1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和六年五月七日(火曜日)
午前十時開会
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委員の異動
五月七日
辞任 補欠選任
辻元 清美君 柴 愼一君
東 徹君 青島 健太君
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出席者は左のとおり。
委員長 森本 真治君
理 事
青山 繁晴君
中田 宏君
長峯 誠君
古賀 之士君
東 徹君
委 員
浅尾慶一郎君
越智 俊之君
小林 一大君
上月 良祐君
丸川 珠代君
渡辺 猛之君
柴 愼一君
辻元 清美君
村田 享子君
里見 隆治君
三浦 信祐君
青島 健太君
石井 章君
礒崎 哲史君
岩渕 友君
平山佐知子君
事務局側
常任委員会専門
員 山田 千秀君
参考人
愛知工業大学総
合技術研究所教
授 近藤 元博君
特定非営利活動
法人国際環境経
済研究所理事・
主席研究員
U3イノベーシ
ョンズ合同会社
共同代表
東北大学特任教
授(客員) 竹内 純子君
株式会社やまな
しハイドロジェ
ンカンパニー代
表取締役社長 中澤 宏樹君
東京大学大学院
工学系研究科シ
ステム創成学専
攻教授 辻 健君
日本CCS調査
株式会社代表取
締役社長 中島 俊朗君
東北大学東北ア
ジア研究センタ
ー・同大学院環
境科学研究科教
授 明日香壽川君
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本日の会議に付した案件
○脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための
低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
○二酸化炭素の貯留事業に関する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/0
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001・森本真治
○委員長(森本真治君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。
脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律案を議題といたします。
午前は、本案の審査のため、三名の参考人から御意見を伺います。
御出席いただいております参考人は、愛知工業大学総合技術研究所教授近藤元博君、特定非営利活動法人国際環境経済研究所理事・主席研究員・U3イノベーションズ合同会社共同代表・東北大学特任教授(客員)竹内純子君及び株式会社やまなしハイドロジェンカンパニー代表取締役社長中澤宏樹君でございます。
この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。
皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。
次に、議事の進め方について申し上げます。
まず、近藤参考人、竹内参考人、中澤参考人の順にお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度、委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。
なお、御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、まず近藤参考人からお願いをいたします。近藤参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/1
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002・近藤元博
○参考人(近藤元博君) おはようございます。御紹介いただきました愛知工業大学の近藤でございます。よろしくお願いします。
本日は、このような貴重な場をいただき、ありがとうございます。私、専門は資源とかエネルギー問題をやっておりまして、特にその資源問題、エネルギー問題の中では多様化と高効率化、この二つをやってきております。
前職は自動車会社におりまして、その頃から、どちらかというと、大きな発電所とかエネルギーシステムじゃなくて分散型のシステムを開発してまいりました。特に、いろんな燃料を使うという意味では、廃棄物ですとかバイオマス、こういったものから、石油、石炭、天然ガス、そして今日御審議いただきますけど水素、こういったものを利用しながら分散電源をつくっていくというシステムをつくっています。
さらに、今、この法案に関しましては、経済産業省の水素の小委員会ですとか、この午後審議があると聞いておりますけれども、CO2を貯留するような委員会、ここで参加してやっております。
今日、特に三つほど申し上げたいと思っていますのが、一つは、この水素をいかに早く大量に調達するかということの必要性。それによって日本の脱炭素と日本の競争力を、いかに競争力を上げていくかというのが二つ目。三つ目が、将来、このCO2と水素を使って新しい産業も生まれてまいりますので、こういった三つの観点でお話ししたいと思っております。
それでは、資料を御覧ください。一枚めくってください。
二ページ目になりますけれども、これはIEAの、国際エネルギー機関が作りましたネットゼロのシナリオというふうになっております。左の方から右の方に効率性が高い脱炭素のテクノロジーが書いてございます。今日御議論いただくのが、下に囲っておりますが、水素の燃料、さらには、水素とCO2を化合させたような新しいテクノロジーでありますCCUS、こういったところが書かれています。ですので、水素というのは非常に有効な脱炭素の手段であるということが分かっているかと思います。
では、次のページお願いいたします。
それでは、現在その水素の需要はどうなっているかということについて御説明したいと思います。
左側のグラフが、これは過去の水素の生産量になります。御覧いただいたら分かりますように、この近年、非常に水素の生産が伸びております。これは、全世界的に脱炭素の機運が高まっていること、さらに、ロシアのウクライナ侵攻によりましてエネルギー問題が出てまいりまして、この中で水素が非常に注目されたこと、さらには、将来の経済成長という観点から伸びている感があります。
さらに、右側のグラフを見ていただきたいんですが、低炭素水素の発生、生産量の予測と書いてございますが、また後で御説明しますが、色がいろいろ付いております。水素には色が付いているということが御覧いただけますが、当面はこのグレー水素と言われます、CO2が出てしまうような水素が中心になりますが、将来にわたっては、グリーンとかブルーといった低炭素水素が普及してくると考えられています。
一方で、このグラフは二〇二一年に作られたものなんですが、直近の調査によりますと、二〇五〇年で、この二〇七〇年に書いてあります五億トンというものが必要になると言われていますので、この二、三年で二十年ぐらいの前出しになっているということなので、非常に水素は国際的にも注目されているということを御理解いただきたいと思います。
では、次のページを御覧ください。
これは、GX経済移行債を活用しました官民投資の概念図になります。ど真ん中に暮らしのGXを置きまして、私がいつも申し上げている四つのグリーンテクノロジーカテゴリーがございます。
今日御議論いただきますのは下にありますようなグリーンエネルギーのところで、水素、アンモニアを囲ってございます。さらに、左側行っていただきまして、鉄鋼、化学、紙パ、セメントにありますようなグリーンマテリアル。そして、右行っていただきまして、自動車ですとか船舶といった製造過程と使用段階が出てきますグリーンプロダクツ、グリーンサービス。この四つをもって暮らしのGXが成立するというふうに考えてございます。
では、その次のページを見ていただきたいと思いますが、これをベースに、現在、十年間でどれぐらいの投資があって、どれぐらいのCO2の削減効果があるかというものをGX実行会議の資料から作っております。
今日御議論いただきます水素につきましては、グリーンエネルギーの分野の中で、七兆円の投資をしながら年間六千万トンのCO2の削減量が見込まれております。特に、グリーンエネルギーの分野の中では、水素は非常にCO2削減効果が高い投資になると考えられます。
一方で、後ほど御説明いたしますが、水素は、このエネルギー分野にとどまらず、鉄鋼、化学、さらには自動車といった幅広い分野で使われてまいります。そういう意味では、脱炭素の形成と経済競争力の強化につながると思いますし、先ほど申しましたように、世界はもう水素に非常に注目しています。そういう意味なので、投資をするに当たりましては、国内の需要ではなくて世界の市場をにらんだ投資にしていく必要があるというふうに考えた所存でございます。
では、次のページを御覧ください。
では、水素はどうやって作るのかということなんですけれども、地球上には水素分子という形では水素は存在しません。必ず何かの分子、原子とくっついて化合物になっております。そういう意味では、一番左にございますように、いろんなものから水素は取り出すことができます。特に、一番上にございますように、水を使って再生可能エネルギーから電気分解をする、これがグリーン水素と呼ばれるところになりますが、そういう意味では、いろんな色があるよねということがここで分かっていくかと思います。
さらに、その用途でございますが、七ページを御覧いただきたいと思うんですけれども、既に産業界では多くの分野で水素が使われております。この後、水素はいろんなところに展開されていくと思うんですが、水素は、先ほどから申しますように、多様性があって多面性がございます。そういう意味ではいろんな場所で使います。工業地帯でもあれば、民家、家庭でも使います。さらに、いろんな用途で使います。輸送用、産業用、家庭用、業務用。そして、そのためにはたくさんのユーザーがいますので、そういう意味では、水素というのは非常に広がりが高い燃料であるというふうに考えていただいて結構かと思います。
では、次のページを御覧ください。
とはいえ、水素は、供給ですとか輸送に対していろんなインフラが必要になります。
ところが、水素は、先ほど申しましたようにいろんな原料からできるのと反対に、いろんな原料を作り出すことができます。左側にございますように、空気中にありますような窒素ですとかCO2、厄介者のCO2、これと先ほど申しましたようなブルーとかグリーンの水素を組み合わせることによりまして、既存燃料であるようないろんな燃料ですとかいろんな原料、さらにはアンモニアというものができます。そうなりますと、一番右にございますように、発電、輸送、産業、民生、いろんな分野で既存のインフラを使いながら供給ができるようになります。そういう意味では、水素は多様性があっていろんなところで使えるというのも、この意味も含めまして御理解いただけるかと思っております。
では、次のページを御覧ください。
では、少し最初の議論に戻りまして、最初に御説明しました四つのグリーンカテゴリーを書いてございます。そこに、中央に水素を書いてございますが、この青い矢印が水素の動脈になります。
御覧いただいて分かるように、水素は、グリーンエネルギーの分野にとどまらず、先ほど申しましたように鉄鋼、化学といったグリーンマテリアルの分野でも使われます。そして、自動車、船舶、家庭、家電機器といって、こういったグリーンプロダクトを作るためのエネルギーとしても使われます。そして、最終的には、自動車ですとか航空機ですとか船舶に対しても、利用段階、使用段階でも使われるということになるので、そういう意味では、水素の普及というのがこの四つのグリーンカテゴリーをカバーするということになります。
つまり、この水素の普及速度というのが、実際に脱炭素の普及速度に一致するんではないかと私は考えておりまして、それで、水素は脱炭素のペースメーカーというふうに呼んでおります。
一方で、一番下段にございますように、CO2を回収して貯留するというCCS事業につきましては、これは全分野の底辺にございます。そういう意味では、CO2を削減するとりでというふうに考えます。ですので、CCSというのはゴールキーパーと呼んでいます。
そういう意味で、今日の御議論にありますような水素のペースメーカーとCCSのゴールキーパー、この二つが相乗効果を生みながら、今日の議論にはありませんが、カーボンプライシングをうまく使うことによって、脱炭素の進行というのが、推進等ができるというふうに考えている次第でございます。
では、次のページを御覧ください。
これを少し産業立地論的に考えていきたいと思いまして、次のページを作っております。
上段にございますように、水素のほかのカーボンニュートラル資源、これを使いまして、現在ではたくさんのCO2を出しております石炭火力ですとか石油精製、製鉄、こういったところが水素を使うことによってゼロカーボンプラントに豹変いたします。そして、こういったプラントから出てまいりますカーボンニュートラルエネルギーですが、カーボンニュートラルマテリアル、これが、自動車ですとか機械、電機、いろんなところで使われることによって世界に製品として出荷されていきます。そういう意味では、こういった新しい産業が生まれてまいりますし、新しい価値というものを生み出すポテンシャルがございます。
そういう意味で、水素は、新しい産業ポテンシャルを生み出すという意味も含めまして、非常に重要な資源であるというふうに考えている所存でございます。
では、これをもう少し立地的に考えてみたのが次のページになります。
この絵は、経済産業省の方のカーボンニュートラルコンビナート研究会の方で作った絵に私がちょっと加筆したものになります。国土交通省さんですとか港湾関係者と協力しながら、例えば左上にありますように水素とかアンモニアの受入れのハブ拠点をつくること、これによってこのコンビナート内に水素、アンモニアが十分行き渡ってまいります。さらに、中央にございますが、CCSのハブ拠点と書いてございますが、どうしてもコンビナート内で出てくるCO2を回収して貯留する拠点をつくることによって、このコンビナート自体はゼロカーボンコンビナートに変貌しております。さらに、水素、アンモニアとCCS、要はCO2が同時に回収されて同時に入ってまいりますので、一番右にございますような、将来の技術でありますCCUネットワークの形成にも貢献すると考えています。
つまり、現在は行われておりませんが、CO2を使って新しい資源をつくるといった新しい産業構造もコンビナートの中に生まれてくるというふうに考えている次第でございます。
では、これが夢物語のように見えるかもしれませんので、少し現実論でお話をしたいと思います。
次の十二ページを御覧いただきたいと思うんですが、これはNEDOがやった調査の中の資料を引用しておりますけれども、ちょうど私がおります中部の、名古屋の臨海工業地帯の写真を載せております。
御覧いただけるように、先ほどのカーボンニュートラルコンビナートのプレーヤーであります鉄鋼、それから石油化学、さらには火力発電所、こういったものが立地しております。そういう意味では、先ほど申しましたようなプレーヤーがちゃんとおりますし、下の方にございますが、東邦ガスのような都市ガスの供給者、さらには製油所もございますので、新しくつくられるようなエネルギーもこの動脈を使って容易に地域に供給ができるというふうに考えてございます。
そういう意味では、夢ではなく現実論、こういうコンビナートがあるよねということを御覧いただいたと思います。
では、次のページを御覧いただきたい。それをもう少し大きく鳥瞰したいと思います。
同じように、中部の地区を愛知を中心に、三重、岐阜、長野、静岡まで鳥瞰してございます。黒色の矢印がアンモニアの流れ、赤い色が水素の流れ、さらに、緑色がCO2の流れになってございます。このように、産業がきちんと立地するところにつきましては、水素、アンモニアのハブ拠点の整備ニーズが大きくございます。さらに、CO2の輸出拠点としても非常に有効な拠点になってまいります。
そういう意味では、こういったサプライチェーンをうまく有効に使用しながら、最初に申しましたように、グリーンエネルギー、グリーンマテリアル、グリーンプロダクト、グリーンサービスといったものが地域に展開することによって地域が再成長するという構図になるのかと思っております。
そういう意味で、こういったグランドデザインを地域ごとにつくりながら、産学連携をしながら、そして民間も入っていくことによって地域の脱カーボンを進めていくということが必要かと、最後に思っております。
最後、まとめでございますが、十四ページを御覧いただきたいと思います。
いろいろお話をいたしましたけれども、我が国のカーボンニュートラルに貢献する産業ポテンシャルは非常に高いと思っています。既存産業も力は非常にございますし、いろんなテクノロジーを持っております。そこに、現在カーボンニュートラルが追い風になっておりますので、世界の産業をリードするような可能性が出てまいりました。
そのためにも、ずっとお話をしましたように、エネルギーとか素材、こういったもののカーボンニュートラルが急務でございます。そのためにも、今日御議論いただきますような、国際的な資源になっております水素、これを大量に安定的に安価に調達すると、こういう仕組みが不可欠になってまいります。こういったものがそろいますと、各地域の産業ポテンシャルを最大限活用することができますので、これによりまして、国際競争力と環境競争力の向上ができてくると考えております。
そういう意味で、国の重点施策、優先支援になりますような本法案につきましては、短期的な視点もございますが、中長期的な視点も含めまして非常に重要な法案だと私は考えてございます。
以上で私のプレゼンを終わらせていただきます。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/2
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003・森本真治
○委員長(森本真治君) ありがとうございました。
次に、竹内参考人にお願いいたします。どうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/3
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004・竹内純子
○参考人(竹内純子君) ありがとうございます。
ただいま御紹介いただきました国際環境経済研究所理事、U3イノベーションズ共同代表等を務めております竹内と申します。
経済産業省さんの、政府の水素の委員会ですとか、あるいは全体戦略を取りまとめるGX実行会議というところでも委員を拝命しておりまして、ちょっと今日は全体像ということでお話をさせていただければというふうに思います。
今日、極めて十五分という短い時間でございますので、資料、相当絞りました。申し上げたいことは、おめくりをいただきまして、骨子というところに書かれたペーパーにもう集約をさせていただいております。それ以降、二ページ目以降はもう参考資料ということでございますので、もうこれぺりっと外していただいて、骨子と見比べながらお話聞いていただければというふうに思います。
私ども、世界はこれ脱炭素化に向けて、脱炭素化を目指すということをパリ協定の下で掲げているわけでございますけれども、これには相当規模のコストが掛かるということになります。ですので、カーボンニュートラル達成するためには、とにかく安い手段から徹底してやっていく、いわゆるロー・ハンギング・フルーツ、手に届きやすいフルーツから手に取っていく、何も木のてっぺんに生えている果物を取りに最初に行かないということが、これは鉄則でございます。
そうした観点から、技術の進捗の段階に応じてやらなきゃいけないことが変わってくるということで、スライド三ですね、ページ番号三でございますけれども、GX実行会議の資料にも含まれておりましたとおり、もう言わば、省エネですとかそういったものによっては、技術によってはやった方が長期的に見た場合お得になるという、負の削減コストが発生するというふうに言いますけれども、むしろやった方がお得になるという技術もあるわけです。そういったところは、例えば初期投資の投資がやりやすいようなほんのちょっとのサポートをしてあげればいい。ただ、もっとコストの高いもう技術がほとんどということになりますと、そういった技術には普及のための支援でありますとか、研究段階の技術につきましてはその研究開発のサポートといったようなところをしていくという、技術の発展段階に応じてやることが変わってきますということをこのGX実行会議でも確認をしているところでございます。
ただ、難しいところは、どの技術がどんなコストになっていくかというところが極めて見通し難しいというところでございます。
おめくりいただきまして、二枚同じような、ちょっとカラフルなグラフが並んでおりますけれども、こちら、試算をされた主体が、左側はコンサルティングのマッキンゼーさん、右側はRITEさんという研究機関なんですけれども、それぞれの技術の一トン当たりCO2削減するのに幾ら掛かるんだということを試算されたデータということになります。
左側、こういったものは試算の前提条件等が詳細に詰めないとよく分からないというところもございますので、傾向を把握していただくというところくらいで十分かなというふうに思いますけれども、それぞれやっぱり大きく異なる点ございます。細かく見ていただく必要はなく、傾向をつかんでいただければと思いますが、ただ一方で、この二つともおっしゃっていること、この二つから読み取れることというのは、やはり最初、電化、需要側を電化するということ、そして電気のつくり方を脱炭素化していくということ。これ、典型的な例で言いますと、自動車をEVですとかそういった電動車に乗り換えていただく、で、電気のつくり方を原子力や再エネといったCO2を出さない電源に替えていくという、このセオリーが言わば基本になりますということでございます。
おめくりいただきまして、スライド六のところに脱炭素化に向けたセオリーというふうに書かせていただいておりますけれども、大幅な脱炭素化といったようなところの柱になるような技術、カーボンニュートラルということですと、もうありとあらゆる手を尽くさなければいけないわけですが、柱になるというところは、取組は、電源の脱炭素化と需要の電化、これを同時進行で行うことでございますということが書かれています。
ちょっとだけここのグラフ、グラフじゃないですね、ごめんなさい、図を御説明をさせていただきますと、皆様から見まして一番左側の現状と書かれている二色の棒グラフ、こちらが、今の私どもが使っている、社会全体が使っているエネルギーの全体像ということになります。
御覧いただくとお分かりになりますとおり、電気というのは三割程度でございまして、あとの七割はいわゆる化石燃料を使っているということになります。
この非電力から出るCO2を削減しようと思うと、やり方は高効率化ということになります。それこそ、ガソリン車の燃費を倍、三倍にしていくというようなこと、こういったことをやりますと当然CO2は減るんですが、どこまで行ってもカーボンニュートラル、ゼロにするということは高効率化ではできないということになります。なので、カーボンニュートラルの目標を優先しようとすると、これはもう使用抑制といったようなことになってくる。
このエネルギーの使用を抑制するということは、これは社会にとって極めて大きなダメージを与えるということになりますので避けなければいけない。じゃ、そういった避けなければいけないことを避けながら便益を享受することはできないのか。これが電化ということで、化石燃料で動いていた機器を電気で動くように変えていく、加えて、電気のつくり方を変えていくということでございます。
ただ、済みません、ここで骨子の方に戻っていただきますと、電気で全てが解決できるわけではございませんというのが三ポツ目に書いてございます。三つ目の青いポツ、しかし、高温の熱需要など電化の困難である領域や化石燃料を原料として使用する鉄鋼等の素材産業では、水素、アンモニアの活用が鍵となります。
しかしながら、先ほどの、技術によってのこのコストのグラフをちょっと思い出していただきたいんですが、水素、アンモニアというのは、特に今はまだ初期段階と、技術の黎明期ということで、製造方法、製造場所、そして運搬のコスト、こういったものによってコストが大きく異なるということで、何が競争力を持つのか。この競争力というところは、コストというところの競争力が一番大きいわけですけれども、加えて、量をどれぐらい確保できるかというところも肝になってまいります。これがまだ明らかではないというところ。ですので、制度設計全体、多分法案読んで皆様もお感じになったことだと思いますけれども、かなり柔軟性を担保するということが重要になってくるといったようなところでございます。
ただ、当面は、実は化石燃料で作ったアンモニアというところが、これは農薬等の使用でも世界的に流通しておりますので、極めて競争力を持つといったところは明らかかというふうに思います。
こういった観点から考えるということと、こういった日本のエネルギー政策から考えるということと、部分と、産業政策、あるいはエネルギー供給というだけではなくて、エネルギーの安全保障、安定供給といったような観点も加えてトータルでやっぱり評価をするということが必要になってまいります。
そうしたことから、今日のちょっとポイントでございますけれども、ページ番号が、申し訳ございません、消えてしまっておりますけれども、七スライド目に、水素、アンモニアの大まかな特徴というふうに書かせていただいた一覧表がございます。水素というようなことで、水素やアンモニアということで一言で申し上げても、先ほども申し上げたとおり、いろんなコストがあり、いろんなボリューム感がありというようなところでございますので、大まかな整理をさせていただきました。こちら、基本的には本当に大まかな整理でございますけれども、一つ一つちょっと補足をさせていただければというふうに思います。
一番左に書かせていただきましたのが、国内の再生可能エネルギーで水を電気分解をして水素、アンモニア、まあ水素等を得るというようなところでございますけれども、基本的にこちらの問題点はコストと供給量ということでございます。
ただ、これは後の山梨の方のプレゼンにお譲りをしたいと思いますけれども、再生可能エネルギーの導入が豊富な地域で既に活用の事例等もございますし、PEM方式と言われるものは出力制限の抑制に高い効果を持つ。更に言いますと、やはり日本でつくった電気で日本の水を電気分解しますので、エネルギー安全保障上も極めて有効というようなところになります。
全く同じ文脈で、原子力というものでつくった電気でも当然同じことができる。関西電力さんが敦賀の水素ステーションにおいて電力を供給して、そして要はトレースをして、これはCO2を出さないで作った水素であるということをお示しするといったようなところございます。高温ガス炉という形で、熱によって水を分解することによっても当然水素を作ることは可能ですけれども、そういったことをしなくても、一応電気が大量に供給できればそういったことは可能ということになります。
こちらのメリットとしては、発電単価がほかの発電方式に比べて安いので、水素価格も安く作れるということは期待ができる。これに加えて、原子力というのはほぼ準国産、純粋の純ではなくて国産に準じるエネルギーというような形でございますので、国富の海外流出ということも抑えられるというところはございますけれども、実は、安定的な脱炭素電源ということにつきまして、日本はまだそんなにリッチな国ではございません。ですので、こうした特に安定的で極めて質の高い電気は電気のまんま使うのが一番正しい方法だというようなところがあります。
そういったところから考えますと、日本のように、再エネに適したような広い砂漠があるわけでもない、原子力がどんどんこれから建つということもなかなかこれは厳しいという国におきましては、海外から持ってこざるを得ない。これは、運搬コストは掛かりますけれども、そういったことをするということになりますと、海外の再エネで作ったもの、化石燃料で作ったものというようなことが出てまいります。
海外の再エネ由来といったようなところ、これは発電単価が、これは地域によっても違いますけれども安くなってきているといったようなところで、水素製造についても安価になることが期待をされるといったようなところもございます。輸送費が、ただ極めて掛かるというようなところ。ただ、アンモニアについて申し上げますと、既存の流通ルートがあるといったところは強みかというふうに思います。
今、海外では多くの国がこの水素を輸出する。これまで地面の下にあった化石燃料を掘って輸出をしていたという国が、これからはもう地面の上に太陽光パネルを置いて、この作った水素等を輸出に回したいというようなことをいろいろ考えておられます。サウジアラビアですとかチリ、アメリカ、豪州などがもう輸出戦略といったようなところを立てている。こういった中で、ボリューム感ではチリが秀でそうであるとか。
この前、私、豪州の日豪経済委員会というところで基調講演をしてきたんですけれども、彼らも、日本とのこれまでの友好関係を生かして是非売りたいというようなことをおっしゃっているわけですが、まだ彼らは電気代がちょっとほかの国に比べて高いので、もうちょっと安くならないと日本としては買えないなというような感想は申し上げてまいりました。
今一番安いのは、やはり海外の化石燃料で作った水素を持ってくるということになりますけれども、ただ、こちらは、一点難点があるとしますと、CCS技術という形でCO2を地下に埋めるというようなことを併用することが求められるわけでございますけれども、当該国の住民感情、国民感情から、言わばこのCO2というごみだけ捨てていくのかといったようなところもございますので、そういったところで安定的に本当に我が国に供給してくれるのかといったようなところ、こういったところを見定めながら付き合っていくということが必要になるところでございます。
そして、最後のページ、おめくりをいただきたいんですけれども、こちら、よく聞かれることというようなところでお示しをしております。
その前に、大変申し訳ありません、骨子のところで下から二つ目のポツのところに書かせていただいた点だけ、ちょっと補足をさせていただければと思います。
先ほどの豪州の点でございますけれども、こういったポテンシャルマーケットとして我が国に水素を売りたいというような国もある一方で、加えて申し上げると、みんな各国は、これを産業構造の転換の契機にしようとしていますというところでございます。
我が国でも、カーボンニュートラルという言葉からグリーントランスフォーメーションという言葉に変わったのは、より付加価値を付けて経済成長とリンクさせていく、これは成長戦略としての脱炭素戦略を描くということへの決意だというふうに私は認識しておりますけれども、豪州でも言われたことは、いや、最初は水素を輸出したいと、だけれども、我が国には鉄鉱石もある、その上これだけ豊富な脱炭素エネルギーもあるということであれば、鉄鋼業をこちらに持ってくるのが自然ではないだろうかということを言われました。これは当然のことです。どう思うかというふうに言われましたので、それを考えるのは当然のことであるけれども、私は日本の市民であるので、そこにどう対抗していくか、これをやっぱり考え続けなければならないということで、技術の先進性で我々は競っていくということを申し上げて帰ってまいりました。
最後の一枚目だけ簡単に申し上げて終わらせていただきますが、まず石炭火力について、今、アンモニアの混焼といったようなところの実証が始まっております。こうしたところについて、石炭火力の延命である、この前もG7で石炭火力に対してのコメントが出ております。そういった中で、延命ではないかというような御批判もあるんですけれども、ただ私は、ちょっとこの批判は正当性に首をかしげるところがあるなというふうに思っております。
というのは、敵は石炭ではなくてCO2のはずであるということで、このグラフを御覧いただきますと、発電時、燃料の燃焼によって出るCO2、確かに石炭も極めて大きいわけですが、例えばアンモニアを五〇%混焼するとこれ半分に減りますということになると、今、ヨーロッパ等が天然ガス火力等に転換をして再エネの調整力にしていこうというふうにしていますが、天然ガスととんとんになるというようなところでございます。
加えて、やっぱり我が国の発電の調整力を、天然ガスという二週間しか国内に貯蔵が利かないものに対して一本足打法になるということは、これはエネルギー安全保障上極めて大きな課題だというふうに認識しておりますので、こうした御批判はこうしたトータルで考えていただく必要があるというふうに申し上げたいと思いますし、もう一つ、世界全体で考えれば、世界のCO2の半分を排出するアジア、ここの多くの国で、石炭火力、まだ五割以上です。
こういったマーケットが存在するということも含めてトータルで考える必要があるということを申し上げて終わらせていただければというふうに思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/4
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005・森本真治
○委員長(森本真治君) ありがとうございました。
それでは、続きまして、中澤参考人にお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/5
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006・中澤宏樹
○参考人(中澤宏樹君) 株式会社やまなしハイドロジェンカンパニーの中澤です。
本日は、このような貴重な機会をいただきましたことに心から感謝申し上げます。
私からは、国内で本法案に規定される低炭素水素を実際に製造し販売している事業者の立場から、これまでの石油や天然ガスと同じように海外に頼るのではなくて、国内でグリーン水素の取組が確実に進んでいる実態を、弊社のこれまでの取組や今後の役割、発展を中心にお話しさせていただきます。
それでは、三ページ目をお願いいたします。
まず、弊社について説明させていただきます。
やまなしハイドロジェンカンパニー、通称YHCは、山梨県と東レ、東京電力ホールディングスの三者で二〇二二年二月に設立した会社でございます。山梨県企業局は、四ページにも記載のとおり、一九五七年の水力発電事業に始まりまして、クリーンエネルギー事業に取り組んできました。二〇一六年からは、東レ、東京電力ホールディングスなどと共同で、新エネルギー・産業技術開発機構、NEDOの水素社会構築技術開発事業の再委託を受けまして、山梨県甲府市米倉山におきまして、水を電気分解し水素ガスを製造する、いわゆるパワー・ツー・ガス・システムの開発及び実証を行ってまいりました。
この実証の成果を事業化するためにYHCを設立しまして、二〇二二年の八月からは、P2Gシステムによるグリーン水素の販売も開始しております。出資割合は、山梨県企業局が五〇%、東レ、東電がそれぞれ二五%となっております。
YHCは、国内初のP2G専業の会社として、産業分野におけるカーボンニュートラル、特に電化が難しい産業領域におけるエネルギー転換を目標に、現在、新たな技術開発や国内外へのシステム導入に取り組んでいるところでございます。
五ページ目をお願いいたします。
山梨県甲府市米倉山の状況について御説明いたします。
この写真は、米倉山電力貯蔵技術研究サイトの全景となります。当サイトは、周辺に十一メガワットの太陽光発電が設置されまして、その内側にP2Gシステムを始めとする実証設備が設置されております。研究サイトの隣接して左側には、昨年三月に竣工しました次世代エネルギーシステム研究開発ビレッジと名付けました研究開発拠点がございまして、燃料電池の性能評価を行いますFC―Cubicを始めとする九つの企業、団体が入居しておりまして、ここ米倉山に、研究開発から普及啓発までの一連の機能が集積しております。
六ページをお願いいたします。
我が国の最終エネルギーの消費の状況でございます。
我が国におけるエネルギー最終消費に占める電力の割合は、先ほども竹内先生からおっしゃりましたように三割程度にすぎません。残りの七割を占めるこの化石燃料、熱需要をいかに脱炭素化させるかが重要となります。二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けては、省エネルギーの取組と再生可能エネルギーの活用を徹底的に追求した、化石燃料への依存度を低減させることが不可欠でございます。
七ページをお願いします。
これからの燃料は、採掘するのではなくて技術開発で製造する時代を迎えます。今までは、輸入した化石燃料、天然ガスとか石油、石炭を利用することでCO2を排出していました。これからは、再生可能エネルギーからつくられた電気を最大限活用して、このP2Gシステムによりグリーン水素を製造し、ボイラーやバーナーで燃料として使用することがCO2の排出を防ぐことと目指します。
続きまして、私たちが開発したやまなしモデルP2Gシステムの特徴などについて御説明します。
八ページをお願いいたします。
やまなしモデルP2Gシステムでは、水を電気分解して発生した酸素と水素のうち、水素のみを透過させる性質を持つ電解質膜を使用します固体高分子型、PEM型と呼ばれる水電解装置により水素を製造します。
このPEM型では、ろ過した水道水、純水のみを原料とすることから生成される水素が高品質であること、薬品類を一切扱わないために安全で安心、メンテナンスが容易であること、東レが開発した高効率な電解質膜を用いており、従来の膜を利用したシステムと比較しまして同じ電力量で二倍の水素を製造することができます。さらに、太陽光や風力といった再エネの電力変動に対する応答性が極めて迅速でありますので、気象条件により刻々と変動する再生可能エネルギーを最も効率よく利用することができるなどの特徴がございます。
このような特徴から、地域における再生可能エネルギー発電の最大化に貢献するシステムであり、かつ、このP2Gシステムを大規模工場の一角あるいは近傍に設置しまして、工場に水素を供給しつつ、その周辺地域にも水素を波及させる再エネ水素生産型モデルと位置付けることができます。グリーン水素と再エネ電力の活用を組み合わせ、より完全な形で地域の脱炭素化を図ることが可能となります。
次に、YHCの役割について説明いたします。
十ページをお願いいたします。
今後、我が国においては、現在御審議されています水素社会推進法案に基づきまして、カーボンニュートラルの実現に向けた具体的な施策が講じられていくものと思います。大規模かつ効率的な水素等のサプライチェーンの構築に向けましては、国では、大規模発電利用型、多産業集積型、地域再エネ生産型の三つのイメージを例示しております。私たちが取り組んでいるやまなしモデルP2Gシステムは、まさに地域再エネ生産型を担い得るものと考えております。
輸入水素の活用を前提とする他のイメージ例と並行して地域再エネ生産型の供給拠点を全国各地にバランスよく整備していくことにより、我が国全体として着実な水素利用が図られていくものと考えております。
次に、十一ページ目をお願いします。
済みません、ページが書いていなくて申し訳ございません。米倉山における水素製造設備について説明いたします。
この米倉山のP2G実証棟では、国とNEDOからの御支援の下、一・五メガワットの水電解装置を核とするP2Gシステムを開発いたしました。本システムは、一時間に三百六十立方メートル、約三十キログラムのグリーン水素の製造が可能でありまして、二〇二一年六月から稼働を開始しています。この実証システムで製造した水素は、一旦水素吸蔵合金に貯蔵して、県内外の工場等へトレーラーなどで輸送し、利用いただいておりまして、これまで三年近くにわたり、グリーン水素の製造から貯蔵、輸送、利用までを一貫したサプライチェーンの社会実証に取り組んでいるところでございます。
このPEM型の水電解装置で約三年間グリーン水素を製造し続けている企業は世界中でも数例しかなくて、日本では弊社だけでありまして、このノウハウ、知見の積み重ねこそが我々の大きな強みでございます。
十二ページ目をお願いいたします。
この社会実証の一環としまして、御利用いただく水素がグリーンであることを証明するため、山梨県知事名義による証書を発行する取組でございます。現状では公的な認証制度がないことから、山梨県独自の取組としまして行っているもので、現在、東京都お台場のビッグサイトに設置されました燃料電池に供給している水素は、この証書をお付けしております。水素を利用していただく方々に対してグリーンであることを可視化して提供することによりまして、グリーン水素によるエネルギー転換への関心を高めていきたいというふうに考えております。
次に、十三ページ目をお願いします。
水素社会の実現に向け現在進行中の主なプロジェクトをまとめたものでございます。
一番目はシステムの大容量化を目指す取組です。現在十メガワット級の大規模モデルの開発を進めておりまして、将来的には百メガワットクラスの実現につなげていきたいというふうに考えております。このプロジェクトでは、まず、山梨県北杜市にあるサントリー白州工場、ここに十六メガワットのP2Gシステムの導入を進めておりまして、二〇二五年度の稼働を予定しております。工場の隣接地にP2Gシステムを設置しまして、製造した水素はパイプラインで工場へ送られまして水素ボイラーの熱源として活用されます。これが稼働すれば、国内最大規模の水電解システムとなる見込みでございます。
もう一つは、福島県田村市で、新設される工業団地内の半導体用ガラス工場へ十四・八メガワットのシステムを導入しまして、石英ガラス製造用のバーナーの燃料としてグリーン水素と酸素を供給いたします。また、余剰分の水素につきましては、周辺地域へ輸送しまして、福島県内や周辺地域における水素利用にも取り組むこととしております。二〇二六年度の稼働を目指しております。
二番目はコンパクトモデルの開発です。五百キロワットの水電解装置と稼働に必要なシステム一式をコンテナに収容することで小規模パッケージモデルを構築しまして、独立した小規模の需要に対応できるように取り組んでおります。この五百キロワットのコンパクトモデルは、既に大成建設の子会社、大成ユーレック川越工場に設置しまして試運転を開始しております。五月中、遅くとも六月から本格稼働を始める予定です。製造されるグリーン水素は、コンクリートの養生用の熱源として利用します。
さらに、東京都から発注を受けまして、大田区京浜島の都有地に、米倉山と同規模の一・五メガワットのシステムを導入することが決定しておりまして、二〇二五年度中の稼働を目指して事業を進めているところでございます。
三番目が海外事業です。インド及びインドネシアにおける国際実証事業としまして、実証前調査に取り組んでおります。インドにつきましては、スズキ自動車の現地法人であるマルチ・スズキの自動車工場におきまして、塗装工程での熱源としてのシステム導入に向け、詳細調査を行っております。
また、インドネシアにつきましては、国営石油会社のプルタミナ社と連携しまして、地熱発電を活用したグリーン水素とグリーンアンモニアの製造実証に向け、詳細調査を行っております。十二月のAZECの際には、この協定を行わせていただきました。
十四ページをお願いいたします。
再エネ発電の導入促進に向け、我々のシステムがいかに効果を発揮できるかの説明でございます。現在、再エネ発電の導入は、供給力に対して電力需要が不足することによります再エネの出力制限が問題になっています。右のグラフを見ていただきますとおり、二〇二三年度では東電を除く電力会社九社で出力制限が行われて、需要の増加なくしては、これ以上の再エネ発電の導入には黄色信号がともる状況にあります。また、左のグラフのとおり、電力卸売市場もほぼゼロ円の時間帯が増加しておりまして、再エネの投資意欲の低下にもつながっています。
P2Gによる水素製造は、新たな電力需要を創出するとともに、この価格が安い時間帯に着目して水素を製造することでより安価な水素製造が可能になります。また、電力変動に瞬時に対応できるという特徴を生かしてデマンドレスポンス的な運用をすることによりまして、再生可能エネルギーの導入拡大を図っていく上で課題となっております電力系統の安定化などの課題解決にも寄与できるというふうに考えております。
十六ページ目をお願いいたします。
地域における水素普及モデルの考察でございます。
水素を普及させていくには、水素を利用する需要家がどれぐらいいるかということが課題となります。この左が、日本地図を色分けしたとおり、これは市町村単位なんですけれども、都市部のみならず、各地に大規模な熱の需要家が存在しています。この方々がいかに脱炭素化に取り組んでいくのかがカーボンニュートラルの鍵を握ると思われます。全国に大規模需要家が点在していることから、この需要家の隣接地にシステムを設置して周辺の小規模な需要家へ水素を配送するというハブ・アンド・スポークモデル、これの汎用性は極めて高いというふうに考えます。このモデルでグリーン水素の輸送コストを最小化して水素利用を拡大していくことで、全国の脱炭素化や産業振興に寄与できるものと考えております。
最後に十八ページ目をお願いいたします。
水素社会推進法への期待でございます。
グリーン水素を国内で製造する事業者にとって、技術開発等でコストダウンを図っても、どうしても、国内でグリーン水素を製造するということは、化石燃料に比べまして価格競争力がどうしても劣ってきます。普及に向けては価格がネックになります。本法案は、まさしくこの価格差を支援し、二〇五〇年までの脱炭素化へのレールを引いて事業者や地域の背中を押す、水素社会到来を強力に推し進める願ってもない法律だと思っております。
山梨県及びYHCでは、本法案の審議など、国における政策動向を注視しながら、速やかに価格差支援制度等の公募にエントリーできるように、現在、水素需要家となるパートナーの募集を行っております。水素を利用する需要家の方々としましては、本法案で低炭素水素の価格に対する不安は払拭できましても、水素を利用するための多額の設備投資と準備が必要でありまして、経営判断を要する案件となります。このため、私どもには、ある程度の時間が欲しいという声も寄せられております。
ファーストムーバーを御支援いただくという大変有り難い法律案ですけれども、この事業計画の認定の受付期間につきましては、より質の高い事業の提案を行うために十分な期間を確保していただきたいというふうに考えております。
本法案を先駆けとしまして、今後、化石燃料を使用する際のカーボンプライシング等の制度が整備、導入されまして、水素社会実現に向けた持続可能な水素エコシステムが確立されていくと、このことがカーボンニュートラルの実現に不可欠というふうに考えております。YHCは、本法案が目指す水素社会の実現に向けまして、全力で取り組んでまいります。
私からは以上です。御清聴ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/6
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007・森本真治
○委員長(森本真治君) ありがとうございました。
以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
これより参考人に対する質疑を行います。
なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/7
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008・越智俊之
○越智俊之君 自由民主党の越智俊之です。着座のまま失礼いたします。
まずは、三名の参考人の皆様、本当に、大変お忙しい中御出席いただきまして、ありがとうございます。また、貴重な御意見をいただきまして、心から敬意と感謝を申し上げます。ありがとうございます。
早速質問させていただきますが、まずは、近藤参考人と竹内参考人にお伺いしたいんですけど、この水素技術関連で二〇一七年に水素戦略というのが出されて、我が国では、まずは、例えば定置用の燃料電池とかFCVなど消費者に近い水素技術の開発で先行して、その優位性を生かす流れになっていたと思います。一方で、EUでは、それに対して、フェーズ1では、いわゆる水素生成とか化学産業などの既存産業のクリーン化等、いわゆるBトゥーB、大きなところから進めていこうという流れ。
日本はまずBトゥーCという小さなところからという流れがつくられたと思うんですが、お二人にお聞かせ願いたいのは、お二人は、どちらの方がその順序として理想的といいますか、推奨していきたいかなと思われているのか、またその理由についてお聞かせ願えればと思います。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/8
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009・森本真治
○委員長(森本真治君) では、まず近藤参考人からお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/9
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010・近藤元博
○参考人(近藤元博君) 近藤でございます。
二〇一七年の水素基本戦略は、私、企業にいたときに関わったことがありますけれども、当時は、大規模がいいか中小がいいかという議論ではなくて、まずは水素というものを、身近にある、先ほど竹内委員が言いましたけど、手に届くから始めようねということの中でいうと、自動車会社におりましたけれども、やっぱりそのハイブリッドに次ぐ次のEV、FCVというものを世界に冠たる技術としてやっていこう、そのためにも水素が必要だという観点で始めました。
その後、各国は同じように水素戦略を作ってきたんですけれども、やっぱり時代が変わってきたのは、やっぱり我が国におきましては二〇二〇年のカーボンニュートラルの宣言もありましたし、先ほど申しましたように、エネルギー問題につきましては、ロシアのウクライナ侵攻も含めましていろいろな条件が変わってきています。
そういう意味で、世界は大規模化の方に向かってきた、それを日本がこれから追っかけていくということなんで、僕は、どちらが優位性があるかというよりも、これは蜜蜂と花という関係ですけど、両方がウィン・ウィンにならなければいけない、両方から攻めていくのが大事で、そういう意味では、今回の法案も含めまして、大規模化というものもきちんと整備の中で入れていくべきではないかと考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/10
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011・森本真治
○委員長(森本真治君) では、続いて竹内参考人、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/11
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012・竹内純子
○参考人(竹内純子君) 御質問いただきまして、ありがとうございます。
その点は、多分皆様のお手元にも事前に配付されたと伺っておりますけれども、これまでに書かせていただいた論考を皆様にお配りいただいたと伺っております。そちらの二十二ページ辺りに書かせていただいて、触れさせていただいております。
まさに今、越智先生の御指摘になった問題意識と私もちょっと実は共通のところがございまして、いわゆる水素社会というところに移行していくに当たっては、まずトゥーBで大規模に大きくやっていきながらなじませていく。で、消費者から水素の姿は見えないかもしれないけれども、例えばヨーロッパがやっているように、ガスのパイプライン等に流し込まれていると、こういったような使い方でコストを安くなじませていく。そのうちに消費者の近くにこういった技術が入っていくという方がよかったのではないかというような問題提起をさせていただいております。
ただ、こういった形でEUと日本が取った戦略というのは実は確かに違うベクトルでやってきたかなというふうに思うんですけれども、一方で、そのカーボンニュートラルということになりまして、大規模が得意なメーカー、そして小規模が得意なメーカー、両方いなければいけないという状態になっておりますので、こうした小規模かつ消費者に身近なところに強みを持っている技術を着実に育ててきたという点では、決してビハインドになったということではないのではないかというふうに思っております。
一方で、先ほどちらっと申し上げたガス管の有効利用でございますけれども、我が国におきましては、そのメタネーションしたメタネーションメタンを優先するというような形で、ちょっと欧州とは異なる手法が議論をされております。需要側の機器の多くがそのまんま利活用できる、そのガスの熱量が変わらないということでメリットもある一方で、メタン、燃焼するとCO2出てしまいますので、カーボンリサイクルメタンが国際標準でどういうふうに認識されるかといったようなところを見ながら、我が国でもそういった議論をしていく必要があるのではないかというふうに思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/12
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013・越智俊之
○越智俊之君 ありがとうございます。
この技術の広げていくに当たり、大も中も、マクロもミクロも同時進行でやっていこうということがよく分かりました。ありがとうございます。
次に、中澤参考人にお聞かせ願いたいんですが、今年二月に、山梨県北杜市白州町でとうとう水素技術のP2Gのシステムの社会実装ということで、来年稼働でしたよね、非常に楽しみにしておりますけれども、その中で少し質問がございまして、そこに至るに当たり、山梨県の総合計画というところに書いているんですけど、この前提として、山梨県民や市町村、それから企業、団体等と連携しながらという枕言葉があるわけですね。やはり今回のを進めていくその北杜市白州町には、もちろん景観のこともあったと思いますし、あるいはそこに住まれている、白州町に住まれている方々、働く人たち、そしてそこに関わる地域内経済循環を支えている地域の中小企業・小規模事業者の皆さんがいらっしゃったと、いらっしゃると思うんですが、その地域の方々と、いかにこの水素技術、新しい技術等を地域内経済に少しでも貢献できるとか、そういった観点から、お考えとか、実際にもうこうやっているとか、そういうものがあれば教えていただければ幸いです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/13
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014・中澤宏樹
○参考人(中澤宏樹君) 御質問ありがとうございます。
今御指摘いただきましたとおり、北杜市の方でいよいよ動き出しております。これにつきましては、地元の方々に対しましては、やはり水素の安全性ということをしっかり御理解いただくということが必要でしたので、地元の方々のところには何回も足を運びまして、北杜市役所とも協力しまして、地元説明会というような形も行わせていただいてやっております。実際、東京都が今度、京浜島の方に入れますけれども、こちらにつきましても、東京都の産業部局の方で地元の方々への説明会をして、水素、安全性ということをしっかりPRさせていただいております。
それから、あと、私ども山梨県では、産業支援機構という県内の経済界をしっかり支援する機構がございますので、こちらとも連携しながら、ここ米倉山には、この水素を、まあ元々太陽光発電とかをやっておりましたので、再エネに対する啓発施設がございます。こちらの方を今回リニューアルしまして、水素エネルギーにつきましても、しっかり県民の皆様方、特に小学生や中学生、高校生なんかにも御理解いただける普及啓発用の施設を整備いたしまして、県内の皆様方に水素の社会がもうすぐここへ来るんだよということをPRさせていただいておりますし、中小企業の皆様方には、産業支援機構でコーディネーターを配置しまして、どんな形で水素が使えるか、また、我々のシステムを組み立てたり、いろんな配管をやったりする工事が必要になってきますので、そういうところにどういう形で参入できるかということで、我々と意見交換や実際の米倉山のシステムを見ていただいたりしているというところがございます。
また、あと、他県からも、いろんな産業支援機構さん、福島県、山形県、愛媛県、愛知県等々でお見えになって、地元にどんな形で波及できるかというようなことは研究なさっているようでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/14
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015・越智俊之
○越智俊之君 ありがとうございます。
是非新しい技術、なかなか地域の中小、小規模、直接的に絡むってなかなか難しいけど、そういった形で、子供たちもそうですし、教育もそうでしょうけど、そういった形で関われるということは非常にいいことであると思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
もう時間です。最後の質問、三名の方に改めてお聞かせ願いたいんですが、今回、水素社会推進法案による措置によって、我が国日本でも水素の利活用が広がっていくことを非常に期待もしておりますが、しかし、日本だけじゃなくて世界でも、水素の利活用、水素利用は広がっていくだろうと想定されます。
人口は世界的には増えておりますし、この目の前に広がる拡大市場が、我が国日本がしっかりと獲得していく、特にビジネスの面を含めてですけど、やはりEVは、特許はたくさん持っているものの、ビジネスとしてはちょっと遅れているのかなと思う中で、この新しい水素技術がしっかりとこの脱炭素と産業力を両立させる絵姿につながっていくと思っております。
ただ、この技術は、恐らくは、欧米や米国だけじゃなくて、中国とか韓国もやろうとしています。この中で、日本がこの水素技術という中でフロントランナーといいますか、ビジネスも含めて産業競争力に勝てる、勝てる可能性といいますか、聞きたいのと、また勝てるとすればその理由、もっと言えば、それを成し遂げるために国として何をもっとやっていかなきゃいけないのか、もう残りがあと三分ですので、ごめんなさい、一分ずつぐらいでお願いできたらと思いますが、よろしいでしょうか。近藤参考人から、近藤参考人、竹内さん、中澤参考人の順番でお願いできたらと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/15
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016・森本真治
○委員長(森本真治君) では、近藤参考人からお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/16
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017・近藤元博
○参考人(近藤元博君) 今御指摘のように、やっぱり先ほどの二〇一七年の基本戦略のときの成果としては、やっぱりいち早く燃料電池の技術をつくってきたというのがあります。
そのような燃料電池の技術というのは、逆に言うと水電解の技術にも使えるということなので、技術的には世界に冠たる技術を日本は持っていると。問題は、これからこれを世界市場、水素の世界市場に向けてビジネスでどう勝っていくかとなると思います。そうなりますと、先ほど御質問があったように、やっぱり大規模な利用用途にきちんと物を入れていって脱炭素化を加速させることと、その生産も含めて海外市場をにらんだビジネスというのをやっていく必要があるかなと思います。
その意味では、今後、その海外事業も含めたビジネスをどう支援していくかということにつきましては、やっぱり国だけではなくて、いろいろな金融機関ですとか、もっと言えば市民の方々の、行動も含めた形も含めて、いろんな支援がまとまっていく必要があると思いますので、そういう意味では、世界をにらんだ水素戦略に持っていく必要があるというふうに私は考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/17
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018・森本真治
○委員長(森本真治君) では、続きまして、竹内参考人、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/18
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019・竹内純子
○参考人(竹内純子君) ありがとうございます。
一言で水素関連技術と言いましても多様なものがあるという中で、国際的に見まして、海外から海上輸送をしてまで水素、アンモニア等を必要とする国というのは、日本、韓国等、ちょっと限られた国になってくるだろうと。そうすると、国際マーケットというものが成熟してだんだんコストが安くなるという、このボリュームディスカウントの部分、学習効果ですね、が効きづらいということにもなりかねない。ですので、競争力という点と、どれだけこれが国際市場で普及するのかという両面の見方でいく必要があるというふうに思っております。
そうした中で、日本が得意とする部分というのは、先ほど近藤参考人おっしゃったような燃料電池の部分ですとか、山梨で実証のやっているような、本当に小さな規模かもしれませんけれども、アジアには、ここが適する場面たくさんあると思います。
加えて、化石燃料への混焼の部分ですね、今ちょうど石炭火力へのアンモニアの混焼というところ、二〇%混焼の実験始まっておりますけれども、そうしたものが、特にアジア、石炭火力に頼る率の高い地域においては極めて有効であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/19
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020・森本真治
○委員長(森本真治君) では、最後に中澤参考人、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/20
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021・中澤宏樹
○参考人(中澤宏樹君) 御質問ありがとうございます。
我々は今、海外展開につきましては、国際実証という形で、インド、マルチ・スズキさんと、それからあと、インドネシアでの地熱発電を利用した向こうのプルタミナさんとの連携によるグリーンアンモニアの製造の方を始めております。
ですので、やはり今、竹内先生おっしゃったとおり、アジアというのは大きな標的になる市場だと思いますし、あそこ、発電、再エネも結構豊富でございますので、これをうまく利用してこちらの方へ展開していく。特に、我々のこのPEM型というのは、日本の技術力というのは図抜けていると思っております。
ですので、ドイツのシーメンス社が我々の東レ社の素材の部分を欲しいということで、シーメンスが我々に入ってきているというのはまさしくこの技術力だと思っておりますので、この技術力をうまく生かしながら国際展開をしていく。そうなってくると、やはり国の方の施策としては、こういうものへの設備投資等がやはり必要になってくると思いますので、またそういうところへの御支援がいただければより良いのかなというふうに思っております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/21
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022・越智俊之
○越智俊之君 ありがとうございました。終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/22
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023・村田享子
○村田享子君 立憲民主・社民の村田享子です。今日は貴重なお話をどうもありがとうございます。
まず、近藤参考人にお聞きをしたいと思います。
本法案による支援の一つに水素拠点、水素供給拠点の整備に関わるものがございまして、先ほど、例えば中澤参考人のお話の中でも、水素、アンモニアの潜在的需要地のイメージでいうと、大規模発電利用型、多産業集積型、そしてやまなしモデルのような地域再エネ再生型というものがありますというお話で、この観点でいうと、やっぱり近藤参考人は、今日、中部地区のお話をされたように、多産業集積型のところにおいていろいろ御経験も御見識もおありだというふうに思います。
先生の資料にあった御寄稿の中でも、やっぱり長期の視点で産業構造の在り方を考えないといけないということであったり、また、日本のどの地域にどの産業を残していくのか、つくっていくのか、産業立地論をベースとしたグランドデザインが求められる、やっぱりそうしたお話もございました。
例えば中部の例でいっても、愛知県であったり、またその地元の市であったり町であったり、そして、いろんな産業がいろいろある中でどうやってこの脱炭素化に向けた地域づくり、コンビナートづくりをしていけばいいのかとなったときに、本法案でいうと、例えば地方公共団体の役割というものも定めてはあるんですけれども、この拠点整備に向けて国と自治体の役割、そして事業者の役割ですね、そうしたところを詳しく教えていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/23
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024・近藤元博
○参考人(近藤元博君) 御質問ありがとうございます。
たまたま今日、愛知の事例を持ってまいりましたが、愛知は、多産業集積型プラス大規模利用型というのが二つ組み合わさった地域になります。これ、ずっと日本の経済成長の中で、発電事業とそれからコンビナート事業というのは非常に国内を支えた産業でございますし、地域、その後ろにいる地域の経済を支える産業でもあると思っています。そういう意味で、今からその低成長と言われる時代の中で、もう一度このカーボンニュートラルエネルギーを使いながら、世界に向けていろんな成長をする機会として産業構造転換は必要だというふうに考えます。
それで、今回の議論のように、国の支援というものをきちんと決めていただいてある程度枠組みをつくっていくこと、それに対して、自治体さんも、担当の自治体ではなくて、本当は広域的な自治体連携をしながら、途中も申しましたように、例えば中部のグランドデザインというように、単なるエネルギーシステムではなくて、後ろにいる自動車ですとか住民ですとか、こういったところも巻き込んだやっぱり脱炭素社会の将来像を描く、それによって企業が、じゃ、僕たちも参画できるし、僕たちはこうやったら参画できるんじゃないかという議論が出ると思います。
ですので、やっぱり同じ船に乗れるようなまず大きな船の絵を描くこと、そこに船を動かすための原動力になるような支援を入れること、そこで、船に乗っていく方々が協調しながらある方向に向かってみんなで船をこいでいくこと、こういう流れができてくることが一番いいことだと思っています。
その結果、もう一度日本の中の経済が活性化し日本に恩恵をもたらすとともに、日本の産業技術が世界にも展開されながら水素社会を世界に展開していく、それで世界の脱炭素を牽引するという流れが、私の描いている大きな流れでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/24
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025・村田享子
○村田享子君 近藤参考人、ありがとうございます。
今のに関連して、もう一問近藤参考人にお聞きをしたいんですが、やっぱりもう私も、そうしたいかにその地域でコンビナートを造っていくのか、そこで、今先生もおっしゃったように、広域な自治体も中心にいながらやっていかないといけないよねというところで、やっぱりここの調整であったり、いかにその大きな船に乗せていくかというのが重要だと思っています。
そうした意味で、本法案でもいろいろな支援であったりそうしたことが定めてはあるんですけれども、先生にとって、そうしたものを進めていく上でこの法案で十分だなというふうにお感じなのか、若しくはこうしたところももっとやった方がいいよねという点があれば教えていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/25
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026・近藤元博
○参考人(近藤元博君) 審議会でもいろんな議論がありまして、十分な議論はできていると思います。唯一今後やっていかなきゃいけないと思うのは、先ほど言ったように、まずはいろんな個別の事業としての審査がこれから始まってまいりますが、なかなかやっぱりさっきの地域のグランドデザインを描くという作業はどこもできていないと思います。これはやっぱりやった方がいいと思いますし、それから、各地域を今後どうやって伸ばしていくんだろうか、過去でいえば、太平洋ベルト地帯があって、いろんなところにコンビナートを造ってきたというのがありますけれども、コンビナートの競争力ということも含めながら、どうやって今後伸ばしていこうかということになりますと、全ての産業に恩恵が行くわけではないと思いますので、その恩恵の行き渡るやり方もありますし、将来の産業構造をどう変えていくかという道筋も描きながらやらないと、フォーキャストの議論だけやっていると、投資したものがどこか行っちゃう、でも、バックキャストというのは時間掛かると思いますけど、この議論とバックキャストの議論と両方をできるような場が一つ必要ではないかなというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/26
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027・村田享子
○村田享子君 どうも、近藤参考人、ありがとうございます。
続いて、竹内参考人にお聞きをします。
今日、先生、骨子の中にあった中でいうと、オーストラリアが鉄鋼業を誘致して、クリーンの鉄鋼産業の立ち上げをというお話は、私もよく鉄鋼業の皆さんとお話をする中で、やっぱり鉄鋼業は、今までだと、鉄鉱石を輸入して、そして水素の運搬船も今、川崎重工さんが造られて、それを持ってきて、日本で水素還元製鉄をやっていくんだというふうに皆さんすごく取り組んでいる中で、もうオーストラリアがこうした産業転換を、もう自分たちで鉄を造るんだというふうに考えられているというのは、やっぱり今までにない動きだなというふうに感じました。
実際、先生もそこで講演をされたということで、もっとこの辺りを、どれぐらいやっぱり今オーストラリアでこういう議論が盛り上がっているのかというようなところを教えていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/27
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028・竹内純子
○参考人(竹内純子君) 御質問いただきましてありがとうございます。
これはもうオーストラリアだけではなくて、言わばカーボンニュートラルというもの自体がもうそういった産業構造転換の契機として認識すべきだというところが広がってきているのではないかというふうに思います。
これは、米国のインフレーション・リダクション・アクト、IRAですね、これも、インフレ抑制法という名前から、余り一般的に認知をされていないかもしれませんけれども、もうカーボンニュートラルに向けた、産業構造の転換に向けてたくさんの税額控除、要は補助を講じて、こういったところでこれを契機に米国内の産業立地等を進める。これは、例えばEV等も、カーボンニュートラルだけ考えるのであれば、どこの国で造ったEVであっても別にいいはずなのに、北米で組み立てたといったような要件を補助金に課してくるといったようなところ、もうこれはカーボンニュートラルという看板を掲げながらの産業構造の転換というところが進んでいる。
逆に言いますと、そのカーボンニュートラル、当然、CO2を削減するというようなところに真剣に取り組まなければいけないわけですけれども、COP等でいろんな方の御発言、議長含めて聞いておりますと、北極星に例えられる方が多いわけですね。何のための北極星かというと、社会がより良くなり、より持続可能になり、経済成長もするといったようなところに向かってのこれ北極星なんだろうというふうに認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/28
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029・村田享子
○村田享子君 竹内参考人にもう一つお聞きをしたいんですが、やっぱり日本がそうした世界の動きの中でどうすればいいのかというところでいうと、今日、先生のお話の中でも、G7の中でも、先日、石炭火力発電についてもやっぱりだんだん廃止の方向でというような流れがある中で、やっぱり私も先生がおっしゃったみたいに、でも日本は、石炭火力発電もやっぱりエネルギーの安全保障として残していかないといけない、そしてアジアとしてはちゃんとマーケットもあるよねというようなところで、やっぱりG7だけではなくてアジアの枠組みというのがより大事になっていくのではないかと思っているんですが、その辺りの御見解をお聞かせいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/29
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030・竹内純子
○参考人(竹内純子君) ありがとうございます。
まさに気候変動という問題で世界は団結できるというふうに今まで言われてきたんですけれども、一方で、蓋を開けてみれば、これが貿易戦争にもなっていく。
そして、今先生がおっしゃってくださったとおり、もうG7とG20でも相当に乖離が広がってきてしまっているといったようなところで、日本はG7諸国を見て、何か世界的な動向というふうに捉えがちですけれども、本当にそれで世界のカーボンニュートラルに貢献できるのかというようなところ、ここは極めて真剣に問うべきところだろうというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/30
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031・村田享子
○村田享子君 竹内参考人にあともう一つ、雇用の関係でお話をお聞きをします。
配付された資料の中で先生もこの雇用の話というのに触れていらっしゃいまして、資料の二十八ページですね、この先生の日経の御寄稿の中に、新しい技術利用を拡大する意義ということで雇用を挙げられていらっしゃいます。
私も、やっぱり、新しい産業に変わっていく一方で、その公正な雇用の移行というのも考えないといけないと思っていて、特にそうだなと思ったのが、やっぱり、よく先生も書かれているように、化石燃料関連の雇用は何万人減るけれども、再エネ関連で何万人増えるというような数だけが強調されるんですが、やっぱり働いている人にとっては、じゃ、お給料が上がるの、下がるのといった話であったり、雇用の場所がどうなるのだろうかということでいうと、これ、ただ単に数だけの問題じゃなく、仕事の内容や質も重要なのではないかというふうに思うんですが、これから国がGX戦略進めていく上で、この雇用の点について御見解をお聞かせいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/31
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032・竹内純子
○参考人(竹内純子君) 御質問いただきまして、ありがとうございます。
もうまさにおっしゃるとおりで、やはりその雇用が、働いている方というのはやはり今の仕事に誇りを持ち、そしてそこによって暮らしの安定性も得ているというところだと思いますので、この数合わせのように再エネ関連で何か、何万人生まれる、減るといったような、そうしたことで議論するというのは、私はちょっと違和感があるというふうに以前から思ってきたところでございます。
特にこの雇用に関しては、これはCOP等も含めてですけれども、国際的にも、要は新しい産業が生まれるから雇用が増えるといったようなプラスの側面ばかりが強調されてきたんですが、失われる雇用といったところ、あるいは移行していかなきゃいけない人たちにどれぐらいの負担が掛かるのかといったようなところも含めて、プラスマイナス両方見るべき話ではないかなというふうに思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/32
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033・村田享子
○村田享子君 最後に、中澤参考人にお聞きをします。
今日のお話の最後にも、本法案での価格差支援の利用に向けてパートナーの募集を開始したといったことがございました。その条件として、私も見させていただいて、二十五年にわたって水素の利用、販売を見通せるとか、年間需要量が一千トン以上、また工場の隣接地に用地を確保、あと特別高圧送電線に接続できるといった条件を挙げられていらっしゃいました。
先ほどのお話にもあったように、やはり会社にとっては、設備投資が要る、経営判断も要る、重要な話になっていく中で、やっぱりこのパートナー募集をこれからやられている上での課題であるとか、この辺の条件がやっぱり事業者の方にとっては厳しいのかなとか、そういう感触等ございましたら教えていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/33
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034・中澤宏樹
○参考人(中澤宏樹君) 御質問ありがとうございます。
先生御指摘のとおり、やはり年間千トンきっちり使うということもありますし、あと、我々、システムというのは三年間動かしてきているので、そこの部分は非常にしっかり動かしている自負はあるんですけれども、長期にわたって安定的に水素を供給するということが一番重要になってくると思います。
ですから、バックアップなんかもしっかりできないと、万が一システムが何らかの不具合で止まったときに水素が供給できないということになったときにその会社の仕事が止まってしまうということになると、非常にその会社の経営にも影響を与えますので、そこのところはしっかりしたバックアップ体制なんかも考えていかなきゃならないということで、そういうことを含めた中での事業計画を作っていかなきゃならないねというような話もしているところでございます。
それから、やはり御指摘ありましたとおり、経営判断ということで、新しい設備投資等がもう必要になってきますので、その辺についてはやはり、我々の今時間軸もちょっと早めにしてありますので、もうちょっと時間がほしいという話は企業の方々からお話は伺っておりますし、あと場所、やっぱりちょっと広めの、やはり年間千トンからの水素を供給する設備になりますと、今、米倉にあるものの十倍、二十倍ぐらいの大きさの機械が必要になってきますので、そこのところがやはり、ちょっとそれだけ広い土地がという話も聞く部分はございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/34
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035・村田享子
○村田享子君 中澤参考人、ありがとうございました。
やはりせっかくのすばらしい技術だと思いますので、しっかりそういった今御懸念の点もやっぱり国として支援ができないのか、そうしたことも法案の審議の中でやっていければと思います。
今日はどうもありがとうございました。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/35
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036・三浦信祐
○三浦信祐君 公明党の三浦信祐でございます。
三人の参考人の皆様には、大変重要な、また貴重な機会を頂戴したことに心から感謝申し上げたいと思います。
いかにこの脱炭素化、水素利用、利活用、これをチャンスにつなげるかという視点で、その際の課題克服についての知見を是非教えていただきたいという思いで質問させていただきたいと思います。
まず、竹内参考人と中澤参考人に伺います。
今回の法案において、国、事業者の責務に加えて、第五条において地方公共団体の責務が規定をされております。
日本全国で低炭素水素社会構築に当たっては、地方公共団体との情報共有であったり、また政策共有並びに遂行というのは欠かすことができないというふうに私は思っております。そうなると、具体的には、住宅インフラとしてのEV車の導入であったり、それに関わる充電器の施設、また公共移動手段、そして公共施設のエネルギーや水素供給ステーションの整備などが想定をされるんではないかというふうに思います。
一方で、今いろんな課題がありますけれども、その中でも地方公共団体の財政体力と人材の違い、これが政策遂行においての大きなギャップを生じさせることも懸念されるべきことであるかなと。そうなりますと、本法案の規定というのはとても重要であり、記載されている内容、実行すべき項目に対応できるということが重要であると思いますけれども、この具体性を考えるならば、地方自治体が果たすべき役割、これは本当に整理をしていかなきゃいけないというふうに思います。
その際の財政的な支援、技術的な支援の在り方について、御見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/36
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037・森本真治
○委員長(森本真治君) では、まず竹内参考人からお願いしていいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/37
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038・竹内純子
○参考人(竹内純子君) 御質問いただきまして、ありがとうございました。
まさにこれ、社会の構造の転換ということでございますので、今、三浦先生御指摘のとおり、国、自治体、そして事業者、そして市民含めて一体となって取り組むということが極めて重要で、そしてその中で、やっぱり住民と近い、地域と近いということで、自治体が果たす役割というのは極めて大きいというふうに期待をされるわけでございます。
ただ一方で、御指摘にあったとおり、いろんな意味での体力ですね、といった点で、いきなりその地方自治体に大きな役割をお願いすることが適切なのかどうか、これは水素の、経済産業省さんの委員の中でも、例えば保安に関する部分についての議論の中で、極めてけんけんがくがく議論があったところでございますけれども、ああいった、今回、水素の高圧ガス保安法といったようなその保安の部分については、当初は国が全面的に面倒を見ますというようなところで、年数がたっていわゆる知見の蓄積等も含めて時が来たという段階で自治体に権限を移譲していくといったような形で、言わば特殊な特例の扱いを設けたといったようなところは、やっぱり時期によって国と自治体の責任分界点が異なるのではないかといったようなところを現実に即して議論をしたといったようなところが反映されているかなというふうに思っております。
私からは以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/38
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039・中澤宏樹
○参考人(中澤宏樹君) 御質問ありがとうございます。
先生御指摘のとおり、地方公共団体、それぞれ都道府県ごとの財政力というのも大きな差がございます。
実際我々がいろいろ話をしている中で、東京都のように財政力の豊かなところにつきましては、非常に水素社会実現に向けて積極的に多額の予算を計上して、実際我々、京浜島に我々のシステムを入れるというようなことまでやるというところをやっているところもございます。
一方、小さいところでは、何をしたらいいのかということで御相談も受けるわけでございますが、やはり本当に人材という部分も大変だと思います。我々は、たまたま企業局という独立採算のところがやっておりますので、水力発電事業で稼いだお金でつぎ込んで、なおかつ電気の専門家の職員がいましたので、彼らが中心になってこのシステム動かすことができたんですけど、今こういう公営電気やっているというのは全国で二十四都道府県しかございませんので、それ以外の県で自前でこれをやるというのはまず無理だと思います。
ですので、やはりこれは、民間の事業者の方々、我々はPEMをやっておりますけど、旭化成さんなんかはアルカリをやっております。福島県でアルカリやっていますので、そういうような形の中でいろんな手法があるかと思っておりますので、それをうまく取捨選択しながら、あと、地元の企業の皆さん方の脱炭素化にどのように県が音頭を取って引っ張っていけるのか。先ほど近藤先生がおっしゃったように、地域で大きな絵を描いて、そこへいろんな仲間を、企業家の人たちや地元の自治体の人たちが入り込んで進めていくということが、都道府県の役割になっていくのかなと思っております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/39
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040・三浦信祐
○三浦信祐君 大変重要な御示唆をいただきましたことに感謝を申し上げたいと思いますし、国の役割の一端も御説明をいただいたかなと思いますので、法案審議ではしっかり役立てていきたいというふうに思います。
次に、近藤参考人と竹内参考人に伺いたいと思います。
水素供給拠点の集約化についてでありますけれども、大規模化ということと中規模拠点、これは構築していくには重要なことではないかなと私自身は思っております。エネルギーシフトに際しては、大きな設備変換に対しての投資、これをどのように円滑にできるかということが鍵になるというふうに思います。
例えば、日本の原油コンビナートでも、中東産の原油に対応できるような構造になっていますけど、これが別なものになるというときは、設備投資は多大なコストとして乗ってくるんではないかと。一方で、アンモニアを活用しようと思った場合には、ガスタービン自体は替えなかったとしても、その供給システムを変えなきゃいけないということにもなっていきますので、投資に見合う、そのコストが吸収できるかどうかということも課題になってくるというふうに思います。
そこで、既存のアセットからの変更に当たって取り組むべき、特に水素を活用するという部分では、具体的な対応、これはどのようなものかということについて御教示をいただければというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/40
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041・森本真治
○委員長(森本真治君) では、近藤参考人からお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/41
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042・近藤元博
○参考人(近藤元博君) 御質問ありがとうございます。
まず、供給の大きな受入れですね、今までは石油を中心とした受入れ拠点がありましたが、水素、アンモニアとなってまいりますので、ここはやっぱりまずすぐに投資が回収できるとは思えません。ですので、今回の法案にありますように、きちんとした国の支援をいただきながら、大規模、中小規模をつなぐハブ・アンド・スポークという考え方の中で、いかに地域全体に大規模から中小に配っていくかというシステムが必要かと思います。
一方で、使う側の投資も必要になります。例えば、私が企業のときにやったシステムでいいますと、やっぱり重油を使ってコージェネレーションといって電気と熱をつくるシステムよりは、天然ガスを使うと上がっちゃうんで、コストが、でも、それはやっぱり環境的に見れば重油よりは天然ガスがよかったし、天然ガスを使った方が効率が上がりますので全体効率は上がっていく。そのときには、やっぱり国の支援をいただきながら、例えば省エネとか新エネという支援をいただいて、設備投資の何%かという支援をいただいたこともあります。
ですので、これ、鶏と卵の関係になりますけど、やっぱり拠点整備をしたら、次は使う側にいかに使ってもらえるか、特にその末端にありますような事業者に使ってもらえるかどうか、大規模ではなくですね、こういうところまで含めたときの支援制度というのは、これはセットで進めなきゃいけないと思いますので、時間軸まだございますけれども、大規模受入れ拠点の整備が進む中では、いわゆる使う側、需要者側の支援というのをどう考えていくかというのは、また検討が必要かなと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/42
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043・竹内純子
○参考人(竹内純子君) 御質問いただきまして、ありがとうございました。
ただいまその支援の在り方については近藤先生からお話ありましたので、私からは、ちょっと引いた目でコメントさせていただければというふうに思います。
この法案につきましては、やはり皆様重要性を認識していただいていて、極めて前向きな御質問も頂戴しているなというふうに思っているんですが、一方で、この支援というところをなぜ国がするのかと。これは、やっぱりこの脱炭素、CO2を出さないということが価値としてやっぱり認識されなければならない。これ、国が最初は支援をする。
ただ、いつまでもやっぱり支援するわけにはいきませんので、当然、CO2を出さないということに対して価値を感じる、言わばカーボンプライスを導入することによって出さない技術が安くなる、で、市場で競争力を持つ。そういった制度をつくっていった上で市場で自立をして普及をしていくようになってもらわなければ、基本的にずうっと支援をし続けるということになってしまう。
加えて、このエネルギーですとか、例えば鉄などの素材もそうだと思いますけれども、CO2を出さずに造った鉄と出して造った鉄と、鉄としてのクオリティーはもう全く一緒ですということになりますと、その価格差というのは、要は、本当にCO2を出さなかったことということに対して社会が負担をするということによってでなければ賄われないわけですね。
こうした仕組みをつくっていって、マーケットでその技術が自立をするように誘導していくといったようなところが、支援というところで最初に手は差し伸べたとしても、将来的にきちんとマーケットでというところが求められるところではないかというふうに思っております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/43
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044・三浦信祐
○三浦信祐君 大変にありがとうございます。
次に、近藤参考人と竹内参考人に伺いたいと思います。
我が国の最近の弱点とも言える技術上の課題として、世界標準を取るということであったり、世界共有規格、これを生み出して取り込んで確定させることが、私にとってはこれがとても重要なんじゃないかなというふうに思っています。その戦略構築というのが必要であって、大胆な挑戦ができる政策決断というのが欠かせないというのが、少子高齢化と、稼ぐ力をもってして今後の社会保障制度にも寄与するような、そういう役割というのが今回の脱炭素化、また水素活用の中にはチャンスが含まれているのではないかというふうに思っております。
これらの実現が、ひいては価格低減効果や稼ぐ力、競争力にもつながっていくものだというふうに私は信じておりますけれども、我が国があらゆる分野で規格、標準化を獲得することを実現するためには、強力に推進したいと、そういう決意の下で、今回のこの脱炭素、水素社会の構築過程に我が国としてこのチャンスは包摂されているか、またそこに対してしっかりと投資をしなければいけないのではないかというふうに思いますけど、これらの知見についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/44
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045・森本真治
○委員長(森本真治君) では、近藤参考人からお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/45
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046・近藤元博
○参考人(近藤元博君) 先ほども申しましたように、やっぱり日本は水素に、取決めを世界に先駆けてやってきました。そういう意味では、特許もたくさん持っていますし、技術などもたくさん持っています、ある部分では。ですので、基準化、標準化をしようとしますと、こういった裏付けが必要になります。
裏付けを持った国がきちんとした裏付けを基に基準化、標準化をしていくというのが大事だと思いますので、そういう意味では、今までの我が国の持っている、産業界それから学識の持っている知見を最大限活用しながら、水素社会の構築に向けた基準化、標準化というのをリードすべきだと思っていますし、これをやらないと、過去、技術で勝ってビジネスで負けたということになってしまいますので、やっぱり標準化を取るというのは、先生おっしゃったように非常に大事なファクターになりますので、今回、脱炭素という意味の中で見ると、唯一無二、この分野というのは先行できるんじゃないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/46
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047・竹内純子
○参考人(竹内純子君) 御質問いただきまして、ありがとうございました。
最近、やっぱり何の政府の委員会で議論をしていても、やっぱり規格化で世界標準を取ることに対しての体力が若干弱くなっているのではないかといったような問題意識は多くの方がお持ちだというふうに思います。こういったところ、もう本当、役所の方たち、そして民間企業の方たちも努力してくださっているわけですけれども、なかなか、やはり日本というのは、G7とふだんは付き合っている、けれどもマーケットとしてはアジアを見ていたりとかするといったようなところで、声が大きくしづらいところはどうしてもあるのかもしれません。
ただ、先生御指摘のとおり、ここで勝たないとせっかくの技術が生きない、技術で勝ってビジネスで負けるということを繰り返すことになりますので、改めてここに注力をする必要がある。
その中で申し上げたいのは、これまでもG7の一端と、一か国として日本は振る舞ってきたわけですけれども、我々のマーケット、これからどこになるのか。アジア、アフリカといったようなところと共同歩調でその規格化、標準化に向けた言わばボイスを大きくしていくといったようなところ、こういった取組をより強くしていく必要があるのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/47
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048・三浦信祐
○三浦信祐君 ありがとうございます。
最後に、世界の最先端であるPEM型をつくられている、そしてそれを運用されているという部分で、今お二人の参考人の方にお伺いしたような角度で中澤参考人に伺いたいと思いますけど、もちろん、世界最高のものを今度は売っていく、そして、技術とその能力を確保していくという視点において国が必要だという支援について御意見があればお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/48
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049・中澤宏樹
○参考人(中澤宏樹君) 御質問ありがとうございます。
先ほどもちょっと御説明させていただきましたけど、本当に国内でグリーン水素を作るというところでは、やはり化石燃料、天然ガス、都市ガスと比べると、価格の部分というのは完全に劣ってしまいます。なおかつ、熱量についても三分の一、水素は、ということがありますので、今回、今法案につきましては、この部分をしっかり補っていただけるということで、我々としては、十五年間助成していただいて、その後十年間はしっかり継続できるように、二十五年間、二〇五〇年のカーボンニュートラルに向けてまでしっかりやるということを我々としても取り組んでいくということになっておりますので、今法案につきましては、本当に我々としては願ってもない、我々がビジネスを進めていく上で最高の法案になってくると思いますので、我々はしっかりコストダウン、いろんなことを図りながらしっかりビジネスとしてやっていけるように、それから、やはりターゲットの部分というのはアジアになるのかなとは思っておりますけれども、ここにもしっかり売り込んでいけるように頑張っていきたいと思っております。
ありがとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/49
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050・三浦信祐
○三浦信祐君 参考人の先生方、ありがとうございました。
以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/50
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051・東徹
○東徹君 日本維新の会の東徹でございます。
今日も、参考人の三人方、本当に貴重なお話をいただきまして、ありがとうございます。
私もこの法案には前向きでございまして、やはり脱炭素化、これを目指していくということはもうこれ世界の流れでありますし、そして、それだけじゃなくて、やっぱりしっかりと日本が経済の産業構造を変えていって、新しいビジネスになっていって経済がやっぱり成長していくと、そしてまた、さらには海外、海外にそういったノウハウを売っていくということができればいいなというふうに思っているわけですけれども。
ただ、やっぱり、コストというのはやっぱり非常に大事な観点だと私も思っておりまして、そこはやはり外してはいけないポイントだなというふうに思っております。今本当に、再生可能エネルギーが導入されてから、電気料金というのはやっぱり上がってきていますし、FITもまた更に上がるということです。なかなか、今、賃金を一生懸命上げていっておりますけれども、これから社会保険料とか、それからまた税金とか、そしてまた、さらにはこういった電気代とかいうのも上がってくると、非常にやっぱり家計を圧迫するというふうに考えております。
その中で、御質問をさせていただきたいんですが、まず近藤参考人の方からお伺いしたいと思いますが、国際的な調達資源となる水素の安定、安価、大量確保が不可欠ということになっておるんですけれども、この安定、安価、大量確保というのは、これどのようにしてやっていくというふうにお考えなのか、お聞きしたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/51
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052・近藤元博
○参考人(近藤元博君) 大量という話になりますので、国内では作ることがなかなか難しいなと思います。そういう意味では、再生可能エネルギーを使ったグリーン水素を作れるような地域とやっぱり国際的な協調をしながら、そこでなるべく早く、なる早と言いますけど、なる早に事業を起こしていくこと、それを国際的な権益にしていくことが大事かなと思います。
特に、これ古くなってしまいますが、オイルメジャーが、アメリカのオイルメジャーたちが世界を席巻してきたというのは、彼らが世界をにらみながら油田開発をしてきたというところにありますので、今回のエネルギーシステム、新しい水素というものについて、日本がやっぱり先進的に、早く海外に出ていってこういうものを作っていき、利権を取っていくのが大事かなと思います。
その中では、先ほど申しましたように、やっぱりいろんなシステムが必要になりますけれども、基準化、標準化というものを型にしながら、自分たちのノウハウを守りながら、世界標準をコントロールすることによって事業の優位性というのをどんどんアップしていくと、こういうことが大事かなというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/52
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053・東徹
○東徹君 ありがとうございます。
水素なんですけれども、どういう使い方が一番効率がいいというふうにお考えでしょうか。近藤参考人の方に、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/53
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054・近藤元博
○参考人(近藤元博君) これもかねがね申し上げていますが、やっぱりハード・トゥー・アベートということで、どうしても水素でなければならないところというのに中心的に行くんだろうと思います。
例えば、エネルギーとして使うのではなくて資源として使う、例えば鉄鋼ですとか化学、こういったものはやっぱり、先ほど竹内委員からありましたように電気に変えられない部分がありますので、熱需要のところでどうしても電気にならないものについては水素が使われるだろうと。
あとは、順番にどういうふうに使っていくかという議論をしなきゃいけないと思いますが、車の世界になりますと、利便性の問題はありますけれども、電気でもいいんじゃないという議論になってくると、水素は電気の後でもいいと思いますし、そういう意味では、優先順位として、やっぱりどうしても水素でなければならないような分野、ここに優先的に入れる必要があると思います。
ただし、ここは非常にコスト的に厳しい分野でもありますので、そういう意味では、水素を安価に調達しながら大量に入れること、これを国が支援していくことというのは非常に大事なことだなと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/54
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055・東徹
○東徹君 ありがとうございます。
輸送分野でいいますと、近藤参考人に続けてお聞きしたいと思うんですが、これは、例えば車であっても、例えば大型のトラックとかバスとか、そしてまた、さらには船舶、こういったところに水素を活用していくという方が効率的にいいんじゃないかと思ったりするんですが、その点についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/55
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056・近藤元博
○参考人(近藤元博君) 効率論と利便性があると思いますけど、やっぱり、例えば地方の都市の中の例えば公共交通であれば、これ電気自動車、電気バスでも十分だと思うんですね。ところが、先生おっしゃったように長距離輸送になりますと、やっぱり電気の活用の限界がありますので、現在の技術では、そういう意味では、おっしゃるような長距離輸送に向けた水素活用というのはまだまだ残っているのかなというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/56
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057・東徹
○東徹君 ありがとうございます。
では、竹内参考人の方にお伺いをさせていただきたいというふうに思います。
水素の活用については、何が一番効率がいい、効率のいい方法は何が一番いいというふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/57
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058・竹内純子
○参考人(竹内純子君) ありがとうございます。
ちょっと先ほどの近藤参考人の御回答とかぶりますけれども、私もやっぱりハード・トゥー・アベードと言われる、その産業の分野に使うということが最も求められるというところかなというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/58
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059・東徹
○東徹君 ありがとうございます。
竹内参考人にお伺いしたいと思いますが、水素を生成するに当たってなんですけれども、再生可能エネルギーから作る水素というのはやはりコストが高いというふうに思うわけですね。
先ほど竹内参考人の方からも御紹介がありました、関西電力でやっているその水素の製造とかですね、そういった意味では、やっぱり原子力発電所からとかですね、そういったところで作る水素という方がコストを考えれば安いんではないかというふうに考えますが、やっぱりそういったものの普及というものも大事ではないかと思うんですが、それについてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/59
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060・竹内純子
○参考人(竹内純子君) 御質問ありがとうございます。
御指摘のとおりだというふうに考えております。
脱炭素電源で作れば、要は作った水素はCO2フリーでできたものということになり、基本的にはCO2を敵にしているこの世の中において等価である、等しい価格で、価値であるということになるわけですが、そこにイメージとかいろんなものが乗ってくるというようなところですが、改めまして、我々の敵はCO2であるということを考えれば非常に有効な手段ではあるんですが、先ほどの中でも申し上げさせていただいたんですが、日本はやはり脱炭素電源が極めて、再生可能エネルギーのポテンシャルという点でも十分ではない、加えて原子力も十分に今稼働している状態ではないということで、貴重な脱炭素電源を水素にしてしまうことは、これはもう変換すれば変換するほど効率が落ちていくということになりますので、もったいないということでは当面はございます。十分な原子力の稼働が確保できれば、それは一つの大きな手段になるというふうに認識をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/60
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061・東徹
○東徹君 ありがとうございます。
続けて竹内参考人の方にお伺いしたいと思いますが、先ほど火力発電所、その石炭火力の発電所のアンモニアの混焼のお話がありました。このアンモニア混焼をすることによって、五〇%で恐らくLNGのまだ半分だと思うんですけれども、それぐらいじゃないのかなと思うんですが、それでもやっぱりCO2は出すわけですね。となると、やはりそれで問題がなかなか解決というわけではないというふうに思うんですが、やっぱり将来的にはどうしていくべきというふうにお考えなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/61
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062・竹内純子
○参考人(竹内純子君) ありがとうございます。
これはもう技術同士の競争になってくるというふうに思いますけれども、それこそ蓄電池といったような形がコスト競争力を持ち、そして大規模化することが可能なのかといったようなところも考える視野に入れて、どちらの技術が安いのかを考える必要があるというふうに思いますが、一方で、このアンモニアの専焼というような形、今二〇%混ぜる、そして次には五〇%混ぜるというふうに言っておりますが、これは技術開発のステップとしては当然踏むべき慎重なステップということで、ただ、じゃ、専焼ができないのかというと決してそんなことはなくて、専焼の技術開発にももう取り組んでメーカーはいらっしゃるということですので、この専焼させるということが競争力を持つのか、これは技術の競争になってこようかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/62
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063・東徹
○東徹君 竹内参考人にもう一つお伺いしたいと思いますが、アンモニア専焼、これは技術が進んでいけばそれができるだろうというお話ですけれども、一方、CCSもありますよね。これ、石炭火力の場合、CCSでは九十何%回収できる。ただ、コストの問題もあると思います。これはどっちが現実的だというふうにお考えなのか、お聞かせいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/63
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064・竹内純子
○参考人(竹内純子君) ありがとうございます。
CCSも、カーボンニュートラルを世界的に達成する上では非常に重要な技術ということになりますけれども、やはりこの埋める場所として期待をされるのが油田等で、石油を掘り出した穴に、空いているスペースにCO2突っ込むというところが極めてやりやすい場所ではございます。
そうしますと、日本のように石油も天然ガスも出なかった国は周辺に十分なその埋めるポテンシャルがないというようなところでございますので、日本においてはということで申し上げますと、CCSというようなことも、当然一定程度は期待ができると思うんですが、どこまで大規模化ができるかといったようなところと併せ鑑みる必要があるというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/64
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065・東徹
○東徹君 続けて竹内参考人にお伺いしたいと思うんですが、先ほどメタネーションのお話がありました、BトゥーBかBトゥーCかというところでですね。私は、メタンについてなんですけれども、メタンはCO2を回収して作るので、これはいいのかなとも思ったわけですが、そうでもないというふうなことなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/65
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066・竹内純子
○参考人(竹内純子君) ありがとうございます。
回収をきちんとして、それがサーティファイドされましたら、当然それはCO2を出さないでつくったエネルギーということで認識をされると思いますけれども、どこでそれを回収するのか。で、回収のコストが極めて大きいというふうに見られておりますので、そうしたコストも含めて考える必要があるといったようなところでございます。
全体的に申し上げまして、やはりその水素は世界的に極めて強い期待があるというのはここまでの御議論でもあったかと思いますけれども、一方で、このどこまで本当にコストを掛けるのかといったようなところ、我が国としてのこのリスクシナリオ、もうこれは極めて重要なところだと思っております。
日本だけが死んでもCO2削減をするといったようなことにしても、実は地球温暖化というのは全く解決しない、日本が出しているCO2というのは三%にも満たないわけですので、全くこの問題は解決しないというようなことになりますので、そうなると、どこまでコストを負担するか。
コストの問題というのは極めて大きな問題だというふうに認識をしているということ、済みません、ちょっと蛇足でございましたけれども、付け加えさせていただきました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/66
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067・東徹
○東徹君 ありがとうございます。
では、中澤参考人にお伺いをさせていただきたいと思います。
米倉山での、山梨県のですね、この取組、非常にすばらしいなと思って見させていただきました。私も天然水とかかなり飲ませていただいているんだなとすごく思いましたし、言ってみれば、何かウイスキーも造っておられるということで、私、そういうのを聞くと、ああ、そのウイスキーも飲みたいなとか、その天然水も飲みたいなと、こうすごく思うわけです。非常に面白い取組だなと思って見させていただきました。
やっぱり、そういうものを価値があるというふうに国民が思えば、そういったものに多少高くても手を出していくのじゃないのかというふうに思ったりするんですが、そういう私の思いでいいのかどうか、ちょっとお伺いしたいなと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/67
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068・中澤宏樹
○参考人(中澤宏樹君) 御質問ありがとうございます。
先生御指摘のとおり、やはりグリーンの水素で作ったものの価値、先ほど竹内先生もおっしゃっていましたけど、同じ鉄、CO2出しっ放しの鉄とグリーンの鉄、これ価格どうなのという話があると思います。だから、やはりグリーンで作ったものの価値というものを消費者の皆さん方がしっかり認識していただければなるのかなと思っています。
実際、実は我々、UCCさんなんかとも組んで事業を進めているところなんですけど、UCCさんが水素で焙煎したコーヒー、お値段はというと、結構なお値段になるというお話を聞いておりますので、こういうものに対して国民の皆さん方が価値を認識して、我々もしっかりPRしなきゃ駄目だと思います、やはり価格が高いところをまず転換していく。例えば自動車とかですね、そういう過程に水素を入れていくという部分であれば価格転換が容易だと思いますけど、例えば水とかコーヒーとか、そういう本当に皆が、皆さんが本当に日常使っているものの価格の転換というのは非常に難しいんですけれども、今回の価格差支援制度というものがあることによって、より水素の普及というのは進んでいくのかなというふうに思っております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/68
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069・東徹
○東徹君 ありがとうございます。
時間ですので、以上で終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/69
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070・礒崎哲史
○礒崎哲史君 国民民主党・新緑風会の礒崎です。どうぞよろしくお願いいたします。
今日は、三名の参考人の皆さん、本当にありがとうございました。
まず最初に、近藤参考人と中澤参考人のお二人にお伺いをしたいんですが、ちょっと市場拡大、サプライチェーンを構築していくという観点で、行政の役割として何を期待するかという観点でちょっと御質問したいんですけれども。
私、ここで質問、経済産業委員会の中で何度もやっていたのは、自動車関係でいけば、例えばEV車の普及のために、充電器の普及ですとか、あるいは水素ステーションの普及、こうしたものを政府として力をやっていくべきだということを話をしてきました。特に水素ステーションでいくと、この水素に関係する安全性の法律ですとか基準というのが、コンビナート並みの厳しい基準のものが多くて、水素ステーションという小型なものにふさわしいといいますか、その規模感に合った規格ですとか安全基準というもの、こういうものも必要ではないかという、こういう議論もさせてもらいました。
また、今回の法律でいくと、この市場拡大、サプライチェーンをつくっていくという意味では、政府からの支援って需要サイドと供給サイドがセットになって計画を作るという法案になっているので、じゃ、そうすると、この計画を作るときに、この需要家の人は供給サイドを見付けなきゃいけない、供給サイドの人は需要家を見付けなきゃいけない、じゃ、そこの仲介役って一体誰がやってくれるのか。先ほど中澤参考人の御説明の中で、今パートナー募集していますというお話ししていましたけれども、じゃ、そのパートナー募集というのは事業家が全部やらなきゃいけないのか、何かそこに政府として仲介できることはないのか、こういった観点で、市場を育てていく、サプライチェーンを構築していくという意味で、政府、行政、自治体でも結構なんですけれども、行政に期待することをまずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/70
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071・森本真治
○委員長(森本真治君) では、近藤参考人からお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/71
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072・近藤元博
○参考人(近藤元博君) 御質問ありがとうございます。
先ほどほかの先生からもありましたけれども、やっぱり国の中で欠けているというのは、グランドデザインを描くということですね。やっぱり水素大事だよねということはあるんですが、総論としては、ただ、各論として議論が進んでいきません。そういう意味では、各論の議論が出てこないとなかなかサプライチェーンの構築につながらないので、バックキャストをしながらグランドデザインをつくりながら、そこにいる地域のプレーヤーがみんなで議論できる場が必要かなとは一つ思います。
それから二つ目に、先生おっしゃったように、水素というのはどこでも使える。要は、大規模な工場から、もっと言うと家庭まで使えますので、それに見合った基準ですとかルールというものをきちんと適正に作っていく必要があると思います。そういう意味では、その過剰な規制というのがあるんであれば、それは撤廃しないといけないかなというふうに思います。
それから最後に、やっぱりその自治体さんのレベルを見ますと、なかなか脱炭素で水素と言われてもやることが分からないってあるんですが、実際その中で見れば、地域の脱炭素の中で、じゃ、交通システムをどうしましょうかとか、家庭のシステムをどうしましょうかという観点から見るといろんな選択肢が出てきますと。なので、選択肢をもう少し広げてあげる必要があるかなと。
そういうことによってプレーヤーが増えてきますし、選択肢を選ぶことによってプレーヤー同士をつなぐことができると思いますので、そういう意味では、もう少し、水素だけじゃなくていろんな観点から、脱炭素の選択肢を広げることによって結果として水素が必要であるというところをどう描いていくかというのが一つかなと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/72
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073・中澤宏樹
○参考人(中澤宏樹君) 御質問ありがとうございました。
やはり行政がどのようなことができるかということになると思うんですけど、我々がやはりほかの県の皆さん方と話をしたり、また我々の県内の自治体と話をする中で、やはり何をやったらいいのかということで非常に困っているという話は聞いております。
そんな中で、私たちとしては、特に内陸の県なんかですと、海外から持ってくる水素を使って、を輸送してくるとなるとまたコストが掛かるということになりますので、是非行政として、例えば内陸に大きな工業団地持っているというようなところについては、先ほど近藤先生おっしゃったように、県レベルの広域の中で絵を描いていただいて、この工業団地についてはこんなような形でできるんじゃないかとか、この地域、ここを中核として、ここからハブ・アンド・スポークでサプライチェーンを描いていけば、県のこの地域全体は脱炭素化が図れますよというような、そういうグランドデザインをしっかり県の産業部局等で描いて、そこで、じゃ、どういう手法で水素を持ってきましょうかとか、あと、例えばパイプラインを引くとなれば、今回の法案では、道路占用許可について配慮していただけるという形の規定が盛り込まれておりますので、こういうものをうまく使いながらその地域の工業団地全体を脱炭素化していくというようなことができるかと思っておりますので、その部分では行政としての役割というのは十分果たしていけるのかなというふうに思っております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/73
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074・礒崎哲史
○礒崎哲史君 御意見ありがとうございました。
やっぱり専門家が、グランドデザインを描ける専門家がきっと行政の中あるいは相談できるところにいるというのが大変重要なのかなと思いましたので、その点、また今後の審議の中で生かしていきたいと思います。
もう一つ、市場という観点で、今度は近藤参考人と竹内参考人の方にお伺いをしたいんですけれども、これから水素をどんどんどんどん使っていこうとしたときに、大量の水素が必要になる。ただ、日本では、多分水素は全部作り切れないので輸入をせざるを得なくなるだろうといったときに、このビジネスとの関係で見たときに、大量に使うところに水素を持っていって、そこで、一番いいのは、多分大量に消費するところで水素を作ってそこで使うというのが、輸送コストも含めて少なく済むわけですから、コスト的には有利になる。でも、これから世界各国で水素を利用したときに、この輸送というのがどれぐらい普及をしていくものなのか。
ただ、先ほど竹内参考人の最初の御説明の中で、今実際にそういうのって、やり取りしているのって日本と韓国ぐらいで、余り世界ではそれほどというお話があったとすると、日本が引き続き大量に水素等を輸入せざるを得ない状況になったときに、日本国内のマーケットってすごくやっぱりコスト的に不利になってしまうんじゃないかというのもちょっと心配な観点で頭に浮かびました。
ということで、グローバルなビジネス展開をしていくときの、大規模に使っていくときの本当に水素の輸送という観点で見たときに、日本は、日本のそれこそエネルギー需要の中で水素というのはどれぐらいを賄っていかなきゃいけないものなのか、それとも世界的にやっぱり水素というのは大きく供給して輸送されていくものなので、全体的にコストが下がっていくというふうに考えた方がいいのか、どういうふうに見た方がいいのか、お二人にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/74
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075・森本真治
○委員長(森本真治君) では、近藤参考人からお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/75
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076・近藤元博
○参考人(近藤元博君) 途中申し上げましたように、二〇五〇年に五億トンぐらいの水素需要があると世界では言っていますので、マスの効果として、全体の恐らくプライスは下がっていくと考えます。
ただし、先生おっしゃったように、水素を作ったところで地産地消で材料として使っていくというのは非常にいいと思うんですが、産業立地論からしますと、じゃ、全ての国内事業がその水素の生産拠点に移転するのかという議論になってしまいますので、これはやっぱり非常に、何というか、現実味がないかなと思います。
なので、やっぱり輸送というのは必ず必要になってまいりますし、今までも天然ガス火力発電所のLNGも全てが輸入してきた中で、国内ではそのエネルギー費が高い中でも国際競争力を保ってきた日本の企業がありますので、水素だけのコストもありますけれども、それがべらぼうに、今よりも十倍も二十倍も百倍も高くなれば別ですけれども、そうならなければ、今の国際的な競争力の中で、日本の経済というのはまだまだ企業としては生きているんじゃないかと考えております。
ですので、輸送問題というのは、日本にとってみれば致命的な問題であるかもしれませんが、これは日本の技術と、それから産業の側でうまく吸収することも考えながら活用の道を探らざるを得ないというのは、もう必要な課題だと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/76
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077・竹内純子
○参考人(竹内純子君) 御質問いただきまして、ありがとうございました。
先ほども申し上げましたとおり、この海上輸送をしてまでというようなところについては、申し上げたとおり、日本と韓国と幾つかの国に限られると。この同じ水素の利用と申しましても、やはり欧州や米国等は近隣に再生可能エネルギーの大きなポテンシャルがあって、そこからできた水素を陸上で、パイプライン等ですっと持ってくればいいといったようなところと、日本のように海上輸送をしてというようなところとは、私は、やっぱり大きくこれから競争力という点で開くおそれは、私は十分考えるべき話だろうというふうに思います。
先ほどお話ちらっと申し上げました豪州の皆さんとの対話のときには、あなたたちが、豪州の方たちがですね、もう鉄鉱石持ってグリーンエネルギーもあるんだから、こちらで産業をっておっしゃるのはこれは当然だけれども、ただ、産業というものをそこまでなめてもらっては困りますと。サプライチェーンも含めて、非常にこの技術力、それから納期をきちんと守るであるとか、そういった全てのこのクオリティーといったようなものを含めて、日本はこれは今まで競争力を保ってきたといったようなところ。なので、エネルギーと鉄鉱石、原料とエネルギーがあればできる事業ではないというところで我々はずっと戦い続けるというようなことを申し上げたんですけれども、逆に申し上げますと、この形での戦いしかなくなるといったようなところ、ここは本当に認識をする必要があると思いますし、先ほど東先生の御回答の中でちょっと無理やりにリスクシナリオについても是非皆さんに御検討いただきたいというふうに申し上げましたのは、やっぱり世界がどこまでコストを掛けてこのカーボンニュートラルに取り組もうとしているんだという、この国民がカーボンプライスを許諾する、受容するという仕組みづくりも必要なんですが、日本の国民だけではなくて、世界的に負担をしてくれなければ、これは温暖化のためにも意味がないということに加えて、日本の国民の負担だけが増えるということになりかねないので、そうしたリスクシナリオも含めて是非御議論をいただければというふうに思っております。
私からは以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/77
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078・礒崎哲史
○礒崎哲史君 ありがとうございます。
今、竹内参考人の方からリスクシナリオという御発言がありまして、ちょっとその件でもう一つ竹内先生の方にお伺いしたいんですけれども、少し、エネルギー安全保障全体的なエネルギー計画ということで、先ほど先生の御説明の中では、技術の進展に合わせてある程度柔軟に、その時点その時点でというお話がありました。
ただ、エネルギーのことを考えて、エネルギーの全体計画を考えていくと、変更に簡単に追従できるかというと、それはできない。やはり、一つ何か発電所を造ろうとすれば、それは計画含めて建設に十年近く掛かり、実際造ったものはその後五十年使うとすると、やっぱり五十年、半世紀の計画を作らないといけないとすると、柔軟な対応ってなかなか難しいと思うんですよね。そうすると、今ちょっと、せっかくリスクシナリオという御発言をいただいたので、今回のこの水素を進めていく上において、このエネルギー安全保障、エネルギー全体計画との関係性でいくと、やはり柔軟性というのは、そうはいっても、ポイントとしてこれはしっかりやるというところは決めないといけないと思うんですが、そのやっぱり決めるべきところのポイントというのはどういう観点を考えておけばいいんでしょうか。
その点も御示唆いただければ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/78
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079・竹内純子
○参考人(竹内純子君) 御質問ありがとうございます。
本当にエネルギーというのは、五十年先といったようなところも、ほかの一般の事業とやっぱりこうしたインフラ投資が必要な事業というのの極めて大きな、最大の違いは時間軸だというふうに私は思っておりますけれども、おっしゃったとおりに、その柔軟な変更というようなところ、これ、政治が決めても現場が付いてこれないということになるというのは、本当に御指摘のとおりかというふうに思います。
ですので、先ほどその柔軟にというふうに申し上げましたのは、コスト見通し等によって、今それこそ、例えば水素のプロジェクトも入札のように明確にコストだけで競争させることではなくて、いろんな要素、供給量であるとかそういったところ、それから、将来性含めて、総合評価みたいな形でこの法案書かれているかというふうに思います。
そういった形にすると、特に海外の事業者からすると、分かりづらい、参加しづらいといったようなところになりがちではあるんですが、一方で、柔軟にこの評価の軸、今々だけで評価するのではなくて、将来性も含めて、あるいはエネルギー安全保障上の価値であるとか、いろんなところの価値を含めて評価をするといったところで、言わば経済産業省さんが手綱を握るといったような仕組みになっているというふうに思います。
そうした仕組みに当初せざるを得ないところは、この技術がどこまで世界的に普及していくのか、競争力を持っていくのか、まだやっぱり不透明だからといったようなところで、その手綱の強弱含めて、まだ一般的にマーケットでどうぞと言える状況ではないといったようなところを申し上げさせていただいた次第でございます。
済みません、ちょっと御回答し切れないところがございますけれども、ここでコメントさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/79
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080・礒崎哲史
○礒崎哲史君 ありがとうございます。貴重な御意見いただきましたので、今後の審議にしっかり生かしていきたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/80
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081・岩渕友
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
三人の参考人の皆様、本日はありがとうございます。
初めに、三人の参考人の皆様に同じことをお伺いしたいというふうに思います。
世界気象機関の報告によると、昨年は記録的な暑さだったということで、世界の地表付近の平均気温が、産業革命前と比べると一・四五度上回るということになりました。この連休中も、各地で三十度を超えるようなところ、真夏日になるようなところもあって、気候危機への対策が切迫しているというふうに感じています。
先日行われたG7の気候・エネルギー・環境大臣会合、ここの合意の中でも、一・五度目標を達成する、そのために、二〇三〇年までに温室効果ガスを二〇一九年比で四三%削減、二〇三五年までに六〇%削減をするということが非常に緊急に必要だということが確認をされて、既存の石炭火力からの排出量だけで一・五度の限界を超えてしまうということへの強い懸念が示されました。
この一・五度目標を達成するという、そのために残されたカーボンバジェットが急速に減少していると、脱炭素に向けて二〇三〇年までが勝負の十年だというふうにされている下で、この二〇三〇年までの取組というのは非常に重要だというふうに思うんですね。
こうした切迫した状況の下でこの水素の活用ということで、この水素の活用を否定するものではないんですけれども、二〇三〇年に間に合わないのじゃないかというふうに思うんです。この切迫した排出削減期限にどう貢献できるのかということで、参考人それぞれの御見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/81
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082・森本真治
○委員長(森本真治君) では、近藤参考人からお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/82
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083・近藤元博
○参考人(近藤元博君) 先生おっしゃったように、二〇三〇年という短期目線で見ますと、今、世界の水素の供給量とか、使える場所も含めて見ると、まず貢献する量は非常に少ないと考えます。
ただ、私のプレゼンでも申し上げたように、この水素というのは、やっぱり短期的目線もありますが、中長期目線の中でいかに脱炭素社会をつくっていくかということと、ステーブルになった社会の中でいうと、化石燃料に代わる一つの大きなグローバル資源になると思いますので、そのための取組として必要かなと思います。
というような意味で、二〇三〇年に向けては、まずは今ある技術、今あるテクノロジーとノウハウを使っていかに下げていくかということが緊急の課題かと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/83
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084・森本真治
○委員長(森本真治君) では、続いて、竹内参考人、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/84
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085・竹内純子
○参考人(竹内純子君) 御質問ありがとうございました。
おっしゃるとおり、その切迫している状況、急がなければというところと、先ほど礒崎先生の御質問の中でも申し上げさせていただいたんですが、長い時間軸を要するこのインフラ社会の構造の転換といったようなところ、極めてこの時間軸の調整が難しいといったようなところはもう先生の御指摘のとおりだというふうに思います。
そういった中で考えますと、二〇三〇年までの脱炭素化といったところで、コスト、そして時間、準備時間の少なさという点でいいますと、やはり既存の原子力の活用というところが大きな肝になってくるといったようなことになると私は考えております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/85
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086・森本真治
○委員長(森本真治君) では、続いて、中澤参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/86
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087・中澤宏樹
○参考人(中澤宏樹君) 御質問ありがとうございます。
我々がこのYHCつくったときには、実際のところ、価格差支援というのをお願いしていましたけれども、入ってくるのは二七年、八年、九年かなぐらいのことを考えておりましたが、一気に世の流れ、また政府の方の動きも速くなって、今法案が今、国会の方で審議されております。
我々も、先ほど申しましたとおり、プロジェクトが幾つも動き出しておりますので、このプロジェクトがしっかり稼働するように、予定した時期に動けるようにということで、二〇三〇年までにどのくらい我々のこのプロジェクトをしっかり動かして脱炭素化に貢献できるかということで、これをやることによってほかの方々も、ああ、ちゃんと動いているねということで、じゃ、我々もやろうという形で、水素を使おうという社会を一刻も早く到来できるように頑張りたいと思っております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/87
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088・岩渕友
○岩渕友君 ありがとうございました。
次に、中澤参考人にお伺いをするんですけれども、先ほど述べていただいた山梨の取組、非常に興味深くお伺いをいたしました。それで、この本法案では、計画の認定に当たって経済的かつ合理的であることなどが基準になっているということで、このグリーン水素の取組が対象にならないんじゃないのかという懸念も持っているわけなんですね。参考人はその点をどんなふうに見ていらっしゃるのかということが一点と、あと、山梨のようなグリーン水素の取組をほかの自治体でもできるようにするということが非常に大事なんだというふうに思うんですね。
そこで、事前に配付された資料があるんですけれども、そこの中に参考人が、そのカーボンニュートラル実現に向けた再エネ電力を増やす共助制度の提案というもの、スライドにあったんです。これを少し御紹介いただけたらというふうに思うんです。さらに、こうしたことを含めて、そのグリーン水素に取り組むに当たってどういった支援が必要だというふうに考えていらっしゃるのか、見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/88
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089・中澤宏樹
○参考人(中澤宏樹君) 御質問ありがとうございます。
一点目、今法案での対象となるのは経済的、合理的なものという形の中で、グリーン水素はどうかという話でございましたけれども、我々の方でも経済産業省さんといろいろ意見交換をする中で、ちょっと我々、先ほど私が説明した十四ページのところにもありますとおり、現在、全国で出力制御というのも、非常に再エネを使った部分ありますし、お天気のいい日、本当に、日中の時間帯、太陽光って物すごく発電をすると、電力卸売市場には非常に安い時間帯というのが出てまいります。こういうときの安い時間帯の水素を使うことによって水素の価格を安くして、そして皆様方の方に供給していけると。太陽光だけでなく、太陽光はやはり昼間の間しか使えませんけれども、今後風力等が増えてくれば、当然風力は一日中吹いてくれますので、風は、そういうものもうまく活用しながら、再エネを使ってグリーン水素を作っているということは、十分今回の法案の中で御支援の方はいただけるのかなというふうに思っております。
それから、先ほど御指摘いただきました共助制度の話でございますが、これまさしく、我々が国に対しまして是非このようなシステムをつくっていただきたいという話をしたのは、やはりまさしくこれ、価格差支援の話でございます。
我々、米倉山で水素を作っていますと、どうしても、現状のまま作りますと、水素の価格というのは非常に高くなる。都市ガスに比べるとカロリーの分も足りないですので、五倍、六倍、七倍というような価格になってしまうということで、ここを普及させていくためには、広く浅く化石燃料を使う方々から賦課金を徴収して、それを原資に価格差支援をしていただきたいというお願いをしていたものが、今回、今回はGX移行債を財源というお話でございますけれども、そういう形で水素の価格を下げていただくという制度が欲しいということを言っていたのが、今回まさしくこの法案で実現に向けて動き出していただいているというふうに考えているところでございます。
やはり他の自治体でこういうことをやっていくというのはなかなか大変ですけれども、我々は、仲間、特に公営電気の仲間とか、いろんなところが我々とやりたいというような話も聞いておりますので、我々でお伝えできるノウハウというのはしっかり、ノウハウを伝えながら、一緒にできる仲間づくりをしていきたいなというふうに思っているところでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/89
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090・岩渕友
○岩渕友君 共助制度の提案については今御紹介あったんですけれども、そのことも含めてどういった支援が必要かということについてもお聞かせいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/90
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091・中澤宏樹
○参考人(中澤宏樹君) 申し訳ございません、ちょっとお答えが足りなくて。
今回の共助というのが、まさしくそのGX移行債を財源として、水素の分野について今回国の方で三兆円の投資をしていただけるということになっておりますので、これこそが、価格差支援制度という形でやっていただけたり、拠点をつくるのに対する設備投資等で見ていただけるということがございますので、この部分をしっかり、事業家である我々や我々の仲間のところ、民間の企業の皆さん方なんかがうまく活用して、水素社会の実現に向けてやっていけるんじゃないかというふうに思っております。
今回の法律が成立して、きちんと水素社会に向けた一歩が踏み出していけるのかなというふうに思っております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/91
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092・岩渕友
○岩渕友君 ありがとうございます。
続けて中澤参考人に伺うんですけれども、私、福島県の出身で、福島市というところに土湯温泉という温泉があるんです。ここはバイナリー発電というものを行っていて、発電もするし、熱を利用してテナガエビを飼育をして、温泉に来た方にその釣り体験もできますよということで、観光の面でも利用をすると。さらに、発電で出た利益を地域に還元をするという取組をしているということで、当委員会でも質問でも紹介をしたりして取り上げてもきているんですね。
この山梨の取組なんですけれども、その地産地消型ということで、この地産地消のエネルギーに取り組む理由とメリットについて是非教えていただきたいなというふうに思うんです。
そして、あわせてなんですけれども、山梨の取組は企業も一緒に取組をされているということで、この企業がグリーン水素に取り組むメリットについても、御見解があれば教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/92
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093・中澤宏樹
○参考人(中澤宏樹君) 御質問ありがとうございます。
福島県、先生の御地元の土湯のバイナリー発電という、非常にいいやり方だと思います。実際、北海道の方なんかでもバイオマスなんかの発電をやったりとか、いろいろやっているという話は聞いております。
やはり、地産地消でのメリットというものの一番大きいところは、山梨なんかも非常に今太陽光発電たくさんございます。山梨なんかでも、我々の水力と太陽光を合わせると、これは公称能力ですけれども、山梨県内の一般家庭、それから製造業なんかの電力需給を十分賄うだけの電力はある。にもかかわらず、今、県外、海外から化石燃料を持ってきてCO2どんどん排出している。
この部分について、地産地消という形でこの再エネをうまく使って、竹内先生が先ほど御説明したとおり、電気というのは電気で使うのが一番いいものですから、ヒートポンプとかいろんなEVとか、そういう形で電気のところをどんどん増やしていって、ただ、熱の利用、高温の熱の利用というところは電気では対応でき切れないんで、その部分はP2Gで水素にすることによって再エネの電気を使って、本当に日中の余っている、安くなっている電気、再エネの電気を使って水素を作って、それで水素バーナーやいろんな形、水素ボイラー等の形で熱利用を化石燃料から転換することによってCO2フリーのモデルが地域内でできるんじゃないでしょうかと、地域の再エネを使ってうまくできるんじゃないでしょうかということで、地産地消型のものをやりましょうと。
特に内陸なんかの、山梨県や福島県なんかもそうですし、長野県、栃木県、群馬県のように、やっぱり海から離れている内陸地域で、なおかつ再エネがたくさんあるところはこれがうまく成り立つんではないでしょうかということで我々は取り組んでいるところでございますし、あと、企業にしましても、今回特に、我々、東レさんとかそういうところと組んでいるんですけれども、この技術力というのは、本当に東レの技術力というのは、この電解質膜については世界一だと思っていますので、ここと組んで日本が国際競争力という形で水素の分野でしっかり勝っていけるんじゃないかということで、一緒に取り組む企業の皆さん方も広く募集しながらやっているというところでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/93
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094・岩渕友
○岩渕友君 ありがとうございました。
皆様からお聞かせいただいた中身について、質疑に反映させていきたいと思います。
今日はありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/94
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095・平山佐知子
○平山佐知子君 平山佐知子です。
今日は本当にありがとうございました。
三人それぞれの参考人の皆様のお話を伺って、この水素社会実現に当たっては、コスト面とかインフラ面とかまだまだ課題はあるけれども、それでもできるところからしっかり前に進めていかなくてはいけないんだという重要性について改めて認識をさせていただきました。
まず最初に、三人それぞれの参考人の方に伺っていきたいと思います。
これまでもいろんな議論がありましたので、少々重なっているところもあるかもしれませんけれども、これからやはり水素社会実現に当たっては、この利活用、使う側ですよね、その需要側、この創出、しっかり考えていかなくてはいけないなということも感じています。
実は、やっぱりこの水素社会実現に当たっては、ここがやっぱり大きな課題、難しい部分にもなってくるのかな、大きな意味では、二〇五〇年カーボンニュートラル実現に当たっても、非常に難しい部分なのかなと思っています。
というのも、地域でいろんな事業者さんともお話をさせてもらいますと、この脱炭素社会、水素社会にしていく、これは非常に認識はしているんだけれども、一方で、やっぱり事業者としては、どうしても国内でのコスト増につながってしまうとなると、なかなかその移行に、分かってはいるんだけれども取り組めない、でもやらざるを得ない、渋々やっているというところがやっぱり多いように、少なからずいらっしゃるように私の感覚で感じているところがございます。やはりこの黎明期から低炭素化進めていくためには、需要者側、需要側ですね、この低炭素水素に一定程度のコストを支払うという必要がありますので、ここをどういうふうに支援をしていくのかというところがやっぱり一つ大きな課題だと思っています。
それから、あと、一方で、国としてもこの事業者にどういうふうに伝えていくのかという大きなビジョンですよね、将来的に展望、国としては何を目指してどうしていくのか、どういう方向で、どういう国民は向きで行くのかというところを分かりやすく示していくというのがまだまだ足りていないんじゃないかなというふうに私自身感じています。こういう、事業者としては、水素とかアンモニアとかCCS、これ一つのチャンスにもなるんだというようなことを例えば伝えるとか、そうすることによって、事業者側が全体として、それならば自分事としてやっていこうじゃないかと思っていただけるようなことを具体的に分かりやすくビジョン示していくということが重要かなと思っています。
やっぱり、渋々取り組むというのとやる気を持ってやるというのは、日本経済全体を通しても随分これ変わってくると思いますので、その辺りをどういうふうに伝えていくのかということ、国への要望を含めて何かあれば、それぞれ伺わせていただきたいなと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/95
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096・森本真治
○委員長(森本真治君) では、近藤参考人からお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/96
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097・近藤元博
○参考人(近藤元博君) 御質問ありがとうございます。
まず、需要家という意味では、例えばアップルのように、最終製品を作ってBトゥーCで供給する企業がありますけれども、例えば、彼らはもうグリーン調達ということを掲げておりますので、カーボンニュートラルの素材を使い、カーボンニュートラルの製造工程でカーボンニュートラルの部品を作ってもらわないとサプライチェーンから除外されますということ、こういうメッセージはもうはっきり出ています。
逆に言うと、まだ一般の市民、国民から見ると、カーボンニュートラルのスマートフォンなのか、カーボンニュートラルでないスマートフォンは、選ぶ権利もないし分からないということですね。でも、実際には最終ユーザーである人がそのしっかりしたメッセージを発信することによって、そこに見合う上流のサプライチェーンというのは必ず変わります。
そういう意味では、必ず普及させるということを含めた戦略が必要だと思いますし、そのために、過渡期としていかにコストを負担するか、誰がコストを負担するかということと、途中議論がありましたけど、カーボンプライシングということを日本政府ももう言っておりますので、ある意味あめとむちという形を私は言っていますが、もうプライスが掛かってくること、プライスを掛けてでもやった方が競争が付くんだよねということが分かりつつある世界の中で見ると、やっぱりそれは最終製品を作っている企業がメッセージを上流側に向けてどんどん発信し続けていって、それをサプライチェーンの中でグリーン化していく、そのためにエネルギーとマテリアルのこの素材も含めて重要なグリーン化というのは、非常に伝わるかなというふうに思います。そこに水素というのが非常にしっかりと刺さってくる物質だと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/97
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098・竹内純子
○参考人(竹内純子君) 御質問いただきまして、ありがとうございました。
まず、日本の企業が渋々かどうか、ここはいろんな見方あるかもしれませんけれども、実は、TCFDですとかCDP、SBTという国際的な開示ですとか再エネに取り組む、そういった気候変動に取り組むアライアンスの中で、日本企業というのは、大体このA評価の数が一番とか、参加の数が一番といったような形で、かなりの前向きさの中にあるかなというふうに思っております。
ただ、やはり真面目にやればやるほど、コストですとか課題がクリアに目の前に見えてくるというようなことですので、それをどういうふうに解決していくのか。グランドデザインのお話がありましたけれども、グランドデザイン自体は、GX実行会議ですとか、あるいは先ほどお話の出ましたコンビナートやポート、港といったところについては、実は国交省さんが、カーボンニュートラルポートの検討会であるとか、そういったものを立ち上げて、もう本当に霞が関全体で今議論をしている。なかなか詳細な絵は描けない中で、徐々に徐々に粒度を高めていくというようなやり方しか取れないと思いますけれども、そういったことが行われているといったようなところかと思っております。
ただ、ここに二つ、ちょっと問題点を御指摘申し上げたいんですけれども、一つは、こういったグランドデザインの描かれた中でも、全ての地域が救われるわけではないといいますか、例えば、カーボンニュートラルポートでもカーボンニュートラルコンビナートでも、多分選択というようなことがこれからどんどんやっぱり出てくる時代になってくる、みんなが公平に扱われるということはなかなか難しい状態になってくるということが一点と。もう一点、水素社会にすることが目的ではないんだということを、やっぱりちょっと先生方からも、民間企業、必死になると手段に一生懸命になってしまうものですからリマインドいただきたいんですが、水素社会にすることが目的ではない、カーボンニュートラルにすることが目的である。
そうなりますと、先ほど、例えばパワー・トゥー・ガスという言葉が出ました。要は、再エネの余っている時間帯にガスに変えるというようなこと。これは極めて有効ではあるんですが、一方で、その電気の値段が安いときだけ動かすと、水素の製造装置の稼働率というのは極めて下がってしまうということになります。ですので、そのエネルギーの中でパワー・トゥー・ガスということを考えるよりは、じゃ、その電気を電気のまま、言わば柔軟な形で使える陸上養殖とかですね、それは、先ほど岩渕先生からも出ましたそういったところですとか、陸上の養殖、温度というのは割と雑な扱いでいいところがございますので、そういったものに使う。ビットコインマイニングとかAI学習とかいった、電気が余っている時間帯に動かせばいい需要をどう喚起していくかといったような全体像で御指摘をいただけると有り難いなというふうに思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/98
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099・中澤宏樹
○参考人(中澤宏樹君) やはり、近藤先生なんかからもお話がありましたとおり、今、世界的な企業なんかはスコープ3にまで脱炭素化を求めているという状況になっておりますし、我々が今一緒にプロジェクトを進めようとしているところは、やはり半導体を製造しているところの部材を作っている企業さんなんかは、やはりそれを強くメーカーから言われているのでやるというようなことになっております。
やはり、渋々というのか、それとも、大きいところなんかは、今、RE一〇〇なんかの取組なんかで脱炭素化をやろうということを一生懸命取り組んでおりますので、やはり、グリーン水素を使うことによった付加価値というものが製品に付くんだよということをしっかり国民の皆さん方、消費者の皆さん方に啓発していくということが大事なのかなと。その部分は、国や我々地方自治体なんかも、しっかり国民の皆さん方や県民の皆さん方に、グリーンの付加価値というのが大事なんだよと、脱炭素化が大事なんだよと、気候変動、今大変なんだよということをしっかりお伝えしてそこをやっていくというのがまず我々の一つの責務になっていくのかなというふうに思っておりますので、そこはしっかり取り組んでいかなければならないというふうに思っております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/99
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100・平山佐知子
○平山佐知子君 ありがとうございます。
最終商品を作っている企業側がしっかりメッセージも発しつつ、消費者もそれを、じゃ、買って利点があるんだということを考えていく、それは私たちも一緒になって皆さんにお伝えしていく、議員たちも連携をさせていただくことが必要だなということ、改めて感じさせていただきました。
伝えるという意味では、本当に国民も産業もみんな一緒になってやっぱり同じ方向性を向いていかなくてはいけないという中で、やっぱりなかなか、大企業さんはしっかり認識をしてやっていらっしゃるんだけれども、地方の中小・小規模事業者がほとんどなわけで、なかなかそこまで意識を伝達していくのというやっぱり難しさも一方で感じているところがあるわけです。
そんな中で、やっぱり二〇五〇年カーボンニュートラル、脱炭素といいますと、特に国民の皆さんはすごくよく分かっているんだけれども、すごくやはり物価高の中で価格も上がってしまうということになってくると、暮らしとは大変遠いところの話。大きな目標は分かるんだけれども、私たちの暮らしには関係ないとか、高いコストを払ってまでそういうものを、商品を購入するというのはすごく意識が高い系の人たちがやることであって、私たちの暮らし、目の前のことで一生懸命なんだからなかなかという方がやっぱりまだまだ私の周りにも多いような、そういう認識でいます。
そんな中で、皆さんで一緒にやっていくには、これ先ほど、安全保障、エネルギーの安全保障という、竹内参考人からちょっとそういうお話もありましたけれども、これも三人の方にまたお伺いしたいなと思っていますけれども、やっぱり水素もそうですけれども、CCS含めて、この日本のエネルギーをどう確保して、どう国民の暮らしを守っていくのかというようなエネルギーの安全保障という点も今回の法案を通して分かりやすく国民の皆さんに訴えて、またそして、皆さんで一緒になって考えていくという必要があるのかなと感じています。
そのエネルギーの安全保障という点でどういうふうな考え、そして訴え方が必要かと思っていらっしゃるのか、簡単にお話をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/100
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101・森本真治
○委員長(森本真治君) では、近藤参考人からお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/101
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102・近藤元博
○参考人(近藤元博君) 御質問ありがとうございます。
エネルギーの安全保障という意味では、今、中東でもいろんな紛争が起きていますし、振り返ってみますと、もうオイルショックの時代から、日本は、省エネも含めてエネルギーの安全保障を政府一丸として取り組んできた国であります。
そういう意味で、水素というのは、今までの既存燃料に置き換わるまでも含めて、いろんな意味でエネルギーの多様化の一つの手段であるので、逆に言うと、その保障上、これをきちんと手に入れておくことというのは保障のレベルが上がるものだと考えています。
それから、中小企業さんとも名古屋なんかでいろいろお話をする機会があるんですけれども、やはり今、資源高、エネルギー高ということになってきますと、カーボンニュートラルについては何をやったらいいか分からないんですが、実際には資源とかエネルギーを徹底的に減らしてコストを減らしていく、いわゆる省エネやったり、廃棄物の低減をやったり不利用につなげたりというのはもう直近の課題になってきていまして、知らず知らず、いろんな制度を使いながら、皆さんカーボンニュートラルの世界に来ているんですね。
でも、中小企業の社長さんってそこに気付いていないところがあって、だから、この間も言ったんですけど、工場のエアコンが古くなっていますね、十年前のエアコンが入っていますね、音もしますね、でも経済産業省さんの省エネのメニュー見ると、選択型って三分の一の補助でエアコン入るんですよ、最新のエアコンって半分ぐらいの電気代で済むんですよというようなことで始めて、じゃ、それがカーボンニュートラルに自分が貢献しますと一言言うだけで、社員たちは、えっ、これがカーボンニュートラルなの、これでもカーボンニュートラルになるんだというふうになるんですね。
だから、そういう意味で、入口でカーボンニュートラルって大きく刀をかざさなくても、やれることが必ずカーボンニュートラルにつながっているということ、これを教えてあげて、メッセージを発信することによって、やる気がその気になってくる、その気がやる気になってくると話しましたけど、そういう形のやり方も今後考えていかなきゃいけないなというふうに私は思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/102
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103・竹内純子
○参考人(竹内純子君) ありがとうございます。
エネルギー問題を考える上で、エネルギーの安全保障というのはとにかく私は最も重要なものだというふうに認識しております。太平洋戦争が起きたことも、やっぱりエネルギーの供給を途絶されたからといったようなところ、こういった歴史から離れてやっぱりエネルギーの議論をするということは、極めて私はリスク管理が行き届いていない話だと思います。
ただ、安全保障上の価値というのは、どうしても人々は、私も含めてですけれども、平時には認めづらいものでございます。それこそ、ドイツがロシア・ウクライナ危機によって大きなエネルギー上のダメージを受けましたけれども、数年前にドイツの方に、ロシアの天然ガスに依存し過ぎではないかと私が申し上げたときには、いや、ロシアといいビジネスパートナーになればそうしたリスクも下げられると。やっぱりリスクから目をそらしがちなのが人間だというようなところ。ですので、エネルギー安全保障上の価値こそ、国が認めて評価をして、そちらに誘導していくものが重要だというところでございます。
ただ、エネルギー安全保障ですとか安定供給といったときに、量の話だけをしているわけではないということに御留意をいただきたいというふうに思います。ここには、価格の安定性が含まれるということ、いきなり供給が途絶されるわけではなくて、値段が上がっていって、そしてとうとう手が出せなくなるということになります。
値段が上がっていくと何が起こるかというと、それこそドイツなどでは今エネルギーコストが上昇するということで、三千数百社の企業にアンケートを取ると、もう海外移転を考えるという回答が極めて多くなってきている。そうすると、先ほどの話にも出ましたが、雇用が失われ、社会が不安定化しということになっていく。こういったことになりますので、価格の安定性も含めたエネルギー安全保障上の価値、これをエネルギー問題を議論するときにはとにかく第一に置いて議論をいただきたいというふうに切に願っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/103
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104・中澤宏樹
○参考人(中澤宏樹君) 御質問ありがとうございます。
私の方でも説明させていただきましたとおり、我々の取組というのは、地域の再エネをうまく使って、地域再エネ生産型という形で、地域のエネルギーを使って地域を脱炭素化しようという取組になっておりますので、ただ、先ほど来先生方が説明していただいておりますとおり、全部がこれで賄えるとはとても、やはり海外から持ってこなきゃならないというところはありますけれども、特に内陸県なんかで、自分たちでできるところは取りあえずともかくそこはしっかり取り組んでいきましょうねという形で、地産地消型の再エネを利用するシステムというのは重要になってくるのかなと思っております。
ただ、やはり大きな意味でのエネルギー安全保障という部分で少しでも貢献できる、全部を海外に依存するわけじゃないものですから、日本としてのアドバンテージというものが少しでも持てるシステムになるのかなという形で、我々のシステムの普及というのは重要になっていくのかなというふうに思っているところでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/104
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105・平山佐知子
○平山佐知子君 ありがとうございます。貴重な意見、今後の質疑の参考にさせていただきます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/105
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106・森本真治
○委員長(森本真治君) 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。
参考人の皆様に一言御礼を申し上げます。
参考人の皆様には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。
では、午後二時に再開することとし、休憩いたします。
午後零時三十二分休憩
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午後二時開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/106
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107・森本真治
○委員長(森本真治君) ただいまから経済産業委員会を再開いたします。
二酸化炭素の貯留事業に関する法律案を議題といたします。
午後は、本案の審査のため、三名の参考人から御意見を伺います。
御出席いただいております参考人は、東京大学大学院工学系研究科システム創成学専攻教授辻健君、日本CCS調査株式会社代表取締役社長中島俊朗君及び東北大学東北アジア研究センター・同大学院環境科学研究科教授明日香壽川君でございます。
この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。
皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。
次に、議事の進め方について申し上げます。
まず、辻参考人、中島参考人、明日香参考人の順にお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度、委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。
なお、御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、まず辻参考人からお願いをいたします。辻参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/107
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108・辻健
○参考人(辻健君) こんにちは。よろしくお願いします。東京大学の辻と申します。
私の方からは、CCSについて、配付資料、こちらに沿って説明させていただければと思います。
二ページ目、お願いします。
まず、CCSを取り巻く背景についてです。
IPCCの報告書にもありますが、大気中の二酸化炭素の濃度が温暖化を引き起こしているということは科学的にも明らかになってきています。さらに、その温度上昇に伴って、極域でのメタンガスの放出などによって温暖化が加速することが心配されています。この温暖化に伴うメタンの放出などにより、CO2を削減しても、すぐに気温が低下するわけではありません。またさらに、このような温暖化に伴って生じる地球上の様々な変化により、将来の気温を予測することが難しくなっていると言われています。私は、この将来の気温を予測することができないことが怖いと思っています。
このような背景がございますが、日本では、二〇五〇年のカーボンニュートラルの目標が設定され、それに向けて迅速にCO2を削減しようとするのは良い方向だと思います。
CCSは、このカーボンニュートラルを達成する上で重要な技術と位置付けられており、特に、ネガティブエミッション、CO2を積極的に大気から削減するという、そこに貢献できる数少ない技術とされています。また、IEA、国際エネルギー機関では、CO2の排出量の一五%ほどをCCUSで削減することが期待されており、国際的にもCCSの重要性は認識されています。
次のページ、お願いします。
次に、CCSの概要について説明させていただきます。
CCSは、CO2の排出源からCO2を回収して地下に入れる、貯留することにより大気中のCO2排出を減らすプロジェクトです。さらに、大気中からCO2を直接回収するDAC、これ、ダイレクト・エア・キャプチャーという技術ですけれども、その技術も開発されており、そのCO2を地下に貯留すれば、先ほどお伝えしたように、ネガティブエミッションに貢献できるということです。
また、CCSは、一見自然に反した作業、プロジェクトのように思われるかもしれませんが、実際には、CO2は天然の地下にも数多く存在します。例えば、火山や温泉などでは、CO2が地下から漏えいしているところは多々あります。また、人間は、産業革命以降、化石燃料を地下から取り出してエネルギーとして使ってきましたが、その際に排出されたCO2、つまり炭素を再び地下に戻すという作業であるCCSというのは、地球の炭素循環を考えると、それほど自然に反したプロジェクトではないと考えております。
次、お願いします。
様々なCO2の削減技術がございます。その中でのCCSの位置付けについて説明させていただきたいと思います。
CO2削減技術を評価する際には三つのことを考えるべきと私は授業とかで言ったりしていますが、一つ目はCO2の削減の達成時期です。もし魅力的なCO2削減策があったとしても、それでCO2を削減できるのが例えば百年後になるのであれば、それまでは別の技術を組み合わせてCO2を迅速に削減する必要があります。すなわち、タイムスケールを考える必要があるということです。二つ目はCO2の削減量で、現在は大量のCO2の削減が求められていると、そういう状況にあります。三つ目はコストです。
そんな中で、CCSはまず近未来的にCO2を削減できると考えられておりまして、実際に、二〇三〇年からCCSが開始される計画があります。また、CO2の削減量は大きいと考えられており、日本国内でも約百六十億トンのCO2を貯留する場所があるとされております。また、CCSは、CO2の削減の難しい非電力排出源からのCO2の削減できることも特徴の一つと言われています。しかし、コストや安全性など、CCS特有の課題もあります。これら課題について、この後少し紹介させていただきます。
次のページ、お願いします。
まず、CCSのコストです。CCSでは、一トン当たりのCO2を削減するのに一万円から二万円程度必要とされております。将来的には一トン当たり数千円程度になると考えられております。一方で、CCSは、カーボンプライシングなどの制度がない場合にはビジネスとしての成立は難しいですので、そのような制度設計が必要だと考えられます。
実際、アメリカでは、一トン当たりのCO2を削減するのに八十五ドルの税制控除があります。また、EUの排出権取引制度でも同程度の額が設定されています。これらの額というのはCCSに必要なコストと同等であり、CCSはコスト的にもこういう控除があれば現実的な方法であると言えると思います。
次のスライドをお願いします。
ここから安全性について説明させていただきます。ここは皆さん興味を持たれる方多いと思いますが、まずはCO2貯留サイトを決定する際の評価方法について説明します。
安定してCO2を貯留する場所を調べる方法に反射法地震探査というものがあります。これは、体の中を調べる医療用のエコーの巨大バージョンみたいなものです。この手法を使えば、地下の三次元的な地質構造や断層を可視化することができます。さらに、井戸を掘削して得られるデータを利用することにより、地層の不安定性に関係する水圧や応力を推定することもできます。このような探査、掘削データを用いてCO2貯留サイト周辺の断層の有無や、CO2が安定して貯留できるかどうかを事前に評価することが求められます。
なお、CO2地中貯留のサイトによって地質学的な状況が異なってしまいます。これが地球を相手にするCO2貯留の難しいところでして、サイトごとに地層の評価、最適なモニタリング手法を決める必要があります。つまり、CO2貯留サイトを決定する際には、その安全性を評価する機関、何らかの組織の役割が重要になると考えられます。
次のスライドをお願いします。
次に、安全性を担保する上で強く求められているモニタリングについてです。石油や天然ガスの開発では、地下の貯留層をモニタリングする技術が長い間使われてきました。特に、反射法地震探査を繰り返し実施して、その変化から地下をモニタリングする時間差地震探査というのが広く利用されてきました。この方法はCCSでも利用され、スライドの図にありますように、既に貯留CO2をモニタリングした実績もあります。
しかし、この手法にも不利な点があります。まず、コストが高いことです。そのため、このモニタリングデータを取得し続けることは難しく、急なCO2の漏えいに対応できないなどの可能性があります。
石油や天然ガスの開発では、貯留層の状態を知りたいときにだけモニタリングデータを取得すればよかったのですが、CCSでは、何らかの異常があればそれをすぐに検出する必要があり、連続的なモニタリング手法が求められるということです。
次のスライド、お願いします。
実際、貯留したCO2を連続的にモニタリングするシステムも開発されております。ここでは、ちょっと私の研究例を紹介させていただきますが、例えば、これまでのモニタリングでは、大型の震源装置が使われていたためコストが掛かりました。そこで、微弱なモニタリング振動を連続的に発振して、それらを足し合わせてモニタリング振動を遠くまで飛ばすスキームを導入することで、震源装置を小型化することができました。
この装置を、震源装置を小型化することによって、定常的にその震源装置をCO2貯留サイトに設置することができ、連続的なモニタリングが可能になると考えられます。またさらに、この震源の小型化により、低コストで環境負荷の少ないモニタリングが可能になると考えられます。
次のスライドをお願いします。
さらに、最新のセンシング技術、日本はセンシング技術得意なんですけれども、そういう技術もCCSのモニタリングに利用できます。スライドに示しますのは、井戸の中に設置した光ファイバーケーブルを地震計として利用する、そういう手法があるんですけれども、その結果ですが、地表に設置した先ほどの小型震源装置からのモニタリング信号が、深度一キロメートルの井戸の底、これCO2を貯留するサイトぐらいなんですけれども、その深い場所まで伝達している、到達していることが分かります。つまり、これらの方法で、貯留したCO2を連続的にモニタリングできるというふうに考えることができます。
次のスライドをお願いします。
次に、安全性の中でも特に議論になることの多い誘発地震について説明します。
まず、地震が発生する条件について説明します。
スライドの上にある式を見ていただければと思いますが、これは断層の中に水がない場合です。この場合、数式の左辺の剪断応力、タウと書いていますが、これは断層を滑らそうとする力に相当します。これが式の右辺にある摩擦抗力より大きくなったときに断層が動き、地震が発生します。
しかし、一般的には、下の模式図にあるように、断層は水で満たされています。この断層の中の水の圧力が高い場合、その水が断層を押し広げようとします。つまり、断層を押し付ける力を打ち消すように水圧が掛かるわけです。その場合、断層の摩擦抵抗、式の右辺ですね、そこにマイナスpfとあるのが水圧の部分ですが、この部分が、右辺が小さくなり、左辺の剪断応力が同じでも断層が動いてしまうと、そういうロジックです。
CCSの場合、CO2の圧入によって水圧が高くなったときに誘発地震が発生する可能性はゼロではないと言えます。しかし、CCSの場合には、隙間の多い岩石にCO2を圧入しますので、水圧自体が高くなりにくいというふうに考えられています。
また、CO2貯留サイトは浅いため物質が軟らかく、そもそも断層を動かそうとする力、これタウという、剪断応力自体が蓄積されにくいという、そういう特徴もあります。
なお、CO2貯留サイトを事前に評価する場合には、その場所の剪断応力と摩擦抵抗を物理探査データなどから推定し、それらの関係、つまり、このスライドにある式を使って、地震の発生のしやすさを示す値、滑り係数を計算することができます。この係数を計算することで、地震が発生しにくい貯留地点を見付けることもできます。
次のスライドをお願いします。
前のスライドで説明したとおり、断層の中の水圧が高くなれば地震が発生しやすくなります。ここでは、この水圧の情報を使って、自然地震と誘発地震を分離する方法と誘発地震のリスクを低減する方法について説明します。
これらの方法では、潮汐、海の満ち引きや遠地地震、遠くで発生する地震などに伴う自然の水圧変化を使います。実は、自然の状態でも地下の水圧が常に変化しています。そういう水圧の変化が地震を誘発、自然地震を誘発させたりします、することもあります。もしその自然の水圧変化がCO2地中貯留に伴う人工的な水圧変化より大きければ、その周辺で発生した地震は自然地震と考えることができます。
この手法を長岡のCO2貯留サイトと、貯留と、そのときに発生した中越地震の関係に適用した結果をスライドの下の方に示しておりますが、この結果から、貯留サイトから数百メートル離れれば、自然の水圧変動の方がCO2貯留による人口的な水圧変動より大きくなることが分かります。
中越地震の震源はこのCO2貯留サイトから十キロ以上離れておりますから、その震源では自然の水圧変動の方が大きいということになり、中越地震は自然地震と評価することができます。この方法、非常にシンプルなんですけれども、データに基づいて地震を評価できる点では重要と思われます。
さらに、このCO2貯留に伴う水圧変動を自然地震より、自然の水圧変動より小さくするように制御してやれば、誘発地震のリスクを低減することもできると考えられます。
次のスライドをお願いします。
次に、住民の理解についてです。
CCSの実施には、国民へのCCSの認知度を高める必要があると思います。私は、微力ながら、小中高生や一般の方への講義などを通してCCSのことを伝えようとはしておりますが、多くの方がCCSのことを知らないのが現実です。突然CCSが近くで行われることがないように、もっと国民に対する理解を深めていただくそういう努力、私も頑張りますけれども、そういう試みが必要だと思います。
次のスライドをお願いします。
次に、人材育成です。
二〇五〇年には年間一・二億トンから二・四億トンのCO2を貯留することを目標にしていますが、その場合、数百本の井戸が必要になるとされています。その際、このプロジェクトを管理する専門人材が必要になります。特に、CCSを理解するには幅広い知識が必要になると考えられます。米国などの大学ではCCSのコンソーシアムがつくられ、CCSプロジェクトとともに専門人材の育成が進める動きがあります。日本でも産官学が連携する取組があってもよいように思います。
なお、東京大学では、CCSに関する社会連携講座を新たに構築しまして、その講座を利用して人材育成を行う試みもスタートしつつあります。
次のスライドをお願いします。
ここでは、CCSの将来像について少し話をさせていただきます。
CCSは化石燃料のための技術と考えられることがよくありますが、CO2貯留技術が確立されればネガティブエミッションが可能になります。そこで、このスライドに示されるような新しいCCSの形を考えることもできます。DAC、ダイレクト・エア・キャプチャーでは大気中からCO2を回収するというのをお伝えしましたが、この手法では、純度の高いCO2を回収することは苦手です。しかし、回収されたCO2に含まれる不純物というのは、大気中からですから、窒素や酸素といった環境に優しい物質ですので、それであれば、純度の低いCO2であってもそのまま貯留できる可能性があります。この手法が良いのは、電気さえ供給されればCO2の回収、貯留をどこでも実施できることです。つまり、場所の制約がなくなり、人里離れた枯渇油田などの砂漠などでもCO2を減らすことができるという形です。この装置を使って様々な場所でCO2を大気中から除去するようになれば、ネガティブエミッションが現実的になってくると思います。
最後のスライドをお願いします。
CCSでは環境影響などのネガティブな側面も議論されることがありますが、カーボンニュートラルという大きな目標を達成するためには、広い視野に基づく議論が必要だと思っています。特に最近では、デジタル化が進んだのか、多くの場面でデジタル的にゼロイチ、白黒で決められようとする傾向があるように思います。この場合、多くの因子を統合して考える、すなわちシステム化して考える必要のあるCO2削減策を議論することが難しくなってしまうことがあります。人間的な判断、弾力性のある判断が求められると感じております。
以上になります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/108
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109・森本真治
○委員長(森本真治君) ありがとうございました。
次に、中島参考人にお願いいたします。中島参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/109
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110・中島俊朗
○参考人(中島俊朗君) 御紹介いただきました中島でございます。
本日は、弊社、日本CCS調査が行ってまいりました実証事業の概要を御説明させていただいた後、本法案に関する若干の意見を申し述べさせていただきたく存じます。
お手元に資料をお配りさせていただいておりますので、そちらを御覧いただきたいと思います。
表紙をめくっていただきまして、二ページを御覧ください。
日本CCS調査株式会社は、二〇〇八年、CCSを推進する国の方針に呼応した民間企業の出資により設立されました。同じ年には、G8洞爺湖サミットでCCSの重要性について確認がなされております。日本のエネルギー関連企業、電力会社、都市ガス会社、石油精製、石油・天然ガス開発、プラントエンジニアリング会社、総合商社等、三十三社の民間企業の出資をいただいております。
弊社は、苫小牧CCUS大規模実証のほか、貯留適地の調査、液化CO2の船舶輸送実証等を国などから委託を受けて実施をしております。こうした取組は、二〇一五年のCOP21におけるパリ合意のその大分前から、約十六年間にわたり地道に継続をしてまいってまいりました。
次のページを御覧ください。
三ページには苫小牧実証での目的を記載してございます。この四点、すなわち、分離回収から貯留までの一貫システムとして安全、安心なシステムであることの実証、それから情報公開と地元理解の醸成、技術の習得を目的として実施をしております。
ここに記載はございませんけれども、二〇一二年から一五年度の四年間を準備期間といたしまして、設備の設計、建設、坑井の掘削作業等を行いまして、二〇一六年四月よりCO2の圧入を開始、一九年の十一月に予定した三十万トンの貯留を達成いたし、その後は稼働を休止してございます。二〇一九年十一月以降現在まで、圧入したCO2のモニタリングを継続あるいは設備の保全等を実施しております。
四ページを御覧ください。
こちらの上段の図に示しておりますとおり、本実証では、隣接する製油所内の水素製造装置のオフガスの一部を受け取りまして、そこからCO2を分離回収し、地下に貯留しております。
続いて、五ページを御覧いただきますと、地下の部分を拡大した図になっております。
地下の地質構造と圧入坑井の関係でございますけれども、海底から約一千から三千メートルの深度に存在する貯留層にCO2を圧入しておりますが、貯留層の上部には液体や気体を通さない緻密な遮蔽層が厚く存在しており、一旦地下に貯留したCO2が再び海中や地上に漏出するリスクは極めて小さいと評価をしてございます。
六ページを御覧ください。
実証設備の位置をお示しした写真でございます。実証センターや圧入地点が、人口約十七万人の苫小牧市街地のごく近傍に位置することが見て取れるかと存じます。観測井や海底地震計を設置するなど、しっかりしたモニタリング体制と情報公開を徹底したこと、積極的かつ地道な広報活動を実施したことにより、地元市民や関係者の御理解を得ながら円滑に作業を進めることができました。
七ページを御覧ください。
圧入期間中であった二〇一八年九月に北海道胆振東部地震が発生いたしました。本実証センターは震度五弱を観測いたしましたが、CO2の地下からの漏出等は確認されず、地震の専門家にも御検討いただき、本実証が地震の発生原因としても、また発生した地震による貯留層や坑井への影響についても、共に因果関係がないことを確認しております。
八ページを御覧ください。
ページの一番下のところに青いハッチが掛かった部分でございますけれども、本実証は海洋汚染防止法の適用を受けて実施いたしましたが、同法には地下の地質構造の利用に関する権利義務や技術基準についての規定がなく、坑井の掘削や貯留等の作業は、経済産業省のガイドラインに従い、鉱業法、鉱山保安法に準拠して実施をいたしました。今後、民間事業者によるCCSの社会実装を推進するに際しましては、一元的な法律の整備が必須であると考えてございます。
九ページを御覧ください。
苫小牧での実証規模は、年間十万トン、合計で三十万トンの圧入でございましたが、そのデータを基にいたしまして、実用化で想定される規模として、年間百万トンのCO2圧入にスケールアップした場合のコストを試算してございますが、その結果といたしまして、圧入量ベースでは六千百八十六円、分離回収や圧入に要したエネルギーの利用によるCO2の排出量を考慮した実質削減量ベースでも七千二百六十一円パー・トンという結果となっております。
なお、苫小牧実証では、CO2の分離回収地点と圧入地点がごく近接しておりましたために、CO2の輸送コストはほとんど含まれておりません。
それから、中段でございますけれども、政府のCCS長期ロードマップでは、RITE、地球環境産業技術研究機構さんが一定の条件下で行った試算を踏まえ、二〇五〇年におけるコスト目標を設定し、CCS全体で二〇二三年比約六割以下を見込むとされておりますけれども、この左から二列目、足元という欄に記載の想定コスト水準は、今申し上げました弊社の試算の想定規模との違いあるいは苫小牧実証以降の物価上昇等を勘案いたしますと、おおむね妥当な水準ではないかと考えているところでございます。
他方、一番下の段でございますが、各国の炭素税等の水準は徐々に上昇する傾向にございますけれども、欧州における炭素排出権取引価格、EUETSの推移を見ますと、制度の強化もございまして、二〇二一年度頃より八十から九十ユーロの水準に上昇しております。足下ではウクライナ情勢等あり乱高下している状況もございますが、円換算いたしますと、さきに申し上げましたCCSのコストの水準に近づく傾向にあると受け止めております。
十ページを御覧ください。
苫小牧の実証は海外からも高い評価をいただいております。二〇二一年には、欧州最大のCCS国際会議であるトロンハイム国際会議で最優秀論文賞を受賞、二二年には、多国間CCSイニシアティブであるCSLFからグローバルアチーブメント賞を受賞、二〇二二年には、国際エネルギー機関、IEAが発刊したCCUSハンドブックの中で、地震多発地域でのCO2貯留の好事例であるとの御評価をいただいております。
また、右下のグラフですが、苫小牧実証センターでは、海外の政府機関、政府あるいは研究機関等からの多数の視察を受け入れております。二〇二三年単年で見ましても、海外からのみで三十九件、五百五十五名の御視察をいただいており、うち、アジア諸国、タイ、中国、韓国、台湾、マレーシア、シンガポール及び中東などからの視察者がその八割を占め、これらの国々でのCCSに対する関心の高さを感じているところでございます。
十一ページを御覧ください。
ここまで御説明いたしましたとおり、苫小牧実証は、所期の四つの目的をしっかりと達成できたものと認識しておりますが、本実証から得られた社会実装に向けた課題として、大きく四点、コストの低減、輸送手段の確立、貯留適地の確保、事業環境の整備といった点が認識されました。
このうち、コスト削減については、特に分離回収における技術開発が期待されること、輸送手段、貯留適地調査につきましては、次のページ以下で御説明する取組が進行中でございますこと、そして、事業環境整備につきましては、まさに本法案により法整備が行われようとしており、加えて、CCSを事業として行える経済的な枠組みの整備が必要であろうと認識しております。
十二ページを御覧ください。
話が若干変わりますが、二〇〇五年から一二年頃に行われましたRITEさんなどによる概査を受けまして、二〇一四年から二三年度まで、日本周辺のCO2貯留ポテンシャル調査を弊社が実施いたしております。その結果として、十一地点、百六十億トンのポテンシャルが存在すると推定しております。まだ未調査の地域も残されておりますことから、日本全体の年間排出量約十一億トンのうち、仮に一億トンを毎年貯留し続けるとしても、相当の貯留キャパシティーが存在する可能性があると考えております。
十三ページを御覧ください。
大規模な排出源、集積地域の近傍に貯留適地が見付からない場合、CO2の長距離輸送手段が必要となるため、液化CO2船舶輸送実証を弊社が受託をし、現在必要な設備の建設等を進めているところでございます。本実証の一環として、CO2タンクの大型化を目指し、世界初となる低温、低圧状態での運用が可能なCO2輸送船「えくすくぅる号」が建造され、既に竣工しており、今年度より本格的な実証運用を開始する予定でございます。
最後のページ、十四ページになります。
以上、御説明申し上げましたとおり、CCSに関わる技術研究開発は、コスト削減等の課題はございますものの着実に進展しております。カーボンニュートラルと我が国のエネルギー安定供給、安全保障との両立におきましては、化石資源を利用しながらCCS、CCUSの活用を図ることが必要と考えておりますし、CCSは、先ほど辻先生のお話もありましたとおり、バイオマス発電との組合せによるBECCS、あるいは大気からの直接回収と組み合わせたDACCSといったネガティブエミッションの実現にも必要な技術でございます。
海外においても、CCSへの取組は加速をしており、我が国で更なる実績を積み上げ、海外に伍してCCSの社会実装を進めるには、我が国の石油・天然ガス鉱業者等の貯留事業者の参入を促進すべく、早期の法整備が必要であると考えております。本法案は、技術的親和性の高い石油・天然ガス鉱業、かねへん鉱業のプラクティス、例えば、地域の理解、環境対応等や苫小牧実証等から得られた知見が適切に反映されているものと認識しております。
他方で、事業としての予見可能性を高めるためには、モニタリングを含む諸規制について、国際標準と比較して過度なコストが発生しないよう留意が必要であると考えております。
加えまして、本法案が成立した後の課題といたしまして、二〇三〇年までの貯留開始を実現するためには、最終投資決定を行う必要が生じる二〇二六年頃までに貯留事業等を成立させる経済的枠組みを早急に立ち上げ、国による全面的な支援措置をまとめていただくことが極めて必要であると考えております。
また、当社が地質学等の有識者の御指導の下で進めてまいりました適地調査、貯留適地調査により、十一地点で百六十億トンが確認されておりますが、引き続き調査を進めていく必要があると認識してございます。さらに、コストダウンに向けて研究開発等を促進することも必要であると考えてございます。
私からは以上でございます。どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/110
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111・森本真治
○委員長(森本真治君) ありがとうございました。
次に、明日香参考人にお願いいたします。明日香参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/111
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112・明日香壽川
○参考人(明日香壽川君) ありがとうございます。東北大学の明日香と申します。このような機会をいただき、感謝しております。
私は、資料に沿ってお話しさせていただきます。
二ページ目を御覧いただければと思います。
内容は三つありまして、早急かつ大幅な削減の必要性。恐らく、早急かつ大幅な削減、具体的なイメージというのはお持ちでない方が多いかと思いますので、そこに関して少し説明させていただきます。二番目、CCSというのは全てのCCSが悪いというわけではありませんし、私もそこは申し上げません。ですが、日本政府の今のGXにおいて、火力発電に対するCCSに関してはいろいろ問題があるかと考えています。三番目に、じゃ、どうすればいいか、どうした方がより国民経済にとってプラスになるか、そのようなお話を、どちらかというとエネルギー全体の話をさせていただければと思います。
三ページ、テークアウエーメッセージ、まず皆さん今日持って帰っていただきたいメッセージなんですが、まず第一は、日本の温室効果ガス排出削減目標、今、政府の目標は四六%削減ですが、これはパリ協定の一・五度目標に全然整合しないです。なので、カーボンニュートラル二〇五〇年というのは皆さん何となく御理解なさっていて、二〇五〇年までに減らせばいい、それまではいろいろ試行錯誤すればいいというふうに思っている方が多いかと思うんですが、実は、この二〇三〇年の間に大幅に減らさないと一・五度目標は達成できないということです。
次のページ、お願いします。
二番目のメッセージとしては、基本的には政府としては、補助金をいろんな技術、研究開発に供与するということかと思います。ですが、御存じのように、補助金にはいい悪いがありまして、今、今日午前中にお話があった水素、アンモニア混焼や石炭火力のCCSに多額の公的な補助金を出すのは極めて悪手だとは考えています。まさに、これは機会費用の喪失ということになるかと思います。
じゃ、どういう機会費用かというと、その分のお金を再エネ、省エネに投資すれば、CO2排出早期削減、いろいろ書いてありますが、全てが実現すると。なので、このような利益が喪失するということが言えるかと思います。
ページをめくっていただいて、早急かつ大幅な削減の必要性です。
六ページ御覧になっていただければと思います。
よく四六%で、NGOとか若い人たちは六二%が必要だということをおっしゃっています。ですが、実はどうやってその六二%という数字が出てきたかは余り分かっていない方が多いかと思います。これは、世界全体での費用最小という分配の仕方で考えたときに六二%になります。
ですが、世界全体での費用最小というのは実は公平ではなくて、カーボンバジェットを公平に分配する、例えば一人当たりで分配する、まあそれに対してもいろいろ異議があるかと思うんですけれど、実は温暖化の問題というのは、水とか食料を公平にどう分配するかという問題と全く同じです。そのときに必ず出てくるのが、一人当たりで同じでしょうということです。そうすると、この研究機関の、世界中の研究者がこの研究機関の数字に依拠しているんですが、一〇〇%、日本は二〇三〇年までに本当は削減しないと、本当というか、公平性を考えるとということです。
次のページ、七ページも、違う研究機関ですが、同じような結果を示していて、日本の場合、人口一人当たり同じように割り当てるとすると、二〇二五年に実はゼロにしなきゃいけない。これは、一・五度の目標を六六%の確率で達成する場合です。なので、このくらい実は一・五度目標というのは難しいんですね。なので、二〇五〇年に何とかすればいいというのは全然違う話で、この二〇三〇年までに、公平性を考えれば本当はゼロにしなきゃいけないというのがパリ協定の目標です。ということをまずちょっと頭に入れていただければと思います。
次のページを願います。
そういう状況で、どこにお金をどれだけ出すかというのは非常に重要でありまして、そのために政治の場があるのかなとは思います。私のポイントとしては、CCS火力発電に公的な補助を出すのは問題だということをここでお話ししたいと思います。
九ページ、先ほどいい悪い補助金があるというふうな話をしましたけれど、既に再エネ、省エネというようなより代替技術がある中で、CCS、特に火力発電CCSというのはCO2排出を固定します。かつ高コストです。これ、コストが高いということは、実はほかに安いコストのゼロエミッション技術があったとき、それを、そっちを使った方がより大きな排出削減が実現するということなんですね。なので、脱炭素を邪魔して遅らせるということを私は申し上げていますし、世界中の研究者がこのポイントを今強調しているところです。ここは後でまた説明します。
世界中のCCS、今動いている、世界で四十ぐらいあるんですけれど、そのほとんどがいわゆる原油増産目的のCCSです。なので、一トンのCO2で二・五バレル石油が増産される計算になっていまして、二・五バレルの石油を燃やすと一トン出ることになります、CO2が。なので、実は何をやっているか全然分からないというのが石油増産、世界のCCSです。
補助金の場合、それに与えられることによって民間投資が進めばそれでコストが下がりますので、それで政策としては良い補助金ということになるんですけれど、CCSの場合は、世界レベルでは大規模な民間投資が行われていません。今、現時点で行われているのは、ほとんど政府の補助金によっているものです。なので、かつ、それによってコストが下がらない。コストが下がらないというお話も後で申し上げますけど、結局は補助金を国民が永遠に払い続けるということになります。
三番目は、雇用増にならず、コベネフィットが小さい。かつ、CCSの場合はエネルギーを使いますので、その分実は効率が悪くなるということです。
十ページ、お願いします。
これは、CCS技術が習熟率、学習率というんですかね、ラーニングカーブって、たくさん投資をしてたくさん導入すればコストが下がるという、それは皆さんお分かりになるかと思いますけど、それをほかの技術と比較したものです。太陽光モジュールやLED、電気自動車、いろいろありますが、CCSは原発と並んでほとんどコストが下がっていない。CCS自体は一九二〇年代ぐらいから使われて、一九五〇年代、だから、かなりアメリカで入っているんですけれど、ほとんどコストは変わっていない、安くなっていないというのがCCSです。
次のページを願います。
これもアメリカの事例なんですけれど、アメリカ政府も、二〇一〇年ぐらいから火力発電CCSに対して補助金をたくさん出しています。ですが、八件中七件は失敗しています。稼働していないです。結局お金が無駄になったんで、アメリカの会計検査院が警鐘したレポートを出しているというのがアメリカでのCCSです。
この一件だけ動いたんですが、十二ページお願いします。
一件だけ動いた、実はそれは、世界で動いている石炭火力の発電CCSは、カナダ一件、アメリカ一件だけです。そのアメリカが、その先ほどの一つだけ動いた、補助金で動いたものなんですが、二〇一七年、動いたんですけれど、これも原油増産回収ですが、日本の国際協力銀行とみずほ銀行が低利融資して、アメリカが約二億ドルの補助金を出している案件です。なので、日本のお金がかなり入っているという案件です。
これ動いたんですけれど、次の十三ページお願いします。
技術的問題、採算性悪化で、二〇二〇年五月に稼働停止しています。親会社は、三回の減損処理後、保有していた五〇%の持ち株をCCS建設費の僅か〇・五%の価格で売却です。これ何があったかというと、不良債権の処理ですね。建設費の〇・五%で、ある意味で二束三文で売り払ったと、損を切ったということかと思います。なので、今このアメリカの唯一の、世界で動いている二つのうちの唯一の一つのアメリカの火力発電CCSというのは、日本のENEOSの子会社が一〇〇%出資しているという状況です。
次のページ、十四ページお願いします。
二〇二〇年に止まったんですが、二〇二三年九月にまた再稼働しました。なので、今動いていますが、コストや排出削減量は不明な状況です。もう一つ世界で動いているカナダのバウンダリーダム発電所のCCSも、一千億円以上投資して、CO2回収率は六割程度です。IEAも、二〇二一年ですか、最初にネットゼロのシナリオ、こうすればカーボンニュートラル二〇五〇年達成できるというようなシナリオをCCSに関して研究していたんですが、二〇二三年のアップデート版では、CCSはやはりかなり難しいんじゃないかというような少し厳しい評価をしているところです。
十五ページは、低いCO2回収率に関するデータですね。グラフです。左が天然ガス火力、石炭火力です。動いているのは二つしかない。天然ガスのコマーシャルベースのCCSが世界にまだ存在しないです。見ていただければ分かりますように、火力発電の場合は今六割ちょっとですかね、五割、五六%。実はほかの天然ガスの生成とか水素生成のCCSも、実は回収率は九割を超えていないです。なので、技術としてはまだまだ途上、少なくとも、九〇%、九十何%回収できるというのは現実とは違うという話になります。
次のページお願いします。
アメリカの話なんですけれど、これまさに二週間ほど前ですか、バイデン政権が、発電所のCO2排出量を二〇三二年から九〇%削減するという規制を導入しました。これはまさに、石炭火力を止めるかCCSを入れるかのどっちかを迫っていることになります。業界団体は、CCSはまだ経済性がなく導入する段階にない。先ほどお話があったように、アメリカの補助金があるので経済性があるという話かもしれないんですが、実は業界団体は分かっているので、経済性がないから今は無理だというような話をしています。実質的な石炭火力及び火力CCSへの引導、これ引導という言葉はニューヨーク・タイムズがこのアメリカの政権の政策に関して使っていた言葉で、そのまま使ったんですけれど、まさにそういう状況であります。
十七ページお願いします。
ここもちょっとお話はしょりますけれど、G7では、やはり日本に関して非常に厳しい、特に日本の石炭火力を使い続けることに関しては厳しい意見が出ています。
そのときに問題になるのが、日本の政府の見解というのは、排出削減が取られていると、だから大丈夫だという話なんですけれども、その排出削減という定義がどう考えるかなんですね。IEAはCCUSが付いていなきゃいけない、IPCCはライフサイクル全体で九〇%以上回収しなきゃいけないというような定義をしているんですが、十八ページを御覧になっていただけますように、日本は、そう言うには、それは一つの定義であって、日本政府の定義は違うというような立場を崩してはいないです。九〇%以下でもオーケーというふうに解釈していますし、先ほど申し上げたカーボンバジェットなり一・五度目標、石炭火力だけでカーボンバジェットを全部使ってしまうというような議論は無視しているというのが日本ではあります。
なので、このような日本に対しては面白い記事があったので御紹介しているんですけど、日本に対して、宿題は犬が食べてしまったという、ザ・ドッグ・エイト・ジャパン、アンド・ザ・ドッグ・エイト・ホームワークという言い方がありまして、子供が宿題何でしないといけないんですかと言われたときに、宿題は犬が食べちゃったというふうに子供が答えたと、まさに日本はそういうような言い訳をしているというような記事がブルームバーグで世界中で流れているという状況です。
最後に、ではどうすればいいかというお話をさせていただきたいと思います。ちょっともう時間が過ぎてしまっているので簡単にお話ししたいと思います。
基本的に、再エネ、省エネは今非常に安くなっています。この十年間で十分の一の値段になっています。なので、そっちを使った方が全然安いんですね。
二十二ページ、お願いしたいと思います。
これも御覧になった方もいらっしゃるかと思うんですけれど、一トンCO2を減らすのに幾らぐらいお金が掛かるかということです。事業用太陽光が二・九USドル、原発運転延長が十七ドル、原発新設は五十六ドルです。なので、差が六倍から十九倍なんですね。これ、IEAのデータです、IEAの報告書。
これどういうことかというと、同じお金を出すんであれば、事業用太陽光に投資した方が六倍から十九倍、原発の再稼働又は新設に対してCO2の削減ができると。なので、先ほど冒頭に申し上げたように、脱原発、済みません、無駄なお金を投資するのは脱炭素を遅らせると、邪魔するということです。
いろいろな計算は我々の研究グループがしています。一つだけグラフを紹介させていただいて、二十六ページ、二十七ページです。
我々の研究、計算だと、政府のGX、水素、アンモニアも使うし、CCSも使う、石炭火力も使うというエネルギーシナリオの方が全然電気代が高くなるという結果になります。先ほど申し上げたように、再生可能エネルギーは十分の一の価格になっていますし、CCSは高いです。我々、二〇四〇年からCCSが入るという想定で、一万二千円という先ほどのデータ、コストを入れているんですけれど、誰が計算してもこういうふうになります。
こういう結果というのは、最後のグラフになりますけど、二十九ページ、別に我々の研究グループがこういう数字を出しているわけじゃなくて、アメリカの政府の研究機関も、アメリカの今のインフレ抑制法案、基本的には再エネ、省エネをたくさん入れるという、EVもたくさん入れるという政策なんですが、それによって電気代は下がるということを示しています。
なので、申し上げたいのは、もちろんそのゼロエミッション、CCSも、水素、アンモニアも、CO2はゼロに何とかすればなると思います。ですが、お金が非常に掛かると。そのお金をほかに使った方がより電気代も安くなりますし、CO2の削減にもつながりますし、エネルギー安全保障にもつながるということを強調して終わりたいと思います。
ちょっと遅くなって、延びてしまいまして申し訳ありませんでした。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/112
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113・森本真治
○委員長(森本真治君) ありがとうございました。
以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
これより参考人に対する質疑を行います。
なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/113
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114・小林一大
○小林一大君 自由民主党の小林でございます。
本日は、辻参考人、中島参考人、明日香参考人のお三方、ゴールデンウイーク明けの大変お忙しいところ、お時間取っていただいて、また貴重な御意見をいただきまして、心から感謝申し上げます。ありがとうございました。
辻参考人からもありましたけれども、カーボンニュートラルの実現に向けて、鉄鋼等の脱炭素化の難しい分野においてもGXを進めていく必要があって、CCSはそのための有効な手段であると考えています。世界的にもCCSの導入は進展をしておって、法制度、支援策の整備が進んでいるものと承知をしていますし、我が国としても、こうした世界の潮流に合わせ、CCS事業開始に向けた環境整備を図る必要があると考えますし、今回の法案はその一端だというふうに思います。
一方で、政府が法制度を整備するだけでは不十分だというふうにも思っています。コスト低減や安全性確保に向けた更なる技術開発や、事業者が投資等を行える環境の整備、また国民の理解と協力を得ること、これが一番だと思いますけれども、様々な課題を克服していかなければならないと思います。
今日は、忌憚のない御意見を伺いたいと思います。
まず、CCSに対する国民理解の推進について、辻参考人と中島参考人にお伺いをしたいと思いますが、CCS、我が国においては新しい技術であって、本格的な導入や事業化に向けた国民理解の増進が不可欠にもかかわらず、いまだ必要性や意義等が国民の間で広く共有されている状況にはないのではないかと、先ほどもお話ありましたけれども、私もそう思います。
そしてまた、明日香参考人からは、様々な理由から反対という御意見もいただきました。ありがとうございました。
政府、二〇三〇年まで、当面の間、地域ごとに説明会を開催して、CCSの政策的意義や負担に加えて、科学的な根拠に基づいたCCSの安全性、立地による地域への投資効果、雇用創出効果などについて理解を得ていくとともに、懸念の払拭を努めるというふうにしております。こうした説明会も、何に重点を置いてどのような目的に基づいて開催するのかを明確にすることが大事だというふうに思います。
それで、辻参考人にまずお伺いをしたいと思いますけれども、先ほどもありましたけれども、CCSに対する国民理解を深めていくために、政府は何に重点を置いてどのような目的に基づいて国民に対する説明を行うべきであると考えていらっしゃいますか。御所見を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/114
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115・辻健
○参考人(辻健君) 御質問ありがとうございます。
政府としてというのは、ちょっと私もクリアなアイデアはないんですけれども、例えばアメリカとかではEORというのが、いいか悪いか分からないですけど、石油を増進回収すると、そういう資源を地下から取るというプロジェクトに国民もなじみがある。また、アメリカとかでは、メタンの開発って止めることがなかなかできなくて、需要と供給のバランスを図るために、メタンを使わないときにまた更に地下に貯留するという、CO2じゃなくてメタンを貯留する、そういうプロジェクトもあります。
ですから、そもそも国民、アメリカとか海外、どこまでの海外を含めるかは難しいですけれども、そういう地下を使うというところに理解がやや進んでいるところはあると思います。ですから、日本もそういう、地下にそういうスペースがあってそこを有効活用するという、そういうアイデアを日本の一般の方も持っていただければもう少し理解が進むんじゃないかなと。
じゃ、そのためにどうするかということですけれども、日本ではなかなかこういう技術に関する、例えば、最近テレビ見ないのかもしれませんけれども、そういう報道もほとんどないですよね。私、東京大学の学生に聞いても、CCSのこと知らない人もいます。そういう状況ですので、CCSの、もう少し若い、学生のときからそういう資源とかエネルギーに関する問題を教科書とかに入れるとか、そういう教育のところですね、海外とかはもうエネルギーとか資源というのは基幹技術ですから、もう重要な教育テーマになっているわけで、そういうのも日本の教育に含めていくのが一つの手法じゃないかなと思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/115
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116・小林一大
○小林一大君 ありがとうございました。
それでは、次、中島参考人に御質問したいと思いますが、実際に苫小牧で実証実験を行われた御経験から、特に立地地域住民の皆さんの理解を得るために重要な点などを具体的に伺えればと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/116
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117・中島俊朗
○参考人(中島俊朗君) お答えいたします。
まず、私も、JCCSが実証するに際しましては、まさにそのCCSというものが何かということを一からといいますか、ゼロから皆さんに理解していただく必要がございました。
かなり幅広い層に対して、例えば比較的シニアの方、あるいは中堅、中間の御年齢層の方、それから、若いところではもう小学生、中学生向けの講義、講座など、そういったものをいろいろと用意をして、CCSが何なのか、それからどのように安全を確保しているのかといったところを地道に繰り返し御説明をさせてきてまいっております。
それから、情報公開ということでも、実際に圧入が始まりました後は、リアルタイムでどういう状況で圧入されているかというのを、市役所の方にもパネルを用意してそこで見られるようにしたりとか、そういった形で、とにかく地元地域の皆さんの不安を払拭するために様々なチャネルを用い、それから媒体を活用して説明をしてきたというところでございます。
それから、苫小牧におきましては、比較的、自治体、岩倉苫小牧市長を筆頭、先頭にいたしまして、非常にそのCCSあるいは脱炭素ということに対しての御理解が深かったということで、地元での経済界を中心にして、市役所が事務局になった推進協議会といったものを設置をしていただいたといったこと。それから、海底下に貯留をしたということで漁業者さんの不安ということもございましたので、漁業者さんとの対話を非常に重視をして、密な連携を取りながら実施をしてまいったということでございます。
これといった決め手はございませんけれども、やはり地道に繰り返し繰り返し情報を発信していくということ、それから、情報の透明性を確保するということが非常に重要ではなかったかと思っております。
それから、国の実証を担ったという観点では、地元だけではなくて、例えば東京のビッグサイトでこういう環境に関しての展示会等がございますけれども、ああいったところに出展をして、そこで説明をさせていただいたり、そうしますと、地元だけではなくて、都内近郊の小学校、中学校の皆さんが団体で見学に来られたりということもありますので、もう少し、グローバルというと国際的になってしまいますけれども、全国大での周知活動というのも、必ずしも十分であったとは思っておりませんけれども、そういった活動もしてまいりましたので、今後、社会実装していく上では、その貯留地点でのローカルな活動と、それから全国大で、国民皆さんに広くCCSとは何か、なぜそれをする必要があるのかということをやっぱり周知を図っていく必要があると考えております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/117
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118・小林一大
○小林一大君 ありがとうございました。
今までの国民理解推進に、御尽力に感謝申し上げたいと思いますが、お二人の御経験踏まえて、それでもやっぱりリスクを感じる国民の皆さんいると思います。一旦地下に貯留した二酸化炭素が地表に漏えいするメカニズムや、その生じ得る可能性、また、仮に漏えいした場合、周辺住民にどのような健康上のリスクが生じるかについて、辻参考人、中島参考人に伺いたいと思います。お二人の経験を踏まえて、漏えいのリスクを最大限抑止するための方策についても、専門的な見地からお二人にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/118
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119・森本真治
○委員長(森本真治君) では、まず辻参考人、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/119
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120・辻健
○参考人(辻健君) 御質問ありがとうございます。
まず、漏えいをさせないような努力は、取組は必要だと思っております。一〇〇%漏えいしないかというのは、一〇〇%というのはなかなか難しいと思います。ただ、九九%漏えいしないと言えるように、モニタリングやその事前の地質調査、それをしっかりとやっていくべきだと思います。
その漏えいしたら、じゃ、どうするかというところは、確かになかなか難しいところあるんですけれども、一気に漏えい、どばっと一気にCO2が出てくることはないだろうと。それであれば、例えば鹿児島とかの火山地域とかでも、まあ鹿児島だけじゃないんですけれども、CO2が漏えいしておりますので、そういうところ、ナチュラルアナログとか我々は呼ぶんですけれども、そういうところへどういう影響があるかとか、そういうのも調べるというのは重要だと思います。
取りあえず、以上になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/120
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121・中島俊朗
○参考人(中島俊朗君) お答えいたします。
辻先生からもお話ありましたけれども、まずは事前にサイトスクリーニングの段階で、危険な地域、大きな断層がある地域であるとか、それから地震の発生が非常に集中している地域からは距離を離した場所で行うといったような、そういう努力をする必要があると思いますし、そういうことを行っているのだということをしっかりと説明する必要があると思います。その上でも絶対に漏えい、漏出をしないということが言い切れるわけではございませんので、では、仮に漏出が起こった場合にどのような影響があるのかということも、併せて説明をしていく必要があると思っております。
苫小牧の実証の場合も、実際に圧入を開始する前の様々な前提を置いたシミュレーションを行っておりまして、認識できていない断層が存在して、そこの断層のところのそのCO2の通りやすさが非常に通りやすい状態になっていると、まあ通常あり得ないような前提条件を置いて、そこでどのぐらいの漏出が起こり得るのかというシミュレーションも行いましたが、その場合でも、地表まで漏出する数量というのは非常に軽微であるというシミュレーションの結果が得られております。そういったことも、科学的な知見に基づいてきちんと評価したものをしっかりと御説明していくということが必要ではないかと考えております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/121
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122・小林一大
○小林一大君 ありがとうございました。
もう一つ、リスクというか、国民の懸念についてお伺いをしたいと思います。
辻参考人に伺いたいと思いますけれども、長岡と苫小牧で圧入実証実験が実施されると同時に、同時期にあの大規模な地震が起こったというのは、これは事実だというふうに思いますし、御両名からは、御説明で、その地震との関係は、因果関係は認められないというお話もいただきました。
私、地元が新潟なものですから、当時、長岡と中越地震の関係について地元ではちょっと騒がれたときもあって、そういう意味での県民若しくは国民の皆さんの懸念はある程度理解はするところであります。
辻参考人の御専門から、CCSが地震を引き起こす可能性、これについては先ほど御説明あったんですけれども、また、そういう懸念に対する取れる対策、若しくは、先ほども御説明ありましたけど、やっぱり難しくて、御説明を聞いているとですね、これ、国民に分かりやすく説明どうしていくのかというのが非常に重要になってくると思うんですけれども、辻参考人から御意見あれば伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/122
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123・辻健
○参考人(辻健君) ありがとうございます。
説明が難しくて失礼しました。
この地震のメカニズムの話からまず話させていただきますけれども、これ、我々も、高校生とか中学生にも同じような資料を使って、今日は時間が短いので余り詳細に説明できなかったんですけれども、そういうゆっくり時間を掛ければ、私は理解いただけると思っています。
それと、地震というのも地下の中で起こって、昔は神様の仕業じゃないかとか、そういう形になっていましたけど、今はもうメカニズムとかも大分分かってきているわけです。そういうメカニズムとかを国民に知ってもらう努力というのも必要だと思います。そうすれば、人間ってやっぱり怖いものが、怖いというのはやっぱり知らないことが多いと怖いと思いますので、やっぱりその知識を付けるところから、そういう努力が必要だと思います。
それと、地震はどこでも今、日本では発生してしまいますので、これCCSを行うと、多分このような議論は絶対に発生してくると思います。近くで絶対地震が起こる、それは自然の地震でもそうだと、自然の地震でも起こります。まあ誘発地震はそこまで起こらないと思うんですけれども、自然の地震は起こってしまう。
その場合に、やはり説明する、それを自然地震なのか誘発地震かどうかを区別する方法というのが重要だと思っていまして、そういう、今日御説明したような手法、本当はもう少しちゃんとした評価方法があるんですけれども、そういう方法を使って、これは自然地震です、これは一方で誘発地震ですというような、そういう区別するようなスキーム、手法の確立というのも求められていて、まさに我々、それも研究しているところですけれども、それは非常に必要なところだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/123
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124・小林一大
○小林一大君 ありがとうございました。
明日香参考人にも御質問したかったんですけれども、ちょっと時間が参りました。しっかりと皆さん方の御意見を参考にしながら審議をしていきたいというふうにも思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/124
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125・古賀之士
○古賀之士君 私からも、辻参考人、中島参考人、明日香参考人、お三方の御出席、そして御説明、本当に感謝申し上げます。
早速質問に移らせていただきます。
まず、CCSのこれモニタリングも含めまして、これ国際的な何か認証制度というものがあるんでしょうか。やはり可視化していくということはとても重要なことだと思います。また、国際的にも、産業競争力を高めていく必要性と同時に、国際が競争ではなく協調していくことも、この水素、CCSにおいても重要なことだと思います。
その観点に立って、このCCSの国際的な基準に基づいた認証システムがあるんでしたら教えていただきたいですし、ないんであれば、もしその必要性、そして重要性なども含めて、それぞれ三人の参考人に伺います。辻参考人、中島参考人は主に賛成のお立場から、明日香参考人は全てに反対するものではないというふうに先ほど御説明がありましたので、その立場で結構です、御説明よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/125
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126・森本真治
○委員長(森本真治君) では、辻参考人から順番にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/126
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127・辻健
○参考人(辻健君) 御質問ありがとうございます。
国際的なモニタリングスキームがあるかどうかというのは、今まさにつくられようとしているところだと私は認識しております。国ごとにはある程度でき上がってきつつもありますが、ただ、モニタリングコストとか新規の技術ができますから、それがアップデートされていくような状況にあります。
日本ではこのモニタリングをどうするかというのは、海外のモニタリングスキームを参考にしながら決めていっているという、そういうフェーズにあると私は理解しています。
以上になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/127
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128・中島俊朗
○参考人(中島俊朗君) お答え申し上げます。
やはり現時点で認証制度と、モニタリングに関する認証制度というものはないというふうに認識をしてございます。
今、辻先生からお話がありましたとおり、これからつくられていくであろうと思っておりますし、そういった意味で、まだ認証ということではありませんけれども、ISOにもCCSに関しての規定が設けられて、既に設けられたものがございまして、ここで留意すべき点等がサイトスクリーニングやそのモニタリング等々、フェーズに分けた規定がございますので、こういったものが今後もブラッシュアップされていく必要があるのかと思っております。
私どもは、苫小牧の実証の一環として、我が国においてどういうモニタリングを行っていくのがいいのか。先ほど辻先生のプレゼンの中にも、サイトごとにいろんな地質学的な特徴が異なるので、それぞれの地点に応じて最適なモニタリングというのを一律に決められるものではないという認識は持ちつつも、どういうモニタリングの手法があって、それをどういう形で適用し得るのか。コストとの見合い、それから科学的な意味合いとの関係でそういったものを、何といいますか、ガイドラインとまでは言いませんけれども、一つ指針となるような検討を有識者を交えて行ってきた経緯もございますので、そういったものも今後の社会実装において参考にしていただければというふうには思っております。
それから、認証という観点では、一点、その地下にきちんと圧入されたCO2の数量はどれだけであったのかというその国ごとのインベントリーの調整がございますので、そういったそのモニタリングとはちょっと視点は違うかもしれませんけれども、CO2の削減効果をきちんと把握するための認証制度というのは別途必要になるのかなというふうにも思っているところでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/128
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129・明日香壽川
○参考人(明日香壽川君) どうもありがとうございます。
私も、だからCCS全否定ではありませんでして、鉄鋼分野なりセメント分野では将来的に必要ではないかというふうに考えています。
CCSの問題、幾つかあるんですけれど、まさに今お話があったように、各サイトで技術も違いますし、地質も違いますし、どうやってCO2を運ぶかによっても様々です。なので、どこかスタンダードができるというような技術ではないんですね。なので、コストが安くならない、なかなか難しいと、低下しないという問題があります。
ちょっと話はありましたけど、例えばそのパイプラインの漏えいというのも非常に大きな問題でして、アメリカで実際、ミシシッピ州で二〇二〇年にパイプラインの漏えいが、CO2が問題になっていまして、そこで近くの住民が五十人ぐらい病院に行ったという大きな、まあ大きいか小さいか分からないんですけれど、事故がありました。なので、そういうリスクをどう考えるかというのがCCSの一番大きな課題だとは思っています。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/129
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130・古賀之士
○古賀之士君 ありがとうございます。
今ちょうど、高濃度のCO2のその排出による事故の話が出ましたので、じゃ、その質問に関連して辻参考人にお尋ねをさせていただきます。
こういった事故や、それからあとパイプラインも含めて、テロという、災害だけではなくて、そういう安全性も必要にはなってくるかと思いますが、辻参考人はその点についてどのようにお考えなのか、教えていただけないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/130
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131・辻健
○参考人(辻健君) ありがとうございます。
パイプラインの事故とか地上の設備については、私は、頑張ればという言い方は何かあれですけど、センシングとか、センサーをそのパイプラインにはわせてその状況を調べるとかですね、そういうことをすれば防げるんじゃないかなとは思っています。
これ、私、専門は地下の方ですけど、どちらかというとやっぱり地下を調べる、先ほど明日香参考人の話もありましたけれども、それぞれサイトごとに異なったのをいかに評価するか、そこがやっぱり難しさになって、危険という意味ではそちらになるんじゃないかなと私は思っています。もちろん、パイプラインもしっかりと管理は必要ですけれども、そこは日本の技術で守っていくところじゃないかなと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/131
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132・古賀之士
○古賀之士君 同じ質問を中島参考人に。そして、中島参考人には十一か所の適地があるというようなお話もありました。よろしければ、ベストテンを教えていただけないでしょうか。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/132
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133・中島俊朗
○参考人(中島俊朗君) 御回答申し上げます。
まず、パイプラインの事故といいますか、高濃度のCO2を輸送等で取り扱うことのリスクについてでございます。
もちろん、これで漏えいするリスクというのはあるわけでございますけれども、まず、例えばその高圧のガスパイプラインという点では、天然ガス、都市ガスのパイプラインというのは、高圧のガスパイプラインが日本国土の中でも敷設をされていて、それが安全に操業されているわけでございます。可燃性のガスという点での危険度というのは、都市ガスであっても非常に高いという考え方もできると思います。
CO2のその物質的な特性というものに応じた安全対策というのをきちんと講じた上で輸送をするということであれば、CO2、高濃度のCO2の輸送自体が取り立てて危険だということでは必ずしもないと思いますし、そのパイプラインの安全管理という点では、米国でもこの事故をきっかけにして基準の見直しをするということが言われています。
これ、雨が非常にたくさん降って、地すべりが起こったところでパイプラインが破断したと聞いておりますけれども、そういった地すべりが起こりそうなところにはパイプを敷設しないとか、あるいは、ガスのパイプラインでも、ひずみが掛かってくると警報が鳴るような装置というのを設置をして監視をしているといった例もございますので、辻先生おっしゃられたように、様々な安全対策を講じるというすべはあると思っておりますし、液化CO2の輸送ということに関しても、既にタンクローリーでの輸送というのはもう実用化されております。
したがって、当然、大量に一気に漏出した場合に、低温やけどといいますか、作業員の方の危険であったり、あるいはCO2は空気より重いですから、集中的に濃度が高まった場合に健康被害が生じるリスクもありますので、そういったところをきちんと評価をして対策を講じていく必要があると思っております。
それからもう一点、適地につきまして、十一か所というのは、一か所当たり一億トン以上のキャパシティーがありそうなところが十一か所ということでございますが、これにつきましては、済みません、具体的な場所をちょっとこの場で申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。こちらは、私どもが取得したデータや、その十一か所についての細かいデータは私どもからJOGMECさんの方に移管をしておりまして、貯留事業を行おうという会社さんがJOGMECさんあるいはエネ庁さんの方に申出をすれば、そういったデータは閲覧することができるという形になっております。
ただ、場所が特定されるとまたいろいろな思惑があったりとか、どういう跳ね返り方をするのかという懸念もございますので、ここでは控えさせていただきたいと思いますが、大まかに言いますと、日本海の例えば東北地方の沿岸域、まあ陸域もそうなんですけれども、石油、ガスが日本も少ないながらございまして、そこでは石油、天然ガスの採掘が行われておりますけれども、そういう場所というのは、比較的堆積層が厚い、貯留層となり得る地層が厚く堆積しているエリアでございますので、そういったところにある程度適地があるといったところで御容赦いただければと思います。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/133
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134・古賀之士
○古賀之士君 それでは、明日香参考人に伺います。
いわゆる、資料の中にもありました、御説明にもありました、IEAの二〇二三年、CCSの評価を見直されたということが書かれてありました。
これ、具体的にどういう評価の見直しだったのか、分かる範囲で教えていただけないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/134
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135・明日香壽川
○参考人(明日香壽川君) どうもありがとうございます。
CCSに関しては、期待があるのも確かです。IEAもいろんな技術を精査して、CCSもある程度一定の役割があるんじゃないかということを二〇二一年のレポートでは書いていました。
ですが、先ほど私が紹介しましたアメリカの事例なり、現実的に起きている回収率が低い、コストが高い、お金が集まらないというような状況を見て、二〇三〇年なり、まあIEAの場合、私が最初に申し上げたように一・五度目標というのを前提に置いていますので、それには全然役に立たないというような、まあそこまでは厳しく言っていないんですけど、同じくらいの厳しい言葉でCCSに関してはそういう表現を使っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/135
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136・古賀之士
○古賀之士君 ありがとうございました。
それでは、もう時間がありませんので、結びの質問に入らせていただきますが、では、辻参考人に伺います。
CCSのコストの問題は、三人の参考人、いずれもが問題にされていらっしゃいます。先ほど御説明の中で、一トン当たり、米ドル、それからあとヨーロッパでもユーロで、それぞれの税額控除があるという御説明がございました。これ、日本にもし当てはめるとすれば、一トン当たり、先ほど円換算を自分でしましたら、一万二千円から八千円ぐらいの間、一万五千円前後だと思いますが、これはやはり適用した方がよろしいとお考えの立場なんでしょうか。それとも、もっと充実した方がいいというお考えなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/136
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137・辻健
○参考人(辻健君) ありがとうございます。
ちょっとコストの具体的な額というのはなかなかここでお伝えするのは難しいですけれども、やはりビジネス的な要素が必要だと思っていまして、単に国の予算に頼るようなスキームができてしまうとなかなか進まないですし、失敗してしまう可能性もあると思います。
ですから、そのちょうどいい額、ただ、ちょっとそこで難しいのは、貯留する場所によってちょっと額が変わってくるので、そこをどう評価するかが難しいんですけれども、その適切な額を設定するというのは必要だと思います。それでビジネス的にやっていく。それで最終的にはカーボンプライシングなどを導入することによってCCSをやっていくわけですよね。そういう形じゃないと、やはりCCSは普及していかないんじゃないかなとは思います。
ですから、その額を決めるのもなかなか難しいんですけれども、それをサイトごとに決めるのであれば、それを、じゃ、誰がやるのか、やはりそこで、評価する機関、専門機関なりが重要になってくるんじゃないかなと思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/137
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138・古賀之士
○古賀之士君 ありがとうございました。
三人の参考人の方々からそれぞれ貴重な御意見を賜りまして、重ねて感謝を申し上げたいと思います。特に、やはり産業力の強化とともに、やはり国際協調力、そして国際連携力がなければ、恐らくこのCCSやあるいは低水素の問題というのはなかなか前に進みにくい問題だというふうにも情報共有させていただきました。更に審議を深めていくための大いに参考に文字どおりさせていただこうと思っております。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/138
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139・三浦信祐
○三浦信祐君 公明党の三浦信祐でございます。
三人の参考人の皆様には、重要な知見を頂戴しましたこと、心から感謝を申し上げたいと思います。
早速質問させていただきたいと思います。
辻参考人、中島参考人にお伺いします。
先ほど古賀先生からもありましたけれども、CCSの事業の投資性、また予見性を確保するに当たっては、ビジネスモデルとしてどのように、事業構築だったり収益構築がなされていくのかということがとても重要だというふうに思います。そういう点から見ると、やっぱりスキームのイメージをしっかりとここで知見を教えていただきたいなというところもありますし、また、どれぐらいの規模感であれば経営だったり運営が成立するのかということ、これも併せて、感想的な要素でも結構ですので、お示しいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/139
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140・森本真治
○委員長(森本真治君) では、辻参考人からで。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/140
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141・辻健
○参考人(辻健君) 済みません、最後の御質問の規模というのはコストということでしょうか、規模というのは。済みません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/141
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142・三浦信祐
○三浦信祐君 今の規模というのは、貯蔵する面積、容積的要素です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/142
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143・辻健
○参考人(辻健君) 分かりました。ありがとうございます。
まず、先ほどの最後の容積的な話ですけれども、CCSへの要求されるCO2の削減量というのも大きいのは現実でして、これはもう日本の経済産業省が発表しておりますが、一・二億トンから二・四億トンかな、そのCO2を二〇五〇年までに削減したいと。それは、今の年間のCO2排出量が十億トンですから、かなりの量をCCSでやる。そうしないと、なかなかCO2が削減できないというのがあると思います。
そうなったときに、数百本の井戸が必要になってしまうわけです。それを日本国内でやるとすると、日本の周りには確かに井戸、掘削井がいっぱいできてしまうと。一方で、石油の掘削井というのはもっと数が多いですから、それは現実的じゃない本数でもあると私は思っています。
そうなったときに、やはり人材の育成とかというのは非常に大きな課題になってきて、本当にそれを達成できるのか、スピード感を持って今から取り組む必要があるんじゃないかなと思っています。
それと、コストの方は、コストも初めちょっと、ビジネスモデルですけれども、これはちょっと繰り返しになってしまうかと思いますが、やはり企業が競争するような方法をいかにつくっていくかというところが重要になるかと思います。
以上になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/143
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144・中島俊朗
○参考人(中島俊朗君) お答えいたします。
まず、規模のところから先に申し上げます。
これは、特定の規模、幾ら以上であればということでは必ずしもないと思いますけれども、基本的に、一地点で貯留をする量、あるいは排出源さんの側であっても、なるべく大規模な排出源のところで回収をしていくという方が設備の規模の経済が働くであろうということは言えると思います。
ですから、貯留地点でいいますと、一地点である程度大量かつ長期間貯留ができる、そういったところであれば、例えば井戸一本掘るために数十億円のCAPEXが掛かっていくわけですので、それは、その一本の井戸でなるべく長期間、大量に、安定して貯留することができれば、トン単価はどんどん安くなっていくということになりますので、そういった地点を探していくというのが一つ重要なポイントになると思っております。
そういう意味で、先ほど、適地の中で一地点当たり一億トン以上のところで十一地点抽出したというのは、そういった意味合いもあるということでございます。
それから、そのビジネスモデルとして成立するスキームというのはいろんな考え方や方策はあると思いますけれども、基本的に、現在大量にCO2を排出している排出源者さんは、鉄であれセメントであれ電気であれ、排出しながら何らかの有価物を製造していらっしゃるわけでございます。
そこで、その製造を、脱炭素をしながら事業を継続していくという考え方に立てば、その排出源者さんが、分離回収をするところ、あるいは輸送、それから貯留のコストまでを一旦全部負担をして、輸送事業者に対しても、あるいは貯留事業者に対しても対価を払うという形は考えられると思います。
ただ、それだけでいくと、そのコスト全部をその製造された製品の原価に加えていくということになって、それが国際競争力を保てるかどうかという問題になりますから、政策支援をどこに投入していくかという観点では、排出源者さんに寄せていくという考え方もあると思いますし、逆に、そういう形ではなくて、輸送は輸送、貯留は貯留、排出は排出という形で何らかのその資金が回る仕組みをつくるという考え方もあると思いますので、これは今後の議論ではないかと思っております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/144
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145・三浦信祐
○三浦信祐君 ありがとうございました。大変参考になりました。
先ほど午前中、近藤参考人から御発言がありましたけれども、水素は脱炭素のペースメーカーで、CCSはゴールキーパーなんだというお話があり、そうするとボリュームが課題になるなということは今の質問にも反映しているところであります。
そういう中で、どれだけCO2を集約できるかということがポイントになってくるかなと思いますけれども、絶対的インフラとして存在し続ける発電所等が集中立地している、また、あるいは脱炭素化が図りにくい産業、若しくは時間が掛かる分野、これが存在している地域においては、CO2の回収、輸送、そして貯留に係るフローが存在する、あるいは、今後ビジネスモデルとしての展開が予想できるなと思います。
一方で、CO2のこの回収源として想定されている工場というのは大半が民間企業であります。そうすると、工業団地、また港湾地域では、現時点ではCO2の排出源であったとしても、企業経営判断によっては、そのビジネス自体が撤退だったり、集中や選択、用途変更等の想定も当然あり得るんではないかというふうに思います。
そうすると、やはりCCSのビジネスモデルとしての安定性はどう考えればいいのかと。CO2をどう集めてくるかということも、先ほど船の話もありましたけれども、この辺のビジョンというのがやはり重要になってくるんではないかなと思いますけれども、このことについて、中島参考人と辻参考人に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/145
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146・森本真治
○委員長(森本真治君) 中島参考人からで、じゃ、よろしいですかね。お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/146
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147・中島俊朗
○参考人(中島俊朗君) お答え申し上げます。
非常に難しい御質問であると思っております。
基本的に、CCSが成立するためには、CO2のチェーンが全体で結び付く必要があるということは、委員御指摘のとおりだと思っております。
したがって、その排出源側では、安定的にその分離回収を行ってCO2を出していくということが必要になりますし、貯留側はそうやって受け取ったCO2を確実に貯留をしていく、あるいは輸送側も着実に輸送をするということが必要になって、これは、逆は逆で、貯留者側からすれば、排出源の方にはきちんと分離回収をしたCO2を渡してくださいねということになっていきますので、これはまさに排出源、輸送、貯留が一つ、一体となってバリューチェーンを構築していき、そこできちんと役割分担や責任の所在を明確にしていく必要があると思っております。
初期段階においては、恐らくは一対一といいますか、の関係で進めていくべきだと思いますけれども、だんだんに進んでくれば、それは、ハブ・アンド・クラスターという呼び方をしているケースもございますけれども、ある程度その排出源のところが一まとまりになって集めるか輸送をして、貯留地点も一地点だけではなくて複数の地点に振りまくというようなn対nの関係に発展させていくということで、そういった、どこかが駄目になっても全体としてはバランスして円滑な操業ができている状態ということになってくると、CCS事業の全体の安定性というものは高まっていくのではないかと考えておりますけど、それにはまだもう少し先の話で、まずは、今経産省さん、JOGMECさんがされている先進的事業というものにおいて、コンソーシアム内で排出源、輸送、貯留がセットになって今検討が進められておりますので、これを確実に実現していくことがまずは重要ではないかと思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/147
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148・辻健
○参考人(辻健君) ありがとうございます。
もう中島参考人のとおりかもしれませんが、今は先進的CCS事業、既に御説明あったとおり、一つのチェーン、グループになって、回収、運搬、貯留までをグループになってやっているんですけれども、私は、本当はそれぞれ、中島参考人からの説明もありましたとおり、それぞれの分野で個々にそういう会社ができていく方がビジネスという形ではやりやすいんじゃないかなとは思っています。
ただ、それ、一気にそこまで行くのはなかなか難しいですから、手を挙げる企業なんて難しいですから、まず初めは先進的CCS事業のようにグループになって、一体となって、多分恐らく問題も多く出てくると思います。問題といいますのは、ここが足らなかったとか、そういうのを一体となってまずやって、それがもう成功したら、僕は、個々の貯留会社、運搬会社、回収会社というふうに分かれて、それぞれビジネスとして強いところを打ち出していくということをやった方がいいと思います。
実際、ノルウェーとかではもう貯留する会社とかがある程度できておりまして、一トン回収すると幾らもらえるという、そのビジネスのスキームができつつありますから、そういう形になれば、日本でもどんどん進んでいくんじゃないかなと思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/148
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149・三浦信祐
○三浦信祐君 大変参考になりました。ありがとうございます。
辻参考人に引き続き伺いたいと思います。
先ほど、貯留サイトの決定において評価機関の役割が重要だというお話をいただきました。まさにそのとおりだというふうに私も共鳴をしているところです。
であるならば、日本ではその技術はどのレベルにあるのか。また、それを評価できるような手法だったり機関というのは、現状と、そして今後はやっぱり人材が重要なんだろうなというふうに思います。これについての知見を是非御披瀝いただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/149
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150・辻健
○参考人(辻健君) ありがとうございます。
日本は元々、資源、石油、天然ガスがない国ですので、そういう点では、そういう探査をする、モニタリングする技術というのは、アメリカとかよりは小規模ではあると思います。しかし、JOGMECは三次元探査船を持っていますし、技術レベルはそういうアメリカとかに引けは取らないとは思っています。
それで、僕は、どちらかというともっと日本の技術レベルを上げていきたいなという気持ちの方が強くて、それで、CCSが始まったときは、日本で、これからアジアとかでもそういうのが行われる可能性があると思いますので、そういうとき、日本がそういう技術を持っていって、そこでそういう探査とかCO2の貯留適地を調べる、そういう将来になったらいいなというふうには私は考えております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/150
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151・三浦信祐
○三浦信祐君 ありがとうございます。
中島参考人にお伺いしたいと思います。
我が国において災害に見舞われるケースが多発する中で、特に地震の発生が多いというのは先ほど来御説明をいただいているところです。地中埋設として行われるこのCCS事業が安定的予見性を持って実行していくためには、地震対策というのは、当然誘発をさせないというのは当たり前でありますけれども、これは必須だというふうに思います。
今回、苫小牧での実証実験、そして地震との関係についても検証についての御教示をいただきました。今後、CCSを安定的に実施していくということ、そして、日本国内での各所でということになっていったときに、このエビデンスということについては、この知見、これについては、ほかの地震だったり、また、ほかの地盤の流動等におけるいろんなメカニズムがあると思いますけど、これについての活用は可能であるかどうか、また、足りない部分の知見というのは何かというのを是非御教示いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/151
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152・中島俊朗
○参考人(中島俊朗君) お答え申し上げます。
まず、知見を活用していただくことは十分に可能であろうと思います。苫小牧実証で実施したそのモニタリングの中には、地下の温度、圧力の計測、それから、海底地震計あるいは井戸の構内にも地震計を設置いたしまして、そういったところで圧入中の微小振動が生じていないかどうか、これが誘発地震の一部になるわけでございますけれども、そういった観測体制はしいております。こういった方法は今後もそれを標準化していくことは可能ではないかと思っております。
苫小牧の実証の例では、圧入期間中に圧入に附帯して生じたと思われる微小振動は起きませんでした。より深度の深いところでの自然地震、小さい規模のものは観測されておりましたけれども、誘発地震は起こらなかったということですけれども、これはどのサイトでも必ず起きないかということでは必ずしもないので、そういった観測をしていくことで、誘発地震が起きているかどうか、それから、先ほど辻先生からお話のあったような自然地震と誘発地震の区分の仕方の技術といった、そういったことをきちんと明確にして、その情報をリアルタイムに公開していくということが何より重要ではないかと思っております。
苫小牧、胆振東部地震が発生したときも、やはりCCSをやっているからではないかという風評被害的な、特にSNSを通じたうわさは立ちましたけれども、早期に情報を開示して、あるいは専門家の御意見を伺ったレポートを出すということでそういったものが鎮静化できたと思っておりますので、やはりきちんとしたデータの取得とその開示ということが非常に重要になってきますので、その手法を更にブラッシュアップしながら適用していただければ、ほかでも十分活用できると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/152
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153・三浦信祐
○三浦信祐君 モニタリングの標準化というのは大事だということで、後押しをしていきたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/153
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154・石井章
○石井章君 日本維新の会・教育無償化を実現する会の石井章でございます。
本日は、参考人の皆さん、わざわざ貴重なお時間を割いて国会まで足を運んでいただきまして、誠にありがとうございます。
質問に入らせていただきますけれども、先日のトリノで開催されましたG7気候・エネルギーの環境相会合で、温室ガス効果の削減対策が取られていない石炭火力発電については二〇三〇年代の前半をめどに廃止すると、あるいは、世界全体でCO2の削減に取り組むための、各国に二〇三〇年以降の温室効果ガスの新たな削減目標の設定と公表を促すこと、また、無対策の石炭火力発電については、二〇三〇年代の前半若しくは平均気温の上昇を一・五度以内に抑えるという段階的な廃止とされました。さらに、再エネについては、二〇三〇年までに世界全体の発電容量を三倍に引き上げるなどの決議がされたわけであります。
これ、申し上げることもなく、我が国の発電の種別割合は、二〇二二年の発電実績で、化石燃料の七二・七%に対して再エネは二一・七%と、主要な先進国の中でも化石燃料への依存度が非常に高くなっていることは間違いのないところでございます。
再生可能エネルギーへの完全移行には時間を要しますし、移行が難しい業種もありますので、化石燃料を使いながらCO2の削減を目指すCCUSは実現できると思います。しかし、再エネなどの代替案が困難な事業への当面の施策であるとされながら、実際はそれ以外の分野への導入も検討されるなど、抜本的な非化石燃料社会の実現にとってマイナスとなる面倒も有していると思いますが、なかなかバランスが難しい問題であると思いますけれども、それぞれの先生方から御意見を頂戴いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/154
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155・森本真治
○委員長(森本真治君) それぞれですね。
では、辻先生からよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/155
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156・辻健
○参考人(辻健君) 御質問ありがとうございます。
まず、石炭火力、私自身は、CCSは石炭火力のためのものではなくて、将来使っていく技術で、いろんなところで使われるというふうに思っています。特に、ネガティブエミッション、カーボンニュートラルを達成する上で重要な技術になると思っています。
それで、まず石炭火力ですけれども、将来的にはやっぱり削減していくのがいいと思います。一方で、例えば火力発電でも温室効果ガスの排出の少ないLNGとかガスの発電とかもあるんですけれども、それも火力発電ではありますが、それ、例えばガスの備蓄量とか、備蓄量、結構日本は少ないんですけれども、そういう点で石炭火力を使う必要もあるのかなと私は思ってはいます。
ただ、私は別に石炭火力を推進しているわけではありませんでして、将来的にはそういうものはなくしていって、再生可能エネルギー、それとCCSで、CO2を削減できない非電力はCCSで、できるだけそれで再生可能エネルギーを使ってCO2フリーの社会をつくっていこうということだと思います。
それで、リニューアブルエネルギーの話も出てきましたが、太陽光発電とか風力とかで電気は、もう御存じのように、電気はつくることができます。それで、じゃ、製鉄所とかにも、例えば水素に、余剰電力で水素に転換して、その水素を使って製鉄できるんじゃないかとかいう、そういう話もあるんですけど、やはりまだコストの問題とかあって、すぐにそういう世界に移行するのは難しいんじゃないかなと思っております。
それと、セメントとかもございまして、セメント会社というのはなかなか、作れば作るほどCO2が出るようなそういう業種ですので、そういうところではCCSというのは必須になってくるんだろうと私は考えております。
取りあえず、以上になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/156
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157・森本真治
○委員長(森本真治君) では、続いて、中島参考人、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/157
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158・中島俊朗
○参考人(中島俊朗君) お答え申し上げます。
今、辻先生おっしゃったこと以外のところで少し申し上げたいと思いますけど、基本的にといいますか、そのCCSに対する批判としては、やはりそれが化石燃料の使用の延命につながるから反対だという声があることは事実として認識をしてございますが、要は、これは全体のそのエネルギーの供給のSプラス3Eをどうやって実現しながら、かつ社会的コストを最小化しながらそのカーボンニュートラルを実現していくかということであると思っておりますので、カーボンニュートラルの達成イコール化石資源の利用をやめることでは必ずしもないと。目的は、大気中のCO2濃度が上がっていくことを抑制する、あるいは下げていくということがポイントなのだと思っております。それと、エネルギーの安定供給ということをどう両立させるか。
その中では、様々な排出削減対策がある中で、全体としては比較、コストの比較の問題になってくると思います。CO2の排出を一トン減らすために、どういう手法を講じていけばどう効率的に減らしていけるかということが問題だと思っておりますので、その中でCCSがコスト的に他の施策と見合うのであれば、それは十分に採用し得る対策になるのではないかというふうに考えております。
再生可能エネルギーに全部委ねることができれば、それは理想的ではあると思っておりますし、再生可能エネルギーの拡大を目指すべきではないと言うつもりも全くなくて、今、CCSの長期ロードマップの中で、その一・二億トンから二・四億トンという目安も、これは現在の排出量十一億トンぐらいの一割ないし二割というレベルですから、裏を返せば、八割から九割は別の対策を講じて減らす必要があるということであります。その中で、一億トンなりという数量をどれだけコストエフェクティブにCCSを使って減らすことができるか、ここをどの排出源に適用するのかというのは、大気中のCO2の濃度というところに着目すれば、余り意味がないのではないかというふうにも感じております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/158
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159・明日香壽川
○参考人(明日香壽川君) どうもありがとうございます。
先ほどビジネスモデルというお話が出たと思うんですけれど、基本的に、CCSの場合、民間でのビジネスモデルというのはないかと思います。なので、アメリカでは、唯一動いていたCCSの火力発電所は不良債権として売り払ってしまったという状況です。何と八十五ドルの補助金が付いていても、石油増産の利益があったとしても、ビジネスモデルとしては成り立たなかったというのが現状だと思います。
なので、そんな簡単ではない。いろいろ、今日、モニタリングとかいろんな話があったかと思うんですけれど、いろんなことにお金が掛かると、そういう意味では、民間だけではとてもやっていけないというのがCCSかと思います。
じゃ、どうすればいいかと。私の資料の二十八ページをちょっと見ていただけると有り難いんですけれど、これ二〇三〇年でして、まだCCSにはそれほど入っていないという状況です。基本的に、我々のモデルというのは、石炭火力二〇三〇年ゼロ、原発もゼロという想定です。天然ガスはかなり入っているという想定です。そのときに、じゃ、実際どういうコストベネフィットが国民経済全体であるかというのを計算したものがこの表ではあります。
細かい数字は紹介しませんけれど、基本的に、化石燃料輸入額なり年間エネルギー支出額で、石炭をやめて再エネ、省エネを入れた方が数兆円国民経済的にはプラスになるという具体的な数字を示しています。これは、似たような計算は世界中の研究機関が今出していまして、先ほど紹介したように、アメリカのDOEの研究機関も同じような数字を出しています。
なので、よく、脱炭素はコストになる、経済成長の引き金になると口では言うんですけど、何となく皆さん、コストになるというふうに思っている方がおっしゃると思うんですけど、現実的に実際に経済成長に乗ってプラスになると、化石燃料をやめた方が、輸入、大体日本、二〇二〇、済みません、二年前はたしか三十五兆円ぐらい、化石燃料輸入額で国民のお金を使っていたんですけれど、そのお金はかなり減るということです。
なので、そういう意味では、石炭火力をやめるというのは非常に重要ですし、そういう意味では、CCSに関しては、必要であるんですけれど、今本当に必要な優先順位が高いオプションであるかどうかというのは、私はちょっと疑問だというふうに考えます。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/159
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160・石井章
○石井章君 辻参考人と中島参考人、そして明日香参考人、それぞれ話聞きましたけど、ちょっと意見が分かれているような感じなんですけれども、CO2の分離、貯留、そしてその管理、監視には相当なコストが掛かるということは分かりました。
地球環境産業技術研究機構などによれば、新設の石炭火力発電所の化学吸収法による分離回収コストは三千円から四千円、トン当たりですね、掛かるということで、物すごいコストが掛かるということであります。仮にこの分離回収コストが低減されても、更に恒久的な管理と監視のコストは、これ天文的な価格の数字に近いものだと思います。
明日香先生がお考えのように、私も、非効率で抜本的な解決策である化石燃料による発電の全廃を遠のけることだとは思っています。しかし、過去の世界ですね、これまでの政治が原発に手を出したときのロジックであります、核の廃棄物の問題は子や孫の世代に任せて、まずはもうけようというような無責任で野蛮な施策と同義に、そういった面もあったんではないかと私は思いますけれども、やはりCCSは必要だと政府が考えている以上、その理由と根拠についてどのようにお考えなのか、辻先生、中島先生、御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/160
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161・森本真治
○委員長(森本真治君) では、辻参考人からお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/161
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162・辻健
○参考人(辻健君) 御質問ありがとうございます。
私事ではありますけれども、子供の頃から、CO2が温暖化を引き起こしているという、そういうニュースとかを見て育ってきた世代なんですけれども、私は、純粋に早急にCO2を減らさないと駄目という、そういう使命感みたいなものがあって、それにはやっぱりCCSが必要なんだろうと思っています。
確かに、太陽光パネル、風力発電でもCO2は、電力をつくるとこれCO2フリーなものができてきていると。でも、それだけじゃ足らなくて、いろんなオプションを持っておきたいというのが私の本心なところで、CCSは、そもそもカーボンニュートラルを達成しようと思うと、どこかからCO2を取ってこないと、いろんなところからCO2は出ていますから、究極的にはCO2を大気から取ってきてそれを何らかのものにするか、若しくは貯留するしか方法がないわけです。そんな難しいことを二〇五〇年までにしようとしているわけです。
なかなか本当に大変なことだと思うんですけど、それを実現するには、大気からCO2を取る、若しくは取れるところからCO2を取って、それを地下に貯留してCO2を減らす、そういう技術、オプションを持っておかないと、やはりなかなか、今後カーボンニュートラルを達成するのは難しいんじゃないかなと、それは私の意見です。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/162
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163・中島俊朗
○参考人(中島俊朗君) 御回答申し上げます。
先ほど、やはりそのCO2を減らすための施策として、コスト、費用対効果の比較の問題になってくるんではないかと申し上げました。
再生可能エネルギー、再エネ電気につきましても、現在、そのFITの買取り総額、資源エネルギー庁さんの資料を見ますと、二二年度の買取り総額は四・二兆円、そのうちの二・七兆円を国民負担として、FIT賦課金として電気代に上乗せされていると。これ、毎年その水準ですし、この水準はFIPの導入等によってだんだん卒FITも出てくれば減るかもしれませんけれども、当面、二〇三〇年ぐらいまでは続いていくというふうに認識をしております。
したがって、やはり現在我々が享受しているエネルギーの価格というのを、脱炭素化しようとすれば、再エネを増やすにせよ何をするにせよコストが追加的に掛かってくるということは同じことであって、その追加的に掛かるコストがどのぐらい効果的かどうかというお話で、明日香先生と見解が違うところはございますけれども、あるのだと思っております。
それで、私、事前に事務局からいただいた法案の参考資料の方にGX推進会議に提出された分野別の投資戦略というやつがあって、この中で、GX移行債を原資にした二十兆円の配分の内訳みたいなのが、この分厚いやつをお持ちであれば、通し番号で二百九十ページのところにあるんですけれども、ここでは、これ、CCSのところは、具体的な措置は今後、先進的事業の調査等の結果を踏まえて検討するということで金額は空欄になっているんですけれども、官民での投資総額ということで、今後十年ぐらいのところでCCSに四兆円という金額が入っていて、これの後ろのページのところに、CCSがこの当面十年間の目標として、官民投資額四兆円に対して国内の排出削減が四千万トン、CO2の排出削減が四千万トンという数字が、これは二百九十四ページのところに書かれております。
これ、同じようにほかの施策についても、官民投資額でどのぐらいを見込んでいて、その排出削減効果をどのぐらい見込んでいるかと。この数字は今後だんだん変わっていくとは思いますけれども、現時点でここで記載されている数字を見る限り、少なくともCCSはほかの施策に対しても十分にコストエフェクティブな水準として見られているのではないかと思います。そういう観点からも、CCSを推進することは必要ではないかと考える次第でございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/163
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164・石井章
○石井章君 それぞれ三人の参考人の皆さん、それぞれの立場での貴重な御意見ありがとうございました。
これで終わりにします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/164
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165・森本真治
○委員長(森本真治君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、東徹君及び辻元清美君が委員を辞任され、その補欠として青島健太君及び柴愼一君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/165
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166・礒崎哲史
○礒崎哲史君 国民民主党・新緑風会の礒崎哲史でございます。
今日は、参考人の皆様、ありがとうございました。
私からは、まず、辻参考人と中島参考人にお伺いしたいと思うんですが、先ほど三浦委員とのやり取りの中で、貯留サイトを決めるときのその評価機関の役割が重要だということのやり取りがございました。今回、この評価、失礼しました、貯留サイトを決めていく、で、実際にそのサイトを使って事業者がCO2を埋めて地下に注入していくという作業をするということですので、そのモニタリングも、その地域、サイトの特性に合わせて見ていかないといけないということは、事業者が持っている技術ですとか特性といいますかね、特徴といいますかね、そういうのもやはり評価されるべき技術力といいますか、ポイントになるのかなというふうに思いました。
今回の法律では、この事業者、最終的には国が許可をするということになっていきますので、サイトの選定、それから事業者の選定含めて国が許可をするということになるわけですが、そうすると、やはり国として一定のこの評価するための基準を持って判断していく必要があると思うんですけれども、これ、国として基準を持つということがいいのか、それとも、国ではなくて外部の第三者機関のようなところでこの評価できる機関を設けていくのがいいのか、実際に法律を運用していこうとすると必ずそれが最初に必要になってくると思うので、その評価すべき主体をどこに置くべきかというので、御意見あればいただければと思いますので、お二人の参考人に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/166
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167・森本真治
○委員長(森本真治君) では、辻参考人からよろしいですか。お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/167
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168・辻健
○参考人(辻健君) 御質問ありがとうございます。
難しい質問ではあると思いますけれども、最終的にCO2貯留サイトというのは国に移管されるということになりますから、やはり最終的には国の判断というのが、モニタリングとか、そのCO2貯留サイトを決定する際に最終的には国の機関が許可を出すということが、なるのが私は正しいんじゃないかなと思います。
しかし、そこに、それとは別に、第三者機関若しくは国のどこかの、JOGMECとかの機関、そういうもののところにその専門家を配置して、そこでしっかりと議論するような場は必要だと思います。そこは、賛成派だけではなくて、いろんな専門の、地震の人、それとかそれを使用する回収プラントの人、そういう方を集めたようなそういうグループがあって、そこでしっかりと議論してそれを国に持っていくというような流れがいいんじゃないかなと私は思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/168
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169・中島俊朗
○参考人(中島俊朗君) お答え申し上げます。
まず、その事業者ごとの特性ということにつきましては、例えば貯留に関して、貯留事業をする者として国がその者を、まず貯留権を与える、あるいは試掘権を与えるというステップが今回の法案には入っておりますので、その時点でその試掘権なり貯留権を申請する事業者に技術的な能力であるとか財務的な能力があるかどうかということがまず審査されて、そこで付与されるというのがまず最初のステップになるかと思います。
その上で、その貯留事業者が試掘なり貯留をする計画を作る、そのときにサイトのスクリーニングをその事業者が行って、こうこうこういうことだから、あるいはこういう安全対策を講じるから、これで実際に事業をやることを更に許可していただくという、こういうステップに入っていくのであろうというふうに受け止めておりますので、その際に、事業者自身が立てた計画の妥当性あるいは安全性というものを事業者以外の第三者が審査するということになってくるんだろうと思います。
現時点でそれを誰がやるかというのが必ずしも決まっているわけではないので、余り予断を与えるようなことを申し上げるのは問題あるかもしれませんけれども、やはりJOGMECさんがその候補の一つではあろうかと思っておりますし、あるいはJOGMECさんが審査をされる場合にも、JOGMECさんの中の人材だけではなく、まさに学識経験者などから有識者委員会を設置して、そういった専門家の先生からも判断をしていただくということもあり得るのではないかというふうに思います。
なぜそう申し上げるかといいますと、苫小牧の実証試験を実施する際、このサイトの選定等におきましても、この苫小牧の実証試験の実施の中に、その実施検討委員会といいますか、有識者委員会を設置をいたしまして、まさにその有識者の先生方から御指導いただきながら、これでいいですね、こういう方法で大丈夫ですねということを御討議いただいて進めてきたという経緯がございますので、そういった、申し上げたような形というのが一つあり得るのではないかと思うところでございます。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/169
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170・礒崎哲史
○礒崎哲史君 ありがとうございます。
今のに関連して、今度は三名の参考人、皆さんにお伺いしたいんですけれども、その選定をしていく、試掘権与えていくときに、いわゆる環境アセスメントという、こういう評価が今回は入っていないんですね。
この環境アセスメントという評価をサンドイッチで挟んで最終的に認可をしていくという、こういうプロセスがあってもいいのではないかなというふうに思ったんですけれども、この環境アセスメントの必要性について、それぞれ三名の参考人、それぞれから御意見を伺えればと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/170
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171・森本真治
○委員長(森本真治君) では、辻参考人からよろしいですかね。お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/171
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172・辻健
○参考人(辻健君) 私は、恥ずかしながら、環境アセスメントはどの程度の規模のプラントから必要になるかとか、ちょっとそこが分かっていないので、明確なちょっと答えは、答えることは難しいんですけれども、もしCO2貯留のプラントが、それに必要なサイズであるとか、環境のそういう環境アセスが必要であれば、それはそういうプロセスも必要なのかもしれませんが、ちょっとそれ、済みません、申し訳ない、私はどれぐらいの規模になればこれが必要なのか、ちょっと分かっていない。
私の専門とする貯留サイトの方に関しては、井戸、実は地上に出ているのは井戸一本に、井戸というか、もう非常に小さな設備になります。ですから、そちらの方はそれがどれぐらい環境アセスの対象になるかというのはということですけれども、そんなに大きな装置ではないとは思っています。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/172
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173・森本真治
○委員長(森本真治君) では、続いて中島参考人、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/173
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174・中島俊朗
○参考人(中島俊朗君) お答え申し上げます。
まず、御指摘、環境影響評価法に基づく環境アセスという御質問だと受け止めておりますけれども、まず、CCS、特に貯留のところに着目いたしますと、これは分離回収されたCO2、何もしなければ大気に放散されたものを地下に固定化しようということでございますので、現行の環境アセス法の考え方で、地上のその大規模な形状の変更であるとか、そういった観点からどう評価する必要があるのだろうかというのを、ちょっと素朴な疑問として、私もアセス法の専門ではございませんので承知しておりませんけど、率直な印象としては、やはり地下に入れたCO2が地下の中でどういう環境に影響を与えるのかということを評価することの意味合いというのはよく分からなくて、むしろ皆さんが気にされているのは、それが仮に再び地上に漏出した場合の影響がどうなのかという点だと思っておりますけれども。
そういう観点からすると、現行のかねへんの鉱業法、鉱山保安法において、鉱害の防止であるとか、あるいは労働安全という観点からきちんとした基準なりその考え方がございますので、その考え方に沿った自主アセスといいますか、そういったことが行われることで一定程度カバーできるのではないかというふうに考えております。
それから、分離回収の方は、そもそも何らかのその製造をしているところに附帯して造ることが一般的には想定されますので、それの規模にもよりますけれども、それがまさに辻先生と同じで、私も、どの程度以上のものがアセス法の対象になるのかという観点でいうと、これも何らかのその汚水だとか廃棄物とか、そういうものを排出するわけではないし、あるいはCO2そのものが大気汚染防止法や水質汚濁法の対象物質にはなっていないと伺っておりますので、そういった観点から、鉱業法、鉱山保安法を適用する形で十分に担保できるのではないかと考えるところでございます。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/174
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175・明日香壽川
○参考人(明日香壽川君) どうもありがとうございます。
自主アセスでは不十分だと私は考えています。やはり、いろんなリスクを考えるときに、何らかの公的な環境アセスの制度が必要かと思います。
廃棄物に関して、まさにロンドン条約に関してどうだこうだというのは、CCSに関しては昔から大きな問題になっていますので、やはり懸念があるのは確かだとは思います。
もう一つ、先ほどちょっと地震の誘発の話が出たと思うんですけれど、カナダもCCSをうまく政府が入れようとしているんですけれど、やはり全般的にも、本当に総合的な地震誘発の可能性というのをカナダ各地で、まずそういう研究プロジェクトを国のお金で立ち上げて、それからCCSを進めようとしています。
なので、日本でも何らかのそのようなシステムが必要だと思いますし、そういうことをやるのでどんどんどんどん時間も掛かるしお金も掛かってしまうというのがCCSで、その代わりに再エネ、省エネがどんどんどんどん安くなっているというのが現状かと思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/175
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176・礒崎哲史
○礒崎哲史君 ありがとうございました。
続いて、先ほど来、このビジネスモデルの構築という観点での質問たくさんありました。そうかと納得するところがたくさんあったんですけれども、その観点で、物すごく単純な質問を辻参考人にお伺いしたいんですが、日本国内で今後出ていくCO2をこのCCSの技術を使って日本の国内で処理をしていったときに、何年ぐらいもつものなんでしょうか。単純にもし、なかなか今後、CO2の排出量そのものが削減されていくとかで計算難しいのかもしれませんが、単純にもしそういう試算があればお伺いできればと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/176
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177・辻健
○参考人(辻健君) そういうポテンシャルの観点では、もう半永久的にいけるんじゃないかなと私は思っています。
現在の貯留量で、百何万トン、百億トンぐらいの貯留量はもう既に、済みません、具体的な数はちょっと忘れてしまいましたけど、年間一億トン入れ続けても百年以上もつ、百年ぐらいもつわけです。そういう試算もありますし、これからそういう貯留層というのもますます増えるというふうに、まだ探査していないところもありますから、増える可能性もあると。ですから、そういうCO2がいっぱいになってしまって貯留できなくなることは、そういう心配は余りないんじゃないかなと思います。
ただ、ちょっと専門的なことを言うと、やりやすいところからやっぱり、にCO2を入れていくのがいいかどうかというのは少しあると思っていまして、入れやすいところにばかり入れると後が入れにくくなったりですね、そういう可能性もありますから、やっぱりそのサイトの選定、いろんな、初めの先進的CCS事業ではいろんな地点をちょっとチャレンジしてみるというのは良い方法じゃないかなと思います。
ただ、済みません、いろんなチャレンジするという言い方はちょっと語弊あるかもしれませんけど、私は、それでうまくいかなかった場合は、余り良くないんですけれども、そこで立ち止まるという、立ち戻って違う新たな場所を見付ける、良い場所を見付ける、そういう柔軟な考え方があってもいいんじゃないかなとも思っています。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/177
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178・礒崎哲史
○礒崎哲史君 ありがとうございます。
やはりビジネスとして成立させようとするのであれば、やはり先見性、先行きがどれぐらい見通せるかというのも事業者にとっては大変重要だなと思ったので今の質問をさせていただきました。
もう一つ、ビジネスという観点で、これ中島参考人にお伺いをしたいんですけれども、今回の法律の立て付けでいくと、何かトラブルが起きたとき、本当にまれな現象でCO2がやはり漏れてしまったですとか、そういうことが起きたときに事業者側に無過失責任を課すという、こういった法律の立て付けになっているんですが、こういう責任をここまで負わせるということによって、手を挙げる事業者がいなくなってしまわないかなと。ただでさえビジネスモデルとして構築するのが難しい中で、こういう責任が大きくなったときに萎縮してしまって手を挙げる人が少なくなってしまわないかなというリスクを同時に覚えるんですけど、この点について御意見をいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/178
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179・中島俊朗
○参考人(中島俊朗君) お答え申し上げます。
率直に申し上げて、そういう気持ちを抱く事業者が出てもおかしくないというふうには感じております。
ただ、今回の法案の中では、そのぐらいその事業者に対しての責任感を持って事業をさせたいという趣旨ではあると感じておりますので、ここはなかなか、ここを変えていただきたいとここで申し上げることではないと思いますけれども、先ほどの環境アセスのことも、ここを厳しくしていけばいくほど、事業者側としては厳しい状況、CCSを推進するという観点では厳しい状況になりますし、あるいはコストがより高くなる傾向に行ってしまいますので、どこでバランスを取るかということだと思います。
他方で、その無過失責任を負わせているほかの法律が全くないわけではありませんし、そこは、事業者としては最終的にどう経営判断をして取り組んでいくかということになっていくのかと思います。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/179
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180・礒崎哲史
○礒崎哲史君 貴重な御意見ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/180
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181・岩渕友
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
三人の参考人の皆様、本日はありがとうございます。
初めに、辻参考人にお伺いをするんですけれども、今日お話の中で、CCSの安全性について、モニタリングの重要性ということでお話をいただきました。貯留サイトによってその地質的な状況が異なるので、そのサイトごとに地質の評価や最適なモニタリング手法が異なることも考えられるので、評価機関の役割が重要とのお話でした。その後のやり取りでもありましたけれども、それだけモニタリングは非常に大変だということなんだなというふうにも感じました。
このCCSが百年単位の事業であると、安全面を考えると、長期のモニタリングは重要だというふうに考えるんですね。で、コストのことも問題になっていますけれども、コストが掛かるからということで安全面がないがしろにされるというようなことがあってはならないというふうに思うんです。
このCO2の挙動が安定しているなど、その要件を満たす場合はモニタリングはJOGMECに移管することが可能ですと。で、移管前、移管後、それぞれコストとの関係で安全面が担保できるのか。どちらも第三者の機関のチェックが必要だというふうに考えるんですけれども、参考人の見解をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/181
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182・辻健
○参考人(辻健君) ありがとうございます。
そのモニタリングというのが貯留サイトによって異なるというのは、いろんな貯留サイトがございまして、例えば深度が、CO2を入れる深さがもう異なりますし、先ほど反射法地震探査を繰り返し実施してモニタリングと私伝えましたけど、そういう手法が使いにくいところもあるかもしれません。そういうときは違う手法を使っていく必要があって、そこをやはり精度よくですね、モニタリングできないからモニタリングしなくていいという考え方は絶対に駄目で、そこはちゃんとモニタリングしていく。じゃ、どうやっていくのかというのを、その評価機関とその事業者の間で密に相談しながら、まあ密に相談するって言い方あれかもしれませんけど、専門機関、専門家の人の意見も取り入れて、より良いモニタリング計画というのを作っていくべきだと思います。
それで、長期のモニタリングになって、CO2の圧入をしているときは、やはりインテンシブというんですかね、比較的精度の高い、コストの掛かるモニタリングは必要だと思います。
一方で、一回CO2の圧入を止めると、地震を誘発したり漏えいしたりするのは結局水の圧力なんですね、CO2とかの圧力。それが収まってくれば、漏えいしたり誘発地震を起こす可能性はどんどん低減していくわけです。
ですから、そういうフェーズに入ると、まずCO2が圧入しない状態から少し時間がたてば、これは私の見解ですけれども、そんなにCO2が漏えいすることはないんだろうと思います。
徐々にCO2も水に溶けていったり鉱物化していく、そういうプロセスもあります。それと、圧力も徐々に低減されていくんですけれども、ですから、安定した状態をいかに見極めるかですね、そこはこれから議論が必要になると思いますけれども、そういう状態になれば、そんなにそれ以降は誘発地震とか漏えいの心配はないんじゃないかなと私は思っています。今の安定すれば、JOGMECに移管してもいいんじゃないかなとは思っています。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/182
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183・岩渕友
○岩渕友君 第三者機関のチェックという点ではいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/183
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184・辻健
○参考人(辻健君) 第三者のチェックも必要だと思います。
第三者というのはどういうグループになるか分かりませんが、それがJOGMECが集めたそういう委員会になるのかちょっと分からないですけれども、そういう間接的に、客観的ですね、客観的にそういうコメントできるような機関、それもあってもいいんじゃないかなと私も思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/184
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185・岩渕友
○岩渕友君 ありがとうございます。
次に、中島参考人に伺います。
実は、二月に苫小牧のCCSプラントに伺って見せていただいたんです。先ほど参考人からコストの話が出て、輸送技術の確立と輸送コストの低減が必要だというお話もありました。
苫小牧は、先ほどお話にもあったかと思うんですけど、非常に条件が良くて、二酸化炭素の排出源とCCSが近接をしていますし、輸送コストは含まれていないという話もありましたけれども、しかも、実証事業ということで、二〇一四年度以降、五百八十四億円以上の国費が投入をされているということです。
このコストの低減は大きな課題ということになると思うんですけれども、その商用化のためのコスト低減にあとどれだけ国費であるとか民間投資が必要だというふうに考えるか、参考人の見解をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/185
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186・中島俊朗
○参考人(中島俊朗君) お答え申し上げます。
なかなかシンプルな回答が難しい御質問であるんですけれども、コストの目標については、私が本日プレゼンさせていただいた中に長期ロードマップを引用させていただいておりますけれども、一つ政府としてそういった目標を置かれているということであろうと認識をしております。
技術的には、苫小牧の実証で行った分離回収の技術というのは、投入エネルギー量を少なくするための創意工夫は行っておりますけれども、基本的な分離回収の原理といいますか技術はもう確立したものを使っておりますので、あとはそこの、同じ方法でやるのであれば、どのように更にコスト削減を図っていくかということですし、今、アミン溶液による分離回収方法とは異なる様々な分離回収方法が技術開発されていますので、そういったものが進んでくれば、より安価に、あるいはその排出源のいろんな状況に合わせた分離回収方法というのが確立していくであろうと、そういったところを期待するというところになろうかと思います。
それから、輸送につきましては、CO2という物質の特性に鑑みて、どうやっていかに安全に確実に、かつ大量に輸送できるかということを現在実証しようとしております。CO2は比較的高い温度、といってもマイナス五十度強ですけれども、でドライアイス化して固体化してしまうという性質がありますので、固体化させずに液体状態で大量に運ぶための温度、圧力、これを今、実証の中で検証しようとしておりますけれども、その上で、タンクをできるだけ大型化していく、そういうことによって、ワンカーゴ当たりの輸送量をボリュームを増やすことで輸送単価は減っていく、そういった方向を目指すべきなんだろうというふうに考えておりますけれども、LPGであるとか、既存の類似する輸送というのは通常行われておりますので、CO2もそれに近い輸送単価というのがいずれ形成されてくるのではないかなと思っております。
それから、掘削、圧入に関しましては、これは、井戸を掘るコストというのはもう国際的な相場観というのがあって、井戸を一本掘るコストというのは、もちろん深度であるとかそのロケーションの難易度によっても結構変わってきますけれども、大枠はそんなに変わらないという中では、むしろトン単価を下げるためには、同じ貯留地点でどれだけ、井戸一本当たりの圧入レートですね、一日当たりとか、年間当たり何万トン埋められるのか、そのレートをできるだけ長期間続ける、そういうことによってトン単価は下がっていきますので、そこをどこまで追求できるかということをやっていくことで全体としてのコストが下がってくるのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/186
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187・岩渕友
○岩渕友君 ありがとうございました。
次に、明日香参考人に伺います。
CO2の削減が非常に切迫をしている下で、限られた時間と予算をどう使うのかが大事というお話だったかなというふうに思うんです。この間、政府が、再エネだけでは脱炭素化できないと、電気代が高くなる、安定供給ができないというふうに答弁なんかでも述べているんですね。本当にそうなのかというふうに思っています。
先ほどのお話の中で、再エネのコストが安いということは資料も使ってお話をいただいたし、民間投資も大きいということで御紹介もいただきました。経済発展にも寄与するということかなというふうに思うんですけれども、この政府の答弁について参考人がどのように考えるか、お聞かせいただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/187
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188・明日香壽川
○参考人(明日香壽川君) 再エネが何%かという話をよく聞かれまして、それは当然、いつまでにという話になるのかなと思います。あとは、当然、日本の再エネのポテンシャルをどう計算するかということです。
〔委員長退席、理事古賀之士君着席〕
御存じのように、環境省は、日本の再エネポテンシャルは電力需要の二倍ぐらいあるという話をずっとずっとやっていますし、そのようなことを別の研究でも私は幾つか知っております。世界中でもそのような研究が行われていまして、世界需要の何倍も太陽光なり風力はあると。今、実際入っている追加的な電源の九五%は再エネになっています。
けれども、結局コストなんですね。今日午前中も午後もずっと、結局お金が幾ら掛かるかという話で、今私たちの目的は、CCSもそうですけど、CO2を減らすことですよね。先ほど私の資料で見せたんですけれど、太陽光のCO2の排出削減コストというのは三ドルです。四百五十円ですか。今、アメリカのCCSの会社の人が、三トン当たり今は六十ドルぐらいなんだけれど、三十ドルぐらいじゃないととてもビジネスとしてはやっていけないというふうに言っています。それでも再生可能エネルギーの十倍ですね。今、日本での議論というのは一万円とか二万円です。桁が二つ違います。
そういう中で、今おっしゃったように、限られている、お金も限られている、時間も限られている、必要とされる電力量も限られている、そういう中で何を選ぶかというのが問われているということを強調したいと思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/188
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189・岩渕友
○岩渕友君 ありがとうございます。
続けて明日香参考人に伺うんですけれども、今日、お話の冒頭のところで、日本の温室効果ガスの排出削減目標はパリ協定の一・五度目標に整合をしないと、二〇三〇年までに大幅に減らさなくちゃならないというお話がありました。
今年はエネルギー基本計画の改定が行われるわけですけれども、このエネルギー基本計画の改定に当たって、課題と、どういうふうに改定をしていけばいいのかということで、参考人の考えをお聞かせください。
〔理事古賀之士君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/189
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190・明日香壽川
○参考人(明日香壽川君) 我々のシナリオは、二〇三〇年に石炭火力もなしで、原発もなしで、その分再エネと省エネをたくさん入れると。今日、省エネの話はなかったんですけれど、ある意味では再エネ、CCS、原発よりも省エネの方が大事だと思っています。省エネをすれば、より原発にも頼らない、再エネにも頼らない、CCSにも頼らないエネルギーシステムができるかと思います。
それに関しては、もちろんCO2の排出削減量というのも重要なんですけれど、やはり日本、国の全体としての費用最小というんでしょうか、国富をなるべく流出しない。先ほど、CCSの問題は、結局化石燃料の輸入を続けるんですね。何十兆円掛けて続けて、かつ、一万円トンCO2当たり掛かるようなものにお金をまた掛けると。そういう意味では、ダブルで国富が無駄に使われるということです。
実際、CCSなり水素、アンモニアもそうなんですけれど、推進している方々というのは、やはりどうしても化石燃料関係の方が多いのは世界的な事実ですので、そこのことも留意していただければと思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/190
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191・岩渕友
○岩渕友君 ちょっと今のお話とも関わるかもしれないんですが、明日香参考人に続けて伺います。
今日お話しいただいた中で、米国政府の石炭火力CCS補助金はほぼ全てが失敗しているということで、そのことに米国の会計検査院が警鐘を鳴らしているということを御紹介いただきました。しかも、八件中七件が失敗で、唯一米国で稼働しているものには問題があるということで、そこに日本の国際協力銀行と民間銀行が融資を行っているというお話もあって非常に驚いたんですけれども、CCSはコストも掛かるし、そのほかにもいろいろ問題あるのに、何でこの巨額の補助金が投入をされたり進められたりすることになるのか、参考人の見解をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/191
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192・明日香壽川
○参考人(明日香壽川君) ありがとうございます。
やはりアメリカの政治的な事情があるかと思います。インフレ抑制法をバイデン政権が入れたときには、一人の民主党議員が反対して、その人がオーケーしないと入らなかったと。その方というのは、実際は化石燃料業界に非常に強い関係を持っていたというのは公然の事実ではあります。なので、その人にオーケーしてもらうためには、ある程度CCSに対する補助金、化石燃料に対する補助金を入れないと、法案自体が通らなかったというのが現状、よくある話かもしれませんけど、実情だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/192
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193・岩渕友
○岩渕友君 今日は貴重な御意見ありがとうございました。質疑の参考にさせていただきたいと思います。
以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/193
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194・平山佐知子
○平山佐知子君 平山佐知子です。よろしくお願いいたします。
三人のそれぞれ御意見いただきまして、本当にありがとうございます。
私は、このCCSというのは進めるべきと思っている立場から様々伺っていきたいなと思っているんですけれども、その上で、CCSというのは、やっぱり地元合意、コスト削減、これが一つ大きな課題の、二つですね、だと思っています。
まだまだCCSの必要性というのは広く認知されていないということで、まずは辻参考人と中島参考人、お二人に伺いたいと思いますけれども、先ほども、東京大学の学生さんでもまだ認知をしてないという方もいらっしゃるというお話もありました。なかなかまだ認知度は低いという中で、これをしっかり認知していくというのが大変重要なんですが、ともすれば、やっぱりごみの処分場のように思う方も中にはいらっしゃって、そうすると、立地地域の方々のこの理解を得るのは難しくなってしまうという可能性もやっぱり考えていかなくてはいけないかなと思っています。
政府は、二〇三〇年までの当面、国主導で地域ごとの説明会を開催して国民の理解を得るとともに、CCSに対する懸念を払拭するとしていますけれども、具体的に、地域の方々とも中島参考人、近く接している中で、どれぐらいの頻度と規模で行うべきと考えていらっしゃるかということ、それから、辻参考人も小中学生に向けての教室も開いているとお話もありました。具体的にどのような形で行っていて、また反応、効果というのはどんなものがあるのかとか、今後の課題含めて、近く接しているお二人にちょっとお話を伺わせていただきたいなと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/194
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195・森本真治
○委員長(森本真治君) では、中島参考人からですかね、よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/195
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196・中島俊朗
○参考人(中島俊朗君) お答え申し上げます。
確かに地元感情として、特にその地域で排出されたCO2を分離回収して埋めるということに対しては相対的には理解を得やすい。それに対して、その地域外、都道府県単位かどうかは別といたしましても、別のところから持ってくるものについては、やはりいわゆるNIMBYの問題が相対的には出やすくなるんだろうというふうに思います。
これを払拭するためには、やっぱり基本的に国としてCCSを進めるのだということ、それからCCSをなぜ進めるのかということ、それから、全体的な意味でのそのCCSの安全性であったり、あるいはデメリットがあるとすれば、そのデメリットの部分も広く国民一般に周知を図っていただく必要は、これはあるのだと思います。
その上で、一方で、その貯留地域にはその地域それぞれの固有の状況というのがあると思いますので、そこに対しては、むしろ事業者側で丁寧に対話を重ねていくということが必要で、この辺りのその頻度を、月一回がいいとか週一回がいいとかというのはなかなか申し上げにくいところはあるんですけれども、やはりその地域の実情に応じて、あるいは地域の皆さん方からのニーズに応じて対応していくべきではないのかなというふうに思います。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/196
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197・辻健
○参考人(辻健君) ありがとうございます。
まず、頻度などについてですけど、まず何か、CCS、私は国民にやっぱり隠したら、隠すみたいなことはしてないと思いますけれども、やっぱり公開、情報公開等、この辺りでCCSが実施される計画があるよというのも、今は確かにまだ難しいかもしれませんけど、やっぱりどんどんと公開していくような、そういう雰囲気が必要かなと思っています。
それで、私も微力ながら、東大の工学部でメタバース工学部というのがあって、どんな反応を子供が受けるのかというと、まず、地下にそんなに大きなスペースがあるの、地下を利用する、地下というのは地面の中を利用するということが知らないというやっぱり学生が多かったですね。それと、やっぱり資源とかそういうエネルギーに関心があるけど、余りそういうことに接することができないようなアンケートももらいました。要するに、そういう機会が少ないということだと思います。それが、私、初めの方に回答させていただきましたけど、やっぱりその今の小学校の教育とかにそういうものが余りないというのも問題の一つじゃないかなと思います。
それと、済みません、最後一つ、東京大学の学生でもというのはちょっと語弊があったかもしれませんけど、我々の専攻というのは比較的エネルギーに近いところの学生なんですけど、そういう学生でもやっぱりCCSのことを知らないということで、そこはやっぱり危機感を私も抱いているところです。
以上になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/197
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198・平山佐知子
○平山佐知子君 ありがとうございます。
やっぱり、情報公開の大切さとか、そのどうやって伝えていく、まだまだやるべきことがたくさんあるのかなという感覚を、今お話を伺って改めて感じるところがありました。
それから、以前いただいた資料の中で、中島参考人の資料の中でちょっと気になるところがあったので伺いたいんですけれども、この令和二年の報告書で、十五ページですね、社会的受容性の醸成活動と課題二というところで、地元関係者からは、緊急時における報告、連絡、説明や初動対応の在り方に関して課題が指摘されてきたということでいろいろ書かれていますけれども、この点についてちょっと詳しくお話を聞きたいなと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/198
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199・中島俊朗
○参考人(中島俊朗君) お答え申し上げます。
私のプレゼンの中でも、地域との対話丁寧に行ってきましたというふうにきれいに申し上げましたけれども、実際の対話の中では、やはり、我々の考えが至らなかったりして地域の皆さんから御指導や苦言を頂戴したということも幾度もありました。
そういう中で、改善をして関係を構築していったわけでございますけれども、ここで言っているのは、事業を行っていく中で様々なトラブルが生じます。運営上のトラブルですね。メカニカルトラブルが生じたとか、あるいはそこで事故が起こって設備が停止したとかというときのそこの連絡であるとか、そういったものが、地元が期待されて、皆さんが期待されているよりも遅かったといったこと。それから、地震、胆振東部地震が起こった後に、我々事業者として有識者の御意見もいただいて、地震との関係性について対外的な公表をしたんですけれども、その公表内容について事前にお知らせをしていなかったというようなことで、やはり地元に密接に関係しているので対外的な公表についてはもう少し速やかに連絡をしてほしいとか、そういった御指導があったということをここに率直に書かせていただいております。
こちらについてはこの中には入っていないんですけれども、総括報告書、これは概要版ということでございますので、弊社のホームページに全文掲載していて、これ三百ページぐらいあったかな、かなり分厚いやつなんですけれども、そこに地元との関係でいろいろ御指導いただいた部分というのも、ここはつまびらかに書かせていただいております。
我々、今、苫小牧実証で様々やってきたこの広報渉外活動の総括のようなものをおまとめして、今後、先進的事業と社会実装される事業者さんの側で何らかの参考になればと思うレポートも作っておりますので、これはNEDOさん、エネ庁さんの御許可があって公表されることになると思っておりますけれども、そういったものも今後活用していただければというふうには思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/199
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200・平山佐知子
○平山佐知子君 やっぱり地元との関係、緊急時の対応ってすごく重要になってくると思いますし、ここにもありますけど、世界で初めて圧入地点近くで大地震を経験されたということで、これは非常に重要なことだと思いますので、是非ホームページ、また参考に読ませていただきたいなというふうに思います。ありがとうございました。
また、もう一度中島参考人にまた違う話で伺いたいなと思いますけれども、このCCSを通して、先ほどもビジネスモデル確立とか、様々お話ありましたけれども、産業の広がりということも進めていく、これも大事かな、地元合意を得るためにも重要なのかなと考えています。
その中で、掘削のこの技術というのは確立されていると思うんですけれども、要は地元の波及効果ですね、ほかの産業にもどう広げていくのかということも、やっぱりこれ、地元合意を得る上で大切と思っています。例えば地元の建設業とかほかの産業にも波及効果って実際出てくるものなのかどうかというところをちょっと教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/200
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201・中島俊朗
○参考人(中島俊朗君) お答え申し上げます。
なかなか定量的にどのぐらいの雇用の創出になるかとか、地元にどのぐらいの金額が落ちるかということを申し上げにくいんですけれども、何らかの設備を造るということにおいて、そこで、井戸の掘削については掘削リグを持ってきて井戸を掘るということで、それは専門の業者が外からやってきて作業を行うということではありますけれども、そういった方々、作業員が地元に落とすお金も多少は掘削期間中にはあるでしょうし、あるいは、井戸の近傍にコンプレッサー等の設備を置くということになれば、井戸も含めてですけれども、固定資産として計上した部分については、それはその固定資産税は市町村税でございますので、地元に税収として幾ばくかの還元にはなるのではないかというふうに思っておりますし、排出源側で見れば、例えば、CCSであるかどうかは別にしても、その特定の産業あるいは工場とかの稼働、操業を維持していくためにその製品のグリーン化、クリーン化をしていくということが問われているのだとすれば、CCSをすることによってその産業がそこで残って操業をし続けていけるという、そういう効果、直接的に、そのCCSのチェーンとは別に、その排出源の産業、事業が継続できると、持続可能になるというところでの効果ということも、これは直接的ではないですけれども、やはりなぜCCSをやるのかという目的のところに鑑みれば、そういう効果もあるのではないかと考えるところでございます。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/201
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202・平山佐知子
○平山佐知子君 ありがとうございます。
その広がり効果というお話もいただきましたけれども、その点について、ちょっと今回の法案とは外れるのかもしれませんけれども、辻参考人にちょっとお話を伺いたいのは、今回のその小型モニタリング装置の開発をされたという中で、その技術が例えばほかの地震予知などにも使えるのかどうかとか、例えばそのほか、土木構造物のモニタリングなどにも使えるということ、ちらっとその資料にも書いてあったかなと思うんですけれども、インフラの経年劣化とか、橋やトンネルなどのモニタリングの利活用、こういうことによって、コストを全体的に削減にもつながっていくんじゃないかとか、広がりはあるのかなと思います。
このCCSという技術全体の中で更に広がりというのは出てくるのかどうかというところも含めて、少しお話しいただきたいなと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/202
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203・辻健
○参考人(辻健君) 御質問ありがとうございます。
私の専門は地下を調べること、探査技術、それとモニタリング技術、波を使うのが得意なんですけど、波動ですね。それで、御質問いただいたように、今、小型震源装置というのを作っておりまして、それを例えば宇宙、月探査でも使おうかなとか、それとか、堤防とかの経年劣化、トンネルですね、そういうのにも今使う試みは行っています。
それで、いいのは、あっ、それと、そもそもその小型震源装置というのは、元々、地震とか火山のモニタリングする大きな震源装置をまず造っていたんですけれども、それを発展させることで、小さくなってCCSに使えるじゃないかということになりました。
ですから、何というんですか、その技術があればCCSでも使えるし、ほかの工学分野若しくは理学分野にも波及します。それ、我々、私が目指しているのは、そういういろんなものにチャレンジしていくことによって技術レベルを高めていくというんですか、それでCCSのモニタリングも、ほかのところに適用することによってCCSの方もモニタリング精度が向上する、そういうのが私は好ましいかなと思っておりまして、日々そのように、広い範囲に適用するとか、広い領域を研究するようにしております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/203
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204・平山佐知子
○平山佐知子君 ありがとうございます。
大変それぞれ重要なお話を聞かせていただきました。今後の審議にしっかり生かしてまいりたいと思います。ありがとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/204
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205・森本真治
○委員長(森本真治君) 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。
参考人の皆様に一言御礼を申し上げます。
参考人の皆様には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。
本日はこれにて散会いたします。
午後四時三十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00720240507/205
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