1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和六年五月三十日(木曜日)
午前十時開会
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委員の異動
五月二十九日
辞任 補欠選任
辻元 清美君 吉川 沙織君
五月三十日
辞任 補欠選任
松村 祥史君 星 北斗君
吉川 沙織君 石川 大我君
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出席者は左のとおり。
委員長 森本 真治君
理 事
青山 繁晴君
中田 宏君
長峯 誠君
古賀 之士君
東 徹君
委 員
浅尾慶一郎君
越智 俊之君
小林 一大君
上月 良祐君
星 北斗君
丸川 珠代君
渡辺 猛之君
石川 大我君
村田 享子君
吉川 沙織君
里見 隆治君
三浦 信祐君
石井 章君
礒崎 哲史君
岩渕 友君
平山佐知子君
国務大臣
経済産業大臣 齋藤 健君
副大臣
経済産業副大臣 上月 良祐君
事務局側
常任委員会専門
員 山田 千秀君
政府参考人
内閣官房新しい
資本主義実現本
部事務局次長 馬場 健君
文部科学省大臣
官房審議官 伊藤 学司君
文部科学省科学
技術・学術政策
局科学技術・学
術総括官 山下 恭徳君
厚生労働省大臣
官房審議官 増田 嗣郎君
経済産業省大臣
官房長 藤木 俊光君
経済産業省大臣
官房技術総括・
保安審議官 辻本 圭助君
経済産業省大臣
官房商務・サー
ビス審議官 茂木 正君
経済産業省大臣
官房審議官 菊川 人吾君
経済産業省大臣
官房審議官 井上誠一郎君
経済産業省大臣
官房審議官 荒井 勝喜君
経済産業省大臣
官房審議官 田中 哲也君
経済産業省大臣
官房審議官 田中 一成君
経済産業省経済
産業政策局長 山下 隆一君
経済産業省産業
技術環境局長 畠山陽二郎君
経済産業省商務
情報政策局長 野原 諭君
資源エネルギー
庁長官官房資源
エネルギー政策
統括調整官 山田 仁君
資源エネルギー
庁省エネルギー
・新エネルギー
部長 井上 博雄君
資源エネルギー
庁資源・燃料部
長 定光 裕樹君
特許庁総務部長 滝澤 豪君
特許庁審査業務
部長 山下 隆也君
中小企業庁事業
環境部長 山本 和徳君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○新たな事業の創出及び産業への投資を促進する
ための産業競争力強化法等の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/0
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001・森本真治
○委員長(森本真治君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、辻元清美君が委員を辞任され、その補欠として吉川沙織君が選任をされました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/1
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002・森本真治
○委員長(森本真治君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
新たな事業の創出及び産業への投資を促進するための産業競争力強化法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房新しい資本主義実現本部事務局次長馬場健君外二十名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/2
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003・森本真治
○委員長(森本真治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/3
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004・森本真治
○委員長(森本真治君) 新たな事業の創出及び産業への投資を促進するための産業競争力強化法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/4
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005・青山繁晴
○青山繁晴君 皆様、おはようございます。
今日も、主権者におかれては、平日にもかかわりませずわざわざ傍聴に来ていただき、心からありがとうございます。
今日、実は一人分としては本日最長の時間いただいていまして、横にいらっしゃる長峯理事の差配と理事会から認めていただき、ありがとうございます。実はかなり恐縮しております。
今日も、いわゆる与党質問はいたさず、政権党として根幹に立ち返る質問を試みたいと考えております。
まず、大臣にお尋ねします。
これまでは、そもそも産業競争力強化法という法律があること自体を知る主権者国民も、あるいは中小零細企業経営者の方々も、あるいは従業員の方々も多くはなかったと考えています。
この経産委員会というのは、この場だけの専門用語が結構多い委員会だと思うんですけど、これ、略して産競法、産競法と言っているんですけど、この産競法は、元々は十年前の西暦二〇一四年に施行された法律です。そこから十年はどういう十年だったかと。そのさなかにはアベノミクス効果もあったんですけれども、しかし、いわゆる失われた三十年のうちの言わば最後の三分の一でもあるわけです。したがって、日本の産業の国際競争力、まさしく競争力が低下止まらなかった十年だと言わざるを得ない側面があると思います。
したがって、まずこの法律を改正するに当たって原点として考えねばならないのは、元々この産競法が逆効果だったのか、あるいは逆効果とはまさか言わなくても効果が薄かったのか、あるいは競争力低下の原因に対して不十分だったのか、又は、実は回復を準備する効果があったのか、そこの総括を、もう一度申します、原点として、齋藤大臣からお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/5
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006・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) まず、産競法は、過当競争、過小投資、過剰規制、この日本経済の三つのゆがみを是正するということを目的として制定をされました。
例えば過当競争につきましては、石油精製業や情報通信機器製造業など、幅広い分野における約百四十社の事業再編支援を行い、我が国の産業構造の変化を促してきました。また、過小投資につきましては、産業革新投資機構による投資先において計一・一兆円もの民間投資を生み出し、日本のスタートアップの資金調達環境を下支えをしてきました。さらに、過剰規制につきましては、新事業特例制度等の事業者単位の規制改革制度、事業者単位ですね、に行いまして、例えば電動キックボードのシェアリングビジネスなどの新分野でのビジネス展開を後押しをしてきました。このように、産競法は、我が国における産業競争力の強化に一定の、一定の成果を上げてきたものと認識しています。
しかし一方で、これまでの産競法の取組では、企業がコストカットに注力をして利益拡大を図るというこの傾向、設備投資や人への投資がその結果抑制されて、経済成長の抑制に結果としてつながってきたという課題に十分対応することができなかったと、私は、この法律だけではできなかったというふうに認識をしています。
このため、本法案では、経済産業政策の新基軸の考え方の下で、社会課題解決に向けた国内投資の拡大あるいはイノベーション投資を後押しするため、前例のない大胆な措置を講じようとするものであります。本法案を含めて、予算、税制等のあらゆる政策ツールを組み合わせて、コストカット型経済から、投資も賃金も物価も伸びる成長型経済へ転換できるように取り組んでいきたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/6
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007・青山繁晴
○青山繁晴君 私は社交辞令申しませんので、本当に誠実な答弁をいただいたと考えています。私の質問要旨というのは、おととい、もう長文で出してありまして、行政官を通じて大臣にはその意図を、上がっているとは思うんですけど、齋藤大臣と直接打合せとかそういうことはしませんので、今の御答弁は私としてはかなり納得のいくものだと思います。
この元々の産競法、産業競争力強化法に足りなかったところも実際に言及されたと思うんですね。コストカットの経済をやめようというのは、総理発言にもよく出てきます。コストを削ることばっかり考えて、経済の成長をむしろ阻害したというのが私たち共通の、与野党問わずの反省だと考えていますから、そこを変えようとする志は僣越ながら評価いたしたいと、あるいは期待いたしたいと考えています。
その上で、二点目は、この改正法案が、今ちょっと過去のことを振り返ったんですけれども、これから来る現実に耐えられる法案なのか、あるいは中央突破できる力が、経産省だけでは全部できませんけれども、そういう力を持っているのかということを問わざるを得ないんです。
恐らく待っているのは、まず利上げなんですね。円安が、異常な円安が、日米の金利差、アメリカがどんどんどんどん金利上げてしまいました。利下げすると言っていてなかなかしないので、当然、利子の付かない円を売って、利子のたくさん付くドルを買うというのは当たり前のことですから、日銀の植田総裁の慎重な御発言ではありますけれども、利上げしたいという意欲がにじみ出ているわけです。しかし、私はそれに批判的です。
なぜかというと、次の利上げ、日銀が仮に踏み切ったとしても、例えばアメリカが最初にやったような〇・二五%の利上げなんかとてもできないです。やったとして〇・一%でしょう。〇・一%の利上げを今、日本がやっても、日米の金利差は実態としてはほとんど縮まらないです。その代わり、反動は大きくて、中小零細企業への打撃になることはもう避けられないです。
この委員会の委員の皆様がよく理解されているとおり、主権者にも理解していただきたいというか、理解されているとおり、私は、いまだに武漢熱、ウーハン・フィーバーと国際社会でも呼んでいますけど、いわゆるコロナで、無利子無担保の融資を経産省の英断で中小零細企業を助けるためにも行ったんですけれども、その返済すらできずに苦しんでいる中小零細企業は実は逆に増えているんですね、この武漢熱の収束傾向が少し見えていてもですね。そうすると、〇・一%の利上げは、円安を緩和する効果がないのに、期待できないのに、中小零細企業への深刻な打撃になることはもう避けられないと考えて、本当に懸念しています。
しかも、もうアメリカでも既に兆候出ていますけど、当然住宅ローンの変動金利を押し上げますから、そうすると、今、日本経済に少し明るい兆しがあるのは、一つは、後でもう一度言いますけど、不動産バブルなんですよね、バブルです、実は。でも、不動産の活況が下支えしているわけですけど、変動金利が押し上がると、日本国民は非常に賢くて敏感ですから、この住宅需要も細っていくことが懸念されます。
さらに、こういうことを考えると、個人消費の回復はかなり難しいんですね。そこに社会保険料が上がって、定額減税があっても、国民には増税不安が強いんです。
これ、事実、総務省の家計調査を点検しますと、ざっとこの十年で大体御家庭の、平均的な世帯の御家庭の社会保険料と、それから、消費税じゃなくて直接税の負担増を考えると、大体二十万円ぐらい上がっているんですよね、平均。現在の年収のレベルから見て、平均的なレベルから見て、十年で二十万円負担が上がるというのは大変なことなんですね。
そのさなかで、経産省の管轄としては再エネ賦課金も、前回の質問で大臣にあえて、早期に廃止すべきではありませんかということを申しました。しかし、逆に実は上がっています。というのは、経産省の資料にもありますとおり、再エネでつくった電気がよく売れると再エネ賦課金は下がると。去年は下がっていたわけです。今年、その電気が余り売れないので再エネ賦課金が上がっていて、ということは、ツケが結局もういつものとおり消費者に回っているということなんですね。
そうすると、これから来る円安を何とかしろという声に応えて利上げが行われたりするときに、この再エネ賦課金の見直し、あるいは電気代やガソリン代の補助が終わるということを考えれば、大臣がさっき御答弁いただいたとおり、この法改正の志は極めて正しいんですけれども、現実には、経産省の管轄の中でやれる国民負担の軽減、国民負担率も上がるばっかりですから、もう五割五割ぐらいになっているわけですよね、官と民の負担が。
それを考えたら、大臣からもう一度、できれば再エネ賦課金の問題も含めて、経産省にできることというのを、法改正に加える形でお聞かせ願えないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/7
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008・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) まず、エネルギー価格の激変緩和措置は、国際情勢の緊迫化等を背景としてエネルギーの国際価格が急騰する中で、緊急対応として実施をしています。これを、緊急対応ではなくてもっと長く続けるということをもしすれば、それは皆さん喜んでいただけるし、まあ選挙に出る人間としてはやりたいという気持ちもありますが、しかし、この政策はやはり緊急時対応として行うべきだろうと私は考えています。
燃料油価格の激変緩和事業につきましては、中東情勢の緊迫化等を背景とした価格高騰リスクや様々な経済情勢を見極めるために、四月末までとしていた措置を一定期間延長することとしています。国際情勢、賃金動向も含めた様々な経済情勢やエネルギーをめぐる情勢などを私はよく見極めながら、今後適切に対応していきたいと思っています。
電気料金のお話もありました。電気料金の激変緩和事業につきましては、LNGや石炭の輸入価格がロシアのウクライナ侵略前と同程度に低下をした状況等を踏まえ、今月末まで措置するということといたしました。
今後は、徹底した省エネや再エネ、原子力の活用等によりまして、エネルギーコストの上昇に強い経済構造へ転換を進めていきたいと考えています。その上で、予期せぬ国際情勢の変化等により価格急騰が生じ、国民生活への過大な影響を回避するための緊急対応が必要となった場合には、迅速かつ機動的に対応していきたいと思っています。
なお、再エネ賦課金のお話がありました。これはもう御案内のとおりだと思いますが、再エネ拡大のための費用について、これはやはり需要家の皆様に広く負担いただくことがいいだろうということで、その単価は、再エネ特措法、法律で定められた算定方式にのっとって設定をされているものでありますので、この制度につきましては、カーボンニュートラルの実現に向けて着実に運用していきたいと考えています。
いずれにいたしましても、我が国経済に生じている潮目の変化、私はこれは本当に大事な変化だと思っておりますので、この変化を着実に定着させるために、投資も賃金も物価も伸びる成長型経済への転換を実現するためにあらゆる施策を総動員していくというのが基本的な考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/8
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009・青山繁晴
○青山繁晴君 大臣の御答弁に今大きなポイントが三つあったと思うんですけれども、答弁、今、当然今初めて聞いたんですが、一つは、今後、緊急対応などの必要があれば迅速かつ機動的に対応したいとおっしゃいました。これは政治家の決まり文句に聞こえるでしょうが、私の問いに対しての経産大臣のお答えとしては含みが、良い含みがあると考えています。
つまり、硬直して対応するんじゃなくて、まずそのエターナルに制度を根幹から変えるなら当然法改正が必要だという含みでおっしゃっていて、それは別途考えなきゃいけないことだけども、しかし、現状の中でも、ウクライナ戦争の先行きも分かりませんし、それから戦争と戦争の危機というのは、実はウクライナだけじゃなくて、本当は世界的危機になっているので、そういうときには、不肖私が提案したこと、つまり国民負担を減らすということを軸にしてお考えいただくというふうに受け止めました。
まず、三つポイントがあるんですが、一つ目のポイント、この受け止めでよろしいでしょうか。ちょっと予定項目からはみ出ていますけど、できればお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/9
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010・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 先ほど申し上げたとおりなんですけれども、まず、基本的には、省エネや再エネ、原子力の活用等によって、とにかくエネルギーコストの上昇に強いエネルギー供給構造、経済構造を進めていくと。これ既にやっているわけでありますが、努力をしていくということに加えて、それでも、おっしゃるように国際情勢ってもう明日変わるかもしれませんので、そういう情勢の変化には、国民生活への影響をしっかり注視しながら必要に応じて対応していくというのは、これ当然のことだろうと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/10
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011・青山繁晴
○青山繁晴君 ありがとうございます。
二つ目のポイントが、この再エネ賦課金というのはあくまで需要家に御負担願うという趣旨だと、法に基づいた趣旨をおっしゃったんですが、そこは、実は私は前々から異論があって、需要家、つまり電気を使う、というか、ほとんど全部の人が使うんですけど、この需要家が求めているのは電気であって、それが例えば、実は廃棄物に大きな問題を抱えながら今まで表に出てこなかった太陽光パネルの電気が欲しいとか、あるいはビル四十階建ての大きさ、長さになっている洋上風力のブレード、これも二十五年から、もうちょっと早いかもしれません、潮風で、それが寿命が来たときに一体どこに捨てるんだということも含めて、再エネからの電気を欲しいという需要家ではなくて、もちろん、大臣と私は原子力の活用ということで意見一致しているんですけど、原子力についても深刻な議論はあります。
ただ、需要家はあくまで電気そのものを必要とされているのであって、それが、片仮名使うなと言っている僕が使いますけど、アプリオリに、アプリオリって便利な言葉で、直訳すると先天的ということになりますけど、あらかじめ決まっているかのように、再エネというのはすばらしくて万能で、だから国民はそれを促進しなきゃいけないから黙って負担してくださいという考え方が、もう実はとっくに終えんを迎えているんですよね、イデオロギーじゃなくて。
そのことを考えると、再エネ賦課金の在り方については、大臣が前回おっしゃったように、すぐに廃止はできなくても、だんだんFIT制度も実はある意味縮小していくわけですから、急にやることは難しいけれども考えるという御答弁だったと思うんですよね。
その需要家ということに対する考え方、これも予定項目そのものではありませんけど、できればお考え、お聞かせ願えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/11
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012・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) まず、再エネによってつくられる電気というのは、要するにコストが掛かるわけであります。つまり、その余計に掛かるコストを誰が負担すべきかという、そういう素朴な議論なわけです。電力会社は負担はできないわけでありますので、むしろそのどういう人たちに負担をしていただくかということを考えた場合に、やはりその電気を使わない人に、あるいは、電気は使っているんだけど、もっとたくさん使っている人がいるのに使っていない人に多額の負担をしていただくというのはやはりおかしいのではないかという考え方があるわけですね。
やはり、その電力において再エネを進めるに当たって、これは進める必要ないという人もいるかもしれませんが、これはもう国策としてやらなくてはいけない、そのコストを誰が負担するかということであるならば、やはり電気を使っている方に負担をしていただくというのは、一つの考え方として私は十分成り立つ考え方だと思っていまして、その考え方に基づいて既に法律で計算方法まで決まっているということがありますので、我々はその現行法に基づいて対応を行政としてさせていただいているということだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/12
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013・青山繁晴
○青山繁晴君 私が大臣の答弁を解説することはないんですけれど、ただ、今おっしゃったことは非常に正確なんですよね。使っている人が負担すべきという意味の需要家ということであって、再エネを喜べと言っているわけじゃないという趣旨だというのは理解します。
それで、今、参議院のホームページでどなたもインターネットでこの審議、御覧になれますよね。そうすると、恐らく今大臣がちらっとおっしゃった、この電力会社に負担させられないというのに引っかかる人が多分いると思うんですよね。
それで、だから、私が解説するのも変ですけど、これは電力会社に責任がないという意味ではなくて、私の立場でいうと、福島原子力災害は普通言われてきた原因と違います、私は現場を見ていますから。その上で、原子力は再開すべきだと考えているんですが、電力会社は再開しようとしてきたわけですよ。
例えば、福島のすぐ近くの東北電力の女川原発は、震度もやや少ないですけど似ていたし、津波の大きさも似ていました。でも、被害ゼロですね、単に防潮堤が高かっただけで。私は、福島の事故現場、事故進行中の現場に入った後に女川に行ったら、女川原発の中の体育館に、これ何度もお話ししているんですけど、反対派の町民もお住まいになっていたわけですね。原発が一番安全だと分かったからということだったわけです。
でも、それが十三年間も稼働しないままなんですよね。そのために、これはっきりした試算がないんですけれど、油やガスを高値で海外から言い値どおりで買ってしまって、恐らく電気代にこの十三年の間に二十兆以上の負担増になっていると、私が仮に試算するとそうなるわけですね。
これ、いきなり言いますけど、例えば共産党の質問なんかでももっと出てほしいんですよね。原発を止めているのはいいけど、二十兆以上の余計な油やガスを高値で買わされていて、それが需要家負担ということで一般消費者に来ているということは、与野党を超えて考えるべきだと思うんですね。だから、これはもうお願いとして、その再エネ賦課金の在り方というのは、齋藤大臣の在任中にお考えいただきたいと願います。
それから、三つ目のポイントなんですが、時間長くても油断しているとなくなっちゃうんで、三つ目のポイントは、大臣の答弁の最後に潮目の変化とおっしゃったんですね。潮目の変化が起きているのは間違いないです。ただし、きつい質問ばっかりで本当に内心萎えるんですけれども、言わざるを得ないのは、潮目の変化についての認識が甘いと思うんですね。
今回、この法案審議、随分審議やってきたんですけど、この審議の冒頭で、お世辞じゃなくて、若手期待の星の越智俊之議員の質問に対して、若手期待の星、政府参考人、つまり、分かりやすく、主権者のために分かりやすく申し上げると、経産省の行政官、僕は敬意を込めて、役人とか官僚とか言いません、行政官です。選挙に選ばれない人も必要なんです。その経産省の責任ある行政官は、気を緩めてはいけないと答弁なさったんですね。ちょっと私は愕然としたんですね。そんな段階ですか。株価の四万円台乗せ、四万円落ちても今大体三万八千円ぐらい維持していますよね。それって本当は、主要国に三十五年も遅れてようやく元の水準に戻ったというのが事実ですよね。
それから、春闘における賃上げも、大企業が中心という問題以外にも、実は同様に三十年以上遅れてやっと賃金が少し上がり始めたかな、諸国の国民がいただいている賃金の水準にこれから戻るのかなという段階で……(発言する者あり)前委員長がいろいろおっしゃっていますが、言論は自由ですが、何よりも、事実、物価の高騰に追い付いていないわけですよね。だから、実質賃金、実際に手にする賃金水準はまだ二十四か月連続マイナスなわけです。
それから、設備投資の回復傾向、これ、済みません、齋藤大臣も三十年ぶりに百兆円投資だとおっしゃっていて、それは事実なんですよ。事実なんだけれども、これ相当、もうこれ私個人の考えかもしれませんけど、円安効果があるわけです。円安は、悪いことだけじゃなくて、むしろ本当は企業収益にとっては良いことが多くて、特に設備投資、過去の統計を調べると、私は資料って出さないんですけど、それは話が途切れるからで、資料は点検していますが、そうすると、円安のときは設備投資増えるんですよ。したがって、違う言い方すると、この設備投資も、本質的な回復だけじゃなくて円安に助けられているわけです。
そうすると、今言ったとおり、企業収益の改善も円安に助けられていて、為替は予測すべきじゃないというのが、私が経済記者だったときの鉄則と教わってきたんですけど、でも、恐らくこれ以上円安に振れるよりは、百六十円にまた乗せたりすることはあっても、基本的には円高に戻っていく傾向のがありますから、そうすると、今までの、今申し上げた潮目の変化というのが円高に振れるだけでもろくも崩れるおそれがあります。そして、経産省御自らの統計でも、既に倒産件数は増えているわけです。
さらに、さっき言いました不動産バブルについて、私は記者出身ですから、業界団体幾つもお会いしまして直接お話を聞き、それから町の不動産屋にも飛び込みで入って聞いてみましたけれども、そうすると、円安何とか止められないんですかと、材料費が上がって上がってどうしようもないと。で、売れている売れていると言うけれども、それ、例えば僕も中古マンションに住んでいます、今も私ローン払っていますけれど、中古マンション値上がりしているんで、これ売って新築マンション買ってもいいですかと聞いてみたら、実は円安で材料費が上がっているから、新築マンションの値段も単にバブリーな異常な高値なんですと。だから、もう億ションが東京では死語になっているそうです。知っていました、億、普通だそうですよね。それで、これも調べたんです。そうすると、本当にそうなんですよね。
これを別な言い方で言うと、中古マンション売って買い換えても質は上がっていないと。実は材料費が上がっているから、中身は上がっていない。しかも、この不動産が活況なのは実は東京、大阪などの都市部が中心であって、地方には惨たんたるところもあると。しかも、これはバブルなのでいずれ崩壊します。それを考えると、このままでは、産競法の改正も改正前の産業競争力強化法と同じように、本来の志を達せずに終わる懸念があると思います。
長話で恐縮ですが、さすがに大臣は、潮目の変化を強調されつつも、楽観してはいけないと答弁されました。これも厳しいことを言うようですが、政府参考人のおっしゃった気を緩めてはいけないと大臣の楽観してはいけないというのは似て非なるもので、差があるんですよ。なぜかというと、例えば、大学入試の若者に先生が気を緩めてはいけないよと言ったら、それは今までの勉強ぶりでよい、多分受かるよということですよね。しかし、楽観してはいけないよと言ったら、それは受かるかどうかまだ本当は分からないんだと、落第のおそれも十分あるんで、これまでの勉強ぶりでは実は足りないということなんです。
そうすると、今の潮目の変化というのは、もう一度言いますが、三十から三十五年ぶりにようやく諸国に、先進諸国を中心にした諸国に追い付く可能性が出てきたということにすぎないんじゃないでしょうか。
この法改正を経産省とオンラインで討論したという経団連のまとめによると、この改正の柱は二つだと。一つは、税制改正によって国内投資を増やす。もう一つは、従業員二千人以下の企業のあるものを中堅企業、中小企業じゃなくて中堅企業という新しい言葉で定義して、その中堅企業とスタートアップ企業、いわゆる起業の企業ですね、起業なさる企業への支援だと。これ、逆に見ると、財界の解釈では目玉はこの二つに絞られるということになるんですね。
そこで、大臣の見識に期待してお尋ねいたします。三十年から三十五年停滞していた日本経済をよみがえらせるために、この法改正はどこまで実際には役割を果たせるんでしょうか。お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/13
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014・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) まず、私の先ほどの答弁で、電力会社にかぶせるわけにはいかないという発言についてちょっと少し補足させていただくと、要するに、かぶせたらやらないということですので、やらせるために必要な措置としてこの賦課金があるということでありますので、誤解なきようにお願いをいたします。
それから、潮目の変化について、青山先生、いろいろお話をいただきました。この言葉は、私が経産大臣になる前から使われている言葉であります。そして、この言葉に対しては、肯定的な御意見、否定的な御意見あります。私は、そういう意見がある中で、私個人としてのこの言葉の理解は、潮目の変化にするという意思の込められた言葉であると私は理解をしています。そういう意味では、この、お話ありましたように、失われた三十年を脱出したというほど楽観できるものではないと、むしろ潮目の変化にするためには、これからも様々な政策を継続をしていかなくてはいけないという基本的な考えであるということはまずお話をしていきたいなというふうに思っています。
その考えの下で、この法案でありますけれども、投資も賃金も物価も伸びる成長型経済への転換を実現するために、まず、その戦略分野国内生産促進税制、イノベーション拠点税制は、私は、国内投資や立地の拡大を図っていく上で効果があると思います。かなり斬新的な政策でありますので、私は効果があると思っています。また、地域の良質な雇用の提供者である中堅企業、ここのイノベーションを牽引する、中堅企業やあるいはそのイノベーションを牽引するスタートアップ企業に対する支援措置というのは、私は、イノベーションや新陳代謝を促進していく効果があると思っています。
ただ、この法案に基づく税制や金融面の措置だけでこのデフレ型経済からの脱却ができるかというと、そんなに甘いものではないと思っています。したがって、このほかにも、御案内のように、半導体の国内工場の建設のために我々かつてない努力をしていますし、それからGXを、国内投資を促進するための措置も法案も通していただきましたし、国債ですね、GX経済移行債を発行して二十兆円を投入をすると、そして社会実装を世界に先駆けて実現をして、そして遅れてくるほかの国のマーケットを取りに行こうというところまでつなげられないかという努力をしているわけでありますので、こういう我が国がやれそうな分野についてきっちりと産業政策を展開をしていくということも続けていかないと、私は実現できないと思います。難しい課題ではありますが、潮目の変化にしたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/14
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015・青山繁晴
○青山繁晴君 大臣の、潮目の変化にすると、したいの前にするとおっしゃっていましたので、その言葉を誠実な言葉として受け止めて、僣越ですけれども評価いたしたいと思います。
次に、この法改正の中には、その投資をめぐって、これまで日本経済は本当は海外投資が多くて国内投資が少ないんだという問題意識があります。そこは正しいです。やっと肯定評価が出たのかと思われるでしょうが、この後がまた厳しくて、まずその正しい面でいいますと、今言いましたとおり、円安はやがて少しは円高に振れていくでしょうが、そのときにまた国内投資が減らないようにしなきゃいけないんですね。しかし、その上で、国内投資が少ない根幹というのは人口減です。企業の立場からすれば、人口が減っているところに投資してどうするんだということになりますから、この人口減と、それがもとになっている需要の減少、それが根幹なんですね。
この法改正の一番根本的な問題の一つは、基本的に全て供給側なんですね。供給側について企業を勇気付けようということは盛り込まれているんですけれども、需要側を励ます内容というのが実質的にはほとんど見られません。見られないと考えています。
人口減の対策というのは、管轄でいえば経産省の管轄ではないですけれども、しかし、人口が減ってもなお需要が減らないようにする。人口減ったら必ず需要減だというのは、はっきり言うと、むしろ経済界の思い込みであって、そうとは限らないことでありますから、この、人口が減ってもなお需要の減少は起こさせないというのは経産省の役割の一つだと思うんですね。あえて申しますと、この産業競争力強化法を改正するならば、本当は、例えば需要喚起法というものの制定も経産省の取組として今後必要じゃないかと思うんです。
人口が減っても需要が増えるためにはどうするのかというと、まず、個人の購買力高めないといけないです。貯蓄に回る原因になっている不安を緩和して、さらに、買いたいと思わせる、付加価値の魅力を高めなきゃいけない。そのために、今回の法改正にはユニコーン企業の増加というのがあるんですよね。このユニコーン企業というのが、さっき委員長の顔を拝見しながら申し上げた、この経産委ではここだけの言葉がよく飛び交うんですよね。ユニコーン企業と言われて、お子ちゃまはあのユニコーンだと思うだけだろうし、それから一般の主権者がユニコーン企業というのがすぐ分かるかって、違いますよ、それ。
これって本当は、アメリカにアイリーン・リーという人がいて、この人がカウボーイ・ベンチャーズという、そのまんまアメリカ風のベンチャーキャピタルを立ち上げて、この人がユニコーンが好きで、で、企業価値が十億ドルを超えている企業の一部にそのユニコーンと名前を付けて、その後、デカコーンとかヘクトコーンとかいう名前まで出てきたということであって、だから、要は、今までと違う考え方で需要を喚起して、先進国でも物が売れるような企業のことを言っているわけですよね。
しかし、それも、ユニコーン企業といっても結局は供給側なので、需要の側に目を向ける。それはどういうことかというと、国民の生活の質を高めるということです。国民の生活の質を高めることができたら、かつての通商産業省が、通産省が経済産業省、経済という、まあコンプリ、また片仮名言っちゃいけないけど、包括的な名前に変わった本当の意味が僕はやっと生まれると思っているわけです。ゆとりがないと生活の質を高めようとはならないので、その上で、これ主権者の方々にも意識していただきたいんですが、社会的なインフレ、物価高は止まりません。なぜかというと、元々資本主義はインフレでなきゃいけないんです。
さっき、私も住宅ローン返済していますと言いましたが、住宅ローンがなぜ成り立つかというと、返済真面目にやるからだけではなくて、インフレによって負担が重くなる、インフレというのはお金の値打ちが下がることですから、だんだんローンの負担が軽くなるのでローンが成立しているので、ローン、つまり金融というのは資本主義の血液循環なので、資本主義は元々インフレでなきゃいけないんですよ。
そうすると、物価は上がっていきます。あるいは上がらなきゃいけないので、その中で個人の購買力を高めゆとりを持たせるには、もう一度しつこく申しますが、国民の負担を減らすしかないんですよ。その国民の負担を減らすことについて、経産省に貢献できることもあるのではないかということをもう一度大臣にお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/15
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016・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 御指摘のとおり、個人消費始めとした需要サイドを盛り上げていくということも当然重要だろうと思っています。
経済産業政策の新機軸におきましては、昨年来、国内投資、イノベーション、所得向上の三つの好循環ということを掲げていまして、この所得向上入っているんですね。それで、個人の豊かさの実現に向けて所得向上を目標に明確に位置付けるということで、需要サイドの議論もこの場で行ってまいりました。
これまでの日本経済の停滞の背景には、国民にも企業にも将来への悲観というものがあったということを私は否定できないんじゃないかと思っています。これを払拭して、将来期待を醸成して成長型の経済に移行していくにはどうしたらいいかということで今様々考え、政策に落とし込んでいるところであります。
この点、昨日の参考人質疑でもあったというふうに聞いていますが、気候変動対策の技術は、今はないけれど、絶対に必要になるビジネスチャンスだから取り組むという趣旨の御意見があったやに私は聞いていまして、これだと思います。まさに同じ観点から経済産業省として社会課題に注目したときに、これ需要あるんですよ、これからやらなくちゃいけない、それを求める需要は。
したがって、その潜在需要をしっかり掘り起こして、それを企業の将来期待に結び付け、予見可能性をできるだけ高めて、これを国内投資の方に向けていくという努力というのが必要で、そのための産業政策というのは、やはり経済産業省がしっかり考えていかなくちゃいけないんだろうというふうに思っています。
そういう企業や国民の前向きなチャレンジを後押しするためには、二〇四〇年頃の将来見通しの議論というものを進めて、シナリオとして、人口減少下でも所得も生活の質も向上し、一人一人が豊かになることができるという経済社会の在り方を提示をさせていただいたところであります。
私は、こうした取組によって企業が積極的な国内投資を進めて、そこで得られる企業収益、これが所得の向上につながって、国民の豊かさ実感、購買力向上につながって、消費の拡大につながって、そういうようなことで更に投資が促進されるというような、いわゆる好循環に結び付いていくようにやっていかねばならないと強く思っています。
そのためには、やはり賃上げにつながる取組というものも、これも行うことをしていかなくちゃいけないわけで、この観点から、六年度税制改正においても、賃上げ促進税制を拡充するですとか、それから中小企業の原資の確保につながる価格転嫁対策、これもかつてないような取組を今させていただいていますので、こういうことも同時にやっていきたいと思っているわけであります。
消費者の行動というものを変えていくのは簡単ではありません。だけど、三十年以上続いてきた、賃金は上がらない、投資は増えない、物価は上がらない、こういうマインドを変えていく今チャンスが来ているというふうに私は思っていますので、先ほど申し上げたとおり、積極的な産業政策を経済産業省としては転換をして、これを継続、強化して、賃金も物価も投資も伸びる成長型経済を実現していきたいと思っています。
済みません、先ほど、参考人質疑、昨日と申し上げましたが、一昨日でした。申し訳ありませんでした。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/16
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017・青山繁晴
○青山繁晴君 大臣が参考人の御意見にも注目されているのも正しいと思います。
大臣及び経産省がこの法改正に当たって需要サイドのことを考えたのは事実だと思うんですね。単なる質問だけじゃなくて日常的に議論していますから、それはそのとおりなんです。それをより形にしていただきたいと。つまり、大臣は、やはりその賃上げも強調されて、そのとおりなんですが、賃上げだけだと、賃上げした分がまた貯蓄に回るんです。それは、アメリカと日本は全然文化が違うので、だから、トランプ減税をやっても、日本だったら多分トランプ貯蓄になっているわけですよね。それを考えますと、国民の不安を鎮めるということが重要なので、経産省と大臣が需要側にも考えを致されたということを、もっと次の法改正あるいは新法で具体化していただきたいと願います。
それで、その改正法の具体的な中身に更に踏み込んでいくんですけれども、一時間ずっと大臣は余りにも気の毒なので、なおかつ、実は上月良祐副大臣というのは僕は答弁に感心していまして、もう一度言いますが、社交辞令言わないんですよ、日常生活でも、思っていることしか言わないので、本当によく勉強されているんですよね。
それで、ここで一問、一問だけですけど、副大臣にお聞きしたいのは、この改正法の中に対象物質について税額控除って、これ難しい言葉、法律難しいですから、これも本当は変えた方がいいと思いますが、主権者が普通に読んで分かる文書にすべきだと思っていますが、その対象物というのは、物を決めて、その物を作るんだったら税金をお安くしますよと、あくまで作る側の話ですけど、そういうことが盛り込まれているんですね。
その中に、その対象物、変な日本語ですけど、対象物の一つに電気自動車等ってあるんですよね。この等に期待したいんですよ。実際には、その等の中に、電気自動車だけじゃなくて、燃料電池自動車であったり、あるいはプラグインハイブリッドという車も入っているんですけど。
上月副大臣にお聞きしたいのは、この電気自動車、EV、エレクトリックビークルの万能論というのは、もう欧州を始め衰退しているんです。東先生、お聞きですか。聞いておられると思うんですが、維新の方々はEVの大推進論者が多いように思うんですけれど、しかし、現実に欧州回っても、僕、下手くそなレーシングドライバーでもあるので、欧州政府等回っていると、欧州ってレーサーの地位が高いので、すごく車のことを聞かれるんですけど、そのEVが使いでが悪いと、それから、実は環境負荷も、本当は製造過程あるいは廃棄の過程を考えると、特に電池の廃棄の問題は深刻なので、かなりこの万能論は再エネと同じように後ろに引っ込んでいるんですね。そうすると、この等の中に、例えば、いわゆるEフューエル、合成燃料ですね、それももっと押し出してほしいと願うんですが、上月副大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/17
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018・上月良祐
○副大臣(上月良祐君) 御質問ありがとうございます。
投資の促進策には様々な指標があると思っております。分野ごとの特徴であるとか、既存の支援策や制度も踏まえた効果的な施策を講じていくことが必要だと思っております。
今般の税制は、戦略分野のうち、特に生産段階でのコストが高いといったなどの理由で投資判断が難しい分野について、生産、販売量に応じた措置を講ずることで国内投資の判断を引き出すべく創設をするというものでありまして、電気自動車や燃料電池車、SAF等をその対象といたしております。
御指摘の合成燃料や水素エンジン車につきましては、まだ、現在はまだ技術開発段階にあることなどから今般の税制の対象とはしていないわけでありますけれども、技術や市場の動向を見つつ、必要な施策を実施したり、あるいは検討しているところでございます。
合成燃料は、既存の内燃機関や燃料インフラが活用できます。そして、化石燃料と同等の高いエネルギー密度もございます。燃料のカーボンニュートラル実現をしていくための切り札の一つであろうかと思っております。その普及に向けた大きな課題の一つが製造コストということでありますので、グリーンイノベーション基金において五百億円を上回る規模で商用化に向けた製造技術の開発や国内外の製造プロジェクトの組成、参画などの取組を進めております。二〇三〇年代前半までの商用化目標の達成に向けて、現在、合成燃料の導入促進に必要な政策、それについても検討していこうと思っております。
また、水素エンジン車でございますけれども、自動車分野のカーボンニュートラルに貢献し得る多様な技術のうちの一つであるというふうに考えております。現在は民間の事業者が技術開発に取り組んでいる段階ということであります。技術開発の動向や商用化の見込み等を注視しながら、必要に応じて普及に向けた政策も検討していきたいと考えております。
本税制の対象の追加自体は現時点では具体的には想定はいたしていないわけでありますが、GX等の分野における国内投資の拡大に向けて、今後とも、技術や世界の動向なども十分に踏まえて、税制のほかに補助金、規制あるいは制度なども含めて、効果的な投資促進策を不断に検討していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/18
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019・青山繁晴
○青山繁晴君 副大臣おっしゃったとおり、合成燃料はまだコストが高くて、当面はリッター当たり二百円ぐらいまで下げるのが、例えばドイツにおいても現実の目標になっていると。一月にドイツに行ったときにもそれを痛感しました。ただ、ドイツのポルシェが真っ先にこのエンジンを残すことにかじを切ったのも、日本メーカーとしのぎを削ってエンジンの技術を向上させてきたわけですね。
地球環境に悪いのは、エンジンじゃなくて排ガスなので、そうすると、燃料を変えると当然排ガスが変わるわけですから、今までの日本人の努力と創意工夫、それからアドバンテージですね、本当は、有利になっている点を生かすためにも、今回の法案に入らなかったのは私は非常に残念で、副大臣がおっしゃったとおり、取組は強化していただきたいと願います。
たった一問でまた大臣に戻るんですけれども、この法案の特徴の一つに、MアンドAを強調しているんですね。それで、このMアンドAというのも一般の人にとっては何だろうということだと思うんですが、例によって英語で、Mはマージ、マージ、Aはアクイジションズ。それで、問題はアクイジションの方なんですね。マージという言葉、片仮名で言うとマージです、普通に英語で言うとマージ。このマージという言葉のニュアンスは溶け込むという意味なんですね、溶けるようにするという意味です。だから、経済用語になったら、これは合併になるんですよね。基本的には対等な合併のニュアンスです。それはいいんですよ。でも、アクイジションという言葉は、日常会話でアクイジションと使ったら奪い取ることです。したがって、経済に置き換えると、これは買収になるんですね。
そうすると、さっき言いました、記者出身なんで、中小零細企業者、例えば大田区の方々とか、現実に回るんですけど、そうすると、息子が後を継いでくれないとなったら、急にMアンドAというのを振りかざして、もう奪い取りに来られて奪われたと。それ実感なさっている議員の方多いと思うんですよね。そうすると、MアンドAというのは本当に良いことなのかというのを、哲学を持っている大臣にお聞きしたいんです。
というのは、大臣、農水大臣もやられました。安倍総理の英断だったんですが、非常に農業改革につながったと私は記憶しています。それで、プロにこういうことを言うのも僣越ですけれども、実は齋藤農水大臣が誕生する前に、日本の農業は、いや、日本の農水省は、ちっちゃいところで農業をやっているから駄目なんだと、大規模農業にするといって、結果何が起きたかというと、世界で石油メジャーの悪名は高いけど、穀物メジャーはもっとすごいんですよね。同じ土俵に乗っけられて、それで日本の農家は物すごく苦しんでいるわけですよ。
それを考えれば、このMアンドAで大きいことはいいことだみたいにするんじゃなくて、例えば東京の大田区で、仲間で仕事を回すということを特有の言葉を使ってやっているんですよね。それも生かして、この緩やかな中小零細企業連合という新しい在り方を模索すべきじゃないでしょうか、日本的なやり方として。大臣、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/19
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020・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) まず、農政についての言及がありましたけど、ちょっと意見が違いますが、別の機会にお話ししたいとは思いますが。
MアンドAにつきましては、様々なケースがあると思うんですけれども、例えばその後継者不在の中小企業の事業の承継につながったり、あるいはMアンドAの当事者である中小企業の経営資源の有効な活用によって、規模の拡大ですとか生産性向上につながるというケースも多々あろうかと思っていますので、こういうケース、政府はしっかり後押しをしていくべきだろうと思います。
今回の法案でも、中堅・中小企業のグループ化を推進するために、中堅・中小企業が複数の中小企業をMアンドAした場合の税制措置を講ずるということにしています。
この税制で典型的に想定しておりますのは、後継者不在の中小企業が自社の経営資源を買手となる中堅・中小企業に引き継いで、法人格を残した形で企業グループの一員となる場合を支援すること、こういったものを想定をしているわけでありますが、その結果として、グループ全体としてシナジー効果が発揮され、中堅・中小企業の更なる成長につながると、こういったことを目指しているわけであります。
他方で、委員御指摘のとおり、厳しい経営環境の中で、例えば様々な技術や強みを持つ中小企業同士が連携をして、受発注業務をデジタル化することで分業体制を組んで、全体として受注力、生産力を高める取組といった緩やかな形での通常の事業活動における連携の強化も私は非常に重要であろうと思っています。
中小企業の稼ぐ力を強化していくためには、現場発での様々な創意工夫というものが重要だろうと思っていますので、引き続き、様々な取組を研究しながら、中小企業政策として取り入れることができるかどうか、絶えず検討していきたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/20
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021・青山繁晴
○青山繁晴君 今大臣がおっしゃった、その連携強化が大切だというのは実はキーワードですよね。ですから、もう一度申しますが、そのアメリカナイズされたMアンドAという考え方を、もう一度言います、アプリオリに、まるでアメリカ様のやることだから正しいみたいに取り入れるんじゃなくて、大臣がおっしゃったとおり、日本の零細業者の力、これは伝統工芸だけじゃなくて先進産業にも通用することなので、その連携強化の文脈でこの法改正を使っていただきたいと願います。
ちょっともう時間が意外にもなくなってきたので、一問飛ばし、一旦飛ばしますけれども、この産業競争力強化法の改正というのは、要は積極財政なんですね。そうすれば、一番与党議員として言ってはいけないはずのことを言いますと、プライマリーバランスの重視というのは基本的に緊縮財政です。そうすると、この法改正と方向が逆なんですね。不肖私は明らかな積極財政の立場に立ちますので、そういう意味では、さんざん文句言ってきたけど、この積極財政、つまり、政府が関与すべきだというこの法改正は正しいと思っているんです。
さっきの電気料金云々のところの電力会社の話ですけど、私も話をあえて途中で切ったんですけど、原発は、民間事業者がやっているけれども国策なんですよね、原子力政策というのは。だから、原子力を、例えば女川原発を十三年止めてきたというのは電力会社の責任というよりは国策の在り方ですから、その部分は消費者に持っていくんじゃなくて政府が、政府も国民の税金で成り立っていますが、公債の発行も含めて政府が負担すべきだということを本当は申し上げたかったんです。
そのことも含めて、この法律は積極財政の考え方に立つので、まさか齋藤大臣にプライマリーバランスは考えなくていいと言ってくれとは言いませんよ、それ言ったら内閣不一致で逆に大問題ですから。そうではなくて、積極財政というものが根幹に必要だということを、産競法改正の主務大臣として、できれば発信いただけないでしょうか、あるいは問いかけいただけないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/21
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022・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 投資や賃上げのこの力強い動きを継続させる上で、私は、繰り返しますが、まさにこれからが正念場だと思っています。ここで経済が崩れると、また三十年停滞することになり、元のもくあみになりかねないと思います。
政府としては、骨太方針におきまして財政健全化目標を定めています。ただ、やはり、経済あっての財政という経済財政運営の考え方も十分踏まえる必要があると思っています。経済の立て直しに向けて、成長力の強化に向けた投資を進めていくことが重要であります。そうしたことも含めて、重要な政策の選択肢を狭めることがあってはならないと強く考えています。
我々としては、引き続き、積極的な産業政策を更に展開し継続することで、投資も賃金も物価も伸びる成長型経済に転換できるよう努力をしていきたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/22
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023・青山繁晴
○青山繁晴君 皆さん、お聞きになりましたか。
今、大臣は、言葉を選びながら、経済あっての財政であると、それから、選択肢を狭めることがあってはならないと。だから、今までも使われている言葉ですけど、今の質疑の文脈でいうと、私たちは積極財政をこの法改正で進めようとしているんだと理解してもいいと思います。大臣にあえて確認は求めません。
で、もう一問、やむを得ず省いて、その上で、経済力がないと外交力がないんです。外交力がないと拉致被害者も帰ってきません。大臣におかれては、これも社交辞令じゃなくて、実は余り知られていないけれども、困難な日米自動車交渉を、当時大臣は課長でしたか、(発言する者あり)まだ課長補佐のときに成功させた立て役者なんですね、本当は。だから、アメリカではすごくタフネゴシエーターとして、ケン・サイトウって知られているんですよね。
その上で問いかけをしたいのは、今、GDPの何位というのがはやっているじゃないですか。米国は不動の一位ですよね。ところが、実際にアメリカに行って、アメリカの企業にも行って話をすると、特にアメリカの政府の人が苦しんでいるのは、要は、今のアメリカの産業は、工場もなければ税金も払わないと。これを、GAFAやそれに連なる企業のことですけれども、雇用を増やさないんですよね。雇用を増やさなくて、しかも租税回避地を活用したりしていて、しょっちゅう紛糾しているわけですよね。
オバマ政権以来、アメリカは戦争国家でなくなっていますけれど、それは実は産業構造の変化が背景にあって、ロッキード・マーチンのような、日本でいったら三菱重工のような重たい企業が支えてきたのがかつての戦争国家アメリカだったけど、GAFAになったら戦争国家をやれないんですよね。
そのことを考えつつ、二位、三位を考えると、今後ずうっと中長期的に米中印になるんですよ。でも、アメリカはそのように人の雇用もなくなっていく社会だし、中印は、申し訳ないけど、責任持って申し上げるのは、歩いてきていますから、僕は、貧困層が置き去りになっています。日本はいずれもそんなことをしません。
したがって、日本は米中印のまねをしては駄目なので、この産業競争力強化法の改正の志というのは、人のために生きるという哲学を持っている例外的な国である日本人として、人への投資、だから、例えば国民の不安を鎮めることも大事ですと申し上げたので、その根幹を、法改正に当たって大臣にお聞かせ願えませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/23
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024・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 基本的には同感です。
この法案について御説明をしますと、戦略的国内投資を強力に推進するために、例えば、電気自動車やグリーンスチール等の産業競争力の基盤となる商品の生産、販売に対する大規模、長期の税制措置を講じるということであります。
これで事業者の国内投資を促進をして、それで我が国の物づくり産業の基盤強化にもつなげていきたいと思っていますし、この戦略分野における国内雇用の確保や、この分野における人材の育成にもつながっていくようにしたいなと思っています。
また、本法案でいいますと、中堅事業者、これは地域経済の牽引役として活躍してほしいと本当に思っています。地方における良質な雇用の提供者、さらには前向きな新陳代謝の受皿、そういった役割を是非果たしていただきたいというふうに思っています。
我々といたしましても、こうした成長志向の中堅企業を集中的に御支援させていただく枠組みを構築することで良質な雇用を地方も含めて拡大していくということが、私は、御指摘のような人への投資を進めていくことにもつながっていくのではないかなというふうに思っていますので、恐らく同じ考えでありますので、努力をしていきたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/24
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025・青山繁晴
○青山繁晴君 時間が来ましたが、最後に、昨日、表層型メタンハイドレートを推進する十二の府県連合である日本海連合会長の花角新潟県知事がおいでになりまして、大臣ともお会いいただきました。そのときに、今までどおり、このメタハイの開発を骨太の方針に入れてくださいと知事がおっしゃって、大臣も肯定的な御姿勢でいらっしゃいました。そこをよろしくお願いして、質問を終わります。
ありがとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/25
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026・古賀之士
○古賀之士君 おはようございます。立憲民主・社民の古賀之士でございます。
前回に引き続きまして、この産業競争力強化法の改正案、これについてまた深掘りをさせていただきます。
戦略的国内投資の拡大、青山委員からも、特に後半、様々な人への投資等の、あるいは積極財政への御質問がございました。私は、どちらかというと後者の国内投資拡大につながるイノベーション、そして新陳代謝の促進について伺ってまいります。
まず、皆様方に共有しておきたいことがございます。スタートアップの企業関連措置に関してですが、二〇二二年にこれ政府が策定をいたしましたスタートアップ育成五か年計画というものがございます。その五か年計画の主な内容だけかいつまんで御説明をしておきます、これからの議論に必要なものですから。
このスタートアップ育成五か年計画は、二〇二二年をスタートアップ創出元年と位置付けて、そしてスタートアップ担当大臣を設置して、そして、当時過去最大規模の一兆円のスタートアップ育成に向けた予算措置を閣議決定いたしました。そして、文言の中には、終戦直後、若い世代、二十歳代、三十歳代の皆さんたちが起業をしました電機メーカーや自動車メーカーが、後に世界的ないわゆるグローバル企業となってきたという文言が書かれまして、この五か年計画によりますと、第二の創業ブームを実現したいと、しっかりここに明記されているわけでございます。
そして、目標については、開業数、企業数の数だけではなく成長、すなわち規模の拡大にも同時に着目することが重要だと書かれております。そして、具体的な目標としては、三年後の二〇二七年度、計画から五年後になりますが、これを投資額十倍、つまり十兆円規模にすることを大きな目標に掲げております。そして、さらに将来においては、青山委員からも先ほどユニコーン企業の定義もありましたし、私も前回そこは説明させていただいたんですが、企業の、ユニコーン企業を百社創出、そしてスタートアップ企業は十万社創出、ユニコーン企業というのを改めて申し上げると、時価総額一千億円以上で未上場企業のことをいいますが、そして、日本をアジア最大のスタートアップのハブにしたいんだ、そして世界有数のそのスタートアップの集積地にしたいんだ、こういうことが書かれているわけです。ちょっと前置きが長くなって申し訳ございません。
それで、このスタートアップ育成五か年計画の今年は三年目になりますが、二〇二四年の今年、現時点での進捗状況、これどうなっているのか、内閣府にお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/26
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027・馬場健
○政府参考人(馬場健君) 先生御指摘いただきましたとおり、二〇二二年に策定したスタートアップ育成五か年計画におきましては、二〇二一年に八千億円程度でありましたスタートアップへの投資額を、五年後の二〇二七年度に十倍を超える規模とすることを大きな目標に掲げてございます。
スタートアップへの投資額につきましては、二〇二二年度以降、ウクライナ侵略による地政学リスクの高まり等により、ベンチャーキャピタルの資金調達額が減少し、市況が低迷し、世界的に落ち込んでおります。
民間の調査結果では、海外主要国における二〇二三年の投資額は、先ほど、二〇二一年我が国八千億円と申し上げましたが、例えばアメリカでありましたら、二〇二一年比で約五九%減、中国は約三五%減、英国は約四八%減と大きく減少しております。他方で、我が国では、同じ民間による調査結果によりますと、二〇二三年のスタートアップへの投資額は七千五百三十六億円でございまして、対二〇二一年比で一三%減と、他国に比べまして減少額は相対的に小さくなってございます。
この背景には、先生御指摘いただきましたスタートアップ育成五か年計画の実行に着手したことで、起業家、事業会社、内外のベンチャーキャピタル等の関係者において、スタートアップの創出、投資への機運が高まったことが評価されるものだと理解しております。また、過去十年間で見ますと、我が国のスタートアップへの投資額は約十倍と堅調に推移しておりまして、この点からも、我が国のスタートアップエコシステムの裾野は広がりつつあると認識しております。
政府としては、引き続き、スタートアップ育成五か年計画に基づき、予算、税制、制度改革など、あらゆる政策を総動員して目標の達成に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/27
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028・古賀之士
○古賀之士君 ありがとうございます。
ただ、具体的な今後については、ちょっと私、意見が異にするところもあるんです。
齋藤健経済産業大臣にお尋ねしますけれども、この五か年計画の今の現状を、答弁を受けて、大臣自身はどのように分析、また評価されていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/28
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029・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 今の御質問は事前にちょっといただいていなかったので、正確にお答えをすることは難しいんですけれども、私の皮膚感覚で申し上げますと、このスタートアップとかベンチャー支援というのは、長い間ずっと言われ続けてきたテーマでありますけれども、やはり、この目標を作ったということもあるし、エコシステムを一生懸命やってきたということもあって、私は、かなり昔とは違った機運の高まりというものを感じているということでありますので、この機運を是非生かしていきたいというふうに思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/29
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030・古賀之士
○古賀之士君 失礼しました。通告していたと自分では思っておりましたので、大変それは失礼をいたしました。もししていないのであればですね。
逆に言うと、そのスタートアップの盛り上がりというのを感じつつも、大切なものは、やはり先ほどの話がありましたとおり、どれだけやっぱりこの行政や政府、内閣がしっかりとその官民の競争力を持って推進をしていくかと、後押しをしていくかということになるかと思います。
それで、一方で、そのスタートアップを実際に立ち上げる、先ほど五か年計画の中にもありました、終戦直後の若い世代が焼け跡から様々な企業を立ち上げて、中にはグローバル企業に育っていったものがある。
ところが、資料の一を御覧いただきたいんですけれども、これは、インターネットでも御覧の方や今日御来場の方もいらっしゃいますので、口頭で簡単に説明させていただきますと、この資料はグローバル・アントレプレナーシップ・モニターといいまして、七か国、日本を含めました、日本、米国、フランス、イタリア、イギリス、ドイツ、中国、この七か国の起業活動の活発さを調査したものなんですね。
問いの中にあるこの四つの大きな質問を見て、極めて日本、残念な結果になっています。例えば、今後六か月以内に自分が住む地域に起業に有利なチャンスが訪れると思いますか、圧倒的に日本は最下位です。新しいビジネスを始めるために必要な知識、能力、経験を持っていますか、同じく最下位です。あなたの国の多くの人たちは新しいビジネスを始めることが望ましい職業の選択であると考えていますか、断トツの最下位です。まあ、断トツというのは、言い方もちょっと、日本語としてはおかしくないかもしれませんが。もう一つ、あなたの国では新しくビジネスを始めて成功した人は高い地位と尊敬を持つようになりますか、これも他国と比べて極めて差が大きく、最下位という現状がございます。
こういう起業活動の活発さを調査する国際的な調査を見ても、残念ながら、実際に起業しようという皆さんたちの機運が、少なくともこれ盛り上がりに欠けているように見受けられるんですが、これ、どのようにこの分析を考えられて、そしてどのような政策を打ち出すべきかと大臣はお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/30
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031・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 御指摘のこの各国の起業活動の活発さを示す調査の結果によりますと、委員御指摘のとおり、起業は望ましい職業選択かなど、先進国と比較して劣後しているということでありますが、他方で、この同調査の中には、起業関心層が起業やその準備を開始するケースが増加していることを示すデータなど、前向きな結果もあるというふうに承知しています。また、別の調査ではありますが、大学発ベンチャーについては、企業数、増加数共に足下で過去最多となったというデータもございます。
こうした様々なデータなどを踏まえて総じて申し上げれば、先ほど申し上げたように、国内のスタートアップエコシステムの裾野は着実に広がってきていて、起業に向けた機運は高まりつつあるというのが私の認識であります。こうした機運を更に盛り上げて、起業に挑戦してみようという人を更に増やしていくため、引き続き、起業人材の育成やロールモデルとなるスタートアップの育成、情報発信に取り組んでいくことが大事だなと思っています。
それで、具体的には、優れたアイデア、技術を持つ若手IT人材を発掘、育成する未踏事業の拡大ですとか、それから、ディープテック分野、地方への横展開、こういったものを行っていきたいと思っていますし、あるいは起業家の海外派遣プログラム等を通じた人材育成、あるいは日本が特別招待国、カントリー・オブ・ザ・イヤーとして注目を集め、フランスで開催されたビバテックのような国内外の大規模展示会への出展支援を通じた日本のスタートアップの情報発信、こういった取組によりまして、我が国の起業家精神を高めて、更なるスタートアップエコシステムの裾野の拡大に取り組んでいきたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/31
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032・古賀之士
○古賀之士君 確かに大臣がおっしゃるとおり、こういう結果が出ていて、一部では確かにいい調査も出ています。ただ、総じてやはり若い皆さんたちが、やっぱりスタートアップ、起業するという機運になかなかなり得ていないという現実もあって、大臣がおっしゃるように、人材の育成というのは一つ大きな鍵になるかと思います。
これ、前回もBトゥーCのお話で、それこそCというコンシューマーの皆さんたちが、やがて、あるいは後に働き手となったりする際の人材教育も当然必要ですというお話の議論もさせていただきましたけれど、その人材育成も、恐らく、文科省が若い皆さんたちからというような考え方がある一方で、やっぱり経産省さんが積極的にその人材育成に関して乗り出していくということも大切な視点だと思います。そしてまた、そこをまた厚生労働省の皆さんたちとうまく組んでいくということもやはり大切な作業だと思いますので、是非その辺は前向きに考えていただきたいと思っています。
現実に、今半導体で沸いている熊本では、国立の高専では、人材育成のための新しい、釈迦に説法ですけれども、学科を設けて半導体のスペシャリストをもうできるだけ多く輩出して、またそれが雇用の裾野の広がりになればいいなというのも一つの一例としてあるわけですけれども、ただ、残念ながら、やはり世界的な情勢の中で見ると、まだまだスタートアップや、それから、あと、後に話させていただきますが、ユニコーンの現状などを見るとなかなか厳しいものがあると思います。
それと、あともう一点、融資ですね。若い皆さんたちがやはりお金をどの程度、その融資に関しても、やはり民間の企業の皆さんたちで、確かに活発な方がお金を投資して、そして若い皆さんたちに期待しているという部分もありますし、また、政府系の政策金融の銀行もそういうことに対して門戸は開いているんですけれども、もっと関わりを持っていただいて、若い皆さんたちに対して積極的な文字どおり投資を図っていく場合、特に、先ほどから人への投資というキーワードが出ていますように、やはりそういう投資の部分に関して、若い皆さんたちが、言ってみれば借金を背負って果敢に挑戦していくという姿も、大変見ていて頑張ってと応援したくもなるんですけれども、一方で、やはりその環境を整えていくのがまた行政の役割だと思いますので、是非その辺をひとつ力強く推進していただきたいと思っています。
そして、その地域的な拠点といいますか、スタートアップの拠点というのが幾つか日本にもございます。例えば関西でしたら、東委員の地元ですけれども、大阪、京都、兵庫、この三地域でスタートアップを推進しようというものもありますし、私の地元の福岡にもそういうスタートアップのそういう拠点としての指定を受けて推進しています。
それが資料の二でございます。
これも簡単に説明をさせていただきますけれども、福岡市の場合は、二〇一二年のスタートアップ宣言から十年、そして相談件数は十倍、ファンド規模五倍、資金調達額は実に七十倍となっております。言ってみれば、よく言われる裾野の広がりというのは、これ福岡市では随分話題にもなっていますし、地元の新聞や、それからテレビやメディアも数多くその広がりを取り上げています。
我が国のスタートアップのその集積地として更に発展を遂げていくためにはどんなことが必要になってくるのかということをお尋ねしたいと思うんです。
特に、創業の裾野は広がったが高さは足りていないと、この資料の二にも、分析にも書かれているところがございます。いわゆる裾野の広がりは資金調達額だけでも十年で七十倍になりましたけれども、ユニコーン企業の数は、今、福岡の場合一社、ユニコーン級と言われるそれに近い企業が二社、これだけでもすごいことなんですけれども、高さがより求められているという部分で、大臣はどのような御所見をお持ちでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/32
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033・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 委員御地元の福岡市では、二〇一二年のスタートアップ都市ふくおか宣言を契機に、創業支援施設の整備ですとか、起業相談の対応ですとか、それから、起業後の成長支援、あるいはその海外拠点との交流事業などが行われた結果、このスタートアップエコシステムが着実に拡大しているというふうに私ども認識をしています。
経済産業省としても、日本をスタートアップの集積地とするため、こうした先進的な地域の取組、これを後押しするとともに、海外の起業家などの誘致も行っているところであります。
具体的には、内閣府と連携をいたしまして、スタートアップ支援に積極的な自治体、大学、民間企業などによるコンソーシアムをスタートアップエコシステム拠点都市として選定をいたしまして、アクセラレーションプログラムの提供やピッチイベントの実施など、集中支援ということをさせていただいています。また、地域の優れたスタートアップの育成プログラムでありますJ―Startup地域版により、地域の支援機関と連携した集中支援やイベントの開催なども進めています。また、スタートアップビザ制度を整備をいたしまして、自治体等から支援を受ける海外起業家の入国、在留、これも推進をしているところであります。
今後も、福岡市のような先進的な地域とも連携をしながら、日本全体のスタートアップエコシステムの底上げに向けた取組を進めてまいりたいと考えています。
委員御指摘のように、私の知り合いでアメリカでベンチャー立ち上げた日本人がいるんですけれども、彼の話聞きますと、こういうすばらしい技術があると、日本人が持っている、そうすると、おせっかいがいっぱい出てくるんだそうです。こういうベンチャーがあるから行ってみたらどうかと、こういう専門家いるからおまえちょっと行ってみたらいいぞとか、こういう大学でこういう研究しているらしいからちょっとコラボできないのかと、そういう人が周りにばあっと集まってきて、いつの間にか成長していくと。日本の場合は、せっかく若者が頑張っても、よう、頑張れよぐらいで終わっちゃっているわけですね。
そういう、何というんですかね、民族性の違いみたいなものもあるので、御指摘のように、大人は頑張っている若者をもっともっと関心持っておせっかいを焼くということも、特にその地域でやりやすいと思いますので、余計なことかもしれませんが、私、気付いた点としてちょっと申し上げさせていただきました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/33
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034・古賀之士
○古賀之士君 私見を交えて御答弁いただきまして、感謝申し上げます。
まさしくそこは共通の認識を持っているところでして、例えばアメリカなどは、大谷翔平選手の活躍を見ても、非常にもう受入れが優しくフレンドリーにやっていらっしゃるところもあって、逆に言うと、日本の本当に一部の皆さんたちの中には、これからちょっとまた問題提起させていただきますけれども、例えば、一気にもう俺たちはナスダックを目指すんだと、もう日本で上場やIPOじゃないんだと、もう将来はナスダックで勝負していきたいんだというぐらいの大きな夢を持っているんですね。そういう夢を何か応援していくなり、あるいは逆に大人の方から、いやあ、日本のIPOも、それは上場もすばらしいけれども、将来ユニコーンを目指すならばナスダック一気にやれよというような、そういうような、何ですかね、希望や夢を与えるような施策というのを、まさに大臣もやりたいし、そういう醸成をしていきたいというふうに受け取らせていただきました。
経産大臣、齋藤健大臣は、大学時代ハンドボール部のキャプテンをされていたそうですけれども、パスはですね、ハンドボール、御存じのように、パスをする回しで相手をどうやって切り崩していくか、このパス回しというのは、ある意味裾野の広がりをしながら上を目指していく、最後は、大臣がお得意だったジャンプシュートのように、高さを求めて、やっぱり高さを持ってシュートしていく、そしてゴールを目指していく、そういう若者を、やっぱり大臣も、学生時代御経験のそういうハンドボールも含めてちょっと連想していただいたらお分かりになるかと思うんですけれども、様々なやはり作戦や手腕があって、それをやはり、もう一部昇格寸前まで部を立ち上げられたわけですから、やっぱりそういうところを、高さを目指していくというのがやっぱりこれからの課題の中で、そうした中でも人材育成は特に大事な部分だと思っておりますので、是非よろしくお願いをしておきます。
さて、ユニコーンの創出、そしてスタートアップの出口戦略というお話も一部させていただいたわけですけれども、経産省にここで、じゃ、伺います。
その二〇二二年の五か年計画では、MアンドAとIPOの比率に着目すると、これ、日本ではIPOが八割に対して、米国ではMアンドAが九割という、次の資料三を御覧いただきたいんですけれども、いわゆるIPOの比率と、それとMアンドAの比率が日米もう明らかに逆の比率になっているということが挙げられます。
この九割を占めるアメリカに対してMアンドAの比率を高めていくということも恐らくこの産業強化法の中の一つにあるんではないかというふうには考えられるわけなんですが、この点について、まず日本の買手企業の戦略、それからマインドも、買収の先進国米国との差がやっぱり大きいというイメージがこのグラフからも示されていると思いますが、経産省はこの点についてまずどのようなお考えがあるんでしょうか。そしてまた、資金調達においては短期のこのIPOが主軸の現状、将来性や未来を考える中で、やっぱり現状ではもったいない気がするわけですね。
で、ゴールがIPOだということになるような今機運があるような気さえ、気がするわけです。例えば、スタートアップをした、そして業績が順調に伸びてきた。そうすると、じゃ、IPOによって上場をして、そして多くの皆さんたちが資金を集めて自分の育てた企業を何倍も、あるいは何十倍もなって売ってしまう。で、売ってしまった段階で、実はそこがピークだった、ゴールだったということも少なくないと思えるんですね。
現状、次にその辺のお話もさせていただこうと思うんですけれども、まずは、そのMアンドAとそれからIPOの比率が逆転になってしまっているというこの現状、そして、これはもったいないんではないかという私の認識がどうなのかというのをちょっとお尋ねします。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/34
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035・菊川人吾
○政府参考人(菊川人吾君) 委員の御指摘につきましては、まず、なぜMアンドAの方の比率のこの差が出ているかということと、あと、そこは極めて関連をするんですけれども、まあちっちゃい、早めにですね、先ほどの例でいえば、余り高く、ところからシュートではなくて、低いところからそのシュートしてしまうということで、それがいいのかどうかというところについての御指摘なんだろうと思います。
我々、時価総額、小さいうちに上場してしまうスタートアップが事実上多うございまして、これは、先ほど御指摘もあった、いわゆる時価総額が十億ドル以上のいわゆるユニコーンのようなものが育ちにくい原因にもなっているということで、ここについては日本のビジネス環境を変えていく一つの課題であろうというふうに認識をしております。これは、ベンチャーキャピタル、投資をする側が、運用期間が比較的、十年程度とかということで、その大きく、ぐっと大きくなる前にその運用期間が終わってしまうので、ここで上場してしまおうというような形になってしまうというような環境もございます。
そして、本来、スタートアップがいろいろと売り先を見付けたり、商品ができていよいよこれからだというところに対して、いわゆるグロースステージと我々言っておりますけれども、成長する段階にようやく来ているのに、そこで資金が途切れてしまうということがございます。
したがいまして、今回の法改正の一部にも入れていただいております産業革新投資機構や、あと中小企業基盤整備機構におきましては、そういった部分についての投資を行う民間ファンドに集中的にLP出資を行うような形で支援をしたいというふうに思っています。例えば、普通であれば十年ぐらいのものを、比較的十五年とか長めの投資ファンドに対してLP出資をしてそれを支えていくという形で、もう少し成長の時間を取ってあげるというような形でやっております。
また、スタートアップのMアンドAについては、単独では到達できないようなそのスピードとか規模感、これは非常に、達成するには非常に大事な戦略の一つであろうと思っております。これ、オープンイノベーション促進税制ということで、大企業なんかがそのある種のMアンドAという形でスタートアップに投資をすることで税制の支援をするというような形で、MアンドAのところについても一つの出口としてしっかりと応援をしていく、こういう形で整備をしていきたいと思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/35
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036・古賀之士
○古賀之士君 ありがとうございます。
先ほどの大臣の御答弁のように、そのおせっかいな方がいっぱいいらっしゃるアメリカというようなところを考えていくと、これ、大臣に提案をさせていただきたいんですが、例えば、アメリカやEU、それから韓国などでは、そのベンチャー企業が主体的に未上場株式を発行をしてですよ、自分が自ら、そしていわゆる募集活動を通じて独自の資金調達ができるという法律があると聞いております。個人も企業もその成長の可能性を持っていれば、未上場にあってもその企業に投資ができるというシステムなんですね。これは、ある意味リスクを伴うわけです、当然。ですけれども、米国やEUなどを中心に、つまり、ベンチャー企業が、そういう世話をしてくれるような方などがいてくれたら、そういう形で、じゃ、未上場なんだけれどもその株を買ってもらったり投資の対象にしていくということも、ある種大きな視野に入れてもいいのではないかと思っています。
これは、この点については答弁を求めているつもりではございませんので、一つの提案として、アメリカはそういう、欧米を中心にまたそういう法整備もあるということですので、スタートアップ企業の様々な選択肢を増やしていくということでは、そういう、投資する側も当然リスクはありますけれども、そういうチャンスの広がり、選択肢を増やすという法案が、法律があってもいいのではないかと思いますので、御検討いただければと思っております。
全体の様々なお話を伺った上で、次の質問に移らせていただきます。
国内投資の拡大につながるイノベーション、中でもその新陳代謝の促進という言葉が先ほどからも出てまいりました。この新陳代謝の促進というのは、どのような大臣はイメージや意味をお持ちなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/36
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037・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 産業競争力強化法には、産業活動における新陳代謝というのを定義をされておりまして、新たな事業の開拓、事業再編、事業再生等の事業活動を指すというふうになっております。
この趣旨は、誤解があってはいけないんですが、中小企業の早期退場を促すみたいな、そういうものでは決してありません。むしろ、その経済環境の変化に対応して、事業者自身がビジネスの力点を変えていくですとか、それから成長が期待される事業分野に資金や人材を振り向けていくですとか、そういう意味での産業競争力の強化のために必要だということであります。
この法案におきましても、国内投資拡大につながる新陳代謝を促進するということで、我が国経済の牽引役である中堅企業等による他社の保有する技術等の獲得ですとか、新事業開発等を通じた事業拡大を促すための複数回のMアンドAを後押しする税制措置ですとか、あるいは、スタートアップ企業等による新技術等を活用した新しいビジネスの創出を後押しするために、産業革新投資機構の運用期限の延長やNEDOによるディープテックスタートアップの事業開発活動への補助等を新たな取組として後押しする支援措置を講じることとしておりまして、こういう意味で使わせていただいているということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/37
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038・古賀之士
○古賀之士君 ありがとうございます。
スタートアップの分野で、今おっしゃったように様々な、今回、中堅・中小グループ化の税制を、あると思うんですけれども、これ経産省さんに伺いますが、これ、骨子を教えていただけないでしょうか。今回の中堅・中小グループ化の税制に関する骨子、そして、なぜ今大臣がおっしゃったように、MアンドAの複数回、焦点を当てているのか、教えていただけないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/38
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039・菊川人吾
○政府参考人(菊川人吾君) まず、骨子をということでございますので、税制につきまして、中堅・中小グループ化税制の概要につきまして、簡単に御紹介をいたしたいと思います。
成長意欲のある中堅・中小企業によるグループ化を集中的に後押しをする目的、観点から、準備金制度を対象にいたしまして、複数回のMアンドAを行う場合の積立率、準備金になりますが、MアンドA二回目の場合に九〇%、そして三回目以降一〇〇%という形で拡大をさせていただきまして、また、措置期間、その準備金を続けられる期間を十年という形で大幅長期化する新たな枠を創設したというのが骨子でございます。
そしてまた、なぜ今回、複数回ということで焦点を当てているかということについての御指摘がございましたので、その点についても申し上げたいと思います。
昨日、おとといですか、おととい、参考人質疑の質疑されましたフクシマガリレイ社社長来られておりましたけれども、そこでも御紹介があったと思いますが、新事業展開のために技術やサービスの獲得等を目的に複数の中小企業を取り入れてグループ化をいたしまして全体で一一%の賃上げを図るほか、グループ化した中小企業全体の成長、雇用拡大を実現したというような御紹介があったかと承知をしております。
まさにこうした例を増やしていきたいということでございますし、また、後継者不在のために事業承継、先ほど、前の委員の方からの御質問の中でもありましたけれども、事業承継を希望する中小企業が後継者がいないという場合に、取引関係のある中堅企業等による承継を希望して一緒にやっていきたいというような、こういった相談があるという声も我々聞いているところでございます。
そうした背景踏まえまして、中堅企業等によるグループ化の取組を後押しをすることを狙いといたしまして、中堅企業等が複数の中小企業をMアンドAした場合の税制措置を講ずるということにしたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/39
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040・古賀之士
○古賀之士君 では、その点についてまた大臣に、前向きな御答弁を期待しつつお尋ねをしたいんですけれども、スタートアップの分野での議論でも、そのMアンドAというのが中心的な課題になってはきているんですが、独自でこつこつととか、あるいは一人で行って何とか自分で課題を解決していこう、あるいは多くのスタートアップ企業が倉庫やガレージからスタートしているというような事例もあったりするんですけれども、そういう自己解決型とそれとMアンドAというのが、一見すると対極にも思えるんですけれども、実はそうではないよと、MアンドAをツールとしてどのように着目して活用されたいのか、大臣の御決意を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/40
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041・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 私は、MアンドAを通じて異なる企業同士が組織を再編をして相乗効果を発揮して変革を起こしていくということは、企業のイノベーションを創出したり、あるいは企業価値向上のための有効な手段の一つなんだろうというふうに思っています。もちろん、自社で全て賄うというのも悪いことではないと思いますけれども、ただ、イノベーションの創出や企業価値向上のためには、MアンドAが有効な手段となり得るということなんだろうと思います。
この認識の下で、経済産業省では昨年八月に、MアンドAの活性化を目的に、上場会社に対する買収のベストプラクティスをまとめた、企業買収における行動指針を策定させていただきました。今回国会で御審議いただいている産業競争力強化法等の一部改正法案におきましても、中堅企業のうち特に賃金水準や投資意欲が高い中堅企業を対象に、複数の中小企業をMアンドAした場合の税制措置等を講じることとしているのはまさにそういった趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/41
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042・古賀之士
○古賀之士君 ありがとうございます。
例えで言うと、それぞれが独自でおいしいあんこを作り、おいしいパンを作り、でも、明治にあんパンが発明されて、そして今も老舗を守っていらっしゃる。あるいは、カツカレーお好きな方が多いと思うんですが、豚カツ単品でもカレーライスだけでも、その単品ではおいしいんですが、カツカレーにするとなお一層おいしく、そしてまた、消費者だってそれに付加価値が付いて、それに対してもちゃんとお金を払える。言ってみれば、新しいそういうメニューを作っていく、そして、企業間同士で新しいものをどうやって化学反応を起こしていくのか、場合によってはそれは調味料になるかもしれませんし、素材そのものの開発になるかもしれませんけれども、ある種そういう御決意を進めていかれるというふうに個人的には解釈をいたしましたので、是非それは前向きに進めていただきたいと思っております。
一方で、実は、特に中小のMアンドAの急増で相次ぐトラブルが起きているということも、これ今大変な問題になっております。
大臣もうなずいていらっしゃるように、次の資料の四は、五月の二十五日付けの朝日新聞の一面の記事です。
タイトルは、「M&A仲介 国が実態確認 買い手紹介 トラブル続発」と書いてあります。その本文は、茨城県などに拠点を置く法人グループが、二〇二一年以降、飲食店や建設業者などおよそ三十社を買収、一部の会社では多額の現預金が流出し、従業員の給与や取引先代金、年金、税金などの遅延や未払が続出した、買収先の多くで社長に就いた法人グループの代表六十四歳は、昨年末から行方が分からず、一部の会社が警察に被害の相談をしているという内容でございます。
この相次ぐトラブルの状況に対しまして、まず、どのような現在まで把握していらっしゃる事実があるのか、まずこの点について中小企業庁にお尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/42
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043・山本和徳
○政府参考人(山本和徳君) お答えいたします。
今委員から御紹介もございましたが、この報道におきましては、複数MアンドAを実施した譲受け企業により、前経営者の経営者保証が外れない一方で、譲渡し側企業において現預金が流出し、従業員の給与や取引先への支払等の遅延、未払が発生したものと承知してございます。
経済産業省、中小企業庁におきましては、報道がなされた譲受け側企業とのMアンドA、これを支援したM&A支援機関があったことを確認しておりまして、当該支援機関からの聞き取り等を行っているところでございます。これらを踏まえまして、M&A支援機関に求められる対応等を検討してまいる考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/43
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044・古賀之士
○古賀之士君 つまり、個人の方が会社のためにと思って御自身の現預金を会社の中に入れておかれたり、それから、よくありますが、あえて御自身の持つ不動産を担保にされたりというケースがあるわけなんですけど、この契約上の様々な、まあ不手際といいますか、仲介業者の不手際、意図的に、結局売主の方に不利に働くような契約が結ばれて、そして、本当は清算されなければならない債務も含めたものが全く帳消しにならない、あるいは、預けていた現預金が、ある意味中小零細の皆様にとってはこれ退職金代わりになるかもしれませんが、そういったものが返ってこないということで、しかも、その買主であるもう一方は行方が分からない、そして、仲介業者はもう契約が済んでいるんだからもう後は知りませんというような現状なわけですね。
これは、今後、今非常にMアンドAの状況が増えているので、これから先非常に対策がもう急務に迫られていると思います。どのような次は法制度が取られているのか、ちょっと御説明をいただけないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/44
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045・山本和徳
○政府参考人(山本和徳君) お答えいたします。
今委員から御指摘のあったような不適切なMアンドA、MアンドA契約の不履行といったような事態が起きないように、中小企業庁におきましては、中小M&Aガイドラインにおきまして、MアンドA仲介事業者等の支援機関に対する取り組むべき事項を示しているところでございます。
具体的には、依頼者との契約に基づく善管注意義務を履行し、支援を実施する必要がある旨、また、業務の質の確保のため、知識、能力の向上のための取組が求められる旨がガイドラインにおいて明示されておりますとともに、仲介契約、フィナンシャルアドバイザー契約の締結前に契約内容や手数料等の重要事項について書面により説明を実施すること、さらには、仲介事業者においては、利益相反となる事項を認識した場合、適時に相手方に明示的に説明すること等を求めているところでございます。
また、M&Aガイドラインの遵守の宣誓等を登録の要件としたM&A支援機関登録制度を運用しておりまして、ガイドラインの実効性の確保に努めているとともに、ガイドラインの違反が認められた支援機関については、この登録の取消しを可能としているところでございます。
あわせて、民間の取組として、仲介者を会員とする自主規制団体、M&A仲介協会でありますけれども、利益相反行為の禁止やコンプライアンス体制の確保、手数料の開示等を含む自主規制ルールが本年四月から適用されておりまして、健全な市場の発展に向けた民間の取組も行われているところでございます。
こうした取組により、中小MアンドAの健全な商慣習の確立を目指してまいる考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/45
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046・古賀之士
○古賀之士君 ありがとうございます。
現状、様々な今おっしゃっていただいたガイドラインを基に、あるいは官民の民の団体の中でもそういうような内部の取決めによって様々な対応策を考えていくということです。
ただ、これ、登録の、その民間のM&A支援機関の登録制度の運用状況を、ちょっとここに資料が、私、読み上げさせていただきますけれども、実はどんな方がやっているかというと、例えば士業、例えば税理士さんですとか、こういった方が全体の一七%、それから経営コンサルと言われているコンサルティング会社が一五%、それから、MAの専門業者という、民間のFAと言われる皆さんたちが一二・七%、公認会計士九・六%、中小企業診断士八・一%、ただ、一番多いのは、MアンドA専門業者で仲介をされている方が二二・五%ということになっています。
私、ガイドラインが、確かに頑張っていらっしゃる、民間の団体も頑張っていらっしゃる。ただ、例えば不動産などは宅地建物取引士、あるいは宅地建物取引業法に基づいて定められているいわゆる宅建の資格、国家資格があるわけなんですけれども、この中小のMアンドAの仲介業というものに対しては、例えば重要事項を説明しなければならないとか、あるいは国家資格でありますよとか、そういうものが果たしてあるのかどうか、お尋ねをします。中小企業庁さん、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/46
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047・山本和徳
○政府参考人(山本和徳君) お答えいたします。
MアンドAは極めて重要な取引でございまして、MアンドAのプロセスにおきましては、財務、税務や法務の知識に加え、企業の評価、いわゆるバリュエーションやデューデリジェンスといった場面で極めて高い専門知識が求められるものでございます。
このため、中小M&Aガイドラインにおきましては、譲渡し側、譲受け側双方の事業者に対し、中小・小規模事業者として資力の限界がある中ではありますけれども、高い専門性を有する公認会計士や税理士、弁護士等の士業専門家から支援を受けながら検討を進めていただくことを強く推奨しております。
加えて、先ほどの中小M&Aガイドラインにおきまして、M&A支援機関に対しましては、MアンドAのプロセスを進める担当者の質の確保、向上を求めているところでありまして、先ほど申し上げましたM&A仲介協会においてもそのための取組を進めておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/47
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048・古賀之士
○古賀之士君 つまり、できるだけ税理士さんや公認会計士さんに御相談することを強く推奨はされていらっしゃいますが、現実はやはり、この登録の数だけ見ても、二割余りの方がそういう資格はお持ちでないという現状。それから、あと、先ほどのトラブルでもありましたけど、不動産でも登記をするときにやっぱり問題が発生しますけど、この会社登記が順調に行われていないケースがやっぱり見受けられるんですね、相当。だからこそ不幸なケースになってしまう。
ですので、やはり究極、これはやっぱりMアンドAに対してもある種の国家資格、そして、会社と会社がお互いどういう形で、しかもそこは、お互いの企業の資産もそうですけれども、そこに従業員の方がいて家族の方がいらっしゃるわけですから、例えばしっかりと資格を持っている方を、新たに創設するなら、この民間の皆さんたちがそういう仕事を続けていかれている、中にはもちろんしっかりした業者さんもあるかと思いますが、やはり不動産の一般的な売買と同様に、やはりその資格証をきちんと明示して、そしてなおかつ重要事項というものが、この会社の移転登記やMアンドAに関する重要事項をきちんと説明をして、しかもできる限り一定の期間を置いて、そして考える余地を持っていただいて、そういうような制度、政策というものが必要になってくるかと思います。
時間がなくなってまいりましたので、この点について大臣の御所見を伺って、質問の結びにしたいと思います。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/48
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049・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) MアンドAは事業自体を対象とするということでありますので、極めて重要な取引でありますので、そうした取引においては、専門的な知見に基づいて慎重な検討が行われるべきだろうというふうに考えています。経済産業省としては、こうした点について、まずは事業者の皆様に対して広く注意喚起をさせていただいているところであります。
様々事案が生じている背景には、MアンドAの際に、経営者保証の解除や譲受け側への移行について、事前に金融機関に相談を行うことが余り行われていないという商慣行ですとか、仲介事業者を始めとするM&A支援機関が不適切な買手を十分に排除できていないという実態等がありまして、こういったものがその影響を与えているんだろうと思っています。こうした点に加えまして、手数料がサービス内容に対して高過ぎるという、そういう問題も指摘されているところであります。
経済産業省としては、中小企業のMアンドAの規律向上を図る観点から、これらの論点に関しまして速やかに有識者会議を開催し、その場の議論を踏まえて、中小M&Aガイドラインの改訂に向けた検討を進めていきたいというふうに考えています。
今後も、こうした取組を通じて、M&A支援機関の質の向上を図り、中小企業が安心してMアンドAに取り組めるような健全な環境整備等を進めていきたいというふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/49
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050・古賀之士
○古賀之士君 終わりますが、最低の手数料が五百万円とも言われている状況でございます。是非早急な御検討をお願いして、質問を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/50
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051・村田享子
○村田享子君 それでは、皆さん、今日も御安全に。立憲民主・社民の村田享子です。
今日も、新たな事業の創出及び産業への投資を促進するための産業競争力強化法等の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。
〔委員長退席、理事古賀之士君着席〕
まず最初に、前回の質疑でもいろいろ議論させていただいた、戦略的国内投資の拡大の中の戦略分野国内生産促進税制の、その税制の適用の要件のところです。生産計画を出して、その後、工場を造って、それが、前回議論させていただいたのは、企業が予定していた生産設備の製造よりも、思ったほど、ちょっと工場がなかなかできないよねというふうになってしまったときに、十年間の税制の適用ということであれば、実際にその適用を受けられる期間が短くなる、これは問題じゃないかというようなことを指摘をさせていただきましたが、その関連でまたお聞きをしたいと思います。
この戦略分野国内生産促進税制においては、税制適用の要件として、電気自動車、グリーンスチールなどの対象物資について、令和八年度末までに本法案に基づき生産販売計画の認定を受け、国内における新たな投資を決定、開始することが必要であるとされておりますけれども、まず、この生産計画においては、新しい工場を国内に造ることが必須の要件となるのか、若しくは、既存の工場に増設をして、新たに投資をして増設をするような場合も対象となるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/51
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052・田中哲也
○政府参考人(田中哲也君) お答え申し上げます。
まず、本税制の適用を受けるためには、本法案に基づきまして事業者が事業適用計画の認定を受けた上で国内における新たな投資を行い、それにより取得した設備を用いて本税制の対象製品を生産、販売する必要があります。
〔理事古賀之士君退席、委員長着席〕
その上で、御指摘の既存の工場内に新たな増強投資についても、そうした投資が国内で新規に実施されるのであれば、本税制の対象になり得ると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/52
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053・村田享子
○村田享子君 新たな投資をして増強するという場合も認めていただけるということで、ありがとうございます。
次、ちょっと改めての確認にはなるんですけど、対象物資ごとに生産、販売量に応じた税額控除をその生産、販売の事業計画の認定から十年間措置をするということになりますと、その計画認定後にできるだけ早く生産、販売を行うほど税額控除を実際に受けられる期間が長くなるという理解でよろしいのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/53
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054・田中哲也
○政府参考人(田中哲也君) 御認識のとおりです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/54
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055・村田享子
○村田享子君 じゃ、その場合、できるだけ早く生産、販売を始めた方が税額控除を受けられる期間が長くなるということになりますので、じゃ、もうこの事業計画を出すと、ただ、計画を出したその翌日から十年間というのがカウントされるということでまずはよろしいんですよね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/55
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056・田中哲也
○政府参考人(田中哲也君) まず、基本的に、計画を提出し、国の方で認定をしてから十年間というのが制度になってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/56
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057・村田享子
○村田享子君 この認定をした日若しくは翌日、どちらから十年間はスタートしますかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/57
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058・田中哲也
○政府参考人(田中哲也君) そこにつきましてはちょっと詳細な制度設計がまだできていませんので、そこについてはきちっと決めて周知したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/58
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059・村田享子
○村田享子君 とにかく、認定をしてその後十年間ということになりますと、じゃ、できるだけ早く生産、販売を行うためには、認定されるということをある程度見越して、計画の認定前に生産設備への国内投資を始めておいた方が得だよねというのが事業者の皆さんの考えられることだと思います。
例えば工場を造るにも、土地は取得をしておこうとか、ちょっと建設の原材料についてはそろそろ準備してもらおうとかというような形で、計画認定をされる前に生産設備への国内投資を行うということも考えられると思うんですが、こういった形で計画認定前に国内投資を始めた場合でも、本法案の事業計画として認定をされて、その後、生産、販売量に基づいて税額控除を受けられるということでよろしいのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/59
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060・田中哲也
○政府参考人(田中哲也君) お答え申し上げます。
どこまで遡及するかということだと思うんですが、まず、本税制は、戦略分野の新たな投資を国内で実現していくための投資促進策であり、認定の対象となるのは本税制の成立後に決断された投資が対象となるため、本税制の遡及の範囲ですけれども、成立前、既に投資されているものは、まず対象にならないということは申し上げたいと思います。
その上で、本税制の対象分野は、特にその生産段階のコストが高いこと等から国内投資判断が容易でない分野であり、本税制を利用できるかどうかというのが投資判断に大きな影響を及ぼすというふうに考えております。したがって、本税制の適用の前提となる本法案の認定前、つまり、本税制を利用できるか分からない段階から実際に投資を開始するということについては、企業にとって相当なリスクを伴いますので、基本的には想定しにくいというふうに考えております。
他方で、本税制は、国内投資を加速し、早期の生産開始を促す観点も踏まえて設計しております。本税制の認定の詳細の要件については、実際にはこの本法案成立後に告示等で定めることとなりますので、御指摘も踏まえて検討してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/60
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061・村田享子
○村田享子君 鉄鋼業においては、高炉から電炉に生産方法を変えて新たに製鉄所を造るというようなときにこの税制が適用になるということは、前回の議論でも確認をさせていただきました。今の御説明ですと、確かに認定前に、これは認定されるだろうと見越していろんな国内投資を進めるのは、それは企業にとってはリスクはあると思います。
例えば自動車を考えたときに、電気自動車も今回この製品の、商品の一つになっているんですけれども、工場によっては、今既にある工場のラインをEV用に変えて自動車を造っていくというような場合もあるのではないかなと、礒崎委員もうなずいていただいていますけれども、かなというふうに思うので、鉄鋼業であれば高炉から電炉、新しいのを造るなというの分かるんですが、自動車の場合は、既にあるラインを変えてEVにしていくという場合も多いと思うんですね。そのような場合の税制の適用というのはどうなっていくのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/61
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062・田中哲也
○政府参考人(田中哲也君) お答え申し上げます。
繰り返しなんですけど、想定がなかなかしにくいので、現時点では決まっておりません。ただ、その際、税の利用ができるかどうか分からない段階で投資を行うんだとすれば、この新たな投資を実現するための本税制が必要かどうかという点も含めて、これは慎重に検討していく必要があるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/62
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063・村田享子
○村田享子君 私自身は、この戦略分野国内生産促進税制も非常に大事だと思っておりますし、やはり企業の皆さんの国内投資を進めて、国内で生産をやっていくんだ、販売していくんだということで、是非使っていただきたい税制なんですね。その上に、今回、計画の認定を受けてから生産設備を造ってという話になると、その税額控除の期間、せっかく十年取っていただいているのに、実際どれぐらいそのやっぱり控除が受けられるかが分からない、これはある意味企業にとっては予見性が立たないところだと思います。
これから詳細についてはいろいろ御検討いただくということではあるんですけれども、せっかくつくった税制なので、できる限りその十年間税制控除を使っていただきながら生産、販売できるような、そうした制度設計にしていただきたいということを申し上げて、次の質問に移りたいと思います。
今日は、中堅企業関連措置についても私もお聞きをしたいと思います。
まず大前提としまして、今回、中堅企業者を常用従業員数二千人以下とした理由と、例えば中小企業基本法であれば、業種別に資本金の額や常用従業員数によって基準を変えるということで中小企業の定義がされています。また、海外の中には、売上額を基準としてこうした定義をされているといったところもあるそうなんですが、今回このような定義にした理由は何なんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/63
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064・井上誠一郎
○政府参考人(井上誠一郎君) お答え申し上げます。
中堅企業の定義と中小企業の定義についてでございますけれども、まず中小企業の定義ですが、中小企業基本法の中でその定義が置かれておりまして、経営基盤の強化や経済的、社会的環境への変化への適応を円滑化することにより、多様で活力ある中小企業の成長、発展を図るということを主な目的としておりまして、中小企業の定義につきましても、その趣旨を踏まえまして、資金、人材等の経営資源を確保する際に困難性を有する企業に着目をし、事業の実態を踏まえた結果、業種別に異なる定義を置いたものとなっていると、こういうふうに認識しております。
他方で、今回の中堅企業の支援における中堅企業の定義でございますけれども、中小企業を卒業し、グローバルな大企業あるいは国内大手へと至る過程の成長過程の企業であるという点に着目をしておりまして、こうした段階の企業につきましては、業種にかかわらず、実態といたしまして、従業員数数百人、売上高も数百億の規模に多く分布していること、また、経営の高度化や商圏の拡大、事業の多角化といったビジネス発展の傾向も見られることや、企業の労働生産性なんですけれども、これを見ますと、従業員数二千人までのところは規模の拡大とともに向上をしまして、二千人を超えますとそれが一気に十分高まるということでありまして、そういった傾向が見られるということもございまして、中堅企業の定義につきまして、今回、従業員二千人以下という形でさせていただきまして、その上で、各施策に応じて必要な要件を更に具体的に設定していくと、こういう形にさせていただいたということでございます。
また、海外で取られている売上高でありますけれども、こちらは、売上高というものはやはり市況の影響も受けるなと、こういうふうに思っておりまして、安定性に欠けることから、今回私どもは定義の基準には含めず、中堅企業の、また中堅企業の地域における良質な雇用の担い手と、こういう観点からやはり従業員がすごく大事だろうということで、今回は従業員数のみで中堅企業を定義させていただいたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/64
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065・村田享子
○村田享子君 ありがとうございます。
その上で、今回、特定中堅企業というのも定めていくということでございますが、この特定中堅企業の要件としてどのようなものを考えているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/65
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066・井上誠一郎
○政府参考人(井上誠一郎君) 本法案では、常用従業員数が二千人以下であって中小企業でない企業等を中堅企業と定義し、その中で、特に成長、発展を図るための事業活動を行っている企業等を特定中堅企業者と定義をしているところでございますけれども、この特定中堅企業者の具体的な要件につきましては、法案成立後、パブリックコメントのプロセスも経て、政府において主務省令で定めることとしているところでございます。
現時点でそう考えておりますのは、その具体的な要件としまして三つほどありまして、一つ目として、大企業の子会社等を除きまして、二点目として、良質な雇用を創出する役割を重視しまして、賃金水準や従業員数の伸び率が業種別の平均以上の、業種の平均を上回るというようなものであること、三点目として、将来の成長に向けた十分な投資を行っているということを重視したいと思っておりまして、売上高に対する成長投資の割合が中堅企業の業種別平均以上であることなどを定めることを想定しているというところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/66
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067・村田享子
○村田享子君 今、特定中堅企業の今考えている段階での要件について御説明をいただきました。
今、その中で、業種別平均以上といったお言葉が何回か出てきたと思います。今言われた中でも、その二つ目の良質な雇用の創出という意味で、地域における良質な雇用を生み出す役割を重視しということで、直近の事業年度の賃金が業種別平均以上、また従業員数の年平均成長率が業種別平均以上ということとしていると私も承知をしておりますが、この①の部分なんですよね、私が気になるのは。直近の事業年度の賃金が業種別平均以上となっているんですけれども、今年も春闘ございましたが、春闘の賃金交渉時、特に地方においては、この同業他社の労働条件よりも近隣地域の同規模の企業の労働条件を参考にすることが多いんですね。
実際、今回のこの特定中堅企業の要件としても、地域における良質な雇用を生み出す役割を重視しというふうに言われているのであれば、業種別平均で見るのではなくて、その地域の平均と比べてその企業の賃金がどうなのかというのを見た方が、これは春闘の現状を考えても、またこの本来の特定中堅企業を応援していこうというような意味でも、こっちの要件の方が私は適しているんじゃないかなというふうに思うのですが、その点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/67
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068・井上誠一郎
○政府参考人(井上誠一郎君) お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、現時点において検討しております要件は、常時使用する従業員一人当たりの給与等支給額が業種別平均以上という基準と、あと、常時使用する従業員数の年平均成長率が業種別平均以上ということで、それで、業種に着目をしておりまして地域に着目をしていないんですけれども、委員御指摘のとおり、一つの考え方としては、近隣地域の同規模の労働条件を参考にして賃金交渉が行われているという実態を踏まえますと、地域別の賃金水準を基準として設定するという案も考えられるかなというふうには思います。
ただ、私ども、最終的にそういうことを考えていない理由としましては、中堅企業の実情を見ますと、かなり商圏が拡大していると、日本全国に展開していることもございます。経営管理を行う本社と事業実施場所が異なり、また事業実施場所が複数に及ぶケースも結構多くて、今回、中堅企業、企業全体を評価してということになっておりますので、地域ごとの基準を作るということがちょっと難しいのかなと、こういうふうに思ったということでございます。
先日の参考人質疑で御出席されたフクシマガリレイ社も、やはり本店所在地、本社所在地は大阪府でございますけれども、主要工場は滋賀や岡山県などに有するなど、幅広い地域に拠点を有していらっしゃるということでございますので、私ども、いろいろ検討した結果、地域ごとの基準ではなく、業種別に賃金水準や市場成長率が大きく異なる点に着目をして、業種別に基準を設けたというところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/68
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069・村田享子
○村田享子君 ちょっと今のところをもうちょっと教えていただきたいんですが、全国的に事業所を持っているような企業において一人当たりの給与支給総額というのを見た場合は、その全国的に、全国で働いているその企業の皆さんの賃金の平均ということになるということでよろしいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/69
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070・井上誠一郎
○政府参考人(井上誠一郎君) 御指摘のとおりでございまして、その中堅企業者さんの従業員、いろんな拠点に工場があったりとかあると思うんですけれども、その従業員の方々の平均の賃金、賃金額ですね、これを算出をしまして、それをほかの統計の業種別の賃金の上昇率などと比較をするという考え方で考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/70
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071・村田享子
○村田享子君 企業によっては、もちろん全国展開をしていても、どの地域であっても全国同一に賃金やっていくよという会社もございますが、中には、やはりその拠点ごとに、地域の状況を見まして賃金を変えているようなケースもあると思うんですね、それで、実際、各都道府県の最賃というのもあんなに東京と地方で差が出ているわけですから。
今言った全国展開している企業も、平均的な一人当たりの賃金で見ていくという話になっていくと、本来の意味での地方の雇用を守っている良質な企業をどう大きくしていくかと、その目的とちょっとずれるんじゃないかなと。やはり、その地域で働いている皆さんの賃金がその地域のほかの企業と比べてどうなのか。やっぱり就職するときに、自分はこの場所で働こうと思ったときに、皆さん、じゃ、自分の地域で、あそこ給与いいよねみたいな感じでやっぱり就職先を選んでいくということでいうと、やっぱり、より地域に着目したこの特定中堅企業者というのを定めていくのも大事ではないかなと思うんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/71
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072・井上誠一郎
○政府参考人(井上誠一郎君) 委員御指摘のとおり、確かに地域性というところがあるということで、必ずしも中堅企業も全国展開している企業ばかりじゃないじゃないかというところは御指摘のとおりかと思いますけれども、私ども、そういった意味では、かなり地域別にきめ細かくやるとすると、実際、結構、全国展開している中堅企業者さんはいらっしゃいますので、かなり複雑なものになってしまうかなという感じもしておりまして、申請する際に、この工場とこの工場でという形で分けて計算をし、さらにそれを地域別の賃金と比較するということになると、かなり複雑化していくかなというふうに思っておりまして、私どもとしては、基本的には、いろんな、中堅企業者さんも多様でございますので、実態はあろうかと思いますけれども、今回の趣旨を鑑みまして、もちろん地域での良質な雇用をつくっていくというところは大事な目的だと思ってはいるんですけれども、認定としては、中堅企業者さん全体を評価してということで考えさせていただいているというところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/72
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073・村田享子
○村田享子君 今、この制度にした理由というのも御説明いただきましたけれども、私も、特定中堅企業というのを定めて成長を促していくという、これはもう大事な制度だと思っています。ただ、実態のやっぱり賃金状況というのを、是非そちらも知っていただいた上でこちらの制度を進めていただければなというのを要望をいたします。
私、この後は、MアンドAについてお聞きをいたします。
先ほど古賀委員からも、MアンドAはもちろん進めていくと、ただ、それに伴っていろんなトラブルがあるよねというようなお話がございました。次予定した質問は、政府が複数回のMアンドAを推奨する理由ということで、これ先ほど古賀委員のときにも御答弁いただきました。
私も先日、参考人質疑を聞かせていただいて、本当にあの日の参考人質疑って、三名の皆様も、この人口減少の日本の中でいかにやれることを、日本が持っている技術を生かしながら需要をつくっていって日本を元気にしていこうよということで、私もすごく刺激を受けた、すごくいい勉強をさせていただいたなと思っています。
その中で、福島参考人も、先ほど参考人の御答弁からもありましたように、やっぱりMアンドAによって事業領域が広がってシナジーを生み出してきたと、そういう意味でも今回の中堅・中小グループ化税制については非常に有り難い制度だと評価をされていた。それは私も同じ思いです。
ただ、その中で、先ほど古賀委員も御指摘をいただいていますが、やはりMアンドAというのは、会社対会社の話だけではなくて、そこで働く労働者の方がいらっしゃると、その点が今ちょっと忘れがちになっているのではないかというところをちょっと指摘をさせていただきます。
これ実際、私、五月に大阪のメーデーに行ったときに実際に組合員さんから相談があったんですね。今、うちの会社がMアンドAの交渉を始めていて、現場で働く私たちからはもう本当に不安の思いですと。
実際にこれまで行われたMアンドAにおいて、会社側からその会社の労働組合に対して、MアンドAの後、親会社となるその会社からの要請として、グループ化に当たっての給与水準、そして勤怠等の労働条件を統一化していくとして、労使でもう確認していた休日数の一方的な削減や、又は労働組合、専従で活動されている方もいらっしゃいますが、その労働組合の専従の取扱いを廃止しなさいというふうにMアンドA後の親会社から言われているので、労働組合の皆さん、これやってくださいねと要求するような事例が発生をしております。
まずは厚生労働省にお聞きをいたしますが、このような事例、厚生労働省として把握をされていらっしゃるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/73
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074・増田嗣郎
○政府参考人(増田嗣郎君) お答えを申し上げます。
厚生労働省といたしましては、議員御指摘の事例につきましては特に承知をしていないところでございますけれども、会社分割や事業譲渡等の事業再編においては、労使コミュニケーションは重要な課題であると考えております。
会社分割や事業譲渡に当たりましては、会社分割に伴う労働契約の承継等に関する法律や事業譲渡又は合併を行うに当たって会社等が留意すべき事項に関する指針等において、事前に労働者の過半数で組織する労働組合等と協議をするよう努めることとされており、厚生労働省といたしましては、引き続き、関係する各種法令、指針の内容及びその解釈についての周知を図ってまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/74
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075・村田享子
○村田享子君 今、厚生労働省の方から、指針の周知というようなお話がございました。
その指針についてちょっとお伺いをしたいと思います。
これも先ほどの古賀委員の質疑の中でもお話がございましたが、中小企業庁の方で中小M&Aガイドラインというものを策定をされていると。これ、最初に二〇二〇年に作られて、二〇二三年に改訂をされているんですね。そのガイドラインの参考資料として各種契約書サンプルというものがございます。その中でも、株式譲渡契約書サンプルというものもございまして、譲渡し側の株主が譲受け側に対して表明及び保証する事項というものが定められています。
この二〇二〇年に中小M&Aガイドラインが策定されましたその初版においては、この譲り渡される会社ですよね、のその労働関係において、うちの会社には労働組合は存在しませんよと、労働組合は存在しないことというのの表明及び保証が求められていたんですね。
すなわち、これは、譲り渡される会社の労働組合に対して解散を求める内容だと。これを、ものづくり産業の労働組合であるJAMの皆さんが、これは労働組合の解散を求める内容でおかしいだろうというふうに要請をいたしまして、この初版の内容については改訂をされたというふうに承知をしております。
二〇二三年に改訂された第二版においては、この労働組合は存在しないことの表明が変わって、対象会社においては、以下の労働組合が組織をされており、対象会社と当該労働組合との間で以下の労働協約が締結されていること及び以下に記載されたもの以外に組織された労働組合はなく、締結されている労働協約も存在しないことを表明及び保証をしなさいと改訂をされているわけで、このJAMの要請に対して改訂をしていただいたということは私も一定の評価はしておりますけれども、そもそも、なぜ第一版において対象会社には労働組合は存在しないことというものを記載をしたのか。これについて、まず御説明お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/75
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076・山本和徳
○政府参考人(山本和徳君) お答えいたします。
MアンドAにおいて、譲渡し企業に労働組合が存在するか否かにつきましては、当該労働組合との間で締結した労働協約があるか等の譲渡し企業の労務実態の把握にとって極めて重要な情報でありますため、これを明らかにすることを求めているものでございます。
このため、今御紹介のあったとおり、二〇二〇年の初版の中小M&Aガイドライン参考資料中の株式譲渡契約書のひな形におきまして、これを策定した際には、労働協約の存在といった労働組合を起点とする論点が存在しないことを端的に示すという観点から、労働組合の存在、不存在を言及した形であったと承知しております。
他方で、初版の策定後、委員御指摘のような御懸念、またJAMからの御意見も頂戴したことから、第二版におきましては記載を修正いたしまして、売手側の労務実態に大きな影響を与える労働協約の存在の有無に焦点を当てた表現に修正をさせていただいたところでございます。
この労働組合が存在すること自体について、どの組合と労働協約を締結したのかを明らかにする観点から記載する、これを想定したもの、この意図でございますので、今御指摘のあったような労働組合を解散させることを求める意図は全くございません。こうした意図につきまして引き続き御懸念を持たれる方がいらっしゃれば、しっかりと御説明をさせていただく考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/76
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077・村田享子
○村田享子君 労働組合を解散させる意図はなかったと言われたんですけれども、第一版においては、結局、労働協約はMアンドAにおいて明らかにしないといけないよね、まあそれは私もそうだと思います。ただ、その労働協約はないよということを示すために、そもそも対象会社には労働組合は存在しないことというのを表明しなさいと言っているのは、すなわちこれは、もう労働組合は解散しなさいということだと思うんですけれども、そういった話は、この第一版のガイドライン作る上で議論にはならなかったんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/77
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078・山本和徳
○政府参考人(山本和徳君) お答えいたします。
つまびらかな状況につきまして、今お答えできる材料は手元にはございませんけれども、当時は、MアンドA契約の法的な実務の観点から、やはり労働協約等々、労働組合を起点とする論点の端的な存在、不存在を明らかにする手法として、労働組合の存在、不存在といったような観点であったというふうに承知をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/78
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079・村田享子
○村田享子君 労働協約の、明らかにするというのがやっぱり労働組合の有無で測られるというのは、これはもう全く論理的におかしいなと。幾らでも労働協約、どんなのあるんですかというふうなことは調べられるわけです。
第二版においては、こういった労働協約を締結していますということを表明するということにはなってはいるんですけれども、やはり労働組合は、皆さん御承知のとおり、憲法第二十八条の労働三権で、団結権、労働組合をつくることというのは憲法で保障されている権利でございます。それを、やはり第一版においてなくしなさいというようなガイドラインを作ったということも問題だと思いますし、このMアンドAのガイドライン第二版においても、以下の労働組合がありますよということをそもそも表明をさせるというのが、それって、でも、憲法において労働組合ってつくるというのは認められているのに、それをまた表明しなさいよというのも、それは問題なんじゃないかというような声が労働組合の中からは上がっております。
このMアンドAにおいて、労働協約を明らかにしないといけませんよねというような話の中で、それ、じゃ、労働組合の方がどれぐらいそのMアンドAの中にステークホルダーとしてコミットできているのかというようなことも重要だと思うんです。会社同士が、こういった労働協約あってやっていますよじゃなくて、じゃ、その労働者の皆さんがどういったことをMアンドAについて考えていらっしゃるのかだと思うんですね。
昨年、皆さん覚えていらっしゃる方も多いと思いますけれども、そごうと西武の労働組合の皆さんがストライキを実施をされました。これはなぜストライキに踏み切ったのかというふうなことでいうと、ちょっと皆さん御存じのところもあるとは思うんですけれども、MアンドAの主な手法としては、株式譲渡、会社分割、事業譲渡、合併と、主にこの四つの手法がある中で、このそごう・西武のときにMアンドAの手法として取られたこの株式譲渡方式では、労働者と新旧オーナーとの事前の協議の枠組みがなかったと、法的な枠組みがなかったということで、ただ、その理屈としては、株式譲渡方式では、雇用契約ほか一切の債権債務が原則新しいオーナーに包括承継されると、なので、譲渡時点では雇用に変化がないため、譲渡される側の労働者が交渉に参画できる法的な枠組みが用意をされていない、そうした理由だということは私も承知をしておりますが。
ですが、あのときの報道にもありましたように、そごう・西武労働組合組合員さんが、譲渡された後、自分の職場がどうなるんだろうか、同じ労働条件で、確かに譲渡された時点はそうかもしれないけれども、一年後、二年後、どうなっていくのかな、将来的にこの仕事続けられるのかなというのはやはり見通せないわけですよね。それで、交渉させてほしいと、MアンドAの状況を教えてほしいと言っても、いや、株式譲渡方式なので皆さんと交渉をする必要はありませんという話になって、そごう・西武の労働組合の皆さんは、じゃ、それであれば、もう当事者と交渉できないんであれば、社会に訴えるまでということでストライキというふうになったというふうにお聞きをしております。
そうした意味では、こうしたMアンドAのガイドラインを作ることは非常に大事だと思うんですけれども、そこにやはり労働組合の人が入っていないというような状況が現実あるわけなんです。だから、ここのところは、これからMアンドAを国としてもやっていこうよというのであれば、やっぱり働いている皆さんのことを私はもっと考えていただきたいなというふうに思うんです。
ここで、齋藤経産大臣にもお聞きをしますが、今回経産省が策定をした中小M&Aガイドラインに労働組合の記載がされております。経済産業省として、よく労働組合は厚生労働省の文脈の中で語られることが多いんですけれども、経済産業省として、労働組合の役割、意義というのをどのように認識をされているのか、また、今後力を入れていくMアンドAにおいて、労働組合の役割、意義、どのように考えていらっしゃるのか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/79
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080・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) MアンドAとその後の事業の継続、成長を実現をしていくということを考えますと、対象企業の重要なステークホルダーである従業員との信頼関係を醸成していくということは、私は極めて重要な課題であるというふうに思います。
したがいまして、この売手の従業員によって組織される労働組合も、当然ながら、MアンドAに当たっての重要なステークホルダーであると思います。雇用されている従業員や労働組合とも丁寧な調整を実施し、理解を得た上でMアンドAに取り組むことが不可欠であると考えています。この旨は、MアンドA後に必要となる取組等を示した中小PMI、ポスト・マージャー・インテグレーション・ガイドラインというのがありますが、ここにおきましても周知を図っているところであります。
引き続き、従業員やその代表である労働組合などの重要なステークホルダーとの間でしっかりとした連携を促しながら、MアンドAとその後の成長の実現を促進してまいりたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/80
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081・村田享子
○村田享子君 大臣、ありがとうございます。
MアンドAの重要なステークホルダーで労働組合もあるということで、私としては、今日も高水準の賃上げといった話出ておりますけれども、調査によっては、やはり労働組合があるところほど賃上げが、より高い賃上げが実現したという話もあるので、やっぱり賃上げをしていくという意味でも、私は労働組合重要だと思っています。なので、MアンドAも含めて、経済産業省のいろんな取組の中に労働組合の意義というのを是非入れていっていただきたいなと思います。
二〇二一年に中小M&A推進計画というものも取りまとめられておりますが、そろそろこれも期限を迎えるというふうに思いますが、今後改定する予定はございますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/81
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082・山本和徳
○政府参考人(山本和徳君) お答えいたします。
今御紹介いただきました中小M&A推進計画でありますけれども、経営者の高齢化や新型コロナウイルス感染症の影響に対応し、中小企業の貴重な経営資源が散逸することを回避するとともに、事業再構築を含めて生産性の向上等を図るため、中小企業の貴重な経営資源を将来につないでいくことを目的に中小企業庁が二〇二一年四月に策定したものでございまして、その二〇二一年以降、五年間に取り組むべき施策を取りまとめたものでございます。
こちらにつきましては、継続的にフォローアップを行っておりますとともに、新たに発生した課題にも対応すべく、必要に応じ新たな施策を講じさせていただいているところであります。本法案における中堅・中小グループ税制につきましても、法案を成立させていただいた暁には、本税制の活用、促進についても計画に位置付けられるべきものと考えております。
計画は、二〇二一年から五年ということでございます。今、二〇二四年となりました。折り返し地点を過ぎたところと認識しておりまして、今後の改定につきましては、中小企業の事業承継や経営資源集約化の進捗状況を踏まえ、適切に検討、対応してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/82
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083・村田享子
○村田享子君 中小M&A推進計画、そして、先ほど古賀委員のときに御答弁ございました中小M&Aガイドラインも仲介業者のトラブルを受けて見直すというようなお話もございました。是非その中に、労働組合、ステークホルダーとしての労働者をどうしていくのか、私はやっぱりこの働く皆さんが資源だと思いますし、福島参考人も質疑の中で、やはり会社がどんどんグループ化していく中で、やはり参考人御自身がこの思いを語って、どんな会社にしていくんだということで、もちろん企業文化は違う、元々は違う文化だった皆さんが一つになって、シナジーを長い期間を掛けて生み出してきたんだというお話がありましたので、やっぱりMアンドAというときに、そこで働く皆さんの本当力がやっぱり一〇〇%出していけるような、そういった施策を今後入れていただきたいなというふうに思います。
この点、ちょっともう一問大臣にお聞きをしますけれども、今日いろいろお話をしましたように、そもそも、企業の合併、事業譲渡等によりまして、やっぱり働く労働者という皆さんが不利益を被ることや職を失うようなことは看過できませんし、もうそれだけじゃなくて、今申したように、MアンドAをして、そこで働く皆さんも、もっと生き生き働いて生産性上げていこうよというようなプラスのそうした観点が非常に重要だと思います。
この点、大臣の御見解を伺いたいということと、本法案においては、特定中堅企業者において、成長に伴う特別事業再編計画を認定をするというようなお話もありますが、こうしたところにおいても、労働組合との協議の有無であったり、雇用の安定への配慮、こうしたことも考えていくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/83
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084・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 事業再編を円滑に行うためには、その再編の意義等について丁寧にコミュニケーションを行って、労働組合や従業員の理解と協力を得ること、これは不可欠であると認識しています。十分な理解、協力がないまま強行をいたしましても、その事業というものは恐らく余りうまくいかないのではないかなというふうに私は思います。
そのため、経済産業省としては、事業再編を円滑に実行するためのベストプラクティスをまとめた事業再編実務指針におきまして、事業再編の実行時に、事業再編の理由や意義、事業再編後の従業員の地位等について、労働組合や従業員一人一人に対して誠実に丁寧な説明を行うことが望ましいといたしておりまして、この指針の周知、広報に取り組んでいるところであります。
また、本法案において新設された御指摘の中堅・中小企業が複数回のMアンドAをする場合の税制措置等の活用の要件である特別事業再編計画につきましては、従業員の地位を不当に害するものでないことを計画認定の要件としています。
今後、具体的な基準を定めるに当たりましても、労働組合等との協議等により十分な話合いを行うこと、雇用の安定等に十分な配慮を行うこと、雇用者給与等支給額を引き上げることを求めることを今検討しているところであります。
こうした施策を活用して、事業再編やグループ化に取り組む事業者が従業員の理解、協力を得ながら持続的に成長していくことを後押ししてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/84
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085・村田享子
○村田享子君 是非大臣、よろしくお願いいたします。
先ほど御紹介させてもらったそごう・西武の労働組合の方がやっぱりおっしゃっているのが、自分たちは抵抗勢力ではないと、企業価値を一緒に高めていくパートナーだと言われているんですね。そうした働く皆さんの思いを是非酌み取っていただきたいですし、参考人質疑でも松江参考人がおっしゃっていただいた中で、私のキーワードで、現場は先端であって末端ではないと、末端と捉えるか先端と捉えるかで経営の在り方は大きく変わるというような話もされていますし、その松江参考人のお話の中で、新しい価値をつくっていく、今日もそういった、それが、気候変動等の社会的課題を解決することが新しい価値創造になるんじゃないかというような話ありましたけど、じゃ、その価値を、じゃ、自分の企業の中でどう見出していくかという中で、自分たちの本業の再定義をしていかないといけないよね、漫然といろんなことやっているけれども、これから人手不足の中で、自分たちの企業の強みは何なのかと、本業を再定義する必要があると。その本業の再定義をできるのは、もちろん経営者の方もいらっしゃると思うんですけど、現場のその先端にいらっしゃる方だと私は思うんです。
私もいろんな物づくりの現場を回っている中で、MアンドAをされたところもあります。一番変わったなと思うのが、作業着が変わっていることなんですよね。やっぱり新しい会社になるということは、ずうっと着慣れていたその方の作業着が次会ったときに変わっていて、今こういう感じになっているんだと。新しいその中で、企業の中でまた皆さん頑張っていらっしゃる、新しい企業風土の中で頑張ろうとされていらっしゃいますので、そうしたところも是非考えていただきたいと。
最後、一問、これも、こうした人をどう生かしていくかという話で、これも以前の委員会でもお話しさせていただきました。やっぱり、雇用の公正な移行をどうしていくかという話です。私は、まだ、このカーボンニュートラル、国が進めていく上で、雇用の公正な移行を本当の意味で考えていただけているのかなというふうに思っています。
今回の法案でも参考にされた米国のインフレ削減法では、公正な移行を促すために、石炭など化石燃料関連の産業が主要であった地域など、こうしたエネルギーコミュニティーに対して、再エネ、グリーン電力、先端エネルギープロジェクトに対して優先的に支援の枠を割り当てますよとか税額控除を上乗せしますよというような導入がされているんですね。
日本においても公正な移行、やはり重要な課題だと思うんですけれども、同様の支援というのは行ってはいかないのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/85
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086・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 御指摘の米国インフレ削減法は、化石燃料関連の産業が立地をしていた地域における雇用確保等の観点から、こうした地域でGX関連の投資を行った場合には、税額控除額等の上乗せがされるなどの制度を組み込んでいると承知をしています。
我が国のGX政策におきましては、米国のような地域への優遇措置自体は講じておりませんが、他方で、昨年末に策定をいたしました分野別投資戦略におきましても、革新技術の開発、実装を通じ、CO2の多排出産業の既存の設備等もうまく活用した形でGX投資も促進し、これらの地域における新たな産業や雇用を生み出すことも志向しているわけであります。例えば鉄鋼業におきましては、高炉を革新的な電炉に転換する投資を御支援しているわけでありますが、これは、既存の製造設備の一部は残した形で排出削減効果の高い製造プロセスに転換するものであります。この結果、これらの地域では、カーボンニュートラルに向かう中でも競争力ある産業を地域に保持することが可能になると考えています。
こうした施策と併せて、リスキリング等の人材育成の取組とGX分野を含む成長分野への円滑な労働移動を同時に進めることなどいたしまして、公正な移行に必要な施策についてしっかり取り組んでまいりたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/86
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087・村田享子
○村田享子君 石炭関係の会社で働く方とこの前お話をしたときに、もう今既に、今は仕事があるのに、もう若手の方が、もうこの産業を駄目なんじゃないかと思って、既に離職が始まっているそうなんですね。なので、その会社では人手不足に悩んでいると。
今、GXの二〇四〇ビジョンというのも策定をこれからされていくと思いますが、昨日も経産省の方とお話をしたら、まずは産業の方向性を示していくことが大事なんだということだったんですけれども、先ほどのMアンドAの話と一緒で、やっぱりどうなっていくのかというのが働いている皆さんもリアルに一緒に分かっていかないと、産業の方向性示されて、じゃ、こうなりました、こっちに行ってくださいねと言われても、ずっと不安を抱えていらっしゃると思いますので、策定の間から、やっぱり労働者もステークホルダーとして是非一緒に取り組んでいくようにしていただきたいということをお願いをして、質疑を終わります。
ありがとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/87
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088・森本真治
○委員長(森本真治君) 午後二時に再開することとし、休憩いたします。
午後零時四十二分休憩
─────・─────
午後二時開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/88
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089・森本真治
○委員長(森本真治君) ただいまから経済産業委員会を再開いたします。
委員の異動について御報告いたします。
本日、吉川沙織君が委員を辞任され、その補欠として石川大我君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/89
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090・森本真治
○委員長(森本真治君) 休憩前に引き続き、新たな事業の創出及び産業への投資を促進するための産業競争力強化法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/90
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091・里見隆治
○里見隆治君 公明党の里見隆治でございます。
先週に続きまして、産競法につきまして、改正法案につきまして御質問させていただきます。先週、イノベーション拠点税制の質問の途中で終わりましたので、その続きから始めたいと思います。地元でも、この知財に詳しい弁理士の先生から様々意見を伺ってまいりましたので、その点も含めて御質問していきたいと思います。
今日午前中も質疑がありましたけれども、どちらかというと、青山先生からサプライサイド側の支援が多いと、この受け手の方がどうなのかと。それ、マクロ的にもそうなんですが、例えば知財そのものも、知財を渡す側の方の支援ということで今回のイノベーション拠点税制があろうかと思いますが、これを生み出された知的財産のライセンス、また取得によってそれを活用する側に対する支援策というものも併せ持ってこの知財の回転というものがうまく回っていくんじゃないかと、そんな御指摘でございました。
また、この活用という意味では、やはりこれも何度か論点で出ていますように、その活用に当たっての人材が必要であるということでありまして、その意味では、企業だけではなくて、大学ですとか研究機関、又は中小、スタートアップなど、技術移転、ライセンス交渉等の知見が不足しているという方々もいらっしゃるんじゃないかという声を伺っています。
今回、このイノベーション拠点税制を創設しますが、他者の知財を活用することを含めて、企業が積極的に知財の活用を行うための取組を進めてはどうかという考えでありますが、経産省としての御見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/91
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092・田中哲也
○政府参考人(田中哲也君) お答え申し上げます。
まず、繰り返しでございますけれども、イノベーション拠点税制は、民間における無形資産投資を促進するために、国内で生み出された知的財産権から生じる所得を優遇することで知財を生み出す側にインセンティブを与えるものであります。これは委員御指摘のとおりでございます。これに加えまして、委員御指摘のとおり、ライセンス等の受け手となり、これを積極的に活用することを後押しすることも重要だと我々考えております。
経産省では、これまで、オープンイノベーションの促進に向けまして、中小企業等の知的財産権を使用して行う研究開発の場合、そのライセンスの受け手が支払った使用料について、研究開発税制による税制上の優遇を与えているところでございます。
また、今般、INPIT法改正によりまして、中小企業等への助言や助成事業が追加される予定でございます。これにより、中小企業等が他者からライセンスを受けて、知財を活用して事業成長を図る場合にも、専門家からの助言等の支援を受けることが可能になります。
経済産業省として、イノベーションの活性化には知的財産権の創出と活用の両面が不可欠であり、イノベーション拠点税制や研究開発税制を含め、関係する施策を機動的に活用しながら、委員御指摘の知財の活用についても着実に後押ししていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/92
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093・里見隆治
○里見隆治君 今、INPITについても御答弁の中で触れていただきました。私も余り、日本語で言うと、正式名称、独立行政法人工業所有権情報・研修館ということでありまして、私も今回、法律改正を機にいろいろ勉強させていただきまして、これ、INPITというのは、これ青山先生じゃないですけど、頭文字を取ると、ナショナル・センター・フォー・インダストリアル・プロパティー・インフォメーション・アンド・トレーニングと、で、INPITというそうでありますが、これ、いただいた資料によりますと、一八八七年、明治二十年に農商務省特許局庶務部に図書館を設置して情報提供を始めたのがスタートという非常に歴史を持った組織、これがしっかり今も最先端の技術を担っていただいていると、日本が明治以来、技術そして知財を持って生きてきたそのあかしではないかなというふうに思います。
そして、今回の産競法等の改正の中にもこのINPIT法の改正が含まれ、今御答弁いただいたように、中堅企業また中小・スタートアップ企業に対する相談、助言をその業務の範囲に加えられたということであります。
実際、この法案の対象となるようなスタートアップ企業では、まだまだこの人数、規模も小さいということがあって、知財部門の人材がそろっていないということが指摘されています。じゃ、昔ながらの企業、中小企業、中堅企業はどうかというと、これ営々と続けてきた企業も、昭和、平成初期からずっと三十年、四十年というところは、確かにベテランさんがずっと一人で担っていただいていると。しかしながら、そのもう、一人が六十代だったり七十前後だったり、そういう人が引退した場合に次の人材がどうなるんだろうかと、実はそういう中小の企業も多いそうでありまして、そういう意味では、スタートアップでも、あるいはこの代替わりがうまくできないそうした中小・小規模事業者においても、この知財という、この人材育成というのがいずれにおいても非常に課題になっていると、検討課題になっているということであります。
その意味で、このスタートアップ、中小企業等における知財人材の育成を進めていくとともに、INPITそのものの相談、助言業務、これも今回せっかく法律で位置付けられるわけですから、しっかり拡充して活用を図っていくということが重要だと思いますけれども、経産省としての御認識をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/93
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094・滝澤豪
○政府参考人(滝澤豪君) お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、スタートアップや中小企業等における知財人材の育成は極めて重要な課題だというふうに考えてございます。
このため、特許庁におきましては、INPITとともに、知的財産に関するe―ラーニング教材として年間十八万人の方に御利用いただいておりますIPePlatの提供でございますとか、様々なイベント、ワークショップの開催等を通じまして、知財人材の育成に向けた取組を進めているところでございます。
また、知財を活用した企業の稼ぐ力の向上には、内部人材のみならず、外部の知財専門家による支援も重要でございまして、本法案におきまして、INPITが外部専門家と協力しながら助言を行う等の規定を追加をしたところでございます。
特許庁といたしましては、こうした支援策を活用していただけるよう、しっかりと周知徹底を図りつつ、関係機関と連携しながら、知財人材の育成やスタートアップ、中小企業等の稼ぐ力の向上に取り組んでまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/94
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095・里見隆治
○里見隆治君 よろしくお願いいたします。
続いて、前回も触れたんですが、経済産業委員会、なかなかこれ、理事の皆さんとだけでしたので、全員ではないんですが、二月に、大阪そして名古屋にも皆さんにお越しをいただいて、その際の視察先の一つに名古屋市内のなごのキャンパスというところがございまして、もう既に委員長からも、委員会、今国会の委員会での御報告の中でもしっかり御報告いただいているわけですが、その中にありましたとおり、スタートアップ企業、このなごのキャンパスは、スタートアップ企業へのコワーキングスペースの確保、あるいはスタートアップと協業したい大企業とのマッチングなどのサポート、そして起業家育成のための教育の現場ということで、非常に名古屋もスタートアップ企業、急成長しているというお話を伺ってまいりました。
午前中は福岡の事例の紹介がありましたので、対抗して愛知のお話をするわけではないんですが、愛知は非常にこの大企業また製造業、物づくりの背景、文化がある中で、いかにやっぱりスタートアップ、これを慫慂、奨励していくかということは非常に熱心でありまして、今までもやってきているんですが、福岡県は十年前からということで先ほどお話を伺いました。愛知県庁も、今までのものをリプレースしてSTATION Aiという、これは愛知県の大村知事の肝煎りで、この十月にほとんど新規に近い形でのオープンをいたしまして、自動車産業から、物づくり、航空産業から、その種となる研究開発をしていく、その、何というんですかね、一大拠点として地域でも期待をされているところでございまして、国からも後押しを是非お願いしたいと思います。
今日はちょっとそれと外れて、これは紹介だけなんですが、資金調達面で、このなごのキャンパスは、特にそのお金付近は、回りはお手伝いしていただいていない、おつなぎはいただけるんでしょうけれども。
じゃ、資金調達面でどんな組織があるのかということでいろいろ私も当たってみましたところ、中小企業投資育成株式会社というところにぶつかりました。これはスタートアップ支援ということだけではないんですが、経産省にもお問合せをして、地元の名古屋中小企業投資育成株式会社というところを先月訪問してまいりました。
これ実は、株式会社と名のっておりますけれども、法律、中小企業投資育成株式会社法という法律に基づく会社でありまして、今回の、ちょっと私も言われるまで分からなかったんですが、この法律の中にも、実はこの一部改正によって特例措置、この法律の、この投資育成株式会社法の特例措置が今回の改正法案にも盛り込まれております。
私も全く今まで存じ上げなかったものですから、いろいろお話を聞いたところ、この法律に基づいての組織が東京と名古屋と大阪の三か所にあるということでありまして、この法律そのものが、これもやはり歴史物で、もう六十年以上前、六十一年前、昭和三十八年に法律が制定され、営々とこの投資という側面において中小企業の育成支援に当たってきたということであります。
地元の自治体とか商工会議所、金融機関などが出資をして、そして、国、中小企業が監督をしているということで、公的な機関として、利用される方も安心して活用できるということでありまして、これは、お話を伺いまして、もっともっと広く知っていただき、また使っていただければというふうに感じた次第であります。
まず経産省にお伺いしますけれども、この投資育成株式会社につきまして、その概要、またこれまでの投資実績についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/95
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096・山本和徳
○政府参考人(山本和徳君) お答えいたします。
委員からも御紹介を頂戴いたしましたが、中小企業投資育成株式会社は、中小企業の自己資本の充実を促進し、その成長、発展を図るため、中小企業投資育成株式会社法に基づいて、一九六三年に設立された国の政策実施機関でございます。
中小企業等の経営の自主性を尊重しつつ、長期にわたって中小企業等の株式への投資を行うとともに、投資先ネットワーク等を生かし、中立的な立場で企業の成長支援を行い、中小企業等の財務体質の強化や経営承継の円滑化、経営の更なる発展などに貢献してきているものと認識しております。
実績につきましては、令和六年三月までに、東京、名古屋、大阪の投資育成三社の累計で、五千九百社を超える会社様宛てに二千七百億円を超えるエクイティーの供給を行ってきているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/96
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097・里見隆治
○里見隆治君 もっと更に数を増やしてほしいなと思うんですが、今回、この法案全体の中で、産競法改正の中では、中堅企業の定義をし、そして特定中堅企業者が大臣認定を受けた場合の支援措置を拡充するというこの考え方と並行して、この中小企業投資育成株式会社の投資育成対象も拡充するというのが今回の改正の趣旨だというふうに承知をしております。
これを機に、中堅企業からスタートアップに至るまで、その投資、これもしっかりやっていただくとともに、これ、名前のとおり、投資育成株式会社ですから、育成という側面、例えばマッチングをするだとか、様々な情報提供をする、また様々な別の機関への御紹介ということもあろうかと思いますが、その育成についても是非機能強化をして、積極的な業務展開をしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/97
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098・山本和徳
○政府参考人(山本和徳君) お答えいたします。
中小企業投資育成株式会社法上、投資育成の初回の投資先は、資本金三億円以下の中小企業に限られております。今回の改正案におきましては、投資育成からの出資につきまして、資本金が三億円を超える事業者であっても、特別事業再編計画の認定を受けた事業者であれば、MアンドA等に必要な資金を供給可能とする特例を設けさせていただくこととしております。これは、連続的なMアンドAを実施していく場合、中堅・中小企業はMアンドA資金やその後の成長のために必要となる資金の借入れ余力が小さく、資金面での支援が必要であるということを想定したものでございます。
また、投資育成による育成支援についても御指摘がございました。投資育成株式会社、失礼しました、投資育成会社法に基づき、投資先からの依頼に応じて必要な経営面や技術面の指導を行うこととしておりまして、具体的には、投資先企業の個々の経営課題に対する専門家等とも連携した伴走支援や、投資先企業同士の連携や共通の経営課題への対処を目的とした研修等を積極的に実施しておりまして、好評をいただいているところでございます。
中小企業の更なる成長を図るため、投資育成の育成機能は極めて重要であると考えておりまして、中小企業庁としても、投資育成株式会社三社に対しまして、こうした取組をより一層積極的に実施していくことを促してまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/98
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099・里見隆治
○里見隆治君 よろしくお願いします。
この投資育成株式会社の御担当とも様々話を伺う中で、今回、どちらかというとMアンドAを推しているわけですけれども、実際のいろんな中小企業からの御相談事で多いのは、やはり事業承継という一方の課題であります。
これも、もう近年ずっと言われてきました、なかなか承継する人がいないという中で、昔ながらのこの同族企業、まあ、昔ながらというわけではないですけれども、同族企業の中で跡取りがいないという場合に同族でない非同族への承継が増える傾向にあるという中で、この投資育成会社からの投資という案件が非常にこの相談としては件数が上がってきているということでありました。
このMアンドAはもちろん今回の法改正で拍車を掛けつつも、加速化させつつも、是非こうした事業承継等の他の業務についても目配りをお願いしたいというふうに思います。
先ほど、MアンドAの様々なトラブル、この環境整備ということで、これも午前中審議がありましたので、私も同趣旨の質問しようと思いましたが、その答弁は今回結構でございますが、これ、その文脈で大臣からは、このMアンドAの様々なトラブルの中で幾つもの要因がある中の一つに、この元の、吸収される、合併される側の企業の元の事業者の経営者に関する経営者の経営者保証ですね、個人保証の問題、これについても触れられておりました。
これ、MアンドAのときもそうですけれども、とかくこの事業を承継する、あるいは思い切った事業展開をすると、いかようにしてもこの事業を何らかの形で形を変えていくというときに、これも非常にこの問題意識はずっとお持ちいただいていると思いますけれども、この経営者個人の保証というものが非常にネックになっているのではないかと。これ、経産省も、この個人保証がなるべくなくても済むようにということで様々なルール化、またガイドラインというものも作っていただいてきたと思いますが、それが、事業承継にしても、またMアンドAにしても、円滑にこの事業形態を進め、そして、日本の社会全体の経済効率、生産性を上げていくということにもつながっていくのではないかというふうに思います。
この個人保証の問題について、経済産業省のお取組、また御認識についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/99
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100・山本和徳
○政府参考人(山本和徳君) お答えいたします。
経営者保証は、思い切った事業展開の抑制や、円滑な事業承継や早期の事業再生の阻害といったマイナス面も指摘されているところでございます。
政府としては、関係省庁とともに二〇二二年に経営者保証改革プログラムを策定いたしまして、経営者保証に依存しない融資慣行の確立に向けて対立を、失礼しました、対応を進めてきております。
例えば、政府系金融機関の経営者保証に依存しない新規融資の割合でございますけれども、二〇二〇年度は三八%でございましたが、二〇二三年度上期には六一%まで増加してきているところでございます。
他方で、信用保証付融資の経営者保証に依存しない新規融資の割合でございますけれども、二〇二〇年度三一%から二〇二三年度上期には三二%と、残念ながら横ばいで推移しております。
このことを踏まえまして、信用保証制度でも経営者保証改革を後押しするべく、本年三月に、保証料上乗せにより経営者保証の提供を不要とする信用保証制度を開始いたしております。制度開始から二か月余りたっておりますけれども、これまでに千百十七件、約二百四億円の保証を承諾しているところでございます。
また、MアンドAに係る経営者保証の問題につきましては、先ほど来御審議のありましたとおりでございまして、しっかり中小M&Aガイドラインにおきまして適切な対応を講じてまいりたいと存じます。
引き続き、経営者保証に依存しない融資慣行の確立に向けまして、本制度の活用、この経営者保証を要しない信用保証制度の活用を促すなどして、適切に対応を進めてまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/100
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101・里見隆治
○里見隆治君 先ほどのINPITにしましても、またこの投資育成株式会社にしましても、中小企業の皆さんに寄り添って、是非この支援を進めていく、それが日本経済の競争力の強化につながっていくというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/101
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102・三浦信祐
○三浦信祐君 公明党の三浦信祐です。
産競法、供給側のウエート重き、ウエートがかなり高いと思いますけれども、一方で、需要側とつなぐというのが、午前中からの議論があったと思います。
そういう中にあって、やっぱり間のこのつなぎというところの強靱化が私は大事なんではないかなという視点で、前回に引き続きまして、知的人材の育成、オープン・アンド・クローズ戦略についての質問をさせていただきたいと思います。
二〇二三年十二月五日開催の第十八回産業構造審議会経済産業政策新機軸部会での資料三、二十二ページのところで、日本の企業や大学等の研究機関において、標準化や知的財産を一体的に活用した市場創出、獲得に係る意識、知見、人材や資金の不足により、研究開発の成果を社会実装し、市場を獲得、創出していく際に、オープン・クローズ戦略を十分に構築、活用できていないと。ある意味明確な、そして課題も列挙されたような表現があります。
これまでの答弁も踏まえつつ、この活用できていない要因はどう分析されているか、経産省に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/102
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103・田中哲也
○政府参考人(田中哲也君) お答え申し上げます。
まず、企業におきましては、標準化は単なる品質管理の手法の一環と捉える傾向がありまして、標準化戦略が経営戦略に十分位置付けられておらず、特に競争力の源泉である研究開発活動において、標準化の優先順位は、知的財産権の確保などに比べて低いものがございます。また、大学等における研究開発におきましても、知見、人材、資金等の不足から、標準化や知的財産というツールを活用して研究開発成果を社会実装する取組が不十分であり、標準化を含むオープン・アンド・クローズ戦略は、企業が実用化段階に行うべきものという認識が依然として高い状況にあります。
こうした背景及び認識を踏まえまして、本改正法案における認定制度では、企業と大学等との共同研究開発に対しまして、INPIT及びNEDOからの専門的な助言を提供し、研究開発の早期の段階から、標準化や知的財産権を含めたオープン・アンド・クローズ戦略を活用して研究開発成果をマーケットにつなげる検討を促進するというものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/103
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104・三浦信祐
○三浦信祐君 まさに、ここの分析こそが立法事実にもなるわけであると思いますけれども、前回の委員会では、清水参考人の本当に希望の湧く、スピード感を持った、また世界を取っていこうというお話もいただいて、大変我々も励まされた思いであります。
そうなると、教育現場がとても重要になると思います。大学での知的財産利活用についての教育状況、これどうなっているのかという課題があります。今後必要な経営資源化であったり、能力構築、経済安全保障の概念を活用するために、また研究者、技術者として活躍していただくためにも、オープン・アンド・クローズ戦略についての知見醸成、こういう機会をつくる、また強化をするということはとても重要だというふうに思います。
そうなりますと、若い世代はやっぱり触れるということ、これが大事だと思いますので、企業で知財の経験者、また経済安全保障についての知見のある公務の方、あるいは民間企業実務者、これを大学等で講義できるようにする、また、ゼミとかに積極的に呼んでいただいて具体的なその知見をやり取りする機会をつくる、こういうことが必要なんではないかなというふうに思います。
是非検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/104
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105・伊藤学司
○政府参考人(伊藤学司君) お答え申し上げます。
研究成果の社会実装を進めイノベーションを創出していく上では、知的財産に関する知識を持つことは必要不可欠であり、大学において、知的財産を創造するのみならず、それを活用できる人材を育成していくことが大変重要であると認識をしてございます。
大学における教育内容につきましては、各大学が自主的、自律的に定めるものではありますが、約六割の大学で知的財産に関する授業科目を開設しているほか、知的財産を理解し、管理、活用できる専門人材を育成することを目的とした学位プログラムを提供しているなど、各大学において、社会の要請や各大学の特色等に応じた知的財産に関する教育が行われているところであり、こうした授業やプログラムにおいて、弁理士や企業での知財管理等の経験を有する実務家教員が関わる例も多数あると承知してございます。
また、山口大学におきましては、学部、大学院の授業で活用できる知的財産教育の教材の開発、提供や教職員向けの研修等を実施しており、文部科学省としては、同山口大学を教育関係共同利用拠点として大臣認定をし、他大学への知財教育の展開を推進しているところでございます。
文部科学省としては、こうした拠点の取組やその成果の周知等を通じ、引き続き、各大学における知的財産の利活用に関する教育を促してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/105
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106・三浦信祐
○三浦信祐君 文科省さん、頑張っていただいているのはよく分かりますし、具体例が出ていると思います。
では、大臣に伺いたいと思います。
であったならば、先ほどのような新機軸の資料で、人材が足りないとか資金が足りないという会話というのは、これ思いっ切り、実際にやっていることと結果につながっていっていないということの証左でもあると思います。だから変えようという前向きな議論をしたいと思いますけれども、大学教育における知財標準化の知見の必要性、我が国として掲げている知財戦略の実効性、これを鑑みていけば、経済の現場を担う経済産業省と人材の基盤を育てる文科省の緊密かつ緻密な連携が欠かせないというふうに思います。
その中で、具体性、課題共有とその克服への手当てが必要だと思います。文部科学省、経済産業省、これリンクして初めて我が国の基盤ができ上がるはずであります。それを本当に連携をするということはとても重要なことだと思いますので、是非、齋藤大臣の指揮の下で、連携強化を図って、人材を育てることをより立体的に進めていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/106
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107・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 全く同感でありますので、進めていかなくてはいけないと思います。
特に、オープン・アンド・クローズ戦略を推進するに当たりましては、知財を生み出す人材のなり手、この確保が重要でありまして、この知財活用を支える人材基盤の強化を図っていかなくちゃいけません。
そのため、政府全体といたしましては、知財創造活動への関心の惹起ですとか、スタートアップ等の企業に対して多様なアドバイスを円滑に行える人材の育成等に取り組んでいるところであります。
その上で、経済産業省におきましては、INPITが知的財産を活用した経営戦略や知的財産の実務などに関するコンテンツをインターネット上にて無料で一般に提供するというサービスを実施をいたしております。このサービスは、企業、大学の方にも多く利用していただきまして、年間十八万人の方に利用していただいておりまして、こういう形で大学の方に入り込んでいるということであります。
それから、スタートアップ支援の現場におきましても、スタートアップ関係者と知財専門家間のネットワーク形成、連携強化、これを促進するために、通称IPBASE事業というのがございまして、この事業を通じて、スタートアップ関係者に知財活用の重要性を理解していただいて、知財人材として育成していくための取組も行っているところであります。
加えて、文科省や弁理士会とも連携をいたしまして、我が国の次代を担う高校生、大学生等を対象としたパテントコンテストですとかデザインパテントコンテストというのを実施をしていまして、優秀作品には、知的財産権の取得支援など、発明や創造の魅力とともに、この知的財産権の取得や活用等の必要性について学んでもらう機会、これも提供させていただいております。
こうした事業の推進を通じまして、知財人材の裾野を広げていって、今後とも、関係省庁や関係機関と連携をして、知財人材の育成に努めていきたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/107
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108・三浦信祐
○三浦信祐君 若い世代のうちからいろいろ経験をするということはとても重要だと思います。
コンテストがあると意外と伸びると。今、ロボットがあってAIがあって知財があったら、じゃ、次何だろうということにもなると思いますので、是非いろんな形で広報もやっていただいて、若い世代のうちに、その知見があった上でいろんな分野に羽ばたいてもらうと、こういう社会に変えていくということが大事だと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
前回の質疑において、プロジェクト初期段階から知的人材を参加させることの重要性について明確化が図られ、今回の法改正により現実に深化すると期待をしております。
改めて、日本は、商品開発、サービス、製造設計等の分野を問わず、初期企画段階、プロジェクトを推進する最初の時点で、知的財産管理、意匠の専門家、ファンディングマネジャー等を入れていないというのが、これが実情であります。持続性ある予算確保、オープン・アンド・クローズ戦略での研究技術開発のターゲットの整理、創出した技術、ノウハウの確実な確保と権利保護、そして重要な技術があった場合の政府との関係構築など、初期段階が重要であると思います。遅れていることは逆に価値を早く見出すことのチャンスに変わると、こういう視点で、知財人材を初期段階から導入できる日本に変えていきたいというふうに思います。
是非、例えばモデル事業などを立てて推進を図っていくなどトライをしてみてはどうかというふうに思いますが、経産省に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/108
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109・滝澤豪
○政府参考人(滝澤豪君) お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、プロジェクトの初期段階から知財の人材を関与させることが極めて重要であるというふうに認識をしてございます。
今般の改正案におきましては、INPITの業務に、中小企業、スタートアップ等に対する助言を行うこと等の規定を追加をしております。こうした業務を通じて、INPITが、弁理士や弁護士などの外部専門家とも連携しつつ、スタートアップ等の事業の初期段階からオープン・アンド・クローズ戦略などの知的財産の保護、活用の方針について個社と対話を行い、必要な支援を行うことができるものと考えてございます。
また、特許庁におきましても、技術系スタートアップへ出資し、スタートアップにおける知財の課題を理解しているベンチャーキャピタルに対しまして知的財産の専門家を派遣をし、事業の初期段階からスタートアップに対する支援を行う取組などもモデル的に実施をしているところでございます。
こうした取組を通じまして、事業の初期段階から知財人材が関与できるよう努めることで、知的財産を活用した企業の稼ぐ力の向上に貢献してまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/109
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110・三浦信祐
○三浦信祐君 一問飛ばして質問させていただきたいと思います。
現場の最前線で知財管理を担うのが弁理士の皆さんであります。イノベーションの創出、マッチングに弁理士の皆さんの活躍が欠かすことはできないと思います。
前回の質疑において大臣とやり取りさせていただきましたけれども、オープン・クローズ戦略の、オープン・アンド・クローズ戦略の策定等の実務に詳しい弁理士をデータベース化するとの重要な答弁が大臣からありましたけれども、連携体制の強化、相談への協力と、より効果的に弁理士の皆さんの力を借りやすくすることが必要だと考えますけれども、大臣の見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/110
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111・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) イノベーションの創出には、この知財の専門家たる弁理士の御活躍、これが欠かせないと思います。
これまでも、経済産業省及び知財に関する総合支援機関でありますINPITでは、中小企業やスタートアップ等が知的財産を活用して稼ぐ力を向上できるように、弁理士と連携して支援を行ってきています。
具体的には、中小企業やスタートアップ等に対する支援といたしまして、中小企業等の相談のための基本インフラとして、全国四十七都道府県に知財総合支援窓口を設置をいたしまして、弁理士と連携して知財活用等に関する相談に対応をさせていただいています。知財戦略の構築支援を図るため、スタートアップやベンチャーキャピタルに弁理士等の知財の専門家チームを派遣するということもさせていただいております。特許庁やINPIT、日本弁理士会及び日本商工会議所の四者が知財経営支援ネットワークを構築をいたしまして、イノベーションの掘り起こしから事業化まで、知財の活用に向けた支援策を全国各地域できめ細かく実施する、こういったこともやらせていただいています。
加えまして、本改正法案によりましてINPITに追加を予定している助言業務は、弁理士等の知財やオープン・アンド・クローズ戦略に関する専門家の知見をいただきながら実施をするということを想定をいたしております。
引き続き、様々な支援の現場において、弁理士の方々と連携しながら取組を進めていきたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/111
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112・三浦信祐
○三浦信祐君 ここに、例えば資金を提供している地銀の皆さんであったり中小機構の皆さんが、本当にアドバイス機能が重なってくると、かなり厚めの、実は今まで手が入っていないことがどんどん伸びてくると思いますので、是非弁理士の皆さんの力も借りたいというふうに思いますので、是非押し上げていただければと思います。
中小企業の知的財産活用、支援について伺います。
現状の中小企業における知財についての課題は、知財に関する専門家との接点が薄い、あるいはない。開発段階からの知財戦略に関わる人材をそもそも有していないと、また、他の知的財産を活用する視点が少ないと、そして、そもそも自社製品が知財と関係するのか否かについての判断や興味が薄い、そして、知財を有してもメリットを感じて活用することを考慮していない等、多数挙げられます。もちろん、業種、業態によってはそういうことは当たり前かもしれません。中小企業における従前どおりの知財に対する考え方では、競争力、これが失われてしまうのではないかなという心配が重ねてあります。
知財活用、知財に対する考え方について、より中小企業に焦点を当てた制度の検討、設計、確立を急がなければならないと私は考えております。是非、国が前面に立って、戦略を作って強固に進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/112
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113・山下隆也
○政府参考人(山下隆也君) お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、中小企業は、知的財産にそもそも関心が薄い、特許を取得したとしてもその活用方法が分からない、相談できる専門家がいないなど、様々な課題を抱えていると認識しております。こうした課題に対応するため、経済産業省では、知的財産の取得、活用の促進を通じまして、地域中小企業のイノベーション創出を支援するための計画であります地域知財活性化行動計画、これを策定しているところでございます。
同計画に基づきまして、経済産業省、特許庁では、中小企業の知的財産の活用を促進するための取組を実施しているところでございます。具体的には、全国四十七都道府県に知的財産について相談できる総合支援窓口の設置、知的財産を普及するためのイベントといたしまして、つながる特許庁を全国各地で実施、地域中小企業への専門家の派遣等を通じた知的財産戦略の構築支援等の事業を行っているところでございます。
これらの取組に加えまして、今回の改正案によりINPITの業務に追加される中小企業、スタートアップ等への助言事業を通じまして、中小企業の知的財産の活用促進に向けましてしっかりと支援に取り組んでまいりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/113
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114・三浦信祐
○三浦信祐君 取組を加速、お願いしたいと思います。
続いて、知財の活用という視点において質問したいと思います。
よく議論になってくるのは、特許数が増えている、増えていないと、世界の中での数ということを比較されます。他方で、オープン・アンド・クローズ戦略が進むと、クローズがあるということは表に出てこないという部分もあると思います。
他方で、注目しなきゃいけないことがあります。それは、いわゆる寝ている知財の活用が我が国の課題だと考えます。現状、特許数に対し、寝ている知財のおおよその割合はどのような、どの程度ありますでしょうか。活用を図るに当たって、経産省のビジョンを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/114
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115・滝澤豪
○政府参考人(滝澤豪君) お答え申し上げます。
令和四年末におけます内国出願人による現在特許権の件数は、約百六十四万件でございます。また、特許庁は、令和四年度に実施いたしましたアンケート調査によりますと、自社実施や他社への実施許諾を行っていない、いわゆる未利用の特許の割合は約四七%だったと承知をしてございます。
委員御指摘のとおり、未利用特許の有効活用によるイノベーションの創出は極めて重要な課題でございまして、総理を本部長とする知的財産戦略本部で決定された知的財産推進計画二〇二三におきまして、大企業や大学に蓄積されている知財の見える化を進め、中小企業やスタートアップと効果的にマッチングする仕組みを整備することが必要である旨を明記したところでございます。
このため、特許庁におきましては、INPITとともに、企業、大学、研究機関が保有する実施許諾又は権利譲渡の用意がある開放特許につきまして、中小企業や知財専門家等がその情報を無料で閲覧できる開放特許情報データベースを提供するとともに、民間事業者による企業間のマッチングを促すべく、本年一月から、同データベースの一括ダウンロードを可能とするサービスを開始したところでございます。
また、同データベースの利用促進を図るべく、活用例等を盛り込んだマニュアル等も公開をしております。さらに、大企業の保有する開放特許を中小企業が活用できるよう、自治体、金融機関、シーズ提供企業等と連携したマッチングの機会を設け、中小企業の技術課題の解決や新事業創出の支援などにも取り組んでおります。
こうした取組を通じまして、御指摘の寝ている知財の有効活用を促してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/115
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116・三浦信祐
○三浦信祐君 まさに、つなぎ合わせたときにイノベーションが起きるはずですので、また、知らないということが最も脆弱性だということもありますので、是非いろいろ広めていただきたいというふうに思います。
知財、二問ありましたけど、ちょっと飛ばさせていただきたいと思います。
次に、産業競争力強化という視点において、我が国の航空機産業の強靱化、これを図るべきことについて質問したいと思います。
我が国は、一九五〇年以降、航空製造禁止ではあるものの、F86セイバーという航空自衛隊の戦闘機として、米国からの技術、部品等を提供されるライセンス生産等を重ねて完成品を造り上げるということを、知見、そして能力構築を図ってまいりました。まさにノウハウが蓄積され、多くの知見、技術力を伸ばしてきております。今後、民間航空機が我が国の成長戦略に位置付けていくということは、やっぱり重要なんじゃないかなと私は強く思っております。
その上で、今回、残念ながらスペースジェットの商用化を図ることができなかった、この明確な理由は何と分析しているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/116
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117・田中一成
○政府参考人(田中一成君) お答え申し上げます。
世界的に航空需要の拡大が見込まれる中で、脱炭素化やデジタル化、こういったゲームチェンジをチャンスと捉えまして、航空機産業の競争力を強化していくことは、経済成長はもちろん、経済安全保障の観点からも極めて重要と考えております。
三菱スペースジェットが開発中止に至った主な要因といたしましては、安全性に関する認証取得プロセスへの経験やノウハウの不足により開発期間が長期化したこと、それに伴う度重なる設計変更がサプライヤー対応も含めた事業コストの増大につながったこと、同時に、リージョナルジェット市場が当初の見通しから大幅に縮小するなど先行きが不透明になったことなどが挙げられ、これらによって、事業性が見通せない状況に陥ってしまったものと認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/117
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118・三浦信祐
○三浦信祐君 希望もありましたし、また、飛ぶ姿をイメージしてこの委員会でもいろんな議論があったと思います。
ですが、この産業競争力という部分では、体制いろいろ整えても、このノウハウを持ったということが、今後我が国にとってのむしろそれこそ知財だと思っていくことがとても大事だと思います。スペースジェットから得られた知見は何だったのか。産業競争力を強化するに当たって今回の経験は大切な失敗だと、そして他の分野にも重要な情報となると思います。今回の経験こそ実は国家財産なんだというふうに私は考えます。
今後、今回の知見を生かしていくということ、これについて、是非、経産省も含めて皆さんで取り組んでいかなければいけない課題だと思いますけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/118
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119・田中一成
○政府参考人(田中一成君) お答え申し上げます。
三菱スペースジェットの事業では、三千九百時間超の飛行試験を実施するなど、機体開発においては一定の水準まで到達しており、人材育成も含めまして、我が国の航空機開発の技術、能力の向上に寄与したと考えております。
一方、完成機事業を創出するには、開発、製造の物づくりのみならず、安全認証、マーケティング、そうしたことも含めた総合的な事業実施能力、いわゆるインテグレーション能力が不可欠であることや、収益性ある市場での長期的なビジネスを視野に、国内外での事業連携を念頭に置いたビジネスモデルの検討が必要であることも重要な示唆として得られました。
こうした認識の下で、先月、我が国航空機産業の課題と成長の方向性を示します航空機産業戦略、これを取りまとめました。
同戦略の中では、三菱スペースジェットが開発中止に至りました要因や背景を踏まえまして、海外主要航空機メーカーとの国際連携の枠組みの中で、部品サプライヤーとしての地位に満足せず、収益性が見込まれる具体的な開発プロジェクトにおきまして、設計などの上流工程にも参画し、完成機事業を実施する技術的、事業的な能力をステップ・バイ・ステップで獲得していくとしております。こうした方針の下、二〇三五年以降に想定される次世代航空機の開発に向けまして、自律的な成長を可能とする産業構造への変革を目指していく所存でございます。
政府としては、この戦略の下、我が国航空機産業の更なる成長に向けて、その取組をしっかり支援してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/119
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120・三浦信祐
○三浦信祐君 裾野が極めて大きいのと、人材も育つチャンスであると思いますので、我々は支えていきたいというふうに思います。
今後、我が国が民間航空機製造能力を確保することは、産業の現場に大きな裾野を持つということは今言わせていただきましたけれども、我が国の経済、技術、サプライチェーンの成長がこれによって期待をされます。午前中からありますけれども、人口が減ったから、高齢化が進んだから産業が弱った、そういう社会をつくってはいかぬという思いがあります。
米国においては、本年一月に策定した国家防衛産業戦略で、グローバルサプライチェーン、ウクライナ対応の教訓を踏まえて、同志国との共同生産を重視する姿勢を示しております。民間航空機についても同じ傾向も想定され、レジリエンスの強化にもつながるというふうに思います。是非、航空機製造ラインを我が国に持てるようにするため、米国製造メーカーとの協力などを視野に取り組んでいただきたいというふうに思います。
確かに、スペースジェット、これができ上がっていたら、もしかしたら航空需要が変わっていて売れなかったかもしれないと考えると、いろんな意味合いを持っているんだろうなというふうに思います。今後の展望について、大臣、是非我が国の成長を懸けて御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/120
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121・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) このカーボンニュートラルが新たなビジネスチャンスにつながるという、そういう事態を活用しながら、将来に向け、我が国航空機産業の競争力を強化していくということ、これにしっかり取り組んでいきたいと思っています。
一方、航空機の開発、製造は、長期かつ巨額の開発費用を長期間にわたって回収をする大変リスクの高い事業であります。航空機の完成機メーカーはボーイングやエアバスといったごく少数の外国企業に限られますが、これら海外メーカーでも、リスクをパートナー企業間でシェアする事業体制の構築等が行われています。
こうしたことを踏まえますと、委員御指摘のとおり、海外メーカーとの国際協業を基軸として成長していくという視点が不可欠であります。また、民間、防衛合わせたサプライチェーン、この強靱化も不可欠であります。
経済産業省としては、新たな航空機産業戦略の下で、我が国航空機産業が単なるサプライヤーの位置に甘んじることなく、完成機事業を見据えたインテグレーション能力を向上していくということが重要であると考えています。そのためのプロジェクトを海外メーカーとの協力を視野に官民連携で具体化していきたいと思っています。その際、政府支援の在り方につきましては、既存の枠組みにとらわれずに検討して、引き続き、我が国の航空機産業をしっかりと支援していきたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/121
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122・三浦信祐
○三浦信祐君 とても大事な御答弁いただいたと思います。
やっぱり官民合わせてやるということで、今回の飛行機の案件では、当然、この認証のプロセスの経験が、間が空いたがゆえに人材がいなかったということも一端、大きいと思います。また、サプライチェーンを構築しようとしたときにどの企業を使ったらいいかという判断能力、そして、海外のメーカーがいいと思っても、今度トレードの仕方ということがあったと思いますので、全部その知見は役に立つということありますので、この知見をベースにして、過去にとらわれず、是非前に進めていただきたいと思います。
最後、時間の関係もありますので、産業競争力基盤強化商品の中のSAFについて質問させていただきたいと思います。
今、SAFを、これを今回強化商品として明確化になっておりますけれども、これ、だんだんだんだん拡大をしていくと言っておきながらも、今後、欧州では、このSAFの技術の予測においては、廃食油等を原料とする技術による製造量は変わらず、むしろ全体の量に対する割合というのは小さくなっていくと。今後、新しい技術と期待されるCO2、水素を原料とした合成燃料が原料の半分を占めると。そして、バイオエタノールを原料とするATJと合わせて約四分の三と予想されているのもデータとしてあります。
我が国は、このトレンドに対して、技術開発の方向性、どう戦略を描いているのでしょうか。経産省に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/122
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123・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
御指摘の欧州等の今後のSAFの技術の動向の見通しにつきまして、我々も同様のものを承知しておりまして、基本的には同じ方向に向かうべきだというふうに考えてございます。
具体的には、足下では、廃食油などを原料にSAFを製造する、HEFAと言っていますが、そういう技術が確立されており、今後は、二〇三〇年までに、エタノールからSAFを製造するアルコール・トゥー・ジェット技術、あるいは廃棄物からSAFを製造するガス化FT合成技術が確立されていく見込みでございます。さらに、その後、CO2と水素を合成して製造される合成燃料も、二〇三〇年代には導入拡大とコスト低減が進み、SAFとして利用が進んでいくということが期待されてございます。
現時点では、あらゆる可能性を選択肢に技術開発を進め、国内におけるSAF製造、供給体制を早期に整備することが重要と考えておりまして、グリーンイノベーション基金などを活用して、SAFを大規模に製造するための技術開発や合成燃料に関する技術開発を支援するなど、国際競争力のあるSAFの製造技術開発を進めているところでございます。
引き続き、こうした取組を通じて、SAFの製造、供給に取り組む事業者を積極的に後押ししていきたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/123
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124・三浦信祐
○三浦信祐君 一問最後できませんでしたけれども、市場が独立をしていくということまで国内製造体制を整えていかなければいけないと思います。そういうことから見ると、入口と出口の戦略、これをしっかり書いていただいて、前に進めていただきたいということをお願いさせていただいて、質問を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/124
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125・東徹
○東徹君 日本維新の会・教育無償化を実現する会の東徹でございます。
今日は、引き続き、産業競争力強化法の質疑ということであります。
一昨日、参考人質疑があったときにも、参考人の方から、やっぱり失われた三十年という言葉が出ておりました。この三十年間、GDPが上がってこなかった、賃金が上がってこなかったというふうな状況で、大臣も言われている、潮目が変わってきているという、私は、非常に多くの国民に、やっぱり夢や希望、先には光があるんだということを示していく上でも、そういった言葉を使っていくというのは私は大事なのかなというふうに思っております。その参考人の方とも、終わった後、是非この失われた三十年を終わらせて、これからそれを取り戻していく二〇二四年にしていきたいですねというふうな話をしておりました。
今日はまた、ちょっと最初に、また大阪・関西万博からちょっと入らせていただきたいと思うんですけれども。
私は、実際に見て、覚えてはいないんですけれども、一九七〇年のあの大阪万博のときに人間洗濯機というのがありました。正確に言うと、ウルトラソニックバスというんです。通称人間洗濯機。余りちょっと、人間洗濯機って名前がどうなのかなとちょっと私も思うんですけれども、それがあったということです。当時技術者としてこれに関わった方が、もう一回これに挑戦してやるんだというふうなことです。もう一度万博に挑戦できると、技術者としてこんなうれしいことはないというふうに、この山谷さんという方なんですけれども、語っておられます。
実は、これ非常に大事なことでして、よく介護ロボットという言葉を使うと思うんですけれども、私はいつも常に、介護ロボットは存在しませんと言うんですね。何でかというと、介護というのは、よく言われる三大介護の中で、食事介護、排せつ介護、それから入浴介護というふうに言われるんですけれども、これをできるような機械は、ロボットは今ないです、ありません。
センサーだとか、そういったものはぼちぼちとできてきていて、施設でも使われるようになってきています。例えば、ベッドから利用者さんが起き上がったとか部屋から出ていかれたとか、そういうのをセンサーで知らせる、そういったものができてきたりとか、そしてまた、尿取りパッドとかにそういったセンサーも付けて、大体その方がどういった時間帯に排尿するとか、そういったものはできてきていますけど、実際に介護ができるようなロボットというのはありません、ありません。ただ、本当にこういったものができたらいいなと私も思います。その一つが、この人間洗濯機というか、ウルトラソニックバスになっていくのかなというふうにも思っています。
前回の万博でこの山谷さんがこれに関わられたということで、また、ほかにも、その万博に関わられた方が、ノズルから、その次のページですけれども、ありまして、これ、ノズルからお湯と専用のボディーソープが体に噴き出して、スポンジでこすり洗いするもので、水を使っているのにベッドがぬれないという、これは画期的なこういったものもあって、これもすごいなと思いました。こういったものが、一九七〇年の万博に関わられた方が是非こういったものを開発していこうということで開発されているということです。
こういったものを開発できれば、施設にとっては、高齢者介護の施設にとったら物すごく助かります。排せつ介護、食事介護、それから入浴介護の中で、一番体力的にしんどいのがやっぱり入浴介護なんですね。もうお風呂の中でずっと多くの方の体を洗ったりとかやっているというのは本当にしんどいですし、大変な労力です。
こういったものができればすごいし、これは、施設でどんどんと、これから高齢社会の中でこういったものができればすごく画期的なものになりますし、また、こういったものを海外に売っていくこともできれば日本の産業の強みにもなっていくんではないのかというふうに思いまして、今日、今度万博で展示されるこの人間洗濯機を、ちょっと資料としてお付けさせていただきました。
こういったものを、万博をきっかけとして、時代を超えて新しい技術開発にチャレンジしていくものでありまして、万博を開催するに当たっての非常に意義のあるものだというふうに思います。
大臣、こういったことが万博に展示されることについての意義であるとか、また、是非経済産業省として、これ厚生労働省はもう絶対こんなの支援できません、もう本当に。こういうものの開発に当たってはできないと思います。だから、やっぱり経済産業省が是非こういったものを開発支援していくというのも私は大事なのかなと思っていまして、是非、齋藤大臣に、この辺についてお考えを是非お聞かせいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/125
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126・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 大阪・関西万博は、「いのち輝く未来社会のデザイン」というのがテーマでありまして、ここでは、我が国のイノベーションの可能性を感じることができる未来社会の実験場にしたいと思っています。来場者、特に将来を担う子供たちが未来社会を実感をして、どういう未来をつくっていくべきかを考える、万博ならではの貴重な機会を提供をしなければならないと強く思っています。
万博の目玉となるコンテンツについて、だんだんと発信できる段階になってきています。
例えば、石黒浩プロデューサーが手掛けるパビリオンでは、たくさんの人間そっくりなロボットに囲まれた未来の暮らしを体験できる、そういう企画もありますし、さらに、千年先の人間の姿を想像させるアンドロイドも展示されると、そういう予定だと聞いています。また、ほかにも、今御指摘ありましたミライ人間洗濯機、ミライが付いているんですけれども、生体データなんかも同時に計測管理することができるということで、体を洗うだけじゃなくて心も洗うということだそうです。それから、視覚障害者を目的地まで安全に誘導してくれるAIスーツケース。このスーツケースを持っていると目的地まで誘導してくれるとか、そういうものも展示をされる予定であります。
そういったことで、未来社会が夢あるものであって、しかももう間近に来ているというようなことを実感をしていただきたいなというふうに思っています。
これらは一例でありますが、このような万博の具体的な中身をより明確にしながら、博覧会協会において、広報発信コンテンツの制作や様々なメディアとも連携し、効果的な発信を行っていきたいと考えています。
その上で、多くの企業に、万博を、世界に向けて事業を展開する契機や新しい技術開発の機会としても是非活用していただきたいというふうに思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/126
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127・東徹
○東徹君 ありがとうございます。
一九七〇年万博のときには何かワイヤレステレホンとかってあって、それが今となってはもう携帯電話、スマホみたいなのが当たり前になってきております。
是非、この一九七〇年のときのこの人間洗濯機は開発はされませんでしたけれども、今回、是非、こういったものが実際に開発されて商品化されていって、そしてどんどんと社会の中に普及していけば、これからの高齢社会も、超超超高齢社会ですけれども、それにもすごく大きな役に立っていくんではないのかなというふうに思いますので、是非こういったものの開発支援も経済産業省として考えていっていただけると大変いいのかなというふうに思っておりますので、是非お願いしたいと思います。
続いて、今日、報道でありましたけれども、高浜原発三、四号機、六十年運転が認可されるという、原子力規制委員会が二十年の延長をすることを認可しました。こういったものも、これから非常に明るいというか、安全性がしっかりと確保された上での再稼働を是非やっていっていただければなと思うわけですけれども。
その産業政策についてなんですけれども、国内投資が増えていくと、労働生産性の向上を通じて賃金が上昇につながっていくというデータがあるわけですけれども、我が国は、設備投資と賃金とともに上昇率がまだまだこれ低い状況にあるわけです。これを打開していくために国内投資を増やしていくということが大事で、これも国が一生懸命やろうとしているわけですけれども、社会課題を解決することを目的とした大規模で計画的な財政出動を行っていくというのは、もうこれ、今、世界各国の産業政策のスタンダードになりつつあるわけであります。日本としても、やっぱりそうやっていく必要があるということです。
前回も、水素社会、CCSで質疑がありましたけれども、GX経済移行債を使って政府として十年間で二十兆円規模の支援を行うということで、官民合わせて百五十兆円のGX投資を実現させていこうというものですけれども、民間による百三十兆円という、これは大規模な投資、これが本当に見通せるのかどうかというところが非常に大事だというふうに思っていまして、この点についてはどうなのかということを是非お聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/127
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128・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 日本経済を再び成長軌道に乗せていくためには、将来の飯の種というものを生み出していって、賃金や成長の源泉となる社会課題解決型の国内投資、これを後押しをしていくことが重要です。
GXは国内投資が期待できる重要な戦略分野でありまして、GX経済移行債による支援策や、これだけじゃなくて、規制・制度的措置も組み合わせて十年間で百五十兆円超の国内投資を目指していくということであります。
この百五十兆円超の官民投資は、例えばFIT、FIPによる政策効果も含めて、再生可能エネルギー分野で約二十兆円超、鉄鋼や化学等の素材分野で約八兆円超、水素等の分野で約七兆円超などを想定しています。
GXの取組はまさに実行フェーズに入っておりまして、例えば、鉄鋼や化学などの素材分野では、高炉から革新電炉への転換や、ナフサクラッカーのアンモニアへの熱源転換ですとか、さらには、今国会で成立いただいた水素社会推進法を踏まえた水素プロジェクトなど、各社が具体的な投資計画に基づき、投資決定に向けた準備が加速をされてきております。
GXは、三十年にわたる長期の停滞を打ち破る大きなチャンスの一つだと思っておりまして、政府も本気になって企業の投資を後押しをしていきたいというふうに思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/128
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129・東徹
○東徹君 非常に大事なことだというふうに思っておりまして、しっかりと国の方で十年間で二十兆円規模の支援を行う、それに対して民間も投資していくんだと、そういう流れをつくっていくというのがもう本当に大事だと思っておりまして、それが本当にできるのかどうかというのは、これからしっかりと見ていかないといけないわけであります。
失われた三十年をやっぱり取り戻していくということは非常に大事でありますが、それだけではなくて、前回からも非常に厳しいお話もありました。IMDという世界競争力ランキング、何と二〇二三年が過去最低の三十五位であるとか、そして生産性ですね、労働生産性ですけれども、一人当たりの労働生産性がOECDの加盟国の中で三十八か国のうち三十一位で最も低い状況にあるということです。
また、今日、ちょっと資料を付けさせていただいたんですけれども、二枚目の裏面、済みません、うちはちょっとお金をけちっていまして全部白黒で申し訳ないんですが、見にくくて済みませんが、これもよく目にされている表、ランキング表ですけれども、世界の時価総額ランキングトップ五十ということで、一九八九年ですね、世界のトップ五十の中に日本は何と三十二社入っていたんですね。ところが、今現在、二〇二四年は一社のトヨタのみということです。一位はやっぱりアップルということで、この後の法案もまた関係してくるんだと思いますけれども、そういった状況にあるということです。
〔委員長退席、理事古賀之士君着席〕
やはり、もう何とかもう一度成長する日本をやっぱりつくっていかないといけないわけでありますが、アメリカのこの、何かここにすごく会社名が出てくるのは本当すごいなと思うんですけれども、米国の労務省が算出する米国の生産性なんですけれども、昨年四月から十二月に年率で四%程度の高い伸びを記録しているということなんですね。この要因として、新型コロナ禍においてアメリカでは二か月で二千二百万人超えの規模のレイオフが発生したこともあって、その後、労働者がより成長力のある業種や企業に移っていったことが挙げられるのではないかとする見解もあるそうです。
経産省の方で、このアメリカの生産性の高い伸びの要因、どのように分析しているのか、これについてまずお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/129
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130・荒井勝喜
○政府参考人(荒井勝喜君) お答えさせていただきます。
アメリカの生産性、これは、実質GDPを労働の投入量、これで割った労働生産性、これで確認をさせていただきますと、アメリカの労働生産性は、先進諸国の中でも相当高い水準にございます。かつ、直近十年間の数字を見ましても継続的に上昇傾向にあるということで、委員御指摘のとおりの結果が見て取れるところでございます。さらに、産業別に米国の労働生産性を見てみますと、特に情報通信業、この産業における労働生産性の伸びが高く、かつデジタル分野への投資や労働移動も活発であるところでございます。
委員御指摘のとおり、生産性上昇の背景には、こうした成長力の高い分野への投資、それから労働力の移動、労働力の投入、そういったものがあると考えられております。
新型コロナウイルスの感染症拡大時には、アメリカにおきましても、高い生産性は維持しておりましたけれども、大量の離職者が出たことによる就業者数の減少を背景といたしまして、実質GDPはマイナスになりました。しかしながら、コロナ克服後は、再び就業者数が回復する中、労働生産性の上昇に合わせまして、さらに、消費や投資の堅調さを背景といたしまして、高い経済成長を実現しているといった状況でございます。
〔理事古賀之士君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/130
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131・東徹
○東徹君 そういった高い成長産業の方へ労働力が移っていっているという現状にあるということですけれども、日本でも、コロナ禍でも雇用を維持できるよう、雇用調整助成金、こういったものを活用して様々なこれ対策が行われてきたわけですけれども、コロナ禍での失業率の向上や社会不安は比較的抑えられていったんだというふうに思っておりますが、ただ、結果として、成長力の高い分野への労働移動も、これも低くなっていったというふうに思いますし、我が国全体の生産性の伸びがそれほど伸びなかったというふうになったんだというふうに思います。
やっぱり、日本におきましても、成長力の高い分野への労働移動というのは、ここはやっぱり非常に大事ではないのかというふうに思っておりまして、どうやってこれを実現していくのかというところでありますけれども、この点について齋藤大臣のお考えもお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/131
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132・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) デジタル化や脱炭素化の進展によりまして急速に産業構造が転換をして、成長のエンジンとなる事業も大きく変化をしていく中で、成長分野への労働移動の円滑化、これを進めていくことは重要であります。
こうした労働移動を実現するためには、労働移動先の成長分野における人材の育成、確保の仕組みづくり、これを行うことがまずは重要だろうと考えています。
このため、例えば半導体や蓄電池等の分野につきましては、産学官が連携した人材育成コンソーシアム等を分野ごとに設立をいたしまして、実践的なカリキュラムや教材の開発、産業界からの講師の派遣等を進めているところです。
また、企業のDXに必要なデジタル人材につきましては、政府全体で二〇二六年度末までに二百三十万人育成という目標を掲げまして、デジタル人材育成プラットフォームを構築をして、デジタルスキルに関する教育コンテンツを提供するポータルサイトの整備ですとか、企業の課題解決にチームで取り組む実践的なプログラムの提供によりまして、デジタル人材の育成を後押ししています。
さらに、脱炭素分野に関しましても、先月にはGXリーグにおいてGXスキル標準が策定され、公表されました。今後のGX人材の求人市場拡大に役立つものになると考えています。
こうした取組に加えまして、より業種横断的な支援といたしましては、在職者に対してキャリア相談からリスキリング、転職までを一体的に支援し、成長分野への労働移動とリスキリングを一体的に促進している、こういう取組も行っています。
こうした取組を通じまして、引き続き、成長力の高い分野への円滑な労働移動と人材の育成を図ってまいりたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/132
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133・東徹
○東徹君 今日もいろいろほかの委員からもお話がありました。人材育成、本当にここ大事だと思いますし、特に、先ほど言われた分野、半導体であったり、そしてまた脱炭素であったり、そしてまたデジタル人材、そういったところの人材育成というところは非常に大事だというふうに思います。是非そういったところのコンソーシアム、そういったものにやっぱり是非力を入れていっていただきたいというふうに思います。
続いて、今回の法案の大きなポイントでもあるMアンドAのことについてお伺いをさせていただきたいと思います。
企業がやっぱり中小企業からそして中堅企業、そしてまた中堅企業から大企業へと、こういうふうに成長していっていただくことは、私は非常に大事だというふうに思っております。そのことによってやっぱり生産性も上がっていくというふうに思うわけでありますけれども、年間これは四千件程度行われているMアンドAですが、これをやっぱりもっと増やしていかないといけないというふうに思うわけですね。中小企業の数はやっぱり三百三十六万社とよく言われておりますから、三百三十六万社の中で四千件と言われても、本当に微々たるものです。
産業競争力強化法がこれ三年前に改正されたわけですけれども、中小企業事業再編投資損失準備金という、MアンドA実施後に発生し得るリスクに備えるための税制措置もこれ盛り込まれております。ただ、その適用件数を見ますと、令和三年度が二十件、令和四年度が七十件ということで、これ非常に少ないんですね。これではちょっと駄目ではないのかというふうに思いました。
今回の法案でも、MアンドA税制に関するこれ措置が含まれておりますけれども、これまでの実績を見ると、税制措置ではMアンドAを進める対策としての効果が非常に薄いんではないのかというふうに思うわけです。経済産業省がどの程度これ活用されていくというふうに見込んでいるのか、お聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/133
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134・菊川人吾
○政府参考人(菊川人吾君) 現在の適用状況についても、今委員の方から、令和三年度で二十件、令和四年度で七十件という御説明ございました。まさにそのとおりと御承知をしております。
他方で、現在の現行の準備金の活用で必要な計画認定というものがあるんですけれども、これ、今、一応令和六年二月までの間で二百九十件来ておりまして、年間百件程度の税制の活用が見込まれるというふうに考えております。なお、まだ十分ではないということの御指摘はそのとおりではないかと思います。
他方、今回、法案におきまして、新たな中堅企業者を定義させていただいたわけでございますが、その中でも特に賃金水準や投資意欲が高い中堅企業者等に対して、複数の中小企業をMアンドAする場合の税制措置を講じるということにさせていただいております。
今般の改正による拡充部分の適用件数につきましては、課題があって複数回のMアンドAにちゅうちょしている成長志向の中堅・中小企業、これが本税制を通じてMアンドAを実施するようになるなど、効果を見込んでいるところでございますが、一定の仮定を置きまして、統計やアンケート調査などを用いて見込みを付けて計算しておりますけれども、おおむね平年度でいくと、約七十件程度になるのではないかというふうに思っております。
また、今般の税制改正の中では、損金算入できる割合を、従来七〇%でございましたが、最大一〇〇%にさせていただくことでありますとか、準備金の積立期間を五年から十年に大幅拡充させてございます。
そうした形で、中堅企業者等による複数回のMアンドAを強力に後押しするための大胆な拡充を行ったところでございまして、さらに、企業の声も聞きながら、こうした税制活用に必要な手続の改善も行うこととしまして、周知、広報はもちろん努めるとともに、地域、地方とも連携の上で働きかけをしていまして、制度の効果を最大限高めていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/134
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135・東徹
○東徹君 そうおっしゃるんですけど、令和三年が二十件、令和四年度が七十件ですよ。これ本当に少なくて、これの言うてみれば延長線上に今回の法改正なんですよね。その延長線上で本当にこれ増えるのかと思うわけですね。
複数回やれるようにする、そのために、今まで七〇%だったのを、二回目は九〇パーとか一〇〇パーとか、積立率の上限を拡大していっているということなんですけれども、そもそもその最初の段階からちょっとやっぱりインセンティブが弱いんじゃないのかというふうに思うんですけれども、そう思いませんかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/135
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136・菊川人吾
○政府参考人(菊川人吾君) ありがとうございます。
できるだけ強いインセンティブを付けていきたいところでございますが、現在の中小企業白書のデータによりますと、二〇二一年は過去最多の四千二百八十件のMアンドAがあったということでございますが、このMアンドAの中身は、いわゆる合併や買収以外に、いわゆるマイノリティー出資、出資をするような形でグループ化をしていくような広義のMアンドAの件数も含まれていると思っておりますので、これ、その四千二百八十そもそもと比べるかどうかということについては、一定の条件を考える必要があるなと思います。
他方、今般、これまでこの委員会においても多く御議論いただいているように、特に、その中堅企業者や中小企業の中でも特に賃金水準や投資意欲が高い中小企業者等に対して税制措置を講じることで高めていっていただきたいということで、全てのMアンドAということでなくて、やはり我々としては賃金や投資、こういったところに着目をして、そうした成長意欲のある中堅企業に対して御支援をしていきたいということから、まあ、もちろん、政策効果含めて我々支援をしていきたいと思っておりますが、委員の御指摘踏まえて、更に使われるように、しっかりと周知、広報を含めてやっていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/136
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137・東徹
○東徹君 私は、このMアンドA効果を高める設備投資の減税ですよね、ここの投資額の一〇%を減税控除又は全額即時償却とか、ここの部分の投資額の一〇%税額控除がやっぱり弱いんじゃないかなというふうに思ったりもしております。
だから、やっぱり、もうちょっとやっぱりしっかりとここの評価をきちんとやっていって、もっとこの制度が使われるような仕組みというものをやっぱり考えていかないといけないというふうに思います。是非、もうこれも毎年毎年、一年一年が勝負だと思いますので、是非その辺のところの評価をしっかりとしていっていただきたいと思います。
中小企業のMアンドAを進めるためには、経営者がMアンドAの相談ができる第三者が必要なわけですけれども、その役割、財務状況など、一番情報を持っているのが、私はこれ、地域のやっぱり金融機関だと思うんですね。金融機関こそ適任であるというふうに思っているわけですけれども。
一方では、これ、今日も話が出ておりましたけれども、悪質な仲介業者、投資会社も多くて、経営者が被害を受けるという報道もあるわけです。中小企業のMアンドAに対する不安や不信感、これをやっぱりなくしていかないと、この制度が拡充できないというふうに思うわけですね。促進できないと思うわけですけれども。
その悪質な仲介業者、投資会社がこれ入ってこないように、実効性のある対策というか、例えば何か資格制度とかそういったものをつくるとか、資格制度をつくるのが大変であれば、例えば士業とかですね、そういった方々のみにするとか、何かやらないと、物すごい数があるんですよね、この仲介業者の数がですね。
その仲介業者の数が恐らく四千件近くあるんだろうというふうに思うわけですけれども、もうちょっと質を高めていくこともやっぱりしていかないといけないんではないのかというふうに思うわけですが、その点についていかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/137
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138・山本和徳
○政府参考人(山本和徳君) お答えいたします。
委員御指摘のとおり、中小企業の事業者が適切にMアンドAを行っていくためには、事業者同士の意識の醸成はもちろん、仲介事業者の質の向上は必須だと考えております。
これまで累次、中小企業M&Aガイドラインその他の施策を講じてきておりますけれども、先ほどの本委員会での質疑も踏まえまして、適切に中小M&Aガイドラインの見直しも含めた施策を検討し、中小M&A支援機関の質の向上に向けた施策をしっかり講じてまいる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/138
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139・東徹
○東徹君 仲介業者は三千五十七業者、二〇二三年ですね、あるということですから、かなりのそういう業者があるわけですから、やっぱりここをもう少し見直していかないといけないのかなというふうにも思いました。
ちょっと時間がなくなりましたので、ちょっと最後にNEDOのことについて質問を最後させていただきたいと思います。
NEDOは、グリーンイノベーション基金事業もこれ追加されたんですけれども、この事業の開始前後でNEDOの全体の管理費、八十一億円から百十億円と三十億円近く管理費がこれは増えているわけです。中でも職員数がこの基金事業で二百人、ほかの事業も合わせた全体で三百人増えたことで、人件費がこれも十六億円増加をしているわけです。
基金事業に係る二百人の業務の内訳ですけれども、プロジェクト推進業務が百六十人、バックオフィス業務が四十人ということで、バックオフィスの割合が高くて、本当にこれだけの職員の数が要るのかなというふうに思うわけですけれども、民間企業では、業務が増えたから単純にその分人を増やしますという、増やしていくこと、なかなかこれできません。業務の効率化、コストの削減、こういったものも非常に大事だと思います。
ただ、やっぱりNEDOが行う業務で、経済産業省として、しっかりと効果が上がっていけば私はいいと思うんですけれども、その本当に費用対効果じゃないですけれども、きちっと、幾ら投資をしたことによってどれだけの成功した企業が収入がどう増えていったのかとか、やっぱりそういうきちんとした効果の評価をしていくべきだというふうに思いますが、この点についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/139
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140・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) NEDOにおきましては、令和三年三月に約二兆円のグリーンイノベーション基金が造成されるなど、近時、複数の基金事業が追加をされてきています。政策的にも重要なこれらの基金事業を遅滞なく適切に執行するため必要な体制整備を行った結果、人員や管理費が増加をしています。
御指摘のとおり、効率化やコスト削減を進めた上で業務を遂行すること、これは極めて重要であると思っていますので、経済産業省では、独立行政法人通則法に基づいてNEDOの中長期目標を設定をして、その中で、業務運営の効率化や適切な調達の実施、これを指示をしています。これを受けて、NEDOでは、組織全体のコスト削減を経営課題として、業務の効率化や必要人員の増加の抑制を、理事長トップダウンで今取り組んでいるところであります。
こうした中で、例えば、NEDOの令和四年度決算における経常費用に占める一般管理費の割合ですね、この割合について見てみますと、NEDOと同様の機能を有するほかの国立研究開発法人の損益計算書の水準と比べても、大体同程度のものになっているのかなというふうに認識をしています。
いずれにしても、これで甘んじることなく、予算の範囲内で各事業の適切な執行管理と業務運営を図るように、引き続きNEDOを指導監督していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/140
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141・東徹
○東徹君 是非、その効率化のところも大事ですし、しっかりとNEDOによって産業がどんどんと成長していったのかどうかというところを、評価も併せて見ていっていただきたいなというふうに思います。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/141
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142・石井章
○石井章君 日本維新の会・教育無償化を実現する会、石井章でございます。
今回の産競法は、前々回の二〇一八年の改正から何度か私も質問の機会をいただいてまいりました。それで、今回の改正案では、「新たな事業の創出及び産業への投資を促進するため」という、この文言が冠として付いています。過去二回の改正ではこういった文言は付いていませんでした。
経産省以外の省庁でも、法案についてこういった文言が付いているのは珍しいんではないかと思うわけでありますけれども、そこで、本案ではこのような冠が付けたその理由と、そして何らかの思いがあって、意味があると思うんですが、併せて説明いただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/142
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143・菊川人吾
○政府参考人(菊川人吾君) お答えいたします。
一般的に、三つ以上の法律の改正を目的とする一部改正法でありますと、一つの法律の題名を挙げまして、ほかは等でくくることとなっておりますけれども、その際、改正の目的を明示することによりまして、改正の対象となる法律の範囲をある程度表す趣旨で法案名にその法律の改正目的を加える場合がございます。
本法案提出させていただいておりますけれども、対象となる法律の範囲を表すと、そういう趣旨で法案名に、「新たな事業の創出及び産業への投資を促進するための」という改正目的を加えて、全体の法律の趣旨を説明したという趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/143
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144・石井章
○石井章君 産競法ですね、いわゆる産業競争力を強化することを目的とした法律であります。今回の法律は、今までもそうだったんですが、成長あるいはスタートアップへの支援、規制緩和、事業再編、リスクマネーなど、とても広い範囲でカバーをしているのが特徴であります。
ただ、そうはいっても、なかなか全てのものを盛り込まれても、それが全て実を結んでいるかというとそうでもないわけでありますけれども、今回、コロナ禍で創設された成長発展事業適応等のこの廃止がされているわけでありますが、それは当然ながら、そういったものを含めて、先を見越してやっているわけでありますけれども、例えば、債権譲渡における第三者対抗要件の特例の認定、下請中小企業取引機会創出事業者の認定、これは双方共にこれまで二社の認定のみであります。また、技術情報管理認証制度は、公表に同意した会社のみの数字でありますけれども、四十三社ということになっております。
これらについて、政府としては、改正時に期待した結果を得たと考えているのかどうか、その評価をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/144
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145・菊川人吾
○政府参考人(菊川人吾君) お答えいたします。
委員まず御指摘の二点の点についての評価ということでございました。
まず一点目でございますが、債権譲渡における第三者対抗要件の特例でありますけれども、これ、書面の電子化など、デジタル化などの環境変化の中で、債権の譲渡を通知をするときの事務効率化、迅速化に資する観点から、産競法に基づく計画認定を受けた事業者によって提供される情報システムを利用して債権の譲渡の通知がなされた場合には、民法で規定する債権譲渡についての確定日付のある証書によって通知等がなされたものとみなすことができるという、こういう制度でございますが、今委員の方から御指摘あったように、二社が認定を受けたということで、非常に少ないんじゃないかという先ほどの東委員からの御指摘にもつながる点かと思います。
今、認定を受けたのは二社なんですけれども、実はその手前のところで実証を行っている事業者がございまして、六社、これは非常に、ちょっと個社名は、まだ実証段階ですので個社名は控えますが、大手の金融機関、そして大手のグローバルないわゆるコンサルティング会社、こういったところが入ってきておりまして、御指摘のところについてはしっかりと受け止めなきゃいけないと思っておりますが、そういった動きも出ているということでございます。
もう一つ、下請中小企業取引機会創出事業者というのは、自分が発注者から委託を受けて、大手の企業から、発注者から委託を受けて、関係するような事業者、中小企業中心になりますけれども、そういった最適な企業を選定をして、そこに再委託をして中小企業の取引機会を増やそうということでやってきておりました。ここについても二社の認定ということで、御指摘受け止める必要があると思いますが、ここにつきましては、一社ずつがそれぞれ数百社の中小企業に取引機会を提供しているということで、もちろんそうした認定会社が増えていく必要があると思いますけれども、御指摘しっかり踏まえまして、更なる拡大について検討していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/145
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146・石井章
○石井章君 それでは、せんだっての参考人質疑で、それぞれの皆様から非常にすばらしい内容の指摘を我々も受けたわけでありますけれども、特に松江参考人から、EBPM、エビデンスに基づく政策形成、これ非常に大切であると。いわゆる質問終わって、それから名刺交換したときに、これは非常に大切だということを指摘を受けたわけでありますけれども。この手法を、政策評価をどのようにこの行政の中での改善につなげていくか、私は非常に重要な課題だと思っております。
この点に関して、政府には、政策立案の時点でEBPMを考慮すべきだとの参考人からの指摘、これをどのように受け止めているか、その考えをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/146
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147・藤木俊光
○政府参考人(藤木俊光君) 今委員から御指摘ございましたEBPMの考え方、大変重要な考え方でございます。
経済産業省といたしましても、省が実施する政策については、政策評価法に基づきまして毎年度評価を行っているところでございますし、また、より効率の高い、効果の高い産業政策を実施していくということで、経済構造審議会の新機軸部会において、合理的根拠に基づいて政策立案を行うEBPMというのを進める方針を打ち出しているところでございます。
特に、近年取り組んでおります大規模な予算事業、例えば先導、半導体基金事業でありますとかグリーンイノベーション基金事業といったようなものにつきましては、有識者の意見も踏まえて効果検証のシナリオを策定したところでありまして、事業の進捗、効果をモニタリングしながら、逐次改善に努めていきたいというふうに考えております。
今後も、こうしたEBPM、政策評価、着実に取り組んで政策の改善につなげてまいりたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/147
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148・石井章
○石井章君 期待しています。
次に、中堅企業の政策でありますけれども、従業員数が二千人以下の会社を中堅企業者と位置付けると。そういった中で、今回は予算に補助金まで付いているわけでありますが、そこで、日本の周りの海外の国と比べても遅れていると、中堅企業政策についてでありますが、この韓国や台湾での取組が先行しておるという数字が出ております。
韓国や台湾ではどのような中堅企業に対する支援を行っているのか、また、それから韓国や台湾の中堅企業政策によってどのような効果があったのか、どのように分析しているのか、さらに、日本の中堅企業に対する政策が他国に後れを取っている要因についてはどのように考えているのか、経産大臣からお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/148
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149・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 韓国や台湾の中堅企業政策では、特にグローバル市場で競争する企業を育成するために、半導体などの先端技術分野に関わる有力な中堅・中小企業を選抜をしまして、輸出や研究開発等に関する集中支援という、そういう考え方で行っていると認識しています。
外国の政策の効果を網羅的に把握しているわけではありませんけれども、韓国政府の統計によりますと、二〇二一年時点での中堅企業の数が四年間で一・二倍に増えているということでありまして、これは政策の効果が出てきているということなのかなと推察をいたします。
今回、本法案におきまして、我が国では初めて、法律上、中堅企業を定義をするということといたしておりますが、中堅企業への成長を促す支援政策はこれまでも実施をしてきています。その結果もありまして、例えば二〇二三年度時点での中小企業から中堅・大企業に成長を遂げた企業の数を見てみますと、三年間で一・三倍に増加をしていると推計をいたしておりまして、他国に後塵を拝しているとは私どもは考えておりません。
しかし、成長型経済への転換を目指す上で、国内投資や地域の良質な雇用の担い手としての中堅企業の役割に改めて注目をいたしまして、韓国や台湾が支援対象とするグローバル市場の開拓を目指す業種だけではなく、国内市場でサービスを提供する業種も含めまして、更なる成長を後押しする施策の深化に取り組むことといたした次第でございます。
もちろん、他国の政策について学ぶべき部分は真摯に学んでいくことは大変重要であります。そうした学びに加えて、我が国の産業特性や中堅企業の経営課題、こういったものも踏まえながら、必要な政策を講じていきたいというふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/149
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150・石井章
○石井章君 ありがとうございます。
それでは、せっかくですので、上月副大臣に質問をします。
青山先生から、二回目の質問なので、非常に真面目ですばらしい答弁をするということなので、元々茨城県の副知事やっていた方なので、私もよくお世話になりました。
まず、じゃ、質問に入りますね。海外投資比率規制の緩和についてお伺いいたします。
二〇二三年六月に閣議決定されました新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画二〇二三では、LPS法について、海外投資上限を撤廃するとされていましたが、本法律案では、撤廃ではなく、日本企業が実質的に支配する外国企業だけを海外投資比率規制から除外するにとどまっております。
海外投資比率規制が完全撤廃されなかった理由と、上限の完全撤廃ではなくても何か得られる効果があるかどうか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/150
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151・上月良祐
○副大臣(上月良祐君) 御質問ありがとうございます。
LPS法は、国内事業者への資金供給を円滑化することを目的といたしております。現在、その法目的の重要性は変わっていないというふうに認識をしておりまして、現時点では、海外投資の上限規制自体を撤廃することが適当であるとは考えていない状況であります。
他方で、グローバルに活動をする日本の事業者からの具体的なニーズもございます。そういったものも踏まえて、今般の法改正では、日本の事業者と一定の関係のある外国法人への投資について規制を撤廃するということにしたところであります。
具体的には、LPSが実際に投資している外国法人のうち、国内事業者が設立する外国の子法人でありますとか、国内事業者の開発や生産の拠点ないしは原材料の調達先となります外国法人など、そして、日本の事業者と一定の関係のある外国法人を海外投資上限規制の適用外とするということといたしたところ、しようとしているところであります。
当該措置は、日本の事業者の海外展開を後押しする効果、大きいものがあるというふうに考えております。特に近年では、スタートアップにおける海外進出の機運が高まっておりますが、資金調達に苦慮することが少なくございません。そうした海外展開に取り組むスタートアップがLPSから投資によって資金を得ることができるようになるという意味において、当該措置は重要な意義があるというふうに考えておるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/151
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152・石井章
○石井章君 上月副大臣の答弁が一〇〇%なので、私の質問はこれで終わりにします。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/152
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153・礒崎哲史
○礒崎哲史君 国民民主党・新緑風会の礒崎哲史でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。
まず冒頭、質問に入る前に、おととい行われました参考人質疑で三名の参考人の方からいろいろお話をお伺いしましたが、参考人の方たちに、次の委員会で大臣に伝えたいことがあったら教えてくださいって質問をしたものですから、これ伝えないと約束破っちゃうことになるので伝えたいと思いますので、大臣、質問ではないです、お伝えをさせていただきたいと思います。
まず、デロイトトーマツの松江参考人からは、今回のこの法案、これ投資のところに、国内に投資をするという枕言葉が付いているというのが実は大事なんだってお話をされていました。国内に世界からも国内からもお金を集める、投資をしていく、国内のマーケットに投資をするというのが実はすごく大事で、かつ、その投資をすることが、その投資がセールスにつながる部分に対してインセンティブが利くんだと、投資が国内の市場を活性化させた分がフィードバックされる、あるいは知財を使った部分が、実際にマーケットに働きかけた部分がインセンティブとして戻ってくるという、実はこういうところがみそで、これをきちんと文脈として理解をしてもらうようにちゃんと宣伝してくださいというふうにおっしゃっていましたので、これ是非よろしくお願いします。
それから、フクシマガリレイの福島参考人からは、MアンドAに関してでしたけれども、やはりMアンドAに慣れていない方たちが多いということで、金融機関の皆さんとかとはいろいろ打合せしながらやるんですけど、やはりデューデリジェンスが分からない、なので、このデューデリジェンス、理論武装するというここの部分をもうちょっとやりやすくするとか理解できるような仕組みづくり、これを検討してもらえると有り難い、もっとそうするとみんなが使いやすくなるんじゃないかというふうにおっしゃっていましたので、これをお願いします。
それと、最後、エレファンテックの清水参考人、大変お若い、スタートアップのかなりいろんなぶっちゃけ話をしてくれた社長でしたけれども、この方、意見としてはかなりぶっちゃけていました。もっとリスクを政府が取ってほしいと言っていました。結局、スタートアップを応援する中で、ゼロリスクで支援しますと言われても、スタートアップそのものがリスクを抱えてやっている人たちなので、それを支援する政府の立場が極力リスクを少なくした形の支援なんというふうになってしまうとやっぱり支援につながらないので、やはり政府が、政府もリスクをしょうという仕組みをその中に盛り込んでもらうとか、まあ税金使うのでなかなか難しいのかもしれませんがとは言っていましたけれども、やはりそういう政治のメッセージというのは必ず市場にも伝わると思うので、やはりリスクを取ってほしいということでお話をされていましたので、間違いなく約束を果たして、三名の方たちの意見、お伝えをしましたので、是非是非よろしくお願いします。
ただ、まあ、三つとも確かにそうだなと思う意見ばかりでしたので、是非また経産省の中で御検討いただければと思います。よろしくお願いをいたします。
それでは、元々の質問の方に入らせていただきたいと思います。
まず、私からは、国内投資の観点で、戦略分野国内生産促進税制に関してということで、こちらの一分野でちょっと区切りたいと、限定したいと思うんですが、様々なものが対象に、商品が対象になっていましたけれども、今回、電気自動車等というものが対象の一つということになりました。ただ、電気自動車と聞くと、やっぱりそこはバッテリーなのかな、例えばこの商品の中で、今回半導体というものも入っていましたから、そういう意味でいくと、素材であったり、そうしたものという観点でいくと、バッテリーが本当はここの促進税制になってもいいんじゃないのかなというふうに単純に思うわけですけれども、今回、税制対象製品として、バッテリーではなくて電気自動車等という形で最終的な商品を対象としたその理由について、まずは確認をさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/153
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154・畠山陽二郎
○政府参考人(畠山陽二郎君) お答え申し上げます。
投資促進策には様々な手法がございます。各分野の特徴などを踏まえまして、予算、税制、規制制度といった政策を効果的に講じていく考えでございます。今回のこの税制は、各国が戦略分野への強力な投資支援策を講じる中で、特に生産段階でのコストが高い等の理由から投資判断が難しい分野につきまして、新たな国内投資を強力に促進する観点から選定したものでございます。
御指摘の蓄電池でございますけれども、これは、主として初期投資の大きさが課題であるということを踏まえまして、生産工場の初期投資に対する補助金として、令和六年度予算などにおきまして、初期投資支援の補助金を措置しているところでございます。
加えて、この税制によりまして電気自動車等の国内での投資、生産を促進することで、蓄電池の需要を拡大し、蓄電池産業の競争力強化に、これにも資するというふうに考えておりまして、しっかりと取り組んでまいりたいと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/154
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155・礒崎哲史
○礒崎哲史君 ありがとうございます。
そういう意味では、バッテリー、電気自動車は、バッテリーのサプライサイドから見れば電気自動車はお客様ということになりますから、供給、需要の関係がそこにもあるわけでして、その意味では、先ほどの政府参考人のまさに言葉ですよね、どこにインセンティブを働かせるかということで、電気自動車に対してもインセンティブを働かせ、そしてバッテリーに対しても、違う支援策ですけれども、そこに対してインセンティブを働かせているということで理解をしたいというふうに思います。
ちょっとここをもう一つ確認で、二つ目に確認したかったのが、新しい工場じゃないと駄目ですか、それとも部分的に設備入れればいいですかというので、これは午前中の村田委員とまるっきりかぶってしまいましたので、先ほど確認できました。新工場じゃなくても、新しい設備を導入するということも当然対象になり得るというふうに考えられるという御答弁いただきましたので、ここについてはクリアになりました。
少し細かい話なんですけれども、これ、工場は新工場として造りましたと、ただ、そこに持ってくる部品は海外から日本に持ってきました。いわゆるこれ、我々ノックダウン、ノックダウン生産という言い方を業界の中ではしたりするんですけどね、最終組立てだけそこの場所でやる、それ以外のものは全て海外から持っていくという、こういう生産方式が実はあるんですけれども、これをやった場合というのはやっぱり対象になるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/155
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156・畠山陽二郎
○政府参考人(畠山陽二郎君) これは、そのそれぞれの計画を認定をするということになりますので、当然そのどういう事業かというのを中身を見ることになりますけれども、我々、この税制適用するに当たってアメリカの事例なんかも見ておりますけれども、アメリカは、この主要な部素材、部品がアメリカから、北米ないし一定のその域内から来ないといけないというような要件を課しておりますけれども、我々はそこを要件化をするということは考えておりません。
したがって、国内から部品、部素材を含めて全部来なければ対象にならないということではないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/156
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157・礒崎哲史
○礒崎哲史君 今、考えていないということでしたけれども、それは将来的にも入らないんですかね。やはり、組立て部品の例えば国内調達率などがこの適用条件に入ってもおかしくないのかなというふうには思うんですけれども、その点、今後の可能性についてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/157
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158・畠山陽二郎
○政府参考人(畠山陽二郎君) ここは、産業政策的な観点から何が望ましいかということは個別に判断をする必要はあると思っておりますけれども、同時に、国際ルールとの適合性ということも考えていかなければいけないわけで、そこも踏まえた上で産業政策的に望ましいのがどういうものかということから、今の考え方は先ほど申し上げたとおりですけれども、今後、そういうことも含めて検討をしていく可能性は当然あるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/158
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159・礒崎哲史
○礒崎哲史君 やはり、御説明の中で言われましたアメリカのインフレ促進税制ですよね、あっ、抑制税制、これについてはやはりそういうのがあったり、あるいはTPPなどを結んでいく、海外とそういう経済連携を結んでいく、関税に関しても、例えばその経済連携域内での調達率なんというのも当然そこには考え方として入っていたりもしました。なので、そういう考え方を導入していくことそのものは私はおかしくないのではないかなというふうには思います。
なぜここをそんなに細かく聞いているかというと、これが事前に通告しました三つ目の質問とつながるんですけれども、これ、最終的にはやはりサプライヤーへの波及効果というのがつながっていかないといけないんじゃないかなというふうに思ってます。
対象商品は電気自動車等になりますけれども、その電気自動車等を生産するためにいろんなサプライヤーさんがそこにはくっついているわけであって、そのサプライヤーさんたちがまた日本国内でしっかりと製造ができる、あるいはそこに対して国内でまた投資ができる、雇用がそこに生まれるという、こういう形をつくっていくことによって経済が安定するし、雇用も安定するし、というふうになると思うんですよね。その意味では、サプライヤーへの波及効果というのが大変重要だというふうに思うんですが。
では、今回のこの法案、提案されている法案で、サプライチェーンの強化にどのようにつながっていくのか、どのようにつなげていくのか、その辺のお考えをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/159
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160・畠山陽二郎
○政府参考人(畠山陽二郎君) お答え申し上げます。
この税制の対象分野でございます電気自動車等、それからグリーンスチール、半導体などは、いずれも広範なサプライチェーンを有する、そういう産業でございます。この税制を活用いたしまして、こうした分野における国内投資を実現し、生産、販売を拡大することで、地域の中小・中堅企業を含め、部素材等の発注や供給の拡大、確保など、幅広く経済波及効果が生じるというふうに考えております。
また、本税制と併せまして、例えば、先ほど申し上げましたけれども、電気自動車の構成部品でございます蓄電池あるいは半導体の製造装置、部素材につきましては、主として初期投資の大きさが課題となっていることを踏まえて、その初期投資支援の予算措置を講じていると。こうした措置は、この税制の効果を中小企業を含めたサプライチェーンに、より広く波及させることにつながると、このように考えております。
加えまして、そのサプライヤーの強化ということで申しますと、その中小企業向けの賃上げ促進税制ですとか徹底した価格転嫁対策、それから革新的な製品、サービスの開発、IT導入や人手不足に対応した省力化投資の支援などにも取り組みまして、サプライチェーン上の企業の競争力強化につなげていきたいと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/160
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161・礒崎哲史
○礒崎哲史君 御説明ありがとうございます。
今、半導体のお話で、素材の話あるいは製造機器の話ということはお話しいただきましたけれども、言ってみれば、もしかすると、それってたまたま強かったから日本国内に残ってくれていたわけですよね、素材の分野あるいは製造機械のメーカーさんたちというのは。
もし、でも、それが最終消費地が違うところにあったら、確かに出ていってしまった可能性もあって、でも、それは、日本に国内に残ってくれていたから残ってくれているのであって、ただ、今後もずっと残り続けてくれるかどうかというのは分からないので、やはり、しばらくはもちろん大丈夫だと思います、今、半導体の最終工場を国内に誘致したりもしていますのでね。そういう意味では、最終消費地が日本国内にあるので引き続きサプライヤー群は残るとは思いますけれども、またその構図がいつどう変わっていくかは分からないですから、しっかりそこは注視をしていただきたいというふうに思います。
特に、電機ですとか車関係でいきますと、型ですよね、プレスですとかああいったような型、この型のメーカーって国内ってなかなかもう今技術者少ないんですよね。海外でお願いしたりしているんですよね。なので、もう国内では既に技術者を育てることができなくなっていて、実は海外に技術者がいて、海外の技術者に日本人を育ててもらったりということが現に今起きていたりもしますので。
こういったところをいま一度日本にというのであれば、また更なる施策であったり仕掛けであったりというのも必要になっていくというふうに思いますので、是非そうした点も今後研究していただいて、より国内投資がしっかりと国内の産業の力につながっていく、そういうインセンティブが働くような仕掛けも是非お考えをいただければと思います。よろしくお願いをいたします。
続いての質問です。がらっと変わりまして、今度、知財関係です。標準化と知財関係の質問の方に入りたいと思います。
先ほど、公明党の三浦委員の方からもすごい紳士的な質問がありましたので、ちょっと私のがさつな質問が対比されるかもしれませんけれども、御容赦いただきたいと思います。
特に、私は、標準化の部分に特化した質問を今日はさせていただきたいんですが、まずちょっと現状の認識合わせということで、日本の国際標準化戦略に対する政府の現在における課題認識、まずここから教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/161
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162・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 標準化は、我が国企業の強みをグローバル市場で反映させるために極めて重要なツールでありまして、言ってみれば、我が国の競争力強化に直結するものであると認識しています。
一方で、日本企業における標準化活動の課題といたしましては、常々申し上げておりますように、大きく三つあろうかと思います。一つは、標準化活動を牽引する人材層の高齢化の進展、そして若手人材層の不足など標準化人材の育成確保面での課題。二つ目は、企業の経営層が標準化を市場創出のための重要なツールとそもそも認識をしていないということ、これによりまして、企業の経営戦略における標準化の位置付けがどうしても不十分になってしまうということが二つ目です。三つ目は、研究開発の早期の段階において本来標準化戦略を考慮し展開していかなくてはいけないんですけど、この点の認識が不足をしているという、この三点が大きく指摘できるのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/162
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163・礒崎哲史
○礒崎哲史君 大臣、ありがとうございます。今、三点、問題点ということで御説明をいただきました。
では、続いての質問なんですけれども、今回の施策ですね、この特定新需要開拓事業計画の認定制度なんですが、この制度は、今三つ大臣に御説明をいただきましたけど、この課題のうちの何をどう改善することにつながっていくのかということと、あわせまして、今回のこの認定制度、企業と大学の共同研究を対象にしているんですね、何で共同研究を対象にしたのか、なぜ企業側だけ、大学側だけというのではなくて共同研究を対象としたのか。この点、二点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/163
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164・畠山陽二郎
○政府参考人(畠山陽二郎君) お答え申し上げます。
今回の改正法案におきまして措置する認定制度につきましては、その波及効果も含め、先ほど大臣からお答え申し上げました三つの課題のいずれにも資するよう運用したいと考えております。その上で、直接的には、三番目に申し上げた研究開発の早期段階における標準化戦略の展開に関する課題の解決に資することが期待されるというふうに思っております。
また、企業と大学等との共同研究開発は基礎研究的な性格を帯びることが多いということですので、研究開発プロセスにおいて、より早期段階に近い性質であると考えられるため、この認定制度における支援対象としたところでございます。
なお、企業単独、大学単独の研究開発においても、オープン・アンド・クローズ戦略の意識付けや促進が重要であるというふうに考えておりまして、この認定制度が、認定制度の活用が広まる中で企業や大学に好影響が及び、他の政策と相まって行動変容につながることも期待できると、このように考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/164
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165・礒崎哲史
○礒崎哲史君 今回の仕掛けで、INPITですとかNEDOと関係性を持って、助言をもらったり支援をもらったりという形で標準化を進めていくようなできるって、仕掛けは私すごくいいなと思いまして、結局、知識がある、経験がある人たちがつながっていなかったのをつなげる施策ですから、その意味では、私、ここは、ああ、工夫していただいたんだなというふうに受け止めたんですけれども、やはり、それを共同研究だけというのに限定しないで、もう少し幅広に門構えがあった方が、よりつながるきっかけといいますか、シチュエーションがもっと増えるんじゃないかなというふうには素朴には感じましたので、一つここは感想ということでお話をさせていただければと思います。あわせて、またいずれ検討もいただければと思っています。
今御説明をいただいたんですけれども、この中で、大臣から課題として二つ目に言われた経営層のその認識の低さということで、本当に資格、失礼しました、仕掛けそのものは、私は考えていただいて、いい仕掛けをつくっていただいたなというふうに思ったんですが、じゃ、実効性を高めていこうというときに、そもそもこれを使う経営層が相変わらず認識が低ければ、結果的にこれ使われませんし、あわせて、共同研究する大学側、アカデミア側が気持ちが乗っていなければ結局使われないということで、日本の標準化はこれまでどおり、結局、技術はあって研究もやっているんだけど市場は取れないという、それがまた繰り返されることになるんですよね。だから、どうやって実効性を高めていくかというのを、ここ本当に真剣に考えないといけないと思っているんですが。
改めてなんですけど、まずちょっと企業側の認識についてお伺いしたいんですけれども、この標準化の重要性に対する認識、これはやはり企業低いというふうに思います。その改善に向けた取組、やっていただいているというふうには認識しているんですが、その状況がどうなっているか、お伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/165
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166・畠山陽二郎
○政府参考人(畠山陽二郎君) お答え申し上げます。
御指摘のとおり、現状、標準化の重要性についての経営層の認識、これ、すごく意識の高い企業の経営者もおられますけれども、全体としてはすごくばらつきがあると思っておりまして、総じて見ると、重要性の認識が不足しているということだというふうに考えております。これは大きな課題でございます。
経済産業省といたしましては、企業の経営戦略における標準化戦略の位置付けを高めて経営戦略と整合的かつ中長期的視点からの標準化活動を促すために、CSO、最高標準化責任者でございますけれども、この設置を奨励しておりますし、それから二つ目に、統合報告書における標準化戦略の発信促進など、こうした取組を行っているところでございます。
加えまして、グリーンイノベーション基金、これらの研究開発事業、国の研究開発事業ですけれども、これに参画する企業に対しまして、当該プロジェクトの標準化に向けた戦略の策定やその戦略を推進するための体制整備を個別に働きかけ、さらには経営層本人に審議会の場でその進捗を説明してもらう、こういうこととしております。その結果、各採択案件の中心的な企業など、経済産業省がヒアリング対象とした百五十四件中約半数が標準化戦略の策定に至っていると、こういう足下の状況でございます。
引き続き、こういった取組を推進いたしまして、標準化の重要性の認識を広めるべく産業界に働きかけを続けてまいりたいと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/166
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167・礒崎哲史
○礒崎哲史君 ありがとうございます。
少しずつ広がってきているだろうというふうに私も思いたいんですけれども、これ、昨年の六月に、日本型標準加速化モデルということで政府の方から発表されたものがあります。中身は私も拝見をしましたけれども、これまで課題になっていたところに対していろいろな手を打っていただいているなということで、是非これやっていただきたいなというふうには思っています。
この標準化に関しては、とにかくやっぱりヨーロッパの強さが目立っています。これは、EUの域内が既に二十数か国ありますから、ヨーロッパの標準というのはイコールもう二十数か国で合意されたものなので、ヨーロッパが合意したもの、標準を一回作ってしまうと、それを変えるのというのはもう困難なんですよね。最終的には皆さんの投票で標準化って決まるので、そうすると、ヨーロッパが標準を提案した時点でもう二十数票集まっちゃっている。それをひっくり返すというのは物すごく大変なことで、日本単独では不可能なんですよね。
だから、いかに各国と事前にネゴシエーションしていくかというのが重要で、ヨーロッパが何でそれが強いかというと、彼らは標準化がビジネスになっているからです。標準化しませんか、これ標準化できますよね、どうですか、標準化やりましょうよといってビジネス化しているので、ヨーロッパというのはそこが強いというのがあります。
じゃ、今更日本がその標準化をビジネス化、国内でできるかといったら、それはやっぱり難しいということ。じゃ、それと違う道でというのでいくと、じゃ、アメリカは何で標準化が強いかというと、いわゆるデファクトスタンダードということで、市場がでかいので、アメリカの市場を一回押さえてしまうと、ほかの企業がアメリカ市場を取ろうと思ったときにその標準を取らざるを得ないということで、いわゆる既成事実化してしまうというデファクトスタンダード。アメリカはこの力で標準を取ってくるんですよね。
じゃ、日本はそういう標準が取れるような、デファクトスタンダード取れる市場かといったら、もう、日本国内はもうそういう市場ではありませんので、それも無理、ヨーロッパ型も無理、アメリカ型も無理といったら、もう日本型取るしかないよねということで、今回この日本型標準加速モデルというのを私は作っていただいたという理解ですので、私はこれは確かにいいなというふうに思っているんです。
それの最たるものが、国際規格の専門家のデータベース化って、多分前回もこの委員会の中でそういう質問があってお答えをいただいたと思うんですけど、これは専門知識を持っている人たちをデータベース化するということですから、ヨーロッパ型のビジネスまでは行っていないですけれども、この中身についての専門家がこのデータベースの中に詰まっているので、活用したいというか、その人たちに助けを求めたい人たちはそのデータベースを活用できるし、もう一個、これはもう提案なんですけど、やるんであれば、データーベース化されている皆さんで積極的に今度は、ビジネスというよりも、こういう標準がありますよね、こういう標準って今度大事になってきますよねというのをその業界に対して積極的に働きかけをしていくというのも一つやり方としてあるのかなというふうには思いましたので、是非、こんなところも企業への働きかけという意味では是非お考えをいただければと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。
ちなみに、その標準化モデルの資料の中にあった経営層がどれぐらい意識しているかというアンケート結果があるんですけど、五百六十五社に確認したところ、経営戦略とか開発テーマの設定というのは三〇%以上の企業が力入れています、デジタル技術の活用、三〇%以上力入れています、規格等のグローバル標準化への対応、一・五%。これは二〇二一年のアンケート結果です。今から三年前ということですので、これがもう実態なんですよ、今の日本の。なので、やっぱりまだまだ、技術はたけているんですけれども、ビジネスで勝とうとしていくとまだハードルはあるということだというふうに私は認識していますので、是非これ頑張っていただきたいと思います。
今、企業サイドに向けた課題といいますか認識ということでお示しをしましたが、もう一つ、アカデミアの方に対しての課題認識について質問させていただきたいと思います。
今日は文科省の方が、文科省から来ていただいておりますので、文科省の参考人の方にお伺いしたいと思います。
このアカデミア、大学の研究の場、この場において、この知的財産ですとか標準化、あるいは社会実装という、こうした考え方の重要性というのは今どのように受け止められているのか、この点教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/167
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168・山下恭徳
○政府参考人(山下恭徳君) お答え申し上げます。
大学の知を最大限に活用し、経済成長や社会課題解決につなげるためには、優れた研究成果を社会に還元し、特許収入等により得られた対価を研究力の強化に活用する好循環を実現していくことが重要だというふうに考えてございます。
全国の大学等におけます特許権実施等件数につきましては、平成二十五年度の約九千九百件から令和四年度の約二万四千件と、十年間で約二・四倍に増加しておるところでございます。また、特許権実施等収入額につきましては、平成二十五年度の総額約二十二億円から令和四年度の総額約四十五億円と、十年間で約二倍に増加してございます。
さらに、社会実装に向けて大学と企業との共同研究が取り組まれてございますけれども、全国の大学等における民間企業との共同研究の実施件数につきましては、平成二十五年度の約一万八千件から令和四年度の約三万件と、十年間で約一・七倍に増加してございます。また、民間企業との共同研究の研究費受入額は、平成二十五年度の総額約三百九十億円から令和四年度の総額約九百七十三億円と、十年間で約二・五倍に増加というふうになってございます。
このように、大学におきましてその社会実装に向けた様々な取組が着実に進められているというふうに認識しておりまして、文部科学省といたしましては、今後とも、社会実装が一層進められるよう、必要な支援を行ってまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/168
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169・礒崎哲史
○礒崎哲史君 御説明ありがとうございます。
今、数字も御紹介をいただきました。十年間で一・七倍の、実際に大学で扱われているテーマの数ということでもお話をいただきました。着実な前進は図られているというふうには今御説明をいただきました。
ただ、この標準化に実際に携わっている大学教授とも何名かの方と会ってお話をさせてもらったんですけど、今から三年ぐらい前のことなんですけれども、そのときにその教授がやっぱりおっしゃっていたのは、社会実装というテーマそのものがアカデミアの世界では残念ながら評価されないということなんですよね。評価されないので、結果的には、気になっている先生がいてもテーマとして取り組まない、結果的には自分の評価につながらないからということなんですよね。
なので、できればその社会実装というものもアカデミアの世界でしっかりと評価がされるような、そういうふうになってもらえると有り難い。自分はもうこれでやるって頑張るからいいんだけど、ただ、じゃ、その教授の下に学生が来て学んでくれるかというと、学んでくれないんですよね。だから若手が育たないという負の連鎖になってしまうので、是非こういったところ、力入れてほしいということは言われていました。
その意味では、今少しずつですが前進は図られているというふうには受け止めましたけれども、まだまだだと思います。三年前にそういう状況でしたのでね。もっと力を是非入れていただければと、そのように思っています。
ただ、その一方で、とある会合に出ましたら、とある大学教授が、最近文部科学省が社会実装、社会実装とうるさいんだと、俺たちは、その社会に貢献するしないというのももちろん大事だけど、そうじゃない部分だって学問では大事なんだというふうにおっしゃっていました。
いや、でも、それは確かにそうなんです。どっちかが大事なのではなくて、どっちも大事なので、それをやっぱり進めていただくという意味では、もしかすると誤解も今生まれている、生まれるかもしれませんので、そこは是非文科省さん、丁寧に進めていただきたいと思っていますので、よろしくお願いをいたします。
最後に、最後の質問ですけれども、今言った学生を育てるという意味で、あるいはまた、標準化に対する日本のプレゼンスを向上していくという意味も含めて、人材育成も含めて一つ提案なんですけれども、標準化に関する国際会議を日本に誘致をするということを是非検討いただきたいというふうに思います。
海外から見たときにも、日本が国際会議を誘致するということで、ああ、日本ってここに力入れているんだなということにもなりますし、来てもらうことで日本のネットワークがそこでつくられていくということにもなります。また、その国際会議の場に実際に学生たちを連れていって経験をさせることによって、本当の国際会議の場の交渉ってこういう雰囲気なんだということを生で彼らが感じることができるって最高の多分人材育成になると思いますので、是非こうした国際会議の日本誘致も検討いただきたいと思いますけれども、最後にこの点お伺いをして、最後の質問にしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/169
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170・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 今委員の議論を拝聴させていただきながら、私も長いこと日本の標準化の遅れに対してずっと危機感を持ち続けていまして、ヨーロッパ、デジュールだと、アメリカはデファクトだということで、日本は彼らよりも優れた技術を持っていながら、標準化で敗れて、結果としてビジネスを失うということを何回も経験をしてきているわけであります。
日本の中には恐らく、いいものを作れば売れるはずだみたいな考え方があって、そっちに力を注力して、あとの標準化については余り考えないということが依然としてあるのではないかと。私、農政に携わっているときも同じことを考えまして、農家の人は、いいもの作っていれば売れるはずだと。
だから、これが根強く残っている限りなかなか前進図れないということで、そういう意味でいうと、今御指摘がありました、その国際会議に日本人が参加をすることによって、あっ、全然違う世界がそこにあるということを多くの日本人、研究者あるいは若い人が実感をするということは一つの解決策になるのではないかなというふうに強く思っているわけであります。
例えば、ISO規格の開発を担う個々の専門委員会につきましては、実はその国際会議は相当数、日本でも開催をされています。昨年度は、化学や鉄道など十を超える専門委員会の会合を日本で開催をしたところでもあります。
こうした会議の場には国内の専門家が多く参加をしており、将来の人材育成にもつながっていくのではないかなというふうに考えていますし、また、我が国はISOの常任理事国でもありますので、昨年は理事会を金沢で開催をするなど、規格開発のみならず、ISOの組織運営においてもプレゼンスを発揮をしているんですが、まだまだ足りないかなと思っていますので、国際規格の開発に参画する我が国の団体等と連携をいたしまして、各種会議の開催を支援するなど、標準化に関する国際会議の日本開催にしっかり取り組んでいきたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/170
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171・礒崎哲史
○礒崎哲史君 終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/171
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172・岩渕友
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
前回の質疑で半導体産業をめぐる問題について質問をいたしました。今日は、まず、巨額の補助金を受けているラピダスについて質問をしていきます。
ラピダスの東哲郎会長が、量産を目指す次世代半導体について、アメリカの防衛産業での利用も視野に開発を進めているということを明かしたというふうに報道をされています。さらに、まずはアメリカのお客さんに届けるということをしないといけないというふうにも述べているんですね。
大臣、大臣はこの発言については御存じでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/172
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173・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 存じ上げています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/173
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174・岩渕友
○岩渕友君 御存じだということで。
国費を使って軍事目的の半導体を支援すると言っていると。しかも、東会長は、まずはアメリカのお客さんに届けるというふうに言っているわけですよね。それで、大臣、これでいいというふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/174
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175・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) まず、会長の発言については承知をしていますけど、この発言について、ラピダスからは、企業として現時点で軍事への利用という想定はしていないというふうに私は直接聞いていますし、いずれにいたしましても、経済産業省といたしましては、海外への先端半導体の輸出につきましては、国際社会の平和及び安全の維持を期する観点から厳格な輸出管理を行っていくという方針については、ラピダスにおいてもこの方針は貫かれるということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/175
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176・岩渕友
○岩渕友君 ラピダスから、現時点では想定をしていないというふうに聞いたということですけれども、だったら、なぜこういう東会長のような発言になるのかということだと思うんですよ。
それで、我が党の北海道議団は、北海道を軍需産業の最先端技術を提供する場にしてはならないということで、道議会で厳しく追及をしているんですね。これ、そのとおりだというふうに思うんです。さらには、軍事利用の歯止めが必要じゃないかという声も上がっています。これもそのとおりだというふうに思います。
それで、大臣、その軍事利用の歯止めが必要と、これ、そのとおりではありませんか。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/176
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177・野原諭
○政府参考人(野原諭君) ラピダスが開発している二ナノの次世代半導体は、自動運転や生成AI等幅広い産業におけるデジタル化や脱炭素化の実現に不可欠で、我が国産業の未来の経済成長を左右するキーテクノロジーでございます。経済産業省では、この極めて重要な物資の生産能力を国内で確立するため、同社の取組を支援しているところでございます。
半導体はいろんなものに使われていますし、およそその電子機器で半導体を使っていないものはありません。そういう状況もございます。様々な用途に使われ得るこうした物資の販売先について政府が制限を課すことについては、支援の目的や営業の自由等の観点から慎重であるべきだというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/177
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178・岩渕友
○岩渕友君 大臣にもう一度伺います。軍事利用の歯止め、必要ではありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/178
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179・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 今局長から答弁申し上げました。付け加えるとすれば、先ほど私が申し上げましたように、その海外への先端半導体の輸出につきましては、国際社会の平和及び安全の維持を期する観点から厳格な輸出管理を行っていく所存であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/179
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180・岩渕友
○岩渕友君 国際社会の平和ということであれば、やっぱり歯止めが必要ということだと思うんですよ。ラピダスには既に補助金が投入されているわけですよね。軍事目的の半導体に、日本の血税ですよ、これを原資とする補助金を出すということはもう許されないということを指摘しておきたいというふうに思います。
次に、戦略分野国内促進税制に関わって質問をしていきます。
資料の一を御覧いただきたいんですけれども、この税制における対象物資と控除額ということで、この物資を特定をして単位当たりの控除額を決めて十年間控除をしようというものですよね、この税制は。国内投資を促進しようという中身になっています。
この対象物資ごとの主な生産業者と販売業者について教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/180
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181・畠山陽二郎
○政府参考人(畠山陽二郎君) お答え申し上げます。
この税制につきましては、法案の成立後、令和八年度末までに主務大臣の認定を受けた上で、戦略分野で新たな国内投資を決定、そして開始し、対象商品の生産、販売を行った企業が対象となります。このため、現時点で対象となる企業を特定することは困難だということでございます。
その上で、現時点で対象物資を生産している企業といたしましては、例えば、半導体につきましては、ソニーセミコンダクタソリューションズや中堅・中小企業であるトレックス・セミコンダクター株式会社、株式会社JSファンドリなどが、それから、電気自動車等についてはトヨタ自動車などが挙げられるという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/181
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182・岩渕友
○岩渕友君 資料の二を御覧いただきたいんですけれども、これは、国立国会図書館に御協力をいただいて、対象物資ごとの主な生産業者と販売業者、まあ見込み業者ということですけれども、について示していただいたものなんです。
それで、EVでいえば、今もありましたけれども、トヨタ自動車、日産自動車、三菱自動車、本田技研工業、マツダ、SUBARUなど、FCVについてはトヨタ自動車、軽EV、PHEVでは三菱自動車、日産自動車など、グリーンスチールでいうと日本製鉄、JFEスチール、神戸製鋼所など、グリーンケミカルでいえば旭化成、三菱ケミカル、住友化学など、SAFでいうとENEOS、出光興産、コスモ石油、富士石油、太陽石油、伊藤忠商事、三菱商事、住友商事、三井物産、丸紅、日揮ホールディングス、ユーグレナなど、半導体ということではルネサスエレクトロニクスや三菱電機、富士電機、東芝、ロームなどというふうになっているわけですね。
国会図書館も、先ほど、既に生産をしている企業という話もありましたけれども、既に取り組んでいる企業だったり、今取り組んでいる企業だからこそ、これらの企業だということで見込んで示してきてくれたというふうに思うんですね。
ちょっと更にお伺いするんですが、こういう企業が想定をされるということになるんじゃないでしょうか。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/182
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183・畠山陽二郎
○政府参考人(畠山陽二郎君) 対象、その分野、対象商品につきまして、その税制を、その適用を受けると、こういうことでございますので、その意味では、今生産を行っている企業が一つの可能性だとは思います。他方で、今研究開発をして、これは戦略的な物資でありますので、研究開発をして新たに生産をするという可能性もございまして、その意味では、今生産をしている企業に限られるわけでは必ずしもないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/183
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184・岩渕友
○岩渕友君 もちろん、今生産している企業だけには限られないということだと思うんですね。だから、などであるし、見込みだということだと思うんですけど、ちょっとその上で確認をしたいんですけれども、例えばテスラのような外資は想定に入っているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/184
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185・畠山陽二郎
○政府参考人(畠山陽二郎君) これは、要件に従いまして計画を認定を受けて、それで生産を、投資をした上で生産をしたものが対象になります。その意味では、国内に投資を新たにしていただいて、それで生産をするというのが条件になります。
その意味で、その資本の元が外資であるかどうかということを必ずしも今要件としているわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/185
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186・岩渕友
○岩渕友君 ということは、外資も入り得るという認識でいいということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/186
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187・畠山陽二郎
○政府参考人(畠山陽二郎君) 日本にその生産拠点を持って、それで営業といいますか事業をやるということですと、いろんな形態があり得ると思います。日本に日本法人をつくってやるというケースもございますし、その意味では、それを何というふうに呼ぶかということだと思いますけれども、その対象になる法人の要件、それに当てはまることが認定の要件にはなるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/187
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188・岩渕友
○岩渕友君 対象になり得るという御答弁だなというふうに思います。なんですけれども、主には国内のこういう企業が想定されるということになっていくんだというふうに思うんですね。こうした企業を見てみますと、名立たる大企業ばっかりなんですよね。
戦略分野国内生産促進税制は、従前からの研究開発減税に加えて、生産量、販売量に比例して減税をするということになっているわけですけれども、作れば作るほど減税されることになるというのはもう異例だということだと思うんですね。
それで、資料の三を見ていただきたいんですけれども、これは、自民党の政治資金団体である国民政治協会への過去十年間の企業献金の表なんです。これを見ると、先ほど資料二にあったような大企業が名前を連ねているわけなんですよね。団体からの献金も行われていて、二〇二二年を見てみると、例えば、日本自動車工業会は七千八百万円、日本電機工業会が七千七百万円、額も非常に大きいんですよね。SAFの大手生産販売業者であるENEOSとか出光興産とかコスモ石油なんかは、この業界団体のところの石油連盟として献金をしているんですよね。このいずれの企業も、この資料三にあるいずれの企業も、献金全体を見ても上位のところばっかりなんです。
こういう企業が認定を受ければ、恩恵を受けるということになるんじゃないのかと。大臣、いかがでしょうか。これを見た感想を是非お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/188
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189・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) いや、今回の税制の趣旨に合致するものであれば、それは認定をされて助成を受けられるということでありますので、それに尽きるのではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/189
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190・岩渕友
○岩渕友君 今の話が、国民の皆さんが聞いてどう思うのかということあると思うんですよ。
それで、この資料の三は、二〇一三年から二〇二二年までという十年を表にしたものなんですけど、じゃ、この十年というのがどういう十年だったのかということでいえば、一番最初の二〇一三年というのはアベノミクスが始まった時期ですよね。今議論している産競法が制定された年でもあるんです。この十年は、法人税の減税が行われてきた十年でもあるんですよね。
令和六年度の与党税制改正大綱では、近年の累次の法人税改革は意図した成果を上げてこなかったと言わざるを得ないというふうにした上で、めり張りが大事、めりと張りが大事だといって研究開発減税は見直す、その一方で、戦略分野国内生産促進税制、イノベーションボックス税制を創設するんだというふうにあるんですよね。実際に増収、減収の見込額を見てみると、確かにそういうふうになっているんですよ。
前回の質疑の中でも確認をしたように、戦略分野国内生産促進税制によって年度当たり二千百九十億円、十年で一・九兆円の減税になるわけですよね。その内訳どうなのかというふうに確認をしたら、電気自動車等は一千四百九十億円、グリーンスチールは百四十億円、グリーンケミカルは二百億円、SAFは二百七十億円、半導体は九十億円という試算になっているというふうに答弁がありました。この税制によって最大の恩恵を受けるのが、献金をしている企業ということになるんじゃないでしょうか。
大臣、こうした企業や団体からの献金が異例とも言える減税につながっているんじゃないでしょうか。これ、献金のキックバックや見返りとも見られるのではありませんか。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/190
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191・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 政策上必要なことについてきっちりと法律を作り、税制をつくって、その結果、優遇措置を受けられる者が選ばれていくということに尽きるのではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/191
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192・岩渕友
○岩渕友君 国民の皆さんが見れば、そういうふうにはちょっと思わないと思うんですよね。この献金の実態を見れば、この献金と政策が関係ないというふうには言えないというふうに思うんですよ。
ちょっと改めて、どうですか、もう一度、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/192
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193・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) いや、先ほど申し上げたとおりでありまして、この戦略分野国内生産促進税制というのは、我が国が置かれた現状におきまして必要な政策ということであります。その手続もきちんとつくった上で企業が選定をされていくということに尽きると私は思っています。
それで、前もお話をしたことがありますが、私、二十三年経済産業省に勤務しておりまして、様々な税制や予算、金融措置やってまいりましたが、その過程において、自民党から幾ら献金をもらっているということを頭に置きながら政策を立案、実行したことは一切ありません。今の後輩もそういうことだと私は思いますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/193
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194・岩渕友
○岩渕友君 ちょっと今の答弁ではやっぱり納得は得られないということだと思います。税制をやっぱりゆがめるような仕組みは改めるべきで、今、政治と金の問題を国会の中でも議論しているわけですけど、企業・団体献金は禁止することが必要だということを述べておきたいというふうに思います。
次に、産業革新投資機構、JICですね、に関わって質問をしていきたいというふうに思います。
本法案ではJICの運用期限を延長するというふうにしているわけですけれども、JICが投資をした企業がどうなっているのかということで、ルネサスエレクトロニクスは、二〇一三年、旧産業革新機構などから一千五百億円の支援を受けて経営再建を進める中で、従業員数を三万人リストラしました。リストラによって優秀な技術者が流出をしたことや、人を犠牲にして企業を救済するというやり方に対する批判の声も上がっています。
ジャパンディスプレイ、このジャパンディスプレイも、旧産業革新機構の主導で、日立製作所、東芝、ソニーの中小型液晶事業を統合して二〇一二年に設立されたわけですけれども、二四年の三月期に十年連続の連結最終赤字を計上して、さらに十一年連続の最終赤字になる見通しというふうになっています。
JOLED、これも旧産業革新機構の主導で、ジャパンディスプレイ、ソニー、パナソニックの有機EL液晶パネル事業を統合して二〇一五年に設立をされたんですけれども、設立から八期連続で最終赤字となって、二三年の三月に破綻をしているわけですね。
この旧産業革新機構からジャパンディスプレイ、そしてJOLEDへの投融資額はそれぞれ幾らでしょうか。ジャパンディスプレイについて現時点で回収をされている額、JOLEDについて最終的な負債総額、幾らになっているかを確認します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/194
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195・菊川人吾
○政府参考人(菊川人吾君) まず、ジャパンディスプレイ、JDIでございますが、旧産業革新機構によりましては、二〇一二年のソニー、東芝、日立のディスプレー事業の統合支援以降、中小型の液晶ディスプレーのグローバル市場での競争力強化を念頭に実施をしてきたものと認識をしております。JOLEDに関しましては、有機ELディスプレー分野における国際的な競争優位を確立するために支援を実施してきたものと承知をしています。
その上で、旧産業革新機構からは、JDIに対しましては約三千二十億円の出資、そして融資に関しましては千百五十億円、そして社債の引受けがございますが、これは四百五十億円、総額で申し上げますと約四千六百二十億円ということになります。
JOLEDに対しましては約一千百九十億円の出資、そして融資は約二百億円、以上、総額約千三百九十億円ということになってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/195
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196・岩渕友
○岩渕友君 JDIについて現時点で回収されている金額が幾らで、JOLEDについては負債総額幾らかというのも併せて教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/196
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197・菊川人吾
○政府参考人(菊川人吾君) まず、JDI、失礼、JOLEDの方でございますが、現在、先ほど委員の方からも言及ございましたけれども、民事再生の手続の途上ということでございますので、最終的な回収額ということについてはお答えは困難というふうに考えます。
そして、JOLED、失礼、JDIでございますが、JDIに関しましても、新たな再生の計画で対応していただいている企業等がございますので、そこについての回収額をちょっと明示的に申し上げるところについても控えたいと思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/197
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198・岩渕友
○岩渕友君 答弁がなかったわけですけど、例えばJOLEDでいえば、もちろん今手続中ではあるけれども、負債総額は三百三十七億円というふうになっているわけですよね。それで、ジャパンディスプレイの不振の要因として三つの理由が指摘をされていて、一つは特定顧客、これアップルなんですけれども、特定顧客への依存、独自技術への過信、主体性のない経営体制などが指摘をされているんですね。
それで、大臣、これだけの負債をつくった原因と責任はどこにあるというふうにお考えでしょうか。そして、どういう総括をしているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/198
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199・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) まず、旧産業革新機構、現INCJでありますが、これ、二〇〇九年に設立されて以降、総額一・三兆円の投資を実行し、昨年度末までに既に総投資額を上回る約一・八兆円を回収をしておりまして、INCJのポートフォリオ全体としての収支は十分な黒字を出せる見込みとなっています。
JNCJによる投資の総括といたしましては、過去十年間の日本全体のスタートアップの資金調達額の約一割を支えてきたほか、事業構造改革や成長戦略の実行支援によりまして我が国産業の競争力強化に貢献してきたものと考えています。そして、これらの投資活動により得られた知見等については、今後の産業革新投資機構、JICですけど、この投資活動や他の経済産業政策に生かしていくということであります。
その上で、今全体像をお話しした上で御指摘のあったJDI、JOLEDに対するINCJからの支援につきましては、これらの企業が有する高い技術力を活用し、支援した段階では国際競争力を向上できると考えられていたわけでありますが、装置産業であるディスプレー産業の需要動向も踏まえた適切な投資判断を行っていくことが重要であるにもかかわらず、細切れで単発的な投資支援にとどまって、激化するグローバル競争の中で十分な投資支援策を講じることができなかったこと、国内企業の合従連衡に注力したことによりまして、グローバルな技術、ビジネス動向から後れを取ったこと、こういったことは、期待した成果が必ずしも上がらなかったということ、これは事実であります。
これらの投資活動から得られた経験につきましては、今後の産業政策にしっかりと生かしていくことが重要であるというふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/199
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200・岩渕友
○岩渕友君 大臣に今答弁いただいたわけですけど、五月二十一日の記者会見の中でも、ジャパンディスプレイの十一期連続の赤字見通しということについて聞かれて、そのことについて触れて、このディスプレー産業に対する政策支援の結果をしっかりと検証することが重要だというふうに述べられているんですね。
これ、ディスプレー産業だけにとどまらず、政策支援、とりわけJIC全体について検証が必要だし、総括が必要だと思うんですけど、大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/200
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201・菊川人吾
○政府参考人(菊川人吾君) 先ほどのJIC、またINCJ全体についての総括だったと思っておりますけれども、そういうところについても大臣から答弁したとおりでございまして、もちろん、個々の、今ありましたディスプレー産業のところについては、我々も反省するべき点は反省をする必要があると思いますけれども、全体として黒の形での成果が出ておりますし、また、その中で、うまくいったところ、うまくいかなかったところについては真摯に反省する必要ございますが、昨日、おとといですね、政府参考人の質疑の中でも、私も傍聴をしておりましたけれども、やはり、もちろんこれは政府の支援ですので、税金を使ってということを重々踏まえる必要がありますけれども、アップサイドのところを取っていくというところについてのリスクについても、そういった意味で検討する必要があるんじゃないかというような参考人の御指摘があったということも踏まえまして、しっかりと検証していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/201
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202・岩渕友
○岩渕友君 同じ質問、もう一度大臣にお伺いいたします。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/202
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203・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 先ほど私の答弁の中でも申し上げましたけれども、旧産業革新機構そのものについては十分な黒字を出せる見込みとなっているわけでありますが、だからといって、これに安住することなく、私は失敗をしたということもさっき認めたわけでありますので、その事実としてですね、ここから何を学んでいくかというのは非常に重要だと思っていますので、もうここは真摯に検証をして、そして次につなげていきたいというのは強く思っているということは申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/203
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204・岩渕友
○岩渕友君 先ほどから答弁で、何回かその旧産業革新機構の実績を見ればその回収見込みの方が上回っているというようなお話あるんですけど、だからといって、ジャパンディスプレイとかJOLEDのように、八期とか十期とか、十一期ですかね、もう連続で最終的に赤字になるような事業者に投資続けていいということにはならないと思うんですよ。これ、普通だったらあり得ない話だと思うんですよね。国費のやっぱり毀損を招きかねない、国民負担になりかねない。にもかかわらず、その失敗例や事業不振について、やっぱりこれ検証も総括も必要だし、運用期限の延長はこれ認められないというふうに述べておきます。
最後になんですが、特定半導体基金に関わって質問をします。
この特定半導体基金事業費助成金交付規程には、収益納付制度等は規定をされているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/204
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205・野原諭
○政府参考人(野原諭君) 特定半導体基金でございますが、5G促進法に基づきまして、我が国における先端半導体の製造基盤整備の計画について認定を行い、設備投資に必要な財政支援等を行うものでございますが、収益納付規定は設けておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/205
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206・岩渕友
○岩渕友君 規定はされていないということでした。
それで、半導体をめぐっては各国で支援策が講じられているわけなんですけれども、ちゃんと歯止めが存在しているんですよね。アメリカでは、一億五千万ドルを超える直接資金援助を得た者があらかじめ想定、提出した収益を大幅に超えた場合は、支援額の最大七五%を政府に返還するということになっています。EUでも、大きな収益を上げた企業が国に返還する制度があるということなんですよね。
それで、この特定半導体基金ですけれども、5G促進法、NEDO法改正案によって設立をされました。法案を審議した当時は梶山大臣でしたけれども、その当時、我が党の笠井亮衆院議員が質問したのに対して、経産省と先方のやり取り、TSMCとかですよね、のやり取りは一切国会に明らかにされなかった。それは、つまり、国民に明らかにされなかったということなんですね。ほかの基金では適用をされているのに、これ何でTSMCなどは適用しないのか。大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/206
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207・野原諭
○政府参考人(野原諭君) 特定半導体基金でございますが、二〇二一年の年末の国会、十二月の国会のときの話をされていると思うので、多分、萩生田大臣の、梶山大臣じゃなくて萩生田大臣のときだと思いますけれども、先端半導体の国内における安定的な生産を確保するという5G促進法の趣旨を踏まえまして、収益納付制度を設けておりません。
半導体製造能力の確保に向けて各国が巨額な予算を投じる世界的競争になっておりまして、我が国としても、事業者による生産施設整備への投資判断に対する強力なインセンティブ措置を講ずる必要があること、それから、認定計画に基づく支援の結果、生産された半導体によって得られた収益を活用し、更なる投資を促進することが半導体製造能力の確保に資すること等を総合的に判断して、そのようにしているものでございます。
アメリカの制度もヨーロッパの制度も、それぞれ、アメリカ政府、それから、ドイツはドイツが半導体の支援をしていますので、ドイツ政府に直接確認をしていますけれども、これは、ある一定程度もうかる、そのもうかる、どの程度もうかるかということを各個社ごとに協議をして、それよりも大幅に上回ったときに上回った分のプロフィットシェアをすると、そういう仕組みでございまして、もうかった分を全額返せという制度ではもちろんないわけでございます。
いずれにしましても、その支援の在り方については、国際的な市場や政策の動向、国内における先端半導体の生産体制の整備状況等を総合的に判断いたしまして、今後も不断の検討を行ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/207
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208・岩渕友
○岩渕友君 最初、TSMCには四千億円と言っていたわけですけど、これ上限なくどんどん増やされて、結局、まあ直近でいえば、支援額、一兆二千二百六十九億円にも膨らんでいるわけですよね。税金投入が青天井になるということにも歯止めがないと。しかも、返還ルールもないと。これは、もう余りにも異常だということを指摘して、質問を終わります。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/208
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209・森本真治
○委員長(森本真治君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、松村祥史君が委員を辞任され、その補欠として星北斗君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/209
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210・平山佐知子
○平山佐知子君 平山佐知子です。よろしくお願いいたします。
まずは、前回の質疑に続いて、自動車関連と、またその周辺の業界について伺ってまいりたいと思います。
〔委員長退席、理事古賀之士君着席〕
二〇二三年度の国内の乗用車新車販売について、動力ごとの構成を見ますと、ガソリン、ディーゼル車が三八・五%、ハイブリッド車が五七・八%、プラグインハイブリッド車が二・一%など、ガソリンとかディーゼルを動力とした車が九八%を占めています。
経産省の水素・燃料電池戦略ロードマップによりますと、現在、一台一億五百万円するフューエルセルバスの価格を五千二百五十万円に引き下げて、また、燃料電池車とこのハイブリッド車ですね、この価格差を七十万円にまで縮め、それらに加えて、現在およそ八千台が国内で流通している燃料電池車を二〇二五年に二十万台まで引き上げるということも書かれています。
政府は、二〇三五年までに新車販売で電動車一〇〇%を実現すると表明もされています。この電動車には、ガソリンを燃料とするハイブリッド車も含まれていますけれども、それでもやはり、今後の自動車の動力源の構成、大きく変わってくるというふうに考えます。
この次世代自動車の動力ごとの普及目標については、いろいろ調べてみたところ、二〇一〇年四月の次世代自動車研究会における資料しか見付かりませんでしたけれども、現在、経産省は、GX、エネルギー事情の観点からどのような構成比率にしたいというふうなお考えなのか、まずは聞かせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/210
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211・田中一成
○政府参考人(田中一成君) お答え申し上げます。
二〇五〇年のカーボンニュートラルに向けまして、現時点では完全な技術は存在しない中で、日本の強みや産業基盤を生かしまして、また、技術間のイノベーション競争を促進する観点から、我が国としては、特定の技術に限定することなく、EVやハイブリッド車、合成燃料、水素、そういった多様な選択肢を追求していく方針を掲げております。
〔理事古賀之士君退席、委員長着席〕
このため、政府としては、委員御指摘のとおり、二〇三五年の乗用新車販売で電動車一〇〇%という目標は策定しておりますが、御指摘のような二〇三五年や二〇五〇年の自動車の動力源ごとの構成比率の目標は定めておりません。動力源ごとの普及の状況や今後の流通動向なども踏まえながら、電動車一〇〇%という目標の達成に向けて取組を進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/211
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212・平山佐知子
○平山佐知子君 あえてこの比率を設けないで競争力を持たせていくということで、これ理解をいたしました。
ただ一方で、先日も東先生がおっしゃっていましたけれども、大臣の公用車もそうだと思いますし、ほかの公用車もほぼハイブリッドだと思います。そういう中で、もしこれから自動車の動力源の構成を変えるということであれば、やっぱり相当な力を注がないといけないというふうに思いますし、また、関係する業界にも注意を払わなければ、これなかなか次世代型の自動車の普及難しいのかなという印象も持っています。
今後、どのようにこの自動車分野の転換を行うのか、大臣のお考えを伺わせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/212
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213・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) カーボンニュートラルの実現に向けて、EVや合成燃料、水素など、多様な選択肢を追求していく中で、裾野が広い自動車産業の競争力を併せて強化をしていくということが方針であるわけであります。この方針の下で行うべきことは、需要を増やすということも同時に必要になってまいります。
自動車の動力源の多様化に向けては、戦略分野国内生産促進税制によるEV等の国内生産の促進のほかにも、蓄電池の国内生産基盤の強化や蓄電池の部素材に使われる資源の確保ですとか、それから全固体電池や合成燃料等の研究開発の促進ですとか、それから自動車部品サプライヤーや整備事業者等の電動化、デジタル化対応のための事業転換の御支援などを行っているところであります。
需要面ですが、二〇三五年の乗用車の新車販売を電動車一〇〇%にすることや、二〇三〇年までに三十万口の充電インフラを整備することを目標として掲げておりまして、その実現に向けて、EV、FCV等の購入補助金や充電、充填インフラ整備への補助金など、国内市場の立ち上げに向けた取組を併せて講じているところであります。
こうした需給両面からの自動車の動力源の多様化に向けた取組を進めて、多様な道筋によるカーボンニュートラルの実現に取り組んでいきたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/213
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214・平山佐知子
○平山佐知子君 動力源の多様化に向けて裾野も広くというふうにおっしゃっていただきましたけれども、やっぱり関連産業も幅広く広がっていくことと思いますので、是非この転換期に、世界に後れを取らないようにということもお願いをしたいと思います。
そうした中で、様々そのほかの部分も考えていかなくてはいけないと思っておりまして、以前、静岡県の自動車整備連盟に伺った際に整備士の方にお話を様々聞く機会があったんですけれども、その際に、二級の自動車整備資格、これを保有をしていても、なかなか整備できない部分がたくさん出てきたんだという話がありました。
最近の自動車、自動ブレーキとか自動運転の機能を始めとしたこの電子制御増えているために、例えば、前方障害物検知カメラであったり赤外線レーダーなど、これを正常に作動するように校正とか調整するためのこの整備が必要になってくるということです。これを自動車特定整備といいますけれども、この特定整備を行うには、専用の機材の導入とか講習を受けて地方運輸局長の認証を取得する必要があるということです。この認証ですが、二〇二三年度末の取得率は五六・六%と、これ高くないわけですね。さらに、自動車整備士、毎年これ減少をしていまして、現在およそ七万人足りていないというふうに言われています。
このような状況下で、水素自動車の整備ができるのは一級の自動車整備士のみで、この資格取得は整備士全体の三%程度しか保有していないということも伺いました。車の整備とか資格制度に関してはもちろん経産省の管轄ではないというふうに承知はしているんですけれども、生産面でどんどん裾野を広げていくだけではなくて、やっぱりその後の整備とか維持管理などもしっかりと配慮をしていかなければ、やはり全体の普及というのは難しいのかなということも考えます。この点についてはどのように考えていらっしゃるのか、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/214
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215・田中一成
○政府参考人(田中一成君) お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、EVやFCV、こういったものの普及、またこれに伴う関連産業の発展には、自動車整備業、整備士、そういった自動車の整備、維持管理などのアフターサービスの対応が重要だと考えております。
自動車整備業や自動車整備士資格制度を所管している国土交通省においては、各地の整備工場がEVなどの新技術も含め適切に点検整備を行えるよう、自動車メーカーなどに対する必要な技術情報の提供の義務付け、点検整備に必要な機器の導入支援、自動車整備士に対する新技術の習得支援などを実施していると承知しております。
経済産業省といたしましても、中小企業などの思い切った事業再構築を支援する事業再構築補助金、これにおきまして、自動車の電動化、デジタル化に対応する自動車整備業の取組として、例えばEVなどの整備に必要な機器の導入などの取組を支援しているところでございます。
引き続き、国土交通省ともよく連携しながら、自動車の電動化、デジタル化などに対応していく自動車整備業の取組を支援してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/215
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216・平山佐知子
○平山佐知子君 ありがとうございます。
それと同時に、水素ステーションの拡充も同時進行で行っていくと思いますけれども、これはどのような形で設置を目指していくかという点についてちょっとお伺いしていきたいと思います。
現在ある揮発油販売業者、ガソリンスタンドの状況を見てみますと、その数、平成元年から半減をしてきている上に、毎年およそ二%減少しているなど、大変厳しい状況に置かれています。ガソリンスタンドというと、地方に行けば行くほどこれ重要な役割を果たしていまして、地域のインフラであったり、地域の一員を担っていると。実際にガソリンスタンドは地域の方々のよりどころにもなっていますし、防災拠点としても大変重要な役割を果たす場所となっています。これからもっとこの電気自動車が普及していきますと、これ自体いつか消滅してしまうんじゃないかという心配の声もたくさん伺っております。
そこで、その方向性もちょっと確認をさせていただきたいんですが、現在のガソリンスタンドの設備を徐々にガソリンから水素ステーションとかEVの充電スタンドへと更新をしていくのか、それとも次世代車の普及に合わせて全く違う水素ステーションとかEV充電スタンドの建設を促していくのか、その点についてはどういうふうに考えているのか、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/216
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217・田中一成
○政府参考人(田中一成君) お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、EVやFCVなどの電動車の普及に向けては、充電インフラ、水素充填インフラ、こういったインフラの整備は不可欠でございます。その整備に向けましては、車両や燃料の特性、利便性なども踏まえまして、新たな場所への整備と既存のガソリンスタンドへの併設、その両方を進めていくことで最適なインフラを整備していくことが重要だと考えております。こうした考え方の下で、令和六年度は五百億円の予算を措置しまして、インフラの整備を支援しているところでございます。
まず、充電インフラにつきましては、二〇三〇年に公共用急速充電器の三万口の設置目標のうち、一万口についてはガソリンスタンドに併設することを目指しております。また、水素ステーションにつきましては、特に商用車におけるFCVの普及を見据えまして、トラックなどの商用車の走行が多い地域におけるガソリンスタンドへの併設も期待されております。実際、既存ガソリンスタンドへ併設する事例もございまして、新規での水素ステーション整備に加え、こうした事例も引き続き支援していきたいと考えております。
さらに、社会インフラとしまして、既存のガソリンスタンドのネットワーク、これを維持していくこともこれ重要な観点でございます。ガソリンスタンドをEVへの充電も可能な総合的なエネルギー拠点として発展できるようにしていくとともに、その経営多角化や災害対応能力の強化に向けた取組を支援することで、燃料の安定供給に万全を期していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/217
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218・平山佐知子
○平山佐知子君 是非、関連産業、裾野広いということですので、その辺り、それから地方の配慮とか暮らしの安全、安心というか、そういう広く、幅広く見ていくことが、結果、この地域の発展とか経済の発展というところと大きく結び付くところになると思いますので、引き続きお願いをしたいと思います。
続いて、イノベーション拠点税制について伺います。
先日から里見委員も質問なさって、今日も質問なさっていらっしゃいましたけれども、私も同じような考えがあって、このイノベーションボックス税制ですが、二〇〇一年にフランスで導入をされて、ベルギー、オランダに続いて、韓国、インドなどアジア圏にまで導入されるようになったということで、日本ではようやくということになります。先日の委員会では、国際的なルールと整合する制度の詳細、さらに、研究開発税制と併せて措置する必要性や研究開発税制に与える影響なども含めて慎重に検討する必要があったという御答弁があったと思います。
それについてはしっかり理解をした上で、後発でのこの導入というのは、やはり様々事前に課題点も洗い出して更にいいものを導入できるというメリットもあると思いますけれども、やはりこの最初の導入から考えると二十三年遅れてということは、これ遅過ぎるんじゃないかなというふうに思ってしまいます。中国が例えば特許取得件数を伸ばし始めた二〇一〇年頃であったり、日本がアメリカに特許取得件数を抜かれた二〇一三年頃など、このイノベーションボックス税制導入の議論を進めるべきタイミングというのが度々あったんじゃないかなと考えるんですけれども、その辺り、遅過ぎるのではないかという検証、それから、そのための機会損失なかったと言えるのかどうか、それから、今このタイミングで導入するメリットなど、どういうふうに考えているのか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/218
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219・畠山陽二郎
○政府参考人(畠山陽二郎君) お答え申し上げます。
御指摘のように、欧州を中心に二〇〇〇年代初頭からイノベーション拠点税制のような制度の導入が進展をしてきたところでございます。これ、当初は税制の対象の知的財産権に特段の制約がなかったことなどもございまして、多国籍企業が制度導入国に知的財産権を移転することに伴って税収も国際的に移転されるといった性質に留意すべきだという議論がOECDでございまして、これを受けて、二〇一五年になって国際的なルールが整備されたということでございます。我が国としてその国際ルールを踏まえて検討しなければならないということで、慎重に検討するということで考えてきたのは御指摘のとおりでございます。
こうした中で、企業買収などを通じて海外にも研究開発拠点を持つことになった国内企業が日本の研究開発拠点にそれを集約するか否か、そういう議論をした際に、海外ではイノベーション拠点税制のメリットを得られることもあり、集約しないという判断をした事例も実際に生じたというふうに伺っております。
近年、OECDによる国際的なルールの整備を受けて欧州で制度の見直しが進み、アジア諸国での導入も進むと。こうした事例を踏まえると、本税制の有無を含めた事業環境が研究開発拠点の立地の判断に与える影響が今後ますます拡大をしていくのではないかと、そんな状況になりまして、本税制の導入の必要性が一層高まったと、このように考えております。
加えまして、研究開発費を大幅に増加させている国がある一方で、我が国国内の研究開発投資が横ばいで推移しているという状況でございまして、日本として、将来の飯の種を生み出す研究開発投資に更に後押しをしていくということが求められていると。こうした状況や機運の高まりなどを踏まえると、まさに今回、その我が国で初めての制度となるイノベーション拠点税制を措置する必要性やメリットがあるものだと、このように考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/219
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220・平山佐知子
○平山佐知子君 やはりこのイノベーションボックス税制、導入するからには、やはりその結果として、今メリットもおっしゃっていただきましたけれども、結果として特許出願数が増えて、例えば、研究開発拠点を日本に設置するほどの効果を出していかなくてはいけないと思っています。
実際にこれまでイノベーションボックス税制を導入してきた国々、どれほどの研究開発拠点を誘致できて、知的財産の活用による利益、どの程度増えたのか、一方、今回のイノベーションボックス税制導入によって、研究開発拠点誘致競争力強化のためのイノベーションを起こすことにどれほど寄与すると見込んでいるのか、重なる点もあるかもしれませんが、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/220
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221・畠山陽二郎
○政府参考人(畠山陽二郎君) お答え申し上げます。
イノベーション拠点税制の導入による効果につきましてですけれども、制度の対象範囲あるいは税率が異なるため、単純な比較は難しいところではございますけれども、例えば、同様の制度を導入している英国では、この税制の効果として、税制の適用を受けた企業の投資額が制度導入から五年間で一〇%増加したという調査結果を、二〇二〇年に英国の税務当局が公表をしてございます。
また、御質問の中にございました特許権に関して申し上げますと、税制を導入して以降、英国における登録件数は、それまで減少傾向にあったものが反転をいたしまして、増加傾向にあります。事業や収益につながり得る知財の創出が活性化したことが推察をされると、こういう状況でございます。
我が国におきましても、研究開発活動のグローバル化が進展し、イノベーション拠点税制の有無を含めた事業環境が研究開発拠点の立地の判断に影響する状況になってきている中、この税制を導入し、研究開発の海外への流出を防ぐとともに、国内で研究開発投資を行うインセンティブを強化することで、収益化につながり得る知財の創出や関連の投資が国内で活性化するものと期待しているところでございます。
いずれにせよ、まずはこの制度の着実な執行に努めまして、その上で、他の税制と同様に、制度の執行状況あるいは効果を検証し、この税制がより良い制度となるよう、諸外国の制度や動向も踏まえつつ、不断の見直しもしっかり行ってまいりたいと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/221
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222・平山佐知子
○平山佐知子君 ありがとうございます。
次に、そのイノベーションボックス税制に関して、中小企業への配慮について伺います。
この税制の制度設計について検討が行われた経産省の研究会では、複雑なこの計算を回避する観点から、また中小企業のイノベーションを促進する観点から、簡便な制度を導入するべきではないかという意見が示されていると思います。
これ、余りに緩い制度にしてしまって本来の目的が果たされない事態は、やはりこれ避けなければいけないと思うんですけれども、やはりこの中小企業とかスタートアップに配慮した制度設計、必要であると考えます。この詳細な制度設計、今後行われていくんだと思いますが、この中小企業、スタートアップに配慮した制度設計の必要性について考えを聞かせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/222
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223・畠山陽二郎
○政府参考人(畠山陽二郎君) お答え申し上げます。
この税制は、御指摘のように、大企業だけでなく、研究開発に取り組む中小企業あるいはスタートアップによる研究開発成果である知財の活用や知財を生み出すための更なる投資を後押しするものでございます。
この税制の目的でございます国内の無形資産投資を促す効果を高める上では、中小企業やスタートアップを含めた幅広い事業者にとって本税制が分かりやすく使いやすいものとしていく必要があると、このように考えております。
例えば、制度の、外国の例を申し上げますと、これまた対象範囲あるいは税率が異なるために、単純に比較するのは難しいですけれども、先ほど例に出した英国におきましては、適用者数のうち中小企業の割合が七六%となっていることからすれば、我が国でも多くの中小企業等が活用できるようになるものというふうに考えておりまして、制度設計においては、中小企業あるいはスタートアップの観点を含めた検討が必要だと、このように考えております。
今後、この税制の制度詳細につきましては、下位法令の整備に加えまして、ガイドラインなどで示すことも予定しておりまして、国際的なルールとの整合性を取る必要性、これは当然あるんですけれども、中小企業やスタートアップにも分かりやすく使いやすいものとなるよう工夫をしていきたいと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/223
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224・平山佐知子
○平山佐知子君 国内の投資を活発にして、研究開発、更に活発化して、イノベーションを起こして技術を蓄積していくこと、これはもう大事なことですし、新技術の開発は今後も継続的に行わなければいけないと考えています。
ただ、何もこのイノベーションを起こすことイコール全く新しい新技術の開発をすることばかりではないと思います。例えば、皆さんもお持ちかもしれませんけれども、二〇〇八年に日本でiPhoneが発売をされて今に至るわけですけれども、発売された直後のこの評価、覚えていらっしゃるかどうか、こういうものでした。これまでの技術を組み合わせて作っただけであり、技術的には何の革新性もないと当時評価されていたわけです。ですが、今となっては、もう皆さん御存じのとおり、今では日本国内で五〇%のシェアを占めて、日本企業がこの通信端末分野から追い出されたという現状があるかと思います。
ですから、今ある技術を改めてこのイノベーションに生かしていくこと、これもまた重要であると考えますが、この点について、考え、それから今後の取組どうするのかを伺わせてもらいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/224
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225・畠山陽二郎
○政府参考人(畠山陽二郎君) お答え申し上げます。
我が国の経済成長の実現と社会課題の解決には、まず一つは、これまでと異なる革新的な技術によって新たな価値を生み出す、そういう破壊的イノベーション、これと、二つ目、まさに御指摘のように、既存の技術の改良あるいは他分野への適用などにより具現化された価値を更に高める持続的イノベーション、この双方どちらも重要だというふうに認識をしております。
破壊的イノベーションという観点では、例えば、技術革新の加速している量子など先端分野での研究開発支援ですとか、革新的な技術の事業化を目指すスタートアップに対する支援を強化しているところでございます。
一方、経済産業省といたしましては、破壊的イノベーションだけではなく、持続的イノベーションを生み出すための取組も後押ししてございます。例えば、基礎だけでなく応用から開発に至るまで、民間企業における幅広い研究開発投資を促すものとして研究開発税制を継続的に措置しております。また、研究開発税制では、自らの技術を他者の技術と組み合わせて価値を高めるオープンイノベーションを後押しするため、他の事業者と行う共同研究開発等に一段高い優遇措置を講じているところでございます。
民間企業などの有する様々な分野や領域において蓄積されてきた技術の厚みは、我が国の競争力の強化の基盤となるものでございます。引き続き、先端分野に限らず、様々な技術の研究開発に積極的に取り組む事業者を支えてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/225
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226・平山佐知子
○平山佐知子君 ありがとうございます。
需要をどう見るかとか、今日もこれまでずっと議論がありましたけれども、標準化とか人材育成とか、様々議論がありました。
火曜日の参考人質疑の際にも私申し上げたんですけれども、この日本のビジネスを表す言葉として、技術で勝ってビジネスで負けるという評価であったり、なぜ日本ではGAFAのような企業が生まれないのかということが言われてきたわけです。優れた技術力があるわけですから、それをどういうふうに生かしていくのかということ。これまではなかなか、世界を注意深く見渡して、需要側の観点で何が必要とされて、それを付加価値高く売っていく、戦略的に売っていくのはどうしたらいいのかという考えがなかなか足りていなかったんじゃないかという議論を参考人質疑の中でもさせてもらったわけです。
衆議院の参考人質疑の中でも、東京大学の大橋教授から、イノベーションに関して今不足しているのは、事業の計画から最後までを見守るプロジェクトマネジャーたる人材ではないかという指摘がありました。大学と企業が一緒にプロジェクトを組む場合、大学側にそうしたマネジャーは存在しておらず、一方で、企業側も大学のことが分かっていない人だとそのマネジャーの役割を果たすことは難しいというお話もありました。
先日の、おとといですね、参考人質疑でも、松江参考人から、技術力を持つ日本がビジネスでも勝っていくには、将来の世界の需要がどうなっているかなどもっと長期の時間軸で見る力であったり、全体を俯瞰して見る、まさにトータルプロデュースの視点が必要だという御意見も頂戴いたしました。
私も、我が国において、この技術、イノベーション、しっかりビジネスになかなか結び付いていなかったという背景には、こういう技術とビジネスを結び付けるマネジャー、総合的なマネジャーがなかなか、不足している、足りていなかったのかなということは考えました。
こうした参考人から指摘されたことについての考えですとか、技術やイノベーションをビジネスに結び付けるこの人材についての考え、それから、今後どのように育成していくべきかという考えを伺わせてもらいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/226
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227・畠山陽二郎
○政府参考人(畠山陽二郎君) お答え申し上げます。
研究開発成果を事業化するためには、優れた性能の技術の開発に限らず、規制対応、資金調達、知財・標準化戦略、あるいは需要をどう見込むかなど、社会実装に必要な取組を併せて進める必要があると、このように認識しております。
現在、国が研究開発を支援する際には、例えばNEDO事業では、事前に社会実装までの道筋を計画に盛り込むことを求めた上で、節目節目で進捗状況を確認し、有望なものに支援を絞り込む、そういった取組も行ってございます。また、優れた技術を持ちながら事業化に課題を抱えている中小企業者に対しても、そのマーケティング戦略のブラッシュアップですとか伴走支援を行いまして、新市場、新分野への販路拡大を、販路開拓を後押ししているところでございます。
また、産業技術総合研究所、産総研におきましても、昨年、AISTソリューションズという子会社を設立いたしまして、将来有望な技術を事業化するための道筋を付けることができる人材を雇用いたしまして、研究開発成果の社会実装に向けた取組の加速を図っているところでございます。
技術をビジネスに結び付ける人材の御指摘、この観点では、NEDOが革新的な技術の事業化に取り組むスタートアップを支援する際にも、事業と技術の両面から将来性を見極めるベンチャーキャピタルとも協調し、こうした人材が能力を高める場を広げていくほか、あるいは、その伴走支援する人材の育成、こうしたことにも継続的に取り組んでいるところでございます。
この法案におきましても、研究開発から社会実装に至るまでの取組の強化に向けまして、イノベーション拠点税制の整備に加えまして、NEDOにおけるディープテックスタートアップに対する事業開発支援、あるいは産学の共同研究における知財標準化を活用したオープン・クローズ戦略の構築支援の措置を盛り込んでいるところでございます。
委員から、技術で勝ってビジネスで負けるという御指摘ございました。これは、その一方で、研究開発投資を大幅に増加させている国がある一方で、我が国の研究開発投資はここ十五年、横ばいで推移してきております。この技術で勝つということすらできなくなるという、そういう懸念もあるというふうに思っておりまして、そうなると更に深刻な状況に陥りかねないということで、危機意識も持っているところでございます。
技術の開発も、その技術をビジネスに結び付けることも、イノベーションには両方必要不可欠だというふうに思っておりまして、経済産業省として、研究開発から社会実装に至るまで、政策を総動員してイノベーションを生み出していく取組を加速していきたいと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/227
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228・平山佐知子
○平山佐知子君 では、最後に大臣に伺いたいんですが、四月の五日から衆議院の本会議で本法律案の審議が始まって、私が最後の質疑者になりますので、是非、衆参通してこれまでのまとめというか感想をいただいて、終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/228
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229・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) まず、産業競争力強化法等の改正法案の御審議では、先生方から、本法案に限らず広範な視点から、我が国経済状況の認識ですとか経済産業政策のこれまでの総括や今後の在り方について様々御審議をいただきました。大変貴重な意見もたくさんいただいたと思っておりますし、私自身、気付かせていただいたようなことも多々ございました。まず、心から感謝を申し上げたいなと思います。
私も繰り返し申し上げてきましたが、我が国経済に生じている潮目の変化、これを着実なものとして、投資も賃金も物価も伸びる成長型経済への転換を実現するためには、まさにこれからが正念場だというふうに思っておりますので、ここで気を緩めてチャンスを逃すことがないように、気を引き締めていきたいと思っています。こうした問題意識の中、一つの方策として本法案を御審議をいただいたわけでありますので、もし成立をさせていただけるのであれば、最大限の効果が上がる努力をしていきたいと思っています。
その上で、感想として申し上げれば、今、世界の国は産業政策の考えが一変をいたしまして、自分たちの国の産業を盛り上げるために、もう本当に大胆な産業政策をアメリカも中国もヨーロッパもやってくるという中で、私は、産業政策の国際競争という局面に今、我々立ち至っているのではないかなという認識を強く持っております。DXにしてもGXにしましても、これからすごく激動のと言ってもいいぐらいの急速な変化が恐らく五年、十年先見通しても想定をされる中で、各国が産業政策にしのぎを削るという局面に今我々はいるんだろうと思っています。
そういう中で、これから経済産業省が産業政策を講じていくその一つ一つによって、もしかしたら日本の産業の将来が大きく左右されるということもあるんだろうなという、そういう緊張感を今感じているというのが正直なところでありますので、これから経済産業省の使命はますます大きくなっていくだろうと、そして、一つ一つの産業政策が日本の将来に影響していくんだろうという緊張感を持って取り組んでいきたいと思っていますので、御指導のほどよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/229
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230・平山佐知子
○平山佐知子君 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/230
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231・森本真治
○委員長(森本真治君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/231
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232・岩渕友
○岩渕友君 私は、日本共産党を代表して、産業競争力強化法等改正案に反対の討論を行います。
そもそも産競法は、失われた二十年を脱却するために、二〇一三年、アベノミクス第一弾として制定されました。その前身である産活法とともに、大企業のリストラ、人減らし支援で、株主資本利益率、ROE優先の企業経営を推し進め、大企業の生産性は向上しましたが、一方で、格差と貧困を拡大し、日本経済の深刻な停滞を招きました。
本法案は、その反省もないまま、今度は失われた三十年を脱却するとして、行き過ぎた新自由主義的政策によるコストカット経済と多国籍企業の海外投資拡大の弊害を認めながら、その根幹にある大企業奉仕の政策を転換しないどころか、一握りの特定大企業への支援を一層強化するものです。
反対理由の第一は、戦略的国内投資と称して桁違いの大企業支援を行うものとなっているからです。
戦略分野国内生産促進税制は、トヨタ、日本製鉄、旭化成、ENEOS、三菱商事や半導体企業など、一握りの特定大企業への巨額の減税策です。経団連の要求に応え、十年超にも及ぶ長期間にわたり、生産、販売量に比例して減税する異例のもので、税の減収見込みは試算で約一・九兆円にも及びます。これはまた、税の引下げ競争を阻止する国際的な取組にも逆行するものです。
第二に、僅か九百社程度の特定中堅企業、スタートアップに支援を集中することで圧倒的多数の中小・小規模事業者は支援の外に置かれ、その淘汰を促進するものだからです。
一九九九年の中小企業基本法改定による中堅・ベンチャー企業重視への転換により、中小・小規模事業者約百五十万社が淘汰されました。本法案は一層その切捨てを推し進め、更に深刻な貧困と格差をもたらすものです。
第三に、産業革新投資機構のこれまでの投資実績、失敗例や事業不振について、国費の毀損や責任の所在など、まともな検証と総括を行わず、その運用期限を延長することは認められません。また、投資事業有限責任組合、LPSの外資規制の撤廃等についても、岸田政権の資産運用立国政策との関係で巨大な米国投資ファンド、資産運用会社の支配が強まらないか、深刻な懸念を指摘せざるを得ません。
今やるべきは、ほんの一握りの大企業支援ではなく、全ての中小・小規模事業者を対象に直接支援するとともに、労働者の賃上げと国民全体の所得の底上げによって個人消費を拡大する施策に大きく転換することです。
以上、反対討論とします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/232
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233・森本真治
○委員長(森本真治君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
これより採決に入ります。
新たな事業の創出及び産業への投資を促進するための産業競争力強化法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/233
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234・森本真治
○委員長(森本真治君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、古賀君から発言を求められておりますので、これを許します。古賀之士君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/234
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235・古賀之士
○古賀之士君 私は、ただいま可決されました新たな事業の創出及び産業への投資を促進するための産業競争力強化法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、立憲民主・社民、公明党、日本維新の会・教育無償化を実現する会及び国民民主党・新緑風会の各派並びに各派に属しない議員平山佐知子君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
新たな事業の創出及び産業への投資を促進するための産業競争力強化法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
一 戦略分野国内生産促進税制については、革新的な技術開発や国際的な市場獲得競争の状況を適切に勘案し、税額控除の期間や産業競争力基盤強化商品の品目等について不断の見直しを行うとともに、この政策目的及び効果を中小企業を含めたサプライチェーン全体にまで広く波及させるよう、価格転嫁対策の強化を含め、必要な措置を講ずること。また、当該税制のほかにも、脱炭素製品について、市場価値の向上、国内における生産コストの低減その他競争力確保に必要な措置を講ずること。
二 イノベーション拠点税制については、国際ルールとの整合性や制度の運用状況等を踏まえつつ、真にイノベーションに向けた国内投資を促進するものとなるよう、対象となる所得の範囲、算出方法等について、不断の見直しを行うこと。
三 中堅企業支援及び事業再編支援を実施するに当たっては、支援対象となる中堅企業者の経営力等を適切に評価するとともに、我が国全体の経済成長及び地域に根差した中小企業・小規模事業者の重要性の観点から、事業再編対象の事業者が有する優れた技術・技能を始めとする経営資源や従業員の雇用・賃金が適切に確保されるよう、必要な措置を講ずること。また、中堅・中小企業の事業再編に関わる支援機関及び専門業者の質の確保・向上に向けた取組を進めること。さらに、これらの支援の対象とならない中小企業者についても、地域における雇用やコミュニティ維持の担い手として大きな役割を果たしていることを踏まえ、今後の中小企業政策の実施に当たっては、切り捨てられることのないよう留意すること。
四 スタートアップ支援については、株式会社産業革新投資機構の投資活動に対する継続的な検証及び適時適切な情報開示に努めるとともに、同機構を始めとするスタートアップ支援機関が持つそれぞれの機能を最大限に発揮しつつ、民間のベンチャーキャピタルや事業会社等との連携を強化し、適切な支援環境の整備を進めること。
五 企業と大学等の共同研究開発に関する、標準化と知的財産を活用した市場創出の計画認定制度を実施するに当たっては、独立行政法人工業所有権情報・研修館及び国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構が適切な助言等を行うことができるよう、体制強化に取り組むとともに、いわゆるオープン・アンド・クローズ戦略について更なる知見醸成に努めること。
六 産業競争力強化法や税制等に基づく事業者に対する各種支援措置については、煩雑な手続を要するものもあることから、利用する事業者の利便性等に十分配慮して手続の簡素化に努めるとともに、その政策的な効果を毎年検証し、公表すること。そして、必要に応じて見直しを行うこと。
七 事業適応計画、特別事業再編計画等の認定を行うに当たっては、下請事業者の価格転嫁に配慮できる基準を設けるなど、サプライチェーン全体として競争力強化が図られるようにすること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/235
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236・森本真治
○委員長(森本真治君) ただいま古賀君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/236
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237・森本真治
○委員長(森本真治君) 多数と認めます。よって、古賀君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、齋藤経済産業大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。齋藤経済産業大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/237
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238・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) ただいま御決議のありました本法律案の附帯決議につきましては、その趣旨を尊重してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/238
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239・森本真治
○委員長(森本真治君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/239
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240・森本真治
○委員長(森本真治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後五時二十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314080X01320240530/240
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