1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和六年三月十九日(火曜日)
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議事日程 第七号
令和六年三月十九日
午後一時開議
第一 特定防衛調達に係る国庫債務負担行為により支出すべき年限に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
第二 奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
第三 関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
第四 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
第五 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内閣提出)
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○本日の会議に付した案件
日程第一 特定防衛調達に係る国庫債務負担行為により支出すべき年限に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第二 奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第三 関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第四 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第五 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内閣提出)
重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案(内閣提出)及び経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
午後一時二分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01220240319/0
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001・額賀福志郎
○議長(額賀福志郎君) これより会議を開きます。
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日程第一 特定防衛調達に係る国庫債務負担行為により支出すべき年限に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01220240319/1
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002・額賀福志郎
○議長(額賀福志郎君) 日程第一、特定防衛調達に係る国庫債務負担行為により支出すべき年限に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
委員長の報告を求めます。安全保障委員長小泉進次郎君。
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特定防衛調達に係る国庫債務負担行為により支出すべき年限に関する特別措置法の一部を改正する法律案及び同報告書
〔本号末尾に掲載〕
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〔小泉進次郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01220240319/2
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003・小泉進次郎
○小泉進次郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、安全保障委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
本案は、防衛力の計画的な整備を引き続き実施していくため、特定防衛調達に係る国庫債務負担行為により支出すべき年限に関する特別措置法の失効規定等を削除するものであります。
本案は、十一日本委員会に付託され、十二日木原防衛大臣から趣旨の説明を聴取いたしました。十五日、質疑を行い、討論、採決の結果、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01220240319/3
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004・額賀福志郎
○議長(額賀福志郎君) 採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01220240319/4
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005・額賀福志郎
○議長(額賀福志郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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日程第二 奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01220240319/5
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006・額賀福志郎
○議長(額賀福志郎君) 日程第二、奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
委員長の報告を求めます。国土交通委員長長坂康正君。
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奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案及び同報告書
〔本号末尾に掲載〕
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〔長坂康正君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01220240319/6
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007・長坂康正
○長坂康正君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
本案は、奄美群島及び小笠原諸島の特殊事情に鑑み、その振興開発を図るために必要な措置を講じようとするもので、その主な内容は、
第一に、奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の有効期限をそれぞれ五年間延長するとともに、目的規定等に移住の促進を追加すること、
第二に、奄美群島振興開発特別措置法の基本理念に沖縄との連携を追加し、両地域の人流や物流の活性化を図ること
などであります。
本案は、去る三月十二日本委員会に付託され、十三日斉藤国土交通大臣から趣旨の説明を聴取し、十五日、質疑を行い、質疑終了後、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
なお、本案に対し附帯決議が付されました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01220240319/7
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008・額賀福志郎
○議長(額賀福志郎君) 採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01220240319/8
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009・額賀福志郎
○議長(額賀福志郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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日程第三 関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01220240319/9
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010・額賀福志郎
○議長(額賀福志郎君) 日程第三、関税定率法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
委員長の報告を求めます。財務金融委員長津島淳君。
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関税定率法等の一部を改正する法律案及び同報告書
〔本号末尾に掲載〕
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〔津島淳君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01220240319/10
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011・津島淳
○津島淳君 ただいま議題となりました法律案につきまして、財務金融委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
本案は、最近における内外の経済情勢等に対応するため、令和六年三月末に到来する暫定税率等の適用期限を延長するとともに、特例輸入者による特例申告の納期限延長に係る担保の取扱いを緩和するほか、個別品目の関税率の見直し等を行うものであります。
本案は、去る三月七日当委員会に付託され、翌八日鈴木財務大臣から趣旨の説明を聴取し、十二日から質疑に入り、十五日質疑を終局いたしました。次いで、討論を行い、採決いたしましたところ、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
なお、本案に対し附帯決議が付されましたことを申し添えます。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01220240319/11
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012・額賀福志郎
○議長(額賀福志郎君) 採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01220240319/12
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013・額賀福志郎
○議長(額賀福志郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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日程第四 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01220240319/13
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014・額賀福志郎
○議長(額賀福志郎君) 日程第四、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
委員長の報告を求めます。外務委員長勝俣孝明君。
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在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書
〔本号末尾に掲載〕
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〔勝俣孝明君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01220240319/14
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015・勝俣孝明
○勝俣孝明君 ただいま議題となりました法律案につきまして、外務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
本案の主な内容は、
在外公館として在ナイロビ国際機関日本政府代表部を新設すること、
既設の在外公館に勤務する外務公務員の在勤基本手当の基準額を改定すること、
在外公館に勤務する外務公務員の在勤手当の月額を規定する通貨を改定すること
などであります。
本案は、去る三月十三日外務委員会に付託され、同日上川外務大臣から趣旨の説明を聴取いたしました。十五日に質疑を行い、質疑終局後、引き続き採決を行いました結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01220240319/15
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016・額賀福志郎
○議長(額賀福志郎君) 採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01220240319/16
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017・額賀福志郎
○議長(額賀福志郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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日程第五 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01220240319/17
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018・額賀福志郎
○議長(額賀福志郎君) 日程第五、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。
委員長の報告を求めます。法務委員長武部新君。
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裁判所職員定員法の一部を改正する法律案及び同報告書
〔本号末尾に掲載〕
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〔武部新君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01220240319/18
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019・武部新
○武部新君 ただいま議題となりました法律案につきまして、法務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
本案は、裁判所の事務を合理化し、及び効率化することに伴い、裁判官以外の裁判所の職員の員数を三十一人減少しようとするものであります。
本案は、去る三月十二日本委員会に付託され、翌十三日小泉法務大臣から趣旨の説明を聴取し、十五日、質疑を行い、討論、採決の結果、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
なお、本案に対し附帯決議が付されたことを申し添えます。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01220240319/19
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020・額賀福志郎
○議長(額賀福志郎君) 採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01220240319/20
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021・額賀福志郎
○議長(額賀福志郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案(内閣提出)及び経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01220240319/21
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022・額賀福志郎
○議長(額賀福志郎君) この際、内閣提出、重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案及び経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。国務大臣高市早苗君。
〔国務大臣高市早苗君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01220240319/22
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023・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) 重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案及び経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨について御説明申し上げます。
まず、重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
この法律案は、国際情勢の複雑化、社会経済構造の変化等に伴い、経済活動に関して行われる国家及び国民の安全を害する行為を未然に防止する重要性が増大している中で、重要経済基盤に関する情報であって我が国の安全保障を確保するために特に秘匿することが必要であるものについて、これを適確に保護する体制を確立した上で収集し、整理し、及び活用することが重要であることに鑑み、当該情報の保護及び活用に関し、重要経済安保情報の指定、我が国の安全保障の確保に資する活動を行う事業者への重要経済安保情報の提供、重要経済安保情報の取扱者の制限その他の必要な事項を定めることにより、その漏えいの防止を図り、もって我が国及び国民の安全の確保に資することを目的とするものであります。
次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
第一に、行政機関の長は、当該行政機関の所掌事務に係る重要経済基盤保護情報であって、公になっていないもののうち、その漏えいが我が国の安全保障に支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるものを重要経済安保情報として指定することとしております。
第二に、重要経済安保情報を保有する行政機関の長は、我が国の安全保障の確保に資する活動の促進を図るために、一定の基準に適合する事業者に当該重要経済安保情報を利用させる必要があると認めたときは、当該適合事業者との契約に基づき、当該重要経済安保情報を提供することができることとしております。
第三に、重要経済安保情報の取扱いの業務は、原則として、適性評価において重要経済安保情報の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者でなければ行ってはならないこととしております。
第四に、適性評価は、行政機関の長が、当該行政機関の職員等について、当該者の同意を得て、適性評価調査の結果に基づき実施することとし、適性評価調査は、原則として、適性評価を実施する行政機関の長の求めにより内閣総理大臣が一元的に行うこととしております。
第五に、この法律の適用に当たっては、これを拡張して解釈して、国民の基本的人権を不当に侵害するようなことはあってはならず、国民の知る権利の保障に資する報道又は取材の自由に十分に配慮しなければならないこととしております。
第六に、重要経済安保情報の取扱いの業務により知り得た重要経済安保情報を漏らした者や、重要経済安保情報を保有する者の管理を害する行為により重要経済安保情報を取得した者等に対する所要の罰則を設けることとしております。
以上のほか、所要の規定の整備を行うこととしております。
なお、この法律案の施行期日は、一部の規定を除き、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日としております。
続きまして、経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
この法律案は、経済活動に関して行われる国家及び国民の安全を害する行為が多様化し、安全保障を取り巻く環境が変化していることを踏まえ、特定社会基盤事業として定めることができる事業に一般港湾運送事業を追加することで、特定社会基盤役務の安定的な提供を確保することを目的とするものであります。
次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
特定社会基盤事業として定めることができる事業に一般港湾運送事業を追加することとしております。
なお、この法律案の施行期日は、公布の日から起算して一年六月を超えない範囲内において政令で定める日としております。
以上が、重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案及び経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)
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重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案(内閣提出)及び経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01220240319/23
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024・額賀福志郎
○議長(額賀福志郎君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。冨樫博之君。
〔冨樫博之君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01220240319/24
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025・冨樫博之
○冨樫博之君 自由民主党の冨樫博之です。(拍手)
質問に先立ち、本年一月の能登半島地震でお亡くなりになられた方々に謹んでお悔やみを申し上げますとともに、被害に遭われた方々に心よりお見舞いを申し上げます。
ただいま議題となりました重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案及び経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律の一部を改正する法律案について、自由民主党・無所属の会を代表して質問いたします。
近年、地政学的な緊張の高まりといった国際情勢の不安定化、グローバリゼーションの進展やテクノロジーの発展、産業基盤のデジタル化といった経済社会構造の変化の中で、安全保障の裾野が経済分野にまで急速に拡大しています。
岸田政権では、令和四年五月の経済安全保障推進法の策定によるサプライチェーンの強靱化や重要技術の研究開発など、経済安全保障に関する施策をこれまでスピード感を持って実施してきました。他方で、経済安全保障を取り巻く環境は日々刻々と変化しており、既存の取組の見直しや新たな課題への迅速な対応といった施策のアップデートが不可欠です。
今般、政府において重要経済安保情報保護活用法案と経済安保推進法改正法案を提出されましたが、まずは、両法律案について議論する前提として、経済安全保障を取り巻く環境についての現状認識と、経済安全保障政策を進める上での政府の基本方針について、総理のお考えをお伺いいたします。
次に、重要経済安保情報保護活用法案についてお尋ねいたします。
本制度については、多くの与野党が賛成した二年前の経済安保推進法の衆議院及び参議院の各内閣委員会における附帯決議に記載されていました。具体的には、国際共同研究の円滑な推進も念頭に、我が国の技術的優位性を確保、維持するため、情報を取り扱う者の適性について、民間人も含め認証を行う制度の構築を検討した上で、法制上の措置を含めて必要な措置を講ずるとの趣旨が明記されていました。
政府は、令和四年十二月に閣議決定された国家安全保障戦略においても、主要国の情報保全の在り方や産業界等のニーズも踏まえ、セキュリティークリアランスを含む我が国の情報保全の強化に向け検討を進めるとの方針を示し、令和五年二月には、経済安全保障分野におけるセキュリティ・クリアランス制度等に関する有識者会議を立ち上げ、約一年間にわたる議論を行ってきたと承知しています。並行して、自民党としても、累次の提言により、一貫して制度措置を講じることを訴えてまいりました。
他方で、本法律案をめぐっては、対象となる情報の範囲が明確でなく、情報指定が際限なく広がってしまうのではないかといった声があります。こうした懸念に対する本法律案の考え方を高市大臣にお伺いいたします。
昨年七月の名古屋港におけるサイバー攻撃事案を踏まえ、政府内で検討が行われ、港湾の物流機能の安定的な提供に向けて、本改正法案が提出されたものと承知しています。速やかに本事案の対応がなされたことを評価いたしますが、改めて、本改正法案の重要性について、高市大臣にお伺いいたします。
冒頭にも申し上げたとおり、近年の厳しい安全保障環境等により、我が国の独立と平和、国民の生命が害される事態を未然に防ぐためには、経済安全保障の強化は待ったなしの課題です。このような困難な時代において、両法律案は、我が国の平和と安全や経済的な繁栄を守るために不可欠なものだと確信しております。日本経済の発展のため、一刻も早い成立を祈念し、私の質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01220240319/25
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026・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 冨樫博之議員の御質問にお答えいたします。
経済安全保障を取り巻く環境と経済安全保障政策の基本方針についてお尋ねがありました。
安全保障の裾野が経済分野にも拡大する中、国家及び国民の皆様の安全を経済面から確保することは喫緊の課題です。
経済安全保障の推進に当たっては、国家安全保障戦略に沿って、我が国の自律性の向上、優位性、不可欠性の確保等に向け、同盟国、同志国との連携を図りつつ、民間と協調しながら施策を講じていくことが必要です。
国際情勢や社会経済構造等の変化を踏まえつつ、不断に検討、見直しを行いながら、政府一体となって必要な取組を進めてまいります。
残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
〔国務大臣高市早苗君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01220240319/26
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027・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) 冨樫博之議員からは、対象となる情報の範囲についてお尋ねがございました。
まず、本法案で保護すべき対象は、重要経済基盤保護情報であって、公になっていないもののうち、その漏えいが我が国の安全保障に支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるという三つの要件に該当するものに限ることとしております。
ここで言う重要経済基盤保護情報については、我が国にとって重要なインフラと重要な物資のサプライチェーンの二つを重要経済基盤と定義した上で、その保護に関わる四つの情報類型を明示し、対象を絞り込んでいます。
さらに、重要経済安保情報の指定などに関して統一的な運用を図っていくため、有識者に意見を聞いた上で作成した運用基準を閣議決定することとしており、こうした基準を通じて、一層の明確化に努めてまいります。
また、経済安全保障推進法の改正法案の重要性についてのお尋ねがございました。
我が国の貿易の九九・五%は港湾を通じた海上輸送により行われており、港湾は、国民生活及び経済活動を支える重要な役割を果たしています。
経済安全保障推進法の改正法案は、昨年七月、大規模なサイバー攻撃により、名古屋港においてコンテナの搬入、搬出作業が一時停止する事案が発生したことも踏まえ、基幹インフラ制度の対象に一般港湾運送事業を追加するものであり、港湾における物流機能の安定的な提供の確保を図る観点から、重要であると考えております。(拍手)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01220240319/27
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028・額賀福志郎
○議長(額賀福志郎君) 森山浩行君。
〔森山浩行君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01220240319/28
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029・森山浩行
○森山浩行君 立憲民主党の森山浩行です。
会派を代表いたしまして質問をさせていただきます。(拍手)
質問に先立ち、能登半島での震災の犠牲者の皆様の御冥福をお祈りするとともに、被災された全ての皆様、とりわけ九千五百人近い方々、八十日になろうとする今なお避難所にいらっしゃいます。お見舞いを申し上げたいと思います。
また、私自身、党対策本部の事務局長として、一月一日の発災以来、与野党を超えて対策に関わってきた立場から、現地で、人命救助や避難所運営、罹災証明、水道、電気、道路や公共交通始めインフラの復興など、被災地のために御尽力いただいてきた全ての皆様に心より感謝申し上げます。
そして、国民の皆様、情けは人のためならずといいます。私も、今日は、頑張ろう能登のバッジをつけて演壇に立っています。この緊急事態の一刻も早い解消を目指して、今こそ、国家国民を挙げて、復旧復興に向け、それぞれができる形で被災地に寄り添い、助け合ってまいりましょう。
自民党の裏金問題の真相解明は一向に進みません。真相を明らかにして国民の政治不信を払拭するために、まだ政治倫理審査会に出席していない裏金議員四十五人について参議院の政治倫理審査会のように議決を求めるとともに、塩谷立議員を始め六人の証人喚問を求めることを、本日の午前中に野党国対委員長会談を開いて決めました。足りないのは、あと一票です。ついては、政治改革に特段熱心な公明党の皆さんの賛同を強く求めます。
岸田総理、このままでは、自民党の皆さんは志のない議員ばかりとなってしまいます。岸田総理はさすがです。身をもって志を示したわけですね。残りの自民党の議員はどうでしょうか。
この場で改めて、岸田総理から、自民党の志ある裏金議員に対し政倫審の出席を呼びかけてください。岸田総理の明確な答弁を求めます。
安全保障の裾野が経済分野に拡大した現代、経済安全保障の鍵は先端技術にあります。官民の技術インテリジェンス能力の獲得と強化に努めることは大変重要です。
立憲民主党は、国際情勢や社会経済構造が急激に変化する中、自由で開かれた経済や民間主体による自由な経済活動を最大限尊重しつつ、サプライチェーンの強靱化、先端技術の優位性確保、インフラセキュリティー強化などについて実効性のある政策の重要性と必要性を訴え、丁寧に議論を重ねてまいりました。
経済安全保障推進法においては、規制の対象となる基幹インフラは、経済活動が過度に制限されないよう、国家国民の安全に与える影響に鑑み真に必要なものに限定すべきとの考え方から十四の分野が定められましたが、ここには港湾施設が入りませんでした。昨年七月、名古屋港におけるサイバー攻撃によるシステム障害を受け、政府は、一般港湾運送事業を対象事業に追加すると方針を変えました。
そこで、まず、ターミナルオペレーションシステムに支障が出た場合の影響について、政府は検討を行っていましたか。また、後手後手の対応は望ましくありませんが、改めて、基幹インフラの見直しの在り方について、総理の見解を伺います。
セキュリティークリアランス制度に関しては、経済安全保障推進法の附帯決議で、「国際共同研究の円滑な推進も念頭に、我が国の技術的優位性を確保、維持するため、情報を取り扱う者の適性について、民間人も含め認証を行う制度の構築を検討した上で、法制上の措置を含めて、必要な措置を講ずること。」とされていますが、本法案の目的には国際共同研究の円滑な推進が入っていません。
また、企業からも期待が示されるなど、これまでも主要国の情報保全制度と整合性のある形で制度をつくる必要があるのではないかとの議論もあったにもかかわらず、経済安全保障推進法にセキュリティークリアランスが盛り込まれなかった理由について、政府は、有識者会議の提言に含まれなかったこと、個人情報の収集に関する国民の理解の醸成の度合いや、海外においてクリアランスの取得を要請される具体的事例の検証などを踏まえた上での今後の検討課題とされてきました。
そこで、セキュリティークリアランス制度が必要だという立法事実、諸外国のクリアランス制度の例、制度に対するニーズや国民の理解の醸成の度合いについて、政府においての具体的検討内容を総理に伺います。また、国際共同研究の円滑な推進については法案のどの規定で担保されるのか、伺います。
一方、今回の制度において保護の対象になる重要経済安保情報の内容は、いまだ曖昧です。経済安全保障上重要な情報として指定する範囲は、我が国として真に守るべきものに限った上、恣意的指定とならぬようにすべきです。
指定の範囲と人数規模について、総理にお伺いをいたします。また、指定はあくまで政府が保有する情報に限定していますか。そして、指定された情報を既に民間事業者などが保有していた場合にも、関係者が責任を問われることはありませんね。
本法案において、重要経済安保情報の提供を受けられる適合事業者を選定する要件は、手続要件、実体要件、共に明らかではありません。
総理、事業者の指定は、民間事業者自らが意思を示した場合に限りますね。また、事業者に対するクリアランスは、保有施設などの物理的な情報保全体制の適格性に加えて、諸外国では当該企業等の役員構成といった組織的な要件も規定されている事例もありますが、新制度では施設以外の要件も適用する可能性がありますか。
また、本法案では、より機微度の高い重要経済基盤情報を扱う特定秘密保護法では導入されなかった法人への罰則を導入する理由を伺います。
さらに、民間事業者などが新たに施設クリアランスを確保する場合、専用の区画や施設を設ける必要があります。民間事業者等における保全の取組に対する支援、特に、取引先との関係で、中小企業などがクリアランスを求められた際の支援策を用意されますか。
適性評価について、有識者会議の最終取りまとめにおいては、実施することに対する本人の同意は任意かつ真摯なもの、すなわち、真の同意でなければならないとされています。政府は、企業と従業員とか、親会社と子会社といった力関係、異動する先のない中小企業などのように、適性評価への同意が事実上強制される可能性を想定していますか。
また、調査で取得される個人情報の厳重な管理、適性評価の結果や適性評価に同意しなかったこと等を理由とした不当な取扱いが行われないことが極めて重要ですが、十六条の個人情報等の目的外利用の禁止について、罰則が設けられていません。罰則を設けるべきではありませんか。
プライバシー保護や不利益取扱いの禁止については、あらかじめ労使協定を結ぶことを条件にすべきと考えますが、いかがですか。また、信頼性の確認のための調査結果は、必ず労働者本人に通知することはもとより、通知までの期間をあらかじめ示すことと定めるべきではありませんか。総理にお伺いをいたします。
特定秘密保護法においては、内閣総理大臣は、毎年、特定秘密の指定や解除、適性評価の実施の状況を有識者に報告し、その意見を聞かなければならないとされています。また、同法では、政府は、毎年、有識者の意見を付して、特定秘密の指定や解除、適性評価の実施の状況について国会に報告をするとともに、公表することとされています。
しかし、本法律案においては、いずれの規定も設けられていません。特定秘密保護法の審議の際、政府によるチェックだけでは足りないと与野党合意に達し、情報監視審査会が設置をされました。国会によるチェックの重要性は重要経済安保情報についても同じであり、情報監視審査会の対象にすべきではありませんか。
また、九条において重要経済安保情報を国会へ提供する規定がありますが、国会職員がこれを取り扱うためには国会職員の適性評価が必要となり、そのためには国会法改正が必要ではありませんか。政府の見解を求めます。
特定秘密保護法の成立から十年が経過しました。この間、特定秘密の漏えいが明らかになり、情報監視審査会から、特定秘密の保全体制の改善を求める初の勧告も出されています。
特定秘密の漏えい事案の反省点、改善点について、また、経済安全保障分野におけるセキュリティークリアランス制度に与える示唆について、どのようにお考えでしょうか。また、特定秘密保護法で重要経済基盤情報に当たる特定秘密の指定の実績がゼロである理由について、どのように認識していますか。総理の見解を伺います。
信なくば立たず。国民から政府への信頼がなければ、個人情報を託したり、秘密指定を任せることはできません。元々、日本の公文書管理には恣意的な運用を始め課題が多かったわけですが、この間の自公政権においては、公文書の廃棄だけではなく、あろうことか改ざんまで起こし、情報を扱う主体としての信頼は地に落ちています。そんな中で、本法案の趣旨については一定理解するものの、具体的な制度設計を政令に白紙委任するわけにはいきません。まずは、修正すべき部分を含め、徹底して審議してまいります。
権腐十年。十年も政権を継続すると、どうしても政治腐敗や癒着が起こってしまう、だから、健全な政治のためには政権交代が必要なのだという意味の言葉で、実際、アメリカでもイギリスでも、頻繁に政権交代が起きています。日本も、まさに大掃除が必要な時期に来ています。
今年は、世界の多くの国で政権を争う選挙イヤーでもあります。私たち立憲民主党は、人へ、未来へ、真っ当な政治へ、国民一人一人の声とつながり、国民の皆様に政権を担うもう一つの現実的な選択肢を提供することをお誓いし、私からの質疑といたします。
ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01220240319/29
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030・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 森山浩行議員の御質問にお答えいたします。
政治倫理審査会への出席の呼びかけについてお尋ねがありました。
説明責任を果たすことは重要であり、自民党としても、政治家として、政倫審を含むあらゆる場を通じて丁寧な説明を尽くすよう、これまでも促してきているところです。現に、多くの議員が会見等において説明を行っています。
その上で、政倫審への出席については、最終的には議員の意思が尊重される制度となっており、そうした国会のルールは尊重しなければなりません。
いずれにしても、説明責任の果たし方は、政倫審の出席を含め、個々の議員が自らの置かれた状況をよく省みて最も適切な方法を判断すべき事柄であって、政倫審へ出席するかどうかという一事をもって志があるかないかを論ずる必要はないと考えております。
基幹インフラ制度についてお尋ねがありました。
経済安全保障推進法の制定時においては、国土交通省において、港湾ターミナルオペレーションシステムの機能が停止してもその影響は限定的であると評価していたため、規制対象にはならないと考えていたところです。
昨年七月の名古屋港におけるサイバー攻撃事案を受け、改めて国土交通省及び内閣府において検討を行ったところ、一般港湾運送事業者及びそのターミナルオペレーションシステムが港湾の機能の安定的な提供に重要な役割を果たしていると考えられたことから、今般、改正法案を提出したところです。
基幹インフラ制度の対象については、引き続き不断の見直しを行ってまいります。
セキュリティークリアランス制度に関する政府の検討内容についてお尋ねがありました。
政府においては、昨年二月以降、有識者会議において、産業界のニーズを聴取し、外国の制度分析を行い、また、国民の理解醸成のため、その議論の経過等を積極的に公表してきました。
こうした中で、経済安全保障分野における情報保全の必要性が高まる一方、現行の我が国特定秘密制度ではこれに十分対応していないとの指摘を受け、今後、同盟国等との協力や外国政府の政府調達等での日本企業の参加を進める上で、セキュリティークリアランス制度の整備を進める必要があると判断し、今回の法案提出に至ったものです。
御指摘の国際共同研究については、第十条にあるとおり、それが重要経済基盤の脆弱性の解消や重要経済基盤の革新的な技術に関する調査及び研究等に該当する場合には、本法案の目的にある事業者による我が国の安全保障の確保に資する活動と位置づけられ、この法案や関係する国際的な枠組みと相まって、円滑な推進が図られていくものと考えております。
指定の範囲についてお尋ねがありました。
本法案で重要経済安保情報とされる対象は、重要経済基盤保護情報であって、公になっていないもののうち、その漏えいが我が国の安全保障に支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるもの、こうした三要件を全て満たすものと明確に規定しています。
また、恣意的な指定とならないよう、今後、外部の有識者の意見も踏まえて作成する運用基準において、指定対象となる情報の範囲を明確化する予定です。
指定情報の件数や適性評価の対象者数について、現時点で厳密に示すことは困難ですが、今後の制度の詳細の検討の中で精査をしてまいります。
最後に、重要経済安保情報として指定される情報は、政府が現に保有する情報や、適合事業者の同意を得て行わせる調査研究等により生じることが見込まれ、政府が保有することとなる情報です。本法案による義務や罰則がかかるのは、政府との間で秘密保持契約を結んだ上で、政府が指定した情報を当該事業者が重要経済安保情報として保有するに至った場合に限定をされています。
適合事業者の範囲とその要件についてお尋ねがありました。
まず、適合事業者として選定され、情報提供を受けるのは、事業者自らが意思を示した場合に限る規定としており、これは御指摘のとおりです。
適合事業者の基準や要件の具体的な内容は今後検討していくこととなりますが、御指摘の役員構成等の組織的要件については、有識者会議の最終取りまとめにおいて、主要国の例も参照しつつ、我が国の企業の実情や関係法令との整合性も踏まえながら、実効的かつ現実的な制度を整備していくべきとされています。
さらに、本法案第十八条の運用基準には、適合事業者の認定に関する統一的な運用を図るための基準についても盛り込むことを明記しており、民間事業者からの予見可能性にも配慮した運用を図っていくこととしております。
法人への罰則の導入についてお尋ねがありました。
特定秘密保護法においては、特定秘密を適合事業者に保有させなければ行政機関の所掌事務の遂行が立ち行かないような、いわば非代替性が認められるときに情報提供が可能とされているのに対し、本法案においては、各行政機関の長が、安全保障の確保に資する活動の促進を図るために必要があると認めたときに、事業者への情報提供を行うことができるとしています。
このように、本法案においては、特定秘密保護法に比べ、適合事業者の範囲が広がり得ることとなり、また、重要経済安保情報の経済的価値に鑑みれば、事業者において情報の不正取得や漏えい等が組織的に行われるおそれがないとは言えません。
このため、このような行為を罰則により抑止する必要があるとの認識の下、法人への罰則規定を設けたものです。
中小事業者等への支援についてお尋ねがありました。
中小企業を始め民間事業者にとって、適合事業者の基準を満たすことが少なからず負担になり得るという点は、有識者会議の最終取りまとめでも指摘されており、経緯や実態も踏まえて、民間事業者等における保全の取組に対する支援の在り方について合理的な範囲で検討していく必要があるとされているところです。
事業者支援の在り方については、こうした指摘も踏まえ、今後更に検討していきたいと考えています。
適性評価への同意についてお尋ねがありました。
御指摘の点については、有識者会議の最終取りまとめでも、まず所属事業者等により、行政機関に提出する名簿に記載するための同意確認が従業者に対し行われるが、その段階から、同意の判断に必要な事項が知らされるとともに、同意の拒否や取下げを理由とする不当な取扱いが行われないことが確保されるべきであるとされています。
この点も含め、目的外利用の禁止の実効性を担保するためには、本法案における禁止規定に加えて、運用上の対応も重要です。このため、運用基準等において禁止行為を明示する、通報、相談の窓口を設ける、禁止行為の明示やこの禁止規定の遵守を事業者との契約等でも求めるなど、実効性確保のための措置を講じてまいりたいと考えています。
適性評価の調査結果の取扱いについてお尋ねがありました。
本法案では、適性評価は、行政機関がその対象者に対し調査項目や調査の実施方法などをあらかじめ告知した上で、本人の同意を得て実施しなければならないこととしています。
また、適合事業者に対しては、適性評価の結果や収集される個人情報などを、通常の人事考課や人事異動といった重要経済安保情報の保護以外の目的で利用、提供することも禁止をされています。
これらの違反に対して罰則は設けておらず、労使協定を締結することも条件にしておりませんが、こうした違反行為が行われることがないよう、適合事業者への周知徹底、運用基準等における禁止行為の明示など、必要な措置を講じていきたいと考えています。
評価結果を通知するまでの期間については、評価対象者の個々の事情等により、あらかじめ一律に期間を定めることは困難と考えておりますが、手続の効率化、そして短縮化に努めてまいります。
国会の関与の在り方や国会職員の適性評価についてお尋ねがありました。
本法案は、第九条第一項第一号により、国会が定める措置を前提としつつ、国会の秘密会に対しては重要経済安保情報を提供することとしています。
この受皿の在り方については、今後、国会において御議論いただくものと認識をしております。
国会法を含めた具体的な対応の内容の詳細については、政府として申し上げることは控えます。
特定秘密についてお尋ねがありました。
特定秘密の漏えい事案を契機として、衆参の情報監視審査会から勧告がなされたことを受け、政府としては、このような事案が二度と発生しないよう、情報保全教育の徹底などの再発防止策を実施してきたところです。
安全保障上重要な情報の漏えいは、我が国の安全保障に支障を与えるおそれがあるため、セキュリティークリアランス制度の対象者についても、情報保全教育の徹底等を通じ、情報の適正かつ厳格な保護を図ってまいります。
また、現在、特定秘密として指定されている情報についても、本法案の重要経済基盤保護情報に該当し得るところですが、どのような情報が具体的に該当するかは、新法の成立後に政府が作成する重要経済安保情報の運用基準において、重要経済基盤保護情報についても統一的な基準が定まるため、現時点でお答えすることは困難です。
いずれにせよ、特定秘密として指定すべきものについては、各行政機関の長が法律に基づき適切に指定、そして保護しているものと認識をしております。(拍手)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01220240319/30
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031・額賀福志郎
○議長(額賀福志郎君) 堀場幸子君。
〔堀場幸子君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01220240319/31
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032・堀場幸子
○堀場幸子君 日本維新の会、堀場幸子です。
日本維新の会・教育無償化を実現する会の会派を代表し、ただいま議案となりました二法案について質問をいたします。(拍手)
平和を求めつつ争いを繰り広げるという理想主義と現実主義のジレンマは、今もなお世界で続いております。ロシアのウクライナ侵攻やイスラエルとハマスの戦闘にも見られるとおり、平和の礎となる国際秩序を維持するためには、その具体的な仕組みを継続的にアップデートし続けなければなりません。
近代化と資本主義は、戦争の形態を大きく変化させてきました。我々は、今、ハイブリッド戦争や、経済、産業を含めたパワーと相互依存の構築などに対応できる新たな国家安全保障の形を見出す必要性に迫られています。経済安全保障やセキュリティークリアランスは、その中核的な要素になっていると承知をしております。
まずは、セキュリティークリアランス制度の導入を柱とする重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案についてお尋ねをいたします。
政府の説明によれば、本法案の背景には、セキュリティークリアランスの必要性に関して民間側からの要望があったこと、また、一昨年に成立した経済安全保障推進法の附帯決議において法案化が要請されたことがあるとされています。
私たちは、それらに加え、日本は各国の諜報活動を制限する法制度が遅れていること、また、情報管理体制の脆弱さゆえに同盟国、同志国からの情報共有が制限されている場合があることについても、本法案の必要性を示す重要な立法事実と捉えております。こうした問題意識から、日本維新の会は、以前より、政府・与党に先駆けて、経済安全保障やスパイ防止に関する法制度整備と総合的なインテリジェンスの強化を政府に求めてきました。
総理に伺います。
そもそも、なぜ今この法案を制定するのでしょうか。セキュリティークリアランス制度が必要な理由は、日本において外国政府等の工作員等が現実に存在することを前提としていると理解していますが、総理の認識をお示しください。
その上で、本制度は、外国政府等の工作員等から政府保有の重要情報を保全するための一里塚であり、その先には、スパイ防止法の制定など、より強力なインテリジェンス体制の構築を見据えているものだと認識しておりますが、総理の御見解を伺います。
加えて、本制度は、国家間を超えた信頼関係に基づく安全保障に関する情報共有及び国際インテリジェンス体制の構築を目指していると理解しています。そのためには、情報指定の範囲や適性評価の手法など、具体的な仕組みが国家間で互換性のあるものでなければならないと考えますが、総理の認識を伺います。
また、国家間の互換性という観点では、安全保障面で連携を進めているアメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドで構成されているファイブアイズに加盟できるような水準を目指した制度設計にするべきではないでしょうか。
私たちの会派は、セキュリティークリアランス制度の本質とは、機密情報を流通させるためのインフラの構築と捉えています。単に機密情報を守るだけでなく、適切な質と量の機密情報を正確に、かつ速やかに流通させるという視点が重要です。そして、インフラだとすれば、どのようなものをつくり上げるのか、また、それが導入された際には日本の社会はどのように変化するのかといった具体的なイメージを明確に持つことが必要です。その前提で、有効なインフラとして機能させるための具体的な仕組みをつくり込んでいく必要があります。
しかし、今回の法案においては、セキュリティークリアランス制度導入による全体の青写真はおぼろげのままであり、確固たる実効性も確認することができません。そうした観点から、質問をさせていただきます。
まずは、秘密情報指定の範囲について質問をします。
本法案は、国家が扱う機密情報のカテゴリーについて、特定秘密保護法で措置しているトップシークレット及びシークレットの下に、重要経済安保情報としてコンフィデンシャルを加えるものとなっております。一方、特定秘密保護法におけるトップシークレット及びシークレットの対象は、外交、安保、テロ、スパイの四分野のみです。そのため、経済安全保障上のトップシークレット、シークレット級の情報は、特定秘密保護法の解釈拡大での対応となることが想定されています。
総理に質問します。
本来は、新法制定ではなく、特定秘密保護法又は経済安全保障推進法の改正により、情報指定のカテゴリーを総合的に運用するべきではないですか。新法で対応するにしても、重要経済安保情報にもトップシークレット、シークレットのカテゴリーを設けるべきではないですか。あわせて、特定秘密保護法を改正して、指定される情報を経済、技術分野に広げるべきではありませんか。政府が前提としている特定秘密保護法とのシームレスな運用の具体的な姿はどのようなものなのか、認識をお示しください。
企業が国際共同研究開発や他国の政府調達に参加する際に、経済安全保障に関するトップシークレット、シークレット級のセキュリティークリアランスが求められた場合、日本側はコンフィデンシャルという扱いになるため、相手国側から十分でないとみなされる可能性はないのでしょうか。
アメリカでは、セキュリティークリアランスの保有者が四百万人以上おり、扱うべき秘密情報が過剰に指定され、本来秘密情報とは言えないようなものを多く含んでいること、いわゆるオーバークラシフィケーションや、クリアランスが不要な人にまで付与されている、資格要件を満たさなくなった者を適切に除外することが管理側のキャパシティー上困難になっているなどの問題が指摘されています。
経済安全保障担当大臣にお尋ねします。
日本では、本制度導入後、クリアランス保有者数はどのような規模になると想定されていますか。御答弁をお願いします。資格の更新、資格の喪失、罰則の具体的運用及び身辺調査や資格付与を行う組織の有様、例えば、人数、予算、年間調査可能人数、外部委託の有無について、可能な限り具体的にお示しください。また、申請や評価、更新といった手続のデジタル化と、その個人情報保護についてはどのようにお考えですか。
この法案は、様々な事項を政令によって決めることを前提としており、保全する情報を指定する定義や範囲が明らかではありません。政府が密室で機密情報を指定して運用を続ければ、モラルの維持に必要な透明性を損ない、国民の知る権利を阻害するリスクがあります。本法案の政府内検討における最終取りまとめでは、セキュリティークリアランス制度下の政府の運用を監視するための体制整備の必要性が指摘されています。
総理に伺います。
特定秘密保護法に基づく制度では、国会の情報監視審査会の仕組みがありますが、新制度においても同様な体制整備をするべきではないですか。また、第三者委員会の設置や情報公開に関するルールについて、早急に制度設計の見直しが必要であると考えます。知る権利等に対して、どのような配慮をされるお考えですか。
重要経済安保情報の取扱者の制限がありますが、適性評価が必要なく秘密情報に触れることができる例外を政令で定めることができるとされています。重要経済安保情報の取扱者の制限例外規定について、総理にお尋ねします。
適性評価を受けることを要しない例外として、行政機関の長、国務大臣、副大臣、大臣政務官といった政務三役が規定されています。高市大臣は、内閣の一員として任命される段階で必要な考慮がされているとの認識を表明されておりますが、今の岸田内閣にて政務三役が次々と替わる様相を見てきた国民が納得することができるのか甚だ疑問なのですが、本当に大丈夫なのでしょうか。御認識をお答えください。
経済安全保障推進法とサイバーセキュリティ基本法、重要経済安保情報保護及び活用法案でのインフラについて整理をいたします。経済安全保障推進法では基幹インフラとして、サイバーセキュリティ基本法では重要インフラとして、重要経済安保情報保護活用法案では重要経済基盤として、それぞれ指定されておりますが、重なっている部分が多くあります。
法律によって別々に指定するのではなく、安全保障上の事業として統一するべきではないですか。総理の御所見を伺います。
その上で、重要インフラに指定されている医療や政府・行政サービスもサイバー攻撃の標的となっており、また、その被害は人命に影響することも鑑み、経済安全保障推進法での基幹インフラに追加するべきだと考えますが、併せて総理の見解を伺います。
昨年の七月、年間総貨物取引量が日本最大の名古屋港に対しランサムウェア攻撃があり、システム障害でコンテナの搬出入作業が二日間中断、トヨタ自動車や名古屋のアパレルメーカーなどのサプライチェーンに影響を与えました。
総理に質問します。
そもそも、四方を海に囲まれている我が国にとって、港湾の安全を確保することが非常に重要であることは分かり切っているにもかかわらず、二年前の法案成立時に指定されなかった理由は何だったのですか。
港湾運送の基幹インフラへの追加については、この名古屋港の事案を受けて、国交省の強い要望があったと聞いています。経済安全保障の観点から、アクティブディフェンスによるサイバー防衛強化のため、国際法との整合性が取れた法整備が喫緊の課題だと考えますが、港湾運送を所管する国交大臣の御所見を伺います。同時に、アクティブディフェンスは、ディフェンスではなくオフェンスだとお考えですか。名古屋港のような事案が二度と起こらないように、国交大臣の決意をお聞かせください。
最後に、世界情勢を見回すと、新たな国際レジームの形成、維持が必要だと痛感しています。私たちは、国連改革を始め、様々なアクターとの連携を通じて、安定した国際秩序の形成に寄与してまいります。
例えば、予算委員会で総理に質問いたしましたが、国連における女性・平和・安全保障、ウーマン・ピース・アンド・セキュリティー、いわゆるWPSの立場から、現在の複雑化した安全保障と平和構築について、総理の御所見を改めてお聞かせください。
我が会派は、引き続き、平和で争いのない社会を希求しつつ、国民の生命と財産を守るため、現実を直視した安全保障政策を推進してまいります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01220240319/32
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033・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 堀場幸子議員の御質問にお答えいたします。
本法案の制定理由についてお尋ねがありました。
政府としては、御指摘のとおり、我が国において外国情報機関による情報収集活動等が行われているとの認識に立って、カウンターインテリジェンスなど情報保全のための対策を講じているところです。
現在、喫緊の課題である経済安全保障分野の情報保全強化に当たっては、民間事業者や同盟国、同志国との情報共有と協力の推進が必要であり、これが今般の法案提出の背景となる考えです。
御指摘のいわゆるスパイ防止法については様々な議論があると承知しておりますが、いずれにしても、国の重要な情報等の保護を図ることは極めて重要であり、引き続き、必要な取組の充実強化に努めてまいります。
情報保全の国家間の互換性についてお尋ねがありました。
本法案による情報保全制度を諸外国に通用するものとする必要性については、御指摘のとおりです。
情報保全制度の互換性確保につき、一般的には、まず、秘密情報の保護措置、そして信頼性の確認を含む、情報を取り扱う者の制限、そして漏えい時の罰則などが必要とされています。その上で、運用の状況も含め、諸外国から、実質的に自国と同等の保護が与えられていると認められることが必要となります。
なお、情報連携水準に関しては、我が国は、同盟国である米国及び同志国と平素から緊密に連携し、様々な情報交換等を行っております。その過程で、必要な情報保全措置のレベルの維持強化に努めているところです。
秘密情報指定の範囲についてお尋ねがありました。
経済安全保障に関する重要情報のうち、漏えい時に我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれのあるいわゆるトップシークレットやシークレット相当の情報については、特定秘密保護法で対応することが適切であり、同法の現行の運用基準について、より明確にすべき箇所や補足すべき箇所がないかについて検討していくこととしております。
また、これに併せて、いわゆるコンフィデンシャル相当の情報については本法案で対応することとし、両制度をシームレスに運用してまいります。
国際共同研究開発等への参加については、相手国側から求められる情報保全のレベルに応じ、これら二つの制度のシームレスな運用により対応していくことを考えております。
国会の関与、国民の知る権利への配慮についてお尋ねがありました。
本法案では、国会が定める重要経済安保情報の保護措置を前提に、国会の秘密会に対して重要経済安保情報を提供することとしております。その受皿となる体制や保護措置の詳細については、国会において御議論いただくべきものと認識をしております。
知る権利等への配慮については、本法案第二十一条で報道、取材の自由の規定を置いています。このほか、第三者である有識者の意見を聞いて定める運用基準において指定対象情報の範囲を明確化するとともに、独立公文書管理監により検証、監察を行うことも想定をしております。
国務大臣等に対する適性評価についてお尋ねがありました。
現行の特定秘密保護法において、国務大臣等は、特定秘密の取扱いの業務を行うことが当然の前提とされることから、その任命の際に必要な考慮がなされるとの考えに基づき、適性評価の対象外とされています。
本法律案においても、特定秘密保護法と同様に、国務大臣等については、その任命の際に必要な考慮がなされるとの考えに基づき、適性評価の対象外としております。
経済安全保障推進法等におけるインフラに関するお尋ねがありました。
経済安全保障推進法上の基幹インフラ、サイバーセキュリティ基本法における重要インフラ、重要経済安保情報保護活用法上の重要経済基盤については、それぞれの制度の趣旨を踏まえて対象を設定しており、それらの制度は有機的に連携すべきと考えていますが、その対象そのものを統一すべきであるとは考えておりません。
また、医療については、システム障害時にも医療機関連携により役務の提供が継続可能であること等の理由により、現時点では基幹インフラ制度の対象としてはおりません。
重要インフラにおける政府・行政サービスについては、地方公共団体の情報システムが対象となっており、現時点で基幹インフラ制度の対象とはしておりませんが、国として、地方公共団体が国と平仄を合わせたセキュリティー確保の取組を行えるよう後押しをしているところです。
港湾が基幹インフラの対象とならなかった理由についてお尋ねがありました。
経済安全保障推進法の制定時には、航路標識や荷役機械等の設備は、国等の機関が調達すること、他の設備等による代替が可能であることから対象としなかったほか、港湾ターミナルオペレーションシステムについても、その機能が停止しても影響は限定的であると評価をしていたものです。
昨年七月の名古屋港におけるサイバー攻撃事案を受け、改めて国土交通省及び内閣府において全般的に検討をしたところ、一般港湾運送事業者及びそのターミナルオペレーションシステムが港湾の機能の安定的な提供に重要な役割を果たしていると考えられたことから、今般、改正法案を提出したところです。
WPSの立場、安全保障と平和構築についてお尋ねがありました。
世界中で複雑化する安全保障環境の中で、我が国は、全ての人が平和と安定、繁栄を享受できるよう、人間の安全保障など人間中心の外交を進めています。
その中でもWPSは、女性や女児の保護や救済に取り組みつつ、女性自身が自ら指導的な立場に立って紛争の予防や復興、平和構築に参画するという考え方、取組であり、昨年のG7広島サミットにおいても、防災への適用を含むWPSアジェンダの推進にコミットしたところです。今般の能登半島地震においても、WPSの考え方はますます注目を集めています。日本として、引き続きWPSを推進してまいります。
残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
〔国務大臣高市早苗君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01220240319/33
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034・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) 堀場幸子議員からは、クリアランス保有者数の見込み、施行組織の在り方の詳細、個人情報保護やデジタル化に関する考え方についてお尋ねがございました。
適性評価の対象者数につきましては、今後の制度の詳細設計の中で、各行政機関が指定する重要経済安保情報の件数、民間事業者への情報提供の方針、既存制度でクリアランスを受けている者との重複などを精査する必要がございます。現時点で厳密な数字をお示しすることは困難です。
また、本法案の施行につきましては、内閣府と各行政機関が分担して担うことになります。内閣府においては制度全体の運用や適性評価のための調査の実施などを担当し、各行政機関は、情報の指定、解除、適性評価、適合事業者の認定などを担当します。これらの業務を着実に実施するために必要となる体制、予算などについては、施行準備を進める中で、具体的な内容をしっかりと検討してまいります。
また、適性評価に当たって収集する個人情報は個人情報保護法などに基づいて厳重に管理することが非常に重要であり、データ管理をどのように行うかも含め、適切に検討してまいります。(拍手)
〔国務大臣斉藤鉄夫君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01220240319/34
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035・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 堀場幸子議員にお答えいたします。
まず、昨年七月の名古屋港での事案を踏まえたサイバー防衛強化のための法整備についてお尋ねがありました。
国土交通省では、この名古屋港での事案を踏まえ、港湾における情報セキュリティー対策の強化について検討を行い、まず、サイバーセキュリティ基本法の重要インフラに港湾を位置づけ、官民の連携体制を構築いたしました。そして、今般、経済安全保障の観点から、経済安全保障推進法の基幹インフラ制度の対象に、一般港湾運送事業を追加することとした次第でございます。
サイバー攻撃への対応能力の向上はますます急を要する課題であると考えます。そのための法整備については、政府全体として、様々な角度から多岐にわたる検討を行っているところです。
港湾運送事業を所管する国土交通省といたしましても、国際法との整合性も踏まえ、どのような取組が可能か、関係省庁と連携を図りつつ検討してまいります。
次に、アクティブディフェンスの考え方と、名古屋港での事案を踏まえた、再発防止に関する私の決意についてお尋ねがありました。
御指摘の、アクティブディフェンスと国家安全保障戦略の中にある能動的サイバー防御の相違について申し上げることは困難ですが、能動的サイバー防御につきましては、武力攻撃に至らないものの、国、重要インフラ等に対する安全保障上の懸念を生じさせる重大なサイバー攻撃のおそれがある場合、これを未然に排除し、また、このようなサイバー攻撃が発生した場合の被害の拡大を防止するための取組と考えております。
国土交通大臣として、港湾における物流機能の安定的な提供の確保を図るため、名古屋港のような事案が二度と起こらないよう、経済安全保障推進法での対応を始め、港湾の情報セキュリティー対策をしっかりと推進してまいります。(拍手)
〔議長退席、副議長着席〕
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01220240319/35
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036・海江田万里
○副議長(海江田万里君) 庄子賢一君。
〔庄子賢一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01220240319/36
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037・庄子賢一
○庄子賢一君 公明党の庄子賢一です。
私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案について質問をいたします。(拍手)
質問に入る前に、元日に発生をいたしました能登半島地震において、犠牲となられました皆様方に心から哀悼の意を表し、被災された全ての皆様に心からのお見舞いを申し上げ、以下、質問に入らせていただきます。
本法案は、経済安全保障分野における国家としての情報保全措置の一環として、政府が保有する安全保障上重要な情報にアクセスする必要がある者に対し、政府による調査を実施し、当該者の信頼性を確認した上でアクセスを認める、いわゆるセキュリティークリアランス制度を法律で規定しようとするものであります。
情報保全制度としては、平成二十六年十二月、特定秘密保護法が施行されており、この間、同志国、同盟国との情報共有が行われてまいりましたが、一方、特定秘密として指定できる情報の範囲が、防衛、外交、特定有害活動の防止、テロの防止の四分野に限られており、今や、安全保障の概念が、外交や防衛といった領域にとどまらず、経済、技術の領域にまで拡大していることを考えると、本法案で経済安全保障を他の主要国並みに強化していくことは、国際社会の一員として我が国が果たすべき責務であると思います。
そこで、まず、セキュリティークリアランス制度を法律に規定することの意義、その必要性について、岸田総理の御見解を改めてお聞かせ願います。
この法案に対しては、導入に反対の意見や懸念を表明する声もあります。その代表事例をお尋ねし、総理からその懸念を払拭する御説明をいただきたいと思います。
まず一つは、本人同意を前提とした適性評価における調査について、調査を拒否した場合及びクリアランスを得られなかった場合に、不合理かつ不利益な取扱いを受けることはないのか、例えば、職場で研究開発部署から一方的な配置転換等が行われたり、給与査定に影響しないのかといった問題であります。
私も、こうした点について、労働者に不利益が及ばないよう、公益通報制度の強化やその他の法整備、あるいはガイドラインや救済方法を明確にすることが重要だと考えます。総理はどのような対策を必要とお考えか、お答えを願います。
その上で、信頼性の確認によりクリアランスが得られなかったとして、それをもって情報漏えいの可能性がある人物だとか、重要情報を扱う能力に欠けているといった、その人の人格やスキルに誤ったレッテルを貼ることはないということを明確に御説明願います。
二つ目に、セキュリティークリアランスを取れなかったことが企業経営に影響を及ぼすかについて、アメリカの連邦証券取引委員会のデータベースでは経営上の重大な問題と記載されているとの指摘もありますが、我が国でその懸念はないのか、お答え願います。
三つ目に、法律が通れば、国家による統制が強化され、産学官共同の情報統制が進むことになりかねず、裁判所の独立、立法府による監視やメディアの自由といった政府の暴走を防ぐ仕組みが損なわれると制度創設に反対をする意見があります。この見解に対してはどのように説明をされますでしょうか、お尋ねいたします。
我が国で特定秘密保護の取扱業務ができる人数は約十三万二千人と、主要国のクリアランス保有者と大きな開きがあり、また、保有者の比率では官が九七%、民が三%と、民間事業者では情報保全の仕組みが定着していない現状があります。
そうした中にあって、適性評価の実施、適合事業者の認定に関する統一的な運用を図るための基準を定めることが第十八条に規定されていますが、施行に当たっては、事業者そして国民に対しての、この基準の明確かつ丁寧で分かりやすい説明と情報提供が極めて重要と考えます。政府としてどのように対応されるか、高市内閣府特命担当大臣に御答弁をお願いします。
この法案を議論するに当たり私が参考にしたのは、同志社大学村山裕三教授が、アメリカなどと経済安全保障を確立する上で軸となるのは、相手国が決定的に重要と考えている技術分野において代替困難なポジションを獲得するという戦略的不可欠性という概念であると述べている点であります。経済安全保障の施策を推進する基軸として、この戦略的不可欠性は重要な概念だと考えますが、総理の認識についてお聞かせ願います。
法案名のとおり、重要経済安保情報を保護し活用するためには、相手国が重要な情報を提供できる環境をつくり、相手国から信頼される制度にすることが何より重要です。仮に欧米主要国と同水準の制度を整備することができれば、複雑化する国際情勢、経済安全保障環境の変化の中、国民の安全を害する行為を未然に防ぐことが期待されます。国際情勢が複雑であるからこそ、それに向き合い、重要経済基盤情報を適確に保護、活用する体制づくりを避けて通ることはできません。総理には、この制度に明確な信頼性を持たせていただくよう求めますが、御所見を伺います。
また、日進月歩ともいうべき技術開発の進展など、経済安全保障分野における変化の速さを踏まえ、新たに必要となる情報を柔軟に指定できるような制度設計が必要ではないでしょうか。情報の柔軟な指定そして解除の必要性と手法について、高市大臣より、方針をお聞かせ願います。
さらには、技術分野によってはスタートアップも制度に関わる可能性があり、イノベーションを加速させる意味から、そうした企業に門戸を広げる視点が必要ではないかと思います。企業のキャパシティーによらず制度に参画できる支援をどう考えていらっしゃるか、高市大臣に伺います。
セキュリティークリアランス制度に関し政府が過去に検討した痕跡は、平成二十年当時に経済産業省が設置した、技術情報等の適切な管理の在り方研究会です。この研究会の報告書では、諸外国では国家安全保障上の観点から信頼性確認を行うことが一般的であり、我が国でも導入を検討すべきと、現在と変わらない課題の認識が既にあったことが分かります。
その問題提起から、いわば空白の十六年が経過する中、クリアランス制度未整備に起因したのか、技術流出や国際共同研究のチャンスを逸してしまった我が国は、IMD、国際経営開発研究所の国際競争力ランキングで、平成二十年時点の二十二位から、令和五年は三十五位まで低迷しています。
そこで、セキュリティークリアランス制度と我が国の国際競争力との相関関係について、総理の見解をお尋ねいたします。
公明党は、経済安全保障対策本部を立ち上げ、この間、徹底した議論を重ねてまいりました。防衛と民生技術の境界線が曖昧となり、国の安全保障を確保するための機微な情報の保全、管理に手を打たなければいけない中、本制度の創設は時宜にかなったものと理解いたします。
明快で分かりやすく、働く人が守られ、国際的に信頼を得る、高い水準の制度としていただきますよう重ねてお訴えし、質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01220240319/37
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038・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 庄子賢一議員の御質問にお答えいたします。
セキュリティークリアランス制度を設けることの意義についてお尋ねがありました。
安全保障の裾野が経済、技術分野にも拡大する中、経済安全保障分野においても情報管理に万全を期す必要が高まっており、政府として、有識者などの意見を十分踏まえ、経済安全保障分野におけるセキュリティークリアランス制度の検討を進めてまいりました。
また、経済安全保障分野における政府による国際的な共同開発などが増えてきている中で、それらに参加したいと考えている事業者からも、制度を求める声が聞かれています。
政府が保有する経済安全保障上の重要な情報を適切に管理し活用するためのルールを定めるとともに、事業者の国際的なビジネスの機会の確保、拡充にも貢献していく観点から、制度設計が喫緊の課題であると考えております。
労働者に不利益が及ばないようにするための対応についてお尋ねがありました。
本法案では、適性評価を受けることに同意しなかったことや適性評価の結果を重要経済安保情報の保護以外の目的のために用いてはならないという、いわゆる目的外利用禁止の規定を置いています。この規定によって、評価対象となった従業者に対して、適合事業者がこれらを理由として人事上の処遇などで不合理かつ不利益な取扱いをすることは、明確に禁止されています。
なお、従業者の適性評価を実施した場合、適合事業者に対しては、その結果のみが通知され、政府が調査で収集した個人情報は伝えません。
もとより、この目的外利用禁止規定の実効性を担保するためには、議員御指摘のとおり、運用上の対応も重要であると考えており、運用基準等において禁止行為を明示する、通報、相談の窓口を設ける、規定の遵守を事業者との契約等でも求めるなど、必要な措置を講じてまいりたいと考えております。
また、適性評価は、あくまで、政府の情報保全の一環として、重要経済安保情報の取扱いの業務を行った場合に、これを漏らすおそれがないかどうかを評価するものであり、評価対象者の人格や能力を評価するものではありません。この点に誤解が生じて誤ったレッテルが貼られることがないよう、運用基準等において、事業者に対してもこれを徹底してまいります。
セキュリティークリアランスの有無が企業経営に与える影響についてお尋ねがありました。
事業者が、セキュリティークリアランス、すなわち、この法案においては適合事業者として認定されない場合には、重要経済安保情報を取り扱う事業に参画又は継続することができません。
このため、有識者会議の最終取りまとめにおいては、その認定基準について、主要国の例も参照しつつ、我が国の企業の実情や関係法令との整合性も踏まえながら、実効的かつ現実的な制度を整備していくべきであると指摘をされています。
これらを踏まえ、政府としては、適合事業者の認定については、有識者の意見を聞いて政府統一の運用基準を定めることとし、それを事業者に対して分かりやすく説明していくことで、事業者の予見可能性を確保していきたいと考えています。
制度創設への反対意見についてお尋ねがありました。
この制度においては、政府が自ら保有し内容を把握している情報について、法案で規定された要件を満たす場合にのみ、重要経済安保情報に指定することとしております。
また、漏えい等に対する罰則等の効果が民間事業者に及ぶのは、重要経済安保情報を取り扱う必要がある業務等を行うに当たり、行政機関と合意の上で秘密保持契約を結び、行政機関からその提供を受けた場合に限られます。
さらに、公益上特に必要があり、保護のために必要な措置を講じ、我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認められたときは、国会や裁判所にも重要経済安保情報を提供することとなっています。加えて、本法案の適用に当たっては、国民の知る権利の保障に資する報道又は取材の自由に十分配慮しなければならないとされています。
したがって、産学官共同の情報統制が進むとか、政府の暴走を防ぐ仕組みが損なわれるといった指摘は当たらないものであると考えております。
戦略的不可欠性についてお尋ねがありました。
経済安全保障政策推進上、先端技術開発の他国、地域に対する優位性、ひいては、国際社会にとっての不可欠性を獲得、維持することは重要です。
この観点から、例えば、経済安全保障重要技術育成プログラム五千億円の基金を活用し、先端技術分野の研究開発の支援等の取組を推進しています。
加えて、不正競争防止法や外為法などを用いた機微情報の流出防止等にも取り組んでいます。
同盟国等からの本制度に対する信頼性の確保についてお尋ねがありました。
御指摘のとおり、今後、経済安全保障に関する秘密情報を同盟国等と円滑に共有し活用するためには、本制度を相手国から信頼される制度とすること、これは重要です。
そのため、まず、情報保護の観点から欧米主要国と同水準のルールを整備するとともに、そのルールを実効的に運用し、実績を重ねていくことが重要であると考えています。
このため、本法案が成立した後には、本制度を運用するために必要となる関係政省令や運用基準等のルールやその実施体制を速やかに整備し、制度の実効的な運用を確保するとともに、諸外国にもきちんと説明をしてまいりたいと考えております。
セキュリティークリアランス制度と我が国の国際競争力との相関関係についてお尋ねがありました。
セキュリティークリアランス制度は、先ほども述べたとおり、第一義的には、政府が保有する情報の保全のための制度です。一方、事業者から制度整備を求める声があるように、事業者の国際的なビジネスの機会の確保、拡充にも資するものであり、その結果として日本企業の国際競争力を高めることにもつながるものであると認識をしております。
残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
〔国務大臣高市早苗君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01220240319/38
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039・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) 庄子賢一議員からは、まず、適性評価の実施等に関する運用基準の説明等の必要性についてお尋ねがございました。
運用基準につきましては、有識者の御意見も聞いて案を作成し、閣議決定することとしておりますが、適切な内容を定めた上で、明確かつ丁寧に、分かりやすく説明をするとともに、情報提供をしっかりと行ってまいります。
次に、対象情報の柔軟な指定、解除の必要性と手法についてお尋ねをいただきました。
本法案では、本日の本会議で幾度か答弁を申し上げているとおり、三つの要件を満たせば重要経済安保情報に指定することとしております。他方で、これらの要件のいずれかを満たさなくなった場合は、速やかに指定を解除することとしております。
御指摘のとおり、情報の指定、解除に当たっては、新たな技術開発の進展など、経済安全保障分野における変化の速さを踏まえる必要がございます。運用基準を策定するに当たっては、有識者の御意見を聞いた上で、柔軟な指定及び解除の必要性も考慮してまいります。
最後に、スタートアップ企業等に対する制度参画のための支援についてお尋ねがございました。
スタートアップなどの中小企業を含む民間事業者にとって、適合事業者の基準を満たすということが少なからず負担になり得るという点は、有識者会議の最終取りまとめでも指摘されておりました。経緯や実態も踏まえて、民間事業者等における保全の取組に対する支援の在り方について合理的な範囲内で検討していく必要があるとされております。
事業者支援の在り方については、こうした指摘も踏まえて検討をしてまいります。(拍手)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01220240319/39
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040・海江田万里
○副議長(海江田万里君) 塩川鉄也君。
〔塩川鉄也君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01220240319/40
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041・塩川鉄也
○塩川鉄也君 私は、日本共産党を代表して、重要経済安保情報法案、すなわち秘密保護法拡大法案について質問をいたします。(拍手)
本法案は、十年前、政府が多くの国民の反対を押し切って強行した秘密保護法を拡大するものです。秘密保護法は、国民には何が秘密かも知らされないまま、政府が勝手に秘密を指定し、秘密に触れれば拘禁刑という厳罰を科す希代の悪法です。
秘密保護法は、秘密の範囲を防衛、外交、スパイ活動、テロ活動の四分野としていました。今回の法案は、秘密の範囲を更に医療や食料分野なども含む経済分野のあらゆる情報に拡大し、政府の一存で秘密指定を可能とするものです。これによって、秘密を扱う人は、民間の労働者、技術者、研究者など、飛躍的に広がります。まさに、秘密保護体制を際限なく拡大しようというものではありませんか。
重大なのは、岸田総理が、新制度が我が国の既存の情報保全制度とシームレスに運用されるよう、特定秘密保護法の運用基準の見直しの検討を含め、必要な措置を講じることを指示したことです。これは、法改定せずに、運用見直しで、秘密保護法そのものの適用を拡大しようというものではありませんか。看過できない大問題であります。
まず、労働者、技術者に対する身辺調査の問題です。
秘密を扱う人に対するセキュリティークリアランス、適性評価について、法案は、本人の政治的思想や精神疾患などの病歴、借金などの信用情報などを調査項目と規定しています。これは、機微な個人情報を根こそぎ調べ上げる秘密保護法と全く同じではありませんか。
適性評価は本人の同意が前提という建前ですが、労働者は調査を拒否すれば不利益を受けるおそれがあり、事実上の強制ではありませんか。
さらに、家族や同居人の国籍なども、家族本人の同意なく調査されるのです。しかも、収集された大量の機微な個人情報は、削除のルールすらなく、政府にたまり続けていくことになります。一度でも秘密に触れた人は、生涯監視され続けることになるのではありませんか。秘密の漏えいだけでなく、未遂、過失、さらに、共謀、教唆、扇動まで処罰の対象としているために、監視対象は本人だけでなく、家族、知人、友人、同僚などにまで及びます。
思想、良心の自由、プライバシー権を踏みにじる憲法違反そのものではありませんか。
次に、国民の知る権利の問題です。
取材などで秘密を取得する行為も処罰対象となります。正当な取材は除外されるといいますが、捜査機関が必要と判断するなら、逮捕、勾留で身柄を拘束し、密室での取調べも、捜索、差押えも行えるのではありませんか。報道の自由の侵害は明らかではありませんか。
しかも、秘密指定された情報は、国民の代表である国会議員にすら明らかにされないのであります。断じて許されません。
さらに、経済分野への秘密指定の拡大は、本来あるべき研究成果の自由な公開やオープンな研究環境を制限し、学問の自由を侵害するものではありませんか。
総理、一体なぜ、秘密保護法を経済分野にまで広げようというのですか。
岸田政権は、安保三文書で、装備品の共同開発、生産、装備、技術協力を一層強化するために、日米間の情報共有を促進する情報保全を強化すると宣言をしています。総理は、セキュリティークリアランスは同盟国、同志国との円滑な協力のために重要と発言しました。
この下で、実際に、米国との極超音速兵器を迎撃する滑走段階迎撃用誘導弾、GPIの共同開発を決定し、イギリス、イタリアと次期戦闘機の共同開発も進めています。これらの共同開発のために、セキュリティークリアランス制度を必要としたのではありませんか。
米国政府は、かねてより、米国内と同等の包括的な秘密保護法制を日本に要求してきました。米国基準の三段階のうち、トップシークレット、シークレットについては秘密保護法で対応し、コンフィデンシャル級については今回の法案で対応するというものではありませんか。
日本の財界は、政府設置の有識者会議の中で、相手国の国防省関係のビジネスは増加傾向であり、更なる業務獲得、円滑化のためにはクリアランスが必要と述べています。軍事分野で企業のもうけを確保するために本案が必要だということではありませんか。
米国と財界の要求に応えて、日米軍事一体化を推し進め、デュアルユースも含む武器輸出を進め、日本を死の商人国家にしようというのが本案の正体ではありませんか。
最後に、大川原化工機事件です。
経済安保の名の下に、長期勾留された相嶋さんが亡くなるなど、人権じゅうりんの違法捜査が行われました。あの冤罪事件を、政府はどのように反省をしているのですか。四年前、経済安保を推進する中で、政府がでっち上げた事件であります。経済分野全般への秘密保護体制の拡大が、更に同じような事件を引き起こすのは明白ではありませんか。
基本的人権、国民主権、平和主義という日本国憲法の基本原理を根底から覆す秘密保護法の拡大は、断じて許されません。徹底審議で廃案にすることを求めて、質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01220240319/41
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042・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 塩川鉄也議員の御質問にお答えいたします。
特定秘密保護法の運用見直し等についてお尋ねがありました。
特定秘密保護法の運用基準の見直し検討とは、経済安全保障に関する個々の重要情報について、特定秘密に該当するかどうかを各行政機関が的確に判断できるよう、現行の運用基準について、より明確にすべき箇所や補足すべき箇所がないかを検討するために実施することを言っております。
今回、特定秘密保護法の改正は行わないため、特定秘密の範囲が拡大することはありません。また、本法律案において、保護の対象となる情報の要件は明確に規定しており、政府の一存で秘密指定を可能にするとの指摘は当たりません。本法律案において、情報の提供を受けるのは、行政機関と合意の上で契約を締結する事業者と、その従業者のうち、情報を実際に取り扱う者に限定しており、秘密を扱う人が民間の労働者等に飛躍的に広がるという指摘も当たりません。
適性評価に関するお尋ねがありました。
本法案における適性評価については、具体的な七つの調査項目を法律上明記しており、機微な個人情報を根こそぎ調べ上げるという御指摘は当たりません。また、適性評価に同意しなかった事実の目的外利用は明確に禁止されており、適性評価に同意しなかったことにより不利益を受けることがないよう配慮してまいります。
また、適性評価のために収集した個人情報については、保存期間も含め、運用基準等で適切なルールを定めることを想定しており、生涯監視され続けることになるとの指摘は当たりません。
適性評価制度は、国の重要情報にアクセスしようとする者について、情報保全の観点から必要な確認を行うものであり、本人や家族等を監視する制度ではありませんし、思想、良心の自由やプライバシー権を侵害するというものでもありません。
国民の知る権利、取材、報道の自由や学問の自由との関係についてお尋ねがありました。
正当な取材行為が処罰対象とならないことは、本法案第二十一条第二項で明確化しており、処罰対象とならないことが明確である以上、捜査機関がそのような罪にならない行為を犯罪の嫌疑として逮捕や捜索、差押え等をすることもできません。
また、本法案の第九条第一項第一号により、国会が定める重要経済安保情報の保護措置を前提としつつ、国会の秘密会に対して重要経済安保情報を提供することとしており、国会議員にすら明らかにされないという御指摘も当たりません。
さらに、本法案は、国が保有する情報の管理について定めるものであって、研究活動を含む民間の活動を規制するものではなく、学問の自由を侵害するとの指摘も当たりません。
本法案の制定理由についてお尋ねがありました。
本法案は、安全保障の裾野が経済、技術分野にも拡大する中、経済安全保障分野においても情報管理に万全を期す必要が高まってきている中で、経済安全保障上の重要な情報を管理し活用するためのルールを定めるものです。こうした政府としての情報保全の重要性や民間との情報共有の必要性も踏まえて本法案を策定したものであり、米国政府から要求されたから制度を整備するというものではありません。
また、本制度の対象は、重要経済基盤、すなわち、重要なインフラや重要物資のサプライチェーンの保護に関する情報であって、軍事分野を念頭に置いたものではありません。また、武器輸出を進めるためのものでもありません。
外国為替及び外国貿易法違反について逮捕された事件についてお尋ねがありました。
お尋ねの事件については、現在、国家賠償請求訴訟が係属中であると承知していることから、私の立場から現時点で所感を申し述べることは差し控えますが、亡くなられた相談役に対しては、心から御冥福をお祈り申し上げます。
本件は、外国為替及び外国貿易法違反に関するものであり、今回の法案に直接関係するものではないと認識しておりますが、いずれにしても、捜査が法と証拠に基づき緻密かつ適正に行われるべきこと、これは当然のことであり、捜査機関においては、引き続き、国民の信頼を裏切ることがないよう、適正な職務執行に努めてもらいたいと考えております。(拍手)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01220240319/42
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043・海江田万里
○副議長(海江田万里君) 浅野哲君。
〔浅野哲君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01220240319/43
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044・浅野哲
○浅野哲君 国民民主党の浅野哲です。(拍手)
令和四年、国民民主党も賛成する中で、経済安保推進法が成立し、国家の保全対象情報として、重要経済基盤に関する情報が追加されました。これを受けて、情報保全体制を強化する必要性が生まれ、今次国会において、情報を保全できる人物を評価、認定する制度の創設に至ったものと認識しています。
他方、我が国には既に特定秘密保護制度があり、この制度が扱う対象情報の拡大や、対象情報の重要度に応じた認定基準の多段階化など、既存制度を拡充することで十分に実現できたのではないかとも考えますが、新法としなければならなかった理由について伺います。
また、民間人が重要経済安保情報を取り扱えるようになることで、どのような効果が新たに生じることが期待できるのでしょうか。答弁を求めます。
重要経済安保情報及び特定秘密は、当該情報の漏えいが我が国の安全保障に支障又は著しい支障を与えるおそれがあり、秘匿することを要する情報とされています。この支障及び著しい支障とは、それぞれ、政府内でどのような定義の下、扱われているのか伺います。
経済安保推進法に基づき企業が国に回答した重要物資のサプライチェーンに関する情報や基幹インフラに関する情報が、重要経済安保情報に指定されることはありますか。また、指定された場合、政府は、当該企業に対し、何らかの情報保全行為を求めることはありますでしょうか。
また、経済団体等からは、重要経済安保情報の対象範囲が広がり過ぎることへの懸念や、国際的な連携の可能性がある情報と国外への提供を避けるべき情報とを明確に整理することを求める声などが聞かれます。これらの意見に対する政府の見解を伺います。
第十二条2の一では、調査事項について、評価対象者の家族や同居人の氏名、生年月日、住所、国籍などが例示されていますが、その合理性には疑問があります。国際結婚や海外渡航頻度の増加などを踏まえれば、国籍や住所で一概に判断できるものではなく、また、ハニートラップなどのリスク評価の必要性についても指摘がされる中、米国では調査事項とされている性的行動、セクシュアルビヘービアなどは含まれず、条文中にこのような限定例示をした意図について説明を求めます。また、適性評価の有効期間が十年とされている理由も教えてください。
行政機関の長や国務大臣、副大臣、大臣政務官、官房副長官、総理補佐官について、適性評価を受けなくとも重要経済安保情報を取り扱うことができるとされている法的根拠はありますでしょうか。この根拠の有無によらず、そのような取扱いとした理由を教えてください。
いずれも総理が任命する役職です。これらの人物が万が一にも重要経済安保情報を漏らした場合、第二十二条第一項に基づき、五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処されますが、任命者である総理にも責任があることを明確にすべきです。さもなくば、政務の役職に任用する時点で、適性評価同等のクリアランスを実施しておくべきと考えますが、総理の見解を伺います。
個人の適性評価について、事業者側の誰が結果を知るべきかという問題があります。適性評価が受けられなかった場合に、その後の人事や評価、処遇などに悪影響を及ぼすことのないよう、適性評価の情報や手続を一元的に担う専門部署を設けるなど、公的な適性評価と会社の人事評価を切り分けるための社内体制整備が必要と考えますが、見解をお聞かせください。
株主や取締役会の多国籍化が進んでいます。株主や取締役会の構成も適性評価の調査事項となると伺っていますが、これに対しては情報が少なく、事業者から不安の声も聞かれています。事業者に対するクリアランスでは、どのような観点から調査、評価を行うのか、具体的に教えてください。
適性評価に関する調査項目や運用上の留意点などは、今後検討され、政省令で定められていくとのことですが、その検討はどのようなメンバーで行っていく予定でしょうか。学術界や経済界、労働界、法曹界等の代表等が参加できる仕組みとしていただきたいと思います。
本法案は、既存のセキュリティークリアランス制度とのシームレスな運用を図ることを目的として制度全体を設計していると聞いていますが、政府が考えるシームレスな運用とは、具体的にどのような効果として発露してくることを想定しているのでしょうか。また、将来的には、特定秘密保護法や特別防衛秘密に関する法律との一元化を図るべきではないでしょうか。見解を伺います。
また、適性評価を受けた者の資格は、その者が異なる業務分野に異動した後でも有効となることとされていますが、適性評価に一定の期間を要することなどを踏まえれば、有資格者となった者が繰り返し登用されることが予想されます。一方、適性評価を受ける意思がありながら取得の機会に恵まれない者との公平性にも目を向けなければなりません。重要経済安保情報を取り扱う環境にいない者が適性評価を受けることを望んだ場合、事業者はこれにどのように応えるべきか、政府の見解を伺います。
以上で私の発言を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01220240319/44
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045・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 浅野哲議員の御質問にお答えいたします。
国務大臣等に対する適性評価についてお尋ねがありました。
議員御指摘のとおり、本法律案においては、国務大臣等も、漏えいを行った場合には最大五年以下の拘禁刑などの罰則が及ぶこととなります。
現行の特定秘密保護法において、国務大臣等は特定秘密の取扱いの業務を行うことが当然の前提とされることから、内閣総理大臣がその任命を行うに当たり必要な考慮がなされるとの考えに基づき、国務大臣等を適性評価の対象外とされています。
本法律案においても、特定秘密保護法と同様に、国務大臣等については、内閣総理大臣がその任命を行うに当たり必要な考慮がなされるとの考えに基づき、適性評価の対象外としています。
なお、国務大臣等の任命責任が総理大臣にあるということ、これは言うまでもないことであります。
残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
〔国務大臣高市早苗君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01220240319/45
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046・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) 浅野哲議員からは、まず、重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案に関して、既存制度の拡充ではなく新法とした理由についてお尋ねがございました。
官民での協働、連携が重要となる経済安全保障という分野の特色を踏まえますと、重要な情報を政府内で秘匿するのみならず、情報保全に関し信頼できる民間事業者にその情報を共有して活用することが重要であることに鑑み、特定秘密保護法とは別の法律によることとしたものでございます。
次に、民間人が重要経済安保情報を取り扱えるようになることで新たに生じる効果についてお尋ねがありました。
経済活動に関して行われる国家及び国民の安全を害する行為を未然に防止する重要性が増大している中で、例えば、重要な物資に関するサプライチェーン上の脆弱性の解消に関する情報や基幹的なインフラのサイバー脅威に関する情報などを、必要に応じ事業者に共有した上で、対策を進めていくことが必要でございます。
このため、本法案によりまして、これらの情報の保全措置を講じた上で事業者に提供し共有することで、我が国の安全保障の確保に資する活動をより円滑かつ実効的に行えるようになることが期待されます。
また、諸外国におきましては、セキュリティークリアランスを保有していることがいわば信頼性のあかしとして認識されているような事例もあると指摘されており、例えば、クリアランスを保有する我が国の民間事業者と外国の民間事業者との間で、一定の情報のやり取りが円滑になることも期待されます。
次に、支障及び著しい支障が、それぞれ政府内でどのような定義の下で扱われているのかについてお尋ねがありました。
安全保障に著しい支障を与えるおそれとは、例えば、安全保障のために我が国が実施する措置等の詳細やそのための能力が露見した場合、その間隙をついたり対抗措置を講ずるなど、我が国に対する攻撃が著しく容易となるような場合や、外国の政府などからの信用が著しく損なわれ、今後の情報提供などが滞ることとなる場合を指します。
一方、安全保障に支障を与えるおそれとは、そのような著しいとまでは言えない程度の支障も含め、安全保障の確保に支障が生じ得る場合を指しております。
次に、経済安保推進法に基づき企業が国に回答した情報に関するお尋ねがありました。
民間事業者から提供され、政府が保有することとなった情報を仮に重要経済安保情報に指定しても、その指定の効果は、当該民間事業者が元々保有している情報には及びません。
一般的に、政府が各事業者から提供された情報を集約したり分析するなどして作成した情報を、重要経済安保情報として指定することが考えられます。
そのような場合におきましても、情報指定の法的効果が情報を提供した民間事業者に及ぶのは、政府と秘密保持契約を結んだ上で、政府が指定した情報を当該事業者が重要経済安保情報として保有するに至った場合に限定されます。
次に、経済団体などからの情報の対象範囲に関する意見に対する政府の見解についてお尋ねがありました。
本法案で保護すべき対象は、重要経済基盤保護情報であって、公になっていないもののうち、その漏えいが我が国の安全保障に支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるという三つの要件に該当するものに限ることとしております。
ここで言う重要経済基盤保護情報については、我が国にとって重要なインフラと重要な物資のサプライチェーンの二つを重要経済基盤と定義した上で、その保護に関わる四つの情報類型を明示し、対象を絞り込んでおります。
さらに、重要経済安保情報の指定などに関して統一的な運用を図っていくため、有識者に意見を聞いた上で作成した運用基準を閣議決定することとしており、こうした基準を通じて、一層の明確化に努めてまいります。
外国政府等への情報提供につきましては、各行政機関の長が、自らの所掌事務のうち我が国の安全保障に関するものを遂行するために必要があると認めたときに限って行うことができることとしており、重要経済安保情報を民間事業者から直接外国政府などへ提供することは、制度上想定しておりません。
次に、適性評価の調査事項及び有効期間に関するお尋ねがありました。
家族、同居人に係る調査事項については、重要経済基盤毀損活動との関係を知る手がかりとして、家族、同居人についても最小限の事項は一律に調査することを明示したものであり、特定秘密保護法と同様の規定としています。
なお、適性評価は各項目の調査結果を総合して判断するものでございますので、ある一つの事項のみをもって判断するわけではございません。
また、本法案で適性評価の再実施が不要となる期間を十年といたしましたのは、特定秘密保護法における同様の期間が五年であることを参考に、情報保全上のリスクと、適性評価による評価対象者への負担との比較考量により決定したものでございます。
次に、行政機関の長や国務大臣などが、適性評価を受けなくても重要経済安保情報を取り扱うことができるとされている法的根拠や、その理由についてお尋ねがありました。
本法案第十一条第一項ただし書は、お尋ねの国務大臣などについて、適性評価を受けなくても重要経済安保情報の取扱いの業務を行うことができる旨を明記しています。
この規定は、国務大臣等は重要経済安保情報の取扱いの業務を行うことが当然の前提とされることから、内閣総理大臣がその任命を行うに当たり必要な考慮がなされるとの考えに基づいたものでございます。このことは、より機密度の高い情報を保護の対象とする現行の特定秘密保護法においても同様の取扱いとしております。
次に、適性評価と会社の人事評価を切り分けるための社内体制整備についてお尋ねがございました。
適合事業者の従業者についての適性評価の結果については、重要経済安保情報の取扱いの業務を担当できる従業者の範囲を明確にするために、適性評価を行った行政機関の長から当該事業者に通知することとしております。
通知された適性評価の結果をどの部署で管理するかは適合事業者により異なると思われますが、本法案では、適性評価の結果を、事業者において、重要経済安保情報の保護以外の目的、すなわち一般的な人事評価などに利用することを禁止しております。これが担保されるよう、体制整備の在り方を含め、しっかりと検討してまいります。
株主や取締役会の構成も含む、事業者に対するクリアランスについてお尋ねがございました。
適合事業者の判断のための基準の具体的な内容は、今後検討していくことになりますが、特定秘密保護法施行令と同様に、重要経済安保情報を取り扱う場所への立入り及び機器の持込みの制限、従業員に対する重要経済安保情報の保護に関する教育などの措置の実施に関する規程を政令で定めることを想定しております。
また、第十八条において、有識者に意見を聞いた上で作成する運用基準には、適合事業者の認定に関する統一的な運用を図るための基準を盛り込むことを明記しており、民間事業者からの予見可能性にも配意した運用を図っていくこととしております。
御指摘の株主や取締役会などの組織的要件につきましては、有識者会議の最終取りまとめにおいて、主要国の例も参照しつつ、我が国の企業の実情や関係法令との整合性も踏まえながら、実効的かつ現実的な制度を整備していくべきとされていることなどを踏まえて検討してまいります。
次に、運用基準の検討の在り方や有識者の参画についてお尋ねがございました。
本法案第十八条は、適性評価の実施などの運用に関し統一的な運用を図るために、閣議決定により運用基準を定めることとしており、その策定に当たりましては、我が国の安全保障に関する情報の保護、行政機関等の保有する情報の公開、公文書等の管理に関し優れた識見を有する者の意見を聞いた上で案を作成することとしております。
御意見を聞くこととなる有識者の人選を含めた具体的な検討の在り方については、法所管となる内閣府において、御指摘も踏まえて検討してまいります。
次に、シームレスな運用の効果及び特定秘密保護法や特別防衛秘密に関する法律との一元化についてお尋ねがございました。
本法律案をお認めいただきましたら、経済安全保障分野の情報保全制度は、特定秘密保護法と本法律案との二つの制度に基づき運用されることとなりますことから、他国の理解を得る上でも、情報保全を実効あるものにするためにも、両制度がシームレスに運用されることが重要だと考えております。
そのため、制度的な仕組みとして、例えば、特定秘密保護法に基づく適性評価において特定秘密を漏らすおそれがないと認められた者に関しては、本法案に基づく適性評価を受けずとも重要経済安保情報の取扱いが可能としております。また、本法律案が成立すれば、施行に向けた準備を進める中で、必要に応じて特定秘密保護法の運用基準の見直しの検討を行うなど、両制度のシームレスな運用を図ってまいります。
なお、本法律案は、経済安全保障に関する重要な情報のうち一定の機微度のものについては、民間事業者にも積極的に提供し活用するという考え方に基づき、特定秘密保護法とは別の新法として制定しようとするものであり、今後、特定秘密保護法や特別防衛秘密に関する法律との一元化を図ることは考えておりません。
最後に、適性評価を受ける従業者の範囲についてお尋ねがございました。
従業者に対する適性評価は、適合事業者が政府との間で秘密保持契約を締結した後、重要経済安保情報の取扱いの業務を行うことが見込まれる従業者について行われることになります。
適性評価を受ける従業者の範囲については、一義的には当該適合事業者に判断していただくものですが、その際、個々の従業者について、御指摘の御本人の希望も含めて、その必要性について判断いただくことはあり得ると考えております。
その結果、従業者に新たに適性評価を受けていただく必要があれば、御本人の同意を得た上で適性評価を実施することとなります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01220240319/46
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047・海江田万里
○副議長(海江田万里君) これにて質疑は終了いたしました。
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01220240319/47
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048・海江田万里
○副議長(海江田万里君) 本日は、これにて散会いたします。
午後三時二十三分散会
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出席国務大臣
内閣総理大臣 岸田 文雄君
法務大臣 小泉 龍司君
外務大臣臨時代理
国務大臣 林 芳正君
財務大臣 鈴木 俊一君
国土交通大臣 斉藤 鉄夫君
防衛大臣 木原 稔君
国務大臣 高市 早苗君
出席内閣官房副長官及び副大臣
内閣官房副長官 村井 英樹君
内閣府副大臣 古賀 篤君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01220240319/48
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