1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和六年五月二十一日(火曜日)
午前十時開会
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委員の異動
五月十六日
辞任 補欠選任
永井 学君 自見はなこ君
宮本 周司君 宮崎 雅夫君
五月十七日
辞任 補欠選任
自見はなこ君 永井 学君
宮崎 雅夫君 宮本 周司君
五月二十日
辞任 補欠選任
こやり隆史君 山田 太郎君
河野 義博君 竹内 真二君
吉良よし子君 田村 智子君
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出席者は左のとおり。
委員長 青木 愛君
理 事
青木 一彦君
吉井 章君
森屋 隆君
塩田 博昭君
青島 健太君
委 員
石井 浩郎君
江島 潔君
鶴保 庸介君
堂故 茂君
豊田 俊郎君
永井 学君
長谷川 岳君
宮本 周司君
山田 太郎君
山本佐知子君
小沼 巧君
三上 えり君
竹内 真二君
平木 大作君
嘉田由紀子君
藤巻 健史君
浜口 誠君
田村 智子君
木村 英子君
国務大臣
国土交通大臣 斉藤 鉄夫君
副大臣
国土交通副大臣 堂故 茂君
大臣政務官
国土交通大臣政
務官 石橋林太郎君
事務局側
常任委員会専門
員 清野 和彦君
政府参考人
国土交通省都市
局長 天河 宏文君
国土交通省水管
理・国土保全局
長 廣瀬 昌由君
環境省大臣官房
審議官 堀上 勝君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○都市緑地法等の一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/0
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001・青木愛
○委員長(青木愛君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日、河野義博君、吉良よし子君及びこやり隆史君が委員を辞任され、その補欠として竹内真二君、田村智子君及び山田太郎君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/1
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002・青木愛
○委員長(青木愛君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
都市緑地法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、国土交通省都市局長天河宏文君外二名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/2
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003・青木愛
○委員長(青木愛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/3
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004・青木愛
○委員長(青木愛君) 都市緑地法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/4
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005・永井学
○永井学君 おはようございます。自由民主党の永井学です。
それでは、早速質問に入らせていただきたいと思います。
日本は世界と比較して都市の緑地の充実度は低く、ロンドン八〇・九%、ニューヨーク五一・七%、ソウルは四九・三%なのに対し、東京は僅か三六%しかありません。また、一人当たりの公園面積も、ワシントンDC五十二・三平方メートル、ロンドン二十六・九平方メートルに対して、東京二十三区は四・四平方メートルしかありません。
また、近年、日本での緑地化は減少傾向にあります。気候変動対応、生物多様性の確保などの課題解決に向け、質と量両面での緑地確保に取り組む必要があります。
今回の法改正で、国がどのように都市の緑地を広げ、まちづくりGXを推進されていこうとしているのか、その内容について幾つか伺います。
今回の法改正では、国主導による戦略的な都市緑地の確保が一番目の大きな柱として掲げられています。
斉藤大臣は、先日の提案理由説明の中で、都市における緑地の保全等の取組を国家的観点からより一層推進するため、国土交通大臣が全国的な目標や官民の取組の方向性を示した基本方針を策定すると話されました。この基本方針を見つつ、都道府県の広域計画、市町村の緑の基本計画等が作られていく、非常に重要な方針であると思います。具体的にどのような内容になるのか、まず斉藤大臣に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/5
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006・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) おはようございます。
永井委員の御質問にお答えさせていただきます。
気候変動対策、生物多様性の確保、ウエルビーイングの向上などの課題解決に向けて、緑地の持つ多様な機能への期待が高まっております。これを踏まえ、今回、国として緑地の保全等に関する基本方針を策定いたしまして、国の主導により戦略的に緑地の質、量両面からの確保の取組を進めたいと考えております。
基本方針におきましては、緑地の保全、緑化の推進の意義及び目標、それから政府が実施すべき施策に関する基本的な方針、また都道府県や市町村における目標の設定など、それぞれの計画の策定に関する事項、これらについて定めることとしております。
議員御指摘の全国的な目標や官民の取組の方向性については、国として緑地の確保に関する数値目標や緑地のネットワーク形成の重要性などを示すことを考えておりますが、具体的な内容につきましては、今後、有識者の御意見等を伺いながら検討してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/6
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007・永井学
○永井学君 ありがとうございました。
具体的な数値、今からの検討ということではありますけれども、いよいよ国主導でこの緑地を前に進め、都市の緑化を前に進めていくという部分で今の方針を作るということは、非常に意義のあることであるというふうに思います。
その国の基本方針とともに、今回の改正で新設される都道府県が策定する緑の広域計画、今回の改正を待たずに既に二十四の都道府県が作成しています。緑地は、市町村ごとにきっちり区切られているわけではなくて、町を横断するものも多くあると思います。緑化の促進には県が作成するこの広域計画が非常に重要であると考えます。
私の地元山梨県も実はこの広域計画を作成していません。今回の質問に当たり、広域計画を所管する山梨県景観まちづくり室に広域計画の策定予定はないのかと聞いたところ、都市計画区域を有する市町村が山梨県内で二十ありますが、緑の基本計画を策定しているのは八つ、全体の四〇%しかありません、新たに作成されるであろう市町村の緑の基本計画の動向を見ながら判断するという回答でありました。もう少し市町村の緑の基本計画の策定が増えれば広域計画を作るというニュアンスでありました。
緑の基本計画の全国の制定状況を見てみますと、東京や大阪、富山県などは多くの市区町村が制定しているものの、まだ制定が一〇%から三〇%台という都道府県も散見されます。都道府県の広域計画作成促進のためには、この市町村が作成する緑の基本計画をできるだけ多く作成させる必要があると考えます。
緑の基本計画作成をどのように促していくのか、また、都道府県の作成する広域計画をできる規定にした理由も併せて伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/7
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008・天河宏文
○政府参考人(天河宏文君) お答えいたします。
市町村が策定いたします緑の基本計画につきましては、令和四年度末現在で、都市計画区域を有する市町村の約五二%に当たる六百九十七市町村で策定をされているところでございます。
緑の基本計画は、市町村が行う緑地保全や都市公園の整備等のマスタープランとなるものでありますので、未策定の市町村においても策定をいただくことが望ましいと考えております。なお、市町村の基本計画の策定に対しましては、社会資本整備総合交付金により支援をしております。
国土交通省といたしましては、基本計画を策定する意義を示すことなどにより、市町村に対し計画策定を促してまいりたいと考えております。
それから、できる規定でございますが、都市緑地法の事務が自治事務であることも踏まえまして、地方公共団体の自主性を重んじまして、広域計画の策定につきましてはいわゆるできる規定とさせていただいております。
これは市町村と一緒でございますが、計画の策定につきましてはあくまで任意でございますけれども、国土交通省といたしましては、計画の意義等を都道府県に説明することによりまして策定を促していきたいと、このように考えております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/8
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009・永井学
○永井学君 ありがとうございます。
市町村に対しても都道府県に対してもできるだけその意義を促していくということでありましたけれども、せっかく国の大きな方針があって、その下に都道府県、そしてまた市町村の基本計画を、やっぱりこれを作成してもらうことでその方針も生きますし、今から伺うような内容の施策も大きく前に進んでいくと思いますので、是非、その意義をできるだけ多く周知をして、たくさんの計画促進を図っていただきたいと思います。
都市計画法第十三条、都市計画基準の中で、当該都市における自然的環境の整備又は保全に配慮しなければならないとあったものが、今回の改正で、当該都市における自然的環境の整備又は保全の重要性を考慮して、一体的かつ総合的に定めなければならないとされ、都市計画における緑地の位置付けを向上させました。このことで期待される効果を斉藤大臣に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/9
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010・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 緑地を増やすためには、都市計画の段階からそれをしっかり、その緑地の意義や必要性を考慮して都市計画の中に入れることが重要だと思います。このため、都市計画を定める際の基準として、自然的環境の保全などについて、現行の配慮すべきものという表現から、より不可欠かつ重要な要素の一つとして考慮すべきものということで文章全体も改めたところでございます。
これによりまして、地方公共団体において、都市計画の策定段階から緑地を含む自然的環境を正面から考慮しなければならないこととなり、都市計画において緑地や公園がより積極的に位置付けられるということが期待されます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/10
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011・永井学
○永井学君 ありがとうございます。
配慮すべきものから考慮すべきもの、より一層この緑地の都市計画における重要性が向上するということは、また先ほども言ったような計画にフィードバックしていく中でも非常に重要なことであるというふうに思います。
地方公共団体において、緑地の整備、管理に係るノウハウ不足と併せて、緑地等を買い入れる財政的制約が特別緑地保全地区の拡大を妨げています。今回の改正で、機構が緑地を一時的に保有し、都道府県等に段階的に譲渡するという方法を取り、財政的なハードルを下げる狙いがあります。
その機構が行う業務について都市開発資金の貸付けにより支援をするとされていますが、貸付金額はどれぐらいか、また、その中で緑地の買入れのために使われる金額と、それでどのぐらいの買入れを見込んでいるのか、伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/11
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012・天河宏文
○政府参考人(天河宏文君) お答えいたします。
都市緑化支援機構に対しましては、令和六年度予算におきまして、特別緑地保全地区の買入れと優良緑地確保計画の認定を受けた事業に対する貸付けに要する経費といたしまして三億円を確保しております。
このうち、特別緑地保全地区の買入れに要する費用の規模につきましては、都道府県等からどの程度の買入れ要請が支援機構に寄せられるかによって変わってくるものでございますので、現時点におきまして正確に予測することは困難でございます。
年間の買入れ件数につきましては、今年度は支援機構の事業期間が極めて短期間であるということでございまして、一、二件程度と見込んでおりますが、来年度以降、通常の年度であれば数件から十件程度ではないかと見込んでいるところでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/12
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013・永井学
○永井学君 ありがとうございます。
三億円という額はやっぱりちょっと少ないかなと思ったんですけど、これが多分、施行されてからの期間が短いということで一件から二件ということでありましたけれども、多分、これ数件、今年、短期間ですけれども、これを使ってやられるということで、来年度以降、是非その部分を、ちょっと数は少ないかもしれないですけれども、しっかり精査をして、来年度以降は十数件を見込んでいるということで、しっかりとした予算確保をしていただきたいと、このように思います。
事業を行う上で、その土台となる特別緑地保全地区を増やしていくということは非常に重要であると思います。
今回の法案のKPIとして、二〇三〇年までに一千ヘクタール増加させるとしています。過去、保全地区が大きく増えたのは、平成三年から四年の間に一千五百四十二・四ヘクタール、平成九年から十年の間に七百五十・五ヘクタールの二回で、その後は微増を続けています。千ヘクタールという今回の目標を達成させるためには、大都市の保全地区を広げていくだけでなく、地方都市にも広げていくことが必要だと考えますが、どのように広げていくのか、伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/13
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014・天河宏文
○政府参考人(天河宏文君) お答えいたします。
御指摘のように、特別緑地保全地区の大半は大都市圏において指定をされております。これは、大都市圏におきましては、高度経済成長期以降の急激な人口流入に伴いまして緑地の消失が急速に進んだことから、本制度を活用した緑地の保全の必要性が高かったと、これによるものと考えております。
他方、地方都市におきましては、本制度を活用してまで保全すべき緑地が少なかったものとも推測されますが、近年は、里山などの管理が適切に行われなくなる事例もございまして、住宅地周辺において緑地の荒廃による倒木の増加あるいは竹の繁茂などの問題が生じているとも聞いております。
このため、今回新たに創設いたします機能維持増進事業につきまして、その趣旨を地方都市に対しても十分説明をいたしまして、当該事業が活用できる特別緑地保全地区の指定につきまして積極的に促していきたいと考えてございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/14
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015・永井学
○永井学君 ありがとうございます。
まさに、今までは、こういう地方都市に関して言うと、この部分に関する、該当する緑地というのは少なかったんですけれども、今おっしゃっていただいたとおり状況が変わって、地方都市にも十分この特別緑地保全地区に指定されるような部分というのはたくさんありますので、是非その部分、しっかりと地方都市にもこの法案の趣旨というか政策というかをしっかり波及させていくことが重要であると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
今回の改正で、緑と調和した都市環境への民間投資を呼び込むため、国が指針を作り、緑地確保の取組と都市の脱炭素に資する都市開発事業の二つを認定します。KPIの中で、民間事業者等による緑地確保の取組の認定件数を二〇三〇年までに三百件、三百件にすると目標を立てています。その目標を達成するには、大企業ばかりでなく中小企業を巻き込むことも重要だと考えますが、中小企業にも認定を取ってもらうためどのような対策を行うのか、伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/15
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016・天河宏文
○政府参考人(天河宏文君) お答えいたします。
本制度は、都心部におきましてオフィスビル等と併せて緑地を整備する場合以外にも、地方都市において例えば企業が事務所や工場等を整備することと併せまして緑地を創出する場合につきましても認定することを想定をしております。
緑地に関する既存の認証制度を見ましても、地方都市の工場や大学、研究施設等における緑地が認証を受けている事例もございますし、数は多くはありませんが、中小企業による取組が認証されている事例もございます。
今後、地方都市においても説明会を開催することによりまして、地域企業とのネットワークを有する地域の経済団体あるいは地方公共団体と連携を密にすることにより、本制度についてしっかり周知を行いまして、地方都市あるいは中小企業にも活用されるよう努めてまいります。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/16
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017・永井学
○永井学君 ありがとうございました。
どうしてもまちづくりGXというと大企業ばかりとか大都市ばかりというのを連想されがちですけれども、気候変動対応や生物多様性の確保などの課題解決に向けて、質と量、この両面の緑地を確保を推進するためには、中小企業や地方都市にいかに広げていけるかだと私は考えます。点だけでなく、日本全体を面だと捉えて都市緑化を前に進めてほしいと思いますが、最後に大臣の意気込みを伺って、質問終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/17
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018・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 冒頭にも申し上げました、近年、気候変動対策や生物多様性の確保、ウエルビーイングの向上などの課題解決に向けて、都市における緑地の持つ機能への期待がますます高まっております。また、民間におきましても、ESG投資などの世界的な広がりによりまして、市場の中で緑地確保に向けた民間投資を推進する機運も拡大しております。この法案は、こうした社会経済状況の変化を踏まえ、緑地確保に取り組む自治体向けの支援を強化しつつ、民間事業者における取組を促進する措置を講ずることとしております。
こうした措置を通じまして、都市における緑地の質、量両面からの確保に努め、都市の脱炭素化や良好な都市環境の実現に向けて、国土交通省を挙げて、また国土交通大臣として、しっかりと取り組んでいく決意でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/18
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019・森屋隆
○森屋隆君 立憲民主・社民の森屋隆でございます。よろしくお願いをいたします。
今、永井先生からもありました、世界と比較してということで、国内緑地について説明があったと思います。それを踏まえてなんですけれども、であれば、これまでの取組の総括と都市におけるこの緑の現状について、認識をまずは伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/19
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020・天河宏文
○政府参考人(天河宏文君) 昭和四十八年に都市緑地保全法を制定いたしまして、特に住民に最も身近な市町村が主体となる緑地の保全あるいは緑化の推進の制度の充実を図ってきております。
その代表的な制度といたしましては、今回改正をさせていただきたいと考えております土地利用規制による確実な緑地化、保全を可能とする特別緑地保全地区、あるいは市町村が策定する緑地の保全及び緑化の推進に関する基本計画、こうしたものが挙げられると思っております。
こうした各種制度を展開してきたわけでございますが、市町村等による財政制約もあり、また、その緑地の確保の取組は一般的に収益につながらないということもございまして、緑地の住宅用地等への転用が進んだ結果、緑地の充実度が低く、また減少傾向が続いておるというふうに認識をしております。
緑地の質、量両面での更なる充実を図っていくと、こうしたことが必要であると考えております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/20
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021・森屋隆
○森屋隆君 ありがとうございます。
課題はあるということだと思いますけれども、今回の法案ですけれども、そういった諸課題がある中では、先ほどもありましたけど、三億円という予算で、私は少し少ないんだろうと思いますし、その法案に対する仕掛けというか取組の内容も、あるいは実効性についても少し疑問を感じています。
法案の背景、必要性と、であれば、その法案の内容がどういうふうにリンクしているか、ここをもう少し説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/21
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022・天河宏文
○政府参考人(天河宏文君) お答えいたします。
これまで都市緑地の確保に当たりましては、自治体においては財政制約あるいはノウハウが不足している、民間事業者におきましては収益を生み出しづらいということで、限定的という課題がございました。国としましても、これまでの緑地確保による各種の制度の創設や支援措置を行ってきたものを、国自身の基本的な考えや目標を明確に示すという点では改善の余地があったのではないかと考えております。
その一方で、近年、気候変動対策や生物多様性の確保、ウエルビーイングの向上などの課題解決に向けまして緑地の持つ機能への期待が高まっているほか、ESG投資などの世界的な広がりにより、市場の中で緑地確保に向けて民間投資を推進する機運も拡大してきております。
このような社会経済情勢の変化を踏まえまして、緑地に係る課題に対応するため、本法案におきましては、国主導による戦略的な都市緑地の確保に向けた基本方針の策定、貴重な都市緑地の積極的な保全、更新のための自治体向けの支援、民間事業者等による緑地確保の取組を国が認定支援する仕組みの創設、こうした措置を講ずることといたしております。
さらに、本法案の措置に併せまして予算、税制においても所要の措置を講ずることによりまして、緑地に係る課題の解消に向けた実効性を高め、都市における質、量両面での緑地の確保等を一層進め、良好な都市環境の形成を図っていきたいと、このように考えております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/22
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023・森屋隆
○森屋隆君 次に、アメリカや諸外国で見られるグリーンインフラの推進の必要性について聞きたいと思うんですけれども、このグリーンインフラを町づくり等に取り入れることで防災・減災等のインフラとしての機能を発揮すると、こういうふうに言われています。令和三年の改正流域治水関連法でもその考え方は注目されました。
今回の法案では、このグリーンインフラとの関係性、直接的には見受けられないと思っているんですけれども、法案にはその趣旨が反映されているのかどうか、また、今後導入に向けた必要性、加速させる必要がないのか、この点についてお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/23
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024・天河宏文
○政府参考人(天河宏文君) お答えいたします。
委員御指摘のグリーンインフラは、自然環境が有する多様な機能を活用して持続可能で魅力ある地域づくりを進める取組でございまして、国土交通省としてもその推進を図っているところでございます。
本法案は、緑地が有する多様な機能を活用し、気候変動対策、生物多様性の確保、ウエルビーイングの向上等の課題解決につなげ、良好な都市環境の形成を図ることを目的としておりまして、グリーンインフラの考え方と共通するものであると認識をしておるところでございます。
例えば、民間事業者等の緑地確保の取組を認定する制度におきましては、グリーンインフラとして、植物の蒸発散作用を通じた気温上昇の抑制機能や雨水の貯留浸透機能などの緑地が有する機能を活用した取組を評価することとしたいと考えてございます。さらに、地方公共団体が定めます緑の基本計画におきまして、都市緑地をグリーンインフラとして効果的に活用する方針を記載することが望ましい旨を国が策定する基本方針においてお示しをしたいと考えております。
海外の事例といたしましては、例えば米国のポートランドにおきましては、持続的な雨水管理等の観点から、土壌や植生により雨水の流出を抑制する街路の植栽帯、あるいは屋上緑化等の導入を推進していると承知をしております。
引き続き、このようなグリーンインフラに関します技術の収集あるいは紹介等を進めることによりまして、進めるとともに、済みません、本法案における基本方針や認定制度を通じましてグリーンインフラの取組を積極的に推進していきたいと考えてございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/24
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025・森屋隆
○森屋隆君 ありがとうございます。
グリーンインフラ、防災・減災、あるいはウエルビーイングにも、住んでいる中で、そういった幸福度というんでしょうか、そういったところにもいいことなんだということであれば、認識もなかなか私はまだまだされていない部分があると思いますから、やっぱり積極的にそういったところを推進してもらいたいなと、こういうふうに思っています。
次に、この法案にある機能維持増進事業というんですかね、これはどのような事業が対象になるのか、これまで公共団体が行ってきた維持管理業務と何が違うのか、そして何を期待しているのか、この具体的なところも説明できればお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/25
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026・天河宏文
○政府参考人(天河宏文君) お答えいたします。
特別緑地保全地区におきましては、長期間にわたりまして適正な管理が行われず、ナラ枯れ等の病害虫被害、あるいは台風による倒木等が発生いたしまして防災上の支障が生じている事例、あるいは成長が早い竹に覆われまして樹林の生物多様性が低下する事例、こうした緑地の機能が十分発揮されていない状況が見られるというところでございます。
今回創設いたします機能維持増進事業は、このような樹林の一部を伐採し、萌芽更新による樹林の再生を図るほか、竹を全面的に伐採し雑木林へと再生する事業、こうした事業等を想定をしておるところでございます。
このように、機能維持増進事業は、例えば落ち葉かきとか下草刈りのような通常の維持管理とは異なると考えておりまして、機能維持増進事業が実施されることによりましてその後の適切な維持管理が行われれば、CO2の吸収源や生物の生息・生育空間としての機能が発揮されることが期待をされております。また、機能維持増進事業の実施によりましてその後の維持管理が容易となりますので、維持管理活動に住民の方でありますとかNPOの方でありますとか多様な主体の参画が促進され、地方公共団体の緑地管理コストが低減されるということについても期待をしているところでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/26
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027・森屋隆
○森屋隆君 ありがとうございます。
次の質問なんですけれども、この機能維持増進事業、今答弁あったんでしょうか、この樹木の皆伐、択伐というんですかね、これの行為制限の対象外とされたということは今の説明に含まれているということでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/27
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028・天河宏文
○政府参考人(天河宏文君) 今の御指摘でございますが、特別緑地保全地区におきまして、木や竹の伐採は、市の区域にあっては市長の、町村の区域にあっては都道府県知事の許可を要する行為とされておりまして、当該行為が緑地の保全上支障があると認めるときは許可がなされないとなっております。
本法案におきましては、市町村が策定します基本計画に機能維持増進事業の実施の方針を定めるということになっております。これによりまして、特別緑地保全地区に係る許可等を行う者が当該事業については緑地の保全上必要であることを確認できるということから、行為規制の対象から除外をしております。
具体的に申しますと、町村が緑の基本計画に機能維持増進事業の実施の方針を記載するときは、町村内の特別緑地保全地区に係る許可の主体であります都道府県知事に協議して同意を得る代わりに、これによりまして都道府県知事による行為規制の対象外とするということとしております。市につきましては、機能維持増進事業の実施を記載する場合には許可の主体が市となるため、都道府県の協議規定は不要となります。
いずれにしましても、基本計画に書くことによりまして、機能維持増進事業の許認可、これを不要とするという仕組みでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/28
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029・森屋隆
○森屋隆君 承知しました。ありがとうございます。
次に、これも先ほどありましたけれども、この都市緑化支援機構、国指定法人制度が創設されるんですけれども、一体どのような団体が指定をされるのかということと、そこにある、この全国を通して一に限るとした理由ですね、そして、そもそも全国規模でこの様々なその業務をカバーできるような組織というのは何か存在しているのかどうかという、このちょっと三点を簡潔にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/29
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030・天河宏文
○政府参考人(天河宏文君) お答えいたします。
都市緑化支援機構の指定対象でございますが、都市における緑地の保全や緑化の推進を目的としております一般社団法人又は一般財団法人としておりまして、公募により選定をし、指定することを想定をしております。
また、支援機構を全国を通じて一に限る理由でございますが、機能維持増進事業、これは高度な専門的知見と学識経験者や造園事業者等のネットワークを必要とする非常に難度の高いものでありますことから、一つの法人に担わせることによりましてノウハウの更なる蓄積とネットワークの強化を集中的に行う方が適切であると判断したことによるものでございます。
さらに、その緑地保全や緑化の推進を目的といたします既存の公益法人の中には独自の緑地等の評価・認定制度を持っているところがございましたが、こうした評価・認定制度につきまして、学識経験者や技術者等のネットワークを活用して全国各地の事業箇所に赴いて緑地等の調査を実施し、緑地等を評価、認定している団体があることも確認をしております。支援機構の想定される事業箇所、先ほど現時点で年間数件から十件と申し上げましたけれども、この程度であれば、同様の業務の進め方によりまして全国で事業を行うことは十分可能と考えているところでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/30
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031・森屋隆
○森屋隆君 答弁踏まえまして、高度な専門知識が必要であるということであったと思うんですけれども、ここに書かれている技能的能力を有するものということなんでしょうけれども、具体的なイメージをちょっと教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/31
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032・天河宏文
○政府参考人(天河宏文君) お答えいたします。
都市緑化支援機構に求められます技術的能力といたしましては様々なものがございますが、例えば荒廃した樹林地におきまして地形あるいは植生を踏まえまして萌芽更新や樹種の転換による樹林の再生を確実に実現するための整備計画の策定、あるいは、生物多様性を確保する観点からの指標となる種あるいは目標となる種の設定、外来種への対応方針、目標とする植生を実現するための維持管理方針の策定、それから、樹木によるCO2の固定量を確保する観点からの樹木の育成計画あるいは伐採木の活用方針、それから、斜面地における高木の伐採など作業を安全に行うための施工管理計画の策定、こうしたことを適切に実施する能力、こうしたことが考えられるところでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/32
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033・森屋隆
○森屋隆君 ありがとうございます。
質問、重複するかもしれません。
令和五年八月に、首都圏の九都県市首脳会議から、緑地保全の推進に係る税制上の軽減措置及び国の財政支援策の拡充等に関する要望書が関係大臣宛てに提出されています。その要望書の事項の一つとして、この緑地の買入れに係る新たな主体の創設を掲げています。
今回の法案では、その要望を踏まえる形で、この地方公共団体以外の者が短期的にこの緑地を取得し、その後、地方公共団体が当該緑地を買い入れることができる制度を創設したんでしょうか。その実効性についても少し疑問を感じています。先ほど、一、二件ということもありました。そういった要望を踏まえてこれができたのかどうか、その辺のところについてお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/33
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034・天河宏文
○政府参考人(天河宏文君) お答えいたします。
九都県市首脳会議は、従来から緑地保全に意欲的に取り組んでこられました地方公共団体の首長さんから構成をされており、現場での様々な課題を踏まえた提言をいただいているというふうに理解をしております。今回創設いたします都市緑化支援機構は、その提言にも対応する制度であると考えてございます。
支援機構によります特別緑地保全地区の土地の買入れ等の業務は、地方公共団体が行う買入れの全てに対応することを前提としたものではなく、例えば、大規模な緑地の買入れ申出に対しまして財政上の制約から買入れに長期を有する場合、それから支援機構が機能維持増進事業を行う必要が特に高い場合等につきまして、地方公共団体からの要請に基づいて実施をされることを想定をしております。
支援機構の要請の数でございますが、現時点で正確に推定することは困難でございますが、現在の全国の土地の買入れ状況を踏まえますと、先ほど申し上げたような一部のケースになるものと認識をしておりまして、件数といたしましては年間で数件から十件程度ではないかと考えております。
数は少ないんでございますが、緑地は一度失われますとこれを再生させることは極めて困難でございます。件数は少ないんですけれども、今生き残っています緑地は非常に貴重な緑地でございますので、その保全を少しでも着実に進めていきたいという観点から今回提案をさせていただいております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/34
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035・森屋隆
○森屋隆君 ありがとうございます。
加えて、この九都県市首脳会議の要望書では、我が国は当然少子高齢・人口減少社会に直面しています、これまでの緑地の維持、そういったところに携わっていた人の高齢化、後を継ぐ後継人もいないと、そして税収の減少による緑地の維持管理、保全、こういったことは難しくなっている、そして財源の不足など課題が様々あります。認識は共有できているんだと思います。
そんな中で、このような地方公共団体の取組が大変厳しい状況にある中で、国による更なる支援充実が私は不可欠なんだろうと思っていますけれども、今回の法改正では具体的にどのような支援、先ほどから説明あるのかもしれませんけど、これが講じられているのか、加えてその効果、どのように予測しているのか、これについてお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/35
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036・天河宏文
○政府参考人(天河宏文君) お答えをいたします。
御指摘のとおり、緑地管理を行っている住民団体等におきましては高齢化等が進み、地方公共団体におきましても緑地保全に係る十分な財源の確保が難しい状況があると認識をしております。
本法案におきましては、これまで特別緑地保全地区において緑地の管理が十分に行き届かず荒廃が進んでいる状況を改善するため、機能維持増進事業というのを新たに法律に位置付け、当該事業を社会資本整備総合交付金の対象として地方公共団体を財政的に支援するということとしたところでございます。
また、例えば、川崎市におきましては、緑地の維持管理活動の新たな主体として、住民団体に加えまして、企業等の参画を推進をしております。機能維持増進事業の実施は、荒廃した緑地の状態を改善しまして、その後の緑地の維持管理を容易にするということがございますので、企業や住民団体の方の参画を促していくと、そうした効果もあるのではないかと考えております。
国土交通省といたしましては、今後定める基本方針におきまして、多様な主体による緑地管理の重要性、これを位置付けることによりましてこうした取組を促進していきたいと、このように考えております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/36
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037・森屋隆
○森屋隆君 ありがとうございます。
課題は大きいですから、やっぱりその予算だとか、やっぱりその公共団体に対します支援策、これが必要なんだなと、こんなふうに感じています。
最後になるかも、あっ、最後の質問ですね、もう時間ありませんから、大臣に質問したいなと思います。
令和五年七月の、香川県高松市においてG7都市大臣会合、これが開催をされたと思います。斉藤大臣が議長として、持続可能な都市の発展に向けた協働テーマ等議論がなされました。お疲れさまでございました。
このG7の都市大臣会合のコミュニケの一節には、緑地と水辺の空間、インフラは、人のニーズと自然を支え、市民の健康とウエルビーイングを貢献すると。先ほどからやり取りの中でこれ言われていると思いますけれども、この持続可能な都市を推進する上で重要な役割を担っている、こういうふうに会合の中ではあったんだと思います。
この文言がありますけど、我が国においても緑を守り育てるための環境整備に強力に推進することは極めて重要であり、今回の法改正とそれに伴う税財政処置ではその目的が本当に果たされるのかなと、こんなふうにも感じているんですね。課題は大きいんですけれども、何か意外と小ぶりなんじゃないかなと思うところがありまして、そういった面も含めて、最後に国土交通大臣に、今後のこの都市緑地の推進に向けた決意も含めてお聞きをしたいと思います。大臣、よろしくお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/37
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038・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 私、G7の都市大臣会合を二回経験させていただきました。
最初はドイツであったんですけれども、そのときにはこの都市緑地というのはほとんどテーマになりませんでした。アメリカが提案したアフォーダブル住宅という、みんなにいかに住宅を提供するかということがテーマだったんですが、日本で昨年行った、高松の栗林公園の中で行って、栗林公園の中を散策し、そして池で船にも乗ってということだったわけではありませんけれども、コミュニケの中にこの都市緑地のことをしっかり盛り込みました。気候変動対応、生物多様性の確保等の多様で複雑な課題解決には、都市とその周辺地域に緑地を確保すべきであると。それから、そのためには多様な主体の協働、さらには国の役割が重要であると、このように共通認識を得てコミュニケにも書き込んだところでございます。
これらの認識を基に、今回この法案を用意させていただきました。主には、先ほど局長から答弁いたしましたように、まず地方自治体をしっかり助けるということ、それからもう一つは、民間の力を借りて、その民間地においてもこの都市緑地、頑張っていただく、官民協力でやっていくと、この二点が今回の法案の主の点ではないかと思います。
確かに、まだ予算も少ないですし、スタートしたばかりでございますけれども、しっかりこの都市緑地の充実に向けて頑張っていきたいと、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/38
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039・森屋隆
○森屋隆君 終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/39
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040・三上えり
○三上えり君 会派、立憲民主・社民の三上えりです。
今日は、都市緑地法等の一部を改正する法律案について質疑をさせていただきます。
私の地元広島市は、被爆によって七十五年は草木も生えないと言われました。原爆による荒廃から立ち上がる過程で、焼け野原になった市街地に一本でも多くの樹木を植えようと多くの方々が事業に取り組みました。
昭和二十五年頃から街路樹の整備が加速しまして、並木造りが行われました。その後、昭和三十二年から、夢見る二十年後の広島というのをキャッチフレーズに供木運動が展開されました。供える木と書きます、供木運動です。道の幅が百メートルなので百メーター道路とも言って慕われているんですけれども、距離はおよそ四キロあります。広島市内のど真ん中、南北に貫く幹線道路である平和大通りですとか平和記念公園、そして中央公園で植樹活動が丹念に行われてまいりました。このことについては斉藤大臣の方がお詳しいかと思いますけれども、失礼いたします。
平和大通りの緑地帯なんですけれども、昭和三十二年に高木およそ千二百本、そして昭和三十三年に高木およそ千三百本、多数の低木が国内外から、海外からも多数寄附されまして、一つ一つの木に丁寧にその説明文章も書かれています。皆様、訪れましたらしっかりと見ていただけたらと思います。もちろん被爆樹木もありますから、私も来月、ボランティアガイドによります被爆樹木ツアーに参加いたします。
これらの木々はもう今は立派に成長いたしまして、豊かな緑を形成しております。緑の果たす役割というものは我々が日々実感していることでございます。
斉藤大臣に、御自身の緑の果たす役割への認識、そして今回の法案提出に至った背景を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/40
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041・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 今、三上委員から広島のお話がございました。
ちょっと広島の話をさせていただきますと、私がいたのは十代の頃ですので、今から六十年前でございますが、当時から、先ほどありましたような供木運動、平和大通りや平和公園を緑で埋めようということで一生懸命頑張りました。
ただ、当時は、私がいた頃は、広島というのは川の町でございまして、太田川で一本で来て、市内で七、八本の川に分かれます。その川の両側は、いわゆる原爆スラムという不法建築がずらっと並んだ、余り美しくない都市でございました、私がいた頃は。
本当に広島が変わったとびっくりしたのは、あの後、不法建築を全部撤去して、その方々、住んでいらっしゃる方々は、町のど真ん中、広島城の隣に高層建築をたくさん、公営住宅を建てて、そこに移り住んでいただいて、この川の両側の不法建築のあったところを全て公園にしたと。緑を植えて、遊歩道を造って、今はその植えた木が本当に広島中、川のほとり、緑あふれることになっております。私は、そうなってから久しぶりに広島に帰るたびに、本当に私がいた十代の頃と大きく変わった、緑がこんなに町を美しくするのかということを感じた次第でございます。
そういう意味もありまして、緑というのは本当に町の魅力を増す、そういう意味でもしっかりこの法案頑張らなきゃいけないと、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/41
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042・三上えり
○三上えり君 おっしゃるとおり、本当に、今回の一部法改正、町づくりと緑地のその都市づくりにつながるという緑地法の改正する、本当に真剣に私たちが取り組んでいかなければならない法案だと思っております。そのことを踏まえて伺います。
今回の法案の柱の第一点に、国主導による戦略的な都市緑地の確保があります。法案第三条の二には、国土交通大臣が、都市における緑地の保全等に関する基本方針を策定するとございます。都道府県が策定できる、都道府県が策定できる広域計画、そして市区町村が策定できる基本計画、これもう従来からあるんですよね。もう既に、既にあります。今まで積み上げてきているものがあって、ここからこの基本方針、国が基本方針を策定するとなると、言わばある意味後追い的な対応ではないかとも考えられます。
国主導というのはどういった趣旨であると理解すればいいのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/42
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043・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 都市の緑地確保は、これは昭和四十八年の都市緑地保全法制定以来、基本的な考え方は、これはやはり住民に最も近い市町村が主体となる、なって行う、これが基本的な考え方であるというのは変わっていないと、このように思います。しかしながら、気候変動対策や生物多様性の確保に関する国際枠組みにおける国家目標、また、世界的なESG投資の拡大傾向を踏まえ、国の主導によって戦略的に質、量の両面での緑地の確保を進めていく必要が高まってきておりまして、今回、国が基本方針の策定や官民の取組支援などに取り組む、より積極的に関与していくということでございます。
この市町村が主体ということと、そして国が主導するということは決して矛盾しないと、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/43
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044・三上えり
○三上えり君 しっかりやり取りを密接につなげていただけたらと思います。
都市開発におけるCO2の排出量の削減についてです。
脱炭素の取組を加速化する必要があるということで、これは国際的な要請でもございます。今回の法律には、都市の脱炭素化に資する民間都市開発事業の認定制度というのが新たに創設されます。このような施策というのは、具体的にどうやって新たに緑の創出、そして再エネ、省エネの取組の向上につながるのか、御説明お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/44
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045・天河宏文
○政府参考人(天河宏文君) 本法案において創設されます脱炭素都市再生整備事業の認定制度によりまして、緑地の創出に加えまして、再生可能エネルギーの導入あるいはエネルギーの効率的な利用を図る先進的な取組を推進していきたいと考えてございます。
具体的に申しますと、従来の建物で必要なエネルギーを五〇%以上削減するいわゆるZEBレディーの達成に加えまして、再生可能エネルギーを導入する、あるいは事業施行段階におけるCO2排出量の削減を図る、こうした取組を認定して、これを民間都市開発推進機構による金融支援を通じて進めてまいりたいと考えてございます。
これによりまして、都市の脱炭素化の先導的なモデルとなる拠点を形成し、都市全体としてのCO2排出量の削減につなげていきたいと考えておるところでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/45
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046・三上えり
○三上えり君 今御説明がしっかりあった、この都市開発におけるCO2の削減を目指していると。
そんな中で、神宮再開発の樹木伐採について伺います。
大臣は、今回の法案の一部を改正する提案理由について、我が国は世界と比較して都市における緑地の充実度が低く、また減少傾向にあるとの課題を説明されました。
神宮再開発については、計画に大きな反発を受けています。亡くなられた坂本龍一さんであるとか、桑田佳祐さん、村上春樹さん、著名な方々が反対、そして疑問の声を訴えています。
そもそも、この抗議の声の発端は、再開発によって高さ三メートル以上の高木七百本以上を伐採する計画が判明したことでした。都は、残せる木は移設して残す、植樹して樹木の本数は維持すると言いますが、これ百年掛けて育った樹木なんですね。これを伐採して植え替える必要があるのか、まさにそのCO2の削減効果を大幅に下げるようなことをなぜするのかという声が上がっています。
この計画は今や裁判沙汰にもなっています。ユネスコのICOMOSが、神宮外苑は世界の公園の歴史において例のない文化的遺産だとして、再開発の中止を求める警告、ヘリテージアラートまで出しています。
この問題について、改めて大臣の所見を伺います。この本法案と神宮再開発、何か関係する点がございますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/46
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047・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 今回のこの法案は、国主導による戦略的な都市緑地の確保に向けた基本方針の策定、貴重な都市緑地の積極的な保全、更新のための自治体向けの支援、それから民間事業者などによる緑地確保の取組を国が認定、支援する仕組みの創設など、地方公共団体や民間事業者などによる緑地の保全等に関する取組を後押しし、官民一体となって効果的に緑地の確保を進めていくための全国的な制度を整えるものでございます。
神宮外苑を含む個別の都市開発事業につきましては、法令にのっとり、事業者や法令に基づく都市計画等に係る権限を有する者におきまして適切に対応されるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/47
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048・三上えり
○三上えり君 では、国交省としてはこの件について住民への説明責任というのはあるのかないのか、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/48
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049・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 都市計画に関する事務につきましては、国と地方の役割分担の考え方に基づき、町づくりの現場に最も近い地方公共団体が中心的な主体となって行うこととされております。
住民への説明につきましても、法に基づき、都市計画等の権限と責任を有している東京都などにおいて適切な対応がなされることを期待しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/49
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050・三上えり
○三上えり君 大臣におっしゃっていただいたように、広島も緑を中心に町づくりが行われてまいりました。この町づくりというのは、地域の多様性を尊重しながら、住民参加の下で工夫を凝らして個性的な豊かな町をつくっていくものだと思います。
是非、いま一度、この法改正の趣旨に伴ってこの樹木伐採事業を改めて検討をお願いしたいことを申し上げ、次の質問に移ります。
法案第三条の二第一項によりますと、国土交通大臣は、都市における緑地の保全及び緑化の推進に関する基本的な方針を定めなければならないと規定されています。この規定を定めた最大の理由は何でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/50
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051・天河宏文
○政府参考人(天河宏文君) お答えいたします。
気候変動対策や生物多様性の確保に関します国際枠組みにおいて設定した国家目標の達成に向けまして、都市の緑地の質、量両面での一層の確保を目指す上で、都市における緑地の重要性や、国全体の目標や官民の取組の方向を示す基本方針を国として定める必要があると判断をいたしたことによるものでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/51
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052・三上えり
○三上えり君 続いて、平成六年に旧建設省が策定した緑の政策大綱との違いについて伺います。お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/52
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053・天河宏文
○政府参考人(天河宏文君) お答えいたします。
御指摘の緑の政策大綱は、平成六年に当時の建設省が、緑の確保に関する取組を総合的に展開することを目指しまして、都市公園等の公的空間における緑のストックの確保などにつきまして省独自の取組として独自に取りまとめたものでございます。
一方、今回の国の基本方針は都市緑地法に基づいて策定するものでございまして、都道府県や市町村が策定する計画との制度的な連携が図られ、緑地保全に係る総合的な取組を推進するものであること、また、ESG投資の拡大等の昨今の状況を踏まえ、民間資金による緑地確保を促す内容、これを含んでいるということなどの点におきまして緑の政策大綱とは異なると考えてございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/53
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054・三上えり
○三上えり君 改正都市再生法案第八十一条第十七項です。立地適正化計画、つまりいわゆるコンパクトシティーですよね、それと都市緑地法に基づく緑の基本計画との調和がこの度求められています。例えば、立地適正化計画に居住誘導区域を設定するに当たりまして、緑の基本計画に位置付けられています緑地ですとか、あと農地の価値を勘案するということで、緑地等の創出と市街地の拡散の防止を図ることがこれ狙いということなんですね。
現在の地方公共団体、大変な人手不足なんですよね。これからまたそこに大変な作業がどおんと加わってくるわけなんですね。それはもう国も地方公共団体も分かっていることなんですけれども、日々の業務を遂行しながら、都市問題の諸課題に係る様々な、国からの要請で余りにも業務が山積しているのではないかという声を聞きました。
国は地方公共団体による取組の実効性をどのように担保しているのでしょうか、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/54
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055・天河宏文
○政府参考人(天河宏文君) お答えいたします。
立地適正化計画によりましてコンパクトな町づくりを目指すに当たりましては、都市の緑地の配置あるいは施策等について定めます緑の基本計画との調和を図ることが緑地を質、量両面で確保する観点からも重要であることから、本法案におきましては、立地適正化計画と緑の基本計画の調和を求める規定を措置をしております。
居住誘導区域内におきまして、適切な公園の整備、管理、あるいは市民農園の整備等が居住環境の向上につながる。都市機能誘導区域内においては、建築物等の緑化や中心部に立地する公園の再整備がにぎわいや町の求心力の向上につながり、居住誘導区域外におきましては、郊外に位置する緑地や農地の適切な保全が自然環境の保全とともに市街地の拡大の抑制につながり、コンパクトな町づくりの効果的な推進と良好な都市環境の形成が図られるものと考えております。
地方公共団体が大変忙しいということでございました。今後、緑の基本計画と調和が保たれた立地適正化計画の策定に公共団体がしっかり取り組みやすいようなことが必要だと思っておりまして、私どもといたしましては、先進的な事例を御紹介するとか、技術的助言におきまして記載を充実いたしまして、それに参照して書いていただけるような形で、なるべく公共団体の負担も減らすような形でやっていきたいというふうに思っております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/55
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056・三上えり
○三上えり君 今のお答えを受けて、重ねてなんですけれども、基本方針は国が決めると、そして広域計画は都道府県が決める、そして、広域計画は都道府県が決める、そして基本計画は市区町村が決めるという、この関係性についてどのように整理をしていらっしゃるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/56
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057・天河宏文
○政府参考人(天河宏文君) お答えいたします。
都道府県が広域計画を定める場合、これは法律上、国が定める基本方針に基づくこととされております。また、市町村が基本計画を定める場合は、国の基本方針に基づくとともに、都道府県の広域計画が定められている場合には広域計画を勘案することとされております。
法律上の文言はこうなってございますが、このように、国の基本方針と都道府県の広域計画、それから市町村の基本計画、これが制度的に連携をするということで、要するに、基本方針に基づきまして広域計画、市町村の基本計画を作っていただきますとともに、都道府県の広域計画と市町村の基本計画がしっかり連携をするということになりまして、私どもといたしましては、総合的な緑地保全政策を推進していければということで今回措置をさせていただいております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/57
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058・三上えり
○三上えり君 国が地方公共団体のフォローをしっかりとこれから進めながら、この法律の一部改正を進めていただけたらと考えております。
次に、法案第三条の三関係の、都道府県による広域計画の策定は、現在既に都道府県が任意で策定しています都道府県広域緑地計画に定められています。この事項とどのように違うのかの説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/58
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059・天河宏文
○政府参考人(天河宏文君) お答えいたします。
現在、本法案におきましては、緑地の広域性やネットワーク性に配慮した取組を進める観点から、都道府県が都市における緑地及び、緑地の保全及び緑化の推進に関する広域計画を定めることができるよう措置をしております。
今お話ございましたが、都道府県におきましては従来から任意に広域緑地計画というものを策定しております。これにつきましては、法律上の位置付けがないということもございまして、市町村において当該計画が十分考慮されていなかった場合もあると認識をしております。
本法案におきましては、都道府県の広域計画は国が定める基本方針に基づき定めること、市町村が定める基本計画は都道府県の広域計画を勘案して定めること、こうしておりますので、広域計画の策定を通じまして、市町村の定める基本計画との連携が図られた、緑地の広域性とかネットワーク性に配慮した取組が推進されるということを私どもとしては期待をしております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/59
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060・三上えり
○三上えり君 最後に、斉藤大臣、本法案の趣旨を踏まえつつ、まちづくりGXの実現に向けた御決意をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/60
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061・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 今、三上委員との議論を通じまして、国、これは国際約束がございます気候変動対策、また生物多様性等、そういう大きな方向性を定めて、そしてまた、市町にまたがって広がっている緑地もいかに育てていくかということも踏まえて県も入り、そして最も身近な市町村、これらが一体となってこの都市緑地、増やしていかなくてはいけない、そのための今回の法案でございますが、しっかり国土交通省として全力を挙げていきたいと決意しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/61
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062・三上えり
○三上えり君 ありがとうございました。質問は以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/62
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063・塩田博昭
○塩田博昭君 公明党の塩田博昭でございます。
本日の議題となっております都市緑地法等の一部を改正する法律案について私も順次質問させていただきたいと思いますけれども、まず前提からお聞きしたいと思います。
今回の法案の提出の背景として、国土交通省は、世界と比較して我が国の都市の緑地の充実度は低く、また減少傾向にあるとして、例えば、森記念財団の世界の都市総合ランキング二〇二二において東京が三六%、大阪が二一・二%と世界主要都市における緑地の充実度が下位にあるというデータであるとか、横浜市の緑被率の推移では、年々減少傾向にあり、令和元年には二七・八%にまで減少しているというデータがありますけれども、都市の緑地保全や緑化推進の取組についてはこれまでも積極的に様々な施策が実施をされてきておるわけであります。
都市緑地法の改正経緯を見ても、昭和四十八年の都市緑地保全法の制定以降、平成二十九年の都市緑地法等の一部を改正する法律の改正まで、六回の改正であるとか関連法案が整備されてきておりまして、その都度必要な施策が展開されてきたはずなんですね。
このように、度重なる法改正とともに関連の法整備を行ってきたにもかかわらず、我が国はなぜ都市の緑地の充実度が低く、緑被率は減少傾向にあるのか、その原因は多方面に及ぶかもしれませんけれども、国土交通省に今の受け止めをまずお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/63
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064・天河宏文
○政府参考人(天河宏文君) お答えをいたします。
我が国におきましては、戦後の経済発展に伴いまして都市への人口や産業の集中が急激に進んだことによりまして、都市におきまして人口密度の高い稠密な土地利用が行われてきたと承知をしております。
こうした状況の中、都市の緑地を保全するということで、昭和四十八年の都市緑地保全法の制定以来、幾度かの改正を重ねまして、特に住民に最も近い市町村が主体となる緑地保全あるいは緑化推進の施策の充実を図ってまいりました。
昭和四十八年の都市緑地保全法の最も大きな意義は、今回の都市特別緑地保全地区制度を創設した点にあると考えておりますし、また、平成六年の改正におきましては、市町村が策定する緑地の保全、緑化の推進に関する基本計画が創設されまして、これはその以降マスタープランとして、都市公園の整備等、様々な施策がこれに基づいて推進をされております。
しかしながら、こうしていろいろ緑地政策を展開してきたわけではございますが、やはり都市の緑地は土地所有者にとりまして一般的にはやはり収益につながらないということで、例えば相続の発生などを機にいたしまして緑地が住宅地用地等へ転用されるといったことが続いたということが要因となりまして、緑地の充実度が低い、あるいは減少傾向がまだ依然として続いているのではないかと考えているところでございます。
また、政策面で申しますと、これまで市町村の取組を支援する制度の充実を図ってきたところでございまして、この方向性は引き続き重要であると、維持すべきであると思っておりますが、もう少し国が都市の緑地の確保につきまして主導していくという観点があってもよかったのかなと。あるいは、民間が主体となった緑地の確保を進めるという観点が、昨今の民間の状況を見ますと非常に有効であると思っておりますので、こうした観点も若干足りなかったかなと、こうした課題への対応が必要であるというふうに考えております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/64
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065・塩田博昭
○塩田博昭君 今局長から御答弁いただいたように、なかなか都市緑化、大事なんですけれども、様々、進めていく上においては課題も様々あると、こういうことでございましたけれども、大臣に今の答弁を踏まえてお伺いしたいと思いますけれども、今回の法案による都市緑化の推進はこれまでの法改正や取組と比べて何がどう異なるのか、その特徴や改正のポイントについてお伺いしたいと思いますけれども、特に、現行の都市緑地法においては市町村が緑地の保全や緑化の推進において中心的な役割を担う主体として規定をされているわけでありますけれども、今回の改正法案では、第三条の二で、国土交通大臣は、都市における緑地の保全及び緑化の推進に関する基本的な方針を定めなければならないものとすると、国による基本方針の策定が義務付けられている点について、何をどこまで決めるのかということも含めて、法改正の目的、大臣にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/65
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066・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 今回の法改正のポイントでございますけれども、先ほど局長から答弁いたしましたように、そのような理由で緑地率が減ってまいりました。
そのためにどうすべきか。まず、自治体におきましては、この緑地を増やしていかなきゃいけないという思いはあるんですけれども、財政制約、それから緑地の整備、管理に係るノウハウ不足、人材もいないと、こういう問題、それから、民間におきましては、これまで緑地確保の取組は収益を生み出しづらいと、こういうことで取組が限定的であったという課題がございました。今回の法案では、そういう自治体と民間事業者の問題点に入っていったというところかと思います。
まず、自治体向けにはいろいろな支援を強化する、それから、民間事業者には緑地を増やせればこんないいことがありますよというインセンティブを持ってもらって取組を促進するという、この二つかと思います。それらを、まず国交省、国としては、基本方針、大きな方向性の基本方針を定めるということでございます。
これは、基本方針の中身につきましては先ほど来答弁しているとおりでございますけれども、その具体的な中身につきましては、今後、有識者の御意見などを伺いながら検討してまいりますけれども、国の基本方針と都道府県の広域計画、それから市町村の基本計画、これらが制度的に連携することで、総合的な緑地保全施策が国、都道府県、市町村とよく連携して推進されるよう努めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/66
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067・塩田博昭
○塩田博昭君 大臣、ありがとうございます。
今の大臣の御答弁に関連をして、やはり、緑と調和した都市環境整備への民間投資の呼び込みがやはり大事でありますので、このことについて伺いますけれども、私の地元の世田谷の二子玉川ライズ、これ今非常に自然豊かでございまして、自然と共生しながら多世代が心豊かに暮らせる新しい町づくりを目指して、緑化や環境に配慮した様々な取組を行っております。二〇一五年の十一月に、建築や都市環境に関する環境性能評価システムの町づくり部門において世界初のゴールド本認証を取得しているということでございまして、さらに隣接する世田谷区立の二子玉川公園も防災に資する公園ということで緑地整備されたことで、このエリアは緑あふれるすばらしい景観と調和する新しい町として生まれ変わってにぎわっているんですね。私も世田谷に四十年住んでいますけれども、その間、大きくこの変化した姿を見てきたんですね。
まさに、その気候変動への対応、生物多様性の確保、ウエルビーイング、幸福度の向上などの課題解決の先取例だと思います。私も大変大好きな場所でよく訪れるわけでありますけれども、このような良好な環境整備や緑化を進める先取例、好事例の展開については、民間事業者における緑地整備等の取組の推進がどうしても不可欠だと、こう思います。
これまで民間の開発業者などにおいては、先ほど大臣からあったように、緑地確保の取組は収益を生み出しづらいという認識が一般的であって、取組が限定的であると、こういう側面があると、このように思いますけれども、今回の法案によってどのような民間同士の呼び込みや融資を受けやすくするのか、新たな制度設計などについて政府参考人にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/67
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068・天河宏文
○政府参考人(天河宏文君) お答えをいたします。
近年、世界的にESG投資が拡大傾向にあることなども踏まえまして、環境や社会に関し多様な機能を有する緑地の確保に対しまして、民間資金を誘導することが重要であると考えてございます。
このような社会情勢の変化を踏まえまして、本法案におきましては、民間事業者による良質な緑地確保の取組を国土交通大臣が認定する制度を創設し、その認定を受けた取組につきまして、都市開発資金の無利子貸付けにより支援をするということとしてございます。
あわせまして、この認定制度によりまして、民間事業者による良質な緑地確保の取組の価値が投資家とか金融機関、テナント等の様々な主体の方に見える化されるということによりまして、例えば資金調達でありますとか賃料の上昇でありますとか、そうした面を通じまして民間投資が促進されると、こうしたことにつきましても期待をしているところでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/68
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069・塩田博昭
○塩田博昭君 ありがとうございます。
やはり、民間事業者にとってもしっかりやっぱりメリットがあるというようなことを進めていくことが大事だと思っていますので、よろしくお願いいたします。
そして次に、民間事業者等による良質な緑地確保の取組の評価や認定、開発事業後の緑の維持管理の在り方について大臣にお伺いいたしますけれども、斉藤大臣は四月二十三日に、千代田区大手町の大手町タワー、大手町の森と、港区の赤坂インターシティAIRを視察されました。
この大手町タワー、大手町の森は、都市を再生しながら自然環境を再生するを開発コンセプトに建設をされたわけでありますけれども、ヒートアイランド現象の緩和や生態ネットワークの構築、水の循環利用などを実現をして、敷地内に三千六百平方メートルの緑地が広がっているわけでありまして、現場を視察された大臣のまず率直な感想とともに、緑の維持管理の在り方について伺いたいと思いますけれども、というのも、港区を対象に行った調査では、都市緑化の開発後、計画どおりに緑化を維持できている物件は全体の半分以下であるという、こういうデータもあるんですね。
今回の法案では、民間事業者等による良質な緑地確保の取組を国土交通大臣が評価、認定する制度を創設するとのことでありますけれども、認定の審査に当たっては、継続的に緑の質や量を保てるのか、また創出した多様な生態系を維持できる計画かどうか、こういう点、視点から判断基準も重要だと、このように思いますけれども、大臣の見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/69
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070・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 大手町の森は十年前からありましたので、時々、すばらしいところなんで、これまでにも行ってまいりましたけれども、今回は初めて担当者の方からいろいろお話を聞きました。普通のインフラと違って命の集積された場所ですので、いかにその維持管理のために、ある意味では注意を払い、お金も使っているかというお話もお聞きしたところでございます。何か昆虫も、百種類を超える昆虫がある意味では自然にそこで生息をしている、生物多様性というのも非常にすばらしいのではないかと、こういうことで大変改めて担当者の方の御苦労をお聞きしてきたところでございます。
このような事例も踏まえまして、この法案の認定制度におきましては、緑地の整備に関する内容だけでなく、将来にわたって適切な維持管理がなされる計画となっているか、維持管理を含めた実施体制が確保されているかなどを評価し、毎年その実施状況を国土交通大臣に報告していただくことになっております。こういう制度が広く広がるように、しっかり我々としても頑張っていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/70
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071・塩田博昭
○塩田博昭君 ありがとうございます。
今大臣言われたとおり、特に大都市圏におけるこういう都市緑地の広がり、まさに多くの方たちが憩うということにおいても、住みよい町ということについても非常につながるものでございますので、できる限りこういう分野における拡大、よろしくお願いしたいと思っております。
次に、大規模な都市開発事業における脱炭素化の促進についてお伺いいたしますけれども、法案の六十三条の三項に、都市の脱炭素化に資する民間都市開発事業を国土交通大臣が認定する制度を創設とありますけれども、これには具体的にどのような事例が当てはまるのか。また、再生、再エネ利用施設などの導入に対する支援策について教えていただきたいと思います。また、さらに脱炭素化の促進を掲げるなら、二〇三〇年までのKPI目標に期待されるCO2排出の減少量を示すことも大事だと思うんですけれども、国交省の見解、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/71
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072・天河宏文
○政府参考人(天河宏文君) まず、認定対象となる事業でございますが、本法案により創設されます脱炭素都市再生整備事業の認定制度は、大規模な都市開発事業におきまして、一定量の緑地等の創出に加えまして、自らエネルギーを創出し、かつCO2排出量の削減に資する取組を認定することにより、都市の脱炭素化の先導的なモデルとなる拠点の形成を図ることを目的としております。
具体的に申しますと、従来の建築物で必要なエネルギーを五〇%以上削減するいわゆるZEBレディーの達成や、再生可能エネルギーの導入、事業施行段階におけるCO2排出量の削減、こうしたことに取り組む事業を認定することを想定をしております。
それから、支援策でございますが、認定を受けました再生可能エネルギー発電設備等の導入を行う事業に対しましては、民間都市開発推進機構を通じまして、民間金融機関からは調達が難しいミドルリスクの資金の長期安定的な供給や事業の立ち上げの下支えとなる出資といった金融支援を行っていきたいと考えてございます。
それから、CO2削減量の目標でございますが、これにつきまして本法案のKPIとして具体的にちょっと目標を定めることは困難であると考えてございますが、本法案に基づきます取組を総動員いたしまして、都市の脱炭素化の拠点を形成し、都市全体としてのCO2排出量の削減につなげていきたいと考えております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/72
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073・塩田博昭
○塩田博昭君 ありがとうございます。
なかなか、CO2削減の具体的な目標、数値まで示すというのはなかなか難しいというお話でございましたけれども、やはり大規模な都市開発において、結果的にやっぱり脱炭素化が促進をされていくというのは、これは間違いないと思っていますので、この事業をやはり大きく進めていくことを積極的にお願いをしたいと、このように思っています。
最後に、KPI実現に向けた大臣の決意をお伺いしたいと思います。
昨年七月に、先ほどもちょっとお話がありましたけれども、香川県の高松で開催されたG7都市大臣会合は、持続可能な都市の発展に向けた協働というテーマの下、都市における緑地と水辺の空間の確保と回復についてコミットされたと、このように聞いておりますけれども、G7の関係大臣との議論なども踏まえて、この法案のKPI目標として掲げている、一つは二〇三〇年までに自治体による特別緑地保全地区の指定面積一千ヘクタールの増加、そして二〇三〇年までに民間事業者等による緑地確保の取組の認定件数三百件について、これ大変大きな挑戦だと思いますけれども、実現に向けた大臣の決意、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/73
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074・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 昨年のG7都市大臣会合の話につきましては先ほども答弁申し上げたとおりでございますけれども、世界的にも都市でこの都市緑地しっかり保全していこうという合意ができたところでございます。
この法案では、地方公共団体と民間事業者の取組に対しまして様々な措置を講ずるとともに、二つのKPIを掲げました。お話ございましたように、地方公共団体による特別緑地保全地区の指定面積、それから、民間につきましては民間事業者等による緑地確保の取組の認定件数でございます。このいずれも非常に高い目標であると考えておりますけれども、今回の法案によって講じられたいろいろな措置、地方公共団体におけるインセンティブ、国の支援、また、民間事業者へのインセンティブ、また支援、こういう措置を講じまして、このKPIの達成に向けまして国土交通省として全力を挙げていきたいと、このように決意しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/74
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075・塩田博昭
○塩田博昭君 今大臣あったように、KPIの目標、しっかり達成をしていただきたいと思います。
以上で終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/75
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076・嘉田由紀子
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。日本維新の会・教育無償化を実現する会の嘉田由紀子でございます。
都市緑地法等の一部を改正する法律案について、大きく三点質問させていただきます。
まず、先ほど来、永井議員、また三上議員、塩田議員がおっしゃっておられました、都道府県が進める広域計画と市区町村が定める基本計画、二つ想定されておられます。特にその中で住民参加が重要なプロセスと提起されておりますが、この地域住民の参加についてそれぞれ具体的にどのようなプロセスが想定されているのか、国土交通大臣と政府参考人の両者の御意見をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/76
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077・天河宏文
○政府参考人(天河宏文君) お答えいたします。
市町村が基本計画を定めるに当たりましては、あらかじめ、公聴会の開催等住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるよう努めるものとされております。本法案で創設いたします都道府県が定める広域計画におきましても同様の手続を定めておるところでございます。
また、その計画の実施に当たりまして、都市緑地の保全、緑化に取り組む際、都市住民の広範な参加、協力を得ることが重要と考えております。国土交通省といたしましては、計画の策定及び取組の実施に当たり住民参加が図られますよう、公共団体に対しまして周知を図っていきたいと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/77
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078・嘉田由紀子
○嘉田由紀子君 大臣に事前に言っていなかったかもしれませんが、本当に、この私有地もあり、また公有の場所もありますけれども、住民参加というのが大変大事なプロセスだと思います。大臣の御見解、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/78
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079・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 国土交通省にこの緑の保全についてのいろいろな表彰制度がございますけれども、その表彰制度に出させていただくたびに思うのは、本当に多くの地域の方がその自分の町の緑の保全に対して大変な御努力をされているなというのはいつも常日頃感じております。そういう地域住民の方の参加があって初めて市町村の努力も生きてくるものと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/79
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080・嘉田由紀子
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
そして、この中で、今回の計画が目指す気候変動対応と生物多様性、この両方をうまく実現していくのは流域治水の政策ではないかと思っております。
二〇二一年四月に国もようやく力を入れていただきました流域治水政策ですが、気候変動に伴う自然災害の激甚化、頻発化の中にあっても、水災害に対しては、ハード対策だけではなくて、公共施設における雨水、雨水の貯留浸透施設の整備、また個人の宅地においても雨水浸透施設、大変重要です。地下水保全、都市緑化とも矛盾しないグリーンインフラの仕組みが重要です。先ほど森屋議員もグリーンインフラの質問していただきました。
特に都市部の河川においては、河川での魚類の生息、緑地帯の動植物、また生物多様性の確保に関する河川整備の技術の採用、また河川周辺の緑地帯の価値の評価も必要です。そのことが子供の遊び場や住民の自然との触れ合い機会などをつくる、まさに本法案の達成目的の一つでありますウエルビーイング、幸せ度を高めるということにもつながります。
私自身は、このような計画、研究者の時代から滋賀県知事の時代、本来の流域治水政策と名付けて、そして、実は、二〇二一年から国が流域治水を取り上げていただいたのは有り難いんですが、どちらかというと、全国各地に名ばかりの流域治水、名ばかりの流域治水が広がっているのではないのかと思っております。
ということで、質問二ですが、今回の法案で、都市河川流域で流域治水として、温暖化時代の水害被害を軽減しながらも生物多様性の保全と緑地保全の両立を図り、同時に地元住民の幸せ度の向上にも資する本来の流域治水政策、計画はいかにしたら可能となるか、国土交通省として具体的な政策手法を持っておられるかどうか分かりませんが、ここをお伺いします。
これは本当に、生物多様性、緑地保全、そして幸せ度向上、ある意味で欲張りな政策でございます。相乗効果も狙うということで、国から自治体への人的支援、財政的な支援など、プラスの評価をしていただくことは可能でしょうか。天河局長の御回答をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/80
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081・天河宏文
○政府参考人(天河宏文君) お答えをいたします。
気候変動に伴いまして、自然災害が激甚化、頻発化する中、治水対策に一層の加速化が重要でありまして、同時に、生物多様性の確保、地域のにぎわいの創出にも資する良好な河川環境の保全、創出を行うことが重要であると認識をしております。そのため、流域治水の取組の全体像を示した流域治水プロジェクトにおきましては、治水対策に加えまして、生物の生息、生育、繁殖の場を保全、創出する取組や、町づくりと一体となったにぎわいの場の創出の取組などのグリーンインフラの取組も推進をすることとしております。
今回の都市緑地法の改正でございますが、都市緑地法と流域治水の関係としては、例えば、令和三年に特別緑地保全地区につきまして、浸水被害を防止する機能を期待し、雨水貯留浸透地帯であることを指定要件の一つとして新たに位置付けたということがございます。これによりまして、都市河川流域で特別緑地保全地区を適切に指定し、浸水被害を軽減しながら、生物多様性の確保や住民の幸福度向上につながる取組が行われることが期待をされるところでございます。
今後、国が定める基本方針におきまして、地方公共団体が策定する緑地の保全や緑化の推進に係る計画において、流域治水の取組と連携をすることの重要性についてしっかり示していきたいと考えております。
浸水被害を軽減しながら生物多様性の確保や住民の幸福度向上につながる取組を推進するため、都市局でございますが、私、都市局でございますが、都市局といたしましても、水管理・国土保全局としっかり連携をしながら、こうした取組を行う地方公共団体等に対しまして支援をしていきたいと、このように考えております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/81
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082・嘉田由紀子
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
都市局長さんの全体の包括的な方向、お示しいただきました。
今日は、水管理・国土保全局長、廣瀬局長にお越しいただいておりますので、廣瀬局長様の御見解、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/82
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083・廣瀬昌由
○政府参考人(廣瀬昌由君) お答え申し上げます。
今都市局長が答弁させていただきましたように、やっぱり都市の行政と治水行政を連携を図って一体的に取り組むことは非常に重要だというふうに思ってございます。
都市の緑地が雨水貯留の浸透効果を持っているということは明らかになってございますし、今ありましたように、都市緑地がいろんなウエルビーイングに資するような効果もあると聞いてございます。どうしても河川は、流域という観点で捉えて、水が集まってきますので、その水のネットワークを使っていろんな多様性を生かしていくことになるかと思いますが、都市は更に面的にということになるかと思います。
少し、エリアが少し違いますけれども、そういうことを包含的に取り組んでいくことが国土交通行政として必要だと思いますので、しっかり連携を図って取り組んでまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/83
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084・嘉田由紀子
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
線から面へと、これが平成河川法、そして流域治水の大変大きな方向、局長様から示していただきました。
そのときに、やはりグリーンインフラということで、今日は、環境省の大臣官房審議官、お越しいただいておりますので、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/84
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085・堀上勝
○政府参考人(堀上勝君) お答えいたします。
環境省といたしましても、グリーンインフラを始めとする自然を活用した解決策、いわゆるNbSと言っておりますネーチャーベースドソリューションズでございますが、この考え方に基づく取組を拡大していくことが必要だというふうに認識をしてございます。
こうした自然を活用した解決策の特徴でありますが、様々な社会課題に対応する多機能なそういう機能性を持っているということでありまして、自然体験活動の場の提供あるいは健康の増進といった副次的な機能によりまして、周辺住民の幸福度の向上にも資するものと考えてございます。
環境省といたしましては、生物多様性保全と防災・減災の両方の機能を持つ場所の表示、これを地図として作成をして、昨年の三月に公表しております。それ以外にも、国土交通省さんあるいは農林水産省と協力して、グリーンインフラ支援制度集、取りまとめて公表しております。
こういった取組を続けて、関係省庁、自治体とも連携をしながら、自然を活用した解決策に係る取組を推進していきたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/85
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086・嘉田由紀子
○嘉田由紀子君 御丁寧にありがとうございます。
実は、本日の質問三ですが、今日はここがポイントでございます。東京都の杉並区を流れる善福寺川流域の治水政策について、以下、質問三の中の細部の四点、御質問したいと思います。
今日は地元の住民当事者の方も傍聴に来ておられますので、ここはしっかりと住民の方が関心持っているということを知っていただきたいと思います。
そして、資料をお出ししておりますが、まず、善福寺川を含む神田川流域、土地利用の変化を見ますと、もう昭和初期は畑ばっかりです。そして、二十年代初期にはそれでもまだ自然地が四二%ありました。三十年代初頭が、都市化が進み、二三%。
実は、この土地利用の変化を反映しまして、昭和三十年代初頭の例の狩野川台風です、もう首都圏が大変な被害を受けましたけど、四十六万棟が浸水し、二百三名もの方が溺死してしまったと、大変な被害を受けられました。それまでの農地が宅地化した、そのときには、データ的にも、農地が宅地化されますと排出される水量は三倍から五倍ということになっております。
その後、河川改修、調整池の建設などが大きな成果を上げまして、近年は人的被害が出るような水害は起きておりません。昭和四十年代には自然的土地利用が一〇%、で、平成十五年、最新のデータでは自然地はたった三%です。いかに緑地が貴重かと。
私、実は、先週の金曜日の午前中に、国土交通大臣のこの提案説明を受けて、その午後に善福寺川、訪問させていただきました。そのときの写真が資料一です。よくぞ都市中心部にこれほどの緑地が残されてきたものだと。見ていただきましたら、主に三つの地域があるんですが、お母さんが子供さん連れて、そして学童保育やあるいは児童館が縮小されたりしたところで公園が唯一の場所だったり、それから子供たちのボール遊び、虫捕り、大人の読書、散歩など、大変濃密に利用されております。
この、今、善福寺川流域で気候変動による被害の甚大化を想定しまして、これまで時間雨量五十ミリだった水害対応、これを時間雨量七十五ミリまで引き上げる水量計画、東京都が作りました。そして、五十ミリを超えるところには調整池と流域対応で進めようと。調整池というか、調整池の整備では、具体的に、巨大な調整池、そして地下ダムですね、地下に水路を造って地下ダムで対応しようとしております。その水量配分は、調整池で時間雨量十五ミリカット、それから流域対応で十ミリ、これで二十五ミリカットしたら七十五ミリ対応の安全度が確保できるということで、資料二に全体の善福寺川のイメージを神田川までつなげて示させていただいております。
資料三が、いわゆる流量配分の図です。
そして、資料四、ここを詳しく見ていただきたいんですが、主に三か所が大きな影響を受ける計画になっております。原寺分橋周辺では二十五戸もの住宅が立ち退きをし、そして立て坑と管理施設を造るということです。区立関根文化公園でもやはり立て坑と管理施設。また、ロケット公園、一番下流ですけれども、立て坑と管理施設。ここが、先ほど資料一で見ていただきました巨大なプラタナス、あるいはケヤキなどがあります。この巨木群などもこの立て坑と施設を造るので伐採しなければいけないと。ただし、伐採が何本になるのかなど、計画は全く示されておりません。
また、行政手続的には、これだけの巨大な行政計画なんですが、昨年の八月末に初めて住民説明会が行われ、十一月上旬に公聴会、そして十一月下旬には東京都議会の都市整備委員会にて素案が案へと格上げされたということです。住宅密集地の地下に五・八キロもの地下ダムを造る、しかも二十五世帯もの住宅の移転までを含むこの計画をたった半年で、余りにも拙速だと、私は自分が自治体のトップをさせていただいた経験からも思います。そして、令和六年二月六日には都市計画審議会が開催され、そこで過半数の委員の賛成を得て都市計画決定がなされ、三月六日には告示されております。
それで、質問三の一です。四点ございます。東京都が計画しているこの善福寺川上流調整池計画について、国は具体的にどう把握しておられるでしょうか、一点目です。二点目に、都市計画上の許認可はどう関わっているでしょうか。それから三点目、国が負担する費用はどうなるんでしょうか。四点目、地域住民の皆さんによる不安あるいは反対の活動についてどう承知しておられるでしょうか。局長さん、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/86
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087・廣瀬昌由
○政府参考人(廣瀬昌由君) お答え申し上げます。
善福寺川上流調節池については、国として、東京都に対して善福寺川を含む神田川流域河川整備計画変更の認可をするとともに、当該調節池に係る都市計画変更に対する同意をしているところでございます。ただ、現段階では河川事業の交付金などの事業計画の提出や都市計画事業の認可の申請はなく、当該事業の事業費や施行期間などの事業に関する説明はまだ受けていないという状況でございます。
なお、御地元の動きについては、報道があることは承知をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/87
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088・嘉田由紀子
○嘉田由紀子君 そうすると、行政手続的にはまだ補助、実は国は半分補助の予定ですよね、こういう計画には、それから認可はまだ終わっていないということですね。ここ大変ポイントだと思っております。
実は、行政手続として、令和六年一月二十六日に杉並区の岸本聡子区長が、行政事業、事業計画に異議ありませんと回答しております。これが資料の五です。ただし、住民の切実な声や今後の進め方について、区の考え方を示しますので、都市計画事業の実施に当たっては、住民意見を十分に反映し区と連携、協議した進め方をお願いいたしますとして、二ページにわたる別紙を添付しております。資料五として示しております。
自治体同士のやり取りは、大体、上の三行で終わるんです。私も、自治体の首長、市町村から受け、また知事としての仕事してまいりました。岸本区長がここまで別紙を付けた、その岸本区長の意思というのがここに示されていると判断をしております。
具体的に見ていただきますと、都市計画決定に当たっては、住民への周知が不足している、それから、シールドトンネルのこの工法への不安というのは、あの外環道路などで住宅が数十軒地盤沈下で移転を迫られたというようなことも、地元の皆さん十分御承知です。それから、説明期間が半年程度しかなかった。それから、大きな二点目ですけど、都市計画決定された場合の事業の進め方、原寺分橋、関根文化公園、そして善福寺川の下流の言わばロケット公園と言われるところですけど、具体的に書いております。それから、三点目も、総合的な治水対策の推進については、グリーンインフラとして、区は区として、雨水流出抑制対策は区として努力するということも言っていただいております。
次の質問ですけど、日本が今大変な財政難の中で、税金の無駄遣いは決して許されません。公共事業の実施に当たっては、納税者への説明責任として、費用便益効果を算出する必要があります。これ、私、何度も申し上げております。
例えば、今年の四月十八日ですけど、この委員会で、熊本県の川辺川ダムの全体での費用便益効果は〇・四、全体で〇・四。今まで二千二百億円入れて、残事業が二千七百億、両方で四千九百。残事業の費用便益が一・九あるからこれは進めるんだということを今国土交通省としては判断をしておられますけれども、今回、この善福寺川の問題、同時に、私が十八日に、環境破壊が起きるときにはその環境破壊もコストとして入れてくださいと、これ廣瀬局長に宿題を出させていただいております。これは川辺川の宿題ですけど、また次の委員会で御回答いただけたらと思います。
善福寺川のこの調整池に先行して進められた石神井川上流域の調整池では、東京都が国土交通省に事業補助金を申請したものの、国土交通省は、見積りが古い金額に即しているので費用便益分析は不適切と指摘をし、事業の採択を留保しているということです。
この石神井川の事業認可、どうなっているでしょうか。また、善福寺川の調整池、まだまだ予算も決まっていないということですけれども、この費用便益分析、どうなっているでしょうか。廣瀬局長さんの御回答、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/88
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089・廣瀬昌由
○政府参考人(廣瀬昌由君) お答え申し上げます。
石神井川地下調節池については、東京都より国に対して都市計画事業の認可申請があり、認可をしております。
一方、河川の補助事業の新規採択に当たり、委員御指摘のとおり、令和六年三月に東京都から事業計画の申請がありましたけれども、東京都に問い合わせたところ、資材価格高騰による事業費の増額が反映されていなかったことが判明いたしました。増額後の事業費による事業計画の修正が必要であり、時間を要するとのことでしたので、国土交通省としては新規事業の採択を保留したところでございます。
一方、善福寺川上流調節池については、先ほど申し上げましたとおり、国として、当該河川の河川整備計画の変更を認可するとともに、都市計画変更に対する同意はしておりますけれども、現段階では河川事業の交付金等の採択や都市計画事業の認可の申請はなく、当該事業の事業費や施行期間などの説明は受けていない状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/89
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090・嘉田由紀子
○嘉田由紀子君 繰り返しますと、まだBバイCも含めて、事業費に伴ったその認定、石神井川は出していないし、まして、この善福寺川はまだまだこれからだということですね。これは大変大事なポイントだと思います。
というのは、今、資材価格が高騰し、人件費も高騰している中で、この河川事業などハードの事業はどんどんコストが上がっているんです。そこに併せて、私、先ほど来から言っております、環境破壊はコストが掛かるんです。それは、ですから、分母が大きくなっていく、そして受益が少なくなる、受益は計算変わらないはずですから。となると、BバイCが一・〇行かなかったら、これは納税者に説明が付きません。この委員会の皆様に是非とも御理解をいただきたいと思います。
そして、三の三ですが、本来の流域治水は、行政による公共施設の雨水浸透などと併せて、住宅の、個人の雨水タンク設置したり、住民による雨水浸透造りが大事です。それから、ハザードマップで浸水リスクがあるときには、そこに家を建てるとしたら、宅地のかさ上げあるいはピロティー方式、一階は駐車場にして、万一水がつかっても生活破壊の程度が緩和されるというピロティー方式、つまり、町づくりや住宅造りとセットにするのが流域治水の本来の目的です。
今後、東京都の計画では、先ほど来、五十ミリを七十五に上げるときに、二十五ミリの増大を調整池で十五、流域対策で十ミリとしておりますが、今後、調整池を例えば五ミリ対応として流域対応を二十ミリに増やすとしたらどのような努力が、これはもうまさに住民の側の個々の地権者の努力が必要です。流域治水というのは、住民の皆さんが緑を守りたい、あるいは税金節約したい、同じように住民も汗をかかないといけないということで、全体として、この住民参加のための具体的な提案を行政側として、何万世帯の皆さんがどれだけ減らしたらいいかと、そんな計算は、廣瀬局長さん、していただいているでしょうか。通告させていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/90
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091・廣瀬昌由
○政府参考人(廣瀬昌由君) お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、いわゆる都市河川においては、流域対策を推進することは非常に重要だと考えてございます。このため、国土交通省では、流域抑制対策を実施するに当たって、雨水貯留浸透施設による流出抑制効果や地下水涵養効果等を把握する必要があり、技術指針を、それが可能となる技術指針を提示して技術的な支援を行っているところでございます。
今回御指摘の東京都が管理する河川につきましても、東京都におきまして、先ほど委員から御指摘があったような数字で流域十ミリということでございますけれども、適切に雨水貯留浸透効果を見込んだ事業計画が立てられているというふうに承知をしているところでございます。
施設の効果や規模等に関わる検討につきましては、そのような技術指針に基づきまして、当該流域や河川のことをよく周知して、よく熟知している河川管理者である東京都が実施することが適切というふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/91
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092・嘉田由紀子
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
責任は都ということで、今後都と具体的に技術指針で話をしていったらいいということですね。
もう時間がありませんので、最後に、国土交通大臣、今回のこの流域治水と、それから生物多様性、そしてウエルビーイング、この三つがうまくいく可能性がこの善福寺川は残されております。是非、大変、住宅密集地の、また住民参加といっても合意形成が大変です、何万人もの方がおられるところですから。善福寺川の流域、今後の国土交通政策にとっても大事なモデルにできると思いますので、国土交通大臣の御覚悟なり御方針を示していただけたらと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/92
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093・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 流域治水、あらゆる関係者が一体となって、治水安全度の向上、そして良好な河川環境の保全、創出を進めていく、これは非常に大事でございます。一方で、ウエルビーイングの向上にも資する都市における緑地の保全も重要な課題であると認識しております。
しっかりこの両立が図られるよう、国土交通省としても指導性を発揮していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/93
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094・青木愛
○委員長(青木愛君) 時間が来ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/94
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095・嘉田由紀子
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
最後に、資料六の説明できていなかったんですが、流域治水の第一人者であられます島谷幸宏さんの図でございます。こういうことも参考にしながら、是非、住民の皆さんも私たちも汗をかくよと、だから東京都とこの後話をしましょうという次の段階に行っていただけたらと思います。
ありがとうございました。以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/95
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096・浜口誠
○浜口誠君 国民民主党・新緑風会の浜口誠です。
今日の都市緑地法につきましては賛成の立場で会派としては対応させていただきたいと思っております。その上で御質問させていただきたいと思います。
まず、基本的な認識について大臣にお伺いしたいと思います。
今日も各先生方から御質問もありましたが、日本の都市の緑地の充実度、これは世界の都市と比べても低いということも指摘をされております。また、緑被度という指標があって、これは敷地全体の中で緑が占める割合という指標だというふうに聞いておりますが、この緑被度についても減少傾向にあるということも指摘をされております。
大臣の御認識として、なぜ日本はこういった状況になっているのかどうか、その要因をどうお考えなのか、まずは認識をお伺いをしたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/96
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097・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 我が国の公園緑地整備が遅れた原因として、現在の都市局公園緑地・景観課に当たる、建設省時代、建設省計画局施設課の初代課長を務めた、初代課長を昭和二十四年に務めた東京農業大学元教授の佐藤昌先生は、手近にあり過ぎた美しい自然に溺れていたこと、そのために公園や緑地を必要とする世論が生まれてこなかったことなどが考えられると、このように指摘しておりますが、この指摘はごもっともであると考えております。
その上で、我が国においては、戦後の経済発展に伴い都市への人口や産業の集中が急激に進んだことにより、都市において人口密度の高い稠密な土地利用が行われてきました。この際、都市の緑地は一般的に収益につながらないことから、緑地が住宅用地等へ転化したことなどが起因となりまして、現状のように充実度が低く、また減少傾向にある状態となったと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/97
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098・浜口誠
○浜口誠君 ありがとうございます。
そうした中で、日本の都市の緑地を増やしていく、あるいは緑被率を上げていく、このことによって我が国の経済や社会に対してどのようなメリットがあると大臣としてお考えなのか。いろいろ脱炭素に資するとかあるいは生物多様性とかいうような視点も言われておりますけれども、大臣としてのお言葉で、是非この目的と効果、これについての御所見をお伺いをしたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/98
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099・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 都市の緑地の効果につきましては、もうこれまでの議論でいろいろ議論をされてきたとおりでございます。この都市の緑地を増やしていかなくてはならないと思っております。
あともう一つ、直接的な効果としては、この間シンガポールに行ってきたんですが、シンガポールは御存じのとおり本当に緑地が豊かです。なぜこれだけの緑地を整えたんですかと現地の大使館の方に聞いたら、リー・クアンユーさんがシンガポールができたときに、外国から来た人は、特に西洋の人は都市に緑があるとそれだけで尊敬してくれると、だから諸外国から相手にされるためにも、とにかく外国から来た人の見えるところに緑をしっかり植えていくんだというふうな指導があって今あの都市づくりになっていると、このように聞いております。こういうことも非常に大きな一つの緑の効果かと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/99
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100・浜口誠
○浜口誠君 ありがとうございます。シンガポールの御経験も踏まえて御答弁いただきました。ありがとうございます。
では、法案の中身についてお伺いをさせていただきたいと思います。
今回の法改正で、国は都市の緑地の保全に対する基本方針を作るということ、さらには市町村においては広域計画を立てると、また、都道府県がですね、都道府県は広域計画を立てると、で、市町村は緑の基本計画を作って対応するということです。そして、今回はこの三者で連携をしていくということが非常に重要かというふうに思っております。
そこで、局長に確認をしたいんですけれども、この三者の連携の意義と効果について、今回の法改正でそういう形がより明確になるというふうに思っておりますが、その点についての御見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/100
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101・天河宏文
○政府参考人(天河宏文君) お答えいたします。
現行の都市緑地法では、住民に最も身近な市町村が緑地の保全及び緑化の推進に関する基本計画を策定し、当該計画で定める目標や方針に基づき緑地保全等の取組を進めることとされている一方で、国の役割は市町村への財政的支援あるいは技術的助言にとどまっております。
本法案により創設される国の基本方針は、気候変動対策、生物多様性の確保に関する国際的枠組みにおいて設定された国家目標の達成に向け、国が主導して緑地の質、量両面からの確保に向けた目標や取組方針を示すものでございます。
また、複数の市町村にまたがります大規模な緑地において、市町村間で緑地保全施策の内容に差がありまして、市町村の境界を挟んで保全の状況が大きく異なると、こちらでは保全されているけど、こちらはちょっと住宅化が進んでいるというふうな事例も間々、たまにございます。こうした事例に対しまして、複数の市町村間で緑地保全の必要性を共有して一体的、効果的に取組を進めるという意味では、やはり都道府県の広域計画、これにおきまして保全の方向性を示すということが有効であると私ども認識をいたしまして、これまで任意で策定されてきました都道府県の計画を今回改めて法律に位置付けたということでございます。
これによりまして、国の基本方針、都道府県の広域計画、市町村の基本計画、これがしっかり連携することで総合的な緑地保全政策を進めていきたいと、このように考えております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/101
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102・浜口誠
○浜口誠君 ありがとうございます。
三者がしっかり連携取ること、非常に重要だというふうに思っておりますので、今回の法改正を基に連携強化をしっかりと図っていただきたいというふうに思います。
今回の法改正で、都市の脱炭素化に資するための都市開発事業に対しての認定制度というのが創設されます。都市の脱炭素化をしっかり応援していくということは私も賛成です。
他方、今回の支援によって、オフサイトでも再生可能エネルギーの発電事業所等への金融的な支援が行われるということにもなります。
オフサイトに対して今回支援を実施する、その理由とか背景について確認をさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/102
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103・天河宏文
○政府参考人(天河宏文君) お答えいたします。
本法案により創設されます脱炭素都市再生整備事業の認定制度は、特に大規模な都市開発事業により整備されるエネルギー需要の大きい市街地におきまして、自らエネルギーを創出し、かつCO2排出量の削減に資する取組を認定、これを支援することによりまして、都市の脱炭素化の先導的なモデルとなる拠点の形成を図る、これを目的としております。
こうした大規模な市街地におきましては、事業の敷地内に整備される設備のみでは当該敷地内のエネルギーを賄うということが困難である場合も想定されることから、オフサイトで整備される再生可能エネルギー発電設備につきましても、事業の敷地内へエネルギーが供給される場合には、都市の脱炭素化の拠点形成につながるため、民間都市開発推進機構による金融支援の対象とすることとするものでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/103
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104・浜口誠
○浜口誠君 この再生可能エネルギーの発電設備等、これはオフサイトも含めてですけれども、やはり認定された事業に専用で使う設備ということであれば非常に理解はできるんですけれども、一方で、そういった支援を受けている発電設備でつくられた再生可能エネルギーが認定された事業以外にも幅広く供給されるということになると、少し制度の趣旨からすると逸脱してしまうんではないかなという懸念も指摘されるんではないかというふうに思っていますが、この点の整理はどう考えておられるのか、確認したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/104
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105・天河宏文
○政府参考人(天河宏文君) お答えいたします。
本認定制度は、大規模な都市開発事業におきまして、敷地内における再生可能エネルギーの創出及びCO2の排出量の削減を行い、都市の脱炭素化の先導的なモデルとなる拠点の形成を図るものであることから、オフサイトの設備も含め、創出したエネルギーを自家消費するような取組を認定することを予定をしております。そのため、季節や時間帯によって余剰分を一部売却すること、これは例外的には考えられますが、専ら外部に売却するなど、認定された事業以外へのエネルギー供給を主たる目的とする取組を認定することは考えておりません。
事業者に対してオフサイトの設備から供給されるエネルギーが事業の敷地内において確実に使用されるか、こういったことをしっかり確認することによりまして、適切な運用の確保に努めていきたいと考えております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/105
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106・浜口誠
○浜口誠君 ありがとうございます。
懸念点についてはしっかり確認をしていただけるということですので、その運用面が徹底されるように関係省庁とも連携していただきたいと思いますし、今回、この再生可能エネルギー事業で認定されたエネルギーをつくる施設に対して金融支援が行われますけれども、他の公的支援とやはり重複することのないように対応していくことがやっぱり公平な競争という観点からは大事な視点だというふうに思っておりますので、その公的な支援が重複しないような仕組みづくり、対応というのはしっかり行っていただきたいというふうに思いますが、この点についての御見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/106
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107・天河宏文
○政府参考人(天河宏文君) お答えいたします。
御指摘のとおり、再生可能エネルギーの導入等に対しましては、ほかの国の支援制度もございますので、二重支援が生じないよう、しっかり関係省庁と調整をしまして、他制度による支援の有無あるいは範囲、こうしたものを確認することによって適切な、的確な運用に努めていきたいと思っております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/107
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108・浜口誠
○浜口誠君 これ、経産省さんともそのような認識合わせはできているという理解でよろしいでしょうか。公的支援、経産省なんかとダブるところがあると思うんですけれども、そうしないようにということは、国交省は先ほど御答弁でありましたが、他の省庁も同じ認識だということでよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/108
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109・天河宏文
○政府参考人(天河宏文君) 経産省さんとは法案の作成段階からしっかりお話をさせていただいておりまして、今後もしっかり調整をしていきたいと思っておりますし、ほかに支援制度がございます場合は、その当該省庁ともしっかり調整をして、二重支援が起きないようにということでやっていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/109
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110・浜口誠
○浜口誠君 ありがとうございます。
続きまして、民間事業の皆さんが緑地確保の取組を認定する、そういう新しい認定制度が創設されることになります。
この認定に当たっての基準というか要件、これをやっぱり分かりやすく明確にしていくこと、これも大変重要な観点だというふうに思っておりますが、この認定に当たっての、認定基準についての考えをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/110
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111・天河宏文
○政府参考人(天河宏文君) 優良緑地確保計画認定制度でございますが、これにつきましては、気候変動対策、それから生物多様性の確保、ウエルビーイングの向上、この三つの視点で評価をしたいと考えております。
気候変動対策について申しますと、例えば、CO2を吸収、固定する高木、高い木ですね、高木の植栽、あるいはヒートアイランド現象の緩和に資する風の道を形成する樹木等の配置、それから雨水の貯留浸透に資する緑地の整備、こうしたものを評価していきたいと考えております。
生物多様性の確保については、多様な動植物が生息、生育できるような高木、低木、草地等の階層構造が形成されているか、あるいは地域に根差した在来種が使用されているか、生態系ネットワークの形成に資する緑地の整備がなされているか、こうしたものを評価したいと考えております。
ウエルビーイングの向上でございますが、これ非常に多様な観点を有するものになりますけれども、例えば、心身の健康の増進につながる散策路が整備されている、あるいは住民参加による花壇の整備など地域コミュニティーの形成に資する事業者の取組がなされている、それから市民への公開性あるいはバリアフリーの確保、こうしたものを評価することを考えております。
これらの具体的な基準につきましては現在有識者会議で検討中でございますが、今後、有識者の御意見や国土交通省で行うことを予定しておりますフィージビリティースタディー、これは実際に具体の緑地について認定に係る審査業務を試行的に行うということをしておりまして、そうしたフィージビリティースタディーの結果等を踏まえて定めていきたいと考えております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/111
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112・浜口誠
○浜口誠君 ありがとうございました。
是非、今御答弁あった認定の考え方、これを幅広く関係者の皆さんに周知、浸透できるように今後も取り組んでいただくことを求めて、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/112
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113・田村智子
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
都市緑地のうち、樹木にフォーカスをしたいと思います。
樹木は生物多様性を高めます。雨水を地中に浸透させるだけでなく、豪雨の際に枝葉や幹が保水をし、その後蒸発させる機能を持つことも注目されています。特に樹齢が長い高木は、樹冠、樹の冠と書きますが、枝葉が大きく張って強い日差しを遮り、気化熱によってヒートアイランド現象を緩和する、こういうかけがえのない役割を果たしています。
都市の緑地保全のためには、何十年、百年という年月を掛けて生育している樹木の保全は低木や芝生と比しても格段に重要というふうに考えますが、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/113
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114・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 年月を掛けて生育した高木、高い木、樹木ですね、は、CO2の吸収源や生物の生息・生育空間としての重要なものでございます。今回の民間事業者等による優良緑地確保計画の認定制度においても、高い評価を与えることを検討しております。
一方、長期にわたり適正な管理が行われず、荒廃した樹林や、樹勢、樹の勢いと書きますが、樹勢の衰えや病虫害が見られる高木は、倒木等の安全面の懸念に加え、CO2の吸収源や生物多様性の確保の観点からも課題があり、伐採による更新等も含めた対応が必要になる場合もあると認識しております。
芝生につきましては、吸収源や生物多様性の観点からの機能は高木に劣るものの、町のにぎわい創出や健康増進に資する活動の場などとして、ウエルビーイングの観点から評価できるものと考えられます。
いずれにいたしましても、高木や低木、芝生などが適正に整備、管理され、地域の状況に応じ求められる役割を果たすことが重要と、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/114
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115・田村智子
○田村智子君 樹木の保全ですからね、倒れるような状況にならないようにきちんと手当てをすること、こういうのも含めての保全というのを、重要性を認めていただきました。
それでは、国の基本方針では、都市緑地の確保について、都市公園の樹木あるいは街路樹、この保全、確保は位置付けられるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/115
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116・天河宏文
○政府参考人(天河宏文君) お答えいたします。
本法案に基づき国が定める基本方針には、緑地の保全及び緑化の推進の意義及び目標等を定めることとしております。
都市公園、道路、河川等の公共施設の緑地は気候変動対策に資するCO2の吸収源等として位置付けられていることから、基本方針においてはこれらを含めて目標を設定することを想定をしております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/116
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117・田村智子
○田村智子君 それでは、今からが問われるわけですけれども、都市緑地を戦略的、効果的に保全するためには、公が関わっている特別緑地保全地区、あるいは都市公園、都市計画公園の樹木、これどうするのかがとても大切になってくると思うんです。
まず確認したいんですけれども、この建築物が規制される特別緑地保全地区の総面積、そして都市公園、都市計画公園の総面積、それぞれどれだけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/117
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118・天河宏文
○政府参考人(天河宏文君) お答えいたします。
令和四年三月末時点でございますが、特別緑地保全地区として都市計画決定された面積が六千六百七十一ヘクタール、それから都市公園として供用された面積が十二万八千五百九十六ヘクタール、公園として都市計画決定された面積が十一万一千六百九十三ヘクタールとなっております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/118
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119・田村智子
○田村智子君 総面積でも圧倒的なんですよ。特別緑地保全地区の二十倍、三十倍ぐらいですかね、それがこういう公園になるわけですね。
ここでの樹木の保全、これどうするのかということは極めて重要だと思います。ところが、先ほど来あるとおり、東京では、樹木の大規模な伐採、無理な移植の計画がこの公園で相次いでいるわけです。
江戸川区にある都立葛西臨海水族園、都市計画公園である葛西臨海公園内の施設です。敷地内に新しい水族館を建設し、太陽光パネルを設置する新施設整備のためとして、水族園の約半分を占める水辺の自然エリア、五月十九日をもって閉鎖されました。新しい水族園の計画敷地では、樹木一千七百本のうち、六百本を伐採、八百本が移植されるというんですね。三十五年掛けて森に育った樹木を切り、水辺の自然を壊すことに、水族園の関係者あるいは多くの利用者から批判と疑問の声が起きているのは当然のことだと思います。
都市の緑の保全が重要だと、国も基本方針に樹木も位置付けるというときに、都市計画公園内のPFI事業で、一千七百本の樹木のうち一千四百本が切り倒されたり、移植だといって引っこ抜かれると。これ、移植と言いますが、無残に枝を切り落とされて移植されるわけで、根付くかどうかも分からないです。根付いても元の姿に戻るかも分からないです。
このように、大量に木を切る再整備をデベロッパー主導で自治体が進めることは、本法案が趣旨とする都市の緑地の確保に逆行しているのではないかと思いますが、大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/119
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120・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 今回の法案は、地方公共団体や民間事業者等における緑地の保全や緑地の機能増進に関する取組を後押しし、官民一体となって効果的に緑地の確保を進めていくための全国的な制度を整えるものでございます。
そして、今回の法案は、樹木を保全、整備していくことが重要であるとの考えに基づき提出しているものですが、樹勢の衰えや病虫害が見られる樹木は、倒木等の安全面の懸念に加え、CO2の吸収源や生物多様性の確保の観点からも課題があり、伐採による更新等も含めた対応が必要になる場合もあると認識しております。
いずれにいたしても、個別の都市開発事業につきましては、従来どおり、法令にのっとり、事業者や都市計画等に係る権限を有する地方公共団体におきまして地域の実情に応じ適切に対応されるべきと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/120
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121・田村智子
○田村智子君 適切ではないから問題にしているんですよ。三十五年の木で樹勢が衰えていたら、それはどういう管理していたんだということになるんですよね。再開発のために次々と切られているということを問題にしているわけです。
法案では、緑と調和した都市環境整備に民間投資を呼び込むために、開発事業のうち緑地を確保する取組や脱炭素に資する事業について国が認定制度をつくり、財政面でも支援を行うというふうにしています。これが、例えばビル建設のために高木を伐採しましたが、屋上庭園を造りましたとか、太陽光パネルの設置に邪魔だから樹木を切って、だけど芝生を張りましたと、こういうような事業を緑との調和と言うわけにはいかないと思うんです。あの葛西の公園で起きていることだって、太陽光パネル、新しい施設と、それで樹木伐採やっちゃうわけですから。
これ、認定するというときの要件として、樹木伐採、さっき言ったみたいに倒木の危険とかは別ですよ、しかし、原則として樹木伐採はやっぱり禁止するというような要件が必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/121
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122・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) この法案におきましては、創設される脱炭素都市再生整備事業の認定制度によりまして、再生可能エネルギーの導入等に加え、一定規模の緑地の創出を図る先進的な取組を推進することとしております。
委員から、認定事業においては樹木伐採を認めてはならないのではないかとの御指摘がありましたが、この認定に当たりましては、従前より、緑が減少するような取組について積極的に評価することは基本的には難しいと考えております。
その上で、さきにお答えしたように、樹勢の衰えや病虫害が見られる樹木は、倒木等の安全面の懸念に加え、CO2の吸収源や生物多様性の確保の観点からも課題があり、伐採による更新等も含めた対応が必要になる場合もあると認識しております。こういう考え方での制度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/122
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123・田村智子
○田村智子君 冒頭で、緑といったときの樹木の役割を強調しました。やはり、樹木というのは単なる緑じゃないんですよ。芝生と全く違うんですよ。そこで厳しい認定制度を私はつくるべきだというふうに思います。
都市における緑地保全で焦点となっているのがまさに樹木伐採なんですね。ほかにも、日本初の西洋式庭園である日比谷公園、再整備だといって樹木伐採、既に一部で行われています。イベント広場や商業ビルとつなぐ巨大デッキなど、これを優先して、歴史的な庭園が、その歴史や文化よりも商業施設と一体に観光客をどう呼び込むかを優先させて開発されようとしているわけです。
神宮外苑開発、先ほどもお話ありました。百年の計の都市森林で三千本もの樹木が伐採されるおそれがある。ユネスコの諮問機関、ICOMOSの国内委員会が再開発中止を要請する警告、ヘリテージアラートを発し、多くの著名人が同様に声を上げています。この事業は、日本スポーツ振興センターが四者の事業者の一つであり、施行事業者四者の中に国交省が所管する都市再生機構、URがあるわけです。独立行政法人が二つも絡んでいるのに、中心デベロッパーの三井不動産主導で、樹木伐採止めようともしていません。
日比谷公園、神宮外苑、いずれの樹木伐採も都市計画法を根拠にした都市計画公園の中で起こっていることです。こうした樹木伐採は、緑地保全をうたった本法案の目的とは矛盾すると、せめてそういう問題意識を大臣示していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/123
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124・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 先ほど申し上げましたとおり、この法案は、地方公共団体や民間事業者等における緑地の保全等に関する取組を後押しし、官民一体となって緑地の確保を進めていくための全国的な制度を整えるものでございます。個別の都市開発事業につきましては、従来どおり、法令にのっとり、事業者や地方公共団体において適切に対応されるべきと考えております。
国土交通省としては、法に基づき、権限を有している東京都において適切な対応がなされることを引き続き期待しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/124
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125・田村智子
○田村智子君 それでは樹木よりビジネスが優先されてしまうわけですよ。
衆議院の法案審議で、樹木保全のため、緑地を面的に把握する緑被率だけでなく、一定面積の地面に対して枝や葉が茂っている部分が占める割合、樹冠被覆率の目標を持つよう、我が党の議員が求めました。ここが重要なんですよ。緑、緑言うんだけれど、緑が、こう上から見て緑で覆われていますねという面的なことだけじゃなくて、体積で見る、木が枝葉を張っているのがどこまで育っているかというのを見る、これ非常に重要なんですよ。これを目標を持つべきだというふうに衆議院の方で質問したら、大臣の答弁は、やっぱりそれでは面的把握ができないという答弁だったんですね。
私たちは、二つの目標を持つべきだと求めたいんですよ。緑被率、面的に覆っているということと、体積、枝葉がどれだけ張っているかという、この両方で見るべきではないのかと。なぜかといえば、芝生はすぐに造れます。一年あれば造れるでしょう。樹木はそういうわけにいかないんです。何十年という年月で都市の緑となっていく。生態系、環境に与える影響も芝生と樹木は全く違う。緑の体積を守るという視点が都市緑地の保全には不可欠で、ニューヨーク市もメルボルン市もこういう樹冠被覆率の目標というのを持って町づくりを進めているわけです。
改めてお聞きします。緑被率とともに樹冠被覆率も国が目標を持つことが必要ではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/125
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126・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 今回定めることとしております基本方針におきまして、国における緑地の保全、緑化の推進の目標を定めることとしております。その際に使用する指標につきましては、御指摘のように緑被率や樹冠被覆率などがありますが、評価する目的や計測範囲の広さ等によって適切に選択していくことが重要であると認識しております。
今後、基本方針の策定に当たり、どのような指標を活用するかにつきましては、地方公共団体や有識者等の意見を踏まえ、検討してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/126
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127・田村智子
○田村智子君 是非、樹木に注目をいただきたいというふうに思うんですね。先ほど大手町とか赤坂とか話ありましたけれども、確かに全部がビルになってしまうよりは緑地を造る方が重要だとは思います。しかし、超高層ビルに囲まれる緑地でいいのかと。これ以上超高層ビル造って、緑地造ったからいいですよということになるのかと。脱炭素という観点で見ても、それは超高層ビル建てるときに排出されるCO2、建てて、それがランニングコストでどんどん排出されるCO2、それと僅かばかり造りました緑地が吸収するCO2、どっちが多いかなんて明らかなんですよ。
是非そういうことを考えたやっぱり国の基本計画を持つべきだということを申し上げて、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/127
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128・木村英子
○木村英子君 れいわ新選組の木村英子です。
まず、改正案で新しく創設される都市緑化支援機構について質問いたします。
今回の都市緑地法の改正案は、自治体が指定している特別緑地保全地区の保有している地主が相続などの理由により管理ができなくなった場合に、自治体が買い入れ、管理する制度の改正になっています。自治体によってはすぐに地主から買い取るための財源や管理のノウハウがない現状から、国が指定する都市緑化支援機構に委託し、緑地を買い取り、最大十年を掛けて自治体が買い戻す仕組みをつくることになっています。
一見、地主が管理できなくなった緑地の保全を安定的に管理していくためには必要な方法にも思えますが、しかし、公共事業の管理運営を民間に委託することによって、住民の声が反映されにくく、トラブル事例が多いことから、民間の都市緑化支援機構を指定し委託してしまう今回の改正案には懸念を持っています。
資料一を御覧ください。
日経新聞の記事によると、公共団体が民間委託して業務を行うPFI事業において、令和三年の会計検査院の報告では、国が委託したサービスを民間事業者が適切に提供していないなど、不備や欠陥が二千三百六十七件報告されています。
資料二を御覧ください。
PFI事業によってバリアフリーが不十分な事例も生じています。例えば、愛知県の体育館の移転新築計画では、PFI事業を使って、体育館のメインエントランスの大階段にはスロープもエスカレーターもない設計となっており、障害者や高齢者などのことが考慮されず、障害者団体などから反発が二〇二二年に起こっています。
この問題について、名古屋市内の障害者団体の方は、そもそもバリアフリーの視点が抜け落ちた案が採用され、その後も小手先の変更で対応しようとしているとして、県と事業者に抜本的な改善を求め続けたそうです。しかし、愛知県は、今回はPFI事業で設計から維持管理までを全て民間に任せる契約であり、よほどのことがなければ県として行政指導はしないと言っており、民間に丸投げの対応でした。
このように、民間事業者に任せることで、当事者や市民の声が反映されず、障害者、高齢者、ベビーカーを利用している子連れの方なども使いづらい設計となってしまっています。
また、資料三を御覧ください。
佐賀市にあるSAGAアクアという県のプール施設で、二〇二三年に視覚障害者の方が盲導犬とプールを利用したいと申し出たところ、指定管理者である民間事業者から、犬は施設の中には入れないと拒否されたそうです。この施設は二〇二一年に設置されてから既に三年近くが経過しており、今年の全国障害者スポーツ大会の会場となっているにもかかわらず、施設の入口からプールまでの区間に点字ブロックが設置されていないなど不備も指摘されています。
このように、行政がすべき施設の運営や管理を民間に任せてしまうことで、公共的なサービスよりも効率や利益が重視される余り利用者の選別が起きています。誰もが利用できるはずの公共施設ですから、国や自治体は障害者や高齢者、子供などに、配慮を必要な人たちを排除してしまうことはあってはならないと思います。
特別緑地保全地区は、都市における公園やイベントの会場にも使われることが想定されていますが、先ほど説明したようなPFI事業や指定管理者制度と同じようなトラブルや課題がある中で、民間事業者である機構に任せてしまうことは、自治体が責任を放棄し、支援の必要な人たちが取り残され、排除される状況を招きかねない法案になってしまうことは納得がいきません。
誰もが利用しやすい緑地にするために、自治体が責任を持って緑地を買い取り、維持管理していくべきだと考えます。そのためには、都市緑化支援機構という民間に任せる制度をつくるのではなくて、自治体が緑地を保全できるノウハウや人材を確保できる体制をつくっていけるように、国が自治体に対ししっかり予算を組んで直接支援していく必要があると思いますけれども、国交省のお考えをお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/128
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129・天河宏文
○政府参考人(天河宏文君) お答えをいたします。
今回新たに設けます都市緑化支援機構による特別緑地保全地区の買入れ等に係る支援制度につきましては、土地所有者から大規模な緑地の買入れ申入れに対しまして、地方公共団体から、必要な予算を短期間で確保することが難しいという声や、機能維持増進事業に関するノウハウが不足しているとの声に対応することで創設をするものでございます。
支援機構による支援業務は、地方公共団体からの要請を受け、地方公共団体と支援機構が締結する協定に基づきまして実施をされるものでございます。
支援機構が支援業務を実施するに当たりましては、地方公共団体との意見交換等を適切に実施することによりまして、特別緑地保全地区の管理等に関するノウハウ、これを地方公共団体が獲得することができ、人材の育成にもつながっていくと考えてございます。
また、予算でございますが、社会資本整備交付金に関しまして、これ従来から特別緑地保全地区等の土地の買入れに対する支援はあったんでございますが、これに加えまして、新たに機能維持増進事業につきましてもこれを対象とし、地方公共団体に対する財政支援の充実を図ったところでございます。引き続き必要な予算の確保に取り組んでいきたいと、このように考えております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/129
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130・木村英子
○木村英子君 しかし、既に、やっぱり財源やノウハウを持っていない自治体が機構に任せてしまうわけですから、これからノウハウを習得できるというふうには思えません。
次に、民間事業者の緑地確保の取組を促進していく際の懸念点についてお聞きします。
国は、今回の改正案で、民間事業者が開発事業を行う際に、緑地を造ったり保全する場合に、その取組を評価、認定する制度を設けようとしています。
資料四を御覧ください。
民間事業者による緑地の事例として大手町の森などが挙げられていますが、大規模な開発事業の際に住民の意見がないがしろにされていることによって反対運動が起こるケースが増えています。
資料五を御覧ください。
この記事に挙げられているだけでも、東京都や大阪市、神戸市など、全国で十件の再開発などに対する懸念が示されています。
例えば、明治神宮の外苑の再開発については、高さ三メートル以上の樹木約千九百本のうち七百四十三本が伐採される計画となっており、住民などから反対の声が相次ぎ、二十三万筆以上の署名が集まるなど、大きな反対運動が起こっています。その結果、昨年九月に伐採が開始する予定が延期されましたが、中止されたわけではなく、伐採される懸念はまだ残っています。
また、東京都の日比谷公園の再開発では、樹齢百年を超える樹木が千本近く伐採されることが発表され、多くの住民の反対の声が上がり、五万筆以上の署名が集まっています。
東京だけではなく、神戸市の王子公園では、市が公園全体の約二割を大学に譲渡するために名物であった桜の木などが伐採される予定になり、住民団体の代表は、何度も神戸市に申し入れ、署名も議会の請願も行ったが対応は変わらないと話しており、住民の意向が無視され続けています。
このように再開発によって住民の意見が無視されているという声が各地で出されている中で、資料六のとおり、国の認定項目の中に地域住民等とコミュニケーションを取っているかという項目を入れることが検討されていますが、具体的なことは法案成立後となっており、法案自体には住民の意見を聞く手続の保障が何ら入っていません。
開発事業に対する評価項目も策定されていない中で、住民の意見や利益を置き去りにした開発ありきの法案を進めることは、国交省が掲げる良好な都市の緑地環境を実現するということに反していると思います。本来ならば、法案の中身を具体的に決めてから審議すべきです。
今回の法案において住民の意見を聞く手続がなされていない課題などについて、大臣はどのように解決策を考えているのか、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/130
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131・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 緑地が持つ機能を十分に発揮させるためには、地域住民などの関係者の意見が適切に反映されるなど、地域と調和した取組が進められることが重要でございます。
本法案における民間事業者等による緑地確保の取組に関する認定制度は、必ずしも大規模な都市開発事業を前提にしているものではありませんが、仮に大規模な都市開発事業に伴う緑地の整備等を認定しようとする場合には、都市計画法に基づく土地利用規制等の変更手続として、公聴会の開催や事業案の公告縦覧など、住民の意見を反映させるための措置を経ることが当然の前提となっております。
加えて、事業の計画段階から住民などとコミュニケーションを図ることが重要である、こういう考え方に基づきまして、緑地の認定制度における評価項目として地域住民などとのコミュニケーションについて定める予定としております。具体的には、事業者において緑地確保に関する事業説明会やワークショップ、地域住民等へのアンケートなどを行うことにより丁寧な合意形成が図られているかを評価すると、このように考えております。
このような評価方法によりまして、地域住民などの関係者の意見を適切に反映した緑地確保の取組が進むよう、しっかりと運用してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/131
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132・木村英子
○木村英子君 大臣が今お話しされたことは、結局改正が終わった後ということになりますので、国民の生活や幸福度を向上させるための重要な法案について、毎回具体的な内容が十分に審議されずに、国民の声や懸念点を法の成立後に後回しにするという姿勢は無責任だと私は考えています。国や自治体が提供すべきサービスを民間に丸投げし責任逃れをするのではなくて、国が予算を組んで緑地の保全に当たることが国民の利益を守ることだと思います。
民間に任せることによるトラブルが多い中で、法案成立後に決めるのでは遅過ぎると思いますし、今の大臣の答弁では不安も払拭できませんから、様々な問題を棚上げしている本法案に対しては反対したいと思います。
以上、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/132
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133・青木愛
○委員長(青木愛君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/133
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134・田村智子
○田村智子君 私は、日本共産党を代表して、都市緑地法等の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
第一の理由は、民間事業者の緑地確保の取組に国がお墨付きと資金援助を行うことで、開発事業を一層進めやすくするための仕組みづくりとなっていることです。
法案は、緑地確保事業者が作成する優良緑地確保計画を国土交通大臣が評価、認定する制度を創設するとともに、認定を受けた取組について都市開発資金の無利子貸付けを受けることができるとしています。
現在、東京都などの大都市部において、超高層ビル建設を中心とする都市再開発が次々と行われています。こうした従来の開発事業に国が認める緑地確保事業というお墨付きを与え、国際的な評価を高め、更に投資を呼び込もうというものであり、一部のデベロッパーを優遇し、東京一極集中を更に推し進めるものと言わざるを得ません。
第二は、民間事業者による緑地の機能維持増進事業として実施するための都市計画決定や事業認可の手続を簡素化することは、当該手続における住民の関与を弱めることになります。
公告縦覧して住民からの反対意見の提出がなければ、都市計画審議会への付議を要しないということになります。現行の手続では、計画案を公告縦覧して反対意見が出されなくても、都市計画審議会に付議することになっています。それは、都市計画案に住民の意見を反映させる重要なプロセスだからにほかなりません。
第三に、国の基本方針、都道府県の広域計画は、市町村が策定してきた緑の基本計画の自主性を損ないかねないことです。しかも、国の基本方針は、リニアや新整備新幹線、新東名高速道路などの大型開発を推進する国土形成計画との調和を保つこととされています。
また、法案審議では、現在、神宮外苑再開発など、都市公園や都市計画公園の再開発事業により大量の樹木伐採が行われようとしていることを指摘しても、国交大臣、国交省とも、都市緑地確保と矛盾するという認識すら示しませんでした。
脱炭素、保水能力、ヒートアイランド現象の緩和など、高木の樹木林が果たす役割は極めて重要であり、何十年、百年という年月を掛けて育まれた樹木林の保全は喫緊の課題です。デベロッパー主導の開発、観光やビジネスを優先させた公園の活用から、百年の計に立って開発を規制し、都市緑地を保全する都市計画こそ求められていることを指摘し、反対討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/134
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135・青木愛
○委員長(青木愛君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
これより採決に入ります。
都市緑地法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/135
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136・青木愛
○委員長(青木愛君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、森屋君から発言を求められておりますので、これを許します。森屋隆君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/136
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137・森屋隆
○森屋隆君 私は、ただいま可決されました都市緑地法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、立憲民主・社民、公明党、日本維新の会・教育無償化を実現する会及び国民民主党・新緑風会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
都市緑地法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に万全を期すべきである。
一 国の基本方針を定めるに当たっては、気候変動対応、生物多様性確保、幸福度の向上などを観点とした定量的な指標等を盛り込み、今後の目指すべき都市緑地の姿について具体的に示すこと。また、都道府県や市区町村の定める計画と政策的連携が図られるよう努めるとともに、取組の進捗状況について定期的な把握とその評価を実施し、必要に応じて目標達成のために追加的施策を講ずること。
二 特別緑地保全地区等内の緑地の買入れに当たっては、都市緑化支援機構が国から都市開発資金の無利子貸付けを受けて実施する制度に加え、地方公共団体に対する支援を拡充し、国が直接買入れを実施する制度についても追加を検討すること。
三 機能維持増進事業の実施に当たっては、防災上危険な場所で優先的に実施すること、事業実施後も緑地の状況変化に応じた継続的な対応が求められる可能性があること、地域をよく知る地域住民や有識者などの声に丁寧に対応することなどにも留意しつつ、都市と地方いずれもが、それぞれの地域の実情を踏まえた取組を行うよう、また、都市緑化支援機構が実施する場合においては、これらを踏まえた業務実施協定が締結されるよう周知すること。
四 都市緑化支援機構による機能維持増進事業の対象に、新たに都道府県等が買い入れる土地以外の既に指定されている特別緑地保全地区等も加えるよう検討すること。
五 都市緑化支援機構の指定に当たっては、全国での緑地の買入れや機能維持増進事業の実施を行う法人として全国を通じて一に限ることを踏まえ、その手続過程の透明性を図ること。また、指定を受けた法人が、いわゆる新たな天下り先となることを防止する観点からも、経営体制等の情報公開などを積極的に行うよう指導監督を徹底すること。
六 都市緑化支援機構に対する都市開発資金の無利子貸付けに当たっては、その要望額の根拠となる機能維持増進事業等に要する費用の透明性を確保し、その妥当性について十分検証を行うとともに、全体の事業量を確認し必要十分な予算の確保に努めること。
七 都市緑化支援機構や地方公共団体に限らず、都市緑地の維持管理を行う者として重要な役割を担っている地域のボランティアやNPOなどに対しても、持続可能な活動を行うための税財政上の支援を講ずること。
八 優良緑地確保計画について、認定手続の透明性を確保するため、開発に見合った必要な緑地の割合を示すなど認定審査の基準を明確化すること。また、民間事業者等による緑地確保の取組も重要であることを踏まえ、認定制度の効果的な活用が図られるよう、認定を受ける具体的なメリットを十分に周知すること。
九 都市開発により損なわれる生態系の価値と同等の土地等を確保するミティゲーション制度等の取組について、調査研究や導入の検討を進めること。
十 都市緑地は、その立地上、相続時に宅地開発事業者などに売却されることが多いことを踏まえ、都市緑地の維持や保全を図る観点から、相続時の納税猶予制度の創設や民有緑地の物納許可の拡充など税制面での負担軽減措置について検討を行うこと。
十一 オフサイトにおける整備を含む再生可能エネルギー発電設備等に対する民間都市開発推進機構による金融支援は、他の再生可能エネルギー事業との公平な競争に配慮して、民間資金では実現しえないもの等に限定して行うよう努めるとともに、他の公的支援と重ならない公平なものとすること。
十二 グリーンインフラは、自然を資本として社会資本の整備やまちづくり等に取り入れることで、防災・減災等のインフラとしての機能を発揮するとされ、都市の持続可能性を高めることが見込まれることから、海外の先進事例を参考として、今後、その導入に向けた取組を一層推進すること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/137
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138・青木愛
○委員長(青木愛君) ただいま森屋君から提出されました附帯決議案を議題として、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/138
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139・青木愛
○委員長(青木愛君) 多数と認めます。よって、森屋君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、斉藤国土交通大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。斉藤国土交通大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/139
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140・斉藤鉄夫
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 都市緑地法等の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま可決されましたことに深く感謝申し上げます。
今後、本法の施行に当たりましては、審議における委員各位の御意見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。
ここに、委員長を始め理事の皆様方、また委員の皆様方の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表します。
誠にありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/140
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141・青木愛
○委員長(青木愛君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/141
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142・青木愛
○委員長(青木愛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時四十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01420240521/142
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