1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和六年五月二十八日(火曜日)
午後一時三分開会
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委員の異動
五月二十四日
辞任 補欠選任
梅村みずほ君 石井 章君
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出席者は左のとおり。
委員長 森本 真治君
理 事
青山 繁晴君
中田 宏君
長峯 誠君
古賀 之士君
東 徹君
委 員
浅尾慶一郎君
越智 俊之君
小林 一大君
上月 良祐君
丸川 珠代君
渡辺 猛之君
辻元 清美君
村田 享子君
里見 隆治君
三浦 信祐君
石井 章君
礒崎 哲史君
岩渕 友君
平山佐知子君
事務局側
常任委員会専門
員 山田 千秀君
参考人
デロイト トーマ
ツ グループ 執
行役 松江 英夫君
フクシマガリレ
イ株式会社代表
取締役社長執行
役員 福島 豪君
エレファンテッ
ク株式会社代表
取締役CEO 清水 信哉君
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本日の会議に付した案件
○新たな事業の創出及び産業への投資を促進する
ための産業競争力強化法等の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/0
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001・森本真治
○委員長(森本真治君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、梅村みずほ君が委員を辞任され、その補欠として石井章君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/1
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002・森本真治
○委員長(森本真治君) 新たな事業の創出及び産業への投資を促進するための産業競争力強化法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
本日は、本案の審査のため、三名の参考人から御意見を伺います。
御出席いただいております参考人は、デロイト トーマツ グループ 執行役松江英夫君、フクシマガリレイ株式会社代表取締役社長執行役員福島豪君及びエレファンテック株式会社代表取締役CEO清水信哉君でございます。
この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。
皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
次に、議事の進め方について申し上げます。
まず、松江参考人、福島参考人、清水参考人の順にお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度、委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。
なお、御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、まず松江参考人からお願いをいたします。松江参考人、どうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/2
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003・松江英夫
○参考人(松江英夫君) 皆様方こんにちは。ただいま御案内いただきました松江でございます。
私、デロイトトーマツグループの執行役ということで、マネジメントの一端を担いながら、元々は企業の成長戦略並びにMアンドAとか、いろんな業界の再編、こういったものをコンサルティングという立場から数多くの現場に携わってまいりました。と同時に、私、いろんな他分野でいろんな接点ございますけれども、アカデミアという分野においては主に大学院の客員として十数年、さらには、こういった経験生かしながら、いろんな政策提言という部分では主に経済産業省様の各種の研究会の中の政策委員、こういったものもいろいろ経験をさせていただきながら、最近では、ここ数年は報道番組のコメンテーターとしていろんなビジネスであるとか経済全般のテーマに関して毎週のようにいろんなテーマを扱って提言をさせていただいている、基本的には、私は日本を前向きにする提言をしたいと、こういった信条でいろんなテーマに接点を持ってやらせていただいている、こんな立場でございます。
本日は、まさにこの日本の成長、ここに対して非常に重要な意味を持つこの産業競争力強化法案の改正、ここに関して私の見地から意見を述べさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
まず最初に、紙の方は幾つか御用意してまいりましたけれども、三ページ目から順に、こういった日本の成長を考える上で、私ども原点として振り返るべきは、長期停滞、失われた三十年と言われているこの長期停滞の根本原因がどこにあったのかという観点でございます。私は、いろんな要因があると思いますが、一つの真因は、この人口減少という現象を捉える中で期待成長率が低下したことにあると、これを私は一つの真因だというふうに位置付けています。
これ、お手元の資料も、まさにこの失われた三十年の間に、実は日本というのは人口のピークアウト二度経験しておりますが、それに伴って実は期待成長率が下がってきていると。その四ページを御覧いただいても、その期待成長率の低下と実は賃金の低下というの、これ非常に関連付けられていて、言わば国内は人口が減っていくからもう市場は伸びないんだと、したがって、多くの経営者を始めとして民間は投資をするということを抑制すると。投資が抑制されれば新しい需要が生まれない、新しい需要が生まれないということは売上げが上がらないので、賃金も上がらない。国内はこういった悪循環が定着し、じゃ、企業としては成長の原資を求めて海外に投資をするということで、この四ページの右側も、海外投資というのは逆に広がってきていると。こういったところが、私は非常に大きな影響を与えたのではないかと思うわけでございます。つまり、人口が減っていくということは、イコール成長ができないんだと思って投資をしなかったと、これが私は非常に大きな根本要因の一つではないかと、こういうふうに考える次第でございます。
そうした中で、五ページ御覧いただきますと、私、今申し上げたところから簡潔にこの失われた三十年、長期停滞の原因ということを申し上げると、将来の需要不足と過去からの供給過剰、これがもたらす構造ギャップにあるというふうに私は位置付けております。
つまり、将来は人口減っていって市場が伸びないということで投資をしないがゆえに将来の需要は不足ぎみである。一方で、八〇年代以降、日本が非常に強かったときの供給体制、これはなかなか構造を変えずに多くの生産拠点を持ち、安くいいものを売ると、こういったところで雇用も含めてかなりこれは固定化してしまったと。結果的には、将来の需要不足と過去からの供給過剰、これが構造的なデフレ体質を見出してしまった。それがゆえに、金融も財政もマクロ的な政策を打つんですけれども、根本的な成長に対する転換というのがなかなか果たし切れなかった。これが一つ、私が長期停滞の真因ではないか、こんなふうに見ている次第でございます。
そうした中で、これをどう転換していくかというのが、これからのまさに日本の経済の成長においては非常に重要な視点であろうということを最初に申し上げたいと思っております。
その次に、六ページ、七ページで少し先々を見た一つ前向きな捉え方という観点で幾つかのデータをお示しをしております。
じゃ、果たして、私ども考えるべきは、人口が減っていくと経済は伸びないんだろうかと、こういった問いでございます。私は、人口が減っていっても経済を伸ばしていくすべはあるという見地でいろいろ考えております。
こちらのグラフは、まさに人口の増加と成長率、これのプロットした図でございますが、一見、いろんな意味で人口というのは当然ながら影響を与えているんですが、必ずしも正の相関というところまでは言い切れないと、ここが一つポイントでございまして、言わば人口だけが成長の要因ではないということでございます。言い方変えるならば、人口が減っていったとしても、一人一人の付加価値を上げていく、それによって国全体の付加価値を上げていくことができれば、これは成長することができる。このやり方こそ考えることがこれから重要なんではないかというふうに私は考える次第でございます。
七ページ目に、私どもデロイトトーマツグループのある調査をお示しをしているわけなんですが、こちらは、いろんな今後の成長に向けて、特に政策とか施策において期待が持てるところはどこなのかということを、これ一般のビジネスパーソンのある程度マネジメントに近い層を中心にアンケートを取った結果でございます。最も期待が多いのが技術開発であるとかイノベーションへの投資、まさに投資でございます。
この三つ下、御覧いただきますと、国内に投資を還元できるような政策的な手だて、ここに対する期待も非常に高いといったところで、GX、DXと並んでこういったところが将来の成長をある種牽引していく要素であるということで、期待を集めているところが分かると思います。ここをどうこれからの成長の戦略に結び付けていけるかどうか、人口減少下にあっても付加価値を高めて成長できる、このシナリオの下に政策を打てるかどうか、この辺りが非常に重要ではないかと考える次第でございます。
そこにおいて今後の成長の戦略をどう考えるかというところが八ページでございますけれども、私は、こういったこれからの成長戦略を考えていく上で重要なキーワードが二つあるというふうに考えております。一つは脱自前ということでございます。もう一つが価値循環と、価値を高める循環と。この二つがこれからの成長において私は重要な考え方になっていくということを提唱しております。
まず、この脱自前ということでございますけれども、これ今までの日本の、先ほど供給過剰というふうに申し上げましたが、生産性が低い一端は、ある種の、個々に自分でできることは全部自分でやろうと、この自前主義の下に、ほかとの連携であるとか一緒にやるということ自体がおろそかになってしまった。それによって、部分最適で全体最適にならないと。これ、人口増えていっている時代はそれほど大きな弊害はないんですが、人口が減っていく中ではこれかなり非効率になるわけですね。ここのところをどういうふうに脱却しながら、生産体制、供給体制をいかに強化しながら最適化していくかと。ここにおいては、何でも自前ではなくて脱自前、ほかとつながっていく中で生産性を上げる、これが非常に重要だという点でございます。
もう一つの価値を生み出す循環というところ、まさにこの将来の需要をつくっていく上で、お互いがつながるだけではなくて、このつながりを一過性ではなくて継続的なつながりにしていく、それで価値を生んでいくような、こういった在り方が私は重要だというふうに考えていまして、後ほど少し補足をしたいと思います。
まず、脱自前ということで少し補足をさせていただくと、九ページでございまして、これはあらゆる企業で、これは中小・中堅も含めてあらゆる企業において、これから生産性を高めていく上で脱自前が必要であるということで、よく私が好んで取り上げる事例に、まさに中小企業の物づくりで有名な大田区、ここのところで慣習としても言われている仲間回しという言葉でございます。これは、まさにこういった胴元になるような企業が受けた仕事をそれぞれの得意分野の町工場が分担しながら、お互いそれぞれの良さを生かしながらつくっていくと、これによっていい物をより生産性高くつくっていくと、こういった伝統がございます。全て自前ではなくて、それぞれの強みを生かしながら連携してやっていくと、これは一つ、私は良き伝統だというふうに思っております。
最近は、このデジタル化の中で、クラウド上で、七十社ぐらいの町工場がクラウド上でデータを共有しながら、発注された情報を共有しながら自分たちの得意分野を持ち合ってつくっていくと、こういった形で今実装しているということなんですが、まさにDXを通じながら、こういったお互いの連携を高めながら仲間回しをやっている。これが一つの例でございます。
もう一つ注目しているのが、これ岩手県の八幡平、このまちの人事部という取組でございまして、これは官民とスタートアップ、これが連携しながら、それぞれが持っている人事部の機能、採用であるとか教育であるとかですね、こういったものを個々ばらばらにやるんではなくて一元的に官民、スタートアップが連携してやっていくと。そこの中で得た人材というものを中小・中堅企業が自ら活用していくと。こういうような格好の共有の仕方というのは非常に私は革新的な取組だろうというふうに考えるわけでございます。
すなわち、こうやってお互いがそれぞれつながり合いながら生産性を上げていく。このためには、いろいろな胴元になるような中堅企業、ここのところがハブになりながらこういったつながりをつくっていく。ここを強化していくであるとか、若しくは、それぞれの企業が一緒にやれるような環境ということで、ある部分では提携であったり、一体になっていくMアンドAであったり、グループとしてやっていく。こういったところをより後押しするような政策というものがより私は有効になってくるんではないか、こういうふうに考える次第でございます。
こういったところがまさに脱自前ということで、こういう中で供給体制を最適化しながら供給を強化していくと。この辺が特に人手不足のこれからにおいては重要ではないかと考える次第でございます。
二つ目の価値循環ということでございまして、これは十ページ目でございます。
なぜ私が循環と申し上げるかということでございますが、これ簡単に、釈迦に説法なんですが、この十ページの左側で私が循環と申し上げることの理由を少しある方程式に基づいてお話をしたいと思うんですが。
例えば、国のGDPを企業の売上げと捉えるならば、売上げというのは、釈迦に説法ですが、価格掛ける数量です。この数量を要素分解しますと、人数掛ける頻度というふうに分けることができます。じゃ、人口減少というのはどういう意味かといいますと、この人数が減っていくということでございます。
しかし一方で、じゃ、人数が減っていっても売上げを上げるやり方があると。これはもうお分かりだと思いますが、価格と頻度ですね、ここのところをしっかり上げていくことができれば、人数が減ったとしても付加価値、売上げを上げていくことができる。ここを、これから人口減少下の特に内需のマーケットにおいては企業の戦略として意識していく必要がある。
最近は、サブスクリプションモデルとかもその一つの典型なんですが、今までは、いいものを安くたくさんの人に売ると、こういった戦略だったわけなんですが、これからは、いいものを何回も使ってくれる人、これに適切な価格で売っていくと、これによって成長していく、こういった考え方に発想を転換していく必要があるんではないかと、こういうふうに思うわけでございます。
これは、個々の企業の戦略だけではなくて、いろんな産業政策であるとか国の全体の社会の実装の在り方も、こういった頻度と価格が上がる、言い方を私が変えるならば、回転と蓄積と呼んでいるんですが、回転してリピート率を高めながら、そこで得られた情報を蓄積しながらより良いものにして、価格が上がっても買ってもらえるようにいいものをつくり出していくと。こういった回転と蓄積によって価値を生み出すような循環というものを、企業の戦略から社会の産業の実装まで含めて考えを浸透させていくことがこれからの成長戦略において重要なんではないか、こんなふうに考える次第でございます。
こういった考え方に基づいて、その次の十一ページでございますけれども、じゃ、日本は将来どういうふうに新たなる需要をつくっていくべきかと。そこで一つ鍵になるのは、日本というのは課題先進国であるということでございます。
私が非常に尊敬する、あるイノベーションを豊かにやっていらっしゃる経営者に、なぜイノベーションをこんなに起こし続けられるのかと、こういった質問をしたところ、一番よく深く課題を知っているからなんだよと、こういったお答えを頂戴して、はっとさせられたことがございました。
つまり、課題をよく深く知っているということは、一つイノベーションの源泉を持っている、種を持っているということでございます。ここを解決するすべを見出すことができれば、これはまさにイノベーションを起こすことができるということでございまして、この課題先進国の日本というのはある面でイノベーションの源泉を潜在的に有していると、こういった発想で捉える必要があると。言い方を変えるならば、社会課題を解決するようなソリューションをこれは官民が一体になってつくり上げることが、この先の成長戦略のこれは柱になってくるんではないかと思うわけでございます。
私はよく5Kなんという言い方をしまして、十一ページの右側に5Kということで、たまたま頭文字があるような、観光であるとか、環境、健康とか、国土強靱化、教育といった分野で、まさに課題を抱えつつも、このソリューションこそが世界に通用する潜在力を持っている分野でありまして、ここをいかに需要に変えていくかといった辺りが一つの突破口になるんではないか、こんなふうに思うわけでございます。
そうしたことを社会に実装するモデルとして描いたものがこの十二ページでございまして、これがまさにこれからの日本の成長戦略の大きな考え方、枠組みということだということで、私は循環型成長モデルということで提唱をしております。
ここの中核になるのは、これ実は三つの循環で形成されているんですが、その中核になるのはこの青いところの循環、この大循環と呼んでいるところでございます。こちらの出発点が真ん中の下にありますAというところで、日本が直面する社会課題、これが出発点になっておりまして、ここを解決するために解決策というのを、ソリューションをどんどん生み出していくと。
ただ、この解決策を生み出すだけではなくて、これが買ってくれる人がいないと市場にならないと。重要なのは、この需要に結び付けるということが重要でございます。プロダクトアウトにならずに需要に結び付ける。この需要に結び付くことによって、そこは新たな市場になっていきます。この社会課題を市場に結び付けていくというのがこの大循環でございます。
この新たな市場ができますと、そこに雇用が生まれます。良質な雇用が生まれると、言わば賃金が上がりやすい、ニーズが強い雇用が生まれる。ここに多くの人を教育して移動して従事していただくことによって、それぞれ所得が上がっていく。所得が上がると消費に回るので、更に新しい市場が大きくなる。さらに、ここを国内に閉じずに海外とも接続しながらやっていくと。この一番外のところに灰色の丸がありますが、これ国際循環ということで、こういったものを外からもお金や資金や人を集めながら、まさにこういった市場をつくって所得を向上させていく。
これ全てぶつ切りではなくて循環させていくことが、まさに回転と蓄積、人数に依存しない経済の新しい成長モデルになり得るんではないか、こんな考え方でお示しをしているところでございます。
さて、最後に、こういった考え方に基づいたときに、今回の産業競争力強化法案、これがどういうふうな位置付けでどういうふうな貢献を私は期待しているかということを整理したいと思います。
今申し上げた循環型の成長を果たしていく上で、あいにく、今現状では、それぞれの循環を阻害する壁が至る所にございます。今回の法案というのは、その壁を一つ取っ払う突破口になるという期待感が私は持っております。
具体的には二つ、右側のところに整理しておりますが、まず、国内に対して投資を拡大していく、先ほどの期待成長率を高めて投資をしていくことによって将来の需要をつくっていく、これは非常に重要なところだと思います。
とりわけ、今回、五分野に関して、EVであるとか半導体を始め五分野に関して特に集中的にインセンティブを利かせていくということで、実際、そこによって需要の創出につながる芽を育てていく。さらに、そこのところのインセンティブも、実際に生産額とか販売額に応じてこの辺りを利かせていくということで明確に需要を意識している。ここが私は非常に評価するべきポイントではないかと思います。
同じように、今後の成長の原資になっていく、ある種知的財産、ここに関してもイノベーションボックス税制において、これもまさに知財のライセンスであるとか譲渡というこの需要側にインセンティブを利かせる。この仕組みとして、私は新たな需要、市場をつくっていく上で非常に期待感が持てるところではないかと思います。
それともう一つ、二番目のところの国内の投資拡大に向けたイノベーション及び新陳代謝、ここにおいては、まさに供給の生産性の向上を促すために、中堅企業、ここにフォーカスをして、いろいろな格好で後押しをしていこう、それによって、人への投資とか賃上げの原資、この投資の原資をつくることにも機能しますし、さらに、MアンドAということでお互いのつながりを促していく、ここに対しても一つの後押しになるんではないか、こんな期待感を持っております。
以上、私からの冒頭の御説明でございます。御清聴ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/3
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004・森本真治
○委員長(森本真治君) ありがとうございました。
次に、福島参考人にお願いをいたします。福島参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/4
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005・福島豪
○参考人(福島豪君) よろしくお願いします。今御紹介いただきましたフクシマガリレイの福島と申します。
今日は、このような貴重な機会をいただき、誠にありがとうございます。一生懸命努めてまいりますので、よろしくお願いいたします。
私からは、意見というよりも、これまで取り組んできたことを皆様に共有させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
まず、二ページでございます。
フクシマガリレイの会社概要ですけれども、一九五一年創業、私が三代目の社長でございます。従業員は千九百名ちょっと、売上げは単体で九百二十億、連結で一千百五十八億、東証プライムに上場させていただいております。
三ページ目、お願いします。
事業拠点ですけれども、食のインフラをつくり、そして維持管理するという観点から、メンテナンスを非常に大切にしております。北は旭川から南は石垣島まで、合計七十六拠点、場所を構えて、サービス、メンテナンスの対応、営業の対応をさせていただいております。
四ページ目、お願いします。
ネットワークですけれども、国内だけではなくてアジアにも拠点を出しておりまして、十一か国十二拠点、タイには工場もございます。
次のページをお願いいたします。
事業の概要でございますけれども、こちらにありますように、七つほどの事業がございます。左上から簡単に説明させていただきますと、一つ目がスーパーマーケット、コンビニエンスストア、ドラッグストア等で使っていただきます冷凍冷蔵ショーケースの事業。右側です、レストランや外食店舗で使われる冷凍冷蔵庫の事業。その右側です、病院や製薬会社、大学などで使われる特殊な冷蔵機器の事業。左下です、大型食品加工機械販売とありますけれども、アイスクリームなどを作るフリーザーの事業。その右側です、大型パネル冷蔵販売、こちらは大きな冷凍冷蔵の倉庫や食品工場の空間をつくる事業。その右側です、小型、こちらはホテルやスーパーマーケットのバックヤードにある小型の冷蔵の空間をつくる事業。そして、全ての事業に横串が掛かるメンテナンスの事業ということで、この七つの事業、主に食に関わる事業をなりわいとさせていただいております。
六ページです。
当社の強みは、元々福島工業からスタートした会社なんですけれども、上の表の右側、消費者に近い店舗型のお店でずっとお世話になって成長してきた会社ではあるんですけれども、後ほど説明させていただきますが、数々の会社が仲間入りすることによりまして、食のサプライチェーンの生産から消費まで、赤で書いてあります、ファーム・トゥー・フォークと書いてありますけれども、食のあらゆるシーンで、設計、施工、そしてメンテナンスを全国でお役立ちできる会社に変革することができました。これが我が社の強みでございます。
次のページお願いいたします。七ページです。
売上げの推移を記載させていただきました。ちょっと小さいですけれども、一九七八年、ちょうど私が生まれた頃の売上げから昨年まで売上げの推移が書いてございます。御注目いただきたいのは、二〇一〇年頃から売上げが急速に伸びてきております。様々な理由があると考えているんですけれども、一つの大きな要因はMアンドAというふうに考えております。
下にありますように、二〇〇九年に高橋工業株式会社、その右上、二〇一三年にFSP株式会社、その下、株式会社省研、このように三社をMアンドAすることによって売上げを伸ばすことができました。ただ、MアンドAして純粋に売上げの数が増えるというだけではなくて、シナジーを生み出してきたと自負しております。
次のページお願いします。
MアンドAをさせていただいた二社のその後の売上げ、営業利益、従業員の数の推移でございます。左側が二〇〇九年にMアンドAをさせていただきましたタカハシガリレイ、十五年間で売上げ三・二倍、営業利益五・七倍、従業員数は三・二倍となりました。直近の売上げは八十六億四千万です。右側、ガリレイパネルクリエイト株式会社、二〇一三年にMアンドAをさせていただきましたけれども、十一年間で売上げ二・二倍、営業利益七・九倍、従業員数二・〇倍、直近の売上げは百六十億円、両社ともしっかりと成長してくれております。
九ページお願いします。
では、なぜこのようにシナジーを出せていけたかというところなんですけれども、今我々が考えておりますのは、この記載しております四社、フクシマガリレイ、ショウケンガリレイ、ガリレイパネルクリエイト、タカハシガリレイ、それぞれの立ち位置で四社四様の情報収集ができるようになったと。そうすることで、物件を立体的に捉えて、一つの物件当たりの売上げを大きく獲得できるようになったというのが我々のグループシナジーの特徴かというふうに捉えております。
フクシマガリレイは元々、消費者に近いスーパーマーケットや飲食店に強かった。ガリレイパネルクリエイトはゼネコンさん、サブコンさん、設計事務所さんの情報に非常に強い。タカハシガリレイは食品工場やコンビニベンダーさんと元々直接のお取引をさせていただいていた。ショウケンガリレイはエンジニアリング会社や商社様とのおつながりが強い。このような、あらゆるルートでの情報収集で一物件を大きくしていくことができたと考えております。
次のページお願いします。
その事例の一つがセブン&アイグループのスーパーストア事業における構造改革の重点施策であります。このPeace Deli千葉誉田のプロジェクト、首都圏二百店舗にお総菜を供給するセントラルキッチンでございますけれども、こちらで、ガリレイパネルクリエイトでは断熱耐火パネル、フクシマガリレイでは冷凍冷蔵設備工事、タカハシガリレイではトンネルフリーザー、ショウケンガリレイでは自動搬送装置、ラインコンベヤーの施工をさせていただき、大きな受注を獲得することができました。
次のページお願いします。
そして、今年の二月には日本洗浄機というメーカーをMアンドAを発表いたしました。今後のMアンドAの方向性は、シナジーを出しながらお互いが成長していくということでございます。
十二ページから十五ページまでは当社の新しく制定したパーパス、マテリアリティーの部分でございますので、ここでは割愛をさせていただきまして、十六ページをお開けください。
元々、福島工業という社名でずっとやってきたわけなんですけれども、二〇一九年にフクシマガリレイという社名に社名を変更し、大阪府西淀川区に新社屋を建設させていただきました。そのときに、このMILABと言われるオープンイノベーションの施設をつくっております。ここは、ジョインというコンセプトを基に、我々だけではなくて、異業種企業、大学、研究機関、そしてスタートアップの方々が集まり、この世にない技術やアイデアを生み出していく場所にしていきたいということでつくったラボでございます。もうフクシマガリレイグループだけではやれることは限られている、たくさんの方々と協業しながら、スタートアップの方とも協業しながら新しい価値を創出していきたい、もちろん万博のことも意識にございました。そういったことでつくったのがこのMILABでございます。
十七ページお願いします。
ここに、今七社の食に関わるスタートアップの方々が入居いただいております。日々お互い切磋琢磨しながら、新しい価値創造に向けて取り組んでおります。
十八ページです。
我々の業界も人手不足で大変苦労しております。食の安心、安全を守る技術者がどんどんどんどん減っていっておりまして、廃業とか後継者不足で人がいなくなっていっています。非常に危機感を感じておりまして、一部のエリアでは、いわゆる技術者がいなくて修理がままならないというエリアも出てきております。
この問題に一石を投じようということで、社内に短期職業訓練校をつくりました。今は社内のメンバーの研修機関ということで使わせていただいているんですけれども、近い将来、社外の方々もここに入っていただくことで、この施工、失礼、施工業者不足のいわゆる社会課題に解決していきたいという思いでございます。今は当社の施設で行っているわけなんですけれども、二〇二六年には新しく技術者育成のグローアップセンターという建物を造って、更に人材育成を強化していきたいというふうに考えております。
十九ページお願いします。
人材投資と書いていますけれども、これはベースアップの部分です。二〇二三年、五%のベースアップをさせていただきました。業績も非常に良かったということもございまして、夏のボーナスは前の比一七%アップ、冬は二三%アップということで、ここに書いていますとおり、賃上げも行ったんですけれども、売上総利益、過去二年で二倍以上になり、残業時間も八四%ということで減らすことができまして、タイパの向上ができております。今年度も四月から六%のベースアップを実施済みでございます。
次のページお願いします。
先期、業績も良かったということもございますが、私ども、現在、投資フェーズに入ってきております。しっかり稼いだ現金もたまってきているということもあるんですけれども、この二四年から三年間で約二百八十億円の投資、これは人材投資も入っていますけれども、二百八十億円の投資をさせていただこうということで、あらゆる計画を今進めているところでございます。
二十一ページです。
そんな中、中堅企業政策の活用ということで、現在、大規模成長投資補助金に応募すべく、今お願いをさせていただいているところでございます。主力のショーケース事業の新しい工場を滋賀の湖南市に建設を予定しておりまして、投資予定額約八十六億円ということで、今準備を進めさせていただいているところでございます。
最終ページです。
中堅企業政策の活用検討ということで、二つ目、賃上げ促進税制につきましては既に活用をさせていただいております。本当にありがとうございます。
以上、フクシマガリレイグループの取組を共有させていただきました。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/5
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006・森本真治
○委員長(森本真治君) ありがとうございました。
次に、清水参考人にお願いをいたします。どうぞ、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/6
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007・清水信哉
○参考人(清水信哉君) ありがとうございます。エレファンテック創業者で社長の清水と申します。
一枚めくっていただいて、二ページ目に私の自己紹介書いておりますが、元々、東大の後、マッキンゼーを出て、その後、エレファンテックという、いわゆるディープテックの技術で世界で戦うということをやっている、スタートアップをやっている側でございます。
本日は、まず前半、そもそもどういった取組をしているのかということが一つ参考になると思いますので、それをお話しさせていただいて、その後、逆にスタートアップを、ディープテックスタートアップをやっている側から政策がどう見えているのかだったりとかいう部分をお話しできればなというふうに思っております。
一枚、二枚めくっていただいて、四ページ目から、ちょっと済みません、最新の会社紹介が英語しかなくて、英語で恐縮なんですが、我々は、二〇一四年、十年前に私が創業した会社でして、世界で初めて金属を印刷するというテクノロジーを用いて電子回路というものを量産するのに成功した会社でございます。
次のページ、五ページ目に行きまして、これは今までの課題を示しておりますが、我々が取り組んでいるのはプリント基板と呼ばれるもの、もうあらゆるパソコンとかスマホとかに入っているものですけれども、これが今まで非常に効率が悪く、環境に悪い方法で作られていたので、より良い方法に変えられませんかということをやっています。
今までのPCBというのは、サブトラクティブ法という引き算のエッチングとかフォトリソと呼ばれる方法で作られていました。つまり、銅箔を貼って、要らない部分を溶かして捨てて、残った部分を使うと、引き算の製法で作っておりました。
こうすると、結局、使う材料というのは投入した材料の数分の一という形になってくるので、非常に材料効率も悪く、水も大量に使うという技術だったんですが、なかなかこれ以外の方法がなかったというところに対しまして、次のページ、六ページ目行っていただきまして、我々は、金属をインク状態、液体のインクの状態にしてダイレクトに印刷した後、メッキで成長させるという、必要な部分にだけ積む、つまり足し算の方法で変えられないかということを取り組んでいる、そういった会社でございます。
七ページ目、これは本当にシンプルな計算なんですけれども、引き算じゃなく足し算なので、非常に銅の使用量、カーボンフットプリント、水の使用量、大きく下がってきています。かつ、材料も、これ材料効率が非常に良くなるのでコストも下げられるというような夢の技術という形でございます。
ちょっと八ページ目、これ投資家向けの資料ですので、我々はマーケットをどう見ているかということなんですが、この実はPCBマーケット、結構面白くて、百ビリオンぐらいのマーケットがグローバルにあります。かつ、グローバルに電化が進んでおりますので、非常にマーケットは伸びております。シンプルな話、電気たくさん使うとPCBもたくさん使わなきゃいけないという非常にシンプルな理由でグローバルに伸びております。
かつ、PCBの材料や装置に関しては、実はこれ半導体の装置や材料に極めて似た市場になっておりまして、ここにトップの例を示しておりますが、例えば、ソルダーレジストであれば太陽さん、太陽ホールディングスさんが世界シェア八五パー持たれていて、利益率も非常に高いだったりとか、あと、圧延銅箔だとJXさんは世界シェア八割持っていますだったりとか、非常にコアのテクノロジーというのは今でも日本企業が押さえていると、まあ日本企業に限らずなんですが、トップメーカーが押さえているというふうなマーケットでございます。
弊社がやろうとしているのは、このプリント基板という当たり前に全世界で使われているものに対して、全く製法を百八十度転換して、そうすると必要な材料、装置、全て変わってきますので、新しいスタンダード、もうこのサプライチェーンを全てぶち壊して、我々が新しい独占的な技術を持ったプレーヤーになっていくということで、世界にとっても良いしというような、そういうことをやっていくというのが我々がやっていることでございます。
九ページ目ですね。とはいえ、非常に難しいことをやろうとしていることが分かると思います。もう百年ぐらい続いている産業ですので、そんな簡単には変わりません。私が創業したのは二〇一四年でして、五つ、マイルストーンを設定しました。まずはラボレベルで、元々東大発ベンチャーとして創業したんですけれども、まずはラボレベルで技術を確立する。その後、小規模な量産をする。その後、量産、大規模量産の前に、大規模に量産したら使ってくれるというお客さんとのアグリーメントを結ぶ。その後、大規模な量産をする。その後に、大規模に量産した実証のラインをそのまま販売していって、我々、結局その装置とインクも流れていくというビジネスになりますので、この装置のライセンシングというのもしていくというふうな、そういったモデルを描いております。
我々、二〇一四年から、今、二〇一四年、十年たちましたが、ようやく三個目をクリアしたという段階でして、最初の技術確立に五年、その後の小規模量産に三年程度使っておりまして、直近、大きくはライトンさんで、これはグローバルにはかなり有名な会社でして、世界のラップトップ、ノートパソコンで四台に一台は彼らが作っている、キーボードは彼らが作っているというふうな非常に大きなメーカーさんとMOUを結びまして、彼らのラップトップの半分、つまり世界の八台に一台のラップトップに弊社の基板を使っていくということでアグリーメントを結びまして、それに向けて今スケールアップというのをやっているというふうな形でございます。
そういった話がちょっと十ページに書いておりますが、ディカーボナイゼーションが産業構造の変革をリードしているということを書いておりますが、こういった産業はなかなか新しい技術いいよといっても変わらないんですね。
そういったところで、脱炭素というのが非常に大きな追い風になっておりまして、もう脱炭素を実現できる、省材料でできるのは我々の技術しかないという形ですので、なので、実は我々、日本にしかチームいないんですが、売上げのパイプラインの九五%は海外という形になっておりまして、海外からこの技術を使いたいんだ、日本のこの技術使いたいんだという形で来ていただいているというふうな形になっております。
十一ページはちょっと技術の話なので、ちょっとマニアック過ぎるので飛ばしますが、材料と装置の技術ということで、もう日本のお家芸的な技術を使っておりますということで、十二ページ目は資金調達の歴史と書いておりますが、ここまでエクイティーでまあ九十五億円ほど、ほかも合わせると百五十億円ほど調達しておりますが、特徴としましては、セイコーエプソンであるとか、あとは三井化学、直近、信越化学であるとか、非常に日本の強い技術を持ったメーカーさんと提携させていただいて、資本業務提携させていただいていまして、日本の技術を使って世界と戦うという形でやっているというのが我々でございます。
十三ページ、会社紹介、最後でございますが、今ちょうどこの量産の拡大というのをやっておりまして、ここから五年以内には、皆さんのお手元のパソコン、スマホ含めて、ほとんどの電子回路というのが我々の製法で作られていくというふうな世界をつくっていくというのが我々のロードマップになっております。という会社を十年ほどやっております。
十五ページ以降、逆に十五年、あっ、十年間スタートアップをやっていく中で、どういうふうに政策が見えているかというところをちょっとお話ししたいなと思っていまして、十五ページにサマリー書いております。
まず全体としまして、過去十年、日本のスタートアップエコシステムの拡大に向けて、政策は非常に正しい方向に進んできたとまず思っております。意外と政策って褒められること少ないんじゃないかなと思うんですけれども、私から見るとといいますか、やっている側からすると、すごくうまくやっていただいているなというふうに思っています。一方で、若干停滞が始まっているというのが、データで後で示しますが、確かで、このままでは停滞が止められないだろうという状況でもあります。その後、がゆえに、諸外国でも一部それに対する取組としてやっている例もございますので、そういったことも紹介できればなというふうに思っております。
十六ページ、これはもうシンプルな図なんですけれども、過去十年めちゃくちゃ成長してきましたということを言っています。私が創業した二〇一四年というのは、日本でベンチャー投資でもう一億、二億の調達でも大ニュースになるような、そういう時代でした。それが、今はもうはるかに拡大して、一億、二億じゃもう全然ニュースにならない。ファンド組成も、当時五十億のファンド組成しても大ニュース、ビッグニュースだったんですけど、今は五十億だったらいっぱいあるよみたいな、そんな感じですごく変わってきました。
これ、非常に重要で、なぜかというと、五十億のファンドには五十億の仕事があるし、百億のファンドには百億の仕事があるんですね。つまり、五億のファンドのリターンを、五億を二十億にするというビジネスの中でグローバルに勝てるビジネスつくる必要がないので、ファンドサイズが大きくなっているということは、実際、上を狙わなきゃいけないというような形で非常に重要なんですけれども、この右側を見ていただいて、実は、二〇一三年からずうっと上がってきたんですが、ここ五年ほどは、ちょっとこれソースが違うので数字違いますが、どのソースを見てみても停滞しているというのが一般的な見解になっています。なので、今まで政策が非常に良かったんですが、若干停滞が始まっているというふうに思っています。
ちょっと停滞の話をする前に、過去良かったという話をせっかくなのでしたいなと思っているんですけれども、ページ十七に、私、これも意外と褒められにくい部分だと思うんですが、INCJさんのファンド・オブ・ファンズの投資だったりとか、中小機構さんのファンドへの投資というのはすごく効果的だったと思っています。つまり、スタートアップエコシステムを回すには、投資して、成功例が出て、リターンが出ます、そうすると、いろんな年金だったりいろいろなところに更に投資します、更に大きい成功例が出るというふうな、エコシステムを回していくということによってしか成長できないんですね。
ただ、スタートアップの投資サイクルというのは非常に長いです。大体、今投資してから回収まで十年以上掛かるのが普通なので、放っておくと十年サイクルでしか成長しないんですね。それに対して、過去十年、INCJさん及び中小機構さん等がファンドに出資をすることによって、ある意味人工的にサイクルを先取りしてファンドサイズを拡大するということをやってきました。これは本当に重要で、この一番下に同じことを書いていますが、やっぱり五億を二十億にするというファンドだと、やっぱり大きいビジネスをつくるモチベーションないんですよね。なので、やっぱり大きいファンドがあると大きいビジネスをしなきゃいけないという形になってくるので、これは非常に重要で、かなりうまく効いてきたというふうに私は見ております。これは本当にすばらしいなというふうに思っています。
一方で、ちょっと停滞の理由についてという話なんですけれども、ちょっとその前に、この十年でスタートアップというものの役割が実は結構変わったんですけれども、意外と認識されていないんじゃないかというようなこともあるので、ちょっと紹介したいと思います。
新しいビジネスをやるときに、開発のリスクを取るのか市場のリスクを取るのかというような軸がございます。その中で、いわゆる伝統的には、二〇一〇年代までのスタートアップというのは、基本的には市場リスクを取るのがスタートアップであるというふうに考えられていました。つまり、こんなのにニーズあるのと、市場あるの、フェイスブックもそうだし、エアビーもそうだし、こんなのニーズまだないかもしれないでしょうというものに、大企業が入れないところに入っていくというのがスタートアップというのがある意味伝統的なスタートアップの価値観としてありました。
ところが、二〇二〇年代からはスタートアップ観がかなり変わってきていまして、市場は絶対にあるんだけれども開発できるかどうか分からぬというようなところも、実はそこも大企業じゃなくてスタートアップがやったらいいんじゃないかということの成功例が出てきています。これ実はかなり大きなパラダイムシフトなんですが、意外とスタートアップ村以外では認識されていない部分もございまして、是非共有したいなと思っています。
例えば、モデルナ、オープンAI、H2グリーンスチール、スペースX等を書いておりますが、例えばオープンAIのサム・アルトマンが言っているのは、サム・アルトマンって元々、Yコンビネーターという本当典型的な市場リスク型のスタートアップをやる、ことをやっていたわけですけれども、彼が言っていたのは、いや、市場リスクを検証するのが一番大事と言ったけど、オープンAIはもう結局AGIができるんだったら何千億投資してでも惜しくはないので、むしろ彼らも、オープンAIも製品をリリースするまで七年ぐらい研究開発をしてようやく出したという形なので、市場リスクというよりは開発リスクに投資していく、研究開発に投資をしていくというのが、そこってスタートアップもできるじゃんということが分かってきたというのが現状になっています。
十九ページ、それを更に詳しく書いておりますが、市場リスク型スタートアップというのは市場リスクが最大のリスクなので、PMF、プロダクト・マーケット・フィットと言われるものなんですが、それが本当に最重要で、開発リスクが低いのでモートが重要になる、かつ政策的につくるのが難しいんですね。例えばティックトックとかを政府が支援してつくれるかみたいな話、多分難しいというのは多分御理解いただけると思うんですが、非常に関わりは難しいと思っています。
一方、開発リスク型のスタートアップについては、かなり政府との関わりが非常に重要なことというのが多いというふうにされています。かつ、伝統的なスタートアップと違ってVCが人工的につくったスタートアップ、カンパニークリエーションという形でつくられたスタートアップというものすらあります。今までのスタートアップのイメージだと、この若いイノベーター、カリスマがいきなりスタートアップをつくってみたいな形ですけれども、例えばモデルナ、mRNAワクチンを開発したモデルナは、人工的にフラッグシップというVCがつくった会社です。社長をハイヤーしてつくった会社です。そういうような形で、政策的に、これは政策じゃないんですけれども、ほかも含めると政策的につくられたスタートアップすら存在しています。
次のページ、二十ページにその例を書いていきますが、この三社、一社、ノースボルト、リチウムイオン電池製造のスタートアップです。二〇一六年設立ですが、ここまで一兆円超の資金調達をしておりますが、物すごい政府支援を受けています。もはや、政策的にここはもうスタートアップという形でやらせるぞというふうな形で政策が、もう政府がかなり手を入れてやっているというふうなスタートアップになっています。
H2グリーンスチール、これもっと最近で、二〇二〇年設立で、これまで三千五百億円を調達しています。欧州委員会からとか入っているんですが、これもちょっと悲しいのが、悲しいって言っちゃいけないんですけれども、技術、実は日本の技術なんですね。水素還元製鉄技術というのは神戸製鋼さんのミドレックスというのを使っています。ところが、水素還元製鉄というような大きい領域ってもう本当に政策領域なので、本当はここは日本がぐっと関与して政策としてつくっていけていれば日本からできていたかもしれないスタートアップだと思います。ところが、日本ではまだまだそういった大きなお金を投資して大きなところを狙っていくというスタートアップが全然まだないので、なかなかそれができていないというのが現状。逆に言うと、そこかなりポテンシャルあるんじゃないかなというふうに考えています。
あと、一番下にスペースXの例も書いていますが、結局スペースXも何だかんだで最初助かったのは官需じゃないかということもあって、そういうのは別に普通だと思っているんですね。
何でこんなことを言ったかというと、二十一ページに、実は私、仕事上、シリコンバレーの投資家とも会うことあります。実は、米国でもいわゆる伝統的スタートアップ観というのが実はありまして、つまり、市場リスクを取るスタートアップ、だから、フェイスブックだったりとかああいうものがスタートアップであって、こういう政府と関わるというのは間違っていると、つまり政府とかああいうのは規制緩和だけしていればいいんだと、政府は余り入らない方がいいと、市場をゆがめるというふうなことを言う人も結構いるんですね。いて、日本でもそういう伝統的スタートアップ観というのはある。
あるんですが、是非そこに惑わされないでいただきたいというのがここの大きなメッセージでして、実際、諸外国では、そんなことを言いながら、アメリカの自由貿易と言いながらEVに一〇〇パー関税掛けるみたいな話で、結局、そんなことを言いながら、諸外国ではめちゃめちゃえこひいきして政策のお金を投入したり、もう政府が人工的につくったりみたいな話も含めて、政府ががっつり関与して大きなスタートアップができてきているんですね。
特に、この開発リスク型というのがなぜ向いているかというと、市場があるか分からないものに投資するのは難しいじゃないですか。でも、EVとかバッテリーとか水素還元製鉄とか、もう市場絶対明確ですと、開発ですというふうになってくると、政府としてもやりやすいというのはあると思います。
なので、各諸外国もそういったところにかなりフォーカスして、えこひいきしてお金を出していっているというふうな現状だと思っておりまして、なので、そういった意見にとらわれることなく、世界で戦えるスタートアップをつくることに集中していくべきじゃないかというふうに思っております。
最後、ちょっと私の意気込み的な話なんですけど、私、実は創業を決めたとき米国に住んでいまして、帰国して起業したんですね。その理由の一つは、日本から世界でナンバーワンになるというスタートアップの前例をつくるというのをやりたいというのがあって、例えば、大谷翔平が成功するまで、二刀流って、あんなの無理だと、そんな枠はなかったわけですよ。でも、彼が成功したので、結局、新しいドラフトに枠ができて、つまり日本には、日本から世界で、かつて枠がなかったんですよね、スタートアップかいわいにおいては。だから、逆に言うと、前例があれば、前例というのはある意味もう政府とか含めて人工的につくっていくことでもよいので、前例さえあれば、日本の技術というのはあるんだから、それが商業化して世界に出ていって、私がもう本当にこうしたいなと思ったのは、二〇二〇年代から日本って再びイノベーションが日本からばんばん出てくるよねというふうな世界になっていくというふうな形にしていきたいなというふうに思っておりますので、是非よろしくお願いいたします。
私からは以上となります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/7
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008・森本真治
○委員長(森本真治君) ありがとうございました。
以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
これより参考人に対する質疑を行います。
なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。
質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/8
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009・小林一大
○小林一大君 自由民主党の小林一大です。
本日は、三名の参考人の皆さん、お忙しいところ大変ありがとうございました。貴重な意見を聞かせていただいて、感謝申し上げたいと思います。
冒頭、松江参考人からは、失われた三十年の原因として、人口減少が期待成長率を低下させたというような話もありました。国内での長期的なデフレや企業のコスト削減等の努力等によって、三十年間で日本が安い国に変貌しているという指摘もあります。
そうした中で、今法案の改正案は本当に必要な法案だというふうに思っていますし、地域の賃金水準の上昇や良質な雇用の創出に大きな役割を果たし、地域経済、ひいては国内経済の発展に貢献している中堅企業への支援措置も必要だと思っています。
それでは、参考人から忌憚のない御意見を伺いたいと思いますが、まず松江参考人にお伺いをさせてください。
戦略分野国内生産促進税制やイノベーション拠点税制の創設は、我が国においては新しい取組だというふうに承知をしています。松江参考人が失われた三十年の要因の一つだったと御指摘されている、御本もちょっと読ませていただいたんですけれども、企業や行政、政治が短いサイクルで物事を見るというようなことや、自前主義に裏打ちされた内向きなタコつぼな社会から脱却しなければならない、こういうためにも今法案の改正案は必要だというふうに思います。
それで、先ほども御説明いただきましたけど、価値循環というコンセプトを提唱されて、企業や日本全体の付加価値を高める戦略について知見をお持ちだということはよく勉強させていただきました。企業の国内投資を促進して日本経済の成長を促すとともに企業の価値を高めることに対して、今回の戦略分野国内生産促進税制やイノベーション拠点税制、先ほども多少御説明はいただきましたけれども、どのような効果をもたらすのか教えていただきたいということを最初にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/9
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010・松江英夫
○参考人(松江英夫君) 小林委員、ありがとうございます。大変重要な御指摘を頂戴したと思っております。
先ほど、私も最後のページで、多少短い時間だったので説明し切れなかったところがございますけれども、今回のまず投資を呼び込むと、これ国内、さらには海外も含めて投資を呼び込むインセンティブを利かせると、これは私、非常に重要なことだというふうにまず思っております。
価値循環というのは、まさにいろんな循環性をもたらすことに付加価値を上げていくと。付加価値を上げるということは、まさにいろんな新しいものを生み出していく、投資というものがその出発点になるわけですね。なので、まさにそういうふうな投資に関しては、お金と、ある面、情報と人、こういった全てのリソースを国内に集めていくということはまず非常に大きな意味合いがある、これはいろんな意味で付加価値を生み出す出発点として非常に大事だと、これはまず一点目でございます。そこに非常に機能をするんではないか。
さらに、もう一つ重要なのは、この出発点は、まさに投資とか、ある面それに近い生産なんですが、やっぱりゴールのところは需要なんですね。このマーケットイン、ここのマーケットのところにしっかり接続しないと、今まで、どちらかというと、日本の政策というのは供給サイドが非常に強いので、物をつくると、技術というところは皆さん重要だと、これに議論はないところなんですけれども、ただ、それがつくった技術というのは、本当に需要と結び付いて市場になっているか、つまり対価を得られるようなものがそこからつくり出せて、実際そこの上で所得なり雇用につながっているのかどうか、ここのところは実は大きな断絶があると。
ここを何とかつなげることが私は循環つくる上で非常に大事なポイントだと思っておりまして、先ほども私少し申し上げたのは、今回の政策の特徴は、この需要側というところに一つインセンティブの起点を置いているというところが私大きいと思っているんですね。先ほどの重点分野の中、投資をする五分野ということをまず定めていますが、ここのところが、生産だけではなくて販売した額に応じてこのインセンティブというものが変わっていく、この販売というところを明確に意識してインセンティブを付ける、これ非常に私は重要だというふうに思います。
あと、知財のところも、イノベーションボックス税制に関しても、これはまさに、今、日本は、今までのところというのは、需要のところについては政策性、手だてがなかったわけなんですね。これ知財のところに関して、実際にこれライセンスで取っていく、さらには譲渡していく、ここに関してインセンティブをほかの国と同じような目線でつくっていくというのは、この需要をつくっていくという意味合いにおいて、つまり出口をしっかりつくっていくという意味合いで非常に私は重要な意味があって、ここで初めて投資のところと需要のところが結び付いていくと、この循環という流れができてくる。こうすると、実際にそこのところというのは回り始めるというところだと思います。
さらには、先ほどお話もありましたが、中堅とか中小のところも、こういった需要のところを今度は所得につなげていく、この循環に結び付けるところにおいて非常に意味がありまして、中堅企業というのはいろんな企業を結び付ける胴元になっていくという意味では、ここの中堅企業がいろんな投資余力を持つということが私は非常に重要な意味がある。
これによって、先ほどの福島さんの例もそうですけれども、いろんなMアンドAもそうですし、また賃上げとか人の投資というのも、これ投資の原資がないとなかなかこういったところ続かないので、だんだんこういう投資余力を生み出すような中堅企業、ないしはそこを後押しするようなMアンドAというところをしっかり政策的に支えていくところが、市場ができたことに対して供給を強化して雇用とか所得に結び付けていく、ここの循環をつくっていく意味合いにおいても重要だと。この両面から今回の法案というのは非常に意味があるというふうに考えた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/10
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011・小林一大
○小林一大君 ありがとうございました。
続きまして、福島参考人にお伺いをしたいと思います。
会社概要等、今までの経緯は非常によく勉強させていただきました。MアンドAや成長投資を積極的に行うことによって事業規模も現在も拡大されていること、改めて敬意を表したいというふうに思いますし、加えて、ガリレイアカデミーでの技術者の育成を含めた人材育成や、二年間で全社員の一一%の賃上げを行うなど、良質な雇用の創出をしていただいているというのもお伺いをさせていただきました。
今回の法改正で、今後の成長が期待される中堅企業の定義が、常用従業員数が二千人以下の会社等と定義をされておりますけれども、グループ化税制等の支援が開始をされるわけですけれども、御経験を踏まえて、その定義や今回の支援内容について必要十分な内容になっているとお考えか、お伺いをさせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/11
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012・福島豪
○参考人(福島豪君) 御質問ありがとうございます。
今お話しされました、その中堅・中小グループ化税制につきましては、私ども、まだオープンにはできませんけれども、これからもMアンドAを継続していこうというふうに思っておりまして、今回いろいろとお話をいただいている今回のその法案、株式取得価額の最大一〇〇%、十年間、損失基準金として積立て可能にというのは大変有り難い制度だなというふうに思っております。
特に我々の場合、そんなに大きくない企業にはなりますけれども、複数案件やっぱり検討がこれから進んでいくであろうと考えておりますので、非常に有り難い制度だなというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/12
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013・小林一大
○小林一大君 ありがとうございます。
新しい資本主義、今、政権が一生懸命やっているんだと思いますけれども、高水準の賃上げが持続的に実現することを掲げて、価格転嫁対策の強化や賃上げ促進税制の拡充等に取り組んでいますが、本法律案で支援対象となる特定中堅企業についても賃金水準が高いことなどを要件とする予定だというふうに承知しています。
そうした中で、先ほども話をさせていただきましたけれども、二年連続で高い賃上げ率を実現されてきたとのことで、大変私どもとしても心強い限りであります。従業員の賃上げについてのお考え、賃上げによってどのような社員の皆さんに効果があったのか、また、政府の賃上げの支援策についても改めてお伺いをさせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/13
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014・福島豪
○参考人(福島豪君) 御質問ありがとうございます。
賃上げをする際に、社員全員にまず先に賃上げをすると宣言をしました。その代わり、しっかりこれまで以上に稼ごうと、利益創出のスパイラルをつくっていこうと。全ての投資が我々がつくるその利益が源泉になっているということを説明して取り組んでまいりました。その結果、二〇二三年度は賃上げをしても、先ほど御説明させていただいたとおり、生産性も非常に高まりまして更に利益が出たということで、この春も六%の賃上げに踏み切った次第です。
同じような流れがつくることができれば、来年春も同じように賃上げを断行していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/14
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015・小林一大
○小林一大君 MアンドAについてもお伺いさせていただきたいんですけれども、一般的に、買手と売手の意向を調整する難しさや、仲介者、アドバイザーの質や量の問題だとか、企業文化、組織風土の融合が進まないなど、いろんな問題が、課題があるというふうに指摘をされています。
これまでもMアンドA、いろいろやってきたというふうなお話でありましたけれども、シナジーを生み出すために具体的にはどのような点で御苦労をされたのか、また、相談対応等を含めて行政の支援制度について何かあればお伺いをしたいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/15
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016・福島豪
○参考人(福島豪君) ありがとうございます。
全てではないんですけれども、我が社がMアンドAしてきた会社様はやっぱり何らかの御縁で元々つながっている、もうそれはお取引もありますし、経営者同士がつながっていたというようなこともあるんですけれども、何らかの御縁でつながっていてMアンドAに進展していったという案件が多いように思います。
それと、やはりMアンドAは、グループ化したからといってすぐシナジーが出るものではなくて、やはり時間を掛けて、お互いやはり忍耐も私は必要だと思っておりまして、我慢するところは我慢しながらお互いの良さを認め合い、時間を掛けて統合を進めていくということだと思っていまして、先ほどちょっと御説明させていただきましたけれども、タカハシガリレイやガリレイパネルクリエイトもシナジーが出るまではやはり約十年ぐらいは時間が掛かったのかなというふうに思っております。
このMアンドAにつきましては、これから日本でも非常に盛んになっていくのではないのかなとは思っておりますけれども、我々としましては、MアンドA候補先のその情報の在り方というか、そういったところで我々、MアンドAする側とされる側がもう少し柔軟に情報を開示しながらお互いがスムーズに情報のやり取りができるような、そういうルールみたいなものがあれば非常に有り難いなというふうに私個人としては考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/16
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017・小林一大
○小林一大君 MアンドAについて松江参考人にお伺いをしたいと思いますけれども、今回の法律案では、特に中堅企業がMアンドAを通じて事業規模を拡大することを支援しようとするものだというふうに思いますが、この法案について御意見をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/17
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018・松江英夫
○参考人(松江英夫君) 御質問ありがとうございます。
私は、一つの道筋の呼び水として意味が非常にあるんではないかというふうに考えております。このMアンドAは中堅企業に限る話ではなくて、まさに中小企業であるとか、ある意味では大企業も含めて、この国内においてはもっとダイナミズムを生み出す上では非常に大事だというふうに思っているんですが、事中小企業においてはこういったMアンドA、若干距離が遠いところがございます。
実際に、買手だとか、先ほど福島参考人の話にもありましたが、ある面でシナジーを出すためにある程度事業を待てる力というか、ある程度時間を持って待てるような事業力がある会社でないと、本当の意味で成功するMアンドAはなかなか難しい。
そういう意味では、中堅企業というところを一つの入口にしながら、ここのところを助成しながら、実際にMアンドAとかグループ化というのを進めていく。この後押しをすることによってMアンドAを経験する企業の裾野を広げていくことが、結果的に中小のMアンドAのハードルを下げて全体に広がっていく私は一つの突破口になるのではないか、そういう意味合いとして意味があるんではないか、こんなふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/18
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019・小林一大
○小林一大君 そういう意味で、MアンドA市場、活性化しているものの、これに伴って、売手側の企業の価値を適切に評価をできる人材育成がまだまだ十分でないとか、政府による監視体制がない中でトラブルが増えているというような報道も私は散見をさせていただきました。
こうした課題に対して政府としてどのように取り組むべきか、松江参考人の御意見お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/19
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020・松江英夫
○参考人(松江英夫君) MアンドAにおいて取引が一定の透明性を持ってされるというのが、買手も売手双方にとっても、よりこれが安心感につながるというところがあると思います。そこにおいて政府が一定のそういったルールを定めていく、こういったところというのは、今後そのインフラをつくっていくという意味では非常に大事であるというふうに思います。
それと、いろんな意味でのマッチングをさせていくためのインフラという、お互いの情報を買手と売手のところをつないでいく機能というのもこれから非常に重要になってくると思っておりまして、この辺り、地方自治体も含めて公的な部分でそのインフラをつくっていく、その中で透明性を担保していくということも非常に大事ではないか。
さらに、MアンドAは、私は、MアンドAをする取引のところだけではなくて、PMIというんですが、買った後にどうやってしっかりと効果を出していくのか、買われた企業も含めて経営力を上げていくのか、この工程も併せて考えていくという、こういった見方が非常に大事で、取引のディールだけではない、その後工程も含めた上での基盤整備、人材の育成、この辺りも重要かというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/20
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021・小林一大
○小林一大君 ありがとうございます。
清水参考人に伺いたいと思います。
スタートアップのいろんな思いをいただいて、ありがとうございました。
ただ、約七年間、製品を世の中に送り出すことが難しかったというような話もお伺いしました。いろんな段階でのスタートアップの支援というのはあると思いますけれども、各段階で難しかったことや、それをどのように乗り越えられてきたのか、まずは御経験をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/21
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022・清水信哉
○参考人(清水信哉君) ありがとうございます。
そうですね、まず一番最初に難しかったのは、どういうマイルストーンを設定して事業計画を作っていって、資金調達をしていって成長させていくべきかというようなプラクティスがなかったというのが実は一番難しくて、プラクティスを決めてしまえば、それをあとはリスクマネーを、必要なリスクマネーを集めてやっていくという話なので、そういう意味では、最初、そういったマイルストーンやプラクティスもない中、手探りでとにかく研究開発をやっていてもなかなか製品が出ないと言っている最初が本当につらかったというのは正直なところとしてはありますが。
一方で、今は今で別の悩みがありまして、スケールアップというふうになったときに、やっぱり設備投資も必要なのでかなりの資金が必要という中で、米国ではないので、やはりそこが、リスクマネーの供給量自体が足りていない部分があるので、そこはそこで今新たな、全く別の難しさとしてあるというのが現状かなと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/22
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023・小林一大
○小林一大君 ありがとうございました。
まだまだお聞きしたいことたくさんあるんですけど、済みません、時間が来ましたので、この辺りで終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/23
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024・村田享子
○村田享子君 立憲民主・社民の村田享子です。
今日は、三名の参考人の皆様、本当に興味深いお話をありがとうございました。
まず、私、清水参考人にお聞きをしたいと思います。
若干、清水参考人の方がお若いんですけれども、こういった同世代ですごくこうやって御活躍されている方がいらっしゃって、本当に、最後のお話にありましたが、創業を米国で決められて、もう日本に帰ってきてくれて本当にありがとうございますという気持ちで、本当にこうした産業界の大谷翔平さんになれるように、やっぱりしっかり国として応援をしないといけないんだなということも学ばせていただいたんですね。
事前にいただいた資料の中で、じゃ、そもそも清水参考人がどうやって起業されたのか、そのきっかけについても読ませていただいたんですけれども、金属を印刷するというその画期的な技術に出会われたきっかけが、大学時代の恩師からその研究を紹介をされたというのが書かれていたんですね。
やはり、大学発のベンチャーということでいうと、大学で今どのような研究が行われているのかということを知ることと、あっ、これ、この研究、ビジネスになるよねということで、それをビジネスにつなげられる清水参考人のような目利きの存在がやっぱりすごく大事なんじゃないかなというふうに思います。
大学も、昔は割と自由に出入りできましたけれども、今は結構安全の状態も、安全の意味もあって余り自由に出入りできないというふうにも聞いていますし、こうした研究をビジネスにつなげていくための目利きのような人をどう育てていくのか。また、最後にお話があった政策スタートアップ、やっぱり政府が関与をしてスタートアップをするためにも、やっぱり政府の中にもそうした目利きのできる人材が私は要ると思うんですね。
そういった人材が今の日本で本当に育成をされているのかということと、今、まだまだだよということであれば、そうした人材育成の必要性についても教えていただければなと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/24
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025・清水信哉
○参考人(清水信哉君) ありがとうございます。
多分この中で圧倒的に若いのかなというふうには思いますが、ありがとうございます。
そうですね、まず一個目の、目利きをどうやって鍛えるかみたいな話なんですけれども、私、実はちょっと逆説的な回答を持っていまして、目利きをして、百発百中でこの技術がいけるみたいな形で見ることは不可能だと私は思っています。
私、アメリカに留学しているときに、一番のやっぱり東大との違い、例えばMITと東大の違いと思ったのが、早いんですよね。つまり、スタートするのもやめるのも早いんですよね。つまり、何か新しい技術、これいけるんじゃないかとなったら、取りあえず一回起業してみて、何か五億ぐらい集めてみて事業化やってみて、駄目だったら戻ってきて、戻ってくればいいじゃんというような、何かそんなイメージなんですね。
私は、大学発ベンチャーというのはそうあるべきだと思っていまして、これちょっと言うと反感買う部分もあるんですが、日本の大学発ベンチャーって、極めて十年生存率が高いというふうに言われているんですね。アメリカよりもはるかに高いと言われているんです。いろんなデータがあるんですが、十倍以上と言われています。それってつまり、うまくいかなくてもやめないし、だらだらやっちゃうしというふうな、かといって、十年コミットするとなかなかみんな始められないじゃないですか。だから、教授も、うまくいったら続けるかぐらいの気持ちだったら、取りあえず一年、二年やってみて、うまくいったらやるし、まあ駄目だったら戻ってくるかみたいな感じでできるじゃないですか。だから、私は、目利きを使って百発百中狙うよりも、とにかく失敗してもいいからやる、失敗したら戻ってこれるというような、そういうことをつくっていく方が大事なんじゃないかなというふうに思っています。
その意味で、目利きが、じゃ、政府側に足りないんじゃないかについては、そこに関しては、ある意味、失敗からしか学べない部分があるので、ベンチャーキャピタルであるとか、まさに失敗をしてきた、ある意味、失敗した起業家でもいいと思うんですけれども、そういう人を連れてくる。ある意味、政府から起業してもいいわけですよね。政府から起業して、失敗したら政府がもう一回戻ってきてもいいわけですから、そういったような例をつくっていくというのがむしろ大事なんじゃないかなというふうに私は考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/25
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026・村田享子
○村田享子君 やはり、すごく今、変化のスピードも速いですので、今参考人がおっしゃったように、とにかくやってみるというのはすごくやっぱり日本の、やっぱりこれまでどうしても、まずは様子を見て丹念に準備してみたいなところ、やっぱり変わっていくべきところなのかなと思います。
あわせて、御社のことについてもう一点お聞きしたいのが社員の皆さんのお話で、それも、いただいた資料の中で、スタートアップというとやはり二十代の社員が多くて、若くてというようなイメージが多い中で、やっぱり御社においては平均年齢が四十歳を超えていて、それはまさに開発系のスタートアップの特徴かなとも思うんですけど、経験者の方を採用されてきたというようなことも書かれておりました。
こうした社員構成としたことによる効果と、どのようにしてそうした経験者の皆さん、そうした採用してきたのかについて教えていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/26
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027・清水信哉
○参考人(清水信哉君) ありがとうございます。
おっしゃるとおりでして、我々、平均年齢、スタートアップにしては非常に高くて、四十代中盤になっております。物すごい日本の強みとアセットだというふうに思っています。
弊社に来ている人ですけれども、大手のメーカーでいろんな経験を積まれて、ある意味、そこの会社で例えば似たようなチャレンジをやろうと思ったけどできなかっただったりとか、それを新しい会社に入ってやってみたいだったりとか、あとはもう単純に、今の会社でやるよりも我々の会社でやった方がもう本当に世界初の、我々のやっていることってもう本当に教科書に載るような話なので、そういったことにトライできるというようなモチベーションで来ていただける方というのが非常に多くて、本当に日本の物すごいアセットだというふうに思っています。
ちょっと若干話それる、話それるというか、追加の話ししちゃうんですけど、我々は三井化学さんと資本業務提携していまして、三井化学さんの工場の一画を借りていまして、そこの建屋をお借りして工場をやっているんですね。そうすると、三井化学さんの方が、いや、うちってあれでしょう、うちの安全基準だから、もうめちゃめちゃこの基準が厳しくて、いろんなルールがあって、ここはこうせいとかいろいろ言ってくるでしょう、面倒くさいでしょうって言われるんですけど、いや、そんなことないですよと。
つまり、三井化学さんがもう本当に文字どおり血を流してつくってきた、こうやったら事故が起きる、こういうふうにやらないと品質管理は問題があるというノウハウを教えてくれるんですよねということで、いや、それ、大企業からすると面倒くせえルールだなと思っているかもしれないですけど、めちゃくちゃなアセットですよというふうなことを言ったことがありまして、そういったことというのは、日本からこうやって物をつくっていくようなスタートアップで世界で戦っていくという意味ではもう非常に大きな強みになっていくというふうに考えていますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/27
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028・村田享子
○村田享子君 どうもありがとうございます。
私はまさに物づくり産業の労働組合の出身でして、やっぱり現場の皆さんが持っている技術力の高さとか、現場では御安全にという挨拶をするんですけど、そうした安全への意識とか安全対策というのも、ああ、そういったものも財産になっていくんだなというのをすごく感じました。
そうした人に関係するお話ということで福島参考人に次お聞きをしたいんですけれども、今日御紹介ありましたガリレイアカデミーの取組は、これもすごくすばらしいなと思いまして、離職率がこれによって低下をしたというような報道も見ました。実際、このガリレイアカデミーの効果であったり、よく現場では、現場で実際やってみて勉強してね、技術学んでねという話になるんですけど、やっぱりそこを研修施設で学ぶと、そのやっぱり意義について教えていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/28
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029・福島豪
○参考人(福島豪君) 御質問ありがとうございます。
ほかの業界のことは分かりませんけれども、この我々の業界も、どちらかというとやっぱり先輩の背中を見て学べという業界なんですね。でも、先輩がどんどん高齢化していたり、先輩がいなくなったりというふうになって、そうやって背中を見せる人すらいなくなっているのが一つあります。
それと、今このアカデミーに当社の社員が入っていっているんですけれども、ほとんどが中途入社の社員です。それこそ、旭川営業所にサービスマンで入った子、島根営業所にサービスマンで入った子、こういう社員は、島根は島根、旭川は旭川のコミュニティーでしか仕事が基本的にはできなくなってしまうんですね。でも、このアカデミーに集まってくることによって、全国各地の同じような技量の同じような年齢のサービスマンが集まることによってアカデミー同期というのができ上がりまして、その所属する営業所のいわゆる所長というこのコミュニティーだけではなくて、全国に同じような悩みを持った仲間ができるということで、大変社員にとっては心強い存在になっているというふうに聞いています。
それと、離職率もそうなんですけれども、ブランディングにも一つ寄与しているのかなというふうに思っておりまして、今、異業種からの、我々のサービスマンになりたい、技術者になりたいという中途採用していただける方多いんですけれども、よくお聞きするのは、やっぱりこのアカデミーがあるから技能職でフクシマガリレイに入りたいんだというふうに言っていただける方が多いように思います。
先ほど申し上げたように、やはり背中を見て育てというのが元々業界にもあるものですから、このようなアカデミーでしっかり技術的な成長を後押ししてくれるということはブランディングにつながっているのかなというふうに思っておりまして、ますますこの活動は活発化させていきたいなというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/29
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030・村田享子
○村田享子君 ありがとうございます。
やはり、今、製造業全体として、なかなか若い人が入ってこないとか途中で辞めてしまうという課題がありますので、御社の取組を是非参考に、また広げられないかなということを考えていきたいと思います。
ちょっと細かい話になるんですけど、また福島参考人にお聞きをしたいんですが、資格取得の支援も御社で行っているということで、例えば第二種の電気工事士、こちらの支援も行っているというお話で、今この電気工事士の資格を持っている人が全国的に少なくて現場で取り合いになっているみたいな話も御相談として多いんですね。
なので、実際、こうした資格の取得支援、御社としてどのように行っているのか、教えてもらえればと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/30
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031・福島豪
○参考人(福島豪君) ありがとうございます。
今おっしゃられた第二種電気工事士ですね、それと三冷ですね、冷凍三種という技術があるんですけど、この二種電気と三冷が当社のサービスマンでは基礎的な資格になっておりまして、このアカデミーで座学及び実務を教育させていただいています。
この二つの資格以外にも、例えば管工事であるとか建築技能士とかですね、これ、我々は工事の仕事をするのに必ず必要となるちょっと上位資格があるんですけれども、こういったものもアカデミーに、アカデミーの中の施設を使いながら、ちょっと少数にはなるんですけれども、資格を取らせるような塾も社内にございまして、アカデミーとはまた違った立て付けで資格取得者を増やすような活動を社内でやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/31
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032・村田享子
○村田享子君 ちょっと重ねてお聞きをしたいんですが、やはりそのある程度の研修期間を取って人を育てるとなると、その分、現場に人はいなくなっちゃうわけですよね。
なので、やっぱり今、人手不足の現場が多いと、なかなかそうした教育にやっぱり時間を掛ける暇がないというようなこともあると思うんですが、その点、御社においてはそうした研修期間もするというのを見越した上で人もある程度の数採用されているという理解でよろしいんでしょうか。(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/32
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033・福島豪
○参考人(福島豪君) 失礼しました。
いわゆる研修に送り出す方も、やはり二か月ぐらいの研修で戻ってくるんですけれども、二か月研修行って戻ってくると、まず、技能的にというよりも、やっぱりそのいわゆる社会人として顔つきが変わって帰ってくるというふうに聞くんですね。
なので、その現地現地で一から指導するよりも、アカデミーのところで、友達じゃないですけど、友人をつくり、しっかり技能も学び、そして会社のやっぱりそういう、何というんですか、資産をしっかり知りながら戻ってくることで、会社をよく理解した上で技能も付けて戻ってくると。非常に現地からすると助かるというふうに言われていまして、二か月穴が空いてもそれを埋めるだけのやっぱり、何ですか、効果があるというふうに言ってくれています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/33
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034・村田享子
○村田享子君 ありがとうございます。
最後に、松江参考人にお聞きをしたいと思います。
すごく前向きに日本を良くしていこうということで、私も元気をいただいたんですが、やっぱりその価値循環ですよね、価値を、じゃ、どう見出していくのかということで、松江参考人のお話の中で、やっぱり本業の再定義といったお話がありました。仕事を分解する、デジタルを活用する、外と組むということで、これを、じゃ、実際企業において自分たちの本業を再定義しようよとなったときに、どんなふうに進めていけばいいのか。会社内でチームをつくるのか、若しくはコンサルの皆さんに入っていただくのか、若しくはそういったところに政策的な何かしら支援ができるのかというようなところを教えてもらえればと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/34
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035・松江英夫
○参考人(松江英夫君) 御質問頂戴してありがとうございます。
まさに本業の再定義ということで、私は、本業そのものってすごく大事なんですが、今知らないうちに、全て今やっていることが本業だという勘違い、ここのところをもう一回問い直すというところが非常に大事だと思うんですね。
いろんな特に中小企業、中堅企業の方々と私もそういうふうな議論をするんですが、そこで皆さんおっしゃるのは、ほかの連中と話をしていると何が自分が強いのかよく分かると。つまり、全く異なるような、例えば取引先でも結構ですし、ある意味で競合でもいいかもしれないし、大企業でもいいかもしれない。
私がお付き合いがある、ある中小企業、これは、物づくり中心の中小企業は、大企業と一緒に取引しようと思ったら、大企業にないものというのは実は自分たちがある、一方で、自分たちがやらなくていいものもあるということを、大企業の方と中小企業の方がかなり本気で取引をする上で、会話する中でそういう発見があったという話があるんですね。これは、別に大企業、中小企業関係なく、余り規模の問題では私はないと思っておりまして。
あと、ある会社は中途採用をたくさん増やしたと、中途採用を増やして、先ほど話もありました、研修をやると。中途採用の方に講師になってもらって研修をすると、入って間もない中途の方というのは、この会社何でこんなことやっているんだ、逆に言えば、こういうところもっとやればいいのにという気付きがあると。なので、中途研修の方に、その会社で感じたこと、気付き、これ、いいところと変えた方がいいところ、これを話をさせるって、こういう取組をやっている社長さんがいらっしゃって、これ、非常に多くの気付きになる。
そうすると、自分たちが本当に強いところに関してこれもっと特化しよう、逆に、ほかのところで携わっている時間に関しては、なるべくほかの人と一緒にやるか、ほかのところに任せるか、それで空いた時間を本当に強いところに特化しようというような格好で、そういうような格好で本業を再定義していく、こんなところは一つ身近なやり方としてはあると思うんですね。
そういう意味でも、今日はまちの人事部の話だとかいろんなことをしましたけれども、本当に自分たちが強いところを見極める、ここに私は成長の芽があるんじゃないかなと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/35
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036・村田享子
○村田享子君 終わります。ありがとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/36
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037・里見隆治
○里見隆治君 公明党の里見隆治でございます。
三人の参考人の先生方、今日は貴重な御意見、どうもありがとうございました。
私からは、三人の参考人の先生方にそれぞれ、このいただいたお話を受けまして、今後、政府としてどのような政策、支援策につなげていくべきかという、そうした観点を主に論点としてそれぞれにお伺いをしていきたいと思います。
まず、松江参考人にお伺いをしたいと思います。
松江参考人の今いただいた資料でいいますと九ページ目に、タイトルとして、今後あらゆる企業、これ中小・中堅を含めて、相互連携を通した生産性の向上、脱自前が必須であり、企業の形を超えてつながりを強化するMアンドA、グループ化を促す政策が有効だというふうに訴えていただいております。事例として、大田区の仲間回し、また岩手県の八幡平市のまちの人事部ということでいただきましたけれども、今回、法案の、我々が今審議をしている法案の中では、もう少し、地域というよりももう少しスケールを大きく、MアンドAとかグループ化、これらを複数回行っていけるような、この経営資源の集約化を促進するような税制措置ということを法改正に盛り込んでおります。
これはこれとして、いただいた事例、もう少し地域で、そしてこの仲間の中小企業同士での連携ということについて非常に分かりやすい具体例をお示しいただいたんじゃないかと思います。そういう意味で、我々、もちろんこの税制措置等、法改正事項も推進しますけれども、もう少し地域に着目したソフト的な面での支援策というものを政府、自治体は考えるべきではないかというふうに思いますけれども、この点、もう少し掘り下げて御説明をいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/37
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038・松江英夫
○参考人(松江英夫君) 御質問ありがとうございます。
まさにMアンドAというのは、これあらゆる局面において非常に私は必要な一つの政策というか戦略手段だというふうに考えております。
その中で、今回の法案では中堅企業、これが連続的なMアンドAをしていく、そこによってグループ化をしていくことを後押ししようと、これは、別に地域、いろんな地域問わずいろんな中堅企業をある種のハブとしながらやっていくという一つの方法論として、私は取っかかりとしてはいいんではないかと思うんですが、同時に、今御質問あったように、この地域という観点で見たときに、私はこの地域の中でこれから、地域の活性化もそうなんですが、いろんな企業同士が、ある面、産官学が結び付いていくための枠組みをつくるということも、これ私、非常に大事な要素ではないかなと、こう思っております。
例えば、GXもそうですし、今いろんなデジタル化もそうなんですけれども、これ個社だけでできる仕事ではなくて、ある意味でこのアカデミアと行政もそれを後押しをして、かつ複数の企業が連携しながら、例えばデータをお互い共有していくだとか、そういったことをできる人材をある程度共有しながら融通し合っていくであるとか、そのための投資というものをお互いがまとめて出していく、かつそれを複数年度でそういった投資を地域の中で循環させていくような枠組み、実はこういった枠組みというのはまだまだ地域の活性化においては私は十分ではないというふうに思っております。
そういう意味で、MアンドAというのは、本当に会社同士が資本の移動の中で一つのグループになっていく、資本上グループになるという、非常に狭い意味ではそういったところなんですが、もっと広い意味でのMアンドAということでいうと、提携だとか、いろんな資本提携、業務提携、広い意味でのアライアンスのところも含めた形での連携というところの輪を広げていくことが、私は地域の中でいろんなDX、GXを進めていく基盤として非常に大事であると。その辺りも、今回の中堅を起点としながらグループ化をしていくとかMアンドAをしていくというところも、そういう目的の下にいろんなMアンドAが起こってきて、それを後押しするような文脈になっていくと。これ、単に今、産業の競争力ということを地域と重ね合わせる中で、地域の中でまさに産業の競争力を高めていくというところにもつながるんではないかなというふうに思いますので、その辺をもっと広い意味で解釈できるような形の説明の仕方もそうですし、ある意味での使い勝手の良さみたいなところを示していくことも今後政策の深掘りにおいては重要かなというふうに感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/38
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039・里見隆治
○里見隆治君 ありがとうございます。
非常に、この今回の法案の直接的なテーマではないんですけれども、この地域とか地方経済の活性化という観点でも非常に重要な政策的な切り口だということをよく理解をいたしました。
経済産業省の所管の関係では、例えば福島復興ということも一つの観点としてありますけれども、あれもやはり、一つのこのエネルギーですとか、それからロボットとか、そういう新しい分野を地元の自治体、それから地元の大学、特に理系の大学との連携で研究開発を進め、それを実用化していこうと、そういう意味では本当に参考になるお話だと思います。
ちょっと地域のこだわりを持っていて恐縮ですけれども、先ほどの岩手あるいは大田区の事例以外にこうした地域の取組、特に自治体の関わりですとか、地域のそういった研究開発のリソースというものを使いながらということで、何か参考になるようなお話をいただければというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/39
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040・松江英夫
○参考人(松江英夫君) ありがとうございます。
いろんな地域、取組があると思います。例えば、東北エリアも、福島の話ももちろん水素タウンということで、水素、特に福島はいろんな至る所で水素というのを起点にしながら、アカデミアのところもそうですけれども、いろんな地元の企業と、例えば自動車メーカー系だとか、そういった部品系のメーカーともタイアップしながら水素タウンをつくっていく、こんな取組ももちろんありますし、あと、私が最近非常に重要だなと思うのは、サーキュラーエコノミーというところも、私もまさに経産省の研究会でもいろいろ議論させていただいているところなんですが、ここはまさにこれから地域の経済をつくっていく一つの重要なテーマになってくると思うんですね。
これは、GXとサーキュラーエコノミーと、これはある面で同じ方向を向いて一体でやっていくべき私はテーマだと思うんですが、なぜサーキュラーエコノミーが重要かと申しますと、ある面、動脈と静脈をこれからつないでいく必要があるんですが、この静脈において自治体の果たす役割が非常に大きいんですね。いろんな一般廃棄物の処理であるとか、こういったものというのは、ある面、自治体が責任を持っていく部分があって、メーカーは自分でつくったものに対して責任を持つんですけれども、これ自治体が静脈のところをしっかり動脈と結び付ける必要がある。
さらには、この静脈側というのは動脈のいろんな業界を横断的に、ここのところサーキュラーの環境をつくっていかなきゃいけないということになりますと、まさに自治体といろんな業界の企業様、それと地元の企業様、これが全てタイアップしながらこのサーキュラーエコノミーを実現できる環境をつくっていくことが非常に重要になってきて、これってまさに地域の活性化の経済にも非常に私は大きく、雇用を創出したり、新しい産業をつくっていく上で私は一つ起点になるテーマではなかろうかなと思っておりまして、こういったサーキュラーの進んでいる地域に関してはいろんな地域が、まあ川崎市であったり広島であったり、いろんなところでございますから、こういったところを一つのフロントランナーにしながらこの循環というものをしっかりつくっていく。これが、先ほどのMアンドAは、そういう文脈の中で必要であれば、そういった手段も使いながらそういった循環型の地域経済をつくっていく、こういったところに進んでいくと望ましいんではないかなというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/40
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041・里見隆治
○里見隆治君 ありがとうございました。
次に、福島参考人にお伺いをしたいと思います。
先ほどもガリレイアカデミーのお話、質問に対して様々御説明いただきましたが、私も非常にすばらしいお取組だと、非常に、この働く皆さんを鍛え、そして訓練をし、そして賃金もしっかり上げていくという非常にお手本を示していただいているというふうに思いますけれども、これやっぱりいいことするにはお金も掛かろうかと思います。
冒頭申し上げたとおり、皆さんがやっていただいていることをどう政府、政策として支援していくかという観点でいいますと、これは全くの自前でやっておられるのか、何らか助成金等を受けながらやっておられるのか、その点まず確認させていただきたいと思います。(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/41
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042・福島豪
○参考人(福島豪君) 済みません。
その勉強する施設は、元々本社に移転する前のサービスセンターの建屋を転用しております。そこに、当社製だけではないんですけれども、業界で使われる様々な機材、これもほぼ中古品を持ち込んで、動ける、動く状態にして、それを技術者及び先生が触って教えることができるような施設にしております。講師も、ちょっとだけ外部使ったりもしますけれども、いわゆる人間として何が正しいかみたいなフィロソフィーのような教育もやっているんですけど、そういうものは父である会長がフィロソフィー講話をして、技術も、社内にたくさんの、特に本社にございますので、大阪でやっておりますので、本社サイドにはたくさんの技術者がおりますので、一〇〇%技術系は自前で行っておりまして、ほとんどお金を掛けずに社内で閉じてやらせていただいている状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/42
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043・里見隆治
○里見隆治君 ありがとうございます。
そして、今、社内の従業員の皆さんに対してはそれで自前でやっているということでいいと思うんです。先ほどの御説明の中で、今後社外の人材育成もと、元々グループで広げておられる中で、外も視野に入れてということになると、なかなか持ち出しというわけにもいかないでしょうし、どこまで費用を取ってやるのか。あるいは、それだけ社外の方に対してもということは、その訓練そのものが非常に公の、会社固有のものではない、普遍性を持った訓練ということであれば、何かしら公的な助成ということもあり得るんじゃないかと。
私もこの直前、厚生労働省に確認をしました。なかなかこの最初の投資部分、施設設備については助成できないけれども、その講師だとかあるいはテキスト、そういうソフト面での助成はあり得るんじゃないかと、そんなお話を聞いてきたんですけれども、今後のそうした支援を取り入れながらの外への展開ということについてどのようにお考えか、教えていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/43
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044・福島豪
○参考人(福島豪君) 今、現段階でも、特定のお客様のいわゆる技術職の方をお受け入れして、二か月というロングスパンではないんですけれども、二日、三日の講習みたいなことはやらせていただいておりまして、大変御好評いただいています。今日も午前中、実はお客様来られて、アカデミーに行きたいというふうにおっしゃっておられたのでお受け入れしようかなと思っているような状況なんですけれども。
先ほどちょっとスライドで説明させていただいたんですが、二〇二六年に、今いわゆる研修をやっている土地に新しい研修センターをつくろうとしています。これは、もちろんこれまで行ってきたそのアカデミーの活動を更に高次なものにしていくということと、今は短期職業訓練校なので基本的には内に閉じているんですけれども、やっぱり学校法人化する必要があると。それを実は意識はしたつくりにしておりまして、そのときはやはり幾ばくかお金をいただいて、社外の方にも堂々と教育を受けていただけるようなことも視野に入れながら計画を進めているというところでございます。
いろんな応援をいただけるというのは非常にうれしいなとは思うんですけど、余り私そこは詳しくは存じ上げない部分ではあるんですけれども、そのソフト的な御支援をいただけるのであれば大変有り難いなというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/44
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045・里見隆治
○里見隆治君 もう一つだけ、支援策で、これは二十一ページ目に書いていただいた大規模成長投資補助金、これかなりの、この二桁億の規模ですので、相当これは中小企業支援策、まあ中小企業といっても皆さん大変大きなところだと思いますけれども、なかなかこの事前の情報収集とか、あるいは手続、申請方法、あるいはその過程でコンサルも必要だったりするという中で、なかなかハードルが高いというふうに言われる中でこれだけの活用を検討されているということでありますけれども、何かお困りの点だとか、あるいは今後同じように申請されるに当たって継続する、後続をする企業さんにこういうところを頑張るといいよと、あるいは政府にはこういうところを是非やってほしいというような御注文があれば、教えていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/45
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046・福島豪
○参考人(福島豪君) そうですね、実はこれ、土地を取得するタイミングが結構ぎりぎりだったというのもございまして、土地を取得してからこの補助金申請させていただくまで一か月ぐらいしか多分時間がなかったんですけれども、一部社外の方にお願いした部分もありますけど、ほぼ社内で閉じて、いわゆる専門のスタッフがこれに従事してつくっていったという経緯があります。まだまだこれから御検討いただくということなんでしょうけれども、やっぱりこのような補助金を活用させていただくに当たっては、ただ単に物をつくるというだけではなくて、資料にも書いているんですけれども、研究開発拠点としていろいろと検討しているとか、もちろん環境保全を配慮しているとか、あとは雇用をしっかり創出していくとか、そういうポイント、ポイントがあろうかと思いますので、この辺の何か上手な表現の仕方みたいなのを教えていただけると非常に有り難いのかなというふうには思います。
ちょっと今回、今申請させていただいているんで、結果、ちょっとどうなるかまだ分からないんですけれども、これからヒアリングがあるというふうに伺っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/46
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047・里見隆治
○里見隆治君 どうもありがとうございました。
ちょっと残り時間短くなりましたが、清水参考人にお伺いをしたいと思います。
やはり今は政府がかなり積極的な関与を持って、このスタートアップ、本当に知識とそして志を持った皆さんとタイアップして世界各国と戦ってやっていくべきだと、そういう中で、日本にお戻りをいただいて頑張っている姿を私も大変心強く思いました。
そういう中で、最後の十五ページの御提言で、この政府が関与すべきと、しかも、相当な額を積まないと相手国とも競争できないという、ある程度規模感が重要だということも教えていただきましたけれども、今回、我々がこの法律案を審議するに当たっての税制とかあるいは様々なこの支援策との兼ね合いで、何か、済みません、もう残りが一分ちょっとくらいしかないんですけれども、御示唆をいただければ、ちょっとまとめてお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/47
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048・清水信哉
○参考人(清水信哉君) そうですね、結論から言うと、スタートアップって、言ったらそんなに税金払っていないので、税制でダイレクトに効くというのは結構難しいだろうというのは、私も考えたことあるんですけど、結構難しいなと思っていまして、むしろ、今回、中に入っている例えばJICの延長であるとか、スタートアップ、まだリスクマネー全然足りていない、GDP比に対して物すごく少ない状態なので、出し過ぎて市場をゆがめるような水準ではないので、なので、そこはもう継続して自信を持って出し続けるってことがすごく大事なんじゃないかなというふうに考えています。
一方で、あとは、今回入っていますNEDO法改正だったりとか、こういったところもまだ、今回のはまずすごく非常に大きいと思っています。起業家に向けて出せるようになっていくというのは大事だと思っていますし、ただ、これで一〇〇パー、もう百点満点かというと、まだこれから、より使いやすくしていくだったりとか出しやすくしていくというふうなこともあろうと思いますので、そういったところでお金を流していけるようにという形でやっていただけるとよりいいんじゃないかなというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/48
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049・里見隆治
○里見隆治君 ありがとうございました。
以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/49
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050・石井章
○石井章君 日本維新の会・教育無償化を実現する会の石井章でございます。
今日は、参考人の皆様、ありがとうございます。
私は、参議院に当選させてもらって、ちょうど今年の七月で丸八年がたつんですけれども、二〇一八年のときにも産業競争力強化法で何度か質問の機会をいただきました。
御案内のとおり、産業協力強化法は、経済社会情勢の変化に対応した企業の成長支援、あるいはスタートアップへの支援、規制緩和の推進、事業再編の推進、リスクマネーの供給など、非常に幅が広い分野に固定しているわけでありますけれども、その中でも、特にこれまで改正によって創設された制度の中には、残念ながら積極的に活用されているとは言い難い制度も散見されるわけであります。例えば、債権譲渡における第三者対抗要件の特例の下請中小企業取引機会創出事業者の認定などがそうだと思うんですけれども、このような、失策と捉えていいのかどうか分かりませんが、こういった政策が過去には山積しておるということなんでありますが。
そこで、本日の私の質疑は、参考人の皆様から先ほど聞いた内容はいろいろ二回目に質問しますけれども、専門分野に関することでなくて、この本法案の賛否を含めた、真の産業競争力強化への今後の施策の参考のために、総論的な問題について各先生方からそれぞれお伺いしたいと思います。
まずお伺いしたいのは、政策評価と政策立案についてであります。
これは、相当前から政府の政策について議論がされております。各省庁でも取組が行われております。しかし、政策評価だけで、はい、終わりですではこれ意味がないわけでありますから、その評価を次の政策にどのように生かすかが肝要であると思います。EBPM、いわゆるエビデンスに基づく政策形成という手法を政策評価としてどのように連動させていくのか、その行政との連動、改善につなげていくのかが一番肝腎なことだと思いますけれども、それぞれの先生方からお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/50
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051・森本真治
○委員長(森本真治君) じゃ、順番に、松江参考人からよろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/51
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052・松江英夫
○参考人(松江英夫君) 御質問ありがとうございます。
実は私、先ほど自己紹介の中では余り申し上げませんでしたが、経済同友会の経済・財政・金融・社会保障委員会の委員長というものを拝命しておりまして、この三月にEBPM推進基本法を制定せよという、こういった御提言をさせていただいております。
まさに今の石井議員の問題意識、私どもも非常に強く感じておりまして、そこで私が取りまとめさせていただいた主な骨格は、政府において大規模な予算が付いて、かつ複数年度、ロングタームのものにこそEBPMというのをもっと機能させるような在り方を目指すべきだ、こういった御提言をさせていただきました。
今、EBPMは、御案内のように五千事業ぐらい、過去の事業の言わば予算が付いた粒々のものに関しては手続としてはやられております。しかし、私の問題意識としては、実際これは手続としてはやっているんだけれども、本当の意味で効果が上がるようなEBPMになっているのか、そこにおいて欠けているのは検証から立案に至るプロセス、ここは決定的に不足しているんではないか、こんな問題意識でございまして、結果的に政策が実行されたものをしっかりと評価をして次の立案に結び付ける。
これ、なかなか政策の効果というのは単年度で出るものじゃないので、なかなかそこのタイムラグがある、難しいところあるんですが、だからこそ大規模でかつ長期のレンジでやる政策ですね、今回の産業、例えばGXの投資もそうですし、例えば、ちょっとテーマは違いますが、例えば少子化対策もそうですけれども、政府の肝煎りなものというのは、非常に複数年度で大規模な予算が付くものに関しては、あらかじめEBPMをやるための計画立ても一緒にやると。
具体的には、その何か例えば改革工程表の中にEBPMの推進計画みたいなものを織り込みながら、どういうデータとファクトを取りながらこの政策を検証していくのかということをプランニングの段階でやる。さらに、そこのところを、骨太から予算付けるところのプロセスの中でしっかりそこのところを政治と行政の間のコミュニケーションしっかりやっていく。それを担保するために、行政の在り方も、内閣府、内閣官房の中に予算を付けて、それなりの司令塔機能を具備してやっていく。こういったものを、パッチワークではなくてワンパッケージで進めていくようなことをしっかりと織り込む。それをEBPM推進基本法ということ、総称としては申し上げたんですが、中身としてはこういった問題意識でございます。
まさに今回の産業競争力強化もそうなんで、非常にロングタームでお金を出していくとかインセンティブを付けていくということなので、この効果の検証を最初から計画段階から織り込んで、じゃ、どういったもので実際の結果、データなりファクトを捉まえていくのかを事前にある程度具備しながら計画をしていく。
その上で、出した結果というものが当初見越したものと違っても構わないんですね。先ほど来あったように、失敗から学んでいけばよいので、このある面ギャップのところをいかに、じゃ、今度より良い政策に生かすのかということで立案につなげる。このまさに結果から立案につなげると、ここのところはまだまだ日本というのは政策プロセスにおいても不十分で、ここのところをしっかりこういうふうな大規模なものほどやっていく必要があるんではないか、こんな問題意識を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/52
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053・森本真治
○委員長(森本真治君) では、続いて福島参考人、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/53
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054・福島豪
○参考人(福島豪君) 政策について何か私が申し上げる身分でもないのかなとは思うんですけれども、私どもの会社は、東日本の震災の後にエネルギーを抑制していくという政策が大きく走ったと思うんですけれども、そのときに、様々な省エネの経済産業省様が出されている補助金を活用して、主にスーパーマーケットのお客様と一緒に節電に取り組んでまいりました。
実は、このいわゆる節電にお客様と取り組んだことが、やっぱりこれは国策であったということもあるので、うちの社員がそれを誇りを持って仕事をしてくれたんですね。それで、実は、現在我が社ではショーケース事業が最大の事業になっているんですけれども、当時は二番手の事業で非常に振るわなかったところはあったんですけれども、このやっぱり省エネという国策に、会社としても技術を育て、そして社員としてもこの国策を実現していくんだという熱い思いで取り組んだ結果、ショーケース事業が最大の事業になり、お客様に省エネという最大の効果をもたらすことができた。それはもう補助金をいただいてなんですけれども。という意味で、非常に分かりやすかったというのがポイントかなというふうに思っています。
そういう意味では、やっぱり分かりやすい指標を持って評価されていくということが我々としては良かったのかなというふうに捉まえております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/54
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055・清水信哉
○参考人(清水信哉君) EBPM、非常に難しいテーマだなと思うんですが、スタートアップという話でいうと、イノベーションというのはアップサイド最大化ゲームなんですね。それに対して、政策というのはどうしてもダウンサイド最小化ゲームになりがちというのがありまして、つまり、これは例えば銀行とVCのビジネスモデルの違いでもあるんですけれども、VCの場合は、つまり十社投資して一社が例えば二十倍になったら九社倒産してもいいわけですね。実際はそういうわけじゃなくて三社ぐらい生き残ると思うんですけれども。なので、もうその回収を追っても仕方ないんですね、その潰れた七の方を。だって、潰れたら最大でマイナス一〇〇パーですけど、うまくいった方はプラス五〇〇パーとかプラス一〇〇〇パーになることもあるわけだから。
なんですけど、銀行は逆に全部から回収しないといけないという形で、ダウンサイド最小化ゲームになりがちと。
政策の評価もダウンサイド最小化ゲームになりがちだというふうに思うんですね、特に公的機関の評価というのは。これは役人の評価も含めてですけれども。ですが、イノベーション政策はそれじゃ駄目だと思うんですね。
つまり、ほとんど失敗しても、例えば公的、官民ファンド等からの投資もそうですけれども、何か失敗したところばっかがいろいろ取り上げられたりしますけれども、別にVC的にはどうでもよくて、アップサイド最大化ゲームであるので、つまり、EBPMをやるときには、つまり評価関数というか、評価の方法を、アップサイドを最大化する形で評価するという形で政治のレイヤーでもう言ってあげないと、民間、ほっておくと、基本的に公的機関というのは当然ダウンサイドを最小化するように動いていくというのがあるので、そこはもう全然ゲームが違うんだよということを言ってあげないとなかなか評価もしづらいんだろうなというふうにはちょっと考えていますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/55
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056・石井章
○石井章君 ありがとうございました。それぞれの立場での御意見、本当にありがとうございます。
そこで、ちょっとマニアックな質問になるんですけれども、福島参考人に質問します。
私が知っている限りでは、福島さん、福島工業というと、冷凍冷蔵庫とか、それからコールドテーブルとか、それからリーチインとか、そういったものが目に浮かぶんですけれども、そういった会社としてイメージしてよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/56
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057・福島豪
○参考人(福島豪君) ベースはそれで結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/57
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058・石井章
○石井章君 そうすると、私が知っている限りですと、例えば同じような業態で、ホシザキさんとか、それから、福島さんはもちろんです、日超、フジマック、それからパナソニック、タニコー、大和、マルゼン、もうこういったものはそれぞれ得意な分野がありまして、福島さんはどっちかといえば、私は、冷蔵物にしたらば、例えばタニコー、ああ、ごめんなさい、ホシザキさんよりも後発というか、幾らか後れを取っていたような気がするんですけれども、その中でここまでしっかりとしたコンセプトの中でやり抜いてきて、こういった今の会社をMアンドAで獲得していった方がより一層効率がいいと思うんですが、その辺、福島参考人、どうですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/58
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059・福島豪
○参考人(福島豪君) お答えします。
元々は、祖業は実は弊社は業務用の冷蔵庫でございまして、その後数年後にショーケースの事業を始めて、業務用冷蔵庫とショーケースのメーカーとして二本柱で六十年ぐらいこつこつとやってきた会社なんですけれども、先ほど御説明させていただきましたとおり、タカハシガリレイのMアンドAから始まり、ちょっと今までのビジネスフィールドとは違う領域で活躍をされている会社をグループ化することで、それでやっぱり事業領域が広がっていったということなんですね。
元々はもう消費者の皆様に近い店舗の仕事を徹底的にやっていた会社だったのが、物流のところもできるようになり、食品工場もできるようになり、もっと言うと一次産業に近いところ、加工とかそういったところもできるようになり、全て横串が刺さっていくメンテナンスですね、やっぱりこの技術者を育ててそのベースをしっかりつくってきたことで今は差別化ができているのではないかなというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/59
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060・石井章
○石井章君 当然ながら、今、昔はママの店、ダイエーさんがあったり、イトーヨーカドーがあって、西友があって、その時代と今は違って、セブン&アイグループ、いわゆるイトーヨーカドーグループの下部組織だった鈴木敏文さんがつくりましたセブンイレブンですね、これが、要するにドミナント化といって各地域にまとめて店舗をつくることによって、例えば今東北ですと、アイリスオーヤマさんの米をどんどんと大量に使ってと、すばらしい米ができ上がっていると。そういったところにも恐らく福島さんの技術が大いに貢献していると思うんですが、その辺どうでしょうかね。(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/60
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061・福島豪
○参考人(福島豪君) 済みません。
例で出させていただきましたセブン&アイグループのスーパーストア事業の中核事業であられますイトーヨーカドー様の仕事を御説明させていただいたんですけれども、我々、イトーヨーカドー様では、店舗のショーケースの仕事がベースとしてずっとやらせていただいていたんですけれども、先ほど説明させていただいたPeace Deliというのは、イトーヨーカドー様の総菜を供給するちょっと上位の部分ですね、食品でいくとサプライチェーンの上位の部分の工場のお仕事をさせていただいていますし、もっと言いますと、セブンイレブン様のいわゆるベンダー様というのがたくさんあられますけれども、その専用工場のお仕事というのもさせていただいておりまして、まあBトゥーBの会社ですのでそんなに表には出てこないんですけれども。食のサプライチェーンの中で冷凍冷蔵というと必ず必要になる機材でございますので、何らかの形でプレーヤーの皆様と関わらせていただき、メンテナンスが重要になりますので、メンテナンスの部分でしっかりとお支えできるような体制をつくっているということも差別化につながっているのかなと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/61
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062・石井章
○石井章君 非常に期待をする、松江参考人と、また清水参考人と立場が違って今日は来ていらっしゃるので、私が一番、今日初めてこの資料を見させてもらって、ああ、恐らくこういう会社だろうと思って、例えばわらべや日洋産業とか冨士食品とかいろんなところ業務提携しながら、いわゆるセブンイレブンというのは生かさず殺さずというところもあるので、注意してもらいながら、すばらしい商品をつくっていただいて、やっぱりコンビニエンスが今、日本の物流を含めて、消費者のお口に入るのはコンビニが一番多くなってきているので、そういったことも含めて、それぞれ三人の皆様方にお礼を申し上げまして、私の質問を終わりにします。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/62
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063・礒崎哲史
○礒崎哲史君 国民民主党・新緑風会の礒崎と申します。
本日は、参考人の皆さん、どうもありがとうございました。もう冒頭、三人、皆さんの御意見聞いて、何か元気になりました。いや、何か本当、あしたからこういう雰囲気を持ってみんなで頑張っていったら、いや、どんどん良くなるんじゃないかなという気持ちにすらなった、本当に気持ちのいい参考人質疑でした。本当にまずはありがとうございます。感謝申し上げます。
それで、まず最初、三名の皆さん全員にお伺いをしたい質問なんですけれども、今回のこの産業競争力強化法の改正案、私は、これまで課題とされてきたことの解決策に向けて、経産省さん、中企庁さん、いろいろと盛り込んでいただいたんじゃないかなという印象を私自身は持っているんですね。
ただ、その上で、やはり実際にスペシャリストとしての目で皆さんが見られたときに、実際にこの中身を実効性を持って確実に前進を図っていこうといったときに、ここのところは注意しておかないと駄目ですよ、総論でも結構ですし、ポイントでも結構です、得意分野のところでも結構なんですが、これを大臣に一言言っておいてほしいというポイントがあれば、その点をそれぞれからお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/63
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064・森本真治
○委員長(森本真治君) じゃ、松江参考人からでよろしいですか、順番に。お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/64
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065・松江英夫
○参考人(松江英夫君) ありがとうございます。
まず、これ、大事なところが知られないというのが最大のリスクだと思います。
私は、この今回の投資というものは、投資が重要だということは皆さん多分感じていらっしゃると思うんですね。例えば、EVだ、半導体だ、グリーンスチールだ、こういうのが重要だ、これも皆さん、何となく思うと思うんです。
ただ、これが、例えば一生懸命つくって、販売したら販売するほどこうやってインセンティブが利くんだよとか、例えばいろんな無形の資産に関しても、ライセンスというものを実際にいろんな意味で需要につなげていったらインセンティブ利くんだよ、これのところって実際余り知られていないと思うんです。ましてや、今までには余りなかった、力入れていないところだから、私は非常に意味があると。これは需要を喚起していくというところが実は非常に重要なポイントなんですけれども、投資という見方をすると、ややもすると、言葉が悪ければ、手あかが付いた言葉に聞こえかねない。
国内に投資を呼び込む、これは非常に大事なんですが、これは国内に投資をというこの枕言葉があって輝くフレーズだと私は思っていまして、投資が大事だよって、これはみんな企業もそうですし、みんな投資をしているので、じゃ、どういう投資が重要なのか。これは、国内に世界からも国内からもお金を集める投資、国内のマーケットに投資をする、この頭言葉、枕言葉が実は非常に重要なので、ここをいかに伝えていけるか。
さらに、このインセンティブを付けるのも、実際に販売に結び付いてインセンティブが付いていくんだ、さらには、そういった意味でライセンスを提供して、実際にそのセールスにつながる部分に対してインセンティブを付けるんだ、ここが政策の力点で、これがゆえに国内の中で投資を生み出し、需要をつくっていって成長につなげていく。ここのところをつなげられるかが私は個人的に今回の産業競争力法案の改正の私は一つの大きな意義だというふうに思うんですが、ここをしっかり伝えていけるかどうか。それが伝わると、意義を感じる方々はメリットを感じ、更にもっと広げてくれといういい意味での要求になってくると、これがもっと骨太になってくる。
ある面で、私は、非常に重要な呼び水なんですが、これは、ちゃんと伝える努力、言わばコンテクストを私、つくるという、最近、私は文脈形成というのが非常に政策に重要だというふうに申し上げているんですが、この文脈をしっかりと関係する人が理解して、ああ、自分たちはここでメリットを感じるんだということが伝わらないと、せっかく呼び水まいても砂に消えて、砂漠に水をまくような形になってしまうので、ここをどうするかというところが私は非常に大事なポイントだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/65
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066・森本真治
○委員長(森本真治君) では、福島参考人、よろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/66
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067・福島豪
○参考人(福島豪君) 先ほど当社の企業情報を御説明したんですけれども、二〇二四年三月期の社員数が千九百三十名ぐらいなんですけれども、今期末になると恐らく二千名を超えてしまいそうで、中堅企業枠から外れてしまいそうなんですね。そこが非常に残念だなというところではあるんですけれども。
今回の法案でいきますと、このMアンドAのところを我々活用させていただきたいと考えているんですけれども、先ほどもおっしゃられたように、デューデリのところで我々やっぱり戸惑うところが多いです。というのは、やっぱりMアンドAに慣れていないというところですね。
金融機関の皆さんといろいろ打合せしながらやっていくわけなんですけれども、やっぱり大企業は、そういったデューデリのところでいろいろ知見を持たれた方が複数名専任でいらっしゃってということなんでしょうけど、私どもでいくと、何となく分かる人が一人か二人ぐらいと、あとは金融機関の皆さんとやり取りしていくということですので、我々クラスの中堅企業がデューデリをするときに、もう少し理論武装してできる、そのための何か仕組みづくりみたいなのが政府の方で検討いただけると非常に有り難いのかなというふうに思いました。
これは逆もしかりで、される側の方もそういうものがあったらすごく安心して情報をお出しできるというようなことも考えられるのではないかなというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/67
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068・清水信哉
○参考人(清水信哉君) そうですね、実行に向けてということで、さっきのアップサイド最大化ゲームをちょっと掘り下げてお話ししたいなと思っているんですけれども、これ、法律を作った後に実際に支援していくというときに、容易にこのさっき申し上げたダウンサイド最小化の方にとらわれるリスクが非常に高いなというのは正直言って思っていまして、それを解決するため、例えばなんですけれども、もう最初っから、例えばイノベーションセクターというのは、例えばもう、全部成功させるというふうなものではないのだから、もう一定は例えば失敗していいだったりとか、もっと言うと、これちょっとコントラバーシャルな、ちょっと中継もあるので言いづらいんですけれども、例えば、経理不正、政府が支援したスタートアップが実は詐欺をやっていました、横領をやっていました、経理不正やっていましたということって過去一件大きなのがあって、そういうことありました。ああいうのがあるたびにどんどん厳しくなるんですね。
ただし、アーリーステージのスタートアップなんて、最後、最終、その詐欺の確率ゼロにしようと思ったら無理ですよというのが正直あって、実際どうしているかというと、例えば欧州委員会からの助成金であれば、一部経理不正の割合は何%以下に抑えるのを目標にするだったりとか、いやもうゼロリスク信仰というのをやめて、もうとにかくリスクが多少あってもいいから出すみたいな形、でもそれが、そのパーセントだけが重要というよりは、それが政治のメッセージとして、つまり、全件絶対堅いところに金出せじゃなくて、リスクあってもいいから金出せという強いやっぱり政治のメッセージになっているというところがあると思っていまして、そういったところをセットにしていただけると、より取るべき高い、政府が取るべき高いリスクを取った、本当は政府が高いリスク取るべきなんですけれども、逆に政府なんでリスク取れないみたいなふうになりがちなので、そこを打破できる可能性があるんじゃないかなというふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/68
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069・礒崎哲史
○礒崎哲史君 ありがとうございます。
是非、皆さん、次回の質疑の参考にしていただければと思いますけれど、ちょっと今、せっかくそれぞれお答えいただいたので、まず清水参考人にお伺いをしたいんですけれども、確かにそのリスクは当然あるものだというのが大前提だというのは確かにそう。
でも、最後に参考人、今おっしゃられた、そうはいっても政府がリスクを取ったのというのは、確かに税金を使って実際省庁は様々な活動をしますので、リスクを取りづらいのが実態というのもあるんですけれども、これはアメリカ、アメリカの方にいらっしゃったということで、アメリカだと、かなりベンチャー企業を支えるために、リスクも含めた形でかなり大きな金額を私、投入しているというふうには認識をしているんですけれども、実際アメリカというのはその辺に関してはかなりおおらかな印象ということで受け止めていていいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/69
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070・清水信哉
○参考人(清水信哉君) 結論から言うと、極めておおらかだと思います。ただ、アメリカにありがちなのは、これ市場の発想もそうなんですけれども、何というか、ゼロリスクではなくて、もし見付かったらめちゃめちゃ厳しいよというような、そういう発想ですね。
例えば、そのSBIRという、日本でも日本版SBIRというのをつくりましたけれども、あれのアメリカの政府のサイトに行くと、毎年、今年はこういうところが悪いことやりましたみたいなのを出していらっしゃるんですね。だから、一回やるともう名前も含めてめちゃめちゃ厳しくやられるけど、ぶっちゃけ出している。実際もらっている人、友人のスタートアップの話聞いたときに、ざる、ざるとか言ったらいけませんけど、すごい日本よりはおおらかだというふうに考えられると。ただ、もしやった場合はめちゃめちゃ厳しいみたいな、そんな感じのポリシーで出しているイメージかなと思いますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/70
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071・礒崎哲史
○礒崎哲史君 ありがとうございました。だから、権利と責任が明確に示されているということなんだろうなというふうに理解しました。
その中で、先ほど冒頭の御説明の中で、日本のそういった施策に関しても、中小機構の様々な政策、バックアップに関してはもっと評価されるべきというお話をしていただいたんですけれども、この中小機構のこの政策がそれほど効果的にうまくいっているという、そこの理由は一体どこにあるというふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/71
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072・清水信哉
○参考人(清水信哉君) ちょっとこれもコントラバーシャルかもしれないんですが、中小機構が直接スタートアップに投資したりというのはそんなにやっていないと理解しているんですね。どっちかというと、そのプロのVCに出資しているという形が多いというふうに理解しています。私、これ非常に良い形だと思っていまして、つまりやっぱり、さっきの目利き力を鍛えるにはという話もありましたが、やっぱりその行き来のない組織で、その失敗が難しい組織で、その失敗ベースのアップサイド最大化ゲームについて投資していくというのはやっぱり難しいなというふうに思うんですね。
そういう意味で、ある意味、自前で投資するんじゃなくて、そういった民間のVCにお金を入れていくという形で、そっちに目利きしてもらうみたいな形が割とうまくいっている一つの要因なんじゃないかなというふうに私は思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/72
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073・礒崎哲史
○礒崎哲史君 ありがとうございます。是非参考にしていきたいというふうに思います。
続いて、福島参考人にお伺いをしたいんですが、先ほども、これ冒頭の質問のところで、このMアンドA、なかなか経験もない中で実際にこれをやっていく中で、する側もされる側もやはり知識がない、経験がないという中で、確かに難しいんだろうなというふうには思うんですが、これを、じゃ、実際にそれをもっとみんなが広く正しい知識を持ってやっていくためにはどうしたらいいかというところでもしお知恵があればというのと、あわせて、成功するMアンドAと失敗してしまうMアンドAの違いは一体どこにあるのか、もしその辺で御意見をいただければ有り難いと思います。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/73
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074・福島豪
○参考人(福島豪君) まず、後者の方のお答えとすれば、我々、今成功したとは考えていないんですけれども、成功するようになるまで頑張って統合を続けるということだと思っていまして、もうなかなか、失敗だといって認めてしまって、はい、さようならというわけにはなかなかいきませんから、だから、チャレンジし続けて、成功するまでもう忍耐して頑張り続けるということかなと、我々はそういう方針でやってきたというところですね。
何かお知恵をとおっしゃっていただいたんですけれども、何でしょう、何か、こういう何か学問があってもいいのかもしれないなというふうにちょっと思うぐらい何かMアンドAって非常に複雑怪奇だなというふうに最近思っていまして、その企業と企業の営みなんですけど、でも一方で人と人のところもあるし、社員と社員のところもあるしということで、所詮弊社も数社しか経験はしてませんけれども、物すごく奥が深い事業だなというふうに思っております。そういう意味では、何か一つの学問としても成り立つぐらいのものなのかなというふうに私見として思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/74
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075・礒崎哲史
○礒崎哲史君 ありがとうございます。
その意味でいくと、御社の場合はやはり、まあ数社とは言いながらやはり経験をしてきて、その中でも恐らく失敗も、あれっ、予想していたのと違うぞということを経験をしながら、その中で、じゃ、次をどういうふうに改善しようかという会社の中でのいろいろな試行錯誤があっての今なんだというふうに思います。
もう一つ福島参考人にお伺いしたいのが、アカデミーをつくられて、実際に運営をされていて、将来的には学校法人化というお話も先ほどあったんですが、今はやりのリスキリングであったり、あるいはリカレント教育というものがありますけれども、御社で始められたこのアカデミーというのは、今言ったリスキリングという分野に入っていくのか、それとも従来型のOJTの延長上のようなものになる、どういうイメージでこれを始められたのかと、その点を少し教えていただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/75
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076・福島豪
○参考人(福島豪君) 構想はリスキリングという言葉が出てくる前から構想していまして、もう一番のやっぱり根本は社会課題解決でした。本当に、食のインフラ、それこそ食品を提供するところ、作るところというのは事業所としてはもう無数に日本国内にあって、それがトラブルが起きたときにちゃんと修理できないと、やっぱり事業が続けられないだけではなくて、やっぱり食中毒とかそういう重篤な何か被害が出る可能性がございます。そういう意味では、我々、特にやっぱり温度管理を守っていくインフラをつくる立場としては、やっぱり非常に社会的意義が高い仕事だというふうに考えているんですね。
だけど、そういうやっぱりそれに携わる人たちが、若い人がこの業界に余り入りたがらなかったり、入ってきてもしんどいからすぐ辞めてしまったりという状況がずっと私ここ十年見てきたんですね。これではまずいと。やっぱり、誇りを持って、しっかり実入りもあって、やりがいもあって、そういう仕事にしていくにはどうしたらいいかとずっと考えていたんですけれども、そこでたどり着いたのがやっぱり学校だったんですね。
私、一応教育大学出ていますので、何かこう、やっぱり教育に関わるところというのが非常に個人的にもこだわりがありましたので、数年前につくらせていただいたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/76
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077・礒崎哲史
○礒崎哲史君 ありがとうございます。
最後、ちょっと時間ありませんけれども、松江参考人に一つお伺いしたいと思います。
これも冒頭の質問をしたときに、文脈をしっかりと伝えていくということをお話をいただきました。まさにそのとおりだというふうに思います。これをやはりやっていこうとするには、経営者の皆さんたちの意識改革というものが私、非常に重要なんじゃないかなというふうに思います。
その経営者にしっかりと意識を変えていってもらうという仕掛けとして、さらに、この文脈を伝えていくということも含めて、プラスアルファ、更にこういうやはり仕掛けしていった方がいいんではないかというアイデアがあれば、もしお聞かせをいただけると幸いです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/77
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078・松江英夫
○参考人(松江英夫君) ありがとうございます。
まさに文脈に一緒に乗っかるという、この仕掛けをどう考えられるかだと思うんですね。私も先ほど経済同友会とか、私も経団連も接点もございますし、いろんな経営者のコミュニティーに私も属しているんですが、重要な政策に関して、事前のところからしっかりと同じ、官民がですね、同じチームとして議論をしていく、こういうプロセスをもっと深くやった方がいいんじゃないかと。
例えば欧州なんかを見ていても、いろんな脱炭素化の目標を決めたり、サーキュラーも、かなり官民がもっと事前の段階からかなりいろんなルールに関して議論をして作っていっているんですよ。なので、文脈は、おのずと共有の文脈の中でこういった法案が成立されるという格好になります。
ただ、この前工程が日本に関しては非常に短いし、関わっている人の数が圧倒的に少ない。だから、大企業だけじゃなくて、それこそ中堅・中小も含めたコミュニティーを広げて、こういった法案作りの一緒に作るというこの経路をもっと充実させていくことが大事だと思います。
かつ、政策も、どうしても単年度でこういったものを出していくと、こういったところってなかなか難しいので、常に複数年度で同じテーマに関してもアップデートをしていく。こういった経路をつくっていくことが今おっしゃったような文脈の形成にもつながるし、浸透にもつながるし、そこの中で政策の理解度にもつながるし、利用しようというモチベーションにもつながると、こういった機運を是非つくる。こういった政治と行政と民間の経営の、こういった一体になる政策の立案プロセスというのをもっと考えていけるといいんではないかな、こんなふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/78
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079・礒崎哲史
○礒崎哲史君 終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/79
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080・岩渕友
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
参考人の皆様、本日はありがとうございました。
まず初めに、松江参考人にお伺いをしたいと思います。
冒頭、参考人から、失われた三十年というお話がありました。それで、今回議論している本法案の中でもキーワードの一つになるのかなというふうに思うんです。
それで、この失われた三十年という状況をつくったその原因と背景ということで、産業構造審議会の中では、企業がコストカットと海外投資に注力をした結果、国内投資が大きく停滞をしたというふうに分析をしているんですね。その結果、大企業の経常利益は増えたけれども、その一方で、労働者の低賃金とそれに伴う個人消費の低迷が続いてきています。実際、足下を見てもそうなっているというふうに思うんですね。
本法案の中では潮目の変化が生じているというふうに言うんですけれども、こうした状況の下で潮目の変化と言えるのかなという思いもありまして、参考人、どんなふうにお考えになるかなというのをお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/80
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081・松江英夫
○参考人(松江英夫君) ありがとうございます。
私は、潮目の変化、この一、二年は実感として感じているところがございます。大きいのはやはり、今日お話ありましたけれども、まず賃金を上げていこうと。ここは、経営者も実際に働く人もそうですし、大企業も中小企業も含めて賃金を上げる必要があるよねと、そこから経済をしっかり立て直していかなきゃいけないよねと、ここの意識が同じ方向を向いているというのは私は大きな変化ではないかなと思うわけです。
〔委員長退席、理事古賀之士君着席〕
そこにおいて、賃金を上げるためにはどうすればいいんだろうかと、それは当然ながら価格をしっかり上げていく、そういったことは必要なので、適正な価格というのを市場としてもちゃんと担保できるようにということで、公的にもそうですし、さらに、企業としても実際に、まあ物価は輸入物価が上昇しているとかいろんな要因もありますけれども、一生懸命値段を上げようという努力をする、こういったことを同じ方向を向けて変わりつつあるという、こういう変化は私、非常に感じるんですね。
これは私は望ましい変化だというふうに思っていまして、いかにこれを継続していくかというところ、ここはかなりいろんな意味での構造を変えていく努力が必要なんではないかというふうに思っております。そこの構造を変えていくというのが、今日私のお話を申し上げたように、そこをやっていくためには国内にしっかり需要をつくっていくということが非常に大事なんですね。今までは、今日の私のお話で申し上げたように、需要がなかなか国内できなかったと、御指摘いただいたように、海外に投資が行くのでどうしても国内に投資が回らない、それによって需要が生まれないので売上げが上がらないので賃金も上がらないというところなので、この根本的に国内が成長マーケットにしていくということが私、非常に、継続的に賃金を上げていく上で非常に大事だと思っておりまして、それがゆえに、国内で需要をつくるためには投資が必要、さらに、この投資というのを国内だけではなくて海外からもいろんな人やお金を呼び込んで、日本という国内のマーケットをしっかり耕してつくっていこうよと。そうすることによって、新しいマーケットができれば雇用も生まれるし、しかも新しい需要が強いマーケットというのは質がいい、ある面、雇用が生まれやすくなるので、賃金が上がりやすいマーケット、ここに関してしっかりと教育に力を入れることによって、そこに従事できる方、これを増やしていくことによって賃金が上がっていく、こういったところを継続的にしていく。これが私が申し上げる循環ということなんですが、一過性ではなくて、国内でしっかりマーケットをつくることによって雇用につながり賃金につながる、この循環をつくるための構造変化がこれから重要ではないかなと。
そういう意味で、今回の法案に関しても、そこを後押しするという意味合いがあるのかなと私自身は感じております。
〔理事古賀之士君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/81
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082・岩渕友
○岩渕友君 ありがとうございます。
続けて松江参考人にお伺いをするんですけれども、この産業競争力強化法は制定されたのが二〇一三年だと、そのときのこの法律の逐条解説を見ると、失われた二十年からの脱却のためにこの法律が制定されましたというようなこと書かれているんですね。あれから十年余りがたって、今、先ほど来議論しているように、失われた三十年からの脱却だというふうに言っていると。これ、失われた二十年を脱却できないまま三十年になって、このままだともう失われた四十年というか、そういうことになりかねないんじゃないかというふうに思うんですよね。
こういう状況を招いている要因がどこにあるのか、そして、そうならないために参考人が何が重要だというふうに考えていらっしゃるのか、お考えをお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/82
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083・松江英夫
○参考人(松江英夫君) ありがとうございます。
私は、こういった招いた要因いろいろあると思うんですけれども、一つは、これちょっとお答えとしては分かりにくいかもしれないんですが、時間軸というこの捉え方に私はあると思うんですね。
つまり、余りにも近視眼的に目先のところ、例えばバブルがはじけた、リーマン・ショック、いろんなアクシデントがあって、ここからいかに回復するかと、目先の時間軸でいろんな必要なこと、改革もやってこられたというのがこの日本の状況だと思います。これは民間も政府も含めて。しかし、本来ならもう少し時間軸を長く見て、例えば十年先はどうなるんだ、若しくは二十年先、日本はどうなっているんだ、もっと言えば二十二世紀、日本はどうなっているんだと、このぐらい時間軸を長く見ると、世界観は私は変わってくると思っています。
今日私が申し上げた価値循環というコンセプトは、私は、二十二世紀モデルだというふうに私は思っています。というのは、人口減少というのは日本が一番早く面している、世界中で一番早く面している、ある種フロントランナーなんですね。ほかの先進国は、今、アジアの諸国もそうですけれども、だんだん人口減少になってくる。つまり、いち早く日本が人口減少に面している。これでしっかりとして、人口が減っていくんだけれども付加価値を高められるモデルをつくれるならば、二十二世紀から振り返ってみれば、これ日本というのは、人口減少の中だけど経済が成長できるモデルをつくった先進国で、フロントランナーだというふうなものに私は変えられるチャンスだと思っておりまして、今日申し上げた価値循環というのは、私はそこを変えていくための一つの提言としてお出しをしたところなんです。
つまり、十年先を見て、人口減っていくというトレンドは変わらないんだったら、このまま失われた四十年にならないために発想を変えましょうと、マインドセットを変えましょう、アプローチ変えましょうと、こういったところに民間の経営者も、皆さんもそうですし、みんながそういうふうな目で向いて、前向きに付加価値上げるにはどうすればいいのか、そのためのアプローチといろんな政策的な手だてを考えていくと。目先のところのキャッチアップではなくて、先取りしながら、先をより輝かせるためにということで少し長めの時間軸の中で大胆に考えていくという、こういう発想が私、非常に大事で、そこにおいては人口減少というのは一つの間違いなくコンテクストなので、ここのところを逆に発想を転換してプラスにできるようなアイデアというもの、これが本当に必要なんではないかなと思うんですね。
ということで、ちょっと時間軸というところを一つ申し上げましたが、賃金を上げて、実際、成長に結び付けていく上でも、今日申し上げたようなところを、長い将来の中で本当に成長できる芽、そこを国内でつくっていくという、こういった大きな骨があると継続的な賃上げとか成長においてもプラスになっていく、ここが根本的な転換点ではないかなというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/83
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084・岩渕友
○岩渕友君 ありがとうございます。
次に、福島参考人と清水参考人にお伺いします。
今日はお話にはなかったんですけれども、事前に配付された資料を見ますと、例えば、福島参考人は、CO2の削減は社会的責務だということで、環境アクション二〇三〇、そして環境ビジョン二〇五〇ということを掲げて取組を進めていらっしゃるということが紹介をされていました。先ほど、やり取りの中で、東日本大震災の後、省エネに取り組まれて、そのことが社員の方の誇りにもなっているというお話もありました。
それで、清水参考人も、新しい物づくりの力で持続可能な世界をつくるということを掲げて、省資源化、CO2排出量の削減を実現されているということで、とりわけ海外に販路を拡大されているということがお話としてもありました。
それで、RE一〇〇という取組がありますけれども、これが世界でも、そして日本でも広がっているように、その脱炭素、気候変動対策に取り組むということが企業の社会的責任として求められている下で、こうした取組をされている思いとその重要性についてどんなふうにお考えか、それぞれお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/84
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085・森本真治
○委員長(森本真治君) では、まず福島参考人からお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/85
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086・福島豪
○参考人(福島豪君) 御質問ありがとうございます。
我々、事業活動でCO2をもちろん排出しているわけなんですけれども、いわゆる物をつくって、お客様にお納めして使っていただいて、最終的に廃棄になるんですけれども、お客様のところで使っていただいているときにもう九割以上CO2を排出しているんですね。なので、やっぱり我々としては、ここの部分をお客様と一緒に減らしていくことが最大の社会的価値だというふうに考えておりまして、もう会社の中、会社でも一丁目一番地に置いている重要な指標になっているということが一つ。
もう一つが、私ども、冷凍冷蔵をやっていく上でフロンというものを使っているんですけれども、これがアメリカの学者の方によると地球温暖化に最も悪い影響を及ぼす物質だというふうに言われています。業界としてはフロンをノンフロンにしていこうという流れ、これは我々も乗っかっていまして、実は四月からノンフロン化どんどんどんどんやっていっているんですけれども、一方で、漏らさないという、この方向もあるんですね。
この漏らさないために、一つは、先ほど来出ている、その技術者を育成して一刻も早く正確に直すということ、もう一つが、やっぱりDXを使って事前に防ぐみたいなことをやっているんですけれども、いずれにしても、そのCO2排出量でお客さんのところに物すごく悪い影響を及ぼし、かつフロンを使っていて、もし万が一漏れると物すごく地球温暖化に寄与するということで、我々の事業活動自体が地球温暖化と物すごく密接になっているというのを五年ぐらい前から感づき、もう政府の皆さんの活動をお聞きしながら感づき始めて、SDGsという言葉が出てきて、もう何かやらなきゃいけないなと思ったときに、やっぱり会社として二〇五〇年のビジョンをつくらなきゃいけないんじゃないかと。
でも、それもただ単に掲げるだけじゃなくて、ここに向かって全社員が取り組んでいけるようなものにしていこうということで、環境アクション二〇三〇と環境ビジョン二〇五〇、おっしゃっていただいたものをつくって、今、全社活動にしているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/86
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087・清水信哉
○参考人(清水信哉君) 我々は非常にシンプルで、ビジネスチャンスだからやっているということで、スタートアップにとってCSRとかやっている余裕はないので、一切CSR的な視点ではやっていません。ビジネスチャンスだからやっている、以上、というイメージで、もうちょっと、若干補足すると、一時期、スタートアップでも、クライメートテック、いわゆるCO2削減に資する技術への投資がグローバルな投資額の二〇%とかを占めたこともあり、最近でも結構な割合を占めていますが、アメリカのVC等もかなり投資していますが、別にCSR活動で投資しているわけではないというのが実情。これは結構、日本で比較的間違えられやすい部分でもあると思うんですけれども、全くCSR活動ではなくて、クライメートテックというのは絶対に必要になると思われている技術で、今まだないものなので、それを開発して新たなスタンダードを取れると非常に大きなビジネスチャンスがあるという、シンプルにそれに向けて我々もやっているし、投資家も投資しているというイメージかなというふうに思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/87
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088・岩渕友
○岩渕友君 ありがとうございました。
最後に、福島参考人と清水参考人にそれぞれお伺いするんですけれども、中小企業対策、そしてスタートアップ企業への支援ということで、今日お話もいただきましたし、これまでのやり取りの中でもいろいろあったんですけれども、今の対策で十分かどうか。それで、もし十分ではないというところがあるとすれば、それはどういったことなのかということで、更にどう改善することが必要かということで、改めての部分もあるかと思うんですけれども、お二人の考え、それぞれお聞かせいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/88
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089・森本真治
○委員長(森本真治君) では、福島参考人からよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/89
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090・福島豪
○参考人(福島豪君) 何かお答えになるかどうかはちょっと分からないんですけれども、やっぱり、失われた三十年のお話さっきされましたけれども、ちょっとそのことは、僕も二年前に社長になったばっかりなので、もう次の三十年しか見ていないんですけど、やっぱり何か経営者の役回りがすごく重要になっているなというふうに思うんですね。
私、四十七歳になったところなんですけれども、今、若い経営者といろんなコミュニティーで交流しているんですけれども、非常に皆さん優秀です。そういう意味では、私よりもちょっと下ぐらいからちょっと上ぐらいの四十代の経営者がいかに日本で活躍していけるかということが重要だなと思っていまして、これは政策云々のところかどうかはちょっと分かりませんけれども、若い経営者がやっぱり野心を持って、日本をもっと良くしていこうと思ってやっていけるかどうかに懸かっているのかなというふうに思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/90
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091・清水信哉
○参考人(清水信哉君) ちょっと私も結構自由形の回答になるんですけれども、私ちょっと、結局、その需要をつくるのが偉かった時代、完全雇用が偉くて需要をつくるのが偉かった時代が長かったと思うんですけれども、今むしろ日本では人手が足りなくなってきているという中で、むしろ課題は山積しているのに人手が足りないという状況になってきているというふうに思いまして、特に人工的に需要、ありもしないというか新しくつくらなくても、世界には例えば地球温暖化の解決のために必要な技術のうちのまだ半分ぐらいしか我々は商用化していない。
つまり、半分というのは今から開発しなきゃいけないものだし、それを開発できたらそこの領域を独占できるかもしれない巨大なビジネスチャンスがあるというものが別にまだ解決されずに放置されているという状態でもあるので、そういったものに、何かビジネスのその基本に立ち返ってといいますか、何か世の中を今までできなかったことをできるようにしていく、今まで十人掛かったことを三人でできるようにしていくみたいな、そういうイノベーションということにフォーカスしていけると私はいいかなというふうに、そういう志というかモチベーションの方が増えていくことが私はすごくプラスかなというふうに思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/91
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092・岩渕友
○岩渕友君 ありがとうございました。審議の参考にさせていただきたいと思います。
以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/92
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093・平山佐知子
○平山佐知子君 平山佐知子です。よろしくお願いいたします。
今日は、本当に貴重な御意見、充実した時間をありがとうございました。
いろんなお話があったんですけれども、特に松江参考人の方からありましたけれども、あの失われた三十年、この停滞の理由の一つとして、需要創出力の不足ですか、イノベーションは本来は需要サイドから起こるべきものであったというふうなお話があって、なるほどと思ったんですけれども、ここで三人の方にそれぞれ伺わせていただきたいと思います。
日本のこのビジネスを表す言葉として、技術で勝ってビジネスで負けるという評価であったり、また、なぜ日本にはGAFAのような企業が生まれないのかという言葉もあります。そうした中で、やっぱり優れた技術力があれば当然ながら競争力としては優位な立場であるべきなのに、今まで持っていたかと思われるその技術力がどう世界で使われていくのか、やっぱり需要という点がまあこれまでなかなかなかったのかなという気が私もしているところです。やっぱり、世界を注意深く見てリサーチをして、需要がどこにあるのかということをしっかり見極めていくということがなかなかできていなかったのかなというところが一つ私の思いでもありました。
そんな中で、やっぱりこの全体を、技術がどうあって需要がどこにあるのかというところをしっかり見定める人材というか、トータルでプロデュースするような方々、すばらしい技術力を生かしていけるようにしっかりと助言というかアドバイスできるような人材というのも、なかなかこれも足りていなかったのかなという気もしているんですが、そういった点も含めて、どこに問題があって、どうしていけばいいのかというのを、三人、それぞれ参考人に伺わせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/93
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094・森本真治
○委員長(森本真治君) じゃ、松江参考人からお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/94
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095・松江英夫
○参考人(松江英夫君) ありがとうございます。
非常に重要な御指摘だと思います。問題意識、私もかねてからそう思っておりまして、私が、なぜ例えば技術で勝ってビジネスで負けると言われる要因になったのかというのは、今日私が申し上げたことの二つのある種組合せだと思うんですが、全体を見るということと長期の時間軸、ここの力が弱かったからだというふうに私は思っているんですね。いろいろ日本というのは技術力が強いというのは、これは今も昔も変わらずに皆さん思っていらっしゃることで、この先も変わらないと思います。非常に重要なところだと思うんですが、ただ、ビジネスというのは、まさに需要というところ、これは全体というのは、世界で全体で見ると、そこの中で、かつ将来的に、目先の三年とか五年だけじゃなくて、先ほど申し上げましたが、十年後、二十年後も含めてですね、世界がどうなってきて、どういうふうな需要が潜在的にあるのかというところから始めると、こういった見方を多くの日本の企業というのはしてこれなかったというふうに思うんです。
よく私はいろんな経営の方々と接点がある中で、日本の企業の特徴は、中期計画というところは非常に重きを置いてやるんですね。この中期って三年とか五年なんです。これがある面で長期的な物の見方を阻害している。政策も骨太というのを毎年やっています。予算も単年度です。したがって、日本全体として時間軸が非常に短いんです。これが本当の意味で産業の競争力を私はそいでいる構造的な要因だと思っています。
したがって、ここのところを短期、中期から長期に、私どもはよくズームイン、ズームアウトという言い方するんですけど、ズームイン、遠くを見て、目先のところを見るという、こういう、ある面、短期と長期を行ったり来たりするぐらい柔軟に長期と足下のところの変化というのを結び付けて考えていくということを、企業もそうだし、先ほどEBPMの話もありましたけれども、政策に関してもそういうふうな見方で、全体感をロングレンジで見るという癖を付けていくことが私は非常に重要だと。
そうしますと、今日申し上げたように、脱自前というのはおのずとできてくるわけですね。例えば、スタートアップ企業の特にシリコンバレーの方々というのは、まさに今申し上げたズームイン、ズームアウトってそういう連中のコミュニティーで出てきた言葉なんですね。最終的なでき上がりを見たときに、自分たちでやるものはここの方が早い、でも、ここはほかの人に渡した方が早い、ここのところはここの国につくらせた方が早いという、全体のでき上がりから逆算して自分たちの強みをフォーカスするところとほかのところに任せるところ、ここの仕分をするんですね。したがって、結果的に脱自前になっていくわけです。本当に強いところを特化していく。
ところが、日本の場合は積み上げで発想するので、今あるものを是とした上で、さあ、あしたどうしましょう、これをまた積み上げていくという思考法なので、なかなか新しいものが生まれないし、ほかと組むということもなかなか発想できないし、積み上げていくとスピードが遅くなるので、あっという間にほかの国がどんどんどんどん新しいビジネスモデルになってしまう。
したがって、長期の時間軸かつ全体を俯瞰して見る、まさにトータルプロデュースと、まさに私もそうだと思いますが、ここを、官民双方課題があるんです。ここのところ超えていくような形をしていくことがまず非常に大事かなと。そのためには、こういった場も含めて、ビジョンをしっかり示しながら、そこに向けた政策というふうな格好を発信していくことも大事だし、民間側もそこを同じ目線でくみすることも大事、そういったところから始めることは大事かなと思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/95
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096・福島豪
○参考人(福島豪君) ありがとうございます。
私どもは、二〇三〇年に向けた海外事業のビジョンを来月早々にリリースさせていただこうと思っているんですけれども、御質問いただいた内容、何か海外のことを思い付いたので、ちょっと海外のお話をさせていただきたいんですけれども。
まず、我々、先ほども説明させていただいたように、十一か国に拠点を出してビジネスをやっているんですけれども、やっぱり何苦労しているかというと、やっぱりローカル化していくのに物すごく苦労しています。
というのは、日系企業のお仕事というのは、外食産業の皆さん、どんどん今アジアに出店をされておられますので、そのお手伝いはしっかりとさせていただいているんですけれども、一方で、価格のこともあるんですけれども、ローカルのプレーヤーの皆様とのお取引、若しくは、私どものローカルのスタッフとお客様のローカルのスタッフとのやり取りみたいなことがなかなかうまくいかなくて苦労しています。
ここは、もちろん我々のその手腕のなさもあるんでしょうけれども、各国各国で結構ルールが違っていて戸惑うこともあります。それはもうお金の動かし方一つ取ってみても違うと。こういうことが、いろいろ取りに行けば情報あるんでしょうけれども、なかなか我々そういうものをうまく取りに行けていないというのがあるのかなと思っていまして、そういったところに何かサポートがあるとうれしいなというのが一点と。
もう一つ、例えば、我々でいう第三国、例えばインドに進出しようと思ったときに、今いろいろ自前で調査はしているんですけれども、例えば政府や関係機関の皆さんに何か頼らせていただくことが、間違っているのか間違っていないのかもちょっと分かっていないんですけれども、何か御相談できる窓口が明確にあったりすると、我々としてはいわゆる意思決定をもう少しダイナミックにできたりする、早くできたりするんじゃないかなんていう思いがあったりもします。
ちょっとお答えになっているかどうか分かりませんけれども、技術のところをしっかりと持っているつもりでもビジネスでうまくいかない、海外でうまくいかない理由というのは今申し上げたところがあるかなと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/96
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097・清水信哉
○参考人(清水信哉君) お答えとしては、私は非常にシンプルだなと思っていまして、リスクを取っていないからという、それに尽きると思っています。
リスクマネーの額については何度も言っていますが、今の例えばGAFAがなぜ生まれていないのかみたいな話については、日米の差って日米で戦争したときよりもはるかに大きいわけですね。つまり、あのときは、日本はGDPではアメリカに負けているものの、国家予算のほとんどの割合を戦争に費やして戦おうとしたわけです。それに対して今は、五倍のGDPがあるアメリカに対して、GDP比のリスクマネー比率というのが日本は十分の一なんですよ。つまり、五倍のGDPを持っているところに対してリスクマネーのGDP比が十分の一ですというリスクマネーでGAFAが生まれるかというと、それは生まれるわけないやんというのが多分普通の発想だと思っていまして、それを、その絶対量は、物量は足りないけれども、工夫とかで何とかなるんじゃないかというのは私は間違った考え方かなというふうに思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/97
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098・平山佐知子
○平山佐知子君 ありがとうございます。
それぞれの立場からの御意見をいただきまして本当に有り難いなと思って、次の審議などにも生かしていきたいなと思うんですけれども、やっぱり、先ほど礒崎さんからもありましたけれども、やっぱり経営者の意識改革というのもそういう中で必要になってくるのかなと思って、先ほど松江参考人の方から、官民の議論をもっとやっていくべきだ、長い長期の、長い議論の経路をつくっていくという話もあって、なるほどと思ったんですけれども。
福島参考人に伺いたいんですが、先ほどそういうお話がありました。福島参考人の事前のお話の中でも、社長に就任されてからやっぱりこの企業価値の向上についてますます考えるようになったというふうに事前の資料にも書いてありまして、やっぱり、例えばESG経営を推進していかに企業価値を高めていくかとか、やっぱりこの社会的イシューをしっかり持つということが必要不可欠だというお話がありました。
これ、やっぱりすごく大事だと思うんですけれども、私も地域を回っていますと、経営者の中にはこの、例えば環境対策に取り組む、社会的課題に取り組むにはどうしても社内のコスト増につながってしまって一歩踏み出せないとか、そういう意識がまだ持っていらっしゃる方も中にはというか、結構いらっしゃるなという私は印象があるんです。もっともっとやっぱり何かの一つの課題に突き進んでいくには、先ほどもあったように、みんなが一緒になって分かりやすく示した上で、国民も事業者も国もみんな一緒になって進んでいかなければ、例えば二〇五〇年カーボンニュートラル実現もこれ難しいわけで、大きな一歩を踏み出さなくてはいけないという中で、やっぱりこれって経営者の意識改革というのも非常に大きいと思っているんですが、御自身としては、どうしてこういう企業価値を高めるために社会的イシューを取り入れてやっていこうというふうに、何かきっかけとかそういうものがあったのかどうかというところをちょっと伺わせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/98
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099・福島豪
○参考人(福島豪君) 先ほど実は割愛した部分に若干そのエッセンスがあるんですけれども、社長に就任したときにパーパスを発表して、重点施策でSDG人と言ったんですね。SDG、サステナブル、デジタル、グローバル、で、SDGsのちっちゃいSのところに人間の人を入れてSDG人にしたんですね。この四つの項目の中で、ちっちゃいけど人に一番力を入れると社長になった瞬間にみんなに宣言したんです。今はやりの言葉でいくと、人本経営というか、人的資本経営なんでしょうけれども。
とにかく、賃上げも含めてもっとやっぱり、もっと人に注力した経営をやっていかなきゃいけない、それが最大のやっぱり差別化になるというふうに確信的に思っている部分がありまして、ただ、そのためにはやっぱり価値を生んでおかないと、先ほど申し上げたように、その価値を生んでおかないと人の投資できないんですね。これ、価値創造スパイラルと言っているんですけれども、人への投資も工場の投資も何の投資もやっぱり価値を生まなきゃできないので、まずはやっぱり価値創造をしなきゃいけないと。そのためにはやっぱり人が原点にあるということで、それを分かりやすく最初に社員のみんなに説明をして、多分ある程度分かってくれたんじゃないかなと思うんですね、僕の思っていることが。そこが僕の原点にあるのかなということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/99
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100・平山佐知子
○平山佐知子君 ありがとうございます。
まず経営者がしっかりと意識改革をして、それを理解して皆さんにやっぱり伝えていくという、そういうことが必要なのかなと改めて思いました。
もう一つぐらい大丈夫ですね。それでは、そういう意識改革という点で松江参考人に伺いたいんですけれども、事前にいただいた資料の中で、下から目線で学ぶリバースメンタリングについて、こういう改革も必要じゃないかということをおっしゃっていらっしゃったと思います。なかなかやっぱり日本的組織としての、まあ良い面もありつつも、そういう改革というのも必要なのかなと。私はちょっとへえと思って読ませてもらったんですけれども、なぜやっぱりそういう改革が必要だと思うのかというところと、改革によって何が生み出されるとお思いなのかという、もう少し詳しくお話を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/100
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101・松江英夫
○参考人(松江英夫君) ありがとうございます。
私、御覧いただいた資料の中で、まさにリバースメンタリングという、下の世代から上の世代が学ぶと、こういったことを企業でもかなり取り入れたり、あともう一つ、私のキーワードで、現場は先端であって末端ではないと、末端と捉えるか先端と捉えるか、これによって経営の在り方は大きく変わる、こういったところをかねてから申し上げているんですね。
まさに、今日の議論もありましたけれども、これから日本というのは、私はエージフリー、つまり年齢という概念というのをある面もう柔軟にしていく、取っ払っていくという、こういう発想がいろんな意味でイノベーションを生み出していく、私は大事だと思っているんですね。どうしても日本の場合は年功序列とか、年というところが一つのクライテリアになっていろんな制度もつくられてきているところはありますけれども、実はそこの中に眠っているいろんな要素がある。
特に、若い世代というのは非常に環境の変化に敏感ですし、先ほど、社会性の意識も高いし、逆にもっと流動化していくので、上が聞いてくれないと辞めてしまうというぐらいですね、かなりこういった動きが盛んになってきている。こういった方々がちゃんと上に物を言える、若しくは上が一緒に対等で考えることによって、随分いろいろなことって変わっていくんではないか。
日本が、私、変わっていくのは、一つはその年齢という概念を取っ払って、最終的には個というところだと思うんですね、個人の個というところ。個が輝くというところにいかに重点を置けるか、これ企業においても、いろんな社会保障制度も含めた在り方に関しても、私は、そこを起点にいろんなものを考えていくと、いろんな物事は変わっていくのではないか。その一つがまさにリバースメンタリングということで、デジタルのこととか社会的価値なこととかというのを下から聞くことによって、経営者がそこでマインドを変えて、逆に若い人と一緒にやっていく場面どんどんつくっていって、それにふさわしいようなルールとか組織にしていく。これは一つ有効なところの手だてだと思いますし、こういったところを至る所でやっていけば、実はシニアというのは日本の中でボリュームゾーンなんですが、ここの意識が変わっていくことがかなり大きなものを変えていくんですが、そこの取っかかりになるのは、年齢という概念を取っ払って若い人もそこに一緒に入っていく、こういった包摂的なことをつくっていけば、私は大いに変わり得るんじゃないかなと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/101
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102・平山佐知子
○平山佐知子君 ありがとうございます。
大変貴重なお話いただきまして、次に生かしていきたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/102
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103・森本真治
○委員長(森本真治君) 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。
参考人の皆様に一言御礼を申し上げます。
参考人の皆様には、今日は長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。ただ、あっという間の時間だったというぐらい、大変今日は興味深いお話を委員会一同聞かせていただいたというふうに思います。今後の委員会の議論にしっかりとまた生かさせていただきたいというふうに思います。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。本日は誠にありがとうございました。(拍手)
本日はこれにて散会いたします。
午後三時三十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01220240528/103
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