1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和六年六月六日(木曜日)
午前十時開会
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出席者は左のとおり。
委員長 滝波 宏文君
理 事
佐藤 啓君
山下 雄平君
山本 啓介君
横沢 高徳君
舟山 康江君
委 員
清水 真人君
野村 哲郎君
藤木 眞也君
舞立 昇治君
宮崎 雅夫君
山田 俊男君
田名部匡代君
徳永 エリ君
羽田 次郎君
高橋 光男君
横山 信一君
松野 明美君
紙 智子君
寺田 静君
事務局側
常任委員会専門
員 笹口 裕二君
参考人
丸紅株式会社代
表取締役副社長
執行役員 寺川 彰君
阿賀野市農業委
員会会長職務代
理 笠原 尚美君
株式会社資源・
食糧問題研究所
代表取締役 柴田 明夫君
東京大学名誉教
授 谷口 信和君
近畿大学名誉教
授 池上 甲一君
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本日の会議に付した案件
○食料供給困難事態対策法案(内閣提出、衆議院
送付)
○食料の安定供給のための農地の確保及びその有
効な利用を図るための農業振興地域の整備に関
する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出
、衆議院送付)
○農業の生産性の向上のためのスマート農業技術
の活用の促進に関する法律案(内閣提出、衆議
院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/0
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001・滝波宏文
○委員長(滝波宏文君) ただいまから農林水産委員会を開会します。
食料供給困難事態対策法案、食料の安定供給のための農地の確保及びその有効な利用を図るための農業振興地域の整備に関する法律等の一部を改正する法律案及び農業の生産性の向上のためのスマート農業技術の活用の促進に関する法律案、以上三案を一括して議題といたします。
本日は、本案の審査のため、五名の参考人から御意見を伺います。
御出席いただいております参考人は、丸紅株式会社代表取締役副社長執行役員寺川彰君、阿賀野市農業委員会会長職務代理笠原尚美君、株式会社資源・食糧問題研究所代表取締役柴田明夫君、東京大学名誉教授谷口信和君及び近畿大学名誉教授池上甲一君でございます。
この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。
皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
次に、議事の進め方について申し上げます。
まず、寺川参考人、笠原参考人、柴田参考人、谷口参考人、池上参考人の順にお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度、委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。
なお、御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、まず寺川参考人からお願いいたします。寺川参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/1
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002・寺川彰
○参考人(寺川彰君) おはようございます。丸紅の寺川でございます。
食料の輸入業務を担当する民間業者の観点で、実務面を中心にいたしまして食料供給困難事態対策法案についての意見を述べさせていただきたいと思います。適宜、お手元の資料を御参考にしていただければと思います。
本法案で、不測の事態となりますが、食料供給困難事態の定義が明確化されておりますが、その兆候を把握する上でも、国民生活の安定、国民経済に大きな影響を与える特定食料として米穀、米、小麦、大豆等が今後政令指定されるものと了解しています。
どの国におきましても、まず必要不可欠なものとして最初に立ち上がる食品事業は、粉、製粉、そして油、搾油、そして砂糖事業だと理解しております。また、不測時に必要なカロリー、そして、炭水化物、たんぱく、脂質という三大栄養素を考えた場合、穀物、油に加えまして畜産物が国民生活にとって重要な役割を果たすものであり、特定食料として検討すべきではないかと考えます。
その中でも、我が国が自給できる米を除きますと、主食となる小麦、国内生産のための畜産飼料、油脂原料にもなる穀物が最重要であります。国内農業の生産資材に必須であります肥料ですが、資源の偏在がありまして、地政学的なリスクも大きく、肥料につきましては経済安全保障推進法でも対応していくものだと理解しています。
お手元の資料では穀物における日本の現状をお示ししておりますが、主要穀物の輸入先は米国、カナダ、豪州、ブラジル、この四か国が大宗を占めております。各国の生産量、また輸出能力、政治、経済の安定性、ロジスティックス、こういう観点で考えましても、我が国が頼れる生産国はこの四か国が中心にならざるを得ないと思います。
一方で、我が国のプレゼンスですが、小麦、大豆におきましては存在感が小さく、穀物では中国がプライスリーダーとして大きな位置を占めており、年々その地位は強くなっております。中国の穀物買い付けの動向は穀物相場に大きなインパクトを与えています。
昨今の状況を踏まえまして、食料自給率の低い各国におきましても食料安全保障問題が提起されている模様で、様々な国で食料の安定供給対策に乗り出してきたのではないかとビジネスを通じても感じているところであります。
過去、穀物におきましては、輸出余力のある国が北半球、南半球に存在し、生産時期の違いもあるため、同時に連続して大不作に陥ることはまれではありましたが、異常気象の頻度やその規模、年々増加しておりまして、これら自然災害により穀物相場が非常にボラタイルな状態となり、食料ビジネスをめぐる情勢が不安定化しているということは事実であります。
食料供給を不安定化させる具体的リスクとして、今述べました異常気象、自然災害、それらの大規模化、これが最大の要因ではありますが、そのほかに、感染症発生による物流の混乱、家畜伝染病の多発化、脱炭素の流れを受けまして、コーン、大豆などにおいて燃料需要の増加、これが顕著になっていること、そしてロシア、ウクライナで経験したような地政学リスクが挙げられます。
また、食料が国家間の戦略物資として用いられることにより、需給バランスの崩れも近年では見られます。究極的には、世界人口の増加に対しまして温暖化、地球環境問題を加味した上での耕作可能面積はどの程度あるのか、またその食料供給量はいかほどか、そしてその供給量が世界需要にバランスするかということになろうかと思います。まさしく、人類は地球規模での大きな課題に直面しているように思います。
現時点、穀物以外の様々な食料、農産物におきましても、先ほど述べましたようなリスクが毎年その品を変えるような形で具現化しております。また、複数のリスクが同時に起きて複雑化するという想定も必要になってまいりました。
昨今の我が国の現状を見ましても、穀物においては、高値相場が続く中で、円安により輸入価格は上昇、エネルギーコストを含むもろもろの製造、物流のコストも増加する中で、加工食品、外食産業での値上げは不可避の状態にあります。
また、飼料、搾油関連のみならず、各食品企業においても、コスト削減のため、従来利用していなかった産地、品質の原料の利用も今模索しているところだと承知しています。
畜産業では、昨年、我が国で鳥インフルが多発し、突発的な鶏卵不足が起きたことは御理解のとおりです。家畜の疫病、伝染病関連は大変予測しづらく、供給不足が突然起きます。国内での鳥獣対策なども必要ですが、その囲い込みは難しく、現場は対応策に大変苦労していると理解しています。鳥は生育速度も比較的速く、そのリカバリーという点では早い畜種だと思いますが、万一、豚、牛という大動物になってくれば、母豚、母牛からの肥育期間が必要となってきますので、大規模な疫病が発生した場合は一定期間の供給不足が続くものだと考えられます。
我が国におきまして食料供給困難な兆候が認められた場合ですが、まず想定しておかねばならないこととして、我が国だけが何も特別に困難になるという状況ではなくて、他国も同様の状況に置かれる可能性が非常に高いということです。市場経済の中で大きく国際価格が高騰する、その可能性があります。穀物を緊急に買い付ける場合、他国も同様の動きになること、輸出国側でも、自国優先の立場から輸出の制限、また輸出国の生産者自身が国際相場をにらんで売惜しみをするなども十分に想定されます。迅速に商品を確保することが大切で、待ったなしの対応が必要となります。
民間業者としては、過去より、契約に基づく安定供給をとにかく果たすことに専念しています。過去において、タイミング次第でも起きたことがありますが、経済合理性に合わない状況も当然生まれるかと思います。代替産地を含めました商品のみならず、サイロを含む保管場所の確保、輸出ターミナル、船腹、ロジの融通、また従来とは異なる品種の原料、品質の調整なども必要になってくるかと思います。
特に、日本向けは、非遺伝子組換え品、分別生産物流管理など、他国に比べまして従来より非常にきめ細かな対応が要求されております。当社でも、産地の集荷能力を上げ、米国、ブラジルにおいては自前の輸出ターミナルを保有し、品質管理なども行っていますが、これら対応も、緊急事態で輸入量を増やす中、どのように調整していくのか、民間企業だけの判断では難しい側面もあり、官民で十分に意見のすり合わせが必要になってくるものだと思います。
また、何よりも大切な備えですが、民間の緊急買い付けなどで対応する前に、平時の時点から、穀物の輸出能力がある国々、また現在の主力の輸出国については、政府間ベースでの大きな食料確保の枠組み、協力関係などを構築していただくことが大変重要であると考えます。緊急時の円滑なオペレーションのためにも、是非これはお願いしたいところであります。
本来的には、我が国の自給率ですが、この我が国の自給率を上げ、食料安全保障を確保することが第一義だと思います。米以外の穀物のために水田から畑地への転用なども進めていくべきですが、現実的には、湿地改良は大変難しく、農家側の採算も考えますと、穀物の生産は収益性の点では魅力に乏しいものだと思います。穀物で収益を上げるためには、大規模化、機械化、DXなど含めまして、効率、収率を徹底して上げる必要がありまして、これら大きな負担を考えますと、法人化のような大規模経営、経営管理能力を持った農家の育成、これが必要になるかと思います。
また、農業が若者にとって他産業に比べて魅力の乏しい産業になっているのではないかと思います。まず、もうかる農業に変革しない限り、担い手を大きく増やすことはできませんし、輸入依存の構造はなかなか変わらないのかなと私は思います。
本法案では、不測の事態における政府意思決定の体制が明確化したこと、兆候段階からの具体的な措置の流れ、また食料供給困難事態のトリガーとして特定した食料供給量の大幅な減少、その目安が明確化になっており、民間から見れば少し分かりやすくなったなという感じはしています。
一方で、不幸にして食料供給困難事態に陥った場合、計画経済への移行期間だとも言えますが、原料を使用する各食品加工業者、企業にとっては、自分の属する業界の優先順位はどうなるかなど、企業経営にとっては死活問題になることもあります。その時点になってみないとどんな混乱が生じるかは今の時点では分からないと思います。
不測時の兆候を正確に確認するためには情報収集しかないわけですが、市場経済の中で、顧客、契約、在庫などについては、各企業にとっては相当センシティブな情報でありまして、本来、開示のハードルが高いものであります。正確な判断、予測のためにも、国際市場の情報も含めまして、かなりの情報収集が平時から必要と思いますが、具体的な情報収集の内容、その方法につきましては今後検討すべき点であると思います。
そして、国民生活の混乱を生じさせないためにも、食料供給困難な兆候が出た場合、農業生産者、企業、民間側の自主的な取組の具体的な運用、さらには計画変更が要請した場合の実際の運用、これをどうするのか、また財政の支援を含めまして、その負担、そして手間を最小限にするにはどうすべきなのか、これらにつきましては種々検討が必要になるかと思います。官民で平時の今から意見交換を行いながら可能な限り準備をしていくことがまず第一歩ではないかと思います。
また、食料供給困難の兆候が認められ、本部の実施方針が出た場合ですが、国民がパニックに陥る可能性も十分に検討しておく必要があります。SNSなどを通じて様々な情報が拡散する可能性があります。現時点から、国民には、我が国の食料構造の現状、そして国内農業の重要性を理解してもらい、産業としての農業にもっと関心を持ってもらう必要があるかと思います。そして、職業としても魅力ある農業にしていくことが何よりも重要でないかと私は思います。
民間企業の実務中心の意見となりましたが、以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/2
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003・滝波宏文
○委員長(滝波宏文君) ありがとうございました。
次に、笠原参考人、お願いします。笠原参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/3
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004・笠原尚美
○参考人(笠原尚美君) 新潟県阿賀野市農業委員会会長職務代理の笠原尚美と申します。
本日は、参考人として意見を述べる機会をいただき、誠にありがとうございます。
私は、農業委員会の関係者ですので、三つの法案のうち、農振法等の改正を図る法律案について意見を述べさせていただきます。
私は、令和四年五月に行われた農業経営基盤強化促進法と農山漁村活性化法の改正の際にも農林水産委員会で意見を述べさせていただきました。
法律の改正後、農業委員会は地域計画の基となる目標地図の素案作りに向けて奮闘していますが、多くの集落で話合いをする中で、あのとき改正された基盤強化法はこんな形で現場に生かされていくんだ、活性化法はこんなふうに考えられているんだと、二年を経過した今になって感じることが多くあります。
お手元にお配りした資料は、今回申し述べさせていただく私の意見の要旨と、その後にあるものは、今年三月に開催された第十九回女性の農業委員会活動推進シンポジウムで事例報告をした際の資料となっています。
阿賀野市農業委員会では、昨年七月末から、十五名の農業委員と十一名の農地利用最適化推進委員が集落に入り、目標地図の素案作りの話合いを進めています。事務局体制は専任職員七名と会計年度職員一名ですが、農林部局から農業経営基盤強化促進法の手続を行う会計年度職員一名が常駐し、合計九名と、大変恵まれた体制となっております。
当委員会の特徴を、地域計画の策定、目標地図の素案作りの観点から幾つか挙げさせていただきます。
阿賀野市の地域計画は十八の旧小学校区で策定されますが、目標地図の素案作りのための話合いは、市内二百十三ある全集落に農業委員、農地利用最適化推進委員がペアとなって入り、話合いのコーディネートを行っています。この際には、土地持ち非農家の皆さんにも出席いただいて、制度説明や農地バンクの仕組み、今後の農地の貸し借りの契約がどう変わっていくのかを説明し、理解を得ています。
また、話合いに使用する資料や説明のシナリオ、どんなふうに話合いをコーディネートしたらいいかをまとめた目標地図作成のための委員心得などを委員と事務局が一緒に作成し、活用しています。事務局任せにせず、委員が農業者としての視点を織り込むことで、地域計画の必要性を分かりやすくお伝えし、その集落に合った形で話合いを進めています。
それでは、今回提出された三つの法律案について意見を述べさせていただきたいと思います。
農業生産の基盤となる農地を確保し、適正、効率的に利用する者による農地利用を促進するため、農地の総量確保をうたうことは重要と考えます。しかし、国が考える総量目標と現在策定が進んでいる地域計画で明らかになる面積にそごが生じる可能性は否定できません。国が考える目標面積と地域が守るべきと考える農地の面積の違いをどう埋めていくかについては、地域特性も鑑みながら、国、都道府県、市町村が一緒になって考えていかなければいけないと考えています。
また、農用地区域の変更に国が関与することは評価いたしますが、農地転用が自治体の税収や就労などに大きく寄与する場合も多くある中、地域未来投資促進等の地域整備法に基づく計画については、農地を守る立場の者として、関係省庁との連携等を取っていただきたいと考えております。
さらに、第十三条第五項を新設されたことを評価しております。都道府県知事が、市町村から農用地区域の除外の協議があった際、都道府県の面積目標に影響があると認めた際に、市町村にその影響を緩和するための措置を記載した書面を求めることが明らかになりました。この影響緩和等の措置に、荒廃農地を解消し、農用地区域に編入することを財源の裏付けも含めて対応することも選択肢の一つに明確に位置付け、運用することが大事であると考えます。
一旦荒廃した農地は、耕作できる状態に戻すには膨大な時間と費用が掛かります。いわゆるA分類の農地が解消されたとしても、あくまで生い茂っていた雑木などを刈り払い、撤去したものであり、作付けできる状態ではありません。荒れないように管理されている農地です。この管理されている状態を耕作可能な状態にしなければ、農用地区域に編入しても無意味な編入となってしまいます。こうした農地再編のための措置等については、政省令などに明記することでより強く必要性を知らしめ、しっかりした予算確保をしていただきたいと思います。
続いて、農地法の改正について申し上げます。
不適切な転用を防止するため、農地転用の許可を受ける者が事業計画中に定期報告を行う仕組みの構築並びに違反転用を行い原状回復等の措置命令を受けた者が期限までに回復の措置を行わなかった場合公表する仕組みの創設については評価しております。
当委員会では、過去に違反転用等を行った者に対して許可を与える際に申請に基づいた転用を行うよう申し添えるとともに、農業委員、農地利用最適化推進委員が日々の見回りの中で注視し、場合によっては農業委員会会長などから指導を行っております。しかし、法的な後ろ盾がないため、その場さえしのげればいいと思っている事業者もあり、歯がゆい思いをしてきました。
また、転用の許可を受けた者には、事業完了後、事業完了届の提出をお願いしていますが、転用許可が下りてもなかなか転用作業に入らないケースや事業完了届の提出を忘れていることもあり、事務局の負担となっているのも事実です。
こうしたことを防止し、適正に転用がなされていることを把握するためにも、また違法転用を防止する観点からも定期報告を行う仕組みは有効と考えます。
このほか、原状回復の措置命令に応じない者の公表や関係機関との共有は必要ですが、命令を発するための詳細なガイドラインなどの整備も同時に行っていただきたいと思います。
こうした確認業務については農業委員会が担うことになりますが、農業委員会の業務は年々増加しており、事務局体制に恵まれている当委員会でもその傾向は顕著です。農林部局のみならず、ほかとの兼務やごく少人数の農業委員会事務局も多くあります。事務局体制の脆弱さは、様々な農地、農業施策を実施する際の遅延にもつながり、農業者への不利益になる場合もあることから、事務局体制の強化に特段の御配慮をお願いいたします。
続いて、農業経営基盤強化法について申し上げます。
地域計画区域内の遊休農地を担い手に権利設定する際、その手続を迅速化、義務化することは、遊休農地の更なる荒廃を防ぎ、使える農地を再生するために必要なことと考えます。
先ほども申し上げましたが、遊休農地を解消しても、使える農地にするには更なる時間とお金、労力が掛かります。できることであれば、こうした農地を引き受けてくれる担い手に対して何らかのインセンティブをお考えいただきたいと思います。
農地所有適格法人が、農業経営を発展させるため食品事業者との連携措置を行うことについては、実感が伴わないことをお断りして申し上げれば、そもそもの資本力が違う食品事業者などに対して、決定権の担保だけでは農業経営者の不安を拭い切れないのではないかと考えます。この不安を払拭するため、懸念払拭措置を規定し、様々な条件を付し、計画認定後も農林水産大臣が監督するなど、現場の懸念を受け止めていることは評価すべき点であり、その実効性に期待するものです。
以上でありますが、農地を守る上で大切にしなければならないのは、集落や地域での共同作業による農地保全の役割です。私どもが目標地図の話合いに集落に入って必ず出てくる話題の一つがこの共同作業の話であり、農業従事者の減少や高齢化、さらには農地所有適格法人が広範囲での農地を賃借するため出役できなくなっているなど、保全活動が成り立たなくなる集落が増加しており、この先も増加し続けると思われます。
現在でも、多面的機能支払交付金などで手当てがされているものの、お金ではなく人員の問題だとおっしゃる集落も多く、今ある農地を農地として使い続けるためのアプローチを多様化させる必要があるのではないかと感じているところです。
現在、地域計画の策定に向けた話合いが全国で行われております。初めて話合いを行った地域もあり、試行錯誤しながら進めているところも多くあります。地域農業に関する方針や農地の利用の在り方を地域の話合いに基づいて進める地域計画は現場を出発点とした取組であり、大変やりがいを感じております。この取組を地域計画策定後も続け、計画の実現に向けて、農業委員会、市町村、また、今後取扱いが大幅に増加することが見込まれている農地中間管理機構など、地域が一丸となれるよう、令和七年度以降もしっかりとした予算措置をお願いいたします。
また、先ほどから何度も申し上げますが、農業委員会事務局や農林部局の人員の問題は喫緊の課題と考えます。私が、昨年の農業委員としての年間活動日数は、目標地図の作成のための集落の話合いもあり、二百九十七日でした。これだけの活動ができるのは当委員会事務局の支えがあってこそのことです。私たち農業委員、農地利用最適化推進委員が農地や農業者に寄り添った活動をするためにも、人員に恵まれた農業委員会に在籍している私から是非とも特段の御配慮をお願いして、私からの意見陳述を終わらせていただきます。
大変貴重な機会を二度もいただけたことに感謝しております。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/4
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005・滝波宏文
○委員長(滝波宏文君) ありがとうございました。
次に、柴田参考人、お願いいたします。柴田参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/5
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006・柴田明夫
○参考人(柴田明夫君) 今日は、この意見発表の場、いただきまして、大変ありがとうございます。
私は、このお手元の資料に沿って意見を述べさせていただきます。
本日申し上げたい点でありますけれども、現在起こっているこの食料価格の上昇というのは一過性の話ではなくて、価格体系全体が上方にシフトしてきていると、こういうふうに考えております。右側にシカゴの穀物相場の五十年の推移がありますけれども、左半分と右半分では価格体系が全然違ってきて、大きく上昇してきているということです。したがって、価格を一時的に抑えるということは余り根本解決にはならないというふうに見ています。なぜならば、背景には、足下は供給ショック、様々な供給コストの上昇があるからと見ております。
この過去二十年間のグレートモデレーションというか、低金利、低インフレの心地よい時代というのは、やはりロシア・ウクライナ戦争を契機に変わってしまったと。世界がもう分断される中で、あるいはコロナパンデミックによるサプライチェーンの寸断とか、こういうものもありまして、世界は今や価格大調整の時代に入ったと認識しております。このあらゆる資源、食料を含めた資源、それからサービス、人件費、コストが掛かる時代に入っております。高インフレ、高金利の時代かなと思っております。
二番目の点で、食料安全保障の定義として、良質な食料が合理的な価格で安定的に供給され云々とありますけれども、この確保が難しくなっていると見ております。食料というのは極めて地域限定的な資源であって、地産地消、これが基本であります。有事を考える前に、まずはこの平時の対応というところを見ていただきたいと思います。
ウクライナ・ロシア戦争ですけれども、これは、この食料危機の問題から、ロシアとかあるいは中国含めますと、あらゆる資源を保有していると、大きな出し手でもありまして、化学肥料を含めましてこういうものの供給が滞ってくる、あるいは友好国に優先されて供給されるということになりますと、単に食料危機ではなくて、農業生産危機、農業危機に至る可能性もあると。
中国は、こういう面でいち早く将来の食料不足に備えて、転ばぬ先のつえを五年先、十年先についていると。日本はどうも転ばぬ先のつえを後ろについているなという気がしてならないんですね。
グローバリゼーション下で経済合理的な考えを持てばいいということで、極限まで農業の外部化を進めてきた。すなわち、食料の輸入依存度、逆に言えば自給率でありますけれども、三七、八%まで落ちている。外部依存度は、これ、逆に言えば六割以上を外部に依存するという、こういう構図は非常に危ういということで、まさにその転換を図るべきだと。食料生産の増大、そして在庫、安心できるレベルへの在庫の引上げ、こういうところに向けて予算も技術も人も制度も集中させていただきたいと思います。
今申し上げた、次のページがその五十年間のグラフですが、相場つきが全然変わってしまったと。二〇〇七年、八年の頃はアグフレーションと言われまして、価格が、農産物インフレは長期化するというふうな見方がなされました。背景には、中国などの途上国の経済発展に伴う不可逆的な食生活の変化、すなわち肉の消費が増えていくと。肉が増えれば、これ乗数、七倍の乗数を掛けて穀物の需要の拡大につながるわけですね。そういう需要ショックが起きたと見ております。
価格が上がれば供給も増えて、需給が若干緩んで価格は落ち着くんですけれども、現状は、その後も、下がったとはいえ、昔の高値が安値に変わったという変わり方であります。ここにコロナパンデミックとかウクライナ戦争が起こったというわけであります。今回は、供給サイドのボトルネックがいろいろな分野で起こって上がっているというところで、たちが悪いなと思います。
次のページですね。
世界の食料生産、足下、二十八億トンを超えて過去最高なんですね。最高にもかかわらず、不安な要因がたくさんあるんです。生産以上に消費も増えてきている。で、在庫がじわりじわりと取り崩されてきている。過去、年間消費量に対して在庫が二か月を切る、一五%ぐらいまでなると、大きな世界的な食料危機が起こりました。七三年、私、学生時代の頃ですね。それから、二〇〇七年、八年、食料サミットの行われた、世界的な食料危機のところです。現在は二七%あって、十分じゃないかと思われますけれども、この半分以上は中国での在庫です。これを取り除くと非常に危ういことになります。
それから、消費が増えている背景は何かというと、肉の消費が増えている。半分ぐらいは家畜の餌として使われている。例えばトウモロコシの場合、十三億トン近い生産量ありますけれども、そのうちの六割、七億トン、七億六千万トンとかですね、これが餌に使われてきているということであります。
右側ですね。コストが上がっているという話で見ると、世界の農業市場というのは長期的に見て成長市場で、おいしい市場なんですね。ここに多国籍アグリビジネスの市場支配が高まっているということであります。
種と農薬で見ると、種の場合は、バイエル、コルテバ、ケムチャイナ、三社で半分ぐらいのシェアを持つんですね。それから、農薬にいきますと、四社で六割近いシェアを持つということであります。それで、表の方で、化学肥料、農業機械もこの大手の市場支配が進んでいる。大体その四割ぐらいのシェアを三社で持てば、価格は下がっていかないんですね。種の値段でも化学肥料の値段でも余り下がらないということで、これがまたコストアップにつながって、食料価格の上昇につながると。
次の四番目は、生産が増えた結果、国際貿易量も五億トンのレベルに増えてきています。しかし、安心ができない。プレーヤーが限られているということですね。トウモロコシでいえばアメリカ、ブラジル、アルゼンチン、ウクライナですけれども、非常に不安定化してきています。一方で、輸入国は、中国が世界最大の輸入国となってきているということで、戦略物資化してもおかしくないということであります。
それから、緊急、非常事態、食料供給困難事態に備えて海外の農産物輸出国と仲よくしたらどうかというのもありますけれども、しかし、世界の穀物に限らず、食料全体の貿易金額、一兆三千三百億ドルとありますけれども、この市場の四割はフードメジャーあるいは穀物メジャーが握っていて、中身が非常に不透明であります。彼らはやはりもうかると思えばそちらに食料の輸出を向けるわけでありまして、日本を優先して供給してくれるという保証は全くありません。
次の五番目でありますけれども、食料だけではなくて、窒素、リン酸、カリ、これも、ロシア、中国、ベラルーシ、こういったところが握っているというところであります。
中国は、次のページ、食料生産も、七億トン近い食料の生産量に増えているんだけれども、将来の不安が拭えないということで、七番目のように、二〇〇四年以降、中央一号文書、最も重要なこの報告文書を年頭に発表するわけですけれども、これが二十年連続してこの農業問題に充てられていると。農業強国の建設ということを昨年はうたって、今年はその具体化ということで千万プログラムというのを設けてきていると。輸入能力を高めるだけではなくて国内の生産も増やしていくということをうたっています。
次のページが、そういう中で世界の在庫を見ると半分が中国の在庫ということで、例えば左のトウモロコシを見ると、三億トンの在庫のうちの二億トンは中国、七割近い在庫を持っているわけであります。右の表は、中国は一体年間消費量の何か月分を持っているのかというので見ると、八か月から十一か月ぐらいの在庫を持っています。日本は米で多くて二か月ぐらいで、非常に寂しい感じでもありますけれども。
日本の、右が、食料生産の拡大に向けて基本法の見直しということを期待していたんですけれども、残念ながら何かそういうところに力こぶが入っていないなという気がします。
十番目を見ていただくと、農業をめぐる情勢変化というのなんですね。この二十年間で左のようにあらゆるものが減少したと、政府予算は増えているけれども農業予算はむしろ減っているという構図になっています。
日本が追求してきた三つの安定、あるいは享受してきた安い価格で良質の食料を、良質ですから、食料の安全、安心、フードセーフティーは得られたわけですね。それから、幾らでも輸入できたというフードセキュリティーの問題もクリアできたということであります。
しかし、それが今脅かされているというところで、十二番目で見ると、エンゲル係数が、御承知のように四十年来の高い水準まで上がっている。物資の値段、農業関連資材の値段が上がり、そして食品価格も上がった結果、実質賃金が増えないというところでエンゲル係数が上がっている。
農家の経営は、非常にこの経営が悪化しています。自分の生産物が安くて、コストが高まっているということで、いわゆるはさみ状の価格差が生じて、農家の所得というのは惨たんたるものであります。
正しい価格転嫁、十四番のところですね、が必要でありますけれども、もう安値競争というのは無理であります。この条文の方には、良質の食料を合理的な価格で供給すると言っていますが、合理的って誰の立場からの合理的なのか、消費者ですよね。いわゆる生産者から見ると、合理的というのは市場価格になってきて、なかなか価格転嫁が難しい。これはやっぱり、価格は市場で達成するにしても、生産者にとっては政策でその生産者価格というのを達成すると、所得はですね、こういうふうに見ております。
基本法の見直しというのは、どうも、何というか、循環論法じゃないかというような気がいたします。
十六番のところで、その一人一人の食料安全保障についても……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/6
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007・滝波宏文
○委員長(滝波宏文君) 参考人、時間が大分来ておりますので、おまとめの方にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/7
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008・柴田明夫
○参考人(柴田明夫君) はい。
これがやっぱり、緊急事態にどう備えるかという話がすり替わってしまったなという気がいたします。
結局、大経営というのは必要なんですけれども、中小の農家の経営というのも非常に私は食料安全保障で考えてみると重要かと思います。
若干オーバーしまして、恐縮です。以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/8
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009・滝波宏文
○委員長(滝波宏文君) ありがとうございました。
次に、谷口参考人、お願いいたします。谷口参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/9
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010・谷口信和
○参考人(谷口信和君) 今日は、報告の機会をいただき、ありがとうございます。
私は、改正基本法と食料供給困難事態対策法案、長過ぎですけれども、これの関連という視点から報告したいと思います。
二ページのところを御覧ください。
この図は、右の方の図は、二〇一五年の安倍政権当時の基本計画の説明文書、基本計画に付随した文書です。そこにあるものをそのまま載せたものですけれども、食料安全保障と食料自給率及び食料自給力の関係が示されております。これを見ると、食料安保というのは、改正前の基本法に基づきまして、左側の下の方に不測時における食料安全保障と、ここにだけ単語が出ている。もう皆さん御承知のとおりだと思います。そして、それを示す指標として、このときの基本計画で初めて食料自給力という概念が持ち出されて、従来の自給率では不足すると、これを強めることによって課題達成に近づこうという方向が示されたということです。
この図のおかしなところが一か所あります、根本的におかしなところ。左側の下の方をよく見てください。不測時における食料安全保障の茶色っぽい四角の括弧の中に総合的な食料安全保障の確立が入っています。ところが、総合的な安全保障には条文の箇所が示されておりません。ないからです。そして、上の方の食料の安定供給の確保、これが基本法第二条第二項になっていますけれども、これがいわゆる通常でいうところの平時の食料安全保障に当たるものであるというふうに認識して対応してきたというのが実態だろうというふうに思います。
実は、二〇一〇年の民主党政権時の基本計画のときに、この総合的な食料安全保障という概念が提起されて文章に導入されたということです。なぜ入ったかといえば、その直前の二〇〇八年が世界的な食料危機だったということに対応して何とかせにゃいかぬということで、食料安全保障というもので全体をカバーしなきゃいけないという問題意識であったわけです。しかし、その後、この方向は採用されずに、政権が替わっていろんなことがあり、今日に至ったということです。
この図に①から⑮までごちゃごちゃごちゃと丸で書いてありますけど、それは今回の改正基本法によって食料安全保障という箇所が広がっています。あちこちに食料安全保障という言葉がちりばめられている。これ自体はいいことです、いいことです。しかし、それがどの箇所に当たっているかということを前の図のまま落としてみたということです。
そうすると、一番上のアクセス①⑧と書いてありますが、これは第二条の食料安全保障の確保の一番最初の定義のところですね。良質な食料への国民一人一人のアクセスというような箇所から始まって、アクセスは①と⑧で書かれています。それから、合理的な価格については②と⑤と⑬で書かれています。⑬というのは、下の方の第二節食料安全保障の確保に関する施策の⑫、⑬番のところですね、食料の価格形成における食料云々かんぬんというものです。
その次、ずっと見ていくと、国内農業生産のことはありません。事実上ありません、事実上。前のままだから、変わっていないです。それから、備蓄、これもありません。そして、輸入のところ、⑨、⑩、⑪、⑮と、つまり食料安全保障を強化するために輸入のことをしっかり考えようという姿勢が如実に示されております。
結局、私が申し上げたいのは、第一点目、食料安全保障を考える上で、国内生産、国内農業生産、自給率という問題をおいておいて、備蓄をおいておいて語れますかということなんですね。語り切れない状態になっているんじゃないか。これはやっぱり最大の基本法改正の問題だというふうに思います。
食料安全保障を掲げたこと自体は立派なことです。それを全然否定しません。しかし、何か一番大事なところが抜け落ちているんではないかなと。そのことに今回の困難対策法案もどこか引きずられているということを私は言わざるを得ないと思います。
結局、食料アクセス、合理的価格形成、輸入、輸出のみの議論になっていて、自給率向上という一番大事なところがほとんどされないまま事態が推移しているというのが問題だと思います。
次の三ページでありますけれども、三ページのところで書いたのは、その全体的な特徴をごく簡単に整理しました。結局、①二本立ての食料安全保障という形になっていたものを、二本立ての、食料安全保障になりました。というのは、かつては括弧付き、薄い括弧で書いていますが、平時の食料安定供給の確保と不測時のやつを今回まとめて安全保障と書いたために、平時の食料安全保障という言葉がなくなりました。つまり、食料安全保障一般になりました。そして、条文上は、後で述べますけど、二十四条のところで不測時における措置という単語が入って、ここも、不測時の食料安全保障、安全保障、落としました。全体が食料安全保障だからという趣旨です。それプラス困難対策法になっていますけれども、その結果、平時の食料安全保障という概念が事実上ふっと消えちゃったんですね、一般の中に流し込まれて。つまり、安全保障というのは、基本は平時の問題なんだと、食料に関しては。それが、やっぱり大事なところがちょっと落ちちゃったんじゃないかなというのが私の意見です。
二番目に、結局、輸出の問題です。これ重視しています。これも否定はしません。しかし、輸出言う前に国内生産でしょうというのが私の意見です。というのは、どこが倒錯かというと、輸出能力を持っていれば、輸出している分をやめて、国内生産の代わりに、国内生産していますから、それを輸出の代わりに国内の不足している分に充てれば足らない分が補えるんじゃないかという発想なんですね。
つまり、輸出をやめてということになると、相手の輸入国はどうなるんだ。実は、日本は、WTOで一貫して主張してきたことは、食料輸入国の立場として、輸出国が緊急事態のときに輸出禁止という措置をとることはおかしいと、それでは輸入国は困るじゃないかと、そういう片務的な関係では国際関係はうまくいかないよということで輸出禁止を否定したわけですね。今回のやろうとしていることは、大変になったときには日本も輸出禁止にしましょうということなんですね。そうすると、WTO上の外交対応というものがバッティングしてしまう。こういうダブルスタンダードの意見を国際関係の中で言うということはまずいんじゃないかなと思います。
三番目、そして、これは国内農業生産、備蓄に対してじゃないんですけれども、一番ポイントになっていることは、このこと以上に大事なのは、誰が担うかというと、国民が入っていないんですね、ほとんど。業者だけの話なんです。生産者から最後の消費者に行く直前までの加工業者や流通業者もある、あらゆる業者の話です。しかし、食料安全保障がスイスで議論されたときに、国民の問題なんですね、スイスでは。国民が、みんながどれだけ備蓄をちゃんと持つかということも含めて考えられているんであって、業者さん、持っていてくださいねと、いざというときに買えばいいですか、それではないでしょうと。これは国防の問題も同じですよね。国民全体が日本の国を守るという意識に立つかどうかということを抜きにして、自衛隊に任せておけばいいと。そうではないと思うんですよね。同じことなんです、食料の問題も。国民一人一人が、じゃ、自分のうちでは日常的にどのぐらいちゃんと備蓄を持っておく必要があるのかないのか、どういうものを持たなきゃいけないのか、こういうことを考えることが大事だと。そういう問題提起が著しく不足している。つまり、業者問題になっていて国民の問題になっていない。
つまり、農業問題、食料問題というのは、実は業者の問題ではなくて消費者と国民の問題なんですね。この大事なことが基本法において十分に訴えかけられていないというところに問題があると思います。
そして、実は農業生産の担い手に関してはほとんど変化がなくて、余り議論されなかった、先ほど触れていませんよね。実は、この前の二〇二〇年の基本法、ごめんなさい、基本計画のときに、従来の効率的で安定的な経営体に加えて、その他の多様な農業者というのが入りました。入ったことはいいんですけど、私はそのときも批判しました。入ったけど、やりますか、本当にそれを農水省は実践しますか。実は、それから今四年たっています。四年たった去年から今年の議論のときに、再び効率的、安定的でない経営体をどう考えるんですかと議論しているんですよ。今、議論ではなくて実践されたかどうかを問わなきゃいけないときに、入れるか入れないかの議論をしているんです。
つまり、文言として幾ら入っても、やるという気がなければ全く絵空事になってしまっているという現実が僕はあるんだろうと。これは現場の農業者が一番見ていることです。まあ所詮そういったって、俺らの味方になってくれないのだなという諦め、絶望に似たような気持ちが蔓延していると思います。これが一番まずいというふうに私は思っております。
ですから、この点で、今度の基本計画でもそうですし、今回のこの後の対策法案でもそうですけれども、こういう多様な農業生産の担い手に対してどの辺まで視野、視線ですね、目を配っているかということがあるかないかが大事だということです。
で、逐条的な指摘、四ページになりますけれども、これ一個一個細かいこと言うと切りがありませんので、二十四条のところだけちょっともう一回触れます。
これは、基本法の方で議論しておいた上で対策法案ができているということを考えなきゃいけないということです。ここでは、不測の事態が発生するおそれが認められたときからいろんな対策を図りましょうと、おそれが認められたとき。そして、これが食料供給困難事態対策法案制定の根拠付けになっています。
その上で何が書いてあるかというと、ほとんど主要な内容は、ポイントが基本法自体に書かれています、改正基本法に書かれています。その点で重要な点は、説明文書であったんですけれども、異常気象の兆候を捉えることで供給不足を事前に予測可能だと書いてあったんですね。うそでしょうと、誰ができますかと、私の意見です。できません、できていません、現実問題として。なぜならば、これ後で言います。ちょっと飛ばしますね、一回。
六ページ行ってください。今のことは、七ページですか、ごめんなさい、七ページですね、七ページで、不測の事態が予測可能性というパラドックスが現行の法案の問題だというふうに申し上げたいんですが、どういうことかというと、下の方の図を見てほしいんですが、左から三番目の図です。これ、BBCが出した図を翻訳したものをコピーしただけ、五月十日、もうつい最近の図です。現在の気候危機は、①、②、③に書いたように、世界と日本の二〇二三年の気温が過去最高になっていると、去年が過去最高。それから、CO2濃度、これも過去最高なんですね。
で、この左から二番目の図は、実はCO2濃度を日本でも三か所測っていて、大船渡にある綾里というところと、与那国島と、それから南鳥島です。この三か所の図が、これ見えないですけど、三本の線が真ん中の黄色いところにあるんですけど、並んでいるんですけれども、陸上から遠いところほどCO2濃度低いんですね。南鳥島が一番低い、そして次に高いのが与那国、そして綾里は高い。
つまり、人間の活動に近いところはCO2濃度が高い。空気ですから、その上だけに空気があるわけじゃないんですよ。動いているんですから。にもかかわらず、人が住んでいる、経済活動が行われている場所はやっぱり高いということが如実にその島との距離関係でもって示されちゃう。
そういう状況の下で、③番、海水温は、海面水温は、二〇二三年五月四日から過去最高値を更新し続けている。これ、すごく重要な点で、初めて、私もこれ、ここまで明確な図を見たのは初めてです。
何かというと、この図は、一月から十二月までの毎月の気温を、気温、平均気温ですね、これをプロットしたものです。そして、この下の方にある灰色のぼやぼやぼやっとしたものが、毎年違う年がだあっと並んでいます。ところが、この赤い線で書いてある、これが、二〇二三年と上の方にある二〇二四年、今ですね、今年、これだけが飛び出しています、上に。つまり、どの年とも異なって、去年から今年にかけて違う。しかも、ここに書いてあるように、五月四日、去年の五月四日からは、一切過去のところに交わらない、はるかに上の状態がずうっと続いています。ここまで来ているということは大変なことになるという予兆、僕はあったと思います。ですから、今年の冬から春、夏にかけて物すごいですよね。
私、実は、余り細かく言いませんけれども、那須塩原市というところで牧場のコンサルというか、仕事をずっとしていて、八年になるんですけれども、やはり、気温ずうっと調べてきて、やっぱり去年、今年は異常です。今年の牧草の作は、実は五月のときに一番草を取るんですけれども、七月の段階でした。つまり、二番草を取って終わっちゃう段階のときがもう五月に生じた。あり得ないです。去年の九月、十月、播種しているんですけれども、異常です。そして、何が起きたかというと、はやて、なかて、おくてといって、牧草ってそういう順番があります。これ、全部同じになっちゃった。まいた時期違うんだけれども、取る時期一緒、みんなもう最高になっちゃった。これは尋常じゃないんです。それで、私は、今年の夏はまた大変なこと起きるから、とにかく暑熱対策取ろうと去年からずっと言ってきてはいたんですけれども、もうこの三月、四月、五月、毎月一回ずつ行くんですが、対策を取ろうということでまた議論したばかりです。
こういうことがあるとすると、今、対策法案によると、もう本部つくる段階ですか、そういうことを聞きたいんですよ。つまり、こういうリアリティーがないか、あるかという問題なんです。ということは、逆に言うと、分からないんだから平時の問題をもっとしっかりやりなさいという単純なことなんですよ。無理なんですよ、幾ら予測ばかりやっても。そのときの対応を取ることはすごく大事ですけど、それ以前の問題を抜きにして、そこをいかに精緻にやってみても、残念ながら無理ではないか。
まして戦争の話、全く我々は予知していません。十月七日のことを予知した日本の社会科学者、国際政治学者、何人いたでしょうか。そして、ここで終わるという話も、一年以内に終わる、ウクライナ戦争、二年、三年、十年、もう分からなくなっています。こういうことがずっと続いているのに、そういうことは予知可能だみたいなですね。予知することは反対じゃないんですよ。しかし、可能だということよりも、できないという想定に基づいて、いかにふだんからしっかりやるかということに力を注ぐことが大事かというのが私の基本的な見方です。
以下、たくさん述べてありますけれども、もうあちこちで皆さんが言っていることと重なっていますので省略します。とにかく、平時と不測時の関係では、五ページに戻っていただくと、とにかく平時が大事だということです。日本について言えば、仮に、仮に海外からの輸入途絶があって、輸入途絶があって、国内生産は全く普通というふうになったとしても、在庫と備蓄を合わせて穀物については五か月分しかないんですね。ところが、アメリカの場合には、輸出していますから、しかも輸出していながら在庫持っているんですね。ですから、この部分をやめるだけで一年間ずうっと食えるんです。まして平常作でいけば、余っちゃうんですよ、そもそも。そういう国が一方であるのに、日本は全然違うところに行って、問題じゃないかなと思います。
中国のことについては、非常に熱心にやっているということは、先ほど柴田さんのお話のとおりだと思います。日本はもうちょっと学んだ方がいいかなと思います。
そして、最後、ちょっと簡単に触れて終わりにします。
十三ページ。まず一番目に、三のところですね、特定食料、特定資材の範囲、これがはっきり言って狭いと思います。なぜ狭いか。九三年の平成の米騒動の経験が踏まえられていません。お米が足りないからタイ米を輸入した、しかし、庶民はタイ米を食べないで、うどん、そば、ラーメン、小麦製品食べちゃったんです。つまり、今の食生活を前提にしてやらなきゃいけないのに、ただ芋だ何だという話ばっかりしてもリアリティーがないんです。そういう議論をすればするほど国民は、まあどこかでやっていますねという、自分の問題にならないんですね。自分の問題として捉えようとしなきゃいけないなというのが私の意見です。
それから、需給状況の報告徴収等々について、衆議院でも、参議院、こちらからもそうだと思いますが、懲罰の規定ですね、様々な義務に対しての懲罰規定が全部載っています。それも非常に重要だと思うんですが、それ以前に、実は、効率的な、安定的な経営体ということを一方で言っておきながら、どの範囲まで広げるかということをですね、このこちら側の多様な生産者について位置付けしないまま、曖昧なまま、呼びかける相手をはっきりしないままでできるんですかと。つまり、そこのところを、基本法の本体とこちらの困難法案、整合性取っていくことはすごく大事だと。そうしないと、おかしくなっちゃう、実現できないんじゃないかと思います。
そして、最後のところです。のうてんきな……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/10
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011・滝波宏文
○委員長(滝波宏文君) 時間ですので、意見をおまとめください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/11
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012・谷口信和
○参考人(谷口信和君) はい。
総合的な備蓄論に関しては、私は、フェーズフリーの備蓄論ということで、これを重視したいというふうに思っております。
最後、二点だけ加えて、一分以内に終わります。
九ページです。九ページのところに書きましたのは、農地所有適格法人の議決権の緩和の問題ですけれども、これは、私は基本的には反対ではないんですが、二点厳しい対応があると。
一つは、地銀ファンドについては余り賛成しません。なぜならば、私自身が今関係しているところも銀行の管理下にあるような会社なんですけれども、銀行マンの、今銀行の置かれている状態というのは、昔の銀行じゃないんですよね。株式を対応するような、証券会社とほとんど変わらない、ユニバーサルバンク化しています。そこでの利潤やもうけの指標というのは、こんな五%、三%なんてものじゃないんです。はるかに高いんです、二〇だ、三〇だ、五〇%だという。そういうところの基準を持って経営参画している、あるいは経営を中心となってやるようなものという農業は成り立ちません。
かつて北海道でオムロンが施設園芸に進出してやめたときの、彼らの上げていた利潤率は七%です。七%よりも電子機器の方がはるかに高い二〇%以上利潤率上げているから撤退だったんですね。そういうものにやっぱりなかなか任せにくい。頑張ってやってくれればいいです。そうならないということが問題だろうと思います。
それから、スマート農業技術については、技術そのものは賛成なんですよ。これ、誰が、どういう経営体の、どういう規模のやつが、どういう技術を受け入れるかと、その受皿の問題がないんですね。
そうすると、日本の場合で、簡単に言いますよ、一番大きいトラクターでいってもせいぜい百五十馬力です。二百馬力ほとんどありません。しかし、ヨーロッパでは三百ですよ。三百馬力のトラクターを入れる圃場ってありますか、日本に。ないんですよ。トラクターとしてはその方が効率がいいんですよ。しかし、路上も走れません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/12
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013・滝波宏文
○委員長(滝波宏文君) 済みません、時間ですので、おまとめください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/13
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014・谷口信和
○参考人(谷口信和君) そういうことで、受皿の問題をやっぱりしっかり議論して、いろんなことを考えなきゃいかぬということだけ申し上げて、終わります。
ちょっと超過しました。失礼しました。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/14
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015・滝波宏文
○委員長(滝波宏文君) ありがとうございました。
次に、池上参考人、お願いいたします。池上参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/15
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016・池上甲一
○参考人(池上甲一君) ただいま御紹介いただきました池上甲一でございます。
近畿大学名誉教授で、私は、NPO法人の西日本アグロエコロジー協会の共同代表、それから任意団体の家族農林漁業プラットフォーム・ジャパンの常務理事を務めております。今日は、こういう機会をいただきまして、大変有り難く思っております。
お手元の資料、文書の資料に基づきまして説明をしていきたいと思います。
まず、食料供給困難事態対策法案についてでございます。
基本法の改定、基本法は成立いたしましたが、いろんな問題もありますが、評価すべき点もあるというふうに思っておりますけれども、この困難対策法案については極めて問題が大きいというふうに考えております。
本法案の提出理由では、米穀、小麦、大豆の国民の食生活上重要な食料の供給が大幅に不足し、又は不足するおそれが高い事態に対応するためと記しています。また、本法案第一条は、世界の食料の需給及び貿易が不安定な状況になっていることを認めています。この点につきましては、既に柴田さんですね、柴田参考人、それから一番最初の寺川参考人も触れておりますように、今や常識化していると言っていいと思います。とすれば、最優先されるべき食料政策というのは、谷口参考人も申し上げましたように、国内生産の維持、増強だということは論をまたないというふうに思います。この観点から判断すれば、本法案の必要性は極めて低いというふうに言わざるを得ないというふうに考えています。
それに加えて、本法案には幾つもの致命的な欠陥が存在しています。逐一述べていくことはできませんので、ここでは最も重要な点に絞って述べたいと思います。
最大の懸念は、日本国憲法第二十二条に規定されている職業選択の自由、その中に含まれるというふうに理解されている営業の自由ですね、これを侵害するおそれが極めて高いということでございます。
皆さん方は、委員の皆様方におかれましては、今オンライン上で本法案の廃棄を求めるオンライン署名が展開、広がっていることを御存じでございましょうか。これは、農民自身がその廃案を求めているというところにこの本法案の最大の特徴が表れているというふうに考えております。
この方は、このオンライン署名を展開、提案された方は、八年前に脱サラをして中山間地域にIターンした新規就農者の方です。この方、ユズを植えて六年たちました。今年ようやく収穫期を迎えたようですね。本法案が仮に成立して発動されたということになると、こういう方たちの努力、継続的な努力が無に帰すことになる、そういう危険性を持っております。というのは、食料供給が困難になったと政府が判断すれば、稲、麦、芋類のいわゆる特定重要作物ですかね、そちらへの転換を実質的に強制されかねないからであります。
条文上は、出荷、販売の調整の要請、出荷販売計画の作成指示、出荷販売計画の変更指示というふうにお願いしたり指示したりする体裁を取っています。農水省の事前の説明でも、そういうお願いをするんだということを強調しておりました。しかし、計画どおりに出荷、販売する法的義務が定められており、その義務に従わないと、氏名の公表と罰金刑がペナルティーとして科されてしまいます。営業の自由を貫くと前科が付いてしまうということになりかねないわけですね。この問題は、さらに、日本の、日本社会の特質を考えると、非常に深刻な問題も内包していると思います。それは、コロナ禍の下で営業自主規制が要請されたときに、営業を続けた飲食店が非国民というふうな形でそしられたことも念頭に置く必要があるというふうに考えています。
こうした一連の流れは、農民の営業の自由を著しく損なうおそれが高い。花卉作や果樹作、畜産の飼料作など、非食料作物の部門は専業農家が多く、日本農業の中核を担っています。ところが、外国の干ばつ、熱波、洪水、動植物の病虫害、あるいは紛争、戦争など、これとても予測できないというのは谷口参考人が強調されたとおりでございますけれども、いつ発生してもおかしくない、そういう状況の下では、本法案による生産指示の発動におびえながら経営するということになりかねません。そうすると、経営の継続性だけでなく、将来を見通した計画的な農業投資や営農意欲に悪影響を与えるというおそれもあります。そのことは、直接的な営業の自由の侵害だけではなく、間接的にも営業の自由を阻むおそれがあるというふうに思います。
さらに、本国会で成立した地方自治法の改正によって地方自治体に対する国の指示権が行使できるとされたことを踏まえると、食料の確保を前面に出す指示権運用の可能性ということも否定できないのではないかというふうに考えております、懸念しております。
以上のような法的な枠組みを考慮すると、本法案は明治末から大正期にかけて行われたいわゆるサーベル農政というものを想起させます。サーベル農政とは、生産力を上げるために農事改良を進めるということで、そのために、従わない農民に対しては罰金あるいは警察官による取締りもするというふうな形での強圧的な農政のことであります。サーベル農政の持っている暴力性というものは、明治政府の反農民的性格を示すものであったというふうに指摘をされております。つまり、本法案について決定的に欠けているのは、農民の立場、農家の視点というものが欠けているということだというふうに考えております。
本法案が想定している生産、流通、さらには消費、あるいは生産資材に至るまでの管理統制については、日本は戦前から戦後までの統制経済の歴史を持っています。それは大変息苦しい社会で、個人の自由がないがしろにされてきました。今改めて歴史に学ぶ重要性ということを強調したいというふうに思います。
次に、二番目に、農業の生産性の向上のためのスマート農業技術の活用の促進に関する法律案について説明したいと思います。
目下の日本にとって、社会経済政策にとっても国土政策にとっても、また防衛上の安全保障政策にとっても、農村に人を残すことが最大の課題であるというふうに考えております。国民国家として優先すべき課題が食料の提供であることを考慮すれば、農業に人を残すということも必須です。つまり、農業、農村に人を残すことが喫緊の課題だというふうに言えるかと思います。
それなのに、本法案は、今後二十年間で基幹的農業就業人口が百十六万人から三十万人に減るという予測を前提として、少人数に対応した高生産性農業を標榜しています。生産性が高い農業そのものに問題があるというわけではありませんけれども、その結果、農村はごく少数の農家しか住まなくなる。で、地域社会の弱体化がもたらされてしまう。そうすると、その農村を、いろんな形で重要な役割を持っている農村の弱体化に貢献する法案であるというふうに言わざるを得ないと思います。本法案は基本的に人減らし法案だというふうに極論することもできるかもしれません。
問題は、スマート農業が農業従事者の育成、確保や重労働の軽減といった農村、農業の要望に応えるのではなく、生産性向上の名目の下に人手不足を更に促し、コスト競争力を強化しようという狙いそのものにあるというふうに思います。ここでの生産性の向上とは、要するに作業時間の節減ですね。これは、企業経営であったら当然労賃の節約につながるわけですけれども、農家にとってみれば、労働時間が減ったらその分だけ労働報酬が減ってしまうわけですね。だから、決して農家にとってはプラスになるとは限らないという面もあります。本法案は、大多数の中小・家族経営ではなく、ごく少数の大規模企業農業を対象に考えているというふうに言わざるを得ないと思います。
しかも、本法案第四条によりますと、生産方式革新事業活動を行う農業者等及び開発供給事業を行う者に対して集中的かつ効果的に支援を行うと、大規模企業農業と開発事業者を優先する方針が明記されています。その大規模農業も、そのスマート農業技術というのはこの開発事業者から提供されるわけですから、本法案は、半分以上がスマート農業技術を開発する機械メーカーや情報企業、あるいはドローン作業などの請負業界を支援する法案だというふうに位置付けることもできるかと思います。つまり、開発ベンダー支援法なのではないかというふうに考えております。
このことは、みどりの食料システム戦略の予算配分を参照すれば一目瞭然になるかと思います。このみどり戦略のための予算枠として、二〇二四年度には技術開発・実証事業に六十八億円充てましたが、有機農業の推進に関わるみどり戦略推進総合対策はその半分の三十億円にしかすぎませんでした。ここの点に明確に見られるように、恐らくこのスマート農業法案の予算の大半はベンダー企業に流れるということになるというふうに懸念されます。
本法案が開発ベンダー支援法としての性格を持つため、農民の意思が技術開発に反映されず、農民は単なる利用者にとどまってしまっています。だから、スマート農業技術がブラックボックスになってしまうわけですね。スマート農業技術が農民を技術開発から排除していくメカニズムが生まれます。そうした性格を持つ本法案の下で、果たしてスマート農業技術が農民の要望に応えるとともに農法を変革する契機になるか、大変疑問に思います。
ちなみに、二〇一三年頃だったと思いますが、農水省自身が組織した研究会の報告書では、作業時間の節減のほかにも、労働強度の軽減とか消費者や実需者をつなぐユビキタスといったような点が、五つの分野が盛り込まれていました。本法案では、この労働強度の軽減というのは一か所しか出てきておりません。したがって、こういうこの当時の研究会の方向が一体どこに行ってしまったのかということについても疑問には思います。
それからもう一つ、最後の方になりますが、大変重要な点として指摘しておきたいのは、農民から提供されるデータの取扱いでございます。
本法案は、これについて何も規定していません。企業による農業経営向け情報サービスが進んでいるアメリカでは、情報を提供する農家が農地の情報利用について主導権を持つことを保障する必要があるというふうにアメリカ農業連合会は主張しています。本法案が成立すると、営農に関する様々な情報が、取扱いについての規制なしに情報サービス企業や国、都道府県の研究所に蓄積されていき、これらの情報が自由に使われる危険性が高まります。今必要なのは、情報主権の考え方を導入し、農民の関与をきちんと保障する仕組みを構築することだというふうに考えております。
最後に、やや文学的な表現になりますけれども、工学的なスマート農業技術によって農民は本当に幸せになれるのかという疑問が残ります。それは、農業労働の性格を基本的に転換させてしまうからであります。ドローン利用の水管理システムは確かに効率性は上げれますが、水田の周りを歩いて、稲の様子を見ながら涼しい風に身を委ねたり、アキアカネの群れに感動したり、畦畔の野草の花に感動したりすることがなくなってしまいます。スマート農業技術は、こうした農業労働の全体性を失わせることになるだろうというふうに私は懸念しております。
三番目のいわゆる農地法関連法については、阿賀野の農業委員会の方も御説明をされました。時間の制約上、ここでは意見陳述を省略させていただきます。
以上でございます。どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/16
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017・滝波宏文
○委員長(滝波宏文君) ありがとうございました。
以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
これより参考人に対する質疑を行います。
なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。
また、質疑者におかれましては、委員会の円滑な進行のため、各質問の冒頭に、どの参考人に答弁を求めるかを明示して質問するようお願いいたします。
そして、答弁者におかれましては、時間の制約もありますので、簡潔、的確な答弁に努めていただければ幸いであります。
それでは、質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/17
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018・宮崎雅夫
○宮崎雅夫君 自由民主党の宮崎雅夫でございます。
今日は、五人の参考人の皆様、貴重な御意見をいただきまして、本当にありがとうございました。
私から、まず笠原参考人にお伺いをしたいと思います。
御意見の冒頭でも、二回目のということで、私も前回もこの場におりまして、貴重な御意見もいただいたわけですけれども、そのときの経営基盤強化促進法のポイントは地域計画ということであったわけでありますけれども、先ほどお話をお伺いしますと、その策定に向けて年間二百九十七日と、本当に頭の下がる思いでございます。御尽力にまず敬意を表させていただきたいと思います。
資料も拝見をいたしますと、昨年から地域での話合いももう始まっているということでございますので、全国の農業委員会関係の皆さん方、本当に努力をしていただいているわけですけれども、平均的がどこかというのは分かりませんけれども、いずれにしても順調に進めていただいているんだろうというふうに思うんですけれども、一方で、なかなか、来年の三月までと時間的な制約がある中で、これから取組を更に加速していかないといけない地域ももちろんあるんだろうと思います。
事務局の支えというお話もございましたけれども、これから加速していかないといけない地域の皆さん方で地道にしっかりと話合いを積み重ねていくということは大切なんだろうと思いますけれども、それも含めて、こういうふうに我々取り組んできた、ここが良かったというようなところがあれば、まずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/18
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019・笠原尚美
○参考人(笠原尚美君) 笠原です。
まずは、前回の参考人質疑の際に大変お世話になりましたこと、有り難く思っております。
私ども、地域計画の基となる目標地図の策定については、全ての集落に入らせていただいております。全ての集落に入っているというその理由は、農業者全ての方々にこの地域計画の必要性とその大切さをきちんと知っていただきたいというのが一つ。それから、重要な位置を占めてくださる土地持ち非農家の皆さんに同じ条件で同じ説明をさせていただくことで、知らなかったというのをまず減らしたいという思いがありました。
個人的には、きれいな目標地図を作成するのではなくても、話合いをこの先も続けていくこと、その先にある成果として集約をした結果の目標地図があると思っておりますので、この先もこういった話合いは継続していくべきであろうと思いますし、それが、私たちが担い手と、担う者と、それからそれを支えてくださる地域の皆様をきちんと把握して、先ほどの話にありましたような食料をきちんと生産していくという、そこにつながっていくものだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/19
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020・宮崎雅夫
○宮崎雅夫君 同じく笠原参考人に幾つかお伺いをしたいと思うんですけれども、今、もう本当に地道な話合い、これからも、作ることが目標ではなくて、その後も継続もしていただいてというようなお話でありましたけれども、私も全国を回らせていただいている中で、一つ参考になったのは、やっぱり地域の皆さん方全員に知っていただくという意味で、あるところでは区長さんなんかのもう協議会みたいなものがあるところと一緒になって進めていただく、ですから、農業だけの話じゃなくて地域の問題として取り組んでいただいていると。その後も、つくった後、ちゃんと動かしていこうというようなことで、新たなそういうような一緒になる組織もつくろうというふうに考えているんだというようなお話もお伺いして、すごく共通するところがあるなということでお話をお伺いしたんですけれども。
今日、特段御意見はなかったんですけれども、実は、農地の取得、今回の法案の中で、権利取得の許可要件の例示というのがあって、農作業に従事をする方の配置の状況とか、農業関連法令が守られているのかどうなのかというような状況を追加をしているわけですけれども、多分、阿賀野市の中であればそれは把握はできるんだろうと思いますけれども、地域外から阿賀野市に入ってこられて耕作をしたいという方もいらっしゃると、なかなか、農業委員会間での連携がうまく取れないととか、情報が共有をされないとなかなかチェックのしようがないというようなこともあるんだろうと思いますけれども、その辺りについて何か御意見がありましたらお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/20
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021・笠原尚美
○参考人(笠原尚美君) 実は、私どもの市ですけれども、近隣市町村と、隣接している市町村と、三年に一回、改選を終えるたびに農業委員会同士で話合いをさせていただいています。
その中ではやはり、出作と入り作の方々の状況の把握であるとか、それぞれの手続の仕方であるとか、また、私ども、実は入り作をしていただいている方も大事な担い手だと思っていますので、そういった方々を把握するための会合を持っているんですけれども、それとは別に、地元で、現場で働く委員の皆さんも、出作、入り作をしていらっしゃる方についてはきちんと把握をさせていただいて、その方々がどの程度この先の農地を担っていただけるかというのもできるだけ把握をしていくようにしているところです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/21
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022・宮崎雅夫
○宮崎雅夫君 今の点に関連してなんですけれども、ふだんからそういうことをやっていただいているというようなお話なんですけれども、これから更にそういうことを、更にやっていただかないといけないことが出てくるんだろうと思います。
そうすると、やはり、あるところに情報を、共有のための何かをつくっておいて、農業委員会の方からそれが紹介できるとかなんとかというようなことも考えていかないといけないんじゃないかなとは思ったりするんですけれども、今やっておられることを更に発展をといいますか、情報共有をそれぞれの地域でやっていこうとするとどういうことが必要か、もしお考えがあればお伺いしたいと思います。(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/22
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023・滝波宏文
○委員長(滝波宏文君) 挙手お願いします。笠原参考人、済みません、御発言の際は挙手をしていただき、私の方から指名しますので、よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/23
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024・笠原尚美
○参考人(笠原尚美君) はい。
今すぐにこういった形がというものは私も思い浮かぶところではないんですけれども、情報を、そういった情報をストックして、それを委員会事務局なり委員がきちんと引き出せるような、そういうシステムがあると大変有り難いなと思っています。
私どもの行っているのは近隣市町村だけですけれども、そこを越えた入り作の方々もこの先当然出てくるかと思いますので、そういうちょっと遠方のところの方々の情報を得るシステムがあると大変有り難いと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/24
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025・宮崎雅夫
○宮崎雅夫君 笠原参考人に最後にお伺いしたいと思うんですけれども、今日いただいたペーパーの中、御意見の中でも、なかなか共同作業が難しくなってきているというお話がございましたけれども、お金の話じゃなくて人の話というお話もございました。多面的機能支払のことも触れていただいたわけですけれども、来年、大きな見直しに向けてこれから議論をしていくわけでありますけれども、何かこういうところを是非改善をしたいと、してほしいということがありましたら、御意見いただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/25
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026・笠原尚美
○参考人(笠原尚美君) 多面的支払については、阿賀野市、実は全部で百集落が利用しているというふうに伺っております。こういった方々のお話を伺うにつれ、それは大変いい制度なんですけれども、農家の皆さん、なかなか、会計の難しさや、それから誰が役職に就いていくのかというようなこともあって、手を挙げてくださる集落がいないというのも事実のところです。そういう面を考えますと、最初の入口のところ、特にそこについては、地域計画がきちんと策定されていれば若干入口の部分を入りやすくしていただきたいなというふうに感じています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/26
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027・宮崎雅夫
○宮崎雅夫君 ありがとうございました。
次に、寺川参考人にお伺いをしたいと思います。
参考人の皆様方から、食料安全保障の関係については、日本自身の農業をしっかり供給ができるようにしていくと、強くしていくということはもちろんですけれども、我々もそう考えておりますし、平時からの取組の重要性ということもございましたけれども、今いろんなものを輸入を農産物もしていただいている中で、中国がプライスリーダーになっているというようなお話ももちろんあったわけでありますけれども、平時に買い負けるというような、やっぱりそういうようなリスクについて、肌感覚としてどんな感じなのかをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/27
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028・寺川彰
○参考人(寺川彰君) 平時に買い負けるというか、実際は国際相場で動いておりますので、その相場で買うということになりますので、買い負けるというふうには意識は余りないですが、中国からの買い付けが一瞬急に増えたりすると、それだけで価格が上がってしまうと。どういうタイミングで買い付けるかというのが非常に重要で、穀物については、今であったら、もう十一月積みとか十二月積みの契約を今やろうとしているところですので、先物の見通し、どういう動きに出てくるかというところが気になるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/28
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029・宮崎雅夫
○宮崎雅夫君 ありがとうございます。
続いて寺川参考人にお伺いをしたいと思うんですけれども、今回の供給困難対策法の中で、特定食料等の需給状況の報告を関係の皆さん方から徴収はできるというようになっているわけですけれども、それで、民間在庫もしっかり把握をして、今の状況はどうなっているのかという把握になるわけでありますけれども、先ほどお話がありましたように、実際に輸入をするとすれば、大分先のことを見ておられるというようなこともあるわけですし、お話の中で、契約の話であったり、やっぱり在庫の話というようなお話もありましたけれども、実際にそういうことを政府で、今、例えば御社が幾らありますかというようなことを聞かれた場合に、なかなか、ぱっと出てくるものなのか、それとも、やっぱりこういうところについてはなかなか難しいんだというところがありましたらお聞かせいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/29
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030・寺川彰
○参考人(寺川彰君) 基本的には、契約残というものは管理しておりますので、契約残は当然把握しておりますので、そんなに難しい作業ではこれ自体はないです。ただ、その契約がいろんな、何というんですかね、船積みの時期とかそういうタイミングとか、そこについて詳細にと言われると、農家との集荷との兼ね合いも出てきますし、ぴったしこの時期にこれぐらいというようなお話にはなかなか難しいところはあるかも分かりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/30
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031・宮崎雅夫
○宮崎雅夫君 ありがとうございます。
ちょっと時間が最後になって、残り三人の参考人の方の質問をちょっとできなくて申し訳ございませんけれども、最後に寺川参考人にもう一つ。
柴田参考人、それから谷口参考人からも在庫のことについてもお話があったわけでありますけれども、今の日本の在庫ですね、主要な穀物等について、低いと思われているか高いと思われているか、その辺りについてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/31
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032・寺川彰
○参考人(寺川彰君) 平時の今のレベルで申し上げると、今の時点で順当、好適な在庫かなというふうには思います。
結局、契約で持っている在庫、洋上の在庫、それらを全部含めますと、在庫というのは一定数量確保できているというふうに理解しています。
また、先ほど申しましたように、穀物価格が、先物が変わりますので、どういう状態で契約するのかというのは非常に難しいポイントになってくるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/32
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033・宮崎雅夫
○宮崎雅夫君 時間になりましたので、終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/33
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034・横沢高徳
○横沢高徳君 立憲民主・社民の横沢高徳でございます。
今日は、参考人の皆様、貴重な御意見ありがとうございます。
早速質問をさせていただきます。
基本法関連三法案について、まず、柴田参考人、谷口参考人にお伺いをします。
基本法制定から二十五年、数字を見ても日本国内の生産基盤はかなり弱体化してきております。基本法の審議でも、大臣の生産基盤は弱体化しているとは思わないという答弁にも表れているように、基本法の中にも、人口減少があたかも農業者の減少のような表現も入っているということです。議論の大前提として、この事実を基に農政の政策検証が十分でないまま、基本法改正、そして食料供給困難事態法を今審議をしているという状況でございます。
まず、お二人から見て、これまでの農政の問題点、それと、これから人と農地を守っていかなければいけない、再生産可能な農業をつくるために求められているものは何か、お伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/34
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035・柴田明夫
○参考人(柴田明夫君) ありがとうございます。
弱体化しているというのは、あらゆるところで弱体化しているわけですけれども、農地が毎年二、三万ヘクタールずつ減少傾向にあるというところで、最初の六一年農業基本法、六百万ヘクタールあったわけですが、これがずっともう減少そのものです。しかも、今四百三十万ほどの農地が完全に利用されていないということで、作付け率も一〇〇パーを切っているわけですね。
そういう中で、今までのやっぱり反省に立つということであれば、私は、二〇一二年ですかね、あのアベノミクスの農業、その攻めの農業というのが逆に私は農業のこの弱体化につながってきたなという印象を持っております。攻めの農業は、やっぱり規模を拡大して付加価値を付け、六次産業化で付加価値を付けて、あわよくば輸出に持っていくというワンセットの、ここを支援する話でありました。
けれども、法人農業、企業農業というのは確かに二万辺りから四万ぐらいも経営体は増えているんだけれども、一方で家族農業がどんどんどんどん減ってきたんですね。優秀な農業という、それは優秀でいいんですけれども、食料安全保障を考えた場合には、やっぱり家族農業を含む全ての農業ですね、自給的な農家においても生産をすると、こういうことが重要なのかなと。それが、何というか、危うくなってきているということですね。
現在、昭和に直すと昭和九十九年になるんですけれども、米作りのメインは昭和一桁ですから、この世代というのはどんどんいなくなってきているということで、まさに八十近くなっているんですね。これ、時間の問題で、本当にもう壊滅しちゃう可能性が高い。
一方で、スマート農業とか駆使している規模の元気のいい農家ってあるんですが、彼らは、何というか、どうせなくなる農家であれば、もう早くなくなってほしいというような意見も聞きますので、これは加速主義の考え方ですね、未来は一つだと、なくなるものなら、もうそちらの方向に進んでほしいと。
しかし、未来は幾らでも変えられる可能性が高いと思うんですね。家族農業を守るということも、ここは考えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/35
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036・谷口信和
○参考人(谷口信和君) 私は、いろいろありますけど、一言で言えばサステナビリティーだと思います。サステナビリティーというのは、別に農業だけじゃなくて、今、地球も含めてそれが最大の課題だというふうに考えます。
そのサステナビリティーを農業で支えるためにはどうしたらいいかというと、二つあります。
一つは、今ある経営を潰さないことです、まず。ここ数年の大変な問題に対しては、数年のうちに、あるいは直ちに対応しなきゃいけない問題があると思います。しかし、その経営が、もう選択して仕事している以上は、自分の一生をそうころころころころ変えられませんから、あるときまでは我慢してやります。しかし、その経営が続くためには、後継者、後継の経営がいることが大事です。そのためには何かというと、五年、最低五年、七年から十年ぐらい先まで見通せるような政策が今きちんとあるかどうか。
そして、それに自分が対応できるかどうかという点での政策的な安定性、サステナビリティーがどこまで担保されているか。五年ごとにころころころころ変わるようじゃ駄目です。基本計画で、残念ながら一貫した政策が取られているとはなかなか言えないような事態ですから、自分の息子に継がせようというときに、大抵継がせるときによく言われるのは、いい機械を買おうとか施設を増やそうとか何かします。投資が要ります。投資の回収期間を当然考えますから、当然、それから考えたら、最低で七年、八年というのが普通議論されていると思います。実際はもっと長いと思います。というのは、一生懸けるようなことにするかどうかってなると、七年だとどうかなと。やっぱり二十年ぐらい先まで見通せてやっていけるとなると後継者が出ると。
この両方の当面の対策と長期の対策、この両方についての政策的な対応がきちんとされていることを見れば、大変なときも何とかしてくれるんだなと、例えば国はね。それから、長期についても、こういうふうに政策をころころ変えないでやってくれるのかなという見通しが共有できれば、農業というのはそんな悪い産業ではないというふうに思います。それが欠けていると、今決定的に欠けている、その一言に尽きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/36
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037・横沢高徳
○横沢高徳君 やはり、家族農業を守っていかなければいけないということと、サステナビリティー、持続可能な農業ということで、我々も基本法改正のときに、再生産可能な所得をやはり確保することが食料安全保障の面でも非常に大事だという議論をしてまいりました。
この点について、谷口参考人、簡潔でいいので、御意見があれば伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/37
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038・谷口信和
○参考人(谷口信和君) 価格変動が大きいときに対応するのは、厳密に分析して、これこれの価格が必要だとやるとすごく時間が掛かりますから、取りあえずこのぐらいで我慢してくださいねというところを予算持ってきてやるという対応があると思います。それが先ほど言った当面の数年間の間の対応という話です。
しかし、実際は、それでは次の世代までつなぐようなサステナビリティーは確保できませんので、どうしてもそこで長期的な対応ということになるというふうに思っています。簡単に言うとそういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/38
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039・横沢高徳
○横沢高徳君 それでは、続いて笠原参考人にお伺いをしたいと思います。
農地の総量確保についてです。農地の総量を確保するのは非常に重要な課題だというふうに考えております。先ほども、十三条五項が新設されたことは評価されたということで、総量を確保するために荒廃農地を解消して農用地区に編入すること、そして荒廃農地を農地に戻す財政的支援も必要だというふうにおっしゃいました。その次も大事だと思うんですね。必ずしも条件のいいところだけ荒廃農地を農地に戻して農業を続けていくわけじゃなくて、中山間地なんかは、非常に条件の悪いところでも、生産性が上がらないところでも、やはり農地の確保をしていかなければいけない。
その農地を確保した次の再生産可能なやはり政策も非常に重要になってくると思うんですが、笠原参考人のお考えをお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/39
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040・笠原尚美
○参考人(笠原尚美君) おっしゃるように、再生産可能な政策は確かに必要だと思っております。再生産可能な政策と同時に、再生産ができる人をきちんと確保していただく、耕作できる方を育て続けていただくことも何より大切だと思っております。
よろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/40
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041・横沢高徳
○横沢高徳君 ありがとうございます。
あと、もう一点、笠原参考人にお伺いしたいんですが、二〇二二年四月から下限面積の引下げがありました。これ、現場の影響は、この引下げはどのような状況か、お伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/41
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042・笠原尚美
○参考人(笠原尚美君) 当阿賀野市についてになりますけれども、下限面積の引下げを、実はその法律で定められる一年前に行いました。その後、先ほどからお話のある家族的な農業で出荷をしないという、どちらかというと自作で、自分の家で作ったものを自分たちで食べるという方々の申出がかなりありまして、相談に乗っているところです。相談に乗ってはいますが、できれば最初は、農地を買うのではなくて借りるという方法をまずお試しいただいて、その先に、それでもやはりこの農地が欲しいという方々には売買という手続をさせていただいています。
実際、そういった方々がきちんと耕作しているかどうかにつきましては、農業委員、最適化推進委員がきちんと見回りをしておりますし、そういった方々のいろいろな相談に乗っている委員も実際にいらっしゃいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/42
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043・横沢高徳
○横沢高徳君 ありがとうございます。
谷口参考人にお伺いをいたします。
現場を回っていますと、生産現場からやはり今回の罰則規定についての不安、懸念が多く出ております。この点について、谷口参考人のお考えをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/43
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044・谷口信和
○参考人(谷口信和君) やはり、何というかな、励まされるということが少な過ぎるんですね、農業は。いつも駄目だ駄目だばっかり言われていて、教育でも、全てそうですけど、日本人、今欠けているのは自信と誇りですよね。それをやっぱりさせないような雰囲気が濃厚です。ですから、これは罰則規定厳し過ぎると思います。
それから、先ほどの、ちょっと一つだけ補足していいですか。七年とか五年とか言った意味のこちら側にあるのは、やっぱり直接所得補償なんですよね。つまり、今年どうだこうだじゃなくて、この十年間ぐらい食えるだけの水準のものが所得として得られるようなことが見通されれば、次の経営体につながっていくような、後継者を探すという努力もするし、人も出てくるだろうと。やっぱりそこが見通せないことが今最大の問題かなというふうに思っているということです。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/44
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045・横沢高徳
○横沢高徳君 ありがとうございます。
それでは、寺川参考人にお伺いをします。
やはり、今、世界情勢が不安定化している中で、輸送の安全確保、特にシーレーンの安全確保も非常に重要な課題となってくると考えます。
それで、省庁横断的な取組がやはり大事になってくると思うんですが、その中で、やはりシーレーンの確保とかになりますと、防衛省の関係も非常に重要な役割を果たすと思いますが、この点についてお考えがあればお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/45
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046・寺川彰
○参考人(寺川彰君) おっしゃるとおり、ロジスティック面で確保というのは大変重要になってきます。ただ、今現在、当社というか、業界全体が輸入している各国というのが、先ほど申し上げたような米国、カナダ、豪州、ブラジルという状態ですので、そこについてのバルク船での、いわゆる船舶の不足ということはないと思いますが、一点あえて申し上げると、昨今であったのは、パナマ運河の水位が下がることによって船が通れなくなって大きく回らないといけないとか、そういう問題は個々には生じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/46
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047・横沢高徳
○横沢高徳君 ありがとうございます。
それでは、柴田参考人にお伺いをします。
備蓄についてであります。
先ほどから、中国の備蓄は多くあり、日本は少ないということがありますが、やはり日本のこの備蓄についての課題、そしてあるべき姿を、もう一点、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/47
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048・柴田明夫
○参考人(柴田明夫君) 日本の場合は、やっぱり圧倒的に少ないし、大体その戦略備蓄というのが米と、まあ米ぐらいしかないんじゃないかなという気がしますけれども、麦とかトウモロコシとか大豆、流通在庫というか、こういうふうな観点にとどまっているのかなと思いますね。
これは、海外からほとんど輸入しているという構図の中で、今までが良過ぎたんですね。低在庫戦略、九〇年代にいわゆるグローバリゼーションが加速したときに、あらゆるものがもう自由化されて、海外の最も安いところで、農業においても、地球全体を俯瞰して適地適作を探したわけですね。そこから持ってくるとしても、西側世界が勝利をしたんで、もう地政学リスクないんだと。アメリカが、もう今は、八〇年代までは五割、六割という在庫率を持っていたのが、もう一〇%ぐらいまで下げてきたんですよ。低在庫戦略をしてきた、それを日本はやっぱり見習っているのかなという気がしましたですね。
九三年の平成米騒動のときも、米の在庫はほとんどなかったわけですね。そういう事態に、問題が起こったということです。もっと厚くする必要があると。そこに予算を付ければいいんですね。一トン年間一万円、米で、としても、まあ百万トンぐらいになるんですかね、一億円とかね……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/48
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049・滝波宏文
○委員長(滝波宏文君) 済みません、時間ですので、お答えおまとめください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/49
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050・柴田明夫
○参考人(柴田明夫君) はい。
予算を付けるということだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/50
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051・横沢高徳
○横沢高徳君 ありがとうございます。
池上参考人にも農村の件お聞きしたかったんですが、時間ですので、また個別にお伺いしたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/51
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052・横山信一
○横山信一君 公明党の横山信一でございます。
今日は、五人の参考人の皆様方に大変貴重な御意見を賜りまして、感謝を申し上げたいと思います。
それでは、最初に寺川参考人にお伺いしたいと思います。
我が国は、自由貿易を前提にして食料の輸入依存度を高めてまいりました。参考人がおっしゃったように、今、穀物、肥料というのは需給が世界的に逼迫しているという状況にあって、戦略物資化しつつあるというふうに私も思います。そういう意味では、主に我が国が輸入している小麦、大豆、トウモロコシの主要な調達先というのは、参考人もおっしゃられたように、米国、カナダ等、限定的であります。この輸入の安定を確保するためには、政府は輸入相手国の多様化というのを進めようとしているんですね。
先日の基本法審議のときに、私、このことを大臣に問いまして、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ブラジル、これと日本を含めて、この四か国と日本を含めて供給カロリーの九割を占めているという状況があって、こういう現状の中で輸入相手国の多様化って本当にできるのということを聞いたわけですけれども、大臣からは、民間事業者、商社等が輸入相手国で行う集荷、船積み施設等への投資案件形成を支援することにより新たな調達先を開拓していきますという、そういう答弁だったわけです。
調達先の多様化は大事なんですけれども、現場で働いておられる寺川参考人は、こうしたその調達先の多様化ということについてどのように考えられるか、御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/52
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053・寺川彰
○参考人(寺川彰君) 調達先の多様化ということで、今言った主要四か国以外にも、そのほかにも、例えばアルゼンチンだとかパラグアイだとかあります。
いろいろ私たちもトライしていきますけれども、やはり一番大きなネックになってくるのはターミナルなんですね。港湾ターミナルのところをどう持つか、これが非常に大きなテーマになります。先ほど柴田参考人からもありましたが、大手のメジャーが港湾ターミナルを押さえているというところで融通が利かないというところありますので、自前のものがどれぐらい持てるのかというのは非常に大きなポイントになるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/53
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054・横山信一
○横山信一君 多様化を進めていくということが大事だということと、先ほど柴田参考人からも穀物メジャーの存在がありましたけれども、引き続き寺川参考人にお伺いしますが、やはり、今あるこの主要四か国で現在は安定しているということを考えると、この友好国との間でのその調達枠組みをしっかり構築していくというか、今もそうかもしれませんが、それを更にしっかり拡充していくというか、そういう方向性も重要なんじゃないかというふうに考えるんですけれども、この点についてはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/54
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055・寺川彰
○参考人(寺川彰君) 非常に大切というふうに思います。できましたら、国だけじゃなくて、例えばブラジルでいえばマットグロッソとか、こういう州があります。州政府との間というのも非常に大きな枠組みとして考えていくということが必要になってくるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/55
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056・横山信一
○横山信一君 ありがとうございます。
引き続き寺川参考人にお伺いしますが、先ほど非遺伝子組換え品の話が出ておりましたけれども、日本が輸入している大豆、小麦に関してはかなりニッチな品物を調達しているわけですけれども、今回の食料安全保障の考え方として、小麦、大豆に関しては増産を、もっと増産をしていこうと。
今の我々日本人のその食生活を考えても、残念ながら米を食べてくれないという現状があって、そうすると、やはりこの小麦、大豆というのは非常に大事になってくるわけですが、そういう観点では、水田の畑作の本作化でありますとか、あるいはブロックローテーションなどを活用して、水田活用を通じて増産をしていこうという流れになっているんですけれども、大豆、トウモロコシの生産量ですね、世界で見たときには、ほとんどがGMOで、そういう現状の中で、この先も日本がニッチな非遺伝子組換え品みたいなところを求めていくと、食料困難事態になった場合に、これは急にそこの部分の調達を増やすということはなかなか難しいでしょうから、そういう意味では平時からやっぱりGMOを考えていかなきゃいけないんじゃないかと思うんですが、この点について御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/56
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057・寺川彰
○参考人(寺川彰君) 今日現在におきましては、日本国民の中で安全で、そういう安全という一つの大きなキーワードがある中で、これを変更するというのはもう難しいと思います。実際に調達をする上でも、特定農家との契約とか、そういうことで囲い込みをしているのが現状です。
ただ、おっしゃるように、万が一という不測の事態が陥ったときに、先ほども申しましたけれども、品種を変えていかないといけないとか、こういうことが起き得ますので、これにつきましては今後検討をいろいろ、どういう条件の下で変えるのかということなんかは政府、農水とお話をしていく必要があると思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/57
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058・横山信一
○横山信一君 じゃ、続いて笠原参考人にお伺いしたいと思います。
先ほど横沢委員からも下限面積要件の話が出ていましたけれども、昨年の改正農地法でこの下限面積要件が撤廃をされました。その一年前から既にやっていたという話がありましたけれども、今、農業人口が高齢化していく中にあって、農地利用という観点では担い手の人たちに農地を集積していくということは非常に大事で、今現在そういう作業を進めてもらっているわけですが、一方で、先ほどの話にも出てまいりましたけれども、政府の総量確保とは別に、地域計画を作成する過程でどうしても農地として利用しづらいところというのは出てまいります。それを農地として維持していくわけですが、しかし、例えば新規就農者の中にあっても、小規模であっても農地利用をしたいという人も出てくるでしょうし、あるいは定年して帰農するという人も出てくるでしょうし、そういう面積が小さくても農地として利用する人たちというのは一定程度いると思うんですね。
そういう人たちをしっかり支援していったらどうなのということも基本法審議のときに私質問したんですけれども、それに対しては、農地面積が小さくても、市町村が定める経営目標などの一定の要件を満たす者を支援するという、政府の考え方はこういう考え方になります。簡単に言っちゃうと、地域で一緒にやっていく者は応援しますよという、そういうことだと思うんですが。
先ほどの笠原参考人の話の中でも、共同作業が大事だというふうにおっしゃっていて、「季刊地域」の中のインタビューで、笠原参考人の言葉ですごく僕は感動したのがあって、面積の大小にかかわらず地域の農地を守る仲間が増えたと言えるでしょうというふうに、この下限面積要件の撤廃の中でこういうふうにおっしゃられて、わあ、すごいなと思って読んだんですけれども、地域の仲間にするという、仲間が増えるというですね、仲間にするにはどんなふうに関わっていくのかということ、現場でのお話を聞かせていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/58
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059・笠原尚美
○参考人(笠原尚美君) 実は先月、まさにそういった方の新規就農審査をさせていただいたところです。
やはり私ども、地域の中できちんとその方々が生活し、営農していけるように、地域の皆さんとの連携が取れるように、見守ったり相談に乗ったりしていきたいと思いますし、そういった方々が集落の中できちんと定住していただいて営農していただくことが、先ほど申し上げた、共同作業なんかで一緒に作業していただいたり、地域のこと自体を考えていただくことになりますので、この先の地域計画の中できちんと位置付けをしていただけるように、できる限り私どもの方でもいろいろな支援をしていきたいなというふうに思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/59
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060・横山信一
○横山信一君 笠原参考人にまた伺いますけれども、今日の話には出てこなかったんですが、離農者が出ると、阿賀野市で離農者が出ると、担い手である認定農業者に集まってもらってマッチング会議を開いているということであります。誰がその農地を引き継ぐかを決めているということですので、非常に優れた取組だというふうに思いますけれども、一方で、やっぱり中山間みたいな条件不利地で離農者が出ると受け手を探すのは大変苦労されると思うんですけれども、これも「季刊地域」の中に出ていた話ですが、養蜂家に、その中山間のところを景観作物を植えてそれを蜜源にするという、これもまたすごいなと思って読んでいたんですが、今地域計画を作成している中で、こういう条件不利地を農地として活用するためにどのような取組をされようとしているのか、御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/60
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061・笠原尚美
○参考人(笠原尚美君) その「季刊地域」に載っていた養蜂家ですとか、中山間地で特に鳥獣害の被害のないような作物を作ることにしているような担い手の方ですとか、そういった方々に、そういう場所が出たときお声掛けをさせていただいているというのは当然なんですけれども、この先、本来耕作できるはずの農地ができないという状態になったときのためにも、そういう方、担い手の方々を大切にしていくというのも当然ですが、中山間地であっても耕作できるような基盤整備事業もやはりこの先考えていかなければいけないでしょうし、そういったときの要件を少し下げていただけると大変有り難いなと思っているところです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/61
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062・横山信一
○横山信一君 笠原参考人、多分これが最後になるんじゃないかなと思うんですけれども、今日の意見陳述の中には出てこなかったんですが、基盤法では、基盤法の改正案では、地域計画に位置付けられた農地所有適格法人に対して、新たに農業経営発展計画制度に基づいてこの支援を受けることができるようにするんですけれども、これ農地所有適格法人の経営基盤強化を図ることが狙いなんですが、一方で、産地側というか農業者側からすると、この農外企業による影響力が強まっていくんじゃないかという懸念があるんじゃないかというふうに思いますけれども、この点についてどう考えるか、御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/62
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063・笠原尚美
○参考人(笠原尚美君) おっしゃるように、やはりそういう懸念は農業者の皆さんの中にもおありです。
そういった方々にどういうふうな対応をしていったらいいのか、ちょっと私、今この場ですぐにお答えすることができないんですけれども、そういう懸念があることは私たちから、県であるとか、また全国農業会議所を通じて農林水産省などに伝えていきたいと思っているところです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/63
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064・横山信一
○横山信一君 もうちょっと時間ありますので、じゃ、寺川参考人、最後ですけれども、これ現場感覚で教えていただきたいんですが、輸出は非常に大事です。そういう意味では、輸出産地を育成するということも重要だと思うんですね、まあ輸出先にしっかり連携してということになりますけれども。それで、それを強めていくと、海外との取引先の信頼関係というのはどんどん膨らんでいくと思うんですが、そうした場合、国内供給が不安定化したときに、産地側では国内供給優先できるのかどうかというですね、海外の事情も含めてどういうふうに考えるか、最後、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/64
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065・寺川彰
○参考人(寺川彰君) やはり、日本の付加価値が付いた形の商品を輸出していくべきだと思います。万が一の場合、仮に日本に回すとしても、その価格対応にしていただけなかったらこれは仕方がないということになりますので、そこら辺の、何を作るかというところが大切になってくるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/65
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066・横山信一
○横山信一君 ありがとうございました。
三人の皆さんにもお聞きしたいことはいろいろあったんですけれども、ちょっと時間が来てしまいましたので、これで終わらせていただきます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/66
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067・松野明美
○松野明美君 日本維新の会の松野明美です。
本日は、参考人の皆様、お忙しい中、本当にありがとうございました。
まず、池上参考人にお尋ねをいたします。
本当に厳しいお言葉を、御指摘をいただきました。私自身、スマート農業についてなんですが、やはり若い担い手、特に子供たちとか、そういうのですね、農業に興味を持ってもらいたいのは、やはりスマート農業が鍵になるのではないかとは思っているんですが、池上参考人からは本当に、農民の立場が欠けているとか、これから先、三十万人になるという基幹的農業従事者がそういう減少していく中で、そういうことばっかりを考えていってはいけないとか、本当にそのような御意見をいただきました。
そして、そのスマート農業によりまして、やはり、労働時間を減少できるとか、そういうことによって農業の所得が減少しているという、そういう方向にもつながっていくのではないかということで、本当にスマート農業に対して私とは全く逆の御意見をいただいたんですが、その辺りをもう少しお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/67
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068・池上甲一
○参考人(池上甲一君) ありがとうございます。
スマート農業を構成している一つ一つの技術は、それに問題があるというわけではもちろんありません。ドローンを使って、例えばここで例に挙げました田んぼの水回りをセンサー使って見て回る、それはそれで確かに大規模経営にとってみたら、何枚も圃場を歩いて回らなくてもいいので、当然それはプラスになるわけですけれども、でも、それだけで、元々持っていた農業の全体性、例えば稲の生育状況をちゃんと見るのにセンサーだけで本当に把握できるかどうか。その場合には、やっぱり農民のこの持ってきていたその観察する技術、観察する目というものが当然必要になるわけです。
だから、そこのところを、例えばビデオとか、いわゆる情報技術を使ってほかの人も使えるようにしようというのがユビキタスなんですけれども、そういう技術を使っていくこと自身はもちろん望ましいというか、そういう方向も考えなきゃいけないと思っていますけれども、それをどういう方向に向かわせるかということと、それが入ったことで農業自身がどう変わっていくか、ほかの部分にどう影響するかということ、ほかの部分で、例えばドローンを入れたら、その水回りを見たら、じゃ、それがどういう影響を持つかというところについてもっと考えていただきたい。
そうすると、トラクターの場合でもそうなんですけれども、そのトラクターを走らせる、自走式で走らせるように大きな圃場をつくっても、水、例えばその水が、もう風吹くと片一方に吹き寄せられてしまうわけですよね。そうすると、稲が、植えた苗がふわっと浮いてしまったりということになるわけですね。そういうそのいろんな細かいことについてもきちんと見ていかなきゃいけない。
今、コマーシャルで、おじいちゃんがドローンを飛ばしているとかいうのがありますけれど、ああいう、それはそれで一つの生き方だと思うんですが、そういうのと自然と接するというところとを切り離していく、そこのところをどう考えていくかということをやっぱりもっと議論しなきゃいけないかなというふうに思っています。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/68
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069・松野明美
○松野明美君 ありがとうございました。
やはり、本当にスマート農業の技術というのはやっぱりすばらしいと思いますが、それによって、やっぱりこの人間の持つ感動とか、そういうのもやはり一緒になって、やっぱり一緒に歩んでいかなければならないんだなと、本当にそのように感じました。ありがとうございます。
そして、このスマート農業の受皿につきまして、谷口参考人ですね、やはり受皿が問題であるということを、先ほど御指摘がありました。この受皿の問題、スマート農業の受皿の問題について何かありましたらお尋ねをしたいことと、やはり国がやるべきことというのがもしありましたら教えていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/69
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070・谷口信和
○参考人(谷口信和君) 個々の技術がどうこうという議論は余りしてもしようがないんですね。例えば、空中で防除するという体制を、今始めたんじゃなくて昔からずっとやっているわけです。当時の一番最初は動力噴霧機だったものから、ヘリコプターになって、それから様々な飛行機飛ばすようになりましたね。だけど、大き過ぎちゃって今度駄目だとかなってきて、今度、ドローン小さいですよね、しかし、ドローンが小さくたって、大きい圃場だとしょっちゅう入れ替えなきゃと、大きいドローンにしなきゃいけない。
もうこういうふうに、技術と圃場の規模だとか経営だとかというのは、もうそれぞれの時代で組合せによって幾らでも変わるんですよね。それを、全てがいいとか悪いとかという議論そのものは意味がなくて、こういう経営体のこういう地域にはこういう技術ですよというものがあれば受け入れて、それからコスト計算して、受入れ可能な技術なのかどうかと判断できるんですけど、これがいい、あれがいいとばらばらに出されますよね。そして、それをしょっちゅう技術革新されると、しょっちゅう切り替えてばっかりいる、ずっと機械化貧乏の歴史なんですね。これの繰り返しにならないようにドローン技術を生かさないかぬというのが私の、つまり、具体的な経営体の姿を地域ごとに、経営類型ごとに見なきゃいけないということなんですね。
もう一つだけ例を挙げますと、例えば、スピードスプレーヤー、SSでもって果樹の防除をします、下からね。果樹は上へ実がなっていますから、木が生えている、下からやらなきゃいけないでしょう。この果樹と、隣、昔はたばこは絶対禁止なんですよ。なぜなら、果樹の方はもうすごい量の農薬をしなきゃいけない、何せおいしいものですからね、なっているものが。ところが、たばこの方は、葉っぱを吸うわけですから、これ農薬禁止なんですよね。隣が隣接していけば当然ドリフトの問題でぶつかるわけですよ。こういうのは、地域の農業のシステムで、どういう規模の経営がどこにどういうふうに立地するかという、これ、全体の中で議論しないと、部分的に取り上げるとオーケーなんだけど、成り立たないんですね、農業というのは。
一品目だけじゃなくて、いろんなものを作っている、それが圃場がどこにあるかという、そういう全体の問題として、こういう農業経営にはこういう農業技術のスマートの体系ですよというものを言ってもらうと分かりやすいなといって受け入れられるんですけど、部分技術を幾ら言われてみても、どれをどう取り入れていくのがいいのかということが見えてこない。しかも、その技術はいいんだけど、その作った作物が売れるのかという保証もないまま、ここのところがいいよという技術が来ても、現場の経営というのは取れないんですよね、採用できないんですよね。
ですから、そういう点でのトータルな対応が国は求められるということを言いたかったということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/70
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071・松野明美
○松野明美君 ありがとうございます。
私、甘かったなと思いました。やはりスマート農業ですね、やっぱり子供たちの将来のためにもといって、こうやって質問をしていたんですけど、やっぱりいろいろと大変なことがあるんだなと思いまして、ありがとうございました。
次は、笠原参考人にお尋ねをいたします。
やはり地域計画、私も余りよく分からないことなんですが、地域計画によって、やはり話し合う、そして人が集まるということで、やはり新しい人が入りやすくなるチャンスなんだということをお聞きしたことがあります。でも、その地域計画も、地域によってかなり進んでいるところもあれば、余り進んでいないところもあるということをお聞きするんですが、その辺り、余りよく分からないので教えていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/71
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072・笠原尚美
○参考人(笠原尚美君) 地域計画の策定について、今、私ども、目標地図の作成ということで集落に入っていますが、阿賀野市においても、進んでいるところと進んでいないところ、両方あるという状態です。
ただ、この先どうしても人は減っていきますので、その問題意識を持っていただくという観点、それから、ですが、農地は残っていく、耕作はしていくという、そういった問題意識をきちんと皆さんに持っていただくこと、その先にある農地を誰が担っていくかまできちんと話し合うための話合いだと思っていますので、地図を作るという目標は一旦おいておいてもいいから、まずは話合いをして、自分たちの現状認識から入っていただくような状態のところもあります。
そうかといえば、そうではなくて、もう既にほぼ完璧に近いものをつくり上げているところもありますし、ちょっと広範囲で協議会をつくっているところもありますので、私たちとしても、もう一つの集落ではなくて、そろそろ少し大きな単位で皆さんに話し合ってもらって、将来の担い手を地域として考えていくという手段に入っていきたいなというふうに思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/72
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073・松野明美
○松野明美君 新しい方が、例えば引っ越してこられたとか、そういう方々というのは、あるいはこの地域計画にすっと入りやすいきっかけになるものなんでしょうか。非常に、地域計画というのがとてもいいということをちょっとお聞きしまして、特に新しい方が農業に携わりたい、農業のことを教えてもらいたいときには、この地域計画が何かきっかけになるんだということをちょっとお聞きしたことがあるんですが、その辺りの、新しい方に対してのこの地域計画の在り方というのはいかがなものなんでしょうか、教えていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/73
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074・笠原尚美
○参考人(笠原尚美君) 地域計画に位置付けられた農業者として、その地域の中で活動していただくということは当然必要になってきますし、どうしてもこの先検討していくということで、地図上で誰が耕作をするかを今の段階ではまだ検討中という形のところが残っていくだろうと思われています。
そういったところに、この先、その地域で農業をしたいんだということで地域に入ってくださる新規就農の方がいれば、そういった方々を併せて話合いをして、地域の中で認めていただいて、重要な担い手としていくことは当然必要になってくるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/74
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075・松野明美
○松野明美君 ありがとうございます。
最後になりますが、柴田参考人と寺川参考人にお尋ねをいたします。
やはり、不測の事態時、私たち、やはり飢えたことが経験のない、本当に食料困難になった経験のない者が、国民が大多数となった今、本当に何が一番大切なのか。特に、不測の事態ではなくて平時のときからこういう準備をしないといけない、でも、いろんな様々な準備というか心構えというのが必要だと思うんですが、どのようなことが必要なのか、もうたくさんあると思いますが、ポイントを、柴田参考人、寺川参考人、教えていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/75
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076・柴田明夫
○参考人(柴田明夫君) よく聞かれるんですけども、私は、農家の方と友達になっていた方がいいよというのが一つですね。あるいは、自分で、今議論になっているマイクロファーミングですよね、小さな農地を耕すというところで、自分でやってみるということですね。そこに農業委員会なり、あるいはJAとか、そういう中間組織体のいろいろ支援が得られるといいんじゃないかなと。
それから、備蓄ですね。家庭備蓄で、カンカンブレッドとかですか、個別の名前を言ってもあれなんですけども、そういうふうなものをちょっと多めに買っておくと。何か不測の事態となると、平成米騒動とか、九三年のですね、二〇〇二年のミニ米騒動というのがありました。パニックになりますね。だから、水から何から、そういうのはふだんから多少ためておくみたいなことがいいんじゃないかな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/76
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077・寺川彰
○参考人(寺川彰君) 私は、まず国民に食育、教育が大事だと思います。現在の食料の構造と農作物を含めた食品のコストの構造ですね、どういう構造になってこの食品が生まれているのか。その価格の妥当性というのはどうなのか。極めて日本は安いです、ほかの国から比べると。こういう状況の中で、国民の皆様が、食品の価格についての情報とか、こういう教育というのが必要だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/77
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078・松野明美
○松野明美君 大変ありがとうございました。参考になりました。
終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/78
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079・舟山康江
○舟山康江君 国民民主党の舟山康江でございます。
今日は、五人の参考人の皆様、本当にありがとうございました。
今、食をめぐる国内また世界の状況が非常に厳しいというのは、本当皆さん共通の認識であり、本当に共通のお話を伺うことができました。そういう中で、柴田参考人からありましたけれども、とりわけ今フードメジャーによる市場支配が強まっているということ、そしてまたさらに、寺川参考人からは、いわゆる港ですよね、港も支配をされている傾向があると、こんなお話がありました。
そうなりますと、やっぱり今まで以上にその危機のときほど輸入が更に厳しいということになっていくのかなと思うんですけれども、現場で、商社の方でこういった農産物のいわゆる輸入業務にずっと携わってこられる中で、今それを感じる局面があるのか、過去に比べて現在、なかなかその調達の厳しさを感じることがあるのか。また、まさに不測の事態は、日本が不測の事態に陥るときはもう世界も不測の事態に陥っているということの中で、多分そうなるとますます厳しくなるのかなと思うんですけれども、そういったこの危機のとき、不測の事態のときに懸念される問題点についてちょっと教えていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/79
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080・寺川彰
○参考人(寺川彰君) 現場でやっているビジネスの中で、特段今これは困ったというところではないんですけれども、先ほども少し述べましたように、各国がやはり食料安全供給というのを意識し始めていまして、いろんな形で先進国の、先ほど言った米国とかそういう中での、集荷の施設だとかエレベーターだとかそういうものに出資をするとか、そういう流れが少しあるような気がします。ただ、一方で、穀物メジャーが押さえているというのも事実でありまして、なかなかその窓口というのは難しいというのが現状ではあると思います。
あと、緊急輸入になったときでしたっけ、(発言する者あり)これからリスクが高まっていく中で、当然、備蓄とかそういうことも検討していかないといけない時期がいずれは来るのかなという気はしますけれども、当然、備蓄についてはコストが掛かるものですし、それと、各企業だけの体力ではできない問題になると思いますので、そこは政府との話合いの中でという、まあ資金的な援助を含めましてということになるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/80
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081・舟山康江
○舟山康江君 ありがとうございました。
今日のお話の中でも、各国が今、まあ中国もそうですけれども、やはりこういったいざというとき、不測の事態に備えて備蓄を増やすということを行っている中で、まさにいつでもどこからでも欲しいときに買えるわけではないという状況になってまいりました。
そうなりますと、このいわゆる不測時だけに備えるのではなくて、もうこれは、柴田参考人また谷口参考人、お二人から共通のワードが出てまいりましたけれども、平時における食料安全保障、これがむしろ後退したんじゃないか、平時においてのその生産の増大こそ必要ではないか、こんな御指摘がありました。
リスクに備えるためには、やはり多様な農業をどう支えていくのか、多様な経営体が必要だと、私もそのように感じているところでありますけれども、そのために、柴田参考人の十六ページ、もちろん、資材が上がれば、それによって生産される農作物の価格が上がる、しっかりとそれが再生産できる価格になるのが望ましいんですけれども、でも、このペーパーにもありますとおり、やっぱりその消費者にも分かってもらうことは大事なんだけれども、実際には価格は市場でということになっております。そういう中で、所得をどうやって政策で支援していくのかというのが私問われているのかなと思いますけれども、柴田参考人は、その所得は政策でという部分についてどのようにお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/81
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082・柴田明夫
○参考人(柴田明夫君) 所得は政策でというのは、これは直接支払というか、これを期限をもって対応するということで、先ほど谷口委員からも七、八年をめどにという話がありましたけれども、こういうことが必要かなと思いますね。ただし、やみくもに直接支払をするのではなくて、やはりある程度条件が付くのかなと。環境に対する配慮とか、こういうようなところで所得をまさに補填すると、こういうふうな話になると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/82
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083・舟山康江
○舟山康江君 ありがとうございました。
まさにEUなんかは本当にその環境への配慮を条件にやはり農地を守る、所得を維持するということで、再生産可能な所得の確保ということを念頭に置きながら共通農業政策で支援をしていると私も理解しておりますので、改めて、価格で再生産を実現するという思いを持ちつつも、やはりそれで足りないところ、やっぱり価格に全てが、価値が反映されているわけではない、そこをどう埋めていくのか。様々な条件を付けながら直接支払というものの必要性を、私たちもこれまでも訴えてまいりましたけれども、引き続き訴えていきたいなと思っています。
そういう中で、笠原参考人、大変御苦労いただきながら、まずは基盤である農地をどう守っていくのか、農業委員は農地の番人として、本当にこの農地をしっかりと守り、そしてそこで作っていただく方をどう確保していくのか、今日のお話も、前回も私もう本当に感動したんですけれども、今日も大変熱心に取り組まれている様子にもう本当に感動を覚えました。年間三百六十五日のうち二百九十七日仕事をされているということ、逆に言えば、あのときにもたしか私申し上げましたけれども、今、農業委員の条件として認定農業者要件が半分、過半数ということになっていますけれども、自らの経営で忙しい人がこれだけ働けるかということを考えると、改めてこういった要件も見直す必要があるのかなということを笠原参考人の業務の状況をお聞きして改めて思ったところでありましたので、このことはまた国会の中で議論していきたいなと思っています。
そして、できるだけ、もちろん集約化もそうですけれども、多くの人にやめずに農地を守ってもらう、そしていろんな、下限面積を下げつつ、小さい面積でもそこで仲間として農業をやっていただく方を増やしていくという、まさにこの多様な経営体を支えていくその姿勢を私は本当にもっと大事にしていかなきゃいけないんじゃないのかなと思うんですね。そういう中で、まさに条件の悪いところで農地を守る、そのことに対する支援も必要ではないかと思いますけれども、その辺りの支援の必要性についての御認識をお聞きしたいのが一点と、もう一つ、済みません、やっぱり中長期でどんな政策がこの先展開されるのかなということが分からないと、私やりますと、いわゆる地域計画はやっぱり中長期に向けてのその担い手をどうつくっていくかですけれども、やっぱり今までやってきた政策がぽこんとなくなれば続けていけないし、やっぱり中長期の政策が必要ではないかと思うんですね。
そういう中で、今いろんな現場で聞こえてくるのが水張り問題で、五年に一度水張りができなければいわゆる水活外すよという、こういった話があり、水活なくなれば、もう畑、本当にできるのかなという声がある中で、その辺り、そういった先々の政策が見えない中で御苦労されている点とかありましたら、その点も併せてお聞かせいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/83
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084・笠原尚美
○参考人(笠原尚美君) まずは条件不利地での農地の確保という点ですけれども、条件不利地であったとしても、実は、農村は続いていくものだと思っています。特に、中山間地などで高齢化が進んで農業に従事できる人たちが少なくなっていく中で、そういう条件不利地を支えてくださる別地域の方々との交流というのもこの先は考えていかなければいけないのかなというふうに思っています。まさに小さい農業から大きな農業、そして支えてくださる農業までを考えていただきたいというふうに思うところです。
もう一つ、長期的な政策的な継続という点ですけれども、確かにおっしゃるとおりで、いつこの政策はなくなるのだろうという不安は正直私どももあります。ただ、その政策がなくなったとしてもそれに準ずるようなものは当然考えていただけると信じておりますし、そうあっていただくべきだと思いますので、その辺りについては、是非、一つが終わってもそれに準ずるものがあるという、その私たちの心の支えを是非準備していただきたいなというふうに思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/84
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085・舟山康江
○舟山康江君 ありがとうございました。
本当に私たちも、例えば水活の対象外になる、じゃ、それがすっぽり五年後抜けてしまう、そうなったときに継続できなくなったら、これ、農業を守るどころか、逆に耕作放棄地とか離農の促進につながってしまいますので、そこを何とか手当てをしていただけるような提案も、今までも、またこれからもしっかりとしていきたいなと思っています。
そして、続きまして谷口参考人にお聞きしたいと思います。
国民的な運動の視点が欠如と、こんな指摘、三ページに書いていただいております。
よく政府は、米の消費が減少する中で、米に代わって麦、大豆、自給率の低いものに代えていきましょうということを言っています。
それ自体を頭から否定するつもりはありませんけれども、果たしてこれだけ気候変動の激しい中でその麦とか大豆が安定的に生産ができるのかなといったときに、まさに安全保障を考えたときの根幹として、これ、政府も一応答えてはいるんですけれども、水田農業、米、アジア・モンスーン地域で一番適した水田ですね、そういった米、消費が減少しているからしようがないではなくて、改めて、今の現状を国民がもっときちっと理解をし、消費者の視点からも、やはりこの安全保障、食料安保、不測時のこと、また今、平時からしっかり守るという意味で、その米ですよね、その米の消費が減少する中で畑地化と言っていることに対して、谷口参考人の御見解をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/85
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086・谷口信和
○参考人(谷口信和君) 先ほどの絵でも示しましたけど、日本近海が世界で最も高温の地域になっちゃっている現実があります。それ自体がまたどんどんどんどん上がっているということになれば、雨がじゃあじゃあじゃあじゃあ降るということがもう避けられない事態に進んでいます。しかも、今年の冬、見て分かるように、全然雪降っていないんですよね、地域で。で、雪降っていないか、間違いなんですね。雪になるものは全部雨になっているんですよ。だから、雨は降っているんです。降水量は増えているんですね。こういうのが状況変化なんです。
そういう中で、傾斜地のところを平らにして水田作ってきた歴史を、もう一回傾斜地になってもいいような状態の畑に変えていくことが果たして妥当なのかどうか。単純にその農業生産だけじゃなくて、地域、風土に見合った食料の確保という視点から見たときに妥当性があるかどうか。
例えば、なぜヨーロッパは、元々トウモロコシが餌ではなかったのか。餌ではなかったんですね。元々は麦なんですよね。麦のうちの大麦、あるいは燕麦といった、ライ麦といったものが、小麦に比べると相対的に飼料に向かっていったんですね。
これができていった段階で、今どこまで来ているかと、ドイツでもそうですけど、小麦の四〇%はもう餌なんですよね。食べなくなれば餌に回せばよいということなので、それぞれ国が一番得意な主食たる作物を作ってきた歴史があって、技術があって、それが余るんであればそれを肉食べているところに回すということで迂回生産になってきた歴史があるわけですから、それぞれの国にふさわしいその飼料穀物、作物を見付けることが必要なんですけれども、日本の場合には、残念ながら様々な宗教的な理由やいろんな理由があって、お米を豚に食わせることはいかぬという気持ちが強いわけですね。でも、それは越えなきゃいけない。豚に食わすのがいかぬであれば豚肉食べちゃいかぬということなんですよね。鳥肉も食べちゃいかぬと。トウモロコシ、じゃ、トウモロコシを主食にしている国に、トウモロコシ取り上げていっていいのかという話になるわけですよね。ですから、そういう意味で、農業と風土と文化、食料、この関係をもう一回見直す必要が、必要だろうと思います。
それから、もう一つ、ちょっとだけ言っておくと、ヨーロッパで条件不利地対策を取っているときに、よく山の方が、傾斜地だから、条件が悪いから、条件不利地、いや、山岳地という条件でもって金払っている、単純な見方されていますけれども、一番根本的なことを分かりやすく言うと、山間部での酪農をした場合に、山間部では飼料穀物を栽培することは不可能なんですよ。年間の積算温度が二千四百度に上がらないような地域では、どうしても牧草に偏らざるを得ない。牧草に偏れば、当然、濃厚飼料ではないですから、収量が下がってきちゃうんですね、現実問題として。
他面、平らなところであれば、平らなところであれば、ここは周りにたくさん穀物を作るところがあって、しかも、かつてであれば、外国から輸入する、ロッテルダム、一番近い場所に皆立地しているわけですから、移動コストも安いんですね、運賃も。そして、穀物が入ってくる。したがって、こちらは濃厚飼料になっている。これ、条件による差なんですね。これを補っているんですよ。
だから、条件不利ってそういうふうに考えていくと大事なのに、日本の場合はそれが不明確で、中山間地域直接支払が提供されている唯一の、いわゆる単純な条件不利でない地域が……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/86
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087・滝波宏文
○委員長(滝波宏文君) 済みません。時間ですので、お答え、おまとめください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/87
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088・谷口信和
○参考人(谷口信和君) はい。
北海道の浜中なんですけれども、ここは平らだけれども牧草しかできないからなんです。こういうことをもっともっと日本に広げていけば、条件変わってくるだろうと思います。
ですから、そういう点で、これを、直接支払というものを一つの重要な柱にしていくことがポイントだというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/88
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089・舟山康江
○舟山康江君 ありがとうございました。
時間となりましたので終わりますけれども、本当、柴田参考人の十七ページですね、改めて、やっぱり見直すんであれば反省も必要だということ、これも含めて、また今後の政策に生かしていきたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/89
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090・紙智子
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。今日は、五人の参考人の皆さん、本当に貴重な御意見、ありがとうございます。
それで、私は、食料供給困難事態対策法ということで、そもそもこの法律をやっぱり発動しなくても済むように、本当に平時から対策を打っていくことが先決じゃないかと。そのためにも、国内での生産目標ですとか自給率目標を決めて、その達成に真剣に取り組むことが大事じゃないかというふうに思っているんです。その上で、幾つかちょっと懸念することもあるものですからお聞きをするんです。
それで、一つは、食料事態法でも最も懸念されているのが、強制力を持って増産とか生産転換を指示していくということです。それで、兆候が現れた段階で、出荷や販売対策は民間の自主的な取組に対して要請すると、まずは要請すると。そして、兆候から今度、困難事態に移ったときには、要請から指示に変わるということなんですね。指示というのは、合理的な理由なしに計画を出さない場合は懲罰という、罰則ですね、罰則ということがあって、強制力を持つことになると。
それで、生産者に対して作付けですとか増産ですとか生産転換を強要するということになると、これ、憲法の二十二条で言っている職業の選択の自由、内包する営業の自由ということに制限掛けることになるんじゃないかというふうに、それ聞こうと思っていたら、池上先生がさっきちょっと触れられましたので、そのことについてまずもう少しお話聞きたいのと、それから、同じことをめぐっては谷口参考人にもお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/90
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091・池上甲一
○参考人(池上甲一君) ありがとうございます。
まず、営業の自由という点を侵害するという点については、これはもう明確だと、明白だと思うんですよ。
これまで、私、今日はサーベル農政の例を出して説明いたしましたが、このサーベル農政は農事改良ということで、共同苗代とか、それから塩水選といういい種を選ぶ技術とか、そういうものをやりなさいという、その一つ一つは技術的に見たら合理的なんですよ、それ自身はね。なんだけれど、それを指示従わないと、もう、まず警官が来て、警察官が来て、そういうふうにやりなさいという強制的な指示をする、従わないと罰金もするというふうな自治体もあったということなので、これは、そこで自分が何を作っていくか、何を選んでいくかということに対するもう明白な侵害だというふうに言えると思います。同じような形で運用される危険性があり得るんだと思っています。
今日、フードセキュリティーの話が出ておりますので、日本もようやく、一人一人のアクセスということについて今回触れましたが、皆様方も御承知のように、FAOの四条件というのは、その二つ以外に、栄養ですね、栄養の確保ということと、それを安定的に確保できるかという四つの条件がありますね。これに今、二〇〇〇年ぐらいから、新しくエージェンシーということと、先ほど谷口参考人からもお話がありましたサステナビリティーという二つの側面を付け加えるという議論が展開しています。
そのエージェンシーというのは、まさに、自分たち、何を作って何を決めていくかという主権の問題です。エージェンシー自身は主体ということなんですけれども、その主体が何を作って何を食べていくかということを自らの意思で決めていくということですね。それを制約するということになってくる。だから、フードセキュリティーという国際的なその議論からもこれは逆の方向を向いているというふうに考えています。
今日はちょっと時間がなくて申し上げられませんでしたが、生産転換の指示を出して、畑作農家とかそれから果樹農家とかそういう農家に、これから米作れとか麦作れとか大豆作れとか言われて、すぐできるか。素人ですから無理です。種をどうするかという問題もあります。そういうことにもほとんど触れられていないという点に私はかなり強い危惧を感じています。
ありがとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/91
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092・谷口信和
○参考人(谷口信和君) ちょっと乱暴な意見言います、あえて、あえて。
一般企業のところに中小企業がいっぱいありますよね。これが現在のデジタルトランスフォーメーションの時代に対応できていなくて、いまだ昔のようなことやって、ゾンビ企業って悪口言われていますけれども、じゃ、そのゾンビ企業を良くするためにこの事態法案と同じものを適用したらどうなりますか、良くなりますか。状況、全部克明に情報出させて、監視して、毎日毎日文句言って、駄目だと思いますよ、やっぱり。
やっぱり究極は、技術革新でも何でもそうですけれども、現場にいる人が自主性を持って事態を把握して取り組んでいけるような雰囲気をどうつくるかということが基本なんですよね。トヨタだってどこだって、やっぱり末端のところでのカイゼンという努力をどうやって労働者から引き出すかということに対して物すごいやったんです、丁寧に。それはいいかどうかは別にして、そういうことがあって初めて自主性って引き出せる面があるんですね。
そうすると、農業の場合には特にそれが強いだろうと。ここで成り立っていることをここで当てはめたら、そのままいかないんですよ。圃場の状態一個一個違うし、日の当たり方も違うし、作物も違うし。
ですから、そういう点では、やっぱりその自主性をいかに引き出せるだけの努力をふだんから農民の側に培ってもらうかといったら、最大の問題は、ふだんから農民が、農業者が尊敬されることですよ。農業者はいい仕事ですね、頑張ってくれていますね、我々の食料供給してくれてありがとうという雰囲気が国の中にないところで幾らやれって言ってもやらないと思います。
ですから、そこのところの何か順番を履き違えちゃうと、この法案自体の元々の趣旨が適用できないと思います。ただし、ただし、取り上げるだけ考えたら、これが一番簡単ですから。でも、それは短期にしか続かないし、現実的にはワークしないプランだというふうに私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/92
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093・紙智子
○紙智子君 ありがとうございます。
新たな農業基本法の目玉ということで、今回、食料の安全保障の確立ということを言われているんですけど、特に米、麦、大豆などの穀物が重要な作物になると。既に世界的に穀物の需要が不安定化しているということ、先ほどもお話がありましたけれども、考えると、穀物を国内で増産する本気度が問われているということとともに、今までの備蓄制度も考え直す必要があるんじゃないのかというふうに思うんです。
それで、米、麦、大豆などのこの備蓄水準をどうするのかということについてのお考えを柴田参考人、それから池上参考人、谷口参考人にお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/93
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094・柴田明夫
○参考人(柴田明夫君) 備蓄が今のところでいくと、米で多いときで二か月で、あと、大豆、トウモロコシ、小麦となると一か月、〇・八か月ぐらいなんですね。これはやっぱり低過ぎる。中国は八か月から十一か月分ぐらいの備蓄をしているんですね、戦略備蓄。これ、だから数か月分ぐらいは持つべきかなと思いますね。安心できるレベルというようなところで必要だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/94
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095・池上甲一
○参考人(池上甲一君) 日本はやっぱりこれまでいつでも輸入できるということが前提にあったと思うんですよね。そのために、本格的に備蓄政策というのを展開してこなかったんじゃないか、検討してこなかったんじゃないかなというふうに思っています。
今日、今、柴田参考人の資料見せていただいて、中国がこれほど大きな資金を使って、これほどの備蓄を、しかも世界の備蓄量の期末在庫の半分を占めるほどに、水準になっているという、そのこと自身が、やっぱり中国だからこそできるのかもしれませんけれども、その姿勢というものは日本も学ぶ必要があるかもしれない。
今日は平時の生産ということを非常に強調しましたが、もちろん平時の生産ができなくなることもあり得ますから、そうすると、どうするかというときに、何しろ備蓄はちゃんと確保しておかなきゃいけない。それをどういう方式でやるかということについてはまた別途の議論が必要かと思いますけれども、それは本格的に検討する、腰を据えた議論というか、腰を据えた政策、それから、余りころころ変わらない政策というものがこれまで余りなかったのではないかなと。それについての反省と、改めてそれも強調するということが非常に大事だろうというふうに思っています。
それからもう一つ、備蓄と直接関係するかどうか分かりませんが、地域の自給ということをもっと強調した方がいいなと思っております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/95
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096・谷口信和
○参考人(谷口信和君) 日本とヨーロッパの農業の差がやっぱりいまだに残っていて、その考え方がベースにあると思います。つまり、お米は連作できますから、毎年毎年米作っていますから、米やめるということもできますし、戻すことも簡単なんですね。ところが、ヨーロッパの場合には、昔から長い期間掛けて輪作体系組んでいます。現在、ヨーロッパの、EUの農業政策が大体七年から十二年ぐらい単位でもって動いているのは、七年から十二年輪作があるからなんです。今年は小麦作るけど、違うもの作っている、毎年毎年。それを七年、十二年やらないと、トータルでの所得や何かが分からない構造なんですよね。それでもってそれを支えるとなるから政策が長期化するんです。日本の場合には、はい、今年米余った、じゃ、転作だといって、そんなふうにできないんですよ、もう決まっていますから、順番がもう。だから、そういうふうに持っていかないと、もう無理なんですね。それが基本だと思います。
それから、備蓄に関しては、この間、オレオレ詐欺があちこちで話題になっていますけれども、あのとき、いつも私驚くことがあるんです。日本の貯蓄残高、日本人の貯蓄残高どれぐらいあるのかなということの統計の中にたんす預金って入っているのかなと。よく分からないんですけれども、多いですよね。この間は七千万円でしたね、現金で持っていかれたの、つい最近。七千万円持っているんですよね。千万、二千万普通ですよ、三千万、四千万。必要だと思うと持っているんですよ、みんな。銀行に預けないんですよ。何で預けないか分かりませんけれども、持っていますね。これは税金逃れなのか何か分かりませんけど。
同じように、備蓄が必要だとなるか、在庫が必要だと、ここが大事なんです。備蓄と在庫は違うと認識してもらわなきゃ。在庫というのは、所詮流通の間の、止まっているだけなんですね。そうではなくて、大変なときに備えておくから備なんですよ。在庫って余っているのを置いているだけだと、その思想をまず変えなきゃいかぬと思いますね。
そういう観点からすると、やっぱりそこも含めた教育が必要だし、それから、私はずっと言っていますけれども、既にスーパーはそういう在庫を持つような形での倉庫を消費者に持ってもらって、配達する作業も始めているんですよね。それに比べて国の政策は遅れているなというふうに思います。
少なくとも、家庭でもって二か月分ぐらい持っていてもいいと思いますよ。そうすると、食品の在り方は変わります。生のものばっかりじゃなくて、それこそお米じゃなくて、米じゃなくてレトルトになっている状態のお米ですね。つまり、すぐ開けて食べられる状態、もう水加えるだけとか温めなくてもいいとか、いろんなタイプがあると思いますけれども、そういう加工食品の多様な幅を広げることによって、生産現場の方も助かるんですよね、細かな規格要らないから、ばっ、ばっ、ばっと切ってしまえばいいんですから。
だから、そういう点で、構造全体を変えるということをしない限り、備蓄だけどうするか、生産どうするかというんじゃなくて、トータルでの農業の消費の在り方を変えてほしいと、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/96
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097・紙智子
○紙智子君 農振法などの農地についてもお聞きします。
それで、笠原参考人にお聞きするんですけれども、私も、毎回、前回も参考人で来てこられて、そのときに本当に緻密な対応を現場でされていて、やっぱりよく話し合うということを基本にされているということで、とても感銘を受けていました。
それで、農業経営基盤強化法の改正によって、農地所有適格法人、ここへの食品事業者などの影響力も強くなってきているんじゃないかというふうに思うんですけれども、出資されているときにはいいんだけれども、もし撤退されたりとかということが出てきたときにどうするのかということでは、この食品事業者の農業への関わりというのがどうあるべきかなというふうに、御意見あればお聞きしたいと思うんですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/97
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098・笠原尚美
○参考人(笠原尚美君) 御質問いただいたところが一番懸念しているところでして、出資はされました、ですけれども、やはり撤退しますというような状態になったときの適格法人の在り方を大変危惧しているところです。そちらについてもきちんと国の方で考えていただいて、既にそういった食品事業者が入った状態で農業経営をしているようなところもありますので、そういったところの御意見もしっかりと伺いながら、こういった方針で進めていきますという指針を見せていただきたいなというふうに思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/98
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099・紙智子
○紙智子君 時間ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/99
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100・滝波宏文
○委員長(滝波宏文君) はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/100
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101・紙智子
○紙智子君 済みません。最後、ちょっと寺川参考人には聞けなくて済みません。
時間ですので、これで終わります。どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/101
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102・寺田静
○寺田静君 秋田県の寺田と申します。
今日は、皆様から様々御意見を聞かせていただきまして、ありがとうございます。本当に、それぞれの皆様から学ぶところ、また考えさせられるところがあって、本当に有り難く思いながら聞いておりました。
様々お伺いしたいことを考えてまいりましたけれども、私からまず、冒頭にお礼だけと申しまして、寺川様には、もちろん御苦労を全部知り得ているなどとは到底言えませんけれども、夫が三菱商事に勤務をしておりましたので、様々、その食料の確保のための、寺川様、また社員の皆様の御尽力に本当に感謝をしながら聞かせていただきました。民間の皆様にとって非常にセンシティブだと言われる顧客の情報開示のハードルが高いというところは本当にそのとおりだなと思いながら聞かせていただきました。
また、笠原様には、日々の現場での取組があるからこそのそのお言葉というところが感じ取られて、本当にその御尽力に頭が下がる思いでございます。
また、地元秋田ですけれども、女性農業委員の皆様からお話を聞いていると、やはり同世代の方からは、女性が欲しい、必要だと言われて行くけれども、行って意見をすると、何言っているんだというような顔をされるというような話も伺って、そういう御苦労をどういうふうに越えられてこられたのかなというようなことも思いながら聞かせていただきました。
また、柴田参考人には、近年の様々な状況を踏まえて、本当に分かりやすい現在の状況、その背景をお話をいただいたというふうに思っております。
私たちも、議論をしておりますと、この国内生産、どうしても効率的かつ安定的ということが何度も繰り返されて、国内生産、今、小規模家族農業は効率が悪いとか、あと備蓄だって保管費用が結構掛かるみたいな話も結構言われて、ただ、ここの委員の共通の思いではありますけれども、農業予算、どうやって増やしていくのかというようなことも思いながら、資料も拝見しながら聞かせていただきました。
また、谷口参考人におかれましては、この海水温のデータなどは、本当に、子供たちのことを考えても本当に震える思いでございます。できないという想定に基づいてふだんのことをいかにやるかということが大切だというのは、本当に重い言葉なんだというふうに思いながら聞かせていただきました。
また、池上参考人のお話にも、先日私、ブータンに行かせていただく機会がありまして、国民総幸福というのを政策の中心に据えているという国ですから、本当にこの日本、振り返って日本の農政を考えたときに、どうなのかなというようなことも思いながらお話を聞かせていただきました。
私、様々質問を考えておりましたけれども、いつも、私もいろんな会にお呼びをいただいて、二時間、三時間、話が続きますと、ああ、やっぱりこれを言っておけば良かったなというようなことが最後に出てきたりするものですから、私から皆様に、それぞれ一、二分ではありますけれども、これだけは今言っておきたいと、これを言い残してしまったというようなものがあれば、寺川参考人様からお一人ずつお話をお伺いすることができればと思います。よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/102
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103・寺川彰
○参考人(寺川彰君) いろいろ意見申し上げましたけれども、やはり平時の今からいろんなことをシミュレーションしていくことが一番重要じゃないかなと。何が起こるか分からないということは、恐らく予測をしても、シミュレーションしても正しい答えは出てこないと思いますけれども、それでも、何か準備ができる、ここは前もってやった方がいいんじゃないかということが出てくると思いますので、こういうことがまず第一歩になるんじゃないかなというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/103
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104・笠原尚美
○参考人(笠原尚美君) お時間いただいて、ありがとうございます。
私ども農業委員、農地最適化推進委員は、長い間、農地の番人というふうに言われてきました。ですが、法律が改正されてから、農地の番人でありながら農地を動かしていく、そういう職も一緒に担っているという自覚が、特にこの地域計画の策定の過程の中で非常に感じているところです。農地を守りながら使える人に動かしていくという、そういう仕事に就いていることを私たち自身がきちんと自覚して、地域を農地という視点から地域の皆さんと一緒に考えていくという、その在り方をこれからも続けていきたいなというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/104
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105・柴田明夫
○参考人(柴田明夫君) 今回の食料危機というのは、生産者だけの問題ではなくて、消費者も絡んでくる話であります。
自給率というのは、全体の分母が国内の食料供給量に対する国内生産量ですけれども、分母は、総供給量というのは総消費量にもなるわけで、消費量を減らしていく、その無駄を節約するとかそういう、分母を小さくすればおのずと自給率が上がるわけでありまして、そういう意味では消費者も非常に今度の対応は重要だなと思いますね。
今までは、私は、不足と過剰が同時に併存していたというのがその危機感が余り出てこない背景にあったかなと。過剰というのは米の過剰ですね、不足というのは三千万トン近い食料の輸入ですけれども、これは不足なんだけれども、当たり前と思っていた部分なんですね。しかし、これが当たり前じゃなくなってきたということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/105
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106・谷口信和
○参考人(谷口信和君) 私は、一番大事なことは、国民が小学校から中学校までの間の義務教育の間に、一年ではなくて三年から五年間ぐらい農作業や家畜を飼育するというプロセスに携わることを義務付けるべきだと思っています。これは農業のためじゃないんです。
というのは、大学に入って、私、二十九年間東大で教えていましたけれども、東大生でもそうですし、東京農大で教えたときも同じことありましたけど、一番学生が精神的に駄目になるのはほとんど失恋です。失恋の影響の大きいことはないです。つまり、自分がやったことがうまくいかない機会で最大のものは失恋なんですね、人間にとって、どうも。
そうすると、農作業しますね、全部うまくいくところだけ教えている、駄目です、こんなものでは。五年やれば絶対うまくいかないときがあります。一生懸命育てても、最後に虫に葉っぱが食われて全然収穫できなくなることもあります。台風が来るかもしれません。木が風が吹いて倒れるかもしれません。そういう失敗も成功もある中で食料って得られているんだという経験を積むことが、人生はこういうことなんだよということが分かるもう出発点になると思うんです。それは自分でやってみないと分からないんですね。人からもらったもので、不作だったね、豊作だったねという話、幾ら聞いても役に立たない。人間的なものを育てる上で一番欠けているのは、日本ではそこだというように私は考えております。
そこで、そういう経験をできればいいということで、逆に言うと、生協なんかはいろいろ産直して、いいところだけみんなやります、消費者が。やめた方がいいです。洪水になっている状態の水田を見に来てもらわなきゃいけないんです、農業者は。こういうふうにして水田があるからここで止まっているんですよというのを見てもらわなきゃいけない。テレビで見るだけじゃ駄目なんです。自分が関係しているところがこんなになっちゃうのかという共通の経験を持つことによって、初めて国土とこの下における農業と自分たちの存在というのは関係がよく分かるというふうに思っております。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/106
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107・池上甲一
○参考人(池上甲一君) 谷口参考人に大分言いたいことを言われてしまいましたけれども、私も一番今考えているのは、やっぱり人なんですよね。だから、今日申し上げましたけど、どれだけ農村に人を残せるか、農村に人を残すためには農業をちゃんとしなきゃいけない、これが一番の基本だと思っていますので、そのための政策なり制度なり、それから社会的な仕組みというものをつくっていくかということに尽きているんだと思っています。
その上で、食の在り方、食べ方ですね、これもやっぱりもうちょっと考えなきゃいけないんじゃないかな。夏の暑いときに、いわんや十二月に、私よく言うんですけど、いつだったかな、いいイチゴ、十一月十五日、十一月十五日がいいイチゴの日だそうです。クリスマス需要が高まりますから、要はその頃にピークが来るんでしょうけれども、イチゴはもう言うまでもなく五月から六月ですよね。エネルギーを使って、いっぱいエネルギーを使って端境期に生産することで利益を上げるというモデルがやっぱりもう限界に来ているんじゃないか。だから、その食べ方も変えていかなきゃいけないんじゃないか。冬の寒いときに体を冷やすトマトやキュウリ食べるということが、どうしてもそれだけエネルギーを使っていますから、それも健康にそもそも良くないというようなことをもっときちんと知っていくことが大事じゃないかというふうに思っています。
あと一点だけ。SDGsのナショナルボランティアレポートの中に、その農業のところに関連する指標として農業指向度というのがあります。農業指向度は、農業予算の、全体予算に占める農業予算の比率とGDPに占める農業粗生産の比率を割ったものですけど、この何年ぐらい、ちょっとその正確な数字忘れましたけど、十五年か二十年くらい前までは、農業指向度、日本は二・何ぼで二を超えていましたが、どんどんどんどん下がってきて、もう今はかなり厳しい状況に来ています。この点ももっと注目していただいて、政策的なそのアピールといいますか、予算の獲得の手段に使ってもらえないかなというふうに思っております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/107
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108・寺田静
○寺田静君 ありがとうございました。
少し時間が残っていますので、私から柴田参考人と谷口参考人に合理的な価格形成のところについてお伺いをしたいと思います。
委員会の中では適正な価格形成の方がいいんではないかと、御意見の中にもありましたけれども、合理的というのはやっぱり市場の意見になってしまうんではないかというところで、この合理的な価格形成がどうしたらできるのかというところ、寺川参考人の方からは、コスト構造と価格の妥当性について国民に知ってもらうことが大事だと、食育だと、その価格についての情報とか教育が大事だというお話がありましたけれども、委員会の中でもその消費者理解が大切だというようなことも言われてきましたけれども、そのために有効だと思われる手段、今、農作業だというお話もありましたけれども、ここのところの御所見をそれぞれお二方にお伺いをできればと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/108
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109・柴田明夫
○参考人(柴田明夫君) 合理的な価格形成というのは、やっぱり、安ければ安いほどいいんだという、こういう思想がもう染み付いちゃっているということです。でも、もう時代考えると、二〇〇八年辺りから、もう十余年、価格体系って全然、全体がもう上がってきちゃっているということで、なかなかそれはもう難しくなってきたなということですね。
だから、じゃ、どうしたらいいのかというと、やっぱり、ここで消費者がやっぱり入ってくるんだと思うんですけれども、適正価格というのを、先ほどのですね、何なのかというのをもう一度見ていただいて、そして理解した上で、何というか、国産、多少高くても国産を買い支えていく覚悟が必要だなと、ここまで問われる時代に入ったのかなという気がします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/109
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110・谷口信和
○参考人(谷口信和君) 茨城県の八郷というところにあるJAやさとは去年、日本農業賞の大賞を、全中の主催している、もらったところですけれども、そこは東都生協ともう一九七六年以降ずっと産直組んでいますが、そこはやっぱり価格を協定してやっています。
ポイントは、一発決めたやつをそのままずっと通用できないんです、現実には、激し過ぎて、変化が。だとすると、変動をどうやって調整するかというものを組み込んでいるわけですよね。ですから、恐らく、二、三年というような単位でもってお互いにきちんとしたデータを交換しながら、そして、一年単位でもって基本的な数を決めた上で、実際生産期間ってもうはっきりしますから、出荷期間が、それで決めるということ、これ何段階かの仕組みでもってやるわけです。しかし、これでもって全部できないんです、やっぱし。余りに、だって上下変化が大き過ぎて、そんなもの飛び越すくらい、台風が来るから始まって、いろんなものがありますから。そうすると、そのときは個別にまた話し合うということが大事。
つまり、大事なことは、何が言いたいかというと、仕組みではないんです。この仕組みを成り立たせる生産者と消費者の共同での認識の一致が大事なんです。つまり信頼関係があるかどうかが基本なんですね。あるからそういう話合いができるので、ないところでは駄目なんです。
ですから、実は合理的な価格形成の委員会を農林水産省でやっているだけじゃ僕は駄目だと思います。全国各地に行って、その場所を見て、ここでこういうもの作ってもらって、どういう価格が形成されるかという議論を実はやるくらいのことをしないと駄目で、それには数年掛かるかもしれません。でも、それぐらいやっても、もう状況がどんどんどんどん変わりますから難しいんだと思います。
とすると、そういう価格変動に対応するものと長期的な安定、支払ね、直接支払、所得の直接支払というようなものとの組合せということしかなくて、それは、答えはヨーロッパでもないんですよ、それ以外に。一個だけで勝負というのはできていませんから、どこも。
だから、そういう点で、可能な範囲でできるものを追求していくということが大事で、日本の場合には直接支払が欠けているということだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/110
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111・寺田静
○寺田静君 ありがとうございます。
時間が来たので終わりたいと思いますけれども、子育てをしている身として、先ほどの谷口参考人の農作業のお話も、ちょうどうちの息子も田植体験を先日してまいりましたけれども、全部お膳立てをしてもらっている上にただ単に植えに行くだけで、これ何か得られるものがあるのかなと思いながらいたところで、大変身につまされる思いで聞きました。
本日は本当にありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/111
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112・滝波宏文
○委員長(滝波宏文君) 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。
参考人の皆様に一言御礼を申し上げます。
参考人の皆様には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。
本日はこれにて散会いたします。
午後一時一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315007X01520240606/112
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