1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和六年五月九日(木曜日)
午前十時開会
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出席者は左のとおり。
委員長 阿達 雅志君
理 事
磯崎 仁彦君
酒井 庸行君
広瀬めぐみ君
石垣のりこ君
宮崎 勝君
委 員
衛藤 晟一君
太田 房江君
加藤 明良君
古賀友一郎君
高橋はるみ君
森屋 宏君
山谷えり子君
鬼木 誠君
塩村あやか君
杉尾 秀哉君
窪田 哲也君
片山 大介君
柴田 巧君
竹詰 仁君
井上 哲士君
大島九州男君
国務大臣
内閣総理大臣 岸田 文雄君
国務大臣
(内閣府特命担
当大臣(経済安
全保障)) 高市 早苗君
大臣政務官
内閣府大臣政務
官 平沼正二郎君
経済産業大臣政
務官 吉田 宣弘君
事務局側
常任委員会専門
員 岩波 祐子君
政府参考人
内閣官房内閣審
議官 高村 泰夫君
内閣官房内閣審
議官 小柳 誠二君
内閣官房経済安
全保障法制準備
室長兼内閣府政
策統括官 飯田 陽一君
内閣官房経済安
全保障法制準備
室次長兼内閣府
大臣官房審議官 彦谷 直克君
内閣官房経済安
全保障法制準備
室次長兼内閣府
大臣官房審議官 品川 高浩君
内閣官房内閣審
議官 岡 素彦君
内閣府男女共同
参画局長 岡田 恵子君
金融庁証券取引
等監視委員会事
務局次長 石村 幸三君
公安調査庁総務
部長 霜田 仁君
外務省大臣官房
参事官 門脇 仁一君
外務省大臣官房
参事官 大河内昭博君
経済産業省大臣
官房審議官 田中 一成君
経済産業省貿易
経済協力局貿易
管理部長 猪狩 克朗君
資源エネルギー
庁長官官房資源
エネルギー政策
統括調整官 山田 仁君
環境省大臣官房
政策立案総括審
議官 大森 恵子君
防衛省大臣官房
審議官 今給黎 学君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
○経済施策を一体的に講ずることによる安全保障
の確保の推進に関する法律の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/0
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001・阿達雅志
○委員長(阿達雅志君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案外一案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房内閣審議官高村泰夫君外十四名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/1
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002・阿達雅志
○委員長(阿達雅志君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/2
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003・阿達雅志
○委員長(阿達雅志君) 重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案及び経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/3
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004・加藤明良
○加藤明良君 おはようございます。自由民主党の加藤明良でございます。
これまで、この内閣委員会において経済安保二法案に対しましての審議が進められておりました。先般も連合審査会、また参考人質疑などを経て議論を進めてまいりました。その中で、政府が保有する安全保障上の重要な情報を指定して情報保全を強化するとともに、セキュリティークリアランスを国際的な標準に合わせ、民間企業によるアクセスを認め、環境整備と情報管理を徹底させることで、諸外国の政府調達など、産業界、国際的なビジネスチャンスを広げるものとして、経済安全保障、そして経済活動の促進の双方に資する大変重要な法案であるという認識を深めてまいりました。これまでの論点を踏まえて、幾つかまた本日も質問させていただきたいと思います。
まず、去る四月二十三日の当委員会における公安調査庁の答弁についてお伺いをさせていただきます。
答弁の中で、お答えを差し控えるというような答弁が繰り返されたところがございました。破壊活動防止法、そして団体規制法に基づく調査が行われる公安調査庁の職務の内容、この内容と、今回法案として制定されております民間企業を含めるこれからのセキュリティークリアランスの強化に対する様々な秘匿情報とのやり取りの関係について、改めてお伺いをさせていただきたいと思います。
このそれぞれの法案に基づく秘匿情報の高い職務のそれぞれの業務が、この秘匿の高さから、それぞれのその情報を保有する国家の危機管理に大変資する重要な情報がそれぞれの機関で滞ってしまうということの不安がないのかどうなのか、改めてお伺いをさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/4
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005・霜田仁
○政府参考人(霜田仁君) お答え申し上げます。
公安調査庁は、破壊活動防止法及び団体規制法に基づきまして必要な調査を行っておるところでございまして、収集、分析した情報につきましては、我が国情報コミュニティーの一員といたしまして適時適切に関係機関に提供させていただいているところでございます。
これら調査の一環といたしまして、経済安全保障の分野に関連しまして、我が国を標的とした技術、データ、製品等の窃取といった悪意ある懸念動向につきまして情報収集、分析を行っておるところでございます。しかしながら、その調査の具体的な対象ですとか具体的な内容、さらにはその結果の取扱いなどに関しましては、大変申し訳ございませんが、今後の調査、業務遂行に支障を来すおそれがございますので、お答えを差し控えさせていただきたいと存じます。
いずれにいたしましても、経済安全保障に関する調査におきましては、あくまでも破壊活動防止法及び団体規制法に定める基準の範囲内で行われるものでございまして、それとは全く関係のない団体や個人を調査するものではございません。また、適性評価を目的として行われるものでもございません。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/5
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006・加藤明良
○加藤明良君 ありがとうございます。
適性評価に関すること、またさらには、その企業に対してのその調査が直接的な目的ではないということが理解はされましたけれども、しかしながら、これからのサプライチェーンですとかこれからのインフラに対する重要なその機微に触れる政府の持つ情報に対して、様々なその攻撃対象、破壊活動に対してはやはり対象となり得るそのサプライチェーンとインフラでございます。そのような中で、クリアランスホルダー自体、その企業がターゲットとなることも十分考えられると思っております。
是非とも、それぞれの所管する法律が違う中、省庁が違う中で、それぞれの持つセキュリティーの高い情報に対してそれぞれの相互関係の中でしっかりと情報交換をする、そのような中でしっかりと経済安全保障を確保する、さらには国の治安を守る、それぞれの立場で是非とも連携をして取り組んでいただきますようにお願いを申し上げます。
調査庁の質問はこれで終わりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/6
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007・阿達雅志
○委員長(阿達雅志君) 公安調査庁霜田総務部長は御退席いただいて結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/7
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008・加藤明良
○加藤明良君 続きまして、本法案について質問をさせていただきたいと思いますが、官民連携そして民間企業の国際入札などのチャンスが広がるとともに、この情報、機微な情報を基にして、これからのその企業のスタートアップやイノベーションにもかなり大きな期待を持てる、その効果が期待できる法案だと思っております。
本法案の秘匿性の高さから、情報の保護と活用という二面性がございます。その相反する二面性によって、秘匿性の高い情報を得たその効果で民間企業が得た利益、国が得た利益というのはタイムリーに表に出てこないものだと思っております。
そのタイムリーに出ないその機微な情報を得たセキュリティークリアランスの情報によって、これから更に産業界がどれだけ効果が得たというのを私たちはどのような方法で知り得ることができるのかどうか、高市大臣に御説明をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/8
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009・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) 特定秘密保護法の施行によりまして、我が国の情報保全制度への信頼性が高まりまして、同盟国、同志国との情報共有は円滑になりました。
本法案も、経済安全保障上の重要な情報を管理し活用するためのルールを定めるものでございまして、我が国の情報保全の強化につながるとともに、今、加藤委員御指摘のように、そうした情報保全の強化や、それによる同盟国、同志国との情報共有の円滑化、ひいては事業者の国際的なビジネス機会の確保、拡充にもつながるものであると考えております。
ただ、例えば、このビジネスの機会が拡充したとしましても、通常は事業者の御努力を含めた複合的な要因であるものだと考えられます上、本制度がなかったと想定した場合と比較してどうであったかという検証も難しく、事柄の性質上、本制度の具体的な効果としてお示しするのは簡単ではないと思っております。
その上で、本法案では、衆議院で修正いただいた第十八条及び第十九条に基づきまして、本法案に基づく重要経済安保情報の指定、解除、適性評価の実施や適合事業者の認定の状況について、毎年国会に御報告の上で一般公表することとしております。こうした情報を基に、国際的なビジネスの視点から見た制度の普及の度合いについて評価することは一定程度可能だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/9
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010・加藤明良
○加藤明良君 御説明ありがとうございました。
大変重要な法案、しかもその効果が大きく見込める法案でございますので、その効果を是非とも実感したいなと期待をするところと、なかなか秘匿情報の高さからそれを知り得る方法がないという部分の、もったいないなという部分もございますし、そういった効果が、この次の法案改正があったときには更に大きな期待となってまた次につながることになると思っております。是非とも、そのPR効果につきましても、何かしらちょっと方法を考えていただければ有り難いなと思っております。
続きまして、相反するそのことに対しまして、ちょっと順番を変えて質問をさせていただきたいと思っておりますけれども、秘匿性の高さから、適格事業者、クリアランスホルダーのインサイダー取引の可能性というのもこれ十分に考えられるなと思っております。
これから、もしその秘匿情報を得て、これからのその企業のイノベーションが高い、その期待が持てるような可能性が持った場合、もしかしたらその悪意を持つ方たちがインサイダー取引をするようなこともあるかもしれませんけれども、秘匿性の高さから、その情報というのが即時に表に出てこない。当然、証券取引所であったり証券取引監視委員会の方で監視をするというような体制は持っておりますけれども、その情報が出てくるのはタイムラグがあると思っております。そのタイムラグがどれだけの期間が掛かるものなのかもまだちょっと想定できないものもございます。
そのようなことも含めて、未公開情報による取引不正が発生した場合の取締りが可能なのかどうなのかを是非とも御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/10
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011・石村幸三
○政府参考人(石村幸三君) お答えいたします。
今いただきました委員の御質問は、重要経済安保情報のような未公開の情報が金融商品取引法におけるインサイダー取引規制上の上場会社等の重要事実に該当すると仮定した場合の監視手法等についてのお尋ねかと思われます。
まず、証券取引等監視委員会の具体的な監視手法等については、円滑な市場監視の観点からお答えは差し控えさせていただきたいと思いますが、その上で、一般論として申し上げれば、証券取引等監視委員会では、特異な値動きをする銘柄、あるいは取引形態に不自然さの見られる事例などについて、一般から寄せられた情報も活用しつつ幅広く市場における取引状況の日常的な監視を行っているところでございます。
そうした中で、仮にインサイダー取引を始めとする不公正取引など金融商品取引法上の法令違反に該当する事実が疑われる場合には、厳正に対応いたします。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/11
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012・加藤明良
○加藤明良君 ありがとうございました。
秘匿性の高い部分で、やはり公正取引委員会の中でも様々な値動きをどのように監視をしていくのか、大変これは悩ましいことだと思っております。
特に、イノベーションが期待されるような大きなその情報を得た企業が二、三年掛かってそれを開発を成功させて、更にそれから企業が大きく進展するということもあり得ると思います。その長い年月を掛かるうち、そのセキュリティーホルダーの方たちは事前にその情報を知り得ているかもしれない、そのようなタイムラグが生じたときのこの不正行為というのをどのように見付けるのかな、大変難しいことだと思いますけれども、是非ともそのような危機管理能力も是非高めていただきますようにお願いいたします。
金融庁は、あっ、法務省はこちらで結構でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/12
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013・阿達雅志
○委員長(阿達雅志君) では、石村次長、御退席いただいて結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/13
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014・加藤明良
○加藤明良君 続きまして、セキュリティークリアランス対象区分について御質問させていただきたいと思います。
参考とされたその各国のセキュリティークリアランスの区分につきまして、フランスとイギリスは、コンフィデンシャル級の区分がシークレット級に統合されて、コンフィデンシャル級の情報区分がより厳格化をされたというお話を聞いております。
民間活用を想定した今回の法案で、コンフィデンシャル級の情報管理体制を制定する本法案でございますけれども、これが、例えばフランス、イギリスの更に高まったコンフィデンシャル級がシークレット級に格上げをされた情報が、国際級、国際基準としての同等のクリアランスになり得るのかどうなのか、こちらを是非とも御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/14
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015・飯田陽一
○政府参考人(飯田陽一君) お答えをいたします。
情報保全制度は、秘密区分も含めまして国によって多様でございます。相手国の秘密区分に対応する区分がない場合には、一般的に一つ上の区分の情報として保護することが一般的でございまして、コンフィデンシャル級の区分がない国におきましては、他国のコンフィデンシャル級はシークレット級の情報として保護することになるというふうに承知をしております。
したがいまして、こうしたコンフィデンシャル級の区分が相手国にないことを理由にコンフィデンシャル級の情報の受渡しが困難になる、問題が生じるとは承知をしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/15
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016・加藤明良
○加藤明良君 御説明ありがとうございました。
様々な観点からこの議論を深めさせていただきましたが、よりこの重要性というのが深まったという感想でございます。
これからのその情報管理、さらには情報活用によって、更に日本の大きな稼ぐ力であったり企業の伸び代をしっかりとまた伸ばしていただく、そのような方向で是非ともこの法案を活用していただきますようにお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/16
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017・杉尾秀哉
○杉尾秀哉君 立憲民主・社民の杉尾秀哉でございます。
前回、特定秘密の漏えい問題について質問したんですけれども、その翌日に新たな特定秘密の漏えい事案が明らかになりました。
今回また防衛省関係ということですけれども、防衛省来てもらっています。事案の概要を端的に説明してもらえますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/17
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018・今給黎学
○政府参考人(今給黎学君) お答え申し上げます。
今般、四月二十六日でございますけれども、公表をいたしました二つの事案でございますが、まず一つ、海上自衛隊の件につきましては、海上自衛隊護衛艦「いなづま」の、これ四年、令和四年六月当時でございますけれども、の艦長が特定秘密を扱う資格のない隊員一名を特定秘密取扱職員に指名をし、戦闘指揮所、これCICというふうに言っておりますけれども、におきまして特定秘密の情報を扱わせていたことが判明をしております。
また、もう一つは陸上自衛隊でございますが、陸上自衛隊北部方面隊隷下の部隊指揮官が、これは令和五年の七月でございますが、特定秘密の情報を知るべき立場にない隊員に対しまして特定秘密の情報を漏らしたことが判明したものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/18
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019・杉尾秀哉
○杉尾秀哉君 陸自と海自のケース、二つなんですけど、今聞くとやっぱりお粗末ですよね、非常にね。
外部への漏えいがなかったということなんですけど、その根拠は何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/19
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020・今給黎学
○政府参考人(今給黎学君) これは、いろいろこの調査の中におきまして聞き取りをいたしまして、その聞き取りを行った中でその外部への漏えいはなかったということを確認をしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/20
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021・杉尾秀哉
○杉尾秀哉君 五人が懲戒処分になっているわけですが、特定秘密保護法違反容疑で刑事告発したのは陸自の二佐だけ、一人だけということなんですけど、この一人だけその告発したと、これはなぜですか。(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/21
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022・阿達雅志
○委員長(阿達雅志君) 発言は委員長の指名を待ってしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/22
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023・今給黎学
○政府参考人(今給黎学君) お答え申し上げます。
陸上自衛隊の事案につきましては、これは当時のこの部隊指揮官がその秘密の情報を知るべき立場にない隊員に対して特定秘密の情報を漏らしたということで、特定秘密保護法第二十三条に言うところの罪に当たるということで、これは現在、自衛隊の警務隊の方に告発をしたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/23
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024・杉尾秀哉
○杉尾秀哉君 まだどういう処分になるか分かりませんけれども、何か士気を鼓舞するためみたいな、そういうふうな理由だったということもございまして、これ防衛省で再発防止委員会というのをつくって、これおととしの事案ですかね、で、規定の厳格化、それから保全教育の徹底などの措置を講じてきたと思うんですけれども、にもかかわらず、なぜ立て続けに自衛隊でこうした問題が起きるのか、防衛省の方で、事態の深刻さ、どこまで認識していますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/24
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025・今給黎学
○政府参考人(今給黎学君) お答え申し上げます。
今委員の方からも御指摘がありましたけれども、これ、令和二年に海上自衛隊のOBに対する特定秘密の漏えい事案というのを生起させておりまして、この後自衛隊の中で再発防止策を取ってまいったにもかかわらず今回このようなその事案が起きてしまったということで、極めて深刻に防衛省としては受け止めているところでございます。
今回の件につきましては、この事案を踏まえまして、防衛省として更に再発の防止策にしっかりと取り組んでまいるということで、四月二十六日に、防衛大臣の指示の下に、更に防衛省全体として類似の事案の有無がないかどうかの調査をするとともに、防衛副大臣を長とする再発防止検討委員会、これを立ち上げて、抜本的なその保全体制の見直し、この検討を行っていくこととしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/25
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026・杉尾秀哉
○杉尾秀哉君 特定秘密でこういうことが起きるわけですから、今度は民間人に大幅にそのクリアランスの対象が広がっていくということなので、高市大臣、昨日の会議で発言されていますけれども、今回の漏えい事案をどういうふうに見ていらっしゃるのか。これ、組織の中だからいいということにならないと思うんですけど、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/26
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027・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) 今般防衛省が発表した事案の発生につきましては、特定秘密保護制度への信頼を損なう深刻な問題だと受け止めております。
この特定秘密保護法における適性評価は、法定の事項について調査した結果に基づいて、情報を自ら漏らすような活動に関わることがないか、情報を漏らす働きかけを受けた場合にこれに応じるおそれが高い状態にないか、情報を適正に管理することができるかなどといった視点から総合的に判断することとしております。
今回の事案において特定秘密を漏らしたとされる職員に対する適性評価においては、防衛省において実施されたものであって、その方法などについて特段の不備があったとは承知をしていないのですが、本事案を重く受け止めまして、昨日夕方開催された内閣保全監視委員会において、私から各省庁の事務次官や長官に対して保全教育の徹底など再発防止策について指示をしたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/27
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028・杉尾秀哉
○杉尾秀哉君 今の大臣の発言ですと、特定秘密の制度自体の信頼を揺るがすと、こういう表現をされましたけれども、というよりもむしろ、クリアランス取得者でも、漏らすおそれがないということ、これ法律の中にも書いていますが、そういうことにはならないのではないか。そして、これが民間だったら、じゃ、どうなるのか。クリアランスの制度自体の、クリアランスのですよ、制度自体の信頼性が揺らいでいると、こういうことじゃないですか。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/28
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029・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) まさに、防衛省にとどまらず、我が国の情報保全制度に対するこの信頼を損なう深刻な事態だと受け止めております。防衛省以外の全省庁も、当事者意識を強く持って信頼の回復に努めていただく必要があると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/29
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030・杉尾秀哉
○杉尾秀哉君 これから範囲を広げようとするわけなので、本当にそのセキュリティークリアランスの制度、クリアランスの取得者でも本当に漏らすおそれがないということなのかということについて、これはやっぱりもう一度考えてみるべきだろうというふうに思うんですね。
それから、次ですけれども、これ前回実は積み残していたんですが、特定秘密保護法と経済関連情報との関係についてなんですけれども、そもそも特定秘密保護法においても、これまで、特定秘密として指定できる事項、細則になりますが、貨物の輸出若しくは輸入の禁止又は制限という項目がある。それから、サイバー攻撃の防止、こういった経済的な分野というのが特定秘密の中にも細則の中に入っていますけれども、これらに関する特定秘密の指定はされてこなかったわけですね、細則の中にありますが。これはなぜなんでしょうか。参考人でも結構ですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/30
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031・岡素彦
○政府参考人(岡素彦君) お答え申し上げます。
御指摘のとおり、特定秘密法の運用基準におきましては、指定の対象となる法定の二十三事項の内容を具体的に示した五十七の事項の細目を定めておりまして、その中には、先ほど御指摘のございました貨物の輸出若しくは輸入の禁止又は制限の方針など経済に関するものも含まれておりますが、昨年末現在、これらの事項を主たる対象とする特定秘密の指定はなされておりません。
また、経済安全保障やサプライチェーン、重要インフラといった文言を用いて直接的に特定秘密に指定した例もございませんでした。
他方で、例えば外国情報機関から得た経済安保関連の重要情報が記された文書を特定秘密文書として厳重に保管している例はございます。
以上が現状でございますけれども、特定秘密は、各行政機関の長が、その所掌事務に関わる専門的な知見に基づき、法定の要件を満たす情報を指定するものとされておりまして、現在の指定状況も、各行政機関の長が、法の規定に基づきまして、保有する様々な重要情報を確認し、該当、非該当を適切に判断した結果であるというふうに認識をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/31
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032・杉尾秀哉
○杉尾秀哉君 今の説明聞きますと、本来指定されるべき情報が指定されてこなかったということではなくて、そもそも指定すべき情報がなかったと、こういう理解でよろしいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/32
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033・岡素彦
○政府参考人(岡素彦君) 内閣官房としては、そのように認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/33
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034・杉尾秀哉
○杉尾秀哉君 そこで、これ、有識者会議のいろんな議論があったんですけれども、今回の重要経済安保情報保護法なんですが、どういったものが指定対象なのか、十分な認識とビジョンを持つことが必要だと、こういう意見が出されております。しかし、ずっとこれ衆参で審議をしてきたんですけれども、いまだに指定対象がやっぱりどうもはっきり、明確なビジョンを我々が持つことができないんですね。
これ、大臣に伺いますけれども、やはり先ほどの委員の発言もありましたけれども、これ国民に周知しようと思ったら、やっぱり国民が分かりやすい指定対象なり、その指定の在り方みたいなのが非常に重要だと思うんですけれども、この辺、その明確なビジョンというのが本当に政府の方にあるのかと疑ってしまうんですけど、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/34
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035・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) 重要経済安保情報の指定や解除は各行政機関の長が行うことになります。このため、各行政機関におきまして、それぞれが所掌する重要経済基盤に関する情報収集、分析、リスクや脅威の点検を行うということとともに、日頃より民間事業者とのコミュニケーションをより一層緊密に取るなど、所掌するこの政策分野における重要経済基盤やその保護に関する情報への理解を深めるということとともに、中長期的な見通しを持つことが必要だと考えております。
この重要経済安保情報として指定の対象となる重要経済基盤保護情報に該当し得る情報につきましては、これまで典型的な事例について答弁をさせていただいておりました。国会におけますこれまでの審議も踏まえまして、今後の安全保障環境や科学技術の進展なども可能な限り見通しながら、関係行政機関における重要経済基盤に関わるリスクや脅威に関する認識を確認しながら、制度を担当する内閣府としては重要経済基盤保護情報の細目について検討を進めてまいります。
その検討結果を今後閣議決定することとなる運用基準の主要項目の一つとして盛り込み、有識者の方々から丁寧に御意見をお聴きした上で、運用基準案としてパブリックコメントに付して成案を得ることにしたく存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/35
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036・杉尾秀哉
○杉尾秀哉君 これから細目を検討して、案を示してパブリックコメントを募集するということなんですけれども、適性評価制度について、これもちょっと前回積み残している質問がありまして、数千人程度で、対象人数ですね、数万人単位とはならないと、こういうふうな答弁が繰り返されてきました。前回も同じでした。根拠については、大胆な仮定というふうにしか回答がございません。
もう一つの根拠として、二十五日ですね、四月二十五日、私の質問に対して、特定秘密が十三万人で、大部分が自衛隊であって一般の官庁はかなり数が絞られている、こうしたことも理由にたしか参考人挙げられていたと思います。
そこで、角度を変えて伺いたいんですけれども、特定秘密の場合は官民の割合が九七対三、こんな感じでした。それが、重要経済安保情報だとこの官民の割合がどういうふうになるのか、これ答えられますか、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/36
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037・品川高浩
○政府参考人(品川高浩君) お答えいたします。
今、官民の比率、割合についてお尋ねがございました。
これを考えるに当たりましては、この対象となります民間企業の数ですとか適性評価対象者の数ということを考慮していく必要がございますが、これに関しましては幾つか考慮要素がございまして、指定された重要経済安保情報のうちどの重要経済安保情報を民間の事業者さんに提供することになるのか、あるいは各行政機関と契約を締結する企業、民間事業者の方がどれくらいの数になるのか、また、行政機関や民間事業者、企業さんにおいて当該情報を取り扱う必要のある方が何人程度になるか、こうした方々のうち特定秘密の適性評価を現在受けていらっしゃる、よってこの法案に基づいて適性評価を受けずにこの重要経済安保情報を取り扱うことができる方々がどれぐらいになるのかといった要素を検討する必要がございます。これによって非常にこれらの要素、変わり得るため、割合を、ついてお答えをすることが難しいことには御理解をいただきたいと考えております。
その上で、その上ででございますけれども、先ほど御指摘ございました、現在、官と民の比率、特定秘密保護法の適性評価の場合は九七対三でございますと。それに比較して申し上げるのであれば、本法案では、民間事業者への提供の要件、条件を、言ってみれば緩和といいますか、緩めるといいますか、そういうような形になっておりまして、特定秘密保護法と比較をしまして民間の方の割合が高まる可能性は一定程度考えられるのではないかと。
しかしながら、この何対何というようなお答えが難しいことについては御理解をいただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/37
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038・杉尾秀哉
○杉尾秀哉君 随分長く説明されたんですけど、ほとんど何も答えられていないんですが、一応アメリカでは四百万人以上と言われていて、うち民間人が三割ぐらいと、こういうふうに言われているんですよね。
前回、私の質問のときにちょっと触れまして、答弁求めていないんですけれども、特定秘密保護法のときはこんなアバウトな言い方じゃなかったんですよ。法案が成立した直後だったんですけれども、当時の森担当大臣が民間の対象者は三千人程度というふうにはっきりおっしゃっている。官民合わせた対象者、そのときは、大臣はおっしゃらなかったけれども、報道も大体十万人程度ということで、ほぼ十三万人、それから三千九百人という現状に見合ったような状況がちゃんと説明できていたんですけれども、今回は全くそういう説明がされていないんですよね。
これ、高市大臣、もう少し絞ったような形で説明ができないものですか。これ、できないということは、つまり何を対象にするかまだはっきりと明確になっていないということの裏返しなんじゃないですか。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/38
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039・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) 特定秘密保護法制定時の国会審議におきましては、先行する特別管理秘密制度において適格性の確認を受けた行政機関の職員数、また防衛秘密制度の下での契約事業者数といった数について、それぞれ各省庁の数を単純に足し合わせた数を答弁していると聞いております。特定秘密保護制度が施行された場合における適性評価の対象者は、この数字よりも少なくなることが見込まれるとした上で、現時点で確たる数字を申し上げることは困難と答弁していると承知をしております。
特定秘密保護法の国会審議において明確な数字を申し上げていたわけではないということ、加えて、特定秘密保護制度には特別管理秘密制度や防衛秘密制度といった類似の先行制度がありまして、その制度に係る統計数値を参照することができたのですが、今御審議いただいております法案に基づく制度にはこれに相当するような類似の先行制度がございません。直接比較対照すべき数字が存在しないといった事情があることについては御理解を賜りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/39
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040・杉尾秀哉
○杉尾秀哉君 はっきりした数字を出してくださいということが目的ではなくて、やっぱりこれまでのずっと審議の経過を見ていても、私も累次申し上げておりますけれども、やっぱり指定すべき対象というのが明確にされていないんじゃないかというふうに思わざるを得ないんですよね。指定対象も物すごく、数百件から数千件みたいなすごくアバウトな、そんな幅のある数字ですし、説明が余りに漠然とし過ぎていて、まず制度の創設をやっぱり急いだとしか思えないと、私にはそう見えるんですね。
それからもう一つ、適性評価の内容についても伺いますけれども、調査の対象に政治的な見解や支持政党、労働組合の活動歴、こういうのは含まれますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/40
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041・品川高浩
○政府参考人(品川高浩君) お答えいたします。
適性評価のための調査につきましては、本法案十二条二項に列挙されました七つの事項について行われるものでございまして、今御指摘のございました政治的な見解、支持政党ですとかについては調査項目とはなっておりません。
最終的には、この七つの事項に関する調査結果に基づく総合評価によって判断されることになるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/41
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042・杉尾秀哉
○杉尾秀哉君 これ、特定秘密保護法のときには、特定有害活動、スパイ行為、それからテロリズムとの関係に関する事項ということで明確に書いてあるんですけれども、今回の法律には重要経済基盤毀損活動ということしか書いていなくて、この中には、政治上その他の主義主張に基づき、社会に不安を与える目的で行われるもの、こういった記述があって、これじゃ、何でもその重要経済基盤毀損活動、今、政治上その他の主義主張に基づきということを例示をさせていただきましたけれども、これ、関係事項だからということで何でも調べられるということにならないですか、どうですか。大臣、いかがでしょう。これ、大臣にお答えいただいた方がいいと思うんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/42
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043・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) 十二条二項一号の重要経済基盤毀損活動との関係でございますが、基本的に、スパイ活動やテロ活動のうち、重要インフラや重要物資のサプライチェーンを狙ったものとの関係について調査をするという趣旨の規定でございます。その調査対象は、あくまでこうした活動との関係に関する事項に限られます。
特定秘密保護法におきましては、特定有害活動及びテロリズムとの関係について、すなわち、いわゆるスパイ活動全般、テロ活動全般との関係を調査することとされておりますけれども、本法案では、こうした活動のうち、重要インフラや重要物資のサプライチェーンを狙ったものとの関係について調査するものでございます。
支持政党等、先ほど調べることがないと申し上げたことには変わりはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/43
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044・杉尾秀哉
○杉尾秀哉君 以前この委員会で、ハニートラップも調査の対象になり得るんだと、こういうふうな答弁がありました。その根拠が、重要経済基盤毀損活動との関係事項ということが理由に挙げられていたんですけど、ハニートラップがこの関係事項に挙げられているんだったら、やっぱり、実は、だけど、もっとその幅広い概念なんじゃないですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/44
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045・品川高浩
○政府参考人(品川高浩君) お答えいたします。
ハニートラップにつきましては、一般的に、その性的関係を利用して対象者から情報、利益、弱みを引き出すスパイ活動のことを指すと認識しております。
このため、現在又は過去の性的な交友関係を契機に外国の情報機関などから重要経済安保情報の漏えいの働きかけを指したものでありますれば、これはまさに法律に書かれて、法律案に書かれております重要経済基盤毀損活動、これとの関係に関する事項に該当し得るというふうに考えられますため、調査の対象であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/45
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046・杉尾秀哉
○杉尾秀哉君 じゃ、そのハニートラップってどうやって調べるんですか。行動確認、尾行しないと駄目でしょう。じゃ、これ尾行もするということですよね、じゃ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/46
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047・品川高浩
○政府参考人(品川高浩君) お答えいたします。
お尋ねのありました尾行、これにつきましては想定をしていないところでございます。基本的には想定していないところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/47
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048・杉尾秀哉
○杉尾秀哉君 いや、だって尾行しないと、行動確認しないと分からないでしょう、そんなの。本人が調査票にそんなこと書きますか、書くわけがないじゃないですか。
これ内調が調べたりするんじゃないですか、公安警察とか。違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/48
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049・品川高浩
○政府参考人(品川高浩君) お答えいたします。
この性的誘惑による場合に限らず、いかなる手段が用いられるにせよ、外国の情報機関等に漏えいするおそれが疑われる事情、これがございます場合には、この本法案にございます重要経済基盤毀損活動との関係に関する事項としてこれを調査するということでございまして、そういった事情もない中でむやみにその尾行をするですとか、いろいろな調査をするというものではないというふうに考えておりまして、したがいまして、本人に対する質問票の中でも性的嗜好のようなものを問うということは予定していないところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/49
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050・杉尾秀哉
○杉尾秀哉君 むやみにというふうにおっしゃいましたけれども、これは重要経済基盤毀損活動とは関係ないと思いますけれども、ある元事務次官が時の政権に目を付けられて、その次官が新宿のあるお店に入り浸っていた、何回も行っていたということを、これは間違いなく公安警察か何かを使ってこの行動を確認していたわけですよ、政府は。だから、やろうと思えばそういうことが実際できちゃうわけですよね。
弁護士会なんかがやっぱり心配というか懸念を持っているのが、こうしたことでそのプライバシーが暴かれるその端緒になるんじゃないかということを懸念しているわけなので、そこのところをもう少し明確な答弁を私はしていただきたかったなというふうに思っているんですね。
それからもう一つ、内閣府の調査機関ですけれども、ちょっと質問飛ばしますが、大量に個人の機微情報を扱う初めての機関となるわけです。当初は二十人規模というふうに言われておりますけれども、しかも、調査方法とか照会先などは調査対象に通知がされないということで、仮にこういうふうな機関が権限を濫用すれば国民の重大な人権侵害にもつながりかねないわけなので、権限の濫用を防止する仕組みがやっぱりどうしても必要じゃないかと、こういう声はかなり強くありますけれども、これについて、大臣、どういうふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/50
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051・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) 適性評価につきましては、個人のプライバシーに関わるものでございますので、調査項目を七項目に限定をいたしております。
このほか、調査項目や調査の実施方法などをあらかじめ告知して御本人の同意をいただくこととして、収集した個人情報は雇用主には渡さず、また適性評価の結果や個人情報の目的外利用を禁止するなどの配慮を行っております。
また、本法案二十一条一項、修正後は二十二条一項になりますが、この法律の適用に当たっては、これを拡張して解釈して、国民の基本的人権を不当に侵害するようなことがあってはならないという規定も置いております。
こうした規定の趣旨を踏まえまして、適性評価を行う、その適性評価の調査をまず行う内閣府、そして適性評価を行う行政機関などにおきまして、例えば調査する側がこの権限を濫用したり、それぞれの方の自由や人権を萎縮させるようなことがないように、最大限の注意を払って進めることにしてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/51
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052・杉尾秀哉
○杉尾秀哉君 最大限の注意を払って進めるという説明だったんですが、最後は、ずっとこの間もそうなんですけれども、最終的には総合判断という言葉で丸められちゃっているわけですよね。この中に、例えば飲酒についての節度に関する事項ってありますけれども、私も結構酒飲みの方なんですが、これも、何をもってその基準で、これはその漏らすおそれがあるかないか、それも総合判断ですと、最後に、先ほどの説明もそうだったんですが、それがその総合判断という言葉で丸められてしまうというのは、やはりこの辺のところも不信を招く大きな理由じゃないかというふうに思うんですけれども、この点についてはいかがお考えでしょうか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/52
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053・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) 本法案におけます適性評価というのは、重要経済安保情報を漏らすおそれがないことについて評価するために、十二条二項各号に掲げる事項について調査することといたしております。これらの調査結果を基に、行政機関の長が、自発的に漏えいするおそれの有無、働きかけを受けた場合に影響を排除できず漏えいするおそれの有無、意図せず漏えいするおそれの有無といった視点から、全ての調査項目の調査結果を総合的に考慮して、情報を漏らすおそれがないと言えるかどうかを評価することになります。
この総合的考慮について、一律の基準のようなものをお示しすることが難しいということは御理解を賜りたいのですが、その上で申し上げますと、例えば、私も酒飲みでございますが、飲酒の節度、また薬物の影響、経済的な状況といった複数の項目があって、その中で個別の調査項目に関して懸念される行動などは、それ単独の経緯や程度から見て情報を漏らすおそれがないと認められる者でありましても、これらの複数の項目全てについて不適切な判断や行動が認められるといったような場合には、自己を律して行動する能力に一定の疑いを生じ、意図せぬ、例えば過失による漏えいですとか、ほかからの働きかけによる漏えいの懸念を生じさせて、漏らすおそれがないとは認められないという判断に至ることもあり得ます。
そういうことで、本法案をお認めいただきました暁には、内閣府は、一元的調査機関としての適性評価のための調査のほか、法制度を所管する立場からのこの制度の政府統一的な運用の確保を担当することとなりますので、しっかりここで明確にお示しをして、また、調査の方もしっかりと丁寧に行い、個人情報、大切な個人情報が流出するようなことのないようにもう細心の注意を払ってまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/53
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054・杉尾秀哉
○杉尾秀哉君 渡航歴もこれ判断材料になるわけですね。これも私事ですけれども、仕事柄、例えば北朝鮮にも行っていますし、パレスチナにも行っておりますし、やっぱりちょっと結構危ないところも何回も行っているわけですよね。じゃ、そういうところに行っちゃいかぬのかと、こういうことにもなりかねない。これは本当に自由や人権への萎縮効果がないと私は言い切れないというふうに思うんですね。
それから、本法案に基づく処罰対象について、適合事業者としての契約を締結した場合に限られ、それ以外は処罰の対象にはならない、こういうふうな答弁がされているんですが、しかし、二十四条には、共謀、教唆、扇動が処罰の対象となる、こういうふうに法に明記されているんですよね。そうしますと、適合事業者以外の従業員、それから、かつての私がそうでしたけれども、マスコミ関係者、これも処罰の対象になるんじゃないですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/54
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055・品川高浩
○政府参考人(品川高浩君) お答えいたします。
今お尋ねのその共謀、教唆、扇動の対象につきましては、まず、その漏えい行為の正犯になりますのは、なり得ますのは、重要経済安保情報の取扱いの業務に従事する行政機関の職員又は適合事業者の従業者、あるいは公益上の必要等により重要経済安保情報の提供を受けた国会、捜査機関等の担当者などに限られます。
一方、これらの者と共謀し、あるいはこれらの者に対して教唆、扇動を行う者については、主体が限定されるものではございません。
なお、不正取得の方でございますけれども、不正取得の共謀、教唆、扇動については、そもそも正犯の方、正犯の方にあっても主体を限定していないところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/55
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056・杉尾秀哉
○杉尾秀哉君 やっぱり処罰の対象になり得るわけですよね、共謀共同正犯の場合、例えばですね。
それから、二十一条、これは特定秘密にも全く同じ文言がありますけれども、基本的人権の不当な侵害はあってはならない、それから、国民の知る権利の保障に関する報道又は取材の自由に十分配慮しなければならないというくだりがあるんですが、じゃ、不当な侵害って何ですか。侵害というのは、何がしかのやっぱり不当性というのはあるわけですよね。じゃ、配慮が、じゃ、何をもって十分に配慮するのか。
これ、この配慮条項というのは近年いろんな法律にもありますけれども、この条文、二十一条というのは、特定秘密のときもそうでしたけれども、これ実は何の歯止めにもなっていないんじゃないですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/56
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057・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) 不当に侵害や十分に配慮、様々法律や、また地方でも条例などで使われているかと存じますが、これは一般的な言葉の意味と変わることはございません。
本規定は、本法案を解釈適用するに当たって全ての者が従わなくてはならない準則として規定しております。これに従わないで行われる本法律の解釈適用は違法でございます。
杉尾委員もジャーナリストでいらっしゃいましたので先ほどから報道の自由についての問題意識での御質問だったかと思うんですが、本法案の漏えい罪の主体は、二十一条一項の行政機関や適合事業者において重要な経済安保情報の取扱いの業務に従事する者と同条二項の公益上の必要性から提供を受けた国会、捜査機関等の関係者など、九条などの規定によって重要経済安保情報の提供を受けた者の二通りに限定されておりますので、これに該当しない一般市民の方々やジャーナリストの方が仮にどこかで入手した重要経済安保情報を公表したとしても、本法案の漏えい罪には該当をいたしません。正当な取材行為やそれに基づく報道も処罰対象にはなりません。これも、修正後二十二条一項になりますが、しっかりと明記をさせていただいているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/57
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058・杉尾秀哉
○杉尾秀哉君 時間が来ましたけれども、皆さんもよく御存じの外務省の密約事件というのがありまして、あれは新聞記者の方ですけれども、外務省の職員と、これはやっぱり正当な私は取材行為だったと思うんですよね。ただ、その情を通じてというその一言をもってしてこれは正当な取材行為ではないということで有罪になったわけなんですけれども、公共の利害に関わる情報を公表した市民やジャーナリストが、この重要経済安保保護法もそうですけれども、刑事責任問われないという保障はどこにもないんですよね。
そうしたことも含めて、今回の法律、我々は衆議院段階で賛成はしましたけれども、やっぱりすごく問題が多い法律だし、これはやっぱり不断の、先ほどから細則の話もありました、運用のルールの話もありましたけれども、これは不断の監視がやっぱり必要なんじゃないかということを申し上げまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/58
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059・鬼木誠
○鬼木誠君 立憲民主・社民の鬼木誠でございます。どうぞよろしくお願いします。
今ほど杉尾委員からも、この間の審議においていまだなお不明確、不明瞭な事件、あっ、時点、あるいは、どういうんでしょうね、疑念や懸念が払拭できていない点についての再確認をする質問ございました。私からも幾つか質問をさせていただきながら再確認をさせていただきたいというふうに思いますが、まず適性評価についてでございます。
今ほど、十二条二項一号に関連をして、調査内容が拡大をされるんではないかという懸念、あるいは調査権の濫用につながるんではないかという懸念について杉尾委員から指摘があったところでございます。この間の審議においての答弁を聞いても、やっぱりこの疑念というのは払拭できないんですね。何が調べられるのか、どこまで拡大するのかということについて、もちろん明確にお知らせをすることはできないかもしれませんけれども、本人からすると、調べられるかもしれない本人からすると、とても不安に感じるということはあえてお伝えをしておきたいというふうに思いますし、改めて、調査権の濫用や調査内容の拡大によって、個人の自由であるとか、あるいはプライバシーや人権が侵害されるような事態が絶対に起こってはならない、そのことは是非共有をさせていただきたいというふうに思います。
その上で、幾つか適性調査に関してまだ分からないところあるんです。実は、これ前回でしたか前々回でしたか、石垣委員の質問で、内閣府に調査を行わせることで当該行政機関の遂行に支障を及ぼすおそれがある場合には当該行政機関自らが調査を行うというようなことの答弁ございました。この規定によって、公安調査庁が調査を行うことも理論的にはあり得るというような答弁だったというふうに思います。
この内閣府に調査を行わせることで当該行政機関の遂行に支障を及ぼすというのがどういうケースなのかというのを、まず教えていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/59
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060・彦谷直克
○政府参考人(彦谷直克君) お答え申し上げます。
御指摘は、法案の十二条四項ただし書でございます。この規定は、例えば特別な情報収集任務に当たる一部の省庁の職員につきまして、その適性評価を他の省庁に委ねることが情報収集任務自体を困難にするなど、業務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるような場合、こういった場合に一元調査の例外としているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/60
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061・鬼木誠
○鬼木誠君 これ聞いても分からないんですよね。
特別な情報収集任務がある職員というのは、例えばどういう方なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/61
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062・彦谷直克
○政府参考人(彦谷直克君) いわゆる、御指摘ございましたけれども、インテル系の省庁というもの、こういった省庁におきましては、その省庁の職員がそういった調査に従事しているということもございますので、そういった省庁の職員についての情報を他の省庁にお示しするということ、そういったことについて、業務の遂行に支障を及ぼすおそれがある場合があり得るということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/62
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063・鬼木誠
○鬼木誠君 例えば、そうしたら、もう一つ懸念があるのは、例えばある省庁が、警察庁なりいわゆる調査能力を持つ省庁と情報を共有している、で、その情報について情報指定した上で民間に提供すると。こうなったときに、例えばその情報についての調査を警察が行う、調査機関が行うということもあり得るのかどうか、この点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/63
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064・彦谷直克
○政府参考人(彦谷直克君) お答え申し上げます。
御指摘のようなケースにおきましては、まず、行政機関が事業者に対して重要経済安保情報を提供するかによって適性評価の実施主体が異なってまいります。すなわち、適合事業者と守秘義務契約を締結して重要経済安保情報を提供する行政機関が適性評価を行うということになります。
重要経済安保情報を事業者に提供できるのは、重要経済基盤の脆弱性の解消など我が国の安全保障の確保に資する活動の促進を図るために当該事業者に重要経済安保情報を利用させる必要があると認める場合でございまして、通常は情報指定をした元の省庁から提供するのが一般的ではないかと考えられますが、当該省庁から提供を受けた警察庁、今御指摘のような警察庁において必要と認めて事業者に提供する場合が一概に否定されるものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/64
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065・鬼木誠
○鬼木誠君 いや、心配しているのは、それぞれの省庁が例えば警察庁に情報共有をしてもらって、その調査主体として、警察庁が主に調査を行うというような事態が生じるのではないかという懸念なんです。そのことが、今おっしゃったように、基本的には情報指定した省庁が調査主体になるんだというようなことって明確にお答えをいただくなら、警察庁が主体的に調査を行う案件というのは極めて少なくなるのではないかというような想定はできるんですけれども、そこの不安についてもう一度御答弁いただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/65
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066・彦谷直克
○政府参考人(彦谷直克君) お答え申し上げます。
先ほど申し上げましたとおり、基本的には情報指定をした元の省庁から提供するのが一般的であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/66
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067・鬼木誠
○鬼木誠君 基本的にはとか一般的にと言われると何か不安が残るんですよね。まあまあそこはいいです。
それからもう一点、これも委員会の中で御質問があったんですけれども、井上委員だったと思います。
捜査機関に適性評価対象者についての照会を行うと。で、その照会を行うことで捜査機関が対象者であることを共有をしてしまうと。そうなると、捜査機関が、この適性評価とは別に独自の判断でその方を調査をするということもあり得るのではないかというようなことでの懸念が表明をされたところでございますけれども、この指摘について、改めて、そのようなケースもあり得るという判断でいいのかどうか、お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/67
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068・彦谷直克
○政府参考人(彦谷直克君) お答え申し上げます。
捜査機関がいかなる情報を端緒に情報収集を開始するかという点につきましては、所管外であるためお答えは差し控えさせていただきますが、捜査の端緒は様々であるにせよ、常識的に考えまして、適性評価の対象者であることを知ってもそれが新たな犯罪等の疑念を抱かせる端緒になるとは考え難く、また、適性評価における公務所照会があったという一事のみをもって捜査機関が何らかの疑いを持つことも考え難いというふうに考えております。
いずれにせよ、少なくとも本法案の適性評価における公務所照会は照会先が保有する情報の提供を求めるにとどまるものでございまして、照会先の公務所に適性評価のための新たな調査を求めるものでもなく、また、そのための権限を付与するものでもございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/68
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069・鬼木誠
○鬼木誠君 おっしゃっていることは分かるんですけれども、ただ、やっぱり捜査機関は、この前も同じようなやり取りありましたけれども、捜査機関は、その方がクリアランスホルダーになり得るかもしれないという情報を得る。で、クリアランスホルダーになるかもしれないということは、機微な情報を取り扱うことになる。その機微な情報を取り扱う方に対して外から様々な影響であるとか働きかけがあるやもしれないというようなことも含めると、やっぱりその方について、何らかの情報を定期的に、あるいは一定の量の情報を持っておきたいというのが捜査機関ではないかなというふうに推測をするんです。だからこそ、先ほど言ったように、不安が払拭できない、あるいは懸念が残るというふうに御指摘をさせていただいているところでございまして、調査内容の拡大や調査権の濫用というようなことにつながりかねないということについて、やっぱり大きな不安を持って受け止めているということを改めて御指摘をしておきたいというふうに思います。
その上で、今問いただしをした事項についても、本当は本人同意の際に分かっていないといけないですよね。調査内容がひょっとしたら拡大するかもしれませんよ、でありますとかいうことについてもしっかり分かった上で本人同意がなされないと僕は真の同意にならないというふうに思うんです。
七項目だけですよという説明だけでは僕は足りないというふうに思っていまして、この真の同意を得るための説明の在り方等についてしっかり行っていただきたいと思いますが、この点、改めてお答えいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/69
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070・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) 当然、評価対象者の方の同意が前提でございますけれども、その同意をいただくに先立ちまして、調査項目、法定された調査項目をお伝えするとともに、公私の団体に問い合わせることも含めて、調査の方法についてもしっかりとお伝えをいたします。これは必ずお約束をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/70
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071・鬼木誠
○鬼木誠君 調査の方法だけではなくて、やっぱり僕は調査内容が拡大をしていく可能性についてもしっかりお伝えをすべきだというふうに思いますので、その点改めて御検討いただければというふうに思います。
あわせて、調査期間の問題についても多くの指摘が委員会の中でなされました。
重複は避けたいというふうに思いますけれども、評価結果が遅いこと、遅れることによって生じるであろう、あるいは生じるかもしれない労働者の不利益について、この部分についてもやはり適性評価結果の場合と同様の不利益禁止措置を運用基準に盛り込むということが必要だというふうに思いますけれども、この点についてのお考えを改めてお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/71
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072・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) 本法案第十六条でございますが、適合事業者においては、行政機関から通知される従業者の評価の結果及び不同意の事実、行政機関等においては、職員の評価の結果、不同意の事実に加え、調査により収集した個人情報について、重要経済安保情報以外の目的で利用又は提供することは禁止する規定を置いております。
この結果、調査の結果が遅いといったことについては、直接的にはこの規定には当てはまりません。しかし、委員が御指摘くださったように、適性評価を受けることに同意して所定の質問票などを提出したにもかかわらず、適性評価の結果がなかなか通知されないということをもって、企業側が重要経済安保情報の取扱いを要する業務に就かせないということを超えて無用の不利益取扱いまですることを許してしまいますと、十六条二項が同意拒否の事実や適性評価の結果の目的外利用を禁止したという趣旨に反することになりかねません。
したがいまして、十六条二項の趣旨に鑑みて、適性評価の結果が出ないという事実を理由とする不利益取扱い、許されるべきではないと考えますので、その旨を運用基準の中で明示をすることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/72
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073・鬼木誠
○鬼木誠君 ありがとうございました。明確な御答弁をいただきました。是非、運用基準に盛り込んでいただきたいというふうに思います。
それからもう一点、相談窓口についてでございます。
これもこの間のやり取りの中で、相談窓口での対応について、既存の個別労働紛争解決制度を紹介をされると、その程度というような回答だったというふうに受け止めています。
不利益措置については禁止をするんだということ、そして、労働者に対してこのクリアランス制度を入れることによって不利益が生じてはならないんだということ、これは強い姿勢で、この間、政府としても御答弁をいただいている。
仮にですよ、仮に、あってはならないことが起こってしまったと、その当事者の方が相談窓口に電話をして御相談なされる、そのときに、あっ、そのことについてはこういう相談機関がありますんでこちらにどうぞというふうなことで回答なさるということであれば、僕はこれは責任が薄過ぎるというか、軽過ぎるというか、政府として果たすべき責任を果たしてないんではないかというふうに思っています。
そういう意味では、不利益取扱いが仮に起こった場合は、当然相談窓口で一次的に受け付けるとして、その不利益について政府がやっぱり責任を持って解消させますと言うぐらいの姿勢や構えをまずはお示しをいただきたい。
その上で、具体的で効果的な措置については、今日は間に合わないだろうと思いますんで、法施行までの間に是非政府として前向きな御検討をいただけないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/73
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074・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) もう当然、これは前向きに検討させていただきます。
相談窓口に、例えば適性評価に関して御相談をいただいたような場合には、これは丁寧に御事情を伺うことになります。適性評価の対象者の方がその結果に係る目的外利用の禁止に抵触する行為に該当する不利益取扱いを受けたと考えて御相談をいただいた場合、仮に悪質な違反行為が発覚した場合には、これは事業者との契約に定める規定への違反があったということで契約を解消すること、また、先ほどおっしゃっていただいたような、評価結果が長期にわたって出ないといった御相談を窓口にいただいた場合にも、その旨を内閣府の調査担当ないし各行政機関の適性評価担当に伝達して、具体的な状況によっては迅速的な対応を要請するといった具体的な措置をとることも考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/74
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075・鬼木誠
○鬼木誠君 ありがとうございました。是非よろしくお願いをしたいというふうに思います。
それから次は、情報指定の在り方についての懸念についてお伝えをしたいというふうに思います。
先ほどこれ杉尾委員からも御指摘ありましたけれども、やっぱり何が情報として該当するのかというのが今段階で明確になっていない、極めて不明瞭ではないかというふうに思います。
ただ、これから先、指定をする情報というのは増えていく、解除されるものもあるだろうと思いますけれども、増えていくのではないかというふうに思っていますが、やっぱり厳密に、そして抑制的に行わなければならない。政府としても、この間、適切な数とするというような御答弁をなさっているというふうに記憶をしています。
ただ、僕が気になっているのは、衆議院の連合審査で経産省の方がこのクリアランス制度についてお答えになったときに、非常に重要なツールになるのではないかと、官民の更なる連携強化に向けた情報交換ツールと位置付け、積極的に活用したい、こういう趣旨の答弁があったんですね。この積極的に活用するとか情報交換ツールとかいう単語だけ見ると、情報を保守をするとかいう姿勢がほとんど感じられないというふうに私は受け止めました。どう利用するかしか眼中にない、ビジネスチャンスの拡大が目的化されたような前のめりな姿勢があらわになったというふうにも受け止めました。
この法案が持つ、僕は、その側面として、ビジネスチャンスの拡大というのはあっていいと思うんです。あっていいと思うんですけれども、それが先に走っていってしまうと、ビジネスチャンスの拡大につながる制度なんだということで言い切ってしまうと、この法案の本来の趣旨、もう一つの趣旨である情報の保守という側面が極めて弱くなる、希薄になるのではないかという心配をしています。
そういう意味では、情報指定の在り方についてしっかり各省での統一的な見解と徹底が必要だというふうに思いますけど、まずは、この経産省の答弁あるいは姿勢に対して高市大臣としてどのようにお受け止めになっているのか、御見解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/75
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076・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) 連合審査における経済産業省の答弁ですけれども、この法案の第一義的な趣旨は、委員がおっしゃってくださったとおり、これは情報保全をしっかりと強化するということでございます。
ただ、この法律案に基づいて、経済安全保障の観点から、我が国の安全保障の確保に資する活動を行う事業者に対して、この法案に基づく制度がなければ共有していただけない重要経済安保情報を提供することができることとなります。このため、経済産業省などの省庁が経済安全保障政策を推進するに当たってこの法案の制度を活用するということにつきましては、その趣旨に沿ったものであると思っております。
ただ、委員が恐らく御心配いただいているのは、先ほどおっしゃっていたように、節度なく対象を拡大していくということになるんだろうと思うんですけれども、ただ、保護及び活用の対象となって、その取扱いに適性評価を要することとなる情報というのは、これまでも累次答弁させていただきました重要経済安保情報としての三つの要件に該当する情報でございます。この要件に該当しない情報を恣意的に指定することはできませんので、情報指定の節度なく拡大ということにはならないようにしっかりと運用してまいりたく存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/76
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077・鬼木誠
○鬼木誠君 ありがとうございます。
まだ心配は払拭できないんですけれども、今、次の質問のところまで踏み込んでお答えをいただいたというふうに思いますので、質問飛ばさせていただきまして、運用基準についてお尋ねをしたいというふうに思います。
前回質問させていただいた際に、内容検討の有識者会議の中に労働者代表の参加について、これは前向きな答弁をいただいたというふうに思っております。ありがとうございます。
その上で、ただ、この内容、何を書き込むのかということについては、あの時点ではまだしっかりした御答弁いただけていない。法案十八条に記載されているもの以外で、国会審議の中でも多くのことが運用基準に記載するという旨の答弁をなさっています。今日時点で、全てではないかもしれませんけれども、何を基準に書き込むのかということ、何を基準に書き込むのかということについては是非明示をいただければというふうに思っています。
どのようなものが運用基準に書き込まれるのか、是非、お考えがあれば、今日時点でのお考えで構いませんので、お聞かせいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/77
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078・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) 本法案をお認めいただきました暁には、政令や運用基準の策定に直ちに着手いたします。この運用基準に規定することを想定している大きな項目を申し上げますと、本法案十八条一項に規定しているとおり、特定秘密保護法と同様の重要経済安保情報の指定及びその解除、適性評価の実施、この二項目に加えまして、特定秘密保護法の運用基準では取り上げられていない適合事業者の認定が挙げられます。
その詳細については、例えば、これまでの答弁でも申し上げたかとは思いますが、重要経済安保情報の指定の要件である重要経済基盤保護情報の四類型の細目、適性評価の結果等に関する個人情報の目的外利用の禁止の実効性確保のための目的外利用に当たる具体的な行為、また、適性評価の結果が出ないという事実を理由とする不利益取扱いが許されるべきではない旨、また、評価結果が出ないなどの御相談をいただく窓口の設置、事業者の適合性基準の内容などを想定いたしております。
ただ、先行制度であります特定秘密保護法の運用基準の内容や実務も参考にして、また、これまで国会審議におきまして様々な御指摘を賜りましたので、これも踏まえて検討してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/78
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079・鬼木誠
○鬼木誠君 ありがとうございました。幾つか具体的に御回答いただいたこと、感謝申し上げたいというふうに思います。
時間が参りました。労使協定についても御質問させていただきたかったんですけれども、午後から総理に直接お伺いしたいと思います。
ありがとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/79
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080・石垣のりこ
○石垣のりこ君 立憲民主・社民の石垣のりこでございます。
今、議論を聞いておりまして、やはり分からな過ぎて余計に不安が募るというところが否めないのかなというふうに感じておりました。今、具体的に例示していただいた部分もございますけれども、こうしたことをしっかりと法案に書き込んでいただいた上でこの国会に提出していただくと、より審議が充実したものになるのではないかということを冒頭に申し上げておきたいと思います。
まずは、七日の参考人質疑で、齋藤参考人からいただいた御意見を基に一つ質問をしたいと思います。
秘密を知らされずに弁護することになったら非常に弁護がしにくいという、弁護士のお立場から御意見がございました。この制度が始まりますと、情報漏えいの容疑が掛けられた場合ですとか適性評価で不利益扱いをされた場合など、訴訟に至ることもあり得ると。そのときに、容疑を掛けられた対象者は、自身がクリアランスホルダーであることや秘密に指定されている情報の概要などについて弁護士ですとか警察、検察に伝えることができるのかどうか、また、伝えてしまった場合に罰則の対象になるのかどうか、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/80
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081・飯田陽一
○政府参考人(飯田陽一君) お答えをいたします。
一つ一つお答えしたいと思いますけれども、まず、適性評価において重要経済安保情報を漏らすおそれがないと認められた者、いわゆるクリアランスホルダーであるという事実をほかの者に伝えるということについては、本法案上、特段禁じているものではございません。
次に、重要経済安保情報の漏えいの容疑で例えば刑事事件の被疑者になった方が、その重要経済安保情報の内容を警察官、検察官あるいは弁護人に伝えることが許されるのかという御質問でございましたけれども、まず、その事件の捜査に従事する警察官や検察官につきましては、そもそも刑事事件の捜査又は公訴の維持に必要な業務に必要なものとしてその提供を求めた場合には、この法案の九条一項一号ロによりまして、その重要経済安保情報を保有する行政機関からその内容が伝えられることになります。したがいまして、嫌疑を掛けられた方が警察官や検察官にそれをお伝えいただく必要はございませんし、既に知っている警察官や検察官に伝えたとしても漏えいには当たらないというふうに考えております。
一方、弁護人の方につきましては、この法案の手続によるものではございませんけれども、憲法で保障された弁護人に依頼する権利の趣旨に鑑みまして、被疑者が自己の弁護人に対して重要経済安保情報の内容を伝えたとしても、これを新たな漏えい罪として処罰することにはならないというふうに考えております。
また、齋藤参考人の御指摘と関連をいたしまして、公判廷におきまして重要経済安保情報の内容を言うことができなければ被告人が圧倒的に不利になるのではないかといったような御指摘もあったように思います。
この御懸念につきまして、刑事手続そのものは所管外でございますけれども、承知している範囲で申し上げましたら、そもそも刑事裁判においては検察官が立証責任を負っているものでございます。したがって、検察官が指定の適法性等について立証しようとする場合には、一般的には、まずいわゆる外形立証の方法、つまり、秘密の内容そのものを明らかにしないまま、秘密の種類、性質等のほか、秘密に対する、秘密にする実質的な理由として当該情報の立案、作成過程、秘密指定を相当とする具体的な理由を明らかにすることによって実質秘であるということを立証することになるわけでございます。このように、あくまで立証すべきは検察官でございますので、その検察官が立証できなければ被告人は無罪となるものでございますので、弁護人の方の側にその無実の立証責任が課されるものであるというものではございません。
したがいまして、重要経済安保情報であることをもって、あるいはそれに関連する事件であることをもって、弁護人の方が必要な弁護活動を行うことができないまま有罪となるようなものではないというふうに認識をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/81
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082・石垣のりこ
○石垣のりこ君 そういう弁護の仕方もあるということだとは思うんですけれども、より具体的にどういう状況なのかということを把握しておきたいときに、どうしてもその秘密指定されたもの、重要経済安保情報と指定されたものの中身を話さざるを得ないこともケースによってはあり得るんだと思います。
そうした場合に、じゃ、弁護士であるから守秘義務で守られているので、その情報を聞いたときにどういう扱いになるのかということを考えると、そちらが守秘義務で対応できるんだったら制度としての一貫性としてはどうなのかというような疑義も生じるのではないかというふうに考えます。
ちょっと御答弁長くなりましたので、一旦ここでは御意見だけ述べさせていただきますので、続いての質問に行きますが、適性評価における精神疾患に関する事項の調査について伺います。
適性評価の項目に精神疾患に関する事項がございます。これはなぜでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/82
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083・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) 適性評価の七つの調査項目は、いずれも、自発的に情報を漏えいするおそれの有無、ほかから働きかけを受けた場合に影響を排除できず漏えいしてしまうおそれの有無、そして意図せず過失により漏えいしてしまうおそれの有無といった観点から、情報を漏らすおそれがないという信頼性を確認するために必要な項目としております。
精神疾患に関する事項を調査する理由でございますが、精神疾患により自己の行為の是非を判別し、若しくはその判別に従って行動する能力を失っている、又は著しく低下していることにより、意図せず過失により、あるいは他からの働きかけによって重要経済安保情報を漏らすおそれがあると評価し得るということでございます。
ただ、調査の結果、精神疾患に関して治療やカウンセリングを受けたことがあるという事実をもって情報を漏らすおそれがあると直ちに判断するものでないということは言うまでもございません。
精神疾患の治療の経過、調査時点での症状の有無、再発の可能性など、個別の事情を考慮しなければなりません。その上で、情報を漏らすおそれがないと認められるか否かについては、精神疾患以外の事項に関する調査結果も踏まえ、総合的に評価を行い判断するということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/83
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084・石垣のりこ
○石垣のりこ君 調査票、資料二にございますけれども、今、高市大臣の方から御説明いただいた内容が特定秘密保護法の調査票の中にも実際にただし書としては書かれてはいるんですけれども、実際のところなんですが、この精神疾患が理由で情報漏えいするような事案、いわゆる立法事実の部分ですね、過去に多く発生しているようなものが実際あるのかどうかということ、また、特定秘密保護法違反が適用された事案について実際どうであったかということを御答弁お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/84
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085・飯田陽一
○政府参考人(飯田陽一君) 今御指摘がございました精神疾患を患っている方が情報を漏えいしたという事案が過去に多く発生しているかという御質問につきまして、私どもとしては、そういった事案そのものについては承知をしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/85
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086・岡素彦
○政府参考人(岡素彦君) これまでに特定秘密の漏えいがあった事案といたしましては、令和四年十二月に公表された海上自衛隊OBに対する漏えい事案、それから本年四月に公表された海上自衛隊の護衛艦及び陸上自衛隊の北部方面隊隷下の部隊における漏えい事案、この三件であるというふうに承知しておりますけれども、内閣情報調査室として知り得る限り、これらについてはいずれも精神疾患が原因であったとの情報には接しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/86
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087・石垣のりこ
○石垣のりこ君 ということで、高市大臣の方からこういう場合にということで御説明はあったんですけれども、立法事実としてはそれに該当するような事例というのは基本的にはないというふうに今御答弁いただいたと思います。
その上で、じゃ、なぜこういう精神疾患に関する事項があるのかというところで、これを載せていることの懸念を申し上げたいと思いますが、特定秘密保護法の適性評価の調査票によりますと、必要な場合には、医療機関に照会した上で、具体的な症状や治療の経過、再発の可能性等を踏まえという記載がございます。照会を受けた医師等は医師法で守秘義務が課せられておりますが、適性評価の調査における照会はこれ回答がまず義務付けられているものなのかどうか。
また、十二条の六項では、公務所若しくは公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができると、今回の法案、セキュリティークリアランス法案の中にございます。これ、回答義務があるというのは書かれていないんですけれども、医療機関がこれを拒んだ場合、ペナルティーというのはあるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/87
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088・飯田陽一
○政府参考人(飯田陽一君) お答えをいたします。
公務所照会を受けた機関、医療機関も含めてでございますけれども、十二条六項により、基本的にはこれに回答すべき法令上の義務が生じているというふうに認識をしておりまして、他方で、個別の法律において守秘義務が課されている場合があるわけでございますが、この十二条六項の法令上の義務によりまして、各法の守秘義務規定の除外理由となる正当な理由に該当するものというふうに考えております。
他方で、今、最後に御質問ございましたとおり、照会を受けた機関が回答を拒否した場合につきましては、これを、本法案においてはこれを強制するような措置はなく、また回答拒否に対する罰則もございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/88
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089・石垣のりこ
○石垣のりこ君 医師若しくは医療機関が拒否してもペナルティーはないという御回答だったと思います。
このような調査が行われますと、調査されることを避けて、若しくは、精神疾患での受診歴があると、適性評価でこうは書いてあるけれども、一概に受診をしたかどうかによって判断はしないとは書かれてはいるけれども、評価でマイナスになるのではないかということで治療忌避につながるのではないかと考えます。実際、治療される側に立っておられる日本病院・地域精神医学会理事会名義で、今回の重要経済安保情報保護法案への反対声明がそのような視点からも出されております。この点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/89
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090・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) 先ほど申し上げましたが、この治療やカウンセリングを受けたことがあるという事実のみをもって直ちに情報を漏らすおそれがあると判断するものではございません。これは、言うまでもなく、症状の種類、程度も考慮するものです。最終的な評価は、あくまで七つの事項の調査結果の総合評価によって決せられるものでございます。
治療、必要な治療を受けないということがあってはいけませんので、こうしたことを理解していただけますように、この法案をお認めいただけましたら、制度の説明にしっかりと努めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/90
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091・石垣のりこ
○石垣のりこ君 しっかりと説明をしていただくというのはもちろん重要なんですが、こういった特秘の方でも実際に行われているということなんですけれども、今、実際に治療をなさっている方のお話の段階でのことを申し上げましたけれども、クリアランスホルダーを取得した後に、いろいろな秘密を守らなければいけないということも含めて、いろいろな状況が変わって精神の不調が生じた際にも、ああ、もしここで治療に通うことになったらクリアランスホルダーとしての資格を失う可能性があるかもしれないということで、この治療忌避が起きる可能性ということもこれ否めないと思います。
そもそも、先ほど高市大臣が、あくまでも最終的には総合評価だけれども、こういう場合ということで、御自身の自発的な判断能力というか、判断できるかできないかというところに疑義が生じるような精神疾患の場合というようなお話がありましたが、そもそも、このクリアランス、セキュリティークリアランスの適性評価を受ける前段階でそういう状態にある方は、なかなかここまでたどり着くのが難しいというか、その以前の段階なのではないかと、想定されているチェックが入る項目としては。なので、わざわざここに精神疾患に関する非常に人の機微に触れるような項目を掲げていること自体が、やはり医師の立場からしても、やはり精神衛生の面からしても、これどう考えても、治療忌避につながっていくと、非常に悪循環に陥る可能性が私は否めないと思うんですね。
なので、ここにやっぱりこういう項目を掲げること自体の実効性といいますか問題点というのは認識をしていただきたいと思うんですが、その点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/91
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092・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) まず、その調査を受けることは決して強制されてはなりません。そこはしっかりと担保していくべく、今後御提案をさせていただく政令ですとかガイドラインにおきましてもこれはきちっと対応していきたいと思っております。
その上で申し上げますけれども、先ほど来も申し上げてまいりましたが、例えば私でしたら、睡眠導入剤の処方を受けるために精神内科に定期的にお薬を、でお薬を処方していただいております。ですから、症状のやはりその種類、程度、現状どうなのか、こういったことというのはどうしてもこの調査の判断の材料の一つにはなりますけれども、その精神内科にかかったとか、そういうカウンセリングを受けたとか、その事実をもって、それだけをもって情報を漏らすおそれがあると判断されるわけではないと考えております。
ここはしっかりと説明をしてまいりますし、また、あくまでも調査を受ける受けないというのは御本人の自由であると、この点を特に強調して広報に努めてまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/92
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093・石垣のりこ
○石垣のりこ君 調査を受けるか受けないかは御本人の意思と。
そうなんですけれども、調査を終えた方の、クリアランスホルダーになられた後のことも今申し上げたので、その点も踏まえてお考えというか、お話しいただき、今後考慮いただきたいなというお話でございましたが、じゃ、高市大臣、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/93
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094・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) 既にクリアランスホルダーになられた後ですね、ですけれども、これも、例えば通院を開始するなどの事情が生じた場合でも同様の考え方でございます。精神科若しくは精神内科に通院したからといって、直ちに適性評価を再実施しなければいけないということには当たりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/94
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095・石垣のりこ
○石垣のりこ君 今後そのようなことがないように、まずはもう通院に関しては、こちらの反対声明、日本病院・地域精神医学会理事会名義で出ているこの声明に書かれている点もしっかりと御考慮いただきまして、やはり治療の忌避につながるようなことがないように、また偏見につながることがないようにということを、ここに書かれている時点でその可能性が高いということを今日は申し上げてはいるんですけれども、今お話しいただいた点をしっかりと皆さんに御理解はいただきたいなというふうに思っております。
続いてでございますが、適性検査の対象と調査内容に関して、これ私の以前の質疑を踏まえて伺います。
重要経済基盤毀損活動との関係を調査する参考として家族等の四項目の情報を出させるのは、飯田政策統括官が四月二十三日の私の質疑におきまして、家族の中に外国籍の方や外国からの帰化歴がある方がいる場合には、その家族関係を利用してその国の情報機関等が評価対象者に重要経済基盤毀損活動への関与を働きかける可能性が否定できないためというふうに答弁されていらっしゃいます。
家族等を通じて重要経済基盤毀損活動を行う可能性がある、つまり、例えば家族が外国のスパイとつながっていて、そこから情報が漏れてしまうことがあり得ると考えているから評価対象者の家族の四情報を調査項目に入れているということでよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/95
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096・飯田陽一
○政府参考人(飯田陽一君) お答えをいたします。
お尋ねの答弁について少し補足もさせていただきますと、私が答弁をいたしましたのは、その御家族に外国籍や外国からの帰化歴がある方がいらっしゃった場合に、その方に対して外国の情報機関等が圧力を掛けたり、あるいは脅したりすることなどを通じて評価対象者本人に情報を漏らすよう働きかける可能性があるということを念頭に置いて答弁したものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/96
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097・石垣のりこ
○石垣のりこ君 そういう、念頭に置いてということで、そういう可能性があるというお話を今追加していただきましたが、名前と生年月日と国籍と住所の四項目のみについて家族に関して、家族等に関しては調査をするということではございますが、この重要経済基盤毀損活動との関係、つまり外国の情報機関等からの働きかけがあるのか否かみたいなことを、今のようなことをどうやってこの四項目から判断するんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/97
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098・飯田陽一
○政府参考人(飯田陽一君) お答えをいたします。
家族に関する今御指摘のありました四項目を知るということで、あるいは質問票を通じて確認をするということで、評価対象者本人について、あくまでも本人についてですね、重要経済基盤毀損活動との関係があるかないかということを調査するための参考としているものでございます。
具体的には、先ほども申し上げたような形で、家族の方に圧力が掛かったり、あるいは脅したりすることなどによって評価対象者本人に情報を漏らすような働きかけとなる可能性があるということで、家族についての四項目を確認しているということでございます。
その上で、これ以上、その後の具体的な調査の手法や方法につきましては、判断における着眼点、あるいはそれをどのように進めるかといったような要領につきまして、これを知られることによりまして外国情報機関など情報の窃取を試みる者に手のうちを明らかにすることになるおそれもございますので、その結果として調査に支障を及ぼすおそれがありますので、詳細についてはお答えを控えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/98
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099・石垣のりこ
○石垣のりこ君 四項目以外は調べませんとおっしゃっているんですけれども、前回の質疑でも、前々回ですかね、質疑でも申し上げましたけれども、重要経済基盤毀損活動との関係においては必ずしもそうではないのではなかろうかということがこの法律の条文からも読めるのではないかと、その可能性についてあるのかないのかに関して、私の方では明確な答弁をお願いしたいというふうに再三申し上げているとおりでございます。
資料の三枚目になるでしょうか、条文の方ございます。
これ、十二条の二項の一、非常に長い条文になっておりまして、何と二重括弧みたいなものがいろんな形容詞として係っていて、一体これは何を言いたい条文なのかが非常に分かりにくくなっているため、この十二条二項の一の部分、重要経済基盤毀損活動との関係に関する事項というのがこの一の中のもうメインになっている言葉なわけです。そこに附属しているものがこの括弧の中に形容詞的にというか説明的に述べられているということで本当に分かりにくいんですけれども、結局は、この重要経済基盤毀損活動との関係に関する事項において、家族の四項目以外も、本人に関するという条件さえあればいろんなことが調べ得るのではなかろうかと。
今、お話にもありましたように、手のうちを明かすということになるので具体的なことは申し上げられないというお話がありましたけれども、そもそも、この家族等の氏名、生年月日、国籍、住所の四項目のみから、この重要経済基盤毀損活動と本人との関わりをどういうふうに推測するのかというのが非常に分からない、実際、そんなことは不可能ではなかろうか。名前と住所と国籍と生年月日を見ていると、何かこの人はもしかしたらつながりがあるのかもしれないという、そんなことはあり得ないわけですから、その先の調査が、何らかの、この四つの情報を含めて更に先に行かなければそもそもそういう確認ができないということなんだと私は考えております。
つまり、この評価対象者本人の重要経済基盤毀損活動との関係に関して、必要なら家族等の四項目以外の調査を行うことになっているということでいいのかどうか。この具体的な手法は結構ですから、それはあるのかということをイエスかノーか、はっきりとお答えいただいてよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/99
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100・飯田陽一
○政府参考人(飯田陽一君) お答えをいたします。
ただいま委員がお示しいただいた資料にありますとおり、この部分につきましては、評価対象者御本人の重要経済基盤毀損活動との関係に関する事項を調査項目としておりまして、その上で、先ほど、なぜ家族の四項目を聞くのかという御質問ありました。その四項目は、氏名、生年月日に加えまして、国籍や住所ということで四項目を聞くわけでございますが、これによりまして、本人、評価対象者本人に対して、家族への圧力や脅しによって情報を窃取するような活動につながらないかどうかということを確認をしていくということでございます。
したがいまして、繰り返しでございますけれども、本法案に基づき家族等について本人に申告いただく項目は、今後、その質問票については運用基準の中で定めていくことでございますけれども、基本的にはこの本法十二条に規定された四つの事項のみを想定しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/100
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101・石垣のりこ
○石垣のりこ君 あくまでも条件付の四項目であるというふうに今御答弁いただいたのではないかと思います。あくまでも今の現段階では想定であるということで、否定はなさらなかったという御答弁だったと思います。
このように適性評価に関しては、御本人の判断で、そのクリアランスホルダーになるかならないかの御本人の判断は、取られる部分に関してはこれ致し方ない部分というのはもしかしたらあるのかもしれませんけれども、そこに関わる家族等に関しては、知らないうちに様々なことが調査されている可能性もあるということが否定されなかったのではないかと、少なくともここまでの議論の中ではそのように受け止めております。これは大きな問題であるというふうに申し上げておきたいと思います。
ちょっともう時間も限られてまいりましたので、最後、適性評価の対象と、適性評価の返し方についてちょっとこれ確認をしておきたいと思います。
適性評価の結果、重要経済安保情報を漏らすおそれがないと認められなかった、適性評価でマイナス、駄目だったという場合にはどのように本人に伝えるのかと、この伝え方は非常に難しいのではないかと思います。十三条四項における適性評価の円滑な実施の確保を妨げない範囲というのが具体的にどのようなものであるのか、また、その際に理由についてどこまで開示するのか。これ、例えば家族等が理由になっていた場合にこれ評価対象者に伝えるのかどうか、当該家族に伝えるのかどうか、これによって物すごく人間関係に大きな影響を与えかねないということもありますし、余りにも言わな過ぎても、どうして自分が評価をクリアしなかったのかということに疑念を持ったままずっと過ごさなければならないということも、人生において大きなそれはマイナスになると思うんですね。この点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/101
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102・飯田陽一
○政府参考人(飯田陽一君) お答えをいたします。
ただいま御指摘がございましたとおり、漏らすおそれがないと認められなかった旨を通知するときには、適性評価の円滑な実施の確保を妨げない範囲においてその理由を併せて通知するということを想定しております。これは、今委員も御指摘がありましたとおり、理由が通知されないといたしますと、評価対象者には制度に対する不信感が生じ、あるいは制度の信頼性が損なわれかねないということを考慮したものでございます。
一方で、適性評価の円滑な実施の確保を妨げない範囲においてとしておりますのは、詳細を明らかにすることで、その評価の前提となりました情報、この情報源との関係や今後の適性評価の実施に支障を生じ得るからでございます。
したがいまして、具体的にどのような理由を通知することになるかについては個別の事案によるため一概に申し上げることは難しいわけでございますけれども、そもそも、先ほど申し上げた理由を通知する趣旨と、それから妨げない範囲においてとしている趣旨の双方を踏まえながら、評価結果の理由を適切に通知してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/102
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103・石垣のりこ
○石垣のりこ君 特定秘密保護法のときよりも確実に対象の範囲が広がって、そして民間の方が多数この評価対象になる可能性がもちろん指摘されているわけですし、そのための法律でもあると思うんですけれども、こういう点において、本当に今後の人生に大きな影響を与えかねないという大きな問題、そしてその部分が具体的に分からないままこうやって審議が時間ばかり浪費されてしまうところが、本当に私としては問題があるというふうに思います。
情報の指定が適切であるのか、また人権侵害が本当に生じていないのかをチェックする仕組み、これ確実に見直しをしていかなければならないと考えておりますし、また、行政監視の役割というのをやはり国会の中でもっとしっかりと果たしていくためにも、しっかりともう情報提供のところも含めて今後審議を引き続き私どももしていきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/103
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104・窪田哲也
○窪田哲也君 公明党の窪田哲也です。今日はよろしくお願いいたします。
今回の適性評価制度について絞ってお伺いしたいと思っております。
我が国の安全保障の領域が、裾野が大変広がっている中で、この度の法案はとても大事なものだと理解をしております。今回、経済界からも、ビジネスチャンスを失っている、大きい声がございました。そういう中でできるセキュリティークリアランス制度なわけですけれども、それなりに世界標準である必要があると思います。
それで、初めにクリアランスホルダーの信頼性を継続的に確保をしていくことについて伺いたいと思います。
一度適性評価を受ければ、評価をされれば十年間はこれは有効ということですが、この十年という根拠ですけれども、G7等から見て、この国際水準から見て、この十年という根拠についてまず伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/104
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105・品川高浩
○政府参考人(品川高浩君) お答えいたします。
本法案におけます適性評価につきましては、御指摘のとおり、十年間は適性評価の再実施が不要なものとしているところでございます。
一度適性評価を受けた方につきまして、再実施までの期間を短くするほど、すなわち適性評価の頻度を多くすればするほど漏えいリスクの評価が厳密化されます。一方、対象者の御負担というのは大きくなってまいります。このことから、この負担と漏えいした場合のリスクのバランスを考慮しなければならないと考えております。
この点、特定秘密保護法では五年ごとに見直すこととしているのに対しまして、本法案では、対象情報が漏えいした場合に安全保障に与える支障の差異に鑑みまして十年ごととしたものでございます。
ちなみに、諸外国におきましても、情報の区分に応じて、このセキュリティークリアランスを見直す期間につきましては、例えば五年ですとか七年、あるいは十年といった差異を設けることが一般的に行われていると承知をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/105
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106・窪田哲也
○窪田哲也君 今述べていただきましたとおり、対象者の負担、そしてリスク管理、この両面から、また国際的にも標準的にも十年が妥当ということでございました。
では、この十年間における信頼性の担保をどう取っていくかということですけれども、当然、十年間の間には様々な事情の変化はあると思います。
経団連も提言でこのように述べています。事情変更があった場合、行政機関や調査機関がこれをタイムリーに把握できるよう、本人からの自己申告等の仕組みを確保するとともに、行政機関と本人とのコミュニケーション等により継続的に状況を把握する仕組みについて検討すべきと、このように述べています。
この信頼性を担保する上で、自己申告の仕組み、継続的な状況把握の仕組み、つまりコミュニケーション等ですけれども、これは必要だと思いますけれども、これに対する見解について伺いたい。また、具体的にどのように想定していらっしゃるのか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/106
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107・品川高浩
○政府参考人(品川高浩君) お答えいたします。
本法案におきましては、適性評価の実施中の期間以外に政府がいわゆる継続的調査のような形で対象者の調査を行うこととはしていないところでございます。
では、この事情変更についてどういうふうに考えていくかということでございますが、まずは、適性評価対象者に対しまして行政機関の長に自己申告することを誓約書で求めるということが一つございます。また、適合事業者の従業者につきまして一定の事情変更があったことをこの当該適合事業者が知った場合には、評価を行った行政機関の長に対して報告を求めること、これも一つ想定をしているところでございます。
その上で、行政機関の側から定期的に評価対象者に対し事情変更がないかを注意喚起をしていくといったことを検討いたしまして、自己申告が適切に行われるようにしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/107
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108・窪田哲也
○窪田哲也君 適合事業者と政府との契約、そして労働者と政府との誓約によって担保していくということでございますけれども、また、注意喚起を行って自己申告を促していくという、このように理解をしておりますけれども、では、この事情変更、自分自身のあった場合に、これを、継続的なコミュニケーションですけれども、拒否をすることができるのかどうかについて伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/108
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109・品川高浩
○政府参考人(品川高浩君) この適性評価の実施後に事情変更があった場合におきます行政機関に対する自己申告につきましては、適性評価を実施する際に適性評価を受ける御本人に誓約していただくことを考えておりまして、今御指摘のありました拒否ということは基本的には想定していないところでございます。
万一、誓約を覆してこれを拒否すれば、十年の期間内であっても、漏えいのおそれがないと認めることについて疑いを生じさせ得る事情があるということとしまして、適性評価の再実施の対象となる可能性があり得るのではないかと考えております。
また、適性評価を受けた方に一定の事情変更があったことを適合事業者が知った場合における行政機関に対する報告につきましては、契約でこれを定めることを想定しておりまして、事業者ぐるみで契約に違反し、報告を拒否するということは想定し難いものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/109
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110・窪田哲也
○窪田哲也君 従業員の方がこの十年間そのような状態にあるということはかなりな御負担かもしれません。御本人によると思いますけれども、物理的、精神的にも、一定期間、十年、そのような状態にあるというのは負担を感じる場合もあると思いますけれども、それに対する政府の認識はどのようなものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/110
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111・品川高浩
○政府参考人(品川高浩君) お答えいたします。
先ほど申し上げましたとおり、本法案では、適性評価の実施中以外に政府がいわゆる継続的調査のような形で対象者の調査を行うこととはしておりません。適性評価の実施後の事情変更については、適性評価時の誓約に基づき、本人から自己申告を受けること等によって把握することを想定しております。
自己申告すべき事項については、運用基準において対象範囲を限定し、明確化することなどにより、適性評価を受けた方にとって極力負担とならないように努めてまいりたいと考えております。
また、繰り返しになりますが、自己申告をうっかり忘れるということのないように、行政機関の側から定期的に評価対象者に対し注意喚起をしていくといった運用も検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/111
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112・窪田哲也
○窪田哲也君 従業員の方の負担にならないように努めていくという、そういう御回答でございました。
ホルダーになった方が、やはりそのホルダーとして仕事していく上でしっかり守られている、インセンティブがあるというのは、私は大事なことだと思っています。
先日の委員会では、企業に対しての支援については、この場合には政府調達の受注の場面あるいは協力要請の場面によって違うと思うんですけれども、受注の場面だったら当然価格に転嫁をされなければならない、そして協力要請の場合であれば当然様々な事情を考慮しながら合理的な範囲内で支援を検討していくという、そういう考え方でございますけれども、私は、企業だけではなくて、ホルダーに対しても何らかの支援、応援が必要ではないかなというふうに考えております。
他方、当然、そのホルダーの方を優遇するとなれば、これまた法の趣旨に当然反することだとは、それは理解をしているんですけれども、やはり、信頼性を確保していく、ホルダーになるということに対してのインセンティブをしっかり高めていく、そのことは私は大事だと思っておりますけれども、政府の認識を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/112
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113・品川高浩
○政府参考人(品川高浩君) お答えいたします。
民間事業者の従業者の方にとっての適性評価につきましては、事業者内で、政府から提供を受ける重要経済安保情報、この取扱いを伴う業務に任じられるために不可欠なものでございます。このような重要な業務に就けるということ自体が、まずは適性評価を受ける十分なインセンティブになるのではないかというふうに考えております。
他方で、御指摘のような、適性評価で漏らすおそれがないと認められた方への支援措置に関しましては、適性評価の結果のみを理由に優遇措置を講じることにつきましては、適性評価で漏らすおそれがないと認められなかった方ですとか、あるいは適性評価を受けることに同意しなかった方へのもう反射的な不利益ともなり得ることから、本法案十六条の目的外利用禁止の規定との関係で慎重な配慮が必要であると考えているところでございます。
ただし、適性評価で認められた方が行う業務を通じまして、例えば、会社全体として新しいビジネスにつながり、利益が生じて、その分配を受けるといった形で裨益するといったことは考えられるのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/113
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114・窪田哲也
○窪田哲也君 ありがとうございます。
次に、クリアランスホルダーからの情報漏えいの防止について伺いたいと思います。これは高市大臣に伺いたいと思います。
ホルダーが外国勢力の標的になり得ることは十分考えられると思います。その観点からも、当然、この適性評価に関わる情報については厳格に守っていただかなければならない。そして、適性評価もプライバシーを最大限尊重しながら慎重かつ厳正に行わなければならないと考えています。
それでもなお、ホルダー、私はホルダーになったということを、御本人の口から漏れることも私はあるんじゃないかなと思います。あるいは家族から外に出るということもあると思います。そのような形でホルダーが標的になり得るということに対して、政府は、大臣は、どのような危機認識を持っていらっしゃるのか。
そしてまた、このホルダー自身の身を守っていく、そしてまた漏えいを防止をしていく、そういう観点から、ホルダーのSNSの利用あるいは行動の在り方、そうしたものについても定期的な研修等が私は必要なんではないかなと考えておりますけれども、大臣の考えを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/114
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115・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) 本法案の適性評価を受けて情報漏えいのおそれがないと認められた者は、窪田委員御指摘くださいましたとおり、現に重要経済安保情報を取り扱うことが見込まれる以上、外国政府などによる諜報活動の標的となることが考えられます。その対策としまして、こうしたクリアランスが認められた行政機関の職員や適合事業者の従業者に対する意識喚起と教育、研修が重要だと考えております。
例えば、行政機関の長からの適性評価の結果通知に際しましてあらかじめ注意を促すということでしたり、行政機関と適合事業者の契約において従業者に対する重要経済安保情報の保護に関する教育に関する事項について定めるということにしておりますので、これに基づき適合事業者の社内で定期的に教育、研修の機会を設けることなどが考えられます。
委員の御指摘はしっかりと認識しておりますので、必要な対策を講じてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/115
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116・窪田哲也
○窪田哲也君 ありがとうございます。研修、教育につきまして、しっかりと取組をよろしくお願いを申し上げます。
それで、この研修の実施主体、内容なんですけれども、この研修、教育を行う場合、その実施主体は、これは企業なんですかね、それとも政府になるんですか。また、具体的、詳細でなければならないと思っていますけれども、御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/116
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117・品川高浩
○政府参考人(品川高浩君) お答えいたします。
適合事業者の従業者に対する教育、研修につきましては、基本的には適合事業者が主体となって実施することを想定をしております。また、その内容につきましては、政府からの情報や知見の提供を通じて、教育、研修の充実、また事業者への負担軽減を図る観点から、国において、政府において標準的なものをお示しすることを想定しているところでございます。
具体的には、情報を取り扱う者が業務上注意すべき点や情報漏えいの具体的な最新事例などをその内容として想定しているところでございます。特に、御指摘のように、クリアランスホルダーは情報収集活動の標的となるようなことも十分想定できることでありますので、そういったことにも留意した内容とする必要があると考えております。
このような点を含めまして、教育、研修の内容が適切なものになるように努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/117
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118・窪田哲也
○窪田哲也君 標準的なものを示すということと、最新の事例をしっかり示していった上で教育、研修をやっていくということであったと思うんですけれども、では、この研修にホルダーの方が私は参加したくないと言われた場合、これは拒否することができるのかどうか伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/118
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119・品川高浩
○政府参考人(品川高浩君) お答えいたします。
適合事業者の方に対しましては、本法案十条四項に基づく契約によりまして、情報の保護措置の一環として従業者に対する教育を行うことが求められると考えております。このため、適合事業者は、その事業者における規定、社内の規則などに沿いまして、重要経済安保情報の取扱いの業務を行う従業者の方に対しまして、その業務の一環として教育、研修に参加することを求めていただく必要があると考えております。
その上で、政府として標準的な研修内容をお示しする中で、情報漏えい事例についての最新の情報を盛り込むなど、内容を工夫して有益な研修となるように努めてまいるとともに、また先行制度である特定秘密保護制度におけます前例等をよく見ながら検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/119
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120・窪田哲也
○窪田哲也君 どうぞよろしくお願いします。
次に、この適性評価、ホルダーの適性評価のポータビリティーについて伺いたいと思います。
ホルダーの皆さんが企業間を移動していく場合ですけれども、調査に当たっては内閣府が一元管理を、一元的に調査、で、各行政機関が評価をしていくと。一元管理によって効率化は当然進んでいくと思います。その反面、調査を一元的にやるということによって過去の情報にとらわれていくことがあり得るのかなとも思ったり、そういう懸念もあるかなと感じました。
ホルダーが企業間を移動していく場合、適性調査はどのように行われるのか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/120
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121・品川高浩
○政府参考人(品川高浩君) お答えいたします。
本法案におきましては、適合事業者の従業者の適性評価につきまして、当該適合事業者の契約先の行政機関、これが同一である場合におきましては原則として十年間は適性評価を受け直すことを要しないこととしております。契約先の行政機関が変更となった場合でも原則として十年間は改めて調査を行うことなく新たな行政機関の適性評価を受けることができることとしているところでございます。
個別具体的な状況に応じまして、その十年の間であっても改めて適性評価を受けることが必要となる場合がございまして、例えば重要経済安保情報を漏らすおそれがないことについて疑いを生じさせる事情がある場合といった場合は改めて適性評価を受ける必要がございますが、なお、この場合には適性評価調査を改めて、調査を改めて行う必要がございます。また、従前と異なる行政機関と契約した適合事業者の従業者として重要経済安保情報の取扱いの業務を新たに行うことが見込まれる場合にも改めて適性評価を受ける必要が出てまいりますが、このような場合には改めて調査を行うことなく適性評価を受けることができることとされております。
いずれにいたしましても、個別具体の状況に応じて判断することになりますが、運用基準によりまして具体的に分かりやすくしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/121
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122・窪田哲也
○窪田哲也君 また運用基準の方で細かく定めていただくことになると思います。
それで、このポータビリティーですけれども、このホルダー自身が企業を移る場合に、この新しく転職をしようとしている企業に対して、私はホルダーなんですと、このように偽ることはできるんでしょうか。そして、そのようなことをどうやって抑止をしていくのかという、これ大事だと思うんですけれども、認識伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/122
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123・品川高浩
○政府参考人(品川高浩君) お答えいたします。
ホルダーであることを偽ることが可能かというお尋ねでございますけれども、御指摘のようなケースにおきましては、まず、適合事業者であるその転職先の企業、民間事業者さんにおきましては、新たに採用した従業者に重要経済安保情報の取扱いの業務を行わせるに当たりまして、あらかじめ行政機関に対してその者を取扱い見込み者として明示をする、示していくということになりますため、その時点で行政機関の側において、名簿等に掲載された人物が過去に適性評価を受けて認められた人物であるかどうか、御本人が何と主張しているかにかかわらず、認められた人物であるかを確認することとなります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/123
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124・窪田哲也
○窪田哲也君 その都度、名簿を提出をして調査を受けるということでございました。
次に、大臣に伺いたいと思います。
これまでも何度もこの委員会で議論になってまいりました政務三役への適性評価、必要としない根拠ですけれども、これまでも任命に当たって総理がきちんと調査をしているということでございました。私自身も、政務三役の調査は、評価は必要ないと思っております。仮に、適性評価を政務三役が受けるということになった場合には、総理の私は任命権を結果的に制約することになりかねないんじゃないかなという、そういうふうに考えております。
大きく三点、適性評価を政務三役が受けなくていいと、受ける必要はないということについて私は理解をしています。一つが、総理が任命に当たって調査、評価をしていると。二つ目に、特定秘密保護法でも政務三役は評価の対象にはなっていないということです。そしてもう一つ、三つ目が、対象にはなっていないけれども、情報を漏らした場合の罰則はきちんと適用されるという、その三つだと私自身は理解をしているんですけれども、高市大臣に伺います。改めて、政務三役の適性評価は必要ないという根拠をお示しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/124
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125・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) 今私が申し上げようとした根拠は全て窪田委員がおっしゃってしまいました。そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/125
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126・窪田哲也
○窪田哲也君 ありがとうございます。済みません、質問が長過ぎました。申し訳ありません。ということでございました。
次に、最後になりますけれども、最後二つ、適性評価における対象者の保護について二つ伺いたいと思います。
一つが、家族、同居人の同意を必要としないというこの理由について、もう一度伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/126
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127・品川高浩
○政府参考人(品川高浩君) まず、適性評価の開始時におきまして、評価対象者に対して家族及び同居人について調査することも含めましてあらかじめ告知し、同意を得ることとしておりますが、この本法案の十二条三項に基づくものでございまして、家族のプライバシーにも配慮したものとなっていると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/127
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128・窪田哲也
○窪田哲也君 最後、大臣に伺いたいと思います。
今回の法案は、我が国にとって大変重要な、大事な法律になりますけれども、ただ一方で、個人情報、極めて大事な個人情報が内閣府で一元調査をされていく。このことについて、プライバシーの保護の観点から、初めてのことですので慎重にも慎重を期して取り扱っていくのはもちろんであります。一方、我が国の経済安保情報を守っていくということについてもこれ必要だというのは論をまたないと思います。
最大限プライバシーを、人権を配慮、尊重しながら、時代のニーズ、世界情勢に備えていくという、この両面が、兼ね合いがとても大事だと私は考えております。大事になるのは、事業者の目的外利用、ここをどう担保していくかということだと思うんですけれども、もちろんこれは禁止がうたわれていますけれども、罰則がない。このことについて抑止効果を疑問視する声もあります。
そこで、罰則がなくても目的外利用はさせないという抑止効果について、最後、大臣に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/128
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129・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) 適性評価の結果等についての目的外利用の禁止をしっかりと担保するということは非常に重要でございます。その対策として、今後閣議決定する運用基準におきまして、目的外利用に当たる具体的行為を明示した上で、明示した行為の禁止は適合事業者との契約事項になることも明記することとしたいと存じます。
また、禁止に抵触する行為があった場合に、行政機関側がこれを認知できるようにする観点から、相談できる窓口を各行政機関や内閣府に設けてまいります。
適合事業者の従業員の方から不利益取扱いについて御相談がありました場合には、相談した方の保護について十分に注意を払った上で、内閣府も連携して、契約先の行政機関が適合事業者における違反行為の有無を確認するということを想定しております。その上で、悪質な違反行為が仮に発覚しました場合には、事業者との契約に定める規定に違反があったということで契約を解消することがあり得ることを明確にするということも想定いたしております。
今後、この実効性を担保する方策について、有識者、また事業者、そして労働者を代表される方々からの御意見も聞きながら検討を続けてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/129
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130・窪田哲也
○窪田哲也君 大変にありがとうございます。
私の質問を終わりますが、先ほど大臣が答えていただけなかったんですけれども、それは、答えないということが答えなんじゃないかなということ、私、思いました。
ありがとうございます。以上で質問終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/130
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131・阿達雅志
○委員長(阿達雅志君) 午後一時十分に再開することとし、休憩いたします。
午後零時十一分休憩
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午後一時十分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/131
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132・阿達雅志
○委員長(阿達雅志君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案及び経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/132
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133・柴田巧
○柴田巧君 日本維新の会・教育無償化を実現する会の柴田巧です。よろしくお願いいたします。
まず最初に、午前中、杉尾先生の方からもありましたが、自衛隊の特定秘密漏えい事件についてお聞きをしたいと思います。
詳しい中身は先ほども御説明が防衛省からあったので省きますけれども、陸自、海自、それぞれに一件ずつ漏えいが、事件があったということでありますが、防衛省によると、第三者への漏えいはいずれも確認されていないということですけれども、この問題の情報に接した隊員らが、現段階ではそうかもしれませんが、将来にわたってやはりこの拡散のリスクがあるということは否定できないと思っていますし、この特定秘密が外部に漏れれば、言うまでもありませんが、我が国の安全保障に著しい支障を与えかねないものだと思います。
また、その中身が同盟国、同志国からの提供されたものであると、それが漏れたということであれば我が国の信頼に大きく、を損なうことにもなると思っていますが、いずれにしても、この今回の自衛隊からの特定秘密の漏えいというのは、情報保全意識の欠如が深刻だということを如実に表していると言わざるを得ないと思っています。
ちょうど今日が最後になるんだろうと思いますが、セキュリティークリアランス法案を審議をしている今ただ中にあるわけで、これから安全保障上非常に重要な情報を保護するためにこの今申し上げた制度をつくっていこうという、民間人に広げていこうという中で、肝腎要の自衛隊でそういうことが起きるというのは、極めて遺憾なことだと言わざるを得ないと思っています。
そこで、幾つかお聞きをしたいと思いますが、先ほどもありましたが、まず海自の方では、二二年六月から二三年一月のうちの間に漏えい事案があったと、陸自の方では二三年の七月にあったということでございましたが、それからすると、この発覚、発生からこの公表までかなりの年月、日数が掛かっているということになりますが、公表するまでなぜこれほどまでに時間が掛かっているのか、まずこの点からお聞きをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/133
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134・今給黎学
○政府参考人(今給黎学君) 先生、お答え申し上げます。
今お話がありました、まず海上自衛隊の事案でございますけれども、これは、令和四年の六月から令和五年の一月までの間で、適性評価を経ていない隊員が特定秘密業務を、に担当をしていたということでございまして、この事案につきましては、そもそもその事案が発覚したのが本年の二月でございます。
この事案が発覚するまでに時間がたってしまった背景といたしましては、艦長を始めとする特定秘密の保護業務に従事する者が、これ年に二回ですね、自衛隊では秘密事項定期検査というものを行っておりますけれども、この機会に本来行うべきその隊員の適性評価の実施状況についての確認を怠っていたということが一つあります。
それから、もう一つは、この艦内で特定秘密の保護に従事する担当者が、令和四年の八月、それから令和五年の五月の二回にわたって、部下の隊員から進言によって当該隊員の適性評価の未実施を把握していたにもかかわらず、その重要性についての理解が及ばずに必要な措置を講じていなかったと。
こういったことから、その事案の発覚が遅くなってしまったということで、結果としてその公表するまでに時間を要したということでございます。
それから、陸上自衛隊の事案の方でございますけれども、こちらにつきましては、特定秘密を知るべき立場にない隊員に対する聞き取り調査をいたしまして、これ、特定秘密の漏えいの話ということで、細心の注意を払いながら慎重にその調査、聞き取りを行ったということ、それから、当事者のその発言内容、意図等について正確に事実確認をする必要があったということから、こちらの方は事実確認の調査の方に一定の時間を要したということが背景としてございます。
その上で、今般それぞれの調査が終了しましたことから、四月二十六日に、関係者に対する処分、それから再発防止策を併せて公表することといたしたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/134
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135・柴田巧
○柴田巧君 こういう事案が発覚すること自体大変なことだと、大問題だと思いますが、その後の対応も、今聞いている限りだと、この情報管理に関する規律が非常に緩んでいるというか、何か気の抜けた話だなと今聞いておりましたが、いずれにしても、海自では、二年前ですか、一昨年ですかね、四年前か、今からいうと四年前にやはり漏えい事案があって、このときは一等海佐がOBの元海将に特定秘密を漏らすという事案が起きたということでございました。
そして、その際にも、再発防止を徹底するんだということでいろんな再発防止策が明らかになったわけですけれども、今回も、にもかかわらずこういう不祥事が繰り返されたというのは、もうあきれるしかないわけですけれども、この四年前に漏えい事案が発生して再発防止策を徹底するとしながら、なぜこういう不祥事が繰り返されるのか、この点はどうか、お尋ねをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/135
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136・今給黎学
○政府参考人(今給黎学君) お答え申し上げます。
令和二年に発生いたしました海上自衛隊OBに対する特定秘密漏えい事案を受けまして、防衛省としては、副大臣を長とする再発防止委員会を設置をしました。その委員会の中で、退職した職員との接触に関する規定の厳格化、さらに職員に対する保全教育の徹底等の措置を講じてきたところでございます。
今般公表しました二事案、陸上自衛隊と海上自衛隊の二事案につきましては、いずれもその部外者に対する漏えいは一切確認はされておりませんけれども、部隊内における漏えいであっても、こうした不祥事が繰り返し起きたことを防衛省としては極めて深刻に受け取る、受け止めるべきというふうに考えております。
このために、適性評価の確認を徹底するための措置、さらに職員に対する規範意識の徹底といった再発防止策について速やかに措置を講じておりまして、今後も定期的な保全教育等を通じて繰り返しそうした措置を実施していく考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/136
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137・柴田巧
○柴田巧君 本当に今度の事案も、ある意味、基本的な初歩的なミス、信じられない、そういうミスが明らかになっているわけで、本来特定秘密を知るべきでない立場の隊員に漏らしている、あるいは、その護衛艦の中では、特定秘密であるこの船舶の航跡情報の作業を取り扱う資格のない隊員に一人担わせているという、何かこう信じられないことが起きているというのは本当に大変な事態だと言わざるを得ないと思います。
したがって、本当に基本的、基礎的なことからこの情報保全教育の拡充、徹底をやっぱりして、自衛隊員のこの自責、責任の重さを、しっかり自覚を強く促す再発防止策をこれからしっかりやっぱり取っていくべきだと思いますが、この点について改めてお聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/137
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138・今給黎学
○政府参考人(今給黎学君) ただいま先生の方から大変厳しい御指摘をいただきましたけれども、今般の二件の特定秘密漏えい事案の要因につきまして総じて言えることは、当事者の著しい規範意識の欠如があったということ、言い換えれば、隊員一人一人の自衛隊の使命の自覚、さらに厳正な規律の保持といった基本的な心構えができていなかったということに尽きるというふうに考えております。
このため、先生御指摘のとおり、いま一度基本に立ち返って、教育などを通じて国民の皆様の信頼を得られるように徹底をしていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/138
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139・柴田巧
○柴田巧君 先ほども言いましたように、自衛隊はこの機密保持の模範となるべき存在だと私は基本的に思っています。
したがって、このことを強くやっぱり自覚をして、こういうことがないようにしていただきたいと思いますが、大臣、申し訳ありません、ちょっと通告はしていないんですけど、先ほど杉尾委員からも御質問がありましたが、これを、今回の事案を受けて、ちょっと、正式な昨日の会合名はちょっと失念しましたが、開かれて、この情報保全体制の政府一丸となった取組というか徹底を求められたということでありますけれども、やはり、この再発防止を求めるだけではなくて、本当に実効性のある再発防止策が行われているのか、またその効果はどうかというチェックもやっぱりしていく必要があるのではないかと思いますが、その点を含めて御見解をお聞かせいただければと思います。済みません、急に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/139
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140・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) 昨日の夕方でございますが、特定秘密を扱う関係省庁の事務次官や長官を構成員とします内閣保全監視委員会を開催して、私から指示をいたしました。
今回のポイントなんですが、第一に、部内における情報共有であっても知らせてはならない職員に秘密を知らせるということは極めて重要な、重大な違反行為であるという理解が必要であります。こういう理解が現場で十分ではなかったと感じられること。それから、第二に、エラー防止のための基本動作、例えば多重チェックの要であるはずの定期点検が十分に機能していなかったといった管理体制の在り方が問われている点を指摘しました。
その上で、当面の再発防止策としてではございますが、情報保全に必要な管理体制が確立されているか、適切な方法により再点検し、要すれば是正措置を講じること、今回の事案の教訓事項を盛り込んだ保全教育を必要な職員に漏れなく着実に実施することを指示いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/140
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141・柴田巧
○柴田巧君 どうもありがとうございました。
しっかりと、自衛隊・防衛省はもちろんですが、政府挙げてこの情報保全体制、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
防衛省についてはこれで質問ございませんので、お取り計らいの方、よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/141
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142・阿達雅志
○委員長(阿達雅志君) では、今給黎審議官は御退席いただいて結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/142
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143・柴田巧
○柴田巧君 次に、恐らくこれで最後の質疑になると思いますので、今までお聞きはしたんだけれども、議事録などを読み返してみてもちょっと十二分に理解できなかったというか分からない部分がありましたので、詳しく御答弁をいただければと思うのが幾つかございますので、お聞きをしていきたいと思います。
一つは、重要経済安保情報の指定等に当たっての要否を判断する職員のリテラシーの問題です。
どのような情報をこの重要経済安保情報としてしていくか、それを決めていくのは最終的には各省庁の職員でありますから、そのリテラシー向上が不可欠ということでありますが、有識者会議でも、この生成技術やデジタル技術といった様々な技術が日々革新されていることを踏まえると、これらの情報が重要情報か否かを審査する者が専門家でなければ困るだろうと、専門家を名のる各省の担当官がこれらの情報を重要情報ではないと判断してそのまま指定されるのが非常に困るため、技術に関するリテラシーが必要であるという指摘がなされていたわけでありますが、そういう観点で四月十七日の本会議に総理にはお聞きをしたのですが、内閣府を含めた行政機関における適材適所の職員に対する教育、研修の実施など、担当職員のリテラシー向上のための取組、これ鋭意進めてまいりますという大変漠とした答えしか返ってきませんでしたが、具体的にどのようにこの要否を判断する能力を高めるのか、より詳しくお答えいただければ幸いです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/143
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144・彦谷直克
○政府参考人(彦谷直克君) お答え申し上げます。
本法案の施行に当たりましては、重要経済安保情報の指定や解除の要否に係る判断は各行政機関の長が行うこととなりますが、委員御指摘のとおり、この担当職員が各行政機関において経済や技術に関する最新の動向を把握することは非常に重要だと考えております。
このため、各行政機関においては、重要経済基盤の保護に関する情報の機微度を的確に把握する前提として、個々の行政機関が所掌する重要経済基盤に関する情報収集、分析、リスクや脅威の点検を行うとともに、日頃より民間事業者とのコミュニケーションをより一層緊密に取るなど、所掌する政策分野における重要経済基盤やその保護に関する情報への理解を不断に深める取組を行うことが必要と考えております。
また、こうした各行政機関の取組に加え、本法を所管することとなる内閣府は、情報の指定解除などに関する運用基準を所管するとともに、内閣総理大臣が各行政機関に対して情報の指定などについて資料の提出や説明を求め、必要な勧告をする際の事務処理なども担うこととなるため、安全保障に関する知見に加え、情報保全や公文書管理に精通する人材が必要となるというふうに考えております。
こうしたことを踏まえまして、制度の運用の中で、適材適所の人員配置や研修の実施など、内閣府、法律を所管しますのは内閣府となりますので、内閣府を中心に政府全体でリテラシーの向上のための必要な取組を進めてまいりたいと、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/144
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145・柴田巧
○柴田巧君 ありがとうございました。
次に、このセキュリティークリアランスは、この制度を導入するに当たっては、この特定秘密の場合と違って、先ほどからもお話がありました民間事業者あるいは従業者の皆さんの理解と協力という関わりが出てくるわけでありますが、法案成立後、民間事業者等の予見可能性を高めるために、より早期に運用基準の策定を行うとともに、民間事業者等への丁寧な説明の実施などが求められると思いますし、またそういったことをこの前も質問をしましたが、政府は早期に行うと、運用基準などを法案成立後ですね、答弁をされていますが、早期というのは人によって早期の概念が違うので、早期というのは大体いつ頃までなのかなど、今後のスケジュール感を含めどのように具体的に進めていくのか、やはりいろんな企業の皆さん等々、準備もあると思いますので、予見可能性を高める必要があると思いますが、お答え、今まで以上にちょっと踏み込んで、何かぼやっといろいろニュアンスが感じられるものを言っていただけると大変有り難いと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/145
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146・彦谷直克
○政府参考人(彦谷直克君) お答えいたします。
委員御指摘のとおり、本法案は、民間事業者との共有による重要経済安保情報の活用をその目的としておりまして、民間事業者の予見性を確保し、法施行に向けた準備を行っていただくためにも、本法案をお認めいただいた暁には政令や運用基準の策定に直ちに着手したいと考えております。
この際、先行制度である特定秘密保護法の運用基準の内容や実務を参考にしつつ、早い段階から我が国の安全保障に関する情報の保護等に関する有識者の意見を聴くのはもちろんのこと、適合事業者となることが想定される民間事業者団体や労働者を代表する立場の方からの御意見も伺う必要があると考えております。
このように、有識者や事業者の御意見を聴きながら、政府としての方針を固め、これに基づき政令案や運用基準などを策定する必要があるため、具体的なスケジュールについては現時点で明確に申し上げることはできないことを御理解いただきたいとは思いますが、可能な限り早いタイミングで順次公表していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/146
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147・柴田巧
○柴田巧君 余り特別変わらない答弁でしたが、いずれにしても、より早期に運用基準を策定をし、いろんな有識者などもお聴きをされて、予見可能性がやっぱりしっかり高まるような努力をしていただきたいと思います。
次に、経済安全保障推進法改正案の方をお聞きをしますが、今回の改正は名古屋港におけるサイバー事案を契機とするものと承知をしていますが、こういうインシデントが発生した後に事後的に対象事業を追加する仕組みで本当にいいのかというのは大変大いに疑問を持つところであります。
四月十七日の本会議のときに、総理は、事案を受けてから後追い的に追加するかを議論するのみではなくて、内閣府を含め関係省庁において、技術の進展や社会経済構造の変化等を踏まえ、平時からリスクなどを幅広く点検、把握し、その対応策の検討を行うなどの取組を通じて不断の見直しを行ってまいりますとお答えになったんですが、具体的に、じゃ、どういうことをしようとしているのか、あるいは何らかの仕組みや組織の構築をしてこういったことに当たろうとするのか、この点はどうなのかをちょっとお聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/147
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148・彦谷直克
○政府参考人(彦谷直克君) お答えいたします。
御指摘のとおり、基幹インフラ制度の対象事業については、事案を受けてから後追い的に追加するかを議論するのみではなく、技術の進展や社会経済構造の変化などを踏まえて不断の見直しを行うことが重要でございます。
政府としては、平時から、重要な役務の安定的な供給を阻害する要因となり得るリスクなど、脆弱性を幅広く点検、把握し、その対応策などの検討を行ういわゆるリスク点検を、高市大臣が議長を務め、関係各省庁が参加する経済安全保障重点課題検討会議の下で行っているところでございます。
引き続き、こうした取組を通じて、基幹インフラ制度の対象事業の不断の見直しを行ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/148
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149・柴田巧
○柴田巧君 先ほどから申し上げていますように、やっぱり事後的に、何か後追い的にということにならないようにしっかりと、海外などの事例もしっかり丁寧にモニターしながらやっていただきたいということは改めて求めておきたいと思います。
次に、高市大臣にお尋ねをします。
この法案が成立したとしても、経済安全保障をめぐってはいろんな問題がまだ残っているというふうに認識をしています。
その一つがやっぱり能動的サイバー防御のことだと我々は考えておりまして、本来ならば、昨年の一月にこの内閣官房にサイバー安全保障体制整備準備室ですか、設置をされたときには、もうより早期に出てくるものと、遅くともこの常会には出てくるのではないかと、関連法案が、期待をしていましたが、その後は鳴かず飛ばずになってしまった感があるわけですけれども、そんな中で、この国会が始まって、二月の五日の衆議院の予算委員会でしたが、内閣法制局長官の通信の秘密について公共の福祉の観点から必要やむを得ない限度で一定の制約に服するべき場合があると考えているという答弁がございましたが、まさにそのとおり、憲法上の制約は乗り越えていけるもの、あるいはうまくバランスを図った制度を考えていくことは十二分にできるのではないかという感を受けました。
また、最近の世論調査でも、この多くの国民、企業がサイバー攻撃を不安に感じていると同時に、能動的サイバー防御の必要性について許容してきていると思っています。
そういう中、五月の三日の憲法記念日に、高市大臣御自身のX、私も拝見をしましたが、そこで、この能動的サイバー防御について、河野大臣が担当であるということを、所掌分野だがとお断りをされながらも、重要インフラへのサイバー攻撃が増加する中、国民の皆様の安全を守り抜くために、ACD、能動的サイバー防御を可能とする法整備を成し遂げてもらうことを心待ちにしているというふうに投稿されて、導入の早期実現を期待されたということかと思いますが、この経済安全保障を強化していく上でもこの能動的サイバー防御は不可欠と考えています。
一部報道によると、この近々に有識者会議も立ち上がるのではないかというところも見えてきていますが、やはり速やかに立ち上げて、この法的課題などを整理して、一日も早くこの能動的サイバー防御の導入に向けた関連法案を国会に提出すべきではないかと思いますが、Xでも書かれておられますが、改めて大臣の御見解をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/149
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150・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) 能動的サイバー防御につきましては、Xに私がポストしましたとおり、河野大臣の所管でございますので、有識者会議の立ち上げの時期ですとか具体的な内容についてお答えすることはできません。
その上で、サイバーセキュリティーに関するリスクの対応ということで申し上げましたら、もう昨今、サイバー攻撃の巧妙化によりまして、サイバー空間における脅威が高まっております。我が国全体のサイバーセキュリティー対策というものを一層強化していくためには、していくということは、この経済安全保障の観点からも急務だと考えております。
私の所管で申し上げましたら、もう御承知のことではございますが、経済安全保障推進法における基幹インフラ役務の安定的な提供を確保する制度がございます。この基幹インフラ事業者における重要設備の導入等を国が事前審査する制度を設置しております。
現在、ちょうど五月十七日からということで、制度の円滑な運用開始に向けて準備を進めているところでございますので、関係省庁と連携しながらしっかり対応してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/150
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151・柴田巧
○柴田巧君 直接の担当は河野大臣としても、経済安全保障に非常に深く関わる事案でもありますし、是非、高市大臣のまたリーダーシップも大きな役割も果たしていただいて、早期にこの能動的サイバー防御の関連法案が国会に出てくることを楽しみにしております。期待をしておりますので、よろしくお願いします。
次に、この今審議している法案が成立すれば、これまでと違った一つ段階に入っていくわけで、遠くないうちに骨太の方針二〇二四を、これを策定する時期に当たってくると思いますが、そこで、これまではそのセキュリティークリアランスをつくっていくというのは去年のその骨太の方針にも明記してありました。これは一つクリアするわけで、それを踏まえて、今後の我が国の経済安全保障政策を推進するに当たってどのような点を新たな骨太の方針に明記する必要があるというふうにお考えなのか。
また、これとも関連すると思いますので一緒にお聞きをしますが、この経済安全保障政策を進める上で、情報保全という守りも重要ですが、これだけではなくて、技術開発や、あるいは技術革新や、あるいはこの重要鉱物の供給網の強化であったり、さらには、この経済的威圧への対抗などという攻めの政策も必要と考えます。だとすると、国家安全保障局、外務省、経産省との連携も強化していく必要があると思いますが、どのように取り組んでいかれるか、併せて高市大臣にお聞きをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/151
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152・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) 骨太の方針二〇二四については、今後策定されるものと承知していますので、内容について予断を持って申し上げることはできませんが、安全保障の裾野が経済・技術分野に拡大する中で、我が国の平和と安全や経済的な繁栄など、国益を経済上の措置を講じて確保していくということは喫緊の課題だと考えております。
経済安全保障推進法に基づいて、サプライチェーンの強靱化や先端的な重要技術の開発支援、Kプログラムで進めてきておりますが、これらの施策というのは委員がおっしゃる攻めの政策に当たると思っております。
今般、重要経済安保情報保護活用法案と、基幹インフラ制度の対象事業に一般港湾運送事業を追加する経済安保推進法の改正法案を提出して御審議をお願いいたしております。加えて、国家安全保障戦略や骨太の方針二〇二三に掲げられた経済的威圧への対応を含むその他の経済安全保障上の課題につきましても、不断に検討、見直しを行って、必要な取組を進めていくことが重要です。
ですから、関係省庁と連携しながら、総合的、効果的、かつ集中的に措置を講じてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/152
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153・柴田巧
○柴田巧君 このセキュリティークリアランス制度が導入されることによって、今大臣が答弁された方向にしっかり行くように、また頑張っていただきたいと思います。
時間がなくなってきましたので急いでいきたいと思いますが、今も大臣もお触れになりましたが、経済安全保障の観点から、我が国独自の技術革新、開発をしていく重要性は極めて高いと思いますが、そのうち、この経済安全保障推進法が成立を二年前して、内閣府の科学技術・イノベーション会議と経済安全保障会議は共同で、いわゆる、今大臣もおっしゃったKプロを推進をしているわけです。
このKプログラムは、我が国におけるこの経済安全保障の確保、強化のために、AIや量子、宇宙等の分野に関して先端的な重要技術の研究開発を進めているもので、この推進法に基づく指定資金を活用してやっているわけで、今、五十か五十一支援されているものと承知をしていますが、しっかりこの効果が出ることになりそうなのか、また、産業競争力強化に、我が国の、資することが果たしてできるのか、この現状と今後の見通しを併せて内閣府にお聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/153
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154・彦谷直克
○政府参考人(彦谷直克君) 御指摘の経済安全保障重要技術育成プログラム、いわゆるKプログラムでございますが、国際社会において我が国が技術的優位性を高め、不可欠性を確保していくために、先端的な重要技術の研究開発を推進し、その社会実装につなげるための取組でございます。
これまでに、AIや量子、宇宙、海洋分野など、合計五十の支援対象技術を政府として決定しております。これらのうち、順次公募、採択の手続を実施いたしまして、これまでに二十六の技術について三十九件の提案を採択したところでございます。
また、Kプログラムにおいては、社会実装の担い手となる関係省庁や民間企業等に参画いただき有用なニーズ情報を共有いただくなど、研究開発における伴走、いわゆる伴走支援を行うこととしておりまして、これまでに計十一件の指定基金協議会を設置して様々な議論をもう既に進めているところでございます。
引き続き、Kプログラムがその成果の社会実装を通じて我が国の産業競争力を強化し、国際社会において確固たる地位を確保し続けられるよう、内閣府主導の下、関係省庁とも密に連携しながら、本プログラムの着実な推進に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/154
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155・柴田巧
○柴田巧君 我が国の技術的優位性をしっかり獲得できるように頑張ってほしいと思います。
時間の関係でこれが最後の質問になると思いますが、申し訳ありません、経産省さんにも来ていただいたんですが、外務省に最後質問したいと思います。
この重要鉱物の安定供給確保に向けては、我が国一国の取組で完結することは難しくて、連携強化のための外交努力が必要だと思っています。
この連休も、総理始めいろんな関係大臣も、日米比、あるいはEU、フランス、ブラジル等々回られましたが、今後の二国間、多国間協力をどのように展開していくか、これをお聞きをして、私の質問の最後にしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/155
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156・大河内昭博
○政府参考人(大河内昭博君) お答え申し上げます。
脱炭素化に向けまして世界的に重要鉱物の需要が増大していると、こういうことに加えまして重要鉱物の製錬や加工プロセスが特定国に寡占されていると、こういう状況の中におきまして、重要鉱物の国際的な安定供給体制の確立、そして供給源の多角化は非常に急務となっておるところでございます。
今御指摘いただきましたとおり、二国間や複数国間の首脳会談等の様々な機会を捉えまして、重要鉱物のサプライチェーンの多角化、強靱化に向けた関係国との関係強化を進めてきているところでございます。
具体的には、我が国といたしましては、G7や鉱物安全保障パートナーシップ等の多国間の枠組みも活用しまして、有志国間、そして国際機関との連携を強化いたしまして、重要鉱物資源の国際的な安定供給体制の確立を目指すとともに、供給源の多角化に向けて、アジア太平洋地域、中南米、そして南部アフリカ諸国等の世界各地の資源国との対話を進めていくと、こういう考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/156
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157・柴田巧
○柴田巧君 時間が来ましたので終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/157
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158・片山大介
○片山大介君 日本維新の会・教育無償化を実現する会の片山です。
私も、実はまず自衛隊の特定秘密の情報漏えいについてやはり聞きたいと思います。
この問題は、自衛官が特定秘密情報を提供する資格のない人に情報を提供したということで、幹部の自衛官五人が懲戒処分を受けたというものなんですけれども、これ、何度かもう柴田議員も杉尾議員も言われましたけど、先月の二十六日発表ですよ。そもそもあったのは、海自の方が、海上自衛隊がおととしの六月、それから陸上自衛隊は去年の七月です。だから、やっぱり、発表がやっぱり遅いですよね。
先ほど発表して、理由も言いましたけれども、例えば海上自衛隊の場合は、そのおととしの六月にあった後に二回にわたってその同じ護衛艦の特定秘密の保護を担当している者がきちんとこれ、あの部下はクリアランス持ってないのにやってますよということを二回進言しているのに、艦長にそれを伝えなかったというんですね、その担当者が。だから、これは問題だと思いますよ。
それからもう一つ、陸上自衛隊の方は、これ、去年の七月に訓練をやって、その訓練の場で十数人いたんですか、隊員が。隊員がいて、そこに対して、その有事の際の自衛隊の活動についての情報をその場で漏らしているわけですよ。それでその後に、一緒にいたほかの人がこれまずいんじゃないかと言って、その場で、いや、これはもう内緒だからねと、言っちゃ駄目だよみたいなことを言ったっていうんです。それが何で一年近く掛からないとこうやって発表できないのか、ちょっとそこはなかなか理解し難いんですけれども、その理由を教えてもらえますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/158
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159・今給黎学
○政府参考人(今給黎学君) お答え申し上げます。
まず海上自衛隊の事案でございますけれども、これは既に先ほども説明させていただきましたが、この事案については、その令和四年の六月に生起をしたということでございますが、その後、発覚するのが今年の二月ということで、発覚がそもそも遅れてしまったと。で、これは先ほど委員が御指摘にあったような、部下の進言、こういったところについて必要な措置をとっていなかった等々の理由がございます。発覚が遅れたことによって、結果としてその公表も今般四月ということになったというものでございます。
もう一つの、その陸上自衛隊の事案につきましては、去年の七月でございますけれども、部隊の指揮官がその特定秘密を知るべき立場にない隊員に対して話した中でその特定秘密が漏えいされたということでございますけれども、これはその調査の方でその特定秘密の漏えいに当たるのかどうかを含めて正確にその事実確認をする必要があったということなどから、その慎重な調査、これを続けていたということで一定の時間を要したということで御理解をいただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/159
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160・片山大介
○片山大介君 遅いという認識があるのかどうか。それで、その後に我々は、今回こうやってセキュリティークリアランスの審議をしたり、国会ではいろんな審議をやっているわけです。本来、それがきちんと前にもっと早く発表されていたら、今回の審議でも、じゃ、再発防止策というものをもっと織り込まなきゃいけないとかという、それをやるのが国会の場なんですよね。
その国会の場にこれだけ言ってくるのが遅過ぎると思うんで、そこの反省はあるのかどうか、もうそれだけです。それ聞きたいんですけど。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/160
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161・今給黎学
○政府参考人(今給黎学君) 先生から大変手厳しい御指摘でございますけれども、今般の漏えいの事案につきましては、我が国の防衛に対する、関する情報の保全の観点から、慎重にその事実関係を確認をして対外公表を行ったわけでございますけれども、いずれにしても、こうした事案が起きた場合に速やかにその公表を行うということは、国民の皆様に対する説明責任を果たすという観点からも我々は大変重要なことだというふうに理解をしておりますので、今の先生の御指摘も踏まえて、今後は適切な措置をとっていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/161
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162・片山大介
○片山大介君 是非そこを守っていただきたいのと、あと、大臣にも聞きたいんですけど、大臣、昨日言われたという、関係省庁会議で言われたのがありますけれども、セキュリティークリアランスはこれからの制度です。それで、今後、活用されていくに当たって、やはりまあどうしても漏えいみたいなことが起きる可能性もないことはない。こうしたとき、もし起きたときに、今回の自衛隊のような、これだけ時間が掛かるようなこと、こういうことがないように努力していただけるか、今回の件も含めてどう思うか、教えていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/162
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163・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) 全くこの報告が遅いと、そして国会に対する報告も遅いということについては、もう私も意識を同じくしております。
ちょっと、昨日私が指示した内容の中に、事案を認知した際の迅速な対処ということも入っております。事実関係の見極めを慎重に行うということも確かに重要なんですが、早期に問題点を共有して、是正すべき点があれば直ちに是正することもまた組織全体、政府全体の情報保全の観点からは重要なことです。国会への早期報告も求められております。適切なタイミングで私や内閣情報調査室に御相談をお願いいたしますということも併せて各省庁の事務次官及び長官に申し上げております。
今後、本法案をお認めいただきましたら、民間事業者も情報を保有されるケースも考えられますので、そういった意味では、やはり事案を認知したらできるだけ早く、これはやはりしっかりと保全をしなきゃいけないということを相手にも分かっていただくとともに、また、国会への御報告なども含めて迅速な対応を取らなければいけないことだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/163
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164・片山大介
○片山大介君 よろしくお願いします。
それで、あと、これ、処分についてもやっぱりちょっと不可解というか、確認させていただきたいんです。
それで、今回は、これ、特定秘密保護法の二十三条に違反しているわけですよね。ですけれども、今これ聞くと、これ、海上自衛隊の方は、これ一応行政処分だけ。それで、陸上自衛隊の方は、これは北部方面隊の警務隊の方に一応告発をしたというふうになっている、だけど基本的には行政処分にとどまっているわけですよね。じゃ、その行政処分がどれぐらいかというと、停職の六日ですよ。まあちょっとそれよりも低いのもいるんですけど、最大停職六日ですよね。
それで、これ、二十三条に違反しているはずなのに、違反しているとは言い難いみたいな言い方もちょっとレクのときに聞いたんですけれども、これはもう別に誰に漏らしたか云々ではなくて、これ、特定秘密の情報を漏らした時点でこれは二十三条違反になるんじゃないですか。ちょっとそこの考え方を改めて聞きたいんですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/164
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165・今給黎学
○政府参考人(今給黎学君) お答え申し上げます。
今般、陸上自衛隊の事案と海上自衛隊の事案で扱いが違うのではないかという御指摘だというふうに今理解をいたしました。
まず、今回の二事案につきましては、調査の結果を踏まえまして、特定秘密保護法第二十三条に規定されております特定秘密の取扱いの業務に従事する者がその業務により知得した特定秘密を漏らしたとき、これについての該当性、これを検討いたしました。
その結果、陸上自衛隊の事案につきましては、当事者が深く思慮することなく、知るべき立場にない隊員に対して特定秘密の内容を発言したものであって、今申し上げました業務により知得した特定秘密を漏らした犯罪に該当するというふうに考えられますことから、防衛省として告発をしたものでございます。
一方で、海上自衛隊の事案につきましては、艦長が適性評価の実施の有無を確認することなく特定秘密取扱職員に指名したことなどにより漏えいが発生したものでございます。
すなわち、艦長を始めとする関係者の情報管理上のずさんな扱いによって漏えいを招いたものの、これが今申し上げたその特定秘密保護法第二十三条の要件に該当するとまでは言い難いというふうに考えられますことから、告発については見送ったというものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/165
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166・片山大介
○片山大介君 これ、二十三条に何て書いてあるかというと、これ、特定秘密の取扱いの業務に従事する者が業務により知り得た特定秘密を漏らしたときはという感じなんですよね。どこでとか、誰にとかというのは要件に書いていないんです。それで、そういう判断をしているというところは本当にどうなのかなというふうに思うんですけど、じゃ、そこを聞きましょうか、もう一度。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/166
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167・今給黎学
○政府参考人(今給黎学君) これも繰り返しになりますけれども、海上自衛隊のその事案については、艦長が適性評価の実施の有無を確認することなく特定秘密取扱職員に指名をしたということでございます。
これがその漏えいに当たるのかどうかということですけれども、我々としては、これをもって、その特定秘密保護法第二十三条の業務により知得した特定秘密を漏らしたときに当たるとは言い難いというふうに判断をさせていただいたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/167
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168・片山大介
○片山大介君 いずれにしても、発表が遅くて、それから処分も内部的な行政処分でということになってしまうと、本当に今後の再発防止策になるのかどうか。これ、今後、確認や教育を徹底するとかと言うんですけど、これって今更言うのかという感じがするんですよ。特定秘密の法案が通ったときにあれだけみんなで議論したことも、こういうことを徹底する前提だったような気がするんですよ。それが結構緩んでいるところをちょっと考えていただきたい。
それから、今、陸自のケース言ったんですけど、これ、陸上自衛隊のケース、もし本人が知っていて言ったら、これ重大なコンプライアンスの違反ですよ。だけど、これ、本人がもし知らないでこれ言っていたといったら、そもそも大切な情報の取扱い、特定秘密に対する教育、認識、これが全然できていないということになっちゃうんですよ。これ、どちらにしてもこれ問題だと思うんです。問題は根深いと思うんです。
そこを本当どうしていくのか、そこを改めて聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/168
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169・今給黎学
○政府参考人(今給黎学君) お答え申し上げます。
防衛省といたしましては、厳格なその情報保全体制の確保の観点から、これまで全隊員に対しまして保全教育を始め様々な施策に取り組んできたところでございます。
その上で、これは、令和二年に発生した海自OBに対する特定秘密漏えい事案を受けまして、防衛省では、副大臣を長とする再発防止委員会、これを設置して、これまで鋭意取り組んできたところでございますけれども、今回、新たにその二つの事案が生起したということで、これらは部外に対するその漏えいというのは一切確認をされておりませんけれども、いずれにしても、極めて深刻なこれは事案だというふうに受け止めております。
このため、先日、四月二十六日に、防衛大臣の指示によりまして、今後、その適性評価の確認を徹底するための措置、さらに、職員に対する規範意識の徹底といった再発防止策、これを速やかに講じていくというふうにしておりまして、今後も定期的な保全教育等を通じてしっかりその保全を行っていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/169
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170・片山大介
○片山大介君 あと、あれですよね、必要以上に秘密指定して、いわゆる、これまでのセキュリティークリアランスの議論でも出てきたオーバークラシフィケーションが起きているんじゃないかという実は指摘もあって、これ防衛省に聞いたら、これ、令和四年の時点で保有している特定秘密の数は二十三万件あると。それから、自衛隊では特定秘密とは別にコンフィデンシャル級の情報を扱う資格というのがあって、今回の海上自衛隊のその特定秘密を扱ってしまった人というのは、そっちの方の資格を持っているので、自分も特定秘密を扱えるんじゃないかと思っていたという感じなんです。
そうすると、必要以上に秘密指定をすることによって、本来、その必要性だとか、それから適性評価の対象者に対するきちんとしたチェックがやっぱり追い付いていないということもあるんではないかと思うんですが、そこら辺はどのように考えているのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/170
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171・今給黎学
○政府参考人(今給黎学君) お答え申し上げます。
防衛省におきましては、防衛省の装備品、それから自衛隊の運用に係る情報保全体制の徹底によって我が国防衛を全うする観点から、特定秘密文書や、いわゆる省秘に該当する文書について一定の件数を必要としているものでございます。
その上で、今般公表いたしました二つの事案の背景といたしましては、秘密保全に関する規範意識が欠如していたことによるものというふうに認識をしておりまして、再発防止策については、現在、先ほど申し上げました再発防止検討委員会において集中的に検討を行っていくこととしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/171
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172・片山大介
○片山大介君 是非それをしっかりやっていただきたいし、そこをまた我々検証させていただきたいと思います。
それで、防衛省に対してはここまでの質問で終わりたいと思いますので、引き揚げていただいて結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/172
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173・阿達雅志
○委員長(阿達雅志君) 今給黎審議官は御退席いただいて結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/173
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174・片山大介
○片山大介君 それで、今ここまでやってきた質問というのは、やはり、今後やっぱりセキュリティークリアランスでも起きる可能性は十分にあるのかなというふうに思っています。それで、セキュリティークリアランスの対象者の数は、スタートは少ないでしょうけれども、やっぱり人員は増えるでしょうし、それから扱う情報量も増えてくると思います。それに、何より特定秘密の場合は、基本的にはその情報を提供するのは、提供しなければ行政機関が所掌義務を行えない場合に限るとかというある程度限られた中ですけれども、今回はその経済安保活動を促進させるという目的もあるから、どちらかというと、限定するよりは使ってもらうというか、秘密を保持しながら活用してもらうという話だと思うので、そうするとどうしても対象広くなっていくと思います。
そうした場合にやっぱりこういうことが起き得ると思うんですが、その民間に対する教育だとか、それから理解をしてもらうって、これ実はなかなか難しいと思うんですが、そこら辺どのように考えているのか教えていただけますか。どちらでも結構、大臣でも。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/174
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175・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) 本法案お認めいただけましたらでございますけれども、今回の事案、非常に私も深刻に受け止めております。この今回の事案で得られた教訓も踏まえまして、まず内閣府、そして行政機関における管理体制についてしっかり検討して、同様の事案が発生しないように徹底をしてまいりたいと思います。
その上で、この法律案の中にも規定させていただいておりますけれども、民間事業者と契約を結ぶに当たって、この重要安保情報を取り扱う従業者に対する教育についてもこれは契約に入れるということでございますので、この教育をいかにしっかりとしていただくか、定期的に、継続的にしていただくかというところが大切になってくると思います。
民間事業者だけでこの教育を何度も何度もやってくださいといっても、じゃ、何をこの周知啓発すればいいのかということなかなか分からない、負担になるというお声もあると存じますので、これは政府の方でも、例えばこういう案件が最近ありましたとか、こういうリスクがありますとか、こういうことを徹底してくださいと、何か提供できる情報をしっかり提供できるような体制を整えてまいりたいと今考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/175
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176・片山大介
○片山大介君 あと、その抑止効果として、制裁措置として、特定秘密にはないもので、今回両罰規定を設けているというのはありますよね。
それで、両罰規定の効果が、じゃ、どこまであるのかというのと、あと、我々維新は衆議院の方の審議でもその罰金の量刑が五百万じゃ少ないんじゃないかという話をしたんですけど、そこら辺の考え方、今後検討の余地もあるのか、そこを教えていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/176
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177・彦谷直克
○政府参考人(彦谷直克君) お答え申し上げます。
両罰規定は、もうその犯罪行為が法人等の業務に関して行われた場合に、行為者である自然人を罰するほか、その法人、法人等に対しても直接法人の罰金刑を科すというものでございまして、抑止力の観点から一定の効果があるものというふうに考えております。
御指摘の五百万円ということでございますが、この量刑につきましては、両罰規定を有するほかの国内法令等とのバランスを踏まえて定めたものでございまして、制度の在り方については、運用の状況等も見ながら不断の検討を行ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/177
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178・片山大介
○片山大介君 これで終わりますけれども、是非しっかりやっていただきたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/178
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179・竹詰仁
○竹詰仁君 国民民主党・新緑風会の竹詰仁です。
前回の内閣委員会で参考人の三人の方から御意見を伺って、それも更に踏まえながら質問を続けさせていただきたいと思います。
まず大臣にお尋ねいたしますけれども、この法案が成立してセキュリティークリアランス制度が始まっても、この制度が相手国から信用されなければ意味は成さないと思っていまして、この相手国から信用をされ得る制度の中身、そして信頼を得るための理解活動、あるいは周知活動の両面が必要だと思っているんですが、この法案に示されているこのセキュリティークリアランス制度、この我が国の制度が相手国から信頼され得る制度と言えるのか、改めて大臣のお考えをお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/179
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180・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) 情報保全制度というのは、国によって法体系の違いも含めて多様でございます。制度として完全に同一のものとすることが求められるといった性質のものではなく、国際的に通用することの要件が明確に定められているものでもございませんが、一般に、重要情報であることの表示をするなどの保護措置、また信頼性の確認を含む情報を取り扱う者の制限、漏えい時の罰則などが必要だと考えられます。
本法案の制度はこれらについてしっかりと定めるものでございますので、諸外国から信頼されるために必要な要素を備えた法的枠組みになっていると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/180
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181・竹詰仁
○竹詰仁君 ちょっとその裏返しで、今度は相手国の制度が信頼されるかどうかという点でお尋ねしますけれども、その相手国のセキュリティークリアランス制度が信頼できる制度かも、これもまた見極めなければいけないと思うんですが、この相手国の制度が我が国にとって信頼できる制度なのかということを見極めるポイントとか、あるいはその判断材料、これはどのようにお持ちなのか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/181
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182・品川高浩
○政府参考人(品川高浩君) お答えいたします。
我が国の秘密情報を外国政府において、外国政府に提供するに当たりましては、相手国において我が国の保護措置に相当する措置が講じられることが、これが前提となります。この点につきましては、本法案の八条におきましても外国政府に重要経済安保情報を提供する場合の要件として、読み上げるのはちょっと省略しますが、その旨を規定しているところでございます。
相手国においてこのような措置が講じられていることをどのように確認をするのか。内容としては、先ほど大臣から答弁がありましたとおり、重要情報であることの表示などの保護措置ですとか、このセキュリティークリアランス、信頼性の確認を含む情報を取り扱う者の制限ですとか、漏えい時の罰則といったものがポイントにはなってくるわけですけれども、どういう場面でそれを確認するのかということでいいますと、例えば既に結んでおります情報保護協定のような場合は、その交渉過程におきまして、相手国において我が国における秘密情報の保護措置に相当する措置が講じられているのか否かというのを運用面も含めて確認をしてきているというふうに承知をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/182
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183・竹詰仁
○竹詰仁君 ちょっと今一部触れていただいたんですけれども、そうすると、相手国からの信頼と相手国への信頼と、これは両方とも必要だということなんですけれども、この法律が成立しましたら、その相手国、よくこれ同盟国、同志国という言葉は出るんですが、この同盟国、同志国と例えば覚書とか協定とか、そういった形での締結もあり得るのかどうかという観点で、大臣、この後、これが成立されたらなんですけれども、どのようにお考えなのか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/183
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184・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) まず最初にやるべきことは、本法律案をお認めいただきましたら、速やかにこの制度の運用に必要となります関係政令や運用基準、実施体制を整備してこの制度の実効的な運用を確保するということとともに、我が国の制度について、この運用面も含めて諸外国にしっかりと説明をするということが大事だと思います。
その上で、同盟国、同志国との関係につきましては、有識者会議の最終とりまとめでは、同盟国、同志国との間で新たに必要となる国際的枠組みについても取組を進めていくべきとされております。
我が国は、情報保護協定を九か国・機関との間で締結しておりまして、さらに、現在、カナダ、ニュージーランドと交渉中のほか、ウクライナとの交渉開始を発表していると承知をいたしております。
情報保護協定がなければ秘密情報のやり取りが全くできないということではないものの、情報保護協定の締結は我が国政府と相手国政府との間の情報協力を向上させる基盤となるものでございます。そうした基盤整備の必要性、重要性でしたり、相手国からの要望などを総合的に勘案して、新たな協定締結の要否ということについて不断に検討していくということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/184
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185・竹詰仁
○竹詰仁君 分かりました。ありがとうございました。
七日の内閣委員会での参考人から伺ったその懸念点について、そのとき、政府参考人の方も後ろで聞いていたと私も見ていましたので、ちょっとそれはお聞きになっていたと思うんですね。その参考人のお一人からは、研究者や学術界にとっては、この法律によって自由な研究が奪われると、研究力が劣化すると、研究者としての生命を絶たれることもあるという、そういった懸念の声が伺いました。
私は、この法律が対象とするのはあくまでも政府が保有している情報であると私は理解してきたんですけれども、このある研究者が持っている情報を、それは既にその研究者が持っている情報であって、それを本人の承諾もなく政府保有の指定情報とすることにはなっていないと私は理解しているんですが、もしこの法律によって自由な研究が阻害されるとか研究力が劣化するということになれば、これはこの法律の本末転倒になってしまいますので、この参考人の方がおっしゃっていたようなこの研究が阻害されるとかあるいは劣化すると、こういったことはないんだといった点で、もう一度説明をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/185
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186・品川高浩
○政府参考人(品川高浩君) お答えいたします。
委員御指摘のとおり、本法案の情報指定はあくまで政府が保有する情報を保護及び活用するための措置を規定しているものでございまして、大学ですとか研究者の方が既に保有している情報や独自に研究をされている情報について一方的に指定するということはございません。
仮に、大学から政府に対しまして提供された情報を行政機関が何らかの形で重要経済安保情報として指定することがあったといたしましても、この指定の効果は、行政機関のほか、指定後に秘密保持契約の下で重要経済安保情報として提供を受けた適合事業者の方にしか及ばないと考えております。
すなわち、このような重要経済安保情報の提供に当たらない元々その情報を保有している方あるいは研究開発を行った方には、この法案の情報指定の効果は及びません。したがって、漏えい罪の罰則が科されることにも、適性評価を要するといったようなこの本法案の規範が及ぶことにもなりません。
また、本法案の適合事業者は、行政機関と契約を締結することにより、自らの意思で重要経済安保情報を保有する事業者に限られます。また、適性評価を受けることとなる方も、そのかかる適合事業者において重要経済安保情報の取扱いを担う従業者に限られるということでありまして、かつ、その本人の同意が前提となっております。
また、仮にですが、適性評価を受けて重要経済安保情報の取扱いの業務を行う方になった場合でも、取扱中の重要経済安保情報に係る本法案の守秘義務などは掛かってまいりますが、本法案の重要経済安保情報を取り扱うことのない研究活動、これに対しましてはこの本法案の規範は掛かってまいりませんで、その意味で自由ということになります。
あと、この本法案はあと十条二項というような仕組み、この場でも何度か答弁をしておりますが、そういった仕組みもございますが、そういった十条二項の仕組みによる指定がない限り、研究等の成果に対しまして本法案の効果は及ばないと考えております。
以上、長くなりましたが、本法案は、研究者や学術界に対しまして、研究の自由を阻害したり、あるいは研究力を劣化させるなどといったものではないというふうに認識をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/186
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187・竹詰仁
○竹詰仁君 ありがとうございました。
いずれにしても、これまでの議論の中でも、このセキュリティークリアランス制度の対象となる情報の範囲が必ずしも明確にされてきていないということが様々なこの懸念とか心配ということの一因ではないかと思っております。
この経済あるいは技術分野におきまして、この民間の企業、個人等が保有している情報や、必ずしも重要でない情報までも指定対象とすれば、民間の自由な活動を阻害し、かえって国力の重要な要素である経済力、技術力を毀損しかねないという意見も出されております。
私は、政府が民間の自由な活動を阻害するとか、我が国の経済力、技術力を毀損させるようなことを意図を持って行動するようなことは考えられないと思っているんですけれども、ただ、ある情報をこのセキュリティークリアランス制度の対象とすることで結果として民間の自由な活動を阻害するとか、経済力、技術力を毀損することはあり得るのかもしれないというふうに思っているんです。
このあくまでも政府が保有する情報なんですけれども、ある情報をこの制度の対象とするときに、この対象とすることが民間の自由な活動を阻害するのか、あるいは経済力や技術力を毀損させるのかと、こういった観点でもその情報を選ぶことになるのか、ちょっとその情報の対象の仕方もこういった点も加味されるのか、これを教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/187
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188・品川高浩
○政府参考人(品川高浩君) お答えいたします。
まず、本法案のこの重要経済安保情報の指定につきましては、その要件につきまして、これまでも何度か繰り返し申し上げております三要件がございます。これに、三要件に基づいて指定するわけですが、今お尋ねのその民間の自由な活動を阻害するかですとか、経済力、技術力を毀損させるかといった観点は、この指定に当たっての要件の中に、考慮の中には含まれてはおりません。これは、政府が保有する情報を厳格管理の対象として指定するものでございまして、民間の活動を法律によって制約するものではないことによります。
なお、先ほど、冒頭おっしゃられたように、その範囲が、重要経済安保情報の範囲が必ずしも明らかではないという御指摘もございましたけれども、重要経済安保情報の指定の範囲につきましては、やはり本法案上で要件を明確に明文で規定しているところでございまして、政府といたしましては、諸外国と比べてもかなり具体的に法で定めていると考えているところでございます。
先ほど申し上げましたような本法案の効果あるいは規範が及ぶところについて、これ、今後御理解いただけるように工夫を尽くしていくことが重要だと認識をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/188
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189・竹詰仁
○竹詰仁君 ちょっと、もし、その対象が明確になっているというような答弁だったと聞いたんですが、それだったら多分これまでの議論ももうちょっと簡単に終わっていたと思うんですけど、それが、対象が明らかじゃないからこそ、こうやって議論がずっと続いているんだと私は理解いたしています。
ちょっと次に、この調査機能の一元化について改めてお伺いします。
この調査機能を一元化することで、行政業務の効率化、あるいは調査結果の集約化による情報保全、ポータビリティーへの対応などが期待できるということで、これは理解いたします。
一方で、調査機能を一元化すれば、多くの情報がそこに集約されるからこそ、万が一の間違いあるいは意図的な行為によって情報漏えいしてしまったときのリスクも今度は大きくなると考えられます。
この調査機能の一元化のメリット、あるいは一元化される機関の情報保全の厳密化、それ、そういうことだったら保全されますよねという、こういった納得感について、これを説明していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/189
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190・品川高浩
○政府参考人(品川高浩君) お答えいたします。
まず、メリットでございますけれども、本法案におきましては、適性評価は個別の行政機関が行うこととしておりますが、そのための調査については内閣府において一元的に実施をすることとしております。これによりまして、内閣府による一元的な調査の結果を用いた適性評価を十年以内に受けた方につきましては、ほかの行政機関による適性評価を受ける場合に、当該ほかの行政機関が新たに調査を実施することなく内閣府が行った従前の調査の結果に基づき適性評価を受けることができることとなります。
また、複数の行政機関による適性評価を受ける適合事業者の従業者の方ですとか、あるいはその行政機関の職員につきましては、評価のための調査に対応する御本人の負担が軽減されると、ことでございまして、手続の効率化や利便性向上に資すると考えております。
また、収集した個人情報に関しましては、漏えいなどが起こらないよう厳格に管理するのはこれは当然のことでございまして、調査を実施する内閣府のほか、その結果の通知を受け適性評価を実施する各行政機関において適切な管理が行われるよう徹底してまいりたいと考えております。
なお、本法案の適性評価制度は、国民全般を一方的に調査の対象とするような制度ではございませんで、あくまでも政府が厳重に管理する重要経済安保情報の内容に触れようとする方について、あらかじめ本人の同意の下で情報漏えいのおそれがないことの確認をさせていただくという制度でありまして、そのような制度を調査に関しては内閣府で一元的に行っていくとしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/190
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191・竹詰仁
○竹詰仁君 ちょっと重複するかもしれませんが、この制度に反対の立場というか反対する意見を持つ方は、むしろこの調査が一元化されるということが問題であるという、そういった指摘もあるんですね。この犯罪の疑いもない、あるいは犯罪犯す懸念もないという、こういった国民の機微情報を国の機関が一元的に収集する、こういった制度は日本の歴史上初めてであるといった、こういった意見があります。
このような制度をつくるに当たってどのようにその機関の権限行使の濫用を防ぐ仕組みをつくるか、これが全く議論されてないという、そういった意見であるんですけれども、この一元化する調査機関の権限行使の濫用、この権限行使の濫用を防ぐという観点について、これ、どうやって濫用を防ぐのかということについて、大臣、お考えを教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/191
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192・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) 本法律案におきましては、適性評価の実施に当たり、調査項目の限定、御本人への告知や事前同意、個人情報の目的外利用の禁止など、評価対象者の方への配慮を法案上で明確に規定いたしております。
また、適性評価の実施につきましては、有識者の意見を聴いて閣議決定により定める運用基準の中でも、適性評価を行う行政機関やそのための調査を行う内閣府が遵守すべきルールの詳細を定めることになります。
さらに、適性評価の実施の状況につきましては、衆議院での法案修正によって加わった有識者の意見聴取や国会報告の一項目にも挙げられましたように、有識者の方々や国会の先生方に御確認いただくということも想定されておりますので、政府としては誠実に対応してまいります。これ、運用においても政府としてきちんと担保されるようにしっかり対応してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/192
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193・竹詰仁
○竹詰仁君 続いて、労使関係、労働者について伺います。
この労働者のお一人お一人は弱い立場であります。この適性評価についての目的外利用あるいは不利益取扱いが企業内でどのように防いでいくかという観点で質問をいたします。
企業が法令遵守をするということは、これはもう言うまでもありません。セキュリティークリアランス制度はほとんどの企業にとっては初めてのこと、ということは、従業者にとっても初めてのことでありますし、労働組合にとっても初めてのことであるということになるので、企業内におけるルールづくり、あるいは労使の合意というのが非常に重要になると思っています。
この適性評価を同意しなかったことによる不利益、あるいは評価結果により認められなかったことによる不利益、そしてこうした情報を目的外利用が発生しないように労使間の緊密なコミュニケーションを行うということが重要と、これは私もよく理解できるんですが、ただ、この労使双方にとって何しろ初めての出来事ですので、労使間で何を協議し、何を合意するのか、現時点では確定したものがない、今後検討されるということになると思うんですけれども。
この七日の参考人の意見の中には、労使協定や労働協約の締結を適合事業者となる条件にすべきではないかという、そういった意見も伺いました。これが、労働者の権利を守る措置が必要であるんではないかという、そういった御意見でありました。
この適合事業者になるに当たって労使協定や労働協約を締結する必要性、これは、これ参考人の意見も皆様聞いていらっしゃったと思うんですが、こうした考えについて政府の考えを教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/193
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194・品川高浩
○政府参考人(品川高浩君) お答えいたします。
この労使協定等につきましては、有識者会議におきましてもかなり御議論をいただいております。紹介いたしますと、労働者にも大きな影響が及ぶので事前の労使協議と協定締結を義務付けるべきとの御意見があった一方で、これに対する慎重意見としましては、企業により労使関係は様々であるため一律の義務付けには違和感があるという趣旨の御意見、また、セキュリティークリアランスを取得する人が企業内にどれぐらいいるのか、その事業が企業経営の中でどれくらいの位置付けを占めるのかによるのではないかといった御意見、さらには、セキュリティークリアランスが必要な事業への参画と申しますのは明らかに経営判断に属するものであり、法律での義務付けは絶対にやるべきではないと強く反対する御意見も提起されたところでございます。
したがいまして、これらを受けまして、一律に労使協定を義務付けることには慎重でなければならないと考えておりますが、他方で、不利益取扱いを防止する観点からも、また、従業者の方の御懸念に対応するためにも、労働組合に一定の役割を期待する声があることも承知をいたしております。このため、義務付けまではしないにせよ、運用基準などを検討する中で労働組合の関与等についてお示しできないか検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/194
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195・竹詰仁
○竹詰仁君 ちょっと大臣、今の答弁と少し重複するかもしれませんけれども、このセキュリティークリアランス制度あるいはこの適性評価に対して、政府として企業や労働組合が取り組むべきことについて今後どのように示していく、あるいは支援していくのか、現時点での大臣の考えをお伺いしたいですし、もう一つのポイントは、組合がない、これ、私の立場で残念ながらでいいか分かりませんが、組合の組織率って一七%ぐらいしかありませんので、むしろ多くの企業には組合がないという方のが圧倒的に多いですから、この労働組合がない企業もたくさんあるということも踏まえて、こうした企業への対応についても、現時点で、大臣、お考えのことあれば教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/195
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196・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) 重要経済安保情報の提供を受ける適合事業者の方々に本法案の制度を正しく理解していただくことは重要であります。あわせて、この事業者に提供された重要経済安保情報を実際に取り扱われる従業者の方についても同様です。その際、労働組合につきましては、不利益取扱いの防止やプライバシーの保護といった従業者の方々の懸念に対応するため一定の役割を期待する声があるということも十分承知をいたしましております。
こうした観点から、本法案の施行に際して、適合事業者の方々が取り組むべきことなどを運用基準の中で示していきたいと考えております。
その運用基準が非常に重要なものになるのですが、内容につきまして、内容を検討するに当たりましては、有識者の御意見を伺うのはもちろんのことなのですが、事業者や労働者を代表する方々からの御意見も伺った上で、御指摘のような労働組合のない事業者の従業者の方々にも配意して、できるだけ分かりやすいものとなるように検討をしてまいります。
その上で、各種の機会を捉えて、こうした基準に基づく制度の具体的な運用の周知、説明に努めてまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/196
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197・竹詰仁
○竹詰仁君 ありがとうございました。
続いて、経済安全保障推進法について、最後、時間の許す限りお尋ねしたいんですが、私、これまでこの基幹インフラ制度について、我が国の外部にある主体から強い影響を受けているかどうかという、こういった書き方が抽象的で分かりづらいという指摘をさせていただいて、政府からは、余り具体的な基準を出してしまうと、むしろこれを悪用した届出を容易にするとか、あるいはその特定妨害行為を行おうとする主体を利することにもなりかねないということで、その説明はよく理解したんですけれども。
私、自分で内閣府のホームページに見にいってみました。どういったことを、どのぐらいの手順で、あるいはスムーズにこういった相談窓口というか、ところまでいけるのかという、これ自分でもやってみたんですけれども、非常に私のまず感想はよくできているというふうに、そんなに階層も深くないですし、すぐにたどり着けるというのを自分でやってみました。
今日は五月の九日ですので、この制度、この基幹インフラの制度が来週始まるんですよね。五月の十七日ということで、もう一週間ちょっとなんですけれども、ただ、この十四分野、そしてこの法律が通れば、港湾と運送というのが加わるわけですけれども、こういったことがすぐに始まってくるということなんですが、全国でこの説明会もされているというふうに伺ってきたんですけれども、来週開始されるんですけど、この周知状況、どのように今なっているか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/197
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198・品川高浩
○政府参考人(品川高浩君) お答えいたします。
経済安全保障推進法の基幹インフラ制度につきましては、昨年十一月までに政省令の整備を終えまして、特定社会基盤事業者として現在二百十一の事業者の方を指定したところでございます。六か月の経過措置期間を経て、今月、五月の十七日から制度の運用を開始する予定でございます。
制度運用開始に向けましては、特定社会基盤事業者や重要設備を供給する事業者などへの制度の周知等に取り組んできたところでございまして、具体的には、先ほど御紹介のありました内閣府ウェブページにて制度に関する解説等を公表しているほか、経済団体会員企業などを対象とした説明会、あと全国八都市での説明会を開催いたしておりますし、あと、最新の説明会の資料を内閣府ウェブページに掲載をしているところでございます。
また、内閣府と、あと事業所管省庁でございますけれども、両方に相談窓口を設け、個別の相談にも応じるなど、事業者と綿密なコミュニケーションを図ってきているところでございます。
引き続き、このようなコミュニケーションを取りつつ、今月十七日からの制度運用を円滑に進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/198
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199・竹詰仁
○竹詰仁君 本当、まさに来週始まりますので。
私、今御説明の中にもあったんですが、自分でそこでホームページに入っていってみて、どこに相談すればいいですかと、こうクリックすると次に進めるという、いろいろ私もやってみたんですけれども、ちょっと一つ気になるのが、この相談時には、導入、委託の予定時期と、どのような設備についての導入か、又はどのような維持管理等についての委託かを明らかにした上で相談してくださいと、具体的な導入等の計画が伴わない御相談は原則受け付けられませんという、非常に何か冷たい言い方で書いてあって、私、これまでも申し上げてきたんですが、インフラ事業の場合はとても莫大というか多額な設備投資になるので、契約したり調達を決めてからやっぱりこれは駄目ですと言われるともうとても大きなリスクになってしまうので、この具体的な導入等の計画が伴わない御相談は原則受け付けられませんということが、本当にこれ、このやり方でいいのかなというのがまず私思いまして、どうして、もうちょっと柔らかい段階でも相談受けるべきじゃないかと思うんですが、この点最後に教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/199
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200・品川高浩
○政府参考人(品川高浩君) お答えいたします。
先ほど御答弁申し上げましたとおり、事業者等皆さんと政府、内閣府、あと事業所管省庁が綿密なコミュニケーションを取ることは極めて大事なことでございます。また、御指摘のとおり、特定重要設備の導入等が見込まれる場合は、その届出内容等について前広に相談、御相談いただくことが事業者の方々にとっても政府にとっても、双方の予見性を確保するという観点でも、あるいは実際の届出や審査の円滑化といった観点でも好ましいものと考えております。これが大前提でございまして、これまで積極的な事前相談を呼びかけてきたところでございます。
先ほど御指摘のございました相談窓口のウェブページの記述の件でございますが、この記述を記載している趣旨につきましては、本制度が特定重要設備に着目し審査を行うものであると、そういうものである以上、特定重要設備の導入等に関する事前相談に当たっても、政府から適切な回答をするためには導入等の対象となる設備等を一定程度具体的にお示しいただく必要があることなどから記載しているものでございまして、先ほど申し上げましたとおり、導入等の計画の初期段階であっても前広に御相談いただきたいというのは大前提の話でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/200
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201・竹詰仁
○竹詰仁君 以上、時間になりましたので終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/201
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202・井上哲士
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
朝の理事会で、本日での質疑終結と討論、採決の提案がありました。しかし、この間、質問の中で求めてきた様々な運用基準等についての、具体的に明らかにされておりません。先日の参考人質疑でも、参考人からは、法案の肝ともいうべき重要な内容が具体的に示されず、運用基準や政令が決めていくという議会制民主主義を形骸化するものだと、人権に関わることは国会で決めるのが法治主義だと、こういう指摘もありました。こういう状況の下で採決は認められないということを冒頭申し上げておきます。
その上で、適性評価についてお聞きをいたします。
四月二十五日の質疑で、個人情報の収集や第三者への情報提供を日常業務として称している警察に対して評価対象者に関する照会を掛けることについて、様々な人権侵害を招くおそれがあるのではないかということをただしました。大臣は、本法案は警察に適性評価における調査権限を付与するものではない、仮に内閣府が警察に対して公務所照会をすることがあるとしても、警察が既に保有している情報の提供を求めるにとどまりまして、適性評価のために新たな調査を要求することはございませんと答弁をされました。
今日午前中にも参考人から同様の答弁があったわけですが、この照会先の警察や公安調査庁に対して適性評価のための新たな調査を禁じるような規定が、大臣、この法案のどこにあるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/202
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203・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) 御指摘の私の答弁ですが、本法案十二条六項に基づき内閣府から警察に照会することはあるとしても、警察に適性評価における調査権限を付与するものではないということを申し上げました。
本法案十二条は、四項ただし書によりまして例外的に適性評価を実施する行政機関が自ら適性評価調査を行う場合を除いては、五項で内閣総理大臣が適性評価調査を行うものとしております。また、適性評価調査の具体的な手段について定める同条六項も、知人その他関係者への質問や公務所等照会などの主体を適性評価調査を行う内閣総理大臣又は行政機関の長としておりまして、照会を受けた機関に本法案に基づく新たな調査権限を付与することとはしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/203
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204・井上哲士
○井上哲士君 私聞いたのは、さらに、適性評価のために警察や公安調査庁が新たな調査を禁じる、そういう規定はあるのですかということも聞きましたが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/204
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205・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) 適性評価のための調査を行う主体を明確に定めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/205
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206・井上哲士
○井上哲士君 今日午前中の質疑の中で、適性評価に関わって、例えばハニートラップの調査のために尾行などについて質問がありました。そうしたら、むやみに行うことはないという答弁だったんですね。むやみに行うことはないということは、行うことがあるということですよ。
適性評価のために新たな調査を要求することはございませんという答弁と私明らかに矛盾していると思うんですが、要求はしなくても警察や公安庁が、公安調査庁が行うことはあるということを認めているということでよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/206
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207・飯田陽一
○政府参考人(飯田陽一君) お答えいたします。
この法律は、適性評価調査を行う権限を基本的には内閣府に与えるというのがこの法律の趣旨でございます。
あくまでもこの法律に基づく適性評価調査を行うのは例外的な状況を除いては内閣府ということでございまして、午前中にありました答弁につきましても、その調査のために尾行をすることがあるのかと問われた場合の主体として私どもが想定しておりますのは内閣府ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/207
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208・井上哲士
○井上哲士君 内閣府が直接尾行調査をするということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/208
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209・飯田陽一
○政府参考人(飯田陽一君) そのようなことは想定していないということを申し上げたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/209
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210・井上哲士
○井上哲士君 むやみに行うことはないということは、行うことがあるというわけじゃないですか。
ですから、内閣府の依頼に基づいて警察がやるということなんですかね、分かりやすく答弁してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/210
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211・飯田陽一
○政府参考人(飯田陽一君) 適性評価の調査の権限は内閣府にこの法律によって付与されているものでございます。警察とは直接関係がございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/211
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212・井上哲士
○井上哲士君 そうすると、ハニートラップの調査のための尾行などについてむやみに行うことはない、つまり、むやみでなければ行うことはあるということでありますが、この調査は一体何なんですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/212
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213・品川高浩
○政府参考人(品川高浩君) お答えいたします。
午前中に私が答弁したラインについてのお尋ねでございますので、申し上げます。
むやみに行うことがないといった対象は、尾行を行うことがないと申し上げたわけではなくて、重要経済基盤毀損活動との関係に関する事項としてこれを調査するということであって、こうした事情のない中でむやみに性的行動などを調査するというものではないと申し上げたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/213
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214・井上哲士
○井上哲士君 だから調査するわけじゃないですか。全く理解できません。
結局、照会に関して警察や公安調査庁が様々な調査をするということを認めていらっしゃるのに私は等しいと思うんですね。
更に聞きますけれども、午前中の審議で、大臣は、適性評価の対象者であることが捜査の端緒になることは考えられないという旨の答弁をされました。しかし、大臣は、四月二十五日の連合審査の際に、クリアランスホルダーとなった方について、現に重要経済安保情報を取り扱うことが見込まれる以上は、外国政府などによる諜報活動の標的となることも考えられると答弁をされました。今日の午前中も同様の答弁がありました。私、これも矛盾していると思うんですね。
適性評価のために新たに調査を要求することはないといっても、適性評価をきっかけにその人物が、例えばハニートラップなどあるんじゃないか、外国政府などの諜報活動の標的となっているというふうに認定をされれば、情報漏えいの事実を把握する、あるいは通常業務と称する情報収集活動の一環として、クリアランスホルダーに対する警察の日常的な監視が行われるんじゃないかという危惧があるんですが、この点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/214
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215・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) 御指摘いただきました私の答弁、本法案の適性評価を受けて情報漏えいのおそれがないと認められた者は、現に重要経済安保情報を取り扱うことが見込まれる以上、外国政府等による諜報活動の標的となることも考えられると言及したものでございます。あわせて、その対策として、こうしたクリアランスが認められた者に対する意識喚起と教育、研修が重要であることも説明してまいりました。
そのため、御指摘のような、この適性評価を受けて情報漏えいのおそれがないと認められた者に対して、この教育や研修により情報保全に対する意識向上や不審なアプローチへの注意喚起を促していくということを考えてはおりますけれども、警察による日常的な監視の対象にするといったようなことは全く考えておりません。
そもそもこの法案は、適性評価の実施をするときにのみ基本的に内閣府を主体として調査を行うということにしております。適性評価の実施場面以外で国が継続的な調査を行うということを規定はいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/215
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216・井上哲士
○井上哲士君 国とか一般で言ってほしくないんですね。警察の捜査の端緒となることは考えられないという答弁だったんですよ。しかし、外国政府などによる諜報活動の標的となることは考えられるとおっしゃっているんですよ。
だから、この人は外国の諜報活動の標的となっているんだから、実際に外国のいろんなものが接近するんじゃないかということで、まさに捜査の端緒として監視をするということはあり得るんじゃないですか。否定されるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/216
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217・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) もう繰り返しになりますが、本法案は、警察を含む各行政機関に適性評価における調査権限を付与するものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/217
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218・井上哲士
○井上哲士君 擦れ違いにしないでほしいんですよ。捜査の端緒になることは考えられないと明言をされたから、しかし、大臣が、外国の諜報活動の標的となると、クリアランスホルダーは。そうしたら、そういう外国の例えば諜報機関の接近がないかとかということで、警察などが捜査の端緒として見るということはあり得るんじゃないですかと、それをなぜ否定できるんですかと申し上げているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/218
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219・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) だから、要は、クリアランスホルダーの方はその外国の政府の諜報機関などからのこのターゲットにされやすいということから、そう認められた方に対しては、情報保全、注意すべきことについてもしっかりと教育、啓発をするということを申し上げているのみでございます。継続的に警察がその方を尾行するとか調査するというようなことは、全く本法案で想定をしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/219
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220・井上哲士
○井上哲士君 法案に書かれていなくても、日常活動としてやっているわけですから、その危険が大きくなるということをこの間申し上げてまいりました。
一昨日の参考人質疑で齋藤日弁連の参考人は、この法案の第十六条が重要経済安保情報の保護以外の目的での適性評価に関する個人情報の利用及び提供を制限する規定になっている、これでは目的外利用を禁止するたがが緩いというふうに述べられました。本来であれば、適性評価以外に適性評価の情報は使っていけない、例外はこれこれとすべきなのに、この重要経済安保情報の保護以外の目的に使ってはいけないとなっているので、まだ捜査の必要があるとしていつまでも情報を持っているとか、いろんな人の監視に使うとか、悪用をされるリスクは条文上も排除されていないと、こういうふうに述べられました。
重要経済安保情報の保護を口実に個人情報が目的外利用される危険性を指摘されたわけでありますが、これについて、大臣、どう受け止められますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/220
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221・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) 齋藤参考人が、どのような場面を念頭に警察や公安調査庁が適性評価に関して得た情報を利用する旨をおっしゃったのか定かではございませんけれども、そもそも適性評価調査によって収集される個人情報は、調査を行う内閣府と内閣府に調査を依頼した適性評価の実施主体である行政機関以外には共有されません。
よって、警察や公安調査庁がそうした個人情報に触れる場合というのは、警察や公安調査庁が自ら重要経済安保情報を保有していて、しかもこれを重要経済基盤の脆弱性の解消など安全保障の確保に資する活動を行っている適合事業者に利用させる必要があるというような場合に限られます。
なお、そのような限られた場合におきましても、適性評価において収集された個人情報は適性評価の判定や再度の適性評価実施の判断といった重要経済安保情報の保護に関する目的以外に用いてはならず、重要経済安保情報の保護を口実にほかの調査などに流用することが許容されるものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/221
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222・井上哲士
○井上哲士君 では、参考人が言うように、適性評価以外にこの情報は使っていけないと、こういう条文にすべきではなかったんじゃないですか。なぜ重要経済安保情報の保護というふうに広げたのか、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/222
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223・飯田陽一
○政府参考人(飯田陽一君) 今大臣が答弁したとおりでございますけれども、まず、警察や公安調査庁がそうした個人情報に触れるのは、重要経済安保情報を保有し、それを民間事業者に提供する、利用させる場合が、必要がある場合というのに限られるというふうに申し上げたわけでございますが、その上で、全般として私ども想定しておりますのは、適性評価調査によって収集される個人情報というのは、内閣府と、それからその調査を依頼した適性評価実施主体である行政機関、これが基本でございますので、その中で、重要経済安保情報の保護の目的以外にはこれを利用してはならないというふうに法定させていただいたということでございますし、これはまた、先行する制度の特定秘密保護法なども参照しながらこうした整理とさせていただいたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/223
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224・井上哲士
○井上哲士君 この間繰り返しておりますが、警察は一般活動として様々な情報収集や捜査をやっていると、そこで使われるんじゃないかということは、その危険性というのは今の答弁聞いても全く排除はされないわけですね。
更に聞きますが、厚生労働省は、企業が従業員を採用する際の考え方として、公正な採用選考の基本というのを公表しております。ここでは、採用選考は応募者に基本的人権を尊重すること、応募者の適性、能力に基づいた基準により行うことを掲げておりまして、配慮事項として、本籍や出生地、家族に関すること、宗教や支持政党、思想や労働組合の加入歴等々、購読している新聞など、本人に責任のない事項や本来自由であるべき事項を尋ねるのは就職差別につながると注意を呼びかけているわけですね。
これは採用時だけではなくて採用後もそうなわけですが、この適性評価の調査を国が行おうとしているのは、こういう適合事業者が評価対象者に聞けないようなプライバシー情報を国が代わって調査するということにほかならないんじゃないか。私は、国家による明らかなプライバシー侵害、人権侵害になると思いますが、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/224
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225・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) 厚生労働省が出している資料のお話でございますが、雇用をめぐる問題については所管外でございます。
あえて答弁させていただきますと、この御指摘の公正な採用選考の基本というのは、基本的な考え方とされておりますように、厚生労働省においてあくまで一般論として公正採用の観点から就職差別につながるおそれがある事項を挙げるなどしたものだと承知をしております。
他方で、厚生労働大臣も答弁をしておられますとおり、厚生労働省は、雇用主が応募者からどのような事項を把握することが適当かは一概に整理できるものではなく、特別な職業上の必要が存在するなど雇用主が把握すべき内容について個別に合理性、必要性があるかどうかという観点で判断されるべきものとの見解を示していると承知しております。
したがって、政府の重要情報の取扱いの業務に従事するといった特別の事情がある場合も含めて、一律にプライバシーに関する事項を尋ねることを禁止するものではないと理解をしております。本制度の適性評価は、安全保障上の観点から政府の重要情報の取扱いを認めるに当たり、政府が政府自身の必要性から政府の責任において必要な調査を行うものでありまして、また調査結果は通知しますが、調査を通じて取得した個人情報を事業者に提供することはございませんので、適合事業者が評価対象者には聞けないプライバシー情報を国が代わって調査するという制度でもございませんし、国家による明らかな人権侵害といった御批判も当たらないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/225
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226・井上哲士
○井上哲士君 重要事項なのでプライバシー侵害に当たるようなこともあり得るというような趣旨の答弁がありまして、あったわけですね。
先ほど紹介した厚労省の応募の問題は、この基本的人権を尊重するということを強調しているわけです。これは私は、この憲法の下であらゆるところに貫かれるべき問題だと思うんですね。
大臣は、昨年九月に都内で行われたエコノセック・ジャパンにおける講演でこういうふうに述べておられます。思想、内心に関すること、尊敬する人物は誰かとか、どういう新聞を購読しているかとかを調査することは企業にとっては御負担が大きいことだから、調査の実施主体というのはしっかりと国に設けるべきだと、企業任せにしないと、このセキュリティークリアランスに関して講演をされております。
つまり、従業員の人権侵害になるような思想、内心に関するような調査は国が責任を持って行うということを言っているに等しいと思うんですけども、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/226
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227・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) もう本法律案の中で調査事項七項目は法定させていただいております。思想、内心に係ることを調査するものではございません。
なお、その私の講演でございますが、厚生労働省が出している内容を、これは事業者の方々がこの公正な採用、就職差別につながるおそれのある事項を挙げているものですね、こういった方に、こういったことに特に御注意されているということを前提にした上でお話をいたしました。
例えば、今回のように、適性評価のための調査を行う機関をどこにするかというときに、それを民間事業者に丸投げしたら、これはもう事業者にとって大変な御負担ですし、これは労働法制上も厳しい。そしてまた、厚生労働省が出しているこの公正採用の観点から就職差別につながるおそれがある事項を挙げたもの、こういったものにも関わってくる、そういう御懸念があることも十分承知をいたしております。
ですから、内閣府において一元的に責任を持ってこの評価のための調査をさせていただく旨、そういう予定にしているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/227
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228・井上哲士
○井上哲士君 いや、大臣自身が、思想、内心に関することを調査することは企業にとって御負担が大きいから国がやりますと明言しているじゃないですか、この講演の中で。だから私は申し上げているんです。
こういう形でこのまさに国民の基本的な人権を侵害するおそれがあるということを改めて指摘をしておきたいと思いますが、最後、マッチング事業についてお聞きいたします。
お手元に資料も配っておりますが、国家安全保障戦略を踏まえて、総合的な防衛体制の強化に資する研究開発及び公共インフラ整備に関する関係閣僚会議が発足いたしました。この同会議が各省庁の民生利用目的の研究で総合的な防衛体制の強化にも資する技術課題を重要技術課題として整理をし、その中から育成する価値がある事業をマッチング事業として今年度から認定をしております。
お手元にありますように、百六十一件、一千八百五億円の予算となっているわけですが、これは、各省庁の既存の研究開発事業の中から軍事分野に応用可能なものを見付け出して防衛装備の開発に結び付けると、こういう趣旨ということでよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/228
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229・高村泰夫
○政府参考人(高村泰夫君) お答え申し上げます。
最先端の科学技術は加速度的に進展し、民生用と安全保障用の技術の区別が極めて困難となっており、民生用途でのイノベーションと防衛用途でのイノベーションが相互に影響し合う中で発展していくものとなっていることから、我が国の官民の高い技術力を安全保障分野にも積極的に活用することが重要であると考えられます。
そのような認識の下、国家安全保障戦略を踏まえ、防衛省の意見を踏まえた研究開発ニーズと関係省庁が有する技術シーズを合致させることによって総合的な防衛体制の強化に資する科学技術の研究開発を推進できるよう、政府横断的な仕組みを創設したところでございます。
このマッチングの仕組みを通じて、関係省庁の民生利用目的の研究の中で、今後、防衛省の研究開発に結び付く可能性が特に高いものを効率的に発掘、育成することができるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/229
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230・井上哲士
○井上哲士君 今答弁がありましたが、そうやって効率的に防衛省の研究開発に結び付く可能性が高いものを効率的に発掘、育成すると。
そうしたこのマッチング事業の研究開発をいずれかの段階で、その情報が重要経済安保情報の指定を受けるということがないということが断言できるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/230
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231・飯田陽一
○政府参考人(飯田陽一君) お答えをいたします。
先ほど内閣官房から答弁がございましたとおり、マッチング事業は関係省庁の事業として予算が計上され、関係省庁において執行がされているものでございます。あくまでこの事業を実施する関係省庁が民生目的の研究で自主的、自律的に進められているものと承知をしております。
他方、今御指摘のございました重要経済安保情報は、これまでも申し上げておるとおり、三つの要件に該当するものであるというのが本法案に明確に規定をされておりますし、その中の一つの要件である重要経済基盤保護情報につきましては、我が国にとって重要なインフラと重要な物資のサプライチェーンの二つを重要経済基盤と定義した上で、その保護に関わる四つの情報類型を例示して、対象を絞り込んでいるところでございます。
行政機関はこのような重要経済安保情報の要件を満たす情報を指定することとなりますので、御指摘のようなマッチング事業の研究開発に関する情報をもって判断するものではございません。あくまでも、三つの要件あるいは四つの情報類型に沿って指定の要否を判断するということでございます。
また、加えて申し上げますと、ここで指定対象となりますのはあくまでも政府が保有する情報でございまして、研究開発を行っている民間企業、研究機関、大学などが元々保有していた情報について指定することは想定しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/231
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232・井上哲士
○井上哲士君 先日、研究成果を公開するので本法案の対象にならないとされてきたKプログラムについても、QアンドAで非公開もあり得るとしていることを指摘をいたしました。その際の答弁で、研究の結果、思いも寄らぬ形で安全保障に影響を与えてしまうような成果が得られた場合に、関係者の合意も得て非公開とするとされたわけですね。
このマッチング事業は、まさに防衛省の研究開発に結び付く可能性が高いものを効率的に発掘、育成をすることを目指すわけでありますから、まさに、思いも寄らぬどころか思いどおりに、この安全保障に影響が掛かる成果が得られる可能性があるわけです。その際に、先ほど言われた要件に合致すればこのマッチング事業から得られたものが対象になるんじゃないか。
そして、この間の参考人質疑でも齋藤参考人言われていましたけど、元々民間が持っていた情報を政府が受けて、それに一定のものを付け加えてまた返すことによって指定することも可能だというお話ありましたし、この事業は相当部分が国の研究機関ということにもなるわけですよ。ですから、いろんな要件を満たせば、それに合致をすれば可能だということではないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/232
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233・飯田陽一
○政府参考人(飯田陽一君) お答えをいたします。
Kプログラムであれマッチング事業であれ、基本的にここで行っている研究開発は、元々、参加されている民間企業や大学、研究機関等が持ち寄った知的財産をベースとして研究開発を行っております。したがいまして、その成果については、様々な契約の形態によっても異なりますけれども、その研究開発を実施している機関に最終的には帰属をさせ、実際にその機関がその担い手となって社会実装をしていくというのが多くの研究開発事業の具体的な姿でございます。
そういうことの中で、重要経済安保情報に指定される可能性があるとすれば、そもそも先ほど申し上げた三要件があるわけですけれども、国が委託等をする場合においては、この法律案において十条二項でお示ししているとおり、あらかじめ合意の上で調査、研究を行わせた上で、そこで生成する情報はあらかじめ重要経済安保情報ですということを研究を行っている適合事業者に通知した場合に限って重要経済安保情報となるわけでございまして、国が委託をしたからといって、その成果物が自動的に重要経済安保情報になるのは、とはならない。なぜならば、それは政府が保有する情報ではないということと、この法律においては十条二項がその重要経済安保情報に指定するための最大限の前提となっているということであるからでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/233
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234・井上哲士
○井上哲士君 私は何も自動的に指定されるなんて一言も言っていませんよ。
このマッチング事業のやっているところの相当数は国の研究機関だとお聞きをしているんですね。ですから、先ほど何か民間の情報だと言われますが、そうではないわけですよ。
そして、先ほどから言っていますように、あらかじめそういう計画をしていなくても、この事業、研究を通じて、Kプログラムのように、思いも寄らぬ形で安全保障に影響を与えてしまうような成果が得られた場合などに、それをこういう形で秘密指定をしていくということは、指定できるんじゃないかと。できないという何か根拠がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/234
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235・飯田陽一
○政府参考人(飯田陽一君) まず、これまでの審議でもございましたように、国の研究機関、大部分の研究開発独法は、政府ではなくて民間企業と同様の位置付けというのがこの法案の中での研究開発法人の位置付けでございます。これがまず一つ目でございます。
それから、思いも寄らぬ結果と申し上げましたのは、それが例えば大量破壊兵器の技術として転用されるようなものであるとすれば、そこに参加しているアカデミアにとっても、それを自由に公開することは必ずしも参加されているアカデミアの本意でもないだろうということを前提にお話をしているわけでございまして、今回の重要経済安保情報は、大量破壊兵器ということではなく、あくまでも重要なインフラであったり重要物資のサプライチェーン、国民生活や経済活動を支えるものを想定しているものでございますので、今委員が御指摘のあったようなものとは直接関係がないものというふうに認識をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/235
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236・井上哲士
○井上哲士君 時間なので終わりますが、デュアルユースというのはそもそも軍事に結び付くかどうか分からないわけですが、それが研究を通じてその可能性が出てきたというときにどんどんどんどん秘密にしていくと、シームレスな運用をしていくと、そういう仕組みにあるんじゃないかということを私は指摘をしてまいりました。
このマッチング事業の研究成果についても、指定はできないということは一言も言われなかったわけでありまして、そういう危険性が大変高いということを最後指摘しまして、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/236
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237・大島九州男
○大島九州男君 れいわ新選組、大島九州男でございます。
このセキュリティークリアランス法案について、ずっと私の視点は、経済界からの要望を実現していく、そういったところが非常に大きい法案ではないかということをずっと、その視点で質問をずうっとしてきたわけですけれども、今日が採決ということですから最後の質問になっていくわけでありますが、先日の参考人においでになりました日本経済団体連合会の原さんがお持ちをいただいた資料を今日改めてまたお出しをさせていただいております。経済産業省からも今日来ていただいておりますので、一緒にちょっと確認をしていただきたいと。
経団連の基本的な考え方の法案等への反映状況というような形で、特定秘密保護法に基づく特定秘密制度等の既存の仕組みとの整合性を確保する、こういう経団連の基本的な考え方に対して、法案等への反映状況は丸だと。個人のクリアランスに当たってはプライバシーに十分配慮、信頼性の調査、評価結果の目的外利用は厳に回避をしなければならないと、これも法案に反映するのは丸と。対象となる情報は、政府保有情報の中でも特に国家として厳格に保全すべき情報に限定すべきだろうと、これも丸だと。対象となる民間事業者は政府が指定した重要情報の共有を受ける意思を示した者に限定するべきだと、これも丸と。国としての必要性に加え、企業側のニーズにも考慮するべきだと、これも反映されています、丸ですと。そして、相手国から信頼されるに足る、実効性のある制度を志向してほしいと、下位法令等を注視をしていきますと。まあ百点の回答ですよね。
なかなか、いろんな団体がいろんなことを要望して法案を作っていこうとしても、百点の回答が出ていくようなことはほとんどないんじゃないかという視点を持っているわけですが、その中で、あえて、いろいろちょっと質問をしないといけませんので質問させていただくとすると、セキュリティークリアランス法案について、当該情報の共有を受ける意思がない者まで対象とすることは好ましくないと、こういうふうに経団連の基本的な考え方があるわけですけど、どのような企業がそういう意思はありませんよというようなものとして想定してこの法案を作るときに考えられたのかと。
また、政府が指定するというわけでしょう。これ、政府が、じゃ、はい、あなたのところは是非クリアランス法案に該当するこの情報を共有してほしいんだというふうに認定をしていくわけですが、じゃ、その政府が指定していただいているにもかかわらず、いやいやいや、うちはいいです、そんな必要ありませんというような企業があったとしたら、せっかく政府があえてあなたにそういう指定をしようとしているのに、そのあれを断るのかと、ああ、そうかというような、私だったら心が狭いのでそういう気になるんですが、そういう企業に対しては何か不利益を被るような何か気がするんじゃないかと。気が弱い企業は、いや、もう政府から言われたら、もうもう別に要らないんだけれども、しようがないかなと思ったりとか、いろんなことがあるんじゃないかと思うんですけど、そういうのも多分議論されながら法案作っていると思うんですけど、今のような状況はどのような法案作成の議論があったかを教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/237
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238・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) 本法案において規制の対象となる適合事業者は、政府が保有する重要経済安保情報の共有を受ける意思を自ら示し、政府と秘密保持契約を結んだ事業者でございます。
一般的に、このような契約を締結して従業者に適性評価を受けさせることが自社の利益にならないと判断した事業者は秘密保持契約の締結に応じないということが想定されます。現時点で具体的にどのような企業が情報の共有を受ける意思がない企業であるかということを申し上げるのは難しいのですが、そういうことでございます。
この行政機関、ちょっと、ちょっとだけ繰り返しになるんですが、適合事業者は、政府が保有する重要経済安保情報の共有を受ける意思を自ら示し、行政機関と契約を締結して情報の共有を受けるのでございますから、共有を受ける企業を政府の方が指定するということはございません。
また、この重要経済安保情報の提供を受けて従業者が適性評価を受けることが自らの利益にならないという経営判断をする事業者には、この秘密保持契約の締結に応じない自由がございます。契約を断った企業に行政機関が契約締結を強要したり、また、契約を断ったことを理由として不利益な取扱いをすることが許されないというのは当然でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/238
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239・大島九州男
○大島九州男君 いやいや、おっしゃるとおりですよ。
だから、当然のごとく、それを望む企業がお願いをしてくると。当然、その企業は、自分の利益、自分というか会社の利益になるからそれをお願いしていくと。もうまさしく経済界の要望で動いている法案だというのは、そういうことを言っているわけですよね。
我々、いろいろ担当とレクをしていったりとかしていると、まあいろんなことをおっしゃるんで、だから私が、いやいや、政府が指定するというふうに言うから、いや、それはおかしいだろうと。御本人というか、企業が望んで、そして政府が、あっ、じゃ、あなたのところはそうやって認めましょうという法案の立て付けだよね。だから、その確認で今質問したんですけど、その理解でいいということでいいですね。
で、参考人から、いろんな視点で質問をやり取りするのを聞いていて、齋藤参考人という弁護士の参考人の方が、いやいやいや、今、既存のある制度で十分対応できるんじゃないんですかと。だから、秘密保護法があり、そして経済産業省が持っている既存の制度で十分対応できるんじゃないかというふうにおっしゃったので、ちょっと確認をさせていただいたんです、その既存の制度って何ですかということで。
それで、経済産業省に来ていただいていますが、そこでおっしゃった既存の制度というのはこういうものだろうというので、どういう制度かというのを教えていただければ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/239
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240・吉田宣弘
○大臣政務官(吉田宣弘君) 委員御指摘のあった、五月七日の参考人質疑で齋藤参考人が言及されたものだと承知をしております。
経済産業省の制度でございますが、産業競争力強化法に基づきます技術情報管理認証制度のことであると考えております。当該制度は、企業自身が保有する技術情報を対象とし、企業が行う情報セキュリティー対策を国の認定を受けた機関が審査、認証する制度でございます。
この制度の目的は、企業の技術情報の流出を防ぎ、その企業の競争力の維持やサプライチェーンの安定などを目指すものでございます。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/240
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241・大島九州男
○大島九州男君 ということは、これは、企業が持っている技術とか、そういう企業での、企業内での特定秘密のような重要なものをちゃんと守れるような仕組みを持っているところですという、そういう理解でよろしいですね。
で、ということはですよ、今回このセキュリティークリアランス法案で大事に守らなきゃいけないのは国の情報ですよね。だから、国の情報で、外交とか防衛とか、ほとんどそういった軍事に関わるとか外交の関係で経済界云々というのは、為替とかそういうことはあるかもしれませんけれども、一般的にはそういう軍事関係、先ほど井上先生の話にもありましたけれども、防衛、軍事というような情報だと。それをその企業が活用しようとするときに必要な法案じゃないかというふうに理解するんですが、経済産業省の見解はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/241
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242・吉田宣弘
○大臣政務官(吉田宣弘君) 今御審議いただいています本法案でございますけれども、セキュリティークリアランス制度、これは第一義的には、委員おっしゃったとおり、政府が保有する安全保障上の重要な情報の保全制度の一環であるというふうに理解をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/242
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243・大島九州男
○大島九州男君 経団連は当然経済産業省との連携が深いわけですから、政務官はそこの担当でしょうから、経団連から、この法案の作成に関わるような、似たような要望というのをお聞きになったことあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/243
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244・吉田宣弘
○大臣政務官(吉田宣弘君) お聞きさせていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/244
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245・大島九州男
○大島九州男君 いやいや、だから、当然だと思うんですよ。当然、経済界は、グローバルなところに出ていく、そして、外国企業と並ぶためにはこういう法案をしっかり作ってほしいんだと。それはもう、まず一義的には経済産業省に持っていくわけですよ。それで、経済産業省がいろんな部分で、じゃ、こういうような法案の立て付けが必要だよねと、じゃ、これはどこでいくかといったら、じゃ、これは内閣委員会でやっていただこうかと。そこのところ、大臣は、私の視点はもう何度も言っていますから、そういう一義的な、副次的じゃなくて一義的な部分がこうなっているという認識ですけど、まあ同じ答弁になるかもしれませんが、じゃ、ちょっと一回聞かせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/245
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246・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) 今の大島委員のお話どおりでいきますと、経済産業省から私が頼まれて法律案を御提案しているかのように聞こえてしまいますが、決してそうではございません。そこは御理解くださいませ。
ただ、セキュリティークリアランス制度に関する有識者会議には、学者の方々、また労働界を代表して連合の代表の方、そしてまた、経団連、日本商工会議所、経済同友会など、経済界の方々にも入っていただいて議論をいたしました。一義的には、国の情報保全制度の強化が目的でございます。ここは変わっておりません。
ただ、本法案によって民間の方々がクリアランスを得る機会というのが広がっていけば、この政府レベルの国際共同研究への参画ですとか、あと外国政府による調達への参加も広がって、また民間レベルもお互いの国で自国と同等の情報保全制度があるということが信頼のあかしともなりましょうから、民間レベルのこのニーズにも資する、BトゥーBでも効果を発揮していくということは期待されると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/246
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247・大島九州男
○大島九州男君 いやいや、大臣、おっしゃるとおりなんです。だから、私がいつも言っているのは、一義的、いや、その経済界の発展のためにこういうものをつくっていくんですと、そして、当然そのためには、国の外交、防衛に関わる特定秘密よりはちょっと軽いこういった情報を提供するということも必要になるので、こういう法案が必要なんですと言われたら、私はすとんと腹に落ちると。ところが、外交、防衛の、で、副次的に何かここの経済発展があるんですよというように言われるから何かすっきりしないというのが私の思いであるわけでございます。
まあ人それぞれ受取がありますから、私自身がそういうふうに受け取っているということなんですが、経団連の要望、そういったものを反映していく。なお、ここに、国内既存制度との整合性を確保することが先決であって、その範囲内で諸外国の制度との機能的同等性をできる限り確保をしてほしいという、こういう要望の意見があったんですけど、このことというのは、ちょっと私も余り理解が進んでいないんですけど、どういうことを経団連としては言っていると理解したらよろしいんですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/247
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248・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) 経団連のおっしゃる国内既存制度というのは、特定秘密保護法を指すと考えられます。本法案も特定秘密保護法も指定要件を満たす情報を行政機関の長が指定した上で、保護措置を講じて厳重に管理する仕組みとなっております。
その上で、本法案では、重要経済基盤保護情報であって、公になっていないもののうち、漏えい時に安全保障に支障を与えるおそれがあるものを保護の対象にしておりますが、概念上は漏えい時に安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるものも含まれますので、この重要経済安保情報の指定対象から特定秘密に該当するものを除くこととしました。これは、両制度が重複して適用されることのないようにしております。
また、適性評価という観点からは、特定秘密保護法の方がより機微度が高い情報の保護を念頭に置いたものでございますので、特定秘密保護法の適性評価で漏えいのおそれがないと認められた者であれば、特定秘密の取扱いの業務を行える期間、五年間に限り、本法案の適性評価を受けずとも、同じ行政機関においては重要経済安保情報の取扱いの業務を行えるということにいたしております。
経団連の御指摘に対するお答えは以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/248
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249・大島九州男
○大島九州男君 じゃ、それは分かりました。
で、その範囲内で諸外国の制度と機能的同等性をできる限り確保してほしいという、ここをちょっと御説明お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/249
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250・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) 本法案を諸外国に通用する制度としていくということだと受け止めております。これにつきましては、運用面も併せて考慮した場合、諸外国から、自国が提供する秘密情報について、日本においては自国と実質的に同等の保護が与えられていると認められるものにする必要があると考えております。本日の委員会でも答弁をさせていただきましたけれども、諸外国でも求められる基本的な事項についてはしっかり法律案に書き込ませていただきました。
本法案をお認めいただきました暁には、関係政令、運用基準などのルール、その実施体制を速やかに整備をしまして実効的な運用も確保いたしますし、また、諸外国に対しても必要な説明を尽くしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/250
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251・大島九州男
○大島九州男君 すっきりするといえば、海外では、トップシークレットとかシークレット、コンフィデンシャルを一つとして扱っているわけでしょう。今回、日本のように、特定秘密のまたこの下にこのセキュリティークリアランスというふうに、じゃ、分ける必要性はあるのかなと。だから、ここが一つ、どこでその線を切るのかというのは非常に難しいんだと思うんですよ。
だから、ここら辺の整合性というか、この運用基準というのはどういうふうに考えているのかなというのを教えていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/251
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252・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) 特定秘密保護法は、この同法の別表に掲げる事項に関する情報であって、公になっていないもののうち、漏えい時に安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるものを特定秘密としております。トップシークレット級及びシークレット級の情報を対象としております。本法案では、重要経済基盤保護情報であって、公になっていないもののうち、漏えい時に安全保障に支障を与えるおそれがあるものを重要経済安保情報として保護の対象としております。この指定対象からは特定秘密に該当するものを除くこととしておりますので、重複することがなく、コンフィデンシャル級の情報を対象としております。
特定秘密と重要経済安保情報の指定要件はそれぞれ法律上明確に定義されていると考えておりますので、今後、両者共に運用基準を作成又は見直しをすること、これを検討しまして、これらに基づいて各行政機関が要件該当性を適切に判断できるようにしてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/252
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253・大島九州男
○大島九州男君 法律で明確に分けて分かるようにしてあるというんだから、だから、この委員会でいろんな質問が出たときに、いや、これはこういうことが想定されるとか、こういうところがそこに当たるとかいうようなことは十分分かって臨んでいると思うんですよ、法案を作っているわけだから。しかし、いや、それは今後運用でとか政令でとか言うでしょう。だから、これ幾ら質問しても深く進んでいかないんですよ。
だから、本来なら、今日の採決を迎えるに当たって、いやいや、まだ審議の時間が足りないと、十分審議してほしいと言いたいんですけど、審議しようがないから言えないなという話を私は思うわけですよ。理事会でも言いたかったけど、言えない。なぜか。だって、答弁が何か細かいところまで入っていけない、質問できないような状況になっているということが非常にジレンマなんですね。
この法案を作成するに当たって、いろんな人の声を聞いたとおっしゃいました。当然、中小・小規模企業の声を聞いたというふうにおっしゃると思うんです、日本商工会議所とかね。でも、結局その会議に出てくる人たちというのは、本当の中小、本当のという言い方はよくないですね、地方で頑張っていらっしゃる一般的な中小企業の声はほとんど関係ないと思うんですよ。
だから、今言う大手大企業の、海外との連携をしている、そういったところに縁のある中小・小規模企業、それはそれで悪いとは言わないんですけど、現実に本当にそういう小さい企業のこういう声聞きましたというのがあったら教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/253
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254・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) 個別にスタートアップ等のお声も伺っております。これは、有識者会議におきましても匿名を条件に企業に来ていただいたりしていたんですが、事務局におきましても、また私自身におきましても、割と小規模の事業者、特にスタートアップの方とお会いしてヒアリングを続けてまいりました。
例えば、もう公開されている資料ではございますけれども、宇宙分野で海外政府からの入札に際してセキュリティークリアランスを保有していることが説明会の参加要件になっていたということで、セキュリティークリアランス制度を期待されるお声をいただいたのはスタートアップでございます。また、将来の顧客となり得る外国政府機関と意見交換しても、現地でセキュリティークリアランスを保有している自社の社員が対応した内容について日本本社には共有されないといったお声も伺いました。
しっかり中小・小規模の事業者のお声も伺った上で立案をさせていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/254
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255・大島九州男
○大島九州男君 改めて経済産業省にお伺いをしたいんですけど、今大臣が、小規模、中小・小規模の事業者の話も、そしてスタートアップの話も聞きました。当然、それは防衛、宇宙に関する部分のところは当然そういう声がある、それはもう十分理解するんですけど、総体的に、経済産業省として、経団連の要望をこれだけ、忠実にとは言えませんね、これだけ要望をかなえてあげている法案に対しては、経済産業省の見方としては大変いい法案だという、そういう判断でよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/255
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256・猪狩克朗
○政府参考人(猪狩克朗君) お答えいたします。
今、高市大臣からもお話、答弁いたしましたとおり、経産省といたしましても、本法案につきましては、中小企業を含めた日本の企業に裨益する制度であると考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/256
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257・大島九州男
○大島九州男君 せっかく政府参考人さんが御答弁をいただいているので、もうちょっと、じゃ、細かいこと聞いてもいいですかね。
経団連のいろんな要望は、経済産業省に、度重なる何度も意見交換とかそういった懇談というのは相当数やられたという、そういうことでよろしいですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/257
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258・猪狩克朗
○政府参考人(猪狩克朗君) お答えいたします。
まず、本法案の検討に当たりましては、所管省庁でございます内閣官房が政府を代表しまして、経団連も含めまして中小・小規模企業も含めた様々な企業との意見交換において御意見を伺っているものと認識してございます。
もちろん、経済産業省としましても、経団連からも含めて御意見は承ってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/258
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259・大島九州男
○大島九州男君 私の視点は、正直言いますと、小規模、中小の声を聞く、そういった今の政府の姿勢はちょっと足りないんじゃないかと。これは、インボイスの制度であったりとかそういう制度、まさに大企業には非常に優しいけれども中小零細には非常に厳しい政府の姿勢の流れを、受けてとは言いませんよ、受けてとは言わないけれども、大企業の声を本当にすうっと代弁して言っているというような、そういう政府の姿勢を非常に感じるという法案であるという思いをずっと持っているわけでありますが。
最後にもう一度高市大臣に、副次的というふうにおっしゃるけれど、これはもう本当に、こう順位を付けるとあれですから、じゃ、並列的ぐらいの部分の経済界の効果のある法案であるなというぐらいの認識を持つ私の見解について、大臣の見解をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/259
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260・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) 大島委員の見解もすばらしいと思っております。
でも、やはり日本企業も日本政府も信頼を得て諸外国と様々な共同活動をしていくということを考えますと、情報保全制度がちゃんと自分の国と同じようなレベルのものが日本に整備されているんやということが大事なんだと思います。だから、それが信頼関係を深める、政府間の協力も深める、ひいては、その政府同士で合意した国際共同研究があったとしたら、そこに参加しはる民間企業のメリットもある、それから、やはり同じレベルの情報保全制度を日本はちゃんと整備したなということをもって、BトゥーBでも民間企業が、日本の民間企業が信頼される、そういった様々な効果があると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/260
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261・大島九州男
○大島九州男君 最後にしますが、そういう部分は私は否定はしないんですよ。だから、それが個人のプライバシーや人権を阻害するような変な方向へ流れていくようなことはやめてほしいと。だから、そういう懸念を皆さんが持っているわけだから、こういう国会の委員会質疑の中でそれを本来なら払拭する、そういった答弁が欲しいわけですよ。ところが、いや、これは後から政令で決めますとかこうやって決めますとか言うから、もう全然すっきりしていかない。
だから、本当に今、大臣がおっしゃる、そういう前向きな非常に明るい、この日本の将来発展につながっていくような法案なんだというふうに、光が当たっていれば必ずそこに影ができる、その影に対してもちゃんと政府は光を当てているんですよというような答弁をやって、そしてこの法案を作っていくというのが本来あるべき姿じゃないのかということ。だから、今まで各先生がずっとおっしゃったことも多分そこに尽きていると思うんですよ。
だから、答弁の中身を、しっかりと国民が納得するそういう答弁であったら、このセキュリティークリアランス、ああ、本当にこれから日本のためになるな、将来の光が差すな、外国と並べてグローバルな社会、日本は今後、こうおっこっているところがこれは上がっていくぞというふうな法案にしてもらいたかったということでありますが、この質疑の中ではそれがかなわなかったので、今後の運用の中でしっかりそういうことをやっていただくことを要望して、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/261
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262・阿達雅志
○委員長(阿達雅志君) 午後四時に再開することとし、休憩いたします。
午後三時三十四分休憩
─────・─────
午後四時開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/262
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263・阿達雅志
○委員長(阿達雅志君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案外一案の審査のため、本日の委員会に、環境省大臣官房政策立案総括審議官大森恵子君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/263
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264・阿達雅志
○委員長(阿達雅志君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/264
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265・阿達雅志
○委員長(阿達雅志君) 休憩前に引き続き、重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案及び経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
これより内閣総理大臣に対する質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/265
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266・広瀬めぐみ
○広瀬めぐみ君 自由民主党の広瀬めぐみでございます。
今日は採決ということで、大分審議も煮詰まってきたと思います。個人の情報の保護や知る権利の保護ということもしっかりと担保しながら、このクリアランス制度が十分に機能していくことを期待しております。
まず、総理に、指定される秘密の範囲と関連してお聞きしたいと思います。
重要経済安全情報のセキュリティークリアランス制度は、特定秘密保護制度と連続したシームレスな活用を前提にしているということで、秘密指定される情報は政府が保有する情報に限定されるとなっております。ただ、政府が保有する情報に限定すると、実際の運用を考えたときに秘密の指定ができる範囲が狭くなってしまって、日本企業の国際展開を円滑化するという本来の制度趣旨が達成できないのではないかという懸念もかなり散見しました。
民間に由来する情報であっても、政府がこれに付加価値を付ければ、全体を政府情報として秘密指定することができるとされていると思うのですが、例えば宇宙やサイバーといった領域であれば、防衛装備品以外であっても、政府がこれを作ってほしいとか、そう言って調達する案件があると思うので、民間由来の情報に政府のニーズという機微情報が加わって秘密指定をされ、クリアランスホルダーが増えることによって国際協力が可能になるということがあると思います。
しかし、それ以外のAIや量子などの分野は、先ほど高市大臣からもKプログラムのお話がございましたが、研究開発に政府が資金提供をすることはあっても、直接調達をすることは余り想定されていないのではないかと思います。そうなると、先端技術の分野における秘密指定が増えなくて、本来の制度趣旨が十分実現できない可能性があると、そういう懸念でございます。
この点、アメリカでは、政府資金の提供を受けた委託事業者や委託研究者が秘密情報を自ら生成し得る場合があることを想定して、そうした情報を秘密指定する例外的な手続が大統領令で定められているということですが、日本にもそうした機動的な運用、制度が必要ではないでしょうか。
十条二項、そして技術認証管理制度といったものも先ほどお話がございましたが、もっといち早く秘密指定をして情報流出を防ぎ、公正な国際協力に結び付けるために、クリアランス制度の拡充という観点から総理のお考えをお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/266
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267・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) アメリカとの比較ですが、御指摘のように、これ米国においては、情報指定の権限を持たない者が自身が情報指定が必要だと信じる情報を生成した場合、その情報は権限を有する行政機関に速やかに伝達されなければならない、このようにしており、伝達を受けた行政機関は三十日以内に指定の要否を決定しなければならない、こういったルールが定められている、御指摘のとおりでありますが、これ、一方、本法案においては、そのように民間事業者に情報の提出を義務付けるという仕組み、これ、民間事業者や、新たな義務付けを行う、こういったことに、こういったことを伴うものになる、こういったことからそういった方式は採用していない、これが現状であります。
民間事業者の保有情報については、有識者会議の最終とりまとめにおいても、国が一方的に規制を課することは民間活力を阻害する懸念もあることに留意が必要である、あるいは、政府として、民間事業者等が真に必要な情報保全措置を講ぜられる環境を整えていけるよう、明確な指針等を示していくことの妥当性も含め検討を進める必要がある、こういった御指摘をいただいています。
こうした民間保有情報の取扱いについては、この本法案のような政府が保有する情報の保全制度ではなくして、不正競争防止法あるいは外為法、こうした法律による保護、管理を含めた検討が必要である、必要な課題であると考えています。
有識者会議における御指摘、今の御指摘、紹介させていただいた指摘も踏まえて、今後検討を行ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/267
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268・広瀬めぐみ
○広瀬めぐみ君 どうもありがとうございました。是非検討をお願いしたいと思います。
二問目は高市大臣にお聞きしたいと思います。
今、一問目で、民間由来の情報であっても政府のニーズで機微度が上がれば秘密を指定されるということでしたが、そのような形で民間の大切な情報が保護されていくのはよいと思うのですが、さらに、民間の力を活用するという意味で、例えば、プロジェクトに参加できなくても、契約が受注できなくても、大切な情報を得てもっと良いものをつくりたいとか研究を深めたいという意図を持っているスタートアップや中小企業の方々がたくさんいらっしゃると思います。
まさに、このセキュリティークリアランス制度創設の契機になった産業界からの要請は、国際会議に参加したいがクリアランスがないので断られたということだったとも思うのですが、このような需要を踏まえて、ライセンスが欲しいという民間の方々に対して、クリアランスとまではいかなくても、何らかのチャンスを付与して、研究活動や国際的な活動を深めてもらうことはできないのでしょうか。
そのような意味での官民連携を拡充していくための制度や運用をお考えであれば、教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/268
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269・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) 本法案では、望めば誰でも適合事業者になれたり適性評価を受けたりすることができるという制度とはしておりません。十条一項では、適合事業者を、我が国の安全保障の確保に資する活動を行う事業者であって、そのような活動の促進を図るために行政機関が保有する重要経済安保情報を利用させる必要があると認められる場合に限定しております。
他方で、例えば民間企業からの呼びかけによって政府とのプロジェクトを開始した場合において、それが重要経済基盤の脆弱性の解消や重要経済基盤の革新的な技術に関する調査及び研究などに該当する場合には我が国の安全保障の確保に資する活動と位置付けられることになり、それを契機として、本法案に基づいて当該民間企業が適合性の判定を受けることや、プロジェクトに従事する者についてこの適性評価が実施されるということはあり得ると考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/269
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270・広瀬めぐみ
○広瀬めぐみ君 どうもありがとうございました。
三問目も高市大臣にお聞きします。
国内のクリアランスはそのまま海外で通用するわけではなくて、アメリカはアメリカで、日本は日本のみでクリアランスを持つのが基本になっていると思います。政府間を通じて情報の共有が行われることになると思うんですが、一問目でもお聞きしましたけれども、政府による調達が余り想定されていない先端分野、AIや量子といった分野では日本企業がアクセスできるルートが少なくなってしまって、重要な経済安保情報における国際協力が困難になるのではないかという懸念もあると思います。
一問目とかぶってしまう部分がございますが、AIなどの先端技術分野で機動的に国際協力を拡充するための方策がおありでしたらば教えていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/270
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271・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) まず、本法案をお認めいただけましたなら、政府調達に限らずとも国際協力の進展を期待できると考えております。
例えば、政府間の合意に基づく国際共同開発などにおきまして、我が国の企業が外国政府によってコンフィデンシャル級として秘密指定されている情報にアクセスする必要がある場合には、我が国の行政機関が、当該外国政府から当該情報の提供を受けて、当該情報を重要経済安保情報に指定し、適合事業者の認定やその従業者の適性評価を行った上で当該企業にその情報を提供することができますので、国際共同開発がより円滑に進むことが期待できます。
また、重要経済基盤に関する革新的な技術に関する調査及び研究に資する活動を行う事業者等であれば、適合事業者として重要経済安保情報の提供を受けることができることとしており、政府調達と関わりなく国際協力を進めるために活用していただくことが可能でございます。
こうした国際協力の取組の前提としては同盟国、同志国との間の相互の信頼関係が不可欠でございますので、本法案をお認めいただきました暁には、本法案の運用面も含めて、同盟国、同志国に対する説明をしっかりと行ってまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/271
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272・広瀬めぐみ
○広瀬めぐみ君 どうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。
時間が来ましたので終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/272
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273・鬼木誠
○鬼木誠君 立憲民主・社民の鬼木誠でございます。
総理来ていただいておりますので、本法案にも通底をいたします政府の責任ある対応という観点から、今回の環境省の一連の対応についてお尋ねをしたいというふうに思います。
言うまでもなく、水俣病は、公害対策基本法の制定、そして当時は環境庁ですね、の設置の起点となった、我が国における公害対策の原点であるというふうに認識をしています。その水俣病患者の皆さんとの懇談の場において、不適切を超えて、私は、あってはならない、そして許し難い対応が行われたというふうに思っておりますけども、まず、総理としてこの今回の問題に対してどのような見解をお持ちであるのか、お聞かせをください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/273
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274・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 今般の環境大臣と水俣病関係団体の皆様との懇談会における環境省の対応については、関係者の皆様方を不快な思いにさせる不適切な対応であると強く認識をしております。
環境大臣、昨晩、現地に再び足を運び、関係者の皆様方に面会をさせていただき、謝罪をさせていただくなど対応したわけですが、先ほどそれについて報告を受けました。それに対し、私の方からは三点、この環境大臣に対して指示をいたしました。
まず一点は、この懇談会での環境省の対応、これは不適切なものであり、今後二度と再発しないよう、これ厳重に注意してもらうということ。そして二点目として、昨日、関係団体の方々から懇談の場を改めて設けてほしいという要望があったという報告を受けたわけですが、是非この懇談、やり直しをすることとし、もう一度開催する方向で関係者の方々と調整を図る、そして、その際、丁寧に意見を聞けるよう、運営の仕方、よく検討するということ。そして三点目の指示として、委員御指摘のように、水俣病対策の推進、これは環境行政の原点と言っていい重要な柱であると認識をしております。伊藤大臣が先頭に立って、関係団体の皆様を始め関係者の皆さんに寄り添った対応を行っていくことを含め、これ、しっかりと対策を進めてもらいたいという点、三点指示を出したところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/274
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275・鬼木誠
○鬼木誠君 環境大臣先頭に立って行っていただきたいという御発言ありました。大臣が事務次官と部長を厳重注意をしたということについては報道で知っているところでございますけども、大臣、その場にいらっしゃったんですよね。その場にいらっしゃったということは、私は大臣の責任が一番重たいと、大きいというふうに思っています。
この大臣の責任について、大臣の処分も含めて総理の考え、いま一度お願いをしたいと思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/275
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276・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 環境省の処分については、詳細、具体的には環境省にお問合せいただきたいと思いますが、伊藤大臣については、現地の状況について様々御指摘がありますが、その状況も踏まえた上で、私として先ほど三点指示をいたしました。この三点を含めて職責をしっかり果たしていただきたいと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/276
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277・鬼木誠
○鬼木誠君 私は不十分だというふうに思います。当事者の皆さんの怒りの声、それから無念の思いというのは、新聞報道等でも今日たくさん流れていました。改めてそれらの声についてしっかりと受け止め直しをしていただきたい。その上で、処分も含めて再検討いただくことを重ねてお願いをしておきたいというふうに思います。
それでは、本法案についてに移らさせていただきます。
適合事業者の選定や情報指定の在り方について、審議会でも、この場でも審議を重ねてまいりました。私、感じているのは、自民党の裏金問題に端を発して企業・団体献金が政策をゆがめているんではないかと、そのように思っている国民の皆さんたくさんいらっしゃる。そういう国民の皆さんからこの法案を見たときに、あっ、また企業献金によって政策、法律というものがゆがめられるんではないか、いわゆる恣意的な情報指定や恣意的な企業選定がなされるんではないかと、そういう懸念の声、大きいんではないかというふうに思っています。
政府から情報提供の働きかけを得るために献金を多くする、いわゆる献金の多寡によって選定が決まっていくんではないか、あるいは献金している企業にクリアランスを与えるためにその企業にとって都合のいい情報を指定をするのではないか、あるいは選定を望む企業から情報提供を受けて分析、加工を少し加えて、恣意的に政府保有情報をつくるんではないかと、これやろうと思えばできると思うんです。
政府は特定の企業に優先的にクリアランスを与えることができる、そういう法の作り付けになっている。このような事態を排除をするためには、やっぱり統一的なルールを作る、そして省庁にそのことを徹底するだけでは足りないと思うんですね。改めて、チェックを行うためにも、政府の外にそのような制度や仕組みというものが機能していなければならない。抑止や検証を行うためにもそのようなことが必要ではないかと。
そういう制度や仕組みについての見解、そして具体的な検討状況があれば、是非お聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/277
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278・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、この法案に基づいて政府から重要経済安保情報を提供されることになる企業とは、第十条一項に規定するとおり、我が国の安全保障の確保に資する活動の促進を図るために、行政機関が保有する重要経済安保情報を利用させる、この必要があると当該行政機関が認めた事業者であります。
そして、実際、そのようなこの情報提供の前提として、これ、重要経済安保情報の利用場面を生じさせる調達契約ですとか委託契約、これを行う際に、この各行政機関における通常の入札あるいは公募等のプロセスを通じて調達契約等の相手方は適切に選ばれる、こういった仕組みになっています。御指摘のように企業献金の多寡でこれが決まるというものではないと認識をしております。
そして、そのチェックの仕組みということについて、これ情報提供先が恣意的で決められることがあってはならない、これは当然のことであります。この点、本法案第十八条で、各行政機関における適合事業者の認定が運用基準に従って行われているかどうか、これを内閣総理大臣が監督をし、必要であれば勧告を行うことができるものにしている、こういったこの法の仕掛けになっています。
是非、これ適用に、運用されるよう徹底をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/278
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279・鬼木誠
○鬼木誠君 御回答いただきましたけど、私はやはり恣意性が入り込む余地がある制度だというふうに思っています。是非、注意深く今後の運用状況について見させていただきたいというふうに思います。
最後に、労使協定についてお尋ねをしたいというふうに思います。
労使協定について、この間、この委員会の中でも多くの質疑がされたというふうに思いますが、反対する声、これ企業側だけなんですよね、労使協定に反対をしているのは。つまり、不利益な取扱いを行おうとする側が、あるいは行うかもしれない側が反対をしている、そういう状況だと思っています。
今日の委員会の中でも、反対する声として、法律での義務付けは絶対にやるべきではない、必要な事業への参画は明らかに経営判断だというような声が紹介されました。こんなことを言う経営者がおるから僕は信用できないというふうに思っているんです。
不利益が生じるかもしれないから政府として様々な御検討をいただいた上で防止措置を、抑止を図ろうとされてきただろうと思うんですね。適合事業者になっても労働者に一切の不利益は生じさせない、この当たり前のことを約束できない、そんな企業、信用できますか。約束できないということは、やるかもしれないと言っているのと同じだと思うんです。ひょっとしたら不利益あるかもしれないよというふうに言っているのと同じ。
だったら、やっぱりしっかり約束をさせて、義務化をして、労働者に一切の不利益は生じさせないんだということを政府としても責任を持って後押しをする、そのようなことが必要だというふうに思います。
労使協定の義務付けについて、総理の見解を是非お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/279
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280・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、御指摘のとおり、これ、適性評価の結果等に係る人事上の不利益取扱いを含む目的外利用の禁止を担保する、これは大変重要な考え方であると認識をいたします。
そのため、今後閣議決定する運用基準において具体的な禁止行為を明示した上で、禁止規定の遵守を行政機関と適合事業者との契約などでも求め、仮に悪質な違反行為が発覚した場合には契約を解消することがあり得る、こうしたことを明確にすることも検討してまいります。
そして、御指摘の労使協定ですが、これ、有識者会議でも大変様々な議論が行われました。議論の結果、この締結を一律に義務付けることは慎重でなければならない、このように考えているところでありますが、これ、他方で、不利益扱いを防止する観点から何が可能か、これは検討してまいりたいと考えています。
この点、個々の企業によって事情は異なると思われますが、可能な限り労使間でしっかり話し合っていただくことが望ましいと考えており、義務付けまではしないにせよ、これ運用基準などの中で労働組合の関与などについて示すことができないか、こういった検討はできるのではないか、このように考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/280
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281・鬼木誠
○鬼木誠君 時間が参りました。
政府として強い責任を持って働く者を守っていただくことを再度強く要請をし、質問を終わりたいと思います。
よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/281
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282・宮崎勝
○宮崎勝君 公明党の宮崎勝です。よろしくお願いいたします。
本法案についての主な論点はこれまでの審議の中でほぼ出ているというふうに感じております。その上で、細かな運用については、今後、政令や運用基準などに委ねられているというところがたくさんあるわけでございます。
先日の参考人質疑におきましても、法案に賛成する立場の経団連の参考人からも、今後、運用基準など下位法令を注視するという発言が繰り返されたところでございます。この法律を活用する立場の民間企業も今後の運用がどうなるのかについて関心を持っているということを感じたところでございます。
そこで、総理に対する質問としてはちょっと細かくて恐縮でございますけれども、ちょっと何点かお伺いさせていただきたいと思います。
一つは、企業等の研究開発の実態を踏まえた運用の在り方ということでございます。本法律案においては、クリアランスの申請については基本的に企業に所属する者に対して行われるものと承知しておりますけれども、研究開発の実態に応じた対応が求められていると思います。
例えば、研究や技術開発に当たって、企業や団体、学術組織、研究者等がグループを組むことが想定されます。その際、協議会を立ち上げるなど組織体が構成された場合、クリアランスの申請はどの単位で行うのか、誰が名簿を整備することになるのか、また個々に審査を実施するのか、それとも共通で実施をするのかなど、課題が想定されるところであります。
これらの研究開発の実態を踏まえた整理を行って、実態を踏まえた運用にすべきというふうに考えますけれども、総理、御見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/282
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283・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 委員御指摘のように、組織体が構成されるなど、この実態を踏まえた運用をしっかりと考えておくことが大事だという点、これは重要な指摘だと思います。
本法案において、民間人に対する適性評価は行政機関と契約を締結した適合事業者の従業者として重要経済安保情報を取り扱うことが見込まれる者、これが対象となるとされているわけですが、御指摘のような組織体を形成する場合、この組織体が適合事業者としての基準を満たし行政機関との契約主体となる場合には、当該組織体を構成する企業等との調整を経て適性評価対象者の名簿をこの組織体が行政機関に提出する、こういったことが考えられると思います。
いずれにせよ、様々な実態等に適切に対応できるよう、具体的なこの対応についてしっかり検討を行ってまいりたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/283
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284・宮崎勝
○宮崎勝君 実態を踏まえた対応ができるようにしていくということでございました。
それからもう一つ、本法律案の制定に当たっては、セキュリティークリアランスホルダーが海外に出て、そして海外の会議に出るとか、あるいは海外の企業等と打合せを行うということを中心に議論がなされているというふうに感じております。一方で、今後、日本に、我が国にクリアランス制度ができた場合、逆に、クリアランスホルダーを我が国に招いて会議を開くという、あるいはホルダーのチェックをして、そしてプログラムを発動するなど、我が国主体のそういう会議などを開催する場合の議論ということが余りこれまでなされていないのではないかというふうに思っております。
例えば、日本でクリアランスホルダーに限定した会議を開く際に、どのような形で案内をするのかとか、あるいはどのようなフローで、またどういったところに配慮をすべきかといったことをガイドラインなどの形で明示すると、あるいは政府とそうしたこの相談、政府において相談体制を設けるといったことも必要ではないかというふうに考えるところでございます。
こうしたことについて、政府の現段階での整理や、またこの体制について、もし考えがございましたらお考えをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/284
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285・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 御指摘のようなクリアランスホルダーに限定した会議というのは、まずその会議において実際に重要経済安保情報を取り扱うことが見込まれる会議であると思われます。また、その参加者としては、我が国の行政機関による適性評価により情報を漏らすおそれがないことを認められた者又は外国政府により同等のレベルのクリアランスを与えられた者、こうした者であると考えられます。
その際に、それぞれの参加のクリアランスの保有の有無について、その認定を行った行政機関又は外国政府に確認できるのは、これ民間企業ではなくして行政機関のみであります。このため、国内においてこうした会議は行政機関の主催により開催することが基本になると考えます。その上で、主催する行政機関はその他の行政機関との間で、また外国との関係においては外国政府との間で会議出席者がクリアランスホルダーであることを確認する仕組み、これが必要になるものと考えます。
こうした論点については、衆議院における附帯決議においても御指摘をいただいているところです。今後、諸外国の事例も踏まえつつ、具体的な在り方、この検討をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/285
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286・宮崎勝
○宮崎勝君 是非、御検討の方、よろしくお願い申し上げます。
次に、今回の制度はあくまでも政府が保有する情報が対象であって、民間が保有する情報については基本的に既存の外為法であるとか不正競争防止法等により対応するという、そういう整理になっているというふうに承知をしております。
一方、今後、企業の側から、企業が所有する特許などを含めた情報を政府に提供してこれを政府に保持してほしいといった要望が出た場合はどのような対処になるのか、また、その際の特許について本法律が適用対象になるのかどうか、そうしたことを整理しておく必要があると考えますけれども、それについての御見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/286
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287・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 本法案は、政府が保有するこの経済安全保障分野における機微度の高い情報を対象するものです。民間が元々保有していた情報は基本的には指定対象とならない、このように考えます。ただ、仮に委員御指摘のような要望があった場合、これは、そのようなこの本法案の規定や趣旨について丁寧に説明して御理解いただくこと、これが重要だと考えております。
御指摘のあったような、民間が保有する情報の取扱いについては、本法案のような情報保全制度ではなくして、不正競争防止法や外為法による保護、管理を含めた検討が必要な課題である、このように認識をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/287
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288・宮崎勝
○宮崎勝君 ありがとうございます。
最後の質問ですけれども、この法律案の審議に当たりましては、恣意的に秘密が指定されるのではないかとの懸念に対する質疑が結構ありましたけれども、逆に、膨大な量の情報がありますので、あえて恣意的に指定しないという懸念はないのかどうかということについて見解がございましたらお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/288
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289・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 本法案の三条一項は、重要経済安保情報の指定の三要件を満たす情報について、行政機関は、これを重要経済安保情報として指定するものとする、このように規定しています。指定を義務付けているということであります。
さらに、この制度の運用に当たっては、指定の要件の一つである重要経済基盤保護情報への該当性等について今後運用基準によって明確化することとしており、運用基準の策定により適切な指定が行われるよう努めてまいりたいと思います。
また、制度を所管することとなる内閣府において、運用基準に従って指定が行われているかどうかをチェックしてまいります。そして、必要があれば内閣総理大臣の勧告が行われることとなっているほか、独立公文書管理監が検証、監察すること、これも想定をしています。
こうした複層的なチェック機能を通じて適切な指定が行われること、これを徹底してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/289
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290・宮崎勝
○宮崎勝君 ありがとうございました。
是非適切な運用をお願いをしたいということを要望いたしまして、質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/290
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291・片山大介
○片山大介君 日本維新の会・教育無償化を実現する会の片山大介です。
今回の審議を通してやっぱり一番分からなかったこと、これは、やはり総理が言われてきた特定秘密保護法とのシームレスな運用、これ分からなかったです。その審議をするために、審議をするたびにその特定秘密保護法との溝というか、違いが際立ってきて、例えば、その政府内の担当は、特定秘密であれば内閣官房なのに、これセキュリティークリアランスだったら内閣府。それから、適性評価も、特定秘密だったら各府省に任せるのに、セキュリティークリアランスだったら内閣府に一元化する。さらに、その両罰規定も、特定秘密ではないのに、セキュリティークリアランスでは設けることにした。だから、そうすると、これどこがシームレスなのかと思う。
それで、これ、本来は特定秘密保護法の改正でいくべきだったところを、そちらはいじくりたくないからという前提で物事を進めたのがやっぱりこういうふうな違いが際立つ形になったんじゃないかと思いますが、そこについてどのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/291
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292・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 本法案と特定秘密保護法との関係、シームレスな対応についての御指摘ですが、まず、特定秘密保護法ですが、我が国では、漏えい時に安全保障に著しい支障を与える情報を保護する、これが特定秘密保護法であります。そして、経済安全保障の分野においてもこうした機微度の高い情報は同制度の対象として保護される、これが現状であります。
一方、この本法案については、特定秘密保護法では対象、対応されていない、漏えい時に安全保障に支障を与える情報を保護することが適切である、こういった情報を対象とするわけでありますし、また、官民でのこの協働、連携が重要となる安全保障という分野の特色を踏まえて、重要な情報を保全するのみならず、保全しながら民間事業者にも提供する、こうした情報の活用をすることが重要であるという考え方、さらには、この調査の効率性を担保、確保するために調査の一元化機能を設ける必要がある、そして、情報漏えい時に安保に与える支障に応じて特定秘密保護法とは異なる水準の罰則を設ける必要がある、こういったことから、別の法律による、このようにした次第であります。
要は、経済安保上の情報がこの安全保障上著しい支障を与えるような情報については特定秘密保護法で対応されるわけですが、それより一段低い機微度の情報については本法案で対応される、すなわち経済安全保障上の重要情報を二つの法の制度で保護していく、こういった仕組みにしていることからして、シームレスな運用が重要であるということを説明させていただいている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/292
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293・片山大介
○片山大介君 総理、ちょっと、そうすると、経済安保上のトップシークレットとシークレットはどうなるかという話になるんです。
これまでの審議の中で政府はどう言っていたかというと、その特定秘密の中にあるそのトップシークレット、これ四分野なんですけど、そのうちのスパイ活動に当たる特定有害活動、これと経済基盤保護情報ではある程度重なる部分があるから、特定秘密の中で一応カバーはできると言っているんですが、完全には定義が一致しないので、そうすると経済基盤保護情報の中のトップシークレットで漏れる可能性がある。では、そうしたら、じゃ、政府はこれまで何と言っていたかというと、概念上それはあるけれども実際には存在しないという言い方をしている。
こういう説明は納得できますか、総理。どう思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/293
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294・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 委員の方から従来の政府の説明について御指摘があったわけですが、この安全保障に著しい支障を、支障を与えるようなトップシークレット若しくはシークレット級の重要経済基盤保護情報のうち特定秘密保護法における別表に該当しないもの、すなわち四分類に当てはまらないもの、これは理論上存在すると申し上げた上で、一方で、内閣官房において検討した結果、経済官庁などが現在保有している情報の中でこうした類型に該当する情報は現時点では実際には保有しておらず、保有する見込みもない、こういった判断をしていると説明をさせていただいています。
したがって、これ、本法案がかかる情報を対象としていない等によって実態面で問題になることはない、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/294
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295・片山大介
○片山大介君 総理、だから、経済安保分野のその技術開発はどんどん速い、変化が速いわけです。そうすると、そこの今実在しないとかと言っているのだって、将来的にはこれ出てくる可能性がある。だから、そういうことに対処するんだったら、本来であれば特定秘密保護法で指定される情報を経済だとか技術分野まで広げるための適切な法改正をすべきだったと思うんです。だから、将来的にはそういうことも必要になってくるかと思いますが、そこ簡潔に、総理、どのようにお考えか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/295
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296・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、経済安全保障に関わる重要情報が特定秘密に該当するかどうか、これ各行政機関の長が的確に判断できるようにするために、特定秘密保護法の運用基準について、より明確にすべき箇所や補足すべき箇所がないか、これは法の授権の範囲内で見直しを検討する、このようにされています。これは特定秘密保護法の方の話であります。
そして、今申し上げたように、この本法案の方でありますが、この四分野に該当しない情報が存在するということ、理論上はあるとしながらも、今現状においてこうしたものに該当するものはないと答弁をしたわけでありますから、今現状において特定秘密保護法の改正の必要はないというのが政府の考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/296
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297・片山大介
○片山大介君 時間がないから、あともう一つ。
あと、もう一つこの審議でちょっと言わせていただきたいのは、今回、やっぱり法律成立後の運用基準に任せているものが余りにも多過ぎるわけですよ。そうすると、それで運用基準に任せるということになると、本来だったら国会で法案を審議するときにはコンセンサスを得ながらやらなければいけないのに、そのコンセンサスを得るための一番大切な部分が運用基準に任せるということでおろそかになっているわけです。
これについては、総理はどのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/297
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298・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 御指摘の点、本法案においては、運用上の細目等について機動的に規定していくことが必要である、こういった観点から、一部の事項について政令に委任したり、あるいは運用基準において定める、こうしたものが存在いたします。
しかしながら、例えば、重要経済安保情報の指定要件の一つである重要経済基盤保護情報については、特定秘密保護法と同程度の詳細さで本法案に条文上規定をしています。
こうしたこの内容から見て、こうした対応、国会軽視という御指摘は当たらないと政府としては考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/298
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299・片山大介
○片山大介君 いや、だけどね、これ、一部じゃないんですよ。総理、もうほとんどの議論がそうだったんですよ。だから、それをやって、それでも法律を成立させるというんであれば、成立した後の運用基準の策定に当たっては、国民へ丁寧な説明と、それから理解を得ながら進めるということを、これを約束していただきたい。
それで、最後、時間がないからもう一つ。
やっぱり、今回の秘密に触れることができる例外規定、これ、政務三役、やっぱりこれおかしいと思います。これ、総理は、何だっけ、内閣の一員として任命される段階で必要な考慮がなされていると言う。じゃ、この必要な考慮というのは具体的に何なんですか。そして、その考慮がなされれば、その適性評価の七項目というのは結構十分にそれはクリアできているというふうにお考えなのか、教えていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/299
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300・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) これは従来から答弁させていただいているように、国務大臣等の任命に当たっては、その職務の特性から、重要経済安保情報の取扱いの業務を行うこと、これは当然の前提となります。そのため、その任命に際しては、重要経済安保情報を取り扱っても漏えいするおそれがないということの確認を含めて必要な考慮を行っていると説明をさせていただいています。
そして、必要な考慮において、その項目、どういった項目、御指摘の七項目に相当する事項等を調査しているか等の質問については、これは具体的にどの項目を調査しているか、これは人事でありますのでこれは控えたいと思いますが、いずれにせよ、この政務三役など、これ、適性評価を免除される者であっても、漏えいした場合、これ、適性評価を受けた者と同じく最大五年の拘禁刑などの罰則の対象となります。
さらには、こうした取扱いは我が国だけ特別なものではなくして、英国、フランス、ドイツ、こういったその国においても、閣僚等、この評価の対象にならないという取扱いをしている、これは同様であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/300
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301・片山大介
○片山大介君 総理、裏金問題を起こして政治に対する信頼をなくしているときにそういう説明だと、やっぱり納得はできないと思います。これからもきちんと監視していきたいというふうに思います。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/301
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302・竹詰仁
○竹詰仁君 国民民主党・新緑風会の竹詰仁です。
有識者会議の最終とりまとめで、指定の対象となる情報の範囲については、法令等によりあらかじめ明確にしておくべきというふうにされておりました。今回のいろんな審議を通じて様々な懸念あるいは心配の声が出ているんですけれども、そういった心配、懸念の声の要因は、この指定の対象となる情報の範囲が現時点でははっきりしていないということが要因だと私は思っております。
総理にもう一度御説明いただきたいんですが、今回のこの法案は、国家統制や民間企業の活動の阻害、あるいは研究者や学術界の阻害、又は軍拡を目的とするものではないんだと、こういった懸念には当たらないんだということをもう一度御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/302
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303・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 本法案により、政府が保有する経済安全保障上のこの重要な情報を適切に管理し活用するためのルールを定める、このことによって、情報保全の強化、まあこれは当然でありますが、それに加えて、企業にとっても国際共同研究開発や他の政府調達に参加する機会が増える、また、クリアランスを保有する我が国の民間事業者と外国の民間事業者との間で一定の情報のやり取りが円滑になることが期待され、企業の国際的な活躍の機会が拡大する、こういったことによって産業競争力の強化につながる、こういったメリットがあると考えております。
同法案に基づき指定する重要経済安保情報は、我が国の重要インフラや重要物資のサプライチェーンの保護に関わる情報であって、軍拡政策の拡大といったものではないと考えます。また、指定対象はあくまで政府が保有する情報であって、民間が保有する情報を一方的に秘密指定したり、元の情報保有者に規制を課する、こういったものでもありません。さらには、この本制度は、国が保有する重要経済安保情報を取り扱うことがない一般の事業者や個人に対して適性評価を受けることを求めるものではありません。
こうしたこの重要経済安保情報の提供を受け、従業者が適性評価を受けることが自らの利益にならないと判断する事業者や学術機関には、情報提供の前提となる秘密保持契約の締結に応じない自由がある、経済活動や経済、研究活動、これを阻害するものではない、これをこれまでも説明してきたところでありますが、是非これからも適切に説明をし、委員が御指摘のような誤解を招かないように政府としても取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/303
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304・竹詰仁
○竹詰仁君 続いて、私からも指摘しなければいけませんのは、政務三役についての適性評価、これは実施するべきであるというのが国民民主党の考えであります。
岸田政権の発足以降、理由は様々なんですけれども、問題の発覚や疑義が生じたことで政務三役が相当な数替わられました。直近では宮澤博行氏が衆議院議員を辞任しましたけれども、宮澤氏は防衛副大臣に大臣が任命された、総理が任命した人でありました。防衛省は最も多くの特定秘密を扱う省であり、その省の副大臣に任命された人が報道によれば女性問題で辞任したと承知しております。
私は本会議でもこのことを質問させていただき、総理からは、国務大臣、副大臣、政務官などについては、内閣総理大臣がその任命に当たり必要とされる考慮を行うという答弁でしたけれども、現実に岸田政権で政務三役が多く替わっている、あるいは辞任しているという中で、本当に必要な考慮がされているかということに対しては疑問を呈さざるを得ないと思っております。
今後、この政務三役の同じような不祥事が、不祥事や疑いが生じた場合、総理は具体的にどう対処されるのか、そして、総理の任命責任についてどうお考えなのか、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/304
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305・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、一般論として、これ、人事については、所管分野の状況や本人の経験、手腕、あるいは他の候補との比較、こうしたものを踏まえて行うものでありますが、御指摘のように、結果として政務三役の辞任が続いたこと、これは任命責任者として重く受け止めなければならないと強く感じております。
そして、今後不祥事等が生じた場合という御質問であります。これについて、仮定の話をお答えすることは困難でありますが、それは、それぞれの事案に応じてこれはけじめを付け、対応しなければならないと思っております。
いずれにせよ、我々国会議員、この責任を自覚し、国民に疑念を持たれないよう襟を正していかなければならないと考えており、内閣としても一層の緊張感を持って課題に全力で取り組んでまいりたいと思います。
その上で、この法案につきましては、国務大臣、副大臣、政務官などについて適性評価を受けることを要しないものと規定をしております。
御指摘のように、任命に当たり必要な考慮を行っているという説明をさせていただいているわけでありますが、これについては、先ほども触れさせていただきましたが、この我が国の制度、これは、英国、フランス、ドイツ、こういったG7の中でも把握されている国で見る限り、閣僚などを適性評価に類する制度の対象外にしている、こういった制度があると承知しておりますし、いずれにせよ、漏えいした場合には最大五年の禁錮刑など罰則の対象となる、これは、この政務三役であってもこれは免除、免れるものではないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/305
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306・竹詰仁
○竹詰仁君 かたくなにその政務三役の適性評価を行わないというその理由がよく分からなくて、何もなければやっても私は構わないんじゃないかと思っていますので、今回のこの法案は今日がゴールではありませんので、私は引き続きこの議論はさせていただきたいと思っております。
続いて、能動的サイバー防御についてお伺いします。
国民民主党は、四月の二十四日に、議員立法としてサイバー安全保障法案というのを参議院に提出いたしました。この法案の概要は、近年、国内外においての国家の関与が疑われるサイバー攻撃の脅威が増大している中で、サイバー安全保障態勢の整備に関し、基本理念、国の責務、施策の基本事項を定め、サイバー安全保障態勢の整備を総合的に、集中的に推進すべきという、そういった内容でありますが、先週の報道によりますと、政府は有識者会議を設置し、この五月にも初会合を開いて能動的サイバー防御について法整備に向けて検討を進めると、そういった報道を目にしたところでありますけれども。
総理にお尋ねしたいのは、この能動的サイバー防御の立法の対応が遅れているのは現行法との整合性の関係が理由というふうにも言われているんですけれども、その遅れの理由を具体的にお示ししていただきたいのと、この必要性は総理は感じていながらも、なぜ今までそれができなかったのか、それを教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/306
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307・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、我が国のサイバーセキュリティー能力、これを向上させる、これは、現在の安全保障環境を考えますときに、ますます急を要する課題であると認識をしています。
そして、能動的サイバー防御のこの実現に向けた法案については、現行法令との関係等も含め、通信の秘密との関係など多岐にわたる事項を検討しているところであり、可能な限り早期に法案を提出、お示しできるよう、これ検討を加速している、こうしたところであります。
国家安全保障戦略にも掲げてありますように、サイバー安全保障分野での対応能力を欧米主要国と同等以上に向上させる、こういった目標に向けて引き続き努力をしていきたい、このように考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/307
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308・竹詰仁
○竹詰仁君 時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/308
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309・井上哲士
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
総理は、四月十七日の本会議の答弁で、本法案の保護対象は重要なインフラや重要物資のサプライチェーンなど重要経済基盤の保護に関する情報であるとして、あたかも本法案は軍事分野とは無関係であるかのような答弁をされました。
ところが、一昨日の参考人質疑で、このセキュリティークリアランスが必要とされる国際的な共同研究開発とは軍需産業への参入を想定しているのかという私の質問に、日本経団連の参考人は御指摘の点も含まれると明確に答弁をされました。
本法案は軍事分野とは無関係どころか、こういう分野でもうけを上げたい産業界の要求に応えるものになっているのではありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/309
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310・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 御指摘の点についてはこれまでも答弁させていただいておりますように、本法案が保護の対象とするのは、我が国の国民生活や経済活動にとって重要なインフラや重要物資のサプライチェーンといった重要経済基盤の保護に関する情報であり、防衛産業協力を想定して法案を策定、提出したものではありません。
重要経済基盤に関するいわゆるデュアルユース技術などが本法案に定める重要経済安保情報として指定される可能性、これは否定するものではありませんが、これは本法案は、この防衛産業協力、例えば防衛装備品の開発などを目的として策定、提出したものではない、これは従来から説明しておりますとおりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/310
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311・井上哲士
○井上哲士君 目的としたものではないと繰り返されるわけでありますが、しかし、日本経団連の参考人が軍需産業への参入も想定をしていると言っている以上、無関係ではないということは認めるべきではありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/311
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312・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 先ほども申し上げましたが、いわゆるデュアルユース技術などがこの法案の定める重要経済安保情報として指定される可能性、これは否定するものではありませんが、この法案の目的、趣旨は先ほど申し上げたとおりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/312
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313・井上哲士
○井上哲士君 デュアルユースを広く指定をして、更にこの特定秘密までしていくという仕組みではないかということを私は指摘をしてまいりました。
さらに、総理は、AUKUSとの先端技術、軍事技術での協力に対応するためにセキュリティークリアランスが必要になるんじゃないかという本会議での私の質問に、防衛装備に係る諸外国との技術協力への対応を想定したものではないとも答弁をされました。しかし、四月八日のAUKUSの共同声明は、連携国にセキュリティークリアランスを含む情報保全を求めております。
AUKUSだけではありません。次世代の戦闘機の共同開発プログラム、GCAPに関してジュリア・ロングボトム駐日英大使は、セキュリティークリアランス制度は機密技術の共同開発を促進するために欠かせないと述べております。
防衛装備は特定秘密保護法の世界の話であって、本法案と関係ないというんであれば、日本は既に条件を満たしているということになると思うんですよ。なぜ各国は防衛装備の共同研究開発に対して日本にセキュリティークリアランスを求めているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/313
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314・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 御指摘のAUKUSの共同声明ですとか、あるいはロングボトム大使の発言、この趣旨を、私の立場でお答えする、私はお答えする立場にはない、このように考えておりますが、本法案では、この国民の生存に不可欠な、また広く我が国の国民生活や経済活動が依拠する重要な物資のサプライチェーンに関する情報を重要経済安保情報として指定して、そして保全するものであります。
特定の防衛産業協力、これを想定したもの、想定したものではない、これは従来から説明させていただいているとおりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/314
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315・井上哲士
○井上哲士君 ですから、なぜ諸外国が日本と防衛装備の共同研究開発をするために日本にセキュリティークリアランスを求めているのかということについては今御答弁がありませんでした。あの二〇一一年の日米安全保障協議委員会での情報保全についての、アメリカからこのセキュリティークリアランスの導入が求められて以降、一貫して要求をされてきたことだと思うんですね。
この間の参考人質疑で、参考人から、憲法に戦争権限が定められた軍隊を持つアメリカで発達してきた軍事制度の一部とも言えるセキュリティークリアランス制度を日本では軍事に関係ないと殊更に強調されるので、警戒心を持たざるを得ないという研究者の言葉がありました。私、これ是非受け止めていただきたいと思うんですね。
そこで、どういう秘密保全体制をつくり上げていくのか。先ほどの質疑で、国家安全保障戦略を踏まえたマッチング事業についてただしました。この事業は、関係省庁と防衛省とでコミュニケーションを行い、防衛省の研究開発に結び付く可能性が高いものを効率的に発掘、育成することを目指すと明確に述べております。この成果が要件を満たせば本法案の秘密指定の対象となることは否定されませんでした。マッチング事業であるとかKプログラムなどデュアルユースについて基礎研究の段階から広く国が推進をして、その研究成果が防衛装備に転用できる可能性が出た段階で要件を満たす形で重要経済安保情報に指定し、更に情報の機微度が上がれば特定秘密に指定すると。
まさに、この効率的に発掘、育成をしながら秘密指定し、装備品まで結び付けるということを可能にしているのがこの法案の制度ではありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/315
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316・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、本法案は、政府が保有する我が国の国民生活や経済活動にとって重要なインフラや重要物資のサプライチェーンの保護に関する情報に対する保全制度の創設、これを目的とするものです。これ、研究開発一般を含め民間が保有する情報を対象にしたものではない、これは従来から説明しているとおりであります。
その上で、例えば、基幹インフラへのサイバー攻撃の防止に係る革新的技術に関する情報などは重要経済安保情報に該当する可能性があり、さらに、それが特定秘密の別表にも該当するような場合には、当該情報が特定秘密として指定されることもあり得るのではないかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/316
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317・井上哲士
○井上哲士君 特定秘密保護法と今回の法案のシームレスな運用についての今答弁だったと思うんですが、更に広く基礎研究の段階から国が推進をしてこの特定秘密まで機微度が上がったものを指定をしていくと、こういう仕組みをつくったものだということを私は繰り返し指摘をしてまいりました。
そして、この法案と特定秘密保護法をシームレスに運用するための運用基準の改定の具体的な内容も結局示されておりません。それでは国会審議の形骸化は免れないとして提示を求めてきたわけですが、いまだに示されておりません。さらに、適合事業者に求められる要件の具体的な内容、罰則がない下での第十六条の適性評価に関する個人情報の利用、提供の目的外利用をどのように規制していくのか。報道や取材の自由の保障もことごとく法案成立後に有識者の意見を聴いて検討するとの答弁に終始をしているわけですね。先ほど細目とか一部という話でありましたけど、基本的な問題がやはり先送りになっていると思うんですね。肝腎なことを国会に示さずに法案成立後に先送りし政府に丸投げをするようなことは、参考人質疑でも厳しい指摘が出されました。
もうこういうやり方は国会審議を形骸化させるものと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/317
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318・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、特定秘密保護法の運用基準の見直しについては、経済安全保障に関わる重要技術が特定秘密に該当するかどうかを各行政機関の長が的確に判断できるようにするためにより明確にすべき箇所や補足すべき箇所がないか、法の授権の範囲内で見直すことを検討しているものであり、これ、国会の立法権を形骸化させるものではないと考えております。
そして、今度は、この本法案についてですが、先ほども答弁させていただきましたが、重要経済安保情報の指定要件の一つである重要経済安保保護情報については、特定秘密保護法と同程度の詳細さで本法案にこれ規定を明記しております。その一部、政令に委任したり、これ運用基準に定める、こういった部分についてこの国会審議を形骸化させるのではないか、こういった指摘があるわけでありますが、この本法案の中に重要部分を特定秘密保護法と同程度の詳細さで規定しているということを考えましても、国会審議の形骸化という指摘は当たらないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/318
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319・井上哲士
○井上哲士君 先ほど来各党からも、そして参考人質疑からも、こういうやり方はやっぱりおかしいと、特に人権に関するものはやっぱり国会できちっと法律で定めるべきだという厳しい指摘もありました。そのことをしっかり受け止めてもらう必要がありますし、そういう点でいえば、内容もやり方も民主主義を壊すものだということを指摘しまして、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/319
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320・大島九州男
○大島九州男君 れいわ新選組、大島九州男でございます。
総理、この法案について、私は、大臣、高市大臣にも、経済界の声を、要望を聞いて作る法律だと、こういう新しい法律を生もうというときには、やはり今の政権の姿勢、その心が表れてくるんだと、だから、大企業優先の法律じゃないかと、経済優先の法律じゃないかと、本当に国民に添ったそういう法律になっているのかというようなことをずっと質疑してきたんですけど、総理の見解、大企業中心だという私の見解についてどういう御意見でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/320
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321・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 委員御指摘のように、本法案が大企業中心の法案ではないか、そこ、政府の姿勢が表れているんではないかという御指摘については、この法案、これ政府として検討する際に有識者会議、これ開いていますが、これ、セキュリティークリアランスについて、大企業のみならず、スタートアップ、いわゆる大企業以外の関係者との意見交換を行っております。その中で、宇宙分野の海外政府からの入札に対し、セキュリティークリアランスを保有していることが説明会の参加要件になっているですとか、将来の顧客となり得る外国政府機関と意見交換をしても、現地でセキュリティークリアランスを保有している自社の社員が対応した内容について日本本社では共有されない、こういったスタートアップと言われる企業からも、様々な不利な状況が生じている、こういった御指摘を受けています。
このように、中小・小規模企業も含めて、様々な方面からこの経済安全保障分野におけるセキュリティークリアランス制度を求める声がある、このように承知をしており、本法案は、我が国の情報保全の強化のみならず、この中小も含めた事業者の国際的なビジネスの機会の確保、拡充にも貢献していく、このように政府としては考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/321
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322・大島九州男
○大島九州男君 経済を優先して、そしてその国民を向かないでいろんなことを進めると、必ず被害者が出ると。これの最たるものが水俣病ですよ。政府として本当にこの水俣の被害者の患者を救おうかという、そういう思いであるならば、前回のような、あの一日に起こったようなことは起こらない。
私は、あの特措法にもずっと関わってきた人間として、環境省というよりも、この国が被害者を救わなきゃいけない。今回、環境大臣が昨日現地へ行ったのは、僕は、総理が、いや、君、大臣行ってこいよと言ったから行ったんじゃないかと思うんですけど、そこら辺、総理は環境大臣に指示されました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/322
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323・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、今回の環境大臣と水俣病関係団体の皆様との懇談、こうした重要な機会における環境省の対応は不適切であると強く感じており、この問題につきましては随時私も報告を受けてきました。この関係者の皆さんに寄り添った対応が重要であるという認識の下に、この報告を受け、情報交換をする中で、環境大臣として、自ら現地に足を運んだ上で謝罪をし、今後についての丁寧な対応に関する決意を述べたいという意向で大臣が現地に足を運ぶ、このようになった次第であります。
こうした、まず、こういった対応は、私としてもあるべき対応であると思いますし、その上で、政府として、今日大臣から報告を受けました、丁寧な具体的な対応をこれから行っていきたいと考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/323
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324・大島九州男
○大島九州男君 総理、政府としてとおっしゃいました。だから、環境省がリーダーシップ取るんじゃない、政府ですよ。だから、総理がリーダーシップを発揮していただきたい。
それは何でそう言うかというと、大阪、熊本、新潟と三つの地方裁判所で出た判決はばらばらなんです。ただ、被害者がいるということは認めているんですよ。だから、それは、国の責任、企業の責任、全ての責任を、やはりその被害者が受けて苦しんでいらっしゃる、何とかもうここでこれを終わらせてあげないと、公式確認からあと二年で七十年です。これはもう、あの特措法のときにも私は言ったのは、チッソ救済法案だからこれは必ず後で問題になると。だから訴訟が起きました。
今回、総理がこの問題を本当に被害者を救済するんだという願いを持って行動を起こしたら、訴訟は起きないと私は確信している。だから、そういう意味で、政府はやらなければならないのは国家国民を救うことですから、だから、総理には、今回のこの件を起点にして、もう一度この水俣の部分をしっかりと受け止めて政治的リーダーシップを発揮していただきたい、これが関係団体、被害者一人一人の願いであると私は思っているんですけど、総理、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/324
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325・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、今回のこの事態については、政府全体として重く受け止めなければならないと考えています。だからこそ、先ほども答弁の中で申し上げたように、昨日、環境大臣が現地に足を運ばせていただいた際に、関係者の皆さんから、いま一度この懇談の場を設けてもらいたい、改めて設けてもらいたいということ、要望があったということでありますので、やり直しを私から指示をしたと、いま一度開催する方向で調整をするように指示をした、こういったことであります。
そして、この水俣病に対する対応、対策、これは環境行政における原点であり、大変重要な柱であると政府として認識をしています。是非、こうした認識の下に今後ともこの対策を進めるべく、そして、その際に、関係者の皆さんにできるだけ寄り添った姿勢を大事にしながら対策を進めていくべきである、こういったことについても環境大臣に改めて指示を出したところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/325
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326・大島九州男
○大島九州男君 いや、総理、是非総理お会いになっていただく、政府としてとおっしゃっているんです。どうですか、それ検討されませんか、総理が直接お会いになると。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/326
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327・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まずは、今回の事態を受けて、その懇談会のやり直し、これを指示をいたしました。そのやり直しを行った上で、今後についても考えてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/327
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328・大島九州男
○大島九州男君 水俣条約と言われるように水銀の問題、世界に今、環境問題、PFASも含めて大きな問題なんですね、世界的にも。だから、ここで日本が、やはり水俣病のこの訴訟、全て被害者を救済するということはこれ日本の役割でもあると思うんです。この環境行政の本当に原点とおっしゃるんですから、この水俣、まさに経済発展を優先したことによって起こった被害者を岸田総理の手で救ってあげるという、そういう願いを持って総理は取り組んでもらいたい。
だから、是非総理には会っていただきたいということをもう一度お願いするんですけど、どうですか、前向きに。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/328
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329・岸田文雄
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 具体的には、まずは懇談の場、これをやり直した上で、政府として、この御指摘のように、この水俣病への対応、これは関係行政の原点であるということ、これを踏まえて、この被害者の方々に寄り添った対応を行っていかなければならないと考えています。
具体的には、こうした懇談のやり直しを行った上で、政府として、この環境大臣ともしっかり協議しながら対応を考えてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/329
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330・大島九州男
○大島九州男君 このセキュリティー法案で、先ほど法案の審議の中で最後私が高市大臣にお願いしたのは、やはり、大企業の視点で光を当てたらそっちの影の方で苦しむ人が起きてはいけない、それはプライバシーの保護が破られたりとか、そこで苦しむ人が起こってはならない、だから、両方にしっかり光を当ててもらいたい。
過去の経済発展の陰で本当に苦しんでいらっしゃる被害者、もう本当に高齢でございます。もう本当にずうっと裁判で決着を付ける問題ではない。だから、そこは是非、政治的判断、まさにその総理の判断でこの水俣の訴訟も終わらせてもらいたいし、そして前向きな環境行政に転換できるようにしっかりと進んでいただくことを要望して、終わります。最後までお願いしておきます。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/330
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331・阿達雅志
○委員長(阿達雅志君) 以上で内閣総理大臣に対する質疑は終了いたしました。
内閣総理大臣は御退席いただいて結構です。
他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。
これより両案について討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/331
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332・井上哲士
○井上哲士君 私は、日本共産党を代表して、重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案等に反対の討論を行います。
政府は、本法案と特定秘密保護法とのシームレスな運用を可能とするための運用基準の見直しを始め、ことごとく法案成立後に有識者の意見を聴いて検討するとしています。肝腎な内容は全て政府に白紙委任など、国会審議の形骸化も甚だしいものであり、このような下での採決は断じて認められません。
審議を通じて、本法案がアメリカと日本の財界の要求に応えて兵器の国際共同研究開発を推進するためのものであることがいよいよ明らかになりました。この間、アメリカは、繰り返し日本に自国と同レベルの情報保全体制を要求してきました。
本法案は、兵器の国際共同研究開発を進めるため、研究開発段階から技術流出の阻止に重点を置くアメリカの対中国技術管理と歩調を合わせるためのものであります。
参考人質疑で日本経団連の参考人が、産業界が参入を予定しているセキュリティークリアランスが必要とされる国際共同研究開発に軍需産業を想定していることを認めました。本法案が軍事分野で利益を上げたい産業界の要求に応えたものであることも明白です。
政府は、各省庁が実施する民生利用目的の研究の中から、防衛省の研究開発に結び付く可能性が高いものを効率的に発掘、育成する目的でマッチング事業の認定を始めました。これらの先端科学技術の研究成果が防衛装備に転用できる可能性が出てきた段階で、要件を満たす形で重要経済安保情報に指定し、更に情報の機微度が上がれば、特定秘密に指定し、防衛装備品まで結び付けていくことが可能になります。
本法案が経済分野に秘密指定を拡大することで自由で公開が原則の研究環境が大きく損なわれ、しかも、国際的な兵器の共同研究開発で利益を上げるために日本の科学技術研究が動員をされることになりかねません。憲法の平和原則を踏みにじるものであります。
本法案で実施される適性評価の調査は、政治思想、海外渡航歴、精神疾患などの治療歴、犯歴、借金や家賃の滞納、家族や同居人の過去の国籍まで根こそぎ調べ上げるものです。さらに、評価対象者の知人や職場の上司にまで質問し、警察や公安調査庁を含む公務所に照会まで掛けるものです。こうした調査を民間企業等が行うことは重大なプライバシーの侵害に当たります。それを国が代わって調べ上げるのが本法案の適性評価調査であり、国家による人権侵害にほかなりません。
適性評価で得た個人情報の目的外利用禁止も、重要経済安保情報の保護を目的を口実に警察による日常的な監視が行われる懸念も拭えません。個人の思想、信条、良心の自由を踏みにじる憲法違反の本法案は認められません。
以上、断固反対することを表明し、討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/332
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333・塩村あやか
○塩村あやか君 立憲民主・社民の塩村あやかでございます。
会派を代表いたしまして、ただいま議題となりました両案について、賛成の立場から討論を行います。
まず、重要経済安保情報保護活用法案ですが、G7各国を始めとした多くの先進国では、経済安全保障分野の情報も対象としたセキュリティークリアランス制度が導入されており、我が国でも経済界を中心に国際標準の制度創設を求める声が寄せられてきました。今回創設される制度が、大企業に限らず、スタートアップにも有効に活用され、国際共同研究が進み、ひいては産業の国際競争力の強化が実現し、我が国が再び輝きを取り戻すことを切に願います。
他方で、審議を通じて、法案の問題点や課題も多く明らかになりました。特に、制度設計の重要な部分の多くが運用基準に委ねられており、法案審議の段階では、重要経済安保情報に指定される情報の範囲すら、明確になったとは言い難い状況です。また、新設される一元的な調査の実施体制などについては、不明点が残ったままであります。
そして、国民の権利利益に関わる運用基準の不透明さなど、制度全体に対する我々の懸念が完全に払拭されたわけではありません。新法の適正な運用、知る権利、人権、適性評価を受ける本人や家族等のプライバシーが不当に侵害がされることがないように、また、国民の不安が解消されるよう、今後の運用基準の閣議決定などを注視し、不断の行政監視を続け、最大限努めていく所存であります。
次に、経済安全保障推進法改正案ですが、二年前に国会でも港湾を基幹インフラに追加すべきとの議論があったにもかかわらず、国土交通省は港湾へのサイバー攻撃を過小評価し、追加されませんでした。
昨年七月、名古屋港の事案が起きてしまったことは、政府のリスク分析が甘かったためであり、猛省を求めるとともに、この苦い経験を今後に生かしていかなければならないと考えます。
また、特に医療機関がサイバー攻撃の対象となることを危惧する意見が多く出ておりましたが、適宜必要な検討を行い、基幹インフラに追加をするタイミングを失することがないよう求めておきます。
経済安全保障の重要性は深く認識しており、両案には賛成いたしますが、経済安全保障の錦の御旗の下に捜査当局が暴走し、大川原化工機事件のような冤罪事件が起きることがあってはなりません。セキュリティークリアランス制度の創設を始めとした経済安全保障政策が経済活動の萎縮を招くものとならないよう政府に強く求め、賛成討論といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/333
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334・大島九州男
○大島九州男君 会派を代表して、重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案及び経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律の一部を改正する法律案について、反対の立場から討論を行います。
問題点の第一は、本法案によって保護しようとする重要経済安保情報のみならず、その前提となる重要経済基盤保護情報及び重要経済基盤の具体的な内容、その範囲が極めて不明確なことです。
政府に対するヒアリングの段階でも、明確な定義を求めているにもかかわらず、その回答は条文に書いてあるとおりと言うばかりで、その法案が保護しようとする重要経済安保情報の範囲やどのような規模でカバーするのか、最後まで明確な回答を得られませんでした。
このような曖昧な定義では、経済活動に混乱をもたらすばかりではなく、ひいては経済活動そのものを萎縮させることにつながりかねません。対象となる情報の範囲については、法案成立後に有識者の意見を基に運用基準を定めることとなっており、都合の悪いことは法案審査の段階で曖昧にしておくという姿勢が大きな問題です。
問題点の第二は、本法案が特定秘密保護法並みの厳格な適性評価制度を設けており、対象者本人のみならず、家族や同居人までもが適性評価調査の対象となり、プライバシーが侵害されるおそれがあることです。
また、今回の法案では、一元的な調査機関の規模やどのような職員がそこに集められているかについても明らかにされておりません。また、適性評価調査に基づく評価結果を用いて対象者に不利益な取扱いを行ってはならないとしているものの、適合事業者による不利益な取扱いに対しての罰則がないことも問題です。
これらの根本的な問題点に加え、私はこれまでの質疑において、本法案は主に大企業が諸外国のインフラ整備等に参画する際にパスポートになるような資格として使うことが目的ではないかと再三指摘をしてきました。これに対し政府は、第一義的には政府保有の安全保障上の重要な情報の保全制度であり、あくまでも副次的な効果として企業の信頼性が上がる効果があるとしていますが、実際には、経団連の参考人から、国際共同研究開発や国際的な競争入札に参加できるようになり、ビジネスの拡大につながる旨の見解が示されました。加えて、経済界の様々な考え方やニーズがほとんど反映されていることも認めています。
一方で、中小企業やスタートアップへの配慮が十分に行われているとは言えません。大企業のみが恩恵や利益を得て、その下請の中小企業等が負担を強いられる不公平な制度であり、経団連、大企業の要望ばかりを優先する政府の姿勢に断固抗議し、両法律案の反対討論とします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/334
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335・柴田巧
○柴田巧君 日本維新の会・教育無償化を実現する会の柴田巧です。
私は、会派を代表し、重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案、経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律の一部を改正する法律案について、賛成の立場から討論をいたします。
改めて言うまでもなく、国際情勢の複雑化、社会経済構造の変化等により安全保障の裾野が経済分野に急速に拡大する中、国家国民の安全を経済面から確保するための取組を強化、推進することは極めて重要です。そういう中、セキュリティークリアランス制度が創設されることは、G7で唯一未整備であることを鑑みると、遅きに失した感はありますが、情報保全の面で一歩前進であることは間違いありません。
しかし、残された課題は幾つもあります。まず、オーバークラシフィケーション対策が不十分な点です。指定される重要経済安保情報の総量及びその取扱業務の最適な規模をできるだけ具体化するとともに、制度の着実な実施を図るために、適性評価調査を行う内閣府や適性評価を行う行政機関における実効的な体制整備を早期に進めることが重要であると申し上げておきます。
今回の経済安全保障推進法改正は、名古屋港におけるサイバー事案を契機とするものと承知をしていますが、インシデントの発生後、事後的に対象事業を追加する仕組みで十分かといった点については大いに疑問を感じます。こうした問題点を解消するため、内閣サイバーセキュリティセンターや警察庁等が連携をして海外でのサイバー攻撃での事例を適宜モニターし、基幹インフラの対象になっていない事業の設備へのサイバー攻撃を認知した場合には、我が国においても基幹インフラの対象に追加すべきか早急に検討するような具体的な仕組みを構築すべきです。
また、政務三役等が適性評価の例外となっていることは理解に苦しみます。岸田政権発足後、政務三役の不祥事が続出しました。そのような政務三役が多い中、適性評価を受けることなく重要経済安保情報にアクセスできることになるのはいかがなものでしょうか。政府においては、政務三役が適性評価の例外になっている点について、運用状況を見極めながら、今後しっかり対応することを望みます。
ところで、昨今では、情報がサイバー攻撃において抜き取られる事案も多発をしています。重大なサイバー攻撃を未然に防ぐための能動的サイバー防御の早急な法整備が必要です。法的課題等を整理して、一日も早く能動的サイバー防御の導入に向けた関連法案を国会に提出すべきです。このことを強く求めておきます。
加えて、我が国の経済安全保障のためにはスパイ防止法の制定も必要です。国民の生命、財産を守ることが国家の最も大事な仕事です。しかし、日本は、国家の重要な情報や企業等の技術が不法に盗まれたとしても、その行為をスパイ罪で罰することができない大変珍しい国です。今回のセキュリティークリアランス制度の創設で満足せず、我が国のインテリジェンスに関する法制度を充実させる意味では、スパイ防止法の制定は喫緊の課題であると考えます。政府においては、制定に向けた検討組織を設けるなど、今こそ明確なアクションを起こすときだと強調しておきます。
以上のように、本法案には懸念点や課題が残るものの、法案が成立することにより、我が国の重要経済安保情報の保全と流通が確実に進むことを期待します。
経済安全保障は、日々刻々変化する国際情勢や技術革新に即座に対応しなければなりません。我が会派は、現実を直視した安全保障政策を一層推進すべく、引き続き積極的に提言、提案していくことを申し上げて、私の討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/335
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336・阿達雅志
○委員長(阿達雅志君) 他に御意見もないようですから、両案に対する討論は終局したものと認めます。
これより採決に入ります。
まず、重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案について採決を行います。
本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/336
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337・阿達雅志
○委員長(阿達雅志君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、石垣君から発言を求められておりますので、これを許します。石垣のりこ君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/337
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338・石垣のりこ
○石垣のりこ君 私は、ただいま可決されました重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案に対し、自由民主党、立憲民主・社民、公明党、日本維新の会・教育無償化を実現する会及び国民民主党・新緑風会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずるべきである。
一 重要経済安保情報の運用に当たっては、衆議院及び参議院の情報監視審査会からなされた指摘や改善事項を含め、特定秘密の運用の蓄積を踏まえ、情報保全の必要性と国民の知る権利のバランスに十分配慮すること。
二 本法の適用に当たっては、これを拡張して解釈して、国民の基本的人権を不当に侵害するようなことがあってはならず、国民の知る権利の保障に資する報道又は取材の自由に十分に配慮しなければならないこと。
三 同盟国・同志国との間で重要経済安保情報を含む機密情報の共有が円滑に進むよう、必要となる国際的な協力枠組みの構築の推進に努めること。また、大企業のみならず、中小企業やスタートアップ等が適合事業者として認定され、国際共同研究に参加すること等を通じて、我が国の産業競争力を維持、強化できるよう、官民の協力体制の構築や必要な支援を行うこと。
四 国際的な協力枠組みの中などの必要な場面において、外国政府等に本法に基づくクリアランス保有者であることを確認する仕組みの在り方について検討を行い、必要な措置を講ずること。
五 本法により創設される新たな制度の具体的な中身を国民に分かりやすくかつ正確に説明することを通じ、官民双方において、情報保全の重要性に対する理解が広く醸成されるよう努めること。
六 本法に基づく重要経済安保情報の指定・解除、適性評価の実施、適合事業者の認定等を行うに当たっては、指定される重要経済安保情報の総量及びその取扱業務の最適な規模をできるだけ具体化すること。また、各行政機関が行う重要経済安保情報の指定は、合理的で最小の範囲において行わなければならないこととするよう、独立公文書管理監等が適宜、検証や監察を行うこと。なお、独立公文書管理監の独立性を確保するために必要な方策について検討を行うこと。さらに、国会が監視機能を十分に果たすため、国会からの情報提供の求めに対しては誠実に応じること。
七 重要経済基盤、重要経済安保情報の範囲を明確にするとともに、恣意的な指定がなされないよう、指定の具体的な基準を運用基準で分かりやすく示すこと。加えて、運用基準に公益通報の通報対象事実その他の行政機関による法令違反の事実を指定し、又はその隠蔽を目的として、指定してはならないことを明記すること。また、技術革新等の経済安全保障分野における変化の速さ等に鑑み、情報の指定・解除を柔軟かつ機動的に行うため、行政機関の担当職員の技術に関するリテラシー向上に鋭意取り組むとともに、指定要件の充足性について随時見直しを行い、国民の知る権利が侵害されないよう留意すること。
八 重要経済安保情報に指定される前から民間事業者が保有していた情報については、その取扱いについて民間事業者が責任を問われないことを明確にし、広く周知すること。
九 適性評価を実施するに当たっては、対象者やその家族及び同居人のプライバシーが侵害されることのないよう十分に留意するとともに、収集した個人情報は厳重に管理すること。また、適性評価の結果等を重要経済安保情報の保護以外の目的のために用いてはならないという、目的外利用禁止規定の実効性を担保するため、禁止行為を運用基準で明記するとともに、禁止行為の遵守を行政機関と適合事業者との契約においても求める等、可能な限りの対策を講ずること。特に個人情報保護法との関係においては、個人情報保護委員会が適宜、監視・監督を行うこと。
十 民間事業者や適性評価対象者等への配慮として、適性評価における本人の真の同意、評価結果と理由の速やかな通知と苦情の申出の適切な処理を確保するための方策(契約への明記、十分な情報提供、通報・相談窓口の設置等)を検討し、運用基準等において必要な措置を講ずること。
十一 適性評価調査への不同意や評価結果を理由とする不合理な配置転換・解雇等の労働者への不利益な取扱いの防止のためには、事業者と重要経済安保情報の取扱いの業務に当たることが予定されている労働者との間の意思疎通が重要であることに鑑み、事業者の実情や事業の実態に応じた、労使間の協議も含めた適切な意思疎通が行われるようガイドラインを作成すること等を検討すること。
十二 適性評価を実施するに当たっては、対象者の弱みを握り情報を引き出す活動との関係についても十分留意しつつ、本法が定めた調査事項に基づき公正で実質的な調査を行うよう努めること。また、本法第十二条第二項第一号に規定される「重要経済基盤毀損活動との関係に関する事項」が何を指すのか可能な限り具体的な内容を明確化すること。加えて、調査事項に関係しない評価対象者の思想、信条及び信教並びに適法な政治活動、市民活動及び労働組合の活動について調査してはならないことや、調査の過程で調査事項に関係しない情報を取得した場合には、これを記録してはならないこと等を運用基準に明記すること。
十三 適性評価調査を行う内閣府や適性評価を行う各行政機関における実効的な体制整備を速やかに進めるとともに所要の予算を確保すること。また、評価結果を通知するまでの期間を可能な限り短縮化し、民間事業者の事業活動を阻害しないよう努めること。
十四 特定秘密保護制度を始めとする既存の情報保全の仕組みとの整合性、とりわけ、法人に対する両罰規定について見直すべき箇所がないか検討を行うこと。
十五 重要経済安保情報の漏えいや不正な取得を行った場合の罰則について、罰則の程度と抑止力のバランスを適宜検証し、本法施行後の状況を踏まえ、必要があれば速やかに見直しを検討すること。
十六 中小企業等が事業を継続するために適合事業者の基準を満たす必要が生じた際に、中小企業等にとっては必要な施設整備等のための負担が大きくなることが考えられるため、政府からの協力要請に応じて重要経済安保情報に触れることとなる場合等、経緯や実態も踏まえて、支援の在り方について合理的な範囲内で検討すること。
十七 適合事業者が重要経済安保情報を適切に保全できるよう、施設設備の基準等を作成・公表すること。また、「外国による所有、管理又は影響」(FOCI)を管理する制度の整備について検討した上で、適切な措置を講ずること。
十八 重要経済安保情報の指定を含む政府の政策決定プロセスに外国勢力等の不当な影響が及ぶことにより、国益を損なうことのないよう留意すること。
十九 本法の適用に当たっては、産業分野の公正な競争環境が毀損されることのないよう十分留意すること。
二十 民間事業者や独立行政法人が保有している情報であって国として経済安全保障の観点から保護が必要と考えられる最先端技術等について、民間事業者等が必要となる対応をとれるような環境を整えていけるよう、指針策定の妥当性も含め検討すること。
二十一 技術は我が国の自律性・不可欠性の重要な一部を構成するものであり、その流出防止は経済安全保障上喫緊の課題であることを念頭に置き、我が国の国際競争力の維持に支障を及ぼすこととなる国外流出を防ぐため、早急かつ徹底的に技術流出・技術管理対策の強化に取り組むこと。
二十二 経済安全保障に資するインテリジェンス能力を更に強化するため、政府全体における情報の収集・分析等に必要な体制を整備するとともに、関係省庁間における必要な情報の共有についても強化を図ること。また、本法の趣旨に鑑み、経済安全保障に資する情報について、民間を含む関係者への提供についても配意すること。
右決議する。
何とぞ委員各位の御賛同をいただけますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/338
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339・阿達雅志
○委員長(阿達雅志君) ただいま石垣君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/339
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340・阿達雅志
○委員長(阿達雅志君) 多数と認めます。よって、石垣君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、高市国務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。高市国務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/340
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341・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) ただいま御決議のありました事項につきましては、御趣旨を十分に尊重してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/341
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342・阿達雅志
○委員長(阿達雅志君) 次に、経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律の一部を改正する法律案について採決を行います。
本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/342
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343・阿達雅志
○委員長(阿達雅志君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、石垣君から発言を求められておりますので、これを許します。石垣のりこ君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/343
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344・石垣のりこ
○石垣のりこ君 私は、ただいま可決されました経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、立憲民主・社民、公明党、日本維新の会・教育無償化を実現する会及び国民民主党・新緑風会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずるべきである。
一 基幹インフラ制度の対象事業については、技術の進展や社会構造の変化等を踏まえ、平時からリスクを幅広く点検、把握し、その対応策の検討を行う等の取組を通じて不断の見直しを行うこと。その際、特に海外で発生したサイバー攻撃の事案も含めて、幅広く政府全体として情報収集とその共有を行うこと。
二 医療DXの推進に関する取組を実施していく中で、セキュリティ対策の強化を図りながら、引き続き基幹インフラ制度の対象に追加することを精査、検討すること。
三 地方公共団体の基幹業務システムのガバメントクラウドへの統一・標準化が進められていることに鑑み、地方公共団体による情報システムの調達の在り方について、基幹インフラ制度の対象に追加することも含め、経済安全保障の観点から必要な検討を行うこと。
四 中小規模の事業者にとっては、規制への対応が大きな負担となり得ることから、特定社会基盤事業者に指定しようとする場合には一層配慮して慎重に行うこと。
五 基幹インフラ制度に基づき、特定社会基盤事業者に対し、特定妨害行為を防止するため必要な措置をとるべきこと等を勧告及び命令した場合の中小企業を含めた事業者の負担に配慮し、事前に政府より十分な情報提供を行うなど、対応に万全を期すこと。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/344
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345・阿達雅志
○委員長(阿達雅志君) ただいま石垣君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/345
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346・阿達雅志
○委員長(阿達雅志君) 多数と認めます。よって、石垣君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、高市内閣府特命担当大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。高市内閣府特命担当大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/346
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347・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) ただいま御決議のありました事項につきましては、御趣旨を十分に尊重してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/347
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348・阿達雅志
○委員長(阿達雅志君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/348
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349・阿達雅志
○委員長(阿達雅志君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後五時四十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121314889X01220240509/349
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