1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和六年五月十六日(木曜日)
午前十時開会
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委員の異動
五月十六日
辞任 補欠選任
松村 祥史君 吉井 章君
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出席者は左のとおり。
委員長 森本 真治君
理 事
青山 繁晴君
中田 宏君
長峯 誠君
古賀 之士君
東 徹君
委 員
浅尾慶一郎君
越智 俊之君
小林 一大君
上月 良祐君
丸川 珠代君
吉井 章君
渡辺 猛之君
辻元 清美君
村田 享子君
里見 隆治君
三浦 信祐君
石井 章君
礒崎 哲史君
岩渕 友君
平山佐知子君
国務大臣
経済産業大臣 齋藤 健君
副大臣
経済産業副大臣 上月 良祐君
事務局側
常任委員会専門
員 山田 千秀君
政府参考人
経済産業省大臣
官房技術総括・
保安審議官 辻本 圭助君
経済産業省大臣
官房審議官 鋤先 幸浩君
経済産業省大臣
官房審議官 田中 哲也君
経済産業省大臣
官房審議官 浦田 秀行君
経済産業省大臣
官房審議官 殿木 文明君
経済産業省産業
技術環境局長 畠山陽二郎君
資源エネルギー
庁長官 村瀬 佳史君
資源エネルギー
庁省エネルギー
・新エネルギー
部長 井上 博雄君
資源エネルギー
庁資源・燃料部
長 定光 裕樹君
資源エネルギー
庁電力・ガス事
業部長 久米 孝君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための
低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
○二酸化炭素の貯留事業に関する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/0
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001・森本真治
○委員長(森本真治君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。
政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律案及び二酸化炭素の貯留事業に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、経済産業省大臣官房技術総括・保安審議官辻本圭助君外九名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/1
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002・森本真治
○委員長(森本真治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/2
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003・森本真治
○委員長(森本真治君) 脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律案及び二酸化炭素の貯留事業に関する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/3
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004・青山繁晴
○青山繁晴君 皆様、おはようございます。自由民主党の青山繁晴です。
今日も、党利党略を離れまして、特に今日は、水素という新しい資源、あるいはCCSといういまだ議論のある新しい国策をめぐる質問でありますから、根本的な質問、主権者とこの先日本をどうするかということについて根っこの議論を共有できる、そういう質疑にいたしたいと思っております。
今傍聴者の方おいでになりましたが、今朝もありがとうございます。
まず、水素という新しい資源をめぐる法案について御質問します。
水素は、まず自前資源であるべきだと考えています。この水素の利用が話題になった頃から、例えばNHKにおいて、オーストラリアの褐炭で作った水素を輸入する、これはすばらしいのだという、まあ受け止めた私の解釈ですけれども、そういう報道もありました。
褐炭というのは石炭の中でも一番質がはっきり言えば悪くて、この時代に使いにくくなったもの、それが使えるというので、オーストラリアにとっては良いことですけれども、日本にとっては、またこうやって水素も輸入に頼るつもりなのかという疑問が生じます。
水素も含めて自前資源の国にすることは、多様な手段を持って実現すべき最新の課題でもあると考えます。日本は、残念ながら、お隣の独裁国家中国と比べても、この基本思想が希薄という懸念を長年私は抱いております。水素という新しいエネルギー源についても、経産省の施策に残念ながら既にその傾向が現れていると考えています。
経産大臣におかれては、その指導力を発揮されて、あくまで自前資源としての水素を追求することを推し進めていただけないでしょうか。大臣、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/4
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005・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 御指摘のとおり、エネルギー安全保障の観点からも、まずは国内における低炭素水素等の製造、供給体制の構築、これを進めることが重要だと考えています。このため、水素社会推進法案に基づきまして、十分な価格低減が見込まれ将来的に競争力を有する見込みのある国内事業、これを最大限進めていく所存であります。
しかしながら、我が国における低炭素水素等のサプライチェーンの構築に際しましては、少なくとも当面の間は、国内製造だけでは産業で必要とする水素需要を賄えない見込みだという現実が一方であります。また、世界では、既に安価で低炭素水素等の製造が可能な適地の確保に向けて権益獲得競争も始まっているような状況を踏まえますと、国内よりも相対的に安価かつ大量に製造が可能な輸入につきましても、もちろんSプラス3Eを前提に、GXの実現に資するものについては進めていくということも一方で必要なのではないかと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/5
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006・青山繁晴
○青山繁晴君 実は、私の質問要旨というのは木で鼻をくくるような骨子ではなくて、長い文章で大臣にもお渡ししていますので、今の御答弁も非常によく考えられた御答弁だと、僣越ながら評価いたします。
現実はそのとおりなんですけれども、言葉の端っこをつかまえるわけじゃなくて、さっき大臣も権益とおっしゃったんですね。私がエネルギーに関わって、専門家として関わってからもう四半世紀過ぎたんですけれども、この権益という言葉が日本の呪縛だと思っていて、例えば産油国において、原油の質には実は随分差があります。その中で一番質の悪いものであっても、しかもすごく高値を吹っかけられても、それを獲得するのが権益なんだと。主権者にとってみれば、権益と言われたらよっぽどいいことがあるんだろうと思うでしょうが、実際は、その原油を精製するときにコストも掛かりますし、元々高値で売り付けられているから、それで作る製品も高くなるし、あるいは電気もガスも高くなるということが起きるわけですね。
それを考えますと、できればこの、今大臣は当面の間ともしっかりおっしゃいましたので、当面の間、輸入と自主製造。水素には実は難点があって、作らないといけないと、原油や天然ガスとそこが違うので、作らなきゃいけない。だから、自前で作るのと作ったやつを輸入するのとを共存というのは当面の間とおっしゃったんですけれども、ただ、それを乗り越えて、権益という言葉を経産省もなるべくもう使わないようにして、資源というのは本来、あえて言うと中国のように自前で確保することが国の目的なんだと。
今日、時間があるからといって、ちょっと油断してしゃべっているんですけど、尖閣諸島がなぜこんなに問題になっているかというと、今は何となく中国のメンツみたいなイメージになっているけど、本当は、一九六〇年代の末に、国連の当時の専門機関だったECAFE、もうありませんけど、そのECAFEが、尖閣諸島の海底には手付かずの資源があるという報告書を出して、それ、今もインターネットでどなたでも、英語ですけど読むことができます。それで、突然台湾が領有を主張して、それに乗じて中国が領有を主張して、現在の紛争に至っているわけで。
中国行って議論すれば、国会議員になってなかなか中国行けませんが、民間時代によく行っていた頃には、中国側はやっぱり資源というのは自前で確保したいので、中国の海にすごく近いと、これ本音で彼らは言ったわけですね。元々人民日報には尖閣諸島は日本領として地図が出ていましたから、中国の海に近いところの資源は黙って見ているわけにいかなかったと。これはもちろん国際法に違反した恐るべき考え方であるけれども、資源はあくまで本来は自前でつくらないと安全保障が成り立たないということは、実は根幹としてはあるべき姿なんですね。
ですから、大臣、この権益という言葉を乗り越えるということについて、もう一度お答えいただけないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/6
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007・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 私も、四半世紀どころか、大学出てからずっと資源エネルギー政策には直接、間接に関与してきたんですが、私の記憶によれば、第一次、第二次のオイルショック以降ですね、とにかく自前で石油がなかったという前提で、何としても自分たちが自由になる自主開発原油を少しでも獲得しようということで、サウジ行ったりいろいろして、日の丸原油をいかに確保するかということがもう本当に重要な課題で、それを多分権益と称してやっていたんだろうと、私の記憶に基づけば、そういう言葉遣いだったんだろうと思います。
今回の水素に関して言えば、高値で買わされるというよりは、国内よりも海外の方が価格が安いので取りに行かなくちゃいけないと。国内だけで全部賄えればいいんだけど、そうじゃないので、その安いところをほかの国に押さえられないようにという発想ですので、ちょっと昔の権益時代の表現とは違うのかもしれませんが、趣旨についてはよく理解をいたしましたので、ちょっと考えてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/7
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008・青山繁晴
○青山繁晴君 良きお答えをいただいたと、社交辞令じゃなくて思います。
しかし一方で、国内産の水素を再生可能エネルギー由来だけにすると、済みません、私の言葉遣いですが、またぞろ太陽光パネルを増設する理由にされると危惧しております。
様々な意見はあっても、例えば今起きていることで、進行中のことで言いますと、北海道の知床ですね、ここに、海難事故を契機として太陽光パネルを敷き詰めるという話が進行していて、地元の方からも、あるいは遠く沖縄からも、これ心配する声が主権者から寄せられています。
それから、長崎の五島列島ですね、長崎の五島列島もこれ国内最大級のいわゆるメガソーラーをやるんだという計画が進行中で、五島列島は幾つかの島でできていますけど、そのうちの二つの島の一割ぐらいの面積を占めてしまうと。これも五島の地元の方、あるいは他府県の方からも懸念が届いています。これ、主権者の御意見として、太陽光パネルを敷き詰めて環境を破壊するのはもうやめてほしいという訴えもあります。
いまだに、済みません、正直言うと、この水素法の審議を通じても、いまだに再生可能エネルギー万能説のような主張も聞いたんですけれども、普通に冷静に考えると、太陽光パネルは発電効率は高くないですから広く敷き詰めることが必要ですし、それから洋上風力発電も、まるで救世主のように言うけれども、海だからといって、巨大ブレードとそれを支える巨大な支柱を海に並べれば、本来の自然とは違う姿になってしまう。言い換えれば、自然の破壊になるというのは、実は自明の理なんですね。
それだけではなくて、この再エネを入れるために再エネ賦課金を電気代に上乗せして国民から集めて再エネ強化に乗り出したときには、これ本当に痛感するんですが、あろうことか、やがて太陽光パネルなどが膨大な廃棄物になるということを考えていなかったとしか思えません。
政府内部の調査によると、太陽光パネルの寿命は大体二十五年、四半世紀ですね。したがって、導入時期から考えると、この間もなくの、一番早いと二〇三六年ぐらいから、主として二〇四〇年頃には突如、つまり、ずっと出てこなかったですけど、突然グラフにすっと跳ね上がって、ある省庁の試算によれば、年間八十万トンほどにも膨れ上がると。水素を作るために今また再エネ強化すれば、また二十五年後に、今回起きてくる事態に上乗せして、廃棄物の更に巨大化した山に苦しむことになります。しかも、その廃棄物には、例えば太陽光パネルには、鉛、カドミウム、それからセレンといったリサイクルできない毒物が含まれています。
それから、さっき言いました洋上風力発電ですけれども、そのブレードの大きさというのは、小さいもので八十メートル強、それから、中国が今、胸張って日本にも宣伝攻勢掛けている大きなものですと百二十三メートルです。百二十三メートルの長さというのは、これビルに例えると、何と四十階建てのビルです。はやりのタワマンでも、四十階建てって相当な高級マンションですよね。それが海の中にたくさん現れて、しかも、こういう巨大な長さのものというのは基本的に複合材で造らないといけないので、複合材というのは極めてリサイクルしにくいです。できないと言っている学者もいます。
したがって、こういう現実を普通に冷静に見詰めるならば、水素をまた再エネに依存して製造しようとすると、これ大きな問題を生んでしまうので、やめろということではなくて、エネルギーは常にベストミックスという永遠の原則があります。私よりはるかに長く取り組んでおられる経産大臣のお立場でも、あるいは私のささやかな立場でも、これ永遠の原則ですよね。
そうすると、大臣にお願いしたいのは、大臣の指導力にこれもお願いしたいのは、再エネを使って水素を作るということを一定限度の枠内にとどめるべきじゃないでしょうか。見解をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/8
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009・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 低炭素水素等の製造方法ですけれども、これにつきましては、私は、エネルギーの安定供給、それからCO2の排出量ですとか、それから供給量の確保などの観点をしっかり見極めながら、適切なものを活用していきたいというふうに考えています。
したがって、今回の法案でお願いをしております価格差に着目した支援につきましても、Sプラス3Eを大前提に、採択案件全体を通じて、要するに日本全体を通じてということですけれども、供給源の多角化ですとか技術の多様性等を評価することにしておりまして、この特定の方法のみに依存するということなく水素等の安定供給を実現していくことが大事ではないかというふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/9
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010・青山繁晴
○青山繁晴君 今の大臣のお言葉は、まさしく私の申したエネルギーのベストミックスということと関連して、再エネだけに頼るわけじゃないということだと解釈しましたが、それでよろしいでしょうか。ちょっと確認をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/10
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011・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 特定の方法のみに依存することは考えていないということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/11
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012・青山繁晴
○青山繁晴君 今の質疑に出てきた再エネ賦課金なんですけれども、これ、人によってはもう取られて当然のように思っている人がひょっとしたら富裕層にはいらっしゃるかもしれないけれど、これ現実には、今回の質疑に当たって経産省にも協力していただいて、標準世帯、標準世帯というのは、大体月に四百キロワット・パー・アワーを使うぐらいの家庭を想定しているんですけれども、経産省とも協力して、今幾ら主権者国民が電気代に上乗せしてお払いになっているかというと、月に千三百九十六円なんですね。月に大体千四百円ですね。これは、今、実質賃金が二十四か月連続でマイナスで物価高に追い付かない。その物価高の苦しみの中には電気代あるいはガス代の高騰も入っているわけですから、月四百円、いやいや、ごめんなさい、月千四百円、年に直すと大体一万七千円弱、ちょっとびっくりするような額だと言わざるを得ないと思うんですね。
そうすると、さっきの質疑でも、再生可能エネルギーなら万能で、何でもいいんだという議論は、もう本当は終えんを迎えています。世界的にもそうです。私は、去年の十二月から今年の一月にかけて、自主出張でエネルギーの各地を回ってまいりましたけれども、諸国でも、再生可能エネルギーなら万能だという議論は、もうとっくにヨーロッパでも中東でも、実はもうなくなっているんですね。
それを考えますと、再エネ賦課金もいずれはFIT制度の終了と併せてなくなるものであろうとも思うんですけれども、ここは、私としては、齋藤健経産大臣にお願いしたいのは、もはや、今もう廃止を行うべきじゃないかと、まず経産省から、経産大臣からその提案をいただいて、実質賃金のマイナスに苦しんでいる国民のこの負担を軽減する一助にすべきじゃないかと考えます。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/12
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013・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) まず、カーボンニュートラルの実現に向けましては、国民負担をやはりできる限り抑制をしながら前進をさせていくということは当然のことだと思っています。
政府としては、再エネ特措法がございますので、この法律に基づいて、再エネ電気の買取りなどを通じてその普及拡大を図っているということでありますが、それに必要な費用については、この法律に基づいて、再エネ賦課金として、そのメリットを受ける電気の利用者の皆様に広く御負担をいただくと、こういう仕組みになっているわけであります。
一方、再エネには、関係法令遵守ですとか安全性の確保ですとか、そういったことを含めた地域との共生ですとか事業終了後の設備の適切な廃棄、リサイクルなど、様々な課題が御指摘のようにあるのも事実でありますので、賦課金を御負担いただいている電気の利用者の皆様の御理解を得るためにも、こういった課題にも的確に対応していかないといけないと思っています。
なお、御指摘のように、再エネ賦課金を、じゃ、徴収停止をしたとしても、再エネの導入拡大に必要な費用というものは何らかの形で負担をする必要がありますので、何らかの国民負担が発生をせざるを得ないということになります。それを、今電気を使っているということで電気を使っている方に負担をしていただくというのは、私は、一定の合理性があるのではないかなと私は思っています。
その上で、地域との共生、国民負担の抑制も図りながら、二〇三〇年度の電源構成比に占める再エネ電気の割合、これ三六から三八%という目標ありますので、この実現に向けてこの制度を運用していくということが私は必要なのではないかなと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/13
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014・青山繁晴
○青山繁晴君 大臣から、言わば本音の今の御答弁だったと思うんですよね。そこはまた、また言いますけど、僣越ながら評価いたしたいとは思うんですけど。
ただ、大臣、私は何か特定のイデオロギーで話しているわけではない。そうではなくて、ごく普通にFIT制度や再エネ賦課金の最初の頃を考えると、福島原子力災害の影響がもちろんあって、それに取って代わって、再エネだったら、つまり太陽の光や普通に吹いている風使うんだったら何の困ることもありませんね、全部良いことですね、これは増やさないといけないですね、だから国民に御負担もいただかないといけないですねと。で、多くの国民が電気使うわけですから、だから広く薄く、薄いと私は思いませんけれども、再エネ賦課金というふうになったんですよね。
でも、それが、実際にパネルを敷き詰め、あるいは、風力発電がなぜ洋上に行ったかというと、陸上でやった風力発電が、これ前、岩渕先生の質問にもありましたよね、低周波の騒音が出て、例えば妊婦の方に影響がある懸念があったり、あるいはとにかく景観破壊や、あるいは風向きそのものが変わったりすることに苦しんでいる人もいると。
これ、実は、日本が風力発電を強化する前に、当時私、民間の専門家の端くれだったですけど、デンマークに行ってデンマーク環境省と議論したときに、日本の大使館にいたデンマーク政府の当局者が三人いまして、いずれも、これ日本には合っていないよと、つまり、まず陸でやってきっと失敗するだろうと、で、海に出ていくだろうけど、日本は遠浅の海が少ないので、これもまた余計な負担を強いられることになると。デンマークは原発がないんですけれども、そのためにスウェーデンから原発の電気を買ったりしているのが現実なんですけれども、だから、そういう懸念も示されたわけです。それが、残念ながら、長い月日を経て、今現実になっているわけですね。
もう一回言いますけど、イデオロギーで言っているんじゃなくて、あくまで現実にのっとって言うとそうですから。そうすると、当初の再エネ賦課金のこの取る理屈というのが、ロジックがもう崩れていると思うんですね。その意味からもう一度お答え願えないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/14
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015・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) まず、前提として、先ほど申し上げましたように、二〇三〇年度の電源構成比に占める再エネ電気の割合というものを三六から三八%、この目標を実現しなくてはいけないというその前提があります。
そして、この前提を実現をするために、あらゆる措置を講じてもなお高いハードルになっているという現実がありますので、確かに日本に適地がどうかという議論はありますけど、それでも最大限活用して、それでも乗り越えられるかどうかという今目標に向かって我々は進んでいるということですので、課題が多いのは分かっていますけれども、それに何とか挑戦をしているというのが今の現状だということは御理解いただきたいなと思います。この目標を下げていいんであれば、これはもう楽になるんですけど、そうもいかないということでありますので、そこは御理解いただきたいと思います。
それから、御負担についてありましたので、少しだけ御説明させていただきたいんですが、今後の再エネ賦課金の水準につきましては、足下では、FIT・FIP認定を受ける事業用太陽光の調達価格は一キロワットアワー当たり十円程度にもう下がってきておりまして、当初四十円程度でありましたので、買取り価格は大幅に低下をしてきています。
二〇一二年度のFIT制度開始直後における相対的に高い価格での事業用太陽光発電の買取り期間は二十年でしたので、実は二〇三二年頃まで続きますけれども、恐らくその頃までは増加するかもしれませんが、その後はもう減少に転じてくるのではないかと我々は見ておりますので、そういう意味では、ピークはあるのではないかというふうに思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/15
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016・青山繁晴
○青山繁晴君 今大臣の御答弁の後半は、私もいずれこの再エネ賦課金はむしろなくなっていく方向だということは申し上げました。そこはだから大臣の答弁と一致しているんですけど。おっしゃったとおり、ピークアウトしていくんですけど、ピークを仮に二〇三二年とすると、あと八年あるわけですね。その八年の間に破綻する国民生活もあれば、破綻する中小零細企業もあるわけでありますから、ここは、この答弁やこの質疑はここまでにしても、大臣におかれては、もう一度検討いただきたいと思います。
なぜかというと、これ、政権党の現職議員が今までの国策の変更をしたいという意思表明しているわけですね。もちろん自由民主党全体の意見にはまだなっていませんけれども、ちょうど今、エネルギー基本計画の新しいものの策定にも入ったところですし、当然私はその主張もしていきたいと思いますので、是非お考え願いたいと思います。
じゃ、次の質問に行きたいんですけれども、今、私自身が、自前の水素を作るときに再エネに過度に依存しないために多様な選択肢を確保することが大切と申しました。それならば、その多様な選択肢を提示する必要があると考えています。
その一つとして、自前の海洋資源であるメタンハイドレートからの水素製造にも注目していただきたいと思うんですね。これ、実は参議院の本会議などでは発言したことあるんですけれども、メタンハイドレートってそもそも元素式がCH4ですから、水素を多く含んでいるというのはよく分かるわけです。
そのメタンハイドレートから、ここポイントなんですけど、CO2を出さずに水素を製造する、つまり、今やられているグリーン水素を作る方法というのは、既に国内の大学あるいは企業から複数提示されているわけです。これは後で具体的に申します。マスメディアがほぼ完全に無視しているから主権者国民に知られていないだけなんですね。これは、化石燃料、メタハイを仮に化石燃料とすると、そこからもCO2を出さないというものがあるということで、グリーン水素を取り出せるという発想の転換が必要だとも考えています。
ここで本当は大臣の答弁をいただこうかと思ったんですが、ちょっとその具体的なことをやっぱり先に申し上げておきます。ちょっと長話になるんですけど。
メタンハイドレートの研究開発をめぐって経産省の資源エネルギー庁とも既に連携なさっている九州大学の渡邊裕章教授らの研究によると、CO2を出さずにメタンハイドレートから自前水素を製造する方法としては、主に三つあります。一つがドライリフォーミング法、一つは直接分解法、一つが光触媒法の三つです。いずれの方法にも共通しているのは、メタンの一分子から水素二分子が取り出せるということです。
まず、ドライクリーニングではなくてドライリフォーミング法。今のはひょっとしたら議事録から削除されるかもしれませんが、僕は、間違えたんじゃなくて、雰囲気が厳しいので柔らかく言っただけですけど。ドライリフォーミング法は、CO2を排出するのではなくて、逆にほかから排出されてしまったCO2を取り込んで利用するので、実はCO2の回収技術ともなる利点があるんです。一方で、デメリットは、安価なニッケル触媒を使うとこれ炭素が出てしまって、その炭素が触媒を覆ってしまって反応が止まるという懸念があるので、それを抑えるには高価な貴金属触媒が必要なんですね。大臣がさっきおっしゃったコストのことにここ絡んできます。
次に、二つ目の直接分解法というのはCO2を出しません。炭素は出てきますが、その炭素は二酸化炭素じゃなくて炭素。その炭素を有価物として利用できる大きな利点があります。
それから、最後の光触媒法はやはりCO2を出しません。水素のほかに、ほかの化学プロセスに利用可能な炭化水素材料も得られるという大きな利点があるんですね。
しかし、この二つ、直接分解法と光触媒法に共通する現在の課題としては、この効率の高い触媒の開発が更に必要となっていると。今、メリットだけじゃなくデメリット、課題も提示したというのは国会議員の責任でもありますけれども、それに加えて、こういう課題を解決して自前資源としての水素を作る選択肢を増やすために、経産省が国策としてこういう研究開発を支援することが必要じゃないでしょうかという問題提起です。
CO2を出さずにメタンから自前の水素を作る研究に取り組んでいるのは、私が調べた限りでも、大学では、先ほどの渡邊教授の九州大学に加えまして、京都大学、名古屋大学、静岡大学、東京工業大学、高知工科大学、東京理科大学の七大学があります。企業では、戸田工業、エア・ウォーター、伊原工業、IHI、太陽鉱工、荏原製作所の六社があります。政府系も産総研と材料研究機構の研究がありますけれども、こういう大学、そして民間企業にも支援していただきたい。
ちなみに私は、どこからも誰からも献金は一円も受け取らず、パーティーも一切開きませんので、企業・団体支援も全てお断りしていますので、利害関係によってお願いしているんじゃなくて、あくまで日本を自前資源の国にするためにこういう大学、企業への支援をお願いしたいと思います。
大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/16
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017・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 確かに、メタンはCH4ですから、H2はメタン一分子から水素二分子が取れて、なおかつこのCをきちんと処分、処理することができれば、このメタンからH2、水素を作るというのは非常に合理的な方法、理論的には、なのではないかなというふうに思うわけであります。
メタンハイドレートについても、地政学リスクに左右されない安定した国産エネルギーになり得るのではないかなと思っていますので、やはり引き続き生産技術の開発は推進をしていかなくてはいけないと思いますし、それに伴って発生するメタンについての有効利用というものも、このメタンハイドレートが実用化された暁には、セットで研究していく価値のある話なんだろうと思っています。
CO2を排出することなくメタンから水素を製造するという技術につきましては、御指摘のように大学や企業において研究がなされているということを承知しておりますし、NEDO事業による研究開発支援も実は実施をしているということであります。この研究の進み具合によりまして、その進展状況によりまして、政府としてどういう支援をしていくのがいいかというのを、進展に応じて私は考えていく必要があるんだろうなというふうに思っています。
繰り返しますけど、私は、メタンハイドレートも含めた自前資源による水素の製造の可能性というものはしっかりと追求をしていかなくてはいけないと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/17
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018・青山繁晴
○青山繁晴君 積極的な答弁いただいたと思っていますし、さっき大臣がCH4について短く説明されましたけど、そのとおりなんですよね。したがって、メタンハイドレートって下で凍っている天然ガスなので、上に上げると、つまり圧力が下がって温度が上がると普通の天然ガスになるんで、在来型の火力発電所で活用すると、油を燃やすよりはずっとましだということで語られてきたんですが、水素ということが出てきてから、フェーズが変わっているんですよね。そのことに今の答弁から齋藤経産大臣は多分お気付きなんだということが今ここで分かりましたので、それは非常に勇気付けられます。
それで、あと質問時間十数分あって、多分最後に余裕ができるんじゃないかと思うので、ちょっと、最後までにちょっと政府参考人の方に検討していただきたいんですが。さっき大臣から、NEDOでもやっているよという話がありましたね。私が言ったのは産総研と材料研究機構だけでしたが、政府系でこのメタンハイドレートからCO2を出さずに水素を作るということについてどういう研究をされているのか、最後、時間が余ったらですね、委員長、よろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/18
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019・森本真治
○委員長(森本真治君) はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/19
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020・青山繁晴
○青山繁晴君 政府参考人から、大臣じゃなくて政府参考人からお伺いしたいと思います。
私の質問は、次の法案、CCSについての法案に行きたいと思います。
CCSという言葉、今までの皆さんの与野党の審議でも、実は国民に余りまだ人口に膾炙していないと、余り知られていないという話ありました。そのとおりだと思います。
カーボン・キャプチャー・アンド・ストレージ、つまり二酸化炭素をつかまえて、例えば在来型のエネルギー利用で二酸化炭素がたくさん出てきたら、それをキャプチャー、つかまえて、ストレージ、どこか倉庫に入れるんじゃなくて土の中に埋める、貯蔵するという新しい国策事業なんですね。これ、要は地層処分です。
今日お聞きしたいのは、大地に埋める、すなわち地層の中に捨てる、あるいは、よく言えば貯蔵するのであるから、この地層を生かすというやり方なんですけれども、実は地層処分というのは、この言葉聞かれたことある人いると思うんですけど、なぜ聞いたかというと、原発から出てくる大問題の放射性廃棄物の最終処分、本来は六ケ所村で一部はリサイクルできるはずなんですが、まだ実現していません。諸外国では、主にこの直接処分といいまして、とにかく土中に捨てると、埋めてそのままにするというのが選択肢になっているわけです。ここで地層処分という考え方がまず出てきたんですね。
それに加えて、先ほど述べました太陽光パネルのリサイクルできない部分、特に毒物、それから洋上風力の巨大なブレードも、恐らくは結局は地層処分、土に埋めましょうということになるんですね。しかも、これ全部経産省関連なんですね。
したがって、この地層処分というものの全体像を主権者国民に今示すべきではないかと思います。というのは、全体像というのは、もちろんメリットとデメリット、それから安全性とリスク、リスクの中には、よく言われる、地震の引き金になったりしないんですか、それから、もちろん誰でも考える、毒物に当たるものが例えば地下水に混じったらどうなるんですかというリスク、それから、地層と言うけれども、地球を考えたら、一番奥はマグマですから、そんなところに人類が手を出したらそれこそ大地震どころじゃないので、ということは、地層処分というのは、実はキャパシティーが限られているんじゃないかと、そこをこうやってどんどんどんどん使っていって本当に大丈夫なのか、受入れ容量はどうなっているかという全体像をやっぱり語るべきだと思うんですね。
このことについて更にちょっともう少し詳しく言いますと、まず、この太陽光パネルなどの廃棄物は有毒物質あるから、これどうやるかというと、地層の中には例えば粘土層があって、この粘土層は基本的には物を通さないので、粘土層のところを選んでそこに埋めるということに恐らくなります。
それから、放射性廃棄物については既に北欧諸国でも実行していますし、それからフランスでも今計画推進しているんですが、これ実際にフランスへ行って政府当局者と話すと、決して狭くないフランス全土を探し回って粘土層が一番分厚いところを見付けましたと、パリにやや近くても粘土層が大事で、その粘土層の中に放射性廃棄物を入れるんだと。
ところが、CCSは、この粘土層は蓋するだけなんですよね。粘土層を言わば蓋に使って、例えばその下に砂岩層があると、その砂岩層の隙間にCCSと称して二酸化炭素を入れていくという全く新しい技術になるわけです。
そうすると、大臣にお話しいただきたいのは二点あって、一つは、なぜ土に埋めるということが安全なのか、包括的かつ具体的に、今国民に説明を試みていただきたい。もう一つは、その粘土層と砂岩層を両方使うという考え方自体が実はかなり新しいものなので、そこについて、いや、それでも大丈夫なんだというお話、その二点をいただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/20
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021・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) まず、地層処分や地下貯留につきましては、これ率直に言って、対象物に応じて深さも違えば、そのときに必要となる技術的な対応ももう様々ですので、一概にお答えをするのが適切かどうかというふうに私は思っていますが、ただ、それぞれについて、対象物に応じて、国際的な知見、技術的な知見を最大限活用して検討をして実行していくということにならざるを得ないのではないかなというふうに思っています。
その上で、地層処分で高レベル放射性廃棄物について言及がありましたが、これなんかは放射能を出す廃棄物でありますので、普通の廃棄物以上の厳しい管理が必要で、自然のウラン原石と同じレベルになるまでその放射能レベルが下がるには、数万年にわたって人間のあらゆる活動から隔離をしなくてはいけないということになりますと、もうこれは地下しかないのではないかなというふうに思うわけであります。
そのため、対象物を地下深くの安定した岩盤に閉じ込めて、人間の生活環境から隔離をして、人間による管理によらないで将来にわたって安全を確保する、そういう方法として地層処分というものを私ども考えているわけでありますし、こういった地層処分は、国際社会から現時点で最も安全で実現可能な処分方法というふうにされておりますし、そして、各国でも処分地選定プロセス等が進められているということですので、これを粛々とやっていきたいと思っていますし、太陽光パネルや風力発電設備のブレードのお話もありましたが、これらは廃棄物処理法に基づいて適切に廃棄処分が行われなくてはならないし、行われるものというふうに経済産業省、承知しているところであります。
それから、CO2の地中貯蔵のお話ありましたが、このCO2の貯留適地については、一般的に、深度八百から千メートルよりも深くところでCO2をためることができる。おっしゃったように、貯留層、砂岩層ですね、それと、上部移動を防ぐための蓋になります遮蔽層、これが組み合わさった地層構造というものが適しているということになるわけであります。このことは、IPCC、気候変動に関する政府間パネルが二〇〇五年に科学的根拠に基づいてまとめたCCS特別報告書において示されている方法なわけであります。
したがって、この方法に基づきまして、具体的に、地下に貯蔵されたCO2はこういう形で貯蔵されますと、時間の経過とともに遮蔽層が蓋として作用しますので、閉じ込めることがまずできると。それから、砂岩層の隙間に保持されることによって閉じ込めて、地層水への溶解による閉じ込めも進んでいくんだろうと、水に溶けるということですね、も進んでいくんだろうと思いますし、長期的にはその溶けた、CO2が溶けた地層水が岩石の鉱物と化学反応を起こして一部が鉱物化していくということも進展をしていくということが予想されるわけでありますので、そういうことを考えながらその地下貯留というものを進めていきたいというふうに考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/21
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022・青山繁晴
○青山繁晴君 今の大臣の御答弁の後半の辺り、そのCCSの具体的な技術についておっしゃいました。そこは私自身もほぼ同じ認識なんですよね。今まで政府参考人から同様の説明、この審議でいただいているんですけど、今大臣からその説明があったというのは有益なことだと思います。
その上で、これはもう答弁求めませんけれども、ちょっと二点、先ほどの権益という言葉と同じように、ちょっと違う意見を申しますと、大臣は、地層処分といってもいろいろあるから一概に言うのはどうかとおっしゃったんですけど、これ、逆に僕は一概に言うことも必要だと。というのは、誰が考えても、海の水に捨てると言ったらみんな心配するわけですよ。それから、頭の上の宇宙空間で処分しますと言ってもみんな心配する。じゃ、足下の土の中ならいいのかと、逆にそこを疑問持つのが我が日本国民の日本国民たるゆえんであって、これ、はっきり言って、世界回ってきた僕としては、本当に優秀な国民なんですよね。そうすると、今の段階でまさしく一概に言って包括的にこうですと、土中というのはこういうものですということをやっぱり説明すべきだと思います。
それからもう一点は、諸国もそうだからとおっしゃったんですけど、ちょっときつい言い方しますけど、諸国、全然当てにならないんです。大体、再生可能エネルギーは万全だと言い出したのはむしろヨーロッパ諸国で、当時から、例えばドイツ政府の内部にも、あの巨大なパネルをどうやって誰が拭くんだよということを、私には言うけれどもドイツの議会では言わないということもあって、諸国が言っているからというのは、実はもう当てにならないということだと思います。済みません、これはちょっともう時間がないので、ちょっと齋藤大臣におかれては、改めて考えていただきたいと思います。
最後、二つですね。
一つは、先ほど言いましたCCSに対する懸念の中で一番シビアなのは、地震を引き起こさないのかという懸念なんです。これは、科学的に見ても、もう詳しい説明できませんが、杞憂とは言えないんです。土の中というのは、ネットでは例えば地震兵器とか、実際には存在していないものが、あると言えと私にもすごい圧迫掛けたりするんですが、そんなものありません。だけれども、この地震をCCSが引き起こさないかという懸念は科学的にも実は一部根拠があるんで、これは経産副大臣にお答えを願いたいです。どういうふうに対策していかれるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/22
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023・上月良祐
○副大臣(上月良祐君) CCSの実施に当たりましては、安全確保に万全を期することが大前提であるというふうに思っております。この観点から、貯留層や断層などの地下構造に悪影響を及ぼさないよう留意をしていく必要があります。
このため、貯留事業の実施に当たっては、地質学などの外部専門家の御意見を聞きつつ、CO2注入前の実施計画の認可時には、事業者が適切なリスクマネジメントを行っているかを厳正に審査をするとともに、CO2の注入時には継続的なモニタリングを実施することなどを求めていくこととしております。
その上で、継続的なモニタリングを実施していく中で、地下の圧力の急上昇など異常な挙動が見られた場合には注入停止するといった措置を求めるなど、必要な措置を講ずることとなります。
このような様々な段階における貯留事業者のリスクマネジメントと国による監督を通じて、CCS事業に係る安全性を高めてまいりたいと考えております。
なお、その上で、実際に貯留事業を実施するに当たっては、自治体や地域住民の皆様に対してこうした対策について丁寧な説明を行うなど、関係者の御理解を得るための取組を事業者に対して求めていくとともに、国としても、CCSの安全性や政策的意義などについて丁寧に御説明をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/23
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024・青山繁晴
○青山繁晴君 申し訳ない、今の答弁だけではまだ国民の不安を払拭するに至っていないと思います。そもそも地震がなぜ起きるかというのは人類はまだ全部を解明できていないので、大臣おっしゃったとおり、モニタリングはとても大切です。その上で起こさせないと。モニタリングしていたらどうも起きそうだというんじゃなくて、起こさせないということが必要ですから、これは更に対策を練る必要があると思います。
最後に、恐らく一分ぐらいですけれども、先ほどお願いした政府参考人の御答弁、お願いできるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/24
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025・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
今手元の資料によれば、大臣が御説明したNEDO支援と、メタンを含む炭化水素などを活用した二酸化炭素を排出しない水素製造技術開発に対して、二〇一九年から二二年度にかけましてNEDOが支援しておりまして、その中で、民間公募を経て五テーマ採択してございます。この採択先は、いずれも企業や大学、ないしは先生御質問の政府系の研究機関から成るコンソーシアムですけれども、この中に含まれております政府系の機関といたしましては、一つが物質・材料研究機構でございます。もう一つが産業総合研究所でございます。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/25
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026・青山繁晴
○青山繁晴君 じゃ、時間ですので、終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/26
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027・古賀之士
○古賀之士君 立憲民主・社民の古賀之士でございます。
おととい、五月の十四日、このいわゆる水素社会推進法案そして二酸化炭素貯留におけるCCS事業法について、環境委員会との連合審査、お疲れさまでございました。
いろいろな皆さん方からの御質疑や、それから御答弁を伺っていますと、やっぱり、水素にしても二酸化炭素にしても、やっぱり気体だと見えないので本当に見えにくい法案だなと、自問自答しながら、思いながら、なおかつ、前回、前々回ですね、積み残した質疑の、さらに文字どおり、これ深掘りをさせていただこうと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
まず、水素社会推進法案について、前回、五月九日の補足でございますが、経産省に伺います。
水素に、グリーン、ブルー、そしてグレーといわゆる色分けをされておりますが、これはどういった基準からあるものなんでしょうか。あるいは、基準がどういう、具体的な数値にされているものなのかどうか、確認で伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/27
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028・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
水素を作るに当たってCO2がどれだけ出ているのかと、この算定方法に関しましては国際基準を作る動きが進んできております。直近では、二〇二三年十一月に、ISO、国際標準化機構におきまして技術仕様書が発行されておりまして、現在、この国際規格化に向けた検討が進められているところでございます。そこでは、グリーンであるとかブルーといった製造方法による分類ではなくて、製造に伴うCO2排出量、すなわち炭素集約度に基づいて水素を評価する国際標準化が進められていると承知しております。この点、昨年のG7広島サミット首脳コミュニケにおきましても、炭素集約度に基づく国際標準を開発する重要性が確認されております。
また、現在、じゃ、どういうものが低炭素に該当するのか、その炭素集約度の基準についてはどうなのかという点でございますけれども、こちらは、我が国からも提案はいたしておりますけれども、国際的に定まってはおらず、各国で大胆な支援措置が進んでおりますが、各国が何を支援対象とするか、独自に定めているのが状況でございます。
我が国といたしましては、炭素集約度に基づきまして、現在、海外の制度も参考に、審議会におきまして、何をもって低炭素というのかということについて有識者の方に御議論いただいております。
引き続き、こうした基準をしっかり定めていくと同時に、国際的な議論の動向にも主体的に参画していきたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/28
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029・古賀之士
○古賀之士君 ありがとうございます。
重要な御答弁をいただいたと思っています。国際的な基準が現在は今検討中の段階である、実質的には今ない状態であるという点、それから、今後、どちらかというと、炭素集約度とおっしゃいましたけれども、この非常にまだなじみのないものをどうやって皆さんたちに、主権者たる国民の皆さんたちに理解していただき、なおかつ進めていくのかというのは大きな課題だと思っています。
法案がこれから更に皆様方の御審議で深められていくわけですけれども、とはいえ、これもう御存じのように、このスタートは、本来はパリ協定のいわゆる年間気候温度の、一・五度以内に何とか収めたいという、そういう危機的な状況の中でスタートしているわけですので、なかなかもう待ったなしの状況だというのも重々理解をしております。
その一方で、パリ協定で結ばれましたその一・五度、前々回でも申し上げましたが、既に我が国では、年度で換算をするともう一・五度を上回っているのではないだろうか、年間で換算すると、調査機関によっては一・四五度、つまり、もうほぼ一・五度に近いという状況になってきていると。となれば、恐らくもうパリ協定の基準を、せっかくの協定を残念ながら超えざるを得ない状況に来ている、喫緊の課題だと。にもかかわらず、残念ながら、今、国際的な基準が、水素に関して、イメージとしては、あっ、ブルーなんだ、グレーなんだ、あるいはもう最もいいグリーンなんだというところでは少しは広がりを見せていますけれども、是非、粗っぽく言えば他国に勝手に利用されないように、やはりしっかりと日本が、そして世界が足並みそろえてこの問題に取り組んでいかなければ、恐らくパリ協定の一・五度なんというのも本当に泡のように消えてしまうんじゃないかという危機感を持っております。
例えば製品などを、これから先シールなどで、これはブルー水素で作られたものですよ、グリーン水素で作られたものですよというシールやマークなどが出てくることが予想されるわけなんですけれども、それが残念ながら国際基準でなかったり、あるいはまた独自のものだったり、あるいは他国が勝手に自分たちの製品を、これはグリーン水素で作ったものですよというシールを貼って、実は日本と全く基準が違っていたりというようなことがくれぐれもないようお願いを申し上げます。
では、続いての質問、移らせていただきます。
我が国における水素社会実現の道のりにおいて、国内で、先ほども青山委員から御指摘がありましたが、大量生産というよりも、これ輸入が量的に先行するものというふうに考えてよろしいんでしょうか。確認です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/29
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030・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
先ほど大臣から御答弁ございましたとおり、低炭素水素等はできるだけ国内で生産するということが、エネルギー安全保障の観点からも極めて重要だと考えております。他方で、現状のコストあるいは生産量といったようなところを踏まえますと、少なくとも当面の間は海外からの輸入を行っていく必要があるというふうに考えてございます。
じゃ、現状どれぐらいの量なのかというところですが、例えば、二〇三〇年においてEUでは、半分は域内で作って半分は海外から輸入するという目標値を立てておりますが、それは国や地域によってそれぞれでございます。
我が国においては、この水素社会推進法案成立していただいた暁には、様々な事業者の方々から、国内外、計画が出てまいります。それを先ほどのSプラス3Eの原則などからしっかり総合評価していく中で、望ましい国内、そして望ましい輸入プロジェクトを決めていくということになりますので、大変恐縮ですが、現時点で輸入はこれぐらいだというところをお答えできる段階にはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/30
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031・古賀之士
○古賀之士君 それでは、現状ではちょっとお答えできないそうですけれども、例えば現在進行中の、計画中の例えば水素の輸入に関する項目、あるいは、先ほどの大臣の御答弁を受けて、できるだけ自前でというキーワードからすれば、そのできるだけ自前で行う旨の進行中のプロジェクト、これがありましたら、是非教えていただけないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/31
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032・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
法律に基づく価格差に着目した支援の対象になるかどうかはこれからの議論でございますけれども、既に様々なプロジェクトが民間の方々によって検討されております。
国内に輸入しようというプロジェクトについては、例えば水素は、オーストラリア、先ほどお話出ましたけれども、褐炭を使って水素を液化をして、CCSを使いながら液化水素運搬船で日本に運ぶといったような取組がございますし、その他、アジアの国で水力発電によってでき上がるものを、これMCHといいますけれども、別の形で運搬可能にして国内に持ってくるといったような取組、あるいは、アンモニアを海外でグリーンに、グリーンあるいはブルーで作って運んでくるといったような様々なプロジェクトが検討されております。
国内においては、先行的に今まで取り組んでいただいているのは、参考人質疑でも御説明がありました山梨におけるプロジェクトであるとか福島の浪江におけるプロジェクト、あるいは北海道、九州といったようなところで、出力制御の対象になってしまうような電力を対象にしながらといったようなプロジェクトが様々検討されているところでございまして、法律ができた暁には、計画が出てきて練り上げていくという形になろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/32
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033・古賀之士
○古賀之士君 もう少し具体的に、数値も含めてお答えいただけると大変有り難いんですけれども。
では、さらに、今輸入のお話もいただきましたけれども、その国際間の水素のクレジットというのは現状あるのでしょうか、ないのでしょうか。そして、あるとすればどの程度期待をされているのか、それも併せてお答えいただけないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/33
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034・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) 現在進行中の海外から持ってくるプロジェクト、あるいは国内で作るプロジェクトの数字は、ちょっとまだ相当動きがございます。それぞれのプロジェクトごとにどれだけの生産量かということと、それを単価当たりどれぐらいで作るのかというのに開きがあるものですから、もう少しちょっとお時間をいただければ本当有り難いなというふうに考えてございます。
国内で先行的に行われているやつは、例えば福島の浪江でありますと、水の電気分解でございますが、十メガワットの、今のところは世界最大なんですが、それが動き始めているということですし、山梨は、この間御説明いただいたとおり、もう少し小規模のものが動き始めているというところでございます。
それから、水素のクレジットということにつきましては、現状においては、二国間でJCMのクレジットをどうやってやっていくかといった議論もあり得るとは思います。ですが、具体的にこのクレジットが取得されましたといったようなプロジェクトはまだございません。
一方で、海外から持ってくるようなプロジェクトについては、企業の方々だけではなくて政府間の協議も必要になりますので、そうした点も含めて、引き続き議論をしていきたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/34
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035・古賀之士
○古賀之士君 だんだん不安になってきたんですけれども。
結局、今伺っていると、いわゆるブルーとか色分けのその基準も国際的には残念ながらまだない、それから、今、いろいろな自前、それから輸入する際の様々なプロジェクトも、残念ながら今具体的な数字はお出しできないような状況だということ。国際間のクレジットもまだ実は存在していないということです。ということは、本当にこれ環境に貢献していくのかというのは、やっぱりかなりクエスチョンが出てくると思うんですね。
それをやっぱり国民の皆さん、一番問題になっているのは、恐らく今、コストの問題でいろいろあるので非常に出しにくいという部分もあるかと思うんですが、しかしそのコストも、やっぱりこれだけの大金といいますか、国税をしっかりと投入するということにもなっているわけなので、それに見合うやはりこの基準なり明確な目標値みたいなものをしっかりとお示しいただくということはとても大事なことだと思っております。その点を指摘をさせていただいています。
その上に立って、その水素の国内生産、そして国際間のクレジットがまだこれも全く定まっていないという状況の中で、輸入とのバランスというのを、今現状、大臣に伺いますが、どのようにお考えいただいているんでしょうか。そして、このエネルギーそのものは、先ほど青山委員からの指摘、そして大臣の御答弁にもありましたように、やはり、資源エネルギーというのがやはり日本の本当に永遠のテーマじゃないのかなと思っております。だからこそしっかりと、このエネルギーの安全保障上に関して、やはり大臣の覚悟なり決意なりを是非お示しいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/35
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036・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) まず、先ほどの井上の答弁に関して不安になったというお答えありましたけれども、気持ちは分かるんですけど、じゃ、その国際基準が全部決まるまで待ち、それからその海外のプロジェクトの組成が完成するまで待ちということでは恐らく後手に回ってしまうということですので、ある程度走りながら法案も作っていくということはせざるを得ないという部分もございます。ただ、進んでいくにつれてまた国会でしっかり御議論をいただければなというふうに思っていますので、御容赦いただきたいなというふうに思います。
低炭素水素等のサプライチェーン構築に当たりましては、私は、エネルギー安全保障の観点から、先ほど申し上げましたけど、低炭素水素等はできるだけ国内で生産をしたいというふうに思っています。
そのため、優先的に国内における低炭素水素等の製造ですとか供給体制の構築、これに取り組んでいきたいと思っていますが、ただ、少なくとも当面の間は、国内での低炭素水素等の製造は、海外からの輸入案件に比べまして、正直小規模かつ高コストにならざるを得ない見通しになっているものですから、このため、結果として当面は、率直に申し上げまして、輸入の低炭素水素等に依存する割合が大きくならざるを得ないのではないかなという認識を持っています。
現在、余剰再エネを活用することですとか、水素の製造効率を上げる技術開発等にも同時並行的に取り組んでいるわけであります。将来的には、国内における低炭素水素等の製造を何としても拡大をさせていきたいというふうに思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/36
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037・古賀之士
○古賀之士君 では次に、二酸化炭素の貯留、いわゆるCCS事業法案について、これも五月九日の質疑の続きをさせていただきますので、御理解ください。
そのCCSの法案ですけれども、我が国の場合、どこでどの程度の実施イメージお持ちなんでしょうか。例えば、地図で、公表されているホームページの地図などを見ますと、陸上もありますし、それから海域もあります。いわゆる海の中にまでパイプを掘ってそこに埋めていくという考え方もあると伺っております。是非、その最もふさわしい適地、海よりも山、山よりも丘の方がいいのか、どこがそして国内の適地なのか、最もふさわしいのかというのを現時点でお考えなのか、教えてください。
そして、その適地、十一か所ぐらいあるというふうなことも一部言われておりますけれども、これは、一つ、一か所当たりどの程度貯留する見込みがおありなのか。その貯留する見込みというのは、日本全体の貯留しなければならない量からすると大体どれぐらいの割合なのかということも、イメージとして是非国民の皆様に持っていただきたいので、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/37
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038・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
CO2の貯留適地となります、蓋の役割を果たす遮蔽層とその下部に存在する砂岩層から成る地層は、陸域から海域にかけて形成されることが多うございます。CCS事業に適した場所か否かについては、経済性や地域の理解なども踏まえて総合的に検討されることになりますため、現時点で一般論として国内で想定される場所が陸か海か、いずれが中心となるかについては、予断を持ってお答えすることは控えさせていただければと考えております。
その上で、幾つかイメージを持っていただくために申し上げますと、国内での貯留ポテンシャルにつきましては、日本CCS調査株式会社が専門家の意見を踏まえて行った試算によれば、海域の、御質問のとおり、有望地点が十一地点ございまして、それらの合計で約百六十億トンの貯留可能量が推定されているということでございます。
二〇五〇年時点での日本のCCSの利用見込み量の一つのあくまでもごくラフな目安につきましては、一・二億トンないし二・四億トンというふうに我々試算してございますので、そこからいたしますと、数十年分ないしは百数十年分という規模が理論的には日本の近海に確認をされているというところではございます。
また、国が支援しております先進的CCS事業というものがございまして、二〇二三年度に採択したプロジェクトのうち七つプロジェクトを採択しましたが、そのうち五つが国内での貯留を目指すものでございまして、その提案にあります貯留の候補地について申し上げますと、北海道苫小牧地域、日本海側東北地方、東新潟地域、九州北部沖から西部沖、そして首都圏というものが挙がってございます。
今後、事業可能性の調査が進むに従い、より具体的な貯留候補地が明らかになっていくというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/38
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039・古賀之士
○古賀之士君 ありがとうございます。
確認ですが、もう一点だけ。質問した中に、今の年間の日本のCO2の排出量、これがまずどれだけあるのかというのをちょっと教えていただけないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/39
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040・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) 現在の日本のCO2の排出量は約十億トン、ちょっと正確な数字は今すぐ手元にはございませんけれども、約十億トンというふうに理解してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/40
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041・古賀之士
○古賀之士君 年間ですよね、十億トンから二十億トンぐらいだというふうに。はい、どうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/41
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042・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) 失礼しました。
年間のCO2排出量が約十億トンでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/42
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043・古賀之士
○古賀之士君 ありがとうございます。
ということで、十億トン、調査によっては二十億トンというところもあるとは伺っておりますけど、十億トンということでした。
年間で、ですので、今埋蔵を考えていくと、確かに今の技術なり状況からすると、一・二億トンから二・四億トンということで、徐々に徐々にということですけれども、マックスでも、我が国のCO2の排出量というのは年間やっぱり十億トンだというかなり膨大な量だと。それでも、地球全体から見れば数%というような状況だということを改めて確認させていただきました。
では、CCS、そうなってくると、海外での実施というのも当然視野に入っていらっしゃると思います。そのために、CO2の輸出というのは可能なんでしょうか。そして、輸出先を含めた各国の動向、これも教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/43
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044・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
先ほど申し上げました先進的CCS事業で採択いたしました七案件のうち、二案件が海外での貯留を想定してございます。具体的には、マレーシアあるいは大洋州などにCO2を輸出した上での貯留を想定しておりまして、その海外でのプロジェクトに日本企業が参画するということも検討されてございます。
輸出が可能か否かということですけれども、CO2の輸出は、CCS目的のためのこのCO2の輸出は、改正ロンドン議定書によって規制されておりまして、国家間での取決め等が締結される場合に限って輸出が認められるというふうになってございます。海外では、つい先月、ノルウェーが、オランダ、デンマーク、ベルギー、スウェーデンとこの議定書に基づき、輸出を念頭に置いた取決めを行ったところでございます。我が国につきましては、この改正ロンドン議定書の受諾についてこの国会において御審議をいただいておりまして、我が国として正式に改正を受諾した上で、このCO2の輸入国と取決め等を締結することができれば、制度的にはCO2の輸出が可能となります。
また、貯留ポテンシャルに恵まれた途上国、新興国の中には、CCSに関する技術移転を求めたり、貯留場の操業の安定化や運営のための経験、ノウハウを獲得するために、むしろCO2の海外からの受入れを積極的に模索する国もアジアなどに複数現れている状況でございます。こうした国に対して、そのニーズを踏まえて、CCSに関する技術移転や貯留事業への参画、共同実施を含めて、我が国としても対応を検討し、日本と受入れ国双方の経済成長、カーボンニュートラル実現に資するような互恵的な関係を構築すべく、海外でのCCS事業も推進していきたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/44
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045・古賀之士
○古賀之士君 そこで、齋藤大臣にその決意のほどをまた伺いたいんですけれども、このCCSの事業化、経済性、特に投資回収の予見についてということと、それとやはり、今御答弁ありましたように、やっぱりこのCO2、そういう技術を、CCSの技術を求めているという国もあるかもしれませんが、一方で、懸念材料としては、CO2をお互いが押し付け合うような、そういうような事態にくれぐれもならないように、そういうやっぱり国家間の協調体制というのをしっかり構築していくという必要は、もう釈迦に説法ですが、重々御存じだと思います。そういう点も含めて決意をお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/45
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046・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 適地が見付かりましても、事業者がやる気にならなければ前進できないわけでありますので、今CCSは、現時点におきまして、率直に申し上げて経済性が課題なんだろうと思っています。米国や欧州では、近年、予算や税制などでCCS事業に対する様々な導入支援制度を構築されてきております。CCSの本格的な導入に向けまして、更に環境整備が進み、事業の予見可能性が今向上してきている状況にあるんだろうと承知しています。
二〇三〇年のCCS事業開始を目指してビジネスモデルを確立をしていくということが重要でありまして、そのための第一歩として、現在、先進的CCS事業により事業性調査等の支援を行っています。今後、事業者の円滑な参入、操業を可能とする支援制度を構築する必要もあると思っています。
昨年十二月に取りまとめたGXに関する分野別投資戦略を踏まえて、予算、税、クレジットなど諸外国の支援措置も参考に、事業者の円滑な参入、操業を可能とする支援制度の在り方について検討していきたいというふうに考えています。その際、GX経済移行債の活用についても、先進的なCCS事業の事業性調査等の結果を踏まえて検討していきたいと思っています。
こういった取組を通じまして、率先して事業リスクを取る民間事業者が幅広くCCS事業に参画し、国内、海外双方で脱炭素化に貢献をするとともに、国際競争力を持つ我が国の新しい産業として育っていくこと、これを目指していきたいなというふうに思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/46
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047・古賀之士
○古賀之士君 ありがとうございます。
それでは、今のはCCSへの決意でございましたから、二つのこの法案の実施段階に向けての御答弁伺います。
まず、いずれも大臣に伺いたいんですが、今度は、先ほど、国際的な協調も必要だというような御指摘もさせていただきましたが、一方で、この国内で地域住民の皆様方へのリスクコミュニケーション、それから、各自治体がどのような産業をそれで構築していくのか、それから、働く方々を含めた地域の暮らしのグランドデザイン、こういったものをやっぱり、各、今、自治体や地域ごとに構築をしています、中長期に向かって。そのグランドデザインに対して、一体、この様々な法案を活用して町を上げたいというところも、町おこしをしたいというところも出てくるかと思います。
そういったものも含めて、地域の支援、地域の支援の中には交付金制度などもあると思いますし、また環境などへの配慮も必要になってくるかと思いますが、その環境の配慮はまた後ほど伺うことにいたしまして、その地域の皆様方に対する対応について、その決意をお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/47
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048・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 低炭素水素等の利活用やCCS事業を推進するに当たりましては、関係自治体や地元の住民の方の御理解、御協力、これ必要不可欠でありますし、やってよかったと思ってもらえるように是非したいと思っています。
水素やCCSの事業についてのリスクコミュニケーションですが、まずは事業者自らがその安全対策をきちんと説明をするということが重要でありますけれども、経済産業省としても、関係する事業者とも連携をいたしまして、しっかりと地域と対話をしていきたいというふうに思っています。
また、地域レベルでの脱炭素化を進める上で、自治体が水素やCCSを地域の産業に利用するグランドデザイン、これを示していくということも重要だと思っています。例えば、水素等の供給拠点やCO2の輸送拠点の配置や、地域の産業における需要拡大への道筋というものが示されれば、事業の推進にも大きく寄与するのではないかと思います。このため、水素の関連では、政府として地域のグランドデザインを策定する会議体へ参加をするということなど、地域の取組を御支援させていただいているところであります。
CCSにつきましても、一部の自治体でCCSを活用した地域産業の在り方を検討する動きが出てきています。そうした地域としっかりと対話しながら、地域の取組というものを後押しをしていきたいと思っています。
こういった取組を通じて、地域とのコミュニケーション、これをしっかり図りながら、低炭素水素等の利活用やCCS事業、これを推進していきたいというふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/48
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049・古賀之士
○古賀之士君 ありがとうございます。
一方で、今申し上げました、先ほど申し上げました環境への保全、それから安全性の観点で、環境影響評価法やそれから鉱業法、鉱業は鉱山の鉱ですね、鉱業法、それから最新の科学的知見を参考にして、最前線で働く方々の代表たる労働団体の意見を十分に踏まえて法案を実施するということを考えてよろしいでしょうか。確認です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/49
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050・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 当然のことながら、周辺環境の保全ですとか労働者の安全確保、これを図りつつ行われなくてはいけないというふうに思っています。
まず、CCSにつきましては、CCS事業法案に基づくCO2の漏えいを防止するための措置等を定めた貯留事業実施計画の認可制度やモニタリング義務等によりまして、環境影響の有無の把握等を通じて、周辺環境に悪影響を及ぼさないCCS事業を実現していきたいと思っていますし、また、これらの運用手法につきましては、鉱業法等の他法令の例、諸外国の動向や最新の科学的知見を踏まえつつ、その詳細について引き続き検討した上で、不断の改善、これを図っていきたいと思っています。
また、水素等に関しましては、今後とも、既存の制度を活用しつつ、環境への影響も勘案しながら水素等の導入を進めてまいります。例えば、水素を利用する火力発電所の設置につきましては、環境影響評価法の枠組みの下で、最新の知見を踏まえつつ、大気、騒音、振動等の環境への影響について評価をすることになります。
労働団体の御意見につきまして、これまでも審議会等の場で伺ってきてはおりますが、今後とも、労働界からの御意見をしっかりとお聞きし、これを踏まえた制度設計をしていきたいと考えています。
引き続き、こうした取組を通じまして、周辺環境や労働者の皆様への影響を適切に考慮していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/50
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051・古賀之士
○古賀之士君 労働者の皆様への様々な深掘りは、また村田享子委員からも出てくるかもしれませんので、是非またよろしくお願いをいたします。更に御安全にを目指していきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
両法案へのやっぱり決意、そして、大臣のこの御答弁の中にもやっぱり不確実性がどうしても出てくる。その中でも、やっぱり走りながらでもやっていかなきゃいけないんだという、そういう不退転の決意もかいま見えました。いや、かいま見えたどころか、しっかりと拝聴することができました。
とはいえ、本当に新しい技術に対して、やっぱり不安を持っている方も少なくないと思っております。その辺のケアをしっかりとしていただきたいということと、それと、やはり新しい技術に対しての果敢なる挑戦というのも、そして、今現状ある技術を本当に総動員していく意味では、ほかの委員の皆様方も御指摘のように、様々な可能性を持って、その際にはやっぱり優先順位を思い切って変えていくということも必要な部分ではないかと思っております。
その点について一言、時間がなくなりましたので、大臣の決意を伺って、結びとしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/51
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052・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 二〇五〇年カーボンニュートラルは大変高い目標でありまして、正直その道筋は描けていません。その実現に向けて、Sプラス3Eの原則の下で、水素等やCCSを含め、御指摘のようにあらゆる可能性を排除せず、使える技術は全て活用していくという姿勢が必要不可欠だと思っています。
その中で、この両法案は、脱炭素化が難しいとされる鉄鋼、化学などの産業分野、発電分野、モビリティー分野などにおいても、何としてもGXを推進をしていかなくてはいけないということで、そのための基盤となる制度であると認識をしています。両法案に基づいて、両法案をしっかり活用することで、水素とCCSの取組を進めていきたいと思っています。
御指摘のように、将来の環境変化、これは絶えず起こるという前提で機動的かつ柔軟に対応していくということは大事だと思っています。水素等やCCSの需要、あるいは国際的な議論をしっかり注視をしながら、今後の技術開発やコスト低減の進捗等も踏まえて、必要に応じて、支援策を含めた制度の在り方の見直し等に柔軟に取り組んでいきたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/52
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053・古賀之士
○古賀之士君 ありがとうございました。終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/53
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054・村田享子
○村田享子君 御安全に。立憲民主・社民の村田享子です。
古賀委員からパスをいただきまして、私もまさに今回、水素、CCS、新しい技術でございますので、そこで働く皆さんのこの安全を守っていくということも本当に大事ですし、そしてもう一つは、そもそも自分の雇用がどうなっていくのかと、そういった不安を抱えていらっしゃる方もいるということなんです。
この御安全には、現場で働く皆さんの挨拶なんですけれども、先日、ちょうど製鉄所の現場で働く皆さんとお話をする機会がありました。
今私は経済産業委員会で水素、CCSの法案を審議しているんだという話をしたときに、製鉄所のコークスのところで働いている方から、私は二十年間このコークスの仕事をしてきたと、自分の仕事はどうなるのかと、そしてあわせて、今若手が入ってきている中で、やっぱりその後輩たちに仕事を一生懸命教えているわけなんだけれども、じゃ、これからこのコークスの仕事が十年、二十年、三十年、どうなっていくのかというのをやっぱり伝えないといけない、そういった立場でもあるんだといったお話を聞いたときに、もちろんカーボンニュートラルに向けてできることをやらないといけないんですけれども、今現場で働いている人の雇用への不安というのをやっぱりなくさなければいけないなと、その意味で、私も今日はまず雇用の公正な移行というところについてお伺いをしたいと思います。
昨年のGX推進法なんですけれども、参議院の方で修正をされまして、脱炭素化に伴う雇用への影響を考慮し、公正な移行というのが第三条の基本理念に追加をされました。また、昨年閣議決定されましたGX推進戦略においては、公正な移行が明記をされまして、国として必要な支援を行うということもしっかり書かれてございます。
このときのGX推進法の審議のところでは、この公正な移行を実際に実施していくに当たっては、やっぱり労働の話ですので、労働者の代表の意見を聞くことも大事ですし、厚生労働省との連携も重要なんだというようなことを指摘させていただきました。そのときの御答弁が、政府全体でしっかり連携をしてやっていくということなので、厚労省も含めてどういう連携体制をつくって取り組んでいくかはしっかり検討してまいりたいというものだったんです。
あれから一年たちまして、今現在、雇用の公正な移行に向けて、労働組合や厚生労働省も加わった会議体の有無、またあわせて、お金、予算も実際に付けているのか、GX経済移行債等の活用など具体的な予算措置はされているのか、これについて御答弁お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/54
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055・畠山陽二郎
○政府参考人(畠山陽二郎君) お答え申し上げます。
御指摘の公正な移行を含めたGX政策につきましては、総理を議長とするGX実行会議におきまして、日本労働組合総連合会、連合の芳野会長に構成員として加わっていただきながら議論をしているところでございます。
また、政府全体のGX政策を推進する内閣官房GX実行推進室には、御指摘の厚生労働省の職員にも御参加をいただき、ここを含めた省庁横断的な体制を整備して、事務局機能を果たしながら、GX政策を検討しているところでございます。
こうした場におきます議論を踏まえて、昨年成立いたしましたGX推進法、あるいは閣議決定したGX推進戦略におきまして公正な移行は明確に位置付けられておりまして、この点をしっかりと踏まえてGX推進に取り組んでいく考えでございます。
公正な移行のためには成長産業を育成強化することが重要だというふうに考えておりまして、そのために、御指摘のGX経済移行債を活用した措置を講じてございます。既に昨年度、GX経済移行債を約一・六兆円発行いたしまして、産業、暮らし、エネルギーの各分野における大胆な先行投資支援に充てることとしておりまして、今後十年間で二十兆円規模の投資支援を行っていく方針でございます。
こうした措置を通じまして、カーボンニュートラルに向けた世界的な潮流の中でも競争力の高い産業、事業を強化し、これらの分野における雇用を創出していきたいと、このように考えております。
あわせて、リスキリング等の人材育成の取組とグリーン分野を含む成長分野への労働移動の円滑化を引き続き一体的に進めていきたいと、このように考えております。
こうした取組を通じまして公正な移行にしっかりと取り組んでいきたいと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/55
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056・村田享子
○村田享子君 今週十三日に、第十一回のGX、先ほど、今お話のあった連合の芳野会長も参加をされていますGX実行会議が開催をされて、総理の方から、GX二・〇の検討を始め、二〇四〇年に向けたGXビジョンを策定するということが明らかになりました。
このビジョンは私も非常に大事だと思っていて、やっぱり、二〇三〇年の話、次が二〇五〇年の話となると、やっぱり企業の皆さん、そして現場で働く皆さんはなかなかその道筋が見えてこないという意味では、私は、二〇四〇年、そういったところのビジョンを描いていくのはすごく大事だと思っています。
ですので、やはり是非ここのビジョンを考えていく上でも公正な移行というものを論点として入れていただきたいなということと、このビジョンが、総理の方からも経産大臣の方に有識者を集めて論点を整理してというような御指示があったというふうに認識をしておりますが、どういったメンバーでこのビジョンを議論していくのか、このメンバーの中に労働組合の代表であったり厚生労働省も入ってくるのか、その辺も教えていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/56
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057・畠山陽二郎
○政府参考人(畠山陽二郎君) 十三日に開催をされましたGX実行会議におきまして、我が国の経済成長と脱炭素の実現を目指すGXを加速させ、産業界の投資を後押ししていくために、まさに予見性を確保しなきゃいけないということで、産業構造、産業立地、エネルギーを一体的に議論し、GX二〇四〇ビジョンとしてまとめる方向性について示されたところでございます。
具体的な内容につきましては今後議論されるものでございますけれども、GX実行会議はこれまでも公正な移行の重要性を議論してきておりまして、そうした観点を踏まえて検討していく、こういうことになろうということでございます。
また、GX二〇四〇ビジョンを含むGX施策の検討は、先ほど申し上げたように、連合会長、芳野構成員に御参加をいただいているGX実行会議を中心に進めることとなります。総理から齋藤大臣に指示がございましたのは幅広く意見も聞くようにということで、あくまでもその検討をまとめていくのはこのGX実行会議のところでございます。
その事務局には、先ほども申し上げたように、厚生労働省の職員にも御参加をいただいている内閣官房GX実行推進室が当たっていきますので、その公正な移行の議論をしっかり踏まえて取り組んでいきたいと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/57
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058・村田享子
○村田享子君 是非そのように進めていただきたいと思うんですが、より具体的にその雇用の公正な移行というのをどうしていくかというのをやっぱりもっと知りたいんですよ。
先ほど冒頭にお聞きをしたときに、強い産業を創出するんだと、それで雇用もつくっていくんだということで、それは分かるんですね。新しい産業、今回も、水素とかCCSの事業をしていけば、それに伴って新しい産業もできて、雇用も必要になるだろうと。
まず一つは、じゃ、その雇用の質はやっぱりどうなのかということで、これ参考人質疑のときにも竹内参考人の方から御指摘がやはりございまして、GXのこの円滑な労働移行という話になると、例えば、化石燃料関連の雇用は何万人減るけれども、再エネ関連で何万人増えるといったような数合わせですよね、数は強調されるけれども、やはり、竹内参考人からは、数合わせの議論じゃないよねと。じゃ、その新しい産業に行ったときに自分のお給料が上がるのか下がるのかとか、あと、そもそも、例えばコークスのその方のように、皆さん、自分の仕事に今誇りを持って働いていらっしゃるときに、じゃ、次、こっちの産業に行ってくださいねというようなことが本当に円滑にいくのかというところの検討が私はまだまだされていないんじゃないかなというふうに思うんです。
ですので、やっぱり雇用の創出と併せて雇用の質、そして、どのように本当にその今働いている皆さんに納得してもらいながら新しい産業に行っていただくのか。今日、これについて、まず全体的な政府の見解と具体的な方策を伺いたいということと、その具体的な話をすると、先月末に開催されたG7の気候・エネルギー・環境大臣会合での石炭火力発電所の取扱いについて大臣に前回お聞きをしたときに、その中で、二〇三〇年に向けて非効率な石炭火力発電を廃していくという話が出ていて、もう二〇三〇年ってすぐなんですよね。そうしたときに、じゃ、この石炭火力発電所で働いている皆さん、雇用をどうしていくのというところもやっぱり考えないといけない。
そうした発電所で働く方々への影響、実際の労働移動というのをどう考えていらっしゃるのか、そこを御答弁お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/58
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059・畠山陽二郎
○政府参考人(畠山陽二郎君) お答え申し上げます。
公正な移行につきましては、GX推進法やGX推進戦略に基づきまして、しっかり踏まえながらGX推進に取り組んでまいります。
GXは、脱炭素のみならず、産業競争力強化、経済成長を同時に実現をしていこうと、こういう取組でございます。GX経済移行債による二十兆円規模の先行投資支援などを通じまして、排出削減効果が高いことに加えまして、カーボンニュートラルに向けた世界的な潮流の中でも競争力の高い、そういう産業、事業を強化する中で、雇用についても、まさに御指摘のとおり、有望な分野における質が高い、そういう雇用の創出につなげていきたいというふうに考えております。
一方で、御指摘のように、単に数合わせということになってはいけないということもそのとおりだと思います。そういう意味では、そのリスキリングなどの人材育成の取組、そういうこともやっていかなければいけないと思いますし、GX分野を含む成長分野への円滑な労働移動を進める際に、その意味では、働いておられる方々のお気持ちが大事だというところも、それもそういうことだと思います。こうしたことも踏まえながら、公正な移行に必要な施策に取り組んでいきたいというふうに考えております。
それから、具体的な例として火力発電のお話がございました。火力発電につきましては、安定供給の確保を大前提に、非効率な石炭火力のフェードアウト等を進めていく、そういう方針にしております。
他方で、火力発電は電力供給を支える重要な電源でございます。それとともに、地元の雇用ですとか地域経済にも多大な貢献をしていると、こういうものでございます。こうした中におきましては、休廃止によって発生するおそれのある地域経済や雇用への影響などを踏まえながら、地域の実情等に応じて、脱炭素化に向けたトランジションの促進を検討していくことが必要と考えておりまして、そういうことで検討を進めていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/59
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060・村田享子
○村田享子君 ちょっともう一点お聞きをしたいんですけれども、雇用の質が上がるような新しい産業をつくってというようなお話は大事で、そこのところはすごくこのGX推進戦略にも書いてあるんですけれども、じゃ、実際にどう移動していくの、例えば転居をしないといけないという方だって出てくると思うんですよね。今、産業立地というような話がこのカーボンニュートラルの議論でも出ていく中で、じゃ、そうした転居を伴うような移動になったときに、じゃ、どうしていくのか。先ほど、地域経済への影響も石炭火力については考えていくというお話ありました。これはもう本当に、地域の経済、雇用にとって一つの産業がなくなってしまうというのは大きな影響ですし、そこからまた転居せざるを得ない方が出ていくということ、やっぱりその辺はもっと具体的なイメージを持ってしていただきたいなと。
リスキリングも非常に大事だと思うんですけど、じゃ、リスキリングしましたと、でも、今住んでいるところでこれを活用できる場所がないよねとなると、ただ技術学んだだけじゃ駄目だし、今現場で働いている皆さんにとっては、リスキリングする暇もないわけですよね、今の仕事を一生懸命頑張っているわけなので。
何かそうしたところが、もうちょっと現場の皆さんの労働に即したやっぱり政策をやっていかないと、カーボンニュートラル、国民の皆さんにも御理解いただいて進めないといけない政策なのに、ちょっと、働くという皆さん、雇用という面がちょっとないがしろにされているんじゃないかなというようなイメージも今の御答弁で思ったんですけれども、例えばその転居を伴うようなそうした労働移動、その辺についてはどうお考えでいらっしゃるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/60
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061・畠山陽二郎
○政府参考人(畠山陽二郎君) GXに伴う産業構造の転換、そして、そこで必然的に生じる労働移動、これは、これからいよいよ本格化をしていくことになると思います。今御指摘のその転居の問題含めて、様々やっぱり具体的に考えていかないといけないと思います。
そういったことに目を配りながら、今、その転居についての予算が措置されているかということでいうと、必ずしもGX予算では措置されていないんですけれども、そこの課題というのは十分認識した上で、それでその円滑な移行がしっかり行われるように施策展開考えていきたいと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/61
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062・村田享子
○村田享子君 やはりこの二〇三〇年の石炭火力発電の話はもう本当に目の前のことですし、是非とも、これから二〇四〇年に向けてのビジョンをまとめるという意味で、ここの雇用の部分はしっかり意識していただきながら進めてもらいたいと思います。
法案のちょっと審議にさせていただきますが、水素社会推進法案のところなんですけど、先ほど言ったように、鉄鋼業というのがどうしても脱炭素化が難しい分野というふうに私も認識をしています。今回の話も、水素の導入目標の話もこの委員会でも出ていますけれども、二〇三〇年が三百万トン、二〇四〇年が千二百万トン、二〇五〇年が二千万トンとしておりますが、この目標の根拠はそもそも何なのかと。鉄鋼、モビリティー、発電など、各分野における需要をどのように分析をしているか。鉄鋼業だけで二〇五〇年水素利用量が二千万トンとの推計も出ておりますけれども、鉄鋼業での水素利用をどう考えていらっしゃるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/62
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063・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
水素基本戦略での水素の供給量、二〇三〇、四〇、五〇、御指摘のとおりでございます。二〇三〇年に向けましては、現在の水素の供給量、これが大体約年間二百万トン、国内にはございます。したがいまして、追加で約百万トンを供給していく必要がございます。
現行の第六次エネルギー基本計画では、二〇三〇年の電源構成のうち約一%を水素、アンモニアで賄うとしておりまして、これは水素換算で大体六十から七十万トンになります。この発電以外の需要につきましては、産業の熱利用あるいは化学、商用車などでも需要が想定されるため、これらを合わせまして、二〇三〇年は追加百万トンというふうに想定いたしております。
二〇四〇年の千二百万トンは、二〇三〇年と二〇五〇年、直線的な導入量を上回る形として設定しておりますが、お尋ねの二〇五〇年でございますけれども、こちら、二〇五〇年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略におきまして、産業やモビリティーなどの各分野で水素を利用するためのイノベーションが進展する、その一定の仮定の下に試算を行いまして、鉄で約七百万トン、モビリティーに六百万トン、発電に五百から一千万トン程度と当時想定いたしております。
こうした目標値なんですけれども、事業者へのヒアリングであるとか審議会等における御議論を経て定めております。一方で、御指摘のとおり、仮にもっともっと鉄、水素還元製鉄使うとしたら二千万トン必要だよというお声もいただいております。
我々といたしましては、今後のこの法案も踏まえました更なる需要の拡大、技術の進展あるいはコストの動向なども見ながら、適切に見直しも図っていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/63
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064・村田享子
○村田享子君 先ほど古賀委員との議論の中で大臣からも、走りながら進めていくというお話ありました。私も、まずはもう、企業は既にやっていることですので、しっかり国が後押しをしてほしいということと、やっぱり現場で何が必要とされているかというのを、この法案成立後も密に連携を取っていただきたいなと思います。
鉄鋼業に関連しますと、昨年のGX推進法で化石燃料賦課金の話になりまして、やっぱり、そこで私からも一つ要望を出したのが、原料炭が賦課金の対象になるかというお話です。鉄鋼業は脱炭素化が難しいということで、鉄鋼業全体で、研究開発や設備投資に、カーボンニュートラル実現に向けて十兆円掛かると、これ経産省の試算になっております。そうした意味で、やっぱり賦課金の対象にもなるということになると更なる負担になるのではないかということもお話をしましたが、現在どのような検討状況になっていますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/64
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065・畠山陽二郎
○政府参考人(畠山陽二郎君) 我が国のGX推進に向けた政策は、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けた排出削減と我が国の経済成長を共に実現していくことを目的としてございます。
このため、御指摘の化石燃料賦課金を始めカーボンプライシングにつきましては、代替技術の有無ですとか国際競争力への影響などを踏まえて、経済活動を維持強化しつつ、雇用も守りながらその導入を進めていくことが重要だと、このように考えております。
その上で、化石燃料の輸入事業者等に対して課される化石燃料賦課金でございますけれども、昨年成立したGX推進法におきまして、二〇二八年度からの導入が決まっているところでございます。この導入に当たりましては、先ほど申し上げましたように、代替技術の有無や国際競争力への影響も踏まえながら、化石燃料賦課金と同様に化石燃料の輸入事業者等に課される石油石炭税など、既存の類似制度において各種の減免措置が講じられていることを踏まえ、必要な措置を検討するという趣旨の方針が、これは昨年七月に閣議決定いたしましたGX推進戦略において明記されているところでございます。
これに従って、具体的な制度設計の在り方、これから検討でございますけれども、この制度設計の制度の在り方、検討をしてまいりたいと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/65
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066・村田享子
○村田享子君 あともう一つ、これも昨年、GX推進法の審議のときもお話をしたんですが、建設機械といった産業機械での脱炭素化も進める必要があるという話の中で、今、建設機械の稼働によって排出されているCO2の排出量は、国内産業部門の約一・七%ということなんですね。今、建機や農機の企業においては、電動化や水素燃料電池、水素エンジンを使った機械が開発をされているんですけれども、ここが、例えば建設機械が乗用車とか商用車と違うのは、町中に建設機械を持っていって水素を充填するのって難しいよねと。山の中の現場でそういった建設機械を使っていくときに、どう水素を充填していけばいいのかと。今企業の皆さんは、やはり産業機械でも脱炭素化をしないといけないということで、こうした開発は進んでおりますので、こうした産業機械向けのインフラの整備も必要だと思います。
昨年のこの質問のときには、令和四年度から水素ステーションのマルチ化を支援対象としたというようなお話なんですけれども、この実際の支援状況と、やっぱりこうした産業機械での水素活用、この水素の需要を増やすというのも今回の水素社会の法案の中でも大事な論点になりますけれども、産業機械の水素需要促進に資するような、そうした支援というのも考えているのか、お聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/66
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067・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
御指摘の令和四年度から、水素ステーション整備の補助金の対象、これをFCV以外の水素需要への供給に関連した設備投資等に拡大と、これを行わせていただいておりまして、これまでの支援によりまして、例えば、FCVだけでなく、近隣の定置用の燃料電池に対して水素を導管で供給するといったような新しい水素ステーション事業の形態が生まれつつございます。
また、御指摘の産業機械における水素活用もこれ期待される分野でございまして、例えば、工場における熱供給に用いられるボイラーというものについては、水素燃料に対応した製品が徐々に実用化されてきておりまして、一つには、省エネ補助金において、水素活用ボイラー等の先進的な設備を用いて大幅な省エネを達成する案件について補助率を一層引き上げるといったような措置を講じております。
また、二つ目には、二〇二四年度から、排出削減が困難な産業分野におきまして、将来的な水素の活用を見据えた自家発電設備等での大幅な排出削減に資する石炭等から天然ガスへの燃料転換、こうしたものについても支援をするということをいたしておりまして、このような取組を通じて、産業機械も含めて水素の需要を拡大してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/67
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068・村田享子
○村田享子君 今いろいろ取組も進んでいるということなんですが、事業所内の水素の供給のところは環境省の所管なんですといったのを事前のレクでお伺いをしましたし、建設機械だと国交省、農業機械だと農水省も関係していて、そこのところが、今自動車とか商用車の話は出るんですけど、なかなか産業機械というのが話題に出てこないなというのも感じますので、しっかり進めていただきたいと思います。
次、ちょっとCCS事業法案についてお聞きをしたいんですが、ちょっとこれ、まず料金の届出義務というのが、今回、特定貯留事業者と特定導管輸送事業者に対して課せられております。この届出義務を課した意義についてお聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/68
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069・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
今般のCCS事業法案におきまして、貯留事業者と導管輸送事業者に対して料金の届出義務を課すこととしてございます。これは、料金の透明性を確保し、特定のCO2排出者が不当に差別的に取り扱われることなくCO2の貯留サービスや輸送サービスを適切に利用することができる環境を整備するためでございます。
同様の観点から、諸外国においてもこうしたサードパーティーアクセス義務を課していることが一般的でございまして、委員御指摘の料金の届出義務などの措置を通じて、CO2排出者がCCSを適切に利用することができる環境を整備していくという方針でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/69
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070・村田享子
○村田享子君 一点確認なんですけど、このCO2排出者に対する貯留とか輸送料金というのは、CO2の排出量によって、例えば大口の方にはこの料金にします、小口の方はこれぐらいにしますというような、こうした排出量によった料金を変えるということは、今の御答弁にあった差別的なというのには当たるんでしょうか、当たらないのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/70
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071・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
料金につきましては、このCCSの事業に要するコストなどを踏まえて事業者自身が検討し、その約款において定めることとなりますため、現時点においては、事業者が設定する具体的な料金についてお答えすることは難しいという状況ではありますけれども、今般のCCS事業法案では、事業者がこれらの料金を設定するに当たり、例えば経済性などを踏まえて、CO2排出者から依頼されるCO2の貯留量や輸送量に応じてその料金に差を設けることを一律に禁止するということはしてございません。このため、CO2排出者が支払うこととなる料金にある程度の差が生じるということもあり得るものと考えております。
他方で、その設定された料金が特定の者を不当に差別的に取り扱う内容であるなどの場合においては、これは経済産業大臣がその料金の変更を命ずることができる仕組みとしております。
こうした措置を通じて、CO2排出者がCO2の貯留サービス、輸送サービスを適切に利用することができる環境を整備してまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/71
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072・村田享子
○村田享子君 このCCSに関連してなんですけれども、CCSは、先ほど青山委員も御説明いただいたようにCO2を貯留するというものなんですが、今、ブルーカーボンというのも注目をされていまして、二〇二二年度、先月発表された日本の温室効果ガス排出量約十億トンという中で、世界で初めて海草や海藻における温室効果ガスの吸収量というのも算定をされているんですね。
今、日本の海もずっといそ焼けによってこうした藻場が減少をしているという中で、その理由の一つが、やっぱり海水の栄養分が不足をしていると。そこに、今日鉄鋼業の話たくさんしていますけど、鉄鋼業の副製品で作られる鉄鋼スラグを海の中に入れると、それで鉄分が吸収されて昆布が増えていくよというような事例が実際北海道であるんですね。
こうしたところはやっぱり環境にもいいしCO2も減るしということで、もっとこうした鉄鋼スラグ普及していったらいいんじゃないかなと思いますが、最後、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/72
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073・浦田秀行
○政府参考人(浦田秀行君) お答えいたします。
鉄鋼スラグにつきましては、現状、発生量のほぼ全てがセメント用原料や道路用の路盤材などに利用されておりまして、資材としての品質や環境、安全性を確保する観点から、多くの用途でJISが制定されているところでございます。
経済産業省におきましては、鉄鋼スラグの更なる利用拡大を後押しするため、鉄鋼スラグを利用した藻場の形成や、海藻を大量かつ安定的に生産する技術開発など、ブルーカーボンの蓄積に資する取組への支援を行ってきたところでございます。
引き続き、鉄鋼スラグ製品の普及拡大や公的認証の取得に向けた取組につきまして、事業者のニーズを踏まえて取り組んでまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/73
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074・村田享子
○村田享子君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/74
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075・森本真治
○委員長(森本真治君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
午前十一時五十三分休憩
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午後一時開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/75
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076・森本真治
○委員長(森本真治君) ただいまから経済産業委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律案及び二酸化炭素の貯留事業に関する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/76
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077・三浦信祐
○三浦信祐君 公明党の三浦信祐です。
水素社会推進法について質問をします。
まず、大臣に伺いたいと思います。
次期エネルギー基本計画の策定の時期に当たりまして、二〇四〇年を目指したエネルギー供給へのバランス、また、現有アセットと新技術との融合、また共有、利活用がより子細に検討する時期となりました。加えて、今後、十年目標としてGX実行会議が重ねられている中で、更なる予見性、そして挑戦的な取組を標榜すべく、二〇四〇年をターゲットとした議論が開始されていると承知をしております。
まず初めに、次期エネルギー基本計画と今回の低炭素水素法が規定している低炭素水素等についての内容、それとの関係性、具体性についてどう考えればよいか、大臣に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/77
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078・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) まず、水素の導入量につきましては、二〇二三年に改定をいたしました水素基本戦略におきまして、二〇三〇年に最大年間三百万トン、二〇四〇年に年間千二百万トン程度に拡大することを目指すとしているわけであります。
こうした導入量の拡大やコスト低減に向けて、水素社会推進法案において措置する価格差に着目した支援や拠点整備支援等の措置を通じまして、先行的で自立が見込まれる低炭素水素等のサプライチェーン、これを構築をしてまいります。
さらに、電力、ガス、燃料、産業、運輸等の分野では、低炭素水素等の市場創出、利用拡大、これに向けた制度措置の在り方などについて、今、関係審議会等において議論を行っているところであります。
次期エネルギー基本計画につきましては、昨日議論を開始したところでありまして、具体的な検討は今後ということになります。ただ、その際、低炭素水素等の在り方につきましては、水素社会推進法案による措置や関連審議会での議論なども踏まえてしっかりと検討していくことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/78
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079・三浦信祐
○三浦信祐君 まさに、この法案が先にでき上がって、そしてそれを基盤とした上で基本計画を立てていくことになると思いますので、よくリンクを貼れるようにしておいていただきたいと思います。
次に、水素社会推進とCCS活用など、戦略的な取組に関する経済安全保障の視点で質問させていただきたいと思います。
先週、私も一貫して取り組んでまいりました経済安保情報保護活用法が成立を見ました。我が国における経済安保の視点において、国民的財産であります重要な情報を指定、保護するということは政府が取り組まなければいけない責務であるということを明確にすることになりました。官民が協力をより強化をして、そして技術の進展を図り、必要な経済活動上などの効果を発揮することができると期待をしております。
経産省には、日々、重要な安保情報、文書も上がってきているはずであります。その際に、情報を指定することに伴う管理の負担等を考慮すれば、場合によってはちゅうちょしてしまうんじゃないかなということが生じかねません。我が国にとって重要な情報であるならば、指定を的確に実施をしていただきたいと思います。
また、新しく組織が立ち上がるとも思います。大臣の責任で指定を確実に実施するとともに、徹して厳格な情報管理、これを実施してもらいたいと思いますけれども、齋藤大臣、是非お願いできますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/79
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080・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 本国会で成立しました重要経済安保情報保護活用法は、安全保障の裾野が、防衛や外交という伝統的領域から経済、技術分野に拡大する中で、経済安全保障上重要な政府保有情報の管理、これに万全を期す必要性が高まっていることを踏まえ、当該情報の適切な保全ルール、これを定めるものでございます。
今後、本法の規定を具体化するためには、内閣官房が運用基準を作成をするということになっておりまして、経済産業省としても、当該基準に基づき重要経済安保情報を指定し、かつ適切に管理をしていくことになります。
経済安全保障政策を推進する際には、御指摘のように、官民が密に情報交換を行うこと、これが重要であります。
経済産業省はこれまでに、業界団体、企業、地域等と計百回以上の戦略的対話というものを実施してきています。経済安全保障に関する省内体制、これも整備をさせていただきたいと思っております。本制度を官民の重要な情報交換ツールの一つとして活用することで、更なる官民の連携強化に努めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/80
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081・三浦信祐
○三浦信祐君 まさに戦略的不可欠性、自律性を確保するということが、我が国が平和で、かつ持続的かつ経済的に人口減少社会を乗り越えていくための大事なポイントだと思います。経済産業省の本当に多くの情報をどう活用できるか、そして大事なものをしっかりと目利きができるかということがポイントになってくるかと思います。
我が国の最近の弱点とも言える技術上の課題として、世界標準、また世界共有規格、これを生み出して、取り込んで、そして確定をさせるということだと私は考えております。我が国があらゆる分野で規格、標準化を獲得するために強力に推進したいと、私自身も決意をしております。
そのためには戦略構築が不可欠でありまして、大胆な挑戦ができる政策決断が欠かせません。これらの実現が経済安全保障の戦略的自律性、不可欠性の基盤を構築することになり、ひいては価格低減効果や稼ぐ力、競争力強化につながるものだと私は思います。
大臣は、この我が国の現状をどのように感じられているのでしょうか、また、問題意識として課題は何だと考えているのか、その解決に具体的にどのように取組をするのかということを率直に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/81
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082・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 率直に申し上げますと、国際標準化活動を戦略的に展開すること、これは容易ならざる大変な課題だと率直に思います。ただ、我が国企業の強みをグローバル市場で反映させるためには極めて重要なツールでありまして、我が国の競争力強化に直結する課題なんだろうと思います。
そのためには、標準化人材の育成、確保をまずやらなくちゃいけませんし、企業の、企業自身の経営戦略における標準化活動の位置付け、これを向上させていかなくてはいけないと思いますし、さらには、研究開発段階から既に標準化戦略を織り込んで研究開発をしていくということも大事でありますので、こういった課題に取り組んでいく必要があるんだろうと思います。
こうした課題の解決に向けましては、日本の標準化人材のデータベースの構築をしていますし、それから、企業における標準化戦略担当役員、いわゆるCSOの設置ですとか、統合報告書における標準化戦略の発信などを慫慂しているところでもありますし、さらには、グリーンイノベーション基金等の研究開発事業における標準化戦略のフォローアップもしっかりやっていくということで、そういった総合的な支援策を講じています。
加えて、今、国会で御審議いただいております産業競争力強化法等の一部改正法案におきましては、企業、大学等の共同研究開発に関しまして、標準化や知財を活用したオープン・アンド・クローズ戦略、これを構築する取組を支援をするための認定制度を盛り込んでいるところであります。
これらの施策を通じて、戦略的な国際標準化活動による産業競争力の強化を推進していきたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/82
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083・三浦信祐
○三浦信祐君 その法案についてはまた改めて細かく議論をさせていただきたいと思いますけど、大臣、先ほど重要なことをおっしゃっていただきました、プロジェクト始める段階から戦略を置かなきゃいけないと。我が国が一番弱いのは、うまくいきそうになってから、急遽そういう知財人材だったり、ファンディングを掛けるのが上手な方を持ってくるんですが、普通は最初にそこでもう戦略を考えると、この体制を取れるかどうかによって多くの標準化ができると思いますので、ここ、是非強力に進めていただきたいと思います。
先般の本委員会の参考人質疑におきまして、今大臣に質問させていただいた趣旨で、のその上で、低炭素水素社会構築過程に規格化、標準化を獲得するチャンスは包摂されていると考えるかと参考人の方へ質問させていただきました。
近藤参考人からは、日本は水素を世界に先駆けてやってきた、特許をたくさん持ち、技術もたくさん持っていると、裏付けを持った国がきちんとした裏付けを基に基準化、標準化をしていくのが大事、我が国の持っている、産業界、学識が持っている知見を最大限活用しながら水素社会構築に向けた基準化、標準化をリードすべきと、過去、技術で勝ってビジネスで負けてきたことを踏まえ、脱炭素で見れば、唯一無二、この分野で先行できるのではないかと考えるとの、要旨でありますけれども、御発言がありました。大変希望が湧いて、そして成し遂げなければいけないという責務を感じております。
これ、大臣が今御答弁をいただいたことを進めていく最たる例が、水素の社会を構築するところに我が国がリードができるという御発言でありましたが、この点について大臣はどう思われますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/83
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084・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 近藤参考人の発言は私も後からフォローさせていただきましたが、本当に勇気付けられる御発言でありました。
我が国は、水素燃料電池分野で高い技術力を有しております。こうした技術力を産業競争力強化につなげていくためには、御指摘のように、国際標準化をリードしていくことが不可欠であります。技術で勝ってビジネスでも勝つためには、このグリーンイノベーション基金等を通じて、水電解装置やアンモニア発電技術などの戦略的な国際標準化を進めていきたいというふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/84
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085・三浦信祐
○三浦信祐君 そうなると、経済産業省の仕事はがっちり明確になってくると思います。
経済安全保障の確保には、知る、守る、伸ばす、この取組を行うことであります。そう考えますと、政府は、現状、低炭素水素等の我が国の技術についてどのように掌握をしているんでしょうか。参考人の方に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/85
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086・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
低炭素水素等に関連する技術につきましては、例えば水素について申し上げれば、水電解装置、液化水素運搬船、燃料電池や水素混焼など、作ったり運んだり使う、それぞれにおいて様々な技術開発が行われております。
政府、経産省では、こうした技術開発に対する支援の過程で、技術開発を支援する事業者を中心に、NEDOなどとも連携しながら、日頃から緊密に情報交換を行い、低炭素水素等の技術に関する情報を収集しているところです。また、あわせまして、国際的な動向につきましても情報収集等を行ってきているところでございまして、今後、こうした取組を一層強化していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/86
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087・三浦信祐
○三浦信祐君 まさに体制も整えていただいて、情報が集まっているところこそマッチング機能も出てきますし、先ほどありましたオープン・クローズ戦略も明確になってくると思います。是非ここは頑張っていただかなきゃいけないと思います。
先般の委員会での参考人質疑の際に、竹内参考人からは、脱炭素への具体的な指摘として、G7の一端と、一か国としての日本の振る舞いをしてきたが、マーケットであるアジアやアフリカと共同歩調で規格化、標準化に向けた声を大きくしていく取組をする必要があると御指摘をいただきました。民間企業の取組だ、後押しをするなどと言っている場合じゃないんじゃないかなという思いもあります。
外務省とも連携しながら、外交リソースも十分に活用して、情報を確実に収集した上で、したたかに世界を取りにいく覚悟、これを持って推進をしていく。そして、水素インフラは、アジア、アフリカのみならず、グローバルサウス諸国がマーケットになるということも想定できますが、これらの国々との連携を強靱にして、我が国の技術規模を早々に共同利用できるようにして、規格化、標準化を狙うことが大事だというふうに私は思います。そこまで想定して戦略化、運用をしていかなければ、コスト削減ということの結果にも結び付いてこないんではないかなというふうに思います。
是非、齋藤大臣、取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/87
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088・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 繰り返しになりますが、我が国は水素やアンモニア分野におきまして高い技術力を有しておりまして、こうした分野のルール形成や国際標準化を戦略的に主導をしていくことで、我が国の産業競争力の強化につなげることができると思っています。
例えば、グリーンイノベーション基金等を活用して、水電解装置の耐久性ですとか電解性能といった我が国企業の強みとされている指標が適切に評価をされるよう、性能評価手法を確立をしていきたいと思います。その上で、その評価手法の国際標準化を進めることで、欧州などの海外市場の獲得につなげていきたいと思っています。
また、アンモニア発電につきましても、我が国は窒素酸化物の排出を抑制する技術、この技術に強みを有しておりますことから、バーナーを含むボイラーシステム全体での窒素酸化物の排出性能に関する国際標準化を進めることで、アジア市場の獲得につなげていきたいというふうに考えています。
我が国の技術的な強みをてこに戦略的な国際標準化を早期に進めることで、海外市場の獲得を実現していきたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/88
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089・三浦信祐
○三浦信祐君 大臣のその御答弁をいただいた案件ではとても日本が先導的でありますので、標準化を取ったというこの場面を展開できるような技術として育てて、必ず勝ち取っていただけるようにしたいと思います。
水素活用に関する先端技術を活用した製品、システムを世界に売る際に、政府間のみならず、相手国の自治体との契約ができるケースも想定されてまいります。そのときによく課題になるのが、相手国自治体から事業に対して、政府保証、表現がいろいろあると思います、あるいは政府の認定が欲しいということがあります。
ところが、日本が補助金等を出した場合には、それがそのまま政府認定だと捉えていただくことはできると考えますけれども、我が国民間企業と相手国自治体との契約になった場合には、政府はこれを受け止め、判断、判定できるスキームがないのではないかという私は問題意識を持っております。これが、海外展開を隅々に広めていくことができない我が国の課題の一つではないかと思います。
これまでの課題となってまいりました政府保証あるいは政府認定を付与することをできる体制構築を目指して、大臣、検討、もう入口ですから、検討若しくは課題整理などを行っていただけませんでしょうか。戦略的外交を推進する上でも大きな効果があるとも考えます。外務省、経産省、NSS等もよく連携をして、改めて検討していただきたいと思いますが、御所見を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/89
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090・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) これも御指摘のとおりだと思います。
日本企業の海外展開を支援していく上で、相手国政府や自治体との関係を円滑に構築できるようなサポートをしていくということは重要だと思っています。
このために、例えば、水素、アンモニア技術について言えば、アジアにおいて、アジア・ゼロエミッション共同体、AZECという協力枠組みの中で、企業が相手国側と締結した覚書等を首脳に報告するという機会を設けることで、具体的にプロジェクトが進みやすい環境を整えております。
また、水素に限らず、政府ミッション団の派遣に加えて、トップ外交の機会を活用し、企業プロジェクトの覚書締結に立ち会うなど、相手国政府や自治体とのプロジェクト実施へのサポートを行っているところであります。
私も、着任以来、この手の覚書の締結、これ民民ベースの覚書であってもできるだけ立ち会うようにしておりまして、かなりの数、既に立ち会ってきたという記憶がございます。
御指摘のように、事業者の実績や能力というものを何らかの形で政府や関係機関が確認する仕組みというのは大事だと思っていますので、更に何ができるか、検討していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/90
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091・三浦信祐
○三浦信祐君 大臣の御経験が存分に生きると思いますし、これを進めることによって、日本の外貨を獲得するすべであったり、相手国にとっての幸せも構築できると思いますし、このスピード感を求められるケースにも対応できると思います。
是非、経産省挙げて相談を受けられるように、また、各地方にもある局のところでも是非受けていただけるように体制を整えていただきたいと思います。
次に、地方自治体の責務について、改めてではございますけれども、確認をさせていただきたいと思います。
本法案において、国、事業者の責務に加えて、第五条において地方公共団体の責務が規定をされております。日本全国で低炭素水素社会構築に当たっては、地方公共団体との情報共有、政策共有並びに遂行は欠かすことができません。一方で、地方公共団体の財政体力と人材の違いが、政策遂行における大きなギャップが生じることも懸念されます。
現状を踏まえた上で、自治体が果たすべき具体的役割を政府はどのように考えているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/91
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092・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
水素等サプライチェーンの構築に当たりましては、それぞれの地域に精通した地方公共団体が、各地域の需要を創出し拡大いただく役割を担っていただくことが非常に御指摘のとおり重要だと考えております。
例えば、東京都は、燃料電池バスを既に百台近く導入し、今後は燃料電池トラックの導入にも取り組むなど、商用車分野の需要創出にリーダーシップを発揮しております。
加えまして、自治体の皆様には、どの地点に水素等の供給拠点を整備するのか、その近傍の需要をどうやって掘り起こしていくのか、将来的にどういったインフラを通じて更なる需要拡大へと広げていくのかを含めまして、地域のグランドデザインを描いていただく取組は非常に重要だと考えております。
こうした取組を行うためにも、御指摘のとおり、資金や人材必要となりますが、経産省では、自立可能な水素等のサプライチェーン構築の実現可否を判断するための調査に対して支援を行うことといたしておりまして、こうした調査支援等を通じて、地方公共団体ともよく連携しながら、先行的で自立が見込まれる水素等サプライチェーンの可能性を持つ拠点候補をしっかりと掘り起こしていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/92
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093・三浦信祐
○三浦信祐君 私の地元神奈川県では、川崎市が、早くも二〇一五年、平成二十七年に水素社会実現に向けた川崎水素戦略を策定し、水素エネルギーの積極的な導入と利活用による未来型環境・産業都市の実現を目指して進めておられます。具体的に、先導的なモデルとして八つのリーディングプロジェクトを実施している状況です。さらに、戦略に先駆けて、二〇一三年八月に京浜臨海部水素ネットワーク協議会を設置をして、全国に先駆けて水素ネットワークの構築による水素社会の実現に向けた検討を実施をしています。
また、横浜市では、カーボンニュートラルポートの構築を目指し、企業のみならず、そして隣接する川崎市とも連携して、水素エネルギーの利活用拡大に向けた取組も進めて、今、サプライチェーン構築を目指しています。
まず、これらの取組についての評価を伺いたいと思います。加えて、先導的に取り組んできている自治体にとって、本法律案が成立したことで何がどのように変わっていくのか、これまでの取組に対して、また計画を変更するタスクが生じていくのかなど、明確に整理をしていただきたいというふうに思います。齋藤大臣に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/93
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094・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) まず、川崎市や横浜市を始め様々な自治体が、リーダーシップを発揮しながら先行して水素サプライチェーンの構築に向けた検討を積極的に進めている。こうした個別の自治体の取組への評価は差し控えますけど、こうした動きは大変歓迎すべきものだと考えています。
今回の水素社会推進法案では、先行的で自立が見込まれる水素等のサプライチェーンを立ち上げていくということを目的として、価格差に着目した支援や拠点整備支援を行うとしております。この支援措置の採択に当たりましては、政策的重要性と、それから事業完遂の見込みの観点から総合的に評価を行う必要がありますが、その際、自治体との協調もその評価対象としたいと思っておりますことから、自治体主導の計画と事業者が申請する計画の内容というもののやはりすり合わせというものは求められるだろうというふうに思っています。
今後、制度詳細について国から情報提供していく中で、そういった情報を踏まえまして、自治体や事業者において、支援を受けるために計画の変更ということが検討されることも、まあ、ないかといえば、あり得るのではないかと考えています。
自治体におかれては、自立的なサプライチェーン構築に向けた取組を引き続き検討いただくとともに、経済産業省としても、引き続き計画変更の必要性などに関する自治体や事業者からの問合せや御相談に真摯に丁寧に対応してまいりたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/94
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095・三浦信祐
○三浦信祐君 是非そのようにお願いしたいと思います。
先般の参考人質疑におきまして、竹内参考人からは、基礎自治体の役割の議論で、保安に関する部分についての議論の中でけんけんがくがくの議論があった、当初、国が一体、全面的に面倒を見ます、年数がたって、知見の蓄積等を含め、時が来た段階で自治体に権限移譲をしていくといった特殊な特例扱いを設けたとのお話をいただきました。
こういう部分においても、自治体との連携、人材育成は極めて重要でありまして、これについて政府としてどのように今後これを進めていくのか、明確に御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/95
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096・辻本圭助
○政府参考人(辻本圭助君) お答え申し上げます。
いわゆる水素社会推進法案の保安措置につきましては、大規模な低炭素水素等の供給、利用について、安全確保を大前提に、認定計画に係る事業の早期開始に資するべく、高圧ガス保安法の許可等に当たる行為を国が一元的に行う特例を講ずるものであり、事業の製造開始から三年を経過した後は、自治体に検査等の権限を移譲することとしております。この措置の下で、委員御指摘の自治体との連携、自治体における人材育成は、これ極めて重要であるというように考えています。
まず、国と自治体の連携につきましては、国から自治体への円滑な事務手続等の移譲を可能とするよう、国が本特例措置の手続などを行った際にはその都度その旨を自治体に通知することを本法案において法定化してございます。
また、二番目の御指摘、重要な点でございますけど、自治体の保安業務に係る人材の育成につきましては、まずは自治体職員も対象とした産業保安法令の執行等に関する各種研修の実施、また、各地域ブロックごとに自治体の保安担当者を集め、規制の運用に関する情報交換を目的とした定期的な会議の開催、自治体職員などに向けた産業保安の法令及び運用に関するメールマガジンの発行などに取り組むとともに、本法案の保安措置の検討に当たりましては、御地元の神奈川県、まさにそうでございましたけれども、自治体の担当者と幾度にわたる意見交換を行ったところでございます。
引き続き、こうした取組などを通じて、国としては、本法案の執行に当たっても自治体としっかり連携していくとともに、自治体の保安業務に係る人材の育成をサポートしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/96
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097・三浦信祐
○三浦信祐君 次に、水素活用社会構築への取組について質問させていただきます。
水素供給拠点の集約化について、大規模化と中規模拠点の構築と連携が重要だと考えております。一方で、従前に構築されている設備からの変化となるために、これらの投資を呼び込めること、そして実行すること、また円滑に実現できるかが鍵となると考えます。
水素供給拠点の構築へ企業が投資するに当たって、国からのどこが支援の境目かということが重要だと思います。要は、ハードとしても、バルブ一個のところに支援してくれるのかしてくれないのか、その数が多くなることによって予見性というのが整理されるはずであります。
政府は具体的に何に対して支援をしていくと考えているのか、現時点での検討状況も含めて教えていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/97
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098・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) 拠点整備支援におきましては、水素などの大規模な需要の創出と効率的なサプライチェーンの構築を目的として、低炭素水素などの大規模利用に資する共用インフラに対して支援を行うことを想定してございます。
具体的には、水素やアンモニアの受入れから各社に水素等が配分される責任分界点までの間の共用インフラとして利用されます貯蔵タンク、パイプラインといったもののほか、開閉バルブ、計量器、払出しポンプなどの附帯設備などを想定してございますけれども、詳細は今後検討してまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/98
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099・三浦信祐
○三浦信祐君 是非細かく規定をしていただいて、これを進める大事な要素でありますので、よく情報提供もしていただきたいと思います。
質問をちょっと飛ばさせていただいて、水素等に今回含まれているアンモニアについて質問させていただきます。
現状のエネルギー発生アセットをそのまま活用することができるという視点で、石炭火力あるいはLNGだきのボイラー、またガスタービンの燃料の混焼へアンモニアの活用が我が国において効果的であると私は考えております。
現状、アンモニア混焼技術の日本の技術力の世界的立ち位置、これをどう認識しているか、伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/99
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100・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
アンモニア混焼技術につきましては、例えば窒素酸化物を低減させる燃焼技術の開発、あるいはアンモニアの着火や燃焼の安定性といった課題への対応、こういった点では、中国や韓国よりも我が国に優位があるというふうに考えております。
また、先月から、碧南火力発電所におきまして、商用運転中の百万キロワットの実機における二〇%混焼実験が開始されており、着実にアンモニア混焼の実用化に向けて進んでいるところでございまして、今後、グリーンイノベーション基金も活用しながら、アンモニアの更なる高混焼であるとか専焼に向けた技術開発も進めて、技術で世界をリードしていければというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/100
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101・三浦信祐
○三浦信祐君 大臣に伺いたいと思います。
ボイラー等にアンモニアを活用しようとしていることに対する世界からの評価と、日本がこの技術を導入しようということ、これを挑む理由について、国民の皆様に分かりやすく是非御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/101
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102・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) アンモニアを発電に対して利用することで石炭火力の延命を図っているのではないかという御批判があるのも私は承知をしているわけでありますが、他方で、昨年のG20サミットでは、水素やその派生物であるアンモニアの製造、利用や、世界市場の開発を加速しようということで一致をしています。また、IEAのレポートでも、石炭火力からの排出を低減する取組として、燃料アンモニアの活用にも言及がなされています。このため、燃料アンモニアの利用について、国際的にも一定の理解が得られていると考えています。
アンモニア混焼は、アジアを中心に、伸び行くエネルギー需要を石炭火力で賄う状況が続く国が現実にございます。安定供給と脱炭素を両立できる現実的な手段としてはニーズがあるんですね。
また、我が国では、窒素酸化物への対応ですとか、先ほど事務的に御説明しましたが、窒素酸化物への対応ですとかアンモニアの着火や燃焼の安定性といった課題への対応に技術的な優位性を持っているわけであります。そのため、大気汚染が深刻なアジア諸国において、新規に参入しようとする中国や韓国の技術と私は差別化が図れるのではないかと考えています。
AZEC等の枠組みを活用した具体的プロジェクトの推進や政策決定支援を通じて、いち早く信頼性の高い脱炭素技術を商用化をして、アジアのマーケットを中心とした市場を獲得しつつ、我が国の産業競争力の強化にもつなげていきたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/102
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103・三浦信祐
○三浦信祐君 私自身、以前は大学で材料の研究をやっておりまして、ガスタービンの素材、またボイラーの素材を研究をしてまいりました。これもう世界トップレベルであります。ところが、火力発電で脱炭素ということになりますと、その入口が変わってきて、研究者の人材放出ということもまさにつながってくることになります。
先ほど村田委員からもありましたけれども、労働者がどうなるのかということと同時に、研究者もどうなるのかということもあります。しかし、現状のアセットを活用していけば、これはアジアの市場を狙えるというのは大変希望がある話ですし、商用化をするということはとても重要だと思います。是非これを、取組を我々もしっかりと応援していきたいと思いますので、経産省にも努力をいただきたいと思います。
アンモニアの安定確保について、現在の予見性はどのようになっているのでしょうか。
二〇二三年六月六日に再生可能エネルギー・水素等関係閣僚会議から発表されている水素基本戦略において、第三章のところでは、安定的、安価かつ低炭素な水素・アンモニアの供給について、(1)番、安定的な供給の中で、二〇三〇年で最大三百万トン・パー・イヤーですね、二〇五〇年で二千万トン・パー・イヤー程度を掲げていますけれども、実はこれ、水素と合わせての表現であります。
アンモニアはどうなっていくのでしょうか。また、水素の導入量を正確に把握する観点から、水素の製造量や消費量等についても統計等の整備を通じた定量的な把握に努めるとの記述もありますけれども、アンモニアについてもやはり必要なんではないかなと思いますけど、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/103
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104・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
アンモニアの安定供給確保、大変重要だと考えておりまして、このため、JOGMECによるリスクマネー供給支援を行うほか、価格差に着目した支援の計画の評価に当たりましては、上流の、どのような状況なのかと、その状況等も評価項目の一つとしてしっかりと位置付けてチェックをしていきたいというふうに考えております。
また、御指摘の水素基本戦略における導入目標でございますが、アンモニアの供給目標、二〇三〇年につきましては、アンモニアの量として三百万トン、そして二〇五〇年におきましては、アンモニア量で三千万トンを導入目標というふうに考えてございまして、これに向けて取り組んでいきたいと考えております。
統計等の整備を通じた定量的な把握、どうするんだアンモニアはということでございますけれども、こちら、アンモニアの事業実態につきましても適切に把握、分析できるよう、統計等の整備にしっかりと取り組んでいきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/104
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105・三浦信祐
○三浦信祐君 戦略的には重要ですので、その統計に基づいて、また投資も必要になってくるかと思いますので、しっかりやっていただきたいと思います。
質問を一問飛ばしていただいて、CCS法についての角度ではありますけれども、最後質問させていただきたいと思います。
CO2を分離する技術があり、炭素、これをエネルギーとして活用できることが実は地球環境改善に大きな貢献を果たすことにもなると思います。今回CCSについての法律ではありますが、Cを、C、炭素、これを分離、活用するための研究、技術開発状況はどのような段階にあるのでしょうか。また、そのままCO2を活用するカーボンリサイクル製品の開発加速も重要だと思います。CCUSの構築も後押しとなると考えますけれども、今後の展望について伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/105
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106・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) カーボンニュートラル実現に向けてはあらゆる選択肢の追求が必要でありまして、CCSとともにCO2を資源として捉え、炭素材料や合成燃料などの多様な分野で再利用するカーボンリサイクルの取組も重要でございます。
委員御指摘の、このCO2から炭素を分離する技術も広くカーボンリサイクルというふうに我々捉えておりますけれども、特にそのCO2を化学的に分解して炭素材料を製造する技術につきましては、既に要素技術は確立してございます。国としても、NEDOを通じて支援を行っているところであります。
今後の課題といたしましては、エネルギー効率の向上や製造された炭素材料の質の向上などが今後の課題であるということと承知してございます。こうしたカーボンリサイクルに共通の課題を踏まえて、コスト低減や効率的な製造に向け技術開発を進めつつ、社会実装を支援していくことが重要でございます。
経産省といたしましては、広島県大崎上島にカーボンリサイクル技術の実証研究拠点を整備したことに加えて、グリーンイノベーション基金などにより技術実証を進めているところでございます。
引き続き、こうした取組を通じて、カーボンニュートラルの実現に向けて、CO2の利活用にもしっかりと取り組んでまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/106
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107・三浦信祐
○三浦信祐君 規格化、標準化、この水素、そして低炭素社会をつくるということで、日本の成長にも資すると思いますので、しっかりとこれから取り組んでいただきたいということをお願いして、質問を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/107
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108・東徹
○東徹君 日本維新の会の東徹でございます。
今日、今回の水素社会の法案と、それからCCSの法案、これを審議していく中でやっぱり大事だなと思うことがあるので、今日、また、前回に引き続き質問させていただきたいというふうに思います。
本当、日本の経済をしっかりとやっぱり成長させていかないといけないと。停滞する日本の経済をやっぱり成長させていくために、グリーントランスフォーメーションというふうなことで産業構造を変えていく、脱炭素社会を目指していくことによって新しい産業を生み出していって日本の経済をやっぱり成長させる、非常に私はこれ大事だというふうに思っておりますが、一方では、今、昨年来の自民党の裏金問題、これが今、端を発して政治改革をやらなきゃいけないと、政治に信頼を取り戻さなくてはならないと、そういうときに今あるわけです。
非常に、こういったこともやっぱりしっかりとやっていかないと、やっぱり政治に信頼を取り戻すことができないと、何をやっても国民は付いてきてくれないし、国民から不信感を持たれているようでは駄目だというふうに思います。
今回もちょっと図を出させていただきましたけれども、政官業のよくあの癒着、鉄のトライアングルというふうに私はよくこれを出させていただいているんですけれども、政治家というのは、いろんな企業だとか業界団体等から要望を受けたり、また官僚の皆さんからも、法案の成立とかそういった要望を受けたりとかもします。そしてまた、政治家の方は、企業や業界団体に献金とかパーティー券とかこういったものを求めたりとか、そういったこともあります。で、官僚の方から、官僚というか省庁の、政府の方から補助金とかそういったものが企業や業界団体に流れたりとか、そしてまた、官僚の皆さんが業界団体に天下りしていく、こういった構造が一つあるというふうに思います。前回も、自民党の政治協会、国民政治協会か、そこにいろんな団体からお金が流れていますよというふうな質問もさせていただきました。
今回のGX経済移行債ですけれども、投資促進策の中には、これ、水素の価格差支援策として十五年間で三兆円規模の補助金をこれ出し続けるわけですね、企業に。十五年間にわたって三兆円、これは物すごく大きな金額だというふうに思います。で、GX経済移行債が発行できるのは十年間というふうにされておって、その後の財源は明らかではなくて、税金が原資となる可能性もこれ出てくるわけですね。
税金をもって政府がお金を企業や団体に補助金として出す一方で、国会議員は、献金とかパーティー券の購入などこれ求めるというのは、これ、癒着構造になるというふうに思うんですね。やっぱり税金を納めている国民の側からすると、結局そういうことになっているのかと、自分たちの電気代は高いけれども、何だ、企業や業界団体のためかみたいになってしまったんではやっぱりこれはいけないと思いますし、政治家の資金源のためになっているというふうに思われてもいけないというふうに思うわけですね。だから、私は、やっぱりここ、本当に大事だというふうに思っています。
今、自民党と公明党さんとで政治資金規正法の改正案について議論をなされていて、結局、自民党と公明党では平行線だったというふうなことで、今日、報道がされておりました。
私は、できるだけパーティー券なんかは、今、どっちかというと献金よりもパーティーの方に、パーティー券の方にどんどんとシフトしていっているわけですね。というのは、やっぱり今だと、二十万円以下は企業や団体名が分からないようになっていますから、そっちの方へやっぱり移行しているんだと思いますね。
だから、より今回の問題に端を発して透明性のある政治資金規正法にしていこうというふうなことで、自民党は十万円、公明党さんは五万円、そういうふうになってきている。私は、できるだけ透明性を確保しようと思ったら、それは五万円の方が、公明党さんが言っている方が正しいし、そっちの方がいいと思うわけですけれども、これどうなっていくのかということだと思うんですが。
こういうふうに、税金を納めている国民の側から見れば、自分たちの税金がそういうことに使われているというふうに思われないように、政治信頼を失うことのないようにしていくことが大事だと思いますが、齋藤大臣、どう思われるのか、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/108
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109・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 政治の信頼が今大きく傷ついていることは私も承知していますし、この発端が自民党の例の事件以降であることも十分承知をしておりますし、自民党が、地元に帰りますとよく分かりますが、大きく信頼を毀損しているということも感じています。ただ、これをどう改革していくかということにつきましては、今政治の場面で行われているので、コメントは差し控えたいと思います。
このせっかく図を作っていただいたんでコメントしたいんですけど、私はこの官僚と政治と両方に所属をしていたわけですが、官僚の世界で二十三年、当選してから十五年です。このトライアングルが動いているなと感じたことは一度もありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/109
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110・東徹
○東徹君 そういうふうに感じたことがないというふうに大臣おっしゃいますけれども、僕はやっぱり国民の感覚は大臣の感覚とは違うと思いますね。それはなぜかというと、前もちょっと言いましたけれども、国民の世論調査というのがあって、全ての職業において何が一番信頼度が低いかというと国会議員なんですね、六・六%だったと思うんですけれども、これ、こういう問題が起こる前ですよね。
常々大臣は、やっぱり、そういうふうに大臣が官僚の世界と政治の世界で感じたことがないと言うけれども、でも、問題はいろいろやっぱり起こってきているわけじゃないですか。やっぱり、問題が起こるたんびに政治の信頼がやっぱり低くなっていく。
そういうふうに、やっぱり取り戻そうと思えば、僕はやっぱりできるだけ透明化を図っていくということが非常に大事だというふうに思いますので、今回の、結局企業や業界団体に水素の、今回でも水素の価格差支援としてお金が出ていっていて、そこにパーティー券を売りに行っていたら僕は駄目だと思うんですけれども、やっぱりそういうことのないようにしていかないと駄目じゃないですかということを申し上げたいと思ってこの図を出させていただきました。
今、そういう御答弁でありましたけれども、是非、それだったら、もっと透明性をやっぱり図るべきだというふうに思います。十万円ではなくて、もっと下げていったらいいと思うんですね。
維新は、あれですよ、もう企業、業界団体からの献金というのは設立当初から受け取らなかったんですね。パーティーは売っていました。でも、今年の六月からは、企業や業界団体にはパーティー券は売らないということもこれ決めたんですよ。やっぱりそこまでやっていかないと、政治に信頼を取り戻すことはやっぱりできないというふうに思っています。
だから、本当にみんながこれ苦しいけれども、苦しいかもしれませんけれども、やっぱりそういうことをやっていくべきときにあるということを、やっぱりやらないといけないというふうなことと思いますので、是非大臣におかれても、その辺を常に頭に入れていただきたいなと思います。
続いて、今日ちょっともう一枚資料を配付させていただいておりますけれども、核融合発電についてお伺いをさせていただきたいと思います。
核融合発電ですけれども、これは日経新聞の五月九日の記事でありました。前回私がこれ質問したときだったんですけれども、三〇年代実証へ新しく法律、新法を作ると、技術開発や人材育成支援ということで新法を作るということの記事であります。読むと、政府は、次世代技術である核融合発電の実証開始時期を二〇三〇年代に早めるため、技術開発や人材育成の支援に向けた新法を作る方針だということです。
これ、前々からも言っていますように、この核融合発電というのは二酸化炭素を発生しないわけですね。理論上ですけれども、一グラムの燃料から、石油換算でいうと八トン分のエネルギーを生み出すという、すごく画期的な発電です。さらには、原発みたいに放射能も出さないということです。そういう特徴があるということです。
これ、こういう法律を作るということで、まず確認させていただきたいと思うんですが、これでよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/110
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111・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 御指摘の報道、承知していますが、この核融合に関して、現時点で新たな政府方針が決定されたという事実はないというふうに認識しています。
その上で、核融合につきましては、御指摘のように、万一の場合は反応が止まる、あるいは高レベル放射性廃棄物が生じないなどのメリットがありまして、将来のエネルギー源として期待されているわけでありますが、一方で、技術面を、越えるべき技術面で大きなハードルがありまして、将来に向けた研究開発を進めることが重要だというふうに考えています。
昨年、フュージョンエネルギー・イノベーション戦略というものが取りまとめられまして、これ内閣府、文部科学省中心になんですけど、核融合に関する研究開発の支援強化等が実施をされています。
我が省としては、そうした中で、核融合にも応用され得る技術を含め、必要な支援の在り方については検討をしっかりしていきたいというふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/111
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112・東徹
○東徹君 何か経産省、後ろ向きなんですかね、核融合発電には。前、西村大臣来たときはそんなことなくて、これはもう大事だと、もう自分も視察に行ってきたとかですね、そんな御答弁をいただきました。ほかの大臣でも、そういう大臣が今現職の大臣にもおられるような報道も見ておりますけれども、非常に何か経産省、後ろ向きなのかなと思って。でも、本会議でも聞いたときには、齋藤大臣からも、いや、支援していくんだというふうな答弁をいただいておるんですけれども、何か、えっ、どうなっているのかなと時々思うんですね。
文科省の話がありました。文科省で確かに五年で二百億円掛けて核融合の研究を支援していこうということですけれども、これ、今回のGXのグリーンイノベーションの基金は、これ対象に含まれていないんですね。何でこれが対象に含まれないのか、不思議でならないわけですね。これこそ、CO2を出さない、これから新たなエネルギーをつくっていこうというものであるにもかかわらず、経産省がこれ、このグリーンイノベーション基金を、これ対象に含んでいないということ自体がおかしいなというふうに思うわけです。
これ、今、世界がしのぎを削って開発をしようとしている中で、日本は出遅れているというふうなこともこれ言われているわけです。アメリカが一番早いとか中国の方が進んでいるとか、こんなことを言われているわけでして、やはりそういった核融合発電の実証までの時間を短縮していくためにも、グリーンイノベーションの基金を、これ対象にすべきだというふうに思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/112
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113・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) まず、どの御支援を経産省がするかに関して言えば、その研究開発段階の進捗状況に応じて経産省が出ていく局面というのがあるんだろうと思っています。
御指摘のグリーンイノベーション基金事業は、カーボンニュートラル実現の鍵となる革新的技術について、具体的な目標へのコミットメントを示す企業等に対して、最長十年間、その研究開発、実証から社会実装まで継続して支援するという、そういう性格のものであります。
核融合発電につきまして、私は将来のエネルギー源としてはもう大変期待をしていますが、そして政府としては、その基礎的な研究開発に取り組んでいるものでありますが、更なる基礎的研究の積み上げが必要な状況なんですね、まだ。社会実装までを見据えたグリーンイノベーション基金における支援の対象とはこのフェーズが少し異なっているということなんだろうと思います。
しかしながら、足下では、御指摘のように、欧米を中心に核融合の開発を行うスタートアップがどんどん登場するなどの状況変化もあります。核融合の活用に向けた動きが前に進み始めている状況があるというのも、また認識をしているところであります。
したがいまして、昨年、フュージョンエネルギー・イノベーション戦略というものを昨年取りまとめて、内閣府、文部科学省を中心に核融合に関する研究開発の支援強化等が実施されるという、そういう局面になってきたというふうに私は理解をしております。
もちろん、経済産業省として、核融合に関して貢献できることがあれば、これはもう全力を挙げてやっていきたいとは思っていますが、今そういう段階にあるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/113
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114・東徹
○東徹君 これは、文科省の方に聞いても、やっぱりそれは是非やってほしいと、経産省にやってほしいというふうなことを言いますね。この間も、前も議論させていただきましたが、アメリカは、スタートアップ企業が二〇三〇年から四〇年にかけて年間百基設置していくというふうなぐらいのところに来ている。そんな中で、じゃ、日本はそれを見ているだけなのかと、それはやっぱり駄目だと思いますよね。何かやっぱりそういった部材だとか、やっぱりそういったところに日本もどんどんどんどんと貢献していくことが大事だと思いますよね。そのためには、やっぱりこういったグリーンイノベーション基金を使って開発を加速化させていく、そういうことが大事だというふうに大臣は思いませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/114
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115・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/115
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116・東徹
○東徹君 分かりました。じゃ、これからそうなっていくんだというふうに期待をしておりますので、是非よろしくお願いいたします。
続きまして、水素の製造のことについて質問させていただきたいと思います。
今後、水素の活用を拡大していこうということでありますが、水素の製造のコストをやっぱりできるだけ抑えていくということが大事だということは、この質疑の中でも何度も皆さんが質問しているところであります。
CO2を出さない再生可能エネルギーで水素を作ると、これはコストが掛かり過ぎるんですね。先ほど青山委員の方からも話がありましたが、北海道電力は、二〇三〇年をめどに、出光興産とENEOSと水素の発電の工場を苫小牧市に建設すると、これに太陽光とか風力など再生可能エネルギーで作る水素は年産一万トン超えと、国内最大級になるというふうな報道が、私は見たんですけれども。
こういうのって、物すごいコストが掛かる水素ができるわけですね。本来、電気というのは、電気をそのまま使った方が一番効率がいいわけですよね。それを、再生可能エネルギーという高い高い電気でもって水素にまた変換するとなると、これまた物すごいコストが掛かるわけです。これは、この間の参考人質疑の中でも、竹内先生だったと思うんですけれども、そんな話もありました。
太陽光だと当然昼間しか発電しませんから、これを利用すると、そのために水素を作るとなると、これ水素の製造の稼働率もこれ落ちるわけですよね。だから、大事なことは、やっぱり原発を使って水素を作っていくということがやっぱり非常に大事だというふうに思うわけですね。
もちろん、今、安全な原発は十二基ですかね、動いているわけですけれども、この間、参考人質疑の中でも参考人の方から紹介がありましたけれども、関西電力の高浜原発では、原発の電気を使って水素を作る実証実験がこれ始まっているというふうな話でありました。水素の製造においてやっぱり原発を活用していくということを検討していく必要があると思いますが、どのようにお考えなのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/116
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117・村瀬佳史
○政府参考人(村瀬佳史君) お答え申し上げます。
エネルギー安全保障の観点からは、原子力を活用する視点というのは大事だというふうに考えてございます。原子力由来の電力というのは、今委員からも御指摘いただいたように、電力のまま使えることが一般的であるとは考えますけれども、例えば脱炭素化が困難な分野において原子力由来の水素を活用するという考え方もあるかと思います。実際、原子力由来の水素製造ということでフランスなど世界でも研究開発や実証が行われているところでございますし、今委員から御指摘いただいたように、我が国でも、関西電力において、これは東芝の水素製造装置なんかも使いながら、原子力由来の電力を活用して国内で水素を製造する実証実験を行った例もあるわけでございます。
エネルギー安全保障の観点に立ちますと、再エネ余剰電力由来の余った再エネを使うというものは、これは非常にコストが低い再エネであるものですから、それを使った水素ということに加えまして、原子力由来の水素も含めて、引き続き適切に取組を進めてまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/117
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118・東徹
○東徹君 やっぱり原子力も使って水素を製造していった方がコスト的には安いということだと思いますので、是非そうしていっていただきたいというふうに思いますし、また、前回も質問させていただいたときに、太陽光の抑制、あれが物すごい回数があったということも質問させていただきました。そういった抑制するんだったら、余った電気でこういったものに活用していくというのはもう非常に大事だと思いますので、是非そういった方針でやっていただきたいなと思います。
その参考人質疑のときにもお聞きしたんですけれども、水素の効率的な活用の仕方というのはどういうことですかと聞いたら、水素でしか使えないような部分に水素を使っていくのが一番いいんだというお話でした。それはどういうことか、どういった内容かというと、鉄鋼とかということだったんですけれども。
鉄鋼分野ですけれども、私も、鉄鋼業、こういうふうな鉄鋼も、これからCO2の削減していくに当たって非常に大事だなと思って、大阪のある鉄鋼メーカーに行って話を聞いたら、うちはもう電炉でやっていると、また新しくするのももう電炉にするんだというふうな話だったんですけれども、そういった鉄鋼会社もあるということなんですね。
電炉の活用には、原料となる鉄とかスクラップには不純物が混ざっておって、高品質の鋼材が造れないという課題があって、そもそも鉄スクラップが世界全体で不足していくという状況もあって、今ある高炉を電炉にすればいけるのかといったら、そういうことではないということですよね。
カーボンニュートラルを実現していく中で、電炉では対応できずに高炉で用いる、水素を用いた対応が必要となる割合というのはどれぐらいなのかというところは物すごく気になるところなんですね。全部が電炉にできない、でもやっぱり高炉でやる部分、電炉でできない、高炉でやる部分というところですね、どれぐらいの割合なのか、是非お示しをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/118
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119・浦田秀行
○政府参考人(浦田秀行君) お答えいたします。
高炉は、鉄鉱石をコークスで還元して製品を造っていくプロセスでございますので、CO2が大量に発生する一方で、原料となる鉄鉱石の品質に左右されず、高品質な製品を大量に生産できるという強みがございます。また、電炉につきましては、主な原料は鉄スクラップでございますけれども、この鉄スクラップの供給制約がございます。委員の御指摘のとおりでございます。また、不純物除去等の技術的制約の観点から、高品質な製品の製造ということについて一定の限界がございます。
こうした特徴を踏まえまして、実際には鉄鋼企業各社が生産方法を選択をしてございまして、現状では、高炉が七割、それから電炉が三割というふうになってございます。
それで、将来、この高炉と電炉の比率がどうなっていくのかという見通しでございますけれども、これはちょっと政府が申し上げるのはなかなか難しい面がございますが、脱炭素化に向けた技術開発の状況や市場の動向を踏まえて企業各社が選択していくものだというふうに認識をしてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/119
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120・東徹
○東徹君 高炉が七割、電炉は三割、それが今の現状だということですね。これから先どうなっていくのかはちょっとまだ分からない、見えないということだと思います。是非、電炉でできるところは電炉でやっていくということが大事なのかなと思いますし、高炉の部分はできるだけ水素を活用していくということなんだろうと思います。
続きまして、CCSのことについて質問をさせていただきたいと思います。
二酸化炭素を分離回収して地中へ埋めていくというこのCCSでありますが、今回の仕組みで、CO2の注入停止後に一定期間が経過したらモニタリング業務を移管していくということで、そのモニタリング業務を行うのがJOGMECだということなんですね。余り、このJOGMECと聞くと私はあんまりいいイメージがなくて、今までの中で、結構今までも失敗も多かったと私は思っているんですけれども。
この業務に係る費用ですけれども、貯留事業者がJOGMECに拠出金、お金を払うわけですね。これ、コストが高いのに、まだこれJOGMECに拠出金を払わないとこれできないのかというふうにも思ったんですけれども、この金額が高いと、貯留事業者の負担がこれは大きくなっていくわけです。価格転嫁によって最終的には国民の負担がこれ増えていくことになってしまうわけですけれども、この拠出金について、支払われる金額とか期間、これどのぐらいのことを想定しているのか、お伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/120
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121・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
このJOGMECへの管理業務の移管後の必要な費用に充てるための拠出金でございますけれども、まず、拠出金の金額の定め方ですけれども、貯留事業者が実際に行うモニタリングの具体的内容などを記載した貯留事業実施計画や貯留事業者が行ったモニタリングの結果、そして、JOGMECが行うこととなりますモニタリングの具体的内容やこれに要するコストなどを踏まえてJOGMECが毎年度算定し、経済産業大臣の認可を受けた上で貯留事業者に通知することになります。この金額につきましては、欧州を始めとする諸外国におけるCCSの動向や有識者の御意見なども踏まえながら、貯留事業者にとって過度な負担とならないように留意しながら、引き続き検討していくこととしてございます。
この負担の納付期間でございますけれども、貯留事業者が貯留層へのCO2の注入を開始してから貯留事業の廃止の認可を受けてJOGMECへの業務移管が認められるまでの間、毎年度納付義務を負うこととなってございます。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/121
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122・東徹
○東徹君 要するに、拠出金の金額も今のところ分からなければ期間も分からないというふうなことなんだろうと思いますけれども、やはり、過度な負担とならないようにと言いましたけれども、過度な負担になるのかどうかというのはこれは分からないですよね、今の段階では。私は、じゃ、それだったら、貯留事業者とか、ひいては国民負担を抑えていくために、JOGMECの業務の効率化というのも一方でやっぱりやっていく必要が私はあると思うんですね。
独立行政法人見ていますとよくあるんですけれども、業務が増えたから、その分人も増やして場所も増やして、はい、これだけお金くださいねというふうなところがやっぱり非常に見られるんですね。JOGMECのコストがまたこれどんどん増えて、その分拠出金も増えていってしまうということはやっぱり駄目だと思いますので、JOGMECの業務の効率化、これを僕はやっぱり今からでも進めていくべきだというふうに思うんですが、この点についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/122
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123・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) 委員御指摘のとおり、JOGMECの業務増加、これは安易な増加は避けるべきでありまして、めり張りを持った組織運営を行うことが重要と認識してございます。
経産省としては、JOGMECの中期目標におきまして、新規業務の追加に伴って、適切な人材確保だけではなく、機動的で柔軟な組織運営、あるいはデジタル化の推進などを通じて、組織全体として不断の業務効率化を図るよう指示をしているところでございます。具体的には、JOGMECにおいても、エネルギーをめぐる環境変化やそれに伴う各分野の業務量の変化などに応じて、めり張りのある人員配置、あるいはITやデジタル技術を活用した情報管理や業務効率化などの取組を進めているというふうに承知してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/123
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124・東徹
○東徹君 是非JOGMECも、業務の効率化をしっかりと図っていっていただきたいというふうに思います。
あと、この貯留のことについてなんですけれども、今日もちょっと質問がかぶっちゃいますかもしれませんが、五月七日の参考人質疑において竹内参考人から、これ埋める場所として期待されるのが油田等で、石油を掘り出した後のスペースに埋めていくことが一番これやりやすいと、日本のように石油も天然ガスも出なかった国は周辺に十分な埋めるポテンシャルがなくて、どこまで大規模化ができるか鑑みる必要があるという御意見をいただきました。
そこで、これ経産省にお伺いしたいと思いますけれども、本当にこれ大規模化できるぐらいのポテンシャルがあるのかというふうに思うわけですけれども、そのCCSに適した地層というのがどういうところで、また、我が国にCCSに適した地層どれくらいあるのか、確認をさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/124
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125・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答えいたします。
我が国では、苫小牧での実証で三十万トンのCO2を貯留した実績がございまして、貯留適地の存在は確認されてございます。
具体的な適地といたしましては、地中約一千メートルから三千メートルにおいてCO2が貯留される砂岩層があることに加えて、このCO2は、貯留された後、浮力で浮上してまいりますので、それを蓋する役割の遮蔽層がその上に存在するということが必要でございます。こうした地層は、油田が多い地域に限らず、我が国周辺にも広く形成されてございます。
また、日本CCS調査株式会社が専門家の意見を踏まえて行った試算では、有望地点十一地点で合計約百六十億トンの貯留可能量があると推定されてございます。国としても、今後も新たな探査データを積み上げまして、CO2の貯留適地の調査を計画的に推進してまいります。
その上で、実際にどの程度の貯留適地があるか否かについては、事業化の段階で事業者が法律に基づき探査や試掘を行うことを通じて、より正確な、具体的な精査が行われるものというふうに認識してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/125
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126・東徹
○東徹君 本当に百六十億トンもいけるんですかと、こう思うわけですけれども、これなかなか我々では分からないんですけれども。
ただ、ちょっと大事な指摘のところで、油田等で石油を掘り出した後のスペースに埋めていくのが一番やりやすいということは、これはもう間違いないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/126
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127・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) これは、CCSのその貯留適地については、今申し上げたように、蓋がある砂岩層でございます。油田が存在するのもこうした砂岩層でございまして、なぜ油田が存在するかというと、そこにずっとこう、堆積物というのは有機物、川の流れでいろいろ植物とか動植物の死骸とかが集まって、それが化石燃料となって、そこに、砂岩層にたまたま有機物が堆積されたところに油田があるということでございます。
日本の場合には、その有機物が堆積して油田になった砂岩層は少ないんですけれども、そういう砂岩層自体は日本近海にも豊富に形成されてございまして、そこは、油田の後が特に有利だと、油田の後の方がその地質情報をたくさん持っているという優位性はありますけれども、地質自体にどちらがCCSに適している適していないということは特にございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/127
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128・東徹
○東徹君 まあ、そうですかというふうに聞いておかないと仕方がないんですけれども。
最後に、もうちょっと時間がないので、最後にもう本当に念押しで質問させていただきたいと思うんですけれども、コストの話です。
CCSを拡大していくということで、これ非常に、参考人質疑のときにも、CCSについてのもうコストが掛かるんだというふうなやっぱり厳しい意見をお聞きしましたですよ。CCSに掛かるコストを下げていくことがやっぱり必要なわけですけれども、参考人質疑でもありましたけれども、企業間の競争というものを促すようなシステムであれば、おのずとコストが下がっていくというふうに発言をされておりました。
補助金をどんどんつぎ込んでいくのではなくて、競争によって民間の技術開発を促してCCSのコストを下げていくような仕組み、こういったものがつくるべきだと思いますが、そういうふうな仕組みがつくっていけるのかどうか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/128
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129・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 御指摘のとおりだと思います。CCS事業の普及のためには、このCO2を排出する排出者が安定的かつ効率的なサービスを受けられる事業環境整備というものを進めることが重要であります。このため、二〇三〇年までのビジネスモデル構築に向けた先進的CCS事業におきまして、このコスト削減につながる取組も勘案した上で適切な事業者を選定しておりまして、この将来のCCSコストの削減の実現を目指したビジネスモデルの構築をしていきたいというふうに考えています。
また同時に、コスト削減余地が大きいと考えられるこのCO2の分離回収の手法ですとか、あるいは大容量化した液化CO2輸送船などの研究開発も同時に進めていきまして、こういった新技術の面でのコスト削減についても並行して推進していきたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/129
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130・東徹
○東徹君 CO2を分離回収してやっていく技術ってやっぱりすごいなと思いますし、また、それを今度は地中へ埋めていくという技術、これは本当に大事だというふうに思います。是非そういった技術を、やっぱりコストをできるだけ掛からないような形でやっていただきたいと思いますので、そのことを申し上げて、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/130
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131・礒崎哲史
○礒崎哲史君 国民民主党・新緑風会の礒崎哲史でございます。本日、どうぞよろしくお願いをいたします。
まず最初、水素社会推進法案について、前回事前通知しておりました質問、やり残した分がありますので、まずそこから確認をさせていただきたいと思います。
今回のこの水素社会推進法案の附則なんですけれども、この附則の二条の二になるんですが、こちらの方にこういう記述がございました。化石燃料賦課金及び特定事業者負担金に係る制度との整合性の確保、そして、低炭素水素等の利用に係る技術水準及び経済性等に留意をしつつ点々々、で、制度の在り方について検討を加えると、こういう文言がこの附則の二条の二に入っておりました。
この賦課金あるいは事業者の負担金に係る制度との整合性の確保というふうに書かれた、で、それの検討、在り方についての検討をしていくということは、問題意識があって書かれたというふうに認識をいたしますので、具体的にどのような課題があると考えてこういった附則を設けたのか、この点について確認をさせていただきたいのが一点。
それからもう一点、今回のこの支援期間ですね、価格差の支援期間等々々に関しましては十五年というふうに決まっていますけれども、実はこの支援をしていくための元の予算、原資はこれGX移行債で負担していくことになるんですが、このGX移行債に関しては二〇二三年から十年間まで発行しますということになっています。
十年間発行するGX移行債に対して支援期間は十五年、かつその後十年間はもう努力でやってくださいよという、こういう法律の立て方になっていますので、そうすると、支援期間に対してその移行債が発行できる期間の方が短くなりますので、そうすると、この移行債が出なくなった以降、仮にこうした支援が必要になった場合は、財源としてはどこから捻出をするのか、これについてのお考えを確認させていただきたい。この二点について確認させてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/131
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132・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
二点ございましたけれども、低炭素水素等の供給、利用の促進を一過性のものとすることなく我が国に定着させるためには、電気、ガス、石油、製造、運輸等の産業分野において、低炭素水素等の利用を促進するための制度の在り方をしっかり検討することが重要だと、こういう問題意識から、委員御指摘の附則の規定を定めたものでございますが、例えば電力分野におきましては、二〇三三年頃から、カーボンプライシングに係ります段階的な有償オークションが導入される予定でございます。
各産業分野において制度の在り方を検討するに当たりましては、こうしたカーボンプライシングとの間で制度の重複であるとか過剰規制がないよう整合的に進めていく必要があると考えておりまして、こうした問題意識から先ほどの規定を置かせていただいたということでございます。
また、価格差に着目した支援につきましては、二〇三〇年をめどに供給開始が見込まれる事業者に対し、十五年間の助成を行うことを考えておりまして、支援は最大で二〇四五年まで継続されることが想定される、御指摘のとおりでございます。財源とするGX経済移行債の発行期間は二〇三二年度までとなっておりますが、二〇三三年度以降においても、GX経済移行債による収入金を活用して、あくまでも財源はこれを活用しながら、必要な支援を行うことができるよう必要な対応を講じていきたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/132
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133・礒崎哲史
○礒崎哲史君 ちょっと後半の部分をもう一度確認なんですけれども、移行債そのものは二三年から十年間なので、三三年めどで発行できなくなるわけですよね。でも、制度としては、その後も政府としては支援をしていくということになっていくので、GX移行債そのものからの、移行債を発行しての支援というのはできなくなるという認識は、この認識でよろしいですよね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/133
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134・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) GX経済移行債で二十兆円発行されていきまして、その中からこの価格差支援の三兆円も出ていきます。
したがって、後ほどといった期間について新たな財源を考えることはなく、あくまでも二十兆円のGX経済移行債の中で、他方で発行期限の後に出していくという形で、どういう形で制度を組むのが最も望ましいのかというのを今政府部内でも調整しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/134
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135・礒崎哲史
○礒崎哲史君 発行期限の後にでもそれを使って実施をしていくというのが果たして可能なのかどうか。
ちょっと今ふと不安になるのは、延長ということはあり得るんでしょうか。GX移行債の発行期間を、今十年という定めがありますが、それを延長していくという可能性も、その視野の中には入るんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/135
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136・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
現状それを延長するということは考えておりませんけれども、発行された財源をもってどういう形で支援を活用していくのかという点について検討を深めているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/136
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137・礒崎哲史
○礒崎哲史君 そうすると、もう一個確認は、まあ延長するかしないかは現状決まっていないということですが、移行債の二十兆という枠、これが後で変わるという可能性についてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/137
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138・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
この点につきましては、現状、二十兆円を拡大するという考えは持っていないというふうに承っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/138
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139・礒崎哲史
○礒崎哲史君 一番最初の質問で二点同時に確認させていただいたのは、まさにこの移行債の二十兆という枠が増える可能性があるのかどうか、あるいは延長されるかどうかというので、実はその手前の段階のこの賦課金であったり特定事業者の負担金がまさにこのGX移行債の償還の原資になるので、ここの負担というのが大きく変わるからなんです。だから、今二点まとめてお伺いをさせていただきました。
最初の質問したところで、有償オークションというお話、キーワードをいただきました。今朝の午前中のこれ青山委員の、あっ、ちょうどいなくなっていた、青山委員の御質問で、再エネ賦課金を取り上げられました。まさに再エネ賦課金、いや、安くしたらどうなんですか、大臣というやり取りがありました。
実は、この再エネ賦課金が二〇三二年をピークにして減少していく。ただ、その減少していったところにまさにこのGX経済移行債の償還のお金を充てていくことによってうまくお金が回るようにするということですので、実は青山委員が指摘をされた、再エネ賦課金安くしたらどうだというお話をしたとしても、やったとしても、実はこの特定事業者負担金でその後に乗っかってくるので、電気代というのは大きく下がっていかないという構図がもう見えているわけですよね、という私は理解をしています。
ただ、大きく下がっていかないんだけれども、どれぐらい下がるかはこれから設計しますと、考えていきますというのが、昨年のGX移行債、失礼しました、GX推進法の議論をしたときに私確認したらそういう答弁をいただいたということなんです。ですので、まさにここで附則で入れておられるこの文言、整合性についてということに関しては、まさにそこと大きく関与してくるというふうに思っています。
その際にもちょっと確認をさせていただいたんですけれども、ちょっと済みません、これはもう事前に通告してないので、お答えをいただければと思うんですが、今お話しいただきました有償オークション、これ電力事業者が、発生をしたCO2、これを有償オークションに掛けて買ってもらうという、そういう制度になるわけですが、無償枠と有償枠があって、有償枠の中でそれを実際に買い取ってもらうということになるんですが、それは当然無償枠があっての有償枠なので、これセットで考えるわけですよね。だから、つまりバランスになるんですよ。
無償枠が大きくなれば有償枠は少なくなるので負担金は少なくなる。逆に言うと、無償枠が減れば有償枠が大きくなるので事業者の負担金は大きくなる。事業者の負担金が大きくなるということは電気料金にその分乗っかってきますから、皆さんが払われる電気料金は高いまま維持されるということなので、実はこの無償と有償のオークションの枠組みをどう設計するかというのが物すごく実は重要になってくるんですけれども、この点は検討がもしその後、まあ一年しかたってないんですけれども、何らか進んでいるようであればお伺いをしたかったんですけれども。ちょっと、済みません、事前通告していないんで、ちょっと現状ということでもしお示しいただければ有り難いと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/139
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140・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) 今の御指摘の点は、非常に重要な制度設計のポイントだと思います。
それで、欧州においても、おっしゃるとおり、グランドファザリングでやっている部分とオークションでやっている部分のバランスを考えながら制度が進化しているというところと認識しておりますが、現状、検討が深められているというところでございますが、私自身も担当ではございませんので、改めて、本日のところは御容赦いただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/140
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141・礒崎哲史
○礒崎哲史君 ありがとうございます。事前通告していなかったので、なかなかお答えも難しいと思います。
実際、二〇三二年以降この制度がスタートしますので、時間的な余裕はまだあるとは言いながら、特にこの負担金を出さなければいけない電力事業者にとっては、将来的な事業設計を立てていく、事業計画を立てていく意味ではすごく重要なポイントになりますので、是非この点は、時間的余裕があるというよりも、できるだけ早くやはり検討を進めていただくということを改めてお願いを申し上げたいというふうに思います。
ちょっとその流れでもう一点、これもお願いをさせていただきますと、昨日朝の情報番組ですかね、再エネ賦課金が高くなるので、一般家庭の電気料金の支払がこの後年間一万数千円高くなりますよって、こんなお話が実は情報番組でも取り上げられていました。
多分皆さんは電気料金が高くなるというふうに思われるというふうに思うんですけれども、実は電気料金の中というのは、今言った再エネ賦課金が乗っかって、あとは燃料代が高くなったときのその燃料代高騰代というのも乗っかって、それに、元々事業者が発電をし給電をしていく際のコストというのが乗っかっているという三層構造になっているわけですよね。
実は、電力事業者が自分たちで電気を生み出して送電をしていくところのコストというのは年々下がってきているんです。純粋に電気の発電の部分のコストというのは下がってきている。でも、皆さんは電気代高いというのは、実は再エネ賦課金と、あとは燃料代の高騰分なんですよ。
だとすると、そこの部分というのはもう事業者がコントロールできないんだけれども、世の中全体からすると電気代高いじゃないかというふうに言われてしまうと、これはやっぱり、電気事業者といいますかね、そこで働いておられる方々からすると、何でこんなに努力しているのに高い高いって俺たち言われなきゃいけないんだって、これは現場で働いている人たちのこれモチベーションにもやっぱりつながってきますので、是非、今後制度設計していく上においては、そういった観点も是非御配慮していただいた上で様々な制度設計をしていただきたいということで、これはもうお願いです。お願いですので、よろしくお願いいたします。
では、次の質問に入りたいと思います。
今度、CCS法について質問をさせていただきたいと思います。
やはりこのCCSに関しましては、本当に技術的に安全なんだろうかというのが心配される声というのは、やはり私の周りの中でもまだまだ出てくるところでもあります。先日の参考人質疑等でもいろんなお話もいただきましたし、政府の見解もこれまで聞かせていただきました。技術的に確立された部分があるということも、私自身は理解をしてございます。
ただ、その一方で、やはり日本特有の事情、つまりそれは地震が多いということです。特に地震が多い日本の状況というものを踏まえたときに、これ、内外、国内それから国外双方の知見を踏まえた上での地震リスクについて、改めて政府の認識を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/141
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142・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
CCSにつきましては、地下に貯留したCO2は地震による影響を受ける可能性はございますけれども、地震による揺れの影響は地中では地上と比べて小さく、貯留したCO2は貯留層と一体となって揺れるため、地震によってCO2が漏えいしたり、貯留層が破壊されるような事態は生じにくいというふうに考えてございます。
その上で、CCS事業の安全確保に万全を期すことは重要でありまして、地震が発生した際にCO2の導管などからCO2の漏えいが生じないよう、遺漏なきよう取り組んでいかなければならないと考えてございます。
このため、今後、専門家の方々の御意見や国際的な動向も踏まえながら、CO2導管や貯留施設の耐震性や緊急時のCO2の漏えいを止める遮断装置の整備など、具体的な技術基準の検討をしっかりと行っていきたいと考えております。このような取組を通じて、安全かつ安定的なCCS事業の実施を確保してまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/142
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143・礒崎哲史
○礒崎哲史君 苫小牧の実証事業の際にも、実際に胆振東部地震、これの影響がどうあったかというのは、これは科学的にも調べていただいて、内圧の変化が、日常的なこの変化と比べてもはるかに、もう桁違いにですね、二桁、三桁の違いで小さいんだということで、特にこの件は影響なかったということで、今もその点含めての御説明だったというふうに理解をいたしますが、その見解というのは、一般論という一般的な技術的な知見ということで受け止めていいのか、それとも、あのときの胆振東部地震のときはという、ある意味限定というふうに受け止めざるを得ないのか。これは一般論なんでしょうか、限定的な考え方なんでしょうか、これは経産省としてはどのように考えられておられますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/143
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144・辻本圭助
○政府参考人(辻本圭助君) 御指摘のCCS事業で地震を誘発するかどうかという点でございますけれども、委員御指摘のとおり、苫小牧に関しましては、科学者の分析によりまして影響がないと整理を受けています。したがいまして、苫小牧の状況の中で、こういった現状の中で影響はなかったという分析でございます。その観点でいえば、一般的な整理はされているというふうに思っています。
ただし、一方で、事象は大きく異なってくると思います、いろんな事象のところ。そのたびごとに、実際に起きた現象に基づいて検討をしていくということでございますけれども、IEAのレポート等を考えましても、CCS事業におきまして、有感、人体、人が感じるような地震は起きていないというのが国際的な整理学であるというのが我々の理解でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/144
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145・礒崎哲史
○礒崎哲史君 ありがとうございます。
あのときのはやはり限定的という受け止め方をせざるを得ないところもあると思いますし、今お話をいただきました。ただ、世界的にはやはり、まだまだ地震があったときに、そもそもこのCCS事業そのものの件数がそんなに多いわけではないと思いますので、そのときに地震に対してどう影響があったという、恐らくまだそれを多く検証するという件数が積み上がっていないというふうにも思います。是非ここは、国内のその事象だけにこだわらずに全世界の動きを見ていただいて、地震に対しての影響という評価をこれからもしっかりと積み上げてこれはいただきたい。その上で、安全なんだというところをしっかりと経産省としても証明できるように、これ是非情報の収集と実績の積み上げ、これをしていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
そこに関連して次の質問なんですけれども、これやはり、そういうふうに、安全なんだというふうにいかに説明してもらえるかという地元地域への説明、これが大変重要だというふうに思っています。
これまでも政府答弁からは、事業者に対して地元の皆様への丁寧な説明を求めていきますと、国としてもCCS事業の政策的な意義や負担、それから安全性など丁寧に説明していくというふうに答弁されているんですけれども、具体的に、では国としてどのように対応していくのか。
実際に、苫小牧の事業に関しては、この経産委員会の参考人質疑でも実際にお話を伺いました。きちんと説明できたこともあれば、逆にお叱りを受けたこともありますというふうに、本当に素直にそういった当時のお話もいただきました。一つのやはり実績だと思うんですよね、怒られたことも実績ですから。
この苫小牧の事業における様々な取組、これを参考にして、説明のガイドラインのようなものを例えば経産省の中で作って準備をしておくというのも一つ重要なポイントなのかなというふうに思いますので、それは一つ提案ですけれども、この点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/145
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146・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) CCS事業は、国民の理解を得つつ進めるということが極めて重要であります。そのためには、まず広く国民理解を得るための努力ということで、CCSの政策的な意義ですとか安全性、CCSの立地による地域への投資効果などについて、国として丁寧に説明をしていきたいと考えています。
具体的に考えておりますのは、今年度の夏以降、全国の各ブロックにおいて説明会を開催することを検討しています。その規模や頻度につきましては、CCSに関する理解の進展を踏まえまして検討していきたいと思っています。
御指摘の苫小牧市のCCS事業の実施に当たって、市の発案によりまして、市民や地元企業やステークホルダーなど地域が一体となった形で発足された会議体がありまして、この会議体に対して国が継続的に説明を行ってきています。そのほか、同会議体が実証実験の運営事業者とともにCCS講演会、こういった各種のイベントなんかを共同開催をするなどということをされておりまして、地域の関係者の理解促進に努めてきたところです。
こうした苫小牧市での経験は、今後CCSが実施される他の地域にとって参考となるものであるというふうに考えていますので、国としても、今後の説明会等の場で知見の共有を積極的に進めていきたいなというふうに思っています。
なお、その具体的な手法については、恐らく地域の実情を踏まえてかなり検討していく必要があると考えていますので、その一律的なガイドラインという形が適切なのかどうかということについては、慎重にちょっと検討していきたいというふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/146
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147・礒崎哲史
○礒崎哲史君 是非よろしくお願いをいたします。
もう時間が来ましたので、ちょっと質問あったのはもう質問はやめますけれども、一点だけお願いです。
ビジネスモデルについてはまだきちんと確立できていないという、これは共有認識だと思います。これを進めていく上で、例えば、その拠出金の金額あるいは支払の期間であったり積み立てていくお金ですね、こうしたものがどれぐらいになるのか、あるいはJOGMECに移管した後にどれぐらい費用が掛かるのか、さらにはJOGMECに移管した後に何か問題が発生したときの事業者責任がどうなるのか、こうしたところもしっかりとこの後検討をしていただかないとビジネスモデルに結び付きませんので、これもしっかりと検討していただきますことを最後にお願い申し上げまして、質問を終わります。
ありがとうございました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/147
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148・森本真治
○委員長(森本真治君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、松村祥史君が委員を辞任され、その補欠として吉井章君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/148
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149・岩渕友
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
十四日の環境委員会との連合審査で、CCS事業の環境アセスについて、EUでは貯留許可を申請する前に実施をされていること、米国でも陸域ではアセスを行っていて、各国で環境省が関与して規制を行っているということを示しました。ほかの国では環境アセス実施しているわけですよね。それだけCCS事業が与える環境影響、これが甚大だということです。
海外では深刻な事故も発生をしていますけれども、地震誘発リスクやCO2が漏れ出したときのリスクなど、この安全面、周辺環境への影響、将来にわたる環境影響について第三者でチェックすることができず、重大な懸念があります。CO2が漏れ出せばどうなるかということですけれども、実際に幾つかの事故が起きています。
二〇二〇年にアメリカのミシシッピ州でパイプラインからCO2が噴出した事故について、これは、この間、質疑の中でもいろいろ紹介がありましたけれども、二酸化炭素は空気より重いということで、漏れ出せば地面をはうように広がっていくそうですけれども、そうなることで濃度も高くなって非常に危険になるわけですよね。この事故では、住民の方の意識がもうろうとなって脱出に困難を来したとか、現在も後遺症がある方もいらっしゃるということです。
十月から、苫小牧市と舞鶴市の間を船を使ってCO2を運ぶ実証実験が始まる予定ですけれども、今後の事業では、パイプラインでの輸送も排除はされていないわけですよね。
そこで、大臣に伺うんですけれども、直近で言えば能登半島地震が起きて、北海道胆振東部地震があり、熊本地震もあって、東日本大震災もありましたけれども、この十五年だけを見ても大規模な地震が相次いで発生をしているわけですよね。パイプラインの耐震安全性、しかも長期にわたる安全性が守られるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/149
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150・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) まず、CCS事業の実施に当たりましては、安全確保に万全を期すこと、これは大前提でありますし、地震などのリスクに対しても適切に対応するという必要があると考えています。
CO2導管輸送事業と類似している事業に、現行のガス導管事業がございます。この現行のガス導管事業では、地震などの大規模災害時においても安全が確保されるよう、導管からの漏えいリスクに対する対応が取られているわけであります。こうしたことを参考に、CCS事業においても適切に対応する必要があると考えています。
そのため、今後、専門家の方々の御意見や、あるいは国際的な動向、基準なども踏まえながら、CO2パイプラインの耐震性を含む必要な強度の確保や緊急時の遮断措置の整備など、具体的な技術基準の検討をしっかりと行っていくこととしています。こうした取組通じて、安全かつ安定的なCCS事業の実施、これを確保していきたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/150
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151・岩渕友
○岩渕友君 今の答弁では今後のことだということでしたけれども、それで安全性が担保されているかと、分かりましたというふうにはちょっとなかなかできないわけですね、懸念が残るんです。事故が発生をした場合の賠償は、事業者の責任になります。貯留サイトは無過失責任なんですけれども、パイプラインでの輸送は無過失責任ではありません。
これ、甚大な被害が発生するということがあり得るのに、これで被害者の対応できるのかと。これでは被害者への対応できないのではないでしょうか。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/151
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152・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
貯留事業における、貯留及び輸送事業に関する第三者への賠償責任に関しましては、民法などの法律の専門家を含む幅広い有識者から成る審議会で検討を行いました。この審議会の議論では、民法の原則に従えば、被害者が事業者の過失や損害の発生及び因果関係などを立証する必要があるところ、貯留事業につきましては、地下の地層を使用する事業形態でありまして、被害者が貯留事業者の過失を証明することは困難であるなどとされたことなどを踏まえまして、今般のCCS事業法案では、適切な被害者救済を図る観点から、貯留事業者に無過失責任を課すこととしてございます。
他方で、導管輸送事業につきましてですけれども、先ほどの貯留事業では、土地の掘削やCO2の注入からある程度時間が経過してから被害が生ずる可能性も想定されまして、被害発生のメカニズムに関する専門性がより高いという特性がございますけれども、導管輸送事業についてはこうした事情が当てはまらないこと、また、ガスを導管で輸送するという事業形態はCCS事業に特有のものではなく一般的にも行われておりまして、例えば類似する事業形態であるガス事業法における特定ガス導管事業などでも無過失責任は規定されていないことなどを踏まえて無過失責任を規定してございません。
その上で、本法案においては、導管輸送事業者に対して技術基準の適合義務、使用前検査、定期自主検査、保安規程の整備などの保安規制を課すこととしておりまして、これらの措置を通じて、CO2の漏えいや、これによる損害が生じないよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/152
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153・岩渕友
○岩渕友君 先ほど紹介をしたように、パイプラインで重大な事故が起きて甚大な被害が発生する可能性があると。そうした下で、これで十分に賠償されるのかというのは、今の答弁聞いただけではやっぱり懸念は残るんですよ。
この地震の誘発については、参考人質疑での明日香参考人の話の中で、CCSの導入に当たって、カナダが各地で総合的な地震誘発の可能性について国費で研究のためのプロジェクトを立ち上げているという紹介がありました。
この地震誘発の可能性について、日本では研究がされているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/153
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154・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
まず、IEAなどによれば、これまでにCCSの実施によって人間が感じることができるレベルの地震が発生したとの報告はございません。けれども、CO2の安全かつ安定的な貯留を行うことが大前提でございまして、実証事業における振動の観測、あるいはCCSと断層の関係に関する国際研究などを我が国としても進めてきてございます。
例えば、長岡や苫小牧におけるCCS実証においては、地震計を設置し、CO2の注入と観測された微少振動や地震との関係性について分析を行ってきております。その成果を用いて、中越地震や胆振東部地震とCCS事業との因果関係は否定されるという結果が得られたところでございます。また、豪州において、RITE、地球環境産業技術研究機構がオーストラリアの国立研究所とともに、貯留されたCO2がどの程度近傍の断層に影響を及ぼすかに関する分析を今後共同で実施する予定でございます。こうした研究なども参考にしながら、貯留層や断層などの地下構造に悪影響を及ぼさないよう、必要な安全性を確保していくことが重要であります。
国としても、最先端の研究を継続するとともに、地質学などの外部専門家の意見もお伺いしながら、適切に法律を運用してまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/154
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155・岩渕友
○岩渕友君 日本は、先ほどもお話ししたように地震国で、この間も頻発しているので、CCSの適地などないというのが実態だと思うんです。ところが、貯留可能量は二〇二二年で百六十億トンとされていて、その一年前は八十億トンと言っていたんですけれども、一年で二倍になったんですね。
二〇五〇年時点で年間一・二億トンから二・四億トンの貯留を可能としていますけれども、これを実現するためには年間二百四十本から四百八十本の圧入井が必要なんですよ。けれども、海域では圧入井一本当たり八十億円掛かるというふうに言われているので、こういう点から見ても、とても現実的とは言えないと思うんですね。
同時に、年間一・二億トンから二・四億トンというのは、現在の日本のCO2の排出量の一〇%から、場合によっては二〇%に当たるんですよ。そこまでCCSに依存するということなのか。大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/155
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156・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 二〇五〇年のカーボンニュートラル実現、これは大変高い目標でありまして、その実現に向けましては、Sプラス3Eの原則の下で、あらゆる可能性を排除せず、使える技術は全て活用していくことが必要不可欠だと思います。
その中で、CCSにつきましては、鉄鋼や化学などの産業分野や発電分野、低炭素水素等の製造における脱炭素化への利用が想定されるわけでありまして、諸外国におきましても、二〇五〇年のCO2貯留量の目安を現在のCO2排出量の約一割から二割と想定をしておりまして、二〇五〇年以降も引き続き利用することが見込まれています。
こうした点を踏まえれば、CCSはカーボンニュートラル実現に向けて必要な手段の一つだと認識をしています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/156
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157・岩渕友
○岩渕友君 そもそもロンドン条約では、貯留自体の必要を削減する締約国の義務が課されていて、貯留そのものを減らすこと、代替手段の検討が求められているわけですね。こうしたことは法案で担保されているのでしょうか。大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/157
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158・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) まず、ロンドン議定書に書いてあるのは、CO2の海底への貯留を含む海洋への廃棄物投棄の許可を当局へ申請するに当たっては、廃棄しようとするものの再利用、陸上での処分、大気への処分など、ほかに考えられる処分の方法についても適切に検討した上で当該申請を行うことを求めているわけであります。
こうしたロンドン議定書における規定を踏まえて、現行の海洋汚染防止法においては、海底下廃棄以外に適切な処分の方法がないものであることが許可基準の一つとされているところであります。
現行の海洋汚染防止法におけるCO2の海底下廃棄に関する規定は、今般のCCS事業法案に一元化することとしていますが、同法案においては、海域で行われる貯留事業に係る認可基準の一つとして、海域の貯留層における二酸化炭素の貯蔵以外に適切な処分の方法がないことを規定しています。そういう意味では、今般のCCS事業法案は、御指摘のロンドン議定書の関連規定の内容に沿ったものであるというふうに考えています。
その上で、海域の貯留層における貯蔵以外に適切な処分方法がないことの確認など、貯留事業に係る認可申請の審査の在り方につきましては、環境省ともよく相談しながら、引き続きしっかり検討していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/158
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159・岩渕友
○岩渕友君 CCSへの依存は、化石燃料への依存ということにほかならないわけですね。このことを厳しく指摘しなくてはなりません。
水素法案でも安全性の問題指摘せざるを得ないんですね。法案では、供給、利用の促進のためということで、高圧ガスに係る権限を経産大臣に集中をするとか、港湾法上の届出を不要にするなど、安全規制を後退させるものになっています。
高圧ガス保安法については、認定計画に基づく設備等に対して、一定期間、都道府県知事に代わって経産大臣が一元的に保安確保のための許可や検査を行うとしていて、一定期間が経過した後は、認定高度保安実施者、事業者による自主保安への移行が可能だとしています。
二年前の高圧ガス保安法の改定で、この認定高度保安実施者に認定されれば、年に一回以上義務付けられている定期自主検査が除外されたんですよね。この認定事業所における法令違反について、当初、経産省が審議会で配付をした資料には、直近十年では累積二十四件の高圧ガス保安法の違反というふうにしていたわけですけれども、こちらで調べたらば、もっと多くの重大事故があったということが分かったんですね。しかも、死亡者が出るような事故が重大事故になっていなかったというようなこともあって、このことがこの委員会の中でも大問題になったんですよね。自主保安に任せるということは、同じことが起きる可能性を否定できないということなんですよ。
事業者任せで安全性が守られるのか、安全規制を後退させることになるのではありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/159
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160・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 委員御指摘の認定高度保安実施者制度は高圧ガス保安法で措置されている制度でありまして、高度な保安能力を有する事業者に対しまして一定の自主保安を認める制度でありまして、水素社会推進法案の保安措置の適用を受けた事業者も活用可能だというふうになっています。
認定高度保安実施者制度の趣旨は、事業者の保安レベルに応じて、事業者自らがより高度で効果的な保安活動を行えるようにするものであります。すなわち、規制緩和ではなくて、規制の実効性や保安力の向上をより確保するものであります。
認定高度保安実施者は国が認定を行うこととしていますが、過去の事故情報を踏まえた事故防止対策や、一定以上の有資格者で運転管理されていることなど、高度な保安体制を構築していることなどが認められる事業者を認定することとしています。この点において、大規模な水素等の事業におきましても、この運用が変わることはありません。
また、認定後につきましても、立入検査等を通じ、法令違反や認定要件への不適合が確認された場合には認定を取り消すなど、引き続き厳格な監督を行ってまいりたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/160
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161・岩渕友
○岩渕友君 ちょっとこれまでの経過を見ているととても信用できないし、安全性を、安全規制を後退させることにほかならないということです。
続けて、価格差に着目した支援事業について質問します。
支援事業が今年度の当初予算に計上されているわけですけれども、予算額は幾らでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/161
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162・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
令和六年度予算に計上している水素等のサプライチェーン構築のための価格差に着目した支援事業では、五年間の国庫債務負担行為含め、総額で四千五百七十億円、うち令和六年度予算案で八十九億円が計上されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/162
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163・岩渕友
○岩渕友君 既存の燃料の価格がどのぐらいで、水素の値段がどのぐらいだと想定しているのかなど、この予算額になった根拠を示してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/163
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164・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) 令和六年度予算に計上している予算額につきましては、分野別投資戦略において示された政府支援額の見通しを前提に、事業者や専門家へのヒアリング等を通じて、事業費やJOGMECの運営費の一部につきまして、一定の仮定の下、積算を行ったものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/164
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165・岩渕友
○岩渕友君 具体的な中身出てこないわけですよね。
この間、何度求めても根拠示されてこなかったんですよ。じゃ、これでどうやって予算決めたのかと。これだけ多額の予算にもかかわらず根拠示さないというのはとんでもないことです。これではどこまで膨らむかも分からないし、国民負担になるんじゃないかという懸念拭えないんですよね。コストが高い、CO2も削減できない。経済合理性と言うのであれば、今ある技術、省エネ、再エネに集中をするべきです。
最後に、いよいよ第七次のエネルギー基本計画の議論が始まりました。五月九日に、シンクタンクやNGO、若者団体などが記者会見を行って、エネ基に関わる審議会の委員の選定や議論のプロセスに大きな問題があると指摘をして見直しを求めています。今回の改定は、中長期に日本のエネルギーシステムや産業構造をどう転換していくのかということを決める大事な改定なんですよね。
前回エネ基の議論をした総合資源エネルギー調査会の基本政策分科会の委員を見てみると、女性の割合は三割台ぐらいなんですよ。今回は、五割には届かないんだけど、女性の割合が引き上がったというのはこれ重要だと思うんですね。
女性はもちろんなんですけど、二〇五〇年のカーボンニュートラルと言っているわけなので、未来を担う若い世代がやっぱりメンバーに入っていなきゃおかしいし、この再エネ主力電源化と言っているわけですから、再エネ事業関係者や環境団体、気候災害や原発事故の当事者、政府のエネルギー政策に意見を言っている方など、多様な意見を反映させることが必要だと思うんですね。
あわせて、今後パブリックコメントやられていくというふうに思うんですけれども、パブリックコメントやっただけでは国民の意見聞いたというふうにはできないと思うんですよ。これまでも、パブコメの意見が十分反映されてこなかったというのもあるんですね。大臣自身が、以前、このエネ基の策定に関わって、複数のシナリオを提示して国民的議論の下で決定されることが極めて大事というふうに述べているんですよ。このとおりにやったらいいと思うんですよね。
当然、若い世代も女性も含めて多様な市民が参加できるタウンミーティングを行うなど、国民的な議論が必要ではないでしょうか。大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/165
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166・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 主にエネルギー基本計画を審議いただく総合資源エネルギー調査会基本政策分科会、これはエネルギー政策全般に関して幅広く検討するための審議会であります。こうした議論を進める上で必要な省エネ、再エネ、原子力などエネルギーの各分野に加えまして、日本経済、エネルギー多消費産業、消費者、大企業や中小企業など産業界、金融などの各分野から、学識経験者や専門家が委員として参画をされています。
現在の基本政策分科会の委員構成については、エネルギー政策を進めていく上で必要となる学識経験者や専門家がバランスよく参画されているものと考えておりまして、私は、直ちに今の委員に変更を加える必要というものは考えておりません。ただ、その上で、御指摘のように、様々な立場の方の御意見聞きながら施策を検討することは、事柄の重要性に鑑みまして必要であろうと思っています。
したがいまして、エネルギー基本計画の策定に際しましては、パブリックコメントの実施による様々な意見を取り込み、これ、私、昨日初めて参加をさせていただいてちょっと驚いたのは、ユーチューブで全てやり取りが公開されていると、私もいろんな審議会に参画をしましたけど、ここまでのものってなかなかないのではないかなと、だから、全てオープンなんで、パブリックコメントでも意見が言いやすいのではないかなと思いますので、そういう試みもしているということです。
それから、審議会の検討過程において様々な立場の団体へのヒアリングも実施をしたいと思っていますし、それから、審議会と並行してホームページでも常時広く意見を受け付ける意見箱も設置をして、様々な意見をくみ上げる努力をしていきたいというふうに思っています。
私は、今回のエネルギー基本計画は、本当に日本の将来を決める非常に重要な作業だと思っていますので、もうできるだけ多くの方の意見を踏まえながら、後顧の憂いのないようにしていきたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/166
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167・岩渕友
○岩渕友君 大臣がかつて述べたように、国民的な議論を行うことが必要だということを述べて、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/167
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168・平山佐知子
○平山佐知子君 平山佐知子です。よろしくお願いいたします。
今日は、CCSについて伺っていきたいと思います。
私自身は、このCCSというのは、この二〇五〇年カーボンニュートラル実現に対してもう必要不可欠なものだと認識をしています。
ですが、一方で、先ほどから、礒崎先生とか、ほかの皆さんもおっしゃっていましたし、私も参考人質疑のときに申し上げたんですけれども、やっぱり国民にとって、まだまだCCSって何とか、CCS、これだけお金を掛けてやる必要性ですね、それがあるのかどうかとか、まだまだ浸透していない、認知されていないところがあって、ともすれば、ごみの処分場のように思われてしまいますと、立地地域の方々の理解を得るというのは大変難しいのかなということを思っているところでございます。
〔委員長退席、理事古賀之士君着席〕
政府は、二〇三〇年までの当面、国主導で地域ごとの説明会を開催をして、国民の理解を得るとともにCCSに対する懸念を払拭するとしています。先ほど大臣も、地域ごとの実情があるのでなかなか一概に言うことは難しいということでしたけれども、具体的に、どのような頻度、それから規模で、いつから開催していくことなど計画をしていらっしゃるのかということ、それから、国民全体の理解を得るために何が必要だと思っていらっしゃるのか、大臣に伺わせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/168
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169・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 確かに、現時点において、うちの地元の人にCCS知っていますかといって、どれだけの人が御存じかということに関しては、これからもっと理解を進める活動をしていかなくちゃいけないというふうに正直思っているところでありますが、まずはそのCCSの政策的な意義ですとか安全性、あるいはCCSの立地による地域への投資効果などについて、国の持っている知見をきちんと丁寧に説明をしていきたいと。そのためには場が必要でありますし、具体的には、今年の夏以降、全国の各ブロックにおいて説明会の開催を検討をしておりまして、ただ、その規模や頻度につきましては、CCSに関する理解の進展を踏まえまして、まあいろいろ強弱あると思いますので、検討していきたいと思います。
その上で、CCSのシステムが将来立地するという可能性のある地域につきましては、より具体的で詳細な説明が必要であります。まずは事業者が、地元の自治体ですとか利害関係を有する事業者ですとか、もちろん住民の皆様などに対して丁寧に説明を行うことが重要と考えておりますし、あわせて、国としても、関係する地方公共団体や事業者等と連携しつつ、様々な機会を捉えて丁寧な説明を行うよう努めてまいりたいと考えています。
国民全体の理解をいただくためには全国レベルで計画的に説明を行うことが必要であると思っていますが、一方で、地域レベルでは、自治体や事業者との連携によりまして継続的な説明が欠かせないと考えておりまして、丁寧に進めていきたいと考えています。
〔理事古賀之士君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/169
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170・平山佐知子
○平山佐知子君 ありがとうございます。
丁寧にと三回か四回かおっしゃっていただきましたので、しっかりやっていただけると思います。お願いいたします。
コストについてですけれども、これ、二〇〇八年七月に閣議決定された低炭素社会づくり行動計画を見ますと、このCCSについて、分離回収コストを二〇一五年頃にトン当たり二千円台、そして二〇二〇年代に千円台に低減をするということを目指して技術開発を進めるとともに、二〇〇九年度以降早期に大規模実証に着手し、二〇二〇年までの実用化を目指すとしていました。
実際これ遅れているわけですが、実用化なぜここまで遅れたのかということ。それから、現在のトン当たりの分離回収コスト、およそ四千円です。先ほどの計画では、二〇二〇年代に千円ということでしたので、大分この行動計画に比べて大幅に上振れしている状況ですけれども、今後のコスト低減、どのような計画となっているのか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/170
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171・村瀬佳史
○政府参考人(村瀬佳史君) お答え申し上げます。
御指摘いただきましたとおり、低炭素社会づくり行動計画におきましては、CCSの二〇二〇年の実用化を目指すとされていたのは事実でございます。
この後、苫小牧における大規模な実証試験において、二〇一九年に予定していた三十万トンのCO2の地下の貯留、この目標自体は達成できたわけでございます。これによりまして、CCSの実用化に向けた基盤技術についてはおおむね予定どおり確立することができたと考えてございます。
一方で、委員御指摘のとおり、分離回収のコスト削減につきましては、技術革新が想定どおりには進まなかったということ、それから、当時の目標より遅れているというのは事実でございます。
こうした状況を踏まえまして、パリ協定発効などを受けて二〇二〇年に策定いたしました革新的環境イノベーション戦略におきまして、分離回収コストを改めて、四千円程度から二〇五〇年までに千円程度に下げるという目標を設定いたしまして、その後様々な、これに基づきまして、排出源に合わせた低コストな分離回収技術の技術開発をGI基金などによりまして支援するなどの総合的な取組を強化したところでございます。
我が国のCO2分離回収技術は世界で約七割のシェアを占めておりまして、現状においてもこの点については一定の競争力があると認識しておりますが、こうした強みの部分を更に磨くことに加えまして、大容量化した液化CO2輸送船など研究開発に取り組みましてコストをしっかり下げていくということで、引き続き、CCS事業全体のコスト削減をしっかりと図ってまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/171
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172・平山佐知子
○平山佐知子君 ありがとうございます。
CCSに反対している方々は、やはり世界でのこの失敗事例を含めて、このコストのことを指摘する声ってやはり多いわけですね。ですから、しっかりと具体的なコストの低減策、これを示した上で分かりやすく伝えていくということも大事だと思っていますので、よろしくお願いいたします。
次に、先ほどもう古賀委員の質疑の中で詳しくあったので、重なるところがあるんですけれども、どれだけCO2を貯留できるのかということで、先ほどのお答えによると、十一地点でおよそ百六十億トンの貯留可能量があるということで、場所と、適地としては北海道等、苫小牧始め東北地方など、ある程度場所を提示していただいたのかなと思っています。
先日も参考人の方から、一か所当たり一億トン以上のキャパシティーがありそうなところということと、また日本海の、例えば東北地方の沿岸域などにある程度の適地があるというお答えをいただいています。
おっしゃるように、先ほどのお答えの中で、現時点で発表してしまうと、なかなかその地域の方々の様々な思惑がありますので、軽々と発表することはできないという気持ちももちろん分かっております。
それでは、具体的な適地に関して、例えばコスト面など様々な観点から、このCO2が大規模に排出される火力発電所とか製鉄所などの近くで行われることが私は望ましいと考えていますけれども、この適地の場所ですよね、大規模排出市の近隣にあるなど、そういった場所の条件を考慮されているのかどうかということと、十一地点の公表、いつぐらいになるのかということを、もし考えがあれば教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/172
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173・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答えいたします。
御指摘のとおり、日本CCS調査株式会社の試算によれば、これまでに、有望地点十一地点で合計百六十億トンの貯留可能量が推定されております。そして、現時点では具体的なその十一の地点については公表はしてございません。その理由は、今委員もおっしゃっていただきましたとおり、こうした地点を公表することで、関心を有する事業者等が地域の利害関係者との十分な調整を経ない段階で事前調査や地元の関連事業者等への接触などを行って、現場において無用な混乱あるいは住民の方々の不安を招くことにもなりかねないということを考慮した上でのことでございます。
なお、これも委員御案内のとおり、国は、先進、先導的CCS事業ということで、企業の提案に基づいて、今、内外合わせて七のプロジェクト、その具体的な場所については先ほど御説明したとおりですけれども、そういうことを進めております。
その調査が更に進んでいけば、より具体的にこういう場所でということも明らかになってくると思いますし、そういうことを踏まえまして、この法案に基づいて、国としては、CCSの貯留可能性のある場所を特定区域という形で選定、指定をして、そこで貯留事業をやる者を公募して選定していくというプロセスに入ってまいります。その段階ではかなり明らかになってくるということは申し上げられると思います。
先ほどの大規模排出市の近傍にあることは考慮したかという点につきましては、先ほどの十一地点、百六十億トンにつきましてはそういう条件付けはせず、国内でCO2の貯留に適していると見込まれる地点を調査させていただいたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/173
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174・平山佐知子
○平山佐知子君 ありがとうございます。
丁寧な説明も必要ですけれども、一方で、やっぱり効率的にCCSをしっかり進めていくということも大事だと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
CCSの長期ロードマップ検討会、見ますと、二〇五〇年時点の日本におけるCO2の想定貯留量、これは、先ほどからもあるように、年間およそ一・二から二・四億トンとされているところです。一方、国際エネルギー機関が毎年公表しているワールド・エナジー・アウトルックの二〇二一年版には三つのシナリオが示されていまして、この中でネットゼロとなるシナリオでは、二〇五〇年における世界のCO2の回収量、年間七十六億トンとされています。ネットゼロとなるシナリオの場合、世界のCO2排出量に占める日本の割合はおよそ三・三%であることから、その比率で計算をしていきますと、ちょっと細かいんですけれども、二〇五〇年の時点で日本は七十六億トンの三・三%ということで、およそ二・五億トンの回収が必要ということになります。
先ほど申し上げました日本のこのCO2の想定貯留量の下限である年間およそ一・二億トンという数値は、各国政府が表明した気候変動対策に関する全ての公約が完全に、また予定どおりに達成された場合から逆算して出された数値というふうに思われます。つまり、現在、世界各国が表明しているCO2の削減目標では、この二〇五〇年カーボンニュートラルというのは夢のまた夢となってしまうということになってしまうと思います。
我が国が気候変動対策でこれ世界をしっかりとリードする気概を見せるということなどであるならば、およそ一・二億トンからという目標、これ余りにも低過ぎるんじゃないかなというふうに考えます。積み上げてしっかり計算をしていくべきではないかと、その考えを、経産大臣、伺わせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/174
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175・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 気概をどこで見せるかという問題はあるんだろうと思いますが、御指摘のように、二〇二三年三月に策定したCCS長期ロードマップにおきましては、二〇五〇年時点の日本のCCSによる想定年間貯留量の目安、一・二億トンから二・四億トンと推計しています。
これ需要見通しではありませんが、CCSに関する有識者の議論や政策的な検討を行うため、一つの材料としてお示しをしたものでありまして、現在の我が国のCO2排出量の約一割から二割に相当する、これでも高い水準にはなっています。諸外国でも、二〇五〇年のCO2貯留量の目安を現在のCO2排出量の約一割から二割と想定されておりますので、主要国とも遜色のない水準ではないかというふうに認識はしています。
日本としては、まずは二〇三〇年までの事業開始、これに全力を挙げていきたいと思っておりまして、集中的な支援を通じて、この二〇三〇年までに年間貯留量六百万から千二百万トンの確保にめどを付けるということをまずは目指していきたいと考えています。
なお、より中長期的な数値目標をどうするかということもあります。これは、脱炭素技術の開発、導入ですとかCCSに関するコスト低減の進捗などを踏まえて、今後、必要に応じて検討していきたいというふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/175
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176・平山佐知子
○平山佐知子君 ありがとうございます。
一方で、地下の不確実性、どれだけ地下にCO2が入るのかということもまだはっきりしていない部分あると思いますので、その点の考慮も必要だと思いますけれども、この圧入井一本当たりのCO2の貯留可能量、年間五十万トンとした場合、想定貯留量ですね、一・二から二・四億トンを二〇五〇年に達成をする場合には、二〇五〇年には二百四十本から四百八十本の圧入井が稼働している必要があるということになります。去年六月に選定された先進的CCS事業は、国内貯留五件、海外貯留二件の合計七件ですから、本法律案可決、成立後が実質的なスタートとなるのかなと思っています。
二〇三〇年に民間CCS事業が稼働し始めますと、毎年十二本から二十四本ずつの圧入井を増やしていくという計算になりますが、それからまた、去年の質疑でも指摘しましたが、先ほどもあったように、試掘費用も一本当たり五十億円から八十億円掛かることを考えますと、時間軸的にも、また予算的にもこれ実現可能なのか、お伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/176
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177・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
昨年三月に公表したCCS長期ロードマップ検討会の最終とりまとめにおきましては、御指摘のとおり、毎年十二から二十四本ずつの圧入井を増やしていく必要があるというふうになってございます。これは、我が国の二〇五〇年時点のCO2年間貯留量の目安であります一・二から二・四億トンとのこの試算を基に、一定の仮定を置いた上で圧入井の数を試算したものでございます。
これは、数は多いんですけれども、十二から二十四か所、新たな地点で開発を同時にしていくということでは必ずしもございませんで、例えば、同じ貯留層に対して井戸の本数を増やしていくこともありますし、同じ貯留区域における別の深さの貯留層を活用していくということもございますし、また、貯留ポテンシャルが高い新たな貯留適地の探査や開発を進めていくと、これらを併せて進めていくことを考えてございます。
加えて、この開発、運用段階において効率的に貯留量を増加すると。様々な排出者とそれから貯留地を結ぶいろんなインフラがありますけれども、それの共有化を進めるなどによって投資額の増加を抑えていくということも重要だと認識してございます。
現在進めております先進的CCS事業におきましては、採択事業者に対して、こういう費用対効果でありますとか将来の拡張性についての検討を求めておりまして、この貯留によるインフラを、井戸も含めて効率的に整備できるように検討を促しているところでございます。
引き続き、国内の貯留適地に関するポテンシャル調査などを通じて貯留適地を精査していくとともに、効率的な開発を追求して、貯留量の確保に取り組んでいきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/177
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178・平山佐知子
○平山佐知子君 ありがとうございます。
それから、CCSのこの社会実装には、これまでもありましたが、民間事業者による積極的な参入が欠かせないと思っています。この民間事業者による積極的な参入を促すために、この設備投資とか創業費用などの資金手当てですね、それから税制優遇などの財政支援措置の具体的な仕組み、それから金額など、早期に示すべきと考えますけれども、この点どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/178
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179・上月良祐
○副大臣(上月良祐君) 米国や欧州では、近年、予算や税制などのCCS事業に対します様々な導入支援制度が構築されておりまして、CCSの本格的な導入に向け、更に環境整備が進んで事業の予見可能性が向上している状況にございます。例えば、米国では、CO2の貯留一トン当たり八十五ドルですから、一万二千円程度になりますが、の税額控除が認められるほか、補助金等により支援がございます。また、イギリスでは、CCS事業に対して、二百億ポンドでございますので、これは約三兆八千億円となりますが、の支援を決定しているところであります。
我が国としては、まず、横展開可能なビジネスモデルを確立する必要がありますので、先進的CCS事業により事業性調査等の支援を行っているところでございます。今後、事業者の投資決定を促す支援策につきまして、昨年十二月に取りまとめたGXに関する分野別投資戦略を踏まえまして、予算や税やクレジットなど、諸外国の支援措置も参考に、事業者の円滑な参入、創業を可能とする支援制度の在り方について検討してまいりたいと考えております。その際、GX経済移行債の活用につきましても、先進的なCCS事業の事業性調査の結果を踏まえて検討してまいりたいと考えております。
二〇三〇年の事業開始というためには、二〇二六年を目途には事業者が収支見通しを得て投資決定を行う必要がありますので、それに間に合うように早期に検討を進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/179
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180・平山佐知子
○平山佐知子君 ありがとうございます。
最後に簡単に述べて、時間もあれなんですけれども、このCCS事業がやっぱり地域の活性化にも結び付くような形になるべきだと考えていますが、その点、大臣のお考えを聞かせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/180
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181・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) CCS事業を進める拠点は、産業や発電の脱炭素化を進めていくための、地域にとっての重要なインフラになり得るものと考えています。このため、CCSが地域の産業に利用されて雇用維持発展に寄与するということを期待したいと思っています。
また、CO2の分離回収、輸送、貯留など、CCS事業に関連する産業が進出してくることですとか、将来的には、分離回収したCO2を使って化学品や燃料などを製造するカーボンリサイクル産業の創出にもつながる可能性があるんだろうと思っています。こうしたCCS事業のサプライチェーンの構築や関連産業の立地におきましては、地元企業の協力が必要となる場合がたくさんあります、委員の御指摘のとおりですね。建設工事等の受注機会なども増加するのではないかと思います。
このような観点からも、貯留を行う地域に対しまして、事業者や地方公共団体と連携しながら、期待される経済的メリットなども分かりやすく、かつ丁寧に発信するように努めていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/181
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182・平山佐知子
○平山佐知子君 終わります。ありがとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/182
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183・森本真治
○委員長(森本真治君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。
これより両案について討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/183
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184・岩渕友
○岩渕友君 私は、日本共産党を代表して、低炭素水素等供給利用促進法案及び二酸化炭素貯留事業法案に反対の討論を行います。
反対理由の第一は、化石燃料の廃止という要請に抵抗し、世界の脱炭素の取組を妨害するものだからです。
IPCC第六次統合報告書が、今後十年の選択や対策が数千年先まで影響すると警鐘を鳴らしているように、二〇三〇年までに温室効果ガスを早急かつ大幅に削減する必要があります。
ところが、両法案は、二〇三〇年頃の導入を目指すCCS事業や水素等の活用を支援する仕組みであり、パリ協定に基づく削減目標と全く整合性がありません。それにとどまらず、国際的に通用しない独自の解釈で、石炭火力発電の廃止期限を決めず使い続ける仕組みをつくり、アジア始め他国を巻き込んで推進するもので、容認できません。
第二は、石炭火力発電延命。原発推進に巨額の国費投入と投資を促し、高コスト、高リスクのツケを国民に押し付けるものだからです。
再エネ由来の水素を大前提にすべきであるのに、化石燃料、原発由来の水素とアンモニア、合成メタンも国費で支援し、価格差支援はどこまで膨らむか分かりません。CCSは、事業者自らが、リスクもコストも高いことを理由に政府に手厚い支援を求めています。アメリカで石炭火力CCSがほとんど失敗していることについて、質疑の中で政府自らが経済性の問題と認めたように、経済合理性のない事業に国民の税金をつぎ込み、電気代として転嫁するようなことは許されません。
第三に、両法案とも事業推進を最優先とし、住民の命、周辺環境、将来世代にわたる影響に関わる重要な安全規制を後退させるものだからです。
水素法案で、高圧ガス保安に係る権限を経済産業大臣に集中し、港湾法上の届出を不要とし、導管敷設で道路管理者に占有の許可を強制するなど到底認められません。CCS法案では、環境影響評価についてEUなどが義務付け、海外では重大事故が発生しているにもかかわらず、今後の検討課題とすることなどあり得ません。第三者のチェックもできず、関係住民、自治体が意見を述べる機会も担保されず、安全面、環境面の重大な後退にほかなりません。
原発ゼロの決断、石炭火力発電の廃止期限を定め、徹底した省エネ、再エネに政策と予算を集中してこそ、二酸化炭素の大幅削減と雇用増加、地域経済活性化に貢献できます。
将来世代に対して責任が持てるエネルギー政策への転換を求めて、反対討論といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/184
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185・森本真治
○委員長(森本真治君) 他に御意見もないようですから、両案に対する討論は終局したものと認めます。
これより採決に入ります。
まず、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律案について採決を行います。
本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/185
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186・森本真治
○委員長(森本真治君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、古賀君から発言を求められておりますので、これを許します。古賀之士君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/186
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187・古賀之士
○古賀之士君 私は、ただいま可決されました脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律案に対し、自由民主党、立憲民主・社民、公明党、日本維新の会・教育無償化を実現する会及び国民民主党・新緑風会の各派並びに各派に属しない議員平山佐知子君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
一 我が国が、パリ協定の一・五度目標と整合的に二〇五〇年カーボンニュートラルを実現するために、既に確立された技術をもって低廉なコストでその達成に貢献できるとされる再生可能エネルギー等の導入や省エネルギー化の取組を更に強化するとともに、本法に基づく支援措置については、エネルギーの安定供給と脱炭素化の両立、国民負担の過度な増大に留意しながら適切に進めること。
二 低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する各種施策については、省エネルギー化や再生可能エネルギーの普及拡大等の推進を前提として、電化では代替が困難な分野への活用に優先的に取り組むこととし、GX経済移行債をもって行われる他の脱炭素の施策を含めた総合的な効果等を適時分析し、その評価に基づいて投資対象の拡大又は縮小を含めた見直しを的確に行うこと。
三 脱炭素成長型経済構造への円滑な移行において、我が国のエネルギー自給率の向上や経済安全保障の観点からも重要となる国内における低炭素水素等のサプライチェーン構築を着実に進めるとともに、国際競争力確保の観点から、徹底したコスト削減が図られるよう、必要な措置を講ずること。
四 低炭素水素等に関する技術や製品をいかした我が国の産業振興や、国際競争力強化に向けては、世界の脱炭素政策、とりわけ欧州で炭素国境調整措置が整備されつつある現状に鑑み、各種産業に係る国際的なルール形成や国際標準化において、我が国が主導権を握ることができるよう施策を戦略的に実施するとともに、低炭素水素等の生産過程における脱炭素化を図る取組を推進すること。
五 我が国が持つ低炭素水素等の製造、輸送、貯蔵、活用その他の脱炭素技術について、特に二酸化炭素排出量が多い技術や設備を多く有する国々における産業やエネルギーの脱炭素化への国際貢献も視野に、その質を更に高めるよう取り組むこと。
六 低炭素水素等を活用するための施策が長期にわたって必要となることを踏まえ、事業者が予見可能性を持って事業に取り組むことができるよう、GX経済移行債の先行投資支援を始めとした資金調達や、GX価値の向上、GX製品市場の拡大等を通じてコスト回収を可能とする制度措置を講じ、必要な人材の確保及び育成、技術基盤の強化、低炭素水素等が利活用される機会と分野の拡充等に向けた事業環境の整備を進めること。
七 低炭素水素等のサプライチェーンの構築における地方公共団体の果たす役割の重要性に鑑み、地方公共団体における地域のグランドデザイン作成を支援するとともに、地域産業や、利用者の視点に立ったエネルギーインフラの整備等の取組が着実に進むよう必要な措置を講ずること。
八 低炭素水素等の基準については、本法成立後速やかに設定し、公表するとともに、将来的には、国際的なルールの動向を踏まえて、低炭素水素等の生産時のみならず、利用までのライフサイクル全体の二酸化炭素排出量を評価することを検討すること。また、基準の見直しや支援の在り方の検討に当たっては、水素等の更なる低炭素化・脱炭素化が進むよう配慮すること。
九 GX経済移行債の先行投資支援を活用した価格差に着目した支援及び拠点整備支援などの政府による財政支援は、将来的に事業者が自立することを前提とし、事業者が予見可能性を持って確実に事業に取り組むことができるよう必要となる条件や評価項目・方法等の詳細を明確に定めるとともに、カーボンニュートラルを加速する制度設計とすること。また、支援の実施に当たっては、多額の国費を活用して行われる事業であることや国民負担、国際競争力への影響、炭素リーケージの可能性、負担と受益の公平性等を踏まえ、その施策の進捗状況や費用対効果について定期的に評価及び分析を行い、投資対象も含め必要に応じた柔軟な見直しを行うこと。
十 水素の特性による漏えいや爆発の危険性に鑑み、その製造から輸送・貯蔵・利用・取扱い等における安全性を確保するとともに、保安体制の充実を始め製造保安責任者等への指導、教育の充実、保安に関する技術基準の整備の検討など、安全性向上のための取組を確実かつ早期に進めること。また、事業者による安全対策や周辺住民への影響等について、地域住民とのリスクコミュニケーションが適切に図られるよう取り組むとともに、水素等の物性や取扱い等に関する情報発信等を進めること。
十一 低炭素水素等の供給を促進するため水素等供給事業者に求める自主的な取組を促すための措置については、事業者が取り組むべき基準を明確に定めるとともに、その運用に当たっては、事業者に過度な負担とならないよう十分留意すること。
十二 本法に基づく支援措置の実施に向けての制度設計に当たっては、学識経験者や有識者、産業界、労働界等から広く意見を聴き、その意見を尊重するとともに、意思決定過程の透明性を確保すること。
十三 低炭素水素等の利用を促進するため、国民に対して低炭素水素等に関する適切かつ具体的で分かりやすい情報が提供されるよう、必要な措置を講ずること。
十四 政府は、毎年、低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する施策の実施状況に関する客観的調査を行い、その結果をエネルギーに関する年次報告の中で国会に報告するとともに、公表しなければならないこと。また、国内及び諸外国における低炭素水素等の供給及び利用の状況、技術の進捗その他諸課題について適時調査を行い、分析し公表すること。
十五 低炭素水素等の供給及び利用の状況その他の事情が著しく変動したときは、速やかに低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する施策について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/187
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188・森本真治
○委員長(森本真治君) ただいま古賀君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/188
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189・森本真治
○委員長(森本真治君) 多数と認めます。よって、古賀君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、齋藤経済産業大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。齋藤経済産業大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/189
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190・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) ただいま御決議のありました本法律案の附帯決議につきましては、その趣旨を尊重してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/190
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191・森本真治
○委員長(森本真治君) 次に、二酸化炭素の貯留事業に関する法律案について採決を行います。
本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/191
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192・森本真治
○委員長(森本真治君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、古賀君から発言を求められておりますので、これを許します。古賀之士君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/192
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193・古賀之士
○古賀之士君 私は、ただいま可決されました二酸化炭素の貯留事業に関する法律案に対し、自由民主党、立憲民主・社民、公明党、日本維新の会・教育無償化を実現する会及び国民民主党・新緑風会の各派並びに各派に属しない議員平山佐知子君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
二酸化炭素の貯留事業に関する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
一 政府は、二酸化炭素の分離回収、輸送、貯留に係る技術概要、CCSを導入する意義や必要性等について広く国民の理解を得るため、前面に立って丁寧に説明すること。その際、二酸化炭素の地下貯留に伴う国民の様々な懸念を払拭することに最大限努めること。
二 CCS事業を実施する地域の選定に当たっては、北海道苫小牧市等の先行地域の事例を参考にしつつ、地域住民や地方公共団体、利害関係者を始めとする幅広い国民の多様な意見を丁寧に聴取し、それらの意見を十分に踏まえるとともに、事業者に対し、こうした意見を十分に踏まえて事業を実施するよう求めること。あわせて、地域で活用できる交付金制度を含め、関連する産業や雇用の創出等に向けた支援の仕組みを検討すること。
三 CCS事業の特性として、分離回収、輸送、貯留に至るバリューチェーンの過程で多数の関係者が関与し、事業実施期間が長期にわたる上、地下の地質は不確実性を伴うことから、政府は、その実施に当たって、二酸化炭素が漏えいすることのないよう、公共の安全の確保と環境の保全に万全を期すこと。とりわけ、環境の保全の観点からは、鉱業法や環境影響評価法等を参考にしながら、必要な対応を検討すること。その際、最新の科学的な知見に基づき、事業者の負担にも十分配慮するよう努めること。
四 政府は、CCS事業の実施に当たって、労働団体等の意見も十分に踏まえ、労働者の安全の確保に万全を期すこと。
五 貯留事業者によるモニタリングの内容や項目、貯留事業者から独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構に貯留事業場の管理業務を移管する際の要件や期間等については、透明性を確保しつつ、最新の科学的な知見に基づいて定めること。
六 鉄鋼等の脱炭素化が難しい事業分野において、グリーントランスフォーメーションの推進が図られるよう、当該事業分野におけるCCS事業の支援に努めるとともに、こうした支援と並行して、既に確立された技術をもって低廉なコストで二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に貢献できるとされる再生可能エネルギー等の導入や省エネルギー化の取組を更に強化すること。
七 民間事業者によるCCS事業への積極的な参入を促すため、過度な規制が事業推進の阻害要因とならないよう留意しつつ、分離回収に係る保安措置等の事業規制の在り方を含め、ビジネスモデル構築に向けた環境整備の検討を加速すること。また、事業者が投資回収の予見性を確保できるよう、予算措置や税制措置、カーボンプライシング制度の在り方など、経済的な支援措置や制度的措置を早期に明確化すること。その際、政府による財政支援措置は、CCS事業を将来的に民間事業として自立させ、二〇五〇年カーボンニュートラル実現への道のりを加速できる制度設計とすること。
八 CCS事業に係る費用の低減と安全性の確保を両立し、CCS事業の活用可能性を高めるため、直接空気回収技術を含む二酸化炭素の分離回収や液化二酸化炭素輸送船等に係る技術開発の取組を強化すること。また、CCSを含めた脱炭素技術の研究開発の状況など、CCS事業を巡る状況が著しく変化したときは、速やかにCCS事業に関する施策について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずること。加えて、分離回収に係る技術は、CCSに限らず、カーボンリサイクルの実施の前提となる共通技術であることから、当該技術の研究開発の積極的な推進により、カーボンリサイクルに係る新たな産業分野の育成にも努めること。
九 CCS事業に関して、様々な専門的知見を有する人材を育成する取組を強化するとともに、貯留適地の調査や貯留事業場の管理業務を担う独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構の体制強化に取り組むこと。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/193
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194・森本真治
○委員長(森本真治君) ただいま古賀君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/194
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195・森本真治
○委員長(森本真治君) 多数と認めます。よって、古賀君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、齋藤経済産業大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。齋藤経済産業大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/195
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196・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) ただいま御決議のありました本法律案の附帯決議につきましては、その趣旨を尊重してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/196
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197・森本真治
○委員長(森本真治君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/197
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198・森本真治
○委員長(森本真治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時三十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X00920240516/198
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