1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和六年三月十九日(火曜日)
午後一時開会
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委員の異動
三月十八日
辞任 補欠選任
中西 祐介君 白坂 亜紀君
芳賀 道也君 田村 まみ君
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出席者は左のとおり。
委員長 新妻 秀規君
理 事
井上 義行君
岩本 剛人君
藤井 一博君
小沢 雅仁君
山本 博司君
委 員
白坂 亜紀君
馬場 成志君
藤川 政人君
船橋 利実君
堀井 巌君
牧野たかお君
松下 新平君
山本 順三君
岸 真紀子君
野田 国義君
吉川 沙織君
西田 実仁君
音喜多 駿君
高木かおり君
田村 まみ君
伊藤 岳君
齊藤健一郎君
浜田 聡君
広田 一君
国務大臣
総務大臣 松本 剛明君
副大臣
総務副大臣 馬場 成志君
農林水産副大臣 鈴木 憲和君
大臣政務官
総務大臣政務官 船橋 利実君
事務局側
常任委員会専門
員 荒井 透雅君
政府参考人
内閣官房令和5
年経済対策物価
高対応支援、令
和4年物価・賃
金・生活総合対
策世帯給付金及
び令和3年経済
対策世帯給付金
等事業企画室次
長 坂本 基君
総務省自治行政
局長 山野 謙君
総務省自治行政
局公務員部長 小池 信之君
総務省自治財政
局長 大沢 博君
総務省自治税務
局長 池田 達雄君
消防庁次長 五味 裕一君
林野庁森林整備
部長 長崎屋圭太君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○行政制度、地方行財政、選挙、消防、情報通信
及び郵政事業等に関する調査
(令和六年度地方財政計画に関する件)
○地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出
、衆議院送付)
○地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/0
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001・新妻秀規
○委員長(新妻秀規君) ただいまから総務委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、芳賀道也さん及び中西祐介さんが委員を辞任され、その補欠として田村まみさん及び白坂亜紀さんが選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/1
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002・新妻秀規
○委員長(新妻秀規君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
地方税法等の一部を改正する法律案外一案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房令和5年経済対策物価高対応支援、令和4年物価・賃金・生活総合対策世帯給付金及び令和3年経済対策世帯給付金等事業企画室次長坂本基さん外六名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/2
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003・新妻秀規
○委員長(新妻秀規君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/3
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004・新妻秀規
○委員長(新妻秀規君) 行政制度、地方行財政、選挙、消防、情報通信及び郵政事業等に関する調査のうち、令和六年度地方財政計画に関する件を議題といたします。
政府から説明を聴取いたします。松本総務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/4
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005・松本剛明
○国務大臣(松本剛明君) 令和六年度地方財政計画の概要について御説明申し上げます。
本計画の策定に際しては、通常収支分については、子ども・子育て政策の強化等に対応するために必要な経費を充実して計上するとともに、地方団体が住民のニーズに的確に応えつつ、行政サービスを安定的に提供できるよう、社会保障関係費や民間における賃上げ等を踏まえた人件費の増加を適切に反映した計上等を行う一方、国の取組と基調を合わせた歳出改革を行うこととしております。
あわせて、引き続き生じる財源不足については、適切な補填措置を講じることとして、地方の一般財源総額について、交付団体ベースで、令和五年度の地方財政計画を上回る額を確保するとともに、地方交付税総額を増額して確保しつつ、臨時財政対策債を抑制することとしております。
また、東日本大震災分については、復旧復興事業について、補助事業に係る地方負担分等を措置する震災復興特別交付税を確保することとしております。
以上の方針の下に、令和六年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出総額の規模は、通常収支分については、令和五年度に比べ一兆六千三十八億円増の九十三兆六千三百八十八億円、東日本大震災分については、復旧復興事業が二千六百三十一億円などとなっております。
以上が、令和六年度地方財政計画の概要でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/5
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006・新妻秀規
○委員長(新妻秀規君) 次に、補足説明を聴取いたします。馬場総務副大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/6
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007・馬場成志
○副大臣(馬場成志君) 令和六年度地方財政計画につきまして、ただいま総務大臣から御説明いたしましたとおりでありますが、なお、若干の点につきまして、補足説明いたします。
まず、通常収支分についてであります。
主な歳入のうち、地方税、地方譲与税の収入見込額につきましては、総額四十五兆四千六百二十二億円で、前年度に対し百三十億円の減少となっております。
地方特例交付金等につきましては、定額減税減収補填特例交付金の創設等により、総額一兆千三百二十億円で、前年度に対し九千百五十一億円の増加となっております。
地方交付税につきましては、総額十八兆六千六百七十一億円で、前年度に対し三千六十億円の増加となっております。
国庫支出金につきましては、総額十五兆八千四十二億円で、前年度に対し七千九百五十七億円の増加となっております。
地方債につきましては、総額六兆三千百三億円で、前年度に対し五千六十億円の減少となっております。このうち、臨時財政対策債につきましては、四千五百四十四億円で、前年度に対し五千四百二億円の減少となっております。
次に、主な歳出のうち、給与関係経費につきましては、地方団体における定員管理の取組を勘案するとともに、定年引上げに伴う一時的な職員数の増等を見込んだ上で、人事委員会勧告を反映させること等により、総額二十兆二千二百九十二億円で、前年度に対し三千二百三十九億円の増加となっております。
一般行政経費につきましては、子ども・子育て政策の強化等による社会保障関係費の増加等により、総額四十三兆六千八百九十三億円で、前年度に対し一兆六千五十二億円の増加となっております。このうち、デジタル田園都市国家構想事業費及び地域社会再生事業費について、前年度と同額を計上しております。
公債費につきましては、総額十兆八千九百六十一億円で、前年度に対し三千六百五十三億円の減少となっております。
投資的経費につきましては、総額十一兆九千八百九十六億円で、前年度に対し百六十五億円の増加となっております。このうち、直轄事業負担金及び補助事業につきましては、五兆六千二百五十九億円で、前年度に対し三百三十五億円の減少となっており、地方単独事業につきましては、子ども・子育て支援事業費五百億円を含め、六兆三千六百三十七億円で、前年度に対し五百億円の増加となっております。
次に、東日本大震災分につきまして御説明いたします。
復旧復興事業に係る地方負担分等を措置する震災復興特別交付税につきましては、総額九百四億円で、前年度に対し三十一億円の減少となっております。
以上をもちまして、令和六年度地方財政計画の補足説明を終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/7
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008・新妻秀規
○委員長(新妻秀規君) 以上で説明の聴取は終わりました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/8
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009・新妻秀規
○委員長(新妻秀規君) 地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。松本総務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/9
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010・松本剛明
○国務大臣(松本剛明君) 地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
まず、地方税法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
現下の経済情勢等を踏まえ、地方税に関し、所要の施策を講ずるため、本法律案を提出した次第です。
以下、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
第一に、個人住民税の改正です。令和六年度分の個人住民税について、定額減税を実施することとしております。
第二に、法人事業税の改正です。減資等により外形標準課税の対象法人が減少していること等の課題に対応するため、その適用対象法人の見直しを行うこととしております。
第三に、固定資産税及び都市計画税の改正です。令和六年度の評価替えに当たり、現行の土地に係る負担調整措置等を継続することとしております。
第四に、森林環境譲与税の改正です。譲与基準の見直しを行うこととしております。
その他、税負担軽減措置等の整理合理化等を行うこととしております。
以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要でございます。
次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
地方財政の収支が引き続き著しく不均衡な状況にあること等に鑑み、地方交付税の総額の特例等の措置を講ずるため、本法律案を提出した次第です。
以下、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
第一に、地方交付税の総額の特例です。令和六年度分の通常収支に係る地方交付税の総額は、地方交付税の法定率分に、法定加算額及び地方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金の活用等による加算額を加え、交付税特別会計借入金償還額及び同特別会計における借入金利子支払額等を控除した額十八兆六千六百七十一億円とすることとしております。
第二に、地方交付税の基準財政需要額の算定方法の改正です。子ども・子育て施策に要する経費の財源を充実することとし、新たにこども子育て費を設けるとともに、各種の制度改正等に伴って必要となる行政経費の財源を措置するため、令和六年度分の普通交付税の算定に用いる単位費用を改正するほか、臨時財政対策債振替額に相当する額を控除した額を基準財政需要額とすることとしております。
第三に、東日本大震災の復旧復興のための財源となる震災復興特別交付税の確保です。令和六年度分の震災復興特別交付税については、新たに六百十一億円を確保することとし、総額九百四億円としております。
第四に、地方特例交付金の拡充です。個人住民税の定額減税による地方公共団体の減収額を埋めるため、定額減税減収補填特例交付金を創設することとしております。
以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要でございます。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同を賜りますよう、お願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/10
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011・新妻秀規
○委員長(新妻秀規君) 以上で両案の趣旨説明の聴取は終わりました。
なお、地方税法等の一部を改正する法律案に対する補足説明につきましては、理事会で協議いたしました結果、説明の聴取は行わず、本日の会議録の末尾に掲載することといたしました。
これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/11
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012・藤井一博
○藤井一博君 自由民主党の藤井一博です。どうぞよろしくお願いをいたします。
早速質問に入らせていただきます。
まず初めに、森林政策の推進についてお伺いをいたします。
森林の持つ多様な公益的機能である水資源の涵養、山地災害などの防止、生物多様性の確保など、従来から言われてきた機能は当然でありますけれども、近年は森林吸収源対策が一層重要となってきております。このような時期に森林環境譲与税の見直しが行われますことは、財源確保はもとより、国民の環境意識の醸成にとっても大きな意義があるものと評価をしております。
森林環境譲与税については、今回の税制改正において、この譲与基準において私有林人工林面積を五・五割に引き上げ、人口を二・五割と引き下げるものとなっており、山側への譲与がより強化されるものと言えます。
このため、特に私のふるさとの鳥取県のように県土の約七割を森林が占めるような、そういった自治体においては、木材等の生産のみならず、県土の保全など多様な機能を有しており、歓迎すべき改正であると認識をしております。
そこで、今回この譲与基準が見直された後の今後の森林整備の進め方についてどのようにお考えになっていらっしゃるのか、農林水産省の御見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/12
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013・長崎屋圭太
○政府参考人(長崎屋圭太君) お答えいたします。
今回の譲与基準の見直しによりまして、令和六年度から私有林人工林面積による譲与の割合が五〇%から五五%になりますと、山間部の地方自治体におきましては、再造林等の森林整備に向けた安定財源が確保されることになります。これによりまして、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現や花粉症対策のための杉人工林の植え替えの加速化への効果を期待しているところでございます。
農林水産省といたしましては、今回の譲与基準の見直しが譲与税の有効な活用につながり、より一層森林整備が進むこととなるよう、譲与税の使途のポジティブリストの周知、全国の優良事例の収集、共有、また地域林政アドバイザー制度の活用促進や研修等による体制強化などによりまして市町村の支援に取り組んでまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/13
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014・藤井一博
○藤井一博君 御答弁をいただきました。
先ほども申し上げましたけれども、やはり今回の改正、山側への配慮がなされている意味では非常に評価をするところでございます。
ただ、やはり、この森林国家日本におきまして、やはり森林にしっかり手を入れて産業としてしっかり活用していくという意味では、現場からはまだまだ足りないというような声も出ているところでございます。いただいた御意見ですけれども、これからの間伐などの森林整備や人材の育成、担い手対策、木材利用の普及啓発、人材の福利厚生等、やることは山ほどあるという声も聞いております。
また、この譲与税については、既存の事業については上乗せできないような制度となっているところもありまして、現場の御意見も聞きながら今後の状況も踏まえて改善するところもあると思いますので、この辺は状況を見ながら対応をしていただければと思います。
次に、定額減税についてお伺いをいたします。
定額減税に伴う地方財政への影響についてお伺いをいたします。
令和六年度税制改正においては、令和六年度の所得税三万円、令和六年度分の個人住民税一万円の定額減税を行うこととされております。
定額減税は、物価高による国民の負担感を緩和するとともに、賃金上昇と相まって国民所得の伸びが物価高を上回る状況をつくり、デフレマインドの払拭につなげることを目的に行われるものと理解をしております。十分に可処分所得を確保しなければ消費が落ち込んでしまうことになりかねない状況において、この可処分所得を下支えし、物価高に負けない実質的な賃上げを軌道に乗せるためには、定額減税は極めて実効性のある施策と考えております。
他方で、各地方自治体は、地域において、それぞれの地域の実情に応じた様々な地域経済活性化、地方創生の取組を行っております。今回の定額減税という施策により地方財政にマイナスの影響が及ぶことは決して避けなければなりません。
定額減税によって地方自治体において住民税や地方交付税の減収が生じることとなります。それらは地方特例交付金や地方交付税の自然増収分で賄うこととされておりますけれども、それによって地方財政に支障は生じないのか、減税の影響について自治財政局長にお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/14
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015・大沢博
○政府参考人(大沢博君) お答えいたします。
過去の定額減税の例では、定額減税に伴う地方税や地方交付税の減収は地方の負担と整理をされてまいりました。しかしながら、今回の定額減税におきましては、地方財政に配慮する観点から、地方税の減収について、地方特例交付金により全額国費で補填をすることといたしました。
また、所得税の定額減税に伴う地方交付税の減収につきましては、減税の影響を含めましても、地方交付税は〇・三兆円の増加、一般財源総額は〇・六兆円の増加となるなど、地方財源をしっかりと確保できることなどを踏まえまして、前年度からの繰越金等により対応することといたしました。さらに、後年度、国から〇・二兆円の加算も行うこととしておりまして、過去の例と比べますと、地方財政に相当程度の配慮をした措置と、措置を行うことができたものと考えております。
これらにより、地方の財政面に支障が生じることのないよう対応できたものと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/15
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016・藤井一博
○藤井一博君 御答弁をいただきました。
見込みとしては、地方に対して大きな影響はないのではないかというような御答弁をいただいたと思っております。ただ、見込みは見込みでありますし、これからの自治体の状況であったり、御意見等をしっかりお聞きしながら、対応を継続して行っていただくようお願いをいたします。
続きまして、賃上げ促進税制についてお尋ねをいたします。
賃上げ税制は、二〇一三年度、第二次安倍政権下において、日本経済再生に向けた緊急経済対策による雇用対策の一環として、所得拡大促進税制として今日まで継続してきた制度であります。
賃上げは岸田政権においても最重要課題であり、政府におかれましてはあらゆる施策を総動員して賃上げを強力に後押しするとの方針を示していただいており、今回の地方税制改正案においても、法人税の賃上げ促進税制の強化と併せて、賃上げ促進税制の拡充、延長の措置が講じられております。
都市部の大企業だけでなく、地方、中小企業を含めた持続的賃上げを実現することが重要であると考えますが、地方においては経営状況の厳しい中小企業が多く、業績の改善が見られない中で賃上げに踏み切っている企業や、賃上げに二の足を踏んでいる企業も多くあります。そのような地域産業を支える企業が将来を見通して安心して賃上げを行うことができるような支援が必要であると考えます。
今回、地方税の賃上げ促進税制については、三年間の時限措置とされております。今回の延長が時限措置とされたことについて、特に中小企業における賃上げへの影響についてどのようにお考えか、自治税務局長にお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/16
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017・池田達雄
○政府参考人(池田達雄君) お答えをいたします。
今般の法案におきましては、御指摘のとおり、法人住民税、事業税における賃上げ促進税制の適用期限を三年延長することといたしております。
この適用期間についてでございますが、昨年十一月の総合経済対策におきまして、持続的な賃上げの実現に向け、三年程度の変革期間で取組を集中的に講じていくとされていることなどを踏まえまして、法人税の賃上げ促進税制の適用期限と合わせ、三年間の措置としているところでございます。
また、今般の税制改正では、法人税の中小企業向けの措置におきまして五年間の繰越控除制度を創設するなどの見直しを行うこととされておりますが、地方税におきましても同様に税負担の軽減が得られるよう見直しを行うこととしておりまして、赤字の中小企業を含めまして幅広く賃上げのインセンティブが働くものと考えております。
こうした地方税制上の措置等を通じまして企業の賃上げをしっかり後押ししてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/17
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018・藤井一博
○藤井一博君 御答弁いただきました。
内容自体はよく理解をいたしましたけれども、やはり、体力のない中小企業にとりましては、将来を見越してどのような行動を取れるかというのは非常に大きなことになっております。賃上げに踏み切った中でしっかりと企業の業績が上がっていくような、そういった成長戦略というものを中小企業中心にしっかり考えていただければと思います。どうぞよろしくお願いをいたします。
次に、地方の子育てに係る財政措置、子育て施策に係る財政措置についてお伺いをいたします。
各地方自治体においては、その地域の状況に応じて知恵を絞り、その地域に合わせた少子化対策、子ども・子育て政策に取り組んでおります。こうした取組は当然それぞれの地域の創意工夫が反映されるべきものではありますが、他方で、この同じ日本という国に生を受けた以上、その水準は全国どこであっても一定であるべきだという考えもあるかと思います。
しかしながら、地方自治体の子育てに対する支援など単独施策の多くが、当該団体の財政力の格差がそのまま施策の格差となっていることも事実であると思います。
財政力の高い自治体は財政力の弱い地方では足踏みをしてしまうような取組も行われており、私は、本来一定であるべき子ども・子育て施策が自治体の財政力の差によってその内容に差が生じていることを大変危惧をしております。このことは、地方交付税制度以上に顕在化しており、施策の充実した自治体への転入が集中、超過となるなど、その格差は顕著に広がっております。
ついては、こうした財政力の格差により自治体間で子ども・子育て政策の取組内容に格差が生じかねない点について、総務省としてどのように対応をしていくべきとお考えか、自治財政局長にお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/18
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019・大沢博
○政府参考人(大沢博君) お答えいたします。
総務省としては、自治体間に財政力格差がある中で、どのような地域であっても一定水準の行政サービスを提供できますように財源を保障することが、これが国の責務であると考えているところでございます。
子ども・子育て政策の強化につきましては、まず、全国的に実施することになりますこども・子育て支援加速化プラン、これにおきます令和六年度の地方負担の増〇・二兆円について全額を地方財政計画の一般行政経費等に計上いたしまして、必要な財源を確保いたしました。これに加えまして、地方団体が地域の実情に応じてきめ細かに独自の子ども・子育て政策を実施できるよう、地方単独のソフト事業について地方財政計画の一般行政経費を〇・一兆円増額をすることといたしました。
さらに、地方単独で行うハード事業につきましても、子ども・子育て支援の機能強化に係る施設整備や子育て関連施設の環境改善を速やかに実施できますように、地方財政計画の投資的経費を五百億円増額をしてこども・子育て支援事業債を創設することといたしました。
こうしたことによりまして、今後も、地方団体が取組を、子ども・子育ての取組を実施できますように、地方の実情を十分に踏まえ、必要な財源を確保してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/19
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020・藤井一博
○藤井一博君 御答弁いただきました。
基本的な考え方として、そういった施策については全国一律で行われるべきだというお考えが根底にあるということをお聞きして、安心をいたしました。
ただ、やはり、今後の人口の移動の状況をしっかり見ていただいて、その原因にそういったところがあるようなことがあれば、その都度調整をしていただくような目で動きを見ていただくということが必要だと思っておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
次に、地方税の充実と偏在是正についてお伺いをいたします。
令和六年度与党税制改正大綱において、過疎化や高齢化といった地方の課題の解決及び地方活性化に向けた基盤づくりとして、地方税の充実確保を図る、税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系の構築に向けて取り組むとされ、松本総務大臣も衆議院本会議においてその旨を述べられております。
しかしながら、現実として、人口一人当たりの税収額の指数を見ますと、地方税目ごとにかなり地域間の偏在度が異なっており、地方の自治体は少子高齢化、人口減少に苦しんでおります。
私の地元鳥取県も例外ではなく、人口が年々減少しておりまして、過疎化も急激に進むなど、日本で最も人口が少ない県として大変厳しい状況が続いております。
一方で、東京など大都市への人口集中は進んでおりまして、こうした社会構造を変えていくためにも、地方自治体の財源をしっかり確保し、地方の自治体が特色ある町づくりなど地方創生の取組を進めることが何より重要であると考えております。
地方自治体の財源には交付金や補助金など様々なものがありますが、地方自治の観点からは、自主財源である地方税の充実を図ることが特に重要であると考えております。あわせて、単に地方税の充実を図るだけですと、どうしても都市部の税収が大きく伸びてしまうため、偏在性の小さい地方税体系を構築することが重要であると思います。
総務省として、地方税の充実や偏在性の小さい地方税体系の構築に向けてどのように取り組まれていらっしゃるのか、自治税務局長にお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/20
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021・池田達雄
○政府参考人(池田達雄君) お答えをいたします。
地方創生を推進するとともに、住民生活に密着した行政サービスを地方団体が安定的に提供していくためには地方税の充実確保が必要ですが、御指摘のとおり、税源に偏在があれば、地方税を充実すると地域間の財政力格差が更に拡大することになります。このため、地方税の充実確保を図る前提といたしまして地方税源の偏在是正が必要であり、両者は車の両輪として常に考えていく必要があるものと考えております。
地方税については、これまで、地方税の充実と税源の偏在性が小さい地方税体系を構築する観点から、個人住民税の税源移譲と一〇%比例税率化でありますとか、地方消費税の創設及び拡充などに取り組んできたところでございます。
昨年の骨太方針二〇二三や、御紹介がございました令和六年度与党税制改正大綱におきまして、地方団体間の税収の偏在状況や財政力格差の調整状況等を踏まえつつ、税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系の構築に取り組むと、こうされているところでございますので、こうした方針に沿いまして、税源偏在の状況等をよく検証しながら、地方税の充実確保を図るとともに、税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系の構築に取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/21
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022・藤井一博
○藤井一博君 御答弁いただきました。
やはり、私、地方出身の者として地方創生というものを政策の一丁目一番地にしておりますので、こういった地方の税収、一般財源の確保、そういったものはやはりなかなか今現状として十分ではないという考えも持っておりますので、またそういった視点でこれからも質問させていただければと思います。
質問、ちょっと用意していたものが、私の時間配分が甘くて、少しちょっと何問か飛ばしていただいて、最後質問させていただきますけれども、私、やはり地方創生という中で、都市と地方の関係の中で、都市に人、物、金が集まる、こういった今の構造というものを反転させていく、そのことが必要であると思っております。
私、やはり、この構造というものは、高度経済成長期に、やはり、日本海側、太平洋側という言い方しますけれども、どうしても工業地帯にしっかりとした社会資本整備が進みまして、その基盤の差というものが大きく響いていることもあるのではないかと考えているところでございます。
ちょうど昨日、地元の中山間地歩いておりましたけれども、やはり出会う方が大体七十代、八十代の方が多く、中にはつえをついて歩いている方も多くいらっしゃる、そのような状況でございました。
農村地帯でございますので、御自身で畑を耕したりされている方に話しかけに行きましたけれども、イノシシが出たような跡もありまして、大変ですねと声を掛けましたら、藤井さん、それも大変だけど、もう私たちが住む町ではバスももうすぐ来なくなってしまうんだよと。買物行く場所も減っていくし、病院に行くのも大変だ、そのような声が、本当に切実な声をお聞きしたところでございます。
私、やはりこれから人口減少社会というのはなかなかすぐには回復しないものと思っておりますし、ある程度人口減少していく、シュリンクしていく中での国づくりというものも考えていかないといけないという中で、地方から都市にどうしても人が移動してしまう、この流れ変えていかないといけない。地方はやはりエネルギーであったり食料であったり、人材の、つくる場所でございますので、そういったところへの逆方向の流れというものをつくっていく、そのことにも、これ生半可な努力では難しいし、政策も大きな転換を図る必要があると思っております。
そういった中で、総務省というのは、国と地方の在り方というものを考える場所として、やはり地方の現状に寄り添った考え方を持ってこれからも政策の展開というのをしていかないといけないと思いますけれども、その総務省を、総務大臣、松本総務大臣のお考えとして、そのような視点の中で、総務大臣、どのようなお考えがおありなのかお伺いして、私の質問とさせていただきます。お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/22
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023・松本剛明
○国務大臣(松本剛明君) お話しいただいた中で、まず一つは人口減少でございますけれども、人口減少そのものへの取組として、政府として少子化対策に取り組んでいるところではありますが、進行する人口減少への対応もしていかなければいけないというふうに考えております。
特に、地方を担当する総務省といたしましては、まずは地方行政の維持向上ということで、そのために、専門人材を始め人材の確保といった課題に取り組むために、都道府県や市町村と、市町村の間での連携をして技術職員を確保するとかDXの人材を確保するとかいったことを進めていきたいと考えておりますし、また、様々なレベルでの広域連携によって業務をシェアする、例えばDXの推進も都道府県に引っ張っていただくなどのことを考えておりまして、このようなデジタルを積極的に活用していきたいと思っております。
このために、やはりデジタルを推進をしていくためには、言わば先頭、トップを更に前へ進めると同時に、これを横展開をするということが大事だというふうに考えまして、令和五年度の補正予算で人口規模別のフロントヤード改革のモデル事業というのを進めているところでございます。
また、国、地方におけるデジタル化の共通の基盤などもさせていただいておりますが、今委員からもお話がありましたが、自治体は広く住民と直接言わば接するところでございますので、きめ細やかにニーズを酌み取って身近な行政サービスを担っておられます。また、地域の特性を生かしての活性化にも取り組んでおられますので、大変重要な役割を行財政を支える立場から進めてまいりたいと思っております。
なお、地方からの人の流れということ、地域おこし協力隊であるとか様々な施策を進めており、一定の成果は上げられていると思っておりますが、例えば地域おこし協力隊も人員を拡大するなど、更に進めていく必要があるとの認識の下で地方への人の流れも進めてまいりたいと思っております。一度地方へ行かれた地域おこし協力隊の皆さんが定住をしてくださる方がたくさんあるように、本質的にある各地域の魅力を引き出せるように我々も努めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/23
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024・藤井一博
○藤井一博君 ありがとうございました。質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/24
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025・岸真紀子
○岸真紀子君 立憲民主・社民の岸真紀子です。
地方財政計画、地方交付税法に関し、会計年度任用職員の課題から始めたいと思います。
昨年の第二百十一回通常国会における地方自治法の一部を改正する法律案の審議、そして可決、成立を踏まえ、その後の地方自治体における措置の経過と実情、今後の対応等を質疑します。
昨年の四月二十五日の当委員会の質疑で指摘しました地方自治体の会計年度任用職員、臨時・非常勤職員の役割や存在の意義、重要性に対する認識について、松本大臣からは、会計年度任用職員の方々が地方行政の重要な担い手として活躍いただいていると明確に見解を出していただきました。大臣見解のとおり、重要な担い手ということを踏まえれば、それにふさわしい処遇がなされなければならず、特に会計年度任用職員の勤勉手当の支給並びに月例給の遡及改定については適切かつ万全な措置が全ての自治体において図られなければなりません。
会計年度任用職員の勤勉手当の支給について、改正地方自治法の公布日である昨年五月八日以降、地方自治体における関係条例の整備状況をお尋ねいたします。
具体的には、昨年十二月までに関係条例の議決を終えている自治体数、本年三月までに議決を予定している自治体数、さらには、いまだ関係条例の整備が予定もされていない自治体数について、それぞれ明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/25
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026・小池信之
○政府参考人(小池信之君) 会計年度任用職員の勤勉手当に関する条例の整備状況につきましては、令和五年十二月一日時点におきまして、そのときの予定も含めましてですが、十二月までに議決をすると回答したところが五百二十五団体、三月まで、今年三月までに議決をする予定であると回答したところが千百五十一団体でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/26
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027・岸真紀子
○岸真紀子君 二〇二四年度からの勤勉手当支給が遺漏なく全ての自治体において行わなければなりません。しかし、いまだ関係条例の整備が予定されていない自治体が百十以上ありましたかね、今の数でいうと、そういった自治体も存在しているのは残念でなりません。
これは、改正地方自治法の趣旨、そして地方公務員法における均衡の原則という観点から極めて重大で看過できない問題ですが、明快な見解を明らかにされるとともに、これら取組に遅れがある自治体に対して総務省としてどのように対応するのか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/27
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028・小池信之
○政府参考人(小池信之君) 総務省としましては、引き続き、先ほどの地方公共団体に対しましては、会計年度任用職員の勤勉手当の支給について、改正法の趣旨を踏まえ適切な対応を行うよう促してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/28
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029・岸真紀子
○岸真紀子君 促していただくというのは、この間もいろいろやってきてはいただいているんですが、今みたいに百十以上も超える市区町村が残念ながら行われていないという実態にあります。
ちなみに、これ、勤勉手当を支給する代わりに、まさか給料とか報酬、期末手当の引下げを行うようなことはあってはならないと考えるんですが、このことは総務省としても、二〇二三年の十二月二十七日の公務員部長通知にて、新たに期末手当又は勤勉手当を支給する一方で、給料、報酬や期末手当について抑制を図ることは改正法の趣旨に沿わないものであるとして、明確にしていただいておりますが、地方自治体においてこのような状況はないということでよろしいでしょうか。実態把握していますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/29
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030・小池信之
○政府参考人(小池信之君) 会計年度任用職員に勤勉手当を支給する一方で、給与を、給料又は報酬等を引き下げる予定の地方公共団体は、令和五年十二月一日時点におきまして百三十九団体となってございます。
そのうち、多くの自治体はその理由を、勤勉手当を支給するに当たり、従前、勤勉手当が支給されないことを踏まえて常勤職員よりも高く設定していた期末手当の支給月数を常勤職員の支給月数にそろえることによるものとしておりますけれども、一部の自治体においては財政上の制約によるものというところもございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/30
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031・岸真紀子
○岸真紀子君 今御答弁いただいたとおり、百三十九地方自治体が引下げを行うというのは極めて問題です。これらの地方自治体に対して断固とした総務省の対応を求めます。その点についていかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/31
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032・小池信之
○政府参考人(小池信之君) 先ほど委員から御指摘がございましたように、総務省としては、制度の適正な運用について昨年末に通知を発出しまして、単に財政上の制約のみを理由として勤勉手当の支給について抑制を図ることや、新たに勤勉手当を支給する一方で給料、報酬や期末手当について抑制を図ることは改正法の趣旨に沿わないものである旨助言をしているところでございます。
先ほど申し上げました財政上の制約による等の理由による一部の団体につきましては、ヒアリングの機会等を活用して適切な対応を行うよう促してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/32
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033・岸真紀子
○岸真紀子君 今後、個別に対応していただけるというような答弁であったと思います。
まさに、年収が変わらないからいいんだという問題ではなくて、当然、今も、政府も物価高の対策とかいろんな定額減税までも今回やるんですが、毎月のこの月例給が下がるなんていうことは絶対あってはならないですし、まさかその勤勉手当を支給するために期末手当を下げるということも必ずあってはならないということなので、しっかりとそこは対応していただきたいです。
次に、自治財政局策定の二〇二四年度地方財政対策の概要において、会計年度任用職員への勤勉手当支給に要する経費として一千八百十億円が計上されています。これは対象となる全ての会計年度任用職員に係る勤勉手当を積算したものと解しますが、そのような理解でよいか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/33
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034・大沢博
○政府参考人(大沢博君) お答えいたします。
会計年度任用職員の勤勉手当につきましては、昨年、支給対象となる全職員を対象とした支給見込額等に係る調査を全国の地方団体に対して実施をいたしました。当該調査におきましては、全ての団体から、その支給見込額、勤勉手当の支給見込額について回答があり、その調査結果に基づき、令和六年度の地方財政計画において勤勉手当の支給に必要となる所要額千八百十億円を積算したものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/34
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035・岸真紀子
○岸真紀子君 ありがとうございます。
それぞれの自治体にきちんと調査をして、必要な経費を予算として確保したということで、明快な御答弁をいただきました。
会計年度任用職員への勤勉手当の支給については、いまだ、残念ながら、先ほど答弁でも明らかになったとおり、関係条例の整備が予定すらもされていない自治体が存在していること、あるいは勤勉手当の支給に伴って月例給や期末手当を減額する自治体が存在するということは、昨年この四月二十五日に総務委員会で議決した附帯決議にも反する極めて重大な問題であることを委員会全体としても共有をしていただきたいと思います。
そして、総務省においても重ねて厳格な対応を求めていただくように、これは要請しておきます。
次に、会計年度任用職員の給与改定の実施時期の常勤職員の改定に準じた改定、つまり人事院勧告に伴う遡及改定に関してですが、二〇二三年度分に関する地方自治体の対応についてお尋ねします。
具体的には、会計年度任用職員の給与の改定を二〇二三年四月に遡及して行った自治体数、また行わなかった自治体数のそれぞれの状況を明らかにしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/35
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036・小池信之
○政府参考人(小池信之君) 会計年度任用職員の給与の遡及改定を今年度に実施又は実施予定とした団体は、昨年十二月一日時点におきまして九百八十六団体、全体の五五・一%となっており、一方で遡及改定を実施しない団体は八百二団体、四四・九%となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/36
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037・岸真紀子
○岸真紀子君 ありがとうございます。
四月に遡及改定が全ての自治体において行われない、今の御答弁をいただくと、実施するのは九百八十六団体で五五・一%、その他の八百二団体、約四五%が実施をしないという実態に置かれているというのは極めて遺憾であります。
常勤職員の改定に準じた改定ということからの情勢適応の原則、また、国の期間業務職員はきちんと遡及をしているので、この遡及をして行っていないということについては、均衡原則という地方公務員の根幹を成す原則からも問題であると指摘せざるを得ません。
ところで、この会計年度任用職員の給与改定に伴い必要となる財源については、令和五年度補正予算(第1号)に伴う対応等についてで示されているとおり、確保されているという認識でありますが、そこでお聞きしたいのは、補正予算に伴う対応等で措置された会計年度任用職員の給与遡及改定に関わる額について具体的にしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/37
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038・大沢博
○政府参考人(大沢博君) 令和五年度の人事委員会勧告を踏まえた令和五年度の地方公務員の給与改定、これにつきましては、会計年度任用職員の遡及改定も含めて全国の地方団体に遡及するかどうかの調査を行って、その調査結果に基づいて所要額を見込みました。令和五年度の遡及改定の所要額として見込んだのは三百三十一億円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/38
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039・岸真紀子
○岸真紀子君 ありがとうございます。
この財政措置として、各自治体に遡及改定予定の調査を行って、所要として三百三十一億円というふうに明確に予算額を計上していただいたということです。国においてこのように必要な財源まで準備するという措置を講じたにもかかわらず、それでもなお遡及改定を行わなかった地方自治体が多数あるということであると理解をいたします。
その上で、二〇二四年度の給与改定について、今後の人事院及び人事委員会の勧告を待つこととなりますが、恐らく、今の春闘状況でいうと、民間春闘かなりいいので、恐らく今年も期待できるのではないかと考えます。
仮に昨年同様の引上げが措置される場合に、会計年度任用職員の給与改定に係る所要額も含めて、年度途中に生じる財政需要については地方財政計画に計上している追加財政需要額により対応することを基本、年度途中に生じる財政需要の見込みが追加財政需要額を上回る場合には補正予算による地方交付税の増額も含めて適切に対応というこれまでの総務省の対応、つまり会計年度任用職員の改定遡及に必要となる財源措置は二〇二三年度と同様の扱いが行われるという理解でよいか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/39
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040・大沢博
○政府参考人(大沢博君) お答えいたします。
令和六年度の人事委員会勧告を踏まえた地方公務員の給与改定につきましては、会計年度任用職員の遡及改定も含めまして、これまでと同様、あらかじめ地方財政計画に計上しております追加財政需要額による対応を基本としつつ、地方団体の財政運営に支障が生じないよう適切に対応してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/40
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041・岸真紀子
○岸真紀子君 ありがとうございます。今年度についても必要に応じて対応していくということです。
ここまで聞いて皆さんもお分かりのとおり、これだけ明確に財源も付ける、そして原則常勤と一緒にしなきゃいけないというふうに総務省としては明確にいただいております。にもかかわらず、なぜこの二〇二三年度において遡及改定を実施しなかった自治体があるのか、その理由について総務省として把握しているでしょうか。把握しているのであれば具体的に明らかにしていただきたいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/41
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042・小池信之
○政府参考人(小池信之君) 昨年十二月の調査におきまして、今年度遡及改定を実施しない団体の主な理由としましては、システム改修が間に合わない、あるいは任用時に勤務条件を既に示しており年度途中での変更が困難であるなどが挙げられたところでございます。
総務省といたしましては、引き続き、地方公共団体に対して、会計年度任用職員の給与の遡及改定についてヒアリングの機会等を活用して適切な対応を行うよう促してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/42
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043・岸真紀子
○岸真紀子君 なので、今聞いていると、財政的負担というのは、先ほど質疑で明らかにしたとおり、それは問題になっていないという理解でよろしいですかね、今の答弁でいうと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/43
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044・小池信之
○政府参考人(小池信之君) 主な理由は先ほどお話しした二つでございますので、細かく見ればそういう事情のところもあるかもしれませんが、引き続き総務省の方から適切な対応を促してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/44
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045・岸真紀子
○岸真紀子君 では、その二つの理由ということで、システムとか事務的負担、契約変更というのを理由としているのであれば、これもまた話になりません。なぜかというと、そもそも総務省が遡及改定を周知促したのは、私がこの質問した後の昨年の五月の二日でございます。半年もの準備期間がある時間的猶予があったことからすれば、これらの理由は限りなく虚言に近いのではないかと指摘せざるを得ません。
やはり、潜在的な意識として、地方自治体において常勤職員との差別意識が残念ながら色濃く存在しているのではないでしょうか。会計年度任用職員の役割や存在意義、重要性に関する松本大臣の見解について全ての地方自治体側が同様の認識にあるのならば、このような事態には断じてなりません。その意味では、松本大臣の地方行政の重要な担い手という見解が全ての地方自治体において共有されることが第一義的に重要であることを指摘いたします。
改めて、このような地方自治体における会計年度任用職員の実態を踏まえ、会計年度任用職員の勤勉手当の支給並びに月例給の遡及改定について、松本大臣の明快な見解と具体的対応をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/45
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046・松本剛明
○国務大臣(松本剛明君) 会計年度任用職員の皆さんが大変重要な役割を果たしていただいているという認識は、これまでも申し上げたとおりでございます。
そういった中で、これからやはり本当に住民にとって質が高い行政サービスを維持向上させていくためにも人材の確保は大変重要でございまして、その人材の確保の中で、雇用形態につきましては自治体の御判断があろうかと思いますけれども、会計年度任用職員の処遇の確保、改善というのは極めて重要だということで、岸委員からも御指摘がございましたが、これまでも期末手当の支給に加えて勤勉手当の支給の法改正を行い、また、常勤職員の給与改定に係る取扱いに準じて改定することを基本とする旨、地方公共団体に通知を発出するなどの取組をさせていただいてきてまいりました。
申し上げましたように、自治体にとりまして人材確保による行政サービスの確保という側面も、また、政府におきましては、やはり所得、物価高騰を上回る所得を確保することによる好循環の創出にとりましても極めて重要だという認識の下、今公務員部長始め総務省からも御答弁させていただきましたように、会計年度任用職員の適正な処遇確保、改善にしっかりと対応させていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/46
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047・岸真紀子
○岸真紀子君 松本大臣、ありがとうございます。
本当に、昨年の自治法改正のときの趣旨というのは、そしてこの自治法改正のときの委員会での質疑のやり取りは本当に意義があるというものでありました。にもかかわらず、残念ながらそのような実態があって、これ、市役所とか町役場とか村役場で働いている職員だけではなくて、教職員の会計年度任用職員にも同じことが起きているということで考えると、やっぱり遡及問題であったり勤勉手当というのはいち早く解決していかなきゃいけません。先ほど大臣からも答弁いただいたとおり、引き続き総務省としても先頭に立って各自治体に促しをしていただきたいということを重ねてお願いいたします。
次に、また同じく地方交付税法に関連して、今度は保育士の配置基準についてお伺いをしたいと思います。
政府は、七十六年ぶりに、四、五歳児の保育士の配置基準がそれまでは三十人に一人であったのに対して二十五人に一人というふうに、いわゆる二十五対一に見直すことを決めました。
確認ですが、この見直しによって、公定価格分について地方交付税や地方財政計画でどのように算定されているか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/47
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048・大沢博
○政府参考人(大沢博君) お答えいたします。
四歳、五歳児の保育士配置基準の改善に係る費用を含めた保育所の運営費につきましては施設型給付費によりまして公費負担することとされております。
私立保育所につきましては、国と地方が負担をすることとなるわけでございますけれども、この公費負担額を地方財政計画の歳出に計上した上で、その地方負担額の全額を普通交付税により措置することとしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/48
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049・岸真紀子
○岸真紀子君 ありがとうございます。民間の保育所については、四、五歳児の保育士の配置基準の見直しによっていわゆる公定価格分が措置されることが確認できました。
それでは、公立保育園の、公立保育所の経費分はどのように算定、措置されるのか、お答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/49
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050・大沢博
○政府参考人(大沢博君) 公立保育所につきましては、地方団体が全額負担をすることとされておりますが、この地方負担額を地方財政計画の歳出に計上した上で、その全額を普通交付税により措置することとしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/50
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051・岸真紀子
○岸真紀子君 ありがとうございます。公立保育所についてもきちんと地方交付税で措置されるという御答弁をいただきました。
公立保育所の運営費は交付税の中で一般財源化されていることから、現場ではこんな事象が起きているので、問題を共有したいと思います。
二〇一五年から、実は既に三歳児の配置改善加算、それまで二十対一だったものが十五対一に改善されるというのが実施されています。しかし、全国の市役所等でつくっている労働組合、自治労の調査では、公立保育所のうち四割しか三歳児の配置改善がなされていない、要は十五対一になっていなくて二十対一のままだよという結果にあります。これは、公立保育所の運営費が一般財源化されていることから、残念ながら、財政に厳しい自治体においては満額を保育所経費に回していないという問題が起きているのではないかと考えます。
現場の保育士からは、今回の四、五歳児についても同じように改善されないのではないかという懸念があります。政府として、こども未来戦略で決定し、やっと改善すると決めたのですから、当然、公立保育所においても率先して改善させることを徹底していただきたいです。
松本大臣、是非、この問題について、こども家庭庁とも連携を取りながら、そして地方財政で改善分を確保しているということの周知徹底をお願いいたします。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/51
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052・松本剛明
○国務大臣(松本剛明君) やはり、子育て支援という意味で、保育所の適切な対応ができるようにということで、配置改善もそういった観点から行われてきたものというふうに認識をしておりますし、私自身も議員として、やはり国にとっても教育、子育て支援は大変重要だということで、保育士の配置基準についてはずうっと注視をさせていただいてきておりました。
そういった中で、交付税の使途については自治体の御判断があることは委員もよく御案内のとおりでありますけれども、少子化が重要な課題であるという認識の下で、こども未来戦略におきまして、支援の拡充の一つとして、四、五歳児の職員配置基準の改善が令和六年度から盛り込まれたところでございますので、先ほど自治財政局長からも御答弁させていただきましたが、公立保育所における保育士の配置基準の改善に必要な経費を含めた保育所の運営費について、その全額を地方交付税により措置することとしておりまして、特に四、五歳児の配置基準改善については本年一月に各地方団体に対して事務連絡を発出して周知させていただきました。
安心して子供を預けられる体制整備を進める観点から、公立保育所においても配置基準の改善が実施されることは重要であると認識をしており、各地方団体において適切に御対応いただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/52
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053・岸真紀子
○岸真紀子君 ありがとうございます。大臣も同じ認識ですので、また引き続き、一月に事務連絡で出してはいただいているものの、プッシュをしていただくように、こども家庭庁とも連携を取って行っていただきたいです。
次に、本日、金融政策決定会合で、既に、お昼、皆さんの事務所にも連絡が来ていると思いますが、これまで金利が非常に低い状態でありましたが、いよいよ日銀が足下の物価や春闘の動向を踏まえて見直すことを決定いたしました。これによって地方の財政がどうなっていくのかという懸念についてお伺いいたします。
これまでは金利が非常に低い状態であったので地方債や交付税特別会計借入金の支払利子にとっては負担が少なかったんですが、今後、この見直し、金融政策の見直しによって、すぐにはどうこうというわけではないですが、将来的に見ると、やっぱり十七年ぶりの見直しですので影響が出てきます。
臨時財政対策債の抑制と交付税特別会計借入金の償還が進みつつあるものの、依然として債務残高は巨額の水準にあります。地方財政への影響をどのように考え、今後どのように地方財政の確立をしていくのか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/53
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054・松本剛明
○国務大臣(松本剛明君) 委員もよく御案内のとおりかと思いますけど、金利上昇に伴う地方財政への影響につきましては、地方債の多くが長期債として発行されていることから、足下の金利水準が上昇した場合には主に新たに発行される地方債の利払い費に影響が出ることとなります。
なお、将来の金利動向について現時点で明確なことを私から申し上げることは難しい側面がありますが、地方財政計画を毎年度策定をする際に当たっては、その時々の金利水準を踏まえて適切に利払い費を見込み、公債費を計上して、公債費を含め地方団体の財政運営に支障が生じないよう必要な地方財源を確保していくようにしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/54
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055・岸真紀子
○岸真紀子君 大臣、ありがとうございます。そうなんです。足下すぐではないんですが、やっぱり将来的にも見通してきちんと財政措置をしていただくということを重ねて要望しておきます。
地方交付税において子ども・子育て政策に係る基準財政需要額の算定を、この度、明確、的確なものにするために、新たな算定費目としてこども子育て費を創設することになります。
しかし、十八歳以下人口の割合が小さい自治体にとってみれば支援策に差が付いてしまわないのか、また小さい団体にも配慮した補正がなされる予定なのか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/55
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056・大沢博
○政府参考人(大沢博君) お答えいたします。
こども子育て費につきましては、子ども・子育て政策に係る基準財政需要額の算定をより的確なものとする観点から、測定単位を十八歳以下人口として算定をすることとしております。その上で、人口に占める十八歳以下人口の割合が小さい団体に配慮した補正措置を講ずることを予定しているところでございます。
各地方団体が子ども・子育て政策に係る取組を着実に実施することができるように、適切な算定に努めてまいりたいと考えているところです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/56
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057・岸真紀子
○岸真紀子君 また、子ども・子育て支援というのは単年度で終わるわけではございませんので、成果が出づらいんですね、なかなか単年度では。なので、長期的に安定的な財源の確保が必要です。今聞いても多分答えられないと思いますが、次年度以降もきっちりとこのこども子育て費というのを継続していくということをお願いしておきます。今後も安定的な財源確保をお願いします。
次に、森林環境譲与税についてお伺いをします。
本法案において、森林環境譲与税に係る譲与基準の見直しが行われることになりました。これ、何度も何度も要請してきたので、一つ、一歩前進ではあります。これまでは総額の三割が人口による配分であったため、森林が少ない若しくは森林がない都市部に分配額が大きく、森林を実際に多く有していても人口規模が少ない町村については、町村というか自治体については配分額が少ないという問題がありました。今回の見直しによって譲与基準が見直されるため、森林を持つ市町村における活用がしやすくなるのではないかと期待するところです。
森林の管理、整備は、近年場所を問わず発生する自然災害の状況を見ても、また地球沸騰化と言われるこれだけ大変な状況になる中で、温暖化対策としても急がなければなりません。
一方で、これまでも、これも私、何回も問題提起してきましたが、昔はそれぞれの自治体に山のプロと言われる自治体の職員が配置されていたんですが、今は、集中改革プランであったり平成の大合併によって森林整備を促進するための市町村の林務担当者というのは不在の状況であるところが多いです。今後どのように確保していくのかということが課題になっています。
地域林政アドバイザー制度の活用も行っているようですが、市町村の意向と人材のマッチング、市町村林務担当者の育成、確保の仕組みづくりの確立に向けどのようにお考えなのか、お伺いします。またあわせて、市町村の林務担当者がいても、その地域で民間の林業労働者がいなければ市町村からの委嘱や業務委託の実務はできません。地域の人材確保をどのように国として支援するのか、副大臣にお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/57
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058・鈴木憲和
○副大臣(鈴木憲和君) 御質問ありがとうございます。
まず、市町村が森林環境譲与税等を活用して主体的に森林整備を進めるためには、先生御指摘のとおりで、その体制の整備充実が何よりも重要というふうに考えております。
農林水産省では、市町村が林業技術者を地域林政アドバイザーとして雇用する取組を推進するとともに、森林技術総合研修所における実務研修の開催などに取り組んでいるところであります。ちなみに、この地域林政アドバイザーでありますけれども、令和四年度で全国で三百七名配置をされておりまして、先生御地元の北海道では二十一自治体に三十六名、御地元の岩見沢市にも一名配置をされているところであります。
また、民間林業分野の人材確保に向けては、林業大学校等で林業への就業を目指して学ぶ青年への給付金の支給、林業就業ガイダンスへの支援、新規就業者の資格取得や体系的な研修への支援などに取り組んでいるところであり、農水省としては引き続き市町村しっかりとサポートしてまいりたいというふうに思います。
ちなみに申し上げますと、私の地元でも同じような課題認識持っておりますので、やはり首長の皆さんがいろんな人事の中で林務の担当者をしっかり育てようという意識を持っていただくことも大変大切な要素かなというふうに思いますので、これからも働きかけてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/58
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059・岸真紀子
○岸真紀子君 鈴木副大臣、ありがとうございます。よくよく、じゃ、御地元のことも理解していただいて、これから一生懸命そこを支えていただくという御答弁をいただきました。
次に、私有林の人工林がないことから、森林環境譲与税の需要が少なくて、譲与金を基金に積み立てている都市部の市町村、市区町村もあるようです。今後も人口割ベースにして二・五割が配分されるので、多額の森林環境譲与税が配分されることになります。思うように活用されないケースも継続される懸念が残るのではないかという問題意識です。こういった都市部における木材利用の促進を一層推進することが重要と考えますが、国としてどのように推進していくのか、お伺いします。
またあわせて、基金等に、実は調べたところ、例えば渋谷区なんかは森林がゼロのようなんですが、全部基金に積み立てておりまして、この間ずうっと基金に積み立てています。基金に積み立てることが悪いわけではないんですが、渋谷区の事例でいうと、担当者が財政担当で全然林野に詳しくないというか、そもそも森林がゼロなので林野担当者なんているわけがないんですが、こういったところは非常に困っているみたいなんですね。こういったところの活用を更に図っていかなきゃいけないのではないかというふうに考えています。
また、逆に、森林を保有する市町村については、活用を図りたいけれども、やっぱり人口割が残ってしまっているので金額が足りない、予算が足りないということも想定されることから、なかなか言いづらいところではありますが、譲与基準を含めた更なる見直しというのは必要ではないかという私は問題意識を持っています。
政府はその認識に立っているか、確認の意味で御答弁お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/59
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060・鈴木憲和
○副大臣(鈴木憲和君) 御質問ありがとうございます。
まず、森林環境譲与税を基金に積み立てていることについて、市町村にその理由を伺ったところ、まず、学校などの公共建築物の建て替えのために巨額なお金が掛かりますから複数年分を積み立てているという事例や、単年度の譲与額が少ないために複数年分をまとめて執行する予定であるという回答だったり、あとは、現在は森林、これは都市部というよりは森林があるところの自治体ということになりますが、現在は森林所有者への意向調査等の準備段階であるため今後森林整備にしっかりと活用していく予定といった回答があったところでありまして、個々の自治体の事情に応じて今後計画的に執行されるものというふうには承知をしているところであります。
農林水産省といたしましては、何よりも川下でしっかりと使っていただくということがまずないと木材切り出しても活用がされませんので、まず、この譲与税の使途をしっかりと都市部の自治体に対しても周知徹底をしていくということや、全国の優良事例の収集、共有、そして山元においては地域林政アドバイザー制度の活用促進や研修等による体制強化等により、市町村の取組が円滑に進むように支援を行ってまいりたいというふうに思います。
更なる見直しということについての気持ちを述べよということでありましたので、私自身もいろんな思いを持って取り組まさせていただきたいというふうに思いますが、まずは、これは都市部と山間部と双方の合意で初めて成り立つ税制だというふうに思っておりますので、まず、令和六年度からこの私有林人工林面積による譲与の割合を五〇パーから五五パーに見直されることになりましたので、これによってしっかりとこの二〇五〇年カーボンニュートラルの実現や花粉症対策のための杉人工林の植え替えの加速化など、効果を期待しているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/60
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061・岸真紀子
○岸真紀子君 なかなか二問目の質問は答えづらいところでしたが、お答えいただきました。まだまだ農林水産省としても、これは一回見直したけれども、これで終わりでないんだよということは認識が共有できたんではないかというふうに思います。
それで、先ほどの質問にも重なってくるんですが、副大臣もおっしゃったとおり、やっぱり川下でいかに利用するかというのは、地方で働く林業労働者を守っていくということに、循環にもなってくるので、やっぱりここしっかりと都市部においても使っていただくということをもっともっと積極的に促していただきたいということをお願いいたします。
また、引き続き、地方財政の措置の拡充等、必要な予算確保は総務省としてもよろしくお願いいたします。
次に、新たな経済に向けた給付金、定額減税についてお伺いをします。
政府は、二〇二三年十一月二日に閣議決定を行いました総合経済対策について、賃金上昇に物価高が追い付いていない国民負担の緩和等を目的に所得税三万円、個人住民税一万円を定額減税すると決め、本法律案によって実施されることになります。
細かい点も含めて確認をいたしますが、最初に、住民税、所得税減税は所得制限を設けていますが、この金額の妥当性、根拠を伺います。また、全員ではなく一部制限することによって、より自治体の実務、事務手続は煩雑になるのではないかと考えます。煩雑になるということは誤りが起こりやすくなるといった懸念はないのか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/61
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062・池田達雄
○政府参考人(池田達雄君) お答えをいたします。
今般の定額減税でございますが、令和六年度分の個人住民税に係る合計所得金額が一千八百五万円以下である方を対象としております。これは給与収入に換算いたしますと二千万円以下に相当するものでございますけれども、このようなことにした理由でございますが、今般の定額減税の趣旨が物価高による国民の負担感を緩和し、可処分所得を下支えすることが目的であること、それから、このような高額の所得者を対象外とした場合でも、例えば子育て世帯で見てみますと、九九%の世帯は対象になると考えられること、さらには、給与収入が二千万円を超えるような比較的高額な所得者の方、こういった方は給与以外の所得も稼得している方も多いと考えられますので、賃上げとの相乗効果という意味では他の所得層と比較してやや相乗効果が低いと考えられること、こういったことを総合的に勘案をいたしまして、与党税制調査会の御議論を経て、給与収入二千万円超相当の所得者を対象外とされたものでございます。
このような所得制限が設けられたことも含めまして、地方団体に対しては、昨年十二月の税制改正大綱の閣議決定後、速やかに全地方団体を対象とする説明会を開催いたしまして、このとき寄せられました質問などを基に一月にはQアンドAを策定し、地方団体にお示しをしております。
引き続き、地方団体が定額減税の事務を円滑に行うことができますよう、関係府省と連携して丁寧な説明や対応に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/62
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063・岸真紀子
○岸真紀子君 その高額所得者については制限をするということ自体は否定はしません。でも一方で、やっぱりこの制限を掛けることによって、コロナのときの臨時特例給付金と同じで、それだけ事務手続的に言うと煩雑になってくるというのは否定できないのではないかと考えます。そういった点はやっぱりもうちょっと慎重にやるべきだったんじゃないかな、迅速にやろうと思えば、複雑にすればするほど分かりづらくなるというところです。
次に、過去の減税策は率での方式が多く、定額減税を行ったのは直近では一九九八年の橋本内閣となります。今回、定率ではなく定額とした理由は何か、また一回きりだとそもそも効果が薄いのではないか、松本大臣はその辺りどのようにお考えなのか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/63
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064・松本剛明
○国務大臣(松本剛明君) 今回の定額減税でございますが、これは、経済全体のデフレマインドからの払拭を促すことで、物価上昇を上回る所得の伸びが確保できるような状況をつくり上げることで、消費と投資の力強い循環という経済の好循環が生み出すことができるようにということで行われる一時的な措置の一つというふうに理解をしておりますが、その場合に、食料やエネルギーの物価高は所得のより低い世帯ほど相対的に影響が大きいと考えられますので、所得の低い方ほど減税の割合が大きくなる定額減税の形式を取ることが適切な対応だと考え、このような対応としたところでございます。
定額減税につきまして、政府として複数年度にわたって実施することは想定をいたしておりませんが、先ほども申しましたように、今年の賃上げや所得増を来年以降にもつなげて、各種の施策を総合的に講じることで物価上昇を上回る所得の伸びが確保できる経済の実現を目指してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/64
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065・岸真紀子
○岸真紀子君 やっぱり、一回こっきりというのは果たして効果があるのかどうかというところと、定額減税なのか定率減税なのかというのはしっかりとやっぱり検証が必要だと思うんです。この後もこれしっかりと追っての質疑とかも機会あればやっていきたいと思います。
次に、定額減税といっても所得税と個人住民税では手法が異なると承知しております。
住民税は、本年六月分を徴収せずに、定額減税後の税額を本年の七月分から翌年の五月分までの十一か月で順次控除することになるというのが一般的に広報されていますが、その方法は納税の仕方によって異なります。
例えば、年金受給者の場合、所得税は六月一日以後に支払われる年金に源泉徴収される所得税から控除をされることとなりますが、住民税については十月分の特別徴収税額から控除されることとなり、国と地方で時期にずれが生じることになります。国と地方というのは、住民税と所得税でずれが生じることになります。こういったところにも私は分かりづらさがあるんじゃないかなと考えています。
総務省としても、なるべく過去の事例を踏まえ、混乱しないように考えたとは思われますが、一方で、住民から見れば、所得税と扱う月が異なるため、理解が進まないのではないでしょうか。なぜ分かりやすくそろえなかったのか、また周知徹底を今後どのようにするのか、伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/65
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066・池田達雄
○政府参考人(池田達雄君) お答えをいたします。
この年金所得に係る個人住民税の特別徴収の場合でございますけれども、四月、六月、八月までは前年の年税額を基に算出いたしました仮の税額により徴収を行うことと法律上なってございまして、既に年金所得者の方にこの仮徴収の税額をもう通知済みでございます。したがいまして、令和六年六月からの個人住民税の減税を行うことは実務上なかなか難しいという面がございました。そのため、例外的に、実務上可能なタイミングである十月から実施することといたしておりますけれども、御指摘のとおり、所得税については年金所得者の方についても令和六年六月から減税が行われ、減税の効果がその方にも届くということになってございます。
定額減税のこのような実施方法につきましては、先ほど申し上げましたとおり、地方団体向けの説明会やQアンドAで丁寧に説明を行っているところでございますが、引き続き、地方団体及び関係府省と連携しながら、機会を捉えて丁寧に周知広報を行ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/66
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067・岸真紀子
○岸真紀子君 年金受給者の方とお話ししたら、六月に全部四万円引かれるんだよねというふうに言っていました。だから、全然分かっていないんですね。その辺も含めて周知徹底というのは必要だと考えています。
総務省は御承知かと思いますが、例えば小さな役場、自治体で考えると、住民税だけを考えればいいだけではなくて、所得税とはざまの調整給付、そういったことまで相談が来るのはやっぱりこれ税務署ではなくて市役所とか町役場です。省庁の縦割りを超えた対応が必要になってくるので、内閣府及び総務省には適時その省庁間の調整、対応をしていただきたいんです。その辺り、局長、よろしいですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/67
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068・池田達雄
○政府参考人(池田達雄君) 御指摘のとおりでございまして、定額減税と給付金の事務というのは非常に密接に関連をいたします。
先ほど申し上げました十二月に行いました説明会も、総務省と内閣府で合同して、内閣官房も含めて合同で開催しております。
給付金支給事務に当たってはまさにこの住民税の情報を活用することから、総務省といたしましても、地方団体の御理解が得られますよう、内閣府、内閣官房と一緒になりまして説明に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/68
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069・岸真紀子
○岸真紀子君 引き続き、現場からも声を聞いて、必要に応じてちゃんと適切にやっていただきたいということをお願いします。
次に、個人住民税は定額減税で個人住民税所得割の年額の税負担は減ることになるんですが、給与所得者で月々の負担感が増える世帯が生じるケースがあります。
例えば、例えばですが、単身世帯の給与所得者で、二〇二四年度分の所得割額が二十四万円だったと、分かりやすくする、二十四万円だったとします。そうした場合、月々の特別徴収される所得割額は、通常であれば二十四万円を十二月で割るので月二万円ということになるんですが、本改正案のとおり定額減税をすると、二十四万円から減税分の一万円を引いた年額二十三万円を十一か月で割ることになるので、月々の納税額が二万九百円となります。これ想定ですけどね。いわゆる毎月の手取り額がかえって減ってしまうということになってしまうんです。
所得割額が、総額で見れば税負担は減るものの、本年の七月以降に特別徴収される所得割額が増加することで月々の税負担感が増す世帯が生じることになるという問題意識です。このような世帯は定額減税の実感が薄れてしまうのではないかと考えますが、政府はそういった生活実態とのそごをどのように認識しているのか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/69
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070・池田達雄
○政府参考人(池田達雄君) お答えをいたします。
個人住民税の定額減税に係る給与所得に係る特別徴収についてでございますが、地方団体や特別徴収義務者の実務に配慮いたしまして、先ほど来御指摘ありますとおりに、令和六年六月分を徴収せず、令和六年七月分から翌年五月分までの十一か月分にならして徴収する方式としておりますが、これは賃上げを実現するタイミングに合わせて減税の効果を早期にお届けするということにもつながっていると考えております。
委員今御紹介いただきましたケースでありますが、給与所得者について、世帯構成や各種控除の状況によりまして七月以降の各月の徴収額が、特別減税を行わない場合に比べまして各月の徴収額がその場合の各月の徴収額を若干超える場合があるということが生じ得るというのは承知しておりますが、六月ぐらいに送付いたします納税義務者の特別徴収税額通知、これを見ていただければ、年間を通じた税額では税負担が軽減されることは明らかにその通知でなっておりますので、御理解いただけるよう今後とも丁寧な説明に努めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/70
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071・岸真紀子
○岸真紀子君 ベアもなかったり、昨年と同じ給与所得の人はどうしても毎月の給料だけを見ると、あれ、去年より税多いんじゃないかというふうにならないかという問題意識です。そういったところは、やっぱりアナウンスというか、分かりやすく説明しなきゃいけないんですが、幾ら聞いても多分分かりづらいと思うんです。なかなか難しい問題です。ただ、分かりやすくこの後も説明をしていっていただきたいというところです。
次に、減税時期が対象者によって異なって、可処分所得を直接的に下支えする意味で定額減税は即効性に欠けるのではないかといった指摘が衆議院でもされてきたところです。控除年度を見ると、控除対象配偶者を除く同一生計配偶者の定額減税分は二〇二五年度分の所得割額から控除することとされておりまして、二〇二五年六月以降に控除されることになるということです。
物価高騰の影響を受けているのは同一生計配偶者を有する納税義務者も同じであって、なぜここは一年も更に遅れることになるのか、経済対策の観点でいえば矛盾しているんですが、政府の見解をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/71
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072・池田達雄
○政府参考人(池田達雄君) お答えをいたします。
委員御指摘の控除対象配偶者以外の同一生計配偶者とはですが、納税義務者本人の前年の合計所得金額が一千万円を超えており、かつ、生計を一にする前年の合計所得金額が四十八万円以下の配偶者の方、この方に係る一万円の控除については例外的に令和七年度分の個人住民税所得割額から行うこととしております。
これは、現行制度において控除対象配偶者以外の同一生計配偶者、この方というのは配偶者控除なり配偶者特別控除の見直しを行ったときにその対象から外れた方でございまして、所得税、個人住民税において網羅的にその方の情報というのを捕捉できておりませんことから、令和六年度分の個人住民税で減税を行うことは実務上困難であるため、令和七年度で対応するものでございます。
令和七年度分の個人住民税におきましては、減税が円滑に実施できるよう、令和六年分の源泉徴収票なり給与支払報告書等におきまして当該情報を記載していただくなど、国税と連携しながら必要な対応を行うこととしております。
なお、この方の世帯全体で見ますと、納税者、納税義務者御本人及びその配偶者の方を除く扶養親族に係る所得税、個人住民税の定額減税は令和六年六月以降速やかに実施されること、こういったことを踏まえますと、直ちに経済対策の効果が薄れるまでとは考えてはおりません。
今後とも、納税者の皆様に丁寧な説明を行いまして、御理解をいただけるよう努めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/72
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073・岸真紀子
○岸真紀子君 制度なので、どこかでそういうものは出てくるというのは私も承知の上で質問をしておりますが、やっぱりおかしいんじゃないかという問題意識ですね。
次に、住民税の課税基準日は一月一日ですが、定額減税における出生や死亡の取扱いはどうなるのでしょうか。例えば一月二日以降に死亡した場合でも、住民税の場合は相続人が課税義務を継承するということになるので定額減税の対象となると考えてよいと思うんですね。私も、昨年、父が亡くなって、その後も住民税、父の分継承しまして納税しましたので、そういう意味でいいと思うんですが、そこの確認と、逆に一月二日以降に生まれたお子さんは定額減税の対象とならないのか、所得税と住民税の取扱いは同じなのか、明確にしていただきたいです。また、実際に税務担当窓口でそういったことが明らかになっていないと住民とのトラブルになりかねないということもあるので、この辺の周知広報は責任を持って政府が対応すると言っていただけるかというところの質問です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/73
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074・池田達雄
○政府参考人(池田達雄君) お答えをいたします。
今般の定額減税につきましては、令和六年分の所得税及び令和六年度分の個人住民税からそれぞれ減税を行うこととされております。令和六年分の所得税に係る扶養親族等の判定時期は、所得税法の規定に基づきまして、令和六年十二月三十一日の現況によるとされておりますので、委員御紹介いただきました例でいきますと、令和六年一月二日以降にお生まれになられた方、死亡された方については定額減税の対象となります。一方で、令和六年度分の個人住民税における扶養親族等の判定時期でございますが、これは令和五年、令和五年十二月三十一日の現況によることとされておりますので、死亡された方は対象となるわけでございますが、令和六年一月二日以降に生まれた方については定額減税の対象とはなりません。
このように、課税の基礎となる年がそれぞれの税目で異なることにより取扱いに差異が生じるケースがございますけれども、賃上げが実現するタイミングに合わせて、令和六年六月以降、実務上できるだけ速やかに減税を行うとするために、この辺りはやむを得ない取扱いであるのかなというふうに考えております。
今後とも、地方団体や納税者の皆様に混乱が生じないよう、丁寧な周知、説明に努めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/74
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075・岸真紀子
○岸真紀子君 基準日なのでどうしてもそういうのが生じるというのは承知の上で、でも、これ全然伝わっていないんじゃないかという問題意識で質問させていただきました。ほかにも本当はこの定額減税いろんな疑問があるんですが、時間も限られているので、できなかったです。
そもそも、岸田政権が掲げた総合経済対策は、手間暇を含めた費用を考えると、効果はどこまであるのかというのは甚だ疑問です。今回の定額減税と、地方創生関係となりますが、定額減税し切れないと見込まれる方への調整給付も自治体が実際には実務を担うことになります。それ、実際に実務を担うところになるんですが、国民にとって非常に分かりづらく、なぜこんな制度を官僚の皆さんがつくらなければならなかったのかなというふうに本当に疑問でなりません。本当です、正直ですね。
自治体の担当者からは悲鳴の声が上がっているんです。私のところに、ある町役場の住民課長さんからお手紙をいただいたので、ここで披露をして、大臣の見解を述べていただきたいと思うんです。
今回の給付金やら定額減税、我が町でも年末より給付金に振り回され、担当課は大変忙しい思いをしています。非課税世帯への支給は百歩譲って仕方ないとして、令和五年度の住民税均等割のみ世帯への支給、その次は所得税、住民税の減税、また令和六年度の非課税世帯への支給と、次から次へと続きます。所得税からの控除は小さな事業所の給与担当も大変です。自治体も限られた人員の中でこの複雑な業務をこなしていくのは大変で、担当課職員は残業が続いています。しかも、非課税やら住民税均等割のみ世帯やら、住民に理解しにくい内容で、先ほども言ったような定額減税についても、しにくい状況です。説明に要する時間もかなり長く掛かっている状況で、こんな複雑な制度にするなら、良いか悪いか分からないけれど、いっそのこと定額給付にしてもらった方が一回で済んだのにと課内で話しています、本当に意味が分かりませんというお手紙です。
大臣、これが現場の生の声です。こういった事象をどう受け止めているのか、お答えいただきたいです。
また、昨年十一月二十九日の当委員会でも指摘しましたが、少なくともこういった住民税の減額の政策を決定する前に地方の意見を聞く場を設けることを徹底していただきたいし、無用な仕事を自治体に増やして混乱を来すことは避けていただくことをお約束していただきたいです。その確認の意を込めて、大臣に御答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/75
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076・松本剛明
○国務大臣(松本剛明君) 今般の定額減税の政策目的についてはもう繰り返し御答弁申し上げてきたところでございますが、この定額減税を行うに当たって、地方自治体の皆様には、納税者それぞれについて減税額を算出して控除していただくという税務上の事務のほか、減税し切れなかった方などに対する給付金支給事務との連携が必要になり、地方団体の皆様には一定の事務を実施していただくことになっているということはよく認識をしております。
このように、事務が円滑に実施できるようにとの考えから、政令指定都市、中核市、その他の市、町村、それぞれ複数団体から意見を伺わせていただきまして、定額減税について、課税実務やシステム対応等に配慮し、給与所得者について、令和六年六月分は特別徴収を行わず、減税後の税額を残り十一か月でならして徴収を行う方式を取る、これも幾つかの方式と比較をしてこのような方式を取ったというふうに認識をしております。
また、減税し切れなかった方に対する給付金の支給については、活用可能な税情報を基に一万円単位で支給するなど、地方団体の事務負担にできる限り配慮して制度設計、執行上の工夫を行わせていただきました。
また、地方団体が早期に準備に着手できるようにと考えまして、昨年十二月の税制改正大綱の閣議決定後、速やかに全地方団体を対象とする説明会を開催をいたしました。寄せられた質問などを基に一月にはQアンドAを作成して地方団体にお示しをいたしました。
デジタル庁の方からも、給付の申請受付から振り込みまで数日でデジタル完結できる給付支援サービスを開発し、地方団体へ導入支援等を行うこととしております。
総務省は、政府におきまして地方団体との連絡調整を担っておりますので、これからも地方団体のお声を伺いながら、定額減税、給付金支給事務が円滑に進むように、関係府省と連携し、また改めて各方面の地方団体の実情をしっかり踏まえた対応ができるように努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/76
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077・新妻秀規
○委員長(新妻秀規君) おまとめください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/77
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078・岸真紀子
○岸真紀子君 はい。
大臣、そのときは、大臣、閣僚じゃなかったかもしれませんが、少なくとも今後はこういった混乱を来さないように、事前に、自治体に制度設計をする前に確認をしていただきたいということを申し上げ、質疑を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/78
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079・山本博司
○山本博司君 公明党の山本博司でございます。
本日は、地方税法及び地方交付税法の改正案に関する質疑ということで、地方財政及び地方税制の課題に関しまして質問をさせていただきたいと思います。
まず、地方交付税法に関して伺います。
令和六年度地方財政計画におきましては、一般財源総額を対前年比プラス五千五百四十五億円の六十二兆七千百八十億円を確保し、地方交付税総額は対前年比プラス三千六十億円の十八兆六千六百七十一億円を確保する一方で、臨時財政対策債の発行を前年度比マイナス五千四百二億円の四千五百四十四億円に抑制し、平成十三年度の制度導入以来最少となったということで、引き続き地方財政の健全化が進んでいると高く評価はしたいと思います。
しかしながら、令和六年度末時点での地方財政は百七十九兆円程度の見込みと、いまだ巨額の借入金残高を抱えており、臨時財政対策債の残高は四十五・八兆円、交付税特別会計借入金の残高は二十八・一兆円となっております。
こうした債務の縮減は着実に進めるべきでございます。そのために臨時財政対策債の発行抑制も行われたものと思いますが、地方財政の健全化に向けて更なる取組が求められていると思います。
また、臨時財政対策債は、昨年の改正におきまして特例措置として令和七年度まで延長することになっておりますけれども、知事会などの地方自治体からは、廃止を含めた抜本的な改革や償還財源の確保、こうしたことを求める声も伺っているところでございます。
そこで、臨時財政対策債の発行を抑制することへの認識について伺うとともに、地方財政の健全化に向けた取組、どのように進めていくのか、大臣の認識を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/79
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080・松本剛明
○国務大臣(松本剛明君) 令和六年度の地方財政計画の策定に当たっては、令和六年度の政府の予算編成も関連をすることでございまして、政府における予算編成は政府内でも様々な調整を経て行われる中でございますが、地方財政計画を策定するに当たっては、やはり地方団体がしっかりと住民に行政サービスを届けられるように財源を確保することと、今委員からお話がございました財政の健全化と、この二つの視点からしっかりと応えられるように努めて調整に当たらせていただきまして、結果として、今も一定の御評価をいただきましたけど、前年度を上回る一般財源総額と交付税総額を確保し、臨時財政対策債の発行額については前年度から〇・五兆円抑制をさせていただいて、制度創設以来最低額の〇・五兆円とすることができました。
交付税特別借入金についても〇・五兆円の償還を行っておりまして、地方財政の健全化にも最大限取り組ませていただきました。
おっしゃるとおり、引き続き、地方財源の、地方財政の健全化は課題であるという認識は持たせていただいておりまして、令和七年度以降、経済を立て直し地方税などの歳入の増加に努めるとともに、国の取組と基調を合わせた歳出改革を行うことで財源不足を縮小し、臨時財政対策債の発行を抑制するなど、更なる地方財政の健全化に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
なお、今回の定額減税につきましても、全額国費で住民税の減収について補填をさせていただくなど、地方財政に一定の配慮をした措置を行うことができたかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/80
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081・山本博司
○山本博司君 大臣、ありがとうございます。地方財政の健全化に向けて、方向性を示した上で着実に取り組んでいただきたいと思います。
この債務の縮減は大変重要なことでありますけれども、その一方で、地方の一般財源総額の確保、これも極めて重要でございます。このバランスを取ることがとても重要であると思います。
令和六年一月の消費者物価上昇率が二・〇%となるなど、依然として物価上昇が顕著である中、令和六年度の地方財政対策では、学校や図書館、また福祉施設などの自治体施設の光熱費や施設管理の委託料の増加を踏まえて、前年度と同額の七百億円を計上しております。こうした対応によりまして住民サービスに大きな支障が出ないようにすべきであります。
物価高への対応につきまして万全を期すべきと考えますけれども、この前年度と同額とした根拠、そしてこの地方自治体における物価対策どのように進めていくつもりなのか、確認をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/81
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082・大沢博
○政府参考人(大沢博君) お答えいたします。
七百億円につきましては、自治体の光熱費の高騰対策と委託料の増加、それぞれ適切に積算をさせていただきました。
一つは、光熱費高騰対策ですが、こちらは四百億円を計上しておりますが、これは令和三年度の決算額を基礎として、物価指数の伸びなどを考慮して積算をさせていただいているものでございます。また、委託料につきましては、今回三百億円を計上いたしておりますが、普通交付税の基準財政需要額の各算定項目に算入している委託料、これを基礎といたしまして、令和四年から五年にかけての物価指数の伸び、これを、この影響を考慮して積算をさせていただきました。
私どもとしては、できる限りの対応を行ったと考えておりまして、地方自治体の安定的な財政運営の確保のために必要な額を確保できたものと考えております。また、こうした対応については、地方団体からの御要望にお応えをしたものでございまして、地方六団体からも一定の評価をいただいているものと考えております。
また、今後とも、物価の動向、国の対策などを注視しながら、各自治体の財政運営に支障が生じないよう適切に対応してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/82
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083・山本博司
○山本博司君 次に、地方税に関して伺います。
先ほど申し上げましたように、長引く物価高騰はあらゆる経済活動にも影響を与えております。特に、地方や中小企業の置かれている状況、大変厳しいものがあると思います。我が国の経済にとりましても大きな課題は物価上昇を上回る賃上げの実現であります。
令和六年度の税制改正では賃上げ促進税制が強化をされております。具体的には、国税の法人税におきましては女性活躍や子育て支援に積極的な企業への法人税控除の上乗せ措置を創設をして、中小企業の最大控除率は四〇%から四五%に拡充されることになっております。
こうした国税の流れに即して地方税でも賃上げ促進に資する税制措置を講じていると承知しておるわけでございますけれども、そこで、その措置の概要と、この措置によりましてどのような効果があると期待しているのか、確認をします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/83
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084・池田達雄
○政府参考人(池田達雄君) お答えをいたします。
地方税における賃上げ促進税制につきましては、法人事業税付加価値割におきまして一定割合以上の賃上げを行った場合に税負担を軽減する措置を講じているほか、法人住民税におきまして中小法人を対象に法人税の賃上げ促進税制と併せて税負担が軽減されるよう措置を講じております。また、重要な改正点でございますけれども、今般の税制改正では、法人税の中小企業向けの措置におきまして五年間の繰越控除制度を創設するなどの見直しを行うこととされておりますが、地方税においても同様に税負担の軽減が得られるよう見直しを行うこととしております。
税制の効果だけを取り出して定量的にお示しすることは難しいところがございますが、本税制は、国税における措置と併せて、これまで多くの企業の賃上げに活用されてきております。今般の見直しによりまして、赤字の中小企業も含め幅広く賃上げのインセンティブが働くものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/84
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085・山本博司
○山本博司君 この賃上げにつきましては、政府を挙げて取り組んでいるところでございます。特に、コロナ禍や原材料高などの影響を受けている中小企業が賃上げに踏み出せるように、税制措置だけでなく、補助金による生産性向上や価格転嫁の促進などの支援策、これを講じているところでございます。
昨年の春闘では平均賃上げ率が三・五八%と、三十年ぶりの高水準となりました。今年の春闘におきましても、大手企業で満額回答が出るなど、高い水準での早期決着、これが相次いでいる状況であります。それでも物価高には追い付いておらず、賃上げが全くできていない中小企業・小規模事業者も少なくありません。家計が実感できる所得向上へということで、我が党としても、中小企業の賃上げを強力に応援をしているところでございます。
また、物価高に耐える構造的な賃上げでは、地方での取組も欠かせません。先ほど申し上げました税制や補助金などの支援措置の活用が、地方や中小企業でも活用が進むように、政府を挙げて、地方自治体と連携しながら、制度の周知、アドバイスに努めてもらいたいと思います。現在、政府では、月内までに全都道府県においての地方版政労使会議、これを開催して、地方での賃上げの流れをつくろうと、こう取り組んでおられます。
そこで、政府一丸となって賃上げの流れを地方や中小企業へときめ細かく波及させていくべきと考えますけれども、政府の一員である総務大臣の認識を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/85
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086・松本剛明
○国務大臣(松本剛明君) 委員からお話がございましたように、この好循環を生み出して、地方へ、中小企業へと広げていくことは必要なことであるというふうに私も認識をいたしております。
その上で、本日議題の地方税に係ることで申し上げれば、賃上げに係る税制上の対応として、賃上げ促進税制に加え、固定資産税において中小企業者等が取得した生産性向上や賃上げに資する償却資産に係る特例措置を講じたところでございます。また、令和六年度地方財政計画の面からは、民間の賃上げなども踏まえた職員の人件費の増加を適切に反映すること、人件費の増や物価高騰の影響による施設管理等の委託料の増加を踏まえ、一般行政経費に所要額を計上したことなどを行っているところでございます。
総務省としては、所管の広い中で、中小企業の賃上げに、原資の確保に資する労務費等の価格転嫁対策の強化につきましては、通信、放送、郵便等の所管事業分野への取組も行わせていただいておりまして、地方公共団体の発注者としての契約に係る対応については関連団体や地方公共団体へ要請を行っております。
政府におきましてもあらゆる施策を動員して賃上げを後押しをしていかなければいけないと考えているところでございまして、総務省としてもしっかりとこのような取組を進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/86
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087・山本博司
○山本博司君 ありがとうございます。こうした税制改正が活用されて、着実に中小企業や地方へも賃上げの流れが届くように期待をしたいと思います。
この賃上げの動きは、民間だけでなく、公務員給与にも大きく影響を及ぼしております。国の人事院勧告を始め地方の多くのこの人事院勧告におきましても、主に初任給を一万円増やすといったことを含めて、若年層を中心に大幅なベースアップが勧告をされております。この勧告を受けて、国家公務員だけでなく地方公務員にも賃上げの流れが大きくなってきており、地方公務員の給与の引上げや、今般の地方自治法の改正によりまして、会計年度任用職員への勤勉手当、この支給が可能となったことで必要な人件費が増えることになります。
今回の地方財政計画では、そうした人件費が計画の歳出に適切に計上されていて、一般財源の増額に反映されているのかどうか、地方公務員にも賃上げの流れが着実に届いているかどうか、現状認識を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/87
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088・大沢博
○政府参考人(大沢博君) お答えいたします。
地方財政計画における給与関係経費におきまして、地方公務員の定員の増減であるとか人事委員会勧告などを踏まえた所要額、こういったものを計上することとしております。
令和六年度、この地方財政計画におきましても、令和五年度の人事委員会勧告等を踏まえまして、給与改定に要する経費は二千九百九億円でございまして、この二千九百九億円を含めまして、その他の経費も含めて、前年を、前年度を三千二百三十九億円上回る二十兆二千二百九十二億円を給与関係経費として計上して、財源を適切に確保できたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/88
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089・山本博司
○山本博司君 地方経済に大きな影響を与える地方公務員の給与でございますので、しっかりと今後も注視してまいりたいと思います。
次に、定額減税に関して伺いたいと思います。
昨年十一月に閣議決定されましたデフレ完全脱却のための総合経済対策におきまして、賃金上昇が物価高に追い付いていない国民の負担を緩和するため、デフレ脱却のための一時的な措置として、令和六年度分の所得税及び個人住民税の減税を実施することになりました。
具体的には、納税者及び配偶者を含めた扶養家族一人につき、令和六年度分の所得税三万円、令和六年度分の個人住民税一万円の減税を行うこととされました。六月にも支給をされるということで、各自治体においても今準備が進められていることと思います。
このうち個人住民税の減税分およそ九千二百三十四億円は、国が全額を地方特例交付金によって自治体に補填することになっております。
また、所得税につきましても、約三割は地方交付税の原資となっております。そのため、所得税の定額減税に伴い地方交付税の減額が発生することになります。国の政策により減税に連動して地方交付税まで減額になれば行政サービスの維持に支障を来す懸念があることから、地方自治体からは減額分の補填を国に求めておりました。
こうした地方交付税の減収に対しまして今回の措置ではどのように対応されたのか、減税による地方財政への影響はないという理解でよろしいかどうか、今回の措置に対する自治体の反応についても併せて伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/89
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090・馬場成志
○副大臣(馬場成志君) お答えします。
これまでの例では定額減税に伴う地方交付税の減収は地方の負担と整理されてきておりますが、今回の所得税の定額減税に伴う地方交付税の減収については、減税の影響を含めても、地方交付税は〇・三兆円の増、一般財源総額は〇・六兆円の増など、地方財源をしっかりと確保できることなどを踏まえ、前年度からの繰越金等により対応することといたしました。また、後年度、国から〇・二兆円の加算も行うこととしており、過去の例と比べると、地方財政に相当程度配慮をした措置を行うことができたものと考えております。
こうした対応を含め、一般財源総額を増額確保したことについて、地方からは定額減税による減収の懸念を払拭するものとして一定の評価をいただいたところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/90
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091・山本博司
○山本博司君 この定額減税に関連して給付金についても確認をしたいと思います。
今回の定額減税によりまして、令和六年度分の所得税額を所得税の減税額が上回る場合につきましては、定額減税の恩恵を十分受けられないと見込まれる所得水準の方々がいると考えられることから、給付金による対応をする方針となりました。
この給付金につきましても、定額減税の目的から考えれば、速やかな給付、これが実現すべきと思いますけれども、各地方自治体におきまして十分な対応ができているのかどうか、現時点での対応状況をお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/91
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092・坂本基
○政府参考人(坂本基君) お答え申し上げます。
定額減税し切れない方への給付につきましては、地方公共団体の実務の実情をよく伺いながら、迅速な給付を実現しつつ、できるだけ分かりやすく、事務負担が少ないものとなるよう努めているところでございます。
具体的には、所得税の減税実績が確定する令和七年を待たず、令和六年中に入手可能な情報により定額減税し切れない額を見込んで給付することとし、また一万円単位で給付をするといったこととしてございます。また、この額を自治体が簡易に一括算定できるようにするデジタルツールを開発するなど、執行面の工夫を行っているところでもございます。
さらに、自治体が早期に準備に着手できますよう、昨年末から自治体職員向けのQアンドAや概要資料を公表しているほか、オンライン説明会を実施し、自治体職員からの問合せにも丁寧に対応、回答するなどの対応を行っているところであり、引き続き、給付事務を行う自治体職員の方に分かりやすく有益な情報を提供すべく努め、迅速、そして事務負担の少ない形での実施に努めてまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/92
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093・山本博司
○山本博司君 今回の定額減税に関連しまして、各地方自治体においては事務負担の増加が予想されます。また、システム改修についても負担増があると思います。こうした地方の負担増に対しては、何らかの財政措置、これが必要であると考えますが、この点、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/93
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094・池田達雄
○政府参考人(池田達雄君) お答えをいたします。
この定額減税と給付金の支給事務との連携というのが地方自治体に発生するわけでございますけれども、まずは地方団体の事務負担に配慮した制度設計や執行上の工夫を行ったということでございます。その上で、システム改修等に係る財政措置でございますけれども、今般の定額減税の実施に伴うシステム改修につきましては、まず、毎年度の税制改正に伴うシステム改修経費、これについては交付税措置を毎年講じておりますほか、給付金の支給事務に関連するシステムの改修、これについては重点支援地方交付金の活用も可能でございます。
引き続き地方団体が事務を円滑に行えるよう関係府省と連携を密にしてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/94
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095・山本博司
○山本博司君 是非ともこれ万全の体制で臨めるように、よろしくお願いをしたいと思います。
次に、子ども・子育て施策に関して伺いたいと思います。
いよいよこども・子育て支援加速化プラン、具体的に進展をしております。総務省におきましても加速化プランの推進に向けて対応されておりますので、端的に二点、伺います。
一点目は、このこども・子育て支援加速化プランに係る令和六年度分の地方負担二千二百五十億円程度の増とも言われておりますけれども、この計画で必要な財源、確保できていると言えるのか、十分対応できているとの理解でよろしいかどうか、お聞きをしたいと思います。
二点目は、地域の実情に応じてきめ細やかに地方独自の子ども・子育て政策のソフト事業、これが実施できるように今回一千億円の交付税措置をされると伺っております。また、ハード事業に対しましては、こども・子育て支援事業債五百億円を創設して施設整備に充てることになっております。
各自治体の状況に応じて、このソフト、ハード両面において、子ども・子育て支援の環境整備、継続的に進むように期待をいたしますけれども、今回の対応でどのような事業が実施できるのか、お聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/95
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096・馬場成志
○副大臣(馬場成志君) お答えします。
子ども・子育て政策の強化は国と地方が車の両輪となって取り組んでいくべきものであり、国が進める政策の地方負担分の財源と地方が独自に実施する政策の財源の双方の確保が重要であると考えておりますので、まず、国が進める政策の地方負担分については、こども未来戦略において加速化プランの地方財源を確保することが盛り込まれており、令和六年度の地方負担について全額を地方財政計画の歳出に計上し、必要な財源を確保いたしました。
また、地方が独自に実施するソフト事業については、こども未来戦略に基づく全国一律の取組に合わせて、各地方団体が現物給付事業を拡充することを見込み、地方財政計画の一般行政経費を一千億円増額したところであり、地方団体において地域の実情に応じたきめ細かに、応じてきめ細かに独自の子ども・子育て政策を実施いただくことを見込んでおります。
さらに、地方が独自に実施するハード事業については、地方財政計画の投資的経費を五百億円増額し、こども・子育て支援事業債を創設したところであり、地方団体において親子の交流の場等、子ども・子育て支援機能強化に係る施設整備や子育て関連施設における空調、遊具などの環境改善を実施していただくことを見込んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/96
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097・山本博司
○山本博司君 最後の質問でございますけれども、こども子育て費の創設ということが今回ございますけれども、その測定の単位、これは十八歳以下の人口ということで、人口に占める十八歳以下の人口の割合小さい地方自治体からは、人口の多い都市部ばかりに措置されるのではないかと、こういう危惧の声も上がっております。
子供の少ない地方団体の算定額が小さくならないように何らかの検討が必要であると思いますけれども、この点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/97
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098・大沢博
○政府参考人(大沢博君) こども子育て費につきましては算定をより的確なものとする観点から測定単位を十八歳以下人口として算定することとしておりますが、その上で、人口に占める十八歳以下人口の割合が小さい団体に配慮した補正措置を講ずる予定としております。
こうしたことで、全国の各地方団体が子育て政策にしっかりと取り組めるよう、適切に算定をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/98
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099・山本博司
○山本博司君 以上で質問を終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/99
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100・新妻秀規
○委員長(新妻秀規君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
午後三時散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314601X00420240319/100
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