1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和六年四月五日(金曜日)
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議事日程 第十二号
令和六年四月五日
午後一時開議
第一 日本電信電話株式会社等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
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○本日の会議に付した案件
日程第一 日本電信電話株式会社等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
新たな事業の創出及び産業への投資を促進するための産業競争力強化法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
午後一時二分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01820240405/0
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001・額賀福志郎
○議長(額賀福志郎君) これより会議を開きます。
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日程第一 日本電信電話株式会社等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01820240405/1
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002・額賀福志郎
○議長(額賀福志郎君) 日程第一、日本電信電話株式会社等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
委員長の報告を求めます。総務委員長古屋範子君。
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日本電信電話株式会社等に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書
〔本号末尾に掲載〕
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〔古屋範子君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01820240405/2
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003・古屋範子
○古屋範子君 ただいま議題となりました法律案につきまして、総務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
本案は、近年における社会経済情勢の変化に鑑み、日本電信電話株式会社等について、電気通信技術に関する研究に係る責務を廃止するとともに、商号の変更を可能とするほか、日本の国籍を有しない人が取締役又は監査役に就くことを禁止する規制を緩和する等の措置を講じようとするものであります。
本案は、去る四月一日本委員会に付託され、翌二日松本総務大臣から趣旨の説明を聴取し、昨四日、質疑を行い、これを終局しました。次いで、討論を行い、採決いたしましたところ、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
なお、本案に対し附帯決議が付されました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01820240405/3
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004・額賀福志郎
○議長(額賀福志郎君) 採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01820240405/4
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005・額賀福志郎
○議長(額賀福志郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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新たな事業の創出及び産業への投資を促進するための産業競争力強化法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01820240405/5
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006・額賀福志郎
○議長(額賀福志郎君) この際、内閣提出、新たな事業の創出及び産業への投資を促進するための産業競争力強化法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。経済産業大臣齋藤健君。
〔国務大臣齋藤健君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01820240405/6
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007・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 新たな事業の創出及び産業への投資を促進するための産業競争力強化法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
我が国経済は、国際的な経済秩序の変化やコロナからの再興等に加え、気候変動やデジタル化等の新たな社会課題の解決に官民連携で取り組んできた効果もあり、過去最高水準の国内投資の見通し、三十年ぶりの高水準の賃上げの実現等、潮目の変化が生じています。
この変化を持続させ、長年のデフレ構造から脱却すべく、将来への期待を高め、民間企業が投資、イノベーションを主導し、高水準の賃上げが続くような、成長型経済への移行が求められています。そのためには、戦略的国内投資の拡大と、国内投資拡大につながるイノベーション及び新陳代謝の促進が必要です。こうした状況を踏まえ、本法律案を提出しました。
次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
まず、産業競争力強化法の一部改正です。
国際競争に対応して市場を獲得すること等が特に求められる商品を生産、販売する計画を認定し、生産、販売量に応じた大規模、長期の税額控除等の措置を講じます。
また、政府が知的財産権の活用状況等を調査する規定を根拠に、国内で自ら研究開発した知的財産権を用いていることを確認できた場合、ライセンス所得及び譲渡所得に所得控除を行います。
さらに、常用従業員数が二千人以下であって中小企業者ではない会社等を中堅企業者と、このうち成長発展に向けて活動しているものを特定中堅企業者と定義し、特定中堅企業者又は中小企業者が複数回MアンドAを行う計画を認定した場合、税制優遇等を講じます。
加えて、産業革新投資機構が有価証券等の処分を行う期限を二〇五〇年三月末まで延長するとともに、スタートアップがストックオプションを機動的に発行できる仕組みを整備します。
また、共同で研究開発を行う企業、大学等の標準化と知的財産権を活用した市場創出の計画を認定した場合の支援措置を講じます。
次に、投資事業有限責任組合契約に関する法律の一部改正です。
投資事業有限責任組合の取得等が可能な資産に暗号資産等を追加するとともに、株式等の保有率を五〇%未満に制限される外国法人の範囲を見直します。
次に、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法の一部改正です。
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構の業務に、革新的な鉱工業技術を活用して新たな事業の開拓を行う事業者に対する、企業化に必要な事業活動に係る補助金の交付等を追加します。
加えて、独立行政法人工業所有権情報・研修館法について必要な改正を行います。
以上が、本法律案の趣旨であります。(拍手)
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新たな事業の創出及び産業への投資を促進するための産業競争力強化法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01820240405/7
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008・額賀福志郎
○議長(額賀福志郎君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。荒井優君。
〔荒井優君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01820240405/8
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009・荒井優
○荒井優君 立憲民主党の荒井優です。
会派を代表して、ただいま議題となりました新たな事業の創出及び産業への投資を促進するための産業競争力強化法等の一部を改正する法律案につきまして質問いたします。(拍手)
台湾ジャーヨー。
四月三日の朝に、台湾で地震が起きました。四月五日午前九時時点では、十名がお亡くなりになり、一千百六名がけがをされ、行方不明の方が十八名と報道されています。お亡くなりになった方へのお悔やみと被災された方へのお見舞い、そして、少しでも早く救出が進むようお祈り申し上げます。
台湾の皆さんは、十三年前の東日本大震災のときには二百五十億円もの義援金を送ってくださいました。また、今年の能登半島地震のときには、二週間で二十五億円以上の義援金を送ってもくださいました。私たちは、このことを忘れません。日本政府としても最大限の支援を行う必要があると考えます。
本法案は、中小企業者と大企業者の分類に、新たに中堅企業者を設け、競争力の引上げを支援するものです。しかし、どのような規模の企業であれ、責任者は、不祥事を起こさないマネジメントができることが大前提であり、また、残念ながら不祥事が起きた際には、速やかに適切に対応し、信頼回復に向けて最大限のことを行う、これが責任者としての必要十分条件だと考えますが、所管の齋藤経済産業大臣のお考えはいかがでしょうか。
昨年は不祥事がたくさんありました。民間企業は、不祥事発覚後に、客観性のある第三者委員会による調査を行い、いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのようにやったのかを明らかにし、被害者や顧客、株主、従業員に責任者が謝罪をし、最終的には責任者が辞任をしています。
政治にも不祥事がありました。自民党は、八十名以上の所属議員がキックバックを受け取り、裏金、脱税の疑いも指摘されるなど、信頼を失っているにもかかわらず、お手盛りの内部調査しか行いません。本日に至っても、その裏金を何に使ったのか、誰がキックバックを復活させたのかという肝腎要のところを国民には説明していません。
昨日、八十二名の自民党所属の裏金議員のうち、不記載額五百万円以上の三十九名だけが処分されました。なぜ五百万円以上なのか。処分の差は何なのか。なぜ、引退を表明した二階元幹事長は処分に及ばないのか。なぜ、会計責任者が立件された宏池会の会長である岸田総理は処分されないのか。しかし、一番問題なのは、なぜ、これら全ての責任者である岸田自民党総裁は自ら責任を取ろうとしないのか、このことではありませんか。民間企業で責任者がこのような態度だと、企業は潰れるのではないでしょうか。
内向きの進め方がかえって物事の収拾をつかなくさせていると、はたからは見えます。今更ですが、自民党は初動から対応を間違えていました。日弁連のガイドラインに基づいた第三者委員会の設置をするべきでした。調査結果を隠すことなく公表し、公明正大に処分することが必要でした。今、岸田総理に問われているのは、聞く力ではなく、危機管理能力です。
二〇〇〇年七月、九州・沖縄サミットが行われたときには、日本の一人当たりGDPはG7参加国で最高の三万九千百七十三ドルでした。当時の日本は、G7で最も豊かな国と言えます。一方、G7広島サミットが行われた二〇二三年は、日本の一人当たりGDPは三万五千三百八十五ドル。二十三年前の〇・九倍です。一方、日本以外のG7諸国はほぼ二倍になりました。現在は、ドルベースの一人当たりGDPがG7で一番少ない国となってしまったのです。
一橋大学の伊丹敬之名誉教授は、二〇〇一年、小泉内閣のときに、竹中平蔵氏らが提唱したコーポレートガバナンス改革により株主最優先の経営を行った結果、人件費抑制、設備投資抑制に至り、景気低迷を招いたとしています。
そこで、齋藤大臣に伺います。
日本の再生には、株主への過度な傾斜を見直し、職員、顧客、地域など、人材と人的ネットワークを大切にする人本主義の経営こそ必要だと考えますが、大臣の見解を伺います。
政府は、昨今の経済状況について、賃上げや民間企業の設備投資が拡大している状況を、潮目の変化が生じていると表現しています。しかし、毎月勤労統計調査では、二〇二三年は、名目賃金はプラス一・二%でも、物価上昇率はプラス三・八%、実質賃金はマイナス二・五%です。バブル期を超える株価になっていても、生活実感の厳しさを訴える声は増えています。
こうした国民の実感の中で、潮目の変化と政府が捉えている現在の経済環境はどのようなものか、ひいては国民の生活の充実にどのようにつなげようとしているのか、今回の法案提出の背景について御説明ください。
二〇二二年に政府が策定したスタートアップ五か年計画では、二〇二七年度に投資額を十兆円規模とし、将来においては、ユニコーンと呼ばれる、設立十年以内で企業評価額が十億ドル以上の非上場テクノロジー企業を百社創出するとしました。
現状を見ると、二〇二三年のスタートアップ投資額は約七千五百億円にとどまり、ユニコーンも数社が存在するのみです。この現状を政府としてはどのように評価し、今回の改正案が目標にどの程度貢献すると見込んでいるでしょうか。齋藤大臣にお聞きします。
愛知県が百四十三億円の予算をかけてつくる日本最大のスタートアップ支援拠点、STATION Aiが今年の十月に開業しますが、既に、愛知県の誇る物づくりの会社も多数参画し、スタートアップ企業の若者たちと様々な新しい取組が始まっていました。
本法案でのスタートアップ企業関連措置ではファイナンスに注力されていますが、現場では、人材の獲得やマネジメントの確立が課題になっています。その意味でも、起業家や投資家、ビジネスマン、学生や子供たち、地域の方々が集まり、交流でき、学び合うことができる、このようなスタートアップ支援拠点を全国に展開することも重要だと思いますが、齋藤大臣の所見を伺います。
本法案では、従業員二千人以下で中小企業に該当しない企業を中堅企業者とし、特に、賃金水準が高く、国内投資に積極的な中堅企業を特定中堅企業者と定め、制度や税制の支援を受けられるようにします。新たに中堅企業者、特定中堅企業者と定義し支援することによって、どのような政策効果を導こうとしているのか、齋藤大臣の認識をお伺いいたします。
中小企業は、全国で三百三十六万社、全企業の九九%以上を占め、全雇用者数の約七割が働いています。私たち立憲民主党は、地域の雇用を支える視点から、中小企業が正規雇用を維持拡大するために必要な施策を実施することが必要と考えます。新たに正規労働者を雇用した中小企業に対し、長期にわたり社会保険料の事業主負担の一定部分を助成することにより、中小企業の新規人材の獲得及び事業の充実と活性化が図られるよう、施策を講ずるべきではないでしょうか。齋藤大臣の御意見をお聞きします。
本法案では、電気自動車等、グリーンスチール、グリーンケミカル、持続可能な航空燃料であるSAF、半導体を産業競争力基盤強化商品と定め、生産、販売量に応じて税額控除をします。
しかし、昨年十二月にGX実行会議で策定された分野投資戦略では、この五分野以外に、蓄電池や次世代太陽電池、ペロブスカイト太陽電池、浮体式洋上風力も対象としていましたが、今回の法案では対象になっていません。なぜ、これらの次世代型再エネ技術を使った技術を対象から外したのか、その理由について、齋藤大臣、お聞かせください。また、今後対象を加えていく可能性があるのかも、併せてお伺いいたします。
また、本法案では、事業計画認定後、十年間の税額控除が認められます。ただ、税制の対象となる商品には、生産設備を導入して本格的な製品の生産、販売を開始するまでに相当の期間を要するものもあります。事業計画認定から十年間という期間設定が妥当なのか、齋藤大臣にお聞きします。
これまでは、政府が特定の企業に対し大規模な支援をする場合は、補助金を活用してきました。補助金は一年ごとに機動的に対応できますが、税制では機動的な対応が難しく、十年となると産業構造の変化に適切な対応ができなくなるのではないでしょうか。それにもかかわらず、補助金ではなく、十年の税額控除に踏み切った意図を齋藤大臣にお尋ねします。
本法案を含めて、今の日本の経済対策は、多額の補助金や税制優遇を特定の企業に与えることが少なくありません。その一方で、自民党や派閥、政治家個人に対する、企業による多額の献金やパーティー券購入が見受けられます。
例えば、ガソリン補助金。既に税金六兆円が補助金として石油元売各社に支払われていますが、その一方で、石油連盟は毎年五千万円を自民党に献金していると報道されています。昭和の時代から続いてきた政党への献金と企業への補助金は、国民からは癒着や裏金の温床の疑念を抱かせかねません。だからこそ、立憲民主党は、石油元売会社を経由せずに直接にガソリン価格を引き下げることができるトリガー条項の凍結解除を訴えてきました。
自民党の裏金問題が発覚した今こそ、昭和型政治経済システムと決別し、真っ当な令和型経済システムを構築することが求められます。
今、日本には喫緊の課題がたくさんありますが、組織の危機管理能力が乏しい自民党が政権与党として国家を運営していることこそが、一番の危機ではないでしょうか。潮目の変化が生じているとは、政権交代の潮目ではないでしょうか。
私たち立憲民主党は、政権運営能力をしっかり磨き、国民の皆様の負託に応えてまいります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣齋藤健君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01820240405/9
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010・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 荒井議員の御質問にお答えします。
不祥事の防止と発生時の適切な対応及び信頼回復に関する企業経営者の責任についてのお尋ねがありました。
議員御指摘のとおり、経営者は、コンプライアンスの徹底により不祥事を防止し、発生時には信頼の早期回復を図ることが重要です。
こうした観点から、経済産業省では、令和元年六月に、グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針を策定し、現場レベルのコンプライアンス意識の向上、法務、財務部門や内部監査部門の独立性確保、不祥事が発生した場合の第三者委員会の活用などについてお示ししました。各企業経営者のリーダーシップの下、責任を持って、これらの内容も踏まえながら経営に取り組むよう、引き続き周知に努めてまいります。
多様なステークホルダーを意識した経営の必要性についてお尋ねがありました。
経済産業省としては、株主のみならず、顧客や従業員、地域など、あらゆるステークホルダーに価値を提供し、企業価値を最大化していくという考え方の下、持続的な企業価値の向上に向けた様々な取組を行ってきました。こうした取組により、足下では、利益の従業員への還元である賃上げや、国内投資といった地域への還元も進んでいます。
引き続き、価値協創ガイダンスの普及や人的資本経営への転換の後押しなどを通じて、企業のアニマルスピリッツを呼び起こし、積極的な成長投資や人的投資の拡大を促してまいります。
本法案の提出背景についてお尋ねがありました。
今年の春季労使交渉の第三回集計では五%を超える賃上げの数字が示され、二年連続で企業の賃上げの動きは加速しています。また、三十年ぶりとなる百兆円規模の投資が実現するなど、我が国経済には潮目の変化が生じています。
ここで気を緩めてチャンスを逃し、元のもくあみにしてはなりません。潮目の変化を持続させ、三十年間続いたコストカット型の縮み志向から脱却すべく、国民や企業への将来への期待を高めることを通じて、民間企業が投資、イノベーションを主導し、高い水準の賃上げが続いていくような成長型の経済に移行させることが求められています。
日本経済はまさにこれからが正念場であり、本法案は、このような背景の下、戦略的国内投資の拡大と国内投資拡大につながるイノベーション及び新陳代謝の促進といった取組を強化するため提出したものであります。
スタートアップの現状に対する評価と目標達成に関してお尋ねがありました。
これまでの政策効果も相まって、我が国のスタートアップ投資額はこの十年間で約十倍と堅調に推移しており、スタートアップエコシステムの裾野も広がりつつあると認識しています。
本法案によるスタートアップへのリスクマネー供給強化やディープテックスタートアップ支援の強化といった措置は、スタートアップへの更なる投資拡大、新たなユニコーンの創出を促すものであり、目標の達成にも着実に貢献するものと考えています。
スタートアップ支援拠点の展開に関するお尋ねがありました。
御指摘のとおり、地域のスタートアップや投資家、地域の方々が交流する拠点の存在は、地域のスタートアップエコシステムを構築していく上で大変重要です。
内閣府とも連携し、エコシステムの構築に積極的な自治体、大学、民間企業などで構成されるコンソーシアムをスタートアップエコシステム拠点都市として選定し、集中支援を行います。また、優れたスタートアップの選定プログラム、J―Startupの地域版を各地方で推進するなど、関係省庁と連携し、各地域におけるスタートアップ創出と成長に向けた環境整備を進めてまいります。
中堅企業支援の狙いについてお尋ねがありました。
中堅企業は、国内売上げ、投資の着実な拡大を通じ、地方における良質な雇用の提供者、さらには経営資源の集約化等により前向きな新陳代謝の担い手としての役割を果たしている重要な企業群です。
本法案では、常用従業員数が二千人以下であって中小企業でない企業等を中堅企業者と定義し、特に、賃金水準や投資意欲が高い企業等を特定中堅企業者と定義します。その上で、これらが複数の中小企業をMアンドAした場合の税制措置等を講じ、中堅企業の更なる成長や、中堅企業、中小企業によるグループ一体での収益力の向上等を促進します。
これにより、中小企業から中堅企業、そしてその先へとシームレスに成長を目指せる環境の整備につなげてまいります。
中小企業の社会保険料負担や新規人材の獲得等についてお尋ねがありました。
社会保険料は厚生労働省の所管であり、その負担の在り方について経済産業大臣の立場からお答えすることは差し控えます。
その上で、中小企業が新規人材を獲得し事業を活性化させるためには、経営者が、賃上げや働き方改革などを通じて企業自身の魅力を高めていくことが不可欠です。そのため、経済産業省として、設備投資等による生産性向上への支援や賃上げ促進税制の活用促進などにより、中小企業の魅力を高め、新規人材の獲得等につなげていくよう取り組んでまいります。
戦略分野国内生産促進税制の対象分野についてお尋ねがありました。
投資促進策は様々な手法があり、分野ごとの特徴も踏まえて講じることが重要です。本税制は、戦略分野のうち、特に生産段階のコストが大きい等の理由から投資判断が難しい分野を対象としており、御指摘のペロブスカイト太陽電池などの次世代再エネ技術に係る商品については、初期投資の大きさなどの現状の課題も踏まえて、初期投資支援の補助金などを措置しています。
また、本税制の対象の追加は現時点で具体的には想定していませんが、今後の技術や世界の動向なども踏まえ、税制のほか、補助金や規制、制度などを含む効果的な投資促進策を不断に検討してまいります。
戦略分野国内生産促進税制の措置期間の妥当性についてお尋ねがありました。
本税制の対象分野は、長期にわたる予見可能性を確保することにより国内投資を促進することが重要であり、その観点から、本税制の適用期間については、十年間という長期の措置期間を設けています。
一方で、事業者に対してできる限り早期に国内投資や生産を促すことも重要であり、御指摘の生産設備の導入から生産、販売開始までの期間も含め、本税制の措置期間を事業計画認定時から十年間と定めております。
本税制について長期の措置期間を設ける意義についてお尋ねがありました。
本税制の対象分野は、生産段階でのコストが大きい等の理由から投資判断が難しく、長期にわたる予見可能性の確保が必要です。このため、補助金ではなく、十年間という長期の措置期間にわたり、生産、販売量に応じた税額控除措置を講じることとしております。
その上で、本税制は、今後三年程度のうちに新たな投資が決定、開始されたものが対象となりますが、今後の産業構造への変化に対しては、技術動向や世界の動向などの変化も踏まえて、税制だけでなく、補助金や規制、制度などを含め、効果的な投資促進策を不断に検討してまいります。(拍手)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01820240405/10
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011・額賀福志郎
○議長(額賀福志郎君) 鈴木義弘君。
〔鈴木義弘君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01820240405/11
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012・鈴木義弘
○鈴木義弘君 国民民主党の鈴木義弘です。
国民民主党・無所属クラブを代表して、法案の質問を行います。(拍手)
日経平均株価は、先月、四万円台に乗り、今日は三万九千円ぐらいだったと記憶しております。また、先月、公示価格が発表され、地価の全国平均は前年より二・三%上昇、コロナ禍以降の日本経済に明るい兆しが見えてきたと感じる一人であります。
しかし、地元を回ると、様々な業種の経営者や個人からは、経済の明るさを打ち消す実情を聞きます。皆一様に景気が上向いていると感じていないことがうかがわれます。
大企業がもうかれば、いずれ中小零細、個人にもその恩恵が流れてくる、十年前のアベノミクスで、トリクルダウンが起こるからもう少し待ってくれ、ワイングラスを三段に積んで上段にワインを入れたら、上段のグラスがいっぱいになって二段目、三段目と下りてくると言われていたと記憶しています。しかし、一向に下りてこない。よくよく見たら、グラスの大きさが皆同じではなく、一番上段のグラスが一番大きくて、それでも、二番目、三番目のグラスの関係者は、我慢して人一倍働いて、何とか事業を継続して生活を送ってきた。そのグラスを支える足が一段と細くなっているのが現在の状況と感じています。
そのような状況の中で、産業競争力強化法等の一部を改正する法律案が提出されました。この法案は、結果として中小零細事業者を淘汰させて産業構造を激変させようと考えているのか、お尋ねいたします。
また、今回の法改正案は、米国のインフレ抑制法、IRAを始め、ヨーロッパやアジアで自国の産業を守るための立地産業政策に対応するものと考えますが、結局、各国の補助金や税額控除の競争合戦に入っていくものと考えるが、それをやり続ける国力が我が国にはあるのか、お尋ねいたします。
世界に先駆けて進めてきた米国の電気自動車が、ここに来て、米国内での生産だけを対象にしていた補助金に対して抜け道があり、海外産の電気自動車にシェアを奪われている。さらに、日本のハイブリッド車の燃費がよいので乗り換える消費者が増えていると聞きます。また、ある国は、電気自動車も、保有台数の割合は大きいものの、不具合が多く、廃棄して処分しているとの話も聞きます。
本改正案は、先行投資を促進させるものと理解しますが、日本国内では、電気自動車等、グリーンスチール、グリーンケミカル、SAF、半導体に多額の税額控除額を予定していますが、形を変えた補助金にしか見えないんです。さらに、税額控除の対象となっている分野はGXに関連するものが中心となっていますが、他の分野や産業にも拡大する考えがあるのか、お尋ねいたします。
例えば、グリーンスチール普及には、サプライチェーンの可視化、デジタル化が必須であると言われていますが、鉄鋼業界における重要書類の一つにミルシートがあります。このミルシートが今でもアナログ対応が中心であり、ミルシートの添付間違いによる再輸送コストの増加など、たとえグリーンスチールが構築できたとしても、川中、川下では相変わらずアナログの商習慣となっていればGXはほど遠く、この民間サイドの不作為がボトルネックになるとの懸念が残ると言われていますが、政府の対応をお尋ねいたします。
本改正案では、産業競争力基盤強化商品の生産、販売量の増加が対象でありますが、原材料調達、部品加工、組立て、検査、物流、販売といった製造に係るサプライチェーン全体を税制の対象にしないと、結局、この法改正で恩恵が受けられるのは一部でしかないと考えますが、政府の見解を求めます。
スタートアップやディープテックスタートアップ支援事業がうたわれていますが、何が将来有望な技術かどうか、誰が現場で判断するのか。目利き人材は育ったのか、目利き人材の育成制度を政府は構築できたのか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01820240405/12
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013・額賀福志郎
○議長(額賀福志郎君) 鈴木義弘君、申合せの時間が過ぎましたから、なるべく……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01820240405/13
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014・鈴木義弘
○鈴木義弘君(続) 以上で質問を終わりにします。(拍手)
〔国務大臣齋藤健君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01820240405/14
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015・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 鈴木議員の御質問にお答えします。
中小零細事業者や産業構造への影響についてお尋ねがありました。
本法案は、三十年ぶりの高水準の賃上げ、国内投資という潮目の変化を持続させ、コストカット型経済から中小・小規模事業者も含めた成長型経済への移行を実現するべく、戦略的な国内投資や中堅企業等の更なる成長等を促進することを目的とするものです。中小零細事業者を淘汰させることが目的ではありません。
具体的には、新たな市場の創出につながる戦略分野への投資を強力に促進するための生産、販売量に応じた大規模、長期の税制措置や、中堅企業及び中小企業が複数の事業者をMアンドAにより承継する場合の税制措置等を講じます。
これらの措置により、戦略分野における中小・小規模事業者を含めたサプライチェーン全体への裨益が見込まれるとともに、中堅企業等にグループ入りした中小・小規模事業者の収益力の向上等を通じて、幅広い中小・小規模事業者の成長にも資すると考えています。
各国の産業立地政策に対する我が国の対応についてお尋ねがありました。
国際的にも、自国内への戦略分野の投資を促す産業政策が活発化しています。我が国においても、世界の中で競争力を確保できる強い産業を生み出していくため、こうした他国の産業政策との競争に対応できる投資促進策が必要です。
GXを始め、日本には有望な産業分野が多く存在しております。本法律案において、こうした産業の特徴、強みなども踏まえ、戦略物資ごとの生産、販売量に応じた税額控除措置など、国内投資を促進する政策を講じてまいります。
こうした政策によって、国内投資を促進し、世界で勝負して勝ち抜ける産業を創出することができれば、我が国経済は成長を続け、その成長が更なる投資につながります。こうした循環を生み出していくために、積極的な産業政策を更に展開し、継続していかなくてはならないと考えています。
戦略分野国内生産促進税制の対象分野についてお尋ねがありました。
欧米等が強力な投資促進策を講じる中、我が国でも、戦略分野のうち、特に生産段階でのコストが大きい等の理由から投資判断が難しい分野として、GX分野や一部の半導体を対象に、事業全体の予見可能性を高めることを通じて国内投資を促進すべく、生産、販売量に応じた税額控除措置を講ずるものです。
また、他の分野や産業への拡大については、現時点で具体的に想定しているわけではありませんが、今後の技術動向や世界の動向なども踏まえて、税制だけでなく、補助金や規制、制度などを含む効果的な投資促進策を不断に検討していく中で考えてまいります。
ミルシートのデジタル化の状況についてお尋ねがありました。
ミルシート、すなわち鋼材検査証明書は、鉄鋼製品のサプライチェーンの中で、主に鋼材の品質に関する情報を流通させる役割を担っており、そのデジタル化による効率化は重要な課題だと認識しております。
このため、政府においては、これまでミルシートのデジタル化実証を通じて課題の整理を行うとともに、デジタル化の前提となる、鉄鋼業界で用いられる用語の共通化やデータ連携基盤の整備等に向けた取組を行ってきたところです。
こうした取組から得られた知見を踏まえつつ、サプライチェーン全体でデジタル化を進めていけるよう、引き続き、鉄鋼業界とともにミルシートのデジタル化に向けた議論を深めてまいります。
戦略分野国内生産促進税制のサプライチェーンへの恩恵についてお尋ねがありました。
今般の税制の対象としている分野は、いずれも広範なサプライチェーンを持ち、物づくりの基盤を支えるものであります。本税制により、これらの分野での国内投資を実現し、対象となる製品の生産を拡大することで、サプライチェーンを通じて、部素材等の発注や供給の確保、拡大、さらには雇用、所得等への好影響など、幅広く経済波及効果が生じるものと考えています。
スタートアップの支援をする上での目利き人材についてお尋ねがありました。
本法案により、ディープテックスタートアップに対する研究開発成果の事業化に必要な活動への支援業務を、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構に追加します。
支援対象の選定には、事業者が有する技術の革新性に加え、技術の事業性や将来性を見極める目利きが重要となると考えています。
このため、事業性の評価にたけているベンチャーキャピタルなどと連携して事業を進めるほか、事業会社で事業開発した者や投資業務の経験のある者など、多様な背景、知見を有する外部有識者で構成する審査体制の整備を進めてまいります。
また、御指摘の目利き人材の育成に関わるものとして、スタートアップに伴走支援する人材の育成にも取り組んでいます。この中で育成された人材が事業の審査やフォローアップに関わる等により、目利き力の向上につながると考えており、こうした育成の仕組みづくりを進めていきます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01820240405/15
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016・額賀福志郎
○議長(額賀福志郎君) これにて質疑は終了いたしました。
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017・額賀福志郎
○議長(額賀福志郎君) 本日は、これにて散会いたします。
午後一時四十三分散会
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出席国務大臣
総務大臣 松本 剛明君
経済産業大臣 齋藤 健君
出席副大臣
経済産業副大臣 岩田 和親君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121305254X01820240405/17
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