上(博)政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の、まず天然水素の件でございますけれども、こちらは独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構でも調査を行っておりまして、御指摘の点は、日本も含めまして、世界の複数地域で観測事例の報告があると承知しております。
ただ、先生も御認識のとおり、現時点では、その生成とか貯留プロセスの解明はまだ研究段階でございまして、埋蔵量の算出も正確には困難であるといったような状況でございます。
今後、民間事業者の関心等も踏まえながら、経済的に利用可能な資源や技術があるのか、調査を行ってまいりたいと考えております。
また、ドリーム燃料についての御質問もございましたけれども、これにつきまして、専門家におきましても、その製造原理や品質等において、まだ残念ながら定まった評価がないと。
政府としては、現状では、先ほども御指摘いただいたような方針で、e―フュエルに対して、グリーンイノベーション基金等により支援を行っており、まずはこういったものにちゃんと注力していきたい、かように考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/82
-
083・市村浩一郎
○市村委員 将来の産業の種ということにもなると思いますので、是非とも、せっかくの基金ですから、活用していただきたいと思います。
最後に、私も、この経産委員会でも、再生エネルギーに関して、洋上エネルギーファームの話もしてきました。やはり洋上風力というだけではなくて、洋上というのは、風も一定の流れがありますから風力には適しているんですけれども、巨大なのを一個造るというのは、私はうまくいかないと思います。せっかく、洋上ですけれども、太陽光だって使えますし、海の上だと、波力、潮力、それから海洋温度差とか、いろいろなものを使えるわけですよね。ですから、是非とも洋上エネルギーファームという発想で、洋上風力という狭い発想、小さな発想ではなくて、洋上にエネルギーファームを造るんだと。それは、例えば、そこで作った電気で水を分解して水素を生み出して、それを電気船で運んでくるとか、そういう形で、水素社会の一つの水素供給源に私はすべきだ、このように思っていますが、ここ、最後に、大臣はどう思われるか、ちょっと。あっ、では一言、先に。大臣は最後に一言お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/83
-
084・井上博雄
○井上(博)政府参考人 済みません、お答え申し上げます。
洋上風力、太陽光、潮力発電等を集積した御指摘の洋上エネルギーファームというのは、今後の可能性としては考えられると思いますけれども、それぞれの要素について、現在、技術課題をどういう形で解決していくのか検討しているところでございまして、こうした検証をしっかり進めていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/84
-
085・齋藤健
○齋藤(健)国務大臣 今の答弁と同じになってしまうんですけれども、可能性としてはあり得るということでありますので、技術課題、どのくらいハードな技術課題なのかというのをしっかり見極めながら考えていく課題だろうというふうに思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/85
-
086・市村浩一郎
○市村委員 終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/86
-
087・岡本三成
○岡本委員長 次に、笠井亮さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/87
-
088・笠井亮
○笠井委員 日本共産党の笠井亮です。
まず、能登半島地震の影響を受けた中小企業支援に関して伺います。
齋藤大臣は、三月八日の所信で、「更なる支援策の具体化を進め、なりわいの再建に全力を尽くしてまいります。」こう述べられました。発災から二か月半がたちますが、輪島市の被災事業者からも、住居や店舗が全壊や半壊で避難所に避難している、復旧のめどが立っていないという声が上がっており、復旧復興は、まだ緒についた、ついていないという段階にあると思います。
そこで、大臣、被害事業者に寄り添って更なる支援策の具体化を進める、こういうことでよろしいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/88
-
089・齋藤健
○齋藤(健)国務大臣 発災から二か月が経過をして各地のインフラ復旧が進みつつある中で、中小企業の支援策、現場で具体的に動き始めてきているんだろうというふうに、そういう段階だと思っています。
小規模事業者持続化補助金、これは、一月下旬に開始をして、一次公募を終えましたが、二百件余り出てきているということもあります。それから、なりわい補助金につきましても、一次公募を終えて、四月から第二次の公募に向けて準備中ということで、これも実績が出てきています。それから、輪島塗関係の仮設工房も四月中にはオープンするということで、支援策を具体化して、なりわいの再建を果たすべく努力をしているところであります。
これからも、例えば地震の被害が大きくてコロナ債務が事業再建の足かせとなる被災事業者向けに、コロナ融資等の既往債務に係る債権買取り等のスキームを検討したり、これは本年度内に百億円規模を目途にファンドを組成すべく調整を進めていますし、また、国、県が連携して各地で行っている説明会も一巡しました。
そういった事業者からの声も丁寧に伺って、支援施策の申請に向けて、より具体的なものになってきているなという印象を受けております。
いずれにしても、これからも全国の商工会、商工会議所の経営指導員や専門家による被災地への応援派遣を行います。関係省庁、機関、自治体の様々な支援策も活用しながら、引き続き、きめ細かく寄り添った支援、これを進めていくとともに、被災事業者の実態に応じた支援策というものをしっかりと検討していきたいというふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/89
-
090・笠井亮
○笠井委員 パッケージということも出されていますが、そこに盛り込まれた施設等の復旧を支援するなりわい再建支援補助金でありますけれども、石川県では五億円まで、富山、福井、新潟県では一億円まで、その中で定額補助するとしております。
そこで、中小企業庁に伺います。
この定額補助を受けるための要件、五点あると思うんですが、端的に紹介していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/90
-
091・松浦哲哉
○松浦政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のなりわい補助金につきましては、被災地域の復旧復興の促進に向けて、被災中小・小規模事業者の事業に不可欠な施設設備の復旧を支援するものであります。
今般の能登半島地震の被災地におかれましては、令和四年八月の大雨災害や令和五年の奥能登地震など、過去数年以内に発生した災害でも被災され、今なおその影響を受けておられる中小企業の方々が多くあるものと認識しております。
なりわい補助金につきましては、こうした多重被災事業者の方々について、今なおその影響を受けていることに対する要件として、売上げが一定以上減少していること、また、復旧事業に要した債務を抱えていることなどを満たす場合に、一定額までは自己負担のない定額補助を行うこととさせていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/91
-
092・笠井亮
○笠井委員 具体的には五つ要件が示されていて、今その中でのことを端的に言われたと思うんですけれども、その五つを全てクリアしないと定額補助というのは得られないということになりますが、その要件全てを満たす事業者というのは何者あるというふうに考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/92
-
093・松浦哲哉
○松浦政府参考人 お答え申し上げます。
今委員御指摘のあった、五つの要件を全て満たしている事業者の数については、足下においては把握できておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/93
-
094・笠井亮
○笠井委員 齋藤大臣、過去に災害があった多重被災事業者ということが条件のまず冒頭にあるということですが、そうでないといけないというふうになりますと、それだけでも間口が狭過ぎないかということになってまいります。
この五つの要件をクリアできなければ四分の三の補助率にとどまって、四分の一は自己負担又は借り入れて調達するしかない。無理だという声が実際に上がっているわけですね。
大臣、本当にこれで被災事業者を助けるという立場に立ってやられるということになるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/94
-
095・齋藤健
○齋藤(健)国務大臣 まず考え方として、今回の能登半島地震の被災地においては、今回の震災だけではなくて、令和四年八月の大雨災害ですとか令和五年奥能登地震など、過去数年以内に発生した災害で被災して、今なおその影響を受け続けている中小企業が多くあると認識しています。したがって、今回のなりわい補助金では、こうした能登半島地震の被災地において、過去こういった災害を受けて特に厳しい状況に置かれているということで、この多重被災事業者への特別の措置として定額の補助をする、これが基本的な考え方であります。
したがって、こういった多重被災事業者でない被災事業者への支援については、補助金だけでなくて、日本政策金融公庫による特別貸付けですとか災害関係保証などの金融支援も併せて講じるということにさせていただいております。
我々としては、引き続き、関係省庁、機関、自治体の様々な施策とも連携をしながら、具体的にどういった支援ができるか、こういった点に万全を期してまいりたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/95
-
096・笠井亮
○笠井委員 多重被災をされた事業者は、本当に大変だと思うんです。ただ、同時に、今回だけでももう壊滅的な被害を受けたという事業者もいらっしゃる。そして、融資ということもあるんだとおっしゃったんだけれども、この地震被害に加えて、コロナとか物価高騰などで多くの事業者が疲弊しているという中で、これ以上新たな融資を受けるのは困難ということがたくさんあるわけですよね。だから、業者が求めているのは、実際にやはり事業を再開できるということでの支援だと。
岸田総理は、施政方針演説で、異例の措置でもためらわず実行するということを明言されました。私、これは非常に大事なことで、印象に残っておりますけれども、ならば、従来並みの支援にとどまらず、異例の措置をちゅうちょなく実行すべきだ。
今回の地震で被災しただけでも大変だという方はたくさんいらっしゃるわけですから、多重被災などで線引きするんじゃなくて定額補助を行うとか、それから補助率も、従来と同率の四分の三ではなくて全額補助するということで、なぜそこまで異例の措置ということで踏み込めないのかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/96
-
097・齋藤健
○齋藤(健)国務大臣 全額、定額補助、これが一番理想的なんだろう、被災された方から見ればそうなんだろうと思います、私も。ですが、そこまでいかなくても、いろいろな制度を組み合わせることによってなりわいの再建が可能であるということも、また、私はあり得るんだろうと思っていますので、その道を追求をするというのが今の姿勢であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/97
-
098・笠井亮
○笠井委員 これは、冒頭、大臣も、事業者の実態に即したということをおっしゃったので、そこは是非踏み込むということで検討していただきたいと思うんですが。
もう一点、なりわい再建支援補助金は、グループ補助金がありました、これの教訓を踏まえて、建物、設備を元に戻すだけではないというのが特徴ということで、更に踏み込んだことになっているとされますけれども、経営の立て直しに向けて、製造ラインの拡大や新たな設備の導入、別業種への展開なども認められる、ただ、一定期間内の売却、取壊しなどの財産処分ということで、どうしてもそういうことになった場合は、グループ補助金と同様の一部返還が求められるということになっています。
これはNHKでも、おととい、朝のニュースでもかなり大きく取り上げていましたが、やはり、先を見越した再建計画が必要になるわけですけれども、被災直後の事業者に、経営環境の変化を見越した再建計画を立てろ、これはなかなか酷な話で、そういう状況の中で、まさにこの点でも、被災した事業者の実態に即して柔軟な制度運用が必要ではないかと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/98
-
099・齋藤健
○齋藤(健)国務大臣 まず、なりわい補助金は、当然、補助金ですので、補助金等適正化法に基づいて執行をするということになりますので、他の補助金と同様に、例えば当該補助金で取得した財産を処分する場合には、原則として、必要な金額を国庫納付することが求められるわけでありますが、他方、当該事業を、いろいろ計画する中で、第三者に譲渡をしたり継続をしたりする場合もあろうかと思います。その場合はもう国庫納付を求めていないということであります。
そして、更に言えば、そういった場合以外で国庫納付を必要とする場合にも、一定の要件の下では、例えば簿価ではなく譲渡価格に補助率を乗じた額とするなど、厳しい経営状況を踏まえることが可能な形で負担軽減を講じているということであります。
被災事業者の状況は様々であると承知しておりますので、引き続き、事業の実施主体である各県ともよく連携して状況を丁寧に把握するとともに、個別の状況に応じてできる限りきめ細かく対応していきたいとは思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/99
-
100・笠井亮
○笠井委員 一定期間内にということでの売却、取壊しということでいうと、東日本大震災のときには、やはりあのときにまだコロナというようなことが起こるということが想定されなかったような状況で、だけれども、起こったので、こんなことになったので、しようがないなと思って、もう事業そのものをどうするかということになる方もいらっしゃったわけです。
今最後に大臣が言われた点、大事だと思いますので、やはり、異例の措置をちゅうちょなくという総理の立場、そして大臣が、被災した事業者の実態に即した柔軟な制度の運用ということですから、それは是非是非やっていただきたいと強く求めたいと思います。
そこで、昨年十一月二十日に財政制度等審議会が令和六年度予算の編成等に関する建議というのを出しました。そこでは、今後の中小企業対策は、企業、産業の新陳代謝を促すものとしていくべき、中小企業向けの補助金は、労働生産性の向上の政策目標に照らして効果が明らかでないものは廃止を含めて大胆に見直しということで提言をしました。
こういう考え方でいきますと、今回のような能登半島地震の被災事業者というのは救えるのか、救えないんじゃないかと私は思うんですけれども、大臣もこの建議の提言と同じ考えということを持っていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/100
-
101・齋藤健
○齋藤(健)国務大臣 私は、中小企業は、企業数全体の九九・七%、御案内のように、従業者数で七割、付加価値で五割を占めておりまして、日本産業を支える重要な存在であり、ここが崩れたら大変なことになるなというように思っています。
御指摘の建議では、中小企業対策費はコロナ対応で未曽有の水準まで増加したが、五類移行を踏まえ正常化する必要があること、あるいは、経営上の問題が需要の停滞から原材料の仕入れ単価の上昇等に変化をしてきているということに伴って、これに対応し、効果的な措置に移行していくこと等が指摘されているんだろうと思います。
急激な環境変化に対応するための資金繰り対策、コスト増に対応する価格転嫁対策を通じて中小企業、小規模事業者の経営を支えつつも、経営者自らが状況を打開し転換を図るべく、成長を後押しする施策、これを展開していくことが重要だと考えています。
このため、新型コロナが収束するに伴い、臨時異例の措置であった給付金等を終了するとともに、同時に、小規模事業者の新たな販路開拓ですとか、人手不足に対応した省力化投資、あるいは、IT導入や新商品、サービスの開発等による生産性向上、事業承継やMアンドAの推進による経営の革新などの成長支援を行っているところでありますので、こういったことはしっかりとやっていきたいと思っています。
商工会、商工会議所とも連携して、地域の中小企業、小規模事業者に寄り添った支援を行うとともに、構造改革を進め、持続的賃上げを実現し、日本経済の足腰を強化してまいる、建議もありますけれども、こういう考え方で推進していきたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/101
-
102・笠井亮
○笠井委員 建議を出した審議会長は経団連の十倉会長でありますが、結局、災害ということがあって、それに便乗して新陳代謝を進めて、成長意欲のある中小企業、大企業に役に立つ中小企業だけを残そうとしているということになると、それはとんでもない話なので、そういうことであってはならないと強く申し上げたいと思います。
では、大企業への支援ということではどうかということを見ていきたいと思うんですが、経産省が設置した特定半導体基金は、二〇二一年当初、TSMCに四千億円と言っておりましたけれども、現在、特定半導体生産施設整備等計画に認定されている企業があります。その企業名と、最大助成額と、その合計は幾らになっているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/102
-
103・野原諭
○野原政府参考人 お答え申し上げます。
5G促進法に基づきます特定半導体生産施設整備等計画でございますが、三つの申請主体があります。TSMCとJASM、それから二つ目はキオクシアとその関連会社、三つ目がマイクロンでございます。この三つの主体による計画を二回ずつ認定をしております。
その最大助成額でございますが、最初のTSMCとJASMでございますが、二回分の最大助成額の合計が一兆二千八十億円。二つ目のグループが、キオクシア及びキオクシアとウエスタンデジタル社の合弁会社でございますが、これは二回の計画認定の最大助成額の合計が二千四百二十九億円。三つ目のグループ、マイクロンメモリジャパン株式会社及びアメリカのマイクロンテクノロジー社に対して、二回の最大助成額の合計が二千百三十五億円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/103
-
104・笠井亮
○笠井委員 今、数を言われました。合わせると、三つの企業体でいうと、合計で一兆六千六百四十四億円ですかね。そういうことになりますが、その中でも、TSMC、JASMだけでも、今答弁がありました一兆二千八十億円ということになります。
大臣、特定企業の工場にこれだけ巨額の国費投入を過去に行ったという事例はありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/104
-
105・齋藤健
○齋藤(健)国務大臣 経済産業省における補助金事業について、遡れる範囲、補助金に関する文書保存期間は五年間なんですけれども、その範囲で確認したところ、基金事業や間接補助事業の執行団体に対するものを除けば、一社に対して兆円規模の補助金を措置した事業はほかにないものと承知をしています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/105
-
106・笠井亮
○笠井委員 ほかにないということでありますが、まさに、設備投資とか研究開発への補助金等で競争を活性化させる、そんなやり方を歴代自民党政権がやってきて、この分野でも、世界から劣後した結果となっているのが現実なのに、そこにまた投入する。
じゃ、伺いますけれども、半導体の安定確保というのは、半導体メーカーとともに、やはり、電機や自動車などのユーザー大企業の努力が求められると思います。国内生産拠点づくりについて、大臣御自身が、電機や自動車大企業などユーザー企業に対して、この点でも努力するようにということで要請されたことはありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/106
-
107・齋藤健
○齋藤(健)国務大臣 まず、経済産業省としては、日頃から、半導体の安定供給等に向けて、ユーザー企業を含めた様々な企業との意見交換は行っています。
私自身が、ユーザー企業に対して、御質問の、半導体の国内生産拠点づくりに向けた自助努力をピンポイントで直接要請をしたということはありません。
一方、様々な関係者と意見交換を行う中で、ユーザー企業において、先端半導体確保について、経済安全保障の観点から極めて関心が高いということは感じています。TSMCの熊本工場で生産を担うJASMやラピダスに対して複数のユーザー企業が出資を行っているのは、その証左ではないかなというふうに感じています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/107
-
108・笠井亮
○笠井委員 経済安全保障ということを言われましたが、それを名目にして、特定の企業、しかも資金が潤沢な大企業に巨額の資金を投入するというのは、やはり私は公正であるべき経済政策をゆがめるものだと思います。
電機や自動車に不可欠な半導体というのが各国で不足が問題になっている、これは事実だ。政府は、それに対して、国内生産の必要性を強調している。しかし、半導体の確保と安定的な供給というのは、ユーザー企業などがやはり責任を負うべき問題である。しかも、そこに、言われたみたいに、出資しているということもあったりするわけですし、電機、自動車大企業は数十兆円もの内部留保を抱えて十分な資金を持っているわけですから、ある意味、効果がまだ分からない不透明な点が多い巨額補助金というのは国民の理解を得られないということになると思います。
そこで、更に経産省に伺います。
米国の半導体生産支援インセンティブのプログラムで一億五千万ドル超の直接支援援助を得た者が、あらかじめ想定、提出した収益を大幅に超えた場合には、どうすることになっていますか。また、EUは、マイクロエレクトロニクスと通信技術に関するIPCEIという補助金がありますが、これを受けて大きな収益を上げた企業については、どうするというふうに対処することになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/108
-
109・野原諭
○野原政府参考人 まず、アメリカでございますが、CHIPS法に基づきまして、生産設備補助の申請者は、プロジェクトの実施期間における収益予測をアメリカの商務省に提出する必要がございます。補助金による支援を受ける者は、アメリカ政府に提出、合意した収益見込みを大きく超えた場合に補助金の一部の償還が求められるというふうに承知をしています。
具体的には、一億五千万ドル超の補助金を得た者が対象になりまして、償還額は最大で補助金の七五%未満というふうに設定をされております。この補助金の一部償還が求められるのは収益見込みを大きく超えた場合で、どれぐらい超えるとそれが対象になるかという閾値を個別のプロジェクトごとに設定するということになっておりまして、例外的な状況では免除される場合もあるというふうになっていますけれども、一律に適用される数字的な基準が設定されているわけではございません。
そういった事情もございまして、アメリカの商務省のCHIPSプログラムオフィスにも、直接、私自身、確認したことがありますけれども、プロジェクトごとに個別に交渉して、当該投資プロジェクトの想定収益率はどれぐらいか、それを大きく超えて、どれぐらいを超えたら、じゃ、アップサイドの、収益が上振れした場合のプロフィットシェアでありますから、投資した事業者とアメリカ商務省が上振れした分を分け合うという仕組みでございまして、アメリカ商務省は、上振れしてもらった分は半導体の再投資に回す財源に使う、そういうような仕組みでございます。
結果、交渉は時間がかかるものですから、法律の執行のスピードが遅くなっているという批判を招いている一因になっている面もあるというふうに言われております。
もう一つのヨーロッパの方でございますが、これは欧州CHIPS法に基づくIPCEI補助金でございますが、これは、補助金による支援を受ける事業者が実施するプロジェクトが事前の分析で予測された収益よりも高い収益を得た場合に、補助金の償還を求めるクローバックメカニズムを実施するよう、欧州委員会が加盟国に対して要請ができるという仕組みでございます。
その具体的な内容や条件については加盟国が別途定めるというふうなルールになっておりますが、このクローバックメカニズムの対象となる事前の分析で予測された収益よりも高い収益というのが具体的にどの水準かということは、現時点で公開をされておりません。
欧州委員会が定めている基準の中で、補助金を受給した企業が、投資を最大化し、パフォーマンスを最大化する強力なインセンティブを維持するように、デザイン、このクローバックメカニズムでデザインしなきゃいけないというようなことが決まっております。
いずれにしても、アメリカ、ヨーロッパ共に、収益が上がったら全額納付するという話ではなくて、収益が一定以上上振れした場合に、それをどうシェアするか、そういうような制度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/109
-
110・笠井亮
○笠井委員 いろいろ言われましたが、要するに、アメリカでもEUでも、想定したよりも収益を大幅に被った場合は償還あるいは返還する仕組みがあるということであります。
大臣、日本の特定半導体基金事業費助成金交付規程に、そうした収益納付制度という規定はあるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/110
-
111・齋藤健
○齋藤(健)国務大臣 これは事実関係ですが、特定半導体基金は、5G促進法に基づき、我が国における先端半導体の製造基盤整備の計画について認定を行い、設備投資に必要な財政支援等を行う、こういったものでありますが、収益納付制度は設けておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/111
-
112・笠井亮
○笠井委員 経済安全保障を振りかざして半導体に巨額の税金を投入しているけれども、ユーザーに半導体の安定確保の自己努力は要請したこともなければ、特定半導体基金の収益納付の決まりもないということであります。ちょっと、これは本当に世界から見ても異常ではないか。
中小企業憲章で、経済を牽引する力であり、社会の主役と位置づけられた全国三百三十六万社の中小企業のための中小企業対策費は来年度予算でも僅か千六百九十三億円で、中小企業には、審議会では、その新陳代謝を迫るなんという話が出ている一方で、半導体産業とユーザー大企業のためには青天井で国費投入の仕組みがある、これは世界から見ても突出した至れり尽くせりということになるんじゃないでしょうか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/112
-
113・齋藤健
○齋藤(健)国務大臣 それぞれの政策目的に従って政策は講じられているわけでありますから、単純に比較をするということはいかがなものかなというふうに思っているわけでありますが、半導体については、今やもう世界で大変な大競争時代になっているということでありまして、経済安全保障の観点からも、他国に負けないだけの支援というものはしっかりと行っていく必要は、これはこれであるのではないかと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/113
-
114・笠井亮
○笠井委員 半導体をどうやってやはり確保するかというやり方の問題を先ほどからただしたわけで、それはもうある意味国益だからみたいな話になるのかもしれませんが、じゃ、中小企業支援は国益ではないのかということにもなってきます。
経団連は自民党のGX、DXの推進を高く評価できるということで、国民政治協会は、GX、DXの要だとする特定半導体補助金で恩恵を受けるソニーやデンソー、トヨタ、NEC、富士通などから多額の政治献金を受けている。裏金だってあるんじゃないかとなっている。企業献金の見返りに大企業を支援する基金の在り方というのは根本的に見直すべきだということを強く求めたいと思います。
最後に、政府提出法案について大臣の基本姿勢をただしておきたいと思います。これは確認したいんですが。
この間、二〇二一年に、産業競争力強化法改定案に、条文四か所、要綱、新旧対照表、参照条文に二十か所もの誤り、二二年に、高圧ガス保安法改正の前提となる審議会資料の誤り、さらに、エネルギー合理化法の法案説明資料の誤りの発覚などが相次ぎました。そのたびごとに、私も委員会でも理事会でもただしてきたんですが、梶山大臣、萩生田大臣、西村大臣がそれぞれ、省を挙げて再発防止に取り組む、申し訳なかったという話で陳謝をされてきました。
齋藤大臣、また今国会で、産競法と液化石油ガス法改定案の提出に当たっても、長年にわたって誤った条文が放置されていたことが発覚したということが報告されました。私も報告を受けました。このことについてはどう考えていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/114
-
115・齋藤健
○齋藤(健)国務大臣 御指摘のとおり、今国会に提出した消費生活用製品安全法等の改正法案、産業競争力強化法等の改正法案において、過去の誤りを修正するための改正内容が盛り込まれております。
今回、当省の提出法案を検討する中で過去の誤りが明らかになったということでございますが、この点については大変重く受け止めておりまして、真摯に反省をしたい、そう思っております。
過去の法案誤りの教訓を踏まえ、法案の検討作業におきましては、法案担当者への法案誤り防止のための研修の受講の義務づけですとか、確認作業の実施に必要な時間を十分に確保できるようなスケジュールの作成、管理ですとか、さらには、第三者の目による確認も行うために、部局を横断した複層的なチェック体制の構築、こういった対応策を講じて、省全体として誤り防止に取り組んでいるところであります。
国会において充実した審議を行っていただけるように、改めて襟を正して取り組んでいきたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/115
-
116・笠井亮
○笠井委員 法案を国会提出する政府、経産省の基本姿勢を伺っているわけですが、やはり、これは、経過も言われて、これからこうするとおっしゃったんですけれども、産競法は十一年間、それから、一九九九年に十一本もの束ね法案に含まれていた液石法に至っては二十五年間にもわたって放置されてきた。内容によっては国民生活に悪影響を及ぼしかねない。
大臣、立法府たる国会に対して、ただ閣法を通してもらえばいいということは思っていらっしゃらないと思うんだけれども、そういう姿勢ではなくて、かつて行ってきた逐条審議も含めて、政府提出法案を徹底審議、チェックしてもらう、行政府、経産省としてはそういう姿勢が必要じゃないか。
また、経産省は、省庁の中で唯一、国会提出法案を一覧で見ることができるページをホームページに設置しておりません。国民からも法案を見えにくくしている。この際、これも改めるべきじゃないかと思うんですが、端的に、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/116
-
117・岡本三成
○岡本委員長 齋藤大臣、申合せの時間が経過していますので、簡潔な答弁でお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/117
-
118・齋藤健
○齋藤(健)国務大臣 まず、ホームページについては検討をさせていただきます。
それから、私もかつて法案を作る立場にいたことがあります。提出する法案にミスがあるということは絶対にあってはならないことだろうと思っておりますので、引き締めてやっていきたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/118
-
119・笠井亮
○笠井委員 立法府としても閣法の徹底審議が必要だ、これは与党に強く求めて、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/119
-
120・岡本三成
○岡本委員長 次に、鈴木義弘さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/120
-
121・鈴木義弘
○鈴木(義)委員 大臣所信の質問の最後を務めさせていただきます。ちょっと視点が違うところでお許しをいただきたいと思います。
まず一番目に、ある雑誌に掲載されている記事に同感した一人なので、今回取り上げさせていただきました。
その記事によれば、真の能力主義と学歴や学力評価でつくり上げられたなんちゃって能力主義には大きな違いがあることに気づくだろう、学歴自体はいかなる能力も表していないというんです。
それは何にでも努力できる能力だとも言っているんです。事務処理能力などというが、そもそもそんな抽象的な能力など脳の固有のネットワークの中には存在しない、それは、学校あるいは学校制度という人工物の中で構築された多様で膨大な課題を学校が求めるような形でこなすことができた能力の来歴、極めて雑な寄せ集め指標だということなんです。
確かに、学生時代、難しい数学や物理、化学の問題を解いたり、難しい古典、漢文や歴史を読み解くことはできた、しかし、そこで培ってきた数学能力や歴史能力を使って高学歴の人が就きたがる輝かしい高い収入と社会的地位が与えられる仕事だけが世界を正しく、美しく、よいものにしているわけではないと、この方は言っているんですね。
そして、この世をよりよいものにすることに貢献する能力を発揮してくれているのは、必ずしも高学歴の人たちばかりではないと。トイレの清掃、私たちもきれいに使わせてもらっています。会館の入口には交通整理をしてくれる交通整理係の人、セブンイレブンとかコンビニだとかスーパーに行けばレジ打ちをする人、とてつもなくすごい能力を発揮して人々に幸福を与え、ある局面では本当に、生命を守ることに実質的に働いている人たちが世の中にはたくさんいる。
このように、必ずしも、まあ尊敬されないという言い方がいいかどうかはあるんですけれども、仕事の中にも価値と尊厳を見出すことができる遺伝的才能こそ、イチローや大谷翔平や藤井聡太さんの遺伝的才能と同じぐらい、あるいはそれ以上に天才と呼ぶにふさわしい、しかし、彼らの社会的評価や収入は恐ろしく低い、この断絶こそが偽物の能力主義と学歴社会の問題の本質だと。まあ、大臣もこれはお読みになったんだと思うんですが。
その目で見れば、この世界で生きている人たちの営みも、それがなければ、あるいは、その歯車が少しでも狂えばこの社会にひずみが生じる、逆に、それが当たり前に、そして、できれば高品質に維持されることで社会が成り立っていると述べているんです。まあ、お読みになっているんだと思うんです。
過去にも、日本経済が立ち行かなくなると、こぞってイノベーションで変革の声が大きくなる。政治も、そちらに目が行き過ぎて、問題の本質を覆い隠してしまって議論すらされることなく過ぎてきたと私も思っています。震災などの風水害、戦争などの人為災害が起こると途端に低所得の人たちは苦しくなって、高所得の人たちは、景気が悪くなっても、よくても悪くても余り関係ない、生活していくのには困らないというふうにも聞くんです。
この識者が指摘しているように、真の能力主義とは何かというふうにまずお尋ねしたいと思います。それと、もう一つ、これからの日本を真の能力主義へと方向づける意味で、大臣の所信を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/121
-
122・齋藤健
○齋藤(健)国務大臣 私の経験の中で気づくことをお話しするしかないんですが、私は、高学歴の友人もたくさんいますし、学歴でいえばそうでない方々も友達にたくさんいます。それで、学歴が高い方が必ずしもすばらしくて能力が高いとも思いませんし、それから、そうでない方がそれでは能力がないのかというと、そういうことでもないというのは実感として確信をしています。
そういう中で、私、この間、アカデミー賞でノミネートされた、主演男優賞でもノミネートされた役所広司さんの映画、ちょっとタイトルは忘れちゃったんですけれども、これは、公衆トイレのトイレ掃除をずっとやっている方……(鈴木(義)委員「見ました」と呼ぶ)見ましたか。あれを見て非常に感銘を受けまして、こういう方もやはり日本を支えてくれている、社会を支えてくれているんだろうというふうに実感をしたわけであります。
つまり、自分の持っている能力というものを十分に活用できているかどうかということがすごく大事な視点なんだろうというふうに思っていまして、それが学歴で制約をされてしまうとか、それから生まれた家で制約をされてしまうというのはできるだけ回避をしていくというのが、私は、社会の健全な在り方なんじゃないかなというふうに思っているわけであります。
だから、二つ申し上げたくて、一つは、そういった学歴とか生まれとかで能力が発揮できないということをできるだけ少なくしていくということで、今見ていると、経済界においても、変化が速くて不確実性が高くなっていますので、昔の学校での知識なんというものはすぐ使い物にならなくなっていきますので、今や、学歴だけで収入や社会的地位が保証されるということは崩れてきつつあるのではないかなと思います。それが一つ。
それからもう一つは、私なんかは本当に零細企業で生まれていて、頑張れば高い学歴も挑戦できるというのも、また一方で大事なんだろうというふうに思っています。日本も、昔は、貧乏な人でも勉強を頑張ればいい学歴が得られるということだったらしいですけれども、最近は、教育にお金をかけないとなかなかそれができなくなってきているということは、私は、今求められる社会に対しては少し逆行をしてきているなという懸念は持っています。
いずれにしても、さっき言った二つ、それぞれの生まれや学歴で活動の機会というものが制約されるということができるだけない社会、それから、挑戦をすれば道が開ける社会、こういうものを目指していくべきなんだろうというふうに思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/122
-
123・鈴木義弘
○鈴木(義)委員 昨年から賃上げを一つの大きなテーマにして、今年も春闘、昨日か、どのぐらい出したんだか分かりませんけれども、その中で、これは自分なりの感じ方なんですけれども、結局、価格転嫁ができない職種の人というのは大体重層構造ですよね。何層にも上がっていて、一番トップが認めてくれる第一次下請ぐらいはいいけれども、二次、三次、四次、五次となると、ほとんど五次目ぐらいになると上に言っても上げてくれない。じゃ、その人たちがいなくていいのかと。だから、真の能力主義って何だという話になるんですけれども。
だから、結果を出したらそれをきちっと評価するということを当たり前にやる社会にしていった方がいいんじゃないかという考え方なんですね。中学卒業でも高校卒業でも、大学、大学院に行こうがどこへ行こうが、外国の大学を出ようが関係なくて、その人が仕事をやったときに、一つの結果が出れば、それをどう評価するか。
地元で、町工場を親子でやっているところに二、三年前に挨拶に寄ったときに、旦那さん、一日働いて幾ら工賃をもらえるんですかと尋ねたら、物によっては一日百個できるものもあれば十個できるものもあると。一日当たり幾らの請負賃をもらえますかと言ったら、二万円だと。えっ、二万円って給料ですかと言ったら、全部そっくりだと。二人で働いて四万円、二十日働いて八十万、みんな自分の知り合いの会社は辞めていきました、こういう話なんです。じゃ、そこをどうやってジャッキアップをするかというのが、去年、今年なんでしょうけれども、公取さんもいろいろ動いてくれているのは承知しているんですけれども、結局、そこのところをどうアップできるか。
これは宮沢大臣のときに、私、一つの事例で、質問に立たせてもらったときに使ったんですけれども、もう八年ぐらい前の話かな、オーストラリアでコカコーラが、ペットボトルで五百ccが幾らでコンビニで売っているかといったら、四百五十円で売っているんです、当時。今はもうちょっと上がっているか分からない。日本で大体百三十円、百四十円。安いところへ行けばもうちょっと安くなる。三倍の価格なんです。
確かに、物価が上がるので、結局、ストライキをやって、賃金を上げて、賃金が上がると物価が上がるんです。それでまたストライキをやって、賃金が上がって、上がっていったら、しまいには四百五十円のコカコーラを飲むようになっている。まあ、為替もあるんでしょうけれども。
じゃ、物価が上がって賃金が上がったから全てみんなハッピーエンドなのかといったら、ちょっとそこのところは考え方をやはり冷静に見た方がいいんじゃないかなと。自国の工場で、当時、日本の有名な自動車会社が十年前に撤退という記事が新聞にぱっと出たんです。経産省の担当の人に来てもらって、これはどういう意味合いなんだと言ったら、その国で、オーストラリアで造るよりも、ほかの国で造ったものを輸出した方が何ぼ安くできるかと。そうなってしまったのでは、日本の製造業はみんな外に出ちゃう。それはやはり望むべきことじゃないんだと私は思うんですね。
三十五年前にバブルが崩壊した後、何でこうなっちゃったのかなと。これは自分なりの解釈なんですけれども、当時は一ドル当たり二百四十円か二百五十円だったんです。一番円高になったときは、七十五円まで円高になりました。そのときに現場の製造業の人たちは何をされたか。元請さんから、円高に耐え得るようにコストダウンしろと、やったんだそうです。じゃ、今、これで百四十六円、七円、今日ちょっと市況を見ていませんけれども、倍になっているのに、なぜ工賃を上げてくれないんですかと。そこが問題なんだと思うんです。
円高だからといってどんどんコストダウン、コストダウンとやって、みんな血のにじむような努力をしてそれに耐えたんだけれども、円安になっても全然恩恵がない。みんな中小零細は細っていくだけ。だから、そういう商売を息子や娘に継がせたくないというから、後継者不足、人が集まらない、こういう話が今の現状だと思うんですけれども、その辺も踏まえて、もう一度、大臣所信なので、御答弁いただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/123
-
124・齋藤健
○齋藤(健)国務大臣 私も一ドル七十九円のときに経済産業省で勤務をしていまして、そのときは、おっしゃるように、猛烈なコストカットが輸出企業から下請に課せられて、それを歯を食いしばって耐えて何とかしてきたという時代もあったわけですね。その後、日本の力がついてきて、ますます海外に展開するようになると、何と言われたかというと、もっとこっちへ来て現地で生産しろと言われるようになって、自動車なんかは、アメリカを始めとして、八〇年代後半ぐらいから、まあ九〇年代半ばぐらいからですかね、海外展開するようになった。
したがって、為替の影響によって生産する国を変える、そういう対応をしてきていますので、ですから、輸出一辺倒だったら、おっしゃるように、七十五円と百五十円では利益が違うんでしょうけれども、今やもう海外展開をして生産をして海外に販売しているので、影響がストレートに及ぶということではない状況になってきているんだろうと思うんです。
いずれにしても、我々が今やっていますのは、国内での投資というものをいかに増やしていくかということがすごく大事だということで、先ほど来から議論していますように、コストカットではなくて、国内に投資をするような環境をいかにつくっていくか。それで、少し物価が上がるぞということになれば企業も投資をしやすくなります。物価が下がるのであれば投資しても回収できないかもしれないと思いますから、上がってくれば、投資をすれば回収しやすくなると思いますので、企業も前向きになるし、そうすれば賃金も少し増やそうということにもなってくるということなので、ですから、好循環をいかにつくり出していくかということで、国内の投資をもっと増やしていきたいというふうに考えているということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/124
-
125・鈴木義弘
○鈴木(義)委員 一番現場で働く人が細ってきちゃっているという現状をどう打開するかということだと思います。例えば、国土交通省は大手の建設土木会社さんにきちっと人件費を上げてあげてくださいねというような通達を出すとか、やはり、産業政策の一翼を担っている経産省として、そういうものを積極的に発信していくのが大事なんだろうというふうに思います。
今日もAIについての御質問を前任の方がされているんですけれども、私は逆に、ヨーロッパで、昨日かおととい、規制をかけるような法律というんですか、ルールが取り決められたんですけれども、過去に何回もAIの質問はしています。ですから、同じようなことを申し上げたいんですけれども、最終的に、私は、AIが本当に発達していったときに、人間の情動、私たちの好き嫌いも含めて、それがAIが習得できるようになったときに人間は支配されるという本を読むんですけれども、まさにそのとおりだなというふうに思います。そうならないようにどうすればいいかというのを、使い方をある程度ルール化していくことが私は必要だと思います。
一つの事例でお聞きいただきたいんですけれども、今年の三月五日には、全国大学生協連が昨年の秋に実施した第五十九回学生生活実態調査の結果を発表したんです。これは全国国公私立三十大学の学部生約一万人から回答を得たものであるんですが、それによると、チャットGPTなどの生成AIを約三割の学生が継続的に使用していることが明らかになった、利用経験があると回答した学生は四六・七%であり、利用目的が多い順から、論文・リポート作成の参考、翻訳・外国語作文、相談・雑談相手だったというものなんですね。
生成AIを確かに産業のイノベーションの一つとして使っていくのはいいんですけれども、学校現場で、大学によってはこれを認める認めないと独自にやっているんですけれども、そんなことをやる前に、やはり国がきちっと方向性を出した方がいいと思うんですね。結局、今申し上げたように、各大学が独自なガイドラインの策定を進めているというようなものです。
生成AIのリスクは、正確性、バイアス、知的財産と著作権、サイバーセキュリティーと不正行為、サステーナビリティー等、多くのリスクを抱えているというふうに言われているんです。過去にも何回も幾つかの事例を挙げて申し上げているんですが、一日も早く、日本としても、ガイドラインじゃなくて法規制をかけた方がいいんじゃないかと私は思います。先ほどもお尋ねした真の能力主義をあやふやにしてしまう事態に、まあ、もう既になっているのかもしれませんけれども、AIに依存すればするほど人間が進化していかない、そういうことがこれから起こり得るんじゃないかということです。
ただ、まだ何とかなるかなと思うのは、幾らAIを使っても、データがいっぱいあって、そこから一つの答えを出すんですけれども、いっぱいあるデータから一つを選び出すだけがAIですよね、今のところは。人間はゼロから一をつくることができる。それがやはり人間の能力だと思うんです。そういったものに力点を置くような形で産業政策を続けていかないと、AI、AI、どんどん使えどんどん使えといってそれが独り歩きをしていったときに、私たち日本人は国内で何をやって食べていけばいいのかということにつながっていくと思います。
だから、真の能力主義にきちっと立ち返って、農業をやっている人、小売店で売り子をやっている人でも生活ができるような体制づくりを、今からでも遅くないからやらないと、地方にいって人口減少がどんどん始まっているようなところはもっと立ち行かなくなると思うんですけれども、お考えをお示しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/125
-
126・齋藤健
○齋藤(健)国務大臣 お答えになっているかどうか分からないんですけれども、今日、小野委員から質問を受けましたけれども、実は、その小野委員の質問を、私の事務方に作らせ、生成AIに同時並行に作らせたんですね、言わないで。そして、それを見たんですよ。そうしたら、確かにいいことが書いてあるんですけれども、非常に表面的で薄っぺらいなというふうに感じました。つまり、そういう薄っぺらいなという感覚を失ったときに多分AIに支配をされてしまうんだろうというふうに、今日、小野さんの質問で私はそれを実感できたということなんですけれども。
いずれにしても、AIは活用すべきものであるというふうに思いますが、いかにAIのもたらすリスクというものを認識した上で必要な対応をしていかなくちゃいけないということで、まずは、三月末目途にAI事業者ガイドラインというものを公表してみよう、そういう予定になっていますし、AIについては、世界的に安全性に焦点を当てた議論が行われていることも踏まえて、先月、内閣府を始めとする関係省庁の協力の下で、独立行政法人情報処理推進機構、IPAにAIセーフティ・インスティテュートを立ち上げました。今後、AIの安全性確保に向けて、AISIといいますが、AISIを中心に、アメリカ、イギリスを含め、国際的なパートナーとも連携しながら対応をしていこうということであります。
いずれにしても、生成AIの導入が進むにつれて、情報を判断することの重要性がむしろ増していくのではないかなと思っております。したがって、人間の役割というのは発想力や経験に基づく創造性へと変化をしていくのではないかと思いますけれども、今後とも、生成AIの技術動向も注視しつつ、必要な人材育成も含めてしっかり取り組んでいきたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/126
-
127・鈴木義弘
○鈴木(義)委員 例えば、新しい発明をしました、特許庁に特許の申請をしました、それの申請書を生成AIで作って、じゃ、申請を出しましたといったときに、人間がそれを、それが本人が作ったものなのか生成AIが作ったものなのか判別できるかということです。それで仮に特許になってしまったら、先願出願ですから、先に特許を出せば、それで許可になっちゃう。それはやはり、未然に防がなくていいのかといったら、私は防いだ方がいいと思うんですね。
だから、いろいろな分野もあるだろうし、ただ、やはり使い道を制約するところは制約する、いいところはどんどん広げればいいんだけれども、そこをきちっと議論して法制化していかないと、私は、取り返しのつかない時代が、十年先なのか二十年先なのか、起こってくるんじゃないかなというふうに思うんですけれども。
じゃ、時間がないので、もう一点。
経産省の海外事業活動基本調査を見ると、アベノミクスで円安になっていながら、二〇二一年度から現地法人の動向の概要が示されているんですね。これは経産省からいただいた資料なんです。現地法人数のうち、地域別を見ると、ASEAN10が占める割合が引き続き拡大、現地法人の従業員数は増加、現地法人の売上高は増加、経常利益、当期純利益共に増加、製造業現地法人の海外生産比率は上昇、製造業現地法人の研究開発費、設備投資額共に増加、こういうデータが経産省から。二〇二一年ですから、もう三年ぐらい前のデータなんでしょうけれども。
利益が増加することは喜ばしいんですけれども、日本にどのぐらいの還流がされているのかということですね。それが一つ目の問いなんです。
それと、研究開発費が伸びていけば、いずれ、メイド・イン・ジャパンとメイド・バイ・ジャパンの競争になるんじゃないかと思うんです。
だって、日本のメーカーさんが外国に行って、ASEANの地域に工場を建てて、そこで生産して利益を出すんですけれども、そこが日本にどんどん物を出してくるという話になれば、国内はどんどんどんどん。そこにまた為替が左右してくれば、安い値段で物が入ってくるとなったときに、今は円安ですからそこのところはまだいいんでしょうけれども、これが円高に振れていったときに、海外で、さっき大臣が答弁されたように、ほかの国で作ったものを入れていくよとなったときに、その価格が安ければお客様はそっちを買うし、そうすると、その金額に引きずられて国内生産のものが、やはりどんどんどんどん価格が引きずられちゃうと思うんですね。
そこのところをどう考えるか、価値観を変えていきましょうということで乗り切っていくしかないんじゃないかと思うんですけれども、そこのところを御答弁いただければ。もう時間が来ていますので。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/127
-
128・岡本三成
○岡本委員長 経産省殿木大臣官房調査統計グループ長、時間が経過しておりますので、簡潔な答弁でお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/128
-
129・殿木文明
○殿木政府参考人 一番目の御質問についてお答えいたします。
二〇二一年度の配当金、ロイヤリティー等の現地法人から日本側出資者への支払い額は、約五・五兆円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/129
-
130・鈴木義弘
○鈴木(義)委員 時間が過ぎておりますので、終わります。
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/130
-
131・岡本三成
○岡本委員長 次に、内閣提出、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律案及び二酸化炭素の貯留事業に関する法律案の両案を議題といたします。
これより順次趣旨の説明を聴取いたします。齋藤経済産業大臣。
―――――――――――――
脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律案
二酸化炭素の貯留事業に関する法律案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/131
-
132・齋藤健
○齋藤(健)国務大臣 脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けては、鉄鋼や化学等の脱炭素化が難しい分野においても、グリーントランスフォーメーション、いわゆるGXを推進していくことが不可欠であり、こうした分野では、その安全性を確保しながら低炭素水素等の活用を促進することが重要です。
昨年七月に閣議決定された脱炭素成長型経済構造移行推進戦略においては、大規模かつ強靱なサプライチェーンを国内外で構築するため、既存燃料との価格差に着目しつつ、事業の予見性を高める支援や、需要拡大や産業集積を促す拠点整備への支援を含む、規制、支援一体型での包括的な制度の準備を早期に進めるとされており、本法律案は、同戦略に基づいて、所要の措置を講ずるものであります。
次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
第一に、低炭素水素等の定義については、昨年のG7広島サミットにおいて、炭素集約度に基づいて水素等の環境適合性を評価する重要性が認識されたことを踏まえ、水素等であって、その製造に伴って排出される二酸化炭素の量が一定の値以下であること等の要件に該当するものと定義します。
第二に、主務大臣は、関係行政機関の長に協議した上で、低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する基本的な方針を定めることとします。また、国の責務として、規制の見直し等の必要な事業環境整備等を講ずる旨を規定するほか、関係地方公共団体や事業者の責務規定を創設します。
第三に、低炭素水素等供給事業者又は低炭素水素等利用事業者は、単独で又は共同して低炭素水素等供給等事業に関する計画を作成し、その内容が経済的かつ合理的であることに加えて、我が国における低炭素水素等の供給又は利用に関係する産業の国際競争力の強化に相当程度寄与する等の要件を満たす場合には、主務大臣が認定できることとします。これに加えて、いわゆる価格差に着目した支援や拠点整備支援を希望する場合には、その計画が供給事業者と利用事業者が共同で作成したものであること等を追加的な要件とします。
第四に、認定を受けた事業者に対する支援措置を講じます。具体的には、いわゆる価格差に着目した支援や拠点整備支援として、供給事業者が低炭素水素等を継続的に供給するために必要となる資金や、認定を受けた事業者が共同で使用する施設の整備に充てるため、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構が助成金を交付することとします。また、認定を受けた計画に基づく設備については、経済産業大臣の承認を受ければ、低炭素水素等である高圧ガスの製造開始から三年間、都道府県知事に代わり経済産業大臣が一元的にその保安を確保するための検査を行うことを可能とする等の高圧ガス保安法の特例を創設するほか、導管等の円滑な整備を図るため、港湾法や道路占用の特例を創設します。
第五に、水素等の供給事業者による低炭素水素等の供給を促進するため、経済産業大臣は、事業者の判断の基準となるべき事項を定め、低炭素水素等の供給拡大に向けた事業者の自主的な取組を促します。その上で、事業者の取組状況に応じ、必要があると認めるときは、経済産業大臣が事業者に対して、必要な指導、助言、勧告等を行うことができることとします。
次に、二酸化炭素の貯留事業に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けては、鉄鋼や化学等の脱炭素化が難しい分野においても、グリーントランスフォーメーション、いわゆるGXを推進していくことが不可欠であり、こうした分野において脱炭素化を実現するためには、排出された二酸化炭素を回収し、これを地下の地層に貯留すること、すなわちCCSに関する事業環境を整備することが必要です。昨年七月に閣議決定された脱炭素成長型経済構造移行推進戦略においては、二〇三〇年までのCCS事業開始に向けた事業環境を整備するため、法整備の検討について早急に結論を得て、制度的措置を整備するとされており、本法律案は、同戦略に基づいて、所要の措置を講ずるものであります。
次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
第一に、経済産業大臣が、二酸化炭素を安定的に貯留することができる地層、すなわち貯留層が存在する可能性がある区域を特定区域として指定した上で、この特定区域において、貯留事業や試掘を行おうとする事業者を募集し、これらを最も適切に行うことができると認められる者に対して許可を与えることとします。そして、経済産業大臣は、これらの許可を受けた者に対して、貯留層に二酸化炭素を貯留する権利として貯留権を、試掘を行う権利として試掘権を設定した上で、二酸化炭素の安定的な貯留を確保するため、これらの権利をみなし物権とすることにより、第三者に対して妨害排除請求を行うこと等を可能とします。
第二に、貯留事業及び試掘に関する事業規制と保安規制を整備します。具体的には、貯留事業の具体的な実施計画については主務大臣、試掘の具体的な実施計画については経済産業大臣の認可制とした上で、貯留事業者及び試掘者に対しては、技術基準への適合義務等の保安規制を課すこととします。また、貯留事業者に対しては、二酸化炭素の漏えい等が発生していないかどうかを確認するため、貯留層における温度、圧力等のモニタリング義務を課すほか、正当な理由なく、二酸化炭素排出者からの貯留依頼を拒むことや、特定の二酸化炭素排出者を差別的に取り扱うこと等を禁止するとともに、料金等の届出義務を課すことにより、二酸化炭素排出者が貯留事業者が提供する貯留サービスに適切にアクセスすることができる環境を整備します。さらに、二酸化炭素の貯蔵の状況が安定している等の一定の要件を満たす場合には、経済産業大臣の許可を受けて、貯留事業場の管理業務を独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構に移管することを可能とします。
第三に、万が一、貯留した二酸化炭素の漏えい等により第三者に損害が発生した場合に備え、被害者救済の観点から、貯留事業等に起因する損害賠償責任は、事業者の故意、過失によらない無過失責任とします。
第四に、貯留層に貯留することを目的として、二酸化炭素を導管で輸送する導管輸送事業に関する事業規制と保安規制を整備します。具体的には、導管輸送事業を行おうとする者は、経済産業大臣に届け出なければならないこととした上で、貯留事業者と同様、導管輸送事業者に対しても、正当な理由なく、二酸化炭素排出者からの二酸化炭素の輸送依頼を拒むことや、特定の二酸化炭素排出者を差別的に取り扱うこと等を禁止するとともに、料金等の届出義務を課すこととします。また、導管輸送事業における安全を確保するため、導管輸送事業者に対しても、技術基準への適合義務等の保安規制を課すこととします。
以上が、両法律案の提案理由及びその要旨であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/132
-
133・岡本三成
○岡本委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304080X00320240315/133
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。