1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和六年四月四日(木曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 古屋 範子君
理事 斎藤 洋明君 理事 田所 嘉徳君
理事 田中 良生君 理事 本田 太郎君
理事 湯原 俊二君 理事 吉川 元君
理事 中司 宏君 理事 中川 康洋君
井原 巧君 石田 真敏君
尾身 朝子君 金子 恭之君
川崎ひでと君 国光あやの君
坂井 学君 田畑 裕明君
寺田 稔君 中川 貴元君
西田 昭二君 西野 太亮君
根本 幸典君 葉梨 康弘君
長谷川淳二君 鳩山 二郎君
平井 卓也君 古川 直季君
保岡 宏武君 柳本 顕君
梅谷 守君 おおつき紅葉君
岡本あき子君 鈴木 庸介君
福田 昭夫君 藤岡 隆雄君
道下 大樹君 阿部 司君
中嶋 秀樹君 吉田とも代君
平林 晃君 宮本 岳志君
西岡 秀子君 吉川 赳君
…………………………………
総務大臣 松本 剛明君
総務副大臣 渡辺 孝一君
総務大臣政務官 西田 昭二君
総務大臣政務官 長谷川淳二君
政府参考人
(総務省大臣官房総括審議官) 海老原 諭君
政府参考人
(総務省自治行政局公務員部長) 小池 信之君
政府参考人
(総務省国際戦略局長) 田原 康生君
政府参考人
(総務省総合通信基盤局長) 今川 拓郎君
参考人
(日本電信電話株式会社執行役員経営企画部門長) 服部 明利君
総務委員会専門員 阿部 哲也君
―――――――――――――
委員の異動
四月四日
辞任 補欠選任
金子 恭之君 平井 卓也君
田畑 裕明君 柳本 顕君
岡本あき子君 梅谷 守君
奥野総一郎君 鈴木 庸介君
同日
辞任 補欠選任
平井 卓也君 金子 恭之君
柳本 顕君 田畑 裕明君
梅谷 守君 岡本あき子君
鈴木 庸介君 奥野総一郎君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
日本電信電話株式会社等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三三号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/0
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001・古屋範子
○古屋委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、日本電信電話株式会社等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、参考人として日本電信電話株式会社執行役員経営企画部門長服部明利さんの出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/1
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002・古屋範子
○古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
引き続き、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房総括審議官海老原諭さん、自治行政局公務員部長小池信之さん、国際戦略局長田原康生さん及び総合通信基盤局長今川拓郎さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/2
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003・古屋範子
○古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/3
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004・古屋範子
○古屋委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。尾身朝子さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/4
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005・尾身朝子
○尾身委員 おはようございます。自由民主党の尾身朝子です。
本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。
今から三十九年前、昭和六十年四月一日、日本電信電話公社が民営化し、新たに日本電信電話株式会社、NTTが誕生しました。
そして、ちょうどその一年後の昭和六十一年、民営化されたNTTが採用した第一期生として私はNTTに入社し、十七年間勤務いたしました。入社当時は、新制NTTの三十万人を超える社員がまさに一丸となって民間企業に生まれ変わるという熱気にあふれていました。
また、NTTの民営化を待っていたかのように、情報通信が大変革を迎えた時代でもありました。かつては固定電話が遠隔でのコミュニケーションの中心でしたが、一九九〇年代のインターネットの普及により、光によるIPネットワークが急速に発展してきました。さらに、現在では、携帯電話が普及し、スマートフォンの登場や5Gネットワークの拡大など、モバイル通信の高度化により、コミュニケーションだけではなく、動画や様々なコンテンツの視聴、金融、ヘルスケアなどのサービスがモバイルで提供され、国民の利便性を支える日常生活に欠かせないものとなっています。
NTT社内の実情を知る元社員だからこそ、今回の改正案についてフェアな視点から質問させていただきます。
NTTは、日本電信電話公社の設備や優秀な人材などを引き継いだ企業であり、設立以来、我が国を代表する情報通信分野のリーディングカンパニーであり続けています。この先どのような変化があろうとも、より便利な情報通信サービスを日本全国に届けるという使命は変わりません。また、社会の変革や時代のニーズに合ったサービスの提供を支える基盤的な研究開発にも不断の努力が求められています。もちろんNTTにのみ研究開発の責めを負わせるものではありませんが、NTTが情報通信産業全体を牽引することにより国際競争力の強化を図ることが我が国の情報通信における喫緊の課題です。
そこで、松本大臣にお伺いいたします。本法案は、市場環境の変化に対応した通信政策の在り方の見直しにおいて特に喫緊の課題である国際競争力の強化について速やかに改革を進める趣旨と聞いておりますが、この改革にはどのような狙いがあるのでしょうか。お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/5
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006・松本剛明
○松本国務大臣 委員御案内のとおり、情報通信分野は、これから内外においていわば最大の成長分野である中で、我が国の情報通信産業には是非大いに活躍をいただきたいと思いますし、主導権を取れるようにしてまいりたいと思う中で、おっしゃったようにリーディングカンパニーであるNTTグループさんには大いに期待をするところがあり、今後の我が国の経済成長の鍵にもなってくるものと考えているところでございます。
そこで、総務省といたしましては、情報通信審議会における議論も踏まえて、我が国の情報通信産業全体の国際競争力を高める観点から、中核的な役割を担うNTTグループさんが機動的かつ戦略的に研究開発や事業運営等が行えるようにといった観点から今回の法案を御提案させていただき、法制度面からも課題の解決に取り組みたいと考えたところでございます。
本法案は、御案内のとおり、研究開発に関する責務の見直しにより研究開発の促進を図るとともに、外国人役員規制や役員選解任の認可の見直し等により機動的な事業運営によるイノベーションの促進を図ることを目的としているものでございます。
NTTグループさんにおかれては、IOWN構想によりオール光ネットワークを世界に先駆けて実現し、爆発的な情報量への対応や飛躍的な電力効率の向上を両立させゲームチェンジを実現することを目指しているとお聞きしております。
さらに、NTTさんの研究開発力という意味では、AI、大規模言語モデルの開発におきましても、パラメーターの面では軽量級とおっしゃいながらも性能では高い評価を受けるようなものを開発されるなど、極めて高い研究開発力があると聞いておりますし、また、これまで、本当に高い技術力、そして革新的な開発、創造、アイデアなどで、これまでも通信の、携帯電話のインターネットの活用などもかなり早い段階から取り組んでこられたわけですけれども、更にそれを世界に普及させるという意味でも、オール光ネットワークのIOWN構想の普及については仲間づくりなどにも取り組んでおられるというふうに承知をしております。
総務省としては、今回の法改正によって、NTTグループさんの更なる国際競争力の強化を支援するとともに、光電融合技術などの研究開発、標準化活動を支援するビヨンド5G基金事業などを通じて、我が国の情報通信産業全体の国際競争力の強化を図ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/6
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007・尾身朝子
○尾身委員 大臣、大変力強いお言葉、ありがとうございました。
次に、NTTの研究開発について伺います。
本法案では、NTTにおける研究成果の普及責務と研究の推進責務の二つの責務を廃止することとなっています。研究成果の普及責務については、経済安全保障上の懸念があることから廃止は妥当であるとの意見が多くあります。一方、研究の推進責務の撤廃については、NTTがコスト削減ばかりを追求して研究開発投資を削減し、積極的に研究開発に取り組まなくなるのではないかという懸念が示されています。
私は、初当選以来、科学技術・イノベーション立国の推進を政策の柱として活動してきました。大変残念なことですが、今日、我が国の科学技術力は国際的に見て相対的に低下していると言われています。その要因として、バブル崩壊やリーマン・ショックなどの社会情勢により民間企業の研究開発投資が減らされ、また研究所が閉鎖されたことなどが挙げられます。もしも民間企業において十分な資金が投入され研究開発が続いていたら、我が国の状況は全く違っていたかもしれません。
NTTも例外ではありません。NTTの技術力の源泉であった研究所が再編され、博士号を持つ多くの研究者が営業職などへの転身を余儀なくされました。私は、そのような諸先輩を多く見てきました。その中でも、NTTはその逆境を乗り越え、世界標準となり得たであろう技術を開発してきたのです。しかしながら、国が民間の研究成果を十分に導くことができずに、結果として世界とかけ離れたガラパゴス技術となってしまった実例が幾つもあります。これはとても残念なことです。
私は、今回の改正に大いに期待しています。研究の推進責務の撤廃により、NTTは、今まで以上に自由に産学官連携や国立研究開発法人との共同研究に取り組み、企業型スタートアップに資源を投入することができるようになり、さらに、研究者を国際共同研究の場に送り込むなど、より優れた成果を生み出していくものと信じています。また、NTTでの勤務経験や、現場の研究者の生の声を聞いた者としては、私はNTTの責務が撤廃されてもこれまで以上に研究開発を着実に進めていくと確信しています。
そこで、改めて伺います。総務省として、NTTが今後も積極的に研究開発に取り組むことについて、それをどのように担保していくのか、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/7
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008・今川拓郎
○今川政府参考人 お答え申し上げます。
尾身委員からも御指摘がございましたけれども、NTTグループは電電公社から優れた技術や優秀な人材を承継しており、最先端の技術開発で熾烈な競争が行われる情報通信分野において我が国の研究開発の中核的な役割を果たすことが期待されることから、基盤的研究の実施をNTT持ち株の本来業務として位置づけております。
また、NTTグループは、研究の推進責務の有無にかかわらず、IOWNなどの研究開発の深化や高度化を進めるとともに、新たなイノベーションを創出する研究開発に積極的に取り組んでいく考えを総務省の情報通信審議会においても表明しております。
これらを踏まえまして、情報通信審議会の第一次答申では、研究に関する責務を廃止して研究開発を促進するとともに、責務の廃止後も基盤的研究が着実に実施されるよう、総務省においてNTTの基盤的研究の取組状況を継続的に検証することが適当であるとされております。
総務省といたしましては、第一次答申を踏まえまして、本法案をお認めいただいて研究に関する責務が廃止された場合には、NTT持ち株による基盤的研究の実施を確保するために必要な検証などを行いまして、我が国の情報通信産業の研究開発力が確保されるようしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/8
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009・尾身朝子
○尾身委員 ありがとうございました。
NTTは現在、ビヨンド5Gの世界で、IOWN、オール光ネットワークの開発に全力を注いでいます。次こそは世界標準を取るとの気概で、官民一体となり、大臣からも先ほど言及がありましたけれども、国を挙げてオール光ネットワークを積極的に後押しすることが必要であると考えます。
次に、我が国における情報通信産業の国際競争力の強化について伺います。
今回の改正は、情報通信審議会の第一次答申の四項目の中の国際競争力の確保を速やかに実施するためのものであり、NTTの研究開発の責務について語られているものです。我が国の国際競争力強化においては、その基盤となる技術力、研究開発力の強化が必須であることは言うまでもありません。そのためには、NTTのみならず、通信事業者、関連企業や国立研究機関などを含め、国家戦略として国を挙げて情報通信技術の研究開発を推進していく必要があります。
そこで、総務省に伺います。総務省は我が国の情報通信技術の研究開発の推進に向けてどのように取り組んでいくのか、簡潔にお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/9
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010・田原康生
○田原政府参考人 お答え申し上げます。
総務省におきましては、国立研究開発法人であるNICTを通じて基礎的、基盤的な研究開発やその成果の民間移転を進めるほか、ソサエティー五・〇の早期実現などに向け、ビヨンド5G、AI、量子情報通信などに関する研究開発プロジェクトを戦略的に推進するとともに、NICTに設置したビヨンド5G基金等を通じて、民間企業などが行う研究開発を強力に支援するなどして、我が国全体のICT分野における研究開発力の強化に取り組んでいるところでございます。
IOWNについても言及がございましたけれども、とりわけビヨンド5Gの時代に向けましては、これらの研究開発を我が国の国際競争力につなげるという観点から、研究開発成果を着実に社会に実装するとともに、国際標準化などを通じてグローバルな市場獲得を目指すことが大変重要と認識しております。
このため、ビヨンド5G基金におきまして民間企業による国際標準化活動に対する支援を新たに開始することとしております。
また、我が国が強みを有するオープンRAN、光伝送システム、HAPSなどの製品ですとかサービスの海外展開支援というものにも積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
このように、研究開発、標準化、海外展開などの取組を一体的かつ戦略的に推進することで、我が国の国際競争力の強化につなげてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/10
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011・尾身朝子
○尾身委員 ありがとうございました。
繰り返しになりますが、次世代の国際標準となる技術を開発し、世界に売り込んでいくことは、一民間企業に任せるものではなく、我が国の国益に資するものとして、国を挙げて取り組むべきものと考えます。その際に大切なのは国によるサポートです。成長分野であり、我が国の強みでもある情報通信技術の進展には、金銭面も含めた十分なサポートが必要であることは言うまでもありません。
さて、この度の改正にはNTTの外国人役員規制の緩和が含まれています。NTTがその国際競争力を向上させ、積極的に国際展開を進めるに当たっては、グローバルな視点からの経営が重要になります。展開先の商習慣などに精通し、適切にアドバイスをすることができる外国人役員を採用することは有益であり、私はこの改正に賛同いたします。
そこで、伺います。総務省として、今回の改正において外国人役員規制を緩和することとした趣旨についてお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/11
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012・今川拓郎
○今川政府参考人 お答え申し上げます。
NTT持ち株及びNTT東西は、基幹的な電気通信事業者として、情報通信産業全体の国際競争力の強化などを牽引する役割が期待されております。
このため、外国の影響力に対して経営の自主性を確保する必要があることから、NTT法の外国人役員規制により、NTT持ち株やNTT東西の役員に外国人が就任することは一切認められておりません。
近年、国際競争が激化する中で、重要な経営事項の決定に際し、海外での事業運営などの識見を取り入れる意義が高まっているところでございますが、NTTグループからは、グループ従業員三十四万人中十五万人が外国人である中でグローバルかつ多様な視点でのマネジメントができないですとか、業績を上げたとしても持ち株の役員に外国人を登用できないためモチベーション低下につながっているなどの意見がございまして、外国人の役員の就任を可能とすることについて要望がございました。
これを踏まえて情報通信審議会において検討された結果、外国人役員を認めることはグローバルかつ多様な視点での経営を可能とし、国際展開や国際競争力の強化につながるため、外国人役員規制を緩和することが適当とされております。
一方で、外国人役員規制の趣旨である外国の影響力に対する経営の自主性の確保という観点も考慮する必要があることから、NTT持ち株やNTT東西の役員について、外国人を一切認めない規制から、外国人の代表取締役への就任、外国人が役員の三分の一以上を占めることを禁止する規制に緩和するものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/12
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013・尾身朝子
○尾身委員 ありがとうございました。
現下の国際情勢を俯瞰すると、このような制約をかけることによって国益を保護していくことの重要性を改めて感じています。また、この議論の趣旨を考えると、情報通信関連企業の経営に対する外国勢力の不必要な干渉を遠ざけることはNTTだけに限るものではないことを強調しておきます。
私が入社した当時の民営化直後の社内の熱気を、私は今でも鮮明に覚えています。本改正によって、当時にも勝る熱い思いを持ってNTTがこれまでより一層研究開発に力を入れ、世界をリードする企業として更なる発展を遂げることを期待して、私の質問を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/13
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014・古屋範子
○古屋委員長 次に、平林晃さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/14
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015・平林晃
○平林委員 公明党の平林晃と申します。
本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。今質問されました尾身先生の質問とかなりかぶる部分がございますけれども、微妙な違いを味わっていただければと思います。よろしくお願いいたします。
私は、今回、この法律案を勉強するまで、社名が法律によって規定されていることを恥ずかしながら存じ上げませんでした。世の中の極めて急速な変化に対応し勝ち残っていくために社名は大変重要であると思っております。だからこそ、各企業は多大なコストをかけてでも社名を変更しておられる。それが自社の意思によって変更できなかったという点だけでも、今回の法改正の必要性を私も感じているところでございます。
以下、社名をNTTと呼ばせていただきながら質問させていただきます。
私は、二十六年間、大学で、情報系、特に音や画像を取り扱うメディア系の研究者を務めてまいりました。その過程で、NTTの研究所に所属されている、あるいは所属されていた優秀な研究者に数多く出会ってまいりました。
企業の研究者でありながら、先ほどから話が多々出ておりますが、基礎研究にもしっかりと取り組んでおられ、なかなか企業の研究者が数学を勉強しようなんということはないんですけれども、NTTの研究者の方はそういうことをしっかりやっておられるという点でも本当に多くのことを学ばさせていただいておりました。日本の中でも極めて重要な地位を占めている、それがNTTの研究所であり、その有する研究力であります。そのNTTの研究に関する二種の責務が、この度、削除の対象となっております。
まず一点目、研究の推進責務に関しまして、周知のとおり、これも先ほど御言及がありましたが、日本の研究力の相対的な地位が低下をしている、このような状況下でNTTが研究から少しでも後退するようなことがあれば、日本の研究力が受ける影響は計り知れません。高度な研究あるいは基礎的な研究はどこでも誰でもできるわけではない、組織力や資金力、そして伝統、人材育成力あるいはネットワーク力、こうしたものが相まって初めてできるものであり、そのような能力を持ったNTTにはこれまで以上の研究推進を期待するところでございます。
そこで、伺います。日本の研究力の相対的地位が低下する中、本改正案において研究の推進責務を撤廃することによりNTTの研究への今後の取組にどのようなことを期待されているのか、総務省に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/15
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016・今川拓郎
○今川政府参考人 お答え申し上げます。
NTTの研究開発は、電電公社から承継した技術力や人材をベースとして優れた研究開発基盤を有していること、国立研究開発法人であるNICTや大学などと異なり、事業ニーズを取り入れながら基礎研究からサービス提供の基盤的研究まで一貫した研究開発を行うことが可能であることといった特徴を有しておりまして、情報通信分野において我が国の研究開発の中核的な役割を果たしております。
特に、NTTが研究開発を推進するIOWN構想は、オール光ネットワークなどの情報通信基盤を世界に先駆けて実現するものでありまして、そのためにはネットワーク、デバイスなどの様々な分野との連携が鍵となります。
NTTとしても、パートナーと連携し、IOWNなどの研究開発の深化や高度化を進めるとともに、新たなイノベーションを創出する研究開発に積極的に取り組んでいく考えを総務省の情報通信審議会において既に表明しております。
このため、NTTには、NICTなど国立研究機関やメーカー、大学などと相互に補完し共創することで、今後も我が国の情報通信分野の研究開発の中核を担うことを期待しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/16
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017・平林晃
○平林委員 NTTの研究は日本の企業の研究機関の雄でありますので、その能力をより一層伸ばしていただきたいと期待しているところでございます。
もう一点が、研究成果の普及責務の廃止であります。
この点については、例えば共同研究を実施したい場合に、先方が秘密裏に研究を進めたいにもかかわらず、こちらに普及責務があれば契約すら締結できなくなる、また、経済安全保障の観点からも、NTTが取り組む人間社会、コンピューティングという分野にはどれもデュアルユース技術が含まれておりまして、普及責務の廃止には一定程度理解をいたしているところでございます。
その上で、確認のために伺います。今回の普及責務の廃止が大学や国立研究機関あるいはベンチャーを含む企業等との連携を通してNTTの研究促進に与える効果について、総務省の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/17
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018・今川拓郎
○今川政府参考人 お答え申し上げます。
NTT法では、電電公社から技術力や人材を引き継いだNTTがその研究成果を独占することは適当ではないこと、それから、NTT仕様の特注設備などについて事業者間の通信網の接続などの観点から公正な情報開示が必要であること、こういったことからNTTに研究成果の普及責務を課してきたところでございます。
この研究成果の普及責務につきましては、NTTによって原則開示の運用が行われておりましたが、NTTからは、海外のパートナーと共同研究を実施する上で原則開示の運用が支障となり得ることや、研究成果の開示によって他の国に技術が流出するおそれがあることなどの課題が指摘されております。
このため、NTTが自ら最も効果的と考える方法で成果の普及を行うことによりまして研究開発を促進するとともに経済安全保障上の懸念の解消を図るため、今回、研究成果の普及義務を廃止することとしているものでございます。
これによりまして、委員御指摘の大学やベンチャーなどとの連携の促進につながりまして、新たなイノベーションの創出が期待できると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/18
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019・平林晃
○平林委員 ありがとうございます。
そのような期待がある一方で、様々な利害関係者の中には懸念を示す方もおられるようであります。すなわち、これまでは普及責務があったので誰に対しても平等に開示されていた技術が今回の改正によって開示されなくなる可能性があるということであります。
例えば、先ほどから何度も何度も言及されておりますIOWNの開発ですけれども、IOWNは、私なりの理解を言う必要もないかもしれませんが、今までの電荷のみの半導体では微細化と集積化の限界に達しつつあるわけですけれども、このIOWNでは計算、記憶などを実行するモジュール間のデータのやり取りを光に置き換える、こうすることによって微細化、集積化の限界を乗り越えて高速処理を低電力で実現する技術、このように理解をさせていただいております。これによって半導体技術を刷新する、この可能性を秘めているわけでありまして、こういったお話には先ほど尾身先生も御言及されたところでございます。
こうした技術が、これまでは普及責務によって誰に対しても開示されていたものが、今後はそうではなくなってNTTの意思によって決められるようになる、例えば競合していない社には開示しても競合している社には開示できないとか、このようなことが起きてくるのではないか、こんなようなこと、そういった立場の方の不安はやはり少なからざるものがあると理解をされるわけであります。
そこで、伺います。研究成果の普及責務の削除に関しまして示されているこうした懸念に対してどのようにお応えしていくのか、総務省に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/19
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020・今川拓郎
○今川政府参考人 お答え申し上げます。
研究成果の普及責務の廃止は、御指摘の国際共同研究への支障や技術流出の問題に加えて、近年NTTの研究成果の公開件数が二〇〇〇年時点と比較して三分の一以下に減少している状況などを踏まえて行うこととしているものでございます。
研究成果の公開件数が減少したのは、近年ネットワーク設備が、いわゆる電話の時代と異なり、NTTの研究成果に基づく製品ではなく、市中技術を基にした汎用品が主流となってきていることなどが原因の一つと考えられております。
また、インターネットの普及などにより、競争の主戦場が電話やブロードバンドなどの国内事業者が提供するネットワークサービスから海外事業者と競合するプラットフォームサービスに移行していることなどを踏まえますと、研究成果の普及責務を廃止しても、直ちに国内市場における公正競争上の問題が生じる可能性は低下していると考えております。
通信分野では、市場環境の変化に応じて事業者間の公正な競争環境を確保し、サービスの多様化、低廉化などを図ることが重要となることを踏まえまして、総務省といたしましては、公正な競争環境に問題が生じ得るような場合には、例えば競争ルールへの反映など必要な対応を講じていく考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/20
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021・平林晃
○平林委員 そうした対応はやはり重要だというふうに思います。是非、様々な関係者の意見を聞いて、適切な対応をよろしくお願い申し上げます。
続きまして、通信のユニバーサルサービスについて伺います。
三月十四日に開催されましたNTT法改正に関する有識者会議では、通信のユニバーサルサービスの見直しに関しまして、固定通信を前提としつつ、無線技術の活用の有効性も指摘をされているところであります。この点に関しまして、固定回線には大容量通信を安定して提供できるというメリットがあると。私も、日常的には、ビデオ通話や動画の視聴などといった用途には固定回線をなるべく使うようにするわけであります。
ただし、固定回線は当然のことながら敷設する必要があるわけです。そのコストは、都市部あるいは人口集中部においては採算が取れるものになりますが、例えば私の地元、中国地方ですけれども、山間部などにおいてはなかなかそうはならないわけであります。そうした数世帯のために光ファイバーケーブルなどを敷設することは、採算が合わないだけではなく、今後移転などによってその回線が使われなくなってしまう、こんな可能性も否定できないと考えるわけであります。こういったデメリットのために固定回線の敷設に企業がちゅうちょする気持ちは理解できます。
一方で、最近は、スマートフォンなどの携帯端末によって通信回線に無線でアクセスする利用者が増大していること、あるいは人口減少、過疎化による利用者の減少に対して固定回線より柔軟に対応ができるなど、無線技術の持つメリットは有識者会議の指摘のとおりであります。
そこで、渡辺副大臣にお伺いをいたします。今後、人口減少、過疎化による利用者減少を踏まえますと、通信のユニバーサルサービスの提供に当たっては、固定通信、無線通信を含む多様な手段をまさに適材適所で用いることによって効率的な整備、維持を進めることが必要であると考えますが、御見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/21
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022・渡辺孝一
○渡辺副大臣 ユニバーサルサービスの確保の在り方につきましては、現在、情報通信審議会におきまして、技術革新等の動向を踏まえ、固定電話中心からブロードバンドを軸とした制度への見直しを行う観点から、本年夏頃の答申に向けて専門的な議論を進めているところでございます。
ユニバーサルサービスの確保に当たっては、委員御指摘のとおり、人口減少や過疎化の進展等の市場環境の変化を踏まえつつ、サービスの効率的な提供を可能とする観点から、過疎地や離島などでは無線通信の活用を検討するなど、多様な観点からの検討が必要と考えております。
総務省としましては、国民に必要な通信サービスが地方も含めた全国で適切に確保できるよう、国民、利用者の立場に立ちましてしっかりと議論を深めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/22
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023・平林晃
○平林委員 ありがとうございます。是非よろしくお願い申し上げます。
最後に、外国人役員に関する規制について伺います。
現在のNTT法では、外国人等の議決権割合をNTT持ち株の三分の一未満と定められておりまして、また、日本国籍を有しない人はNTT三社の役員になることはできないと。しかし、今回の改正では、外国人の代表取締役への就任、あるいは外国人が役員の三分の一以上を占めることを禁止する、こういうふうに緩和されるということでありまして、国際的な競争環境の激化から一定程度は理解をしているものでございます。
一方で、NTTが保有する資産は改めて申し上げるまでもなく高い公共性を有している、また、経済安全保障上の重要性も非常に高い、このような国内重要インフラに関する決定ですので、やはり国内の意思というものが重要になるということもあろうかというふうに思っております。その上で、この度の法改正では外資規制に先んじまして役員規制の緩和が盛り込まれたところでございますが、その趣旨を総務省に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/23
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024・今川拓郎
○今川政府参考人 お答え申し上げます。
現在、我が国においては、情報通信産業の国際競争力の強化が喫緊の課題となっており、その実現を図るためには、NTT持ち株などに外国人役員が参画することによりグローバルかつ多様な観点での経営を可能とすることが効果的と考えられます。
このような中、NTT持ち株などのような特殊会社において外国人役員を一切認めない規制はほかに例がないことも踏まえまして、情報通信審議会の第一次答申においてNTT持ち株などの外国人役員規制の緩和が速やかに実施すべき事項とされ、本法案はこの答申に基づき改正を行うこととするものでございます。
他方で、同じ第一次答申では、ほかの主要な通信事業者を含めた外資規制や外国人役員規制の在り方につきましては今後更に検討を深めていくべき事項とされておりまして、この審議会の下の経済安全保障ワーキングにおいて、今年夏頃の答申に向けて具体的な議論を行っていただいているところでございます。
総務省としては、この議論を踏まえまして、必要な対応について検討を進めていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/24
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025・平林晃
○平林委員 ありがとうございます。
NTT法の改正に関しましては今後も議論が継続されることと存じますけれども、国際競争力の強化も非常に大事であると思っております。その一方で、国内の多様なステークホルダーにも配慮しながらバランスの取れた議論をしていただけたらというふうに思っておりますので、そのことを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
御清聴ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/25
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026・古屋範子
○古屋委員長 次に、岡本あき子さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/26
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027・岡本あき子
○岡本(あ)委員 立憲民主党・無所属の岡本あき子でございます。
今日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。
冒頭に、昨日、台湾で大きな地震が発生いたしました。犠牲になられた方に哀悼の意を、また、助けを求めていらっしゃる方が一刻も早く救助され命が救われるよう願ってやみません。
総務大臣、通告をしていないのでこちらからお伝えだけにさせていただきますけれども、一九九九年九月に発生した台湾地震発生のときは、二千四百名以上の犠牲者を出した地震でしたが、被害における救助活動のために、消防庁から国際消防救助隊を台湾に派遣していただきました。また、東日本大震災の際には台湾から多大な支援をいただきました。その後もお互いに、災害があったときには相互に支え合ってきた関係です。また、今年の能登半島地震でも、既に台湾から日本に義援金など協力をいただいております。今回、是非、消防庁始め関係機関の皆様には、要請があればいち早く協力を、また政府を挙げて必要な支援を今後もお願いしたいと思います。
もしお答えがあればですが、お伝えだけにさせていただきたいと思いますがよろしいでしょうか、うなずいていただけると。よろしくお願いいたします。
それでは、いわゆるNTT法について伺わせていただきます。
日進月歩で技術が進むデジタル社会において、時代や社会の要請に合わせた政府や地域との関わり、必要に応じた法の見直しはあり得ると思っております。まずは研究の推進責務の改正について伺います。
二〇三〇年の実現を目指していますIOWN構想を世界標準に持っていくためには、国内、外資を含めて産学官と多くのパートナーを巻き込んで共同で研究していく体制が必要と思います。今回の研究の推進等の法改正によって何が期待されるのか。その一方で、研究の推進そのものの責務をあえて廃止する必要があるのかについてもお答えいただきたいと思います。NTT等は、法の責務の有無にかかわらず継続的な研究推進を既に表明されていると伺っております。あえて法改正を要する根拠を示していただきたいと思います。お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/27
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028・今川拓郎
○今川政府参考人 お答え申し上げます。
NTTの研究開発は、先ほども少し答弁させていただきましたが、電電公社から承継した技術力や人材をベースとして優れた研究開発基盤を有していること、国立研究開発法人のNICTや大学などと異なり、事業ニーズを取り入れながら基礎研究からサービス提供の基盤的研究まで一貫した研究開発を行うことが可能であること、こういった特徴を有しておりまして、情報通信分野において我が国の研究開発の中核的な役割を果たしております。
また、岡本委員から御指摘がございましたとおり、NTTグループは、研究の推進責務の有無にかかわらず研究開発に積極的に取り組んでいく考えを総務省の情報通信審議会において表明しているところでございます。
他方で、情報通信分野は技術革新が著しく、多様な主体による研究開発や成果の市場投入が活発化している状況がございます。
これらを踏まえまして、このような状況の中で、国が責務に基づき研究開発に関与するよりも、NTTが自らの経営判断でその内容を決定することが研究開発を最も効果的にするために適当である、こういった考えから、本法案では研究の推進責務を廃止することとして、NTTの研究開発の促進を図ろうというものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/28
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029・岡本あき子
○岡本(あ)委員 基礎研究は、純粋な民間企業ではどうしても採算を考えていかなければならず、厳しいものがあり、必ずしも長期的な視野がない状況ということもあり得ます。一方で、NTTグループに関しては長期的な視野に立った基礎研究の実績は非常に大きいと思っています。
そもそも、NTTの持ち株会社はその主たる事業が研究開発であり、日本の将来の情報通信を支える先導的な役割への期待は大きいと思います。そのためにも、基礎技術、基盤的技術の研究開発は必須です。次世代の大容量、長距離、超高速の光の伝導技術、量子コンピューター関連やナノフォトニクス技術のほか、感覚や感情、運動、そして言語など、こういう基礎研究も進められていらっしゃいます。研究の費用に関しては、日本の国内でいきますと、ほかの民間通信企業あるいはメーカーを含めても、NTTの研究開発にかける金額は突出しております。やはりこれは是非維持していただきたいと思っています。
単なる民間の収益事業としての位置づけでは、時々の経営者の判断で短期間で成果の上がる実用的な研究へ選択と集中がされてしまうのではという懸念がありますが、その結果、研究開発業務の規模縮小ということは懸念として、この法改正が影響しないのか、その点もお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/29
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030・今川拓郎
○今川政府参考人 お答え申し上げます。
NTT持ち株は、情報通信分野において研究開発の中核的な役割を果たすことが期待されることから、基盤的研究の実施を本来業務として位置づけております。
また、繰り返しで恐縮ですが、NTTグループは、研究の推進責務の有無にかかわらず研究開発に積極的に取り組んでいく考えを表明しております。
他方で、岡本委員から御指摘もありましたように、審議会の中でも、短期的利益を追求する株主の意見などによりリスクの高い基盤的研究が後退しないかというような懸念も指摘されたところでございます。
これらを踏まえまして、審議会の第一次答申では、研究に関する責務を廃止して研究開発を促進するとともに、責務が廃止された後も基盤的研究が着実に実施されるよう総務省においてNTTの基盤的研究の取組状況を継続的に検証することが適当であるとされております。
総務省といたしましては、本法案をお認めいただいて研究に関する責務がなくなった場合には、そのような検証を行うことなどによりまして、情報通信産業の研究開発力が確保されるようしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/30
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031・岡本あき子
○岡本(あ)委員 今の御答弁は本当に重要だと思います。基礎的研究、それから長期的な研究、それがひいては国際競争力を高める、時間はかかりますけれどもそういう成果につながっていくと確信をしておりますので、これからもやはり総務省としては、研究開発の推進が着実に行われるのか、研究の中身を検証して、しっかり日本の国際競争力を高めていくことに資しているのか、そういう点はチェックをしていただきたいと思っています。
私は、NICTの法律のときにも指摘をさせていただきました。当時、基金で三百億積むというときに質問させていただいたんですが、三百億、こんな桁で本当に大丈夫ですかという点で聞かせていただきました。
GAFAMの研究費は、総務省の資料を見ますと三兆円。二兆円、三兆円は当たり前の研究費という状況です。NTTグループ全体で二千五百億円なので、ここで既に一桁変わっております。国内の通信事業者あるいはほかのメーカーからするとそれでも二倍とか十倍というのがNTTの研究費ですので、ここは国際競争力を高める意味では、やはりあえて研究というところをしっかり視野に入れた取組を国も企業も協力し合って進めていくことが重要だということは指摘させていただきます。
現在、IOWN構想が非常に期待が大きくなっております。大容量、超高速はもちろんですが、私が一番興味があるのが光電融合技術で、カーボンニュートラル、要は低消費電力が実現するということも非常に画期的だと私は思っています。実は、電気通信というだけあって、通信やデータセンター、デジタルというのは電力消費量が非常に高い分野なんです。単にデジタルの加速のみならず、省エネを抜本的に実現する技術としても、日本から世界へ、そして世界標準へという発展になることを期待する一人ですが、総務省としての日本発の技術の世界展開への期待について伺うとともに、より実現しやすい環境を整えていくことが日本の国際競争力向上にもかなうと思いますが、大臣のお考えを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/31
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032・松本剛明
○松本国務大臣 委員がおっしゃったように、情報通信、デジタルの分野では高速大容量という課題だけではなく消費電力が大変大きな課題になってきている、そもそも電力量が様々な限界になるという意味で、消費電力が大きいだけではなく、おっしゃったように我々人類にとってカーボンニュートラルが課題であるという面からも、消費電力量については大変大きい課題だと思います。
そういった中で、今お話をいただきました光電融合技術によるIOWN構想、NTTグループさんにおかれてはオール光ネットワークを世界に先駆けて実現されておられまして、爆発的な情報量への対応、飛躍的な電力効率の向上を両立させるもので、ゲームチェンジを実現することを目指すとおっしゃっておられますし、期待をするところでございます。これが実現すれば我が国の情報通信産業全体の国際競争力の強化にもつながると考えております。
支援ということで法制度の面から対応ができるのではないかということで、申し上げてきているようにNTTさんが機動的かつ戦略的に研究開発や事業運営が行えるようにするものが今回の法案でございますが、課題として、おっしゃったように、研究開発と国際的な普及、標準化活動というのがテーマになってこようかというふうに思います。
総務省としてもビヨンド5G基金事業などを通じて支援してまいりたいと思っておりますし、また、標準化につきましても、NTTさんの方においては仲間づくりをこれまでの経験を踏まえて進めているということで、内外にも開放するというか仲間をつくっていくことで今進めていただいているところ、私どもとしてもその動向を注視しながらサポートするところはしっかりとサポートしていきたいと思いますし、政府全体としても研究開発などについては税制や補助などを通じて大きく支援してまいりたいと思っております。
その上で、今委員からもやはり研究開発費についても御懸念がありましたけれども、公開の場でNTTの島田社長においては、お金がたくさんあるかどうかではなく研究開発者の力によるのが研究であると言っているので、その気概に大いに期待をいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/32
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033・岡本あき子
○岡本(あ)委員 事業主とすればそう言わざるを得ないのかなと思いますが。ただ、やはり環境を整える、そのところに協力をするというのは、どの企業においても、国際競争力を高めるために行政として政府として必要な支援はしっかり行っていただきたいと思います。今回、法改正で、政府が何となく手放すみたいな感じに受け取られるとすると非常に誤解を招くと思います。規制を緩和することでパワーアップできるんだということは積極的にアピールしていただきたいと思います。
最先端の技術ですとか宇宙ですとか基礎研究とか、そういうお話を今させていただきましたが、その一方で、百五十年の歴史ある地域の通信インフラとしての提供、地域に根差した活動をしている実績もNTTにはあると思っております。
昨年十一月にNTT東日本株式会社のe―CityLaboを視察させていただきました。まさに循環型社会へ向けた地域課題解決のための実証実験が多くなされておりました。
スマート農業ですとか漁業、防災、文化芸術、インフラ整備まで多種多様な実証実験があり、東京都とコラボしてスマート農業のトマト栽培を行って、そのトマトを学校給食に提供しているという話も伺いましたし、陸上でシャケの養殖を実験している、あるいは学校給食の残食を環境配慮のリサイクルシステムに回すなど、ベンチャーも含む様々な企業や大学等とつながって地域の魅力づくりにも貢献していると伺いました。
早速、能登半島地震の際にも、ドローンもそうですし、水循環型のシャワーなど、ベンチャーとつながっていろいろな協力をしているということも報道等で見ております。
NTTには、防災や地方創生、次世代型の地域の魅力づくりなど、歴史的に地域に密着してきたことに対しての国民の期待も大きいと思いますけれども、評価について総務省に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/33
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034・今川拓郎
○今川政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、NTTは、電話やブロードバンドなどの通信サービスのみならず、スマート農業や観光、防災など、地域に密着した取組、ソリューションの提供もNTT東西などにおいて数多く行っていると承知をしております。
人口減少や少子高齢化が進む中、地域においては、情報通信技術の活用による課題解決が一層重要になると考えておりまして、総務省としても、NTTにおけるこれらの取組には委員と同様に大変期待をしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/34
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035・岡本あき子
○岡本(あ)委員 地域とつながってきた歴史、これは財産ですし、国民からしても、そこへの期待といいますか信頼というのは非常に厚い企業なんだということを改めて確認したいと思います。
次に、外国人役員の就任規制の緩和、この点についても伺いたいと思います。
グローバルな観点でのマネジメントや多様性を実現している企業経営という点は評価したいと思います。外国人役員就任のメリット、そして課題はありますか。その点も伺わせていただきたいと思います。
実は総務省では、二〇二二年一月、情報通信分野における外資規制の在り方に関する検討会で取りまとめがありまして、外資規制については見直す必要がある特段の事情も見受けられないとなったと記憶しております。二年前のことですけれども、この二年間で見直すことになった立法事実を含めてお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/35
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036・今川拓郎
○今川政府参考人 お答え申し上げます。
外国人役員就任のメリットと課題についてお尋ねがございましたけれども、近年国際競争が激化する状況の中で、NTTからは、グループ内に十五万人の外国人従業員がいる中で、グローバルかつ多様な視点でのマネジメントを行うためにも外国人の役員の就任を可能とすることについて要望がございました。
これを踏まえ、審議会において検討された結果、外国人役員を認めることがグローバルかつ多様な観点での経営を可能とし、国際展開や国際競争力の強化につながるため、外国人役員規制を緩和することが適当とされております。
一方で、課題もございます。外国人役員規制の趣旨である外国の影響力に対する経営の自主性の確保という観点も考慮する必要があることから、NTT持ち株やNTT東西の役員については、外国人の代表取締役への就任、外国人が役員の三分の一を占めること、これらを禁止する規制というものに緩和するということでございます。
また、委員御指摘の情報通信分野における外資規制の在り方に関する検討会におきましては、NTTからその当時は外国人役員規制の見直しの要望がなかったことなどを踏まえまして規制の枠組みを維持するとされたところでございますが、今回の検討におきましては、先ほども申し上げましたとおり、NTTからの具体的な要望もあったところでございます。
また、近年は、プラットフォームレイヤーの海外事業者が国境を越えた市場の拡大を行うなど、情報通信分野における競争環境が著しく激化をしておりまして、海外での事業運営などの識見を取り入れる意義が非常に高まっている、こういうような環境変化もあると考えておりまして、そういったことから本法律案では外国人役員規制の一部緩和を行うこととしているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/36
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037・岡本あき子
○岡本(あ)委員 デジタル主流の社会になるにつれ、情報通信の重要性はますます増しております。サイバー攻撃への防御はもちろん、ビヨンド5G技術、IoT機器との接続、データセンターや量子暗号通信技術など、確実で安全な通信はあらゆる経済活動の基盤であり、また国防においても重要な位置づけになっています。他国や海外事業者からの過度な影響を受けるなどの脅威を感じることなく、政府にとっても信頼できるパートナーの一つとして、通信インフラ及びデータ関連の維持管理を担える国内事業者としてのNTTの位置づけもあると思います。法改正が行われた後も、総務省の関与など、この位置づけは変わらないのか、伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/37
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038・今川拓郎
○今川政府参考人 お答え申し上げます。
NTTは、電電公社から承継した電柱、管路などの全国的な線路敷設基盤を保有しており、その上に設置された光ファイバーなどの回線数などのシェアでも、メタル回線で約九五%、光ファイバーで約七四%など非常に高い数値を占めておりまして、我が国を代表する基幹的な電気通信事業者でございます。
近年では、経済安全保障の重要性が高まるとともに、DXやGXなどの進展に伴いまして社会経済活動の神経網として通信インフラの重要性が増す中で、NTTにはこれまで以上に確実かつ安定的な通信の維持、運用を図ることが求められているというふうに考えております。また、国際競争力の強化の観点からの今回の法改正が行われた後も、我が国を代表する基幹的な電気通信事業者としてのNTTの位置づけは変わらないと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/38
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039・岡本あき子
○岡本(あ)委員 非常に重要なインフラを持っている、そして、情報通信あるいはデータに関する分野、これは国にとっても非常に守るべき財産というところは確認をさせていただきたいと思います。
今回、役員就任など一部の規制緩和がなされますけれども、私は今後も一定の外資規制は必要なのではないかと考えます。情報通信審議会の委員会における意見等でも、アクティビスト対策もしっかりやらなきゃいけない、こういう提案も書かれております。国内の安全な通信インフラを守る責務を負っており、経済安全保障の重要性を考えると、一定の外国や外国資本に対する対策は必要だと考えます。NTT法で引き続きがよいのか、事業法や外為法などで経済安全保障及び国防としての通信インフラ基盤の防御をすべきか、今後も引き続きしっかり検討して、守るべきところはしっかり守る、この姿勢を示すべきだと思います。これは総務大臣にお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/39
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040・松本剛明
○松本国務大臣 御指摘がありましたように、NTTは我が国を代表する基幹的電気通信事業者でありまして、国民にとって大切な通信を守るという視点からも大きな役割を担っていると考えられ、その役割に鑑みれば、外国の影響力に対する経営の自主性を確保することが大変重要で、その観点から外資規制が設けられているものと理解をしております。
現行の制度では、外国人の議決権保有割合を三分の一未満に制限するNTT法の総量規制、外為法の外国投資家による個々の株式取得について個別投資審査が行われるなど、これらが相まって外資からの保護が図られてきたところでありますけれども、先ほど局長から御答弁申し上げましたように、国際的な企業であるNTTさんのガバナンスや今後の国際展開などの視点から外国人役員に関する規制に関しては改めて御提案をさせていただいたところでございますが、私どもとしても、通信を守るということが大事であることはそのように認識しております。
そのような視点を踏まえ、また、経済安全保障の重要性は高まってきているということがありまして、情報通信審議会に専門家によるワーキンググループが設けられ、今年の夏頃の答申に向けて御議論をいただいているところでございまして、総務省としては、審議会での議論の結果を踏まえて、NTTに関する制度の在り方について、通信を守るといった視点から必要な検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/40
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041・岡本あき子
○岡本(あ)委員 重ねて申し上げますけれども、しっかり守るべきものは守っていく、その姿勢を示していただきたいと思います。特に、先ほどアクティビスト対策と申し上げました。いわゆる物言う株主ということです。会社が物としてのみ扱われて短期的な評価だけ上げて売り飛ばされる、こういうことがないように、そういう対象ではないということはしっかり国を挙げて位置づけていただきたいと思っております。
そして、災害時を含めて、改めて通信確保の重要性について伺っていきたいと思います。
今回、一月に能登半島地震が発生いたしました。通信インフラも大きなダメージを受けました。奥能登地域での通信インフラ確保に御尽力いただいた関係者の皆さんには本当に感謝を申し上げます。
東日本大震災のとき以上に今スマホを使っている、特にスマホ等が命の安否確認を取る手段である、情報を得る手段である、情報を発信する手段である。十三年前の東日本大震災のときとも大きく変化をしております。改めて、今回の能登半島地震の通信の復旧にどのように取り組んだのか、関係者に敬意を表しながら、御説明いただきたいことと、また、改めてこういうことを経験しますと、平時にこそちゃんといざというときにも対応できるようにということの通信確保のための備え、工夫が必要だと思います。この点についてもお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/41
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042・今川拓郎
○今川政府参考人 お答え申し上げます。
今般の能登半島地震によりまして、携帯電話サービスでは、能登半島の北部の六市町、輪島市、珠洲市などの六市町におきまして、被災前のサービスエリアと比較して、最大でその約七割から八割のエリアで支障が発生をいたしました。
こうした支障に対しまして、携帯電話事業者各社が移動電源車、車載型基地局といった応急復旧機材の設置を進めるとともに、総務省では応急復旧に必要な機材、燃料、人員の搬送や道路の啓開について関係機関との調整を行うといった、いわゆる官民連携によりまして携帯電話サービスの早期復旧に取り組んでまいりました。
こうした取組によりまして、携帯電話事業者四社は、立入り困難地点を除き応急復旧がおおむね終了したと一月十八日に発表している状況でございます。
また、避難所などの通信環境の確保のため、携帯電話事業者各社及び総務省の双方が、これもまた官民連携で衛星インターネット機器や衛星携帯電話などの通信機器の貸出しを進めてきたところでございます。
委員からも御指摘がございましたが、今般の地震のような災害時の対応に向けて、平時からの取組が非常に重要と考えております。総務省においては、携帯電話事業者に対し市町村役場をカバーする基地局に長時間のバッテリーを備えることなどを求めているほか、現地災害対策本部などにおいて総務省及び携帯電話事業者のリエゾンが駐在をしていろいろと取り組みますけれども、リエゾンの取組が円滑に連携することを目的とする訓練を継続的に平時から実施するということ、また、避難所などへ貸与するための移動電源車や災害対策用の移動通信機器を増強する、こういった取組も進めているところでございます。
総務省としては、こうした平時からの取組及び今般の地震への対応の双方に関しまして、その効果などを検証して、その教訓を踏まえることで、携帯電話事業者を始めとする関係者と連携し、災害時の通信確保に取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/42
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043・岡本あき子
○岡本(あ)委員 非常に御尽力いただいた皆さんに感謝を申し上げますし、何回も大きな災害を経験した教訓をしっかり生かして、平時にいかに備えるかという点を改めて検証していただきたいと思います。
ちょっと通告で、口頭では言っていたんですけれども、一点確認です。
今、避難所を拝見しますと、私は仙台出身ですので、十三年前の東日本大震災のときの避難所は、比較的、固定電話の回線を避難所に設置して、ノートパソコンのインターネット、事業者さんの御協力ですけれども、そういう環境を整える、公衆電話を使える状態にするということが災害が発災したときのテンプレートといいますか、インターネットが来たこと自体も十三年前は画期的だったんですが、十三年前はまだやはり固定電話中心、有線の回線中心で避難所運営をする、被災者に通信を確保するというところがあったと思うんです。
今回、今御説明いただいた中にもあったと思いますけれども、避難所においてもモバイルの提供をする、あるいはそれを短期間貸し出して戻してもらう、そういう時代になってきたんじゃないかと思います。改めて、避難所に関して、かつての固定電話中心で避難所運営あるいは被災者支援をカバーするということから変わってきている点、この点についてももう一度御説明いただけるとありがたいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/43
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044・今川拓郎
○今川政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、避難所における取組というのは、今回の能登半島地震では少し変わってきているのかなと思っております。
これまでは、避難所への通信確保につきましては、御指摘のとおり、例えば特設公衆電話を設けるですとか、ファイブゼロ・ジャパンと申しますけれども、無料のWiFiを設置したりということで、どちらかというと、委員の御指摘もありましたように、パソコンで使ったりとかそういったものを念頭に置いたものだったように考えておりますが、今回の能登半島地震では、そういったことも当然取り組んでおりますけれども、例えば衛星携帯電話を貸し出したり、ファイブゼロ・ジャパンの無料WiFiというのも当然やっておりますけれども、それはどちらかというと被災者の皆様がお持ちのスマートフォンをお使いいただくためのものというような位置づけに変わってきているのかなと思っております。
また、今回、スターリンクという衛星通信機器を避難所の方に持ち込ませていただいて、衛星を経由して避難所でWiFiをお使いいただく、これもまたどちらかというとスマートフォンなど携帯電話をお使いになる方の利便に資するものというような位置づけが強くなってきていると思っております。
被災者の方が避難所でも携帯電話を握り締めていらっしゃるような状況もあるかと思っておりますので、今回、固定電話、固定通信についても復旧は当然進めているところでございますが、被災者の皆様の御関心がかなり携帯電話の方にシフトしてきておりまして、携帯電話の復旧にもかなり力を入れたという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/44
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045・岡本あき子
○岡本(あ)委員 今、日常生活でデジタル化が進む中で、スマホあるいはタブレット、こういうものを持つのが日常になってきた。これは、いざというときの必要な情報入手手段というのがそういう端末になってきているんだということを踏まえた通信の在り方というところは考えていかなければならないと思っています。
能登半島を見ても、携帯の各事業者さんが早急な復旧に御尽力いただいた、船を出して中継をしていただいたり、衛星で中継をしていただいたり、そういう尽力をしていただいたことに本当に感謝を申し上げたいなと思っています。
そして、今申し上げたとおり、生活のスタイルがこういうモバイル中心になってきているという中でのユニバーサルサービス、これも改めてまた検証が必要なのではないかと思います。もちろん固定電話、公衆電話は重要です。これがなくていいという話ではなくて、のみではなくて、やはりここでは限界があるのではないでしょうか。
改めて、固定回線、無線等を含めて、誰一人取り残さず通信、情報入手、発信手段の確保をすることが最も重要ではないかと思います。そのための事業者間の連携、また、ラストワンマイルをどういう手段で誰が担うのか、これについては利用者の立場に立っての検討がこれから必要ではないか。この点について、大臣、お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/45
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046・松本剛明
○松本国務大臣 おっしゃったように、情報を国民の皆さんが入手できる、その際には誰一人取り残さずにということが大切であるということはおっしゃるとおりでありまして、全国どこでも通信サービスが利用できる環境を整えていかなければならない、大変重要なテーマだと思って取り組んでいるわけであります。
これも今御指摘がありましたとおり、技術が革新され、また利用される状況も大きく変わってきているというふうに認識をしておりまして、そのような観点から、ユニバーサルサービスについて、現在、情報通信審議会において専門家によるワーキンググループを設置しておりまして、固定電話中心からブロードバンドを軸とした制度への見直しを行う観点から、本年夏頃の答申に向けて議論を進めているところでございます。
過疎地や離島なども含めて効率的な提供を確保するためには、無線通信の活用や事業者間の連携によるサービス提供の確保など、多様な観点からの検討が必要であるというふうに考えているところでございます。
また、今、災害時についての御指摘がありました。ユニバーサルサービスという意味で、空間的な意味でどこでもということも大変大切でありますが、広義のユニバーサルサービスというふうに考えれば、いつでもという時間的なことも考えますと今後は必要ではないかという考え方から、事業者間の連携として、災害時や障害発生時に他の事業者のネットワークを利用できるようにするローミングによるサービス提供についても取り組んでいるところでございます。
総務省としては、地方を含めた全国各地域で質の高い通信サービスが利用できるように、利用者、国民の皆様の立場に立ってユニバーサルサービスの在り方についてしっかりと議論を深め、答申をいただいたらこれを踏まえてまた対応を検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/46
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047・岡本あき子
○岡本(あ)委員 ありがとうございます。
るる申し上げました。特にユニバーサルサービスはこれからの議論を注視したいと思います。ただ、私は、あくまでも利用者の立場に立って、しかも、通信手段を確保する、情報入手手段でもあり、発信手段でもあり、命を守る手段にもなってきている、このことも踏まえた検討を重ねられることを期待申し上げ、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/47
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048・古屋範子
○古屋委員長 次に、藤岡隆雄さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/48
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049・藤岡隆雄
○藤岡委員 立憲民主党・無所属の藤岡隆雄でございます。
本日も、私は、まず地元栃木県第四区の皆様に感謝を申し上げ、そして質問の機会を与えてくださった先輩、関係各位に感謝を申し上げまして、質疑に入ります。
その前に、昨日の台湾地震によりお亡くなりになられた方に心から哀悼の誠をささげ、被災されている全ての皆様に心からお見舞いを申し上げます。
岡本委員からも話がございました。これまで台湾の皆さんが寄せてくださった御厚情、例えば東日本大震災、もちろん能登半島の地震、そして熊本地震等々をやはり忘れてはいけない、恩返しをするという思いで、松本大臣にも、台湾からの要望などにも応じ、迅速な対応、積極的な対応を是非お願いしたいということを申し上げておきたいと思います。
その上で、質疑に入らせていただきます。
今回のNTT法の改正案に関しまして、私は改めて外資規制というのは重要であるというふうに思っております、保有する通信インフラですね。今回の法案の資料をまずお配りしておりますけれども、いわゆる附則の第四条の条文の解釈について様々な懸念というのも有されているところだと思います。その中で、読んだ方がこの条文をどう読むんだろうなということで、廃止を含めというところが必要な措置を講ずるにかかっちゃうとか、そういう懸念を有して、既に廃止が決まっているんじゃないかというふうに読まれている方もいる、そういうふうに懸念を有されるという思いを持つのは私は理解できるところであります。
まず、松本大臣に確認をさせていただきたいと思うんですが、NTT法の廃止を含めという文言は、検討を加えの検討にかかるという理解でよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/49
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050・松本剛明
○松本国務大臣 答弁の機会に恐縮でございますが、私からも、台湾で被災された方にお見舞いを申し上げ、犠牲となられた方、御遺族には哀悼の誠をささげたいと思います。
私自身のことで恐縮ですが、東日本大震災においては台湾からの救援隊を受け入れる業務を担当させていただいておりまして、今、政府においても台湾当局とは緊密に連絡を取っているものと理解しておりまして、しっかりと対応はなされるものと期待をしているところでございます。
委員の御質問でございますけれども、本法案の附則において、NTT法の廃止を含めNTT持ち株及びNTT東西に係る制度の在り方について検討を加えと規定しているところでございますが、NTT法の廃止を含めとの記載は、検討を加えにかかっているというふうに申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/50
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051・藤岡隆雄
○藤岡委員 ありがとうございます。
大変重要なところなものですから、あくまで廃止を含めというのは検討というところにかかっているわけですから、廃止が決まっているということではないし、この法案が成立をしたところで廃止が決まったということではないということだと思うんですけれども。
その前に、大臣、本当に、台湾地震のことを今触れていただきありがとうございます。感謝を申し上げたいと思います。是非、積極的な、恩返しというふうな視点でも対応をお願いしたいと思っております。
改めて、本法案が成立してもNTT法の廃止が決まったということではなく、廃止ありきの検討ではないという理解でよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/51
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052・松本剛明
○松本国務大臣 時代に合わせて通信政策の在り方をしっかりと見直していくということが大切だと考えておりまして、情報通信審議会におきましても、ユニバーサルサービス、公正競争、国際競争力、経済安全保障の観点から必要な制度、政策について御議論いただいているというふうに承知をしております。
総務省としては、その議論の結果などを踏まえて、NTTに課すべき規律、そして、それが適切かつ確実に担保できるような、そういった視点からNTT法の廃止も含めNTTに係る制度の在り方について検討を加え、その結果に基づいて来年の通常国会を目途としてNTTに対する規制の見直しを含む電気通信事業法の改正等必要な措置を講ずるための法案を提出するということを考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/52
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053・藤岡隆雄
○藤岡委員 今、御答弁の中で、廃止ありきの検討ではないというふうな理解でよろしいでしょうかという確認をさせていただいておりますけれども、廃止ありきの検討ではない、イエスかノーかでお答えをいただけないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/53
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054・松本剛明
○松本国務大臣 先ほども申しましたように、ユニバーサルサービス、公正競争、国際競争力、経済安全保障の観点にしっかり対応した政策を進めていくために必要な法制度の改正を行う。審議会の方からも速やかに対応すべき点ということで、非常に変化のスピードが速いところがありますので、いただいた点について今回御提案をさせていただいたところでございますが、更に検討を進めるべき課題という御指摘もあることから、今後もスピード感を持って対応するということで、審議会の御答申を踏まえ、また、来年の通常国会を目途として必要な法制度を改正する法律案を提出するものというふうに申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/54
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055・藤岡隆雄
○藤岡委員 通信の世界の国際競争だとか変化のスピードということも、もちろん理解はいたします。ただ、同時に、当然、通信インフラをしっかり守っていくという視点も、もちろん大変重要だと私は思っております。
附則の条文を読むと、さっきの検討を加えにかかっている以上は廃止ありきではないなというふうに、私は普通に読めると思いますし、大臣の今のお答えの中でのいろいろな、検討や規律を考えていくという中でも、当然、廃止ありきの検討ではないんだろうなと。しかも、大臣が、あるいは総務省の皆さんが廃止ありきの検討をしたいと思っているというふうには私は思ってはいないんですけれども、そういうふうには思っていないし、そう思いたいんですけれども、なかなか、今御答弁を聞いていても、言えないんですね、廃止ありきの検討ではないと。
やはりこれは大変重要なことでございますし、懸念を有さなくちゃいけませんし、何だか党内の実力者の方に大変な配慮をされているのかなというふうに感じざるを得ないんですけれども。すごく重要なところなので、あともう一回お聞きさせていただきますけれども、廃止ありきの検討ではない、普通に読んだらそうだと思うんですけれども、そういうのをおっしゃることはできないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/55
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056・松本剛明
○松本国務大臣 私どもとしては、御提案申し上げるとおり申し上げたいと思います、NTT法の廃止も含めNTTに係る制度の在り方について検討を加えます、その結果に基づいて、来年の通常国会を目途として、NTTに対する規制の見直しを含む電気通信事業法の改正等必要な措置を講ずるための法律案を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/56
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057・藤岡隆雄
○藤岡委員 おっしゃられないんですね、大臣。配慮しなくちゃいけない議員の方がいらっしゃるのかなというふうにしか思えないんですけれども、これはすごく重要なので。
附則には、令和七年に開会される国会の常会を目途としてとまで書いてあって、通常は、普通はこういう、検討して、その検討の結果、必要な措置を講ずるというような条文はあると思うんですけれども、法律を提出するとまで書き込んでいるのって、用例はすごく少ないと思うんですね。かつての電気通信事業法の附則で法案を提出すると書いてあるんですけれども、これは、あくまで方針が決まっていて提出するなんですよね。検討して、その結果に基づいてという中で、提出するというところまで書き込んでいるのって私は余り見ないんですよね、こういう条文って。
だから何らかのすごく強い意図や政治的な圧力的なものが働いていると感じざるを得ないと改めて感じたものですから、ちょっとこの令和七年の提出までの議論というのは、重大な懸念というのは、警鐘は発していかないといけないなということは申し上げておきたいということを思います。
その上で、附則の四条でございますが、国会に提出するとされておりますけれども、検討が前提なので、法律案を国会に提出しないという選択肢はこの法案上は認められるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/57
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058・今川拓郎
○今川政府参考人 お答え申し上げます。
本法案の附則では、NTTに係る制度の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるための法律案を国会に提出するものとするとしているところでございまして、これに基づいて、法律案を令和七年に開会される国会の常会を目途として提出することを想定しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/58
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059・藤岡隆雄
○藤岡委員 局長、法案を提出するということ自体は義務ということですね。そこをもう一回お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/59
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060・今川拓郎
○今川政府参考人 お答え申し上げます。
先ほどの答弁の繰り返しとなりますが、法律案を令和七年に開会される国会の常会を目途として提出することを想定しているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/60
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061・藤岡隆雄
○藤岡委員 想定しているということで、いまいちはっきりしないところではあるんですけれども、これ以上押し問答してもあれなので。
国会に提出を想定しているということは提出義務がかかっているというふうに見るのか、附則上はあくまで電気通信事業法の改正だけを例示されておりますが、電気通信事業法の改正は少なくとも想定している、そこは少なくとも義務だということなのか、御答弁をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/61
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062・今川拓郎
○今川政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、本法案の附則では、電気通信事業法の改正等必要な措置を講ずるための法律案を国会に提出するものとするとしているところでございますけれども、電気通信事業法の改正は、必要な措置を講ずるための法律案の例示として規定しているところでございます。
NTT法を含む通信政策の在り方については、審議会において、大臣からも先ほどございましたが、ユニバーサルサービス、公正競争、国際競争力、経済安保、経済安全保障、こういった観点から必要な規律の在り方について御議論いただいているところでございまして、総務省としては、その議論の結果などを踏まえて、電気通信事業法の改正等必要な措置を講ずるための法律案を提出してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/62
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063・藤岡隆雄
○藤岡委員 NTT法の改正については、提出が今の段階で決まっているということじゃないということでいいですね。想定はしていない、今の段階では。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/63
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064・今川拓郎
○今川政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど申し上げましたように、電気通信事業法の改正は、必要な措置を講ずるための法律案の例示として規定しているものでございますので、いろいろなことが想定され得るということだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/64
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065・藤岡隆雄
○藤岡委員 その想定の中にあらかじめNTT法の改正が入っているのかどうかというところは、はっきりお答えいただきたいんですけれども。今の段階ではまだ検討なので、今は想定されていないというふうに思うんですけれども、既に入っているのかどうか。その点だけは、法律の解釈のところ、法案の審議でありますから、ここははっきりお答えをいただきたいと思うんですけれども、よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/65
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066・今川拓郎
○今川政府参考人 お答え申し上げます。
繰り返しての答弁で恐縮でございますが、電気通信事業法の改正は必要な措置を講ずるための法律案の例示でございますので、必要な措置としてはあらゆる可能性が入り得るというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/66
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067・藤岡隆雄
○藤岡委員 聞き方をちょっと変えますけれども、そうすると、少なくとも電気通信事業法については例示をされているので、既に決まっている改正事項というのは何ですか。出すということを書いてあるわけですから。大臣にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/67
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068・松本剛明
○松本国務大臣 今局長からも御答弁をさせていただきましたけれども、総務省の情報通信審議会第一次答申におきまして、速やかに実施すべき事項、これが今回提出させていただいた法案に係る事項でございますが、これに加えて今後更に検討を深めていく事項が提言されておりまして、これは、先ほども申しましたように、ユニバーサルサービスであったり、公正競争であったり、国際競争力の強化、経済安全保障に係る点でございます。
先ほどの岡本委員からの御質疑でも申しましたけれども、ユニバーサルサービスに関連して、利用される方の動向や技術革新等を考えて、固定電話中心からブロードバンドを軸とした制度への見直しを含めた議論を行っておりまして、その議論の結果を踏まえて必要となる法改正事項を検討していくことが想定されると考えております。
なお、電気通信に係る規定につきましては、代表的なものとして電気通信事業法が例示されていると理解をしておりますが、NTT法を始め電気通信に係る規定がある法律についても必要な政策に応じて法改正が行われるものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/68
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069・藤岡隆雄
○藤岡委員 必要に応じて検討ということだと理解をいたしましたけれども、ちょっと分かりにくいので、最後にもう一点、大臣にお伺いをしたいと思うんです。局長とも先ほどからやり取りさせていただきましたけれども、いろいろな想定があり得るということだとは思うんですけれども、そのいろいろな想定なんですけれども、少なくともNTT法の改正については、これは法律を出すということは決まっていないということでよろしいですね。そこだけ確認させてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/69
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070・松本剛明
○松本国務大臣 先ほども申しましたように、今後更に検討を深めていくべき事項、その例としてユニバーサルサービスについて申し上げたわけでありますが、各事項についてそれぞれ今御議論いただいておりまして、この議論の結果を踏まえて、では法制度をどのように変更する必要があるのかということで対応することになるというふうに理解しておりまして、申し上げましたように、NTT法の改正を含め制度の在り方を検討いたしまして、必要な法制度の対応については法律案として来年の令和七年の常会を目途として提出し、御議論いただきたいと思っております。スピード感を持った対応が必要であるということがございまして、そのように申し上げているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/70
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071・藤岡隆雄
○藤岡委員 いや、なかなか言えないんですね、廃止ありきの検討ではないとか、法律が決まっていないとか、普通に、決まっていないというふうにこれは言えると思うんですけれども。言えないというところは相当こう何か、済みません、あえて申し上げます、総務省さんも苦慮されているんだなというふうに私は思いたいと思いますけれども。ちょっと、すごく、重大な警鐘といいますか、大臣もそこまで配慮しなくちゃいけないんだなというところは改めて感じましたので、引き続き警鐘を発したいと思います。
これは元々、防衛財源の捻出の議論というところから出てきていると思うんですけれども、そもそも、防衛財源の捻出の議論とNTT法の改正等の議論は、私はきちんと切り離して考えるべきだと思うんですよね。大臣、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/71
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072・松本剛明
○松本国務大臣 防衛財源という意味では、政府保有株式の売却のお話であろうかというふうに思いますけれども、これにつきましては情報通信審議会の第一次答申において今後更に検討を深めていくべき事項の中にあるところでございますが、この検討に当たっては、防衛財源捻出といった観点ではなく、重ねてになりますが、ユニバーサルサービス、公正競争、経済安全保障の確保、国際競争力の強化といった観点から御議論いただいているものというふうに理解をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/72
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073・藤岡隆雄
○藤岡委員 今はっきり、観点ではなくというふうにおっしゃっていただきました。本当はもうちょっと突っ込もうかと思ったんですけれども、観点ではなくというところまでおっしゃっていただきましたので、是非、そういう防衛財源捻出の議論とは切り離してきちんとこれはやっていただきたいなということを申し上げたいと思います。
NTT法の廃止ということに対して通信インフラを守るという視点で本当に慎重に考えなくちゃいけないと私は思うんですけれども、大臣、そもそも大臣は前向きなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/73
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074・松本剛明
○松本国務大臣 NTT法の廃止については、既に附則に記載をさせていただいたとおりなので、繰り返しになろうかというふうに思いますけれども、通信政策につきましては、先ほどからもお話がありますように、利用される方々の環境が変わる、技術が変わってきている、市場も変わってきている、国際情勢も変わってきているといった変化を踏まえて、時代に合わせて不断の見直しが必要であると考えております。もちろん、これも先ほど岡本委員からも御指摘がありました。
情報通信産業として国際競争力を大いに期待するところも日本経済を通してひいては国民にお返しできるというふうに考えますが、利用者である国民の方々の視点に立つという点も通信政策を展開するに当たっては大変重要であるというふうに考えておりまして、これまでも申し上げてきているような四つの観点からしっかりと議論をしていきたいと思っております。
情報通信審議会において本年夏頃の答申に向けて御議論いただいておりますので、総務省としてはその議論の結果を踏まえて対応してまいりたいと思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/74
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075・藤岡隆雄
○藤岡委員 大臣、その答弁、いいですか、直さなくて大丈夫ですか。廃止についてはさっき述べたとおりとおっしゃって、そこを言い直さなくて大丈夫ですか、今の御答弁の冒頭の。逆に心配して申し上げるんですけれども。あくまで、廃止は、あれですよね、含め検討ということですよね。今うなずいていただいたので、大丈夫です。
改めて、今のはスタンスが前向きなのかよく分からなかったところではあるんですけれども、いろいろな視点で今後本当に慎重に考えていただきたいと思いますし、もちろん国際競争力を高めていくのも重要ですし、不断の見直しをするという視点ももちろん重要です。ただし、通信インフラを守るということは大変重要な話でありますから、あくまで利用者視点は当たり前の話でありますので、通信インフラをしっかり守るという視点も本当に大事にしていただきたいなということを申し上げたいということを思います。
もちろん、NTTさんのIOWN、それに関する光電融合の技術等、本当に今すばらしい開発をしていて、ゲームチェンジを私も大変期待しております。それは本当に期待しています。ただ、同時に通信インフラはちゃんと外資から守る、その意味で、NTTが保有する局舎、管路や電柱、洞道などいわゆる特別の資産と言われているものがあります、この特別の資産の譲渡等について、NTT法十四条の認可義務の対象になっているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/75
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076・松本剛明
○松本国務大臣 NTT東日本、西日本は、我が国における適切かつ安定的な通信サービスの提供に重要な公共的役割を果たしておりまして、そのサービス提供の基盤となる重要な電気通信設備が譲渡等された場合には通信サービスの安定的な提供に重大な影響が生じるおそれがあるため、その譲渡等については総務大臣の認可が必要とされている、これが今委員が御指摘になられたところでございます。
局舎、管路、電柱、洞道などの線路敷設基盤につきましては電気通信設備ではなく工作物に該当するため、その譲渡等は当該認可の対象外とされているところでございます。
そのため、情報通信審議会において通信サービスの安定的提供や経済安全保障を図る観点等から当該認可対象の在り方について議論いただいているところでありまして、総務省としてはその結果を踏まえて必要な対応をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/76
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077・藤岡隆雄
○藤岡委員 認可対象にした方がよいのではないかなというふうにも私は思えるんです。経済安全保障の観点からしっかり議論していただきたいと思うんですけれども、これらの特別の資産などを保有するNTTが外国資本に買収されることはあってはいけないというふうに思いますけれども、大臣も同じ認識でよろしいですよね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/77
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078・松本剛明
○松本国務大臣 これまでも申し上げてきたかというふうに思いますけれども、NTTは我が国を代表する基幹的な電気通信事業者で、局長からも御答弁を申し上げたように、光ファイバーの回線数について高いシェアを有しているなど、国民の生活基盤ともなる通信インフラを支えていることは申し上げるまでもないところでありまして、NTTさんの役割は大変重要でありまして、このNTTさんの役割に鑑みると、NTTが外国の影響力によって経営の自主性が確保できなくなることが生じてはならないというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/78
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079・藤岡隆雄
○藤岡委員 外国の影響にと今おっしゃっていただいて、ありがとうございます。本当に、そういう視点でしっかり議論をしていただきたいというふうに思うんですね。ありがとうございます。
そして、今現在政府のNTTの株式保有割合は何%で、政府は三三以上とかになっているんですよね、超じゃなくて。でも、多分、超を持っていらっしゃると思うんですが、株式保有割合は何%で、保有株式の時価総額は幾らになるんでしょうか。参考人にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/79
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080・今川拓郎
○今川政府参考人 お答え申し上げます。
令和五年十二月末時点で政府が保有するNTTの株式の割合は三三・三%を超えておりまして、NTT法第四条で規定する政府保有義務の割合を超える株式を保有しております。
この政府保有株式の時価総額は約五兆円となります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/80
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081・藤岡隆雄
○藤岡委員 今川局長、はっきり答弁いただいてありがとうございます。
大臣、関連でお聞きしたいんですけれども、五兆円というとある意味、大きなファンド等、金融関係の会社等。五兆円って本当にすさまじい額ですけれどもね。でも、買収が十分可能な金額ということになるんですよね、金融の世界の中でいいますと。もしNTT法が廃止されたときに政府の株式保有義務がないとなると、当然、買収可能にもなってしまうというふうな局面も考え得るということになるわけなんです。そうすると、先ほど岡本委員からありました物言う株主とかいろいろなことで、かけがえのない資産が切り売りされるなんということだって考え得るわけなんですね。
改めて、政府の株式保有ってやはり重要なんじゃないんですかね、今のこの状況ですと。どうですか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/81
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082・松本剛明
○松本国務大臣 委員御案内のとおり、現行制度では、NTT法において、NTT持ち株会社について外国人の議決権保有割合を三分の一未満に制限する規制が設けられておりますし、また、政府に対してNTT持ち株の発行済株式の総数の三分の一以上に当たる株式の保有義務が課されているところでございます。
先ほども申しましたように、外国の影響などによってNTTの自主的な事業運営が妨げられるようなことが生じてはならないと申し上げてまいりましたが、外資規制の在り方、政府の株式保有義務の在り方については、現下の経済安全保障の必要性も踏まえて情報通信審議会において今年夏頃の答申に向けて御議論をいただいているところでありまして、総務省としてはこの議論の結果などを踏まえて検討を進めたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/82
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083・藤岡隆雄
○藤岡委員 自主的な経営に外国の影響があってはいけない、もちろんそうですし、同時に、国としてもこうした通信インフラを保有するNTTをきちっと、外国資本に買収されることがゆめゆめあってはいけないというふうな視点で、そこを十分踏まえて対応していただきたいということは強く申し上げておきたいというふうに思います。
同時に、外資規制の議論の中で、外為法によって代替するという議論もあるんですけれども、外為法は、御案内のとおり、大臣に申し上げるのも釈迦に説法ですけれども、居住者要件ですよね。だから、十分代替できないんじゃないかなと私は思うんですね。大臣、外為法の規制で代替できるんですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/83
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084・松本剛明
○松本国務大臣 NTT法に関しては先ほど申し上げたとおりでございますが、外為法においては外国投資家による個々の株式取得について審査を行う個別投資審査というのがございまして、外国人の議決権保有割合を三分の一未満に制限するNTT法の総量規制と相まって外資からの保護が図られていたというふうに考えるところでございます。
NTTの制度に関する経済安全保障の観点からの御議論については、先ほど申しましたように、情報通信審議会に専門家によるワーキンググループを設置して本年夏頃の答申に向けて御議論いただいているところでございますが、審議会の議論においては、外為法の個別投資審査を強化すべき、外為法とNTT法とは目的と手段に差異があり、外為法を仮に強化したとしてもNTT法の総量規制を代替することは困難ではないかなど様々な意見が交わされているところでございまして、繰り返しになりますけれども、外国の影響によって経営の自主性が損なわれるようなことがないようにというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/84
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085・藤岡隆雄
○藤岡委員 今おっしゃってくださった総量規制を外為法で代替というのは、やはり難しいのではないかというふうな指摘を私はさせていただきたいと思います。居住者の要件ですから、居住していればということになってしまいますので、そこは慎重に、今大臣がおっしゃってくださった視点をよくよく留意して御対応していただきたいなということを思います。
続きまして、先ほど岡本委員からも話がございました、NTTが研究開発を、IOWN、光電融合等々、リスクのある分野の研究というのをNTTも担ってきてくれていたという側面、今回の普及の責務規定の撤廃というのは、当然、技術を守ったり、いろいろな視点からこれは必要なんだろうなというふうに私は感じております。普及の責務規定については、NTTの技術を守るという観点から撤廃するという視点もあるということでよろしいですよね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/85
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086・松本剛明
○松本国務大臣 研究開発につきましては、研究開発の責務と普及の責務ということで話をさせていただいてきておりますけれども、事業運営の自由度を増すことによって研究開発を促進するということになることを期待しているところでございまして、例えばIOWN構想についても先ほど申しましたようにNTTさんでは仲間づくりを進めておられるという中で、研究開発の成果をどのように共有するかということも御判断いただいた上で前へ進めていただいていると考えておりまして、そのような判断を、事業運営の自由度を増すことによって効果を期待しておるところでありまして、その中には、当然、技術を有効に活用するという意味で、技術自身の確保、守るといった視点も含まれるのではないかというふうに考えてもよいかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/86
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087・藤岡隆雄
○藤岡委員 ありがとうございます。
そして、いわゆる研究の方、これは今後も本当にNTTさんに期待するところが私はすごくあるんですけれども、研究の推進の責務規定は今回なくしてしまっているんですけれども、これは私は残した方がよかったのではないかなというふうに思うんです。今川局長、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/87
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088・今川拓郎
○今川政府参考人 お答え申し上げます。
NTTが行う研究開発につきましては、研究開発を最も効果的にするためには、国が責務に基づき研究開発に関与するよりも、NTTが事業ニーズを踏まえながら自らの経営判断で研究開発の内容などを決定することが適当であるということでございまして、本法案では、研究の推進責務を廃止することとし、NTTの研究開発の促進を図るものでございます。
それから、先ほど御答弁させていただきましたが、審議会においても、短期的利益を追求する株主の意見などによりリスクの高い基盤的研究が後退しないかというような懸念もございました。
こういった懸念も踏まえた上で、審議会の第一次答申では、研究に関する責務を廃止して研究開発を促進する一方で、責務が廃止された後も基盤的研究が着実に実施されるよう、総務省においてNTTの基盤的研究の取組状況を継続的に検証することが適当であるというふうにされております。
総務省としては、本法案をお認めいただいて研究に関する責務がなくなった場合には、そのような検証を行うことなどにより、情報通信産業の研究開発力がしっかり確保されるよう取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/88
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089・藤岡隆雄
○藤岡委員 ありがとうございます。
研究の責務規定によっていい面をこれからも残していただきたいと思いますので、総務省においてはフォローというところで、いい面をしっかりこれからも受け継いでいっていただくように御対応、留意をしていただければということを思います。
それから、ユニバーサルサービスの話が先ほどから出ておりましたけれども、ブロードバンドなどを軸として新たなユニバーサルサービスを確保していく上で、特別の資産などを保有するNTTにも当然役割を果たしてもらう必要が出てくることも考え得ると思うんですけれども、大臣の見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/89
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090・松本剛明
○松本国務大臣 先ほども申し上げましたように、NTT東日本、西日本は電電公社から承継した線路敷設基盤を全国津々浦々に保有しておりまして、その上に光ファイバー等の回線が敷設されております。これらは、他の事業者が通信サービスを提供する上でも必要不可欠な公共的な基盤となっております。
情報通信審議会の議論の中でも自治体や消費者団体などから、このような特別の資産を保有するNTTがブロードバンド提供の責務を担うことを期待する意見が寄せられているところでございます。
ユニバーサルサービスの提供責務については、先ほどの御議論の中でも少し申し上げましたが、過疎地や離島なども含めて効率的な履行を確保するためには、無線通信の活用や事業者間の連携によるサービス提供の確保など多様な観点からの検討が必要でありまして、総務省としては、地方を含めた全国の各地域において質の高い通信サービスが利用できるよう国民、利用者の立場に立ってしっかりと議論を深め政策を進めてまいりたいと思っておりまして、その議論の結果を踏まえた中で、NTT東西さんの役割を含めて様々な制度を設けていくことになろうかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/90
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091・藤岡隆雄
○藤岡委員 時間が来ましたので終わりますが、ユニバーサルサービスを過疎地域まで含めてきちっと確保していただきたいということと、令和七年に開会される常会を目途に法案提出ということまでの議論に重大な警鐘を発しまして、私の質疑を終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/91
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092・古屋範子
○古屋委員長 次に、中司宏さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/92
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093・中司宏
○中司委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の中司宏でございます。
質問の機会をいただき、ありがとうございます。
今の藤岡委員の質問とも結構重複するんですけれども、念押しの意味も込めましてあえて質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。
さて、電電公社の民営化によりまして特殊会社としてNTTが設立されて、四十年が経過をしたわけであります。この間、情報通信インフラの重要性が非常に高まりまして、社会のデジタル化が加速をした、一方で日本の国際競争力は低下をしてきたという状況です。現在、情報通信産業の構造や経済安全保障を取り巻く環境が激しく変化する中にありまして、NTTを始め情報通信政策の在り方について抜本的な見直しが求められているところです。
そうした背景の下で、今回の法改正は、情報通信審議会の第一次答申で速やかに実施すべきとされた事項についての改正でありますが、政府は、この夏の審議会の最終答申を踏まえて来年電気通信事業法などを改正する考えを表明しておられますけれども、今回なぜNTT法の一部改正だけを先行されるのか、まずこの点を松本大臣にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/93
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094・松本剛明
○松本国務大臣 これまでも議論の中でも申し上げてまいりましたけれども、情報通信分野というのは、産業の面でも内外を越えて最大の成長分野である中で、大変変化のスピードが速い分野でございますが、この最大の成長分野において我が国の情報通信産業の国際競争力の強化を図るということは喫緊の課題であるというふうに認識しております。
委員から御指摘がありましたが、情報通信審議会におかれましても速やかに対応すべき事項とございましたことを受けて今回の法案を提案させていただいたものでありまして、我が国の情報通信産業の中で中核的な役割のNTTグループさんが機動的かつ戦略的に研究開発、事業運営などが行えるように法制度を改めることによりまして、我が国全体の情報通信産業の国際競争力を高めることにもつながるのではないかということでございまして、これに基づいて先行的に必要な改正を行うこととしているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/94
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095・中司宏
○中司委員 先行的に緊急的なことをやるということで答弁があったわけですけれども、法案の附則なんですけれども、これも先ほどありましたが、政府は、電気通信役務の適切、公平かつ安定的な提供を始め公正な競争の促進、国際競争力の強化、安全保障の確保という観点からNTT法の廃止を含めて制度の在り方に検討を加えて来年の通常国会に必要な措置を講ずる法案を提出するとあります。
これが意味するところですけれども、この必要な措置というのはどういう措置を講ずるというのか、重ねて私からもお聞きいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/95
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096・松本剛明
○松本国務大臣 これまでも御答弁申し上げましたけれども、環境の変化が速いことを踏まえてできる限り速やかに対応をということでございまして、先ほどの御議論の中でも、NTTさんの技術を守れるのかどうかという御指摘があった中でも、やはり技術の流出があり得るのではないかといった課題の指摘もあることからこのような対応をさせていただいているというふうに理解しております。
今委員からもお話がありましたように、大切なことは、ユニバーサルサービスを確保すること、公正な競争を確保すること、経済安全保障を確保すること、国際競争力を強化することだというふうに考えているところでございまして、国際競争力の強化、研究開発の責務については今回御提案をさせていただいているところでもありまして、ユニバーサルサービス、公正競争、経済安全保障の確保については情報通信審議会でワーキンググループを設けまして御議論いただいているところであります。
この中で、ユニバーサルサービスについては先ほどから申しましたように固定電話中心からブロードバンドを軸とした制度への見直し、また、公正な競争については低廉で多様な通信サービスを実現するためのNTT東西の業務範囲や通信インフラの在り方、経済安全保障については国内の通信サービスの安定性を考慮したNTT法における外資規制の在り方などの点に留意して御議論いただいているところでありまして、この議論を踏まえて検討を進めてしっかりと対応したいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/96
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097・中司宏
○中司委員 検討を加えるという項目等につきましては、それはよく分かるんですけれども、ただ、最終答申はまだ出されていない段階ですが、答申が出る前に期限を切ったこうした意思表示を、来年の常会に出すとか、そういう意思表示を行うということ、期限を切ってですね、これになっていると思うんですけれども。まだ決まっていない、しかもNTT法の廃止に言及するということは、やはりこれは、大臣は諮問されているわけなんですから、審議会の軽視ではないかと思うんですけれども、その点の見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/97
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098・松本剛明
○松本国務大臣 審議会におかれまして、先ほども申しましたように、環境の変化の速さも踏まえて速やかに対応すべき事項を第一次答申で御提示いただいていると同時に、更に検討すべき事項についてもお取上げをいただいておりまして、本年夏頃の取りまとめに向けて議論を進めていただいていると承知いたしております。
先ほども申しましたように、環境の変化の速さにも鑑み速やかに対応するといったことを考えて、段階的かつ着実に行うことを明確化するために本法案の附則第四条の規定を設けることとしたものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/98
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099・中司宏
○中司委員 私は審議会の軽視ではないかということをお聞きしているんですけれども、そのことについてはお答えいただいていないんです。
先ほど、廃止という言葉、附則に書かれていることにつきましては、廃止の検討ということですけれども、これについてはやはり、まだ決まっていないという答弁が先ほどありましたけれども、しかしながら、それは、ありきではないということをはっきりと答えられていないということは、やはりこれはしっかりと慎重にやっていくべきことだと思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。
そういうことを考えますときに、企業としてのNTTの成長、発展、国際競争力の強化、これは本当に大事なことではありますけれども、同時に、情報通信面での経済安全保障を担保するということ、そして国民の財産である通信インフラを守っていくということであらなければならないと思っています。NTTは我が国の情報通信産業の中核を担っていく企業でありまして、情報通信に関わる国家戦略と密接に関係していると思っております。そういう中で、これまで守られてきた規律をもし仮にNTT法を廃止したらどう守っていくのか、この辺の見解をお聞かせ願えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/99
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100・松本剛明
○松本国務大臣 御質問の前に、情報通信審議会の先生方には大変すばらしい御議論をいただいておりまして、私どもとしてはその御議論を踏まえて様々な対応をさせていただいているということを是非改めて申し上げたいと思います。
その上で、NTT法を廃止した場合に必要な規律が担保できるのかという趣旨の御質問かというふうに考えるところでございますけれども、これまでも申し上げてまいりましたように、環境の変化を踏まえて通信政策の見直しを進めていく中で、繰り返しになりますが、経済安全保障の観点、国際競争力の強化、ユニバーサルサービス、公正競争の確保もですが、経済安全保障の確保もしっかりと担保されなければいけない観点であるというふうに考えておりまして、その視点から情報通信審議会でも御議論いただいておるというふうに理解をしております。
この議論の結果を踏まえて適切かつ確実に担保できるようにしていかなければいけない、その法形式については、NTT法の廃止を含め、NTTに係る制度の在り方について検討を加えて、その結果に基づいて来年の通常国会を目途として必要な措置を講ずるための法律案を提出してまいりますと申し上げているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/100
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101・中司宏
○中司委員 それと、第一次答申の中で今後更に検討を深めていくべき事項の一つとして政府の株式保有義務が挙げられているわけでありますが、三分の一の株式保有義務を行ってきた意義、それと保有義務をもし解除した場合のリスクも含めて今後どういう検討をされるのか、これについてもお聞かせいただきますようにお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/101
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102・松本剛明
○松本国務大臣 NTT法において三分の一以上の株式の政府保有義務が課されているところでございますが、これについては、政府がNTTの安定株主となることで特定の者による経営の支配や株主権の濫用を回避する、我が国における適切かつ安定的な電気通信役務の提供、電気通信技術に関する研究の実施を行う、これらの確保につながるものとして政府の株式保有義務があるというふうに考えているところでございまして、この政府の株式保有義務の意義はNTT持ち株会社、NTT東日本、西日本の業務、責務の内容と密接に関連をしておりまして、その業務や責務の在り方について先ほど申し上げた四つの観点から見直しを検討いただいているところでございまして、これらを担保するための措置をどのようにするのか議論する必要があると考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/102
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103・中司宏
○中司委員 見直しの中で、担保される措置、しっかりと対応していただきますようにお願いをしたいと思っています。
そもそも、この議論の発端ですけれども、これも先ほどありましたが、防衛費の増額分についての財源の捻出、この検討から出てきたことだと聞いておるんですけれども、国家国民を守るための防衛費の増額については是とするわけですけれども、財源として仮に政府保有株の売却を考えるのであれば、これはやはり本末転倒だと言わざるを得ないと思っています。経済安保上のリスクが大き過ぎて国益に反するのではないかと考えるわけですけれども、守るべきものは守った上で国際競争力をつけるべきだと思いますが、その見解をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/103
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104・今川拓郎
○今川政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の防衛財源確保ということでございますと、これは政府保有株の売却、すなわち政府保有義務の在り方に関係してくるものと受け止めております。
政府保有義務の在り方につきましては、情報通信審議会の第一次答申において今後更に検討を深めていくべき事項とされておりまして、今年の夏頃の答申に向けて検討を進めていただいているところでございます。
この検討に当たっては、先ほど大臣からも御答弁がございましたけれども、防衛財源確保といった観点ではなく、ユニバーサルサービス、公正競争、国際競争力、経済安全保障を確保する観点から検討を進めていただいているところでございます。
NTTの株式の政府保有義務はNTT持ち株会社やNTT東西の業務や責務の内容と密接に関連するものでございますので、まずは、その業務や責務の在り方について時代に即した見直しを検討いただいた上で、それらを担保するための措置の在り方を議論する必要があると考えているところでございます。
総務省としては、審議会での検討結果を踏まえ必要な対応を行ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/104
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105・中司宏
○中司委員 ありがとうございます。
さて、今回の改正で国際競争力を確保していくということ、これは大きな目標だと思っています。その取組の主眼の中で、一定割合の外国人の役員就任、こうされているわけなんですけれども、それはセキュリティークリアランスの観点を十分に踏まえたものにしなければいけないと思っているところでございます。
そもそも、総務省の情報通信分野における外資規制の在り方に関する検討会において、今後の方向性として、これまでの外資規制や外国人の役員就任規制が有効に機能してきたということが一定評価をされている、昨今の安全保障の動向を鑑みても本規律を見直す事情も見受けられない、引き続き現行枠組みを維持する、こうまとめられているんですね。僅か二年前の話なんですけれども。にもかかわらず、一転して、今回、就任することを認めるということになった理由は何なのか、これについてお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/105
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106・今川拓郎
○今川政府参考人 お答え申し上げます。
中司委員御指摘の情報通信分野における外資規制の在り方に関する検討会におきましては、これは二年前当時でございますけれども、NTTから外国人役員規制の見直しの要望がなかったことなどを踏まえまして規制の枠組みを維持するとされたところでございます。
一方で、今回の検討は、NTTを含めた情報通信産業が一層発展するよう時代に即した規制に抜本的に見直す観点で検討を進めておりまして、その過程におきまして、NTTからも、昨年十二月の情報通信審議会のヒアリングにおいて外国人役員規制の見直しについて具体的に要望があったところでございます。
また、近年はプラットフォームレイヤーの海外事業者が国境を越えた市場の拡大を行うなど、情報通信分野における競争環境は著しく激化をしておりまして、海外での事業運営などの識見を取り入れる意義が非常に高まってきていると考えております。
こういった中で、外国人の役員の就任を認め、グローバルかつ多様な観点での経営を可能とすることは国際展開や国際競争力の強化につながるものとなるというふうに考えられることから、本法律案では外国人役員規制の一部緩和を行うこととしているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/106
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107・中司宏
○中司委員 そのときの、二年前のまとめの中で、昨今の安全保障の動向を鑑みてもとわざわざ書いてあるわけなんです。ですから、今の答弁の中で、国際競争力を強化するという、その一方でやはり我が国の重要インフラである、そしてまた国民生活を守るという使命の中で、しっかりと検証していただけるような仕組みをつくっていただきたい、こう思うんですけれども、よろしくお願いいたします。
次に、NTTの業務の一つに、電気通信の基盤となる電気通信技術に関する研究を行うこと、これをうたわれているわけなんですけれども、そうした中であえて今回研究推進責務を廃止する理由、それから、そのことがなぜ速やかに今実施すべき内容なのか、このことについても重ねてお聞きいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/107
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108・今川拓郎
○今川政府参考人 お答えいたします。
NTTグループは、電電公社から優れた技術や優秀な人材を承継しており、最先端の技術開発で熾烈な競争が行われる情報通信分野において研究開発の中核的な役割を果たすことが期待されることから、基盤的研究の実施をNTT持ち株の本来業務として位置づけております。
また、NTTグループは、先ほども御答弁差し上げましたが、研究の推進責務の有無にかかわらず研究開発に積極的に取り組んでいく考えを表明しております。
他方で、情報通信分野は技術革新が著しく、多様な主体による研究開発やその成果の市場投入が活発化している状況にございまして、我が国の情報通信産業全体の国際競争力の強化はまさに喫緊の課題というふうに受け止めております。
これらを踏まえまして、研究開発を最も効果的にするために、国が責務に基づいて研究開発に関与するよりも、NTTが事業ニーズを踏まえながら自らの経営判断で研究開発の内容などを決定することが適当と考えられることから、本法案では研究の推進責務を廃止するということとしているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/108
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109・中司宏
○中司委員 今回、速やかに実施すべきものということでの法改正ということはあるわけですけれども、これがよもや廃止に向けての、ありきの、そうした第一ステップにならないようにはしていただきたいと思うのと、そして次のステップこそ抜本改革に向けての大きな改革になるわけですので、今指摘させていただいた点も踏まえて慎重に検討いただきたい、このことを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/109
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110・古屋範子
○古屋委員長 次に、阿部司さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/110
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111・阿部司
○阿部(司)委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の阿部司でございます。
持ち時間も少ないので、早速本題に入ってまいりたいと思います。
NTTは日本随一の情報通信企業で、海外市場も含めた成長力に期待できる存在であります。同時に、電電公社から資産を引き継ぎまして、その責任として国内情報通信インフラの役割を果たしてきた企業でもあります。
今回の法案は、国際競争力の強化、こちらを目的としたものと理解しておりますが、総務大臣は、NTTは国内インフラ企業としての役割から競争事業者としての位置づけに重点がシフトしつつあるとの御認識をお持ちと考えてよろしいでしょうか。どちらも大切なのは分かっておりますので、重きを置く割合のシフトについて、大臣の御見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/111
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112・松本剛明
○松本国務大臣 委員がおっしゃったように、どちらも大切であるということに尽きるかというふうに思います。
NTTにおいては、NTTデータグループがデータセンターサービス事業を営むなど、国際展開による営業収益はNTTグループ全体で約四兆円、約三割を占めるところになっているようでございます。
成長が著しい情報通信分野、デジタル分野で我が国の情報通信産業の中核的な役割を担うNTTさんがこのような旺盛な海外需要を取り込んでいくことで、更に我が国の産業全体の、経済の成長を牽引することを期待していることは確かでございます。
議論の視点ということで、これまでも、ユニバーサルサービスの確保であるとか、国民の皆様に適切な価格で通信サービスの提供を受けられるようにする、公正な競争の確保の視点も欠くことはできないと考えており、情報通信審議会においてもそういった視点もしっかりと御議論のベースに置いていただいていると考えておりまして、まさに委員がおっしゃったように、私もどちらも大切であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/112
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113・阿部司
○阿部(司)委員 どちらも大事という想定どおりのお答えだったんですけれども。NTT法廃止、こちらに慎重な大岡議員、自民党の議員ですけれども、この方は国内インフラ七、競争事業者三の割合と日経新聞のインタビューでお答えになっておられます。やはりスタンス、こちらは大事だと思うんですね。政治家のリーダーシップ、非常に重要だと思いますので、その点、お答えいただきたかったと思います。
本日、NTTさんにもお越しをいただいております。ありがとうございます。
附則の検討条項にあります全国における適切、公平かつ安定的な提供の確保や公正な競争の促進について、公的資産を引き継いだ立場でもあるNTTはどのようにお考えでしょうか。お答えをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/113
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114・服部明利
○服部参考人 それでは、お答え申し上げます。
ユニバーサルサービスや公正競争を議論する上では、政府や事業者の観点にとどまることなく、国民にとって何が必要であるかを第一に、御利用なさる方々の目線であるべき姿を議論することが重要だと考えております。
まず、全国における適切、公平かつ安定的な提供の確保に向けては、今やコミュニケーションの中心はモバイルであり、能登半島地震においてもその重要性は一層増大したと認識しております。
御利用なさる方々の目線に立てば、今後のユニバーサルサービスは光や携帯を軸とした体系とし、NTT東西だけでなく携帯電話事業者を含む通信事業者全体で支えていく仕組みに見直すべきだと考えております。
次に、公正な競争に関しては、御質問の公的資産に該当する電柱、管路等の線路敷設基盤は既に電気通信事業法で公平な提供義務や貸出料金の総務大臣認可等のルールが確立されており、光ファイバーについても同様の規定が制定されております。
NTT東西は、NTT法議論のいかんにかかわらず、引き続き、これらのルールを遵守し、ネットワーク基盤を運営、提供してまいります。
また、NTT東西は、日本の情報通信インフラを支える会社として将来にわたり安定的にその責任を果たしていくため、更なる抜本的なコスト構造の改革や新たな成長を実現する必要があり、NTT法における業務範囲規制やNTT東西合併の禁止等、既存の規制を見直していただきたいと考えております。
以上、お答え申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/114
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115・阿部司
○阿部(司)委員 御答弁ありがとうございました。
やはり時代は変化をしてきております。固定電話からブロードバンドの時代に入ってきておりますから、ユニバーサルサービスの形も変わってくるのかな、このような印象を持っておりますが、こんなデータがあります。国内携帯電話契約者数二億件、一方、固定電話の契約者数、NTT東西で千三百五十四万台。こうした形で、能登半島のお話がありましたが、モバイルでの通信というのが中心になってきておるという中で、この点、やはり重要な議論、論点になってくると考えます。
次の質問に参ります。ユニバーサルサービスの提供義務について、NTT東及び西に負わせることが適当と総務省有識者会議で意見が出ておりますが、NTTのみに責務を負わせるのは国際競争力を阻害すると考えないんでしょうか。総務省の政府参考人にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/115
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116・今川拓郎
○今川政府参考人 お答え申し上げます。
通信のユニバーサルサービスのうち、電話についてはNTT法においてNTTに電話の役務のあまねく日本全国における提供の責務が課されている一方で、ブロードバンドについては提供の責務が特定の事業者に課されていない状況にございます。
ユニバーサルサービス提供の責務につきましては、現在、情報通信審議会において、固定電話については契約数の減少に伴う赤字拡大が続いていること、ブロードバンドについては西日本を中心にNTTがサービス提供を行っていない地域もあるなどの実態も踏まえながら、責務の内容や担い手の在り方について議論が進められているところでございます。
総務省としては、大手事業者のみならず、中小事業者やユニバーサルサービスに関心の高い地方自治体の声も受け止めながら、先ほど御指摘もございました国際競争力への影響も考慮するとともに、携帯電話、衛星通信など無線技術を離島などの地域で一部活用することも検討しつつ、国民、利用者の立場になってしっかりと丁寧に議論を進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/116
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117・阿部司
○阿部(司)委員 ちょっと赤字のお話が出たんですが、こちらは年間幾ら赤字かお答えいただくことは可能でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/117
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118・古屋範子
○古屋委員長 速記を止めてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/118
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119・古屋範子
○古屋委員長 速記を起こしてください。
今川局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/119
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120・今川拓郎
○今川政府参考人 お答え申し上げます。
今確認をしておりましたところ、NTT東西で合計で五百八十億円程度というふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/120
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121・阿部司
○阿部(司)委員 年間五百八十億円、結構な赤字ですよね。地域事業者が担った方が経済合理的な側面もあると思います。あとは、ほかのキャリア、例えばKDDIさん、スターリンクとか、お得意でいらっしゃいますから、こうしたカバーの仕方というのも十分考えられるのかなと思います。
次の質問に参ります。ユニバーサルサービスの在り方について、どういったスケジュール感で考え方を示していくのか。お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/121
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122・西田昭二
○西田大臣政務官 お答えをいたします。
総務省では、情報通信審議会において、昨年八月より、時代に即した通信政策の在り方について、ユニバーサルサービスの確保に加え、公正競争、国際競争力、経済安全保障の観点から議論を進めていただいております。
このうち、ユニバーサルサービスの在り方については、専門家によるワーキンググループを設置し、技術革新等の動向も踏まえ、固定電話中心からブロードバンドを軸とした制度への見直しを行う観点から、本年夏頃の答申に向けて専門的な議論を進めていただいているところでございます。
総務省としては、過疎地や離島などを含め、国民に必要な通信サービスが適切に確保されるよう、国民、利用者の立場に立ってしっかりと議論を深めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/122
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123・阿部司
○阿部(司)委員 夏頃までに結論を出すということで、是非よろしくお願いします。
次に参ります。現在、通信事業においてはNTTのみに外資規制がかかっておりますが、諸外国ではこうした一定の事業者のみに規制をかけるのは一般的なんでしょうか。例えば、公社、特殊会社であった経験のあるイギリス、ドイツ等における規制の状況はいかがか。こちらは参考人にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/123
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124・今川拓郎
○今川政府参考人 お答え申し上げます。
我が国の電気通信分野の外資規制については、累次の規制緩和を経て段階的に廃止されてきておりまして、委員御指摘のとおり、現在はNTTに対する三分の一未満の外資規制のみが存在しているところでございます。
委員御指摘のイギリス及びドイツでは特定の通信事業者に対する外資規制は存在しておりませんが、例えばオーストラリアでは、一九九一年に国営事業体から民営化したテルストラ社のみに外資規制が設けられていると承知をしております。
なお、諸外国の通信事業に対する外資規制は国により様々でございまして、例えばアメリカやカナダ、韓国などでは主要な通信事業者一般に対して外資規制が設けられていると承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/124
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125・阿部司
○阿部(司)委員 ありがとうございました。国によって様々ということで、公社、特殊会社であった経験のあるイギリス、ドイツは外資規制はなかったという御答弁でありました。
放送事業者には放送法及び電波法によって一般的な外資規制がかけられておりますが、日本の通信事業者に対する外資規制については軽減、撤廃の方向か、一般的にかけるのか、どんな方向性か。こちらは政務官にお答えいただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/125
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126・西田昭二
○西田大臣政務官 お答えをいたします。
NTTに対する外資規制は、旧電電公社から洞道、管路等の全国的な線路敷設基盤を承継し、我が国を代表する基幹的電気通信事業者であるNTTの役割に鑑み、外国の影響力に対する経営の自主性を確保する観点から設けられているものでございます。
委員御指摘の我が国の通信事業者に対する外資規制の在り方については、経済安全保障の重要性の高まりを踏まえ、情報通信審議会に専門家によるワーキンググループを設置し、本年夏頃の答申に向けて御議論いただいている段階であり、現時点で特定の方向性を得ているものではございません。
審議会では、通信事業者一般に対する電気通信事業法上の外資規制がWTOの自由化約束を経て全て廃止され、NTTに対する外資規制のみが留保されている経緯や、通信事業者一般に対しても適用される外為法の個別投資審査との関係なども踏まえつつ、NTT以外の主要事業者に対する規制の在り方も含めて丁寧に検討を進めていただいております。
総務省としては、その検討結果を踏まえて必要な対応を検討してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/126
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127・阿部司
○阿部(司)委員 私は、通信事業者さんは全部重要なので、かけるのなら全部かける、こうした対応の方がよりリーズナブルだと思います。
次に行きます。NTTのアクセス部門が持つ資産、線路敷設基盤などをそのまま維持したままNTT法を廃止して同社のビジネスについて規制緩和を行う場合、同社のアクセス部門のインフラに乗る形で事業を行っているほかのキャリアの皆さんにとって競争の公平性を損なう形とならないか。どのようにバランスを取って業界をデザインされようとしているか。こちらは総務大臣にお答えいただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/127
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128・松本剛明
○松本国務大臣 お話がありましたように、国民が適切な価格で情報通信サービスを受けられるようにするという意味で、公正な競争環境の確保というのは欠くことのできない観点だというふうに考えておりますが、この確保をするに当たってはやはりNTTさんの特殊性というのも考慮する必要があって、これは、NTT東西が電電公社から承継した電柱、管路等の線路敷設基盤を全国津々浦々に保有していて、その上に光ファイバーなどの回線が敷設されており、他の事業者にも必要不可欠な公共的な基盤を提供しているところでございます。
申し上げてまいりましたように、公正な競争環境の確保は変わらずに必要でありますけれども、利用者の状況からブロードバンドなどが広がってくることを考えると、光ファイバーの意味も大変大きくなってきていると考えなければならないかと思っております。こういったことを踏まえて、現在も、NTT法においてNTT東西の業務範囲等について構造的な規制を定めるとともに、電気通信事業法において光ファイバー等の開放ルール等の行為規制を定め、これらを両輪として公正競争の確保を図っているところでございます。
国際競争力の強化の観点からはNTTの経営の自由度を高めることも必要でありまして、今回はNTTが機動的かつ戦略的に研究開発、事業運営等を行えるように法制度を改めるものを提案させていただいているところでございますが、今後の更なる検討課題の中で公正な競争環境の確保については欠くことのないように検討を進め、情報通信審議会の議論の結果も踏まえて、改めて必要な制度の改正を国会の方にも御提案したいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/128
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129・阿部司
○阿部(司)委員 NTTがスーパーパワーを持って寡占していくというのは全くもって私は違うと思いますけれども、一方で競争事業者さんに過度に配慮して、それが結果的に国民のためにならないということは私は避けなければならないと思います。
時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/129
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130・古屋範子
○古屋委員長 次に、宮本岳志さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/130
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131・宮本岳志
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
本改正案は、その附則に、NTT法の廃止を含め、NTT持ち株会社及びNTT東西の制度の在り方について検討を加え、二〇二五年通常国会を目途として、日本電信電話株式会社等に対する規制の見直しを含む電気通信事業法の改正等必要な措置を講ずる法律案を国会に提出すると、自らの廃止検討を明記しております。
利益優先の経営をより推進するためにユニバーサルサービスの責務から逃れたいNTTと、軍事費調達のために政府保有NTT株の売却、完全民営化を狙う自民党の議論と歩調を合わせ、NTT法廃止のための布石を打つものであり、到底賛成できません。
資料一を見ていただきたい。国立国会図書館から提出いただいた、NTTの在り方をめぐる議論の経過と題した年表でございます。
昨年六月八日に自民党政務調査会防衛費関係の財源検討に関する特命委員会が公表した提言の中で、防衛財源確保のためにNTT株売却についても検討し、NTT法の在り方の検討を打ち出すと、八月二十二日には自民党のプロジェクトチーム、PTが立ち上がり、甘利座長がNTT法の廃止も含めて検討すると発言、八月三十一日には自民党PTが初会合を開催しております。
確かに、情報通信審議会電気通信事業政策部会の下に置かれた特別委員会で議論されてきたわけでありますけれども、こちらが始まったのは九月の七日ということでありまして、つまりこの議論は自民党政調の防衛財源の検討から始まった議論ではありませんか、基盤局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/131
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132・今川拓郎
○今川政府参考人 お答え申し上げます。
NTT法を含む通信政策の在り方については、令和二年の改正法の施行後三年見直し規定というのがございまして、この三年後見直し規定に基づきまして、昨年八月、情報通信審議会に市場環境の変化に対応した通信政策の在り方を諮問し、本年二月に第一次答申が取りまとめられたものでございます。
本法案は、情報通信審議会の第一次答申において、喫緊の課題である我が国の情報通信産業の国際競争力の強化を図るため、研究開発に関する責務の見直し、外国人役員の規制や役員選解任の認可の見直しなどが速やかに実施すべき事項として提言されたことを踏まえまして、必要な改正を行うこととしているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/132
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133・宮本岳志
○宮本(岳)委員 いやいや、この情報通信審議会に諮問したのは松本剛明総務大臣ですよね。あなたが昨年の八月二十八日に今おっしゃった三年後見直し規定に基づく検討を諮問したわけですけれども、その諮問時にあなたがつけた答申を希望する時期は、いつが目途と明記されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/133
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134・松本剛明
○松本国務大臣 令和五年八月二十八日付の諮問書には、市場環境の変化に迅速かつ柔軟に対応することが必要との問題意識を示した上で、希望する答申時期として令和六年夏頃目途と記載いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/134
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135・宮本岳志
○宮本(岳)委員 令和六年夏頃目途と明記をされております。だからこそ、この情報通信審議会の特別委員会の議論は令和六年夏頃目途での答申で進んでまいりました。
配付資料二は、昨年十一月六日、第九回の特別委員会に検討スケジュール案として出されたものであります。今年二月にかけて論点整理、骨子案は四月、答申をまとめるのは六月となっております。しかし、なぜか、十二月十三日に行われたその次の第十回の特別委員会で中間的な取りまとめという話が突然出てまいりました。
十一月六日の先ほどの第九回から十二月十三日の第十回の間に一体何があったか。資料三を見ていただきたい。昨年十二月五日付で自民党政務調査会が取りまとめた日本電信電話株式会社に関する法律の在り方に関する提言であります。その中には、下線部、これは私が引いたものじゃありません、元々この提言にこの下線は引かれているわけでありますけれども、政府に対し、NTT法において速やかに撤廃可能な項目については二〇二四年通常国会で措置し、それ以外の項目についても、二〇二五年の通常国会を目途に電気通信事業法の改正等、関係法令に関する必要な措置を講じ次第NTT法を廃止することを求めるとなっております。
総務省に聞きますけれども、自民党政調の提言に沿って、情報通信審議会の特別委員会に、当初のスケジュールをいわばねじ曲げて、NTT法において速やかに撤廃可能な項目については今通常国会で措置、こう急ぐようにと、取りまとめを急がせたのではありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/135
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136・今川拓郎
○今川政府参考人 お答え申し上げます。
NTT法を含む通信政策の在り方については、委員御指摘の総務省の情報通信審議会通信政策特別委員会において、二〇二四年九月から十一月まで九回の会合が開催され、関係する事業者、業界団体、自治体などのヒアリングを通じて活発な議論が行われてまいりました。
十二月十三日、第十回の会合では、第九回の会合までで行われたヒアリングの内容も踏まえ、三点、一つは通信政策として確保すべき事項、二つ目はNTTの経営面で確保すべき事項、三つ目は制度改正の際に確保すべき事項、この三つを確保することを基本的な方向性とした論点整理案がこの第十回会合に示されております。
三つ目の制度改正の際に確保すべき事項につきましては、早期の改正と円滑な改正の両立を図ることが必要なのではないかとされておりまして、この議論を行う中で主査として、速やかに実施すべき事項があるということで、中間的な取りまとめを行う方向で議論を進めることになったと理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/136
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137・宮本岳志
○宮本(岳)委員 資料四を見てください。第十回の特別委員会の会議録であります。
自民党政調の提言は、二〇二四年通常国会で措置しに続けて、二〇二五年の通常国会を目途に電気通信事業法の改正等、関係法令に関する必要な措置を講じ次第NTT法を廃止することを求めるとなっておりました。これが本法案の附則第四条の根拠なんですね。
ここで、NTTの島田社長は、二〇二五年に廃止するというのは私どもが言っているわけではなくて、それは自民党の政務調査会が出した報告書に書かれているということであります、私どもが言っているわけではないということですと明言されておりますね。二〇二五年NTT法廃止はNTTの要望ではないんですね、基盤局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/137
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138・今川拓郎
○今川政府参考人 お答え申し上げます。
その前に、済みません、先ほどの私の答弁で、通信政策特別委員会において二〇二三年九月から十一月までと申し上げたようでございます。失礼いたしました、二〇二四年の九月から十一月まででございます。訂正させていただきます、申し訳ございません。(宮本(岳)委員「二四年九月なんて来ていないじゃないか。止めてくれよ」と呼ぶ)済みません、失礼しました。(宮本(岳)委員「何の訂正をやっているんだ」と呼ぶ)大変失礼いたしました、二〇二三年の九月から十一月までと訂正させていただきます。(宮本(岳)委員「話にならないじゃない」と呼ぶ)大変申し訳ありませんでした。
答弁させていただきます。
情報通信審議会においては、市場環境の変化に対応した通信政策の在り方について、通信事業者各社や業界団体、自治体などの幅広い関係者の御意見を丁寧に伺いながら検討が進められてきております。
その中で、NTTについては、電気通信技術に関する研究の推進責務及び研究成果の普及責務は国際競争力の強化の支障となることから撤廃すべきという考えや、外国人役員規制によってグローバルかつ多様な視点でのマネジメントができないなどの考えを表明しております。
こうした審議会における議論の結果、本年二月に第一次答申が取りまとめられ、その答申ではこれまでの議論が二つに整理され、研究に関する責務の見直しなど喫緊の課題である国際競争力の強化の観点から必要な事項は速やかに実施すべき事項として提言され、ユニバーサルサービスなどにつきましては今後更に検討を深めていくべき事項として整理されております。
本法案は、第一次答申で速やかに実施すべき事項と提言されたものに基づきまして法改正を行うものでございます。(宮本(岳)委員「まともな答弁をせずに、何だ、今のは。駄目ですよ。速記を止めてください」と呼ぶ)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/138
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139・古屋範子
○古屋委員長 速記を止めてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/139
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140・古屋範子
○古屋委員長 速記を起こしてください。
もう一度、答弁、簡潔にお願いします。(宮本(岳)委員「いや、答弁って、時間がないというんだから。もう一回答弁はいいですよ。時間を回復してくれるんだったらいいけれども」と呼ぶ)もう一度、答弁、確認いたします。(宮本(岳)委員「いや、だから、時間が取り戻せないでしょう。もっとロスするじゃないか」と呼ぶ)
今川局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/140
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141・今川拓郎
○今川政府参考人 大変申し訳ありません、私、二〇二四年九月と申しましたが、二〇二三年九月の間違いでございました。大変申し訳ありません、おわびを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/141
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142・宮本岳志
○宮本(岳)委員 いやいや、謝ってもらっても済みません。私の時間をどうしてくれるんですか。できません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/142
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143・古屋範子
○古屋委員長 速記を止めてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/143
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144・古屋範子
○古屋委員長 速記を起こしてください。
宮本岳志さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/144
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145・宮本岳志
○宮本(岳)委員 是非、回復措置をお願いしたいと思います。
更に会議録を読んでいきますと、島田さんはこうも述べているんですね。二〇二五年にやるというのは、私どもが申し上げていないというのは、それは事実、言っていないので言っていないと申し上げているわけでございます、一方で、いわゆる自民党、与党がそういう発言をされていることは、それはそれで尊重しなきゃならないことだと思っていますので、当然、この審議会の中でも与党が発言されていることについては意識をされて議論されていることが前提なんだろうなというふうに私は認識しているところですと。
ですから、いろいろ言いますけれども、今私が読んだのは自民党の会議じゃないですよ、特別委員会、まさに情報通信審議会の議事録ですよね。その中で、自民党が言っているからこれはこうしなきゃ仕方がないというやり取りがされているわけですよ。これは紛れもなく、国際競争の激化とかあるいは時代の変化とかというものではなくて、自民党の政調の提言が前提の改正なのではないんですか、基盤局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/145
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146・今川拓郎
○今川政府参考人 お答え申し上げます。
繰り返しとなりますが、審議会の議論におきましては、令和二年改正法の施行後三年見直し規定に基づきましてしっかりと議論を続けてきたものと理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/146
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147・宮本岳志
○宮本(岳)委員 十二月の五日、鈴木淳司総務大臣の閣議後記者会見、持ってきましたよ。自民党のPTにおきましてNTT法の在り方に関する提言案が了承されまして、今後党内手続を経て取りまとめられる予定と承知しております、提言案では必要な措置を二段階で行うことを求めていると承知しておりまして、審議会におきましても早期に方向性が得られたものにつきましては速やかに取り組むことが必要とされていますことから、総務省としましては審議会での検討を加速させまして必要な対応を進めてまいりたいと思いますと。
十二月の五日に既に総務大臣は自民党のPTが取りまとめたから加速させると言っているわけですよ、それを受けて今回の第一次答申というのが出された。私の指摘どおりじゃないですか。お認めにならないんでしょうから、平行線でしょう。
次の論点に移ります。
次に、研究開発の推進責務や成果の普及責務について、その責務を廃止するとしている問題についてです。公開の責務があることで共同研究が妨げられるからというのでありますけれども、本当にそんな事実があるのか。
NTTは、第二回特別委員会の会議録の中で、IOWN等の研究の開発をパートナーと連携して展開していく上で経済安全保障及び国際競争力強化の課題がありますと述べています。国際競争力強化のために責務の廃止を急ぐというんですけれども、ここで挙げられているIOWNで共同研究が妨げられた事例があるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/147
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148・今川拓郎
○今川政府参考人 お答え申し上げます。
審議会におけるヒアリングにおいては、NTTからは、共同研究に関するパートナーとの交渉の中で同業他社へ共同研究の成果を開示せざるを得なくなることから、プロダクトの差異化が図れないことなどを理由に交渉が不成立となった事例などが示されております。
また、委員御指摘のIOWNについては、パートナー企業から差異化による競争優位性を確保するためのIOWN技術などの独占的な開示を求められた際、公平な開示義務があるため要望にお応えできないとの意見が表明されていますが、具体的な開示要望については、IOWN技術についてはこれからの技術であり、今後具体的な技術が生み出されていく過程の中で様々な要望などが出てくるものと考えておるとの説明がなされております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/148
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149・宮本岳志
○宮本(岳)委員 NTTは経済安全保障及び国際競争力強化の課題と述べておりますけれども、共同研究の相手は企業だけではなく、防衛省や米軍も排除されてはおりません。現に、資料五の日経二月二十三日付朝刊の記事を見ていただければ、防衛省からはNTTの新基盤技術、IOWNは大いに活用が期待されております。そして、なるほど、軍事研究であれば、公開の責務は邪魔に違いありません。
大臣は、昨年八月二十五日に開催された総合的な防衛体制の強化に資する研究開発及び公共インフラ整備に関する関係閣僚会議に参加されております。この会議は、冒頭で官房長官が語っているように、防衛力の抜本的強化を補完し、それと不可分一体のものとして総合的な防衛体制を強化することを目指すというものであります。資料六にあるとおり、この閣僚会議で松本総務大臣は発言をしておりますけれども、資料六を見ていただきながら、大臣、この会議で何を発言されましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/149
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150・松本剛明
○松本国務大臣 委員が既に議事要旨を引用されておられますので、私の発言はこのとおりかと思いますが、読み上げた方がよろしいでしょうか。(宮本(岳)委員「それでいいですよ」と呼ぶ)議事要旨は正確に記載されているものと理解をしておりますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/150
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151・宮本岳志
○宮本(岳)委員 この議事要旨どおりのことをおっしゃったということであります。
この閣僚会議では、総合的な防衛体制の強化に資する研究開発の推進のための九つの分野にわたる重要技術課題を設定いたしました。その五つ目には情報通信が挙げられております。「五 情報通信」の箱の中には「高速・大容量の通信、低遅延な通信、広範な通信、従来よりも高性能な通信・情報ネットワーク(光通信等)、」と書かれております。重要技術課題とされた情報通信分野において、NTTがまさに次世代通信基盤として研究を進めているIOWNというものは排除されませんね、大臣。入っておりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/151
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152・松本剛明
○松本国務大臣 総合的な防衛体制の強化に資する研究開発の仕組みは、総務省始め関係省庁が、あくまで、自らの政策目的、総務省であれば民生目的で実施する研究開発の成果を防衛省と共有する仕組みでありまして、総務省としてはIOWNの研究開発を支援していることはこれまでも申し上げたとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/152
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153・宮本岳志
○宮本(岳)委員 排除されませんね、NTTは入りますね、IOWN。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/153
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154・松本剛明
○松本国務大臣 今のところ、私の方から、個別の研究開発のテーマに、どのテーマについてどこが参加をしているかということについては、端的に、サイバー攻撃等の対象となるおそれもあることから、具体名を明らかにすることは控えさせていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/154
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155・宮本岳志
○宮本(岳)委員 既にそうして控えているわけでありますが。
資料五の日経記事では、防衛省は今春にも民間の次世代通信技術を安全保障に活用するための計画を作ると書いた上で、NTTが開発中の次世代通信基盤、IOWNを第一弾に想定すると報じております。結局、何を急いでいるのかと思えば、この防衛省との共同研究に乗り出すために研究開発の成果をブラックボックスにする必要があるということにほかなりません。
本改正案は、徹頭徹尾、動機が不純であります。出発点では軍事費四十三兆円の財源捻出のためのNTT政府保有株の売却の検討があり、途中経過でもスケジュールをねじ曲げてまで中間報告を出させて、今国会に法案を提出させたのは自民党のプロジェクトチームと政務調査会でありました。そして、今回の法改正を急ぐ理由は国民に隠した軍事研究であります。このような国民不在の法改正は断じて許されないということを指摘して、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/155
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156・古屋範子
○古屋委員長 次に、西岡秀子さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/156
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157・西岡秀子
○西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。
早速質問に入らせていただきます。
いわゆるNTT法の改正についての質疑でございますけれども、これまでも様々議論があっておりますけれども、本改正の附則四条には、自民党のPTの提言によりまして、来年を目途にNTT法を廃止する可能性もある方向性が盛り込まれております。私としては、廃止ありきのこれからの議論であってはならないという立場において質問をさせていただきたいと思います。
自民党のPTの文言ですけれども、今附則四条として法案に掲載されている文言とは最初の文言は若干違っておりまして、修正前には、令和七年に開会される国会の常会を目途として、電気通信事業法の改正、NTT法の改正又は廃止等必要な措置を講じるための法律案を国会に提出するとなっておりました。これが、新聞等の情報でございますけれども、自民党の中でも様々な御意見が出た中で現在の文言に修正をされたというふうに報道等で聞いております。
私がまず大変憂慮いたしておりますのは、ユニバーサルサービスがしっかり確保されるのかどうかという点でございます。私の地元長崎県におきましては、有人国境離島地域として指定されている島が四十島ございます。今まだなお光ファイバーの整備状況につきましては全国平均を下回っておりますし、未整備の地域がございます。
こういう中におきまして、NTT法がもし廃止された場合には、通信料金が高止まりした場合など、離島や半島、中山間地などの条件不利地域、不採算地域においては通信回線が提供できなくなるなど、ユニバーサルサービスが維持できなくなり、国民の利益が損なわれる大きな懸念がございます。最終保障提供責務につきましては明確にしておくことが必要になるというふうに思います。先般の能登半島地震においても改めて通信インフラの重要性が浮き彫りとなったばかりでございます。松本総務大臣の御見解を改めてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/157
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158・松本剛明
○松本国務大臣 これまでの御議論でも様々触れられてまいりましたけれども、自民党においてNTT法の在り方について御議論があって提言が出されたことはよく承知をいたしておりますが、私どもとしましては、審議会の先生方の御意見、また、審議会において利用される方、提供される方それぞれの様々な御意見をしっかり伺い、国会における各党の御議論や、先ほどお触れになられましたように自民党の中における議論も含めて、各党の御意見なども踏まえて総合的に判断をして、総務省として政府提案の法案として提出させていただいたものだと御理解をいただけたらと思います。
その上で、国際競争力の強化ということについて速やかに対応すべきということで、審議会からも第一次取りまとめで答申をいただいたところでございますので、今回法案として提案をさせていただいたところでございますが、更に対応すべき事項として、今委員からもお話がありましたユニバーサルサービス、また価格に関わる公正な競争の確保についても、これまでも御答弁申し上げてまいりましたように、いずれもやはり利用される国民のために確保されなければいけないという観点から議論していただいているというふうに理解をしております。
ユニバーサルサービスにつきましては、いわば対象を時代、利用者に合わせてブロードバンドを軸としたものに変えるべきではないかなどの御議論もいただいてまいりますと、技術的なことであったりインフラなどもそれに対応したものになる、また、責務やそういったものをどうするかということもまさに御議論をいただくことになろうかと思います。私どもも御議論を踏まえてしっかり検討してまいりたいと思っておりますが、これもこれまで答弁してまいりましたように、国民のどなたにも通信サービスが適正な価格で提供されるようにというユニバーサルサービス、公正競争の観点はしっかりと確保されるように議論を進めてまいりたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/158
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159・西岡秀子
○西岡委員 今大臣からもあっておりますように、時代に即した通信政策の在り方を検討していくことは大変重要なことだと認識いたしております。
総務省におきましても、デジタル社会実現のために、特に条件不利地域、不採算地域、離島ですとか中山間地におきましては医療ですとか暮らし、教育、産業を支えていく中でも、通信設備の重要性というのは十分承知をしていただきながらこれまでも取り組んできていただいております。
特に、デジタル田園都市構想の理念というのは全国あまねくどういう地域にいても人々が誰一人取り残されることのないデジタル社会ということの中で進められていると思っておりまして、特に条件不利地域においてはテレワークですとか遠隔教育、遠隔医療のサービスが今進んでおりますので、これらのサービスをこれから進めていく上でも大変重要な通信基盤であることを考えますと、ユニバーサルサービスの確保については、先ほど大臣からもありましたけれども、しっかり、最終的な責任を誰が負うのかということも含めて明確にしていく必要があるということを申し上げたいというふうに思います。
関連いたしまして、令和四年の電気通信事業法改正におきまして、ブロードバンドサービスがユニバーサルサービスとして位置づけられまして、その提供事業者を支援する交付金制度が新設されました。現在、総務省におきましては、負担金の在り方やコストの算定、また適用される条件等、その詳細が検討中とされているところでございます。まずその状況について御説明をいただくとともに、まだ詳細が検討中という中で本改正が進められていくことに懸念があるというふうに思いますけれども、このことに対しての御答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/159
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160・今川拓郎
○今川政府参考人 お答え申し上げます。
令和四年の電気通信事業法改正では、ブロードバンドのユニバーサルサービスの交付金制度が創設されたことを踏まえて、情報通信審議会において交付金の算定方法など詳細な検討を進めていただき、先月に答申を得ているところでございます。
今後、総務省では、この答申を踏まえ、交付金制度の導入に向けた算定ルールに関する省令改正などを進めてまいります。
他方、ブロードバンドではユニバーサルサービスの提供責務が法律上規定されていないため、現在、審議会において責務の在り方やその担い手などについて専門的な議論が進められております。
総務省としては、交付金制度と提供責務の双方の検討を進めていくことによって、ブロードバンドのユニバーサルサービスの安定的な提供の確保を図ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/160
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161・西岡秀子
○西岡委員 この交付金制度につきましてはこれから、詳細は検討中ということでございますけれども、交付金を必要としている地域にしっかりこの交付金が行き渡る、そういう体制を是非整備していただきたいというふうに思っております。先ほどから様々な、地域に即した通信の在り方ということで、無線等のことも大臣からも言及がございましたけれども、そういう状況の中で、何が交付金制度の対象となっていくのかということも含めて、無線という方法を取らざるを得ない地域もございますので、そこも含めた検討を是非お願い申し上げたいというふうに思います。
続きまして、外資規制につきましては、これまでも議論があっておりますように大変重要な視点であると考えております。また、通信については経済安全保障推進法案におきましても重要インフラとして位置づけられておりまして、我が国にとって極めて重要なインフラでございます。
この五月から経済安全保障推進法が施行されるわけでございますけれども、これまでは、外為法の個別審査とNTT法の総量規制が車の両輪として、NTT等に対しては外資からの保護が図られてきたところでございます。
NTTの資産につきましては、いわゆる競合他社の方々がおっしゃっている特別な資産と言われるところの電柱ですとか管路といった線路敷設施設から、全国に張り巡らされたブロードバンド等、いわゆるこれは国民の資産とも言えるものでございます。その重要なインフラを外資から守るということは極めて重要でございます。
附則に書かれているNTT法の廃止というものがもし現実になった場合に、本改正によって経済安全保障の面からも懸念がないということをしっかり言えるのかどうか、このことについて松本総務大臣の御見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/161
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162・松本剛明
○松本国務大臣 委員からも今御指摘がありましたとおり、NTTが電電公社から承継をした線路敷設基盤は大変大切なものであろうと考えます。この上に設置された光ファイバー等の回線数においてもNTTは高いシェアを有しておりまして、NTTの役割に鑑みれば、外国の影響力に対する経営の自主性を確保して、外国からの影響によって自主性が損なわれることがないようにしなければならないということは申し上げてきたとおりでございます。
これまで、NTT法の総量規制に加えて外為法、様々な制度が相まって外資から保護が図られてきたところというふうに理解をいたしておりますが、NTT法を含む通信政策の在り方につきましては今後対応すべき課題ということで、情報通信審議会においても様々なテーマにおいて御議論いただいておりますが、御指摘の経済安全保障についても重要な観点と位置づけて議論を進めていただいているところでありまして、経済安全保障の観点を欠くような制度改正になることは考えられないと思っておりますが、審議会の答申を踏まえて、私どもとしても、NTTに係る制度の在り方について検討を進め、必要な法制度についてまた重ねて御提案をすることになろうかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/162
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163・西岡秀子
○西岡委員 外資の影響を受けるような法案改正にはならないということは今大臣から言及いただいたわけでございますけれども、例えば自衛隊の施設の通信等についてもNTTが担っていることも含めると、経済安全保障のみならず安全保障の面からも、NTT法の廃止ということがもし先にあるとすれば様々な課題があるというふうに思いますし懸念があるということも含めて、私としては、NTT法の廃止については外資規制の面からも極めて懸念があるということについてお伝えをさせていただきたいというふうに思います。
続きまして、NTTの競合三社からは、公正な競争環境を担保するにはNTT法の廃止ではなくて法改正で対応すべきであるという御意見がございます。適正な競争を通じて料金の低廉化やサービスの多様化が図られることがあるべき姿であるというふうに思いますけれども、NTTが独占的な力を持つことによって公正な競争が阻害されるのではないかという懸念に対してどのように考えておられるかということでございます。情報通信審議会においても各社からの御意見を聴取されているというふうにお聞きをいたしておりますけれども、公正な競争環境が確保されるかどうかということについての総務省の御見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/163
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164・今川拓郎
○今川政府参考人 お答え申し上げます。
NTT東西は、電電公社から承継した線路敷設基盤を全国津々浦々に保有し、その上に設置した光ファイバーなどの回線数に関して独占的なシェアを有しており、他事業者にも必要不可欠な公共的な基盤を提供しております。
このため、我が国の情報通信産業において公正な競争環境を確保するためには、こうしたNTTの特殊性を踏まえつつ、市場や技術の変化に対応した見直しを行うとともに、NTTに対して必要な規律をしっかり課すことが必要であると考えております。
現在、NTTと他の事業者との間の公正競争の確保に関しましては、審議会のワーキンググループにおいて、本年夏頃の取りまとめに向けて関係事業者などからの意見も聴取しながら専門的な議論を行っているところでございまして、国民、利用者の立場に立ってしっかりと検討を進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/164
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165・西岡秀子
○西岡委員 続きまして、国際競争力の強化についてお伺いをいたします。
このことは我が国にとって極めて重要な課題であると認識をいたしておりまして、本改正におきましては、研究推進責務と研究成果の普及責務を撤廃することや外国人役員規制の緩和というところで提出をされているわけでございますけれども、本改正によって国際競争力強化にどのようにつながっていくのかということ、先ほどからIOWNのお話等があっておりますけれども、このことについてどのように寄与するかということについて御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/165
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166・今川拓郎
○今川政府参考人 お答え申し上げます。
世界中でAI、ロボット市場の拡大やDX、GX投資の増加により情報通信インフラへの需要が増大する中で、旺盛な海外需要を取り込むことが今後の我が国の経済成長の鍵になると考えられます。
そこで、総務省としては、審議会における議論も踏まえまして、我が国の情報通信産業全体の国際競争力を高める観点から、中核的な役割を担うNTTグループが機動的かつ戦略的に研究開発や事業運営などを行えるよう、法制度面からも支援することが重要であるというふうに考えております。
そのため、本法案は、研究開発に関する責務の見直しにより研究開発の促進を図るとともに外国人役員規制や役員選解任の認可の見直しなどにより機動的な事業運営によるイノベーションの促進を図ることを目的としているものでありまして、委員御指摘のIOWNについてもこういったイノベーション促進を図るということの目的の一つになっていると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/166
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167・西岡秀子
○西岡委員 それでは、先ほど藤岡委員の方からもお話があったところでございますけれども、総務省として、松本総務大臣として附則第四条に書き込まれましたNTT法を廃止するということについてどのような御見解をお持ちであるかということをお伺いしたいわけでございますけれども、NTT法をもし廃止するということになれば、私自身は、ユニバーサルサービスの維持や外資規制、また公正な競争の維持の面で多くの懸念があるというふうに考えております。
今、情報通信審議会におきまして、この三つの観点についてそれぞれワーキングチームが設けられまして議論がなされており、この夏にも答申がまとめられるというところであるというふうには承知をいたしております。総務省として、これまでの様々な議論経過を見ておりますと私自身はNTT法の廃止については総務省としては様々な懸念を持っておられるのではないかというふうに拝察いたしているところでございますけれども、松本総務大臣としても、総務大臣の御地元の状況とかを含めていろいろな大臣としてのお考えもあるというふうに思いますけれども、NTT法の廃止について松本総務大臣としてどのような御見解をお持ちかということについてお伺いさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/167
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168・松本剛明
○松本国務大臣 これまでも申し上げてまいりましたけれども、総務大臣として、やはり通信政策は時代に合わせて見直していく必要がある、その際に、重ねて申し上げてきたところでありますけれども、誰一人取り残さず通信サービスが提供されるようにユニバーサルサービスを確保すること、そして、適切な価格で通信サービスの提供が受けられるように公正な競争環境を確保すること、加えて、外国からの影響によって経営の自主性が損なわれることがないようにするなど経済安全保障の確保もすること、あわせて、今回御提案を申し上げた趣旨でもありますけれども、世界において成長分野である情報通信、デジタル分野において我が国の情報通信産業が活躍をしていくために我が国の情報通信産業のリーディングカンパニーであるNTTさんの事業運営の自由度を増すこと、こういったことによる国際競争力の強化、これらをいずれも確保し実現するためにどのようにするかということで審議会においても御議論いただいているというふうに理解をしております。
この議論の結果を踏まえて、今申し上げました課題に対しまして適切かつ確実に対応でき、それが担保されるような政策、制度をどのようにしていくか、重ねて申し上げますけれども、NTT法の廃止を含めNTTに係る制度の在り方について検討を加え、その結果、これは今申し上げたような審議会における主題をテーマとした結果になるかと思いますが、その結果に基づいて、来年の通常国会を目途としてNTTに対する規制の見直しを含む電気通信事業法の改正等必要な措置を講ずるための法律案を提出するという考えでいるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/168
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169・古屋範子
○古屋委員長 申合せの時間が来ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/169
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170・西岡秀子
○西岡委員 はい。
これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/170
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171・古屋範子
○古屋委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/171
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172・古屋範子
○古屋委員長 これより討論に入ります。
討論の申出がありますので、これを許します。宮本岳志さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/172
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173・宮本岳志
○宮本(岳)委員 私は、日本共産党を代表し、日本電信電話株式会社等に関する法律の一部を改正する法律案に反対討論を行います。
理由の第一は、日本電信電話株式会社、いわゆるNTT等に関する法律の廃止を含めた制度の在り方についての検討を加え、次期通常国会で法律案を提出することを附則にしたことです。これは法の廃止に布石を打つもので、反対です。
理由の第二は、法の廃止を言いながら、研究開発の推進責務や普及の責務の廃止、外国人役員に関する規制や役員選任、解任決議の認可の緩和、剰余金処分決議の認可の廃止、商号変更の自由を認めるといった規制の緩和を行うことです。そもそも、これらの事項は、昨年八月に市場環境の変化に対応した通信政策の在り方として情報通信審議会電気通信事業政策部会通信政策特別委員会に諮問され、検討を行ってきたことであり、総務省自身が今年の夏をめどに取りまとめを行うと決めていました。
しかし、総務省は、自らが決めた当初のスケジュールすらほごにして、議論が途中であるにもかかわらず予定になかった第一次答申の取りまとめを行っており、異常だと言わざるを得ません。
今回の法案の内容を見れば、昨年十二月に与党自民党が行った日本電信電話株式会社等に関する法律の在り方に関する提言の内容に沿ったものであり、結局は与党自民党の言いなりの法案と言えます。このことは、私が質疑で明らかにしたように、情報通信審議会電気通信事業政策部会通信政策特別委員会でのNTT社長の発言でも明らかです。
そもそも、NTT等に関する法律は、公社時代に国民負担で築き上げた国民の財産である通信インフラを承継したNTT持ち株会社とNTT東西両会社に、果たすべき業務と電話のあまねく提供、研究開発の推進、普及といった責務を定め、それを行わせる会社とするために必要な担保措置を定めた法律です。
しかし、本法案は、国際競争力強化を理由にNTTが国民に隠したまま大手を振って軍事研究を行う道を開き、さらには法の廃止を前提とするものであり、絶対に認められないことを申し述べ、討論といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/173
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174・古屋範子
○古屋委員長 これにて討論は終局いたしました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/174
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175・古屋範子
○古屋委員長 これより採決に入ります。
日本電信電話株式会社等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/175
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176・古屋範子
○古屋委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/176
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177・古屋範子
○古屋委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、斎藤洋明さん外三名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、公明党及び国民民主党・無所属クラブの四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。道下大樹さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/177
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178・道下大樹
○道下委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。
日本電信電話株式会社等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府及び日本電信電話株式会社は、本法の施行に当たり、次の各項の実施に努めるべきである。
一 日本電信電話株式会社は、本法による改正後においても、引き続き「電気通信の基盤となる電気通信技術に関する研究を行うこと」がその業務の一つとされていること及びこれまで同社等が電気通信技術に関する研究において果たしてきた役割を踏まえ、その事業を営むこと。また、政府は、同社等が行う研究の重要性に十分留意すること。
二 政府は、我が国の電気通信技術に関する研究開発が産学官全体で推進されるよう、財政的支援の拡充も含め必要な措置を講ずること。
三 政府は、本法により日本電信電話株式会社等において外国人の役員への就任が一定の割合まで可能となることから、その事業運営によって我が国の重要な基盤である通信インフラ・国民生活が守られていること及び我が国の経済安全保障への影響について、適時、適切に検証を行うこと。
四 政府は、本法附則第四条の規定に基づく検討に当たっては、ユニバーサルサービスの確保、公正な競争の促進及び電気通信事業に係る安全保障の確保等の観点から慎重に検討を行うとともに、国民生活への影響も大きいものであることから、広く意見を聴取し、国民の理解が得られるよう検討の過程及びその結果について十分に説明を行うこと。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/178
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179・古屋範子
○古屋委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/179
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180・古屋範子
○古屋委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。松本総務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/180
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181・松本剛明
○松本国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/181
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182・古屋範子
○古屋委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/182
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183・古屋範子
○古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/183
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184・古屋範子
○古屋委員長 次回は、来る九日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121304601X01220240404/184
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