1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和六年五月二十八日(火曜日)
午前十時開会
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委員の異動
五月二十三日
辞任 補欠選任
吉井 章君 山崎 正昭君
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出席者は左のとおり。
委員長 佐々木さやか君
理 事
古庄 玄知君
和田 政宗君
牧山ひろえ君
伊藤 孝江君
川合 孝典君
委 員
岡田 直樹君
北村 経夫君
山東 昭子君
田中 昌史君
森 まさこ君
山崎 正昭君
石川 大我君
福島みずほ君
石川 博崇君
清水 貴之君
仁比 聡平君
鈴木 宗男君
衆議院議員
修正案提出者 笹川 博義君
修正案提出者 米山 隆一君
修正案提出者 池下 卓君
修正案提出者 大口 善徳君
国務大臣
法務大臣 小泉 龍司君
副大臣
法務副大臣 門山 宏哲君
大臣政務官
法務大臣政務官 中野 英幸君
事務局側
常任委員会専門
員 久保田正志君
政府参考人
警察庁長官官房
審議官 千代延晃平君
法務省刑事局長 松下 裕子君
出入国在留管理
庁次長 丸山 秀治君
厚生労働省大臣
官房審議官 増田 嗣郎君
厚生労働省大臣
官房審議官 原口 剛君
厚生労働省労働
基準局安全衛生
部長 小林 洋子君
農林水産省大臣
官房審議官 勝野 美江君
国土交通省大臣
官房審議官 蒔苗 浩司君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する
法律案(内閣提出、衆議院送付)
○出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実
習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する
法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議
院送付)
○参考人の出席要求に関する件
○委員派遣承認要求に関する件
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/0
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001・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨日までに、吉井章さんが委員を辞任され、その補欠として山崎正昭さんが選任されました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/1
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002・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案及び出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、出入国在留管理庁次長丸山秀治さん外七名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/2
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003・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/3
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004・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) 出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案及び出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。小泉法務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/4
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005・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案及び出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
まず、出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
我が国に在留する外国人の数は既に三百万人を超え、その多くが、在留カード又は特別永住者証明書のほか、個人番号カードを所持している状況にあります。
しかし、現在、これら個人番号カードを所持する外国人は、在留カード等と個人番号カードに関する手続をそれぞれ別の行政機関において行う必要があり、煩雑な手続を余儀なくされています。
我が国に在留する外国人の数は今後も増加し、更に多くの外国人が個人番号カードを所持することが見込まれるところ、在留カード等と個人番号カードを一体化し、我が国に在留する外国人の利便性を向上させ、その生活の質を高め、我が国を外国人に選ばれる国にするとともに、行政運営の効率化を図ることが求められています。
この法律案は、こうした状況に対応することを目的とし、所要の法整備を図るため、出入国管理及び難民認定法等の一部を改正するものであります。
この法律案の要点を申し上げます。
住民基本台帳に記録されている中長期在留者又は特別永住者が、個人番号カードとしての機能を付与するための措置が講じられた在留カード等である特定在留カード等の交付を求める申請を行うことができるようにし、在留カード等と個人番号カードに関する手続を地方出入国在留管理局又は市町村において一元的に処理することを可能とするとともに、在留カード等の記載事項及び有効期間を見直します。
このほか、出入国及び在留の公正な管理に係る電磁的記録の取扱いを明確化するなど、所要の規定の整備を行うこととしております。
続きまして、出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
近年の我が国の労働力不足は深刻であり、外国人材が経済社会の重要な担い手になっている一方で、国際的な人材獲得競争は一層激しさを増している状況にあります。
こうした状況やこれまでの技能実習制度及び特定技能制度をめぐる状況を踏まえ、我が国が魅力ある働き先として選ばれる国になるという観点から、外国人が我が国で就労しながらキャリアアップできる分かりやすい制度に改めるとともに、人権侵害等の防止、是正等を図り、我が国の人手不足分野で活躍できる外国人材を確実に育成、確保するための法整備を行うことが必要不可欠です。
この法律案は、以上に述べた状況に鑑み、所要の法整備を図るため、出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正するものであります。
この法律案の要点を申し上げます。
第一は、技能実習の在留資格に代わるものとして、育成就労産業分野において就労することを内容とする育成就労の在留資格を創設するものです。この育成就労産業分野とは、特定産業分野のうち、その分野に属する技能を我が国において就労を通じて修得させることが相当な分野をいうものです。
第二は、いわゆる技能実習法の題名を外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律に改めるとともに、法律の目的として育成就労産業分野において人材を育成し、確保することを明記するものであります。
第三は、政府は、育成就労産業分野の選定や、その分野において求められる人材に関する基本的な事項等を基本方針として定めることとするものです。この基本方針にのっとり、主務大臣及び育成就労産業分野を所管する関係行政機関の長等は、共同してその分野において求められる人材の基準に関する事項等を分野別運用方針として定めることとするものであります。
第四は、外国人ごとに作成する育成就労計画の認定の仕組みを定めるものです。具体的には、業務、技能、日本語能力等の目標や内容、外国人が送り出し機関に支払った費用の額等に関する基準など、適正な受入れのための認定の基準等を定めるものです。
第五は、技能実習制度においては、やむを得ない事情がある場合に限って実習実施者の変更を認めていたところですが、一定の要件の下で、育成就労外国人の意思による育成就労実施者の変更を可能とするものであります。
第六は、監理支援事業を行う監理支援機関を設けるとともに、育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護を図るため、機能を十分に果たしていない機関を適切に排除することができるよう、その許可の基準等を定めるものであります。
第七は、育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護等を図るため、外国人育成就労機構を設けることとするものです。同機構においては、育成就労実施者の変更等を支援するための育成就労外国人と育成就労実施者との間の雇用関係の成立のあっせん等の業務や、一号特定技能外国人に対する相談対応等の業務を行わせることとするものであります。
第八は、将来的に長期にわたり我が国に貢献する人材を確保する観点から、法務大臣が永住許可をする要件を一層明確化するとともに、要件を満たさなくなった場合に、他の在留資格へ変更する措置等を講ずるための規定を設けるものです。
このほか、一号特定技能外国人支援計画の委託先を登録支援機関に限ることとするなど、所要の規定の整備を行うこととしております。
以上が、出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案及び出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨であります。
政府といたしましては、以上を内容とする法律案を提出した次第でありますが、衆議院において一部修正が行われております。
何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/5
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006・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) この際、出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案の衆議院における修正部分について、修正案提出者衆議院議員米山隆一さんから説明を聴取いたします。米山隆一さん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/6
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007・米山隆一
○衆議院議員(米山隆一君) 出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案の衆議院における修正部分につきまして、御説明申し上げます。
本修正の内容は、第一に、附則において、政府の措置として、次の四つの措置を定めております。
一つ目には、政府は、育成就労制度の運用に当たっては、人材が不足している地域において必要とされる人材が確保され、もって地域経済の活性化に資するよう、育成就労外国人が地方から大都市圏に流出すること等により大都市圏その他の特定の地域に過度に集中して就労をすることとならないようにするために必要な措置を講ずるものとしております。
二つ目に、政府は、監理支援機関及び育成就労実施者が、育成就労外国人の人権及び労働環境に十分配慮しつつ、育成就労外国人に係る育成就労実施者の変更及び労働者派遣等監理型育成就労に関する事務を適切かつ円滑に実施することができるよう、監理支援機関、育成就労実施者、外国人育成就労機構、公共職業安定所等の間の連携強化その他の必要な措置を講ずるものとしております。
三つ目に、政府は、監理支援機関が監理型育成就労実施者から独立した中立の立場で監理支援事業を行うことができる体制が十分に確保されていることを確認するために必要な措置を講ずるものとしております。
四つ目には、政府は、本邦に在留する外国人に係る社会保障制度及び公租公課の支払に関する事項並びに新入管法第二十二条第二項及び第二十二条の四第一項の規定その他の新入管法及び育成就労法の規定の趣旨及び内容について、本邦に在留する外国人及び関係者に周知を図るものとしております。
第二に、附則において、新入管法第二十二条の四第一項第八号の規定の適用に当たっては、永住者の在留資格をもって在留する外国人の適正な在留を確保する観点から、同号に該当すると思料される外国人の従前の公租公課の支払状況及び現在の生活状況その他の当該外国人の置かれている状況に十分配慮するものとしております。
第三に、附則において、政府は、この法律の施行後三年をめどとして、外国の送り出し機関及び監理支援機関の事業活動の状況その他の育成就労制度の運用状況の検証を行い、その結果等を踏まえて育成就労制度の在り方について検討を加え、必要な措置を講ずるものとしております。
以上であります。
何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/7
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008・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) 以上で両案の趣旨説明及び出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案の衆議院における修正部分の説明の聴取は終わりました。
これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/8
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009・北村経夫
○北村経夫君 おはようございます。自由民主党の北村経夫でございます。
入管法の参議院での質疑、今日から本格的に始まることになります。大臣におかれましては、よろしくお願い申し上げます。
私は、法務委員会に在籍するのは今回初めてでございまして、小泉大臣の答弁を聞いておりますと、実に丁寧に、真摯に、かつ御自身の言葉で答弁をしておられる。すばらしいなというふうに思っております。野党の皆さんも評価する声を出しておられましたけれども、私からも一言申し上げて、質問に入りたいというふうに思います。
今回の法改正でありますけれども、これまでの技能実習制度を発展的に解消し、新たに育成就労制度が創設されるということであります。その目的は、人手不足分野における人材確保と人材育成となっておりますけれども、これは、外国人労働者の受入れ制度を抜本的に改正しようというもので、大変野心的なものであるというふうに思っております。これによって、我が国の産業、地域の根幹、ひいては国の在り方まで大きな影響を与えるものだというふうに思っております。
そして、今回の法改正では、我が国が外国人材に選ばれる国になるということを目指しているわけでありますけれども、世界の情勢というのは急速に変化しております。日本も、円安あるいは低賃金において、外国人労働者からだんだんと選ばれない国になりつつあるということになっております。こういうことから、今回の改正が最終ではなく、世界情勢の変化に応じて柔軟に制度設計を改定していかなければならないというふうに思っております。
そこで、まず、今回の制度改正に懸ける大臣の意気込みをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/9
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010・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) ありがとうございます。
今回のお願いしておりますこの法改正について本当に一言で表現するならば、やはり適切に国を開くための法制度改革だというふうに位置付けられるというふうに思います。
今、現行の技能実習制度は、人材確保と国際貢献というその目的と、実際の実態と目的が乖離をしているという指摘がしばしば行われるわけでありますけれども、今回のこの法改正は、本音に従って、本音に従って、できるだけ多くの外国人に来ていただく、そして、できるだけ長くスキルアップしながらいていただく、そのための改正だというふうに考えております。
したがって、外国人に選ばれる国でなければならないということがそこから帰結するわけでありますし、また、国際貢献という技能実習の制度は、どこか日本が高いところにいて恩恵を差し上げますよという、見下しているわけでは全くないんですけれども、日本がちょっと高みにいるという、そういう実態的なものが、意識がなかったというと、そんな皆無ではないと思います。
しかし、選ばれる国になるのでありますから、諸外国と我が国は対等の関係で、そしてどちらにも利益があるような、そういうフェアな関係、それは実習生に対しても同じでございます。労働者としての権利性、権利をしっかり認める、人権も保護する、そういった対等性、これも今回の法案の一つの大きな、文言には出てきませんけれども、大事な部分だというふうに思っています。
そして、更に長期でいえば、日本の多様性、日本国における多様性に大きな刺激を与えてくれるということもあろうかと思います。
二〇二二年の一人当たり名目GDP、日本、世界の三十二位なんですね。つまり、付加価値、生産性、付加価値で見ても生産性で見てもやっぱり三十位前後という厳しい状況にあって、イノベーションが起こらない。イノベーションはどこから来るか。それは、やっぱり文化的な、技術的な多様性、それが一つの苗床になると私は思います。
こういう、外国人に来てもらう、長くいてもらう、その中で日本がこの多様性というものを培うことができれば、中長期的にも大きな経済的効果にもつながっていく、そんなような様々な思いを込めて御審議をお願いしているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/10
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011・北村経夫
○北村経夫君 私は、小泉大臣の「日本の進路を拓く」という御著書を読ませていただきました。これは一九八九年に出版されておりますけれども、この年というのは昭和から平成に元号が変わった年であります。バブル崩壊が一九九一年、その二年前に書かれた本であるわけでありますけれども、まさにこのバブルが崩壊直前、バブル問題というのが表面化された、表面化してきた時期に書かれた本でありますけれども。
大臣はこの中で、豊かで繁栄している我々国民は、今、大きな不安感にとらわれ、将来への展望を見失い始めていると指摘されておられます。この頃からまさに日本という国は閉塞感が漂う時代に突入したわけでありますけれども、この本の中で大臣は、様々な当時の日本の問題について分析をされ、そして新しい時代への政策提言、ビジョンというものを示しておられます。
その一つに東京一極集中から多極分散ということを掲げておられるわけでありますけれども、あれから四半世紀がたちました。その一極集中が是正されたかどうかでありますけれども、残念ながらますます進んできているということ。そして、二十五年前には議論されていなかった日本の人口減少あるいは労働力不足というものが顕在化し、今深刻化しているわけであります。日本の労働力不足、二〇四〇年には約一千百万人足りなくなる、そして、市区町村、日本の四分の一の市区町村が、生産年齢人口が半減するという見通しもあるわけであります。
そこで、こうした視点から今回の制度改正を通じた将来展望をいかに描いておられるか、大臣から伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/11
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012・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) ありがとうございます。
非常に大きな難しいテーマでありますので十分お答えができないのかなとも思いますが、経済原則から考えれば、やはり基本的には一極集中に力が働いていくと思います。経済効率という観点から考えれば、この圧力は常にあるわけです。でも一方、本当の豊かさを求める大勢の国民がおり、また外国人もそうだと思いますけど、豊かさという点では地方に分があると思います。その両方の選択肢を持てる国としての在り方、そういったものを念頭に、私のイメージでありますけれども、日本の経済社会を考えていく。
技能実習生、あるいは育成就労で来られる外国人材の方々も、まず給与が大事なんです。三年間、五年間働いて、ベトナムに帰れば家が建つと、実際それぐらいの金額の収入を得られます。それも大事で、スキルアップも大事。でも、最後にもう一つ彼らが言うのが、日本の国、日本の社会のすばらしさを学びたいと、そこに自分たちの国にはないものがあると、こういうことを強く言われる方も少なからずいるわけですね。
そして、日本の良さを与えられるのは東京ではもうなくて、日本の良さを与えられるのはもう地方だけだと。ちょっと断定的に言うのも問題がありますけれども、地方にその分がある、日本の良さを伝えられる。
ですから、高い給与を払える企業は東京にあるんでしょうけれども、日本の社会、コミュニティーのそういうもの、その中に社会保障制度とか税制とか、そういう社会関係制度が入ってくると思いますが、そういったものの良さを、あるいは基本的な哲学を、考え方をその外国人材に教えられるとすれば、それは地方でしかできないこと。
企業とあるいは自治体がそういう形で技能実習生にいろいろなものを与えるような仕組みをつくっていくことが彼らのニーズに合う道であり、また、地方に外国人材が来る、定着していく一つの可能性を開く道だというふうに私は感じております。何とかそういう方向に、この法案の更に先の問題ですけれども、動いていければ適切かなというふうに感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/12
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013・北村経夫
○北村経夫君 大臣の変わらぬ信念に共感をいたしております、いたします。外国人との共生社会がこの一極集中の是正につながるということを私は期待をしているところでございます。
そして、地方が都会への外国人労働者の供給基地になってはならないというふうに思うわけであります。この外国人労働者の地域偏在を防止する、これはしていかなければならないわけでありますけれども、そのために何が必要か。先ほど大臣も話しておられましたけれども、人権の保護というのは当然でありますし、働きやすい就労環境、安心、安全な生活環境を整えるということが大事であるわけであります。
そして、私が思うのは、こうした環境を整備するためには、地域内の課題を協議する地域協議会、そして業界内の課題などを協議する分野別協議会というのがございますけれども、その役割が大変重要だというふうに思っております。
そこで、この外国人労働者の偏在防止にいかにこれから取り組んでいくのか、またそれぞれの協議会の構成員はどうなっているのか、そして協議会の取組があるとすればそれは拘束力があるのかどうか含めて答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/13
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014・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
まず、地域協議会は、地方入管局、都道府県労働局、業所管省庁の出先機関などの国の機関及び地方公共団体を構成員として、双方の連絡を図り、地域の実情を踏まえた育成就労の適正な実施や育成就労外国人の保護に有用な情報の共有を目的として組織することとしております。
同協議会は現行の技能実習制度下においても組織されているものですが、育成就労制度では、地域への定着の促進や共生社会実現の観点から、地方公共団体も積極的に参画して地域産業政策として地域での受入れ環境整備等に取り組むなど、よりきめ細やかで積極的な取組を行うこととしており、これらにより外国人の地域への定着を図る方針としております。
他方、分野別協議会は、特定技能制度を参考にしつつ、分野を所管する省庁、その分野に属する受入れ機関などを構成員として、関係者の連携の緊密化、制度趣旨や情報の周知、法令遵守の啓発、地域ごとの人手不足状況の把握などを行うために組織することとしております。
このような趣旨から、同協議会においては、例えば各分野における過度な引き抜きを防止するための取組を行うなど、人材流出の防止策についての検討などがなされることも想定しております。
そして、地域協議会と分野別協議会が適切に連携し、抱える課題について検討がなされることで外国人の地域への定着が促進されるよう、両協議会の設置や運営の方法につきましては、関係者の御意見等も聞きながら適切に検討を進めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/14
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015・北村経夫
○北村経夫君 この偏在を防ぐために、今回の法改正で業界ごとの総数というのが決まっております、決まっていくわけでありますけれども、私は、この偏在防止のために地域ごとに受入れ数の上限枠というものを決めていくということも一つの方法かなというふうに思っておりますので、検討していただきたいというふうに思います。
次の質問に入りますけれども、今回の改正で育成就労制度が創設されますが、その中では、監理団体というものが、これまでの監理団体が監理支援機関という形で現行の枠組みが維持されるということになります。この監理団体の中には、受入れ機関から高額な監理費を徴収するといった不適切な監理団体も散見されるわけでありますけれども、こうしたことから監理団体の制度を見直すべきだという議論もございます。
この点について、どう認識し、いかに適正していくのか、法務省の見解を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/15
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016・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
育成就労制度における監理支援機関は、雇用契約のあっせんや受入れ機関に対する指導監督のみならず、外国人からの相談への対応や転籍の支援といった点でも適切に役割を果たしていただくこととしており、これらにより、これまで技能実習制度の中で問題となっていた外国人の失踪防止等にも資することになると考えております。
また、地方公共団体につきましても、先ほど申し上げました地域産業政策の観点からの受入れ環境の整備や外国人相談窓口の整備など、外国人の定着の取組を推進していくということも併せてやっていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/16
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017・北村経夫
○北村経夫君 私も、この失踪防止、雇用環境の改善、そして日常生活の全般のサポートをする上で、この監理支援団体の役割というのは大きいものだというふうに思っておりますので、是非それを進めていただきたい、充実させていただきたいというふうに思っております。
次に、今回創設される育成就労制度においては、農業や漁業において派遣形態での受入れが可能ということになってまいります。
季節に応じて繁閑の差が大きい農業、漁業分野において、派遣型の育成就労というのは本人にとっても、また受入先にとってもメリットがあるというふうに思います。日本の農業、漁業を守るということからすれば、日本の食料安全保障にも資するのではないかというふうに考えております。
しかし一方で、雇用あるいは収入が不安定になるということ、懸念もあるわけでありまして、この派遣形態で受け入れられる外国人、どのような働き方になるのか、政府委員に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/17
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018・原口剛
○政府参考人(原口剛君) お答えいたします。
まず、今般、農業、漁業分野に限りまして労働者派遣を活用した受入れを認めることとなりました趣旨でございますけれども、自然的要因による業務の繁閑がある分野では、企業の、企業努力を尽くしましても、就労を通じた人材育成を単独の事業主の下で通年行うことが困難な場合があるということもございますし、また、こうした分野における通年での育成就労の実施を可能とするため、派遣元と派遣先が共同で育成就労を行わせる仕組みを設けることとしたものでございます。
具体的には、登録型派遣、すなわち、派遣労働者、派遣労働を希望する方があらかじめ派遣会社に登録しておいて、労働者派遣をする場合に、するに際して、派遣会社がその登録されている方と期間の定めのある労働契約を締結して労働者派遣を行うような形態とは異なりまして、派遣元が外国人と三年間の育成就労期間を通じた雇用契約を締結した上で業務の繁閑等も踏まえた就労先をあらかじめ特定し、例えば春から夏はある地域、秋から冬はそことは別の地域など、季節ごとの就労先や業務内容を含めた三年間の育成就労計画を派遣元と派遣先があらかじめ共同で作成し、外国人育成就労機構の認定を受けるという形としてございます。
その上で、派遣元と派遣先は当該計画に従って育成就労を行わなければならないこととし、無制限に就労先を変更することは認めないほか、計画の認定基準につきましても、通常の基準に加えまして、派遣元と派遣先での適正な責任分担を担保するための上乗せ基準を課すこととしてございます。
このような仕組みによりまして、自然的要因による業務の繁閑がある農業、漁業分野における安定的な就労を担保し、外国人、受入れ企業双方にとって適正かつ円滑な受入れを実現してまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/18
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019・北村経夫
○北村経夫君 次に、悪徳ブローカーについて伺いたいと思います。
よくこの問題が取り上げられるわけでありますけれども、悪徳ブローカーの存在というのは制度の根幹を揺るがしかねないわけでありまして、この排除というのは是非とも行わなければならないというふうに思っております。排除すれば、そのことは全ての健全な当事者にとって共通の利益となるわけでありまして、罰則強化というのはもちろんでありますけれども、いかにこれを防止していくか、そうした防止策ということも重要になってくると思いますけれども、その点について伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/19
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020・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
育成就労制度では、本人の意向の転籍に際して不適正なあっせん、仲介がなされることを防止するため、転籍先の受入れ機関において転籍に至るまでのあっせん、仲介状況などを確認できるようにしていることを本人の意向による転籍の要件とする方向で検討しております。その上で、ブローカー等が関与する違法な職業紹介などがあった場合や虚偽の申請等があった場合には、育成就労計画を認定せず、又は取消しの対象とすることなどを想定しております。
また、転籍につきましては、当分の間は民間の職業紹介事業者の関与を認めないこととし、監理支援機関や外国人育成就労機構が適切に支援するものとする一方で、本法案では、不法就労助長罪の法定刑の引上げによってブローカーや雇用主に厳格に対処することとしており、ブローカーの利用が割に合わないものとすることで、ブローカー対策としての一定の効果が期待できるものと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/20
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021・北村経夫
○北村経夫君 ありがとうございました。
次に、大臣にお伺いしたいと思いますけれども、永住外国人の在留資格について改めて確認をしたいと思います。
元々、この在留資格制度というのは移民制度ではないわけであります。岸田総理も、これは明確に答弁で述べておられます。したがいまして、永住資格というのは永住権を生涯付与するということにはならないわけであります。
しかし、現実には、一度永住権を取ったら、許可時の要件を満たさなくても、一度もチェックされずに、まるで永住権を生涯与えるかのようになっております。このことは言わば法の欠缺とも言えるのではないかというふうに思うわけでありますけれども、その辺、大臣はどう見ておられるか、見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/21
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022・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) おっしゃるように、永住者は、現行法上、まず在留資格の取消しとか退去強制等の在留管理の対象になっております。永住権を持てばその後もずっと行きますよということではなくて、在留管理というものの対象にはなります。
したがって、許可の要件である納税義務や、あるいは納税義務を果たさなかった、あるいは一定の犯罪を犯したような場合には在留状況が良好とは評価されず、そのような場合にまで永住者の在留資格を認め続けること、これは相当ではないと考えられますが、実際のところ、現行法ではこうした場合に在留管理上の措置が存在しておりません。
これはなぜかというと、永住者がやはり長く日本にいて、そして日本に貢献をしてきておられて、そういう永住者でありますから、納税の義務も果たしていただけるであろう、犯罪ということにも無関係であろうという信頼と期待、こういうものがあったと思うんですね。
先生の御指摘では、これは法の欠缺ではないかと、その抜けている部分じゃないかと。客観的に見るとそうなんですけれども、大切に永住者のことを思えばそこまで入っていかないという形の法制になっていましたが、しかし、非常に悪質な公的義務の不履行、こういったものが増えてきている、そして様々な声が自治体から法務省にも届けられるようになってきた。
そういう段階を経て、我々もずうっと検討してきたわけでありますけれども、このままやはりこれを放置すると外国人材全体に対する大きな誤解を招くということが心配されますし、外国人の中でもこの永住者だけなんですね、こういう具体的な管理上の措置が存在しないというのは。その他の在留資格の外国人は、納税の義務を果たしているかどうかというのはその更新の段階で、在留許可の更新の段階でチェックされますけれども、この永住者については更新という制度が入っていないために分からないんですね、自治体から通報があれば分かるんですけれども。
したがって、そこの外国人同士の間の整合性も取らなければいけない。日本人から見たときの外国人の在り方として、こういう目立つ悪質な方々がいると外国人全体がそういう評価を受けてしまうという怖さもあり、様々な検討を行った結果、適正な在留資格上の措置をとり得るようにしようというふうに考えたわけでございます。
しかし、いきなり取消しということではありません。様々なやり取りをし、事実関係を確かめ、そして、まず変更するというところから始まるわけでございます。一遍に取消しまでは行かないわけであります。様々なステップを踏んで、丁寧にその手続を踏んでいく、そういう考え方でお願いをしている条文でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/22
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023・北村経夫
○北村経夫君 ありがとうございました。
この問題、大変センシティブな問題だというふうに思っておりますし、大臣言われました、誤解を招いてもいけないし、そして整合性という問題、そういう観点からもこれはやはりしっかりと周知もしていかなければならないというふうに思っております。法の欠缺にならないようにしていただきたいなというふうには思っているわけでございます。
次に、送り出し国側と送り出し機関の役割について伺いたいと思いますけれども、この今回の法改正の目的、最大の目的は、日本が選ばれる国であり続けるということであるわけであります。
そこにはいろいろな障壁もあろうかというふうに思いますけれども、日本語というものも一つの障壁になる、なっているのかというふうに思っておりますけれども、そこで、この選ばれる、選ばれない国になっているのか、その辺の分析をしておられるのかどうか、伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/23
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024・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
令和四年度に実施した在留外国人に対する基礎調査において行った外国人に対するアンケート調査によれば、来日の理由として、日本が好きだから、一九・五%、勉強のため、一九・四%、スキルの獲得、将来のキャリア向上のため、一九・四%が多く選択されており、我が国の文化などの魅力や学習、スキル形成といった観点で我が国を選んでいただいているものと考えております。
他方で、我が国を選ばない理由につきましては詳細なデータを持ち合わせておりませんが、技能実習生に対するヒアリング結果等も踏まえれば、給与等の待遇面、制度の利用しやすさといった要素に加え、現行の技能実習制度において指摘されております転籍の制限など、人権保護上の観点からの課題といった要素が影響する可能性も考えられていると認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/24
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025・北村経夫
○北村経夫君 今、日本語についてもちょっと触れられましたけれども、私は、日本語というのは日本でしか使えない言語であるわけであります。政府においては、日本語教育の取組強化として日本語教室空白地域解消推進事業と、これを進めておられるというふうに承知しておりますけれども、私は、母国での日本語学習機会も増やすべきだというふうに考えております。
例えば、今、アプリというものがあるわけであります。そういったITも使った母国での日本語学習というものも重要かと思いますけれども、この点については、政府としては取組はいかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/25
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026・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
入国後の地域社会との共生や就労上の必要性の観点からすれば、我が国で働こうとする外国人に母国での日本語学習の機会を確保することは重要と認識しております。特に、日本語は使える国や地域が少なく、母国での日本語学習の機会も少ないと考えられるため、学習機会確保のための積極的な取組を行う必要があると認識しております。
そこで、政府としましては、本年二月に関係閣僚会議で決定した政府方針にも記載したとおり、母国における日本語学習の支援として、日本語教材の開発、日本語教師の育成のための各国への専門家派遣、日本語教材購入助成などを行うこととし、日本語学習の機会の拡大を行う方針としているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/26
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027・北村経夫
○北村経夫君 ありがとうございます。
何度も申しますけれども、今回の改正の最大の目的というのは日本が選ばれる国であり続けるということ、これが重要であろうというふうに思っておりますけれども、このために、外国人労働者が魅力を感じる労働環境あるいは生活環境を実現していく、このことは当然であるわけでありますけれども、私は、見逃してはならない視点として、送り出し国、とりわけ送り出し機関が日本に人材を送りたいと、そういったことを思うことが大事なんだろうというふうに思っております。そのための条件あるいは環境整備をいかにしていくかということであります。
送り出し機関というのは、その名前のとおり送り出すことが主な役割に思えますけれども、実はそれ以上に重要な役割として、母国に帰国した後、その人材の就労あっせんをするということ、これもあります。規則第二十五条には、送り出し機関は技能実習修了者に就職のあっせんなど必要な支援を行うというふうに書かれているわけであります。
そして、外国人技能実習機構の調査によりますと、帰国者の約一〇%が母国で起業しております。私はここにも注目すべきだというふうに、注目しているわけでありますけれども、母国で起業した事業所と日本で受け入れた事業所、これが業務提携をすれば、そこに新たなビジネスチャンスも生まれてくるんではないかというふうに考えるわけであります。そうなると、送り出し機関も送り出し国も日本に送り出すメリットというものを感じていくと、そういうこと、そういう視点も大事かなというふうに思っております。
今回の改正で仕切り直しとなります二国間の取決めでありますけれども、この点も重視していただきたいと思いますけれども、いかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/27
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028・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
外国人の適正な受入れには、送り出し国との協力体制により適正な送り出しの確保をすることも重要と認識しており、現行の技能実習制度では、送り出し国政府との間で二国間取決めを作成し、送り出し国と連携した取組に努めているところです。
現行の技能実習制度におけるMOCでは、送り出し国側の実施事項として、認定基準に基づき送り出し機関の認定を行うこと、送り出し機関の認定を取り消したときは日本側に通知すること、日本側から不適正な送り出し機関について通知を受けたときは調査を行い、適切に対処し、その結果を日本に通知することを盛り込んでおります。
育成就労制度におきましては、このような現行制度におけるMOCの内容を踏まえつつ、新たに送り出し機関の認定基準として、手数料の上限等に係る基準を遵守することや監理支援機関等への供応、キックバック等をしないことなどを盛り込むことを検討しております。
いずれにしましても、MOCに盛り込む事項につきましては、育成就労制度の趣旨や送り出しの適正化という観点から、本日委員より御指摘いただいた点も含めまして、引き続き検討を進めてまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/28
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029・北村経夫
○北村経夫君 時間が参りました。
先ほど大臣に申し上げましたけれども、外国人との共生社会が一極集中の是正につながることを強く期待を申し上げ、私の質問終わらせていただきます。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/29
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030・古庄玄知
○古庄玄知君 おはようございます。
まず、入管法の改正の方についてお尋ねしたいと思います。
現行の入管法は、第二十二条で永住許可という項目がありまして、これについては年数がたってもチェックする機能がないと、今、北村先生の御質問に回答されたところだと思いますが、今回の改正では、二十二条の四、この八号に、この法律に規定する義務を遵守せず、又は故意に公租公課の支払をしないこと、これが永住許可取消し事由ということで新たに定められております。
それで、ここの、私、故意という文言について確認したいんですが、我々、昔、相当昔、刑法なんかを勉強した頃は、故意というのは犯罪事実の認識、認容だというふうに教えられたものです。
そうすると、今回、犯罪じゃない、犯罪か、犯罪じゃないけれども公租公課を支払をしないというのは、自分に公租公課の支払義務があるということ、それと自分が公租公課を支払わないという、そういう二つのことを認識していれば故意があるというふうに考えるのではないかというふうに考えたんですが、この点について入管庁の方のお考えはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/30
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031・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
御指摘の故意にとは、一般的に、自己の行為から一定の結果が生じることを知りながら、あえてその行為をすることをいうところ、ここでは、支払義務があることを認識しているにもかかわらず、あえて支払をしないことをいうものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/31
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032・古庄玄知
○古庄玄知君 そうすると、支払義務があるけど、あえて支払わないというのが故意だという御回答だったと思いますが、そうなると、支払義務があるということは認識しているけれども、自分が病気だったり失業していたりしてお金がないと、だから払えないと、そういう場合はここでいう故意には入るんですか、入らないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/32
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033・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
今般の永住許可制度の適正化は、適正な出入国在留管理の観点から、永住許可後にその要件を満たさなくなった一部の悪質な場合について、その在留資格を取り消すことができるとするものでございます。
実際には、故意に公租公課の支払をしないに該当するか否かについては、個々の事案の個別具体的な状況などを考慮して悪質性を判断するものであるため、一概にお答えすることは困難でございますが、一般論として申し上げますと、御指摘のようなケースで、本人に帰責性があるとは認め難く、やむを得ず支払えないような場合には、これに該当しないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/33
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034・古庄玄知
○古庄玄知君 そうすると、もう一個の例ですけれども、手持ちのお金はないけれども、借金すればお金を調達することができると、だけど、あえて借金までして税金を払いたくないと、払わないと、そういう場合は故意があるんでしょうか、ないんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/34
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035・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
繰り返しになり恐縮でございますが、故意に公租公課の支払をしないに該当するか否かにつきましては、個々の事案の個別具体的な状況等を考慮して悪質性を判断するものであるため、一概にお答えすることは困難でありますが、一般論として申し上げますと、本人に帰責性があるとは認め難く、やむを得ず支払えないような場合には、これに該当しないものと考えております。
その上で、出入国在留管理庁としましては、事実の調査として、対象となった外国人から、従前の公租公課の支払状況のほか、本件で不払となった経緯や外国人の資力等の事情を聴取するなど、やむを得ず支払えないような場合か否かを判断するものになると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/35
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036・古庄玄知
○古庄玄知君 今のお話は、同じ故意という言葉なんだけど、判断者によって、この場合は故意に入る、この場合は故意に入らないというふうな言葉の用い方というのは、非常に、判断する人間の恣意的な、恣意によって変わったりする可能性があるし、今局長がお答えになっているようなこと、現場の入管で判断する人がみんな同じ考えかどうかは分からないので、やはり法律というのは、誰が見たってこうなんだよという、そういう形で条文を作るのが法律じゃないかと思うんですけれども、今回も法律こういう形で作っておりますけれども、もし今、次長がおっしゃったような形でずっとこれから処理していくというんであれば、それを日本中の入管に周知徹底しなければ混乱が生じるんじゃないかなと思うんですけれども、その点についていかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/36
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037・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 条文上は故意、なっていますけれども、法務大臣の裁量権として、その故意の中で悪質性があるもの、あるいは本人に帰すべき事情、事由があるもの、帰責性、こういったもので絞らなければいけないと考えています。
ただ、こういう抽象的な説明では個々の適用の可否があらかじめ分からないという大きな問題がありますので、ガイドラインをしっかり作って、入管の中はもとより、外国人の方々にもそれを理解をしてもらえる分かりやすいガイドライン、それをしっかりと作って執行に備えたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/37
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038・古庄玄知
○古庄玄知君 では、よろしくお願いします。
次に、今度、改正法の二十二条の四の一項九号についてお尋ねしますが、拘禁刑に処せられた場合に永住資格を取り消すことができるというふうに条文が書かれておりますが、この中に過失犯は含まれるのでしょうか、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/38
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039・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
平成十三年の入管法の改正において、その当時、外国人による窃盗、強盗事件、犯罪組織構成員による粗暴犯罪等が多発したため、現行入管法第二十四条第四号の二を新設し、別表第一の在留資格をもって在留する者に係る退去強制事由として、例えば、刑法上の窃盗、強盗、傷害等の一定の罪で刑の執行猶予の言渡しを受けた場合、又は一年以下の懲役、禁錮の刑に処せられた場合が定められたところです。この退去強制事由として規定されました一定の罪は故意犯に限定されており、過失犯は含まれておりません。
その上で、現行法では、永住者は同号の退去強制事由の対象とはされていないため、永住者がこれらの刑罰法令違反を犯しても、一年を超える実刑に処せられない限り何ら在留管理上の措置を講ずることができないこととなっております。そこで、このような場合に在留管理上の措置を講ずるに当たり、永住者の我が国への定着性に鑑みると直ちに退去強制事由として規定することは相当ではないことから、本法案では在留資格の取消し事由として追加することとしたものです。
したがって、本法案による改正後の入管法第二十二条の四第一項第九号に規定する一定の罪は故意犯に限定され、過失犯は含まれておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/39
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040・古庄玄知
○古庄玄知君 今、九号について若干お尋ねしますけれども、刑法第二編第十二章、以下、第何章、何章、何章と書いて、これらの罪により拘禁刑に処せられた場合が在留資格取消しの原因と書いていますけれども、これよく読んでいくと、例えば放火とか強制性交罪とか、ここに挙げられている犯罪よりもかなり重いと思われる犯罪が抜けているんですね。
これは、今後こういうのは加えていくのか、何か意図があって強制性交とか放火なんかの犯罪を外したのか、その辺についてお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/40
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041・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
ちょっと先ほどの答弁と重なるところございますけれども、現在の、今回の取消し対象と想定しております犯罪については、第二十四条の第四号の二に規定されているものと合わせているところでございます。この規定は平成十三年に改正したものでございますが、その当時、外国人の窃盗、強盗事件、犯罪組織構成員による粗暴犯罪等が多発してきた状況に対応するために設けられたという経緯がございます。
ですので、この対象となる犯罪につきましては、現時点ではこの現在の第二十四条第四号の二と合わせた形で御提案させていただいているところでございますけれども、今後の状況を見ながら、どういうことが一番適切なのかというのは引き続き検討することになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/41
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042・古庄玄知
○古庄玄知君 そうすると、今後、該当する犯罪を増やしていく可能性があると、そういうことでいいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/42
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043・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申します。
現時点で今後増やすという方針を決めているわけでは当然ございませんけれども、その対象については、今後の状況を見ながら、増やすのかどうかということも含めて検討の対象になるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/43
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044・古庄玄知
○古庄玄知君 済みません、これ、私の認識が浅いのかも分かりませんけれども、そこで、拘禁刑に処せられたことという中には執行猶予も入るんでしょうか、それとも実刑を受けただけということなんでしょうか、入管。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/44
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045・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) 申し訳ございません。お答え申し上げます。
本法案による改正後の入管法第二十二条の四第一項第九号で規定する特定の刑罰法令違反とは、例えば刑法上の窃盗、詐欺、各種偽造、傷害などの一定の罪に該当することをいい、拘禁刑の執行が猶予された場合や一年以下の拘禁刑に処せられた場合も含むところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/45
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046・古庄玄知
○古庄玄知君 ありがとうございました。
入管については以上で質問を終了しまして、次、育成就労法案について質問させていただきたいと思います。
現行の技能実習制度では人材育成を通じた国際貢献がその目的でありましたが、育成就労制度では人材育成と人材確保をその目的としております。
まず、この理由は何なのかということをお尋ねしたいと。それと同時に、技能実習制度は今の時点でどうして見直しを行うのかと、また何のために行うのかということを大臣の方にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/46
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047・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) これまでの技能実習制度というのは、日本に来ていただいて一定の技術を学び、またそれを、母国へ戻ってそれをベースに活躍していただくという、国際貢献というのを表にしっかりと出していたわけです。
しかし、実態的にはだんだん、労働力不足の中で、日本の少子化が進み、国際的な人材獲得競争も厳しくなる中で、安価な労働者として雇うということに事実上この目的がシフトする、目的とその実際の実態の乖離ということが言われるようになりました。
我々は、様々な議論を経ての結論でありますけれども、本音で、本音で制度をつくり変えようと。本音とは何かといえば、外国人材の育成と確保であります。それは何かというと、より多くの外国人材に適切な形でより長くいていただく、そして日本の経済社会を支えてもらう。この本音を正面に据えて法改正を、法制度をつくり直そうということになったわけでございます。
そうすると、様々な労働者性の問題、転籍要件の緩和、あるいは人権の確保、あるいは監理支援団体等の適切な業務の在り方、制度全般を見直すことになりまして、もう一度一からつくり直していこうと、そういう考え方で今回法案を構成しております。
技能実習制度については、これまでの実績というのは、もちろんマイナス面だけではなくて、様々な実習生が学び、また、たくさんの貯金を持って家族を幸せにした様々な例もあります。一つの時代において大きな役割を果たしたというふうな思いで我々は見ていますけど、反省点も少なからずあったわけです。その反省点をしっかりと今回の法案には組み込む形で法案を提案させていただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/47
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048・古庄玄知
○古庄玄知君 私、地元が大分なんですけれども、そこで、今回質問に当たる前に、実態がどうなのかということを監理支援団体の人たちから様々な意見を聞きました。その中で出てきたのが、受入れ機関が外国の方を一人受け入れるに当たっては当初のお金が掛かると。大体幾らぐらい掛かるのと聞いたら、大体三十万円ぐらいは掛かるだろうというふうなことを言われていました。
そこで、今回、育成就労制度というふうに制度が若干変わるんですけれども、この制度を変えることによって受入れ機関の金銭的な負担が軽減するのか、あるいはその軽減するために何らかの手当てをしているのかという点について、次長の方にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/48
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049・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
現行の技能実習制度において、受入れ機関は、受入れの際の費用として、職業紹介費、送り出し機関への送り出し手数料、入国後講習費などの育成費用などを負担しているものと承知しております。このような費用は、海外から外国人を受け入れる際には通常必要となるものであって、とりわけ人材確保を制度目的の一つとする育成就労制度では、受入れの受益者となる受入れ機関が相当額を負担することになるのはやむを得ないものと考えております。
もっとも、受入れ機関の負担がいたずらに大きくなることは相当ではなく、当該費用につきましては、正常な市場メカニズムの下で適正な額であることが望ましいところでございます。
この点につきまして、育成就労制度では、送り出し機関が徴収する送り出し手数料などや監理支援機関が徴収する費用の情報の公表を求めることで情報の透明化を進めることとしており、受入れ機関が負担する費用について適正な運用に努めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/49
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050・古庄玄知
○古庄玄知君 先ほど、地元で聞く中で、現在の技能実習制度で何が一番問題かというふうに聞くと、費用の問題もありますけれども、技能実習生がいなくなるという、いわゆる失踪ですね、これがかなり多いということもお伺いしました。
そこで、今回の育成就労制度においては、この失踪問題というものは解消されるんでしょうか、あるいは何らかの手当てをされているんでしょうかということについてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/50
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051・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
技能実習生の失踪原因につきましては明確に特定することが困難な面もございますが、暴行などの人権侵害など一部の実習実施者の不適切な取扱いによるもの、新たな就労先を求めるなど技能実習生側の事情によるものなどがあり得るものと考えております。
この点、育成就労制度におきましては、監理支援機関について、外部監査人の設置の義務付けなどにより独立性と中立性を確保するとともに、職員の配置、相談体制を確保すること、外国人育成就労機構について、監督指導機能や支援保護機能を強化することなどによって不適切事案の発生を予防し、適切に対応することを予定しております。
また、育成就労制度では、転籍制限を緩和することにより労働者としての立場をより尊重すること、外国人が送り出し機関に支払う手数料などが不当に高額とならないようにするための仕組みを導入すること、不法就労助長罪の法定刑を引き上げブローカーを排除することなど、失踪等の原因となる要因の解消に資する方策を講じているところです。
これらによって、技能実習制度で指摘されてきました失踪の問題は一定程度解決されることになると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/51
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052・古庄玄知
○古庄玄知君 うち、うちというか、私の出身している大分なんか、ああいう地方の方だと、まず後継者がいないということで、もう技能実習生が頼りなんだと、もし技能実習生がいなくなったら、もうひいじいさんの代から続いたこの商売を辞めなければならないと、何とか技能実習制度は続けてほしいし、最低でも三年はいてほしいというふうに非常に切実に訴えられました。その三年はいてほしいというのは、三年は転籍したら悪いというのが、今までそうだったんですけど、それは、国際的には現在の奴隷制度などと言われて批判を受けてきたところだろうと思います。
それを解消するために今回の改正されたんだろうと思いますが、今回の本人の意向による転籍について、分野ごとに一年から二年までの範囲内で転籍可能期間を設定するというふうにされておりますが、この分野ごとに設定を認めることにした趣旨はどういう点でしょうか、法務当局にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/52
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053・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
労働法制上、日本人、外国人を問わず、有期雇用契約であっても一年を超えれば退職が可能とされていることを踏まえますと、転籍が制限される期間は一年とすることを目指すのが相当と考えられるところです。他方で、転籍を認めることで、人材育成上の支障が生じる懸念や、受入れ機関にとっての人材流出への不安に対しても適切に対応する必要があると考えます。
このような観点から、当該期間につきましては、激変緩和の措置として、当分の間、各受入れ対象分野の業務内容などを踏まえ、分野ごとに一年から二年までの範囲内で期間を設定する方針としております。
そして、分野ごとに設定することとしましたのは、各受入れ分野の業務内容や計画的な人材育成の観点で、同一の受入れ機関での育成の継続が必要な期間など、各分野における実情などを踏まえて就労期間を設定する必要があること、その際には、一年を超える期間を設定する場合には、一年経過後には、転籍の制限を理由とした昇給その他待遇の向上等を図る必要があることを考慮する必要があることなどを踏まえ、各業界団体や業所管省庁での検討や意見等を踏まえて、新たな会議体における議論を尊重し、最終的には政府が設定する必要があるためでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/53
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054・古庄玄知
○古庄玄知君 現行の技能実習制度におきましても、やむを得ない事情があるときは転籍は認められておるんですけれども、この現状の課題についてはどういう点にあるというふうに御認識なのかという点が第一点。それと、今回の育成就労制度におきましては、このやむを得ない事情の範囲を拡大し、明確化し、手続を柔軟にするということですけれども、その詳細について御回答ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/54
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055・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
現行の技能実習制度におけるやむを得ない事情がある場合の転籍につきましては、どのような場合に転籍が認められるのか分かりにくいとの御指摘があるところでございます。このため、育成就労制度では、外国人の人権保護等の観点から、やむを得ない事情がある場合の範囲を拡大、明確化することとしております。
具体的には、やむを得ない事情がある場合に該当し得るものとして、育成就労実施者の倒産、廃業、認定計画の取消しなどにより育成就労の継続が困難となった場合、実習先での暴行、常習的な暴言、ハラスメントなどの人権侵害行為があった場合、労働契約の内容、例えば賃金、労働時間、就業場所などと実態に一定の相違があった場合、一定の賃金低下や一定限度を超える時間外労働及び休日労働があった場合、本人の予期せぬ形で本人負担額の増加や生活環境の変化が生じた場合などを具体的な例として示すことを検討しております。
また、現行の運用では、やむを得ない事情がある場合の転籍が認められるための立証の程度も個別の事案に応じて判断がされており、特に実習生と受入れ機関との主張が食い違う場合などには転籍手続が速やかに進まない事案も見受けられたところです。
このため、やむを得ない事情がある場合の対応の必要性や緊急性を踏まえ、例えば、外国人からの資料等に基づく一定の疎明があった場合には、機構において、仮に受入れ機関の言い分と一致しなくとも、やむを得ない事情がある場合と認定し、転籍を認める場合もあることを明確化する方針としております。
なお、これらの対応につきましては、外国人の人権保護等の観点から、育成就労制度の施行を待たず、現行制度下においても可能な限り速やかに運用の改善を図っていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/55
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056・古庄玄知
○古庄玄知君 それで、私が事情を聞いた監理支援団体の方が非常に訴えていたのが、受入れ機関に問題のあるケースが多いと。パワハラ、セクハラ、時間外労働、残業代未払、そういう問題が結構あると。だけど、外国人の技能実習生がそういう被害に遭っても誰に相談すべきか、誰に相談すればよいのか分からないということで、相談に行ってもたらい回し的なことをされてしまうということで、窓口を一本化すべきじゃないかと、そういう意見もありました。
この点について、次長、法務当局のお考えを伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/56
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057・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
技能実習生が相談する窓口についてですが、受入れ機関においては生活相談員を設置し、監理団体においては母国語で相談対応をすることとしているほか、外国人技能実習機構においても、八か国語での母国語相談窓口を設置し、日常生活の相談から受入れ機関における不適正な問題まで幅広く相談に応じる体制を構築しております。
その上で、全ての技能実習生に配付する技能実習生手帳に、外国人技能実習機構が設置する母国語相談窓口や相談内容に応じた各種相談窓口を記載することで周知を図っているところです。
なお、令和二年七月に開所しました外国人在留支援センター、通称FRESCと申しておりますが、ここにおきましては、外国人の労働問題、人権相談、法的トラブルなどに係る相談に、外国人共生施策を所管する四省庁の八機関が集まり対応しており、委員御指摘の窓口の一本化への取組も進めているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/57
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058・古庄玄知
○古庄玄知君 済みません、時間の関係がありますので七問目と八問目はちょっと飛ばさせていただいて、ちょっと九問目の方に質問させていただきたいと思います。
今まで現行制度では監理団体、育成就労制度では監理支援機構、これが受入れ機関と外国人労働者を結び付ける上で極めて重要だというふうに言われておりますが、その重要性とか現行制度での課題、それからその適正化などについての方法、そういう点について法務大臣の方にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/58
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059・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) この監理団体は、実態的には雇用契約の成立のあっせん、マッチングをするわけですね。このマッチングが相整わないと何も始まらないわけでありまして、どうやってその実施企業と労働者、外国人人材に結び付けるかというその部分を担っていただいているわけであります。
したがって、その部分にまた問題も生じ得るという御指摘も当然あるわけですが、やはりきめの細かい、そして身近にあるそういう存在であって、きめ細かい相談、あるいはマッチングのための助言、あるいは面接のセッティング、細々としたことを繰り返し幅広くやる中でマッチングというのが成立をしますので、そういう民間の持つそういうきめの細かさ、そういったものに着目をして、この問題点を是正しながら、引き続き監理機関、監理支援団体としての役割を果たしてもらいたいと、そういうふうに考えているところであります。
育成就労制度では、外部監査人の設置の義務化や受入れ機関と密接な関係を有する役職員の監理への関与の制限など、あるいは受入れ機関数に応じた職員の配置、送り出し機関からのキックバック、供応の禁止、様々な手を打ちながらパフォーマンスはしっかりと上げてもらいたい、そういう考え方でコントロール、マネージしながらパフォーマンスをしっかりと上げてもらいたい、こういうスタンスで対応しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/59
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060・古庄玄知
○古庄玄知君 今、監理団体が受入れ機関に対して監査を行うという体制になっていると思うんですが、監査を行おうとしても受入れ機関がいろいろ理由を付けて監査を拒むと、そういう事案がかなりあるというふうに聞いております。
そういうところに監査支援団体あるいは監査機関が行ったとしても、その実習生が、実習生の本音というか本当のことが聞けないと。やっぱり受入れ機関、要は雇用主なので、その会社の社長がおるところで、いや、実はうちの会社はこんな問題があるんですよというのはなかなか言えないということで本音が聞けないと。
そこで、監理支援団体の方が言うには、この点について何とか技能実習生の本音が聞けるようにしてほしいと、そういう点が要望として上がっているんですけれども、これについて有効な対応策があるかどうか、次長の方、よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/60
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061・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
制度の適正な運用を確保する上で、監理団体や監理支援機関による監査が適正に行われることは極めて重要であり、現行制度でも育成就労制度でも、受入れ機関による監査の妨害行為等に対しては厳正に対処することは必要不可欠と考えます。
そのような妨害行為等を行う受入れ機関に対しましては、現行制度でも、外国人技能実習機構が監理団体からの報告等を受けて臨時の実地検査を行い、場合によっては主務省庁の職員が立入検査を行うといった対応を行うこととしており、外国人技能実習機構に対する虚偽の報告等を行った場合や主務省庁の職員による検査を拒んだ場合は技能実習計画の認定取消し等の対象となり得ます。
また、監理団体による監理に対する真摯な対応を行わない受入れ機関につきましては、監理団体による実習監理を受けることという受入れ機関の要件を満たさなくなったものとして、そのことをもって機構による指導や技能実習計画の認定取消しなどの対象となり得るところでございます。
育成就労制度におきましても同様の制度上の枠組みを踏襲しているところであり、育成就労が適正に実施されるよう、悪質な受入れ機関に対する厳正な対応を徹底するとともに、制度の周知や関係者の意識改善に努めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/61
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062・古庄玄知
○古庄玄知君 済みません、十一問と十二問は飛ばさせていただいて、最後の質問に参りたいと思いますが。
私がやっぱり声を聞いたところでは、入管庁の処理が非常に遅いと。これ多分人材不足なんでしょうけれども、一週間前に持っていって、はいと言ってカウンターの上に書類を置かれているんだけど、それを開かれた形跡すらないと。これに対して韓国なんかは処理が物すごく速いと、日本は遅いと、そういうふうに監理支援団体で実際にその現場にいる方から聞かされたんですけれども、こういう点について改善するためにどうすればいいのか、法務大臣の御見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/62
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063・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) ウイルス、ごめんなさい、新型コロナウイルス感染症対策に係る水際措置が廃止されてからは、確かに急速に、入国者数が大幅に急速に増加しております。令和四年とまた令和五年の間の比較でありますけれども、在留資格認定証明書交付申請件数、四一%の増加であります。したがって、それまでのコロナ中の体制では追い付けなくなっているということも事実であります。
したがって、職員の応援派遣、これを一生懸命今手当てをしているところでありますし、趨勢的に、観光立国の効果もあって、これから入国者数が趨勢的に中長期的にも増えていくことに対して、デジタル化の取組、こういったものも進めているところであります。ごく、まだささやかな一歩でありますけれども、共同キオスクというような機器を入れて迅速化を図る、もっと本格的なシステムの構築、これに向かって今予算要求もし、また計画も作っているところであります。
この点、御指摘をいただきましたので、更に緻密に検討して対応策をしっかりと取りたいと思います。たくさんの方からそういうお声があったということも伺いましたので、しっかりと取り組みたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/63
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064・古庄玄知
○古庄玄知君 では、以上で終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/64
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065・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 立憲民主・社民の牧山ひろえです。
当法務委員会の重要テーマであります入管法及び技能実習法の改正が本日から本格的に委員会審議入りいたします。数多くの論点がある今回の法案ですが、初回ということもありまして、今回は総論的な内容を中心に質疑をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
まず、外国人の受入れ政策について質問させていただきたいと思いますが、技能実習制度や特定技能制度の見直しを検討するために、令和四年十二月から政府の技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議において検討が重ねられまして、昨年十一月三十日に、育成就労という新しい制度を提案する最終報告書が、御承知のとおり法務大臣に提出されました。
この最終報告書で私が気になった点ですけれども、それまで、この有識者会議の中間報告では、現行の技能実習制度を廃止して人材確保と人材育成を目的とする新たな制度の創設を検討していたものが、最終報告では、現行の技能実習制度を発展的に解消し、人材確保と人材育成を目的とする新たな制度を創設とされたところが非常に気になるところでして、廃止と発展的に解消、同じようでいて、何か本質的に違うのではないかという気がしております。
廃止という言葉からは、これまで様々な人権問題を引き起こしてきた悪名高い技能実習制度からの決別が感じられるわけですけれども、これに対し、発展的に解消という言葉からは、これまでの負の側面の総括が曖昧であり、そして技能実習制度のあしき特徴を引きずったものを構築していくおつもりなのかという気がしてならないわけですね。
新しい制度を構築していくに当たっては、人材育成を通じた国際貢献という制度目的と国内企業の労働力確保という運用実態が乖離して、どうにもならなくなってしまった現行の技能実習制度から決別するという姿勢がまずは必要なのではないかと私は強く思っております。
建前と実態の乖離を放置したまま、新しい制度といいながら看板の掛け替えの法案を強引に成立させようとするのか。それとも、人口減少と労働力不足に直面する我が国の実態をありのまま直視し、そして誠実に向き合って、処方箋となり得るものを国民的議論の上で創出しようとするのか。大臣の技能実習制度改正に対する率直な御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/65
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066・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 技能実習制度は、国際貢献の観点から、多くの外国人材に来ていただいて、技術を修得し、また相応の賃金を得て、貯金を得て、母国に帰り家族を豊かにする、あるいは学んだものをベースにまた新しい活躍の道を開く、そういう様々な成功例もあります。
したがって、一定の相応の役割を果たしてきたと思いますが、しかし、その中で、受け止める、受け入れる日本の側の意識が、やはり安価な労働力としての受け止め、そして、そこから発生する様々な不適切な取扱い、そういったものに様々な反省点もございます。
しかし、まず、そこで今回、発展的解消という形で新しい制度をつくったわけでありますけれども、諸外国から人材に来ていただいて、日本で学んでいただいて、今度はそれを共に分かち合いましょうという考え方でございます。しかし、海外から日本に来ていただいて、日本で学んでいただくというその行動は変わらないわけです。全く違うことをやるわけではないので、それは決別しろと言われても、そのやり方は、そこは変えられないわけであります。
そこは変わらないんですが、しかし、考え方は、日本が少し高いところにいて恩恵的に国際貢献するんではなくて、選んでもらう立場、選ばれる日本、そういう視点が入ったことが今までの制度の在り方とは根本的に違うところだと思っています。選ばれるためには、しっかりと人権の保護あるいは適正な労働者としての権利の保障、そして幸せになっていただくための、やはりライフステージを上昇していくための見通し、そういったものも含めて、日本に来て日本で豊かになる、日本で幸せになっていただくという観点をしっかりと入れた制度改正にこれは我々はした、していきたい、そういうふうに思って法案を御審議いただいているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/66
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067・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 大臣、これまでどれだけの当事者とお会いになったか私は分かりませんけれども、これまで苦しんできた、あるいは大けがをした、お亡くなりになった方々、いろんな御家族、そういった苦しんでこられた技能実習生の方々や周りの方々のお話を聞いたら、私は、根本的に間違ったとしか言いようがないと思いますし、また、現行の技能実習制度への反省と決別なくして新たな制度へ踏み出すことはあり得ないと思うんですね。
技能実習生については、転籍の原則禁止、高額な手数料などの費用の技能実習生からの徴収、残業代の未払や虐待などの深刻な人権侵害が指摘されており、特に米国国務長官、国務省からは、虐待的かつ欺瞞的な労働契約により人身売買の危機にさらされていると糾弾を受けたほどなんですね。
私たちも、様々な角度から国会の内外で問題を指摘し、そして制度の廃止ないし抜本的な是正が必要な旨ずっと訴え続けてまいりました。
時の古川法務大臣が、技能実習制度について目的と実態の解離があるというふうに言っておりまして、今回の見直しにつながったわけです。
見直しに踏み切ったこと自体につきましては一定の評価をいたしますけれども、なぜ、ここまで強い批判にさらされていたにもかかわらず、見直しへの動きがここまで遅くなったのか御説明いただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/67
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068・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 技能実習制度は、平成五年に制度が創設をされ、これまでも、問題事案の発生や人権保護の観点からの指摘を踏まえて改正が行われてまいりました。平成二十二年施行の入管法改正、あるいは平成二十九年施行の技能実習法の導入などによって累次にわたり制度の適正化が図られてきております。
そうした検討の中で、技能実習法に定められた見直し時期、二〇二二年、入管法によって規定された見直しの時期、二〇二一年、この時期をにらんで、古川大臣が勉強会をつくり、見直していこうという動きを早めていただいたわけであります。その結果、関係閣僚会議をつくり、有識者会議をつくり、この法案に結び付く様々な議論を幅広く行ってきたところであります。
様々な努力の積み重ねの上にこの制度は是正をされ、様々な方の努力の上にこの制度はブラッシュアップをされていく、そういう過程に我々はさお差しておりますので、これからももちろん不断の見直しが必要になってくると思いますが、是非是非そこは御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/68
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069・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 技能実習は、創設以来三十年以上長きにわたって様々な批判を受けてきたわけです。法務省は、人権を所管する官庁として、これだけの問題を結果として放置し続けた、それは事実ですので、猛省が必要だと思います。
法案審議の大前提となる外国人労働者の受入れに関する政府方針について確認したいと思います。
入管庁のホームページを見ますと、今年の四月更新の資料においても、専門的、技術的分野の外国人は積極的に受け入れ、それ以外の分野の外国人は様々な検討を要するとあります。そして、その根拠として挙げているのが、平成十一年に閣議決定された第九次雇用対策基本計画と平成三十一年の出入国在留管理基本計画です。この技能実習法改正案の提出によっても、この古い閣議決定と法務大臣決定の計画に基づいて、これまでの政府方針を堅持するお考えなのでしょうか。
そして、もう一つ。もしそうだとすれば、新制度における育成就労外国人は、専門的、技術的分野の外国人ではないということで様々な検討を要し、積極的に受け入れるつもりはないと御認識でよろしいでしょうか。大臣の明確な御答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/69
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070・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 御指摘がありましたように、政府としては、専門的、技術的分野の外国人については積極的に受け入れる一方で、専門的、技術的な分野以外の外国人の受入れの在り方については、社会的コスト等の幅広い観点から国民的コンセンサスを踏まえつつ検討する、そういう方針でございます。この方針は本法案によって変わるものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/70
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071・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 以前、専門的、技術的分野以外の外国人は、我が国にとってだけ一方的に都合が良い労働力として、安く使い倒そうという姿勢があからさまだったわけです。その姿勢がもたらした悪影響は今でも至る所に残っております。同じ日本で共に暮らす共生のパートナーとして、敬意を持って私は接するべきだと思います。尊重するべきだと思います。
育成就労法案と併せて、永住資格の取消しを含む入管法改定案が出されております。
これは、今年の二月九日の関係閣僚会議による「最終報告書を踏まえた政府の対応について」において、育成就労制度を通じて、永住につながる特定技能制度による外国人の受入れ数が増加することが予想されることから、永住許可制度の適正化を行うとされたことを受けたものです。
しかし、この件は、技能実習制度、そして特定技能制度の見直しに向けた有識者会議において全く議論されていないんですね。技能実習の廃止、そして育成就労の創設については、検討結果が適切に法案に反映されているかどうかはさておき、有識者会議における検討を経ています。
なぜ、このように、永住権取消しのような重大な問題が有識者会議で検討されていないのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/71
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072・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) これは、令和元年の十一月の世論調査から始まりまして、令和二年七月の第七次出入国管理政策懇談会、また令和四年の外国人との共生社会の実現に向けたロードマップ、こういったところでずっと、永住者に対する在留管理の在り方の適正化、この必要性、なかなか納税義務を履行してもらえない方が出ている、そういう指摘を受け、行政的な対応に関して様々な取組、検討を行ってまいりました。
そして、最終的には、令和五年の十一月から地方自治体へのヒアリングを確認のため行い、様々な不履行があるという事実があり、それに基づいて今回の立法に至ったわけであります。
短期間につまんできて作った政策ではなくて、今から、五年、六年、七年、そういう長い時間を掛けて様々な意見をいただき、ステップを踏んでやってきた、その結果として、今回法改正をお願いしようという結論に至ったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/72
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073・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 今大臣がおっしゃった様々なところからの訴え、永住者の方々が税金を払わないという、そういった訴えがあったというお話を今されていましたけど、その数は僅か、その訴えに応えて出向いていったのが七自治体というふうに聞いております。それ以外の千七百以上の自治体からの苦情などは確認されていないんですね。
それも、七自治体をどうやって選んだのかなと部会でも聞いてみたんですけど、それもどういう基準でこの七自治体だけ選ばれたかも教えてもらえてないし、そこで容易に取れる統計ですら取ってきていないんですね。ただ行って、そして何やってきたのかということも教えてくれない。さっきも言いました千七百以上の、もしかしたらクレームが出ていない千七百以上の自治体の中からなぜこの七自治体なのかということも聞いていないです。
日本人の滞納のケースよりも悪質だと、永住者の方が滞納に関しては悪質だと根拠付けられたわけでもなく、後から検証するための記録も公開しようとしていないわけですね。このような裏付けのない事例を持ち出して、何を主張としていたのか。私は本当に、部会で聞いたお話、意味不明としか言いようがなかったんですが、これについていかがでしょうか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/73
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074・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) 申し訳ございません。まず私の方から、七つの自治体を選んだ基準といいましょうか、どうして七つの自治体をお聞きしたかということを御説明申し上げますと、これにつきましては、やはり永住者の状況について実情を知りたいということでございましたので、永住者を含む在留外国人の数とか永住者の割合が多いということを勘案しまして、七つの地方自治体から選定し、ヒアリングを実施したものでございます。
また、今回の制度でございます。大臣からも御答弁しておりますけれども、永住許可をする時点では、皆さん公的義務を履行されていることを確認し、永住許可をしている。その後、滞納とかする方がいらっしゃるという自治体のお声もありますし、また一部でございますけれども、私どもの審査の中でもそういう事案が確認されているということは従来から御説明させていただいているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/74
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075・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 今割合というふうにおっしゃっていましたけど、その割合がどれほどひどかったのかという今の答弁の裏付けも、後ほどで結構ですので出していただきたいと思います。
委員長、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/75
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076・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/76
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077・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 本当に、それ以外の千七百自治体が、何で千七百自治体のところに行かなかったのかということも後ほど裏付けをお知らせいただきたいなと思います。
委員長、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/77
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078・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) ただいまの件につきましても、後刻理事会において協議いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/78
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079・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 この不自然さは、必要性に応じて順当に取り組むべき政策として提起されたのではなく、真っ当ではない経緯で取り上げられたということを示すものだと思います。必要な議論の段取りを踏んでいないのは、さっきの有識者会議で議論されていないというお話に戻りますけれども、それだけではないんです。
各種の検討機関で関係者など各方面から幅広く意見を聞くとともに、諸外国の永住許可制度の例も参考にするなどして、丁寧な議論を行っていく必要性が指摘されています。また、公的義務の履行状況を始めとする永住者の実態について調査をしっかり行って、その情報を広く社会、国民に提供していくことの必要性などが説かれています。ですが、衆議院法務委員会において、永住者の実態調査、当事者や関係者からのヒアリングのいずれもろくになされていないことが指摘されました。
まずは、この論点における諸外国の制度、状況の調査の結果を御開示ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/79
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080・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
永住許可を含む各国の出入国管理制度は、これを構成する個々の制度が相互に密接に関連し、全体で適切に機能するように設計されており、例えば永住許可制度といった制度の一部のみを取り出して我が国の制度と単純に比較することはできないものと考えております。
その上で、公的義務の不履行が永住資格の喪失などにつながり得る例につきまして、諸外国の法制度について網羅的に把握しているものではございませんが、調査した範囲では、米国におきまして、適正な納税申告を行わない場合、永住権を失わせることを可能とする法制度を取っている、ドイツでは、法規に対する単に散発的又は軽微ではない納税義務違反を犯した場合などに永住権を失わせることを可能とする法制度を取っていると承知しているところでございます。
これらも参考にしつつ、今般の永住許可制度の適正化においては、公租公課の支払をしない場合について、永住者への本邦への定着性にも配慮し、慎重に立案するという観点から、取消し事由を、単に公租公課の支払を怠ったことではなく、故意に公租公課の支払をしないことに限定し、さらに永住者の在留資格の取消しをしようとする場合には、原則として他の在留資格に変更することとしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/80
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081・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 なぜ、国民の納得得るのに必要な議論の段取りを踏んでいることの説明がなかなか出てこないで、後出しで答弁されるんでしょうか。当局の答弁が正しいということであれば、今回の永住権の取消しという施策に基づいた海外事例の調査の結果をまとめた文書があるはずだと思うんですね。
海外事案の調査分析など、政策起案のための調査結果は、できれば国民間、少なくとも関係する複数の政策担当者間で共有しなければ意味がないわけですから、そのあるはずの諸外国の永住許可制度に関する調査報告文書を理事会に御提出いただきますよう、委員長、取り計らいいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/81
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082・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/82
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083・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 また、政府ですら当初は必要と考えていた調査検討でしたのに、なぜそれを飛ばして法案を提出したのかを御説明ください、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/83
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084・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) これは、先ほど御説明いたしましたように、令和元年の世論調査から始まり、令和二年政策懇談会、令和四年ロードマップ、こういったことを検討し、またこういった懇談会を開催し、こういった調査を行う過程で様々な意見を、様々な実態を我々は徴してきています。その積み重ねの中で、最終的な確認として、令和五年の十一月から十二月にかけて地方自治体へのヒアリング調査も行ったところであります。また、外国の状況については、ごく一部でありますけれども、今御説明したような情報もございました。
こういった積み重ねの中で検討を進めてきて、そして地方自治体からは、なかなかその納税義務を履行してもらえない人がいる、そういう方々に対するやはりペナルティーがなければ制度は動かない、そういう声がたくさん寄せられるようになりました。それを踏まえて今回の立法措置に至ったわけであります。立法措置の案の作成に至ったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/84
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085・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 大臣がおっしゃられた、たくさんそういった納税しなかった方々がいた、その数も知りたいですし、母数も教えていただきたいし、やっぱり統計に基づいておっしゃっているんだと思いますので、統計に基づいて是非その資料を出していただきたいと、早急にこの資料を出していただきたいと思います。
審議の中できっちりとこの点を検証したいと思いますので、是非この点もお願いいたします、委員長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/85
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086・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) ただいまの件につきまして、後刻理事会において協議いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/86
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087・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 そもそも論なのですが、永住につながる外国人が増加することをあたかも好ましくない、どちらかといえば抑制すべき事象のように語っておりますが、永住外国人の増加は何か問題なんでしょうか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/87
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088・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) いや、問題はない。我々は国を開き、より多様化を求めて進めていくわけでありますから、それが問題だとは全く思っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/88
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089・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 問題ないとおっしゃるんでしたら、本当に、先ほどもちょっと理解に苦しむ、資料も出していただきたい。本当に、七自治体がどういう理由で選ばれたのかとか、どういった基準でこの七自治体以外の千七百以上の自治体が選ばれなかったのか、本当に数字や説得力を持って是非お答えいただきたいと思いますし、また、これまでに、先ほどの自治体の調査に加えて、ほかにもこれまでいろんなことを調査してこられたと大臣さっきおっしゃっていたので、その点についても、これまでの経緯に至るまでの様々な調査の結果を行政文書として当理事会に提出いただくよう、委員長、お取り計らいください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/89
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090・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/90
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091・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 あからさまに語られませんが、我が国で永住外国人が増加すること自体好ましく思わない層から今回の永住権の取消し施策などが提起、支持されているのではと感じることがあります。
予算委員会で私が岸田総理に提起しましたとおり、移民や在留外国人について我が国がどのようなスタンスを今後取るべきかという国民的議論を回避し続けていた、そういった対応がこのような事態を生んでいると感じたんですが、どのようにということに、これに対して岸田総理はしっかり答えてなかったです。
しかし、新制度によって永住につながる就労者が大幅に増えるという前提は必ずしも正確ではありません。技能実習及び特定技能一号での在留期間は永住資格に必要な就労期間には含まれないのであり、現に永住につながる特定技能二号の在留者だけなんですね。この肝腎の特定二号で在留する外国人は、二〇二四年の二月末時点で何と四十八人しかいないんです。僅か二桁です。これでは永住者が大幅に増えるという仮定が成り立ちません。この事実は非常に高いハードルとしか言いようがありませんが、大臣、私の理解は誤っておりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/91
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092・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) その御議論の前に、ちょっと先ほど申し上げそびれたんですが、永住者を増やすためにも、中長期的に大勢の永住者に日本に入ってきていただいて定着していただくためにも、そういった非違、債務不履行、納税義務の不履行、あるいは犯罪、そういったものを犯すごく一部の悪質な振る舞いをする永住者についてはきちっと対処をすることで、国民の永住者に対する信頼を維持して、国を開いていくことができるんだと思うんですね。そこに目をつむってしまって、国民が様々な批判の目を持って、批判の気持ちを持てば、これ容易に永住者を増やしていくということは難しくなってしまうと思います。
そこを是非落ち着いて考えていただいて、長い目で見て日本を開かれた国にするためには、ごく一部の悪質な永住者の方々に対する適切な処置をしっかりとるということはやはり必要なことだと我々は判断しているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/92
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093・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 一部には税金を払わない、あるいは払えない方々がいらっしゃると思います。日本人の中にも多くそういう方はいらっしゃると思います。私が言っているのは、同じ人間として扱っていただきたいということです。
そもそも特定技能一号と特定技能二号とは全く違う在留資格と考えるべきであり、エスカレーター的につながっているものではありません。これは、必要とされる技能レベルに大きな差があるためです。
特定技能二号には熟練した技能が必要であり、そして基本的に技能検定一級レベルが要求されています。例えば、これまで最も多く特定技能二号を輩出してきた建設業では、具体的には、一定の複数の技能者を指導しながら作業に従事し、工程を管理する能力と班長としての実務経験も必要とされています。言語的にハンディがない日本人でも、誰もがこのレベルに到達できるステージではないわけですね。
したがって、新制度によって永住につながる就労者が大幅に増えると考えることは、私は不要な心配、心配というのも変ですけど、不要な考えだと、にすぎず、こうした誤った前提に立った永住資格の取消しは、現時点で議論すべき根拠を全く欠いているものと言わざるを得ないと思います。大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/93
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094・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 永住者が増えるだろうということを政府が何回か申し上げているとは思いますが、本質は、永住者が増えようと増えまいと、一人一人の永住者の行動に着目をして、不適切な行動があれば是正をしていただくと、是正がうまくできれば、より多くの永住者に来ていただく道も開けると、それが事柄の本質だと思います。
永住者の数が増えるから、それが決定的な理由ではなくて、増えようが増えまいが、一人一人の方々の振る舞いについてしっかりと在留管理の観点から適切な対応をさせていただくための根拠となる法制度を是非認めていただきたいと、こういうふうにお願いをしているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/94
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095・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 今の法案にある永住権の取消しというのは、共生社会の実現には真っ向から反します。つまり、我が国が目指しているはずの共生社会とは真逆のメッセージを世界に発信することになります。本当にこんな法案が通ってしまってよろしいんでしょうか。
通告しておりませんが、政治的姿勢に関する質問を最後の質問として、大臣にお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/95
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096・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) ごく限られた例で、アメリカとドイツの例しか今申し上げられませんでしたけれども、諸外国においてもやはり同様の考え方を取っている国はあるわけです。
日本人と比べて不公平だという御議論も折々あるわけですが、日本人は元々入管の許可を得なくても日本人として生まれてくれば日本に在留できるわけです。元々スタートが違いますよ、永住者とは、外国人ですから。やはり一定の許可があり入っていただく、その許可条件が満たせなくなれば是正をしていただく。それ、日本人と違うじゃないかと。いや、それは違うんですよ、生まれた段階で日本人は入管の許可なくてここで生きていけるわけですから。それが不公平だって言い出したら、これはもう国籍やめろという話になるじゃないですか。
だから、そこもよく考えていただいて、外国人を無理に、無理に苦しめようとしているものでは全くなくて、むしろ入ってもらうために、その一部の悪質な人を対応したいと申し上げているわけです。そこを是非御理解いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/96
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097・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 総理の考えとは私は根本的に違うということを申し上げて、質問を終わらせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/97
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098・福島みずほ
○福島みずほ君 立憲・社民の福島みずほです。
まず、二〇二三年六月十六日公布された改正入管法以降、現在までどのような状況かについて冒頭お聞きをいたします。
強制退去命令が出され出国した人の人数を教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/98
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099・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
お尋ねのありました二〇二三年六月十六日からこれまでに退去強制した人数につきましては、このような形での統計を取っておらず、お答えすることは困難でございます。
なお、二〇二三年中に退去強制令書により送還された者の人数につきましても現在集計中でございます。なお、二〇二二年中に退去強制令書により送還された者の人数は四千七百九十五人となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/99
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100・福島みずほ
○福島みずほ君 そのうち、未就学児を含む未成年者の人数はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/100
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101・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
退去強制令書により送還された者のうち未成年者の人数については統計を取っておらず、お答えすることが困難でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/101
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102・福島みずほ
○福島みずほ君 去年入管法が改正され、どういう状況なのかというのをみんな固唾をのんで見守っている中で、こういう数字が出てこないというのは私は問題だと思います。
齋藤元法務大臣の判断により在留特別許可が出された子供及び家族の数を教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/102
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103・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
御指摘の方針に基づく在留特別許可の許否判断につきましては、現在その手続中であるところ、まだ在留特別許可をされていない方々の心情等に配慮し、手続の途中経過は明らかにしないこととしていることから、お尋ねの数についてお答えすることは困難でございます。
その上で、その上で、令和四年十二月末時点における送還忌避者のうち我が国で出生した子供二百一人とその家族について申し上げますと、基本的には施行日である令和六年六月十日までに結論を出せるように手続を進めており、現状、大詰めの段階にございます。
いずれにしましても、この二百一人の子供やその家族のうち在留特別許可をした人数につきましては、手続終了後に明らかにする方針でございます。引き続き、一件一件丁寧に対応してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/103
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104・福島みずほ
○福島みずほ君 これ、当事者は本当にどうなるのか、この二百一名の人たちはどうなるのかと思っているんですよ。これから生まれる子供もいるかもしれないけれども、これ、齋藤大臣のときに、明らかにすると、できる限り早く取り組むと言ったじゃないですか。その数さえ明らかにしないというのは、一体何なのかと思います。
そして、ある種のねじれ現象、つまり、強制退去命令が出されているとそれは在特が認められる、日本で生まれた場合は認められる可能性があるわけですが、一方で、退去命令が出されていなくて、そして仮放免中の場合にはこの在特が出されないということで、例えば日本で育っている子供たちやいろんな人たちが宙ぶらりんで、今自分はどうなるのかというので非常に心配している、本当に宙ぶらりん状態で大変だという話を聞きます。これ、どういう状況ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/104
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105・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
今委員お尋ねの例は、恐らく退去強制手続の途中、まだ最終的結論が出ていない方についてのお尋ねだと思います。
その方たちにつきましては、現状、在留特別許可を希望されている、異議の申出をされている場合におきましては、在留特別許可のガイドラインに沿いまして、個別一件一件丁寧に検討して対応させていただいております。
その中には、当然、本邦でお生まれになって学校へ行かれている方とか、そういうことも踏まえつつ、諸般の事情を考慮して判断しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/105
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106・福島みずほ
○福島みずほ君 何年も何年も仮放免中で、自分がどうなるかという声を聞きます。そして、やはり法律が公布されてもうじき一年なわけですが、まさに施行になるときに、この二百一人についても全く明らかにしないというのは本当にひどいというふうに思います。問題です。
本法案についてお聞きをいたします。
なぜ、永住許可の、永住資格の取消しが突如出てきたのか。有識者会議で議論していないじゃないですか。私が有識者会議のメンバーだったら怒りますよ。なぜ、議論していない、報告書に載っていないことが出てくるのか。
大臣、大臣の記者会見ですね、今年の二月二十日、こうおっしゃっています。昨年十二月十四日の自民党の外国人労働者等特別委員会での提言においても、新制度によって永住につながる就労者が大幅に増えることが予測されるため、永住許可の制度の適正化を検討するという提言をいただいています。
これで入ったんじゃないですか。大臣、記者会見で言っているじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/106
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107・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) これは、今を遡ること六年前の世論調査から我々の取組は始まっております。そして、令和二年の七月に、第七次出入国管理政策懇談会第二十一回会合でもこのテーマを取り上げております。また、ロードマップ、これは関係閣僚会議決定でありますけれども、令和四年六月、外国人との共生社会の実現に向けたロードマップ、外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議、ここでこの問題を取り上げ、しかるべき対応策を構築するべく検討するという項目が入っています。ずっと、この五年、六年間、様々な取組をした上での取組。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/107
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108・福島みずほ
○福島みずほ君 だったら、なぜ有識者会議で取り上げないんですか。
ロードマップ、お配りしているので見てください。外国人との共生社会の実現に向けたロードマップですが、二〇二四年まで検討、結論。二〇二五年、検討結果踏まえ、永住許可に係る新たな審査及び許可後の事情変更等に係る新たな制度の運用を必要かつ可能な範囲で実施。二〇二六年まで検討ですよ。その後、検討結果を踏まえ必要な措置を実施。
政府がやっているロードマップで、まだ先じゃないですか。五年掛けてやるんですよ。五年掛けてやるこのロードマップ、見てくださいよ。なぜこれが突然前倒しですか。だから、十分な検討もなく突然入ったんですよ。やるんだったら有識者会議で議論すべきだけど、一ミリも議論していない。報告書にもない。ロードマップ見てくださいよ。まだ先じゃないですか。検討結果ってあるけど、検討結果やっていない。本来はこの二〇二七年ぐらいにやるべきことが何で今回の法案に突然入っているんですか。この答えは、大臣の記者会見でしょう。これ、おかしいですよ。この永住許可取消しが突然入っている。何で前倒しなんですか。こんなの認められないですよ。大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/108
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109・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) これ、やっぱり地方自治体から様々な形で、問題点として法務省に声が寄せられるようになってきました。急速にそういう声が高まってきています。
このロードマップに書いてあるからそれに合わせるのではなくて、合わせることも必要でありますが、必要なことは早くやらなければならないでしょう。ロードマップに書いてあるんだから待てばいいというものではない。必要だという判断をしたからこそ今お願いをしているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/109
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110・福島みずほ
○福島みずほ君 さっき大臣はロードマップにあるからとおっしゃって、ロードマップ違うでしょうと言ったら、急に早めなくちゃいけないと言って、それ、でたらめですよ。でたらめですよ。検討していないじゃないですか。七つの自治体からあったと言うけど、ファクトが出てきてないですよ。全く出てきてないですよ。そして、この永住権、九十万人いる人たちが今固唾をのんでいます。怒っています。怒っています。
お手元の資料をちょっと見てください。過去、直近五年間の在留資格取消し件数、二〇一九年在留資格取消し件数九百九十三件のうち永住者九人、二〇二〇年千二百十人のうち永住者三人、二〇二一年八百人うち永住者八人、二〇二二年在留資格取消し件数千百二十五人、永住者は二人、二〇二三年在留資格取消し件数千二百四十件、そのうち永住者ゼロ。永住者ゼロなんですよ。九十万人いてゼロなんですよ。
そして、大臣、悪質な人がいると言うけれど、入管法で在留資格の取消しは一年以上の懲役又は拘禁刑で取消しができるんですよ。一年以下、一年以上ですね、ごめんなさい、言い間違えた、一年以上でできるんですよ。ちゃんとそれでできる。これ見てくださいよ。永住者ゼロですよ。九十万人いてゼロですよ。何か問題があるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/110
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111・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) まず、事務当局から若干御説明をさせていただければと存じます。
現在の永住者の取消しの対象は二つ、大きな類型二つございます。申請時に虚偽の申請をした、偽り、不正の手段によって永住許可を受けた方。もう一つの類型としましては、住居所の届出などをちゃんとやっていない方。この二つが大きな部分。ですので、現在、永住者の取消し件数、取消し自体は少のうございますけれども、これはあくまで偽りその他不正の手段によって永住許可を取った方、その端緒を得て手続を進めた結果でございます。
その中におきましても、意見聴取の手続等を踏みまして、実際、仮に不実の記載の文書があったとしても、諸般の事情を考慮して在留資格を取り消すのかどうか、適当かどうかというのは現在も判断しておりますので、そういう何らか軽い、例えば軽い、ちょっと相対的に申しますと、比較的軽い不実の記載があったからといって一律に取り消しているわけではないというようなことがございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/111
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112・福島みずほ
○福島みずほ君 一々取り消していないんでしょう。九十万人いるうち、去年ゼロですよ。
次に、在留カード不携帯で摘発された件数について質問いたします。
これ、今回は取消し事由に入っています。二〇一三年は千二十六件。二〇一四、千五百九十四。二〇一五、七十六。二〇一六、二十三。二〇一七、二十一。二〇一八、十五。二〇一九、七。二〇二〇、十三。二〇二一、十二。二〇二二、十二。二〇二三、六。これ、六件という、去年、六件なんですね。二〇一四年、千五百九十四件。〇・〇三%ですよ、去年。
毎年、これ全く件数が違う。これはキャンペーンをやったら増えるんですよ。昔、昔、昔、随分以前ですが、銭湯で出てくる人たちを片っ端から在留カードを持っているかどうかやったら、銭湯行くのに在留カード持ちませんから、件数がばあんと上がるんですよ。ある種の弾圧でやった。そして、去年は六件ですよ、在留カード。そうでしょう。この件数、非常にいびつです。
そして、在留カード常時携帯義務違反の事件数の推移で、今日は検察、刑事局長に来ていただきました。十年間、平成二十五年から令和四年まで、起訴人員は二人ということでよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/112
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113・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) お答えいたします。
法務省として把握している令和四年までの、平成二十五年から令和四年までの統計に基づいてお答えいたしますと、在留カード常時携帯義務違反事件の起訴人員は二人ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/113
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114・福島みずほ
○福島みずほ君 十年間に二件なんですよ。
それで、これどうですか、警察。在留カード不携帯で摘発された件数、去年は六件ですね。二〇一四は千五百九十四。何でこんなに何百倍と違うんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/114
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115・千代延晃平
○政府参考人(千代延晃平君) お答えいたします。
警察におきましては、従来より、在留カード等の携帯・提示義務に関する規定の運用に当たりまして、個々の事案に応じ適切な対応に努めているところでございます。
お尋ねの件につきましては、昔のことでもありまして、確たる理由については判然といたしませんが、その上で検挙件数がその後推移した要因についてあえて申し上げるといたしますと、不法就労等防止や在留カード等の常時携帯についての広報啓発活動を実施し、それが浸透したことが一つの要因として考えられると認識しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/115
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116・福島みずほ
○福島みずほ君 これ、恐ろしいのは、すごいキャンペーンやったら捕まるし、そうでない、だって、ちょっとコンビニに行く、ポストに手紙を出しに行く、散歩をする、銭湯に行く、ちょっと歩く、これも在留カードを持っていないと不携帯罪になるわけですが、それ全部やっていたら、そりゃ増えますよ。
つまり、何が言いたいかというと、今回の永住者の取消し権、まさにキャンペーンとしてやるぞとやったら、これ本当に永住権取り消されるんですよ。おまえの生殺与奪権は俺らが持っているぞということになっちゃうんですよ。うっかり不携帯ってあるじゃないですか。でも、あなたが不携帯、持っていないことをあなた知っているでしょうと言われたら、故意ですよ。
先ほどから、故意に公租公課を払わないとあります。故意に公租公課を払わないのは、自分が公租公課を払っていないのを知っているということです。病気か、払えない、経済的に大変、これは運用面です。つまり、自分が払っていないことを知っていたら故意だから、この要件に当たるんですよ。だけど、運用面で考慮するということでしょう。でも、それって、お代官様お願いでございますだ、私をお目こぼしくださいという世界じゃないですか。何が問題か。裁量権が大きい。
自分は払わなかったけれども、あるいは不携帯だったけれども、自分がそれで取消しになったら全部失うんですよ。何十年と日本社会に生きてきて、全部失うんですよ。出ていかなくちゃいけないかもしれない、この問題にこんな軽微なことで直面する。おかしくないですか。たかだか不携帯。公租公課払わないのは良くないけれど、それは督促をして、そして差押えでもすればいいわけじゃないですか。単なる在留カードの不携帯で何で死刑判決なんですか。全部失わなくちゃいけないんですよ。おかしいでしょう。
ほかの在留資格の人たちは、ほかの在留資格の人たちは不携帯で在留資格取消しってないですよ。何で、あなたはずっと日本にいてください、特別に許可をしますという永住者の人たちが何で在留許可の取消しになるんですか。不均衡でしょう。比例の原則にも反しているし、保護すべき永住者を最も重く、ちょっと軽微なことでもおまえは取り消すぞという、生殺与奪権は俺が持っている、外国人は煮て食おうと焼いて食おうと勝手だ、それが貫かれているんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/116
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117・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
今、うっかり持ち忘れても一律に取り消すのではないのかという御指摘も含んでいるかと思いますので、その点も含めて御説明しますと、実際には個々の事案の個別具体的な状況等を考慮して悪質性を判断するものであるため一概にお答えすることは困難でございますが、一般論として、入管法上の義務である在留カードの携帯を単に失念したような場合に永住者の在留資格を取り消すことは想定しません。
あと、永住者以外の在留資格の方の御比較について御質問ございました。これ極端な例、ちょっと例示させていただきますと、仮に永住者以外の方がいつも、失念ではなくて故意に、あるいは常に在留カードを持たないという事案が仮にあったとしますれば、それは、少なくとも、在留期間の更新とか、在留審査の過程において、当然、義務を履行しない方ということで消極要素として判断することとなります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/117
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118・福島みずほ
○福島みずほ君 間違っていますよ。故意にというのは知っているという意味ですよ。
私が今、在留カードをコンビニに行くときに持っていないことを私は知っている、これは故意犯ですよ。故意にというのは、わざととか悪質にという意味ではないですよ。間違っていますよ。法務委員会で何でこんな間違ったことを答弁するんですか。故意にというのは、わざととか悪質にではないですよ。私が今在留カードを持っておらず、コンビニに行ったら、私は故意に在留カードを持っていないということになるんですよ。それで私は永住権取り消されるんですか。おかしいですよ。悪質かどうかというのはその後の運用面の問題です。このように、軽微なことで裁量を大きくする在留許可の、ごめんなさい、永住権の資格の取消しは、これは取り消すべき、これは削除すべきだというふうに思っています。これは実態とも全く違う。
大臣、先ほども牧山さんも質問しましたが、本当に在留資格の人、増えるんですかと。つまり、特定活動一号、二号、一号はカウントされない、二号は今四十八人しかいませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/118
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119・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 四十八人ですね、特定二号はね。四十八人。
どれぐらいの期間をもって見るかということにも関わると思います。ここ一年、二年で増えるのか、三年、五年、五年、十年というタームで見るのか。長い目で見れば増えていくことは間違いないと思いますが、短期で見ればどうと、そこは明確には答えられないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/119
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120・福島みずほ
○福島みずほ君 だったら、問題が起きたり、本当に、だって、去年、永住者の取消しゼロですよ、在留資格の取消し。問題、特に起きていないじゃないですか。ファクトの説明がないじゃないですか。悪質なことが増えているというのを実際、ファクトで私たち聞いてないですよ。在留カードの不携帯だって、去年、一桁ですよ、六人。これ、何か問題があるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/120
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121・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) それは、最初の原始的な瑕疵、つまり、最初に永住権を取得する段階において申請をします、その申請に瑕疵があった場合のケースとして計上されている数字です。
そして、今我々が申し上げているのは、その永住権を取得した後、後にその非違行為があって、そして取り消さなければいけない事由になるかどうか、そういう数字はまた別、別の部分でありまして、今それを確認する手段は持っていないわけです、入管は。したがって、その非違行為の取消しというような数字は出てこないわけですけれども、原始的な瑕疵については一定の数字があると、そういうふうな形だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/121
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122・福島みずほ
○福島みずほ君 問題があると言っているけれども、先ほどから言っているように、在留カードの不携帯と故意に公租公課を払わないというのを、この取消し、永住権の取消し事由としてやるということに反対しているんです。これは削除すべきじゃないんですかというふうに思います。
これは、日本に今いる九十万人の人たちがこのことに怒っていたり、不安に思っていたり、この日本からもう出ていこうとか、例えばいろんなアンケートで、アメリカ人で日本で大学の先生している、そして永住権取得したけれども、こんな国で私はやっていけるだろうか、だったらもうやめようということで、永住者の人たち、御存じ、日本に八十五年、日本にいるという中国人の人や、山のように永住権持っている人がいます。その人たちが本当に軽微なことでこの永住権の資格を失うんじゃないか。これはやめるべきだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/122
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123・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 軽微な要素で在留資格を、永住者の在留資格を変更するということは全く考えておりません。悪質な場合です。本人の責に帰すべき悪質な場合。ですから、在留カードの例で申し上げれば、悪意を持った常習性、あるいは偽造、そういったものが恐らく関わってくるでしょう。つい忘れてしまった、銭湯行くときに持っていないと、それは本人の責に帰すべき事由ではないと当然判断されます。
それから、ほかの在留資格で来られている、永住者以外のほかの在留資格でいらっしゃる方々は、その在留資格の更新がありますから、更新のときに全部納税状況チェックされるんですね。みんなチェックされます。それを受け入れていただいているわけです。永住者の方だけは更新制度がないのでチェックのしようがないので、一旦資格を得れば、あとはもう納税しなくてもどこからもチェックは掛からないという状況に置かれているので、その手当てをさせてくださいというふうにお願いをしているわけであります。ほかの在留者と比較をしてみてください、全部チェック掛かっていますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/123
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124・福島みずほ
○福島みずほ君 今の答弁、間違っています。なぜか。つまり、法律上は、まさに外国人の在留資格の、携帯義務違反が取消し事由になるんですよ。公租公課の不払が取消し事由になるんですよ。
私が問題だと思うのは、法務省は運用面で悪質なものだけ除外しますと言いますが、裁量権の幅が大きいことが入管制度の大問題なんですよ。つまり、形式的に当たる、あと裁量の幅がある。さっき言いました、お代官様お願いでございます、私は決して悪い者ではございませんとやらない限り追い出されるかもしれない。その裁量の幅が大きい。法律に一旦当てはまるということに、みんなはそれをとても心配をしているんです。
だから、悪いようにはしないなんて言ったところで、そんな法律あり得ないですよ。私たちは、こんな永住権の取消し、削除すべきだと、この委員会でやりたいですよ。それ、やるべきですよ。こんな変な法律作っちゃ駄目ですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/124
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125・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) そこで、ガイドラインを作るというふうに申し上げているわけです。
様々なケースがありますよね、様々なケースに適用する。しかし、やっぱり筋は通さなければいけない、適切な在留管理はしなければいけない。でも、いろいろな状況の方々がいる。その間を取り持つのはガイドラインだと思います。ガイドラインという知恵が様々な入管関連分野でも既にあるわけでございます。在留特別許可のガイドラインもあります。そういったガイドラインによって法務行政は、入管行政は運用されてきているわけでありますから、初めてのことではないわけでありまして、このこなれてきたガイドラインという手法をここにおいても我々はまた使いたいと思っているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/125
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126・福島みずほ
○福島みずほ君 ガイドライン、駄目ですよ。だって、法律上、常時携帯義務違反や公租公課を払わないことが、まさにこれ当てはまって取消し事由になっているんですから。その後ガイドライン作っても、ガイドライン幾らでも、だってそれは国会が関与しないじゃないですか。その意味で全く駄目だというふうに思います。
この永住権の取消しは認められない。さっき大臣は、普通の在留許可は更新があるけれど永住者はないから必要だとおっしゃいました。私はそれも間違っていると思います。というのは、永住権、さっきグリーンカードのことがありましたが、私が調べた限りでは、重大な犯罪とかそういう場合というのはあるけれども、公租公課があるかどうか、外国の制度についてもこの委員会できっちり議論させてください。そうではないですよ。
永住者は、懲役一年以上の、一年以上の懲役又は拘禁刑に処せられれば執行猶予でも取り消されるんですよ。問題があれば、それはそれで除外できるんですよ。私はやっぱり本音が出ていると思いますよ。更新がないから、無期限だから、いつでも自分たちの意思でそれを取り消すことができる制度をつくってやれということじゃないですか。でも、それは、本当にその人たちを不安定にし、物すごくストレスを高じさせるというふうに思います。これ、やめるべきです。
そして、技能実習制度の方ですが、先ほどもありました、根本的な制度を変えないでこれをやるというのは間違っている。つまり、お金を払うことや前借金があることや、そういうことは基本的に変わらないんですよ。奴隷労働は状態としては変わりません。
やむを得ない事由によって転籍が認められたケースについてお聞きをいたしました。令和二年で八千二百四十一件転籍申請、やむを得ない事情で認められた件数は六千七百件と聞いています。これだけ転籍したいというのが出てきているんですよ。このやむを得ない事由とは何かとか、いろんなことについて、また違う委員会の機会に質問をいたします。
永住権の取消し、これは削除すべきだと。何が問題かはっきりしていると思います。在留、こんな、いつでもぴゅうん、キャンペーンやったらすごく伸びる、一桁のときもある。在留カードの常時携帯義務、公租公課を払わないというだけがこれ取消しの対象になっていることそのものは認められないということを強く申し上げ、質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/126
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127・石川大我
○石川大我君 立憲民主・社民の石川大我です。どうぞよろしくお願いいたします。
午前中、最後の質疑ということでよろしくお願いいたします。
委員の皆様から、そして大臣からも様々な質疑とそして答弁があったかと思うんですけれども、午前中、今までの質疑を私聞いていまして一つ感じたことがありますので、それ一つ最初にお話をお伺いしたいんです。
大臣からも素直な御答弁があったというふうに思うんですね。この技能実習生の問題、育成就労に変えるという中で、やっぱり技能実習生に関しては問題があったと。御答弁の中で、安価な労働力として雇いたいというような、そういった日本側の本音だったりとか、そういった本音で制度をつくり変えようというような大臣の御答弁もありました。
反省点もあるというようなお話があったんですけれども、確かにこの技能実習制度、非常に悪名高きものであったと。本国を出るときには多額の手数料という名の借金を抱えてくると、そして希望を持って来てみたら、劣悪な労働環境の下で、これテレビや新聞なんかでも繰り返し報道されました。私も議員になる前からこれはやっぱり知っていました。せっかく希望を持って職場に来たにもかかわらず、パワハラやセクハラがある、あるいはパスポートを取られてしまうとか、劣悪な環境の中で労働させられる、一日十二時間労働させられて、最低賃金にも満たないようなお金をもらうと。しかし、転籍が認められていないので、そこで何とか頑張って借金を返すぐらいはお金を稼いで、そして本国に帰るというような、本当に悲惨な例を恐らく大臣も知っているかと思います。
そのときに、どういう状況に私たち日本人がなるかというと、私、大学生の頃は、日本のパスポートというのは世界に行くと一番安全だと、世界の国の中で、平和主義、そして基本的人権認められていると、だから、世界から尊敬をされているから、日本のパスポートというのを持っていれば、どこの国にも入れるし、そしてその国の中で尊敬の念で見られると、日本のパスポートというのは本当安全なんだというようなことを言われたのを思い出したんですけれども、残念ながら、そういう状況じゃなくなってきちゃっているんじゃないかと。
つまり、本国に帰った後に、日本に行けばいろいろ技術を学べる、お金も入るということで、もちろん成功例、先ほどありましたいい例ももちろんあると思いますけれども、ひどい目に遭った人が本国に帰る、村に帰る、田舎の村に帰る、日本で変な目に遭ったと、大変な目に遭ったと、それが村人に広まる。日本は報道されている、ニュースで聞いているよりもひどい国じゃないか、とんでもないとなったときに、じゃ、そこに日本のパスポートを持った若者が行ったときにどうなるかということを考えると、それはやっぱり良くない状況になるんじゃないかというふうに思います。
そういった中で、やっぱりこれ育成就労に移行するに当たって、発展的解消というような話もありましたけれども、やっぱりこの技能実習制度というところに大きな反省点があって、そして、かつ、アジアを中心とした諸外国の方々に御迷惑を掛けたんだということは、やっぱり大臣として一定ここは一つ反省をきちっと述べた上で、そして、おわびも述べた上でこの法案の審議に入るべきなんじゃないかと思うんですが、そういった本当にひどい目に遭ってしまった、残念ながらですけれども、そういった方たちに対してのおわび、謝罪、そういったもの、大臣からやっぱりお話をするべきなんじゃないかと思うんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/127
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128・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) そうですね、制度の運用の中で苦しい目に遭った方々、こういう方々にはおわびを申し上げなければならないと思いますが、しかしまた、制度そのものが持つ、発揮してくれた様々なプラスの効果も少なからずあると思います。
限られた例ですけど、千葉の技能実習の現場に行きましたら、ミャンマーとベトナムとインドネシアだったですかね、若い女性がヘルパーさんの見習いとして働いておられました。一番苦しいこと何ですか、楽しいこと何ですかと聞いた後、最後に夢は何ですかと聞いたら、やはりここで頑張って三年、五年働いて、そしてベトナム、ミャンマーだったかな、母国に帰って大きな家を建てるんだと。じゃ、あなたがここで働いたお金で家が建つんですかと聞いたら、もちろん建ちますよと彼女は言いました。じゃ、一番、南向きの二階の一番大きい部屋をもうあなたのものとしてキープしておけばいいよねと。うん、もうそういう設計図もできています、私は二階の真ん中の部屋です、だから働くんですと言っていました。
まだ、今の為替レートで換算すると、まあ二年、三年いて家が建つかどうか、そういう計算もちょっと私もしてみましたけど、建たないというレベルではない、大きな金額なんですね。日本に来るのに五百万ぐらいの借金を背負うでしょうけれども、その全部のケースはもちろん分かりませんが、しかし、帰るときには一千万以上の貯金を持って帰る人もいる。そういうふうにして、日本の経済力が自然な形で東南アジアの若い人たちを通じて流れていく、そういう仕組みとしてこの技能実習制度もあったわけです。
ただ、日本側の意識がまだ十分そこに追い付いていないために、おっしゃったような人権、労働者としての立場を無視するような、そういうことが間々あったことは事実でありますから、それはもう徹底的に改めなければならないのでありますけれども、我が国の経済力の恩恵、また我が国の技術、そういったものを共有してもらって、そして共に豊かになっていくという、そういう道を目指していくという点で、技能実習制度と今回のこの育成就労制度というのは根本的な向いている方向が違うと思います。そのことも御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/128
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129・石川大我
○石川大我君 おわびの言葉があったというふうに思いたいというふうに思います。
時間も非常に限られておりますので、永住権の問題、非常に心配していますので、私からも少しお伺いをしたいというふうに思います。
今日も、今、議員会館の前には多くのこの問題心配される方たちが集まっておりまして、この委員会の様子も中継をして流れているということですので、恐らく永住者の皆さんもそこにはいらっしゃると思いますので、議員会館前にお集まりの皆さんも生で聞いているということですので、その方たちの声も少し代弁できればというふうに思いながら、委員会質疑、進めさせていただきたいというふうに思います。
この永住者の方たち、もう今までの質疑で明らかになっていますが、本当に日本に住まわれて、日本で骨をうずめるんだというような思いもありながら日本に住んでいこうという方たちだというふうに思います。十年以上住む、五年以上仕事をする、あるいは定住をするといったような厳しい条件もある中で、日本をついの住みかとして選んだ方たちも多いというふうに思います。こういった方たちが非常に今不安の声が上がっているということです。
例えば、永住権のある若者、この方、若者ですけれども、万が一のことを考えて免許を取るのをやめたと。何で免許を取るのをやめたのかなと、仕事の幅は狭まりますよね。そうすると、慎重にやっぱり運転していても、自分の責任で事故を起こしてしまうようなことが可能性としてはあるんじゃないかと。そういうことを考えると、その永住権剥奪というものにつながるので、免許を取るということも諦めたというようなことも若者の声としては出ています。これが果たして正しいのかということだと思います。
先ほど福島さんからも例が出ましたけれども、この永住者あるいは永住者の周囲にいる方からメッセージが、これ移住連というところが作ったものですけれども、来ています。
生まれてからほとんど日本にいらっしゃるというスリランカの二十代の人は、僕らを人間として見ていないような感じだと。日本で生まれ育っているにもかかわらず、いとも簡単に国に帰れというふうに思うのかと、帰る国がないんだというようなことを言っています。一番矛先を向けるべきなのは裏金でうはうはしている政治家たちじゃないですかというような痛烈なお話も、こうやってメッセージとして来ています。この委員会の中にも裏金の問題に関して関わっている議員の皆さんいらっしゃりますけれども、あえてお名前は申し上げませんが、こういった意見もあります。
そして、生まれたときから四十五歳まで日本にいるという韓国の方ですけれども、なぜ日本国籍保有者と同様の罰則でなく日本追放なのか、祖国と何のつてもない、親族、知人もいない、母国語も話せない外国籍、無国籍の人々もいるだろうにと。とにかく外国籍、無国籍の人々を差別、排除したいという欲望が見えると。
これ、アジアの方以外にも、アメリカからもお話が、三十一年間、アメリカの方ですけど、永住権で三十一歳、生まれてから日本にいるということで、ささいな間違いによりこの国で暮らしていく権利が取り上げられてしまう未来が来るかもしれないと考えると不安でうまく眠れません、日本から出ていくにも、日本で生まれ育ち、日本しか知らない私は一体どこへ行けばいいのでしょうというようなお話も出ています。
ゼロ歳で来て二十年間暮らしているという、先ほどの福島さんの例ですけれども、大学の教授が言っています。これ、分かりやすいと思います。永住権というのは、その国で安心して暮らす権利ですと。日本の永住権がこんなに簡単に取り消されるようになるかもしれないと当時知っていたら、この国で人生を送る道を選ばなかったでしょう、そもそも外国人はこの国にいてほしくないと言っているようなものだと。日本の生活と仕事を諦めて、よそに行けるものなら行きたいんだというような、そんなお話も寄せられています。カナダから来ている五十二歳の永住者の方などなどですね。
あと、日本人の方で、中国の方と結婚して、そして奥さんとお子さんが永住者という方も、家族をばらばらにされるんじゃないかというようなことを言われていると。
こういった中で、永住権剥奪のこの法律、これ入れるということに日本として全くメリットがないというふうに思うんですが、大臣としてこれメリットあるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/129
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130・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 今御紹介いただいたような心配の声を上げられている皆様に是非理解していただきたいのは、納税をしていただいているのであれば全く心配要りません、何の心配も要りません、全く無関係です。
ただ、納税ができていない、それが本人の悪質な意図、そういったものに依拠している場合にはこれは一定の対応をしますが、でも、その場合においても、定着性、永住者の方の定着性には十分配慮してまいります。いきなり取消しということは起こりません。まず事情を聞く、またいろいろな主張も聞く、証拠もあれば受け取る、様々なやり取りをした上で変更する、在留資格を変更するということであります。
そして、これは、永住者の方のみこの更新制度がなかったために、ほかの在留資格の方々は更新のときに納税の有無についてはチェックが掛かったわけですけれども、永住者の方については、元々信頼があり、期待があるからそういう制度を置かなかったんですね、信頼申し上げ、期待をしていたから。でも、現実には、そのときだけ納めて、許可取ったらもう知らぬ顔という人が出てきて、それじゃ後に続く永住者の方々に国民の冷たい目が向くじゃないかということを考えて対応しようとしているわけであります。そういうことを是非トータルとして御理解をいただければ。
まず、納税していただいている方は全く心配ありません、何の心配もありません。そして、給与が足りないから、今月売上げがなかったから払えない、その方も問題ないです。それは自分の責任じゃないという判断をします。
それは、きちっと責任を持って、法務大臣の裁量権において、この法律に基づき、裁量権においてガイドラインを出させていただきます、ガイドラインを出します、しっかり。それも見てください、見てください。
永住者は、むしろ我々は受け入れたいと思っている。そのためには、しっかりとした適正な在留管理に協力をしていただくことも御理解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/130
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131・石川大我
○石川大我君 二つお話を申し上げたいと思います。
本当にこのままでいいのかという疑念を非常に抱いています。つまり、大臣もおっしゃっていましたけれども、永住者の皆さんに関しては、一定程度日本にお住まいになっていて、先ほどおっしゃいました、大臣が、信頼と期待があるんだとおっしゃった。そうだと思います。信頼をして、これから日本で活躍いただきたいというふうに期待をして、だからこそ、その更新をしないで、そしてある意味、日本人とほぼ同等に扱いましょうと。帰化とかそういうものもありますけれども、永住者というものを置いて、そして日本人とほぼ同等に、もちろん先ほど議論になりました一年以下の刑罰に処せられればそれは永住権剥奪をするという、悪質なものはまさにこれで対応すればいいと。
ただ、じゃ、私たち日本人が外国人と共生していくという、先ほど多文化共生という話も出ましたけれども、そういった中で、永住者の皆さんを、永住権を認められた方を信頼して、期待をして、これから一緒に日本の中で暮らしていこうという方向性が多分永住権だったんだと思うんです、今までですね。
それが、この法律ができることによって、まさに、あなたたちは税金を納めないかもしれない、信頼しないよと、信頼性はないよと、そしてある意味、期待もしないよと、何かあったら早く帰ってくれと。その今まであった信頼性とか期待する気持ちとかそういったものが、全くこの永住権という性格が百八十度変わってしまうようなこれ大きな大きな法律だというふうに認識をします。それがまず一点。
そして、あと、税金を納めていれば大丈夫なんだよと、普通に暮らしている分には、永住者の皆さん、永住権剥奪されないよというような話がありました。そして、ちまたにおいては、つまりその永住者本人から、私たちはちゃんと納めているんだから、むしろそういう納めていない人たちについては厳しく対応してほしいというような、そういったような声があるとか、あと、入管庁からも、ちゃんと払っている人がいる中、不公平だみたいなお話が出ています。
つまり、自分たちは真面目に働いているし、税も払っているし、素行もいいんだから、そうじゃない人に対して厳しくしてもらった方がむしろ日本人から好意的に見られるんだと、そういうことを厳しくした方が日本人から好意的に見られるんだということをおっしゃる方たちがいらっしゃる、一定いらっしゃるのはあると思うんですが、ただ、こういう声というのは非常に僕は気を付けなきゃいけないというふうに思っています。
私、LGBTの当事者として権利擁護の活動をしてきました。LGBTの中にも、LGBTの例えば同性婚とか、そういう様々な権利を認めてほしいということを言うときに、LGBTの人たちは、品行方正に一点の曇りもなく、いい人でないとマジョリティーに認められないんだ、だから我々LGBTはいい人にならなきゃいけないんだというようなことを当事者が言う場合があるんですけれども、それは非常に危険だというふうに思います。
LGBTで百万人、そして永住者の方たち、先ほどゼロという話もありましたけれども、多くの皆さんがいらっしゃる中で、いろいろな人が、多様な人が暮らしているわけですよね。もちろん、普通に働いて普通に納税している分には大丈夫だとおっしゃいますけれども、それができなくなる可能性も、私たち日本人もあるし、永住者の皆さんたちもある。
そういったところも含めて、もちろん一定の督促をするとか差押えをするとか、そういったことはしっかりと担保をしながら、そういった人たち、永住者の人たちも含めて一緒に共に暮らしていくという方向を目指すのか、いやいや、一年以下の懲役であったとしても、あるいは、そして公租公課払わなかったとしても、これは永住権剥奪するんだよというような姿勢を示すというのは、非常に僕は危険だというふうに思います。
その点、大臣、いかがでしょうか。大きな転換点だと思いますけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/131
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132・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) まず、期待と信頼の問題をおっしゃいました。政府が期待し、信頼をしていたからこそ、更新制度を置かずに、一回通ればあとはどうぞとなっていたと思います。
まず、それで正しいと思いますが、政府が適切にそれをやらないと、逆に今度は国民の海外、外国人材に対する信任と期待が崩れてしまうという事象が起こってきていますので、日本国民が外国人材に対する期待と信頼を失わないように、政府は、この制度を改めて適正な在留管理をさせてくださいとお願いをしているわけであります。国民の信頼と信任があれば、これは共生社会が可能であります。今までは政府も信頼し期待していたんですけれども、そこはやっぱり行司役としてしっかりと適正な管理まではさせてください。
その管理のやり方なんですが、非常に丁寧に段階を追ってやっていこうということであります。一旦変更をしたら戻れないというものでは全くありません。一定の期間たてば、しっかり納税もしていただいて戻ることはできるわけであります。そういったことも含めて、ガイドラインでしっかりと示さなければいけないなということを痛感しますけれども、様々な御指摘をこの委員会でもいただきながら、その実のあるガイドライン、説得力のある、透明性のある、公平性のある、そういうガイドラインを作っていきたいと痛切に思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/132
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133・石川大我
○石川大我君 私、先ほど一年以上の刑罰というふうに言ったようです、一年以下というふうにお伝えをしたようですけれども、一年以上の刑罰で、現行法上、永住権がなしになるというようなことですね。今やろうとしているのが、一年以下でもそれをできるようにしようとしているのが今の法改正であるということ、ちょっと訂正をさせていただきたいというふうに思います。
時間がないので、具体的な公租公課の話をしたいというふうに思います。これ、大事だというふうに思います。
公租公課、調べてみますと、公租というのは税金だと、公課というのは何かというと、租税以外の負担金だというふうに言われます。そうすると、じゃ、その税金というのは何とか税と付いていますから分かります。しかし、公課というのが租税以外の負担金ということでよく分かりません。そこがやっぱり心配だと思うんです。
衆議院では、富士山の通行料はどうなのか、それを滞納したらどうなのかみたいな話が出ましたけれども、この公課の部分ですが、例えば自治体の駐輪場の月ぎめ使用料ですね、こういったものを例えば更新していって、自動更新していったんだけれどもそれを払わなくなった、使わなくなったので払わなくなったとか、それが未納になってしまった、こういった場合、これは入りますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/133
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134・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 公課という、ごめんなさい、公課というのは、租税以外の公的医療保険、公的年金等の公的負担金を言います。この点、御指摘の駐輪場の使用料については、これは負担金ということではなくて自分が使う対価、使用料ですから対価ですよね、使用の対価、サービスに対する対価でありますので、基本的には公租公課には含まれないと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/134
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135・石川大我
○石川大我君 自治体の使用料というふうに当たるものに関しては、これ公課に入らないという明確な答弁はいただいたというふうに思っております。
そして、そうしますと、公課というところは、国民健康保険と年金、この二つ以外に何かありますか。この二つと考えていいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/135
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136・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 主なものはその二つですね。それに類するものが幾つかあるかもしれませんけれども、その二つ、主なものはその二つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/136
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137・石川大我
○石川大我君 あと、まず確認したいことですけれども、これ、先ほどから悪質な場合というような話が出ています。一発アウトなのかと聞かれたら、一発アウトではないだろうという答弁が返ってくるんだと思いますけれども、ただ、これ通報が来た場合に、自治体から、本人に意見聴取を必ずするという話も事前に聞きました。事実関係を慎重に把握して判断するんだというお話も聞きました。
ここで、大臣、是非このことをお約束いただきたいんですけれども、これ、まずはやっぱり納税を促すべきだと思うんです。意見を聞きました、だけど、あなた永住権剥奪ですよというんじゃなくて、まず、来ていただいたとしたら、そこでしっかりと納税をしてくださいねと言って、じゃ、分かりました、納税をしますと言ったら、それは、じゃ、引き続き頑張ってねということで、意見を聞きに来たけれども、それで結局もう剥奪ありきということじゃなくて、まずは納税してくださいと促す、あるいは、納税できない理由があるのであれば、日本人でも、それは様々なむしろ社会保障の方にしっかりと御案内をするとか、そういうことあると思いますけれども、まずはそういった納税を促す、あるいはそういった御事情を聞いて、御事情があればそういった使用ができる社会保障につなげる、そういったことをしていただきたいと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/137
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138・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 納税を促すというのはまさにそのとおりだと思いますが、どんなに悪質でも、とにかく呼ばれて納税を促されて納税すればそれでセーフだということになれば、これはペナルティー性が全くなくなりますので、そのペナルティー性というものが残らない形での運用は難しいと思います。
ペナルティーをある程度置かないと、やはり納税が難しい、納税してもらえないという要素はやはりどうしてもそれは残ると思いますが、できるだけ、できるだけ穏当に納税を促して、反省を促して、その方々を安定的な立場でいていただくように配慮しながら総合判断をするという形になると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/138
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139・石川大我
○石川大我君 やっぱり恣意性が高いというふうに思うんです。何をしたらこの永住権が剥奪されるかという、非常に分からない。
そして、先ほどから公平性というお話ありましたけれども、最後に、もうたくさんあるんですけれども、この公平性ということを考えたときに、これ自治体からの通報というの、これ義務なのかと聞くと義務じゃないんですよね、通報できる規定になっている。
そうすると、Aという自治体は、例えば三万円滞納していた人がいると、だけれども通報しましたと。Bという自治体があると、そこで例えば五十万円滞納していた人がいると、だけれども、この制度というのは、自治体の仲間で暮らしているんだから、五十万円滞納しているけれども、それは督促出せばいいじゃないかというような首長の判断で、五十万円の人のB市は上げなかったと、情報を、入管庁に。そうすると、A市で少ない額で通報されちゃった人と、B市で多い額だけれども通報されなかった人、これまさに不公平が生じる。様々なこれ問題があるわけです。
やっぱり、この永住権の剥奪ということは、改めて私からも、これはやっぱり落とすべきだと、つまり法案としては一旦引き下げるべきだと、取り下げるべきだというふうに思いますが、大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/139
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140・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) 申合せの時間を過ぎておりますので、答弁は簡潔にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/140
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141・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 自治体の通報基準、これ、おのずと収れんしていくと思います。公平性の観点、非常に今おっしゃったとおりだと思います。重要なので、国からこうですという線引きは難しいと思いますが、自治体の協議を重ねる中でおのずと一定のラインに収まっていくべきだと思うし、収まっていくと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/141
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142・石川大我
○石川大我君 まだまだ聞きたいことはありますが、今日は終わります。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/142
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143・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) 午後一時四十分に再開することとし、休憩いたします。
午後零時四十三分休憩
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午後一時四十一分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/143
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144・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案及び出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/144
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145・石川博崇
○石川博崇君 公明党の石川博崇でございます。先生方、午後もどうぞよろしくお願いいたします。
いよいよ育成就労法案、参議院の当委員会でも質疑がスタートいたしました。私自身、公明党の外国人材受入れ対策本部の責任者を拝命しておりまして、党内でもこの案件、様々議論を積み重ねてまいりました。ようやく参議院におきましても質疑が始まることとなりましたが、この法案に対しては、国民の皆様、様々な御意見ございます。歓迎されている方々、また御懸念を抱いている方々、大変注目されている法案だというふうに思います。
そういう意味で、真摯な当委員会での議論を積極的に進め、そして、政府から誠実な、また丁寧な答弁を求めてまいりたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
誰一人取り残さないという理念が国際社会の潮流でございます。今来日する外国人のお一人お一人の人権を尊重し、また全ての方々が活躍できる共生社会の実現は不可欠でございます。また、少子高齢化の進行によって人手不足が深刻な我が国において、働く外国人の方々が能力を最大限に発揮できる環境整備も必要でございます。
そうした観点から、これまで国際貢献のみを目的とした現行制度を廃止して、適正な人材確保及び人材育成を目的とした新たな育成就労制度、これを創設すべきであると私ども公明党としても進言して、議論をしてまいったところでございます。
まず初めに、今回廃止することになる外国人技能実習制度の総括をお願いをしたいというふうに思います。
外国人技能実習制度、平成五年に始まって、三十年間の年月が経過をいたしました。我が国の技能、技術、また知識を開発途上国等へ移転することによって当該地域の経済発展に協力する、いわゆる国際貢献を目的としてきたわけでございます。
しかしながら、実際は、企業が労働力不足を補う人材確保、あるいは外国人の労働者の方にとっても出稼ぎの色彩が強く、目的と実態が乖離している、このことが長年指摘されてきたところでございます。
そこで、今回廃止をする外国人技能実習制度とは一体何だったのか、制度を終えるに当たっての、法務大臣から本制度に対する総括をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/145
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146・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 技能実習制度も年限を経る中で様々な問題点が指摘されるに至り、今回の抜本改正、発展的解消という育成就労制度の導入につながってくるわけでありますけれども、その過程においては、それぞれの皆さんのお立場もあり、またうまくいったケース、いかないケース、それぞれはありますけれども、総体として見ると、母国に大きな経験と、また報酬を持って帰り、それをベースにして新しく事業を起こしたり、あるいは様々な分野でリーダーになったり、成功事例というものも多々ございます。
様々な反省点はありますけれども、時代の流れの中で一つの相応の役割を果たしたというふうに総括できると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/146
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147・石川博崇
○石川博崇君 ありがとうございます。
ところで、この技能実習制度について、去年の有識者会議の中間報告では廃止するというふうに記載されておりましたが、現在、説明、政府からの説明では、先ほど大臣からもありましたけれども、発展的解消あるいは抜本的改正と、こういう言い方をされています。
技能実習制度が存続するんではないかという誤解も与えかねないのではないかと思いますけれども、なぜこの技能実習制度を廃止するというふうに今は言われないのか、御説明をいただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/147
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148・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) まず一つは、現在の技能実習制度に携わってこられ、携わっていらっしゃる大勢の関係者の方々いらっしゃいまして、少し、報道でいきなりこの言葉が出たというような経緯もありますけれども、廃止というと非常に大きな不安を持たれた方も少なからずいらっしゃったようであります。廃止という言い方をせずとも、発展的に解消するとか抜本改正、今までとの継続性というものも皆無ではないんですよ、全部断ち切ってゼロからということでは必ずしもないという実態上の判断もございます。
様々な反省点、様々な方法論の切替えはありますけれども、今までの、今までの経験の中で得たものは継続していく、駄目なものはばっさり切り落としていく、そういうめり張りを持った発展的解消というふうに呼ぶのがやはり正しいんだろうなというふうに考えて、こういう抜本改正あるいは発展的解消、こういう言葉を使うようになりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/148
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149・石川博崇
○石川博崇君 確かに、去年の夏、中間報告が出たとき、廃止という言葉が非常にショッキングに伝わった、関係者の方々からもどういうことですかという問合せ、私もたくさんいただきましたので、適切な修正ではなかったかというふうに思っております。
先ほど法務大臣からこの技能実習制度に対する総括をお伺いしましたが、三十年間続いた制度でございます。今大臣からもあったとおり、制度の全てが否定されるものではないというふうに思っております。
そこで、ちょっと確認をしたいんですが、この三十年間で技能実習制度、累計で何人我が国に来られたのか、また現在我が国に在留する技能実習生の人数、これを確認させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/149
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150・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
平成五年に技能実習制度が創設されてから令和五年までの三十一年間で、技能実習生の累計総数は約百八十三万人となっております。また、当庁において集計している最新の数値としましては、令和五年末現在、我が国に在留する技能実習生は四十万四千五百五十六人となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/150
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151・石川博崇
○石川博崇君 今おっしゃっていただきましたが、百八十三万人という膨大な数の方々がこの日本で技能を修得してお帰りになられたわけでございますし、また、今も四十万人を超える方々が現在在留をしております。
施行期間ございますので、この期間はこの技能実習制度、引き続き継続するわけでございます。これらの方々、多くの方々が帰国した後、元々の国際貢献という目的にのっとって、修得した技能を母国の発展にも生かしてこられた方々も大変多いのではないかというふうに思いますし、そのような国際貢献があった側面というのは私は肯定的に捉えるべきではないかというふうに思っております。
そこで、大臣にお伺いをしたいんですけれども、この技能実習制度、国際貢献としてどういう役割を果たしてきたのか。途上国において寄与した実例、あるいは外国側から感謝された、評価された例などがもしあれば御紹介をいただきたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/151
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152・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 外国人技能実習機構では、技能実習生の帰国後の就職状況、日本で修得した技能等の活用状況等を把握することを目的とした帰国後フォローアップ調査等を毎年、毎年度実施をしております。その結果によりますと、元技能実習生が帰国後、日本で修得した知識や技能を活用して現地子会社で現地社員の技術系のリーダーとして活躍した事例や、技能実習で修得した縫製技術を活用して、帰国後、縫製業を起業した事例などが報告されております。
送り出し国の政府関係者からは、二国間取決めに基づく協議等を通じてこれまで約十万人の者が実習を行い、帰国後に起業するなど活躍をしており、技能実習制度は国際貢献につながっているなどといった評価を受けているところでもございます。
多くの技能実習生が実習を全うし、母国等で活躍されている事例に鑑みれば、現行の技能実習制度は、是正すべき課題はありますけれども、一定の範囲で国際貢献の機能を果たしたものと考えられると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/152
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153・石川博崇
○石川博崇君 ありがとうございます。
今、具体的な実例も挙げて、この技能実習制度が国際貢献にどのように寄与してきたのかということを御説明いただきました。
〔委員長退席、理事伊藤孝江君着席〕
この国際貢献という目的、新しくつくる育成就労制度では目的としては取り下げることになります。人材確保、人材育成、これに、実態に即した改正を行おうというものでございますが、一方で、これまでの国際貢献について全く切り捨てられるのか、それとも何らかの形でこの育成就労においてもその意義を引き継いでいくことになるのか。育成就労制度に切り替わるに当たって国際貢献という側面をどう考えていくのか、政府のお考えをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/153
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154・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
技能実習制度が人材育成を通じた技能移転による国際貢献を制度目的としているのに対し、育成就労制度は、特定技能一号水準の技能を有する人材を育成するとともに、対象となる産業分野における人材を確保することを制度目的としております。
この点、国際貢献を引き続き制度目的、育成就労の制度目的と位置付けた場合、制度目的と実態の乖離が指摘される技能実習制度に代わって新制度を創設するという本改正の趣旨が没却される可能性があるだけでなく、技能移転が確実になされるようにするための帰国要件などが必要となるほか、受入れ対象分野についても送り出し国のニーズを踏まえて決定することが必要となるなどして、特定技能制度との連続性や国内の人手不足解消手段という観点とは必ずしも相入れない部分が生じる可能性があることから相当ではないと考えております。そのため、育成就労におきましては、国際貢献については制度目的には含めないことといたしました。
なお、育成就労制度におきましても、人材育成を通じて外国人が身に付けた技能等を母国に持ち帰ることで国際貢献の効果が得られる場合があること自体は否定されるものではないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/154
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155・石川博崇
○石川博崇君 今御説明いただいたとおり、新しい育成就労では制度目的として国際貢献というのは掲げないということになりました。
そうすると、送り出し国の側にとっては、送り出した人材が日本で定着する、ある意味、日本都合なわけですよね。特定技能の制度と整合性を合わせるとか、あるいは日本の国内における人材不足とか、そういった日本都合で制度が変わりますということになると、いかにこの送り出し国から御協力を今後ともいただいていくのかという観点では、説明が、しっかりした丁寧な説明が必要なんではないかというふうに思います。
送り出した人材、今、人材獲得競争の時代でございます。それぞれの国、送り出す側でも、やっぱり優秀な人材は自国内でしっかり育成していきたいという思いもあろうかと思いますので、相手に、相手国側にあらぬ懸念を生じさせないような丁寧な説明が必要になっていこうかと思いますが、今後、MOCを締結していく必要がございます。どのように送り出し国側に説明をしていくことになるのか、入管庁の御説明を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/155
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156・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
育成就労制度では、キャリアアップの道筋を明確化し、外国人を労働者として適切に権利保護することなどによって、長期にわたって産業を支える人材を確保することが期待されます。
これによりまして、将来的に特定技能二号などの在留資格に移行する者が増加する可能性も考えられますが、当然ながら、外国人の中には一定期間就労した上で帰国する方々もいると考えており、そういった方々が我が国で身に付けた技能等を用いて母国で活躍されることも想定されるところでございます。
そのため、送り出し国の労働力を奪う制度であるなどの誤解を招くことは政府としては本意ではなく、そのような誤解を招くことがないよう、御指摘のございましたように、新たなMOCの策定過程における送り出し国とのやり取りや在日大使館を通じた制度に関する情報発信等を通じまして、丁寧な説明を尽くしてまいりたいと思います。
〔理事伊藤孝江君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/156
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157・石川博崇
○石川博崇君 今回、大きな制度変更でございますので、各国への丁寧な説明を是非ともお願いをしたいというふうに思います。
もう一点、育成就労制度へ移行するまでの間の経過措置について質問をさせていただきたいというふうに思います。
先ほども答弁にありましたとおり、現在でも四十万人近い、を超える技能実習生が実際に現に日本社会各地でお仕事をしていただいております。また、技能実習制度の下で受入れ企業も既に事業計画を策定して、これから先の受入れ準備を進めている、各国、東南アジア等に行かれて日本人学校等を回りながら受入れ準備を進めている企業もございます。
外国人の方からすると、ある意味、人生懸けて日本にやってきていただいているわけでございますし、企業は企業で、中長期的な先行きを見ながら計画を立てていただいているわけでございます。そういう意味で、この抜本的な改正になる育成就労制度の移行に際して、こうした現に今準備をされている方々が混乱しないように細心の注意を払って経過措置を組んでいただきたいというふうに思っております。
本法律の施行は、公布の日から起算して三年を超えない範囲の中で政令で定める日とされておりますけれども、この育成就労制度が始まるまでの移行期間、どのような形で経過措置を組んでいくのか、また、公布の日から始まる移行措置というのはどんなものがあって、企業活動に支障がないような工夫がされているのか、また、今いらっしゃる技能実習生は具体的にどのような手続で育成就労制度へと入っていくことになるのか。移行期間における経過措置、この詳細について御説明をいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/157
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158・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
本法案は、公布後三年以内に施行するものとしているところ、施行までの間、現行の技能実習制度による新たな受入れを可能としております。
より具体的に申し上げますと、新たな一号技能実習の技能実習計画の認定につきましては、本法案の施行日から三か月経過時までに開始するものまで対応可能としております。その上で、施行日時点で技能実習一号で在留し又は施行日後に新たに技能実習一号で来日した者については技能実習二号への移行を認めるとともに、施行日時点で技能実習二号で在留した者については主務省令で定める一定の範囲で技能実習三号への移行を認めることとしており、施行日からおおむね三年間で全ての技能実習が修了することを想定しているところです。
他方で、育成就労制度につきましては、施行日以後に円滑に受入れができるよう、施行日前においても監理支援機関の許可と育成就労計画の認定のそれぞれの申請を事前に行うことができるものとし、施行後速やかに受入れを開始できるようにしております。
一連の申請手続の開始に係る具体的なスケジュール等については現時点でお示しすることは困難でございますが、制度関係者に不当な不利益を生じさせないよう、法案成立後、政省令や運用要領の策定などの準備を着実に実施してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/158
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159・石川博崇
○石川博崇君 今の段階で具体的なスケジュールをお示しするのは困難という御答弁でございましたけれども、やはり非常に関係者が多いので、できる限り早く、このこれから先の具体的なスケジュール、いつから監理支援機関の登録が始まるのかとか、前広に進めていただくように、これは要望としてお願いをしたいというふうに思います。
今回の法改正の最大の目的と言ってもいいんでしょうか、その大きな目的の一つが人権侵害等の防止、是正を図るということでございます。大臣からの提案説明理由の中にもこの点がございました。人権侵害から育成就労外国人を守ること、この改正法案の至上命題でもあるというふうに考えております。
前回、技能実習法を改正した二〇一六年の際、その改正のときにも人権侵害が問題となっていて、その克服が課題となり、技能実習制度、大きく法改正を行ったはずなんでございますが、しかし、その後もこうしたことが指摘し続けられてきたこと、このことについては政府にも猛省を促したいというふうに思いますし、今回のこの育成就労制度スタートするに当たって、これでもう人権侵害の防止は大丈夫ですということを自信を持って言い切れる、そういった制度にならなければならないというふうに思います。
大臣から、制度的な裏付けも含めて、決意とまた御説明をお願いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/159
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160・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 遠い母国を離れて不自由な日本語を使いながら、ある種の上下関係の中で雇用されていくという状況の中で、やはり人権侵害というのは常にそのリスクがあり、危険性があり、実際にまた様々な反省すべき事象も数多くあったと承知をしております。
したがって、まず人権保護というものについての制度の趣旨、これを周知徹底すること。この法案が成立した暁には、施行日までの間に基本的にその考え方をまず浸透させていく努力をすること。また、転籍の範囲、やむを得ない事情がある場合の転籍の範囲の拡大、明確化、こういった手続面での対応もしっかりと整えていくこと。最後に、機構、外国人育成就労機構の監督指導機能の強化、こういったこともかぶせる形でしっかりと手当てをしていかなければならないと思います。
人権侵害はあってはならない、是非このことを肝に銘じて、施行に向けて、まだ、法案通った暁ですけれども、施行に向けて準備をしていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/160
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161・石川博崇
○石川博崇君 是非よろしくお願い申し上げます。
続いて、衆議院で触れられなかった点について一点確認をしたいと思います。
今回、育成就労制度、この在留資格を創設することが目玉でございますが、同時に、企業内転勤二号という在留資格が加わることになっております。少し、説明の資料の中にもちょろっとしか書いてないので、余り、注意して見ないと見逃しそうになるような新しい在留資格でございますが。
なぜこの在留資格、創設することになるのか、また、企業単独型の育成就労とどう違うのか、また、企業内転勤二号という名称ですから、利用する企業はどんな企業で、どんな業務を行う外国人を迎え入れることを想定しているのか、具体的な説明をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/161
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162・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
現行の技能実習制度の受入れには、海外子会社などの従業員に対する研修などの目的で、一年程度の短期間の受入れを行う例がございます。このような受入れは、人手不足の分野において、三年間の就労を通じて特定技能一号水準の人材育成を目指し、本邦の公私の機関の外国にある事業所の職員である外国人が当該機関の本邦にある事業所において業務に従事等する単独型育成就労を含む育成就労とは趣旨が異なるものです。
しかしながら、不適正事案等が発生するおそれが小さく、国際貢献などの機能を果たしているなど、引き続き実施する意義があるものについて受入れの枠組みを用意するため、企業内転勤二号の在留資格を新たに創設することといたしました。
当該趣旨から、当該在留資格につきましては、外国事業所の職員に技能等を修得させるための受入れに限定することとした上、育成就労制度での規制の潜脱等に用いられることのないよう、事業の規模、体制等に係る要件を設けることとしております。
事業の規模、体制等に係る具体的な要件は今後検討することとなりますが、基本的には、海外に現地法人などを有し国際的に活動する企業が外国事業所の職員に対して、いわゆるOJT方式で技能等を適正に修得させることを担保できる要件を設けたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/162
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163・石川博崇
○石川博崇君 ありがとうございます。
続きまして、転籍要件の緩和について何点か質問をさせていただきたいと思います。
午前中の質疑でもありましたけれども、これまでの技能実習制度では、やむを得ない事情がある場合を除いて転籍が認められていない制度でございました。今回、一定の要件、例えば一定の期間就労するなどの要件を満たせば、本人意向による転籍が認められる制度に変わることとなります。
この点について、政府方針では、一定の期間については、人材育成の観点を踏まえた上で一年とすることを目指しつつも、一年を超える期間を設定する場合には、当該期間を選択する受入れ機関において、就労開始から一年を経過した後は、転籍の制限を理由とした昇給その他の待遇の向上を図るための仕組みを検討するとされております。
この点、私ども公明党から昨年十二月に政府に、小泉大臣にお届けさせていただいた提言の中でも、転籍の制限期間は原則一年として、それを超える場合には、昇給その他待遇の向上の義務付けを検討することと要請をさせていただき、それに沿った内容となっているというふうに理解をしております。
しかし、法文上は、改正法案第九条の二第四号イでは、一年以上二年以下の範囲でとのみ法文では書かれているように見受けられます。経緯を踏まえれば、有識者会議でもその一年ということが指摘されていて、また、政府方針でも一年とすることを目指しつつということを書いていただいてございますので、転籍制限の期間は原則一年で、それを超えた場合には追加の要件が設定されるというふうに理解をしておりますけれども、法文上どのようにこのことが担保されているのか、入管庁にお伺いをしたいと思います。失礼、厚労省に聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/163
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164・原口剛
○政府参考人(原口剛君) お答えいたします。
本人意向の転籍が制限される一定の期間についてでございますけれども、政府方針におきましては、人材育成の観点を踏まえた上で当該期間を一年とすることを目指すとしつつ、激変緩和の観点から、当面の間、各受入れ対象分野での業務の内容等を踏まえ、分野ごとに一年から二年までの範囲内で期間を設定する方針としており、本法案では一年以上二年以下の範囲内で主務省令で定めることとしてございます。
また、政府方針におきまして、当該期間について一年を超える期間を設定する場合には、一年経過後には、転籍の制限を理由とした昇給その他待遇の向上等を義務付けることとしてございます。
この待遇向上等の実施を担保するため、育成就労制度におきましては、一年を超える期間を選択している場合には、育成就労計画の認定の際、一年経過後に外国人の昇給等を行う計画となっていることを確認するとともに、監理支援機関による監査や外国人育成就労機構による実地検査におきまして、そのような待遇向上が適正になされているかを的確に把握するということを考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/164
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165・石川博崇
○石川博崇君 今の御説明では、主務省令でそういったことを盛り込むことを考えるという話でございましたけれども、法文上、法文だけ読むと、一年以上二年以下の範囲内でというフラットな書き方になっております。
なぜ法律の中で今おっしゃったようなことを盛り込むことにしなかったのかという説明を伺いたいということと、それから、一年以上二年というふうにしたわけでございますが、一年というのは、有識者会議でも出ておるとおり、民法及び労働基準法上の有期雇用契約の場合には一年を超えれば退職ができること、これに合わせた数字、数字というか期間でありますけれども、二年という数字についてはどのような具体的な根拠があるのか、この点についても併せて御説明をいただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/165
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166・原口剛
○政府参考人(原口剛君) お答えいたします。
転籍の要件となる就労期間の上限を二年といたしましたことでございますけれども、まず、御指摘のとおり、労働法制上、日本人、外国人を問わず、有期雇用契約であっても一年を超えれば退職が可能とされていることを踏まえますと、転籍が制限される期間は一年とすることを目指すのが相当と考えられた一方で、地方からの人材流出の懸念ですとか計画的な人材育成の支障が生じるといった懸念を踏まえまして、急激な変化を緩和するための措置といたしまして、分野ごとに一年から二年までの範囲内での期間を設定することとしたものでございます。
その上で、政府方針におきましては、転籍の制限期間の上限につきまして、人材育成の観点を踏まえた上で一年とすることを目指しつつとしているところでございまして、法案が成立した場合にはこの政府方針に従って対応してまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/166
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167・石川博崇
○石川博崇君 今御説明ありましたとおり、制度変更に当たって様々な懸念の声が出ていたと。急激な変化、これを避けるための当分の間の措置というような位置付けかというふうに思いますが、政府方針としては一年とすることを目指しつつということを改めて確認をさせていただいた次第でございます。
その上で、先ほどもありましたとおり、その一年を超える場合には、転籍の制限を理由とした昇給その他の待遇の向上、これを図るための仕組みを検討しなければならないということになります。これを是非とも徹底をしていただきたいというふうに思いますけれども、こうした待遇向上を講じなかった受入れ機関にはどのようなペナルティーが生じることになるのか、お聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/167
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168・原口剛
○政府参考人(原口剛君) お答えいたします。
待遇向上などが適正になされているかにつきましては、監理支援機関による監査でありますとか外国人育成就労機構による実地検査において確認することとしてございます。
ただ、一年を超える期間を選択することとしたにもかかわらず待遇の向上等を行わなかった育成就労実施者に対しましては、事案に応じまして、機構による指導のほか、主務省庁による改善命令、育成就労計画の認定取消しなどのペナルティーを科すことを考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/168
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169・石川博崇
○石川博崇君 今の点について、衆議院の質疑、我が党の大口議員から出たときに、この点で、詳細につきましては今後様々な関係者の意見等を踏まえつつ検討をしてまいりますというふうに答弁をされておられます。
どのような関係者に意見を聞いて、どのような検討をしていくことを想定しているのか、念のため確認をさせていただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/169
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170・原口剛
○政府参考人(原口剛君) まず、本人意向の転籍の要件となる就労期間につきましては、各受入れ対象分野の分野別運用方針におきまして分野ごとの方針を定めまして、主務省令においてそれぞれの分野ごとの期間を規定することを想定していると、こういうことでございます。
この分野別運用方針を定めるに当たりましては、業所管省庁と制度所管省庁とが協議いたしまして、業界団体等の意見を踏まえつつ検討を行い、政府として作成した案につきまして、有識者、労使団体等から成る新たな会議体で御議論いただくことを考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/170
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171・石川博崇
○石川博崇君 業種ごとに定めていくということになりますので、しっかり現場の御意見なども伺って制度設計をお願いしたいというふうに思います。
一方で、この待遇向上に関する点ですけれども、これはうがった見方かもしれませんけれども、一年以上転籍制限をする際には待遇向上が義務付けられるわけでございますので、その要件を満たすために、当初、一年目の給与とかあるいは年次休暇の日数をこれを低く設定する、こんなことはあるわけないと思いますし、あってはならないと思いますけれども、そんなことがあってはならないというふうに思いますけれども、どのように対応するのか、政府の見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/171
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172・原口剛
○政府参考人(原口剛君) お答えいたします。
御指摘のような行為でございますけれども、一年を超える転籍制限期間を設ける場合に、未熟練の外国人労働者を保護する観点から、外国人の権利向上のための仕組みを併せて設けることとした制度の趣旨に反し、認められないものだと考えてございます。
育成就労制度におきましては、外国人に対する報酬額が日本人が当該業務に従事する場合の報酬の額と同等以上であることを受入れの要件としているところでございます。
育成就労計画の認定に当たりまして、この点をしっかり審査をするとともに、育成就労開始後も、外国人育成就労機構による実地検査等におきまして給与等の待遇の実態を確認いたしまして、御指摘のような事態が生じないように努めてまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/172
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173・石川博崇
○石川博崇君 育成就労計画、しっかり認定審査する際に確認をしていただければと思います。
また、この点について、有識者会議の報告書、最終報告書では、昇給その他待遇の向上等の義務付けについては、転籍制限期間を伸長しなければ昇給等を行わなくてもよいなどと誤解されないようにすべきとの意見もあったというふうに書かれております。つまり、一年以上転籍制限を延ばす場合には待遇向上の措置が義務付けられるわけですけれども、うちの業界、分野は一年にすると言ったところについては、じゃ、待遇向上しなくていいのかと、給料全く上げないでいいのかと、そういった誤解が生じないようにすべきという有識者からの意見でございます。
全く真っ当な御意見だと思いますけれども、この指摘に対してどのように対応するのか、政府の見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/173
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174・原口剛
○政府参考人(原口剛君) お答えいたします。
繰り返しになりますけれども、待遇向上等の仕組みにつきましては、一年を超える転籍制限期間を設ける場合には、未熟練の外国人労働者を保護する観点から、そのような外国人の権利向上のために設けることとしたものでございます。
他方、我が国が外国人に選ばれる国になるには、外国人にそれぞれの能力を発揮、それぞれの持つ能力を発揮しつつ、安心して就労いただける環境を整えることが重要だと考えているところでございます。
政府方針におきましても、受入れ機関は、一年を超える転籍制限期間を設ける場合に限らず、就労期間に応じた昇給その他の待遇の向上など、外国人の適正な受入れに必要な方策を講ずることとされているところでございまして、転籍制限の期間を伸長しなければ昇給などを行わなくてもよいというものは考えてございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/174
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175・石川博崇
○石川博崇君 当然のことかと思いますが、念のため確認をさせていただきました。
その上で、今お聞きしてきたのは本人意向による転籍の要件の点でございますが、やむを得ない事情がある場合の転籍、これは現行の技能実習制度でも認められているものでございますが、今回、最終報告書あるいは政府の対応では、このやむを得ない事情がある場合の転籍の範囲の拡大、また明確化についても触れられているところでございます。衆議院でもこの点、議論がなされたところでございます。
職場での暴行やハラスメントがあった場合にはやむを得ない事情があるというふうに明確化するなど、検討していただいていると伺っておりますが、あわせて、このやむを得ない事情がある場合の転籍について、今の現行制度下においても可能な限り速やかに運用の改善を図ると。つまり、施行を待って、育成就労制度になる前の今の技能実習制度においても、このやむを得ない事情がある場合の転籍範囲の拡大、明確化を行っていくということを示していただいているんだというふうに認識をしております。
どのような改善を現行制度下で行っていくのか、どのようなスケジュール感で行うのか、御説明を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/175
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176・原口剛
○政府参考人(原口剛君) お答えいたします。
現行の技能実習制度におけるやむを得ない事情がある場合の転籍でございますけれども、どのような場合に転籍が認められるのか分かりにくいとか、また、転籍が認められるための必要な立証の程度につきましても個別の事案に応じて判断がされておりまして、特に実習生と受入れ機関の主張が食い違う場合などには転籍手続が速やかに進まないといった事案が見受けられるところでございまして、そのような指摘や課題があることは認識してございます。
議員御指摘のように、転籍範囲の拡大、明確化についてでございます。
このため、外国人の人権保護などの観点から、やむを得ない事情がある場合の範囲を拡大、明確化することと考えてございまして、具体的には、具体的に該当し得るものといたしましては、育成就労実施者の倒産、廃業、計画取消しなどにより育成就労の継続が困難となった場合、実習先での暴行、常習的な暴言、ハラスメントなどの人権侵害行為があった場合、労働契約の内容、賃金、労働時間、就業場所などの実態に一定の相違があった場合などを検討しているところでございます。
また、今申し上げました拡大、明確化のほかに手続の柔軟化も検討してございます。やむを得ない場合、やむを得ない事情がある場合の対応の必要性でございますとか緊急性を踏まえまして、例えば、外国人からの資料に基づく一定の疎明があった場合には、機構においてやむを得ない事情がある場合と認定いたしまして転籍を認める場合もあることを明確化することを検討してございます。
やむを得ない事情による転籍の実効性のあるものとなりますよう、この国会での御議論も踏まえつつ、できる限り速やかに対応してまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/176
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177・石川博崇
○石川博崇君 できる限り速やかに対応してまいりたいということでございますが、本来であれば、これ、もっと早くやっておくべきことだったんではないかと私は思います。何となく技能実習制度は転籍ができないというイメージが広がっておりますけれども、こういうやむを得ない事情がある場合には転籍は可能なんだと。しかも、その範囲が不明確な状況、あるいは範囲が限られているという状況、もっと早く改善しておけば失踪件数ももっと抑えられたんではないかというふうに思います。
そういう意味で、可能な限り速やかにというふうにおっしゃっていただきましたけれども、是非これは一日も早く実施していただくようお願いをしたいと思います。
これまで、この技能実習制度に対しては、国際的な様々な批判も向けられてきたところでございます。よく指摘されるところでございますが、アメリカの国務省の報告書においても、この技能実習制度によって外国人への人権侵害が生起しているとの指摘もございました。国際社会の中で我が国の信頼を向上させていくためには、この制度の見直し、これは不可欠だというふうに思っておりまして、我が党からも、この点、育成就労制度では国際的な批判に耐え得る制度を構築することということを要望させていただいております。
まず確認をしたいと思いますけれども、このアメリカの国務省の報告書では、我が国の技能実習制度に対してどのような指摘がなされているのか、その内容をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/177
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178・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
御指摘の米国国務省の人身取引報告書においては、労働搾取の人身取引を防止する観点から、技能実習法の監督、執行措置を強化する、過大な保証金、募集、雇用あっせんのための費用や手数料などの廃止のための関連政策の改定、外国人労働者が、雇用主、業種間の変更を含む転職を可能とするなどの勧告がなされているものと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/178
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179・石川博崇
○石川博崇君 こうした勧告がなされたことも受けて議論をしてきていただいて、育成就労制度をつくるというふうになったわけでございます。この最終報告書においても、有識者の方々の最終報告書においても、国際的な批判に鑑みという言葉が強調されておりまして、本人意向の転籍を認める方向性も盛り込まれたところでございます。
今回の育成就労制度導入するこの法案で、この技能実習制度に対する国際的な指摘、これをしっかりと反映をして改善が図られているというふうになっているのか、この点、政府の考え方を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/179
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180・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
御指摘の有識者会議におきましては、国際的な指摘も踏まえて議論が行われ、転籍制限の緩和を含む幅広い点に係る提言が行われました。
その上で、本法案においては、有識者会議における提言も踏まえ、手数料などが不当に高額とならないようにするための仕組みを導入し、外国人の負担軽減を図ること、外国人育成就労機構の監督指導機能、支援保護機能の強化や、監理支援機関の受入れ企業からの独立性、中立性の確保、本人意向の転籍を一定条件下で認めることといった方策を講じているところであり、国際社会からの指摘に対しても一定の対応がなされているものと認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/180
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181・石川博崇
○石川博崇君 是非、今回のその改正した内容で、アメリカ始めこれまで指摘をしてこられた各国に対する説明を丁寧にしていただきたいというふうに思います。
特に、先ほど来申し上げておるアメリカの国務省の報告書では、各国・地域をランク付けしておりますけれども、残念ながら我が国はティア2ですか、要するにランク、二つ目のランクにとどまっております。G7の中では、この二番目のランクにとどまっているのは日本とイタリアのみという状況でございます。今回の技能実習制度の見直し、特に転籍制限の緩和等で汚名を是非とも返上しなければならないというふうに思います。我が党からも、国際的な批判に耐え得る制度を構築することということを大臣に要望させていただいております。
是非、大臣自らのリーダーシップを発揮して、国際社会に丁寧に説明していただきたいというふうに思っておりますけれども、大臣の御決意を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/181
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182・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 今御説明申し上げたように、今回の改正は基本的には国際的な指摘に沿った内容になっていると思います。東南アジア諸国の在京大使とはコミュニケーションを重ねてきておりますが、この法案が成立の暁には、米国ですね、御指摘がありました、エマニュエル大使とも膝を合わせてよく説明をしてまいりたいと思います。もちろん、その他各国にも広く理解を求めていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/182
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183・石川博崇
○石川博崇君 ありがとうございました。
是非、今日お聞かせいただいた点、それぞれ関係省庁力を合わせて取り組んでいただきたいというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げます。
ちょっと時間残しておりますけれども、以上で私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/183
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184・伊藤孝江
○伊藤孝江君 公明党の伊藤孝江です。よろしくお願いいたします。
今日は、永住者の在留資格の取消しに関連をしてお伺いをさせていただきたいと思います。
改正法案の二十二条のまず六で、永住者の在留資格の取消しに伴う職権による在留資格の変更という規定があります。この規定に関連してお伺いをいたします。
この条項につきましては、原則、取消しではなく変更であること、また、永住者が日本に定着してきたという点に配慮したものというふうにこれまで衆議院の審議でも大臣からも答弁がなされております。これらの答弁等で、また、そもそも厳しい条件の下で永住権を得られたということを考えたときに、この条項の適用場面に関しては、まず限定的に解していくべきであるというふうに考え方として思いますけれども、いかがでしょうか。入管庁にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/184
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185・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
今般の永住許可の適正化におきましては、仮に在留資格取消し事由に該当したとしても、即座に在留資格を取り消して出国させるのではなく、当該外国人が引き続き本邦に在留することが適当でないと認める場合を除き、法務大臣が職権により永住者以外の在留資格への変更を許可することとしたところです。
これは、御指摘のとおり、永住許可を受けるに当たっては外国人が長期間本邦に在留していることなどが要件とされていることからすれば、永住者の在留資格を取り消す場合であっても一定の配慮をする必要があると考えたからであり、原則として法務大臣が職権により定住者の在留資格へ変更を行うことを考えております。
いずれにしましても、衆議院修正の附則第二十五条のとおり、改正後の入管法第二十二条の四第一項第八号の規定の適用に当たりましては、従前の公租公課の支払状況及び現在の生活状況その他の当該外国人の置かれている状況に十分配慮するほか、永住者の在留資格の取消しをしようとする場合であっても、原則として法務大臣が職権により定住者の在留資格への変更を行うなど、慎重な運用に努めてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/185
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186・伊藤孝江
○伊藤孝江君 この条文上の当該外国人が引き続き本邦に在留することが適当でないと認める場合については、どのような場合を想定して、いかなる事情を考慮して判断することになるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/186
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187・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
当該外国人が引き続き本邦に在留することが適当でないと認める場合とは、当該取消し事由に該当するに至った経緯、それまでの在留状況や今後の在留意向などを総合的に判断することとなりますが、例えば、今後も納税する意思がないことが明らかである場合や犯罪傾向が進んでいる場合などはこれに該当する場合があると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/187
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188・伊藤孝江
○伊藤孝江君 この条項を用いて変更もあり得るという形になる、在留資格についての変更があり得るということになるんですが、永住者の在留資格以外の在留資格というのは、どういう資格への変更を想定されているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/188
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189・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
改正後の入管法第二十二条の六は、永住者の在留資格の取消しをしようとする場合には原則として他の在留資格に変更することとするものであり、これは永住者の我が国への定着性に配慮したものでございます。
具体的にどのような在留資格とするかは、個々の外国人のそのときの在留状況や活動状況に鑑みて、引き続き本邦に在留するに当たって最適な在留資格を付与することを想定しておりますが、一般的には、ほとんどの場合は定住者になると思われます。
なお、定住者以外の在留資格として、例えば高度専門職のように本邦入国後数年で永住許可を受けている場合などは、本邦への定着性を配慮する必要性が高くないため、活動に応じた就労資格を許可されることもあり得ると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/189
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190・伊藤孝江
○伊藤孝江君 今のその御説明だと、ほとんどは定住者という資格で、それ以外で考えられるとすれば、そこまで定着性が高くない、数年間、短い期間の間に永住者の資格を得た高度な専門性を有する方については元の資格に戻るということがあり得ると。
それ以外ではどういうパターン、定住者以外になるパターンですね、どういうことが想定されますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/190
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191・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
あとは、あくまで可能性、頭の整理としてお聞きいただければと思うんですが、例えば、意見聴取の手続をしている中で、もう少し、そういう自分の将来を考えて、ちょっともう日本から出国することをしたい、出国するんだけど、もう少しその出国のための準備をするための期間が欲しいと、仮にそのような申出があれば、それにふさわしい在留資格をということはあろうかとは思います。例えば短期滞在ということも含めまして、そういうこともあろうかとは思います。あくまで頭の整理ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/191
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192・伊藤孝江
○伊藤孝江君 ありがとうございます。
もちろん、あくまでも頭の整理ということですし、当然その方その方の事情によってというところもあり得るかと思うんですけれども、様々なこういう審議の中で一般論だけで抽象的に語られると、やっぱりすごく不安になるんですよね。どうしても条文上明確にできないことが、具体的にできないことが多い分、運用で好きにされてしまうんじゃないかという不安をもたらしてしまうおそれがあるんだと思っています。
そういう意味では、今おっしゃっていただいたその取消しなり変更なり、変更だということを考えるという段階で、本人がもう永住の意向がない場合はこうするとか、このような方の場合はこうするというような、幾つかの考え方の筋道を示していただくというのは少しでも安心材料にもつながるところでもありますので、是非、あらゆる場面も想定しながら、でき得る限りの具体的な答弁をこれからもお願いをしたいと思います。
例えば、家族全員が永住者の在留資格を有している場合に、親が入管法の別表一の在留資格に変更されることになると、その家族の在留資格というのが家族滞在に変更されることも考えられますけれども、それでは家族の被る不利益も大きくなるのではないかと考えます。
特に家族があるケースにおいては、例えば未払というような事情がある場合に、この未払の人の在留資格の変更を行うとしても、先ほどもありましたけれども、原則として定住者の在留資格を付与すべきというふうに考えますけれども、この点、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/192
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193・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
今般の法改正による入管法第二十二条の四第一項第八号に基づき、在留資格の取消し又は変更の対象となるのは公租公課の未納等があった永住者本人でございます。
したがいまして、仮に当該永住者本人が定住者の在留資格に変更されたとしても、ほかの家族が永住者の在留資格である場合には、引き続き永住者の在留資格のままで在留することとなります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/193
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194・伊藤孝江
○伊藤孝江君 家族があるケースで、引き続きちょっと家族への影響についてというか考えないといけない点をお伺いしたいと思うんですけれども、例えば、子供がいる家族で夫に公租公課の未払があるという場合に、通常、税金、公租公課については、その夫に対してというか個人に対して掛けられているということになるかと思うんですけれども、この夫の支払に対して家族として妻が協力すべきであるということで、妻も夫とともに公租公課の支払に協力をしなければならないのにしなかったというような形で、在留資格の取消しであったり変更の審査の対象とそもそもなるのかどうかという点と、もう一点、また仮にこの事例で、夫が公租公課の未払を主な理由として在留資格が取り消された場合、妻と子の在留資格にはどのような影響がありますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/194
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195・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
今般対象としておりますのは、あくまでも公租公課を支払う義務が掛かっている方が故意に支払をなさっていないということに着目して在留資格を取り消すかどうかという判断をしますので、今委員御指摘ございましたとおり、家族が協力すべきじゃないのかというところまでは、ちょっと判断の外といいましょうか、になります。
また、御家族の、取消しの場合の御家族の在留資格でございますが、ちょっと先ほどと重なりまして恐縮でございますけれども、その際、家族の皆さんが例えば永住者でいらっしゃった場合であれば、仮に公租公課を支払わなかった方が定住者という在留資格になった場合でも、ほかの家族の方は特段取消し事由はございません、当たりませんので、永住者のままとなります。
例えば、御家族の方が永住者の配偶者等ということで、配偶者の方がいらっしゃったと仮にいたしますと、御本体の永住者の方が永住者じゃなくなるものですから、その配偶者の方も永住者の配偶者等という在留資格は対象外になりますので、この場合には、永住者の方が定住者に変更許可になった場合には、配偶者の方についても定住者の在留資格へ変更してくださいと御案内をすることになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/195
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196・伊藤孝江
○伊藤孝江君 変更してくださいという御案内をするというのは、職権でというのか、変更するということではなく、何かその御案内という、ごめんなさい、意味を御説明いただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/196
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197・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) 申し訳ございません。ちょっと付け足させていただきますと、今回の新しく作ろうとしています取消しのところでは、法務大臣の職権による変更の許可というのが規定されておりますので職権でできるんですけれども、そのほかの場合につきましては、あくまで変更申請を受けて変更許可をするという順序になるものですから、ちょっと御案内という御説明をさせていただきました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/197
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198・伊藤孝江
○伊藤孝江君 分かりました。ありがとうございます。
では次に、通報義務に関連をして、改正法案の六十二条の二についてお伺いをいたします。
この条項案では、国又は地方公共団体の職員は、その職務を遂行するに当たって第二十二条の四第一項各号のいずれかに該当すると思料する外国人を知ったときは、その旨を通報することができるというふうになっております。
今日、一点確認をさせていただきたいのは、この通報義務、これを果たすということを考えたときに、相談者の側からすると、相談をしたときに通報されてしまうんじゃないかということで、通報を、ごめんなさい、相談を諦めるんじゃないか、あるいはちゅうちょするんじゃないかということが考えられる、そこを何とかしなければいけないんじゃないかという点です。
この点、DVの被害者に関連をして、平成十五年十一月十七日の法務省入管局長通知では、通報義務を履行すると当該行政機関に課せられている行政目的が達成できないような例外的な場合には、当該行政機関において通報義務により守られるべき利益と各官署の職務の遂行という公益を比較衡量して、通報するかどうかを個別に判断することも可能であるというふうにもされております。
税金滞納をしているような状況で支払方法をどうしていくのがいいのかというのは、当然相談をしながら、税務署にも相談をしながらやっていかないといけないわけでもありますけれども、永住者が通報を恐れて必要な行政機関に相談をしないというふうになると、これはその方、当人にとってもそうですし、きちんと税を確保をするという観点からも決して望ましいことではないというところからいくと、この相談をする機会をしっかりと確保をしていくための対応について配慮をすべきと考えますけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/198
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199・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
入管法第六十二条第二項は、国又は地方公共団体の職員は、その職務を遂行するに当たって退去強制事由に該当すると思料する外国人を知ったときは、その旨を通報しなければならないと規定しているところ、今委員より御指摘のありました通知はその通報義務の解釈を示したものでございます。
一方で、本法案では、国又は地方公共団体の職員がその職務を遂行するに当たって在留資格取消し事由に該当すると思料する外国人を知ったときは、その旨を通報することができることとしており、その通報については義務とはしておりません。
その上で、衆議院における修正による附則第二十四条第四項においては、改正後の入管法及び育成就労法の規定の趣旨及び内容について、本邦に在留する外国人及び関係者に周知を図るものとするとされております。
法務省としましては、衆議院における修正の趣旨を踏まえ、御指摘のように、永住者が必要な行政窓口への相談をちゅうちょすることがないよう、制度の趣旨の周知等を徹底してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/199
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200・伊藤孝江
○伊藤孝江君 職員がきちんと通報をするかどうか、どの段階で通報をするのかというところを判断するようになるためにも、また自治体ごとに異なる対応にならないようにするためにも、ガイドラインが公表されるというふうにも、これまでにも出てきているところでもありますけれども。
ただ、ガイドラインを作るといっても、例えばこの税金なら幾らとか期間が幾らというのを数値的に明確に具体的に決めていくというのはやっぱりできない、不可能なわけですから、考え方を示したり例を示していく中で、それぞれの職員であったり自治体側の判断に委ねざるを得ない面も現実的な中ではあるかと思います。そう考えたときに、このガイドラインをどんなふうに作っていくのかというのが大変大事になってくるかと思います。
効果的なガイドラインを作成をするために、今後、何をどのように検討をしていくのかということについて、現段階でのお考えをお示しください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/200
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201・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
法務省としましては、施行までに、国又は地方公共団体の職員が故意に公租公課の支払をしないことに該当するとして通報の要否を検討する際に参考としていただくとともに、外国人及び関係者の予見可能性を確保するため、在留資格を取り消すことが想定される事例についてガイドライン等として公表することを予定しております。
今般の制度は、国会における議論や本法案附則第二十四条第四項が追加されたことなどからも慎重な運用が求められるものであることは十分認識しており、ガイドラインの内容やその策定の方法等につきましては、永住者の我が国への定着性に十分配慮したものとなるよう、関係省庁と十分に協議した上、しっかりと検討してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/201
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202・伊藤孝江
○伊藤孝江君 今、最後御答弁いただいた部分のガイドラインを、どういう材料を基にどんなふうに誰が作っていくのかというのを明確にしていただくのが大事なのではないかなというふうに思っています。
知らないところでガイドラインが突然出てくるというような場合であれば、やっぱりどうしても納得感であったり理解をしていただくというのも難しいところでもありますし、また、どんな事案を想定をしてどんな事情を考えてというのは、先ほど予見可能性云々という話もありましたけれども、適用をされるかもしれない外国人の方、あるいはその周りにいらっしゃる方も含め、私たち全員がしっかりと納得をしていくというためには、ガイドラインを作る過程も含めて明らかにしていただきながら進めていただきたいと思うんですけど、この点、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/202
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203・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
現時点におきまして、ちょっとどういうスケジュール感、どういう方法でということはまだ決定はしておりませんけれども、委員からも御指摘いただきましたとおり、この今回の法案が成立した場合にはいろいろ御不安を持たれる方もいらっしゃるという御指摘を今ずっといただいておりますので、この策定過程におきましても、ある程度といいましょうか、そういう方たちにも事前に、例えば以前から御指摘いただいている方法としましては、例えば、今後、どういう場があるかではございますけれども、有識者の意見を、関係省庁で協議しただけではなくて有識者にも御意見を聞いて、そういうものを議事を公表するとか、そういうこともあろうかと思いますし、ちょっと、いろいろな方法は今後一緒に検討してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/203
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204・伊藤孝江
○伊藤孝江君 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
次に、改正法案二十二条の四項の故意に公租公課の支払をしないことという点についてお伺いをさせていただきたいと思います。
今日も午前中から、この故意にという文言に関する様々な意見等々出ております。私もというよりも、多分、普通に法曹であれば、法律家であれば、故意にという文言に、例えば悪質なであったり、わざととか、いろんな感情面とかそういうものは含まないものであるという認識を一般的には持っているという中で、そうなると、この故意に公租公課の支払をしないというところに故意にというのがなぜ付いているのかというのも分かりにくいところでもあります。
この故意にという文言をここに含んでいる、入れているのがどういう意味があるのかということと、また、この法律以外の法律等で、故意にという用語に関して、事実の認識があること以外の意味を含めている形で使用している事例というのがあるかどうかについて御説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/204
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205・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
今般の永住許可制度の適正化は、適正な在留管理の観点から、永住許可後にその要件を満たさなくなった一部の悪質な場合について、その在留資格を取り消すことができるとするものでございます。
この点、永住者が公租公課の支払をしない場合の経緯や理由は様々であると考えられるところ、やむを得ず支払ができなかった場合は、その在留状況が良好ではないとまでは評価できず、永住者の本邦への定着性に鑑みて、在留資格の取消し事由とすることは相当ではないと考えております。他方で、公租公課の支払義務があることを認識しているにもかかわらず、あえてその支払をしない場合は、その在留状況が良好とは評価できず、そのような場合にまで永住者の在留資格を認め続けることは相当ではないと考えております。
そこで、永住者の在留資格の取消し事由をそのような場合に限定されるものとして規定するに当たり、一般的に、自己の行為から一定の結果が生じることを知りながらあえてその行為をすることをいう故意という用語を用いるのが適切であると考え、そのとおり立案したものでございます。
また、入管法以外の法令につきましては、網羅的に把握しておりませんが、もっとも、例えば民法第七百九条は、先ほど申し上げた改正後の入管法第二十二条の四第一項第八号の故意にと同じ意味ではないものの、故意によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者と規定しているところ、ここに言う故意とは、判例によれば、自己の行為が他人の権利を侵害し、その他違法と評価される事実を生じるであろうということを認識しながら、あえてこれをする心理状態をいい、行為の時点で存在する事実の認識に必ずしも限られない意味を含み得ると承知しているところです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/205
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206・伊藤孝江
○伊藤孝江君 ちょっと今の法的な説明についてはまた考えたいと思います。
先日お聞きをしたときに、国交省の関係で一つ、故意にという中に悪質性を含むような意味を入れて使っているものがあるというふうな御説明をしていただいたかと思うんですけど、その点はないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/206
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207・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律においては以下のような規定があり、所管庁である国交省において、故意に事実を告げずとは、事実を認識しているにもかかわらず、あえてこれを告げない行為をいうと整理されていると承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/207
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208・伊藤孝江
○伊藤孝江君 ありがとうございます。
元々のそのおっしゃられている公租公課の支払をしないということだけではなく、悪質性であったりとか、そういうもので絞りを掛けていきたいという目的自体は恐らく理解を示す方がたくさんいらっしゃるし、私も理解はできるつもりです。
ただ、そこの方法として、ここに故意にという文言しかなかったのかというところは少し思うところはありますけれども、しっかりと、その元々の目的ですよね、そこ縛りを掛けていくんだと、ちゃんと事情を見ていくんだというところがいかに伝わるかというところに最大限の努力をしていただきたいと思います。
今日の質疑の中でも、やっぱり私を含め普通に法曹の皆さんが見たときには、故意にというのをそういうふうにはやっぱり受け取らないというか受け取りにくいという現実がある中で、いや、そうじゃなくて、こういうことを考えているんだよということが、今後どうそれが伝わっていくのか、伝えていくのかというところがやっぱり大事になってくるところだと思いますので、そこに関してもしっかり考えていただきたいと思っています。
この悪質なという要素、今あえてとか、そういうような言葉もありましたけれども、そういう要素が本当に要件として考えていくんだというところについては、何を根拠に担保をされているというふうにお考えなのか、大臣の御見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/208
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209・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) これは、この永住者の納税義務が果たされていないという問題が出てきてから幾つか取組をやってまいりました。
その中の一つに、第七次出入国管理政策懇談会というのがありました。ここで外国人の方あるいは弁護士の方からいろいろ意見を徴したわけでありますけれども、やはり定住性、今まで頑張ってきてくれた、日本に貢献してくれた、そういう実績、そして定住性、そういったものをやはり重く見るべきだという意見が少なからずあったわけでございます。そういう意味で、この故意、更に限定的に悪意のある場合、そういうものに限っていこうという政策判断はそういう実態のお声から始まっているところでございます。
そして、故意の定義についてまだ詰めなければいけない部分もあると思いますが、これは、最終的にはその法文の解釈、裁量権の、行政裁量の中で悪質性というものをガイドラインに書かせていただいて、なるべく具体的に書かせていただいて周知を図り、御理解をいただくという方法を考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/209
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210・伊藤孝江
○伊藤孝江君 今日、裁量という言葉を使っての説明もされましたけれども、悪質性というのが入るかどうかというところに関しては裁量はあってはいけないと思うんですね。ただ、その裁量があるかどうかというのは、その悪質性があるのかどうかを判断するに当たっての事案への当てはめについて、そこについては判断をする側が様々な要素の中で検討するということはあるかと思うんですが、悪質性を入れるのかどうかというところについては裁量はないという形の解釈論を確立をしていただく必要があると思いますけれども、大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/210
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211・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 悪質性というのを言葉で定義するのはなかなか難しい部分があります。それをできる限り具体的事象に落として具体例としてそのガイドラインに記述をしていくと、そういう方法を取って悪質性というものをしっかり伝わるようにしていきたい、そんなふうに思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/211
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212・伊藤孝江
○伊藤孝江君 公租公課の支払をしないことを理由として取消し、在留資格の取消しがなされる、あるいは変更がなされるという場合に、公租公課の支払をしないというふうに判断する理由となった具体的な事象としてどういうものが吸い上げられていくのかというところについて、やっぱり運用面に関しての心配があるというのが多くの声なのではないかと思っています。
これからもしこの法案が成立をして実際の運用が始まった場合に、公租公課の支払をしないと判断する理由となった具体的な事情については公表を、事案ですね、公表されていくのかどうかという点について伺いたいと思います。基準の明確性にもつながり、不平等な取扱いがなされていないかということのチェックや予測可能性などの点からも実際の運用を明らかにしていくべきではないかと考えますけれども、この点、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/212
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213・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
出入国在留管理庁としましては、委員御指摘のとおり、国又は地方公共団体の職員が故意に公租公課の支払をしないことに該当するとして通報の要否を検討する際に参考としていただくとともに、外国人及び関係者の予見可能性を確保するため、在留資格を取り消すことが想定される事例についてガイドライン等として公表することを予定しております。
その上で、衆議院における附帯決議において、具体的なガイドラインを作成し周知するなど、特に慎重な運用に努めることとされたことなども踏まえ、適切に制度を運用してまいりたいと思います。
なお、ただいま御指摘ございました具体的な事情の、事例の、事情の公表といいましょうか、その点でございますが、現在、私ども、年に一回、在留資格の取消しの状況ということを広報資料、出しておりまして、その中に幾つか事例というものが書いてはおるんですけれども、この制度が仮に始まって、ちょっとどういう事例が出てくるかにもよると思いますけれども、そういったことも今しておりますので、その中でどういう対応ができるか。現在、あと、例えば上陸特別許可をした事例とか在留特別許可をした事例というのもお示ししておりますので、そういうところはちょっと工夫をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/213
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214・伊藤孝江
○伊藤孝江君 以上で終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/214
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215・清水貴之
○清水貴之君 日本維新の会の清水です。よろしくお願いをいたします。
技能実習制度が始まって三十年ということで、その間、本当に、今日も議論になっておりますが、いろいろな問題点が指摘されてきたというのも本当に事実だというふうに思います。
我々に様々、この法案審議に合わせていろいろ資料も配っていただけるんですが、その中にありました厚労省第六回外国人介護人材の業務の在り方に関する検討会資料、今年三月のものですが、この技能実習制度、現行の制度はキャリアパスが不明瞭である、労働者としての権利保護が不十分である、不適正な送り出し、受入れ、監理事例の存在、失踪問題、ブローカーの介入問題などなど様々挙げられております。全てこれまで言われてきた問題点かなというふうに思います。
そして、そもそものところで、やはり制度の実態と、本音と建前のところですね、実態のところがやっぱり乖離していると、これはもうずっと言われてきたことです。技能実習制度、やはり日本は移民政策は取らないという部分がありますので、技能実習制度という制度にして外国人材を受け入れてきた。
これは、制度としては、日本で技術を身に付けてもらう、何でもいいですが、農業でもいいですし、板金の技術でもいいですし、様々技術を身に付けてもらって、本国に帰ってそれを生かしてもらうというのが本来の制度といいますか、目的だったというふうに認識をしているんですが、この辺も、以前も委員会で質疑をさせていただいたことがあります。
今日、午前、先ほどか、石川さんの質疑のときに、国に帰って縫製の技術を生かして起業した事例とか挙げられましたが、それはあるでしょう、あることはあるでしょう。でも、本来の制度の目的は本国に帰ってちゃんとその技術を生かすということですから、生かしている人とか同じ仕事に就いている人はほとんどいないわけですね。ですから、やっぱりこの本来の目的と実態というのはかなり乖離してしまっていたというのは、これは事実だというふうに思います。
三十年もやってきたんですが、そもそもやっぱりこの乖離というのはずっと指摘をされ続けてきて、ここに来て見直すことを否定はしないんですけれども、なぜ今なのかなと、もっと早くからいろいろ対応できたんじゃないかなというようにも思うんですが、まずは、大臣、この点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/215
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216・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) いつ頃からこの問題を政府が認識していたかというお尋ねでありますが、なかなかちょっと具体的に、はっきりこの時期ですというのは申し上げにくいのですけれども、過去にやはり二回、入管法改正あるいは技能実習法制定というポイントがありました。平成二十二年と平成二十九年ですね。
二十二年の入管法改正法では、やはり当時、研修生、技能実習生を実質的に低賃金労働者として扱うなど不適正な受入れが増加していると、こういう認識があり、これに対する対応策が取られたわけであります。二十九年の技能実習法制定においても、一部で制度の趣旨が労働力の確保策と誤解され、法令違反等の問題事案が生じているという事実が認識をされております。
大きく捉えれば、平成二十年代において既にこういう問題は認識、視野に入っていたと思われます。それに対して、またその時点で最適と思われる手段、方法は、改正法は施行されているんですけれども、なかなか解決策に、抜本的な解決策には至らなかったというのが実態だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/216
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217・清水貴之
○清水貴之君 今言われてきたとおり、制度創設以来、マイナーチェンジは何度かされてきたんですが、今言われた平成二十二年の在留資格で技能実習を創設したということで、低賃金の労働者として扱われている事例があるとか、平成二十九年のこれは技能実習法の施行ですね、労働力の確保だという誤解が生まれているとか、これ、どっちも誤解でもないと思うんですよね。
実際、そういう制度というか、安い労働力が欲しい、そういった産業界からの要望があってこれは進められてきた制度だというふうに思いますので、国がやろうとしていた技能実習という建前の部分からはずれているのかもしれないけれども、現実には合っている。
だから、現実に合わせるような法改正をしてきているのかなというふうに思うんですけれども、今回、それを本音と建前の部分をある意味整合性を取らせて、育成就労ということで、もう今回は労働力だと、労働力として必要なんだ、入ってきてくださいという制度にするわけですね。
その本音と建前のずれを正していくことは否定はしないんですけれども、ただ、それで、じゃ、実際に中身を見てみますと、いろいろ制度変えていくところもありますけれども、この根本のところというのは変わっていない気がしまして、そうすると、じゃ、今まで起きてきている様々な問題のところ、もう一回、この検討会資料、厚労省のを読みますけれども、キャリアパスが不明瞭、労働者としての権利保護が不十分、不適正な送り出し、受入れ、監理実例の存在、失踪問題、ブローカーの介入問題、これが、今回の育成就労、制度変わって果たして本当に解決できるのかなというところが疑問なんですが、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/217
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218・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) まず、人権保護の観点からは、転籍要件の緩和という大きなステップを踏むことができたと思います。一定の調整を取っているわけではありますけれども、ここは大きな一歩を踏み出しています。それから、関係する機関に対するしっかりとした監督機能の強化、こういうものも徹底して今回はやっていこうということでありますし、海外との関係においても、一定の協定を結んだ国からだけ受け入れます。かなり制限的な形になっていると思います。
ですから、問題は、これをしっかり施行すること、しっかりこれをその原則を守りながら執行できるかどうか、そして一人一人の意識を変えられるかどうか、そういう執行面をしっかりやれば相応の効果を発揮し得ると我々は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/218
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219・清水貴之
○清水貴之君 我々、そもそものところで、今回やはり人手不足というところで、その部分を埋めるために低賃金の労働者の方々、外国から来てもらうという、そういった制度が果たして制度として正しいのかというところにも疑問を持っているところではあります。
順番に聞いていきましょうかね。
岸田総理のこれまでの答弁はこんなふうに話をしています。外国人材の受入れについては、我が国として、専門的、技術的分野の外国人に、高度技能の外国人の方々ですね、その外国人については経済活性化の観点から積極的に受け入れている、それ以外の外国人については社会的コスト等の幅広い観点から国民的コンセンサスを踏まえつつ検討する、これが方針であるというふうにこれは総理も述べられている、国としての方針だというふうに認識をしています。
まずお聞きしたいんですが、積極的に受け入れている専門的、技術的分野の外国人、この受入れ人数、十年前ぐらいがいいかなと思いましたので、十年前と比べてどれぐらい変化が生じているのか、これをお聞かせいただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/219
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220・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
在留資格「経営・管理」や「技術・人文知識・国際業務」といった専門的、技術的分野での就労を目的とする在留資格による新規入国者につきましては、令和五年は十四万九千九百二人のところ、十年前の平成二十五年は六万三千八百七十二人でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/220
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221・清水貴之
○清水貴之君 もう一方のそれ以外の外国人というふうに総理が言われていますが、それ以外の外国人の受入れ人数とその推移も教えていただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/221
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222・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
専門的、技術的分野ではない、で働いている方としましてはやはり技能実習生になろうかと思いますので、その数を御報告申し上げます。
技能実習生の新規入国者数につきましては、令和五年は十八万三千三十人、十年前の平成二十五年は六万七千四百四十三人となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/222
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223・清水貴之
○清水貴之君 今述べていただきましたとおり、まず、二〇一三年、十年前を見ますと、専門的、技術的分野は六万三千人余りで技能実習は六万七千人余りということで、ほとんど同じぐらいの数字、人数だったわけです。これが十年たつと、技能実習は十八万にまで増えているんですが、専門的、技術的分野の外国人は十四万九千、まあ十五万弱ということになっています。
積極的に受け入れているというこの専門的分野の方々、やはり技能実習ほど伸びていないということは、今、国の全体のニーズを見ても、技能実習、低技能労働者の方々の方がニーズがあって、これからもそういった方々に働いてほしいという産業界からの要望もあって、地方からの要望もあって、今回整理するんだというふうに認識をしています。
もう一点お聞きしたいのが、総理の言うそれ以外の外国人については、社会的コスト等の幅広い観点から国民的コンセンサスを踏まえつつ検討するというふうに述べています。この国民的コンセンサスというのが何を指すのか分かりにくいなと思ったんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/223
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224・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
外国人材の受入れに関して、政府は、専門的、技術的分野の外国人については、我が国の経済社会の活性化に資する観点から積極的に受け入れていく、それ以外の分野については、日本人の雇用、産業構造への影響、教育、社会保障等の社会的コスト、治安など幅広い観点から国民的コンセンサスを踏まえつつ政府全体で検討をしていくという方針となっております。
当該国民的コンセンサスが一体何を指すのかということを一概に申し上げるのは困難な面もございますが、入管庁が実施します各種調査であるとかヒアリング、有識者会議での議論、国会での議論など様々な場面において関係者の声に耳を傾けて、幅広い方々の理解を得ながら検討を進めていくことが重要と考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/224
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225・清水貴之
○清水貴之君 イメージでいうと、やっぱり国民的コンセンサス、相当大きな、皆が本当に納得して、了解してというイメージを持っています。一部の本当に有識者会議とか専門家会議とか、そういった方々、プロが入っているので、それはそれで重要な意見の場だと思いますけれども、国民的コンセンサスというのはもっとすごく大きな話だというふうに私は認識しながらこの法改正を見ているところです。
その上で、じゃ、どれぐらいの外国の方にどれぐらいこれから日本に入ってきてもらって、その国民的コンセンサスも得ながらですよ、どれぐらいの方々がどういった状況でこれから日本で仕事をしていくのか、日本で生活をしていくのかというのは、非常に重要な戦略といいますか、これから考える、まず戦略を立ててやっていかなければいけないことではないかなというふうに思っています。
何というか、これまでを見ていても、労働力のこの分野で、この分野が今足りないからここをちょっと増やしていこうとか、この業界からこんな意見があったからこの人材を増やしていこうとか、まあ言い方悪いかもしれませんが、場当たり的にその場その場での対応というのが行われてきたような気がします。
でも、今回は、このように国民的コンセンサスとまで言うんですから、もっと大きな視点で戦略を描きながら、目標を立てながら進めていくべきではないかなというふうに思っているんですけれども、まず、どのような外国人を、これ、どのようなというのは高技能、中技能、低技能、その技能によってということなんですが、そういった方々をどのように、これは期間です、短期、長期、受け入れていく見込みなのか。これはどのように今考えているでしょうか。これは大臣にですが、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/225
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226・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 総理は御答弁の中で、短期的なあるいは長期的なという二分法でお話しされましたけれども、この法案の審議を通じて私も感じるのは、これは、未熟練労働者の方が研さんを積んで、研修を積んで、そして熟練の労働者になっていくその過程を推進しようということでありますので、しかも滞在期間というのは基本的には中期を想定していますから、短期、中期、長期のクラス、グループがあるというふうに、実際はですよね。考え方としては、専門的な方々、それ以外、こういう二分法もあるわけですけれども、実務上はこの三分野、三グループがあるんだろうなというふうに感じます。
それぞれどれぐらいの人数で日本を支えるのかという、非常に難しい御質問であります。GDPを支えるというだけではなくて、今度は社会を支える、あるいは税負担をしていただく、カルチャーを支える。非常に多面的に、人間、生身の人間を受け入れますので、多面的な効果というのが出てくる。それが今度は継続をしていく。
したがって、やはり漸進的に進んでいくしかないと思うんですね。あらかじめ知恵を巡らせて、こういう姿がベストですというのはなかなか描けない。日本の今度は国民の反応も、一概に、進んでいかないと、どういう反応になるか分からない部分もあります。
コンセンサスというのは、強い反対が出た場合にはやはり立ち止まって考えるべきだという意味が私は入っていると思うんですよね。ですから、そういう漸進的に各分野を通じて進めていきながら、国民の反応も見、またそこで上がる成果も評価をし、結果的に決まっていくものというふうに私は捉えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/226
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227・清水貴之
○清水貴之君 大臣、私も基本的に、もう進みながら考えていこう、嫌いじゃないんです、いろいろやってみなければ分からないことありますから。失敗したと思ったらそこで引き返す、若しくは方向転換したらいいですし、そういった考え方自体は決して否定しているわけではないんですけれども。
今回見ていますと、先ほどお話ししたとおり、高技能の方を積極的にと言っているのに比べてなかなか伸びていないと。一方で、低技能の方にいっぱいこれから入ってきてほしいというような施策だと思うんですが、果たしてそれが日本の経済成長という面で考えた場合にいいのかどうかというところに疑問を持っていますので、そういったところを考えると、やはり進みながらというよりも、やっぱりある程度先に戦略をしっかり立てていく必要もあるんじゃないかなというふうに思っているというので、今みたいな質問をさせていただきました。
次が受入れ対象分野の設定なんですが、これ規制改革学会から意見が出ているもので、これまでのように、一部産業界の要望に応え、政治力の強い業界の要望は通るといった不透明な決定方式を踏襲すべきではない、労働市場の見通し、技術革新による省人化、人を省く省人化ですね、省人化の見通しなどを専門機関が検討し、透明、公正なルールの下で設定すべきだという、こういった意見もあります。
これまでのこれは反省も踏まえてという意見だと思いますが、これについてはどのような、透明、公正な受入れ対象分野をどう決定していくというふうな考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/227
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228・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
現行の特定技能制度における受入れ対象分野の設定や受入れ見込み数などにつきましては、業所管省庁での検討に加えて、制度所管省庁である法務省、厚生労働省、外務省及び警察庁での検討を行い、政府全体として判断しているところです。
これに加えて、今後の育成就労制度及び特定技能制度におきましては、受入れ対象分野の設定等は、有識者、労使団体等で構成する新たな会議体で議論していただき、その結果を踏まえて政府が判断するものとしております。具体的には、法案上、基本方針や分野別運用方針の作成に当たりましては、あらかじめ、特定技能や育成就労に関し知見を有する者の意見を聞かなければならない旨規定しております。
このようなプロセスによって、様々な関係者の意見などを踏まえた判断がなされることを制度上担保し、より一層の中立性や透明性が確保されることになるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/228
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229・清水貴之
○清水貴之君 そして、ここから厚労省さんですかね。
人手不足対策として安価な外国人労働力を受け入れるということは、技術革新を阻害するじゃないかと、逆に経済成長の足かせになるんじゃないかというふうに我々は考えているところがあります。
安価な外国人労働力の受入れ、地方で、特に地方で労働力が足りないというところで、そういったところに入ってきてほしいという、そういった要望があってということだというふうに思うんですけれども、例えばですけれども、かつて外国人労働者の労働力に大きく依存していた自動車産業、昔はやっぱりここまでオートメーション化されていませんでしたので手で作業をするところが多かった。こういったところに今はどんどんどんどん技術革新が起きていて、生産性を高めるような技術革新が起きているわけですね。外国人労働者への依存も大きく下げているというような状況です。
今、現実的に、今現在、人手が足りないと、日本はもう人がいない、人手不足だともう言われていますので、そこに今、緊急的に人を充てると。それは必要なことかもしれません、今のこの経済の動きをストップさせないために。でも、その安い労働、申し訳ないけど、安い労働力のところをずっと埋め続けていると、本来ならばそこに設備投資をしながら生産性を上げていくという作業をしなければいけない、そうすることが日本の経済力を高めていくんだと思うんですけれども、そこにずっと、機械化するとか投資するよりも安い外国人を使っていた方が費用的にも抑えられるからとかいう、そういった理由でずっと人を入れ続けていると、この産業革新とか経済の向上とか、こういったことにつながらないんじゃないかなと、経済成長の足かせになるんじゃないかなと、こういうふうにも思うんですけれども、厚労省としてはこれはどう考えますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/229
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230・原口剛
○政府参考人(原口剛君) お答えいたします。
生産年齢人口が減少する中で、労働力の確保を行い、人手不足に対して適切に対応することは重要なことだとは考えてございます。
また、育成就労制度におきましては、現行の特定技能制度と同様に、効率化、省力化に資する技術開発などによる生産性向上であるとか、女性や高齢者など国内人材を確保するための取組を行っても、なおその人材確保することが困難な特定産業分野に限りまして外国人を受入れを行うものとして考えてございます。人手不足の状況など適切に把握した上で受入れ見込み数を設定するとか、必要に応じて臨機に受入れの停止措置をとることとしてございまして、国内の雇用の安定に影響を与えることがないよう十分な配慮を行うこととしてございます。
また、厚生労働省といたしましては、このような仕組みと併せながら、引き続き、三位一体の労働市場改革など構造的な改革を推進し、生産性の向上でありますとか賃上げの実現に取り組んでまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/230
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231・清水貴之
○清水貴之君 今言われた、いろいろ技術革新をしても、それでも人が足りないという特定産業を限定してやるというお話だったと思います。
それは、どうやってそこを判断していくんですか。みんな言うと思うんです、もううちも一生懸命やっているんですけれども人が足りませんと。これは皆さんおっしゃると思うんです。それをどうやって、本当にそうかというのはどうやって担保するというか、見ていくんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/231
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232・原口剛
○政府参考人(原口剛君) 各人材の受入れに関しましては、各省庁が、業所管官庁が計画を出してまいります。その中に、生産性向上をどのように図ったかとか、そのようなものについて聞き取りとか、あとデータ等を基に記載して出てまいりますので、それを確認しながらやっているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/232
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233・清水貴之
○清水貴之君 あと、低賃金の外国人労働者の受入れですね、これは日本人の賃金水準、今、日本は一生懸命賃金上げようということで、これ国も挙げてやっていると思うんですけれども、一緒に働く日本人の賃金水準の上昇、これも抑えてしまうことにつながりませんか、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/233
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234・原口剛
○政府参考人(原口剛君) お答えいたします。
育成就労制度におきましては、基本方針でございますとか分野別方針を定めるに当たりましては、育成就労に知見のある方の意見を聞くなどと定めてございまして、対象分野でありますとか受入れ見込み数などについて適正な受入れの観点から御議論いただくということでございまして、今申し上げたような対策等を講じながら、国内の雇用の安定に影響を与えないように十分配慮すると考えているところでございます。
加えまして、育成就労計画の認定に当たりましては、育成就労外国人に対する報酬の額が日本人が当該業務に従事する場合の報酬の額と同等以上であることその他育成就労外国人の待遇が主務省令で定める基準に合致していることという要件を設けているところでございまして、このような措置を通じまして、御懸念のような日本人の雇用機会の喪失だとか処遇の低下につながらないよう、制度の適正な運営に努めてまいりたいと考えてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/234
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235・清水貴之
○清水貴之君 技能実習生だけが、日本人と同程度というのはもちろん分かっているんですけれども、例えば、二〇二二年です、技能実習生の平均月給は二十一・二万円です。決して、今の日本の賃金水準から考えると、そしてまた国際的に比較をしても高くはないというふうに思います。低熟練労働者というふうに呼んでいるそうですけれども。
なので、このレベル、これは、だから、日本人も同じレベル、同じような仕事、同じ仕事をしている人は同じような給料体系でやっているんだと思うんですけれども、さっきの話戻りますけれども、ということは、ここに人を充て続ける限り、低賃金で日本人の働き手がいないところにこれ入ってもらう制度ですから、本当なら、そこの設備投資を促して、生産性を向上して、賃金が上がっていくというのが、これ、日本が今国全体を挙げてやっている仕組みだというふうに思うんですね。
経済の好循環というのは多分そういうことだと思うんですね。賃金上げて、お金使ってもらって、そして企業もうかってもらって、設備投資してという、こういういい流れをつくっていこうというのをしているんだと思うんですけれども、やっぱり低賃金労働者ですから、日本人の方ももちろん低賃金だし、それに合わせて外国人の方も給料決まるわけですから低賃金ですし、ここに人をずっと充て続けていると、なかなかその好循環につながっていかないんじゃないかなというふうにも思うんですけれども、これはいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/235
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236・原口剛
○政府参考人(原口剛君) 確かに、その低賃金労働者のところで投資が行かないような形になるというのは、確かに成長がなかなかうまくいかないようなことも考えられるところでございますけれども、現に実際のところ、各省庁におきまして、必要であるというところであればそこを止めるわけにはいきませんので、引き続き、先ほど申し上げたような確認を取りながら、しっかりやってまいりたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/236
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237・清水貴之
○清水貴之君 あと、次、法務省なんですが、逆に高技能の外国の方々に、じゃ、入ってきてもらうために、もっと積極的にと言っていますので、じゃ、どうしたらいいのかという話なんですけれども、例えば生活環境ですよね、教育とか税制とか、こういったものを優遇するとか、今しているところもあるというのは聞いているんですけれども、やっぱりこれも他国との非常に激しい競争という面がありますので、国として積極的にと総理も言っているこの高技能の方々に入ってきてもらうためにはどうしたらいいかというのは、国としてはどう考えているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/237
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238・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
政府におきましては、我が国の経済社会の活性化や一層の国際化を図る観点から、専門的、技術的分野の高度外国人材の受入れについて積極的に推進しているところです。これまで、高度な能力を有する外国人の受入れを促進するため、例えば、平成二十四年五月から高度人材ポイント制を導入し、出入国在留管理上の優遇措置を実施してまいりました。また、最近では、令和五年四月に、一定の学歴、職歴と年収を有する者を優遇する特別高度人材制度と、海外の有名大学の卒業生を優遇する未来創造人材制度を創設して運用しているところでございます。
法務省としましては、引き続き、関係省庁とも連携しつつ、高度外国人材の受入れ促進に向けた必要な措置を講じてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/238
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239・清水貴之
○清水貴之君 続いて、実習生の失踪問題、大臣に伺いたいと思います。
先日の本会議登壇で我が党の青島議員からも質問させていただいたところではありますけれども、令和四年が多くて年間九千人の方が失踪していると。その前も七千百人、五千八百人、八千七百人、九千五十人と、もちろんその年によって上下はありますけれども、でも相当数の実習生の方々が職場を離れて失踪してしまっている等の実態があります。これをまず、現状どう考えますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/239
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240・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 依然として失踪者が発生していることは重く受け止めております。技能実習生の失踪原因は様々であり、明確に特定することは困難でありますけれども、一つには、一部の受入れ機関側の不適正な取扱い、もう一つ、二つには、技能実習生側の経済的な事情などが影響していると考えております。
これまで、こうした失踪の問題も含め、技能実習法の下、制度の適正な運用に努めてまいりましたが、さらに育成就労制度の下では、転籍制限の緩和、労働者としての権利保護を適切に図る、また、外国人が送り出し機関に支払う手数料等が不当に高額にならないようにするための仕組みの導入などの方策を講じ、これらを徹底することによって失踪問題の解決を図っていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/240
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241・清水貴之
○清水貴之君 大臣、できることは、育成就労制度施行までしばらく時間ありますので、今からでもこれは取り組んでいくということでよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/241
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242・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) ええ、当然です。今、技能実習制度の下においてまず徹底していく、それを育成就労制度の下でも続けていく、そういう考え方です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/242
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243・清水貴之
○清水貴之君 あと、転籍の話で、最初は一年という話だったんですが、当面の間、当面の間、最長二年までの転籍を制限できるとしましたということなんですが、この当面の間、当面の間というのはどれぐらいの期間を想定しているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/243
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244・原口剛
○政府参考人(原口剛君) お答えいたします。
転籍が制限される一定の期間の在り方につきましては、当面の間と措置をいたしました趣旨でございますけれども、当該期間につきましては、適切な権利保護でありますとか制度の魅力向上の観点から一年とすることを目指すべきであるとする一方、人材育成の観点からも急激な変化を緩和するための措置を講じる必要があるということを踏まえたものでございます。
このような観点からは、当該措置の継続の要否につきまして、制度施行後の人材育成であるとか転籍に係る制度の運用状況を踏まえ、適時適切に見直しの要否を判断してまいりたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/244
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245・清水貴之
○清水貴之君 あと、失踪する、大臣からも様々原因、理由があるというお話がありましたけれども、やっぱり言語の問題、語学の問題というのも多いのではないかなというふうに思っています。
今度、人材育成の評価方法で、就労開始前ですと、日本語能力A1相当以上の試験合格又は相当する日本語講習を認定日本語教育機関等において受講していることというのがあります。
そもそものところで、この来日する際の語学要件には問題はないんでしょうか。やはり、日本語というのはなかなか特殊な言語だなというふうに僕も海外行って思います。英語みたいにやっぱり汎用性がないですし、日本だけでしか話されない言葉ですので、なかなか外国の方からしたら、しかも漢字もあって平仮名もあって片仮名もあって、非常に難しいと、習うのが大変だという話を聞きます。だからこそ、ちゃんと勉強して、入ってきてからコミュニケーションが取れないと、やっぱり職場とのこれコミュニケーションもうまくいかなかったりすると、いろんなところでそごが出てきて失踪につながってしまうようなケースも中にはあるんだというふうに思います。
ですから、日本にやってくる前、働きに来る前のこの日本語教育、こういった点が非常に重要かなというふうに思うんですけれども、現在のこの語学要件、若しくは育成就労で取り入れようとしているこの語学要件には問題はないんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/245
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246・原口剛
○政府参考人(原口剛君) お答えいたします。
今回の見直しにおきましては、効率的な技能修得、外国人本人の権利保護、地域社会での共生といった観点から、育成就労制度から特定技能制度に至るまでの各段階におきまして日本語能力に係る講習受講や試験合格の要件を設け、継続的な学習により段階的な日本語能力の向上を図ることを考えてございます。
このため、育成就労制度におきましては、有識者会議の最終報告書の提言を踏まえまして、就労開始前の要件といたしましては、日本語能力A1相当以上の試験合格か又は相当する日本語講習を認定日本語教育機関等において受講することとしたところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/246
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247・清水貴之
○清水貴之君 A1相当の試験はいいんですが、これ講習は大丈夫ですかね。講習というのも様々レベルがあったりとか、内容がいろいろあるような気もするんですけれども、ここをもうちょっと詰めた方がよくないかなとも思うんですが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/247
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248・原口剛
○政府参考人(原口剛君) お答えいたします。
適正な人材育成で、先ほども申し上げましたけれども、適正な人材育成でありますとか入国後の地域社会の共生といった観点から、育成就労制度での入国する外国人が一定の日本語能力を身に付けることが望ましいというのは御指摘のとおりだと思います。
ただ一方で、入国時点で一定の試験合格を要件にすることにつきましては、入国意欲に影響し、制度の魅力低減につながりかねないとか、本国における試験の受験機会や教育環境等が不十分な場合があることといった観点からの検討も必要であると考えてございます。
こうした観点を踏まえまして、先ほど申し上げていますとおり、就労開始の要件といたしましては、有識者会議の最終報告書に示されました日本語のA1相当の試験以上の合格、試験合格又は相当の講習の受講としているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/248
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249・清水貴之
○清水貴之君 確かに、行く側からするとそれはなるべくそのハードルは低い方がいいわけで、来てもらう側からしてもそれは同じことだと思うんですけれども、ただ、そこが低過ぎると今度はいろいろと来た後の問題が生じますので、ここは本当にバランス見ながらしっかりやらなきゃいけないかなというふうに思います。
もう一点、厚労省さん、ちょっと飛ばして、今回、転籍がされる、オーケーになるんですけれども、ただこれ、いろいろ今度、逆に要件が厳しい。ここの語学要件とか、転籍先企業が認めて費用も払うとか、いろいろ今回設定しているので簡単には転籍ができないけれども、必要なときにはという制度だと思います。
ただ、例えば、緊急避難的な転籍もあるんだと思うんですよね。いろんな企業でハラスメントを受けていたりとか、賃金がそれこそ払われなかったりとか、もういられないぞ、ここにはと、ある意味逃げるように離れていくとか次の職場を探すという人ももちろんいるんだというふうに思います。そういった方々にとってこの転籍が逆に難しくなるというようなことはないんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/249
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250・原口剛
○政府参考人(原口剛君) お答えいたします。
現行の技能実習制度におきましても、実習認定の取消し、労使間の諸問題、暴行等の人権侵害と、侵害行為や対人関係の諸問題などが発生した場合には、やむを得ない事情による転籍を認めているところでございます。
一方、どのような場合がやむを得ない事情に該当するか分かりにくいという指摘などもございますけれども、今回の見直しにおきましては、やむを得ない事情の範囲を拡大、明確化し、手続を柔軟化することとしてございます。
このような措置によりまして、育成就労制度におきましても、悪質な受入れ機関からの育成就労外国人を保護してまいりたいと考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/250
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251・清水貴之
○清水貴之君 最後に、大臣、ちょっとこれも飛ばしまして、非常に大きな借金を抱えながら来日する外国の方が多いという話のところです。四の一になりますかね、質問でいいますと。
送り出し機関への手数料で入国前に多額の借金を抱える問題ももちろん解消する必要がありまして、出入国在留管理庁が二〇二二年七月に発表した調査によりますと、技能実習生が来日前に支払った平均費用は五十四・二万円、借金をしている実習生は五五%、平均額は五十四・八万円ということです。もちろんもっと大きな額、平均ですからね、の人たちもいっぱいいるんだと思います。
今回の法改正でこういった問題は解決につながっていくものなんでしょうか。大臣、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/251
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252・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 今回の新しい育成就労制度では、この高額な手数料等の徴収の問題を防止するための二つの仕組みを導入する予定でございます。一つは、手数料が不当に高額にならないための仕組み、二つ、受入れ機関と外国人が適切に分担するための仕組み、この二つを導入いたします。
この点について、本法案では、育成就労計画の認定要件として、送り出し機関に支払った費用の額が、育成就労外国人の保護の観点から適正なものとして主務省令で定める基準に適合していることという要件を設けております。
この主務省令で設ける基準でありますが、手数料等は来日後に得られる利益に対する先行投資という側面もあることや、外国人にとっての基準の明確性という観点から、例えば、来日後の給与額に基づいて上限額を算出する仕組みとすることを検討しております。
一方で、具体的な基準を定めるに当たっては、送り出し国での実態等を踏まえた丁寧な検討が必要であり、また、送り出し国の法令との関係の整理も必要なことから、法案成立後、施行までの間に、関係者や有識者の御意見も伺いながら決定をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/252
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253・清水貴之
○清水貴之君 以上で終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/253
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254・川合孝典
○川合孝典君 国民民主党の川合です。
大臣がちょっと離席をされましたので、冒頭、通告をいたしておりませんけれども、私も、先ほど来議論になっておりますいわゆる二十二条の四、故意に公租公課の支払をしないことの故意という文言の解釈について丸山次長にちょっとお伺いをしたいと思うんですが、先ほどの伊藤委員の質問に対する答えとして、民法七百九条とは違いますがと断られた上で御説明された内容が、民法七百九条の御説明をされたように聞こえました。
ちなみに、民法七百九条は、自分の行為から一定の結果が生じることが見通されているにもかかわらず、その行為をなすこと、そのことを意味するという、これが民法七百九条ということなんですが。
今回のこの入管法上の故意に公租公課の支払をしないことの故意にというのは、どこが民法七百九条と違うのかということを、通告していませんからお答えできなかったら次回でも結構ですけれども、その点をまずお答えできればよろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/254
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255・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
ちょっと正確にはまたお時間をいただいた方がいいのかもしれませんけれども、先ほど申し上げましたのは、私どもが、故意のところで、認識しながらあえて支払わないことをというようなことで、今回故意というものを用語として使わせていただいているという説明の中におきまして、ほかにちょっと、ほかの例で何かないのかという御質問でございましたので、いろいろ中で相談し、他部局とかいろいろ相談したところ、先ほどの国土交通省の例でございますとか、民法七百九条のこの判例の意味が、同じような、少し私どもの考え方と同じような形で使えるのではないかということで申し上げたところではございますが、ちょっとまた別途、ちょっと精査して、またお時間をいただいて答弁させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/255
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256・川合孝典
○川合孝典君 突然なことで、私の方も失礼しましたけど。
私が懸念しておりますのは、この故意の解釈というのがこの民法七百九条が指し示すところの故意なのか、刑法三十八条上のいわゆる犯罪を行う意識、犯意ですよね、を指した故意なのかというところ、このところの解釈の違いでまるっきり話が変わってしまいます。
民法上、民法七百九条上の故意というのは、その判断基準というもの自体が、要は、分かっていながらやりましたということが、そのこと自体が過失と同様に犯罪の構成要因になるということになりますので、そこを要は法律家の皆さんは心配をしていらっしゃる、もやもやしていらっしゃるということであります。
よって、この故意という言葉が指し示す意味というものが確定的な故意なのか未確定的故意なのかということ、ここが明らかになる必要があるということだと思います。次回質問のときに、この入管法上の故意という表現が未必の故意も含まれるものなのかどうなのかということも含めて、改めて御質問させていただきたいと思います。これ以上は言いません、今日は。
その上で、法案の方の質問をさせていただきたいと思いますが、私、この問題、古川法務大臣の時代から複数年にわたってずっとこの問題取り扱ってまいりましたし、看板に偽りありのこの技能実習法自体の見直しの必要性をこれも複数年指摘し続けてきた立場としては、中身にはいろいろ言いたいことはあるものの、労働者性を認めろということの指摘、繰り返しの指摘が一定部分読み込まれた形で今回法案が提出されたということについては、私自身は前向きに捉えております。
他方、先ほど清水委員の御質問にもありましたとおり、その目的、本来の目的というものが、外国人労働者を受け入れることで、厚生労働省さんの先ほどの御説明にも、いわゆる生産年齢人口の減少に伴う要は深刻な人手不足対策が喫緊の課題であるということが前提としての議論ということになっていますけど、もちろん、人手不足対策のために労働者、労働力を確保しなければいけないという現場の必要性は理解できるものの、今後、いわゆる研修生、実習生ではなく、いわゆる労働者として外国人を受け入れるという方向にかじを切ったそのことの結果として、恐らくこれまで以上に加速度的に労働者の受入れが広がっていくだろうということを考えますと、今の枠組みでそのまま受入れを拡大することの結果として、ヨーロッパの移民先進国が今抱えているような、将来的ないわゆる3K、5K職場に外国人労働者が張り付くことによって、かつ、その方々が永住者という形になられることによって、結果的に将来、いわゆる社会保障制度上の負担になってしまう可能性も何もしなければ出てまいります。
技能実習生的に受け入れて、そのまま永住資格に切り替えて、そして枠を拡大するということになると、恐らく将来的に分断にもつながりかねない。景気がいいから今人手が足りないと言っていますけど、一たび景気が悪くなった瞬間に、日本人といわゆる雇用の奪い合いが始まる可能性だってあるわけでありますので、そういうことを考えたときに、余り、当面、目先の対応ということでは、今回この法律自体は、意味は理解しておりますけれど、中長期的な日本の国益を考えたときに、かなり近視眼的な法律の内容になっており、この間の質疑のやり取りを見ていても、結局のところ人手不足対策というところに主眼が置かれた議論になってしまっているということは、私は正直言ってかなり残念に思っています。
よって、今後どういったところに要は目配り、気配りをしながらこの外国人の受入れというものを進めていくのかということについて、この機会に大臣ともやり取りをさせていただきたいと思います。
聞きたいことがいっぱいありますので、簡単な確認の答弁から始めさせていただきたいと思いますが、転籍の要件についてということで、これ、やむを得ない事情がある場合の転籍について、このやむを得ない事情というものの中身ですね、これについては、雇用契約上明示された労働条件や賃金と実際の処遇との間に相違が生じてしまったような場合は、例外なくやむを得ない事情として転籍の対象となるという理解でよろしいですか。これ、まず大臣、確認させてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/256
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257・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 最終的には個別具体的な事情によりますが、基本的に、あらかじめ示された労働条件と事実が相違する場合には、これはやむを得ない事情がある場合に相当します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/257
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258・川合孝典
○川合孝典君 ありがとうございます。
そのことを、今後、ガイドラインや様々なことをお取り組みなさるということでありますので、明示的に示していただいた上で周知を是非お願いしたいと思います。契約違反になったら、いわゆる育成就労の方々が要は転籍、転職をするという話に対して、それをとどめることができないということを踏まえた上で、労働条件や職場環境というのをおつくりいただくということだと思いますので、是非よろしくお願いします。
次の質問に移りたいと思います。
これ、ハラスメントの問題ということなんですが、日本人と外国の方との間に風習の差、習慣の差等々もありますので、日本人的な感覚で外国人の、外国の方と接することで、結果的にいわゆるハラスメントと相手が受け止めるようなケースというのが当然想定をされるわけであります。
これは、労働安全衛生法上もそうですが、労働者の心身の安全をいわゆる脅かす行為としてハラスメントは捉えられているわけでありますので、これが実際問題、現状では失踪の原因にもなっているということを考えると、これも転籍の対象事由になるのではないかと私は考えておるんですけど、ハラスメントはやむを得ない事情として転籍の対象になるという理解でいいのかどうか、これも大臣に御確認させてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/258
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259・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 職場内での暴行、常習的暴言や各種ハラスメントが発生している場合について、転籍が認められるやむを得ない事情の具体的な例としてこれを示し、これに含まれるということを明示していこうということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/259
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260・川合孝典
○川合孝典君 実は私、八年、九年前からこのハラスメント対策をずっとやらせていただいておりまして、カスハラ対策、一番最初に実は声を上げた当事者なんですが、ハラスメント対策自体はもちろんやらなければいけないんですけれども、逆に、何でもかんでもハラスメントだと言えば拒否ができるということではないということも、これまた一面の事実ということでありますので、つまりは、何が、どういう行為が、どういう言動がハラスメントに該当するのかということをいかに明示的に示すことができるのかということが極めて重要になります。言った者勝ちのような制度になっても困るわけでありますので、したがって、そこのところも含めて、このハラスメントという問題に対するいわゆる受入れ企業側の要は対応というものが、分かりやすく対応していただけるようにお取組をお願いしたいと思います。
次の質問に移りたいと思います。
本人意向による転籍の要件について、最終報告書では、一年以上の期間を設定する場合には、一年を超える期間、同一の受入れ機関での育成を継続する必要が認められることというのが、一年以上いわゆる転籍を認めずに働いていただくということの条件になっています。かつ、就労開始後一年経過後の昇給その他の待遇の向上等を義務付けるという、こういう条件が付されているわけでありますが、育成就労制度において転籍要件を一年以上とする場合にはこれらの条件を確実に満たすことが必要になるという理解でこれは当然よろしいんですよね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/260
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261・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) そういう理解で結構でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/261
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262・川合孝典
○川合孝典君 ありがとうございます。
その上でなんですが、同一の受入れ機関での育成継続の必要性という書き方がされていますが、具体的に、同一受入れ機関での育成継続の必要性とは具体的にどのようなものを想定しているのか、また、その必要性は誰がどのように判断するのかということについて、これも大臣に御確認させていただきたいと思います。次長で結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/262
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263・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) じゃ、一点、事務当局からお答え申し上げます。
本人意向による転籍を制限する期間につきましては、当該分野の業務内容を踏まえた必要性等の観点を踏まえて検討を行うことを想定しており、より具体的には、計画的な人材育成の観点から、同一の受入れ機関の下でどの程度の期間、育成を継続して行うことが必要と認められるかといった観点からの検討を行うことになると考えております。
そして、当該期間につきましては、各分野の分野別運用方針において分野ごとの方針を定め、主務省令において規定することを想定しており、その手続としましては、制度所管省庁から期間の検討に当たって考慮すべき事情などを示した上で、各業所管省庁が業界団体などの意見も踏まえつつ検討を行い、政府として分野別運用方針の案を作成し、当該案について有識者等から成る新たな会議体で議論し、その意見を踏まえて政府が最終的に判断することを想定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/263
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264・川合孝典
○川合孝典君 一般論としてそういう説明になるんだろうと思うんですけれど、実際、その一年以上のいわゆる転籍制限というものを設定するに当たって、わざわざ育成継続の必要性という文言が書き加えられているということは、具体的に、どういう職種においては一年以上必要ですよねということが有識者会議や検討会では当然話として出ているはずなんですよ。
ただ一年で逃げられたら困るからだという理由だけで書き込んだんだったら、これから白紙の状態から要は議論しなければいけなくなりますけど、例えばこういう職種では一年以上は必要になりますよねという、そういうものはないんですか、今、次長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/264
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265・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
有識者会議の中におきましても、特定の分野というか職種において、これは一年より長いのが必ず必要ではないかというところまでのちょっと個別の議論は出ておりませんでしたけれども、そこは分野ごとによく検討する必要がある、分野ごとに違う可能性もあるので少し幅を持たせたらどうかというような御意見だったと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/265
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266・川合孝典
○川合孝典君 つまり、理屈が先行しているんです、これ。具体的に中身があるわけではないということが今の答弁からも明らかになっています。
その上で確認をさせていただきたいんですが、昇給その他待遇向上の義務付けということについて、処遇向上という実績を、処遇を向上させると、一年目より二年目以降の方がお給料や労働条件を上げていくということをもって定着を図るというこの取組自体の方向性は、私自身もその必要性を指摘していた者としては前向きに受け止めているんですけど、問題は、処遇向上という実績をつくるために一年目の水準をあえて低く設定する可能性があります。
こうした法制度の趣旨に反するような行為について、当然のことながら、監理支援機構による監査や機構による実地検査などで確認をしていくことが想定されると思いますが、その一年目の処遇が適正であるということの適正性をどのように確認するのか、大臣の御見解をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/266
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267・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 昇給その他待遇の向上等を図るための仕組みについては、一年を超えて転籍が制限されることへの対価としての利益を育成就労外国人に与えることを趣旨とするものであります。
そのために、御指摘のように、処遇向上の実績をつくるために一年目の水準をあえて低く設定することなどは当該趣旨に反するところであり、当該水準が労働法令等に違反する場合であれば、法令違反として厳正に対処することになります。また、そうでない場合においても、待遇向上の内容等を含む労働条件に係る情報の透明性を高め、これらの情報がしっかりと外国人に説明されるようにすることで、外国人に受入れ機関の選択の余地を与えることも重要と考えられます。
こういった方策により、御指摘のような取扱いで外国人の利益が不当に害されることがないよう、適切に取り組んでまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/267
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268・川合孝典
○川合孝典君 ありがとうございます。
そもそも、これまで、技能実習生に係る処遇の問題というものについては、契約上の時給、例えば、それが千円なら千円という時給があったとして、最低賃金に張り付いたところの水準でまずは賃金を設定した上で、そこから光熱費や寮費や様々な諸経費を差っ引いた形で、残ったお金を給料としてお支払いするといったようなことがかなり問題視されてまいりました。
契約をきちんとした上で、実際住むに当たってこれだけのお金は掛かるから、その分は、市中のアパートに住むよりは例えば寮の方が安いから、そういうところで暮らしてくださいねということも含めて説明して、額面給与はこれだけだけど、実際に受け取れる給料はこのぐらいになりますよということを説明して、御納得していただいた上でお越しいただいているのであればいいんですけど、それができていなかったがゆえに、言われた給料と実際手取りの給料が違うという、こういったことに対する御不満も出てきているということなわけでありますので、したがって、そういったことも含めて、今後、なぜ失踪しなければいけなくなるのかということのそもそもの原因に着眼をしてどう対応を行っていくのかという、そのことの議論が必要だと私は思っています。
その上で、関連して次の質問なんですが、衆議院の方の法務委員会の質疑で、待遇向上の具体的な内容として、各業界内での昇給率なども参考にして一定割合以上の昇給を行うといった趣旨の御説明がありました、法務省さんの方から。
育成就労実施者からすれば、各業界の昇給率や一定の割合というこの極めて曖昧な漠然とした文言が、その理解した上できちんと対応できるのかということについては、かなり疑問が正直残ると私は思っています。
適正な運用を確保していくためには、例えば業界の業種ごとに目安となるような標準賃金ですね、賃金水準を所管省庁が実際に示していくといったようなことを考えなきゃいけないんじゃないかと思うんですけれども、法務大臣のこの点についての御見解をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/268
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269・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 一定割合以上の昇給の具体的な内容としましては、例えば、一年を超える転籍制限期間を設定する分野ごとに、各業界内での昇給率も参考として一定割合以上の昇給を行うことなどを想定しております。
この点、御指摘のように、業所管官庁等が目安となる賃金水準等を、目安となる賃金水準等を示していくこともあり得るものと考えており、今後、関係者の御意見も伺いながら、施行までの間に検討を行ってまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/269
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270・川合孝典
○川合孝典君 新しい取組ということでもありますので、是非、今大臣が御答弁いただいた内容については、精査の上、積極的にお進めいただきたいと思います。よろしくお願いします。
次の質問に移りたいと思います。
制度上転籍が認められる事案であるということ自体について、育成就労生に判断できないような可能性も当然あろうかと思います、説明を受けなければ。したがって、自分が置かれている状況をこの育成就労生が客観的に分析、把握した上でできるような環境を整える必要があるんじゃないのかと。
要は、何がこの転籍要件に該当するような扱いなのかということ、そのこと自体が、入ったときに当然説明は一旦受けるということにはなるんでしょうけれども、その後、分からなくなる可能性も当然あろうかと思いますので、ハローワークのような行政機関が平時から情報提供を、例えば技能実習機構やFRESCのような組織と連携することで情報提供を行えるような枠組みを日本全国で行えるような、そういう体制を充実させる必要があるんじゃないか、そういう知恵があるんじゃないのかということをちょっと感じたんですが、この点についての大臣の御見解をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/270
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271・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) まず、事務当局からお答え申し上げます。
育成就労制度におきまして、外国人の転籍支援を行うに当たっては、監理支援機関、外国人育成就労機構に加えて、ハローワークにおいても、機構などと連携しながら外国人に対する情報提供や職業紹介等を行うこととしております。
また、転籍を含む制度の周知については、現行の技能実習制度では、技能実習を行うことが困難となった場合の支援に関する情報や労働契約上の法的保護に関する情報などが記載された技能実習生手帳を技能実習生全員に配付することを通じて、入管法や労働関係法令の適用などに関して周知を図っております。
加えまして、技能実習生は、受入れ機関に配属される前の一定期間、監理団体が実施する入国後講習を受講する必要があるところ、同講習の中で、技能実習生手帳を活用しながら、出入国管理や労働に関する法的保護に必要な情報についても講習を受講することとなっており、必要な知識の向上に努めているところです。
育成就労制度におきましても、こうした現行制度における取扱いも踏まえ、外国人が制度を理解し、制度上認められる権利を適切に行使できるよう、必要な対応を行ってまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/271
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272・川合孝典
○川合孝典君 既にそこまでやっていらっしゃるということなんですけど、なのに、去年一年間で一万人近い方が失踪する理由は何だと分析されているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/272
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273・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
なかなか難しいところはございますけれども、やはり一つには、こちらに来てからいろんな、SNSも含めて、いろんなもっと賃金が高いところがあるよみたいな話を、情報がいろいろ入ってきて誘われる方も結構いらっしゃるのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/273
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274・川合孝典
○川合孝典君 というか、そもそも受け入れるときにどういう説明をして受け入れているのかということ自体の問題ということでもありますし、仮に、そういった行為、行動することが入管法に違反していわゆる強制送還の対象に該当することになるということ、そのことも含めて理解した上で失踪されているのか、若しくはやむにやまれず失踪しているのか、その辺りのところも含めて、これはやっぱり精査をする必要があろうかと思います。
同時に、やっぱりそういった行為を促すブローカーの存在というものも指摘もされているわけでありますので、やはりそのことに対してどう対応していくのかということも必要であるということだけ指摘をさせていただきます。
その上で、次の質問に移りたいと思います。
転籍をめぐる無用な混乱を防ぐために、受入れ企業と外国人労働者双方に対して、やむを得ない事由があれば期間中でも退職できることを含めて契約上の取扱いの理解を促進させる必要があるのではないかと考えておるわけでありますが、この転籍をめぐる無用な混乱を防ぐための具体的な対応策、周知策について何らか御検討されていることがあるのかどうか、大臣にお伺いをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/274
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275・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 育成就労制度において、外国人の転籍支援を行うに当たって、監理支援機関、外国人育成就労機構に加えて、ハローワークにおいても、機構等と連携しながら外国人に対する情報提供や職業紹介等を行っております。
また、転籍を含む制度の周知については、現行の技能実習制度では、技能実習を行うことが困難となった場合の支援に関する情報や労働契約上の法的保護に関する情報等が記載された技能実習生手帳を技能実習生全員に配付することを通じて、入管法や労働関係法令の適用等に関して周知を図っております。
加えて、技能実習生は、受入れ機関に配属される前の一定期間、一か月から二か月程度、監理団体が実施する入国後講習を受講する必要があるところ、同講習では、技能実習生手帳を活用しながら、出入国管理や労働に関する法的保護に必要な情報についても講習を受講することとなっており、必要な知識の向上に努めているところでございます。
育成就労制度においても、こうした現行制度における取扱いを踏まえ、外国人が制度を理解し、制度上認められる権利を適切に行使できるよう、必要な対応を行ってまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/275
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276・川合孝典
○川合孝典君 ありがとうございます。是非お取組進めていただきたいと思います。
次の質問に行きたいと思います。
今回、転籍制限が緩和されることによって、実習生、いわゆる育成就労生を受け入れる側としては、法改正以降、都市圏への人材流出について心配されている、懸念の声が上がっているということですが、これ、世界各国を見ますと、いわゆる移民労働者の地域間移動の問題というのは移民受入れ国ではどこでも起こっている話ということであります。
したがって、私、率直に申し上げて、転籍制限を今回一年から二年という形で設けられていますけれども、転籍制限のみで外国人の、外国人労働者の地方への誘導、誘致、誘導というものの機能は十分に今後果たせるとはとても思っていないんです。何か抜本的な解決策が必要だということを、私はそのことの必要性を感じています。
その上でなんですが、地方への外国人の定着政策ということについては、地域における教育や生活支援といったものを始めとして、地方自治体と企業と地域ぐるみで、しっかりと一体的に、主体的に受入れ政策の取組を進める必要があるものと考えています。
北関東の方なんかでは、早くからそうした取組を行うことで、要は円滑な外国人労働者のコミュニティーを形成していらっしゃる町もあるわけでありますので、そうしたいいモデルケースを全国にきちんと広げる形で、要は、本当の意味で外国人の方と日本人とがいわゆる共生できて、力を合わせてコミュニティーづくりをしていただけるような環境をどう取り組んでいくのか、実はここが一番大事なんではないのかということを考えております。
そこで、大臣に御質問なんですが、国がその地方自治体の取組をバックアップ、今後どのようにしていくのか、そのことについて何らか議論がなされているのか、大臣のお考えはあるのか、この点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/276
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277・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) おっしゃるように、外国人に来てもらう、それが半分、残り半分は定着してもらう、そして成り立っている事業だと思うんですよね。その定着の部分がまだなかなか具体的な展開に乏しいというのもおっしゃるとおりだと思います。
そのときのキーパーソンの一つは、やはり地方自治体、現に外国人が日々の生活を送る地方自治体。したがって、今回は、政府の方針として、各自治体において地域協議会に直接積極的に参加を求めていくということが一つあります。そこで企業等の協力も得ながら、まずは受入れ環境と言われるような要素についての整備、外国人相談窓口の整備、そういう基本的な取組はあります。
しかし、おっしゃるように、地域への定着を本格的に図ろうとするところだけでは進まないのであって、新しい事業、新しい感覚で彼らの心をつかむ、外国人材の心をつかむ、そういう取組が当然必要になってきます。
なかなか私も答えがすぐ出せないでいるんですが、しかし、幾つかのアンケート調査、あるいは私が聞いている範囲では、外国人の方々も、日本の地域コミュニティーの良さ、そこが日本という国の本質だみたいな理解があるわけですよね。東京にはない、まあ東京の方には失礼かもしれませんけれども、東京にはない、東京はミニ・ニューヨークだ、言ってみれば。でも、日本の田舎には、地域社会には日本がある、こういう感覚は日本人より持っている方もいると思います。
そういう方々の心をキャッチするような日本のカルチャー、伝統文化、日本人というもの、そういうものに触れてもらう、そういうチャンネルを企業と自治体でつくって、そして心でつながると。外国人材の方々と地域社会のメンバーが心でつながる、昼間は仕事でつながる、夕方以降、休みの日は心でつながるという営みはできなくはないと思うんですよね。口で言うほど簡単ではないんですけれども。
しかし、何かないかとおっしゃるのであえて生煮えのことを申し上げますが、そういう方向に向かって努力するときに、この受入環境整備交付金、まだ僅かな金額ではありますけれども、これを増やす努力を法務省もして、関係省庁ともして、こういうものを使いながら新しい試みをやっていく。地方の自信回復にもつながり得る取組ではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/277
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278・川合孝典
○川合孝典君 丁寧に御説明いただきまして、ありがとうございます。
受入れのためのその交付金、それが有効に機能するものであれば予算を積み増しをしていただいて、積極的に環境整備進めていただければと思います。
議論を聞いていますと、地方のいわゆる過疎地で労働力不足になっている地域の方々、やはり自信を失ってしまっていらっしゃる部分も多いと思うんですが、やっぱりもう一度、要は地域を活性化させるための、力を合わせて、外国の方のお力もお借りをすることで地域の活性化というものにどうつなげていくのかというやっぱり前向きな取組を、逃げるということだけ、ネガティブな部分だけに光を当てて、逃がさないようにするためにどうするのかという、非常に、言い方は不適切ですけど、貧乏くさい議論になってしまっていますので、やっぱり地域を富ませるための政策として何が必要なのかという、そういう議論を是非していただければ有り難いと思います。
時間がなくなってまいりました。次の質問に参りたいと思います。
育成就労制度の人材育成、それから安全衛生管理及び日本語教育についてということで御質問させていただきたいと思います。
育成就労制度の目的、基本方針では特定技能一号水準の技能を有する人材を育成するとありますが、人材育成には、技術や知識の向上と経験を積むことなども極めて重要であります。また、これまでの技能実習制度における労働災害の発生率の高さを踏まえれば、事業場における労働安全衛生教育の強化が必要と考えられます。
お手元に実は資料をお配りをいたしました。
直近の資料をと思って厚生労働省労働基準局のホームページを開きましたところ、たまたま昨日発表されたデータがアップされておりましたので、これを今日お手元に配らせていただいておりますが、外国人労働者の労災発生状況、それから件数、人数等々がここには記載されています。
いずれも日本人の労働者に比べてかなり高い水準になってしまっているという数字が出ているという、このことを踏まえて、外国人の今後受入れ拡大に向けた労働安全衛生教育の取組、今後どうしていくのか、これは大変大きな課題であります。
そこで、厚生労働省の現状の取組についてまずはお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/278
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279・小林洋子
○政府参考人(小林洋子君) お答え申し上げます。
厚生労働省では、未熟練労働者の労働災害の防止に資するように、製造業を始めとしまして、様々な業種におきます未熟練労働者向けの安全衛生教育教材を作成して周知をしているところでございます。これを技能実習生などが多いベトナム人、インドネシア人、フィリピン人などの労働者にも活用いただけますよう、十四言語の外国語に翻訳したものも作成しておりまして、技能実習生等を受け入れている事業者への利用勧奨を図っております。
また、令和六年度、本年度からは、第十四次労働災害防止計画に基づきまして、外国人労働者の方に危険を直感的に理解していただいて、不安全行動の抑止を図るためのイラスト、それからピクトグラムの開発を進めているところでございます。
引き続き、これらの取組により技能実習生等の労働災害防止対策をしっかり進めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/279
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280・川合孝典
○川合孝典君 ありがとうございます。
大臣に御質問させていただきたいと思いますが、お手元に配付させていただいた資料、これ御覧いただくと、下のところの棒グラフで、全労働者のいわゆる死傷者の千人率の数字と外国人労働者の方の死傷者の千人率、赤い棒グラフで書かれておりますが、かなりやはり率に差が出ています。
実は、その理由が、今厚生労働省さんもちらっとだけ触れられましたが、要はコーションというか、注意喚起を行うためのいろいろ資料みたいなものもお作りになっているということなんですが、労災事故が多いのは建設、それから製造現場です。いざというときに、危ないとか、止まれとか、作業手順こうだとかという、本来だったらコミュニケーションを取ってすぐに対応できることがとっさに伝わらないがゆえに要は労災につながってしまっているといったような事例、ケースが非常に多く見受けられます。
したがって、今の状況、それから、実際かなり高い労働災害発生率を考えたときに、今後更に外国人労働者の受入れを拡大をするということを考えた上で、この労働安全衛生対策というものをどのように進めていくべきだと大臣としてはお考えになるか、このことについてお伺いをして、恐らく時間が参りましたので、これを最後の質問にしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/280
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281・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 技能実習制度において相当数の労働災害事故が発生していること、これは法務省としても課題として認識をしております。この棒グラフもはっきり出ていますね、結果が。非常に鮮明な結果であり、しっかり受け止めなければいけないと思います。
具体的には、主務省令及び運用要領において、業務に従事させる時間のうち一定の割合以上、十分の一以上の時間帯において、外国人に安全衛生に係る業務、例えば作業開始前の安全装置等の点検作業などを行わせる、あるいは入国後講習において、従事する職種、作業に応じて安全衛生教育を必ず実施する、外国人に分かりやすく説明することなどを主務省令、運用要領において定めております。また、外国人技能実習機構において実習実施者等向けの安全衛生対策マニュアルを作成し、同機構のホームページで周知を行っております。
今後の育成就労制度においても、労働災害事故の発生を防止し、受け入れた外国人が安全、安心に就労できるようにすることは重要な課題であり、現行制度の取扱いも踏まえ、関係省庁等と連携し必要な措置を講じてまいりたいと思います。
言葉が、日本語の習慣がないのでとっさに伝わらない、非常に大きなポイントの一つかというふうに思います。大きい原因から小さいところまでもう一度よく目くばせをして、対応を考えなければいけないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/281
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282・川合孝典
○川合孝典君 ありがとうございます。
これで終わりたいと思いますが、いろいろルールは作っていただいていても、現状こういう状況になってしまっていることを今後どうするのかということを議論させていただきたいと思います。入口のところできちんと縛りを掛けないと、入ってきてからの運用は厚生労働省さんですからという話になっても、ある意味、言えないでしょうけど、押し付けられた側も後付けの対応ということをせざるを得ない状況になるわけですから、入るところでどうするのか、このことを議論することが大切であるということを御指摘させていただきまして、終わります。
ありがとうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/282
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283・仁比聡平
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
まず、永住者の法的地位について聞きます。
午前中、福島みずほ議員が大問題として取り上げられました在留カードの常時携帯義務、これはかつて外国人登録証の常時携帯義務でしたが、これが平和条約に基づく特別永住者に対して廃止されたという改正も、これは決してそう古いものではありません。平成二十一年、二〇〇九年改正なんですね。二十一世紀まで日本社会は、特別永住者に対して指紋押捺やあるいは外国人登録証の常時携帯を義務付けていた。この改正のときに、ところが、ほかの永住者への権利侵害は残されました。これが法案審議において大問題になりました。
永住者の生活基盤の安定と人権の保障をどう図るのかというこの大争点の中で、当時、森英介法務大臣ですけれども、こういう答弁をされています。一般永住者の中にも、その歴史的背景から我が国に長期間在留しているなど、特に我が国への定着性が高い方々がおられることも事実でありますと、この委員会での答弁です。
大臣、この認識は変わったのかと。どうも、今日の午前中の議論を聞いていますと、昨年の秋に有識者会議にも諮らずして今回の法改定につながる案をリードしたのはどうやら大臣のようだということのようなんですが、この永住者の高い定着性、これ、どう考え、あるいはどう検討したんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/283
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284・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 午前中からいろいろ御説明申し上げているように、取消しをする前の段階でまず在留資格の変更というものを想定する、定住者と、多くの場合、原則として定住者。そしてまた、一定期間があれば永住者に戻れる。当然、その戻る措置も考えられるわけであります。
また、故意にという法文の要件を更に狭めて、悪質性、本人に帰責事由があるかどうか、そういうところを狭めて適用をしていきましょうということも考えているわけでありまして、これらは定住性に配慮した措置であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/284
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285・仁比聡平
○仁比聡平君 今の答弁で、小泉大臣がこの永住者の法的地位について歴史的な認識が全くないということが逆に浮き彫りになったと思うんですね。
先ほど御紹介した森大臣の答弁は、公明党の木庭健太郎議員の質問に対するお答えです。ちょうど今、伊藤さんが座っていらっしゃる席だったと思うんですけど、私もその委員会でこの問題について質問をしておりまして、当時、木庭議員がどれほど熱くこの問題、質問していたかと、ちょっと頭に、脳裏によみがえるような思いがするんですけどね。
当時、木庭議員は、二つの場合といいますか類型といいますか、を指摘をしておられるんです。一つは、森大臣が述べたとおり、そういった歴史的背景から華僑を含めいろんな方たちがいる、すぐにやらなきゃいけない人たちがいるというこの問題ですね。もう一つは、定着性が高いというのは、別にそういう歴史的背景だけでなくて、本当に長年日本に、ニューカマーと言われる人たちだって、その中には長く日本に住み、日本に永住し、日本でやっていきたいという方もいらっしゃる、是非早急に検討して答えを出してほしいと。
つまり、永住者みんなの生活の安定について、〇九年改正では置き去りになったけれども、早く検討しなきゃいけないというのが当時も与党の強い主張だったんですよ。このことについてどう思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/285
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286・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) そのときのその時代背景、また国民世論、そういったものの中で、政府もそういう方針を取っていたのだというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/286
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287・仁比聡平
○仁比聡平君 とんでもない認識でしょう。そのときの時代背景って、当時、政権は、不法滞在者の半減計画といって、この外国人労働者、とりわけ非正規の滞在者に対しては本当に厳しい措置をとり始めていた、そういう中での議論ですよ。特別永住者について人権保障を図るのは当然だけれども、けれども特別永住者以外にも歴史性も持って定着性の高い方々がいらっしゃるではないかと。それが法と、そして国会の意思ですよ。
私が本会議で紹介をした横浜華僑総会を始めとした在日華僑団体が、もう一度読みますけど、現在、日本で生まれ、日本語しか分からず、日本にのみ生活基盤を有する二世から六世の永住者も多く、全てが日本市民とともに善良なる市民として地域社会の発展に貢献しています、この度の日本政府の入管法改定案は、永住者の生活、人権を脅かす重大事案と認識し、是正を強く求めますと。
これは、日本社会の歴史的な背景も含めた、この現実に基づいている声じゃないですか。にもかかわらず、小泉大臣がそこの認識がない。だから、有識者会議も始めとして、まともな立法事実の検討もなさらずに、こんな法案をリードしておられるんじゃないですか。
永住者は、一つには、在留期限がなく、したがって更新も要りません。もう一つには、活動に制限がなく、自由に仕事や生活ができます。この点で、平和条約に基づく特別永住者を除けば最も安定した在留資格だと私思いますけれども、この点はどう考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/287
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288・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 永住者というのは、しかし在留管理の対象になり得るわけでありまして、日本人と同じではありません。外国人として入ってこられて、永住者ですけれども、やはり在留管理というものはそこにかぶさっているわけであります。ですから、日本人と同じではありません。
そして、申し上げたいのは納税義務を果たさない方の話です、これは。納税義務を果たしている方にとっては何の関係もない話、そうです、それを理解していただきたいと思うんです。納税義務を果たせない場合にも、自分の責任でないことがあれば、それは認めます、許容しますと。意図的に悪意を持って、悪質なケースについては是正をします、そういう制度です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/288
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289・仁比聡平
○仁比聡平君 この改定が納税の問題あるいは滞納の問題とどう関連するのか、後ほど議論をしたいと思うんですけれども。
日本人と同じではないというふうに、外国籍住民に対して何か、大臣、特別な意識をお持ちなんですか。何だかちょっとよく分からない、そこが。永住者という在留資格は当然外国人の在留資格の一つであって、日本国籍の住民とは違うと、法制度的に。それはそうでしょう。けれども、厳しい審査を経て、在留期限がなく、かつ活動に制限がないという意味で、特別永住者を除けば最も安定した在留資格だと、それは当たり前のことじゃないですか。入管次長、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/289
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290・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
在留資格制度の中におきましては、永住者が最も安定的な在留資格でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/290
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291・仁比聡平
○仁比聡平君 農水省、国交省に本当は聞きたいところですけど、通告していませんから聞きませんけど、いや、実際に……(発言する者あり)大臣、通告していますよ、私。
実際に、例えば、農村や建設で永住者としての資格を持って働いていただいている外国人の方々たくさんいらっしゃると思います。日本籍住民と同じように、この日本社会の中で様々な経済的な風雨にもさらされながら頑張っておられるということだと思うんですよ。
今申し上げている〇九年改正、〇九年改正の当時、この永住者に外国人登録証、今日の在留カードの常時携帯義務を刑事罰をもって課しているということについて、国際人権規約に反するという自由権規約委員会からの度々の勧告が九〇年代、重ねられていることも併せて大問題になっていました。その中で、即時確認の必要があると入管が言って、永住者に対する携帯義務は残されたわけですよね。そういう歴史的な経緯を一体何だと考えてこの案を出しているのか。
大臣、もう一点、このときのことについて伺いますが、〇九年改正で衆議院の修正によって作られた附則六十条三項というのを御存じでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/291
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292・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) いや、ちょっと通告をいただいていないので存じ上げません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/292
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293・仁比聡平
○仁比聡平君 これは通告はしておりませんでした。
私も、昨夜来、検討を深める中でそうだったなと思ったんですけれども、条文そのまま読みますが、附則六十条の三項、「法務大臣は、永住者の在留資格をもって在留する外国人のうち特に我が国への定着性の高い者について、歴史的背景を踏まえつつ、その者の本邦における生活の安定に資するとの観点から、その在留管理の在り方を検討するものとする。」と。つまり、特別永住者以外の永住者についても、より安定に資するために検討を行わなきゃいけないというのが法律であり国会の意思なんですよ。
これ、入管次長、これ生きているでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/293
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294・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
ただいま委員からの御指摘ありました附則につきましては、引き続き私たちの宿題事項といいましょうか、検討事項として残っていると認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/294
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295・仁比聡平
○仁比聡平君 ところが、この法案というのはまるで逆じゃありませんか。全く逆で、永住資格の安定性を、永住者という在留資格の安定性を掘り崩し、相対化してしまうというものだと思います。
だから、この永住資格までが軽微な義務違反でも取り消し得るというようなことになるなら、いわんやほかの在留資格は更に取り消し得るということになりかねなくて、外国籍住民が安心して日本で暮らす、そうした法的地位というのはもうどこにもなくなってしまうんじゃないか、そうした強い不安が今この国会を取り巻いているわけですよ。
永住者という最も安定した在留資格をやっとのことで得た人でも、国の方針を変更してその地位を剥奪できるようにすると。それは許せないという声が寄せられていますけれど、大臣はどう考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/295
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296・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) これは、租税、公租公課の義務を、納入の義務を故意に悪意を持って免れる、そういう悪質なケースを対象にしているわけであります。普通に生活している方の生活の安定を脅かすものではありません。こういう不法な行為をしている方に是正を求めるものであります。
そして、どの在留資格においても更新制度がありますから、その更新のときにはこういうチェックが掛かるわけであります。永住者については今まで掛かっていなかったのですが、しかし、永住者に対する国民の偏見が生じ得る、公平性の原理にも反する、様々な御意見があり、定住、定着性に十分配慮した上で是正のための措置をとろうと、しかも、それは取消しではなくて、あくまで変更であって、そこからまた戻ってくることもできます。ごく一部の方の話です。それを全体に広げて議論をされますけれども、我々が対象にしているのはこういう行動をしている方です。全体に広げないでいただきたいと思うんです。(発言する者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/296
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297・仁比聡平
○仁比聡平君 今議場から声が上がったとおり、条文は全体のものになっているんですよ。
今、大臣、答弁で大きく二つのことをおっしゃいました。一つは、ごく一部の悪質な者へ適切に措置するという、これは午前中、自民党の北村議員の質問に対してもお答えになったことなんですけど、もう一点は、一度許可されればチェックされないという趣旨の議論ですが、ちょっとまず前者の方について伺いたいと思うんですが、大臣はごく一部の悪質な者へ適切に措置すると言うんですが、条文のどこをどう読めばそうなるのか、これが大問題なんですよ。次長、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/297
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298・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
条文で、特に今、公租公課の支払のところが御指摘いただいていると思いますけれども、この部分につきましては、条文上は故意に公租公課の支払をしないことということを要件にさせていただいていまして、この故意の意味について、いろいろ今日、本日もいろいろ御指摘をいただいているところでございますが、私どもとしましては、そういう支払義務があることを認識しながらあえて支払わないような人たちを対象にしていると。
その上で、実際に取り消すのかどうかということにつきましては、意見の聴取等を踏まえ、実際の未納額とか未納の期間とか種々の事情も勘案して、個別に慎重に判断していきたいということを考えているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/298
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299・仁比聡平
○仁比聡平君 改正案、改定案と言いますが、二十二条の四の八号について、まず次長は、故意に公租公課の支払をしないという条文の意味について、今そういうふうに御答弁されました。
ですが、にもかかわらずとかあえてという用語をイントネーション強調されて今日答弁されているんですけど、法文、法文というか法的な文書、例えば裁判所の判決などで、にもかかわらずとかあえてという用語が、故意を超えた、強調される意味で使われることはないとは私も言いませんが、それは文脈によるのであって、様々な具体的な事実を認定した上で、結論としてそういう用語が使われるということであって、あえてというのは害意や反社会性をそのまま意味する言葉ではありません。
規範、つまり税金ならそれを支払わなきゃいけないという規範、自分がその規範には反するけれども支払わないとか支払えないというそうした状態、この事実を認識していれば、今日幾人もの議員が与野党を超えて述べているとおり、故意というのは認められるのであって、そこに、あえてと幾らイントネーションを付けて強調しておっしゃったからといって、害意や反社会性を意味するものにはならないでしょう。
だから、条文ではごく一部の悪質な者へは限定されないじゃないですか。限定されなければ、判断権者の恣意的な濫用も含めた、まないたの上にのせられてしまうということじゃないですか。
大臣、そこも、つまり、法案を提起しておられるわけですから、法文でどうなのかというこの批判にどう答えるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/299
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300・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 様々なケースがあり得るわけです。それを一つ一つ、論理的にこういう形で規定してここまでというのは、なかなか文章では表現が行き届かなくなりますので、故意という条文に基づいて、その解釈としてガイドラインを作り、そのガイドライン、できるだけ具体的な事例を挙げて、議論していただき、それを示していこうと。その法令、そこが一体となって適正な執行を可能にするというふうに我々は考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/300
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301・仁比聡平
○仁比聡平君 国会無視であり、法律の意義をそっちのけにした議論ですよね。そんなことないですよ。大臣、私ちゃんと聞きますから、そのときに答弁してください。
今日も言葉が出ているけれども、予見可能性は必要であり、法律には明確性が必要です。
とりわけ、在留資格という生活の基盤ですね、特に永住権、永住者でもいいです、永住者という在留資格については、先ほども強調したとおり、生存、生活の基盤そのものだと思うんですよ。在留資格の、永住者という在留資格の基盤の上に立って家族や仕事や、あるいはコミュニティーができ、言わば人格的生存そのものの根っこにある。それは、私的なものあるいは自由なものというのがたくさん積み重なっている。この在留資格を取り消すというのは、つまり剥奪し得るという要件じゃないですか。中間に変更という、そういうクッションが入ることはあるかもしれないけど、何しろ取消し事由の拡大でしょう。
生存基盤であるところの在留資格を取り消すという理由に、今回の改定案の特に八号、九号のような条項を入れるに当たって、その明確性がここまで大問題になると。自民党や公明党の議員が、故意というのは共産党の仁比が言っているのと同じようなことだと議論してしまうようなことで、どうして人権保障が図れますか。何でそんな法案を出すのかと。いかがですか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/301
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302・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 現に納税義務を果たさない人がいて、その方が永住者でしたとして、その方に是正を求めるというのは在留管理上、常識的なことだと思います。それをそのままにしていいという議論については、私は理解ができないです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/302
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303・仁比聡平
○仁比聡平君 大臣、全く永住者という在留資格の本質なり法的地位の大切さということについて分かっておられない。
今日、もうここは聞きませんけれども、行政裁量としてのガイドラインを決めますと、定めますと繰り返しおっしゃっていますけど、ガイドラインの決め方も問題だし、中身は大問題ですけれども、私はそもそもガイドラインで決めていい事項ではないと思います。法律事項じゃないですか。国会の専権じゃないですか。これを、その中身さえこの法案審議の中で明らかにすることができずに、法成立後、入管において定めますと。これまでどれだけ入管庁が外国籍の方々に対する権利侵害を行ってきたと思っているんですか。その人たちが決めますと。言わば、まないたの上にのせた外国人を切り刻むという生殺与奪の権を握った方が、自分のその包丁の当て方をガイドラインで示すと。そんなことやっちゃならないというのが立憲主義であり、国会の役割じゃないですか。いや、大臣、それは分かっておられないということなんですよ。
もう一つ、先ほどの御答弁、つまり法案との関係で申し上げたいなと思うのは、午前中も古庄議員が指摘をされましたが、今回、取消し事由として改定が提案されている九号、従来は退去強制事由として規定をされている条項ですが、永住者には適用されないということになっていました。つまり、退去強制事由を示す第二十四条の四の二ですよね、これは別表第一の在留資格者に限られるので、永住者には適用されないということになっていました。
これを今回の改正で取消し事由として持ってくるという趣旨の答弁が丸山次長から午前中来あっていますけれども、ここには、実刑のみならず執行猶予になった人も含む、実刑は一年以上の懲役若しくは禁錮と今なっていますけれども、今後で言えば拘禁刑になるんでしょう、に限らず、一年以下の実刑になった人、それから執行猶予になった人も含むと。
これは、次長、そういう理解でいいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/303
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304・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
現行入管法第二十四条四の二において、特定技能など別表第一の在留資格をもって在留する者については、一定の重大な刑罰法令違反について、刑の執行が猶予された場合であっても退去強制になるということでございまして、今回、永住者の退去強制事由である九号につきましても執行猶予も含まれていると、一定の犯罪についてでございますけれども、執行猶予も含まれているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/304
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305・仁比聡平
○仁比聡平君 つまり、これまで永住者も退去強制はあり得ました。けれども、この今紹介している条文については適用の対象外でした。ですから、実刑といいますか、一年を超える懲役若しくは禁錮にならなければ退去強制にはならなかったわけですが、今回の改正でそこは大きく変わるわけです。
裁判所で、軽微な罪を犯して裁判になったとする、起訴されたと。けれども、その犯情、犯行の経緯や犯行そのものの軽重、あるいはやむを得ず行われたことかなどの情状、こうしたものが裁判できちんと審理をされた上で、裁判所としては実刑は相当でないと、執行猶予として社会内で処遇する、更生を図ってもらうということが適当であるという判断が、司法判断がされた場合も、今回の法案は、入管が取消しの対象にし得るということになっているわけですよ。
これ、裁判所、刑事裁判所が、刑事裁判で執行猶予が相当であるという判決が出たのに、入管が在留資格を取り消して、果ては出ていかなきゃいけない強制退去にまでなってしまうのかというような、こういう制裁といいますか、にしなきゃいけないという、そんな理由がどこにあるんですか。
大臣、今私が申し上げているような法案の組立てになっているということを御存じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/305
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306・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) まず、永住権を取得していただくときに、日本国の利益に沿うという要件があるわけですね。この日本国の利益に沿うというのを、納税の義務、あるいは犯罪を犯さない、そういうふうにブレークダウンをしているわけであります。やはり、それを満たせなくなった場合には是正をお願いをするという、そういう形になっている、そういう仕組みであります。
これを実行しなければ、今度は日本の国民が、それを放置するんですかという形になってきて、そして外国人に対する不当な偏見につながっていくということも考えなければいけません。いやいや、そういう方々を目にすると日本の国民の心は閉じます。もっと受け入れようとする方々がいても、そういう方々が目に付いてくれば、外国人は嫌だという反応になってしまうじゃないですか。それを是正すれば、ごく一部でしょう、全員どころじゃない、ごくごく一部のはずですよ。永住権まで取られる方でありますから、ごく一部の方。その一部の方の是正をすることによって、全体が評価が崩れずに済むと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/306
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307・仁比聡平
○仁比聡平君 大臣の今の認識に対しては、本会議でこれも紹介した、在日本大韓民国民団の声明の一部をもう一度申し上げたいと思います。
税金等の少額未納が発生した場合や過失犯も含めた軽微な犯罪の場合に在留資格を取り消されることがあり得るという立場に置くこと自体、永住者に対する深刻な差別であると考えます。
この言葉を、いや、本会議では全文通告しているわけですから、大臣もお読みになってあの総理の答弁支えられたわけでしょう。岸田政権に対して民団から問われているのは、在留資格を取り消されることがあり得るという立場に置くこと自体が永住者に対する深刻な差別であるという批判なんですよ。今日の議論、一貫してその問題を外していらっしゃる。
繰り返しておっしゃるので、あえて私も、そうしたら、ちょっと繰り上げてその質問をしますが、大臣はごく一部の悪質な滞納者に対するものだとしきりにおっしゃりたいようですけど、納付確保のための制度ですか、公租公課の納付を確保するための改正ですか、改正の目的は公租公課の納付確保のためですかと。違うでしょう、うなずいていらっしゃるんだけど。だって、公租公課、税や社会保険料の滞納問題の徴収というのは、自治体や国の当局ですよね。入管が何だかまるで人手も足りないのにその徴税業務に乗り出そうとでも言うのかというような話になるんだけれども、現実はそんなことじゃないでしょう。
だって、滞納などが行われれば、自治体が、払われないかな、払えないかなと伝えもするし、払うのが難しければ分納を相談をしたりもするし、あるいは、公租公課が払えないという生活状況そのものが貧困のSOSではないかというふうにきちんと捉えて、生活支援につなげるという取組も大きく広がってきています。
近年でいえば、コロナや円安、物価高騰の下で、日本人住民も苦しいけど、外国籍住民も同じように苦しいわけですよ。そういう状況についてきちんと対処をしていくというのは、入管や法務省の仕事じゃないでしょう。それは、それぞれの行政が所管をし、私どもは決して今政府が行っていること、全面的にオーケーとは言っていませんが、取り組んでいることじゃないですか。
今度のこの永住者の資格取消しという制度は、今日、大臣がしきりに誘導しようとしておられる納付確保のためではないと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/307
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308・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 納付確保のためではありません。
納付しなかったという事実に対して、入管、在留管理上の評価をさせていただくということであります。在留管理上の評価をさせていただくということで、歳入確保のための行政権の発動ではありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/308
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309・仁比聡平
○仁比聡平君 納付確保のためではないと今正面から認められたわけですけど、その納付確保の方法としては、明らかに過度な在留資格の取消しということの対象にするのは、結局、公的義務の履行と、今日も何度かおっしゃっていますよね、公的義務。つまり、国家にとって好ましい振る舞いをしないということに対して永住者も在留管理のまないたの上にのせる、ここで取り消し得るという裁量を確保すると、そういうことであって、それ自体が永住者に対する深刻な差別であるという批判がされるように、根っこにあるのは抜き難い排外主義なんではないですか。
外国人差別と排外主義がなければ、日本人住民に対するのと同じ取組を行えばいいのであって、どうしても悪質で、あるいは反社会的な、そうした者に対して特別の、大臣がおっしゃるような限定をした取組をするというんだったら、そういう条文の構造にし得るわけであって、これはこれだけ一般的な法にしてしまうというのは、それは排外主義そのものですよ。
時間がなくなってきていて、ちょっと通告していた質問がたくさんあるけれども、次の機会に譲らざるを得ないんですが、ちょっと一問、今の問題についてお尋ねしておきたいことがあります。
改正案二十二条の四の八号は、今日しきりに議論になった故意又は公租公課の支払をしないという場合だけではありません。この法律に規定する義務を遵守せずというのがあります。この法律というのは入管難民法のことだと思いますが、入管難民法に規定されている義務というのはたくさんあります。そのそれらの義務が一体どんな性質を持っていて、事柄の軽重、あるいは、その義務違反に対して制裁を加えることが外国籍住民に対してどれほどの権利侵害に当たるのか、あるいは基本的人権を脅かすものになりはしないのか、そうした個々の検討というのはどうもされていないように思うんですね。
私は、この法律に規定する義務というのを全て明らかにして、どんな場面でどんな運用をされているのか、この委員会できちんと議論する。今日は、常時携帯、在留カードの常時携帯義務については随分議論がありましたけど、同じようにちゃんと議論するということが必要だと思うんですが、入管庁、これはこの委員会に提出をいただきたいと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/309
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310・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) 申合せの時間を過ぎていますので、答弁は簡潔にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/310
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311・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) 委員会としてお求めがあれば整理したいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/311
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312・仁比聡平
○仁比聡平君 委員長、理事会での協議をよろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/312
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313・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/313
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314・仁比聡平
○仁比聡平君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/314
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315・鈴木宗男
○鈴木宗男君 予定では五時十分までが私の時間になっておったんですが、もう既に七分ほどオーバーしておりますので、私も与えられた三十五分の時間の中でしっかりと議論をしたいなと、こう思っております。
大臣、今ほども議論になりましたけど、この公租公課である税金、保険料を故意に支払わない行為が続いた場合、永住権の取消しの対象となる、しかし、理由があって仕方なく支払ができないものは取り消されない、こう私は認識しているんですけれども、それでよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/315
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316・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/316
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317・鈴木宗男
○鈴木宗男君 理由があり支払うことができない場合、故意でない場合は法律的にも取消し対象にならない、こう今、大臣が明確に言われました。私は、民主主義はこれは性善説ですよね。約束は守る、ルールは守る、こういう理解の下で私は民主主義があると思うんですね。
今日もいろんな議論を聞きながらも、心配することは大事であります、あるいは懸念することも大事であります。ただ、事実は事実として、私はしっかり受け止めなければいけないと思っております。
衆議院でもこれ修正されて、永住許可の取消しに当たっては、生活状況など、これ十分に配慮することや、法律の施行後三年をめどに制度の在り方を検証し、必要な措置を講ずることも附則に盛り込んで修正が行われて、これ採決されて参議院に送られております。私は、これはしっかりと頭に入れて議論をするべきだと、こう思っているんです。
そこで、大臣、故意であるかないか、その判断基準はどうなっているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/317
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318・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) まず、法律上の故意、これまた刑法上の故意と民法上の故意の違い、川合先生から御指摘ありましたからちょっと至急詰めますが、それが罪になる、それが悪いことだということを認識しながら、しかし、その行動を取ってしまうという状態が故意による、故意だという状態だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/318
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319・鈴木宗男
○鈴木宗男君 故意であると判断された場合、すぐ取消し手続に入るのか、それとも、ある程度期間を決めて指導なり、その改善期間というか、時間を、猶予というか、確保するのか。これはどうなんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/319
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320・丸山秀治
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
まず、今回の主な流れとしましては、例えば自治体、地方自治体から通報いただいて、それから意見の聴取、取消し手続に乗せるべきということを判断すれば、意見の聴取の手続ということを開始いたします。
その場合も、通常、本人に御連絡をしますが、二週間以上空けて通知した日に来ていただいて話を始めますので、恐らく、その話の中のやり取りの中で、こちらも今後の支払の意向とか、そういうことは恐らくお尋ねすることになろうかと思いますので、そういうことも含めて、これまでの不払だった事情とか今後の支払う予定であるとか、そういったことも含めてお尋ねした上で、最終的にどういう処分をするかという流れになろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/320
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321・鈴木宗男
○鈴木宗男君 私は、そこで大事なのは、やはり担当機関の人間味が必要だと思うんです。しゃくし定規に整理するのか、事務的に整理するのか、あるいは人道的な配慮を持って当たるのかによって、全く受け止めだとか基準、判断は違ってくると思いますね。ここは是非とも、丸山次長、あくまでも丁寧に親切にやることが私は一番だと思うんです。あわせて、それは日本の信用にも関わることだと思っているんですね。
この点、小泉大臣、私は、大臣の方からきちっと現場に対しての親切な人道的な対応というものは徹底していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/321
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322・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) そのとおりだと思います。
過去にいろいろな御批判もいただいてきた入管行政でありますので、そういう反省を深くして、その反省の上に立って、今おっしゃるように、人道的な、柔軟性を持った、しかし透明性も持った、公平性も持った、温かい裁量行使ができるように趣旨を徹底していかなければならないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/322
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323・鈴木宗男
○鈴木宗男君 大臣、くれぐれもその点はよろしくお願いしたいと、こう思います。
現行制度における不適切な監理団体の存在の話も出てきました。この監理費の高額さから、監理団体の制度をなくして、公的機関が直接送り出しのマッチングや入国後の外国人の支援を行う制度を採用すべきでないかというような意見もあったと私は受け止めております。
この育成就労制度で、監理支援機関という形で現行の枠組みを維持することとした理由は何でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/323
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324・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 育成就労制度における監理支援機関のいろいろ役割がありますが、一番中心的なものは雇用契約の成立のあっせんだと思うんですよね。マッチングです。そこでお見合いが成立しなければこのスキームは全く動かないわけでありまして、そこがコアです。
ということは、そこに非常に手間暇が掛かります。様々なきめ細かさ、そういったもの、それから反復していく継続性、そういったものが必要であり、それを民間がやるか、公にするか、公の機関がやるかという選択になりますけれども、やはり民間で、身近に、実情に応じたきめ細やかな対応を促進していって、他方、公的機関がこれを担うとなれば、新たに大きな人員、大きな予算の確保が必要になります。その間に時間も流れていくことでありましょう。
したがって、そういうことを考えた上で総合的に判断をして、民間にこの機能を残し、それをブラッシュアップして、ただ、より適正なものにしてやっていこうと、こういう判断に至ったところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/324
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325・鈴木宗男
○鈴木宗男君 監理支援機関の中では、その監理団体の中には、いろんなまた真面目な機関、あるいは、ちょっとこれ何かいかがわしいなみたいな機関だとか、北海道でもいろんな人がやっておりまして、いろんな相談を受けたり、また私なりに私の考えを述べたりして、言っていることもあるんですけれども、今、大臣、やっぱりここは民間に委ねる場合はこれは信用が一番でありますから、ここはしっかりとしたやっぱり適切な行政側からの私は指導というかあるいはチェックというか、それだけは怠らないようにこれはしっかりやってほしいなと思います。
現行制度では、この監理団体は実費の範囲でのみ監理費を徴収可能とされておりますけれども、監理団体が受入れ機関から徴収する監理費が高過ぎるという話が度々聞こえてまいります。
この点について、大臣としては、どういうふうに考えて、あるいはこの適正化に向けてどんなやり方を考えているのか、教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/325
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326・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 実費に限り、あらかじめ用途、金額を明示した上で監理費として実習実施者から徴収することができる、監理団体はですね、そういうルールになっております。
御指摘のような過大な監理費の、高額な、高額過ぎる監理費の徴収の問題が起こっておりますので、まず現行制度においては、この監理費の仕組みを実効あるものとするために、監理団体に対して、監理費管理簿の監理事業を行う事業所ごとの作成やインターネットでの公開を求めるとともに、外国人技能実習機構が年一回程度実施する実地調査、実地検査において、徴収する費用が適切なものであるかどうかという確認を行っています。
新たな育成就労制度の下においても、監理支援機関については、技能実習制度における実費徴収の原則を維持した上で、新たに費用の算出方法に係る考え方を運用要領で明確化する、監理支援機関が徴収する監理支援費の算出方法や基準を明確化する、そしてインターネットで公開をするなど、こういった取扱いを主務省令で義務付けるということにしております。
外国人育成就労機構による実地検査、これも技能実習の場合と同様、更に徹底をしてまいりたいと思います。こういう施策を併せてしっかりと取り組まなければいけないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/326
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327・鈴木宗男
○鈴木宗男君 大臣、今の大臣の説明、ここにいる人らは分かると思いますね。ただ、一般的には、しっかり認識しないというか理解しないというか、ちょっとどうなっているんだろうという心配の向きはありますので、この点はやっぱり徹底して親切にこの受入れ機関を含めた関係団体に私はお話をしていただきたいなと、こう思っております。北海道なんかでも相当今外国人は入っていますので、この点、強くお願いをしておきます。
私はこの改正二法案は賛成でありますから、法務省、特に入管庁なんかは自信を持って国民に私は説明をいただきたいと思います。
皆さん心配される声があっても、これは民主主義ですから当然であるし、また、それはそれで、入管庁なんかは説明の義務があると思っておりますけれども、とにかく丁寧に言えば分かると思います、あからさまに排除の論理はしていないわけでありますから。それを前段省略して受け止めると、何かしら差別だとか偏見だというふうに取られる向きもありますから、この点、私は説明すれば分かると思いますので、まさに丸山次長の出番だと、こう思いますから、しっかり分かりやすい説明をいただきたいなと。同時に、法務大臣もしっかりサポートをいただきたいなと、こう思っております。
私にとっては、四月の十八、五月九日、十六日、二十三日、「検察の理念」について聞いてまいりました。今日もこの「検察の理念」についてお尋ねをいたします。
二十三日の委員会で大臣は、八長官が集まる場ではなくて、私が出向いて、高検に行って、そこで意思疎通をし、訓示をすると、そこで意思疎通をし、確認をし、訓示をする、これは一般的指揮権の中では十分になし得ることであるというふうに考えておりますとおっしゃっております。これは、今、大臣が答弁されたいわゆる議事録に載っている言いぶりを正確に私は話しました。
これ、出向いて調査するということは何を意味するんでしょう。出向いて調査する。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/327
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328・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 度々委員から御指摘をされている検察の不当な捜査ですね。これちょっと、個別案件に私は入った形ではコメントができないのでありますが、一般論として、それは「検察の理念」に反しますし、あってはならないことだと思います。何とかそれを是正したい。
しかし、法務大臣としての個別的指揮権は、これは発動については極めて慎重でなければならないという制約がありますので、その中で検察への政治家の介入だという批判を招かない方法で、しかし検察にしっかりと考え直してもらう、改めてこの「検察の理念」の重要性、必要性、それを遵守する必要性を理解をしてもらうにはどうしたらいいかと考えまして、会議に行って私がしゃべる、まあ一定の時間はもらいます、五分とか十分。でも、それで片側通行で終わってしまいますので、高検、高等検察庁八か所ありますから、そこへ私が出向いて、そして高検検事長、また検事の皆さんとまず意思疎通をして、本当にこの「検察の理念」というものが皆さんの心に入っているかどうか、どういう気持ちでいるのかどうか、そういうことを生身の議論で突き詰めた後にしっかりと訓示をしていこうと、そういうふうなことを今考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/328
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329・鈴木宗男
○鈴木宗男君 大臣、大臣よく個別案件という話するんですよ。大臣が話をすることはもう既に一般的な指揮権なんです、例えば大臣の下にあるそれぞれの機関で言うことは。私は、その個別案件、大臣、テープレコーダーのように言っていますけど、ちょっと認識間違っているんでないかと思います。
けりが付いて、検察の非が明らかになって、無罪になりました。決着付いている分は、個別案件について私は言えないという、大臣よく言われますけれども、私は、じゃ、具体的に、以前にも言っておりますけれども、ここでまた言わせてもらいます。
恫喝、強圧的な取調べで、誘導で、正しくない虚偽の調書を作って、それで起訴をして、結果として一審で無罪になりました。明らかに検察は間違い犯しましたと言って、一審で終わっちゃっているんですよ。
じゃ、そういった間違った取調べをした人に、大臣、大臣になってからの事案ですから、大臣は、じゃ、具体的にどういう指導をしました。それを教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/329
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330・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) その担当検事さんに直接指導するということはしておりません。それはまさに個別案件に入る、個別的な指揮権の発動になってしまいます。
しかし、検察という組織全体に対して、捜査の在り方はこうあるべきだ、こういうことを考えてもらいたい、これをしっかり守ってもらいたいということを法務大臣として頼む、指示をする、これは一般的指揮権でありますから、それをより効果的に発動するために八つの高検を私が回って指示をする、意思疎通をする、確認をする、そういうことを通じて是正を図っていきたいというふうに思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/330
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331・鈴木宗男
○鈴木宗男君 大臣、大臣の下には本省に刑事局長もおられますね。担当課長もいますね。本来ならば、間違いを犯した、なぜこうなったんだろうか、なぜこういったことが繰り返されるんだろうかと普通疑問に思いませんか。現場に行く行かないじゃなくて、担当局長に、こういう結果になっている、これはなぜかということをなぜ聞かないんでしょう。
大臣、特にこの事件なんかは、もう皆さんも知っているとおり、プレサンス事件ですよ。担当検事が関係者から事情を聞く、聴取する中で、逮捕をしない方がいいと上司に上げているんですよ。上げていても、シナリオ、ストーリーに沿って突っ走ってしまったんです。
明らかに「検察の理念」を無視しているんじゃないんですか、大臣。この点、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/331
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332・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) それは、検察庁法によって、個別の指揮権は直接発動できない、担当検事に向かって発動できない、そういう規定がはっきり書いてありますので、それに抵触してしまうわけであります。そこは是非御理解もいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/332
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333・鈴木宗男
○鈴木宗男君 大臣、刑事局長もいます。それぞれ役割を持った人いるんです。事実関係をただすことが、何でそれが指揮権なんです。事実関係はどうなっているか、それは内々、組織の中でそういったチェックするのは当たり前の真ん中の話じゃないですか。それが組織として機能して当たり前、当然ではないんですか、大臣。
それ、大臣は、大臣も法律の専門家でないから、役人のレクチャー受けてここでも答弁しているわけですから、何もあなたは狙って法務大臣になったわけじゃないんです。大臣、いいですか。私は正直が必要だと思いますよ。間違ったら間違ったと謝るのが人間として当然なんですよ。それを言い訳みたくすり替えるのは、私は、小泉大臣らしくないんです。
大臣の立場として、当然刑事局長に、結果としてこれ無罪になっている、これは検察のミスなんですから。ミスというか汚点ですよ。しかも、一審で無罪なんていうのはあり得ませんよ。検察自身も認めたから下がっちゃったわけですから。ならば、指導監督はどうしているんです、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/333
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334・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) そこで本当に御理解いただきたいのは、私は法務大臣という政治家なんですね。政治家がこの検察が扱う個別の案件に触れると国民の疑念を招くということから、検察庁法では個別の案件には触るなと、こういうふうに書いてあるわけでございます。
そこが大きな公益として守らなければいけない、私、我々のその守ることが必要な命題であります。そして、その枠組みの中で、じゃ、何ができるかといえば、一般的な指揮権において検察をしっかりと指導する、これはできるわけでありますから、個別とちょっと切り離していただいて。
何で検察がそう守られなきゃいけないのかというと、それ何で守るんだという厳しい御指摘ですが、それは司法の一翼を担っているからです。起訴をするという、それは司法の両輪の片輪なんですよね。だから、司法の独立性と同じ考え方がそこには流れています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/334
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335・鈴木宗男
○鈴木宗男君 大臣、終わった、結論の出た話と現在進行形は違いますよ。それ、大臣、一緒に物を言っていますけれども、終わった話と現在進行形の話をしているんじゃないんですよ。結論が出て、もうギブアップして、終結しちゃっているんですから。いいですか。それに対して、反省だとかおわびがあっていいんじゃないですか。
大臣、じゃ、二百四十七日も勾留された人の立場を大臣はどう考えるんです、そういった間違ったやり方で。それをちょっと、じゃ、説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/335
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336・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 終わった案件であっても、将来のものも含めた同種事件に対する、関する検察当局の捜査・公判活動に介入しようとしているんじゃないかと、こういう疑念が湧いてくると思います。必ず湧いてきます。どこかできちっとしっかり線を引いておかないと国民の疑念というのは湧いてきますので、しっかりとここはお許しをいただいて。
しかし、一般的な指揮権の下で最大限の努力をしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/336
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337・鈴木宗男
○鈴木宗男君 大臣、すり替えの議論ですよ。
指揮権で有名なのは、犬養法務大臣の佐藤栄作さんを逮捕するかしないかというときの指揮権発動が有名ですね、これは。多くの人が知っていると思いますよ。それ以外は指揮権ないんです。
ただ、間違い起こしました、素直に謝る、認める、これが、大臣、筋じゃないですか。起訴した検察が、一審で終わってしまった、無罪判決で。自信あるならば、二審、そして三審までいけばいいんですから。できなかったということは、明らかに百点満点で検察が駄目だったということなんですから。それについて、迷惑を掛けた人いる、大変な人権侵害を受けた人がいる、経済的にも大きな影響を受けている。済まなかったとか、あってはならぬことだったとか、申し訳ないだとか、そう言うのが大臣の立場じゃないんですか。それは指揮権に何の関係あります。
大臣、勘違いしないでくださいよ。争い事やっているならば今の答弁でもいい。終わってしまって、間違いを、じゃ、検察はこの件では間違った判断をしたということで、これは、大臣、認めますね、この件は。いや、これ大臣に聞いているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/337
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338・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) それ、まさに、申し訳ないんですが、それはまさに個別案件に対する私の評価になります。これ、法務大臣でなければ、一般の事業等官庁であれば、大臣がおわびをするとか評価する、それはできるんですが、これはもう検察という公権力の在り方に関わる法律があっての仕組みでありますから、誰が法務大臣になってもこれは守っていくという形しかないと思うんですよね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/338
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339・鈴木宗男
○鈴木宗男君 これ、委員の先生方、間違った判断して、じゃ、誰が責任取るんです。我々政治家、必ず責任取らされますね。裏金問題でもそうじゃないですか。
じゃ、大臣、検察は間違った判断しました、そして結果的に裁判でも負けました、じゃ、どんな責任取るんです。こういうことが、じゃ、また起きても、誰も責任取らない、注意もされない、これで、大臣、法治国家として成り立ちますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/339
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340・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) ですから、そういう社会全体の、国会での御議論も含めた社会全体の厳しい目がある、様々な批判がある、反省すべき点があるでしょうということを私がしっかりと言い置きに行くわけですよ、高検に、行くんですよ。こちらから行って、よく分かってもらうんですよ。その努力をしますと申し上げているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/340
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341・鈴木宗男
○鈴木宗男君 大臣、高検に行く行かぬじゃなくて、もう結論の出ている事件なんですよ。
いいですか、大臣。大臣、大臣の立場として、間違った判断をしたのは誰かだとか、どういった責任を取るかだとか、常識として言って当たり前じゃないですか。大臣、検察官が泥棒したら、捕まったら、いや、検察官だから泥棒してもいいんだとはなりませんよ、法の下の平等なんですから。間違った判断して、人の人格から、人権から大変な迷惑を掛けておきながら注意も何もできません、それで、大臣、世の中通ると思いますか。いいですか、大臣。人間として、大臣、相手のことを考えてくださいよ。ちょっと、大臣、正直に答えてください。
私は、私自身、検察は検察の役割で真面目にやっているのもいるけれども、跳ね上がった者もいることは事実なんです、こういった事案を見たら分かるとおり。その跳ね上がった者を野放しにしておいていいんですか、大臣。それだけ答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/341
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342・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) それは、その個別的指揮権の発動になってしまうので困難なんです。法律があって、できないわけです。一般的指揮権ならばできることがあります。おっしゃっている気持ち、お気持ちはよく分かりますよ。よく分かります。よく分かりますけど、私の置かれている立場も考えてみてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/342
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343・鈴木宗男
○鈴木宗男君 大臣、置かれている立場考えるんじゃないんですよ。間違いなく、大臣、結論が出たんです。その結論は、検察のやり過ぎだったし、でたらめだったという結論なんです、大臣。それに対して何で注意できないんです。
これ、皆様方も、私の言うのが無理ありますか。委員長、どうです。悪いことして、間違ったことしておいた者がのうのうと生きていけるという社会が公正で公平な社会なんですか。これ、山崎先生、どう思います。私の言うのに無理ありますか。当たり前のこと言っているんじゃないんですか。
大臣、役人のメモをもらって説明しているだけであって、大臣の本心として、言葉として述べていないですよ。大臣、大臣である前に一人の人間であってください。一人の人間として、私の言うのが無理あるか、あなたの答弁が理があるか。間違いなくこの国会中継見ている人はたくさんいますから。私はこの案件ずうっとやっているけれども、圧倒的に鈴木宗男頑張れという声援ばっかり来ていますから。この点、大臣、勘違いしないでください。
私は何も、私の我を言っているんじゃないんです。結果が出た、しかも、大変な目に遭った人に対して、本来ならば大臣がおわびをする、あってはならぬことだった、「検察の理念」に反していたと言うのが当たり前のことじゃないですか、それは。それを言えないという、大臣、私は政治家としての大臣の見識を問いますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/343
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344・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) その政治家だから言えないんですよ。これ、私が政治家でなければそのままストレートな会話が続くんですけど、政治家だから個別の案件には入ってはいけないというふうになっているわけです。それは公益なんです。何て言ったらいいんですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/344
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345・鈴木宗男
○鈴木宗男君 大臣、大臣は法務大臣だから言えないとさっきまで言っているんですよ。今は、政治家だから言えないと言うんですよ。政治家だから言えるんじゃないんですか。国務大臣は、大臣、民間人でもなれるんです。いいですね、勘違いしないでください。政治家だから言えない、政治家として、じゃ、小泉さん、こうですと答えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/345
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346・小泉龍司
○国務大臣(小泉龍司君) 私は、政治家であり法務大臣ですから、法務大臣としてののりを越えるわけにはいきません。これは本当に申し訳なく思いますけれども、それを越えることはできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/346
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347・鈴木宗男
○鈴木宗男君 政治家と大臣の使い分け、大臣、これは議事録にも残っているし、必ず時が解決しますから。
同時に、この事件だけでなくて、河井事件でも検察は何て言いました、大臣、最高検は。時間ないから、大臣、最高検は、特捜検事の取調べは不適正であった、こう言っているわけですよ。じゃ、不適正であったと認めたならば、注意をしたのか、どんな指導をしたのか、これを教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/347
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348・松下裕子
○政府参考人(松下裕子君) 御指摘の事件につきましては、最高検察庁の監察指導部において調査を行いまして、当時の広島市議会議員に対する取調べについて、不起訴処分を約束したり虚偽供述をさせたものではないけれども、一部の言動について取調べの適正確保の見地からは不適正な点が認められたとして、同種事犯の再発防止のために検察官に対する指導、教育の充実強化に努めることなどが示されたものと承知をしておりまして、その監察結果を受けまして、検察におきましても、様々なその「検察の理念」を踏まえた検察活動が行われるように、具体的なその浸透を図るための取組を進めていると承知しています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/348
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349・鈴木宗男
○鈴木宗男君 大臣、大臣も長い政治生活の中でいろんな経験していると思います。政治家は失言しても首になります、大臣は。あるいは、何かミスしたら辞めなければいけませんね。検察は、じゃ、間違いを起こしても何の責任も取らない。大変な人権侵害から、もうプライバシーから全て侵害してしまう。にもかかわらず、結果として、恫喝したり、強圧的な虚偽の調書を作って起訴したけれども、結果的に負けてしまった、しかも一審で負けた。誰も注意されない、誰も責任取らない。それで組織として当然ですか。
今、政治不信で言われているのは、政治家の責任の取り方がなっていないというのが世論の不満なんですよ。じゃ、検察だけは何やってもいいんだ、注意されない、そういう理解や声になってきて、組織もつと思いますか。
大臣、正直に私は大臣としての職務を全うしていただきたいと思います。この国会がある限り、次の国会でも私はこの検察の在り方はやっていきますから、大臣が替わろうともこれは一貫してやっていきますから。恐らく、大臣辞めてから、大臣は私の話にノーとは言わないと思います。そのとき、大臣、大臣としての政治家の見識がまた問われることになると思います。
私も、それなりの経験を持った政治家として、ここは真っ正面から、いいものはいい、悪いものは悪いという指摘をしていきますので、次のまた委員会の議論に譲りたいと思います。
終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/349
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350・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/350
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351・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案及び出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/351
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352・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) 御異議ないと認めます。
なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/352
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353・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/353
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354・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) 委員派遣承認要求に関する件についてお諮りいたします。
出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案及び出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案につき、現地において意見を聴取するため、委員派遣を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/354
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355・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) 御異議ないと認めます。
つきましては、派遣委員、派遣地、派遣期間等の決定は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/355
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356・佐々木さやか
○委員長(佐々木さやか君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後五時十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315206X01420240528/356
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