1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和六年五月九日(木曜日)
午前十時開会
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委員の異動
五月八日
辞任 補欠選任
石川 大我君 福山 哲郎君
五月九日
辞任 補欠選任
福山 哲郎君 石川 大我君
清水 貴之君 嘉田由紀子君
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出席者は左のとおり。
委員長 佐々木さやか君
理 事
古庄 玄知君
和田 政宗君
牧山ひろえ君
伊藤 孝江君
川合 孝典君
委 員
岡田 直樹君
北村 経夫君
山東 昭子君
田中 昌史君
森 まさこ君
山崎 正昭君
石川 大我君
福島みずほ君
福山 哲郎君
石川 博崇君
嘉田由紀子君
清水 貴之君
仁比 聡平君
鈴木 宗男君
国務大臣
法務大臣 小泉 龍司君
大臣政務官
法務大臣政務官 中野 英幸君
最高裁判所長官代理者
最高裁判所事務
総局総務局長 小野寺真也君
最高裁判所事務
総局家庭局長 馬渡 直史君
事務局側
常任委員会専門
員 久保田正志君
政府参考人
内閣府大臣官房
審議官 小八木大成君
こども家庭庁長
官官房審議官 野村 知司君
総務省大臣官房
審議官 三橋 一彦君
法務省民事局長 竹内 努君
法務省刑事局長 松下 裕子君
外務省大臣官房
参事官 長徳 英晶君
文部科学省大臣
官房学習基盤審
議官 浅野 敦行君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○民法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/0
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001・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日、石川大我さんが委員を辞任され、その補欠として福山哲郎さんが選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/1
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002・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
民法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、法務省民事局長竹内努さん外六名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/2
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003・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/3
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004・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) 民法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/4
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005・福山哲郎
○福山哲郎君 おはようございます。立憲民主党の福山哲郎です。
本日は、佐々木委員長を始め理事の先生方、法務委員会の先生方に御理解をいただき、また自民党、与党の国対にも御了解をいただいて質疑をさせていただきますことに、心から感謝申し上げる次第でございます。恐らく十数年ぶりの法務委員会での質疑でございますので、よろしくお願い申し上げます。
もちろん私は今日参議院議員として質問させていただきますが、この共同親権の法律に対しては当事者としても質問させていただきたいと考えていますので、法務大臣、またそれぞれの閣僚の皆さん、よろしくお願いしたいと思います。
身内の恥をさらすようですが、最も幼いときの私の記憶は、父の母への暴力を止めている自分の姿です。何度も母の背中に背負われ、逃げました。当時はDV防止法もありません。配偶者暴力相談支援センターもシェルターもなかった時代です。
逃げるたびに、父は母の実家で土下座をし、もう絶対に手を出さない、酒も飲まないと約束し、何度も何度もうそをつき続けました。逃げていた数日間がどれほど心穏やかだったか分かりません。また、十数度の入退院を繰り返しましたが、そのたびに医者や看護師さんに、良いお父さんじゃない、もうお酒も飲まないし、酒を飲みたくて飲んでいるわけでもないし、暴力を振るいたくて振るっているわけではないと言っておられますよ、大丈夫だと思いますよと言われ、そんなことは信じられない、あなた方はだまされていると子供心に思ったものでした。
治療を受け、酒の抜けた父は、病院帰りに酒を買い、数日のうちには、よくも俺をアル中扱いしたなと、いつものように暴れ出しました。ちゃぶ台返しは日常茶飯事でした。割れた茶わんやコップ、散らばった料理の残骸を片付けながら、いかに母と情けない惨めな思いをしたか、今思い出してもぞっとします。
行き着く先は、商売を失敗し、債権者から逃れるために、父は行方不明になりました。母と私と小学校一年の弟は、生活のため住み込みで働くことになりまして、何と父とは思い掛けなく別居状態になりました。金もなく貧乏で将来も不安でしたけど、あの父から離れて生きることがこんなにも心穏やかで前向きになれるんだと母と話し合っていたことを思い出します。
中退した高校の先生にだけはどこにいるかを伝えていましたが、父は必ず高校の先生に私たちの居場所を問い合わせる、そう思い、先生には行き先を伝えないでほしいとお願いをしていました。父は何度か高校に問合せに来たようですが、いよいよ先生に対して脅し文句で、父親に教えなければ学校を訴える等の発言をし出し、先生からSOSの電話が入りました。母は、これ以上迷惑は掛けられないと、先生に私たちの居場所を伝えていただいて結構ですと涙ながらに電話で話していたことが思い出されます。そのときから、いつ父が私たちのところに来るのだろうか、またあの地獄のような日々が始まるのかと暗たんたる気持ちになったことを覚えています。案の定、少したってから父は私たちのところに来て、何もなかったかのようにまた酒を飲み、暴れる毎日でした。父はインテリで外づらが良くて、周囲はそんな父の姿を想像できなかったと思います。
今回の共同親権の審議に際して、多くのDV被害者当事者の方、そして弁護士、支援者の声を聞きました。その声は本当に法務省に届いているのだろうか、与党にも届いているのだろうか、そして法制審議会は適切に運営されたんだろうか、そういう、申し訳ありませんが、疑問が湧いてきました。
法務大臣、例えば、今回の民法改正で、せっかく離婚が成立して子供と再出発をしているDV被害者の皆さんが、親権変更の申立てを受けるかもしれない、また加害者と向き合わなければならない、裁判の行方も分からない、お金も掛かる、そして、もし共同親権が認められたらと不安に思っている皆さんの気持ちは、法務大臣、御理解いただけますでしょうか。私は少しは理解するつもりです。
私は、法務省の官僚の皆さんに、説明に来られたときにこう申し上げました。親権の変更の申立てがあることを考えただけで、本当に、先ほどの私が申し上げた気持ちではありませんが、暗たんたる思いで不安になっている人たちがたくさんいます、そういう法律の審議だと。
じゃ、この親権変更の申立てを簡単にできない、そう簡単ではないみたいなことがあればいいけど、この審議の中で、衆参で、他も含めて、いろいろ不明な点が多過ぎる。是非、慎重審議をしていただきたいし、修正できる点は修正していただきたいし、与党にもそのことを是非御理解いただいて審議に当たっていただきたいと、まずは私から申し上げたいと思います。
まず、法務大臣、よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/5
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006・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) ありがとうございます。
先生御自身の苦しい御体験を語っていただきました。本当に迫ってくるものがあります。大変貴重なお話であり、真っすぐに受け止めたいと改めて思いました。そしてまた、全国に、先生が今代弁されたような不安を持っていらっしゃる、また苦しみを抱えていらっしゃる方々が大勢いらっしゃるということもおっしゃるとおりであります。それも改めて、我々法改正に携わる者、一員、我々もその一員として心にそれを重く置いて取り組まなければならない課題である、そのように改めて認識をさせていただきました。
このDVという大きな問題について、そこから家庭を、子供を、そして多くの場合母親を守っていくということを徹底して進める中で、しかし全体としては、両親が、つまり家族というものが親子関係とそして夫婦関係で成り立っているわけですが、夫婦関係が破綻したら自動的に、親子の縁が自動的に切れてしまうということもやはり問題があるというふうに考えておりまして、その両方を立てられる道筋を探してきているわけでございます。そのことも御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/6
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007・福山哲郎
○福山哲郎君 いやいや、離婚しても仲のいい、単独親権であってもちゃんと片方の別居親が協力をしながらやっている父と母もたくさんいらっしゃいます。全てが全て切れているわけではありません。その切れているのには切れている理由があるから問題だと私は申し上げています。
法務省にお伺いします。
これまでの法制審議会家族法制に関する部会で、全会一致でない議決が含まれている要綱案を策定、提出したことはありましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/7
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008・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
直近では、民事訴訟法のIT化の法案について、失礼しました、答申についての決議が全会一致ではございませんでした。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/8
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009・福山哲郎
○福山哲郎君 私は家族法制に関する部会でと聞いているはずです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/9
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010・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
家族法制に関する部会では、ありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/10
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011・福山哲郎
○福山哲郎君 国民生活に民法というのは本当に関わるんです。だから民法改正は法制審議会で何回も議論をしてやるわけです。
今回、多数決で決めました。初めてのことです。私は非常に遺憾に思います。加えて、パブリックコメントで当事者の声が多数切り捨てられました。審議会には当事者が委員としては参加できませんでした。
この数日間、環境省が水俣病の皆さんへのマイクを切ったということが大問題になっていますが、私は、ある意味でいうと、今回、パブリックコメントで当事者の意見、審議会にも委員が、当事者が入っていなかったことも含めて、そして初めて民法の改正の審議会の中で全会一致ではない状況をつくったということは、ある意味、環境省が水俣病の方のマイクを切ったのと、もっと大きな意味で今回同じようなことをしたんじゃないかというふうに思います。当事者の方はそういう思いでこの法案の審議を見ているということを是非分かっていただきたいと思います。
法務大臣、何かありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/11
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012・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) だからこそ、その反対された方々の考え方、思いを最大限にこの法案に取り入れていく、それが重要なことだと思います。衆議院での修正もそういう趣旨に基づいて行われているというふうに認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/12
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013・福山哲郎
○福山哲郎君 これまで日本は、協力関係のない父母が共同決定を行うのには無理があるという、これは大臣も委員会で認めておられますが、発言されていますが、極めて現実的な考え方に立脚して、離婚後に父母が共同で親権行使するのは無理だとしてきました。その結果、同居親が、基本的には女性が八割方ですが、九割かな、単独親権、監護権、同居親の氏を選択という法律の運用がされてきました。
しかしながら、今回、まさに親権に関して天地をひっくり返したような大きな改正をしようとしています。高葛藤の父母に関して、その子の利益のため互いに人格を尊重し協力しなければならないとして、共同親権を指定することが、同意がなくても、本人同士の同意がなくても裁判所が指定しているということ、指定するということになっています。
いいですか、離婚しようとしているんですよ。裁判にまで行っているんですよ。それが、一応いろいろ審議でも出ていますが、互いに人格を尊重し協力しなければならない、そのことが分かって協力し合えるんだったら、離婚で裁判まで行かないでしょう。もうそもそもこの前提が私は間違っていると思っていますよ。何でこういう天地をひっくり返したことを急にやるのか。
どうぞ、法務大臣、何かあれば。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/13
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014・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) まず、共同親権に至るステップの中で、虐待のおそれあるいはDVのおそれがある場合には、これは単独親権にしなければならない、決して共同親権にはならないわけであります。
そしてまた、父母の間の協力義務はございますが、尊重義務はございますが、現実にはそうはなっていない、なかなかコミュニケーションも取れない、子供の重要事項について話し合うよすががない、そういう御夫婦についても、これは共同親権の共同行使が困難であるという形になりまして、これも排除されます。共同親権になることはありません。そして、恐らく、まあこれは施行以降の話でありますけれども、合意ができないということは大きな、大きなこの共同親権の共同行使の障害になり得る、そういう判断は当然結果的には出てくるとも私は思います。
したがって、多くの場合は共同親権ではなくて単独親権の道を行くという形になりますが、しかし、一度子供の幸せというものをここに置いてみて、父母の間に置いてみて、裁判官が立ち会い、調停をする、もう一度考えてもらう、もう一度合意ができないかどうか話し合ってもらう、高葛藤を下げられないか、それを努力をしていただく。そのステップとして、最初から共同親権という道が閉ざされていれば、これはもう一本道になってしまいます。その高葛藤を下げるまでもなく一本道、もう結論出てしまいます。その過程を是非認めていただきたい、それが我々の思いでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/14
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015・福山哲郎
○福山哲郎君 そこの裁判に出ていくこと自身がどれほどの不安と不信なのかということについても御理解いただきたいと思います。
じゃ、逆に言うと、合意ができたものだけでもいいじゃないですか、共同親権は。私は共同親権で仲よくやるんだったらいいと思いますよ。だけど、それは何で裁判所が指定をしなければいけないのか、お互いがノーだと言っているのに、どちらかがノーだと言っているのに。そこのところがみんな不信なんです。
今法務大臣がほとんどが単独親権になると言っていただいたので少しは安心するかもしれないけど、そこのところについてはまだ疑義があるので、審議の中では深めていただきたいと思います。
それから、DVやそういった事例のときには必ず単独親権にすると今も大臣言われました。そのことは非常に大事なことだと思いますが、その必ずはどうやって担保するんですか。例えば、暴力センターからの資料とか支援措置があったりとか、そういったものは十分考慮の材料にはなるというふうに思っていいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/15
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016・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) そういった事情は当然考慮の対象になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/16
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017・福山哲郎
○福山哲郎君 これも二〇〇〇年代の前半から、面会交流原則の中で、DV事案があろうが何があろうが面会交流しなさいというのは家裁ではすごくあって、本当に当事者はこの家裁の調停委員や裁判官に対する不信感が募ったんです。今回も、裁判官がみんなこの議事録を読むとは思いません。そのときに、条文には共同親権が原則のように書かれている、まあ法務大臣は原則ではないと何度も言っていただいているのでそれは信じますけれども、ですけれども、本当にどういう運用をされるのか。
最高裁、これ必ず単独親権、裁判所の方に聞きますけど、裁判所は、必ずDV等の状況があれば単独親権にすると、必ずという言葉が入っていますが、このことについてはどうやって担保するつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/17
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018・馬渡直史
○最高裁判所長官代理者(馬渡直史君) まず、前半の現状の面会交流の話もいろいろ御批判があると認識しておりまして、これについては真摯に受け止める必要があるというふうに考えております。
面会交流同様、引き続き、法施行になった場合におきましては、各家庭裁判所におきまして、同居親、別居親、いずれの立場にも偏ることなく、子供や当事者の安全、安心といった観点について最優先に考慮して、公平中立な立場で適切な審理運営に努めていくべきものと考えておりまして、事務当局としても、一層適切な審理運営がされるよう、調停委員や家裁調査官の専門性向上に資する研修の実施などを含め、適切な支援を行ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/18
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019・福山哲郎
○福山哲郎君 それしか答弁できないのかもしれないけど、そういった誰でも言えるような答弁しているからみんな不安に陥るんですよ。
そうしたら、見事にこの間、五月の三日ですよ、最高裁の戸倉長官は、共同親権の今の法案について、家裁による親権者の判断が規定されていることについて、表面的なことだけではなく背後にあることをどこまで見られるかはかなり難しい課題だとおっしゃっているんですよ。最高裁長官、むちゃくちゃ正直に言っているんですよ。法文上、必ずですね、何かがあった場合に、DVのおそれ等があった場合には単独親権だと、必ずと書いてある。必ず、どうやって担保するんだと言ったら、今の事務方の答弁ですよ。でも、最高裁長官が、難しい判断だ、課題だと。
調停委員も調査官も裁判官も、みんな忙しいですよ。本当に一件一件の事情にどれほどコミットしてくれるんですか。さっき、面会交流の批判については真摯に受け止める。だけど数が多い。そのときに、本当にどの程度真摯に向き合って調べられるのか。
先ほど、支援措置の問題等も重く受け止めると大臣言っていただきましたけれども、支援措置があるということは、行政や支援者、相談センターがみんな、この子たちは危ないと。しかし、支援措置と保護命令は全然数が違うんですよ。そういう状況の中で必ず単独親権にすると。どうやって、法務大臣、これ担保するんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/19
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020・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 法務省としましては、まず、この立法趣旨、そして国会におけるこうした御議論を何としても裁判所と共有をしなければならないというふうに思っております。これを理解していただく、そしてそれを執行に移していただく。そのための努力を、しっかりと最大限の努力をしていかなければならないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/20
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021・福山哲郎
○福山哲郎君 それは本当に、口だけではなく、答弁だけではなく、法案が通ったらそれでいいんだじゃないんです。本当に命懸かっていますから。
もう一個大きな問題があるんです、今の法案の中で。
二〇〇一年にDV防止法が議員立法で制定されて二十年運営しています、運用しています。本当に、地域の中のセンターや相談員や自治体、頑張ってくれています。
DV防止法の制度設計は、とにかく命や体の危険の防止や安全を守ることで、保護命令制度をつくって、一時保護制度をつくっています。分かりやすく言うと、逃げることを大前提としています。
つまり、婚姻中ですから共同親権中です。それで、子供の居所について、逃げるということは移動します。これ、今までは逃げることは違法じゃないんです。子連れ別居は違法とは評価されないんです。しかし、今回改めてこの急迫の要件が入ったことによって、本当にこれで自分たちの子連れ別居、逃げることが違法だと言われないのか、ちゃんと正当化、今までどおりしてもらえるのか。これは、自治体も相談センターも支援者も弁護士も、みんなこのことの運用について不安に思っています。
ここは一切変わらないということを明言していただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/21
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022・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
本改正案におきましては、父母双方が、委員御指摘のとおり、父母双方が親権者である場合には親権は父母が共同して行うこととした上で、子の利益のため急迫の事情があるときは親権を単独で行使することができることとしております。
そして、子の利益のため急迫の事情があるときとは、父母の協議や家庭裁判所の手続を経ていては適時に親権を行使することができず、その結果として子の利益を害するおそれがあるような場合を指しております。
さらに、この急迫の事情に該当する場合としては、DVや虐待からの避難が必要であるような場合があると考えておりますので、考えておりますので、DVからの避難には支障がないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/22
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023・福山哲郎
○福山哲郎君 DVだけじゃないですよ。いろんな課題あるんですよ。
全く運用変わらないでいいですね。もう一回。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/23
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024・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
各行政、各府省庁がとられている措置がこの改正によってどのような影響を受けるかということにつきましては、一次的には各府省庁の解釈と運用によるものかと思いますが、基本的には今の現行法での運用と変わらないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/24
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025・福山哲郎
○福山哲郎君 各省庁の解釈とか、悪いけど、裁判所の判断だとか、全然調整できていないじゃないか。法務省は、何だ、法律作ったらあとは各省庁に判断任せるのか。そんな無責任な答弁しているからみんな不安になるんじゃないですか。
法務大臣、どうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/25
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026・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 子供を連れて居所を変える、DVの被害から逃げる、それは、DVのおそれがまさにあるから、現実にあるからそういう行動が起こるわけでありまして、その場合には、これはもうDVがあると、おそれがあるというふうにこの法体系の中では認定をされます。
したがって、そういうことも踏まえながら申し上げれば、今の取扱いが変わることはありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/26
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027・福山哲郎
○福山哲郎君 もう一点。これはおそれなんですね。DVのおそれなんです、書いてあるのは、答弁も。おそれというのは未来に対してなんです。DVがあったかどうかじゃないんです。だから僕はさっき、センターとか相談員、支援措置があったかどうかというのが大事かということを聞いたんです。私がさっきなぜ自分のことを言ったかというと、おそれというのは先のことだから、さっき言ったように、お医者さんも看護師さんも、お父さんしないと言っているから大丈夫よと言って退院させるんです。面会交流もそうなんです。大丈夫でしょうと、一回か二回しかなかったんじゃないんですかと言って面会交流に行くんです、行かせる、させられるんです。
つまり、今回おそれという言葉があることが実は非常に重要で、嫌な形で重要なんです、おそれというのは先の話だから。でも、過去においてDVなり支援措置なりがあったことというのは、当然考慮には入る、それは大きな要素だということでいいですね、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/27
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028・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 過去にそういうことがあるからこそ将来へのおそれも生じてくるという、それは表裏一体だと思います。したがって、先ほどの答弁のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/28
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029・福山哲郎
○福山哲郎君 僕は、大臣は、議事録全部読んでいますけど、大臣は非常に真摯に答えていただいていると思います。あとは、申し訳ないけど、法務省、しっかりやること、そこはお願いしたいと思います。
ちょっと具体的に、時間がないので、行きます。
衆議院でも、この参議院でも福島先生、衆議院で枝野先生が議題になりましたパスポートです。現状では、共同親権になって、法定代理人を書くところは一人分なので、共同親権が指定されて、離婚した後、共同親権の別居親がそのパスポートの発行を駄目だと言って、外務省に確認しました、不同意書というのを出したらパスポート出せないということになっている。外務省、これでいいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/29
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030・長徳英晶
○政府参考人(長徳英晶君) お答えいたします。
未成年者の旅券発給申請については、現状においては、委員御指摘のとおり、親権者である両親のいずれか一方の法定代理人署名欄への署名をもって両親の同意を代表するものとみなして申請書を受け付けております。
ただし、署名を行っていない一方の、もう一方の親権者があらかじめ子の旅券申請に対する不同意の意思表示を提示している場合がございます。この場合は、同親権者に改めて同意の意思を確認し、もし同意が得られる場合には旅券を発給するということにしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/30
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031・福山哲郎
○福山哲郎君 今は、現状は単独親権で、同居親が法定代理人として申請すれば事が足りるんです。
これ枝野さんも言われていましたけれども、修学旅行なんて、今は小学校でも中学校でも海外行きます。でも、これ急迫でもないんです。なぜなら、修学旅行というのは全部お金積み立てているから、一年とか二年積み立てている。だから急迫でもないんです。そうすると、法定代理人である親権者の別居親が不同意だと、俺は海外行かすのけしからぬと言ったら、パスポートこれ出ないんです。
法務省、それでいいんですよね。それは確定ですよね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/31
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032・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
まず修学旅行についてですが、修学旅行、学校行事の延長というふうに考えられますので、通常は監護及び教育に関する日常の行為というふうに考えられて、そこの点では単独行使が可能だというふうに思われます。
パスポートにつきましては、そこは外務省の扱いによるかと思いますので、法律の施行までの間に外務省としっかり協議をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/32
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033・福山哲郎
○福山哲郎君 ごまかしちゃ駄目だよ。国内の修学旅行は行けるよ。パスポート取って海外行こうと思ったら行けないんだよ、それは。何ごまかしているんだよ。そういうごまかしの答弁するから信頼感がなくなるんじゃないか。
外務省、今回の共同親権の法案が通って、外務省は子のパスポートの申請について運用を変えますか、変えられませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/33
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034・長徳英晶
○政府参考人(長徳英晶君) お答えいたします。
旅券法に基づく旅券の発給申請ということになりますけれども、これは公法上の行為であり、今回のその民法の改正案によっても、未成年者の申請について、現在のその不同意書を取り付けると、あっ、に基づくその審議をするという手続は、基本的に変更する必要はないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/34
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035・福山哲郎
○福山哲郎君 そう、外務省に任している。
そうすると、不同意書が出ている限りは、この子はパスポート取れないんです。ということは、海外の留学も行けないんです、修学旅行だけではありません。まさに今法務省の方言われたように、修学旅行というのは日常の教育の行為です。それでも行けなくなります。これは確定です。これがどこに子の利益なのかが全く分からない。
これは確定でいいですね、法務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/35
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036・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) これ、衆議院で修正をしていただきました条項の中に、明示的にはこの旅券法という言葉は出てきませんけれども、社会保障制度、税、そういう様々な支援措置ですね、あるいは関係法令に影響がある問題については、施行までの間にしっかりと関係省庁が連携して対応を取ることということが明記されておりますので、その修正法案の条項に従って外務省とも協議をし、十分検討したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/36
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037・福山哲郎
○福山哲郎君 外務省、変えないと言っているので、それは無理です。じゃ、逆に言うと、外務省と整えて修学旅行におけるパスポートはオーケーだというまでこの法案採決しちゃ駄目ですよ、それは。そういう話になりますよ、外務省は変えないと言っているんだから。それを事前に調整していない法務省の責任ですからね。
次に行きます。
高葛藤で裁判所が共同親権を決定した場合、子供の氏の選択どうなりますか。今は、単独親権、監護権があって同居親が決まりますので、そのときに即日、氏は変更可能になります。ですから、同居親と子供の姓は一緒の形でいきますが、高葛藤の状況で裁判所が共同親権決定した場合、子供の氏の変更はどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/37
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038・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 本改正案では、子の氏の変更について父母の意見が対立したとき、これ両方とも、父母の双方が親権者であり、結果、父母の双方が法定代理人であるという状況の下でのことでございますが、父母の意見が対立したときは、当該事項に関する親権行使者の指定の裁判を離婚訴訟の附帯処分として申し立てることができ、そのような申立てがあった場合には、離婚判決において親権行使者が定められることになります。
その際には、裁判所において個別具体的な事情を踏まえて判断されますが、一般論として申し上げれば、親と共同生活を営む子の社会生活上の必要性等が考慮され、加えて、必要に応じ家庭裁判所調査官を利用して子の年齢及び発達の程度に応じて子の意見、意向等が把握され、考慮されるものと考えられます。
そうすると、審理が長引くのではないかという御指摘があろうかと思いますが、これは、離婚訴訟の資料とこの特定親権行使者の指定の判断の資料は似通ったものが多くございまして、附帯処分の申立てによって審理が長期化するものではないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/38
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039・福山哲郎
○福山哲郎君 今回、附帯処分の中に親権行使者を追加をして、人事訴訟法を変えられました。ですから今、今の法務大臣の答弁のとおりだと思いますが、例えば共同親権者が両方で、戸籍筆頭者は、当然日本の場合九割が男性の氏名、男性の氏ですので、例えば両方共同親権があって、男側が戸籍筆頭者、そして女性側が戸籍筆頭者ではないと。そのときに、女性側は当然、同居親として氏を変えてくれと言う、いやいや、共同親権なんだから、うちの戸籍からは抜かないよと男性が言う、お互いぶつかる。この場合に、親権行使者は裁判所が決定するんですけど、どうやって決定するんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/39
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040・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
裁判所の考慮要素ということでお尋ねかというふうに思われますが、一般論として申し上げますと、親と共同生活を営む子の社会生活上の必要性というのが問題になってまいりますし、若しくは、必要に応じてお子さんの年齢、発達の程度に応じましてお子さんの意見や意向等も把握されて、考慮されるものと考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/40
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041・福山哲郎
○福山哲郎君 つまり、親権行使者の決定から裁判争われることがあるということですよね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/41
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042・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
子の氏に関しまして親権者同士の意見が一致しないということであれば、親権行使者の指定の審判の申立てをしていただくか、若しくは離婚訴訟において、先ほど大臣が御答弁なされたとおり、附帯処分として親権行使者の申立てをしていただくということになろうかとは思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/42
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043・福山哲郎
○福山哲郎君 でしょう、親権行使者の申立てするんでしょう。
例えば、意に反した人が親権行使者になったとします。そうしたら、その親権行使者は、当然男性だった場合には戸籍から抜かないと、女性はそれが納得できないとなれば、その判断に対して審判もう一回しなきゃいけないんですよね。審判求めなきゃいけないですよね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/43
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044・竹内努
○政府参考人(竹内努君) 家庭裁判所、一審ということで審判がなされたという前提であれば、その審判に対して抗告をするというような手段で争うことができると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/44
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045・福山哲郎
○福山哲郎君 つまり、この場合は、父、母の氏の選択が別の場合には延々と争いが続くんですよ。今はそんなことないんですよ。これ、どこが子の利益なんですか。これ、何で子供を真ん中に置いて両方が氏名を選択し合うのを子供に見せるんですか。
それ、今、子供の意見聞くと言いましたね。子供の意見聞いたら、それそのまま通るんですか。これ、どうするんですか、氏。だって、学校生活やらなきゃ、入らなきゃいけない、戻らなきゃいけない。これ、延々と審判が続くんじゃないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/45
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046・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
まず、親権行使者の指定の審判の中で、先ほども申し上げましたとおり、親と共同生活を営んでいらっしゃるお子さんの社会生活上の必要性というのがかなり重要な要素になってくるのではないかというふうに考えます。お子さんの年齢と発達の程度に応じてお子さんの意見も考慮されるということですので永遠に争われることにはならないのかなというふうには思いますし、一般論として申し上げますと、父母の一方から父母相互の人格尊重義務に反するような主張がなされた場合には、親権喪失ですとか親権停止の審判等においてその違反の内容も考慮され得るのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/46
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047・福山哲郎
○福山哲郎君 その人格尊重義務に違反するようなのだったら、裁判所が共同親権指定しなきゃいいじゃない、最初から。つまり、高葛藤な父、母に裁判所が共同親権を指定すること自身が私は制度設計として間違っていると思いますよ。
私たちは実は、衆議院で若干の修正をしていただきましたけれども、それは与党も他の野党も理解をいただきましたけど、もう少し本質的な修正しなきゃいけないと思います。これ、監護者を決めていたら、多分、氏の選択ってしやすいと思います、監護者がなればいいわけだから。さっき局長が言ったことと同様の趣旨ですから、監護者が決まればもっとはっきりします。
それから、父母の相互の合意がない共同親権を裁判所が認めることは、基本的にはやめた方がいいと思います。なぜお互いが合意しなくて高葛藤なのに裁判所が上から共同親権ですと決めるのか、これは全く分かりません。先ほどの法務大臣の趣旨からいうと、それはお互いが話し合って共同親権だって決まるところはいいけれども、何で高葛藤なところでそういったことをするのか。それが尊重義務だとかがあるからだって、それはちょっとお花畑の議論にし過ぎです。そんなうまくいくものではありません。
それから、意見聴取も、子供の人格尊重があると言いますが、人格尊重は人格を尊重する側の主観ですから、逆に言うと、父も母も、お互い子供のことを尊重しているから言っているんだと言うに決まっています。なぜ子供の声を直接聞こうとしないのか。これも私は重要な修正項目になると思います。
私は共同親権全部を否定するわけじゃありません。お互いが高葛藤でなくて協力し合えるんだったら共同親権でもいいと思いますが、高葛藤なほど実は子供の利益を害する。先ほどのパスポートのように、拒否権と言われている方もいらっしゃいますが、私は、片方がある意味でいうと邪魔をしたり嫌がらせをする道具を与えることになると思います。こんなことをして本当に子供の利益になるのかと思います。
実は私、もっといっぱい聞きたいこと今日あるんです。先ほど大臣言われたところでいえば、父と母が協力して、協力をすることに対してある程度評価をするというような話がありましたが、私は、二人親がそろって協力をして子供を育てられればいいと思うけれども、いいと思うけれども、それが自明、それが全てうまくいくとは思えない、それが全てうまくいくわけではないと思います。今、一人親で育てている人たちが百二十万人います。その人たちも頑張って子育てをしている。二人で決めることが全て善だというのは自明ではありません。
この法律はそういうことを前提に、答弁の中で何度も出ているけど、そのことに対しても私は非常に違和感があります。一人で今育てているたくさんの皆さん、それから、日本が戦後七十年間単独親権でやってきたことの成果の中で立派に子育てしている人たちもたくさんいるはずです。そのことを劣位に置くような答弁は、やっぱりちょっと私は看過できないと思います。
この審議、本当にたくさんのまだ疑問点とか明らかにしなければいけない点があります。先ほど局長が少し言われた急迫の問題もそうです。時間の概念なのか事象の概念なのか、これも正直言って明らかになりません。こういったこともはっきりしていただかないと、先ほどから申し上げているように、DVやそういった事象の人たちはみんな不安でいます。
どうかそういう人たちが不安が解消できるような国会の審議にしていただきたいと思いますし、無理やり審議を採決する、審議を打ち切って採決をするとか、無理やりやるようなものではありません。もっと言えば、これはちょっと野党的に嫌みを言うと、支持率が二〇%か二五%の内閣が無理やりやるような法案ではないと僕は思います。
民法の改正というのは本当に、与野党共にある意味了解の上で、そして当事者が、みんなが安心できる状況にしないと、この戦後の大改正の、家族の基が変わるような、天地ひっくり返したような改正については慎重にお願いしたいと法務委員会の先生方、委員長にお願いをして、私の質問を終わりたいと思います。
今日はありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/47
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048・福島みずほ
○福島みずほ君 立憲・社民の共同会派、社民党の福島みずほです。
福山さんの質疑でも出てきましたが、一九九六年、民法改正案、選択的夫婦別姓を含めたものが法制審で全会一致で決められ、国会に上程をされていません。それからもう三十年になります。様々な意見があるとかいうふうに言われて、まだ上程、成立させてないんですね。ところが、今回の民法改正のこの共同親権は、法制審で反対意見が出たにもかかわらず、あっという間に国会上程ですよ。この差は一体何なんですか。
選択的夫婦別姓は、被害を被る人、具体的に被害を被る人はいません。でも、この共同親権は、先ほど福山さんの質問でも明らかなように、命に関わることがいっぱい起きるかもしれない。こっちの方が被害が起きるんですよ、具体的に、具体的に。危ないんですよ。にもかかわらず、なぜこっちはこんなにスピードアップでやるんですか。ある人は、男の痛みに敏感で、女の痛みに鈍感と言いました。私、それ当たっていると思います。この差は何なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/48
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049・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
今回の民法改正案は父母の離婚後の子の養育の在り方に関するものでございますが、父母の離婚後の子の養育の在り方は子の生活の安定や心身の成長に直結する問題でありまして、子の利益の観点から大変重要な課題であると認識をしておるところでございます。したがいまして、本改正法案が時期尚早であると考えてはおりません。
他方で、子の利益を確保するためには、DV及び児童虐待等を防止して安全、安心を確保することも重要になってまいりますので、その点にも配慮した改正法案の中身として御提案を申し上げているものです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/49
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050・福島みずほ
○福島みずほ君 論点がいっぱいあるじゃないですか。子の氏の変更だって、今単独親権でできるのに、できないんですよ。新しく結婚した人と子供と養子縁組しようとしたって、できないんですよ。子供のパスポートを取って修学旅行に行かせようと思っても、駄目って言われたらできないんですよ。子供の学校の選択も、引っ越しをすることも、進学も、これ共同親権ですから、別居親が反対したらできないんですよ。だから問題でしょうということをさんざん議論していて、問題生煮えですよ。共同親権も、不同意共同親権、認めるんでしょう。これ間違っていますよ。
という中で、これだけ問題があるのにぱぱっと上程、反対意見があるのにして、何で選択的夫婦別姓は、多様な意見が社会の中にありますからと言われて、棚上げなんですか。これだけこの法務委員会の中でも議論がある中で、社会の中でも議論がある中で、被害が起きるじゃないかと具体的に言われている中で、何でこれが上程されて議論されるんですか。理解できません。どっちが多様性なんですか。不同意親権なんて選択じゃないですよ。選択的夫婦別姓は選択ですよ。この差があるのに、これひどいと思いますよ。
女の人が困っている、困っている、困っている、困っていると叫び続けて三十年以上、国会上程されない。女の人の多くがこれ困るよと言っている、こんなことあったら大変だと言っている。その声、切り捨てているじゃないですか。参考人質疑で木村草太さんや山崎さんが言ったとおりですよ。これでいいんですか。私は間違っているというふうに思います。
それで、急迫の事情なんですが、前回の質問で、父母の協議や家庭裁判所の手続を経ていれば適時に親権を行使することができない、その結果として子の利益を害するおそれがあるような場合というふうに言いました。で、私が子供にとって必要かつ相当というふうに変えるべきだと言ったら、局長は拡大することができないとおっしゃいました。
ところで、局長は一方で、夫婦のいさかいですとか、あるいはけんかのような事情で感情的問題が発生していて、そのために適時の親権行使ができないというような事情があるような場合にもこれに当たると。つまり、DV、虐待の場合だけではないと言っているわけです。いさかいがあったり、それからけんかがある事情で感情的問題があれば、子供を連れて出るということができると言っているわけですよ。時間の概念じゃないんですよ。時間の概念じゃなくて、DV、虐待の場合だけに、局長、あなたは限定していないですよ。
私は、拡張しろと言っているわけではないんです。でも、急迫の事情という法律の文言と、この国会の答弁ですね、このとおりやってくれたらいいですよ。夫婦のいさかいですとかけんかのような事情で感情的問題が発生していて、そのために適時の親権行使ができないという事情があれば、女性は子供を連れて出るんですよ。そこでいさかい続けることが大変だから、自分が産んで育てて、夫はほとんど育児に関与しない、子供を置いていくわけには、ネグレクトするわけにはいかない、だから子供を連れて出るんですよ。これは急迫の事情でいいんですね。
私が心配しているのは、条文が急迫の事情だったら、いや、DV、虐待の場合だけじゃなくて、いさかいやけんかをしていて感情的問題が発生していて適時の親権行使ができないという事情がある場合は当たりますと言っているんだけれど、このとおりにやってくれますねということなんです。今まで女性は、夫がいないときや、いろんなときや、子供を連れて家を出ました。それしか方法がないからですよ。身を守るため、あるいはそこで物すごいけんかをしたくないから、怖いからなんですよね。DV、虐待、場合だけじゃないんです。
大臣、急迫の事情という文言を家庭裁判所の裁判官がこのようにちゃんと理解して、今までどおり子供を連れて出ていけますよというふうに判断してくれるということでいいんですね。もしそうであれば、条文変えるべきじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/50
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051・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 裁判所の裁判官も、ここ法務委員会での国会での議論、これは十分注視をし、また理解をしてくれるものと思いますし、法務省もまた、それだけのしっかりとした努力をしたいと思います。そんな、そこが一番大事なところだと思います。
ここでの立法意思が執行にちゃんと写し取られるかどうか、そこ非常に大事なところでありますので、そういう問題意識を持って法務省も最大限、最大限努力したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/51
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052・福島みずほ
○福島みずほ君 大臣、だったら修正しましょうよ。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/52
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053・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 文言としては十分な、相当な表現になっていると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/53
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054・福島みずほ
○福島みずほ君 裁判所、これ急迫の事情とありますが、DV、虐待、場合だけでなく、夫婦のいさかい、けんかのような事情で感情的問題が発生していて適時の親権行使ができない事情、これも当たるということでいいんですね。これ一番重要なことだと法務大臣はおっしゃったので、子供連れて出れますね、夫と対立していたら。いいんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/54
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055・小野寺真也
○最高裁判所長官代理者(小野寺真也君) お答えいたします。
事務当局といたしましては、個別の事案についてどのような判断をするのかということについてお答えすることは困難でございます。ただ、一般論として申し上げますと、今般の家族法が改正された場合に、各裁判所において改正法の各規定の趣旨、内容を踏まえた適切な審理が着実にされるようになることが重要であるというふうに考えているところでございます。
最高裁といたしましても、例えば今回のいろいろな議論等も踏まえまして準備を進めていくということになります。引き続き、研修等も含めて、裁判所としても対応してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/55
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056・福島みずほ
○福島みずほ君 夫婦のいさかいとかけんかのような事情で感情的問題が発生していて、そのために適時の親権行使ができない。これはやっぱりできないんですよ。だから子供を連れて出ざるを得ないんですよ。
今朝の「虎に翼」で、梅子さんが夫に、離婚をする、おまえは一生子供に会えないと言うわけですよね。どれだけ女性たちが、子供を奪われることで離婚を諦める、あるいは子供を置いて離婚せざるを得なかったか。金子みすゞさんは、夫に親権やらないと言われて、絶望して自殺をしたというふうに言われています。
そんな女性が多かったし、それから、本当に連れて出るということができないと、子供置いて出れないですよ。でも、そうすると、結局この法案って、離婚させない法案になっちゃうんですよ。我慢しろと、おまえは勝手に子供を連れて家を出られないんだから、だから、それを狭めれば我慢しろということになっちゃって、離婚防止法案になっちゃうんですよ。それを避けたい。ですから、答弁でここまで言っている、いさかいやけんかのような事情で感情的問題が発生していて、そのために適時の親権行使ができない。だったら、女性は、まあ男性の場合もあるでしょうが、子供を連れて出てもいいということをもっともっと徹底する必要があると思います。
それで、行政、学校、DV支援の現場が萎縮しちゃうんじゃないかということをとても心配しています。
今日は、総務省、男女共同参画局、文科省にも来ていただいております。
共同親権導入で、相談機関が子の居所の共同親権行使に反することを幇助していると訴えられる可能性、実際訴えられるわけですね、支援措置で訴えられる。支援措置の現場の住民票など、不交付措置が共同親権を理由に訴えられることが増加することが予測される。
行政の被害者支援の措置は共同親権とは直接関係がなく、共同親権を理由に女性相談員や支援措置の現場が別居親から責任を問われることがないということでよろしいでしょうか、総務省。そして、これを現場に周知する必要性についてどう考えるか。現場に誤解に基づく萎縮が起きればDV避難に支障が出ることになります。通知等を出すなり徹底していただきたい。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/56
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057・三橋一彦
○政府参考人(三橋一彦君) お答えいたします。
住民基本台帳事務におきましては、DV等の被害者の相手方が住民票の写し等の交付等を不当に利用して被害者の住所を探索することを防止するDV等支援措置を実施をしております。本措置の実施に当たりましては、専門的知見を有する警察、配偶者暴力相談支援センターなどの相談機関から支援の必要性を確認することといたしております。
DV等を受けた申出者が子供とともに同一の住所に避難している場合に、申出者の相手方が当該申出者の住所を探索する目的で当該子供の住民票の写しの交付の申出などを行うおそれがあると認める場合には、当該子供についても支援措置を実施することとしております。
このように、現行の民法における婚姻中の共同親権の場合におきましても、申出者の相手方への住民票の写しの交付制限などのDV支援措置は行われているものでございまして、今回の民法改正により離婚後に父母双方が親権者と定められた場合でも、DV等支援措置の必要性が認められる場合にはこれを実施するという基本的な考え方に変更はないものと考えております。
また、申出者の相手方が交付制限等を受ける場合につきましては、住民票の写しなどの不交付決定に際して審査請求や処分の取消しの訴えが提起されることがあり得るものと考えておりますが、この場合におきましては、当該DV支援措置等が適切に運用されたか否かが問われることとなると考えております。
したがいまして、本措置の実施に当たりましては、専門的知見を有する警察等の相談機関からの意見聴取による支援の必要性の確認が重要でございまして、この点も含め、総務省といたしましては、今回の民法改正後のDV支援措置等の取扱いに関し、各自治体に対して必要な助言等を行い、制度の適正な運用に努めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/57
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058・福島みずほ
○福島みずほ君 今までと変わらないということで、通知を徹底してくださるようにお願いいたします。
文科省ですが、共同親権、別居中あるいは離婚後の共同親権の場合に、学校に例えば転校させるなとか、俺に教えろとか、学校に来てあるいは転居先を教えろとかいうことが、よく学校現場に行くことがあります。
文科省としては、今回法律改正が仮に行われたとして、子供を守る立場から、幾ら共同親権の親が来ても、それを、ちゃんと子供を、言わないでくれと言われたら守るということでよろしいですね。でも、学校現場は怖いんですよ、支援現場も、訴えられるから。訴えられるということに耐えられないんですよ。俺は共同親権だ、訴えてやるぞと言われると怖いんですよ。文科省、どうやって守りますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/58
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059・浅野敦行
○政府参考人(浅野敦行君) お答えいたします。
別居親に対する子供の個人情報の提供については、個人情報保護法等の関係法令に基づいて適切に対応する必要があります。また、学校は、被害者からDV避難について申告があった際には、情報管理を徹底することが求められます。
今般の民法改正案においては離婚後の親権者に関する規定が見直されるものと承知しておりますが、共同親権となり離婚後に父母双方を親権者とする場合においても、御指摘がありましたように、子供の個人情報の提供については、婚姻中の父母が別居している場合における現行民法下での取扱いと基本的に変わるものではないと認識しております。
他方、学校は、父母間の協議の状況や家庭裁判所の審判等の結果等、父母間の関係について正確な情報を得られる立場にないことから、現在においても、裁判所や警察、教育委員会などの関係機関との相談や情報収集を行い、個別のケースに応じ適切に対応していると承知しております。
文部科学省といたしましては、共同親権の導入後も学校においてこれまでと同様に適切な対応が図られるよう、法務省を始めとした関係府省とも連携の上、今般の法改正の趣旨等について、教育委員会等を通じて丁寧な周知を図ってまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/59
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060・福島みずほ
○福島みずほ君 男女共同参画局、DVの担当ですが、実際支援をしている現場が、訴えられるんじゃないかとか、萎縮しない、この点についての、どう対応して、どう指示を出し、どう通知を出すか、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/60
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061・小八木大成
○政府参考人(小八木大成君) お答え申し上げます。
各地域においてDV被害者への相談窓口となっている配偶者暴力相談支援センター等の相談機関におきましては、相談員等がためらうことなく必要な支援を提供していく必要があると考えております。これまでも、婚姻中のDV被害者やその子に対して、相談支援機関が一時保護等を含め必要な支援を提供することが行われてきたところでございまして、このようなDV被害者支援に係る業務におきまして適切に対応されている相談支援機関や相談員等の方々の支援につきましては、今般の改正後においても、例えばそれが違法であるといった判断がなされるようなものではないというふうに考えております。
また、今般の改正につきましては、DV被害者の避難や相談支援機関等による支援に支障が生ずるものではないといった説明がこれまでも法務省からなされていると承知しております。
法案が成立した際には、こうした改正の趣旨や内容につきまして正確な理解が得られ、DV被害者支援の活動に支障が生じることがないよう、法務省とも連携し、配偶者暴力相談支援センターなどに対し適切に周知してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/61
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062・福島みずほ
○福島みずほ君 裁判所の体制について改めてお聞きをします。
今、家庭裁判所はやっぱりとても忙しくて、弁護士に聞いても、二か月後に期日が入るとか、なかなか入らないんですよ。これ、実際、共同親権者同士で、子供の髪の色を染めるかどうか、いや、校則にあるから問題だと言うと、共同親権の対象というふうに答弁していますね。子供の髪を染めるかどうかまで家庭裁判所で協議することになるわけですね。
家庭裁判所、この体制はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/62
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063・小野寺真也
○最高裁判所長官代理者(小野寺真也君) お答えいたします。
本法案が成立いたしまして施行ということになりますと、裁判所に期待される役割はこれまで以上に大きくなるほか、新たな裁判手続等が創設されるということになりますので、家庭裁判所に申し立てられる事件数の増加も見込まれるということについては裁判所も十分認識しているところでございます。裁判所としましては、これまでも、適正かつ迅速な事件処理を安定的に行うために必要な人的、物的体制の整備及びこれに必要な予算の確保に努めてきたところでございます。
裁判官につきましては、例えば平成二十五年以降は、民事訴訟事件の審理充実を図るほか、家庭裁判所、家庭事件処理の充実強化を図るために、事件処理にたけた判事の増員を継続的に行ってきたところでございます。また、各裁判所におきましても、家事事件を担当する裁判官等を増員するなど、事件数増も見据えて、家事事件処理のために着実に家裁の体制を充実させてきたところでございます。
家裁、裁判所に期待される役割を今後とも適切に果たせるように、裁判官や調停委員、家庭裁判所調査官に対する改正法の各規定の趣旨、内容の的確な周知や研修の実施のほか、必要な人的、物的体制の整備及び予算の確保に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/63
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064・福島みずほ
○福島みずほ君 子供が手術をするかどうか、パスポートを取るかどうか、全部家庭裁判所に行ったら、もう本当に大変な状況になると思います。
裁判所全体の二四年度当初予算は約三千三百十億円、国家予算の僅か〇・三%を下回ります。過去最高額は二〇〇六年度の三千三百三十一億円。裁判所の予算のうち八割以上が人件費。施設整備に回せません。六百棟ある裁判所の百八十九棟で耐震不足。日弁連は、二階建て以上でエレベーターがない建物が昨年七月時点で二百四十六というふうに言っています。
また、支部で裁判官がいないところもかなりあります。福岡家裁六支部のうち四支部は裁判官が常駐していません。また、地方では、地裁と家裁と両方裁判官が兼ねるというところもあります。かくかくさように、いないんですよね、裁判官が。それでできるんですかと。
最高裁はデジタル化をとても言っています、長官も。二二年度に約七億円、二四年度は約五十六億円。しかし、デジタル化で解決するところもあるでしょうが、むしろ丁寧に話をし、両方が紛争を抱えていれば、丁寧にやっぱり調整するためには、直接会うとか、実はカウンセリングとか、いろんなことが物すごく必要だと考えています。こういう状況、国家予算の〇・三%を下回る、三権分立で余りに低い。
実は、私たちは裁判所を応援したいんです。この予算、駄目でしょう。そして、裁判官少な過ぎるでしょう、対応できないでしょう。期日が入らないでしょう。耐震指針も駄目でしょう。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/64
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065・小野寺真也
○最高裁判所長官代理者(小野寺真也君) 裁判所といたしましては、これまでも、事件動向その他もろもろの事情を総合考慮しながら、自律的に裁判所の人的体制、物的体制の確保に努めてまいったところであり、必要な予算を確保してまいったところでございます。
今後とも、必要な予算あるいは人員の確保に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/65
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066・福島みずほ
○福島みずほ君 今日の答弁で、まさしく、いさかいとかけんかのような事情で感情的問題が発生して適時の親権行使ができない場合は急迫の事情だということを改めて確認をさせていただきました。このことをやっぱり徹底して、子供を連れて出れるんだということ、今までどおり、ということを徹底する必要があると思います。
それから、今日、大臣は、合意ができない場合は共同親権にならないだろうが、しかし、共同親権を始めから閉ざすんじゃなくて、その過程が大事だとおっしゃいました。私は、福山さんと一緒に、その過程が地獄だと思いますが、しかし重要なことは、合意ができないことは共同親権にならない、ならないだろうということなんです。
今日は、文科省や外務省や、それから男女共同参画局に来てもらいましたが、そもそも支援措置をやっていたり、DVだと逃げている場合やいろんな場合、親権、共同親権しちゃ駄目ですよ。一方が、あの人は嫌だ、とにかく話ができない、DVはないけれども、がみがみ言われて話ができないと思ったら、やっぱりこれは共同親権できないんですよ。一方が嫌だと言っているんだったら共同親権はあり得ないと。不同意共同親権というのは実際はなくなると、ない。家庭裁判所もそういう場合、無理やり説得して共同親権に持ち込むのでなく、共同親権を認めないということで徹底したいと。
本来はこのことを明らかにするために修正すべきだということを強く申し上げ、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/66
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067・川合孝典
○川合孝典君 国民民主党の川合です。
ここまでの質疑を聞かせていただいておりまして、いろいろと思うところが私もありました。私自身の基本スタンスとしては、今のこの民法改正に当たって、賛成をされる方、また反対をされる方、双方が同じ論点で賛成、反対を主張されています。その理由が何かというと、大切な考慮要素の部分が明文化をされていないということ、一体何を基準に裁判所が物事を判断するのかということが全く見えてこないということが、賛成派、反対派、それぞれの皆さんの不安につながっているんだと。
したがって、この問題をきちんと解決しない限り、安心して法改正後のいわゆる運用というものに国民の皆さんが信頼を置いていただくことができない、このことだけは冒頭申し上げた上で質問に入りたいと思います。
実際に、いわゆるその共同親権の在り方を議論するに当たって、この離婚される方の九五%以上の方が協議離婚若しくは調停離婚をされているという意味でいきますと、要は、最優先に対応すべきは、DVから逃げていらっしゃる方をどうやって守っていくのかということ、身の安全をどう守るのかということ、そして、そのことと同時に、いわゆる子の連れ去りということによって、そのことで大変な痛手を負っていらっしゃる方々、こうした方々に対してどうこの改正法が適切に対応できるのかということ、このことが問われているんだろうというふうに私は思っております。
その上で、改めて今回の法改正に当たっての基本的なスタンス、大臣に御確認させていただきたいと思いますが、男女共同、失礼、男女雇用機会均等法が施行された、私、実は第一世代ということでありまして、やはりそれ以前とそれ以降とでかなり意識は変わってきているのが今の社会情勢だと思います。同時に、最近の四十代未満の若い方々は、育児に対するいわゆる夫婦の参画というものも、少しずつですけれども、進み始めている。そうした状況を踏まえて、子は母が面倒を見るものというステレオタイプの考え方が徐々に変わってきているのも、これも事実だと思います。
そうした状況も踏まえて大臣に御質問させていただきますが、この民法が改正された後、裁判所において親権や子の監護に関する判断を行う際、性別による優越は存在しないという理解でいいのかどうか、このことをまず冒頭確認させてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/67
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068・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 親権や監護に関する判断を行うに当たっては、様々な事情が総合的に考慮をされ、したがって、性別のみに着目した優越はないと認識をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/68
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069・川合孝典
○川合孝典君 激しいDVの被害から逃げていらっしゃる奥さん、お子さんということももちろん深刻な問題でありますが、同時に、いわゆるDVによる離婚によって自殺される方、そのことを理由に自殺される方の自殺率は、実は男性の方が三倍ぐらい高いというデータも実は出ております。したがって、これは男性だからとか女性だからとかいう問題ではなくこの問題とは向き合わなければいけないんだと私自身は考えております。
次に、DV被害者が実際に御懸念されていることについて幾つか確認をさせていただきたいと思います。
先ほど来の質問とも関連する話になりますが、共同親権となった場合に、DVの被害者にとっては、居どころの指定、それから様々な親権行使に当たっての別居親の同意といったものが求められます。したがって、例えば住民票の支援措置などを受けて安心して暮らしていらっしゃった方々が、このことによって別居親に住所が知られて押しかけられてしまったり、また、その結果として子供の連れ去りが起こってしまうといったようなことに対する懸念の声が寄せられているのもこれまた事実であります。
こうした事態が生じないように何をするべきなのか、実際にこのような事態が生じた際の対応はどういうふうにするのかということについて、政府参考人の見解を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/69
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070・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
本改正案は、父母の一方が他の一方から身体に対する暴力その他の心身に有害な影響を及ぼす言動を受けるおそれがあるなど、父母が共同して親権を行うことが困難なときは単独親権としなければならないと定めております。また、父母相互の人格尊重義務や協力義務の規定を新設するとともに、親権は子の利益のために行使しなければならないことを明らかにしております。そのため、離婚後の父母双方が親権者となった場合におきましても、別居の親権者が同居親による養育に対して嫌がらせのような不当な干渉をすることを許容するものではありません。
こうした法改正の趣旨や内容が正しく理解されるよう、適切かつ十分な周知に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/70
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071・川合孝典
○川合孝典君 例えばなんですけれども、別居親が悪意を持って諸手続に拒否権を発動する、リーガルハラスメントも含めてということでありますが、そのことによって子供の日常生活が脅かされるような事態、先ほどの質問にもありましたけど、パスポート取れないですとか、そういった問題も含めて、そういう問題が生じないようにするために子供の利益を守るということがその大前提としてあるわけでありますから、子供の日常生活への悪影響を回避するということについてのその判断基準というものを明示する、明確化するべきなんじゃないのかと私は思うんですけど、大臣、この点についてどう思われますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/71
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072・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 今回の改正は、子供の利益のため、そしてそのために親の責務を定める、その責務の中に親権は子の利益のために行使しなければならないと明示をする、こういう形で構成をされています。
嫌がらせのような、拒否権のような、そういうその使われ方をすることに対する御懸念でありますが、これは本当にきめ細かく対応して子供を守ってやらなければいけませんけれども、種々様々な状況が考えられると思います。様々な出来事、場面、また経緯、いろんな場面に一本で基準を、物差しを当てるということは非常に困難だと思いますので、蓄積をしていく、経験値を蓄積していく、そういう努力が必要だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/72
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073・川合孝典
○川合孝典君 もちろんそういった取組は是非進めていただきたいんですけれども、様々なケースがあるがゆえに、それぞれのケースにどういうことが考えられるのかということについて考慮要素を明示化するということは私は必要だと思います。それが全くない状態で裁判所の判断に委ねてしまうということになるがゆえに、一体何でこういう判断になったのかということについて双方当事者が不満をお持ちになる、どちらの当事者も不満をお持ちになるということになれば、裁判所の信頼がむしろ失われることにもつながるということになるわけでありますから。
私は、この話をすると必ず、法務省さんと裁判所の方とで、それは司法の司法権の独立の問題ですからといったような話で、深入りした議論を避ける傾向がありますけれども、要は、指針を提示するということ自体について、そのことが即司法権の独立を侵害することには私はならないと思います。法律を改正して、それを運用していく上でどういう基準に基づいて物事を判断していくのかということを、そのことを一定部分提示した上で、それを参考に司法が判断を行う、裁定を行うということをすればいいと思いますので、しつこいようですけど、このことは何度でも私、指摘させていただきたいと思います。
次の質問に移りたいと思います。
裁判所が一定の裁定をして、例えば親子交流を認めたような事例があったとして、その親子交流が長年にわたって拒否されているような事例は今回の法改正によってどう変わるのかということ、ビフォー、アフター、どうなるのかということについて御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/73
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074・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
本改正案では、親権や婚姻関係の有無にかかわらず、父母は子の人格を尊重してその子を養育しなければならないこと、父母は子の利益のため互いに人格を尊重し協力しなければならないことを明確化することとしております。
委員御指摘のような親子交流を含めまして、父母の一方が子の監護に関する裁判所の判断に従わない場合には、個別具体的な事情によってはこの義務に違反すると評価される場合があると考えておりまして、親権者の指定、変更の審判や親権喪失、親権停止の審判等においてそのことが考慮される可能性があると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/74
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075・川合孝典
○川合孝典君 ルール上はこれまでの法律でもそういった規定はあったわけでありますが、現実問題として、面会交流等が行われていないようなケースというのは、幾らでもやっぱりそういう事例はあるわけであります。大事なことは、ルールがあってもそれがきちんと運用されていない理由が何なのかということをきちんと検証した上で、そういった問題が起こらないように何が必要なのかということを、このことを今回の法改正を契機に要は考えていただきたいということなわけであります。
今のままのルールで、今の説明だと、説明としては十分な御説明をいただいていますけれども、現実に裁判所の裁定を拒否するといったようなことを抑止することには全くつながらないのではないのかと思うんですけど、大臣、ここまで聞かれてどう思われますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/75
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076・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) これ、民事法の枠組みでございますので、諸外国の例を見ると、裁判所の命令に従わない場合に重いペナルティーを科すという国々もあるわけでございます。しかし、日本のこの今の法体系では、民事法の世界で出てきた結論に対して、守らない、それが守れない場合のペナルティーの在り方、そういったものについては、なおちょっと長期的な視点で考えていく必要があると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/76
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077・川合孝典
○川合孝典君 ありがとうございます。
前回の質問のときに民事局長から同様の御答弁をいただいております。裁判所の役割、位置付けというものも含めて、諸外国と日本とを一律に比較することができないということについては私も理解しておりますが、現行法に照らし合わせても、例えば、民事の事件で刑事罰ということになると極めてハードルの高い話になることはこれはもう言うまでもないことでありますが、いわゆる会社法を始めとする民事のその手続でもっていわゆるペナルティーを科すということについてはこれは理論上十分に可能なことでもありますので、やはり決めたルール、裁判所が決めた裁定に従わないということに対して一定の強制力を持って従わせるということについては、これは、きちんとそこに実効性を担保しないと、DVの被害者の方々の御心配にも応えることができませんし、また連れ去りの被害等で面会交流等を望んでいらっしゃる方々の要望に応えることにもならないということですので、これ是非、今後速やかに検討を進めていただきたいんですけど、大臣、もう一度御答弁いただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/77
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078・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) これを機に、先生の御議論を契機として問題意識をしっかり持って対応を考えていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/78
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079・川合孝典
○川合孝典君 どうもありがとうございます。
次の質問に移りたいと思います。
DV被害の支援者の方々、今度は支援者が御懸念されている、今回の法改正に対して懸念されていることについて少し質問させていただきたいと思います。
被害者の状況が、DV被害者の状況が急迫かどうかをめぐって、支援者の方が要は逃げるということについてのアドバイスを行うに当たって、後々争いが生じることを恐れて支援に対する萎縮が起こるということを懸念される声が実はあります。今までどおり本当にDVから逃げていらっしゃる方々の支援ができるのかということを大変心配されている方がいらっしゃいます。
そこで質問なんですが、この急迫の判断をめぐって後々紛争が生じることを恐れてDV被害支援者の支援活動に萎縮が生じないよう、活動に制約がされないような措置や配慮というものを法務省として考えていらっしゃるのかどうか、このことを法務大臣にお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/79
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080・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) DV等からの避難、これは単独親権で対応しようということであります。したがって、本改正案では、DV等からの避難が必要な場合には子を連れて別居するということができるわけでございます。
このことをより広く周知をしていく、国民の皆さんに理解をしていただく、そういう努力が必要であろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/80
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081・川合孝典
○川合孝典君 単独親権かどうかというのは後に決まる話であって、今逃げている人たちにとってみれば、単独親権に基本的になるだろうから大丈夫ですということでは間に合わないんです。
私が申し上げているのは、ともかく、親権が今ある状態でともかく逃れてきて、共同親権の状態で逃れてきていらっしゃる方が、命の危険があるから逃げようといったときに、逃げましょうと言ったことが後々紛争のもとにならないようにできるのかどうかということを、その部分についての確認を今させていただいているということですので、もう一度御答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/81
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082・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) これは、婚姻中の父母についても起こり得るケースでございますよね。それが共同親権、離婚したけど共同親権の下にある夫婦の問題としてどうなのかと。
それは、現状の婚姻中の父母間の問題、つまりDVがあればみんなで支援をする、守る、そして逃げていただく、子供を守る、そういう仕組みがあるわけでして、そこと問題は全く、問題が動くということはないと思います。変わるということは、対応が変わるということはないと思います、基本的には。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/82
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083・川合孝典
○川合孝典君 では、法改正後も、いわゆるDV被害者支援のための取組を急迫の事情があるということをもって支援を行うということに対して濫訴が生じることはない、いわゆる裁判等を提起されることによって不利益が生じるようなことはないということでよろしいですね、じゃ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/83
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084・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) DVがあるにもかかわらず、その濫訴、たくさんの無駄な訴訟を仕掛けてくるというリスクをおっしゃっているのかと思いますけれども、それに対してしっかり守りを固めるということも必要であります。
でも、それは今の婚姻中の御夫婦の間に起こっていることと変わらないわけでありますから、この法案が施行されても基本的な問題の在り方、課題の在り方、また解決方法、それは変わらないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/84
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085・川合孝典
○川合孝典君 加えて御質問なんですけど、私自身は、せめてその身体的なDVなど生命を脅かすような状況については急迫の事情に該当するといったようなことをあらかじめ明示すること等が、そうした懸念を払拭することにつながるのではないのかなと私自身はちょっと思っております。そのことを申し添えさせていただきたいと思います。
その上で、次の質問に移りたいと思いますが、単独親権が共同親権に変更された場合に懸念される事項への対応についてということで、個別の事例で少し御質問させていただきたいんですけど、懸念の指摘が上がっている問題、高校無償化の問題、伊藤先生もたしかこの問題については前回御質問されていますが、別居親の収入のいかんによって高校就学支援金が受けられなくなる、子供支援の制度が使えなくなる可能性があるということについての指摘の声があります。
一人親世帯は元々貧困率が極めて高い、そうした一人親貧困家庭の貧困が更に深まる懸念があるということでありますが、別居親の収入の多寡によってそれまで受給できていた高校就学支援金など子供支援制度が使えなくなる可能性というのはあるんでしょうか。大臣にお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/85
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086・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 現行法においても婚姻中の父母で別居しているような事案はあり、そのような事案における子の養育に対する経済的支援等については、各種の法令を所管する各府省庁において適切に対応されるものと承知をしております。
本改正案によってこの点が大きく影響を受けるものとは考えておりませんが、本改正案が子の養育に対する経済的支援等に関わる各種の法令に影響を及ぼすかどうかなどについては、第一次的にはそれぞれの法令を所管する各府省庁において検討されるべき事柄であり、法務省において詳細な御説明をすることが困難であることは御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/86
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087・川合孝典
○川合孝典君 そうとしか答弁できないのも分かっているんですけれども、現実問題として、共同親権になりました、両親の収入がそれぞれこれだけありますと、要は別居親の方が結構な収入があるという話になると、当然のことながら就学支援金の受給対象から外れてしまう可能性があるわけです。そのこと自体は理論上理解できるんですけれども、その別居親が養育費払わなかった場合にどうなるのかということになると、経済状態が全く変わらない厳しい状況の中で、共同親権になって見た目の収入だけが増えたことで支援制度を受けられなくなるということが生じる可能性があるということの指摘なんです。
大臣の御答弁はもちろんそのとおりだと思いますけれども、所管しているのは文部科学省ですから、質問の通告のときに文部科学省とも少し話はさせていただきました。理屈として文部科学省さんも御説明はいただきましたけれども、ポイントになるのは、法改正によってどういう問題が生じて、例えば就学支援金についても、要は、通り一遍のルールどおりの判断でいってしまうとそこから要は除外されてしまう可能性がある人が出てくるかもしれないからそこに注意をして運用してくださいということを、これ言うのは私は法務省の責任だと思っておりますが、大臣、どう思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/87
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088・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) おっしゃるとおりだと思います。
本改正案が、子の養育に対する経済的支援等に関わる各種の法令に影響を及ぼす場合、どういう影響が及ぶかなどに関しては、衆議院法務委員会において附帯決議をいただいております。本法の施行に伴い、税制、社会保障制度、社会福祉制度等への影響がある場合には、子に不利益が生じることはないかという観点に留意して、必要に応じ関係府省庁が連携して対応を行う等の附帯決議をいただいております。
これはまさに、法務省が主導して全体の関係省庁との連携を深め、法が施行されるまでの間に不利益が及ばないという観点で対応をしっかりと煮詰めていきたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/88
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089・川合孝典
○川合孝典君 是非よろしくお願いしたいと思います。
元々、一人親家庭は貧困率が極めて高いということが問題視をされております。今回の法改正によって一人親家庭の貧困が更に深まるということだけは絶対に避けなければいけないということでありますので、是非、法改正以降、この一人親家庭の貧困率、養育費の受取率ということにもつながってくるのかもしれませんが、そのことについても、やっぱり推移、経時変化というものをきちんと把握していただきたいと思うんですけど、これ、民事局長、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/89
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090・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
本改正法案成立の際には、関係府省庁と連携をいたしまして、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/90
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091・川合孝典
○川合孝典君 済みません、大臣、改めて今の質問について御認識をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/91
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092・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) この法制が関わる、様々な事象に関わる統計の、統計数値、こういったものは当然我々もフォローしていかなければならない、分析しなければならない、問題の所在を認識しなければならない、そういう認識をしっかり持って、法務省として持って対応していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/92
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093・川合孝典
○川合孝典君 いろいろと各論の議論をやっていますと、要は親権、親の、いわゆる親権の所在というものに焦点が当たりがちなんですけど、やはり優先されるべきは、子供の利益を最大化するためにどうあるべきなのかということだろうと私は思っています。
そういった意味では、そうした取組、是非進めていただいた上で、そうした数値の変化というものが今後のこの民法の在り方、見直しに大きく影響も生じさせると思いますので、是非お取組をお願いしたいと思います。
時間がなくなってまいりましたので、あと一つ質問させていただきたいと思いますが、法定養育費について一問質問させていただきます。
法定養育費については、養育費の取決めをせずに離婚した場合に対応する補充的なものということで、基本的に低額になる可能性が高いものであります。今回、養育費の先取特権が付与されることになりますが、この先取特権の差押手続自体が複雑で、当事者にはとても対応できないものであります。その上で、裁判所は何を根拠にこの先取特権であると判断するのかといったようなことも含めて、いろいろと当事者の方々はこの法定養育費の問題についても不安をかこっていらっしゃるということでありますが、その上で一点質問です。
今回、養育費の先取特権が付与されることになりますが、今回の法律改正による期待効果を法務省としてはどのように見込んでいるのか、これまでどうで、これからどうなる、変わると考えていらっしゃるのか。このことについてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/93
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094・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
現行法、まず現行法ですが、現行法によりますれば、父母間で養育費の取決めがされていても、裁判所の判決や公正証書等の債務名義がない限り、債権者は民事執行の申立てができないことになっております。養育費の履行確保は、子供の健やかな成長のため重要な課題でありますが、債権者に手続の負担が重く、取決めの実効性が十分でないとの問題があります。
そこで、本改正案では、養育費の取決めの実効性を向上させるため、養育費債権に先取特権を付与しているものでございます。これにより、債権者は、債務名義がなくても民事執行の申立てができ、かつ、その執行手続において他の一般債権者に優先して弁済を受けられることとなります。本改正案により、養育費の履行確保が図られることが期待をされます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/94
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095・川合孝典
○川合孝典君 時間が来たのでこれで終わりたいと思いますが、これまで煩雑だった手続がかなり簡略化されてワンストップで対応ができるということ、このことについてはもっとしっかりと当事者の方々に御説明いただくことをお願いしたいと思います。
以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/95
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096・仁比聡平
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
改めて、今日、大臣と民事局長の答弁を伺っていまして、やっぱりこの法案、この国会で採決をできるような状況ではないということを改めて思いますね。
通告外の問いから入って申し訳ないんですけれども、今、川合理事が聞かれていた支援策の合算問題、合算、親の収入を支援策の要件について合算するという件や、あるいは、先ほど、パスポートの問題始め親権者の同意権や関与と、様々な問題が議論されている件について、先ほど来、大臣、衆議院の附帯決議を強調されますよね。成立後、省庁連携すると。それで済まないという話でしょう。法務省主導で省庁協議すると言うけど、外務省は変えないと言っているじゃないですか。それ、衆議院の附帯決議にそう書いてあるから、それ頑張りますと言っても済まないというのがこの参議院の法務委員会の審議の中で浮き彫りになっているわけですよ。
ちょっと今日、私、朝、見れなかったんですが、今朝のNHKの「あさイチ」という番組で、この法案が取り上げられたということがSNSでも話題になっております。合意できていないのに裁判所が決めるとか、既に離婚が成立している人も対象と、スタジオが固まったという声が飛び交っています。博多大吉さんが、まだ詳細が定まっていないのに国会で決める方向で審議していることが正直な疑問と。本当、そのとおりでしょう。
これ、先ほどの民事局長の答弁だと、法案が成立した後に各省庁と検討する、法務省がここで、この委員会で出すわけにいかないなんていう話なんでしょうけど、私は、それでは国民は全く納得しないと思います。大臣や局長が言っているのは永田町、霞が関の論理なんであって、衆議院ではそういう附帯決議付けたかもしれませんよ、けれど、この参議院の法務委員会の審議の中では、それとは別だと。
この法案の審議の中で、この法案の審議と関連して起こっている問題なんですから、この委員会に明らかにすべきだと思いますが、大臣の答弁を求めても同じ答えになるでしょうから、委員長、改めて理事会での協議をよろしくお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/96
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097・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/97
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098・仁比聡平
○仁比聡平君 今日も福山さんや福島さん中心に議論が起こっているように、父母間に合意なき共同親権を裁判所が強制するということになれば、新たな人権侵害の危険がつくり出されることになります。福山さん、福島さんが幾つかの場面を強調されましたが、そもそも、そうした事態が起こるような父母間あるいは子供に共同親権を定めちゃならないでしょう。そこが大問題なんですよね。
そこで、法案の八百十九条の意義についてお尋ねをしたいと思うんですけれども、私は以前から繰り返して指摘をしておりますように、子供の監護だとか重要事項について話し合えるという関係性がなければ、一方の親権は拒否権として機能してしまう、したがって適切な親権の行使はできなくなる、それは子の利益を害するというふうに申し上げてきましたが、民事局長、その認識はあるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/98
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099・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
お尋ねにつきましては、個別具体的な事情によりますので一概にお答えすることはできないのですが、あくまで一般論としてお答えをいたしますと、例えば、父母の感情的問題等により親権の共同行使が困難である状態は子の利益を害することもあり得ると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/99
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100・仁比聡平
○仁比聡平君 つまり、そういう場合は子の利益を害するということなんですよ。なのに、どうして合意のない場合に裁判所が定める、定め得るという八百十九条を新設しようとするのか。
ここについて、お手元に資料をお配りしましたが、昨年の十一月か、秋だったと思いますが、十一月二十八日の法制審議会の家族法部会で、小粥委員がこういう指摘をしています。裁判所が父母双方を親権者と定めるときに、父母双方の合意があるかどうかを考慮に入れることは非常に重要なことだと思いますと。
これ、おっしゃっているのは、父母の協議が調っている場合ではもちろんない、父母が合意ができていないという段階で、どちらか一方からのそういう申立てがあって裁判所に来ているということですよね。その場面で父母双方の合意があるかどうかを考慮に入れることは非常に重要なことだと思いますというふうに述べておられる。それは、合意がある場合というのが基本といいますか、あるいはその場合に抑制すべきだといいますか、その場合こそが子供の利益になるんだといいますか、そういった趣旨のように読めるんですね。
その上で、けれども、裁判所が父母双方を親権者と定めるという選択肢を持たないで例えば調停などを行う場合には、一方の親が結局拒否権を行使することができる制度ということになりかねないと、嫌だと言っただけでは駄目なんじゃないですかというような問題意識を示されて、こうおっしゃっています。裁判所が選択肢として少なくとも持っておくということは、当事者間の合意形成のためにも意味があるのではないか。
八百十九条の趣旨というのはこういうものなのか、法務省の認識はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/100
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101・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
八百十九条、特に第七項の親権者の指定のところについてのお尋ねかと理解をいたしますが、本改正案におきましては、離婚後の親権者の定めについて父母の協議が調わないときは、裁判所が子の利益の観点から、親権者を父母双方とするか、その一方のみとするかを判断することとしております。
離婚後の親権者を父母双方とするか、その一方とするかにつきましては、個別具体的な事情に即して子の利益の観点から最善な判断をすべきものでありまして、本改正案もこの考え、このような考えに沿ったものでございます。父母の協議が調わない理由には様々なものが考えられますので、合意がないことのみをもって父母双方を親権者とすることを一律に許さないというのは、かえって子の利益に反する結果となりかねません。
そこで、本改正案では、裁判所は、父母の協議が調わない理由等の事情を考慮して、父母が共同して親権を行うことが困難であるかなどの観点を含め、親子の関係、父母の関係その他一切の事情を考慮して実質的、総合的に判断すべきこととしております。
裁判所の調停手続におきましては、父母の葛藤を低下させ、子の利益に目を向けてもらうための取組も実施されていると承知をしておりまして、高葛藤であったり合意が調わない状態にあった父母でありましても、調停手続の過程で感情的な対立が解消され、親権の共同行使をすることができる関係を築くことができるようになるケースもあり得ると想定をされます。
そのため、父母の合意が調わないために裁判所における親権者指定の調停等の申立てがされた場合に、当初の段階から父母双方を親権者とする選択肢を一切除外するのではなく、子の利益の観点から最善の選択がされるよう当事者の合意形成に向けた運用をすることは望ましいと考えられまして、御指摘の法制審議会家族法制部会における委員の発言もこの点に言及されたものと理解をされております、理解をしております。
本改正案は、このような家族法制部会の議論も踏まえた上で、父母が子の利益のため互いに協力すべきことなどを明確化しているものと理解をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/101
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102・仁比聡平
○仁比聡平君 つまり、協議離婚や、あるいは現行単独親権になっている、それで当事者の話合いというようなことで親権者の変更なんかが調わないと。で、一方は裁判所に申し立てるという、その申し立てられた裁判所の手続において子供の利益を最善に追求をする。そのために、父母間の合意形成を裁判所において、まずは調停ということになるわけでしょうけど、そこで探求すると。それが八百十九条の七項に通底している趣旨といいますか、精神ということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/102
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103・竹内努
○政府参考人(竹内努君) 委員御指摘のとおり、八百十九条七項の趣旨でございますが、子の利益の観点から親権者の選択、親権者の指定について最善の選択がされるよう当事者の合意形成に向けた運用をすることは望ましいというふうに考えておりまして、御指摘の委員の発言もこの点に言及されたものと理解をしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/103
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104・仁比聡平
○仁比聡平君 そうすると、そうした調停などを行って、やっぱり子の利益のために協力する、親権を共同行使するという、そういう関係性が認められないというときはどうするんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/104
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105・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
父母が高葛藤であるケースにおきましては、家庭裁判所における調停手続を経てもなお父母間の感情的な対立が大きく、父母が親権を共同して行うことが困難であると認められることがあると考えております。
本改正案は、そのようなケースにおいて裁判所が親権の共同行使を強制することを意図するものではありません。父母の協議が調わない理由等の事情を考慮して、父母が共同して親権を行うことが困難であるときには必ず単独親権としなければならないことを明確に規定しておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/105
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106・仁比聡平
○仁比聡平君 つまり、父母が共同親権を行うということに合意ができないでいる。調停や、もちろん裁判官、調停委員だけじゃなくて、裁判官も時々入ったりとか調査官が調査をするということもある。そうしたプロセスを経て、やっぱりこの父母は子供の問題について共同行使をするという関係性は難しいというときには必ず単独親権にするんだと、そうした条文なんだという意味なんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/106
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107・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
先ほど申し上げましたとおりでございますが、裁判所で父母の協議が調わない理由等の事情を考慮して実質的、総合的に判断することになろうと思いますが、その高葛藤であるケースにおいて、調停手続を経てもなお感情的な対立が大きくて父母が共同して親権を行うことが困難であると認められることがあると考えておりますので、そのような場合には、父母が共同して親権を行うことが困難であるということで必ず単独親権としなければならないと、こういう規定になっていると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/107
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108・仁比聡平
○仁比聡平君 大臣が手を挙げられたいようなんですけど、ちょっともう少し実務的なことを伺ってからにしたいと思うんですけど。
現行の民法と、それから裁判の制度の下でも親権と監護が分属されるという場合があります。親権者はお父さんだけれども別居していて、監護者はお母さん、同居しているお母さんと。だから、法定代理など財産管理とかいうようなことはお父さん、日常の監護や教育はお母さんというような離婚後の父母というのもあるんですけれども、裁判所が父母の合意がなくてそういう分属を決めるというケースは、実際上ほとんどないと思います。なぜないかというと、もし無理やりに裁判所がそんなことを決めても、子供の利益になるはずがないからなんだと思うんですよ。
そのことは、父母に合意がない、あるいは協力するという関係性がない、認められない父母間においての共同親権の可否というのも同じなんじゃないかと思うんですが、民事局長、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/108
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109・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
先ほどお答えしたとおりでございますが、本改正案は、父母間の感情的な対立が大きく、父母が親権を共同して行うことが困難であると認められるようなケースにおきまして裁判所が親権の共同行使を強制することを意図するものではなく、父母の協議が調わない理由等の事情を考慮して、父母が共同して親権を行うことが困難であるときは必ず単独親権としなければならないことを明確に規定しておるものでございます。
その上で、例えば、父母間の感情と親子関係とを切り分けることができる父母のケースや、支援団体等を活用して子の養育について協力することを受け入れることができるケースなどにつきましては、父母の合意がなくても離婚後の父母が共同して親権を行うことを期待し得る場合があり、そのようなケースについて家庭裁判所が父母双方を親権者と定めることは子の利益に資する場合もあると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/109
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110・仁比聡平
○仁比聡平君 今、後の方で言われたことは、法律家というか、の用語で、和解はしないけど上訴はしないという、裁判所がこうと決めたら、自分の意思表示としては分かりましたとは絶対に言わないけれど、その決定には従いますというようなこと、先ほどの局長の後段の御答弁でいうと、面会交流の支援の団体の活用だとか様々な条件の下であれば、これこれというような共同行使をしていくことが可能だという関係性が認められる、そういうことをおっしゃっているわけですか、局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/110
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111・竹内努
○政府参考人(竹内努君) 委員御指摘のとおりだと思います。(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/111
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112・仁比聡平
○仁比聡平君 いや、今おっしゃられたとおりなんですが、それを合意がなくて決めるというのが国民的には全く分からないんですよね。
それって合意があるということなんですかとか、あるいは、そうしたうまくいくということを、その調停やあるいは審判ですよね、裁判所が定めるということになれば、審判をした後にはその子の養育について責任を負うことができない裁判所がなぜ決めることができるのか。やっぱりそこが、なお解決されないと思います。
子供の監護に関して、現行法でも七百六十六条で、離婚後の別居親が関与について協議が調わずに裁判所に申し立てるという場合があります。けれども、その申立てが認められないという場合があります、典型は面会交流だったりしますけど。それは認められないというのは、つまり、その共同監護が申し立てられているけれども、それは子の利益に沿わないから、あるいは子の利益を害することになってしまうからということが一般的に理由になるんだと思うんですね。
現行で、離婚をしている御家族で実際そういう共同監護は成り立たないねと裁判所が判断している場合だってあると思うんですけど、そうしたケースについては共同親権の行使はなおできないと思うんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/112
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113・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
委員の御指摘は、例えば、別居親が民法七百六十六条に基づいて家裁に親子交流の申立てをしたものの、家裁が子の利益を最も優先して考慮した結果としてこの申立てを退けたというケースにおいて、すなわち、親子交流すら認められない状況下で離婚後の父母双方を親権者とすることが子の利益にかなうケースがあるのかという問題意識というふうに理解をいたします。
お尋ねにつきまして、親子交流等に関する別居親の申立てが認められない理由には様々なものがありますので一概にお答えすることは困難ではございますが、一般論としてお答えをいたしますと、家庭裁判所において、当該別居親と子との交流を認めるべきでないとされた理由や背景事情を考慮して、父母双方が離婚後に親権を共同して行うことが困難であると認められる場合には、本改正案によれば、裁判所は必ず単独親権と定めなければならないこととなると理解をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/113
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114・仁比聡平
○仁比聡平君 そうやって聞いてくると、父母の合意はないのに子の利益になる場合というのが一体どんなケースかと、いよいよ分からないといいますか、もうちょっと法務省に答えやすく申し上げるなら、とても限られたケースなのではないか。
大臣も先ほど来の御答弁で合意がある場合ということを強調されておられるんですが、大臣、裁判所によって強制されれば子の利益を害することになるではないかというこの問題について、どうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/114
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115・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 合意を促していくための仕組みであるわけです、合意を促していく。様々な理由があります。共同親権ではない、ではなくて単独にしたい、そういうお考えもあって、しかしその理由は様々でありますので、一度父母の間に子供の利益というものを置いてみて、その価値を置いてみて、もう一回裁判所に入ってもらって考えてもらう。子供の利益のために合意はできませんかと、部分的なものであれ合意はできないんですかという葛藤を下げてもらいながら合意を促していく。その結果、やっぱり難しいと、やっぱり片方の親が相応の理由において難しいと、そういう結果に至るのであれば、それはむしろ共同行使が困難でありますから、むしろ、単独親権にむしろしなければいけない、単独親権にしてもいいではなくて単独にしなければいけない、そういうふうになっています。
ですから、そういう意味では、ずっと促していって、どうしても合意ができない場合には単独でいくということであります。ですから、じゃ、合意が全く成り立たないでその共同親権にいくケースがあるのか、それは理論的には幾つかあるわけです。それを否定することはできません。
ただ、小粥委員が言われているように、法制審で、選択肢の中に、裁判官が共同親権という選択肢を持っていることが合意を促すためには必要な、有効な手段ではないのかという御指摘をいただいているわけですよ。それがなければ、理由はどうであれ、嫌だ、駄目と言えばもうそれで終わってしまう、一本道になってしまう。そうじゃなくて、落ち着いて考えてもらう、そのための裁判官のそのポケットに、最終的に私が決める権限を持って今お願いしているんですよというその過程、そこに大きな意味があるんだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/115
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116・仁比聡平
○仁比聡平君 大臣や民事局長がこの八百十九条の法意として何を意味しているのかという御答弁は一応私は分かりましたけれども、そういうことを新たな法規範として定めたいのであれば、今回の法改正案の条文構造ではないでしょう。今回の条文、これを見れば、先ほども議論がありましたけれども、原則共同親権ではないかというふうに読めるし、実際、そういう議論が今日までずっと行われてきたじゃないですか。もしかしたら、これからもあるかもしれません。衆議院の法務委員会での議論というのはそういう議論だったじゃないですか。それがこの改正案の趣旨として独り歩きしたりすることは、これはもう絶対に許されないと思います。
そうしたこの改正案が趣旨とするプロセスのようなもの、これについて先ほど福島さんから、その過程が地獄だというお話がありました、指摘がありました。そのとおりだと私は思います。というか、そのとおりのケースがたくさんあると思います。それがリーガルハラスメントなどの言葉で今大問題になっているわけですが。
そこで、大臣に、五月七日の参考人質疑で山崎参考人がこう述べられている部分について御認識をお尋ねしたいと思うんですが。
加害者の中には、加害者意識は全くなく、自分を被害者だと心から思っていて、自分の下から逃げ出したパートナーに対する報復感情を強く抱く人が多いことを皆さんに知っていただきたいです。彼らはこう考えます。自分は何も悪いことをしていないのに、妻が子供を連れて出ていってしまった。自分に逆らわなかった妻がなぜ出ていったのか本当に理解できない。支援者や弁護士が唆したのではないか。自分こそ妻からの精神的暴力を受けた被害者だ。これではメンツが立たない。絶対に妻の思いどおりにはさせない。自分をこんな目に遭わせた妻に報復してやる。たとえ離婚しても、共同親権を取って妻の思いどおりにならないことを思い知らせてやると考える人も多くいると思います。この法案は加害者に加勢する法律です。
こうしたリーガルハラスメントに対する恐怖あるいは危険について、どんな御認識ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/116
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117・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) この、まず、山崎参考人の御意見、私も読ませていただきましたけれども、本当に厳しい状況であり、切迫した状況の方が大勢いらっしゃる、そういう気持ちを持ちました。特に、山崎さんがおっしゃっていたのは、今のお話もそうですけれども、本当にやる人って徹底的にリーガルハラスメントをするんですよねと、徹底的にやるんですよねということを強調しておられました。非常に印象に残ります。
濫用的な訴え、申立てに対する不安の、こうした不安の声があることはよく承知をいたしておりますが、これによってDV被害者の方への支援が滞るようなことがあってはならないと思います。様々な手段を講じて子供たちを守っていく、そういう努力は引き続き行っていく必要があると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/117
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118・仁比聡平
○仁比聡平君 ちょっと時間が迫りましたので、一問だけ聞いて、あとは次回に続けたいと思うんですけれども。
民事局長、この問題について沖野参考人が、濫用については早期適切に却下することが想定されていると法案を説明されました。これが法制審のコンセンサスなのか、早期適切に却下するというふうにおっしゃるが、その法的根拠はどこにあるのか。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/118
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119・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
何が濫訴に当たるかを一概にお答えすることは困難ではございますが、家事調停の申立てにつきましては、現行の家事事件手続法におきましても、不当な目的でみだりに調停の申立てがされた場合に、調停手続をしないことによって事件を終了させることができ、この場合にはその申立書の写しを相手方に送付しないことができるなど、一定の対応がされているところでございます。また、家事審判の申立てにつきましても、家事審判の申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときはその申立書の写しを相手方に送付しないことができ、一定の対応がされております。
濫用的な親権者変更の申立てがされた場合も含め、こうした対応の活用が可能であることは法制審家族法制部会における議論の過程でも確認されておりまして、そのこと自体に特段の異論はなかったところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/119
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120・仁比聡平
○仁比聡平君 資料にお配りしている家事事件手続法の二百七十一条や六十七条の趣旨は、これコンセンサスなんだということなんですよね。これが本当に現実に家庭裁判所で運用がされるのか、つまり、ひどいリーガルハラスメントの調停が申し立てられても調停に呼び出されることはないというふうに言えるのか。こうしたことについて、引き続き次回以降、質問を深めていきたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/120
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121・鈴木宗男
○鈴木宗男君 法務大臣、御苦労さまです。
おとつい参考人質疑がありました。それぞれ貴重な御意見を賜ったと私も受け止めて、考えるところもありました。法務大臣として、事務方からこの参考人の皆さん方の質疑についての報告というか、御意見というものはどういうふうに伺っておるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/121
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122・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 全文の議事録ではございませんけれども、要約でございますけれども、重要項目について、しかし、かなり網羅的に、委員、参考人ごとにまとめたレジュメを解説を受けながら読ませていただきました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/122
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123・鈴木宗男
○鈴木宗男君 大臣、御承知のとおり、この参考人、各党推薦でありますから、反対の方は当然いますし、慎重な方もいれば、いや、賛成だという人もいるわけですね。私は、午前、午後、びっしりこの委員会に参画しても、私は、それぞれの主張は尊重するけれども、民主主義は、議論に議論を重ねて、そこで得た結論は責任を持つ、これが約束事だと、こう思っておりますので、先ほど来、個々の参考人がこう言っておったという意見は意見で事実でありますから私もそれは受け止めますけれども、賛成の人の声というのが余り反映されておりませんから、この点、賛成の人もいたということだけは明確に私はしておきたいと思います。
民事局長にお尋ねしますけれども、法制審議会の家族部会、いわゆるこの民法の一部改正について、いつスタートして、何年掛けて何回の議論をして、閣議決定に至って今衆参でこの審議されているかと、これを教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/123
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124・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
諮問は令和三年の二月でございまして、令和三年の三月から家族法制部会での調査審議を開始したところでございます。答申が令和六年の二月でございますので、およそ三年にわたって審議を続けてまいりました。審議の回数は合計三十七回にわたっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/124
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125・鈴木宗男
○鈴木宗男君 専門家の皆様、また識者の皆様がしっかり丸三年掛けて、しかも三十七回のこの家族部会開かれてまとめ上げたということは、私は重いと思っております。あわせて、閣議決定をなされて、国民から選ばれた国会審議に付されたわけでありますから、しかも衆議院ではもう採決もされて参議院に送ってきたわけでありますから、私は、ここは、委員長にもお願いしたいのは、しっかり議論をした上でこれは速やかなる採決があって当然だと、こう思いますので、この点、よろしくお願いしたいと思います。
そこで、私は、この一部改正の中で八百十七条、親の責務が新設されております。私は、この改正案の中で私の認識として評価しているのは、子供の利益を守るというのが一番であります。そういった意味では、この八百十七条の十二、十三項なんかは極めて私は重いものだと、こう考えておりますけれども、この点、大臣はいかがお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/125
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126・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 本法案は、子供の利益を守るということを最大の目的にしております。そして、それに資するため、婚姻中であれ、あるいは親権がなくても、婚姻関係の有無あるいは親権の有無にかかわらず、親の責務というものを定めたわけであります。
主役が子供であって、その主役を支える親の責務をしっかり書かせていただいて、そしてその先に、これ、今まで御説明しているスキームを新しくつくっていこうと、そういう考え方に基づいて構成されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/126
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127・鈴木宗男
○鈴木宗男君 私は、この子供の利益という言葉がこの法案にも出てまいりますし、また、この委員会でも大臣から再三子供の利益という言葉が出てきて、私は明文化すべきだと、こういう考えでおりますけど、もう委員会に付託されておりますからそれは無理だとしながらも、まずは、一にも二にも子供の利益というものをしっかり踏まえて、今後とも法務省として対応をいただきたいものだなと、このことをお願いしておきます。
そこで、大臣、私は前々回の委員会で質問して、途中、中途半端になっております。
二十五日の委員会で大臣は、「検察の理念」の趣旨徹底、励行、これには全力を尽くしたいと思いますと、この「検察の理念」をしっかりと検察庁が理解をし実行されていくこと、そのことに私は責任を果たしたいと思いますと、こう述べられました。
そこで、大臣、検察特捜部が会社の上司に、いわゆる被疑者の上司ですね、に意見書の撤回だとかわび状を出せということが最終陳述で明らかになりました。それはさきの委員会でも刑事局長が認められましたから。ならば、「検察の理念」からして、わび状を出せだとか意見書を撤回せよというのは、私は理念には合っていないと思うんですけれども、大臣いかがお考えです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/127
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128・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 前々回から御質疑をいただいているこの件でありますが、当初から個別の事案を念頭に置かれて、そして議論を進めていただいておられますので、個別事案に関して検察がどうであったということを申し上げることは私の立場ではできないのでありますが、ここから先はあくまで、あくまで一般論として申し上げますが、仮に、一般的にそういう行動があったとすれば、検察に、これは「検察の理念」に期することとは全く違っておりまして、そういうことはあってはならないと、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/128
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129・鈴木宗男
○鈴木宗男君 これ大臣、紛れもなく最終陳述は、これ重いものでありますね。その場で明らかになったということも重いことです。
私は、法務大臣として、そういう最終陳述があった、これは調査に値すると思うんですけれども、個別案件、私は何も言っていません、中身のことも触れているんじゃないんですから。そういうことがあったかどうかだけは法務大臣として調査すべきじゃないでしょうか。いかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/129
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130・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) これは、それはまさに、調査しようとすれば、個別の案件はどれだと、いついつどの案件だということが特定できなければ調査ができないわけでありまして、その特定した調査を法務大臣が検察に指示するということはもう個別指揮権の入口に入ってしまう、それは前回も御説明したとおりです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/130
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131・鈴木宗男
○鈴木宗男君 大臣、大臣は前回もそう言っているんですが、私は、「検察の理念」からしてあってはならぬことだということは、今大臣、答弁されているんですよ。
大臣、責任者として、法務省の最高責任者として、こういう話があるけれども、実際その意見書の撤回とかわび状を出せと言ったことは事実としてあるのかないのかは、私は、今後ともこれは続きますから、次善の策としてでも調査するのは当たり前のことじゃないですか。その個別案件、中身云々私は言っているんじゃないんですから、大臣、時間の無駄は避けてください。だから、的確に答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/131
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132・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) これ、やはり個別の案件に触れることは、法務大臣としては検察に尋ねることは控えたいと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/132
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133・鈴木宗男
○鈴木宗男君 ならば、大臣、もしそれが事実であったとするならば、大臣は何がしかの責任取られますね。大臣は最高責任者ですから、それだけはこの委員会ではっきりしておいてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/133
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134・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 私は、検察に対して一般的指揮権を行使をする立場であります。したがって、折に触れて「検察の理念」については、検察庁にこのとおりやってもらいたいと、これを是非守ってもらいたいということを督励しているわけでありまして、その責任を果たしているというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/134
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135・鈴木宗男
○鈴木宗男君 いや、大臣、督励している、理念を守ると言っていると大臣は言うけれども、その部下がやっていないときは大臣の督励に聞かないわけですし、分かりやすく言えば、大臣が軽く見られていることになるわけですよ。軽く見られている、大臣が。
だから、責任は取るんですねということを、大臣の姿勢を聞いているんです。勘違いしないでください。大臣として責任取るかどうかを聞いているんですから、端的に答えてください、それは。事実であった場合のことを私は言っているんですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/135
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136・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 責任を果たしたいと思います、私は。一般的な指揮権の下で検察庁に考え方を改めてもらうという、一般的指揮権の責任を果たしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/136
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137・鈴木宗男
○鈴木宗男君 このやり取りだけやっているとまた時間過ぎますから、じゃ、更にお尋ねします。
今、これインターネットでも流れているから、法務省は把握はしていると思います。親ほども違う年上の、しかも大会社の役員さんですね、女性検事が、まあ私は名前は分かっていますけれども、あえて名前は出しませんけれども、こう言っております。中学生でも悪いことをすれば反省する、あなたには反省がない、小学校で宿題をやらなかったでしょうなどと非常に侮辱的な言いぶりをしております。これは公に出ていますから、法務省の事務方も私は確認されていると思います。
大臣、もし、こういった発言は「検察の理念」に合っているかどうか、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/137
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138・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 御指摘のような発言の当否はおくとして、あくまで一般論でございますが、あくまで一般論でございますが、他人の人格を非難するような発言をするようなことはあってはならないものであり、「検察の理念」にも反するものだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/138
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139・鈴木宗男
○鈴木宗男君 今大臣から明確に「検察の理念」に反するという答えがありました。
刑事局長、今の大臣の答弁についてどうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/139
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140・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) お答えいたします。
今大臣が答弁されたのはあくまでも一般論ということでございますけれども、取調べにおいても、であってもそうでなくても、その他人の人格を非難するような発言をすることは適切でないというのは当然のことでございまして、あってはならないということをおっしゃった。そして、「検察の理念」でも、その権限行使の在り方が、独善に陥ることなく、真に国民の利益にかなうものとなっているかを常に内省しつつ行動する謙虚な姿勢を保つべきであるなどといったことが規定されておりまして、こういったことを旨として検察としては捜査や公判活動に臨むべきということだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/140
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141・鈴木宗男
○鈴木宗男君 大臣、刑事局長は刑事局長の立場としての今の判断ですけれども、現実にそういうやり方が検察はしているわけです、密室で。被疑者は録音、録画の制度がありますけれども、参考人にはないんですね。あるいは、在宅の被疑者の聴取等についても録音、録画がないんですよ。だから、一つのシナリオが、あるいはストーリーが作られてしまう可能性もあるし、またそういった例も多々あるんです。
そういった意味では、私は、やっぱりこの可視化、録音、録画は、参考人だとかあるいは在宅被疑者の取調べなんかでも採用しなければ、この真に公正公平な判断はできないし、冤罪が起きると思っているんですよ。この点、是非とも、私は、小泉大臣のときに新たなもっともっと開かれたやり方が制度としてつくられていいんでないかと、こう思うんですけれども、大臣のお考え、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/141
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142・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) これ、現行の刑事訴訟法では、裁判員制度対象事件及びいわゆる検察官独自捜査事件における逮捕又は勾留されている被疑者の取調べの録音、録画を義務付けております。これをどのように拡大していくのか、するべきか否か、また拡大するとすればどういう方法があるのか。こういった点を含めて、法務省においては、平成二十八年成立の刑事訴訟法等一部改正法の附則で求められている検討に資するため、令和四年七月から改正刑訴法に関する刑事手続の在り方協議会、これを開催しており、同協議会においては、取調べの録音、録画等に関する制度の在り方についても現在協議が行われております。この議論をしっかりと注視をし、見守りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/142
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143・鈴木宗男
○鈴木宗男君 これも、法務大臣、大きなニュースになって、検察側も、一定の判断というか検事総長の話も出ていますけれども、河井事件で、河井克行さんですね、河井事件で不起訴誘導の問題がこれ明らかになりましたね、明らかになりました。そのとき最高検は何と言っているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/143
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144・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) お答えいたします。
御指摘の事案につきましては、当時の広島市議会議員に対する公職選挙法違反事件の公判過程において、弁護人から証拠として取調べの状況等を秘密録音したとされるデータが開示されたことをきっかけとして、最高検察庁監察指導部において調査を行っております。
その監察の結果につきましては、当時の広島市議会議員に対する取調べについて、不起訴処分を約束したり虚偽供述をさせたものではないが、一部の言動について取調べの適正確保の見地からは不適正な点が認められたとして、同種事案の再発防止のために検察官に対する指導、教育の充実強化に努めることなどが示されたものと承知をしております。
「検察の理念」においても、取調べにおいては、供述の任意性の確保その他必要な配慮をして真実の供述が得られるように努めるとされているところでございまして、検察当局においては、監察結果を踏まえ、今後とも捜査・公判活動の適正確保に努めていくものと承知をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/144
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145・鈴木宗男
○鈴木宗男君 大臣、これは私は明らかに「検察の理念」に反していると思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/145
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146・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) ええ、反していると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/146
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147・鈴木宗男
○鈴木宗男君 たまたまテープを持っていったからよかったわけですよ。テープがなければ、これが今刑事局長が言ったような話にはならないんです。だから、先ほど言ったように、私は広げた方がいいというのはそこなんです。同時に、誘導する、自分らの頭づくりのシナリオ、ストーリーを作って事件化していくのが検察側のそれは基本的な姿勢なわけでありますから、ここは大臣、しっかり現実を直視していただきたい。
そういった意味では、やっぱりこの録音、録画の可視化の拡大というものについて、大臣がこれ号令していけばまた動いていく話でありますから、この点、是非とも、参考人、さらには在宅でのこの被疑者の取調べ等も明らかな形でやっていくということを私は取り組んでいただきたいと思いますけれども、大臣の考えをお示しください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/147
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148・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) まず、刑訴法の在り方協議会が開かれ、そして現在この問題が審議の対象になっているということ、そして「検察の理念」というものがまだ十分にこなし切れていない、体現できていないという様々な御指摘もあるということ、そしてこの河井事件のような大きな反省もあるということ、こういった点を全部踏まえて我々がどうするべきか、この在り方協議会の事務局でありますけれども、しっかり注視をし、充実した方向に進むように検討していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/148
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149・鈴木宗男
○鈴木宗男君 是非とも大臣、小泉大臣のときにまた新たな私は取調べ可視化の一ページをつくってほしいなと、こう思っております。
刑事局長にお尋ねしますけど、先日、柿沢未途さんの一審判決が出ました。あのいわゆる買収事件ですね、区長選挙における。そのとき、金属探知機で、取調べを受ける際ですよ、金属探知機を使われたというんです。
これは普通、取調べの際、金属探知機というのは使うんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/149
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150・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) お答えいたします。
その具体的な事件で、どなたがどのようにおっしゃったかでありますとか、その内容がそのとおりであるかどうかということについては、これまでも繰り返し申し上げておりますとおりお答えはいたしかねますけれども、一般的に、庁舎管理権に基づきまして、庁舎内への危険物の持込みを防止するために必要かつ相当な範囲で所持品の検査、確認を行うことは許されるものと承知をしておりまして、必要がある場合にそういうことは行われていると思います。
また、録音機器等の持込みということですけれども、これにつきましては、被疑者や参考人による録音機器等の持込みを認めるか認めないかという問題ですけれども、認めた場合に、それらを使用して取調べ状況の録音がなされるということによって被疑者や参考人の取調べの内容が公判廷の外で公にされるなどして関係者の名誉、プライバシーが侵害されるという危険、また、捜査の秘密、取調べの中でいろいろな捜査に関すること、例えば捜査協力者等の事件関係者のプライバシーに関する情報ですとか、まだ捜査機関だけが把握している捜査の進捗状況や証拠関係などがその取調べの中で言及された場合に、そうしたことが公となって罪証隠滅を招いたりするおそれもあるということで、そういうおそれが生じ得るということで、検察官において、刑事訴訟法で、訴訟に関する書類は公判の開廷前にはこれを公にしてはならないというふうに四十七条で定められていることの趣旨などにも鑑みまして、必要に応じて、被疑者や参考人の協力を得て、録音機器の有無などを確認することはあるものと承知をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/150
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151・鈴木宗男
○鈴木宗男君 刑事局長、柿沢さんは少なくとも国会議員経験者です。身元もはっきりしていますね。あるいは秘書、あるいは後援者、それぞれ身元、はっきりしているんですね。私は、凶器を持つなんて全然考えられない。
同時に、私も様々な事件のことを調べて聞いたら、凶悪事件を起こした人が金属探知機で検査を受けているかといったら、そういうことはないんですね。凶悪事件のいわゆる犯人、その関係者がやっぱり事情聴取をされますね、あるいは取調べ受けますね。そのときは金属探知での検査というのはないんですね。
私は、国会議員経験者なり秘書なり、あるいはその後援者ですよ、事件を起こしていない人たちがなぜゆえに金属探知機を受けるか。前科のあって、犯歴のある人らが金属探知を受けないで取調べを受けている。こういう例があるというのは、これまた、大臣、私は、これ、差別だとか、何を基準にやっているのか、ちょっと疑問に思うんですね。だから、そういったこともあるから、私はしっかりと取調べの可視化は大事だということを強く言ってきているんです。
私の経験からも、判事と検事が人事交流している、分かりやすく言えば、泥棒と警察官が交流しているようなものですから、これは駄目だと思いまして、私は、私が逮捕された後の国会に戻ってから一貫してやって、これは今、判検交流はなくしたんです。で、この可視化も、私は衆議院時代から、刑事被告人で裁判やっている最中から言ってきて一歩前進したんです。それでも検察は、都合のいい、自分たちに都合のいいものは出すけれども、都合の悪い証拠は出さぬし、録音、録画もそうなんです。
そういったことを踏まえて、是非とも大臣、しっかりと、この国会、次の国会も私はこの問題は徹底してやっていきますから、前向きに取り組んでいただきたい。いま一度、大臣の決意をお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/151
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152・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 先生の問題意識をしっかり理解をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/152
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153・鈴木宗男
○鈴木宗男君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/153
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154・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) 午後一時四十五分に再開することとし、休憩いたします。
午後零時二十一分休憩
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午後一時四十五分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/154
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155・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
委員の異動について御報告いたします。
本日、清水貴之さん及び福山哲郎さんが委員を辞任され、その補欠として嘉田由紀子さん及び石川大我さんが選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/155
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156・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) 休憩前に引き続き、民法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/156
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157・古庄玄知
○古庄玄知君 自民党の古庄です。
大臣がいらっしゃらないということで、基本的に民事局長の方にお伺いしたいと思います。
今回の民法の改正に関しましては、いろいろ改正点は多岐にわたると思うんですけれども、一番争点になっているのが離婚後共同親権を導入することの是非ということだろうというふうに思っております。
私、離婚当事者が合意する場合、これまで共同親権にしてはならないということは行き過ぎではないかなと考えておりますが、各委員の方々から御指摘がありました、合意がない場合に裁判所が共同親権というふうに認める場合もあるという点の法務省の御説明ですけれども、ちょっと私、この点についても何点か問題性があるんではないかというふうに考えておりますので、ちょっとその点について、今回の法案の条文と照らしながら、まず自分の意見を言わせてもらいたいんですが。
まず、今回の法案、子供の利益という極めて抽象的かつ曖昧な概念を多用しています。私が数えただけで、今回改正法案、十四回、子供の利益という言葉が出てくるんですね。子供の利益というのは非常に耳触りのいい美しい言葉。だけど、じゃ、一体何が子供の利益なのか、そこにはやっぱり判断する人間のその価値観、主観というもの、これが大きく介在してくるんではなかろうかというふうに思います。
判決を書くのが裁判官でしょうから、裁判官からしてみると、一定の事実認定をして、かくかくしかじかでこれが子供の利益なんだよというふうに言えば判決は書きやすいと思うんですけれども、果たしてそれが子供の利益と言えるかどうか。その意味では、川合委員が何度も指摘していましたように、子供の利益って一体何なのと、ある程度の客観的な目安というか基準というか、これがないと非常に分かりにくいと思います。
これが例えば刑法の条文であれば、例えば子供の利益を侵した者は懲役十年に処すみたいな判決になれば、明らかに罪刑法定主義違反で憲法違反の条文ということになろうかと思います。今回は民事なのでそこまでは厳しく言わなくてもいいかも分かりませんけれども、ある一定のその価値基準というか基準を示してもらわないと判断者が判断に困るんではなかろうかということで、こういう曖昧な条文を、文言を条文の中で多用するということは、条文の作り方としていかがなものかなというのが第一点。
第二点が、この離婚後単独親権、七十七年間変わってこなかったと、それが今回、七十七年目にしてこれを変えようとしているわけですから、これは大きな転換になるわけですね。であるのであれば、それ相応の具体的な根拠がなければならないんじゃないかと、立法事実といいますかね。今までの大臣の御答弁や局長の答弁を聞いていても、余りそこに具体性が認められないと。こういう例もあるからと言うんだけど、それが一体何件ぐらいあって、どれくらいあるのか分からない。
そういうふうなことで、立法事実としてはいいんだろうかと。確かに、共同親権、二人から生まれた子供なので、一人なんで、二人で育てるというのはこれは理想だと思いますけれども、現実にはそうはいかないのが常なので、だから、これを変えるんであれば、きちんとした具体的な立法事実、それ相応の根拠が必要だろうというふうに思います。これが二点目。
三点目。裁判所にげたを預け過ぎじゃないかなというふうに思います。分からぬときは裁判所に決めてもらえというのがこの法案の骨子みたいですけれども、それほど裁判所が信用に値する存在だと私は思っておりません。とともに、裁判所というのは、国民から見たら非常に遠い存在で、近寄り難い存在だと思います。あたかも富士山と同じように、遠くから見ればきれいだけれども、近くに行くまで遠いし、登るのは高い、もう途中でみんな富士山に登るのをやめてしまいます。それと同じ存在が裁判所じゃないかなというふうに私は思っております。
もうちょっと具体的に言いますと、まず、問題があった場合、一般の人はどうするかというと、まず、自分一人では分からないので、誰かに弁護士知らぬですかねというふうに聞きます。余り弁護士と親しい人というのはそんなにおりません。だけど、運よくどこかの法律事務所にたどり着いたと、実はこうこうこういう案件があるんだけど、何とかなりませんかというときに、その相談者の方が聞くのは、まず第一、私は勝てますかというのを聞きます。次に、時間がどのくらい掛かりますかと。その時間、どのくらい掛かりますかと聞いたときに、いや、多分二年ですかね、三年ですかねという答えをしたら、そんなに掛かるんですかと。今度、じゃ、お金はどのくらい掛かるんですかと聞かれて、いや、このくらいですかねと言ったら、ええっ、そんなに掛かるの、私、月収十万ちょっとのパートしかやっていないんだけど、そんなに払えないわよと言って、もう法律事務所に来なくなる。そういう人がかなり、大半いるんですね。だから、裁判所までたどり着く人というのは極めて少ない。なるべく裁判所に行かなくてもいいような解決がいいのではないかと。
そういうことを様々考えますと、総合的に考えると、今回の法案は、メリットとデメリットを比較したときに、メリットよりもデメリットの方が多いんじゃなかろうかと。そういうデメリットが多い法案を作って果たしていいんだろうかというのが、私自身、素朴な感情であります。
それで、余り抽象的な話ばかりして分かりにくいと思うので、何十件か何百件か分かりませんけど、やった事件の中で私が記憶に残っている案件をちょっと紹介させてください。現実はこういう感じなんです。
資料一、Aさんの場合。これ、二〇〇二年に結婚しました。二〇〇三年に長女出産、二年後に次女を出産。二〇〇五年頃、夫婦仲が悪化したので、夫の用意した離婚届に署名し、家を飛び出しました。子供を置いたまま自分一人で飛び出して、そのうち帰ってくるというつもりだったみたいですね。ところが、その離婚届には親権者の欄に父親ということが書かれていましたと。飛び出したときは、もう名前だけ書いて早く離婚したいということで、名前だけ書いて飛び出しましたと、内容をよく見ていなかったと。家を出ている間に、夫は仕事がありますので、和歌山の実家から夫の母親が来て子供二人を連れて、あんた大変でしょうから私が連れて帰るわと言って和歌山に子供二人を連れて帰ったということです。
その後、母親の方が、母親というかその妻の方が面会交流の申立てをして認められました。しかし、夫は会わせてくれません。その後、夫は和歌山に戻りました。そこで、妻の方が親権者変更の申立てをしましたけれども、離婚届で父が親権者になることを認めているじゃないかという裁判所の理由で負けました。
その後、申立人は宮崎に、申立人ってこの女性の方ですね、宮崎に帰ったので、宮崎の法テラスに依頼しました。若い女性弁護士が担当しました。間接強制という、履行しなければお金払えという制度があるんですけど、それがあるんだけれども、その女性弁護士は、相手が会わせてくれないならもうこれ以上は無理よというふうに言われて、それで会うことを諦めました。
その後、別れた夫は再婚し、新しい妻との間に子供ができました。再婚相手に二人の子供に対する愛情は感じられませんでした。そこで、次女が小学生の頃、お母さんに会いたいというふうに連絡があったんですけれども、会えませんでした。
二〇一六年に親権者変更の調停を起こそうとしたんですけれども、そのとき元旦那さんの方は東京に住んでいたみたいですが、子供さんが東京にいたいと言うので調停を取り下げました。もう子供さんもかなり今大きくなっているので、インスタグラムかなんかで子供さんを捜して、現在は連絡が取れていると。だけど再婚はしていないと。そういう状況です。
この人に連絡を取って、その後どうなったのというふうに私聞いたら、今、国会の方で離婚後の親権の問題が論じられているんだけど、どう思うのと聞きました。そうしたら、この人は、離婚後共同親権になれば子供と自由に会えるので共同親権がいいと言っているんですね。面会交流を強制できるとは知らなかった。養育料は払ったことがない、取決めもしていない。子供の親権がないし、会えないのに払う必要はないのではなかろうか、相手の方から請求もされていないと。国会で離婚後共同親権が争いとなっていることは聞いたことがあると。共同親権になれば、子供に自由に会えるし、養育費も払わなければならないと思っていたと、こういうふうに私に答えたんですね。これに対する評価はまた後で言わせてもらいます。
今度、その次のBさん。これ、二〇〇〇年に妻が、子供、女の子、二歳を連れて佐賀の実家に戻りました。Bさん、子供に会わせてくれと言って妻の実家へ行きました。子供をだっこするや否や車に乗り込み、自分の実家に帰ってきましたと。以後、妻や妻側の人間を全く寄せ付けておりません。
その後、妻が子供引渡しの仮処分を申請しました。裁判所はそれを認めました。しかしBさんは渡しません。今度、裁判所が、執行官が何度も説得に行くんですが、Bさんは追い返して会おうとしません。妻が間接強制の申立て、要するに引き渡さなければ一日三万払えという申立てをして、それが裁判所で認められました。しかしBさんは引渡しをしていません。
その後、妻が離婚、親権を求めて調停の申立てをしましたけれども、これは不調に終わりました。
その後、本裁判を妻の方が起こしました。裁判所の一審は妻の訴えを認めました。Bさんが高等裁判所に控訴しました。そうしたら、二審、高等裁判所は、もう紛争は発生してから四年たっていると、だからもうBさんの方を勝たせると。その理由は、もう子供の生活環境がBさんの下ででき上がっているからだと、今更環境を変えて女性の方に子供を移動させることはできないというのが高等裁判所の理由でした。妻は上告しましたけれども、最高裁は上告棄却しました。
その時点で間接強制金は三千万円以上になっていました。そのときのBさん、あんな女に絶対に子供をやらぬ、何ぼ金を取られても構わぬ、逮捕されても構わぬというのがそのときのBさんの私に対する気持ちの吐露というか、こういう状況でした。
こういうのが現実の、その離婚とか夫婦別れの、夫婦別れというか、離婚とか夫婦が別れるときのその現実なんですね。だから、そういう現実を見てきていると、離婚した後、夫婦が仲よく子供に関して親権を行使しましょうと、あるいは、裁判所が見て、この夫婦は仲よく共同親権行使できるから、本人たちは嫌だと言っているけれども、裁判所が何とか共同親権を認めさせようというのは、かなり難しいんじゃないかなというふうに思います。
それと、先ほどの具体例のA、Bの二つ例を挙げましたけれども、この中には離婚するときの様々な問題点というか、これが分かるんですね。まず、離婚するときは冷静な状態じゃないと。それから、お互い憎しみ合っていると。それから、もう離婚用紙に名前さえ書けば離婚できると思い、親権のことまでそんなに考えていないという人もかなりいるんですね。それから、難しいことは弁護士頼まぬと分からぬという人もかなりいます。で、弁護士費用は高いんじゃないかということを言われます。
そこで、資料三。これ弁護士費用。そこに、弁護士の費用は、最初に着手金といって事件を受けるときいただくお金と、成功報酬といって一定の成果をもたらした場合にいただくお金の二種類があるんですが、着手金といって、例えば任意交渉が受任して二十二万。それから、話ができなかったので離婚の調停を申し立てて十一万。それから、調停が成立しなかったので一審、二審、三審と三回裁判やりましたという場合、それで結果的に勝ちましたという場合、それでいくと、離婚訴訟を三審で終了した場合、百二十四万。それから、任意交渉だけで終了した場合でも六十九万。
これ、大体、うちの田舎の方は相場的な金額なんですけど、こういうふうなお金が掛かる。そこでもう諦めるという方がかなりたくさん、多いのではないかなというふうに思っておりますので、何かトラブルがあれば裁判所に来ればいいじゃないのという発想は間違っているんじゃないかなと。なかなか裁判所はたどり着けないところであるというふうに私は認識しております。その意味で、今回の法律が、裁判所が判断する、裁判所が判断するというのは果たしてどうなのかなというふうに思っております。
まあ今までは私の個人的な意見ですけれども、じゃ、竹内さんにちょっと質問させてください。
今回、法律改正をしようとしているわけですけれども、これは子供の利益に資するから実施すると、そういうふうな理解で我々はよろしいんですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/157
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158・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
委員御指摘のとおり、本改正案は子の利益を確保することを目的とするものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/158
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159・古庄玄知
○古庄玄知君 子の利益というのが非常に分かりにくい。
例えば、まあ例えばですよ、医者の夫婦が離婚しましたと。その旦那さんの方はもう三代続く大病院のお医者さんですと、で、奥さんの方は、そのお医者さんがもう何人も何人も彼女をつくるので、それにもう耐え切れずに子供を連れて離婚したと、仮にそういう例があったとしますね、仮定の話。そういうときに、お医者さんは医者の四代目をつくりたいから医学部系に絶対やりたいんだと、だけど奥さんの方は、いや、医者になるとまたどんなことになるかも分からぬから、もっときれいな芸術家の方に、道にやりたいんだとか、そういう進路をめぐって対立があったときに、そのどちらが子供の利益にとっていいのかという判断を裁判官が果たしてできるんだろうかと。
特に、家裁の裁判官というのは若い裁判官が多いですから、まだ独身だったり子供さんがいなかったり、当然離婚はしたことがないとか、そういう人がたくさんおるので、そういう人たちにそのちっちゃい子供の進路を判断させて果たしていいんだろうかなと、ちょっと荷が重過ぎるんじゃなかろうかなというのが私の意見ですが、竹内さん、何かあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/159
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160・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
具体的な子の利益が何であるかにつきましては、それぞれの子が置かれた状況によっても異なるものでありまして一概に定義することは困難でありますが、本改正案は、子の人格が尊重され、その子の年齢及び発達の程度に配慮されて養育され、心身の健全な発達が図られることが子の利益であるという理念に基づくものであります。
子の進路の決定のような具体的な場面での親権行使の在り方を判断するに当たっては、例えば、子の年齢及び発達の程度や子の意見など、様々な事情を総合的に考慮されて判断されるべきものであると考えます。委員御指摘のようなケースにおきましても、その子を取り巻く個別具体的な状況を踏まえて判断されるべきであると考えております。
この法案が成立した際には、国会審議の中で明らかになった解釈も含めまして、適切かつ十分な周知、広報に努めたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/160
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161・古庄玄知
○古庄玄知君 まあそういう答弁になるだろうと思っていましたけれども、ただ、その個人の判断者の価値観によって大きく左右に行くと思うんですね。
判断者が、いや、医者の方が絶対いいと、人の命も救えるし、経済的にもいいんだと、だから医者の方がいいと。芸術家なんかなれるかなれぬか分からぬと、そんな危ないばくちみたいな人生を歩ませるのは良くないと判断者が考えれば医学の方に行くのが子の利益だと。あと、何となればというのをいろいろ理屈か理由を付けてそういう選択をするでしょうし。で、今度高裁に、負けた方が高裁に持っていって、高裁の人が、芸術の方がいいんだと、おいおい、医者はあんまり良くねえと、そういうふうな、医者に対するそういうふうな悪印象を持っている高裁の裁判官だったら、いや、もう一審判決は棄却して判決を次のとおり変更するということで、芸術家の、母親の言うとおりに行けというふうになるかも分かりません。
それで、結局それでも分からぬのでまた最高裁に持ち込まれるというパターンが仮にあったときに、大体何年ぐらい掛かると御認識ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/161
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162・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
事件にどのくらいの審理期間を要するかというのは、その事件の中身等、個別の事情に応じて様々であるかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/162
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163・古庄玄知
○古庄玄知君 それで、済みません、突然の質問であったかも分かりませんけど、それで、離婚した後に別れた夫婦がずっと裁判をしているということ、そういう事態も想定されるわけなんですけれども、これは子供にとって利益なんでしょうか、不利益なんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/163
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164・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
個別具体的な事情にもよりますので一概にお答えすることは困難ではございますが、父母間の紛争に起因して子の心身の健全な発達を害するような場合には、子の利益を害する場合もあると考えられます。また、父母の感情的問題等によりまして親権の共同行使が困難である状態は、子の利益を害すると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/164
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165・古庄玄知
○古庄玄知君 この前、沖野参考人でしたか、何か沖野参考人は、裁判やったとしても、それによって、裁判が解決したときにいい結果が生じるかも分からないから一概に裁判が悪いとは言えないみたいな、何かそういうふうな発言だったと思うんですけれども。
裁判をやること自体、別れたお父さんと現在一緒に住んでいるお母さんが何か月かに一遍裁判所に行く。で、家に戻って、今日の裁判はああだったこうだった。それで、裁判所からは調査官が家までやってきて、今どういう感じとか聞かれること。要するに、裁判をやっていること自体が子供にとって決して利益じゃないというふうに私は考えております。
離婚した後、共同親権で夫婦の意見が異なった場合、その手続の流れとすればどういうふうになりますかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/165
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166・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
本改正案では、父母が共同で親権を行うべき事項について、父母間に協議が調わず、必要がある場合には、家庭裁判所が父母の一方を当該事項についての親権行使者と定めることができることとしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/166
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167・古庄玄知
○古庄玄知君 それで、今回の法案は、離婚後も共同親権を認めると、認める例が、認める場合があるということなんですけれども、その共同親権を認めることによって子供にもたらされる利益というのはどういうものが考えられるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/167
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168・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
子の利益を確保するためには、父母双方が離婚後も適切な形で子の養育に関わり、その責任を果たすことが望ましいと認識をしております。現行民法の離婚後単独親権制度の下では、親権者でない親による子の養育への関与は事実上のものにとどまりまして、法的に不安定なものとならざるを得ないため、子の利益の観点から必ずしも望ましいものではないと考えております。
そのため、離婚後の父母双方を親権者とすることは、法的に安定したより望ましい状態で、子の利益の観点から、父母双方が適切な形で子の養育の責任を果たすことができるようになる点で意義のあるものであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/168
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169・古庄玄知
○古庄玄知君 まあそういう答弁を何回もやっているんですけど、具体的によく分からないんですわ。だから、今の答弁を、具体的にどういうメリットがその子供にもたらされるのかというのを説明してもらいたいんですよ。具体的に、例えば例でも構いませんから、こういう例が、こういう場合は共同親権にした方が絶対いいんだという具体的な例を答えてもらえませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/169
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170・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
法制審議会の家族法制部会におきましては、子に関する重要な事項が父母双方の熟慮の上で決定されることが子の利益にとって望ましい場合があるとの指摘もされたと承知をしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/170
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171・古庄玄知
○古庄玄知君 じゃ、今度は逆に、離婚後の共同親権を導入することによってデメリットもあると思うんですけれども、このデメリットは具体的にどういうものが考えられますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/171
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172・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
一般論といたしましては、離婚後の父母双方を親権者とすることへの懸念点といたしまして、例えば、父母の意見対立時に子に関する事項を迅速に意思決定することができず、子の利益に反する事態が生じかねないこと、婚姻中にDV、虐待がある事案において、離婚後もその被害が継続するおそれがあることが指摘をされております。このほか、委員からは、親権行使をめぐる、家族法制部会の委員からは、親権行使をめぐる父母間の紛争に子が巻き込まれ続けることで子の利益を害するおそれがあるとの懸念をお示しいただいたと受け止めたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/172
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173・古庄玄知
○古庄玄知君 メリットもあればデメリットもあると、そういうことですね。
そうすると、ちょっと、メリットというのはちょっと抽象的で私よく分からなかったんだけど、まあメリットもあると、そういう見解でしょうが、そのメリットとデメリット、どっちの方が大きいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/173
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174・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
離婚後の父母双方を親権者とすることができる制度を導入することのメリットとデメリットにつきましては、各事案における父母と子との関係や父と母との関係等の諸事情によって異なると考えられますので、一概に比較することは困難なところがございます。その上で、本改正案は、離婚後も父母双方が適切な形で子の養育に関わり、その責任を果たすことによって子の利益を確保しようとするという理念に基づくものであります。
令和三年に実施をいたしました世論調査では、父母の双方が離婚後も子の進路などの未成年の子の養育に関する事項の決定に関わることについて、どのような場合でも望ましい、望ましい場合が多い、特定の条件がある場合には望ましいとの回答が多数、合計九割以上ですが、これを占めております。その結果によりますれば、多くの国民が離婚後の父母双方が親権者となることのメリットを感じているものと理解をしておりますが、本改正案の趣旨が正しく理解されるよう、適切かつ十分な周知、広報に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/174
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175・古庄玄知
○古庄玄知君 これは、法律ができれば日本国民全員に適用されるわけですよね。そうしたときに、その個々の事情も当然あるかも分からないけれども、その対象となる日本国民の中でどれだけの人たちがメリットであり、またどれだけの人たちがデメリットであるかという比較が必要で、その根拠として今世論調査を出したと思うんですけれども、今回の法案ができてから、この法案に関する世論調査というのはあるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/175
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176・竹内努
○政府参考人(竹内努君) 今のところはそのような調査は予定はしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/176
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177・古庄玄知
○古庄玄知君 そうすると、共同親権の方が、こういう言い方は悪いのかも分からぬけれども、耳触りはいいんですよね。二人から生まれた子供なので二人で育てましょうというのがいいから、一般の人はそれは共同親権の方がいいなというふうに思っている人多いかも分からないけれども、その辺のアンケートを根拠として出されていますが、そのアンケートが具体的にどういう内容だったのかということをちょっと私把握していないので、その点についてはちょっとこれ以上コメントは控えたいと思います。
それで、次の質問に行きますけれども、今回の改正法案の条文見てもよく分からないんですけれども、その単独親権と共同親権のどちらかが原則でどちらかが例外であるという、そういう原則か例外かという、そういう関係はあるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/177
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178・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
お尋ねの共同親権を原則とするという表現は多義的に用いられておりますので、これを一義的にお答えすることはなかなか困難なところがございますが、本改正案は、父母が離婚後も適切な形で子の養育に関わり、その責任を果たすことが子の利益の観点から重要であるとの理念に基づくものでございます。
その上で、離婚後の親権者を父母双方とするか、その一方とするかにつきましては、個別具体的な事情に即して子の利益の観点から最善の判断をすべきであり、本改正案もこのような考え方に沿ったものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/178
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179・古庄玄知
○古庄玄知君 そうすると、今の回答は、どちらが原則、どちらが例外というそういう関係性にはないという、そういうお答えでよろしいんですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/179
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180・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
例えば、裁判官が共同親権がいいのか単独親権がいいのか判断が付きかねるというようなところで判断に迷ったというようなところを考えますと、どのような定めをすべきか、このような、どのような定めをすべきか判断が付かないという場合に、共同親権を選択すべき、あるいは単独親権を選択すべきといったルールはありませんで、あくまでも子の利益の観点から最善の判断をすることが求められることとなると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/180
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181・古庄玄知
○古庄玄知君 また話が振出しに戻るかも分かりませんけど、その子の利益という概念が、もう判断者によって右に行ったり左に行ったりするような概念だと思うんですが、そのどっちがいいのか判断しかねるというケースというのはあると思うんですよね。そうしたときに、裁判官が、ううん、右に行こうか左に行こうか迷っているときに、原則がなくて、どっちでもいいんじゃと、子の利益に合致すると思えばどっちでもいいんじゃというふうになるともう判断者の恣意的な判断を呼びかねないので、むしろある程度原則的なものをつくったらいいんじゃないかなという、そういう意見もあります。
これ質問なんですけど、裁判の場合、一般原則で、立証できなかったら原告敗訴というのがあるじゃないですか。これ本件の場合にも、さっきの例で、医者の方が子供の利益に合致するのか芸術家の方が子供の利益に合致するのか判断付きかねた場合は、原告、すなわち訴えた側が負けるという、そういう理解でよろしいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/181
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182・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
家事事件手続でございますので、厳密な立証責任が定められているものではありません。したがって、裁判所といたしましては、当事者の主張のみならず、審理に現れた資料から判断するということになろうかと思われます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/182
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183・古庄玄知
○古庄玄知君 判断するというのは、要するに、どっちかの結論を出せということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/183
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184・竹内努
○政府参考人(竹内努君) 審判を求められているという前提で考えますと、裁判所としては何らかの結論を出すということにはなろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/184
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185・古庄玄知
○古庄玄知君 それで、大臣の御答弁にもあったんですけれども、合意がなくても裁判所がこの夫婦については離婚後も共同親権の方がいいというふうな審判を出すこともあり得るということだったんですが、具体的に、具体的にどういう案件であればそういう審判が出る可能性があるんでしょうか。なるべく具体的にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/185
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186・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
父母の合意がない理由には様々なものが考えられますが、父母の協議が調わない場合でありましても父母双方を親権者とすることが子の利益のため必要なケースといたしまして、法制審議会家族法制部会における調査審議の過程におきましては、弁護士である委員、幹事から、同居親と子との関係が必ずしも良好でないとか、同居親の子の養育に不安があるために別居親の関与があった方が子の利益にかなうと考えられるケースなどがあり得るとの指摘があったところでございます。
また、裁判所の調停手続におきましては、父母の葛藤を低下させるための取組も実施されていると承知をしておりまして、高葛藤であったり合意が調わない状態にあった父母でありましても、調停手続の過程で感情的な対立が解消されて親権の共同行使をすることができる関係を築くことができるようになるケースもあり得ると想定をされております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/186
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187・古庄玄知
○古庄玄知君 時間が来たのでこれで終わりたいと思います。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/187
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188・石川博崇
○石川博崇君 公明党の石川博崇でございます。
午前中に引き続きまして、皆様、大変に御苦労さまでございます。
小泉大臣が衆議院の本会議に呼ばれているということもございまして、私からも竹内民事局長を中心に質問をさせていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
まず、法定養育費の制度について質問をさせていただきたいと思います。
前回の質疑において、私から、子の利益についてと、子の利益の確保のための親の責務について質問をさせていただきました。今回導入される法定養育費制度は、子の監護費用の分担について父母の間で取決めができない場合においても子の生活に要する費用の請求が可能になるものでございます。
我が党からも、これまで様々な機会に、一人親家庭の貧困を解消するための法定養育費制度の創設、また養育費の支払確保の各種支援策を拡充していくこと、こうしたことを累次にわたって求めてまいりました。
法定養育費制度を導入することは、養育費の支払が子の利益の確保のため親として果たすべきまさに責務であって、必要なものであるということを明確にする重要な改正であるというふうに考えております。
一方で、この法定養育費を幾らにするのかという金額につきましては、これまでの答弁で法務省は、まずは法務省において最低限度の生活がどの程度かということを研究させていただくというふうに答弁されておられまして、具体的には今後検討されるということになりますが、この金額を決めていくに当たっては、やはり専門的、また客観的な検証をしていく場が私は必要なんではないかというふうに思っております。
例えば、生活保護制度における生活保護基準の額は、定期的な評価、検証を行う生活保護基準部会がございまして、一般所得世帯の消費実態との均衡が適切に図られているか否かを見極めるための専門的かつ客観的な検証を実施しております。
法定養育費の額を今後法務省令で定めるに当たっても、子の健康や子の教育を受ける機会を確保していくためにも、経済的な指標をしっかり用いていくこと、あるいは有識者の知見を取り入れていくこと、こうしたことを審議する場が設けられることが必要なんではないかと考えておりますけれども、法務省の見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/188
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189・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
本改正案におきまして新設する法定養育費制度でございますが、父母が養育費の取決めをせずに離婚した場合に養育費の取決めを補充する趣旨で、父母の生活水準に即した養育費の取決め等がされるまでの当面の間、父母の収入等を考慮せずに、離婚時から一定額の養育費を請求することができるというものでございます。
このような法定養育費制度の補充的な性格に鑑みまして、本改正案では、法定養育費の額を、子の最低限度の生活の維持に要する標準的な費用の額その他の事情を勘案して法務省令で定める一定額とすることとしております。
法定養育費の具体的な額につきましては、本改正案の成立後、施行までの間に法務省令において定めることとなりますが、その際には、委員御指摘のような観点も踏まえつつ検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/189
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190・石川博崇
○石川博崇君 是非、世間の皆様が納得していただけるような客観的なデータあるいは専門家の知見などを取り入れていただける、そういう場を設けていただきたいというふうに思います。
その上で、先ほど申し上げた生活保護基準部会の方では、五年に一度実施される全国家計構造調査の調査結果を踏まえて、同調査のデータを用いて検証を実施しております。是非、この法定養育費についても、例えば物価の水準などは随時変わってまいります。社会経済情勢を踏まえて定期的な見直しを行っていくことが重要なんではないかというふうに思います。
衆議院の議論でこの点聞かれたと、法務省は、民事基本法制は国民の意識や社会情勢の変化等に対応して見直しをしていくことが重要であり、今後も引き続き必要な検討を行っていきたいと考えているというふうに答弁した上で、法定養育費の制度は今般の改正によって新設される仕組みであることから、まずはその施行後の状況を注視することとしたいと考えているとしか答弁しておりません。
施行した後、しっかり状況を注視するというのは当然のことではありますけれども、やはりこの社会経済情勢の変化を踏まえて定期的に見直しをしていくという方針を固めていくことは、私は非常に大事なんではないかというふうに思います。先ほど生活保護制度については五年に一度検証しているということを申し上げましたけれども、この法定養育費につきましても、少なくとも五年に一度は見直しをしていく、そういう必要があるんではないかと考えますけれども、法務省の見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/190
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191・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
委員がおっしゃったとおり衆議院でも御答弁申し上げましたが、法定養育費制度は今般の改正によって新設される仕組みでありますので、まずはその施行後の状況を注視することとしたいと考えております。
その上で、法定養育費制度に限らず、一般に民事基本法制は国民の意識や社会情勢の変化等に対応し見直しをしていくことが重要でありまして、今後も引き続き必要な検討を行っていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/191
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192・石川博崇
○石川博崇君 余り答弁になっていないと思いますけれども。是非、状況は変わります。今、急激なデフレからの脱却ということを政府全体としても目指している、そうすると物価は上がっていくわけでございます。子育てに必要な経費も、社会情勢が変わっていけば変わってまいります。そういった状況をよくよく注視しながら定期的に見直すんだということを今後我々としても求めていきたいと思いますので、是非、意見として申し上げておきますが、重く受け止めて検討していただければというふうに思います。
少し論点を変えますけれども、子の養育費の受領率につきましては、昨年、達成目標が政府によって定められました。一昨年に決定されました女性活躍・男女共同参画の重点方針、ここで養育費の、これは法定養育費ではなくて、いわゆる養育費の受領率に関して達成目標を定めることが明記されまして、昨年の四月に具体的な目標が定められたところでございます。二〇三一年に、子の養育費の取決めの有無にかかわらず、全体の受領率を四〇%にするということ、取決めをしている場合には受領率を七〇%にすること、これを目指すとされました。
この目標が定められた時点では今回の法定養育費について想定していないわけでございますけれども、先ほども答弁、これまでも説明あるとおり、法定養育費というのは父母の養育費の取決めをせずに離婚した場合に請求することができる制度でありますけれども、高い受領率になることが望まれますし、また、この法定養育費が呼び水となって養育費の合意に結び付くことを高く期待したいというふうに思っております。
昨年定められたこの目標の達成に向けてもしっかりと取り組んでいただくことが重要なことはもちろんでございますけれども、法定養育費そのものにつきましても、当然、先取特権も付されるわけでございますので、高い水準の受領率を目指していく必要があると考えておりますけれども、法務省の考えを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/192
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193・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
法務省では、これまで、養育費等の取決めを促進するため、離婚届出書の標準様式における養育費の取決めの有無のチェック欄の整備ですとか、養育費等に関する合意書のひな形を記載したパンフレットの配布、あるいは養育費等の取決めの重要性を説明した動画の配信など、様々な取組を行ってきたところでございます。
法定養育費の意義につきましては、先ほども申し上げましたとおり、離婚の際に養育費に関する協議や家庭裁判所に対する手続の申立てをすることが困難な場合において、父母が養育費の取決めをせずに離婚したときに、子に不利益が及ぶことを避ける観点から、養育費の取決めを補充する趣旨で新たに新設するものでございます。
養育費の受領率の向上につながるよう、養育費等の取決めの重要性や法定養育費制度等について、関係府省庁等とも連携して、適切かつ十分な広報その他の啓発活動を行ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/193
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194・石川博崇
○石川博崇君 是非、法定養育費定めた上で、きちっと受領されていくように様々な手だてを取っていただくことが重要かと思います。
仮に法定養育費の支払がきちんとなされない場合の手当て、これも重要でございます。今回の改正案では、養育費等の債権に基づく民事執行について、これまで複数回の手続が必要だったのを一回の申立てによって債権者財産の開示手続と強制執行を連続して行うことが可能となりました。
これによって債権者の負担軽減が図られることとなりますが、しかし、法定養育費はそもそも相手との協議、取決めができていない時点での債権でございますので、相手と直接やり取りすることが難しいことが想定されます。また、一人で子育てと仕事を両立している一人親にとっては、日々の忙しさの中で、まず誰に相談をしたらいいのか、費用や時間の負担、手間がどれほど掛かるのか、少額である法定養育費を受領するためにそんなに手間とお金が掛かるのであれば諦めた方がいいんではないかなど、様々な悩みに直面されることも想定されます。
こうした法定養育費をしっかり受領できるようになるまで、情報の提供、相談体制、執行手続の援助について、法テラスを始めとした関係機関が協力し、一貫したサポート体制を整える必要があると思いますけれども、どのように取り組むのか、法務省の説明を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/194
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195・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
法務省では、これまでも、養育費等の取決めを促進するためとして、養育費等に関する合意書のひな形を記載したパンフレットの配布など様々な取組を行ってきておるところでございまして、また、自治体職員の同席の下で弁護士によるオンライン法律相談の実施など、養育費の不払解消に向けて、複数の自治体と協力もして、実証的な調査研究を実施してきたところでございます。
本改正案では、法定養育費を含め民事執行手続の申立ての負担を軽減するため、一回の申立てで、財産開示手続、第三者からの情報取得手続、これらの手続によって判明した給与債権に対する差押えの手続を連続的に行うことができる仕組みを導入することとしております。
また、一人親の方が養育費を請求するために民事法律扶助を利用した場合に償還等免除の要件を緩和するなどの運用改善を図ることとしまして、令和六年四月一日から開始をしたところでございます。
養育費の履行確保のためには、法制度の見直しのみならず、委員御指摘のように、養育費についての相談対応や情報提供等も重要でありまして、引き続きこれらの支援等を担当する関係府省庁等としっかり連携してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/195
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196・石川博崇
○石川博崇君 是非よろしくお願いしたいと思います。
法定養育費については以上でございます。
次に、もう一つの大きなテーマとして、親講座、親ガイダンスについてお伺いをしたいというふうに思います。
先ほど質問をさせていただいた法定養育費制度は、養育費が定まるまでの暫定的な措置としての位置付けになりますので、やはり重要なことは、養育費の額がしっかり円滑に合意されて滞りなく支払われる、このような状況をつくり出していく、また、そのためのサポートをしていくことが最も重要だというふうに思っております。そのためには、離婚する父親、母親が離婚に伴う問題をきちんと認識し、そして双方が冷静に話し合う環境が生まれることが必要でございますし、また、離婚後の子供の養育に関する情報提供等を行う親講座、親ガイダンス、これが果たす役割は大変大きいものがあるというふうに考えます。
我が党の本年二月に政府に申し入れた提言では、父母が離婚後もその責任を適切に果たし、父母の協議が子の利益の観点から行われることを確保するために、この親講座、親ガイダンス等の抜本的強化を提言をさせていただいております。
そこで、具体的に質問をさせていただきたいというふうに思いますが、まず、その親ガイダンスの内容について伺いたいと思います。
この親ガイダンスをどういう内容のものにしていくかについては、弁護士や裁判官、家裁の調査官等、法律の専門家のみならず、心理学の専門家等にも加わっていただいてしっかり内容を検証し、また実際に行われている親ガイダンスの実施状況等も把握、評価してその結果を更に反映していくこと、こうしたことが重要ではないかというふうに思います。
この点、法務省は、一昨年、令和四年度の委託事業で、養育費等の取決めなどを促す情報提供の在り方、また離婚後の子育てに関する講座の在り方について調査を行っていただき、昨年三月にその報告書を公表しております。まず、この報告書の概要について御説明をいただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/196
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197・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
委員お尋ねの調査研究でございますが、法律や心理学の専門家の協力を得まして離婚後養育講座の実施に必要な短時間の動画等のコンテンツを作成し、複数の地方自治体と協力して離婚当事者に実際に視聴をしていただき、その効果を検証するなどして適切な講座の在り方を探るために実施をしたものでございます。
〔委員長退席、理事伊藤孝江君着席〕
調査研究の成果として、自治体担当者から、離婚当事者に対する支援のきっかけとして適切な内容であったとの評価が寄せられたり、この講座の受講から段階的に詳細な内容の講座の受講へとつなげたり、自治体独自の取組の実施へとつなげたりすることを検討する自治体も見られたところでございます。
こうした成果については、関係府省庁にも共有しておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/197
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198・石川博崇
○石川博崇君 この調査報告書、私も読ませていただきましたけれども、諸外国の取組、また先行研究に関する調査も行われておりますし、今御答弁もありましたモデル自治体によっての、モデル自治体での取組状況も調査をしていただいた非常に有意義なものだったんではないかというふうに思っております。
一方で、この報告書では、今後検討すべき課題とされた点も幾つかございます。一つは、高葛藤層あるいは子供に向けた講座内容をどうするのか、また講座におけるDVやハラスメントをどう取り上げていくのか。こうしたことは、時間的な制約等から盛り込むことがかなわなかったとして、今後検討すべき課題としております。高葛藤層であればあるほど親ガイダンスの必要性は非常に高いというふうに思いますし、また、子供が親の離婚を受け入れて、そして前向きに生活していくために、子供に向けた講座の作成ということも非常に重要ではないかというふうに思います。
これらの点について、今後どのように調査をして、親ガイダンス、また子供向けガイダンスを充実させるように取り組んでいくのか。令和五年度も調査を行われたと伺っておりますけれども、法務省の見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/198
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199・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
委員御指摘のとおり、令和四年度の調査研究は、離婚後養育講座の実施に必要な短時間の動画等を作成し、その効果を検証したものでありますが、時間的な制約等から、必ずしも必要な情報を全て盛り込むことはできませんでした。そこで、令和五年度には、より詳細な情報を盛り込んだ三十分程度の動画等を作成いたしまして、複数の地方自治体と協力して離婚当事者に実際に視聴をしていただき、その効果を検証する調査研究を実施したところでございます。
この令和五年度の調査研究は、現在、報告書の公表に向けて準備中ではございますが、子供を紛争に巻き込まないことや子供の意見に耳を傾けることの重要性等について、心理学の知見も踏まえて、説明を充実させるなどの工夫がされております。他方で、この調査研究におきましては、協力いただいた研究者等から、DVやハラスメント等のある事案については、講座の内容が必ずしも当てはまらないケースもあり、個別具体的な事情に即した対応がより重要であるとの指摘もされたところでございます。
こうした調査研究の結果も踏まえまして、引き続き関係府省庁や地方自治体等と連携して、離婚後養育講座の受講を促進するための方策について検討し、取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/199
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200・石川博崇
○石川博崇君 令和五年度の調査結果についても近く公表に向けて準備をされているということでございますが、先ほどの話に戻って、令和四年度の調査でもう一つ今後検討すべき課題とされた点として、離婚後、離婚前後の講座について、エビデンスレベルの高い検証方法による効果検証を取り入れることも今後の検討課題であるとしております。また、その効果検証に用いる指標について、アメリカの親教育プログラムの先行研究を踏まえて、短期的な指標あるいは長期的な指標を幾つか例示列挙をしながら、その必要性について指摘がなされております。
どのような政策もそうですけれども、PDCAサイクルを回しながらエビデンスベースで改善をしていくことが重要でございますし、そのためにも立案、実施した後の検証というものが重要で、また検証に当たってはどういう指標で検証していくのかということが極めて重要になります。
この令和四年度の報告書の指摘を参考に、親講座、親ガイダンスについてもしっかりと評価の指標を設けることが必要ではないかというふうに思いますけれども、法務省はどのように考えるのかお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/200
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201・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
御指摘の令和四年度の調査研究では、離婚後養育講座の効果検証の在り方に関しまして、エビデンスレベルの高い検証方法による効果検証を取り入れることも検討されるべきであり、海外の先行研究で用いられている短期的な指標、長期的な指標を勘案することが考えられるとの指摘がされたところでございます。
〔理事伊藤孝江君退席、委員長着席〕
令和五年度の調査研究では、単年度の調査研究であることを踏まえまして短期的な指標を取り入れることとし、受講前後の理解度の点数を指標として用いて効果検証を行いました。その結果として、離婚を経験する子供の心情や養育費、親子交流の重要性に対する理解度が受講前後で統計的に有意に上昇するという結論が得られたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/201
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202・石川博崇
○石川博崇君 ありがとうございます。
令和五年度の調査結果報告書の内容もしっかりと今後フォローしていきたいというふうに思いますが、この報告書を受けまして、今指摘させていただいた点も含めて、法務省において、専門家でしっかり議論をしていただいて、親ガイダンスの内容の充実、取組を早急に進めていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。
続きまして、現在こども家庭庁の予算で実施されている親ガイダンスについて、今日、こども家庭庁来ていただいておりますけれども、お伺いをしたいと思います。
令和元年度から、離婚前後の父母に対して、離婚が子供に与える影響、養育費や面会交流の取決め、離婚後の生活を考える機会を提供するために、講座の開催や一人親家庭の支援施策に関する情報提供を行う自治体を支援していただいております。
この事業、今年度からより普及を図っていくという趣旨だと思いますけれども、位置付けを見直していただいて、これまでモデル事業という形でございましたけれども、いわゆる一般事業に変更されました。また、一自治体当たりの補助金額も増額がなされたというふうに承知をしております。
しかし、これまでモデル事業でやっていたということもあって、実際に実施をしてきた自治体の数というのはそれほど多くなかったということを率直に申し上げなければいけません。これまで実施主体は、都道府県、市区、福祉事務所設置町村となっておりまして、総数で九百九自治体が対象でありますけれども、実際に本事業を実施した自治体は令和四年度で百七十六自治体、そのうち親支援講座を実施した自治体は令和四年度で四十自治体にとどまっておりました。
今後、この実施自治体数を更に増やしていくことが重要かというふうに思いますけれども、どのように自治体に、済みません、どのように自治体に情報提供を行っていくのか、また実施自治体数をどのように拡大していくのか、こども家庭庁の見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/202
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203・野村知司
○政府参考人(野村知司君) お答え申し上げます。
御指摘の離婚前後親支援事業でございますけれども、今し方先生から御指摘がございましたように、令和元年度から、離婚前後親支援モデル事業として、親支援講座の開催でございますとか一人親家庭支援策に関する情報提供などなど行ったり、あるいは養育費の履行確保に資する取組を行ったりする自治体を支援してまいりました。
このモデル事業に取り組んでいただいた自治体によりますと、この事業による支援によって、離婚が子供に与える影響でございますとか、あるいは子供の心情に関する理解、あるいは離婚後の生活や子育てに関する不安の軽減、あるいは養育費や親子支援に関する取決め、履行確保の促進などの効果があったといったような評価をする声をいただいているところでございます。昨年度まではモデル事業と言っていましたけど、この事業を全国の自治体で活用してもらいながら、身近な地域で支援でありますとか専門的な相談、こうしたことができるようにしていくことが重要であると考えております。
一方で、このモデル事業の実態でございますけれども、実施自治体の箇所数、先ほど先生から御指摘があったような状態でございます。このため、この事業をより広く広げていきたいということで、今年度から、これも先生から御指摘ございましたけれども、モデル事業という位置付けを変更いたしまして、実施したいと思った自治体が全てできるように、モデルではなく通常の事業として再編をしたことと併せまして、一自治体当たりの補助基準額の増額などの措置を講じたところでございます。
一方、法務省さんにおかれましても、養育費や親子交流の重要性や取決め方法について説明する動画、パンフレットによる周知を行っていただいているものと承知をしております。
こうした法務省さんとの動き、取組とも連携しながら、地方自治体でこうしたツールを活用したり、あるいは民間団体や地元弁護士会等の協力を得てこの事業を展開していけるように、具体的な取組事例の周知でございますとか、あるいはこの事業の意義、あるいは先ほど御紹介申し上げた取り組んだ自治体で得られた効果、こういったものなどを併せて自治体に対して働きかけをしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/203
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204・石川博崇
○石川博崇君 是非、全国の多くの自治体で実施できるように周知徹底また督促を、こども家庭庁、また政府を挙げて取り組んでいただきたいというふうに思います。
一方で、このように実施自治体数を増加させていくためには、自治体当たりの補助金額も増額されておりますので、今後ますます予算が必要となるということはもう自明でございます。予算の不足によって本事業の実施に支障が出ることがないように、今後、更なる自治体数の増加も見据えて予算確保に努めていただきたいというふうに思いますけれども、こども家庭庁、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/204
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205・野村知司
○政府参考人(野村知司君) 御指摘のとおりでございます。
一か所でも多くの自治体においてこの事業に取り組んでいただくこと、こうした支援に取り組んでいただこうということを進めていく上では、やっぱり必要な予算を国としてもしっかりと確保していく必要性があるというふうに考えてございます。
この事業でございますけれども、自治体の主体的あるいは弾力的な事業運営を可能とするように設けられました、一人親支援策全般を計上する統合補助金のメニューの一つとして行われているところでございます。この統合補助金につきましては、本年度予算においては百六十三億円を計上しているところではございますけれども、先ほど御紹介もいただきましたけれども、今年度から一自治体当たりの補助金額の引上げなども行ったところではございます。
こうした補助金額の引上げも伴いながら各自治体の取組も進めてまいりたいと思っておりますけれども、この事業が一つでも多くの自治体でしっかり活用していただけるように、予算の確保、これは引き続き頑張っていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/205
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206・石川博崇
○石川博崇君 我々もしっかり後押しをしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
また、この親ガイダンスの実施につきまして、我が党からの提言の中では、どこに住んでいてもひとしく十分な支援が受けられるようにすることということを盛り込ませていただきました。
私の地元大阪府では、この親ガイダンスについて、会場参加者の方とオンライン参加者の方のハイブリッド形式で開催をしておりまして、広く大阪府内在住の方であれば参加できるという仕組みでございます。親ガイダンスをどこに住んでいても受講できるようにするためには、こうした大阪府の取組などが参考になるんではないかというふうに思いますけれども、こども家庭庁の見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/206
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207・野村知司
○政府参考人(野村知司君) 委員から御指摘がございましたが、この親支援講座、これオンラインも活用しながら実施をするということは、やはり参加者にとりましてもより参加をしやすいと。つまり、会場に実際に赴くだけではなくて、今いる居場所において、いながらにして、IT機器を使ってアクセスができるということでは、非常に参加しやすい有効な取組ではないかというふうに考えております。
この離婚前後親支援事業でございますけれども、当然、この親支援講座の開催に当たっては、オンラインによる実施も含めて補助の対象ということで取り組んでいるところではございます。また、実際にこうした事業を取り組んでいただいている事例についてホームページなどで事例集のような形をお示しをしておりますけれども、その中には実際にオンラインで実施している自治体の事例も含めて実は今掲載をしておりまして、広く周知を図っているところでございます。
引き続き、こうした事例、新たにオンラインでやっている、やり始めたという事例があれば、そういったのもまた追加をしたりしながら、事例の、好事例の横展開というのを図りながら、さらには、より、何といいましょうか、親支援講座に関心を持った方が参加しやすいものとなっていくように自治体における取組を促してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/207
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208・石川博崇
○石川博崇君 是非、こうした好事例の横展開をしていただければと思います。
もう一つ、親ガイダンスに参加される男女の割合についてお伺いをしたいと思います。
親ガイダンスは、離婚に伴う問題をきちっと認識をして双方が冷静に話し合う、そして父母共に、話し合うということを目的としておりますので、父母共に受講することが望ましいというふうに考えております。特に、別居親となり、また養育費について支払義務者となる割合の高い父親が親ガイダンスを受講して、養育費や面会交流などの意義を子供の視点で考える機会を持つことが極めて重要ではないかと考えております。
しかし、残念ながら、各地で開催されているこの離婚前後の親ガイダンスに参加するのは、男性の方が圧倒的に参加率が低いとお聞きをしております。一例として申し上げますと、広島にある広島ファミリー相談室で令和二年度から三年度の親ガイダンスにおいては、参加者の男女比率が、女性が九一%に対して男性が九%と、圧倒的に女性が多かったということでございます。
こうした状況も踏まえて、父母共に親ガイダンスを受講していただくように取組を進めていくことが重要だと思いますけれども、こども家庭庁、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/208
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209・野村知司
○政府参考人(野村知司君) お答えを申し上げます。
離婚がやっぱり子供に与えます影響でございますとか、あるいは子供の心情を理解するといったこと、さらに、養育費や親子交流に関する取決めやその履行を確保していくことを推進するという意味、そういった意味において、父母共に親支援講座に参加をしていただくこと、これは一つ効果があることかなというふうに思います。
一方で、これ一般論になりますけれども、やはり父親という存在を考えますと、なかなか、ほかの一般的な施策も含めですけれども、自治体の相談窓口の利用などがどちらかといえば男性というのは少なめになりがちであるということも考えられますので、どういった形で参加の、まあ促していくといいましょうか、機運というか何というか、持っていただくかといったようなことも課題ではないかなというふうに認識をしておりますし、さらには、現実問題、高葛藤の場合に、なかなかお二人そろってというのは難しいですから、そういった意味で、やっぱりアクセスポイントというか、アクセスの機会をどう設けていくのかとか、いろいろちょっと考えることもあるのかなというふうに思います。
そのため、例えばですけれども、講座の周知であるとか広報であるとか、あるいは開催する日時の設定でございますとか、父親方も参加しやすくなるような工夫を織り込んだような自治体の取組があればその事例を紹介をしていくでございますとか、あと、そもそもこの親支援講座というのは、今の名前もこの親支援というふうになっておりますように、そもそもがこの親支援講座というのは父親も対象たり得るんだよというようなことを、改めて機会を利用して自治体の方にも認識といいましょうか認知をしていただくというようなことなど、必要に応じて取組を進めていきたいなというふうに考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/209
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210・石川博崇
○石川博崇君 是非、先ほど来話があったとおり、今後予算を増やして各自治体の実施数も増やしていくという中で、男女共に参加が促されるような取組も併せてお願いできればと思います。
家庭裁判所においても親ガイダンスが行われております。調停の期日において、父母が、両親の紛争下に置かれた子の心情等に目を向けて適切に配慮できるように働きかけを行われているというふうに承知をしております。しかし、そのガイダンスの内容とか方法というのは、各家庭裁判所ごとに検討されておられて、内容にばらつきがあるようでございます。
私の地元、大阪の家庭裁判所では、基本説明についてのDVDの視聴、また、調停事件に関与する家裁調査官が直接講義を行う、さらには、子供の年代別の特徴とか対応上のポイントについてDVDの視聴を行うということを行われていると聞いております。
当事者である父母が実際に訪れる家庭裁判所で親ガイダンスを実施するのは非常に良い取組だというふうに思いますので、是非これを更に充実をしていくとともに、全国的にこの内容にばらつきがございますので、好事例の横展開、取り組んでいただきたいと思いますけれども、最高裁判所、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/210
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211・馬渡直史
○最高裁判所長官代理者(馬渡直史君) お答えいたします。
御指摘のとおり、家庭裁判所において実施されている親ガイダンスは、家事調停事件の当事者であり紛争状態にある父母に対し、子の利益に目を向けてもらうための知識、例えば紛争下にある子の心理状態や具体的に子に配慮すべき事項等を提供して、これを理解した上で調停での話合いに臨んでもらうことで子の利益にかなった紛争解決の実現を目指すといった趣旨、目的から行われているものでございます。各家庭裁判所の実情に応じて内容や方法等が検討され、実施されているものと承知しています。
最高裁といたしましても、このような親ガイダンスは家事調停事件において子の利益にかなった紛争解決を図る上で有意義なものであると認識しておりまして、これまでも、例えば親ガイダンスへの活用を想定した当事者向けの動画を作成するなど、各家庭裁判所に対する支援をしてまいったところでございます。
今後、仮にこの改正法が成立した場合には、その内容を踏まえつつ、委員御指摘のような各家庭裁判所における工夫例を把握するなどしながら親ガイダンスが効果的に実施され、一層子の利益にかなった紛争解決が図られるよう、各家庭裁判所に対する支援を行ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/211
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212・石川博崇
○石川博崇君 事前のレクでは、最高裁判所も全国の状況を網羅的には把握をしておられないということでございましたので、是非、良い事例を把握に取り組んでいただいて、横展開努めていただきたいというふうに要望させていただければと思います。
衆議院では、本法案の修正案において、我が党を含む四会派の提案によって、附則に、啓発活動として、子の監護について必要な事項を定めることの重要性について父母が理解と関心を深めることができるよう、必要な広報その他の啓発活動を行うものとするという文言が追加をされました。この点、衆議院では、我が党の大口議員がこの啓発活動の意味について、親講座、親ガイダンス等の取組の充実を含めてということをあえて答弁をしております。
このような本修正の提案の趣旨を踏まえて、今後、法務省はどのように親ガイダンスの広報及び啓発活動に取り組んでいくのか、御答弁を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/212
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213・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
本改正案におきましては、衆議院法務委員会における審議の結果といたしまして、附則に、政府は、この法律による改正後のそれぞれの法律の円滑な施行のため、子の監護について必要な事項を定めることの重要性について夫婦が、失礼しました、父母が理解と関心を深めることができるよう、必要な広報その他の啓発活動を行うものとする旨の条項が追加されたところでございます。
また、御党からは、親講座、親ガイダンスの実施や養育計画の調査研究等について御提言をいただいております。
本年度、令和六年度でございますが、には、養育費や親子交流も含めた子の養育について離婚時に取り決めておくべき事項を定めた養育計画の作成に関する調査研究を実施する予定としております。そこでは、法学者や心理学者等の協力を得まして我が国に最適な養育計画の在り方を検討するとともに、自治体や民間団体と連携し、従前の調査研究で得られた親講座等に関する知見も踏まえながら効果検証することを想定しております。
法務省といたしましては、このような調査研究の成果も活用しつつ、附則の規定の趣旨や御党の御提言等を踏まえ、関係府省庁等とも連携して適切かつ十分な広報その他の啓発活動を行ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/213
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214・石川博崇
○石川博崇君 ありがとうございます。
親講座、親ガイダンスについて様々な観点から質問させていただきました。
小泉大臣、お戻りいただいて。元々通告していなかったんですけれども、もし、途中からで全部聞かれていませんけれども、親ガイダンスの重要性あるいは今後の更なる充実強化等について御決意をお聞かせいただければ有り難いと思いますので、是非お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/214
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215・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) この法案は、子供の利益を一番に考えていこうということであります。
また、どんな親であれ、みんな子供の利益を当然考えるわけでありますけれども、しかし、離婚というフェーズになると当事者同士のやり取りに意識が集中していって、まあ子供のことを忘れるはずはないですけれども、しかし、そういう状況の中でこのガイダンスを受講していただくということは、子供の幸せをやっぱり考えようと、そういう意識をもう一度重ねて両親が認識すると、そういう大きな作用があるように思います。
このガイダンスが有効に、法務省も今研究を進めておりますので、いいモデルができれば、それを広げる中で適切に受け止めていただき、またそれが適切な効果が発揮されるものになるようにしっかりとフォローしていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/215
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216・石川博崇
○石川博崇君 ありがとうございました。突然の質問で申し訳ありませんでした。
以上で私からの質問は終わらせていただきます。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/216
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217・嘉田由紀子
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
日本維新の会・教育無償化を実現する会の嘉田由紀子でございます。質問の時間をいただき、ありがとうございます。
私は、先日の参考人質疑、一日しっかり聞かせていただき、また今朝も、朝から福山議員の質問から見せていただきました。そのようなことを踏まえながら、まずは大局的なところからお話をさせていただきたいと思います。
国連が毎年発表しております世界幸福度調査というのがあります。日本は、G7諸国で最も低い、五十一位です。大人の幸福度調査です。これは、一人当たりGDPや、あるいは平均寿命、あるいは友達、親族の有無とか選択の自由度などを統計データにしているんですが、最も高いのは北欧諸国です。一方、子供の幸せ度もユニセフが調べているんですけれども、例えば、健康などは国際的に一位なんですが、幸せ度で、特に精神的幸福度が三十八か国中三十七位と大変低い。また、日本の子供の自殺率は世界でも最大となっています。大変悲しい実態です。これをどう国として受け止めるか、政治としては大変重たい課題だと思います。
実は、この背景の一つに、様々な経済的あるいは社会的背景あると思うんですが、家族の在り方が関わっているのではないかと、私自身は、実はもう一九七〇年代から世界各地の言わば家族の在り方を社会学徒として調べてまいりました。そういう中から、その経験と知見から、家族のありようが子供や大人も幸せ度に関わるんじゃないのかという仮説を持っております。ただ、科学的なデータ証明はこの部分はできません。
というところで、まず最初に、政治家というのは、あるいは政治とは、人々の幸せ度の最大化であり、一方、不幸の最小化であると思い、私自身は、自治体の経営を担っていた知事時代からこのことを、また国会に送っていただいてからもこのことを肝に銘じております。
政治家として大先輩の小泉龍司法務大臣に失礼な質問かもしれませんが、この、政治家は人々の幸せの最大化、あるいは不幸の最小化を求めるのだというような意見にはどう思われるでしょうか。端的にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/217
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218・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 法務大臣としてというよりは、一政治家として、議員として申し上げたいと思いますが、全くおっしゃるとおりだなというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/218
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219・嘉田由紀子
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
そこで二点目なんですが、まず今回の離婚後の子供の親権問題ですけど、明治民法、百三十年前から実はもう議論できているように、家制度の下で、子供は家の跡取りということで、単独親権、しかも家父長による単独親権しか認められませんでした。今、朝ドラで女性の法律家の問題出ておりますけれども、女性が親権取れないというようなことも扱われております。
私自身、二〇一九年に参議院に送っていただいてから、法務委員会、予算委員会、また決算委員会などでこの問題、五十回取り上げてまいりました。実は、大変思い出深いんですけど、二〇一九年の最初の法務委員会のときに、あっ、森議員はおられなくなりましたね、森議員が法務大臣で、このことの議論をさせていただいたんですけれども、過去五十回の質問で一貫して同じことを申し上げてきました。
この法律の立法事実は、子供の貧困あるいは虐待がハイリスクであると、あるいは自己肯定感がどうしても離婚後の子供はハイリスクであるというようなところから、父母両方から愛してもらえる、そういう仕組みをつくるべきだというのが立法事実だと考えております。
資料一を御覧いただけますでしょうか。
これももう何度も今まで出しておりますけれども、一九五〇年以来、現在までの日本の離婚件数の増大と親の離婚に巻き込まれる未成年の子供の数を示しています。毎年二十万人近くの子供さんが親の離婚に直面しています。私たちが生まれた時代、昭和二十年代というのは、子供は二百六十万人とか二百七十万人生まれていました。そして、離婚に直面する子供は、例えば八万人、そうすると三十五人のうち一人。今は、もう今年などは七十五万人しか生まれないというようなことで、二十万人近く、四人に一人の割合です。
この子供たちのかなりの多くが単独親権下で、言わば親との分離を迫られている。これは、この間、鈴木明子参考人は縁切りの文化と言っておりました。まさに親子の縁を切ることを百三十年前から家制度を守るためにやってきた、ここをどうやって言わば大局的に大きな社会変革を起こすかということが、この共同親権の導入だろうと思っております。
資料二には、一人親の貧困リスクの高さを示しております。
もちろん、お母さんたち本当に頑張っている、でもなかなか貧困から抜け出られないということで、一昨日の参考人質疑ですが、離婚後の共同親権導入をめぐって八人の方が賛否両論述べられました。
まず、東大教授の沖野眞已さんは、現行民法が定められて、一九四七年、ここで女性が親権取れるようになるんですが、それから七十七年たって養育の在り方が多様化したところで、双方の熟慮の上で決めることを法制度で支えることは前向きに評価するということでした。
また、白鴎大学の水野紀子さん、フランス民法の大家でございます。共同親権下での争いを解決するフランスでの司法の人材が大変厚い、でも日本はそこまでできていない。それで、日本の場合には、自治体での離婚後のサポートが大切とおっしゃっておられました。
同時に、弁護士の浜田真樹さんも、自治体の支援プログラム、重要性を指摘しておられました。まさに今、公明党の石川議員が細部までたどっていただいたテーマです。
一方、東京都立大学の木村草太教授は、進学や医療、また日常の生活で父と母の意見が合わず、何度も、学校のプールに入るのに、お父さんは入っていい、お母さんは入っては駄目だ、これが無限ループの悪循環になるということを何度も言っていらっしゃいました。
また、同じく、和光大学教授の熊上崇教授でしょうか、家庭裁判所の調査官として経験事例をたくさん出してくださったんですが、子供にとって不利益だと、共同親権は。望む学校に行けず、望む医療を受けられないということで、改正案は廃案にと何度も言ってられました。
実態としては、日本の離婚の九割近くが協議離婚です。基礎自治体、千七百四十一ございます。その戸籍担当の窓口が離婚届を受理することで成立するわけです。先ほど古庄議員が、Aさんのケースで、知らないうちに、親権のこと知らなかった、離婚届に了解をしてしまった。そういう形で、紙切れ一つで子供の、離婚に直面する、子供さんはそのこと知らず、まさに無法地帯に放り出されるわけです。
ということで、私自身は、二〇一九年以来、法務委員会あるいは各種委員会で四つのことを訴えてまいりました。
一つは、養育費や親子交流の仕組みを埋め込んだ共同養育計画作りを義務化しましょうと。二つ目は、親講座や子供講座も同時に義務化しましょうと。今、石川議員が丁寧にフォローしていただいたところです。それから、共同養育計画作りと講座の実施には、税金、つまり公費を入れましょうと。あわせて、養育計画と講座受講を、日本全国千七百四十一の基礎自治体で離婚届の受理要件にしましょうということを申し上げました。
共同養育計画のサンプルを資料三として出させていただいております。時間がないのでさっと見せていただきますが、このサンプルは二〇一五年です。もう今から九年前に民間組織のリザルツが、離婚経験者や弁護士とともにアメリカでの養育計画書などを参考に作られたものです。これを見ていただいたら、木村教授やあるいは熊上教授が心配していた医療、進学、学校生活での意思決定については、離婚時に具体的に決めておくべき項目として既に挙げられております。今日、午前中の議論でも、ここに、丁寧に見ていただきましたら、パスポートの話もちゃんと事前の協議項目に挙がっております。
また、大事なのが親子の触れ合いです。ここには、子供さんの誕生日や夏休みの過ごし方、ここを一つずつ議論することで、離婚後の暮らしのイメージをしながら父と母が合意をし、そこにサインをする。ただ、仲が悪いから離婚するので、当然これを作るのには二人だけではできないということで、裁判外紛争解決手続、ADRなど、あるいは自治体やあるいは裁判所の支援でこれが必要だろうと、大変有効になると思っております。ただし、当然費用が掛かります。ということで、実はこの間も、ある市長会の重要な方とお話ししたときに、共同養育あるいは共同親権は大賛成だけど、自治体が受けるのには予算と人が是非とも必要だと強く要望をいただきました。
ということで、もうすぐにでもここは、小泉大臣、大蔵省出身でございますので概算要求の仕組みとかよく御経験していると思いますので、ADRや公正証書の作成、また親講座、子供講座に係る経費について、法務省から財務省に予算要求をしていただきたいと思います。これが第二の質問です。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/219
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220・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 趣旨はしっかり承りました。そのとおりだと思います。
ただ、予算要求となると、各省の所管の問題がありますので、そこを調整する必要があるというのが一点と、この法案自体の成立が予算要求をするときの大きなてこになる、そういうこともあろうかと思いますので、必要な財源は、この法律をしっかりと定着、執行するためにも責任を持ってしっかりと取り組みたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/220
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221・嘉田由紀子
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
先ほどの石川議員の質問にこども家庭庁の方からも予算のことを言っていただいていましたので、ここはこども家庭庁さんと相談をしながら、それこそ離婚に直面する子供さんは一年間に十八万人、二十万人、一日五百五十人です。一日遅れると五百五十人遅れるというくらいのせっぱ詰まった話だと私自身は思っておりますので、是非、まずは、この予算、法律を成立させていただいて、そして皆さんが動けるようにお願いをしたいと思います。
四番目ですが、二〇一一年、これちょうど民主党政権のときです。民法七百六十六条が改正されました。当時、江田法務大臣です。離婚後の面会交流についての取決めをするときに子の最善の利益を優先するとあったんですが、その法案審議中に、いわゆる継続性の原則があるから連れ去った方が得だというようなことがあってはいけない、また、裁判所は親子の面会交流ができるよう努めるところがこの法律の意図するところだということで、諸外国で日本以外の先進国はもう皆、共同親権です、基本的には。諸外国で採用されている寛容性の原則、フレンドリーペアレントルール、言い換えますと、もう一方の親と子との交流を約束する、自分だけが一人抱えするんではない、相手のことにも配慮できる、その親を優先するという原則です。これが寛容性の原則ですけど、この寛容性の原則を重要な指摘として、民主党政権さんのときに立法者意思が表明されました。
しかし、残念ながら、その後の法改正でなかなか裁判所の運用は変わらなかった。子の連れ去り得が続いて、親子の面会交流、なかなか保障されずということで、寛容性の原則を採用した松戸事件というのがあるんですが、それが東京高裁では言わば棄却されてしまったということが裁判官により続けられました。
つまり、幾らすばらしい法律を作成しても、裁判官がその法律や立法者意思を無視した判決を出せば全く意味がありません。今回の法改正も、民法七百六十六条改正時と同じように、親権者や監護権など、親子の人生に極めて重要な影響を与える権利義務の最終判断を裁判官に丸投げすることにならないよう是非お願いしたいと思います。
というところで、四番目の質問です。
今回、民法改正、八百十七条の十二の規定、これはフレンドリーペアレントルールです。そして、立法者趣旨がしっかりと裁判の場に、あるいは現実の判定の場に入っていかなかった場合には、見直し条項の対象と考えられます。この見直し条項は衆議院の中で第十九条第二項に入っているわけですけれども、今回、民法改正案が成立した場合にこの見直し条項をしっかりと反映できるかということで、民事局長さんの御答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/221
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222・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
衆議院におきましては、本改正案の附則十九条二項に、委員御指摘のとおり、施行後五年を目途とする検討条項が追加をされたところでございます。
本改正案が成立し施行された後、この条項に基づく検討をする際には、裁判所による運用状況を含め、改正後の各法律の施行の状況等を注視してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/222
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223・嘉田由紀子
○嘉田由紀子君 しっかりとそれは記録に、また裁判官の、あるいは家庭裁判所の現場に徹底していただきたいと思います。
次の質問五です。
私は、原則共同親権にした方が望ましいとずっと主張してまいりました。というのは、選択的制度下ですと、子供にとっては、選択できる、選択は親です、基本的には、もちろん子供の意見もあるでしょうが。となると、原則共同親権ではなく選択制で、自分の親が離婚して、父か母かどちらかが親権は要らないと選択するわけです。これ、子供にとっては大変残酷なことだと思います。今までの衆議院や参議院の中でこのことは全く、私の知る限り触れられていないんですけれども、選択的共同親権は父母の一方が子を捨てるという選択を意味するのではないでしょうか。私自身が自分が子供の立場だったら、お父さん、お母さん、どうするんだろうと思ってしまいます。それで、捨てられたと残念ながら思うかもしれません。
法務大臣御自身が子供で父母の離婚に直面したとしたら、同じような思いにはならないでしょうか。かなり個人的な情的な質問ですけど、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/223
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224・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 原則共同親権という表現、これは多義的に用いられておりますので、お尋ねについて一義的にお答えすることは難しいわけでありますけれども、本法案は、離婚後も父母が適切な形で子の養育に関わり、その責任を果たすことが子の利益の観点から重要であるという理念に基づいています。しかし、置かれた、各御家庭が置かれた状況もそれぞれまちまちであり、様々な事情がそこにはありますから、一律に共同親権というわけにもいかない、選択制を取ったわけです。事情が許すならば子の養育に関わってください、裁判所の判断も仰ぎましょう、そういう形になりました。
結果として、子供たちが今委員がおっしゃったような気持ちを持つことがあり得るのかなとは思いますが、しかし、この法律のもっと深い一番大事なところは親の責務ですね。子供の利益のために親の責務をしっかりと果たしてもらいたいと、これが一番根っこにあるわけでございまして、親権の有無にかかわらず、婚姻の有無にかかわらず、親が子供を養育する、子供の尊厳を守る、子供の幸せを守る、これをベースに家族というものを構成していこうと、こういう考え方でありますので、そこまで含めれば子供が見捨てられたということにはならないわけであります。
子供にそういう理解をしてもらわなければいけないわけですけれども、構造として子供がそういうふうに捉えてしまう面はあるかもしれませんが、基本は、子供をより、より大切にしていこうと、そういう方向を向いた法案でございますので、そこも御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/224
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225・嘉田由紀子
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。小泉大臣の優しさが表れている答弁だと思います。
四月十九日に我が会派の清水貴之議員が、共同親権が選択できるようにというのは一義的ではない、多義的だと言っていらしたその意味は、今のようなことだと理解させていただきます。
そして、その子供が理解するためにも、また親が理解するためにも、先ほど石川議員が言っていらした、本当に親ガイダンス、これが大事だと思います。
それで、女性だけではなく男性も、お父さんも、もう子供を産んだ限り、結婚中だろうが離婚しても、親としての責任はあるんだよ、同時に、親として子育てを楽しむというポジティブな人生の楽しみもあるんだよということは、是非とも親ガイダンス。で、子供さんには、あなたのせいじゃないのよと、お父さん、お母さんは都合があるけれども、ちゃんと離婚しても養育費は払う、そして、例えば誕生日のときには必ず一緒に過ごすとか、夏休みは一緒におじいちゃん、おばあちゃんのところへ行こうとか、そういうことがきちんとまさに親講座、子供講座の中でできることで、私はこの共同養育、共同親権の実効性が高まるんだと思っております。ありがとうございます。
もう質問六はちょっと時間がありませんので質問七ですが、親権から監護権を分けているんですけれども、子の監護者として指定された者に中核的要素である子の居所指定権が付与されているんですね。そうすると、現在の単独親権制度の下でも、子供の居場所決めの話合いもなく、一方的に子供が連れ去られる。それで、本当にもうある意味で人生の楽しみを失って、もう私の知っている方でも命を落としてしまったお父さんもおられます。
というようなところで、親子の交流というのは大変大事なところですが、実は二〇二一年の四月十三日の参議院の法務委員会で、現在でも、相手に、つまり配偶者の相手に断らずに子供を連れ去った場合には、刑法二百二十四条の未成年者略取誘拐罪に当たる場合もあると言われております。ですから、現在、もうある意味で、もちろん緊急の条件あるいはDVがあるから仕方ないんだということもあるかもしれませんが、これは現在でも刑法二百二十四条の法の要件に当たるということもあると上川法務大臣は答弁をしておられます。
ということで、今回、八百二十四条の三が実行されますと、連れ去りがある意味で法的に後ろ盾を与えられる。ですから、共同親権といいながら、実は実質単独親権の強化、あるいは単独親権下で親子分断の不幸を拡大しかねないのではないかということで、見せかけ共同親権あるいは内実は単独親権だと批判する方もおられます。
小泉大臣、このような批判にはどうお答えなさるでしょうか。端的にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/225
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226・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
本改正案は、父母が離婚後も適切な形で子の養育に関わり、その責任を果たすことが子の利益の観点から重要であるとの理念に基づくものでありまして、これが見せかけであるという批判は全く当たらないものと考えております。
父母の協議又は家庭裁判所の手続により子の監護をすべき者が定められた場合には、現行民法の下でも、一般的に、その者が監護及び教育、子の居所指定権及び職業許可権を中心とする身上監護権を有すると解釈をされております。本改正案は、現行民法の解釈も踏まえまして、監護者が身上監護を単独でなし得ることを明確化したものであり、監護者や親権者の権利義務の内容を現行民法の解釈から変更するものでないことを御理解いただきたいと思います。
いずれにしましても、法務省としては、こうした点を踏まえ、含め、本改正案の趣旨、内容が正しく理解されるよう、引き続きその内容を丁寧に説明していくとともに、本改正案が成立した際には、適切かつ十分な周知、広報に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/226
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227・嘉田由紀子
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
あと一分しかないので質問九ですが、今回の法改正見る限り、単独親権下で強制的に親権を剥奪された父母が再び監護を分掌できるための制度的担保が全くありません。親権剥奪された父母のうち、長期間、子との関係が断絶していた場合、父母は子の居場所すら不明な場合が多いです。言わば親子が生き別れとなっている。単独親権制度をこれまで維持し続けてきた政府の法的不作為がある意味で原因と言えます。
この親子の生き別れ状態を救済する措置、親子の触れ合いの復活を目指すべきこと、今回の法改正によって親子交流を回復させるにはどのような方策考えられているでしょうか。民事局長さんと、それから大臣にお伺いします。端的で結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/227
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228・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
本改正案におきましては、別居中の父母の親子交流に関する規定や、家庭裁判所が当事者に対し親子交流の試行的実施を促すための規定などを新設することとしております。これらの規定におきましては、子の利益を最も優先して考慮しなければならないことや、子の心身の状態に照らして相当でないと認める事情がないことを要件とすることなどにより、親子交流やその試行的実施が子の利益にかなう形で行われることを確保することとしております。
安全、安心な親子交流を実現しようとする本改正案の趣旨が正しく理解されるよう周知に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/228
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229・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) この改正案全体は、中心はもちろん共同親権、選択的なものを入れようという考え方でありますけど、もう二つ大きな柱があります。一つは経済的に子供を幸せにしてあげよう、こういう経済的な措置、もう一つは精神的なケア、この二つ。
そして、この親子交流は子供の精神的ケアの一番中心的な重要な事柄でありますので、親権制度がどうであれ、親権制度がどうであれ、これはこれで非常に重要な柱として我々は認識をしております。また、そういう努力もしていきたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/229
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230・嘉田由紀子
○嘉田由紀子君 ありがとうございます。
もう時間がないので。
実は、今日のこの答弁を日本中で大変多くの方が待っておられます。この法務委員会の質問も聞いておられる。父、母だけではなくて、おじいちゃん、おばあちゃんも孫に会えないというような悲しみもいっぱい受けておりますので、この辺り、是非とも、実効性ある共同養育そして共同親権制度、皆さんでつくり上げていただき、私どもも立法府として努力させていただきます。
本日はありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/230
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231・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
午後三時三十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01020240509/231
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