1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和六年五月十四日(火曜日)
午後一時二分開会
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委員の異動
五月十日
辞任 補欠選任
嘉田由紀子君 清水 貴之君
五月十三日
辞任 補欠選任
田中 昌史君 武見 敬三君
五月十四日
辞任 補欠選任
武見 敬三君 田中 昌史君
清水 貴之君 音喜多 駿君
仁比 聡平君 山添 拓君
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出席者は左のとおり。
委員長 佐々木さやか君
理 事
古庄 玄知君
和田 政宗君
牧山ひろえ君
伊藤 孝江君
川合 孝典君
委 員
岡田 直樹君
北村 経夫君
山東 昭子君
田中 昌史君
森 まさこ君
山崎 正昭君
石川 大我君
福島みずほ君
石川 博崇君
音喜多 駿君
清水 貴之君
山添 拓君
鈴木 宗男君
国務大臣
法務大臣 小泉 龍司君
副大臣
法務副大臣 門山 宏哲君
環境副大臣 滝沢 求君
大臣政務官
法務大臣政務官 中野 英幸君
最高裁判所長官代理者
最高裁判所事務
総局総務局長 小野寺真也君
最高裁判所事務
総局家庭局長 馬渡 直史君
事務局側
常任委員会専門
員 久保田正志君
政府参考人
内閣府大臣官房
審議官 小八木大成君
こども家庭庁長
官官房審議官 野村 知司君
総務省大臣官房
地域力創造審議
官 山越 伸子君
法務省民事局長 竹内 努君
法務省刑事局長 松下 裕子君
外務省大臣官房
参事官 長徳 英晶君
厚生労働省大臣
官房審議官 斎須 朋之君
厚生労働省大臣
官房審議官 日原 知己君
環境省大臣官房
政策立案総括審
議官 大森 恵子君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○民法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/0
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001・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、嘉田由紀子さんが委員を辞任され、その補欠として清水貴之さんが選任されました。
また、本日、仁比聡平さんが委員を辞任され、その補欠として山添拓さんが選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/1
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002・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
民法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、法務省民事局長竹内努さん外八名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/2
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003・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/3
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004・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) 民法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/4
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005・古庄玄知
○古庄玄知君 こんにちは。自民党の古庄です。
前回に続きまして、質問させていただきたいと思います。
今回は、共同親権、離婚後、合意がない場合にも裁判所の判断で共同親権を認めるというか共同親権を認定するというか、そういう場合があるというのが大きな問題となっておりますが、まず局長の方にお伺いしたいんですけれども、共同親権にするかせぬかというところで子供の奪い合いというのが大きくクローズアップされておりますけれども、これ共同親権にして、共同親権にすれば、子供の奪い合いというんですかね、子供を連れてその今住んでいるところから外に飛び出すというふうな事案というのは減るんでしょうか、それとも分からぬという答えになるんでしょうか。その辺は局長のお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/5
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006・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
いわゆる離婚後単独親権制度を採用している現行民法下におきましては、親権争いを自己に有利に進めるという目的で子を連れ去っているのではないかとの指摘がされているものと認識をしております。
本改正案は、父母の離婚後もその双方を親権者とすることができることとしたほか、子に関する権利の行使に関し、父母が互いに人格を尊重し協力しなければならないことを明確化しており、御指摘の問題の改善に資するものであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/6
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007・古庄玄知
○古庄玄知君 済みません、分かりやすく言ってもらえませんか。ちょっと抽象的でよく分からなかった。資するというのはどういう意味、減るという意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/7
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008・竹内努
○政府参考人(竹内努君) 委員御指摘の子供の奪い合いという中身にもよるのかと思いますが、現行民法下では離婚後は単独親権ということになりますので、親権争いを自己に有利に進めるという目的で子を連れ去っているのではないかという指摘があるというふうな認識をしております。
本改正案でございますが、離婚後も、父母の離婚後もその双方を親権者とすることができるということにしておりますので、その親権争いを有利に進めるという目的で子を奪い合うあるいは連れ去るというようなことについては一定の効果が見込めるのではないかと考えておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/8
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009・古庄玄知
○古庄玄知君 そうすると、法務省とすれば、この共同親権を導入することによって、子供を連れて出ていくということは減ってくるだろうという推測だと、そういうふうに推測していると、そういうふうな理解でよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/9
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010・竹内努
○政府参考人(竹内努君) 委員御指摘のようなその子の連れ去りと言われる事案につきましては、いろいろな事情があるとは思いますが、本改正案ということで考えますと、父母の双方を親権者とすることができるという仕組みになっておりますので、その親権争いを有利に進めるという目的での子の奪い合いという事案には一定の効果があるのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/10
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011・古庄玄知
○古庄玄知君 今のが法務省の考え方ということを理解いたしましたが、今度は親子交流についてお伺いしたいと思います。
実は私が取り扱った案件で、母親が単独親権を持っていて、六歳、五歳ぐらいかな、ちっちゃい男の子の母親が親権者だったんですけれども、その父親に会わせないという案件がありまして、うちの事務所に来て、母親が、何とかちゃん、あんたパパに会いたくないねと言ったら、子供の方がパパに会いたくないという返事をするので、じゃ、裁判所にその子供さんだけ連れていって、パパとそのおじいちゃん、おばあちゃんがいる面会交流室というところに連れていったら、もう本当、子供がそのパパに飛び付いて、それを後ろからそのじいちゃん、ばあちゃんが見ていて涙を流していると。そういうシーンを私見たことがあります。
だから、やはりこの親子交流、これ仮に親権があろうとなかろうと、親子の交流というのはこれは途切れさせてはいけないなというのが私の個人的な意見なんですけれども、これ、共同親権を導入すれば親子交流というのは必ず実施されるのか。それはもう今と同じように、人によって交流をさせないという、そういう場面もあるのか。この辺について法務省はどういう御見解でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/11
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012・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
父母の離婚後の子と別居親との親子交流は親権の行使として行われるものではなく、別居親の親権の有無と親子交流の頻度や方法等は別の問題として捉える必要がございます。そのため、別居親が親権者であることのみを理由として親子交流が必ず実現されるとは限りません。
親子交流の頻度や方法につきましては、子の利益を最も優先して考慮して定めるべきであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/12
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013・古庄玄知
○古庄玄知君 そうすると、共同親権にしたからといって親子交流が必ず実現されるという、そこまでは考えられないよと、こういう御見解だというふうに認識いたしました。
もう一個質問ですけれども、現実に離婚する場合は、仮に共同親権があろうと、どっちか片一方が子供と一緒に生活して、どっちか片一方は子供とは離れるという、そういう生活の仕方になるんですけれども、その共同親権にした場合、子供と離れたいわゆる別居親ですね、別居親が具体的に子供をどういう形で養育することができるのか。ちょっとその辺、理解しにくいので、その辺、どういうイメージを持っているのか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/13
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014・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
子と別居する親権者が子の養育にどのように関与するかにつきましては、その御家庭の個別の事情により様々であると考えられますので、なかなか一概にお答えすることは困難ではございますが、離婚後の父母双方を親権者とすることによりまして、法的に安定した、より望ましい状態で、子の利益の観点から父母双方が適切な形で子の養育の責任を果たすことができるようになるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/14
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015・古庄玄知
○古庄玄知君 済みません、余りよく理解できなかったんですけれども、個別の事情に応じるということですね。
ただ、少なくとも、離婚したんだからその二人は余り仲がいいわけじゃないと、むしろ仲が悪い、そういう二人が別々のところに住んでいると。片一方、子供は片一方だけにいるということなので、余りイメージとして、もう片一方、別居親の方が子供をどういうふうに養育するかというのは、申し訳ないですけれども、ちょっと私、イメージとして湧いてきません。
済みません、次の質問に行かせていただきます。
共同親権にした場合に、養育料の不払というのはなくなるんでしょうか。局長、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/15
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016・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
本改正案におきましては、親権の有無にかかわらず、父母は子が自己と同程度の生活を維持することができるよう扶養しなければならないこと等を明確化することとしております。
このように、別居親が親権を有することのみによって養育費の履行が確実に確保されるわけではなく、また別居親が親権を有しないからといってその支払義務を免れるわけでもありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/16
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017・古庄玄知
○古庄玄知君 そうすると、共同親権にしたからといって、養育料の不払がなくなるから子供にとってそれが経済的に利益になるというふうには言えないという、そういう御返答でしたね、今の返答は。どうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/17
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018・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
委員御指摘のように、その親権の所在と養育費の支払義務の有無というのは直接は関係がありませんので、共同親権にしたからといって養育費の不払がなくなるというわけではございませんが、本改正案におきましては、養育費の支払確保あるいは履行確保のための方策を別に取っているという趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/18
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019・古庄玄知
○古庄玄知君 よく理解しているのか誤解しているのか、ちょっと分からないんですけれども、自分に親権がないから養育料を払う必要がないと、こういうふうな言い方をする方がいらっしゃるんですけれども、これは正しいですか、それとも誤りですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/19
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020・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
先ほど申し上げましたとおり、親権の所在と養育費の支払義務というのは直接関係がございませんので、委員御指摘のような、親権がないから養育費を支払う必要はないということはない、正しくないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/20
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021・古庄玄知
○古庄玄知君 もう一つ、同居親から子供に会わせてもらえない、だから養育料を払わないんだと、こういう考えが一部にあるやに聞いていますけれども、こういう考えは正しいですか、それとも正しくないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/21
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022・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
親子交流が実施されていないことを理由にして養育費の支払を拒めるというわけではありませんので、委員御指摘のような、同居親から子供に会わせてもらえないから養育費を支払わないという考え方自体は正しくないと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/22
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023・古庄玄知
○古庄玄知君 そういう、今局長からいろいろ面会交流とか養育料とかそういう細かい点聞かせていただきましたけれども、今回の法改正、これを実行することが子供の利益に資するんだというお考えで今回の法改正を実行するんだということですけれども、大臣にお伺いしますけれども、今回の法改正が子供の利益に資するというふうに考える具体的な根拠をお教え願えますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/23
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024・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) まず、親の責務を明確化しております。子供の人格の尊重、あるいは扶養の義務、あるいは夫婦間の協力をするという親の義務、これ、婚姻の有無にかかわらず、親権の有無にかかわらず、親の親たるゆえんによって立つ親の責務を明確に規定をさせていただいております。これ自体、大きく子供の利益に資するものだというふうに思います。
また、養育費の履行を確保する観点からの改正、法定養育費あるいは先取特権、こういったものも明確に規定することとなりました。また、今御議論がありました安全、安心な親子交流、これを促進する観点からの改正も織り込まれています。
最後に、親権に関する規定の見直しを行います。これは、離婚後、あくまで親子の安全が確保され、可能な限りにおいてということでございますが、離婚後の父母が適切な形で子の養育に関わり、その責任を果たすことを可能とするという点で、子供の利益の確保につながるものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/24
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025・古庄玄知
○古庄玄知君 今回の改正案は、いろんなところで改正されていると思うんですけれども、確かに今までの法律に比べて子供の利益に資する部分というのはかなりあると思います。
ただ、やっぱり一番争点になっているのは、合意がない場合にも裁判所の判断で共同親権にすると。その部分が一番問題になっているんじゃないかなと思うんですけれども、今回の改正案全体じゃなくて、離婚した父母双方に合意がなくても裁判所が共同親権を認めると、共同親権にすると、この点に関して限定して考えたときに、それは子供の利益になっているんでしょうか。なっていると考えるのであれば、その根拠をお示しください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/25
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026・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 合意ができない場合、しかし、自動的に単独親権に行くということではなくて、この法案の仕組みは、一度そこで子供の利益というものを中心に置いて、父母間で、あるいは裁判所も立ち会ってもう一回話し合っていただく。共同親権ということができないのか、共同で共同親権を行使するということが本当にできないのかということを、子供の観点に立っていただいて、父母がですね、考えていただく。そのときに、父母どちらかの合意がなければもう単独親権ですよというふうに決めてしまいますと、もう話合いも何もそれは起こらないわけです。もうその答えがそこで出てしまう。
しかし、一応裁判所が裁量権を持っていて、そして最終的には裁判所が預かって決めますよというそのポジションにおいて、父母の葛藤を下げ、子供の立場に立つことを促し、そこで話合いをしてもらって、それでもなおかつ合意ができないと、コミュニケーションも取れないということになれば、それは共同親権の共同行使が困難な場合でありますから、必ず単独親権にしなければならないという結論になっていくわけでございます。
したがって、そのごくまれな、論理的にそういうケースがあり得るというごくまれなケースにおいて、最初は困難だったんだけれども、話し合うことによって、その嫌悪感は変わらないにしても、行動として共同親権の共同行使ありという道が見付かるならば、それは子供の利益にとってプラスであるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/26
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027・古庄玄知
○古庄玄知君 ありがとうございました。
じゃ、次、局長の方にお伺いしたいんですけれども、本改正案が成立してこれが施行されたときに、家事事件は、これは増えるでしょうか、それとも減るでしょうか。その理由についても併せてお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/27
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028・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
本改正案におきましては、父母双方が親権者である場合の親権行使につきまして、父母の意見対立を調整するための裁判手続等を新設することとしておりまして、家庭裁判所に申し立てられる事件数が増加する可能性はあると考えておりますが、現時点で事件数を具体的に予測することは困難でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/28
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029・古庄玄知
○古庄玄知君 事件数までは予測はできないと思うんですけれども、今回の法案が通れば家事事件が増える。家事事件が増えるということは、要するに、別れた夫婦の間での争い事が家庭裁判所に持ち込まれると、そういうことだろうと思います。
それで、今まで単独親権であれば、離婚するときにどっちが親権者になるのかということ及び離婚するかしないかということを決めて、一回だけ裁判をやればよかったんですね。母親が親権者になったということになれば、あとは母親が決めていくことができるという一回だけでよかったのが、今回は、まず離婚を認めるか、離婚を認めるかどうか、それから単独親権にするか共同親権にするか、恐らくこれは同じ手続の中でやられるとは思うんですけれども、理論上は別の争いが発生していると。
それと、今度、もし共同親権というふうに裁判所が認定したら、その個別の論点について双方の意見、承諾が要るので、双方の意見が対立したときにはその解決を目指してまた家庭裁判所に申立てをすると。個別の論点が三つあれば、三つとも意見が対立すれば三回家庭裁判所に申立てをしなければならないし、五つ対立があれば五回家庭裁判所に申立てをしなければならないということで、確実に家事事件、紛争は増えていくだろうというふうに、現場でこういう争い事についてやっている人間は増えていくだろうというふうに認識しております。
争いが増える、それに必然的に子供も巻き込まれていくということになると、それはやはり子供にとって非常に迷惑というか、子供が非常にかわいそうな立場になっていくのではないかなというふうに考えるところです。今のは私の見解でした。
済みません、次の質問に行かせていただきますけれども、改正民法の八百二十四条の二の三項では、特定の事項に関する親権の行使については、協議が調わないときは家庭裁判所が決めるというふうにされています。この特定の事項に関する親権の行使、まず同居親だけが一人で親権行使できることなのか、やはり別居親の承諾も必要なのか。実際にその当事者になったら分からないことがかなりあるんじゃないかなと思いますけれども、何か客観的な基準というのはあるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/29
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030・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
父母の双方が親権者と定められた場合に、その親権行使に当たりましては、委員御指摘のように、その他方の父母と相談をするかなどにつきまして、第一次的には親権者自身が子の利益のために判断すべきこととなってまいりますが、委員御指摘の共同親権の親の間での争いのケースにつきましては、現行法での婚姻中の父母について生じ得るところでございまして、第一次的に親権者自身が判断すべきということについては現行民法の下で父母双方が親権者である場合と異ならないものと考えております。
なお、先ほども委員御指摘になりましたけれども、本改正案は、現行民法の解釈を明確化する観点から、父母の双方が親権者と定められた場合でも、子の利益のため急迫の事情があるときや監護及び教育に関する日常の行為をするときは親権を単独で行使することができることとしておりまして、この規定によって混乱が生ずるとは考えていないところでございます。
いずれにしましても、本改正案が成立した際には、広く国民においてその趣旨や内容が正しく理解されるよう、国会における法案審議の中で明らかになった解釈等も含めまして、関係府省庁等とも連携して、適切かつ十分な周知に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/30
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031・古庄玄知
○古庄玄知君 争いがある場合は基本的に家庭裁判所の方に決めてもらうということだろうと思いますし、その争いがずっと一審、二審、三審というふうに続いていけば、その間、争いがずっと続いていくということだろうと思います。
今まで衆議院とか参議院の本会議とかで聞いた範囲ですけれども、単独でできることは、子供を急迫性のない病気治療のために入院させるとか、短期の留学をさせるとか、ワクチン接種をさせるとか、こういう場合が単独でできるけれども、再婚相手と養子縁組をするとか、名字を変更するとか、転校や転居をするとか、あるいは進路を決めるとか、あるいは子供が連帯保証人になるとか、そういう場合は二人の承諾が必要ということになってきますので、一般の人は、これは私だけでできるんだろうか、別れた旦那の承諾までもらわなきゃならないんだろうかということで、非常に悩むケースが多いと思いますので、その辺、是非、法務省の方で、こういう場合はいいんだよ、こういう場合は二人なんだよというふうに、法案が通った暁には、そういうふうな広報というか、それをきちんとやって、一般国民が悩まないようにしていただければというふうに思っております。
そういう点について、法務省の方で何か御検討されていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/31
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032・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
委員御指摘のような子の養育の過程で親権を行使すべき場面には様々なものがありまして、日常の行為ですとか急迫の事情があると認められる具体的な事例をなかなか網羅的に説明することには限界もあるところではございますが、委員御指摘のように、本改正案が成立した際には、その趣旨、内容が正しく理解されるよう、関係府省庁等とも連携して、適切かつ十分な周知、広報に努めてまいりたいと考えております。
〔委員長退席、理事伊藤孝江君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/32
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033・古庄玄知
○古庄玄知君 今度、単独で親権を行使できると思って単独で親権を行使したら、それが本当は共同親権でなければならなかったという場合に、それの取引の相手方というか第三者はその辺がよく分からないと思うんですけれども、その辺の第三者保護の必要性があるんじゃないかという点と、その取引の相手方は、離婚した両親のうち、単独親権でいいのか共同親権まで必要なのかという、そういうのを確認するにはどうすればいいのか。みんな、万が一違っていたら取引を取り消したりというそういうことに巻き込まれるので、なるべく取引はしない方がいいみたいに思って萎縮効果をもたらすんじゃないか。その点については、法務省の方はどういうふうにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/33
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034・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
現行民法によれば、父母双方が親権者である場合は、法定代理権の行使を含め親権は父母が共同して行うこととされており、この改正案は、本改正案は、このような枠組みを変更するものではありません。
そして、本改正案では、民法第八百二十四条の二第一項及び第二項によりまして親権の単独行使が許容される場合を規定しておりますが、この規定は、現行民法の解釈も踏まえて親権の単独行使が許容される場合を明確化する趣旨のものでございます。
また、父母双方が親権者である場合において、その一方が単独で親権を行うことができると誤信して親権を単独の名義で行使してしまうことは現行民法の下でも生じ得る問題ではありますが、現行の民法の下でも、解釈によりまして取引の保護が図られ、他方の親権者からの取消しができる場合が制限されておりまして、この点も本改正案によって変更が生ずるものではありません。そのため、本改正案は、父母双方が親権者である場合において、未成年者と取引をしようとする第三者に対し、現行法の下での実務と異なる対応を必要とするものではないと考えております。
〔理事伊藤孝江君退席、委員長着席〕
法務省といたしましては、取引実務に混乱が生ずることがないように、関係府省庁等と連携して、適切かつ十分な周知に努めたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/34
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035・古庄玄知
○古庄玄知君 次の質問に行かせていただきます。
前回もかなり聞いたと思うんですけれども、裁判所というところは時間が掛かり過ぎると、スピーディーな解決が図られないと、こういうふうな国民の意見がかなり多いし、実際に私もそうじゃないかというふうに体験をずっとしておりますんですが、この裁判あるいは裁判所は時間が掛かり過ぎるというこの国民の声に対してはどのように考えるのか。今の、現在、これ裁判所に聞いた方がいいかも分からないんですけれども、現在の家裁の体制で的確にスピーディーに共同親権者間の紛争を処理できるのであろうかという点につきまして、大臣の方にお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/35
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036・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 我々も法案を構成してくる過程において、最高裁とそうした点についての意思疎通、情報交換、認識の共有、これは図ってきております。
その上で申し上げますけれども、離婚訴訟を含む人事訴訟事件について審理の長期化といった問題が指摘されております。これは我々も承知をしております。この裁判所における審理期間の在り方、これ、まず裁判所において検討されるべき問題ではありますが、法務省としても、本改正案が成立した際には、その施行までの間に裁判手続の利便性向上といった支援策等の環境整備について、最高裁判所を含む関係府省庁等ともしっかりと連携をして対応を図っていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/36
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037・古庄玄知
○古庄玄知君 夫婦が別居するとき、子供さんが一人いらっしゃるときに、子供を置いたまま自分一人で家を飛び出すということは余り考えにくいと、やはり母親の方が小さい子供さんを置きっ放しにして出るということは考えにくいので、いわゆる子連れ別居というのが大半であろうと思うんです。この場合に、相手方、旦那さんなら旦那さんの承諾がないのが一般的です。
こういうふうな相手方の承諾なくして子供を連れて別居に至った場合、その子供を連れて外に出た母親というのは何らかの不利益を被るのか、そして、親権者を決するときにそれは不利益に考慮されるのか、それから、子供を連れずに一人だけで出ていくことは子供の利益に合致するのか。ちょっと質問の数、多いんですけれども、局長の方にお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/37
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038・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
委員お尋ねのような、夫婦の一方が相手方の承諾なく子を連れて別居するケースは現行の法の下でも生じ得るところでございますが、本改正案では、婚姻中を含め、父母双方が親権者である場合は、子の居所の変更を含めて親権は父母が共同して行うとした上で、急迫の事情があるときは父母の一方が親権を単独で行うことができるとし、父母の意見対立を調整するための裁判手続を新設することで親権行使のルールを整理しているところでございます。
また、本改正案では、子に関する権利の行使に関し、父母が互いに人格を尊重し協力しなければならないとしており、あくまで一般論としてお答えをいたしますと、父母の一方が何ら理由なく、すなわち急迫の事情もないのに他方に無断で子の居所を変更するなどの行為は、個別の事情によってはこの規定の趣旨にも反すると評価され得ると考えております。
そして、これもあくまで一般論としてお答えをいたしますと、父母の一方が父母相互の人格尊重義務や協力義務等に違反した場合、親権者の指定、変更の審判において、その違反の内容が考慮される可能性があると考えております。
他方で、別居の際に子供を連れずに一人だけで出ていくことが子の利益となるのかという委員のお尋ねにつきましては、個別具体的な事情によるため一概にお答えすることは困難ではございますが、あくまで一般論としてお答えをいたしますと、DVや虐待の場合はもちろん、子の年齢が低いような場合において、父母の一方がこれまで子の監護を行っており、他の一方がこれに関わっていなかったようなときは、監護を行っていた父母の一方が子を置いて別居することが子の利益を害することはあり得ると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/38
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039・古庄玄知
○古庄玄知君 そうすると、個別の案件で判断というか、結果は違うんだけれども、子供を連れて出ていったこと、そのこと自体が何らかの不利益を、必ず不利益にしんしゃくされるというわけではないと。総合的に諸般の事情を考えて、場合によったらそれが子供の利益に資する場合もあるし、場合によったらそれは子供の利益に反するという場合もあると、そういうお答えで、そういうお答えだと理解してよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/39
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040・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
子の連れ去りと言われるような事案でもいろいろなものがあるかと思います。先ほど申し上げましたとおり、急迫の事情がある場合はDVからの避難あるいは虐待からの避難として単独行使をすることができますので、それが何か不利益に評価されることはないと思います。
先ほど申し上げましたのは、何ら理由なく、急迫の事情もないのに他方に無断で子の居所を変更するというような行為は、個別の事情によりましては人格の尊重義務ですとか協力義務にも反する可能性があるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/40
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041・古庄玄知
○古庄玄知君 ありがとうございます。
最後に大臣の方にお伺いしたいんですけれども、今回のこの改正案につきましては、様々な懸念やあるいは不安の声が寄せられております。そういう中で、大臣があえて本法案の成立を実現させたいというふうに考えている一番の根拠についてお教えください。これが第一点。
第二点目として、特に不安を抱えているのは、DVなどを原因として子連れ離婚をしたという女性の方たちです。本法案が通ってもその女性の人たちを国として守るんだと、そういうふうな大臣の強い決意をお示しいただければ、そういう不安に思っている方々も安心だと、大臣が守ってくれる、あるいは国が守ってくれるんだと、そういうふうに思える部分があろうかと思うんですけれども、それについて大臣の強い決意を是非お示しください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/41
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042・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) まず、この法案の成立、施行が必要だと思う理由でありますが、離婚というのは、父母の関係、その婚姻関係は壊れてしまうわけでありますけど、家族というのはもう一つ親子関係というのがあって、たて糸、よこ糸で家族というのは紡ぎ出されているものだと思うんですよね。
そのたて糸が切れてしまうとよこ糸も自然に切れるという、そういうものではなくて、今回の考え方は、よこ糸が切れても、その中でたて糸が残る道はないのかということを探ろうとする、まあいろんなケースがありますけど、できるだけそれを包含してその仕組みをつくろうとするものであります。つまり、子供の利益のために家族というものを守ろう、少し大げさですけど、そういう考え方に立脚しています。
ですから、DVで苦しんでおられる、現に傷ついたそういう方々を守るというのも、全くそれはもう根本中の根本命題でありまして、子供を守ると同時に、DVで傷ついた方々、傷つくおそれがある方々、これは何をおいてももう守らなきゃいけないと私は思います。
それによって初めてたて糸、よこ糸が紡がれる、そういう家庭というものを、家族というものを我々はその先に描き出せるような、そういう思いでいるところでございまして、ちょっと説明が抽象的になって恐縮でありますけれども、その思いを御理解いただきたいと思います。必ず守らなければならない、DVから。それはもう至上命題だと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/42
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043・古庄玄知
○古庄玄知君 大臣の力強いお言葉、本当にありがとうございました。
時間が参りましたので、これで終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/43
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044・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、清水貴之さんが委員を辞任され、その補欠として音喜多駿さんが選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/44
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045・石川大我
○石川大我君 立憲民主・社民の石川大我です。
これ、まず最初に、毎回質問させていただいておりますけれども、刑務所の問題です。
小泉大臣からは、全国の刑務所の室温対策について客観性を持ち得るやり方、そういうものを検討して、必要に応じて報告をするという趣旨の答弁をいただきました。その後の進捗状況についてお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/45
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046・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 石川委員から大きな問題提起をいただいて、これまた我々も作業を進めているところであります。
被収容者の健康の保持の観点から、暑さ、そしてこれからの季節は熱中症、ごめんなさい、寒さ、これからの季節は熱中症、暑さ、この両方について被収容者の健康の保持を図ることが大きな責務であり、そのためには温度を的確に把握する仕組み、客観的にまたそれを、室温管理について統一的な運用を図っていく、この両方が重要だというふうに思っています。
長野刑務所での温度の測り方について、ちょっと我々に足りないところがありましたので、そういった御指摘ももう一度踏まえながら、今、矯正局の方で具体的スキームを準備を、そのスキームの策定の作業を進めているところであります。
まず、空室の畳の上で室温を測定する。出し入れ口ではなくて真ん中で測る。そして、複数回、一日の中で寒暖差がありますので複数回の測定を行う。それに基づいて、全国の状況を見据えた上で何度というその基準をまた我々も作らなきゃいけないんですけれども、健康管理の観点からそういう作業を進めようとしているところでございまして、進捗あり次第、委員会含めて御報告をさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/46
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047・石川大我
○石川大我君 大臣から丁寧に御説明をいただきまして、ありがとうございます。
今の季節、とてもいい季節ですので、冷房も暖房も要らないといったような季節ですけれども、是非今から測っていただいて、この後、暑くなりますから、そしてまた秋が来て寒くなるということですから、一年の経過を見ていただくと、いい季節はこうだけれども、最近、本当に暑い状況続いていますので、そういったことで、熱中症でお亡くなりになるというような方がいないようにしっかりしていただきたいなというふうに思っております。
そして、本委員会でも是非、いいところ、先進事例ももちろんありますし、あと大阪の刑務所なんかはこれ冷暖房がそもそもないということで、かなり暑くなったり寒くなったりということあると思いますから、そういうところをあえて暑いときに行って、今行っても気候いいので、ああ、いい環境だねということになってしまうかもしれませんが、夏、夏の暑いとき、そして冬の寒いときに、もう是非委員会で視察をする。もちろん、先進的なところも視察をする。あるいは、海外にもいい事例ありますので、場合によっては海外の視察なんかも是非委員会で検討していただきたいと思いますので、これお取り計らいをお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/47
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048・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/48
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049・石川大我
○石川大我君 そして、先月十九日の本会議で、子の養育の在り方の多様化に関して、同性同士のカップルの子育ては子の養育の多様化に含まれるのかと問いましたけれども、大臣は、子の養育の在り方について様々な形態があることは承知しておりますというふうに答弁をされて、本法案は、父母、これ恐らく異性愛者で法律婚していた二人という意味だと思いますけれども、父母の離婚に直面する子の利益を確保するためにはと答弁をされております。
子の養育の多様化については明確には触れられなかったので改めてお伺いしたいんですが、子の養育の多様化の中に、同性カップルに養育される子供、これが含まれるかということを大臣にお伺いしたいと思います。
ちょっと分かりづらいんですが、LGBTで言うところのBの部分ですね、バイセクシュアルの方がいらっしゃいます。つまり、男女で御結婚されて、お子さんがいらっしゃると。で、御離婚されて、例えば女性がお子さんの親権を持って単独親権で離婚をされると、その後、バイセクシュアルの方ですから、男性と、新しい男性と結婚するかもしれないし、女性のパートナーを見付けるかもしれないと。
今回私が問題にしているのは、女性のパートナーを見付けて、女性と一緒に自分のお子さんを育てているという場合、これはまさに離婚後の子の養育の多様化だと私は思うんですけれども、大臣はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/49
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050・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) それも当然、様々な形態があり得るというふうに申し上げた中に含まれます。同性カップルの方々による子供の養育、これも含まれます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/50
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051・石川大我
○石川大我君 ありがとうございます。
本当に全国にこういった子の養育の形態の方々いらっしゃいます、実際に。そういった意味では、やっぱり現に同性カップルで監護養育されている方いらっしゃいまして、異性カップル、つまり法律婚している夫婦と比べて様々な不利益が、片方にしか親権がありませんから、パートナーの方が例えば病院に行って何か書類にサインをするといったようなこともできないということですから、是非こういったところも、子の利益ということから是非端を発して検討も是非していただきたいんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/51
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052・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) そういう多様な養育の形態があり、そして、まだ法的な保護が十分及んでいないために苦しい思いをされている方がいて、そして様々な御要望もいただいている、そういう状況には我々はあると思います。
国全体、国民全体の中で議論しなければいけないことでありますので、すぐ答えがこの場において出せるわけではないのでありますけれども、大きな問題として認識をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/52
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053・石川大我
○石川大我君 一番いいのは同性婚を認めていただくという、法制化をするということだと思いますけれども、少しずつできることというのはあると思いますので、そういった意味では検討を是非していただきたいというふうに思っております。
あともう一つ確認なんですけれども、子供を育てる、子の利益ということに関して言えば、必ずしも、その親というのが二人の男女のペアであるということが必ずしも必要ということではなくて、真に愛され、安心して安全に育つ環境が提供されるということが子供にとっては大切だというふうに思います。
そういう意味では、同性カップルに育てられている子供、それと異性カップルに育てられている子供、これはもちろん個別具体的にあると思いますけれども、いわゆる同性であることのみをもって、それが例えば劣っているんだとか子の利益に反するんだとか、同性同士で子供を育てていること自体を、それだけをもってして、例えば、それが異性カップルに育てられている子供と比べて子育てが劣っているとか劣っていないとかそういうことではなくて、男女のカップルに育てられている子供と同性同士のカップルに育てられている子供、これはどちらが劣っているとかどちらが優れているとかいうことではなくて、大切なのは、子供が真に愛され、安心、安全に育つ環境であるということを確認したいんですが、これ当たり前だと思いますが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/53
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054・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) そのとおりだと思います。優劣はないと思います。子供にとって大事な両親でありましょう。それが、性別がどうであれ、どういうつながりであれ、子供にとってはかけがえのない両親であることに違いはないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/54
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055・石川大我
○石川大我君 ありがとうございます。
この件、非常に心配の、共同親権が導入されて心配されることは、例えば先ほどの例でいいますと、男女で結婚されていて、女性の方がお子さんの親権を持って御離婚を何らかの理由でされて、その後、女性同士のカップル、女性のパートナーを見付けられて、そこで新しい家族の形で暮らしていると。そこに血のつながりのある元々の男性のお父さんの方から共同親権にしてほしいという申立てがあって、その理由の中に、例えば、かつては公序良俗に反するとか、つまり同性同士で子供を育てていることが公序良俗に反するんだとか、それが子の利益に反するんだという、その中身を見ずして、同性同士が子供を育てているというだけでそれが駄目なんだというようなことを主張される方が今後出てくるやにも思うわけです。
そういった意味では、大臣の今の御答弁、非常に貴重だったというふうに思っております。ありがとうございます。
次の質問に行きたいと思います。いわゆる子供の連れ去りの問題です。
先ほどもお話ありましたけれども、四月五日の衆議院の法務委員会で自民党の三谷委員からこういったお話がありました。特段の理由なく子供を連れ去って相手方に会わせないということ、これ自体は引き離された側に対する精神的なDVに該当するのかという質問に対して、無断で子供を転居させ、特段の理由なく別居親と、別居の親ですね、と一切交流させないというような場合は、個別の事情によるものの、これにより心身に有害な影響を及ぼしたものと認めるときにはDVに該当する可能性があり得、個別具体的な事情によっては、父母相互の人格尊重義務や協力義務に違反すると評価されることもあり得るという趣旨のものでございますと民事局長が答弁をされています。
この答弁をもって、子供を連れて別居することを実子誘拐だというふうに呼んでいる方が、SNS等で子供を連れて別居することを実子誘拐でDVに当たるんだということを吹聴している、残念ながらそういった方たちがいらっしゃいます。
それで、ここでしっかりしておきたいんですけれども、まず、特段の理由なくという前置きがあるわけですよね。特段の理由なくという前置きがあるとおり、DVや虐待から避難する目的で子供を連れて別居し、その相手方、つまりDVの加害者だと思いますけれども、その方と連絡を絶っているという場合、この場合にはこの今の答弁の対象外の事例だということでよいか、つまり、このようなケースにおいては別居親への精神的DVには当たらないということでよいか、改めて大臣にお伺いしたいというふうに思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/55
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056・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) DVから避難する場合のように、これ特段の理由ですよね。子とともに転居することに相当の理由があり、また、これによって別居親の心身に有害な影響を及ぼしたとは認められない場合には、DVと評価されることはないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/56
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057・石川大我
○石川大我君 明確な御答弁ありがとうございます。
もちろん、基本的には個別事案ということだと思いますけれども、これ、やはり連れ去り、実子誘拐被害ということ、子供を連れて別居することですけれども、それ自体がDVであって単独親権になり得るというような情報が流れているものですから、それは良くないというふうに思っています。答弁では、特段の理由なくという文言が入っているということで、暴力や経済的なDV、モラハラ、あらゆるDVから避難する場合はこれは除くんだということをしっかりと確認をしたいというふうに思っています。
次の質問ですが、前回、私の質疑で、DV加害者、被害者の両者の認知のゆがみについて触れさせていただきました。
裁判所において、当事者双方の主張、立証を踏まえて適切な審理が行われるものと承知をしておりますと大臣から答弁がありましたけれども、DV被害者は、家裁などでの面接、聴取などでうまく話せるとは限らないということで、一見すると話が矛盾していることや、当然覚えているはずと思えることが不自然なほどなかなか出てこない、緊張してですね、そういったことも珍しくないというふうに聞いております。子供が虐待をする親に対して両義的な態度を見せたり、むしろ過度な愛着を見せたりするということさえあると聞いています。
これらのようなことを考えると、被害者や子供から話を聞く上では、法的な判断に関わる場合にはなおさらですけれども、相当の専門的な知識と経験というものが必要だというふうに思うわけですけれども、まずは、配偶者暴力相談支援センターを所管する男女共同参画局としてどのような知見、取組をされているか、お伺いをいたします。続いて、こども家庭庁の知見もお聞かせいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/57
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058・小八木大成
○政府参考人(小八木大成君) お答え申し上げます。
配偶者からの暴力は、加害者に加害の意識が薄い傾向にあり、被害が深刻化しやすいという特性がございます。また、被害者自身に自らが被害を受けているという認識がないために、先ほど先生がおっしゃったところでございますけれども、相談に至らないことも多い等の指摘もございます。
配偶者暴力相談支援センターにおきましては、被害者の相談支援に従事する職員等に対しては、こうした知見も含め、様々な研修の機会を提供しているところでございます。その上で、そうした職員等が被害者に寄り添い、被害者の意思を尊重して、利用可能な支援制度等についての助言や情報提供を行うこととしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/58
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059・野村知司
○政府参考人(野村知司君) お答え申し上げます。
御指摘のように、児童虐待を受けている子供にあっては、自身が虐待を受けているという認識がなかったりとか、あるいは自分が悪いからこういうことになっているんじゃないだろうかというふうに思ってしまったりとかということで、家庭の中でこういった困ったこととか悩みがあったりとか、そういったことを抱えていてもなかなか言い出せないというようなことを、子供の方で葛藤を抱えてしまうというようなことがあるというふうに承知をしておりまして、そういった場合にはやっぱり早期に把握をして支援につなげていくことが重要であると考えております。
そのため、こども家庭庁におきましては、子供向けに、お父さんやお母さんに痛い思いをさせられるなどといったような具体的な分かりやすい言葉を掲げつつ、そんなときには相談をしてみようというフレーズを添えた上で、児童相談所虐待相談ダイヤル、いちはやくでございますとか、親子のための相談LINE、こういったところに相談をしてくださいねといったようなことで広報というのを展開をしたり、あと、虐待防止キャンペーン期間中に文科省さんにも御協力をいただいて、学校などでもこういった虐待に関する理解を深めるような広報に取り組んだり、あとさらに、そうした子供たちが児童相談所に来たときに、やっぱりしっかり意を決して相談をしてきた、相談しに来た子供の心情に寄り添った対応を行うように児童相談所の現場にはお示しをしているところでございます。
例えばですけど、無理に話を引き出すのではなくて、子供の気持ちを受け止めながら子供のペースで話を聞くようにしてほしいであるとか、自分が悪かったからではないかという自責の念、あるいは不安などを抱えている子供もいるので、そういった場合にはそれを和らげながら話に耳を傾けてもらいたいと、そういったことなどを掲げているところでございます。
また、身近な市町村でこども家庭センター、これはこの四月から施行された改正児童福祉法での展開を図っているところでございますけれども、こちらの方でも、子供と日々の接点を有します学校、保育所などとの連携をして、こういった子供のSOS、こういったものに早期に気が付けるような体制に取り組んでいきたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/59
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060・石川大我
○石川大我君 ありがとうございます。
加害者に注目をしたいと思うんですけれども、往々にして、加害者という方たちは対外的にはとても優しく温厚で、人当たりがいい態度を取ることがあるというふうに言われています。また、当人は本当にDVの加害の自覚がないということもありまして、例えば一度だけ手を上げたことがあるが反省しているといったことを言うなど、被害者とは逆にストーリーがきれい過ぎるぐらいにまとまっているということも珍しくないというふうに伺いました。
ですから、家裁の調停の場でも、家庭内では日常的にDV加害者だったとしても、いいお父さん、いいお母さんじゃないですかというふうに言われてしまうことも少なくないと、そして調停委員や調査官など、性別役割分担意識や伝統的な家族像、いわゆる家父長制的なものなど、ある意味古い概念から脱却できていない考え方を持っている人に調査が当たってしまうといったような場合で、加害者側に立って被害者である同居親や子供を説得、誘導しているということが実際にはまだまだあるというふうに聞いています。例えるなら、無実で逮捕された方への自白の強要みたいなものかもしれないわけでして、こういったことはあってはならないというふうに思っています。
加害者の認知、心理、行動などについて的確な理解を持ち、適切に事実を探求する構えが不可欠だと思いますけれども、男女共同参画局としてはこうした問題についてどのように取り組んでいるか、お聞かせをください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/60
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061・小八木大成
○政府参考人(小八木大成君) お答え申し上げます。
先ほど申し上げましたとおり、配偶者からの暴力は、加害者に加害の意識が薄い傾向にあり、被害が深刻化しやすいという特性がございます。また、加害者は、自らの行為を正当化する場合や、自らが被害を受けているとの認識を持つ場合があることも指摘されております。被害者からの相談対応をする職員においても、こうした加害者の特性等を十分理解した上で対応に当たる必要があると考えております。
内閣府としましては、被害者が安心して支援を受けることができる環境の整備を図るため、こうした加害者の特性を含め、配偶者からの暴力の特性等を十分理解した上で被害者の立場に配慮して職務が行われるよう、こうした考え方を基本方針におきましても示すとともに、相談員等への研修の機会等を通じて周知しているところでございます。また、被害者支援の一環として、加害者に自らの暴力の責任を自覚してもらう加害者プログラムの実施も推進していくこととしております。
引き続き、相談窓口におきまして、相談者の話を十分に聞いた上で、被害者の抱える問題を適切に理解し、必要な助言等を行えるよう、被害者支援に係る取組の充実等を図ってまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/61
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062・石川大我
○石川大我君 様々な取組を御紹介をいただきました。本当に非常に大変な活動をされているというふうに思います。
これを踏まえて最高裁判所にお伺いをしたいんですけれども、先日の福山哲郎委員の質問の中で、裁判所は必ずDV等の状況があれば単独親権にすると、必ずという言葉が法文に入っていますが、このことについてはどうやって担保するのかという質問がありました。最高裁は答弁で、調停委員や家裁調査官の専門性向上に資する研修の実施などを含め、適切な支援を行ってまいりたいというこれ答弁だったわけですけれども、ある意味当たり前の答弁でした。専門性向上に資する研修、適切な支援というのは、法案があろうがなかろうが、これは是非やっていただきたいということなわけですけれども、改めて最高裁にお伺いをしたいと思います。
DVがあれば必ず単独親権にするということですけれども、これをある意味一〇〇%実施をしていくというためには、具体的にこれどのようにやっていくのか。理想論も大切です、大事ですけれども、被害者が求めるのは、やっぱり理想ではなくて、現実にどうしていただけるかということだと思います。是非御答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/62
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063・馬渡直史
○最高裁判所長官代理者(馬渡直史君) まず、各家庭裁判所では、委員御指摘のようなDVの有無が争われるなどしてその認定が問題となる事案におきましては、当事者双方の主張を踏まえつつ、中立的な立場から証拠資料に基づく認定判断が行われているものと認識しております。また、裁判所では、これまでも、先ほどもお話ありましたが、DV等に関する知見を深めるための研修を実施するなど、専門性の向上を図ってきたところです。
これに加え、仮にこの民法等の一部を改正する法律が成立した場合には、関係職員において、親権者を父母の一方と定めるべき場合に関する規定を含め、改正法の各規定の趣旨、内容を十分に理解して審理に臨むことが重要であると考えております。また、そのために、例えば改正法施行後の運用に関し、大規模庁での集中的な検討や全国規模の検討会の機会を設けるなどしまして、施行に向けた準備を進めてまいりたいと考えております。
またさらに、必要な体制の整備にも努めてまいりたいと考えておりまして、具体的には、改正法の施行が各家庭裁判所における事件処理に与える影響を考慮しつつ、家事調停官の配置数の増加、あるいは、これまでに家事調停官の配置のなかった庁に新たに配置をするなどの調停官制度の更なる活用を含め、家事事件を担当する裁判所職員の体制整備に向けて検討してまいりたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/63
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064・石川大我
○石川大我君 なかなか、今の答弁を聞いて被害者の皆さんが安心できるかというと、なかなかこれ難しいんじゃないかなというふうに思っています。やはり、裁判所における強制型の共同親権というのは、これはやめるべきなんじゃないかというふうに思うわけです。
ただ、繰り返しお伺いをしたいんですけれども、親権、監護、面会交流などに関わる判断をする上で、DV、虐待加害者のリスクアセスメント、これが不可欠だというふうに思います。加害者の状態とリスクを第三者が適切に判断できてこそ、DV、虐待の、法文にあるおそれですね、この正当な判断になるのではないかというふうに思っております。
DV、虐待の主張が出された場合だけでなく、父母と子の話や挙動を丁寧に観察をしてDV、虐待のサインを察知することも含め、各家裁には、リスクアセスメントができ、行政等が行ったアセスメントなどの記録資料を適切に理解し反映できる人材がいるのか、知識、技能の向上を具体的にどう図るのか、改めてお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/64
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065・馬渡直史
○最高裁判所長官代理者(馬渡直史君) まず、DVを含め、様々認定について一般論として申し上げれば、例えば離婚調停や面会交流などの子の監護をめぐる家事調停におきましては、DVや虐待といった安全、安心に関する事情は最優先に考慮すべき事情であると考えておりまして、こうした事情を丁寧に傾聴し、適切な解決に向けて必要な時間を掛けて調整を行うというのがまず第一にあります。
また、その上で、繰り返しになりますが、裁判所では、裁判官、調査官等に対して、DVに関する専門性の向上について、専門家に御講演をいただいたり、実際の事例を想定した研修を行うなど着実に対応してまいりましたし、今後も専門性の向上に努めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/65
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066・石川大我
○石川大我君 法務大臣にお伺いしたいと思います。
本法案の議論の中で、高葛藤を下げられないか、それを努力していただくと、一時的な感情的な判断ではなくて、子の利益について落ち着いて考えてもらうというような答弁をされているんですけれども、そもそも、離婚するまでに様々な問題に向き合い、耐えながら、どうやって改善できるのかというようなことを模索し続け、それでも一緒にいるのが難しいということで裁判になっていると思うんですね。そういった意味では、なかなか話合いができない、子供に悪影響だから離婚するという選択をしているんだと思います。
裁判所などの第三者が入ることで、もちろん、先ほどの答弁の中で、環境が変わっていくということは否定はしませんけれども、第三者に頼らないと話をまとめられないというような状況の中で、本当にやっていけるのか、子の利益に資する養育ができるのかというのは本当に疑問だと思うんですけれども、やはり合意している場合には、当事者が合意している場合にはこれ共同親権ということもありかもしれませんが、やはり合意していない中で裁判所が判断をして、そして強制するというのは、これ判断間違ってしまうという場合はやっぱりあると思うわけですから、そのときに、本当にDVの被害者の方が共同親権という状況に置かれるというようなことは、やっぱり、先ほどの答弁もありましたが、避けなければならないわけですから、ここの部分は法案から除外をするということをお考えいただけないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/66
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067・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 各御家庭で離婚に至る事情は様々であって、また離婚後の状況も本当に様々であって、我々が全て想像し尽くすことはできないと思うんです。ですから、子供の利益のために立ち止まってもらう、そういう場面、そういう過程、これは是非踏ませていただきたいというのが我々のこの考え方でございます。
それでもなお合意ができなければ、それは共同親権の共同行使が困難な場合に当たると思います。それはむしろ単独親権にしなければならないという結論に導かれていくわけでございます。そのときに、やっぱりDV、そのリスク、おそれから母子を守る、そのことも重要な、大変重要な要素でありまして、そういったものを一体としてこの法案は組み込んでいるところでございます。
しかし、最初から、もうノーと言えば単独親権しか道がないというところに陥らないような仕組みとして今の仕組みを考えているわけでありますので、是非御理解をそこはいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/67
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068・石川大我
○石川大我君 いろいろ想像してみるんですけれども、当事者が共同親権に合意をしていなくて、でも、いろいろ調べてみて、裁判所がいろいろと調べてみたら、いや、この人たち共同親権できるんじゃないかということで、裁判所として共同親権ですよということを言うという場面が余り想像ができないなというふうに思うわけですけれども、今までの議論の中で、やはり裁判所が共同親権を認めるというか、共同親権にするという決定というのは、かなりごくごくごく例外的な案件なんだなというふうに思うわけですけれども、大臣としてもそのような感覚ですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/68
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069・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) まれなことであるかどうか、それはちょっと軽々に申し上げにくいですが、片方の親が、その御夫婦の片方がそもそも反対だと、共同親権に反対だというところからスタートしていくケースに限っていけば、それは非常に難しい調整になるでしょう、それはね、簡単ではないかもしれません。
ただ、その結論がどうなるかは、これはもう本当に千差万別、あらかじめそこに予想を立てることは私は余り意味がないと思います。多くの、多くのケースの中でそういうケースが出てくるということは当然あり得るわけで、どちらの場合もあると思いますけれども、様々な多様なケースを包含できる、対応できる、そういう仕組みとして今回の選択的な共同親権制度をつくろうということになったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/69
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070・石川大我
○石川大我君 ちょっと時間がなくなって、あと三分ほどだというふうに思いますけれども、急迫の問題、端的にお答えいただきたいと思います。
急迫という文言の解釈についていろいろ皆さんから具体的な事例が挙がって、私もまた時間があれば今後やりたいというふうに思っていますけれども、これ実質的にもう急迫じゃなくて、我々が言っている必要かつ相当という文言がその実態に適しているんじゃないかなと思うんですが、この急迫という文言を必要かつ相当というふうに改めることによって大分多くの誤解というか、理解の度合いとしては、急迫という言葉を残すよりも、この必要かつ相当というものが実態に即しているんじゃないかと思うんですが、大臣として、ここを是非、急迫を必要かつ相当にすることで、ある意味、国民の皆さんも理解ができる、そして我々もすんなりするというふうに思うんですが、その辺り、最後にお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/70
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071・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) これ、急迫というのは、何に比べて急ぐのかという、そういう相対的な概念なんですよね。この解釈は、ここでの解釈は法制審の議論を経たものでありますけれども、何に対して急ぐかというと、両親の協議あるいは裁判所の審判、比較的時間が掛かるものに対してそれよりは急ぐという意味で、今回のその急迫という用語は、法律用語はそういうふうな解釈の下でここに書かれています。
したがって、絶対的な基準があるわけではなくて、両親の協議あるいは裁判所の審判、かなり時間が掛かることが多いと指摘されていますけど、それを待っていたのでは適時での判断ができなくなる。学校の問題もある、就職の問題も、病気の治療の問題もあると思いますが、それよりは急ごうという場合に単独親権を認めましょうと、こういう考え方でございますので、その解釈は法制審で確認をしていただいております。また、ほかの法文の急迫という言葉との整合性も取った上での用語でございますので、是非御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/71
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072・石川大我
○石川大我君 大臣からるる御説明いただきましたけれども、ある意味、大臣がこれだけ長く説明しなければこの急迫という意味を説明できないということをもってして、やっぱりこれは必要かつ相当に変えた方が、皆さん、国民の皆さんとしては、今の説明を全員が聞くということはこれは難しいですので、関係者の皆さんが、そういう意味では必要かつ相当というふうに変えた方がいいんじゃないかなというのは私の意見ですけれども、これはまた具体例なども挙げながら、また次回、お時間があればやりたいと思います。
お時間になったようですので、これで終わりたいと思います。またよろしくお願いします。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/72
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073・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 立憲民主・社民の牧山ひろえです。
離婚後の家庭法制を中心とした民法改正の質疑を担当いたします。よろしくお願いします。
さて、現在、与野党で様々な角度からこの改正法に基づき質疑を積み重ねて、それによって明確になった点や批判を受けて軌道修正した内容が数多くあります。
これらの国会審議の内容については、裁判実務において反映していただかないと議論の意味がありません。その認識は当局でも共有していただいており、五月九日のこの委員会での福島議員との討議の中で大臣はこうおっしゃっています。本改正に関わる国会での議論を含めた立法意思が執行にちゃんと写し取られるかどうか、そこが非常に大事なところでありますので、そういう問題意識を持って法務省も最大限努力したいと思いますと言っているんですね。
では、具体的に、法務省はどのようにして当委員会での議論を裁判実務に反映するおつもりでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/73
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074・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) それはもうひたすら裁判所に、この審議の経過あるいは立法意思、こういったものをひたすらお伝えをして、これを理解をしていただきたいと、そういうお願いを繰り返していく、それが一番大切な方法だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/74
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075・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 裁判官は憲法及び法律にのみ拘束されるとされていますので、条文修正を行えばこんな心配は要らないと思うんですが、政府・与党はかたくなに拒んでいますので、特段の配慮が必要になってくるわけだと思うんですね。
最高裁も同じ質疑の中でこう述べています。各裁判所において改正法の各規定の趣旨、内容を踏まえた適切な審理が着実にされるようになることが重要、最高裁といたしましても今回のいろいろな議論なども踏まえまして準備を進めていきます、研修なども含めて裁判所としても対応してまいりたいと、このように述べておられるんですけれども、問題意識は共通するんですけれども、対策の具体的なイメージが見えないんですね。
研修以外の具体策をお示しいただければと思います。最高裁、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/75
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076・馬渡直史
○最高裁判所長官代理者(馬渡直史君) 最高裁といたしましても、民法等の一部を改正する法律が成立した場合に、これまでの委員会での質疑によって明らかにされた改正法の各規定の趣旨、内容を事件を担当する裁判官を始めとする各裁判所職員に的確に周知し、各裁判所においてその内容を踏まえた適切な審理が着実にされることが重要であると認識しております。
そのために、例えば、改正法施行後の運用に関する大規模庁での集中的な検討や全国規模の検討会の機会を設けて裁判所内部でしっかりと検討を行い、また裁判官を始めとする各裁判所職員に対して必要な研修を実施するなどして、各裁判所における施行に向けた準備や検討が適切に進められるよう、必要な情報提供やサポートを行ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/76
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077・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 様々なシミュレーションを含めて質の高い国会審議を行い、それを軸に執行の質を高めていくことは重要ですし、私たちの使命でもあると思うんですね。
ですが、先ほど述べました裁判官の独立の関係上、裁判所が立法意思どおりに解釈し、そして運用し判断する保証はないですし、法務大臣も最高裁事務総局も保証することはできません。であれば、重要なところを具体的に条文に書き込んできちんと縛る、本来の筋論でいえば、こうしないと懸念は全く払拭されないのではないかなと思うんです。
例えば、共同親権となっているケースで、同居親が自身の行う行為を自身単独でできるのか、それとも別居親と共同でないとできないのか確信が持てない場合に、これらの質問に対応する問合せ窓口的な仕組みや手だてを用意する御用意はございますでしょうか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/77
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078・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
親権を単独で行使できるか否かにつきましては、婚姻中の父母について現行法の下でも生じ得る問題でありまして、現行法の解釈も踏まえつつ、本改正案では、父母双方が親権者である場合でありましても、子の利益のため急迫の事情があるときや監護又は教育に関する日常の行為をするときは親権の単独行使が可能であることを定めております。
各父母による親権行使の当否につきましては、個別の事案における具体的な事情に即して判断すべきものである上、現行法の下での婚姻中の父母による対応と異なる対応を必要とするものではありませんが、これまでの国会審議におきましては、具体例も踏まえて親権の単独行使が認められる場面等について説明をしてまいったところでございます。
また、本改正案につきましては、衆議院法務委員会における審議の結果といたしまして、附則に、政府は、改正後の各法律の円滑な施行のため、新民法第八百二十四条の二第一項第三号の急迫の事情の意義ですとか同条第二項の監護及び教育に関する日常の行為の意義その他の改正後の各法律の規定の趣旨及び内容について国民に周知を図るものとする旨の条項が追加されたところでございます。
本改正案が成立した際には、この附則の規定に従いまして、本改正案の趣旨や内容について、国会における法案審議の中で明らかになった解釈等を含め、関係府省庁等とも連携して、適切かつ十分な周知に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/78
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079・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 今私が申し上げたようなサービスがないと、同居親は子供について何らかの選択を行うたびに弁護士に問合せをしなければならなくなるんですね。この短い国会審議の中でも、これだけ様々なケーススタディーが検討されています。実際に制度が施行された場合、数多くの事案について不安を感じるケースが続出すると思うんですね。そのような状態は子供の利益には全くならないと思うんです。
共同親権となった場合には、日常の行為ですとか急迫の事情がある場合を除いて、狭義の親権である重要事項決定権について共同行使をすることになります。共同親権者の話合いで一致しない場合の重要事項の決定は、家族にとって今までになかった業務でございます。これに加えまして、共同親権か単独親権かという、これもまた今までなかった業務も加わるわけですね。また、言わば事件が事件を生む、このような事態も懸念されるわけです。
これらを考え合わせますと、確実に家裁の業務量は増加、激増すると思うんです。法務省そして最高裁は、今回の改正によってどの程度、家裁の家事事件数が増加すると見込んでおられますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/79
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080・竹内努
○政府参考人(竹内努君) まず、法務省からお答えいたします。
本改正案におきましては、父母双方が親権者である場合の親権行使につきまして、父母の意見対立を調整するための裁判手続等を新設することとしておりまして、家庭裁判所に申し立てられる事件数が増加する可能性はあると考えておりますが、現時点では事件数を具体的に予測することは困難でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/80
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081・馬渡直史
○最高裁判所長官代理者(馬渡直史君) では、裁判所の方からもお答えいたします。
この法律案によれば、父母双方が親権者である場合の親権行使について、父母の意見対立を調整するための裁判手続等を新設する内容を含むものであると承知しておりまして、法案が成立する前の段階で確たることを申し上げるのは困難でございますが、この法案が成立をし施行となれば、この新たな裁判手続等の新設に伴い家庭裁判所に申し立てられる事件数が増加する可能性はあるものと考えておりますが、現時点で具体的な予測は困難であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/81
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082・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 改正案は、現行法よりも、親権行使などをめぐって協議ですとか対立する場面が当然ながら増えると思うんですね。今までは紛争のきっかけになりづらかったプールですとかワクチンなどの何げない生活の一部が紛争の種になるわけでございます。言わば、紛争の多様化そして複雑化になるわけです。法務大臣は衆議院での審議で、不必要な紛争が増えるとは思わないと答弁しておられますけれども、要否を問わず、紛争自体が増えることは多くの識者が認めるところなんですね。
共同親権制度が主流の欧米では、日本と比べて子の監護に関する法的紛争が非常に多く、もう格段に多く、裁判に巻き込まれる子供が大変多いです。ちなみに、家事裁判の件数は、日本は二千二百四十一人に一件、フランスの場合は現在三百九十五人に一件、米国ニューヨーク州ですと百三十七人に一件となっております。米国ニューヨーク州もフランスも共同親権の国なんですけれども、共同親権と子供が法的紛争に巻き込まれる確率との関係について、どのような御認識でいらっしゃいますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/82
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083・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 御夫婦が別れた後にも共同で親権を行使する、これはなかなか確かに難しい問題であり、その判断において裁判所の判断が求められるケースももちろん増えていくということは事実だと思いますが、その目的は何かといえば、子供の幸せ、子供の健やかな成長、それに向かっての努力だと私は思います。
増えていくことに対しては適切な対応が必要だと思います。組織の拡充、あるいは予算の確保、様々なスキルの獲得、そういったものを積み重ねながら、子供の幸せのために裁判所にも頑張ってもらわなければいけない、そのように感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/83
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084・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 共同親権の導入が子供を法的トラブルに巻き込む可能性を上げる可能性もやはり考慮するべきだと思うんですね。
今回の改正に対応するには、家庭裁判所の抜本的な人的、物的体制の整備が必要不可欠だと思います。裁判官はもちろん、調査官、調停委員などについても増員が必要でしょうが、法務省と最高裁は、今年度も含めて、裁判官以外の裁判所職員の定員増加にブロックを掛けているんです。
その一方で、今回の改正によって、離婚をめぐる事件が今より更に複雑かつ困難になることが想定され、とりわけ当事者対応は困難を極めることが予想されております。
今回の改正の影響を最も受ける職種の一つである調査官などは、極めて専門性が高く、そして増員することはすぐにはできることではありません。今回の改正に対応するために、最高裁は、いつまでにそれぞれの職種をどの程度増員し、またどのように家裁のインフラを強化するのか、その御方針をお聞かせいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/84
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085・小野寺真也
○最高裁判所長官代理者(小野寺真也君) お答えいたします。
本法案が成立いたしまして施行ということになりますと、裁判所に期待される役割がこれまで以上に大きくなります。また、新たな裁判手続等の創設に伴い、家庭裁判所に申し立てられる事件数の増加が見込まれることは裁判所としても認識しているところでございます。
裁判所といたしましては、裁判所に期待される役割をしっかりと果たしていくためにも、新たに創設される裁判手続等を含め、改正法の各規定の趣旨、内容を踏まえた適切な審理が着実に行われるよう、裁判所全体として適切な審理運用の在り方を検討していくことが重要であると考えており、こうした適切な審理運用の在り方に見合った体制の整備に努めていく必要があると考えているところでございます。
体制整備の詳細につきまして、現段階において確たることを申し上げることは困難でございますが、裁判所といたしましては、このような検討をしっかりと行った上で、本法案の施行に向けて必要な人的、物的体制の整備に努め、家庭裁判所の事件処理能力の一層の向上を図ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/85
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086・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 新しい制度や予算成立前だから、そのために必要な準備や計画について回答できないといった趣旨のコメントに聞こえるんですけれども、実際に今回にしても改正事項に基づいたプランは未作成とのことのようなので、本当に急ピッチでしっかりしたプランを立てて、是非体制をしっかりと整えていただきたいと思います。
行政府は、主権者である国民から政策についての信任を得るために、政策や制度を国民の代表者としての国会に提案します。その場合には、政策や制度を実施するのに必要な費用や対応人員、それから必要装備などについて、ある程度の規模感を伴ったプランニングが政府提案の妥当性を評価する際に判断要素として必要なのではないでしょうか。
この点について、大臣の御所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/86
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087・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 今年度の話として申し上げれば、今年度予算の要求をする段階でこの法案はまだ形が見えておりませんでした。国会にも当然提出されていませんでした。
しかし、今国会で取り上げていただき、こうして御審議をいただいている以上は、これは二年後の施行になると思いますけれども、成立した場合には、最高裁ともよく意思疎通をして、そしてしっかりと予算要求できるように、その規模感も含めて、内容も含めて、細部も含めて検討していきたいというふうに思っています。
行政権と司法権にまたがるそういう案件でございますので、法務省だけで処理できるわけでは到底ありませんけれども、最高裁に様々なお願いをする以上、我々もそれを支える、協力する大きな責務があるということは自覚しておりますのでしっかりと取り組みたいと思いますし、この法案が成立すること自体が大きな後押しになります。財政当局に対して、是非、委員の先生方にも御協力を、強力な御協力をいただきたいとお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/87
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088・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 では、二年後、すなわち二〇二六年に予定されている改正民法の施行までに裁判所としての対応、準備は間に合うと最高裁はお考えでしょうか。間に合うというのは、しっかり問題が起きないようにするということなんですけれども、いろんな意味で、その準備は間に合う、その準備には間に合うというお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/88
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089・小野寺真也
○最高裁判所長官代理者(小野寺真也君) お答えいたします。
裁判所といたしましては、本法案が成立した場合におきましては、定められた施行期日に向けて、改正法の各規定の趣旨、内容の的確な周知や研修の実施等を含め、必要な準備をしっかりと進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/89
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090・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 専門性の養成ということに鑑みましても、非常に多くの時間が掛かります。
そしてまた、先ほどの質疑からもお分かりのように、現在の法務省も最高裁も、今回の法改正についてどの程度の準備が必要かという全体像も、そしてそれを前提とした現在の状況も、いずれも教えていただけませんでした。把握していないように聞こえました。それでなぜ間に合わないとは思っていないと言えるのか不思議です。しっかりと答えていただきたかったんですが、もう一度お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/90
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091・小野寺真也
○最高裁判所長官代理者(小野寺真也君) お答えいたします。
最高裁といたしましては、改正法の趣旨に沿った適切な運用を確保するために、例えば改正法施行後の運用に関する大規模庁での集中的な検討や全国規模の検討会の機会を設けるなどして、各裁判所における施行に向けた準備、検討が適切に図られるよう、必要な情報提供やサポートを行ってまいりたいと考えているところでございます。
あわせて、裁判手続の利便性の向上や事件処理能力の一層の改善、向上に努めることも重要であり、期日間隔等の短縮化に向けた取組やウェブ会議の活用の拡充などを含む各家庭裁判所における調停運営改善の取組を支援するほか、調停委員の研修体系の見直しを図っていくこととしております。
このような運用面の取組を進めながら、適切な審理運用の在り方に見合った人的、物的体制の準備もしっかりと進めていくことで、施行期日までに必要な体制整備ができるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/91
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092・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 続きまして、家庭裁判所の審理期間の短縮の必要性についてお伺いしたいと思います。
改正法の施行後、重要事項ないし特定事項の決定につき親権の共同行使の合意ができない場合、すなわち両親権者間で親権行使の判断が割れる場合、その判断は家裁の審判に委ねられることになっています。重要事項の判断を委ねられた家庭裁判所は、どういった判断基準で審判を行うのでしょうか。
先日の委員会で古庄議員も発言していらっしゃいましたけれども、例えば子供の進路なんて何が正解かなんて、裁判官だから分かるというわけではないと思うんですが、いかがでしょうか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/92
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093・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) いや、ちょっとその実務の詳細まで私もコメントできませんが、公平な、そして子供の幸せというものに大きく焦点を置いた判断を冷静に公平にしてくださる、そういう期待を我々は持って裁判所に判断をしていただこうという法制になっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/93
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094・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 重要事項決定権の共同行使は、必ずしも子供の利益にかなうとは言えないと思うんですね。離婚後の父母に協力関係がないと、実際には子についての意思決定がスムーズにできなくなるからです。過去の国会の答弁でも、安倍晋三首相や山下貴司法務大臣はこの点を強く言っておられました。
決定内容の適切さもさることながら、こういった重要事項の決定に関わる審判は短期間で行われる必要があります。たとえ家庭裁判所が正しい判断を行ったとしても、その判断が必要なタイミングに間に合わなければ、子供の最善の利益にかなう制度とは言えないのではないでしょうか。法務大臣の御認識を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/94
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095・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 御指摘のとおり、子供の利益を確保するためには家庭裁判所においてスピード感を持った審理が必要な場合がある、当然考えられることであり、各裁判所において、そのような事情も踏まえて適切な運営がされるものと理解をしております。
この法案が成立した際には、裁判所において適切な審理が行われるよう対応されるものと承知しており、法務省としても、国会審議の中で明らかになった解釈等について裁判所と適切に共有すること、これ繰り返し申し上げておりますけれども、共有することを含めて裁判所の取組をサポートしたい、協力したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/95
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096・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 しかし、現在の子の監護者指定事件の調停、審判の手続を通じた平均審理期間は約九・一か月となっております。特定事項の審判は新しい制度ですのであくまで参考としての数値となりますけれども、例えば手術ですとか、あるいは転居の決定に九か月以上掛かっていたら、下手するとその病人は命さえ失われてしまうかもしれません。進学などにも、当然、九か月もたってしまえば悪影響が出てしまってもおかしくないわけです。印象値ではありますけれども、実社会の要請に到底応じられる審理期間とは言えないと思うんですね。これ、本当に大問題になる、今後もっともっと大問題になると思うんです。
共同親権の導入に伴って、具体的な親権行使の審判だけではなく、親権者を定める審判、親権変更の審理、面会交流の審判もまた増加が見込まれるばかりです。そのいずれについても、子の意向を十分に確認し、家庭の状況を詳細に調査して、丁寧に判断をする必要があります。
現在の家裁の審理期間の現状は、実社会の要請に応え、子供の利益を確保し得るものと大臣は評価されますか。現在の家庭裁判所の業務の繁忙状況で審理期間の問題が生じないと、そのように言えるでしょうか。大臣、お答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/96
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097・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 御指摘の審判手続に要する時間、期間については、個別具体的な事案によって異なる上に、様々な要因が影響すると考えられます。そのため、現在の監護者指定事件の審理期間についての評価、これをお答えすることや、仮に本改正案が公布後二年を待たずに直ちに施行される場合といった仮定の質問にお答えすることは困難であります。
しかし、このスピード感、おっしゃるように非常に重要なポイントであります。日々の生活がもう動いていますから、日々の営みというのは途切れませんので、その中で刻々と子供は成長します。そういう大事な時間を無駄にできない御家庭にとって本当に重要な問題だと思います。
そのことを我々もよく理解し、裁判所にも理解していただいて、財政当局にもお願いをし、できる限りスムーズに結論が出せるような審理体制を目指して、本当に力を入れてしっかりと取り組んでいきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/97
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098・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 最高裁はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/98
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099・馬渡直史
○最高裁判所長官代理者(馬渡直史君) 家事事件の審理期間の長期化につきまして御批判があるということは最高裁としても承知しておりまして、各地の家庭裁判所でもこの審理期間の長期化については従前より問題意識を持っており、適正、迅速な紛争の解決に向けて、期日の持ち方の工夫、評議等を通じた裁判官の効果的な関与などを含む調停運営改善の取組を進めてきておりまして、最高裁判所としてもそうした取組を後押ししてきているところでございます。
また、最高裁におきましては、先日、各家庭裁判所における調停運営改善の一層の取組を支援するため、家事調停の期日間隔の長期化の点に焦点を当て、その長期化要因の分析やあり得る対策を提示するなどの情報提供を行っております。
これを踏まえて、今後、各地の各家庭裁判所におきまして、それぞれの長期化要因に応じた実効的な対策を検討、実践していく取組が一層進展していくものと考えており、最高裁としてもこうした取組を後押ししたいと考えております。
加えて、この改正法案が成立すれば、特定の事項に係る親権の行使を父母の一方が単独ですることができる旨を定める手続等が新設されることとなり、親権行使の内容、時期その他の状況に応じてスピード感を持った審理が必要になる場合があることも考えられ、法の趣旨を踏まえた審理の在り方を検討する必要があるものと認識しております。
事務当局といたしましても、施行までの期間におけるこうした各庁の検討をしっかりとサポートしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/99
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100・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 努力目標の言葉を並べるのは非常に簡単だと思います。でも、今ですらこういう状況ですよ。これからもっともっと家事事件、増えていくわけです。こういった状況にあることを本当に真剣に認識して、急ピッチに何とかしなきゃいけない問題だと思うんですね。
この課題について、最高裁は適正、迅速な紛争の解決に向けて取組を進めていると強調されておりますが、では、改正法の施行時にどこまで迅速化が進んでいれば、実社会の要請に応えて、そして子供の利益を確保し得るものと評価することができるんでしょうか。審理期間の短縮、迅速化の達成状況の目安を教えていただきたいと思います。それがどこまで進めば改正法記載の制度設計が問題解決の実効性を持ち得るのか、御判断をお伺いしたいと思います。大臣、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/100
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101・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 裁判所の体制については、裁判所を取り巻く様々な状況を踏まえ、最高裁判所において適切に判断されるべきものであり、御指摘の審理期間の短縮、迅速化の達成状況の目安について法務大臣としてお答えすることは困難であることを御理解いただきたいと思います。
国会審議の中で、こうした問題提起をいただき、様々な御議論もいただいていることを裁判所とはしっかりと共有をしていきたいと思います。協力もしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/101
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102・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 続きまして、木村参考人から指摘のあった論点ですが、法務省は、法案八百十七条の十二第二項に父母の互いの人格尊重、協力義務が定められているから適時の決定を邪魔する共同親権の行使はできないと言い続けています。
では、この義務違反があったとき、誰が、どうやって、どのぐらいの時間で是正するのでしょうか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/102
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103・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 本改正案では、父母相互の人格尊重義務や協力義務の規定を新設するとともに、親権は子の利益のために行使しなければならないことを定めております。
そのため、離婚後の夫婦双方が親権者となった場合においても、父母の一方が単独で行う親権行使について他の一方が不当な妨害行為をすることが許容されるものではなく、個別具体的な事情によってはそのような行為が人格尊重義務や協力義務に違反すると評価されることがあり得ます。
このような本改正案の趣旨、内容が正しく理解されるよう、十分かつ適切な周知、広報に努めてまいりたいと思いますが、その上で、あくまで一般論として申し上げますと、父母の一方が父母相互の人格尊重義務や協力義務等に違反した場合、裁判所が行う親権者の指定、親権者の変更の審判等において、その違反の内容が考慮されることがあり得ると考えます。裁判所がこれらの裁判をするのに要する期間については、個別具体の事案における当事者の主張や資料にもよるため一概にお答えすることは困難でありますが、子の利益の観点から適切な審理がなされるものと期待をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/103
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104・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 時間となりましたので、また後ほど質問させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/104
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105・伊藤孝江
○伊藤孝江君 公明党の伊藤孝江です。よろしくお願いいたします。
今日は、まず、子の利益を確保するための環境整備ということについてお伺いをしたいと思います。
今回の法改正は、子の利益を確保をするというのが大きなポイントの一つではありますけれども、この子の利益というのが何なのかというところも、これまでの審議の中で様々な議論がなされてきました。
先日の参考人質問の際に、沖野参考人からは、子供の利益ということに関し、子供が心身あるいは社会的に健全な状態で生育していけるその環境を整えるということで、親の責務として、親の責務との関係でいうと、親がそれぞれ親の地位において子供の養育に責任を持って関わっていく、その下で養育をされていくということは非常に重要な利益であるという、共同親権につながるような示唆もいただいているところでもあります。
また、浜田参考人の方からは、子供の立場で考えたときに、父母間の紛争は子供にとっては全くそもそも望まないもので、親同士の紛争はあくまでも親同士のものであって、子供はただ巻き込まれる立場だということ、また、親権の義務性というところに観点を置くと、離婚によって親権が一方のみになるということは子供にとってみれば義務を果たす人が一人減ることになるんだという観点からの共同親権ということについても言及をいただいたと。これで大変私自身も勉強になったところでもあります。
この子供の権利というところについては、日本の法律の中ではこども基本法というのが定められておりまして、子の利益を確保をするという今回の法制度の趣旨からいくと、こども基本法について軽視をする、無視をするということはできないものであるというふうに考えます。
こども基本法の三条には、三項において、全ての子供について、その年齢及び発達の程度に応じて、自己に直接関係する全ての事項に関して意見を表明する機会が確保をされること、四項において、全ての子供について、その年齢及び発達の程度に応じて、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮されることというふうに定められております。
これを始めとするこども基本法の基本理念というのは、今回の民法の改正法案の中での解釈や運用において最大限に尊重されるべきと考えますけれども、大臣の御見解いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/105
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106・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 御指摘いただきましたように、この民法、今回の民法改正案は子供の利益を中心に考えていこうという仕組みになっております。そして、こども基本法の、そういう意味では、こども基本法の今お示しいただいた基本理念と全く同じところに立っている法案でございます。
したがって、本改正案の解釈、運用においては、御指摘の点を含め、こども基本法の基本理念が尊重されるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/106
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107・伊藤孝江
○伊藤孝江君 ありがとうございます。
どうしても親同士の対立というところ、そこはもちろん現実の解決の中で無視をすることは全くできないものではありますけれども、そこに子供の視点としてどうなのかというところについて一つしっかりとポイントを置いていくというのは大変大事なことだというふうに思います。
両親が離婚の紛争状態になっている高葛藤の状態におきまして、先ほどの子の意見表明の機会というのを確保をしていく。もちろん、表明する機会であれば、表明したくないという気持ちもあると思います。それも含めて、この子供の気持ちをしっかりと表す確保をしていくためには、子供の手続代理人という制度を利用するというのが一つの方法としては考えられます。
両親が離婚紛争を行っているような場合に、子供に対して現状の状況の説明であったり、また、子供自身の生活がこれからどうなっていくのか、何をどんなふうにこれから決めていくのか等を含めて、離婚紛争や子供自身の生活への影響について子供に情報提供していくということを考えたときに、現状では甚だ不十分な状況だというふうに思います。子供にとって、大きな不安や恐怖の中にいるというのが容易に想像できる事態に置かれているのではないかと思います。
この離婚紛争におきまして子供の手続代理人が果たす役割の重要性について、法務省としていかがお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/107
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108・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
子の利益を確保するためには、父母の離婚に直面する子へのサポートが重要であると認識をしております。
先日の参考人質疑におきましては、弁護士である参考人から、子供の手続代理人は、子供のために裁判手続における主張、立証をするだけでなく、子供に十分な情報を提供してその意思決定を援助し、子供の利益にかなう解決がされるような働きかけもするなど、離婚紛争において多様な役割を担い得るとの趣旨の貴重な御指摘をいただいたところでございます。
このような子供の手続代理人の役割は、父母の離婚に直面する子へのサポートという観点から重要なものと認識をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/108
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109・伊藤孝江
○伊藤孝江君 私自身が子供の手続代理人をされた弁護士の先生からお話をお聞きしても、この離婚紛争のときに、もちろん様々な話をしたり、その子供の意思決定サポートをしたり、またその代理人として声を出していくということも含めてされている後にも、この離婚紛争自体は終わった後にも、子供自身がいろんな疑問を持ったり、どうしたらいいのか分からないというようなことがあったりしたときに、直接その弁護士の先生に連絡をしてきて、本当に長い間ずっと継続的にサポートをしているというようなお話もお伺いをしました。子供にとって様々な面での大事な役割をこの子供の手続代理人の先生が果たされているということを感じています。
その中で、なかなか現実にはこの子供の手続代理人が使われていないというような指摘も参考人質問でもなされたところなんですけれども、この子供の手続代理人が選任されている事案数の推移と、また、どういう事案で利用されているのかということについて、現状を御説明いただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/109
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110・馬渡直史
○最高裁判所長官代理者(馬渡直史君) お答えいたします。
平成二十五年から令和六年二月までに未成年者の手続代理人が選任された子の数は、各裁判所からの情報提供による実情調査の結果に基づく概数として三百四十八名でございました。
未成年者の手続代理人が選任された事件類型としては、平成二十五年から令和六年二月までに選任された事件の割合で申し上げますと、多い順に、面会交流が一番多くて、親権者変更、監護者指定、子の引渡し、夫婦関係調整、審判前の保全処分となっております。近年の年ごとの傾向としては、面会交流が最も選任事案が多いということで一貫しておりますが、面会交流以外の事件類型につきましては年によってまちまちという状況でございます。
特に選任の多い面会交流に関して、具体的にどのような事案で選任されているかと申し上げると、論文等で発表されている例でございますが、例えば、母が、親権者である父に対して長女九歳と面会交流を求めた事案で、父母が高葛藤状態で長女自らが手続代理人を選任して利害関係参加を求め、父母とも異議を述べなかった事例や、父が、母が連れて別居した十一歳の長女と七歳の二女との面会交流を求めたところ、母が仕事上の都合及び心情的な父への拒否感から調停期日にほとんど出頭せず、家庭裁判所調査官による子らの意向、心情の調査も困難な状況を受けて、父の手続代理人からの提案によって子についての手続代理人を職権で選任することとした事例等が挙げられるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/110
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111・伊藤孝江
○伊藤孝江君 ありがとうございます。
全体の数からいくと本当にごく一部の事件での選任ということになっているのかと思いますが、その理由として、参考人からは、一番大きい理由としては報酬が挙げられるということがありました。この子供の手続代理人の報酬としては公費からというのは支出はされなくて、また、実際に父母が分担をするというのが現実として最後結論としてはあるということにもしなると、もしというか、なっているので、そうなると、父母の方が了解をしなければ費用負担をしないということになれば選任できないというような報酬の事情がまず一点挙げられるということですけれども、それ以外で一番大きい理由としては、裁判所の御理解をもっと得ていかなければならないと。裁判所が参加を認めてくださらないと手続上は先に進まないという意見を参考人からいただいております。
この子供の手続代理人の選任において裁判所が果たす役割、大変大きいと思います。また、子供の気持ちや意見を伝えることで両親の考え方や行動の変容を促すこともでき、事案の解決にも影響を与えることもあるというふうにもされております。裁判所として利用が望ましいと考える事案においては積極的に活用を検討していくべきではないかと考えますが、最高裁、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/111
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112・馬渡直史
○最高裁判所長官代理者(馬渡直史君) お答えいたします。
調停事件や審判事件において未成年者の手続代理人を選任するかどうかは、裁判官において事案に応じて適切に判断されるべき事項であると認識しております。
その上で、一般論として申し上げれば、未成年者の手続代理人を選任する場合としては、例えば、面会交流事件等において未成年者が手続の主体となる場合であって自ら手続行為をすることが実質的に困難であるとき、あと、子の言動が対応者や場面によって異なると思われる場合、子の意思に反した結論が見込まれる場合など子に対する踏み込んだ情報提供や相談に乗ることが必要と思われるときなどが考えられるところでございますが、いずれにしましても、未成年者の調停事件や審判事件への手続参加についての考えなどを含めた事案の内容に応じて、法の趣旨を踏まえて未成年者の手続代理人の選任がされることが重要であると認識しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/112
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113・伊藤孝江
○伊藤孝江君 もちろん、代理人弁護士の側であったり、いろんな立場で、いろんな形でこの子供の手続代理人の活用の必要というのが考えられる場面はあるかと思うんですけれども、やはり両方の立場を客観的に見ることができる、特に調停の場合であれば相手方とは直接接することは基本的にはない、当事者にとってはですね、当事者なり当事者の代理人にとってはないという中で、裁判所としてどう見るのか、調停委員としてどう見るのかというところは大きな観点の一つなのかと思います。そういう点も含めて、積極的に判断をいただけるような形での検討を進めていただきたいと思っております。
もう一つ、その活用が進まない一つの要因としては、両親、また当事者である子供たちにこの制度自体の周知がなされていないということが指摘をされています。
子供に対して、あなたの権利というものがどういうものかということも含めて、この子供の手続代理人の制度に対しての情報提供が必要であるというふうに考えますし、また、この制度の提供だけではなく、そもそも子供自身の不安や疑問に答えるための離婚前後の相談体制を、子供に対してのものも拡充していく必要があると考えます。
親ガイダンスだけでなく子供にもガイダンスをしたり、また、学校やこども家庭センター等とも連携をして子供がどこでも相談できる仕組みを整備すべきと考えますけれども、法務省、この点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/113
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114・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
父母の離婚に直面する子への社会的なサポートは、子の利益を確保する観点から重要であると考えております。御党からも、親の離婚を経験した子供自身が相談したりサポートが受けられる相談支援体制を整備することを求める御提言をいただいたところでございます。
法務省では、ホームページを通じて、父母の離婚で悩んでいる子供向けに相談窓口を含めた必要な情報提供を行っているところでございまして、引き続き、関係府省庁等とも連携して、各種の制度を適切かつ十分に周知することを含め、子への支援の在り方について適切に検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/114
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115・伊藤孝江
○伊藤孝江君 ありがとうございます。
自治体によっては、学校で、親が離婚をした、あるいは今離婚の紛争中であるというような、そういう離婚を身近に感じざるを得ない環境、そばに置かれている子供に対して、全員にしっかりと相談体制を取っていくというようなことも含めてやっているというようなところもあるということもお聞きをしました。本当にその子供の不安をどう解消していくことができるのかというのは、もちろん両親にも、両親自体も考えておられるところだとは思うんですけれども、社会としてもサポートをしていくというところが大事な面があるのかなというふうにも思っております。
子の意見表明権など子供の権利、また子供の最善の利益という点に関して、家裁で事件の審理をするに当たってきちんと見ていっていただくことができるというのが一番望ましいところではありますけれども、家裁の裁判官、調査官、調停委員は、この子供の権利に関しては専門性を有しておりません。現実に、調停や訴訟手続の中で子供の気持ちを酌み取ることがどこまでできているのかと。
先ほどの事例の中で、同居親の側がなかなか離婚の話合いに協力をしてくれないときの事案で子供の手続代理人を使ったという事例ありましたけれども、ただ、そういう事案というのはやっぱり数少なくて、私自身が経験をしたような事案であっても、やっぱり子供に接触を持たせてくれない、子供の意見も聞いてくれない、子供の意見は私が分かっていますというふうにかたくなになられる同居親だったり、そもそも子供のことは一切関わらせないというようなことも含めてかたくなな態度を取られる方もいらっしゃるという中で、そういう場合に、その親を通じて子供の意見を確認をする、調査官も付けられなくてですね。で、子供から何かメモ書きというか手紙みたいなものが、書かれたものが調停に届けられて、これを本当にそのまま大前提に考えていいのかどうかというのを悩みつつもというようなことも含めて、やっぱり実際の事案の中で難しい対応が迫られることも多いと思います。
この司法の手続において、子供の意見表明権を実質的に担保をするような取組というのが必要だというふうに考えますけれども、まずこの点について大臣の御見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/115
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116・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 親権等に関する家庭裁判所の手続において、子供の意見、意向等が適切な形で考慮され尊重されることが非常に重要であると認識しております。また、本改正案においては、子の意見、意向等が適切な形で考慮され尊重されるべきであるという趣旨を含むものとして、父母が子の人格を尊重すべきことが明文で定められているところでございます。
具体的に個々の事件における子の意見聴取の在り方については家庭裁判所において適切に判断されるべき事項であると考えますが、一般論として申し上げれば、家庭裁判所は、例えば家庭裁判所調査官を利用して子の態度や生活状況等を調査するなどして、子の認識や意向等を適切に把握するよう努めているものと承知をしております。この法案が成立した際には、裁判所において適切な審理が、子供の意見を踏まえる形で適切な審理が行われるよう対応されるものと承知しております。
法務省としても、こうした国会審議の中での解釈、論点、問題提起、御意見、これを裁判所と適切に共有することを通じて裁判所の取組に協力をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/116
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117・伊藤孝江
○伊藤孝江君 子の意見表明権などの子供の権利につきまして、家裁の裁判官、調査官、調停委員に対して、しっかりと子供の意見を尊重して最善の利益が優先して考慮されるべきなんだということを研修等で学ぶ機会をつくる必要がまずあると考えますけれども、最高裁、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/117
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118・馬渡直史
○最高裁判所長官代理者(馬渡直史君) お答えいたします。
最高裁判所といたしましても、意見表明権を含めた子供の権利の擁護が図られることは重要であると認識しております。
これまで裁判所では、例えば委員御指摘の意見表明権に関し、子に影響を与える一定の事件類型について、適切な方法により子の意思を把握するよう努め、その意思を考慮しなければならない旨を規定する家事事件手続法六十五条の重要性につきましては、これまで各種の研修や研究会等で取り上げてきておりまして、また、これ以外にも子供の権利に関わる研修として、例えばDV事案における子供へのアプローチや児童虐待事案における親子関係や家庭への対応などについて専門家に御講演いただくなどしてきたところでございます。
最高裁判所といたしましては、今後も引き続き、各家庭裁判所において子供の権利を踏まえた適切な審理運営がなされるよう、必要な対応をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/118
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119・伊藤孝江
○伊藤孝江君 これまでももちろん、そのDVであったり虐待であったりというような事案を通しての子供の権利というところの研修というのはなされているんだとは思うんですけれども、こども基本法ができて、子供の権利というものをしっかり真ん中にどんなふうに置いていくのかというところについて、そこにポイントを置いた研修というのがなされているのかというのはやはり疑問もありますので、再度検討いただきたいというふうに思います。
ずっとこの法案の審議の中で課題として出されてきているのが、先ほどもありましたけれども、家庭裁判所の調査官の調査の関係だと思います。私自身も以前の質問でも取り上げさせていただきましたけれども、現状の家裁の調査官調査が各事件において必要十分に、また丁寧になされているのかというところについてお伺いをさせていただきたいというふうに思います。
そもそも、離婚紛争で子供がいる事案については全て調査官を付けるべきと、私自身はそう思っておりますけれども、現状ではそうではないという中で、子供がいる事件で調査官調査を行わない事件の割合が現状どの程度なのかと、また調査官調査を行わないのであれば、子供の手続代理人を選任をして子供の意見を聞いていくということが必要であるというふうに考えますけれども、最高裁、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/119
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120・馬渡直史
○最高裁判所長官代理者(馬渡直史君) まず、子をめぐる紛争のある事件において家庭裁判所調査官による調査を実施するかどうかは、紛争の内容、子の状況その他の事情を踏まえ裁判官又は調停委員会において適切に判断され、必要な調査が事案に応じて適切に実施されているものと認識しております。
また、お尋ねの、子がいる事件で調査官調査を行わない事件の正確な割合については事務当局として把握しておりませんが、例えば面会交流や親権、監護権をめぐる事件などでは、行動科学の知見等を活用して調査を実施する必要があるものが多く、このような必要性がある事件では家庭裁判所調査官による調査が行われているものと認識しております。
また一方で、未成年者の手続代理人の選任につきましては、制度上、家庭裁判所調査官による調査の代替手段と位置付けられているものではないと考えておりますが、いずれにせよ、未成年者の手続代理人については、法の趣旨を踏まえ、事案に応じて適切に選任されるべきものと認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/120
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121・伊藤孝江
○伊藤孝江君 結論的にはそういうふうに言うしかないんだろうとは思うんですけれども、事案に応じて適切にやっていますというのでは、もう各調停委員会に丸投げなのか、各裁判所に丸投げなのかというところにしか聞こえないというところが、やっぱりすごく不信感を余分に招いてしまうところがあるんだと思うんですね。だから、そこの部分の、何というんですかね、具体的な一個一個の事案について別にここでもちろん説明していただく必要はないし、それは要らないんですけれども、裁判所として、どういうところを考慮をしていたりであるとか、どういうところを、今課題としてこんなことを取り組んでいるんだというようなこともあれば安心する部分というのもあるんだと思うんですけれども、これは別に質問ではなくて意見としてさせていただきます。
実際に、その調査官調査において、各事件においてどんなふうな調査がなされているのかと。子供に何回会って、またあるいは、学校だったり病院だったり必要なところにどんなふうにアプローチをして、どんなふうに行って、試行的親子交流何回やってどんなふうに、で、どんなふうな判断がなされてというようなことを、全事案でなくても、モデルケース的になのか、どこかの裁判所まとめてなのか、とにかくそういうふうな具体的な調査と、それがどんなふうな結果につながっているのかということについて、最高裁として調査だったり分析だったりというのはされているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/121
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122・馬渡直史
○最高裁判所長官代理者(馬渡直史君) 例えば、子の監護権をめぐる事件におきまして、一般的に家庭裁判所調査官は、子との面接、親との面接、関係機関の調査などを実施して、子の監護状況や生活状況、心身の状況、意向、心情等を把握しております。
家庭裁判所調査官が調査を実施する場合の具体的な調査対象、調査方法及び調査報告書の提出期限を含む調査期間等につきましては、調査命令の趣旨、すなわち何を明らかにするための調査であるかといった調査の目的でございますが、これを踏まえ、裁判官又は調停委員会と十分に打合せを行った上で調査計画を立案して、個別の事案に応じて適切な調査が実施されているものと認識しております。
その上で、父母間の葛藤が高く、子が深刻な状況に陥っていることが予想されるなど複雑かつ困難な事案につきましては、調査の目的を達成するために、複数の家庭裁判所調査官が検討、議論し、様々な調査対象から多角的に情報を収集したり、同一の調査対象に複数回面接を実施したりすることもあります。また、この子との調査に先立って家庭訪問を行って子の状況を事前に把握し、その結果も踏まえ、子の年齢や発達状況、個性等に応じて子に必要な説明を丁寧に行ったり、一緒に遊んだりすることで子の不安や緊張を軽減し、安心感を持ってもらえるよう工夫することも多いものと認識しております。
事務当局といたしましては、各庁の首席家庭裁判所調査官が行っている指導監督の実情について各家庭裁判所から報告を受けておりまして、それらの内容を通じて全国の調査官調査の実情について把握するよう努めているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/122
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123・伊藤孝江
○伊藤孝江君 ありがとうございます。
今、でも、ただ、私からすると、一般論を長々と答弁をいただいたというような受け止めになります。
何か調査官の調査に対して、当事者の方、あるいは当事者の代理人であったり、どういうところに不足を感じていて何が課題だというふうに考えているのかということが伝わっているというふうになかなか思えないと。その具体的な不足部分を考えていこうと思うと、具体的にどんな調査がなされていて、どういう結論を出すためにですね、どんな調査がなされているのかと。その調査が適切な判断というふうに納得と理解をしてもらえるようなものになっているんだろうかということを具体的に検討しなければ、調査官の調査が今現状適切かどうかということも判断できないというふうに思います。
四月四日に法務委員会で、ここで質問させていただいた際には、例えば東京家裁でということで聞かせていただきましたけれども、調査官が同時に実質何件程度の事件を担当して、調査報告書をどのぐらい作っているのかということについても正確な数字を答えるのは難しいというところで、何件持っているのかも分からない、どんなふうな調査を具体的にしているのかも分からないという中で、調査官が、じゃ、十分足りているのかどうかとか、審理の進め方として適切なのかどうか、どんなふうな受け止めをされるのかというところについて、最高裁がどのように分析をしているのかが分からないというところがやっぱり不安を生じさせてしまうんではないかというふうに思います。具体的に調査官調査の実情を実態調査をして分析をしていくことというのを求めたいと思います。
この子の利益を継続して確保をするために、養育費の確保や安心、安全な親子交流について、子の監護における取決めが子供の利益の観点から適切に行われているのかなどの履行状況を把握をして、またこれから必要な措置を定めていかなければならないと考えます。
裁判所は、調停であれ裁判であれ審判であれ、結論を出すところまで関わるので、ただ結論を出しても、そこからきちんと履行をしていくことができるかどうかというのが、親子交流にしても養育費の支払にしても大変難しいと。そこはやっぱり裁判所には見えないところだと思います。でも、その見えないところの後の部分、どうなっているのかというのをしっかりと分かってないと、じゃ、どんなふうに裁判や調停で注意をしていったらいいのかとか、どこにポイントを置いたらいいのかというのが、やっぱり裁判所には分かってないんじゃないかというふうに言われてしまいかねないと思います。
それらの履行状況を把握をしていくことであったり、それらの情報を蓄積をして、子供の利益の観点から効果的な取組について引き続き調査研究を行うべきと考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/123
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124・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 父母の離婚時に、養育費や親子交流を含めた子の養育に関する事項、これを取り決めることは子の利益にとって望ましいことであります。御党からも養育計画の調査研究等について御提言をいただいております。
そこで、法務省では、本年度には、養育費や親子交流も含めた子の養育について、離婚時に取り決めておくべき事項を定めた養育計画の作成に関する調査研究を実施する予定でございます。
また、衆議院において本改正案の附則に検討条項が追加されましたが、この条項に基づく検討をする際には、子の養育に関する事項の取決めやその履行が子の利益の観点から適切に行われているかを含め、改正後の各法律の施行の状況等を注視してまいりたいと思います。
法務省としては、附則の、この附則の規定の趣旨や御党の御提言等を踏まえ、関係府省庁等とも連携して、引き続き、子の利益の観点から効果的な取組について検討を進めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/124
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125・伊藤孝江
○伊藤孝江君 ありがとうございます。
次に、親子交流に関連をしてお伺いをいたします。
離婚後共同親権となっている場合に、共同親権者となっている親については、理論上、親子交流に関して、非親権者の場合以上に親子交流の機会が認められるということになるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/125
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126・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
父母の離婚後の子と別居親との親子交流は親権の行使として行われるものではなく、別居親の親権の有無の問題と親子交流の頻度や方法をどのように定めるかといった問題は、理論上は関係がなく、別の問題として捉える必要がございます。
その上で、親子交流の頻度や方法につきましては、安全、安心を確保して適切な形で親子の交流の継続が図られることが子の利益の観点から重要であるということを前提として、子の利益を最も優先して考慮して定めるべきであると考えております。
なお、離婚後の父母双方が親権者である場合には、親子交流の機会を通じて別居親が子の様子を適切に把握することが円滑で適切な親権行使のために有益であることも一つの視点として考慮されることになると考えられますが、いずれにしましても、適切な親子交流の在り方は、親権行使の在り方とは別に、子の利益の観点から個別具体的な事情の下で検討されるべきものと考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/126
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127・伊藤孝江
○伊藤孝江君 この親子交流が決められている場合ですね、決められている場合に親子交流が実施されなかったという場合、そのときに、親子交流が実施されないことを根拠として損害賠償請求がなされるかもしれないということもよく言われております、今回懸念の材料として。この損害賠償請求がなされるということも理論上もちろん考え得るところではあるんですけれども、ただ、親子交流がかなわなかったことの違法性を判断するに際し、共同親権なのか単独親権なのかというところで違いは生じるものなのかどうかということについて、法務省、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/127
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128・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
父母の離婚後の子と別居親との親子交流は親権の行使として行われるものではございませんで、別居親の親権の有無の問題と親子交流の頻度や方法をどのように定めるかといった問題は、別の問題として捉える必要がございます。
したがいまして、仮に親子交流を実施できないことが違法であるとして損害賠償請求がされた場合でも、父母の双方が親権者であるか、一方が親権者であるかという事情のみによって違法性の評価に影響が生じるとは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/128
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129・伊藤孝江
○伊藤孝江君 一つ飛ばさせていただきます。
今回、共同親権が導入されるということで、様々なほかの制度にどんなふうに反映がなされるのかというところでいろんな不安の声をいただいております。
前回質問させていただいたときには就学支援金のことを聞かせていただいたんですけれども、今日、まず生活保護の関係でお伺いをいたします。
離婚後共同親権となった場合に、例えば母子家庭において、離婚後、生活保護を受給しづらくなるというようなことはないでしょうか。生活保護制度における世帯の認定や扶養義務の取扱いについて、単独親権の場合と共同親権の場合とで変わる場合があるかどうかということについて、厚労省、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/129
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130・斎須朋之
○政府参考人(斎須朋之君) お答え申し上げます。
生活保護法におきましては、世帯を単位として保護の要否及び程度を定めるものとしておりまして、原則として、同一の住居に居住し、生計を一にしている者を同一世帯と認定しているところでございます。基本的には、単独親権と共同親権とで世帯認定の取扱いを変更すべきものとは想定しておりません。
また、改正民法第八百十七条の十二で定めます父母の扶養義務の程度につきましては、単独親権と共同親権とで変わるものではないものと承知しておりまして、基本的には単独親権と共同親権とで扶養義務の取扱いを変更すべきものとは想定しない、していないところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/130
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131・伊藤孝江
○伊藤孝江君 ありがとうございます。
今回の共同親権の導入とはまた別の観点にはなりますけれども、母子家庭で生活保護の受給を申請をするというときに、まずは養育費を請求してからとか、決まっているけど払ってもらえないのであれば養育費を差押えしてから来てください等の対応がされることがあります、現実的な問題としてですね。もちろんこれは駄目な対応ですけれども、現実にそういうことがなされていると。
その中で、今回、法定養育費というものが制定をされることになります。この法律が成立をすれば、されますけれども、この場合、養育費について合意ができていなくても、法定養育費というのは債権としては発生をすることになると。もちろん、任意で払っていただきたいし、いただかなければならないし、請求もしていくということはあるとして、ただ、それでも払ってもらえない場合も当然あるかもしれないと。
その中で、現実には債権はあるんだけれども受け取れないというような場合に、まずこの法定養育費差押えしてもらわないとというような対応をされると、やっぱりそれは間違っているものだということを明確に指摘をしていただきたいんですけれども、厚労省、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/131
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132・斎須朋之
○政府参考人(斎須朋之君) お答え申し上げます。
生活保護法におきましては、扶養義務者の扶養が生活保護に優先して行われることとされておりますが、要件ではございませんことから、生活保護の申請におきまして、基本的には、御指摘のような法定養育費の差押えや受領することを必須の要件とすべきものとは考えていないところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/132
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133・伊藤孝江
○伊藤孝江君 ありがとうございます。
次に、健康保険についてお伺いをいたします。
現状というか、結婚しているときですね、結婚している間、両親とも働いていて、それぞれが健康保険に加入しているような場合、子供は父親の被扶養者となっている場合が実際には多いのかなというふうに思います。
この現行の健康保険法において子供を被扶養者として扱うかどうかというのは、まずどのような要件の下で認定をされているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/133
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134・日原知己
○政府参考人(日原知己君) お答え申し上げます。
健康保険におきましては、被保険者の親族等で、主として被保険者により生計を維持する者を被扶養者としているところでございます。
それで、被扶養者の認定に当たりましては、親権の有無については要件としておりませんことから、親権を持つ親でありましても、その子との間に生計維持関係が認められない等の理由によりまして認定要件を満たさない場合には、被扶養者の要件を満たさないこととなるものでございます。
このように、健康保険法上の被扶養者の認定におきましては親権の有無は要件となっておりませんで、特段その考え方を変更することは考えていないところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/134
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135・伊藤孝江
○伊藤孝江君 ありがとうございます。
では、確認ですけれども、親権者かどうかということではなくて、主としてその親に生計を維持してもらっているかどうか、子供から見てですね、ということで判断をするということでいいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/135
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136・日原知己
○政府参考人(日原知己君) 今御指摘をいただきましたように、被扶養者の認定、親権の有無は要件となっておらず、その被保険者の親族等で、主として被保険者により生計を維持する者であるかどうかということで、被扶養者とするかどうかということを見ているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/136
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137・伊藤孝江
○伊藤孝江君 ありがとうございます。
先日は就学支援金、聞かせていただいて、今日は生活保護と健康保険の関係でも聞かせていただいたんですけれども、やはり当事者の方々にとってはその一つ一つが、新しい制度が導入をされることでどんな不利益な状況になるんだろうかとか、またあんなに怖い思いをしないといけないんだろうかとか、いろんな不安が生じているという現状があります。
先日、大臣にも質問させていただいて、今般の民法等改正案が成立をした暁には、その円滑な施行に必要な環境整備が確実かつ速やかに行われるよう、関係府省庁が横断的に連携協力して各施策を実現するための関係府省庁連絡会議を立ち上げる旨を求めて、大臣からも前向きに答弁もいただいたところですけれども、本当にこの一つ一つの制度が共同親権が導入されることでどう変わるのかというところが見えないというところでの不安を抱えていらっしゃる方が多いのかなと思います。
改めて、この法案が成立した場合には、施行までにということではなく、できる限り早い段階で必要な検討を行って広く明らかにしなければならないと思います。特に、いろんな、今の生活保護とか健康保険とか、就学支援金もそうですし、日常の行為も含めて、裁判所がどう判断するかというのはあくまでも最後の話で、最初に当事者の方がどんなふうに考えるのかというところがやっぱり大事だと思うと、どんなふうにしていただくかということも大変大事になります。
子供が不利益を受けることがないよう、施行に向けて法務省として迅速に対応すべきというふうに考えますけれども、大臣の御決意いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/137
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138・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) まず、御党から、今般の民法等改正案が成立した暁には、その円滑な施行に必要な環境整備が確実かつ速やかに行われるよう、関係府省庁等連絡会議、これを立ち上げることを御提言をいただいております。また、先般の衆議院法務委員会での附帯決議においても、子の利益を確保するための措置が適切に講じられるよう、関係府省庁等が連携して必要な施策を実施するための体制整備を進めることとされております。
法務省としては、こうした御指摘を踏まえ、関係府省庁等連絡会議を立ち上げることを予定しております。本改正案の趣旨が正しく理解されるよう、関係府省庁等としっかり連携して、できるだけ速やかに、施行を待たずに、できるだけ速やかに適切かつ十分な対応を行いたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/138
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139・伊藤孝江
○伊藤孝江君 ありがとうございます。
少し質問戻りますけれども、この今回の改正法について、社会の利益を求める必要性について法務省にお伺いをしたいと思います。
法定養育費の話、先ほどさせていただきました。今回、養育費に関して回収をしやすくするというようなことも含めて、これまでに引き続きなされているところでもありますけれども、じゃ、簡単にこの養育費差押えできるかというと、そういうわけではないと思います。
実際に事案に関わらせていただいても、差押えをすることで、その会社での立場であったりという、その差し押さえられた側のですね、払っていない側の立場であったり、会社を辞めざるを得ないような場合も現実にはまだあると。また、差押えをするということは、そのお給料を一部、働いている本人と渡さないといけない債権者、例えばお母さんの側に渡すという、会社からするとすごい煩雑な事務が求められるということになって、そちらからの苦情が来たりというようなことも含めて、やっぱり社会としてこういうこと対応していく必要があるんだよということも理解をしていただくというのも現実にはまだまだ必要な状況かなというふうに考えます。
この点、法務省としていかがお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/139
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140・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
子の利益を確保する観点からは、まず義務者が権利者に対して養育費を自主的に支払うべきであるという認識を持つことが重要であります。他方で、養育費については任意の支払がされないケースも少なくないところ、本改正案では、養育費等の債権に先取特権を付与するなど、養育費の履行確保のための規定を複数新設しているところでございます。
このような内容を持つ本改正案を円滑に施行して子の利益を確保するためには、離婚等の当事者に限らず、第三債務者になり得る方などを含め、広く社会に対しても本改正案の趣旨や内容を周知して理解を得ていく必要がありまして、ただいま委員から御指摘いただいた観点も踏まえまして、本改正案が成立した後の周知、広報を行ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/140
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141・伊藤孝江
○伊藤孝江君 以上で終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/141
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142・音喜多駿
○音喜多駿君 日本維新の会・教育無償化を実現する会の音喜多駿です。
本法案の論点である共同親権、共同養育について、私自身、シングルマザーと結婚し、長女と養子縁組をして再婚家庭を築いており、言わばこの問題の当事者の一人であります。
だからこそなお、家族の在り方は様々であると承知をしておりますが、私個人としても、また日本維新の会としても、子供の最善の利益のため、共同親権、共同養育という選択肢がより幅広く取られていくよう推進していくことが望ましい。もちろん、DV等の特段の事情がある場合はしっかりと配慮をしながら、やはり共同親権、共同養育という選択肢を幅広く取れるよう推進していくことが望ましいという立場から、本日は党の政策責任者として自ら本法案に対する質疑に参りました。
法務大臣、法務省の皆様、また最高裁判所の皆様、是非建設的かつ前向きな御答弁をよろしくお願いいたします。
さて、衆議院あるいは本院でもここまで議論があったとおり、今回の政府案は、原則の共同親権にまでは至らなかった点、共同養育計画の策定に向けて強力な実行力に欠ける点などが懸念されるものの、DV被害者の保護について配慮等を行いながら、単独親権しか存在しなかった我が国に初めて共同親権という選択肢を示す一歩前進の法案として評価をいたしております。
しかしながら、なお残る改善点を中心に、法の運用において重要な点を指摘しながら、幾つかのテーマについて確認、質問をいたします。
初めに、本改正による国際的な影響について伺います。
現状、諸外国から日本の連れ去り問題が非難をされ続けている状態にあります。
例えば、二〇二〇年にEUが、子供が片方の親に一方的に日本に連れ去られる事例が依然多いことに懸念を表明し、日本政府が子供の保護に関する国際ルールを実行し、共同親権に道を開く法改正を求める決議を、賛成六百八十六票、反対一票、棄権八票で可決をしています。
その後、二〇二一年にはフランスのマクロン大統領、二〇二二年には国連人権規約委員会、二〇二三年にはオーストラリア政府から同様の非難がされており、そして本年には、オーストラリア大使館主導で日本政府に対し、EUや英国、ドイツ大使館などとの連署で九か国から連れ去り禁止に関する署名が提出されたほか、岸田総理が訪米中に米国のスミス下院議員より、五百人以上の米国人の子が日本に連れ去られた、日米関係のために、これらの家族を再会させるため公的公約を求めるといった書簡が直接手渡されたという報道もございます。
つまり、法改正によって連れ去り問題に適切な対処がなされることは、これ国内のみでなく、諸外国からも求められているということになります。
そこで、まず外務省にお伺いいたします。
今回の法改正によって、国境を越えた子供の連れ去り問題にどのような影響があると認識されているのでしょうか。共同親権の導入がハーグ条約の運用にどのような変化をもたらすと考えているか、この点をお答えください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/142
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143・長徳英晶
○政府参考人(長徳英晶君) お答えいたします。
ハーグ条約の対象となる国境を越えた子の連れ去り事案については、日本はこれまで同条約に基づいて適切に対応してきております。
ハーグ条約は、親権をどちらの親が持つのか、子がどちらの親と暮らすのかなど、子の監護に関する事項について決定することを目的とするものではございません。この条約は、子の監護に関する事項について決定するための手続は子が慣れ親しんできた生活環境がある国で行われるのがその子にとって最善であるとの考え方に立ち、あくまでその子を、子が元々居住していた国に戻すための手続などについて定めた条約となっております。
したがって、離婚後の共同親権制度が導入されたとしても、このようなハーグ条約の運用自体に変化をもたらすものではないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/143
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144・音喜多駿
○音喜多駿君 外務省としては、この国内法とハーグ条約はこれ別の枠組みだという整理なんでしょうけれども、今の御答弁ですと、せっかく今回この共同養育に大きな一石を投じる国内法が改正されるのに、それは国際的には無意味なものなんだというふうにも取られかねないというふうに思います。果たしてそれが政府の発信するべきメッセージとして妥当なのかどうか、私には疑問が残ります。
そこで、法務大臣にも伺います。
諸外国からの非難が続いている子の連れ去り問題は、今回の法改正で改善する何らかの影響があると感じておられているでしょうか。もしそうでないのであれば別途の対応がまた必要になってくると思いますが、法務大臣の見解をできれば前向きな形で伺えればと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/144
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145・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 本改正案では、共同親権に関わる規定のほかに、子に関する権利の行使に関して父母が互いに人格を尊重して協力しなければならないという規定を置いております。
これ、父母の一方が何らの理由なく他方に無断で子の居所を変更する行為、つまり連れ去り、これは、個別の事情によってはこの規定の趣旨に反すると評価される場合があり得ると考えております。
本法案は、国際的な子の連れ去りに関する制度を見直す、直接的に見直すものではありませんけれども、今申し上げたような点から考えますと、本改正案、国内における委員御指摘の問題の改善に資するものであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/145
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146・音喜多駿
○音喜多駿君 今、法務大臣の御答弁いただいたとおりだと思います。やはりこれは、我々、国内法であるといっても、これは日本人の行動変容というのも期待されるものだと思いますし、ポジティブな効果があると思いますので、その点もしっかりと政府として私は発信していくべきだというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
次に、まさに今御答弁もありました、子の利益に関する父母間の人格尊重、協力義務について伺います。
新条文の民法第八百十七条の十二第二項は、父母は、婚姻関係の有無にかかわらず、子に関する権利の行使又は義務の履行に関し、その子の利益のため互いに人格を尊重し協力しなければならないものとすることとあり、これが今回新設された、いわゆる子の利益に関する父母間の人格尊重、協力義務という、これは極めて重要なものであります。
裁判所が本改正後に親権選定をする際、この義務違反があったかなかったかも考慮要素の一つとなるということが、これまで衆参の委員会で法務省からも説明、答弁がなされてきました。ですが、当然、この義務は本改正で新設をされたものですから、これまで判例でこの義務について争われたケースはもちろんありません。そのため、裁判所は、今国会での議論も踏まえて事例ごとにこの義務違反かどうかを判断していくことになります。
そこで、少し細かいのですが、有識者や当事者が懸念している典型的なケースをここでは三つほど挙げて、義務違反に当たるのかどうか、当たらないのか、これを伺いたいと思います。
第一に、入学式や卒業式、運動会などといった学校行事参加に関して、同居親が合理的な理由なく、例えば顔を合わせるのが嫌だからといった理由で別居親の参加を拒否をしている場合。第二に、別居親から子にあげたプレゼントを子に渡さない、子の意思に反して捨ててしまうなどの行為を同居親が行った場合。第三に、片方の親の影響を受けて、例えば悪口を言い聞かせるなどで子がもう一方の片方の親に対して拒否的な感情を抱くに至った場合。
これらの場合について、新設される子の利益に関する父母間の人格尊重、協力義務を違反したことになるでしょうか。また、そのような行為をしている場合は親権選定のマイナスの考慮要素となるんでしょうか。できる限り具体的な答弁をいただければ幸いですが、法務省に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/146
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147・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
本改正案では、委員御指摘のとおり、親権や婚姻関係の有無にかかわらず、父母は子の人格を尊重してその子を養育しなければならないこと、父母は、子に関する権利の行使又は義務の履行に関し、子の利益のため互いに人格を尊重し協力しなければならないことを明確化することとしております。
お尋ねのようなケースも含め、どのような場合に子に関する権利の行使又は義務の履行に関する父母相互の人格尊重義務や協力義務に違反すると評価されるかは個別具体的な事情に即して判断されるべきことでありまして、一概にお答えすることは困難なところではございます。
その上で、一般論として申し上げますと、父母の一方が合理的な理由がないのに子の利益に反する形で他方の親と子との交流を妨げたり、これは委員御指摘のAやBの事案に当たることがあるのかと思いますが、また、子の面前で他方の親の誹謗中傷をするなどの行為、これは委員御指摘のCの行為に当たるものと思います、このような場合には、これらの義務に違反したと評価される可能性があると認識をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/147
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148・音喜多駿
○音喜多駿君 三つ挙げていた、A、B、Cというふうに御指摘いただきましたけれども、一般論としては当たる可能性があるということであります。今後もこの事例が増えていくと思いますけれども、この想定される義務違反のケースのシミュレーション、これ法務省、裁判所でもしていただきたいと思いますし、今のようなやり取りがあったということを裁判所の方も重く受け止めていただければというふうに思います。
その上で、今回新設される子の利益のための父母間の人格尊重、協力義務は、親権の有無や婚姻の有無に関係なく子の利益を最優先に考える重要な理念を示した条文です。
法律は通常、社会に実際に発生した課題などの立法事実に基づいて制定あるいは法改正がなされます。一方、この法律の理念は、制定時において普遍的かつ不変、根本的に変わらないものであるべきです。つまり、この新設される条文の理念も、法律が成立する時点から将来にわたって変わらない、子供の利益を最優先に考えるという普遍的な価値観を示しているはずであります。
つまり、何が申し上げたいかと申しますと、これ、法律全体の施行までに二年以内という期間が設けられていますが、この新設される理念の条文に関しては、法案成立直後から部分的に施行や運用を開始することが可能なのではないでしょうか。子供の利益を守るためには、できるだけ早期にこの理念を実践に移していくことが重要です。新設される条文の理念が普遍的で変わらぬものであるならばこそ、他の制度設計に時間を要する部分の施行を待たずに、例えば裁判所がその理念を考慮する、これを開始するということはできるはずです。
この点について法務大臣のお考えを伺えればと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/148
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149・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) お考えの趣旨はよく分かります。
しかし、全体としてこの制度、また理念も含めてでありますけど、国民に与える影響が非常に大きなものがあると思います。全体像を正確に把握していただく必要がやはり非常に大きいというふうに感じております。
また一方で、関係機関による準備も、裁判所も含めて必要だと。やはり、どうしてもこれは二年の準備期間を経て、トータルな制度として、理念も含めて施行することがやはり一番スムーズな施行の方法ではないかというふうに私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/149
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150・音喜多駿
○音喜多駿君 もちろん、法律案はパッケージで作っているので、なかなかそれを一部切り出してというのは難しいと、即座に行くことはできないと思います。趣旨は理解できるという御答弁もいただきました。このような意見があったということをしっかりと法務省も、また裁判所も頭にとどめておいていただければ大変幸いでございます。
次に、先ほど国際間の問題でも取り上げました国内における子の連れ去り行為、この問題についてお伺いをいたします。
これ、連れ去りだけでなく、追い出されるという場合もありますので、引き離しと言った方がもはや正確なのかもしれません。現行の単独親権の法の仕組みですと、DVからの避難などではなく、離婚やあるいは親権獲得となるための手段として子の連れ去りあるいは追い出しが多く横行しているということがこれまでも指摘をされてきました。
この話を挙げますと、父親から母親、父親の下から母親が子供を連れて出ていくというケースを想定される方が多いようですけれども、父親が子供を連れていく、あるいは母親を追い出して引き離すというケースも確認されていますし、そうした女性の当事者から私も実際に相談を受けてまいりました。
無論、本当にDVなどの被害者である場合、虐待がある場合、こうしたものは速やかに避難させる必要がありますが、残念ながら、そうではないというケースもあることが分かってきております。
一方で、今回の法改正に伴い、衆議院法務委員会における法務省の答弁によりますと、父母の一方が何ら理由なく他方に無断で子の居どころを、居所を変更するなどの行為は、個別の事情によってはこの規定の趣旨にも反すると評価され得るとのことでした。
そうすると、子の連れ去りが父母相互の人格尊重義務や協力義務等に違反すると判断される具体的な基準や考慮要素が重要となってきます。例えば、連れ去りの動機や経緯、連れ去り前後の父母間の協議の有無や内容、子の意向など、どのような点が判断において重視されるのか、これ現時点で法務省のお考えをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/150
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151・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
本改正案では、子に関する権利の行使に関し、父母が互いに人格を尊重し協力しなければならないとしており、父母の一方が何ら理由なく、すなわち急迫の事情などもないのに他方に無断で子の居所を変更するなどの行為は、個別の事情によってはこの規定の趣旨にも反すると評価されると考えております。
お尋ねの父母による子の居所の変更が父母相互の人格尊重義務や協力義務に違反すると判断される個別具体的な事情について一概にお答えすることは困難ではございますが、あくまで一般論としてお答えをいたします、お答えすれば、例えば、御指摘の当該行為の動機や経緯、別居前後の協議の有無や内容、子の年齢や子の意向のほか、従前の父母と子との関係や父と母との関係など、様々な事情が考えられるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/151
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152・音喜多駿
○音喜多駿君 当然のことながら、いずれも考慮要素ということで、なおのこと裁判所にはこの慎重な審査が求められることとなると思います。
御答弁はやっぱり、今の時点ではどの要素がどの程度ということは具体的にはいただけないわけですけれども、次ちょっと大臣に、長くなりますが、またお伺いします。
一方で、そもそも、子の連れ去りという行為は、親子の養育権、憲法十三条の侵害に当たる人権侵害行為であり、また児童の権利条約九条一項に違反するという指摘もあるところです。そのため、親権者の指定や変更の審判において、子の連れ去り行為は他の要素に比して重要な考慮要素、すなわち本法案の義務違反として重く受け止められる要素となり得るのではないでしょうか。他の要素、例えばそれまでの監護の状況や子の意向との兼ね合いで連れ去り行為の評価が変わるという可能性はあるんでしょうか。
その上で、本改正案により、連れ去り、引き離し、これ抑制する効果というのが一定期待されるところでありますが、法務大臣の見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/152
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153・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 本改正案では、裁判所が離婚後の親権者を判断するに当たっては、子の利益のため、父母と子の関係や父と母との関係その他一切の事情を考慮しなければならないとされております。
子の連れ去りという要素、これはもちろん大きな要素ではありますが、他の考慮要素との関係でどの程度重視されるか、これまさに個別具体的な事案に即して判断されるべきものであるということで、一概にはお答えすることが困難でございます。
しかし、本改正案は、子の連れ去りの問題の改善に資する、これは先ほど申し上げたとおりでございまして、そういう方向の作用を持つということは間違いないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/153
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154・音喜多駿
○音喜多駿君 もちろん、これDV、虐待、こうしたケースもございますことから、連れ去りをもって直ちに義務違反とされるような乱暴な運用もまた避けなくてはなりませんが、やはり特段の理由なく親権を確保するためだけの連れ去り、引き離しについては、これはやはり本改正で抑制されると期待しております。実際そうなるように運用していただきたいと考えているところです。この抑制の効果は、今後の裁判所の判断によっても変わってきますので、引き続き注視をしてまいりたいと考えております。
次に、関連して、親子交流についてお伺いをいたします。
DV被害者や虐待のケースを除けば、離婚した夫婦の子供にとって両親との継続的な関わりは、子供の健全な育成のためにも、子供の権利のためにも重要と考えます。しかしながら、我が国の裁判実務では、同居親が別居親の同意なく数か月から数年間良好な関係にあった親子を引き離し、親子交流すら阻むことを可能としており、実際そのようなケースが散見されると仄聞をしております。
その上、そのような状況下で別居親が面会交流を求めて家庭裁判所に申立てを行っても、調停調書において、例えば、二か月に一回程度未成年者と面会交流することを認める、そのとき、場所、方法などについては、子の福祉に配慮し、当事者双方で協議して定めるといった抽象的な書きぶりが多いことにより、いわゆる間接強制が付与されず、面会交流の実現を確保するための実効性が極めて乏しくなっているのが現状です。
そこで、まず法務省さんに伺いますが、法務省はこのような運用の実態を認識しているのでしょうか。すなわち、面会交流の取決めにおける抽象的な書きぶりが多いこと及びそれに伴う間接強制の付与の困難さについてどのように認識をしているのか、まず法務省の参考人に伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/154
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155・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
親子交流に関する事件の審判の内容等について統計的な調査を行っているものではありませんが、親子交流につきましては、父母の協力の下で実施されることが望ましい等との理由により柔軟に対応できる条項が定められた結果として、監護親がすべき給付の特定に欠け、性質上間接強制が認められない例があることは承知をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/155
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156・音喜多駿
○音喜多駿君 法務省も間接的には付与されない例があるということを認識しているという御答弁でありました。
これ、そうだとすると、子供の利益を最優先に考えた面会交流の実現に向けて法務省としても別途強力な取組が必要なのではないでしょうか。繰り返しになりますが、現在の裁判実務では、面会交流を定める調停調書の内容が具体性に欠ける場合、間接強制決定を下すことができないという場合が多いとされています。その結果、DVや虐待事案でない場合でも親子交流が遮断されているケースが多く見受けられると。子供の健全な成長と発達のためには離婚後も両親との継続的な関わりは重要であることを考えると、この状況は軽々に看過することはできません。
今回の民法改正を機に、裁判所の審判などにおいてもより具体的な内容を盛り込むことを促し、また子供の利益を守るために面会交流の取決め、つまり審判、調停には幅広く間接強制を付与する、実効力を高めることをこれ検討すべきと考えますが、ここは法務大臣に見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/156
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157・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 親子交流に関しては、間接強制を可能とするため具体的な条件等を明確に定める方が望ましいケースもある一方で、子の心身の状態に照らして、その自主性を尊重することが相当な場合など、間接強制がなじまないケースもあると考えられます。
裁判所の審判の在り方の当否について法務大臣としてコメントすることは差し控えたいと思いますが、親子交流支援団体等による支援も含めた環境整備によって、安全、安心を確保した上で親子交流が実施されることが望ましいと考えられます。
法務省としても、こうした環境整備の取組について関係府省庁等と協力をしてまいりたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/157
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158・音喜多駿
○音喜多駿君 これ、ちょっと最高裁判所、せっかく来ていただいて、ここ通告していないんですけど、今、法務省、裁判所についてはちょっと答弁差し控えるというような問題もあったんですけれども、これより具体的にもう少し書き込んでいく、促していくという点について、これ裁判所については何かコメントございますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/158
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159・馬渡直史
○最高裁判所長官代理者(馬渡直史君) まず、事務当局として個々の裁判の内容に言及することは差し控えますが、各裁判所では、間接強制ができる条項にするかどうかということも念頭に、事案に応じた定め方というのをしているものと承知しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/159
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160・音喜多駿
○音喜多駿君 事案に応じてという御答弁、双方からいただいたんですけれども、今回法改正を機に、やはりこの面会交流の重要性ということをより意識していただいた運用ということを実施いただきたいと思いますし、この間接強制、面会交流の幅広い実施というのは重要な課題ですから、引き続き取り上げさせていただきたいというふうに思います。
そして、親子交流について、この問題もさることながら、そもそもの交流の頻度や時間についても欧米に比して短いのが我が国の実情です。しかしながら、今回の法改正においても親子交流の頻度や時間については盛り込まれませんでした。
一問ちょっと飛ばします。
これ、いろいろ審議会の中でも議論が賛否両論あったとは聞いておりまして、権利としては認めないという結論になったわけでありますけれども、諸外国では明文化された面会交流権、訪問権があるため、単独親権になったとしても基本的には親子の交流が保障される運用になっています。また、フランス民法典では訪問権に加え宿泊権も明文化をされています。
本法改正の趣旨を鑑みれば、明文化されていないにしても、これ法務大臣に伺いますよ、済みません、明文化されていないにしても、本法改正で実質的な面会交流権、宿泊権は一定程度保障されると考えてもよいのでしょうか。また、その上で、子の最善の利益を目指すグローバルスタンダードとして、将来的には子供の面会交流権、宿泊権に関して、これは明文化を検討していくべきと考えますが、法務大臣の見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/160
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161・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 親子交流の法的性格については、それを権利義務として構成するかどうかなどめぐって様々な見解や御指摘がございます。
御指摘のような権利を明文化するということは、現時点で我々困難であると考え、また必ずしも相当ではないと認識しておりますが、いずれにしても、父母の別居後や離婚後も適切な形で親子の交流の継続が図られることは子の利益の観点から重要であり、本改正案は、婚姻中の父母の別居時における親子交流や裁判手続における親子交流の試行的実施の規定などを設けることにしております。安全、安心な親子交流を適切に実現することに資すると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/161
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162・音喜多駿
○音喜多駿君 親子交流は重要ということは御答弁いただいたものの、まだこの明文化ということについてはなかなか踏み込めない面もあると思いますけれども、これは法のやはり施行状況を鑑みて引き続き検討していただきたいと思いますし、こうしたやり取りがあったということを是非裁判所、司法にもしんしゃくしていただきたいというふうに考えております。
次に、時間も少なくなったので、DV対応について伺います。
今回の民法改正では、裁判所がDVや子供への虐待などがあると認めた場合は単独親権となる規定が設けられました。この規定は、DVや虐待のある家庭環境から子供を守るための極めて重要な措置であって、我が党としても、これは全く軽視することなく、この必要性を強く認識をしております。そして、この規定が実効性を持つためには、国民一人一人がこの法改正の趣旨をしっかり理解をし、同時に、DVや虐待問題に対する意識を高めていくことも必要不可欠です。
法務省には、今回の法改正に関する周知啓発活動を積極的に展開していただきたいと思いますし、また、DV被害者支援の現場で活動する団体とも連携し、被害者の生の声に耳を傾けて、そのニーズを踏まえた効果的な周知啓発活動を展開していただきたいと思います。
一問飛ばして、ちょっと法務大臣に続けて伺いたいんですけれども、今回、DV被害者の中には、この改正案に対して懸念の声を上げる方もいらっしゃいます。DVの問題、非常に複雑で繊細な問題であって、これは被害者の心情に寄った対応が求められますので、こうしたことをしっかり対応していただきたいと。
ただ一方で、DVや虐待を理由とした単独親権の申立ては、時として、全てではないです、時として親権を獲得するための手段として濫用されるおそれがあります。これはいわゆる偽装DVの問題です。単に一方の親がDVや虐待を申告したというだけで安易にこの単独親権が認められるようでは、この虚偽の申立てを助長することにもつながりかねません。真にDVや虐待に苦しむ親子を保護することは、これはもちろん何よりも優先されるべきですが、同時にこの偽装DVというのを阻止するということも重要な課題であると認識をしています。
この偽装DVと言われるものと本当に起こってしまっている痛ましいDVを、被害者の保護のバランスをどのように取っていくのか、この偽装DVに対する法務省の認識と、今後具体的にどのような対応方針を持って当たっていくのか、法務大臣に見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/162
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163・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 裁判手続において、当事者の一方が自己の立場を有利にする目的でDVを受けたかのように偽装して主張する場合がある、今、虚偽DVですか、こういう批判があるということは承知をしております。
しかし、これ、裁判手続において、裁判所も一方的な、一方の当事者の主張だけで判断するわけではございませんので、反対の意見も双方からまた聞いて、そして、公平公正な立場から裁判所において具体的な事情に即して判断されるべきものであり、また判断されるというふうに我々は考えております。こうした事案がある、こうした現象があるということはしっかり視野に入れておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/163
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164・音喜多駿
○音喜多駿君 是非しっかりとした対応をよろしくお願いしたいと思います。
最後に、ちょっと飛ばして、最後一問、また法務大臣にこれ聞きます。
我が党の提案で付された修正案についてです。
当事者たちから要望を受けて、我が党は、附則の第十九条、五年をめどとしてという見直し規定を入れさせていただきました。これ決して、五年を経過しなければ、五年近いところでなければ見直せないということではなくて、めどですから、あくまで必要に応じて改正できるものだと我々は認識しております。五年というのは非常に長い、小学校一年生が六年生になるという時間幅ですから、これ当事者の親子にとって大変長い時間です。
大臣に最後伺いますが、この共同親権の運用状況を見極めつつ、子供の利益の観点からこれ必要だと思われた見直しは、五年ということにとらわれず、二年でも一年でも機動的に行っていくべきと考えますが、最後に法務大臣の見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/164
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165・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) これは断続的に、継続的に、見直しの必要性というものは判断していかなければならないと思います。
しかし、一定の期間を経て初めて明らかになる事象もございますから、一つ一つに毎年対応するのか、大きくくくってその全体像を見て対応するのか、様々な考え方、アプローチがあると思いますが、お示しいただいた五年というのを、一つのめどであることは間違いないと思いますので、重きを置いて、しかし、不断の検討を続けていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/165
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166・音喜多駿
○音喜多駿君 時間になりました。子供の最善の利益のため、完璧な制度というのはなかなかないんですけれども、しかし、より完璧なものを目指して我々は提案を続けていますので、是非今後ともよろしくお願いいたします。
終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/166
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167・川合孝典
○川合孝典君 国民民主党の川合です。
前回に引き続きまして、法定養育費の問題について御質問させていただきたいと思いますが、その前に、ここまでの質疑を聞いていて素朴に疑問に感じたことについて一点、法務大臣に、通告しておりませんけれども、質問させていただきたいと思います。
先ほどの質問の中で、今後この共同親権が導入されることによって家事裁判が増加することが見通されると、どの程度増えるか分からないけれども、増加傾向にあるだろうということを異口同音に法務大臣と竹内局長がおっしゃったと。
そのことについては私も否定しないんですけれども、どの程度増えるか分からないという状況の中で、今後、施行までの二年間の間に必要な体制整備も含めて措置を講じるということを言い切っていらっしゃることの根拠が分からないものですから、なぜどれだけ増えるのか分からないのに二年間で大丈夫だと言い切れるのかということについて、大臣に、済みません、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/167
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168・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) これは少し専門的な見地からの分析が必要になってくると思います。
我々、まずこの法案を作り、国会で御審議いただき、御理解いただくことを最優先でやっておりますが、法案が成立した暁には、これが実際にどういう効果をもたらす、また訴訟の現場でどれだけ訴訟が増えてくるのか、そういったテクニカルな専門的な検討を深めていって、そして手掛かりがあるならば、それをてことして将来像を検討したい、そういう意欲を語らせていただいたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/168
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169・川合孝典
○川合孝典君 大臣のおっしゃることの趣旨は分かるんですが、当事者の方々が心配していらっしゃるのは、裁判所の体制自体が非常にやはり、不備とまでは言わないまでも、なかなか人手も含めて追い付いていないという状況、体制もなかなか整備し切れていないということについてはこれまで賛否問わず指摘をされているわけでありまして、こうした状況の中で、共同親権が導入されることでいわゆる裁判離婚が増加をするということを考えたときに、当然のことながら、いわゆる調停を行うための部屋をどう整備するのかということもそうでありますし、面会交流をするための施設をどうつくっていくのかということについてもそうですし、その辺りのところについて、あと、それから、人員体制を仮に増やさなければいけないということが今後見通されるということになったときに、体制、人員を計算した上で予算措置を行ってということを考えたときに、本当に二年で足りるのかということを、私なんかは、正直言って、予算化のことまで考えると、逆算すると二年という期間が果たして適切なのかということを素朴に疑問に正直感じているわけであります。
したがって、大臣の決意というものについては重くもちろん受け止めさせていただきたいと思いますけれど、決して時間的余裕があるものではないということ、やっぱりそのことは重く受け止めていただいた上で、そのことに対して多くの委員の皆さんが御懸念や心配をされているということは重く受け止めていただきたいと思います。
その上で、通告した質問に入らせていただきたいと思います。
今回、その法改正で導入をされる法定養育費の課題についてということで、前回、最後の質問のところで、養育費の先取特権、先取特権が付与されますが、その期待効果についてどのように見込んでいるのかという質問をさせていただきました。
質問の背景にありますのは、これ、法定養育費は、養育費の取決めをしないで離婚した場合に対応するための補充的なものということで、そもそも金額が低い、低額になる可能性が高いということを皆さん懸念をされています。また、この養育費の先取特権が付与されますけれども、この差押手続自体が複雑で、当事者がとてもできるものではないということで、したがって、必然的に裁判所がこの手続を取ることになるわけでありますが、一体何を根拠にこの先取特権の判断をしてくれるのかということについて疑問の声が上がっているということであります。
そうしたことを踏まえて、質問の一番ですが、仮に別居親が財産を隠匿したような場合、これは差押えができなくなるということになりますが、このような場合に具体的にどのような対応をすることを想定されているのか、これ民事局長にお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/169
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170・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
強制執行の申立てに当たりましては、相手方の財産を特定する必要があることから、監護親において相手方である別居親の財産が分からない場合には、財産開示手続や第三者からの情報取得手続を利用し、これらの手続によって判明した財産に対する差押えの手続を別途申し立てる必要がございます。
本改正案におきましては、この民事執行手続の申立ての負担を軽減するため、一回の申立てで、財産開示手続、第三者からの情報取得手続、それからこれらの手続によって判明した給与債権に対する差押えの手続を連続的に行う仕組みを導入することとしているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/170
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171・川合孝典
○川合孝典君 煩雑な手続がワンストップ化されるということについては、これは当事者にとっては大変大きなことだと思いますが、そのことも含めて、改めてこの法律改正後に周知をきっちりしていただきたいということであります。
次の質問に移りたいと思いますが、面会交流と養育費の取決めを行うことについてなんですが、急迫の事情、これDVや連れ去りという場合にはこれには該当しないわけでありますけれど、急迫の事情によるものを除いて、養育費、面会交流の、親子交流の取決めを行うことを原則として義務化するべきではないのかという声がございます。この指摘に対して法務大臣はどのような御見解をお持ちか、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/171
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172・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 離婚時に父母が養育費や親子交流を含めた子の養育に関する事項を取り決めることは子の利益にとって望ましく、このような取決めの促進は重要な課題であります。
他方で、父母の一方が離婚を求める背景には様々な事情があると考えられ、離婚時にこれらの取決めを義務化することについては、結果的に離婚が困難となる事案を生じさせ、そういった場合にはかえって子の利益に反するとの懸念もあり、慎重な検討が必要だと考えております。
子の養育に関する事項の取決めの促進、これは関係府省庁と連携して積極的に進めていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/172
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173・川合孝典
○川合孝典君 深刻なDVや子の連れ去りといった事例では、もちろん今大臣がおっしゃったようなことに強く該当するということは私も理解しておりますが、九割以上は協議離婚という状況の中で、どこに軸足を置いてこのことの議論をするのかということなんですが、子の利益とは一体何ぞやということを考えたときに、それは子の健全な精神、身体の、要は発育という、育ち、育みということと同時に、やはり大切なことは、経済的な支援、養育費がどう確保されているのかということがやはり極めて優先順位の高いことだと思うんですね。
従来の考え方の延長線上でいけば今の御説明というのも理解はできるんですが、改めて共同親権を導入する、新しい、全く新しい概念をこれから導入するということを考えたときに、そのことが真摯に子の利益、最善の利益に向き合っているのかということを、そこから議論をスタートさせるとなった場合に、養育費について、また面会交流についても、そのことを行うということを前提としてどう法律や運用の立て付けを行うのかという、そういう議論のスタートラインがあっても私はいいんじゃないかというふうに思っているわけでありまして、是非、その辺りのところにつきましても、今後、法律改正後施行までの間の時間もあるわけでありますし、大切なことは、子の貧困、いわゆる離婚によって子が貧困に陥らないようにするために何をするべきなのかということが最優先に語られなければいけないと思いますので、是非そこのところは御検討いただきたい、このことをお願い申し上げておきたいと思います。
その上で、次の質問に移りたいと思います。
監護の分掌と養育費との関係について少し確認をさせていただきたいと思います。
言うまでもなく、法定養育費は最低限の金額を規定するものであって、民法七百六十六条一に定められる監護の分掌に基づく子の養育費用の分担額の基準がどのように今後なっていくのかということについては現時点では不明であります。
また、裁判所が作成している養育費算定表がありますけれども、この養育費算定表は父母の収入と子の人数だけが考慮要素となっていることから、実はこれ、払う側からも受け取る側からも不満の声が上がっているということであります。端的に申し上げて、例えば子供の進学費用、受け取る側からすれば子供の学費、進学費用ですとか、支払う側からしたら家のローンですとか、こういうものは考慮要素に入っていないということでありまして、そのことの結果、受取側も支払側も不満のお声を上げていらっしゃるということであります。
そうしたことを踏まえて、G7各国では、親権者や子の養育分担時間や法的決定を裁判所が決定する際の考慮要素というものを明確化しております。日本でも、民法改正の趣旨の理解促進を図るために、いわゆる法定養育費と監護の分掌を決定する上での考慮要素を明文化するべきではないのかという指摘がありますが、この点について法務大臣の御認識を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/173
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174・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 本改正案では、裁判所が離婚後の親権者、これを判断するに当たって、子の利益のため、父母と子の関係や父と母の関係その他一切の事情を考慮しなければならないこととしております。
また、父母の双方を親権者と定めることにより子の利益を害すると認めるときは、裁判所は必ず父母の一方を親権者と定めなければならないこととした上で、これに当てはまる場合の例示として、虐待等のおそれがあると認められるときとDV被害を受けるおそれ等の事情を考慮して、父母が共同して親権を行うことが困難であると認められるときを明文で規定をしております。
加えて、本改正案では、監護の分掌等については子の利益を最も優先して考慮しなければならないことを明文で、これも明文で規定をしております。
法務省としては、本改正案について、このように考慮要素が明確化されていると考えていますが、その趣旨及び内容が国民に正しく理解され、親権者や監護の分掌について適切な定めがされるよう、御指摘の点も踏まえ、関係府省庁等としっかりと連携し、適切かつ十分な周知、広報に努めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/174
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175・川合孝典
○川合孝典君 今、大臣、考慮要素は既に明文化されているとおっしゃいましたですか、もう既に明文化されていると。
その明文化されているものが不足していて判断できないから明文化するべきなんじゃないのかということの問題の指摘なんですけど、今のままの状態で十分だという御認識をされているのかだけ、ちょっと確認させてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/175
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176・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 例示として、今申し上げたのは、例示として明文で規定しているということを申し上げました。また、監護の分掌については利益を、子供の利益を最も優先して考慮しなければならないということを明文で規定している。
法文の書き方としては、もちろんその細部にわたって書き込まれているわけではございません。様々なまだ不明な点がございますが、法文の書き方としては明確に書いたものと我々は認識をしています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/176
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177・川合孝典
○川合孝典君 要は、法文上、そのことに配慮しなければいけない、きちんと決めなければいけないということは書いていただいているけど、では、具体的にどうやって決めるのかということは書いていないわけなんです。そこを申し上げているわけでありまして、つまり、指針やガイドラインといったような形ででも、要は、こういう場合にはこういうふうに判断をしていきましょうということをどう明示するのかということについての問題の、課題の指摘ということであります。
ちなみに、私、このことの議論をしている中で法務省さんとやり取りしていて初めて知ったんですけれども、養育費算定表というのは、養育費算定表があるということは皆さん御存じだと思いますけど、この養育費算定表というのは最高裁が決めているものかとてっきり思っておりましたところ、裁判所の調査研究の成果を表示しているだけだということだったらしいんです。
しかしながら、この養育費算定表の存在自体が養育費を考える上で極めて重要なスケールになっていることもこれもまた事実なんですね。私が申し上げたいのはそういうことでありまして、決して、司法の判断に対して立法府が介入をするだとか、そういうことを申し上げているわけではなくて、立法府が判断する上での今の社会通念上の常識的な水準といったようなものがどうなのかということについての一定の判断要素、これ考慮要素ですけど、考慮要素というものをどう明示化するのかということが、今後のいわゆる共同親権を論じる裁判、離婚訴訟等をいかに迅速化させるのかということ。
さらには、裁判所のいわゆる裁判官や裁判所の職員の皆さんのスキルアップ等についても、これから研修等もやらなければいけないということを最高裁もおっしゃっているわけでありますけれど、そういうことを考えたときにも、判断要素というものがある程度明確になっているということは、裁判を行っていく上での迅速化にも大きく資する話ということであります。
同時に、何よりも、当事者の方々にとって、何を基準に裁判所がその判断をしているのかということ、このことを当事者の方々が御理解していただく上でも極めて重要ということなわけで、済みません、毎回質問のたびにこのことばっかり申し上げておりますけど、ここが明確にならないと、賛成、反対、どちらの方々にとっても満足できる内容にはならない。だから、そこの足らざる部分を今後どう埋めていくのかということの議論につなげていきたいということで、何度も何度も御指摘をさせていただいているということであります。
これは通告はいたしておりませんけれども、これから二年間のいわゆる検討期間、準備期間の中で、そうした判断基準についての一定の指針、ガイドラインといったようなものについて整理を行っていただく、同時に、各省庁と連携して様々なお取組をこれから調整をしていただかなければいけないわけでありますが、そうしたときに配慮すべき事項等についても明示化するということについて、是非お取組進めていただけないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/177
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178・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 我々、委員会の審議で何度も周知、広報と申し上げているその中身ですよね。その周知の方法、やり方、どういう形にするのか、それ、よく詰めて、国民の側から分かりやすく理解していただけるようなものを目指して、知恵を絞りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/178
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179・川合孝典
○川合孝典君 ありがとうございます。
その御質問の延長線上で、監護の分掌に基づく子の監護費用の分担額についても確認させていただきたいんですけど、民法七百六十六条の一に定める子の監護の分掌に基づく子の監護費用の分担額の基準、これはどのように規定されるのかということについて法務大臣にお伺いをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/179
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180・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 養育費の額については、当事者の協議により定められ、当事者の協議が調わないとき又は協議することができないときは家庭裁判所が個別具体的な事情に応じて審判により定めるものと承知しております。
監護の分掌がされる場合にあっても、養育費についてどのように父母間で負担すべきかは、子の養育する時間の分担だけではなくて、父母双方の収入状況、子の監護に必要な費用等をどちらが負担していたか等を含めて、個別具体的な事情に基づいて判断されるものと認識しており、一概にお答えすることは困難であると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/180
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181・川合孝典
○川合孝典君 現時点ではそのように御答弁されるしかないことと思いますが、子の監護費用の分担額を規定するものが法定養育費だけなのかということについての質問の声も実は上がっております。
今後、裁判所が作成していた養育費算定表、養育額の、養育費額の算定表のような何らかの新たな基準というものが設けられるのかどうか、このことについて質問、疑問の声が上がっておりますので、この点についても加えて確認をさせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/181
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182・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 法定養育費につきましては、養育費の取決めを補充する趣旨で、双方の収入等を考慮せず発生させるものであるため、法務省令において一定の金額を定めることを予定しております。
他方で、協議や審判によって定められる養育費については、法令において子の利益を最も優先して考慮して定めることとされているものの、具体的な基準等は定められておらず、これを定めることも想定をしておりません。
養育費の額については、当事者の協議により定められ、当事者の協議が調わないとき又は協議することができないときは、家庭裁判所が個別具体的な事情に応じて審判により定めるものと、定めることとなっており、法令において一律に基準を定めることは困難であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/182
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183・川合孝典
○川合孝典君 分かりました。
次の質問に移りたいと思います。
問いの七番、改正民法七百六十六条一項の監護の分掌規定に基づいて父母による子の養育時間の分担が仮に半々になったとき、養育時間、監護時間が半々になったときには、養育費の分担割合というものは何らか変わるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/183
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184・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 養育費の額については当事者の協議により定められ、当事者の協議が調わない場合には、又は協議することができない場合には、家庭裁判所が個別具体的な事情に応じて審判により定める、こういう形になっております。
監護の分掌がされる場合であっても、養育費についてどのように父母間で負担すべきかは、子の養育の時間の分担だけではなくて、父母双方の収入状況や子の監護に必要な費用等をどちらが負担していたか等を含めて、個別具体的な事情に基づいて判断されるものと認識しており、これも一概にお答えすることは困難であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/184
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185・川合孝典
○川合孝典君 このことの御指摘させていただいている背景なんですけれども、これまでもほかの委員の方からも御指摘ありましたけれども、養育費の受取の割合がやはり面会交流や監護の分掌というものの比率によって随分変わってきているということでありまして、したがって、養育費の取決めをしている世帯のいわゆる養育費の受取、失礼、養育時間の取決めを行っている家庭でのいわゆる養育費の受取の割合がそうでない世帯の倍以上ということで、養育費のやっぱり受給、受取率が相当高まるということでありますし、同時に、その監護にどれだけの時間と手間を掛けているのかということ、このこと自体が、やはり子に対する日頃からの負担を双方の親がやっている、どれだけやっているのかということにも端的につながっているということにもなります。
したがって、そうしたことも踏まえて、いわゆる交流時間や回数というものがダイレクトに養育費の支払に影響を及ぼすということを考えたときに、いわゆる監護の分掌に応じる形で養育費の決定をしっかり行うということが子の貧困対策、子の貧困解消に極めて有効な効果を生じさせるということ、そうしたことも踏まえてこうした多分指摘がなされているんだろうと思いますが、この共同養育を行う場合の養育時間と養育費額は、この際、トレードオフするべきなんではないのかといったような指摘も実はあります。
この指摘については、現時点ではそういう概念はないということでありますけれども、今後、この養育、監護の分掌ということを進めていくということを、仮に共同親権が安定的に制度として運用されるようになったときには、やはりこのことについても考えていかなければいけない、調査研究をこれから始めておく必要があるのではないのかと思いますが、いわゆる養育時間と養育費額のトレードオフで考えるべきではないのかというこの指摘に対して法務大臣はどのような御見解をお持ちか、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/185
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186・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 父母が子を共同で養育する場合であっても、養育費をどのように父母間で分担すべきかは、子の養育する時間の分担だけではなく、父母双方の収入状況、子の監護に必要な費用等をどちらが支出することになるか等も含め、個別具体的な事情に基づき判断されるものであると認識しております。
したがって、養育費を支払うべき父母の一方の養育時間が増えたからといって、当然にその支払うべき養育費の額が減額されるというものではないと考えております。
先生の御指摘、非常に実践的な観点、子供を実質的に守る、そういう問題意識で切り込んでおられるということはよく理解をいたしました。まだちょっと我々の検討もそこまでは至っておりませんが、その問題意識はできる限り理解をしていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/186
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187・川合孝典
○川合孝典君 ありがとうございます。前向きに御答弁いただいたことについては大変感謝をしたいと思います。
これまで長年運用してきたルールを大きく見直すということに当然なりますので、そういう意味では、様々な調整作業が生じるということについては十分承知をしております。
その上で、今後のいわゆる家族法、家族の在り方自体の根幹に関わる変更になるわけでありますので、その議論を行うときに、冒頭申し上げましたとおり、子供の利益にとって何が最善の対応なのかということを考えていただきたいということ。
そのことと同時に、何というんでしょう、監護の分掌をすることで要は払うお金が減る、増えるというそういう議論ではなくて、むしろ子に会わせてももらえないのに養育費だけ要は求められるという状況であるがゆえに養育費の支払率が極めて低くなっているということを考えたときに、日頃から一定の頻度で子供の育ちにきちんと立ち会うということで養育費を支払うことに対するインセンティブにも働くということ。そのことをむしろヨーロッパの調査研究では数字が示しているということでもありますので、従来の考え方に基づいた切り込みとは別に、多面的なこの問題に対する検証というものを是非お願いしたいと思います。
時間の関係で、時間が参りましたので、残余の質問は次回に回すことにしまして、私の質問、これで終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/187
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188・山添拓
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
今日は質問を法務委員会でさせていただきます。よろしくお願いします。
NHKの「あさイチ」で、昨日も離婚後共同親権が取り上げられました。博多大吉さんは、子供の気持ちを伝える場所がない状態でこの話が進んでいる、子供のためにつくると専門家は言うが、スタート地点が違うような気がするとコメントし、そのとおりだという視聴者の反応がSNSにも見られます。
大臣に伺いますが、この審議が進めば進むほど懸念の声が広がっている、この状況については今どう認識されていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/188
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189・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 様々な方々が御関心を持っていただき、その中で御懸念を示される方も少なからずいらっしゃる、そういう状況だと理解をしております。様々な御不安に対して我々は様々なまた御説明を国会の場でさせていただいているわけでありまして、この説明を更に詳しく、分かりやすくお伝えをしていく、またそのこともこの国会の中で御議論いただき委員の皆様方にも御理解をいただく、そういう努力を引き続きやっていかなければならないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/189
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190・山添拓
○山添拓君 様々なで片付くような話ではないと思うんですね。スタート地点が違うと、その受け止めは、私は的を射たものだと思います。
大臣は、九日の委員会で福山議員の質問に、夫婦関係が破綻したら自動的に親子の縁が切れてしまうことは問題だと答えています。衆議院でも同様の答弁があり、それがこの法案の出発点だという認識を示してこられたかと思うんです。
夫婦関係が破綻したら、自動的に親子の縁は切れてしまうんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/190
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191・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 切れないように今回の選択的共同親権という選択肢をつくろうというふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/191
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192・山添拓
○山添拓君 いや、切れてしまうことが問題だという認識を示されているので伺っているんです。
夫婦関係が破綻しても、自動的に親子の縁は切れないですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/192
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193・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 家族というのは、親子関係とそして夫婦関係、たて糸、よこ糸によって紡ぎ出されています。そして、単独親権の場合には、離婚をすれば今度はその片方の親だけが親権者となって、もう片方の親は子供との親権上のつながり、親権の行使ができなくなるという意味でのつながりが消えてしまうわけでございます。それを言っているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/193
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194・山添拓
○山添拓君 正確に言うと、そういうことだと思うんです。
親権というのは、成人までの法的責任をどちらの親が負うかという問題で、大臣は親子の縁と、こうおっしゃるので、何となくこれは感情的に親子の縁を切ってはいけないという声が広がるように述べられているんだと思いますが、事実上の親子の交流、つながりと、それは自動的には切れないわけです。それは確認したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/194
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195・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 親権の有無、婚姻の有無にかかわらず、親は子に対する責務を負っています。そういう意味で、それは消えることのないきずなでありましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/195
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196・山添拓
○山添拓君 ですから、スタート地点がやはり違っているということになりますよね。
同じく九日の当委員会で大臣は、法案の八百十九条二項、裁判上の離婚の場合には裁判所は父母の双方又は一方を親権者と定めるという条文について、合意を促していくための仕組みだと述べました。どうしても合意ができない場合は単独でいく、しかし裁判官が共同親権という選択肢を持っていることが合意を促すために有効な手段ではないか、こういうふうに答弁されています。
しかし、条文上は、合意を促す仕組みであって、合意がなければ単独とは明記されていないと思うんですね。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/196
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197・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
当事者が協議上の離婚をすることができない場合には、現行法上も、家事事件手続法第二百五十七条の定める調停前置主義によりまして、判決に向けた訴訟手続に先立って、話合いによる解決を目指す家事調停の申立てをしなければならないこととなっておりまして、この点は本改正案による改正後も同様でございます。
裁判所の調停手続におきましては、父母の葛藤を低下させ、子の利益に目を向けてもらうための取組も実施されていると承知をしており、高葛藤であったり合意が調わない状態にあった父母でありましても、調停手続の過程で感情的な対立が解消され、親権の共同行使をすることができる関係を築くことができるようになるケースもあり得ると想定をされます。
そこで、父母の合意が調わないために裁判所における親権者指定の調停等の申立てがされた場合に、当初の段階から父母双方を親権者とする選択肢を一切除外するのではなく、子の利益の観点から最善の選択がされるよう、当事者の合意形成に向けた運用をすることが望ましいと考えられます。
父母の離婚後の親権者の定めについて当事者の合意形成に向けた運用をすることが望ましいとの考え方は本改正案の条文にも表れているところでございまして、例えば民法八百十九条第一項において、協議上の離婚をするときは協議で親権者を定めることとした上で、同条第二項及び第五項において、裁判所がその定めをするのはその協議が調わない場合などに限られていることや、同条第七項において、裁判所が離婚後の親権者を定めるに当たっては、父と母との関係や父母の協議が調わない理由等を考慮しなければならないものとしていることなどを指摘することができると考えております。
このように、本改正案にも当事者の合意形成に向けた運用をすることが望ましいという趣旨が含まれておりまして、御指摘の答弁と条文の文言は整合していると認識をしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/197
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198・山添拓
○山添拓君 合意がないのに裁判所が共同親権とすることはできない、そういう条文はありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/198
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199・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お尋ねは、当事者の合意がない場合には共同親権とすることはできないとの条文があるかという趣旨でございますか。
そのような条文はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/199
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200・山添拓
○山添拓君 だから、そのように書くべきだと思うんですよ、合意を促していくためだとあくまでおっしゃるのであれば。
七日の参考人質疑で木村草太参考人は、改正案八百十九条七項について、父母の一方あるいは双方が共同親権を拒否しても、裁判所が強制的に共同親権を命じ得る内容だと批判しています。五点にわたり指摘されましたが、その最後、法務省がこの間説明もされているDV、虐待のケースは除外するという説明に関わるものです。八百十九条七項は、将来のDV、虐待のおそれがある場合を除外するだけで、過去にDV、虐待があったことが明白で、そのために被害者が共同親権に合意しない場合も、今はDVや虐待は止まっている、反省しているといって共同親権になるということはあり得る。
それを許容する条文になっているんじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/200
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201・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
八百十九条七項一号、二号でございますが、一号は、父又は母が子の心身に害悪を及ぼすおそれがあると認められるとき、二号は、父母の一方が他の一方から身体に対する暴力その他の心身に有害な影響を及ぼす言動を受けるおそれの有無というふうになっております。
過去にDV等あるいは虐待等があった場合でございますが、そのような事実が主張ないし立証されますれば、それは今後のおそれを推認する重要な事実にもちろんなってまいりますので、基本的にはこの一号、二号のおそれが肯定される方向に傾く大きな考慮要素になると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/201
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202・山添拓
○山添拓君 基本的には肯定される方向、本当にそう言えますか。いや、過去にそういうことあったかもしれない、だけど今は反省しているじゃないかと、今はそういう事実はないではないかと、そういって共同親権をまさに合意を促していく方向で運用する、それはあり得るんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/202
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203・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
一般論としてお答えをいたしますと、過去にDV、虐待があったことが明らかなケースにつきましては、そのような事情は、先ほど申し上げましたとおり、DV等のおそれを基礎付ける方向の重要な事実でありまして、これを否定する方向の事実が認められなければ、DV等のおそれがあると判断され、父母の一方を親権者としなければならないことになると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/203
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204・山添拓
○山添拓君 山崎菊乃参考人は、御自身が三人のお子さんとともにシェルターに避難された痛切な経験をお話しになりました。その上で語られたのは、一度暴力を振るわれてしまうと夫婦の関係が全く変わる、夫の顔色を見て、怒らせないようにと振る舞う癖が私に付いてしまいましたと、この委員会で述べておられます。そこで、私はいつも落ち込んでいました、子供たちはいつもぴりぴりしていました、こういう発言をされましたよね。
ですから、DVや虐待の加害が今止まっている、反省している、だからといって被害者の傷がないわけでは決してありません。共同親権に合意できないという思いを抱くそういう当事者がいるということは、これは当然だと思うんです。大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/204
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205・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 今のDV被害に遭われた方々のその思い、不安、傷、そういったものはひしとよく理解をしているつもりでございます。
そういう方々に不安が及ばないように、安全が守れるように、この法律は運用されていくべきであると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/205
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206・山添拓
○山添拓君 そうした当事者からまさに不安の声が上がっているわけです。
ですから、大臣がおっしゃるように、その気持ちに寄り添うということであれば、少なくとも合意なく共同親権を強制し得るような仕組みはつくるべきではないと思うんですね。
木村参考人が指摘したように、少なくとも、過去にDVや虐待があったようなケースでは被害者の同意がない限り絶対に共同親権にしてはいけない、このことを法文上明らかにする、これは必要じゃないでしょうか。そしてまた、可能ではないかと思うんです。そういう検討をされましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/206
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207・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
離婚後の共同親権の判断につきましては、離婚後の親権者の定めについて父母の協議が調わないときは、裁判所が、子の利益の観点から、親権者を父母双方とするか、その一方とするかを判断することとしております。
この場合におきまして、父母の協議が調わない理由には様々なものが考えられますので、合意がないことのみをもって父母双方を親権者とすることを一律に許さないというのは、かえって子の利益に反する結果となりかねないと考えております。
そのため、本改正案では、裁判所は、父母の協議が調わない理由等の事情を考慮して、父母が共同して親権を行うことが困難であるかなどの観点を含め、親子の関係、父母の関係その他一切の事情を考慮して、実質的、総合的に離婚後の親権者を判断することとしているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/207
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208・山添拓
○山添拓君 ですから、やはりそれは共同親権についての合意を一要素として軽視されているように思います。
資料をお配りしていますが、二〇二二年十一月の中間試案の段階では四つの案がありました。現行の単独親権のままとする乙案に対して、甲一案が、原則共同親権で一定の場合に単独、甲二案は、共同か単独かは協議次第とする、甲三案は、原則として単独、一定の場合に共同と。そして、法制審の審議は、父母の合意がある場合にまで共同親権を認めないのはいかがなものかと、真摯な合意がある場合に共同親権をどう認めるのかという点について議論が行われていたはずです。
ところが、その流れを踏まえず、その後、法務省が示した案は、父母の合意がなくても裁判所が共同親権を決定し得るというものになっていました。
法制審の部会の委員である棚村政行早稲田大学の教授は、共同親権が望ましい場合と単独親権の方がよい場合の基準や運用について十分な議論ができなかったと述べています。
大臣が、父母の合意がないのに裁判所が共同親権を認めることはないと、こう断言されるのであれば、少なくとも法制審に諮り直すべきだと思うんです。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/208
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209・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 同意ができないという御夫婦がいて、しかし、もう一度、もう一度子供のために、子供の利益のためにその問題を考えましょう、対面して、あるいは裁判所に入ってもらって考え直しましょう、話し合いましょう、そういう努力ができるのであれば、その努力をしてもらいたい。
しかし、最初から同意がなければ単独親権ですよという道が決まってしまえば、それはもう話し合う余地もない、話し合う場面もない、子供の利益を考える場面もない、考える余地もない、そういうところにはまってしまうわけでありまして、どうしても、話し合った結果、共同行使が困難だと、この相手方とは添っていけないと、共同行使できないということになれば、それは共同行使困難でありますから単独親権にしなきゃいけない、むしろ義務として単独親権にしなきゃいけない。その手前のところで子供の利益というものを一緒に考えましょうと、一緒にテーブルに着いて考えましょうと、そういう趣旨をこれは述べているわけでありますから、それを我々は一つの守るべき公益として掲げているわけでございますから、是非そこを御理解をいただきたい。子供の利益ですよ、子供の利益。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/209
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210・山添拓
○山添拓君 今、公益という話と子の利益という話と両方おっしゃったんですけれども、これはそれぞれの当事者に関わる問題ですから、こうあるべきだと押し付けるような在り方、これが家族の在り方として良い方向だと、だからこう合意する、合意を促していくというような仕組みにすることは妥当じゃないと思うんですね。
なぜ法制審の流れと異なるものが法務省から出されたのか。これは、条文の構造そのものに自民党からの横やりがあったんではないかということも言われております。私は、いや、それは、だって、中間試案が延期されたり、パブコメの資料への関与ということもこれまで指摘されていますよね。
ですから、法務省が自民党と調整する際に示された資料やそこでの議事録、是非委員会に出していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/210
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211・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/211
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212・山添拓
○山添拓君 家庭裁判所の調停はどちらかの当事者の申立てによって始まるわけですが、調停は双方の言い分を中立に聞くための場であるはずです。ですから、一方が共同親権を求め、もう一方が単独親権を求めるという場合に、裁判所があくまで共同親権の方に合意を促すと、これはあってはならないんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/212
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213・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えをいたします。
離婚後の親権者を父母双方とするか、その一方とするかについては、個別具体的な事情に即して、子の利益の観点から最善の判断をすべきでありまして、本改正案もこのような考え方に沿ったものでございます。
こうした考え方は調停運営の際にも尊重されるべきものでありまして、裁判官や調停委員は、当事者の主張のいずれの側にも偏ることなく、子の利益を最優先に考慮する立場を取って調停運営に当たることが期待されていると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/213
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214・山添拓
○山添拓君 いずれの側にも偏ることなくというのは当然だと思います。
資料の二枚目を御覧ください。
八月二十九日に行われた法制審議会の第三十回会議には、青竹、石綿、沖野、久保野、小粥委員、五人連名の資料が出されています。七点の意見の最後にDV、虐待への民法上の対応が挙げられ、子に対する虐待を行った者は離婚後共同して親権行使ができないとする、そのような者は親権者変更の申立てについて一定の期間制限するなどの規律も提案されています。小粥委員は、合意のない共同親権を裁判所が定め得る、そういう規定を推進されてきた委員ですが、その委員からもこうした規律の必要性、つまり、一定期間、親権者変更の申立てそのものを制限する、そうした案が検討されるべきだと示されています。
法務省は、こういう提案に対してどのように検討され、条文にどう反映されたんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/214
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215・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
法制審議会家族法制部会の五名の委員、幹事が連名で提出した文書には、委員御指摘のとおり、子に対する虐待を行った者は離婚後共同して親権行使ができないとする規律を設けることや、そのような者は親権者変更の申立てについて一定の期間制限することを提案する考え方が紹介されておりますが、それと同時に、子と父母の関わりは重要であることから、こうした規定を設けることに慎重な考え方もあることも併記をされております。
本改正案では、裁判所が必ず父母の一方を親権者と定めなければならない場合の例として、虐待等のおそれがあると認められるときを挙げており、この規定は、親権者変更の申立てがされた場合にも適用があります。
このように、五名の委員、幹事の連名の文書において提案されている御指摘の考え方は本改正案に適切に盛り込まれていると考えておりまして、本改正案は虐待のある事案にも適切に対応することができるものであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/215
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216・山添拓
○山添拓君 いえ、申立てそのものを制限すべき場合を検討すべきだという提案です。それは反映されていません。
なぜこのことを問題にするのかと。申立ての制限が必要になるのはなぜか。リーガルハラスメントと呼ばれる事態が懸念されるからです。
木村参考人は、訴訟や申立ての提起自体が違法であると認定される基準は極めてハードルが高い、不当訴訟の枠組みで訴訟の提起自体が不法行為になるというようなことが抑止力になるというのはほぼ現実的な想定ではないと指摘されています。
DVや虐待の加害者の側から親権者の変更を申し立て、認められなくても繰り返し申し立てる、まあ様々な申立てを行うなど考えられますが、それが不当訴訟だからといって排除されるのは難しい。そうなりますと、少なくとも申立てに応じ調停に出席する、それ自体が大変な負担になるという場合が生じ得ます。どのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/216
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217・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
あくまでも一般論としてお答えすれば、個別具体的な事情によるものの、自己の主張が事実的、法律的根拠を欠くものであることを知りながらあえて訴えを提起した場合など、訴えの提起が裁判制度の趣旨、目的に照らして著しく相当性を欠くときは、訴えの提起それ自体が不法行為に該当し得るものと承知をしております。
このような考え方は、裁判制度の利用を不当に制限する結果とならないよう配慮しつつも、訴えの提起自体が相当でないケースにおいては裁判所がそのような判断を示すことができるとするものでありまして、嫌がらせ的な訴えの提起等に対する抑止力になると考えております。
法務省といたしましては、こうしたことを適切かつ十分に周知することによりまして、子の利益を害するような濫訴を可及的に防止するとともに、父母間の人格尊重義務の違反があった場合に適切に対応することができると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/217
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218・山添拓
○山添拓君 そうはならないだろうという指摘をこの委員会で受けたわけですよ、大臣。様々周知をしても、申立てそのものが止められないという場合は生じ得ると思うんですね。例えば、相談した弁護士が、いや、これは濫訴に当たるのでやめるべきですよと、こうアドバイスすることあるかもしれませんが、そういう場合は弁護士替えると、あるいは本人が申し立てるということもできるわけです。
濫訴や不当申立てというのは現に起こっていますし、防ぎ得ないだろうと思うんですね。それは、申し立てられる側にとっては、身体的にも、精神的にも、経済的にも、時間的にも大変大きな負担となるだろうと思います。
大臣、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/218
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219・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) これは、婚姻中別居のケースでも同じことが起こっているんじゃないんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/219
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220・山添拓
○山添拓君 ですから、そうした負担をなるべく低減するためにはどうするかということが問われているときに、親権者変更の申立てによって自分も親権者にせよと、こういう申立てが繰り返される、あるいは親権行使の在り方についての申立てが繰り返される、その懸念が示されているかと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/220
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221・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) それは、婚姻中別居の、まあ現状そうだとして、婚姻中別居の御夫婦の間でそういうことが起こるということを今認められましたよね。それが共同親権になることによって悪くなるかと。状況変わらない、同じことが起こっているんだと思いますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/221
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222・山添拓
○山添拓君 いやいや、今は離婚後単独親権ですから、ないわけです。離婚後単独親権のために、ない部分について、共同親権を認め、申立てを認めるということは、離婚後についてもそうした懸念が生じ得ると、新たに生じ得るということになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/222
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223・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) そのDVに関わる保護、あるいはその家族、親子を守る、そういう措置については、これは万全を期していく必要があると思いますけれども、共同親権になる裁判所との話合いの中でそういう問題がもし出てき得るということになれば、それはそういうことを述べていただいて、そして裁判所はそれを採用してくれると私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/223
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224・山添拓
○山添拓君 大臣がそのように希望的な観測を述べられても、リーガルハラスメントというのは実態があると、この場の参考人質疑の中でも示されていましたよね。大臣も御覧になっていたかと思います。その懸念に応えるものではないのではないかと。これは是非受け止めていただく必要があると思うんです。
今日、時間限られていますので、最後に、共同親権となった場合に、親の資力などが要件となっている支援策、親の同意、関与が要件となっている手続、法案でどうなるのかという点について若干伺いたいのですが、本来、具体的に個別の制度ごとに質問したいと考えていましたが、今日の委員会前の理事会で、法務省から十六項目を示したペーパーが一枚出されました。与党の筆頭理事からは、全府省庁にまたがる問題なので調査に時間が掛かると、そこで、現時点で説明できる速報のようなものとして出したと説明がありました。
当委員会で仁比聡平議員が理事会協議事項として求めたのは四月二十五日であり、三週間近くたちますが、まだ調査、把握し切れていないということでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/224
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225・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
先ほど理事会にお配りしたものについては、この当委員会あるいは衆議院の委員会での審議において明らかになったものを一覧表にまとめたものでございまして、本日お配りしている資料に掲げられていないものについても速やかに整理を進めたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/225
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226・山添拓
○山添拓君 この十六項目のうち、親権の所在が影響すると確認できたのはどれですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/226
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227・竹内努
○政府参考人(竹内努君) ここに掲げたものの多くは、というかほとんどは親権の有無に関わらないというふうになっておりますが、七番の高等学校等就学支援金については、親権者の収入で判断するというのが文部科学省からの話であったかとは思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/227
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228・山添拓
○山添拓君 仁比事務所の調べでは、給付に関わるもので少なくとも二十八あることを確認しています。その二十八と今日出された十六は、重なるものもありますが、そうでないものもあるようです。ですから、影響は大変幅広いということだと思うんですね。
本来、法案審議に先立って政府が把握し、説明できるように準備しておくべき内容です。子の利益と、大臣も今日も繰り返しおっしゃるのですが、子に具体的に生じ得る不利益に余りに無頓着じゃないかと思うんですね。そのまま審議を進めてきたということではないかと思うんです。
施行を待たず、速やかに関係府省庁で連絡してということをおっしゃっていますが、これは採決の前提を欠くんじゃないでしょうか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/228
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229・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) これ、御判断いただく一つの要素だと思います。一つ一つのまだ結論が見えていないということも御指摘のとおりでありますけれども、これ、各省庁と連携して、法務省が一つの総合調整機能をフルに発揮しながら、子供の利益が守られるように、これはしかと対応をしていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/229
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230・山添拓
○山添拓君 総合調整機能は法案出す前にやってくださいよ。
今日の理事会では与党から木曜日の採決が提案されて驚きました。広がる懸念と不安を置き去りに、法案の採決ありきという姿勢は絶対に許されないということを指摘して、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/230
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231・鈴木宗男
○鈴木宗男君 大臣、御苦労さまです。
委員長、今ほど山添委員から、自民党の横やりがあったんでないかという話がありました。私は、これ法制審議会家族部会が三年余にわたってしっかり議論してきた話であります。この委員会で公党の名前を挙げて横やりが入ったと言うのは、これ正しくないと私は思っております。
自民党は自民党、あるいは我々超党派の議連でも様々な意見は述べて、民事局にもそれは伝えてありますけれども、開かれた中での議論であって、横やりという表現は私はこの委員会という開かれた場所において適切でないと思いますので、ここは理事会で是非とも、このことを私は削除すべきだと思います。
自民党の横やりがあったのではないかという断定はいけません。自民党の意見があったとか声があったとか言うならばまだ少しは私は聞く耳ありますけど、横やりがあったんでないかという言いぶりは、私はこれは極めて不穏当だと、こう思いますので、是非とも委員長、これ理事会での協議をいただきたいと、こう思いますが、よろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/231
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232・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/232
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233・鈴木宗男
○鈴木宗男君 今のこの横やりという発言に対して、小泉大臣の見解をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/233
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234・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 違和感がありました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/234
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235・鈴木宗男
○鈴木宗男君 横やりの前に、大臣が子の利益について極めて熱心に、もうジェスチャー入りで説明していました。私は、まさにこの法案の大事なところは子の利益だと思っておりますから、大臣のあの熱心な説明の後の発言でありますから、私はこれは看過できないというのが私の考えであります。
そこで、この法案よりも、今日は環境副大臣に来てもらっていますから、先にそっちの方を処理したいと、こう思っております。
副大臣、お忙しい中、済みません。率直に聞きますけれども、あの一日、水俣市におけるいわゆる被害者あるいは家族会の皆さん方との懇談会での環境省のあの態度、あるいは伊藤大臣の不誠実な姿について、副大臣はどう受け止めていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/235
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236・滝沢求
○副大臣(滝沢求君) お答え申し上げます。
団体との懇談において、時間を超過した一部の方について発言の途中でマイクの音量を切るという運営をしていたことについては、大変遺憾であり、発言された方々に対して大変申し訳ない思いであります。
今後、今回の深い反省の上に立って、環境省として皆様に寄り添って対応できるように、また、環境省一丸となってこの問題に取り組むため、省内の体制を強化し、現状を分析しつつ、水俣病対策に全力を尽くしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/236
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237・鈴木宗男
○鈴木宗男君 副大臣、思いますじゃ困るんですよ。私は、あってはならぬことが起きたと思っているんですよ。
ならば、環境省としてどう考えているかということをしっかり私は示していただきたい。同時に、私は今回、副大臣への質問に対してきめ細かく文書で政府室に出しております、環境省の。にもかかわらず、逆に今の答弁だと私は何のための質問通告であって答弁かなと、こう思っていますから、ここは、副大臣、しっかり心して答弁してください。
あの一日、どんな段取り、まあ行程表ですね、予定で懇談会が進められたのか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/237
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238・滝沢求
○副大臣(滝沢求君) お答え申し上げます。
伊藤大臣は、五月一日は政府を代表して水俣病犠牲者慰霊式に参列して、水俣病によって亡くなられた方々の御冥福を心を込めてお祈りすること、そして、語り部の皆様や関係団体の皆様の声を拝聴し、環境大臣としてどのように受け止めて今後取り組んでいくかをお伝えすることが重要と考えて臨まれました。
当日は、慰霊式が当初の予定より十五分程度延びて終了し、語り部の皆様との懇談を予定どおり約三十分間行いました。その後の団体の皆様との懇談も、当初の予定より開始が遅れたものの、予定していた四十分間を超えてお話を伺い、かつ御参加いただいた八団体のお話は大臣には全て聞こえていました。
このうち、失礼しました、このうち御発言の途中でマイクの音量を切られてしまった方のお一人については、当初、団体として六分程度お話をされ、マイクを切られた後にも続けて三十秒程度お話をされ、更にほかの団体の御厚意によりマイクの音量ありで一分程度お話をされ、計七分程度、お話を終了され、お話は最後まで伺いました。
その後、二つの団体からお話を伺い、最後に、八つの団体からいただいた御意見、御要望について大臣から七分程度お答えして懇談を終了し、記者会見を行い、予定した行程を全て終えたということでございます。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/238
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239・鈴木宗男
○鈴木宗男君 副大臣、そこで、あのときマイクを切った、このマイクを切るということは最初から予定表には入っていたんですか、時間過ぎたらマイクは切るということは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/239
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240・滝沢求
○副大臣(滝沢求君) 指摘の点でございますが、事務方に確認したところ、事前に事務方において作成していた水俣病関係団体との懇談シナリオに沿って、あらかじめ一団体三分で御発言をお願いした上、持ち時間が近づいた場合は司会者からお話をおまとめくださいという発言を行い、持ち時間の経過後にマイクの音量担当者がマイクオフにしていたとのことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/240
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241・鈴木宗男
○鈴木宗男君 副大臣、あのとき環境省の職員は、マイクのスイッチが切られているという発言に対して、事務局の不手際でございます、申し訳ございませんというやり取りしていますよ。これはもうテレビでもはっきりしていますね。
今のあなたの答弁とそごがあるんじゃないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/241
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242・滝沢求
○副大臣(滝沢求君) 環境省の事務方が、時間を超過した一部の方について発言の途中でマイクの音量を切るという運営をしていたことについては、大変遺憾であり、発言されていた方に対して大変申し訳ないとのことでございました。
このため、伊藤大臣は、五月八日に水俣を再び訪れ、七つの団体の十名以上の方とお会いして謝罪するとともに、参加者お一人お一人から御意見、御要望を伺ったと聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/242
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243・鈴木宗男
○鈴木宗男君 いや、副大臣、私が言っているのは、マイクをなぜ切ったのか、時間が超過したからといって、マイクをなぜ切ったのか。それは、環境省の職員は事務局の不手際でございますと言っているわけですよ。あなたが、八日に謝りに行ったとかなんとかというのは、それは次の私の質問に対する答えであって、私の質問に答えてないんですよ。
なぜマイクを切ったかということを聞いているんですよ。不手際じゃないんですよ、現実切ったわけですから。だから、それはちゃんと初めからシナリオ上でできている話なのかどうかというのをさっき聞きましたね。これ、時間ないですから端的に答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/243
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244・滝沢求
○副大臣(滝沢求君) シナリオになっているのかと、今の問いでございますが、これは、限られた時間の中で全ての団体の発言時間と大臣からの回答時間を確保するためでありましたと伺っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/244
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245・鈴木宗男
○鈴木宗男君 副大臣、この委員会も、私のスタートは三十五分なんです、既に私は九分遅れでスタートしているんですよ。そのぐらいずれるんです。ならば、一分、二分の話を何で親切に聞くという心構えを伊藤大臣は持ってないかということを私はお尋ねしたいんですよ。その旨、あなたのところに私は質問通告しているでしょう。それを聞いているんですよ。現にこの委員会でも八分も九分も遅れているんですから。それが会議ですよ。
たった三十秒か一時間、何で被害者の、しかも亡くなった奥さんのことを思いながらしゃべったら、どうしても言葉が遅くなりますよ。なぜその対応ができなかったかということをきちっと答えてくださいよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/245
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246・滝沢求
○副大臣(滝沢求君) 失礼しました。
大臣に確認をいたしました、この今委員が御指摘の点につきましては。
それで、五月の一日の懇談当日においては、各団体のお話は大臣には全て聞こえており、発言の途中でマイクの音量を切られてしまった方のお一人については、団体として全体で七分程度お話をされ、お話は最後まで全て伺ったと聞いております。
そして、現場で環境省の職員がマイクを切ったことについてどう思うかという趣旨の質問があり、大臣は、マイクの音量を切ったのか、切ったとして誰がマイクを切ったのか、事実関係が分からなかったので、マイクを切ったことは認識していないと発言されたと聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/246
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247・鈴木宗男
○鈴木宗男君 これ、副大臣、そういう答弁を漫画というんです。
いいですか。これ、皆さん方が聞いていたって、話おかしいでしょう。今の副大臣の答弁は、大臣が八日、謝りに行った、謝りに行ったときの話なんですよ。私が聞いているのは一日のことなんです。
三十秒や一分、時間がオーバーしたといったって、聞くのが私は政治家の姿勢だと思うんです。いいですか。しかも、あのとき騒然としました。マイクを切らないでくださいという声もありましたね。大臣がそのときの雰囲気を聞いたならば、誰だ、マイクを切ったのはと言って大臣が環境省の職員を注意すべきでしょう。全くずれているというか、事の重大性を考えていない。しかも、相手が誰かということも、十分痛みに添うとか困った人に寄り添うという気持ちがないんですよ。あのとき、平然と大臣は立ち去っていきましたよ。私はそれを見て腹立たしく思ったんですよ。
そして、八日の日、大臣は、水俣病は環境省が生まれた原点であり、大臣としていかに大切に思っているかを伝えたい、まずは現地で謝罪して、じっくり話を伺いたいと言いながら、マイクが切られていたことは昨日事務方からの報告で初めて知った。そうしたら、七日に知ったことになるんですよ。
副大臣、なお話がおかしくなるし、大臣の人間性が問われるんですよ。私は環境省の名誉のために言っているんです。間違いはあるんですよ。失敗もあっていいんです。言い訳するんじゃなくて真摯に謝る。申し訳ないという言葉が大事なんですよ。なぜ、副大臣、それ言えないんです、環境省として。はっきり答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/247
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248・滝沢求
○副大臣(滝沢求君) 環境省の事務方が、時間を超過した一部の方について発言の途中でマイクの音量を切るという運営をしたことについて、大変遺憾であり、発言されていた方に対し大変申し訳ないと、そう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/248
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249・鈴木宗男
○鈴木宗男君 副大臣、もう少し人として、政治家である前に一人の人間であってくださいよ。なぜこんなことが起きたかということを、副大臣、何でもっと考えないんです。
副大臣は記者会見でも、就任のときの、昨年九月の十九日の就任でも、俺は環境委員長をやってきたんだと、環境には精通している、あるいは公害が原点だと、環境省の、だからしっかり取り組むと、えらいしっかりしたことを言っているんですよ。あるいは、去年の十一月七日の委員会における挨拶でも、ちゃんと大臣を補佐してやりますと言っているんですよ。今の答弁じゃ大臣の補佐になっていないんです。
副大臣、あってはならぬことが起きた、あの場にいた全ての人におわびを申し上げる、今後絶対やりませんと、そしてまた、国民の皆さんに不快な思いをさせた、こういったことはあってはならぬことだから、改めて反省して、きちっと環境省を挙げて対応しますというのがあなたの答弁じゃないんですか。どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/249
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250・滝沢求
○副大臣(滝沢求君) お答えいたします。
今回の深い反省の上に立って、環境省として、皆様に寄り添って対応できる、また、環境省が一丸となってこの問題に取り組むため、省内の体制を強化して水俣病対策に全力を尽くしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/250
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251・鈴木宗男
○鈴木宗男君 あと、副大臣、不手際という言葉遣いは私は正しくないと思いますよ。おわび、反省しかないんですよ、あの場面では、結果として。だから、大臣がわざわざ一週間後に行ったんじゃないんですか。同時に、社会問題になったわけですから。それを何で率直に話をしないんです。せっかく、副大臣、あなた認証官になったわけですから、自信を持ってきちっと正直に答える、それがあなたのためだと思いますよ。いや、あなた自身、そう思いませんか。そういう心ない役人の書いた紙を読んだって、ツイッター等でこの委員会聞いている人、結構いるんです。特に私の質問に対しては注目している人がいろんな分野でいるんですよ。だから、なお私はここは厳しく指摘するんです。
私は、様々な経験した政治家として、さっきの山添さんの横やり問題にしたって、私はびしっと、自民党の皆さん方は大人の対応をしているから、これは私が言わぬといかぬなと思って言っているんですけれども、同じように、環境省のこの不祥事はあってはならぬことなんです。
同時に、いま一度、私は、じゃ、副大臣に、その心構えと環境省における反省をしっかりこの委員会の下で国民の皆さんに明言していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/251
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252・滝沢求
○副大臣(滝沢求君) ただいまの御指摘も踏まえ、今後、深い反省の上に立って、環境省として全力を挙げて、また一丸となって、体制の強化もしっかりと進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/252
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253・鈴木宗男
○鈴木宗男君 どうか、伊藤大臣にもよく言ってください。職責に就いたならば、やっぱり決意と覚悟を持って、何よりも大事なのは人の心であるということ。あの一日の、あれだけ騒然の中で、つらっとして帰る。もし小泉大臣ならば、いや、皆さん、申し訳ありませんだとか、いやいや、ちゃんと話を聞きますからという、小泉大臣の人柄ならば言ったと思いますよ。それができなかっただけでも、私は、政治家としてのいわゆる姿勢は極めて横着というか他人事であったと、こう私が指摘していたと伊藤大臣に言ってください。
私は、伊藤大臣、お父さんの代からよく知っていますけど、何でああいう態度、人柄になったかと不思議なんですけど、是非ともそこは副大臣からも、それが副大臣の役割ですよ。副大臣として大臣を補佐しますとか、大臣を支えていきますという、あなた、委員会でも言っているわけですから、就任のとき。きちっとその点はお伝えいただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/253
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254・滝沢求
○副大臣(滝沢求君) ただいまの指摘、しっかりと大臣に報告させていただき、お伝えさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/254
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255・鈴木宗男
○鈴木宗男君 副大臣、ついでに、私に大臣が何と言っておったか報告ください。委員会では要りませんから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/255
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256・滝沢求
○副大臣(滝沢求君) 報告させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/256
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257・鈴木宗男
○鈴木宗男君 このやり取り、五分か十分で終わろうと思ったら、もう二十分ぐらいやっちゃって、この質問が、次の質問しようと思ってもまとまらなくなりますから、もう私は早めに、遅れていますから切り上げますけれども、環境大臣に来てもらって率直なやり取りができて私は良かったと思うし、少しでも、副大臣の今の答弁で、私は、国民の皆さんが、ああ、これから頑張ってくれるな、これから寄り添ってくれるなと、そう思ってくれればいいかと思っております。
小泉大臣に質問の機会を、答弁の機会を与えなくて申し訳ありません。次の機会、三十分時間ありますから、びっしり残っている問題やっていきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
三分ほど時間余していますけれども、もう過ぎていますから、今日はこれで私は質問を終えます。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/257
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258・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) 先ほどの山添さんの発言中に不適当な言辞があったとの御指摘がありました。
委員長といたしましては、後刻速記録を調査の上、適当な処置をとることといたします。
本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
午後五時五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01120240514/258
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