1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
令和六年五月八日(水曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 野中 厚君
理事 伊東 良孝君 理事 小島 敏文君
理事 古川 康君 理事 山口 壯君
理事 近藤 和也君 理事 野間 健君
理事 池畑浩太朗君 理事 角田 秀穂君
東 国幹君 五十嵐 清君
上田 英俊君 江藤 拓君
加藤 竜祥君 神田 憲次君
小寺 裕雄君 高鳥 修一君
橘 慶一郎君 中川 郁子君
西野 太亮君 細田 健一君
堀井 学君 宮下 一郎君
保岡 宏武君 簗 和生君
山口 晋君 梅谷 守君
金子 恵美君 神谷 裕君
川内 博史君 緑川 貴士君
山田 勝彦君 渡辺 創君
一谷勇一郎君 掘井 健智君
稲津 久君 山崎 正恭君
田村 貴昭君 長友 慎治君
北神 圭朗君
…………………………………
農林水産大臣 坂本 哲志君
農林水産副大臣 武村 展英君
農林水産大臣政務官 舞立 昇治君
政府参考人
(総務省大臣官房総括審議官) 海老原 諭君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 杉中 淳君
政府参考人
(農林水産省大臣官房技術総括審議官) 川合 豊彦君
政府参考人
(農林水産省農産局長) 平形 雄策君
政府参考人
(農林水産省経営局長) 村井 正親君
政府参考人
(農林水産省農村振興局長) 長井 俊彦君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 田中 一成君
農林水産委員会専門員 飯野 伸夫君
―――――――――――――
委員の異動
五月一日
補欠選任
山田 勝彦君
―――――――――――――
四月二十六日
食料自給率向上を政府の法的義務とすることに関する請願(渡辺創君紹介)(第一二〇〇号)
同(新垣邦男君紹介)(第一三一六号)
国産食料の増産、食料自給率向上、家族農業支援強化に関する請願(渡辺創君紹介)(第一二〇一号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
食料供給困難事態対策法案(内閣提出第二七号)
食料の安定供給のための農地の確保及びその有効な利用を図るための農業振興地域の整備に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第二八号)
農業の生産性の向上のためのスマート農業技術の活用の促進に関する法律案(内閣提出第四八号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/0
-
001・野中厚
○野中委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、食料供給困難事態対策法案、食料の安定供給のための農地の確保及びその有効な利用を図るための農業振興地域の整備に関する法律等の一部を改正する法律案及び農業の生産性の向上のためのスマート農業技術の活用の促進に関する法律案の各案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
各案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官杉中淳君、大臣官房技術総括審議官川合豊彦君、農産局長平形雄策君、経営局長村井正親君、農村振興局長長井俊彦君、総務省大臣官房総括審議官海老原諭君、経済産業省大臣官房審議官田中一成君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/1
-
002・野中厚
○野中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/2
-
003・野中厚
○野中委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。金子恵美君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/3
-
004・金子恵美
○金子(恵)委員 立憲民主党の金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。
三つの法案を一括で審議となりましたが、それぞれ大変重要な法案でありまして、十分な時間をしっかりと取っていただいて審議ができますよう願っているところでございます。
まず最初に、食料供給困難事態対策法案について質問をさせていただきたいと思います。
まずは、食料危機にどう備えるかということが問われるわけでありますけれども、国民の皆様の不安を払拭できるか、そういう内容になっているかということを確認をしていかなくてはいけないというふうにも思っています。
問題は、やはり、生産基盤の弱体化で、有事への実効性ある対応が担保できないのではないかというところであります。農畜産物の輸入自由化を推し進め、家族農業を軽視した新自由主義的な農政の帰結が今日の事態を招いたことは否めません。まず、その反省と総括を先にすべきだというふうに思っています。
その上で、食料供給をどうしていくかということでありますけれども、本法律案の提案理由説明においては、食料の供給不足の兆候の段階から政府が一体となり対策を実施することが重要とされています。政府の検討会の取りまとめにおいては、平時からの食料の安定供給の確保という項目が設けられ、農業者の減少や高齢化が急速に進み、農業の生産基盤の脆弱化や地域コミュニティーの衰退など、国内農業をめぐる厳しい情勢がある中で、不測時に備えて、平時から食料の安定供給に向けた取組を進め、過度な輸入依存を軽減すること等による不測の事態の未然防止や、不測の事態における対応力の強化にも触れられていました。
大規模な自然災害等に対しては、国土強靱化基本法が、事前防災、減災の観点からの強靱な国づくりの推進について定め、今すぐにでも発生し得る大規模自然災害等に備えて早急に事前防災及び減災に係る施策を進めるためには、大規模自然災害等に対する脆弱性を評価し、優先順位を定め、事前に的確な施策を実施することが必要であるとしています。食料の供給不足に対しても、これと同様の危機意識を持つとともに、事前に的確な施策を実施することが求められるのではないでしょうか。
本法律案における平時の施策は、第三条の基本方針の策定と第四条の特定食料等の需給状況に関する報告徴収のみとなっています。農業者の減少、高齢化、農地の減少、荒廃を始めとする食料の生産基盤の脆弱性を評価し、優先順位の高い課題に集中的に対策を講ずるなど平時の施策を充実させることにより、過度な輸入依存から脱却し、食料供給困難事態の未然防止を図ることが必要であるというふうに考えますけれども、政府の認識をお伺いしたいというふうに思います。大臣、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/4
-
005・坂本哲志
○坂本国務大臣 委員おっしゃいますように、食料供給につきましては、平時の施策の充実というのが最も大事だというふうに考えております。しかし、近年、気候変動による食料生産の不安定化、さらには、世界的な人口増加によります食料争奪の激化、国際情勢の不安定化、こういったリスクにいかに備えるかということも大事であります。
平時の施策を充実させた上で、国内生産基盤の強化や確保、それから、過度な輸入依存からの脱却に向けた構造転換等を進めることによりまして、食料供給困難事態を未然に防ぐというようなことで今後農政を展開していかなければいけないというふうに考えております。
そのために、これまでも、意欲のある担い手の育成の確保、それから農地の集積、集約化、さらにはスマート技術の導入による生産性の向上、それによりまして生産基盤を強化する、さらには麦、大豆、飼料作物、加工原料用野菜等の輸入依存度の高い品目からの国産への転換、それでもなお輸入に依存せざるを得ない品目については輸入の安定化を図るというようなことで、これまで平時からの施策を充実させて食料の安定供給を図ってきたところでございます。
これからも、その方向性でしっかりと安定供給を図ってまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/5
-
006・金子恵美
○金子(恵)委員 我が国は、食料自給率四五%目標、これも達成することができないという弱い状況にもあります。反省すべきところは反省して、そして今後の対応ということをしっかりと考えていかなくてはいけない。そうでなければ、強い指示などを出すような法律を成立させることは、私は絶対にでき得ることではないというふうに思っています。
今回、生産の促進ということで、本法律案では、食料の生産を促進することが必要であると認めるときは、当該食料の生産業者等に対して生産の促進を要請等することができるとされていますが、生産業者等が生産を拡大するためには、土地、資材、労働力を確保する、そういう必要があります。
そのうち土地については、現存する農地の最大限の活用、荒廃農地の再生利用、現に農業の用に供されていない土地の利用等が考えられますが、荒廃農地や現に農業の用に供されていない土地に関しては、整地や農業用水の確保に時間や費用が必要となります。
このため、生産の促進を要請等するに当たっては、食料生産に要する期間や効率性を考慮した優先順位などを位置づけることも必要だというふうにも思っておりますけれども、生産の促進を要請する土地の選定の在り方について、政府の見解をお伺いしたいというふうに思います。
また、重ねて申し上げますと、その措置において、生産の拡大に適した土地に関する情報を提供するなど、土地の確保に向けた支援を想定することも必要になってくるのではないかというふうに思いますけれども、政府の御認識をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/6
-
007・武村展英
○武村副大臣 お答え申し上げます。
生産に関する要請につきましては、まず、現に当該品目を生産している事業者又は生産することが可能な事業者に対して行うこととしておりまして、対象となる土地については要請を受けた事業者が決定をすることとなります。
更に増産が必要になって、第十七条第三項に基づいて生産計画の変更を指示する場合につきましては、追加的な土地利用が必要となりますが、比較的容易かつ早期に活用可能な同一農地における裏作の実施や不作付地の活用を想定し、そのような土地利用を行える事業者を省令で定めることとなります。
なお、国民が最低限度必要とする食料の確保ができない場合には、荒廃農地や農地以外の土地の活用をする可能性も排除しておりませんが、これらには時間や労力を要する等の課題があることから、まずは活用の可能性の高い土地から優先的に活用していくことになると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/7
-
008・金子恵美
○金子(恵)委員 実際に我が国の農地は減ってきているという状況、そして耕作放棄地は増えているという状況を考え、当然、時間と手間暇かけた形での整備がもしかすると必要になってくるということだというふうにも思っているんですが、優先順位をしっかりと定めながら、使えるところはどんどん使って、そしてしっかりと食料の生産を促進するというような御答弁をいただいたわけですけれども。
やはり、生産者に任せるということだけではなくて、今申し上げたように、適切な土地に関する情報をしっかりと提供することが必要だというふうに思いますが、それをしっかりとやっていくということでよろしいでしょうか。もう一度お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/8
-
009・杉中淳
○杉中政府参考人 ただいま御答弁がありましたように、追加的な土地利用については、段階を踏んで増やしていくということになると思いますので、政府本部の中で、必要な追加的土地利用が可能な土地についての情報提供などについても政府としてしっかり取り組んでいきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/9
-
010・金子恵美
○金子(恵)委員 それでは次に、生産の拡大には、肥料、農薬等の資材が必要となってきます。
本法律案では特定食料の生産に必要不可欠な資材について政令で定め、供給を確保するための措置を講ずることとしていますが、十分な供給が確保された場合であっても、生産業者等がこれらの資材を入手するために必要な資金を確保することができなければ、生産の拡大にはつながらないと思います。
そこで、本法律案で定める財政上の措置について、生産の拡大に必要な資材を十分に入手できる水準の金額とすることが必要であると考えますけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/10
-
011・武村展英
○武村副大臣 お答え申し上げます。
生産者に対し生産促進の要請を行う状況下におきまして、生産資材が追加で必要になることや生産資材自体の価格が高騰していることが想定をされます。
財政上の措置につきましては、このことも考慮に入れ、対象品目、需給の状況など個々の事態に応じた具体的な支援内容を検討してまいります。
また、生産拡大に必要な生産資材を特定資材として政令で指定し、これらの必要な供給量が確保されるよう、食料と同様に、輸入の拡大などの対策を講じることとしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/11
-
012・金子恵美
○金子(恵)委員 しっかりと資材を十分に入手できる、そういう財政措置をしていただきたいというふうに思います。
そして、次でありますけれども、農林水産物を生産することができる見込みがあるものを主務省令で農林水産物生産可能業者と定め、これらのものに対し、生産に協力するよう要請することができるものとされているわけですけれども、生産することができる見込みというのは余りにも漠然としていて、対象範囲が拡大解釈されていくおそれもあるというふうにも思います。
このため、主務省令で定めることができる範囲を、法律上、明確に限定しておくことが必要であるというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/12
-
013・武村展英
○武村副大臣 お答え申し上げます。
農林水産物生産可能業者は、現に生産をしていないが耕作地を有し、当該品目の生産経験があるなど比較的容易に生産をすることができる生産者を想定しています。
要件としましては、措置対象特定食料等と農林水産物生産可能業者の現在生産する品目との生産手段が類似をしていること、また、土地の形質の変更を要しないこと等を規定することを想定しています。
また、農林水産物生産可能業者による円滑な生産の拡大が進むよう、財政上の措置その他の措置を講じるほか、実施方針の策定に当たりましては、農林水産物生産可能業者に対する生産面での技術的な助言等の必要性等についても検討をしてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/13
-
014・金子恵美
○金子(恵)委員 経験者、そして、でき得る人ということだというふうには思うのですけれども、是非、現在生産を行う農業者等の知識や経験を有する方々との連携というのをしっかりと取っていただいて、あくまでも効率的な生産活動を進めることができるような、そういう支援をしていただきたいというふうに思います。そういうことでよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/14
-
015・武村展英
○武村副大臣 お答え申し上げます。
要請等に基づき生産者が生産を拡大する場合には、例えば、追加の生産資材や収穫等に必要な機械の確保、不作付地の除草、整理などが必要になることが想定をされます。
財政上の措置につきましては、これらのことを考慮に入れ、対象品目、需給の状況など個々の事態に応じた具体的な支援内容を検討することになります。
その際、第十九条の規定に基づきまして、要請に当たっては、事業者が要請に応じようと考えていただける環境を整えること、計画の変更指示に当たっては、経営への悪影響などを回避する措置であることといった観点から検討してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/15
-
016・金子恵美
○金子(恵)委員 いずれにいたしましても、農林水産物生産可能業者の範囲というのがこれから明確になっていくというふうに思うんですが、どういう方々が生産することができる、見込みがあるというふうに受け止められるかということをしっかりと発信をしていっていただきたいし、プラス、しっかりと支援策というのを講じていただきたいというふうに思っています。
次になりますが、本法律案においては、第二十三条第一項の規定によって、計画の届出の指示に従わなかった農業者等には二十万円以下の罰金が科されます。また、立入検査を拒んだ農業者等には二十万円以下の過料が科されるということであります。この罰金についてはいろいろな御意見があろうかというふうに思います。
いずれにしましても、金額は同じですけれども、罰金と過料には大きな違いがありまして、例えば、新型コロナ禍における感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律の改正に際しては、政府の提出法案の罰則部分に議員修正が加えられ、入院の拒否や疫学調査の拒否に対して設けられた罰則等が過料に改められています。
同法案の質疑においては、過料と罰金の違いについて、政府参考人は、過料の多くは、一定の法律秩序を維持するために、法令に違反した者に対する制裁的処分として科されるものであるとする一方、罰金は、過料の対象となる行為と比較すると、一般的には、より違法性の高い行為を犯罪行為と捉えて、これに対して刑罰として科されるものであると答弁しています。
この政府参考人答弁に照らすと、本法律案においては、農業者等が計画の届出の指示に従わないことを違法性の高い犯罪行為と捉えているのでしょうか。御認識をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/16
-
017・坂本哲志
○坂本国務大臣 食料供給困難事態が公示されるということは、国民の生活、そして国民の経済上に支障が既に生じているという状態のときを指します。
政府といたしましては、そういうときどうするかといいますと、やはり、どれだけの食料を確保できるかというのをまず把握しなければなりません。そして、把握した上で、国民の皆様にどうやってお届けするかという供給計画の届出をやはりしっかりと出していただいて、その届出に対しての指示をするということを国の責務としてやらなければいけないというふうに考えております。
そういうことで、食料供給困難事態につきましては、食料供給に関わる事業者と国が協力をして食料供給を確保する必要があるために、計画届出指示に違反した者については、生産者だけではなくて、輸入事業者や出荷、販売事業者など全ての事業者を対象にし、さらには、計画の届出は、供給確保の対策を講ずる際の現状を把握する上で不可欠なものであるということを踏まえまして、法目的を達成するために必要最小限度の二十万円以下の罰金というのを規定したところであります。
感染症法のことについてお触れになりました。
感染症法のときは、入院を拒否した者は罰金百万円というふうになっておりましたけれども、これが議員修正によりまして五十万円になりました。それから、保健所の調査に対して虚偽の申告をした者につきましては五十万円という過料になっておりましたけれども、これが三十万円になりました。この過料の引下げにつきましては、人としての権利の行使に関する罰則の適用、いわゆる権利の問題であります。
しかし、今回はやはり、例えば、買い占めとか、あるいは闇ルートの形成とか、こういった収益事業を行う上で一定の社会的責任を負う事業者の事業活動に対する罰則というふうになりまして、感染症法上の引下げとは考え方が違います。
そういうことで、感染症法上の基本となる医薬品や、例えばマスクを買い占める、あるいは薬を、ワクチンを買い占める、こういった者については、やはり届出義務違反として二十万円罰金が科されているところでございますので、それと同等のことということで、二十万円以下の罰金を規定をしたところであります。
本法案においては、これまでの感染症法等も参考にしながら、計画届出の義務や義務違反への罰則規定ということで、この二十万の罰則というものを設けたところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/17
-
018・金子恵美
○金子(恵)委員 そうしますと、農業者等が計画の届出の指示に従わないことは、違法性の高い犯罪行為と捉えているということでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/18
-
019・坂本哲志
○坂本国務大臣 計画の作成、届出違反に対する罰金は、事業者の確実な計画届出を担保するために行われるものであります。そういうことで、いろいろな、苦痛の制裁とかいうようなものではなくて、これは、その届出に対しての義務違反というようなことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/19
-
020・金子恵美
○金子(恵)委員 数万円から数十万円の罰金については、制裁金額よりも取調べを受ける苦痛が制裁になっている面が指摘されています。過料であれば警察が関与することはありませんが、罰金については警察の捜査対象となります。
感染症法の議員修正については、提案者が、刑事罰を導入して警察が関与することになると、これは本当に国民を萎縮させてしまうおそれがあると説明しています。警察の捜査においては、刑事訴訟法に基づく強制捜査も必要に応じて可能であり、身柄の逮捕、家宅捜索、証拠物の押収等の規定が適用されます。
本法律案の二十三条が過料ではなく罰金としているのは、強制捜査による苦痛を制裁として用いようとするものなんでしょうか。警察の捜査対象となることが国民を萎縮させるおそれと併せて認識をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/20
-
021・坂本哲志
○坂本国務大臣 今お答えいたしましたように、計画の作成、届出違反に対する罰金は、事業者の確実な計画届出を担保するために行われるものでありまして、苦痛を制裁として用いようとするものではなく、御指摘には当たらないというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/21
-
022・金子恵美
○金子(恵)委員 実態としてそうなる可能性というのはあるわけです。そして、本当に個人農業者も対象となっている。
これだけ過料と罰金の違いというのが言われていて、罰金というのは、実際には前科がつくという点もあります。例えば、就職する際に履歴書の賞罰欄に前科を記載せず前科を隠していた場合、後に発覚すると解雇の合理的な理由となる可能性もあるというぐらい、前科がつくということは大きいことで、また、海外渡航しようとする場合にも、前科を理由に相手国からビザの発給が拒否されるという可能性もあるわけです。
特に、私がちょっと気になっているのは、例えば、調理師等の一定の職業については、罰金以上の刑を科された者には免許を与えないことがあるというふうにされているわけです。例えば、農業者の方々が、地産地消も含めまして、地元の自分が生産したものを活用したカフェをやりたい、そういう事業を発展される方々もいますけれども、そういう方々の中には調理師等の免許を取りたいという方もいます。もし、このようなことから免許を与えられない、そういうことが起きてしまった場合、大きな人生の転換ということになってしまうわけです。そのぐらい罰金は、単なる金銭的な不利益だけでなくて、様々な社会的な不利益を伴う制裁であります。
感染症法の議員修正について、提案者は、刑事罰は量刑均衡の観点から明らかに過重であるというふうに考えて修正した旨を述べています。本法律案において、計画を届け出ない農業者等に刑事罰を科すことは、量刑均衡の観点から過重ではないでしょうか。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/22
-
023・坂本哲志
○坂本国務大臣 食料供給困難事態というのは、いわば国家国民の非常事態であります。その際に、やはり計画の届出をもって供給の確保対策を講ずるというのは、これは国としてやらなければならない責務であるというふうに考えております。
本法案と同様に、事業者に対しまして計画作成指示や計画変更指示を行う仕組みを有しておりますのは、例えば、内閣府が持っております国民生活安定緊急措置法、それから、先ほども言いましたように感染症法上において、マスク、医薬品、そういったものの買占め等を行う場合、こういったものについては、計画届出義務違反について、同様に二十万円以下の罰金を規定していることとしております。
そういったものも踏まえまして、今回の罰則規定の二十万円というのを設けているところでありまして、過重な担保措置であるということは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/23
-
024・金子恵美
○金子(恵)委員 今例示として出していただいたのは、どちらかというと事業者の中でも法人という、そういう方々だというふうに思います。個人が対象になりやすいというか、なる可能性が極めて高い農業という観点でいきますと、やはり、この罰金というのは大変重いものだというふうに思っています。なぜ過料では駄目なのか、なぜそこまで国民を萎縮させるような、そういう法律を作らなくてはいけないのかということです。
そもそもは、先ほども申し上げましたように、平時の状況でしっかりと食料供給ができるような、そういう体制をつくり上げなくてはいけなかったわけですけれども、それがここまで脆弱化してしまったことによって、改めて食料供給困難事態対策法案というものを提出されたということもあるというふうに思います。だから、そこの部分の反省をしないまま、国民を萎縮させてしまうようなおそれのある法案というのは大変問題があるということを申し上げさせていただき、時間が限られているものですから、この件についてはまた次回質問させていただきたいというふうに思います。
農振法等の改正案について質問をさせていただきたいというふうに思います。
これも、実は束ねられています。農振法、農地法、農業経営基盤強化促進法、三つの法律改正を束ねたものでありますが、一つずつがとても重要であります。
その中で、農地や農業従事者の確保等のために政府はこれまで施策を講じてきたところだと思いますけれども、やはり、この法律案によって新たな施策を講じるということであれば、これまでの施策の評価について、改めてどうだったのかということを政府に聞きたいというふうに思います。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/24
-
025・坂本哲志
○坂本国務大臣 農地面積につきましては、現在、基本法制定時から約五十七万ヘクタール、おおむね一割減少をいたしました。農業生産基盤の整備や農地中間管理機構を活用した農地の集積、集約化によりまして、荒廃農地の発生防止に一定の効果があったというふうに考えております。農地の面積等につきましては、そのような効果があったというふうに思っております。
また、基幹的農業従事者につきましては、基本法制定時からおおむね半減はいたしましたものの、法人化が進みまして、この法人等が農地面積の約四分の一、販売金額の四割を担うまでになった結果、全体として農地面積や農業者数が減少しても、農業総生産額は基本法制定時と同水準である約九兆円を維持しております。
ということは、やはり、これまでの農地政策は機能的、合理的に行われて、非常に、そのことによりまして、大区画化もすることによって、生産性が引き上げられたというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/25
-
026・金子恵美
○金子(恵)委員 農地の見通しと確保、これは基本計画に係るものであります。そしてまた、農振法に係る面積目標ということでありますけれども、この関係で申し上げますと、食料・農業・農村基本計画の農地の見通しと確保ということであると、二〇三〇年で確保される農地面積を四百十四万ヘクタールと見込んでいるわけですね。近年の農地減少の実績からすると、この見込みを下回るのではないかと思われます。
また、二つ目の部分ですが、農振法に基づくものですけれども、現行の国の基本指針では、二〇三〇年で確保される農用地区域内の農地面積の目標を三百九十七万ヘクタールと設定しています。
一つ目の基本計画の見通しが農地全体であるのに対して、農振法に係る国の目標は農用地区域内の農地ということで、政府の資料では、農地全体の減少と比べて農用地区域内農地の減少は抑えられているとの認識が示されています。
しかしながら、実態を見ていきますと、既に公表されている二〇二二年十二月三十一日現在の農用地区域内の農地面積は、前年から一・二万ヘクタール減の三百九十七・八万ヘクタールでした。仮にこの減少規模が続いていたとしたら、二〇二三年末、つまり昨年末でありますけれども、もう既に目標である三百九十七万ヘクタールを割り込んでいる可能性があるというふうに思います。その可能性が高いのではないでしょうか。
このような大変厳しい状況に至っている要因と、本法律案による改善の見通しについて、政府の見解を伺います。
恐らく、大臣としては、もう厳しい状況ではない、大丈夫だとおっしゃるのではないかというふうに思いますが、反対に言うと、でも、目標には達することがない可能性がもう出てきている、数字上出てきているわけですね。ということであれば、基本計画に係る農地の見通しと農振法における農用地区域内の農地の面積目標について一体的な検討を経て見直しを行うべきだというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/26
-
027・舞立昇治
○舞立大臣政務官 先生御指摘のとおり、現行の基本計画と農振法の基本指針の関係につきまして、確かに、現行の基本計画においては、農地面積の見通し、食料自給率の目標の前提となる生産努力目標が実現可能となる面積として見通しておりまして、これは農業施策の対象とならないような市街化区域内の農地等、生産性の低い農地も含めた面積として定めているところでございます。
そして一方で、農振法に基づく国の基本指針における農用地区域内農地面積の目標につきましては、農業の健全な発展と国土資源の合理的な利用を目的として、農業振興施策を集中的に行う農用地区域内の農地について設定し、優良農地を確保していくための目標を定めたものでございます。
このように、両者は異なる目的の下で設定しているものでございましたが、今回の農振法の改正法案におきまして、農振法に基づく農地面積の目標は、食料の安定供給の確保のための農業生産に必要な農用地区域内農地の面積目標を設定することとしておりまして、次期基本計画における農地面積の指標と関係の深い目標として検討しているところでございます。
農地減少の要因なり今回の改正法案による改善の見通しというところでございますが、農地面積の減少の要因といたしましては、宅地や工場等の建設に伴う農地転用、そして高齢化や労働力不足などによる荒廃農地の発生によるものと考えております。
今回の農振法の改正によりまして、集団的農地の農用地区域からの除外につきまして都道府県知事の同意基準を明確化すること、そして地域計画内の農地を農用地区域に定めるべき土地として追加すること等によります農用地区域の除外の抑制、編入面積の増加、荒廃農地の発生抑制といった改善効果を目標としておりまして、そういったことがしっかりと図られるように取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/27
-
028・金子恵美
○金子(恵)委員 農水省の農用地区域内の農地面積の推移の資料の中では、面積目標三百九十七万ヘクタールの確保に向けて予断を許さない状況だというふうに言っています。
危機的な状況にあるという認識でいいということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/28
-
029・舞立昇治
○舞立大臣政務官 そういったような危機意識も持った上で、今回の改正法案に臨ませていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/29
-
030・金子恵美
○金子(恵)委員 ありがとうございます。危機意識を持って、しっかりと農地を確保しなくてはいけないということではあります。そこは私も全く同じ意見ではあります。
一方で、これまでの地方分権の流れと本法律案の関係ということで考えたときに、国の関与の強化に係る地方公共団体の懸念というのがある、そういう指摘もあります。
農水大臣の提案理由説明の中では、確保すべき農用地の面積目標の達成に向けた措置の強化等を講ずるとしましたけれども、一方、農振法に基づく農業振興地域制度や農地法に基づく農地転用許可制度は、地方分権の要請に応えて権限移譲等が実施されてきた経緯があります。この観点からも、本法律案の国の関与の強化はこれまでの地方分権の流れに逆行するものという考えも出てきていました。
実際に、そのような地方の声としては、本法律案が提出される前の段階ではありますけれども、今年一月、全国知事会は、政府による農地法制の見直しに係る検討に対して、農地法制の見直しに係る緊急要請を行いました。この中で、これまで進められてきた地方分権の経緯を踏まえつつ、地方公共団体の自主性、自立性に配慮した対応を行うことを求めています。具体的には、国による土地利用規制は必要最小限とするとともに、地域の実情を踏まえた制度となるよう、地方公共団体の意見を十分に聞くことなどを求めています。
また、農林水産省への要請の面会後、同席した知事からは、規制強化する法案なので、地方は危機意識を持っているとの発言があったというふうに報じられています。
この全国知事会からの緊急要請に対し、本法律案を提出するまでの過程において、どのような形で地方公共団体の意見を聞いて、どのように反映させたのでしょうか。また、仮に本法律案が成立した場合、要請の内容に対してどのように対応していくつもりなのか、教えてください。答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/30
-
031・坂本哲志
○坂本国務大臣 今回の農振法の改正におきましては、国民への食料の安定供給のための農地の確保というのを目的としております。そういうことで、除外協議のうち一定規模以上のものについて、国に資料の写しを提出することということを求めております。そして、必要に応じて国が都道府県に対して勧告を行うことなど、国の関与を一定程度強化しているのは事実でございます。
これらの措置は、農用地の確保が国、地方共通の課題であることを踏まえまして、まずは各地域の土地利用に関する実情を把握している地方公共団体が自ら農用地の確保に取り組んでもらい、そして、国は、国家的課題であります食料の安定供給に責任を持つ立場から適時適切に関与を行えるようにし、国と地方がそれぞれの立場から農用地を確保していくことを目的に措置するものであります。
本措置は、個別の除外案件に直接国が関与するものではありません。また、地方自治法上許容される範囲で行われるものであり、地方分権の流れに逆行するものではないというふうに考えております。
私のところにも、首都圏の知事の方から、住宅地になるのに、農振除外、国が厳しくしてもらっては困るというような知事からの要望もございました。私の選挙区でも、TSMCの進出によりまして非常に様々な個別の農地の確保の問題が起きておりますけれども、こういうことにつきましては、それぞれのブロック単位でしっかりと個別に協議をしていただくというふうにしております。
なお、地方三団体からは、法律の内容に対する反対意見はございません。運用面や農業施策の充実に関する御意見はいただいているところでございます。
引き続き、法律の運用に当たりましては、地方側の理解が得られるように対応をしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/31
-
032・金子恵美
○金子(恵)委員 現段階ではそうだと思いますけれども、今年の一月、二月には地方三団体から農水省に対して意見書も提出されてまいりました。意見書は二回ということでありますが、その内容をちょっと申し上げさせていただきますと、協議の場の法定化が地方の意見を尊重するための措置ということは何ら自明であるとは考えられず、我々の求めていた協議の実効性を高める法律上の措置は講じられていないというのが、そのときの内容でありました。
大臣は昨年の十二月の記者会見で、国と地方の協議の場が一つの論点になるというふうにもおっしゃっていて、国と地方の協議の場に係る内容というものについては地方三団体の再意見書というものが提出されたということでありますけれども、やはり、現行の協議の場でも、これまで、基本指針の作成に際して、結果として五年に一回しか開催されていなかった、そういう状況があります。今回、本気できちんと対応するのであれば、本法律案で協議の場を法定化するわけですから、例えば毎年の農地面積の実績の公表を受けて、毎回しっかりと協議の場を開催するということも含めて検討しなくてはいけないと思いますが、御意見があれば、大臣、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/32
-
033・坂本哲志
○坂本国務大臣 国と地方の協議の場の法定化につきましては、地方三団体から、地方の意見を尊重して協議が調うよう努めることとすることなど、協議の実効性を高める措置も法律上明記することを求める意見があったということは承知をいたしております。
この点、今般の国と地方の協議の場の法定化につきましては、平成二十七年の閣議決定に基づき運用で実施されている国と地方の協議の場について、農振法上の制度として恒久的なものとすること、そして、協議の対象を現在の国の面積目標及び都道府県の面積目標の設定基準のみから、国の基本方針全体に拡充し、より実効性のある基本指針にすることというふうにしております。
このように、国と地方の協議の場の恒久化や協議対象の拡大などによりまして、地方三団体が求めます実効性のある協議が担保されるものと考えております。この仕組みの下で十分な議論を行ってまいりたいと思います。
なお、委員言われました法改正後の国と地方の場の開催に係る頻度、そして形式につきましては、都道府県及び市町村の事務負担が大きくならないように配慮しつつ地方公共団体の御意見をお伺いしてまいりたいと思いますし、これは総務省の方でも、国と地方の協議の場、地方分権の文脈でこういったものが毎年行われることになっておりますので、事務負担等にならないように、そこはしっかりと、地方分権、地方の権限というものは配慮していきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/33
-
034・金子恵美
○金子(恵)委員 よろしくお願いいたします。
次に、農業経営基盤強化促進法の一部改正のうち、農地所有適格法人の議決権要件の緩和について質問をさせていただきたいと思います。
農地法では、農地所有適格法人は農業関係者が過半の議決権を有することが要件とされています。今回、農地法の原則は変わりませんけれども、本法律案の農業経営基盤強化促進法の一部改正により、農業経営発展計画制度が創設されます。この計画の認定を受けた農地所有適格法人は、農業関係者の議決権は三分の一超で、かつ、農業関係者と提携事業者が過半の議決権を有していることを要件とする特例が措置されています。
政府は、特例を適用しても農業関係者が特別決議の拒否権を持つことで農業関係者以外が農業関係者の意思に反するような重要な決定を行おうとしても拒否できるというふうに説明をしていますけれども、本当にそうなのでしょうか。やはり、農業関係者の議決権過半、二分の一を割り込むということは、その時点で農業関係者だけで意思決定することができなくなるということではないかというふうにも思います。
四月四日の基本法審査に係る参考人の意見陳述の際、東京大学の安藤光義教授は、食品産業による農業生産者に対する影響力が強まり、大規模経営の系列化や囲い込みとなってしまう可能性を否定することはできませんと指摘されました。また、農林水産省の顧客は食品産業という印象が全体的に強く、不安なしとすることはできないとも述べられています。このような御指摘からも、なぜ今回、このような特例が出てきたのか、疑いのいろいろな声も、疑念を抱くという方々も多く現場ではいらっしゃいます。
現行制度でも可能なこととしては、議決権のない株式を発行して、食品事業者などが追加出資を受けるという手段もあります。この手段なら、農業関係者の立場を弱めることなく、法人の経営発展のニーズにも応えられるということです。
もし、この手段に対して現状での課題やハードルがあるのだとしたら、その課題等を取り除くような施策を講じることを優先すべきではないかというふうに思います。政府はこのような検討も行ったのでしょうか。
以上、これまで申し上げました農業関係者の意思決定への関与に係る問題や疑念等への対応について、地域の農業現場で様々な懸念や不安を抱いている農業関係者が納得できるような説明をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/34
-
035・坂本哲志
○坂本国務大臣 今回の法案では、今委員御指摘のように、農業関係者の意思決定への関与が弱まるといった懸念があるようでありますけれども、それに対応する措置といたしまして、総議決権のうち、農業関係者は株主総会の特別決議の拒否権を持つ三分の一超とした上で、農地の権利移転、転用、そして取締役の選任、解任を特別決議の対象にすることを要件とすることで、会社法上、元々特別決議事項である定款変更に加え、農業の根幹となる農地の処分、業務を執行する取締役の体制変更についても、農業関係者の同意が必要となるものにしております。
あわせて、農業経営発展計画につきましては、国が認定し、その実施状況や農地の権利移転、転用を監督することによって、農業関係者の決定権や農地の農業上の利用の確保を図るものとしておりますので、国が一定の担保をしているわけであります。
また、農業法人につきましては、借入金比率が非常に高いなど、その経営基盤が非常に弱いところがございます。農地所有適格法人が自己資本の充実を図るため増資を行おうとすると、結果として、農業者の出資割合が過半を占める必要となるため、農業者の出資負担が大きいことが課題というふうになっております。
こういった課題への対応といたしまして、無議決権株式の発行というような措置も考えられるわけですけれども、無議決権株式というのは、非常に配当を高く要求をされます。議決権がないので配当は高くしてくれというようなことになってまいります。そういうことで、出資者への配当が出せない、あるいは引受者が見つけられないといった課題も聞かれるところであります。
さらに、農地所有適格法人からは、取引先等との事業連携を進めたいといった声もあります。今回の法案は、農地所有適格法人の経営発展を促し、自己資本の充実を図るための手法として、法人の選択肢の幅を広げる措置を講じるものというふうに言えると思います。
そして、私たちとしては、食料システムとしての考え方をやはり実施をしていかなければいけないというふうに思っております。法律が成立しました暁には、農業者の理解を得られますよう、こういったことをしっかりと丁寧に周知をしてまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/35
-
036・金子恵美
○金子(恵)委員 時間が参りましたから、終わります。スマート農業について質疑ができませんでした。申し訳ありませんでした。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/36
-
037・野中厚
○野中委員長 次に、渡辺創君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/37
-
038・渡辺創
○渡辺(創)委員 立憲民主党の渡辺創です。どうぞよろしくお願いいたします。
本日の案件となっております三法の改正案の中から、主に内閣提出第二八号、食料の安定供給のための農地確保及びその有効な利用を図るための農業振興地域の整備に関する法律の一部を改正する法律案について、特に農地法制について、中心に質問をさせていただきたいと思います。
まず、日本の農地の状況を確認しておきたいというふうに思います。
農林水産省は、今回の食料・農業・農村基本法の改正に当たっても、食料安全保障の根幹は人と農地の確保との姿勢を示しておられます。農地を守ることの重要性というところには、質問者であります私にも、また農水省とも、認識に相違がないというところだと思いますので、その前提で話を進めたいというふうに思います。
配付資料を御覧をいただけたらというふうに思いますが、日本の農地面積がピークだったのは昭和三十六年あたりということになりますが、六百九万ヘクタールぐらいということになります。そこから現在に至るまでの間の耕地面積の変遷と、それぞれの年の拡張面積、新たに農地になった面積ということになりますが、それと壊廃面積、田んぼや畑が実質的に転換をされて作物の栽培が困難となった農地の推移が分かるものを資料としてお配りしております。
まず、日本の農地面積は、昭和三十六年をピークに下降線をたどっていって、令和五年には約四百三十万ヘクタールと、最盛期から六十年かけて三割減少していっているということが分かります。特に昭和四十年代から五十年代にかけてはまだ耕地拡張が続きながらも壊廃面積が上回って、その後は拡張がほぼない中で壊廃だけが一定の水準で続くという道をたどってきたということがこの資料でよく分かるというふうに思います。
政府は昭和四十五年に減反政策をスタートさせているわけですが、併せてこの頃から新規の開田もできなくなったということになります。この昭和四十年代、五十年代の波形というのは、特に壊廃が大きく膨らむことなどは減反政策の影響と考えるのが自然だというふうに思うんですけれども、この関連性について政府の認識を改めてきちんと確認をしておきたいと思いますが、御答弁ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/38
-
039・長井俊彦
○長井政府参考人 お答えいたします。
昭和四十年代、五十年代におきましては、高度経済成長を背景に、宅地や工場等の建設に伴う農地転用、また、労働力不足などによります荒廃農地の発生などが農地減少の主たる要因になったと考えております。
米の生産調整との関係につきましては、壊廃面積が拡大いたしましたのは昭和三十年代前半から昭和四十六年である一方で、生産調整につきましては昭和四十六年から本格的に実施されているところでありまして、直ちに壊廃面積の拡大につながったとは考えておりません。
一方、拡張面積との関係につきましては、生産調整の本格化に伴いまして、新規開田を抑制する政策が取られた昭和四十年代半ば以降に拡張面積が確かに減少しておりますので、政策による影響がないとは言い切れないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/39
-
040・渡辺創
○渡辺(創)委員 ちょっと今の答弁の認識、本当に正しいんでしょうか。拡張については影響があったかもしれないけれども、壊廃が進んだことにはほとんど関係ないという言い方の答弁だったと理解しましたが、その認識が農水省の正しい認識ですか。本当に減反政策は、農地の壊廃がこれだけ膨らんだことに、全く影響がないと農水省は認識でいらっしゃるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/40
-
041・平形雄策
○平形政府参考人 お答えいたします。
委員御提出の資料の方を見ていただきますと、下の段の方が壊廃面積でありまして、これは昭和三十年代の前半から昭和四十六年をピークにしております。
委員おっしゃられたとおり、減反政策というのは昭和四十六年から本格化しておりますけれども、その前の昭和四十四年に試行的にスタートをしておると。四十六年のところをピークにして、その後、実は壊廃面積というのは減少しておりまして、当初の減反の時代は、ほかの作物への作付だけではなく、例えば林地だとか養魚池みたいなものも入っておりまして、それも一部影響があったのかもしれませんけれども、ただ、その後、転作という形でほかの作物を生産することを奨励をしてきておりまして、その後、本格化されるに引き続きまして、壊廃面積が減少をしてきている。
一方で、拡張面積の方は、新規開田のこともありまして抑制がされてきている、農地の面積が拡大しない中で壊廃が進んできているというのが今までの状況でございまして、減反政策は直ちに、主的な要因としてあるわけではないんですけれども、確かに、当初のときに、作付をしない形の林地だとか養魚池というものが含まれていた、そういった影響はあったかと思いますけれども、減反政策自体は、ほかの作物を作付けるということをその後推進をしてきておりまして、そういったことで、四十年代以降、壊廃面積の方は下がってきている、このデータから見るとそういうふうに読み取れるということを申し上げたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/41
-
042・渡辺創
○渡辺(創)委員 認識は分かりました。それは、やった政策によってその瞬間に影響が出るわけではなくて、もちろん、住宅化が進んだりとかいろいろな影響があったのは分かっていますけれども、やはり、全くないという認識はちょっといかがなものかなというふうに思います。
亡くなられた山下惣一さんの「減反神社」の小説、昭和五十五年に出版されたものですが、もうお読みの方は御存じでしょうが、宅地開発が進んで減反した農家がバス停の最後のところになって、減反で米を作るのをやめたところにごみが捨てられ荒廃化していってという姿が書いてあります。こういう、実際に、農家で減反に直面してきた方々の心情を見ると、やはり、農地が減っていくのと関係ないとは言えないんじゃないかなと思うんです。
なぜこんなのを今引っ張り出して話をしているかというと、これだけ、政策の転換の結果が、実際に農地をどの規模で維持できてこれたかということに結びついているということだと思うんです。だから、今議論していることも、そのようにやはり極めて重要な今後の方向性につながっていくことだというふうに思って指摘をしましたので、そう御理解をいただければと思います。
次に、具体的な質問に移ってまいりますが、金子委員の質問とちょっと問題意識はかぶるんですけれども、今回の改正は、その内容を全体的に俯瞰してみると、食料安全保障の観点を強く打ち出すという必要性から、農地法制の見直しに関しても、農地の転用規制などについて国の関与を強化しようとするものだというふうに感じられます。
先ほど大臣も、一定程度強化しているというのは事実だというふうに御答弁なさったところでありましたが、まず、改めて確認をしたいと思うんですけれども、これはそのような意図を持つものだ、国の関与を強化しようとする意図を持って行っているものだというふうに理解をしたらいいでしょうか。また、その場合は、先ほど金子委員も伺われましたが、これまで進めてきた規制緩和や地方分権の流れとの整合性をどのように考えているのか、大臣にお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/42
-
043・坂本哲志
○坂本国務大臣 今回の農振法の改正におきましては、国民への食料の安定供給のための農地の確保、これを最大の目的というふうにしております。除外協議のうち一定規模以上のものにつきましては、国に資料の写しを提出することを求めております。そして、必要に応じて国が都道府県に対して勧告を行うことなど、先ほど言いましたように、国の関与を一定程度強化をいたしております。
これらの措置は、農用地の確保が国、地方共通の課題であるということを踏まえまして、まずは各地域の土地利用に関する実情を把握している地方公共団体が自ら農用地の確保に取り組んでいただきたい、そして、国は、国家的課題であります食料の安定供給に責任を持つ立場から、適時適切に関与を行えるようにし、国と地方がそれぞれの立場から農用地を確保していくということを目的に措置をしているところであります。
本措置は、個別の除外案件に直接国が関与するものではありません。先ほど言いましたように、個別のものについては、それぞれの農政局単位のブロックで、ブロック単位で様々な協議を行っていただきたいというふうに思いますし、地方自治法上許容される範囲でこの農振法の改正は行われるものであり、地方分権の流れに逆行するものではないというふうに考えております。
引き続き、地方の側の理解が得られるように対応をしてまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/43
-
044・渡辺創
○渡辺(創)委員 ありがとうございました。
農用地の確保について、国も自治体も共通の問題意識を持って取り組むというのは我々も違和感はないところであります。しかし、先ほど金子委員から話がありましたように、これまでの歴史的な流れの中で、自治体の皆さんが、知事会の要請もあったかというふうに思いますけれども、やはり時代の流れに逆行するのではないかという危機感を持って声を上げるということは極めて当然だと思いますし、その声を上げていることはやはり大事なことだ、重要なことだというふうに思います。
もう一問、大臣に聞くつもりでありましたが、先ほどの金子委員とほぼ質問がかぶっていますので、質問とはしませんけれども、やはり、自治体の自主性、自立性に配慮した対応というのを自治体は求めているわけですから、仮にこの法律が成立した場合にもきちんと、その声が上がってきた、ここまでの経緯の中で上がってきたということを重く受け止めた対応をお願いをしたい、質問にはいたしませんので、お願いしたいというふうに思っております。
次に、農業振興地域制度についてお伺いをしたいというふうに思います。
同制度は、自然的、経済的、社会的諸条件を考慮して総合的な農業振興が必要な地域に、必要な施策を計画的に推進することによって、農業の健全な発展と国土資源の合理的な利用を図ろうとするものだというふうに理解をしています。そして、その結果として、農用地が確保され、農業の振興が図られることを効果として期待をしているということだというふうに思いますが、国が基本指針を定め、それに沿って都道府県が基本方針を、そして市町村は農業振興地域整備計画など、そういうものを定めていくという流れだというふうに理解をしています。
この流れの中で、国の基本指針が変更された場合には、都道府県の基本方針はおおむね六か月以内に見直すのが原則だというふうに理解をしていますが、令和二年の国の指針変更においては、原則に沿った六か月以内の方針見直しを行った都道府県は六つにとどまったというふうに伺っています。
令和五年一月に農水省が出された資料を見ると、六か月を超えちゃって、一年以内に見直しを行ったのが十二、一年半以内が十九、二年以内が一、二年半以内が一、その時点では未同意のところがまだ八つあるという状況だったというふうに理解をしていますが、今は全て達成されたということのようでありますけれども。
こういう原則の想定スケジュールから大きく外れてしまうというか、こういう大きな遅滞が生じてしまった原因を政府はどのように認識しているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/44
-
045・長井俊彦
○長井政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、現行の国の基本指針の変更を受けた都道府県の基本方針の変更を六か月以内に完了した都道府県は、全体の一割強であります六道県にとどまっているところでございます。
この理由につきましては、面積目標の変更に当たりまして、一つは、都市計画のマスタープラン等の土地利用計画に基づく開発予定による農用地区域からの除外でありますとか、それから、定期見直し等により農用地区域の設定要件を満たさないと判断される農地の農用地区域からの除外などの、各都道府県において独自に考慮すべき事由によりまして、算定根拠の整理でありますとか、市町村等の関係者との調整などに相当の期間を要するケースがあったということでありますとか、あるいは都道府県の審議会等に変更案を諮問しなければならないケース等があったというふうに認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/45
-
046・渡辺創
○渡辺(創)委員 ちょっと改めて確認をしますが、この令和二年の見直しのみが極めて特別な内容を含んでいて時間のかかることが予測されるものであったからこういう結果になったのか、それとも、そうではなく、今後もこのようなことは当然あるわけですけれども、ベーシックなものとして、このぐらい各自治体で時間がかかっても致し方がないなと国としては理解をするようなものなのか、要するに、特異性が令和二年のケースにあったのかということを確認させてもらいたいと思うんです。じゃないと、おおむね六か月以内と言っている原則、そもそもが守れない原則であるんだったら、何のためにこんな原則があるのかという話になると思いますので、そこを改めて御説明ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/46
-
047・長井俊彦
○長井政府参考人 お答えいたします。
前回の見直しと、その前を含めて、特に何か大きな事由の、中身の変更、大きな変更があったわけではございませんので、というのが一つでございます。
いずれにしましても、六か月というのがなかなか達成できていないということでございますが、先ほど申し上げたとおり、いろいろな、種々の事由がございまして、それなりに時間がかかるということは理解をしているところでありますけれども、基本的には五年に一遍とか定期的なものでございますので、あらかじめ県の方でももうちょっとスケジュールを調整していただければもうちょっと早くできるのではないかというふうに我々思っております。
そういう意味でも、今回、農振法等の改正をいたしますので、それに基づいてガイドラインなども作りますし、また、国と地方の協議の場、るる申し上げておりますが、そういった場もありますので、こうした中で基本方針の変更手続について周知を図りながら、都道府県に対しましても六か月以内に速やかな変更がなされるようにしっかりと私たちも働きかけを行ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/47
-
048・渡辺創
○渡辺(創)委員 ちょっと、もう一回改めて確認したいと思います。
六か月以内に原則的に行うという方針を変更する必要性は農水省としてはないと考えているということでいいのかという確認が一つ。もう一つは、今の御説明であれば、次はこういうことは起きない、そういう環境を、法改正も行って、さらに、協議の場も、この後質問しますけれども、より強化していくという方針なわけですから、今後こういうことは起きないというふうに農水省としては考えられるということでいいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/48
-
049・長井俊彦
○長井政府参考人 お答えいたします。
今回しっかりとやることによりまして、基本的には、この六か月以内にやっていただくように私どもも考えております。
絶対起きないかというと、これは自治事務でありますので、強制をするわけにはまいりませんけれども、我々もしっかりと丁寧に説明をさせていただき、考え方をあらかじめ、事前にどんどん説明させていただく中で、都道府県の方でしっかりと事務が進められますように、働きかけをしっかりとやってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/49
-
050・渡辺創
○渡辺(創)委員 もう質問はやめますが、自治体の事務であることはもちろんよく分かりますけれども、こういう仕組みをつくってやっている以上、それがその想定の幅と言えない、多少イレギュラーなことは起こることもあると思いますが、全然想定の範囲と違う事態が起きているのをただ看過しているだけでは意味がないというふうに思いますので、そこは改めて考えていただきたいと思います。
この基本指針と基本方針の見直し等に当たっては、先ほども金子委員からもありましたが、国と地方の協議の場が設定できることになっています。現行法下でも、平成二十七年、令和二年に開催をされているということですが、国に改めて確認したいんですが、この協議にはどのような効果、効用があるというふうに認識をそもそも国としてはしているのか。また、今次改正でこの協議の場については法定化されるということになっておりますけれども、それでは、協議の場、先ほどありましたが、大臣からも御答弁ありましたけれども、できるだけ具体的に、構成や協議事項、形式、頻度などがどうなる想定を国としては持っているのかをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/50
-
051・長井俊彦
○長井政府参考人 お答えいたします。
平成二十七年及び令和二年に開催いたしました国と地方の協議の場におきましては、全国知事会、全国市長会及び全国町村会の地方三団体と国との間で、国の面積目標及び都道府県の面積目標の設定基準に関して協議を行ったところでございます。
具体的には、国と地方の面積目標に相違が生じた場合の考え方でありますとか、あるいは都道府県の面積目標の達成状況の評価の考え方などについて、平成二十七年のときには関係者が一堂に会しまして、また、新型コロナの影響がありました令和二年のときには書面ということになっておりますが、議論が行われるなど、国と地方の間におきます適切な面積目標の設定でありますとか管理に向けた調整の役割を果たしてきたと考えております。
また、本改正後の協議の場におきましては、これまでの運用で行っておりました面積目標の設定基準の協議に加えまして、農用地等の確保に関する基本的な事項、農業振興地域の整備に際して配慮すべき重要事項等を含めまして、国の基本方針全体につきましても協議を行うこととなっております。
構成員等いろいろな中身につきましては、まず、協議の場の構成員は、国と都道府県知事、市長及び町村長の全国的連合組織のほか、必要に応じまして、その他の関係者としまして、農地や土地利用調整の問題に知見を有する学識経験者等を想定しておりますが、この辺もよく地方の意見も伺う必要がございますので、その辺は、メンバーについては考えてまいりたいと思っております。
また、開催頻度とか形式につきましては、先ほど何回もという話もございましたけれども、都道府県及び市町村の事務負担も大きくならないように、地方公共団体の御意見も伺いながら、その中身についても検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/51
-
052・渡辺創
○渡辺(創)委員 ありがとうございました。
こういう協議であったりとか仕組みをしっかり活用して円滑に運用することで農地の確保に効果を上げていかなきゃいけない、そのための話だというふうに思っていますので、その意味では、農地の面積目標をきちんと達成できる仕組みであるかどうかということが大事なんだろうというふうに思います。
ただ、片や一方で、農地面積の目標は、国の指針、都道府県の方針では定められていますが、市町村段階では配分がないということかと思うんです。ちょっと私が勉強が十分じゃないかもしれませんけれども。素人目に考えれば、現場に最も近くて、地域計画の設定であったりとか、そういうことに関わる市町村の段階では目標設定がないというのはちょっと違和感があるんですけれども、目標を設定する必要性はないのかということ。それとまた、ちょっと関連してですが、国の面積目標と都道府県の面積目標の四十七の合計分には必ずしもきちんと合致していない例があるような気がしますけれども、その整合性についても、どういう認識かお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/52
-
053・舞立昇治
○舞立大臣政務官 お答え申し上げます。
まず、市町村での目標設定の必要性の関係でございますが、地方公共団体における農地の確保に当たりましては、地域の実情に応じた柔軟な対応が必要でございまして、市町村ごとに面積目標を設定するのではなく、都道府県において市町村間の調整を行った上で面積目標の設定をすることが適切と考えております。
また、基本指針なり都道府県目標との合計値との整合性の関係でございますが、現行の国の面積目標、令和十二年時点で三百九十七万ヘクタールに対しまして、都道府県の面積目標の合計は約三百九十六万ヘクタールということで、ほぼ同水準と言っていいかと思っております。
ただ、この都道府県の面積目標につきましては、国が定めた設定基準に基づきまして、各都道府県における独自の事由も加味した上で設定されているものであり、若干の誤差はございますが、一定の整合性が図られているものと考えております。
次期の国の基本指針における都道府県の面積目標の設定基準につきまして、今後、国と地方の協議の場等におきまして地方団体の御意見等も伺いながら検討を進めて、より実効性のある面積目標の設定、確保がなされるよう取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/53
-
054・渡辺創
○渡辺(創)委員 整合性という話がありましたが、やはり、すっきり理解しやすいということが大事だと思いますので、是非御検討いただきたいと思います。
次に、遊休農地についてお伺いをします。
遊休農地を利用できる農地に転換していくということも、農地確保という観点からは大事な取組だと思います。農地法では、農業委員会の調査で遊休農地があるときは所有者の利用意向調査を行い、利用意向がなかったり、一定期間後も利用増進が図られない場合には、農地中間管理機構による農地中間管理権の取得を協議するよう勧告することになっています。この対象となる農地を勧告遊休農地といい、協議が調わなかった場合には農地中間管理機構が都道府県知事に裁定を申請できる仕組みになっています。
ただ、この勧告遊休農地は、令和四年一月実績で三百四十九件に及ぶようですが、農地中間管理機構から農地中間管理権の設定に関する裁定の申請は全くないという状況であります。理由はいろいろあるんでしょうけれども、全くないというのはどう理解をすればいいのか、この状況は制度の導入時に想定の範疇にあった事態と言えるのか、政府の見解を確認したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/54
-
055・村井正親
○村井政府参考人 お答え申し上げます。
委員の方からの御紹介にありました農地法に基づく遊休農地に関する措置でございますけれども、改めて御説明いたしますと、農業委員会が、その遊休農地の所有者等に対して、その農業上の利用の意向調査を行った上で、農業委員会は、一定期間を経過しても遊休農地の解消が図られないときには、所有者等に対して農地バンクと協議すべきことを勧告をし、農地バンクは、当該協議が調わない場合には、都道府県知事に対して農地中間管理権の設定に関し裁定の申請ができる仕組みとなっております。これは、受け手のニーズがあるにもかかわらず当該遊休農地が活用できないといったことを防止するという観点から措置をしているということで我々理解をしております。
今委員の方から御指摘ありましたように、活用の状況ということでございますけれども、当然、制度化したときには活用がなされるという前提で我々も制度化をしておるわけでございますけれども、この遊休農地の措置の手続に際しまして、ほとんどのケースで、措置に係る遊休農地を活用したいという受け手のニーズがなかったことから、農地バンクにおいて裁定の申請は行わないという判断がなされたものと承知をしております。
ただ一方で、実際に、その勧告後、裁定申請の前に、所有者等の営農再開あるいは貸し先が見つかることなどによって遊休農地の活用のめどが立ったケースもあるというふうに承知をしております。意向調査から裁定申請までの遊休農地措置の制度全体によって、遊休農地の解消に一定程度寄与していると認識をしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/55
-
056・渡辺創
○渡辺(創)委員 ありがとうございました。
本当に必要性がなくて機能していないんだったら、それはそれで問題ないんだろうと思いますが、どこかネックになることがあって、本当はもうちょっと有効なシステムであるという可能性があるのであれば、点検を図っていただいてというふうに思っております。
所有者不明農地についても質問を予定しておりましたが、時間が来ましたので、これで終わります。
どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/56
-
057・野中厚
○野中委員長 次に、野間健君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/57
-
058・野間健
○野間委員 立憲民主党の野間健です。
今回、スマート農業の利用、活用の法案が出されていますけれども、その提出の背景として、二十年後に現在百十六万人の基幹的農業従事者が三十万人になるんだという前提が、背景があって、この法案が出されたということが説明されていますけれども、二十年後、厚生労働省から出ているあれでいきますと、人口が大体一億から一億八百万人ぐらい、二割ぐらい減るという予想が出ています。しかし、基幹的な農業従事者はもう七五%いなくなってしまうということですね。
二十年後って永遠の先じゃないですよね。大臣もそのときまだ九十代でしょうし、今日いらっしゃる役人の皆さんもまだ七十代とか八十代の、元気でいらっしゃると思うんですよね。すぐ近くの問題です。
ですから、これが、三十万人になって、これこそが私、食料供給困難事態、もう目の前に来ていると思うんですね。三十万人になって、本当にスマート農業をやれば大丈夫なんだということは、恐らくここにいらっしゃる皆さん、誰もそう思っていないと思います。
二十年後、機械的に多分そういうふうに、三十万になるとおっしゃっているんでしょうけれども、そうしますと、では、五年後、令和十一年は九十万人、令和十六年は六十万になっている、機械的に考えれば、ということなんですが、この二十年後って、そのとき、食料の自給率とか国内農業生産、輸入とか備蓄、これは当然いろいろ想定されていると思うんですけれども、どうなっているんでしょうか。スマート農業をやって、これで何とか足りているんでしょうか。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/58
-
059・坂本哲志
○坂本国務大臣 委員おっしゃいますように、百二十万人から三十万人に減少する、これは確実にそういうふうになっていくだろうという予測を立てております。
このような中で、今、私たちが進めております担い手と農地の確保、そして、スマート技術の展開等による生産性の向上、そして、農業の付加価値の向上、輸出による販路拡大を通じて、収益性の高い農業の実現を図るということはやはり焦眉の急であるというふうに思っております。
農業に関しては、やはり、機械化、スマート化、伸び代といいますかのり代というのが一番ある産業であるというふうに思っております。人口減少、高齢化、働き手不足、これは農業だけではなくて、物流も、あるいはエッセンシャルワーカーも、ほとんどの分野でそうでありますけれども、そういう中で、やはり農業は先頭を切ってその対応策をしていく、それが、スマート農業化であり、あるいは区画の大区画化であり、生産性の向上であるということで、現在の九兆円の農業生産額あるいは農業生産量、こういったものをしっかり維持してまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/59
-
060・野間健
○野間委員 なぜそういうことを申し上げるかといいますと、今回のこの食料供給困難事態対策法案は、いろいろとこうするああする、罰則を科したり、それは、その手続は確かに定めているんですけれども、目の前に来ているこの事態にどう対処して、いろいろ計画を立てていくのかという中身が見えないものですから、国民も非常に不安だと思います。
三十万になるのは、非常に確信を持って、今、絶対なるんだとおっしゃって、そんなことになってほしくないと私は思いますけれども、大臣は確信を持って、自信を持っておっしゃっているので、大変困惑しておりますけれども。
次に、食料供給困難事態の際に、米、小麦、大豆等への生産計画の作成の指示、協力要請するということなんですが、具体的にどういう地域に、例えば、北海道にはこうする、鹿児島県にはこうする、こういうような、どの地域を想定しているのか、生産量をどうしようと思っているのか、また、農家あるいは生産可能業者をどのように決めていくのか、具体的に想定されているのであれば、教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/60
-
061・杉中淳
○杉中政府参考人 お答えいたします。
食料供給困難事態対策法におきまして、実際に要請や指示を行う対象者、あと確保すべき食料供給量、それから生産量も含みますけれども、あと地域などについては、その対象となる品目ごとの特徴やその時点における供給不足の状況に応じて決定するものであり、政府対策本部において策定する実施方針において定めることとなっております。
一方、措置の対象者につきましては、措置の迅速性や効率性の観点から、必要に応じて一定規模の事業者に限定するということが効率的であることも考えられますので、基本方針の中で対象者についての考え方を整理するということを検討しております。
また、迅速に要請を行うためには、平時から要請等の対象となる事業者の把握をしていくということが重要でございますので、報告徴収の規定に基づいて必要な調査を行うという方向で検討を行っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/61
-
062・野間健
○野間委員 今、各地で一生懸命生産をしている農家の皆さんや生産者の皆さんにそういったことがなかなかまだ伝わっていないでしょうし、もう少し具体的な措置が必要じゃないかと思います。
そして、今、金子委員始め質問もありましたけれども、罰則の問題なんですが、計画の届出の義務に違反した場合、罰則を科す。しかし、それ以上はないわけですね。罰金を払いました、そこでおしまいですよね。その計画が実行されなくても、そこでおしまいですね。ということでよろしいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/62
-
063・杉中淳
○杉中政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のように、罰則につきましては、計画の届出義務違反について科されるものでございます。計画を達成できなかったということで罰則が適用されるわけではございませんけれども、正当な理由がなく届け出た計画を実行しない場合については、公表等の措置を行うということも講じているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/63
-
064・野間健
○野間委員 公表というのも、今の時代、これはお答えは結構ですけれども、今、インターネットが発達しているこういう時代ですから、炎上したりして、そういう名前を公表された方が自殺に追い込まれるとか、そういうこともあるんですよね。ですから、そういうことはよく考えていただきたいと思うんですが。
一番の食料供給困難な事態というと、やはり戦争ですよね。第二次大戦のときも、我が国は国家総動員法というのができて、その下で農業生産統制法というのが勅令で出ていますけれども、これも見ますと、やはり計画を出さないというのは罰金、そして三年以下の懲役ということがあるんですね。懲役、この法律はもちろん書いていないですけれども、そこまで想定しているんでしょうか、もしどうしても言うことを聞かないという人に対しては。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/64
-
065・杉中淳
○杉中政府参考人 罰則の量刑につきましては、既存の類似の法制度等の並びを見て決定するということが妥当だというふうに考えています。
事業者に生産等の計画の作成、届出を指示し、その違反に対して罰金を科すという仕組みは、石油や医薬品など、食料と同様に国民生活、国民経済上重要な物資の供給を確保するために措置されているほかの制度においても広く採用されておりますので、これらを参考に規定したものでございまして、罰金二十万円という横並びの措置が適当であるというふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/65
-
066・野間健
○野間委員 確かに、今おっしゃったような石油とか医薬品とかそういったものは、ある意味、一定の企業なり業者ですから、二十万円払っても余り痛みがないかもしれません。しかし、実際の小さな農家とか生産者にとっては、やはり、非常に痛みにもなりますし、また、名前が公表されたりすると仕事がやっていけない、その地域で生きていけないということもありますので、そこは十分考えていかなきゃいけないと思います。
そして、今回、ちょっと不思議なのが、食料・農業・農村基本計画で、国内生産可能な高カロリーの食料として芋を推奨されていますよね。常日頃から自分の国で作ることが大切ですという、農水省の子供さん向けのガイドブックがありますけれども、そこではやはり、お昼も夕方も焼き芋を食べてくださいということを推奨されています。
この芋が入っていないんですよね。どうしてなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/66
-
067・杉中淳
○杉中政府参考人 特定食料についての御質問と認識しておりますけれども、特定食料は、国民の食生活上重要又は食品製造において原材料として重要な農林水産物などを政令で定めることとしております。
このため、まずは、法律成立の時点における、人の生命維持、身体機能に重要なカロリーや主たる栄養素の観点から重要なもの、また、原材料として多くの加工食品の製造に用いられ、関連事業者の裾野が広い農林水産物等、こういった観点を踏まえて指定をする方針でございます。
現時点においてはそういう観点から芋類を特定食料に含めることは想定をしておりませんけれども、国民の食生活を支える品目は状況によって変化をいたしますので、必要に応じて政令を改正をするということとしております。
例えば、国民が最低限度必要とする食料の供給が確保されないおそれがある状況におきましては、より熱量を重視した農林水産物の供給というのが重要になりますので、そういった場面におきましては、熱量が高い、効率的な芋類を特定食料に追加するということも検討することになるというふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/67
-
068・野間健
○野間委員 時間が来ましたので終わりますが、まだまだいろいろ疑問の多い法案でありますので、審議を深めていきたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/68
-
069・野中厚
○野中委員長 次に、一谷勇一郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/69
-
070・一谷勇一郎
○一谷委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の一谷勇一郎です。どうぞよろしくお願いをいたします。
私からは、農業の生産性の向上のためのスマート農業技術の活用の推進に関する法律案をまず質問させていただきたいと思います。
今、野間先生がおっしゃられたように、私も、農業従事者の方が二十年後に今の百十六万人から三十万人にまで減少するというのは非常に衝撃的な数字だと思いますし、現在、基幹的農業従事者の年齢構成を見てみますと、七十歳以上の方が六八・三%で、六十から六十九歳の方が二四・三%だということです。
そして、これは私の認識ですけれども、スマート農業、こういったデジタル、ICTをどんどん活用してやっていこうというふうな年代というのはやはり若い方であり、世界を見渡しても、イノベーションを起こしてくるのは二十歳代の方だと思うんですが、その方が、今現在一%しか基幹的農業従事者の方がいらっしゃらないということで、どのようにスマート農業を進めていくのかというのが本当に物すごい課題だと思います。
二十年後、私も高齢期に入っておりますが、その段階で、もし私が農業従事者であって、スマート農業を物すごいお金をかけてやれと言われたときに、できるのかなというふうな思いもあります。その思いも込めながら質問をしていきたいというふうに思います。
まず、生産方式革新実行計画があります。これはどのように実行計画を立てていくのかというのが課題だというふうに思うんですが、スマート農業技術の活用と農産物の新たな生産の方式の導入をセットで相当規模で行うということも書かれていますので、複数農業者が共同した産地単位での取組を想定していると書いてありますから、いろいろな方々が集まって、ある程度の規模で、集約した形で進めていくんだと思うんです。
もう一つ疑問は、今までこれは、私がちょっと素人目に見ると、農協さんとかがこういうのをやってこなかったのかなという気もあって、新たなサービス事業者を入れながらこの生産方式革新実行計画を立てていくというんですが、どのように計画を立てていくのかということを具体的に、まず大臣に答弁を求めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/70
-
071・坂本哲志
○坂本国務大臣 生産方式革新実施計画では、複数の農業者が同一の計画に参画することによる機械の共同利用の促進、今言われましたように、JAが請け負って農機具のレンタルをやるということ、あるいは、サービス事業体がこれから育成されていきますので、ドローンを使った肥料あるいは農薬等の散布だけを請け負って、受託してやるという新たな企業ができるということ、そういったことで、様々なスマートの分業体制も含めて農業が構成されていく、あるいは農業者が構成されていくというようなことを考えております。
こうした取組が広く普及するように、国はその必要性や有効性に関する知識の普及啓発を図っていきたいというふうに思っておりますし、必要な情報の収集、整理等を提供していきたいというふうに思っております。
サービス事業体にこういうことを委託すれば、これだけコストが安くなりますよ、これだけ労力も軽減しますよというようなことを情報提供しながら、優良事例の横展開など、必要な施策を講じていきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/71
-
072・一谷勇一郎
○一谷委員 今お答えいただいたところで、複数の農業者が入ってくると、意見の対立とかもあってなかなか合意をするのは難しいんじゃないかなというふうに思うんですが、今大臣がおっしゃっていただいたこのサポート事業所というのは、そもそもでき上がってくるということは想定をされているのか。私が考えるには、マーケットが縮小していく中で、そういったサポート事業所というのは立ち上がってくるということはもう想定がされているんでしょうか。もし参考人で答えがあれば、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/72
-
073・川合豊彦
○川合政府参考人 お答えいたします。
現在、現場では、農協の皆様が生産部会なんかを使って、一生懸命、農家の皆さんと一緒に収穫したりあるいは農薬散布したりしていると思うんですけれども、人がいなくなってきますと、そういったものを請け負う事業体、例えばドローンを持っている業者が、いろいろな形で使えるというふうに考えておりますので、農協と連携して一緒に農薬散布をするとか、あるいは、農協の方々が農家の方々の意向を踏まえて取りまとめて、そういった散布会社に依頼するというのがこれから出てくると思います。
そういったサービスを、どういったところにあるのかというのは、現在、県の普及センターとか、あるいは農協の部会がいろいろ紹介をしておりますけれども、これからは、先生御指摘のように、若い方々が起業していろいろな形で入ってくると思いますので、そういった方々を国が責任を持って一生懸命現場に紹介するということも大切になってくると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/73
-
074・一谷勇一郎
○一谷委員 ありがとうございます。
今、新しいそういった若い方々の、起業の方々が出てくると、それに釣られて就農しようという若い方々も育ってくるのではないかなというふうに思いますので、期待をさせていただきたいというふうに思います。
今、サポート事業、ゼロから一に立ち上げていくときにやはり資金が要ると思うんですが、この資料の中にも、日本政策金融公庫の長期低利融資の意味と、このサプライヤー、先ほどの、ゼロから一を生み出してくる、そういったスタートアップの企業にもこの融資は適用されるのかどうかということをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/74
-
075・川合豊彦
○川合政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、スマート農業技術の活用には、初期の導入コストのみならず、維持管理を行うための長期運転資金の確保も課題となっております。一定期間、継続的に支援する仕組みが必要であります。
このため、本法案では、スマート農業技術の活用を促進する上で必要な資金につきまして、長期運転資金を含め、日本公庫による長期低利融資を受けることができることとしておりまして、こうした支援を通じて取組が継続的に安定的に行われるよう取り組んでまいります。
また、御指摘のサプライヤーについてですけれども、この資金につきましては、農業者に加えまして、スマート農業技術活用サービス事業者など、スマート農業技術のサプライヤーも含めて、幅広い事業者が活用することが可能となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/75
-
076・一谷勇一郎
○一谷委員 運転資金はこれで出るという話だったんですけれども、最初の開発コストというのは対応はできないんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/76
-
077・川合豊彦
○川合政府参考人 お答えいたします。
先生の御指摘は、供給のみならず開発にもということだと思います。スマート農業技術につきましては、やはり先端技術の開発でございますので、事業者からは、返済期限に定めのない出資でありますとか開発経費への直接的な補助に対して非常にニーズがあるというのは事実でございます。
これらに対しましては、農林漁業法人等投資円滑化法に基づく出資の支援、あるいは農林水産、食品分野の先端技術を有するスタートアップを対象とした大規模実証事業、こういったものへの予算を通じた支援を現在講じております。これらの施策に加えまして、この法案では、スマート農業技術の供給の取組に対する日本公庫の資金の貸付けによる支援、これを講じております。
開発につきましては、やはり時間もかかりますし、あるいは、必ず返せるということもなかなか難しいので、こういった予算措置で現在支援を行っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/77
-
078・一谷勇一郎
○一谷委員 その予算措置をされているところの開発というのはどんどん進んでいっているという感じでよろしいんですかね。いいですか、質問。どうぞお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/78
-
079・川合豊彦
○川合政府参考人 現在、全国二百十七か所でスマート農業実証事業というのをやっております。これにつきましては、やはり開発部分をそのまま現場に入れていただいて実際に実感してもらう、あるいは、開発をもっと加速していただくということで、現在予算措置でやっておりまして、自動水管理システムでありますとか、あるいは草刈り機でありますとか、ドローンによる農薬散布技術など、いろいろなところで芽が出てきておりますので、こういったものをもっと後押ししていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/79
-
080・一谷勇一郎
○一谷委員 先ほど言っていただいたドローンとか自動で水をまくとかというところも、この資料の中で載っておりました。こういった開発も進んでいる、そしてランニングコストも融資を低金利で受けることができるということで、非常に体制はつくられてきているんだろうなというふうに感じます。
あとは、年齢の高い方々に向けてどのように導入をしていくとか、意識を変えていくかというところが非常に重要だと思うんですけれども、今回の法案の中身ではないので、これはまた違うときに質問をさせていただけたらと思います。
次は、開発供給実行計画なんですけれども、供給という言葉が入っています。これは非常にポイントなんじゃないかなというふうに思うんですが、先ほどのお答えとちょっと重複するかも分からないんですが、この供給という言葉を入れた意味というのを改めてお聞かせいただけたらというふうに思います。これは大臣からお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/80
-
081・坂本哲志
○坂本国務大臣 スマート農業技術の実用に当たりましては、技術が開発されるだけではなくて、農業者にそのスマート農業が広く行き渡る、このことが大事であります。
そこで、開発供給実施計画では、技術の開発と供給を一体的に行うことを認定するというふうにしております。例えば、スタートアップ企業等で開発されましたスマート農業機器等に対しまして、これはスタートアップ企業だけではなくて、農機具メーカーも一緒になって製造や販売をお手伝いする、そして、スマート農業技術活用のサービス事業者によるレンタルや農作業の受委託のサービスの提供などを通して、農業者にスマート農業技術を提供する取組まで一貫して本法案で支援を行う、いわゆる技術開発から提供、そして実証、そういったところまでやるということで、既に深谷市あたりでの深谷ネギではこういう取組が実際に行われているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/81
-
082・一谷勇一郎
○一谷委員 私はよくスタートアップ企業を見学に行かせていただきます、訪問に行かせていただきます。そこで、今、国がスマート農業の機械の開発もお金を出して、そしてランニングコストも今回低金利で融資が受けられるということなんですが、よく私がスタートアップ企業を回っていてそこのトップの方がおっしゃるのが、技術開発するまでは物すごく技術者の方の集団ででき上がった、ただ、技術者の集団の方が営業できるかというと、営業がやはり物すごく苦手で、せっかくつくり上げたいいものを世に広めることがなかなかできなかったということの事例をたくさんスタートアップの企業で聞いてきました。
ですから、供給というところに対しても国の手当てがあるというのは非常に大事なことであると思いますし、必要なことだと思うんですが、もう一つちょっと踏み込んで意見を申させていただきますと、そういった企業が、これはよくスタートアップの方、企業がおっしゃるんですけれども、技術開発の方は開発し切ったので、技術開発者ばかり抱えるのではなくて、次は営業部隊を抱えたいというときの人の流動性、こういったものをなかなかスタートアップ企業、今、雇用の問題もあって流動化ができないということもありますので、営業を進めるというところは、資金面もありますけれども、会社の雇用体系を変えていくとか、そういったところまで踏み込んで改革をしていただけた方がより進むのではないかというふうに思っています。
ですので、この供給、非常に重要な点ですけれども、スタートアップ企業に任せ切るのではなくて、そういった雇用のところまでちょっと考えていただいて、営業する部隊をほかで準備していただくのか、先ほどの農機具メーカーと一緒にやるところをもっと強化するのかというところが、このスマート農業を広めていくための非常に重要なポイントではないかなというふうに思いますので、ちょっと意見を述べさせていただきました。
大体、スタートアップ企業というのは営業部隊が非常に弱いなというふうに考えていますし、営業部隊を雇用するだけの体力がない、開発をする人と更に営業部隊を入れないといけないので、そこは大変だということです。日経ビジネスを見てもベンチャー企業の生存率というのは非常に低いので、これは営業ができていないからなんだというふうに思います。
次の質問をさせていただきます。
開発供給実行計画の申請者の中に、今回、大学が入っています。大学を入れた意味というのをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/82
-
083・川合豊彦
○川合政府参考人 お答えいたします。
スマート農業技術は、農業技術と情報通信技術の高度な融合により生まれるものであります。この法案の基本理念に規定しておりますとおり、大学を含む多様な主体の知識や技術、設備などを活用しつつ、相互の密接な連携を図りながら、開発供給事業を進めていくことが重要と考えております。
例えば、果物の収穫ロボットにつきまして、大学がAIによる画像認識などのソフト開発、民間企業が収穫ロボットのハード開発、農研機構が自動化、機械化が容易になる樹形の開発、これを連携して行いまして、効果的に開発に取り組んでいる事例もあります。
このため、この開発供給実施計画では、大学がスマート農業技術を開発し、開発された技術を農機メーカーや、先ほど申し上げましたスタートアップ、こういった者たちが一生懸命、つくっていただきまして現場に下ろしていただくということが大切だというふうに考えております。
こういった面で、大学というのは農学部に限らずいろいろな学部がありますので、いろいろな方々が参画して提案していただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/83
-
084・一谷勇一郎
○一谷委員 私も福祉分野でよく大学と共同でいろいろなものを開発してきたんですが、大学が考えるものがニーズに合っているかどうかという問題もあると思いますので、やはり、農家さん、実際に現場で働かれる方のニーズに合ったものをつくっていただくということが重要だと思います。
大学が入った意味というのは、次の質問になりますけれども、農研機構の研究開発設備等の併用等、これは農研機構の機械が使える、特に先ほどおっしゃったスパコンの「紫峰」ですかね、そういうのを使えるということが非常に重要なことだというふうにあるんですが、これは一般企業からも農研機構のこういった開発設備を使いたいというふうな声があったのかということと、企業をどのように選定していくのか、本来の農研機構の仕事もありながら設備を貸すということになるので、ある程度は選定していかないといけないと思うんですが、その基準があれば、今考えている基準があれば教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/84
-
085・川合豊彦
○川合政府参考人 お答えいたします。
スマート農業技術の開発につきましては、スタートアップも含めて、いろいろな民間企業の方々が非常に関心を示されております。
ただ、この技術開発に必要になります研究設備、特に圃場でありますとか人工気象室でありますとか、今委員御指摘の大型コンピューターでありますとか、そういったものは持っておらない企業が大半でございます。
こういった方々、やりたいんだけれども、そういった施設がないということで、今回、農研機構の施設を供用するということを初めてこの法案で入れたところでございます。
こういった意見を踏まえたところ、やはり非常に希望は確かに多いです。圃場を持っていないけれども知恵だけはあるとか、いろいろ企業の機械はあるんだけれども人工気象室がないとか、あるいは、AIでいろいろ解析をしたいんだけれども大型コンピューターがない、ただ知恵はあるという方が非常に多いので、こういった方々が開発供給計画などに参画していただいて、それを認定していただくということなんですけれども、継続的にやっていただくとか、あるいは既に開発済みのやつをダブってやるというわけにもいきませんので、そういったものについてやはりしっかり審査をしていくんですけれども、それは基本方針の中にしっかり明確に書いていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/85
-
086・一谷勇一郎
○一谷委員 分かりました。
そうしたら、次の質問なんですけれども、スタートアップ企業はいろいろなものを開発していくと思いますが、農地を持たないスタートアップ企業というのがほとんどなんじゃないかなというふうに思います。スマート農業技術活用サービス事業所をどのように育てていくのか、また、農業者とのマッチングをどのように行っていくのかというところをお聞かせいただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/86
-
087・川合豊彦
○川合政府参考人 スマート農業技術の開発をしたいというスタートアップも含めて、かなり知恵とか自作の機械などを持っている人はあります。ただ、実際に圃場を持っているという方はほとんどおりませんので、農研機構の圃場は北から南まで各地にありますので、そういった圃場を農研機構の業務に支障のない範囲内で使っていただくということになるかと思います。やはり圃場を使わないと実際のデータは取れませんし、実際に動かしてみてどうなのかと。
それから、先ほど委員から御指摘あったように、農家の方々に使っていただいて、本当に使えるものなのかということがあります。
あと、農家の方々からすると、ここを開発してほしいという要望はたくさんあるんですけれども、農研機構だけでは開発できませんので、やはり、全国のスタートアップでありますとか、若者でありますとか、そういった知恵をかりてやっていただきたい。そのときに農研機構の施設、圃場も含めて供用していただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/87
-
088・一谷勇一郎
○一谷委員 今までの質疑の中で、スマート農業の開発もできる、そして運転資金もある、そしてニーズもくみ上げる、AIも使うということなんですが、ここまで本当に整備ができるんですけれども、私の感覚では、スマート農業のスマートという文字に非常にシニア農業者の方は抵抗感があるんじゃないかなというふうに思いますし、兼業農家さんはどうするのかなという問題であるとか、あと、先ほどドローン、ドローンという話もありましたけれども、これはオペレーターも要ると思うんですね。そういったところや、先ほどの自動の水の散布なんかも操作方法を覚えないといけないというところもあって、これは、実際問題、シニアの方が多い現状、どのようにこのスマート農業の抵抗感をなくしていくかということについてお考えをお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/88
-
089・川合豊彦
○川合政府参考人 大変重要な御指摘だと考えております。
高齢者の方々はスマート農業という片仮名を聞いただけで非常に抵抗感があるというのは、私も各地に説明に行っていて、おまえの説明は難しくて分からない以前に、スマートという言葉が嫌だという方々も大変多いのは事実でございます。
ただ一方で、こういった技術があるんだ、使えるんだということをしっかり伝えていかないといけないということも事実でございまして、やはり、若者だけではなくて、大半を占める高齢の方々に実際に使っていただいて、例えば自動水管理システムであれば、自宅にいながらにして水の栓が閉まるんだというのは、確認したいという方々には現場で見ていただくというのが一番大事だと思っております。あと、農薬の散布につきましては、背中に農薬のタンクをしょって散布する、大変な重労働でございます。これがドローンで、葉っぱの裏にはまだつかないんですけれども、こういうのはつくんだと実際に見ていただくというのが一番大切だと思っておりますので、こういった実証でありますとか、説明でありますとか、実感していただくということが一つ大事だと思っております。
もう一つ重要なのは、熟練農業者のノウハウを若い方々に伝えていくということが非常に大事なので、こういったスマートグラスでありますとか、熟練農業者のこれまで培っていただいた技術をしっかり後輩に伝えていくというのもスマート農業の重要な役目だと考えております。
こういった内容につきまして、国が責任を持って周知していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/89
-
090・一谷勇一郎
○一谷委員 大臣、是非このスマートという名前を変えていただきたいと思います、大臣の力で。いいネーミングをつけていただけたらと思いますので、お願いします。
続きまして、食料の安定供給について質問をさせていただきます。少し時間がないので、最後の十二問目の質問をさせてください。
今まで他の委員の先生方からも質問があったんですが、農業経営基盤強化促進法を改正し、今後、議決権要件の特例を設けて、出資比率を変更していくという意味があるんですが、私は物すごくやはり六次産業化することが大事だというふうに思っていまして、そうすることによって、やはり、適正な価格は大事ですけれども、価格を抑えていくということが、これから年金の方も多いですし、食料をしっかり皆さんに食べていただくためには重要だと思うんですが、二分の一から三分の一まで緩和したということについて、改めてどういう意味があるのかということをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/90
-
091・村井正親
○村井政府参考人 お答えいたします。
農地を所有できる農地所有適格法人でございますけれども、今、農業全体にわたって、非常に法人のウェートというのが着実に増えております。そういった中で、人と農地の受皿として大変重要な存在になってきているというふうに我々考えております。
ただ一方で、借入金比率が高いなど、その経営基盤は弱いという状況にございます。自己資本の充実を図るため増資を行おうとすると、農業者の出資割合が過半を占める必要があるため、農業者の負担が大きくなるということが課題であるというふうに認識をしております。
このため、農地所有適格法人による経営発展に関する計画を農林水産大臣が認定する仕組みを設けた上で、その経営基盤の強化を図るため、農業関係者以外の者の議決権割合を二分の一未満から三分の二未満まで緩和する特例措置を講ずることとしたところでございます。
これによりまして、食品事業者などの取引先との更なる資本提携が可能となって、出資による自己資本の充実のみならず、農産物取引の拡大あるいは経営ノウハウの提供を通じた経営の改善、高度化といった効果が得られるものと期待をしております。
農業者による主導の下、経営基盤が強化され、委員御指摘の六次産業化も含めて、農地所有適格法人の活動の幅が広がるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/91
-
092・一谷勇一郎
○一谷委員 ありがとうございました。質問を終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/92
-
093・野中厚
○野中委員長 次に、池畑浩太朗君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/93
-
094・池畑浩太朗
○池畑委員 日本維新の会、池畑浩太朗でございます。教育無償化を実現する会との共同会派であります。
一谷代議士の続きになりますけれども、食料供給困難事態対策法案についてまず質問させていただきたいと思います。
現在、農林水産省では、畑地化を進めるために大きな予算がつけられておられます。畑地化促進事業でいえば、昨年度の補正予算で七百五十億円、水田活用交付金は当初の予算で約三千億円であります。仮に、アメリカ、オーストラリア、カナダとか、そういった小麦の輸入先国からの輸入がストップしたときに、対応策として、日本は米を作るのが自然な発想だというふうに私は思っておりますが、今回は基本的に国内需要分だけの米を作ることが目標となっております。残りは畑作物にしようと考えておりますが、いざというときに畑地化した農地を水田に戻すことは、現場を回っていても、大変困難ですというお話をよく聞かせていただきます。
米からの転換として畑作物の作付、前も質問させていただきましたが、ブロックローテーションをしたいという声は地元からも多くありますが、米からの転換といっても、なかなか米から離れることは不安だという声も併せてお聞きいたします。
話は戻りますけれども、やはり、不測の事態というときには、食料の確保のために、やはり農家の方に米を作っていただくということは一番スムーズだというふうに考えます。
そこで、畑作化した農地を水田に戻す場合、これは暗渠とかそういったこともありますけれども、どれくらいのコストがかかると考えておられますでしょうか。農林水産省として何か試算などされていることがありましたら、お聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/94
-
095・平形雄策
○平形政府参考人 お答えいたします。
水を張って水稲を作付する上では、用水と排水の設備、それから、水をためるための畦畔と耕盤等が整備される必要がございますが、その整備費用は圃場の条件だとか状況によっても様々でございますので、コストの試算は行っていないところでございます。
一方、水田は現在約二百三十万ヘクタールほどございまして、このうち約百五十万ヘクタールで水を張って主食用米ですとか飼料用米等が作付されております。残りの八十万ヘクタール程度は麦ですとか大豆、野菜等が作付されておりますが、このような作物は、明渠や暗渠を備えるなどして排水性を高めた汎用化水田で整備された水田で利用されております。この汎用化水田に水を張る場合には大きなコストにはならず水稲作付ができるものというふうに承知をしております。
一方、水田の畑地化促進事業でございますけれども、畑作物が連続して作付される水田について、今後、畑地として生産性の向上を図っていく産地に対しての支援でございますので、水田に戻すことは想定しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/95
-
096・池畑浩太朗
○池畑委員 具体的な、今、面積とかそういったことはいただきましたけれども、まあ、そこまで試算はされていないということでありました。
畑地化に関することは、現場でも先ほど申し上げました不安もあります。その中で、不安を解消するためには、水田活用の直接支払交付金の交付対象とか、あとは畑地化促進事業といった畑地化促進に関する内容について、丁寧に各地で説明するべきではないかというふうに思います。
地元であります姫路市の夢前町というところで、農協を早期に退職をされて農業を営んでおられる方とお話をさせていただく機会がありました。雨の中だったんですが、その会話中に農業工程などの相談にたくさん来られていまして、地元の中でも農業のことに関しては詳しい方でありましたが、最近、自分のお子さんの農業を引き継ぎたいという申出に困惑しているということでありました。現在、水田でキャベツなどの野菜を作付しているんですが、今回法律が変わって水田に戻すことが大変だと言われていました。水田に戻すのが大変だという言葉に対して私はちょっと説明をさせていただいたんですが、畑地化促進事業と水田活用交付金で少し混乱をされているようでありました。
農水省も、各地方に行って、千回以上キャラバンで回っておられるということを説明のときにお聞かせいただきました。今の交付金、畑地化促進事業と水田活用交付金で少し混乱している部分があると思いますので、いま一度分かりやすく説明をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
〔委員長退席、伊東(良)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/96
-
097・武村展英
○武村副大臣 お答え申し上げます。
世界の食料需給が不安定化している中で、主食用米の国内需要は減少しており、我が国の食料安全保障の強化のためには、小麦や大豆など輸入依存度の高い品目の生産を拡大し、国内の農業生産の増大を図っていくことが重要です。
このため、水田政策につきましては、現在、各産地の意向を踏まえ、水田におけるブロックローテーションや畑地化の取組を集中的に推進をしているところです。
具体的には、まずは、水田機能を維持しながら、稲、麦、大豆等の作物を生産する水田について、水田活用の直接支払交付金によって、主食用米から需要のある麦、大豆等への作付転換を支援し、水田でのブロックローテーションを促しているところです。
そして、畑作物が連続して作付されている水田については、畑地化促進事業等によって、畑地利用への円滑な転換のための支援、また、畑地化後に作物の生産や品質が安定し、産地化するまでの一定期間の支援のほか、排水対策等の畑地化の基盤整備への支援等を行っているところです。
農林水産省といたしましては、いずれの産地も後押しをすることとし、引き続き生産現場へ丁寧な説明を行い、これらの支援を通じ、水田だけではなく畑も含めて生産基盤である農地を有効活用し、食料安全保障の強化を図っていく考えです。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/97
-
098・池畑浩太朗
○池畑委員 副大臣、ありがとうございました。丁寧に説明いただきました。
元々は、やはりなかなか、ルールにのっとって交付金を出すべきだ、これは当たり前の話なんですが、なかなかルールにのっとっていない場合もあったということでありますので、そういったことも含めて、せっかく千回以上回っているわけですから、政務の方々も含めて、どこかで説明をする機会があるというふうに思いますし、今の説明を聞いて、私も地元で説明をさせていただきたいというふうに思います。ありがとうございました。
次は、新たなルールであります。今、金子委員からもありましたが、計画を提出しなかったときについて、その罰金についてお聞かせをいただきたいと思います。
今回の法律では、計画の届出があります。そして、指示に従わなかった農業者に対しては二十万円以下の罰金が科せられるとありました。
過料とそして罰金の話も前半すごくありましたが、農業者に罰金を科すのはなかなかけしからぬという声は当然ありますが、仮に、でも、この罰金の規定を外してしまうと、実効性のない法律になってしまうとも思っております。
今、過度な制裁を科すことはいけないけれども、他の法律を参考にして、大臣も例として内閣府の法律や、そういったことも挙げていただきましたが、罰金の正当性について、今現在の考え方を答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/98
-
099・坂本哲志
○坂本国務大臣 食料供給困難事態といいますのは、国民の生活、経済上に非常に影響がある、そして困窮に瀕するというような状況であります。そういうことで、農業者に限らず、食料供給に関わる全ての事業者に御協力をいただく必要があるというふうに思います。それは国の責務であるというふうに思います。
このため、食料供給困難事態対策法では、これらの事業者に対して政府が供給確保のための計画の届出を指示することができるというふうにしております。
この計画の届出につきましては、確保可能な供給量を把握し、そして政府が供給確保のための方針を策定するためのものでありまして、計画を出して、増産を強制するというようなものではありません。そういうことで、計画の届出を行わない事業者に対しましては、法の目的を達成するための必要最小限度の措置として二十万円以下の罰金を規定したところでございます。
委員おっしゃいましたように、同様の法律は、国民生活安定緊急措置法、それから石油需給適正化法、さらには感染症法等においても規定をされております。いずれの法律も、計画届出違反に対しての罰則は一律二十万円以下の罰金を規定しているところであります。
本法案につきまして御審議いただき、成立した暁には、法律の趣旨や内容につきまして、関係者への正確かつ分かりやすい情報提供、そして意見交換を幅広く行うなど、丁寧に説明をしてまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/99
-
100・池畑浩太朗
○池畑委員 大臣、ありがとうございます。
我々は、やはり現状を把握することは重要だというふうに思っていますし、計画を届出するための担保ということが大事だというふうに私たちは理解をいたしますので、今後とも、そういったことを含めて、過度の制裁を科すことはいけないけれども、担保するためには理解が必要だというふうに我々は思っております。
次に、一谷議員からもありましたが、六次産業につなげるというふうに一谷議員は言われました。食料安定供給のための農地関連法案についてであります。
今局長から説明をいただきましたので、局長が今考える内容を含めて説明をいただきたいんですけれども、今回、農地所有適格法人の議決権要件の特例については、よいことだというふうに思っております。農業関係者の出資が半分以下になってしまうということは、言い換えれば、農業関係者の出資の最大二倍の資金を農業関係者以外から調達できるということでありますが、企業の力もかりて農業が成長できるということは、私たちは大変いいことだというふうに思っておりますけれども、このことを懸念する声があるのも事実であります。歓迎する声も多いというふうに聞いておりますが、懸念する声もある。
実際に農林水産省がどのような現場の声を把握しているか、私もいろいろ現場で伺いますけれども、実際に農林水産省が現場の声として把握している内容をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/100
-
101・舞立昇治
○舞立大臣政務官 現場の声でございますけれども、農地所有適格法人の方からは、農業関係者による更なる出資はなかなか難しい、取引先等との事業連携を更に進めたいといったような声があると承知しておりますし、一方で、懸念の声につきましては、農地について本当に農業上の利用がなされていくのか、はたまた、農業関係者による決定権がしっかりと、確実に担保、確保されるのかといったような懸念があるという声を伺ってまいったところでございます。
こうして、今回の法案では、農地所有適格法人の農業現場の懸念に対応した措置をしっかりと講じた上で、議決権要件を緩和する特例措置を設けることとしたところでございまして、先生御指摘の企業の力もかりた農業の成長につながっていくものと考えておりまして、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/101
-
102・池畑浩太朗
○池畑委員 最終的に、企業がもうからないからやめる、そうなった場合どう対応するのかということも大変重要なことだというふうに思っております。あと、企業に農地を奪われてしまうという懸念に対して丁寧に説明していく必要があると今政務官に言っていただきましたけれども、農林水産省は、懸念を抱いておられる方々に対して、払拭をさせるために、対策を打つだけではなく、とどのつまり、いずれにしても、総じて周知の徹底が必要だというふうに思っておりますが、その辺りを含めて丁寧に説明をする必要があるというふうに思いますが、農林水産省の対策として、今、いかがでしょうか。
〔伊東(良)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/102
-
103・舞立昇治
○舞立大臣政務官 今回の法案では、先ほども申し上げましたが、農業現場の懸念への対応といたしまして、農林水産大臣の認定の仕組みを設けた上で、その認定に当たりまして、農地所有適格法人が認定農業者として一定の実績があること等を求め、かつ、農地の権利移転、転用、取締役の選解任につきまして、株主総会における特別決議の対象とすることを要件とした上で、総議決権のうち、農業関係者は特別決議の拒否権を持つ三分の一超、かつ、農業関係者と食品事業者等で二分の一超を占めることとしておりますし、加えまして、計画認定後も農林水産大臣によります監督措置を講じているところでございます。
これらの措置によりまして懸念に十分対応できるものと考えておりまして、法案が成立した暁には、制度の活用が想定される農地所有適格法人だけではなく、現場の農業者、農業団体、関係機関等に対しまして、特例制度の趣旨や内容について丁寧に周知してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/103
-
104・池畑浩太朗
○池畑委員 いずれにしても、周知の徹底が、工夫が必要だというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
本日の質問を終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/104
-
105・野中厚
○野中委員長 次に、田村貴昭君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/105
-
106・田村貴昭
○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
食料供給困難事態対策法について質問します。
昨年五月、有事の際の食料増産命令を政府が検討しているということが報道されて、私も本委員会で質問しました。
そのさなか、昨年五月二十三日、当時の野村農水大臣が記者会見で次のような発言をしています。お手元配付の資料を御覧ください。当時の野村大臣の発言ですけれども、農林水産省の指針では、これをやれというような法律はありません、ですから、まず先んじるのは法律を制定することだろうと思います、法律によって縛りをかけていかないと農家の皆さん方に効き目がないというか、皆さん一斉にやってくれないだろうと思います、このような発言をしているわけです。本当に私は驚きました。実は、この会見の前段でこういうくだりもあるわけです。野村元大臣は、米の代わりに芋を植えろとか、こういうことを言っても農家の方は絶対聞かないんです、こういうふうに述べているわけですね。
米の代わりに芋を植えろとか、こういうことを言っても農家の方は絶対聞かない、だから法律によって縛りをかけていかないと農家の皆さんに効き目がない、農水省はそうした考えでこの法律を出してきたんですか。坂本大臣も野村元大臣と同じ考えですか。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/106
-
107・坂本哲志
○坂本国務大臣 不測時の食料安全保障につきましては、平成二十四年九月に農林水産省が定めました緊急事態食料安全保障指針というのがありまして、法令に基づくものではなく、また、農林水産省の定めた指針でありまして、政府全体の取組の根拠にはなり得ない等の課題があります。
野村元大臣の御発言は、こういった課題を基に、不測時の対応に関する法制度が必要という認識を受け止めたものというふうに考えております。
本法案では、食料供給不足の兆候が見られる段階から、農業者を含む事業者の自主的な取組を支援することによりまして、食料供給困難事態になることを未然に防止することに主眼を置いておりまして、野村元大臣の御発言も、農業者に対して増産を強制するといった趣旨ではないと認識をしております。
あくまでも、政府が供給確保のために供給量というのをしっかりと計画をしなければならない、その計画に必要な作成、届出を指示することができるということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/107
-
108・田村貴昭
○田村(貴)委員 法律によって縛りをかけていかないと農家の皆さんに効き目がない、こういう思いで法律を作ったんですかと聞いているんです。大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/108
-
109・坂本哲志
○坂本国務大臣 あくまでも、どれだけ国民の皆様方に供給をすることができるか、その供給量をしっかりと把握するということですので、これは、農家の皆さんも事業者の皆さんも含めてどれだけ供給できるのかという届出をしていただきたいというような趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/109
-
110・田村貴昭
○田村(貴)委員 私は、この発言、生産者の方が、農家の方が聞いたら本当に悲しむと思いますよ。どう思われると思いますか。
この一年間、私、農家にこうした政府の考え方を伝えてまいりました。政府が農家に強制とはびっくりした、こういう声が上がりました。食料がなくなる前に食料を増産すればいいだけではないか、米の代わりに芋を植えろ、戦時中かと、驚きと憤慨の声をたくさん聞いてまいりました。
本法案は、私権を制約する重大な中身が入っています。法案の検討、提出に当たって、農水省にお伺いしますが、現場の声をどれだけ聞いてきたのでしょうか。生産、製造の促進を要請されるのは、そして罰則、罰金が科されるのも、個々の農業者ですね。この個々の農業者から、地方地方で意見を聞いてきましたか。あるいは、パブリックコメントなどを実施してきましたか。お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/110
-
111・杉中淳
○杉中政府参考人 お答えいたします。
不測時における食料安全保障の確保につきましては、第十四回の基本法検証部会におきまして具体的な議論が行われまして、その結果を踏まえた中間取りまとめにおきましても、法制度の方向性をかなり詳細に規定をしております。
この中間取りまとめにつきましては、全国十一ブロックで意見交換会を実施するとともに、農林水産省のホームページを通じて御意見、御要望を受け付けるなど、現場の声を承ってまいりました。
また、その後、中間取りまとめを踏まえて、具体的な制度の在り方を検討する、不測時における食料安全保障の検討会におきまして、生産現場に精通した農業者団体の有識者に委員として御参画をいただいたところでございます。
その後も、求めに応じまして、農業者団体、全国市長会、町村会、あと業界団体などの意見交換を行うなど、丁寧な説明を行ってまいりました。
また、現場により近い地方農政局の職員に対しても法案の説明会を行い、現場の農業者からの質問等に丁寧に対応しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/111
-
112・田村貴昭
○田村(貴)委員 丁寧に説明してきたといいますけれども、個々の生産者の方、農家の方は知りませんよ。そして要請に応じなかったら罰則まであると、みんな驚きの声が上がっていますよ。そして、どれだけの農家の方の声を聞いたのか、具体的にはおっしゃらなかったですよね。私は、ちゃんと聞いていないと思います。
条文について質問していきます。
第十五条から十八条についてでありますけれども、特定食料が不足し、又は不足のおそれがある場合に、流通事業者、商社、農業者に対して増産の要請を行います。さらに、食料供給困難事態となった場合に、増産計画を提出するよう指示を出すことになります。
このとき、対象となる農林水産物生産可能業者というのは、どういう人を指すのでしょうか。認定農業者をいうのですか。それとも、作付面積で区切ったり、作目で判断するのか。具体的に答えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/112
-
113・杉中淳
○杉中政府参考人 農林水産物生産に関する要請、指示等については、第十七条に規定してございますけれども、まず、要請の対象でございますけれども、生産拡大を図る必要がある品目につきまして現在生産をしている農業者、これに加えまして、当該品目を過去に作っていた者など、生産をすることができる見込みがある農業者に対して要請を行うこととしております。
また、農林水産物の生産計画の作成、届出の指示につきましてですけれども、食料供給困難事態の公示があったときに、要請をしてもなお事態を解消することが困難であると認められるときに、要請を受けた者に対して行うことができることとしております。
その上で、実際にどの生産者に対し要請や指示を行うかについては、品目ごとの特徴やその時々の食料供給不足の状況に応じて決定するものであり、政府対策本部にて策定する実施方針において定めることとしております。
その際、措置の迅速性、効率性の観点から、一定規模の事業者に限定をすることが効率的であるということも考えられますので、対象者についての基本的な考え方については、基本方針の中で整理をすることを検討しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/113
-
114・田村貴昭
○田村(貴)委員 後から決めていくということですか。実施方針、基本方針、この中で決めていくと。やはり、どういった場合にどうした処分があるとか、あるいは罰則があるとかということを定めていかないと、罪刑法定主義に反するんじゃないんですか。
第二十一条には、特定食品の出荷、販売、輸入などを行う者、農産物の生産者に対して、事業場に入り、帳簿、書類その他の物件を検査させることができるとあります。この検査を拒否したらどうなるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/114
-
115・杉中淳
○杉中政府参考人 第二十一条の規定でございますけれども、主務大臣は、措置対象特定食料などの出荷、販売、生産等に係る対策の実施に必要な限度において、事業者への報告の徴収や、事業場へ立ち入っての帳簿等の検査を行うことができることとしております。
これに対して、報告をしない場合、虚偽の報告をした場合、検査を拒み、妨げ又は忌避した場合には、当該違反行為をした者を二十万円以下の過料に処することができることとしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/115
-
116・田村貴昭
○田村(貴)委員 農家がある日突然、強制的に検査されるんですよね。検査を拒み、妨げ、忌避した者には二十万円以下の過料となります。余りにも強権的ではありませんか。
食料供給困難事態になったときに、事業者に対して、要請から指示に切り替わり、計画を出すことが強制されます。出した生産計画では全体量が不足するとなったら、今度は増産を指示されます。増産計画を出さなかったら罰金が科せられます。更に計画どおり生産されなかったら公表されます。社会的制裁の対象となってまいります。このような法律なんですね。しかし、正当な理由があれば公表は免れるというふうにもされています。
そこで、お伺いします。
例えば、生産計画を出しました、しかし、生産計画どおりに生産する意思がなくなったとしたら、どうなるのか、あるいは、特定食料でないものを作付することとなった場合、これは正当な理由となるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/116
-
117・杉中淳
○杉中政府参考人 正当な理由に該当するかどうかにつきましては、個別具体的な状況に応じて判断されるものでございますので、事前に網羅的かつ画一的な判断基準を示すことは困難であるというふうに考えております。
御指摘のように、計画届出どおりの生産を行わなかったという場合にあっても、その場で罰則が科せられることはありませんけれども、計画と著しく乖離をした場合等については、公表の対象となります。
正当な理由につきましてでございますけれども、例えば、事業者が健康上の理由で事業を継続的できない場合や自然災害により生産が行えない場合など、物理的に生産が行えない場合、また、生産をしようと思ったんだけれども、労働力や必要な資材が確保できないということも想定されますので、それの結果、計画どおりの生産が行えなくなった場合など、事業者の責めに帰することができない場合には、正当な理由がある場合に該当すると考えておりますので、事業者が計画を実行しようという意思がある限りにおいては、公表等罰則の対象になるということはないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/117
-
118・田村貴昭
○田村(貴)委員 今、私、二つ言いましたよね。基本計画どおりの作物でないものを作付する意思となった場合、それから、そもそも基本計画を出したんだけれども、それはやはり自分ではやめたという場合は、これは罰則の対象になっていくわけですね。そうですよね、著しく違うことになったということですから。そうですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/118
-
119・杉中淳
○杉中政府参考人 今議員御指摘のようなことについても、その時々の状況に応じて正当な理由に当たるかどうか判断することになるというように思います。
例えば、計画では特定作物を生産するという計画を出したんだけれども、必要な資材、種苗等が確保できなかったのでほかの作物を作った場合というようなことについては正当な理由に該当するということがありますし、計画を出したもので、計画が実行できたのに、あえて行わなかったという場合には公表の対象になるというふうに考えておりますので、事前にどうかということではなくて、その場の状況に応じて判断をしていくことになるというふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/119
-
120・田村貴昭
○田村(貴)委員 時の行政の裁量に委ねられるということですね。農家の方は本当に不安で仕方がないと思いますよ。流通の段階でも不安だと思いますよ。
何をどう作付して生産管理をするかというのは、いろいろな条件に左右されてきます。例えば天候条件、土の状態、こうした自然的条件があります。思うにままならない場合があるじゃないですか。それから、自身の経済状況によっても作物作付は左右される。コミュニティーの事情もある。さらに、気持ちの変化、思想信条に左右されることもあります。
厳しい経済状況にあって、農家の方には国民に食料を供給してもらっています。そして、自然を相手にして田んぼを耕し、野菜を育ててもらっています。
私は、まず農家に対しては、敬意と感謝の念が先にあって、私は農業政策だと思います。それを、野村元大臣が言うように、私はこれは本音が出たと思いますよ、強制しなければ動かない、罰則つきじゃないと駄目だ、そこから始まっているから問題だと思います。
農家の理解は、私はこういう法律のたてつけだと、驚き、そしてがっかりし、理解は得られないと思いますが、理解は得られていると思っているんですか。大臣いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/120
-
121・坂本哲志
○坂本国務大臣 私たちは、常に農業者の方々に敬意と感謝の念を持って対処をしております。しかし、事は国民国家の緊急な事態や市場に食料が届かなくなる、そういう事態でありますので、まずはどれだけの供給量を国全体として確保できるか、そのための計画というものを調査というのをしなければいけない。
そういうことで、届出というものを行ってくださいというようなところからスタートしているわけでございますので、農業者の皆さんだけではなくて、加工、流通、小売も含めて、そのほかの流通業者の方々も含めて、しっかりとこの状態に対応していかなければいけないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/121
-
122・田村貴昭
○田村(貴)委員 政府が生産計画書を出せと言う。そして、それに従わなかったら罰則を科していく。犯罪捜査じゃないからいつでも立入検査もできる。強制でないからとしきりに言いますけれども、一連の仕組みを全体的に見ると、生産者に作付を強制するものにほかなりません。
私は基本法のときにも質疑で取り上げましたけれども、検証部会で出された、後継者がいないのは農業で食えないからだという発言ですね。米農家の年収が一万円だったということも指摘しました。酪農家は四十九万円の赤字であったと。本当に驚くべき状況ですよ。そして、総理大臣も坂本大臣も、小さい農家は赤字になるのは当たり前だと言わんばかりに答弁されたんですよ。実際、資材高騰に苦しむ農家が今もたくさん放置されたままです。
私は、この連休中、大臣、九州、沖縄を回って、いろいろな生産者と対話し、そして声を聞いてまいりました。
この食料供給困難事態対策法についても御意見を伺うと、こういう答えが返ってきました。
これは本当に、この法律の根幹を揺るがすような回答が来たんですけれども、政府に命令されて作付はしたくない、食料不足を招かないためには自給率を増やすべきではないのかと。当然の声だと思いますよ。そして、福岡県のある農家は、罰金まで科せられて作物づくりを強制するんだったら、農業をやめてほかの仕事に就く、もう離農して別の仕事に就くという答えが返ってまいりました。この声を、その前後にも本当に何度聞いたことでしょうか。そうなんですよね。離農しちゃうんですよ、この話を聞いてしまったら。将来を悲観してしまうんですよ。
そして、肝腎な国内増産、食料自給率の向上については確とした回答がない、四五%の今の基本計画の目標についても、これを必ずやり遂げて次の高みを目指すという答弁もない。これだったら、農家の方は、もうやめようかとなるじゃないですか。頑張って食料増産していきましょう、自給率高めましょう、そして不測の事態が起こってもちゃんと備蓄で頑張れるようにしていこうじゃないかというメッセージを発するのが、まずイの一番の農政だと私は思います。
私は、本法案が離農の引き金になっていくのではないかという強い懸念を持っていますけれども、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/122
-
123・坂本哲志
○坂本国務大臣 離農の引き金になるということはないと思います。
私たちは、いつも感謝と、それから敬意を持って農業者の皆さん方と接しております。そして、できるだけ国内で賄えるものは国内で作る、そういう自給率の上昇を目指しております。
それでもなお、気候変動、そして紛争リスク、そういったものが世界の中で予測されたときに、じゃ、国民全体の食料をやはり確保するためにはどうしたらいいかというようなことで、非常時のときの供給困難事態に備えての今回の法案でございますので、そこは農家の皆さん方としっかりと、あるいは団体の皆さん方と今後理解が得られるようにお話をしていかなければいけないというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/123
-
124・田村貴昭
○田村(貴)委員 私は本末転倒していると思います。
先ほど、生産者の声、農業団体の声、いろいろ聞いてきたとおっしゃいました。どのぐらい聞いたのかということを、後でいいですから資料として出していただけますか。また個別にレクチャーで教えていただけますか。それはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/124
-
125・野中厚
○野中委員長 杉中総括審議官、簡潔に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/125
-
126・杉中淳
○杉中政府参考人 後ほど個別に資料提供させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/126
-
127・田村貴昭
○田村(貴)委員 次回また質問します。今日は終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/127
-
128・野中厚
○野中委員長 次に、長友慎治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/128
-
129・長友慎治
○長友委員 国民民主党の長友慎治です。
本日は、農業の生産性の向上のためのスマート農業技術の活用の促進に関する法律案について質問をさせていただきます。
先ほど来、今後二十年間で基幹的農業従事者が現在の百十六万人から三十万人と約四分の一にまで減少するということが見込まれるということを驚きを持って受け止めがされておりますが、農水省としましては、従来の生産方式を前提とした農業生産では農業の持続的な発展や食料の安定供給を確保できない、そのような認識の上でスマート農業の法律案を提出しているというふうに受け止めているわけですけれども、このスマート農業を推進するに当たりまして、農林水産省だけではなく、内閣府、また経済産業省なども関連する取組が見られますが、スマート農業の推進におきまして、農水省と経済産業省それぞれの役割分担や連携はどのように整理されているのかについて、まずは伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/129
-
130・川合豊彦
○川合政府参考人 お答えいたします。
農林水産省と経済産業省では、これまでも様々な分野の技術開発におきまして連携して取り組んでおります。
例えば、農林水産省による産学官連携プラットフォーム、知の集積と活用の場の中で、経済産業省が所管する研究開発独法であります産総研が参画し、大学、研究機関、民間企業と連携して、様々な産業技術を農林水産業に展開、応用するための枠組みが設立されております。
経済産業省との共催で、農林水産業、食品産業に関連する大手企業が抱えるニーズと、中小企業やスタートアップなどが有する技術とのマッチングイベントを実施するなどの施策を実施しております。
特に、スマート農業技術の開発の促進に当たりましては、機械工学や情報通信技術、データサイエンスなどの知見、技術を生かすことが不可欠であります。機械製造業や情報通信業を所管する経済産業省を始め、関係省庁と連携して施策を進めることが大変重要であります。
このため、この法律案では、開発供給実施計画の認定に当たりましては、関係事業を所管する大臣に意見を聞いた上で認定を行う仕組みとするとともに、第二十条第三項におきまして、国は、関係省庁及び関係する独立行政法人との連携及び協力を図りつつ、スマート農業技術の活用の促進に資するよう、高度情報通信ネットワークの整備、知的財産の保護及び活用などの必要な措置、これを講ずるよう努める旨を規定しております。
これらの規定も踏まえまして、引き続き、経済産業省を始め関係省庁と連携して、必要な施策を推進してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/130
-
131・田中一成
○田中政府参考人 お答え申し上げます。
スマート農業技術の社会実装を促進するためには、その基盤となるAIやIoTなどの技術の発展、これが重要でございます。これには、ベンチャー振興など、広く関係省庁が所管する政策が関わることから、連携して取組を進めていくことが重要と考えております。
先ほど農林水産省から紹介のあったとおり、これまで農林水産省との共催で、農林水産業、食品産業に関連する課題を抱える大手企業などと、優れた技術、サービスを有する地域企業、スタートアップとのマッチングイベントを実施するなど、取組を進めてきたところでございます。
加えまして、農林水産省が取り組んでいる産学官連携協議会に産業技術総合研究所、産総研も参画いたしまして、農林水産業における技術革新を推進するための研究開発などを行うプラットフォーム、これを同協議会に設立しまして、ほかの機関とともに研究開発などに取り組んでいると承知しております。
引き続き、農林水産省などと連携していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/131
-
132・長友慎治
○長友委員 それぞれの認識をお話しいただきました。ありがとうございます。
では、予算について聞きたいんですけれども、スマート農業に関する農水省の予算額、そして、経産省の方でもスマート農業に関する予算額が答えられるようでしたら回答をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/132
-
133・川合豊彦
○川合政府参考人 お答えいたします。
スマート農業に関する予算につきましては、農林水産省では、スマート農業技術の開発やスタートアップへの総合的支援に、令和五年度補正予算で四十五億円及び令和六年度当初予算で四十四億円を計上しているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/133
-
134・田中一成
○田中政府参考人 お答え申し上げます。
経済産業省におきましては、スマート農業に特化した予算はございませんが、例えば、スタートアップなどによる革新的な技術の社会実装を支援する予算事業の中で、衛星データを活用して農業課題を解決するサービスを提供する事業者などへの支援を行っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/134
-
135・長友慎治
○長友委員 今の答弁から、予算としては農水省が確保している、その金額が決して十分だというふうには全く思わないんですけれども、スマート農業は農水省が主導していくということで理解をするわけなんですが。
スマート農業の主な課題として、もう皆さんも御承知のとおり、スマート農業の導入すべき製品、サービスのコストが高いということや、農業者のICTリテラシーがなかなか足りない部分がある、また、スマート農業を受け入れる日本農業の市場自体が縮小している等、様々、推進がなかなか進まないという課題があるわけなんですけれども、そこの課題をしっかりと農水省が主導して、経産省や内閣府と一緒に取り組んでいくんだということを改めてここで確認をさせていただきました。
生産者の視点に立って、次は質問をさせていただきます。
スマート農業を導入してみたいなという生産者がいたとしますが、取り組もうとしたときの初期投資というもの、導入費用は、非常に高くて、導入にちゅうちょするケースというものを多々見られます。特に、単価が安い農作物において、生産者はそう簡単には投資、導入を決められないという実態があると思いますが、この点、どのようにフォローをしていくのか、政府の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/135
-
136・武村展英
○武村副大臣 お答え申し上げます。
今後の農業者の減少等に対応するためには、幅広い農業者にスマート農業技術の活用に取り組んでいただくことが重要でありまして、そのためには、御指摘のとおり、農業者の導入コストを低減し、費用対効果を高めていくことが重要です。
このため、本法案では、スマート農業技術の導入に加え、その効果を引き出すための栽培体系の見直しを図る生産方式革新実施計画を国が認定をし、認定を受けた計画が継続的に実施をされるように、税制、金融等の支援を措置をするとともに、複数の農業者が同一の計画に参画することによる機械の共同利用の促進、また、農業者のスマート農業技術の活用をサポートするサービス事業者、これはスマート農業技術活用サービス事業者ですが、こうした取組を促進すること等の措置を講じ、機械の所有から利用への転換を促し、農業者の導入費用の低減を図ってまいります。
さらに、本法案の第四条におきましては、第一項で、国は、スマート農業技術の活用に関する施策を総合的に立案をし、及び実施する責務を有することを規定しています。第二項では、国は、生産方式革新事業活動を行う農業者や開発供給事業を行う者に対して集中的かつ効果的に支援を行うよう努めることを規定をしております。
農林水産省といたしましては、これらの規定に基づきまして、施策の推進に着実に取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/136
-
137・長友慎治
○長友委員 複数の農業者が機械を共同利用する、所有から利用に転換していくんだという答弁でしたけれども、これは通告はしていないので政府参考人の方で答えられたら是非答えていただきたいんですが、共同利用の課題としまして、同じ栽培品目において、農業をする期間の作業時期の重複や、天候等によるスケジュール変更等が生じますよね、そういうときに、共同利用を進めていきましょうと農水省はおっしゃるんですが、その際にどのように調整してくださいと生産者に対しては指導していくのか、共同利用のルールを設ける際の参考となる調整手法など、マニュアル等用意をされているのか、お答えいただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/137
-
138・川合豊彦
○川合政府参考人 お答えいたします。
スマート農業に限らず、収穫でありますとか田植の時期とか、非常に作業が競合いたします。皆さんが同じ時期に田植をする、皆さんが同じ時期に収穫をする。これに対しましては、品種を幾つか分散していただきまして、わせからおくてまで変える、これが地域で昔から取り組まれている。一つの機械をみんなで使うというときに一番大切なのは、品種をみんなで分けて、わせからおくてまで変える、あるいは、主食用と飼料用米を交ぜて、一番遅くまで収穫ができる飼料用米を取り込む、これによって作業を分散させまして、一つの機械をみんなで使う、これは昔から使われている。
もう一つは、標高差を利用しまして、一つの標高のところでその機械を使ったら、例えば岡山なんか使っていますけれども、標高差を利用して、収穫の時期がずれますので、これで機械を皆で共用する、これ、あります。
今後は、恐らくスタートアップなどがたくさんできてきますと、いろいろな機械を皆で持ち合うということがあると思います。一つのドローンを違う地区で皆で使う、そのためには品目を変えていただく、これによって農薬の散布の時期を変える、あるいは一年中使えるようにする、こういったものが考えられます。
こういったものがこれから、様々な現場で、それぞれの知恵を我々国でしっかり集約して、それをマニュアルにして、皆の標準作業手順書にしていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/138
-
139・長友慎治
○長友委員 品目を変えるような工夫をして、共同利用できるような環境を整えていくということだとは思うんですが、現場で話を聞くと、共同利用するメリットは分かった上で、実際、自分が使う番になったときに機械が故障して使えなくなったとか、そういうことがよくあるよと。だから、実際、共同利用というのは、絵に描いた餅になるんじゃないかということも指摘を受けています。
特に、スマート農業になったら、より精密機械になるわけですよね。不慣れな人が無理な動かし方をして故障したら、その備品が届くまでまた時間がかかって使えなくなったということは、往々にして予想できるわけなので、そこに対するしっかりした対策も同時に進めていただきたいというふうにお願いをしたいと思います。
次は、いわゆるスマート農業機械を提供する側のベンチャー企業やスタートアップ企業の立場での質問なんですが、スマート農業を実用化しよう、実装化しようと開発に取り組んでいただくスタートアップ企業が、実際、私も見聞きしていますけれども、実用化前に資金ショートするケースも見受けられます。このようなスマート技術について、政府としてはどのように支援をしていくのか、回答を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/139
-
140・川合豊彦
○川合政府参考人 お答えいたします。
スマート農業技術は、農業技術と情報通信技術の高度な融合により生まれるものであります。スタートアップを含む多様なプレーヤーの参入を促すことが、技術の実用化を進めていく上で非常に重要であります。
委員御指摘のとおり、創業して間もないスタートアップにおきましては、一年単位のサイクルを基本とする農業分野の技術開発には長期間を要する、開発された技術の製品化、量産化には大規模な設備投資を要し、販路の確保にも長期間を要するということで、資金調達に課題があるということは認識しております。
このため、本法案では、開発供給実施計画の認定を受けた者に対しまして、会社の設立や出資の受入れ時に事業者が負担する登録免許税を軽減し、スタートアップなどの参入を促進するとともに、日本政策金融公庫による大規模な設備投資や長期運転資金にも対応可能な長期、低利の資金の貸付け、農林漁業法人等投資育成制度に基づく出資支援、農林水産業、食品分野の先端技術を有するスタートアップを対象とした大規模技術実証などの支援を講じております。
これらの施策を組み合わせ、開発から普及に至るまで、スマート農業技術の実用化を切れ目なく支援してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/140
-
141・長友慎治
○長友委員 開発コストの部分を抑えられないと、導入に至るときの単価というものが下がらないわけなんですね。そうすると、農家さんの方は導入をちゅうちょするということが障壁になっておりますので、その点を是非取り除いていただいて、サポートをしていただきたいというふうに思うわけです。
大臣、事前に通告はしていないんですが、先ほど一谷委員への御答弁で、開発供給事業の取組について供給という言葉をあえて入れた理由を問われて、農業者にスマート農業が広く行き渡ることが重要ということで供給という言葉を使ったという答弁をいただきました。その点に絡めてちょっと一つ御質問したいので、今からお話をさせていただきます。
私の地元宮崎県の新富町に、農業収穫ロボットを開発するAGRISTという会社があります。二〇一九年に創業した農業ベンチャーなんですけれども。この創業者は、秦裕貴さんといって、今、三十歳の、北九州工業高等専門学校を卒業して3Dプリンターの開発や家庭用見守りロボットの開発に携わってきた青年です。五年前に起業していますから、二十五歳のときに起業している方なんですけれども。そんな彼についてきたのが、やはり地元宮崎の、都城高専の卒業生だったんですね。地域の農業課題を高専で学んだテクノロジーで解決しようと、今実際に奮闘していただいています。
高専で学んだ理系人材が農業の世界に飛び込んできてくれている、とても歓迎すべきことで、全力でサポートが必要ですし、していきたいというふうに私も思うわけなんですが、この都城市の都城高専が、ピーマンを重さでS、M、Lに選別する装置を開発をしたんですね。機械工学科の学生たちが、足かけ七年、七号機まで試作を重ねて、ピーマン一個当たりの選別速度一秒、そして誤差一・〇グラム未満の高精度を実現をしました。
これが実装化、実用化できるねということで、今、実はクラウドファンディングに挑戦して、開発資金というか、普及のための、商品化のための資金を募っているところです。これは五月末までの期限なんですけれども。
彼らは、三月に全国高専の五十チームが競った第一回高専起業家サミットで準グランプリも取るような実績も持っているんですが、彼らの目のつけどころに私は感心したんですけれども、そのピーマンの選別機の価格なんですね。ピーマン選別機、これは名前が「せんかちゃん」という名前なんですが、小型で、簡単で、そして安価だというのが売りなんですね。一台一万円で普及させたいということなんです。これは、手作業だった選別作業を半自動化できるものなんですね、物としては。
国は、スマート農業という、大規模で、共同で購入すべき、大型で、一部の大規模な農家しか使えないものを今促進しようとしています。一方で、高専の学生さんたちは、地元の農家さんを十分取材した上で、なかなか機械化が進まない中、中小農家にこそ安価に手軽に導入できる機械が必要と、そこに焦点を当てて開発をしてきました。宮崎県はピーマンの生産量が日本で今二番目なんですけれども、地元の方の声に寄り添った結果、ここに行き着いたわけなんですね。
彼らは明確にこう発言しています。作業を効率化させようとしても、既存の機械は大型で数百万円から数千万円単位のものばかりで導入できない、機械化が進んでいる農家の方に比べてこのような悩みを抱える中小農家の方の方が多いことに加えて、新規に就農する農家が減少していることから、一万円で導入することができるピーマン選別機が必要だと彼らは言っているんです。
現在はピーマン専用の選別する機械ですけれども、将来的にはアタッチメントの開発を進めて、他の野菜でも使用できるように、実際、今、フルーツパプリカで実証実験が現在進行しておりますし、また、傷を探す機能を備えた選別機、装置の開発を進めている状況です。
私は、彼らのこういう視点を農水省も是非見習うべきじゃないか、持つべきじゃないかというふうに思うんですね。農水省は、法人や大規模農家がスマート化することを今進めようとしていますが、高専の学生さんたちは、中小の、高齢の農家でも機械化できる装置の開発に今一生懸命取り組んでいただいているんですね。まさに、ニーズに合ったものはどちらなのか、スマート化の前に機械化が必要なんじゃないかという、彼らからの問題提起だと私は思うんです。
大臣、この都城高専の学生さんたちが中小の農家さんたちにピーマンの選別機を安価で提供しようとしているこの取組について、見解を伺いたいと思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/141
-
142・坂本哲志
○坂本国務大臣 私も、党の方で高専振興委員会の会長をしておりますので、高専の優秀性というのは非常に理解しているつもりです。都城高専にも、一度自民党に来ていただいて、自分たちで開発したものを披露していただきました。
高専は、非常に地域に密着して、これからの科学技術というものをやはり開発していく能力を持っております。それだけに、起業家を養成するアントレプレナーシップ教育、こういったものをやっているところであります。
四国の方では、神山高専、これは、楽天あたりが中心になって、私立でありまして、競争率が十倍でございました。
ですから、私は、こういった、高専、若い人たちが開発したものを、やはり、農研機構、こういったものも通じて、これからしっかり普及させるためのお手伝いをしていかなければいけないというふうに思っております。
やはり、地域には地域の高専があり、地域に一番マッチした技術というものを開発していただく、それをやはりしっかりとこれから普及させていく、これはスマート農業のやはり基本であるというふうに思いますので、しっかり支援をしてまいりたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/142
-
143・長友慎治
○長友委員 大臣からスマート農業の基本であるという言葉をいただきまして、ありがとうございます。
政府の方で、日本版SBIR制度も活用してスタートアップ企業を支援していますけれども、これは、高専も使えますよね、大学だけじゃなくて。是非、そのような部分でもサポートをお願いしたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/143
-
144・野中厚
○野中委員長 次に、北神圭朗君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/144
-
145・北神圭朗
○北神委員 有志の会の北神圭朗です。
大臣とか、皆さん、お米がかなり店頭から消えている、価格も、あるものは価格が相当高騰している。これは、連休前に田村委員が質問されて、大臣もお答えになっていますけれども、私も地元の方で、京都なんですけれども、京都市内の町の中のお米屋さんの方が、やはり、血相を変えて、もう本当に大変だというふうに訴えております。
ところが、この前の大臣の答弁、あるいは農林水産省の職員の話を聞いていますと、ちょっと認識が全然違っていて、そんなに危機感がないように思われます。だから相当、現場とそして役所と、認識に乖離があるというふうに思いますが、私も、何とも言えないんですけれども、やはり現場の声は非常に大事だというふうに思っていまして、これも、一つのお米屋さんだけじゃなくて、私は数軒伺っておりますし、消費者の方からも、お店に行ってもお米がないということも聞いておりますので、やはりこれは、田村委員さんも調査すべきだという話をされましたが、調査をして、価格高騰の緩和をするのであれば、政府備蓄米を放出すべきだというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/145
-
146・坂本哲志
○坂本国務大臣 昨年の春以降の主食用米の販売状況を見ますと、スーパー等の小売向けも、それからレストランや弁当などの中食、外食向けも、対前年同等かそれ以上の販売数量となっております。これは、コロナ明けも手伝ってのことだと思います。
このような状況を受けまして、直近の令和六年三月末の集荷業者や卸売業者の有する民間在庫量を調べましたら、前年同時期から三十六万トン少ない二百十五万トンとなっておりました。
一方、年間の需要量六百八十一万トンに対する在庫量で見ますと、三二%ということで、コロナ禍前の時期とほぼ同水準となっております。
また、価格につきましては、令和五年産の相対取引価格は、出回りから令和六年三月までの年産平均で前年からプラス千四百四十二円高の一万五千二百八十六円ですが、コロナ禍前の平成二十九年から令和元年産までの価格よりもやや低い水準となっております。
このような状況から、現時点においては、主食用米全体の需給が逼迫している状況にあるとは考えておりません。しかし、今後とも、需給や価格の動向につきましては注視をしてまいりたいというふうに思っております。
令和六年産、今年産に向けて、現在、各産地におきまして需要に応じた生産、販売を推進していただいているところです。六月末までに様々な届出をしてもらうことにしております。各産地、銘柄ごとの需要動向を踏まえた作付が行われていきますよう、引き続き、きめ細やかな情報提供というものをやってまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/146
-
147・北神圭朗
○北神委員 何か大分感覚が違っていて、大臣がおっしゃるのは、数字、統計によると、コロナ前に比べてそんなにお米が減っているわけでもない、価格もそんなに高騰しているわけではないということなんですが。
一つだけ。これはあくまで一つのお米屋さんの数字なんですが、京都の卸会社から仕入れた価格をちょっと簡単に申し上げますと、令和五年八月、去年の八月は、京都、コシヒカリという銘柄なんですが、一万五千五百円。これが今年の四月に入りまして一万八千九百円と、三千四百円高騰している。滋賀、みずかがみというブランドは、去年が一俵当たり一万四千八百円。今年の四月に入って一万八千六百円と、三千八百円上がっている。こういう高騰を示しているという状況なので、地域的な差があるのかもしれませんし、その辺、引き続き、是非調査をお願いして、しかるべき対応をお願いしたいというふうに思います。
それからもう一つ、やはり困っているのは、このぐらい価格が上がっているのに、農業新聞とかでは若干報道がされておりますけれども、一般的な報道では余り見られないので、消費者にしてみたら、何でこんなに価格が上がっているんだということを言われるらしいです。ですから、皆さんが調査の中で、これはやはり相当値段が上がっているということであるならば、消費者に対する広報として、こういう状況になっていますよと言うことによって、こういったお米屋さんが価格転嫁をより円滑にできるようにお願いをしたいというふうに思います。
相当緊迫した状況でありまして、このままでは秋を待たずに中小零細はどんどん倒産していくんじゃないかというくらい言っていますので、資金のある大手は大丈夫かもしれませんけれどもというような声が上がっておりますので、是非対応の方をよろしくお願いしたいというふうに思います。
次に、法案の方に移りますと、食料供給困難事態対策法の中に備蓄という言葉が全然出てこない。基本法の改正案の方には、食料の安定供給というのを安定的な輸入及び備蓄というふうにはっきり位置づけられておりますけれども、この法案の中に全然出てこない。職員に聞くと、いや、ちゃんとやりますよとおっしゃるんですけれども、何でこの法案に載っていないのかなというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/147
-
148・坂本哲志
○坂本国務大臣 備蓄の機能は、これは委員当然御存じと思いますけれども、供給の不足に備えて在庫を一定量確保しておき、市場で供給が逼迫したときに在庫を放出するということによって、供給不足を解消するということです。この備蓄のうち、国が備蓄を直接行っているものは、主要食糧法に基づく米のみであります。それ以外の品目については、民間による備蓄が基本というふうになっております。
食料供給困難事態対策法案では、米も含めて、基本的には民間備蓄の活用を念頭に、出荷、販売の調整を位置づけまして、そして、この中で備蓄の放出の要請や、供給量を抑制することにより備蓄量を確保するといった要請を行う等、不測時において、食料を適切に市場に供給していくことといたしております。
ですから、米の備蓄は法律でちゃんと定められたものでありますけれども、その他のものについては、民間に委ねている、依存している。それを一緒にした形で、今後、食料供給困難事態のときにおいては食料供給計画を作っていくということであります。
そういうことで、平時から一定量の在庫を確保しておくということは重要でありますので、その旨は法三条第二項第三号のイで平時のときの一定量の在庫の確保というものを明記しているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/148
-
149・北神圭朗
○北神委員 お米は国の方でちゃんと法律に規定されている、あとは民間で、今後もそういう民間で対応するという、食料困難事態においても民間中心に対応するという大臣の答弁だったんですが、だから法律に定められていないという話なんでしょうけれども。
私の感覚では、やはり、基本法の改正案にちゃんと、食料安定供給の三つの柱のうちの一つですよね、国内の生産基盤強化、それから輸入、そして備蓄と。この食料困難事態法の中にその言葉が出てこないというのは非常に違和感がありますけれども、皆さんにしてみたら、いやいや、法律に書いてなくても実際やるんだからいいじゃないかということなんでしょうけれども、そうしたら、余り法律の意味がなくなって、法律に書かなくても実際はやるんだから信じてくださいというような話になってしまいます。
ですから、本来は、備蓄ということをやはりちゃんと法律に規定すべきだと思います。何か特別の事情があるんでしょうか、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/149
-
150・杉中淳
○杉中政府参考人 この法律自体が、民間事業者に対して、食料供給困難事態の防止又は対策として、食料供給を行うということの要請等を行うということになっておりますので、備蓄を行う事業者は、先ほど大臣から答弁があったとおり、備蓄を目的として収益を上げているわけではなくて、あくまで出荷、販売事業者が一定量の在庫を確保して、必要に応じてその在庫を放出することによって供給を確保していくということになりますので、法律上は、その対象となる事業者ということを考えた場合は、出荷、販売事業者として定義するのが適正と考えております。
当然、機能としては、出荷、販売事業者というのが在庫を含めました備蓄という機能を有しておりますので対象になっているということでございまして、備蓄ということをあえて法令上で位置づけなかったのは、ストックするだけではなくて、それを放出する事業者という意味で出荷、販売事業者というふうに規定をさせていただいたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/150
-
151・北神圭朗
○北神委員 ちょっと聞き取れなかった部分もありますけれども。
次の質問に移りますけれども、例えば食料供給困難事態になったときに、どういう基準で備蓄米を放出するとか、ほかの、米以外でもそうですけれども、民間であっても当然これは国と連携をしてやっていくというふうに私も思いますので、例えばどういう基準で放出をするのかとか、どういったところに食料を供給していくのかとか、こういったことも知りたいと思うんですけれども、普通だったら法律に書いて、それで政令に落として、こういう基準でやりますというのはあると思うんですけれども、その辺、どういうふうにお考えなのか、教えていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/151
-
152・杉中淳
○杉中政府参考人 食料の備蓄の活用についてでございますけれども、今議論いただいた国内にある備蓄に加えまして、民間が自主的に在庫する原料在庫、あと流通段階での製品在庫などをトータルに把握しまして、不測時におきましては実施方針で具体的な供給というのを定めますので、その中で、出荷、販売の調整について計画的に市中に供給する。そのときは、量的な供給量、また仕向け先の調整などについて定めていくということになります。
具体的な備蓄の運用についての基本的な考え方、これにつきましても、品目ごとに変わりますので、例えば品目ごとに、食料又は原材料としてどういう形態で流通するのか、原材料のまま流通するのか一定程度加工されて流通するのかということも違いますし、あと輸入、製造、流通、小売の段階で、業界の通例としてどの程度在庫を確保しているのかというのも、実は品目ごとに異なります。
また、供給量が不足する場合に、大事なのは、輸入先の転換等の確保にどの程度の期間を要するのか、実はこれも品目ごとに異なりますので、そういうことも品目別に対策を考えながら、供給対策に要する期間などを踏まえて、どの程度の量、供給不足時に民間の在庫等を含む備蓄を放出するかということを決めていくということになります。
その基本的な考え方については、基本方針の中で定めたいと思いますけれども、実際にどの程度備蓄を充実していくかということは、その時点の状況に応じて実施方針で定めるということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/152
-
153・北神圭朗
○北神委員 基本方針に定めるということだと思います。
最後に、これは資料にございますけれども、棚上げ備蓄方式に今なっています。この資料を見ますと、真ん中の方に、棚上げ備蓄の場合はコストが七百億円程度だと。右の方を見ますと、回転備蓄は百五十億円程度だと。普通だったらこっちの方がコストが安いという判断になるんでしょうが、その下の方に、モデルどおりにはいかないということでるる書いてあるんですけれども。
しかし、例えば、豊作時には売れないとか販売抑制を要請されることがあるとか、こういった事態が生じたとしても、全体的には断然、回転備蓄の方が安いと思うんですけれども、なぜこの方式に切り替えないのか、教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/153
-
154・平形雄策
○平形政府参考人 お答えいたします。
政府備蓄米の運営方式ですが、委員御指摘のとおり、買い入れた米を一定期間保管後、主食用に販売する回転備蓄方式と、主食用以外の用途に販売する棚上げ備蓄方式がありまして、政府は、平成二十三年から棚上げ備蓄方式に見直しをしたところでございます。
これは、二十二年度まで実施していた回転備蓄方式が年間の備蓄米の販売数量に見合った数量を買い入れる運営ルールであったため、政府買入れの時期や数量が一定とならず、市場に対しての透明性に欠け、農業者や産地の需要に応じた生産あるいは流通、小売業者の安定的な販売に向かない面があったためでございます。
委員御指摘の、この配付資料にありますとおり、財政負担につきましては、回転備蓄は主食用に販売することを基本にいたしますので、売買差損が少なくなるとは言えますけれども、この表の右下のところに「実際には、」というふうに書いてありますけれども、実際のところ、主食用への販売というのはなかなか想定どおりにいかないことが多くて、結果として飼料用等の非主食用に販売することもあり、実際の運営実績を見ても、なかなか財政負担が一概に小さくなるとまではいっていないというのが現状でございます。
このため、様々な角度からこういった備蓄については考えていかなければいけないと思いますし、現在審議中の食料供給困難事態対策法案に基づく基本方針において、特定食料等の備蓄の方針を定めることを検討することとしており、このような検討も含めて、米の適切な備蓄運営を行っていく考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/154
-
155・北神圭朗
○北神委員 もう終わりですね。
では、終わります。ありがとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/155
-
156・野中厚
○野中委員長 次回は、明九日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305007X01420240508/156
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。