1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和六年五月八日(水曜日)
午前十時一分開議
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○議事日程 第十六号
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令和六年五月八日
午前十時 本会議
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第一 防衛省設置法等の一部を改正する法律案
(趣旨説明)
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○本日の会議に付した案件
議事日程のとおり
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315254X01620240508/0
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001・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) これより会議を開きます。
日程第一 防衛省設置法等の一部を改正する法律案(趣旨説明)
本案について提出者の趣旨説明を求めます。木原稔防衛大臣。
〔国務大臣木原稔君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315254X01620240508/1
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002・木原稔
○国務大臣(木原稔君) 防衛省設置法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
この法律案は、自衛隊の任務の円滑な遂行を図るため、自衛官定数の変更、統合作戦司令部の新設を含む自衛隊の組織の改編、任期を定めた自衛官の採用を含む自衛官等の人材確保のための制度の導入及び拡大、日本国の自衛隊とドイツ連邦共和国の軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とドイツ連邦共和国政府との間の協定に係る物品又は役務の提供に関する規定の整備、国際機関等に派遣される防衛省の職員の業務の追加等の措置を講ずるものであります。
次に、この法律案の内容について、その概要を御説明いたします。
第一に、防衛省設置法、自衛隊法等の一部を改正して、自衛官の定数の変更を行うことや、統合作戦司令部を新設すること、海上自衛隊大湊地方隊を横須賀地方隊に統合すること等、自衛隊の体制を強化するための規定の整備を行うこととしています。
第二に、自衛隊法及び防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正して、公務に有用な専門的な知識経験又は優れた識見を有する者を任期を定めて自衛官として採用する任期付自衛官制度の導入等、自衛隊員の人材確保のための各種制度の見直しのための規定の整備を行うこととしています。
最後に、自衛隊法及び国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律の一部を改正して、ドイツとの物品役務相互提供協定に係る物品又は役務の提供に関する規定等を整備し、また、国際機関等に派遣される防衛省の職員の処遇等に関する法律の一部を改正して、国際機関等に派遣される防衛省の職員が従事することができる業務に、装備品等の共同開発事業等の管理、調整及び実施に関する業務を追加し、同志国等との連携を強化するための規定の整備を行うこととしています。
以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315254X01620240508/2
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003・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。水野素子君。
〔水野素子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315254X01620240508/3
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004・水野素子
○水野素子君 立憲民主党の水野素子です。
会派立憲民主・社民を代表し、防衛省設置法等の一部を改正する法律案について質問いたします。
まず、四月二十日の海上自衛隊ヘリの事故について、亡くなられた方の御冥福、御不明な方の早期発見を心から祈念申し上げます。最新の対応状況を木原防衛大臣にお尋ねします。また、昨年四月の宮古島での事故など、事故が続く原因と具体的な再発防止策も御説明ください。
近年頻発する自然災害への救助、復旧活動に伴う急な計画変更や人員動員などが、訓練を含む防衛省・自衛隊の他の本来業務に影響していませんか。木原大臣にお尋ねいたします。
災害救助、復旧における自衛隊の皆様の御尽力に心から敬意を表します。しかし、炊き出しなど、自衛隊以外でもできる作業もあると感じます。防災省、防災・復興庁など、専門の組織、機関を設置して政府の対応体制を強化すべきではないでしょうか。
近年、年に四、五回も激甚指定災害が発生していますが、政府は都度対策本部を設置する場当たり的な対応です。省庁間や国、自治体間の縦割りで対応が遅れ、作業が重複し非効率です。ワンストップで平時から自治体、NGO等と連携し、専門人材を雇用、育成して予測や減災に努め、発災時に速やかに対応して防災のPDCAを回す体制が急務です。
災害大国日本における国民の安全、安心のため、防災・復興庁など災害と復興対策に特化した常設の専門の組織、機関の設置を是非とも御検討いただきたい。林官房長官に御見解をお尋ねいたします。
この度の法改正による統合作戦司令部の新設により、米軍との連携が強化され、防衛大臣の指揮権の一部が授権されます。文民統制に問題はないでしょうか。仮に海外で米軍の活動に起因し存立危機事態に該当し得る事案が生じ、反撃の是非を検討する場合、米軍インド太平洋軍司令部と自衛隊統合作戦司令部でどのように連絡調整が行われますか。また、日本政府は国会審議を含むどのようなプロセスで反撃の是非を最終判断しますか。木原大臣にお尋ねいたします。
今回、日米の防衛関連組織を改編するなら、文民統制の確保や平等なパートナーシップのため、日米合同委員会の構造も改編すべきではないでしょうか。日米間の国際会議で外務省の相手方が国務省ではなく在日米軍とのいびつな構造は、日米合同委員会のみです。近年問題となっている米軍基地周辺の高濃度のPFAS問題で立入調査が実現しづらいのは、日米合同委員会で申入れをしても規制を受ける立場の米軍が対応に消極的なためではないですか。
米軍基地をめぐる問題が頻発しています。日米の防衛に関する連携体制改編の機会を捉え、日米合同委員会の構造改革や日米地位協定自体の改正を日米2プラス2で真摯に話し合うべきです。上川外務大臣に伺います。
横須賀地方隊への大湊地区隊の統合が必要不可欠な具体的な理由は何ですか。私の地元神奈川では、商業地域に隣接する広大な米軍施設、ノースドックなど、米軍、自衛隊関係施設が多く、PFAS、爆音、コロナ感染爆発など、基地周辺で問題が頻発し、多くの市民が不安を感じています。
今回の改編で横須賀地方隊の任務や規模はどのように変わりますか。近隣市民の負担が増えることは絶対にないと言えますか。木原大臣にお尋ねいたします。
六十人が今般新規に配置される航空自衛隊馬毛島先遣隊の具体的な任務は何ですか。馬毛島基地完成後の常駐人員規模と具体的な任務も御説明ください。
馬毛島基地の建設により、環境省が保護するマゲシカの生息地の環境破壊が急速に進んでいます。周辺の良好な漁場は消失し、近隣の種子島では基幹産業だった漁業が壊滅的な状態。医療機関や農業などの人材も不足し、市民が不安を覚えています。強引に建設を進めずに、一旦立ち止まって市民の声を丁寧に聞くべきではないでしょうか。木原大臣にお尋ねいたします。
航空自衛隊宇宙作戦群が五十三人増員されますが、現在の総数及び将来の計画人員数、また具体的な任務内容について、木原大臣にお尋ねいたします。
専門人材を採用する任期付自衛官制度を導入しても、そもそも日本全体で宇宙を始めとする専門人材が不足しており、理工系などの専門人材の育成が急務です。我が国の教育は総合偏差値を重視する普通科教育が大半ですが、ドイツのマイスター制度のように、早期に専門能力を見出して伸ばすことが子供たちの生きる力を伸ばし、日本の競争力にもつながります。そのためには、工業高校、農業高校、水産高校など高校課程の専門教育にもっと力を入れるべきと考えますが、具体的な取組や計画について盛山文部科学大臣にお尋ねいたします。
日独ACSAに対応するための自衛隊法改正案には武器の提供は含まないとありますが、日独ACSA協定案では弾薬は提供対象です。自衛隊法の改正によりドイツ軍への弾薬の提供は認められますか。念のため伺います。
日独ACSAに関する条項案の武器には弾薬は含まないと解されますが、日印ACSAのために過去に新設された条項では武器に弾薬を含むと明示しています。自衛隊法という一つの法で武器に弾薬が入るか入らないか、正反対の定義があるのは誤解を生じます。自衛隊法における武器の定義を統一すべきではないですか。また、外為法や防衛装備移転三原則など、他の法制度にも武器と弾薬に関する定義、条項があります。改めて、政府全体として、武器の定義について、弾薬を含むかどうかを含めて、統一見解を示すべきではないですか。木原大臣にお尋ねいたします。
ACSAでは合意があれば第三国への防衛装備移転が認められるとされていますが、第三国移転に合意する場合の具体的な判断の基準とプロセスについて、木原大臣にお尋ねいたします。
防衛装備移転三原則及び運用指針はACSA締約国との協力の基盤ですが、昨年末の閣議決定で、紛争地であっても被侵略国なら装備品移転が可能と改正されました。そして、具体的な弾薬などの輸出の是非が紙面などでも取り沙汰されています。
憲法の解釈運用に関わる大事な法原則を国会で議論せず、与党のみの閣議決定で密室的に改正するのは、民主主義の観点で問題です。私は、昨年会期末、十二月五日の外交防衛委員会において、木原大臣に改正内容をただし、閉会後に閣議決定で改正すべきではないと申し入れましたが、説明もないまま、結局、閉会直後に改正を閣議決定しました。一昨年末の安保三文書の改正も同様でした。
なぜ国会で一切議論せず、国会閉会後に与党のみの閣議決定で改正するのですか。国会、国民軽視ではないですか。改めて、木原大臣に、民意を踏まえた政治姿勢の在り方について見解をお尋ねいたします。
グローバル戦闘航空プログラム、GCAPのための政府間機関、GIGOへの職員派遣のための自衛隊法改正案について、なぜわざわざ運営コストの掛かる国際機関を設立し、遠く欧州まで多くの職員を派遣するのですか。今回のモデルとされる欧州のユーロファイター開発組織はNATOの関連組織です。GCAP、GIGOはNATOとは一切無関係のプログラムですか。念のためお尋ねします。
わざわざ国際組織をつくらず、国際約束で役割分担、権利義務関係を定め、企業を共同選定し、定期的な運営会議で進捗を管理する方が一般的で合理的ではないでしょうか。木原大臣にお尋ねします。
そもそもGCAPの共同開発に関する政府間合意を行わず、組織設立の協定だけで実施する形式にも違和感があります。過去の米国との戦闘機共同開発では、国際約束により技術情報の供与などを合意しました。今回のGCAP共同開発のために、海外に技術情報や政府保有の知的財産権の提供は行いますか。
財政法により、知的財産権を含む国の財産の処分は法律や条約に基づく必要があります。また、GCAP共同開発で新たに発生する知的財産権の所有権はどのような扱いとなりますか。国の安全保障に関わる機微技術の流出を防ぐためにも、情報や知財の扱いなどを国際約束であらかじめ定めるべきではないですか。木原防衛大臣にお尋ねいたします。
GIGOに派遣するのは何人ですか。百人にもなると聞きますが、開発そのものは企業が行います。派遣職員の任務は開発事業の管理、調整、交渉、研究、訓練などと法案に規定されていますが、海外に大勢で常駐する職員の日々の具体的な業務は何ですか。職員派遣の経費はどの程度ですか。防衛省・自衛隊は人員不足と聞きますが、派遣する余力はあるのですか。
政府は、防衛費を五年で約四十三兆円に増やして国民に増税までも求めており、海外に大勢派遣する国費の負担について国民の理解は得られません。木原防衛大臣にお尋ねいたします。
本件は、異なる課題を束ね法案で一括審議としていますが、個別に丁寧に審議すべきではないですか。特にまだ成立していない日独ACSAやGIGO設立条約のための法改正は、本来は条約成立後に審議すべきです。なぜ束ね法案としたのか、木原大臣にお尋ねいたします。
法律や条約の国内審議プロセスが近年ずさんになっていると感じます。私が長く携わった宇宙分野の国際協力でも昨今同様の懸念があるため、この際お尋ねします。
月面与圧ローバーの開発提供とその見返りとしての日本人宇宙飛行士の月面着陸は新規の大規模な財政措置が必要となり、具体的な役割分担や責任を詳細に規定した合意でもあり、本来は国会審議が必要です。なぜ閣議決定すら行わず、四月に訪米して署名してきたのですか。慣例として長く守られてきた大平三原則では、新規の財政措置を伴う合意は国会審議が必須とされています。大平三原則違反ではないですか。国会、閣議を経なかったので法的拘束力はなく、実現できたらいいなという共同宣言程度の合意、いつでもキャンセルできるということです。
大平三原則が示すように、このような法的安定性のない協力には国家予算、税金は投入できません。本件は国の予算措置を伴う協力のため、今後、別途国際法上の法的拘束力のある合意が必要ではないですか。盛山大臣にお尋ねします。
本件合意は、日米宇宙枠組協定の下で署名されました。日米宇宙枠組協定の下でも、閣議決定などで法的拘束力のある国際約束を締結できますか。もし前身の日米宇宙損害協定と異なり、枠組協定の下では全てが閣議決定不要、すなわち法的拘束力のない合意しか行えないなら、大平三原則に照らして予算措置を伴う協力は行えず、日米宇宙協力の法的基盤が後退しています。
また、日米宇宙枠組協定は、協力の共通条件、ハウにすぎず、予算を伴う協力の可否までの白紙委任はできません。特に本件協力は予算措置や国の債権放棄を含むため、法的拘束力のある国際約束が別途必要ではないですか。上川大臣に伺います。
米国ロケットの国内打ち上げ解禁の日米交渉が四月の訪米を機に突如開始されました。信頼性やコストで圧倒的に優位な米国ロケットの国内参入で、我が国のロケット産業が壊滅的になるおそれがあります。宇宙飛行用機体の、宇宙旅行用機体の国内離発着は別として、海外ロケットの国内打ち上げ解禁は我が国の防衛産業、技術の維持発展にも関わる重大事項であり、慎重に対応すべきと考えます。高市宇宙担当大臣に見解を伺います。
結びに一言申し上げます。
四月の総理、大臣の訪米は、裏金問題や統一教会問題など、山積する不祥事から国民の目をそらし、衆議院補選前に支持率を上げるためだったのではないですか。政府の政治姿勢への国民の不満が高まっています。国会、国民軽視で、国会を経ずに閣議決定された安保三文書などの近年の密室的な政治、その背景にある金権政治、古い政治を根本的に変えていく決意を申し上げて、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣木原稔君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315254X01620240508/4
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005・木原稔
○国務大臣(木原稔君) 水野素子議員にお答えいたします。
先月二十日に発生した海上自衛隊ヘリコプターSH60K二機の墜落事故についてお尋ねがありました。
防衛省・自衛隊は、引き続き、現場周辺海域において、行方不明者及び機体の捜索に全力で当たっています。昨年、陸上自衛隊のUH60JAの墜落事故が発生したことに続き、今般の墜落事故が発生し、国民の皆様に再度不安を与えたことを大変遺憾に思います。
このような事故が発生したことを重く受け止め、事故発生の当初より、私の指示に基づき、飛行前後の点検、操縦者への安全管理、緊急時の手順に関する教育、各部隊における指導を徹底し、航空機の運航に当たっての安全管理に万全を期しております。
今回の事故については、これまでの調査でSH60Kの機体自体の安全性に問題がないことが確認され、二機が衝突したことが墜落の原因であると判明しました。二機が衝突した事故の原因については事故調査委員会で調査中であり、再発防止策についても事故調査委員会において検討してまいります。
次に、災害対処が自衛隊に与える影響についてお尋ねがありました。
防衛省・自衛隊は、災害派遣の実施に当たっては、平素の部隊訓練を含めて、主たる任務である我が国の防衛に係る警戒監視や情報収集、各種事態への即応態勢に支障が生じることがないよう留意しております。他方、近年、自衛隊による災害派遣活動は、大規模かつ長期化、多様化する傾向にあります。
このような中、自衛隊は、発災当初は人命救助活動に全力で対処しつつも、生活支援などについては自治体や関係省庁等とも調整、協力し役割分担を行い、順次必要な態勢へ移行していくなど、今後とも、主たる任務である我が国防衛に影響を与えないよう、適切に災害対応を実施してまいります。
次に、統合作戦司令部についてお尋ねがありました。
統合作戦司令官の権限は、全て防衛大臣の命令によることから、防衛大臣が自衛隊を指揮監督する体制が確保されるため、文民統制が侵されることはありません。
また、日米間では、米側のカウンターパートを含む日米の調整要領の詳細について、統合作戦司令部の任務や役割を踏まえ米側と議論を進めているところであり、御指摘の存立危機事態における対応も含め、予断を持ってお答えすることは差し控えます。
その上で、武力攻撃事態等に至った際の我が国の武力の行使について申し上げれば、事態対処法の手続にのっとり、対処基本方針を閣議決定し、国会の承認を求めるなど、国会の関与を得て運用されることとなります。
次に、海上自衛隊地方隊の改編についてお尋ねがありました。
防衛省としては、我が国周辺海域における外国艦艇の極めて活発な活動を踏まえ、海上自衛隊の警備区を再編し、より高度な警備実施体制を構築していく方針であり、令和六年度は大湊警備区と横須賀警備区を統合することで、北方から太平洋にかけて沿岸の警戒監視任務をより迅速かつ効率的に実施していく予定です。
一方、今回の改編により、横須賀地区についてはその役割に変化はなく、定員の増加もありません。そのため、地元の御負担が増えることはないと考えております。
次に、航空自衛隊馬毛島先遣隊についてお尋ねがありました。
防衛省は、南西地域における自衛隊の訓練、緊急時の活動及び米空母艦載機の着陸訓練のため、馬毛島基地を開設する予定です。
令和六年度、開設の準備を担う馬毛島先遣隊を約九十人規模で新設し、将来的には、飛行場の維持管理等のため、恒常的に約二百人程度の自衛隊員が勤務する方向で検討しています。
防衛省としては、引き続き、地元に対する説明や適時適切な情報提供を行いながら、環境にも配慮して施設整備を進める考えです。
次に、航空自衛隊宇宙作戦群についてお尋ねがありました。
宇宙作戦群は、宇宙空間の安定的利用への脅威に対応するため、宇宙領域把握を実施する部隊です。
令和五年度末で約二百人規模ですが、令和六年度に約百十人の増員を行い、合計約三百十人規模の部隊とする予定です。
宇宙作戦群の将来の人員規模については不断に検討することとしておりますが、いずれにせよ、防衛省としては、引き続き宇宙領域把握能力の強化を図ってまいる考えです。
次に、ドイツ軍への弾薬の提供及び武器の定義についてお尋ねがありました。
改正後の自衛隊法第百条の十八の下で、自衛隊からドイツ軍に提供可能な物品については、弾薬が含まれます。
ACSAに関連する自衛隊法上の武器とは、直接人を殺傷し、又は武力闘争の手段として物を破壊することを目的とする機械、器具、装置等を指しており、弾薬は含まれません。なお、日印ACSAに関連する自衛隊法の規定は、このような前提を踏まえて、提供できない物品として武器及び弾薬を明示する形で規定したものです。
防衛装備移転三原則等では自衛隊法と異なる武器の定義が使われていますが、当該武器の具体的な内容は、それが規定されている規範の趣旨、目的に照らして定められるもので、両者を単純に比較することは適当でないと考えています。
次に、ACSAにおける第三国移転についてお尋ねがありました。
日独ACSAの下で提供される物品については、提供国政府の書面による事前の同意を得ないで受領国政府の部隊以外の者又は団体に移転してはならないとされています。仮に相手国政府から自衛隊が提供した物品を第三国に移転することにつき同意の要請があった場合には、そのときの状況を総合的に勘案して我が国政府として主体的に判断することになります。
次に、防衛装備移転三原則及び運用指針の改正についてお尋ねがありました。
防衛装備移転三原則及び運用指針は、外国為替及び外国貿易法の運用基準及びその指針を定めるものであり、同法の運用は行政権の作用に含まれることから、三原則等の見直しについては、同法にのっとり政府が主体となって行っていくことが適切であると考えています。
その上で、防衛装備移転を含め、我が国の政策について国民の皆様の御理解を得ることは重要であると考えており、政府の考え方については国会における質疑などを通じて適切に説明してまいります。
次に、GIGO設立の必要性についてお尋ねがありました。
先端技術を含む最新鋭の戦闘機の開発に当たっては、企業側のみならず政府側も一元的に事業管理を行い、性能、コスト、スケジュール等の様々な要素について日常的に企業側と緊密に調整を行う必要があります。
このため、GCAPはNATOの下のプログラムではありませんが、戦闘機の共同開発に係る機関として、ユーロファイターの事例を参考にしつつ、国際機関を設置し、効率的な開発体制を構築することとしており、三か国間でのバランスの取れた協業体制を構築するため、GIGOの本部については英国に置くことで合意したものです。
次に、GCAPに係る知的財産権等の取扱いや、それらに関する国際約束の必要性についてお尋ねがありました。
一般に、国際共同開発では参加国の知見の共有がなされるものであり、GCAPについても、現行法の下で我が国が保有する技術情報や知的財産を英国及びイタリアに使用させることが可能です。
GCAPで新たに発生する知的財産権の取扱いについては、今後、英国及びイタリアと協議の上、企業側との契約等に適切に反映していくものであり、また、情報の保全については、GIGO設立条約において締約国及びGIGOに対し秘密情報の保護が義務付けられており、新たに国際約束を締結する予定はありません。
次に、GIGOへの派遣人数、任務、経費等についてお尋ねがありました。
GIGOは、三か国から合わせて数百人規模の組織となるとの想定の下、現在、具体的な派遣人員、任務、経費を検討しており、性能、コスト、スケジュール等の様々な要素について日常的に事業管理を行っていく予定です。
いずれにせよ、これらの人員は我が国の防空を担う次期戦闘機を開発するために必要なものであり、人件費を含むGIGOに係る経費については年度ごとの予算案として国会で御審議いただき、国民への説明責任を果たしてまいります。
次に、本法案の審議の在り方についてお尋ねがありました。
本法案については、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境を踏まえ、防衛省・自衛隊の任務の円滑な遂行を図るための防衛省・自衛隊の組織、活動内容に関する法整備であるとの政策が統一的なものであり、その結果として、法案の趣旨、目的が一つであると認められること、また、内容的に法案の条項が相互に関連して一つの体系を形作っていると認められることから、御指摘の条約に関係する改正事項を含め、一つの法案で一覧的にお示しし、一体としての御審議をお願いしているものです。
以上です。(拍手)
〔国務大臣林芳正君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315254X01620240508/5
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006・林芳正
○国務大臣(林芳正君) 水野素子議員にお答えいたします。
防災、復興の専門機関の設置についてお尋ねがありました。
大規模災害に対しましては、内閣総理大臣の指揮の下、関係省庁が一体となり、地方自治体とも適切に役割分担し対応するとともに、平時から関係機関との連携強化、人材育成や訓練にも努めているところでございます。
防災体制については様々な議論があると承知しておりますが、その充実強化は重要な課題であると認識しておりまして、関係省庁や地方自治体の連携の在り方も含めて不断の見直しを進め、万全の防災体制の確保に努めてまいります。(拍手)
〔国務大臣上川陽子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315254X01620240508/6
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007・上川陽子
○国務大臣(上川陽子君) 水野素子議員にお答えいたします。
日米合同委員会の構造及び日米地位協定の改正についてお尋ねがありました。
日米合同委員会においては、保健衛生、環境問題等、在日米軍の関係する幅広い分野にわたる問題を議論しています。
在日米軍との間で運用面のみならず総合的に調整する必要があることを踏まえると、外務省北米局長が日本政府代表を務めることが適当であると考えます。
米側につきましては、在日米軍の運用について一元的な責任を負うとともに、技術的見地を有する在日米軍司令部副司令官が日米合同委員会の米側の代表を務めております。したがって、現時点で日米合同委員会の運営に特段の問題があるとは考えておりません。
また、日米地位協定について、政府としては、これまで手当てすべき事項の性格に応じた最も適切な取組を通じ、一つ一つの具体的な問題に対応してきているところであり、引き続きそのような取組を積み上げていく考えです。
日・米宇宙協力に関する枠組協定及び与圧ローバによる月面探査の実施取決めについてお尋ねがありました。
本協定は、個別の宇宙協力ごとに国際約束を締結することなく、本協定の基本事項に従い協力を行うようにすることで、日米宇宙協力の促進及び効率性の向上を期するものです。かかる本協定の目的を踏まえ、本協定に基づき作成される実施取決めは、国際法に基づく権利及び義務を生じさせないこととなっております。
また、実施取決めに基づく活動は、利用可能な予算及び各当事国政府の予算手続に従うこととされております。したがって、本件実施取決めの実施に当たって必要となる予算については、別途国会において御審議いただくものと理解しております。
また、御指摘の責任の放棄については、まさに国際約束である枠組協定において責任に関する相互放棄が規定されています。
引き続き、こうした枠組協定という法的基盤に基づき、与圧ローバによる月面探査の実施取決めを含む日米間の協力を進めていく考えです。(拍手)
〔国務大臣盛山正仁君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315254X01620240508/7
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008・盛山正仁
○国務大臣(盛山正仁君) 水野議員にお答えいたします。
専門高校における教育の充実についてお尋ねがありました。
我が国において、少子高齢化や生産年齢人口の減少が進む中、産業や経済、医療や福祉等の社会基盤を支える必要不可欠な専門人材を確保していくため、工業高校や農業高校、水産高校といった専門高校の果たす役割は極めて大きいと考えています。このため、文部科学省では、令和三年度より、産業界と専門高校が一体となり、地域産業の持続的な成長を牽引する最先端の職業人材の育成を推進するマイスター・ハイスクール事業を実施しています。
また、実験、実習に重点を置いた教育を行う専門高校などにおいては、施設の計画的な整備や最新機器等の導入が重要となることから、学校施設環境改善交付金による支援等を通じて各自治体による計画的な整備を促しているところです。
さらに、令和五年度補正予算において措置された高等学校DX加速化推進事業においても、専門高校を含め、高校段階におけるデジタル等成長分野を支える人材育成に必要な環境整備に取り組んでいるところであり、文部科学省としては、引き続き、これらの取組を通じて専門高校における教育の充実に努めてまいります。
次に、与圧ローバによる月面探査の実施取決めについてお尋ねがありました。
今回の実施取決めは、国会での御承認を得て、二〇二三年六月に発効した日・米宇宙協力に関する枠組協定に基づき署名したものです。この枠組協定は、個別の協力ごとに国際約束を締結することなく、あらかじめ同協定で定める基本事項に従って協力を行うことで、日米宇宙協力の更なる促進及び効率性向上を図ることを目的としております。
また、枠組協定では、実施取決めに基づく活動は利用可能な予算及び各当事国政府の予算手続に従うものと規定されており、今般の実施取決めの実施に当たって必要となる予算については、今後、国会において御審議いただく予定です。
なお、与圧ローバーの開発については、令和五年六月に閣議決定された宇宙基本計画において、アルテミス計画の下、与圧ローバーの研究開発を着実に実施していくことが明記されています。(拍手)
〔国務大臣高市早苗君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315254X01620240508/8
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009・高市早苗
○国務大臣(高市早苗君) 水野素子議員からは、海外ロケットの国内での打ち上げについてお尋ねがありました。
岸田総理大臣の米国公式訪問では、日米両国は、日本からの米国の商業宇宙打ち上げのための法的及び技術的枠組みを提供することを目的とする宇宙技術のための保障措置に関する協定の交渉を開始したことを公表しました。
我が国には、米国企業と連携して宇宙関連事業を推進する国内企業が複数あり、その中には海外のロケット関連技術の活用を望んでいる企業もあります。このため、政府としては、昨年六月に閣議決定した宇宙基本計画に従い、宇宙関連事業分野の国際連携や宇宙産業の国際競争力強化に向け、必要な制度環境の整備を進めることが重要だと考えています。
なお、安全保障を中心とする政府ミッションを達成するため、H3ロケットとイプシロンSロケットは我が国の宇宙活動の自立性を確保する上で不可欠な基幹ロケットであることから、政府として確実に開発を進め、打ち上げ成功実績を着実に積み重ねてまいります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315254X01620240508/9
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010・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 石井苗子君。
〔石井苗子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315254X01620240508/10
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011・石井苗子
○石井苗子君 日本維新の会・教育無償化を実現する会の石井苗子です。
会派を代表し、議題となりました防衛省設置法等の一部を改正する法律案について質問いたします。
冒頭、先月二十日に伊豆諸島海域で起きた海上自衛隊哨戒ヘリコプターの墜落事故で殉職された隊員の方に心より哀悼の意をささげます。
防衛省は、五月三日に事故機と同型のヘリの訓練飛行を再開されましたが、引き続き、隊員と機体の捜索に全力を尽くしていただくことをお願い申し上げます。
日本周辺海域における中国潜水艦の活動が常態化している中で、対潜水艦戦訓練は日本の防衛に欠かせない訓練であり、近年は技術の進歩により潜水艦のスクリュー音の静寂性が増し、極めて難易度の高い訓練中に起きた事故でした。
フライトレコーダーの解析から航空機の安全性には問題がなかったとされ、防衛省は事故機と同型のヘリの単機飛行訓練を再開されましたが、どのような必要性に基づき飛行訓練を再開したのか、防衛大臣の御説明を求めます。
事故の原因の究明と並行して、是非、日本の周辺海域における防衛能力を高めていただきたく思います。
日本維新の会は、長らくGDP一%枠だった防衛費が大幅に増額され、反撃能力の保持等にかじが切られたことは、自分の国は自分で守る力を備え、専制権威主義諸国に戦争を起こさせないという現実的かつ積極的平和主義を前向きに示したものとして評価をしております。
しかしながら、防衛予算が令和五年から五年間で四十三・五兆円、飛躍的に増大されたことで高度な装備品がそろったとしても、それを訓練、運用する人材が不十分であれば、防衛力は発揮できません。
本改正案の防衛力整備計画では、防衛力の抜本的強化を図るに当たり、自衛官の定数は増やさずに必要な人員を確保するという方針が示されています。自衛官の総定数は、ここ十年以上にわたり二十四万七千人水準の横ばい状態で、二〇二七年度まで総定数は維持すると整備計画で定められています。限られた人員でどのように日本の防衛力、抑止力を抜本的に強化するつもりなのか、防衛大臣に伺います。
過去十年以上にわたり、陸上自衛隊は、海自、空自、共同部隊への増員の対応で定員の縮小が続いています。現行の整備計画では、さらに、五年間で約二千名の常備自衛官を共同の部隊、海自、空自に振り替えるとなっています。今後は、陸上自衛隊内でサイバー要員を増強している計画もあります。今以上に陸自以外への人員振替が可能とお考えか、防衛大臣に伺います。
今回の法改正で防衛省は、あらゆる分野から専門知識や豊富な経験を持つ人材を民間から登用する任期五年の特定任期付自衛官制度を新設します。
防衛省は今後、この任期五年の特定任期付自衛官制度をどのように活用していくのか、防衛大臣のお考えを伺います。
防衛大臣は、今月ハワイで開かれた日米防衛相会談に出席し、その後の記者会見で、統合作戦司令部の創設に合わせて、自衛隊と米軍、それぞれの指揮統制の見直しに意欲を示されました。
今般の統合作戦司令部の新設や、報道にあります横田基地の在日米軍司令部の態勢の見直しが自衛隊の指揮統制にどのような効果があるとお考えか、防衛大臣に伺います。
会談では、台湾有事の可能性を念頭に置き、米軍とのより迅速な意思疎通と情報共有の体制づくりが必要だという話で両国の一致を見たとされています。
日米で共同認識を持ち、抑止力と実効性を担保するためには、各々の役割、任務を定めたガイドラインの改定が必要と考えますが、四月四日の衆議院本会議で防衛大臣は、現時点で改定を考えていない、不断に検討するとだけ御答弁されましたが、今後のガイドライン改定について否定していないということでよろしいでしょうか、防衛大臣に伺います。
次に、次期戦闘機の共同開発国際機関、GIGOへの自衛隊員の派遣について伺います。
GIGOへは、日英伊から総勢数百人規模で政府職員の派遣が必要とされており、日本からも自衛官、技官、事務官が派遣されます。人員不足の中での国際機関への派遣が我が国の安全保障政策にどのようなプラスの効果をもたらすと認識されていますか、防衛大臣に伺います。
政府は今後、英国、イタリアとのグローバル戦闘航空プログラム、GCAPにおいて日本が主導権を確保すると国会で答弁されましたが、戦闘機を開発するプログラムの主導権を確保するには相当高い技術力が必要だと思われます。
我が国は、これまでどのような技術力を高めてきていますか。防衛大臣に具体的な御説明をお願いいたします。
次に、防衛装備品移転についてお伺いします。
今回、日英伊で共同開発しているGCAPに限って第三国の移転を認めることになりましたが、我が党は、国家安全保障戦略で防衛装備品の移転を政府が日本にとって望ましい安全保障環境の創出に重要な手段と位置付けたことを高く評価しています。
政府は、二〇一三年四月に、防衛装備品移転について、国際紛争の助長の回避よりも、国際平和及び安全を維持することや国際紛争の平和的解決等を定める国連憲章の遵守を日本の理念とした方が適切とする見解を示しています。
この見解に基づく場合、現在もロシアからの侵略を受け続けているウクライナへの日本からのこれまでの防衛装備品移転は、国際紛争の平和的解決を定める国連憲章の遵守として適切と捉えているのか、どう判断されているのか、防衛大臣の御答弁を求めます。
ウクライナへの武器供与をめぐって米国議会は与野党の対立がありましたが、先月に九兆円の緊急予算が成立し、ウクライナへの軍事支援が再開される運びとなりました。
岸田総理は米国議会で、日本は常にアメリカと共にあると演説をしましたが、日本政府は、米国のグローバルパートナーとしての防衛装備品移転を今後のウクライナへの支援として検討されるか否か、防衛大臣のお考えをお聞かせください。
今、世界は厳しい安全保障環境に直面しています。米国さえも一国では拡大していく中国の軍事力に対応し切れず、中国、ロシア、北朝鮮、イランなどの専制権威主義国連合に万全な形で対峙していくことが難しくなっていくという見方もあります。
こうした環境に鑑み、日本維新の会は、先月、安全保障改革調査会を立ち上げました。より現実的、そして国益にかなった安全保障政策の在り方を統一会派の教育無償化を実現する会とともに強力に推し進めていくことをお誓いし、私の質問を終わらせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣木原稔君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315254X01620240508/11
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012・木原稔
○国務大臣(木原稔君) 石井苗子議員にお答えいたします。
海上自衛隊のSH60K及び同型機の単機の飛行訓練の再開についてお尋ねがありました。
これまでの調査で、SH60Kの機体自体の安全性に問題はなく、二機の衝突が墜落の原因であることが判明したことから、衝突のおそれのない単機での訓練見合せについては五月三日以降解除しています。
四方を海に囲まれた我が国において、海の守りは昼夜を問わず一瞬の隙も許されない非常に重要なものです。SH60K及び同型機の搭乗員並びに部隊の高い能力と即応性を維持するため、今般、飛行訓練見合せの一部を解除することとしました。
次に、自衛官定数の維持と防衛力、抑止力の強化についてお尋ねがありました。
人口減少が急速に進展し、募集対象者の増加が見込めない中、防衛力整備計画では自衛官定数の総計を維持することとしています。このような中、防衛省自らが大胆に資源の最適配分を行い、省人化、無人化装備の導入の加速等による所要人員の削減などの取組をしっかりと推進することで、防衛力の抜本的強化に対応してまいります。
次に、自衛隊の所要人員の増加に対する対応についてお尋ねがありました。
防衛力整備計画期間中は自衛官定数の総計を維持することとしており、サイバー、宇宙分野等の要員増強への対応には防衛省自らが大胆な資源の最適配分に取り組むことが不可欠であると考えています。
具体的には、既存の部隊の見直しや民間委託等の部外力の活用を推進していくことにより、陸上自衛隊の体制についてもしっかりと整備してまいります。
次に、特定任期付自衛官制度の活用についてお尋ねがありました。
特定任期付自衛官制度は、民間において高度の専門的な知識、経験を培った人材を自衛官として柔軟に取り入れていくため、最大五年の任期で適切な処遇を確保して採用する制度です。
想定される活用の場としては、例えばサイバー、宇宙、医療の分野において、専門的な知識、経験を培った方に関連する自衛隊の部隊で活躍いただくことなどであり、本制度を活用し、必要な人材の確保に努めてまいります。
次に、自衛隊の指揮統制と米軍との関係についてお尋ねがありました。
今般の統合作戦司令部の新設により、自衛隊の運用に関し、平素から部隊を一元的に指揮できるようになり、統合運用の実効性が向上すると考えています。
また、先般の日米防衛相会談においては、それぞれの指揮統制枠組みの向上について日米間で引き続き議論していくことで一致しましたが、御指摘の米側の態勢については、現在米側において検討しているとのことであり、予断を持ってお答えすることは差し控えます。
指揮統制に係る調整要領や連携の強化も含め、日米の相互運用性及び即応性を強化するために、同盟としていかに効果的に連携して対応していくか、議論を進めてまいります。
次に、日米防衛協力のための指針についてお尋ねがありました。
日米防衛協力のための指針については、日米同盟に関連する諸情勢に変化が生じて必要と認められる場合に、日米両政府が適時適切な形で見直しを行うものとされています。
自衛隊の常設の統合司令部設置を始め、国家安全保障戦略等に記載した防衛力の抜本的強化を踏まえ、現在、今後の防衛協力の内容や日米の役割、任務、能力等、日米の間で幅広く議論を行っています。
政府としては、現時点で直ちに日米ガイドラインを見直すことは考えておりませんが、将来の日米ガイドライン見直しの可能性を完全に否定しているわけではなく、今申し上げたような日米間での議論も踏まえながら、日米ガイドラインの見直しの必要性について不断に検討していく考えです。
次に、GIGOへの派遣が我が国の安全保障政策にもたらす効果についてお尋ねがありました。
GIGOを設立し、日英伊三か国の優れた人材が集まり、効率的に、効率的な協業体制を構築するとともに、技術を結集することで、将来の航空優勢を担保する優れた戦闘機を開発することが可能となります。
また、こうした国際機関での経験は、我が国から派遣を予定している技官、事務官、自衛官のいずれについても、国際的に通用する人材の育成に大きく資するものです。
さらに、GIGOを通じて戦闘機という中核的装備品を共同で開発し運用していくことは、我が国と志を同じくする英伊との今後何世代にもわたる幅広い協力の礎になるものです。
このように、GIGOへの派遣は、優れた戦闘機の開発にとどまらず、人材の育成や同志国との関係強化といった様々な効果をもたらすものと考えています。
次に、戦闘機開発に係る我が国の技術力についてお尋ねがありました。
次世代の戦闘機に求められる技術として、大推力とコンパクト化を両立したXF9エンジンの試作を通じたエンジン技術、先進技術実証機、X2の試作を通じたステルス性と高機動性を兼ね備えた航空機のインテグレーション技術、戦闘機用の統合火器管制技術の研究を通じた戦闘機に係る高速ネットワーク技術の実証などを行ってきました。
我が国としては、こうした取組に対して、次期戦闘機の開発に着手するまでに二千億円以上を投じ、国内の技術基盤を確立し、日英伊の共同開発において開発を主導できる技術レベルにあると考えています。
次に、防衛装備移転と国連憲章の遵守についてのお尋ねがありました。
我が国がこれまでウクライナ政府に対して行った防衛装備品の提供は、国連憲章を遵守するとの平和国家としての基本理念を堅持することとしている防衛装備移転三原則に基づくものであり、国連憲章の遵守との観点から適切であると考えています。
次に、ウクライナへの防衛装備移転についてお尋ねがありました。
紛争中の国への支援については、一日も早く紛争を止める観点で、政府全体として、米国も含めた国際社会とも連携した多様な取組が考えられます。
こうした中で、防衛装備移転については、装備品の性質や防衛装備移転に関する我が国のこれまでの歩みなどを踏まえ、現に戦闘が行われている国に対する自衛隊法上の武器の移転については制限を設けているところです。
その上で、我が国はこれまで、防衛装備移転三原則及び自衛隊法に基づき、防弾チョッキ、防護マスク、防護衣を始めとする防衛装備品等をウクライナ政府に提供してきており、ただいま申し上げた制限の中で引き続きウクライナに寄り添い、できる限りの支援を行っていく考えです。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315254X01620240508/12
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013・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 榛葉賀津也君。
〔榛葉賀津也君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315254X01620240508/13
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014・榛葉賀津也
○榛葉賀津也君 私は、国民民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました防衛省設置法等の一部を改正する法律案に対し、木原防衛大臣に質問します。
まず冒頭、四月二十日の深夜に発生した海上自衛隊ヘリコプターの墜落事故でお亡くなりになられた自衛官とその御家族に心より哀悼の誠をささげます。
そして、政府には、今なお行方不明となっている七名の捜索に全力を尽くしていただきますようお願い申し上げます。
墜落したSH60K哨戒ヘリコプター二機は対潜水艦戦の夜間訓練中でしたが、島国日本にとってこの対潜戦はまさに国防の要であり、海自にとっては任務の核心です。日本の対潜能力は世界最高水準と他国からも高い評価を得ている任務の訓練中に起きた事故によって優秀な隊員を失ったことは、ざんきに堪えません。
現在の自衛隊について、関係者からは二つの構造的な問題が指摘されています。
一つは、中国の軍事力強化や北朝鮮のミサイル発射など、日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中で、自衛隊に求められる任務の増加に対して隊員の育成と補充が追い付いていないという点です。
二三年三月時点で自衛官の充足率は九二%と深刻な人員不足が常態化しているにもかかわらず、中東アフリカ地域などへの派遣任務は恒常化し、加えて、同盟国、同志国との多国間共同訓練は昨年五十六回あり、現在の運用体制になった二〇〇六年比で十八倍に増加しています。さらに、二三年度のスクランブルは六百六十九回、二二年度の災害派遣は三百八十一件にも及びました。つまり、訓練をしようにも実任務に追われ、訓練が十分にできない現状があります。
二つ目が、長年の予算不足が理由で航空機の可動数が不十分で、訓練時間が制限されている点です。固定翼哨戒機の訓練時間が過去十五年で四割減少したというデータもあり、事態は深刻です。
防衛大臣、今回のヘリコプター事故を二度と生起させないよう、事故の背景を徹底的に検証し、これら根底にある問題への対応策をお伺いします。
次に、日独ACSAについてお伺いします。
ドイツ政府は、二〇二〇年九月、インド太平洋地域におけるドイツの役割を長期的に強化することを目指し、インド太平洋ガイドラインを策定しました。ドイツが自国の戦略文書にインド太平洋の概念を用いるのはこれが初めてで、近年、中国との緊密な連携を構築していたドイツが経済や安全保障の分野においてインド太平洋地域に強い関心を示していることを歓迎します。政治、経済が中心であった日独関係が今後は安全保障分野においてもより拡充するという意味で、日独ACSAの締結は画期的だと言えます。
今後、自衛隊はドイツ軍といかに関係強化を図り、防衛関連産業の分野においてもどのように連携を強化をしていくお考えか、防衛大臣にお伺いします。
次に、本改正案の核心である統合作戦司令部の新設についてお伺いします。
今回の統合作戦司令部の創設で、平素から有事まであらゆる段階において領域横断作戦を実現できる体制が構築されたことは極めて有意義です。特に反撃能力や宇宙・サイバー領域における作戦などを含む任務を遂行する上で、陸海空自衛隊の能力を複雑な状況かつ極めて限られた時間の中で最適な形で運用するためには、常設、専従の統合司令官及びスタッフが必要となります。
統合幕僚監部が五百名規模の体制なのに対し、統合作戦司令部は二百四十名体制での発足となりますが、統合作戦司令部の適正人員について大臣にお伺いします。
反撃能力の行使や宇宙・サイバー領域における作戦など、政治レベル、戦略レベルの状況判断が必要な分野が拡大する中、統合幕僚長がこれまで一人で担ってきた自衛隊の作戦運用に関する大臣の補佐機能と自衛隊の作戦を執行する機能を統合作戦司令官との間で分離、分担することは、対処力を強化する上で重要です。
しかしながら、現場における状況を政治レベルに正確に伝達するという点と、また政治的、戦略的な判断を確実に部隊に伝達し、実行させる点ではリスクがあるとも考えられますが、このようなリスクをいかに回避するのか、防衛大臣にお伺いします。
統合作戦司令官が陸海空自衛隊の部隊を統括し、さらには米軍とも連携しながら、平素から有事まであらゆる段階において領域横断作戦を適時的確に実施する上では、各領域における情報をタイムリーに集約、共有し、速やかに作戦を立案し、確実かつ迅速に命令を伝達する必要があります。
そのためには、AIの活用等を含め、指揮統制を支えるシステムやネットワークの整備が極めて重要になると考えますが、現在の取組について大臣にお伺いします。
先般の日米首脳会談においては、日米同盟の指揮統制の向上が盛り込まれ、我が国においては統合作戦司令部を創設するとともに、米軍においても日本における米国の作戦指揮機能の強化が検討されることになります。今後、日米のそれぞれの指揮統制の新たな枠組みにおける効果的な調整メカニズムについて検討が進むことになると思いますが、その一方で、日米間の円滑かつ効果的な指揮統制の連携の枠組み及び要領を検討する前提として、日米両国間の役割、任務が明確化される必要があります。
現行の日米防衛協力のための指針、いわゆるガイドラインは二〇一五年に策定されたものであり、現在の日米同盟に直面する脅威は当時から大きく変化するとともに、反撃能力の保有、宇宙・サイバー能力の構築が進展するなど自衛隊の持つ能力が広がり、従来のいわゆる盾と矛という役割分担が変容してきています。このような中、日米間の役割、任務を改めて明確化するために、ガイドラインの改定を視野に入れてレビューを行うべきだと思います。
ガイドラインの見直し作業そのものが、日米協力を効果的に実施することのみならず、日米両国民の同盟に対する理解を深め、国際社会に対するメッセージとして重要であると認識していますが、大臣の見解を求めます。
最後に、厳しさを増す安全保障環境を踏まえ、陸海空一体の統合運用が重要性を増す中、特殊な勤務環境や任務に就く自衛官の処遇格差についてお伺いします。
先日、参議院外交防衛委員会で視察をした長崎県佐世保市に拠点を置く水陸機動団は、島嶼部防衛、特に占領された離島を奪還するために水陸両用作戦を行う第一線部隊です。同部隊は、海自との連携が重要で、訓練では護衛艦や輸送艦に長時間乗艦します。従来、護衛艦などで勤務する海上自衛官には乗組手当として俸給月額の三三%が支給されており、更に今年四月から約三〇%増額されました。他方、同じく海自艦船に乗艦する陸自の水陸機動団は、乗組員と定義されないために乗艦に伴う手当がありません。
陸海空の統合運用が極めて重要になる中、自衛官の給与、手当に不均衡が生じることは、現場の自衛官同士の統合マインドにひびが入る原因にもなりかねず、あってはならないと思います。命を賭して国防の任に従事する自衛官の処遇格差の改善に対する防衛大臣のお考えをお伺いします。
本改正案では、統合作戦司令部の新設や、海上自衛隊地方隊の改編、自衛官の定数の変更など、組織の改編が大きな柱です。組織改編はスクラップ・アンド・ビルドが鉄則ですが、その結果、人員面での現場の部隊にしわ寄せが及んでは本末転倒です。自衛隊にとって予算の確保や装備基盤の充実は重要ですが、最も大事なものは人、つまり一人一人の自衛官です。そして、強い使命感を持って国家国民を守る任務に服する自衛官を支えるのが我々政治の役割です。
最後に、防衛省の長である木原防衛大臣にその決意をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣木原稔君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315254X01620240508/14
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015・木原稔
○国務大臣(木原稔君) 榛葉賀津也議員にお答えいたします。
先月二十日に発生した海上自衛隊ヘリコプターSH60K二機の墜落事故についてお尋ねがありました。
我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、自衛隊は、あらゆる任務に対応するため、必要な訓練を実施し、各種事態生起時の対応に万全を期しております。その上で、自衛隊の任務遂行とそのための練度の維持向上は車の両輪であり、人員や装備品等を効率的、効果的に活用し、その両立を図っています。
例えば、海上自衛隊においては、各種任務に従事する艦船の進出、帰投時に訓練を実施したり、インド太平洋方面派遣、IPDの機会を捉え、海外における複数の共同訓練を効率的に実施したりするなどの取組を行っております。
いずれにせよ、今回の事故については海上自衛隊の事故調査委員会において原因究明を進めてまいります。
次に、日独ACSA締結後のドイツ軍との関係強化及び日独防衛産業分野の連携強化についてお尋ねがありました。
日独両国は、自由、民主主義、人権及び法の支配という基本的価値を共有する重要なパートナーであり、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて防衛協力を推進してきています。日独ACSAが締結されれば、自衛隊とドイツ軍隊との間で艦艇、航空機の相互訪問や共同訓練などをより一層活発化することにつながります。また、防衛装備・技術協力についても、防衛産業間の交流等を通じ、一層深化させていく所存です。
次に、統合作戦司令部の適正人員についてお尋ねがありました。
統合作戦司令部は、各自衛隊の統合運用の実効性の強化に向けて、平素から有事まであらゆる段階においてシームレスに領域横断作戦を実現するために必要な機能を確保するため、約二百四十人体制で新設することとしています。
その上で、事態が生起した場合には、必要に応じ他の部隊等から増強して対応するほか、部隊の体制整備について引き続き検討してまいります。
次に、統合作戦司令部の新設に伴う政治レベルと部隊との意思疎通についてお尋ねがありました。
反撃能力を活用した作戦や領域横断作戦の的確な実施に当たっては、政治レベルと現場で意思疎通をしっかりと図ることが何よりも重要だと考えます。すなわち、統合作戦司令部新設は揺るぎない文民統制が大前提です。
こうした考えの下、平素から統合作戦司令官が防衛大臣、統合幕僚長とともに市ケ谷で職務に当たり、防衛大臣、統合幕僚長等と統合作戦司令官との間で緊密な意思疎通を図ってまいります。
次に、指揮統制を支えるシステム等の整備についてお尋ねがありました。
今後、より一層、戦闘様相が迅速化、複雑化していく状況においては、意思決定をこれまで以上に迅速かつ的確に行い、意思決定の優越を確保するための機能が必要と考えています。
そこで、防衛力整備計画に基づき、各自衛隊の一元的な指揮を可能とする指揮統制能力に関する検討を進め、必要な措置を講ずることとしています。
次に、日米防衛協力のための指針についてお尋ねがありました。
日米防衛協力のための指針については、日米同盟に関連する諸情勢に変化が生じて必要と認められる場合に、日米両政府が適時適切な形で見直しを行うものとされています。我が国として反撃能力を保有し、また常設の統合司令部を創設するとした国家安全保障戦略等を踏まえ、現在、今後の防衛協力の内容や日米の役割、任務、能力等、日米の間で幅広く議論を行っています。
政府としては、現時点で直ちに日米ガイドラインを見直すことは考えておりませんが、将来の日米ガイドライン見直しの可能性を完全に否定しているわけではなく、今申し上げたような日米間での議論も踏まえながら、日米ガイドラインの見直しの必要性について不断に検討していく考えです。
次に、自衛官の処遇格差の改善についてお尋ねがありました。
自衛官に支給する手当は、任務の危険性、困難性等の特殊性に応じてその金額を設定しています。議員御指摘の水陸機動団についても、今年四月から手当が引き上げられたところです。防衛力の中核は自衛隊員であり、全ての隊員が高い士気と誇りを持ち、能力を発揮できる環境の整備が必要不可欠です。こうした観点から、三文書にも給与を始めとする隊員の処遇の向上がうたわれており、人的基盤の強化を着実に実現してまいります。
次に、自衛官を支える決意についてお尋ねがありました。
防衛力の中核は自衛隊員であり、隊員一人一人が働きやすい環境をつくること、そして、これからの国防を担う優秀な人材を確保することは、防衛大臣としての私の使命であると考えております。
今後とも、全ての隊員が高い士気と誇りを持って働ける環境を整備するため、防衛省・自衛隊の先頭に立って、自衛隊員の給与面の処遇の向上や、生活、勤務環境の改善も含めた人的基盤の強化を進めてまいります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315254X01620240508/15
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016・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 山添拓君。
〔山添拓君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315254X01620240508/16
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017・山添拓
○山添拓君 日本共産党を代表し、防衛省設置法等改定案について防衛大臣に質問します。
本法案は、安保三文書に基づき、陸海空自衛隊の実動部隊を一元的に指揮する統合作戦司令部を創設しようとしています。政府がその必要性を認識したのはいつですか。
河野克俊元統合幕僚長は、二〇一八年七月の講演で、米太平洋軍ハリス元司令官から、統合幕僚長は私のカウンターパートではない、自衛隊にも常設の統合司令官が必要ではないかと言われ、英軍やオーストラリア軍を参考にするよう助言され、研究を開始したと述べています。安保三文書以前に米国から創設を求められていたのではありませんか。
政府は、本法案の立法事実にも、自衛隊に米インド太平洋軍司令官との調整機能が不足していることを挙げています。米軍は全世界を六つの責任区域に区分し、それぞれに統合軍を配置しています。インド太平洋軍の担当地域はどこですか。自衛隊の統合作戦司令部は、その全域で米軍と連携し、共同で作戦を作り、対処できるようにするつもりですか。
米国は、自衛隊の統合作戦司令部設置に合わせ、在日米軍の司令部機能を強化する調整に入ったと報じられています。インド太平洋軍の司令部を東京横田基地にある在日米軍司令部に移転し、横須賀を拠点とする米海軍第七艦隊や沖縄を中心とする米海兵隊を含め、作戦や指揮統制を担わせていく計画ですか。東京に日米の司令部機能が集中し、シームレスな統合の結節点となれば、攻撃する側にとっては標的とする口実になります。そのリスクをどう考えていますか。お答えください。
政府は、従来、自衛隊が他国の軍隊の指揮下で武力を行使することは、自衛のための必要最小限度の範囲を超えるもので憲法上許されないとしてきました。この答弁に変わりはないか、確認します。
大臣は、自衛隊と米軍はそれぞれ独立した指揮系統により行動すると繰り返す一方、日米で緊密に連携する、指揮統制の在り方も連携の強化を高めていくと述べています。連携はどこまで高めるのですか。憲法上の限界はどこにあるとお考えですか。
日米が緊密に連携した指揮統制の下に共同対処すれば、武力行使は一体化しています。自衛隊の武力行使が必要最小限度の範囲を超えない保障はどこにありますか。
敵基地攻撃における日米共同対処のオペレーションは、目標情報の共有、攻撃する目標の分担、成果についての評価の共有のそれぞれで日米が協力すると想定されています。統合作戦司令部は、こうした共同対処でどのような役割を担うのですか。情報、装備とも圧倒的に優位に立つ米軍に事実上従うほかないのではありませんか。
大臣は、自衛隊の運用は米国の情報だけでなく我が国自身が収集した情報を含め、全ての情報を統合して行われると言います。しかし、政府が導入を予定するトマホークは、事前にレーダー地図や情景を登録し、巡航中に得た情報と照合しながら最終目標に向けて進路を修正していきます。だから高精度とされます。自衛隊は、事前に入力するような情報を保有していますか。米側に専ら依存するのではありませんか。それとも、今後、莫大な費用を掛け、独自の情報収集を進めるとでもいうのですか。答弁を求めます。
米太平洋陸軍のフリン司令官は四月三日、一部記者団との懇談で、年内にインド太平洋地域に新たな中距離ミサイルを配備する方針を明かしました。トマホークや対空ミサイルSM6を発射できる新型発射装置、タイフォンを指すとされます。この計画は事実ですか。タイフォンは移動式のミサイル車両で、米軍が必要に応じ展開できます。日本への配備や一時展開も認めるのですか。
米国は、トランプ前政権がロシアとの中距離核戦力、INF全廃条約を破棄し、二〇一九年八月に失効するまで、射程五百から五千五百キロのミサイル保有を禁じられてきました。中国とのミサイルギャップ解消を掲げ、日米でミサイル配備の強化を進めるつもりですか。ミサイルの開発、配備をめぐる軍拡競争を加速させることは明らかではありませんか。
本法案は、日英伊三か国が共同開発を進める次期戦闘機の開発、生産、輸出を管理する国際機関、GIGOへの防衛省職員の派遣を可能とするものです。
職員には自衛隊員倫理法が適用され、職務上知り得た情報について、国民の一部に対してのみ有利な取扱いをすることは許されません。しかし、次期戦闘機の開発、生産、輸出に当たっては、三菱重工やIHI、三菱電機など、主な受注企業が既に決まっています。派遣される職員は、受注企業に対してどのような職務を行うのですか。
次期戦闘機とその輸出は、安保三文書で位置付けられた軍需産業強化の方針に基づくものです。派遣される職員は、受注企業の利益を最大化するために働くことになるのではありませんか。本法案に特定の企業への利益誘導を禁ずる規定はありますか。
軍需産業は、かねてから政官財の構造的な癒着が深刻です。最近十年間の防衛調達における三菱重工、IHI、三菱電機の受注総額はそれぞれ幾らですか。同じく最近十年間、防衛省・自衛隊から三者への天下りはそれぞれ何人ですか。
自民党の政治資金団体である国民政治協会に対する三菱重工の献金額は十年で三・三億円、IHIは一億円、三菱電機は一・九億円に上ります。自民党への巨額の献金と天下りの受入れがその何倍もの受注となって還流しています。利権と癒着の闇を次期戦闘機で一層深いものとするなど断じて許されません。答弁を求めます。
本法案は、陸海空を問わず、自衛隊が必要とする輸送を行う自衛隊海上輸送群を新編し、その任務に当たる自衛官の権限強化を定めています。海上輸送群は、米軍の輸送も行うのですか。
海上輸送力強化の対象となる南西地域では、民間港湾における軍事利用を平時から強める特定利用港湾の計画が進められています。海上輸送群もこうした民間港湾を平時から利用する予定ですか。
内閣官房のQアンドAは、民間の空港、港湾で、様々な団体の反対があり、なかなか自衛隊がアクセスできない状況があるとしています。断られた事例を具体的にお示しください。特定利用港湾では、従来自治体が断っていたようなケースでも、あくまで自衛隊が優先利用できる仕組みにしていくつもりですか。
本法案は、自衛官の人材不足を理由に、任期付自衛官の導入や予備自衛官の任用期間の延長を盛り込んでいます。自衛官の採用者数と中途退職者数は、この間どのように推移していますか。大臣はその理由を何だとお考えですか。
浜田前防衛大臣は、昨年、いじめやハラスメントを原因とする退職について調査すると答弁しています。調査の結果、いじめやハラスメントが自衛官を続けられない原因となっている実態を認識しましたか。
自衛官の人権弁護団・全国ネットワークが昨年行ったウェブアンケートには、当事者やその家族などから二か月で百四十四件の相談が寄せられました。パワハラが八割を占め、セクハラやマタハラも見られます。重大なことは、防衛省・自衛隊が行っているとするハラスメント対策について、九割近くが有効とは思わないと答えていることです。ハラスメントした人たちが昇任しており、対策はポーズだけ、人事評価を下げられ、給与や昇任面でも不利益といった声もあります。特別防衛監察を含むこの間の調査では全く不十分ということではありませんか。
自衛官の人材不足は、組織の在り方そのものの問題に加え、大軍拡により戦争する部隊に変容させていることに要因があるというべきです。戦争する国づくりに人が集まるはずがありません。
抑止力にすがり、日米一体の戦争体制で対中包囲網を強めるのではなく、米国も中国も含む対話の枠組みを発展させるべきです。徹底した平和外交で戦争させない努力を尽くすことこそ政治の責任であることを強調し、質問といたします。(拍手)
〔国務大臣木原稔君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315254X01620240508/17
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018・木原稔
○国務大臣(木原稔君) 山添拓議員にお答えいたします。
統合作戦司令部の新設についてお尋ねがありました。
我が国を取り巻く安全保障環境が急速に厳しさを増している中、平時から有事までのあらゆる段階における活動をシームレスに実施できるよう、統合運用により機動的、持続的な活動を行うことが不可欠です。
こうした観点を踏まえ、国家防衛戦略等において常設の統合司令部を創設することとしました。あくまで我が国自身の主体的な判断として自衛隊の統合運用の実効性を強化するためであり、米国に言われて創設を決定したとの御指摘は当たりません。
次に、統合作戦司令部の新設と米側の態勢についてお尋ねがありました。
お尋ねのインド太平洋軍の責任地域は、米国西海岸沖から日付変更線を越えてインドの西部国境までの地域であると承知しています。その上で、自衛隊による全ての活動は、我が国の主体的な判断の下、日本国憲法、国内法令等に従って行われるものであり、自衛隊及び米軍は各々独立した指揮系統に従って行動します。この点は統合作戦司令部の新設後も変わりません。
また、先般の日米防衛相会談において、米軍と自衛隊の相互運用性強化のため、それぞれの指揮統制枠組みの向上について日米間で引き続き議論していくことで一致しましたが、御指摘の米側の態勢については、現在米側において検討しているとのことであり、予断を持ってお答えすることは差し控えます。
その上で、日米のそれぞれの指揮統制枠組みの向上を含む様々な取組により、日米同盟の抑止力、対処力は一層強化されることとなるため、御指摘のようなリスクが高まるとは考えていません。
次に、日米の連携と指揮系統についてお尋ねがありました。
お尋ねの一九九〇年十月二十六日の衆議院国際連合平和協力に関する特別委員会における中山外務大臣の答弁は自衛隊の国連軍への参加に関するものでありますが、この答弁に変更はありません。
その上で、自衛隊による全ての活動は、米軍との共同対処を含め、我が国の主体的な判断の下、日本国憲法、国内法令等に従って行われることとなっており、また、自衛隊及び米軍は各々独立した指揮系統に従って行動することとしています。この点は日米ガイドラインにも明記されており、日米間でも認識を共有しているものです。
こうした認識を踏まえ、指揮統制に係る調整要領や連携の強化も含め、日米の相互運用性及び即応性を強化するために同盟としていかに効果的に連携して対応していくか、議論を進めてまいります。
次に、統合作戦司令部の下での日米共同対処等についてお尋ねがありました。
まず、自衛隊の全ての活動は、御指摘の反撃能力の行使も含め、主権国家たる我が国の主体的判断の下、日本国憲法、国内法令等に従って行われ、また、自衛隊及び米軍はそれぞれ独立した指揮系統に従って行動することから、運用に係る意思決定はあくまで自衛隊が行うことは当然です。
また、お尋ねのトマホークを含め、スタンドオフミサイルの運用に係る具体的な要領等については現在検討中であり、具体的にお答えできる段階にはありませんが、いずれにせよ、自衛隊の運用は、米国の情報だけでなく、我が国自身で収集した情報を始め全ての情報を総合して行われるものです。
その上で、情報収集を含め、日米共同でその能力をより効果的に発揮する協力態勢を構築することとしていますが、いずれにせよ、自衛隊及び米軍がそれぞれ独立した指揮系統に従って行動することに何ら変更はありません。
次に、米軍の中距離ミサイルの配備及び日米のミサイルの配備についてお尋ねがありました。
お尋ねの地上発射型中距離ミサイルシステムを我が国に一時的に展開する計画は承知しておりません。その上で申し上げれば、地上発射型中距離ミサイルについては、米国から、直ちに配備する状況にはなく、また具体的な配備先について検討するには至っていないとの説明を従前より受けているところです。
ミサイルの取得や配備を含め、我が国の防衛政策や防衛力整備は特定の国や地域を脅威とみなし、これに軍事的に対抗していくという発想に立っているものではなく、また、我が国の防衛政策はこれまでも透明性を持って進めてきており、御指摘のような軍拡競争につながるとの御指摘は当たりません。
次に、GIGOに派遣される職員と企業との関係、防衛省職員派遣処遇法における規定、受注額や再就職の人数を含めた企業と政府との関係についてお尋ねがありました。
GIGOへ派遣される職員は、防衛省職員派遣処遇法上、防衛省職員の身分を維持することから、自衛隊員倫理法が適用され、また、GIGOにおいては、英伊から派遣される職員とともに、三か国の企業から成る共同事業体制との間で次期戦闘機の開発に係る事業管理を実施するものであり、御指摘の特定の企業への利益誘導を行うことはありません。
また、防衛省が実施する装備品の中央調達において、過去十か年における三菱重工株式会社との契約金額の総額は約四兆四千八百億円、株式会社IHIとの契約金額の総額は約四千九百億円、三菱電機株式会社との契約金額の総額は約一兆一千億円となっております。
過去十か年におけるこれらの企業への自衛隊法の規定による再就職の届出等に基づき防衛省が公表している再就職者は、それぞれ、三菱重工株式会社二十九人、株式会社IHI二十二人、三菱電機株式会社三十九人となっています。
これらの契約や再就職は、いずれも法令にのっとり公正に実施した結果であり、政治献金との因果関係はなく、利権と癒着の闇を次期戦闘機で一層深いものとするとの御指摘は当たりません。
次に、自衛隊海上輸送群についてお尋ねがありました。
自衛隊海上輸送群は、統合運用体制の下、自衛隊の部隊や装備品の輸送任務を専門的に担う部隊として新編するものであり、米軍の輸送を目的とした部隊ではありません。
また、特定利用港湾は、海上輸送群を含む自衛隊による利用が想定されますが、港湾法等の既存の法令に基づき、関係者間で連携し調整するための枠組みを設けるものであり、自衛隊の優先利用のためのものではありません。
なお、相手との関係もあることから、自衛隊が民間空港、港湾の利用を断られた事例等をお示しすることは困難です。
次に、自衛官の採用者数、中途退職者数及びハラスメント対策についてお尋ねがありました。
高校新卒者の有効求人倍率が令和五年七月末には過去最高に達したことなどもあり、民間も含めた人材獲得競争が熾烈なものとなる中、自衛官の募集は大変厳しく、採用者数は減少し、中途退職者数も増加しているところです。
また、いじめやハラスメントを含む職場の人間関係を理由とした離職者が一定数いるのも事実ですが、ハラスメント対策については、特別防衛監察における一千三百二十五件の被害の申出のほか、それ以外の個別のハラスメント案件についても調査を行っており、対策が不十分との御指摘は当たりません。
防衛省・自衛隊としては、募集能力の強化、離職者対策、ハラスメント防止対策を含め、あらゆる選択肢を排除せず、人的基盤の強化に引き続き取り組んでまいります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315254X01620240508/18
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019・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) これにて質疑は終了いたしました。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時四十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315254X01620240508/19
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