1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和六年五月九日(木曜日)
午前十時開会
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委員の異動
五月八日
辞任 補欠選任
柴 愼一君 辻元 清美君
青島 健太君 東 徹君
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出席者は左のとおり。
委員長 森本 真治君
理 事
青山 繁晴君
長峯 誠君
古賀 之士君
東 徹君
委 員
浅尾慶一郎君
越智 俊之君
小林 一大君
上月 良祐君
丸川 珠代君
渡辺 猛之君
辻元 清美君
村田 享子君
里見 隆治君
三浦 信祐君
石井 章君
礒崎 哲史君
岩渕 友君
平山佐知子君
国務大臣
経済産業大臣 齋藤 健君
事務局側
常任委員会専門
員 山田 千秀君
政府参考人
公正取引委員会
事務総局経済取
引局長 岩成 博夫君
経済産業省大臣
官房技術総括・
保安審議官 辻本 圭助君
経済産業省大臣
官房商務・サー
ビス審議官 茂木 正君
経済産業省大臣
官房首席GX機
構設立準備政策
統括調整官 龍崎 孝嗣君
経済産業省大臣
官房審議官 田中 哲也君
経済産業省大臣
官房審議官 殿木 文明君
資源エネルギー
庁長官 村瀬 佳史君
資源エネルギー
庁長官官房資源
エネルギー政策
統括調整官 山田 仁君
資源エネルギー
庁長官官房資源
エネルギー政策
統括調整官 木原 晋一君
資源エネルギー
庁省エネルギー
・新エネルギー
部長 井上 博雄君
資源エネルギー
庁資源・燃料部
長 定光 裕樹君
資源エネルギー
庁電力・ガス事
業部長 久米 孝君
国土交通省大臣
官房技術審議官 今井 新君
国土交通省大臣
官房技術参事官 西村 拓君
環境省大臣官房
審議官 奥山 祐矢君
環境省大臣官房
審議官 前田 光哉君
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本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○連合審査会に関する件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための
低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
○二酸化炭素の貯留事業に関する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/0
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001・森本真治
○委員長(森本真治君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、柴愼一君及び青島健太君が委員を辞任され、その補欠として辻元清美君及び東徹君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/1
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002・森本真治
○委員長(森本真治君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/2
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003・森本真治
○委員長(森本真治君) 御異議ないと認めます。
それでは、理事に東徹君を指名いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/3
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004・森本真治
○委員長(森本真治君) 連合審査会に関する件についてお諮りいたします。
脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律案及び二酸化炭素の貯留事業に関する法律案について、環境委員会からの連合審査会開会の申入れを受諾することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/4
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005・森本真治
○委員長(森本真治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/5
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006・森本真治
○委員長(森本真治君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/6
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007・森本真治
○委員長(森本真治君) 次に、連合審査会における政府参考人の出席要求に関する件及び参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
両案審査のための連合審査会に政府参考人及び参考人の出席要求があった場合には、その取扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/7
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008・森本真治
○委員長(森本真治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/8
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009・森本真治
○委員長(森本真治君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律案及び二酸化炭素の貯留事業に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、公正取引委員会事務総局経済取引局長岩成博夫君外十五名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/9
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010・森本真治
○委員長(森本真治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/10
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011・森本真治
○委員長(森本真治君) 脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律案及び二酸化炭素の貯留事業に関する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/11
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012・越智俊之
○越智俊之君 おはようございます。自由民主党、越智俊之です。
本日は質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。早速質疑通告に従って質問させていただきます。
二〇五〇年のカーボンニュートラル達成に向けて様々な脱炭素手段が議論されております。本日議論いたします水素社会推進法案とCCS事業推進法案も、脱炭素社会、エネルギー安定供給、経済成長を同時に実現するグリーントランスフォーメーション政策を進めるために重要な法案であると思いますが、まず、政府より、両法案が二〇五〇年のカーボンニュートラル達成に向けて果たす役割やその意義について簡潔に御説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/12
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013・村瀬佳史
○政府参考人(村瀬佳史君) お答え申し上げます。
カーボンニュートラル実現のためには、徹底した省エネや再エネなどの脱炭素電源の利用促進に加えまして、産業部門、運輸部門、発電部門のそれぞれで、脱炭素化が難しい分野におけるGXを実現していくことが不可欠であります。化石燃料や原料を代替するための低炭素水素等の供給、利用、利用後の脱炭素化の進める手段としてのCCSをそれぞれ広げていくことが必要だと考えてございます。
このため、水素社会推進法案においては、鉄鋼や化学等の脱炭素化が難しい分野における低炭素水素等の供給及び利用を進めるため、価格差に着目した支援や拠点整備支援等の措置を通じまして、先行的で自立が見込まれるサプライチェーンを創出、拡大していく所存でございます。
また、CCS事業法案におきましては、事業に必要な許可制度や事業規制、保安規制等の措置を講ずることとしておりまして、こうした措置を通じましてCO2の安定的な貯留やCCS事業の適切な運用を確保していきたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/13
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014・越智俊之
○越智俊之君 まずは、水素社会推進法案についてお尋ねをしたいと思います。
我が国では、二〇一七年に世界で初めて水素基本戦略という水素に関する国家戦略を打ち出しました。昨年は、これを市場の変化と世界の動きに合わせるべく、約五年ぶりに改定しております。我が国は、燃料電池などの水素に関連する技術で世界をリードしてきており、国内では、約十年前から燃料電池自動車が、最近では燃料電池バスが社会実装されるなど、長年水素の市場を築く取組をしてきました。
一方で、世界でも脱炭素化の流れが加速し、水素への注目も高まっております。昨年我が国が議長国を務めたG7の場を始め、外交の場面でも水素はよく話題に上がります。欧州や米国を始め、水素導入の支援に本腰を入れ始める国が現れ、大規模な水素製造や利活用が行われる時代がすぐ近くまで来ております。
こうした中、日本政府は、今後、二〇三〇年に向けて三百万トン、二〇四〇年に向けて千二百万トン、二〇五〇年に向けて二千万トン程度の水素を供給していくことを想定しております。水素を今後、鉄や化学、モビリティーといった特に脱炭素化が難しい分野に供給していくことで脱炭素化を図っていくこととしています。
しかし、水素がこうした様々な場面で用いられるようになるためには、水素の価格を今よりもしっかりと下げていかなければなりません。足下では燃料費も高騰しており、こうした燃料に対する将来価格への不透明さが増すばかりではないかと危惧しております。
水素社会の実現に向けてはコストの低減は重要な課題かと思いますが、水素の供給コストの低減に向け、具体的にどのように取り組んでいくつもりでしょうか。これまでの政府の取組に加え、今後の方針についても併せてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/14
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015・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
水素社会の実現に向けて水素の供給コストを低減していくことは、御指摘のとおり、極めて重要と考えてございます。
二点ございまして、一点は供給量の増加による規模の経済、二点目はコスト低減に資する技術開発、これを両輪で進めていくことが重要と考えてございます。
これまでは主に技術開発を中心に取り組んできておりまして、例えば、グリーンイノベーション基金などを活用し、現在の水電解装置コストを最大六分の一程度にまで低減するための技術開発、あるいは電解率、効率の向上のための技術開発、国際競争力のある水準で水素を製造できるよう、水電解による製造コストの低減に取り組んできているところでございます。
今後は、水素社会推進法案で措置いたします価格差に着目した支援におきまして、十分な価格低減が見込まれ、将来的に競争力を有する見込みのある事業を支援していきたいと考えてございます。こうした措置によりまして、低炭素水素等の需要と供給を同時に立ち上げ、規模の拡大を図り、供給コストの低減を目指していきたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/15
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016・越智俊之
○越智俊之君 ありがとうございます。
水素やアンモニアは現在でも産業において利用されているものであります。今は化石燃料から製造されており、二酸化炭素を排出しながら製造する方法が主流になっております。しかし、こうした製造時に排出される二酸化炭素を処理しない、いわゆるグレー水素やグレーアンモニアと呼ばれる燃料を使い続けていては、脱炭素化への影響は限定的だと思います。このため、やはり水素やアンモニアの製造時に発生する二酸化炭素をしっかり処理する方法に転換していくことが重要です。
本法案では、新たに低炭素水素等という定義を置き、脱炭素化をより推し進める法案になっているのではないかと思っております。単に炭素やアンモニアを利活用するだけではなく、この水素やアンモニアを製造する際の二酸化炭素排出量も削減していくことが真の脱炭素化につながっていくのではないでしょうか。そうだとすれば、今回措置する低炭素水素等の定義をどう定めるかが重要だと思いますが、特に低炭素はどのような基準を定めるおつもりか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/16
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017・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
低炭素水素等につきましては、水素等であって、一つには、その製造に伴って排出される二酸化炭素の量が一定以下であること、二つ目には、二酸化炭素の排出量の算定に関する国際的な決定に照らして、その利用が我が国の二酸化炭素の排出量の削減に寄与するなどの経済産業省令で定める要件に該当するものとしてございます。これは、水素等の製造に伴うCO2排出量、すなわち炭素集約度の概念を昨年のG7広島サミットにおいて我が国が提示し、首脳コミュニケにおいても重要性が確認されたことを踏まえた考え方でございます。
具体的には、今後、炭素集約度に基づき低炭素水素等のCO2排出量の基準を定めてまいりますけれども、現在、海外の制度も参考に、例えば、水素一キログラムの製造に係るCO2排出量が三・四キログラム以下のものを対象とするなどを審議会において有識者の方に御議論いただいているところでございます。
今後も、各燃料における国際的な議論の動向も注視しながら検討を深め、国際的に遜色のない基準を定めていきたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/17
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018・越智俊之
○越智俊之君 水素の価格が高く、安定した量の供給が見えない状況では、利用側が水素を利活用することになかなか踏み出せないと思います。また、水素を供給する事業者にとっても、水素の利活用の広がりが見えない中では供給事業への投資に踏み出せないという、いわゆる鶏と卵の状態が続いてしまいます。
水素に関心がありながらも、このように見合ってしまい導入に踏み込むことができない状況を打破するためにも、早期に先行的なサプライチェーンを創出して、実際に水素が大規模で合理的な価格で出回るのだということを世の中に見せていくことが大事なのではないでしょうか。今は世の中は半信半疑だったとしても、百聞は一見にしかずで、まず実例ができれば、それに続く事業も出てくると考えます。社会への理解も広がると思います。
今回の法案では、低炭素水素等の供給そして利用を早期に促進するため、基本方針の策定や需給両面での計画認定制度の創設、またその計画認定を受けた事業者に対する支援措置や規制の特例措置を講ずることとされております。特に、今回の計画認定を受けた事業者には、価格差に着目した支援、そして拠点整備支援などにより長期にわたる支援が行われることになっております。
この両支援制度によって、我が国が開発した技術を活用した上で先行的にサプライチェーンが構築されていくことは望ましいことだと考えております。一方、多額の支援が行われることが想定されますので、認定される基準が甘いと将来的に自立できない事業者まで認定していくこととなってしまいます。
このため、価格差に着目した支援、拠点整備支援、この両方、将来的に自立して、将来の水素等サプライチェーンを支えるようなプロジェクトが選ばれていくようにしっかりとした認定の基準を定めて、リスクがある状況でも脱炭素化に向けて長期的にコミットしていこうという事業者を厳選していく必要があるのではないかと思いますが、そのためにはどのような認定基準を定めていく予定でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/18
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019・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
低炭素水素等供給等事業計画の認定基準としては、Sプラス3Eを前提に、グリーントランスフォーメーションの実現に資するプロジェクトであるとともに、御指摘のとおり、将来的に自立することを求めると、こういう観点から、一つには、鉄、化学といった代替技術が少なく転換困難な分野、用途にも供給すること、二つ目には、国際的な算定ルールと整合的な考え方の下、国内の排出削減に資するプロジェクトであること、三つ目には、二〇三〇年度までに供給開始が見込まれ、支援期間終了後十年間の供給を継続すること、四つ目には、国内外で新たな関連事業を予定していることなどといった必須の条件を設け、これらの充足を求めてまいりたいと考えてございます。
こうした必須条件に加えまして、Sプラス3Eや産業競争力強化、経済成長への貢献といった政策的重要性とオフテーカーの確実性、工事計画、資金計画等の妥当性といった事業完遂の見込み、この政策的重要性、事業完遂の見込みから評価項目を設定いたしまして、御指摘のとおり、総合評価により支援対象とする事業者の選定をしっかりと行っていきたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/19
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020・越智俊之
○越智俊之君 ありがとうございます。
水素社会の実現に向けて、今度はビジネスでどう勝っていくかということも大変重要だと思います。そのためには、民間もリスクを取って大きな投資を進めていくことということであり、その呼び水として、価格差に着目した支援制度が位置付けられているのだと思います。他方、今回の支援はある程度大きなプロジェクトが中心になってくるのではないかと感じております。
しかしながら、水素社会の裾野を広げていくという意味では、中小企業でやる気のある企業のチャレンジをしっかりと後押ししていくことも重要なのではないでしょうか。こうしたやる気のある中小企業をしっかりと巻き込み、水素の利活用を行っていくという観点において、経済産業省としていかに後押ししていくのか、お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/20
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021・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
地域の工場であるとかモビリティーなどの脱炭素化のためには、御指摘のとおり、中小企業の方にも低炭素水素等の利用を促進していくことが極めて重要だと考えてございます。
例えば、水素ステーション補助金を活用いただきまして、東京都の中小の産業ガス会社の方が水素ステーション事業に参画されるなど、中小企業の方の水素の利活用にこれまでも取り組んでまいりました。また、近畿経済産業局では、水素産業関係者が一堂に会するイベントを、関西水素産業交流ラウンジを開催いたしまして、水素関連の大手企業と中小企業とのビジネスマッチングに取り組んでおりまして、中小企業の方々の水素関連産業への参入を促しているところでございます。
水素社会推進法案に基づく支援措置につきましても、多様なプレーヤーに周知いたしまして、中小企業の方々も巻き込みながら低炭素水素等のサプライチェーンの構築を進めていきたいと、かように考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/21
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022・越智俊之
○越智俊之君 ありがとうございます。
本法案では、規制の特例措置として高圧ガス保安法の特例についても講じられることとなっております。
水素社会の実現に向けては、水素等の利活用において、やはり安全が確保されていることが非常に重要です。例えば川崎重工業は、小型の水素専焼の発電実証を神戸のポートアイランド、いわゆる都市部で行っておりますが、これは事業者がしっかりと安全を確保しているからなし得ると考えます。
これから水素等の供給や利用が拡大するにつれ、鉄、化学、そして発電といったプラントの中のような限られた場所での利用から、商業施設や住宅などの市中での利用といったように、水素等の利用シーンも広がっていきます。様々な事業者が水素事業に参入し、また新しい技術が次々と実装されていきます。こうなると、ますます保安規制の重要性が増していきます。
一方で、厳しいだけで柔軟性のない規制は、なかなか水素の供給、そして利用拡大も進まないことが懸念されます。規制が古いルールのままアップデートされず、新しい技術が取り入れられないような話も聞きますが、このようなことでは水素事業の発展はなし得ません。時代に合わせた規制が必要ではないでしょうか。また、許認可を得るためのプロセスを簡素にしたり、事業者の想定する時間軸をいたずらに遅らせないスピード感で進めたりする工夫が必要ではないでしょうか。
そこで、安全を確保しつつ、水素等の供給、そして利用拡大を進めていくに当たっての本法案における保安の特例措置の意義をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/22
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023・殿木文明
○政府参考人(殿木文明君) いわゆる水素社会推進法案の特例措置の意義についてのお尋ねでございますが、委員御指摘のとおり、水素の供給及び利用の拡大に当たりましては、安全確保を大前提としつつ、水素保安をめぐる環境と課題に応じたルールの整備を進めていくことが重要であると考えているところでございます。
水素等の大規模利用については、黎明期にございますことから、大規模な低炭素水素等のサプライチェーンの構築に必要な関連施設につきましては、最新の科学的、技術的、専門的知見を有する場合がございますため、高圧ガス保安法の許可、検査等を行うに当たりまして、都道府県等においては、通常よりも時間を要したり、判断が困難となる場合があることも想定されるところでございます。
このため、本法案の保安に関する措置におきましては、高圧ガス保安法の特例といたしまして、低炭素水素等の供給及び利用についての認定計画に基づく設備等に対しましては、一定期間、都道府県知事等に代わり高圧ガス保安法における製造施設等の技術基準を策定するなど、科学的、技術的、専門的な知見を有する国が一元的に保安確保のための許可や検査等に当たる行為を行うことを可能とするものでございます。
これによりまして、低炭素水素等の供給及び利用についての計画認定を受けた事業者は高圧ガス保安法関係の手続が迅速化され、我が国における低炭素水素等の供給及び利用の促進に資するものと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/23
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024・越智俊之
○越智俊之君 ありがとうございます。
水素社会推進法案による措置により、我が国でも水素の利活用が広がっていくことを期待しております。しかし、我が国のみならず、世界でも大きくこの水素の利活用は広がっていくのだろうと想定されます。この目の前に広がる拡大市場を我が国がしっかりと獲得していく、これがまさに脱炭素と産業競争力を両立させる絵姿につながっていくのだろうと思います。
しかしながら、欧州や米国だけでなく中国や韓国など、世界中が同様に水素等に取り組んでいるのではないかと思います。こうした他の国の勢いを踏まえても、我が国は水素で産業競争力を発揮できる見込みがあるのでしょうか。我が国が進むべきシナリオをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/24
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025・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
御指摘のとおり、国際的な競争環境は極めて厳しくなってきていると認識しておりますが、その中にありましても、我が国の企業は水素関連技術で引き続き世界で高い技術力を持つ技術を有しておりまして、例えば生産技術では、水素の製造効率を左右する水電解装置に用いる膜につきまして、世界トップクラスのドイツのメーカーが日本の化学企業の独自の膜技術の採用を検討するなど、世界の企業からも評価されているところでございます。また、海上輸送技術では、アンモニアを介することなく水素のまま効率よく輸送する技術、これは日本のみが実用化しておりまして、発電技術では世界の多くのプロジェクトに日本企業が参画いたしております。
今後、我が国が持つ技術的競争力を維持強化するためには、いかに量産化、自動化を進め、スピーディーに市場に製品、サービスを投入できるかどうかが肝となると考えてございます。
このため、例えば、水電解装置も対象にいたしました、五年間、四千二百億円超のGXサプライチェーン構築支援事業の中で、産業競争力を持つ水電解装置やその部素材に対する大規模かつ迅速な投資を予定している事業者をしっかりと後押ししてまいりたいと考えてございます。
また、水素社会推進法案で措置する価格差に着目した支援等を通じまして、我が国技術を活用した産業競争力の強化に資するサプライチェーンの創出拡大を図る、これによりまして水素等関連産業の産業競争力の強化も目指していきたいと考えてございます。
世界の水素市場の拡大に御指摘のとおり遅れることなく、我が国の高い技術力を生かした製品、サービスを国内外に展開していければと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/25
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026・越智俊之
○越智俊之君 よろしくお願いいたします。
次に、世界におけるCCSの位置付けや動向について伺います。
CCSは地中に二酸化炭素を閉じ込める技術のことですが、私自身、このCCSについては、今回法案を提出されるということで初めて話を伺いました。日本も既に二〇五〇年を目標としてカーボンニュートラル宣言が行われている中で、国是として達成していくことが必要になってきます。
一方で、二酸化炭素を出さない脱炭素化の技術としては省エネや再エネもあります。しかし、CCSは最近、世界で急速に広がっていると聞いております。例えば、国際エネルギー機関、IEAでは、二〇五〇年時点での世界全体の二酸化炭素の回収量は年間三十七億トンから六十億トンとの見通しを示しており、これは現在の世界全体の二酸化炭素排出量の一割から二割に相当する膨大な量です。
なぜCCSは今必要になってきているのでしょうか。また、CCSの技術が確立していなければ、この脱炭素化手段として使うこともなかなか容易ではないと思いますが、CCS技術は全く新しい技術なのでしょうか。まずは政府参考人にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/26
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027・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
カーボンニュートラルの実現に向けては、産業や発電の脱炭素化、低炭素水素の製造などの分野で、CO2を回収して地下に貯蔵するCCSの導入が必要となります。
昨年十二月に開催されたCOP28の合意文書におきましても、排出削減が困難なセクターにおける解決策の一つとしてこのCCSが明記されてございます。
欧州や米国では、既に二〇一〇年頃に民間事業者がCCS事業を実施するための環境整備の一環として法制度が整備されております。加えて、これらの国では、近年、予算や税制など、CCS事業に対する様々な導入支援制度が構築されておりまして、CCSの本格的な導入に向けた更なる環境整備が進んできております。この結果、二〇三〇年に向けてCCSの導入が加速すると見込まれておりまして、貯留適地の確保や事業モデルの構築をめぐる国際的な競争も始まっております。
我が国としても、こうした世界の動向を踏まえ、二〇二三年七月に閣議決定したGX推進戦略において、二〇三〇年までのCCS事業開始に向けて事業環境の整備を行う、事業環境の整備を進めていくこととしております。
なお、CO2を地下へ圧入する技術でございますが、これは石油、天然ガスの増産を目的として行われてきたEOR、エンハンスト・オイル・リカバリーとして約五十年の実績が既にありまして、基本的な技術は確立されております。
また、CO2を貯留する適切な貯留層の探査ないしは開発についても、石油やガスの開発、生産に必要な技術と共通する部分も少なくないため、基本的にはこれまで石油、ガス等に用いてきた人材や機材を活用することも可能であるというふうに認識してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/27
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028・越智俊之
○越智俊之君 我が国を含めてカーボンニュートラル宣言を行っている国にとってはCCSが必要不可欠であること、また、CCS技術は既存技術で、五十年を超える石油、天然ガスの増産技術を気候変動対策に転用したものであり、確立している点は重要であると思っております。
次に、中小企業・小規模事業者の脱炭素化についてお伺いいたします。
経済産業省によれば、中小企業・小規模事業者の二酸化炭素排出量は一・二億トンから二・五億トンとされております。大手企業にサプライヤーとして納品している中小企業・小規模事業者にもこうした中に含まれていると思いますが、大手企業はサプライチェーン全体でのカーボンニュートラルの達成を求めていく可能性があり、この物づくり中小企業の中には二酸化炭素削減対策が不十分であるということから発注を受けられなくなる可能性があり、喫緊の課題であると考えております。
そこで、中小企業・小規模事業者の脱炭素化を進めるためには具体的にはどのようなことをしなければならないでしょうか。私は、まず自社がどれだけの二酸化炭素を排出しているのかを把握することが必要であり、その上で対策が必要になりますが、いずれも対策ができていないとまだ考えております。具体的に何をすべきかという点と、どのような支援策が中小企業・小規模事業者に利用できるものであるのでしょうか。政府参考人にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/28
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029・田中哲也
○政府参考人(田中哲也君) お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、サプライチェーン全体でカーボンニュートラルを目指す企業も出てきておりまして、こうした中、近年、中小企業において、取引先から排出量の把握や排出削減の協力要請を行われるようなケースが増え始めております。
こうした動きに対応するため、これも委員御指摘のとおりでございますけれども、自社の排出量を把握した上で脱炭素効果の高いGX投資を実行していく必要があるというふうに認識しています。また、GX投資に取り組むことはエネルギーコストの削減や受注の拡大につながる可能性があるといったメリットもございます。
このため、経済産業省といたしましても、排出量の算定方法を分かりやすくまとめた資料を作成し、GXに取り組むメリット等への理解増進を図るセミナーを開催を含め、広報を開始しているところでございます。
さらに、専門家が中小企業に対して具体的な省エネアドバイスをする省エネ診断について、前年の申込実績の二倍の案件数に対応できるよう必要な予算措置を講ずることに加えまして、中小企業等の省エネ投資を支援する省エネ補助金などの支援策も大幅に拡充して取り組んでいるところでございます。
引き続き、中小企業のGX推進に向けまして、経産省としてしっかり取り組んでまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/29
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030・越智俊之
○越智俊之君 ありがとうございます。
中小企業の脱炭素化は、日本の総排出量の中でも一定程度を占める重要な分野として、引き続き分かりやすい対策の考え方と支援策の充実をお願いいたしたいと思います。
次に、中小企業、そして小規模事業者が必要となる電力の脱炭素化についてお伺いいたします。
CCSの利用が期待されている分野としては、鉄鋼や化学、セメントといった分野が想定されていると聞いております。こうした業種では大企業の利用が多いように思います。もちろん日本の大手企業が国内に立地を継続することで地域の雇用が支えられ、サプライヤーとなる中小企業・小規模事業者も仕事が続いていくことになる効果があると考えております。
中小企業・小規模事業者、特にサービス業の脱炭素を図る観点からは、恐らく発電の脱炭素化が非常に重要になってくると思います。燃料を自ら購入して使う中小企業・小規模事業者はある程度限られてくると思いますが、電気を使わない中小・小規模事業者はいないと思います。
一方で、日本は国土が狭く、再エネを最大限入れようにも、地権者や景観の問題もあり、また技術的にも全てを再エネにするのにはなかなか難しいと思います。
そこでお聞きしたいのですが、電気の安定供給には今は火力電力を欠かすことはできず、発電分野からのCO2排出にも対策を打つ必要がありますが、こうした分野においてもカーボンニュートラルを実現するために火力発電の脱炭素化をどのように進める見解でしょうか。CCSも含めて見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/30
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031・久米孝
○政府参考人(久米孝君) お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、火力発電は電力の安定供給を支えてきた重要な供給力であります。また、再エネの更なる導入拡大が進む中で、当面は再エネの変動性を補う調整力として火力発電の活用は重要であると考えております。
その上で、二〇五〇年のカーボンニュートラル実現に向けては、安定供給を確保しつつ、水素、アンモニア、CCSを活用することで脱炭素型の火力に置き換えていく方針でございます。
燃焼時に二酸化炭素を排出しない水素、アンモニアについては、トランジションとして混焼から導入を行い、取組を進めていくことが重要だと考えております。その上で、高混焼、専焼技術の確立により、早期に混焼率の引上げ、さらには専焼化を目指してまいります。
また、御指摘のCCSについても、火力発電の脱炭素化という観点から重要な技術でありまして、二〇三〇年までの事業開始を目指す先進的CCS事業には火力発電のCCS利用も含まれております。
今後、諸外国の例を参考としながら、支援制度の在り方について検討するとともに、コスト低減に向けた研究開発や国民理解の増進など、総合的な取組を進めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/31
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032・越智俊之
○越智俊之君 電力の脱炭素化をしっかり進めるという御答弁をいただきました。発電が脱炭素化できないと、多くの中小・小規模事業者もカーボンニュートラルの達成は困難になると思います。二〇五〇年に向けてしっかりと対策を講じていただきたいと思います。
次に、地域の理解についてお伺いいたします。
CCSを行うに当たっては、貯留地となる地域の理解が重要です。理解を得ていくためには、貯留地の開発がその地域の産業に影響を与えることを丁寧に説明していくことが大事と考えます。カーボンニュートラルが前提となる今後の産業では、企業単位のみならず、地域産業の単位でどのようにカーボンニュートラルを実現していくのか、その道筋を描いていくことが必要となります。CCSは、この際の有力な選択肢の一つになるものです。
こうしたことを踏まえ、貯留地となる地域の産業にはどのようなメリットがあると言えるのでしょうか。地域産業の基盤を支える中小企業への影響を踏まえて教えてください。また、地域の物づくり中小企業がCCSを行うためには、産業集積においてこの二酸化炭素を分離回収する企業がサービス提供を行うような環境を整備する必要があると考えておりますが、経済産業省の見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/32
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033・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
CCSは、鉄鋼、セメント、化学など脱炭素化が困難な産業分野においてCO2排出を抑制していくための重要なインフラとも言えます。このため、こうした産業が立地する地域の近隣でCCS事業を行うことができれば、その地域の産業や雇用の維持発展に寄与するというふうに考えております。
さらに、CO2の分離回収、輸送、貯留などCCS事業そのものに関連する産業や、分離回収したCO2を使って化学品、コンクリートの原料や合成燃料などを製造する産業の進出も期待されまして、こうした形で新たな事業雇用の創出に寄与するというふうに考えております。
また、CCSの利用を中小企業を含め幅広く地域に広げていくためには、CO2の分離回収や輸送のサービスについて面的な広がりを持たせていくことが重要と考えております。その際、各排出源からのCO2を集約し、輸送、貯留のプロセスを共有し、最適なネットワークを地域に形成するハブ・アンド・クラスターのような形でインフラを形成していくことができれば、中小企業の初期投資やリスクの軽減、あるいは効率的なCO2バリューチェーンの構築につながっていくものと考えております。
今後とも、様々なCCS事業の実証などを行いながら、中小企業を含め幅広くCCSを利用できるような環境整備の在り方についても検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/33
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034・越智俊之
○越智俊之君 ありがとうございます。
地域産業へのメリットを十分に説明することが、貯留地の開発だけでなくその地域のカーボンニュートラルや新産業開拓の啓発につながります。是非力を入れて取り組んでいただきたいと思います。
次に、CCS事業に対する支援についてお伺いいたします。
CCS事業を遅滞なく進めるためには、まずは今回提出されているCCS事業法案が成立する必要があると思いますが、これに加えて、支援策が必要であると思います。
政府の計画では、二〇三〇年までにCCSの事業を開始し、二〇二六年頃に最終の投資決定をするとされております。私は建設業出身なんですが、やはりビジネスモデルがしっかりとあって、実際に支払がどのように行われるのかがはっきりしないと、なかなか投資を行うのは不可能です。海外では、CCSの支援策の整備が急ピッチで進み、具体的なプロジェクトの許認可が下りていると聞いております。
そこで、我が国においても、CCSの最終投資決定を進める上であらかじめ支援策の整備が必要であると考えておりますが、政府の認識はいかがでしょうか。また、具体的にどのような検討が行われてきているのか、どのようなスケジュールで進めるのか、御答弁をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/34
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035・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、CCSに必要な大きな投資をどのような形で誰に料金を払っていただいて回収していくのかという、まさにそのビジネスモデルがまだ確立していないということが課題でございます。
このため、経済産業省では、横展開可能なビジネスモデルを確立していくために、模範となる先進性のあるプロジェクトの開発及び操業の後押しをしております。具体的には、令和五年度に先進的CCS事業でCO2の回収源、輸送方法、CO2の貯留地域の組合せが異なる七つのプロジェクトを採択し、民間事業者による事業性調査などの取組を支援してございます。
また、二〇三〇年事業開始という目標のためには、二〇二六年を目途に事業者が収支見通しを得て投資決定を行う必要が生じます。今後、こうした時間軸、あるいは先ほどの先進的CCS事業の進捗も踏まえつつ、予算、税、クレジット、カーボンプライシングなど、諸外国の支援措置などを参考にしながら、率先して事業リスクを取る事業者の円滑な参入、操業を可能とする支援制度の在り方について早急に検討を進めていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/35
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036・越智俊之
○越智俊之君 ありがとうございます。
CCSの最終投資決定を進めるためには多くの検討を急ピッチで進めていく必要があると思いますが、是非、しっかりと支援策を早期に明確化して、予算、税制、そして法制度など、ちゅうちょなく対応をしていただきたいと思います。
改めてなんですが、これまでの答弁を伺うと、CCSはいわゆる大型のインフラ事業であり、大企業ばかり裨益するような、見える点もあると思いますが、政府としての認識はどうなのでしょうか。
中小企業そして小規模事業者が排出するCO2、二酸化炭素の排出量は一・二億トンから二・五億トンと、一割から二割を占めております。全企業数の九九%以上を占める中小企業・小規模事業者においてもこの脱炭素化に当たってどのようなメリットがあるのか、改めて政府の認識をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/36
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037・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) 委員御指摘のとおり、地域のなりわいや雇用を支える中小・小規模事業者がCCSによる脱炭素化のメリットを受けられるように進めていくことが重要であります。
まず、CCSによるなりわいや雇用の確保の観点からは、CCSにより地域の産業の生産基盤が維持されることで、サプライチェーンでつながる中小・小規模事業者は仕事や雇用の確保と拡大を図ることが可能になります。また、地域でCO2を再利用しコンクリートなどの製品を製造するカーボンリサイクルなどの産業が広がり、中小企業が新しい分野に参入していくことも期待されます。さらに、CCSによる電力部門の脱炭素化が進むことを通じて、サービス業を含む幅広い業種の中小・小規模事業者の脱炭素化に貢献していくことも可能となります。さらに、複数の中小企業から排出されるCO2を集約しCCSにつなぐアグリゲーターを地域に育成していくことにより、物づくり中小・小規模事業者が将来的にCO2を、あっ、CCSをより直接的に利用することもできるようになります。
引き続き、CCSにより中小・小規模事業者がメリットを受けやすくするための方策についてしっかりと検討してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/37
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038・越智俊之
○越智俊之君 ありがとうございます。
今回の水素、そしてCCSの二法案は、二酸化炭素の排出削減が困難な分野におけるカーボンニュートラルを進めるべく、これまで抜けていた対策のピースを埋めるための重要な法案だと思っております。是非、中小企業も含めた産業界がこれらの対策を活用しやすい事業環境の整備を進めていただき、また、二酸化炭素削減にとどまらず、我が国企業が水素やCCSに関する市場を世界で獲得できるように、政府としての後押しに期待して、私の質問を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/38
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039・小林一大
○小林一大君 よろしくお願いします。自由民主党の小林でございます。
本日は質問の機会いただき、ありがとうございました。早速質問させていただきます。
まず、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律案、すなわち水素社会推進法案についてお伺いをさせていただきます。
我が国は世界で初めて水素基本戦略を策定し、世界でも水素社会の先陣を切って推し進めてきました。今現在、世界で四十か国以上の国が水素に関する国家戦略を定めていると聞いていますが、そのように多くの国が水素に取り組み始めていることも事実だと思います。
日本は元々燃料電池などの技術に強みがあったからこそ、世界で初めての水素基本戦略を定めるなど水素社会を進めることができたのだと思いますが、各国が技術でも政策面でも追い上げを見せている中、現在の我が国の水素関連技術の国際競争力をどのように評価しているのでしょうか。
また、よく言われることですが、技術で勝ってビジネスでも勝つために、具体的に、国内産業の育成や市場獲得は急務だと思いますけれども、そうした中、水素の普及に向けた今後の支援の在り方についてどうお考えでしょうか。最初に大臣にお伺いをさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/39
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040・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 我が国は、水素等のサプライチェーンにおいて世界で高い競争力を持つ技術、これを複数有していると認識しています。例えば、水素の製造効率を左右する水電解装置に用いる膜ですけれども、この膜の変換効率の高さが評価をされまして、世界トップクラスのメーカーにおいて採用が今検討されているところであります。また、水素を効率よく海上輸送するための液化水素技術、これは日本が世界で初めて実用化をしたものであります。
こうした技術的競争力を維持強化をして水素の普及につなげるためには、製品の量産化等を進め、スピーディーに市場に製品、サービス等を投入するとともに、サプライチェーンの構築による水素市場の拡大、これを両輪で進めていくことが必要だろうと思っています。このために、五年間で四千二百億円を超えるGXサプライチェーン構築支援事業の中でも、水電解装置やその部素材等の分野で大規模かつ迅速な投資を予定している事業者、これをしっかりと後押しをしていきたいと思っています。
今回の水素社会推進法案による支援措置と併せまして、日本の技術を活用した大規模かつ強靱なサプライチェーンの形成を進めて、鉄や化学等の脱炭素化が難しい分野における水素等の利用の拡大、これを推進していきたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/40
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041・小林一大
○小林一大君 よろしくお願いします。
我が国は、水素関連技術に長きにわたり支援をしており、五十年前のサンシャイン計画時代から水素や燃料電池の技術開発や実証などに対して支援をしてきていますけれども、社会実装はいまだ本格化していないのが残念ながら現実ではあると思います。
今回、法案で措置しようとしている価格差に着目した支援制度では、GX経済移行債から三兆円もの支援が行われると聞いていますけれども、こうした予算は決して無駄にしてはいけません。しっかりと政策を進めてもらわなければならないと思います。こうした多額の支援を使ってどのように水素社会をつくっていくとお考えか、お尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/41
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042・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
サンシャイン計画に始まりまして、様々な研究開発を進めた結果、家庭用燃料電池は約五十万台、燃料電池自動車は約八千台と、世界トップクラスの水準で普及しているものの、御指摘のとおり、社会全体の普及率でいえばまだまだ途上にあるというふうに考えてございます。
新しい技術が社会に実装されるには様々な要因がございますけれども、大きな要因の一つが必然性だと考えてございまして、電化だけではなく、熱や原料として水素等を使わなければカーボンニュートラルは実現できませんので、多くの企業がこの目標にコミットすることが重要と考えてございます。
加えまして、水素等の供給コストや利用側の機器のコスト低減も大きな課題でございます。供給コストの低減に向けまして、グリーンイノベーション基金等を活用した水電解装置コストの低減に向けた技術開発などを進めているところでございます。
さらに、今回の水素社会推進法案で措置する価格差に着目した支援等におきましては、十分な価格低減が見込まれ、将来的に競争力を有する見込みのある事業をしっかりと選定して支援していきたいと考えてございます。
こうした措置によりまして、低炭素水素等の需要と供給を同時に立ち上げ、規模の拡大化を図り、製造コストの低減であるとか利用側機器の需要が増えることによる機器コスト低減、こうしたものをしっかりと目指していきたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/42
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043・小林一大
○小林一大君 ありがとうございます。
今ほどの価格差に着目した支援ですけれども、認定されたプロジェクトに対して十五年間固定をして支援を行うというふうに承知をしています。こうした長きにわたる支援制度は珍しいというふうに思っていますけれども、支援期間が長過ぎて事業者に対する過剰支援とならないのかという懸念もあるかというふうに思います。また、十五年の支援の後、そのプロジェクトが自立していかなければ支援の意味はありません。どのように自立を促していく制度になっているのか、お伺いをさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/43
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044・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
水素等のサプライチェーン構築には、供給事業者の投資予見性の確保が必要でございます。そのためには、船であるとかタンクといった主たる資産の耐用年数の間の事業継続が求められます。また、英国など海外の制度も参考に、価格差に着目した支援では十五年を水素等供給事業の投資回収期間として想定しておりまして、供給開始から十五年間にわたる支援を予定している。これは、この二点が理由と考えてございます。
この点、支援対象案件には、支援終了後、経済的な自立が見込まれることを支援の要件にしたいと考えてございますし、これを担保する観点から、支援終了後十年間の供給を継続することを求めるということといたしております。
加えまして、事業が進むに伴い生じるコストオーバーラン等のリスクにつきまして、これらは事業者が制御すべき事象として事業者が負担する制度にするなど、支援に規律をしっかりと持たせて、自立化に向けた事業者の努力を促す制度としていきたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/44
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045・小林一大
○小林一大君 しっかり実効性のある支援制度を行っていただきたいというふうに思いますが、私の地元新潟県でも、既存のインフラを活用した水素等の拠点プロジェクトが進められています。日本海側最大の燃料供給備蓄拠点として多数の企業が蓄積しており、今後、発電や熱利用を中心に電力及び化学等の代替技術が少なく転換が困難な、いわゆるハード・トゥー・アベートな分野での利用が想定をされています。
水素等の供給拠点の整備はこういった産業のカーボンニュートラル化に大きく貢献するものであると思いますが、今後の普及に向けて、国として今後十年間でこういった供給拠点を何か所程度整備していく予定なのか、お伺いをさせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/45
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046・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) 昨年六月に改定した水素基本戦略では、今後十年間で、産業における大規模需要が存在する大都市圏を中心に大規模拠点を三か所程度、産業特性を生かした相当規模の需要集積が見込まれる地域ごとに中規模拠点を五か所程度整備するものとしております。これを一つの大きな方向性とした上で、今回の水素社会推進法案に基づく計画の認定においては、経済合理性や国際競争力の強化への寄与の観点などから、個別に計画を審査した上で認定していくという方向で考えております。
また、この大きな八か所というのと、法律に基づく個別の認定のこの二つの関係について補足させていただきますと、この水素基本戦略における八か所という拠点は非常に大まかな地域の概念でありまして、この地域の中で複数の計画が認定される可能性もございますし、また、その地域の外であってもその地域と連携可能な場合には、その地域がこの法律に基づいて計画認定されるということも想定されておりまして、必ずしも一対一対応ではないというふうに御理解いただければと思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/46
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047・小林一大
○小林一大君 今回の法案を通じた水素サプライチェーンの構築においては、国内で製造される水素に加えて海外からの輸入水素も対象になっています。しかし、先ほどありましたように、国内で複数の供給拠点が選ばれていくのであれば、例えばこうした拠点で製造される国内水素の製造を優先すべきでないかと考えますが、いかがでしょうか。また、エネルギー安全保障や国富の流出の観点からも、海外から輸入される水素ではなくて、国内水素を優先すべきだというふうに思いますが、御所見をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/47
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048・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
水素社会への移行に当たりましては、エネルギー自給率の観点からも、御指摘のとおり、まずは国内における低炭素水素等の製造、再エネの最大限活用、供給体制の構築に取り組むことが重要だと考えてございます。このため、水素社会推進法案で措置する価格差に着目した支援におきましても、十分な価格低減が見込まれ、将来的に競争力を有する見込みのある国内事業を最大限支援していく方針でございます。
他方で、少なくとも当面の間は、国内での低炭素水素等の製造規模は海外案件に比べて小規模かつ高コストでありまして、国内製造のみでは低炭素水素等の需要量を賄えないおそれがございます。
加えまして、安価に低炭素水素等の製造が可能な適地の確保など、世界では既に低炭素水素等のサプライチェーン構築に向けた競争が始まっている状況にはございます。
このため、国産技術等を活用して製造された低炭素水素等であり、国内よりも相対的に安価かつ大量供給が可能な輸入事業につきましては、重要性を精査の上で支援していく必要があるというふうに考えてございますが、いずれにしましても、国内事業を最大限支援していく方針で考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/48
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049・小林一大
○小林一大君 ありがとうございます。
今回の法案では、水素等の供給、利用拡大を推進していくことを法目的としておりますが、水素はいまだ国民になじみがあるものではないというのも現状だと思います。可燃性のガスであるため取扱いに注意を要するということを余り知らない方も残念ながらいらっしゃるというふうに思います。
そうした中で、今後、水素の利用シーンが拡大されること想定されますけれども、水素の安全性をどのように確保していくのか、お伺いをさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/49
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050・殿木文明
○政府参考人(殿木文明君) 水素の利用場面と安全の確保についてのお尋ねでございますが、まず第一に、水素等の大規模なサプライチェーンの構築に当たりましては安全の確保が大前提であること、これは申し上げるまでもございません。そして、水素はこれまでも石油精製や石油化学、鉄鋼など幅広い産業分野で扱われてきたところでございますが、今後は燃料電池車を含めまして様々な分野において水素等の供給、利用の拡大が想定されていると承知しているところでございます。
水素は、拡散しやすい、着火しやすいといった物性を有し、取扱いにおいては、高圧ガス保安法においても水素は御指摘のとおり可燃性ガスとして位置付けられておりまして、具体的には、可燃性ガスの製造設備には当該製造設備において生ずる静電気を除去する措置を講ずること、また、可燃性ガス中の酸素の容量が全容量の一定割合以上であるガスは圧縮をしないことなどの技術基準により安全性を確保しているところでございます。
いわゆる水素社会推進法案における低炭素水素等の供給及び利用の促進に当たりましても、しっかりと安全確保を図ってまいりたいと考えているところでございます。
そして、今後とも、官民が連携し、技術開発を通じて収集された安全性に係る科学的データなどや、最新の国際規格など諸外国の取組も参考としつつ、より合理的かつ適正な保安規制によって安全を確保してまいりたいと考えてございます。
また、これらの取組に加えまして、水素の安全確保と関連いたしまして、国民の皆様に水素について正しく御理解をいただくこと、まさに議員御指摘のとおり、大変重要なことだというふうに考えているところでございます。事業者を中心として、水素社会の実現に関わる幅広い関係者が情報発信を行っていくことが大切であると考えているところでございますが、経済産業省といたしましても、事業者や自治体などの取組とも連携をしながら、水素の性質や安全対策などについて分かりやすい情報発信にも努めてまいりたい、このように考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/50
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051・小林一大
○小林一大君 水素社会推進法案、最後の質問にさせていただきますが、こうした支援に加えて、水素社会の実現に向けて産業振興や競争力強化を図るために、国際的ルール形成や国際標準化に向けた取組も重要です。現在の取組状況や、今後どのような戦略で取り組んでいくのか、お伺いをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/51
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052・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
我が国は、水素やアンモニアの分野におきまして高い技術力を有しておりまして、こうした分野のルール形成や国際標準化を戦略的に使用することで我が国の産業競争力の強化につなげていくこと、御指摘のとおり、大変重要だと考えてございます。
例えば、グリーンイノベーション基金等を活用しまして、水電解装置の耐久性や電解性能といいました我が国企業の強みとされている指標が適切に評価されるよう、性能評価手法を確立し、その評価手法の国際標準化を進めることで、欧州などの海外市場の獲得につなげていく取組を進めているところでございます。
また、アンモニア発電につきましても、我が国は高いNOxの排出抑制技術を有していることから、バーナーを含むボイラーシステム全体でのNOx排出性能に関する国際標準化を進めることで、こちらはアジア市場の獲得につなげていくといったような取組を進めているところでございます。
産業競争力の強化に向けまして、我が国の技術的な強みをてこに、オープン・アンド・クローズ戦略の下、グローバルスタンダードの形成を主導していきたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/52
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053・小林一大
○小林一大君 よろしくお願いします。
そうしましたら、次は二酸化炭素の貯留事業に関する法案について伺います。
また地元の話で恐縮ですけど、新潟ではCCSの黎明期から先進的な取組を行っており、長岡での実証では、二〇〇五年までに約一万トンのCO2が注入されました。また、昨年度には、県内の化学工場、製紙工場、発電所から排出される年間約百五十万トンのCO2を貯留するプロジェクトが先進的CCS事業として選定をされて、三〇年までの事業化に向けた検討を今進めています。
CCSは、カーボンニュートラルが求められる時代において産業立地に必須のインフラとなるものであり、その速やかな導入に向けて、本法案を始め必要な制度整備を進めていく必要があります。
先日の参考人質疑でもお話をして質問しましたけれども、脱炭素の手段としてのCCSはまだまだ一般的には広く知られていない取組です。今後、CCSの必要性や意義を一層広く国民が共有するために、CCSとは通常どのようなプロセスでCO2を削減するのか、どのようなメカニズムでCO2が地中に安定的に貯留されるのか、さらには安全性や地震との関連など、あらゆる説明が必要になると思います。
まず最初に、こうした点について分かりやすく説明をしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/53
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054・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
CCSにおきましては、CO2は地下約一千メートルから三千メートルに存在する砂岩層の隙間に貯留されます。また、貯留したCO2は浮力で浮上してまいりますため、蓋の役割を果たす遮蔽層が砂岩層の上に存在する必要があります。この組合せがある地層がCCSの有力な候補地となります。
その上で、貯留されたCO2は、複数のメカニズムを通じて永続的かつ安定的な貯留が可能となるというふうにされております。具体的には、地下に貯留されたCO2は、時間の経過とともに、第一に遮蔽層が蓋として作用することによる地下構造による閉じ込め、第二に砂岩層の隙間に保持されることによる閉じ込め、第三に地層水への溶解、溶け出しによる閉じ込めが進んでまいります。さらに第四として、長期的にはCO2の溶解した地下水が岩石鉱物と化学反応を起こし、一部が鉱物化して固定されるという作用もございます。
なお、一般的にCO2を注入している期間が最も漏えいリスクが高く、注入の終了後、時間の経過とともに徐々に地下の圧力が下がるほか、貯留の状態が安定化してまいりますため、リスクも低下していくというふうにされてございます。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/54
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055・小林一大
○小林一大君 ありがとうございました。
そうしたしっかりとした内容を国民の皆様に広く共有する努力をこれからも続けていただきたいと思いますが、世界での取組について伺います。
既に多くの国が温室効果ガスの排出削減目標を設定し、製鉄や化学、セメント、火力発電などCO2の削減が難しい分野を抱えカーボンニュートラルを目指す点では、特にヨーロッパ諸国と我が国の状況は同じだというふうに理解していますが、そうした中で、各国ではCCSに対して具体的にどのような政策を展開しているのかお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/55
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056・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
欧州や米国では、既に二〇一〇年頃に民間事業者がCCS事業を実施するための環境整備の一環として法整備が行われております。加えて、これらの国では近年、予算や税制などCCS事業に対する様々な導入支援制度が構築されており、CCSの本格的な導入に向けた更なる制度整備が、環境整備が、失礼しました、進んできているところでございます。
具体的には、米国では、二〇二一年のインフレ削減法により、CO2貯留一トン当たり八十五ドルの税額控除が認められるほか、連邦エネルギー省もCCSプロジェクトを支援しております。加えて、EUでは、ネットゼロ産業法案において二〇三〇年までに年間約五千万トンの貯留目標を定めているほか、EUレベルあるいはオランダなどの各国においても予算による支援が講じられております。英国では、CCSの事業推進枠組みを含むエネルギー法案が昨年成立し、二百億ポンド、約三兆八千億円でございますが、の支援を決定いたしました。
我が国としても、こうした世界の動向を踏まえて、二〇三〇年までのCCS事業開始に向けて事業環境の整備を積極的に進めていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/56
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057・小林一大
○小林一大君 そうした中で、我が国のCCSの導入量について伺いますが、我が国の年間のCO2排出量は直近ではおよそ十億トンですが、カーボンニュートラルを実現するためには、我が国においてCCSをどの程度導入して、どのくらいCO2を貯留する必要があるのか伺います。また、必要量に見合うだけの十分な貯留場所が我が国国内に存在するのか、併せて教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/57
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058・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) 二〇二三年三月に策定したCCS長期ロードマップにおいて、二〇五〇年時点の日本のCCSによる想定年間貯留量の目安を一・二億トンから二・四億トンと推計しております。これは、需要見通しではございませんが、CCSに関する政策的な検討などを行うための一つの材料としてお示ししたものでありまして、現在の我が国のCO2排出量の約一、二割に相当します。
国内でのCO2の貯留ポテンシャルについてですが、日本CCS調査株式会社が専門家の意見を踏まえて行った試算によれば、有望地点十一地点で合計約百六十億トンの貯留可能量が推定されているところでございます。日本企業が関心を有する海域や低コストによる貯留が見込まれる浅海部など、国内での貯留適地に関する調査も継続していく方針でございます。
さらに、横展開可能なCCSビジネスモデルを早期に確立するため、事業者主導の先進的CCS事業を選定し、国が集中的に支援しているところでございます。この事業では、二〇三〇年までに年間貯留量約六百万トンから千二百万トンの確保にめどを付けることを目指しておりまして、この後も含めて、様々な対策を総合的に推進していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/58
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059・小林一大
○小林一大君 そこで問題になるのがコストなんですよね。CCSのコスト低減について、昨年公表されたCCS長期ロードマップ検討会最終とりまとめでは、公益財団法人地球環境産業技術研究機構の試算として、二〇五〇年におけるCCSのコスト目標を二〇二三年比で、分離回収コスト四分の一、輸送コスト七割以下、貯留コストは八割以下とするとしています。
CCSには分離回収、輸送、貯留というプロセスを経る必要があって、それぞれにコストが掛かりますけど、これらの各工程のコストをどのように低減していくのか、具体的な方策を教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/59
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060・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
CCSは、世界的にも商用ベースの大規模プロジェクトがこれから本格的に稼働していく段階でございまして、そのコストについては、地理的な条件、支援制度、プロジェクト固有の条件などに大きく左右されます。このため、現時点でのコストの見通しは一概に申し上げることは困難ではございます。
その上で、公益財団法人地球環境産業技術研究所では、一定の条件の下、足下のCCSのコストについては、CO2一トン当たり一万二千八百円ないし二万二百円程度でありまして、これを二〇五〇年に向けて、分離回収のコストは四分の一以下、輸送のコストは七割以下、貯留のコストは八割以下、全体としては約六割以下までコスト低減を図ることができるとの試算を示しているところでございます。
こうしたコスト削減、御指摘のとおり大事な課題でございまして、それを実現するために、例えば、エネルギー効率の高い分離回収技術でありますとか、CO2の大規模な輸送に適した液化CO2輸送船などの研究開発を進めているところでございまして、引き続きCCS事業のコスト低減を進めていきたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/60
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061・小林一大
○小林一大君 よろしくお願いします。
CCS関連技術の海外展開について伺います。
世界中がカーボンニュートラルに向けた取組を進めている中で、我が国のCO2削減のためのCCSだけではなくて、世界で行われるCCSに対して我が国の技術を展開して関連する市場を開拓していくことも重要だと思います。
特に、CO2排出削減の余地がいまだに大きいアジアでは、CCS技術のノウハウを求めている国が多くあると聞いていることもあり、我が国の技術を展開する伸び代が大きいのではないかと思います。
我が国のCCS関連技術の海外展開、どのように後押ししていくのか、お考えをお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/61
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062・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
日本企業は、CCSのバリューチェーンである分離回収、輸送、貯留の各段階において知見、経験を有しておりまして、日本企業で分離回収から貯留まで一貫したCCSシステムの構築が可能でございます。
例えば、分離回収においては、主流であります化学吸収法で日本企業が世界シェア約七割を持ち、また輸送においても、より大量かつ効率的に輸送できる低温低圧方式の液化CO2輸送船を世界で初めて建造するなど、国際的にも関心を集めているところでございます。
我が国は、二〇二一年にCCSやCCUSの導入や利用に関心を持つASEANの十か国と、さらに、アメリカ、豪州、インド、日本をメンバーとしたアジアCCUSネットワークを設立してございまして、こうした場などを通じて、我が国の持つ技術や制度的枠組みを積極的にアピールし、CCS事業の海外展開を後押ししていきたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/62
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063・小林一大
○小林一大君 もうちょっと海外の話ですけれども、資源エネルギー庁のカーボンマネジメント小委員会が本年一月に策定したCCSに係る制度的措置の在り方についての取りまとめでは海外でのCCS事業の推進について触れていますが、そこで、有望な海外の貯留ポテンシャルの活用は、貯留先となる相手国の事情に配慮する必要はあるものの、我が国においてカーボンニュートラルの達成に当たり有力な選択肢の一つとしています。
また、今国会においても、海外でのCCSに向けてCO2輸出を可能とする国際条約の批准案が提出されていますが、海外でのCCSを推進することにはどのような意義があるのか、お伺いをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/63
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064・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
御指摘のとおり、CCSの貯留地の確保に向けては、国内での確保ということも進めてまいりますけれども、一方で、国内だけでは必要な貯留量を賄うことができない可能性もございます。このため、海外のプロジェクトであっても、CO2の貯留ポテンシャルや経済性を踏まえて、当該国の事情に配慮しながら、海外でのCO2、あっ、CCSについても推進していきたいというふうに考えているところでございます。
また、アジアなどにおいては、海外からのCO2の受入れを期待する国も出ております。また、先ほど申し上げたとおり、日本企業にはCCSのバリューチェーンに関する知見、ノウハウを有しておりまして、海外からも一定の評価を受けているところでございます。
我が国が有するこうした技術を活用して、今後拡大が見込まれる諸外国のCCS事業の立ち上げを支援することができれば、これはそのグローバルな脱炭素化に貢献するのみでなく、我が国の国際競争力の強化、あるいは成長戦略の観点からも意義が大きいものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/64
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065・小林一大
○小林一大君 残り二問ぐらい用意はしていたんですけど、ちょっと時間が来ましたので、申し訳ございません、ここで終わりにさせていただきます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/65
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066・古賀之士
○古賀之士君 立憲民主・社民の古賀之士でございます。
おととい、五月七日、この二つの法案に関しまして、専門家をお招きしまして参考人質疑を受けまして、いよいよこの経済産業委員会としては本格的な法案審議の始まりということでございます。
そこで、まず、この二つの法案の大前提について、齋藤健大臣に幾つかお尋ねをさせていただきます。
まず、脱炭素成長型の経済構造への円滑な移行の推進についてということで、まずお聞きしたいのは、気候変動が世界や我が国経済に及ぼす影響というのはどのような内容であるのか、あるいは規模であるのか、そして、もしできることでしたら、金額、具体的なもし数字などがありましたらお示しをいただければと思っております。そして、いつどのような対策を行いますと、気候変動の悪影響、これはどの程度抑え込めるかなどの経済分析、こういったものをお持ちでしたら、是非お示しをお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/66
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067・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 大変難しい御指摘ですが、大変重要な御指摘だと思います。
G7やCOPなど気候変動に係る国際的議論におきましては、その科学的根拠を提供する気候変動に関する政府間パネル、いわゆるIPCCが二〇二一年から昨年三月にかけて公表いたしました一連の報告書があります。それによりますと、産業革命前に比べまして現時点で既に約一・一度Cの温暖化が進んでいるということであります。これが将来、例えば二度Cまで上昇をした場合、その影響の金額的規模は示されていないわけではありますが、かつて十年に一度の頻度で発生していた大雨の頻度が一・七倍になると、それから干ばつの頻度も二・四倍になる、そういった可能性などが示されております。
また、対策によって影響をどの程度抑えられるかという御質問ですが、それについての経済分析は示されていないわけでありますが、当該報告書におきましては、温暖化を一・五度Cの上昇にとどめるということで、二度Cになった場合と比較をしまして損害を大きく低減させる可能性があるとされておりまして、そのためにはこの十年間で全ての部門において急速かつ大幅な削減につながる取組が必要と、このようにされているところであります。
なお、我が国への経済的影響につきましては、環境省が令和二年度に公表いたしました気候変動影響評価報告書、これにおきまして、あくまで一つの試算ということではありますが、洪水と高潮の複合災害について、発生確率も踏まえた年被害額というものを二〇五〇年時点で試算をしていますが、約一・一から一・二兆円となるとの結果を紹介をしているというふうに承知をしています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/67
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068・古賀之士
○古賀之士君 今御指摘がありました様々な数字は、既にかなり深刻な状況だということをこの経済産業委員会の皆様とも共有ができたのではないかと思います。
ちなみに、この二〇〇一年から二〇二三年の一月までのいわゆる、中での数字でお示しがありましたけれども、私が手元にあります去年一年間での気温の上昇というのはもう既に一・四五度という調査もございますし、また年度でいきますと、いわゆる四月から今年の三月までですと、既に日本の場合は一・五度を超えているという、こういう調査もございます。
したがって、やはりこの地球温暖化対策、気候変動に関する社会的なこれ命題というのは極めて大きいと言わざるを得ないと思っております。
その辺を受けて、残念ながらその経済分析の中でも、高潮、洪水などの、令和二年度の、先ほど記録、予測をお示しいただきました。二〇五〇年度ということで、まあ近未来ではあるんですけれども、被害額は一・一兆円から一・二兆円と。ただ、恐らくその見込みももしかするとまだ緩めなのかもしれないなとお話を伺っておりました。これまでの災害の頻発などに関係すると、更にこの被害の係る経費というのは大きくなるのではないだろうかということも懸念として挙げられるのではないかと思います。
それで、二つ目の質問なんですが、その二〇五〇年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするというのがいわゆるカーボンニュートラル。で、経産省さんのこの本気度についてお尋ねをさせていただこうと思っております。これが二つ目の質問です。つまり、従来の取組、この地球の温暖化、あるいはオゾンホールへの対策、この取組も含めて、日本の貢献や世界的な規模でこれは幾分でも改善をしているのでしょうか。これについてまずお尋ねをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/68
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069・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 現状は、その改善というよりも、これ以上ひどくなることを幾らかでも抑えることができないかということなんだろうと思っていますが、いずれにしても、二〇五〇年カーボンニュートラルというのはもう国際的に掲げている日本の約束でありますし、そういう意味では、二〇三〇年度四六%削減というのは、もうこの目標自体が私は経済産業省の本気度を示すものではないかなというふうに思っているところであります。
近年、世界では既にGDPベースで約九〇%の国と地域がカーボンニュートラル目標を表明をしています。欧米始め各国では、GX分野における投資を自国内で実現をするための大規模な投資促進策というものが打ち出されて、言ってみれば、脱炭素に向けた世界の取組というのが急加速してきているということなんだろうと思います。
GX政策は、こうした世界的な潮流の中で、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現と同時に経済成長も達成するという考えで我々推進をしていきたいというふうに思っているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/69
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070・古賀之士
○古賀之士君 つまり、このカーボンニュートラルの目標というのは、ある意味、地球温暖化対策というものが大きな土台にはあると思うんですけれども、その上には、いわゆるできれば経済成長を促していきたい、そして自然環境を守りつつも、私たちの経済的な暮らしをしっかりと支えていく、あるいは成長させていくその大きな基盤としていきたいという思惑も恐らくおありになるんではないかと思いますし、多くの委員の皆さんたちもそれを共有されているんではないかと思っております。
その上で、例えば世界的な企業の中には既に、素材の中に、カーボンニュートラルでないと素材を受け付けないとか、あるいはそういった素材や部品を集めて作った製品こそが実は売りですよというような企業が出てまいりますし、また、そういうリクエストに応えられない企業や事業体は今後苦しくなるのではないかという世界的な潮流も見受けられると思いますが、その点について、大臣の御所見はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/70
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071・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) その点も全く同感でありまして、その製品も、その再生可能エネルギーからできた電気で作られた製品でないと買いませんとか、そういう企業が増えていきますし、それが融資においても、どれだけ削減努力をしているかということを一つの基準とするとか、もうそういう動きが世界でどんどん今後も強まっていくと思いますので、そういう意味でも、我々はGX対策を早急に推進をしていかなくちゃいけないんだろうと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/71
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072・古賀之士
○古賀之士君 となると、当然、その付加価値の高い製品や商品というものにそういうカーボンニュートラルという新たな価値を加えた価格になっていくであろうということが想像できるわけです。
となると、脱炭素成長型の経済構造への移行を目指していくというこの日本の大きな方向性と同時に、残念ながら我が国は二〇一〇年に名目GDPは中国に抜かれました。そして、去年、二〇二三年、ドル換算ですけれども、同じく名目GDPでは四位に転落をしました。こうなってくると、やはり戦後のこれまで歩んできた皆さんたちが、しっかりと汗を流して働いてこられた皆さんたちも含めて、産業構造の見直しというのが大きなやはり転換期を迎えていくんではないだろうかということが想像できると思います。
となると、その産業構造の見直しというものが、当然、経済産業省さんが自らリーダーシップを発揮していくということも必要になってくると思いますし、その移行が必要な産業の具体的な課題というのも随分見えてき始めているというふうに考えています。
是非、その具体的な課題というのが一体どういうものなのかというものを大臣にお聞きしたいのと、それから、もしできることならば、その移行に関する工程表といいますか、時間軸、時間がどれぐらい掛かるのかというものをお示しいただけないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/72
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073・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) まず、御指摘のように、経済規模が残念ながらドイツに抜かれるという現状にもなっていますが、これ為替の影響も多々あるのではないかと思っていますが、もう一つは、やっぱり国内投資が非常にドイツに比べて弱かったということもあると思っています。ただ、これからDX、GXということで投資の需要が増えていくと思いますので、この環境変化を活用して成長力を高めていきたいというのが基本的考え方であります。
それで、今日はGXの議論なんですけど、御指摘のように、化石エネルギー中心の産業構造、社会構造、これをクリーンエネルギー中心に転換をしていく取組ということをするのがGXの実現ということなんだろうと思っています。その実現に向けては、もう御案内だと思いますが、GX経済移行債を活用した二十兆円規模の大胆なまず先行投資支援、これを実行をしていくということとともに、企業がGXに取り組む期間を設けた上で段階的に導入していくカーボンプライシングといった規制制度的な措置、こういったものを新たに組み合わせて効果的に実行していくことが大事なんだろうと思っています。
こうした取組を具体化すべく、昨年七月にGX推進戦略を決定いたしまして、昨年末には、GX実現に向けまして、鉄鋼、化学、自動車など十六の重点分野についてGXの方向性や市場創出を含めた投資促進策、あるいは今後十年程度の目標などを示しましたGX分野別投資戦略、これを取りまとめたところでありますので、この分野別の戦略に基づきましてそれぞれ着実に推進をしていって、最終的には、脱炭素と産業競争力強化、経済成長、これを同時に達成をしていきたいというふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/73
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074・古賀之士
○古賀之士君 ありがとうございます。
つまり、ある程度やっぱり国がしっかりとお支えをしながら産業の構造の転換を図っていく、そしてその移行も、移行債を発行するなどしてしっかりと支えていきながらその移行も見極めていくということで、期間については大まかな工程表というのは出していらっしゃるとは思うんですけれども、なかなか具体的に厳しい、それがまた大きな課題だというのも共有をさせていただいていると思っております。
となると、もう一つ問題が、視点を変えますと、今度は、いわゆる新しい付加価値の中で値段も当然高くなってくる、高くなったものをどの程度消費者の皆さんたちが買っていただけるんだろうかと。つまり、これはクリーンなもので作られた地球に優しい商品ですよというものを、果たしてどこまで皆さんたちが理解をしていただき、そして購入していただけるか。購入する際に当然出てくるのはやっぱり価格というのが一つあると思いますし、それから、それに対する、やはり見えないものが、一見すると全く同じものに見えてしまう、その違いをどうやって明確にしていくかと。そして、消費者の皆さんたちに、より高い価格、しかし地球環境に優しくて、なおかつカーボンニュートラルの出来合いができているというようなものに関して取り組んでいく必要も当然出てくるかと思います。
これ、やっぱり最終的に商品なり物になって売っていかなければならないと思いますので、その辺についての取組について、もし具体的なものがありましたら教えていただけないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/74
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075・龍崎孝嗣
○政府参考人(龍崎孝嗣君) お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、幾ら供給側でそのグリーンな製品を開発をいたしましても、需要の方が付いてこないと持続的にならないというのはもう御指摘のとおりでございます。
それで、今、法案等を通じて御審議いただいていますようなアプローチとしては、値差補助のようなものもあると思いますし、それから購入の支援ですね、そういったものもございます。それから、御審議いただきました税制、それから場合によっては公共調達とかそうしたもの、それからカーボンプライシングを導入いたしますとグリーン製品にげたが履かれますので、そういったアプローチもございます。
加えまして、やはり需要側に見える化ができませんと、適正に価値を評価をして買っていただけないと思いますので、そういう意味では、新たな評価軸の開発ですね、それをグローバルルール化していく、こういったことを含めて総合的に取り組んでいくことが必要ではないかと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/75
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076・古賀之士
○古賀之士君 ありがとうございます。
法案の大前提について今お話を伺っておりますが、その最後の質問にもなります。
今お話をいただいたように、その買っていただくための工夫、見える化が必要だという一方で、今度は目を世界に転じますと、国際的には脱炭素の必要性、理解は非常に高まっているというお話もありました。一方で、まだ残念ながらその理解が進んでいない国もありますし、また逆に、そういう取組に対して弱い国もございます。それに対しての例えば罰則などの規定が国際的にあるのかどうかというのを教えていただきたいのが一点です。
もしなければ、産業コスト的に優位になって、カーボンニュートラル実現の阻害リスクとなり得るんではないかというふうに考えたりするわけです。まあ言葉悪いですが、抜け駆けする国が有利になってしまうと。だからこそ、付加価値の高いものを何とか買っていただくためには、どうしてもそういう抜け駆けするような国があったら、国際協調でカーボンニュートラルがなかなか進みにくいような状況が生まれるんではないか、そういうことを考えたりするわけなんですが、この対処についてはどのようにお考えなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/76
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077・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 非常に重要な視点を私は指摘していただいたと思っています。
私、留学中に実はこのグローバルウオーミングのケーススタディーというのを大学の授業でやりまして、各国がそれぞれ、私は日本とか、EUとか、それぞれの状況をそれぞれ持ちまして、しかし相手の状況は分からないということで実際に交渉してみようというのをやったわけですけど、その中で、いかにこのグローバルウオーミングを利用して相手より競争上優位に立つかという視点を必ず持っているんですね、どの国も。ですから、これは、一言で言うと、きれい事だけでは済まない世界でも実際あるんだろうと私は思っていますので、重要な指摘をしていただいたなというふうに思います。
パリの協定では、各国の定める温室効果ガス削減目標に向けた取組状況ですとか、その達成に関する罰則は規定されていません。他方で、その実効性を確保するために、目標達成に向けた国内措置の実施とその取組状況を隔年で国連に報告をして専門家の審査を受ける、こういった義務は規定をされておりまして、一定の規律というものが整備をされています。
また、個別の国の動向にかかわらず、カーボンニュートラルの目標や、それを経済成長とともに実現しようというこの世界的な流れですか、この流れ自体は私は大きく変わるものではないのではないかと思っています。
いずれにしても、我が国としては、二〇三〇年四六%削減目標を掲げていますので、それに向けた挑戦と、それから主要排出国の目標達成や野心引上げに向けた働きかけ、これも継続してやっていきたいと思っていますし、あわせて、GX市場をアジア等国際的に展開していくと、こういう努力というものも併せてやっていくということが大事なのかなというふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/77
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078・古賀之士
○古賀之士君 つまり、罰則の規定がないという極めて現実的な問題を共有することができました。
二〇五〇年にカーボンニュートラルを目指す我が国に対して、二〇六〇年に目指そうという中国、二〇七〇年に目指そうというインド、この十年ごとのこの乖離というのは、極めて経済的に大きく大きく将来響いてくるんではないかと懸念を持っております。ここを何とか世界的な問題としていち早く共有をしていく、この十年ずつのそれぞれのその大国の在り方をしっかりと議論をしていくということがこれからますます重要になってくるかと思っておりますので、是非その辺の御覚悟をもう一度大臣から御答弁いただけないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/78
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079・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 確かに、中国、インドが大量にCO2を排出していることを考えますと、委員の問題意識、これは共有するわけでありますけれども、でも、彼らに強制する手段というものは一切ないのが現実でありますので、やっぱり国際的なある意味プレッシャーといいますか、そういうものの中で動いていくように持っていくしかないのかなというふうに思っています。
その過程において、日本が過度に経済力や産業競争力において不利にならないように、そういう目配りも同時にしっかりしていきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/79
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080・古賀之士
○古賀之士君 以上で、この二つの法案の大前提について共有させていただいたり、あるいは問題を、課題を共有させていただいたと認識しております。
次に、低炭素水素等供給利用、いわゆる水素社会推進法案についてお尋ねをしてまいります。
そもそも、この水素等と法案のタイトルに書いてありますが、水素等とは一体これ何なのでしょうか。そして、なぜ選ばれたのでしょうか。経緯や意義、省エネ、再エネとの関係ももしかするとおありになるかと思いますが、その点も含めて、この水素等とは何なのか、改めて伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/80
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081・村瀬佳史
○政府参考人(村瀬佳史君) 水素社会推進法案におきまして、水素等については以下のように定義をされてございまして、水素及びその化合物であって経済産業省令で定めるものと規定をしてございます。具体的に省令で定める化合物といたしましては、アンモニア、合成メタン、合成燃料とする予定でございます。
水素につきましては、今御指摘いただきましたように、再生可能エネルギーを始め様々なエネルギーから作ることができるということ、それから、燃焼時にCO2を排出しないということから、我が国がカーボンニュートラルを実現していくということを目指す中で、突破口となるエネルギーの、重要なエネルギーの一つということと認識をしているところでございます。
加えまして、水素は、燃料としての利用にとどまらず、アンモニア、合成メタン、合成燃料などの原材料としても活用可能だということであることから、幅広い産業分野での活用が見込まれるということでございます。そうした中で、いわゆるハード・トゥー・アベートと、なかなか削減が難しいような分野でも利用していく可能性があるということでございます。
このように、水素は今後、燃料用途に限らず、幅広い産業分野で活用が見込まれていることから、水素社会推進法案において、価格差に着目した支援ですとか拠点整備支援等の措置を通じて低炭素水素等の供給及び利用を促進し、カーボンニュートラル社会を実現していきたいと、こういうことでこの法案を提出をさせていただいてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/81
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082・古賀之士
○古賀之士君 ありがとうございます。
この技術の可能性、ポテンシャルに対する評価、分析というものを是非教えてください。特に、水素社会実現といって、一部ではこれ、日本だけじゃねなんというようなことじゃなくて、いや、各国がちゃんと一緒にやりましょうというようなところが非常にこれ広がりを持っていく、あるいは深く日本の将来の利益、国益にもかなってくる問題だと思いますので、是非その辺も含めて御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/82
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083・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
国際エネルギー機関、IEAのネットゼロロードマップに基づきますと、世界の水素等の需要量は二〇五〇年に向けて約五倍に増加する見通しとなっております。また、二〇五〇年における需要量の内訳でございますけれども、いわゆる輸送分野が約四五%、産業分野が約三二%、そして発電分野が約一七%と見込まれてございます。
こうしたグローバルな見立ての中で、現在、低炭素水素等の確保に向けた様々な国々の取組が進んできておりまして、例えば米国のIRA、あるいはEUの水素銀行構想など、低炭素水素等のサプライチェーン構築に向けまして大胆な支援措置を講じようとしていると。
そういった意味では、我が国に限らず世界で様々な取組が始まっているということだと考えておりまして、こうした取組に、元々、水素燃料電池分野で世界を技術面でリードしてきた我が国においてもしっかりと世界に貢献しながら、我が国としても、エネルギーの安定的かつ低廉な供給、そして環境の適合性を確保するという観点から、そして産業政策上の観点からもしっかりと取組を進めていくことが肝要ではないかと、これが法案を提出した考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/83
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084・古賀之士
○古賀之士君 つまり、この水素の社会というのは世界中に広がりを持つ可能性があるという認識でよろしいのでしょうか。そして、例えば、よく言われる自動車やあるいは水素ステーション、こういったものが世界中にでき上がっていく、構築されていくというのが既に他国の動向なども含めてもう見受けられるのでありましたら、分かる範囲で結構ですので、幾つか事例を教えていただけないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/84
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085・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
水素の活用の現状における課題はやっぱりコストでございまして、化石燃料に比べて高いものですから爆発的に導入が広がっているわけではございません。他方で、先ほど申し上げたとおり、EUにおいては、ウクライナ危機を踏まえましてロシアからの天然ガスが入ってこなくなっているというような流れの中で、特にハード・トゥー・アベートと言われるような分野を中心に低炭素水素をどんどん活用していかないとなかなかやっていけないという緊迫性が一層高まっているということかと思います。
先般、諸外国の中で我が国同様の価格差支援を講じた事例として英国がございます。昨年十二月に英国が支援措置の第一弾の落札候補、落札者を決定いたしましたけれども、そこはどういう方々が落札し、どういう内訳に使っているかと、全ての情報がまだ開示されているわけではございませんけれども、見ていますと、一つはやっぱり先ほど申し上げました商用車を中心とするモビリティー分野、それからもう一つは空港とか港湾の中を含めたモビリティー、そしてもう一つはウイスキーとかですね、ああいったものの高温の熱需要に充てるために、今までは化石燃料を燃やしていた部分を水素に替えていく、クリーン水素に替えていくといったような取組が見えておりまして、大規模な発電ということはまだこれからだと思いますが、先ほど申し上げました内訳の中でいいますと、モビリティーであるとか、輸送ですね、産業分野といったようなところについての取組が始まっているところということかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/85
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086・古賀之士
○古賀之士君 経済産業委員会は予算が少ないのでなかなか海外視察は行けないんですけれども、海外の視察で行くとすれば具体的にはどういったところがお勧めなのでしょうか。教えていただけないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/86
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087・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) 一つは、予算の問題ございますけれども、ヨーロッパかと思います。今のようなイギリスのプロジェクトは、ただこれから進んでいくという状況になりますが、それ以外にヨーロッパの中で幅広く水素を活用していこうという構想は幾つかございまして、なかんずく、日本とはちょっと状況が違いますけれども、北海の洋上風力が大量に立って、そこで出てくる余剰電力を使いながら水素化していく、それを港湾、ロッテルダムを中心に港湾部分から先ほど申し上げた産業、モビリティーあるいは発電に使っていこうといったような取組が徐々に始まっているというのが一つかと思います。
我々も様々な情報をすごく感度高く選んではいるんですけれども、しっかり見切れていない部分としては中国がございまして、やはり中国は再エネのポテンシャルが非常に強いものですから、あそこで大量な太陽光であるとか風力といったようなものを使って、これからどういう形で、特に鉄、化学といった産業分野において彼らが水素を活用していくかというところは我が国の国際競争力の観点からも十分注意を払っていく必要がある国であるというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/87
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088・古賀之士
○古賀之士君 様々な可能性があり、また各国の動向なども教えていただきまして、感謝申し上げます。
一方で、この技術の持つリスク、懸念についてもお尋ねをいたします。安全性の確保のための手段、対策というのはどうなっているのでしょうか。
水素といいますと、この委員会の皆様方、恐らく誰も生まれていなかったと思うんですけど、かつてドイツの飛行船のヒンデンブルグ号というのは水素で、それこそ燃料に使われていて大規模な事故が起きました。それでヘリウムのガスというものがかなり広まったという話も伺っております。
どうしてもやはり見えないものですので、一般的にはですね、ですので、このリスクや懸念というものを心配されている方もいらっしゃると思われますので、手段や対策、安全性の確保に向けて具体的なものを教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/88
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089・殿木文明
○政府参考人(殿木文明君) 水素の安全性に係るお尋ねでございますが、まず、水素等の大規模なサプライチェーンの構築においても安全の確保が大前提であること、これは申し上げるまでもございません。
それから、先ほど申し上げたところでもございますけれども、水素はこれまでも石油精製や石油化学、鉄鋼など幅広い産業分野において扱われているところでございますが、高圧ガス保安法におきましては、水素は拡散しやすい、着火しやすいといった物性を有しているところから、同法では可燃性ガスとして位置付けられているところでございまして、具体的には、可燃性ガスの製造設備には当該製造設備において生ずる静電気を除去する措置を講ずること、また、可燃性ガス中の酸素の容量が全容量の一定割合以上であるガスは圧縮をしないこと等の技術基準により安全性を確保しているところでございます。
そして、いわゆる水素社会推進法案の保安に係る措置においてでございますけれども、大規模な低炭素水素等の供給事業等について、高圧ガス保安法の許可等に当たる行為を国が一元的に行うものでございますが、その適用に当たりましては、高圧ガス保安法の技術基準と同様の技術基準を適用するなど、高圧ガス保安法に基づき都道府県等が行う許可等と同様に公共の安全を確保していくものとなっているところでございますとともに、都道府県等とも法律に基づく措置を行った場合の情報共有や事故情報の共有なども行うなど、地域住民の皆様の安全も含めた公共の安全についてしっかりと連携をしながら確保することとしているところでございます。
今後とも、官民が連携し、技術開発を通じて収集された安全性に係る科学的データなどや最新の国際規格などの諸外国の取組なども参考としつつ、合理的かつ適正な保安規制によって水素の安全を確保してまいりたい、このように考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/89
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090・古賀之士
○古賀之士君 高圧ガスという言葉が幾つも伺いましたけれども、よく走っているトラックなどにも高圧ガスという文字を書かれた看板など見られますけれども、こういった水素等に関する管理者という方々に対しては何かその資格なりというようなものがこれから必要になってくるんでしょうか。あるいは、既にもうそういう資格が必要なのでしょうか。確認で、御存じでしたら教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/90
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091・殿木文明
○政府参考人(殿木文明君) 今のお尋ねについてでございますけれども、高圧ガス保安法においても様々な資格者というか責任者というものを設けているところでございまして、それを活用しながらやっていくということになると、こういうふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/91
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092・古賀之士
○古賀之士君 つまり、将来的には、この水素等に関する分野においても、もしかすると新たな資格も含めて何か考え得る可能性はあるという認識でよろしいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/92
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093・殿木文明
○政府参考人(殿木文明君) 今の御質問でございますけれども、現時点ではそのようなことを考えておらず、高圧ガス保安法において対応可能だというふうに思っているところでございますけれども、水素というものはまだ黎明期にございますので、段階的に規制を考えていくというところも必要かというふうに思います。水素の方の保安をめぐる環境とか課題に応じて、必要があれば必要な措置を講じていくということになるかというふうに思っているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/93
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094・古賀之士
○古賀之士君 ありがとうございます。
では、先ほど、それこそ越智委員、それから小林委員からも御指摘ありました、この技術の経済性、コストですね、ほかの選択肢としての比較というものをよろしければ教えてください。我が国が事業化した場合の産業競争力なども念頭に置いていただいて答弁していただけると大変有り難いんですが、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/94
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095・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
低炭素水素等の利用拡大に向けた主な課題の一つが、御指摘のとおりコストであるというふうに考えております。このため、政府の取組としては、先ほども御答弁申し上げましたが、一つには技術開発によって水素の供給コストを下げていく、そして加えまして、この水素社会推進法案で規模の経済を確立していくということが重要だと考えております。
この水素社会推進法案におきます価格差に着目した支援と。何の価格差かということを申し上げますと、いわゆる今使われている化石燃料との価格差でございます。
市場に任せておきますと、例えば分かりやすい例で、LNG火力発電であれば、LNGと水素の価格差は現状かなり大きゅうございます。したがって、市場に任せたままではLNG火力にそのまま水素が入っていくことは起こり得ないわけですけれども、今回、この法案、御審議の上、成立させていただいた暁には、様々な認定要件踏まえた上ではございますが、認定されれば、今のような天然ガスと水素、低炭素水素の価格差について、その全部又は一部を十五年間にわたり支援するという取組が行われることになります。
そういたしますと、その発電所の経済性という観点では、今までのLNGと新たな低炭素水素、どちらでやっても電気についての価格は、まあ全部か一部、どれだけ支援するかによりますが、大きく価格差が縮むということでございまして、利用サイドにおける利用の意気が高まっていくと。それを踏まえますと、供給サイドの方も、じゃ、お客さんが付くんだったらちゃんと投資しようという流れになっていきますので、需要と供給両面で水素の供給が進んでいくのではないかということでございます。
ただ、予算には限りがございますので、全てが支援できるわけではございません。そういった意味では、委員御指摘のとおり、我が国の産業構想あるいは国際競争力の観点から重要なプロジェクトというものをよく選定して支援していくということが肝要かと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/95
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096・古賀之士
○古賀之士君 いわゆる水素社会推進法案について、これ、次が結びの質問になります。大臣にお尋ねをいたします。
この法案の重要なポイントでもございますが、この状況を踏まえまして、今までの意見交換を踏まえて、どうやって社会実装していくのかというのがやはり具体的な大きな問題かと思います。大臣の決意を御答弁いただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/96
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097・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 水素の社会実装を進めること、これはまあ言ってみれば、目的ではなくて、我が国のGXを進めるための手段なんだろうと思っています。その実現に向けては、まずは水素が大量に供給をされて貯蔵ができる環境というのが整わなければいけないということであります。その上で、鉄や化学、商用車といった脱炭素化が困難な分野などに必要な水素がきちんと供給をされるということが必要です。
今回の水素社会推進法案に基づく支援では、先行的に自立が見込まれるプロジェクト、こういうものを支援をしていくということにしていますので、まずはそうしたプロジェクトから必要な水素の供給、貯蔵に向けた環境を整えていきたいと思っています。そして、その先には、世界各国で水素分野における投資競争、これ起きておりますので、我が国の水素関連産業が海外市場を獲得をしていくという方向につなげていきたいというふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/97
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098・古賀之士
○古賀之士君 ありがとうございます。
いわゆる国内の社会実装というのはかなり具体的なところまで来ているような気がいたします。一方で、今それを踏まえて国際的なというような取組も大臣の御答弁の中ありましたけれども、実は、ブルー、グレー、グリーンと、まあいろんな色分けもあるこの素材も、実はルール化がまだきちんと国際的にはされていないという現実もあると伺っております。
つまり、国によってはグレーだったものがグリーンとなったり、あるいはブルーとなっているものがグリーンになったりと、この辺の文字どおり色分けですね、これをしっかりと基準を明確にしていかなければ、また、先ほどのお話ではないですが、法案の大前提となります抜け駆けという問題が、言葉悪いですが、出てくるかと思うんですね。これがやはりこの法案の中のもう一つの大きなテーマではないかと思っております。それについても、大臣、御所見がありましたらお答え願えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/98
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099・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
御指摘のとおり、どういったものを低炭素水素等というふうにしていくかというルールが非常に重要だと考えてございます。
我が国といたしましては、我が国の技術的な強み、あるいは置かれている環境といったようなものを踏まえまして、一部の国では再生可能エネルギーで作る水素以外はよろしくないというお考えもございますけれども、必ずしも、アジア等も考えると、それぞれの国で置かれている環境違いますので、どうやって作るのということよりは、その製造プロセスでどれだけCO2が出るのかという横断的な客観的な指標で低炭素水素等というものを見ていくことが重要なのではないかという、こういう考え方に基づきまして、昨年のG7広島サミットプロセスで炭素集約度という考え方を提唱し、コミュニケにも採用されたという経緯がございます。
まだ、御指摘のとおり、これが全ての国によって合意をされているわけではございませんで、一部の国からは反対を受けている状況ではございますけれども、我が国の置かれた立ち位置もしっかり踏まえながら、世界に貢献するという観点でルール形成をしっかり主導していければと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/99
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100・古賀之士
○古賀之士君 是非その色分けの基準の明確的な、明確なそのグローバルスタンダード化というんでしょうか、こういったものをしっかりとまとめ上げていくということも私たち日本の大事な役割の一つだと考えておりますので、是非、大臣、今後ともよろしくお願い申し上げます。これについてはまた深掘りをさせていただきたいと思います。
残された時間があと五分ほど、私の時間、なりましたので、次のCCS事業の法案について伺ってまいります。
まず、このCCSに関してはビジネスモデルが確立されていないという先ほど御答弁がありました。それも受けまして、このCCS、なじみも薄いというお話もありました。
なぜそのCCSという技術が選ばれたのか、経緯のお話などもありましたけれども、意義も含めて、省エネや再エネ、こういった観点も含めて、今どのようになっているのかというのを教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/100
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101・村瀬佳史
○政府参考人(村瀬佳史君) お答え申し上げます。
今御質問いただきましたように、CCSの意義でございます。カーボンをキャプチャーしてストレージする、捕らえて埋めていくということでございますけれども、やはり背景としましては、先ほど御指摘いただいたような、省エネとか再エネのような他の手段を使ってもなおアベートできない、削減できない分野があるということでございます。例えば鉄鋼とか化学のプロセス、生産プロセスのようになかなか削減が困難な分野がある中で、CCSという手段が国際的にも重要視をされてきているという背景があります。
こうした背景の中で、二〇二三年の七月に閣議決定をされましたGX推進戦略におきましても、二〇五〇年にカーボンニュートラルを実現していくんだと、その手段としてはあらゆる選択肢を、CCSも含めたあらゆる選択肢を追求することが必要だという考え方で閣議決定、国の政策方針が決められたわけでございます。
こうした方針に基づきまして今回法案を提出させていただいておりますけれども、海外においても、我が国と同様に各国がカーボンニュートラルを宣言する中で、近年、予算、税制などを含めまして、CSJがモデルとして、ビジネスモデルとして成り立っていくように様々な導入支援策を設けるなど、各国でもまだビジネスモデル、CCSそのものについては確立していない中で、それをビジネスモデルとして実現、確立していくための支援策が講じられておりまして、我が国としても、そうした世界の流れも踏まえましてこれからの対応を考えていきたいと考えております。
なじみがあるかどうかということにつきましては、CO2を地下に圧入する技術自体は、これまでも、EOR、エンハンスド・オイル・リカバリー、若しくはエンハンスド・ガス・リカバリーと、EGRというような形で、ここ半世紀もわたって基本的な技術自体は確立をしてきているところでございます。
ただ、これまではむしろ生産プロセスとして、むしろCO2を入れて取り出すというための地下注入だったわけですけれども、これからは空になった地下の空間にむしろ埋めることを主目的として地下貯留していく、若しくは、そうした過去に取り出した履歴のないような砂層にも、若しくは地層にもそうしたCO2をキャプチャーしたものを埋めていくということを世界がチャレンジをしていると、こんな状況でございまして、我が国としても、こうした世界の流れを踏まえながら、しっかりとCCS事業がビジネスモデルとして成り立つように積極的に進めると、事業環境を整えていきたいと、こういうふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/101
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102・古賀之士
○古賀之士君 時間がなくなってまいりましたが、私がもう今知る限りにおいて、もし間違っていましたら次回訂正しますけれども、元々は石油を油田などで取っているときに、石油はもう自動的にあふれ出てわあっと出てくる、でも、なかなかだんだんだんだんその勢いもなくなってきたときに、最初は水を入れて、水を注入することによって、当然、油ですから外に出てくる、そうこうするうちに今度、水よりも今度、あっ、ガスの方がいいんじゃないという話になってガスを入れていく、そうするとまた油がどんどん出てくるというような理屈、技術を使ったら、あら、もしかしたらこれってガス貯留できるんじゃないのというようなのがある種きっかけだったというふうなことを伺っております。間違っていたら済みません。
こういう技術をしっかりと、より分かりやすく是非お示しいただいて、なおかつ、次回のまた質問させていただく機会があるかと思いますが、そのときにまた深掘りをさせていただこうと思っております。
時間が来ましたので、次回またCCSについての御覚悟なども大臣に伺おうと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/102
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103・森本真治
○委員長(森本真治君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
午後零時二分休憩
─────・─────
午後一時開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/103
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104・森本真治
○委員長(森本真治君) ただいまから経済産業委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律案及び二酸化炭素の貯留事業に関する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/104
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105・村田享子
○村田享子君 それでは、皆様、御安全に。午後も元気よくよろしくお願いをいたします。立憲民主・社民の村田享子です。
この両法案につきましては、やはり日本の産業がカーボンニュートラルとそして事業の発展、国際競争力を強化する上で、私も非常に重要なものであるというふうに考えております。その上で、まず水素社会推進法案についてお聞きをいたします。
二〇五〇年カーボンニュートラル目標に向けて、令和二年度第三次補正予算において二兆円のグリーンイノベーション基金がNEDOに創設をされまして、水素基本戦略上では水素関連技術に約八千億円充てられております。例えば、水素還元製鉄の研究開発であったり、また、大規模水素サプライチェーンの構築に上限三千億円というふうに、本法案にもつながる事業への支援が行われていると思います。
こうした水素関連技術への支援について、これまでの取組の評価と、こうした取組がどのように本法案に活用されているのか、大臣にお聞きをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/105
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106・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) グリーンイノベーション基金等を通じて、水素等の製造、輸送、利用の各分野において技術開発が進捗をしてきています。進捗状況について申し上げれば、例えば製造分野では、一定の性能水準を満たす電解装置に必要な部素材の技術開発の見通しが立ったということで、商用化のめどが立ちました。また、輸送分野では、水素サプライチェーンの構築に向けて、液化水素を長距離輸送できる舶用タンクの設計を完了しておりまして、それを踏まえ、今後、商用サイズの液化水素運搬船の建造に着手をする予定になっています。さらに、利用分野の製鉄プロセスでは、高炉を用いた水素還元技術につきまして小型試験炉の実証試験を進めて、三三%のCO2削減効果が確認をできています。
こうした取組を通じまして、日本は水素関連技術で世界をリードしておりまして、技術の実装段階においても諸外国に負けることなく低炭素水素等のサプライチェーン構築を推し進めることが必要であります。このため、水素社会推進法案を通じまして、価格差に着目した支援と拠点整備支援の支援措置を講ずることなどによりまして、日本の技術を取り込んだ大規模かつ強靱なサプライチェーンの構築に取り組んでまいりたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/106
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107・村田享子
○村田享子君 次に、地方自治体の役割についてお聞きをしたいと思います。
法案の第五条にも関係地方自治体の責務が定めてございますが、特に私は拠点整備支援を進めていく上でやはり自治体の役割は大きいのではないかと考えておりますが、具体的な地方公共団体の役割についてどのようにお考えなのか、大臣にお聞きをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/107
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108・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 水素社会推進法案では、関係地方公共団体の責務といたしまして、国の施策に協力をして、低炭素水素等の供給及び利用に関する施策を推進するよう努める旨を規定しています。その上で、低炭素水素等のサプライチェーンの構築に当たりましては、それぞれの地域に精通した地方公共団体が各地域の水素需要を創出し拡大させる役割を担うということが極めて重要であると考えています。例えば、東京都は、燃料電池バスを既に百台近く導入をしておりますし、今後は燃料電池トラックの導入にも取り組むなど、商用車分野の需要創出、需要層創出にリーダーシップを発揮をしています。
経済産業省としては、こうした意欲ある地方公共団体の取組を後押しすべく、例えば地方公共団体等によるバスやトラック等のFCVの導入ですとか、商用車などの大規模な水素需要が見込むことができる地域への水素ステーションの戦略的な整備、こういったものに対する補助など、地方公共団体と連携をして低炭素水素等の需要の創出及び拡大に取り組んでいきたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/108
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109・村田享子
○村田享子君 この拠点整備支援についてちょっと更にお聞きをしていきたいんですけれども、先ほど小林委員の質疑の中でも、この拠点整備支援、拠点数の話が水素基本戦略の中にありますよといったお話がございました。その中で、先ほどもありましたように、大規模拠点三か所程度、そして中規模拠点五か所程度というようなお話もあったわけなんですけれども、この拠点数、そもそもの根拠というのはどのようなものなのか教えていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/109
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110・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
御質問の水素基本戦略に定められております大規模拠点三か所程度、中規模拠点五か所程度というものの、こういうふうに定めた背景でございますけれども、国際競争力ある産業集積を促しながら水素などの大規模な需要創出と効率的なサプライチェーンを構築していくためには、全国的な見地からの最適配置を踏まえて適切な集約が必要であろうという観点から定めたものでありまして、具体的には、製鉄所や石油化学コンビナートなどといった転換困難な既存産業が集積する地域のおおよその数を参考としつつ、有識者の意見も踏まえて設定させていただいたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/110
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111・村田享子
○村田享子君 私もいろいろ地方を回っているときに、各地方自治体、そしてそこにある産業の皆さん、そしてまた住民の皆さんが、やはり自分たちの地方が水素またアンモニアで今後盛り上げていくように頑張っていこうというふうにおられる地域がやっぱり複数あると思うんですね。
先ほど小林委員との質疑の中でも、この拠点数の数がそのまま今回の拠点整備支援の数ではないというようなお話もありましたけれども、今すごくそれに向けて取組を進めているやっぱり自治体の皆さんの御希望に沿えるような形でのやはり拠点整備支援というものが、せっかく頑張ったのに選定が漏れてしまったというのは、それはもちろん選定基準というのもあるんですけれども、できるだけ多くの地域の支援につながるようにしていくべきではないかと思いますが、その点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/111
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112・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
大きな方向性としては、やはり国際競争力ある産業集積を創出すると。そのために、やはり効率的で強靱なこの水素等の需要の集積をつくっていくと。これが日本が利用する低炭素水素等のコストを下げたり、まさに日本の企業がそういう安い水素等を使ってまた更に競争力を高めていく一つのベースになるということでありますので、一定の規模、まとまりを持った拠点をつくっていくということは大きな方向性としては持ってはいるんですけれども、他方で、様々な地域の皆さんがやっぱりこの低炭素水素の利用、参入していこうという思いをお持ちだということを我々よくは認識しておりますので、一つの考え方としては、ハブ・アンド・スポーク、その一つの大きな拠点なんですけれども、そこからしっかり効率的につながっていって、また中規模の需要の集積地にリーチしていくような、そういう形、で、全体として競争力が出てくるような、こういう仕組みについてはこの法案の評価項目の中でも積極的に評価しようというふうにしておりますので、そういう一つの核と、いろんなそこから延びていく中小規模の拠点ということについても、様々な状況を踏まえながら、なるべく広く我々としては門戸を開いて、で、しっかり審査をさせていただくという方向で考えたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/112
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113・村田享子
○村田享子君 是非、門戸を広くということで、その点もお願いをしたいと思います。
大規模拠点というのを考えたときに、やはり一つの市町だけではなくて複数の地方自治体にまたがるケースもあるというふうに思います。
今週火曜日の参考人質疑においても、愛知県、中部の水素に関する拠点整備について参考人からお話がございました。この愛知、中部となりますと複数の自治体が関係をしておりますし、参考人からも自治体の広域連携の必要性について指摘があったところでございます。
こうした拠点整備における自治体の広域連携について、政府の見解をお聞きをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/113
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114・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
拠点整備支援におきましては、先ほど大臣からも答弁しましたとおり、自治体の協力、これは極めて重要であるというふうに考えております。実際にこの拠点整備支援を受けるための計画の認定に当たっては、自治体などとの協調、あるいは住民理解の観点も評価項目とした上で総合評価を行うことにしてございます。
また、御指摘のとおり、拠点整備に当たっては、地域間の連携、広域化を図っていくということも重要であると考えておりまして、先ほども申し上げましたが、水素等の利用地域を海上や陸上輸送などによりハブ・アンド・スポークとして結ぶ場合、こうした二次受入れ基地なども拠点整備支援の対象とすることとしてございまして、この地域間の連携による需要創出も図っていきたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/114
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115・村田享子
○村田享子君 ちょっと重ねてお聞きをしたいんですけれども、先ほど大臣に地方自治体の具体的な役割というのをお聞きをしたときに、大臣から、自治体への国からの支援ということで、FCVの導入であったり水素ステーション導入の支援ということで、割と物、設備投資への支援という面が強いのかなというふうに感じました。
一方で、やっぱり広域連携というふうなところを考えていくと、これも参考人質疑で御指摘があったんですが、やっぱり地域のグランドデザインを描いていくことが重要だよねと。その地域のグランドデザインが描ければ、産業も、ああ、それなら参入しようかというふうにプレーヤーがどんどん広がっていくと。そうしたグランドデザインを描く場というのもつくっていかなければいけないんじゃないかというお話があったんです。
そういう意味でいうと、特に自治体の広域連携という話になると、国がやっぱりその場をつくっていくということも私は役割の一つとしてあるのではないかなと思いますが、その点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/115
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116・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
その様々な自治体が広域連携を図るために、既に幾つかの地域では、都道府県であったり市町村であったり、場合によっては、そこは国の出先である経産局などもバックアップする形で、まさに広域連携を促進するための自治体ないしは国の出先機関が関与した形でのそういう協議体というのが動き始めている事例がございます。私の理解では、愛知県でありますとか、それから山口県の方ですね、などでそういう取組が始まっているというふうに認識してございます。
今後、この法律を使って、各自治体でそういうまた動きが更に活発化していくんじゃないかというふうに考えておりますけれども、我々国としても、こういう各地域におけるまさに需要の拠点形成に向けた動きを応援するような、そういうFSの予算も措置をさせていただいているところでございまして、これ、支援対象はあくまでも水素等を使うことになる企業の方々ではあるんですけれども、やっぱりそういう企業と企業をつないだり広域化していく上で自治体さんの役割というのは、これ大事だと思いますので、そういう予算も国として積極的に提供しながら、またいろいろ有形無形のノウハウも自治体の皆さんと共有しながらそういう動きを支援していきたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/116
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117・村田享子
○村田享子君 その上で、じゃ、具体的な支援の申請について次にお聞きをしたいんですけれども、拠点整備支援、そして価格差支援の今後のスケジュールについてお聞きをしていきたいと思います。
今、ちょっといろいろ質疑させていただいたように、地域のグランドデザインを描いていく、自治体の広域連携を進めるとなると、それなりの時間も必要だと思いますし、先ほどの御答弁の中でも、計画の認定に当たっては自治体との協力であったり住民との連携といったものも見ていきますよとなると、なかなか、もちろん準備してきた地域もあるとは思うんですけど、なかなかそう簡単にはできないところではないかなと思います。
これも参考人からの先日の指摘だったんですけれども、今回の認定に当たっては、供給事業者と利用事業者の双方が連名となった共同計画であるということとされているということで、参考人の場合は供給事業者だったわけなんですが、やっぱり水素を利用する需要家にとっては、今回の価格差支援で水素の価格に対する不安は払拭をされたとしても、実際にそれを使っていこうとなったときに多額の設備投資、準備が必要で経営判断も要すると。そのため、事業計画の認定の受付期間については、より質の高い事業の提案を行うために十分な時間を確保してほしい、そういったお話だったんですね。
この点も踏まえて、スケジュール、どのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/117
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118・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
現在御審議いただいております水素社会推進法案は、公布の日から六月以内に施行する旨を規定しております。この国会で成立、公布された場合には、今年の夏頃をめどに申請の受付を開始したいというふうに考えております。
また、申請受付の開始後でございますけれども、一定の申請受付期間を設けるとともに、案件の評価に際しては、エネルギー、GX政策や事業完遂の観点で専門的知見を有する第三者の御意見も聴取した上で国が評価を行いまして、採択可能な状態となったものから順次、今年内の案件採択の開始を目指したいと考えております。
そういった意味では、世界の動きも踏まえながらスピーディーに取組を進めていく必要がございますけれども、同時に、議員御指摘のとおり、質の高い計画の策定に必要十分な期間を取っていくと、我々としてもしっかりと対話を行っていくという方針で臨みたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/118
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119・村田享子
○村田享子君 是非とも、スピードも私も大事だと思っていますが、事業者の皆様、特に初めての水素、アンモニア等ということになりますので、事業者の皆様からの声もお聞きをいただければと思います。
続いて、価格差支援について具体的にお聞きをしたいと思うんですが、本日いろいろ議論もありましたように、私もやっぱり、日本の産業の国際競争力強化においては、電気料金の低廉化が重要なように、この水素、アンモニア等においてもその価格が重要だと考えております。
これも先ほど小林委員の御質疑の中で、価格差に注目した支援、十五年間としたというのは他国の制度等も参照されたというようなことなんですけれども、いろいろ為替の影響であったり、カーボンプライシングの制度の導入等、今後ある中で、価格差支援の十五年を超える更なる延長というのは想定をしておられるのか、またその時点で延長するかどうかというのを判断する場合に、それはどこで行うものなのか、併せて教えていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/119
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120・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
価格差に着目した支援、十五年間、現状で三兆円を想定しておりますけれども、十五年とした理由は先ほどお答えしたとおりでございます。英国における支援期間だけではなくて、船であるとかタンクと、主たる資産の耐用年数も踏まえて、見通しが付くように十五年とさせていただいております。
三兆円の方でございますけれども、こちらの支援額の見込みにつきましては、諸外国の動向であるとか国際的な市場情勢に関する分析、あるいは各企業とのこれまでの議論を通じて、様々な個別プロジェクトに関する情報等を踏まえまして有識者会議等で御議論いただいて、必要な規模として現時点の見通しを示したものでございます。
議員御指摘のとおり、これをどういうふうに見ていくのか、場合によって価格差支援、十五年より延長することもあり得るのかという次の点については、私どもといたしましては、やっぱり経済的に自立したサプライチェーンを構築するということが主眼でございますので、現時点におきましては、十五年間支援を行った上は、その後は十年間支援なしで供給していただくということは、延長すると、支援期間を延長するということは現状想定しておりません。
仮に延長というところについては、また様々な状況を踏まえながら検討していくということだと考えておりますが、規律ある支援制度によって自立を求めていくという観点からは今のように考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/120
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121・村田享子
○村田享子君 この価格の支援のところでいうと、基準価格と参照価格を設定をして、その差額の一部又は全部を支援するということとなっておりますが、この基準価格の見直しというのは行っていくのか、もし行うとすると、どのようなタイミングで行うかについてお伺いをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/121
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122・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
基準価格でございますけれども、支援期間中、原則固定ということが投資者の予見可能性としては望ましいと考えてございます。一方で、導入可能な革新的な技術が生まれたといったような場合には、国民負担の抑制という観点も踏まえて、合理的な理由により基準価格の低減が見込まれる場合には基準価格の見直しを求めるという制度設計にしていくことが肝要かと考えています。
いずれにしても、投資者の予見可能性を損なうことなく、しかし、国民負担の抑制という観点もしっかり制度の中に織り込んでいきたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/122
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123・村田享子
○村田享子君 今、水素の価格についてお聞きをしましたが、次、この水素の量の確保というところについてお聞きをします。
昨年改定された水素基本戦略で、水素の導入目標について、二〇三〇年三百万トン、二〇四〇年千二百万トン、二〇五〇年二千万トンということで、こちらも、先ほど小林委員の質疑でもございましたが、やはりこの目標を達成していく上で、やっぱり国内だけではなくて、当面の間、海外からの輸入も必要だというようなお話でございました。今、世界中で水素に向けたいろいろ競争が広がっている中で、じゃ、日本が水素を輸入しなければいけないという状況において、現在、どの程度水素の輸入確保できているのか、その点を教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/123
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124・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
おっしゃるとおり、水素等の輸入に向けては、安定した水素等の調達先の確保、これ非常に重要でございまして、一方で、韓国であるとかヨーロッパであるとか、水素を輸入しようという国も多くなってまいっておりますので、ある種の国際的な競争環境が生まれつつあるという状況かと考えております。
我々も、様々な地域におきまして、様々な取組で水素等を作って国内に輸入するというプロジェクトにつきまして、国内外のエネルギー企業であるとか商社であるとか、様々な方々から具体的な相談を正直なところ多数受けている状況ではございます。
他方で、この法律が御審議の上で成立していただいた暁には、先ほど申し上げたようなプロセスで支援対象プロジェクトを選定していくという状況になります。我々として、現状、これだというふうに内々においても決めているものがございませんので、そういった意味では、現状、水素の調達量の見込み、めどが付いているものというものをお答えできる段階にはまだないというのが実態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/124
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125・村田享子
○村田享子君 水素の輸入ということで、併せてアメリカとの輸入についてお聞きをしたいと思います。
四月、総理、そして大臣も訪米をされまして、アメリカと日本においてクリーンエネルギー分野で協力を強化するとのお話がございました。アメリカは今、インフレ削減法というものもやっているわけなんですけれども、このインフレ削減法によって、アメリカで製造された水素を日本に輸入した場合、この水素価格の低減効果というのもあるのではないかと思いますが、その点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/125
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126・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
御指摘の米国のインフレ削減法案でございますけれども、アメリカ政府の試算では、水電解によってグリーン水素の製造、大体一キログラム当たり五ドル程度で作れるというふうに彼らは考えておりまして、一定の要件を満たしたグリーン水素については最大で水素一キログラム当たり三ドルの税額控除が受けられるという大胆な支援措置になっております。もちろん、要件がかなり厳しいのではないかといったような御議論が米国内でもあると承知しております。
この五ドルと三ドルといったような支援措置でございますが、この制度は米国から輸出する水素にも適用されるというふうに承知しておりまして、そうした意味では、仮に我が国が米国からIRAの適用された水素を輸入する場合、IRAで適用される支援額というものに応じた我々の購入価格の低下という効果は一定程度見込まれると。ただし、どの程度下げた形でこちらに来るのかというのは個別のプロジェクトごとの契約条件等により異なりますので、一〇〇%削減効果が我々の買値に反映されるかどうかというのは予見し難いというところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/126
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127・村田享子
○村田享子君 あわせて、こちらは越智委員が質疑で取り上げていました、私も中小企業の水素の利用をどう進めていくかというのは非常に重要だと思っています。その上で、この価格差支援にしてもその拠点整備支援にしても、先ほど申しましたように供給者と利用者が連名で計画を提出するというものになっておりまして、例えばこの中小企業が利用事業者となる見込みというものがあるのか。先日の参考人のお話でも、支援を受けるための条件として年間の水素使用量がかなりあるということで、そうなると、やっぱりそこに中小企業が入り込む余地というのはあるのかなというようなのも疑問に思うんですけれども、こうした中小企業が利用事業者となる見込み、また中小企業がこうした利用事業者となれるためにどういった支援考えておられるのか、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/127
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128・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
今回の法案では、利用事業者サイドの方については一者でなければならないということはございません。特定の地域的な広がりの中で、複数の利用事業者と複数の供給事業者というケースも想定しておりまして、そういった意味では、複数の利用事業者の中に中小企業の方々が巻き込んでいく、参加していただくということが我々としても大変望ましいというふうに考えておりますし、そのような見込みがあるというふうに考えてございます。
先ほど御答弁申し上げましたとおり、これまでも水素社会モデル構築実証事業で、先ほどは東京都の中小ガスの事例を申し上げましたが、これほかにも、例えば福島県の地元ガス会社に支援を行うといったような取組を行ってまいりました。
こうした形で意識を高めていただいている方々多うございますので、近畿経産局でやっているようなマッチングイベント、あるいは我々が出向くことによる周知徹底といったようなことも含めて、中小企業の方々も含めたサプライチェーンの構築に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/128
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129・村田享子
○村田享子君 先ほど地域のグランドデザインが重要だというお話をしましたが、やはりそこをしっかり示すことで中小企業もより入りやすくなっていくと思いますので、是非巻き込むようなそういった仕組みをお願いをしたいと思います。
次に、ちょっとJOGMECについてお聞きをしたいと思います。
今回、この水素について、資金や助成金の交付、JOGMECが行うこととしていますし、またCCS事業についてもJOGMECが行うということで、すごくJOGMECの役割がどんどん大きくなっているなというふうに感じます。
昨年成立したGX推進法では、GX投資のための業務を行うとしてGX推進機構が設立されたわけなんですけど、水素についてもGXの手段でございますので、そういった意味では、JOGMECだけに集中するのではなくて、例えばGX推進機構に業務を担わせるといったことも考えられるのではなかったかと思いますが、この点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/129
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130・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
JOGMECにこの法律に規定されている業務を行っていただくかどうかということは、省内でも様々、GX推進機構も含めて検討した上でJOGMECにさせていただいて、こうして提案している理由は、やはりJOGMEC、これまでに資源の上流開発などの大規模なエネルギープロジェクトの支援を行ってきた実績がございます。あわせて、水素等の技術的な知見もかなり持ち合わせておられて、助成金の交付業務あるいは各プロジェクトの進捗管理について必要な知見や体制を備えているということで、JOGMECとして提案させていただいているところでございます。
GX推進機構ももちろん非常に優れた組織として今後設立されるということでございますけれども、現状、これまでの知見、経験といったような観点からJOGMECというふうに検討させていただいているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/130
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131・村田享子
○村田享子君 例えば、その価格差支援の話の資料の中でも、いろいろな今GXの支援というものがあるので、そこが重複しないようにやっぱり見ていかなければいけないよねというような話もありました。
そうした意味では、GXの支援をする機構がいろいろやっぱり分かれてしまうと、本当にそれをちゃんと全部チェックし切れているのかなというようなところも疑問に思いますので、そこの業務の分担、またその支援が重複していないかというのは、やっぱり無駄をなくすためにもしっかり見ていただきたいと思います。
水素の法案、ちょっと最後になりますが、大臣に石炭火力発電についてお聞きをします。
これ、昨日、決算委員会で岩渕委員との大臣の議論お聞きをしておりましたが、私はやはり、日本が持っている水素、アンモニアの火力発電の技術というのはやはり強みだと思っておりますし、東南アジアの脱炭素化を進めていくためにも、これは日本が積極的に自国のこうした技術を輸出していくべきだと思っています。
そうした中で、G7においては、段階的に石炭火力発電についても廃止をするという方針になったわけなんですけど、この方針による日本のこうした石炭火力発電への影響と、あと、今、日本としても、政府としてもASEANに向けて輸出をしていこうというような取組ももちろん私も存じておるんですけれども、韓国においても自国の火力発電の技術をカーボンニュートラル、アジアの方に持っていくというような動きもありまして、他国とも競争にもなってきている分野ではないのかなと思います。
是非ともここは日本として進めていただきたいと思いますので、この点について大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/131
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132・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) まず、先般のG7気候・エネルギー・環境大臣会合、これは私も出席をした会合でありますが、この会合における石炭火力についての表現につきましては、随分短くしたりはしょったりした報道も見られるものですので、私の方から強調しておきたいのは、今私が申し上げることがまさに合意事項であって、それ以外のものではないということなんですね。
各国のネットゼロの道筋に沿って、二〇三〇年代前半又は気温上昇を一・五度Cに抑えることを射程に入れ続けることと整合的なタイムラインで排出削減対策の講じられていない石炭、既存石炭火力を段階的に廃止する、合意した文書というのはこれでありまして、これ以外のものはないということでありますので、この点は強調させていただきたいと思います。
エネルギーをめぐる状況は各国千差万別であります。したがって、そのゴールに向かっていく道筋も多様でなくてはならないと考えています。そういった多様な道筋を認め合いながらネットゼロという共通のゴールを目指すということが重要でありまして、そのことはG7における各国共通の理解になってきていると私は認識をしています。
その上で、日本としては、安定供給の確保を大前提に、石炭火力の発電比率をできる限り引き下げていくという方針を取っているわけであります。具体的には、まずは二〇三〇年に向けて非効率な石炭火力のフェードアウトを着実に進めるとともに、二〇五〇年に向けて、水素、アンモニアやCCUS等も活用し、脱炭素型の火力に置き換える取組、これを推進していくと、こういう方針で臨んでいきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/132
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133・村田享子
○村田享子君 私もやはり日本は日本なりの道筋があると思いますし、東南アジアも東南アジアの道筋があると思いますので、そこのところ、日本の強みを生かしながら進めていただきたいと思います。
続いて、CCS事業法案についてお聞きをします。
水素還元製鉄、今、研究開発取り組んでおりますが、仮にこれが実現できたとしても、やっぱりどうしてもCO2は出てしまうということで、製鉄業の皆さんもやはりCCS事業に期待されている面は大きいと思います。
その上で、じゃ、今回CCSによってCO2を貯留するわけなんですけれども、この部分、どうやってCO2をマイナスカウントしていくのか、その仕組みと、今世界的にもCCS事業進んでいるというお話でしたが、国際的にどのようにこのCCSによるCO2のマイナスカウント、ルール作りできているのか、その点を環境省にお聞きをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/133
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134・奥山祐矢
○政府参考人(奥山祐矢君) お答えいたします。
まず、温室効果ガスに係る国際的な算定、報告のルールといたしましては、IPCCが作成したガイドラインというものがございます。各国がパリ協定に基づいて設定する温室効果ガスの排出削減目標、いわゆるNDCでございますけど、ここで設定された項目につきましては、このIPCCのガイドラインに基づいて排出量、吸収量を算定、報告することで進捗を評価していくということとされております。
CCSにつきましてもこのガイドラインに基づいて算定、報告が行われるということになっておりまして、具体的には、CO2の排出施設での回収量からパイプラインや船舶等によるCO2輸送時の漏えい量などを差し引いた正味のCO2回収量、こちらが排出国の排出量全体から差し引かれてマイナスカウントされるということとなっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/134
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135・村田享子
○村田享子君 続いて、今日も議論で出ておりましたけれども、日本のCO2を海外に貯留するケースもあるというふうに思います。そうなったときに、日本から持っていったCO2を海外の国にある貯留地に埋めますよとなったときに、それが全て日本のマイナスカウントとなるのか、いや、その外国にとっては、うちの土地を使って埋めるんだから、いや半分はうちのマイナスカウントにしてくださいよみたいな話もあり得るんじゃないかなと思うんですけれども、こうしたケースのマイナスカウントのルールというものはどのようになっているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/135
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136・奥山祐矢
○政府参考人(奥山祐矢君) お尋ねの国内でCO2を回収した後にこれを輸送して海外に貯留する場合、こちらにつきましても、先ほど申し上げましたIPCCのガイドラインに即した形でカウントを行うこととなっておりまして、具体的には、その回収量から輸送時の漏えい量などを差し引いた正味の回収量、こちらを日本の排出量から差し引かれてマイナスカウントするということとなっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/136
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137・村田享子
○村田享子君 今のお答えですと、日本から海外に持っていったものは、そのルールにのっとると全て日本のマイナスカウントになるということでよろしいんですよね、確認です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/137
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138・奥山祐矢
○政府参考人(奥山祐矢君) 基本的にそのとおりでございまして、まさにその漏えいしたものでなければ、まさに正味のその回収量につきましてはカウントされるということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/138
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139・村田享子
○村田享子君 私、この点は、むしろ何か各国ごとに何か協議をして異なる部分もあるのかなというふうなことも考えておったんですが、東南アジアの国々によっては、自分のところは今これぐらい貯留量を持っているよと、うちの国でも事業を進めていくよという話が出ていまして、ただ、貯留量、海外から持ってきたものを全部認めるかどうかというのは、例えばうちの国に設備投資をしてくれるかとか、そういった条件が付いていたりするようなケースも出てきて、これから各国の協議でむしろそうしたマイナスカウントの方法というのは何か決まっていくのかなと思ったんですが、基本的には、じゃ、日本のマイナスカウントということでよろしいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/139
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140・奥山祐矢
○政府参考人(奥山祐矢君) 今ちょっと、話が少し混乱をしているかもしれませんけれども、その国外と日本との間の排出量のやり取りみたいなものというのはパリ協定の六条の中でいろいろと定めることに、定められていることになっておりまして、いわゆるそのJCMと言われるもので、我々としては、その海外とのいろいろな、その海外への技術展開と、そこからどういった形でその貢献を我々のカウントに持ってくるかといったことをやっているところでございまして、もしそういったものの中でこのCCSみたいなものも活用する、その可能性というものがあるのであればそういった議論も出てくるのかなというふうには思っておりますけど、今のところはこういった、まさにIPCCのガイドラインのルールの中ではこういったものになっていますよという、そういったところにとどまっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/140
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141・村田享子
○村田享子君 この点は経産省の方も同じ見解ということでよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/141
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142・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) 国内で発生したCO2を海外に持っていって海外で貯留した場合、これをどういうふうに日本のNDC上カウントするかというのについては、これはIPCCガイドラインに即してということですので、我々も環境省と全く同じ理解ではございます。
今委員が御指摘いただいたような、多分、受入れ国によっては多分いろんな、それぞれの国の戦略があってという点については、我々もそこは恐らくそういういろんな各国の思惑があるというふうに理解はしていまして、恐らく各国の受入れ国のスタンスの違いは、例えば、海外に自分たちが持っている貯留のポテンシャルの一定割合、どこまで外国のCO2受入れにリザーブするかという辺りで違ってくる。
インドネシアなんかは、やっぱりメインは国内のCO2で、海外は一部だけどもというようなことを言ってこようとしている国もありますし、あとは、海外からCO2を受け入れるに当たって、そのための対価をどれぐらいのものを設定するか。国内のCO2と海外から受け入れる場合の対価を同じにしなきゃならないということには必ずしもなっていないと思うので、そういう、量は多分、海外に処理というか、持っていきたいという、そのニーズに応えるということは彼らの一つの多分目的でもあるんですけれども、じゃ、その受け入れるときの条件の面でどういうふうに自分たちの利益を主張していくかということを考えていくということになるのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/142
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143・村田享子
○村田享子君 御説明ありがとうございます。
あともう一点が、私も先日の本会議でもお聞きをした点なんですけれども、このCCS事業の貯留事業者について外国の事業者を認めるかどうかというようなお話でございます。
大臣の本会議の御答弁では、特に外国法人が行う貯留事業を一律に制限はしないというようなもので、ただ、その事業者の適格性に加えて、その事業者が行う取組が我が国におけるCCS事業の健全な発展やカーボンニュートラル実現に資するものであるかなど、許可基準に照らしてしっかり審査をしていきますというような御答弁でございました。
ただ、これは、昨年にはなるんですけれども、昨年三月に公表されましたCCS事業(仮称)のあり方についてでは、これ、元々鉱業法に倣ったものというふうにお聞きをしておりますが、鉱業法にもあるように、そこに倣って、貯留事業者は原則的に日本国民又は日本国法人とするとされておりました。それが、法案では特段限定しないというふうに変わっておるわけなんです。
私はやはり、特に領海にCCS事業をやっていくということになりますと、かなり日本のそうした海域の情報を事業者が知るということになりますので、やっぱり国の安全保障を考えた上で、本当に外国法人を制限しなくていいのかというのは大事なところだと思っておりますけれども、今回法案で特段限定しないというふうに、このあり方、昨年のあり方から変えた理由についてお聞きをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/143
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144・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) まず、委員御指摘のとおり、資源エネルギー庁が開いた任意の研究会でありますCCS長期ロードマップ検討会の最終取りまとめ、CCS事業法のあり方についてにおきましては、鉱業法を踏まえまして、貯留事業者は原則的に日本国民又は日本国法人とすべきとされています。
鉱業法におきましてはこうしたいわゆる国籍要件が設けられているわけでありますが、その理由は、貴重な資源である鉱物を我が国において適切に確保するためであるということでありますが、一方、そのCCS事業の場合は、我が国の資源採掘という性格のものではありません。貯留層と呼ばれる地下の地層を利用するという点において鉱業法と大きな違いがあるだろうということ。
それからもう一つは、電波法等の一部の例外を除きまして、電気事業法においても、ガス事業法等の他の一般的な事業法でも、国籍要件というものは設けられていないという横並びの問題もあるということを踏まえまして、今般のCCS事業法案では、日本国民や日本国法人でないことを理由として、一律に我が国におけるCCS事業への参入を拒む制度とはしないということとしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/144
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145・村田享子
○村田享子君 今大臣も御答弁されたように、確かに……(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/145
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146・森本真治
○委員長(森本真治君) じゃ、大臣、どうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/146
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147・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) ちょっと続きがありまして、その上で、仮にですね、外国法人等から貯留事業の許可申請があった場合には、当該事業者の適格性に加えて、その事業者が行おうとする取組が我が国におけるCCS事業の健全な発達やカーボンニュートラル実現に資するものであるかなど、許可基準に照らしてこれはしっかりと審査をしていきたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/147
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148・村田享子
○村田享子君 大臣御答弁ありまして、鉱業法と違って資源を採掘するものではない、また、ほかの一般的な事業法との横並びというお話ございましたが、よく政府の方でも安全保障の議論をするときに、昨今、安全保障をめぐる状況が変わってきているというような前提もよく話をされています。そういう意味では、やっぱり鉱業法が制定されたときとは今の日本と海外の状況というのも違ってきていると思いますので、やっぱりここの点は是非気を掛けていただきたいなと思います。
その上でなんですが、今回、この試掘や貯留事業者がCCS事業を通じて知り得た日本の領土、領海、EEZ等の地質情報の管理というのはどのようになっていくのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/148
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149・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) 御指摘いただきましたこのCCS事業への参加を通じて獲得することになる我が国の領土、領海、EEZなどの地質情報についてですけれども、これは我が国の国益を守る観点から適切に管理していくことが必要であります。
今般のCCS事業法案においては、貯留事業や試掘に関する許可、不許可の判断を行うに当たって、まず、その申請者が十分な社会的信用を有する者であるかどうか、また、その申請者が行う貯留事業が公共の利益の増進に支障を及ぼすおそれがないかどうかなどを厳格に審査することとしておりまして、万が一、地質情報の適切な取扱いに疑義があると認められる場合には、こうした者については許可を与えないということになると考えております。
いずれにしましても、経産省といたしましては、許可基準に照らして申請者の審査を厳格に実施することを通じて、我が国の国益が損なわれることのないような取組を進めていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/149
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150・村田享子
○村田享子君 最後に、両法案に関連するものとして、造船業の支援について、今日、国交省の方に来ていただいておりますのでお聞きをしたいと思います。
今日もいろいろ話出ていますけど、例えば液化水素運搬船であったり、液化二酸化炭素の運搬船、又は水素、アンモニアの燃料船ですね。先日、アンモニア燃料によるアンモニア運搬船も日本が先んじて開発をするといった報道もありますし、また、タンクも日本の造船業が強みを持っている部分なんです。なので、是非ともこのカーボンニュートラルに資する次世代の船舶について国からも支援をしてほしいということと。
ただ、一点やっぱり懸念をしておるのがLNGの運搬船ですね。当時、石油、石炭からLNGにしていこうということで日本も多くのLNG運搬船を製造しておったんですけれども、やっぱり欧米が関連設備の規格を持っておりまして、タンクに関する技術のライセンスも独占していたと。なので、日本がLNG運搬船を造るときにそのライセンス料を払わないといけないとか、あと、技術的な制約がいろいろあったということで、やはりこの船の部分についても規格やルール作り、国際標準化に国がコミットすることが重要だと思います。
その辺りも踏まえて、日本の造船業、厳しい状況が続いてきましたが、私は、このカーボンニュートラルが大きなチャンス、特に両法案に関わる水素、CCS、日本の強みが生かせる分野だと思いますので、是非とも支援お願いをしたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/150
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151・今井新
○政府参考人(今井新君) お答え申し上げます。
二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に当たりましては、水素やアンモニア、さらには回収したCO2の効率的かつ安全な海上輸送が重要でありまして、それを担う新たな運搬船が必要となります。また、水素やアンモニアなどを燃料とするゼロエミッション船の開発あるいは普及といったことも必要になってまいります。
このため、政府では、関係省庁が連携し、グリーンイノベーション基金などを活用し、液化水素やアンモニアの運搬船あるいは燃料船の技術開発や実証の支援を行っております。また、液化CO2運搬船につきましては、大型化が可能な低温、低圧のタンクを搭載した船舶による輸送実証に対し支援を行っています。さらに、今年度からは、GX経済移行債を原資としまして、エンジンや燃料供給システムなどを含め、ゼロエミッション船などの生産基盤の構築に向けて、造船事業者や関連舶用機器メーカーの支援に取り組んでいます。
また、こうした日本発の新技術を活用した船舶の世界的な普及、こういったことを図るべく、技術開発と並行しまして、産学官連携して標準化や安全基準の検討を今しております。それから、IMOに、国際海事機関、IMOに日本から提案をしまして、早期の国際事業環境の整備を目指した取組も進めているところでございます。
国土交通省としましては、引き続き、関係省庁と連携しまして、我が国造船業の競争力の強化を図りつつ、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けた取組をしっかり取り組んでまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/151
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152・村田享子
○村田享子君 是非よろしくお願いします。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/152
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153・里見隆治
○里見隆治君 公明党の里見隆治でございます。
質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。
私から、まず大臣に、G7を受けましてのお考え等を確認をさせていただきたいと思います。
先週、イタリア・トリノで開催をされましたG7気候・エネルギー・環境大臣会合、こちらに齋藤大臣も御出席をされたということでございます。お疲れさまでございました。
今回の成果、また大臣の御所見をお伺いしたいと思いますが、これ、先ほど質疑ございましたけれども、今回採択をされた閣僚声明の中で石炭火力の対応についても触れられております。
大臣、先ほど丁寧にしっかりとこの引用をされて、私も大事な文書ですので申し上げたいと思いますが、この声明によりますと、各国のネットゼロの道筋に沿って、二〇三〇年代前半又は気温上昇を一・五度に抑えることを射程に入れ続けることと整合的なタイムラインで排出削減対策の講じられていない既存の石炭火力をフェーズアウトすることや、その使用を可能な限り削減することに合意したということでございます。これ、様々報道でも多く捉えられ、また報道、強調されていた点でございます。
この点、先ほども御答弁いただいているわけですが、その背景を含めまして、どのような議論があったのか、また、これを受けて、日本政府としてどのようにこの声明を受けておられるのか、大臣に御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/153
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154・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) まず、今回のG7気候・エネルギー・環境大臣会合でありますが、これは昨年のG7広島サミットやCOP28後に開催された最初のG7の気候・エネルギー・環境大臣会合ということで、これらの会合における決定事項を具体的な行動に移す、そのためのG7の決意と団結を示す意味で、まず重要な意味合いを持った会合になったなという印象を持っています。
具体的に決まったことを申し上げますと、再エネ導入拡大に向けて世界のエネルギー貯蔵容量を六倍以上にすることへの貢献ですとか、それから水素、CCUS等の技術への投資拡大、あるいはSMRなどの革新的な原子力技術開発の推進、あるいはグリーン鉄の評価手法の確立や企業の削減貢献の定量化、革新技術の開発等を通じた産業脱炭素化の加速、あるいは重要鉱物・エネルギー技術のサプライチェーンの多様化、天然ガス投資の必要性やガスセキュリティーに関するIEAの機能強化などについて合意をされたということで、アクションにつながるようなものが数多く合意されたなと思っています。
今回の合意を踏まえて、日本としても、G7のみならず世界全体のネットゼロ達成に貢献すべく取り組んでいくという決意を新たにしたところであります。
御指摘の石炭火力につきましては、交渉上どういうやり取りがあったかということについては、やっぱりお互いの立場ありますので申し上げることはできないんで、私が申し上げることができるのは何を合意したかということに尽きるわけでありますが、各国のネットゼロの道筋に沿って、二〇三〇年代前半又は気温上昇を一・五度Cに抑えることを射程に入れ続けることと整合的なタイムラインで排出削減対策の講じられていない既存石炭火力を段階的に廃止すること、これが全てでありまして、これ以外のものはないということであります。
日本といたしましては、エネルギー基本計画に基づきまして、まずは二〇三〇年に向けて非効率な石炭火力のフェードアウトを着実に進めると。さらに、二〇五〇年のカーボンニュートラル実現に向けて、水素、アンモニアやCCUS等を活用することで、一・五度C目標と整合的な形で脱炭素型の火力に置き換える取組を引き続き推進をしていきたいというふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/154
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155・里見隆治
○里見隆治君 今大臣御答弁をいただきましたこれ、そのまま引用しますと、今回の合意を踏まえて、日本としても、G7のみならず、世界全体で温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするという目標の達成に貢献すると、大臣の御決意でございます。
私も、とかくG7、どちらかというと欧米系が多いわけでありますけれども、したがって、欧米ですと、ついついこの声明の中でもアフリカ途上国への支援などといった文脈でこうした協力ということが語られますけれども、むしろ、私ども日本としましては、例えばこれはアジア・ゼロエミッション構想、また共同体構想、AZECなどを通じてもう既にアジアには相当な協力案件が進んでおりますが、こうした技術協力、また協力関係など、これを強化していくということに非常に関心を持っております。
一昨日の参考人質疑でも、国際環境経済研究所の竹内純子主席研究員が、日本はいかにアジア諸国に貢献をしていけるか、また、石炭火力に多くを依存するアジア諸国に対して、石炭火力の低炭素化など、日本の現在の取組が必ず貢献できるといったお話もいただいております。
現に、この二月、経済産業委員会で愛知県のJERAの碧南火力発電所の視察もさせていただきました。アンモニア混焼技術がもう既に、これは世界初ということでありますが、二〇%の大型混焼がこの春開始をし、今後、早ければ二〇四〇年代には一〇〇%専焼を目指すということでありまして、こうした取組も今後アジアで技術協力をするに当たって非常に、大いに貢献できるものだというふうに期待をしております。
齋藤大臣に、我が国のこうした脱炭素への取組、これ世界、そして特にアジアに対して貢献していくと、その御決意、またお考えを教えていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/155
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156・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 御指摘のとおり、G7では、議長国のイタリアを始め、アフリカに関心が強いものがあるわけでありますが、やはり我が国としてはアジアが大事だというふうに思っておりまして、アジアにおきましては、電源の大宗を化石燃料に依存する国が多いという現状があります。今後、経済が成長し、エネルギー需要が増大をしていく中で、各国の事情に応じて水素、アンモニア、CCUS等を活用し、脱炭素化を進めていくということが大事なんだろうと思っています。
このため、日本の有する技術や知見でアジアの脱炭素化に貢献をしていこうということで、日本はAZECを主導をしてきているわけであります。昨年十二月に開催されましたAZEC首脳会合では、脱炭素、経済成長、エネルギー安全保障、この三つの同時実現と、それから多様な道筋によるネットゼロの実現、こういった理念を各国と共有をいたしました。そのほか、具体的なプロジェクトにつきましても、三百五十件以上の協力を確認をいたしました。
引き続き、AZECの枠組みを活用して、各国の事情に合わせた脱炭素技術の導入や、今後ERIAに設置されるアジア・ゼロエミッションセンター等を通じた政策の策定を支援をして、アジア、ひいては世界の脱炭素化に貢献をしていきたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/156
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157・里見隆治
○里見隆治君 今、G7を受けての大臣のお考えをお伺いしましたが、まさに今回の日本は、こうした大きな国際的な潮流、そしてその潮流を日本が先進国の一つの国としてリードしていく、その意気込みを感じます。そうした意味での今回の二法案の審議であり、また成立を期していくということであろうと思います。
その観点から、この水素社会の実現のために、これまでも、この数年来、例えば二〇二〇年にはグリーンイノベーション基金をNEDOに造成し、そして大きくグリーン成長戦略という枠組みで、十年間の支援策として共同開発、実証から社会実装までの継続支援が始められております。さらに、昨年、GX推進法が成立をしまして、今年からGX移行債も発行が進められておりますけれども、この移行債を財源措置として事業を立ち上げ、その上での今回の法律案だというふうに捉えております。
改めて、こうした大きな流れの中でこの水素社会推進法を制定することの意義、また基本的な考え方について、改めて大臣にお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/157
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158・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 水素につきましては、これまでグリーンイノベーション基金等を通じて技術開発や実証に対して支援を行ってきたわけでありますが、ロシアによるウクライナ侵略を契機に脱炭素化に向けた取組が加速をしてきました。欧米を中心として、低炭素水素等の確保に向けたグローバルな投資競争、これが激化をしてきています。
例えば、アメリカのIRAやEUの水素銀行など、欧米では、低炭素水素等のサプライチェーンの構築に向けて大胆な支援というものを講じ始めているわけであります。
水素燃料電池分野で世界をリードしてきた我が国といたしましても、諸外国に負けることなく低炭素水素等のサプライチェーン構築を推し進めていかなくてはなりませんし、世界で広がる水素の市場を獲得をしていくということも大事なんだろうと思っています。このような観点から、今国会に水素社会推進法案を提出させていただき、今御審議をいただいているということであります。
本法案は、低炭素水素等のサプライチェーン、これを早期に構築するために、価格差に着目をした支援、あるいは拠点整備支援、そういった大胆な支援措置を盛り込まさせていただいているわけでありますが、これらの措置によりまして、低炭素水素等が手に入らないから需要も生まれず我が国での水素関連投資も萎縮をするといった言わば鶏と卵の状態から脱却をして、官も民も一歩前に出て、日本の技術を取り込んだ大規模かつ強靱なサプライチェーンの構築に取り組んでいきたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/158
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159・里見隆治
○里見隆治君 ありがとうございます。
大臣から、今、拠点整備支援についてもお話をいただきました。これ、法案が成立する前から、もうこの三年、四年、この水素社会の推進というのは実質様々な予算事業で推進をいただいておりますが、その関係でいいますと、今年度、令和六年度の予算で水素等供給基盤整備事業、これが十五億円措置されております。この事業は、我が国の産業競争力強化につながるような水素供給基盤の実現可能性について調査を行うと、調査段階だというふうに受け止めておりますが、この事業、今年度、まさにこれから本格化して始めていくということだと思いますが、今後の予定、また、これがどのような形で拠点整備支援につながっていくのか、その点お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/159
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160・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
御指摘のこの水素等供給基盤整備事業でございますけれども、企業が水素などの自立可能なサプライチェーン構築の実現可否を判断するための言わばFS調査への支援でありまして、令和六年度政府予算において、御指摘のとおり十五億円を措置してございます。たまたまあしたまでが公募の期限でございまして、それを締め切った後、本年六月、来月を目途に、事業者が調査を開始できるような形で速やかに採択審査をこれから行っていきたいというふうに考えているところでございます。
この調査の大きな目的は、水素等の先行的で自立が見込まれるサプライチェーンの潜在的な可能性を持つ拠点候補を広く掘り起こしていくということでございます。こうした調査を行うことを通じて、事業者において、低炭素水素等の一定規模の需要の見通し、あるいはそれを実現するための共用タンクやパイプラインなどの整備のニーズ、これが具体的になっていけば、この法律に基づく計画認定の申請につながるようなケースも出てくるというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/160
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161・里見隆治
○里見隆治君 その意味で、各事業者それぞれのスタートの時期はまちまちだと思います。これから調査に入るところ、もう既に着手をされているところ、その意味では、これ、タイムスケジュール、スケジュール感としては幅を持って我々見ていかないといけないというふうに思っています。
この法案によります価格差支援また拠点整備支援の支援対象が二〇三〇年度までに供給開始が見込まれるプロジェクトを予定しているということでありますが、この供給事業、水素等の供給事業を検討している事業者の皆さん、幾つかお話を、また御意見をお伺いしましたところ、この数の面において、これ先ほど質疑がありましたけれども、かなりこの二〇三〇年度までに供給開始というふうになると限定的になってしまうのではないかといった御心配の声もいただいております。
また、経産省の審議会の中間取りまとめ、これ一月にありましたが、この中でも、大規模拠点三か所、中規模拠点が五か所ということでありまして、今後、確かに先ほどの御答弁で国際競争力ですとか、それからその全国的な最適配置といった御答弁もありましたが、しかし、これ、この二〇三〇年、二〇五〇年ということであれば、これはやはり全国的に広げていこうということだというふうに思います。
その意味で、いかに集中をし、そしてまた、先ほどは、拠点とそしてスポーク、その先をしっかりとサプライチェーンを構築していくんだということでありましたけれども、これらをしっかりとこの時間軸も想定する中で進めていただかなければならないと。そういう意味では、今から事業開始まで相当期間が掛かる事業者もいらっしゃるということですので、果たして供給開始を二〇三〇年までということでいいのだろうかと、今後の事業展開ということを視野に入れて、是非これを広く見ていただければというふうに思っております。
この支援対象について、経産省のお考えをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/161
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162・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
御指摘のとおり、今回の価格差に着目した支援と拠点整備支援、二〇三〇年度までに供給開始が見込まれるということを支援の要件といたしております。
委員御指摘のとおり、我々にも御指摘のような御懸念を企業の方々から伺う機会もございます。その点は重々考慮していく必要があると考えておりますけれども、一方で、既に制度の完成を待たずに、相応の投資リスクを抱えて先行的に案件形成を進める事例が各国でも動き出しておりますし、我が国でも速やかな取組というものに取り組んでいる事業者の方々、地域もございます。こうした動きにスピード感、遜色なく付いていくという観点では、こうしたことで速やかに挑戦する事業者を優先するということで、現時点では二〇三〇年度までに供給開始が見込まれるということの要件は緩めることは考えてございません。
他方で、まず、こうした形で、三兆円も視野に入れながら、二〇三〇年度までに供給開始が見込まれる先行的で自立可能なプロジェクトを具体的に立ち上げていくことが重要と考えておりますが、それ以降の追加的な水素等のサプライチェーン形成に向けましては、制度措置も通じた導入拡大を図っていく方針というふうに考えてございまして、こうした施策を組み合わせることで、自立した水素等のサプライチェーンの構築、そして拡大を目指していきたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/162
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163・里見隆治
○里見隆治君 まさにこれはスピード感を持ってということも反面大事だということも分かります。その意味では、二〇三〇年を目指し、また二〇三〇年に導入が見込まれると、事業開始が見込まれるということで、その辺はある程度幅があるのかなというふうに思っておりますので、こうした今のまずは行うべき支援、そしてその後、中長期、どういった支援策でこれをつなげ、また広げていくのかということは今から是非御検討いただきたいというふうに思います。
その意味で、今日幾つかこの後質問をするんですけれども、この今回の法案による価格差支援や拠点整備支援以外の様々な支援策、これをパッケージとして、現時点あるいはこの時間軸をもってパッケージとして、どういうふうにこの二〇三〇年、二〇五〇年に運んでいくのかということが重要だというふうに思っております。
その意味で、一つ取り上げたいのが長期脱炭素電源オークションについてでございます。
これまで伺ったことについては、この電気、ガス、両者に共通する点ですけれども、電気事業者について考えますと、この脱炭素の発電設備への投資、またその後のコスト回収ということを考えますと、この初期支援だけじゃなくて、これが経営として、ビジネスとしてしっかり成り立っていくのかということについては、この長期脱炭素電源オークションが今後どのような形で実施されているかということについても非常な関心を事業者側から見られております。
この長期脱炭素電源オークション、ちょうど始まったばかりというふうにお伺いしておりますけれども、その趣旨、概要、また併せて実施状況についても御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/163
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164・久米孝
○政府参考人(久米孝君) お答え申し上げます。
電力の安定供給を確保しつつカーボンニュートラルを実現していくためには、脱炭素化を前提として電源の新規投資を促していく必要がございます。このため、脱炭素化された供給力の拡大に向け、脱炭素電源への新規投資を対象とした長期脱炭素電源オークションを二〇二三年度から開始いたしております。
具体的には、脱炭素電源を対象に電源種混合の入札を実施いたしまして、落札電源には固定費水準の容量収入を原則二十年間得られることとすることで、巨額の初期投資の回収に対して長期的な収入の予見可能性を付与することといたしております。
初回の入札は今年の一月に行われまして、その後、電力・ガス取引監視等委員会による応札価格の監視を経まして、この四月二十六日に電力広域的運営推進機関から初回入札の約定結果が公表されたところでございます。初回入札の応札結果も踏まえつつ、脱炭素投資を通じた供給力確保が進む事業環境を整備してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/164
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165・里見隆治
○里見隆治君 今御説明いただきましたが、まさに長期的なビジネスとして成り立たせていくためには、今の長期脱炭素電源オークションによる経営をバックアップしていくという側面と、それから今回の法案による拠点整備支援、これは水素等の受入れ施設をカバーする、受入れ設備をカバーするものだと思います。また、その後のランニングのコストとして安価な水素の調達を可能とする価格差支援、これに加えて、この今のオークション、これらを併せ持って発電競争力が確保できないとなかなか発電設備への投資というものが進まないんじゃないかと、そういう問題意識を事業者の皆さんからお伺いしております。
そういう意味では、これ、それぞれ別個の施策、事業であろうかと思いますけれども、これらをしっかり合わせ技で、パッケージで支援できるような工夫、また柔軟な対応ということをお願いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/165
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166・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
御指摘のとおり、火力発電分野における水素やアンモニア等の利用に向けましては、発電設備の改修のみならず、水素などの製造を含むサプライチェーン全体を一体で構築する必要があるというふうに考えてございます。
このため、御指摘の電源オークションに加えまして、こうしたサプライチェーン全体の構築を進めるべく、一体の計画で措置する価格差に着目した支援、それと拠点整備支援を新たに措置したいと考えまして、水素社会推進法案を提出しているところでございます。それぞれの制度の執行に当たりまして、互いに重複は排除しつつ、一つのサプライチェーンの中で必要に応じて支援策を組み合わせて利用することを可能といたしております。
また、特に低炭素水素の製造等部分を支援する価格差に着目した支援制度につきましては、事業実現可能性の観点から、オフテーカー、買手の確実性をしっかり評価するということとしておりまして、拠点整備支援あるいは長期脱炭素電源オークションの獲得に向けて早期に検討を進めているなど、確度の高いプロジェクトについてはその分高く評価される方向としております。このため、拠点整備支援や長期脱炭素電源オークションと併せた価格差支援制度の活用というものが一体的に期待されるところでございます。
これらの制度を有効に活用しながら、水素等の製造から利用まで一体となったサプライチェーンの構築に励んでまいりたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/166
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167・里見隆治
○里見隆治君 是非一体的なパッケージとしての支援をよろしくお願いいたします。
また、改めてこの拠点整備という観点で御質問したいと思います。
先ほども触れましたけれども、二月の経済産業委員会の委員派遣で愛知県庁を訪問しまして、中部圏水素・アンモニア社会実装推進会議の取組を伺ってまいりました。この会議は、愛知県知事を会長として、地元民間企業、地元経済団体、愛知県、名古屋市などの地元自治体、また、国の関係機関としては中部経済産業局や中部地方整備局といった行政組織で構成される機関でありまして、水素、アンモニアのサプライチェーン構築や利活用の促進に向けた取組の状況を伺ってまいりました。経産省の皆さんも一部御同行いただきました。ありがとうございました。
この観点、ちょうど愛知ということで重なるんですが、一昨日の参考人質疑でも愛知工業大学の近藤教授からも同様の御紹介があったわけですが、この一番の入口、また出口となる港湾、港ですね、愛知でいえば名古屋臨海工業地域でのカーボンニュートラルポートを含むゼロカーボンコンビナート構想。ハブとなるこの臨海部だけではなくて、むしろハブ・アンド・スポークという意味ではこのスポークをしっかり整備をして、特に愛知は、この周辺部分、内陸の部分で物づくり工場が集積をする内陸部がありますので、そことの効率的な物流、輸送経路の確保、こうしたものも構想されているということであります。
まさにグランドデザインということだと思いますが、こうしたサプライチェーン構築、これは経済産業省だけではなくて、むしろそのインフラ整備という意味では国土交通省、また環境政策という意味で環境省も連携をして、是非横の連携を取って進めていただくべき事案なんだろうというふうに思います。
今申し上げたカーボンニュートラルポート、これは国交省が中心に推進をいただいておりますけども、今日は国交省にも来ていただいております。まず、現在の推進状況と、そしてこの法律施行、せっかく水素法ができますれば、更にこれは加速化をし、また連携強化をして取組が進められるのではないかというふうに思いますので、こうした経産省との連携という観点で今後どのように進められるか、その点も併せてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/167
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168・西村拓
○政府参考人(西村拓君) お答えいたします。
港湾は、低炭素水素等の輸送や貯蔵の拠点として重要な機能を果たすことが期待されており、その実現のため、国土交通省では、脱炭素化に配慮した港湾機能の高度化や、水素等の受入れ環境の整備等を図るカーボンニュートラルポートの形成に取り組んでおります。
その推進のため、令和四年に港湾法を改正し、港湾管理者が官民の関係者による協議会を開催し、脱炭素化の取組等を定めた計画を作成することとするなど、関係者の連携と取組の実効性を確保する仕組みを法定化いたしました。
また、経済産業省等の関係省庁とも連携し、大量の水素等の安全な取扱いや効率的な輸送体系の構築に向けた検討を行うとともに、水素を燃料とする荷役機械や船舶への低炭素燃料の供給機能の導入に向けた検討や現地実証などに取り組んでいるところでございます。
委員御指摘のとおり、カーボンニュートラルポートの推進のためには経済産業省との連携が重要であると考えております。このため、これまでも、両省が開催する委員会等におきましてお互いに参画するなど連携をしてまいりました。また、本法案におきましては、低炭素水素等の供給、利用の促進に向けた基本方針の策定や港湾を利用する計画の認定を両省共同で行うなど、更に連携を強化することといたしております。
国土交通省といたしましては、経済産業省を始めとする関係省庁等と連携いたしまして、カーボンニュートラルポートの形成を通じて、水素等のサプライチェーンの構築を支援してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/168
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169・里見隆治
○里見隆治君 連携という意味で、先ほども触れましたが、環境省も重要な立場、役割を担っていただいていると思います。まさにこのカーボンニュートラルポートについても、もう既に事業を開始されていると伺っております。港湾において、電動化が難しい荷役機械、先ほども御紹介ありましたが、これを水素内燃機械化していくようなモデル構築を行うための実証事業、実証支援、これを今年度から始められるということであります。
そもそも、環境省のカーボンニュートラルポート関連の支援策はもう既に始まっているんですが、来年度、令和七年度までの当面二年間の予定だということなんですが、これはやっぱり、二〇三〇年、二〇五〇年ということを考えると、やっぱり中長期的な支援の見通しというものをしっかり地元自治体、また事業者にも見せていく必要があろうかと思います。したがって、今回、水素、アンモニアの導入というこれからというときに、まだ来年度しか見通しが立っていないというのではちょっと寂しいんじゃないかというふうに思います。その意味で、まず今年度、来年度、しっかり頑張っていただいた上で、この事業も実証段階ということ、実証を支援するということでありますので、実証段階から更に導入支援として発展させていくべきものだというふうに思います。
これ、国交省も環境省もそうなんですが、財源的には昨年のGX移行債、失礼しました、GX推進法に基づくGX移行債、これが今年から発行されているわけですが、これちょっと経産省を前に言うのも申し訳ないんですが、別にこれ経産省だけの予算じゃないと思いますので、しっかりこのGX推進に資するということであれば、これは環境省であれ他省庁であれ、この財源は、これは限りがありますけれども、その枠の中で一番有効的な活用をしていくと。その意味では、こうした環境省のカーボンニュートラルに資するような事業というのもそういった財源からも手当てされてもいいのではないかというふうに私自身は思っております。
そうした今後の財源含め、また現状、そして今後の取組について、環境省から御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/169
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170・前田光哉
○政府参考人(前田光哉君) お答えいたします。
環境省といたしましても、港湾の脱炭素化のため、カーボンニュートラルポートの形成は重要というふうに考えております。そのため、これまでも国土交通省と連携しながら、脱炭素化に資する荷役機械等の導入支援、IoTを活用した低炭素化促進の支援等を実施してきました。さらに、荷役機械の水素内燃機関化の実証に今年度から取り組むこととしており、実証後の社会実装につながるよう、知見を取りまとめていく予定でございます。
引き続き、港湾の脱炭素化に向けて、関係省庁と連携しつつ、御指摘のGX経済移行に資する支援策につきましては、昨年二月のGX実現に向けた基本方針における投資促進策の基本原則等を踏まえつつ、必要な措置を検討してまいります。
答弁は以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/170
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171・里見隆治
○里見隆治君 是非、これはGX移行債、先ほど申し上げたとおり、経産省だけというよりも経産省がしっかり中心になって各省を巻き込みながら、この財源を本当に有効活用して、環境省、国交省とも連携をして進めていただければと思います。
では、次に都市ガス分野のカーボンニュートラル化についてお伺いします。
都市ガスの分野では、現在のインフラや、また消費器具をそのまま活用できるという利点から、合成メタン、Eメタンという言われ方もしますけれども、の期待が大変高うございます。そして、その実証実験、実用化に向けた研究開発が進められております。私ども、二月にも大阪ガスにも視察に行ってまいりました。
現行の第六次エネルギー基本計画においては、二〇三〇年には既存インフラへの合成メタンを一%注入と、最初は小さい割合ですが、その他の手段を合わせてガスの五%をカーボンニュートラル化していこうということで計画に、エネ基に位置付けられております。その上で、最終的に二〇五〇年にはこの合成メタン一%というところを九〇%にしようと、非常に意欲的な目標を立てております。逆に言うと、そうでないと、この一パーを九〇パーにするぐらいでないとカーボンニュートラルが達成できないということであります。
こうした取組の推進については、これ是非進めていただきたいと思いますが、現在、資源エネルギー庁の審議会、ガスワーキンググループというところで相当熱心に御議論いただいているということでありますが、現在どのような議論が行われているか、御紹介いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/171
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172・久米孝
○政府参考人(久米孝君) お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、第六次エネルギー基本計画におきましては、二〇三〇年に既存インフラへ合成メタンを一%注入することなどが掲げられております。これらの目標を目指していくためには、持続可能な形でカーボンニュートラル化に向けた投資が継続される環境整備を図ることが必要だというふうに考えております。
このため、資源エネルギー庁の審議会でありますガス事業制度検討ワーキンググループでは、昨年十一月より、環境整備のための措置として必要となる規制制度に関する検討を行ってきております。
具体的には、二〇三〇年の目標に向けては、速やかに規制制度を具体化し実行に移すことが必要であるとともに、中長期的には、民間事業者のプロジェクトの進捗や技術革新の進展、カーボンプライシング制度の検討状況も踏まえて慎重に検討することが必要になるというふうに考えてございます。これを踏まえて、おおむね二〇三〇年頃までの短期的に必要となる規制制度と二〇三〇年以降の中長期的に必要となる規制制度を分けて議論を進めているところであります。
いずれにいたしましても、都市ガスのカーボンニュートラル化に向けた取組が進展し、再生可能エネルギー由来等の水素を原料として製造された合成メタン、すなわちEメタンの社会実装が着実に進むよう議論を進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/172
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173・里見隆治
○里見隆治君 まさに規制制度について御議論いただいているということですが、その中で、私取り上げたいのが託送料金制度についてであります。
やはりこれも、今回の法案による支援策に加えて、いかに中長期的に永続的なビジネスにしていけるかという点で、様々なこの料金制度についても工夫が必要だと思っております。ちょっと私も聞きかじりですので、また詳しく正確に御答弁をいただきたいと思いますが、この託送料金制度というのは、既存原料との価格差を託送料金原価に算入することで、事業者にとっても予見可能性を持ってビジネスができるということだと思います。簡単に言うとそういうことなんですが、ちょっとこれじゃ分かったような分からないような話になりますので、もう一度、この制度の概要、また、今後どういうところが検討課題になるのかと、そうした議論についても御答弁をお願いできればと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/173
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174・久米孝
○政府参考人(久米孝君) お答え申し上げます。
都市ガスのカーボンニュートラル化に向けて、現在、ガス事業制度検討ワーキンググループでは、Eメタンの供給事業者の予見性を高める観点から、LNGとの価格差分の負担を適切に転嫁することができる仕組みを検討することが必要との議論がなされております。特に、二〇三〇年の目標に向けては早期に規制制度措置を具体化する必要があることから、これまでバイオガスの導入促進策として既に導入されております託送料金制度を活用する案をお示しした上で議論をいただいているところであります。
具体的には、Eメタンを導入する小売事業者のみが競争上不利にならないよう、ガス小売事業者間の公平性を確保する前提として、Eメタン導入に必要となる追加的な費用を託送料金原価に算入することによりまして、ネットワーク内の小売事業者全体で負担する仕組みを想定しております。
託送料金制度の活用に当たっては、算定方法等に関する検討も必要となりますので、引き続き審議会において議論を進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/174
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175・里見隆治
○里見隆治君 是非これは、先ほど申し上げましたけれども、事業の予見可能性ということで、今こうして取組をスタートする中で非常に注目をされた点でありますので、審議会における審議の加速化をお願いしておきたいと思います。
次に、賦課金についても、これも経済的なインセンティブ、ディスインセンティブがどう付けられていくかということで確認をしておきたいと思います。
昨年成立したGX推進法に基づくGX推進戦略において、炭素排出に対しては一律のカーボンプライシングとして炭素に対する賦課金を導入すると、また、GXに集中的に取り組む五年の期間を設けた上で二〇二八年度から導入するとされていまして、これまた新たなこの制度の大きな仕組みをこれまた改めて御提案をいただけるものだと思いますけれども、今回の法律案で低炭素水素等とされる予定の合成メタン、また合成燃料など、これ価格差支援をしたとしても、結果的に賦課金が大きな負担となってしまっては、結局導入にブレーキが掛かってしまうということだと思いますので、こうした賦課金の適用方法、これが導入の妨げにならないような、負担をいかに抑えていくかということが重要だと思います。
この制度設計についての考え方を御答弁いただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/175
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176・龍崎孝嗣
○政府参考人(龍崎孝嗣君) お答え申し上げます。
御指摘の化石燃料賦課金を始めとするカーボンプライシングでございますけれども、代替技術の有無、それから国際競争力への影響等を踏まえまして、経済活動を維持強化しつつ、雇用を守りながらその導入を進めていくことが非常に大事だと思ってございます。
このため、御指摘もありましたけれども、石油石炭税やFIT賦課金といったエネルギーに係る負担の総額を中長期的に減少させていく範囲内で、全体としては負担が増えない中で導入していくこと、それから、まずは企業がGXに取り組む期間を先行させた上で導入していって、その水準を徐々に引き上げること、この二点が特に肝要だと考えてございまして、特に導入当初においてカーボンプライシングの負担が大きなものとならないように留意をしつつ、脱炭素投資を前倒しで行うインセンティブとなるようにしてまいりたいと考えてございます。
こうした前提の下でございますけれども、化石燃料の輸入事業者等に対して課される御指摘の化石燃料賦課金は、昨年成立いたしましたGX推進法に基づいて二〇二八年度からの導入が決まってございます。この導入に当たりましては、化石燃料賦課金と同様に化石燃料の輸入事業者等に対して課されております石油石炭税などの既存の類似制度において各種の減免措置が講じられていることを踏まえつつ、その具体的な制度の在り方についてはよく検討していきたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/176
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177・里見隆治
○里見隆治君 よろしくお願いします。
続きまして、先ほどもCO2のこの排出量、また貯蔵量をどういうふうにカウントするのかという議論がありました。別の観点から、今日は環境省にお越しいただいておりますが、環境省所管の温暖化対策推進法、温対法ですね、によります温室効果ガスの排出量について、算定・報告・公表制度、これ、頭文字を取ってSHK制度と言われているようですが、このSHK制度について、これ従来、温室ガスを排出した企業単位でこの排出量を算定、報告、公表いただいているという制度でありますが、今後、このサプライチェーンをつないでいくと、あるいはこの取引をしていくということになりますと、これをどちら側で、先ほどは国をまたいでということがありましたが、これ個社をつないでいくと、どの会社で、どの企業でその排出量なり貯蔵量をカウントしていくのかといったことも論点になってこようかと思います。これ、より適正に、また頑張った人が頑張った分だけ評価をされるという適正な評価ができるように、またそれが公表できるようにすることで今後の事業者の排出量削減のインセンティブにもなろうかと思います。
今後の論点、また関心事項について質問すると、まず、現行の制度がどういうふうになっているのかということについて御説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/177
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178・奥山祐矢
○政府参考人(奥山祐矢君) お答えいたします。
温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度、いわゆるSHK制度につきましては、地球温暖化対策の推進に関する法律に基づきまして、温室効果ガスを一定量以上排出する事業者に自らの排出量の算定と国への報告を義務付け、報告された情報を国が公表するという、そういった制度でございます。
この制度の趣旨、大きく二つございます。一つは、排出者が自らが排出量を算定することによりまして、自主的な削減対策の検討、見直しにつなげるということ、二つ目は、情報を公表、可視化することによりまして、国民、事業者全般の排出削減に向けた理解を促進し、取組に向けた機運を醸成していくということでございます。
こういった趣旨の下、令和三年度には約一万二千の事業者の皆様から本制度に基づく温室効果ガス排出量を報告し、その報告内容を誰でもインターネット上で確認することが可能となっておりまして、委員御指摘のとおり、事業者の排出量削減のインセンティブとして機能しているというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/178
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179・里見隆治
○里見隆治君 今、現状の仕組みを御説明いただきましたが、先ほどの繰り返しになりますが、これは今まで単独の企業ごとの量的公表に主眼を置いてきたという制度でありますが、今後、他社、ほかの会社が排出した二酸化炭素を回収して利用また貯蔵する場合、これはまた、今回の法案によってこれいよいよ推進されていくということになりますが、その場合の算定方法ですね、これも明らかにしておかなければならないと思います。
今後、回収、利用、また貯蔵する事業者にとって、適切に算定される方法、この予見可能性につなげていくということが重要でありまして、その点、今の、現在の議論の状況、検討状況について御紹介をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/179
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180・奥山祐矢
○政府参考人(奥山祐矢君) お答えいたします。
現行制度の中では、排出されるCO2を回収して大気放出しない場合に、回収分は排出量から控除できることとしている一方で、回収したCO2を原料として作られる合成メタン等のカーボンリサイクル製品を使用する場合には、その燃焼により生じたCO2はカーボンリサイクル製品の利用者の排出量に計上するということとなっておりまして、カーボンリサイクルを促しづらいという、そういった算定方法となっているというところでございます。
カーボンリサイクルを促進する観点からは、カーボンリサイクル製品の利用者が排出削減を主張できることが望ましい一方で、CO2の回収者の努力も適切に評価されることが望ましく、これらを両立する制度とすることが重要だというふうに認識しております。このため、CCS及びCCUに係る算定ルールにつきまして、今申し上げましたような認識に立ちまして、現在、経産省とともに検討を進めているところでございます。
今後、来年度に報告される排出量への算定方法の適用を目指しまして、排出削減の主張に必要な要件などの具体化を進めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/180
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181・里見隆治
○里見隆治君 早急な検討、加速化をお願いしたいと思います。
あわせて、これ、経産省とともにということでありますので、このカウント方法について経産省からもコメント、答弁をいただいておきたいと思います。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/181
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182・久米孝
○政府参考人(久米孝君) お答え申し上げます。
Eメタンの燃焼により排出されるCO2は製造時に原料として回収されたCO2でありまして、化石燃料を燃焼した場合と比べて追加的なCO2の排出を抑えることができます。しかしながら、Eメタンはこれから活用が見込まれる新しい燃料でありますので、利用時のCO2排出量の計算方法について現時点では明確なルールが存在しておりません。今後、Eメタンの利用を促進していくためには、その計算方法の考え方を整理することが必要というふうに認識しております。まずは、Eメタンそのものの意義について海外から幅広い理解を得ることが重要であります。
政府としては、昨年のG7気候・エネルギー・環境大臣会合の閣僚声明において、カーボンリサイクルを含むCCUの意義を明記いたしました。また、昨年八月の日米の政府間対話等におきましては、我が国事業者が海外で行うEメタンの製造プロジェクトの紹介やCO2カウントの重要性についての議論を行い、本年四月の岸田総理大臣の米国公式訪問のファクトシートでは、このようなCCUS、カーボンリサイクルのプロジェクトの進展を日米両政府が歓迎するということも明記いたしております。
今御指摘いただきましたCO2カウントの整理に当たっては、国際的に説明可能で、かつ、CO2の排出削減量のダブルカウントを排除しつつ、客観的に環境価値が移転していくことを確認できる仕組みとすること、あわせて、Eメタンを国内で製造するか海外で製造するかにかかわらず、同じ考え方で整理を進めることが必要だというふうに考えております。
国内外の民間事業者の間で進められておりますCO2排出量の帰属に関する状況も踏まえながら、引き続き環境省とも連携しながら取り組んでまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/182
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183・里見隆治
○里見隆治君 ちょっと時間が迫ってまいりましたので、最後の一問にしたいと思います。
これもまた二月の経産委での訪問先であります愛知県碧南市の旭鉄工工業さんにお邪魔しましたが、そちら、元々は自動車部品製造業の会社でありますが、IoT技術を活用して生産性向上を図って、エネルギーコストの削減などを実現しているということでございまして、その経験を生かして、別会社、アイスマートテクノロジーという会社を別途立ち上げて、他の中小企業のDXの推進、エネルギーコストの見える化、その削減にまで事業を展開されていると、そんなお話を委員の先生方と一緒に伺ってまいりました。
民間企業、特に中小企業でこうした動きが広がることは大変望ましいことだというふうに思いますが、国としても是非こうした取組、後押しをお願いしたいと思います。経産省、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/183
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184・龍崎孝嗣
○政府参考人(龍崎孝嗣君) お答え申し上げます。
中小企業がGXに取り組むことは、エネルギーコストの削減、それから将来の受注拡大の可能性が広がる等のメリットがございます。また、ここ数年で、中小企業が取引先から排出量の把握、それから排出削減の協力を要請されるケースが多くなってきてございます。
御指摘の企業は、IT技術を活用しまして、生産状況、電力消費量、排出量を見える化して、中小企業の取組を支援しておられるものと承知をしております。こうした取組は大変重要でありまして、広げていく必要があると認識をしてございます。
このため、政府といたしましても、排出量の算定方法を分かりやすくまとめた資料を新たに作成いたしまして、GXに取り組むメリット等への理解増進を図るセミナーの開催、こうしたものも含めまして広報を開始してございます。それから、中小企業向け支援といたしまして、省エネ診断につきまして前年の申込実績の二倍の案件数に対応できるような必要な予算の拡充、それから、生産性向上要件に排出量を把握できるソフトウエアの導入に活用可能なIT導入補助金の措置、さらには、省エネ設備の投資を支援する省エネ補助金の拡充などの支援を講じてございます。
こうした様々な施策を講じまして、中小企業のGX推進につきましてもしっかりと取り組んでまいりたいと思ってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/184
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185・里見隆治
○里見隆治君 よろしくお願いします。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/185
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186・東徹
○東徹君 日本維新の会・教育無償化を実現する会の東徹でございます。
今日は、水素社会推進法と、それから二酸化炭素を回収して貯留するCCS事業法ということで質問させていただきたいと思いますが、ちょっと冒頭、万博のことについても質問させていただきたいと思います。
まず、資料をお配りさせていただいておりますが、万博というのは、ちょっと本会議でも言いましたけれども、水素船を移動手段として使うんですけれども、是非これ乗ってみたいなというふうに思っておりますが、万博のボランティアなんですけれども、これは万博会場内外で非常にボランティアさんのやっぱり力というのは大事でありまして、その万博のボランティアの募集、これ四月末で締め切ったわけでありますが、当初なかなかちょっと低調だったもので、どうなるのかなというふうにやっぱり心配しておって、もう私もボランティアせなあかんかなと、こう思っていたんですけれども、何と蓋を開けてみると、二万人の目標に対して五万五千二百二十二人の応募があったということです。
このことを大臣どのように評価されているのか、まずはお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/186
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187・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 大阪・関西万博のボランティアは募集人数を二万人としていたわけですが、速報値ではありますが、募集人数を大幅に上回る五万五千二百二十二人の方に応募をいただいたというふうに承知をしています。
まずは、応募いただいた方々に感謝を申し上げるとともに、万博に参加できる機会としてこれだけ多くの方々に興味を持っていただいていることについて大変うれしく思っています。
大阪・関西万博の開催まで一年を切ったわけでありますが、多くの国民の皆さん、特に日本の将来を担っていく子供たちに万博会場へ足を運んでいただけるよう、ボランティアの方々にも御協力いただきながら魅力ある万博づくりを推進していきたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/187
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188・東徹
○東徹君 ありがとうございます。
万博の会場でボランティアするってすごく魅力的だなと私も実は思っております。
ただ、今回五万二千二百二十二人の応募があったということで、二万人が目標数字なんですけれども、じゃ、これから抽せんをやっていくとか、また面接もするとか、何かいろんな方法で選んでいくんだろうというふうに思うわけですけれども、やっぱりできるだけ、せっかくやっぱり応募していただいた方にはボランティアをしていただいた方がいいのではないのかなというふうに思っておりまして、できるだけ多くの方に万博でボランティアしてもらうということを是非考えられないのかというふうに思うんですが、その点についていかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/188
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189・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 大阪・関西万博のボランティアは募集人数を二万人としていたところでありますけれども、これはあくまでも目安の数字でありまして、これを上回る人数を一切認めないという趣旨ではないというふうに私は理解をしています。
今回、募集人数を大幅に上回る方々に応募していただいたということは大変うれしく思っていますが、一方で費用面などの制約もございます。そのような中で、どのような運用、対応が可能か、ボランティアの運営主体である博覧会協会と大阪府・市において今検討されているというふうに承知をしています。
ボランティアは多様な方々に気軽に万博に参加いただける機会でありますので、諸制約を考慮に入れつつ、できるだけ多くの方に活動をいただきたいというふうに考えているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/189
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190・東徹
○東徹君 予算の制約があるということは我々も承知をいたしておりますので、その中でできるだけ効率よく多くのボランティアさんに参加してもらうという方法をお考えいただきたいなというふうに思います。
今回、この水素社会推進法、それからCCS事業法ですけれども、この法案をなぜ議論して審議して成立に向けてやっているのかということは、やっぱり脱炭素化社会を目指していこうというこの一環であるというふうに私も理解をしております。やっぱり敵はCO2だというふうに思っております。
そんな中で、まず温暖化対策のことについてお伺いをさせていただきたいと思いますが、この地球の温暖化対策として、脱炭素化社会、カーボンニュートラル、カーボンゼロの社会をつくっていくということは、もうこれは世界共通の課題でありますし、日本もそれに参画をして公約を掲げているということですけれども、そこで、二酸化炭素の排出をゼロにするという目標であるわけですけれども、新しい技術を用いて水素とかアンモニアの活用を進めていくとか、これからCCSの技術力を高めていく、これ脱炭素化社会を実現するだけでなくて、これは経済成長につながっていくということが非常に大事だというふうに私も考えておりますし、そこは大臣がずっと答弁されている思いと私も本当に同じ思いであります。
一方で、当然のことながら、コストを考えていくということも非常に重要であります。今日もいろいろとコストの話もたくさん出ておりました。できるだけ私もかぶらないように質問したいなというふうには思いますが、その国民の負担を増やすということは、やっぱりこれ極力抑えていかないといけないというふうに思うんですね。
大臣は今日の新聞御覧になられたかどうか分かりませんが、今日の日経新聞ですね、今日ですね、今日じゃないわ、五月九日ですね、(発言する者あり)あっ、今日ですね、実質賃金、二十四か月マイナスという報道がありました。二十四か月マイナスかと、また今月もかという思いをいたしております。
日本というのは、よく失われた三十年と言われていて、三十年間GDPが上がらず、賃金も上がってこなかったと。この間上がってきたのは、やっぱり税金と、それから社会保険料、これは間違いなくやっぱり上がってきたわけでありまして、何とか今賃金はやっぱり上げていこうということで政府も頑張っていただいておりますし、民間も頑張って何とか上げていこうという機運がやっぱり高まってきているというふうに私も思います。ただ、なかなか全ての企業がというわけにいかないわけですから、これ非常に難しいところもあるというふうに思います。そんな中にあって、企業にとっても、これますます電気代が上がるということになってしまうと、これまた利益が減って、賃金を上げていくことにまたこれ妨げになってしまうということも一方危惧するわけであります。
二酸化炭素排出をゼロにするということと併せて、コストを抑えていくということの重要性について、大臣に改めて今お考えをお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/190
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191・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) エネルギーは国民生活や経済活動の基盤でありまして、日本の国際競争力を高め、経済成長や賃上げ等につなげるには、やはり安定的で安価なエネルギーの供給、これを確保していくということは極めて重要な課題だと思っています。
我が国は、残念ながらすぐに使える資源に乏しく、山と深い海に囲まれて、国土の七〇%が森林といった地理的条件にある中で、やはりSプラス3Eの原則、これを徹底した上で、省エネ、再エネ、原子力、火力、水素、アンモニアなど、あらゆる選択肢を追求をしていくということしかないわけでありますが、ただ、その中で、エネルギーの安定供給と脱炭素の両立に向けた取組をしっかりと進めるわけですが、エネルギーコストにも十分配慮をしてエネルギー政策を進めていくということ、これは心してやっていきたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/191
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192・東徹
○東徹君 是非そこを考慮してやっていかないといけないわけでありますけれども、実際には、これ電気代というのはもう確実にこれ上がってきています。報道でも年間三万円ぐらいやっぱり標準で上がっていくんだというふうな報道がされておるぐらいでありまして、これ、再生可能エネルギーのこれ普及についても、これFITですけれども、この負担は国民が賄っているわけでありますし、また、四月からFITの金額も上がっていくということです。
今後、更に風力発電なども普及を進めていくと、金額も上がっていくのではないかと思うわけですね。これ、別の委員会でEEZの風力発電も今審議しているんじゃないかと思うんですけれども、そういったものも拡大していくとなると、また更に電気代というものがやっぱり上がっていくという可能性がこれは出てくるわけです。
電力中央研究所によりますと、再エネの普及が進むこれデンマークなんかは、家庭用料金ですけれども、我が国の二倍をですね、近くなっているというふうなことでもなっております。
我が国の将来の電気代についてですが、これ上がっていくということでいいのかどうか、まずここを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/192
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193・久米孝
○政府参考人(久米孝君) 今、再エネ賦課金についての御質問もございました。
再エネ賦課金は、これは、再エネ特措法に基づいて、再エネ電気の買取り費用等から再エネ電気を売電した場合に得られる収入を減じて計算されるものでございます。このため、この再エネ賦課金の水準、これを正確に見通すことは難しいわけでございますけれども、二〇一二年度のFIT制度開始直後における相対的に高い価格での事業用太陽光発電の買取り期間、これは二十年間で終了いたします。
足下では、FIT・FIP認定を受ける事業用太陽光の調達価格、これは一キロワットアワー当たり十円程度となっておりまして、FIT制度当初の四十円程度と比べて買取り価格は低下傾向にございます。こうしたことで、二〇三二年度頃にピークを迎え、その後、減少に転じる蓋然性が高いというふうに考えてございます。
今後の電気代の水準についてでございますけれども、これ御指摘いただきました再エネ賦課金の水準のみならず、例えばCCSやアンモニア、水素混焼など発電に係る新たな技術の開発、導入の状況、燃料価格の変動、あるいは今後の電源構成の推移、それぞれの電源を構成するコストの動向、人件費や発電設備の維持管理に必要な資材等のコスト変動といった電気事業に係る様々なコストの増減による影響を受けるということになると思いますので、現時点で予断を持ってお答えすることは難しいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/193
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194・東徹
○東徹君 実際には今上がっているわけですからね。将来、これ今いろいろと再エネを使って、太陽光を使ってこれからまた更に拡充していこうとか、また風力を使って水素を作っていこうとか、そういった計画もやっぱりあると思いますね。そんな中で、恐らく、どんどんどんどんとやっぱりコストの高いものがやっぱり増えていくということには間違いないんだろうというふうに思います。
そんな中で、将来の電気代に関わってくる話なので、是非ちょっと確認をしておきたいというふうに思いますが、原発の再稼働です。
現時点では、これ原発の再稼働、これなかなか進んでおりませんけれども、昨年のCOP28では、二〇五〇年に世界の原発の設備容量を二〇二〇年と比べて三倍にするという宣言がなされておって、これは日本もこれに賛同しているわけであります。
我が国では、二〇三〇年時点で電源の一九%を石炭火力にこれは頼る計画でありますけれども、G7では、先ほどからも話がありましたが、原則二〇三五年に向けて石炭火力の発電を段階的に廃止していくという方針も決まっております。
石炭火力に頼るとしていた部分も原発を含むほかの電源に置き換える必要があるのではないかというふうに考えるわけですけれども、これ原発の再稼働が進まないということを考えると、安全性の高いと言われている次世代の原発、これを増やす必要もあるというふうに思いますが、いつまでにどの程度増やしていくのか、この点についても伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/194
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195・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 将来にわたってエネルギー安全、安定供給の責任を果たしながら脱炭素社会を実現していくということを考えますと、原子力は再エネとともに脱炭素電源として重要であると思っています。そのため、安定供給の観点からも、安全性の確保を大前提に活用を進めていくというのが政府の方針であります。加えて、御指摘の次世代革新炉の開発、建設につきましては、GX推進戦略では、地域の理解確保を大前提に、廃炉を決定した原子力発電所の敷地内での建て替えを具体化する、その他の開発、建設については今後の状況を踏まえて検討していく、こういう方針を示させていただいたところであります。
他方で、具体的な建設時期等の見通しの御質問でありますけれども、これは電気事業者の判断や地元の御理解、これが大前提でありますし、余り先行して申し上げると、また安全を軽視しているのではないかということにもなりかねませんので、現時点で予断を持ってお答えすることは差し控えたいと思いますが、経済産業省としては、投資回収の予見性確保のための事業環境整備ですとか、次世代革新炉の研究開発、あるいは原子力サプライチェーンの維持強化等に引き続き取り組んでいきたいというふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/195
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196・東徹
○東徹君 なかなか非常に難しいなというふうには思うわけですけれども、非常にこれも残念だなというふうに思うわけですね。SMRも、我々はこういったものはやっぱり是非進めていくべきだと思っておりましたけれども、なかなか地質的に難しいという、以前、大臣からの答弁もありました。
再稼働、我々も再稼働をやっぱり進めていくべきだと、もちろんこれは安全性をというものをやっぱり担保した上でのことでありますけれども、是非それを進めていってもらいたいという思いですけれども、なかなかこれも進まないというふうな話でありました。ただ、やっぱり安全基準満たしたやつはやっぱり再稼働していくべきだというふうに思いますので、そこはやっぱりやっていっていただきたいなというふうに思います。
〔委員長退席、理事古賀之士君着席〕
続いて、核融合発電についてお伺いをしたいというふうに思います。
四月二十四日の参議院本会議でも核融合発電について、これ質問させていただきましたけれども、そのとき大臣からは、内閣府や文部科学省と連携し、核融合と共通性のある分野の技術開発等への支援を検討するという御答弁でありました。この核融合と共通性のある分野の技術開発等への支援、これは一体どういうものなのか、具体的にどういうことを想定しているのか、伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/196
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197・田中哲也
○政府参考人(田中哲也君) お答え申し上げます。
御指摘について、例えば、先進的なレーザー技術につきましては、炭素繊維複合材料等の加工しにくい材料を高精度、高速で加工する用途が期待されているほか、将来的にはレーザー核融合領域にも応用され得る技術であるというふうに考えております。こうした核融合にも応用され得る将来性のある技術の開発を果敢に取り組む事業者に対しまして、経産省としても、既存事業の活用等により研究開発等の支援を行い、その技術の確立や高度化を支えていくことを想定しております。
政府といたしまして、フュージョンエネルギー・イノベーション戦略が取りまとめられまして、核融合に関する研究開発の支援強化等が実施されている中で、経産省としても、引き続き必要な支援について前向きに検討をしていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/197
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198・東徹
○東徹君 今、既存の支援の活用というふうにおっしゃいましたけれども、既存の支援の活用というのはどういったことでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/198
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199・田中哲也
○政府参考人(田中哲也君) 具体的には、今ここで支援していますのは、ディープテック・スタートアップ支援事業で、こういった核融合の研究にも使えるような技術開発をしているスタートアップを中心に今支援しているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/199
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200・東徹
○東徹君 大体どれぐらいの金額規模か分かりますでしょうか。大体で。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/200
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201・田中哲也
○政府参考人(田中哲也君) 大体、この基金全体では一千億円の基金でありますが、この事業に対しては数億円で支援しております。
〔理事古賀之士君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/201
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202・東徹
○東徹君 ありがとうございます。
本会議のときにもちょっと触れたんですけれども、米国のスタートアップ企業の中には、二〇三〇年代の終わりから二〇四〇年代にかけて出力四十万キロワット級の小型炉、これを年間、年間ですよ、年間百基以上建設できる体制を整えているという企業があるということなんですね。
こういった企業との連携によって、二〇五〇年という我が国の核融合発電の商用化の時期を早めることができるのではないかというふうに考えますが、こういった企業との連携について考えていく、連携を今進めていく考えがあるのか、ここを大臣にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/202
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203・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 東委員のお話なので、そのアメリカの言及されたケースについてなんですけど、ちょっと私にはイメージしにくい世界だなというふうに思っていますので、本来は事実関係をきちんと確認をする必要があるお話ではないかなというふうに思っていますが、政府としては、昨年、フュージョンエネルギー・イノベーション戦略を取りまとめまして、内閣府、文部科学省を中心にこの研究開発の支援強化等、これを実施をしています。
核融合発電の実用化にはまだ多くの技術的課題が残っておりまして、本戦略におきましては、核融合による発電の実証時期、これをできるだけ早く明確にしたいということとともに、これを明確化するということと、研究開発の加速により原型炉を早期に実現する、これが掲げられているところであります。
四月十日の日米首脳共同声明におきましても、核融合の実証と商業化の加速に向けた日米連携のための戦略的パートナーシップ、これを発表させていただいております。大学、国立研究所、民間企業を含めた日米の協力、これを進めていくことになるものと承知をいたしております。
経済産業省としても、早期の社会実装には研究開発の加速が重要だというふうに認識しておりまして、内閣府や文部科学省とも連携をして、核融合と共通性のある分野の技術開発等への支援、これを我が省としては検討していきたいというふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/203
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204・東徹
○東徹君 是非前向きに検討していただきたいなというふうに思うわけです。また、具体的なことはまた次回質問させていただきたいと思います。
再生可能エネルギーの発電抑制についてお伺いをしておきたいと思います。
今回も、先日、参考人質疑の中で、太陽光発電を使って水素を作って、その水素でもって天然水を作ったりとか、またウイスキーを造ったりとか、そういった企業の取組も御紹介がありました。
我が国の発電量に占める再生エネルギーの比率ですね、二〇二二年度が二一・七%だったものが、二〇三〇年度には三六から三八%へ引き上げようということでありますが、せっかくこれ太陽光などで発電しても、九州とか四国などを中心に電力が余ってしまって、一時的に出力抑制を行っている現状があります。
二〇二三年度一年間の出力抑制のこれ回数、何回あったのか、それが一昨年と比べてどの程度増えているのか、まずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/204
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205・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
再エネ出力制御の回数でございますけれども、本年五月の集計時点におきまして、御指摘の昨年度は、東京を除く九エリアの合計で三百五回となっております。また、一昨年度、二〇二二年度は、北海道、東北、中国、四国、九州、沖縄の六エリアの合計で百三十六回となっておりまして、回数の比較で申し上げますと、二〇二二年度から二〇二三年度にかけて約二・二倍となっております。
なお、出力制御の回数でございますが、同日に複数のエリアで制御があった場合には、それぞれの回数を一回ずつ計上しております。また、制御量であるとか制御時間にかかわらず一回と計上しているという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/205
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206・東徹
○東徹君 もったいないですね。再生可能エネルギーということで電気を作っているにもかかわらず、これが余ってしまうということは非常にこれもったいないことで、二〇二三年度が三百五回、二〇二二年度が百三十六回ということで、二〇二二年から二三年にかけて二・二倍、その出力抑制が増えているということですね。
これ、非常に電力としてはもったいないなと思うわけですね。それぐらい余っているんだったらもっとほかに使えるだろうというふうに思ったりもするわけですし、火力の方をもうちょっと早めに引き下げられないのかとか、そんなこともやっぱり思ったりするわけですけれども、再エネのこれもう拡大をしていくということなんだと思いますけれども、出力抑制の回数を減らして再エネの無駄をなくすということは非常に大事だと思います。そうすれば、これは火力発電の発電効率も上がっていくし、発電コストも削減できるというふうに思いますし、電気代の抑制にもつながっていくのではないかというふうに思うわけですけれども、出力制御を減らすためには十メガワット以上の大型蓄電池の導入を進めていかなきゃならないというふうに思いますが、再エネの導入目標を達成するためにどの程度大型の蓄電池の導入が必要なのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/206
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207・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) 御指摘のとおりでございまして、再エネの出力制御、これは電力の安定供給を確保しつつ、再エネの最大限の導入を進めるためにやむを得ず行わざるを得ない措置でございますけれども、再エネ導入の妨げにならないよう、昨年末には出力制御対策パッケージというものを改めて取りまとめまして、蓄電池の導入促進を含め、需要及び供給面での対策を講じているところでございます。
御指摘のとおり、系統に直接接続する大型の蓄電池、いわゆる系統用蓄電池の導入、非常に重要でございまして、この見通しにつきましては、足下の導入実績等を踏まえまして、二〇三〇年に二十三・八ギガワットアワーというふうに政府として試算しているところでございます。
経済産業省といたしましては、系統用蓄電池の普及を進めるため、令和六年度予算におきまして、今まで単年度支援だったものを複数年度使える予算に衣替えした上で、系統用蓄電池の導入支援に新たに四百億円の予算措置を講じております。こうした形で蓄電池の導入コスト低減を通じて蓄電池の拡大を図っていきたい。
あわせて、こうした支援に加えまして、蓄電池の系統への接続ルールの整備であるとか、あるいは需給調整市場など各種電力市場の整備による収益機会の拡大ということを取組進めておりまして、蓄電池の普及拡大をしっかり後押ししてまいりたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/207
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208・東徹
○東徹君 是非、蓄電池の普及拡大、やっぱりしていっていただいて、余った電力ができるだけ減らすようにしていっていただきたいというふうに思います。
水素等の導入についてお伺いをしたいというふうに思います。
水素基本戦略では、水素等の導入量の目標が二〇三〇年が三百万トン、二〇四〇年が一千二百万トン、二〇五〇年が二千万トン程度ということで設定をされておりますけれども、この目標導入量というのはこれ本当に現実的なものと言えるのかというふうに思うわけですけれども、この点についてはどうなのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/208
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209・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
我が国では、現行の第六次エネルギー基本計画に基づきまして、御指摘のとおり、水素の供給量、二〇五〇年には年間二千万トン程度に拡大することを目指しております。この数値でございますけれども、この検討に当たりまして、事業者へのヒアリングあるいは審議会等における御議論を経て設定したという経緯がございます。こうした観点から妥当な数値であるというふうに現状では考えてございます。
一方で、この法案、本日御審議いただいている法案が成立した暁には、新しいサプライチェーン形成の動きも出てくるというふうに考えます。世界的な動向も踏まえつつ、必要に応じてこの二〇五〇年の数値というものがいかにあるべきか検討を加える必要も出てくるのかなというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/209
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210・東徹
○東徹君 水素というのはコストが高いというふうにも思っておりますし、電気というのは電気そのまま使った方が一番安いわけでありますから、これは一番効率がいいというかですね。やっぱり水素というのは、この間の参考人質疑の中でもありましたけれども、水素でないとやっぱり駄目だというところ、そこに一番やっぱり使っていくのが一番効率がいいということでありました。恐らく鉄鋼関係だとか化学関係だとか、そういったところだというふうに思うわけですけれども。
そんなに水素をどんどんと必要なのかなというふうに思ったりもするわけですけれども、現在の水素の導入量ですけれども、これ二百万トンというふうにされておりますが、この量と目標と比べると、これ海外から輸入も含めて大きく拡大していかないと、二〇五〇年の二千万トンという目標にはこれ達成できないというふうに思うわけですね。
これ、どのようにして供給量を増やしていく考えなのか、海外からの輸入量のことも含めて具体的にお示しをいただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/210
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211・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
二千万トンという数字でございますけれども、直近も我々産業界の皆様などと議論しておりますが、両方の議論ございます。こんなにやれるのかという声もあれば、鉄鋼で本当に水素還元製鉄をやるとするとこれでは全然足りないという声もございます。
ですが、委員御指摘のとおり、コストがどこまで下げられるのかということと、どこまで安定的に国内と海外から調達できるのかというところによってどれだけ使われていくかというところも変わってきてしまうというところがあると思います。
まず、現行の二千万トンというところでございますけれども、我々といたしましては、まずはエネルギー安全保障の観点も含めて、先ほど御指摘ありました地域における余剰再エネを有効活用したような形での国内での水素製造、こうした形の調達をまず最大限進めるということが肝要だろうと考えております。
他方で、これでどれだけの規模が確保できるのかというのは、現状、この法案が御審議の上で成立した上で計画が出てまいりますので、それを見ながら見極めていく必要があるというのが現段階でございます。
また、どうしても、少なくとも当面の間、国内での水素、この製造規模やコスト、海外で安価に再生可能エネルギーを使えるところ、あるいはCCSが行われるところから輸入するプロジェクトの方が単価として安いのではないかといったような考え方ございます。
こうした観点で、これも法律に基づく計画が出てきたところでコストと量が見えてくるわけでございますけれども、その段階で数値が見えてきますが、こちらしっかりと精査をしながら決めていきたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/211
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212・東徹
○東徹君 鉄鋼ではこれでは足りないというお話も今ありましたけれども、電気炉に変えていく炉も増えていっているというふうに聞いております。全て水素でなければならないというわけではないというふうに思いますので、その点またお聞きしていきたいなと思いました。
今年三月二十八日ですけれども、日本原子力研究開発機構ですけれども、OECDと共同で高温工学試験研究炉、HTTRと呼ばれる高温ガス炉の安全確認試験に成功したという報道を見ました。高温ガス炉ですけれども、通常の原発に比べて出力は小さいものの安全性が高いというふうに言われておりまして、ここで作った熱を活用して水素の製造につなげることができるという、そういう報道だったというふうに思うんですけれども、順調にいけば二〇二八年にも水素製造試験を始めるという計画だということでありましたが、高温ガス炉による水素製造について、これ、国としてどのように進めてどの程度拡大できると考えているのか、お伺いをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/212
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213・久米孝
○政府参考人(久米孝君) お答え申し上げます。
御指摘の高温ガス炉による水素製造につきましては、九百度を超える高温の熱を取り出せる特性を生かしまして、カーボンフリーの電力、熱、水素の供給により産業の脱炭素化に貢献することが期待されております。
一方で、解決すべき技術課題もあるというふうに認識しておりまして、具体的には、燃料製造、再処理技術の確立、機器の大型化、高温ガス炉と水素製造施設の安全な接続に必要な技術の確立などの課題が挙げられております。こうした課題を解決し、高温ガス炉の実用化の見通しを得るため、昨年七月に中核企業として三菱重工業を選定し、八月より実証炉開発事業を開始したところであります。
まずは、実証炉開発を通じて高温ガス炉による水素製造技術の実現性あるいは経済性を確認するべく、しっかりと研究開発を進めてまいりたいという段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/213
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214・東徹
○東徹君 いろいろ課題があるというお話ですけれども、研究をやっぱり更にこれを加速していくということが僕は大事だというふうに思っておりますので、是非また、この点についてはまた質問させていただきたいというふうに思います。
続いて、質問がかなりちょっと変わるかもしれませんが、私、非常に大事なことだというふうに思っておりまして、何かというと、企業献金の話ですね、企業・団体献金の話です。
なぜこれが大事なのかというと、やはり今回、国が二十兆円のグリーン債を、移行債を発行して、GX債を発行して、そして百五十兆円の官民の投資を呼び込んでいくということでやっておられるわけですけれども、今、別の特別委員会で政治改革のことが審議されておりますけれども、私はやっぱり、非常に今、やっぱり日本の政治というのは非常に信頼が損なっているというふうに思っています。
これ昨年の世論調査なんですけれども、これ毎年出ているやつなんですが、昨年の十月の世論調査なんですけれども、国会議員が信頼できるというのは、これ僅か六・六%なんですね。その後、この裏金問題が出てきましたので、そこからまだ更に下がっているんではないかというふうに思うわけです。
やっぱり、非常にその政治と金の問題ということについて、今やっぱり国民がすごく関心を持っているというふうに思われます。そんな中で、今回大きな予算でこういった仕組みをつくっていっているわけでありますから、非常にここは大事だというふうに思います。
天下りが全て悪いというふうに私も思いません。非常にやっぱり優秀な方がその適材適所で長く活躍していってもらうということもこれ大事だというふうに思いますが、四月二十四日の本会議でも質問させていただきましたけれども、エネルギー資源開発連盟という団体ですけれども、自民党の政治資金団体である国民政治協会、毎年これ四百万円の献金を行っているというところですけれども、この団体の前会長と現在の副会長二名が経産省OB、で、この前会長と副会長のうち一名は、株式会社INPEX、旧国際石油開発帝石の社長であって、この会社の大株主であって、また取締役の選任に拒否権を持つ唯一の種類株主が経済産業大臣となっておって、取締役の選任について、これあくまで経済産業大臣が反対したことはなくて、天下りを認めているという事実があるわけです。
この会社の役員人事についてですけれども、適切かつ透明な手続を得てなされているという、大臣からのこれ答弁だったんですけれども、この会社の取締役の選任についてなんですけれども、これ取締役選任については指名・報酬諮問委員会という組織がこれ設置されておって、令和五年度の諮問委員会の委員五名のうち二名が経産省OBで、残りの三名は社外取締役で構成されているということなんですね。
天下りをしてきたOBが社内取締役として出席して諮問委員会において天下りの議論をするということは、これ余り美しくないなというふうに思うわけです。適切かつ透明な手続というふうに本当に言えるのかなというふうに思うわけですが、この点について大臣の方からお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/214
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215・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) まず、株式会社INPEXの取締役選任につきましては、会社法あるいは東京証券取引所が定める指針であるコーポレートガバナンス・コード、これを踏まえた選定が行われているというふうに承知をしています。
具体的には、過半数が社外取締役で構成される指名・報酬諮問委員会において取締役候補を選定をすると、それから当該取締役候補を取締役会で決定した上で株主総会で取締役を選定をしているということでありますので、INPEXは上場民間企業でありますので、株式市場や株主との関係で適切かつ透明な手続を経ている、こういうことになっています。
御指摘の指名・報酬諮問委員会の構成員のお話ありましたが、株式会社INPEXの取締役会におきましては、個人としての経験や見識を基に取締役の中から評価、選定をされているというふうに聞いております。私は、経済産業省のOBであるからという理由をもって直ちに不適切であるとは言えないというふうに思っています。
また、同委員会の構成員は、従前より社外の取締役が過半数であります。二〇二四年三月には社外取締役三名、社内取締役一名の計四名が選任をされて、更なるコーポレートガバナンスの強化を図るために、同委員会の委員長は社外取締役から選任をされているというふうに承知をしておりますので、先ほど申し上げましたように、株式会社INPEXは、上場民間企業として株式市場や株主との関係で適切かつ透明な手続を経ているというふうに承知をしています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/215
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216・東徹
○東徹君 なかなか、私が言いたいのは、やっぱり見た目ですね、余り良くないですよということをやっぱり申し上げておきたいなというふうに思います。やはり、まあやっぱりなと、そうなのかというふうに言われないように是非そこは検討していく必要があるのかなというふうに思うわけです。
献金のことについてですけれども、エネルギー資源開発連盟ですけれども、今年三月まで石油鉱業連盟という名前で活動しておりましたけれども、確かにこれ任意団体ですけれども、INPEXとか石油資源開発など経済産業大臣が大株主の会社が会員として含まれておるということで、この団体の会長や副会長、その会長、社長である経産省OBがいたということが言えるわけですけれども、本会議でもこれ質問しましたけど、任意団体とはいえ、経済産業大臣が取締役就任に反対しないことで就任できた経産省OBが幹部を務める団体から、その会員企業から、会費などの原資と思いますが、それを基に、国民政治協会ですね、これ献金されているということなんですね。こういうのを見ると、やっぱり政と官の癒着に見えてしまうわけなんですね。
同様のことは石油連盟でも行われておって、石油連盟の専務理事と常務理事はこれ経産省OBなんですけども、石油連盟から国民政治協会に毎年五千万円の献金が行われておるわけなんですね。
私は、天下りは、それはきちんとやっておってきちんと選任しておるということだということなんでしょうけども、じゃ、献金は、やっぱり団体献金は何かこう美しくないなというふうに思うわけですね。それ、大臣、これそう思いませんかということを聞いてもなかなか答弁は難しいというふうに思いますので、僕は今非常に、今政治と金の問題で非常に大事なときだというふうに思うわけですね。いろんな形でこれいろんなお金が動くわけですから、こういったことは、やっぱり献金というのはやめていくべきだし、こういったところにパーティー券を売っていくのもやっぱりこれはやめるべきだというふうに思うわけですね。
CCSのこの委託事業についても質問させていただきますが、これ経産省の委託事業でCCSに適した土地の調査を行っているものがあって、最近では毎年五億五千万円の予算が付いておりますけれども、この事業というのは日本CCS調査株式会社が公募で委託されておって、そこから日本CCS調査会社の株主である石油資源開発株式会社とその子会社の株式会社地球科学総合研究所にそれぞれ業務がこれ外注されているわけでありますけども、日本CCS調査会社の取締役とか石油資源開発株式会社の会長と顧問に経産省OBがおるわけですけれども、この石油資源開発株式会社の会長というのは先ほどのエネルギー資源開発連盟の副会長でもあります。
天下りの問題はこれおいておいたとして、経産省から補助金を受けた会社があって、その株主であってその外注を受けた会社がエネルギー資源開発連盟という団体を通じて自民党の政治資金団体である国民政治協会に献金をしているという構図が、余りこれもう美しくないなと思うわけですね。やっぱり、こういうのはやっぱり改めるべきだというふうに思うわけです。
当然、献金もそうだし、パーティー券をそういったところに買っていってもらうというのもこれやっぱりやめなかったら、で、二十万円まではパーティー券、今会社名が出ないですから、それをいいことにやっていこうというのはやっぱり良くないと思いますし、だから、やっぱり今議論としてそれを下げていくべきだという議論があるんだろうというふうに思います。
是非、そういったふうに政治と、政官業の癒着じゃないですけれども、そういうふうに見られないようにやっぱりしていかないといけないということを申し上げておきたいなと思います。
ちょっと最後になりそうなので、先にちょっと質問を順番を入れ替えさせていただいて、公正取引委員会のことについて質問させていただきたいと思います。
この法案と独占禁止法の関係についてお伺いしたいと思いますけれども、今回の法案では、これ、主務大臣が低炭素水素等の供給利用の促進に関する基本的な方針を定める際に、あらかじめ関係行政機関の長に協議することとなっているほか、計画認定の際にも協議することができるものというふうにされております。
まず、そこに公正取引委員会委員長はこれ含まれているのかどうか、お伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/216
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217・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
本法案の第三条第四項と第七条第八項における関係行政機関には合議制の機関を含めるという形にしておりまして、御指摘の関係行政機関には公正取引委員会が含まれるとなってございます。
本法案においては、供給事業者と利用事業者が共同で計画を作成して国に認定申請を行うことも想定されることから、計画の認定に際して独占禁止法上の論点があると考えられる場合には公正取引委員会に協議することとなると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/217
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218・東徹
○東徹君 独禁法の問題というのはやっぱり大事だというふうに思っていまして、鉄鋼や石油化学などCO2の排出量の多い部門では、単独の企業での投資判断がというのはやっぱりこれ難しいんですよね。複数社の連携がやっぱり必要でありますし、そこはやっぱり大事だというふうに思うわけです。
この場合、独占禁止法がこれ適用されることになると、必要な連携がこれ取れなくなってしまうということが起こってしまうわけでして、脱炭素の取組をこれ阻害する要因となりかねないというふうに思うわけです。
脱炭素への取組と独占禁止法との関係、これどのように整理していくのか、そして、公正取引委員会のガイドラインだけではなくて、企業が投資判断しやすくなるような取組というのがこれは必要ではないかというふうに思うんですが、その点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/218
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219・岩成博夫
○政府参考人(岩成博夫君) お答えいたします。
公正取引委員会におきましては、企業の脱炭素への取組を後押しするということを目的としまして、令和五年の三月に、グリーン社会の実現に向けた事業者等の活動に関する独占禁止法上の考え方、いわゆるグリーンガイドラインと呼んでおりますけれども、これを公表したところでございます。
このガイドラインでは、脱炭素への取組と独占禁止法の関係について、企業の予見可能性を高めるために、独占禁止法上問題とならない場合の想定例や考え方を示すということに加えまして、企業向けの相談窓口の案内といったことも行っているところでございます。このグリーンガイドラインにつきましては、企業からの具体的な相談事例等を踏まえて、令和六年四月、先月ですけれども、考え方を更に明確化するための改定を行ったところでございます。
公正取引委員会としては、今後とも、企業からの相談に積極的に対応するとともに、企業や関係省庁と対話をしながら継続的にガイドラインの見直しを行うことによって、企業の予見可能性の向上に努めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/219
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220・東徹
○東徹君 そこ、しっかりとその辺の部分の周知等していっていただきたいというふうに思います。
一分だけ余りましたが、ちょうどいいところなので、これにて質問終わらせていただきます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/220
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221・礒崎哲史
○礒崎哲史君 国民民主党・新緑風会の礒崎哲史でございます。本日はどうぞよろしくお願いをいたします。
今日は、水素社会推進法をメインに質問をさせていただきたいと思います。
まず最初の質問ですけれども、そして、これまで質問された委員の皆さんとかぶるところが若干ありますけれども確認をしていきたいと思いますが、まず、今回、この水素社会推進法で、今後、将来的に水素需要の広がり、どのように予測しているか。量的なお話は二千万トンというお話もございましたけれども、分野としてどういうところまでの広がりというのを想定しているのか。この辺も含めて将来予測を少しお伺いをしたいというのが一点。
それから、加えて、やはりどうやって、じゃ、供給という観点でそれを確保していくかということでいけば、やはり国内生産量というのも確認したかったんですが、先ほどの東委員との答弁の中で、なかなか今現在、数字そのものは難しいということでもありましたので、ここはちょっと質問はあえて控えたいと思います。
代わりに、だとすれば、やはり輸入もしていかないといけないということですので、グローバルでやはりこの水素、需要が増えて、供給面でいけば取り合いになるとすると、どうやって確実にこの水素を日本としても輸入、これ確保をしていくかという権益の確保、これが大変重要になってくるというふうに思いますが、その権益確保に向けて具体的にどのような取組を行っているのか、この点についてまず大臣にお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/221
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222・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 先ほど来から議論になっていますように、第六次エネルギー基本計画では、水素供給量は、まず二〇三〇年に最大三百万トン、二〇五〇年には二千万トン程度に拡大することを目指すとしておりまして、分野は、これも繰り返しになりますけど、鉄や化学、商用車といった脱炭素化が困難な分野、ここに需要を広げていくということが重要だというふうにされているわけであります。
権益のお話がございました。輸入水素につきましては、御指摘のとおり、海外における権益の確保、これをしっかりとやっていかなくちゃいけないということだと思います。まず、JOGMECによる上流権益獲得のためのリスクマネー供給支援、これを行っていきたいと思っています。あわせて、価格差に着目した支援の計画の評価、これを行うに当たりましては、上流権益の取得状況ですとか参入比率も評価項目の一つとして判断をしていきたいというふうに考えています。
水素社会推進法による支援を通じて、具体的なサプライチェーン、これを立ち上げながら、国内での水素の生産量の見込みについても見ながら、また、輸入の方も見ながらベストなソリューションを探っていくということになるんだろうと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/222
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223・礒崎哲史
○礒崎哲史君 ありがとうございます。
今大臣からそのリスクマネーの供給含めて権益確保に向けたお話もいただきました。供給する側、相手国といいましょうか相手企業といいましょうか、そちらからすれば、安定的にきちんとしたボリュームのものをしっかりと買ってくれる相手、それなりのコストできちんと取引してくれる相手、信用、途中でころころ計画変えないとか、こういうのが重要なポイントになるというふうに思います。これまでもLNG含めて日本は長期契約を結んでしっかりと輸入するということで優先的にそれを確保できてきたと、こういう経緯もありましたので、やはり水素でもそういう観点、非常に重要だと思います。
ただ、その一方で、安定的に買ってくれるということは、日本国内の需要がきちんとキープされていくといいますか、大きくなっていくということが必要なので、需要の拡大ということでも今お伺いをしました。今大臣からは、電化がやはり難しい、やはり水素を引き続き必要とするということが言われましたけれども、需要の拡大ということを考える上で、本当にそこの分野だけでいいのかなと。先ほどの答弁の中では、これまでのやり取りの答弁の中では、鉄だけでも足りるかどうか分からない、もっといっぱい要るんじゃないかという話もあったので、それだけでも十分なのかもしれませんが、やはり需要家を増やしていくという意味では、より広い分野というのもやはり視野として入れていかなければいけないというふうに思います。
その意味で、この需要の拡大、特にサプライチェーンをしっかりと構築していくという意味では、政府として需要家を増やすための取組としてどのようなことを取組として行っていくのか。今日の午後一、村田委員とのやり取りの中で、先日の参考人質疑の参考人の御意見で、そのグランドデザイン、きちんと、どういうところで、どういう需要家に対してどういうふうに供給をしながら産業として構築していくのかというグランドデザインがそもそも描けていないとかですね、あるいは、実際に山梨でその水素事業を行っている方たちが、更にじゃ需要家増やしていこうという話をするんだけれども、そもそも水素ってどう使っていいか分からないとかですね、自分がそれに該当するのかもよく分からないということで、需要家の広がりがないというのが一つ問題としてあるんだというのが現時点でも指摘がされていました。
その意味では、しっかりと需要家を増やしていく、あるいは地域ごとに需要を広げていく、その上で地方自治体ともしっかりと連携をしていく、そこに対してサポートするということも大変重要だと思いますし、今言ったグランドデザインというのをやっぱり描くためには専門的な知識を持った人も必要だと思うんですよね。
その意味では、そういった専門的知識を持った人材的なサポート、こういったものも必要ではないかなというふうに思うんですけれども、ちょっと済みません、今いろいろと質問してしまいましたけれども、これに対してもお答えをいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/223
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224・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) まず、低炭素と水素のサプライチェーンの形成には低炭素水素等の需要を広げていく取組が重要だというのは、委員御指摘のとおりだと思います。地方経済産業局ございますので、この局通じて、地方自治体とも協力をしながら、地域の実情に応じた水素の需要の掘り起こし、これに取り組んでいるところでありまして、こうした取組はこれから一層加速をしていかなくてはいけないと思っています。
また、どの地点に水素等の供給拠点を整備し、その近傍の需要を掘り起こしていくかというふうに考えるときには、やはり御案内のように、将来的にどういったインフラを通じて更なる需要拡大へと広げていくのかみたいなグランドデザインというものが必要になってくるんだろうと思いますし、こうした取組をやるには、やっぱり人材の確保、委員御指摘のように必要なんだろうと思います。
経済産業省では、自立可能な水素等のサプライチェーン構築の実現可否を判断するための調査に対して支援を行いたいと思っているし、今行っているわけでありますが、こうした調査支援等を通じて、自治体やグランドデザインを描く人材、こういった人たちを巻き込みながら、サプライチェーンの潜在的な可能性を持つ拠点候補、これを広く掘り起こしていきたいなというふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/224
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225・礒崎哲史
○礒崎哲史君 今回の法案でも、その自治体との連携については法文上も記載はされていますけれども、やはりもっと具体的に、先ほど実際に山梨で事業を行われている方たちからすると、よく分からないという方たちが多いというのが実情だと思いますので、しっかりとその辺の知識がある、知見がある人たちが積極的に入っていく、そうしたことも取り組んでいただく必要がやはり今後出てくるんだというふうに思いますので、その点はお願いをしたいというふうに思います。
それから、続いての質問ですけれども、条文の二条の一項、この低炭素水素等とはということで、定義がそこに書かれていました。この定義が書かれていたんですけれども、具体的には、今後、経済産業省令で定める要件に該当するものということで、今後の省令の中に入れていくというようなことで記載がされています。
とすると、具体的に、水素等という表現があるわけですけれども、その水素等の中には具体的にどのようなものが含まれるということで今想定をされているのか。その中には、例えば合成燃料のような水素由来のものというものが全部入ってくるのかどうかですね。あとは、具体的にこういうもの、こういうもの、こういうものということで、具体的な記述がされるのかどうか。その点も含めてお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/225
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226・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
御指摘の水素などにつきましては、法案では水素及びその化合物であって経済産業省令で定めるものというふうに定義しておりまして、具体的には、水素のほか、アンモニア、合成メタン、合成燃料とすることを想定いたしております。これを省令の形で明記していく形で検討をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/226
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227・礒崎哲史
○礒崎哲史君 ありがとうございます。
ちょっと細かい話になりますけれども、その合成燃料という今表現の仕方をされたんですけれども、合成燃料の中でも、その化学記号といいましょうか、組合せによっては多分幾つかのものが出てくると思うんですけれども、そういうものはより具体的に定義されていくものなのか。それは言ってみれば、合成、いわゆる合成燃料というものであれば全部含まれていくようになるのか。少し細かいところですけれども、その点、確認させてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/227
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228・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) 基本的には、合成燃料という形で、今のガソリンであるとか軽油あるいはジェット燃料などの化石燃料に代替するような形で利用が見込まれるような、いわゆる水素化合物ですね、水素と炭素が結合して燃料の用途を果たすものというものを、ちょっと詳細の書きぶりはこれから専門家の意見も踏まえて検討しますけれども、広く読めるような格好で規定していくことを検討しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/228
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229・礒崎哲史
○礒崎哲史君 ということは、代替燃料と、現状の液体燃料に代替されるものという、考え方としてはそういう考え方で検討いただけるということだと思いますので、理解をいたしました。ありがとうございます。
今、その合成燃料のお話は伺いましたけれども、実際、一番最初の質問の中で、国内での生産がし切れないということで、海外から水素そのものを輸入してくるということで確認はいたしました。そうすると、実際、この低炭素水素のその定義も含めて考えますと、CO2のこの算定範囲、これがどうなっているのかというのが一つやはりポイントになってくるというふうに思っています。現段階においては、これは他の場所での大臣の答弁の中で、現段階において、国際的には貯蔵時や輸送時のCO2排出量の測定方法の議論が収れんしておらず、このため我が国では、現時点でこれらのCO2排出量を含めることを想定しておりませんということで大臣答弁がありました。国際的には意見がそろっていないということですから、当然そういうことになろうかというふうに思います。
ただ、やはりこれをしっかりと定義をしていかないと、今後のそれこそ水素の取引、あるいはCCSのところで二酸化炭素が取引されるかどうかというのもありますけれども、このときにどういうふうにCO2をカウントしていくのかということが国際的なルールとして統一されませんので、事業、経済活動含めて非常に混乱されるというふうに思います。
ですので、やはり今後、この国際的な議論がどのようになっていくのか、その点の見通しについて伺いたいというのが一点。それからもう一つ、そうした今後も続けていく議論の中で、日本はどのようなやはり主張を行っていくということで現時点でお考えになっているのか。この点について確認をさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/229
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230・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
低炭素水素のCO2算出方法に関わる国際的な議論でございますけれども、現在、国際標準化機構、ISOにおきまして、御指摘のとおり、原料供給から水素製造までの範囲を対象とした算定方法の国際規格化、これに向けた技術基準が提示されているところでございます。
一方で、現段階において、貯蔵時あるいは輸送時のCO2排出量の測定方法は対象となっておりませんで、議論が収れんする見通しというのも残念ながら現状では得られていないというところかと思います。
一方で、もう一点の御指摘でございますけれども、こうした国際議論の場におきましては、我が国が技術的に強みを有する技術、このCO2排出量の算定方法がきちんと算定されることが重要だというふうに考えておりまして、国際的に利用される技術となるよう、我が国としてもしっかりと、そうしたルールは必要であると、具体的にはこういう中身であるべきであるということの主張を行っているところでありまして、引き続き国際的な働きかけを行っていきたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/230
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231・礒崎哲史
○礒崎哲史君 簡単な話ではないと思いますけれども、そこはしっかりと取り組んでいただきたい。
考え方として、ライフサイクルアセスメントという言葉があります。原料を取り出すところから最終的に処分するところまで、製品、そして消費をして最終的に処分するところまで、ライフサイクルアセスメント、この一貫したその全体の中でのCO2、これをどういうふうにカウントするかという大きな枠というのは多分統一できると思うんですけれどもね。それを生産側でカウントするのか、消費側でカウントするのか、あるいはそこを分けるのか、これはしっかりと議論をしていかないとなかなか先に進めることが難しいんだというふうに思います。
現時点では今難しいと、いつ収れんするか見通しがということを踏まえた上で、以降、細かい話ですが確認をさせていただきたいんですけれども、さっき合成燃料のお話お伺いしました、合成メタン含めてです。
実際にこの合成燃料、合成メタンを、じゃ、作って使いますといったときに、原料になっている水素を海外から輸入してきたとなると、国内で合成燃料と合成メタン作って、それを国内で消費したときにはどうしてもCO2が出ます。ただ、合成燃料と合成メタン自体はカーボンニュートラルなはずですよね。ただ、海外から基の水素を輸入してきてしまっていて、それが、そうすると、日本としては、水素を輸入してきているので、そこの時点でCO2のカウントをマイナスできる要素を持っていないので、国内で消費した、で、CO2が出たというところだけが消費側として残るということになりますから、そうすると、今の状況において、この合成燃料、合成メタン、海外から輸入した、で、国内で消費した場合にこのカーボンニュートラルという扱いができるのかどうか。カーボンニュートラルの扱いができないと、これ今回の法案の支援対象にできないと思うんですよ。
ここについてはどういうふうに整理を今後していくべきなのか、その点について、現状のお考え、確認させてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/231
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232・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
御指摘のCO2排出量の計上の方法につきましては、現時点ではまだ明確なルールが存在しません。今後、合成燃料あるいは合成メタンの利用を促進していくためには、その計算方法の考え方を整理することが必要となります。まずは、この合成燃料などの意義について海外から幅広い理解を得ることが重要でありまして、昨年のG7気候・エネルギー・環境大臣会合の声明などにおいて、そういうそのカーボンリサイクル燃料の意義について明記をしたところであります。
加えて、昨年八月の日米の政府間対話におきましては、私自ら参加しましたけれども、我が国の事業者が海外で行う合成メタンの製造プロジェクトの紹介や、CO2カウントの重要性についての議論を行い、また、今年の四月の岸田総理の米国公式訪問のファクトシート、アメリカ政府とセットして作りましたファクトシートにおいては、このようなCCUS、カーボンリサイクルプロジェクトの進展を日米両政府が歓迎するということを明記しております。少しずつ各国の理解が得られてきていると考えております。
今後の排出計上方法を整理していくに当たりましては、まず、国際的に説明可能で、かつCO2の排出削減量のダブルカウントは排除しつつ、客観的に環境価値が移転していくことを確認できる仕組みとし、さらに、合成燃料などを国内で製造するか海外で製造するかにかかわらず、同じ考え方で整理を進めていくということが必要であります。
今後、国内外の民間事業者の間で進められているCO2排出量の帰属に関する調整状況を踏まえつつ、引き続き、環境省含め関係省庁とも連携をしながら取り組んでいきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/232
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233・礒崎哲史
○礒崎哲史君 もう少しそこの点、確認なんですけれども、そうしますと、国内外のその企業間で当然取引をしていくわけですが、今言ったその調整といいましょうか、そのCO2をどうするんだというその調整というのは企業間で行っていくということになるんでしょうか。それとも、国同士で何か契約といいますか、条約といいましょうか、ある程度のルールを決めて、その枠の中で企業間が詳細なところを詰めていく形になるのか。最初にまず国が決めるのか、それとも、もう国は様子を見ながら、基本的には企業間でやっていくのか、どちらの扱いになっているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/233
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234・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) そこについては、実際のカーボンニュートラルの燃料を使ったプロジェクトというのがまだこれから立ち上がっていく黎明期ではありますので、こういうやり方、まず国同士でルール決めるのがふさわしいのかどうかというのも、まさに実際にその実例を見ないとなかなか国同士の議論にも発展しないという、その黎明期の難しさがあるとは考えていまして、まだ具体的にこういうやり方でという決めたものはないんですけれども、まずは企業同士のいろんな実績をつくっていって、この企業同士は、例えばアメリカの企業は、これはアメリカで排出されたCO2が減ったとは計上しないという、排出はアメリカでと。で、日本の企業は、まさにこれは使った燃料は排出しない燃料だというふうに、アメリカの企業はそこは引かないし、日本の企業はそこはプラスしないと、そういう企業同士の枠組みが今少しずつ動き出さんとしているという状況かと思いますので、そこの、こういう、あと、それぞれの大事なことは、それぞれの国のNDC、各国が算定する排出量、これがどういうふうに設定されるかと。
基本的には、これは各国が国際ルールを踏まえながら、日本は幾らNDCだというふうにその設定していくというものでございますので、その何といいますか、その民間のプラクティスを踏まえながら、日本としてはこう考えると、そういうことを各国に少しずつ理解を求めていくというようなアプローチもあり得るのではないかなというふうに考えてはおりますけれども、いずれにせよ、ちょっとそこはまだこれからの議論次第というところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/234
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235・礒崎哲史
○礒崎哲史君 国際的な標準がないということですから、二国間でまず話をしていく、これしかないと思うんですよね。その中で、企業間でまずは詰めていくということにもなるとは思いますけれども、最終的には、その二国間といいましょうか、お互いのそのやり取りが国際的に見てもおかしくないよねというふうに見てもらわないといけないとすると、そこは企業としてグローバルに認めてくださいという声はできない、そこは当然政府に動いてもらわなきゃいけないわけですから、そこはしっかりと連携をしていただくということと、あわせて、具体的にもうこの制度を使って支援をもらって事業を起こすということをやろうとすると、実はそんなに時間ないんじゃないかなというふうにも思います。国際ルール作りの時間軸とは違う、もっと早いタイミングでこれについては詰めていく必要があると思いますので、その点踏まえて早急にまた検討いただければと思いますので、よろしくお願いをいたします。
それから、続いて、石炭火力発電のアンモニア混焼について確認をさせていただきたいと思います。
先ほど、里見委員の御質問の中で、実際に碧南の火力発電視察に行ったということでお話がありました。私もそこで確認はしてきましたし、それ以外にもいろいろと文献等も見させていただきました。
率直に自分なりの感想といいますか思いですけれども、やはり進めるべきだというふうに思っています。特に、日本自体のそのエネルギー安全保障の観点で、既存の石油火力を使いながら、かつ、でもCO2を減らしながらということはもちろん重要なんですけれども、それ以上に、やはり新興国が今保有をしている火力発電、グローバルで見れば新興国が出しているCO2が約半分あるというふうにも言われていますので、こうした新興国の石炭火力発電のCO2をどう減らしていくのかということに対してやはり日本が貢献できる技術だと思うんですよね。これをしっかりと推し進めていく、それを発信していくということも大変重要ではないかなというふうに思います。
これまでCOPの現場等々では、各国にいつまでに何%削減しますかというそれぞれの国の個別の目標というのは定められてきていますけれども、グローバルの単位でいくと一・五度C以下にするということにはなっていますが、じゃ、CO2具体的にどうやって減らすんですか、それを国際的な連携の中でどうやっていくんですかというのは、それほど議論としては大きくなっていないんだと思います。
その中で、日本のこうした技術が、実は新興国あるいはグローバルサウスという、そういった国々の既存の施設に対してもCO2削減できるという方策として具体的に提示ができるんだということをもっとアピールしていくべきではないかなというふうには個人的には思っているんですけれども、この点について、やはり政府の方針ということで大臣にお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/235
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236・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 今後、経済成長に伴ってCO2の排出量が増加すると考えられる新興国が現実的な方策で脱炭素していくための道筋を用意するということは、世界全体でカーボンニュートラルを目指すに当たって重要だと思います。委員と同じ思いであります。
これまで、水素、アンモニアを活用した脱炭素技術の重要性について国際理解を醸成するために、我が国としても、G7広島で発信をしたり成果文書に盛り込んできたわけであります。さらに、COP28の場においても、アンモニア専焼技術等の開発ロードマップを紹介をして、重要性を主張してまいりました。
御指摘のとおり、今後、モデルプロジェクトを積み重ねて実績を示していくということが今後は重要になってくるんだろうと思っていまして、そういう意味では、アジア・ゼロエミッション共同体、AZECですとか二国間の枠組みを活用して、アンモニア混焼や専焼の導入を後押しをしていきたいと考えています。
こうした日本の脱炭素技術が必要とされている地域への貢献というものは我が国にとっても重要な取組であると思っていまして、そのような貢献を定量化をして日本の排出削減としてカウントする二国間クレジット制度、これを活用をするということの検討も含めて、広く国際的にも評価されるように、その成果もまた積極的に発信をしていきたいというふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/236
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237・礒崎哲史
○礒崎哲史君 大臣、是非お願いしたいと思います。
ただ、この議論を進めていくと、考え方として、私よく言うんですけれども、個別最適と全体最適という考え方で、地球温暖化を防いでいこうというのはやっぱり全体最適で進めていくというのは多分みんな同じ考えでできると思うんですよね、それでやっていこう。
だから、今大臣言われた、日本のこの技術をしっかりと新興国のCO2削減にも生かしていくんだという、そこは理解が進められるとは思うんですけれども、一方で、既に今回のこのカーボンニュートラルの様々な技術、新しい市場に向けた動きというのはもうビジネスに入ってきてしまっているので、じゃ、ビジネスの戦いになると、多分全体最適ってあり得なくて、個別最適になる。だから、この個別最適と全体最適のせめぎ合いになっていったときに、今の日本の主張がどれぐらい受け入れられるのかというのはなかなか難しいのかなというふうにも思っています。
同時に、私は全体最適で進めるべきだという立場ですけれども、なかなか難しいかなというふうに思います。アメリカにしろ欧州にしろ、彼らが進めようとしているカーボンニュートラルは、彼らの経済安全保障であり、エネルギー安全保障に基づいた進め方に私はなっているんじゃないかなというふうにも思っていますので、大変難しいことを大臣にお願いをしているとは思いますけれども、是非進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
時間がかなりなくなってきましたので、多分最後の質問になろうかというふうに思います。
インフラの整備について確認をさせていただきたいと思います。
今回の低炭素水素活用のために様々なやはりインフラを整備していくことになっていくと思います。特に、個別の企業間の取引、あるいは地域としてコンビナートのような形で進めていく、いろいろなことが想定をされます。その際に、インフラということでいけば、例えばパイプライン、あるいは陸上輸送、あるいは海上輸送という、こうした輸送が考えられるんですけれども、こうしたインフラ整備というのはそもそも誰が整えていくべきものになるのかということを確認したいと思います。
今回、供給サイド、需要サイド、それぞれで計画を作っていくということになっていますけれども、共同でこれ整えていきますという話になるのか、それとも、この輸送していく専門業者といいますか、事業者がやはりやっていくことになるのか、その点について確認をさせていただきたいというのが一点。
あわせて、新たな需要家が、最初に契約、計画を作った方たちだけ、供給側と需要家だけではなくて、新たにそのインフラを私も使いたいですというような新たな事業者、需要家が出てきた場合に、そうした事業計画に後から乗っかることができるのかどうかですね。当然いろんな国の支援が入ってきてしまいますので、そういう事業計画の変更というものが可能なのかどうか、国からの支援が受けられるのかどうかというのがもう一点。
さらにもう一点は、複数事業者がそもそも共同でこうしたインフラを使うということが想定されているのかどうか、この点について確認をさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/237
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238・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) この水素社会推進法案における拠点整備支援におけるインフラですけれども、まずは、この複数事業者が共同で利用できるものがそもそもの拠点整備支援の対象でございます。すなわち、タンクやパイプラインなどの複数の利用者がいるものが対象でございます。
それで、じゃ、誰が整備主体かということなんですけれども、これはケース・バイ・ケースかとは思いますが、供給事業者や利用事業者、あるいはその中間的な運送、パイプラインとかですね、などを担うようなその事業体がSPCのように創設されてというパターンもあろうかと思いますけれども、それらの単独又は組合せによって整備される事業というものを支援していくことを想定してございます。
また、新しい需要家がこの共用設備の使用を希望するような場合ありますけれども、これもあくまでもケース・バイ・ケースでの判断となりますけれども、計画変更の手続を行っていただくことでこの共用設備の使用を可能とし得るような、そういう合理性の高い運用を検討しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/238
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239・礒崎哲史
○礒崎哲史君 時間が来ましたので、残った質問については次回に回したいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/239
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240・岩渕友
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
今回の両法案は、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けて、脱炭素化が難しい分野におけるGXを進める手段として法整備を行うものです。
一方、七日の参考人質疑で明日香参考人が指摘をされたように、パリ協定の一・五度目標のためには二〇三〇年までの早急かつ大幅な削減が必要です。ところが、CCS、水素とも、見通しでいえば事業開始は二〇三〇年頃となっています。
大臣、これでは一・五度目標と整合しないのではありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/240
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241・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) まず、我が国は、パリ協定の一・五度目標と整合的な形で、二〇五〇年カーボンニュートラル、二〇三〇年度四六%削減という目標を掲げておりまして、現在オントラックで排出削減を進めています。
水素等やCCSにつきましては、二〇五〇年カーボンニュートラル実現に向けて、産業分野や電力分野などCO2の削減が困難な分野を含めた脱炭素化を進めていく上でより重要となるものでありまして、両法案は水素等やCCSの活用を支援するためのものであります。このため、水素等やCCSの時間軸が一・五度目標と矛盾するということはないと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/241
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242・岩渕友
○岩渕友君 資料の一を見ていただきたいんですけれども、これは明日香参考人が出した資料ですけれども、明日香参考人は、一・五度目標に整合する複数あるいは多様なルートなど存在しないということで、多くの研究者の指摘としてデータを示しました。原発ゼロで再エネの比率を高めることで二酸化炭素の排出を大幅に減らして、化石燃料の輸入額が減って、民間の投資は増えると、経済の発展にも寄与するものになるわけですね。
水素法案の参考人質疑で、近藤参考人に二〇三〇年までのCO2削減目標と事業の整合性ということについて質問をしたんですけれども、そうしましたら、短期的には今ある技術を使ってどう削減するかということだと、こういうふうに述べられたんですね。これCCS、水素とも切迫したCO2削減目標には寄与しないということは明らかです。
では、CCSの法案について具体的に質問をしていきたいと思います。
二月に日本CCS調査株式会社が行っている苫小牧のCCS実証試験の現場に伺ってきました。同社には二〇一四年度から五百八十四億円以上の国費が投入をされているんですね。苫小牧では、深さの違う二つの貯留層にCO2を圧入する実証試験が行われたんですけれども、この二つのうちの一つというのはほとんど圧入することができなかったということなんですね。これは探査の段階では分からなくて、今の探査技術では分からないんだというお話でした。
大臣は、本会議の質問の中で、CCSの技術は基本的に確立をしていると答弁をされていました。今日もそういう答弁、ほかの方からもあったわけですけれども、こうした事実一つ取ってみても、CCSの事業化は難しいということを示しているんじゃないでしょうか。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/242
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243・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 御指摘の苫小牧でのCCS実証では、深度約千から千二百メートルに位置する砂岩層から成る上部の地層に加えまして、深度二千四百メートルから三千メートルに位置する火山岩層から成る下部の地層、御指摘のように二つの貯留を行ったところであります。
CCSでは砂岩層の隙間にCO2を貯留することが一般的であるわけですが、国内には火山岩から成る地層も広く分布をしているということもありますので、苫小牧実証試験実施地点の近傍において火山岩層から石油生産が行われているということもありましたので、火山岩層であっても石油が貯留される空間の存在が見込まれるのではないかということで、下部の地層でもCO2の貯留実証を行ったわけであります。
一方で、下部の火山岩層においては、想定よりも地層の均一性が低く、CO2を貯留できる空間が少なかったために、地層内の圧力が想定よりも早く上昇いたしまして、注入量が百トン程度の段階でこれは注入を停止させていただきました。
実証試験の成果は、今後の我が国での貯留適地を選定していく上で、そういう意味では大変有益な知見を得ることができたのではないかと考えております。本成果も踏まえまして、二〇三〇年のCCS事業開始に向けた貯留地の開発では、砂岩層への注入を想定をして、先進的なプロジェクトの事業性調査等の支援を実施をしているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/243
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244・岩渕友
○岩渕友君 CCSについては、電気事業連合会が政府に対して、現時点において技術確立、社会実装に係る不確実性が高いことから、商用化に向けた技術開発を進めるに当たっては、国の主導の下、進捗状況に応じた資金面も含む支援が重要、こういう要望を行っているんですね。石油鉱業連盟も、多額の投資も必要となる一方、リスクも非常に高く、政府の全面的な支援が必要だ、こういうふうに要望をしています。コストが高いということは、参考人質疑でも、そして今日の質疑の中でも皆さん課題として指摘をしています。
これ、リスクもそしてコストも高いCCS事業に巨額の官民投資をするんじゃなくて、このCO2削減効果という点からも経済合理性という点からも、省エネ、再エネに投資も施策も集中するべきではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/244
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245・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) この二〇五〇年カーボンニュートラルの実現というのは、もう大変高い目標であります。Sプラス3Eの原則の下で、あらゆる可能性を排除せずに、使える技術は全て活用していくということが不可欠だと私どもは考えております。
我が国では、化石燃料への過度な依存から脱却をし、エネルギー危機にも耐え得る強靱な需要構造、これを構築していくことも重要でありまして、そういう意味では、徹底した省エネや再エネ、原子力などの脱炭素電源への転換を進めていく方針を明確にしています。
その上で、CCSにつきましても、二〇五〇年カーボンニュートラル実現に向けては、排出削減が困難な鉄鋼や化学などの産業分野や、低炭素水素等の製造における脱炭素化の有効な手段として、私どもはこれを、今この可能性を封じてしまうということはやるべきではないというふうに考えています。
海外においても、近年、予算や税制などCCS事業に対する様々な導入支援制度を設けるなど、CCS導入加速化に向けた動きが現に見られるわけでありますので、本法案によりまして、安全性を確保した上でCCSに係るコスト低減も実現できるように、他の脱炭素化の手段とのバランスもありますが、そういったものにも留意しながら取り組んでいきたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/245
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246・岩渕友
○岩渕友君 今も答弁あったんですけれども、そもそもCCSは脱炭素化が難しい分野が対象だというふうにしているにもかかわらず、なぜ再エネへの転換が容易な発電部門も対象にするのでしょうか。お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/246
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247・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 繰り返しますが、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現は大変高い目標でありまして、使える技術は全て活用するということが不可欠でありますので、これがエネルギー政策の基本方針であります。
その上で、我が国はすぐ使える資源というものが乏しくて、国土の約七〇%が森林といった地理的条件から、残念ながら、少なくとも現時点では再エネや原子力だけで全ての電力需要を満たすことは困難であります。脱炭素化を進めた火力電源というものは、やはり安定供給の観点から重要であるというふうに考えています。
一方で、カーボンニュートラル実現に向けては、非効率的な石炭火力のフェードアウト、これは着実に進めていかなくてはいけないと考えていますので、水素、アンモニアやCCUS等を活用することでエネルギー安定供給と脱炭素を両立しながら、二〇五〇年カーボンニュートラル実現を目指して進んでいきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/247
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248・岩渕友
○岩渕友君 本会議でも指摘をしたんですけれども、化石燃料の使用を前提にした事業を推進するということでは、化石燃料から脱却のしようがないということだと思うんですね。
経産省は、七〇年断面でもCCSは拡大すると見ているというふうに述べているんですけれども、参考人質疑で明日香参考人が、米国政府の石炭火力CCS補助金は八件中七件が失敗をして稼働をしなかったと、米国の会計検査院は警鐘を鳴らしているということを紹介したんですね。唯一稼働したものは、二〇一七年に稼働したんだけれども、二〇二〇年には稼働が停止をして、親会社が三回の減損処理後、保有していた五〇%の持ち株をCCS建設費の僅か〇・五%の価格で売却をして、現在は、ENEOSの子会社のJX石油開発が一〇〇%の所有者になっているということ、しかも日本の国際協力銀行とみずほ銀行が二・五億ドルの低利融資まで行っていたということが分かったんですね。
こうした実態についてきちんと調べているのかということと、これでは経済合理性があるとはとても言えないんじゃないでしょうか。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/248
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249・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
米国では、二〇〇九年からエネルギー省がCCSプロジェクトの支援を行ったものの、御指摘のとおり、CCSに関する技術的な課題ではなくて経済的な実現性がなかったということで、完了に至らなかった案件が複数存在するということを私ども把握して承知してございます。
他方で、米国では、二〇二二年のインフレ削減法により、CO2の貯留量に応じて税額控除を拡充するなど支援措置を新たに講じておりまして、エネルギー省の支援の下で、民間においてもプロジェクト化の検討が進められているところでございます。
国際的に見ても、米国のみならず英国、ドイツ、カナダなどにおいて火力発電への適用が政策の対象として検討されていたり実施されているというふうに承知してございます。
その上で、国際エネルギー機関、IEAによれば、現在計画中で二〇三〇年までに操業を予定しているCCSプロジェクトの貯留量は、火力発電への適用案件を含めて約四億トンが見込まれております。また、経済合理性を確保する観点からはCCSのコスト低減を図っていくことが重要でありまして、二〇五〇年にはCCSのコストを現在の水準から四割程度低減させることができるとの民間機関の試算も存在します。
経産省といたしましては、新たな素材を活用したより効率的な分離回収技術や、大容量化した液化CO2輸送船などの研究開発に取り組んでいくことにより、コスト低減を図りながらCCSの社会実装を進めていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/249
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250・岩渕友
○岩渕友君 こうした実態がアメリカであったというのは事実ですし、ここは平行線ということだと思うんですけど、やっぱり二〇三〇年に間に合わないということだと思うんですね。
〔委員長退席、理事古賀之士君着席〕
苫小牧に話を戻したいというふうに思うんですけれども、苫小牧では、実証試験をしていることもあって、その地元への情報提供や意見集約はきめ細かく行われているというふうに言われているんですけれども、苫小牧の我が党の市議団からは、市議会には説明がないというふうに聞きました。これ、市民を代表する議会に説明がないというのは問題ではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/250
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251・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
CCS事業を進めていく上では、貯留を行う地域の方々と丁寧なコミュニケーションを図り、理解を得つつ進めることが極めて重要であります。
御指摘の苫小牧実証においてですが、国としても、苫小牧市と連携しつつ、利害関係者や苫小牧市が主宰する会議体において継続的に説明を行ってきております。また、実証実験の運営主体によるイベントの共催を行うなど、地域の関係者の理解促進に努めてきたところであります。
引き続き、事業者、国、各々の役割に応じて、自治体とも連携しながらしっかりと説明をしていくことが基本であると考えてございますけれども、お尋ねの市議会への説明については、基本的に苫小牧市側で質疑に対応していただいているものというふうに認識しておりますけれども、要請があれば、苫小牧市とも相談の上、対応について検討してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/251
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252・岩渕友
○岩渕友君 丁寧なコミュニケーションと言うんだったら、市と連携していればいいということにはならないと思うんですよね。言われれば行くということではなくて、やっぱり説明、丁寧なコミュニケーションと言うんだったら必要だということだと思うんですよ。そうしなければ、この事業そのものが信用できないということになるんだと思うんですね。
〔理事古賀之士君退席、委員長着席〕
苫小牧では、漁業者の方にも話伺ったんです。モニタリングについて、経産省のモニタリングだけでは心配だったということだったんですけれども、環境省もモニタリング行って、独自のモニタリングも行ってきたというふうに聞きました。モニタリングは、その住民や漁業者の方々にとっても非常に重要なんですね。
参考人質疑で辻参考人が第三者のチェックということについても言及をされていましたけれども、長期のモニタリングや第三者機関のチェックなど、安全面、どう担保するのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/252
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253・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) 委員御指摘のとおり、我が国のCCS事業の推進に当たっては、安全面も含めて、周辺環境に悪影響を及ぼすことなく進めていくことが重要であります。
独自のモニタリングを地元の漁業者が行っていたという御指摘ありましたけれども、これ我々の方の確認によれば、そういう独自のモニタリングは行っておられなかったということを聞いてございます。
いずれにしても、今般のCCS事業法案においては、事業者が貯留事業に参入する際、貯留したCO2が漏えいする可能性があるなど、CO2の安定性、また安全な貯留が確保されないと認められる場合には貯留事業の許可を与えないことにします。
また、実際の貯留事業の実施に当たっては、貯留事業者に対して、モニタリングの方法やCO2の漏えい防止のための措置などを記載した貯留事業実施計画を策定した上で国の認可を受けることを義務付けているほか、貯留したCO2のモニタリングを実施し、貯留事業実施計画の認可を行った国に報告することを義務付けることにしておりまして、国としては、貯留事業者が認可を受けた方法に従って適切にモニタリングを実施しているかどうかを厳格に確認していく所存であります。
さらに、CO2の注入停止から一定期間が経過した後、CO2の貯留の状況が安定しているなど一定の要件を満たす場合には、モニタリングなどの貯留事業上の管理業務を事業者からJOGMECに移管することを可能にしてございますが、この移管後においても、JOGMECが長期にわたりモニタリング業務を実施する仕組みとしてございます。こうした一連のプロセスにおいては、必要に応じて地質などの専門家から意見を聞くことにしてございます。
引き続き、最新の知見を活用しながら、長期にわたるモニタリングと国による厳格なチェックなどにより、周辺環境に影響を及ぼさないCCS事業を実現していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/253
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254・岩渕友
○岩渕友君 漁業者の独自のモニタリングは私も現場に足を運んで直接聞いたので、今みたいに独自のモニタリング行っていないというようなことは、これ漁業者の皆さんに本当に失礼な話になるわけなんですよね。丁寧なコミュニケーションと言いながらそういう答弁だということであれば、それやっぱり信用できないということになるんだと思うんですよ。コストを理由に安全面がないがしろにされるようなことがあってはならないということです。そのことを確認して、水素法案について具体的に質問をしていきたいと思います。
水素法案では、低炭素水素等の基準については今後定めるとしているわけですけれども、水素は製造方法によって種類が分かれています。原発は問題外として、製造段階でも使用の段階でも二酸化炭素の排出をしないのは再エネ由来のグリーン水素だけということです。
参考人質疑で来ていただいた竹内参考人の事前資料には、今日、午前中議論もありましたけれども、欧州が近年急速に水素利用への関心を高めているのは、再エネの導入が進んだことでその余剰の吸収手段が必要になっているという現実的な背景が大きく作用しているというふうにあります。
気候危機の対策が待ったなしになっている下で、法案でグリーン水素を前提とするべきではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/254
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255・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
足下では、グリーン水素の製造、これ大変重要なんですけれども、高コストであることを踏まえれば、我が国においてはブルー水素も有効活用していくことが重要だとは考えております。我が国としては、グリーン水素やブルー水素などの製造方法ではなくて、生産に伴うCO2排出量、すなわち炭素集約度に着目すべきと考えておりまして、G7広島サミットなどなど、この重要性が確認されてきております。
水素社会推進法案では、こうした炭素集約度の考えに基づきまして、支援対象となる水素等の基準値を定めることとしておりますが、低炭素水素等にはグリーン水素に加えてブルー水素も対象となると見込んでおります。一方で、天然ガスから水素を製造してCO2の回収処理をしていないいわゆるグレー水素は本制度の対象としては想定しておりません。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/255
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256・岩渕友
○岩渕友君 ブルー水素はCCSが前提ということですけれども、今日最初に議論をしたように、技術も確立しているとは言えないし、コストも高いわけですよね。
法案では、事業計画の認定基準として、経済的かつ合理的であり、低炭素水素等の供給、利用に関する国内産業の国際競争力の強化に寄与するものであることというふうにされています。そうなってくると、コストが高いグリーン水素は前提どころか対象にならないということになるのではありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/256
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257・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
本法案の認定基準によってグリーン水素プロジェクトが対象になりにくいということ、御指摘については、そのようなことはないのではないかと考えてございます。
まず、御指摘の経済的かつ合理的であることという基準についてでございますけれども、例えば、出力制御の対象となり得るような余剰再エネの効率的な活用によりましてグリーン水素製造とその地域での活用というものを図っていくということには一定の経済的な合理性が当然生じ得るというふうに考えております。
また、もう一つの国際競争力の強化に資することという基準につきましては、グリーン水素を製造するための水電解装置あるいはその部素材の国内サプライチェーンを構築することは、我が国の水素関連産業の競争力強化に資するものというふうに考えております。
さらに、案件の評価項目におきましては、炭素集約度が相対的により低いことを設定する方向でございまして、この点はグリーン水素プロジェクトに特に有利に働くのではないかと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/257
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258・岩渕友
○岩渕友君 事前に、水素等供給事業者に一定規模以上の製造量を求めることになるだろうというふうに聞いています。この一定規模以上というのは具体的にどのぐらいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/258
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259・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
一定規模以上でございますけれども、価格差に着目した支援、拠点整備支援、審議会における御議論であるとかパブリックコメントを経まして、中間取りまとめにおいてはそれぞれ最低供給量の基準を設定しております。価格差に着目した支援の基準につきましては、年間の水素供給量が水素換算で一千トン以上と、それから拠点整備支援の基準につきましては、年間水素供給量が水素換算で一万トン以上であることを求めていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/259
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260・岩渕友
○岩渕友君 年間一千トン以上というと浪江程度だというふうに聞いたんですね。そのグリーン水素の規模としては、参考人で来ていただいた山梨が一番で、浪江は二番というのが実態です。ということは、結局大規模なものしか認定されないと、グリーン水素は対象になりにくいということになるんじゃないでしょうか。大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/260
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261・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 価格差に着目した支援において、例えば経済的に合理的であることなどの法案における認定基準などにつきましては、先行的で自立が見込まれるサプライチェーンを立ち上げるために必要な条件ということで設けておりまして、これによりグリーン水素が支援の対象外になる、そういうことはないと考えています。
また、具体的な案件の選定に際しましては、水素等の製造方法のみならず、サプライチェーン全体を通じて、Sプラス3Eや産業競争力強化、経済成長への貢献といった政策的重要性と、需要の確実性や工事計画、資金計画等の妥当性等の事業完遂の見込みから評価項目を設定をしています。
これら項目の総合評価により選定を行うこととしておりますので、先ほども政府委員から答弁させていただきましたが、これによってグリーン水素が不利になると、直ちに不利になるというようなことはないというふうに理解をしています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/261
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262・岩渕友
○岩渕友君 結局は、再エネ中心ではなくて、化石燃料の使用を続けることを前提にしているという問題があると思います。グリーン水素が前提にならなければ、化石燃料を使い続けることになるということだと思います。
法案では、自治体の責務として、国の施策に協力をし、低炭素水素等の供給、利用の促進に関する施策を推進するとしています。本会議で、これでは地元自治体や住民と対等な協議が行われないのではないかというふうに質問をしたところ、これは責務規定で、計画を推進する義務を課すものではないという答弁だったんですね。それで、だけれども、国の施策に協力をし、施策を推進するよう努めるものというふうになっているので、これ自治体は協力を断ることができないのではないかという懸念があるわけです。
実は、川崎市議団の、我が党の市議団から話を伺ったんです。この市議団が水素戦略について質問したのに対して、市長が、国の第六次エネルギー基本計画において水素、アンモニアを導入していく方向性が掲げられていると、臨海部の立地企業においては、国の動向を踏まえながら取り組んでいるというふうに答弁をされたということなんですね。
資料の二を御覧いただきたいんですけど、川崎市は、資料にあるように、CO2の排出量は約二千万トンで、政令市で最も多くなっています。そのうち七六%は臨海部からで、臨海部には五か所の発電所があって、CO2の排出量は一千六百万トン。これは二千万トンにほとんど含まれていないということなので、実際の総排出量は更に増えるということになるんですね。
市では臨海部での水素戦略を進めていて、オーストラリアで褐炭を燃やして作った水素を、CCSを使ってブルー水素にして輸入をするということです。けれども、輸送のコストは高いので、水素専焼の場合の発電コストを見ると、太陽光や風力の四倍で、天然ガスの二倍にもなるということなんですね。
党の市議団が研究を委託して試算をしたところ、臨海部の敷地の六割に太陽光パネルを設置して、風力とバイオマスを組み合わせれば、川崎市内の電力使用量の約七割を供給することが可能だとしています。さらに、省エネと電力需要を減らすことで、電力の使用量を年間六千八百七十八ギガワットアワーにできて、再エネで七千五十三ギガワットアワーの発電ができるというふうにしているわけですね。川崎市で使うエネルギーを再エネで一〇〇%賄うことができる可能性があるということなんです。
こうした提案をしているのは何でかというと、午前中も議論があったわけですけど、CO2を排出する発電による電力で作った製品は世界に輸出ができなくなる、臨海部から製造業が失われかねないじゃないかという、そういう危機感があるからなんですよね。だから、政府が省エネや再エネにシフトする必要があるわけです。
国の施策に協力するということになったら、こうした取組実現できなくなるんじゃないかと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/262
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263・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
水素社会推進法案における関係地方公共団体の規定でございますけれども、国の施策に協力して、低炭素水素等の供給及び利用に関する施策を推進するよう努めるという旨を規定しておりまして、いわゆる責務規定でありまして、何か罰則を伴う義務を課すようなものではございません。御指摘のような誤解が生じないよう、自治体には丁寧に説明を行っていきたいと考えております。
その上で、事業者による計画が関係地方公共団体の御理解を得ながら作成されることは当然重要でございまして、このため、本法案に基づく価格差に着目した支援あるいは拠点整備支援を受ける計画の認定に当たりましては、地方公共団体との協調の観点も評価項目の一つと位置付けていく方向でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/263
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264・岩渕友
○岩渕友君 紹介をしたような試算こそ現実的で、CO2の排出を減らすことができます。原発をゼロにして、省エネ、再エネにこそ施策と投資を集中するべきだ、そのことは明らかだということを述べて、今日の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/264
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265・平山佐知子
○平山佐知子君 平山佐知子です。よろしくお願いいたします。
私からは、まず、先日の内閣委員会との連合審査でちょっと時間が足りなくて聞けなかったことがありますので、法案とは少し離れますが、最初に質問をさせていただきたいと思います。
自然エネルギー財団は、以前、我が国と韓国、中国などを送電網で結ぶアジア国際送電網、アジアスーパーグリッド構想を掲げていました。現在は調査行っていないということでございますけれども、二〇一六年に再エネタスクフォースに提出された資料の、中国国営企業が自然エネルギーの活用のための世界的な送電ネットワークの実現を目指すこの国際的非営利団体、これGEIDCO、ゲイデコと呼ぶんでしょうか、グローバル・エネルギー・インターコネクション発展協力機構の設立に伴ってお付き合いをするようになったということです。
自然エネルギー財団は、国際送電線を通じた電力取引の構想は国会でも議論されて、省庁レベルでも検討が行われてきたことで、中国の利益のためのものではないというふうに発表されています。しかしながら、今回の事態を受けて、無用な誤解を避けるということで、今年の三月二十六日にこのGEIDCOから脱退しているということです。
私、他国とこの電力を共有するということは、よほどの信頼関係ですとか安定的な世界情勢がこれ不可欠であって、私自身は経済安全保障の観点から非常にこれリスクが高いのではないかというふうに考えております。現在の政府としての考え、大臣に伺わせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/265
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266・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) まず、御指摘の自然エネルギー財団の報告書につきましては、誤解があるといけないので経緯を申し上げますと、当時の経済産業大臣が国会で答弁をしているんですが、その答弁は、国際送電網の整備に関する技術、コスト面などの一般論としての課題や、日本―ロシア間の国際連系線に関する議論の状況などでありまして、経済産業省として、この財団が提起をしていたアジア国際送電網構想を前提として議論、検討を行った事実はまずございません。
この点を明確にした上で、それで、一般論としてですが、国際送電網、送電線を通じて隣国と電力を融通するということにつきましては、相手国の政策変更により電力供給が途絶するリスクなどの安全保障上の問題や、両国間のルールの違いなどを克服するための国内法ですとか国際法上の制度整備など、様々な課題があるなというふうに認識をしています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/266
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267・平山佐知子
○平山佐知子君 しっかりと認識を確認をさせていただきまして、ありがとうございます。
また、日本は、およそ二十年前までは太陽電池の生産で世界首位、維持していましたけれども、その後、中国の台頭で、日本の太陽光パネル産業、残念ながら凋落をして、今やポリシリコンの生産はおよそ七割、太陽光ウエハーについては九八%が中国生産で、セル、モジュールはそれぞれおよそ八割程度中国に集中しているという状況です。
日本と同様に、EUでもこの再エネ分野のサプライチェーンにおける中国依存というのが進んでおりまして、太陽光モジュールでは七五%、風力発電部品の原材料であるレアアースについては一〇〇%を中国からの輸入に依存している状況とされています。この現状に対して、EUでは、特定国へのこの過度な依存、是正すべきという声が強くなっておりまして、原材料調達を中心としたサプライチェーンの多角化ですとか域内産業強化に取り組まれているということです。
これ、日本としても、EUなどとしっかり連携をして、原材料の調達先の多角化ですとか部品類などの国内製造能力の向上など、この再エネのサプライチェーン強靱化に向けた取組を一層強化すること、これ重要ではないかと思うんですが、政府の現在の取組状況、今後の方針などを伺わせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/267
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268・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
御指摘のとおり、現状、太陽光パネルのサプライチェーンが他国に依存しているというのは事実でございます。
こうした過去の教訓も踏まえまして、ペロブスカイト太陽電池あるいは浮体式洋上風力といった次世代再エネにつきましては、グリーンイノベーション基金を通じた研究開発支援、GXサプライチェーン構築支援事業などを通じて国内の製造サプライチェーンの確立に取り組み、社会実装を進めていきたいと考えております。
また、御指摘のとおり、諸外国との連携、これは非常に重要だと考えてございまして、例えばペロブスカイト太陽電池につきましては、その国際標準の策定、こうした点について同志国での連携を深めようという取組を進めておりますし、浮体式洋上風力につきましては、欧州諸国や米国との間でコスト低減等に向けた研究開発、一緒にやっていこうといったような形で取り組んでおります。
こうして、御指摘のとおり、国内サプライチェーン強化を図りまして、特定国からの原料供給状況に左右されることのない、より強靱なエネルギー供給構造の実現を進めて、エネルギー安全保障を強化していくことが極めて重要であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/268
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269・平山佐知子
○平山佐知子君 様々取り組まれているというお話いただきました。引き続き、このサプライチェーン強靱化に向けて、是非よろしくお願いいたします。
それでは、法案の質問に移りたいと思います。これまで皆様たくさんの議論が行われましたので、多少重なるところがありますので、御了承いただきたいと思いますが。
本法律案では、エネルギー・金属鉱物資源機構、JOGMECは拠点整備支援についての助成金を交付する業務を行うとしていますけれども、その具体的な仕組みについては規定されていません。
政府の審議会での議論では、低炭素水素等を荷揚げする受入れ基地から利用者が実際に利用する地点まで輸送するに当たって必要な設備で、民間事業者が複数の利用事業者と共同して使用するもの、共同パイプラインですとか共用タンクなどに対して支援することというふうにされていますけれども、具体的にはどのような設備までが対象に含まれることになるのか教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/269
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270・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
この支援の対象でございますけれども、水素等の大規模な需要創出と効率的なサプライチェーン構築を目的として、低炭素水素などの大規模利用に資する共用インフラであることなどを基本的な要件といたしまして、具体的には、タンクやパイプラインなどの貯蔵や輸送のための設備に対して支援を行うことを想定してございます。
より具体的に申し上げますと、水素やアンモニアの受入れから、各社に水素などが配分される、いわゆる責任分界点までの間の共用インフラとして利用される貯蔵タンク、パイプラインに加えまして、このほかにも、例えば、開閉バルブ、計量機、払出しポンプなどの附帯設備などを想定しているところでございますけれども、今後、各事業者からの申請も踏まえて、詳細を具体的に詰めていきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/270
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271・平山佐知子
○平山佐知子君 しっかりと実現可能性調査した上でということでございますけれども、引き続きお願いしたいと思いますが。
次に、水素ステーション設備について、その低コスト化への取組状況を伺っていきたいと思います。
水素ステーションの設備で使うことができる材料というのは、水素の影響によって材料の強度特性が劣化する、もろくなる水素脆性とか高圧水素脆性ということが考えられますので、そうなると、材料は特定の鋼材に制限をされて、材料の低コスト化、これが難しいということが一つの課題として挙げられていたかと思います。
こうした水素ステーション機器の低コスト化に向けては、新規材料の耐水素性に関する安全データの取得など、様々調査研究進めてこられたことと思いますけれども、この現在の取組状況ですとかこれまでの成果など、もしありましたら教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/271
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272・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
例えば、水素ステーションで供給する低温高圧な水素に耐えることができる、御指摘のとおりの新たな例えばステンレス鋼の研究開発というものを進めてきておりまして、これは九州大学中心にやってきておるわけですけれども、令和二年十一月に、この研究開発の成果を踏まえまして、実際に高圧ガス保安法の例示基準の見直しを行ったといったような例がございます。
このように、御指摘のとおりの研究開発をしっかり行い、その成果を踏まえた具体的な規制見直しを行っていく、こういった取組に加えまして、ステーション事業者の方々の経営努力も相まちまして、水素ステーションのコストでございますけれども、国が支援を開始した二〇一三年当初から直近までの間に、整備費が五億円以上だったところが四・五億であるとか、運営費も六千万円近くが四千万円程度といったような形で着実に低下してきているところでございます。
こうした取組、更に強化して、水素ステーションのコストを低減するとともに、FCVの普及拡大を図って、商用化を中心にですね、水素ステーション事業の自立化に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/272
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273・平山佐知子
○平山佐知子君 分かりました。
このGX推進をして、低炭素水素の活用促進をしていくためには、やっぱりどう市中に流通していくのかということもこれから広く考えていって、また地域に周知をしていくということも必要だと思っています。
その中で、北九州市の北九州水素タウンでは、大規模なパイプラインを敷設をして、付近の公共施設とか集合住宅にも水素を供給して利用する実証事業行われました。三月の二十八日に開所した東京晴海水素ステーションでは、やはり道路下に敷設したパイプラインを使って街区内に水素を供給をしていくということです。
こうして、市街地となりますと、より住民の皆さんが安全面で不安を持たれないように周知徹底していく必要もあると考えますが、その点はどうされているのかということと、安全性確保はもちろんなんですけれども、それに加えて、例えばですけれども、水素に使われる管の耐久性、劣化はどのくらいで進むのかとか、維持管理とかメンテナンスコストなど、こういったことを細やかに情報を開示をしていくということも安心材料につながるのかなというふうに考えております。その点についてどうなのか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/273
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274・辻本圭助
○政府参考人(辻本圭助君) お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、水素社会の実現のためには、国民の皆さんに水素の安全対策はどのように行われているか、これを御理解いただくことが極めて重要であると思っております。このため、事業者を中心といたしまして、水素社会の実現に関わる幅広い関係者が情報発信を行っていくことが大切であるというふうに考えております。
御指摘ございましたけれども、例えばその水素パイプラインの安全性につきましては、東京オリンピック・パラリンピックの選手村跡地の晴海地区の例で申し上げますと、市街地における水素パイプラインの敷設に関しまして、国としましてその材料の安全性に係る調査を実施してまいりました。主に市街地で用いられる中低圧の水素パイプラインの材料については、水素による材料の劣化の影響は限定的であり、中低圧の都市ガスと同様に扱えるものと評価をしております。
また、これも御指摘いただきましたけれども、水素パイプラインの維持管理に関しましては、これ都市ガスのパイプラインと同様に、漏えい検査の定期的な実施、修繕、交換等の維持管理の適切な実施につきまして、これは既存のガス事業法の中で規定をしております。
このように、水素の安全対策に係る周知につきましては、まずは事業者がその事業を周辺の住民に対しまして安全対策を説明することが大切であると考えておりまして、これをこれまでも、これからも我々促してまいりたいと考えておりますけれども、経産省としましても、自治体とも連携しつつ、水素そのものの性質、また水素パイプラインの安全性、維持管理の内容につきまして分かりやすい情報発信に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/274
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275・平山佐知子
○平山佐知子君 地域、そして事業者ともしっかり連携をして進めていくというお話がありましたので、引き続きまたその点は、地域の方々が知らないことはやっぱり怖いことでありますので、しっかり安全対策、そして周知徹底というのを引き続きお願いをしたいなと思います。
この水素社会実現をしていくにはいろんな課題があるんですけれども、それを一つ一つクリアにしていくという必要があると思っています。そして、水素利用を更に普及させて、ひいてみれば、その脱炭素社会を実現をしていくためには、保安体制の整備であったり、現場で働く人であったり、特に保安分野の人材の確保とか人材育成とか、様々現場の方々への配慮ということも必要になってくると思います。
そうした中で、現場での提案含めてなんですけれども、北九州水素タウンでは、公道の下およそ一メートルのところに配管用炭素鋼管による配管を敷設をして、ほかの工事によって配管が損傷される事故を防止するために、標識シートを炭素鋼管からおよそ五十センチ上に埋設するとともに、工事による振動を検知する光ファイバーを並行して埋設しているというふうに伺いました。
以前、私、国交委員会に所属していたときに、無電柱化の議論でこういう話、様々させていただいた経緯があるんですけれども、道路の下には、上水道、下水道、都市ガス管、そして無電柱化の進むところでは電気とか電信、まあNTTなど、その管が敷設をされていて、それが民家一軒ごとに引込みがそれぞれなされているということなんですね。ふだん私たち、日常生活をしていますと道路の下を見ることはありませんけれども、実際、道路の下を開けてみると地下は大変な混雑状況になっていて、その上、それぞれ更新時期が違ってきているわけですから、例えば敷設替えの際などはその現場では大変な苦労をしているという現状があって、実際その声を聞いたりしております。
一般的には、将来の話かもしれませんけれども、この水素導管を公道の下に敷設する際には、これ以上地中が混雑したりしないように、また施工時の混乱を避けるためにも、共同溝を設置をしてまとめて埋設をする、管理をするという方法を取っていくのが一番いいのかと私自身は思っているんですけれども、この点についてどういうふうにお考えになっているのか。また、省庁横断で進めていることなどあれば教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/275
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276・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
御指摘のとおり、委員御指摘の共同溝、大変興味深いアイデアだと考えております。それは、やっぱり水素を大規模かつ安定的に輸送するためにはパイプラインが有効な手段ですけれども、パイプラインの新設には敷設コスト、用地取得、工事期間などなどの課題がありますので、これらの課題解決に資する可能性があるというふうに考えております。
同時に、この水素パイプラインを地下空間に敷設するためには、ほかのインフラと隣接して敷設することによる影響も考慮しなければいけないということでございまして、経産省では、NEDO事業を通じて、地下空間を活用する場合に必要な安全策検討のための各種調査というのを実施してきているところでございます。
こうした調査の成果も踏まえながら、また事業者の皆様のニーズも伺いながら、御指摘のとおり、国土交通省などの関係省庁ともよくよく連携して、合理的かつ適切な水素の供給網の整備に向けて取り組んでいきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/276
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277・平山佐知子
○平山佐知子君 具体的な調査等も行ってくださっているということですけれども、本当に先の話なんですけれども、本当の意味で水素社会実現をしていくためには、やっぱり先を見越して、また現場で混乱が起きないような形で整えていくということが一番大事なのかなということも考えておりますので、引き続き省庁横断で、国交省ともというお話がありました。現場の声を聞きながら是非進めていただきたいと思います。
この水素基本戦略を読みますと、水素、アンモニアなどの燃料利用として、大規模な水素サプライチェーンのアクセスが難しい内陸地の工場等の脱炭素化においては、オンサイトで水電解システムを導入して、水素を製造した上で熱で利用することが有効であり、水電解とボイラー等の需要機器の工場等への導入、展開を図るとしています。
オンサイトでの水素の製造、この利用の一例としては、山梨県、福島県における取組が挙げられるかと思います。先日の参考人質疑の中でも山梨県の取組、詳しくお話を伺いました。
このような地域における取組の成果ですとか、又は課題ですね、それは国としてはどういうふうに認識をされているのか確認をさせてもらいたいということと、今後の更なる水素の利活用に向けてはどのような支援をしていくのか。また、ほかの地方公共団体への横展開についてはどのように考えていらっしゃるのか、見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/277
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278・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
御指摘の山梨県あるいは福島県におけるグリーン水素利活用の取組でございますけれども、これまでの国からの支援による研究開発を経まして、足下では実際に水素の供給を開始しているところでございます。こうした成果を基に、例えば山梨県の水電解システムは、国内の複数メーカーのみならず海外の工場からも声が掛かってきておりまして、今後、導入に向け検討が進んでいるという状況でございます。
また、福島県の水電解装置は、アジアで最大級の水電解装置の製造システムの構築に向けまして、海外企業とのMOU締結が行われるなど、商用化に向けて着実に取組が進められております。
こうした商用化に向けた取組は進みつつあるものの、他方で、国内でのグリーン水素の普及につきましては、依然として適地の制約等から一定の限界が存在しておりまして、水素製造コストが高いことなどの課題がございます。
政府としては、こうした課題の解決に向けまして、グリーンイノベーション基金などを活用した技術開発を更に進めていくということと、国内で電力需要に対して再エネ電気が余剰となる地域が残念ながら広がっているというような実態もございますので、そうした地域での水素製造を進めることも含めまして、可能な限り低い価格での国内での水素製造の実現と、オンサイトで進めていくということを方針として考えているところでございます。
加えまして、本法案の価格差に着目した支援などの支援措置によりまして水素製造を進めていく中で、こうした先行事例の横展開をしっかり図っていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/278
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279・平山佐知子
○平山佐知子君 ありがとうございます。
先日の参考人の方からも、適地の選考に当たっては、やっぱり広大な敷地がないとなかなか難しいとか、そういう話もありました。成功事例など幅広く見ながら、引き続き進めていただくんだろうと思って伺わせていただきました。よろしくお願いいたします。
それから、今日ももう本当に様々な方が質問なさっていましたけれども、やはりこのコストの問題ですね。水素社会実現に向けては、コスト面の課題、やはりこれは解決していくことだと私も考えております。
この低コスト化への研究の一つに、東京工業大学の研究グループが、純水型水電解システムを実現する新たなアニオン交換膜の開発に成功したという報道を先日拝見をいたしました。この純水とアニオン交換膜を用いた固体アルカリ水電解システムにおいて、高い水電解性能と耐久性を同時に実現したという、これ初めての研究成果というふうに伺っております。安全であって、地球上に豊富に存在するこの水のみを使用して、貴金属を必要としないシステムでそうした特徴を実現したことは、この水素製造全体の低コスト化ですとか、高性能化ですね、耐久性の向上につながる成果だと、こちらも期待しているところでございます。
欧米ではスタートアップですとか大手化学メーカーの動きが活発で、世界での競争、これはもう激化しているわけですけれども、こうした中で、まさに日本のこの強みを生かした展開というのが大事になってくるのではないかとより強く思っているところです。
大臣のお考えを伺わせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/279
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280・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) まず、御指摘のように、水電解装置に用いる膜ですとか、それから液化水素技術など、世界で戦える高い競争力を持つ技術をまず日本は有していると。
一方で、世界の水素市場というものがこれから拡大をしていくということなので、まず、この技術について、製品の量産化に向けて、スピーディーに今度は市場に製品を出していけるかどうかというところで負けてはいけないということですので、こうした企業の積極的な投資というものを後押しをしていくということがすごく大事になってくるんだろうと思っていますし、プラス、先行的で自立が見込まれるサプライチェーンの構築によってこの水素市場の拡大が見込まれるという状況、環境も併せてつくっていくということが大事だと思いますので、この技術、世界で競争力のある技術を持っているので、それが製品化で売れるような状況に投資を促進していくことと、併せて需要をしっかりつくっていくということで、世界で勝負をしていく環境をつくっていきたいというふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/280
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281・平山佐知子
○平山佐知子君 ありがとうございます。
また、コストダウンの実現について、水素基本戦略には、国内の個別の需要分野だけに着目すると、需要が小さいため、量産効果が発揮できずにコストが下がらず需要が拡大しないという悪循環に陥りかねないと。国内外の水素市場を一体に捉えて、いち早く産業化を図ることで市場を獲得する。これにより更なるコストダウンを実現して、それが更なる需要へと拡大していくという好循環の構築を目指すと書かれています。
この、ここにあった国内外の水素市場を一体で捉えて産業化するということはどういうことなのかという確認をしたいということ、一体で捉えながら、実際にコストダウンにつながるような取組状況ですとか、具体的な事例などあれば教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/281
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282・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
技術で勝ってビジネスでも勝つというためには、市場獲得に向けた戦略を構築する極めて初期の段階から、国内市場だけではなくて海外市場も見据えて事業展開を検討すると、世界も見た投資を行っていくということが肝要であるという考え方を持ってこのような記載をさせているところでございます。
足下では、一例として、FCVであるとか定置用発電など、様々な用途に活用される可能性がある燃料電池、あるいは水電解装置がその好例ではないかというふうに考えておりまして、政府といたしましては、例えばGXサプライチェーン構築支援事業ということで、世界に見据えて大胆な投資をする取組を後押しする。加えまして、本法案の価格差支援、こうしたものにおいても、そうした産業競争力の強化につながるような優良プロジェクトを大胆に後押ししていきたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/282
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283・平山佐知子
○平山佐知子君 コストダウンにつながるこの取組を進める一方で、やはりそこに至るまでをどうしていくのかということも考えること、重要になってくると思います。
これまでも様々議論ありましたけれども、安価な水素やアンモニアを長期的にかつ安定的に大量に供給するためには、水素を利活用する需要の創出ですね、これが欠かせないと思っています。
その中で、需要側が低炭素水素に適正な価値を見出して、低炭素水素が適正な価格で取引されるような環境を構築をしていくこと、これも水素基本戦略にも書かれていますけれども、国内で供給される水素、アンモニアの導入を拡大しつつも黎明期から低炭素化進めていくためには、需要側が低炭素水素に一定程度のコストを支払うことを可能とする、低炭素水素の購入に対するインセンティブが付くような市場設計を検討することなど、需要側への措置も必要だというふうに書かれています。実際、私も本当にそうだと思います。
以前も質疑の中で問題意識申し上げたことがあるんですけれども、この水素社会の移行が単なる国内のコスト増にしかならないということでは、なかなか事業者の方、二の足を踏んでしまうと思うんです。需要者側の低炭素水素への移行措置の整備について政府はどういうふうに考えているのか、聞かせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/283
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284・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
ちょっと分野は違いますけれども、例えば洋上風力も昨年十二月に第二ラウンドの落札者が決まってまいりましたが、複数の海域でFIT・FIP補助金が不要であるという事業が落札した経緯がございます。これの理由は、国からのFIT・FIPの補助金ではない形で、クリーンな電力について高くても長期で購入するといったような方々が我が国の国内にも生まれてきていると。それは、本日も御議論いただいたようなグローバルな競争環境の中で、そこに価値が見出されつつあるという契機ではないかなというふうに見ております。
こうした動きを踏まえながら、一方で中小企業の方々にも視線を移しますと、水素、どうやって使っていくのかというところを体感していただく必要もございますので、地域における水素社会モデル構築の実証事業、これ幾つか例も申しましたけれども、加えまして、兵庫県の企業にこれ活用いただきながら、福島県に新設する半導体製造用ガラス工場の中で、太陽光発電から水素をオンサイトで製造して工場内の熱源として使う実証、こんなものも中小企業の方に実際にやってみていただいて、そこでできる半導体というものがグリーンである、その結果、買っていただけるコストが、あっ、価格が上がる、あるいは国際サプライチェーンから排除されなくなるといったような状況を実感していただき、またその取組を広く周知していくということは重要ではないかなというふうに思っております。
また、この法案で価格差着目した支援というものも、御答弁申し上げたとおり、中小企業含めた利用者側と一体で進めますので、中小企業の皆様も含めて支援対象となり得ると、こうした方々のサプライチェーンをまず立ち上げていくという取組を進めていきながら、御指摘のとおり、こうした低炭素水素を使っていくことを動機付けられるような動きをつくっていければというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/284
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285・平山佐知子
○平山佐知子君 終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/285
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286・森本真治
○委員長(森本真治君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
午後五時散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00820240509/286
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