1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和六年四月二十五日(木曜日)
午前十時開会
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委員の異動
四月十八日
辞任 補欠選任
藤木 眞也君 岡田 直樹君
竹内 真二君 石川 博崇君
四月二十二日
辞任 補欠選任
福島みずほ君 杉尾 秀哉君
四月二十三日
辞任 補欠選任
杉尾 秀哉君 福島みずほ君
四月二十四日
辞任 補欠選任
田中 昌史君 友納 理緒君
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出席者は左のとおり。
委員長 佐々木さやか君
理 事
古庄 玄知君
和田 政宗君
牧山ひろえ君
伊藤 孝江君
川合 孝典君
委 員
岡田 直樹君
北村 経夫君
山東 昭子君
友納 理緒君
森 まさこ君
山崎 正昭君
石川 大我君
福島みずほ君
石川 博崇君
清水 貴之君
仁比 聡平君
鈴木 宗男君
衆議院議員
修正案提出者 笹川 博義君
修正案提出者 米山 隆一君
修正案提出者 池下 卓君
修正案提出者 大口 善徳君
国務大臣
法務大臣 小泉 龍司君
副大臣
法務副大臣 門山 宏哲君
大臣政務官
文部科学大臣政
務官 安江 伸夫君
最高裁判所長官代理者
最高裁判所事務
総局総務局長 小野寺真也君
最高裁判所事務
総局家庭局長 馬渡 直史君
事務局側
常任委員会専門
員 久保田正志君
政府参考人
内閣府大臣官房
審議官 小八木大成君
こども家庭庁長
官官房審議官 黒瀬 敏文君
こども家庭庁長
官官房審議官 野村 知司君
こども家庭庁長
官官房審議官 高橋 宏治君
総務省大臣官房
審議官 三橋 一彦君
法務省大臣官房
政策立案総括審
議官 上原 龍君
法務省大臣官房
司法法制部長 坂本 三郎君
法務省民事局長 竹内 努君
法務省刑事局長 松下 裕子君
外務省大臣官房
参事官 長徳 英晶君
文部科学省大臣
官房文部科学戦
略官 梶山 正司君
厚生労働省大臣
官房審議官 宮本 直樹君
厚生労働省大臣
官房審議官 武藤 憲真君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○民法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/0
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001・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、竹内真二さん、藤木眞也さん及び田中昌史さんが委員を辞任され、その補欠として石川博崇さん、岡田直樹さん及び友納理緒さんが選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/1
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002・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
民法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、法務省民事局長竹内努さん外十二名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/2
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003・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/3
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004・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) 民法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。小泉法務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/4
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005・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 民法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
この法律案は、父母の離婚に伴う子の養育への深刻な影響や子の養育の在り方の多様化等の社会情勢に鑑み、子の利益を確保する観点から、民法等の一部を改正しようとするものであります。
その要点は、次のとおりであります。
第一に、父母の離婚等に直面する子の利益を確保する観点から、民法等の一部を改正して、婚姻関係の有無にかかわらず、父母が子を養育するに当たって遵守すべき責務を明確化することとしております。また、父母が離婚をする場合にその双方を親権者と定めることができるようにする規定を設けるほか、親権の行使について父母間の意見が一致しない場合における調整のための裁判手続を創設することとしております。
第二に、養育費の履行を確保する観点から、民法等の一部を改正して、養育費等の債権に一般先取特権を付与するとともに、父母が養育費の支払について合意することなく離婚した場合においても父母の一方が他方に対して所定の額の養育費の支払を請求することができる旨の規定を設けることとしております。また、養育費等の債権に基づく民事執行について、一回の申立てにより複数の手続を連続的に行うことができる旨の規定を設けるなど、裁判手続の利便性を向上させるための規律を整備することとしております。
第三に、安全、安心な親子交流を実現する観点から、民法等の一部を改正して、父母が婚姻中に別居をする場合における親子交流に関する規定を設けるほか、家事審判等の手続において裁判所が当事者に対し親子交流の試行的実施を促すための規定を設けることとしております。
このほか、民法の一部を改正して、養子縁組がされた場合の親権者に関する規定を整備するほか、財産の分与の請求をすることができる期間を五年に伸長するとともに、その請求において家庭裁判所が考慮すべき要素を具体化する規定を設けることとしております。
以上が、この法律案の趣旨でございます。
政府といたしましては、以上を内容とする法律案を提出した次第でありますが、衆議院において一部修正が行われております。
何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/5
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006・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) この際、本案の衆議院における修正部分について、修正案提出者衆議院議員米山隆一さんから説明を聴取いたします。米山隆一さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/6
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007・米山隆一
○衆議院議員(米山隆一君) 民法等の一部を改正する法律案の衆議院における修正部分につきまして、御説明申し上げます。
本修正の内容は、第一に、附則において、政府は、改正後の各法律の円滑な施行のため、新民法第七百六十六条第一項又は第二項の規定により子の監護について必要な事項を定めることの重要性について父母が理解と関心を深めることができるよう、必要な広報その他の啓発活動を行うものとしております。
第二に、附則において、政府は、改正後の各法律の円滑な施行のため、新民法第八百十九条各項の規定による親権者の定め方、新民法第八百二十四条の二第一項第三号の急迫の事情の意義、同条第二項の監護及び教育に関する日常の行為の意義その他の改正後の各法律の規定の趣旨及び内容について、国民に周知を図るものとしております。
第三に、附則において、政府は、施行日までに、父母が協議上の離婚をする場合における新民法第八百十九条第一項の規定による親権者の定めが父母の双方の真意に出たものであることを確認するための措置について検討を加え、その結果に基づいて必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとしております。
あわせて、附則において、政府は、この法律の施行後五年をめどとして、改正後の各法律の施行の状況等を勘案し、父母の離婚後の子の養育に係る制度及び支援施策の在り方等について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとしております。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/7
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008・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) 以上で趣旨説明及び衆議院における修正部分の説明の聴取は終わりました。
これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/8
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009・森まさこ
○森まさこ君 自民党の森まさこです。
養育費の不払の問題の解消について質問をいたします。
我が国において養育費が現在支払われている割合はいまだ三割にも満たず、先進国で最低レベルです。私は、平成二十五年に初代の子供貧困担当大臣を務めました。子供の貧困についても我が国は世界の中でも深刻な状況にありますが、養育費の不払は子供の貧困の大きな原因の一つとなっています。このことに私は大きな問題意識を持ってまいりました。
そのため、その後、平成三十年に私が自民党女性活躍推進本部長に初めて就任した折に、同本部の下に養育費不払問題プロジェクトチームを立ち上げ、堀内詔子衆議院議員に座長をお願いいたしました。その成果として、令和元年の民事執行法の改正で銀行等の第三者から収入源の情報開示を求めることができるようになりましたが、課題はまだあります。銀行等の口座情報の開示を請求しても、収入源が隠されて口座にお金が残っておらず、空振りに終わる場合があります。また、銀行等の口座情報を請求するためには手数料等の費用を支払わなければならず、シングルマザー等の一人親にとっては非常な負担となっています。
こうした中、令和元年十月に私は法務大臣に就任いたしましたので、直ちに養育費の不払問題を検討することについて指示を出しました。そして、資料一にありますとおり、法務大臣である私の下に法務大臣養育費勉強会を立ち上げました。資料二のとおり、令和二年の一月から合計七回にわたり、地方自治体や諸外国における養育費の履行確保に向けた先進的取組について、自治体や研究者等からのヒアリングを実施いたしました。また、養育費問題に関する現状や課題解決可能性について、現場の支援団体や相談機関等からヒアリングを行うなど、幅広く検討を行いました。
そのヒアリングの中で、フィンランド等の北欧諸国では養育費の支払率が高く、その理由として、養育費が支払われなかったときは国が強制的に徴収を行う仕組みとなっていることや、養育費を支払わない親に対しては運転免許を取り上げるなどの制裁があることも確認しました。また、韓国に関しては、養育費に関する特別の行政機関である韓国養育費履行管理院の院長と、コロナ禍でありましたので、電話で会談を行いました。韓国は、一時期、日本よりも養育費の支払率が低かったにもかかわらず、この特別の行政機関を設置してからは支払率が大きく向上しました。
令和二年六月には、この勉強会の取りまとめを受けて、養育費不払い解消に向けた検討会議を立ち上げました。資料一のとおりです。同時に、今すぐできることは今すぐ取り組むべきだと考え、加藤勝信当時厚労大臣に私から提案をし、法務省と厚労省共同のタスクフォースを立ち上げて公的支援の運用の改善を行ったことも資料一に書いてあります。そして、令和二年十二月には検討会議の結果が取りまとめられました。
私の後任であった上川陽子当時法務大臣に引継ぎをする際にも、養育費の不払問題の解消について特にお願いをいたしました。それが令和三年二月の上川大臣による法制審への諮問につながりました。
養育費の支払については、単独親権であるか共同親権であるかにかかわらず、子供の食費や教育など、子供の健やかな成長のために必要不可欠なものでございます。諸外国並みに養育費が支払われていくことを望んでおります。
初めに、民法等改正案を提出した趣旨及びその概要について法務大臣にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/9
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010・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 父母の離婚後の子の養育の在り方は、子の生活の安定や心身の成長に直結する問題であり、子の利益の観点から大変重要な問題である、課題であると認識しております。父母の離婚に直面する子の利益を確保するためには、父母が離婚後も適切な形で子の養育に関わり、その責任を果たすことが重要であります。
そこで、本改正案では、父母の離婚に伴う子の養育への深刻な影響や子の養育の在り方の多様化等の社会情勢に鑑み、子の利益を確保するために民法等の規定を見直すこととしております。
改正案の概要でございますが、第一に、父母の離婚に直面する子の利益を確保する観点から、父母が子を養育するに当たって遵守すべき責務を明確化するとともに、親権に関する規定を見直すこととしております。そして、委員御指摘の養育費の履行の確保の観点でございますが、この観点から、養育費等の債権に先取特権を付与するとともに、法定養育費の規定などを設けることとしております。第三に、安全、安心な親子交流を適切に実現する様々な措置、規定を設けることとしております。このほか、養子縁組、財産分与に関する規定などを見直すものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/10
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011・森まさこ
○森まさこ君 しっかりお願いしたいと思います。
具体的な質問に入る前に先日の続きを先にやってしまおうと思うんですけれども、問い六になります。人質司法の問題です。
この委員会では皆さんから人質司法の問題が出されておりますが、皆様のお手元に、資料三、法務・検察刷新会議第一回の議事録がございます。私が大臣時代に、当委員会で皆様から様々な多くの御指摘をいただきまして、この会議を設置したものです。この会議の設置の経緯につきまして、この資料三の冒頭の私の大臣挨拶の中で触れております。
私は、国内からも海外からも、法務大臣として、人質司法との批判を受け、この問題を深く考えてまいりました。海外では間違ったデータによる、誤解による指摘もございましたので、それをしっかりと説明をしてまいりましたが、反論できかねる部分があったことも事実です。その部分は不断の見直しをしていくと私が大臣時代にお約束をし、司法の、国際司法のサミットである京都コングレスにおいても、初めて法務省主催で日本の刑事司法の在り方についてのサイドイベントを設置をしたところでございます。
この資料三の中に、大臣の挨拶の中で、この刷新会議で話し合うべき三つの柱について触れました。一つ目は、検察の綱紀粛正の問題、検察の倫理の見直しでございます。二つ目は、検察、法務行政の透明化の問題。三つ目が、刑事手続全般の在り方です。人質司法、冤罪を含む刑事手続全般の在り方です。
議論の結果については、これ上川大臣のときに出されましたけれども、資料四、法務・検察行政刷新会議報告書二十二ページの結びに書かれております。報告書の中には、ここには添付しておりませんけれど、人質司法についてという項目もあって、皆様方の様々な御意見が書かれた報告書となっております。
これを受けて、報告書は、今後の具体的な取組方針を令和三年一月二十六日に出され、法務省ガバナンスPTを設置し、法務省のガバナンスに関する事項を検討するとされました。しかし、柱の三つ目、人質司法を含む刑事手続の在り方については、ガバナンスPTでは取り上げず、引き続き刑事局において対応するとされました。
そこで、法務・検察行政刷新会議の報告書を踏まえた法務省ガバナンスPTや刑事局における取組状況についてお聞かせをいただきたいと思います。
この点につきましては、先日私が御質問したところ、小泉大臣におかれましては、まだつまびらかに目を通すに至っておられず、熟読の上、法務行政に生かしていきたいと御答弁でございましたので、改めて目を通された後、この取組状況、今どうなっているのか、お聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/11
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012・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 委員が提唱され、そして立ち上げられ、また熱心な検討が行われ、また結論も出していただいたこの刷新会議、大変貴重な存在であり、また我々に多くのものをもたらしてくれているというふうに感じております。心から敬意を表し、感謝を申し上げたいと思います。
先生が三つ、委員が三つの柱をということで当時の大臣挨拶でおっしゃいましたが、それを更に要約しますと、失礼ながら要約しますと、検察あるいは法務行政に対する信頼、国民を含めた内外の信頼、それを取り戻し、構築し、維持をするその必要性について問題提起をいただいたと思っております。
この後、刑事司法の在り方については、刑事局でその後、検討を含め、検討を進めているところでありますけれども、先生が提唱されたその精神は法務省にしっかりと根を下ろしつつあるというふうに私は感じております。
具体的な取扱いについてはまた刑事局から御説明をしたいと思いますけれども、その精神をいっときも忘れることなく引き継いでいきたい、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/12
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013・森まさこ
○森まさこ君 ありがとうございます。
続きまして、刷新会議の報告書に書かれている三つの柱の中で特に重要な三つ目の柱の下で議論された、被疑者取調べへの弁護人の立会いについて質問をさせていただきます。
この問題に関しまして、当時厚生労働省の局長でおられた村木厚子さんの無罪事件等の一連の事態を受けて検察の在り方検討会議が設けられ、平成二十三年三月に検討会議の提言が出されました。
村木厚子さんは、御存じのとおり、全面否認をしたところ、逮捕、勾留をされました。約半年間勾留され続けている中で村木さん御本人が検事による証拠偽造を発見し、無罪となった事件です。
その第六回会議、つまり在り方検討会議の第六回では、村木さん御本人が弁護人立会いの必要性を説かれました。このヒアリングの議事録、村木さんの御証言を資料五で配っております。本当に涙なしでは読めないものです。
村木さんは弁護人の立会いの重要性について、次のように述べておられます。
取調べというのは、リングにアマチュアのボクサーとプロのボクサーが上がって試合をする、レフェリーもいない、セコンドも付いていないというような思いがいたしました。いろいろな改革の方法はあるでしょうけれども、せめてセコンドが付いていただけるということだけでも随分まともな形になるのではないかというふうに思います。特に切実に思ったのは、調書にサインをするときに、具体的にその調書の内容を弁護士に話して、記憶に頼らなくて物を見て話をして、この調書にサインをしていいものかどうかというのを、最低限でも相談をしたかったなというのが実感でございます。
このように、村木さん御本人が非常に強い実感を込めて弁護人の立会いの必要性について述べておられるのです。
この資料五は、在り方検討会の議事録です。私が大臣になった当時は法務省のホームページに載っていませんでした。載せるよう指示したところ、データは紛失したと言われました。何か月も捜していただきまして、ようやく紙の状態で見付かりました。その紙をPDFにして、現在、法務省のホームページ、在り方検討会のところにPDFの形式でそのときに載せてもらいまして、今も載っておりますけれども。
当時、発見されて、私がそれを、大量なものをコピーして自宅に持ち帰って一からずっと全部読みましたところ、何と村木さんに関する記述だけが抜けておりました。そこで、私が戻りまして、これちょっと一部抜けているからこれも捜しなさいと言って、わざとではないと思うんですよ、なぜなくなってしまったのか分かりませんが、一生懸命捜させまして、やっと見付かり、それが今もPDFになって載っております。
これ、長文でございますが、皆さんに読んでいただきたいので、今日、資料五、大量になりますが、皆さんのお手元に配ってあるわけでございます。
その意味もあって、先ほどの三つの柱の二つ目は、行政の透明性ということで、こういったデータが紛失しないように、法務省の組織として、二年間ずつ検事さんが入れ替わり立ち替わりしていることもその一つの原因になっているかもしれませんので、組織の在り方ということもしっかり、こういったものが紛失しないようにしていってというようにこの柱の二も設けたわけでございます。
この問題については、私自身もかねてより当委員会において質疑を重ねてまいりましたけれども、資料六にありますような議事録で、相当厳しくここもやり取りさせていただきましたし、これではない令和三年五月十八日の法務委員会においては、当時の上川法務大臣から、被疑者の取調べへの弁護人の立会いを含めた捜査全般の在り方、人質司法との批判を受けることに関し大臣から、対応の指示を踏まえた刑事局における対応状況についてフォローしていただくという御答弁を上川大臣からいただきました。私からは、実務者レベルでの、弁護士と法務当局との協議の場を設置することについて御検討をお願いしました。
その後、法務省においてどのような対応がなされてこられたのか、今後どのように取組を進めることを考えておられるのか、法務大臣、それから刑事局から御答弁お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/13
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014・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 被疑者の取調べへの弁護人の立会い制度については、平成二十八年の刑事訴訟法改正に先立つ法制審議会の部会において議論をされたことがございましたが、証拠収集方法として重要な機能を有する取調べの在り方を根本的に変質させて、その機能を大幅に損なうおそれが大きいなど、様々な問題点が指摘され、一定の方向性を得るには至らず、法制審の答申には盛り込まれなかったという経緯がございます。
その後、この点については、御指摘の法務・検察行政刷新会議の報告書において、平成二十八年刑訴法改正の三年後検討の場を含む適切な場において、弁護人の立会いの是非も含めた刑事司法全体の、刑事司法制度全体の在り方について幅広く検討、幅広い観点からの検討がなされるよう適切に対応することとされたものでございます。
その上で、法務省においては、現在、この三年後検討の場として改正刑訴法に関する刑事手続の在り方協議会を開催しておりまして、被疑者の取調べへの弁護人の立会いについてもこの場に、この協議会における協議の対象となり得るものと認識をしております。まずは同協議会における議論を見守りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/14
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015・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) 今大臣から御答弁申し上げました改正刑訴法に関する刑事手続の在り方協議会でございますが、こちらは令和四年七月から既に十二回の開催をしております。
この協議会におきましては、これまで第一段階の議論といたしまして、事務当局及び構成員から統計資料等に基づく説明をいたしまして、実務における刑事手続の実際の運用状況等が共有されたところでございます。その上で、第二段階の議論といたしまして、今後、刑事手続の制度上、運用上の課題について協議が行われることとなっておりまして、被疑者の取調べへの弁護人の立会いについても協議の対象となり得るものと認識をしております。
法務省といたしましては、附則の趣旨を踏まえ、引き続き充実した協議が行われるように尽力をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/15
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016・森まさこ
○森まさこ君 大臣、今は盛り込まれないことになったとおっしゃっていますけど、正確には、盛り込まれないけれども、これは要否及び当否も含めて別途検討されるべきというふうにありますので、ここ、私、資料六でお配りしている議事録をよく読んでいただきたいなというふうに思います。引き続き、しっかりここを検討をしていただきますようにお願いをいたします。
それでは養育費の質問に戻りますけれども、養育費と一般先取特権について質問いたします。
今回の改正では養育費等の請求権に一般先取特権を付与することとされておりますが、どのような趣旨から行うのでしょうか。また、一般先取特権が付与される養育費等の金額につきまして、子の監護に要する標準的な費用などを勘案して法務省令で定めるということでございますが、どれくらいの金額になるのでしょうか、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/16
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017・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 現行法によれば、父母間で養育費の取決めがされていても、公正証書等の債務名義がない限り、債権者は民事執行の申立てができません。養育費の履行確保は子供の健やかな成長のため重要な課題でございますけれども、債権者に手続の負担が重く、取決めの実効性が十分でないという問題があります。
そこで、本改正案では、養育費の取決めの実効性を向上させるため、養育費債権に先取特権を付与しております。これにより、債権者は、債務名義がなくても民事執行の申立てができ、かつ、その執行手続において他の一般債権者に優先して弁済を受けられることとなります。
その上で、本改正案では、養育費等に先取特権が付与される額を、確定期限の定めのある定期金債権の各期における定期金のうち子の監護に要する費用として相当な額としております。その相当な額とは、子の監護に要する標準的な費用その他の事情を勘案して当該定期金により扶養を受けるべき子の数に応じて算定して定めることを予定しております。
本改正案の施行までに、このような観点から、適切に法務省令を定めることといたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/17
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018・森まさこ
○森まさこ君 子供のために必要な額をお願いします。
続きまして、法定養育費制度について質問いたします。
今回の改正では法定養育費制度を設けることとされておりますが、どのような趣旨から行うのでしょうか。また、法定養育費の金額につきましては、子の最低限度の生活の維持に要する標準的な費用の額などを勘案して法務省令で定めるということでございますが、どれぐらいの金額になるのでしょうか。法務大臣に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/18
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019・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 本改正案において新設する法定養育費制度は、父母が養育費の取決めをせずに離婚した場合に養育費の取決めを補充する趣旨で、父母の生活水準に即した養育費の取決め等がされるまでの当面の間、父母を、父母の収入等を考慮せずに、離婚時からの一定額の養育費を請求することができるというものでございます。
このような法定養育費制度の補充的な性格に鑑み、本改正案では法定養育費の額を、子の最低限度の生活の維持に要する標準的な費用の額その他の事情を勘案して法務省令で定める一定額としております。
ここで言う子の最低限の生活の維持に要する額を勘案するとしておりますのは、法定養育費が父母の収入等を考慮せずに発生するものとされていること等を踏まえて、法定養育費の額が、義務者の収入等が少額である場合にも発生する養育費の額の水準を参考に定められることを規定したものでございます。
また、標準的な費用の額を勘案するとしていることにつきましては、法定養育費の額の水準が個別具体的な事案の内容を考慮しないで法務省令で定められることを規定したものでございます。
本改正案の施行までに、こうした観点から、適切に法務省令を定めることとしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/19
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020・森まさこ
○森まさこ君 先ほどの先取特権もそうですが、この法定養育費制度もそうですけど、補充的とかおっしゃっていて大変不安なんですけれども、先ほど言ったように、我が国で、世界の中でも養育費が支払われている割合が非常に低いということ、そして、この養育費が、養育費について交渉中の方も法定養育費がその間は払われる、債務名義がなくても。そして、交渉にも着けない人にとっては命綱でございます。そういった子供のためということをしっかり勘案して、子供の成長、教育に必要な金額が確保されることを望みます。
法定養育費の制度は、父母間で養育費に関する取組を行うことが厳しい一人親の皆様にとって大変心強いものでございますので、法案成立後には是非しっかりと制度の周知を行っていただきたいと思います。もっとも、離婚当事者がこうした制度の存在を知っているだけでなく、実際に法定養育費を受けられるようにすることが大事であると考えます。そのためには、法定養育費の支払を受けるために必要な手続がどなたにとっても分かりやすく周知されていなければなりません。
そこで法務省に伺いますが、養育費の支払を受けるために、いつ、どこへ行き、どのような手続を行う必要があるのでしょうか。何か離婚を証明するものが必要となるのでしょうか。具体的に、かつ分かりやすい言葉で御説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/20
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021・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 父母が養育費の取決めをせずに離婚した場合、離婚のときから引き続き子の監護を行っている父母の一方が相手方に対して裁判外で法定養育費を請求することは可能であります。しかし、任意に法定養育費の支払がなされない場合には、監護親は、裁判所に対して民事執行の申立てをして相手方の財産を差し押さえることになります。この強制執行の申立てに当たっては、相手方の財産を特定する必要があることから、監護親において相手方の財産が分からない場合には、財産開示手続や第三者からの情報取得手続を利用することになります。その後、子の監護親は、これらの手続によって判明した財産に対する差押えの手続を別途申し立てる必要がございます。
本改正案では、民事執行手続の申立ての負担を軽減するため、一回の申立てで、財産開示手続、第三者からの情報取得手続、そしてこれらの手続によって判明した財産に対する差押えの手続を連続的に行うことができる仕組みを導入することとしております。
こうした法制度の内容について分かりやすく情報提供していく、また相談対応をしっかりやっていく、そういった努力を関係府省庁と取り組んでいかなければならないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/21
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022・森まさこ
○森まさこ君 ワンストップ制度についてもしっかりと周知をしていただくようにお願いをします。
親権については、この後、友納議員からも質問がありますが、私から一問。
共同親権にするかどうかという際に、子供の意見は聞かれないのでしょうか。こども基本法三条三項で子供の意見表明権がうたわれておりますので、法務省に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/22
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023・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 家庭裁判所は、親権等に関する事件においては、家庭裁判所調査官の活用その他適切な方法により、子の意思を把握するよう努め、子の年齢及び発達の程度に応じてその意思を考慮しなければならないこととされております。また、本改正案では、父母が子の人格を尊重すべきことを明確化することとしております。ここに言う子の人格の尊重には、子の意見が適切な形で考慮され、尊重されるべきであるという趣旨も含むものでございます。
そのため、協議上の離婚の際に父母が親権者の定めをするときにも、父母は子の意見を適切な形で考慮することを含め、子の人格を尊重しなければならないということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/23
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024・森まさこ
○森まさこ君 具体的にはまたほかの機会に伺いしたいと思いますが、しっかりお願いをいたします。
最後に、資料七、資料八を御覧ください。
資料七のとおり、令和六年三月二十九日、つい最近ですけれども、登記・供託オンライン申請システム、法務局に行っておりますけれども、障害が発生し、不動産登記のオンライン申請が滞ったため、全国の司法書士が窓口申請に切り替える対応を行わざるを得ない、残業をして走っていってという事態になったほか、三月二十九日中に申請ができずに四月一日に申請せざるを得ない事態が発生しました。資料八に東京司法書士会の会長声明が出ております。
この事態により発生した問題として、民法百七十七条の権利保全が担保されないリスクがある、不動産登記手続の主な代理人として機能している司法書士に多大な心理的負担と経済的損害を与える結果が発生しました。ゆゆしき事態です。
法務省は、三月二十九日のシステム障害によって申請未了となった案件について、三月二十九日の受付で処理される、つまり、四月一日に窓口を申請したものも三月二十九日付けにするというふうにその大分後に発表しましたけれども、この後ですね、今後ですよ、同じようなことが起きたらどうするんでしょうか。震災等でオンラインができなくなってしまったらどうするんでしょうか。今後の同様の場合に備え、そういった場合のみなし受付について、大臣通達などの一般的な法的措置を講じる必要があるんじゃないでしょうか。
まず、この問題について法務省は、システム障害の詳しい原因説明をまだしておりません。今後システム障害が発生しない対策も発表しておりません。万が一今後システム障害が発生した場合の措置を明確にし、その運用が適切に行われるような訓練などの事前の準備も怠りなく行うことが必要だというふうに思います。
法務省は、月末に、また年度末ですね、三月末ですから、決済が集中したからデータが取れなかったというようなことを言っておりますけれども、不動産と金融取引の根幹を成す取引の安全性、信用を確保するために、法務省だけではなく、デジタル庁、国交省、金融庁などの関係省庁は、今回の一時的な対応で終わらせず、連携して、月末決済についての対応の仕方、そして抜本的には、月末決済を分散化させるなどの制度改革に取り組むべきではないでしょうか。
月末、特に年度末に決済が集中してシステムに負荷が掛かるのは、これまでも当たり前に予想がされたことです。そんなことで機械が壊れてしまうなんということは言語道断だと思っております。ほかにも、確定申告や転勤、引っ越しに伴う住民票等の手続もオンラインになっておりますので、これは法務省だけではなく、関連省庁全て連携して政府として取り組むべき問題だと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/24
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025・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 三月二十九日金曜日の午後、オンラインによる登記申請や登記事項証明書等の請求の受付ができないシステムトラブルが発生しました。今回のトラブルで司法書士始め登記サービスを利用する多くの国民の皆様に御迷惑をお掛けしたことについて、深くおわびを申し上げたいと思います。
現在、詳細な原因を調査中でありますけれども、年度末の業務日であったために大量のオンライン登記申請があったこと、また、その処理をするための法務局側の操作が短時間に集中したことの二つの要因が重なり、システムに高い負荷が掛かったことが原因ではないかと考えられております。もちろん、これを詰めていかなければなりません。四月一日以降、同様のトラブルは生じておりませんが、私から担当部局には、再発防止のため、今回の原因を分析した上でシステム対応の方策を検討するよう指示したところでございます。
オンライン化とかデジタル化というのは、非常に効率性が高まり、非常に便利なものでありますけど、一旦トラブルが起こったときには、そこで発生する被害、ダメージというのは非常に大きなものになる。利便性も高いんですが、間違いがあったときには大きな被害が起こる。これが大きな特徴だと思います。その被害を乗り越える段取りができて初めてデジタル化あるいはIT化というのが成し遂げられるんだろうというふうに思います。大きな反省点でございます。
このシステム上の問題だけではなくて、事務フローとして、委員がおっしゃるように、年度末、期末、そういうときにまた自然災害等が起こる可能性もあり、そのとき事務フローをどうするかということも含めて、それがシステムに反映されるわけでありますけれども、これはしっかりと今回のこの失敗を、トラブルを一つの大きな戒めとして、しっかりと委員の今の御指摘も踏まえて、法務省においてしっかりと対応を検討したいと、関係省庁にも相談しながら検討したいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/25
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026・森まさこ
○森まさこ君 よろしくお願いします。
養育費の問題に戻りますけど、この養育費の問題を私が大臣のときに取り上げたときの検討会議は、女性の委員の割合は七割以上にいたしました。女性弁護士、女性検事、女性裁判官、女性学者、法テラスの方も女性です。そのようにして、子供の生活の糧となる養育費、しっかりこの国で子供の手元に届くようにという話合いが進められてまいりました。
これ、前回大臣にも申し上げた会議体の中の女性割合の話で、これはもう多様性、強靱化という観点から是非実現してほしいんですが、さっき取り上げました弁護人の立会いですね。これについて、刑事訴訟法改正の見直しのための会議体がつくられたようでございますが、恐らく、私がさっと見たところ、女性がお一人ですか、十人のうちお一人であるかのように見えましたけれども、今からでも女性を加えていただいて、女性割合を高くしていきたいと思います。様々な課題を乗り越えるときに、多様な意見を入れていただきたい。
そして、この取調べの弁護人の立会いの問題は、私が上川大臣にお願いをしたとおり、現場の皆さん、現場の弁護士の皆さんや、もっと言えば、そういった被害に遭った、無罪であった方々も御意見を入れるような委員の構成にしていただきたいと思うんです。大臣のお考えをお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/26
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027・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 大変重要な御指摘だと思います。委員構成の在り方を含めて、法務行政全般にわたって、様々な国民の方々の声、そして女性の方々の声、そういったものをしっかりと聴取できる体制を常に心掛けていかなければならないというふうに思います。
刑事局は局長も女性ですけれども、女性検事さんが、女性がたくさんいますけど、もう一度全体を見て、バランスをどう取るべきか、しっかり検討したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/27
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028・森まさこ
○森まさこ君 刑事局長、女性で私もうれしいんですけど、当局の女性割合ではなくて、私が今申し上げているのは外部有識者委員の構成でございまして、これ、ほっておくとやっぱり全部男性の名簿を持ってくるんです、大臣室に。ですから、大臣が要でございますので、大臣がこの決裁のときに見たときに男女割合ということを是非念頭に置いて、大臣からの御指示があるということが大事でございますので、お願いを申し上げまして、私の質問を終わらせたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/28
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029・友納理緒
○友納理緒君 自由民主党の友納理緒でございます。この度は、理事の皆様、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
今回の民法改正についてですけれども、子の利益を確保するために、子の養育に関する親権、監護等に関する規律、養育費の履行確保、面会交流、財産分与の請求期間の伸長、考慮要素の明確化など、多くの改正を含むものでございます。気になる点は多々ございますけれども、時間の関係がございますので、本日は、子の養育に関する親権、監護等に関する規律について質問を、中心に質問をさせていただきたいと思います。
今般の改正で、協議又は裁判により共同親権となるケースが法的に認められるようになりました。我が国はこれまでは離婚後は単独親権でしたので、これは大きな変化、新たな制度でございます。ただ、実際、法が施行されますと実務上様々な課題が発生する可能性がございますので、新たな制度におきましても子の利益がしっかりと守られるように、図られるように質問をしていきたいと思います。
通告に従い、質問をさせていただきます。
まず、親権の行使の方法について質問をさせていただきます。
改正法の八百二十四条の二に子の親権の行使方法等についての規定があるわけですけれども、八百二十四条の二は、親権は、夫婦が、ごめんなさい、父母が共同して行う、それ以外の場合、単独行使できる場合等が定められておりますけれども、その八百二十四条の二、一項三号に急迫の事情というものがございます。親権が単独で行使できる場合の急迫の事情について、まず質問をさせていただきます。
ここで言う急迫の事情ですけれども、衆議院の議事録等を拝見しますと、父母の協議や家裁の手続を経ていては適時に親権を行使できず、その結果として子の利益を害するおそれがあるような場合を指すということですけれども、具体例として挙がっていますのが、DVや虐待からの避難ですとか医療機関で緊急手術を受ける場合、そういったものが挙げられております。
今申し上げたDVや虐待からの避難の方は、単独行使をする親権者や子の置かれた状態から急迫の事情を認めるものだと思いますけれども、後者の緊急手術の方はその事象自体から、事象自体を捉えて急迫の事情と考えているものと考えますが、この急迫の事情というのがある程度広く解されるのかなというふうに考えたんですけれども、実際、そういうある程度広く捉えられるものなのかというところを教えていただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/29
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030・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
委員御指摘のとおり、子の利益のため急迫の事情があるときとは、父母の協議や家庭裁判所の手続を経ていては適時に親権を行使することができず、その結果として子の利益を害するおそれがあるような場合を指しております。
急迫の事情があるときに当たるかどうかの判断においては、その子が置かれた状況や父母の意見対立の状況等、様々な事情が考慮されることになると考えております。そのため、委員御指摘のようなDVや虐待から避難中であるといった事情もその考慮要素になり得るほか、緊急手術といった事情も急迫の事情に当たると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/30
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031・友納理緒
○友納理緒君 ありがとうございます。
具体例が当たることは分かったんですけど、まあ広く解される可能性は、その状態に置かれ、そうですね、だから、父母の協議や家裁の手続を置かれて、経ていては適時に親権を行使できず、その結果として子の利益を害するおそれがある場合というのが、ある程度、急迫というとある程度差し迫ることというような言葉の印象を受けますけれども、実際はやっぱり、それよりある程度広く捉えられるのかなというふうに考えています。
法制審議会においても、DVや虐待が生じた後、一定の準備期間を経て子連れ、子を連れて別居を開始する場合であっても急迫性が継続するとされていますので、やはり急迫、まあ急迫をどう捉えるかという話もあるんですが、ある程度少し急迫が広めに解されているのかなという印象がありますので、ただ、こうなってきますと、親権者たる父母がそれを適切に判断できるようにやはりガイドラインですとかある程度明確に示しておかないと子の状況が急迫の事情があるかどうかの判断がなかなかできづらくなってしまいますので、是非、その辺りのガイドラインが今回示されることが附則や附帯決議に記載されていますけれども、しっかりと作成していただければというふうに考えております。
ちょっとこの点、質問させていただこうと思いましたけれども、お願いをして、次の質問に移らせていただきます。
衆議院の法務委員会で、旅券発行の事例の質問があったかと思います。海外に居所を指定する事例の中で旅券発行の話もあったかと思いますけれども、その際、法務省の回答では、相当程度の長期の留学等の海外転居の場合は共同行使が必要とのことでしたけれども、それでは、例えば、常時身上を監護する側の片方の親権者が国内で転勤をするような場合というものがあるかと思いますけれども、このケースで、他方の親権者の同意が得られずに、審判を経ていては間に合わないという状況にもしなった場合は、これは急迫の事情があると判断してよいものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/31
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032・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
委員お尋ねのような場合につきましては、例えば、同居親の転勤が決まった後の父母間の協議の状況ですとか別居親が子の転居に同意しない理由などの個別の事情を踏まえて判断されるべき事柄でありますが、例えば、こうした事情を踏まえた上で、父母の協議や家庭裁判所の手続を経ていては同居親の転勤時期までに子の居所を変更するかどうかを決定することができず、その結果として子の利益を害するおそれがあるようなときは急迫の事情があると認められ得ると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/32
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033・友納理緒
○友納理緒君 一般の方にとってはなかなか審判を利用するというのはハードルが高いわけですので、なるべく他方の親権者の同意を得ようという作業をするのかなと思います。その上で、うまくいかない場合に審判を提起すると。
今、東京などの場合は、審判申立てから結果が出るまでそれなりの、後ほどまたそれもお聞きしますけれども、それなりの時間が掛かりますので、辞令交付から転居に至るまでに間に合わないということが出てきて、例えば監護を諦めるか仕事を諦めるかみたいな、そういった二択をしなければいけない場合がもし発生してしまうようであれば大変残念なことですので、お子さんにとっての一番の利益というところが、何がお子さんにとって適切かというところが重要ですけれども、そういった面で、一番お子さんにとって適切な判断がなされるように判断していただければというふうに思っています。
これに関連して、急迫の事情の話ではないんですが、近場で引っ越す場合というのもあるかと思います。職場の近くにちょっと引っ越したいとか家賃のもう少し低いところに移動したいですとか、様々あり得るかと思いますけど、この引っ越しも、必ず共同行使というわけではなくて、子に対して重大な影響を与えない場合は日常の行為としてできるという理解でよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/33
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034・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
委員御指摘のとおり、本改正案における監護及び教育に関する日常の行為とは、日々の生活の中で生ずる身上監護に関する行為で、子に対して重大な影響を与えないものを指しております。
委員御指摘の転居でございますが、その移動距離にかかわらず、通常、子の生活に重大な影響を与え得るものでありますため、御指摘のような同一学区内の転居も含めて、基本的には日常の行為には該当しないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/34
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035・友納理緒
○友納理緒君 済みません、もう一回確認なんですが、転居をする場合に、日常の行為に該当する場合はないということでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/35
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036・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
転居ですので住所の変更をもちろん伴います。したがって、住所の変更をいたしますと、基本的には子の生活に重大な影響を与え得るものというふうに考えますので、基本的には日常の行為には該当しないというふうに考えておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/36
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037・友納理緒
○友納理緒君 回答は分かりましたけれども、例えば学区も変わらず近くに移動する場合もあって、お子さんに重大な影響を与えるかどうかというと、それこそ、遠くに、ちょっと遠くに移動して、学校も変わって、お友達も変わってというとまたそれは違うのかもしれませんけど、ちょっとその範囲で、どのぐらい子に重大な影響を与えるのかというのはまたちょっと私も検討、考えてみたいと思いますけれども、改めてちょっと御検討いただければというふうに思います。
この重大な影響の判断もなかなか難しいと思いますので、ある程度実質的な判断が必要になってくる場合もあるのかなと思います。形式的に転居だからというのではなくて、実質的に子に重大な影響があるかどうかという判断が必要になると思いますので、その辺りガイドラインでしっかりと示して、混乱が生じないようにしていただければというふうに思っております。
次の質問に移らせていただきます。
次に、改正法八百二十四の二第二項にございます日常の行為について質問させていただきます。
監護又は教育に、ごめんなさい、監護及び教育に関する日常の行為という部分ですけれども、当然のことながら、親権者が居を別にするとしても、被監護者である子供は一人ですから、必然的に父母のどちらかが日常的な監護をすることになるというふうに考えます。
八百二十四の二第二項においては、主体が共同親権者たる父母になっています。親権者であれば、別居親であっても日常の行為については親権の行使を単独でできるという条文であるという理解でよろしいでしょうか。その上で、具体的にどのような事例を想定しているのかを含めてお答えいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/37
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038・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
日常の行為に係る親権の単独行使を認めることとした趣旨につきまして、法制審議会家族法制部会では、実際に目の前で子を世話、子の世話をしている親が困ることがないように、日常的な事項については単独でできるようにすべきであるということを前提とした議論がされたところでございます。
他方で、本改正案の日常の行為の行為主体を子と同居する親に制限していない趣旨につきましては、法制審議会家族法制部会におきまして、子と別居する親権者につきましても、例えば親子交流の機会のように実際に子の世話をすることはあり得るところでありまして、そのような場合に別居の親権者が単独で日常の行為に係る親権行使をすることも想定されるといった議論がされたことを踏まえたものでございます。
その上で、本改正案におきましては、父母相互の協力義務の規定を新設し、親権は子の利益のために行使しなければならないことや父母が子の人格を尊重しなければならないことを明確化しているところでもありまして、日常の行為に係る親権についてもこれらの趣旨に沿って行使されるべきものであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/38
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039・友納理緒
○友納理緒君 ありがとうございます。
先日の参議院の本会議で石川先生が、プールの事例を御質問されたかと思います。あと、日常の医療の提供もそうですけれども、混乱が生じないといいなと思うんですが、恐らく双方が子の利益のためと考えて行動しているはずですから、それで意見が対立するような場合にその両親で話し合っても結論が出ないということがあって、その対応をどうするかというときに、受け手である学校や例えば医療機関である場合は困ってしまうということがあるわけだと思うんです。
本会議での大臣の御答弁は、本改正案では、父母の相互の協力義務等を新設し、親権は子の利益のために行使しなければならないとあり、事案によってはこれらの義務に違反するという御回答だったんですけど、義務違反はもちろん分かるんですけれども、それでは現場はどう対応すべきかという問題が残っているのかなと思ったんです。
ちょっとこれは私の不理解かもしれませんけれども、八百二十四条の二の三項を見ますと、親権の行使の後の括弧書きで、二項により父母の一方が単独で行うことができるものを除く、まあ審判の対象となるものから除いているように読めるんですが、若干、日常行為で意見が対立した場合にどう処理すべきか不明瞭なところもあるのかなというふうに考えますので、ちょっと子の利益の観点から若干不安があります。是非、本改正案が成立した後に、施行されるまで様々なこういった不安な点を解消していっていただければと思います。質問はいたしませんので、お願いいたします。
日常の行為とは、日々生活の中で生ずる身上監護に関する行為で、子に対して重大な影響を与えないものとのことですが、衆議院で幾つか例が挙げられていましたが、実際の判断というのはなかなか難しいのではないかなと思うんです。自身が行う行為が日常の行為かどうかという判断ですね。
例えば、親権者が自身の行う行為を日常の行為と確信が持てない場合に、確認する手だて、どこかに確認する手だてがあればいいなと思うんですけれども、恐らく実際ないんだと思います。例えば、私たち弁護士も恐らく聞かれると思うんですね、これから自分がやる行為が日常の行為で大丈夫ですかと。ただ、それは多分これから出るガイドラインとかを見ながら回答していくんだと思いますが、でも、やっぱりガイドラインがあってもグレーな部分というのはありまして、責任を持って答えられるかどうかという不安もあるんですね。
別の制度、全く別の制度ですけど、成年後見人とかの制度ですと、何か不安が行為にあるときは、成年後見人になっていると、家裁に連絡を、確認をして、書記官にこれはやっていい行為かとかいうことを聞いて回答をいただいてからやったりすることもありますけれども、今回、離婚のこの事例にそれができるかどうかというと、いろんな面はあってできないような気がするんですけれども、実際そういう問題が生じ得るかもしれないというところはしっかりとちょっと認識をしていただければというふうに考えております、お困りになる方がいないようにですね。ちょっとこれは質問にするつもりでしたけれども、これもお願いで、問題意識をお伝えするというところで。
あと、国として制度をつくる以上は起こり得るトラブルを想定しておく必要があると考えるんですが、例えば一方の親権者が、日常の行為を実際超えてしまった行為を単独で行ってしまった場合に、どのような責任を負うかというか、自分はどういう責任を負ってしまうかという不安をお感じになって、この制度が変わることで不安にお感じになる方もいらっしゃるのかなと思うんです。不安に思うと、やることって萎縮していくと思うんですね。そうすると、本当に子の利益のための行為ができないという状態が発生するんではないかというちょっと懸念がございます。
若しくは、親権を行使していない親権者から何らかの責任を実際問われてしまうんじゃないかとか、いろんな不安があると思うんですけれども、このようなトラブルといいますか、不安を解消する、トラブルを回避する方法で、今何かお考えになっていることがあれば教えていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/39
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040・竹内努
○政府参考人(竹内努君) 委員御指摘のような、その父母の一方が単独で親権行使をした後に他の一方が事後的にこれと矛盾する行為をすることにつきましては、本改正案において新設している父母相互の協力義務の規定の趣旨ですとか、親権は子の利益のために行使しなければならないこと、父母が子の人格を尊重しなければならないことなどを踏まえて判断されるべきことでございまして、事案によりましては他の一方による親権行使が権利の濫用として許されない場合があり得ると考えておるものでございます。
その上で、種々の日常の行為をめぐって父母間の意見が対立するなどをし、父母の一方による親権の行使が権利の濫用として許されないような事態に至り共同して親権を行うことが困難であるというような場合には、必要に応じて親権者変更の申立てをすることもあり得ると考えられるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/40
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041・友納理緒
○友納理緒君 ありがとうございます。
親権者変更に至らないでうまくいけばいい、親権の行使が行われればいいなというふうに思うんですが、まずは日常の行為がどういう行為かということがある程度明確になっていればそういった問題が発生しないということが大前提だと思いますので、しっかりとガイドラインなどを作成しながら、それを周知をしていただければと思います。
次に、私、元々看護師ですので、やっぱり医療現場における課題についてはお伺いしておかなければいけないと思いますので、ちょっとお伺いをさせていただきます。医療現場で、この新しい制度が導入されることで混乱やそれによる萎縮が発生しないかという懸念です。
これまでも衆議院の質疑で何度か多く挙げられていたかと思いますけれども、共同親権であることを把握するタイミングですとか、医療機関がですね、共同親権であることを把握するタイミングですとか方法、あと、説明をし同意を得る際に親権者双方との調整をするということはすごく負担になってくると思いますので、すごく気になることが多くあります。
どの程度の急迫の事情ですとか日常的な医療の範囲か、急迫の事情がどの程度のものかということですとか、日常的な医療の範囲って医療者によっても判断のずれというのがあると思いますので、その辺りもどう解していけばいいのかなというところも気になるところでございます。
こういった医療機関側の懸念が少し、に影響したものとしては、恐らく、令和四年十一月十六日に大津地裁で裁判例が一件ございまして、これは、面会禁止された父親に説明、同意なく子供の手術が行われたという事例で、裁判所はこれ不法行為を認めたというものになります。これは個別の事情があると思いますけれども、やっぱりこういった事例がありますと、医療現場では単独行使できる場面かどうかの判断に慎重になっていきますので、判断に窮する場面というのが出てくる、一定の混乱が生じることが想定されています。
この点、衆議院の厚生労働委員会の御答弁では、今後、法務省と、ごめんなさい、衆議院の厚生労働省の御答弁では、今後、法務省とよく相談しながら、医療現場等の実務の状況も踏まえて、医療機関に対し今般の制度改正の趣旨について適正かつ十分な周知、広報に努めていくということでしたけれども、ちょっと周知、広報、やっぱり具体的にもう少し進めていかないと混乱が発生するのではないかというところで、親権の行使を受ける側、特に医療や教育など、それぞれの場において適切な処理がなされるように、個別にガイドラインなどの作成を行う必要があると考えています。
厚生労働省が主体となって改正法の解釈を、例えば医療現場とか学校教育の現場に当てはめたものを具体的に示す必要があると考えますけれども、厚生労働省の御見解をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/41
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042・宮本直樹
○政府参考人(宮本直樹君) お答えいたします。
委員御指摘のように、共同親権の導入後においても医療現場で適切な医療の提供が行われるということは、大変重要なことであるというふうに認識しております。
厚生労働省としては、今後、医療機関の状況等を注視するとともに、法務省とよく相談しながら、御指摘のガイドライン等の必要性についても検討してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/42
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043・友納理緒
○友納理緒君 ありがとうございます。
是非御検討いただいて、これもまた別の法律ですけど、例えば個人情報保護法とかも、やっぱり医療機関に当てはめたガイダンスとかが出て、QアンドAを見ると、あっ、こういうことなんだなということで理解して対応ができたりしますので、是非、法律を具体的に当てはめて、その現場現場で判断ができるようなものというのを作成していただければというふうに思います。
あと、容易に想像できる状況としましては、医療機関で、離婚時は共同親権とされていたものの、例えば別居親が新たな家庭を築いてそこにお子さんができたりして、前の家庭に対する、まあ言い方は語弊、あれがありますけど、関心がなくなってしまうとか興味がなくなってしまうとかいうことはあるわけですね、実際は、残念なことですけれども。そういったときに、例えば医療機関が同意を得ようと連絡をしても、電話には出るものの、関係ないから連絡をしないでくれとか、もう好きにしてくれというようなことを言われてしまう場合というのがあると思います。こういった場合、確認を繰り返す、どうしても確認を繰り返しますので、医療機関は、すごく労力が掛かって困ってしまうんですけれども。
そこで、改めて、この八百二十四条の二の親権は父母が共同して行うの、この共同して行うの意義ですけれども、親権の行使を妨げる明示の意思がなければ同意があると考えることができるのか、無関心のような事例も黙示の同意と評価していいものなのか、その辺りの御見解をお聞かせいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/43
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044・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
親権を共同して行うことには、例えば、父母の一方が他方の親の同意を得て単独名義で親権の行使をする場合も含まれておりまして、この場合の他方の親の同意は黙示的なものもあり得ますが、このことは現行法の婚姻中の場合でも同様であると考えております。
どのような場合に黙示的な同意があったと評価されるかにつきましては、個別具体的な事案に即して判断されるべき事柄でございますが、医療機関としては、例えば、父母を通じて他方の同意を得るように促すとともに、父母の一方が他方に対して連絡をしたにもかかわらず相当な期間内に何ら応答しない又は明示的に反対しない場合などでは黙示の同意があったと評価され得ると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/44
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045・友納理緒
○友納理緒君 ありがとうございます。
なるべく、同意があったということにきちんと、無理やりではなくて、ある程度合理的に判断できる場合には判断していただかないと、審判になると、審判が増えて、スピード感も必要になりますけど、今の裁判所の体制でどれくらい対応ができるのかといういろいろな問題が発生してくるかと思いますので、その辺りも適切に対応ができるように、これからの指針ですとかいろんなものを示していただければと考えます。
次に、子の意見表明についてお伺いいたします。
改正法八百十九条の七項は、共同か単独かを判断するに当たっては、子の利益のために、子の利益のため、父母と子の関係、父と母との関係その他一切の事情を考慮しなければならないとされています。
先ほどこの点は森まさこ先生もお伺いになっていましたけれども、こども基本法三条三号、四号に、自己に直接関係する全ての事項に関して意見を表明する機会が確保されること、あと、その年齢及び発達の程度に応じてその意見が尊重されることが規定されています。
令和四年にアドボケートに関する児童福祉法の改正もありました。やっぱり共同になるのか単独になるのかというのは子供にとって重大な事柄ですから、その子の知らないところでその子のことを勝手に決められてしまうということがないように、子の意見表明権を保障すべきだと考えています。これはもちろん、子供に決めなさい決めなさいと責めるものでもないですし、子の意向どおりにこちらが決めなければいけないというわけではなくて、やっぱり、離婚に伴って不安な状況に置かれているお子さんの意見を真摯に聞く、こっちも説明をするということがとても重要だという趣旨でございます。
先ほどの御回答にも、その点については家事事件手続法、恐らく六十五条だと思いますけど、その規定にもう既にあるということと、改正法八百十七条の十二の一項の、父母が子の人権、人格を尊重する、尊重とあることにもう含まれているんだという御回答なんだと思うんですが、家事事件手続法は手続法ですから、その子供の意見を聞くと、確認するということは、単に手続の問題ではなくて、やっぱり実体法上においても適切に規定をして、その権利を、子供の権利、適切に認めていく子供の権利ではないかなというふうに考えるのですけれども、親権を判断するに当たって子供の意向を考慮することを八百十九条七項の考慮要素に、その年齢及び発達の程度に応じた子の意向、心情を明示すべきではないかと考えるんですが、この点についてどのようにお考えになるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/45
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046・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
委員御指摘になさった本改正案の民法第八百十九条七項でございますが、家庭裁判所が離婚後の親権者の指定又は変更の裁判をするに当たり、父母と子との関係その他一切の事情を考慮しなければならないこととしておりまして、これは、子が意見を表明した場合には、その意見を適切な形で考慮することを含むものであります。
そして、これも委員御指摘なさったところですが、家事事件手続法におきましては、家庭裁判所は、親権等に関する事件では、家庭裁判所調査官の活用その他適切な方法により子の意思を把握するよう努め、子の年齢及び発達の程度に応じてその意思を考慮しなければならないこととされております。
加えて、本改正案では、父母が子の人格を尊重すべきことを明確化することとしておりまして、ここに言う子の人格の尊重には、子の意見が適切な形で考慮され、尊重されるべきであるという趣旨を含むものでございます。そのため、協議上による離婚の際に父母が親権者の定めをするときにも、父母は、子の意見を適切な形で考慮することを含め、子の人格を尊重しなければならないこととなります。
このように、本改正案は、委員の問題意識に沿うものとなっていると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/46
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047・友納理緒
○友納理緒君 ありがとうございます。
問題意識には沿っているんですけど、もう少し踏み込んでいただければというお願いでしたので、今後検討していただければ大変有り難いと思います。
あとは、子供手続代理人の活用の促進を是非していただきたいということがございます。できれば将来的には、今、国費で対応しているものと、あと弁護士会で対応しているものがあるかと思いますけれども、やっぱりとても大切な制度ですから、ただ、今は活用促進が一番だと思いますので、そういった手だてをしっかり取っていただければというふうに思っています。
次に、裁判所の審理期間の短縮の必要性についてお伺いいたします。
改正法が施行された場合、親権の行使の合意ができない場合に審判がされていくことになりますけれども、こういった審判、ほかもですけれども、短期間で行われる必要があると思います。
ちょっと医療現場の方に話を聞いたら、審判というのは数日で下りるんだよねということを言われまして、いや、数日ではなかなか下りない。そうすると、一般の方の認識と、私たち、私の場合は法曹ですけれども、感覚と少し乖離があるのかなというふうに感じています。
親権者を定める審判、親権変更の審判、面会交流の審判もございます。子供の意向を十分に確認し、家庭の状況を詳細に調査して丁寧に判断をする必要がございます。ただ、現状においても、やっぱり増加する家事事件に裁判所が対応し切れていないという状況があるように感じます。
衆議院の議事録を拝見しますと、着実に家裁の体制の充実を進めてきたということですけれども、実際そういう面もあるかと思いますが、ただ、私の感覚ですと、先ほどもちょっと申し上げましたけど、申立ての日から最初の期日までに大体一か月ぐらい掛かって、その後の期日も一か月ぐらい先になっていくわけですね。
先ほどの、数日で出るんでしょう、審判はという、一般の方の乖離というのはそういうところですごく大きくあると思うんですけれども、子供の利益の確保のためにも早急な対応が必要になっていくと考えます。
まず、現状の家事審判、特に監護者指定の審判の平均審理期間をお教えいただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/47
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048・馬渡直史
○最高裁判所長官代理者(馬渡直史君) お答えいたします。
令和五年の速報値でございますが、子の監護者の指定事件の調停審判の手続を通じた平均審理期間は、約九・一か月となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/48
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049・友納理緒
○友納理緒君 ありがとうございます。
九・一か月といいますと、やっぱりかなりの期間、長いなという印象がありまして、今回の制度が始まっても、親権を決める審判等にその期間が掛かっていくというのは余りそぐわないのではないかなというふうに感じます。
この審理期間を短くするための対策として、どのようなことをお考えになっているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/49
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050・馬渡直史
○最高裁判所長官代理者(馬渡直史君) お答えいたします。
各地の家庭裁判所では、適正迅速な紛争の解決に向けて、期日の持ち方の工夫、評議等を通じた裁判官の効果的な関与、調停室の有効活用等を含む調停運営改善の取組を進めてきておりまして、最高裁としてもそうした取組を後押ししてきているところでございます。
その上で、審理期間は期日回数と期日間隔との相関関係によりますが、最高裁におきましては、先日、各家庭裁判所における調停運営改善の一層の取組を支援するために、家事調停の期日間隔の長期化の点に焦点を当て、その長期化要因の分析やあり得る対策を提示するなどの情報提供を行ったところでございます。
これを踏まえ、今後、各庁において、それぞれの長期化要因に応じた実効的な対策を検討、実践していく取組がより一層進展していくものと考えておりまして、最高裁としても、そうした取組についても後押ししていきたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/50
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051・友納理緒
○友納理緒君 ありがとうございます。
裁判所としても様々な取組を行ってくださるということですので、是非進めていただきたいというところと、あとは、今度申し立てる側も、できれば私たち代理人が申し立てるというよりも御本人ができるようにすれば、御本人のスケジュールで進めていくことができると思うんです。私たち代理人を複雑な事例は是非利益のためにも入れていただきたいとは思うんですけれども、やっぱり代理人の日程が入る、入れることもありますので、御本人ができるというのが一番いいのかなと思うんですが。
御本人が申立てを、審判を申し立てるというのはやっぱり、今様々な審判ありますけれども、結構ハードルが高いなという印象がございますが、本人が申立てしやすいようにどのような取組をされる予定がありますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/51
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052・馬渡直史
○最高裁判所長官代理者(馬渡直史君) 本人申立ての割合が相対的に多い家事事件におきまして、審理期間の問題にかかわらず、本人申立ての利便性を高めるということは重要であると考えておりまして、現在も子の監護者の指定や親権者変更等の家事事件手続については、裁判所のウェブサイトにおきまして申立書の書式及び記載例、手続の内容に関する説明等を掲載しているところでございまして、裁判手続の利便性の向上の観点から、ウェブサイトにおける手続案内の内容については、これを更に充実させることも含めて今後も検討を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/52
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053・友納理緒
○友納理緒君 ありがとうございます。
今でも裁判所に昔よりはすごく書式がたくさん載っていて御本人でも対応しやすくなってきたのかなというふうに思いますので、是非その取組を進めていただければというように考えております。
次に附則十九条について、とても大切だと思いますので、協議離婚制度が父母任せになっているところで、ちゃんと真意の確認をするというところでとても大切だと思いますので質問をさせていただこうと思っていたんですけれども、次の先生方が質問してくださるようなので一問飛ばさせていただきまして、共同親権制度の周知啓発について、最後、大臣にお伺いをいたします。
本法律案が施行された場合、やはり国として共同親権の行使方法や法制度について周知徹底をして、先ほどの附則十九条にも関係してくるかと思いますけれども、離婚する夫婦がちゃんと共同親権がどういうものかを理解した上で、真意に基づいてそれを選択をすることができるようにということがとても重要だと考えています。
共同親権は、父母が子供のために建設的な意見交換をすることが大前提だと思っています。あと、どのような場合に裁判所への申立てが必要なのか、どのような場合には日常の行為に係る親権行使と言えるのか周知啓発が必要だと考えますけれども、この点について具体的にどのような対応をすることを予定されているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/53
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054・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) あらゆる制度はそうでございますけれども、制度とそれを理解してくださる国民のこの受け止め方、受入れ方、理解ですね、それで制度というのは成り立っていると思いますし、なかんずく今回の民法改正は家族法制に関わるものでもあり、非常に国民の理解というものが重要だと思います。それは、その仕組みを理解していただくだけではなくて、そこにある精神、子供の利益のためにやるんだという考え方、そういうその思い、そういったものも含めて国民に理解をしていただくことは非常に重要だと思います。
広報は三つポイントがあると思います。分かりやすさ、二番目に多様な媒体、そして最後に、積極的、能動的にやる、プッシュ型でやる。この三つを柱にして、関係省庁とも連携しながらベストを尽くしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/54
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055・友納理緒
○友納理緒君 ありがとうございます。是非ベストを尽くして行っていただければと思います。
質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/55
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056・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 立憲民主・社民の牧山ひろえです。
離婚後の家族法制を中心とした民法改正案の質疑を担当いたします。よろしくお願いいたします。
離婚後の家族法制に関しましては、一人一人の子供の幸福に非常に大きな影響を与えるものでありまして、法制審においても非常に激しい議論が行われてきたことは御承知のとおりでございます。途中までは慎重に議論を進めてきた印象だったんですけれども、特にパブリックコメントを取りまとめた辺りから急に拙速に走るようになって、提出された改正原案も非常に穴が多く、生煮えの印象が強いものになっています。
法制審での審理不尽は委員自身が認めていたことであり、衆議院において行われた質疑においてある程度明らかにされています。ですが、質問に対し真摯な答弁を行うのではなく、正面から回答しないケースも多く見受けられました。そのせいもありまして、改正原案が改正趣旨を維持したまま成立した場合、どのような家族関係そして身分関係を築くことになるのか、国民に正確に伝わっているとは言えないと思うんですね。多くの方々がむしろ不安に思ったと思います。
参議院の審議においては、慎重に熟議を行って、衆議院での審議で明らかにされてこなかった点についてしっかりと明確にしてまいりたいと思いますので、御協力いただきたいと思います。政府・与党におかれましても、私が述べた趣旨に御理解をいただき、そして子供たちの利益を守るための活発な質疑に御協力をお願いしたいと思います。
さて、衆議院におきまして附則が修正され、数多くの附帯決議も付されました。特に、法律の一部である附則の修正は、非常に重要な意味を持っています。
そこで、まず冒頭に、衆議院における附則の修正について修正案の発議者にお伺いしたいと思います。
修正された附則第十七条では、監護について必要な事項を定めることの重要性について述べています。なぜこの修正が必要だったんでしょうか。また、啓発活動を行う場合、際にどのような点に特に留意して行うことを想定されていましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/56
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057・米山隆一
○衆議院議員(米山隆一君) 父母の離婚後においても子の利益を最大限確保するためには、養育費、親子交流も含めた子の監護に関する事項を取り決めておくことが重要であると認識しておりますが、現状では取決めを行っている割合は低い値にとどまっております。その背景には、離婚に当たって子の監護について必要な事項を取り決めておくことの重要性や、監護について取り決めておいた場合、取り決めておかなかった場合のそれぞれにおいてどのような状況が生じるかについて、いまだ父母の十分な理解と関心が得られていないことにあると考えております。
加えて、本改正により父母の離婚後もその双方を親権者と定めることができることになりますが、各家庭の事情に応じて監護者や監護の分掌について定めることがますます重要になっていくことが想定されます。
以上のような理由から、離婚を考えている父母が子の監護についての必要な事項の取決めを行うため、その重要性や影響について父母がよく理解し関心を深めることができるよう、政府に対し必要な啓発活動を行うことを義務付けることとしたものです。
なお、政府が啓発活動を行うに当たっては、離婚を考えている父母が子供の目線に立って子の監護について必要な事項を取り決めることができるよう、親講座、親ガイダンス等の取組の充実も含め、様々な機会を捉え適時適切に必要な周知、広報が行われることを期待しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/57
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058・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 共同親権の場合でも監護権者を定めなくてもいい法的構成となっていますので、離婚時にしっかりとした決め事をしておかないと様々な問題が発生するということが想定されるということだと思います。
いっそのこと共同親権の際には必ず監護者の指定を行う運用にすれば、離婚時の各種取決めの負担も減るのではないかなと思うんですが、この辺はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/58
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059・米山隆一
○衆議院議員(米山隆一君) 委員御指摘のとおり、離婚後、父母の双方が親権者となる場合には、子の主たる監護者が、監護親が円滑に親権を行使できるよう必ず父母の一方を監護者に指定する旨の定めをしなければならないこととするべきという意見があることは承知しておりますし、またそれも十分理解できることだと思います。しかしながら、その一方で、離婚後の子の監護をめぐる状況は家庭ごとに様々であるということもまた事実であろうかと思います。
そこで、衆議院の修正においては、この御指摘の監護者の指定を含め子の監護に関する事項については、それぞれの家庭の事情に応じて必要な取決めが行われるよう、子の監護についての取決めを行うことの重要性や、監護について取り決めておいた場合、取り決めておかなかった場合のそれぞれにおいてどのような状況が生じるかについての広報啓発活動の実施を政府に対し義務付けることとしたものです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/59
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060・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 ありがとうございます。
監護者が指定されていない場合、手当の給付など、日常生活の混乱そして不利益が生じることも想定されます。離婚に際して監護者を決める、定めることが不可欠ではないでしょうか。監護の分掌も同様ではないでしょうか。大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/60
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061・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 父母の離婚に直面する子供の利益を確保するために、父母が離婚後も適切な形で子の養育に関わり、その責任を果たすことが重要であります。
父母の離婚後に子の身上監護をどのように分担するか、それは各御家庭によって様々な事情があり、それぞれの形が異なって、それぞれ形が異なってくるというふうに考えられます。そのため、御指摘のように、離婚後の父母の一方を監護者と定めるか監護の分掌を定めることを必須とすることは相当ではないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/61
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062・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 監護権者を指定することが離婚の障害になるならば、現在、離婚の際に父母いずれかから親権者を指定することになっていることも離婚への障害となるのではないかなという、そういう考え方もあると思うんですね。現状そうなっているようには思えないので、監護者を指定することだけがなぜ離婚の障害になるのかよく分からないです。
では、修正された附則十八条では、急迫や日常の行為の趣旨及び内容についての国民の周知の必要性を規定しています。なぜこの修正が必要だったんでしょうか。そして、この修正がどのような意味を持つのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/62
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063・米山隆一
○衆議院議員(米山隆一君) 委員御指摘のとおり、父母の双方が親権者である場合であっても、親権の単独行使が認められる場合の要件である子の利益のための急迫の事情があるときや、また監護及び教育に関する日常の行為については、必ずしもその意義や具体的場面における適用が明確でないとの指摘がありました。
これらの意義や適用場面については衆議院における審議において様々な具体例を挙げて質問され、答弁によってその解釈はかなりの程度、かなりの程度明らかにされたと考えておりますが、なお法施行までに国民に対する周知が不可欠であると考えてこのような修正を行ったものです。
なお、これらの語句の意味や適用場面を明確にすることは、すなわち親権を単独で行使できる範囲が明らかになるとともに社会全体でも共有されるということであり、親権者にとって有益であるのは当然として、親権者と取引を行う相手方の保護にも資するものであり、それらが全体となって共同親権が適切に運用されることにつながると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/63
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064・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 本来は法文に書き込まれてしかるべき重要概念の趣旨、また内容が定められていないために、それを補足する必要性からきているというわけですね。
新しい制度では、共同して親権行使が困難であると認められたときは単独親権であるとして、典型的な事例としてDVの事例が挙げられています。いずれとするかについて家庭裁判所で争う場合、共同親権を求める現に監護をしていない別居親は親権の共同行使が困難でないことを説明する必要があるのか、それとも困難であるとの相手方の証明を防げばいいのか。DVの事例で言いますと、共同親権を得るためにDVをしていないことの証明を要するのか、あるいは自分がDVをしている証明をさせなければいいのか、あるいは相手と比較して少しでも分がある裁判所の心証を取れば共同親権者になり得るのか、どちらでしょうか、法務省。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/64
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065・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
家事審判の手続における資料収集は当事者のみに任されているわけではございませんで、家庭裁判所は、職権で事実の調査をし、かつ、申立てにより又は職権で必要と認める証拠調べをしなければならないこととされております。
改正後の民法第八百十九条第七項の規定は、当事者の一方に各考慮要素、例えば委員御指摘のような親権の共同行使が困難であるかどうかなどについての立証責任を負わせる趣旨のものではありません。
いずれにしましても、離婚後の親権者をどのように定めるかにつきましては、個別の事案における具体的な事情に即して、家庭裁判所において、子の利益の観点から最善の判断がされるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/65
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066・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 客観的な証拠に基づいた厳密な証明まで双方とも至らない場合、子の利益や虐待、DVのおそれという、曖昧というかファジーな基準に基づいて家裁が審判を下すということのように聞こえるんですけれども、共同か単独かという親権の判断において、双方とも証明に至らないときはどうするのかなと思うんですが、共同親権が原則的な取扱いを受けるわけではないということを確認したいんですけれども、いかがでしょうか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/66
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067・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
本改正案におきましては、裁判上の離婚では、子の利益を害すると認められるときには必ず父母の一方を親権者と定めなければならないこととしております。
子の利益を害すると認められるかどうかの判断は、父母と子との関係、父と母との関係その他一切の事情を考慮して裁判所において実質的、総合的にされるものでありまして、当事者の一方が立証責任を負うものではありませんので、御指摘のように証明に至らない場合の原則的な扱いがあるわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/67
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068・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 先ほどのようなDV加害者には親権を付与しないこととされています。これが裁判基準である以上、家裁におけるDVの判定がとても重要になります。ですが、DVに関しては判断が非常に難しく、家裁で必ず適正な判断がなされるとは限らないことは御承知のとおりでございます。その上、裁判所に掛かる業務負荷もかなりのレベルになることが想定されています。
そこでお伺いしますけれども、DVを証明するには婦人相談所で相談することで証明書が発行されるんですけれども、婦人相談所は、DV防止法に基づき、配偶者暴力相談支援センターの役割を果たす公的な窓口の一つなんですね。この証明書を持っていれば家裁におけるDVの認定の根拠となり得るということでよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/68
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069・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 本改正案では、父母の一方が他の一方から身体に対する暴力その他心身に有害な影響を及ぼす言動を受けるおそれがある場合には単独親権としなければならないと定めております。
この要件でありますけれども、裁判所において、個別の事件ごとに、それを基礎付ける方向の事実とそれを否定する方向の事実を総合的に勘案し判断されることになります。また、その判断においては、客観的な証拠の有無に限らず諸般の状況が考慮されることになると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/69
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070・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 私の質問は、今の配偶者暴力相談支援センター、これ公的な窓口なんですけど、これを、証明書を持っていれば家裁におけるDVの認定の根拠となり得るということでよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/70
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071・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
裁判所においてどのような証拠でどのような事実を認定するかということにつきましては裁判所の判断ということになりますが、裁判所におきましては、個別の事案ごとに、暴力等の有害な影響を及ぼす言動を受けるおそれを基礎付ける事実とそれを否定する方向の事実とを総合的に考慮して最終的に判断するということになるものと考えております。
その判断におきましては、客観的な証拠の有無に限らず諸般の状況が考慮されることになってまいりますので、個別の事案にもよるのですが、委員御指摘のような書類につきましても裁判所の事実認定において考慮され得るものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/71
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072・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 寄せられる全ての案件について家裁がゼロからDVの認定をするとすると、家裁の負荷は非常に重いものになります。
DVに関しましては、数多くの行政部局や相談センターがございます。そのような組織にはDVに関する情報ですとか評価が積み重ねられておりますので、各種のDV関連組織とも連携の上でそれらの情報を有効に活用することも私は検討すべきではないかと考えますが、この提案についての法務大臣の御所見をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/72
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073・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
先ほど述べましたとおり、裁判所の判断におきましては、個々の事案において適切に対応されるべきであるというふうに認識をしております。
一般論といたしましては、家庭裁判所においては、当事者から提出された主張や証拠のほか、必要に応じて調査嘱託等の活用により関係機関等から情報を収集するなどして適切に対応されているものと承知をしております。
法務省といたしましては、本法律案が成立した場合には、適切かつ十分な周知、広報に努めるとともに、関係府省庁等としっかり連携をして取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/73
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074・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 そうすると、済みません、それらの情報を有効に活用する、このDV関連組織とも連携の上で情報を有効に活用することも検討するべきかと考えますが、いかがですか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/74
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075・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) ここで御指摘をいただいております当事者から提出をされた主張、証拠、必要に応じて調査委託などの活用により関係機関等から情報を収集するなど、こういった情報は、先ほど相談所の話もありましたけれども、基本的な事実をDVがあるという方向に裏付ける要素として、大きな要素、大きな重要な要素として勘案されるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/75
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076・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 個人情報の保護に十二分に留意するのは当然です。ですが、DVの被害者は、転居や退去を繰り返すうちにDVの記録や証拠を失ってしまって、DVの証明に苦労するケースも多く見受けられます。そのようなケースに対する支援にもなり得ます、なり得ると思います。
さて、共同親権は、先ほど述べましたように、一方が決めたことに対して他方が拒否権を発動できるということを意味します。また、親権に関する家裁での審判について、判断の根拠として厳密な証明を求めない以上、仮に誤判でなくとも、ある一定割合は家庭裁判所というハードルをくぐり抜けてDV加害者に共同親権が付与されることになります。ハードルをくぐり抜けてDV、虐待加害者が共同親権者となった場合、離婚後共同親権がこの方に拒否権、介入権、支配権を与えることにならないかなと思うんです。
リーガルハラスメントという行為に対して親権という強力な武器を与えてしまうおそれはないでしょうか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/76
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077・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 本改正案では、父母の間の人格尊重義務、また協力義務の規定が新設をされます。親権は子の利益のために行使をしなければならないということも明確に規定をされます。したがって、離婚後の父母双方が親権者となった場合においても、その別居の親が急に態度を変えて介入するというようなこと、不当な干渉、そういったものを許容するものではありません。もしそういうことがあれば、それは人格尊重義務、協力義務に違反をすることになります。
親権者の変更という申立てをすることもできるわけでございまして、予防措置はしっかりと組み込まれていると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/77
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078・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 我が党の石川議員への答弁で小泉法務大臣は、父母相互の人格尊重義務を新たに定めたことについて、別居の親権者に同居親への不当な拒否権や介入権、支配権を与えるものではないと説明されておられました。
共同での子育ての不当な拒否とは、では、どのような理由による拒否のことを指すのでしょうか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/78
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079・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 今月十九日の参議院本会議において、本改正案は、別居の親権者に同居親による養育への不当な拒否権や介入権等を与えるものではないという趣旨の答弁を行いました。
この答弁は、本改正案では、子への虐待のおそれがある場合やDV等のおそれがあり、共同して親権を行うことが困難であると認められる事案において裁判所で父母の双方が親権者とされることはないこと、また、父母相互の人格尊重義務等が定められるとともに、親権の行使、これは子の利益のために行使されるべきことが定められていることから、本改正案が不当な親権の行使を許容するものではないという趣旨を述べたものでございます。
この答弁で不当な拒否とは、父母相互の人格尊重義務に違反する行為や子の利益を害するような親権行使を念頭に置いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/79
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080・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 不当の要素が客観的に判定できるものでもなく、動機などの主観面に存在する場合、すなわち、例えば同居親の教育方針に反対する別居親の本当の動機が同居親に対する嫌がらせや妨害であったとしても、子供のためだというふうに言って理論武装するのは簡単だと思うんですね。そのような場合に、家裁が人の心の中まで踏み入って不当かどうかという判定できるとは到底思えないと思うんですね。この点についても気を付けていただければと思います。
さて、法務省の答弁では、離婚後共同親権はDV、虐待ケースについては除外と当然のことのように言われますけれども、果たして除外を正確に実行できるかが課題となります。DV、虐待ケースに当たるかの判断がまず問題となり、幾つかの基準を擦り抜けてDV、虐待ケースに共同親権が適用されることが強く危惧されております。
二つ質問があるんですけど、DV、虐待ケースを除外する方法を具体的にお示しいただきたいのと、DV、虐待加害者が共同親権者となることを排除できると当局は保証できるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/80
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081・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 協議離婚の際に、仮にDVなどを背景とする不適正な合意によって親権者の定めがなされた場合には、子にとって不利益となるおそれがあるため、それを是正する必要があります。そこで、本改正案では、家庭裁判所の手続による親権者の変更を可能とするとともに、その際に、家庭裁判所が父母の協議の経過その他の事情を、その他の事情を考慮すべきことを明確化することとしております。
また、本改正案では、裁判離婚の際にも裁判所が必ず父母の一方を親権者と定めなければならない場合の例として、虐待等のおそれがあると認められるとき、DV被害を受けるおそれ等の事情を考慮して父母が共同して親権を行うことが困難であると認められるときを挙げております。したがって、DV被害を受けるおそれがある等、おそれ等がある場合には、父母双方が親権者と定められることはないと考えております。これまでも、実務上、裁判手続等においてはDV等が資料等に基づき適切に認定、判断されてきているものと認識しており、本改正案についても、裁判所において研修等を通じて運用の在り方を検討されるものと承知をしております。
親権者の指定等に当たっては、子の利益が害されることのないよう、本改正案の趣旨、内容が正しく理解されるよう適切かつ十分な周知、広報に努めるとともに、本改正案を円滑に施行し子の利益を確保するための環境整備について、裁判所の取組への協力を含め、関係府省庁としっかりと連携してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/81
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082・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 除外という言葉に戻りますけれども、行政文書に除外というふうに書けば、そのままそれが実現するというふうに思わないんですね。人間は不完全な存在なので、裁判官といえども間違えますし、またDVや虐待の加害者も、一定数は除外し切れずに共同親権に擦り抜けてくると思うんです。それを前提にして、擦り抜けを少しでも減らす工夫と努力を、また擦り抜けてきた加害者による被害をフォローすることに全力を尽くしていただきたいなと思います。
特に問題となりますのが、協議離婚で真意に反して共同親権に同意せざるを得なかったケースです。DVや虐待のケースですと、その弊害は著しいものとなります。特に日本では、離婚の九割が協議離婚です。弱い者が対等ではない不本意な合意をのまざるを得ない日本の特徴を背景として、例えば、絶対に嫌だと思っている共同親権での離婚に仕方がなく合意してしまうこと、こういったことだって多々想定できると思うんですね。また、共同親権にしなかったら別れないと言ったり、また養育費を払わないとか、そういった無理な条件を出してきて、まあバーターというか、何らかの強制が生じるということも起こり得ると思うんです。
なので、このような真意ではない合意によって共同親権となったケースの救済策はどのような手段が考えられるか、御答弁いただければと思います、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/82
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083・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 子の利益を確保するためには、真意によらない不適正な合意、これを防ぐ必要があります。本改正案では、親権者変更の際に裁判所は協議の経過を考慮することとされ、不適正な合意がされた場合には事後的に是正をすることとしております。
加えて、衆議院では、その附則において、施行日までに父母が協議上の離婚をする場合における親権者の定めが父母双方の真意に出たものであることを確認するための措置について検討を加え、必要な措置を講ずるものとする検討条項が改正により追加されました。法務省としては、この附則の条項の趣旨を踏まえ、適切に対応してまいりたいと思います。
具体的な措置については、衆議院法務委員会における法案審議では、例えば、離婚届出書の書式を見直し、離婚後も共同で親権を行使することの意味を理解したか等を確認する欄を追加することなどが考えられるとの指摘もございましたが、この点も含め、いずれにしても、施行日までに附則の趣旨を踏まえて適切に対応してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/83
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084・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 是非お願いしたいと思います。
このようなケースでは、救済策が親権者変更の申立てぐらいしかないのかなと今までの答弁聞いていると思うんですけれども、是非御検討いただきたいと思います。
このような真意ではない共同親権の合意によるケースでも、必ずしも家裁の判断で非真意側の親に単独親権が付与されるとは限らないのではないでしょうか。なぜならば、真意でなければ共同親権の合意がないことになって、家裁による子供の利益を基準とした判断が行われることになるはずです。その際に、共同親権を望んだ側に悪質性が認められない可能性もかなりあるんではないでしょうか。大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/84
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085・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
先ほど大臣からも御答弁ありましたとおり、本改正案民法第八百十九条の八項におきましては、裁判所が親権者変更の判断をするに当たって、協議の経過等を考慮することとしております。裁判所が協議の経過等を考慮した結果、協議離婚の際に親権者を定めた合意が真意でないと判断した場合には改めて子の利益の観点から親権者を定めることになるのでありまして、当然に父母のいずれかを親権者と定めなければならないことになるわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/85
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086・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 親権が取れるかどうか分からない事後的な対応策では、救済策として不十分だと思うんですね。極めて不安定な状況となりまして、子供の利益にもならないと思うんです。やはり、入口から真意ではない共同親権の合意の成立を抑止するべきであり、具体的には、共同親権を選択した場合の真意の確認を、ほかの国でもやっているように、ちゃんと裁判所で協議離婚の際にも組み込む必要があると思いますが、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/86
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087・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
これも先ほど大臣から御答弁ありましたとおり、御指摘の点に関しましては、本改正案について衆議院における審議の結果といたしまして、附則に、政府は、施行日までに父母が協議上の離婚をする場合における新民法第八百十九条第一項の規定による親権者の定めが父母の双方の真意に出たものであることを確認するための措置について検討を加え、その結果に基づいて必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとするとの条項が設けられたところでございます。
本改正案が成立した際には、この附帯決議の趣旨を十分に踏まえて適切に対応してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/87
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088・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/88
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089・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) この衆議院の審議の結果としての附則、これは全会一致で我々がまた、いや、我々じゃないです、委員会で決めていただいたものであります。
先生が御指摘されるこの真の合意があるのか、真意に基づいた合意なのか、これが大きな意味を持っている、重要な意味を持っている、非常にまた切実な意味を持っているということは、この国会、衆議院の審議において共有されています。政府も含めて共有されております。
したがって、この趣旨をしっかりと踏まえて、具体的な方策を創出するべく最大限の努力を速やかに進めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/89
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090・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 是非お願い申し上げます。
時間となりましたので、終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/90
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091・福島みずほ
○福島みずほ君 立憲・社民共同会派の福島みずほです。
共同親権についてなんですが、相談して決めることができそうな人たちにとっては必要がない、相談することができない対立関係にある人ほど強く欲する制度が共同親権になっているんじゃないかと思います。うまくいっているんだったら問題ないんですよ。結婚している段階で子供の目の前で子供の養育方針で言い争っていることは子供にとって良くない。それが、ようやく離婚してそれが解消されると思いきや、そうではなくて共同親権によってまた続くとすれば、それは子供の利益にはなりません。
ですから、共同親権というのを望む人がいることも理解はできます。しかし、それは選択というんであれば、合意でなければ最低限駄目だと思います。不同意共同親権というのは認めないということが必要ではないか。人間は嫌なことを強制されても従いません。それは選択ではありません。選択的夫婦別姓だって、自己の意思によって選ぶから選択制なんです。だから、不同意共同親権というのは認めない。
父母の同意がないけれども強制的に共同親権になることが、どういう場合に子供の利益になるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/91
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092・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 不同意であれば多くの場合それは単独親権という形になっていくと思われますが、しかし、合意がないということ、それだけでもう自動的に単独親権ですよというふうには進んでいかないというふうに我々は思っています。
一度、子供の利益というものをそこに置いてみていただいて、父母双方が子供の利益のために我々が共同でできることがあるんじゃないかということを考えていただく、そういうステップを踏んで、それでもなおかつ相当な理由をもって共同の親権交渉ができない、困難が伴うということになれば、それは単独親権です。しかし、片方の親が、いや、駄目です、嫌ですと言うだけで単独親権にいく前に子供の利益というものを考えるステップがあっていいだろうと、そういう考え方でこの法律は構成されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/92
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093・福島みずほ
○福島みずほ君 だから、その場合の子の利益とは何か。
そして、やっぱりそれは間違っていると思います。つまり、うまくいっていないんですよ。うまくいっていないから離婚したんですよ。それで、どうしても嫌だ、相手と一緒に話ができないと思っているとすれば、それはやっぱり何かの理由があるんですよ。それは何か、時間を掛けて、あるいはカウンセリングやいろんなことで解消されることはあっても、一方が嫌だと言っているのに共同親権やってうまくいくわけないですよ。これ、一歩間違えると家父長制に基づく父権介入、支配とコントロール、介入する、そんな口実を与えることになる。
もし、うまくいっているんだったらいいんですよ。そういうケースもあるでしょうし、あります。でも、一方が嫌だと言っているのにそれを強制することは結局うまくいかない。性交渉だって、本人の同意がなければ性暴力だとしたじゃないですか。本人の同意がないのに、これを共同親権というふうに無理やり、不同意共同親権というのは子供の利益にもならない。子供は親のその対立の中にもう一回、離婚した後も続くわけですから、離婚後の虐待も続くというふうに思っております。これは本当に見直すべきだと思っています。
提案者にお聞きをいたします。
先ほども議論になりましたが、十九条ですね。これは、今日もすごく議論の一つです。両方が真摯に共同親権を望むということの確認を、これは家庭裁判所がすべきだというのは衆議院で枝野議員が言いました。私もそれはそうすべきだと思いますが、ちょっと百歩、百歩というか譲って、この十九条、措置について検討を加えとありますが、そのことの理由や思いについて語ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/93
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094・米山隆一
○衆議院議員(米山隆一君) 改正案の附則第十九条第一項についてという御質問でございますが、改正案の第八百十九条第一項では、父母が協議上の離婚をするときは、その協議でその双方又は一方を親権者と定めるとあります。
今ほど来議論にもあり、また委員からも御指摘のあったところですけれども、この協議上の離婚の際の親権者を定めるに当たっては、子の利益を確保するために、例えば、DV等の事案や経済的に強い立場の配偶者が他方配偶者に強制的に迫ることによって真意によらない不適切な合意がなされることを防ぐ必要がございます。強い必要がございます。また、親権者をどのように定めるにせよ、父母双方の真意による合意があってこそ、これも今ほど委員がおっしゃられたことですけれども、父母双方の真意による合意があってこそ子の利益にかなうように親権を適切に行使をすることができます。
そこで、政府に対して、親権者の定めが父母の双方の真意に出たものであることを確認するためにどのような措置があり得るか検討を加え必要な措置を講ずることを求めると、このような趣旨でこの規定を提案し、そしてまた各党各会派で合意し、衆議院では成立したということになります。
なお、提案者としましては、提案者といたしましては、具体的な措置として、例えば、離婚届書の書式を見直して、離婚後も共同で親権を行使することの意味や内容を理解したかを確認する欄を追加すること等を想定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/94
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095・福島みずほ
○福島みずほ君 どうもありがとうございます。
それで、いろんな人の意見聞きます。思春期のときに実は父親に会いたかった、実は父親に会いたかったけどそれを言えなかったとか、いろんな子供たちがいることは本当にそうです。しかし、実はそれは面会交渉の話であると。面会交渉の話、養育費の話と親権の共同親権の話は別です。面会交渉がうまくいかないから親権取ればうまくいくというのは物すごく劇薬で、そんなことはあり得ないんですよ。
離婚後の監護、面会交流、養育費については、既に現行民法七百六十六条で明文化されています。現行法では解決できない課題があるんでしょうか。具体的に示していただきたい。養育費の支払、外国のように罰則付けたっていいと私は思います。養育費の支払、面会交流などの充実、DVの根絶、一人親家庭の支援、体制整備などこそ先決ではないですか。大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/95
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096・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 子の利益を確保するためには、父母双方が離婚後も適切な形で子の養育に関わる、そして責任を果たす、これが望ましいという理念をまず掲げております。そして、この責任を果たす、養育に関わり責任を果たす、その形でありますけれども、現行民法の下では離婚後単独親権制度でありますので、共同養育では、共同養育にはなりますが、そこで親権者でない親は子の養育に関する事項について最終的な決定をすることができず、また第三者との関係でも親権者として行動することはできません。このような状況においては、親権者じゃない親による子の養育への関与、これは確かに事実上できますが、あくまで事実上のものにとどまり法的に不安定なものとならざるを得ないため、子の利益の観点からは望ましいものではないと考えられます。
そこで、離婚後の親権制度を見直す必要があるわけでございますけれども、子供の利益という観点からは、御指摘のとおり、それ以外に養育費の履行確保、安心、安全な親子交流、こういったことも非常に重要でありまして、本改正案では、親権、養育費、親子交流を含めた子の養育に関する制度全般を見直す、そういうことをお願いをしているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/96
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097・福島みずほ
○福島みずほ君 単独で行使できる急迫の事情なんですが、これは衆議院の段階で、子の利益のため必要かつ、あっ、衆議院の段階で、これはですね、衆議院の段階でこの定義については、法務省は、父母の協議や家庭裁判所の手続を経ていては適時の親権行使をすることができず、その結果として子の利益を害するおそれがあるような場合というふうに説明をしています。だったら、そのように修文したらどうですかというふうに思います。というのは、急迫の事情というのは、どうしても法律家の立場からすると、急迫性の侵害、正当防衛の要件、急迫というのはやっぱり急な場合というふうに従来言われていたので、急迫の事情では狭いんですよ。
法務省はこれを広く説明をされていますけれども、それでは、この法律が施行された以降、それが一般的に通用するだろうか。むしろ、子の利益のため必要かつ相当な場合というふうに直すべきではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/97
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098・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
一般論といたしましては、子の養育に関する重要な決定について、父母双方が熟慮の上で慎重に協議し判断することが子の利益に資することとなると考えております。他方で、その協議には一定の時間を要すると考えられることから、本改正案では、適時に親権行使をすることが困難とならないよう、子の利益のため急迫の事情があるときは親権の単独行使が可能であることとしております。
これらの場合に加えまして親権の単独行使が可能な場合を更に拡大することは、子の養育に関し父母双方が熟慮の上で慎重に協議する機会を狭めることとなってしまいますので、子の利益の観点から相当ではなく、御指摘のような修正も相当ではないと考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/98
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099・福島みずほ
○福島みずほ君 これ、すごく大変になると思います。
衆議院の議論でもなっておりますが、多くの離婚事件は、やっぱり家を出ていくときに対立が起きたり殴られたりするから、やっぱり決行日を決めて、この日家を引っ越すなんてやるわけですよね。それって、DVより少し時間がたっていれば急迫とは言えなくなったり、あるいはもう証拠がない、いや、急迫じゃないじゃないかと言われかねないですよ。これは、子供を連れて妻が家を出ていったら、誘拐罪だと訴えるケースとかも今あります。としたら、まあ女、男というのも変ですが、でも監護は、夫と妻、父と母は、四分の一以下ですよ、夫の監護、育児の時間は圧倒的に少ない。多くは女性が子供を育てていて、子供を連れて家を出ることが困難になるんじゃないか、今までより困難になったら困ると思っているんです。
私は、朝のNHKドラマの「虎に翼」を見ていますが、まさに明治民法は、子はその家にある夫の親権に服すとなっていたから、女性は子供を置いて離婚するか、あるいは、もう離婚を我慢して家にいるかしか多くはできなかったわけですよ。そういうふうになっちゃいませんか。どうですか。このことによって、今まで女性たち、多くは女性たちですが、子供を連れて家を出る、で、別居する、身の安全を守るために、あるいは、夫といさかいしたくないからということは変わらないということでよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/99
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100・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
改正法案の八百十九条七項でございますが、これは、裁判所が親権者を決める際の判断基準になっております。委員も御指摘のとおり、御存じのとおりだと思いますが、父母、父又は母が子の心身に害悪を及ぼすおそれ、すなわち虐待があるような場合ですとか、父母の一方が他の一方から身体に対する暴力その他の心身に有害な影響を及ぼす言動を受けるおそれ、すなわちDV等があるおそれを指しております。このような場合には、必ず裁判所は単独親権としなければならないというような規律にしておりますので、としております。
しかも、八百二十四条の二で、一項三号で、子の利益のため急迫の事情があるときは、仮に共同親権になったとしても親権の単独行使ができるという規律にしておりますので、DVや虐待からの避難に支障を来すことはないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/100
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101・福島みずほ
○福島みずほ君 DVや虐待がなくても、夫といさかいを続けることはすさまじいストレスだから家を出るんですよ。別居して安心して子育てしたいし、人生立て直すというか、少し冷却期間を置きたいんですよ。これがDVや虐待などとなっているので、先ほど牧山さんがDVや虐待のケースを完全に除去できるかと言いましたが、DV、虐待じゃなくても、支配やコントロールや、もう多くのいさかいから自分は出たいんですよ。だから、これやっぱり狭過ぎますよ。問題がある。急迫の事情に関する今の答弁も納得がいきません。
参議院は、共生社会に関する調査会で、かつてドメスティック・バイオレンス防止法を超党派で全会一致で成立をさせました。プロジェクトチームつくって超党派でやったんですね。二〇〇一年です。そして、五回DV防止法を改正しました。DVの根絶に関して参議院は物すごく努力をしてきた。しかし、これはまだ続いております。
DVをする人は、残念ながら加害の認識がありません。自分はいい夫で、いい人で、残念ながら外づらが良く、地位も高かったり、だから、その人が本当に支配とコントロールをする人だと分からない。でも、殴るだけじゃないんですよ。モラハラだったり、お金を渡さなかったり、妻をそこに座らせて正座させて、こんこんと一晩中説教をしたり、結愛ちゃんが虐待で反省ノートを書かされていましたが、反省ノートを書かされる妻というの結構いますね。とにかく、自分の思いどおりにしたいし、そうするということそのものがDVで、みんなが思っているよりもDVは広いんですよ、虐待も広いんですよ。そういう中では力を奪われるから、そういう結婚生活は地獄なんですよ。そこから逃げる、そこから子供を連れて逃げるのは当然で、生きるためのサバイバルなんですよ。
ところが、残念ながら、裁判所やいろんなところ、まだまだまだまだ法律家の世界も古く、家庭裁判所でもDVやその認定がされないこと、理解されないこと、いい夫さんじゃないですかと言われることなどしょっちゅうですよ。認めてもらえないんですよ。だからこの法案に心配しているんです。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/101
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102・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
まず、先ほど申し上げました八百十九条七項でございますが、例えば二号を申し上げますと、父母の一方が他の一方から身体に対する暴力その他の心身に有害な影響を及ぼす言動を受けるおそれという言葉になっておりまして、身体的な暴力あるいは身体的なDVに限らず、精神的なDVですとか、あるいは経済的DVのようなものも含む表現になっております。このような場合には、裁判所が必ず単独親権と定めなければならないという規律になっております。
また、八百二十四の二の一項三号の急迫の事情というところですけれども、委員御指摘のような夫婦のいさかいですとか、あるいはけんかのような事情で感情的問題が発生していて、そのために適時の親権行使ができないというような事情があるような場合にもこれに当たるものがあると考えられますので、我々といたしましては、委員御指摘のような虐待のケースあるいはDVのケースにつきましては、何でしょう、その避難等に支障はないというふうに考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/102
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103・福島みずほ
○福島みずほ君 これは、夫は、誘拐罪で刑事告訴したり妻を民事で訴える、刑事で訴える、弁護士も訴える、弁護士を懲戒請求する、そして妻の家族も訴える、さんざん、こんな事件たくさんあります。私自身も訴えられてきました。DVをやるというのはそういうことですよ。
だから、お願いです。私は、この法律は時間を掛けてやり直すべきだと思いますが、この法律施行されて、妻が子供を連れて、まあ夫が子供を連れてという場合ももちろんありますが、家を出た後、夫から訴えられるとか、おまえは共同親権なのに連れて出たといって訴えられるとか、そういうことが本当にないように、それは結局、女の人を家の中にとどめておくという物すごい地獄の状態にさせるので、それがないようにと思います。
先ほど、単独でできるか共同親権でできるかで、変更、それはできない、住所変更はそれは合意がないとできないということでした。ということは、ほんの少し移動するのでも、子供がいじめだから急いで引っ越したいということもできない、夫が反対したら、夫といつも言って済みませんが、できないということですよね。それは問題だと思います。
例えば妻が、自分が別居中あるいは離婚した後、経済的に頑張りたいと思い、九州の実家に帰ってやり直そうと思って、夫が俺の面接交渉どうなるんだと反対したら、引っ越しできないんですよ。これ、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/103
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104・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
本改正案では、父母双方が親権者である場合には、親権は父母が共同して行うこととした上で、子の利益のため急迫の事情があるときや監護又は教育に関する日常の行為をするときは、親権を単独で行使することができることとしております。
監護及び教育に関する日常の行為とは、日々の生活の中で生ずる身上監護に関する行為で、子に対して重大な影響を与えないものを指しております。子の転居や子の進路に影響するような進学先の選択などは基本的にはこれに当たらないものと考えておりますが、もっとも、これらにつきましても、例えばDVや虐待からの避難が必要な場合には、急迫の事情があるときとして親権の単独行使が認められ得ると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/104
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105・福島みずほ
○福島みずほ君 やっぱり、狭く解されると引っ越しもできないんですよ。
それで、パスポートの取得に関して衆議院で議論になり、外務省は四月十一日、これについて衆議院の委員会に提出しております。説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/105
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106・長徳英晶
○政府参考人(長徳英晶君) お答えいたします。
未成年者の旅券発給が行われた場合、この申請については、現状においては、親権者である両親のいずれか一方の法定代理人署名欄への署名をもって両親の同意を代表する者とみなして申請書を受け付けることとしております。ただし、署名を行っていないもう一方の親権者が、あらかじめ子の旅券申請に対する不同意の意思表示を国内旅券事務所又は在外公館に対して行う場合がございます。その場合は、同親権者に改めて旅券申請同意書の提出意思を確認し、その同意書の提出をもって旅券を発給することとしております。
旅券法に基づく旅券の発給申請は公法上の行為であり、今回の民法改正案によっても、未成年者の申請についてのこうした現行の手続は基本的に変更する必要はないと考えております。
いずれにしましても、運用に当たっては、今回の民法改正案を踏まえ、法務省始め関係府省庁と連携をし、適切に運用していく考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/106
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107・福島みずほ
○福島みずほ君 そうすると、別居親が、例えば子供が修学旅行で、行くためにパスポートを取得したい、でも別居親が反対ということを旅券の事務所に言ったら、その子は行けないんですよ。で、家庭裁判所で、その人が翻意して同意してくれればいいけど、どうしてもしてくれなければ家庭裁判所に行くということですよね。これが本当に妥当でしょうか。これが本当に子の利益に合致するんでしょうか。
先ほど、一つだけ、保育園を替わるとかいうのも、これも共同親権でないといけないということなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/107
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108・黒瀬敏文
○政府参考人(黒瀬敏文君) お答え申し上げます。
保育所の入退所に関する手続につきましては、子ども・子育て支援法で、保護者が市町村から保育の必要性認定を受けた上で保育所の入所、入退所の申請を行うというふうになってございます。また、同法において保護者とは、親権を行う者、未成年後見人その他の者で、子供を現に監護する者というふうに定義をしているところでございまして、結論といたしましては、保育所の入退所の手続は、子供を現に監護している者のみによって行うことができます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/108
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109・福島みずほ
○福島みずほ君 子の氏の変更、離婚しました、妻は旧姓に戻ります、でも子は、大体九五%、夫の姓で戸籍に入っています。子の氏の変更をしたい、もう一緒に暮らすから名前同じくしたいという場合、子の氏の変更に関して共同親権の別居親が反対したらどうなるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/109
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110・竹内努
○政府参考人(竹内努君) 子が父又は母と氏を異にする場合には、民法第七百九十一条第一項の規定によりまして、子は家庭裁判所の許可を得て戸籍法の定めるところにより届け出ることによってその父又は母の氏を称することができます。また、子が十五歳未満であるときは、同条第三項の規定によりまして、その法定代理人が同条第一項の行為をすることができるとされておりますところ、父母の双方が親権者であるときは、父母の双方が法定代理人となり、父母が共同して行うこととなります。
この場合において父母の意見が対立したときは、改正民法第八百二十四条の二第三項の規定によりまして、家庭裁判所が父母の一方を当該事項についての親権行使者と定めることができます。
なお、本改正案では、子の氏の変更に関する親権行使者の指定の裁判は離婚訴訟の附帯処分として申し立てることができることとしておりまして、そのような申立てがあった場合には、離婚判決において親権行使者が定められることとなります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/110
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111・福島みずほ
○福島みずほ君 しかし、反対をすれば、それは子の氏の変更はスムーズにはできないということですよね。今は単独親権ですから、子の氏の変更、事実上家庭裁判所で認められていますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/111
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112・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
民法の先ほど申し上げました七百九十一条第三項の規定によりまして、法定代理人が子の氏の変更をすることができるとされておりますので、現行法の下では親権者となった方が法定代理人として行うことはできると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/112
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113・福島みずほ
○福島みずほ君 つまり、共同親権だったら、一方が反対したら子供の氏を変更することは、今までは簡単にできたけど、できなくなるということですよね。
それから、養子縁組。女性が離婚して、子供を連れて新たな人と再婚する、子供をその新たな夫と養子縁組するということは比較的よく行われていますが、その場合、共同親権の別居親、元の夫が駄目だと、養子縁組に反対だって言ったら養子縁組できないですよね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/113
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114・竹内努
○政府参考人(竹内努君) 十五歳未満の子を養子とする場合には、親権者、法定代理人の代諾が要るということになってまいります。代諾が取れないという場合の規定を今回設けることにしておりまして、第七百九十七条でございますが、第四項におきまして、その代諾に係る親権の行使について八百二十四条の二第三項に規定する請求を受けた家庭裁判所は、第一項の縁組をすることが子の利益のために特に必要であると認めるときに限って、同条第三項の規定による審判をすることができるとされております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/114
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115・福島みずほ
○福島みずほ君 今までよりもやっぱり、共同親権、つまり親権というのは、子供の監護権ではなくて重要事項決定権について口出しができるということですから、かくかくさように子の氏の変更や養子縁組などで別居親がそのたんびに介入してくる、介入ということは良くないかもしれませんが、できない、反対されたらできない。だから、拒否権なんですよね。先ほど牧山さんも拒否権という言葉を使われましたが、新たな生活で何かをやるときに拒否権発動ができるんですよ。安保理事会の拒否権発動じゃないけど、物すごく強くて、それを取っ払うためには家裁に行って長い長い調停を経なくちゃいけないというのは、物すごく大変なことだと思います。
それで、共同親権の場合、どのような変化があるか。高校の授業料無償化の問題で文科省にも来ていただきました。これ、神奈川だと、たしか所得制限があるんですよね。で、回答は合算するということなんですが、だとすると、これは神奈川県の場合は学校がやるわけですが、学校の先生は、今までだと一人の、離婚したら単独親の所得証明だけをもらってればよかったけれども、今度は、あなたは単独親権ですか、共同親権ですか、じゃ、共同親権の親の収入も持ってきてくださいと言って合算するということになるんですか。その親が養育費払っていない場合はどうなるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/115
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116・梶山正司
○政府参考人(梶山正司君) お答えいたします。
高等学校等就学支援金につきましては、親権者等の収入に基づいて受給資格の認定を行っておりますが、今般の民法改正による共同親権の導入後に生徒等の父母が離婚し共同親権となる場合であっても、現行制度と同様、親権者の一方が就学に要する経費の負担を求めることが困難である場合には、受給資格の認定に当たってその親権者の収入は含めないことになると考えております。
個別の事例について網羅的にお答えすることは困難でございますが、これらの判定に至っては、認定を行う都道府県等において、個別のケースに応じて柔軟に判断することとなるものと考えております。
また、その認定事務の負担のことでございますが、こちらにつきましては、親権者が就学を要する経費の負担を求めることが困難である場合、こちらのものに関して、それに該当する場合は申請していただくということになります。そのような場合にも、生徒や保護者等による申請内容を原則信頼して判定する仕組みと、こういうことにしておるところでございますので、必ずしも証明書類の提出までは求めるものではなくて、適切なその認定事務を行っているところでございます。
いずれにせよ、都道府県と連携しながら、適切な認定事務に努めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/116
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117・福島みずほ
○福島みずほ君 ちょっと分かるような、分からない。
つまり、私は共同親権です、でも、夫の例えば収入証明を出さずに高校授業料無償化を申請してもいいということですか。でも、それって、共同親権は合算するということと矛盾しませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/117
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118・梶山正司
○政府参考人(梶山正司君) お答えいたします。
高等学校の就学支援金につきましては、基本的に、親権者の一方が就学に要する経費の負担を求めることが困難である場合、そちらに関しては、親権者の収入は含めないということができます。
その場合に関しましては、その方の収入証明書等におきましては提出がないということになるんではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/118
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119・福島みずほ
○福島みずほ君 児童扶養手当については、これまでも親権者とは限らず監護者に支払っており、共同親権になっても変わらない、所得も監護者のみで合算しないという回答をいただいております。
児童手当については、これまでも親権者とは限らず監護者に払っており、共同親権になっても変わらない、所得も監護者のみで合算しないというふうに回答いただいているんですが、これって、特定給付金のときもそうだったんですが、元夫が、自分は世帯主だと、で、逃げているから、世帯主で、子供がそこの世帯に入っているとします、まあ別居中ですね。そのときに夫が俺に払えと言ったら、児童手当どうなるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/119
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120・黒瀬敏文
○政府参考人(黒瀬敏文君) お答え申し上げます。
児童手当ですけれども、例えば、父母が離婚をしまして、又は離婚協議中で別居しているような事実が確認できるときには、生計を維持する程度の高さにかかわらず、事、同居している方が受給者というふうになりますし、また、離婚等をしていない場合であっても、例えば、現在受給者、受給をしている者からのDV被害等を受けて児童手当の支給先の変更を被害者が求めるような事例というのが考えられますけれども、受給者からのDVによって子の監護に著しい影響が生じていると認められるような場合は、監護の実態を欠くものとして、住民票上の住所等にかかわらず、児童手当の支給先を、実際に監護を行っている、この場合であればDVの被害者の方ということになりますので、そういった取扱いは、現在もそうですけれども、今後も変わることはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/120
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121・福島みずほ
○福島みずほ君 公務員、行政の窓口、支援センター、学校現場などで物すごく不安が広がっています。というのは、共同親権だったにもかかわらず、自分たちが何か仕事をして、後からその別居親から訴えられる、これはよくありますが、ということが、とても心配して萎縮効果が起きて、支援が十分行われないんじゃないか。
お手元に、全国でDV被害者に関わる支援措置に対する行政不服審査請求は毎年何件出されているか、ここ十年ほどの件数を教えてほしいということで件数を出していただきました。今後この件数が本当に増えるんじゃないか。つまり、DVやいろんな件で住民票を、まさに支援措置で住民票を明らかにしないでほしいということを妻側がやっているときに、これに対する行政不服審査がこれだけ出ているんですね。今後、共同親権になったら、これが物すごく爆発的に増えてしまうんじゃないか。私は、今日の質問で、行政が萎縮しないようにちゃんとメッセージを出してほしい。
支援措置を受けている裁判で共同親権が命令された場合、支援措置の要件を満たしていると相談機関の意見書を得て市が判断すれば、行政として支援措置の続行は制限するものではないということでよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/121
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122・三橋一彦
○政府参考人(三橋一彦君) 住民基本台帳事務におきましては、DV等の被害者の相手方が住民票の写し等の交付を不当に利用して被害者の住所を探索することを防止するDV支援措置を実施しております。
本措置の実施に当たりましては、専門的知見を有する警察、配偶者暴力支援センター等の相談機関から支援の必要性を確認することとしております。具体的には、申出の内容に相違がなく、支援の必要性があると認めるか等につきまして、相談機関の職名及び公印を付して意見を提出してもらうとともに、必要に応じて市区町村から相談機関に内容を確認しております。
DV等を受けた申出者が子供とともに同一の住所に避難している場合におきましても、子供の住民票の写しの交付等の申請を、おそれがあると認める、おそれがあると、その住所探索目的で行われる場合には、当該子供についても支援措置を実施することとしております。
現行の民法における婚姻中の場合におきましても、相手方への住民票の写しの交付制限の措置は行われているものでございまして、今回の民法改正により離婚後に父母双方が親権者と定められた場合でありましても、DV等支援措置の必要性が認められる場合にはこれを実施するという基本的な考え方に変更はないものと考えております。
総務省といたしましては、この点も含め、今回の民法改正後の取扱いに関し、各自治体に対して必要な助言等を行い、制度の適正な運用に努めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/122
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123・福島みずほ
○福島みずほ君 よろしくお願いします。
転居、転校、急迫のときに、急迫の事情は行わず、行政は今まで届出が来れば手続で行う。監護している者の申請により行政は、保育所の入園、転園、退園を認めるということでよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/123
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124・三橋一彦
○政府参考人(三橋一彦君) 先ほども申し上げました住民基本台帳制度におきましては、住所は、客観的居住の事実を基礎として、これに居住者の主観的意思を総合して決定するということとされております。その上で、住所に関する市町村長への転入又は転居届は、転入をした日から十四日などとの、その事実を届け出る取扱いとされております。
未成年者に係る届出につきましては、転入転出等の事実や、現に届出を行っている者の代理権等を確認し転入転出等の処理を行っておりますが、現在の婚姻中における共同親権者であっても、届出の処理に際しまして父母双方の同意は求めておりません。
今回の民法改正後における転入転出等の届出におきましても、現行の共同親権である婚姻中における取扱いと同様と考えておりまして、現行の事務の取扱いを変更することは想定しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/124
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125・梶山正司
○政府参考人(梶山正司君) 転校についてお答えいたします。
今般の民法改正案を踏まえ、共同親権となり離婚後に父母双方を親権者とする場合においても、転校の手続については、婚姻中の父母が別居している場合における現行民法制度の、民法の下での取扱いと基本的に変わるものではないと認識しております。
他方、学校は、父母間の協議の状況や家庭裁判所の審判の結果等、父母間の関係について正確な情報を得られる立場にないことから、特定の父母間の関係が転校の手続の円滑な実施に影響するような場合には、現在においても、裁判所や警察、教育委員会などの関係機関との相談や情報収集を行い、個別のケースに応じて適切に対応していると承知しております。
文部科学省といたしましては、共同親権の導入後も学校においてこれまでと同様に適切な対応が行われるよう、法務省を始めとした関係府省とも連携の上、今般の法改正の趣旨等について、教育委員会等を通じて丁寧な周知を行ってまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/125
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126・福島みずほ
○福島みずほ君 終わります。ありがとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/126
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127・石川大我
○石川大我君 立憲民主・社民の石川大我でございます。今日もどうぞよろしくお願いをいたします。
共同親権の前に、幾つか積み残し質問をさせていただきたいというふうに思います。
前回の法務委員会ですけれども、刑務所の冷暖房についてお尋ねをさせていただきました。各収容施設と長野刑務所の室温の資料、提出をいただいたんですけれども、この資料を見させていただいたんですけど、やっぱりちょっとおかしいんじゃないかというふうに思います。
まず、大臣、一つなんですが、これ、温度を測っている場所が食器口の上というふうにあるんですね。刑務所って、行かれたことあると分かると思うんですけれども、通路がありまして、その脇に居室があるわけですね。四畳ぐらいですかね、畳で言うところの。そこの入口のところに食器を出入りさせる入口があるわけです。そこの上のところで温度を測っている。
これ、つまり、廊下の部分は暖房が効いているけれども居室の中に暖房が入っていないという問題を私取り上げているわけですけれども、その食器口の上で測るということは、極力この廊下に近づいて、そこのところで、下手したらうちわであおいでいるんじゃないかとすら私は思うわけですけれども、そこで測っているということは、もう本当に実態を表さない、そういう数字がこれ出ているというふうに思うんですが。
まず、これ、今後測っていっていただきたいんですが、継続的にこれ温度を測っていただきたいんですけれども、そのときに、まず一つ、この食器口の上で測ると、これはやめましょうよ、是非。大臣から明確に、しっかりと実態に即した測り方をしていただきたいと思うんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/127
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128・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 石川議員から御指摘を受けまして、寒い場合もあるし、暑い場合もあります。受刑者のいる環境を気温という点でしっかり統一的に測ろうと、定期的に測ろうと、問題があれば改善をしよう、そういう方針を立てました。
そして、早速、七十四か所の、これは支所を除いた本所でありますけど、刑事施設で気温の測定を行いました。先般の事案と同じ午前七時、そして受刑者が入っている部屋という気温、条件を設定しました。その場で人が一人いる状態で何度か、その真ん中に布団を引いて、受刑者がいるものですから、本来なら部屋の真ん中で測るべきだったと、それは御指摘のとおりなんですけれども、そこに受刑者が寝ていますので邪魔にならない場所ということで、他意はありません、全く他意はないんですよ。だけど、どこに置けるかなと思ったら、その食器口が、ちょうどいい平らな部分があります。そこに温度計を置いて測らせていただきました。今後は、人がいるいないにかかわらず、部屋のしかるべき中心的な場所選んで、そこで測っていくという形に改めたいと思います。
今回のことはおわびを申し上げますが、他意はないです。それは御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/128
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129・石川大我
○石川大我君 人間がいる状況でということなんですけれども、やっぱり基本的には、人間がいない状況で測った方がいいと思うんですよ。つまり、人間というのは暖房器具じゃありませんからね。そういう意味では、そこの部屋の中が何度になるかというのをしっかり測るべきだというふうに思います。
資料見させていただくと、これ、長野刑務所の十一月二日午前七時、これもおかしいんですけれども、外気温が、皆さん、八・四度、あと十一月三日が八・〇度、十一月四日が十四・一度、十一月二日、八・四度の状況で暖房を使っていなくて、この室内の温度が二十三度になっているんですよ。ちょっとおかしいと思いませんか。外気温が、十一月三日、八度、だけれどもこの食器口の上が二十三度。これ、こんな家があったら、日本の家や世界のこれエネルギー事情は一変するぐらいの、外気温がだって八度にもかかわらず、冷暖房使っていなくて部屋の中が二十三度になったら、こんなすばらしいことはないわけですよ。
今、先ほどちょっと調べてみましたけれども、今日の東京の外気温というのは二十一度なんだそうです、今調べたところ。で、今日、この法務委員会の部屋、あそこに暖房なのか冷房なのか分かりませんがエアコンがあるわけですけど、あの設定、先ほど見ましたら二十三度の設定でした。外気温が二十一度で二十三度の設定をして、この部屋、皆さんもお感じになっていると思いますけれども、暑くもなく寒くもなく、ちょうどいい温度だなというのはそういう設定だと思うんですよ、今の日本の技術レベルではですよ。それが、どんなに建築のレベルがすばらしかったとしても、保温性が高かったとしても、これは、八・四度の外気温で、何も冷暖房つけなくて二十三度になるということは、ちょっと考えられないんじゃないかなというふうに思います。
全国のもの見ましても、例えば、分かりやすいところだと、もう冷暖房がないというのが大阪の刑務所ですけれども、全く冷暖房がないというところで、外気温が十一度で室内が十二・六度、七・二度で十一・四度と。このぐらいが、人間がいるとやっぱり暖まりますから、そういうことなんだろうなと思っています。
そういった意味では、まず法務大臣から、食器口の上で測るということではなくて、これまた、あわせて、法務省には、全国の刑事施設の収容定員なども見させていただきました。収容定員、収容人員、収容率というのを見ますと大体五〇%前後で、多いところでも六〇とか七〇、七〇のところはないのかな、六〇%、八〇%というところもありますけれども、大体が六七、五五、一七というところもありますし、四〇、三九という、そういったレベルですね。そういう意味では、部屋が空いていると思いますので、棟でも、A棟、B棟、C棟って、こういうふうにあれば、南側と北側で寒いところもあれば暖かいところも、西側も東側もありますから、ある程度の幾つかを、空いている部屋があるわけですから、そこに、常識的なところに、例えば下から少し二十センチは置いたところとか、あと壁に温度計を付けるとか、そういった形で、これしっかりと四季を通じて全国的に温度を測ると。
これ、法務省の皆さんを責めているわけではなくて、やっぱり手が回らなかったという部分があるわけですから、ここを改装のときに、あるいは緊急的にやれるものがあれば、暖房の設備を置いていくということで、予算も含めてしっかり措置をしていただきたいということで、これは協力してやっていきたいと思っているんです。
そういう意味では、何か、食器口の上で少しでも、廊下が暖房が効いているから、その廊下に近づいてそこで温度を測って少しでも寒くないように見せかけるということはしないでいただいて、しっかりと実態を、これから暑くなりますし、日本はもう昔と違って非常に暑くなっているという中で、今回寒くて亡くなった方がいるわけですけれども、暑くて亡くなるという方もいらっしゃると思いますので、日本の気温が変化しているという部分も含めて、これ、誰を責めるということではなくて、しっかりとこの刑務所の設備を人間が生きられる温度にしていくというのは、これ当たり前のことだと思いますので、そこら辺をしっかりやっていただきたい。
まずは、その測り方を、どうやって測るかというところをしっかり見ていただきたいと思うんですが、まず測り方を本委員会に提出をいただきたいと思うんですが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/129
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130・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 大変いい御指摘をいただいていると思います。測り方を含めて改善すべき点、しっかり検討して改善をしたいと思います。
ただ、一点だけ、ちょっと戻りますけど、この刑務所の、長野の場合もそうですが、個室があって、その向かい側に廊下があるんですが、その個室の今度外側には、刑務官が巡回するまた細い通路があるんですね。ですから、建物の中に完全に抱え込まれたような状態で個室がありますので、外と二重、まあ二重構造になっています。ですから、寒さも問題ですけど、今度は暑さもそういう意味では問題になってくると思います。
いずれにしても、客観的な説得力を、しっかり客観性を持ち得るやり方、そういうものを検討して、必要に応じ御報告をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/130
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131・石川大我
○石川大我君 川越の少年刑務所をお邪魔したんですけれども、この前、そうしたら、差し入れのところに、耳当てと手袋と、あとカイロ、使い捨てのですね、それは差し入れすることができませんと書いてあるわけですよ。つまり、それをやっぱり差し入れたいというふうに思う人が多いから書いてあるわけですよね、わざわざ書いてあるわけですから。いきなりそこに、たわしは差し入れができませんとは書かないわけですよ。たわしを差し入れする人は余りいないでしょうからね。
そう考えると、やっぱり耳当て、手袋、カイロ、共通するものは寒さ対策なわけですから、室内において耳当てや手袋やカイロが必要になるような温度になっているというのは、ちょっとやっぱり先進国、民主主義国家としては恥ずかしいんじゃないかなというふうに思っています。
そういう意味では、委員長、本委員会に、まずはどういったところでどういうふうに測るのか、できれば毎日これは測っていただきたいと思いますが、そういった測り方をどういうふうにするのかというところをまずは御報告をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/131
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132・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/132
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133・石川大我
○石川大我君 時間がなくなってまいりましたので、ただ一点だけお伺いしたいのは、LGBTの問題お伺いしたいです、やはり。
四月の二十日、二十一日に東京レインボープライドが開催されました。パレードが行われて三十周年ということで、両日で二十七万人、過去最高が参加をしたということで、二十一日のパレードには昨年一・五倍の一万五千人が参加をしました。恐らく日本最大のこれデモ行進ということだというふうに思いますけれども、各地でパレードが行われています。
やはり、これ同性婚が必要だというふうに思いますが、大臣の受け止めをお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/133
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134・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 東京において、四月の二十一日、東京でレインボープライド開催されました。大勢の方が参加され、私もテレビで番組も拝見しました。たしか、アメリカのエマニュエル大使も顔を出されたというような報道もあったかと思います。こういう大きなイベント、そこにまた参加された方々の思い、そういったものを感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/134
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135・石川大我
○石川大我君 引き続き関心を持っていただきまして、前向きに取り組んでいただきたいというふうに思います。
民法等の一部を改正する法律案、共同親権の質問です。DV加害者の認知のゆがみについてお伺いしたいと思います。
DV加害者の認知のゆがみですけれども、DV、虐待加害者に認知のゆがみがあり、加害の事実や加害性を否認し、むしろ自分は被害者なんだと被害者意識を抱く方もいると聞きます。一方、被害者側が被害者であるというふうに認識できず、暴力を受けDVであると認知していても、自分が悪い、自分に原因がある、相手が正しい、相手の愛情だというようなケースも散見されますが、そのような加害者や被害者の心理と行動について、法務省として具体的に手当て考えていますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/135
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136・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 法制審議会では、DVが問題となる事案においては、その加害者や被害者の認識に客観的事実と大きな隔たりがある、そういうケースがあることを十分認識した上で議論が進められたと承知をしております。
また、本改正案では、例えばDV等のある事案では、裁判所は必ず父母の一方を親権者と定めなければならないと規定するなど、DVのある事案にも適切に対応する内容となっており、裁判所において、当事者双方の主張、立証を踏まえて適切な審理が行われるものと承知をしております。
本改正案を円滑に施行し子の利益を確保するためには、DV等を防止して安全、安心を確保することが重要であり、法務省としては、本改正案の趣旨、内容が正しく理解されるよう適切かつ十分な周知、広報に努めるとともに、円滑な施行に必要な環境整備等について関係府省庁等としっかりと連携を行い、適切に取り組んでまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/136
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137・石川大我
○石川大我君 最高裁に伺います。
家庭裁判所や調停委員などの質の向上の担保及び人員、マンパワーの拡充、これ、どのようにしていく予定でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/137
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138・馬渡直史
○最高裁判所長官代理者(馬渡直史君) お答えいたします。
まず、裁判所では、従来から、裁判所を始めとする関係職員の専門性の向上につきまして、例えば専門家に御講演をいただいたり、実際の事例を想定した研修を行うなどしてきたところでして、引き続きこのような研修等も実施して専門性の向上に努めてまいりたいと考えております。
また、裁判所に期待される役割、これを適切に果たせるよう、必要な体制の整備にも引き続き努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/138
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139・石川大我
○石川大我君 修正案について米山議員にお伺いをしたいというふうに思います。
五年以内の本文の中身を検討することに関し、本法案の施行後、どのような不利益、困難が想定され得るのか。想定され得る具体的な事案をお示しいただきつつ、それに対してどのような手当てを導入することによって解決ができるのか。そして、修正案提案者として、修正案を閣法に、法案の本文に入れることが仮にできるとすれば、こういうところを入れたら望ましかったんじゃないかという、その思いもお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/139
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140・米山隆一
○衆議院議員(米山隆一君) 本改正案は国民に与える影響が非常に大きく、離婚後の父母や子に対する様々な支援策が適切に運用されることが必要不可欠です。
そこで、お尋ねの附則第十九条第二項では、政府に対し、施行後五年をめどとして、その施行状況を勘案して、父母の離婚後の子の養育に関する制度や支援施策の在り方等について検討を加え、必要があるときは、検討結果に基づき所要の措置を講ずることを求めております。
具体的な検討事項は、まさに新法の施行状況等を勘案して政府において適切に判断していただくことになりますが、例えば、附則第十九条第一項に基づいて、施行日までに講じられる協議離婚時の親権者の定めが父母の双方の真意に出たものであることを確認するための措置に関して施行前に措置を講じた上で、さらに、その後の施行状況等を勘案して更なる措置が必要と考えられる場合には、そのような更なる措置について検討することも想定されると考えております。また、父母の離婚に当たって子の利益を確保するためには、監護者又は監護の分掌、養育費、親子交流といった子の監護に関する事項を取り決めておくことが極めて重要と考えられるところ、施行前に措置を講じた上で、さらに、そのような取決めを更に促進するための措置についての検討が必要になることも想定されると考えております。
なお、本改正案は、今まで日本にはなかった離婚後の共同親権制度を導入するものですので、その利益衡量とともに、不利益、困難が生じることも考えられます。衆議院法務委員会での審議では、今申し上げました検討事項のほかにも様々な懸念や具体例が示され、それに対する対策も議論された結果として本修正が行われたという経緯がございます。
したがいまして、最後といいますか、最初といいますか、この具体案、またその修正案を閣法に入れることができれば望ましかったかということの関するお答えに関しましては、参議院における新たな議論に委ねさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/140
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141・石川大我
○石川大我君 時間になりました。まだまだ論点たくさんあると思いますので、これから質疑をしていきたい、続けていきたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/141
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142・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) 午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。
午後零時三十八分休憩
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午後一時三十分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/142
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143・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、民法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/143
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144・伊藤孝江
○伊藤孝江君 公明党の伊藤孝江です。今日はよろしくお願いいたします。
いよいよ共同親権の導入について検討をするということになりました。共同親権という言葉から受けるイメージ、それぞれがあったり、親の権利なのかどうなのかとかいうようなことも様々議論もありますけれども、中身としたら、一番大事なことは、離婚後も両親が子供に関わり続けていくことがいいのかどうかというようなところの話なのかなというふうには思っています。
この離婚後も両親が子供の養育に関わることについての子供の利益というのはどこにあるのかということをまず法務省にお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/144
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145・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
一般論といたしましては、その子の人格が尊重され、その子の年齢及び発達の程度に配慮されて養育され、心身の健全な発達が図られることが子の利益であると考えております。そして、父母の離婚後においても父母双方が適切な形で子の養育に関わりその責任を果たすことが、今述べたような子の利益にとって重要であり、望ましいと認識をしております。
本改正案は、こうした理念に基づき、離婚後の父母双方を親権者とすることができるものとし、父母双方が適切な形で子の養育の責任を果たすことができるようにすることで子の利益を実現しようとするものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/145
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146・伊藤孝江
○伊藤孝江君 ありがとうございます。
確かに、理想としてというのか、あるべき姿として、そのような形で離婚後も両親が子供の養育に関わることができればいいだろうということは割と共通をする理解なのかなと思っていますけれども、なかなか現実にはそれができないところもたくさんあるというところで様々な課題が出てくるんだと思っています。
今回、その共同親権が導入をされることで子供がいる夫婦の離婚の在り方にどんなふうな変化をもたらすのかというところについて、法務省のお考えをお聞きしたいと思っております。
例えば、午前中もありましたけれども、DVや児童虐待がある家庭では単独親権を望まれるでしょうし、むしろそうすべきだということも共通する認識だと思います。単独親権の現状でも円満に両親が子供に関わることができている家庭もたくさんありますし、こういう家庭は、共同親権が導入されるかどうかにかかわらず、親子の在り方としての実質というのは変わらずにやっていくことができるんだろうというふうに思います。
一体、どのような夫婦にどのような影響があるということを想定ないし期待をされているのか、お教えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/146
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147・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
現行民法の離婚後単独親権制度の下では、親権者でない親は、子の養育に関する事項について最終的な決定をすることができず、第三者との関係でも親権者として行動することができません。このような親権者でない親による子の養育への関与は事実上のものにとどまり、法的に不安定なものとならざるを得ず、そのような状態での共同養育は、法的には子の利益の観点から必ずしも望ましいものではないと考えております。
そのため、本改正案は、現行民法の下で円満に共同養育をすることができている家庭にとっても、法的に安定したより望ましい状態で、子の利益の観点から、父母双方が適切な形で子の養育の責任を果たすことができるようになる点で意義のあるものであると考えております。
その上で、父母の離婚後の子の養育の在り方は個別の事情により様々でありますため、本改正案によりまして、お尋ねの離婚の在り方などの社会に生ずる変化を具体的にお答えすることは困難ではありますが、本改正案の理念等が国民に正しく理解され、父母が適切な形で子の養育に関わり、その責任が十分に果たされることによって子の利益が確保されることを期待しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/147
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148・伊藤孝江
○伊藤孝江君 両親共に、離婚をしたかどうかにかかわらず子供の養育に関わっていくということを、まず大切なことだということを国として示す形にこの法律なっているかと思うんですけれども、それはすごく大きなメッセージなのかなということも思っています。
代理人として離婚の紛争に関わったり、また調停委員としても多くの調停にも関わらせていただきましたけれども、もちろん様々な理由があって、明確な理由があって離婚に至ってしまう家庭もあれば、なかなか双方ともそんな理由が、もちろん御本人の中ではきっとあるんだろうとは思うんですけれども、明確な理由がなくて、ただかたくなに、とにかく子供を囲い込んで同化をしてしまって、他方親に会わせないし、養育費も要らないし、関わってほしくない、もう縁を切るということにひたすらこだわる方もやっぱりたくさんいるというのも見てきました。
そう考えたときにというか、これまで私たちもすごく、私たちもというか、弁護士としても苦労をするところは何らかの理由がもちろんきっちりとあって、どうしていったらいいのかというのが分かる夫婦というのは、まだ対応の仕方とかであったり、いろんな懸念事項をどうしていくかというのはあるんですけれども、理由がよく分からないまま、とにかくかたくなで、もう話合いにもならない、これで裁判をやったところで、恐らくどんな判決が出てもそれを従う気はないということをもう明言をされるというような場合も含めて、自分の気持ちは子供の気持ちというふうに子供を固定化してしまってなかなか受け入れてもらうことができないというような方にどんなふうにしていくのがいいんだろうかというのが悩ましいところでもあったわけですけれども。
まず、子供の気持ちがどうなのかということであったり、子供と向き合ってみようということであったり、子供にとってのお父さんだったりお母さんだったりというところの観点を明確にまず示すことができれば、少しでもそのかたくななところに、何というんですかね、きっかけを一つもたらすことができるのではないかなということも思っています。今うまくやっている人たちが更により良くできればというところもありますし、これまでの状況であればなかなか働きかけが難しかったところでも、少し変わっていただくことができるきっかけを提示することができればというふうにも個人的には思うんですけれども、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/148
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149・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
共同親権になったときに、別居親の方が子供に対して負う責任についてどう違ってくるかという観点からお答えを申し上げたいと思います。
本改正案では、父母の責務として、父母は子の人格を尊重して子の養育をしなければならないことや、父母は子が自己と同程度の生活を維持することができるよう扶養しなければならないことなどを明確化することとしております。これらの責務は、別居親が親権者であるかどうかにかかわらず負うべきものでありまして、例えば養育費の支払義務もそのような父母の責務に含まれるものであると考えているところでございます。
他方で、親権には、子の身の回りの世話をすることや、子の教育や居所等に関する事項の決定をすることなどを含む身上監護権ですとか、子の財産を管理することや子を代理して契約を締結することなどを含む財産管理権がございまして、親権者は子の利益のために身上監護や財産管理を行うべき法的責任を負っております。父母の一方が親権者である場合には、親権者でない別居親はこれらの法的責任を負うことはないのですが、父母の双方が親権者である場合には、親権者である別居親はこれらの法的責任も負うことになります。本改正案によってこの辺りが変わってくるのかなというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/149
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150・伊藤孝江
○伊藤孝江君 ありがとうございます。お聞きしたこととちょっと答弁と違うところになっているかなと思うんですけれども。
子供の利益というところで、午前中もありましたけれども、例えば両親がもめている姿を見ることというのは子供にとってもちろん避けたいところでしょうし、かといって、じゃ、離婚をして片方の親を遠ざけるのがいいのかというと、子供にとってはそうではないかもしれないというところもあると思います。そう思ったときに、子供の利益ということを両親の関係だけで一律にやっぱり決めるというのは難しいところもあるのかなというところを今回の法律での考え方を含めて明確に示していくというところが大事かなと思ってちょっとお聞きをさせていただいたところです。これは意見です。
先ほど答えていただいたところは、別居親が離婚後共同親権となった場合に、別居親が子供に負う責任というのが単独親権の場合と別居親の場合にどう違うのかというところについて御説明いただいたのかなと思うんですけれども、ちょっと端的に、ここが同じ、ここが違うというところをもう少しまとめて言っていただくことは可能でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/150
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151・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
まず、違う点でございますが、親権を持つというところはもちろん違うわけでございます。親権には、先ほど申し上げましたような身上監護権とそれから財産管理権がございますので、親権者となりますと、子の利益のために身上監護や財産管理を行うという法的責任を負っていることになります。
他方、変わらないことでございますが、先ほど申し上げましたように、父母の責務として、父母は子の人格を尊重してその子を養育しなければならないことや、父母は子が自己と同程度の生活を維持することができるよう扶養しなければならない、これを明確化することとしております。これは親権者であるかどうかにかかわらず負うべきものでありまして、現行法と改正法では特に変わるところではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/151
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152・伊藤孝江
○伊藤孝江君 ありがとうございます。
少し質問のテーマ変えさせていただきます。
就学支援金に関する質問、これまで法務委員会でもなされておりますし、また先日の本会議でもなされました。
そのときに、文部科学大臣の金曜日の答弁ですけれども、この中で、共同親権で、もうすごく、済みません、はしょった言い方になりますけれども、共同親権であるので当然二人の親権者の収入を合算しますと、でも、例えばDVとか児童虐待があるような場合にはその人の収入は外しますということなのか、そういうような趣旨でお答えされていたかと思うんですけれども、そもそもDVとか児童虐待という場合には単独親権で共同親権ではないという前提があったはずだと思うんですけれども、すごく誤解を与える表現をされているのかなというふうに思っています。
あの答弁でやっぱり不安に思う方もたくさんいらっしゃったと思うんですけれども、まず、このDVや児童虐待というのが離婚前段階から、結婚しているときからこれがあったと、あるというような事例の中で共同親権になりますということを前提とした話というのは違うんじゃないかと思いますけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/152
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153・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
本改正案では、裁判所が必ず父母の一方を親権者と定めなければならない場合の例として、虐待等のおそれがあると認められるときとDV被害を受けるおそれ等の事情を考慮して、父母が共同して親権を行うことが困難であると認められるときを挙げております。
したがいまして、裁判所は、子への虐待のおそれやDV被害を受けるおそれがある場合には父母双方を親権者と定めることはないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/153
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154・伊藤孝江
○伊藤孝江君 ありがとうございます。
これも午前中出ていた話ですけれども、日本で協議離婚が多い中で、DV等の背景があったり、なかった場合であってもなかなかうまく話ができなかったり、また知識がなかったりというような中で、そして離婚を早くしたいというような中で、共同親権というのを不適切な状況の中で選択をせざるを得なかったとか選択をしてしまったというような場合、どのように対応するのかということについて教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/154
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155・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
協議離婚の際に、委員御指摘のようなDVなどを背景とする不適切な過程による合意によって親権者の定めがされた場合には、子にとって不利益となるおそれがあるため、それを是正する必要がございます。そこで、本改正案では、家庭裁判所の手続による親権者の変更を可能とするとともに、その際に、家庭裁判所が父母の協議の経過その他の事情を考慮すべきことを明確化することとしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/155
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156・伊藤孝江
○伊藤孝江君 ありがとうございます。
この親権者の変更ですけれども、今、現状では、離婚後に、親権者が一旦決まって、離婚時に、その後の事情を踏まえて変更すべきかどうかというふうに判断をするということになっているかと思いますけれども、今御答弁いただいたように、共同親権になるところまでの協議の経過という、離婚前の事情も含めて勘案をするというふうに明言をいただいたというのは一つ大切な点だと思っています。
ただ、現状で、親権者の変更というのはなかなかやっぱり認められないという実務的な感覚はあります。特に、今後、共同親権で、例えばお母さんと一緒に住んでいる子供の変更を考えたときに、お母さんの方で、いや、これ共同親権無理なので私一人にしてくださいという変更をした場合、子供にとっては生活実態はまず変わらないんですよね、余り。今までと同じような生活をしていくだけなので、親権者変更に伴って、例えば住む場所が変わるであるとか、違う親権者、違う親の方に行くとか住む場所を変えないといけないであるとか、いろんなことがあれば、親権者の変更というところもしっかりと判断してこっちが必要だって分かりやすいんだと思うんですけれども、子供の状況が変わらないのであれば共同親権でも特に差し障りはないんじゃないのかというふうに判断をされがちになるんじゃないかなというのも一つ懸念をしているところです。
そのような場合も含めて、この不適切な過程で共同親権になった場合の親権者の変更が実態に即して適切に判断をされるというところはどのように担保をされるのかということについてお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/156
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157・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
本改正案におきましては、家庭裁判所は、父母の協議により定められた親権者を変更するについては、子の利益のために必要であるか否かを判断することになります。その判断に当たりましては、父母の協議の経過その他の事情を考慮すべきことを明確化することとしております。
本改正案では、この協議の経過を考慮するに当たりましては、父母の一方から他の一方への暴力等の有無や調停又はADRの利用の有無などの事情をも勘案するものとすることで家庭裁判所がその協議の実態に即した判断をすることを確保しております。
加えまして、本改正案では、親権者変更の場合におきましても、DV等の事情により父母が共同して親権を行うことが困難である場合には必ず単独親権としなければならないとすることで、DV等を背景として不適正な過程で親権者の定めがされた事案にも適切に対応することができるようにしているものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/157
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158・伊藤孝江
○伊藤孝江君 実際に今想定をしている大丈夫だというための手続がしっかりと本当に機能するのかどうかというのは、これから施行までの準備もあるでしょうし、また実際の運用というところもしっかりと見ていかなければならないと思っていますので、その点よろしくお願いいたします。
次に、養育費についてお伺いをいたします。
まず、養育費を決める流れというのは、通常、まず協議をして、協議が無理であれば調停、裁判というような形で裁判所を使うような手続に行くと。この手続自体は、今回、共同親権、離婚後導入をされたとしても変わらないということでまず確認させていただきたいんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/158
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159・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
現行民法は、子の監護に要する費用の分担につきまして、離婚する父母の協議で定めることとし、その協議が調わないときは家庭裁判所がこれを定めることとしております。このような仕組みは本改正案でも変更されておらず、お尋ねの離婚後の父母双方が親権者となる場合でも異なりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/159
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160・伊藤孝江
○伊藤孝江君 養育費、子供にとっては大きな意味のある生活費ですから、できる限り離婚後速やかに決めていただいて、しっかりと支払っていただくというのが大事になります。
じゃ、幾らがいいんだろうかというところで、当然、当事者同士で話合いをするというところでは大きな悩みになるというところで、今日配付をさせていただいておりますけれども、例えば、弁護士が入って話をするようなときであったり家庭裁判所を使うようなときには、こういう簡易な算定表というものを用います。これは、左の縦線が義務者の収入、要は支払う側の収入ですね。で、下の右に大きくなっていくのは権利者の年収ということで、子供と一緒に住んでいる側の年収です。
この一枚目に配らせていただいているのが、子供が一人でゼロ歳から十四歳の場面、念のためというのか、もう一枚、例えば子供が三人いて、三人とも十四歳までというようなパターンを付けさせていただいています。これが、子供二人の場合であったり、また子供の年齢によって変わっていったり、年収の基準も二列あって、自営業の場合と給与収入の場合というような形で作られています。
これで、例えば、お母さんと一緒に住んでいる、お母さんが親権者でお母さんと一緒に住んでいる子供が十四歳までの子供の場合に、お父さんが五百万収入があって、お母さんがパートで百万円の収入がありますというような場合は、子供が一人の場合、四万円から六万円の範囲が一応のここで言う相場となり、子供が三人の場合には八万円から十万円というふうに、単純に掛ける三ではないんですが、そのような形で計算をまずして、その上で、実際どこの、この範囲の中のどこにするのかとか、あるいはこの範囲でいいのかというようなところを検討していくことになります。
この算定表を使うことのメリットとデメリットについて、最高裁、まず御説明いただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/160
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161・馬渡直史
○最高裁判所長官代理者(馬渡直史君) お答えいたします。
養育費、婚姻費用の標準算定方式とこれによる算定表は、平成十五年に六名の裁判官の研究結果として公表され、令和元年十二月に改定されたものでございまして、現在、家庭裁判所の実務において広く利用されているものと承知しております。
算定表を用いるメリットとしては、養育費や婚姻費用の算定をより簡易化し、迅速な算定が可能となる点でございまして、それゆえに実務に定着してきているものと認識しております。
他方、デメリットといたしましては、算定表はあくまでも目安でありまして、算定表で考慮されている範囲を超える個別具体的な事情がある場合には、算定表がそのまま妥当せず、標準算定方式の考え方を前提としつつも、かかる事情を踏まえた養育費等の額の算定が別途必要となることもある点が挙げられると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/161
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162・伊藤孝江
○伊藤孝江君 ありがとうございます。
この算定表は、実際の簡単に見るときの表というだけで、元々の算出式というのか算出方法というのはもちろんあるんですけれども、今言っていただいたように、この幅がいいのかどうかというのはやっぱり実際の事案でももめることが多いです。
例えば、お金が掛かるという理由としては、私立の学校に行っていますとか、病院代が掛かりますとか、塾代等を含めて学費が掛かりますとか。払う側がよく挙げられるようなことでいうと、実家に住んでいるから家賃要らないんじゃないですかとか、親が一緒なので収入もっとあるんじゃないですかとか、そういうようなことがあったり、またあるいは、離婚原因に伴って、例えば不貞行為をしたお母さんが子供の親権者になってという場合、相手方のお父さんからすると、離婚になるわ、子供の親権は向こうに行くわで、慰謝料もなかなかもらうことができない中で養育費だけずっと私だけ払わないといけないんですかというような、まあ感情というのか、そういうことも含めて問題になることがたくさんあります。
実際に、この算定表、やっぱり一般の方はこれを見ると、ここが上限だとか下限だというふうに思ってしまいがちになるかなと思うんですけれども、実際にはこの幅を超えて、調停や裁判でも、額を決めることもあると思います。あるとすれば、例えばどういう理由で、実際にはどんな事情を考えて養育費を決めるということがあるのか、最高裁にお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/162
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163・馬渡直史
○最高裁判所長官代理者(馬渡直史君) 委員御指摘のとおり、算定表はあくまでも養育費、婚姻費用を算定する際の一つの目安でございまして、調停手続や裁判手続において、算定表では必ずしも考慮されていない個別具体的な事情を考慮することはあると承知しております。その結果として、調停手続において、双方が合意すれば、算定表の相場、いわゆる幅を超える金額を養育費とすることもありますし、また審判や離婚訴訟におきましても、個別事情を勘案し、算定表の相場、幅を修正してこれを超える金額を養育費として定めることがあると承知しております。
具体的には、例えば、委員御指摘のとおり、例えば教育関係費というものが標準算定方式において考慮された金額を超えているような場合、具体的には、私立学校の授業料、あと、塾や習い事の費用とか大学費用などが考慮されることがございます。
もっとも、費用が生じている場合に直ちに加算されるというわけではなく、双方の生活状況その他の個々の事情に応じて判断されることになるものと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/163
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164・伊藤孝江
○伊藤孝江君 この算定表は、現状の離婚後は単独親権というものを前提としているものですけれども、今後、離婚後の共同親権が認められた場合、この算定表の表が、要は相場が、養育費、変わるんでしょうか。これは法務省にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/164
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165・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
養育費の履行確保は、子供の健やかな成長のため重要な課題であると認識をしております。そこで、本改正案では、親権や婚姻関係の有無にかかわらず、父母は子が自己と同程度の生活を維持することができるよう扶養しなければならないこと等を明確化することとしております。
子に対する扶養の程度は親権の有無のみによって違いが生ずるものではないため、理論的には、離婚後の父母双方を親権者としたことのみをもってその養育費の額が増加し又は減少するというものではありませんが、いずれにしても、養育費を含む子の監護の在り方についても、改正法の趣旨や内容を踏まえて、父母間で適切な協議がされることが期待されるところです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/165
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166・伊藤孝江
○伊藤孝江君 ここも混乱を招きかねないところなのかなと思ってはいます。
いろんな方に、一般の方とかも含めてお話を聞いたときに、いや、共同親権者になるんだから養育費は当然上乗せになるんじゃないのと、共同親権を選んだら高くなるんじゃないのと言う人もいれば、共同親権者として直接子供と接することが例えば多くなったり、いろんなところで関わることもあって、そっちで負担するんだから養育費はこの算定よりも低くなってもいいんじゃないのと言う人もいたりであるとか、もうここは本当に理屈だけの話ではなくて、子供にとってのどういう生活を守っていくのか、自己と同一の生活をどのように考えるのかというところなので、まずは協議をしっかりとしていただきながら子供の生活を守っていただきたいと思うところですけれども、法務省の原則論としての、筋としての考え方は、共同親権なのか単独親権なのかというところで養育費の額は変わるものではないというところは承知をしました。
その上で、ただ、共同親権の場合、例えば先ほど大学の進学だったりとかというような例も挙げておられましたけれども、そういう進学の際に別居している親の方にも相談をして、了承して進学をするというような場面も当然考えられます。その場合、費用も考えての話に当然なるでしょうから、別居している親も経済的負担を必要な限りちゃんと負うというところも自然であると思いますし、でき得る限り子供の生活を経済面でも支えていくという観点も大事だと思っています。
そういう意味では、別居している親にも養育費の額そのものへの配慮をするのか、あるいは、養育費はそのままでも、例えば入学金であるとか、いろんな別途大きく掛かるような費用のときにはきちんとプラス分を渡すというようなことも含めて考えていっていただきたいというところを思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/166
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167・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 本改正案においては、父母双方を親権者と定めることができる。これは、離婚後も父母双方が適切な形で子の養育に関わり、その責任を果たすことにより子の利益を確保しようとするものでございます。これが理念でございます。
こうした理念を踏まえると、別居の親権者が、子の進学先の決定に関与するだけではなく、その進学先の決定に伴って必要となる様々な費用、これを適切に負担することは子の利益にとって望ましいと考えられ、その費用負担の在り方については、いわゆる算定表の記載にかかわらず、個別具体的な事情を踏まえて、子の利益にとって最善の判断がなされるべきであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/167
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168・伊藤孝江
○伊藤孝江君 ありがとうございます。
ただ、現実には、離婚時に共同親権を選択して、いっときは別居している親が養育費を支払っていても、その後何らかの事情により養育費を払わなくなってしまうということであったり、また、そもそも最初から払わない、払えないということも想定できるところかと思います。
こういうような場合に、本改正案においては、共同親権から単独親権にということで親権者を変更する理由になるというふうに考えていいんでしょうか。大臣、よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/168
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169・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 端的に申し上げて、子の利益のために必要がある場合には、親権者変更の申立てが認められます。また、その場合、親権者変更の裁判において考慮すべき事情や単独親権を維持しなければならない場合については、親権者指定の場合と同様であります。
そして、あくまで一般論でございますけれども、親権者変更の判断においては、父母の一方が養育費の支払のような子の養育に関する責任をこれまで十分に果たしてきたかどうか、これも重要な考慮要素の一つになると考えられます。
お尋ねのケースでありますけれども、養育費の支払がなされなくなった事情によっては、親権者を変更して父母一方のみを親権者とすることが相当であるとの判断がなされる場合もあると考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/169
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170・伊藤孝江
○伊藤孝江君 ありがとうございます。
もちろん、一回払わなくなったから、じゃ、変更だというようなものではないと思いますし、それが子供の利益にかなうわけでもないと思います。やっぱり、あくまでも話合いの中であったり、また、子供がある程度の年齢に行っているということであれば子供自身の気持ちももちろん大事なところもあるでしょうし、法的なことの解決だけで全てが終わるというわけではないということもしっかりと、何というんですかね、踏まえて協議を重ねていっていただければなというのが当事者の方に対しては思うところでもあります。
では、次にテーマを変えまして、共同親権の場合の就学支援金の利用についてお伺いをいたします。
今日は、文科省から安江政務官、来ていただいております。ありがとうございます。
先週から、仁比先生、取り上げていただいて、その後の金曜日もそうですけれども、先ほど共同親権のところだけちょっと、導入だけ触れさせていただきましたけれども、かなり、この共同親権、離婚後なった場合に、就学支援金の利用についての不安が生じるような答弁が、正直これまで文科省からは続いていたのではないかなというふうに思っております。そこの部分を今日明確にお答えをいただきたいと思っております。
まず、現状の取扱いについて確認をさせていただきます。
就学支援金の支給の有無や支給額の判断については、保護者の所得によるものとされています。この保護者の典型が親権者であるわけですけれども、現状においては、父母の婚姻中は親権者である両親二名の収入の合算、また離婚後は親権者一名の収入により判断するということでいいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/170
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171・安江伸夫
○大臣政務官(安江伸夫君) お答えします。
親権は、親の権利のみでなく義務としての性質も有し、子の利益のために行使しなければならないと理解されていると認識をしております。
実態上、未成年である生徒等の就学に係る経費を負担するのは保護者であり、その責任を負うのは基本的には親権者であると考えられることから、高校の授業料の負担軽減を目的とした高等学校等就学支援金については、親権者の収入に基づいて受給資格の認定を行っております。このため、父母の婚姻中は親権者が二名となることから、親権者二名分の収入に基づき判定を行い、父母の離婚により親権者が一名となれば、その一名分の収入に基づき判定を行うこととなります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/171
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172・伊藤孝江
○伊藤孝江君 婚姻中であっても、様々な理由で生活費を支払ってもらえないというようなことも含めて、一方の収入を全く現実的には頼りにできないというような事情があるという場面も多いかと思います。
こういうような場合に、親権者の所得、現状の、今の婚姻中の話ですね、親権者の所得についてどのように考えるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/172
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173・安江伸夫
○大臣政務官(安江伸夫君) 高等学校等就学支援金は、親権者等の収入に基づいて受給資格の認定を行っておりますが、親権者に就学に要する経費の負担を求めることが困難である場合には、受給資格の認定に当たってその親権者の収入は含めないこととしております。現行の仕組みにおきましても、父母が離婚協議中であり別居中である場合で、例えば親権者の一方に課税証明書等の提供を求めたが応じてもらえない場合などについては、受給資格の認定に当たってその親権者の収入は含めないものとして、事務処理要領においてお示しもしているところです。
具体的な判定につきましては、認定を行う都道府県等において個別のケースに応じて柔軟に判断することとなりますので、引き続き、都道府県等と連携をしながら適切な認定事務に努めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/173
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174・伊藤孝江
○伊藤孝江君 今も例で挙げられた、例えば所得の証明を求めたけれども応じてくれないというような場面であったり、家族の関係であったり、また家庭の事情ですね、これを証明するというのはなかなか、もう離婚しましたとか調停やっていますという証拠を出しますみたいなのならまだできるとは思うんですけれども、その家族の関係というところで証明は難しいんじゃないかなという場合も多いかと思いますけれども、このような場面についての配慮というのは現実になされているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/174
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175・安江伸夫
○大臣政務官(安江伸夫君) 今お尋ねいただいたようなケースにおきましては、親権者が就学に要する経費の負担を求めることが困難である場合に当たることについて申請をしていただくこととしております。そのような場合にも、記載事項が事実である旨を宣誓いただくことは必要とはなりますが、必ずしも証明書類等の、証明書類の提出まで求めるものではなく、生徒、保護者等による申請内容を原則信頼をして判定をする仕組みとなっております。
また、親権者が就学に要する経費の負担を求めることが困難である場合についての判断が都道府県等において容易ではないときには、必要に応じて文部科学省に御相談をいただくこととしておりまして、引き続き、都道府県等と連携をしながら適切な認定事務に努めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/175
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176・伊藤孝江
○伊藤孝江君 ありがとうございます。
先ほど、実際に判断するのは都道府県というお話もありました。今、文科省から実際の運用面についての答弁をいただいたかと思うんですけれども、その運用面の精神であったり運用の仕方であったりというところが全ての都道府県にしっかりと伝わって共有をできているのかどうかというところについては、文科省としていかがお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/176
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177・安江伸夫
○大臣政務官(安江伸夫君) 今の御指摘につきましては、高等学校等就学支援金事務処理要領におきまして、親権者が就学に要する経費の負担を求めることが困難である場合について、個別のケースに応じて柔軟に判断をしていただきたい旨を記載しており、各都道府県等に対してこの要領に沿った事務の実施をお願いをしているところであります。
様々なケースが想定される中でありますが、都道府県等において判断が容易でないときは必要に応じ文部科学省に御相談をいただくこととしておりまして、文部科学省といたしましても、引き続き、都道府県等としっかりと連携を図って、適切な認定事務に努めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/177
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178・伊藤孝江
○伊藤孝江君 ありがとうございます。
先ほど答弁の中でも、子供の利益に応じる形でというか、申請主義でそれを信用していくということを根本にするという答弁もいただきました。その部分も都道府県も共有いただいているということでいいんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/178
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179・安江伸夫
○大臣政務官(安江伸夫君) しっかり申請していただくという今の旨をしっかりと周知をさせていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/179
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180・伊藤孝江
○伊藤孝江君 ありがとうございます。
では次に、今後、離婚後共同親権が認められ共同親権となった場合の現状の想定についてお伺いをいたします。
まず、所得の確認、先ほどは、親権者で、婚姻時は二人、離婚後は一人ということがありましたけれども、離婚後共同親権となった場合の所得についてはどのように考えるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/180
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181・安江伸夫
○大臣政務官(安江伸夫君) 高等学校等就学支援金は、親権者等の収入に基づいて受給資格の認定を行う仕組みであることから、今般の民法改正後に共同親権となった場合におきましては、親権者が二名となるため、基本的には親権者二名分の収入に基づいての判断を行うこととなると考えておりますが、他方で、現行制度と同様、一方の親権者が就学に要する経費の負担を求めることが困難である場合におきましては、その親権者を除く親権者一名の収入に基づいて判定を行うこととなると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/181
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182・伊藤孝江
○伊藤孝江君 今もう明確にお答えいただきましたけれども、現状でも、ごめんなさい、現状でも、親権者が二名の場合も就学に要する経費の負担を求めることが困難である場合には一人で判断をすると。これは、離婚後共同親権も変わらない、共同親権の場合も変わらないということで、再度確認させていただいてよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/182
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183・安江伸夫
○大臣政務官(安江伸夫君) 基本的には、今御答弁申し上げましたとおり、現行制度と同様に、就学に要する経費の負担を求めることが困難である場合には、親権者一名の収入に基づいて判断を行うというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/183
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184・伊藤孝江
○伊藤孝江君 ありがとうございます。
今はそもそも求めることも難しいような場合を想定しているのかなというところはありますけれども、共同親権の場合、必ずしももちろんそうではなくて、話ができるような関係にあるというときもたくさんあるかと思います。その場合にどう考えていくのかというところもあるかとは思うんですけれども。
まず、その離婚後の養育費について、先ほど法務省からも答弁いただきましたけれども、共同親権となった場合と単独親権となった場合とで、通常、法的には養育費の額は変わらないというふうにされるということです。その場合、共同親権だからといって養育費が多くなるのでなければ、養育費の額が共同親権の場合と単独親権の場合と同じと考えると、児童生徒の側からすると、同居している親と自分との生活パターン、生活面ですね、特に経済的な生活面について、共同親権だからといってプラスになることというのが必ずしもあるわけではないという現実があると思います。
であるにもかかわらず、収入だけ別居親の分も単純に合算されるというのは、そもそも仕組みとして子供の生活実態を適切に把握できないんじゃないかという懸念も生じるところでもあります。もちろん、共同親権者として別居している親にも子供の学費に配慮をした養育費の負担に努力をいただきたいというところはありますけれども、それがなされない場合もあります。
このような事情というのは、就学支援金の支給の検討に当たり考慮をされるべきではないかと考えますけれども、文科省としていかにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/184
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185・安江伸夫
○大臣政務官(安江伸夫君) お答えします。
共同親権の導入に当たって、どのような事情が就学に要する経費の負担を求めることが困難であると認められる場合に該当するかについてのお尋ねでございますが、今般の改正案におきましては、親権は子の利益のために行使しなければならない旨が明確にされたことも踏まえた上、高等学校等就学支援金の取扱いにおいて、共同親権か否かにかかわらず、支援を必要としている高校生等に支援を届けられるようにするという観点で、配慮すべき事項等について法務省とも連携をして検討していきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/185
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186・伊藤孝江
○伊藤孝江君 ありがとうございます。
あとは、そのような理念的なところというのは、なかなか制度を伝えるときに難しい面もあると思うんですね。特に、今回、申請主義、家族の事情ということもありますから、現状もそうですけれども、申請してもらって初めて、あるいは言ってもらって初めて分かるというような事情が多いというところもあります。そういう点では、しっかりとこの申請をまずしていただいたり、その事情が必要なところがあればちゃんと伝えていただくということも、きちんとこちらからまず広報をしなければならない面もあると思います。
この共同親権の場合の取扱いについては、生徒に不利益な取扱いがなされないように、また手続上過度な負担が課されないように、改正法が成立した場合には、施行に向けて具体的な検討を行って広く周知していただきたいと考えますが、文科省、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/186
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187・安江伸夫
○大臣政務官(安江伸夫君) お答えをいたします。
文部科学省といたしましては、家庭の経済状況等にかかわらず、全ての意思ある高校生等が安心をして教育を受けることができるようにすることが重要と考えております。このため、今般の民法改正に際しましても、高等学校等就学支援金の受給資格の認定に当たって、就学に要する経費の負担を求めることが困難であり、収入を合算して判定しないことができる場合について、離婚後に共同親権となった場合に考慮すべき事由等を分かりやすくお示しをするとともに、できる限り簡単な、簡便な手続が可能となるように、法務省とも連携をしつつ検討を進めてまいりたいと存じます。
また、これらを含めまして、父母の離婚後の子の利益を確保するという今般の民法等の改正案の趣旨を踏まえまして、共同親権か否かにかかわらず、支援を必要としている高校生等に支援をしっかりと届けられるように取り組んでまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/187
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188・伊藤孝江
○伊藤孝江君 ありがとうございます。しっかりとよろしくお願いいたします。
私たち公明党では、今年の二月二十九日に、法務大臣に今回の民法改正法に関連して申入れをさせていただきました。その中で、今般の民法等改正案が成立した暁には、その円滑な施行に必要な環境整備が確実かつ速やかに行われるよう、関係府省庁が横断的に連携協力して、条規の各施策を実現するための関係府省庁連絡会議を立ち上げることを要望をさせていただいております。
この就学支援金もそうですし、またその他、各省庁でこれまで、一人親、単独親権を想定をしていた制度がたくさんあるということも指摘をされているところですけれども、どの制度であっても離婚後の父母双方を親権者とすることによって子が不利益を受けることがないよう、施行に向けて法務省において検討体制を整えるべきではないかと考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/188
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189・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 本改正案の提出に先立って、御党から御指摘の提言をいただきました。また、衆議院の法務委員会においても同趣旨の附帯決議が付されました。本改正案が成立しました際には、いただいた御提言の内容、またこの附帯決議の趣旨を十分に踏まえ、円滑な施策に必要な環境整備を確実かつ速やかに行うべく、関係府省庁等との連携協力体制の構築に向けて取り組んでまいりたいと思います。
その際、本日、今御議論がありました就学支援金制度等についても、子に不利益が生ずることがないよう、法務省と文科省、また関係省庁としっかり連携をして対応してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/189
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190・伊藤孝江
○伊藤孝江君 よろしくお願いいたします。
この就学支援金の問題についても、先週の答弁いただいているときと今日とで答弁が違っているように、両方聞くとですね、聞こえるところもあるのかも分からないですけれども、私もレクを聞かせていただいてというのか、いろいろ教えていただいて、文科省としてのスタンスは全く変わってはないということはよく分かりました。
ただ、答弁をするに当たり、どこを取り上げるのかと。例えば先週は、先ほども触れましたけれども、共同親権なので二人合算します、DVのときとかは外しますみたいな、さも配慮をしているかのようなことを言いながら、ちょっと違うんじゃないかということであったり、その後の考慮のところも、現状でもやっている考慮もあるにもかかわらず、そういうこととかではなくて都道府県が適切に判断しますと終わられると、それ、ちゃんとやっているのかとやっぱり不安になると。ただでさえ、今この共同親権が導入をされるということの中で不安に思っていらっしゃる方もたくさんいらっしゃるということを考えると、きちんと知っていただく、そして安心していただく。で、変えなければならないところがあるのであればきちんと対応していくという、そういう姿勢を見せることが大変必要な中で、やっぱり先週の答弁は、そういう意味では残念なところもありましたし、法務省と文科省でしっかりと今後のことについて連携が取れているのかなというのも正直不安に思わざるを得ないような状況でもありました。
ですので、今日あえてこういう形で聞かせていただきましたけれども、しっかりと今大臣が今後に向けての決意も言っていただきましたので、関係省庁、様々なところ、課題あるかと思いますけれども、しっかりと協議をして、リードをしていっていただければというふうに思います。
では、テーマ一つ、少しだけ聞かせていただきます。
法定養育費の関係ですけれども、端的にこれも、共同親権の場合と単独親権の場合、離婚後ですね、共同親権の場合と単独親権の場合とで法定養育費の額も変わらないということでよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/190
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191・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
法定養育費の額につきましては法務省令で定めるということになっておりますが、離婚後の父母双方を親権者と定めたか、その一方のみを親権者と定めたかといった個別的な事情によって増減するものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/191
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192・伊藤孝江
○伊藤孝江君 法定養育費は、あくまでもまず決まっていますという額ですから、養育費の額に対しての協議というのは当然並行してやっている場合も多いと思います。
例えば、離婚後、法定養育費が三万円ですというふうに決めて、なったと。その後、一年後、養育費はこの夫婦で五万円ですというふうに決まったときに二万円分の差があるわけですけれども、これは遡って過去の一年分、二万円、毎月分ですね、二十四万というのも今後の分と合わせて請求できるという考えでよろしいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/192
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193・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
父母の協議や審判等によって定められる養育費でございますが、一般的な実務の扱いとして義務者が請求を受けたときから具体的な分担義務が生じるものとされておりまして、本改正案はこの点まで変更するものではございません。
したがいまして、お尋ねのような場合には、少なくとも、調停又は審判を申し立てた日あるいは具体的な請求を行ったと認められる日以降については、法定養育費と審判において認められる養育費との差額の支払も命じられ得るものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/193
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194・伊藤孝江
○伊藤孝江君 ありがとうございます。
今の実務もそうなっているかと思うんですけれども、ただ、養育費の発生時が請求したときからというふうに、そこを、じゃ、皆さん理解しているかというとなかなか難しいと思うんですね。離婚したときからではないと。そういう意味では、特に法定養育費が払われていると養育費の請求も遅くなりがちになる可能性もあると思います。
ですので、しっかりそこの養育費の始期、始まりは請求したときからであるということも周知をしていただきたいと考えますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/194
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195・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
本改正案におきまして新設する法定養育費制度は、父母が養育費の取決めをせずに離婚した場合に養育費の取決めを補充する趣旨のものでございます。そのため、法定養育費制度が導入された後も、できるだけ速やかに父母の生活水準や子の進学等、子の進学等に必要な費用に即した養育費の取決め等がされることが望ましいと考えております。
法務省といたしましても、本改正案が成立した際には、委員御指摘の点も含め、その趣旨、内容が正しく理解されるよう、適切かつ十分な周知、広報に努めるとともに、支援等を担当する関係府省庁等としっかり連絡を、連携をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/195
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196・伊藤孝江
○伊藤孝江君 以上で終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/196
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197・石川博崇
○石川博崇君 公明党の石川博崇でございます。
会派に残された時間の範囲内で質問をさせていただきます。
昨年公表されました直近の人口動態統計、これは令和四年のものでございますけれども、これによりますと、この令和四年一年間で親が離婚した未成年の子供の数は約十六万人に上っております。このように毎年十数万人の子供たちが父母の離婚に直面しているという現状におきまして、父母の離婚後における子供の養育に関して各種の支援策、これを拡充していくことは極めて重要な課題と考えております。今回の法改正が、こうした全ての子供たちの利益実現に資する内容でなければならないというふうに考えております。
そこで、まず冒頭、最も基本的な点を大臣に確認させていただきたいと思います。それは、子の利益とは何かという点でございます。今回の法改正全体を貫く私は中心的な概念ではないかというふうにも考えております。小泉大臣も本法律案の提案理由におきまして、子の利益を確保する観点から改正しようとするものと説明されておりますし、また改正条文案の内容にも、あらゆる場面に子の利益という文言がちりばめられております。
例えば、民法第八百十八条の第一項では、親権は成年に達しない子についてその子の利益のために行使しなければならないとされておりますし、また第八百十九条第七項では、父母の双方を親権者と定めるかその一方を親権者と定めるかを判断するに当たっては、子の利益のため、父母と子との関係、父と母との関係その他一切の事情を考慮しなければならないとされ、また同項の後段におきましても、父母の双方を親権者と定めることにより子の利益を害すると認められるときは父母の一方を親権者と定めなければならないとされておりまして、このように各所に子の利益ということが記述されております。
この子の利益というものは一体どのような概念なのか、また、なぜこの今回の法改正にこのように多数盛り込まれることとしたのか、法務大臣に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/197
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198・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 何が子にとっての利益であるか、これを一概にお答えすることは困難でありますが、一般論として申し上げれば、その子の人格が尊重されること、その子の年齢及び発達の程度に配慮されて養育されること、そして心身の健全な発達が図られること、これが子供の利益であると考えております。
また、父母の別居後や離婚後については、養育費の支払や適切な形での親子交流の実施も含め、父母双方が適切な形で子の養育に関わり、その責任を果たすことは子の利益にとって重要であると認識をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/198
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199・石川博崇
○石川博崇君 ありがとうございます。子の利益とは何かにつきまして大臣から明確な御答弁をいただいたところでございます。
この子の利益が確保されるためには、親がしっかりと責任を果たしていくということが必要でございます。今回の改正案では、親の責務について明文の規定が設けられることになっております。これは、親権といいますと、文字どおり読めば親の権利というふうに読めるわけですけれども、その内容には、先ほども質疑の中でありましたが、親の権利という性質だけではなくて、親の責務という性質もあると。
先ほど確認をいたしました子の利益を確保していくためにも、こうした親の責任がしっかりと果たされていくことが大事であるという強いメッセージを込めての条文改正ではないかというふうに考えておりますけれども、そのような理解でよろしいか、法務省に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/199
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200・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
父母が適切な形で子の養育に関わり、その責任を果たすことは子の利益の観点から重要でありまして、このことを民法上も明確にする必要がございます。
そこで、本改正案では、親権や婚姻関係の有無にかかわらず、父母は子の人格を尊重してその子を養育しなければならないこと、父母は子が自己と同程度の生活を維持することができるよう扶養しなければならないこと、父母は子の利益のため互いに人格を尊重し協力しなければならないこと等を明確化することとしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/200
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201・石川博崇
○石川博崇君 ありがとうございます。
今確認させていただきました子供の利益、そして親の責務、これらを確保し、またしっかりと果たしていくためには、今後できる限り共同養育計画、これを作成していくことが望ましいと考えております。
子供の親権や監護に関する事項、養育費の支払、親子交流の実施に関する事項など、離婚後の父母がどのように子供の養育に関わっていくのかについて計画を定めていくこと、特に今回の改正案では共同親権の選択肢ができるわけでございますが、その選択をした場合には、より一層、共同養育計画、これを作成していくことが欠かせないものになると考えております。
しかし、今、現状につきましては、例えば養育費については、全国の一人親世帯を対象にした調査によれば、父母間で取決めがしっかり行われている割合は、母子世帯で四六・七%、父子世帯では二八・三%となっております。また、親子交流につきましても、父母間でしっかりと取決めが行われている割合というのは、母子世帯で三〇・三%、父子世帯で三一・四%と、養育費の支払や親子交流の取決めの割合は低いと残念ながら言わざるを得ない状況でございます。
こうした養育費の支払あるいは親子交流が着実に行われるためには、まず前提として、父母間でこれらの取決めがなされることが重要でございまして、そして、共同養育計画を作成していくことがこうした養育費の支払、また親子交流の実施について取り決めていくことにもつながっていくというふうに考えております。
今後どのように共同養育計画の作成を促進していこうと考えているのか、法務大臣の決意を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/201
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202・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 離婚時に父母が養育費や親子交流を含めた子の養育に関する事項を取り決めることは子の利益にとって望ましく、このような養育計画の作成の促進は重要な課題であると認識しております。
法務省では、今年度、養育費や親子交流も含めた子の養育について離婚時に取り決めておくべき事項を定めた養育計画の作成に関する調査研究を実施する予定であり、法学者や心理学者等の協力を得て我が国に最適な養育計画の在り方を検討し、自治体や民間団体と連携して効果検証することを想定しております。
引き続き、関係府省庁、地方自治体と連携して、こうした養育計画の作成を促進するための方策について検討を進めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/202
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203・石川博崇
○石川博崇君 ありがとうございます。
今回の改正の議論の中では、この共同養育計画、この作成を促す観点から、協議離婚の要件として共同養育計画の作成を義務付けるべきではないかという意見もあったと承知しておりますけれども、なかなかハードルも高いということで、実際には義務付けまではされなかったところでございます。
一方で、改正案の中を見ますと、子の監護に関する事項の定めを規定しております民法第七百六十六条の第一項について、子の監護の分掌を追加することといたしました。これはどのような趣旨から行われるものなんでしょうか。また、共同養育計画の作成を促すことにつながると期待しているのか、法務省に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/203
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204・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
委員お尋ねの監護の分掌とは子の監護を父母が分担することでありまして、例えば、子の監護を担当する期間を分担することや、監護に関する事項の一部、例えば教育に関する事項などを父母の一方に委ねることがこれに該当すると考えられます。
本改正案では、養育計画の作成を必須とはしておりませんが、離婚時に父母の協議により養育計画の作成ができることを明らかにするため、離婚時に父母の協議により定める事項として監護の分掌を追加することとしたものでございます。
この改正は共同養育計画の作成促進に向けて一定の効果があると考えておりまして、本改正案が成立した際には、その内容や趣旨が正しく理解されるよう、適切かつ十分な周知、広報に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/204
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205・石川博崇
○石川博崇君 是非よろしくお願いいたしたいと思います。
続いて、離婚届用紙についてお伺いをしたいと思います。
前回、平成二十三年の民法改正の際には、面会交流や監護費用の分担、養育費を明示する等といった見直しが行われましたが、そのときに併せて離婚届用紙の様式の見直しも行われまして、新たに面会交流あるいは養育費の取決め、これがあるかないか、これをチェックする欄が設けられたところでございます。
今回の改正案では、先ほど御指摘させていただいたとおり、子の監護の分掌が追加されることになりました。今回の法改正に併せて、是非、前回の民法改正と同様に離婚届の様式を見直して、子の監護の分掌に関する取決めがされたのか、されていないのか、これをチェックできる欄を設けるべきではないかというふうに考えておりますけれども、法務省の考えを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/205
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206・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
本改正案につきましては、衆議院法務委員会における審議の結果として、附則に、政府は、この法律による改正後のそれぞれの法律の円滑な施行のため、子の監護について必要な事項を定めることの重要性について父母が理解と関心を深めることができるよう、必要な広報その他の啓発活動を行うものとする旨の条項が追加をされたところでございます。
法務省といたしましても、協議上の離婚をする父母が離婚後の子の養育に関する適切な知識を持った上で協議をし、子の養育に関する事項を適切に取り決めることを確保することが子の利益の観点から重要であると考えておりまして、この附則の規定の趣旨や委員からの御指摘も踏まえまして、離婚届出書の標準様式や父母に対する情報提供の在り方も含め、適切に検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/206
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207・石川博崇
○石川博崇君 ありがとうございます。是非検討していただきたいと思います。このようなチェック欄を設けることで、子の監護の分掌についても、離婚の際に、親子交流、養育費に加えてしっかり父母間で協議することが促されて、そのことが共同養育計画の作成にもつながっていくというふうに考えております。
ところで、子の共同養育計画の作成に当たっては、やはり子供の意思を確認し、共同養育計画にできる限り反映していくことも大事であるというふうに考えております。
子供の意思を確認するためにはどのような方法があるのか、法務省に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/207
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208・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
本改正案では、父母が子の人格を尊重すべきことを明確化することとしております。ここに言う子の人格の尊重には、子の意思が適切な形で考慮され、尊重されるべきであるという趣旨も含むものであります。そのため、共同養育計画の作成に当たりましても、父母は子の意思を適切な形で考慮することを含め、子の人格を尊重しなければならないこととなると考えております。
その上で、子の意思の確認の具体的な方法につきましては、子の年齢や発達の状況などの諸事情を踏まえて判断されるべきものでありまして、一概にお答えすることは困難ではありますが、法務省では、共同養育計画の作成に関する調査研究を実施する予定としておりまして、その際には、委員お尋ねの子の意思の確認方法を含め、法学者や心理学者等の協力を得て検討したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/208
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209・石川博崇
○石川博崇君 ありがとうございます。
先ほど同僚の伊藤孝江議員からもありましたが、今回の法改正に向けて我が党から提言を提出させていただいておりますが、その中でも子の共同養育計画に関しまして、養育費や親子交流等を定める共同養育計画についてはできる限り離婚前に作成、策定することが望ましいことから、民間団体や海外の取組を参考にしつつ、我が国の最適な養育計画の在り方を子の利益の観点から調査研究することということを求めさせていただいております。先ほど大臣からも、また民事局長からも調査研究を行うことということを触れていただきましたけれども、是非この共同養育計画の作成を促進するために、国内外の様々な事例というものを調査研究、進めていただきたいというふうに思っております。
具体的にどのように進めていくのか法務省に伺いたいというふうに思いますのと、あわせて、共同養育計画の作成に当たっては、各支援されている民間団体への支援も極めて重要でございます。今日、こども家庭庁にお越しいただいておりますけれども、こうした民間団体に対する支援についても積極的に行うべく必要な予算を講じていただきたいというふうに思いますが、この状況についてこども家庭庁に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/209
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210・竹内努
○政府参考人(竹内努君) まず法務省からお答えさせていただきます。
離婚時に父母が養育費や親子交流を含めた子の養育に関する事項を取り決めることは子の利益にとって望ましく、このような養育計画の作成の促進は重要な課題であると認識をしております。
法務省では、今年度、令和六年度ですが、養育費や親子交流も含めた子の養育について離婚時に取り決めておくべき事項を定めた養育計画の作成に関する調査研究を実施する予定としておりまして、法学者や心理学者等の協力を得て我が国に最適な養育計画の在り方を検討し、自治体や民間団体と連携して効果検証することを想定しております。
こうした調査研究の実施に関しましては、御党から民間団体や海外の取組を参考にすべきであるとの御提言もいただいており、法務省といたしましても、諸外国における法制度及び運用や、我が国において共同養育を支援している民間の団体における先進的な取組の内容を調査することも含め、その調査研究の準備を進めております。
引き続き、関係府省庁や地方自治体等と連携して、養育計画の作成を促進するための方策について検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/210
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211・野村知司
○政府参考人(野村知司君) お答え申し上げます。
御紹介ありましたように、御党からも共同養育計画の策定についてということで、調査研究あるいは環境整備、こういったことの御提言をいただいたところでございます。
今し方法務省の方からも御答弁ありましたけれども、こども家庭庁といたしましても、離婚時に父母が養育費あるいは親子交流を含めた養育に関する事項を取り決めることは子の利益にとっても望ましいことであって、そうした養育計画の作成進めていくこと、これは重要な課題であると認識をしております。そのため、こども家庭庁では離婚前後親支援事業というものを今やっておりますが、この中では、離婚の際に養育費の支払でございますとか親子交流の取決めの重要性を説明する親支援講座の開催を行うような自治体、これを支援をしているところでございます。
法務省さんの方では、先ほど答弁で御紹介ありましたけれども、養育計画作成に関する調査研究を実施される御予定というふうに承知をしておりますが、こども家庭庁の今御紹介申し上げた親支援事業、これの展開に当たりましても、この調査研究結果なども参考にしながら進めてまいりたいと考えております。
また、この親支援事業の実施に当たりましては、適切に実施できる民間団体に事業を委託することができるというような扱いに現状でもしております。
引き続き、法務省さんともしっかり連携しながら、民間団体も活用しながら、各地域での取組が進むように進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/211
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212・石川博崇
○石川博崇君 両省連携して、しっかり進めていただきたいというふうに思います。
続きまして、テーマを少し変えまして、離婚の際の財産分与、それから年金分割についてお伺いをしたいというふうに思います。
かねてから我が党として、離婚後の財産分与請求権の請求期間を二年から五年に延長するように求めてまいりました。当委員会の佐々木さやか委員長も、当委員会における質疑を始め、複数回にわたってこの件を取り上げてまいりましたし、我が党を挙げて求めてきたことでございますが、今回の改正案で離婚後の財産分与に係る請求期間を、求めてまいりましたとおり、現行の二年から五年に延長されたということについては高く評価をさせていただきたいというふうに思っております。
家族法制部会の中では、中間試案の段階で請求期間を三年とする意見もございました。また五年とする意見もあったわけでございますが、結果的に五年となった理由について法務省に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/212
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213・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
現行民法七百六十八条二項ただし書は、財産分与について、家庭裁判所に対して協議に代わる処分の請求をすることができる期間を二年間としております。
このような記述に対しては、離婚前後の様々な事情によって二年以内に財産分与を請求することができず、結果として経済的に困窮する父母が存在し、このことが子の養育にも悪影響を及ぼしているとの指摘がございました。
御党からも、夫婦間にDVの問題等がある場合には、速やかに財産分与の協議や調停審判の申立てをすることが困難であることから、財産分与請求権の請求可能期間を二年から五年に伸長する見直しを求める提言をいただいたところでございます。
そこで、本改正案では財産分与の請求をすることができる期間を延長することとし、その期間については、債権一般の消滅時効期間も踏まえ、五年とすることとしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/213
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214・石川博崇
○石川博崇君 この財産分与と同様に、離婚時における父母の財産を分配する性格のものとして、年金分割の制度がございます。これは、離婚した場合に、夫婦の婚姻期間中の保険料納付額に対応する厚生年金を分割してそれぞれ父母の自分の年金とすることができる制度でありますが、この年金分割の請求期間は現在二年とされております。
財産分与請求期間を五年に延ばすのに合わせて是非延長すべきというふうに考えておりますけれども、過去の国会審議において厚生労働省は、法制審議会における調査審議の結果を踏まえて、この離婚時の年金分割に係る請求期限の延長についても検討してまいりますという答弁をされておりますけれども、現在の検討状況どのようになっているか、御説明をいただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/214
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215・武藤憲真
○政府参考人(武藤憲真君) お答え申し上げます。
離婚時の年金分割は、離婚した一方の当事者からの請求により、婚姻期間に係る一方の厚生年金保険料の納付記録をもう一方に分割する制度でございます。この分割請求については、民法における離婚時の財産分与に係る家庭裁判所への処分請求期限、いわゆる除斥期間が二年とされていることを踏まえて、原則、離婚した日の翌日から二年とされております。
財産分与に係る除斥期間については、本日御審議いただいている法案において、現行の二年を五年にする改正案が盛り込まれていると承知しております。
厚生労働省としましては、本法案の国会における御審議の状況や、法制審議会家族法制部会において離婚時の年金分割に係る請求期限も同様に五年に延長すべきという意見が出たことを踏まえて、離婚時の年金分割に係る請求期限についても検討を進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/215
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216・石川博崇
○石川博崇君 検討を進めてまいりたいということでございますので、是非ともスピード感を持って進めていただきたいと思います。特に、今審議されておりますこの改正案、公布後二年以内に施行することとされております。財産分与の請求期間が五年になる、それに合わせて、是非この年金分割の請求期間についても合わせていくことは当然だというふうに思っておりますし、同じ時期に是非実施できることが望ましいと思いますけれども、今後のスケジュール感等、厚労省の見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/216
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217・武藤憲真
○政府参考人(武藤憲真君) 離婚時の年金分割請求期限については、民法における離婚時の財産分与に係る家庭裁判所への処分請求期限、いわゆる除斥期間が二年とされていることを踏まえて、原則、離婚した日の翌日から二年とされております。
年金制度につきましては、本年実施する五年に一度の財政検証を踏まえ、次期年金制度改正に向けて検討を進めることとしております。仮にこの民法の除斥期間が五年に延長された場合には、離婚時の年金分割の請求期限についても同様に、民法の施行時期も考慮しながら、次期年金制度改正に向けた議論の中で検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/217
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218・石川博崇
○石川博崇君 ちょうど五年に一度の年金改正の議論もこれからスタートするということでございますので、是非ともその中で盛り込んでいただければというふうに思います。よろしくお願いをいたします。
最後のテーマといたしまして、今回改正となる裁判の、離婚の訴えを提起するための離婚原因の中で、民法第七百七十条第一項の第四号で配偶者が強度の精神病にかかり回復の見込みがないということが掲げられておりましたけれども、これが削除されることとなりました。かねてより、例えば国連の障害者の権利に関する委員会からも、この規定が障害者に対する差別的な規定であるということから削除すべきという勧告もございました。
この勧告がどういう内容であったのかということを法務省に伺うとともに、今回削除することとなった趣旨について御説明を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/218
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219・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
現行民法第七百七十条第一項各号は、夫婦の一方が離婚の訴えを提起することができる離婚原因を定めております。同項の第四号は、委員御指摘のとおり、配偶者が強度の精神病にかかり回復の見込みがないことを挙げております。
これも委員御指摘のとおりですが、令和四年九月に、国連の障害者権利委員会による日本の第一回政府報告に関する総括所見におきまして、精神障害を離婚事由とする民法第七百七十条第一項第四号を含め、障害者に対して差別的な条項を廃止することとの勧告がされました。そこで、法制審議会家族法制部会におきまして民法第七百七十条第一項第四号の削除について議論を行ったところ、同号を削除することについて特に異論はなかったものと理解をしております。
同号の規定は実務上用いられておらず、また、精神的な障害を有する者に対する差別的な規定であるとの指摘もされていたこと等を踏まえ、本改正案においてこれを削除することとしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/219
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220・石川博崇
○石川博崇君 今回これを削除することとなったわけでございますが、本来であれば、もう少し早くこの条項については削除しておくべきものではなかったかというふうに思います。平成八年における法制審の答申においても、これを削除する内容の要綱案が取りまとめられておりました。しかし、この平成八年の法制審の答申というのは、いわゆる選択的夫婦別氏制度の導入を主な内容とするものであり、それに引きずられてしまったということもあったかと思いますけれども、この規定の削除についても見送られてしまったということは極めて残念なことだというふうに思っております。
なぜこれほど時間が掛かったのかについて、法務省に御説明を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/220
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221・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
平成八年二月に法制審議会から答申されました民法の一部を改正する法律案要綱には、現行民法第七百七十条第一項第四号を削除するという提案も含まれておりました。法務省におきましては、他の項目も含めまして、平成八年及び平成二十二年に要綱を踏まえた法案を準備したところではございますが、各方面から様々な意見が提出されたこと等から国会への提出は見送られた経緯がございます。
そのため、現行民法第七百七十条第一項第四号についてはこれまで改正されてこなかったのでありますが、最高裁判例によりまして同号による離婚請求が認められる範囲は実質的に制限をされまして、実務上も用いられる例は少なかったところでございます。
このことに加えまして、国内外から同号が精神的な障害を有する者に対する差別的な規定であるとの指摘があったことも踏まえ、家族法制の見直しに関する要綱により同号の削除についても法務大臣に答申がされ、本改正案でこれを削除することとしたものでございます。
今申し上げたような改正の経緯に対しては様々な評価があり得るところと考えておりますが、いずれにしましても、障害を理由とする差別は許されないものでありまして、こうした本改正案の趣旨、内容が正しく理解されるよう、適切かつ十分な周知、広報に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/221
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222・石川博崇
○石川博崇君 時間ですので終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/222
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223・清水貴之
○清水貴之君 日本維新の会の清水です。よろしくお願いをいたします。
今日、この参議院でのこの民法改正案、初の質疑ということになりますので、衆議院の議事録なども様々見させていただきまして、今日、網羅的に質問をさせていただけたらというふうに思っています。
まず初めに、これ先ほども話に出ましたが、離婚時の様々な取決めです。養育計画を策定する必要性、重要性、また離婚に至る前のガイダンスですね、子供の利益のことでありますとか、親権、今回、共同親権というものが導入されますから、そういったものについて父母にしっかりと理解をしてもらうためのガイダンス、講座、こういったものが大変重要になってくるかと思いますが、まずは大臣にこの点を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/223
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224・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) お尋ねのとおりでありまして、離婚する父母が子の養育に関する講座を受講することや、また養育に関する事項を取り決めることなどを通じて子供の利益を確保すること、これは非常に重要な課題であるというふうに認識をしております。
法務省としましても、今後も養育講座の受講や養育計画の作成を促進するための方策について検討するなど、関係府省庁や地方自治体等と連携した取組を続けてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/224
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225・清水貴之
○清水貴之君 そして、やはり離婚後問題になってくるのが、面会交流の在り方でありますとか養育費の支払、こういったことになります。現状の離婚届を見ますと、そういったことについての取決めがありますかとチェックをする欄はありますけれども、まあ結局そこまでなんですよね。
となりますと、養育計画、作ることは非常に重要だという御答弁ですが、これをしっかりやっぱりルール付けるといいますか義務付ける、ここまでやったらなおさら有効性が高まるんじゃないかなと思いますけれども、この義務付けに関してはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/225
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226・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
離婚時に父母が子の養育に関する事項を取り決めることは子の利益にとって望ましく、このような養育計画の作成の促進は重要な課題であると認識をしております。他方で、離婚時に養育計画の作成を義務付けることは、結果的に離婚が困難となる事案を生じさせ、かえって子の利益に反するとの懸念もありまして、お尋ねについては慎重に検討すべきであると考えられます。そこで、本改正案では、養育計画の作成を義務付けてはいないものですが、離婚時に父母の協議により養育計画の作成ができることを明らかにするため、離婚時に父母の協議により定める事項として監護の分掌を追加することとしたものでございます。
こうした点を含め、本改正案の趣旨、内容が理解されるよう引き続きその内容を丁寧に説明していくとともに、本改正案が成立した際には、適切かつ十分な周知、広報に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/226
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227・清水貴之
○清水貴之君 そういった様々な事項を策定するに当たって、まあ離婚ということになっているわけですから非常に夫婦間で関係が良くないということが想像できるわけですね。としますと、二人で話し合って決めるのが難しい状況というのも多々あると思います。
第三者、これが、裁判所なのか若しくはNPO、こういった活動をされているNPOもいっぱいありますので、そういったところなのか分かりませんけれども、第三者が関与するというのもその計画の策定には有効ではないかと考えますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/227
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228・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
離婚をする父母が、子の養育に関する事項を取り決めることなどを通じて子の利益を確保することは重要な課題であると考えております。そのため、その取決めの際に第三者の関与を必要とするかは個別具体的な事情によるものとは考えられますが、例えば、第三者が関与することで合意形成が促進されたり合意されたことが正確に記録化されるといった効果が期待できる場合には、子の利益の確保にもつながり得るものと認識をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/228
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229・清水貴之
○清水貴之君 先ほど、義務付けの代わりに、養育計画の義務付けの代わりに監護の定めがあるという話で、この点についてもお聞きをしたいんですけれども、七百六十六条の第一項ですね、父母が協議上の離婚をする場合は、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、面会交流ですね、あとは監護の分担などを協議で決める、定めると書いてありますが、この協議で定めるの意味を教えてほしいんですが、これは義務なんでしょうか、どうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/229
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230・竹内努
○政府参考人(竹内努君) 民法七百六十六条一項は、父母が協議離婚をする場合に、子の監護について必要な事項が父母の協議で定める事項であることを明らかにしたものでございます。
現行法は子の監護について必要な事項について定めることを協議離婚の要件とはしておらず、本改正案もこのことを変更していないため、必ずこれを定めなければ離婚をすることができないというものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/230
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231・清水貴之
○清水貴之君 あとは、もう離婚に当たって、様々な調停事件などにおいては、家裁の、家庭裁判所の調査官の役割というのが非常に大きくなってくるかと思います。これまでの答弁を見ていますと、家裁の調査官、同居親及び別居親双方と面接をしまして子の意思を丁寧に把握するよう努めているというお話ですが、やはり子の意思の把握というのは非常に難しいのではないかなというふうに思います。
どのように子の意思の把握に取り組んでいくんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/231
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232・馬渡直史
○最高裁判所長官代理者(馬渡直史君) 家事事件手続法六十五条に基づいて、家庭裁判所は、未成年の子がその結果により影響を受ける事件におきまして、適切な方法により子の意思を把握するよう努めているもの、努めるものとされているところでございまして、調停委員会等において、その事案に応じた適切な方法により子の意思を把握し、審理運営に当たっているものと承知しております。
子の意思を把握する方法の一つとして、必要に応じて家庭裁判所調査官が、紛争の経過など子を取り巻く状況等を踏まえながら紛争下にある子と面接して子の意向、心情等を把握しておりまして、子の利益に資する紛争解決に努めているものと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/232
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233・清水貴之
○清水貴之君 調査官の方、いろいろ心理学を学ばれている方であったりとか、非常にプロフェッショナルな方であるというのは理解をしているんですが、とはいえ、やはり子供というのは親の顔色をうかがうようなところももちろんあるかと思います。同居の親が別居の親のことを悪く言ったりとかも、お父さんのこと嫌だよね、嫌いだよねとか、会わない方がいいよとか、こういうことを言うことによって、ある意味、子供というのはそういうのに過敏に反応してくる可能性もあるというふうに思うんですよね。
こういったところまでしっかりと踏み込んで子の意思というのをつかむことができるのかどうか。やっぱり、今までも議論あるとおり、やっぱり子供の考え方、子供のその成長にとって何がいいかというのが今回のこの法案の改正の一番重要なところだと思っていますので、本当にその子供の意思というのをつかむ方策というのがどうすれば達成できるのか、これは本当に難しい課題かなと思っていますけれども、改めてその辺り教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/233
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234・馬渡直史
○最高裁判所長官代理者(馬渡直史君) お答えいたします。
委員御指摘のとおり、両親の紛争下に置かれた子が、一方あるいは双方の親に気を遣ってその顔色をうかがうことはよくあることであるというふうに認識をしております。
家庭裁判所調査官は、面接調査を行うに当たっては、子がそうした状況にあり得ることを前提に、子の意思を適切に把握するために、まず父母双方から、紛争の経緯、同居中の父母と子とのそれぞれの関係や父母の紛争に対する子の認識、子の気遣いの程度、別居後の父母と子のそれぞれの関係、別居親と子との交流の程度や内容等、子の意向に影響を及ぼしていると考えられる事情を丁寧に聴取し、必要に応じて学校や保育園等の関係機関からも情報を得た上で子と面接するものと承知しております。
その上で、実際に子と面接をする際には、面接調査とは別の機会に事前に家庭訪問して子の不安や緊張をまず軽減し、その上で安心感を持ってもらえるように努めることもあるほか、同居親の影響が及びにくく、言わば中立的な場所とも言える裁判所で、年齢によっては児童室を利用したりしながら面接を実施し、子が自分自身を責めたり双方の親に罪悪感を抱いたりしないよう、面接の冒頭に家庭裁判所調査官と話すときの決め事等を子の年齢及び発達状態に応じて分かりやすく説明をするなどの工夫を行っているものと承知しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/234
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235・清水貴之
○清水貴之君 今発言もありましたが、やっぱり、子のあとは負担になる、この調査もですね、これは子供の負担にもなりますので、こういったものを解消していく方策というのも大事かなというふうに思っています。
続いて、第八百二十四条の二の、子の利益のための急迫の事情の部分ですね。特定の事項もそうですし、日常の行為のところもそうです。まあガイドラインを今後作っていくという話ではありますけれども。
これまでも、これも質問出た部分ではありますが、医療行為というのが非常に大きな判断を迫られるところだと思いますので、これ、適切な同意手続がなければ医療者側にとっても非常に大きな負担、医療者側が訴えられるリスクというのもあります。日本産科婦人科学会など四学会は、去年の九月、法務大臣に対しまして、緊急的な医療行為については双方の同意を必要としないことなどを求める要望書を提出したというふうに聞いています。
この医療行為における同意をどうやって求めていくのか若しくは同意を必要としないのか、この判断、どのように今後考えていくんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/235
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236・竹内努
○政府参考人(竹内努君) 委員御指摘の父母双方が親権者である場合に親権を単独で行使することができる場合ですが、まず、子の利益のため急迫の事情があるときとは、父母の協議や家庭裁判所の手続を経ていては適時に親権を行使することができず、その結果として子の利益を害するおそれがあるような場合を指しております。また、監護及び教育に関する日常の行為とは、日々の生活の中で生ずる身上監護に関する行為で、子に対して重大な影響を与えないものを指しております。
お尋ねの医療行為につきましては、例えば風邪の診療等、日常的な医療行為などのように日々の生活の中で生ずる身上監護に関する行為で、子に対して重大な影響を与えないものは日常の行為に該当するものとして、父母の一方が親権を行うことができると考えております。
他方で、生命に関わる医療行為、あるいは子の妊娠中絶のように子に対して重大な影響を与え得るものについては日常の行為には該当しないと考えておりますが、緊急の医療行為を受けることが必要な場合には、急迫の事情があるとして父母の一方が親権を行うことができると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/236
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237・清水貴之
○清水貴之君 とはいえ、先ほどありましたけれども、親権が両方にある場合に、片方が、もうこれは急がなきゃ、やらなきゃといって判断したけれども、もう一方の方が、いや、何で勝手なことするんだといって、医療者側が板挟みみたいなことも、これもちろん考えられるわけですね。
ですので、衆議院の附帯決議では、その意義及び具体的な類型等をガイドライン等で示すことというのが入りました。これまでのいろいろこの法案審議でも具体例を挙げられていますので、大分、どういったものが日常の行為なのか、急迫の事態なのかというのは大分見えてはきているんですが、とはいえ、やはり分かりにくい部分があったりとか、若しくは一般の方々に分かっていただけなければいけないわけですから、しっかりとガイドラインなどを作成していくというのは附帯決議にも入っているので進めていくべきかと思いますけれども、これは法の施行までにこういったこと取り組んでいくという認識で、大臣、よろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/237
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238・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 本法案、これを円滑に施行するためには、当事者のみならず、医療機関を含めた関係機関、民間団体における本改正案の内容に関する理解が重要であります。
法務省としては、施行までの間に本改正案の趣旨、内容が正しく理解されるよう、その趣旨、内容に関する分かりやすい、まずガイドラインですね、そして解説、QアンドA、SNSを通じた広報、様々な媒体を通じた積極的な広報、こういったものを通じて、国民の理解、関係者の理解を広げ、深めていけるように努力したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/238
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239・清水貴之
○清水貴之君 そして、大臣、もう一点、これも確認なんですが、親権や監護に関する取決めの再協議なんですが、これは離婚後しばらくしてからの話ですけれども、改めて親権や監護に関する取決めを再度協議したり、裁判所の調停などを求めたりすることは可能かという質問です。
離婚時とはまた時間がたてばこの感覚が変わってきたりとか思いが変わってくる可能性もありますので、そういったことがまずは可能かどうかという質問をさせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/239
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240・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 子の監護に関する事項については、父母の離婚時にその取決めをした場合であっても、その後、父母が再度協議してその取決めの内容を変更することができます。また、父母の再度の協議が調わない場合には、家庭裁判所に対して子の監護に関する取決めの変更の申立てを行うことができます。また、離婚後の親権者の定めについても、父母の協議のみによって変更することはできませんが、家庭裁判所に対し親権者の変更の申立てをすることができます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/240
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241・清水貴之
○清水貴之君 その親権の変更に関してなんですが、八百十九条の第六項に、子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子又はその親族の請求によって親権者を変更することができるとあります。ここに、子又はその親族、ですから、子が親権者の変更を求めることができるということなんです。
これ、実際に子供がそういった手続を行うことが可能なのかどうなのか、どのような状況をこれは想定し、そして子供自身がするとしたら様々サポートが必要だと思いますけれども、こういったことに関してはどういうやり方を考えて、上でのこの法改正なのかというところをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/241
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242・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
本改正案の民法第八百十九条第六項では、親権者変更の申立て権者の範囲を拡張いたしまして、子自身が家庭裁判所に対し離婚後の親権者の変更を求める申立てをすることができることとしております。これは、親権者の変更により子に直接影響が生ずることから、子に申立て権を認め、子の意見を適切に考慮することを制度的に確保するものでございます。
親権者の変更が必要となる場面は個別の事案によりまして様々であると考えられますため一概にお答えすることは困難ではございますが、子自身がその申立てをする状況としましては、例えば子自身が親権者変更の必要があると考えるにもかかわらず、父母その他の親族がその申立てをしない場合が想定をされます。子自身による親権者変更の申立ては、その親権者の同意等を得ることなく、子自らが家庭裁判所に対する申立てをすることができることになります。
こうした場面も含め、子への支援の在り方につきましては、関係府省庁等とも連携して適切に検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/242
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243・清水貴之
○清水貴之君 子の支援と、その場合の支援、子供への支援というのは、必ずこれは必要になってくるかなというふうに思います。
そして、親権回復なんですが、どのような場合にその親権が回復されるのか、明確なガイドラインが、これもガイドラインなんですが、欲しいというような、こういった意見も聞いています。
例えばですけれども、最初の段階で共同親権を求めたものも、様々な事情があって単独親権しか認められなかったと。で、親権がもらえなかった側の親からの立場を考えた場合に、一生懸命、面会交流の取決めを一生懸命こなしていったりとか養育費などもしっかり頑張って払い続けて、何とかやっぱり親権を欲しいなと、共同親権を求めたいなと思って、ずっとずっと頑張って頑張ってやってきたけれども、なかなかその訴えが認められないというケースもこれ考えられるかと思います。
そうすると、どういったことをしたら、どういった場合に、親権が駄目だったから、じゃ、どうしたら、どういったところを頑張って努力したらその親権が回復されるのか、もう様々な個別の事情によるかなとももちろん思いますけれども、やっぱりある程度見えてこないと、その親権回復を求める側からしたら、また駄目だった、ああ、また駄目だ、どうしたらいいんだということの繰り返しになってしまう可能性もあります。
こういったことについてはどう取り組むおつもりでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/243
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244・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
本改正案は、子の利益のため必要があるときは家庭裁判所の手続により離婚後の親権者を変更することを可能としておりまして、この規定は施行前に父母が離婚していた場合にも適用されます。
本改正案では、親権者変更の申立ては子の利益のため必要がある場合に認められることとしておりまして、その際に家庭裁判所が考慮すべき事情を明確化しております。
本改正案が成立した際には、その内容が正しく理解されるよう、関係府省庁等とも連携して適切かつ十分な周知に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/244
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245・清水貴之
○清水貴之君 今の説明だと、ある程度もう決まっているということですか、親権回復がなされる場合というのはもう類型化されているということなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/245
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246・竹内努
○政府参考人(竹内努君) 改正法案の八百十九条六項で親権者の変更について定めておりまして、その要件は、子の利益のため必要があると認めるときとなっております。その七項で具体的に裁判所が六項の裁判において考慮すべき事項を定めておりますので、子の利益のため必要があると認めるとき等の中身というのは、この七項に定まっております親権者の指定の要件と重なります。
したがいまして、本改正案では、この親権者変更の申立ての要件を、親権者変更の審判の際に家庭裁判所が考慮すべき事情をこのように明確化しているというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/246
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247・清水貴之
○清水貴之君 ですから、これは、それは求めるときの要件ということですかね。そうしたら、それが認められるかどうかとなったら、またこれは別の話なわけですよね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/247
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248・竹内努
○政府参考人(竹内努君) そこは委員御指摘のとおりでございまして、裁判所が八百十九条、改正法案の八百十九条七項の事情を考慮しつつ判断するということでございまして、その際に、その七項の事情が認められる積極的な事実と、それを否定するような事実と総合考慮して最終的には判断するということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/248
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249・清水貴之
○清水貴之君 続いて、親子交流についてもお伺いします。面会交流ですね。
令和三年度の厚労省の調査では、実施されているのは、母子家庭で三〇・二%、父子家庭だと四八%ということです。母子家庭の三割、母子家庭で三割ですから、決して高い数字ではないかと思います。ということで、今回は、離婚前に別居中の親子が交流するための規律でありますとか、家裁の審判中でも早期の段階で家裁が交流を試行的に促せる制度を新設するということで、新しい制度を盛り込んで、なるべくこの面会交流、親子交流が行われるようにという、そういった法改正もなされるということは理解をしていますが。
まず大臣にお伺いしたいんですけれども、この親子交流があるかないか、実施されているかされていないか、また、どれぐらいの回数であるとか、宿泊のときとかもあると思いますけれども、その頻度であるとか中身であるとか、こういったものが子供に与える影響、子の利益を考えたときに非常に大事かと思いますが、大臣、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/249
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250・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 親の別居、離婚を経験した子供を対象とした心理学分野の複数の研究結果においては、DV等がある事案を除いて、親子交流が継続して行われているグループの方が、親子交流が行われたことがない又は親子交流が中断しているグループと比べ、自己肯定感が高く、親子関係も良好であるということが指摘をされております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/250
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251・清水貴之
○清水貴之君 ということは、親子交流もしっかりと取決めをされ、そして実行され、もちろん状況によりますが、それがふさわしくない状況もあると思いますけれども、それがふさわしいと考えられる状況には交流、面会交流しっかり行われた方がいいと、子供にとってはプラスの影響があるということだというふうに思います。
実際に、じゃ、どれぐらい認められているかという話なんですが、家事手続を利用した面会交流が認められる割合は五一・三%ということなんですが、認められて、どうぞ面会交流進めてくださいとなって本当に実行されているかどうか、ここもしっかりと追跡調査をするなり調べていく、もしそれが実施されないならば、なぜなのかというところを深掘りしていく必要があるかと思いますが、これについてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/251
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252・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
法務省といたしましては、親子交流に関してこれまでも、協議離婚に関する実態調査や、未成年期に父母の別居や離婚を経験した子に関する調査など、様々な実態調査を行ってきたところでございます。
本改正案が成立した際には、その施行状況も注視しつつ、引き続き、関係府省庁等とも連携して適切に対応してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/252
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253・清水貴之
○清水貴之君 これ日弁連のアンケートなんですが、裁判所の調停で合意した面会交流ができているかどうかというアンケートで、全くできていないという答え、これ四四%だったということなんですね。ですから、半分近いその面会交流が実施されていないということなんですが、じゃ、その親子交流の不履行を解消するためにどうやって取り組んでいくかということなんですが、現状、司法の場を通した手続で会えることが決まったとしましても、相手が約束を守らなければ、これなかなか実際実行するというのは難しいわけですね。
これ、親子交流に対する審判に強制力とか罰則もないわけです。ですから、物理的に無理やり会わせるというわけにもいきませんから、子供の気持ちもありますから、この面会交流不履行をどうやって実行に持っていくかと、これも非常に難しい問題だなというふうに思っているんですけど、これについては法務省としてどう考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/253
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254・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
父母の別居後や離婚後も適切な形で親子の交流の継続が図られることは、子の利益の観点から重要であると考えております。本改正案では、親権や婚姻関係の有無にかかわらず、父母は子の人格を尊重してその子を養育しなければならないこと、父母は子の利益のため互いに人格を尊重し協力しなければならないことを明確化することとしております。
父母の協議や家庭裁判所の審判等によって親子交流についての定めがされたものの父母の一方がこれを履行しない場合、個別具体的な事情によりましては、父母相互の人格尊重義務や協力義務に違反すると評価される場合があると考えております。また、あくまで一般論としては、父母の一方が父母相互の人格尊重義務や協力義務等に違反した場合、個別具体的な事情によるものの、親権者の指定、変更の審判等において、その違反の内容が考慮され得ると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/254
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255・清水貴之
○清水貴之君 多分、養育費の話とかでも同じだと思うんですが、今おっしゃられたような親権者の変更のときとかに考慮される事案になる、マイナスの評価を受けますよということだと思うんですが、これもなかなか、そこに至るまでに物すごい時間と労力が必要なわけですよね。ですから、結果的にはそうなのかもしれませんけれども、その前にもっと何か打てる手がないかなというのをまた改めて考えて、質問でも入れさせていただきたいと思いますけれども。
子の連れ去りの事案というのも、これ発生をしています。相手方と話合いをせずに、いきなり子を連れて別居するというのはフェアだなとは思いませんけど、しかし日本では、結婚後も実家の援助だから親のところに帰りますみたいなケースもこれあるわけですね。夫婦はこれ紛争になってもめているわけですから、子供を連れて実家に戻ってしまうとか、それこそDVのケースなんかはもう緊急避難的に避難すると、その相手方から逃げるというようなことも、これ考えられるわけですね。
でも一方、先ほどもありましたけど、DVの加害者側というのは、自分がそういったことをしているという認識がないというケースも多いわけですから、加害者側というか、その連れ去られた側からしますと、わっ、子供連れ去られたと、もう拉致されたというふうになって、これもこの争いが非常に大きくなってしまう原因の一つではないかなと、子の利益を考えた場合には決して良くないなというふうに考えます。
こういったことのまずは子供に対する影響であったりとか、親権や監護の取決めに与える影響というのはどのように考えますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/255
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256・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 本改正案では、子に関する権利の行使に関して、父母が互いに人格を尊重し協力しなければならないと定められております。したがって、父母の一方が何らの理由なく他方に無断でこの居所を変更するなどの行為は、個別の事情によりますけれども、この規定の趣旨に反すると評価される場合があり得るというふうに思います。
そして、あくまで一般論でありますけれども、父母の一方がこうした人格尊重義務あるいは協力義務に違反した場合は、個別の事情によりますものの、親権者の指定、変更の審判あるいは子の監護に関する事項の審判において、その違反の内容が考慮される可能性はあると思われます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/256
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257・清水貴之
○清水貴之君 子の連れ去り、ここまでにして、次、六の養育費の方に移りたいと思いますけれども。
まず、この養育費の受領率ですね、実際に払われているというのは、母子家庭で二八・一%、父子家庭で八・七%ということで、非常に低いですよね。国は、これ、昨年、受領率を二〇三一年に全体で四〇%、取決めが事前にある場合は七〇%に引き上げる目標を立てたということですが、この目標の数字の根拠と、そしてそれに向けての取組を教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/257
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258・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 御指摘の養育費受領率の達成目標は、内閣府が中心となって、こども家庭庁、法務省とともに設定したものであり、具体的な数値については、これまでの受領率の推移を基に推計したものと承知しております。
法務省としては、本改正案で養育費の履行確保に向けた改正を行っているところであり、施行後の養育費の履行状況を注視するとともに、引き続き、養育費の取決めを促進するための取組を行ってまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/258
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259・清水貴之
○清水貴之君 ただ、取決めがあっても本当に払われないケースが非常に多いということです。
じゃ、そういった場合どうするかということで、今回法改正では、法定養育費の創設であるとか一般先取特権を付与するとか、こういったことが入ったわけですが、こういった、ただ、法的な手続というのが非常に負担が大きいだろうなと思います。
養育費が支払われない場合には、家裁に対して家事調停の申立てをするとか、あと、家事調停、家事審判によって財産の差押え、強制執行なども段階を踏んでいけば可能になりますけれども、それに対しては非常に大きな負担、法的な手続が必要、仕事や子育てに追われる一人親世帯にとっては非常に負担が重いわけです。こういったことに対しては、どのようなサポートといいますか、どういったことを考えていくんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/259
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260・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
法務省では、これまでも、養育費の取決めを促進するため、養育費に関する合意書のひな形を記載したパンフレットの配布ですとか養育費の取決めの重要性を説明した動画の配信など、様々な取組を行ってきたところでございます。また、養育費の不払解消に向けて、複数の自治体と協力して実証的な調査研究を実施したところでもありまして、効果のあった施策については横展開できるように、こども家庭庁等と協力、連携をしております。
また、一人親の方が養育費を請求するために民事法律扶助を利用した場合に、償還等免除の要件を緩和するなどの運用改善を図ることとしまして、令和六年四月一日から開始をしております。
養育費の履行確保のためには、法制度の見直しのみならず養育費についての相談対応や情報提供等も重要でありまして、引き続き、これらの支援等を担当する関係府省庁等としっかり連携してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/260
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261・清水貴之
○清水貴之君 令和五年ですから、昨年、ADR法の改正がありまして、養育費に関する紛争についても、このADRを使って相手方の財産を差し押さえるなどの強制執行が可能になったということです。
また、オンライン上で行われるADR、ODRですね、これを使えば当事者が顔を合わせることなく強制執行可能な和解まで持っていくことができるということなんですが、実際にこういった制度は使われているものなんでしょうか。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/261
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262・坂本三郎
○政府参考人(坂本三郎君) お答えいたします。
法務省におきましては、各認証ADR事業者が取り扱った紛争について、身分関係紛争その他家事関係との類型での件数は把握しておりますけれども、その具体的内容ですとか、ADRかODRかの区別までは把握していないところでございます。
認証ADR事業者の中には、取り扱う紛争の範囲を婚姻関係の維持又は解消に関する紛争ですとか子の養育に関する紛争として明示している事業者もございますので、委員御指摘のような紛争は一定数取り扱われるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/262
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263・清水貴之
○清水貴之君 養育費の金額については、質問、これまで出ましたので飛ばさせていただいて。
例えば、事前の取決めなども共同計画などですね。こういったものに力を入れているということですから、そこで、今後、合意した内容を、決して口約束にとどめることにせず、しっかりした書類といいますか公正証書などの形にしておけば不払が生じたときに取立てというのもしやすくなるんじゃないかなというふうに思いますけれども、これについてはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/263
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264・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
離婚時に父母が養育費を含めた子の養育に関する事項を取り決めることは子の利益にとって望ましいことでありまして、このような取決めの促進は重要な課題であると認識をしております。その際に、父母が取り決めた内容について公正証書を作成することにも重要な意義があると認識をしております。
法務省といたしましては、養育費に関する公正証書作成の重要性につきましてはこれまでにも周知、広報を行ってきたところでございますが、本改正案におきましても、協議離婚の際に公正証書が作成されていることが協議の経過の適正さを示す事情の一つであることが明らかにされているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/264
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265・清水貴之
○清水貴之君 さらに、養育費というのは、これ父母の合意によるものですから、支払の期間というのは自由なわけですね。十八歳までなのか、大学行くと仮定して二十二歳まで、大学出るまでにするとか、こういったことは自由に決められるわけです。ただ、子が幼いときに離婚をすれば支払も長期になりまして、いろいろ状況が変わってくるということが考えられるわけです。子供の進路の変更があったりとか、それぞれの家庭の状況、父母の家庭の状況の変化というのもこれ生じるかと思います。
ですから、そういったことをある程度仮定をして、例えば私立学校に行くとして、大概、公立学校で算定することが多いらしいんですが、例えば私立学校に行くと仮定して、そういった場合に特別な費用が必要ですよと、こういったときはこういったことを払いましょうねとか、そういったことを事前に協議して取り決めておくというのも必要なことではないかというこういったお話もお聞きをしたんですが、そういった御意見に対してはどのように思われるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/265
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266・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
離婚時に父母が、子の進学費用や入院治療費など、日常の養育費では賄うことができない特別な費用の分担を含めて子の養育に関する事項を取り決めることは、子の利益にとって望ましいものであると考えております。
このような子の進学等に必要な費用に即した養育費の取決め等の重要性につきましてはこれまでも周知、広報を行ってきたところではございますが、引き続き、適切かつ十分な周知、広報に努めるとともに、関係省庁としっかり連携をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/266
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267・清水貴之
○清水貴之君 さらに、公的機関による立替払制度など、養育費の履行確保の更なる強化について検討を深めること、これ衆議院の附帯決議に入っています。
国などによる立替払支援策の検討についてというところで質問をしたいと思いますけれども、これ自治体では独自に進めているところが幾つかありまして、例えば東京都の港区ですけれども、養育費の支払を保証する会社と契約する際の保証料とADR利用に必要な経費の一部を対象に上限五万円の助成と。兵庫県の明石市ですけれども、これ総合保証会社と一緒に組みまして、養育費の受取人が保証会社と契約した際の初回の保証料を補助するということで、これ現在、百ほどの自治体が採用しているということです。
ですから、こういった各自治体では進んできていますけれども、こういったサポート体制を国として考えていくというのは現在どのように進めていこうと思っているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/267
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268・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
養育費を必要とする一人親家庭への公的支援として、公的機関による立替払や強制徴収の仕組みの導入を期待する声があることは承知をしております。
もっとも、そのような仕組みの導入につきましては、償還の確実性も見込まれない中、本来当事者が負担すべき養育費を国民全体で負担することが合理的と言えるか、当事者のモラルハザードにつながらないか、他の公的給付との関係をどのように考えるかなどといった観点からの慎重な検討が必要になってまいります。
その中で、一人親の方が、失礼しました、一人親の方が養育費を請求するために民事法律扶助を利用した場合に償還等免除の要件を緩和するなどの運用改善を図ることにいたしまして、令和六年四月一日から開始をしたところでございます。
本改正案では、法定養育費を新設するなど養育費の履行確保に向けた改正をしているところでありまして、まずはその施行後の養育費の履行状況を注視することとしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/268
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269・清水貴之
○清水貴之君 時間が来ました。ほかには、虐待、DV事案の認定の方法であるとか家庭裁判所の体制など質問を用意していたんですが、また次回の方に回させていただきたいと思います。
以上で質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/269
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270・川合孝典
○川合孝典君 国民民主党・新緑風会の川合です。
まず、小泉大臣にお伺いをしたいと思います。
先週の参議院の本会議で大臣に質問させていただきました。冒頭なんですけれども、子の利益の定義について御質問しましたところ、大臣は子の利益の意義についてお答えをいただきました。役所がわざと間違えたのか、大臣が言い間違われたのかは分かりませんが、その答弁の中で大臣は、子供のいわゆる利益について、その子の人格が尊重され、その子の年齢及び発達の程度に配慮されて養育され、心身の健全な発達が図られることが子の利益、また、父母の別居後や離婚後においても父母双方が適切な形で子の養育に関わりその責任を果たすことが子の利益にとって重要との認識をここで示されています。
改めて子の利益について確認をさせていただきたいんですけれども、子の利益は親権に優先されるという認識をしていらっしゃるのでしょうか。確認させてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/270
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271・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 子供の利益とその親権は相対応する概念では必ずしもなくて、親権を行使するとき、親権に関わる様々な判断、そういったものがなされるときに子供の利益を尊重してやっていこうと、こういう基本的考え方で構成されていると私は理解をしています。
まず本改正案では、親権は子の利益のために行使しなければならず、また裁判所は、親権者を定めるに当たって子の利益を考慮しなければならない、子供の利益というものを念頭に置いて親権者を定め、また親権は行使される、こういう形です。また民法七百六十六条では、離婚後の子の監護に関する事項を定めるに当たって子の利益を最も優先しなければならない。これは、親権ではありませんけれども、子供の養育に関する監護の問題についても子の利益を優先をする。
こういう形で、子供の利益は、親権の行使、親権者の定め等において最も重要かつ優先して考慮されるべき要素であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/271
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272・川合孝典
○川合孝典君 民法が今回大きく改正をされるということで、そのことによって家族の在り方自体が根本的に変わるということを恐らく意味するんだろうと思っています。そうしたときに、従来の民法の家族法の解釈ということの中での親権と子供の利益との関係値というものが、共同親権が導入されたことによって果たして同じ状態で将来にわたってその理屈が通用していくのかということはまた別の話だと思うんですね。
私がこのことを冒頭申し上げた理由は、共同親権ということで、親権の在り方、所在というものについて今回衆議院側でも様々議論がされてきたわけでありますけれども、深刻なDVですとか子の連れ去りといったような極端な事例に基づく様々な問題に関して単独親権、共同親権の在り方が議論されることとは別に、基本的に親権というのは親の権利であって、この親の権利の所在というものを子の利益を通じて議論するということは、私、正直違和感があるんです。本来問われるべき、議論されるべき、優先されるべきは、子の監護の共同義務のような感じですよね。子に対する義務をいかに離婚親が負うのかということが本来問われなければいけない、私はそう思っています。
したがって、そうした観点から、子供のために今回の共同親権のいわゆる導入というものがどう機能するのかということについて議論をさせていただきたい、このように考えております。
二つ目の質問に入りたいと思います。これは民事局長、お願いします。
今回、民法七百六十六条の二に定める第三者への申立て権の付与でありますけど、これは具体的に、例えば祖父母と子供との交流等についての申立てということを指しておりますが、この第三者に申立て権を付与することについて、そのことの結果として、現に監護している監護親の負担が増えるのではないのかといったような懸念の声もお寄せいただいております。
したがって、今回この七百六十六条の二に定める第三者への申立て権の付与というのは、具体的にどのようなケースを想定して今回規定されようとしているのか、このことについて分かりやすく御説明ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/272
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273・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
一般に、父母の離婚前に子と祖父母等との間に親密な関係が形成されていた場合におきましては、父母の離婚後も引き続き子と祖父母等との交流を維持することが子の利益の観点から望ましいと考えられるところでございます。
もっとも、祖父母等と親族からの申立てを無制限に認めてしまいますと、子や同居親が多数の紛争に巻き込まれ、かえって子の利益に反するような事態も生じ得るところでございます。そこで本改正案では、子との交流の申立てをすることができるのは原則として父母であるとしつつ、例えば父母の一方が死亡した場合等、他に適当な方法がないときは祖父母等の親族からの申立てをすることができることとしているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/273
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274・川合孝典
○川合孝典君 父母の一方が亡くなられたようなケースの場合に祖父母が申立てができるということが一つ具体的な事例だという御説明でした。多少、このことで御心配されている方の懸念が少しは軽減されたのではないのかと思います。
次の質問に移ります。
子の利益の要件をガイドラインなどに明文化するべきなのではないのか。この明文化、ガイドラインの話については様々な側面で皆さんが御指摘されているわけでありますけれども、この子の利益ということについて、裁判所の判断もそうですし、恣意的な解釈を行っているのではないのかということも含めて、司法の判断に対する不信の声が少なからず寄せられていることは御承知だと思いますが、私は、子の利益を司法が判断するに当たって、恣意的な解釈を行っていると思われないような、受け取られないような子供の利益、権利の判断というものをする上では、こういうことが子供の利益ですよということをガイドラインのような形、手引のような形で明示化するということが、誤解を生じさせないようにする、当事者、双方当事者の納得感を高めることにもつながると思っておるんですけれども、このことについて法務大臣はどのように御認識をされておりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/274
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275・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 何が具体的に子供の利益であるか、それを私もこの質問をいただきましてずっと考えているんですが、やはり、それぞれ子が置かれた状況、御家族の状況、それぞれありますので、その中で、こういうものだと一義的に子供の利益を規定するということは、やはり困難だと思います。
そしてまた、いろいろな状況に対応し得るためにも、大きな概念として、子供の利益というのは子供の幸せですよね、子供の幸せが増えるように、困難が少しでも減るように、通常の親が子に対して思う、願う幸せ、そういう大きな概念としてやはり存在して、この法体系の中にですね、規定するということがやはりまずは妥当なことではないのかなと思います。そして、子供の利益が強く関わることについて、例えば、親の責務、養育費の履行確保、親子交流の実現、子供の利益、子供の幸せに強く関わる重要事項については、今回の民法等の規定の見直しを行っているわけでございます。
そういうことと併せて、子供の利益というものを、子供の幸せ、子供の困難の減少、そういった言葉に置き換えて、まあ同じかもしれませんけれども、我々は解釈を通じて適切な執行に結び付ける努力をしていかなければいけない、そんなふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/275
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276・川合孝典
○川合孝典君 これだという正解がすぐに出るような話ではないことは承知はしておりますけれども、今後、新しい制度が導入される中で新しい判断をしなければいけないとなったときに、少なくとも当事者の方々がその司法の判断に、やっぱり、なるほどと、そういう判断をしている、そういう基準で判断しているんですねということを理解していただけるということがとても大事だと思うんです。したがって、理解していただく上でどういう方法が適切なのかということは、是非、不断の検討を行っていただければ有り難いと思います。
次の質問、最高裁の方に御質問したいと思います。
例えばの例なんですけど、離婚訴訟でDVを理由とする面会交流の可否などが争われている場合、その裁定の正確性を期すために裁判所はどのような手続を取っていらっしゃるのか、このことについて御説明ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/276
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277・馬渡直史
○最高裁判所長官代理者(馬渡直史君) まず前提として、具体的な事案においてどのようにDVの事実認定を行うかにつきましては、個別具体的な事情を踏まえての個々の裁判体による判断ということになりますので、事務当局としてお答えすることはできませんが、その上で一般論として申し上げれば、DVの有無に争いがある場合には、その事案に応じた様々な証拠等から判断されるものと承知しておりまして、それのみで容易に事実が認定できるような確たる証拠がない事案におきましても、供述証拠や、これを補強する証拠を含め、証拠と認定される事実関係を総合して検討し、証拠と事実に基づいた適切な判断となるように努めているものと承知しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/277
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278・川合孝典
○川合孝典君 裁判所としては手続は十全に行っていらっしゃるということなんだろうと思うんですけれども、一方で、そのDVのいわゆる事実認定を行うに当たって、そもそも当事者の方からすればそのことを立証することが非常に困難であるといった御指摘もあるとなったときに、要は、DVの存在の有無ということをいかに裁判所が判断するのかということは実はもう重要な肝の一つということであります。
したがって、いわゆる認定に当たっての、事実認定を行う上での手続というものを、ケースによってもちろん対応の仕方が違うということではありますし、一般論としては今お話をされたことで合っているんでしょうけれども、現実問題として、その結果として問題が起こらないのかといったら、残念ながら裁判離婚でも問題は起こっているということを考えると十分な対応にはなっていないということを前提として、今後、民法を改正された後、どういう手続を取ることでこのDV認定について裁判所が判断を行うのかということについても、改めてその手続等も含めて見直す、検証するべきなんじゃないのかと私は思うんですけど、済みません、これは通告しておりませんけど、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/278
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279・馬渡直史
○最高裁判所長官代理者(馬渡直史君) 済みません、委員の手続という意味がちょっと、なかなかどう理解すればいいかよく分からぬところあります。
我々が裁判やる上では、家事事件手続法なり人事訴訟手続法に基づいた手続を取るというところでございまして、これは改正法が成立した、してもしなくても、その前後では変わらないということでございます。
その中で、先ほど申し上げたような考え方に基づいて事実認定をしていくということでございますし、委員の問題意識からすれば、恐らく事務当局として申し上げられることとすれば、DV事案についての適切な審理運営がされるように、裁判官を始めとする関係職員のDVに関する専門性の向上ということでこれまでも様々な研修をしてきたところでございまして、今後とも、その必要な研修を実施するなどして専門性の向上に努めてまいるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/279
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280・川合孝典
○川合孝典君 ありがとうございました。
次にですけれども、これは民事局長ですかね、政府参考人に御質問したいと思います。
裁判所のいわゆる決定に従わない場合の罰則規定を設けることについての認識をお伺いしたいんですが、フランスなどでは、家族事件裁判官が暴力の有無等について認定した上で保護命令を発することがそもそも規定されていて、この保護命令に従わなければ拘禁刑や罰金刑を科すことで保護命令の実効性を担保するような法制度を、法整備を行っていると。確実に養育費を支払わせる、いわゆる協議して成立した申合せ事項については確実に遂行させるということについて、相当な強制力のある法律の整備を行っているということなんですが、日本でも、まあ裁判の場合ということにはなりますが、裁判所の決定に従わない場合の罰則規定を設けることについては検討するべきなのではないのかという意見が根強くあります。この点について、法務省の御認識を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/280
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281・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
養育費や親子交流の履行確保は、子供の健やかな成長のために重要な課題であると考えております。また、養育費や親子交流の履行確保のため、委員御指摘のような取り決められた内容の不履行について刑事罰を導入すべきとの意見があることは承知をしているところでございます。
しかし、一般に、民事上の債務の不履行それ自体に対して刑罰を科している例はありませんで、そのような制度の導入については慎重に検討すべきであると認識をしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/281
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282・川合孝典
○川合孝典君 現状は、法律の立て付けでいけばそういう判断になるということは、説明は理解はしているんですけれども、決定の拘束力をいかに高めていくのかということについては知恵を絞る必要があると思うんですね。裁判所決定を受けても、守らなくても別に何の罰則もないとなったら当然守るわけがないわけでありますので、そのことの結果がいわゆる養育費の不払が、不払率が極めて高止まりしている状況を温存してしまっているという事実があるわけですから、それが駄目だというのであれば、じゃ、ほかにどういう方法があるのかということについては、対案をやはりきちんと明示できないと当事者の方々は御納得をされないということだけは御指摘させていただきたいと思います。
その上で、次の質問に入りたいと思います。
DVなどの防止及び安全、安心を確保するための具体的な取組ということで、これ大臣の本会議答弁においてお話しされたんですが、DVを防止、DV等を防止して安全、安心を確保することの重要性を認識した上で、本法案成立後、円滑な施行に必要な環境整備を行うと小泉大臣が御答弁をいただいております。
これ、具体的な取組としてどういったことを想定していらっしゃるのかということについてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/282
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283・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
本改正案を円滑に施行し子の利益を確保するためには、DV等を防止して安全、安心を確保することが重要になってまいります。
この点について、衆議院法務委員会の附帯決議では、DV及び児童虐待が身体的な暴力に限られないことに留意し、DVや児童虐待の防止に向けて、被害者支援の一環としての加害者プログラムの実施の推進を図ることを含め、関係機関と連携して被害者の保護、支援策を適切に措置することなどとされているところでございます。
法務省といたしましては、本改正案が成立した際には、その円滑な施行に必要な環境整備につきまして、DV被害者支援に関する施策を所管しております内閣府等の関係府省庁等としっかり連携して取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/283
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284・川合孝典
○川合孝典君 具体的な取組は内閣府という理解でよろしいですよね。内閣府がやるということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/284
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285・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
DV被害者支援策となりますと、所管するのは、直接所管するのは内閣府ということになりまして、法務省としては、しっかりと内閣府等と連携して取り組んでまいるという立場かと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/285
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286・川合孝典
○川合孝典君 やはり、共同親権を導入している欧米の国においても、DVの被害というのはむしろ日本以上に深刻な状況に置かれています。死者も少なからず出ているという状況の中で、したがって、この激しいDVから要は被害者を守る、命を、安全を守るためにということで相当な取組を実はしているのがヨーロッパの共同親権先進国であったということを御理解いただきたいと思います。
その上で、私が申し上げているのは、DVシェルターですとかDVの被害者を守るための様々な取組というものを、やっていないわけではないんだけれども、今の体制、それからDVシェルターについても国が別にやっているわけじゃありませんので、民間の活動に対して支援を行うといったようなものでしかありません。極めて脆弱だということを前提として今後どうするのかということの議論をしていただかないと、当事者の方々は全く安心できないということをこの場で御指摘させていただきたいと思います。
そうした状況の中で、例えばフランス、たしかフランスだったと思いますが、つい最近も、ホテルの部屋、二万室だか何だか、いわゆるDVからの避難場所として国が国費を投じて確保するといったようなことまでやっておられるみたいであります。
是非、その海外の先進事例というものを御検証いただいた上で、共同親権を行うと、これまでと全く違う、日本の家族の概念が根底から変わるかもしれないような大きな法改正を行うに当たっては、当然のことながら、そのことによって生じるかもしれないリスクに対してどう準備を行うのかということが物すごく大事だと思います。したがって、このDVに対する備え、構えというものをどうするのかということについては、是非速やかに御検討いただいた上で、法施行までに一定の結論というものを国民の皆さんに御提示できるようにしていただきたい、これが私からのお願いということであります。
次の質問に入りたいと思います。八番ですね。別居離婚後の親子交流の頻度について、ちょっと確認をさせていただきたいと思います。こちらは政府参考人で結構です。
FPICにおける受渡し型の交流での交流頻度の上限は大体おおむね月一回、日帰りということだと伺っておりますが、この交流頻度がそのようになっている理由というのを教えていただけると有り難いです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/286
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287・竹内努
○政府参考人(竹内努君) 委員御指摘のFPIC、公益社団法人家庭問題情報センターでございますが、このような親子交流の支援団体がその利用にどのような条件を設けるかというような、親子交流支援団体の個別の活動について法務省の立場でコメントすることは差し控えたいと考えます。
その上で一般論として申し上げれば、親子交流支援団体は、父母のみで適切な親子交流をすることが困難な場合などに利用されることが多いと承知をしております。そして、親子交流支援団体は、親子交流への付添いだけでなく、父母間の連絡調整や子の受渡し支援等を実施している場合もあり、事案によりましては、このような支援が、こうした支援が安全、安心な親子交流の実現に資する場合もあると承知をしております。
法務省といたしましては、これまでも親子交流支援団体向けの参考指針を作成してホームページ上で公開しているところでございますが、親子交流に対する支援の在り方については、今後も関係府省庁とも連携しつつ検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/287
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288・川合孝典
○川合孝典君 次の質問に入りたいと思いますが、欧米の複数の共同親権の導入国において、養育費支払の履行率と面会交流頻度との間に極めて強い相関関係があることが指摘されています。
例えばこれはドイツなんですが、養育費の支払の履行状況は、親子が頻回に面会交流をしている場合には八五%となっている一方で、全く面会交流を行っていない場合には四〇%まで低下しているという極めて顕著な差が実は出ています。アメリカでも似たようなデータがあるということです。
このことから、円満かつ頻繁な親子交流の実施が養育費受給率の上昇につながることが強く推測されるということなわけでありますけど、こうしたデータについての法務省の受け止め、法務大臣の受け止めをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/288
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289・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 御指摘のケース、私も拝見をしております。明確に二つのグループでパーセンテージが変わっているというのは明白だと思います。これドイツの例でありますけど、アメリカでも同様の傾向があるということはしっかりとここで判断ができるというふうにも思っております。
これに比べて、我が国の状況は、必ずしも受領率、実施率、親子交流の実施率、養育費の受領率、いずれも諸外国と比べて、アメリカ、ドイツでありますけれども、決して高いと言えるものではありません。離婚時に父母が養育費や親子交流を取決めすること、これは子供の利益にとって望ましく、取決めの促進、引き続き重要な課題であると認識をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/289
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290・川合孝典
○川合孝典君 ありがとうございます。
当然といえば当然なわけで、日本の場合には取決めも、そもそも取決め率も低いわけでありますけれども、取決めを行っても払わないケース、事例もあるといったような状況ですが、当然のことながら、取り決めても子供に会うこともできない状況がずっと継続した場合に、養育費を払うということに対しての、まあインセンティブという言い方はおかしいですけれど、やっぱり、要はそのことに対する動機付けが、というか、落ちてしまいますよね。
やっぱり、日頃から会っていて、その子供の育ちというものを見守りながら、見守っているということが結果的にその子のための養育費の支払に対する責任感というものにつながっていくんだろうと思いますので、面会交流ということについてはいろいろな御意見あると思います。なんですけれども、やはり、共同親権を既に導入している国が、まあ分掌の話も今回民法の改正の中には入っておりますけれども、やはり、これまでとは違った考え方に基づいて監護の比率ということについてやっぱり考えていかないといけないんじゃないのかと思ったので、なぜ一日一回なのかという先ほどの質問をさせていただいたということであります。
その流れで、こども家庭庁さんにもお伺いをしたいと思います。
こ家庁さんが実施している親子交流支援事業には、この面会交流についての制限というのは何かあるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/290
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291・野村知司
○政府参考人(野村知司君) お答え申し上げます。
御指摘の親子交流支援事業でございますけれども、こちらは、当事者のみでは親子交流を実施することが困難な場合に備えてというか、対応するということで、自治体において親子交流支援員の配置など、離婚した夫婦間における親子交流の支援、これを行っている事業でございます。
お尋ねのこの事業における親子交流の援助の実施頻度でございますけれども、こちらは、実施要綱上、原則として一月に一回までとするというふうにしております。これは、自治体がこの事業を実施する上での援助の頻度の目安を原則として示したものでございまして、何がしか規制をするとか制限をするというようなものではありませんけれども、こういった補助金による事業の援助の頻度の目安ということを原則という形でお示しをしているところでございます。
ゆえに、支援対象となるケースの親子交流についての取決めの中身であるとか、あるいは援助の熟度といいましょうか、そういったものなどによっては、自治体の判断でこの原則にこだわらず援助の頻度を若干左右させるとか、そういったことというのは事業の実施の過程では起こり得るのかなというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/291
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292・川合孝典
○川合孝典君 原則一回とした理由は何でしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/292
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293・野村知司
○政府参考人(野村知司君) お答え申し上げます。
この原則一回というのは援助の頻度の目安ということであるというのは今申し上げたとおりなんでございますけれども、その上で、じゃ、なぜあえて一月に一回というような形で要綱でお示しをしているのかということなんですけれども、こちら、実際の支援の中身としては、親子交流支援員が子供を引き取って交流の相手に引渡しをしたり、あるいはその交流の場に現に付き添うなどの援助を行いながら徐々に当事者間で実施ができるように支援をしていくというような、そもそものこういった事業の観点でございますとか、あと、さらには、できれば、事業の趣旨としては、特定の親子だけではなくて支援を必要とする親子に広く支援が行き届くようにしていくという観点から、まずは一定の目安として一月に一回程度というのを原則としているという形でお示しをしていると、そういう形でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/293
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294・川合孝典
○川合孝典君 つまり、月に一回ということに特に根拠はないということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/294
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295・野村知司
○政府参考人(野村知司君) 一回でなければならぬとか、一回あれば十分だとか、あるいは、世の中でこういったことの取組をする際には、まあ一回が最低ラインなのか何なのかというのは位置付けはともかくとして、そういうものだというような既成的な観点といいましょうか、そういったものがあるわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/295
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296・川合孝典
○川合孝典君 大臣、この間、ちょっとお聞きいただいていたと思いますけど、やっぱり月一回なんです。何かルールがあって一回という、その一回、月一回の根拠があるのかどうかということについては私もよく承知しておりませんけれども、でも慣例的に、やはり裁判所、法務省の運営もそうですし、こども家庭庁さんのこの支援事業についてもそうですけれども、やっぱり月一回という話になっていまして、したがって、一回でいいんだという理解にもつながっているのもこれまた一面の事実なんです。
できれば顔も見たくないというような配偶者、元配偶者の人に子供を会わせるということ自体がもう気持ちとして嫌だという方がいらっしゃることもよく分かるんです。なんですけれども、親がいいか悪いかということは別にして、子供の利益のためにどうあるべきなのかということを考えたときに、いわゆる監護の分掌についての議論もそうでありますし、面会交流の回数、時間ということもそうですけれども、やはり従来の考え方の延長線上で何回だとか何時間だとかということを考えるのではなくて、やっぱり科学的なエビデンスに基づいてと本会議のときにも申し上げましたけど、やはり海外の実証事例ですとか、監護の、いわゆる養育費の支払の支払率がアップするためにどういった取組が必要なのかとか、いろんな切り口からこの面会交流の時間、回数に関しても再検討、再検証し直す必要があるということなんだろうと思いますので、ゴールデンウイーク明け以降の議論、審議の中でまた改めて確認をさせていただきたいと思いますけど、本日のところはそこまでは指摘させていただきたいと思います。
その上で、時間がなくなってまいりましたので、次の質問に移りたいと思います。
離婚時の養育費と面会交流の取決め率が極めて低水準に日本の場合はとどまっているということは既に何人もの委員の先生が御指摘をされているわけでありますが、確実に養育費と面会交流の取決めを行わせる上で何が必要だと考えていらっしゃるのか、お聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/296
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297・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) これ、なかなか難問なんですけれども、今回の法改正でも様々な御議論があって、養育費、確実な履行、また親子交流、適切な実行、もうこういったものが中心的な課題であると、そういう認識は関係者、我々を含めて、御議論いただく方々には深まってきていますが、やはり国民というレベルで見ると、まだまだ子供の利益、子供の利益から考えてみようという、その姿勢なり価値観なり意識が十分に広がっているわけではないと思うんですよね。
ですから、具体的な、実践的な方策も検討する必要があると思います。先入観を持たずに、履行率を上げるにはどうすればいいのか、月一回で本当にいいのか、面会。そういった先入観を持たない柔軟な、かつ実践的なアプローチと、もう一つは、国民全体に、社会全体がそういう方向を向いてくださるように、法務省としても、その法案の広報ですよということよりもう少し踏み込んで、子供を一番に考える社会をつくりましょうと、そのためのこれは法律なんですというような踏み込みができれば、まあちょっと大きな話になり過ぎるかもしれませんけれども、社会の在り方がこの法律を包み込んでもらうということも必要だと思うんですよね。制度だけで動かせるわけではないと思いますので、そういう観点も念頭に置いてしっかり検討したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/297
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298・川合孝典
○川合孝典君 大臣、今とても大切なことをおっしゃったと、踏み込んでおっしゃっていただいたと思います。必ずしも子の利益を最優先にした議論になり切っていないということを、まさにそこだと思うんです。
今回の法改正以降、その子の利益のために親はどう身を処すべきなのかということがやっぱり問われなければいけないと思いますし、いわゆる親権という言葉自体を既に使っていない国ありますよね。したがって、親権という言葉をもってこのことを議論しているがゆえに日本人の意識が変わらない、変わっていかないということもやっぱり考えられようかと思いますので、やっぱり、監護権なのか監護の義務なのか、そういった切り口からこの問題にアプローチすることで違ったものが見えてくるんじゃないのかなというふうに私自身は思っているところであります。自分自身も悩んでおりますけれども、このことについても今後議論させていただきたいと思います。
時間が来ていますので最後の質問させていただきたいと思いますが、これまで何人かの先生が御指摘されましたけれども、共同養育計画書の作成について、共同親権を導入している国では義務化ということについて導入をされているみたいでありますが、子の利益を保護する、確保する上で、子の共同養育計画を作成し、裁判所に提出し、公正証書としての法的な拘束力を持たせるということが、養育費やそれから面会交流の履行を促す上で極めて有効だと私自身も感じるところなんですけど、この点について大臣の御認識をお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/298
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299・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 養育計画の作成の促進は重要な課題であります。他方で、離婚時に養育計画の作成を義務化することについては、やはり結果的に離婚が困難となる事案が生まれてくると、そういう懸念、リスクがございます。かえって子供の利益に反するという懸念も、指摘もあり、お尋ねについては慎重に検討するべきものであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/299
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300・川合孝典
○川合孝典君 両方の側面があると思うんです。要は、離婚しにくくなることで、子供の安全、身を守れない、安全を守れないといったような観点での、要は子供に対するデメリットが生じるという話もある一方で、決めずに、取りあえずもう顔も見たくないからといって飛び出していって、何も決めずに別れた結果として養育費がびた一文出てこない、そのことによって、気持ちは晴れたけれども、貧困状態に陥ってしまうことによる子供へのデメリットということを考えたときに、簡単に離婚できなくなるからということは、正直言って私、これは誤解を恐れずに言えば、簡単に離婚できないからではなくて、離婚しなくても別居は恐らくしているはずでしょうから、取り決めて離婚が成立するという形を取ればいいという意味でいけば、安全も確保されているんじゃないのかなというふうにちょっと思っています、私は。
この辺りのところは雑に議論できる話ではございませんので、改めてゴールデンウイーク明けに議論を深めさせていただくことをお願い申し上げまして、私の質問は終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/300
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301・仁比聡平
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
今日、初回の議論を始めてみて、やっぱりこの法案というのは、親子関係と家族の在り方に関する戦後民法の根本に関わる改正なんだと、これを国民的合意のないまま押し切っては絶対にならないということを改めて強く思います。与党からも厳しい懸念が示されている、野党の問いに対して安心できる答弁が返ってきていないと。それが、この参議院の審議が、委員会審議が始まってなおそうなのかと私は率直に思います。
そうした下で、この法案で言う子の利益とは何なのかという問題について質問したいと思いますけれども、まず、こども家庭庁に伺いたいと思います。
さきの本会議で私は、日本乳幼児精神保健学会の離婚後の子どもの養育の在り方についての声明、これを土台にして議場の皆さんにも質問をお伝えをし、認識を問うたわけですね。
今、お手元にお配りをしております二枚目以降に全文を紹介していますが、「人格の土台を作る乳幼児期の重要性を踏まえて」、二〇二二年の六月二十五日に発されたものですが、御覧のとおり、発達科学の到達点を共有し、臨床現場の実情あるいは知見に基づいて、家族法制部会、当時の、その審議についてこう述べています。その議論においては、子供の育ちにおける重要な科学的事実が礎とされているであろうか。これ厳しい指摘ですよね。現在の司法制度において、科学的、実証的な視点が軽視されているのではないかと。私は、この厳しい指摘を正面から受け止める必要があると思うんです。
そこで、傍線を引いていますが、子供は離婚により傷つくと言われることがあるが、正確ではないという一文を御紹介しました。子供は離婚という事象だけで傷つくのではなく、離婚に至るまでの生活環境(面前DVなどによる心理的虐待など)や父母のいさかいに伴う親子関係、そして離婚後の生活環境や親子関係の変化などの複数のストレス要因の複雑な絡み合いにより、身体的、心理的、社会的に大きなダメージを受けている。
この学会の指摘に対して、こども家庭庁の認識を問いたいと思って聞いたんですが、これに対する加藤大臣の答弁は極めてそっけなくて、この問題の指摘に対する答弁を避けたのかというふうに聞こえましたし、議場でもそういう声が上がりました。
そこで改めて伺いますが、答弁でいう、婚姻状態であるかを問わず子供の健やかな育成に支援していくという趣旨の答弁はどういう意味なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/301
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302・野村知司
○政府参考人(野村知司君) 御説明申し上げます。
御指摘の四月十九日の本会議でございますけれども、婚姻状態であるか否かを問わず、面前DVなど、子供に対する虐待になり得るような身体的、精神的な暴力は防がなければならない旨を答弁申し上げたという経過でございます。
これの趣旨といいましょうか、でございますけれども、前回のその本会議での質疑でも御指摘を、先生の方から御指摘がありました日本乳幼児精神保健学会の声明にもございますように、安全、安心が得られる養育者との安定した関係性の中で育まれると、こうしたことは子供の健やかな育成においても重要であると。その上で、面前DVなどの心理的虐待などによる心理的、失礼しました、身体的、心理的、社会的ダメージについては、御指摘のこの離婚後の共同親権の場合のみならず、婚姻中であるとかあるいは離婚の協議中であるなど、親権のありようといいましょうか有無といいましょうか、そういった状況にかかわらず、どのような状況においてもこうした身体的、心理的、社会的ダメージが与えられるような事態というのは防ぐべきであるという趣旨での答弁というふうになったものでございます。
こども家庭庁といたしましては、引き続き、この離婚前後への親の支援でございますとか、あるいは虐待の未然防止の対応、こういった支援などを行いながら子供の健全な育成に努めてまいりたいと、こういった趣旨でお答えしたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/302
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303・仁比聡平
○仁比聡平君 つまり、離婚をめぐる葛藤という下で子供がこうやって傷つくというのはこの学会の指摘のとおりだろうけれども、それは離婚のときだけではない、婚姻中であっても事実婚の場合であっても、どんな場合であってもそうなんだと。だから、児童相談所を始めとした児童福祉行政としては、子の利益、子の利益といいますか、つまり、この子供の健やかな育成、この観点から一貫して取り組むんだと、そういう趣旨の御答弁なんだということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/303
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304・野村知司
○政府参考人(野村知司君) さようでございます。
こうしたダメージというものは、婚姻関係があるかないかとか、そういったことに関係なくほかの要因でもいろいろ発生するゆえに、児童虐待というのは年間二十万件を超える相談、通報件数というふうになってございます。
そうしたところ、何といいましょうか、要因のいかんを問わずしっかり対応していきたいと、そういう旨をお答えをしたということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/304
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305・仁比聡平
○仁比聡平君 ということなので、そういう御答弁として受け止めたいと思うんです。
そこで、改めて伺うんですけれども、この私が今指摘しているようなダメージというのは、子供をどのように深く傷つけるのか。こうした、自分が育っている環境の下でのこうした葛藤なりダメージというのは、子供に対してどんな影響を与えるのか。これはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/305
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306・野村知司
○政府参考人(野村知司君) 面前DVに限らないと思いますけれども、子供に対する虐待になり得るような身体的なあるいは精神的な暴力につきましては、子供の心身に深い傷を残すということ、さらには、そのお子さんというか子供が成長した後においても、様々な生きづらさ、こういったものにもつながり得るものであるというふうに考えております。そういう意味では、どのような状況においてもこういったダメージが起こるということは防ぐべきであるというふうに考えておりまして、そういう意味では、離婚前後の親への支援もそうではありますけれども、やっぱり虐待の未然防止、こういう観点からも取組を進めてまいりたいと考えているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/306
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307・仁比聡平
○仁比聡平君 委員会としても深く認識を共有していく必要があるんではないかなと思うんですが、今日はちょっと次の問いに進みますけれども。
もう一点、私が本会議場で問うたのが、子供の成長、発達にとって最も重要なのは、安全、安心を与えてくれる主たる養育者との安定した関係と環境が守られることだというこの声明に対する認識だったんですね。私はそのとおりだというふうに思うんですけれども、ここも答弁をちょっと避けられた。
確かに、主たる養育者の養育が常に適切とは限らない、不適切な養育というのがあり得ます。典型が同居親による虐待ということだと思いますが、それを調査し、評価し、一時保護や施設入所や里親委託といった親子分離を行うという取組をするんですが、それらは子供の健やかな育成を実らせるための取組だと思うんですよね。ここはどんなふうに考えて取り組んでいらっしゃるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/307
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308・野村知司
○政府参考人(野村知司君) お答え申し上げます。
子供の心身の健やかな育成という観点では、養育に当たる養育者など、大人との間でしっかりとした愛着形成を基礎として、情緒の安定でございますとか信頼感の醸成、こうしたものが図られて自己肯定感を持って成長していくことができるようにしていくこと、これが重要な課題であるというふうに認識をしております。
ここで、児童虐待があるなど子供にとって適切な養育環境が確保されていないという場合、こうした場合には、児童相談所などで適切にアセスメントを行い、今御指摘がありましたように、場合によっては児童を一時保護するであるとか、あるいは施設入所、あるいは里親といったような措置をすることなどによって親子分離を行うなどの対応をしております。
こうした親子分離の対応でございますけれども、こうした対応によって、子供が暴力などで傷ついたり、あるいは必要な愛着関係が得られないといったような時期が続くようなことを防ぎながら安定した養育環境を提供する、つまり、何というか、保護先の施設とか里親の下で安定した養育環境を提供することで、ひいては子供の健やかな育成が図られることになると、そういうような考えでやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/308
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309・仁比聡平
○仁比聡平君 例えばネグレクトなどの関係があったときに、一時保護をして親子を分離して、その取組の中で子供も安心、安定をする、親の方も、いろいろな学び直しとか自らの生活の立て直しとかいろんな取組を行って、もう一回一緒に暮らせるように再統合を目指していくと、そういう取組もありますよね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/309
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310・野村知司
○政府参考人(野村知司君) お答え申し上げます。
失礼いたしました、施設、里親を前提にしたようなしゃべりになって、御答弁になってしまいましたけれども、御指摘のように、確かに、施設であるとか里親のところで安定した養育環境をつくるということもあれば、令和四年の児童福祉法の改正の中で事業を盛り込みましたけど、再統合に向けての、親子再統合に向けて支援をしていく、こうした形でまた安定した養育環境を再構築していくとか、そういったいろいろな取組を児相などが関与しながら行っていくということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/310
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311・仁比聡平
○仁比聡平君 その学会の声明の一枚目の下の方に、こんなくだりがあります。主たる養育者を始めとする周囲の人とやり取りし、優しく温かい声や浮き浮きするリズム、心地よい身体的刺激などの肯定的な交流を得て、脳や神経が成長し、心と体を発達させていく、子供にとって、主たる養育者とこうした幸せなやり取りができることは、生存と発達の重要な要素であると。
こうした指摘についてはどう思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/311
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312・野村知司
○政府参考人(野村知司君) 先ほどのお答えとちょっと重なるところがありますけれども、子供が育っていく過程で、養育者を中心とする周りの大人としっかり愛着そして信頼関係をつくっていくと、そしてその下で伸び伸びと、要は安心と安全ということのよりどころを得た上で、そして外の世界と触れ合っていくという、探索の拠点とかよりどころになっていくような拠点があるということが大事だということを発達の場面でもよく言われますので、こうした子供を養育していく際の環境整備、こういったものは必要、大事な課題であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/312
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313・仁比聡平
○仁比聡平君 ありがとうございました。
今御答弁いただいたような、児童福祉の上での取組の言わば指導理念と言っていいんだと思うんですけれども、児童福祉法の二条一項にこういうくだりがあります。全て国民は、児童が良好な環境において生まれ、かつ、社会のあらゆる分野において、児童の年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮され、心身共に健やかに育成されるよう努めなければならないという規定ですけれども、これが指導理念として重いものだということでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/313
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314・高橋宏治
○政府参考人(高橋宏治君) お答え申し上げます。
御指摘の児童福祉法第二条第一項の規定、これは、児童虐待について発生予防から自立支援まで一連の対策の更なる強化等を図った平成二十八年の児童福祉法改正の際に、児童福祉法の理念の明確化を図るために盛り込まれた規定でございます。これは、子供が権利の主体であること、その最善の利益が優先されるべきことがこれまで、それまで法文上明確にされていないという課題があったことを踏まえて改正されたというふうに承知しておりまして、こうしたその児童福祉法の理念は、全ての子供の福祉を保障し、子供が心身共に健やかに育つことができる社会を実現する上で極めて重要なものと認識しておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/314
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315・仁比聡平
○仁比聡平君 そのとおりだと思います。
そこで、民法、家族法の親子関係における子の利益とは何かということなんですけれども、今日もこれまで何度か質問がありましたが、大臣の答弁あるいは局長の答弁というのは極めて抽象的ですよね。子の利益って何をもって子の利益とするのかということが、実際の子供の姿がこの議場にイメージが出てこないじゃないですか。わくわくしないじゃないですか。子の利益のために親権を行使しなきゃいけないなんて言いながら、結局何か父母間の争いの焦点になっちゃっているじゃないですか、子供が。これ、おかしいでしょう。
そこで民事局長に聞きますけれども、二〇一一年の改正で、親子法制に子の利益のためにという条文が明記されました、八百二十条。資料の一枚目に条文をちょっと抜粋しましたけど、監護及び教育の権利義務について子の利益のためにと、親権喪失の審判において八百三十四条が子の利益を著しく害するとき、親権停止の審判について子の利益を害するときと要件を掲げ、先ほどもお話ありましたが、民法七百六十六条の一項、離婚後の子の監護に関する事項を定めるという条文について、子の利益を最も優先して考慮しなければならないと規定されたわけですね。この現行法の下で裁判も行われているわけですよ。だから、施行後たくさんの事案が、この法の下、法の適用という形で取り組まれてきたわけですね。
だから、二〇一一年から今日までの間の取組も踏まえて、改めて子の利益とは何なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/315
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316・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
具体的な子の利益が何であるかは、それぞれの子が置かれた状況によっても異なりまして、一概にお答えすることが困難ではありますが、一般論といたしましては、その子の人格が尊重され、その子の年齢及び発達の程度に配慮されて養育され、心身の健全な発達が図られることが子の利益であると考えております。
その上で、概括的に申し上げれば、民法も含めた御指摘の法律等の規定における子の利益、児童の利益というものについては、それぞれ特に異なる内容のものとして定められたわけではないと理解をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/316
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317・仁比聡平
○仁比聡平君 二〇一一年の改正というのは極めて不十分、中途半端なものでした。後に削除されましたけど、当時、子の利益のためと言いながら、懲戒権の規定は削除されませんでした。依然として子供を親の附属物のように捉えるというそういう認識が、この二〇一〇年以降の時期にもですよ、この法の、基本法の改正を阻んだわけでしょう。
実務では、その後の時期に家庭裁判所において原則面会交流と呼ばれるそういう取組、運用が行われて、この今回の法案に対しても多くの方々から、この裁判所の実務によって、運用によって傷ついたと、傷つけられているという声が寄せられているわけですね。その上に立って今回の改正案を提出されているわけです。にもかかわらず、子の利益とは何かと何度聞かれても、今のいろんな場合があるという答弁しかできないのかと。
逆に、大臣、聞きますけれども、改正案の趣旨として、何回もおっしゃっているでしょう、適切な形で子の養育に関わる、そのことで子の利益を確保すると言うじゃないですか。適切な形でって、何も言っていないのと同じでしょう。不適切な形で関与しちゃ駄目なのは当たり前じゃないですか。子の利益を実現するために何が適切なのかを語らなければ意味がないじゃないですか。極めて抽象的な規範を新たに作って、極めて厳しい指摘がされている裁判の運用で合意をしていなくても共同親権を定め得るということにしてしまったら、そうしたら新たな危険が起こるじゃないかと不安が広がるのは当たり前じゃないですか。
適切な形の関与というのは、これ一体何のことを言っているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/317
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318・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) まず、子供の利益でありますけれども、これは漠然としているという御批判はありますけれども、しかし、あらゆる場合に子供の利益、様々な場面で様々な形で考えられる子供の利益を我々は勘案しなければいけない、そして多様な家族の形にもできる限り沿ったような形を取りたい、そういう考え方で法律を構成しているわけであります。
ですから、子供の利益というのは、法律用語ではないんですけど、子供の幸せです。子供の困難を少しでも減らすこと、子供の幸せを少しでも増やすこと、これはみんな親になった方々は子に対して同じ思いを当然持っていらっしゃると思うわけであります。子供の利益が何か分からない親はいないと思うんです。
そういう意味で、法律用語にはできませんけれども、子供の、それを子供の利益という言葉で表しているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/318
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319・仁比聡平
○仁比聡平君 子供の利益が分からない親はいますよ。だから虐待が大問題になっているんでしょう。
本会議でも申し上げたけど、大臣の家族観は、それはそれでいいです。けれども、それで法律を作ることはできないじゃないですか。(発言する者あり)そうおっしゃるから聞きますけど、子供の利益を分からない親はいない、先ほどのその答弁、撤回されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/319
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320・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 一般的に申し上げています。もちろん一人もいないということではなくて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/320
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321・仁比聡平
○仁比聡平君 一般的な話を申し上げているって、大臣が責任を持って今提出して議論しているのは一般的な法律でしょう。全ての国民に適用される基本法じゃないですか。その基本法を作るに当たって、子の利益とは何かという問いにきちんと、法制審以来議論されてきた確立した答弁メモがないのは分かりますよ、だから答弁しづらいのは分かる。けれども、大臣の思いとして、子供の利益が分からない親はいないなんということを立法趣旨として残すわけにいかないじゃないですか。
民事局長、子供の利益が分からない親はいない、それが、適切な関与が子の利益と、そういう趣旨ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/321
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322・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
何が子にとっての利益であるかということは、その子の置かれた状況あるいは生育環境等によると思われますので、一概にお答えすることはなかなか困難ではございます。
済みません、繰り返しになって恐縮ですが、一般論といたしましては、その子の人格が尊重され、その子の年齢及び発達の程度に配慮されて養育され、心身の健全な発達が図られることが子の利益であると考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/322
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323・仁比聡平
○仁比聡平君 だから学会から、現在の司法は科学的、実証的な視点を軽視していると批判されてしまうんじゃありませんか。
先ほどこども家庭庁に御答弁いただいた、児童福祉法に基づく様々な取組と。様々な実践、現場があって、支援すべき子供たちがいて、だから先ほどのような御答弁が積み重なってくるわけじゃないですか。
これまでの離婚後単独親権を共同親権に変えると、しかも父母間に合意がない場合に裁判所が定め得るという法案を提出しておられるわけです。ならば、それがなぜ子供の利益になるのかということを誰にも説得できる形で、そうだと胸に落ちる形で、それは逆に言えば、そういう場合以外は裁判所は定められないんだなということが分かる形で答弁し、条文を作らなきゃ駄目じゃないですか。それは分からないんですか、大臣。
私は、ちょっとまず確認しておきたいと思いますけれども、この法案で言う子供の利益、つまり、これは改正されればですよ、家族法という基本法に子の利益という言葉がたくさん出てくることになります。そして、子の利益に反するのか害するのか、あるいは子の利益に沿うのかというのが、親子関係のあらゆる場面あるいは親権者を定める場面などでこれが規範になるわけですよね。
その規範というのは、私は、先ほど御答弁いただいた児童福祉法の二条の理念だったり、あるいは子どもの権利条約、そして子どもの権利条約も踏まえて我が国でも作られたこどもの基本法、こども基本法ですね、今日も三条三項という議論が与党からもありましたけど、そうしたものと共通するものと考えなかったら、一国の法制度として成り立たないと。だから、児童福祉法やこども基本法、そのベースにある子どもの権利条約の指導理念と同様だと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/323
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324・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 概括的に申し上げれば、今おっしゃった民法を含めた御指摘の法律等の規定における子の利益あるいは児童の利益というものについては、この民法で我々が定める子の利益と、それはそれぞれ異なる内容のものではない、異なる内容のものとして定められたわけではないと理解をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/324
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325・仁比聡平
○仁比聡平君 定めようとするものでもないということだと思うんですよ。現行法は定められたものじゃないし、これから定めようと提案しておられる改正案も、児童福祉法やこども基本法や子どもの権利条約と合致しているものだと、共通するものだと。子の利益というのは、つまり、子の親権を考えるときの目的だということだと思うんですね。あれこれの要素の一つではありませんよね、そういう意味で。
例えば、子の意見表明について大臣は、裁判所が判断をするときの重要な考慮要素の一つという言葉を使っておられるじゃないですか。重要な考慮要素の一つというのはあれこれの一つなんですよ、重要であろうがどうであろうが。子の意思や心情を把握して、それをどういうふうに生かすのか、その場面についてお答えになっているんだろうと思うけれども、子の利益を全うするんだと、これは、あれこれの一つじゃなくて、取組全体の、あるいは法そのものの目的ですよね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/325
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326・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) そうです。子供の利益を図るということがこの法律の一番の目的であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/326
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327・仁比聡平
○仁比聡平君 その上で、非合意型の共同親権を導入することが子の利益に必要だとする立法事実を示してくださいと私は問いました。これに対して本会議で、恐らく初めて御答弁されたようにも思っているんですけれども、次のように答えられました。例えば、親権者変更や親権の停止又は喪失に至らない事案においても、同居親と子供の関係が必ずしも良好ではないケース、同居親による子の養育に不安があるために別居親の関与があった方が子の利益にかなうケースがあり得るという、この同居親の養育に問題がありそうなときという、こういうケースを挙げられたんですよね。
そこで、まずこども家庭庁に先に聞きますけど、親と子供の関係が良好ではないとか養育に不安があるとかという場合は、行政によってどのような支援が取り組まれるか。虐待が行われる場合は、虐待が疑われる場合は、その調査や評価、一時保護などの取組が専ら児童相談所において行われると思うんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/327
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328・野村知司
○政府参考人(野村知司君) お答え申し上げます。
御指摘のような事例、つまり家庭における養育などに不安が大きい場合を含めまして、保護者による養育を支援等する必要がある場合においては、市町村におけるこども家庭センター、これは令和四年の児童福祉法の改正の施行で制度に位置付けられたもので、この四月から施行が始まって、センター、全国展開を目指して各市町村に設置を進めていただこうとしているところではございますけれども、この家庭センターで個々の家庭の状況に応じたサポートプランを作成して、そのプランに基づいて家庭支援事業などによる支援を行っていくと、そういうようなことを考えております。
子供への虐待が疑われる場合の家庭に対する調査でございますけれども、専ら児童相談所のみということではなくて市町村においても行われるものではございますけれども、結果として親子分離が必要と考えられるような場合には、児童相談所において一時保護でございますとか施設入所などの措置を行うと、そういった流れになってまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/328
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329・仁比聡平
○仁比聡平君 ありがとうございます。
民事局長、という取組が制度上あるいは実際に行われている中で、この親権者変更や親権の停止又は喪失に至らない事案において別居親の関与があった方が子の利益にかなうケースというのがどんなケースなのかというのが私ちょっとよく分からないんですけれど、これどういう場合をいうんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/329
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330・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
本改正案では、裁判所は、離婚後の親権者について、親子の関係、父母の関係その他一切の事情を考慮して実質的、総合的に判断すべきこととしておりまして、父母の合意がないことのみをもって父母双方を親権者とすることを一律に許さないものとはしておりません。
そして、父母の合意がないにもかかわらず共同親権とすることが子の利益にかなう場合があるか否かにつきまして、法制審議会家族法制部会における調査審議の過程では、同居親と子供との関係が必ずしも良好ではないケース、同居親による子の養育に不安があるために別居親の関与があった方が子の利益にかなうケースがあり得る旨の指摘がされたところでございます。
これらのケースがどのようなものかというお尋ねでございますが、例えば、同居親と子との関係が必ずしも良好でないために、別居親が親権者としてその養育に関与することによって子の精神的な安定等が図られるケースや、同居親の養育の状況等に不安があるが、児童相談所の一時保護の対象になるとまでは言えないようなケースについてもこれに当たり得ると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/330
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331・仁比聡平
○仁比聡平君 今の御答弁だと、あれですか、児童福祉法上の取組には当たらないような場合、まあ見守っておきましょうみたいなそんな場合に、父母間で合意がないのに、裁判所が、その同居親の養育についてこれでは駄目だとか良好でないとかというような評価をして別居親との共同親権を定めるみたいな、そんなことになるんですか。何だか、どういう、具体的にどんなふうな場合が、どんなふうな評価、アセスメントに基づいてされるのかということがちょっとなおなお分からないんですね。
例えば、様々な状況で傷ついている子供、児童を診療している精神科のドクターの皆さんいらっしゃいます。先ほどの学会の声明もそういう積み重ねでできていると思いますけれども、先日、院内集会での私どもの発言を受けてメールが寄せられまして、診断書で加害親から子供を守っていただきたいという意見書を裁判所に提出しても、それが役に立つという実感もありませんという言葉なんですよ。ある同僚の児童精神科医師からは、法の領域に入ってしまうと守ってあげられないという話を聞いたり、また別の医師からは、診断書に記載したのに今も結局加害親との関係性を続けるように裁判所からの指示が出ているという話を聞いたり、カンファレンスでは、別の担当者の児童が加害親との面会交流を継続することを裁判所から指示され続けていて児童の具合が悪くなっているという症例が報告されたことがある。
何に基づいて裁判官あるいは調停委員会が、父母も合意をしてもいないのに共同親権、別居親の親権者としての関与がふさわしい、子供の利益になるというふうに判断するのかと、そこがおかしいじゃないかという指摘が数々噴き上がっているんですね。
その点を今回の法案提出においてどう検討されたんですか、あるいは検討していないんですか。今の裁判所に対するこうした批判を民事局長はどう受け止めるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/331
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332・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
裁判所は、離婚後の親権者につきまして、親子の関係、父母の関係その他一切の事情を考慮して実質的、総合的に判断すべきこととしておりまして、家庭裁判所において、必要に応じて家庭裁判所調査官を利用して子の意見、意向や生活状況等を把握することも含め、適正な審理がされた上で判断がされるものと承知をしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/332
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333・仁比聡平
○仁比聡平君 引き続き議論をしていかなきゃいけません。
時間が参ろうとしているので、文科省に一問お尋ねをしておきます。
今日も高校授業料無償化の支援に関わって様々御議論ありました。先ほど公明党の伊藤議員から御質問があった件は私もよくそしゃくしてみたいと思っているんですけれども。
そもそもでちょっとお尋ねしたいんですけど、私の本会議に対する答弁では、親権者が二名の場合であっても、一方がドメスティック・バイオレンスや児童虐待等により就学に要する経費の負担を求めることが困難である場合には一名で判定を行うという、それは共同親権となった場合でも同じだという答弁をされているじゃないですか、大臣が。大臣、基本一貫してそう答えているわけですよ。
ということは、離婚後共同親権になる場合に、DVやあるいは虐待によって大変になる場合があるんだと、そんな説明を法務省から受けてきたんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/333
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334・梶山正司
○政府参考人(梶山正司君) 答弁申し上げます。
今般の民法改正案におきまして、裁判所が必ず父母の一方を親権者と定めなければならない場合の例として、虐待等のおそれがあると認められるときとDV被害を受けるおそれのある等の事情を考慮して父母が共同して親権を行うことが困難であると認められるときを挙げており、子への虐待のおそれやDV被害を受けるおそれがある場合には父母双方が親権者と定められることはないと想定されると認識しております。
御指摘の答弁につきましては、現行制度において親権者の一方の収入により判定を行う就学に要する経費の負担を求めることが困難である場合の例としてドメスティック・バイオレンスや児童虐待等を挙げたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/334
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335・仁比聡平
○仁比聡平君 つまり、現行、婚姻中は共同親権なわけですよ。その婚姻中の今の家族がDVや虐待によってそうした状態に陥るということがあるわけで、そのときにはそういう対応をしていますということだけだと。ということは、離婚後共同親権という新たな関係を創設しようとしておられるにもかかわらず、そのときの家族の問題状況というのがどんな状況になるのか。
前回の質問のときにも申し上げましたけど、私、そうした葛藤状態にある、例えば中学校三年生の受験生がですよ、自分は学校に、高校に行けるんだろうかとか、授業料免除、無償化ということを聞くけど、自分は受けられるんだろうかとか思っても、相談するのってなかなか大変なことだと思いますよ。あるいは、学校の先生がこれだけ多忙を極めている中で、全ての子供のそうした状況に気付いて相談に乗ってあげるような余裕が果たしてあるのかと。それは文科省の現場の問題として大きな課題だと思うんですよ。ところが、そうした中身の、つまり子供をちゃんと中心にした協議は行われていないということじゃないですか。
そして、この高校授業料無償化の問題のみならず、様々な支援策、少なくとも給付に関して二十八件ある。それから、親の同意や関与というのが規定されている法令というのはもっとたくさんある。それらについて今のような議論しかできていないで法案提出しているじゃないかと私は厳しく指摘をしているわけです。
これを全て法務省の責任において、あるいは政府全体の責任においてこの委員会に提出してもらって、それぞれの運用基準や課題が何なのかということをちゃんとこの法務委員会として協議すべきだというふうに思います。
これ、取り計らっていただきたいと思いますが、委員長、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/335
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336・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/336
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337・仁比聡平
○仁比聡平君 今日は終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/337
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338・鈴木宗男
○鈴木宗男君 大臣、御苦労さんです。私で終わりですから、お付き合いをいただきたいと思いますが。
この民法等の一部改正案で、私は、法制審等、しっかり議論されて、成文化されて改正法案出したということを評価したいと思っております。いろいろ意見はあると思いましたけれども、民主主義は、議論に議論を重ねて、そこで得た結論はお互い責任を持つということであります。少なくとも法制審でしっかり議論されて、その間に至るまでには国会議員のいろんな意見表明なり意見の開陳もあったわけでありますから、その中で様々な主張を述べることもできたわけでありますから、私はそういった意味でこれはまとめられたものだと、こう一定の評価をしているものであります。
特に、超党派の議員連盟で共同養育支援議員連盟というのがありまして、当時、馳さんが会長でした、今の石川県の知事ですね。これが、令和三年三月に、この安全・安心な面会交流の確保・充実に向けた対応等を求める緊急提言というのをやっておりまして、私は、この会議におきましては、令和二年から強くお願いしておったのが一つあるんです。それは、いわゆる親子の面会、面会という、親子面会交流という表現でした。私は、どう考えてもお互い血の通った者が面会というのはおかしいんじゃないかと、ここはもっともっと人間的な表現がいいんでないかというので、面会交流はやめろということで、親子交流に統一すべきだということでお願いしてきたものであります。
民事局の北村参事官等にも強くお願いして、またこの法制審でも、その点、問題なかったと言われておりますけれども、第七百六十六条が明確に、ここは親子交流、母と子との交流、親子交流ということで統一されている。これだけでも私は高く評価しているんですね。
そして、今ほども議論がありまして、先ほど川合委員からも子の利益についての御指摘がありました。今、仁比先生、委員からも子の利益について話があって、大臣は明快に子の幸せという表現されました。私はそれに尽きると思っているんですね。
それで、大臣、子の利益と、何を指すんだと、何を意味するんだという話はこれからも出てくると思います。できたら明確に、子の利益とはこういうことだということを文書でまとめた方が私はより徹底して分かりやすいんでないかと、こう思いますけれども、大臣に、面会交流から親子交流になったこの経緯に対する認識、考えと、今、子の利益について改めて大臣はどう考えているのか、受け止めているのか、お聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/338
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339・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 面会交流という用語については、かねてから委員から御指摘を受けてまいりました。また、各方面からも、適切な親と子の交流方法を表現する用語としてはふさわしくない旨の御指摘をいただいてまいりました。そのような御指摘を踏まえて、法務省では、面会交流に変えて親子交流という用語を使用することとし、法務省のホームページ、パンフレットにおける表記を修正するなどの見直しを行ってまいりました。
また、親子の交流の在り方が多様化していることも考慮すると、民法の条文上、親子の交流方法のうち、面会のみを例示することは必ずしも適切とは言えないと考えられます。そこで、本改正案では、民法七百六十六条第一項の面会という文言を削除することとしたところでございます。
また、子の利益という観点でありますけれども、子供が尊重され、またその年齢にふさわしい養育を受け、そして健やかに成長していく、そういうことを通じて子供の幸せが増えていく、子供の不幸せが減っていく、そういう人間の情に根差した価値だと思います。もう少し分かりやすく表現できるように検討してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/339
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340・鈴木宗男
○鈴木宗男君 子供は親は選べませんですね。同時に、離婚等、私はこれは大人の身勝手な判断だと思っています。子には罪はないと思います。だから、極力子供に迷惑を掛けることはあってはならぬ、こういう認識が私は必要でないかと思っております。
そういった意味で、親子交流に関しましても、審判が出ていても相手の拒否があればこれまた会えないケースがあるんですね。この点、何かきちっと実効性というか、が担保されるような仕組みなり指導なりできるかどうか、この点、私は考えるべきでないかと思いますけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/340
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341・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
親子交流の実効性を高めるということは非常に重要な課題であろうかと思います。
本改正案におきましては、親権の有無や婚姻関係の有無にかかわらず、父母は子の人格を尊重してその子を養育しなければならないことですとか、父母は子の利益のため互いに人格を尊重し協力しなければならないことを明確化することとしております。
家庭裁判所が親子交流についての定めをしたものの父母の一方がこれを履行しないという場合には、個別具体的な事情によりましては、父母相互の人格尊重義務や協力義務に違反すると評価される場合があると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/341
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342・鈴木宗男
○鈴木宗男君 この親子交流の審判が出ていても、それが実現できない、親と子が会えないというのはやっぱり私は正常じゃないと思うんですね。この点、是非とも法務省としてもしっかりと何がしかの理解を得るための指導というか環境整備というか、ここは是非とも考えていただきたいと思いますが、大臣、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/342
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343・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 鈴木委員始め、また今日幾つかそういう御議論をいただきました。先入観を持たずに実践的な方法がないかどうか、これをよく検討していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/343
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344・鈴木宗男
○鈴木宗男君 大臣、大臣は奥さんに感謝していますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/344
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345・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 家内に。はい、もちろん感謝しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/345
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346・鈴木宗男
○鈴木宗男君 極めて大事な答弁だと思うんですね。全くこれ他人同士が一緒になって、うまく結婚生活を送れる人もいれば、また破綻する人もいるわけです。それは人様々ですから、他人がどうのこうの言うことじゃありませんけれども、私はやっぱり、妻の果たす役割、配偶者の果たす役割は重いと思いますね。今大臣が感謝していますと言った言葉は重いと思っております。
私自身なんかも、家庭は顧みないで、もう二十一のときから中川一郎という政治家の秘書をやって、三百六十五日休まぬで働いてきて、そして四十二年前、三十五で衆議院議員になってから、これまた休みなくきました。そして、その間、逮捕までされて、四百三十七日勾留されて、そして一年間、収監経験もしてきましたね。もう迷惑の掛けっ放しですね。それでも、よくぞ別れなかったと思って私は感謝しているんですけど、この点、一番、最高の女房だと思う点はそこなんですけれども。私は、やはり、ちょっとした気の遣い方だとか優しさ、思いやり、慈しみ、愛情というものが常に持っていることが大事だと思っているんですね。
私は、本当に不幸にして親子が断絶するなんというのはかわいそうなことだと思いながらも、子供には極力やっぱり迷惑掛けちゃいけないなと、こう思いますので、そういった意味でもこの親子交流に対してのやっぱり実効性は是非ともしっかりやっていただきたいなと、こうお願いをする次第であります。
そこで、もう時間も限られていますから、私は、前回の委員会での質問等について再確認というか、質問してまいります。
大臣、被疑者が被疑事実は自分の認識と違うということを言っているのに、それをそのまま弁解録取書に取らないで、あたかも被疑事実を自白しているような弁解録取書を作成して署名させることも、被疑者も言っていないことを調書に取ったり一部を切り取って事実を歪曲して調書に取ったということで弁護人から抗議を受け、弁護人が最高検に抗議したのに対し特捜部側が、その被疑者の会社の社長を呼び付け書面を撤回させる、わび状を出せと要求をして出させるということについて、そのようなことがあったかということについて刑事局長はあったと認められました。
改めて、私はあってはならないことだと思いますけれども、法務大臣としてはどういう受け止めでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/346
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347・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) これ、あくまで一般論としてお伺いをしているという立場でお答えを申し上げたいと思います。
あくまで一般論でございますが、取調べを含めた検察の捜査が適正に行われなければならないことは当然であり、「検察の理念」においても、権限行使の在り方が、独善に陥ることなく、真に国民の利益にかなうものとなっているかを常に内省しつつ行動する、謙虚な姿勢を保つべきである、また、取調べにおいては、供述の任意性の確保その他必要な配慮をして、真実の供述が得られるよう努めるとされているところであります。
検察においてもこうしたことは、この「検察の理念」に記されていることは当然に承知した上で適正な捜査に努めているものと承知をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/347
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348・鈴木宗男
○鈴木宗男君 大臣、冠に一般論という話されましたけど、私は事実を言っているんです。公判でそういう話が出た、最終陳述書で出た、しかもそれは公になっている。あってはならないことではないかと言っているんですよ。「検察の理念」に合っていないでしょう、公正公平という意味で。それをやめろというのが「検察の理念」なんですから、村木事件を機として。今の大臣のその役人が作った答弁は、現実に合っていませんよ。それをやっちゃいかぬというのが「検察の理念」ではなかったんですか。どうです、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/348
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349・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) これ、一般論としてしかお答えができないお尋ねでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/349
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350・鈴木宗男
○鈴木宗男君 正直に答えてくれればいいんですよ、私は事実関係を言っているんですから。私のもし話に裏付けがないというならば、一般論でもいいんです、大臣、刑事局長が認めたんですから。
いいですか。わび状を出せ、その行為はやるべきことですか。「検察の理念」に一番反することじゃないですか。あるいは、意見書を撤回すれということは、大臣、言ってはならぬことじゃないですか。なぜそれが一般論だとかという冠が付くんです。正直に答えてくれればいいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/350
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351・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 最終弁論でそういう発言をされたということを確認をさせていただいたわけでございます。そして、そのことを前回申し上げたわけであります。発言があったということであり、それが事実であるかどうかはまた別の問題です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/351
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352・鈴木宗男
○鈴木宗男君 大臣、法廷で最終陳述、うそ、でたらめはないんです、これは。だからこそ私は指摘しているんですよ。
この点、わび状を出したということを認めたんですよ。いいですか、大臣。意見書の撤回をやらせたんですよ。じゃ、それはいいことなんですか、悪いことなんですかと私聞いているんです。わび状を出させて、意見書を撤回させたんです。一部上場の大企業の社長を呼んでですよ、社会的立場の人を呼んでやらせているんですよ。それはいいことかどうかと聞いているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/352
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353・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) そういう事実があったかどうかは確認されていないわけでございます。最終弁論でそういうことがあったという発言があったということは確認をしました。そこから先はもう個別の問題に入ります。検察がどういう動きをした、それはもう個別指揮権の中に入ってしまうので、私は対応ができなくなります、そこは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/353
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354・鈴木宗男
○鈴木宗男君 いや、大臣、私が聞いているのは、意見書を撤回させる、いいですか、わび状を出させるという行為は、それは会社の社長で全く事件とは関係ない人なんですから、そういう人にそういう行為を検察がやることはいいのかどうかということを聞いているんですよ。個別案件を聞いているんじゃないんです。
そういう、わび状を出させる、いや、あるいは意見書を撤回させるという行為が、じゃ、私が冠付けましょう、もしあったとするならば、いいかどうかを答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/354
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355・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) このお尋ね、前回いただいているわけでありますが、そこには現実の報道があり、現実の事件がそこにあり、事案があり、そこから発せられた御指摘であり御質問であるということ、そういう脈絡がございますので、ここで一般論ですと申し上げてみても、やはりベースは、そういう個別事案というものがベースに入っていますので、これはやはりお答えは差し控えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/355
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356・鈴木宗男
○鈴木宗男君 大臣、じゃ、だから私が言っているんですよ。もしそういう事実があった、あったとしたならばどうかということを聞いているんですよ。いいですか、もしそういう事案があったとき、大臣、その行為は「検察の理念」と懸け離れていないかということを私は言っているんですよ。それに答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/356
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357・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 私の方から申し上げられることは、むしろその逆の形になります。「検察の理念」があって、そしてそれにふさわしくない行動があったとすれば、それはあってはならないこと。「検察の理念」というものの具体例の中に幾つかいろんなケースがあるでしょうけれども、そういう中にそういう事象がもしあったとすれば、ほかのこともあり得ると思いますが、「検察の理念」にふさわしくないそういう行動があったとすれば、それは「検察の理念」に沿ってやるべき事案だというふうに、それは申し上げることができます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/357
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358・鈴木宗男
○鈴木宗男君 大臣、国民から選ばれた国会議員が国会という場で質問する。ちょっと懸念があるならば検察に確認するのが筋じゃないですか。大臣、もし、職を賭しますか、じゃ、大臣。私も職を賭してやりますよ。そこまで私は責任持って物を言いますけれども、大臣、そういういいかげんなこと言わぬでください。
私もそれなりの経験を積んでこの場に立って物を言っていますから、でたらめ言っているわけじゃないんですから。公判という場で言われた話、ならば確認するのが当然じゃないですか、大臣の立場として、そういう話があるがどうかということは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/358
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359・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) まさにそこでございます。私の立場で個別の案件の内容に踏み込んで検察庁に問い合わせることは、それはもう個別的指揮権の、もうほぼその裏腹なところへ入ってしまうことになるわけでございます。個別の案件を法務大臣が検察に聞く、それはやっぱり限界があります、限界があります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/359
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360・鈴木宗男
○鈴木宗男君 私は、その個別で具体的に判決がどうだとか、こういう話をしているんでないんですよ、大臣、いいですか。
じゃ、大臣に聞きます。もし、結果としてこういう事実があったとすれば、責任取りますね。それだけははっきりしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/360
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361・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) いや、私は検察に確認することができないわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/361
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362・鈴木宗男
○鈴木宗男君 検察は大臣の指揮下にあるんですよ、いいですか。そこで、大臣の指揮下にあるのは、こうすれ、ああすれというのが指揮権です、いいですか。こういう話が国会で出ている、ついては、そういうことがあったかどうかと言うのは、何で命令、指揮になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/362
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363・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 個別の案件に関して法務大臣が検察庁を指揮することはできません。一般的な指揮権というものはございます。そのことを申し上げているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/363
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364・鈴木宗男
○鈴木宗男君 大臣、個別って、じゃ、何の件です。個別の案件って何の件です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/364
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365・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 個別の案件に関わる問題について私が問い合わせるということは、これはもうまさに個別的指揮権として受け取られても仕方がない形になってしまいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/365
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366・鈴木宗男
○鈴木宗男君 大臣、指揮権というのは、こうすれ、ああすれ、判断を指揮権というんですよ。大臣、話を聞くのが何で指揮権ですか。秘書官、つまらぬメモ出したって始まらないよ。何で、皆さんそう思いませんか、聞くことが何で指揮権なんです、委員長。
大臣、そういう言葉の遊びやめてくださいよ。命令するのが指揮権ですよ。大臣の立場で、こうすれ、ああすれが指揮権ですよ。私が聞いているのはそうじゃないですよ、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/366
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367・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 検察庁は起訴する権限を持っています。検察庁が起訴した案件は必ず裁判に付されます。そして、裁判所が勝手に立件することはできません。裁判所がこの事案を裁判したいと言っても、それはかなわないわけであります。そうすると、検察庁が持っている権限は、検察の権限は、司法権に準ずるその機能を持っているわけでございます。両輪です、司法と検察が両輪になって進む。ですから、独立性が保たれる必要があります、司法も。そういう意味では、準司法である検察も独立性が保たれる必要があります。
したがって、私は民主的に選ばれた、プロセスで選ばれた法務大臣として、一般、検察行政一般については指揮権を持っています。それは民主的な統制をするためです。しかし、個別については、これは司法の独立ということから出てきている問題でありますので、入れないわけです、そこには。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/367
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368・鈴木宗男
○鈴木宗男君 大臣、大臣は民主的に選ばれたんじゃないんです。内閣総理大臣が指名しているんです。そういう、民主的だけど、大臣、何を根拠に言っているか。任命権者は内閣総理大臣なんです。だから民間人でもなれるんですから。大臣がそれを民主的だという、そういう言葉遊びするだけでも私はどうかと思いますよ。
正直に答えれば済む話なんですよ。私は、じゃ、例えばそういうことがあったかないかと言ったら、大臣、好ましくないだとか、あってはならぬだとか、そうなるんじゃないんですか、この「検察の理念」からすると。それを聞いているんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/368
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369・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) この話の初めから個別の事案としてお尋ねがありました。そして、それを前提にお答えを局長から差し上げています。ですから、個別の事案がベースにありますので、ここで一般論で切り取ってみても切り取れない、もうベースは個別案件としての話が続いてきているわけでございますので。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/369
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370・鈴木宗男
○鈴木宗男君 ちょっと、じゃ、大臣、個別案件とは何の事件か教えてください。個別案件というのは何の事件です。教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/370
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371・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 御指摘された案件について、刑事局長が最終弁論でこういう発言がありましたということは確認をしてお答えを申し上げました。それ以上またここで、国会の場で個別の案件を私から申し上げるわけにはいかない。(発言する者あり)それは、鈴木委員から局長に、その最終弁論でこういうことが、こういう発言があったと、それで、公判廷なんだから調べろと、こういう御指示がいただいた。それは個別案件なんですよね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/371
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372・鈴木宗男
○鈴木宗男君 大臣、委員会はこれからも続きますから、時間がたてば明らかになってくる話ですから。
とにかく、大臣、一つ確認します。これがもし事実だったならば、あってはならないことであるという認識は共通ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/372
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373・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 「検察の理念」にそぐわないことはあってはならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/373
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374・鈴木宗男
○鈴木宗男君 いや、ですから、私が言っているのは、もしでいいです、もしで、もしでいいんです。もし、こういうことが事実であったならば、そぐわないじゃなくて、「検察の理念」からは外れていますねという認識、理解でいいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/374
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375・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) そのもしの中に、この案件、個別の案件性があるわけですよね、ベースに、前回からのこの質疑のつながりの中では。個別の話を前提にお話をされてきていますので、ここで、もしで全部それ切り取れるかというと、やっぱり誤解を招くと思いますので。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/375
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376・鈴木宗男
○鈴木宗男君 大臣、どう考えたって、大臣、無理がありますよ。私は遠慮しながら言っているんですから。インターネットで今、日本中に出ている、それを法務省が確認したんですよ、大臣。だから私は言っているんですよ。私は、裏付けのない話は何もしていないんです。
だから、どう考えても、大臣、「検察の理念」に書いていることとは違うやり方なんですよ、これは。だから、もしを私はあえて遠慮しながら付けて、もし事実であったならば「検察の理念」とは懸け離れたやり方ですねと。同時に、大臣の立場として何がしかの、そうなった場合は指示しなければいけませんね。当然出てくるでしょう。だから、あえて私は一歩引きながら大臣に聞いているんですよ。違いますか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/376
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377・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) その私の立場においては、この「検察の理念」をしっかりと検察庁また検察官に理解をしていただいて、これがしっかりと遵守されるような検察をつくっていくということが私の責任であり責務だというふうに思っております。
個々の案件について、それは申し訳ないんですけど、個別指揮権に触れてしまいますので、御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/377
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378・鈴木宗男
○鈴木宗男君 大臣、具体的な私が事件を指摘しているわけでもなければ、何という事件の裁判だとかということも言っていないんですよ。一般論として私は話をして、言っているんですよ。
そして、今日もですよ、例えば森委員の質問の際、村木さんの話出ましたよ。じゃ、大臣、村木事件は何だったんですか。今日、森委員が全部、村木さんが呼ばれて、取調べの様子から何から全部、貴重な議事録が出ていますよ。村木さん、何て言っています。作られたシナリオ、そして、否認すれば裁判では厳しい判決が出ますよとか余計なことを言っているんですよ。これ、大臣、本当に今日、森委員が出した資料の中、見ているんですかね、読んでいるんですかね。大変な不祥事だったのではなかったんですか。だから大臣も「検察の理念」という言葉よく使うんでしょう。それが実際は生かされていないんじゃないですか。
そして、検察は、今日、森委員が出した資料からでも、村木さんが言っていますよ。あなたの供述を変えさせるために言っているんだ、私の仕事があるんだ。読んでみてください、一回、きちっと。そういうやり方が今も、十年たっても十五年たっても続いているから、私は、これ駄目だ、変えなければいけないと思っているんですよ。密室で、上から目線で。そして、村木さんは言っていますよ、四回目で初めて保釈された、否認すれば出してくれないというんです。検察の反対意見書には、罪証隠滅のおそれあり、逃亡のおそれありって、漫画チックな反対意見だというんです。
同じことを今もやっているから、社会的な立場のある社長に向かって意見書を撤回させるだとか、わび状を出せと現に言っているんです。誰かがこれ、こういう場で指摘しなければ、これ、国会議員の皆さんも狙われたらあしたは我が身ですよ。私もそうだったんですから。参考人、証人になる人らは、こっちの狙いは鈴木だと、もし鈴木におまえたちが付くならば、この件でやるぞ、この件でやるぞって、枠はめちゃうんですから。だから、みんな会社を守るためだとか立場を守るために誘導されちゃっているんです。同じことが繰り返されているから私は言っているんですよ、大臣。大臣は、よく指揮命令系統、予断を与えちゃいかぬという話で言っていますけど、勘違いも甚だしい。
もう一回聞きます、大臣。もしこれが事実であったならば、大臣としての何がしかの責任は取りますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/378
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379・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) これは、私は、繰り返しになりますが、個別の案件に関わっている事柄について、検察の内部の捜査あるいはやり取り、そういったものに踏み込める、踏み込むことはできません。これは個別指揮権に触れてしまうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/379
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380・鈴木宗男
○鈴木宗男君 大臣、私は検察にどうのこうのすれと言っているんじゃないんですよ。大臣が責任を、大臣の言葉に責任を持つかどうかなんです。大臣、もしそういう事実があったならば責任を取るかと私は聞いているだけなんですから、命令指揮をすれなんて私は言っていないんですから。そこをしっかり言ってくださいよ。答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/380
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381・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 私の立場は、個別の案件に触れることはできません、そういう意味では。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/381
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382・鈴木宗男
○鈴木宗男君 いやいや、大臣、私は、大臣が判断する、責任取るかと、大臣個人を聞いているんですよ、個人の立場。私は、例えば、部下を信用しているからこういうことはない、だから私は何かあったら責任を取ると言うのは当たり前じゃないですか、言うとするならば。それ、何で答えられないんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/382
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383・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 「検察の理念」の趣旨徹底、励行、これには全力を尽くしたいと思います。この「検察の理念」をしっかりと検察庁が理解をし実行されていくこと、そのことに私は責任を果たしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/383
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384・鈴木宗男
○鈴木宗男君 じゃ、大臣、「検察の理念」がきちっと実行されていない、その場合は問題であるという認識はいいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/384
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385・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 要するに、個別の案件を……(発言する者あり)それは、先ほど申し上げましたように、「検察の理念」を守ってもらわなければ、それは大きな間違いであります、守ってもらわなければいけない、それが「検察の理念」、我々がいつも掲げているものです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/385
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386・鈴木宗男
○鈴木宗男君 これ、私は七分まで時間ありますから、まだ時間過ぎていませんから、委員長、勘違いしないで聞いていてください。
それで、大臣、もう一回聞きます。
「検察の理念」をしっかり守っていなければ、検察がですよ、守っていなければ、理念に関わることで、やり過ぎだとかあるいは言い過ぎだとかあったならば、問題だという認識は大臣もありますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/386
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387・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 「検察の理念」について私はあくまで申し上げているわけでありまして、それ以上のこの個別の事件に触れる部分については申し上げることはできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/387
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388・鈴木宗男
○鈴木宗男君 また次に移らせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/388
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389・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/389
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390・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
民法等の一部を改正する法律案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/390
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391・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) 御異議ないと認めます。
なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/391
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392・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後五時七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X00820240425/392
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