1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和六年五月十六日(木曜日)
午前十時十一分開会
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委員の異動
五月十五日
辞任 補欠選任
自見はなこ君 赤松 健君
音喜多 駿君 清水 貴之君
山添 拓君 山下 芳生君
五月十六日
辞任 補欠選任
赤松 健君 永井 学君
福島みずほ君 古賀 千景君
山下 芳生君 山添 拓君
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出席者は左のとおり。
委員長 佐々木さやか君
理 事
古庄 玄知君
和田 政宗君
牧山ひろえ君
伊藤 孝江君
川合 孝典君
委 員
赤松 健君
岡田 直樹君
北村 経夫君
山東 昭子君
田中 昌史君
永井 学君
森 まさこ君
山崎 正昭君
石川 大我君
古賀 千景君
福島みずほ君
石川 博崇君
清水 貴之君
山下 芳生君
山添 拓君
鈴木 宗男君
国務大臣
法務大臣 小泉 龍司君
副大臣
法務副大臣 門山 宏哲君
大臣政務官
法務大臣政務官 中野 英幸君
最高裁判所長官代理者
最高裁判所事務
総局民事局長 福田千恵子君
最高裁判所事務
総局家庭局長 馬渡 直史君
事務局側
常任委員会専門
員 久保田正志君
政府参考人
こども家庭庁長
官官房審議官 野村 知司君
法務省大臣官房
政策立案総括審
議官 上原 龍君
法務省大臣官房
審議官 柴田 紀子君
法務省大臣官房
司法法制部長 坂本 三郎君
法務省民事局長 竹内 努君
法務省刑事局長 松下 裕子君
文部科学省大臣
官房学習基盤審
議官 浅野 敦行君
厚生労働省大臣
官房審議官 宮本 直樹君
厚生労働省大臣
官房審議官 斎須 朋之君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○民法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
議院送付)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/0
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001・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日、音喜多駿さん、山添拓さん及び自見はなこさんが委員を辞任され、その補欠として清水貴之さん、山下芳生さん及び赤松健さんが選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/1
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002・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
民法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、法務省民事局長竹内努さん外八名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/2
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003・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/3
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004・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) 民法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/4
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005・森まさこ
○森まさこ君 自民党の森まさこでございます。
法案審議に入る前に、前回の続きの冤罪防止について質問をさせていただきます。
私が法務大臣当時設置した検察行政刷新会議で話し合うべき三つの柱を、前回先生方にお示ししました。一つ目が検察官の倫理、二つ目が、公文書をなくさないように、法務行政の透明化、三つ目が我が国の刑事手続について国際的な理解が得られるようにするための方策であります。
これらについて議論が取りまとめられて令和二年十二月に報告書が出され、それを受けて令和三年一月に法務省ガバナンスPTが設置されました。
本日お配りしている資料の一にありますとおり、法務省ガバナンスPTで様々なことが決まりましたが、柱の三つ目であります人質司法を含む刑事手続の在り方については、ガバナンスPTでは取り上げられず、引き続き刑事局において対応することとされました。
時間がないので、このガバナンスPTについては資料一にありますので触れなくて結構ですので、法務省、三つ目の柱、人質司法を含む刑事手続の在り方、取調べにおける弁護人の立会いについて、どのような対応がなされたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/5
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006・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) お答えいたします。
法務・検察行政刷新会議の報告書におきましては、まず御指摘の、我が国の刑事手続の在り方に関して法務・検察行政刷新会議において議論すべき課題として取り上げるということ自体について、この会議体として取り上げることについては合意を見るに至らなかったとされているものと承知しております。
その上で、法務省におきましては、現在、平成二十八年成立の刑訴法等一部改正法の附則で求められている検討に資するため改正刑訴法に関する刑事手続の在り方協議会を開催しておりまして、御指摘の報告書において言及されている事項に関しましても、同協議会において協議が行われ、又は今後の協議の対象となり得るものと認識をしております。
法務省としては、附則の趣旨を踏まえて、引き続き充実した議論が行われるように尽力してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/6
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007・森まさこ
○森まさこ君 大臣、よく御覧いただいてください。資料二に、今刑事局長が言った附則九条、これに基づいて現在の在り方協議会、これが資料三、こちらを設置したというんです。
そして、その中で、先ほど私が言った刷新会議の報告書、これが資料四です。これについても議論がなされているというような答弁でしたけれど、資料四を御覧ください。
これが刷新会議の取りまとめの報告書です。令和二年十二月に私の後の上川大臣に提出されました。赤字で私が引いておきました。とりわけ被疑者取調べへの弁護人の立会いについて、令和元年六月までに施行された平成二十八年改正刑事訴訟法の三年後検討、三年後検討の場を含む適切な場において、弁護人立会いの是非も含めた刑事司法制度全体の在り方について検討がなされるよう適切に対応することと報告をされております。これを上川陽子大臣が受け取りました。
そこで、私はこの当委員会で、元大臣である私が現職の大臣の上川大臣に質問をしたんです。令和三年三月三十日、四月八日、五月十八日と三回質問しました。そして、先日の四月二十五日は小泉大臣に質問をしているんです。上川大臣に質問をして、上川大臣はこう答えました。資料四の法務・検察行政刷新会議の報告書のとおりですと。それで、これを刑事局に指示しましたというふうに答弁しているんです。
ところが、今刑事局長が言った今現在つくられている在り方協議会、資料の九に付けておきましたけれども、九の二が、まず第一回において、この在り方協議会で何を議論するかということを法務省の担当者が、吉田構成員という人が言っているんです。資料の十七ページですけど、資料の九の二を見ますと、検討項目についてと言っています。弁護人の取調べの立会いの制度が先ほど指摘に挙がりましたが、平成二十八年改正で取調べの録音・録画制度が導入されているわけで、もしそれで足りないということが確認されるのであれば議論することもあり得るのかもしれませんが、まずは附則の九条一項、二項に基づく検討を先に行い、その上で、なお立会い制度について議論する必要があるのかを考える。必要があるかどうかを考えるとなっているんです。
だけど、これは刷新会議の報告書で議論をするというふうに報告されて、上川大臣がそれを受け取り、そのとおりだと思いますと、元大臣の私が質問したのに現職の法務大臣が答弁しているんですよ。だから、これ、議論するのかどうかを今から考えるんじゃなくて、議論するに決まっているんです。
これ、このことを、今現在開かれている在り方協議会のこの冒頭のときに刷新会議のことは全く触れられてなく、平成二十八年の附則九条のことだけ触れられている、そこには録音、録画と書いてあるから。でも、録音、録画を、もちろん少し進展しました、しかし現状、その後でも様々なことが起きていて、現場の弁護士さんたちが指摘しているじゃないですか。
そして、刷新会議において、私がやったときの刷新会議においていろんな意見が出ているんです。それを資料五に付けておきました。いつも資料がたくさんで済みませんね、思いがあふれてしまうものですから。この資料五に、取調べの弁護人の立会いについて刷新会議の委員の先生たちがかんかんがくがく議論したの、全部ピックアップして付けておきましたよ、五の一から五の幾つかまで全部。
これ、賛成も反対もいろいろありますけれども、この議論をして、そして当時の鎌田座長が、賛成と反対が拮抗していると、これは、この会でヒアリングをもしすると、ヒアリングをした以上はそれを受け止めて、そこからそれを前提に何をどうするかの議論を二、三回は続けないといけないということだろうと思うから、時間もないし、取りあえず話を聞いてアリバイづくりで終わってしまったというのは余りやりたくないから、ここは、さっきの資料四のように、報告書に刑訴法の見直しのときに議論をすべきというふうに書いて、そして見直しの場を委ねるというふうに発言しているんですよ。
それが見直しの場になったら議題にも取り上げられていないというのは、国会における元大臣の質問に対するその当時の大臣の答弁、これを無視した国会軽視ではないですか。
この九の三を見ますと、それから九の四ですよ、日弁連から出ている河津委員が、取調べの弁護人の立会いについて議論すべきというふうに言っているんですよ。私はこれ正面から議論すべきだと思います。
前回の質疑で御紹介させていただきましたとおり、当時厚労省の局長でおられた村木厚子さんの無罪事件等の一連の事態を受けて設置された検察の在り方検討会、これ名前が似ているんですけど、現在の在り方協議会じゃなくて昔の在り方検討会です、こちらの資料をたくさん皆さんに配らせていただきました。村木さん御本人が、実体験した本人として被疑者取調べにおける弁護人の立会いの必要性について当事者としての重要な御意見を述べています。この議事録が当時なかったから、私が一生懸命捜して法務省のホームページにまた載せたんです。それで、さっきの刷新会議の柱の二で、ちょっと公文書の取扱い、行政の透明性、これしっかりやるように、それも言いました。そして、今は載っています。それを皆さん見てください。
村木さんのように被疑者として検察官の取調べを受けた方、この御意見、御経験を伺う機会を今の在り方協議会で設けるべきです。これヒアリングをして、そして取調べにおける弁護人の立会いの要否について正面から議論すべきであると思います。
この刷新会議、もう報道されている公知の事実だから申し上げますけど、私は、当時の私の法務大臣の辞任届を出して、法務大臣という職を賭してこの刷新会議を立ち上げたんです。安倍総理に辞表を持っていきました。
いろんなスキャンダルが起きたんです。カルロス・ゴーンがまず逃亡し、そしてカルロス・ゴーンが海外から日本の刑事司法制度はこんなに人質司法だというような批判をしてきて、私はもう毎回これオンラインでカルロス・ゴーン氏と相対して、その中には、もちろんこれ逃げ出すのはいけないことですよ、ですからその指摘もしました。パスポートなしでこれ行くのいけないですよ。だけど、刑事司法の手続について、もちろんこれデータもちょっと読み方間違っているところありました。誤解も多いんです。そこはきちっと私言いました。だけど、反論できない部分もあったのは事実なんです。ですから、これをしっかり正面から議論しましょうということを私はやりたかった。
だけど、高検検事長がマージャンをするなんていうことがありました、コロナ禍で。そして、そういう事件で私は検察の倫理ということについても疑問を持ったんです。それで、私は、一連のこういう事件の責任、トップは法務大臣ですから、私が辞職しますと言ったんです。そうしたら安倍総理が、こんなにトップが、東京のトップがいなくなって法務大臣もいなくなったら治安はどうなるのか、もし森さんがそういう問題意識を持っているんだったら、それを自分で改革をすることをやってくれよと、そう言われて、私は、じゃ、刷新会議というのを立ち上げていってはどうですかと言ったら、やりたまえということで、私はその後の記者会見で、総理から御指示があったのでこの刷新会議を立ち上げますというふうに言いました。
だけど、なかなかこの刷新会議一つやるのにも本当に大きな苦労があったんです。しかし、委員の先生方が頑張ってこれ報告書を取りまとめて、当時の法務大臣に報告して、そしてその法務大臣はこのとおりやれと指示をしたということですから、その後、法務省はしっかりやってくださいよ。
私は、法務省は一つの限界があると思うのは、検事さんがやはり二年やそこらでどんどん替わっていかれるので、こういったことの経緯も、今の方々は真面目にやっておられるんでしょう、知らないんだと思います。引継ぎがきちっとなかなかできないんだと思います。そのような組織的な問題点も私は思っていますけれども、当時の経緯を今述べました、小泉法務大臣に聞いていただきました。
法務大臣、取調べにおける弁護人の立会い、これを今の在り方協議会で正面から議論する、村木厚子さん始め、ヒアリングをするということをやっていただきたいのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/7
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008・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 今御丁寧に御説明をいただきましたとおり、委員が立ち上げられて、そして熱心に御議論をいただき、また報告書も取りまとめていただいた法務・検察行政刷新会議、これ非常に大きなテーマを正面から恐れずにぶつかっていっていただいた大きな足跡だと思います。そして、この刑事司法の様々な議論、見直しの議論今ありますけど、その源流をつくっていただいた、その底流というものをつくっていただいた。これは、引き返すことは、引き返すべきではない、引き返すことができない底流をつくっていただいた、そういうふうに私は認識をしております。
個々のテーマが入るか入らないか、これ在り方協議会の事務局でありますので少し舌足らずな点があったかもしれませんが、なかなか事務局として大きく仕切るような発言も法務省としてはしにくかったのでしょう。十分な意思が伝わっていなかったこと、おわびを申し上げたいと思いますが、底流、源流をつくっていただいたその様々な問題の中に、いわゆる人質司法の問題、証拠開示制度の在り方、そして取調べの録音、録画、そして被疑者取調べへの弁護人の立会い、こういう重要項目が掲げられております。これらは、現在開かれております在り方協議会の当然対象として取り上げられるべきものであるというふうに認識をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/8
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009・森まさこ
○森まさこ君 取り上げられるということを法務大臣から御答弁いただきましたので、必ず取り上げていただくようによろしくお願いをいたします。
次に、法案の質問をしたいと思います。養育費の不払問題の解消について質問いたします。
五月七日の参考人質疑では、法務省の養育費不払い解消に向けた検討会議の議長を務められました、弁護士、熊谷信太郎参考人から貴重なお話が伺えました。
検討会議の取りまとめでは、養育費について強制執行を掛けても受け取れなかった場合の最終手段として、国による立替払制度を設けることが提案されました。立替払の制度は諸外国でも導入されており、採用した国では支払率が高くなる成果が出ているそうです。
熊谷参考人からは、是非このような立替払制度の導入を検討してほしいという要望がありました。また、諸外国には、養育費を支払わない者に対するサンクションとして、運転免許を取り上げたり、刑罰を科す制度があります。一方、養育費を支払った者に対するインセンティブとして、例えば所得税の扶養控除のように、支払った養育費について税金の一部が免除されるような優遇税制が考えられ、熊谷参考人から、このような制度の導入についても検討してほしいという要望がございました。
検討会議の取りまとめで提案がなされていた国による立替払制度の導入について、現在審議中の法案には盛り込まれておりません。その理由は何でしょうか。今後は導入に向けた検討を進めていくお考えがあるのでしょうか。そして、検討を進める場合にはどのような枠組み、例えば審議会、検討会、勉強会など、どのような枠組みを大臣が設置するおつもりでしょうか。あわせて、養育費を支払わない者に対するサンクションとか、養育費を支払った者に対するインセンティブについても検討を進めるべきです。法務大臣に伺います。
また、立替払制度の導入については、法務省だけでなく他省庁にまたがります。こども家庭庁が中心となり、関係省庁から構成される会議を設置し、検討を進めるべきではないでしょうか。こども家庭庁にも伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/9
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010・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) まず、法制審の家族法制部会の議論の過程において、今委員御指摘の一定の公的給付を前提とするような支援措置、仕組み、こういったものについての問題意識、そういうものは表明をされました。しかし、これを法制審の中で具体的な検討項目として審議を進めることについては、民事基本法制について調査審議をする法制審議会の諮問の範囲を超えるのではないかとの指摘も行われました。
こうした点を踏まえて、今回の法制審で採択されました要綱、またこれを受けて立案された今回の改正法案においては、国による養育費の立替払や強制徴収制度の導入は含まれておりません。
中身について少し申し上げますと、子の養育費を必要とする一人親家庭への公的支援として、公的機関による立替払や強制徴収の仕組みの導入を期待する声があることは承知をしておりますが、仕組みの導入については、償還の確実性が必ずしも見込まれない中、本来当事者が負担すべき養育費を国民全体で負担することが合理的と言えるかどうか、当事者のモラルハザードをどう考えるか、他の社会保障給付、公的給付との関係をどのように整合的に考えていけるかなどといった観点から、慎重な検討が必要な項目も多く含まれていると思います。
また、養育費不払に対するサンクションでありますけれども、この不払に対する制裁的措置を導入するということになりますと、民事上の債務の不履行に対して新たな公的な制裁を加えるということについてもやはり様々な御意見があり、慎重に検討すべきであると考えられます。税制上のインセンティブ、これはまた税法上の検討も必要となると思います。
こういう理由で、形式論あるいは実質論において今回のこの法案の視野、対象には入っておりませんが、政府全体としては非常に重要な検討課題だというふうに思われます。総合調整機能を法務省全体が負っていますけれども、その中でどういうことができるのか、この法案の次に来るステージにおいてどういう検討ができるか、どういうことが考えられるか、検討方法も含めて、大きな問題意識を持って真っすぐに対応したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/10
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011・野村知司
○政府参考人(野村知司君) お答え申し上げます。
こども家庭庁といたしましても、父母の間で養育費の取決めが行われて、その履行がしっかりと確保されていくこと、これは重要な課題と認識をしております。
御指摘の立替払制度でございますけれども、こちら、令和二年度、法務省・養育費不払い解消に向けた検討会や、不払い養育費確保のための支援に関するタスクフォース、これは法務省と厚生労働省の事務方で構成された会議でございますけれども、こちらで議論がいろいろありましたとおり、様々な論点があって、慎重な検討が必要な項目も多いというものだと承知をしておりますが、一方で、養育費の履行確保のためには、目下、現在可能なこと、こういったのもしっかり取り組んでいく必要があると考えております。
そうしたことから、離婚前後親支援モデル事業、これを令和元年度から開催して、履行確保に関する取組を行っている自治体を支援してきたところでございますけれども、この事業、本年度はモデル事業から脱して、より多くの自治体に実施していただけるような一般の事業に位置付けるとともに、補助金額増額など取組を行ったところでございます。
引き続き、御指摘になりました養育費の取決め、履行確保が進むように、先ほど大臣からも御紹介がございましたけれども、今後ともこの履行確保の強化策に向けて法務省などと連携して取り組んでまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/11
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012・森まさこ
○森まさこ君 お二人とも、何か会議体を設置するというお答えはなかったので残念ですけれども、是非そこを強くお願いをしておきます。
次に、国際仲裁の活性化に向けた取組について質問します。
資料六、七、八を御覧ください。
平成三十年以降の国会の会議録を全部調べましたところ、延べ三十七人の国会議員から国際仲裁制度について質問がされ、全て前向きの質問でございました。このように、ずっと昔から国際仲裁センターをつくるべきという意見があった中で、法務省における調査委託事業として、令和元年六月から令和六年三月までの五年間、国際仲裁制度実証実験を行いました。令和二年三月には、東京都港区虎ノ門に国際仲裁専用施設を開設しましたが、結果として、三年後の令和五年五月に閉鎖されてしまいました。これについて私はとても残念に思っておりますが、その閉鎖に至る過程において手続にも不十分な点があったというふうに考えております。
まず、国際仲裁の活性化に向けた関係府省連絡会議、これが資料六でございます。これが、平成二十九年九月、平成三十年の四月、冒頭の二回だけしか開かれていないんです。特に、成長著しいアジアにおいて、人口が減少している日本から企業が進出をしていく中で大きな紛争が起こります。日本企業を守るために法の支配に基づいたグローバルな紛争解決手段である国際仲裁を根付かせるためには、東京にも国際仲裁センターを置き、人材も育成していくことが大事だというふうに考えられておりました。
しかし、その後、関係府省庁連絡会議の下に置かれた幹事会、これが資料七です。その会が平成二十九年九月から令和五年七月まで十七回にわたり開催されました。そして、最後の会合のときに資料八の実務研究会が設けられ、この実務研究会が八回開催され、そして東京センターが閉鎖をされてしまいました。
私としては、この最下位である資料八において閉鎖を決める前に、資料七の、上位である幹事会、そして最上位である資料六の関係府省連絡会議に諮る必要があったのではないかと考えています。内容においても、この収支が赤字であることを理由に閉鎖をされておりますが、コロナ禍においては赤字は当たり前だと思いますし、諸外国においても国際仲裁センターはコロナ禍は赤字でありました。
しかし、どの国も継続的に国から予算を出して国際仲裁制度を育てているのです。最も有名なシンガポールでも、二十年間、コロナ禍も含めて、現在でも年二億円ぐらいの国家予算が入っているそうです。こうした諸外国の取組状況に鑑みますと、我が国もそれくらいの努力をしなければ、今後、日本企業を守ることができないというふうに思っております。
私は、自民党の政調会長に頼んで、法務部会の下に国際仲裁PTを立ち上げました。私が座長代理になって、今現在やっております。
時間が来ましたので、今回のこの国際仲裁制度については、この重要性について指摘をするにとどめ、次回質問をすることにいたしまして、私の質問をまとめたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/12
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013・石川大我
○石川大我君 立憲民主・社民の石川大我です。
火曜日に続き、質問をさせていただきます。
一つ、刑務所の問題やらせていただきます。
昨日、法務省から長野刑務所凍死事件の時系列のメモをいただきました。そして、今、調査中、捜査中であるということも伺いました。このメモをいただいたんですけれども、幾つか、例えば、十月二十八日の土曜日に准看護師がバイタルを測定して、その二日後にお亡くなりになるんですが、そのときの数値とか様々いろいろ疑問点があるんですけれども、捜査中であるということでなかなかお答えいただけないと思いますので。
ただ、ウィシュマさんのときの事件のときのように、これ検察が恐らく捜査をしているようなんですけれども、結局、中で、法務省の身内の中でこれ捜査しますと、またこれ本当に中立性、公平性が保たれているのかという問題があると思います。少なくとも省庁が違う警察の方でこれを捜査すべきなんじゃないかなということも思うわけですけれども、法務省の中でこれを幕引きをするということは許されないというふうに思っております。
これ答弁結構ですので、是非この事案きちんと調査をして、まずは報告書をこの委員会に御提出をいただきたいと思います。
委員長、お取り計らいをお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/13
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014・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/14
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015・石川大我
○石川大我君 それでは、共同親権やりたいと思います。
おとといの委員会で、DVや虐待から避難するために子供を連れて別居した場合に、子供に会わせない状況はDV加害者に対する精神的なDVに該当するのかという質問に、大臣から、DVから避難する場合のように、子とともに転居することに相当の理由があり、また、これによって別居親の心身に有害な影響を及ぼしたとは認められない場合にはDVと評価されることはないものと考えておりますという御答弁をいただきました。
これ、ちょっと最後の部分が引っかかるんですね。子とともに転居することに相当な理由がある場合でも、子との別居によって、別居親ですね、DVや虐待が疑われる親ですけれども、その心身に有害な影響を及ぼしたと認められる場合があるということのときには、これは認められないのかという問題があるというふうに思います。
自分の加害行為によって生じた結果ですから、精神的なDVにこれ該当してしまうというのはちょっとおかしなことになるかなと思うんですが、その辺り、まずは大臣の認識を改めてお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/15
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016・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 先日の御説明のときに、DVからの回避を含め、一般的な、一般的なその居所の急な移動みたいなことについての御説明を申し上げる中で、別居親の心身に、残される側の別居親の心身に有害な影響を及ぼしたとは認められない場合というフレーズを継ぎましたが、DVから、あるいは虐待からの避難が必要である場合については、もうストレートに単独親権のこの要件に、急迫の事情があるという要件に当てはまると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/16
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017・石川大我
○石川大我君 明確な答弁をいただきました。相当な理由がある場合ということがあれば、もうこれは、加害側ですね、この方たちの心身に有害な影響があったとしても、それは、そういう主張されたとしても、それはその方に対する逃げた側からのDVではないということが明確になったというふうに思っております。
二つ目の論点ですけど、急迫性の概念です。
やっぱりこれ、衆議院の議事録見ても、参議院での審議を通じても、どこに基準があるのかというのが非常に曖昧だというか、そもそも基準自体が、これ、ないのではないかというような思いも感じているところで、まだまだこれ議論を続けるべきだというふうに思います。パスポート、進学、就職、ワクチン接種、輸血、手術、転校と、いろいろ、子供の利益にかなうのか、かなわないのか、非常に難しい問題がたくさんあるなというふうに思っているところです。
そこの中で、パスポートの問題、これ、福山我が会派の委員が質問をしましたけれども、パスポートの取得というのは日常の行為なので共同親権なんだというふうに、両方の親の許可がないといけないんだというような答弁があったわけですけれども、離婚後共同親権で、一方の親がパスポートの申請を、ある意味意地悪をして認めない。これが、何か月も前で、まだ時間的な余裕がある場合もありますけれども、今日、明日中に申請をしなければ間に合わないと、逆に言えば今日、明日中に申請すればまだ修学旅行に間に合うと、一週間ぐらいでパスポートというのは出るようですから、そういったこともあると思います。
さしたる理由もなくて一方的に親がそれを拒むと、別居親が拒むというような場合というのは、やっぱり修学旅行という成長に有益な行事、そして一生の思い出に残る行事だというふうに思いますけれども、それを不用意に不必要に拒む、それはちょっとなかなか納得し難いものがあるというふうに思います。
先日、福山哲郎委員への答弁で、外務省と協議するということでしたが、この協議の進捗状況どうでしょうか。やっぱりこれは、同居している親の決定でそれが尊重されるべきと思うんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/17
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018・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
委員お尋ねの件につきまして、外務省との間ではこれまでも必要に応じて協議を行ってきたところでありますが、旅券法に基づく旅券の発給申請に必要な具体的な手続につきましては、第一次的には当該手続を所管する関係省庁において検討されるべき事柄であることを御理解いただきたいと思います。
その上で、父母双方が親権者である場合における未成年者の旅券発給申請につきましては、現行法の下においても、親権者である両親のいずれか一方の法定代理人署名欄への署名をもって申請を受け付けているものと承知をしております。
旅券法に基づく旅券の発給申請は公法上の行為でありますため、本改正案によって、今申し上げたような現行法上の取扱いを直ちに変更する必要があるものとは考えておりませんが、いずれにせよ、本改正案を踏まえまして、外務省を始めとする関係府省庁等と連携してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/18
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019・石川大我
○石川大我君 結局、今の御答弁で、状況変わっていないわけです。それが果たして本当に子の利益になるのかということをやっぱりここでしっかりと考えて、外務省さんも御理解をいただいて、この場合は、修学旅行とかあるいは留学というようなことの場合は、やはり同居している親がこれを決定できるんだという方向にしっかりとこの場で確認をする、議論をしていくということが必要だというふうに思います。
現状で、これ、じゃ、どうやって解決をするのかということですけれども、何か方策というのはあるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/19
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020・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
現行法の下におきましても、未成年者からパスポートの取得を求められていた親権者が、その協力を拒んでいることなどを理由といたしまして、家庭裁判所の手続により親権者の職務の執行を停止された審判例もあるものと承知をしております。
このように、親権者による不当な拒否権等の行使がされた場合には、親権の停止等の審判申立てによって対応することも可能なほか、親権者の変更や、本改正案において新設をされました特定事項の親権行使者の指定の審判等によって対応することも可能と考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/20
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021・石川大我
○石川大我君 結局、この件に関して裁判所で決めなければいけないというのは、確かに技術論的にはできるのかもしれませんけれども、実際、シングルマザーでお子さん育てていて、またこれ裁判をして、パスポート出せ出せというようなことを裁判所を通じてやらなきゃいけないというのは非常に大変だと思うんですね。
昨日、いろいろお話を事前に聞きましたけれども、例えば、中学生に上がったときに、もう修学旅行があらかじめ想定されているのであれば、中学校一年生の段階でパスポートを申請すると。そうすると、五年間有効なパスポートですから、そうなると十三歳から十八歳まで。まあ十八歳超えてしまえば自分の意思でパスポート取れますから、その申請をするんだと。それで、もし親が拒否した場合は、そうした裁判手続、審判申立てということをして、ある意味じっくり備えるということもできるんだというようなお話があったんですけれども。
普通、我々は、海外に行くとなれば、その海外に行くちょっと前にパスポートを取って、そこから五年なり十年なりというパスポートを取るわけですよね。パスポートもそんなに安いものではありませんから、そう考えたときに、高校三年生のときの修学旅行を見越してあらかじめ何年も前から取っておくというと、そこでまたそのパスポート更新しなければいけないとなると、またそこでお金が掛かると。
これ、そもそも嫌がらせをされている側がこれだけの負担をしなければならないということに関して、これ大臣、どう思われますでしょうか。やっぱりここを改善すべきじゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/21
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022・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 裁判所の審判において、そもそも単独親権にするのか共同親権にするのか、その話合い、調整をするときに、これ一つのテーマだと思うんですよね。その事態が起こってから話し合うのではなくて、まさにそういうときにしっかりと適切に対応してくれますよねと、その両方の親共々、子供の修学旅行、海外も含めて、パスポートの取得、しっかり対応できますよねということも含めて、子供の共同親権の共同行使に進めるかどうかの判断、そういったものを裁判所がすることが可能であり、もしそれが可能であれば、そういう方法を取ることも一つの防止策に私はなると思います。
いきなり決定されるわけではなくて、様々なシミュレーション、話合いの中で、そういうときはちゃんと対応しますという確証が得られて初めて共同親権に進むものだというふうに考えますので、そのように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/22
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023・石川大我
○石川大我君 パスポートの件だけでもこれだけ大臣が御説明をしなければならないという。ほかにも様々あるわけですから、やっぱりこれ、日常の問題に関してはしっかり、どちらかが優先的にこれを決められるんだというふうにしっかりこのパスポートの問題は是非解決をしてから、ここですっきりしてから前に進まなければならないんじゃないかなというふうに思っております。
そしてまた、福山委員の問題意識ですけれども、子供の氏ですね、名字の問題です。
十五歳以下ですけれども、これについても、離婚後共同親権となった場合、子供の氏、現行法でしたら、さして手間も掛からず変更ができるということですけれども、本法案が施行されますと、基本的に父、母共に合意をしてお子さんの氏の変更の申立てをしなければならないということで裁判所にも確認をしておりますけれども、そうなった場合どれぐらい時間を要するのか見当も付かないというようなことでした。
もちろん、双方が合意していればこれスムーズにいくわけですけれども、先ほどのパスポートの件ではありませんけれども、どちらかが絶対に認めないというふうになった場合、これどのような方法で弊害を防いでいくのか、対処することができるのか、見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/23
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024・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
子が父又は母と氏を異にする場合には、子は家庭裁判所の許可を得て戸籍法の定めるところにより届け出ることによってその父又は母の氏を称することができます。また、子が十五歳未満であるときは、その法定代理人が当該行為をすることができますところ、父母の双方が親権者であるときは、父母の双方が法定代理人となり、父母が共同して行うこととなります。この場合において父母の意見が対立したときは、家庭裁判所が父母の一方を当該事項、氏の変更についての親権行使者と定めることができます。
委員からは、こうした親権行使者の指定のための裁判手続に時間を要すること等への御懸念をお示しいただいたものと承知をいたしますが、本改正案では、裁判所の離婚の手続の中で、裁判所が、当事者の申立てにより、離婚判決の附帯処分として、あらかじめ子の氏の変更に関する親権行使者を定めることができることとしております。
こうした附帯処分の手続を活用することにより、御指摘のような懸念を解消することができると考えておりまして、本改正案が成立した際には、この点を含め、適切かつ十分な周知、広報に努めたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/24
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025・石川大我
○石川大我君 ちょっとまだまだ疑問があるんですが、ちょっと次に時間の関係で行きます。
大臣は、共同親権への合意がない高葛藤の父母について、子供の利益のために立ち止まってもらう、そういう場面、そういう過程、これは是非踏ませていただきたいというふうに御答弁をされているんですけれども、しかし、これでは、同居親、特にDV被害者への負担を増していくのではないかというふうに思っています。ひいては、子供の利益が侵害をされてしまうという懸念があると思います。
一方の親が私は共同親権には反対ですと言っても、一旦立ち止まり子供の利益のために考え直してくださいということを言われると。高葛藤状態にもあるにもかかわらず、単独親権を求めているのに考えなさい考えなさいと言われると、これ長引かせるということで、御本人ももう根負けしてしまうというような状況もあるんじゃないかというふうに思いますし、果たしてそれ、第三者がその決定を長引かせる必要があるのかというふうにも思います。
大臣、どのようにお考えになるのかお聞かせいただきたいと思います。関係省庁連絡会議でも先頭に立って改善をする、そして、この法案が真に子の利益に資するものとなるまではやっぱりこれ議論を続けていくべきだというふうに思うんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/25
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026・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 立ち止まって子供の利益を考える場面を是非踏ませてください、そういう御説明をしました。その大前提は、DVのおそれ、あるいは過去にDVがあったことによる将来に向かってのDVのおそれ、そういった問題意識を含んだ、DVの被害を受ける可能性がある方々は、もう立ち止まるまでもなく、それは単独親権にしなければならないと、法文上、制度上そういう仕組みになっています。そういうおそれがある方をまず守りましょうと。まず守った上で、それ以外の理由で、それ以外の理由で、私は嫌だ、共同親権嫌だ、様々な理由があるわけです、DV以外にも。そういう方々については、話し合う機会を、考え直す機会を、高葛藤を鎮める機会を、裁判所が入って。それは何のため、子供の利益のためです。そのためにそういう仕組みをつくりたい、つくりましょうと、そういう御提案を申し上げています。
繰り返しになりますけど、大前提として、まずDVのおそれがある、DVが過去にあった、将来の可能性はある、そういう方々はまず守られます。まずその仕組みからは外れていって、単独親権という道をしっかり明記してあるわけでございます。そこを是非御理解をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/26
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027・石川大我
○石川大我君 まさに、そのDVがきちんとしっかりと裁判所で判断できるのかという問題が非常にあると思うわけですけれども。
ちょっとまた次行きますけれども、最後に最高裁にお伺いをしたいと思います。
そのまさにDVであるのかないのか、そういったところを判断する非常に重要な立場になるというふうに思いますけれども、裁判所がですね。家庭裁判所、様々な案件抱え、パンク状態というような状態になっていると。今、離婚後単独親権でさえパンク状態という中で本法案施行したら、共同親権を求め、更なる件数がこれ増加をするというのは間違いないというふうに思います。
これ、現在、家庭裁判所の調査官が一案件を調査し報告書を提出するまでに、どのぐらいの時間が掛かっているのでしょうか。これ、長過ぎてもということもありますけれども、ただ、しっかりとこれ調べていただいてDVや虐待、これを見抜くということが必要だと思いますが、これどのぐらいの時間が掛かっているんでしょうか。データをお示しください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/27
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028・馬渡直史
○最高裁判所長官代理者(馬渡直史君) 離婚や面会交流、養育費等の事件における調査に要する時間や期間につきましては、統計を有しておらず、正確な数値をお示しすることは困難ですが、その上で、調査期間は、事案の性質や調査の内容に応じて長短がありますところ、おおよその感覚で申し上げると、裁判官から調査命令を受けてから調査報告書を提出するまでの期間は、多くの場合、おおむね一、二か月程度であるのではないかと思っております。
いずれの場合も、家庭裁判所調査官が調査を実施するに当たっては、調査命令の趣旨、すなわち何を明らかにするための調査かといった調査の目的を踏まえ、調査方法、調査内容、調査対象、調査報告書の提出期限を含む調査期間等について裁判官又は調停委員会と十分に打合せを行った上で調査計画を立てており、事案に応じて適切な調査期間が設定されているものと認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/28
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029・石川大我
○石川大我君 大臣、もう時間がないので端的にお話をしたいと思いますけれども、今御答弁があったように、どのぐらいの調査がされているのか、時間的な統計というのは取られていないということで、やっぱりここは客観的にどのぐらいの時間が取られていて、そして適切な判断が、適切だというお話出ましたけれども、出ているのかというのは必要だと思うんですね。ですから、調査官が調査に要した時間とか当事者から聞き取りをどのぐらいしたのかということで、これ運用を是非変えていただいて、今後、どのぐらいこれ時間を掛けているのか、それが適切なのかというのを客観的に分かるようにしていただきたいというふうに思っております。
そうした意味で、調査に要した時間、これをしっかり把握するように運用を変えるべきだというふうに提案をしたいというふうに思うんですが、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/29
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030・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 問題意識はよく承知しました。これは最高裁の、裁判所の所管でありますので、よく意思疎通をしながら、目的は一緒でありますから、どういうことができるか考えていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/30
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031・石川大我
○石川大我君 調査時間をこれ計っていないということは、大体一か月から二か月程度で報告書が出てくるということなんですが、これ、何かブラックボックスなわけで、これ幾ら適切にやっていますと言っても、じゃ、その適切な内容、どのぐらい時間を掛けて聞き取りしているんだとか調査しているんだってやっぱり分からないというのは、これ大臣、ちょっとこれは驚きというか分からないなというふうに思うんですけれども、大臣もそのように思いませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/31
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032・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) もう少し詳しく状況を裁判所からも聞かせていただいて問題意識を共有していきたいと、先生も含めて、問題意識は共有していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/32
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033・石川大我
○石川大我君 是非、この時間をしっかりと明らかにしていただきたいということをお願いして、時間になりましたので終わりたいと思います。まだまだ議論をすべきだということを申し上げて、終わりたいと思います。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/33
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034・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 立憲民主・社民の牧山ひろえです。
離婚後の家庭法制を中心とした民法改正案の質疑を今日も担当させていただきます。よろしくお願いいたします。
さて、急迫の定義についてお伺いします。
単独での親権行使が可能な急迫の定義について御質問をさせていただきたいんですが、民法上の正当防衛及び緊急避難における急迫とは、危難が現に存在しているか、少なくとも間近に迫っている場合とするのが判例や学説の標準的立場なんです。法務省の説明はいわゆる継続的危険を含むものになりますけれども、この解釈が採用された判例はございますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/34
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035・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
本改正案の急迫の事情があるときとは、父母の協議や家庭裁判所の手続を経ていては適時に親権を行使することができず、その結果として子の利益を害するおそれがあるような場合を指しております。この急迫の事情という文言は、現行民法においても、本来の手続を経ていては適時の権利行使に支障が生ずる場合に対応するための規定において用いられている用語であります。法制審議会家族法制部会におきましても、本改正案において急迫の事情という文言を用いることが現行民法の他の規定と整合的である旨の指摘がされまして、その解釈の内容が明確に確認されたところでございます。
なお、委員御指摘になられました民法上の緊急避難における急迫という文言は、条文上、急迫の危難として規定されているものでございまして、本改正案に言う急迫の事情と同列に論ずることは相当でないと考えられるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/35
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036・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 急迫という言葉に関する国民の感覚に近い定義からこんな遠い条文の解釈例しか根拠が出てこないのに、急迫の事情は広く解釈されるから大丈夫だとしてこのまま通してしまって本当にいいのかなと思うんですね。
同居親の単独行使が急迫の事情に当たらず権利濫用だとして別居親が訴えることも想定されますけれども、本法案における急迫が、裁判所において法務省の説明どおりに解釈される保証はないと思うんですね。その危険を冒してまで急迫の事情の言葉を維持されるのでしょうか。大臣、いかがでしょうか。誤解を招かないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/36
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037・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
繰り返しになって恐縮でございますが、急迫の事情という文言は既に現行民法においても使われておりまして、その中身といたしましては、本来の手続を経ていては適時の権利行使に支障が生ずる場合に対応するための規定において用いられております。本改正案の急迫の事情があるときという文言も、父母の協議や家庭裁判所の手続を経ていては適時に親権を行使することができず、その結果として子の利益を害するおそれがあるような場合を指しておりますので本改正案において急迫の事情という文言を用いたものですし、家族法制部会におきましても、この急迫の事情という文言を用いることが現行民法の他の規定との整合性を考えたときに整合的であるという指摘もされまして、その解釈の内容が明確に確認されたところでございます。
本改正案成立した場合には、この解釈について十分に周知徹底をしていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/37
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038・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 やはり、国民が普通理解できないような言葉を、専門家しか分からないような用語を使って国民の間で誤解を招くというのは本当に取り返しの付かないことになりかねないと思いますので、是非再考をお願いしたいと思います。これは、ほかの用語に関してもそうですけれども、やはり外国でも、私、アメリカの弁護士ですけれども、アメリカでもやっぱり普通の国民が分からないような用語というのは極力避けるというのが今の主流ですので、是非その点、再考をお願いしたいと思います。
損害賠償リスクについてですが、さて、今回の改正により、複数の局面で損害賠償リスクが発生します。考えられるケースとしては、同居親が共同での親権行使事項につき単独で行使をした、その場合、非同居親の親権を侵害したと主張され得る。病院や学校について無限ループが発生する場合、選択しなかった側の親から責任を追及する訴訟を提起される可能性がある。ほかにも様々なケースが考えられますし、特徴としましては、今までのように当事者に限られず、関係者まで親権をめぐる訴訟に巻き込まれるということになります。
子供の養育に関する法制度の変更に伴ってこのような訴訟リスクにさらされるということについて、法務大臣の御所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/38
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039・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 現行民法においても、父母双方が親権者である場合には、法定代理人の行使を含め、代理権の行使を含め、親権は父母が共同して行うこととされており、本改正案はこうした枠組みを変更するものではありません。したがって、父母双方が親権者である場合において、その一方が単独で親権を行うことができると誤信をして親権を行使してしまうということは、現行民法の下でも生じ得る問題でございます。
そして、現行民法の下でも同じように取引の保護が図られてきているわけでございまして、この点も今改正案によって変更が生ずるものではないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/39
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040・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 子供を育てたり、職業上子供に関わったりする人たちは、訴訟リスクをヘッジするためには共同親権に伴う複雑な制度やケースについて正確な知識を持つ必要があるということになるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/40
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041・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 同じ説明で恐縮ですけど、現行民法においても、父母双方が親権者である場合には親権は父母が共同して行うこととされており、この場合において、その一方が単独で親権を行うことができると誤信をしてしまって親権を行使してしまうということは生じ得る問題であります。
現状においてもそういうことが可能性としてはあるわけですが、こうした問題については、現在においても子に関わる全ての方が訴訟リスクを回避するために民法の解釈に関する専門的な知識が必要不可欠な状態であるかというと、そこまでに至っているとは考えておりません。この点は、本改正案によって変更が生ずるものではないというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/41
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042・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 新たに法文に規定されている父母間での協力義務違反や人格尊重義務違反は、具体的にどのような取扱いになるんでしょうか。違反の認定や効果について御説明いただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/42
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043・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
あくまで一般論としてお答えをいたしますと、父母の一方が父母相互の人格尊重義務や協力義務等に違反した場合、親権者の指定変更の審判や親権喪失、親権停止の審判等においてその違反の内容が考慮される可能性があると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/43
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044・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 続いて、共同親権の導入などに伴い想定される問題事例につき、政府・与党は、加害的、敵対的な別居親に対して、協力義務違反、人格尊重義務違反、権利濫用、親権者変更方策、親権者変更の方策などをその対応策として御答弁されているんですけれども、これらはいずれも事後的な手段ですけれども、認識の過誤と言われる自分の正しさを疑わない傾向があるDV加害者向けに事後的な手段は有効な抑制策となるとお思いでしょうか。大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/44
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045・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) これ、裁判所の審判において、話合いにおいて、単独親権なのか、共同行使は難しいのか、共同親権そして共同行使難しいのかどうか判断するときに、加害的であるか、敵対的であるか、御本人が自分の正しさを疑わない傾向があるなら、なおさらやり取りの中でそういったものは見て取ることができるという可能性も少なからずあると思います。もちろんそれだけで限られるわけではありませんが、まず裁判所の段階で、加害的、敵対的な、そういう行動が将来出てくるかどうか、そういった点も適切に判断の材料になろうと思います。
また、その事後になってしまうという点はありますけれども、もし、こうした嫌がらせ的な、妨害的な行動が出てくる場合であれば、親権者変更あるいは親権の執行停止、こうした法的手段も用意されているわけであります。
でも、一番大事なのは、こういう方々を最初に排除しておくという、その部分、そこ非常に重要だと思いますので、問題意識も裁判所にも共有していただいて、適切な対応を図るべく検討していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/45
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046・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 加害者は自分の正しさを押し通すと思うんですね。ガイドラインも自分に都合よく解釈すると思うんです。それが義務違反、親権者変更事由になるとは思いもしないのではないでしょうか。害された子供の利益はしばしば回復困難あるいは不能になると思うんですが、加害者の特性を考えますと、現在構想されている防止策や救済策は意味を成さない危険があると思うんですね。
共同親権の進んだ欧米では、ポスト・セパレーション・アビューズが社会問題になっているんです。それは、子に執着する別居親による離婚後の暴力、嫌がらせ、付きまとい、こういうことがあるそうです。
このような悲劇をなくすためには、他国の事例をしっかり研究して、ポスト・セパレーション・アビューズが生じるきっかけですとか環境を少しでも減らしていくという、そういったアプローチも重要かと思いますが、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/46
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047・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
まず、前提といたしまして、一般論としては、父母の一方の加害的、敵対的な行為によっておよそ共同して子の養育に関する意思決定を行うことが困難であるというような場合には、必ず単独親権としなければならないこととなると認識をしております。
その上で、本改正案におきまして離婚後の父母双方を親権者とすることができることとしているのは、離婚後の父母双方が適切な形で子の養育に関わり、その責任を果たすことを可能とすることで子の利益を確保しようとするものでございまして、別居の親権者が同居親による養育に対して嫌がらせのような不当な干渉をすることを許容するものではございません。
御懸念のような父母の一方による加害行為に対しましては、親権者変更のような事後的な対応策に加えまして、こうした本改正案の趣旨が正しく理解されるよう適切かつ十分な周知をすることによって、父母の一方が子の利益を害するような加害行為をすることを可及的に防ぐことができると考えております。
こうした周知、広報の在り方を検討する際には、委員も御示唆されますように、加害者の認識と客観的事実との間に大きな隔たりがあるケースがあることも念頭に置いた上で、関係府省庁等とも連携して、適切に検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/47
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048・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 こういうこと一つにしてみても、こういうことを見抜くというのは大変な専門性が必要だと思います。是非、しっかりこの点を念頭に入れて御対応いただければと思います。
現状でも、DVや虐待の主張が取り合われず、あるいは過小評価されて、子供や同居親の意思に反して面会交流が決められるケースがあるんですね。
調停委員などからの説得や誘導、実質的な強制があったという声は、支援団体だけではなくて、数多く届いているんですけれども、そこで、いわゆる面会交流原則実施論の間、そしてニュートラルフラットが訴えられて以降の運用の検証をまずしっかり行うべきではないかなと思うんですが、特に、家裁の姿勢、対応などに対するものも含めて、子供と同居親の評価や意見の調査は欠かせないと思うんですね。
速やかに調査、検証に入ることを検討していただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/48
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049・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 法務省としましては、親子交流に関しても、協議離婚に関する実態調査や未成年期に父母の別居や離婚を経験した子に関する調査などの調査を行ってきております。
お尋ねについては、裁判所の運用に係る事柄であるため、そのような検証を行うかどうかも含め、まずは裁判所において適切に検討されるべきものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/49
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050・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 面会交流は絶対に善という固定観念は持たないでいただきたいと思うんですね。必ずしも子供の利益にならないんですね。だから、この点もしっかりと、本当に専門性の高い方を育てて、間に合うようにしていただきたいなと思います。
親権者の変更については、現行法上、父母間だけで決めることができない仕組みとなっており、裁判所への変更請求が必要となります。今回の法案により離婚後の共同親権が導入された場合、新たな選択肢として共同親権が増えることから、離婚後における親権者の変更請求が増える可能性も当然あります。
その中にはDVや虐待を行ったことなどを理由に離婚の際に親権を得られなかった者もいるかと思うんですけれども、一方で、離婚の際に親権者となった親は、継続的に、そして安定的に子供を監護していた場合であっても、DVや虐待を行った元配偶者から親権者変更の請求を起こされるのではないかという不安を抱えながら子育てをしていくことになると思うんですね。これは耐え難い苦しみだと思うんです。
そこで、我が会派は、離婚の際に親権者となってから継続的に、そして安定的に子供を監護してきた父あるいは母親の実績をしっかりと重視して、親権者変更が安易に認められないようにすべきだと思います。具体的には、親権者変更の要件を子の利益のため特に必要があると認めるときに限定するとともに、その判断に当たっては従前の子の監護の状況を特に考慮しなければならないものとすることを考えておりますが、この点につきまして法務大臣の御所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/50
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051・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 本改正案では、親権者変更の裁判において考慮すべき事情や単独親権としなければならない場合については、親権者指定の場合と同様としております。そして、本改正案は、子の利益の観点から、一切の事情を考慮して親権者を定めることとしており、御指摘のような親権者変更の厳格化をすることは、必ずしも子の利益の観点から相当ではないと考えております。
また、父母と子の関係や父母間の関係が様々であることからしますと、親権者変更の判断に当たって、継続的、安定的に子を監護してきたかという、もちろんこれ、大事な要素、非常に大事な要素なんですが、こうした従前の監護実績のみを重視することについては、御指摘のような変更の厳格化ということにつながり、子供の利益にとって相当ではないというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/51
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052・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 既に離婚済みのケースであっても親権者の変更の申入れは可能で、かつ、条文上、複数回の申請も可能なんですね。離婚から日時が経過していますと、DVなどの証拠の提出も当然難しくなります。いつまでたっても法律関係が安定しない同居親の不安にも配慮して、野方図な親権変更には問題意識を持つべきだと思いますので、是非その点、よろしくお願いします。
オーストラリア家族法改正では、濫訴について、支配の継続を望む虐待加害者が法的手続を被害親子に対する危害の手段として用いるという現象が激化し、これによる被害親子の再被害や疲弊はもちろん、司法リソースも圧迫されて、家庭裁判所がますます子供と監護親を被害から守れなくなるという悪循環を来したと指摘されています。
不当な申立ての多発を典型とするリーガルハラスメントあるいはリーガルアビューズの問題ですが、今の我が国の状況においては、離婚に当たって共同親権とならなかった別居親や改正施行前に離婚した別居親が、繰り返し共同親権への変更申立てをすることが懸念されています。子育て中の同居親にとっては、訴訟を起こされること自体、極めて負荷が大きいわけです。
このように、常に訴訟を手段にした紛争のリスクに子供をさらし続けることが子供の利益と言えるのでしょうか。子の養育の質に与える影響をどう考えるかについてお答えください。
また、幼い子供を育てながら低賃金で働くシングルマザーやファーザーにとって、元伴侶から繰り返し調停や裁判を起こされることは、精神的、時間的、経済的にどのような影響があると御認識でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/52
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053・野村知司
○政府参考人(野村知司君) お答え申し上げます。
まず、安全、安心が得られる養育者と安定した関係の中で育まれること、これが子供の健やかな育成のためには重要であると考えております。そうした意味では、御指摘のありました紛争、訴訟のリスクに限らず、一般論ではありますけれども、子供が両親の高葛藤にさらされ続けて、身体的な、ないしは心理的な、などなどといったようなダメージを受けるようなこと、これはやはり避けてもらいたい事態、避けるべき事態であるというふうに、こう考えております。
また、一人親家庭でございますけれども、子育てと生計の担い手という二つの役割を一人で担っているということでもありますので、その暮らしというものは、住居、収入、子供の養育などの面で、限りある収入や時間のやりくり等々、様々な困難に直面しがちであると承知をしております。これもまた一般論になりますけれども、調停、裁判に限らず、一般論になるかもしれませんが、例えばですけれども、何か用事をするために仕事を休むことによる収入への影響であるとか、あるいは高葛藤の状態が継続することによる精神的な負担、こういったことが懸念されます。
こうしたことから、一人親家庭も含めた子育て家庭に様々な支援をしっかり行うとともに、一人親家庭に対しての経済的支援、養育費の履行確保の支援策がしっかり届くように取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/53
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054・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 訴えられるというこの心理的プレッシャーは同居の子供にも伝染しますので、是非その点を御配慮いただき、私もまだまだ質問をしたいところですけれども、時間となりましたので、ここで終わらせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/54
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055・福島みずほ
○福島みずほ君 立憲・社民共同会派の福島みずほです。
まず初めに、先ほど森まさこ委員が質問をされたことについて私も質問させてください。
元大臣の発言は本当に極めて大きいというふうに思っています。そして、在り方検討会で弁護人の立会いなどの議論をしっかりやってほしいと、村木厚子さんも呼んでしっかりやってほしいという元大臣の訴えで、元々その刷新会議ではそのことをやるということに決めているわけですから、小泉大臣におかれましては、心からお願いです。この参議院の法務委員会は、与野党問わず、人質司法の問題を解決しようということでは一致している、改善をしていこうということでは一致していると思います。在り方協議会でやっぱり検討していただかないとやはり進まないというふうに思っております。
是非、この点については、大臣、これまでの経過から見て、在り方協議会で是非これ検討してください。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/55
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056・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 先ほど御答弁申し上げたように、森委員がつくられた、大臣当時つくられた刷新会議、そこで出された問題意識、検討結果取りまとめ、こういったものが今の法務行政のベースになっています。特に刑事司法の在り方については個別の問題が列記されておりますので、これに従って我々は検討を進めていかなければならない、それは先ほど御答弁申し上げたとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/56
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057・福島みずほ
○福島みずほ君 それでは、この在り方協議会で弁護人の立会いを含めて議論するというふうに私は理解しましたので、それでよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/57
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058・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) これは、各委員、最終的にはどういうテーマを取り上げてどう検討するかは各委員の自由な御議論にお任せをしている部分がありますので、事務局で、またその事務局トップである私が断定的にこうですと、それはちょっと言いにくい部分がありますけど、しっかりとその御趣旨を体して運営に努めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/58
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059・福島みずほ
○福島みずほ君 運営に努めたいということを重く受け止め、私たちも注視をしていきます。
というのは、森元大臣の話であれば、やっぱり議論すべきことが外されているんですよね。それはやっぱり問題でしょうと。ですから、これちゃんとやってください。これ、参議院の法務委員会も、与野党問わず、やっぱりこれは解決すべきだと、ずっと議論がありますよね。是非、私、大臣のときに、人質司法、この評価は別にしても、何かやっぱり改革をしていく、全面ではなくても、よかったねと言える部分が必ず出るように、これはよろしくお願いします。
日米地位協定で、日本は捜査の段階において身柄の拘束ができません。これは、アメリカ、米軍、アメリカ大使館、いろいろ協議をしますが、言われるのは、日本は弁護人の立会いも認めていないじゃないかということなんです。日本の捜査機関に米軍を渡すわけにはいかないと言われるわけですよ。これはやっぱり問題であり、日米地位協定は私は改定すべきだと思う立場ですが、その阻む理由になっているんです。
だとしたら、これは例えば、私は、弁護人の立会い、ミランダ・ルールは必要だと思いますが、せめて、望む場合、必要な場合には弁護人の立会いを認めるとか、今も、試験的にというか、一部やっていると聞いてもおります。ですから、これをしっかり拡大するように在り方協議会でしっかり議論してくださるよう、そして大臣のときに是非この人質司法の問題が前進するように。
かつて、森山真弓大臣は、名古屋刑務所事件が起きたときに、監獄法の改正の問題についてまさに在り方検討会をつくり、弁護士会も、それからもちろん法務省も含めてすごい頑張って、百点満点ではないけれども、監獄法の改正をやりました。私は、それは今も監獄の改革につながっていると思っています。それは私は、森山真弓大臣が当時法務大臣の首を懸けてやっぱりそれをやったんだと思うんですね。
ですから、是非、前進があるように、これは与野党問わず思っておりますので、よろしくお願いいたします。
では、共同親権についてお聞きをいたします。
この点について、弁護士や調停委員の方からこういう意見をもらいました。面会のときに幾らDVと主張しても、調査官はスルーというか、余り取り合ってくれない、DVの調査命令などほとんど実はないということなんですね。DVは殴るとか蹴るとか具体的なことを裁判所は割と考えている、それ以外はだから共同親権にされてしまうんじゃないかという不安です。
例えば、レシートを毎日出させて細かくチェックをするとか、お金を渡さないといった経済的DVもあります。一晩中説教するとか、正座しろと言って反省しろと言ったり、まさに反省ノートを書かされるとか、殴る蹴るだけがDVではなくて、例えば、友達と付き合うなとか自分の実家と付き合うなとか、すごく孤立させて、ばかだ、ぶすだとか言ってすごく孤立させて、自尊心傷つけて無力化していくというのもすごくDVだと思っています。
こういうのは、殴られてはいないんですよ、蹴られてもいないんですよ。でも、DVだと思うんですね。こういうのが、今の裁判実務でも、いろんなところでも軽視されている。だから心配しているんです。大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/59
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060・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) DVに、そういう目に見えない様々な、精神的なものも含めて、様々な形態があるということは非常に重要な指摘であろうと思います。むしろ、目に見えないものの方が多いかもしれないというような、多分、広がりと深さを持った深刻な現象だというふうに思います。
問題は、それを、この法務委員会から発していただいたその問題意識を、我々行政、そして司法がしっかりと、立法からいただいたそういう問題意識をしっかりと受け止めて、それを現実の業務の在り方に生かしていくということだと思いますので、引き続き、粘り強く努力をしていきたいと思いますし、その努力は裁判所とも共有をしていきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/60
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061・福島みずほ
○福島みずほ君 共同親権を言っている家族法の学者の人たちの中には、もちろんその共同親権一般には私は賛成だけれど、この法案はまずい、やっぱり不十分だ、駄目だと、こう思っているんですね。
その理由は、共同親権一般でいえば、共同親権が一般に、その賛成の人たちは、やはり共同親権が一般的になれば、離婚してもパパでありママであり、協力はできるんではないかということを、長い間にこの日本の社会が変わることを期待しているという気持ちは私は理解できるんです。しかし、この法案は余りに危険なところがあるんじゃないか。
つまり、実は、単独親権だろうが、共同親権だろうが、結婚中だろうが、いわゆる事実婚だろうが、離婚後だろうが、うまくいっている場合はそこそこうまくいって、別に協議が十分できるんです。ただ、最大の問題は、親権というものがまさに重要事項決定権であって、別居親がその重要事項決定に関して自分の権限だということで介入してくる。俺は認めていないぞ、私は認めていないぞ、俺はそれに反対だと常にそれで介入してくることで、支配とコントロール、まあDVもそうですが、支配とコントロールが離婚した後もその新たな家庭に常に入ってくるという、これがすさまじいストレスで、もう生きていけないという状況になるんですね。
ですから、やはり、単独親権、共同親権、やっぱり大臣の頭の中には、やっぱり単独親権ではなくて、初めから単独親権じゃなくて、共同親権の道を模索して、子供の利益のために共同親権というのは実はやめていただきたい。それは、嫌だ、できない、話ができないだったら、もう初めから単独親権でいいんですよ。途中で面会交流などやりながら関係が改善すれば私は共同親権にすればいいと思うけれども、話すらできないのに、パスポートも取れないみたいな事態、氏の変更もできない、髪の毛の染めることもできない、転居もできない、学校変わることもできない、保育園も変われない、こんな状況が続いたら、もう地獄ですよ。その点、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/61
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062・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) まさにそういうケースにおいては、それは単独親権にしなければならないケースです。最初からそれはもう論外、除外されるべきケースであります。また、そういうおそれがあると、おそれが今は改善されているけど、過去にそういうことがあって、普通に考えてみてそのおそれが消えていないという場合も含めて、DVが関わる、虐待が関わるような事案についてはまず外す、単独親権でやる、それがまず出発点だと思います。
そうではないケースについては、話し合う、話合いの余地を求めていこう、そういうのが今回の改正の本来の趣旨でありますので、そのように御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/62
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063・福島みずほ
○福島みずほ君 いや、駄目なものは駄目というか、嫌な人は嫌で、愛情がなくなったり、それから高葛藤で顔も見たくない、口も聞きたくない、もう電話が掛かってくるだけで超ストレスみたいな状況は残念ながらあるんですよ。その場合に、一方が嫌だと言っても、この法案の最大の欠陥の一つは、不同意強制共同親権ができるということなんですよ。嫌だ、声も聞きたくない、電話に出るのもメールを見てもぞっとして、鳥肌が立ってじんま疹が起きるみたいな状態のときに、裁判所が、いやいやいや、話合いを、共同親権ですと言われたら、お上に本当に強制されるという意識になりますよ。
ですから、それを避けていただきたい。不同意共同親権は駄目だと思いますが、裁判所が命ずるのは。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/63
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064・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) それは、当事者の方がそういう主張をされ、またその事実関係を述べられれば、裁判所も当然これは共同親権にして、共同親権の共同行使、これは困難だという結論にそれはなると思います。基本的にそういう考え方でこの法律は成り立っていますので、その場合は単独親権でということです。
もう見るのも嫌、同じ部屋の空気吸うのも嫌ということで、共同親権、共同行使できませんよね。それは明らかに困難ですよね。その困難が認められれば、片方の方が共同親権でと言われても、それはもうこちらの方が、いや、それはもう絶対こういう理由で無理ですということを説得的に言っていただければ、それを無理やり職権で共同親権にするというような運用は全く想定していません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/64
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065・福島みずほ
○福島みずほ君 大臣、ありがとうございます。
問題は、だから、その大臣の答弁ですね。大臣のそれだと、一方が嫌だと言ったら、そこで無理やり共同親権、そこまで嫌と言っているんだったら共同親権になることはないですよということが実務にちゃんと反映されないといけないと思っています。ですから、大臣は誠実な方ですから、不同意共同親権、これを裁判所が強制することはありませんよということをやっぱりこの法務委員会で確認している。これが、でも実務でも本当にそうなるか。私は修正すべきだという強い意向を持っているんですが、それが反映されるようにと思います。
そして、パスポートの件もあるんですが、今日は文科省、厚労省にも来ていただいているので、ちょっとお聞きをします。
パスポートの場合は、ちょっと待ってと、急迫の事情でも認めないぞというのを事務所に出せば、もうパスポートの発行が、幾ら急迫でも、一週間後に修学旅行でも出ないわけですよね。
ところで、こうなんですね、別居親が学校や病院などに先回りして、重要なことは自分の同意がない限り受け付けたり進めたりしないことと通告していた場合、これは同居親は急迫の事情として単独行使することができるのか、学校、病院等はこのようなあらかじめの通告を拒み得るのか。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/65
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066・竹内努
○政府参考人(竹内努君) 法務省からの答弁でよろしいでしょうか。
お答えいたします。
親権の単独行使が認められる子の利益のため急迫の事情があるときとは、父母の協議や家庭裁判所の手続を経ていては適時に親権を行使することができず、その結果として子の利益を害するおそれがあるような場合を指しております。
御指摘のようなケースにつきましても、今申し上げた要件に該当する限り、急迫の事情があるとして親権の単独行使が可能であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/66
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067・浅野敦行
○政府参考人(浅野敦行君) お答えいたします。
今、法務省の方から答弁していただいたとおりでございますが、いずれにしても、文部科学省といたしましては、今般の民法改正の趣旨の理解促進が図られるよう、法務省を始めとする関係省庁と連携しながら対応してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/67
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068・福島みずほ
○福島みずほ君 対応していきたいと、文科省は今対応していきたいと言っているけれども、そうしたら、逆にこうですよね。
いや、つまり、何が事かというと、子供が単独でできる場合がある、それから単独親権でできる場合がある、しかし共同親権でやらなければならない場合がある。しかし、共同親権でやらなくちゃいけない場合でも急迫の事情があれば単独でできる。それから、転居やいろんなのは、この間の友納議員やいろんなことの答弁にあるように、学校の転居や、それから住所の変更は単独でできるという答弁なんですよ。つまり、共同親権でやるべきなんだけれども、急迫の事情がなくても、もう事後、そんなのチェックできませんから、役所は転居も認めるし、学校の転校も認めるということなんです。
ところが、これから議論するということであれば、私が子供と何か面会で話していて、えっ、何かお母さん引っ越すとか言っている、実家に帰ると言っているとなったら、学校に言って絶対に転校や、あるいは役所に言って転居を認めないように、だから、離婚届不受理申立てじゃないけれど、どんな届出があっても受け付けないようにといったときに困るんじゃないかと、パスポートと同じようなことが起きるんじゃないかと心配しているんです。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/68
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069・浅野敦行
○政府参考人(浅野敦行君) お答えいたします。
現行の民法下におきましても、各学校においては、父母間の協議の状況や家庭裁判所の審判等の結果等、父母間の関係について正確な情報を得られる立場にないことから、現在においても、裁判所や警察、教育委員会などの関係機関との相談や情報収集を行い、個別のケースに応じ適切に対応してございます。
文部科学省としては、この共同親権の導入後もこれまでと同様に適切な対応が図られるよう、法務省を始めとした関係省庁とも連携の上、今般の法改正の趣旨等について、教育委員会等を通じて丁寧な周知を行ってまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/69
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070・福島みずほ
○福島みずほ君 答弁ありがとうございます。
今までと変わらないという答弁にちょっとほっとするんですが、しかし、正確な情報収集ができないからとおっしゃいましたが、別居親が絶対に転校を認めるな、絶対に転居届を認めるなとあらかじめ役所に言っていた場合、学校に言っていた場合、明確じゃないですか。パスポートと同じで、認めるなと書面が出た場合はどうするんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/70
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071・浅野敦行
○政府参考人(浅野敦行君) いずれにしても、その急迫の事情に該当するかどうかも含めて、どのような法的な解釈でそのような事前の取決めを考えていくかということについても、学校単独では考えられませんので、先ほど申し上げましたように、関係機関との相談や情報収集を行って、個別のケースに応じて適切に対応していただいていくものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/71
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072・福島みずほ
○福島みずほ君 それが心配なんですよ。適切というのが何なのか。
つまり、限りなくパスポート状態になる。お母さんが学校に転居届を出す、それから転校届を出す、役所に住所の変更を申し立てる、今はオーケーなわけですよね、オーケー。ところが、夫が先回りして、いろんなところに、絶対受け付けるな、離婚届不受理申立てじゃないけど、何が来ても絶対に受け付けるなと言った場合に、やっぱりそれを考慮することになってしまうんじゃないか、パスポートのように。パスポートは、確かに、海外に行って未来永劫会えなくなるかもしれないからという配慮が実は陰にあるんじゃないかと思いますけれども、あらゆることに先回りする夫、夫か妻か分かりませんが、元夫がいたら、何一つできなくなっちゃうんですよ。何一つできなくなってしまう、単独でできることが。
ですから、これはやっぱり、役所や学校は立場が弱い面もあるし、訴えてやるぞと、俺が受け付けるなと、共同親権の親権持っている自分が受け付けるなと言ったのに何で受け付けたのか、訴えてやると言われたら、弱いですよね。それでも適切に対応してくださるという今日は答弁ですので、従前どおり行われるように強くお願いいたします。
済みません、厚労省もさっき手を挙げてくだすったので、お願いします。
ごめんなさい、文科省はこの後委員会があるということで、退席してください。委員長、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/72
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073・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) では、浅野審議官におかれては退席して結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/73
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074・宮本直樹
○政府参考人(宮本直樹君) お答えいたします。
子供の利益のために、急迫な事情があるときは、例えば御指摘のように一方の父母から事前に通告があるような場合であったとしても、父母の一方が単独で親権を行使ができるというふうに認識しております。
厚生労働省としては、医療機関の状況を注視し、法務省とよく相談しながら、ガイドラインの必要性についても検討しつつ、制度指針の周知に図ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/74
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075・福島みずほ
○福島みずほ君 病院に通うとか、とても重要なことが共同親権になるためにうまくいかなくなるなんというのは本当に避けなければならないと思っています。
それで、中絶の問題です。
そもそも、例えば十六歳、十七歳で妊娠をしてしまった、本人は中絶をしたい、単独でこれは中絶ができるという理解だと思うんですが、多くの産婦人科医は、保護者欄があり、保護者、まあ一名ですけれども、署名をする、あるいは判こまで要求しているようなところもあります。これ、今までどおりでいいんですか。
でも、これって共同親権の対象に、中絶についての同意というのは共同親権の対象なんでしょうか。その場合、多くの今産婦人科医の窓口で行われている保護者一名、スマホの買うなんていうのも保護者一名というところで大体なっておりますが、それで変わらないということでよろしいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/75
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076・野村知司
○政府参考人(野村知司君) 医療の契約という観点のお答えは先ほど厚生労働省からあったとおりでございますけれども、人工妊娠中絶といいますのは、母体保護法で規定をされておりますけど、この母体保護法上は、指定医師は本人及び配偶者の同意を得た上で人工妊娠中絶を行うことができるとされております。この規定の運用上は、これらの者、つまり本人及び配偶者でございますけど、が未成年であってもこの同意を行うことができるものとして運用しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/76
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077・福島みずほ
○福島みずほ君 そうすると、一方のこれまた別居親が、何か娘が妊娠したようだと、で、あそこの病院だと、絶対に中絶を認めるなという書面を出したり言ってきたらどうなるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/77
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078・野村知司
○政府参考人(野村知司君) お答え申し上げます。
母体保護法上の、母体保護法の規定上は、十四条で本人及び配偶者の同意というふうに書いてございますので、この規定の趣旨にのっとって対処していただくということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/78
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079・福島みずほ
○福島みずほ君 確かに母体保護法は本人又は配偶者の同意ですから、十八歳だろうが、あっ、十五だろうが、十四だろうが、十三だろうが、これは単独でできるということでいいわけですよね。分かりました。ということで、子供ができると。
ただ、恐れているのは、なぜこんな質問するかというと、現場では、やっぱり訴訟リスクを考えて、とにかくたくさん同意を取るというふうになってしまうんじゃないか、あるいは、共同親権の一方の当事者が病院にあらかじめクレームを付けたり止めろと言っていたら、それでいろんな医療行為がストップするんじゃないかという危惧です。
でも、今日、中絶に関しては、こども家庭庁の側から、本人又は配偶者の同意ですから、これをクリアすればいいので、基本的に共同親権者の一方がそれにクレームを付けることはできないということで理解をいたしました。それでよいということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/79
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080・野村知司
○政府参考人(野村知司君) 母体保護法の解釈上はそうなっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/80
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081・福島みずほ
○福島みずほ君 かくかくさように、いろんな点で問題が起こり得るというふうにも思っているので、いろんなことが、本当に子供の人生がとても、修学旅行に行けないとか中絶ができなくなるとかいうことが起きないようにお願いします。
同居親の単独行使に係る日常行為と別居親のそれの範囲はどう違うんでしょうか。それは監護者の定めの有無で変わるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/81
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082・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
本改正案では、父母双方が親権者である場合でありましても、監護又は教育に関する日常の行為をするときは親権の単独行使が可能であることを定めております。
別居親におきましても、例えば親子交流の機会に子の世話をすることはあり得るところでありまして、日常の行為の範囲は同居親と別居親で異なるものではありません。
本改正案では、監護者が定められた場合、当該監護者は、急迫の事情や日常の行為に当たるか否かにかかわらず、単独で子の監護及び教育をすることができることとしております。そして、監護者が定められている場合におきましては、監護者でない親権者は、監護及び教育に関する日常の行為については単独で親権を行使することができるものの、それが監護者の行為と抵触するときには監護者の行為が優先することになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/82
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083・福島みずほ
○福島みずほ君 四月二十五日の友納委員への答弁では、同一学区内の転居でも日常行為に当たらないというふうにされました。
確認ですが、居所指定権について、監護者が指定されている場合は当該監護者が単独で行使できる、転居に他方の共同親権者の同意を要しないということでよろしいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/83
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084・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
委員御指摘のとおり、監護者が定められた場合には、監護者は、例えば個別の事案において、子の居所の指定などが日常の行為に当たらなくても単独でそれを行うことができます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/84
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085・福島みずほ
○福島みずほ君 四月二十三日の衆議院の法務委員会では、子供の髪型、髪色の決定も、場合によっては日常行為にはならないとされました。衆議院の附帯決議で求められたガイドラインを作ったとしても、日常生活のあらゆることについて事細かに場合分けするようなものはできない、なおグレーゾーンが残るというふうに思います。
そもそもガイドラインをまとめることも難しいんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/85
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086・竹内努
○政府参考人(竹内努君) 衆議院の法務委員会におきまして、親権の単独行使の対象となる急迫の事情、監護及び教育に関する日常の行為等の概念については、その意義及び具体的な類型等をガイドライン等により明らかにすることとの附帯決議がされたところでございます。
この周知、広報の具体的な内容につきましては、御指摘の附帯決議の趣旨も踏まえまして、子の利益が確保されるよう、関係府省庁と連携して適切に検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/86
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087・福島みずほ
○福島みずほ君 髪の毛を染めるのは、校則に髪の毛を染めてはならないとなっていたら退学になる可能性があるから、その場合は共同親権でやらなくちゃいけない。ただ、髪を染めるのは通常は日常行為。細かいんですよ。じゃ、退学になるかどうかの可能性って学校によっても違うじゃないですか。もう本当に、本当に気が合わなかったら、もう子供も何も決められない、むしろ共同親権を決めていることが子供の利益に明確に害すると、日常生活、学校生活を送れないということにもなりかねないと思っています。
そこで、先ほど牧山理事が濫訴のことを言いました。私は、家庭裁判所も忙しいのに、子供の髪の毛の色を染めるかどうかとか、じゃ、隣の学区内に引っ越すかどうかも含めて家庭裁判所で決定するというのは、本当にこれはいいのかと思っています。むしろ、こういうことすら協議できないとしたら、共同親権にふさわしくないんですよ。子供の髪の毛を染めるかどうかとか修学旅行に行くかどうかも含めて決められないような場合は、共同親権は合わないんですよ。合わないんだったらもうやめるべきだと思っていますし、むしろ、こういうことで家庭裁判所に別居親が、訴えてやる、訴えてやる、訴えてやる、訴えてやるって訴えてくるようなのは、もう悪いけど親権者として不適格、あなたは親権者として停止ぐらい、さっきのパスポートのケースの場合は親権停止の審判が出ているということなんですけれども。
そもそも、濫訴防止ということであれば、このように、ささいではないけど、この髪の毛の色はささいではないけれども、そういうことまで家庭裁判所に訴えてくるということそのものが共同親権としてもうやっていられないというふうに思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/87
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088・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
本改正案におきましては、父母の合意がないことのみをもって父母双方を親権者とすることを一律に許さないのはかえって子の利益に反する結果となりかねないというふうには考えておりますが、父母の感情的な対立が激しいために共同して親権を行使することが困難であるというふうに認められる際には八百十九条七項の二号の要件に当てはまるというふうに考えますので、仮にそのような事実が認められるとすれば、必ず単独親権にしなければならない場合であると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/88
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089・福島みずほ
○福島みずほ君 是非お願いします。
これは、結婚中も共同親権ですから、別居中も問題になり得ると。だから、関係が悪化してきた場合やDV状況で一方の当事者がガイドライン違反で訴えられるとか、離婚に際して、急迫の事情を、本当に争いになって、子供を連れて出たことがガイドライン違反かどうか、物すごく不利な事情として主張されることがあり得るというふうに思っています。
そうすると、このガイドラインにびくびくびくびくして、これに反しないようにとなって余計何か子育てがうまくいかないというか、配偶者管理マニュアル化しかねないと、このような危険性についてはどう思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/89
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090・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
本改正案では、親権行使のルールを整理するとともに、子に関する権利の行使に関し、父母が互いに人格を尊重し協力しなければならないとしております。
本改正案の趣旨、内容が正しく理解され、御指摘のような危険が生じることのないよう、周知、広報の具体的な在り方につきましては、衆議院法務委員会における附帯決議の趣旨も踏まえまして、子の利益が確保されるよう、関係府省庁と連携して適切に検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/90
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091・福島みずほ
○福島みずほ君 共同養育計画なんですが、外国で結構細かく規定しているというのは理解しています。ただ、子供も成長するし、サッカーの試合があるとか部活をやっているとか習い事しているとか、子供も、今日びの子供は忙しいわけですよね。その場合に、がちがちに夏休みはお父さんのところに何日間行くべしとかあると、子供の生活、人生そのものが物すごく拘束されるという危険性があります。
また、親講座、親ガイダンスも、私は重要なこともあり得ると思うんですが、一方で、我慢しなさいとか、子供のためにやっぱり共同親権がいいですよみたいな形である種の家族像を押し付けられるというような危険性もあると思います。その点についていかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/91
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092・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
法務省におきましては、法学者や心理学者の協力を得まして、離婚後養育講座の調査研究を実施してきたところでございます。この調査研究におきましては、協力いただいた研究者等から、DVやハラスメント等のある事案については、講座の内容が必ずしも当てはまらないケースもあり、個別具体的な事情に即した対応がより重要であるとの指摘もされたところでございます。
こうした指摘も踏まえまして、引き続き、適切な養育講座の在り方について関係府省庁や地方自治体等と連携して検討したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/92
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093・福島みずほ
○福島みずほ君 この参議院の法務委員会の中において、それぞれ大臣含め非常に答弁していただいて、実は条文とずれている、急迫の事情や不同意共同親権強制できるという条文と違う面やいろんなところが出てきていると思います。それを周知徹底する必要もあるし、本来はきちっと修正すべきだと思いますし、まだまだ議論が必要だと思います。
質問終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/93
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094・石川博崇
○石川博崇君 公明党の石川博崇でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
この当委員会で民法改正案の議論をしてまいりました。本日は、これまで余り触れてこられなかった点について私から質問させていただきたい、何点か質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
先週、当委員会での参考人質疑で、大阪で弁護士活動されている浜田参考人から、子供の手続代理人の重要性についてお話がありました。先日、同僚の伊藤孝江理事からも指摘があったところでございますけれども、私も今回の法案の最も重要なポイントであります子の利益の確保の実現のために子供の意見をしっかり聞くこと、これが大変重要であり、子供の手続代理人の利用促進、これがなされるべきだと考えております。我が党が政府に申し入れた提言でも、弁護士による子供の手続代理人を積極的に活用するための環境整備を図る、こうしたことを求めさせていただきました。
浜田参考人からは、子供の手続代理人は裁判所が選任する場合には国選と言ってよいと思うという旨も述べられておりましたが、費用負担は公費では出ません。親権決定等の重要な場面において、子供の利益を明らかにするために裁判所が子供の意見をしっかり聞く必要性が高いと判断した場合については、これは公費の負担を設けていくべきではないかというふうに思いますけれども、法務省の見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/94
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095・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
委員御指摘のとおり、家事事件の手続におきまして自ら事件に関与することを希望する子の手続保障が図られることは重要でありまして、そのためには子供の手続代理人の制度のより一層の活用が望ましいと考えられます。
また、委員御指摘のとおり、先日の法務委員会におきましては、浜田参考人より、子供の手続代理人の制度につき、その利用件数が少ないという点や、その報酬が公費から支出されるものとはされていないことについて御意見があったところでございます。
もっとも、御指摘のような子供の手続代理人の報酬等を公費で負担するという考え方につきましては、私人間の紛争の処理のために要する費用を公費で賄うことについて国民の理解、納得を得られるかなどの問題があることから、慎重に検討する必要があるものと考えております。
いずれにしましても、引き続き、子の手続保障が図られるよう、関係機関と連携しつつ、実務の運用状況を注視してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/95
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096・石川博崇
○石川博崇君 子供の意見を聞くことについて国民の納得が得られるかという答弁でございましたが、私は当然理解は得られるというふうに思いますので、検討を進めていただきたいと思います。
また、浜田参考人からもありましたけれども、子供自らの意思で、子供が自らの意思で自分に代理人を付けたい場合、でも虐待等で親子が対立関係にある場合には、法テラスの民事法律扶助制度を利用することができません。日弁連が会員から特別会費を徴収して法律援助基金を創設して独自の支援を行っていただいておりますので、これを利用することはできますけれども、子供たちの人権保障を図る責務は本来国にあるものと考えておりまして、これも国費での負担を検討すべきではないかというふうに思います。
子の利益の確保が今回の法改正の最重要の柱でございます。親の離婚という悲痛な出来事に直面した子供たちの権利を少しでも手厚く保護するために、この子供の手続代理人を利用する際に法テラスの民事法律扶助制度を利用できるように御検討いただきたいと思いますけれども、法務省の見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/96
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097・坂本三郎
○政府参考人(坂本三郎君) お答えいたします。
法テラスの民事法律扶助における代理援助では、限られた国の財産を用い、財源を用いて困難を抱えた方々を広く支援するため、法テラスが立て替えた弁護士費用等について、利用者が償還する義務を負うこととしております。そのため、未成年者が手続代理人弁護士を選任する場合、法定代理人の同意が得られなければ代理援助の利用を認めておりません。
もっとも、このように代理援助を利用できない場合であったとしても、未成年者は必要に応じまして、今、先ほど委員からも御指摘ございましたとおり、法テラスが日本弁護士連合会から委託を受けて実施しております子供に対する法律援助により弁護士費用等の援助を受けることができます。
法務省といたしましては、委員御指摘の子供が手続代理人弁護士を選任できる環境を整備すべきとの御意見があることも承知しておりまして、未成年者が適切な支援を受けられるよう、その必要性を十分に把握いたしまして、未成年者に対する民事法律扶助その他の法的支援の在り方について、法テラス及び日本弁護士連合会との間で引き続き協議、検討を行ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/97
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098・石川博崇
○石川博崇君 協議、検討を行ってまいりたいという答弁をいただきました。ありがとうございます。
続きまして、親子交流における子供の安全確保についてお伺いをしたいと思います。
今後、親子交流が増えていくよう取組を是非お願いをしたいと思いますけれども、一方で、高葛藤な状態での父母の離婚も当然ありますので、この親子交流の実施に当たっては、慎重に検討した上で、当然のことでありますけれども、安全が十分に確保されることが大前提でなければならないと思います。我が党の提言でも、安全かつ安心な親子交流支援体制の整備というのを求めさせていただいております。
しかし、残念なことに過去には、例えば伊丹市で、家庭裁判所の審理を経て行われた面会交流中に別居中の父親が子供を殺害して、その後自殺したという大変痛ましい事件もございました。こうしたことは二度とあってはなりません。再発防止を徹底して、安全かつ安心な親子交流を徹底していただきたいと思いますので、この点、それぞれ省庁に確認をいたしたいと思います。
まず、法務省では、ホームページ上に親子交流支援団体の一覧を掲載して、また各団体が任意に協力していただく参考指針を示されていますけれども、この中で、この面会交流についての安全、安心な、親子交流についての安全、安心にどのように取り組んでいるのか、御説明いただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/98
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099・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
委員御指摘のとおり、これまでに親子交流中に別居親が子や同居親に危害を加えるという事件が発生していることは報道等により承知をしているところでございます。親子交流につきましては、安全、安心な形で実施されることが子の利益の観点から重要でありまして、法制審議会家族法制部会におきましてもこのような観点から検討が重ねられてきたところでございます。
本改正案では、適切な親子交流の実現のため、裁判所が裁判手続中に事実の調査のため、当事者に対し親子交流の試行的実施を促すことができる仕組みを設けることとしております。これにより、調停手続や審判手続において試行的に親子交流を実施し、その状況を調整、判断の資料とすることが可能となりまして、安全、安心な親子交流を適切に実現することに資すると考えております。
また、法務省では、委員御指摘のとおり、民間の親子交流支援団体向けの参考指針の作成や親子交流支援団体の周知を行うなどしておりますが、参考指針には、安全、安心な親子交流を確保するためのトラブル対応に関する指針が盛り込まれております。
今後も、安全、安心な親子交流の実現に向けまして、関係府省庁と連携してしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/99
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100・石川博崇
○石川博崇君 今日、こども家庭庁にもお越しいただいておりますけれども、こども家庭庁も親子交流支援事業を行っていただいております。この事業で作成する親子交流支援計画や、その計画に基づいて実施する交流の場に付き添うなどの援助を実施する際に安全性を十分に確保する取組が行われているのか、確認したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/100
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101・野村知司
○政府参考人(野村知司君) お答え申し上げます。
一般論ではございますけれども、離婚後も適切な形で親子交流が実施されると、これは子供の立場からも望ましいことではございますが、一方で、御指摘のように、児童虐待やDVなどといったような経緯があって、親子交流の支援に当たって安全かつ安心な親子交流が実施できるようにという観点からは十分に留意することが必要なこともあると、そういったケースもあるというふうに考えてございます。
そこで、御指摘のございました親子交流支援事業の実施に際しましては、安全かつ安心な親子交流のために、この実施要綱の中で、暴力行為や子供に対する虐待行為を行うおそれのある者、あるいは子供の連れ去り、あるいは連れ去りを企図するおそれのある者については本事業の対象としないこと、事前の面談に際して父母双方に対して実施をいたしまして、この当事者双方の合意の下で支援計画を具体的に作成をしていくこと、子供の連れ去り又は虐待行為のおそれがある場合には支援を中止し子供の安全の確保に十分に配慮すること、関係機関の連絡など必要な支援策を講ずることなど、安全、安心を確保するための取組についてもお示しをしているところでございます。
親子交流の安全かつ安心な実施に当たりましては、法務省の取組とも連携をしながら、引き続き、安全かつ安心な交流となるように、この事業の充実にも努めてまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/101
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102・石川博崇
○石川博崇君 先ほど述べました伊丹市の例は、家庭裁判所の審議を経て行われた面会交流で事件が発生をいたしました。二度とこのような事件が発生することがないように取り組む必要がございますが、裁判所における親子交流に関する調停あるいは審判においてもこの交流の安全性の十分な確保という点が極めて重要ですけれども、どのように取り組んでいるのか、最高裁判所のお考えを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/102
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103・馬渡直史
○最高裁判所長官代理者(馬渡直史君) 家庭裁判所に係属する事件に関して御指摘のような重大な危害が生じた場合には、まずは当該家庭裁判所において関係職員や関係者から事情聴取するなどして、事実関係を明らかにした上で教訓を得るように努めていくことになります。
最高裁判所といたしましても、面会交流事件について安全、安心ということが最も重要であるという認識の下、様々な職種の研修等の場において、危害が実際に発生した家庭裁判所における振り返りの結果から得られた教訓を共有することを継続的に行うなどしてきているところでございます。具体的には、研修等の場において、先ほど述べたような振り返りの結果として、重大な危害等の発生の可能性を踏まえ危険性を改めて認識することがまずもって重要であり、当事者の言動を注意深く見ていくこと、当事者に対する説明の在り方、第三者支援機関に関する適切な教示などが挙げられていることを情報提供しているところでございます。
加えて、各家庭裁判所の裁判官を始めとする関係職員は、家庭裁判所調査官等において、子の利益の判断に資する事実の調査の方法及び分析、評価の在り方について行った研究を参考にするなどして研さんに努めているものと認識しておりまして、このようなことから、各家庭裁判所においては、家事事件の審理に当たって、安全、安心に関する事情は最優先に考慮されるべきものであるとして運用されているものと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/103
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104・石川博崇
○石川博崇君 それぞれ、法務省、こども家庭庁、そして最高裁判所から面会交流の安全、安心について御答弁をいただきました。しっかり現場に徹底していただくよう御要望を申し上げたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
続きまして、養子縁組について質問させていただきたいと思います。
離婚した父母の一方が子供を伴って再婚する場合、再婚相手と子供との間で養子縁組を行う、いわゆる連れ子養子縁組が行われることがございます。十五歳未満の子を養子にする養子縁組では、法定代理人、つまり親権者の承諾が必要となりますが、離婚の際、その再婚前の離婚の際に父母の間で親権者と監護者を分けていた場合、例えば父親が親権者であるけれども母親が監護しているような場合には、親権者たる父親のみの承諾で養子縁組が行われて、監護者たる母親から子供を取り戻す目的で養子縁組が濫用されることは防がれなければなりません。そのために、民法の第七百九十七条第二項では、法定代理人がその承諾をするに当たって、子供の養子縁組を承諾するに当たって、監護者がほかにいるときには、その者の同意を得なければならないとされているところでございます。
しかし、今回の改正法案で新たに設けられる民法第七百九十七条第三項では、子供の監護者、先ほどの例でいうと、母親が同意をしないときには家庭裁判所が同意に代わる許可を与えることができるという規定が設けられました。
法務省にお伺いしたいと思いますが、この規定を設ける趣旨は何なのか、御説明をいただきたいと思います。
また、この規定は、親権者と監護者、父親と母親で対立している場面でございますが、その次の新たに設けられた第四項の規定は、共同親権が今回設けられます、その共同親権者同士が対立する場面でも同じように家庭裁判所が関与する規定が置かれております。
この第三項、第四項に共通する規定としては、この新たな養子縁組が子の利益のために特に必要であるということが掲げられておりますけれども、この第三項と第四項で文言の解釈に違いがあるのか、併せて御答弁いただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/104
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105・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
本改正案の民法第七百九十七条第三項では、十五歳未満の子の養子縁組が子の利益のため特に必要であるにもかかわらず、養子となる者の父母でその監護をすべき者である者等が縁組の同意をしないときは、家庭裁判所は、養子となる者の法定代理人の請求により、その同意に代わる許可を与えることができるとされております。
これは、同条第一項及び第二項において、十五歳未満の子の養子縁組については法定代理人が代諾するとされ、養子となる者の父母でその監護をすべき者である者等がほかにあるときはその同意を得なければならないとされているところ、その同意がないケースにおいて両者の意見対立の調整の仕組みを設けるため、養子縁組が子の利益のため特に必要であるときに、その同意に代わる家庭裁判所の許可の制度を設けたものでございます。
他方、本改正案、民法第七百九十七条第四項では、離婚後に父母の双方が親権者となり父母双方が共同して養子縁組の代諾をすべきケースにおいて、両者の意見対立の調整の仕組みを設けるため、養子縁組が子の利益のため特に必要であるときに、その一方が単独で代諾をなし得る旨の審判の制度を設けたものございます。
このように、いずれの規定も養子縁組に係る意見対立の調整のための規律でございまして、子の利益のため特に必要であるとの要件の解釈も基本的に同様であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/105
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106・石川博崇
○石川博崇君 一般に未成年者を養子にする際には、民法第七百九十八条で、家庭裁判所の許可を得なければならないとされております。その趣旨は、未成年者の利益を害するような養子縁組がなされることを防いで、子の福祉を図るためでございます。
しかし、今指摘させていただいた連れ子養子縁組の場合には一般的に例外とされておりまして、家庭裁判所の許可を得る必要がございません。しかし、昨今、児童虐待の事案等では、例えば、再婚した再婚相手から連れ子の子供に対して暴力を受けるといったような事案も報じられているところでございまして、こうした状況があることを考えると、連れ子養子縁組の場合であっても子供の安全確保が図られるように家庭裁判所が関与していく仕組みを設けていくというのは、私は検討に値するのではないかというふうに思っております。
先ほど、親子対立がある場合には家庭裁判所が関与する仕組みを設けたという話でございましたけれども、それ以外の場合においても関与する仕組みについて検討というものは必要ないか、法務省の見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/106
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107・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
委員御指摘のとおり、現行民法では、未成年者を養子とするには家庭裁判所の許可を得なければならないとしつつ、いわゆる連れ子養子や孫養子の場合にはこれを不要としております。
委員御指摘のように、このような規律に対しては、連れ子養子や孫養子について、養親からの虐待など子の福祉を害する事態が生じる可能性があるとの指摘がありまして、法制審議会家族法制部会におきましては、連れ子養子や孫養子についても家庭裁判所の許可又は何らかの関与を必要とすべきであるとの意見もあったところでございます。もっとも、上記意見に対しまして、縁組を不許可としても同居という生活実態は解消されず、家庭裁判所による許可の仕組みを設けることにより虐待が防止できるものではないのではないかといった点を指摘するなどして、慎重な検討を求める意見もあったところでございます。
そこで、本改正案では、全ての未成年養子縁組において一律に家庭裁判所の許可を必要とすることとはせず、養子縁組の代諾をするに当たって父母の意見が対立する場面において、家庭裁判所が関与する仕組みを設けることとしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/107
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108・石川博崇
○石川博崇君 法制審でもこの点議論されたけれども、一般化することについてはまだ検討が必要だというところに落ち着いたという御説明でございました。
なお、このような未成年者を養子とするに当たっては今回新設される規定で家庭裁判所が関与するわけでございますけれども、その許可するに当たっては、やはり、明文の規定がありませんけれども、子供の意思をしっかり確認をするということが大変重要ではないかというふうに思います。
現在の実務上どのようなことが考慮されているのか、最高裁判所に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/108
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109・馬渡直史
○最高裁判所長官代理者(馬渡直史君) まず、未成年者養子縁組の許可、民法七百九十八条、この許可をするかどうかの判断に当たりましては、当たって考慮される要素が何かにつきましては、個別事案に、個別の事案によって異なるため一概に申し上げることはできないものの、文献におきましては、未成年者の利益に係る考慮要素として、例えば、縁組の動機や目的、実親及び養親の家庭状況、養親となるべき者の監護養育者としての適格性に加えて、養子となるべき未成年者に判断能力がある場合にはその意思などを挙げるものも見られるところでございます。
いずれにしましても、家庭裁判所が許可審判について、事案に応じてこうした様々な事情を考慮し、また未成年者の意思や意向を未成年者の状況等に応じた適切な方法により把握するなどして審理、判断をする運用がされているものと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/109
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110・石川博崇
○石川博崇君 ありがとうございます。
今回新たに規定される家庭裁判所の関与につきましても、しっかり子の意思の確認ということを行っていただきたいということを要望させていただきたいと思います。
私自身、この法案の質疑にこれまで三回立たせていただきました。最初には子の利益の概念について大臣に確認をさせていただきましたし、その後、養育費の支払、共同養育計画の作成促進、また養育費の履行確保、親講座、親ガイダンスの充実、さらに、子供の手続代理人、親子交流、また子の利益の確保、親子交流など、今日の質疑でも指摘をさせていただき、子の利益をいかに確保していくのかということを確認を一つ一つさせていただいたところでございます。
何が子供の利益に資するかというのは家庭の形によっても様々でございます。したがって、子の利益の確保の実現をどのように行うについては、今後とも不断の取組が必要でございますし、一つ一つ検証しながら改善に取り組んでいくことも重要でございます。
小泉大臣におかれましては、今回の法改正後も引き続き不断の努力行っていただきたいということを最後に決意をお伺いをしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/110
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111・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) いろいろな御指摘、重ねて感謝を申し上げたいと思います。
この法案が成立させていただいた暁には、施行を待たずに、当然ですけれども、関係府省庁連絡会議を立ち上げまして、関係制度との調整、情報の整理、対応、こういったものを図っていきたいと思いますし、また、ガイドラインの作成、法執行に関わる部分、これもしっかりと取り組みたいと思いますし、周知、広報も重要であります。
さらに、裁判所と様々な考え方を共有する、これも大きな課題だと思います。そして、何よりも、家族法制という非常に多様な要素を含んだ様々な皆様方の思いが重なり合う、そういう制度でありますので、細心の注意を払って現状をウオッチし、問題を的確に把握しながら、適切にですね、不断の努力をもって適切に対応していく、そういう決意でいるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/111
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112・石川博崇
○石川博崇君 ありがとうございました。
少し早いですが、終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/112
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113・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
午後零時九分休憩
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午後一時開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/113
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114・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
委員の異動について御報告いたします。
本日、赤松健さん及び福島みずほさんが委員を辞任され、その補欠として永井学さん及び古賀千景さんが選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/114
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115・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) 休憩前に引き続き、民法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/115
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116・清水貴之
○清水貴之君 日本維新の会の清水です。よろしくお願いをいたします。
まず初めに、長期間交流が絶たれている親子の交流回復について伺います。
現行の単独親権制度下では、親権を剥奪された父母が長期間子との関係が断絶してしまっている場合、父母は子の居どころすら分からない場合が多く、言わば生き別れのような状態に置かれてしまっている、そういったケースが多く発生しています。これは、単独親権制度が生み出した不幸であり、その状況を生み出した政府が責任を持って救済措置を講じ、親子の触れ合いの復活を目指すべきではないかという観点から質問させていただきたいと思います。
まずは、その原因であるとか、国としての責任、考え、どのように思われるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/116
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117・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
父母の離婚後の子と別居親との交流は親権の行使として行われるものではありませんで、親権の有無とは別の問題として捉える必要があります。そのため、別居親に親権がないことをもって別居親と子との交流が実施されないというものではなく、親子交流の実施の有無等につきましては、子の利益を最も優先して考慮して定められるべきものと認識をしております。
いずれにせよ、父母の別居後や離婚後も適切な形で親子の交流が図られることは子の利益の観点から重要であると認識をしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/117
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118・清水貴之
○清水貴之君 この後も、また後ほど質問しますが、ただ、その親子交流や何かが適切に実施されていないからそういう状態が起きてしまっているわけですね。
五月九日、我々、日本維新の会・教育無償化を実現する会の嘉田委員からこういった質問がありまして、同じような質問がありまして、竹内民事局長は、別居中の父母の親子交流に関する規定や、家庭裁判所が当事者に対し親子交流の試行的実施を促すための規定などを新設する、その施行状況を注視していきたいと答弁をされているんですけれども。これからの、法改正があってこれからどうなっていくかという話ではなくて、今の、この現行の単独親権制度下でそういった親権を剥奪されてしまったと、そして親子の交流が断絶されてしまっている、長期間そういった状況になっていると。そういった方々のその親子の交流の回復、これをどう図っていくかと、こういった視点での御質問だというふうに認識をしているんですけれども。
いかがでしょうか、これ大臣、お答えいただける話ですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/118
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119・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 親権の有無、そして親子交流、これは往々にして結び付けられてきたわけでありますが、今回の法改正では、まず子供の利益を中心に置くことによって、そこから直接、親子交流の必要性、推進という政策が導かれてくるというふうに私は、私どもは考えております。親の責務、子供の養育、そしてそのための協力、これを基本に据えているわけでありますので、それにのっとって必要な、適切な親子交流を進めていくということが大きな施策の柱として掲げられています。
面会交流について、裁判所から試行的に面会交流を、親子交流を進めていこう、そういう方策も取り入れているわけであります。考え方として、親権の話と、もう一つ別の、別建ての重要な柱として親子交流の推進、それは親の責務から直接導かれる政策的なインプリケーションだというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/119
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120・清水貴之
○清水貴之君 同じ質問で民事局長にもお答えいただけたらと思うんですが、現状、そういう、長い間そういう状況に置かれている人々に対する支援である、サポートである、こういったことに関してはどのように思われます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/120
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121・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
やはり本改正案の話になってしまうんですが、親権や婚姻関係の有無にかかわらず、父母は子の養育に関し、子の利益のため互いに人格を尊重し協力しなければならないこととしております。父母の一方が合理的な理由がないのに子の利益に反する形で親子交流を妨げる行為は、これらの義務に違反することになると考えます。
いずれにしましても、父母の別居後や離婚後も適切な形で親子の交流が図られるということは子の利益の観点から重要なことでありまして、本改正案におきましても、安全、安心な親子交流を適切に実現するための見直しもしているところでございます。
広く国民において、その趣旨や内容が正しく理解されるよう、関係府省庁等とも連携してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/121
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122・清水貴之
○清水貴之君 続いて、DVや虐待に対してどう向き合っていくのかというのが大きな課題です。この委員会でも、もう重ね重ねここの部分、議論をされてきた点だというふうに思います。
私も、週末、地元の兵庫県に帰りまして、DV被害者のための居場所づくり、シェルターなどの運営に携わってきた方とお会いをしまして、この法改正に対する不安の思いを聞かせていただきました。DV被害者やその子供の命を救ってやってほしいという鬼気迫る思いを打ち明けられました。
一方、虚偽DVというワードもこれまでこの委員会審議の中で出てきていまして、DVや虐待の実態、これをどう判断し、そしてどう対処していくのかは大変重要で難しい課題だなと改めて実感をしているところです。
まずお伺いしたいのが、離婚の理由がDVであるその割合というのはどれぐらいあるものなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/122
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123・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
法務省が令和二年度に実施をいたしました協議離婚に関する委託調査の結果によれば、協議離婚を経験した男女合計一千名に離婚した原因に近いものを複数回答で尋ねましたところ、身体的な暴力を回答した者が七・九%、精神的な暴力を回答した者が二一・〇%、経済的な暴力を回答した者が一三・五%でありました。
もっとも、DVの有無につきましては、最終的には裁判所において個別具体的な事情を踏まえて判断されるべき事柄でありますため、厳密に統計を取ることが困難であることは御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/123
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124・清水貴之
○清水貴之君 やはり、ある程度高い確率というふうに見てもいいんでしょうかね。DVがやはり原因だというのが離婚事由の大きな要因になっているというのが分かるかと思いますけれども。
共同親権によって離婚後の不幸が増えてしまうというふうに心配されている方の中には、やっぱり婚姻中からもDVがあって、それが継続すると、それを当然のように不安視されている方というのがたくさんいらっしゃるわけなんですが、そういった不幸を防ぐ、DVが継続する不幸を防ぐために今回の法改正ではどのような仕組みが取り入れられているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/124
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125・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
本改正案では、例えばDV等のある事案では、裁判所は必ず父母の一方を親権者と定めなければならないと規定したり、婚姻中など父母双方が親権者である場合でも親権を単独で行使することができると規定するなど、DVのある事案にも適切に対応する内容となっておると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/125
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126・清水貴之
○清水貴之君 そして、先日の参考人質疑で、これ木村草太参考人より指摘があった点で、法制審議会で共同親権を強制すべき具体例が挙がったとのことだが、小粥太郎委員が示した別居親が子育てに無関心である場合と、佐野みゆき幹事が示した同居親に親権行使に支障を来すほどの精神疾患がある場合だけではなかったのかという話がありました。午前中には福島委員からもこれ話があった非同意強制型と、木村参考人がおっしゃっていましたその形態ですけれども。
法務省として、このような形で共同親権を、ある意味、片方若しくは両方が望んでいないのに強制した方が、共同親権にした方が子供の利益になる場合とはどのような場合を想定しているのかというのを具体的に示すことというのは可能でしょうか。そうじゃない例というのは、DVがあるときはもう必ず単独にするべきだとか、そういった別のケースというのは様々例が挙がっているんですが、共同親権にしなければいけないというときの例というのがなかなか出てきていないように感じましたので、その質問をさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/126
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127・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
お尋ねにつきましては、個別具体的な事情に即して判断されるべき事項でありまして、また、父母の協議が調わない理由には様々なものがあると考えられるため、網羅的にお答えすることが困難であることは御理解をいただきたいと思いますが、その上で、御指摘のような場合のほか、例えば、父母間の感情と親子関係とを切り分けることができる父母のケースや、支援団体等を活用して子の養育について協力することを受け入れることができるケースなどについては、父母の合意がなくても離婚後の父母が共同して親権を行うことを期待し得る場合があり、そのようなケースについて家庭裁判所が父母双方を親権者と定めることは子の利益に資する場合もあると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/127
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128・清水貴之
○清水貴之君 あと、DVの判断、これも非常に難しいという話、参考人質疑でもいろいろな方から出ました。目に見えない形でのDVというのも多々あるということで、どのように判断するか、その難しさというのが多くの方から指摘されているところではありますが。
先月、四月四日の決算委員会において、これは総務大臣に対するこれ質疑ですが、DV等支援措置が掛けられているケースは、すなわちDVのおそれがあるケースであるという趣旨の大臣の発言がありました。
DV等支援措置は、根拠法を持たない行政措置である上、加害者と疑われた者に反論の機会が与えられない仕組みです。本法ではDVのおそれがある場合に単独親権の判断が下される余地が残されていますけれども、今後、裁判所がDVのおそれの有無を判断するに当たり、DV等支援措置が掛けられているかいないか、これは判断材料の一因となるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/128
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129・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
本改正案では、裁判所が離婚後の親権者を判断するに当たっては、子の利益のため、父母と子との関係、父と母との関係その他一切の事情を考慮しなければならないこととしております。御指摘の支援措置を受けているという事情も、DVのおそれを判断するに当たっての考慮要素の一つとなると考えられます。
もっとも、支援措置については、その措置が講じられる過程で必ずしも双方当事者の主張が聴取されているわけではありません。そのため、裁判所は、一方当事者が支援措置を受けているという事情のみでなく、それに対する他方当事者からの反論を含めた様々な事情を総合的に考慮してDVのおそれの有無等を判断することになると考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/129
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130・清水貴之
○清水貴之君 ありがとうございます。非常に現実的な御答弁かなというふうに思います。
そして、虐待死リスクとの相関関係について次伺わせていただきます。
離婚後の同居親に新しいパートナーなどができる可能性、当然あります。そのパートナーですとか知人の影響による児童虐待死事件というのが残念ですが起きてしまっている、これも事実だというふうに思います。離婚後も子供が父母間、父母双方と関わりを十分に保つことは、それぞれの環境において子が安心、安全に暮らすためのセーフティーネットになり得るのではないかという観点からのこれ質問です。
やっぱり、離れてしまった後に、単独親権ということでなかなか、若しくはもう共同親権でも会えなかった場合に、子供の状況等が分からないと。そういった状況に置くよりも、やっぱりしっかりと、これ共同親権なりなんなりでちゃんと交流をしながら見ていった方がこういった残念な事件などを防げるのではないかということなんですけれども、これについて法務省としてはどのように考えますでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/130
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131・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
委員の御指摘につきましては、共同親権制度を導入することにより、例えば児童相談所が同居親による虐待を認知した場面において別居親への情報の提供が可能となり、結果として別居親による子の救済の機会が増えるのではないかということを指摘するものと理解をいたしました。
他方で、現行法下におきましても、例えば別居親が親子交流の機会に子と接する中で同居親による虐待の事実を知る可能性はあり得るものと考えられます。
いずれにしましても、児童虐待の防止は重要な課題でありまして、本改正案が成立した際には、改正法が子の利益を確保する観点から離婚後の父母双方による養育への関与の在り方について民法等の規定を見直すものであることも踏まえまして、児童虐待の防止について取り組んでいる関係機関ともしっかりと連携をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/131
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132・清水貴之
○清水貴之君 是非、その観点もよろしくお願いをいたします。
続いて、子の連れ去りの問題です。
おととい、音喜多議員からも質問をさせていただきましたこの問題なんですけれども、大臣もそういった批判があることは認識をしているという、そういった御答弁だったかと思います。
子供の連れ去りに遭った場合、ある日突然、日常を奪われた子供は甚大な心理的なダメージを受けます。当たり前のように過ごしていた片方の親や祖父母、学校の友達とか先生と隔離されまして、新たな環境になじむことを一方的に求められる子供たちの中には、非常にやっぱり不安定な状況に置かれて精神的にも安定しないと、そういった子供も多くできてしまうというふうに考えておりますが。
まず最初にお伺いしたいのが、この法改正により、子供連れ去りもですが、まあいろいろあるとはもちろん思います。理由、今回は理由なき連れ去りのことをお聞きしたいと思うんですが、当然、DVであるとか虐待であるとか、緊急避難的に急迫の事情があって、この法案でいう急迫の事情があって連れ去らなきゃいけない、一緒に逃げなきゃいけない、このケースは当然あると思いますが、それはまた別の話としまして、理由なき子供の連れ去りというのは、今回の法改正では違法となるんでしょうか、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/132
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133・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
本改正案におきましては、子に関する権利の行使に関し、父母が互いに人格を尊重し協力しなければならないとしており、あくまで一般論としてお答えをいたしますと、父母の一方が何ら理由なく、すなわち急迫の事情もないのに他方に無断で子の居所を変更するなどの行為は、個別の事情によってはこの規定の趣旨にも反すると評価され得ると考えております。
そして、これもあくまで一般論としてお答えをいたしますと、父母の一方が父母相互の人格尊重義務や協力義務等に違反した場合、親権者の指定、変更の審判において、その違反の内容が考慮される可能性があると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/133
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134・清水貴之
○清水貴之君 今の御答弁からも決していいことではないというのが非常によく分かるわけですが。
では、この理由なき子供の連れ去りというのを、この法改正でどうしたら抑制されるもの、抑制していくというふうに考えているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/134
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135・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
委員御指摘の子の連れ去りとは、父母の一方が他方の父母の同意を得ることなく子の居所を変更する行為を指していると受け止めておりますが、子の連れ去りについて、一般的には、例えばいわゆる離婚後単独親権制度を採用している現行民法下では、親権争いを自己に有利に進めるという目的で子を連れ去っているのではないか、現行民法では、どのような事情があれば父母の一方が子の居所の変更を含めた親権行使を単独で行うことができるのかが不明確である、現行民法では、子の居所の変更を含めた親権行使について父母の意見対立を調整するための裁判上の手続が設けられていないといった指摘がされているものと認識をしております。
これに対し本改正案では、父母の離婚後もその双方を親権者とすることができることとしたほか、父母双方が親権者である場合には、子の居所の変更を含めて親権は父母が共同して行うとした上で、急迫の事情があるときは父母の一方が親権を単独で行うことが可能であるとし、父母の意見対立を調整するための裁判手続を新設することで親権行使のルールを整理しているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/135
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136・清水貴之
○清水貴之君 そういった状況、じゃ、どう判断をしていくかと、この辺がやっぱり難しいというのはこれまでもいろいろ議論されていると思いますけれども。
今言われた親権獲得のための連れ去りと急迫の事情による連れ去り、これを、じゃ、それぞれやっぱり言い分がこれ絶対違ってくるというふうに思うんですよね。それを、じゃ、どう客観的事実などに基づいてどのように判断していくのかというのが難しいのではないかと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/136
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137・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
委員の御質問は、急迫の事情の意義について問うものと理解をいたしました。
子の居所の変更を含めまして、各父母による親権行使の当否は個別の事案における具体的な事情に即して判断すべきものでありまして、これまでの国会審議におきましては、具体例も踏まえて、急迫の事情があるとして親権の単独行使が認められる場面等について説明をしてまいったものでございます。
本改正案につきましては、衆議院法務委員会における審議の結果として、附則に、政府は、改正後の各法律の円滑な施行のため、新民法第八百二十四条の二第一項第三号の急迫の事情の意義等について国民に周知を図るものとする旨の条項が追加をされたところでございます。
本改正案が成立した際には、この附則の規定に従いまして、急迫の事情の意義も含め、本改正案の趣旨や内容について、国会における法案審議の中で明らかになった解釈等を含め、関係府省庁等とも連携して適切かつ十分な周知に努めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/137
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138・清水貴之
○清水貴之君 次の親権や監護者の適格性については、先ほど人格尊重、協力義務規定の趣旨に反すると評価される場合があるという話でしたのでこれ飛ばさせていただきまして、次の引渡しの強制執行についてなんですが、裁判の結果、虐待やDVが否認され別居親の元への強制執行が試みられた子供については、乳幼児の高い執行比率に対して、小学生以上の子供が拒否の意思を示し不能となる確率が高まるというふうに言われています。
ここでお聞きしたいのが、子の引渡しの執行率はどれくらいなんでしょうか。また、年齢により執行率が異なる場合、その原因の分析、とりわけ同居親の影響についてどのように考えているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/138
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139・福田千恵子
○最高裁判所長官代理者(福田千恵子君) お答えいたします。
令和五年に子の引渡しの強制執行事件が終了した件数は六十二件で、そのうち子の引渡しが実現した件数は二十四件となっております。したがって、子の引渡しが実現した割合は三八・七%となっております。
年齢別の執行率は統計として把握をしておりませんので、年齢によって執行率が異なるかや、その原因などについては、統計的には把握をしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/139
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140・清水貴之
○清水貴之君 もう残り十分ぐらいになりまして、まだまだ聞きたいことありますので、ちょっとスピードアップしながら質問をさせていただきたいと思います。
続いては、親子交流に関してです。
まず、調停や審判の期間が非常に長いと、時間が掛かってしまうというところなんですけれども、調停を申し立てた場合、実際に調停や審判が成立するまでに数か月から長ければ数年掛かることも珍しくないということです。
こういった法制度、家裁の運用というのは、親子の養育権の侵害として、その間、親子交流、面会交流などが実施されない場合もあるわけですので、侵害として、人権侵害に当たるのではないのかというのと、次の判断までの期間短縮、これは進めるべきではないかと、この質問を一緒にさせていただきたいと思いますが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/140
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141・馬渡直史
○最高裁判所長官代理者(馬渡直史君) 各家庭裁判所では、親子交流の事件について、調停委員会等において、同居親及び別居親の双方から丁寧に事情を聴取して課題を把握して、適切な働きかけを行い、個別の、個別具体的な事案の内容に応じて調整を繰り返すなどしております。
親子交流事件の審理の在り方に対して様々な御指摘があることは承知しておりますが、このような審理を行うということ自体が、御指摘のような人権侵害や児童の権利条約違反といった問題を生ずることはないものと考えております。
もっとも、家事調停の審理期間については、かねてより各家庭裁判所において問題意識を持っておりまして、適正、迅速な紛争の解決に向けて、各家裁では、期日の持ち方の工夫、評議等を通じた裁判官の効果的関与、ウェブ調停の活用などを含む調停運営改善の取組を進めてきておりまして、最高裁としてもそうした取組を後押ししてきているというところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/141
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142・清水貴之
○清水貴之君 一つ飛ばして、次、三の三の頻度や時間のところなんですけれども、おととい、これも音喜多議員が、子の利益に関する父母間の人格尊重、協力義務違反の具体例に関する質疑をしまして、民事局長は、一般的には、合理的な理由がないにもかかわらず親子の交流を妨げたりすることは条文に違反する可能性があるというふうな答弁をされています。
そこで、重ねて、加えて伺いたいんですけれども、子と別居親、別居の親が頻繁な交流を望んでいると、同居親じゃなくて別居の方、親がですね。ただ、その同居している側が、合理的な理由がなく、例えば、今は月一回、大体数時間ぐらいが、日帰りの交流がもう一般的ですよみたいな形で、子は願っているんだけど、子の意思に反して一緒に過ごしている親の方が交流の制限を行っている場合、これは子供の利益のためのこの人格尊重、努力義務に違反したというふうに判定されることもあり得るんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/142
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143・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
委員お尋ねのようなケースも含めまして、どのような場合に子に関する権利の行使又は義務の履行に関する父母相互の人格尊重義務や協力義務に違反すると評価されるかは、個別具体的な事情に即して判断されるべきものでありまして一概にお答えをすることは困難ではございますが、一般論として申し上げれば、親子交流の頻度、内容等については子の利益を最も優先して考慮して定められるべきでありまして、同居親が合理的な理由なく子の利益に反する形で別居親と子との交流の頻度を制限する行為は、これらの義務に違反したと評価される可能性があると認識をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/143
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144・清水貴之
○清水貴之君 そもそものところなんですが、今回の法改正で、親子交流の頻度や時間に変化は、これ生じる、ある意味増えるということは考えられるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/144
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145・竹内努
○政府参考人(竹内努君) 親子交流の頻度あるいは時間につきましては、その御家庭あるいは親子の関係等の事情に応じて協議で定められるべきものでございまして、本改正案におきましては、直接はその頻度等について触れるものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/145
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146・清水貴之
○清水貴之君 あと、幼稚園とか学校とか、子供が日常的に過ごしている場所での交流の実施、こういったものは可能性としてあるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/146
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147・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
親子交流を実施する場合の方法や場所につきましては、個別具体的な事案に応じて、子の利益を最も優先して考慮して定められるべきものでございます。
その上で、父母の協議又は家庭裁判所の審判において親子交流の場所を学校や幼稚園等と定めた場合であっても、学校等を親子交流の場所として提供するかどうかは、当該学校等の管理権者において、個別の事案ごとに教育施設管理等の観点から、適切に検討されるべき事柄であると考えております。
本改正後も引き続き適切な運用がされるよう、教育を所管する文部科学省と連携してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/147
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148・清水貴之
○清水貴之君 ちょっと、三のこの親子交流についてちょっと一回置かせていただいて、四の共同養育計画、子のガイダンス、子の意見表明権にまず移らせていただいて、時間が残れば、また三の方に戻らせていただきたいと思います。
子へのガイダンスです、まずは。
両親の離婚に際して、子供たちは極めて不安定な心理状態となります。中には、両親が離婚したのは自分のせいだと自分を責める子供や、親に迷惑を掛けない、いい子にならなければならない、つらい思いをした親のためにも自分が親を笑顔にしなくてはと、過剰に周囲に配慮する子供たちもいると。
そういった子供たちは、小さい体に抱え切れないほどの悲しみや苦しみを抱えていまして、そういった子供たちにこそ、両親の離婚というのは決して子供、あなたのせいではないんですよということを伝え、つらいときにどうしたらよいかという対応方法を教えるガイダンス、こういったもの、親ガイダンスという話はこれまでも委員会審議で出てきているんですが、子へのガイダンスというのも必要ではないか、重要ではないかと思うんですけれども、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/148
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149・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
父母の離婚に直面する子への社会的なサポートは、子の利益を確保する観点からは重要であると認識をしております。
法務省では、ホームページを通じまして、父母の離婚で悩んでいる子供向けに相談窓口を含めた必要な情報提供を行っているところでございます。このホームページでは、親が離婚することについて、子供であるあなたが責任を感じたり自分を責めたりする必要は全くないんだよというメッセージを発信しております。
また、令和五年度に実施した離婚後養育講座の調査研究におきましては、子供を紛争に巻き込まないことや子供の意見に耳を傾けることの重要性等について、心理学の知見も踏まえて説明を充実させるなどの工夫をしたところでございます。
引き続き、関係府省庁等とも連携して、各種の制度を適切かつ十分に周知することを含め、子への支援の在り方について適切に検討してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/149
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150・清水貴之
○清水貴之君 引き続きお願いします。
そして、ガイダンスと同時に、子供の意見を聞く、意見表明権についてなんですが、単独親権となった場合でも別居親に会いたいと願う子供ですとか、共同親権となった場合でも、実は性的虐待を受けており恐怖におびえている子供など、様々な子供の困難というのが考えられる中で、子供当事者の本心を聞くというのも重要ではないかと。
ただ、一方で、これも、この委員会の議論の中とか参考人の方からは、なかなか、本心を聞き取るのはやっぱりなかなか難しいであるとか両親を選ばせるのはやっぱり酷ではないかとか、いろんなこれも議論があるところだとは思うんですけれども、法務省としては、子供のこの意見表明の必要性、その反映方法についてはどのように考えていますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/150
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151・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
一般論としては、離婚時に父母が子の養育に関する事項を取り決めることは子の利益にとって望ましく、このような養育計画の作成の促進は重要な課題であると認識をしております。また、本改正案では、父母が子の人格を尊重すべきことを明確化することとしております。ここに言う子の人格の尊重は、子の意思が適切な形で考慮され尊重されるべきであるという趣旨を含むものであります。共同養育計画の作成に当たりましても、父母は、子の意思を適切な形で考慮することを含め、子の人格を尊重しなければならないこととなると考えております。
法務省では、共同養育計画の作成に関する調査研究を実施する予定でありまして、その際には、子の意思の確認方法等を含め、法学者や心理学者等の協力を得て検討したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/151
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152・清水貴之
○清水貴之君 最後に、大臣、お伺いしたいんですが、これ、二点併せてお聞きできればと思います。
共同養育計画作り、これは我々の会派の嘉田委員なども常々言ってきていることで、様々な面会交流であるとか養育費の問題とか、それをしっかりと履行をしていくためには、その手前段階での計画作り、そういったものが必要ではないかということで、その必要性は認めていらっしゃると思うんですが、やっぱりなかなか義務化までは難しいという答弁だとは思うんですが、そこはお変わりないかというところと。
あともう一点。これ、おとといの審議で音喜多議員から、法案成立から施行までが二年以内となっているが、新設される子の利益のための父母間の人格尊重、努力義務は、親権、婚姻の有無に関係ない理念法であると、法案成立直後にその条文の部分的施行や運用を裁判所に促すことは可能ではないかという趣旨の質問をしまして、大臣は、趣旨は理解をするが、なかなか、関係機関等の準備の時間もあるので、やっぱり二年というのは必要な期間だというような答弁をされたと思うんですけれども。
ただ、やはりこういった思いとか理念を、その現場ですね、裁判所の調停であったり、裁判官であったり、調停委員であったり裁判官であったり、そういう現場の方がやっぱり早い段階から、二年たってぱっと始めるんではなくて、これだけいろんな議論があって問題点も明らかになってきたわけですから、こういったものを今からどんどん浸透させていく、ちゃんと周知していくというのはこれは必要なことではないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/152
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153・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) まさにそのとおりだと思います。それほど複雑な制度ではないとは思いますが、しかし、様々な御意見があり、また様々御説明がまだ十分でないかもしれない部分もありますので、施行までの二年間を有効に使って、関係者の方々が、裁判所も含めて、我々も含めて、理解を深める、共通の理解を持っていただくための努力、非常にその期間は重要な期間だというふうに認識しております。
ただ、それが行き届かないうちに理念法のところだけ施行するというのは、ちょっとやはり無理があるなというふうに考えるわけでございます。
それから、共同養育計画、これもお気持ちは、お考えはもうよくよく分かるんですが、やはり離婚の足かせになるといいますか、離婚の、なかなか、が進みにくくなる要因にもなり得るという懸念もやはり完全には拭い去り難いものがありますので、慎重に検討を進めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/153
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154・清水貴之
○清水貴之君 以上で終わります。ありがとうございました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/154
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155・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) この際、委員の異動について御報告いたします。
本日、山下芳生さんが委員を辞任され、その補欠として山添拓さんが選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/155
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156・川合孝典
○川合孝典君 国民民主党の川合です。
今日は、まずは、これまで余り指摘されてこなかった点について確認させていただくところから始めたいと思いますが、銀行口座の開設についてお伺いします。
共同親権が適用された場合に、子の銀行口座の開設に当たって新たにどのような確認作業が必要になるのか、この点についてまずお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/156
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157・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
預金口座の開設のような財産管理につきましては、監護又は教育に関する日常の行為とは言い難く、父母が共同して親権を行うこととなると考えます。
もっとも、このことは預金口座の開設をするためには必ず父母双方の署名押印が必要であることを意味するものではなく、父母の一方の署名押印をもって他方の黙示的な同意を推定することができるとして取り扱われることが現行法の下でも一般的であると承知をしておりまして、このような取扱いについて特に変更が求められるものではないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/157
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158・川合孝典
○川合孝典君 つまりは、共同親権が導入されたからといって、口座の開設をするに当たっては何ら支障が生じることはないということをおっしゃったという理解でよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/158
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159・竹内努
○政府参考人(竹内努君) 委員御指摘のとおり、そのように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/159
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160・川合孝典
○川合孝典君 それでは、例えば、いわゆる子の将来のために口座を開設する、その口座の中身が、例えば今でいうとNISAのような金融商品口座を開設をして将来のための子供の資金を運用をするといったようなことを考えたときに、一般的に急迫の事情には当然当たらないということではありますけれども、これも同様、今民事局長がおっしゃったことと同様に、そうした商品口座を開設することについても問題は生じないという理解でよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/160
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161・竹内努
○政府参考人(竹内努君) 委員御指摘のような口座の開設も、やはり財産管理行為に当たりますので日常の行為に当たらず、父母が共同して親権を行うこととなりますが、ただ、実務的には先ほど申し上げたようなところが一般的であると承知をしておりますので、特にこれに変更あるものではないと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/161
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162・川合孝典
○川合孝典君 しつこく確認させていただきますのは、現実に、法律上はそういった整理がされて、これまでもきちんとされているということではあるんですが、銀行の窓口で実際にそういったトラブルが発生しているといったような指摘も実はあります。
したがいまして、今御指摘したことも含めて、子供の財産権をきちっと守るということに関しては、共同親権ということとはまた別の問題として従来どおり子の財産権がきちんと守られるということ、このことがそうなのであれば、そのことを明示的にやはりお示しいただきたいと私は思うんですけれど、周知ということも含めて、大臣、お願いできますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/162
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163・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) ちょっと、具体的な方策は今ちょっと申し上げることが難しいのですけれども、子供の利益を図るための法制、法改革でありますので、今御指摘の点も、我々なりによく、また問題意識を持って研究を深めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/163
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164・川合孝典
○川合孝典君 子の利益を最優先にということは繰り返しおっしゃっていることであり、そのために合理的な理由があればということ、このことも繰り返しおっしゃっているわけですが、では、一体何が合理的理由に該当するのかということははっきりはおっしゃっていない、というか明示的には示せていないわけであります。
そのことの結果として皆さんが不安に思っていらっしゃるということでありますので、今指摘させていただいたこの点も含めて、これをその法律に書き込めといったようなことを申し上げているわけではなくて、実際、運用のルールとしてこれはこういうことですという、QアンドAなのか、ガイドラインなのか、指針なのか、やり方はいろいろあろうかと思いますけど、そういった形で誤解が生じないようにきちんと対応していただきたいという、こういう趣旨で質問をさせていただきました。
では、次の質問に移りたいと思います。
離婚後の子の養育計画に関する調査研究業務について確認させていただきます。
既にこれは伊藤先生からも一度御指摘が、質問ありましたけれども、離婚後の子の養育計画に関する調査研究業務の請負について、四月の十五日から五月の十三日までの間で入札を行われたということで、私の手元にも資料がございます。
まず、この調査研究業務について、この調査研究によって作成される予定のモデル養育計画というものの位置付けはどのようなものになるのかということをまず確認を、法務大臣、させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/164
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165・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 御指摘の養育計画の作成に関する調査研究、これは、法学者や心理学者等の協力を得て、我が国に最適な養育計画の在り方を検討し、モデル養育計画書を作成して、自治体や民間団体と連携して効果検証を行う、これを想定しております。
これを踏まえて研究を進め、最終的にはモデル養育計画が作成されますけれども、これは、例えば離婚後の子の養育に関するパンフレットに掲載するなども含めて、広報の在り方、検討していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/165
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166・川合孝典
○川合孝典君 ありがとうございます。
いわゆるもう既に開札されていますから、どなたが請け負われたのかということは多分法務省の中では決まっているんだろうと思うんですけれども、このモデル養育計画を策定、作成する上で、中立性そして客観性といったようなものがきちっと担保されているのかということについて、これも様々な方々から疑問のお声が上がっておりますので、どのようにしてこのいわゆる調査研究業務の中立性、客観性を担保していらっしゃるのかということ、このことについても加えて、追加で御質問させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/166
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167・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
調査研究で作成をされますモデル養育計画書につきまして、どのような形で効果検証やレビューを行うかはまだ未定でございますが、協力していただく研究担当者や民間団体等の知見を生かしまして適切なモデル養育計画書が策定されるよう期待をしたいと考えております。
現時点で、どの研究者、自治体、民間団体に協力を依頼するかについてお答えすることは困難ではございますが、子の利益の観点から、同居親、別居親、いずれの立場からも利用しやすい養育計画の在り方が検討されるよう期待したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/167
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168・川合孝典
○川合孝典君 このモデル養育計画の作成というのは当然、失礼、養育計画書の作成自体は、これまで当事者だけで作成するのは非常に難しいということもあって、海外などではこの養育計画を作るに当たってADRを活用した合意支援というものが一般的に行われていることは御承知のとおりということなわけですが、今回この調査研究業務の要綱を拝見させていただきますと、モデル養育計画の話はいろいろと記載されているんですけれど、このADRについての具体的な記載が見当たりませんでした。
このADRは必要な支援の項目の中に含まれているというふうに理解、これ読んで理解してよろしいのか、そのことについて確認をさせてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/168
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169・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
令和六年度の調査研究では、離婚後の子の養育計画について、法学者や心理学者等の協力を得て、委員御指摘のような海外の法制度や運用、我が国において共同養育を支援している民間団体等の先進的な取組などについて調査をいたしまして、我が国に最適な養育計画の在り方を検討し、自治体や民間団体と連携して効果検証することを想定しております。
具体的にどのような調査を行い、どのような方法により効果検証を行うかは、今後御協力いただく研究者とも協議して決定することになるため現時点では未定ではありますが、先ほど申し上げました民間団体には、家事事件を専門に取り扱っているADRなども含まれ得ると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/169
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170・川合孝典
○川合孝典君 つまり、民間総合調停センターさんといったような組織のことをイメージすればいいということですね。分かりました。
そうした一連の調査研究によってどういった成果物が得られるのかということ、このことについては当事者の皆さん、非常に高い関心を持って注視していらっしゃるわけでありまして、このモデル養育計画等の調査研究を行うこの過程、プロセスの中で、中間的な成果というものについての、要は関係者の方々へのフィードバックといったようなことについて御検討されているのかどうかということについて、これ法務大臣にお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/170
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171・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 大勢の方々が関心を持っていらっしゃいますし、初めての取組でありますので、やはりできるだけ早い段階で中間的なフィードバックを行って、関係者の方々の反応、また御示唆、そういったものを受けながら進んでいくという方法を取るのが適切かと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/171
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172・川合孝典
○川合孝典君 是非よろしくお願いしたいと思います。
それでは次の質問に参りたいと思います。
ここからはちょっと観念的な話になるんですけれど、裁判を行う上での離婚の事由、離婚事由について法務省の見解をお伺いをさせていただきたいと思います。
質問としては、離婚後の共同親権との整合性を取る上で、裁判離婚の事由を、有責主義といいますか、消極的破綻主義からいわゆる積極的な破綻主義に変更するべきなのではないのかといったような指摘を質問の中ではさせていただいております。
何のことを申し上げておるかということについてなんですが、御承知のとおり、調停離婚は夫婦の自由な協議で離婚できないときに協議の延長を家庭裁判所で行うということでありますから、その申立てに当たっての厳密な要件が特にあるわけではないということであります。しかしながら、離婚訴訟は、夫婦の一方が望まなくても判決をもって強制的に離婚させる手続である以上は、離婚請求に相当の根拠が必要、これが離婚事由ということになりますが、必要となります。
そして、裁判の判断には、現状、いわゆる有責主義と破綻主義という二つの大きな考え方があるということです。この有責主義というのは旧明治民法等で採用されておりましたけど、離婚請求される相手方に有責性がある場合のみ離婚を認めるという考え方。つまりは、相手の不義不貞があったとか、こういったことがいわゆる離婚事由として該当するということであり、昭和二十二年以降の現在につながる民法では、婚姻が客観的に破綻していれば離婚を認めるという、実質的に破綻していれば離婚を認めるという、こういう考え方なわけであります。
現状、現在の民法七百七十条ではこの破綻主義というものが採用されておりますので、夫婦の一方から婚姻関係の破綻を主張することで離婚を認めることについて裁判所の実は裁量を認めているということなわけですが、責任があって離婚の騒ぎになっているということであり、この責任のある有責配偶者からの離婚請求というのは、自分で離婚原因つくっておきながら誠実な配偶者をないがしろにする行為ということもあり、道義的、倫理的な問題があるということで嫌悪されてきたという、そういう過去の経緯も実はあるわけであります。その結果、実は、破綻主義の民法になっているにもかかわらず、有責配偶者からの離婚請求は認めない、いわゆる消極的破綻主義というものが今運用されているということなわけであります。
その後、徐々にこの消極的破綻主義から積極的破綻主義へということで、要はトレンドが少しずつ移ってはいるようでありますが、そうした動きを踏まえて、実は平成八年の民法改正要綱で法定離婚事由についての改正案が実は出されました。ここには、いわゆる積極的破綻主義というものを一定のルールの下に認めることが要綱の中に記載されているわけでありますが、しかしながら裁判所の判断は現在も消極的破綻主義を取っているという、こういう状況にあります。
私が問題指摘をさせていただきたいのは、今回、共同親権が実は導入されるということになり、その離婚裁判を、どのような判決が出るのかということもそうなんですが、有責主義ということが重視されますと、当然相手の責任というものについて裁判で争うという作業を行うことになります。しかしながら、裁判の後、子の養育、監護に対する責任は負わなければいけないということがありますので、この有責主義というものに基づいて離婚した御夫婦がいわゆる共同親権を持って子の監護を行うということを行うときに、果たして裁判で激しく争った上で仲よく子の養育に取り組むことができるのかということについてはむしろ整合性が取れなくなるのではないのかといった、そういう実は御指摘の声がありまして、それを私も拝見して、なるほどなというふうに思ったわけでありますが。
そこで質問なんですけど、離婚後の共同親権との整合性を取る上で、裁判離婚の事由は、今回の共同親権の考え方等が導入されるということを踏まえて、子の最善の利益を優先するということに着眼した上で破綻主義というものに変更していくべきではないのかという考え方について、こちら、法務大臣の御見解をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/172
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173・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 現行民法の裁判上の離婚原因には、破綻主義の考え方に基づくものと有責主義の考え方に基づくものが含まれており、必ずしも有責主義のみが採用されているものではございません。
その上で、平成八年二月に法制審から答申されました民法の一部を改正する法律案要綱では、破綻主義の考え方を明記する案が含まれておりました。法務省においては、他の項目も含め、平成八年及び平成二十二年にこの要綱を踏まえた改正法案を準備しましたが、国民の間に、あるいは当時の政権内にも様々な意見があり、改正法案の提出にまでは至らなかったという経緯がございます。
本改正案においては、法制審議会家族法制部会の諮問事項との関係で離婚原因一般についての見直しには至っておりませんが、法務省としては、この答申を重く受け止めており、委員御指摘の離婚原因の在り方についても一つの大きな課題であるというふうに認識をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/173
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174・川合孝典
○川合孝典君 ということは、一部有責主義を認める離婚事由というものを採用しているという背景にあるのは、与党側がこの平成八年の改正案については慎重な姿勢を取ったからだということで今はっきりおっしゃったわけでありますけど。
つまりは、ということは、今回の民法改正に伴って様々な環境が変わってきているということを考えたときに、今私が御提案させていただいた離婚事由のいわゆる破綻主義というものの考え方というものについては今後検討していく価値があるものではないのかと思いますが、この共同親権といったいわゆる家族の在り方自体の根幹に関わるルールを変えようという話になっておるわけでありますので、是非この点について御検討を始めていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/174
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175・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 今御答弁申し上げましたように、この答申は我々非常に重く受け止めております。
今回の諮問事項の範囲はこの離婚原因一般についての見直しは入っておりませんが、この答申そのものは非常に、引き続き継続的に重く受け止めているところでありまして、共同親権との、今回の法改正との関わり合いについても先生から今御指摘をいただきましたので、そういった点もよく念頭に置いた上でしっかりと対応を考えていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/175
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176・川合孝典
○川合孝典君 真摯に御答弁いただいているのはもう重く受け止めているんですけど、実際にこの改正法案要綱が出てから既に二十八年も経過しているということですから、重く受け止めているだけで立ち止まっていてはいけないということだということを、しつこいようですけど申し上げさせていただきたいと思います。
ちなみに、この民法改正の平成八年の要綱は、法定離婚事由についてこのように書いてあるんですね。不貞行為と悪意の遺棄について、婚姻関係が回復の見込みがない破綻に至っているときに限定をする。そして二点目が、婚姻の本旨に反する別居が五年以上続いている場合。三点目が、婚姻を継続し難い重大な事由を、婚姻関係が破綻して回復の見込みがないときに変更する。そして四点目が、五年以上の別居や婚姻関係の破綻が認められても、配偶者に対する協力扶助を怠り、請求が信義に反するときは棄却できる、こういったこと。それから、最後五点目、離婚が配偶者や子に著しい生活の困窮又は耐え難い苦痛をもたらすときは棄却できると書いてあるんですね。
今回のいわゆる民法改正における様々な議論の中身ともかなり整合性が取られた内容のものが既に二十八年も前に出されているということに対して、さすがだなと思って私はこれ拝見させていただいていたわけであります。
先ほどもちらっと触れさせていただきましたが、裁判離婚、裁判にまで及んで離婚するということですから、要はもう既に婚姻関係が破綻状態にあるということを認定するだけの蓋然性は正直言ってあると思うんです。その状況の中で殊更いわゆる相手の責任を責め合うという行為を行うことが、果たして子の最善の利益、円滑な共同養育計画の策定、いわゆる監護の分掌といったようなものを前向きに積極的に協力して進めていくという上でプラスになるのかどうかということが今実は問われ始めているということなわけであります。そのことを是非大臣には御認識いただきたいという意味で、突然この質問をさせていただいたということであります。是非、この点については御検討いただきたいと思います。
時間の関係がありますので、次の質問に移らせていただきたいと思います。
婚外子の親権についてということですが、認知と同時に婚外子の親権はこの場合母親がお持ちになるということになるわけですが、親の責務としての親権の概念のいわゆる空洞化を招くのではないのかといった指摘が一部上がってきております。
また、婚外子差別につながるのではないのかといったような指摘もあるわけでありますが、婚外子を認知すると同時に父母の共同親権としない理由は何なのか、このことについて確認させてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/176
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177・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
本改正案では、父母が婚姻関係にない子について、父の認知前は法律上の親子関係が母子間のみに存在するため、まずは親権者を母としつつ、認知後に父母の協議又は家庭裁判所の審判等によって親権者を父母双方と定めることができることとしております。
父の認知によって当然に父母双方を親権者とすべきではないかとの御指摘については、一般に、認知の場合には父母が親権を共同行使した実績がないことや、認知は母の同意を必要とせず父の意思表示のみによって可能であることなどを踏まえ、慎重に検討すべきであると考えております。
そこで、本改正案では、父の認知によって当然に父母双方が親権者となることとはしていないものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/177
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178・川合孝典
○川合孝典君 理由は理解はできました。その上で、いわゆるその婚外子の扱いについて、今後の民法改正によって何らかの差別と指摘されるような状況が生じないような、そういったことについても御配慮をお願いしたいと思います。
時間の関係がありますので、最後の質問に移りたいと思います。
子供の最善の利益を守るためにということで、私、初回か二回目の質疑のときに、いわゆる裁判所の裁定を守らなかった場合に罰則規定を設けるべきではないのかといったことについて問題提起をさせていただき、竹内局長の方からは、民法の違反についていわゆる刑法を適用するということについては慎重に検討する必要があるといった御答弁をいただいたということであります。
私も刑事訴訟法の勉強をやってまいりましたので、そういう意味では民事局長がおっしゃったことの趣旨は重く受け止めてはいるんですが、その上でなんですけど、この一連の議論を通じて多くの方々から指摘をされていたのが、裁判所に対するやはり不安の声なんですね。その上で、その裁判所の裁定が適正なのかということと同時に、適正な裁定がなされるのかということと同時に、決めたことがきちんと守られるのかと。決めたけど払わないと、決めたけど会わせないといったようなことは往々にして散見されるわけでありまして、実効性に対しての不安の声もやっぱり上がっているわけであります。
そうしたことを考えたときに、裁判所が乗り出してきて要は裁定を行うということに対していかにして実効性を担保するのかということを考えたときに、子供の最善の権利を守る上で一体何をすべきなのかということを改めて考えなければいけないということなんだと思います。
その上で、気が付いたことについてちょっと指摘をさせていただきたいんですが、こども基本法が令和四年に施行されました。これは、子の最善の利益ということを前提として様々な取組を行うということについて定められた子供の権利を守るための基本、いわゆる理念法ということなわけでありますが、このこども基本法というものと今回の民法改正による子の権利ということとの整合性を考えたときに、こども基本法の法務省における位置付けというのが一体どうなっているのか、このことについて、まず法務大臣にお伺いをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/178
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179・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) これは、こども基本法という大きな理念を掲げた、根本的な子供政策の方針を表明した法制がありまして、我々もそういったものに、この考え方に沿って、今回の子供を優先する、子供の利益を優先する民法の改正、こういうものを成し遂げていこう、そういうふうに考えているところであります。
理念は同じもの、同じ理念の下で我々は進んでいると、こういうふうに認識をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/179
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180・川合孝典
○川合孝典君 ちょっと理論的な話になりますので、分からなかったら分からないとおっしゃっていただければ結構なんですが、その場合、このこども基本法というのは、いわゆる国家と国民との規律付けを行う公法なのか、私人間の関係を規律する私法なのか。こども基本法というのは公法なのか私法なのか、あるいは、それのどちらに近いものなのかということも含めて、これはどう捉えればいいのかということを、これは民事局長にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/180
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181・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
こども基本法の中身自体を法務省所管しておりませんので私も詳しくは存じ上げませんが、こども基本法の性格について所管していない法務省からお答えすることはなかなか困難であることは御理解いただきたいと思いますが、個人的な感覚としては、恐らく、私人間の権利関係を定めるというよりも、国あるいは自治体等が子供の権利をいかに守るかということを規定したものではないかと、済みません、これは若干推測が入りますが、そういう法律ではないかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/181
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182・川合孝典
○川合孝典君 ありがとうございます。
公法か私法かということについて申し上げさせていただいたのは、実は、いわゆる私法を違反したことに対して公法上の罰則を適用するということについての慎重な見解というのがあったわけでありますが、実は、私法であっても刑法上の罰則が付与されている法律ってほかにあるんですよね。例えば、労働基準法ですとか独占禁止法といったような法律は、いわゆる民事の関係の法令でありますけれども、あとは労働契約に関するような法令でありますが、それを違反することに対して科料やいわゆる拘禁といったような刑罰が付されている。
では、なぜそうした法令には罰則、公法上の罰則が付与できているのかということを考えると、結局、調べてみましたところ、この労基法や独占禁止法のような公益上の理由で市民相互の関係を規律付ける法律の分野というものが、公法、私法とは別にいわゆる社会法として位置付けられているということであり、この中間的な性格を持つ法律と位置付けることで、いわゆる労働基準法違反に対する罰則規定というものが設けられているという、こういう捉え方に実はなっているわけであります。
したがいまして、子の権利、子の最善の利益というものを私は正直言って公益上の極めて大切な権利というものに位置付けるべきだと思っておりますので、このこども基本法というものを社会法と位置付けることで公法と私法の整合性をいかに取るのかというこの前提に立って、いわゆる裁判所の裁定に対して、これが共同養育計画なのか、それから養育費の支払の問題なのか、又は監護の時間や様々な両親での取組ということに対する取決めというものをきちんと守らせるため、そのことの実効性を高めるための何らかの私は、まあ罰則と言うのがいいのかどうかは分かりませんが、いわゆる裁判所裁定を侵害するような行為に対して公法上の制裁規定を適用するということが可能ではないのかということを実は考えたわけであります。
よって、大臣にこれ、時間ですからこれで終わりにしたいと思いますが、是非大臣に御検討いただきたいのは、この裁判所の裁定の実効性を高める、それは裁判所の言うことを聞かせるということが大切なのではなくて、子が貧困に陥っている状況をいかに改善するのか、子の権利を守るために裁定の実効性をいかに高めるべきなのかという観点から、今私が御提案したことについて是非これから御検討いただきたいと思うんですけれども、最後、大臣の御見解をお伺いをして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/182
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183・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 非常に本質的な問題を視野に捉えて、そしてそれを包括的に検討される一つの重要な枠組み、思考の枠組みについての御提示だと思います。我々もそれを法的な枠組みとして捉えてしっかりと研究したいと思います。子の幸せのために研究したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/183
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184・川合孝典
○川合孝典君 是非よろしくお願いします。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/184
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185・山添拓
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。
前回に続いて質問をいたします。
法案の大きな問題は、離婚後、父母の合意がないのに裁判所が共同親権を強制し得る点にあり、引き続き懸念の声が広がっています。
そこで、大臣にこの法案についての認識をまず問いたいと思います。
おとといの質疑で、濫訴や不当訴訟、リーガルハラスメントあるいはリーガルアビューズ、法的な虐待とも呼ばれますが、そうした事態が広がる懸念について、それは婚姻中別居のケースでも同じことが起こっている、それが共同親権になることによって悪くなるか、状況は変わらないと答弁されました。しかし、決して同じではないと思うんですね。婚姻中別居のケースで現に深刻なリーガルアビューズがあり、それが離婚後に更に拡大し得るので問題だと指摘しています。
大臣、状況は変わらないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/185
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186・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 様々な濫訴とか様々な介入ですよね、圧力を掛ける、そういう形で離婚後の共同親権の状態にある家庭の運営について、子供の養育について妨害が入る、そういうケースをおっしゃっているわけですよね。
これは、まず一点目は、婚姻中の別居夫婦においても変わらないわけでありますが、まず申し上げたいのは、その共同親権に入る入口のところで、裁判所によって一つの、この両者の意思を確認し、意見を聞いて、裁判所が間に入って、本当にこの御夫婦は共同親権をやる意思があるのか、真っすぐに子供の養育のためにやろうと思えるのか、また客観的に見てそれが可能な状況か、共同行使が可能か、そういう状況をつぶさに見るわけですよね。そこで多くの、多くの不適切な対応になってしまうその片親は排除されていくという仕組みが大枠としてあるわけです。
自由に共同親権になるわけではない、一定の要件を満たした場合に裁判所が共同親権ということもあり得ますよねという話をすることになるわけですけれども、多くの場合はその手前で、本当にその意思があるのか、又はそういう妨害をしたというようなその過去はないのか、様々なDVのおそれもないのか様々な検討が行われ、そして多くの場合、排除、まあ少なからず排除されるケースもあるわけであります。さらに、それで共同親権に至った場合に更になお濫訴のリスクがある、それは否定はしませんけれども、その手前に大きな関門があるということも是非前提に置いてお考えいただければと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/186
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187・山添拓
○山添拓君 今、リスクはあるということをお認めになりましたが。
資料をお配りしています。ちょっと待って共同親権プロジェクトが、今月八日から十日、行った調査です。
二枚目の下の方から三枚目にかけて、別居、離婚経験者の五八%が離婚後アビューズに遭っているという結果でした。精神的なもの、経済的なもの、面会交流のこと、法的なもの、様々あります。離婚後アビューズに遭った五百八十二人のうち、子の面前でも経験したと回答した人が四百三十一人、七割を超えています。そこに、この法案が新たな問題を追加しかねないということが問われています。
熊上参考人は、法案が成立すれば、共同にするか単独にするかどうか、監護者をどちらにするか、監護の分掌をどうするか、日常行為なのかどうか、急迫かどうかなど、常に子供と親が争いに巻き込まれる、それによって親が子を安心して育てることが難しくなるのではないかと懸念を述べました。
民事局長、こうした懸念は看過できないと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/187
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188・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
濫用的な訴えや申立てに対する不安の声があることや、これによってDV被害者の方への支援が滞るようなことがあってはならないと考えております。
何が濫訴に当たるかについて一概にお答えすることはなかなか困難ではございますが、現行法におきましても、不当な目的でみだりに調停の申立てがされた場合に、調停手続をしないことによって事件を終了させる規律など、一定の対応策があるものと承知をしております。
また、本改正案におきましては、父母相互の協力義務を定めておりますところ、不当な目的でされた濫用的な訴え等につきましては、個別具体的な事情によってはこの協力義務に違反するものと評価されることがあり得るところでありまして、このことを適切かつ十分に周知することがそのような訴え等の防止策になると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/188
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189・山添拓
○山添拓君 いや、今協力義務に違反するということをおっしゃいましたが、まさにその協力義務という条項が入ることによって協力義務に違反するという新たな訴えが起こされる、そういう懸念もあると思うんですね。
大臣がおっしゃるように、確かに婚姻中別居でも多くの問題があります。だからこそ離婚を選択し、ようやく逃れようとしたにもかかわらず、離婚後も共同親権となれば、言わば無期限の延長戦を強いられる、そうした事態になりかねないわけです。
法案八百十九条六項は、子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子又はその親族の請求によって、親権者を変更することができるとしています。今後離婚する父母だけでなく、既に離婚した父母の間でも、親権者の変更により共同親権となることがあり得るという定めです。
最高裁に伺いますが、親権者変更を請求し得る父母というのは、今日およそ何組あると推定されるのでしょうか。例えば、裁判上の離婚で子の親権者の定めがされた件数は年間どのぐらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/189
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190・馬渡直史
○最高裁判所長官代理者(馬渡直史君) まず、親権者変更を請求し得る父母が何組あると推定されるかにつきましては、推定の基礎となるような統計数値を有していないため、お答えすることは困難です。
その上で、例等を出された裁判上の離婚の関係の数値ですが、いずれも現時点における速報値でございますが、令和五年において離婚の調停成立又は調停に代わる審判の件数は二万三千三十五件でありまして、そのうち親権者の定めをすべき事件の件数は一万六千百三件でした。
また、令和五年において離婚訴訟で請求認容判決、和解成立又は請求の認諾により終了した事件の件数は五千六百三十七件ありまして、そのうち子の親権者の定めをすべき事件の件数は三千二百四十二件でございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/190
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191・山添拓
○山添拓君 親権者の定めをすべき件数が一万六千件余りと三千二百件余りですから、合計二万件弱となります。裁判上の離婚は全体の十数%ですので、協議離婚でおおむね同程度の割合だとすると、年間約二十万組の父母間で離婚に伴い子の親権者の定めがされているということになります。正確な数字ではありませんけれども、年間そのぐらいのボリュームになる。
そうしますと、離婚に伴って父母のいずれかが親権者となっている子がいるケースというのは、これ一年間の数字ですから、全体にすると百万単位に上る、こう考えてよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/191
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192・馬渡直史
○最高裁判所長官代理者(馬渡直史君) 繰り返しになりますけれども、推定の基礎となるような統計数値を有していないため、正確にお答えすることは困難であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/192
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193・山添拓
○山添拓君 民事局はどうですか。大体そのぐらいの数になっていくだろうということは推定されますよね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/193
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194・竹内努
○政府参考人(竹内努君) 最高裁の言われるとおりでして、我々も正確な数字は持ち合わせておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/194
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195・山添拓
○山添拓君 これは容易に推定し得るものだと思うんですが、つまり、どのぐらいの方に影響が及ぶ法案なのかということを推定されていない、その前提もなく議論がされてきているわけですが、法案が成立すれば多くの父母間で新たに共同親権への変更が請求される可能性が少なくともあります。少なくとも子が成人するまではその可能性があります。中には、相当以前にDVや虐待が原因で離婚した父母間で、加害者側が共同親権を求めるというケースもあるだろうと思います。
法案は、将来のDVや虐待のおそれがある場合には単独親権としなければならないと定めています。法務省はおとといの質疑で、過去のDVや虐待について、そのような事実が主張ないし立証されれば今後のおそれを推認する事実になると民事局から答弁いただきました。
調停であれば主張するだけでもおそれが認められる場合もあると、こういう意味でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/195
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196・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
調停か審判かでそこが大きく違うかというと、それは各事件の事情によるのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/196
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197・山添拓
○山添拓君 いや、主張ないし立証されればという御答弁でしたから、必ずしも立証されなくても必要によって認められる、そういうケースがあり得るということかと伺いました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/197
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198・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
手続の全趣旨あるいは審判の全趣旨によって、その主張だけからおそれが認められるというケースもないではないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/198
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199・山添拓
○山添拓君 ないではないということでしたが、相手が否定すれば難しいだろうと思うんですね。
協議離婚によって調停や裁判のような記録が残っていない、手元にメモや録音もない、いや、そもそもそうした苦しい過去からなるべく遠ざかりたいと思って記録は捨て去っているという方もいらっしゃると思うんです。
最高裁にも伺いたいと思うんですが、過去のDVや虐待の証拠となるのは被害者である本人の言葉だけ、そして相手は否定する、したがって被害の事実は認定できないということで共同親権を認めていくというケースはあり得るんではありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/199
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200・馬渡直史
○最高裁判所長官代理者(馬渡直史君) まず前提として、改正法が施行された後の運用について具体的に申し上げることは困難ですし、また個々の事件におけるDV等の認定については、個別具体の事情を踏まえて個々の裁判体により判断されるものであって、事務当局としてお答えすることは困難ですけれども、その上で、一般論として申し上げれば、DVや虐待の有無に争いがある場合には、その事案に応じた様々な証拠等、様々な証拠等から判断されるものと承知しておりまして、例えば、それのみで容易にDVや虐待の事実が認定できるような確たる証拠がない場合でございましても、供述証拠やそれを補強する証拠を含め、証拠及び認定される事実関係を総合して検討、判断されているものと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/200
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201・山添拓
○山添拓君 総合してとおっしゃるんですけれども、そのような証拠そのものが残っていなくて被害を訴える側の供述のみだと、そしてそれを相手は否定をしてくる、そのときに果たして裁判所は、いや、この事件では、このケースではDVや虐待のおそれありとまで果たして判断してくれるのか。そうとは限らないと思うんですよ。だから、合意もないのに父母に共同親権を強要し得る仕組みはやめるべきだと私は考えます。
山崎参考人が、意見陳述の最後に被害当事者からのメールを読み上げました。
既に離婚している父母も申請すれば共同親権にできるとの一文を見ました。きっと私の元夫は申請してくるでしょう。政治家はようやく立ち直りかけた私たちにまた闘えと言うのですね。平穏を手に入れたと思っていたたくさんの被害者たちをまた崖から突き落とすのですね。私のように、身体的暴力の証拠は残っていなく、既に何年も経過している者は、どうすれば被害者だと認めてくれるんですかね。非常に落胆しています。
同じような思いでいる被害者は決して少なくないと思うんです。大臣はこの声にどうお答えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/201
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202・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) その被害に遭われた方が真剣に身に起こったことを、過去のことをお話をされれば、これは裁判所に通じると思うんですよね。うそをつく必要がないわけでありまして、DVに遭ったということを主張することが何か利得に結び付くわけじゃ全くないわけですから、真実をそのまま語れば、裁判所ではそれを受け止める、私はそう思います。また、そうでなければいけない、そのように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/202
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203・山添拓
○山添拓君 それは、この当事者からの声に全然向き合っておられないと思いますよ。だって裁判では、当事者は双方いるわけですから、片方の声だけに耳を傾け、全てを決めるということにはならないと思うんですね。それを否定する加害者側が、DVや虐待の場合の加害者の側の声についても聞くことになりますよね。そうして、結果としては、ああ、DVや虐待の記録は残っていませんね、今は反省している、もうやっていませんね、共同親権で今後もDVや虐待のおそれはないでしょう、そういう結論になりかねない。いや、既に現在の家裁実務の中でも、不安を感じ、被害を恐れている多くの方がいるわけです。
親権者変更の請求が、言わば遡及的に離婚後共同親権をもたらし得ることの懸念は大きいです。当事者間では決着済みの問題が蒸し返されてしまうからです。
大臣は、被害者の思い、不安、傷をよく理解しているとおっしゃいます。そういう姿勢でおられるのだと思いますが、しかし、法案にはその理解は感じることができません。協力関係がなく、話合いができないような父母が共同親権となることで、子の利益に反する事態が起こらないと言えるのか。
とりわけ深刻なのは、医療行為との関係だと思います。当委員会で仁比委員も質問してきましたが、厚労省に改めて聞きます。医療行為における親権者の同意というのはいかなる位置付けのものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/203
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204・宮本直樹
○政府参考人(宮本直樹君) お答えいたします。
医療行為における親権者の同意でございますけれども、個々の医療行為の同意については、医療法は医療を受ける本人以外の第三者の決定、同意についてはルールを設けておりませんけれども、判断能力が乏しい未成年者については、親権者が意思決定するなど、民法の一般的な考え方に基づいて、患者の個別の病状や判断能力に応じて医療現場で適切な医療が提供されているものと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/204
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205・山添拓
○山添拓君 適切な医療は適切な説明が前提、ですからその意味で、親権者が同意を与えることによって医療行為が行えるようになる、そういう現場の実態だということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/205
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206・宮本直樹
○政府参考人(宮本直樹君) おっしゃるとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/206
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207・山添拓
○山添拓君 そうあるべきだと思います。
しかし、その下でどんな事態が現に起きているか。大津地裁で二〇二二年十一月十六日、娘の手術に当たって父親に説明や同意を求めなかったのは違法だとして、病院に対して慰謝料の支払を命じる判決がありました。
当時三歳だった娘が、肺の動脈弁をバルーンで拡張する手術を受けました。このバルーン手術は三歳程度までが適用で、その年齢に達しつつありました。当時、父母は婚姻中別居の状態で、父親は家庭裁判所から面会を禁止されていました。
判決は、親権は共同で行使するのが原則であり、子の治療の同意も両親で行うべきだと。例外的に一方の親権者の同意でもよしと言えるのは、親権者の意向に対立があって、説明したとしても同意されないことが明白な状況があること、また、治療の緊急性があり、説明や同意など手続を踏んでいては機会を逸し、未成年者の福祉を害することが明らかな、そうした場合だといって、この本件の場合には、父親は同意しないとは明言していないんだと、あるいは治療の機会を逸するほど緊急ではなかったなどと評価しています。
これは、婚姻中別居の共同親権での裁判例です。離婚後共同親権でも起こり得る問題です。大臣は、この裁判、どうお感じでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/207
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208・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) ちょっと今初めて伺ったので、その詳細は存じ上げておりませんが、今それ婚姻中の御夫婦の話ですけど、離婚後共同親権を持ち共同親権を共同行使するというところに至った、実質的な話合いの下でそういう結論に至ったその両親というのは、やはりそれは裁判所が認定することですけれども、子供の利益を優先的に考えてくれる御両親ですということが確認されて初めて共同親権が付与されるわけですよ。
ですから、そこに至って、じゃ、急に態度が変わって裏切り行為をするかと。その可能性はゼロではもちろんないですけれども、多くの場合、ほとんどの場合、裁判所の話合いの中で、その本当の姿勢、子供、子育てに対する、共同養育に対する、共同親権に対する本当のその人の真摯な姿というものは裁判所も見極めて判断するはずでありますし、そうあるべきだと思うんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/208
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209・山添拓
○山添拓君 判決については通告をしておりますが、大臣の方で必ずしも把握されていないということであれば、これは病院が相手になった裁判です、厚労省は把握しておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/209
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210・宮本直樹
○政府参考人(宮本直樹君) お答えいたします。
御指摘の裁判例は、子の治療に当たる担当医が、別居の親権者に対し子の今後の治療について父母双方から同意を取る予定であると説明していたにもかかわらず、その一方のみの同意を得て手術を行った事案であると承知しております。
この裁判例は、父母双方から同意を取る予定であると説明をしていたということや、手術の緊急性があるとまでは言えなかったという具体的な事情を踏まえて医療機関の責任を認めたものであって、一般化できるものではないというふうに認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/210
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211・山添拓
○山添拓君 一般化できるものではないとおっしゃいますけれども、現にこのような判決が出ているわけです。病院の側は困ると思うんですよ。当事者から、母親から、子の父親は面会禁止になっていると、裁判所がそう決めているという書面も持ってきていたんですね。ですから、今同居している母親の側の同意によって手術をして構わないだろうと病院はそう判断したわけです。問題は、医療機関が萎縮しないかということにあると思います。
資料の二を御覧ください。
昨年九月、日本産科婦人科学会、日本小児科学会など四学会が連名で大臣への要望を発表しています。共同親権を導入する趣旨や理念については理解するとしつつ、父母の離婚後も両方の親権者の同意を必要とすることになれば、生命、身体の保護に必要な医療を実施することが不可能あるいは遅延することを懸念するとしています。
資料の三も御覧ください。
全日本民医連の今年三月の声明です。不仲で同席できない両親に説明し同意を得ることは、臨床現場に二重の負担を掛けることになり、適時適切な医療の実現の妨げになるし、両親の意見が食い違った場合の扱いも困難な立場に医療機関が置かれる、訴訟リスクが格段に上がり、訴訟を避けるために医療行為を控えざるを得なくなり、子供が適切なタイミングで治療を受ける機会を逃すことが増加することを憂慮するとするものです。
厚労省に伺いますが、医療機関に負担を負わせ、子の治療を受ける機会を損なう事態があってはならないと考えますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/211
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212・宮本直樹
○政府参考人(宮本直樹君) 先生御指摘のとおりに、こういう共同親権によって医療現場に負担を負わせることになってはいけないというふうに考えております。医療現場で引き続き適切な医療が提供がなされるよう、この改正法案が成立した場合には、御指摘のような懸念が生じないように制度の周知をきちっと図っていくことが非常に重要であるというふうに認識しております。
厚生労働省においては、医療機関の状況をよく注意し、法務省とよく相談しながら、共同親権の場合の共同同意の在り方等について、ガイドラインの必要性などについても検討してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/212
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213・山添拓
○山添拓君 周知を図っても、現場では実際に困る事態が起こり得ると思うんですね。この大津の裁判の事件も、手術については父親の方が自らの同意も必要だと、こう後から裁判を起こしてきたわけですが、一方で、カルテの開示請求については、同居していない一人の親権者である父親の、一人の請求によっても開示できるはずだと、こう言って求めてきたと。
ですから、医療機関としては、親権者が、どちらも親権者だと言って治療の同意をしてきたり、あるいは開示請求をしてきたり、そのときに一緒にやることもあれば一人一人でやることもある、そういう事態に置かれて、対応によっては後から訴訟リスクを負うことになると。これは、困る事態は起こり得ると思いますよ。いや、現に起こっているわけですよ。
大臣、この現場の声をどう受け止められますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/213
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214・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) これ様々な、本当に様々なケースが現場では起こり得ると、それはそのとおりです。
我々ができる最大の、最大限努力したいと思っているのは、やはりガイドラインを作ることです。医療関係者との意思疎通も踏まえた上できちっとしたガイドラインを作り、それを医療機関にも理解をしてもらう、そういう方向で最大限の努力をしていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/214
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215・山添拓
○山添拓君 私は、ガイドラインでは医療機関が安心して対応するということはなかなか難しいと思うんですよ。ガイドラインは、ないよりは参考になるかもしれません。しかし、それが裁判官を拘束するわけではありません。訴訟リスクを負うのはそれぞれの機関ですから、医療機関などですね。
法案の八百二十四条の二、一項は急迫の事情があるとき、二項は日常の行為に係る親権の行使について、父母それぞれ単独で親権を行使できると定めています。
木村参考人からは、この条文の下では、学校のプールや修学旅行、ワクチン接種や手術の予約などの決定をいつでももう一方の父母がキャンセルでき、いつまでも最終決定できない状態が生まれるという指摘がありました。言わば無限ループですね。
民事局は、これはどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/215
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216・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
お尋ねのようなケースは婚姻中の父母について現行法の下でも生じ得るところでありますが、各父母による親権行使の当否は、個別の事案における具体的な事情に即して判断すべきものであると考えます。
その上で、一般論としてお答えをいたしますと、父母の一方が親権行使をした後に他の一方が事後的にこれと矛盾する行為をすることにつきましては、本改正案において新設している父母相互の協力義務の規定の趣旨や、親権は子の利益のために行使しなければならないこと、父母が子の人格を尊重しなければならないことなどを踏まえて判断されるべきであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/216
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217・山添拓
○山添拓君 いや、こうした事態が婚姻中も起こり得るという説明はもうやめられるべきだと思いますよ。婚姻中に確かに起こっているその問題をどう解決するかが政治の側にも司法の側にも問われると思うんですが、婚姻中にも起こっている、だから今度、共同親権で離婚後にも新たな問題が生じてもそれは同じことですと、そういう説明はもうされないべきだと思うんですけれども。
民事局長、その認識は、この法案を提出しておきながら、提出して、その意図が、その趣旨が、いや、婚姻中でも起こっているんだから離婚後も同じように起きてもしようがないよと、それは今多くの不安の声を上げている人たちに対して、まさに崖から突き落とすような、そういう言葉だと思います。大臣も局長も、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/217
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218・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 現在婚姻中の状況においても生じているということは、それは事実なんですが、それでは済まない、それはそのとおりでありまして、この法案を作り成立させていただくことを一つの大きな契機としてこの問題に我々は深く入って、解決策を見出すべく引き続き努力をしていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/218
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219・山添拓
○山添拓君 いや、先ほどもリスクはあるということをお認めになったわけですが、共同親権を導入し、この法案の定めるような仕組みを導入することによって新たな懸念が生まれるではないかと、そういう懸念に、批判の声にどう応えるかということが問われていると思うんですよ。
浜田参考人は、日常の養育に関する決定については監護親が行い、非監護親は監護親の権限行使を不当に妨げてはならないものとすべきだ、こういう認識を示されました。
親権者の権限行使の無限ループ、どちらかが認め、どちらかが取り消し、その無限ループを避けようと思えば、合理的な考え方だと思います。民事局長、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/219
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220・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
先ほど本改正案の趣旨について御説明を申し上げたところでございまして、父母の一方が親権行使をした後に他の一方が事後的にこれと矛盾する行為をすることにつきまして、本改正案の中で対応策を取っているところでございます。
例えば、父母の一方がある事項に関する親権を行使した後に他の一方がこれと矛盾するような新たな親権行使をすることの可否につきましては、それによる子が被る不利益の内容及び程度や当該親権行使の目的などの諸般の事情に照らして、当該他の一方による親権行使が権利の濫用として許されない場合があり得ると考えております。
法務省といたしましては、こうした点を含めまして、本改正案の趣旨や内容について、国会における法案審議の中で明らかになった解釈を含めて、関係府省庁等連絡会議を立ち上げることを予定しておりますので、その中でしっかり議論してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/220
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221・山添拓
○山添拓君 権利の濫用と判断されることがあり得ると答弁がありました。確かにそのとおりだろうと思います。
しかし、それはいつ判断されますか。裁判に訴え出て、権利の濫用だといって、不法行為だといって、一審、二審、いつ権利の濫用を、だから同居親の判断が正しいんだと、それを妨害することは許されないんだと、いつ判断してくれますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/221
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222・竹内努
○政府参考人(竹内努君) その双方の親権行使の内容が矛盾するような場合に親権者変更等の申立てができると思いますが、その際の審判の中身として権利濫用が判断されることになるのではないかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/222
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223・山添拓
○山添拓君 結局、それはいつになるか分からないですよ。数年掛かるかもしれない。そのときに、子の学校だ、病院やいろんな生活に関わる問題についての最終決定が遅れた。その遅れは取り戻すことはできないことになりかねません。
私、法務省がどれだけガイドラインなどで意義や類型を示しても、繰り返しますが、裁判所を拘束するわけではないという懸念は消えないと思うんです。そして、リーガルハラスメント、リーガルアビューズの懸念が現に具体的なものである以上は、病院や学校などが訴訟リスクを恐れて子供についての最終決定が定まらない、そういう事態はなかなか避け難いものだと思います。
この法案について、今日、もう時間がなくなってしまいますけれども、親の資力などが要件となっている支援策、同意等が要件となっている手続のリスト、今朝の理事会で改めて出されました。おととい十六項目だったのが、今朝までに三十二項目に倍増しました。それでも全てというわけではないと、今後、各省庁と調整していくという御説明を受けています。やはり、子の実際の利益についての影響についての、その事前の把握、調査、調整、それも十分でないまま審議を進めてきた、これも重大な問題だと思います。
採決は前提を欠くということを指摘し、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/223
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224・鈴木宗男
○鈴木宗男君 最初に、委員長にこれ確認ですけれども、そもそも論として、今この審議している法案は、衆議院の法務委員会で共産党以外が賛成した法案で、参議院に送付されて議論しているという理解でよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/224
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225・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) 大変恐縮ですが、委員長としてお答えをする事項ではございませんので、よろしければ質疑の中でお取り上げいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/225
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226・鈴木宗男
○鈴木宗男君 いやいや、委員長、この法案、共同親権に対していろいろな意見が出ました。だから、結果として衆議院から送られてきたときの経緯をお尋ねして、その上で今審議しているわけですから、委員長としては、今の私の質問に対しては、そのとおりですでいいんですよ。私は、間違ったことを言っているわけじゃないんですから。衆議院で採決されて送られてきたわけですから。
その採決は、共産党以外、各政党賛成して送られてきているということを私は確認しただけなんです。だから委員長は、何も質疑じゃなくて、委員長はただ、さようでございます、そのとおりですでこれはいいんですよ。事務局員もそう思っておりますから。まあ時間の無駄ですからいいけれども。
私は、賛成して来た案件であっても、様々な意見があるものだなと、改めて民主主義は難しいものだとこう思いながら、大臣、共同親権に反対する意見がよく出てまいりました。DVや虐待などのおそれがあるとの意見が多いし、懸念、心配あっては、それはもう当然だと思います。
ただ、今回のこの法案は、単独親権か共同親権か選択できる、共同親権が父母間で協議が折り合わなければ家庭裁判所での審判となる、DVや虐待があった場合、共同親権は認められないというのがこの法案だと私は思うんですけれども、よろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/226
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227・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) ポイントはそういうところでございます。
あと、法定養育費、先取特権、子供の養育に関するケアをしよう、それから親子交流、これを促進しようと、あと二つ柱ございますけれども、大筋は今おっしゃったとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/227
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228・鈴木宗男
○鈴木宗男君 今大臣が、分かりやすく説明をいただきました。
家庭裁判所から親子交流すべきと判決が出ているにもかかわらず、相手の拒否があれば会えないケースがあることについてただしたところ、民事局長からは、家庭裁判所が親子交流についての定めをしたものの、父母の一方がこれを履行しないという場合には、個別具体的な事情によりましては、父母相互の人格尊重義務や協力義務に違反すると評価される場合があると考えておりますと答弁されましたね。
そこで、この本法改正案で新設される人格尊重義務だとか協力義務、違反になった場合、親の責務と親権者としての適格性はどう判断されるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/228
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229・竹内努
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
個別具体的な事情にもよるかと思いますが、今回、本改正案の中に含めました父母間の人格尊重義務あるいは協力義務に違反した場合には、個別具体的な事情によりましては、親権者の指定の審判あるいは親権者変更の審判等において考慮され得ると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/229
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230・鈴木宗男
○鈴木宗男君 刑事局長の答弁、当然の答弁ではありますけど、これ、法案が間違いなく今これから採決されて実施に当たるわけでありますから、しっかりと、この親子のあるべき姿含めて、特に子供の利益ということを考えて私は事に当たっていただきたいなと、子供優先で判断をいただきたいと、こう思います。
この点について、小泉法務大臣から認識あるいは決意、何よりもその子供の利益について、こうだという方向を教えていただきたいと、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/230
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231・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 同じような説明になってしまって恐縮でありますけど、家族というのは、夫婦関係と親子関係と、このたて糸、よこ糸で紡がれています。そのよこ糸がうまくつながらなくなったときに、そのたて糸の親子関係をどういうふうに考えて子供を養育していくのかというところが一番の問題意識の中心でありまして、そこは子供の利益というものを中心に据えて、そのために両親にはいろいろまた考えてもらいたいと、そういった形で選択的な共同親権というものを入れたわけでございます。
ですから、常にこの夫婦関係にどうしてもエネルギーと意識と力と時間が注がれますけれども、やっぱり、気が付けばやっぱり子供じゃないか、大切なのは別れても子供じゃないかと。そういう基本原理、人間としての、家族としての基本原理のようなものをやはり常に忘れずに法の執行に当たっていく必要がありますし、そこまで考えると、DV、虐待、これは絶対許してはいけないわけであります。何があっても子供と家族を守ることも非常に重要なテーマだというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/231
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232・鈴木宗男
○鈴木宗男君 今の小泉大臣の答弁でいいんですけれども、是非とも大臣、私なんかも、たまたま縁あって一緒になって、しかし残念ながら別れてしまったという家庭なり家族に何回も、何人にも会ってきました。その中で、子供がぽつり言うんですね。お母さんに付いていったけれども、やっぱりお父さんに会いたいということを言うんですね。逆のケースもありますね。私は、それが自然だし、当然だし、その思いをしっかり尊重してやることが私はこの改正案の意味だと、こう思っておりますので、しっかりこの点、法務省としても情宣活動等広くやっていただきたいなと、こうお願いをするところであります。
小泉大臣、今日のこの午前の委員会でも、森まさこ元法務大臣から取調べの可視化についての非常に真に迫るお話ありました。現職大臣が辞表を持って、辞職決意で時の総理に向き合うといったら大変なことですよ。私は、この点、森まさこ大臣の考え、姿勢あるいはこの言動を評価するものなんですね。
それで、大臣、大臣も可視化に向けて前向きな話はしてくれておりますが、やっぱりここは、在り方会議があって、その前に刷新会議があったわけですね。その刷新会議のやっぱりこの流れ、そして在り方会議に来た。これ、もっと大臣から督励すべきじゃないですか。何年時間掛けています。ちょっと時間、私は掛かり過ぎだと思いますよ。しかも、この間、いろいろ不祥事あるわけでありますから。この点、大臣、どういう考えでおられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/232
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233・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 今日、森元大臣からもお話があり、また森山元大臣の話もたしか福島委員がされておられ、また鈴木委員からもそういうお話がありました。
まず、刷新会議の様々な議論、そしてその取りまとめ、それを私ももう一回深く研究したい、検討したいと思います。そして、今開かれているこの協議会、在り方協議会、これについてももう少し深い視野を持って問題意識というものを深めていかなければならないなという思いで今日の議論をさせていただいたところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/233
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234・鈴木宗男
○鈴木宗男君 とにかく、大臣、やっぱり、小泉大臣の私はやる気を買っています。同時に誠実さもよく知っておりますから、しっかりここは取り組んでいただきたい。というよりも、指導してほしいんです、大臣から。大臣はその立場にあるわけですから、これには強くお願いしておきます。
そこで、大臣、これまでこの委員会で検察官の取調べに関していろいろやってまいりまして、九日の委員会で、弁解録取についてですよ、被疑者が被疑事実が自分の認識と違うということを言っているのに、それをそのまま弁解録取書に取らないで、あたかも被疑事実を自白しているような弁解録取書を作成して署名させたということを明るみになりました。そこで、最高検監察指導部に調査要請されたケースがあったかと刑事局長にただしましたところ、四月十一日の委員会では、御指摘のような申入れがされた事実があるという確認はできましたと答弁されました。
また、在宅の被疑者に対する特捜部の検察官の取調べについて、録音、録画されていない、被疑者が言ってもいないことを調書に取ったり、一部を切り取って事実を歪曲して調書に取ったということで弁護人から抗議を受け、弁護人が最高検に抗議したのに対し、特捜部側がその被疑者の会社の社長を呼び付け、書面を撤回しろとかわび状を出せというような要求をして、実際にわび状を出させたことが裁判での最終陳述でこれ明らかになっております。このことも尋ねたところ、十八日の委員会では刑事局長が、特定の事件の公判において被告人のそういう意見陳述があったことを認められました。
そこで、小泉大臣、こういったことが実際あったんですね。大臣も聞いておられるとおり、刑事局長は認められました。この点、大臣、大臣からきちっと指導すべきじゃないでしょうか。あるいは、大臣自身が確認すべきじゃないでしょうか。大臣は答弁の中では指揮権の発動について言及されておりますけれども、これは指揮権じゃないですね、行政指導の範疇です。指揮権なんていう仰々しいものじゃありません。
ここは、大臣、事実としてあった、あるいは明らかになっているんです、これは。もし検察が違うんであれば訴えればいいんですから、そういう情報を流している人を、あるいはそういうことを言った人を。大臣はどう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/234
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235・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) これやはり、また元の議論に戻るようで恐縮でありますけれども、個別の事案をベースにした議論をさせて、議論が続いてきているわけでございます。
ですから、しかし、その前回の委員会でも申し上げたように、「検察の理念」に反するか、こういう御質問がありまして、あくまで一般論です、あくまで一般論ですが、「検察の理念」に反しますというふうに答えさせていただきました。ということは、それは、一般論ですよ、一般論として申し上げました。
私の今の考え方は、一般的な指揮権として検察庁を指揮する権限はいただいています。個別の指揮権については制約があります。それには非常に慎重な対応が求められます。しかし、一般的指揮権は業務の在り方全般について私が指揮することは可能でありますので、その一般的な指揮権、堅苦しい言葉で恐縮でございますが、検察に対して、捜査の在り方、また様々なその行動、「検察の理念」に基づいてしっかりやってもらいたいと、こういうことは機会を得て伝えなければいけないと、このように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/235
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236・鈴木宗男
○鈴木宗男君 大臣、前の答弁よりはずっと今前向きな、あるいは責任ある答弁だと思って評価はします。
そこで、大臣、私は前回の委員会でも、ある女性検事が、名前も全部把握していますけれども、説教じみた言いぶりしていますね。中学生でも悪いことをすれば反省する、あなたには反省がない、小学校で宿題をやらなかったんでしょう、これ、一流企業の社長さんに向かって、いや、役員に向かって言っているんですよ。
これ、大臣、今の大臣の答弁と併せて、「検察の理念」に合っていると思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/236
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237・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) これ、あくまで一般論です、あくまで一般論で申し上げれば、そういう言葉遣い、その言葉は「検察の理念」には反すると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/237
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238・鈴木宗男
○鈴木宗男君 反するならば、大臣、やっぱり適切な指導というのは必要ですね。どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/238
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239・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) それは、その前の答弁で申し上げたように、一般的な指揮権の中で検察の在り方として「検察の理念」というものがあるわけですから、これに照らしてしっかりやってもらいたいと、そのことは機会を得て検察にはしっかり伝えたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/239
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240・鈴木宗男
○鈴木宗男君 大臣、「検察の理念」はいつできましたか。そして、今私がただしている話はいつの話ですか。大臣、それを踏まえたならば、今みたいな答弁で済むと思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/240
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241・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 十三年前ですか、十数年前ですよね。
そして、個別の話について私は今入れませんのでお答え申し上げませんけれども、継続的に「検察の理念」については言及をし、私も着任してからそういう話を機会があるごとにしています。継続的に我々が見定めなければ、思い起こさなければならない重要な理念でありますので、これにのっとって検察をしっかりと指導したいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/241
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242・鈴木宗男
○鈴木宗男君 大臣の言う検察に対する指導ですね、私はしっかり目に見えた形でやっていただきたいと思います。それが私は、逆に国民から信頼される検察になると思っております。
大臣、これもつい先日、プレサンスコーポレーションという会社の山岸さんという社長さんが、やはり違法な取調べを受けて、何と逮捕されて、二百四十七日も勾留されているんです。しかし、一審で無罪ですよ。
これ、今大きなやっぱり社会的な注目を集めていますから、このプレサンスコーポレーション、私は昨日、質問取りに来た法務省の人にも細かく言ってありますから大臣も聞いていると思いますけれども、この事件について、大臣、どう思います。もう結果出ているんですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/242
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243・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) これは、現在、国家賠償請求訴訟が係属中でありまして、その中で捜査、公訴提起の国家賠償法上の違法性等についても審理の対象になっております、現在ですね。したがって、法務大臣としては、この案件についてのお答えは差し控えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/243
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244・鈴木宗男
○鈴木宗男君 大臣、私は国賠の話をしているんじゃないんです。この事件がありました、逮捕しました、結果として一審で無罪なんです。検察が正しければ控訴していいんじゃないんですか。でも私は、国賠の話を、大臣、しているんじゃないんです。
じゃ、そのときの録音、録画が明らかになっているんですよ。取調べ官の、この田渕という取調べ検事ですね、ふざけた話をいつまでも通せると思っている、検察なめんなよと言っていますよ。これも明らかになっていますから、裁判の段階で。小学生だって分かっている、幼稚園児だって分かっている、あなたはそんなことも分かっていないでしょう、うそまみれじゃないですか、本当に鈍い人ですねと長時間にわたって罵倒されたんですよ。大臣、そこまで検事は言ったんです。結果、無理して捕まえたこの山岸さんは、無罪になっているんですよ。
大臣、もう既に明らかになっているんですよ、これ録音、録画で。私はそれについて、じゃ、この取調べ、大臣、これは正しいやり方ですか。「検察の理念」に合っていますか。十三年前に「検察の理念」があると大臣さっき言いました。この事件、つい最近の事件です。
じゃ、大臣、先ほど来大臣が言っている指揮権、個別案件には物は言わないというけれども、話合わないんじゃないんですか。事実としてあって、無罪になっているんですよ。謝るべきじゃないですか、それは、本来この検察の担当者らは。また、大臣は謝らせるべきじゃないですか、まずは。間違っていたんですから。一回の反省もなければ、開き直った態度ですよ。それでいて、大臣、じゃ、どう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/244
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245・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) この件は、間違いなく今係属中であります、係属中の個別案件です。その前の……(発言する者あり)はい。その前の裁判の状況が国賠訴訟の審理の対象になっているわけです。審理の対象がその前の裁判の取下げですか、になっているわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/245
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246・鈴木宗男
○鈴木宗男君 私は質問しているんですから、質問にストレートに答えてくださいよ、すり替えの議論じゃなくて。国賠じゃないんですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/246
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247・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) この国賠訴訟において、その前の訴訟の状況がまさに審理の対象になっているわけですから、まさに今審理されているわけなんですよね、それは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/247
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248・鈴木宗男
○鈴木宗男君 大臣、そういうすり替えの議論はいけないし、大臣、大臣もたまたま法務大臣になっただけなんですよ。たまたまの巡り合わせで、あなたが狙って法務大臣になったんじゃない。そんなに法律詳しいわけじゃないんですよ、そうでしょう。官僚のレクチャーを受けている答弁なんですから。
ここは、大臣、人間としての受け答えしてくださいよ。二百四十七日も勾留されて、会社も大変な被害を受けて、自分のことはもちろん、家族から、親族がどんな目に遭ったかということを。正直にやっていればこういうことは起きないんですから。それを、これも、これ皆さん、担当検事は、逮捕はすべきでない、慎重にやろうと担当検事は言っているんです。それを主任検事が、いいからやれと言ってやった事件なんですよ。そして、有罪にも持っていけていればいいといったって、一審無罪ですよ。考えられますか、一審無罪というのを、大臣。素人から見たって、何でと、こんな感じですよ。
正直に答えてください、こういうやり方がいいかどうかということを。同時に、被害を受けた人がいるということを、それは人生狂っちゃったんですから。ここは大臣、正直に、そんな役人の作ったペーパーを読むんじゃなくて、人間として答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/248
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249・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) これ、何というんですかね、その仕組みとして申し上げているわけです。
司法権が稼働しているときに、そこに深い関わりを持つ法務大臣という行政権がその個々の案件に入っていけないわけです。指揮権も全く同じ考え方で構成され、指揮権の制限も同じ考え方でございます。
検察というのは司法の中の一翼を担うと、こういう位置付けがされているために、司法の一翼である検察の個別案件には行政権の代表である法務大臣は入れない、入るなら制約がありますよ。最高検検事しか駄目ですよ、個別の介入はできません。それは法律で決められている仕組みとして申し上げているわけです。(発言する者あり)いや、そこを、仕組みが国家の根本でありますから、そこが崩れると全部崩れてしまう。私は個人で言っているわけでは全くないです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/249
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250・鈴木宗男
○鈴木宗男君 大臣、私が言っているのは、担当検事が、担当検事として調べて、これは無理したら危ないと思って意見具申しているんですよ。しかし、主任検事は、いいからやれと言ってやらせた。結果として、これ一審無罪なんですよ。じゃ、この事実は大臣どう思います、この事実は。局長出る幕じゃない、大臣に聞いている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/250
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251・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) その事実について感想を述べること自体がもう……(発言する者あり)いやいや、所感を述べること自体が個別指揮権にもう触れていくわけでございます。そこを是非御理解をいただかなければいけないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/251
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252・鈴木宗男
○鈴木宗男君 じゃ、立場、行政の長として、一般的な行政官を指揮監督する立場に大臣はあるんですよ。私の言うことは無理ありますか。間違いなく我々政治家は、ミスしたら選挙で落選するんですよ。官僚は政策失敗しても首にならないんですよ。
しかし、事逮捕となると、人の一生に関わっているんです。大臣、なった人の立場を少し考えてくださいよ。今の大臣の答弁は検察側に立った答弁ですよ。フラットじゃないでしょう。公平じゃない。このなった人の身になってみてください、その家族だとか社員の皆さん方のことを。そんなこと、私からすればよくぞ言えるものだと思いますよ。あってはならぬことが起きたと言うのが大臣の立場じゃないですか。指揮監督じゃないですよ、それは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/252
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253・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 私は、行政権の法務大臣という責任、ポジションにいるわけです。先生は立法府として自由に御議論ができるわけでありますが、私は行政権を預かる立場として、個別の案件、法務省の中にある検察庁が個別に関わっているこのまさに訴訟について、行政権のトップとして、実質、司法なんですけど、そこに関わってはいけないという検察庁法の趣旨が厳然としてございます。それは誰が法務大臣になっても同じことなので、それは崩せないんです、そこは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/253
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254・鈴木宗男
○鈴木宗男君 大臣、私は結果の出たことについて聞いているんです。
そこで、例えば、検察をなめんなよだとか罵倒したり子供扱いする取調べは、じゃ、大臣はよしとするんですか。それ一点答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/254
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255・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 個別案件についてお答えすることはできませんが、「検察の理念」に書かれてあることと違うやり方は、これは間違っている、正しくないといつも判断しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/255
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256・鈴木宗男
○鈴木宗男君 大臣、さっきも言いましたけれども、検察をなめんなよ、いいですか、うそまみれじゃないか、小学生だって分かっている、幼稚園児だって分かっている、あなたはそんなことも分からないのかとか、本当に鈍い人ですか、鈍い人ですねという、こういう言い方は「検察の理念」に合った取調べですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/256
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257・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 個別の案件に触れる言い方はできないわけであります。
私は、「検察の理念」に書いてあるそういう検察であってもらいたい、このことをいつも願い、また督励をしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/257
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258・鈴木宗男
○鈴木宗男君 じゃ、大臣、どういう督励したか教えてください、この場だけの、その場しのぎじゃなくて。私はこれからも、この委員会が続く限りやってまいりますから。大臣よりも少なくともいろんな経験した者として、私自身もいろいろ経験してきていますから、その上で物を言っているんですから。
大臣が「検察の理念」を表に出すならば、何のために、じゃ、大臣、「検察の理念」はできたんですか。それを明らかにしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/258
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259・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) やはり、当時具体的な事案があったわけでございますけれども、検察のおごり、権力に対する、何ですかね、過信、そして権力と反対側にいる方々たちの思いを酌み取れない、そういう体質、様々な指摘があり、それぞれの担当者から様々な意見を個別に吸い上げて、トップダウンではなくてボトムアップで作り上げたものだというふうに私は理解をしております。大変貴重なものだと思います。これを忘れてはいけない。
これを私は督励する大きな責任を負っていると思いますので、また委員のこれまでの御経験も非常に敬意を表するところでございますので、その委員からのまたお話もありましたから、強く督励をしていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/259
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260・鈴木宗男
○鈴木宗男君 あと一分しかありませんからこれでやめますけれども、大臣、言葉だけでなくて実施してください。何のために今、冤罪だとか、あるいは人質司法だとか言われているのか。情報の可視化を一方で言いながらも、検察は、じゃ、何で取調べの可視化にしっかり向き合わないのか。
先ほど来言っているとおり、仕組みがあるわけですから、それを早く議論してまとめるのが大臣の役割ですから、小泉大臣のときに私はそれなりのけじめを付けていただきたい、このことをお願いして、また次の委員会でも続けてやってまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/260
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261・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/261
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262・山添拓
○山添拓君 日本共産党を代表し、民法等一部改定案に反対の討論を行います。
本法案の最大の問題は、離婚する父母が合意をしていなくても、裁判所が離婚後共同親権を定め得る点にあります。夫婦関係が破綻しても、父母間に子の養育だけは協力、共同して責任を果たそうとする関係性の下、親権の共同行使が真摯に合意され、それが子の利益にかなうケースはあるでしょう。しかし、父母間に真摯な合意がないのに親権の共同行使を求めれば、別居親による干渉や支配を復活、継続する手段となり、結果、子の権利や福祉が損なわれてしまう危険が否定できません。
法務大臣は、合意を促していくための仕組みとし、どうしても合意ができない場合には単独でいくと答弁しました。それは条文上明記すべきです。
また、単独での親権行使ができる事由が不明確な点も問題です。子の利益のため急迫の事情があるときや監護及び教育に関する日常の行為という文言が実際にはどこまで単独で決定できるのか不明確であり、後に親権行使の適法性が争われるなどの心配から適時適切な意思決定ができず、かえって子の利益を害するおそれがあります。
婚姻中、DVや虐待があったことを理由に子を連れて別居するケースが子の利益のため急迫の事情があるときに該当するのかどうか、DV、虐待等、被害者支援の観点から非常に重要ですが、明瞭とは言えません。少なくとも、離婚後に父母双方を親権者とする場合、監護者に父母の一方を定めることを義務付けることでこうした懸念を低減すべきです。
以上述べた点に加えて、衆議院で我が党は三点の修正を求めました。
まず、親権の見直し規定に関する検討の追加です。親権は、子供が安心、安全に暮らすための親の責務であり、社会による子供の権利と福祉の保障であるべきです。子供を主体とした親権の再定義が必要です。
次に、親権者の決定時や監護、面会交流など、あらゆる場面で子供の意思又は心情が尊重されることを明記すべきという点です。
さらに、裁判官、調査官の大幅増員など家庭裁判所の体制強化と、DV、虐待のケースで、児童精神科医など専門家による子供の意思の確認を義務付ける仕組みを明記することなど求めました。
親の資力などが要件となっている支援策や親の同意などが要件となっている手続は、法務省が今日までに把握しただけで三十二項目に上ります。本来、法案審議以前に確認しておくべきものです。審議すればするほど批判が広がる本法案は、採決の前提を欠くと言うべきです。
DVや虐待をめぐる数々の懸念について、訴えれば裁判所に通じると思うと大臣は答えました。しかし、その根拠が伺えません。
自らと子供の生活と命が懸かっている、だから諦めるわけにはいかないという当事者の訴えがあります。そうした声を置き去りに、親子関係と家族の在り方に関する戦後民法の根本に関わる改定を国民的合意なく押し切ることには断固反対であることを表明して、討論とします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/262
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263・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 立憲民主・社民の牧山ひろえです。
私は、会派を代表して、ただいま議題となりました民法等の一部を改正する法律案について賛成の立場から討論いたします。
立憲民主党は、修正案について、原案のまま運用させることによって生じる被害を少しでも減らせることができるとし、衆院法務委員会の採決では、修正案には賛成、修正部分を除く政府原案に反対しました。衆院本会議では、修正案が盛り込まれた民法改正案に賛成し、参院に送付されました。
同一の法案には政党会派として同じ対応をするのが責任政党としては当然の考えなので、我が党の立場としては参議院でも賛成せざるを得ないという結論になりました。
ただし、質疑でもお分かりのとおり、私たちは、この政府案にもろ手を挙げて賛成しているわけでは全くありません。元々の私たちの修正内容が含まれない政府原案に対する評価は、衆議院の委員会採決で原案に反対したことに示されるように、極めて悪いものになっております。また、筋論としては賛成せざるを得ないとしても、国会議員、そして国政政党として法案を少しでもいいものにする努力をするのは当然ですし、義務でもあります。そのような思考で私たちは修正協議開始の打診を始め、粘り強く続けました。
ですが、与党の反応は極めてつらく、既に衆議院で修正協議済みということを理由に全く応じることはありませんでした。この与党のかたくなな態度に当方は方針を変換し、附帯決議を充実することに切り替えたというのが参議院における修正協議の際の経緯でございます。
私たちは、今後も、極めて高く、そして厳しい問題意識を持ってこのテーマに取り組み続け、子供たちの笑顔を守るために力を尽くしてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/263
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264・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
これより採決に入ります。
民法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/264
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265・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、牧山さんから発言を求められておりますので、これを許します。牧山ひろえさん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/265
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266・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 私は、ただいま可決されました民法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、立憲民主・社民、公明党、日本維新の会・教育無償化を実現する会及び国民民主党・新緑風会の各派並びに各派に属しない議員鈴木宗男君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
民法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府及び最高裁判所は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。
一 施行後の本法の運用状況について公表するとともに、諸外国における子の養育に関する法制の動向等も踏まえ、本法による改正後の家族法制による子の利益の確保の状況、親権者の指定等における父母の真意の反映の程度、DVや児童虐待等を防止して親子の安全・安心を確保するものとなっているか等について不断に検証し、必要に応じて法改正を含むさらなる制度の見直しについて検討を行うこと。
二 法務省及び最高裁判所は本改正に係る国会審議において、特に、①合意がない場合に父母双方を親権者とすることへの懸念、②親権者変更、③子の居所指定、④過去のDV・虐待の取扱いについての対応、⑤DV・虐待のおそれに関する質疑があったことを含めて、立法者の意思に係るものとして、父母の協議や裁判所における判断に当たって十分理解されるよう、その内容の周知に最大限努力を尽くすものとすること。
三 子の権利利益を保護するための父母の責務の明確化等の本法の趣旨及び国会審議も含めたその内容について、国民、関係府省庁はもとより、児童扶養手当等の事務を行う地方公共団体及び共同親権の導入により大きく影響を受ける学校及び病院を始めとした関係機関等に正確に伝わるよう、周知広報の徹底に努めること。特に、親権の単独行使の対象となる民法第八百二十四条の二各項の「急迫の事情」、「監護及び教育に関する日常の行為」、「特定の事項」及び第七百六十六条第一項の「子の監護の分掌」等の概念については、その意義及び具体的な類型等をガイドライン等により明らかにすること。ガイドラインの策定等に当たり、DV・虐待などに係る知見等を踏まえることや、DV被害者等の意見を参考にすること。
四 改正内容の周知に当たっては、親権の行使を受ける側、特に医療や教育など、それぞれの場において適切な処理がなされるよう、分野ごとに個別に必要な取組を行うこと。また、当局からの情報提供に当たっては、Q&A方式等、受け手に分かりやすく伝わりやすい工夫を心掛けるとともに、国民の疑問等に答えられるよう留意すること。
五 子の利益の確保の観点から、本法による改正後の家族法制による子の養育に関する事項の決定の場面において子自身の意見が適切に反映されるよう、専門家による聞き取り等の必要な体制の整備、弁護士による子の手続代理人を積極的に活用するための環境整備のほか、子が自ら相談したりサポートが受けられる相談支援の在り方について、関係府省庁を構成員とする検討会において検討を行うこと。
六 父母の別居や離婚に伴う子の養育をめぐる事件の審理に関し、特に子の権利利益を保護する観点に留意し、子の安全や安心、適時な親権行使の確保への配慮のほか、当事者、特に子の意見を適切に聴取しこれを尊重することを含め適切な審理運営がされるよう必要な研修その他の取組を行うこと。
七 離婚後の養育費の受給や親子交流等が適切に実施されるよう、我が国における養育費・親子交流等に関する実状調査のほか、諸外国における運用状況に関する調査研究等も踏まえ、養育費・婚姻費用について裁判実務で用いられている標準算定表を参照して取り決められる額が適正なものとなるための配慮等を含め、国自らによる取組の在り方に加え、民間の支援団体や地方公共団体の取組等への支援の在り方について検討を行うこと。また、公的機関による養育費の立替払い制度など、養育費の履行確保のさらなる強化について検討を深めること。
八 父母による子の養育が互いの人格の尊重及び協力関係のもとで適切に進められるよう、父母の一方及び子に不相当な負担や心理的負荷を生じさせないことを確保しつつ、離婚前後の子の養育に関する講座の受講や共同養育計画の作成を促進するための事業に対する支援、ADRの利便性の向上など、関係府省庁及び地方公共団体等と連携して必要な施策の検討を図ること。
九 改正法により家庭裁判所の業務負担の増大及びDV・虐待のある事案への対応を含む多様な問題に対する判断が求められることに伴い、①家事事件を担当する裁判官、家事調停官、家庭裁判所調査官等の裁判所職員の増員、②被害当事者及び支援者の協力を得ることなどにより、DV・虐待加害者及び被害者の心理の理解を始めとする適切な知見の習得等の専門性の向上、③調停室や児童室等の増設といった物的環境の充実、オンラインによる申立てやウェブ会議の利用の拡大等による裁判手続の利便性の向上、子が安心して意見陳述を行うことができる環境の整備など、必要な人的・物的な体制の整備に努めること。
十 司法手続における利用者負担の軽減を図るため、法テラスによる民事法律扶助、DV等被害者法律相談援助や地方公共団体における支援事業など、関係機関との連携を一層強化し、必要な施策の充実に努めること。
十一 DV及び児童虐待が身体的な暴力に限られないことに留意し、DVや児童虐待の防止に向けて、リスクアセスメントも活用しつつ、被害者支援の一環としての加害者プログラムの実施の推進を図ることを含め、当委員会での確認事項を反映させた上で関係機関と連携して被害者の保護・支援策を適切に措置すること。また、居住地や勤務先・通学先等が加害者に明らかになること等によるDV被害や虐待の継続、SNSなどインターネット上の誹謗中傷や濫訴等の新たな被害の発生を回避するための措置を検討すること。
十二 親権者の指定や親子交流等が子の利益のため適切に行われるようにするため、DV及び児童虐待の被害又はそれらのおそれの有無についての認定が適切に行われるよう、必要な研修その他の取組を行うこと。また、父母が互いの親子交流を尊重し、これを妨げる行為を防止する措置等について検討すること。
十三 本法により離婚時の財産分与に係る請求期限が二年から五年となることを踏まえ、二年となっている離婚時の年金分割に係る請求期限の延長について早急に検討を行うこと。
十四 本法の下で新たな家族法制が円滑に施行され、子の利益を確保するための措置が適切に講じられるよう、関係府省庁等が連携して必要な施策を実施するための関係府省庁の連絡会議を設置するなどの体制整備を進めること。また、本法の施行に伴い、税制、社会保障制度、特に、児童の健全育成、子育てを支援する児童福祉を始めとする社会福祉制度等への影響がある場合には、子に不利益が生じることがないよう、関係府省庁が連携して必要な対応を行うこと。
十五 改正法が国民生活へ多大な影響を与えることに鑑み、本法の施行に先立って、子の利益の確保を図るために必要な運用開始に向けた適切な準備を丁寧に進めること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/266
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267・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) ただいま牧山さんから提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/267
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268・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) 多数と認めます。よって、牧山さん提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、小泉法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。小泉法務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/268
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269・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) ただいま可決されました民法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
また、最高裁判所に係る附帯決議につきましては、最高裁判所にその趣旨を伝えたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/269
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270・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/270
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271・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時二十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01220240516/271
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