1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
令和六年五月十四日(火曜日)
午前十時開会
─────────────
出席者は左のとおり。
経済産業委員会
委員長 森本 真治君
理 事
青山 繁晴君
中田 宏君
長峯 誠君
古賀 之士君
東 徹君
委 員
浅尾慶一郎君
越智 俊之君
小林 一大君
上月 良祐君
丸川 珠代君
渡辺 猛之君
辻元 清美君
村田 享子君
里見 隆治君
三浦 信祐君
石井 章君
礒崎 哲史君
岩渕 友君
平山佐知子君
環境委員会
委員長 三原じゅん子君
理 事
梶原 大介君
長谷川英晴君
田島麻衣子君
串田 誠一君
山下 芳生君
委 員
朝日健太郎君
石井 準一君
臼井 正一君
加田 裕之君
佐藤 信秋君
滝沢 求君
川田 龍平君
水岡 俊一君
竹谷とし子君
谷合 正明君
梅村みずほ君
浜野 喜史君
山本 太郎君
世耕 弘成君
ながえ孝子君
国務大臣
経済産業大臣 齋藤 健君
環境大臣 伊藤信太郎君
副大臣
経済産業副大臣 上月 良祐君
環境副大臣 八木 哲也君
事務局側
常任委員会専門
員 山田 千秀君
常任委員会専門
員 金子 和裕君
政府参考人
外務省大臣官房
審議官 日下部英紀君
経済産業省大臣
官房技術総括・
保安審議官 辻本 圭助君
経済産業省大臣
官房審議官 小林 出君
経済産業省大臣
官房審議官 田中 一成君
経済産業省大臣
官房審議官 牛山 智弘君
資源エネルギー
庁長官 村瀬 佳史君
資源エネルギー
庁省エネルギー
・新エネルギー
部長 井上 博雄君
資源エネルギー
庁資源・燃料部
長 定光 裕樹君
国土交通省大臣
官房技術審議官 岸谷 克己君
国土交通省物流
・自動車局次長 久保田秀暢君
環境省地球環境
局長 秦 康之君
環境省水・大気
環境局長 土居健太郎君
環境省総合環境
政策統括官 鑓水 洋君
─────────────
本日の会議に付した案件
○脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための
低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
○二酸化炭素の貯留事業に関する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
─────────────
〔経済産業委員長森本真治君委員長席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/0
-
001・森本真治
○委員長(森本真治君) これより経済産業委員会、環境委員会連合審査会を開会いたします。
先例によりまして、私が連合審査会の会議を主宰いたします。
脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律案及び二酸化炭素の貯留事業に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
両案の趣旨説明は、お手元に配付いたしました資料により御了承願い、その聴取は省略いたします。
これより質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/1
-
002・梶原大介
○梶原大介君 おはようございます。自由民主党の梶原大介でございます。
本日は、こうして質問の機会をいただきましたので、自由民主党会派を代表し、水素社会推進法及びCCS事業法案について質問をさせていただきたいと思います。
申し上げるまでもなく、気候変動問題が世界的な課題、そしてまた危機となる中、我が国においても、二〇三〇年度には温室効果ガスの四六%削減、そして二〇五〇年にはカーボンニュートラルの実現というものを国際公約に掲げまして、ただいま国を挙げてその取組を推進をしておるところでございます。
そういった中、今国会にこの両法案が提出をされました。水素、CCSの活用を推進していくことは、二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現に向けて、鉄鋼や化学などの脱炭素化が難しい分野などにおいてのGXの取組を進めていく、そのことにおいても大変非常に重要なことであると認識をしております。
そのような中で、本日のこの連合審査会という場において、経済産業大臣そして環境大臣、両大臣に質問をする機会をいただきました。是非、両省がしっかりと連携をして今後のGXの取組を推進し、電力の安定供給を確保しつつ、脱炭素電源の供給力を強化し、そしてカーボンニュートラル、ネットゼロへとしっかり国を挙げて実現に向かっていかなければという思いで、以下、質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
まず最初に、昨月、四月二十八日から三十日にかけて、イタリア・トリノでG7の気候・エネルギー・環境大臣会合が開催をされております。この会合で温室効果ガスの削減対策や脱炭素に関してどのような議論が行われたのか。これまでの御発言、報道等もありましたけれども、特にこの法案に関わる水素やCCSについての議論を中心にその概要をお伺いをするとともに、現地で議論に参加した御感想を併せてお伺いをさせていただきたいと思います。
また、同会合の閣僚声明における石炭火力発電に関する合意内容は、これまでの我が国の取組の方向性を変更するものでないのかということで、そのことについての御所見も齋藤経済産業大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/2
-
003・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 御指摘の今回の会合は、昨年のG7広島サミットやCOP28の後に開催された初めてのG7気候・エネルギー・環境大臣会合でありまして、これらの会合における決定というものを具体的な行動に移すためのG7の決意と団結を示す上で重要な会合になったと認識しています。
会合における具体的な議論の内容につきましては、回答は差し控えざるを得ませんが、水素につきましては、G7広島でも合意した炭素集約度に基づく水素の取引に向けた国際標準の策定を継続する点に加えまして、新たに安定かつ強靱なサプライチェーン構築の重要性を確認することに合意をしています。また、CCSを含むカーボンマネジメントにつきましては、ネットゼロ達成に不可欠な技術であり、その導入加速や規模拡大が重要であることにも合意をいたしました。
石炭火力につきましては、各国のネットゼロの道筋に沿って、二〇三〇年代前半又は気温上昇を一・五度Cに抑えることを射程に入れ続けることと整合的なタイムラインで、排出削減対策の講じられていない既存石炭火力を段階的に廃止することに合意をいたしました。合意した文言はこれに尽きます。
日本としては、エネルギー基本計画に基づきまして、まずは二〇三〇年に向けて非効率な石炭火力のフェードアウトを着実に進めてまいりますし、さらに、二〇五〇年のカーボンニュートラル実現に向けて、水素、アンモニアやCCUS等を活用することで一・五度C目標と整合的な形で脱炭素型の火力に置き換える取組を引き続き推進をしていきたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/3
-
004・梶原大介
○梶原大介君 御答弁ありがとうございました。
石炭火力の合意においては、その後、発電事業者側である電気事業連合会などからも、報道に応える形で、電力の安定供給に対しては国との連携が何より必要だということをおっしゃられております。事業者と今後しっかり意思疎通を図っていただけますようにお願いをいたします。
先ほど御答弁もいただきましたけれども、齋藤経済産業大臣からは、当会合によって、エネルギーの安全保障に配慮しつつ、多様な道筋のクリーンエネルギーへの移行の重要性、そして世界全体での脱炭素に向け、先ほどもG7での団結が重要だと言われておりましたけれども、そのG7が有する技術や資金、人材を、その支援のベストプラクティスも共有されるということも御発言をされております。
また、伊藤環境大臣からは、日頃からおっしゃられている環境省としての統合的アプローチによるネットゼロ、サーキュラーエコノミー、そしてネイチャーポジティブに併せて、プラスチックの汚染対策などについても各国に対してしっかりと御発言をされたというふうに認識をされております。
また、この同じ時期ですね、岸田総理がOECDの閣僚の理事会で、様々な会合で御発言をされておりますが、重ねて言われているのは、気候問題は人類共通の課題であり、気候危機への対応は人類共通の挑戦だということを世界に向けて発言をされております。
まさしくその世界の中で我が国としての役割を果たしていかなければならない中、昨日、GXの、十一回目となるGXの実行会議が開催をされ、両大臣も御出席をされております。今後、半導体やまたAIやデータセンターなどの建設や稼働などにおいて電力の大幅需要が見込まれ、約二十年ぶりに電力需要が増加をするという見通しも示されました。
そういった中で、岸田総理からは、齋藤大臣にはGX二〇四〇のリーダーズパネルを設置をして様々な議論を進めていくこと、論点整理をしていくことを指示をされております。今後、そういったことに基づいて、エネルギーの基本計画やまた地球温暖化対策の改定などが議論されると同時に、GX二〇四〇のビジョンの策定も行われることになっております。
こういった中で、エネルギーについて、そしてGXの産業立地について、そしてその構造について、また市場の創造、そして技術革新や、さらには消費者行動に至るまで、様々なことが議論をされるというふうに聞いております。
そういった中で、この実行会議で改めて岸田総理が言われたことが、昨日からGX二・〇の検討を始めるという御発言もあったというふうに聞いております。二〇五〇年のカーボンニュートラルに至る最大の難所を一つ一つ登っていく、その現実的なルートを示すことがこのGX二・〇の目的と言われており、このGXの取組がより加速することを期待をいたしまして、以下、それぞれの各法案について質問をさせていただきたいと思います。
まず、CCS事業法案についてお伺いをいたします。
海底下への二酸化炭素の貯留、海底下CCSについては、これまでは海洋汚染等防止法により環境大臣の許可制度が設けられておりましたが、本法律案においては、海洋汚染等防止法の規定が削除をされ、海域の貯留層における貯留事業に関わる申請に限り、経済産業大臣はあらかじめ環境大臣に協議をし、その同意を得た上で事業者選定と事業の許可をすることとされております。
現行の海洋汚染等防止法では、許可基準の一つとして、海洋下廃棄をする海域及び海底下廃棄の方法が当該海底下廃棄をする海域の海洋環境の保全に障害を及ぼすおそれがないものであることが挙げられておりますが、海底下CCSによる海洋環境への影響としてどのようなことを想定をされているのでしょうか。最新の科学的知見についてお伺いをするとともに、今行われている諸外国での海底下CCS事業において海洋環境への影響が生じた事例があるのか、併せてお伺いをさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/4
-
005・土居健太郎
○政府参考人(土居健太郎君) お答えいたします。
専門家機関でございますIPCCの知見によりますと、二酸化炭素の貯留地点を適切に選択し管理した場合、二酸化炭素が漏えいする確率は長期にわたって非常に低いということが示されております。
また、諸外国の海底下CCS事業におきまして、海洋環境への影響が生じたという事例に関しましては、環境省としてはそういう事例は把握しておりません。
一方で、高濃度の二酸化炭素にさらされますと、貝類など海底付近に生息する生物に影響を及ぼす可能性が指摘されておりますので、万が一貯留した二酸化炭素が海洋中に漏出した場合、こうした影響が生じる可能性はあると考えております。
環境省といたしましては、海洋環境の保全に支障が生じないよう、貯留地点や管理方法が適切かどうかしっかり確認してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/5
-
006・梶原大介
○梶原大介君 ありがとうございました。
しっかり御確認をされるということでありますが、この本法律案の許可申請の条文を見てみますと、海洋環境の保全について明記はされておりませんが、環境大臣への事前の協議の際には、これまでに引き続き、海洋環境の保全についてはしっかりと確認をされるべきだと考えますが、環境大臣の御見解をお伺いをさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/6
-
007・伊藤信太郎
○国務大臣(伊藤信太郎君) お答え申し上げます。
海洋環境の保全については、許可申請の条文ではなく、そもそも法律の目的規定に海洋環境の保全が明記されてございます。
環境省では、これまでも海洋汚染等防止法に基づき、海底下CCSの実施に当たり、海洋環境への影響について審査し、海洋環境の保全上障害が生じていないことを確認してまいりました。
本法案においても、環境大臣は、海域の貯留事業に関して、特定区域の指定の同意、貯留事業の許可の同意、貯留事業実施計画の共同認可をすることとしており、いずれの段階においても海洋環境の保全に支障がないようにしっかり確認してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/7
-
008・梶原大介
○梶原大介君 続きまして、それではモニタリングの実施体制についてお伺いをさせていただきたいと思います。
本法律案では、貯留事業者が貯留状況をモニタリングすることを義務化し、その結果を主務大臣に報告をするということをされております。
現行の海洋汚染等防止法に基づく許可制度においても、海底下CCSを行う事業者が許可を取得する際に、貯留層から二酸化炭素の漏出がないことや海洋環境の変化の程度を監視するための監視計画を定め、これに従い事業者がモニタリングを実施し、その結果を環境大臣に報告することとなっております。また、現行制度では、その指針においては、通常時監視、懸念時監視、そして異常時監視の三段階の監視レベルを設定し、監視項目や実施時期、頻度について定めております。
この海域への貯留に関するモニタリングにおいては現行の制度の指針の内容を踏襲するものなのか、その方針について環境大臣にお伺いをさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/8
-
009・伊藤信太郎
○国務大臣(伊藤信太郎君) 現行の海洋汚染等防止法は、事業者において貯留層から二酸化炭素の漏出がないことを監視し、海洋環境の変化の程度をモニタリングすることを求めており、これらの具体的内容について委員御指摘の指針に定めてございます。
この本法律案におけるモニタリングの具体的な内容は、今後、経済産業省とも調整しながら定めることになりますが、現行の指針内容を基本としつつ、海洋環境の保全に支障がないように対応を進めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/9
-
010・梶原大介
○梶原大介君 ありがとうございます。
その海底下CCSを定めた平成十九年の海洋汚染等防止法案改正の際には、付されておりますこの参議院の環境委員会の附帯決議において、海底下CCSをした海域の状況の監視について、当該許可を受けた者から詳細かつ的確に報告を受けるとともに、政府自らも当該海域の状況を把握し、これを適切に公表することとされております。
これまでどのように海域の状況を政府として把握し公表に努めてきたのか、環境省にお伺いをいたします。また、あわせて、本法律案に基づく新制度においても、貯留に関するモニタリングについて、事業者だけではなく国自ら責任を持って取り組むべきだと考えておりますが、両大臣にはその御所見をお伺いをさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/10
-
011・土居健太郎
○政府参考人(土居健太郎君) 今御指摘いただきました海洋汚染等防止法の改正に際しました附帯決議におきましては、許可を受けた者の詳細かつ的確な報告を受けるとともに、政府自らも当該海域の状況を把握し、適切に公表するという決議をいただいております。
この決議も踏まえまして、環境省におきましては、同法に基づき、海底下CCSを実施しております北海道苫小牧沖の海域におきまして、許可を行った平成二十八年度以降、海洋環境モニタリングを環境省が実施をしまして、その結果を環境省ホームページにおきまして適切に公表してきたというところでございまして、この決議を果たしているというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/11
-
012・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 委員御指摘のとおり、CCS事業の実施に当たりましては、貯留したCO2の漏えい、これを未然に防止するために、適切な方法により貯留事業者が責任を持ってモニタリングを行った上で、国としてもしっかりと監督をしていくことが重要であります。
このため、今般のCCS事業法案におきましては、貯留事業者に対しまして、モニタリングの方法やCO2の漏えいを防止するための措置などを記載した貯留事業実施計画を定めた上で国の認可を受けることを義務付けているほか、貯留したCO2のモニタリングを実施し、その結果を国に報告するということを義務付けることとしています。
貯留事業者からの報告を受けまして、国としては、貯留事業者が認可を受けた方法に従って適切にモニタリングを実施しているかどうかなどを厳格に確認をする予定であります。その評価に当たりましては、必要に応じて地質等の専門家から意見を聞くこととしています。
このほか、研究開発を通じて、最先端のモニタリング技術を開発をして活用を促すことなどを通じて、決して事業者任せにすることなく、周辺環境に悪影響を及ぼさないCCS事業の実現に向けてしっかりと取り組んでいきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/12
-
013・伊藤信太郎
○国務大臣(伊藤信太郎君) 一般的には、貯留事業を行う事業者自らが海域の状況等を把握する必要がございます。この法案においては、事業者がモニタリングの義務を負い、主務大臣にその結果を報告することとしており、まずは国もその報告内容についてしっかり確認することが重要だと考えてございます。
その上で、苫小牧実証事業の例等で見られるように、自治体や関係者等、地域の皆様の御理解が重要であると考えております。海洋環境の保全に万全を期すために、国としても本法案が適切に運用されるようしっかり役割を果たしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/13
-
014・梶原大介
○梶原大介君 両大臣からお答えいただきましたように、地域や自治体の理解もしっかり得る、そのためにも、先ほどこれお答えになられました周辺環境も含めて、しっかりそういった取組を含めて深めていただきますようお願いをいたします。
続きましては、人材育成の見通しについて少しお伺いをさせていただきたいと思います。
本法律案では、貯留事業者が貯留層のモニタリングを行うことや、技術基準への適合義務等の保安規制を行うことなどが定められております。今後、二〇三〇年までにCCSを本格的に展開をしていく際には、貯留事業者等が本法律案に基づく義務を履行し、安全かつ効率的に事業を実施をしていかなければなりません。そのためには、最新の知見に基づく技術基準の策定に加え、モニタリングや保安に関する専門人材の育成やノウハウの蓄積が不可欠ではないかと考えるところであります。
また、CCSは、貯留後に数十年単位のモニタリングを要するなど長期間の操業を前提としていることから、省人化できるところは省人化を進めつつも、専門人材を長期的なビジョンを持って育成、確保する計画を立てていくことが重要でないかと考えているところでございます。
CCSに関する専門人材を育成、確保していくために長期的なビジョンを持つ必要性についてどのような認識であるのか、また、人材確保については事業者や研究機関のみならず地域や学校など様々な協力も必要だと思われますが、今後どのような場で検討をしていくのか、経済産業省にお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/14
-
015・上月良祐
○副大臣(上月良祐君) お答え申し上げます。
CCSは長期にわたる事業でございますので、御指摘のとおり、長期的な視野に立ってCO2の分離回収や輸送、貯留といった関連分野におきまして、若手の研究者等専門的な人材を確保し、育成していくことは大変重要だと考えております。
また、人材確保に当たりましては、御指摘のありましたように、地域や学校との連携も重要であります。法案検討に当たって開催した審議会の中間取りまとめでもその点について記載をいたしておりますが、こうした学校教育等を通じたCCSへの理解促進が人材確保につながることも我々として期待をいたしているところであります。
これまでにも、NEDOが実施します研究開発実証事業におきまして、苫小牧市での実証成果を活用して、各地の大学等においてCCSの意義や技術の講義を行っておりますほか、分離回収等の各分野での研究開発支援を通じて、研究者や学生を育成しつつ、その成果を広く一般向けにも報告会等で共有し、専門人材の底上げを図っているところであります。また、JOGMECでも、業界の専門人材あるいは国内大学の学生を対象とした講義等により理解促進に努めているところであります。
CCS分野におきます人材育成、確保の方策につきましては、こうしたこれまでの取組も踏まえながら、審議会等の場において十分に検討をし、取組を進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/15
-
016・梶原大介
○梶原大介君 ありがとうございました。
続きまして、その国民の理解の増進に向けた取組もお聞きをさせていただきたいと思いますが、少し時間も経過してまいりました。また、国民の理解も含めて、人材確保、今御答弁をいただきましたので、後ほど時間があればさせていただきたいと思います。
それでは次に、水素社会推進法案についてお伺いをさせていただきたいと思います。
我が国は、二〇一七年十二月に世界に先駆けて水素基本戦略を策定をいたしました。同戦略では、供給面、利用面でのそれぞれの取組方針が示され、供給面では、国際的な水素サプライチェーンの構築、国内再エネ由来水素の利用拡大などが盛り込まれております。また、利用面では、再エネの調整電源としての活用や水素発電などの電力分野での活用、燃料電池自動車、燃料電池バス等のモビリティー分野での活用、エネファーム等の燃料電池技術の活用等を進めていくこととされました。
水素には、作る、運ぶ、使うのそれぞれの段階がございますが、水素基本戦略に基づくこれまでの取組により、各分野において世界的に活躍していく国内の企業も存在をしてきております。一方で、まだまだ課題も多いことなどから、本法律案の提出に至ったものと認識をしております。
そこで、まずは、二〇一七年の水素基本戦略策定以降、我が国はどのように水素導入に取り組んできたのか、そしてどのような成果が得られているのか、経済産業省そして環境省にそれぞれお伺いをさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/16
-
017・上月良祐
○副大臣(上月良祐君) 我が国は二〇一七年に世界で初めて水素基本戦略を策定いたしました。二〇三〇年頃に商用規模のサプライチェーンを構築するために、海外の安価な水素を調達し、製造、貯蔵、輸送、利用までの一気通貫した国際的なサプライチェーンの構築を進めますとともに、水素発電などを導入し、水素需要を飛躍的に増加させることを目指してまいりました。これまでに、世界で初めて液化水素やメチルシクロヘキサンによる水素の輸送に成功しましたほか、グリーンイノベーション基金等を活用し、水電解装置のコスト低減や、大型液化水素運搬船や、混焼発電の実現に向けた技術開発や実証等に取り組んできております。
我が国として、こうした技術開発や実証により、サプライチェーンの構築に必要となるコスト低減に取り組んでまいりましたが、その後、世界各国が水素戦略を策定し、足下では低炭素水素等の確保に向けたグローバルな投資競争が始まっております。
こうした中、脱炭素だけではなくて、我が国の水素関連産業が海外市場を獲得するためにも、先行的で自立が見込まれる水素のサプライチェーンの創設や拡大を目指していく必要があると考えております。このため、水素社会推進法案に基づく支援を通じ、早期にプロジェクトを立ち上げ、必要な水素の供給、貯蔵、利用に向けた環境を更に整備してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/17
-
018・森本真治
○委員長(森本真治君) 梶原君。あっ、失礼しました。環境省もでしたね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/18
-
019・八木哲也
○副大臣(八木哲也君) お答えいたします。
水素は、利用時にCO2を排出しないことに加えまして、製造段階で再エネを活用すれば脱炭素化に大きく貢献することができると考えております。
このために、環境省では、これまで再エネなどの地域資源を活用した水素サプライチェーンモデルの構築実証や、水素を活用したモビリティーの導入支援などを取り組んでまいりました。
地域水素サプライチェーンモデルの構築実証については、再エネなどの地域資源から水素を製造いたしまして、多様な需要先までの配送や利用まで一貫した運用を実現しているほか、モビリティーの導入支援については東京都を中心に燃料電池バスの導入が進むなど、それぞれ一定の成果が得られていると考えております。
他方、コスト面が引き続き課題となっております。製造、輸送、貯蔵、利用の各フェーズでの最適化や高効率化、需要拡大に向けた更なる取組が必要と認識しております。
環境省といたしましても、こうした取組を今後も展開することによって、水素の需要創出、ひいては水素社会の実現に貢献していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/19
-
020・梶原大介
○梶原大介君 それぞれ御答弁ありがとうございました。
その二〇一七年以降の取組、そしてさらには近年の世界的な環境の変化も踏まえて、改めて本法律が水素社会実現に向けて果たす役割についてお伺いをしたいと思います。
その二〇一七年の基本戦略を策定した後、二〇二〇年の十月に我が国は二〇五〇年カーボンニュートラルの宣言を行いました。その後、二〇二二年にはロシアによるウクライナ侵略が起き、脱炭素化とともに、エネルギー安全保障を確保することの重要性が改めて世界各国において認識をされ、先ほどの御答弁にもありましたけれども、欧米や中国など諸外国においても水素の導入をもっと進める動きが大変活発化しております。そして、水素をめぐる環境変化を踏まえ、我が国においても昨年六月に水素基本戦略を改定し、水素社会の早期の実現に向けた取組を更に強化をするところとしたことであります。
その上で、今般、水素社会推進法案が提出をされたわけですが、改めて本法案が水素社会の実現に向けて果たす役割について経済産業大臣にお伺いをさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/20
-
021・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 水素社会とは、現在その利活用が進んでいない水素を、エネルギーのみならず様々な原材料として利活用する社会をいうと理解しています。
こうした水素社会の実現に向けましては、水素が大量に供給され、貯蔵ができる環境が整い、鉄や化学、商用車といった脱炭素化が困難な分野に必要な水素が供給されるということが必要であります。しかし、現状、低炭素水素等が手に入らないゆえに需要も生まれず、我が国での水素等の供給が萎縮する膠着状態にあります。
そのため、今回の水素社会推進法案に基づく支援によりまして、官も民も一歩前に出て、まずは需給一体的に先行的で自立が見込まれる低炭素水素等のサプライチェーンを構築をしまして、必要な低炭素水素等の供給、貯蔵、利用に向けた環境を整えていきたいと考えています。また、こうした支援を行うことで、世界各国では水素等の分野における今投資競争が起きておりますので、そういった投資競争の中でも我が国の水素関連産業がこの海外市場を獲得する機会につなげていきたいというふうに考えています。
こうした取組を通じて水素社会を実現していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/21
-
022・梶原大介
○梶原大介君 ありがとうございました。
次は、環境省に、環境大臣にお伺いをしたいと思います。
経済産業省とこの後、今後どのように連携を図っていくかについて、本法律案では、低炭素水素等の供給、利用の促進に向けて、先ほど御答弁もありました基本方針を定めるというふうになっております。基本方針にはGXの実現に向けての重点的に実施すべき内容を記載をすることとなっており、その基本方針の策定等に当たって経済産業大臣は環境大臣など関係行政機関の長と協議をしなければならないとされております。
低炭素水素等の供給、利用は、環境省が所管をしております今後改定予定の地球温暖化対策計画やCO2排出削減に関する施策とも密接に関係をしていると思いますが、今後の基本方針の策定や本法律案の施行に当たっては環境大臣はどのように関与をされていくのか、また経済産業省とどのように連携を図っていくのか、環境大臣にお伺いをさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/22
-
023・伊藤信太郎
○国務大臣(伊藤信太郎君) 環境省としては、水素社会の実現に向け、これまで再エネ等の地域資源を活用した水素サプライチェーンの構築実証等を行うなど、経済産業省とも連携した取組を進めてまいりました。
本法案においても、基本方針の策定や低炭素水素の定義、事業計画の認定に際しては、環境大臣への協議、経済産業大臣と環境大臣の緊密連携等が規定されております。
今後とも、基本方針の策定や事業計画の認定等に際して環境保全の観点が適切に確保されるよう、経済産業省ともしっかり協議の上、連携してまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/23
-
024・梶原大介
○梶原大介君 環境保全の観点をしっかりと取り入れながら、今後、基本方針の策定以降、計画認定制度を創設をされ、そして認定を受けた事業者に対する支援も始まってくるものと思っております。そして、電気、ガス、石油、製造等、運輸の産業分野の低炭素水素の利用の促進の制度の在り方についても検討することとされています。
GXの推進とエネルギーの安定供給、脱炭素、経済成長を同時に実現していく取組を両省に求めまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/24
-
025・川田龍平
○川田龍平君 立憲民主党の川田龍平です。
今日は経産大臣に質問できるせっかくの機会ですので、まず法案に入る前に、冒頭、町の本屋さんについてちょっと齋藤大臣に聞きたいと思います。
今春、町の本屋さんを守るための経産省がプロジェクトチームを発足させました。齋藤大臣が書店を視察する様子や書店経営者との車座集会で意見交換したことが新聞でも報じられました。
フランスでは、このネット書籍販売の送料無料を禁止した反アマゾン法がありますが、町の本屋さんを守るために日本でも導入しようと検討しているのかを経産大臣に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/25
-
026・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 御質問ありがとうございます。
私は、町中にある書店というものが今どんどん激減をしているということについて危機感を感じているものですから、これ、経産大臣になったのを契機にプロジェクトチームをつくって、何ができるかということを検討を始めたということであります。
御指摘のように、フランスでは、書店保護を目的としてネット書店事業者における送料の最低料金を課す法律というのが制定をされていると承知しています。フランスでは、本屋を守ることは文化を守ることであるという意識でこういう法律を策定をしているというふうに聞いております。
今回の私どものプロジェクトチームといたしましては、経済産業省としてまずすぐに取り組めることは何かということで、既存のコンテンツ産業振興策や中小企業支援策の活用による支援、今これを早急に検討をしているところであります。
まずは、書店経営者の皆様が抱える課題や問題点、これを整理をしていくことが重要だというふうに考えていますので、書店経営者の方々との車座の話も御指摘いただきましたけど、まず様々な御意見をいただいて、その声を踏まえながら、まず問題点と課題を抽出をして、経済産業省として何ができるかを検討するという段取りでやっていきたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/26
-
027・川田龍平
○川田龍平君 今、書店が消えているという状況で、特に四十五坪以下の小さい書店、経営難の書店の意見も是非聞いていっていただければと思います。
この経産省が地域の書店を支援する予算を付けたということは大変評価できることで、フランスだけではなく、韓国、ドイツでもブックフェアなど、フランクフルトのブックフェアとか有名ですけれども、非常にこの書店を守るための事業をやっている国が多々あります。
これ、地域の書店を支援するだけでなく、地域の図書館との関係を是非改善して、両者の連携を密にすることで地域の読書環境を整えていくことが必要です。
欧米各国は、国や地域の成長戦略として、この経済基盤社会から知識基盤社会に向けたシフトを明確に目指しており、その中で図書館が注目をされています。経産大臣の認識はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/27
-
028・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 御指摘のとおり、書店経営者の皆様が抱える課題は、地域における図書館とそして書店との連携の方策ですとか、それから従来の取引慣行の改善ですね、図書館との。そういったものも私は含まれているんだろうと思っていますので、先ほど申し上げましたように、よく経営者の方の声を伺いながら、図書館との関係も含めまして、課題や問題点の整理を進めていきたいというふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/28
-
029・川田龍平
○川田龍平君 日本の図書館は、司書や職員の待遇問題など様々な問題を抱えて、様々欧米の図書館に比べて百年以上遅れているとも指摘をされています。
その遅れの要因は様々ありますが、MARCと呼ばれる書誌データが国立国会図書館から無償で提供されているにもかかわらず、民間の専門業者のほぼ寡占状況にあり、そのことで管理システムと一体化した発注システムや本の流通、納入までのサービスが一気通貫となり、地元書店が図書館から締め出され、地域の読書環境を育む協力関係がつくれないという要因も指摘されています。
さらに、その業者が図書館の指定管理まで担い、自ら選書と発注を自らに行うという丸投げ状態になっているという弊害は、活字文化議員連盟の二〇一九年の答申でも指摘されています。その陰には、出版社から業者へのバックマージンやMARC販売に関わる値引き、納入組合などの名義貸しなど、地元書店による図書館との関係づくりを阻害する全国規模の専門業者による不当な営業活動やサービス、慣行が横行しています。中には、独占禁止法違反を指摘される行為も報告されています。
このような知識基盤社会における土台となる地域の読書環境を創造するのに欠かせない図書館と地域書店の連携について、それを阻害する要因が書籍の流通や書誌データの販売等の不公正な慣習や営業活動によるものがあるとしたら、文科省だけでなく、経産省としても実態の調査や問題解決が必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/29
-
030・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 図書館の在り方そのものについては経済産業大臣として御答弁をすることはできないんですけれども、この本屋との関係で、図書館とのどういう連携をしていくべきかということについては検討をしていきたいと思っています。
私は、日本人が本と接する機会、図書館とネットと本屋さん、この三つあるわけですが、この三つが補完をし合いながら共存するということがあるべき姿だと思っていますので、その中で書店だけがなくなっていくという事態は何としても改善をしなくちゃいけないんじゃないかなというふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/30
-
031・川田龍平
○川田龍平君 齋藤大臣には、農水大臣のときに農薬の見直しについてもお願いして、早速やっていただいて、今もちょうど見直しの時期に掛かっています。本当に是非齋藤大臣の、本当に今、経産省大臣として水を得た魚のように仕事をしているということも聞いておりますので、是非しっかりやっていただきたいと思います。
国際社会が経済基盤社会から知識基盤社会に向けてかじを切っているときに、その土台となる図書館、出版、流通、そして地域書店、これは水道や電気、道路と同じように重要な社会インフラであり、また、知る権利は基本的人権の要でもあり、図書館は民主主義のとりでと言われています。
何よりもこの先、日本の未来を創造するのは人であって、一人一人が地域社会の中で自分で考える力を磨き、そのための知識を共有する場の問題は、国家の根幹となる安保問題でもあり、環境問題でもあるということも言われています。是非しっかりと守っていただきたいと、書店を守っていただきたいと本当に思っております。
それでは、本題の質問に入らせていただきます。
諸外国におけるCCS事業の現状について質問します。
まず、アメリカですが、安全性に関してニュースがありました。四月三日、今月三日に、あっ、先月三日ですね、先月三日に、ルイジアナ州でCO2パイプラインの事故がありました。ガーディアン紙によれば、このルイジアナ州のエクソンのパイプラインから推定二千五百四十八バレルの二酸化炭素が漏れ、住民の間で警報が鳴り響く事故が発生しました。化石燃料の燃焼によって放出される温室効果ガスであるCO2は、窒息性及び中毒性があり、大量に存在すると空気中の酸素を置き換えることで障害や死を引き起こす可能性があります。気象条件によっては、強力なCO2の雲が数時間空中に残ることもあります。地元の消防署によれば、オペレーターが施設に到着して漏れを修理するまでに二時間以上掛かりました。
人命に関わる直接的な被害はないとのことですが、経産大臣、このアメリカでの事故について知っていましたでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/31
-
032・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) この事故は、本年四月に米国ルイジアナ州において、石油、天然ガスの増産を目的として行われるCO2EORのための導管からCO2が漏えいする事故が発生したと、こういう報道があることはもちろん承知をしています。
現時点では当該事故の詳細及び原因がまだ明らかとなっていないということでありますので、予断を持ってお答えすることはまだできないんですけれども、漏えい探知の体制が不十分であったため発見が遅れて大量のCO2の漏えいにつながったと報道をされているところであります。
これ、詳細は我々もこれからしっかり検討していきたいと思いますが、一般論として申し上げれば、このCO2の大量漏えいを起こさせないように、その安全の確保に遺漏なきよう取り組んでいかねばならないと思っています。
今後、CO2の導管輸送の安全確保に向けては、高圧状態のCO2導管輸送に耐えれる強度の確保ですとか、早期に漏えいを探知できる設備、あるいは緊急時に備えた遮断装置の整備などを含む技術基準について、専門家の方々の御意見や国際動向も踏まえながら検討を行っていきたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/32
-
033・川田龍平
○川田龍平君 次に、カナダの事例ですけれども、CCSはこれよく確立した技術と言われますが、この稼働中の案件は少なく、既存のCCS事業のパフォーマンスはこれ良いと言えません。アメリカのエネルギー経済・金融分析研究所によれば、カナダのバウンダリーダムの九割の排出を回収するとしていましたけれども、結局六割程度、これ、回収九割のうちの六割ということは全体の五割なんですけれども、このカナダでのこのCCS事業の実態について、経産大臣、御存じでしたでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/33
-
034・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) これも、御指摘のカナダにおけるCCSのプロジェクトは、これ石炭火力発電所において行われたものでありまして、世界で初めてCCS技術の利用に成功した実証試験であるというふうに認識をしています。
このプロジェクトは二〇一四年に開始をされましたが、御指摘のとおり、回収パフォーマンスについては、この排ガス中に微量に含まれる石炭灰の前処理に課題があったということなどによりまして、結果としてCO2の回収装置の稼働率が低下をいたしましてうまく取り除けなかったんじゃないかと思いますが、したがって六〇%程度だった時期もあったということでありますが、しかし、現在ではこうした課題を解決をして、同社の目標を上回る八五%程度の高い稼働率を実現しているというふうに承知をしています。
いずれにしても、我が国としては、こうした諸外国の事例も参考にしながら、効率的なCCSの事業化に向けて取り組んでいきたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/34
-
035・川田龍平
○川田龍平君 また、日本で排出したCO2を回収して海外で貯留する事業に関する実施可能性調査が相次いでいますが、今月八日に、この輸出先とされるマレーシア、インドネシア、オーストラリアなどの団体を含む九十団体から齋藤経産大臣宛てにCCS政策を再考するよう求める署名が提出されました。
この要望書にもありますけれども、日本政府に対してCO2を国外に輸出しないよう求める要望書はNGO関連のNGO団体から提出されていることについて、経産大臣、どのように受け止めているのか、見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/35
-
036・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 御指摘の要望書につきましては、オランダに本拠を置く環境団体の日本支部などが作成をして、我が国を含む主要国に提出をされているものと認識をしています。
CCSにつきましては、昨年のCOP28において脱炭素化の手段の一つとしてこれ明記をされておりまして、我が国でもその推進に取り組んでいるわけでありますが、一方で、CO2のこの貯留地につきましては地理的偏在性がありますので、貯留適地のある国へCO2を輸出して貯留することは脱炭素化の手段として重要ではないかというふうに思っています。
CCS目的によるCO2の輸出はロンドン議定書により実は規制をされておりまして、輸出入国間の取決め等が締結される場合に限って認められるということになっておりますので、今後、我が国からCO2を輸出する場合には、輸入国政府の受入れの意思や規制整備などの事情を踏まえて個別に判断をしていくことになるんだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/36
-
037・川田龍平
○川田龍平君 この要望書の中にもありますけど、日本からのCO2輸出に関する覚書が、これ十五存在しています。CCS事業法が国内での貯蔵を規定しており、海外との取引については規制していないことから、各国と覚書として締結していると思われますが、これでは廃棄物の海外輸出であるとの指摘も受けても仕方ありません。
この点に対しては、これから我が国がCCS事業を展開していく上で、経産大臣の見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/37
-
038・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) この点も詰めておくべき課題だと思っていますが、御指摘の覚書は、将来的なCO2輸出に向けた事業性評価等の共同検討、こういったものに関するものでありまして、直ちに輸出しようというものではありません。
その上で、CCSにつきましては、昨年のCOP28において、繰り返しになりますが、脱炭素化の一つの手段として位置付けられているわけでありますので、我が国もこの考え方に基づいて進めていくということであります。
他方、ロンドン議定書によりCCS目的によるCO2の輸出は規制されておりまして、先ほど申し上げましたように、国家間の取決め等が締結される場合に限って認められるということになっていまして、既に先月、ノルウェーは、オランダ、デンマーク、ベルギー、スウェーデンと本議定書に基づいて国家間の取決めを行ったということで、既に進み始めています。
今後、我が国がCO2を輸出する場合におきましても、輸入国政府の受入れの意思、規制整備などの事情を踏まえつつ、本議定書に基づいて取決め等を締結するか否かを判断をすることになりますが、仮に輸入国が今度ロンドン議定書の非締約国の場合もあるわけでありますが、その場合には同議定書に基づいて我が国が環境配慮等に関する措置を求めることが必要となってきます。いずれにしろ、個別に判断していくことになります。
また、貯留ポテンシャルに恵まれた途上国の中には、CCSに関する技術移転を求めたり、貯留場の操業の安定化や運営のための経験を獲得するためにCO2の海外からの受入れを積極的に模索する国も複数現れているのが現状であります。こうした背景から、諸外国のCCS事業の立ち上げを支援するということは国際貢献の観点でも効果があると考えています。
いずれにいたしましても、海外でのCCSを推進するに当たりましては、ロンドン議定書やCO2輸入国政府の意思、事情、こういったものを十分に踏まえて取り組んでいきたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/38
-
039・川田龍平
○川田龍平君 日本では、陸域での貯留ポテンシャルが限られているために、海洋での貯留が想定されています。そのため、コストが高く、安価に貯留できると予想される海外にCO2を運んで貯留するという議論が行われていると聞いています。
地中に貯留することから、貯留には限界がありますが、日本国内ではこのCO2を貯留することができる貯留層、一体どれくらい存在しているのかを想定しているのかを政府にお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/39
-
040・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) 国内での貯留ポテンシャルにつきましては、日本CCS調査株式会社が専門家の意見を踏まえて行った試算がございます。これによれば、有望地点十一地点で合計約百六十億トンの貯留可能量が推定されてございます。これは、地震探査等のデータに基づき一定の仮定を置いた上での計算、計算し、そこから求められたCO2の貯留可能容積から推定したものであります。
この水準ですが、例えばCCS長期ロードマップで示された二〇五〇年のCCS貯留量の目安であります年間約一・二ないし二・四億トンと比較しますと、百六十億トンのこの貯留可能量はその数十年から百数十年分に相当するものというふうに承知してございます。
ただし、これはあくまでも有望地点における調査の結果でありまして、御質問の日本領土などとの面積割合として示すことは困難でありますけれども、場所としては日本近海に幅広く分布してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/40
-
041・川田龍平
○川田龍平君 土地の所有権のことについて伺います。
土地の所有権の範囲は、民法第二百七条では、法令の制限内においてその土地の上下に及ぶとなっています。この法令の制限の一つが鉱業法に規定する鉱業権であり、鉱業権なしにはこの土地の所有者であっても鉱物を採取、取得することはできません。土地所有者は、この制限を侵害しない限り、鉱業権と重複しても土地所有権に基づく正当な権利行使であれば制約を受けません。
そこで、本法案で制定される試掘権、貯留権についても、この所有権との間には整合性が担保されていると解釈してよろしいのでしょうか。政府に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/41
-
042・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
今般のCCS事業法案における試掘権や貯留権は、基本的に地下一千メートル以下に存在する地層に設定されることが想定されております。例えば、土地の所有者が土地の所有権に基づきこうした地下深くの地層を使用することは通常想定されにくいところでございますが、今般のCCS事業法案第二十五条一項におきましては、経産大臣による貯留事業等の許可の告示があったときには、貯留権等が設定された区域におけるCO2の貯蔵などを妨げない範囲において、妨げない範囲内に土地の所有権等の行使が制限されるということとしてございます。
一方で、国民の権利保護に万全を期す観点から、今回の法案におきましては、試掘や貯留事業の許可の申請に当たっては、試掘権や貯留権が設定されることとなる区域を既に使用している方の意見書を取得することを申請者に求めているほか、経産大臣が許可、不許可の判断を行うに当たっては、土地所有者を含む利害関係者の意見公募を行い、その御意見を踏まえた上でこれを行うこととしていることに加えまして、万が一土地の所有者等に具体的な損失が生じた場合に備えて、損失を受けた者がその補償を請求することができることを法定してございます。
こうした手続を丁寧に進めることによりまして、国民の権利保護にしっかりと配慮しながら試掘や貯留事業を進めていく考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/42
-
043・川田龍平
○川田龍平君 このCCS事業法の中間取りまとめでは、試掘権や貯留権をみなし物権とすることについて、鉱業法等の例に倣い、試掘や貯留を行う区域を独占的かつ排他的に使用できる権利を設定する権利を設定し、その権利をみなし物権とすることで第三者からの妨害を予防、排除できる仕組みを構築することが適当であると説明されております。
試掘権やこの貯留権をみなし物権としていますが、みなしとした理由は、例えば同業他社に対する排他的権利を主張する場合に用いられる概念なのか、確認のため政府に答弁を求め、見解を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/43
-
044・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) 今般のCCS事業法案において貯留権等をみなし物権としている理由についてですが、CCS事業におきましては、CO2の安定的な貯留を確保すること、そして事業遂行のための資金調達の円滑化を図る必要があること、これらを踏まえて、みなし物権とすることにより事業者自身が妨害排除請求を行うことが可能となることに加えて、抵当権の目的とすることが可能となるためでございます。
他のみなし物権の例としては、鉱業法における鉱業権、漁業法における養殖漁業等に関する漁業権のほか、国有林野の管理経営に関する法律における樹木採取権などがございます。
また、今回のCCS事業法案においては、委員御指摘の排他性などの物権の基本的考え方を踏まえ、経産大臣による貯留事業等の許可の告示があったときには、土地の所有者等の、あっ、失礼しました、土地の所有権等の行使は貯留権等が設定された区域におけるCO2の貯留を妨げない範囲に限定されることとし、みなし物権である貯留権等と物権である土地の所有権等との調整を図ることとしてございます。
このように、今回のCCS事業法案における措置は民法に基づく物権の基本的考え方との整合性を確保しておりまして、これらに反するものではないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/44
-
045・川田龍平
○川田龍平君 CCSをするためのエネルギー源、これは何か。CCSが化石燃料を使用して行われる事業であるならば、全体的に見た場合に気候変動対策としてCO2の排出削減には貢献しない事業ではないのかと。経産大臣に見解を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/45
-
046・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 委員御指摘のとおり、CCSを行うためには一定のエネルギーがやっぱり必要になります。例えば、このエネルギーを火力発電による電力で賄おうとした場合にどうなるかということですが、CO2の回収で生じるCO2は発電で生じるCO2、その回収に必要な発電で生じるCO2の一五から二五%程度と言われていますので、したがって、CO2の回収工程から生じるCO2に比べまして四倍から六倍の量を回収することが可能となるので、やっぱりやるべきだということなんだろうと思うんですが。
CCSは排出削減が困難なセクターにおいて気候変動対策として有効な手段でありまして、海外においても、申し上げたように、昨年COP28において同様の位置付けがなされているところであります。
こうした認識に基づいて、欧米諸国では近年予算や税制など、CCS事業に対する様々な導入支援制度を設けるなどCCSの導入加速に向けた動きが見られるわけでありますので、我が国においても、こうした世界の動向を踏まえつつ、二〇三〇年までのCCS事業開始、これを目指しまして、事業環境の整備を進めていきたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/46
-
047・川田龍平
○川田龍平君 二〇〇八年の低炭素社会づくり行動計画、二〇一〇年の第三次エネルギー基本計画において、当初二〇二〇年を目途に商用化が目指されていましたが、商用化に至っているケースはあるのか。なければ政府の見通しが誤っていたと判断せざるを得ませんが、その点は認めるのか、政府に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/47
-
048・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) 経産省におきましては、世界で初めての市街地近傍の大規模CCS事業、実証拠点であります苫小牧CCS実証試験センターにおきまして二〇一六年度から日本初の大規模CCS実証試験を実施し、二〇一九年、当初目標としていました三十万トンの貯留を達成したところでございます。これは、国内でCCS事業を進める上でも、モデルの一つとなる重要なプロジェクトであるというふうに認識してございます。
委員御指摘の低炭素社会づくり行動計画におきましては、CCSについて二〇二〇年までの実用化を目指すとされておりました。第三次エネルギー基本計画においては、二〇二〇年頃のCCSの商用化を目指した技術開発の加速化を図るとされてございました。
これらに照らしてですけれども、苫小牧での実証、技術実証の成果に鑑みますと、商用化に向けた基盤技術についてはおおむね確立することができたと考えてございます。
他方、商用化そのものについては、事業環境整備が課題でありましたことから、委員御指摘のエネルギー基本計画に照らせば若干の遅れが生じていることは認めざるを得ないところではございますけれども、それも踏まえて今国会に事業法を提案させていただいたところでございます。
今後、二〇三〇年までのCCS事業開始に向けて、横展開可能なビジネスモデルの確立やCCS事業のコスト低減に向けた研究開発、国民理解の増進など、総合的な取組を進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/48
-
049・川田龍平
○川田龍平君 一トン当たりのCCSコストは幾らか、コストに見合った事業だということを国民にどう説明すればよいのか、政府から分かりやすく説明していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/49
-
050・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
CCSのコストは、地理的条件、支援制度、プロジェクト固有の条件などに大きく左右されますことから、確定的に申し上げることは困難ではありますけれども、公益財団法人地球環境産業技術研究機構が一定の仮定の下に行った試算がございまして、これによれば、足下のCCSのコストはCO2一トン当たり一万二千八百円ないし二万二百円でございます。これを二〇五〇年に向けては約六割以下の水準に低減させることができるという試算がございます。
CCSは、鉄鋼、化学、セメントなどの排出削減が困難な産業分野等において利用される脱炭素化の有効な手段というふうに認識してございます。海外においても、同様の考え方に基づき、近年CCS導入に向けた取組が加速化しているところでございます。
経産省といたしましても、先進的CCS事業を通じたビジネスモデルの構築、エネルギー効率の高い回収技術の開発、CO2運搬手段の大型化などの取組を総合的に進め、推進することで、CCSの一層のコスト低減を図ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/50
-
051・川田龍平
○川田龍平君 今答弁にありましたように、コストとしては一万二千八百円から二万二千円トンCO2ということで、これをこの二〇五〇年までに六割程度低下させるとしていますが、そのための具体策、これは示されておりません。
六割となってもやっぱり高額であることに変わりはないということで、この発電所へのCCSの導入は発電コストを大幅に増大させるということになります。このエネルギー別発電コストの比較を見ても、CCS付きの石炭火力及びガス火力は、蓄電設備を備えた洋上風力や太陽光発電のコストを大幅に上回っています。これ、電力料金に上乗せされてくるわけですが、日本政府がアジア諸国の脱炭素化の大義名分の下に、CCS援助がかえってアジアの脱炭素化を遅らせ、電力価格を押し上げてしまうということが言われてもおります。
CCS事業を実施する場合に陸地の方が有利なのか、海洋の方が有利なのかという研究報告はありますか。それから、海外にCO2を運んで当該国に貯留するという可能性はあるのか。可能性がある場合、それは単にCO2を海外に輸出して、日本としてのCO2排出削減の義務を果たしていないのではないかということを先ほど大臣にも聞かせていただきました。
このCCSは地中の貯留層にCO2を貯留するものですが、地震による地殻変動の影響を全く受けないという前提でこれ事業が行われていくのか、地震には全く影響を受けないと言い切れるのか、また、CCS事業そのものが地層に影響を与えて地震に影響を与え得るという研究はなされていないのかについて、地震について聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/51
-
052・辻本圭助
○政府参考人(辻本圭助君) お答え申し上げます。
CCS事業により地下に貯留したCO2は地震による影響を受け得ると考えております。地震の揺れによる影響は地中では地上に比べて小さく、貯留したCO2は貯留層と一体となって揺れるため、地震によってCO2が漏えいしたり、貯留層が破壊されるような事態は生じにくいというふうに考えております。
また、CO2事業そのものが地層に与える影響につきましては、国際エネルギー機関、IEAなどによれば、これまでのCCSの実施によって人間が感じることのできるレベルの地震が発生したとの報告はないというふうに承知をしております。
御指摘の点につきましては、今申し上げたとおりでございますけれども、CCS事業の実施に当たりましては安全確認に万全を期すことが重要でございます。将来にわたってのCO2の漏えいなどのリスクにも適切に対応する必要があるというふうに考えております。
このため、貯留事業の実施に当たりましては、まずはCO2注入前の実施計画の認可時には事業者が適切なリスクマネジメントを行っているのか厳正に審査するとともに、またCO2圧入の実施中と圧入終了後の一定期間に継続的なモニタリングを実施することなど求めてまいります。
このような取組を通じまして、CO2の安全かつ安定的な貯留を実現してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/52
-
053・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) 前段の御質問についてお答えさせていただきます。
このCCSの貯留は陸地か海域いずれが有利かということなんですけれども、これ、例えば米国ではテキサス等の陸域、欧州では北海等の海域での事業検討が多く行われてございまして、これは排出源と貯留適地の位置関係などによってどういう場合が経済性が高いかというのが個別に決まってくるということがございますので、いずれが有利かということは一概にお示しすることは困難と考えております。また、そういう観点からの研究の事例も承知はしてございません。
また、日本から、日本としてCCSを行う場合には国内での貯留も想定しておりますけれども、海外で貯留していくということも現在想定をしているところでございます。
これが我が国のCO2削減との関係でどういうふうに取り扱われるかということですけれども、IPCCガイドラインでは、海外にCO2を運び地中に貯留を行った場合には、輸出国のCO2回収量から輸送時の漏えい量などを差し引いた回収量を輸出国の排出量から差し引くことが想定されてございます。こうしたルールの下では、海外にCO2を運び貯留を行うことは、我が国のCO2排出削減に寄与するものと考えております。
いずれにせよ、海外でのCCSを推進するに当たりましては、こうした国際ルールやCO2輸入国、輸入国政府の意思や事情を十分に踏まえて取り組んでいきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/53
-
054・川田龍平
○川田龍平君 新潟中越沖地震も二〇〇三年から一年半掛けて長岡でやっていた実証圧入試験、それから苫小牧もあのブラックアウトした有名な北海道の地震もちょうどその実証実験の後起きているということで、地震とのこの可能性、非常にこの地中に注入することにより地震が誘発されるんではないかという可能性についても言われています。それから、CO2が漏れ出したときの先ほど話しましたようなリスク、それから水ストレスの増加や海洋酸性化など、様々環境影響も懸念をされております。
是非、このCCSの貯留の問題については、そもそも地球温暖化の問題ということでCO2だけの問題なのかと。これ、CO2を悪者にするのではなく、大局的な視点でこのCO2を実は生かした気候変動対策というのも講じるべきではないかと思いますが、経産大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/54
-
055・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 地球温暖化の課題に対してはあらゆる選択肢の追求が必要でありまして、CCSとともに、CO2を資源と捉えて再利用するCCU、カーボンリサイクルというのも二〇五〇年のカーボンニュートラル実現に向けた重要な選択肢の一つなんだろうと思います。
CCU、カーボンリサイクルについては、コスト低減に向けた技術開発、これを進めつつありまして、社会実装を支援していくことが大事だと思っています。
そのために、広島県大崎上島にカーボンリサイクル技術の実証研究拠点を整備をいたしておりますが、それに加えまして、グリーンイノベーション基金などによって技術実証を進めているところであります。
引き続き、こうした取組を通じて、カーボンニュートラル実現に向けてCO2の利活用にもしっかり取り組んでいきたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/55
-
056・川田龍平
○川田龍平君 昨年、炭酸ガスボンベが足りなくなって生ビールが飲めなくなったということもあったということですけれども、本当にこのCO2を利用するのは、農家の皆さんも植物促成のためにハウスの中でCO2をわざわざたいて使っているということなどもありますので、CO2の利用をよく促進することもやっぱり必要ではないかと思います。
それでは、水素社会推進法案について質問いたします。
海外から輸入水素に関わる課題ですが、この本法律案に基づく低炭素水素等の支援対象については、国内で製造されたものだけでなく、海外で製造して輸入するものも含まれることが想定されています。これに関して齋藤大臣は、少なくとも当面の間は国内製造だけでは産業で必要とする水素需要を賄えない見込みが高い状況ですと、また、世界では既に安価で低炭素水素等の製造が可能な適地の確保など権益獲得競争が始まっている状況にあります、このため、国内よりも相対的に安価かつ大量に製造が可能な輸入についても、Sプラス3Eを前提にGXの実現に資するものに限定して支援していくことが必要と考えていますと説明をされています。
国内供給量を賄うために海外からの水素の輸入が必要とのことですが、海外から水素を輸入する場合に考えなければならないのが、輸送に係るCO2排出量の問題です。低炭素水素等の導入を進める意義は二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現のためであるということは言うまでもありませんが、輸送工程において大量のCO2が排出されることになれば、低炭素水素等の導入のメリットも相殺されてしまいますし、何のための政策かということにもなりかねません。
海外からの水素輸入により供給量を確保することが前提とされている中で、輸送時におけるCO2排出をどのように減らしていくつもりか、経産大臣に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/56
-
057・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) これも御指摘のとおりでありまして、海外から低炭素水素等を輸入する際に排出されるCO2の排出、これもできるだけ削減をしていく必要が当然あります。
このため、現在、グリーンイノベーション基金を通じて、水素輸入の実証運航を行う予定である液化水素運搬船やアンモニア運搬船につきましては、運搬する液化水素やアンモニアを燃料として、CO2を極力排出しない形で航行することが可能となるような技術開発や設計を行っているところであります。こうした技術を取り込んだアンモニア運搬船を二〇二六年度に、液化水素運搬船を二〇二八年度に実証運航を開始させる予定であります。
今後、そうした実証結果も踏まえて、水素やアンモニアの輸送時にもできるだけCO2排出が削減できるように取り組んでいきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/57
-
058・川田龍平
○川田龍平君 水素の輸入に係る権益の確保及び地政学上のリスクについてお聞きします。
再生可能エネルギーが豊富な国であれば、再エネからクリーン水素を、あっ、グリーン水素を製造できます。そのため、アメリカ、オーストラリア、中東諸国、チリ、南アフリカなどの国々は、水素を輸出産業として育成することを国家単位で計画しているとされています。
我が国は当面海外から水素を輸入するということを前提とすると、これらの地域からいかに安定的に水素を調達するかということも課題となってきます。この点、中東から輸入を行う場合は原油輸送の要衝であるホルムズ海峡を通ることとなりますし、どの地域から水素を調達するかということは水素の安定調達にとっても重要なことだと思います。
水素の輸入に関して、エネルギー安全保障に係るものであり、輸入ルートにおける地政学リスクを把握し、輸入国・地域の分散を図ることが必要との指摘も見られますが、具体的にどのような地域から水素を輸入することが想定されているのか。地政学上のリスク等の課題も含めて、経産大臣、お答弁ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/58
-
059・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 本法案によりまして、価格差に着目した支援の対象となる事業が出てくるわけでありますが、その際、Sプラス3Eを大前提として、政策的重要性と事業完遂の見込みから評価項目を設定し、総合評価により今後選定をするわけでありますが、具体的な調達先は今後の計画の認定プロセスの中で決定をしていくということになります、段取りとして。
委員御指摘のとおり、地政学上のリスクへの配慮というのは重要でありますので、計画の認定に当たっては、まずはエネルギー安全保障の観点から、将来的に十分な価格低減と競争力を有する見込みのある国内からの調達、まずこれを最大限進めていきたいと思っています。
その上で、海外案件につきましては、水素等の安定供給を実現するために、総合評価におきまして、上流権益の取得状況ですとか、参入比率ですとか、採択案件全体を通じた供給源の多角化等を評価することで、エネルギー安全保障の観点からもリスクの低いサプライチェーンの構築を認定の際に考慮していきたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/59
-
060・川田龍平
○川田龍平君 次に、供給事業者と利用事業者が共同で事業計画を作成する趣旨について伺います。
本法律案に基づく各種支援を受けるために、低炭素水素等の供給又は利用する事業者は、単独又は共同で計画を作成し、主務大臣に提出し、その認定を受けることができるとされており、さらに、価格差に着目した支援などの助成金の交付を受ける場合には、その計画が低炭素水素等供給事業者と低炭素水素等利用事業者が共同で作成したものであるということが、追加的な要件が規定されています。
なぜこのような制度設計としたのかを説明ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/60
-
061・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
御指摘のとおり、共同で計画策定をという要件としているその理由でございますけれども、これは、GX実現の観点から、鉄や化学といった代替技術が少なく転換困難な分野であるとか用途に関しまして、新たな設備投資や事業革新を伴う形での利用者側の原燃料転換も主導する取組であることを確認するために、供給事業者と利用事業者の連名で一体的な計画の作成を求めることとしているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/61
-
062・川田龍平
○川田龍平君 ちょっと質問最後になりますが、もう最後の質問に飛ばしまして、安全の問題についてしっかり確保していただきたいと思います。
水素の利用を本格的に進めていくためには、その安全性を確保することは必要不可欠です。水素は可燃性ガスであり、静電気程度の僅かなエネルギーで着火する可能性があるなど、取扱いに注意を要します。現に、水の電気分解により水素を製造する水電解装置についても、韓国において死亡事故が発生しています。
水素、アンモニアは既に一定程度市場において流通していますが、今後、これらを大規模に製造、貯蔵し、流通させるに当たっては、保安上の規制を適切に整備する必要があります。
そこで、諸外国において発生した水素等に関する事故事例についての分析状況、また、今後の水素等の本格導入に当たっての保安規制の整備について御答弁ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/62
-
063・辻本圭助
○政府参考人(辻本圭助君) お答え申し上げます。
まず、諸外国における水素の事故事例につきましては、直近の例でありますと、二〇一九年、韓国でありますけれども、八名の死傷者を出すに至った水素タンクの爆発事故が発生したわけであります。この事故の原因につきましては、水素と酸素が混じり合う状況になっても必要な措置をとらず爆発に至ったと、こういう分析がございます。また、安全意識の欠如が原因であったと指摘する海外の研究機関の報告などもある状況でございます。
水素などの本格導入に当たりまして、保安規制の整備の在り方につきましては、大規模な水素などの供給事業、これ黎明期でございます。国内外の事業の進捗に応ずる形で、安全確保を大前提に、適時に合理的、適正な保安規制を構築していくことが重要であるというふうに考えております。
この点、昨年三月になりますけれども、水素保安戦略、これ審議会のような形でございますけど、議論をさせていただきました。その場におきましては、規制の合理化、適正化のために官民一丸となって安全確保を裏付けるまずは科学的データなどを収集すると、これを収集した上で、諸外国の動向を踏まえ、規制の国際調和などにも取り組むべきというのを示されてございます。
経産省としましては、引き続き、このような水素保安戦略などに盛り込まれた考え方に基づきまして、諸外国の事例、事故原因の分析、対策について情報収集を続けつつ、適時に合理的、適正な形で水素に係る保安規制の在り方を検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/63
-
064・川田龍平
○川田龍平君 似た法案ではありますが、別々に審議したかったなということを申し上げて、終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/64
-
065・竹谷とし子
○竹谷とし子君 公明党の竹谷とし子です。
まず、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律案について質問をさせていただきます。
本法律案の提案理由の中で、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、鉄鋼や化学等の脱炭素化が難しい分野においても、グリーントランスフォーメーション、いわゆるGXを推進していくということが不可欠であり、こうした分野では、その安全性を確保しながら低炭素水素等を活用することが重要であるというふうにされているところでございます。
昨年七月に閣議決定されました脱炭素型経済構造移行推進戦略におきまして、大規模かつ強靱なサプライチェーンを国内外で構築するために、既存燃料との価格差に着目しつつ、事業の予見性を高める支援や、需要拡大や産業集積を促す拠点整備への支援を含む規制・支援一体型での包括的な制度を早期に進めるとされました。この戦略に基づいて、本法律案によって所要の措置が講じられるということになっております。
そこで、まず支援に関して伺いたいと思います。
本法律案では、価格差に着目した支援、拠点整備の支援を希望する場合に、その計画が供給事業者と利用事業者が共同で作成したものであるということが認定基準の一つになっております。この法律が成立をして施行された後は、低炭素水素、また低炭素アンモニア等を生産するための有用な技術を持つ事業者、様々いると思いますけれども、その事業者の方々にとっては大きなビジネスチャンスとなる、そして地球環境を守るという社会貢献につながっていくと期待されているところでございます。
一方で、有望な供給技術を持つ事業者がいても、利用事業者を探すことは決して容易ではないというふうに想定をされます。特に、中小企業の有望な供給技術を持つ事業者がいたとしても、利用事業者が大手であったりする場合には、御相談に行っても門前払いになったり、話も聞いてもらえない、そういうことも想定をされるわけでございます。
そこで、有望な技術を持つ供給事業者と利用事業者をマッチングをさせるということも国の支援策として必要であるというふうに思っております。国はどのように供給事業者と利用事業者とのマッチングを支援していくのか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/65
-
066・村瀬佳史
○政府参考人(村瀬佳史君) お答え申し上げます。
御指摘のとおり、大規模な低炭素水素等のサプライチェーン形成におきましては、低炭素水素等の需要家を探すことが重要であり、事業実現可能性を担保する観点から、計画認定の条件として需給一体の計画を求めることとしているところでございます。
経済産業省では、自立可能な水素等のサプライチェーン構築の実現可否を判断するための調査に対して支援を行うこととしておりまして、こうした調査支援等を通じまして、自治体等の関与も得ながらサプライチェーンの潜在的な可能性を持つ需要家を広く掘り起こし、そして中小企業を含めた有望な技術を有する供給事業者とつなげていきたいというふうに考えてございます。
また、現在、各地にある地方経済産業局を通じまして、地方自治体とも協力をさせていただきながら、地域の実情に応じて水素の需要の創出に取り組んでいるところでありまして、こうした取組を通じて、今後、マッチングを含めて、より一層取組を加速させていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/66
-
067・竹谷とし子
○竹谷とし子君 是非、中小企業者の支援を力強く進めていただきたいと思います。
また、当面は価格差への支援をこの法律によって行うわけでございますけれども、できるだけ近い将来、価格差がなくなる、そういう状況を実現していくということも重要であると思います。いつまでも支援ばかりしていると自立しないという事業であってはいけないと思いますので、その環境づくりというものが重要になってくるというふうに思っております。
低炭素水素等が価格競争力を持てるようにしていくために、低炭素水素等の新たな市場の創出、また利用の拡大をいかに図っていくのか。様々なことをやっていかなければいけないと推定されますけれども、政府が想定している方法を御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/67
-
068・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
我が国では、低炭素水素等の市場、まだ黎明期にございます。そのため、まずは新たに低炭素水素等のサプライチェーンを、これ中小企業も含めて立ち上げることにしっかり注力していくということが肝要かと思っております。
このため、この水素社会推進法案におきまして、まず価格差に着目した支援を措置し、水素等の供給量と利用ニーズの拡大を一体で進める、これによりまして鶏、卵の状態からの脱却を目指していく。その上で、委員御指摘のとおり、低炭素水素等がしっかりクリーンであることの価値を認められて市場で売れていくようにしていくためにその価値を国としても明らかにしていく、買手の方がそれに着目して高い値段で買っていける、今までに比べて高い値段で買っていけるような市場環境づくりについて様々な取組を検討していく必要があると思っております。
また、加えまして、制度的措置ということもしっかり導入を図っていく必要があると考えてございまして、電力、ガス、燃料、産業、運輸などの分野におきまして新たな市場創出、低炭素水素等の利用拡大に向けてどういった制度の在り方が適切なのかと。これ、既に関連審議会等において議論を始めておりますので、この検討を踏まえて具体化を図っていきたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/68
-
069・竹谷とし子
○竹谷とし子君 具体的には審議会で今後検討をしていくということであると思いました。
こういった制度づくりに関しましては、やはりEUなど外国が進んでいるという面があるというふうに思います。しかしながら、日本が今その後を追っているような、そういう状況だと思いますけれども、世界標準的なものを先につくられてしまいますと日本企業がそこに合わせていかなければいけないと、そういうような状況にもなってまいります。
そうしたところで、日本国内での市場創出、また利用拡大を図っていくということももちろんのことでございますけれども、海外の動向についてしっかりと日本もリードしていけるような、今は後を追っていますけれども、もうリードをしていけるような、議論をリードをしていけるような、そういうイニシアチブを取れるような、そういう取組もお願いしたいというふうに思っております。
続きまして、二酸化炭素の貯留事業に関する法律案について伺います。
この法律案の提案理由の中で、政府は、先ほどの法律と同様に、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、鉄鋼や化学等の脱炭素が難しい分野においてもグリーントランスフォーメーション、いわゆるGXを推進していくことが不可欠であるとして、こうした分野において脱炭素を実現するためには、排出された二酸化炭素を回収してこれを地下の地層に貯留すること、すなわちCCSに関する事業環境を整備することが必要であると説明をしているところでございます。
しかしながら、CCSと言われても理解できる人はほんの僅かであるというふうに思います。日本におけるCCSの本格的な導入に当たっては、その必要性について国民理解の増進が不可欠であると思います。その観点から質問させていただきたいと思います。
まず、CCSの政策的意義に関して伺いたいと思います。
CCSによってカーボンニュートラルの実現に近づけていくという点でございます。我が国が排出している温室効果ガスがCCSによって削減できるということであると思いますが、具体的にCCSによって実現する炭素の貯留量は事業者及び我が国の温室効果ガス発生量の算定に当たってどのように扱われるのか、環境省に伺いたいと思います。
なお、国外で発生した炭素を国内で貯留したり、また国外で炭素を貯留するといったことも考えられるとは思いますけれども、今回は日本国内で発生する炭素を国内で貯留する場合を想定してお答えいただければ結構でございます。環境省の答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/69
-
070・秦康之
○政府参考人(秦康之君) 事業者の温室効果ガス排出量につきましては、地球温暖化対策の推進に関する法律に基づく温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度によりまして算定報告が義務付けられております。CCSのように排出されたCO2を回収して大気に放出しない場合には、その回収分につきましては報告すべき排出量から控除できるということになってございます。
また、温室効果ガスに係る国際的な算定、報告につきましては、IPCCが作成したガイドラインを基に行われることになっております。具体的には、日本国内でCO2の回収と貯留が行われる場合、CO2排出施設での回収量から輸送時、貯留時等における漏えい量を差し引いた正味のCO2回収量が日本の排出量から差し引かれることとなります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/70
-
071・竹谷とし子
○竹谷とし子君 CCSで貯留した量というのは日本の排出量から差し引かれる、そういう答弁であったというふうに思います。
また、国民の理解を促進するという意味におきましては安全性も大変重要でございます。科学的根拠に基づいてCCSの安全性を確保して懸念を払拭する必要があると思います。
本法律案では、貯留事業及び試掘に関する事業規制と保安規制を整備するということになっております。また、万が一貯留した二酸化炭素の漏えい等によって第三者に損害が発生した場合に備え、もちろん漏えい等があってはいけないわけですけれども、万が一そういうことがあった場合には、被害者の救済の観点から、損害賠償責任は事業者の故意、過失によらない無過失責任とされております。
これに関して伺います。CCS事業の安全上のリスクはどのようなことが考えられますでしょうか。そして、危険を防止するためにどのような対策を取ることにしているか。もうできるだけ分かりやすくお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/71
-
072・辻本圭助
○政府参考人(辻本圭助君) お答え申し上げます。
CCS事業の実施に当たりましては、安全確保に万全を期すことが極めて重要でございます。御指摘のとおりであります。将来にわたってCO2の漏えいリスクにも適切に対応するための措置が必要であると考えてございます。
このため、貯留事業の実施に当たりましては、CO2の漏えいを防止する観点から、坑井からのCO2の噴出を防止するための措置などを事前に事業者に求めていくことに加え、CO2注入前の実施計画の認可時には、事業者が適切なリスクマネジメントを行っているか、こういった点を厳正に審査するとともに、CO2圧入の実施中と圧入終了後の一定期間に継続的なモニタリングを実施することなどを求めてまいります。
また、貯留事業の継続性の観点につきましては、貯留事業の認可に係る審査を行う際に、申請者が長期間にわたる公益性の高い事業を実施するに足る十分な経理的基礎を有しているかどうかを審査した上で、貯留事業者に対してモニタリングに必要な資金を確保するため引当金の積立てといった措置を講ずることを義務付けております。
その上で、万が一貯留事業者が破産するような事態が起こった場合には、他法令を参考として、破産型にしまして、モニタリング義務を課すこととしております。貯留事業者が破産した場合におきましても、CCS事業法案の義務を履行する主体がいなくなるという事態が発生することがなきような制度としております。
このような取組を通じまして、安全かつ安定なCCS事業の実施を確保してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/72
-
073・竹谷とし子
○竹谷とし子君 今、認可時においてリスクマネジメントも評価をする、また資金的な経理的な側面も評価をすると、引当金を措置をしてモニタリングの義務を課すという、そういったことも御答弁をいただいたところでございますけれども、将来にわたるリスクを防止するという意味で、事業者が経営破綻などをするということは、これは本当に考えられることでございます。そうしたときに、様々、資金的、引当金の措置等を十分に行っているということは大変重要な点でございます。また、技術者やその事業に関する様々なノウハウ、そういったこともきちんと引き継がれるというような面も必要であるというふうに思います。
本法律案が成立した後に、具体の措置というのは詳細に詰めていくということになりますけれども、事業者の経営破綻といったようなリスクもしっかりと対応をしていけるような、国民が安心できるような、また他国にこのCCS事業を行った場合にも安心をしていただけるようなしっかりした取組を御検討いただき、実施していただくようにお願いしたいと思います。
先ほど来、CO2漏えいリスク懸念が質問に取り上げられておりました。CO2の漏えい、地中に埋めるというわけでございますので、それが漏れてくるということについては、素人であってもそういうことはないんでしょうねというのはやはり心配するわけでございます。
CO2の漏えいに関する懸念として、国民からこのような声がありました。また、以前、環境委員会の参考人からも出ていたことでございますけれども、過去においてカメルーンのニオス湖の二酸化炭素噴出災害というものがあって、多くの方が犠牲になった、そして今でも再発防止のための取組を取り続けなければいけないという、そういう状況であるというふうに聞いております。そうしたことから、CO2が地下にあるものが噴き出すということから連想をされるのだと思いますけれども、CCSについても危険性を懸念する国民の声があるわけでございます。
この法律によって許可するCCS事業ではニオス湖で発生したような噴出の危険はないということで経産省からも聞いてはおりますけれども、国民のこうした懸念を払拭できるように分かりやすく御説明をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/73
-
074・辻本圭助
○政府参考人(辻本圭助君) お答え申し上げます。
委員御指摘のそのカメルーン、ニオス湖で、一九八六年、三十数年前でございますけれども、発生した災害は、報道などによりますと、湖底から発生したCO2が自然現象として湖水に溶け込み、湖水中のCO2が高濃度になっていたところ、突然何らかの原因で湖水から大気中に大量放出されたことにより、近隣の村にも甚大な被害を与えたものと承知しています。
これは、簡単に申せば、ニオス湖の湖底から炭酸ガス、火山性の炭酸ガスだと思います、それが出ていったと。通常の場合、出ればそのまま湖水の中へ溶け込んで大気中に放散されていくんですけれども、何らかの自然現象、まあ温度、圧力の関係でありますけど、これが二層状態になっていたと。で、下の方のところで炭酸物質がそのまま放出されることでたまっていったという状況であります。
これが、また原因については諸説ございますけれども、地震による、若しくは海底火山、海底の、湖水の噴出等により、そのたまっていた二層の下の部分の炭酸が何らかの形で上に上昇していったと。上昇したことによって、連鎖反応によりまして、その後、爆発的に炭酸がCO2として気体になって猛烈に出ていったというものである、こういう自然現象であったというふうに承知をしております。
一方で、CCSにおきましては、CO2は地下約千メートルから三千メートルに存在する砂岩層の間隙において、遮蔽層が蓋として作用することによって構造的に閉じ込める形で地下に、地下の状況に関するリスクマネジメントを行いつつ、これは意図的に貯留をしていくものでございます。
このように、湖水の水にCO2が溶け込んでいたニオス湖の事案と、CO2が閉じ込められて構造も地下の深度も大きく異なるものであるというふうに考えてございます。
なお、本法におきましては、先ほど申し上げましたとおり、CO2の漏えい防止措置、継続的なモニタリングの実施などを求めていくこととしておりまして、こうした取組を通じて安全確保に万全を期してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/74
-
075・竹谷とし子
○竹谷とし子君 自然現象とは違うものであるということだとは思いますけれども、何らかの自然現象が起きてそういうことが起きたということでございまして、CCS事業によって千メートルから三千メートルの地下で、そして遮蔽層が蓋をするということで大丈夫なのだと、もっと、専門的にはもっと細かな正確な御説明があるかもしれませんけれども、違うという御説明だとは思いますけれども、それでもやはり心配をなさる国民、また周辺住民等の方々はいらっしゃるのではないかと思います。
この安全性については、どこまでもこれからずっとその事業をやったらモニタリングをしていかなければいけないという点もございますので、不安に真摯に応え続けて、その御懸念を払拭するように丁寧に応え続けていただきたいというふうに思っております。
そして、それともちょっと関連をいたしますけれども、周辺住民や利害関係者との後々のトラブルの発生があってはいけないというふうに思います。今、太陽光発電、太陽光発電も大変有用な再生可能エネルギーだというふうに思いますけれども、その設置場所については、今全国でもいろんなところでトラブルが、許可をした後にトラブルが周辺住民と事業者との間で出てきているというふうに思います。
CCSについてもそうしたトラブルが後で発生することがないように、許可段階で、周辺自治体、また周辺住民、利害関係者へのリスクの十分なまた丁寧な説明、そして合意形成を図っていくということが必要であると思っておりますけれども、これは一概的、一義的には事業者がその責任を負うものだというふうに認識をしておりますけれども、その状況、住民また利害関係者へのリスクの説明や合意形成の状況を政府としてどのように把握をして評価をしていくという想定でしょうか、御答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/75
-
076・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
御指摘のとおり、CCS事業は、関係自治体や地域住民、利害関係者の皆様の御理解を得ながら進めていくことが重要でございます。
今回の法案におきましては、こうした観点から、貯留事業に関する許可、不許可の判断を行う際に、経済産業大臣がその関係都道府県知事との協議や利害関係者からの意見募集を行うという規定を設けておりまして、そういう様々な地域住民、利害関係者の方々の御意見を把握した上で許可等の手続を進めていくということにしてございます。
その上で、実際の事業の実施に当たりましても、事業者に対しては自治体や地域住民の皆様に丁寧な説明を行うなど理解を得るための取組を進めることを求めていくとともに、国としても、こうした状況を把握をしながら、説明会の開催などを通じてCCSの政策的意義や負担、科学的根拠に基づく安全性、CCS立地による地域への投資効果などについて丁寧に説明をしていく考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/76
-
077・竹谷とし子
○竹谷とし子君 時間ですので、終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/77
-
078・串田誠一
○串田誠一君 日本維新の会・教育無償化を実現する会の串田誠一でございます。
まず最初に、水素といいますと、私は水素自動車というのがいろいろと話を聞くことがあるんですけれども、この促進ということでございますので、水素を利用したほかの事業、ビジネスというのはどんなようなものがあるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/78
-
079・村瀬佳史
○政府参考人(村瀬佳史君) お答え申し上げます。
現状、足下では、水素は主に石油精製プロセス、製鉄所における熱利用、半導体製造時の雰囲気ガスなどとして用いられてございます。
二〇五〇年カーボンニュートラルに向けましては、こうした従来の用途に加えまして、水素の新たな需要を開拓していく必要があると考えてございます。
具体的には、御指摘いただいたように、輸送部門において脱炭素化をするためのトラックやバスといった商用車の燃料としての利用、発電部門を脱炭素化するための火力発電の燃料としての利用、産業部門を脱炭素化するための製鉄プロセスにおける還元剤としての利用などが想定されているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/79
-
080・串田誠一
○串田誠一君 利用を促進するということで、一般の国民も利用を進めるということも考えられると思うんですが、その際、この水素は自動車にスタンドで注入することになると思うんですけれども、ガソリンで注入する時間と水素を注入する時間との対比、それと、今ガソリンスタンドはセルフというのが非常に行われていると思うんですけれども、この水素自動車もセルフで注入することが可能なのかどうか、御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/80
-
081・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
一般的な水素ステーションでは、ガソリン車の給油時間と同じぐらいの時間で充填ができるように、乗用車が満タンとなる五キログラム程度の水素を三分で充填することができる状況になっております。
また、令和二年八月に高圧ガス保安法の省令改正行っておりまして、御指摘のドライバーが自ら充填することを前提とした水素ステーションに係る保安基準、整備しております。そのようなセルフ充填が可能な水素ステーションも設置されている状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/81
-
082・串田誠一
○串田誠一君 セルフもできるということを聞きました。水素というのは、ガスというか、ガソリンもそういうふうに気化するんでしょうけど、水素は更に気化が非常に強いので、入れているときに水素のガスが上に上がってきたりするのかななんてちょっと心配したんですけれども、できるということでございます。
ただ、ガソリンとか、あとこれ電気の供給施設というのは高速道路でもよく見かけるようになったんですけれども、水素ステーションって余り見ないんですが、今の整備状況と、あと高速道路で水素というものが供給できる場所というのは今どのような状況になっていますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/82
-
083・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
水素ステーションでございますが、今年四月末時点で、整備中も含めまして全国で百七十四か所という状況になっております。
また、高速道路への整備につきましてですが、昨年九月に東名高速道路の足柄サービスエリアにおきまして日本の高速道路で初めての水素ステーションが開業したところという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/83
-
084・串田誠一
○串田誠一君 私も足柄サービスエリアよく行くんですけど、余り見かけなかったんですが、あったんですね。
ただ、一か所ということでございますと、やはり自動車で促進をする、いや、水素もいいんじゃないかというようなことを、例えば電気だとバッテリーに充電する時間が多いというような、そういう部分もあるので、水素というのもこれから促進されていくべきではないかなという思いの中で、高速道路を見ると水素を供給できる場所が今全国で一か所しかないということになると、ちょっと水素の自動車を買うのはやめようかなとかというように思うと思いますので、そこの整備自体をどんどん進めるということが促進につながるのではないかなと思います。
〔委員長退席、経済産業委員会理事古賀之士君着席〕
次に、先ほどちょっと事故の件についても触れられた質問もございましたが、自動車で水素を使った場合に、衝突事故などが起きた場合、また新たな、今までのガソリンというのはいろいろな歴史の中で経験を積んだり目にしたり耳にしたりすることがあるんですけれども、水素自動車が事故を起こしたときというのはほかのガソリン車とか電気自動車と違った新たな事故というものが想定されるのか、その点についての説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/84
-
085・久保田秀暢
○政府参考人(久保田秀暢君) お答えさせていただきます。
国土交通省では、水素燃料の特性を踏まえまして、水素の燃料を用いる自動車については、道路運送車両法において水素タンクの強度など安全確保に必要な要件を義務付けております。
具体的に申し上げますと、今御指摘ございましたガソリン車等に対する前面衝突基準等、各種衝突試験と同じものに加えまして、水素タンクでの落下試験、あるいは表面の損傷、傷のテストに耐え、水素を漏らさない強度を有する、また事故で水素が漏れた場合には水素を検知して警報を鳴らすとともに水素の供給を遮断する、さらに漏れた水素が車内に滞留しない構造であるなどを義務付けて、安全性を確保しているところでございます。
国土交通省では、水素を使う自動車が安全に使用されるよう、引き続き取り組んでまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/85
-
086・串田誠一
○串田誠一君 今、水素のガスが漏れるというようなことがあったんですけれども、普通に考えたときというのはその水素が爆発するというイメージがある、気球なんかで過去そういう事故がありましたが、そういう自動車の場合に、水素があることによって爆発するというようなこと自体の心配はないんでしょうか。
〔委員長代理古賀之士君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/86
-
087・久保田秀暢
○政府参考人(久保田秀暢君) 水素でございますけれども、今申し上げましたように、車内に滞留しないようにして、すぐに外に拡散するような構造を車両に設けるということで、爆発しないようにそういう構造を設けていただくとともに、漏れても大量に漏れないように遮断するというような構造を義務付けているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/87
-
088・串田誠一
○串田誠一君 外に出るということのようなんですけど、例えばカーフェリーだとか、あとは駐車場とか、家の中でもそうですけれども、ガレージの中とか、そういったようなところに放出をするということになるんですかね。そういうその密閉した中でガス、水素が放出をされたということ自体でも余り問題がないという理解でいいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/88
-
089・久保田秀暢
○政府参考人(久保田秀暢君) 水素は軽いものですから、大気に放出されるとすぐに拡散するという性質がございますので、放出されたものはできるだけ車内にとどまらないで外に拡散するような構造にするということを義務付けております。
あと、普通の車内で急に事故以外で漏れた場合も、そういう場合はすぐに遮断して漏れないようにするというような構造も義務付けて、今申し上げたような爆発を防ぐということを義務付けているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/89
-
090・串田誠一
○串田誠一君 今すごく自信持って回答していただいたので、水素自動車を購入される方も安心して購入できるのかなというふうにちょっと思ったんですけれども。
次に、水素を製造する場合の、先ほどもちょっと似たような質問もあってあれなんですけど、製造する場合にCO2というのができてしまうというのは余り、ある程度は出てしまうんでしょうけれども、それについては、水素を製造するということに関してはほかのエネルギーと比べると優越性というのがあるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/90
-
091・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
水素の製造方法、様々ございますけれども、国際機関、IEAの報告書によりますと、まず一つ目、化石燃料から製造されるいわゆるグレー水素を製造する場合は、水素一キログラム当たり十二から十三キログラムのCO2が排出されているというふうに報告されています。それから、同じ報告書ですけれども、CCSを活用してブルー水素を製造する場合の排出量は、水素一キログラム当たりCO2、どこまで回収してCCSするかにもよりますが、〇・八から四・六キログラム。また三つ目に、再エネ由来の電気から水電解によりましてグリーン水素を製造する場合のCO2排出量はゼロというふうに見込まれると報告されてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/91
-
092・串田誠一
○串田誠一君 今の答弁ですと、ブルーとかグリーンとかで製造するということが非常にそういう意味では地球環境に優しいということになると思うので、そこの部分の比重というのをいかに高めていくのかということが大事なんだと思うんですが、その点について尽力をしていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/92
-
093・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
御指摘のとおりと考えてございまして、御審議いただいております水素社会推進法でも、支援の対象になる低炭素水素等につきましては、水素一キログラム当たり一体どれぐらいCO2を出すのかという炭素集約度って基準値を作ってやっていくという方向でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/93
-
094・串田誠一
○串田誠一君 一番冒頭で、水素の促進の活用場面というので輸送面というのが指摘をいただいたんですけれども、その際、バスとかトラックというようなことの答弁でございました。
それ以外に、今、鉄道車両ではディーゼル車というのが行われているわけで、是非、鉄道においてもこの水素というのを利用するということも考えていいのではないかなと思うんですが、その辺について今どんなような状況でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/94
-
095・岸谷克己
○政府参考人(岸谷克己君) お答えいたします。
二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けましては、鉄道分野においても水素の利活用を推進することが必要であると考えております。中でも、非電化区間を走るディーゼル車両から水素燃料電池鉄道車両への置き換えを進めることは極めて重要な課題と認識してございます。この水素燃料電池鉄道車両につきましては、二〇三〇年度の営業運転開始に向けまして、現在、JR東日本において開発が進められております。
国土交通省におきましては、本年四月、有識者等により構成される水素燃料電池鉄道車両等の安全性検証検討会を設置し、安全を確保するための技術基準等の整備に向けた検討を行っております。引き続き、関係省庁等と連携しながら、水素燃料電池鉄道車両の導入、普及に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/95
-
096・串田誠一
○串田誠一君 今聞きまして、二〇三〇年から水素電池の列車が走るということで、そういう意味では、将来ディーゼル車がなくなるときが来るのかな、その日は鉄道マニアがすごくいっぱい写真撮りに行くのかなというふうに思ったんですけれども。
水素に関して、レアメタル、今、電気自動車も含めてですけれども、バッテリーに非常にレアメタルが多く利用されているということが課題になっているんですが、水素を製造する過程において、あるいは促進をする過程において、レアメタルというのの利用状況はいかがになりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/96
-
097・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
水素の製造に当たりましても、例えば、水電解装置を用いて再生可能エネルギー電力等によって水を分解して製造する場合、この水電解装置の触媒にはニッケルや白金といったレアメタルが現状使われております。あるいは、天然ガスを水蒸気改質して水素を作るというやり方もございますが、この水蒸気改質を行う装置につきましても、触媒にニッケル、ルテニウム、あるいはロジウムといったレアメタルが現状使用されております。
こうした中で、世界的にこうした装置の製造が急増する、そうなってきますと、御指摘のとおり、コストをどうやって低減させるのかという観点、あるいはレアメタル、貴金属など希少な金属の使用量をできるだけグローバルに低減させていくこと、どうやってやっていくのかといったような課題が非常に重要な課題になってまいります。
このため、レアメタルであるとか貴金属の使用量を抑えた新しい部素材の開発であるとか、できるだけ触媒としてのレアメタルや貴金属の使用量を低減する新たなタイプの装置の技術開発、こういったことにもしっかりと取り組んでいるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/97
-
098・串田誠一
○串田誠一君 レアメタルが日本に余りないというようなこともあって、諸外国に依存することが非常に強くなってしまいますと、国防的な面でも非常に問題があるというふうに思っておりますので、このレアメタルをいかに減らしていくのかということと、あと、電気自動車の場合にはバッテリー自身にレアメタルが利用されるんですけれども、水素自動車に関して、その利用する場面に、製造については今レアメタルが使われていて、なるべくそれを減らすということを進めているというお話でしたが、その利用する場面においてもレアメタルというのは水素をエネルギーにしている場合に必要になってきますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/98
-
099・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
今回御質問いただいたので、様々レアメタルの利用状況というのは確認をしているところでございます。
現状、私どもとしては、水素の製造時にやはりレアメタルを使われることが多いというふうに認識しております。ここが今申し上げた技術開発等の最大の課題になっておりまして、利用の段階でどういった形で使われ得るのかというのは改めて再確認をしたいと思いますが、それほど大きな課題にはなっていないのではないかというふうに認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/99
-
100・串田誠一
○串田誠一君 仮に今の答弁であるとすると、製造過程においてはいろいろとレアメタルを利用しない触媒的なものを開発を進めていただきたいと思いますし、水素自動車の場合にも、レアメタルというのが今の電気自動車と比べれば、私自身としては、そのバッテリー的なものを使わないという意味でレアメタルの利用というのはかなり減っていくのかなという気もいたします。だから、どちらか一方ということではないのかもしれませんが、併存していくような形の中で、そのレアメタルに依存しない国づくりというものにも水素を利用するというのが非常に大事になってくるのかなと思います。
その上で、この水素を製造するに関する自給率、できればエネルギーというのはこの日本の国内で賄えるというのが一番いいのかなと思うんですけれども、水素に関する自給率というのはいかがなものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/100
-
101・井上博雄
○政府参考人(井上博雄君) お答え申し上げます。
現状では年間で約二百万トンの水素が国内で消費されておりますが、その大半は、残念ながら海外から輸入された化石燃料から生産された水素でございます。一部には、国内の再生可能エネルギー等を利用して生産された水素ございますけれども、まだまだ少量であるという状況でございます。
エネルギー自給率向上の観点からは、こうした国内の再エネ等から製造された水素を活用しまして、大宗を輸入に依存する化石燃料の使用を減少させていくこと、これは中長期的には非常に重要だと考えております。
このため、水素社会推進法案に基づく価格差に着目した支援におきましては、十分な価格低減が見込まれ、将来的に競争力を有する見込みのある国内の事業を最大限しっかり支援していく方針でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/101
-
102・串田誠一
○串田誠一君 水素を利用するその部分についての支援というものももちろん大事だと思うんですが、国内でその水素をいかに自給していけるかという分野で開発をしていくような部分についてもしっかりと支援していって、自立していく国というものを是非目指していただきたいというふうに思っています。
次に、脱炭素という表題の法案でございますけれども、一面では石炭火力というのが問題にされているわけでございますが、一方で、いや、石炭火力も相当今開発も進めてきているんだと、高度な技術になってきたんだというようなこともあって、一体どっちなんだろうというようなことも思うところなんですが、この石炭火力とLNGによる火力というのはやはり大きな差が出てきてしまうんでしょうか。御説明いただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/102
-
103・村瀬佳史
○政府参考人(村瀬佳史君) お答え申し上げます。
まず、CO2排出という観点から見ますと、石炭火力とLNGのCO2排出量を比べますと、発電所の設備や実際の運用状況によっても大きく異なりますけれども、一般的に言えば、石炭火力は発電電力量当たりCO2排出量がLNG火力と比較して二倍ということになってございまして、LNG火力の方に優位性があると。一方で、LNG火力の優位性というのも、石炭火力の優位性、安定供給という観点からの優位性もあるわけでございます。
このため、総合的に、国の方針としましては、総合的観点から、安定供給とCO2削減とコストの削減という様々な観点、3EプラスSという考え方に立ちまして、石炭火力については、発電比率をできる限り引き下げていくことを基本としつつ、必要な供給力が必ずしも十分に確保されていない段階で直ちに急激な石炭火力の抑制策を講じますと電力の安定供給に一方で支障が及ぶということで、こうした状況を踏まえまして、方針としましては、二〇三〇年に向けて非効率な石炭火力のフェードアウトを着実に進めながら、二〇五〇年のカーボンニュートラル実現に向けまして水素ですとかアンモニア、それからCCUS等を活用しながら、脱炭素型の火力、これは石炭もLNGも同じですけれども、脱炭素型の火力に置き換える方向での取組を引き続き推進していく方針でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/103
-
104・串田誠一
○串田誠一君 脱炭素というのはもちろん誰もが賛成していくということではあるとは思うんですが、今までの質疑の中でも、水素を製造するにはレアメタルが必要であるとか、あるいは自給率も今はまだ海外から輸入しているという部分もあるという意味では、この国自身を守っていく、国民の生活を安定化させていくという意味で、一遍に変わるということはなかなか難しいのかなと。まさに今答弁でフェードアウトというふうにありましたけれども、そこの部分の調整をしつつ自立していくということが大事なんじゃないかなというふうに感じた次第でございます。
次に、CCSについてお聞きをしたいと思うんですが、私もちょっとよく分からなくて、いろいろ説明を受けて、なるほどそういうものかと思ったんですが、最初は二酸化炭素を何か貯蔵したものを埋めていくのかなというふうに思ったんですが、そうではなくて、パイプを地中や海中に埋めていって、三千メートルとか四千メートルとか埋めていって、そこでガスを入れていく。イメージで言うと、ソーダ水にストローを刺して口でぶくぶくぶくという、そうなんですかと言ったら、そうですと答えていただいたんですけれども、ああ、それで分かったという感じだったんですが、粘土質ですと送れないと思うんですよ。
ですから、送れるところって隙間が、要するにそこに大きなホールとか穴を、穴ぼこを造るんではなくて、そういったものを送ってもガスが入り込むようなところを見付けて注入していくということなのかなと思うんですけれども、その説明が合っているのかどうかというのがまず一つと。
そうだとすると、送っているところで下からまた、遮蔽層というのがあるのは分かるんですけども、拡散した場合ですね、だけど送っているパイプのこの隙間みたいなところから上にどおっと上がってくるんじゃないかなとちょっと思ったんですが、そこについての問題はないんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/104
-
105・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、CCSにおきましては、地中約一千メートルから三千メートルぐらいの地下におきまして、CO2が貯留される砂岩層、これ粘土層と違って隙間がある砂岩層でございますけれども、砂岩層があることに加えて、貯留されたCO2は浮力で浮上してきますので、それを塞ぐための蓋が、蓋の役割を果たすような稠密な遮蔽層が砂岩層の上に存在するということが条件となってまいります。
こういうその砂岩層の上に蓋がある構造に対して、地上から井戸を掘って圧力を掛けてCO2を注入してまいります。この注入していくことによって、まずその蓋があることによって上に上がってこずにとどまる。さらには、時間の経過とともに、この砂岩層の隙間にもCO2が絡まってそこにとどまると。更に時間がたつと、この周りに埋めている地層水に溶け出す、溶解してくるということ。更に時間がたちますと、この溶解した、CO2が溶け出した地層水が周辺の岩石の鉱物と化学反応を起こして一部は鉱物として固形化されると。こういう複数のメカニズムによって中長期的に安定的に地下に貯留するというふうに理解してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/105
-
106・串田誠一
○串田誠一君 近隣住民へのそういったような危険性もしっかりと説明をして進めていただきたいと思います。
終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/106
-
107・浜野喜史
○浜野喜史君 国民民主党の浜野喜史でございます。
まず、齋藤経産大臣にお伺いいたします。
水素・アンモニア政策小委員会等の合同会議が本年一月二十九日に示しました中間取りまとめによりますと、既存原燃料と低炭素水素等との価格差に着目した支援を受ける必須条件として、鉄、化学等といった代替技術が少なく転換困難な分野、用途に関し、新たな設備投資や事業革新を伴う形での原燃料転換も主導するものであることと示されております。
そこで、この鉄、化学等の中には発電分野は含まれるという認識でよいのか、また、発電分野単体での利用でも支援対象になるという認識でよいのか、見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/107
-
108・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けては、水素還元製鉄や化学の原燃料利用など、水素等でなければ対応困難な分野、用途に向けて優先的に水素等を供給し、燃料、原料の転換を進めていくということが特に重要と考えています。繰り返しますけど、水素等でなければ対応が困難だと。
このため、御指摘の中間取りまとめに記載している鉄、化学等には、工場の熱利用や商用車を含めている一方、発電は含めておりません。価格差に着目した支援では、発電のみ水素を利用するプロジェクトを支援対象とすること、発電にのみですね、水素を利用するプロジェクトを支援対象とすることは考えていないわけであります。
他方、鉄、化学等における二〇三〇年時点での利用規模というのは恐らく限定的になるかなと思っておりまして、水素等の大規模かつ強靱なサプライチェーンを形成していくためには、発電等の安定的で大規模な水素等の需要と合わせた形でプロジェクトを組成をしていくという必要も出てくるんだろうと思っています。
このため、価格差に着目した支援においては、サプライチェーン全体の中で鉄、化学等といった代替技術が少なく転換困難な分野、用途に向けて水素等を供給することを条件に、発電に利用する水素等についても支援の対象としていくということにしています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/108
-
109・浜野喜史
○浜野喜史君 関連してお伺いいたしますけれども、GX経済移行債の償還財源は、今後導入が予定されております化石燃料賦課金制度や有償オークションで賄うことが想定されております。
この有償オークションは発電事業のみに対して導入される予定と認識をしておりますけれども、その理由を御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/109
-
110・小林出
○政府参考人(小林出君) 失礼いたしました。お答え申し上げます。
二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けましては、我が国全体のCO2排出量の四割を占めます発電部門の脱炭素化を進めつつ、同時に電化を進めていくことが重要と考えてございます。
政府といたしましては、有償オークションの導入に当たりまして、代替技術の有無、そして国際競争力への影響等を踏まえまして、経済活動を維持強化しつつ、雇用も守りながら排出削減を進めていくという強い決意で臨んでおります。
発電部門は既に商用化されました再エネ等の代替技術を有しており、諸外国の排出量取引制度においても制度の対象化や有償比率の引上げ等、発電部門での取組を先行させているところでございます。
こうしたことを踏まえまして、我が国においてもカーボンニュートラル実現の鍵を握る発電部門について効果的かつ効率的に脱炭素化を進めるため、発電事業者のうち排出量の多いものを対象といたしまして、特定事業者負担金、有償オークションを導入するということとさせていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/110
-
111・浜野喜史
○浜野喜史君 いろいろ御説明いただいたんですけれども、私の理解とすれば、発電事業にのみ適用するという理由の説明にはなっていないんじゃないかなというふうに思うんですね。
更にちょっとお伺いするんですけれども、電力分野の脱炭素化が重要であるということは私も否定をいたしませんけれども、そうであれば、ガス、熱及び産業、運輸分野も脱炭素化することが大切だということが言えると思うんですね。であるにもかかわらず、なぜ発電事業だけ、電力だけを抜き出してこの対象にするのかということを説明いただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/111
-
112・小林出
○政府参考人(小林出君) お答え申し上げます。
有償オークションにつきましては、排出削減と産業競争力強化、経済成長とともにこれを実現、経済成長とともに追求していくという観点から、発電事業者等を対象としているところでございます。
二〇五〇年カーボンニュートラル実現に向けた政策の在り方は、もちろん将来にわたって全く変更しないものではございませんが、GX投資の進捗状況や技術開発、国際的な気候変動対策の動向の変化、こうしたものが想定される中で、状況を見ながらしっかり取り組んでいく必要があるとは考えてございます。
一方で、そうした中で、現時点においては発電事業者を対象とするということが適切というふうに判断しているところでございます。
政策が二転三転してしまうと企業等の予見可能性の確保が難しくなるという観点もあるわけではございます。こうした面も含めまして、様々な観点を踏まえつつ、必要に応じて適切な見直しも検討してまいりたいというふうには考えてございます。
昨年四月からGXリーグにおいて試行的に開始した排出量取引制度がございますが、こちらでは、電力に限らず、鉄鋼等の多排出産業も含めまして、現時点で国内排出量の五割超をカバーする七百社以上の企業が参加して、市場取引も活用しながら削減目標の達成に向けて取り組んでいるところでございます。
こうした状況の、こうした取組の状況も踏まえながら、制度の段階的な発展につなげてまいりたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/112
-
113・浜野喜史
○浜野喜史君 関連してお伺いしたいんですけれども、電化が重要であるということも御説明されました。
そこでお伺いするんですけれども、この有償オークションを導入、発電事業に適用に、対象にすれば、電力にやはり負担を課していくということにはなり、電気料金を上げていく要因になるんじゃないかなというふうに私は理解するんですけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/113
-
114・小林出
○政府参考人(小林出君) 発電部門の有償オークションにつきましては、諸外国においても有償オークションの導入まで排出量取引制度を段階的に発展させていること等から、先行して導入させていることや、脱炭素投資の効果の発現までに一定の時間が掛かること、それから、エネルギーに係る負担の総額を中長期的に減少させていく範囲内で導入していくということが大事かというふうに考えてございます。
したがいまして、エネルギーに係る負担の総額を中長期的に減少させていく範囲内で導入していくということを通じまして、電力に係る再エネ賦課金が二〇三二年度頃をピークに減少していく見込みというふうに考えてございます。
したがいまして、追加的な負担というものが発生することは避けることができるのではないかというふうに考えているので、電力料金の値上げに直接つながるのかというところについては、必ずしもそうしたことは断言できないのではないかというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/114
-
115・浜野喜史
○浜野喜史君 シンプルにお答えいただきたいんですけど、この有償オークション制度というのは発電事業に対象にするわけですね。発電事業者に負担をしてもらうという仕組みだと理解するんですけれども、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/115
-
116・小林出
○政府参考人(小林出君) はい。発電事業者に負担していただく仕組みでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/116
-
117・浜野喜史
○浜野喜史君 とすると、電気代を上げていく要因になるわけですね。ということは、この有償オークションというのは電化に逆行する制度であるということになると思うんですけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/117
-
118・小林出
○政府参考人(小林出君) お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、二〇五〇年カーボンニュートラル実現に向けましては、電化及び電源の脱炭素化が鍵でございます。
電化については、ヒートポンプの導入支援、そして、二〇二三年度よりGXリーグにおいて試行的に開始した排出量取引制度の段階的な発展等を通じて、主要な削減対策の一つとして促進してまいりたいというふうに考えてございます。
その上で、電化と併せて電源の脱炭素化を加速させるということのために、発電部門に有償オークションを導入することは重要であるというふうに考えておりまして、諸外国の排出量取引制度においても、制度の対象化、そして有償比率の引上げ等、発電部門での取組を先行させているところであると承知してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/118
-
119・浜野喜史
○浜野喜史君 いろいろ御説明いただきましたけれども、このやはり有償オークション制度というのは電化に逆行する制度であるというふうに言わざるを得ないというふうに思いますので、そのことは申し上げておきたいと思います。
更にお伺いしますけれども、この有償オークションはFIT制度に伴う再エネ賦課金がピークアウトする時期とほぼ同時期の二〇三三年に導入見込みということでありますけれども、その理由を御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/119
-
120・小林出
○政府参考人(小林出君) お答え申し上げます。
有償オークション及び化石燃料賦課金といったカーボンプライシングを段階的に導入するに当たりましては、エネルギーに係る負担の総額を中長期的には減少させていく方針の下で行うということとしてございます。したがいまして、再エネ賦課金及び石油石炭税の負担がピーク時から減少する幅にこれらカーボンプライシングによる負担額を収めるように制度設計を行う方針としてございます。
加えまして、発電部門においては、再生可能エネルギーや原子力発電といった発電時にCO2を排出しない代替手段が既に存在しておりまして、これらの利用を増やすことでカーボンプライシングの負担を減らすことも可能ではないかというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/120
-
121・浜野喜史
○浜野喜史君 これに関連して更にお伺いしますけれども、そういう御説明聞くと、このFIT賦課金を置き換えるものであるというふうに聞こえるんですけれども、そういう理解でよろしいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/121
-
122・小林出
○政府参考人(小林出君) お答え申し上げます。
カーボンプライシングに伴う負担の幅を再エネ賦課金及び石油石炭税の負担の減少幅にとどめるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/122
-
123・浜野喜史
○浜野喜史君 FIT賦課金の負担がピークアウトするというのは確かに二〇三二年とか三三年だと思うんですね。それを根拠にしてその時点で新たな負担を課すということは、やはり置き換えを考えているというふうに理解せざるを得ないということを申し上げておきたいと思います。
それと、代替手段が電力の場合はあるからというのは、それはそうだと思うんですね。しかし、代替手段があるから支援は少し抑制ぎみにしますよということまでは私は理解できるんですけれども、代替手段があるから負担してもらいますよというのは、ちょっとそれはおかしいんじゃないかなというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/123
-
124・小林出
○政府参考人(小林出君) お答え申し上げます。
発電部門の有償オークションでございますが、カーボンニュートラルの実現のためには、電化と併せて電源の脱炭素化というものを両方進めていくことが重要であるというふうに考えてございます。
したがいまして、発電事業者の排出量削減に向けたインセンティブを強化することを目的として導入するものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/124
-
125・浜野喜史
○浜野喜史君 今日はいろいろお伺いしようと思ったんですけれども、この有償オークション制度についてのみの質問というふうにならざるを得ませんでした。それは御理解をお願いしたいと思います。
私もいろいろ審議会等々の資料を見てみたんですけれども、御説明があったように、電化も大事だけれども、電力分野における脱炭素が大事なんだということ、そして代替手段があるから入れるんだという説明でした。
それぞれ、発電事業だけを対象にして制度を入れるという説明に私はなっていないと思うんですね。これ、極めて安易な制度であるというふうに私は言わざるを得ないと思うんですね。
今後とも、機会あるごとにこの有償オークションという制度については取り上げさせていただいて、明快な説明を求め続けてまいりたいと、このように思っておりますので、今日はこれで質問を終わらせていただきたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/125
-
126・岩渕友
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
CCS事業法案において、海洋汚染防止法におけるCO2の海底下投棄に係る許可制度は、CCS事業法案に一元化した上で、海洋環境の保全の観点から必要な対応について環境大臣が共管するとされています。事業を推進するための法整備と一元化をして、環境保全に必要な規制が後退することがあってはなりません。
現行法に基づく海底下CCSの許可の有効期間は最長五年間となっていて、期間満了後はその都度許可の申請と審査が繰り返されます。一方、CCS事業法案では許可の有効期間を定めていません。
ロンドン議定書は、許可は定期的に再検討されるべきとしていますけれども、この要請を満たさないのではないでしょうか。環境大臣、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/126
-
127・伊藤信太郎
○国務大臣(伊藤信太郎君) お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、ロンドン議定書では、許可は監視の結果及び監視計画の目的を考慮して定期的に再検討されるべきとされてございます。
CCS事業法案では、こうした議定書の要請を踏まえ、報告徴収や立入検査に加え、事業者に対して事業の実施状況の定期報告の義務やモニタリング結果の報告義務を課しております。定期報告等の結果から本法案における義務が適切に履行されていないことが判明した場合には、事案に応じて貯留事業の停止を命じたり、貯留事業の許可を取り消したりすることも可能な仕組みとしております。これらの措置を通じて、ロンドン議定書を適切に担保してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/127
-
128・岩渕友
○岩渕友君 中央環境審議会の答申では、その都度許可の申請及び審査が繰り返されることにより、長期間の監視を担保する仕組みとしています。有効期間を付す意見が今紹介したように述べられているということなんですね。
一方で、今後我が国で実施される民間事業者によるCCS事業についても、採算性の観点から現行の許可の最長期間よりはるかに長期にわたる事業となることが見込まれ、事業の予見性を確保することが一層重要とか、許可の更新を繰り返すことにより事業の予見性も損なわれているとの指摘があるというふうにもしているんです。結局、事業推進のために海洋環境の保全に係る規制を緩和することになるんじゃないか、こういう懸念があるわけですね。
答申では、モニタリングも大きな論点として示されています。答申へのパブリックコメントでは、高コストであり効率的なモニタリングを実施するために負荷の軽減を図るべきとか、モニタリング項目は法的義務の対象外にするべき、自然環境の保護に必要最小限な範囲でのモニタリングとすることなどの要望が述べられているんですね。これ、CCS事業の商用化となると、コストの低減を追求をするということになります。
経済産業委員会での質疑では、国が厳格に確認という答弁だったんですけれども、答申では、貯留層から二酸化炭素流の漏出がないことや海洋環境の変化の程度を監視し、圧入した二酸化炭素流による海洋環境への悪影響が認められないことを客観的に示すことが重要としています。
やはり、第三者機関による公平性、そして透明性を担保したモニタリング制度にするべきではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/128
-
129・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答えいたします。
前回の委員会でも申し上げましたとおり、国としては、貯留事業者が国の認可を受けた方法に従って適切にモニタリングを実施しているかどうかを厳格に確認させていただく予定でありまして、その評価に当たっては、必要に応じて地質等の専門家から意見を聞くこととしてございます。
いずれにしましても、委員御指摘のとおり、貯留事業者が行ったモニタリングの結果を客観的な観点から検証することが重要であるというふうに考えてございまして、こうしたことがしっかりと確保されるように、諸外国による取組や最新の科学的知見なども踏まえながら、この制度の運用の在り方を引き続き検討してまいりたいというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/129
-
130・岩渕友
○岩渕友君 客観的というお話だったわけですけれども、国による厳格な確認ということでは公平性であったり透明性担保することできないと思います。
このCCS事業を環境影響評価法、アセスの対象にすべきということで、衆議院の議論で複数の議員から指摘がありました。このCCSの事業ですけれども、地中深くを掘削してCO2を圧入して安定させるという全ての行為が環境に大きく負荷を与えるということはもう明らかなわけですよね。
二〇一〇年の中央環境審議会の答申では、将来的に実施が見込まれる事業のうち、規模が大きく環境影響の程度が著しいと考えられる事業として、放射性廃棄物処分場の建設とともにCCSに関する事業を挙げて、国の関与の下、何らかの形で環境影響評価を行う仕組みの検討が必要、CCSについては二〇二〇年までの実用化が目指されており、答申時点では実証試験段階であることから、知見を蓄積し、実用化の状況を見た上で対象への追加を判断すべきというふうにしています。
この答申からすれば、今二〇三〇年までに事業開始、商用化だというふうに目指すと言っていますけれども、この環境影響評価の対象に加えるべきではないでしょうか。環境大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/130
-
131・伊藤信太郎
○国務大臣(伊藤信太郎君) お答え申し上げます。
今般のCCS事業法案においては、貯留した二酸化炭素が貯留層から一般環境中に漏出することを防止するため、事業の許可や事業実施計画の認可、事業実施中のモニタリングの義務付けなど、規制的措置が設けられております。また、許可の際には、利害関係者による意見提出や自治体への協議規定といった合意形成手続も設けられております。特に、海域の底生生物は二酸化炭素による影響に対し特に脆弱であることから、海域で実施する事業については、事業者が申請の際に周辺環境への影響の事前評価を行い、環境大臣もこれを確認することとしております。
本法案による規制的措置や合意形成手続に加えて、CCS事業を環境影響評価法の対象にする必要があるか否かについては、今後のCCS事業の動向を注視し、検討を深めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/131
-
132・岩渕友
○岩渕友君 検討進めたいということでしたけれども、EUのCCS指令、EIA、環境影響評価指令では、全貯留量が十万トン以上だと環境影響評価の対象となるんですね。ライフサイクルの初期段階から後期段階までのプロセスが評価をされて、CCSのプロジェクトの環境的及び社会的、経済的な影響の評価が課されるということになります。だから、環境影響評価は、CCS指令における貯留許可を申請する前に実施をされて、規制当局によって審査をされるということになります。米国でも陸域ではアセスを行っていますし、各国で環境省が関与をして規制を行っているんですね。EUのように申請前に必ず環境影響評価を義務付けるべきです。
続けて、ロンドン条約の一九九六年議定書二〇〇九年の第六条改正では、輸出国と受入れ国が協定を締結し、又は取決めを行っていることを条件として、海底下の地層への処分のために二酸化炭素を含んだガスの輸出が可能とされました。この改正について暫定的適用の宣言をしている国はどこでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/132
-
133・日下部英紀
○政府参考人(日下部英紀君) お答えいたします。
これまでにロンドン条約一九九六年議定書二〇〇九年改正の暫定適用を宣言した八か国は、ベルギー、デンマーク、オランダ、ノルウェー、韓国、スウェーデン、スイス、英国の八か国になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/133
-
134・岩渕友
○岩渕友君 八か国が宣言をしていると。
この改正は発効しているのでしょうか。暫定的適用を宣言している国が増えてないんですけれども、それは一体なぜでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/134
-
135・日下部英紀
○政府参考人(日下部英紀君) お答え申し上げます。
本改正は、議定書は現在の締約国数である五十四か国の三分の二に当たる三十六か国が受諾した後に効力を生じることとなっております。現在までに本改正を受諾した締約国数は十一か国であり、本改正は現時点では発効していないところでございます。
他方、二〇一九年のロンドン議定書締約国会議において、本改正を受諾した締約国が暫定的適用を宣言することによって本改正を暫定的に適用させることを可能とする決議が採択され、これを受けて、本改正を受諾した十一か国のうち八か国が既に暫定的適用を宣言しております。
CCSを実施するためには、二酸化炭素を回収して海底下に貯留するための高度な技術が必要になるため、各国間でCCSの実用化に向けた政策や技術開発の進展に差が生じ、各国の受諾及び暫定的適用のタイミングにも差が生じていると考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/135
-
136・岩渕友
○岩渕友君 今答弁いただいたんですけれども、IEAは何と言っているかというと、本改正の受諾が進まない理由について、議定書の締約国のうち全ての国が洋上CCSやそのための越境輸出に関心を持っているわけではなく、受諾の優先度は低いというふうに指摘をしているんですね。
このCCSの先進的事業として選定をされた七案件のうち、二つの案件はマレー半島沖と大洋州への輸送、貯留を想定しています。これに対して、本会議で、マレーシアの住民から経産大臣宛てに、先進国から途上国へのCO2の輸出は気候不正義だとする書簡が出されていることについて、この声にどう応えるのかというふうに質問をしたところ、大臣は、輸出国政府の受入れ意思や規制整備などの実情を踏まえて判断するものだというふうに答弁をされました。
その後、同趣旨の要請書が五月八日に経産大臣をメインにして首相と関係大臣宛てに提出されています。二十六か国九十団体が署名しているんですね。環境や生計手段への甚大な影響、深刻な人権侵害に苦しんでいる、マレーシアのような途上国を先進国のためのごみ箱にしないように求める、切実な訴えが行われているんですね。
齋藤大臣、こうした声をどう受け止めていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/136
-
137・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 御指摘の書簡は、オランダに本拠を置く環境団体の日本支部などが作成をして、我が国を含む主要国に提出をされているものと認識をしています。
CCSについては、昨年のCOP28におきまして、脱炭素化の手段の一つとして明記をされておりまして、我が国でもその推進に取り組んでいるわけでありますが、一方で、CO2の貯留地には地理的偏在性があることから、貯留適地のある国へCO2を輸出して貯留することは脱炭素化の手段として重要ではないかと考えています。
CCS目的によるCO2の輸出は御指摘のようにロンドン議定書により規制されておりますが、国家間の取決め等が締約される、締結される場合に限って認められておりまして、既に先月、ノルウェーは、オランダ、デンマーク、ベルギー、スウェーデンと本議定書に基づいて国家間の取決めを行いました。
今後、我が国がCO2を輸出する場合におきましても、輸入国政府の受入れの意思や規制整備などの事情を踏まえつつ、本議定書に基づき取決め等を締結するか否か判断することになりますが、御指摘のようにロンドン議定書の非締約国もあるわけでありますので、輸入国がそのような場合には、同議定書に基づいて、我が国が環境配慮等に関する措置を求めることが必要となります。
この点、貯留ポテンシャルに恵まれた途上国の中には、CCSに関する技術移転を求めたり、貯留場の操業の安定化や運営のための経験を獲得するためにCO2の海外からの受入れを積極的に模索する国も複数現れている状況があります。こうした背景から、今後拡大が見込まれる諸外国のCCS事業の立ち上げを支援することは、国際貢献の観点でも意味があるのではないかと考えています。
いずれにせよ、海外でのCCSを推進するに当たりましては、そのCO2輸入国政府の意思や経済社会情勢その他諸事情、こういったものを十分に踏まえて取り組んでいくということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/137
-
138・岩渕友
○岩渕友君 手続の話をしているんじゃなくて、こうした地元の声にどう応えるのかということを聞いているんですよ。でも、それについてはお答えがありませんでした。
とりわけ、途上国での貯留はするべきではありません。環境影響評価法の対象にも加えず、規制の後退、規制を後退させるということは国際的にもとても通用するものではないということを指摘して、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/138
-
139・山本太郎
○山本太郎君 れいわ新選組、山本太郎です。
経産大臣にお伺いします。
カーボンニュートラル社会、それを実現するためにも必要なのが水素社会推進法案、そしてCCS事業法案であるという認識でいいですよね。ごめんなさい、一言で、イエスかノーかでお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/139
-
140・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) もちろん、その前提で法案を出させていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/140
-
141・山本太郎
○山本太郎君 一方、法案の中身を見てみると、石炭火力発電所など化石燃料を使い続けたい企業の延命策ばかり盛り込まれているようにも感じます。
水素は製造時に排出されるCO2が一定の値以下の低炭素水素を使うというんですけれども、その低炭素の基準は詳しく決まっていない。水素等としてアンモニアの使用も含めているんですけれども、このアンモニアも石炭火力発電所で石炭と一緒に燃やすことを推奨し、石炭火力発電所を生き残らせる方策になっていると。そもそも、発電分野は再エネを使えば低コストで脱炭素化できるのに、水素やアンモニアを使う必要は全くありません。
発電所や化学工場などから排出されたCO2を地中深くに貯留、圧入する二酸化炭素回収・貯留技術、CCSを推進するCCS事業法案、これもCCSということを付ければ石炭火力発電を続けてよいとする免罪符なんじゃないかと。CCSには、適地がない、コストが掛かる割に技術的実現性が薄い、CO2の貯蔵、運搬などには水素同様事故リスクが伴うなどの問題も指摘されています。
脱炭素、これを本気で進めるなら、省エネや、再エネや省エネ分野への投資拡大というものが一番の急務であろうと。
一方で、この法案というものは、化石燃料使用を続ける道を残すために、高コストで無駄の多い技術を推進するばかりのようにも見えてしまいます。
なぜ、内外の専門家から繰り返し問題が指摘されてきた水素の発電利用、アンモニア混焼、CCSなどの評判の悪い技術ばかり盛り込むのかなって。これ、まさかこの法案というのは、社会の脱炭素のためではなくて、特定の企業や産業団体の要求に応えるために作られたわけじゃないですよね。経産大臣に、そうではないということを断言していただきたい、一言でと思うんですけど、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/141
-
142・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 一言で言えば、今この化石燃料を直ちにもう廃止をして我が国のエネルギー安定供給が保てるかということを考えますと、極めて難しいので、これ段階的にやっていかなくちゃいけないという趣旨で我々考えているわけでありまして、その特定の団体とかのためにやっているという意識は毛頭私にはありませんので。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/142
-
143・山本太郎
○山本太郎君 特定の団体のため、企業のためにやっているわけじゃないと、毛頭ないということなんですけど、一方、心配になるデータも出ていると。気候変動対策、日本の政策というのは経団連などの特定の団体ばかりが影響を与えているんじゃないかということが示されています。
資料の一。イギリス独立系シンクタンクのインフルエンスマップは、昨年十一月、脱炭素社会を目指す日本のグリーントランスフォーメーション、GX政策と国内企業や業界団体による影響を分析したリポートを発表しています。
資料三。立案までに出された意見のうち八一%が製鉄などの一部企業や業界団体からのもので、全体の一五%を日本経済団体連合会、経団連の意見が占めた、占めているという結果が示されたと。実際、経団連の会長である住友化学の十倉さん自身が、GX政策について、政府が提言のほとんどを取り入れてくれたというふうに述べているんですね。ほとんど取り入れられたって、彼らがする提言というのは、今をどれだけ侵食されないようにするかということが一番メインなわけで、彼らの提言をほとんど取り入れられたということは、これはある意味で脱炭素と逆行してしまうということも言えると思うんです。
これどうして、自民党政権のエネルギー政策というのは、グリーンというものを掲げているんだけれども、こんなに炭素まみれの産業団体の要請を素直に取り入れていくのかということが非常に解せない。その理由を考えていくと、やっぱり金ということになっていくのかなというふうに思うんです。
資料の五。二〇二二年、自民党の政治資金団体に二千万円以上の寄附をした企業には、石油連盟、経団連会長がトップを務める住友化学、日本電機工業会、日本鉄鋼連盟、日本自動車工業会などの化石燃料を大量に使用してきた業界の代表的な団体が並んでいると。本法案で推進されているCCS、水素やアンモニアを活用して火力発電を延命する方針は、まさにこれら団体が提言しているものと当然重なっていくわけですね。
資料の六。日本電機工業会、二〇二一年六月、第六次エネルギー基本計画への提言で、アンモニアなどを活用し、火力発電を維持するよう要請。
資料の七。経団連、二〇二二年五月提言、GXに向けてで、火力発電は主力電源であり、アンモニアやCCSの活用が必要と主張。
資料八。石油連盟、二〇二二年十月提言、カーボンニュートラル燃料の導入・普及に向けてで、化石燃料で作った水素の活用も支援してほしいと要請。
これ、カーボンニュートラルを目指す本法案を策定するに当たって、これら化石燃料大量消費業界の企業の意向ばかり集中的に聞き取るなんてことはしてないよということを大臣に一言で宣言していただきたいなと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/143
-
144・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) 山本さん、私も資源エネルギー庁に三回勤務をして、このエネルギー政策の現場で立案に携わったことあります。その際、もちろん関係業界から意見を聞きますけれども、我々、そのときにやっぱり日本のエネルギー政策、環境政策、どうあるべきかということを真剣に考えながら、もちろん彼らの意見も聞きますけれども、そういう視点で少なくとも私はやってきましたし、私の仲間もやってきていると思いますし、さらに、余計なことを追加させていただきますと、そのエネルギー政策を立案する過程でどこの団体が幾ら自民党に寄附をしているかとかいうようなことは考えたこともありませんでした。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/144
-
145・山本太郎
○山本太郎君 それは、あれですよね、大臣が現場にいろいろいらっしゃったときのお話ですよね。そういう心ある例えば官僚の方だったりというのはいらっしゃるとは思うんですけど、実際、全て動かしていくという部分に関しては政治が関与していくわけですね。あくまで、私が言っているのは、政治が買収されたことによって政策が売り飛ばされていったということのお話の一環としてこれをお話ししています。
過去にも様々自民党は売り飛ばしてきているんですよ。労働環境破壊し続けて、一人一人の生活壊していくんですね。不安定労働広がっていきましたよ。それで頭打ちになった、安い労働者が頭打ちになったらどうなったかといったら、外国から労働者大量に入れられるようにしたじゃないですか。これ、日本国内におけるこれは賃金の下方圧力強めることになる、単純労働から入れ替わっていくことになる。それだけじゃない、消費税みたいに、これ法人税下げるために穴埋めとしてずっと使ってきているじゃないですか。様々考えていったら、何のために政治やっているかと考えたときに、票と金のために政策売り飛ばしていることは確実な話なんですよ。
この分野においては、あり得ないなんてあり得ないんですよ、逆に言ったら。当然、そのような太い客のためには一生懸命汗を流すという、これまでのやってきたことがあるんだから、この件に関してクリーンだなんてあり得ない話なんですね。
というわけで、先に進みたいと思うんですけれども、様々今お話をしましたけれども、資料九、資料十みたいなものを見ていただくと、自民党の総合エネルギー戦略調査会などにおいても、やはり詳しく大きくお話を聞いていくのは大口寄附者になっていくんですね。日本自動車工業会だったり日本鉄鋼連盟などを招いてヒアリング。それだけじゃない、ほかにも、自民党の二〇五〇年カーボンニュートラルに向けたプロジェクトチーム、ここにおいてはJERAなどの水素、アンモニア関連企業に意見を聞いたりとか、再エネと同じようにアンモニア活用推進するよう求められて、梶山座長は全力を挙げて需要と供給量を確保するなどと応じていると。当然、太い客をつかまえておくためには言うことを聞くというのは、これまでの慣例じゃないですか、やってきたことじゃないですか。
で、資料十一。これまでの政治家というものを見てきたとしても、経済再生大臣まで務めた、統一教会トップ韓鶴子さんとも親しい山際大志郎議員も、オーストラリアと協力して石炭火力発電、水素を応用してCO2の排出を減らす取組を主張しているし、経産副大臣を務めた関芳弘副幹事長においても、CCUS、炭素を使う次世代の技術を組み合わせていく、避けて通れないみたいなことを言っている。
資料十三では、経済財政大臣も務めた重鎮、額賀福志郎氏も、この水素、アンモニア、CCUS、化石火力の技術革新を求めてカーボンニュートラルを実現するとか、ちょっと現実とずれたというか、ある意味で、今すぐできることにも取り組まずに、遠回りをしながら一部の者たちを更に肥えさせるようなことを考えている。
これ、国会議員って全国民の代表ですから、この人たちが国民のためにやっていると思いたいんですけれども、政治資金収支報告書を確認してみると、資料の十四から十六、自動車関連企業団体とか石油連盟とか、見事に化石燃料を使用し続けたい団体からしっかり寄附もらっているんですよ、だから。動機は何ですか、CO2の削減なんですなんて、本当に何か、そんなお上品な話じゃないんです。
それを考えたときに、やっぱり大臣にはブレーキ役になっていただきたい。世界との約束、未来の子供たちのためにもやっぱりお仕事をしていただきたいというふうに思うわけですよ。それを考えたときに、今の自民党のままではなかなかこの世界との約束も守れないし、統一教会とか一部資本家の意向ばかり尊重して、どんな脱炭素政策も骨抜きにされてしまうということがあるから、大臣にお願いするということもありながらも、自民党政権を引きずり下ろすしかまずないのかなと。それによって本物のグリーントランスフォーメーションを実現するということを、野党の皆さんと力を合わせながら、その先頭にれいわ新選組が立つ必要があるということを宣言して、終わらせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/145
-
146・森本真治
○委員長(森本真治君) 先ほどの山本君の発言中にちょっと不適当な発言があったので、あるのではということが理事の方からありましたので、このことについては、後刻理事会において速記録を調査の上、対応したいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
ということで、以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/146
-
147・ながえ孝子
○ながえ孝子君 環境委員会のながえ孝子です。
まず、資料一を御覧ください。
去年、JOGMECは、国内で排出されるCO2の貯留を二〇三〇年度までに開始する事業を想定しまして、七案件、国内で五件、海外で二件、候補として選定をしました。国内貯留五案件のうち、これ苫小牧と日本海側の東北、これが陸上に当たるんでしょうかね。それから、東新潟と首都圏、これは陸域と海域にまたがるようです。そして、海域、九州北部沖、一か所となっています。
法案を見ますと、CCS事業の特定地域を指定し、事業の認可を与える、許可を与える際に、経産大臣が決めるとなっています。環境大臣が関与をするのは海域の場合のみとなっているんですが、陸域の場合でも環境への影響は必ずあるはずなので、伊藤大臣、環境を守る大臣として、環境を守る立場から俺も関与させろと求めた方がいいんではないかと思うんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/147
-
148・伊藤信太郎
○国務大臣(伊藤信太郎君) お答え申し上げます。
本法案においては、委員御指摘のように、特定区域が陸域のみの場合は環境大臣が確認することにはなってございません。
一方、貯留事業の許可や事業実施計画の認可、事業実施中のモニタリングの義務付けなどを通じて、貯留した二酸化炭素が貯留層から一般環境中に漏出することを防止するための様々な規制的措置が設けられております。
また、この事業許可や事業実施計画の許可の際に、周辺環境へ及ぼす影響についても確認する予定と承知してございます。また、IPCCの知見によると、現在陸域で行われている貯留事業について、地表に影響を及ぼしている形跡はないとされてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/148
-
149・ながえ孝子
○ながえ孝子君 同じことを齋藤経産大臣にも伺いたいんですけれども、これやっぱり環境に対する配慮、その姿勢の表れとして、環境大臣の関与、これを求めた方がいいのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/149
-
150・齋藤健
○国務大臣(齋藤健君) この法案を提出するに当たりまして、環境省とも十分に協議した上で提出をさせていただいておりますので、今環境大臣が御答弁させていただいたとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/150
-
151・ながえ孝子
○ながえ孝子君 配慮はされるんでしょうけれども、やっぱりその姿勢といいましょうか、ちゃんと仕組みとして担保することが私は大事ではないかと思うので、指摘をしておきます。
環境アセスの対象になるんですかという質問をしたかったんですけれども、先ほども質問がありましたので、ちょっとまとめさせていただきます。
環境アセスを実施しないということなんですが、これ、衆議院の審議の中でも、環境アセス、環境影響評価ですね、これをした方がいいのではないかという質問に対して、CCS事業が環境に与える影響について知見がないので現段階でやらないという答弁がありました。これ聞いて、私とても不思議に思っているんです。
資料二を御覧ください。
これ、環境省のホームページに掲載されている平成二十六年度の環境配慮型CCS導入検討事業委託業務の報告書なんですね。
そこには、Aの部分ですね、アンダーライン引かせていただきました。二酸化炭素の分離回収プロセスについてあらかじめリスク評価を行い、環境負荷を把握するとともに、必要に応じ環境負荷低減対策を取ることが望ましい。それから、Bの部分御覧ください。環境リスク評価の実施事例や、環境リスク評価の実施における留意点などをまとめた環境リスク評価ガイドライン策定の検討を通して、事業者による適切な管理を支援し、環境配慮型CCSの導入を促進することを目的とするとしっかり書かれています。Cの部分では、海外での環境リスク評価事例に関わる情報を整理した、さらに、分離回収技術を保有する事業者へのヒアリング調査を行い、環境リスク評価のガイドライン策定の検討に必要な情報を収集したと報告されています。
ですから、平成二十八年にも同じように環境配慮型の実証事業行われているんですよね。研究機関とか大学とか民間企業など共同で環境影響評価手法などについて検討を行っているんです。結構頑張っているんですよね。なのに、何でネガティブなことを言うかなと、私はとても不思議に思ったんですよね。
ところで、環境大臣にお伺いしたいんですけれども、ガイドラインは策定しましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/151
-
152・伊藤信太郎
○国務大臣(伊藤信太郎君) 少し順番に、三つぐらいあったと思うので、三番目のお答えだけで……(発言する者あり)三つお聞きいたしたので、さっと詰めてね。
まず、このCCS事業は、現在は環境影響評価法に基づく環境影響評価手続の対象とはなっておりませんけれども、本法案において二酸化炭素の漏出を防止するための規制的措置や合意形成のための手続が設けられております。
環境影響評価法は、土地の形状の変更や設置する工作物の規模が大きく、当該工作物の設置に係る工事や供用開始後の事業活動による環境影響の程度が著しいものになるおそれがある事業について環境影響評価手続の実施を求めることとしてございます。
このCCS事業を環境影響評価法の対象にする必要があるか否かについては、本法案において規制的措置や合意形成手続が設けられていることを踏まえつつ、今後のCCS事業の動向を注視して検討を加えてまいりたいと思います、検討を加えてまいります。
それから……(発言する者あり)ガイドラインだけ、最後のことだけお答えします。
現在は確定したものがありませんけれども、このガイドラインの役割を果たすものをその事前評価の方法によって果たしているという認識でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/152
-
153・ながえ孝子
○ながえ孝子君 これ、報告書が作られたのは十年前なんですよ。十年間、何でガイドライン作らなかったんですか。私はそれが不思議でたまりません。
そして、おととしですよね、これ実際に実証に向かって進めていくぞになってから、慌てて何か検討会開いたりとかやっているんですよね。しっかりとこれガイドライン作って環境省として取組を前に進めるべきだったし、今からでもやっていただきたいと思っているんです。
といいますのが、CCS事業、先ほど来、こういう環境への負荷があるよという指摘もありましたけれども、CO2を回収する技術として苫小牧でも採用されていますアミン吸収法ですね。これはやっぱり、分離回収する過程でアミン化合物等の有害物質が生まれるということも指摘されています。生態系や環境への影響も懸念されています。加えて、CCS、地中に注入することにより地震を誘発してしまうのではという可能性もあります。CO2が漏れ出したときのリスク、水ストレスの増加などなど、先ほど来指摘をされているとおりです。アメリカ・ミシシッピ州では、二〇二〇年、EOR、これ、枯渇油田に圧入するというやり方をしておるときにパイプライン破損しまして、三百人が避難して、四十五人がCO2中毒で病院に運ばれたという事故も起こっています。
これ、CCS事業が工場の中で完結するのならいいんですけれども、地域で、しかもその前に、どこに埋めたらいいかというような、かなり広範囲に試し掘りもしていくと思うんですよね。だから、地域とか自治体は好むと好まざるとによらず巻き込まれていくということになります。そこにしっかりと説明する仕組みも今のままではないんですよね。これ、非常に上から目線なやり方だなと思っています。
こういった自治体あるいは周辺住民の方の環境リスクへの不安にどう対応しているのか、こういった皆さんの知る権利はどう担保されるのか、伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/153
-
154・伊藤信太郎
○国務大臣(伊藤信太郎君) 事前評価の方法については環境省が定める許可の申請に係る指針で具体的に規定されておりますけれども、先ほども御答弁申し上げましたけれども、事業を開始するに当たっては地元の皆さんの理解、地元の自治体との協議もすることになっておりますし、今ある仕組みをしっかり使って、委員御指摘のようなガイドラインの役割をしっかり果たしてまいりたいと思います。
それからまた、本法案に基づいて実施する事前評価についても、現行の指針というものはベースにしますけれども、経済産業省とも調整しながら具体的な方法を更に定めてまいりたいと、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/154
-
155・ながえ孝子
○ながえ孝子君 以前、伊藤大臣、私が環境アセス法について質問させていただいたときに、大臣は、これからしっかりと環境アセス法を生かしていくことが大事だということを言われまして、私もそのとおりだと思っています。
新しい事業だからこそ、CCSでこういうことが行われて、そして、初めてなので現段階の話だけれども、多分こういう影響が考えられる、それにはこう対応しようと考えていたんだなどの説明をしっかりすること、そして、それに対して自治体や住民が意見を述べる機会があって理解が進むと私は思っているんですね。ですので、それがしっかりできる事業者に許可を与えるということが筋だろうとも思います。
環境アセスを活用していった方がいいと思うんですが、大臣、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/155
-
156・森本真治
○委員長(森本真治君) ちょっと時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/156
-
157・伊藤信太郎
○国務大臣(伊藤信太郎君) 委員の御指摘を踏まえて、検討を進めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/157
-
158・ながえ孝子
○ながえ孝子君 よろしくお願いをいたします。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/158
-
159・平山佐知子
○平山佐知子君 平山佐知子です。よろしくお願いいたします。
島国である我が国でCCS行う際には、やはり海域での実施、これが多くなるのかなということを予測しているところでございます。これまでも様々議論あった部分ではございますけれども、現行の海洋汚染防止法では、CCS行おうとする事業者は、環境大臣から海底下にCO2の貯留を行うための許可を得る際に、事前に海洋環境影響評価を行うこととしていました。本法律案では、海洋汚染防止法におけるCO2の海底下廃棄に係る許可制度の規定は削除されて、本法律案に一元化されるということです。
この貯留事業者が海域にてCCSを行うために貯留実施計画を提出する際には、経産大臣と環境大臣、それぞれに申請をこれ行う必要があるのかどうか、許可を得ることが必要なのかどうかということが一点。また、海域でのCCSを行おうとする際には、海洋汚染防止法で定められたものと同等の海洋環境影響評価が引き続き実施されるのかどうか、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/159
-
160・伊藤信太郎
○国務大臣(伊藤信太郎君) お答え申し上げます。
海域における貯留事業実施計画については、経済産業大臣と環境大臣双方の許可が必要でございます。申請方法等、具体的な手続については、申請者の負担にも配慮しつつ、経済産業省と今後調整してまいります。
そしてまた、貯留事業を行う際の海洋環境への影響については、これまでも、海洋汚染等防止法に基づき、事業者が事前に調査した内容を環境大臣が審査し、海洋環境の保全上の障害が生じるおそれがないことを確認いたします。
そして、今般のCCS事業法案においても、貯留事業実施計画の認可の申請に当たっては、海洋環境への影響を事前に評価した書類の提出を求める予定でございまして、海洋環境の保全が図られるようにしっかり審査してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/160
-
161・平山佐知子
○平山佐知子君 事業者からは一元化してほしいとかワンストップでという声も実際出ているそうですので、そういった声も配慮して、考慮して進めていただくこともお願いを申し上げます。
新しいCCS事業法案においても、海洋汚染防止法と同様に事前の海洋環境影響評価を行うということですけれども、これは、衆議院でもこれまでの質疑でもありましたけれども、これに上乗せして環境影響評価法に基づく環境影響評価、環境アセスですね、これを行う可能性について質疑がこれまでも行われてきました。それに際して、先ほども答弁ありましたけれども、CCSについては、現段階では環境影響の程度が著しいものとなるおそれがあるかどうかの知見が十分でないために、環境影響評価法の対象にする必要があるか否かについては今後のCCS事業の動向を注視して検討をするという答弁がありました。
最新の知見に基づいて、必要とあれば環境アセスを行うということはこれ当然だとは思っているんですけれども、まずは本法律案に基づく海洋環境影響評価、これをしっかりと行って環境影響を未然に防ぐことが、例えば事業者の負担ですとか行政コストを減らす観点からも重要ではないかというふうに考えますが、これ、伊藤環境大臣の御所見、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/161
-
162・伊藤信太郎
○国務大臣(伊藤信太郎君) まず、先ほどの答弁の冒頭で経済産業大臣と環境大臣の双方の許可と申し上げた、これは認可の間違いでございました。訂正させていただきます。
そして、今の御質問でございますけれども、今般のCCS事業法案においては、貯留事業を行うに当たり、事業の許可、事業実施計画の認可、事業実施中の事業者へのモニタリングの義務付けなど、様々な段階において、貯留した二酸化炭素が貯留層から環境中に漏出することを防止するための規制的措置が設けられてございます。
この貯留事業実施計画の認可の申請に当たっては、海洋環境への影響を事前に評価した書類の提出を求め、主務大臣がその内容を審査することになっております。これらの事業の各団体における措置や海洋環境影響評価の審査などを的確に運用し、海洋、環境影響を未然に防ぐことによって海洋環境と調和したCCS事業を進めてまいりたいというのが現在の私の答弁でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/162
-
163・平山佐知子
○平山佐知子君 分かりました。ありがとうございます。
そもそも、私、海底下廃棄というこの廃棄という言葉、言い方がこれ問題あるんじゃないかなということも考えております。もう何だかごみを海底に捨てるようなイメージを持たれかねないということで、そうなると、立地地域の方々の合意というか理解を得るということ、ますます厳しくなってしまうということも可能性としては考えられますので、この言い方、表現、変えることも併せて要望をさせていただきたいと思います。
では、次に参ります。
貯留事業者には、CO2の貯留開始後にJOGMECに管理業務を移管するまでの間、貯留層の温度とか圧力などを監視する義務があるとしています。また、移管を認める判断基準としては、貯留層における二酸化炭素の貯蔵の状況が安定しており、かつ、その状況が将来にわたって継続することが見込まれるとの要件が示されています。
この貯留事業者に課すモニタリングに関する事項は主務省令で定めるとされていますけれども、これはどのようなことが想定されているのか、まずは経産省に伺うとともに、また、このモニタリングについて海洋汚染防止法はどう関係していくのか、これは環境省にお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/163
-
164・定光裕樹
○政府参考人(定光裕樹君) お答え申し上げます。
今般の法案におきましては、CO2の安定的な貯留を確保する観点から、CO2が計画どおりに貯留できていることやCO2が漏出していないことなどを確認するために、貯留事業者に対しては、CO2を注入している期間はもちろんのこと、CO2の注入停止後も一定期間、貯留層の温度や圧力などのモニタリングを行うことを義務付けることとしております。
諸外国におきましても貯留事業者に対してモニタリングが義務付けられておりまして、例えばEUのCCS指令では、貯留されたCO2の挙動などに関して、モデルを用いて事前に予測したCO2の挙動と実際の挙動との比較や、CO2の移動や漏えいの有無の確認などを具体的にモニタリングするよう義務付けられているというふうに承知してございます。
委員御指摘のモニタリング事項を定める主務省令につきましては、こうした諸外国におけるモニタリングの具体的内容や最新の技術的知見などを踏まえながら、事業者にとって過度な負担となることがないよう、有識者の意見、皆様の御意見もお伺いしながら引き続き検討させていただきたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/164
-
165・土居健太郎
○政府参考人(土居健太郎君) お答えいたします。
まず、現行の海洋汚染等防止法におきましては、事業者に対して、貯留層から二酸化炭素の漏出がないことを監視し、海洋環境の変化の程度をモニタリングすることを求めておりまして、これらの具体的な内容につきましては指針として定めて示しております。
海洋汚染防止法等の規定につきましては本法律案に一元化されることになりますが、本法案におけるモニタリングの具体的な内容につきましては、海洋汚染の、海洋環境の保全に支障が生じないよう、現行の指針をベースとしつつ、具体的な内容につきまして経産省と調整を進めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/165
-
166・平山佐知子
○平山佐知子君 ありがとうございます。
安全第一という、これは、本当にこれは当然ながら進めるべきですけれども、一方で、やっぱりスピード感を持って進めるということも、またこの二〇五〇年カーボンニュートラル実施という大きな目標に向かって進めていくべきだと思いますので、その点も含めて配慮して進めていただきますようお願い申し上げまして、質問を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/166
-
167・森本真治
○委員長(森本真治君) 他に御発言もなければ、本連合審査会はこれにて終了することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/167
-
168・森本真治
○委員長(森本真治君) 御異議ないと認めます。よって、連合審査会は終了することに決定いたしました。
これにて散会いたします。
午後一時八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314081X00120240514/168
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。