1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和六年六月四日(火曜日)
午前十時開会
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委員の異動
五月三十日
辞任 補欠選任
平木 大作君 山本 香苗君
五月三十一日
辞任 補欠選任
山本 香苗君 平木 大作君
六月三日
辞任 補欠選任
藤巻 健史君 浅田 均君
六月四日
辞任 補欠選任
木村 英子君 大島九州男君
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出席者は左のとおり。
委員長 青木 愛君
理 事
青木 一彦君
吉井 章君
森屋 隆君
塩田 博昭君
青島 健太君
委 員
石井 浩郎君
江島 潔君
こやり隆史君
鶴保 庸介君
堂故 茂君
豊田 俊郎君
永井 学君
長谷川 岳君
宮本 周司君
山本佐知子君
小沼 巧君
三上 えり君
河野 義博君
平木 大作君
浅田 均君
嘉田由紀子君
浜口 誠君
田村 智子君
大島九州男君
事務局側
常任委員会専門
員 清野 和彦君
参考人
一般社団法人建
設産業専門団体
連合会会長 岩田 正吾君
全国建設労働組
合総連合書記次
長 小倉 範之君
全国仮設安全事
業協同組合副理
事長
日本建設職人社
会振興連盟副理
事長 小岸 昭義君
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本日の会議に付した案件
○建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化
の促進に関する法律の一部を改正する法律案(
内閣提出、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/0
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001・青木愛
○委員長(青木愛君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日、藤巻健史君が委員を辞任され、その補欠として浅田均君が選任されました。
また、本日、木村英子君が委員を辞任され、その補欠として大島九州男君が選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/1
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002・青木愛
○委員長(青木愛君) 建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
本日は、本案の審査のため、三名の参考人から御意見を伺います。
御出席いただいております参考人は、一般社団法人建設産業専門団体連合会会長岩田正吾君、全国建設労働組合総連合書記次長小倉範之君及び全国仮設安全事業協同組合副理事長・日本建設職人社会振興連盟副理事長小岸昭義君でございます。
この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多忙のところ御出席をいただき、誠にありがとうございます。
皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
次に、議事の進め方について申し上げます。
まず、岩田参考人、小倉参考人、小岸参考人の順にお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。
なお、御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、まず岩田参考人からお願いいたします。岩田参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/2
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003・岩田正吾
○参考人(岩田正吾君) この度は、発言の機会を与えていただき、誠にありがとうございます。
建設産業専門団体連合会、略称を建専連と申します、会長の岩田でございます。
建専連は、建設業における専門工事業団体の連合会組織であり、全国組織三十四団体、五万三千会員を有する、建設現場における主に下請となる業種の連合体組織であります。夏には全国各地を回り、ブロックごとに組織されている各地区建専連とともに地方整備局などとの意見交換会を行っており、地域の抱える問題とも向き合ってまいりました。また、これまでには、民間発注者の方々や役所の方々を始め、いろいろなお立場の方とお話をさせていただきました。そのことを踏まえ、本日は、建設業界の抱えてきた問題を職人の目線で、会を代表し、お話をさせていただきたいと思います。
初めに、日本の専門工事業界の実態について説明いたします。
まず、欧米諸国と比較すると日本の技能者の賃金は大幅に安く、日本国内においても全産業平均値より年収では七十七万円安く、労働時間では六十八時間多く働いている状況であり、若い担い手も、両親や先生と相談し、他産業や地場の元請と比較したときに処遇の悪い専門工事企業に目を向けなくなっており、加速している技能者の高齢化と併せて技能者数の減少に歯止めが掛からない状況となっております。さらに、このことは、円安の傾向もあり、外国人労働者を確保していく上でも苦戦する状況に進むのではと危惧しております。
なぜ専門工事企業が処遇改善に踏み切れないのか、その大きな要因は労務費を含む請負価格が安定しないことにあります。
建設業はこれまで、発注者と元請はもとより、元請と下請の契約にあっても、総額一式契約により決まった金額、工期で収めていくことを正として進めてまいりました。そのことにより、受注者側である元請、下請が協力し、知恵を絞って何とかその金額で収めようと努力し、新たな工法、技術を開発し、現場の生産性を高めてきたのは周知の事実であります。
ですので、総額一式契約そのものを否定するわけではありませんが、仕事量が減ったときには、労務費を含んでいるのにもかかわらず、その内訳を気にしていられなくなり、総額のみにこだわり、黙っていれば仕事が欲しいだろうから下げてくるやろうと、また、下げなければ仕事がもらえないんじゃないかというようなマインドが建設業界の上位から下請まで広がり、その契約行為を進めてきた結果、必要な労務費を削って安値競争の原資に組み込まれるようになりました。それがいわゆるダンピングです。ダンピングは元請だけではありません。下請にもあるわけです。
これまで現場で知恵を出して高めてきた生産性もそのコストに当然のように組み込まれ競争をするわけですから、新たな知恵が出ない限り赤字になります。こうした仕事量の増減に対し赤字にならないようにするために、労務費を固定費ではなく変動費にせざるを得なくなり、直接雇用する職人に対しては固定費を抑えて出せるときに賞与で調整をしたり、下請に外注する場合などは指し値、すなわち自社の経費と利益を差し引いた金額を提示し、それに見合う業者間で競わせるようになり、さらに二次下請も同じように行動することから自然に安値競争へと加速をしていき、結果として重層下請構造を受け入れる体質になりました。これが請負価格の変動に対する我々の知恵であり、生き残るための方策として長年にわたり染み付いてまいりました。
このような状態なので、先を見込んで賃上げした企業ほど調整弁に余裕がなくなり、倒産の危機に直面することになります。その結果が、働いた日数の給与であること、給与が安く不安定であること、通勤時間は長いのに賃金に反映されないこと、休暇が少ないことなどにつながり、処遇改善に踏み切れない大きな要因となっていることは否定できません。技能者の現状は、まさに国がやろうとしている担い手確保のための賃上げや働き方改革の妨げになっているわけです。
このような現状を長きにわたり国土交通省とも協議を重ね、持続可能な建設業に向けた環境整備検討会の場で先生方に議論をしていただき、その提言の下、中央建設業審議会で標準労務費を勧告していただく方向となりました。標準労務費という処遇改善に必要な相場観を示し、不当に低い請負代金による請負契約の禁止と連動した取組に対し、画期的でまさに今必要な法律であると、業界を挙げて大変期待をしているところであります。
このような動きに対し、もらえないから払えないと言ってきた我々建専連会員企業も、もらえたらしっかり払おうやないかということを申し合わせました。そして、CCUSレベルごとの年収を公表いたしました。その目的は、何年働いてこの資格を取れば最低でも年収幾らもらえるんだということをしっかりと見える、キャリアパスを見える化することでした。労務比率の高い職種を中心に、八職種十団体で先行設定いたしました。このことにより、CCUSは入らされていた資格から入りたい資格へと変わり、加入がより加速すると信じております。
また、技能者の賃金を下支えする仕組みには、欧米にはそれぞれの国に応じたものが構築されておりますが、日本はこれまで述べた理由によりできませんでした。しかし、今回の業法改正により、可能となる兆しが見えてくるわけです。また、標準労務費の制度が導入されることで、政府からの賃上げ要請に対応する環境が整備されることになります。働き方改革への対応についても、標準労務費の行き渡りのベースには、月給制を基本として年収を引き上げていくこと、しっかりと休みを確保することなどが前提なので、休むと手取りが減るという否定的な意見はなくなり、休みを取ろうとする意識へ向かうものと大いに期待をしております。
払わなければ人は来ない。払うための準備は進んできております。是非とも早期の本制度の実現をお願い申し上げます。
また、これらの取組をより実効性を持たせるためのお願いを申し上げます。
一つ目は、これらの取組には、申し訳ありません、一つ目は、公共工事はもとより、民間工事においても標準労務費がしっかりと担保されるよう、チェック体制を強固な形に整備していただくことをお願い申し上げます。
二つ目は、これらの取組には民間発注者からの理解が最も重要です。
これまで民間発注者の方々は元下間の問題であると言ってこられましたが、中建審の場において民間発注者委員の方も労務費の価格転嫁はやむなしとおっしゃられました。大変感謝をいたしております。しかし、民間発注者の方も販売価格への転嫁に苦慮されており、既に契約している工事については契約額の範囲内で何とかやり切ってくれという状態にあると聞いております。これでは賃上げに数年掛かってしまいます。
我々も、元請団体と協力し、しっかりと説明をして理解をしていただけるよう汗をかいてまいる所存ではありますが、国からも、数年後では遅い、賃上げ対応が遅れると、標準労務費の創設はもとより、サプライチェーンが一体となって今価格を上げ賃金を上げるんだと、そのようなマインドになるような働きかけを是非ともお願い申し上げます。
その上で、建設業法、独禁法、下請法、労働法など関係する法律を総動員して、不適切な行為には関係省庁が連携をして対処していただくことをお願い申し上げます。発注者の方々に労務費の蛇口を開いていただかないことには原資となる水は流れてこないのです。是非ともお願いを申し上げます。
三つ目ですが、その上で、建設Gメンの立入調査などの指導時に、建設現場の所長や工事長、契約窓口となる方々に対し、プライスを評価する価格のみの競争から、現場での働き方を確認してもらうなど、持続可能性を考えて技能者を雇用、育成する優秀な企業への評価、すなわち質の競争へとマインドを変えていただくような指導内容としていただくことを併せてお願いを申し上げます。我々も、建設業法を身近なものとし、コピーを持って現場と対峙し、交渉の盾として生かして、労務費を競争の原資にしないようお願いしてまいる所存であります。
以上、三点お願い申し上げます。
また、これらの政策が実現した暁には、まずは全産業平均への処遇改善を目指し、これから若い方々に選ばれるために欧米並みの賃金を目指して、技能者が安定した未来予想図の描ける業界へ、また、働いてほしいという業界から働きたいと思えるような業界へと変われるよう一層努力をしてまいります。
最後になりますが、国の賃上げの取組に強く賛同し、深く感謝を申し上げ、また世界に負けない日本づくりをお願い申し上げて、建専連の意見とさせていただきます。
貴重なお時間をありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/3
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004・青木愛
○委員長(青木愛君) ありがとうございました。
次に、小倉参考人にお願いいたします。小倉参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/4
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005・小倉範之
○参考人(小倉範之君) 全国建設労働組合総連合、全建総連で書記次長を務めております小倉と申します。
本日は、このような貴重な機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
私どもは、建設技能者、一人親方、事業主などを組織している団体であります。四十七都道府県にある五十三の加盟組合で構成をされ、全国で約六十一万人の組合員が加入をしている産業別の労働組合であります。
組合員の主な従事先は大きく三つに分類されます。一つは、個人の施主から直に仕事を請け負う町場と呼ばれる現場、もう一つは、ビル、マンション建築や公共土木工事など、ゼネコンなどが元請となっている大規模現場、もう一つは、住宅企業が元請となる現場でありまして、職種は建築大工を始め、配管、電気、とび、内装など、建設業に従事をする方々が幅広く加入をしております。
今般の建設業法等の改正につきましては、技能者の処遇改善、そして建設業の将来を支える担い手確保や育成に資するものであり、持続可能な建設業の実現に向けて不可欠である、そのように認識をしているところであります。
こうしたことから、本日は法改正に賛成の立場で意見を申し述べさせていただきます。
初めに、建設技能労働者をめぐる状況について、基幹統計などに基づいて若干説明をさせていただきます。
総務省の労働力調査によりますと、建設業の就業者数のピークは一九九七年の六百八十五万人でありましたが、二〇二三年には四百八十三万人と三〇%減少いたしました。技能労働者は一九九七年は四百五十五万人でありましたが、二〇二三年は三百四万人となり、建設業就業者の減少率より高い三七%も減少をしております。
関連をするところでは、二〇二〇年の国勢調査の抽出詳細集計結果において、二〇一五年調査と比較をして、左官は一八・七%、大工は一五・八%、型枠大工と土木従事者は一一・二%、鉄筋作業従事者は一〇・九%減となり、他の職種を含めて軒並み減少するという結果になっております。
特に新築住宅やリフォームなどを担う大工については、一九八〇年の九十三・七万人から二〇二〇年には二十九・八万人と、三分の一の規模まで大幅に減少をするなど深刻な状況となっております。平均年齢を見ましても、建設業平均は二〇〇〇年の四十四・五歳から二〇二〇年は四十九・一歳と四・六歳上昇というふうになっておりますが、大工は建設業平均を二・六歳上回る四十七・一歳から五十四・二歳と七・一歳も上昇し、著しい高齢化が進んでおります。
賃金に関してですが、公共工事設計労務単価は十二年連続で引き上げられ、二〇一二年との比較では七五・三%上昇しましたけれども、建設業の生産労働者の賃金推移では二〇二一年の平均年収は四百十七万円で、同調査の二〇一二年との比較では約一六%の上昇にとどまっております。
労働時間でありますが、毎月勤労統計調査によりますと、二〇二三年の産業別年間実労働時間は建設業は千九百七十二時間と、全産業平均の千六百三十六時間と比較をして二〇%多く、三百時間以上も長くなっております。企業規模三十人以上を対象とした就労条件総合調査では、建設業における完全週休二日制の導入割合は四一%でありまして、全産業平均の五三%より一二%も低い水準になっております。
また、新規学卒者の就職状況でありますが、学校基本調査によりますと、二〇二三年の高校、大学等の建設業への就職者は三十九万人で、二〇二一年比で三万人、一〇%減となっております。新規学卒者の職業紹介状況及び新規学卒者の離職状況によりますと、高校の新規学卒者による製造業の求人に対する就職率は五一%、建設業は一四%と低水準になっております。つまり、製造業は求人を出して二社に一社は就職をしてもらえるわけですが、建設業は七社に一社しか決まらないという極めて今厳しい状況になっているということであります。同じく、高校の新規学卒者の三年後の離職率は、製造業は二七%、建設業は四二%でありますので、離職率は製造業の一・五倍ということになります。
今申し上げました各種統計結果につきましては、この間の施策などにより一部改善傾向は見られるものもありますが、全体としては厳しい状況が続いているということになります。
なお、建設業における雇用管理現状把握実態調査の従業員調査では、今後建設業で働き続けるために企業に求めることでは、週休二日制の推進が三二・五%と最も多く、次いで、仕事が年間を通じてあることが二七・三%、仕事の内容に対応した賃金が一八・六%となっております。
こうした中、今回の建設業法の改正案におきましては、労働者の処遇改善、四月から適用された建設業への時間外労働の上限規制、資材価格高騰などに適切に対応するために、適正な請負代金、工期が確保された見積り、請負契約などが規定されました。労働者の処遇改善を建設業者に努力義務化し、中央建設業審議会が労務費の基準として標準労務費を作成、勧告できるようにするほか、著しく低い労務費、著しく短い工期による見積りや見積り依頼の禁止、原価割れ契約の禁止を受発注者の双方に導入することで適切な労務費などの確保や賃金の行き渡りを担保するというふうにしております。
公共、民間工事のいずれにも適用され、下請契約も含めて対象となり、新しいルールが導入をされることになります。工事請負契約を規制する建設業法の中で、国が勧告をする標準労務費を著しく下回る見積り、契約を禁止し、適切な労務費などを確保、賃金行き渡りの徹底などについて、公共工事だけでなく民間工事を含めてルール化が図られることについては、賃金原資となる労務費の削減によるダンピングを防止をし、適切な現場従事者の賃金単価を確保するために有効な方策であるというふうに認識をしております。
また、新たな条文として、公正な評価に基づく適正な賃金の支払、労働者の適切な処遇の確保等の労働者の賃金支払、処遇確保が明記をされました。発注者保護から制定をされた建設業法におきまして労働者の賃金支払、処遇確保等が明文化されたことは、建設業法の体系の中で労働政策、社会政策などの実現を図り、建設工事の適正な施工、建設業の健全な発展を目指す具体的な施策として高く評価できるものと考えております。
そして、労働者が有する知識、技能その他の能力についての公正な評価については、建設業共通の制度インフラである、二〇一九年から官民一体となって取り組んでおります建設キャリアアップシステム、CCUSの更なる活用に向けた具体的な方向性も示されたものと理解をしているところであります。
CCUSにつきましては、二〇二四年四月現在で技能者登録数は百四十二万人、事業者登録数は二十六万社と着実に前進をし、建設技能者の能力評価基準につきましても四十二分野で策定をされ、今後様々な施策を推進する上での基盤が相当程度整備をされたものと認識をしているところであります。
一方、建設業法等の改正が行われた場合であっても、実効性が確保されなければ十分な効果は得られないと考えております。著しく低い労務費の基準となる標準労務費の作成については、早期に相当程度の工種、職種を対象とする必要があり、労務単価の水準につきましては、働き方改革関連法の対応を含め、週休二日を基準として、現場従事者の処遇改善が十分に図ることができる金額設定が必要であります。
著しく低い労務費等による契約禁止の実効性確保については、重層下請構造となっている建設業の元請、下請関係では受注側である下請企業は取引関係上非常に弱い立場に置かれていることを踏まえ、下請現場従事者に不利益やしわ寄せがされないよう特段の配慮が必要であります。
そして、一番重要な事項は、標準労務費が確保され、それが賃金原資として適切な賃金水準が現場従事者の賃金としてしっかり行き渡る、機能する仕組みづくりであります。そのために改正案では、労働者の処遇確保について、国が建設業者の取組状況を調査、公表、中建審に報告をするということにされておりますので、特に適正な賃金が個々の現場従事者に対してしっかりと支払われているかどうかの調査、公表等の徹底が極めて重要であります。
既に公共工事におきましては入契法、品確法等で担い手確保、処遇改善の取組が進められており、今回の入契法改正案ではその取組を更に加速化、牽引する内容であると認識をしておりますが、国だけではなく地方自治体においても取組の周知、強化が必要であります。
今回の改正により、民間工事を含めた建設工事の請負契約における新しいルール化が図られ、標準労務費、適正な工期等が現場施工を担う下請現場従事者まで確保されることは、現場従事者の賃金単価の引上げ、処遇改善、担い手確保、育成、働き方改革対応に必要な施策として極めて画期的なことであり、実効性と迅速性が極めて重要なポイントであると認識をしております。
特に、建設Gメンの体制につきましては七十二人から百三十五人と倍増されましたが、一方で、法律公布後一年六か月を超えない範囲で全て施行するとしていることに加え、建設業の産業規模を踏まえますと多少心もとない感じもしているところであります。このため、適切な効果的な調査、指導、勧告などを実施するためには、来年度以降更なる拡充が求められるのではないか、そのように思っている次第であります。
また、建設業法等の改正は五年前にも行われており、様々な成果があったと承知をしておりますが、今回は前回と同等以上となる改正であり、建設業が新たなフェーズに移行すると受け止めているところであります。こうしたことから、より実効性を高めていくためには、五年前の法改正時を超える徹底的な周知が必要であります。
加えて、若年技能者を始めとした担い手確保においては、処遇改善を図るだけでは必ずしも十分ではなく、建設業への就業の入口部分である教育機関との連携やその意識改革、建設業の魅力を伝えるためのキャリア教育の充実を図るとともに、就業後においては、定着率向上を図るため、資格取得支援や職業訓練の実施など、就業前と就業後の切れ目のない体系的な取組の強化をすべきと考えております。
こうした様々な取組を展開し、丁寧なフォローアップをしていただいた上で適切な効果が得られないようであれば、五年後の見直し規定に基づき、見直しの際は必要に応じて何らかの規制措置の導入についても選択肢としてしなければならないのではないか、そのように思っているところであります。
基幹産業である建設業において建設技能者の減少に歯止めが掛からなければ、社会資本の維持管理、更新のみならず、頻発化、激甚化している自然災害の復旧や復興も困難となり、国民生活に甚大な影響を及ぼすことが懸念されます。他産業との人材獲得競争はより一層激化をしており、屋外作業が基本の建設業において、他産業を上回る処遇の実現はまさに待ったなしであります。また、状況が改善されなければ、建設分野における外国人労働者の確保にも悪影響を及ぼしかねない、そのように憂慮をしているところであります。
今回の法改正を契機として、魅力ある建設産業を実現をするために、私どもとしましても、引き続き先生方の御支援を賜りながら、国土交通省や業界団体とも連携を密に、組織の総力を挙げて取り組んでまいりたい、そのように考えているところであります。
最後に、改正法案の早期成立、施行を期待するとともに、未来の建設業のためにありとあらゆる施策を総動員していただくことをお願いを申し上げまして、発言を終わらせていただきます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/5
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006・青木愛
○委員長(青木愛君) ありがとうございました。
次に、小岸参考人にお願いいたします。小岸参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/6
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007・小岸昭義
○参考人(小岸昭義君) この度は、このような発言の機会を与えていただき、誠にありがとうございます。
当組合は、仮設に起因する労働災害撲滅、職人の地位向上、処遇改善を目指すために、二〇〇〇年に設立した団体となっております。
私の経歴を簡単に申し上げさせていただきますと、十七歳の高校生のときに子供をつくりまして、学校を退学し、職人の世界に入ってきました。私が十七歳のときの建設業、とび工事業は、社会保険、厚生年金もなく、賞与もなく、退職金もなく、もちろん有給休暇なんということもなく、日給で働いてきました。けがと弁当はてめえ持ちとその当時の親方にもずっと言われており、十八歳のときに建設現場で前歯四本を折ったときも、病院代も休みの日当もいただけませんでした。
そういった業界で働かざるを得ないのは自分のせい、すなわち中学校しか卒業していなかった自分のせいだと当時は思って働いておりました。二十一歳で現在の会社をつくって、自分の会社ではそういった思いを従業員にさせたくないという思いで今日まで頑張ってまいりました。
建設業の労働災害の実態は、令和五年の労働災害発生状況から見ましても、小規模な会社の従業員が亡くなっていることが多い。これはずっと続いている問題だとは思いますが、逆に、三百人以上の大きな企業様から死亡事故というのは毎年ほとんどの方が亡くなっておらず、実際に建設現場で亡くなるのは我々みたいな小規模な専門工事業者の会社だと私は思っております。毎年毎年減ってきているのは事実ですが、それでも少なくても毎日一人以上の方が建設現場で亡くなっている。そのことは毎日テレビのニュースでは取り上げられずに、仮囲いの中で起こった事故ということで、我々の仲間が一日一人、一人と死んでいるような状況となっております。
私も、平成三十年から行われた厚生労働省の建設業における墜落・転落防止対策の検討実務者会合の委員として会議に参加させていただきました。
国交省直轄現場、国交省のガイドラインにのっとった、より安全な足場からの墜転落死亡災害は十数年ないと伺っております。公共工事で足場からの墜落、転落、高所からの墜落、転落の災害を防げるデータが残っているのに、なぜ民間工事ではそれを採用していただけないのかというのを、私はその会議の中でもたくさん申し上げさせていただいたのですが、建設職人が感じていることは、結局僕らは死に駒だったり捨て駒だったり、けがしたりもしようがない。目標値で二百人を下回ろう、死亡者下回ろうという話でも、その二百人にも家族がおり、子供がいて、朝行ってきますと言ったお父さんが家に夜帰ってこれないというような状況は、この机上の話だけではなく、実際に建設現場の働いている人たちの意見だということを重く受け止めていただきたいと私は思っております。
設計労務単価も国土交通省様が十二年間連続で上げてくださっているというのは、我々専門工事業者の中でも周知の事実ではございます。ただ、私の周り、北海道から沖縄までいる同じ仲間たちに、十二年連続、実際に私たちが手にするお金が上がってきているよねというような話をしている方は一人もいません。逆に、賃金十二年連続上がっているって、私から問い合わせても、そんなわけないじゃん、そんなはずないじゃん、しかし、国の工事で十二年連続設計労務単価を上げていただいて、私たちに届かないお金というのはどこに行っているんだろうという話にいつもなります。高いところから低いところに水を流していただくにも、途中に穴が空いているところがあったらその水が全て漏れてしまうのじゃないかな。今回の業法改正の中で、賃金の底上げという話もありますが、実際に国が民間の発注者が末端の職人たちに行き届くようにと賃金を上げようと考えてくださって発注してくださっても、実際にその中で末端まで届かないというような事実が起きているということもあると思います。
先月、私は、ベトナムにも自分の会社があるので、ベトナムにも行ってきたのですが、そのときに、日本に外国人技能実習生、今言い方変わりましたが、送り出している派遣先の企業、十数年以上の友人の社長に会ってまいりました。相変わらず日本に行きたい実習生、ベトナムの方は少なくなったという話を聞いたら、いや、ほぼいないですねと、特に建設業は絶対いないです、これお金の問題でもないですと言っていました。それは、日本で高い賃金をもらってでもベトナムの方々は日本に行きたくないと思う理由がある。それがどういったことなのかといいますと、日本の建設業界で行われているような暴力だったり暴言だったり、そういったところで日本で働きたくない人が多い。
また、今ベトナムの若い子たちが夢を持って目指しているのは韓国ですよと。なぜ韓国なんですかと聞いたら、韓国の建設業に行けば最低でも四十五万円から五十万円ぐらい、日本円に直すと、そういった金額をいただけると。もちろん、海外に技術を覚えに行きたいという建前はあるとは思いますが、実際に彼らの望んでいるものは賃金で、その賃金が隣国と比べて半分に近い水準というのは、日本が選んでもらえるという環境ではないんではないでしょうか。
働き方改革、私の会社にも特定技能のベトナムの社員がいますが、社長、土曜日休み困ります、働きたいです。私の会社は月給なんですが、土曜日仕事を出ると休日出勤がいただけるので、土曜日仕事あれば出してください、ゴールデンウイーク要らないです、お盆休み長いです、正月休み長いです。これは特定技能の子、海外の人だけでなく、日本全国の仲間からも聞く話です。今の三十歳以下の小中高、土日休みで授業、学校に行っていた若い人たちが土日休みたいというのは当然のことなんですが、我々四十代、五十代、六十代、そういった土曜日も小学校、中学校、高校と学校に行っていた人たちは、社会に出ても土曜日働いているのが当たり前で、今更土曜日休みになっても家にもいづらい、お金もっと稼いでこいって嫁に言われる、そういった仲間もたくさんいます。
今回、このような機会を与えていただいたときに、全国の仲間に話したら、働きたい人にはせめて働かせてもらえるような環境をつくれないかって言ってきてもらえないかという声を多数いただきました。残業の上限があるからといって、土曜日、日曜日、十代から職人でずっと生きてきた俺がガソリンスタンドで働くわけには、ほかの産業で働くわけにはいかないよ、俺、職人が好きだから職人の仕事やりたいんだと言っている仲間たちがたくさんいることも是非知っていていただきたいと思っております。
建設業に若い人たちがたくさん入ってきたいと、もちろん私も思っておりますが、それには直さなければいけない建設業のあしき習慣もたくさんあると思います。
私も、この二十数年間会社を経営してきて、今までたくさん、元請様からの指し値、建設業法で違反となっている指し値、よその会社が幾らだからおまえの会社は幾らでやれと断れない状況で言われてきたことも多々あります。私は足場の施工の会社を営んでおるんですが、足場の資材を自分で持っており、工期が延びたときにも、自分の資材だから払わなくてもいいだろう、延滞費は要らないだろうと言われて、使用していただいた足場のお金もいただけなかったことも多々あります。
ほかの産業でこういったことが考えられるのでしょうか。レンタカーを借りたとき、一週間借りる、出張が延びてしまい二週間借りたときに、一週間分は想定していなかったから払わないと言って、そのままで過ごされるんでしょうか。でも、建設業は、毎日当たり前のようにそういったことが行われているのも建設業の実態だと思います。その実態直さずに、今の若い人たちがこの産業に入ってきてくれるとは到底思えません。
我々のそういった声を吸い上げてくれるようなところがあればなという話もいつもしております。それがホットラインだったり、建設Gメンだったり。建設Gメンにおかれましては、今年から多くの人員を増やしていただいたと聞いております。そういった人たちに、我々建設業の中でいう弱者が本当に不当な扱いを受けたときに助けを求めるようなところが、また、なぜそういったときに助けを求められないのかといったら、建設業特有の、今後仕事を出していただけないとか、あそこの会社はもう駄目だと赤札みたいなものを出されるような環境だと思います。
そういったことが、弱者の声が届いて、そういった不当なことをやった会社が罰せられたり、注意、勧告を受けたりするような環境で、そういったことがしづらいような建設業にしていただければ、我々もやっていないお金をいただこうとしているわけじゃありません、せめて、自分たちが仕事して、動いて、働いて、その分ぐらいのお金は正当に払っていただきたい、そうすれば少しでもこの建設業が良くなるんじゃないかなと思っております。
建設業の改正、建設業法の改正により賃金が上がり、本当の意味でこの建設業という産業が働きやすく、若い人たちが本当に入りたいと思うような産業になり、また、このような災害の多い国で重要な基幹産業だと思っております、我々が日本を守るような立場になれることを心より祈念申し上げて、私たちからの発言とさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/7
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008・青木愛
○委員長(青木愛君) ありがとうございました。
以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
これより参考人に対する質疑を行います。
なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/8
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009・山本佐知子
○山本佐知子君 ありがとうございます。
本日はお忙しい中、三名の参考人の先生方には貴重な御意見をいただきまして、誠にありがとうございます。大変現場の切実な声、非常に身につまされるようなお話もたくさんいただきまして、今日は本当に有意義な時間をいただきました。ありがとうございます。
本法案改正によりまして、建設業界で働く人々の皆さんの労働条件が改善され、人手不足が一刻も早く解消されて、そして若い方も希望の持てる、そうした業界になることを願ってやみませんが、法案成立後も運用面でも現場に実効性があるものにしなきゃいけない、そう考えております。
今日は賃上げのお話たくさんいただきました。今国会でも、賃上げの実現とまた価格転嫁は、業界にかかわらず、岸田政権の最も重要な、最重要課題として取り組んでいます。今日は、そうした皆様に、それぞれのお立場で本法案の意義又は労働条件の改善に向けた具体的な取組について御意見をいただきたいと思います。
まず、岩田参考人に伺います。
事前のこの資料であったり、そして今日のお話の中でも、岩田参考人は、民間工事において標準労務費がしっかり担保されるようチェック体制を強固なものにしてほしいと繰り返し訴えられています。私も全くもって同感です。
私も一昨年から国土交通委員会所属しているんですが、以前のこの委員会の質問でも、建設業の民民契約の片務性について指摘をしたことがあります。標準契約約款の積極的な採用の後押しなど、やっぱり国が、民間発注者、発注者は必ずしも建設業とも限らないときもありますので、もっと働きかけをしない限り適切な労務単価や適切な工期の実現は難しいということをそのとき申し上げました。
今国会、今回の法改正では、標準労務費が作成されます。そして、そうした労務費が確保できないような著しく低い労務費での見積りは禁止されます。そして、違反発注者に対しても勧告、公表の対象になります。また、今非常に問題になっておりますが、資材高騰が生じた際には契約内容の変更に応じる努力義務が発注者にも課せられます。
今回の法改正では、工期ダンピングは受注者にも禁止義務を負うことになるんですけれども、そもそも、工期ダンピング、その不当な工期、もっと短くやれというようなことは今までも発注者には禁止されておりましたが、それでもやっぱり発注者から受注者に対して圧力はあったということは聞きます。
今回の法改正で、発注者の法的責務あるいは社会的責務に対する考え方が私は一歩進んだんじゃないかなと思うんですけれども、果たしてこれで十分なのか、あるいは現場の御意見も踏まえて岩田参考人のお考えを伺えればと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/9
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010・岩田正吾
○参考人(岩田正吾君) まず、今までは、民間工事においては設計労務単価というものも参考にはされなかったんですね。国が調査をして、これぐらいですよという価格も、結局、総額を決めると、それと総工期を決めるという行為が最優先でしたので、それを決めた後に、業者に、工期については何日という割当てがあって、お金についても、上から順に経費と利益を取って下に、予算を作ってこれなんだと。で、それに見合うようなこれぐらいの金でないと見積り持ってきても話にならないよというようなことで、我々は、その結果、新しい知恵を出して生産性を高めてきたという側面もあるんですけれども、総額でやるということにもう慣れ切ってきたわけですね。今回、それでは、労務費もそこの中に含んでいますので、労務賃金をなかなか上げれないという現状がございますので、一つの相場観を示すということがこの標準労務費の役割だと思いますので、第一歩まず前進をしたと思います。
その上で、我々が対峙するのは、元請さんはやっぱり発注者、民間発注者の方と対峙をして理解を得るためにアクションを起こしていかれると思うんですが、我々職人は現場の所長なわけですね。その所長に対して、ここの現場、例えば国が標準労務費で歩掛かりがこれぐらいですよというものを示したとしても、この現場は違うじゃないかと、建物が種類が違うというような話になるわけです。ここはやっぱりプロとプロ同士で、生産性を競うというか、これぐらい、ここの現場は、じゃ、これぐらいですねというものが一つの基準が示されるので、国の方から、我々とすると非常に交渉がやりやすいと。
じゃ、それを全て全部守れということが適用できるかというと、これも一年半後ぐらいでしょうか、施行されるのが、ですので、時間は掛かっていくと思うんですが、もう我々の業界からすると大きな一歩だと思います。歴史的な転換期ぐらいの気持ちでおります。
これは、我々も汗をかいて、現場の所長と一緒に生きてきましたので、敵ではありません、建設業界のサプライチェーン全体でやっぱりやるべきだと思いますので、そういう意味でマインドを指導していただきたいと。気持ちを変えていって、価格を上げて賃金を上げていく、それを払えるぐらいの価格を、全体国民の所得を上げるという方向に国が向き始めたので、我々は大きな第一歩だというふうに理解をしています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/10
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011・山本佐知子
○山本佐知子君 ありがとうございます。
この例えば働き方改革を始め、建設業の中でもこうしたやっぱりその構造変化をしていこうという動きはここ数年前からあったわけですけれども、この発注者もやっぱりそういった動きを理解をしているというか、マインドどうですか、今ちょっとずつ変わりつつはありますか。これから、まだまだ不十分だとは思いますけれども、現時点ではどこまで、どのぐらい変わった意識を発注者は持たれていらっしゃるのか。
今までだったら、例えば上げてくださいと言っても本当にもう駄目という感じだったと思うんですけれども、そういったところは少しずつ柔軟に対応し始めているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/11
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012・岩田正吾
○参考人(岩田正吾君) 中央建設業審議会でも、労務の価格転嫁についてはやむなしと、それまでは元下間の問題で、総価一式で決めてきたので、それは元下間の問題だといって問題を切り分けられてこられたんですが、でも、労務の価格転嫁についてはやむなしということをおっしゃられましたので、意識は少しずつ、やはり持続可能性を考えたら変わってきたんだというふうに理解しています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/12
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013・山本佐知子
○山本佐知子君 どうもありがとうございます。
次に、小倉参考人には、技能労働者の教育、育成の観点から伺います。
若い技能労働者が離職する、あるいはなかなか入ってこれない背景には、将来のキャリア展望が描けない、自分の職務内容に対して実際のもらっている給与との乖離があるのではないかという理由も少なからずあると思っています。
さきの衆議院の参考人質疑では、この建設キャリアアップシステムの普及がまだまだ道半ばなんじゃないかというお話が多かったと思いますが、労働者の知識や経験を公正に評価して、そして適切に賃金に反映させていくという、こうした仕組みの強化がなければ、やっぱり労務費を上げても実際に労働者に恩恵は行き渡りません。
私の地元の建設労働組合でも、建設キャリアアップシステムの勉強会よく開催されていまして、私も見学に行ったことがあります。皆さんかなり熱心に受講されていましたし、建労さんも積極的に普及推進していただいていることに感謝を申し上げます。こうしたシステムを普及させて各自が持つスキルの見える化を図ることは、建設業界全体の人材育成機能の底上げにもなりますし、若者に就業してもらうためにも必要と考えます。
こうしたキャリアアップシステムや職業訓練のプログラムの中で、若者層を育てる上で、今の仕組みに足りないことであったり課題などがあればお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/13
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014・小倉範之
○参考人(小倉範之君) 先生から御質問ありがとうございます。
まず、CCUS自体でありますけれども、大きな柱は、賃金引上げを含めた処遇改善とは担い手確保、育成というところになろうかというふうに思っております。特に賃金の部分で申し上げますと、今、CCUSでは能力評価基準に基づくレベル判定というものが行われておりますが、現状四十二分野でありまして、更なる拡充が更に必要になってくる。さらに、レベル判定率は七%にとどまっているということでありますので、これをしっかり向上させていくということが非常に重要だというふうに思っております。
現状におきましては、ゼネコンの現場などにおきましてはレベルスリー以上の判定を受けている職長クラスについては日額二千円あるいは三千円という手当が支給をされておりまして、今後こういったものがしっかり、他の分野含めて、町場を含めて浸透させていくというのが非常に重要だというふうに思っております。
特に、今、建設業界、非常に大きな変化の時代を迎えておりますので、未就業者を含めた学生を中心に、建設業は今どういう変化があるのか、こういったものをキャリア教育含めてしっかり周知を図っていく、それが非常に重要だというふうに思っているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/14
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015・山本佐知子
○山本佐知子君 ありがとうございます。
それでは、小岸参考人に伺いたいと思います。
非常に多くのポイントを御指摘いただきましたが、ちょっと時間がどれだけあるか分かりませんので、まず最初におっしゃられました安全確保の観点から伺います。
今、建設、建築現場はもちろんですけれども、本当にニュースで、例えば電気工事とか製造業の現場でもたくさんこの命に関わる事故の報道が後を絶ちません。背景には、適切な訓練が十分ではなくて、そして経験も、経験値が不足しているんじゃないか、そういう指摘もあります。また、近年は暑さのための熱中症対策も業界としても大変重要だと思います。こうした痛ましい労災事故を防ぐために、本当に各企業の皆さん大変な努力をされています。
安全対策は他の法令や省令、ガイドラインでも定められていますので、今回の法改正で直接というわけではないと思いますが、この労働環境改善と安全対策の関係性について御意見があれば伺いたいのと同時に、この安全対策の費用負担ですね、これは発注者、受注者共に考えていくべきだと思います。小岸参考人も資料の中でも御指摘いただいておりますけれども、具体的な、例えばルール作りの必要性など、御意見があれば是非伺えればと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/15
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016・小岸昭義
○参考人(小岸昭義君) 御質問ありがとうございます。
私の会社でも毎年新卒者が入ってくるんですが、なかなか建設業の今の小規模の事業所であると、未経験者たちになかなか指導する機会が少ない。現場での指導になってしまうとどうしても作業優先になってしまい、安全を確保したまま指導するのが難しい。私としましては、そういった若年者や外国人の経験の浅い方たちには、助成金とかを出してでも教育センターとかで教育していけるような環境づくりも必要なのかと思っております。
また、先ほど申し上げられていた発注者や元請さんの負担とありますが、それはやっぱり現場現場で元請さんも発注者さんも替わってしまうので、そこを発注者さん、元請さんに負担というのは、今の現場をやっている間はうちが負担してもいいけど、もう翌年になったらうちの仕事をやっていないんだから関係ないんでしょと言われかねないと思うので、そこは少し難しいのかなと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/16
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017・山本佐知子
○山本佐知子君 どうもありがとうございました。終了いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/17
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018・森屋隆
○森屋隆君 立憲民主・社民の森屋隆でございます。
本日は、岩田参考人、小倉参考人、そして小岸参考人、御説明ありがとうございました。
説明を聞いていましてまず感じたのが、四月にこの委員会の中で物流の法案、働き方改革関連法の中で物流の法案を審議させていただいたんですけれども、この構図が、下請の構図、あるいはその働き方、賃金の在り方が非常によく似ているなと感じたところでありますし、長年の、何というんですかね、慣行というんですかね、業界のその慣行によって、あるいは、デフレの中で安く、安くということが先行してきた中で、サービスというか、何かいろんな意味で過剰になってきて、それで結果的にはそのしわ寄せが働いているところに及んでいたんだと、こんなふうに感じましたし、さらに、小岸参考人からは、安全面、亡くなる方も実際にいるということで、本当に、建設業ですから、一歩間違えばそれこそ大きなけがや命を落とすような、そういった危険な仕事だと思います。それが、全産業より本当に低い賃金、あるいは休みもなかなか、週休二日もない中で行われていると、これはやっぱり改善しなくてはならないと思います。岩田参考人からも、画期的なある意味法改正ではないかというふうに言われたかと思っています。
そんな中で、ストレートにお聞きしたいのは、これ三名のまず参考人の方々にそれぞれの立場からちょっとお聞きしたいと思いますけれども、政府もこういった実態があってそれは変えていかなければいけないということなんですけれども、結果的には、その労働力であれば、今まで行われていた労働力が、誰かが週休二日にすれば補わなければならないですし、最終的に働いている労働者の賃金を上げれば、その負担は、お金的な負担は誰かが負担しなきゃならないことに当然なるんですけれども、今回の改正案で、未来に前向きな新3Kというんですかね、政府が呼んでいるんでしょうか、年収は全産業、まずは全産業と肩を並べる、岩田参考人が言うには、七百万以上取れるような産業にしたいということだと思うんですけれども、そして月給制だと、さらには週休二日制の実施をすると、そして、課題でもあります、物流もそうでしたけれども、働いている人が高齢化しているということで、若者が入ってくるような魅力ある産業にするということなんですけど、今回の法案で、先ほどあったように、民間事業がありますから、当然、その民間の理解が当然必要だと思いますし、あるいは、チェック機能を果たしていかなければ、やはりうちは安くやるよということがあると思いますけれども、今回の法案で、お願い事三点ほどあったと思うんですけれども、これ三名の方にお聞きしますけれども、まず全産業と同じ年収になる、あるいは週休二日をこれできるというのは、例えば二年後なのか三年後なのか、いや、このままでは実効性が担保されたとしてもなかなか難しいんだというような感覚がまだあるということなのか、どちらか分かりませんけれども、どちらかだと思うことについての理由をそれぞれお聞きをしたいと思っています。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/18
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019・岩田正吾
○参考人(岩田正吾君) まず、その実効性の部分というのは、我々も多岐にわたるお客様と取引をしておりますので、例えば、このお客様は、じゃ、やろうと、その代わり人を集めてこいよというようなことになったとしても、全体のシェアの何%かということによるわけですよ。こちらのお客様はやってくれないということになると、全体の、例えば五〇、五〇だと半分ぐらいになってしまうという可能性も出てきますので、まず私は、まずこの制度ができたことによって、先ほども申し上げましたけど目安ができると。あとはやはり、これはもう国民全体だと思うんですけど、もう賃金が安過ぎるんだと、だから賃金を上げていこうということのマインドが醸成されてくれば、当然、賃金が上がってきたら価格が上がるのも当然だと、どちらか、鶏か卵だと思うんですけれども、そういうような機運に向かないと非常に難しいと。
その上で、価格は上がっていくと思うんですが、それで最後申し上げましたけど、我々も汗をかいて努力をして、一生懸命話は、相談はしていくんですが、やっぱりいろんな多方面から、国もそうですし役所もそうですし、いろんな形でそういう方向にマインドを向けていっていただきたいな、そうすることによって全体が上がってくるというふうに理解していますので、我々も腹くくっていますので、一年、二年ですぐにそうなるというふうには思っておりませんので、次世代のことを考えて今やるべきだということでスタートしたばかりだという理解をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/19
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020・小倉範之
○参考人(小倉範之君) 今回の改正によりまして新3K本当に実現できるのかと、こういった御指摘であったというふうに思っております。
まずは、不確実性がありつつも、実現は十分可能だというふうに思っております。そのためには、先ほど来話をさせていただいていますが、今回の法改正に伴う運用面、その実効性がしっかり担保できるかということと、先生も御指摘ありましたけど、その民間分野ですね、特に例えば住宅分野はそこに該当すると思いますが、サプライチェーン全体の理解と対応、こういったことは不可欠であるというふうに思っております。
特に民間分野で申し上げますと、そういった賃金あるいはその単価自体の引上げについて、しっかり社会的な機運をしっかり高めていかないと理解が得られないというふうに思っておりますので、そういった施策を含めて今後必要になってくるだろうというふうに思っております。
それから、若年者の確保という視点の御発言もありましたが、やはり確保していくためにはその収入と、収入の増と休日の確保、これが最重要課題である、そのように思っているところであります。
今回の法改正の中では、その実現のために必要な施策については盛り込まれているというふうに思っておりますので、様々なその取組を水平展開することで何としても実現をしていかなければいけない、そのように思っているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/20
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021・小岸昭義
○参考人(小岸昭義君) 私も実効性の部分では可能だと思っています。大きな理由としましては、人手不足が顕著に起きているので、人手が足りないということは何かを変えなきゃいけないという危機感は全ての方の共通認識だと私は認識しております。
ゼネコンさんや大規模の現場に関しては、どんどん変わっていける、今回の業法の改正で変わっていけるとは思うんですが、毎回、安全衛生規則の改正等の場合でもそうなんですが、やはり町場とか小規模な現場に関しては、施行されてから三年後なのに全く誰もやっていない。何でやっていないんですかと聞いたら、えっ、そんなことあったの、知らない。せっかくいいことが起きてもなかなか、その発信するというのが、国、今の若者に難しいのかと。SNSだったり、ティックトックとかインスタグラム等、今の若者たちが見て、えっ、こういうふうに、えっ、建設業法変わった、えっ、うちの社長知らないんじゃないの、そういったような形等も含めて検討していただければ、もっともっと広がっていくのかなと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/21
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022・森屋隆
○森屋隆君 ありがとうございます。
社会的な理解、全体的な理解と、あとは業者も含めた認知度ですかね、その小さいやっぱり事業者さんがそういったルール変わったことがやっぱり分かっていなかったり、そんなことがあるということなのかと思います。ありがとうございます。
更に三名の方にお聞きしたいと思います。
一人親方の問題なんですけれども、今回の法改正も、その中でも一人親方のことも触れているんですけども、一人親方のところを、今回のこの法改正にプラス加えるとしたら、今回の法改正で全部網羅されているよということであればいいんですけども、この一人親方の問題で、ここは付け加えた方がいいだろうということがあったら教えてほしいのと、それとあと、この建設業におけるその元請、下請、さらに二次下請とかとあると思うんですけども、この支払方法で、特に小規模事業者に対して完全現金で支払っているところが八一%で、労務費が現金、先ほど言われたように、材料費というのは手形で支払っているというところが一一%ほどあるらしいんですけれども、この手形支払での問題点、なかなか現金化できないということがあるのかもしれませんけども、その実態がもしあればお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/22
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023・岩田正吾
○参考人(岩田正吾君) まず、一人親方についてですけども、一人親方の問題については、正直、一人親方でやらされているという方と、一人親方でしかやらないんだという方とがおられます。ですので、ごっちゃにするとちょっとややこしい議論になるかと思うんですが、一人親方も、お金を上からはねられてやらされているという方からすると、今回の法改正で非常に前向きになられているんではないかなと思いますし、一人親方でしかやらないという方については、それはもう個々の、自分の技量で飯を食っているんだからそんなものを決めてもらわなくていいんだという方もおられることも聞いております。
ですので、一人親方については、一人親方の基準といいますか定義といいますか、そこら辺のところを、既にもう国交省の方も動いておられますけども、あれをもう少し幅広く周知をしていただいて、そういう意味で、業界はこういうふうに向いていっているんだということで、選択する余地をたくさん増やしてあげればなというふうに思います。
あと、済みません、もう一点、(発言する者あり)あっ、手形ですね。
手形については、相当改善はされてきていると思います。ですので、今が適正かどうかというとなかなか難しい問題もあろうかと思いますけども、これも同じように併せて周知をどんどんどんどんしていって、手形ではなく現金化という形で、これはお客様もそういうふうにしていかないと、お客様だけ手形でもらって下に現金というようなことはリスクになっていくと思いますので、業界全体で取り組むべきだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/23
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024・小倉範之
○参考人(小倉範之君) 一人親方の関係でありますが、工事請負契約を締結をして事業活動をしているということもありますので、建設業法の適用と当然なってくるということになりますから、法改正による一人親方の適正取引、処遇改善等が推進をされることが期待をされると認識をしているところであります。
また、この間、国土交通省において、建設業の一人親方問題に関する検討会、こういったものが設置をされておりまして、規制逃れを目的とした一人親方対策及び一人親方の適正取引の推進に向けた取組、こういったものが取りまとめをされております。
また、先月、政府の規制改革推進会議において、建設業で働く一人親方などを保護するために、労働者性の判断基準の明確化の検討を本年度に開始をすると、こういった報道がされたというふうに承知をしております。今回の業法改正とも間接的に関連をしている部分があるというふうには思いますが、課題解決の効果はあるんではないかというふうに思っているところであります。
それから、手形の関係でありますが、国交省の通達によりまして、労務費相当分については現金払にすると、こういった指導がされているというふうに承知をしております。手形払いについては少ないと認識をしておりますが、御指摘のとおり、ゼロではないということであろうかというふうに思います。
一人親方は、工事代金として報酬を受け取る関係から、標準労務費部分の現金払、支払サイトの短縮など、一人親方に配慮をした運用、こういったものも必要になってくるんではないかというふうに思っているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/24
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025・小岸昭義
○参考人(小岸昭義君) 一人親方問題につきましては、逃げ道になっているような部分も我々の業界だとあります。社員として雇用してしまったときに、残業代の上限だったり、通勤費というのも社員だと払わないといけない。請負という名の下で低賃金で働かせているというようなのも我々の業界だと多数ある。また、夢を持った若い人たちが、今日から君も社長だと、あしたから一人親方宣言すれば社長だということで、その分、労災が適用されなかったり、デメリットは説明されずに一人親方に勧められて入っているような方々が多いのも事実かなと思っております。また、企業の社会保険だったり、そういった費用を軽減させるためにも一人親方を勧めているような会社もあるというのも聞いております。
手形の件に関しましては、もう年を追うごとにどんどんどんどん減ってきて、昔でいいましたら、本当に労務費すら手形、労務費は基本、原則三十日以内だと思うんですが、それでも九十日の手形の中に労務費も入っていたりもしたのですが、最近はほとんど手形というのはなくなってきている現状だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/25
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026・森屋隆
○森屋隆君 ありがとうございました。終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/26
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027・塩田博昭
○塩田博昭君 公明党の塩田博昭でございます。
本日は、三人の参考人の皆様方に大変貴重な御意見を賜りまして、大変にありがとうございました。本当に現場における重要な課題を一つ一つ丁寧に教えていただきまして、ありがとうございました。
私からは、本年一月に起こった能登半島地震のことを考えましても、地域の建設業者による道路の復旧などの応急対策が実施されているわけでございますけれども、要するに、災害が今頻発、激甚化をする中で、我が国において災害時の対応強化というのはやはり急務であると思っております。やはり地域の守り手として重要なこの建設業、持続可能なものとすることは重要な課題であると、このように思っております。
そこで、まず建設業における働き方の現状についてお伺いしたいと思うんですね。
平成三十年に成立をした働き方改革関連法によりまして、全業種に時間外労働の罰則付き上限規制が導入されまして、平成三十一年四月から施行されております。建設業については、長時間労働の背景に業務の特性や取引慣行の課題があることから施行が五年間猶予されたために、今年、令和六年四月からの適用となったわけでございますけれども、猶予されたこの五年間で、令和元年の新担い手三法の改正による措置を始め、工期の適正化や週休二日を確保するなどの取組について様々な対策が取られてきております。
これらによって建設業における労働時間は減少傾向にあるものの、年間の出勤日数は全産業と比べて十二日多く、年間の総実労働時間は全産業と比べて六十八時間長い状況にございます。また、残業時間についても、令和五年一月の時点で、月当たり平均残業時間が四十五時間を超えているとした建設業者の割合が、技術者については一三%、技能者については五%と、このようになっております。
本日参考人として御出席いただいた岩田参考人が会長を務める建設産業専門団体連合会が行った調査において、時間外労働の罰則付き上限規制の原則である年三百六十時間を雇用する技術者の平均で超えた企業は一二・九%、技能者の場合は一二・一%であり、上限規制の遵守は困難とした企業は二一・二%とのことでございました。
そこで、この五年間の猶予期間で取られた対策に対してどのように評価をされておられるのか、また、残業時間の上限規制が適用された本年四月以降、建設工事に従事される技術者また技能者といった方々の働き方は変化してきていると感じていらっしゃるのか、三名の参考人にそれぞれお伺いをしたいと思います。では、岩田参考人からお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/27
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028・岩田正吾
○参考人(岩田正吾君) この五年間の猶予があったんですけど、正直、休みを取るだとか働き方を変えていくということについて、実際に費用が掛かることです、ですので、この標準労務費のこの議論が五年前であればできていたんではないのかなというのが率直な意見です。
ですので、これまでこの費用について、掛かるお金についていろんな声はあって、それを聞いていただいてどうするかということだったんですが、その集大成がこの標準労務費に懸かっているという理解をしておりますので、これから職種によって、そのデータについてもですね、全体の平均を取るとその一二・何パーになりますけど、特定職種については相当負担が掛かっていくんだろうなと。それもありますし、特殊な工種、例えば生コンクリートですとか揚重機ですとか、移動時間もその労働時間に入るんではないかと言われる業種については、現場の施工サイクルが大きくこれから変わっていくと。
当然、これ、二年ぐらい前ですか、から建専連も全国を回っておりますので、整備局との意見交換会で、施工サイクルが変わること、また、それによって予算計上、お金が変わっていくということについても声を上げてまいりましたし、大きく施工サイクルが変わらなければいけないというふうに理解していますので、その上で、それに対する費用もまた掛かっていくということですから、そこに向かうんだと、何回も申し上げますけど、向かうんだというマインドをつくっていかざるを得ないなというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/28
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029・小倉範之
○参考人(小倉範之君) 時間外労働の上限規制の五年間猶予をどう考えるのか、そういった御視点の御質問だったというふうに思います。
この間、国土交通省あるいは厚生労働省による周知、そこに加えて、私どもの団体としましても、加盟組合や業界団体と連携をして、学習会の開催やパンフレットの作成、頒布など、可能な限り対応は図ってきたというふうに思っているところであります。
こうしたこともありまして、問題意識のあった事業者については対応が図られてきたものと、そのように認識をしておりますが、当然そうではない事業者の方も一定数、現状においてもあろうかと思いますので、労働関係法令がしっかり遵守をされるよう引き続き取組を強化をしていく必要があるのではないかと、そのように思っているところであります。
また、四月以降の変化でありますが、現状におきましては、余り月数が変化をしていないということもありまして、その影響についてはまだ声として届いてはおりませんけれども、一方で、日給月払労働者としては収入は減少するという意見がこの間多く寄せられているのは事実でありまして、こういった実態について、七月以降、実態調査をする方向で現状検討しているところであります。
なお、私どもの調査では、建設技能労働者の給与形態は日給月払が六割、固定月給制が四割という状況であります。二、三十年前は日給月払が七、八割程度占めていると、そういった状況でありましたので、かなり固定月給制が増えてきているという印象であります。
いずれにしましても、働き方改革の対応をしっかりしなければ担い手確保に対しても支障を来しかねない、そのように思っておりますので、しっかりそういった対応を進めつつ、現場労働者の賃金が結果として減少することがないよう政策的にも是非支援をお願いをしたいと、そのように思っている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/29
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030・小岸昭義
○参考人(小岸昭義君) まず、猶予期間の話なんですが、たしか平成二十四年に建設業の社会保険、厚生年金加入ということで、そのときもたしか五年猶予をいただいたかと承知しております。平成二十九年の四月までに建設業も社会保険、厚生年金に皆さん入ってください、入らないと現場に入れなくなりますよということがあったと承知しております。
そのときもそうなんです、今回もそうなんですが、建設業の悪いところだと思うんですけど、その五年間は入らなくてもいい期間というような風潮がどうしてもありまして、早く取り組んだ者がばかを見るような、もちろん社会保険、厚生年金でも給料額の一六%近くを企業負担するわけですから、それを五年前にやった人とぎりぎりで滑り込んでセーフだった人だと経費の金額も全然違うと思います。今回の件も、そういったところ、猶予期間をぎりぎりまで入らなくていい期間ということで動いていない方が多かったように私としては感じております。
また、これ、今後ですが、今後は大企業の方から変わっているような実感は私も周りの全国の仲間からも聞いております。ただ、いつもどおり、町場だったり小規模の現場に関しては、こういったことが、業法が改正された等の事実も知らない方が多いので、なかなか変わってくるのには時間が掛かっていくんじゃないかなと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/30
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031・塩田博昭
○塩田博昭君 ありがとうございます。
今、様々具体的に教えていただきましたけれども、建設業の働き方改革は現状でもまだ十分ではないということだろうと、このように思います。
こうした建設業の現状を踏まえて、建設業が持続的に発展していくための方策について中央建設業審議会・社整審の基本問題小委員会で中間取りまとめがなされて今回の法律案の提出に至ったと承知しておりますけれども、今回の法律案には、建設業における働き方改革や、適切な労務費の確保と行き渡りといった建設労働者の処遇改善に資する内容が含まれていると思います。
今回の法律案の内容で建設業の持続的発展に寄与すると考えておられるもの、最も期待している内容について、三名の参考人にお伺いしたいと思います。岩田参考人、小倉参考人は小委員会の委員として中間取りまとめに携わっておられますので、小委員会の議論も踏まえて併せてお聞かせいただければと思いますが、ちょっと時間が余りございませんので、コンパクトに、済みません、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/31
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032・岩田正吾
○参考人(岩田正吾君) 私は、もう全力で標準労務費と言わせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/32
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033・小倉範之
○参考人(小倉範之君) 今回の法改正の中でやっぱり重要なのは、標準労務費の関係であるというふうに思います。
その上で、少し具体的に申し上げますと、金額設定の基準とその妥当性、行き渡りの実態調査と公表、適切な指導、勧告等の実施、これらがいずれも欠けることなく、機能的かつ実効性が確保される制度として運用されることが必要不可欠だというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/33
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034・小岸昭義
○参考人(小岸昭義君) 私も労務費の部分だと思います。労務費が末端の作業員まで適正に行き渡るようにしていただくことが今回一番重要かなと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/34
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035・塩田博昭
○塩田博昭君 ありがとうございます。
余りにもコンパクトに答えていただいたものですから、じゃ、もう一問、これもコンパクトにちょっと答えていただければ何とか時間内に収まるのではないかと思いますが、ありがとうございます。
法の理念がどれだけすばらしくても、それが実効性ある制度として運用されなければ、結局法律そのものが単なる絵に描いた餅になってしまうと。今述べられた法律案の内容について、どのようにすれば実効性を持たせられると考えられるのか、各参考人の御所見を伺うとともに、運用に際しての政府に対する要望があればお伺いできればと思います。じゃ、岩田参考人からお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/35
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036・岩田正吾
○参考人(岩田正吾君) 何回も重ねてになりますけれども、やっぱり国民、民間発注者というよりも国民の賃金を上げていくんだというその機運づくりを是非とも国にリーダーシップを持ってお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/36
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037・小倉範之
○参考人(小倉範之君) 実効ある運用というところで申し上げますと、建設Gメンのその体制をどうしていくかというのが非常に重要だというふうに思っております。
先ほども物流関係の比較がありましたけれども、例えば、トラックドライバーって七十万人いるわけですが、建設技能労働者は三百万人。トラック運送事業者は四・二万人で、建設業許可業者数で四十七万人。トラックGメンは百六十二名いるわけですけれども、建設Gメンは百三十五名ということでありますので、産業規模を考えると、やはりしっかり拡充をして適切な対応をできるような体制を構築をするということは必要に重要だというふうに思っているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/37
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038・小岸昭義
○参考人(小岸昭義君) 私も建設Gメンやホットラインの充実を望んでおります。先ほど来申し上げているとおり、当たり前にやったお金すら当たり前にもらえないのが建設業だと何十年も肌で実感してまいりましたので、当たり前にやったお金ぐらい当たり前に払っていただけるような環境づくりが重要かなと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/38
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039・塩田博昭
○塩田博昭君 ありがとうございます。
今、三名の参考人の皆様からお述べいただいた課題、しっかり前に進められるように、次、また法律の審議の中でしっかりただしてまいりたいと思っております。どうかよろしくお願いいたします。
本日はありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/39
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040・浅田均
○浅田均君 日本維新の会、浅田均と申します。
今日は、三人の参考人の皆さん、現場の貴重な声を届けていただきまして、本当にありがとうございます。
よく分からない部分が結構ありましたので、今日もっとこれから質問させていただいて現場のことをよく理解したいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
僕らは、賃金の底上げ、これを政策課題として掲げております。全体のベースが上がるためにどういうことをしていったらいいのかということを常に考えておりますし、今回のこの国交委員会、参考人で来ていただいて、問題意識として僕が持っているのは、国土強靱化とか言っていますけれども、計画はあって予算も付くけれど、最後、人、人がいないと、やっていただく人がいなければ前に進みませんから、もうとりわけ、エッセンシャルワーカーというかな、そういう位置付けで大事にしていく必要がある皆さんがこういうふうな状況に置かれているというのはほっておけないと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
まず、賃金についてお尋ねしたいんですが、岩田参考人、先ほどお話の中で、これ、今まではもらえないから払えないと、それがもらったから払うというふうに変わっていけばいいというふうにおっしゃいました。
支払ってもらった額が職人さんに行き渡る、そのためには、下請からいうと、元請さんに対して適正額の見積りを提示するということが必要になってこようかと思うんですけれども、現場の皆さんにお伺いしますと、元請と下請の関係ですね、元請さんがいらして下請が協力会みたいなのをつくっていると、まあグループですよね。また、下請さんがあるときは元請さんになることもあると。そういう環境の中で、これちょっと安いんと違うと思ってもなかなか言い出しにくいと、そういうふうな環境があるというふうに伺っていますけれども、それ、適正化というのか、みんながみんな立場変わることもあるから、これからこういうルール作って、これだけ上がったから皆さんにも上げられますとか、何というか、工費がこれだけ、契約がこれだけですので皆さんこれだけですと低く言った場合は、いや、そうではないでしょうと言えるような環境をつくっていけるかどうかということなんですけれども、現場の皆さん方をまとめていらっしゃる岩田参考人、小倉参考人、小岸参考人、皆さん同じだと思うんですけれども、どういうふうにやっていったら適正に要求できるような環境ができるとお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/40
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041・岩田正吾
○参考人(岩田正吾君) これまでは、適正な請負金額というのは相場だったんですね、忙しければ上がるし、暇になれば下がるしという。労務費を含んでいるにもかかわらずその相場観で決めてきたので、なかなか労務費を決まったように払えない環境にあったということだと思うんです。
それが今回の標準労務費で相場観が出てきますので、我々、いろんなことで、コンプライアンスを守れというようなことで、基本契約書を再度書き直させられたり、もうとにかく法律を守っていくんだというようなことを元請さんに要求されてくるようになりました。ですので、私、挨拶でも申し上げましたように、建設業法をコピーして持っていって、これ、法律ですよと、所長、ですので、この法律を守らないかぬ。まあ一概に幾ら下がったらということは言えないと思うんですけど、現場の生産性を決めた上で設計労務単価を掛けて相場観が出てきますので、ここに大きな意義があると。一つのポイントが決まりますので、その決まったポイントに対して我々は現場の所長と交渉をしていく。
先ほども申し上げましたが、敵ではありませんので、一緒に物を造ってきた仲間ですので、サプライチェーン全体でやるべきやというのは、我々も汗をかいて所長にしっかりと理解を得られるように努力していかないかぬというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/41
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042・小倉範之
○参考人(小倉範之君) 現場従事者の低賃金の一番の根本的要因は、賃金、労務費を削減することによる工事受注、ダンピングであるというふうに思っております。標準労務費を著しく下回る契約、取引に、ルール化が今回図られるということになりますので、これまでの賃金、労務費部分に明確なルールが作成をされてこなかった建設工事の請負契約において、賃金原資によるダンピングが防止をされ、現場従事者の賃金引上げの原資が明確に確保をされると、そういったことによって全体的な賃金相場が今よりも上がってくるんではないかと、そのように思っているところであります。
また、違反した民間受注者に対しましては許可行政庁が勧告、公表できるようになりますので、民間の工事発注者との価格、工期等の交渉にとっても今回の標準労務費というのは非常に大きな役割を果たすんではないかと、そのように思っているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/42
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043・小岸昭義
○参考人(小岸昭義君) 我々下請業も根拠を持って説明することが大事なのかなと思っております。
やはり、私がこの業界に入った二十七、八年前ですと、社会保険も厚生年金も有休もボーナスも退職金もなかったわけではありますが、今の現状ですと、社会保険も厚生年金も、また月給化だったり有休、退職金、賞与等、ほかの産業に見劣りしないような環境づくりをするためには、昔と単価が変わらなければ、もちろん企業としては利益から出すしかない。ただ、その利益すらも薄利な状態でやっている状態で、出す原資がないということになってしまうので、元請様に丁寧な根拠を持っての説明が大事だと思っておりますし、また、そういったことも理解していただけないときには、相談できるような窓口があるというのも我々にとってはいいのかなと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/43
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044・浅田均
○浅田均君 ありがとうございます。
それで、小岸参考人にお伺いしたいんですけれど、最初お話の中で、十二年間労務単価が上がっているのに手取りは全然上がっていないと、そのとき、その末端労働者に届かない理由というのはどこにあるというふうにお考えだったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/44
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045・小岸昭義
○参考人(小岸昭義君) ちょっとこの場でどこまで言っていいかが分からないので、ちょっと難しい御質問だとは思うんですが、やはり、払って、公共工事、国交省直轄現場に関しては設計労務単価が上がっているので、出どころとしては出ているのかなと思うんですが、実際に我々のところにはきちんとそういったものが届いていないというのも現実ですし、先ほど来から見積書の提出、提出という話をされていますが、我々の業界ですと、見積書を提出しなくてこの金額でやれというようなことも多々ありますので、そういった我々の認識も変えていかなければいけないとはもちろん思っていますし、今設計労務単価もこれだけ上がっているんですから民間でもという、根拠をきちんと持って説明するのも大事なのかなと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/45
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046・浅田均
○浅田均君 何か見積書も提示せぬとこれでやれというのは、めちゃくちゃな話ですよね。こんなんおかしいやんけって言うわけにいかへんわけですね。言わはりました、小岸さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/46
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047・小岸昭義
○参考人(小岸昭義君) もちろん私は言い続けております。なので、どちらかといったら嫌われているような立場でおりますので。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/47
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048・浅田均
○浅田均君 すごく重要な役割を果たされたと思いますよ。
先ほど、びっくりしたのが、足場資材使用料もらえなかったこともあるとかお話がありましたけれども、僕は、普通に考えると、その労基署とかそういうところに、こんな話が、こんなことがあるんですよとかいうふうな訴える場所があるんですけれども、そういうことはなさらなかったんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/48
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049・小岸昭義
○参考人(小岸昭義君) 私としましては、根拠を持って、きちんとこれだけ掛かったお金に関しては、ほかの産業で、先ほどから申し上げたとおり、例えばレンタカーだったりDVDを借りてもその期日に返さなければ延滞費取られるのは当たり前な話であって、ただ、我々建設業の中では習慣として、これぐらい自分の資材だったらいいだろうというような状況に置かれて、元請様からこれぐらいの費用はちょっとのみ込んでくれと言われることが多々ありました。それ、資材以外にも、追加でやった工事等も、まあこれぐらいは何とか、我々としては、それを断ったら仕事がいただけなくなるとか、ほかの会社が言っていないのに我々だけ言うと次からというような危機感もあって言えなかったのかなと思いますけど、私としては常に声を上げ続けているので、いうような状況です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/49
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050・浅田均
○浅田均君 御立派だと思います。なかなかそこまで言えないところを言い続けてここまで来たわけですから、そういう力の、何というかな、結集した結果が今回の法案改正につながっているとすれば、非常に重要な貢献をなされたんだと私は思います。
それで、賃金についてお伺いしましたけれども、次、働き方についてちょっとお伺いしたいんです。
今までのお話の中にも一人親方というのが話題になっていまして、一人親方、先ほど、どなたかな、岩田さんのお話で、一人親方でやらされているタイプと、それから一人親方でしかやらないタイプと二つあるというふうにおっしゃいました。これ、何か、やらされているというのは、やっぱり従業員として抱えていると社会保険料とかの負担があるのであなたは一応社外でやってくださいと、そういうふうな関係でそうなるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/50
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051・岩田正吾
○参考人(岩田正吾君) そのとおりです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/51
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052・浅田均
○浅田均君 それ、一人親方でしかやらないという方は、そういう選択の根拠というのは何なんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/52
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053・岩田正吾
○参考人(岩田正吾君) 仕事の内容とか時間とか段取りとかいうのを自分の裁量で決めれるんですね、一人親方になると。それを、傘下に入って雇用されて指揮命令系統下に入ると、会社の利益に変わります。その中から評価を受けてお金が流れてくるので、自分のやったらやった分だけ稼いだんだという実感、それとその見返り、できる人間ほど一人親方でやりたがりますよね、当然。そういう意味で一人親方でしかわしはやらぬぞという方がおられると、はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/53
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054・浅田均
○浅田均君 その一人親方って、要するに雇用者兼労働者というわけですよね。先ほどその労働者性の割合とかいうお話が出てきたと思うんですけれども、この一人親方という位置付けに関して、その労働者性というのは何割ぐらいで、その経営者性というのは何割ぐらいというふうに、何かあるんですか、そういうのは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/54
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055・岩田正吾
○参考人(岩田正吾君) 一人親方の労働者性といいますか、指揮命令系統下に入ったらもう労働者ですし、自分の裁量権でその作業を行えばそれは一人親方だと思うんですね。そこの違いだけではないかなというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/55
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056・浅田均
○浅田均君 小倉参考人はどういうふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/56
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057・小倉範之
○参考人(小倉範之君) 労働者性の割合については、何か数字で明示をするというよりは実際にどういう働き方をしているかということに多分なってくると思います。
多分、一つの指標としては、一人親方労災の特別加入の数がありますので、そうするとするとそれに近いような形にはなってくるとは思うんですが、その中で、じゃ、実際どういうような働き方をしているのかというのは、これは具体的にちょっと実数近いもので調査をしないとなかなかお示しができないのではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/57
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058・浅田均
○浅田均君 小岸参考人にあと何点かお尋ねしたかったんですが、時間になってしまいましたので、済みません、ここで、また後ほど個人的にお聞かせいただきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/58
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059・浜口誠
○浜口誠君 国民民主党・新緑風会の浜口誠です。
今日は、三人の参考人の皆様、本当にありがとうございました。現場の実態含めて、今後の法案審議に非常に役立つ御意見をいただいたというふうに思っております。本当にありがとうございます。
まず、小岸参考人に若手経営者としてちょっとお伺いしたいんですけれども、まさに建設業界が若い皆さんから魅力ある業界にしていくということがこれからの産業の持続性を高めていくためにも非常に重要だというふうに思っています。
まさに二十一歳から経営者としてこれまで頑張ってこられた小岸参考人から見て、この建設業界を格好いいクールな業界にしていくために何が必要かという面で是非御意見をいただきたいなというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/59
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060・小岸昭義
○参考人(小岸昭義君) 難しい質問をありがとうございます。
私は、建設業に入って十七から働いたときに、すごいコンプレックスを持っていたんですね。やっぱり作業着で町中を歩いたり飲食店に入ることが、世間の人から見たときに、ああ、建設作業員の人がというような目で見られているんじゃないかなと思ってずっと来ておりました。
ただ、建設業の専門工事業の作業着等も、非常に今の若者向きな作業着等に変わってきています。これ、小さい問題かと思うんですが、昔はやはり、ちょっと怖そうな不良っぽいお兄さんが着ている服みたいなのが作業着だったのもあったので、やっぱりコンビニの前にいるだけでちょっと怖いなって目で見られていたんですけど、今、若者にとっても、そういった働く楽しさだとか、そういうのを少しずつ理解していただけている部分も大いにあると思いますし、今、ほかの産業と比べても少しずつ肩を並べ始めてきていると思っていますので、その二十七、八年前に比べれば、何もなかったあのときですから、今は有休も普通に使えてボーナスもあって月給でというような、ほかの産業に追い付いてきている部分もあると思うので、少しずつではありますが、若者も入ってきやすいような状況、またこれが追い風になってくれることを期待しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/60
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061・浜口誠
○浜口誠君 ありがとうございます。
まさに今回の法改正が、小岸参考人がおっしゃるように、若い皆さんに向けてのいい意味でのメッセージにつながっていくといいと思いますし、つなげていかないといけないなというふうに思います。ありがとうございます。
続きまして、小倉参考人にお伺いしたいと思います。
外国人の労働者の方が建設業界でも増えてきています。技能実習、今度は育成就労という名称に変わりますし、特定技能の方も増えてきていると。
外国人の労働者の方が建設業界で増えてくることで業界全体の賃金の底上げの足かせにしてはいけないと、全ての働く皆さんがやっぱりウィン・ウィンにしていかないといけないというふうに思っておりますが、現状、この外国人労働者の方が業界の中で人数増えてきていることが賃金に与えている影響、どのように受け止めておられるのか、労働組合のお立場で御意見をいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/61
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062・小倉範之
○参考人(小倉範之君) 外国人材の賃金水準でありますが、例えば特定技能外国人の制度がありますけれども、ここの部分については日本人と同等報酬規定というのがございますので一定の水準は担保されているものと、そのように認識をしておりますが、一方で、賃金の一定の下押し圧力になるということは実態としてはあり得るんだろうと。特に、技能実習生の部分については最賃に近い部分で就労していると、そういった実態がありますので、そういったものが、今後、例えばその育成就労制度が開始をする段階で一定の賃金水準が確保されなければ、国内人材の賃金水準が上がったとしても、結果としてそれがまた下押し圧力としては掛かってくるというふうになるというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/62
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063・浜口誠
○浜口誠君 今回の法改正は、そういう意味では、その下押し圧力等を払拭する観点からは有効だというふうにお考えでしょうか。その点について御意見をいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/63
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064・小倉範之
○参考人(小倉範之君) 特定技能外国人のところで申し上げますと、先ほど申し上げましたとおり、国内人材との同等報酬規定がありますので、実態として日本人の賃金が上がれば特定技能外国人の賃金水準も上がっていくという、そういったところでは効果はあるだろうというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/64
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065・浜口誠
○浜口誠君 じゃ、課題はあれですかね、技能実習生、今度の育成就労の部分の底上げ、どういう形で業界全体で上げていくのかというところかと思います。この点について何か展望はございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/65
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066・小倉範之
○参考人(小倉範之君) なかなかその展望というところまでは申し上げにくいところがありますが、やはり、日本全体の賃金水準がやはり向上しなければ外国人材の賃金水準も当然上がっていかないことになりますし、国内賃金の水準が上がらなければ外国人労働者の確保自体もままならないというふうになっていますので、これは建設業だけではなく、日本産業、日本全体の問題として捉えていく必要があるんだろうというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/66
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067・浜口誠
○浜口誠君 ありがとうございます。
続きまして、岩田参考人にお伺いしたいと思います。
参考人のお話の中にも、多重下請構造、重複下請構造への言及がございました。建設業界としてもこの構造をやっぱり見直していく、変えていく、こういうことが将来的には必要になってくるかというふうに考えておりますが、今回の法改正で、この重層、重複下請構造に対しての課題にやっぱり効果があるのかどうか、参考人のお立場でこの点についての御意見を是非お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/67
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068・岩田正吾
○参考人(岩田正吾君) 重層下請化してきた理由といいますか、そのリスクをヘッジするために下へ経費を取って流すというような形で来ましたので、ただ、その重層化ということについても、必要、結果的にそうなってしまうと。大きな会社が新しい工法を開発して、そこが結局、技術は持っているけれども、労働者としてその会社として雇用していけないので、下請として子会社にその作業をさせる、そこが専属下請を雇用しているというケースもございますので一概には言えないんですが、今までのようなピンはねをして流すというような構造が改善されることによって重層化は減っていくだろうと。
で、労務費が固定されますので、労務費が固定されていくと、経費の部分ですね、経費の部分もこれは基準をしっかりといいますか、国の方でも示していただきたいところはあるんですが、おまえのところの会社やったら一割ぐらいでええやろとか、今はきついから八パーでいいやろというような、それこそ経費の指し値に次は行こうかと思いますので、経費基準は決めていく必要はあると思いますけれども、経費の中での競争が始まるんではないか。外注すればこの経費の中で、外注の経費、一次の経費、二次の経費、三次の経費と、外注の中でそれを分散化していきますので、経費が薄くなっていく。ですので、直用化を進めている、直接雇用をしている会社なんかは、その経費をもらえれば自分のところで抱えていけるというような力になっていくと思いますので、そういう意味では重層化は減っていくというふうに理解をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/68
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069・浜口誠
○浜口誠君 ありがとうございます。
しっかり、次なる課題が出てくる可能性もありますので、今御指摘あったようにですね、そこもこれからフォローアップしていかないといけないと思いますし、また、経営者のお立場や現場の立場で我々に対していろんな御指摘、御意見もいただければというふうに思います。ありがとうございます。
小岸参考人に、働き方改革、働きたいときには働かせてくれよという御意見もあったというお話ありましたが、一方で、若い皆さんからすると、週休二日や、余り長時間労働は好まないという、若者の立場でいうとそういう意見もあるというふうに思っていますが、今後、建設業界全体として、ICTとかあるいはデジタル化といった今の大きな流れの中で生産性を上げていく、こういった取組も非常に重要な視点だというふうに思っていますが、小岸参考人のところでこういったデジタルを活用したりICTを活用して生産性を上げているような取組をなさっているのかどうか、あるいは、今後、そういった分野に対してどのような御意見を持たれているのか、その点をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/69
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070・小岸昭義
○参考人(小岸昭義君) 我々としましても、デジタル化というのは非常に進めている部分でもありまして、基本的に、社内の共有、連絡をやり取りするものなんかに関しましても新しいものをどんどん取り入れたり、でも、建設業の大きな問題として、安全書類というものがございまして、現場に入るときに自分の会社の施工体制台帳等を出すんですが、それが各社さんによって様式が違うんですよ。同じような感じなんですけど、ちょっとひな形が違ったり、それの作成に相当な時間を取られているという声は全国的にも上がってきていまして、会社規模が多少なりとも大きくなってきて、そういう安全書類だったりを作るような専門の部署がいたり人がいたりする会社はいいんですけど、個人事業主だったり小規模の事業所さんで事務員さんが一人しかいらっしゃらないような会社さんにとってはその書類の作成時間というのが大きな問題になっていて、残業も増える要因になりますし、これが建設業全体で統一化されるような話はずっと昔から出て、統一しようという形になっているんですが、各社さんの思惑がやっぱり違うので、大手の企業さんの思惑が違うので、少しずつ違う。
そうすると、簡単に自分の社員の作業員名簿がぶわあっと出て、施工体制台帳が出て、協力業者が出てというのをぽちっとできればいいんですけど、各社さん違うので、そのたびそのたび入力を入れ替えたりするのがちょっと今の時代に合っていないのかな、どんどんどんどん先に進んでいくためにはそういったことをまずは簡素化してほしいというのは、これ非常に多くいただいている声なので、お願いしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/70
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071・浜口誠
○浜口誠君 ありがとうございます。
なぜそれができないんですかね。目線がちょっと省庁の方に向いていましたけれども。もうずっと要望しているけれどもそこができない何か要因とか理由は聞いているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/71
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072・小岸昭義
○参考人(小岸昭義君) 大きい会社の皆さんの都合だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/72
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073・浜口誠
○浜口誠君 分かりました。ありがとうございます。
また国としてその辺がうまく統一化に向けての何か働きかけができるんであれば、そういうところも役割としては果たしていかないといけないかなと。いろいろ効率化できる、生産性上げれる要素はあるということだと思いますので、しっかり我々も取り組んでいきたいと思います。
続きまして、小倉参考人にお伺いしたいと思います。
週休二日を望む声がアンケートでも三二%を超える結果があったというお話ございましたが、会社で民間工事を受け入れる、請けている企業の方が週休二日を導入する割合がもう一〇%を切っているというようなアンケート結果も報告されています。この辺の、公共工事が多いところは週休二日取れるんだけども、民間が多いところはなかなか取れないと、この辺の実態を解決するためにどういった対策が必要なのかという点について、御意見を最後いただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/73
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074・小倉範之
○参考人(小倉範之君) 先生御指摘のとおり、公共工事の場合は、発注者が国であったり、あるいは地方公共団体というそういった形になりますが、民間の場合ですと、発注者、それぞれ企業であったり、住宅分野でいえばエンドユーザーという形になりますので、そこの理解がないとなかなか、その週休二日をしっかり確保していくということはなかなか難しいだろうということと、結果として、その週休二日を確保することによって工事費が当然上昇することになりますので、そういった理解をしっかりしていただくということも必要になってくるだろうというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/74
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075・浜口誠
○浜口誠君 ありがとうございました。
週休二日を始め、働き方改革ですね、業界の魅力向上のためには非常に重要な部分だというふうに思っておりますので、また我々の立場でもしっかりとそうした面が前進できるように取り組んでいきたいと思います。
今日はありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/75
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076・田村智子
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
まず、三人の参考人の皆さん、本当に建設業の危機を打開するんだという共通の思いで、大変今後の審議に生かせる御意見いただいたことに感謝をしたいと思います。
今の最後の浜口議員の質問と重なるんですけれども、やはり建設業がこのままだったら本当に崩壊しかねないほどの就業者の減少なんだというところを国民的な認識にしていかなければ、ハウジング含めたその適正な価格ということに、適正な労務費を確保するということになっていかないんだろうというふうに思います。
そこで、まず小倉参考人にお聞きをしたいんですね。
その建設で働く方々の減少の中でも、先ほどの御意見の中でも大工さんの、大工職人の減少というのがちょっと私も数字を見て背筋が凍る思いなんですね。最高時から三分の一になったという御指摘があったんですけれども、一番新しい数字で、二〇二〇年度で二十九万八千人と。そのうち三十歳未満が僅か二万一千人、担い手のうちの四三%が既に六十歳以上という状況だというのは本当に危機的だと思うんです。
というのは、今、住宅は新築のときには組立てでもいいんだと、切られた木材が来て組み立てればいい。だけど、今ストックということが言われているわけで、そうすると、リフォームというのは臨機応変に、かんなも掛けられて、一定の図面も引けてということも求められてきますし、災害からの復旧って考えたときにも、やはり個々の御自宅をどう復旧していくかというところで圧倒的にもう人手が崩壊的に少なくなってしまうというような状況にもなりかねないと思うんですね。
こういう認識と、それから、ではどうやってここに若い方々に入職してもらうのか、その後定着して働き続けてもらうためにはどうしていくことが必要なのか、全建総連さんは独自の取組もされていると思いますので、そのことも含めて御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/76
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077・小倉範之
○参考人(小倉範之君) 建築大工の就業者が激減をしている中での懸念の御意見だったというふうに思います。
建築大工については、ピーク時の三分の一まで縮小し、かつ、二〇三〇年には、先ほど約三十万人というふうに申し上げましたけれども、二〇三〇年には二十万人、十万人減少、更に三分の二になる、そういった試算も出されているところであります。
今後、人口減少社会を踏まえてフローからストックへの施策転換が想定をされている中、リフォーム市場については、先ほども御指摘ありましたけれども、一定規模維持をされる、あるいは増加をすると推計をされているところであります。主に建築大工が担う木造住宅につきましては、一九九〇年代にはプレカット率が九〇%を超えまして、現状では、現場で木材加工の経験や構造、継ぎ手などの理解が十分ではない技能者が相当数に今なっておりまして、技術、技能を有した技能者を育成しなければ、適切なリフォームの実施、あるいは災害時における住宅の復旧、そういった住宅はかなり古い住宅になっておりますので、そういったものにも支障を来しかねないんだろうというふうに懸念をしているところであります。こうしたことから、住宅ストックの活用に向けては、建築大工の担い手確保、育成というのは焦眉の急であるというふうに思っております。
それから、入職促進について先ほど御質問をいただきました。
この間、全建総連としましても、キャリア教育の充実というものを行っておりまして、入職をするためには、小学校、中学校、高校、こういったタイミングでのキャリア教育、具体的には、例えば建設業がどういった産業であるのかですとか、特に高校になりますと将来の進路を左右するタイミングになってきますので、現場実習、インターンシップも含めてでもありますが、民間工事、公共工事、こういった現場の視察、こういったことが非常に重要になってくるというふうに思っております。
それから、入職促進で特に重要なのは、高校を始めとした教員の意識改革であります。もうそもそも建設業自体が全く魅力ある産業として現状映っておりませんので、進路指導の際に進路担当の教員がまず建設業を勧めないというのが実態としてあります。あとは、先ほども話がありましたけれども、給与自体が固定月給制ではなく日給月払になっていますので、そもそもそういった業態、事業者に対しては教員はまず勧めませんし、親も反対をします。年間の休日数でいえば、百二十日を下回っていれば、ハローワークで実際に就職先としてはほとんど相手にされないということでありますので、まずは教員に対するしっかりした連携強化というのもありますし、キャリア教育を充実をさせる、その上で個々の事業者が実際に入職をしてもらうための環境整備をしていかなければいけないんだろうというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/77
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078・田村智子
○田村智子君 ありがとうございます。
今、環境整備、事業者のところでも固定では、固定給になっていくようにということもお話がありました。
それで、今度の法案は、やはりこれまで議論あったとおり、標準労務費の確保ということが大きなまさに焦点となってくると思います。
これ、三人の参考人の皆さんにそれぞれお聞きをしたいんですけれども、先ほどもその重層下請で結局その経費さえも出なかったというお話も含めてありました。私たちは、この重層下請そのものの規制が必要じゃないかということも、この間意見として持ってきました。何らかの規制をしていくことが必要じゃないかと。
今回の法案では、標準労務費というふうに定めることで、言わば本当に全てのその現場で働く人にこの標準労務費に大体見合うお金がきちんと支払われることということがこの法案の趣旨になっていくんだろうと思うんですね。そのこととの関係で、先ほど岩田参考人からはお話あったんですけど、重層下請構造にどういう変化が出てくるのかということと、これがやっぱり五年後の見直しに向けても、これうまく機能しなければ、私は重層下請そのものの規制ということも考えるような状況が出てくるのではないかというふうに思いますが、そこも含めて御意見をお聞きできればと思います。三人順番で。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/78
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079・岩田正吾
○参考人(岩田正吾君) まず、その重層下請、適正な重層下請ということも先ほどちょっと申し上げましたけれども、そこもあると思いますので、その基準をやっぱり明確にまずすべきではないかと。
その上で、重層下請になってきた背景を考えると、はねて下に流すというような行為、ここについて厳格に適正に管理をしていただきたいというお願いをしているわけですけれども、その基準を示すものが標準労務費になってきますので、労務費が地に足を付いた形で固定化することによって、上にある経費で競争していくということになっていくと、重層化で下に出すというよりも自社でやっちゃった方がいいわけですよね。利益が得られるし、自社の社員に対して処遇をもっと厚くできるし、自社の社員の処遇を良くすることによって次の担い手も、あっ、この会社に入ったらこれだけもらえるんだというような、価格が決まってくることによって処遇改善競争に行くんではないかと。それで、よその産業よりも魅力ある建設業界というものを打ち出して人を確保していくと、その競争を我々、中でやるべきではないかというふうに理解をしています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/79
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080・小倉範之
○参考人(小倉範之君) 重層下請構造の規制をすべきではないかと、こういった御意見であったかというふうに思います。
今回の建設業法の改正につきましては、標準労務費を定めた上で、それが元請から下請まで行き渡らせることで、労務費を原資とした価格競争を是正をするということが盛り込まれているところであります。これがしっかり機能すれば、中間に介在をする下請業者が更に下請契約を結ぼうとした際に利益や経費を差し引きにくくなることになりまして、あわせて、労務請負のみの一人親方が適正に雇用されていく、結果的に重層下請構造が解消されるということは十分あり得るんではないかというふうに思っております。
既に大手の建設企業におきましては、原則二次、あるいは三次までと、こういった取組が進められておりまして、こうした動きについても注視をしていく必要があるんだろうというふうに思っております。
また、規制措置の導入につきましては、様々な弊害がある中で是正に向けた対策は必要だというふうに認識をしておりますけれども、建設業の業態の特性も踏まえつつ検討すべき課題だというふうに思っているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/80
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081・小岸昭義
○参考人(小岸昭義君) 適正な重層下請構造であれば問題ないとは思うんです。それは、建設業は御存じのとおり閑散期と繁忙期がすごい波がありまして、仲間同士で助け合うというような形も多く見受けられるのかなと思います。
原則二次、三次というような大手企業さんも出てきているのですが、実際に現場の声を聞くと、二次までしかうちの会社入れないから、君たち三次、四次なんだけど、取りあえず二次で名簿作っておいて、書類作っておいてというような抜け道、また建設業の悪いところなんですけど、抜け道を進んでいるような方もたくさんいらっしゃるというような話も聞いているので、そういったところは解決していかないといけないのかなとは思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/81
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082・田村智子
○田村智子君 ありがとうございます。
標準労務費そのものがどのように設定されるのかということも、本当の処遇改善に向けては重要になってくると思うんですね。
そこで、ちょっとお聞きしたいのが、建設キャリアアップシステム、ここで皆さん、この技能に合わせて技能評価でレベル一からレベル四までの四段階と、レベルが上がればそれに伴って年収が上がるということでこの間進めてこられたと。これと標準労務費との関係をどういうふうに考えるのかということと、今進めてきていて、この建設キャリアアップシステム、その試算ですね、昨年六月に出された年収の試算、これ現状の年収と開きがあるんですね。こういう問題含めて、少し現状と課題についても御意見いただければと思います。岩田参考人から順番でお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/82
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083・岩田正吾
○参考人(岩田正吾君) まず、標準労務費というのは中建審が勧告するようになると思うんですが、まず歩掛かりに設計労務単価を掛けると。一つの建物を想定して、その歩掛かり、その歩掛かりに、これであれば何人ぐらい掛かるというものに対して設計労務単価を掛けて、それに経費を掛けるといって出てくるわけですけれども、この出てきて、ある程度相場観といいますか、これぐらい必要であるというものを国が示していただくことによって、我々は原資が流れてくるようになるわけですね。
そうすると、じゃ、このお金を誰にどれだけ払おうかというものは、これまで親方の裁量権のみに任されてきたわけです。だから、お金が流れてこないときは、おまえちょっと今回頑張りが低かったからこれだけなというような形にしたり、それか、現場が終わって少し残ったから、おっ、頑張ったから賞与でやろうというような調整をしてきたわけです。結局、労務費がアジャストされてきたわけですね。
ですので、これからは、価格が決まればCCUSによって、CCUSによって、それは資格と経験年数で自分が与えられる権利ですから、職人からすると、その権利に対して我々がどれぐらい最低払っていきますよというものを見せていく。そうすることによって、働き手からすると、この業界に入っていいかどうかというのは、何年働いてこの資格を取ったらこれだけもらえるというようなものを見せることが重要であると。そのためにCCUSがあるわけです、評価するために。
ですので、CCUSが先ほど増えていくというお話させていただきましたけれども、ここに登録をして評価してもらわないと我々も評価のしようがないので、技能者からすると入りたい資格に変わっていくわけです。お金に換わるんやったらそれはもうどんどん入るということに進んでいくかと思いますので、標準労務費でお金が流れてきて、その評価をCCUSですると、それに対して対価を払っていくという流れになっていきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/83
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084・青木愛
○委員長(青木愛君) 小倉参考人、端的に答弁お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/84
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085・田村智子
○田村智子君 済みません、時間来ちゃったので、ごめんなさいね、小倉参考人までで。済みません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/85
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086・青木愛
○委員長(青木愛君) 承知しました。
小倉参考人、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/86
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087・小倉範之
○参考人(小倉範之君) CCUSのレベル別年収と標準労務費の関係性ということでありますが、実際は相関関係はあるんだというふうに思っています。
標準労務費については、設計労務単価では歩掛かりというのが一つの方向性として示されておりますけれども、設計労務単価自体はそもそも五十一職種しかありませんので、じゃ、全て今後、標準労務費を設計労務単価をベースにしてやっていくことができるかというと、それは多分なかなか難しいだろうと。
そうすると、CCUSの能力評価基準に基づく例えば賃金水準あるいはレベル別年収、こういったものが活用されてくるというのは十分あり得るんだろうというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/87
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088・田村智子
○田村智子君 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/88
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089・大島九州男
○大島九州男君 れいわ新選組、大島九州男でございます。
三人の参考人の皆さん、今日はありがとうございます。
うちのおやじが中小の精密製缶の鉄工所やっていましてね、私も仕事を手伝ったことあるんですけど、結局、仕事をもらうのに見積りしても、予算がこれだけだからといって見積りしても意味ないじゃんかと、だからもう指し値で言ってくれと、それでできるかできないか返事するよというような、そういう仕事なんですよね、現場は。
それで、私、今回のこの法律見て、いやいや、それは、そういうふうに決めていただくのは有り難いけど、実際そういうふうになるのって。いやいや、Gメンがいますからとか、ホットラインがありますからとか言うから、そんなところに電話したら俺のところにはもう仕事来ねえぞと、どうしてくれるんだという話になるんだという話をして、じゃ、どうしたらいいのかというのを私は自分なりに考えたので、ちょっとそれを是非今日は聞かせてもらいたいんです。
それは何かというと、発注金額決まりますね、例えば十億なら十億と、このAという工事が決まりましたと。そしたら、そこから、何重下請になるかは知りませんが、結局、その一次下請に幾らで出しました、で、当然そこは何%か抜いているわけですよね、当然、管理費。で、次にまた出しましたというところで金額決まります。また下に行って、最終的に全部合計すればそれは十億の中に収まっているわけですよね、当然、収まっているわけ。
じゃ、実際それをどういう管理するかというと、Gメンがそんな少ない数で見れるわけないんですから、それこそ、もうDXで自動的に、国交省か何かがつくったところに、A工事、幾らで発注しました、幾らで請けました、幾らで発注しました、幾らで請けましたというのを全部入力して、簡単に、もうそれで提出しとくと。そしたら、明らかに、何かここで経費がたくさん取っているよねとか、これじゃ、下請の人、労務費出ないよねというのはもうAIで見りゃ分かるんだろうから、そこにGメンが行くぐらいのことしないと、例えばGメンがランダムに行きましたというふうに言っても、いや、おまえ、大島、おまえが、おまえ言ったからおまえGメンが入ったんだろうと、おまえふざけんなよというふうにもう言われる世界だろうなと思うんですね。
だから、そういうような仕組みがセットになっていれば現実守られるんだろうけど、仏作って魂入れずみたいな法案になっちゃいけないから、やっぱりもっと具体的にそういうことをやってほしいんだということをちょっと私はお願いしているんですけど、どうですか、参考人の皆さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/89
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090・岩田正吾
○参考人(岩田正吾君) システムというか、全てを見える化することに対しては、私はいいとは思っておりません。それはなぜかといいますと、やはり請負なんですね。適正な経費で、基準はある程度決めるべきだと申し上げたんですが、職人って技量によってもうけるわけですよね。ですので、これが適正だろうという一定の基準を設けた上で、その上で、中は請負をする人間によってもうけ方は違うわけですよ。ですので、そこをあからさまにしてしまって、平均値を取ったような形にすると、請負しなくなると思うんですね。請負しなくなると、現場の生産性は一気に低下すると思います。
やはり、決まったお金の中でやりくりをするということは、先ほども申し上げたように残しつつ、残しつつ、国が基準を決める、そうすることによって、そのお金の中でやりくりをして、もうける人間はもうけていくわけです。やはり、請負ですから損する人間もいるわけですね。ですので、そこで優劣を付けないと、一概に一律決めてしまうというのは非常に難しいかと思います。
でも、実情、先ほどおっしゃられたように、指し値というのはもう横行してきましたので、ただ、元請さんも発注者も我々も共通して言えるのは、このままでは人は来ないということを理解していると思いますので、そこは、これからの運用をどうするかというのは中建審の中の議論になろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/90
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091・小倉範之
○参考人(小倉範之君) 受発注間の金額をシステム的には一元管理をして把握できるようにした方がいいんではないかと、こういった御質問だったというふうに思います。
考え方からすればあり得るものだというふうには思ってはおりますが、例えば、実際そうやった場合に膨大なデータ管理が当然これ必要になってくると思いますので、例えば一定金額以上というのはやり方としてはあり得るとは思うんですが、それを規制措置として導入をするということについてはかなり業界の中ではハードルが高いのではないかと、こういったことから慎重な検討が必要ではないかというふうに思っているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/91
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092・小岸昭義
○参考人(小岸昭義君) 現場の元請さんから一番下までの流れを見るというのが、民事の契約に対してどこまで突っ込んで、その監視をする人たちの機関はどういったところかというような問題ももちろんあるとは思いますし、ただ、この建設業界の問題でいえば、発注書等があるんですが、発注書等もなかなか電子化に進んでいかないのが現状だと思うんですね。
一番、その電子化に進んでいかない理由の一番は、日付が電子化だともう書き直しできないからだと思っているんです。それは、着工する前、請負金額によって発注書の出す期日は決まっているんですけど、それを着工するまで金額決めないで着工した後に発注書を送るとかいうのがこの建設業界では横行されていることなので、そこが電子化されると非常に困る人たちがたくさんいるから進んでいかないのも、今の先生の指摘のように、お金の流れを見えるというのもちょっと似たようなことなのかなと思って、ちょっと申し上げさせていただきました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/92
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093・大島九州男
○大島九州男君 一番末端の職人の人の給料を確保しようとしたら、さっき言ったように、標準報酬額を決めて、ここを確実に取って、そこから上に上がっていくというようなことが現実的にできるのかと。言うなれば、申し訳ないですけど、大手がやっぱりはねてはねて下に行くという状況になったときに、下からこれを上に向かっていけるような形になかなかならないと思うんですよ。
だから、そういう意味からすると、公共工事、国が発注するものについては、やはりそのモデルとして、今それこそ本当AIがあるんだから、もう国がマニュアルどおりの入力する部分をつくればそれは簡単にできると。そこで実証していって、それが現実的になっていけば、これが民間も導入していかなくちゃ、コンプライアンスあるよねとかいうようなものに持っていかないと、僕は絵に描いた餅になる可能性が非常に高いと思うんですね。
だから、本当に一人親方の皆さんとかが、ああ、今回インボイス入れられてもう困っていると、しかし、ちゃんとこういうインボイスに登録をしてやっていればこういうところで守られているというものがあれば、政府に対しても、またこの業界に関しても理解が深まると思うんだけれど、何か取られるだけ取られて、結局下請の、また多重下請の本当に最後の職人の人たちの給料まで何かピンはねされているという認識しかやっぱり今ないと思うんですよ。
だから、ちゃんと国が今回の法律で、あなたたちを守るためにはこういう運用しているんですよというのが分かりやすく理解できるようなものにならないと、結果、何か余りぴんとこないと。やっぱり実感しないと駄目なんですよ。自分の手取りが増えるとか自分の何か貯金が増えたとかいう実感がないと、法律ができたという部分は出てこないと思う。だから、今は本当に非常に厳しい状況になっているわけだから、やはり皆さんの方から何かより具体的な、これをやると絶対に、何というんですか、確保できるというような知恵をやっぱりこれは出してもらって、運用にしてもらうような形が一番いいと思うんですよね。
それぞれあれですけど、一言ずつ、御意見があれば、何かこうすると実行を絶対できるんだというのを。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/93
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094・岩田正吾
○参考人(岩田正吾君) 私自身ももう四十数年この職人をやってきて、この会社に携わって職人もやってきて、間違いないのは、うちの会社、僕のおむつはそのお客さんのお金で買えてきたわけですよ。一緒に生きてきたわけですね。その歴史を今何かこれをやったらすぐ変えれるんだというのは非常に難しいと思います。
ですので、もう何回も申し上げますけど、業界全体で人はこのままでは来ないと。なので、一緒になって取り組むというその方向に、機運に向かない限り、特効薬はないと思うんです。でも、そのスタートがこの標準労務費という今回の業法改正だと思いますので、業界で一緒になって取り組んでいく、その機運をつくっていくということが一番大事だというふうに感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/94
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095・小倉範之
○参考人(小倉範之君) 建設業が抱えている課題というのは非常に多岐にわたりますので、何か一つをして解決をするということには当然なかなかなっていかないとは思うんですが、強いて言うなれば、先ほど来多くの方から御発言をいただいておりますけれども、現状ではもう建設業はもたない、それは多分皆さん共通認識でありますので、その認識の下、実行するこのタイミングを逃さないように危機感を共有をしていくというのが非常に重要だというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/95
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096・小岸昭義
○参考人(小岸昭義君) 私も、適正なお金を支払っていただけなかったときに、先ほどから言っているホットラインやGメンという話もあるんですが、それより前に一番大事なのは、先ほど岩田さんもおっしゃっていましたけど、業界全体として認識を持つ。我々建設業界、上も下もなく手を取り合って、もうこの業界誰も入ってこなくなるんだから、もうここでそういったものはやめようというような機運をつくることがまずは一番大事かなとは思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/96
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097・大島九州男
○大島九州男君 ありがとうございます。
最後に、小岸参考人にお伺いしたいんですけど、うちの鉄工所なんかも、やっぱり昔の年期奉公といって、十五ぐらいから入ってきた人がやっぱり技術を持って会社を支えてくれていたんですね。そういう意味からすると、私は、高校、大学行ってそういう職人になるよりも、もう十五で職人になった方が僕は絶対いいと思うんです。
そういう意味では、そのキャリア教育というか、だから、建設業界でそういう、何というんですか、職を学んでいく、そういった学校、今でもあるのかどうかというのはちょっと私は認識していないんですけど、そういう部分から人材をもう育てていくというのがすごく大事だと思うんですけど、早くからそういう仕事を就かれた立場としてどういうふうにお考えですか、それは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/97
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098・小岸昭義
○参考人(小岸昭義君) もちろん中学校を卒業して職人の世界に入ってくる方もたくさんいるとは思います。そんな方たちも、家庭の事情等で働かざるを得なくなった方たちもいると思います。本来だったら、学校ないしそういった教育施設で建設業の危険な場所だったり安全活動だったりを学んでくるべきだとは思うんですけど、そのお金もままならない方たちもたくさんいると思います。
若い人たちが仕事を覚えるまでに教育するような施設、ただ、給料をもらえないと、そんな教育センターなんかに行っている場合じゃない、僕の家庭の事情もあるっていう方たちに、何か助成金だったり、国から少しでも支援していただく。それはまた、その人たちを雇用する企業にとっても助けになるんではないのかなと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/98
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099・大島九州男
○大島九州男君 それは是非、大手の会社にそういう人材育成の機関を設立を呼びかけて、そこに国のお金か何かを入れてもらって、実質は授業料無償で十五から勉強をして、そしてそういう業界に入るというのも、そういう入口を整備するということもすごく僕は大事だと思うので、皆さん、業界から是非そういうのを働きかけて、人材育成を兼ねて、そしてその人たちが、じゃ、そこの業界に入っていって、安心、安全な形で進んでいくというようなことができていけばいいあれになるんじゃないかというふうに思いますので、そういった働きかけも是非していただいて、この法案が本当に建設職員とか皆さんのためになるような法案になるように、また御尽力いただければと思います。
今日は本当にありがとうございました。終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/99
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100・青木愛
○委員長(青木愛君) 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。
参考人の皆様に一言御礼を申し上げます。
参考人の皆様には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)
本日はこれにて散会いたします。
午後零時二十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314319X01720240604/100
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