1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和六年六月十四日(金曜日)
午前十時一分開議
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○議事日程 第二十七号
令和六年六月十四日
午前十時開議
第一 出入国管理及び難民認定法等の一部を改
正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
第二 出入国管理及び難民認定法及び外国人の
技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護
に関する法律の一部を改正する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
第三 食料供給困難事態対策法案(内閣提出、
衆議院送付)
第四 食料の安定供給のための農地の確保及び
その有効な利用を図るための農業振興地域の
整備に関する法律等の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
第五 農業の生産性の向上のためのスマート農
業技術の活用の促進に関する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
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○本日の会議に付した案件
一、ガザ地区における人道状況の改善と速やか
な停戦の実現を求める決議案(浅尾慶一郎君
外九名発議)(委員会審査省略要求)
一、日程第一より第五まで
一、情報監視審査会の調査及び審査の報告
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315254X02720240614/0
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001・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) これより会議を開きます。
この際、お諮りいたします。
浅尾慶一郎君外九名発議に係るガザ地区における人道状況の改善と速やかな停戦の実現を求める決議案は、発議者要求のとおり委員会審査を省略し、日程に追加してこれを議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315254X02720240614/1
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002・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 御異議ないと認めます。
よって、本決議案を議題といたします。
まず、発議者の趣旨説明を求めます。浅尾慶一郎君。
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〔議案は本号末尾に掲載〕
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〔浅尾慶一郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315254X02720240614/2
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003・浅尾慶一郎
○浅尾慶一郎君 ただいま議題となりました自由民主党、立憲民主・社民、公明党、日本維新の会・教育無償化を実現する会、国民民主党・新緑風会及びNHKから国民を守る党の各派共同提案に係る決議案につきまして、発議者を代表し、提案の趣旨を御説明申し上げます。
案文を朗読いたします。
ガザ地区における人道状況の改善と速やかな停戦の実現を求める決議案
イスラエルとハマス等のパレスチナ武装勢力との間では、武力衝突と停戦が長年にわたり繰り返されている。昨年十月七日のハマス等によるイスラエルに対するテロ攻撃が発生し、ガザ地区での戦闘が始まってから、約八か月が経過した。戦闘が長期化する中で、子供や女性、高齢者を含む多くの死傷者が発生するなど、ガザ地区は危機的な人道状況にあり、イスラエル国民・パレスチナ人が有する戦争による「恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利」が侵害される耐え難く痛ましい事態となっている。そして、国際社会においては、「人間相互の関係を支配する崇高な理想」の表れとして、人質の解放や一般市民の犠牲を防ぐことを求める多くの声が上がっているところである。
本院は、人質の解放が実現するよう、そして人道支援活動が可能な環境が持続的に確保されるよう、即時の停戦を求めるとともに、それが持続可能な停戦に繋がるよう強く期待する。また、未だ多くの人々が身を寄せるガザ地区南部ラファにおける全面的な軍事作戦に反対するとともに、人道支援活動が阻害されることのないよう求める。
政府においては、本院の意を体し、人質の解放と停戦が実現するよう、関係国とも緊密に連携しつつ、国際連合安全保障理事会やG7の一員として環境整備に取り組むよう求める。引き続き、人間の尊厳と平和主義の理念に則り、ガザ地区の人道状況の改善、事態の早期沈静化のために格段の外交努力を払うべきである。
右決議する。
以上であります。
何とぞ皆様方の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315254X02720240614/3
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004・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) これより採決をいたします。
本決議案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315254X02720240614/4
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005・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 過半数と認めます。
よって、本決議案は可決されました。(拍手)
ただいまの決議に対し、外務大臣から発言を求められました。上川陽子外務大臣。
〔国務大臣上川陽子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315254X02720240614/5
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006・上川陽子
○国務大臣(上川陽子君) ただいまの御決議への所信を申し述べます。
ガザ地区での戦闘が長期化する中、今もなお、人質となった多数の人々の解放が実現しておらず、同時に、現地の危機的な人道状況が更に深刻さを増していることを深く憂慮しています。
我が国としては、先般のハマス等によるテロ攻撃を断固として非難した上で、人質の解放、全ての当事者が国際人道法を含む国際法に従って行動すること、人道状況の改善、事態の早期鎮静化を一貫して求めてきています。
また、人質の解放や人道支援活動が可能な環境の確保のため即時の停戦を求めるとともに、それが持続可能な停戦につながることを強く期待しています。
引き続き、我が国として、関係国とも緊密に連携しつつ、安保理において、また、今週首脳会合が行われているG7も活用しながら、環境整備に取り組んでまいります。
現地時間五月三十一日、米国のバイデン大統領は演説において、イスラエルとハマスの間の人質の解放や停戦をめぐる交渉について、イスラエルが包括的な交渉案を新たに提示したと発言しました。
日本は、停戦と人質解放をめぐる交渉の進展に向けたバイデン大統領のイニシアティブを強く支持します。全当事者に対し、この機会を捉えて全人質の解放と持続可能な停戦の実現に向けた取組を実施するよう求めます。
その上で、イスラエルと将来の独立したパレスチナ国家が平和かつ安全に共存する二国家解決に向け、関係国、国際機関等とも連携しながら、また、平和と繁栄の回廊といった我が国独自の取組等も通じて積極的に貢献してまいります。
ただいまの御決議の趣旨を体し、ガザ地区の人道状況の改善、事態の早期鎮静化に向けて全力を尽くしてまいります。(拍手)
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315254X02720240614/6
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007・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 日程第一 出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案
日程第二 出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案
(いずれも内閣提出、衆議院送付)
以上両案を一括して議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。法務委員長佐々木さやか君。
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〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
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〔佐々木さやか君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315254X02720240614/7
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008・佐々木さやか
○佐々木さやか君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、法務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
まず、出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案は、本邦に適法に在留する外国人の利便性の向上及び行政運営の効率化を図るため、在留カード及び特別永住者証明書と個人番号カードの一体化並びに一体化したカードに係る地方出入国在留管理局又は市町村における手続の一元的処理を可能とする等の措置を講じようとするものであります。
次に、出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案は、近年における技能実習制度及び特定技能制度をめぐる状況に鑑み、現行の技能実習に代わる新たな在留資格として育成就労の在留資格を創設し、育成就労計画の認定及び監理支援を行う事業を行おうとする者の許可の制度並びにこれらに関する事務を行う外国人育成就労機構を設けるほか、永住許可の要件の明確化等の措置を講じようとするものであります。
なお、衆議院において、育成就労外国人が大都市圏等に過度に集中して就労することとならないようにするための政府の措置、永住者の在留資格の取消しに係る規定の適用に当たって配慮すべき事項、法施行後三年を目途とする育成就労制度の在り方についての検討等の規定を附則に追加する修正が行われております。
委員会におきましては、両法律案を一括して議題とし、技能実習制度と育成就労制度の関係、育成就労外国人の転籍要件、永住者の在留資格の取消し制度の要件の内容及び導入の是非、在留カード等と個人番号カードの一体化の意義等について、岸田内閣総理大臣にも出席を求め質疑を行うとともに、参考人からの意見聴取、静岡県における現地視察及び地方公聴会、厚生労働委員会との連合審査会を行うなど、幅広い審査を行いましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終局した後、日本維新の会・教育無償化を実現する会を代表して清水委員より、出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案に対し、就労目的の外国人の受入れに係る基本戦略の策定等を定める法律の制定、我が国以外では修得困難な技能を修得する意欲を有する外国人の受入れに関する措置等の規定を附則に設けることを内容とする修正案が提出されました。
次に、日本共産党を代表して仁比委員より、同法律案に対し、永住許可の要件の明確化及び永住者の在留資格の取消し等に関する規定を削除することを内容とする修正案が提出されました。
次いで、討論に入りましたところ、立憲民主・社民を代表して福島委員より両法律案に反対、日本維新の会・教育無償化を実現する会を代表して清水委員より両法律案に賛成、日本共産党を代表して仁比委員より両法律案に反対する旨の意見がそれぞれ述べられました。
討論を終局し、順次採決の結果、出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
次いで、出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案について、両修正案はいずれも否決され、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、両法律案に対しそれぞれ附帯決議が付されております。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315254X02720240614/8
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009・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 両案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。牧山ひろえ君。
〔牧山ひろえ君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315254X02720240614/9
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010・牧山ひろえ
○牧山ひろえ君 立憲民主・社民の牧山ひろえです。
私は、立憲民主・社民を代表し、出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案及び出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案に対しまして、反対の立場から討論を行います。
まず冒頭、永住資格の取消しを始めとする今回の法案は、我が国が育もうとしている共生社会の芽を摘もうとする、岸田内閣の象徴ともいうべき完全なる人災です。目的ばかりではなく、その手段も虚偽、ごまかし、だましなどによってその場をやり過ごす、誠意のかけらもないお得意の手法ばかりです。まずはそのことを強く批判し、各論に移らせていただきます。
外国人技能実習制度の導入から三十年。人権侵害などの問題から、同制度は国内外から現代の奴隷制度や実質的な人身売買との指摘を受ける有様でした。この状況に対して政府がまとめた各種提案は、抜本改革と程遠い、到底評価し得ないものであり、看板の掛け替えにすぎませんでした。この制度に関わるステークホルダーとの利権を中心とする関係性は見事なまでに温存され、制度の基本構造は全く変わりません。
そもそも技能実習制度に対する真摯な反省と徹底した決別を出発点とせず、発展的解消などとごまかしたことから始まり、次から次へ改革が骨抜きになっていきました。
我々立憲民主党は衆議院において、従来の制度とは決別した、労働者としての法的な保護を充実させ、人権を尊重した新しい仕組み、政府が責任を持って就労を望む外国人と産業分野をマッチングする制度を提案しましたが、議論が深まらずに事ここに至ったことは大変残念です。
念のため、二法案に対しまして、以下、指摘をしておきます。
まず、在留カード等とマイナンバーカードの一体化に関する入管法等改正案は、プライバシー保護の観点からの懸念を拭えません。
育成就労法案に関しては、先ほどの批判のほかに、技能実習制度では認められていなかった派遣労働を農業、漁業分野で解禁するものです。ただでさえ低賃金が問題視されているのに、更に外国人労働者に不安定な収入を強いることになります。
これらにも増して絶対許してはならないのが、突如議論の俎上に上ってきた永住権の剥奪条項です。
何よりも大きな問題は、法的措置の必要性を裏付けるはずの立法事実が質疑の終局に至っても全く示されないという衝撃的な事実です。公租公課の滞納についての七自治体からの聞き取り調査を行ったとされましたが、具体的な規模については何の答えもありません。衆議院でようやく数字が出てきたと思ったら、逆に日本人より未納率が低かったという事実が判明し、法案のロジックが崩れました。立法事実について具体的なデータや裏付けを示さない政府のやり方ですと、根拠がないに等しい立法の前例ができてしまいます。
新しい制度を導入するためには、国民の理解も必要です。実際、ここに至るまでの経緯を正当化する論拠の一つとして、二〇一九年十一月に行われた世論調査において、永住資格の取消しの必要について約七五%が賛成と答えたことを法務大臣は何度も挙げられていました。しかし、このアンケート自体が恣意的、誘導的な質問ということで、有識者などから問題が指摘されているものです。
例えば、永住者の数についての質問において、増加傾向にある永住者数の推移の情報を記載してあります。上昇している数字が添えられていると、バランスを取るために抑制的な意識が働くからです。また、許可後に永住許可の要件を満たさなくなった場合に永住許可が取り消されることはありませんと記載されておりますが、退去強制事由や在留資格取消事由に該当すれば永住者でも在留資格を失うので、これは虚偽の説明です。しかも、露骨にも、誘導のための予断情報をあえてよく読んでもらってから質問を行うよう指示されており、このような世論調査を必要なステップと位置付けること自体、逆に立法事実のなさを感じます。
永住資格の取消し制度については、立法事実が曖昧なことに加え、規定ぶりに顕著な特徴があります。制度の根幹である重要事項のほとんどが極めて幅広く解釈できる、言うなれば曖昧な文言で規定されていることです。
これは、法文を曖昧に作っておけば、入管が更に巨大なフリーハンドともいうべき無制限の権力を得て、徹底的な支配管理体制を構築するため都合がいいからとしか思えません。これまで外国人に対する数々の重大な人権侵害を引き起こしてきた入管庁に無制限の権力を与えてしまって本当にいいのでしょうか。
政府は、日本が外国人就労者に選ばれる国となるようにと繰り返しています。このことについて私は総理に、我が国が何を売りにするのかという日本の強みについて見解を求めました。そして、総理からの答弁に唖然としました。安心、安全に働くことができる共生社会だというのです。
総理は意味を分かっているんでしょうか。誰がどう考えても、永住資格の取消し制度は数十万人の永住者の安心、安全を奪うものであり、共生社会の理想とは真逆の方向性です。きっと私の聞き違いで、総理は、共に生きる共生ならぬ、権力で人を強く制圧しようとする強制とおっしゃったのでしょう。
それだけではありません。今回の政府案では、家族帯同まで八年、永住権取得までそれから更に五年、合計で十三年も掛かります。やっと永住権が取れたと思ったら、長年暮らした日本をささいな過失で家族まで巻き込んで追い出されるかもしれない。断言できます。そのような、外国人労働者を人とも思わず労働力としてしか扱わない、非人間的な扱いをする国が選ばれることはありません。
小泉法務大臣はこうおっしゃいました。日本人と比べて不公平だという御議論も折々あるわけですが、日本人は元々スタートが違いますよ、永住者とは。こう語る大臣は、この法案の差別的意味合いを理解しておられない。元々日本にいる日本人は、外国籍永住者と同じ罰則を受ける必要はないと自然に思われているのです。
自ら日本を選んで、日本社会で生きるため長い間様々な努力をしてきた方々には、我々と同じ国土と社会に住む親しい隣人として、やむを得ない必要最小限の事項以外は基本的には日本人と同様の処遇とするべきだと私は考えています。
アメリカのバイデン大統領は日本について、ゼノフォビックだと、つまり、外国人嫌悪があり、ロシアや中国と並べて排外主義的な国家と評しました。必ずしもバイデン大統領の認識が正しいとは思いませんが、外からはこう見えてしまうわけです。
芥川賞を受賞した永住者である李琴峰さんはこう言います。この法案が成立すれば、外国人に、日本はあなたを労働力としか見えていない、あなたがいかに日本社会に貢献しようと、日本はあなたの生活基盤を奪うことができるというメッセージを送ることになるというふうにおっしゃっていました。
今私たちに突き付けられているのは、多種多様な要素を柔らかく包み込んだ持続可能な将来を選ぶか、それとも自分たちに都合のいい他者しか受け入れない閉鎖的で内向きな社会を選ぶのかという選択です。決して外国籍の永住者のみに関係する他人事ではありません。
この点を御指摘申し上げて、私の反対討論とさせていただきます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315254X02720240614/10
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011・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 清水貴之君。
〔清水貴之君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315254X02720240614/11
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012・清水貴之
○清水貴之君 日本維新の会・教育無償化を実現する会の清水貴之です。
私は、会派を代表し、出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案及び出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案に対して、賛成の立場から討論を行います。
今回の改正法案は、三十年以上にわたって国際貢献の名の下に外国人を安価な労働力として使い続けてきた技能実習制度を、日本の労働市場における人材の育成と確保を目的とする育成就労制度に改めるものです。
この改正案に対して、我が党は、昨日の法務委員会での採決を前に修正案を提出しました。委員会での審議を通じて、今回の改正法案では、現行の技能実習制度が抱える課題の本質的な解決に至るには不十分だと考えたからです。
今回の改正案が外国人に劣悪な労働環境を押し付け、人権上の問題も指摘されてきた状況を一定程度改善するために必要な改正であることには賛同いたします。
しかし、この改正案には、これから我が国がどのような技能を持った外国人をどのくらい受け入れていくのか、そして日本に働きにやってくる外国人とどう共生をしていくのか、その基本となる方針が示されていません。
さらに、経済成長への貢献という観点が足りず、基本方針の作成を通して、外国人の受入れがどれほどの経済成長につながるのか戦略を立てる必要があります。
そういった観点から委員会での質問を重ねましたが、総理からは、特定技能制度と同様に受入れ見込み数を設定し、それを上限として受け入れていくという短期的な視点での答弁はありましたが、国家としての長期的な戦略、見通しについての答えはいただけませんでした。
また、小泉法務大臣は、漸進的に各分野を通じて進めていきながら、国民の反応も見、成果を評価し、結果的に決まっていくと捉えているとのことで、あらかじめ目標設定をするのは難しいとの回答でした。
総理は、いわゆる移民政策を取る考えはないと言われますが、二月九日の関係閣僚会議にて示されたように、育成就労制度を通じて永住につながる外国人の受入れ数が増加することが予想されます。
どのような働き手がどれくらい入ってくる見込みなのか、先を見通した戦略がなければ、今後も人手不足に対する安易な外国人の受入れが続くことは避けられません。まずは、当該受入れに関する施策に関し、基本理念、国の責務、政府による基本戦略を制定するべきであることを主張させていただきます。
改正案を見ると、技能実習から育成就労に名称は変わったものの、改正前と同じように外国人を受け入れ、そのまま特定技能者に移行できる仕組みになっています。育成に力を入れるというものの、改正前と大きく変わりません。
我が党が出した修正案では、就労目的の外国人の受入れに係る大きな考え方として、高度人材の積極的受入れと、それ以外の人材の受入れという二つの方針を示しました。この二つの方針に基づき、戦略的に就労目的の外国人の受入れが行われていくべきだと考えています。
まず、高度人材の積極的受入れでは、我が国経済の成長に資する専門的、技術的な分野で、高度人材としての活動や熟練した技能を要する業務への従事などを行う外国人を積極的に受け入れるよう推進していくべきです。
そして、委員会でも繰り返し質問をしましたが、それ以外の人材の受入れを継続していくことが果たして日本の経済成長に寄与するのかどうか、大変疑問です。
育成就労制度による労働力確保は、短期的には現在の、特に地方の人手不足解消のためには必要なことかもしれません。しかし、長期的に見ると、安価な外国人労働者の受入れは、本来ならば技術革新やデジタル化の推進により企業の生産性が向上し、よって賃金も上がっていくというプラスの循環を阻害することになるのではないでしょうか。
安価な労働力に頼り続けるのではなく、伝統工芸や日本独自の技術など、我が国以外では修得することの難しい技能に対する意欲を有する外国人に限って受入れが行われるべきであり、そのために必要な措置を講ずることを政府には是非考えてもらいたいと思います。そうすることによって、我が国、そして各地域で経済成長に資する人材を確保していくことになります。
そして、その際、企業には、これまでの安易な外国人の受入れでその地域の賃金水準の向上が阻害されることを防ぐ観点から、安価な労働力を求める企業等による制度の悪用を排除することが必要です。
改正案では賃金水準について日本人と同等又はそれ以上との要件を付すとのことですが、現行の技能実習でも同じ規定があり、これまでどおりにすぎません。その実現についても、受入先企業の意向に期待するだけで、制度として担保されたものとはなっていません。
我々は、育成就労外国人の報酬が適正な水準となるよう、地域、業界の賃金水準よりも一定比率以上の高い賃金を払う企業等に利用を認めることを前提に必要な措置を講じるべきだと訴えます。
その上で、改正案にあるように、本人の希望により一年ないし二年での期間で別の就労先に移籍することが可能となれば、本人の希望と実際の就労先とのミスマッチの解消につながるだけではなく、受入れ企業側でももっと長く働いてもらおうという意識が強まることから、賃金アップ等の待遇や職場環境の改善への大きなインセンティブが働くことにもなると考えています。
こうした点を明確にするためにも今回の改正案を更に良くしていくことが大切で、基本理念と国の責務、政府による基本戦略の策定、そして、その他の基本となる事項を定める新たな基本となる方針の制定のための措置が必要だと思います。これは、日本が選ばれる国として国際的な評価を高めるためにも必要です。
我が党はこのような将来社会を描いた修正案を提出しましたが、今国会では賛同を得るには至りませんでした。しかし、早晩、我々の言う基本となる方針は必要となってくることは間違いないと確信をしています。
今回の改正案では、積み残された多くの課題が全て解決できるとは思えません。しかし、外国人に劣悪な労働環境を押し付け、人権上の問題も指摘されている現在の技能実習制度を改善させることは喫緊の課題であることは間違いなく、一歩前へ進めるという意味で今回の改正案に賛成をしたいと思います。
今回の法改正にとどまることなく、今後、不断の見直しと改革を進め、日本の社会と経済の発展に資する外国人の受入れ制度を確立していかなければなりません。
日本維新の会と教育無償化を実現する会は、世界から多様な高度人材を受け入れ、豊かな多文化共生を実現することを目指してこれからも全力を尽くすことを表明し、賛成討論といたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315254X02720240614/12
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013・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 仁比聡平君。
〔仁比聡平君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315254X02720240614/13
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014・仁比聡平
○仁比聡平君 私は、日本共産党を代表して、入管法、技能実習法等改定案に反対の討論を行います。
その理由の第一は、永住者の在留資格取消事由の拡大は断じて許されないからです。
自民党政治の外国人差別と排外主義はどこまで底深いのか。
昨年、難民申請者の強制送還など深刻な人権侵害をもたらす入管法改悪が強行され、約束したはずの日本生まれの子供と家族への在留特別許可さえ出ないまま今月十日施行されたことに強い恐怖と怒りが広がっています。
今度、突然法案に持ち込まれた、義務を遵守せず、故意に公租公課の支払をしないという取消事由は、永住資格を軽微な義務違反を端緒に入管の裁量で取り消し得る不安定な地位へと百八十度変えるものです。
永住者は、本来、在留期限や活動に制限がない最も安定した在留資格であり、華僑や在日韓国・朝鮮人、日系ブラジル人を始め、その方々が日本社会で暮らしている歴史的背景や定着性に照らし、より安定した法的地位とされなければなりません。
税や保険料の滞納は、病気や事故、倒産や廃業などを契機に誰にでも起こり得ることで、督促や分納、生活支援、悪質ならば法的手続が取られるのに、なぜ外国籍の永住者だけ人格的生存の基盤そのものである在留資格を奪われなければならないというのか、その立法事実を政府は最後まで具体的、明確に示せませんでした。
横浜華僑総会の曽徳深参考人が知ったのは五月十二日と述べたように、この条項は、当事者団体にも全く知らされないまま、突然、自民党によって持ち込まれたものです。総理は、当事者のヒアリングは行っていないが当事者の意見は適切に踏まえているなどと強弁しましたが、恥ずべき牽強付会というべきです。
総理が言う六年前の第七次出入国管理政策懇談会でも、当事者は呼ばれず、有識者からは逆に、少なくとも根拠のデータを見せる必要がある、エピソードとしてこんなひどいことがありましたよというだけのエビデンスで政策を判断するというのにはやや問題が出てくるなど、強い反対意見こそコンセンサスになりました。それを聞き捨て、この機に無理やり押し通そうというのが岸田政権でありませんか。
政府は、悪質な義務違反への対応だと言い訳を繰り返し、最終盤、本人に帰責性があるとは認め難く、やむを得ず支払えないような場合には必ずしも悪質とは言い難い、そのような場合は故意とは言えないと答弁するに至りましたが、そんな読み方は法令用語として不合理と言わざるを得ません。
条文は余りに過度で広範であり、権利制約規範としての明確性を極めて欠いています。ガイドラインを作ると言いますが、それは行政裁量の運用方針でしかなく、権利制約を正当化する根拠にはなりません。
結局、法案は、入管が国家にとって好ましい振る舞いをしないと見た永住者を在留管理のまないたにのせ、生殺与奪の権を握ろうとするものであり、永住者をそうした立場に置くこと自体、深刻な外国人差別、抜き難い排外主義を世界に発信することにほかなりません。恣意的な重大な危険を新たに生み出す法案に予見可能性はなく、永住者の生活を萎縮させ、ひいては外国籍住民全体の地位を不安定にしかねません。
在留カードの常時携帯義務を始め入管法上の義務は、職務質問の武器として、警察と入管一体の不当な取締りによる人権侵害を引き起こしてきました。
愛知県警が若手警察官必携の執務資料として、外国人は入管法、薬物事犯、銃刀法等、何でもあり、必ず何らかの不法行為があるとの固い信念を持ち、徹底した追及、所持品検査、入国管理局への照会、所要の捜査を行うと徹底してきたようなレイシャルプロファイリングは一掃されなければなりません。
政府はしきりにルールを守ってもらうと言いますが、国際人道法、国際人権水準に反しているのは政府・与党、入管の方ではありませんか。戦後も入管行政に底深く続く外国人差別と排外主義から抜け出す第一歩として、この条項は削除すべきであります。
また、在留カードとマイナンバーカードの一体化によるプライバシー侵害の危険は重大です。
反対する第二の理由は、人権侵害を繰り返してきた技能実習制度の廃止こそ出発点だったにもかかわらず、育成就労と言い換えるだけで、看板の掛け替えにさえなっていないことです。
失踪はこの五年間だけでも四万人に上りますが、その原因究明と再発防止は曖昧にされ続けてきました。個々の失踪者の実情は業所管省庁には知らされず、能登半島地震では何人の実習生がどこで被災したのか、その数さえ政府はつかんでいないことが大問題となりました。
外国人労働者を一人の人間、住民としてきちんと受け入れていくためには、入管支配から脱却し、国境を越えた移住労働として、正面から職業安定、労働者保護に取り組む根本的転換が必要です。
転籍について、法案は、実習先の不正行為などやむを得ない場合に加え、本人の意思による変更を可能とするとしていますが、転籍の自由は、不当な搾取から自らを守り、労使対等を実現する最も中核的な権利であり、その期間制限は不当です。有識者会議は一年が相当としましたが、法案はさらに、最大で二年とし、三年の育成就労では事実上転籍ができないことになりかねません。
また、日本語や技能の修得を要件とすることで、日本語教育をしない、技能試験を受けさせない不当な監理支援機関や就労先ほど転籍できなくなるのは根本的な矛盾です。
監理団体はどうか。研修制度以来、外国人労働者を食い物にしてきた悪質なブローカー、人材ビジネスと利権の温床になってきたのに、監理支援機関と看板を掛け替えるだけです。
五年で四万人の失踪者に対し、監理団体の許可が取り消されたのは四十八件にすぎません。監理費の不当を理由に許可が取り消されたことは一件もありません。一人当たり月八万円以上もの監理費は不当です。それも一概に申し上げるのは困難として容認し、事実上野放しにし、もたれ合ってきたのです。これでは、幾ら悪質な関係者を排除するといっても、何も変わらないではありませんか。
育成就労への派遣解禁は重大です。派遣手数料の更なる負担は労働者の待遇を更に悪化させ、新たな搾取の仕組みになりかねません。
さらに、法案は、送り出し機関への手数料の上限や、育成就労の受入れ分野、業務や技能、求められる日本語能力、さらに転籍制限の期間など、受入れの重要な基準を主務省令に委ね、その中身はこれから業界団体と相談しながら検討するというだけです。人権侵害を生み出してきた構造に反省なく、人手不足対策だと前のめりの政府に白紙委任などできるはずもありません。
今日は名前は伏せますが、手の届きやすい価格帯でおいしいと人気の大手菓子チェーンで特定技能労働者が生産計画の都合で何か月も待機させられ、その間、給与ももらえない事態が現に起こっているのではないか。法務大臣は、現にそういうことが起こっていると思われますと認めながら、適切な指導など、法務省だけで決められるものではないかもしれませんとはっきりしません。
育成就労を接続してキャリアアップを図るという特定技能も、安価な労働力として使い捨てにされているのが現実なのです。
日本経済が直面する最大の課題は、実体経済の抜本的改革であり、賃上げと非正規雇用の打開こそ要です。外国人労働者をなお安価で都合の良い単純労働力と考えるなら、経済転換も人手不足打開もありません。
こんな人権後進国のままでいいはずがない。人があって材がある。横浜華僑総会の曽参考人の言葉に学ぼうではありませんか。
苛烈な外国人差別と迫害の歴史、真の共生社会への強い要求を真正面から受け止め、日本共産党は全力を尽くす決意を申し上げ、討論といたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315254X02720240614/14
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015・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 川合孝典君。
〔川合孝典君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315254X02720240614/15
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016・川合孝典
○川合孝典君 国民民主党・新緑風会の川合孝典です。
会派を代表して、賛成の立場から討論をいたします。
まず、永住資格の取消し規定について指摘をします。
改正法案に故意に公租公課の支払をしないことを理由とした永住資格の取消し規定が加わったことで、大きな議論が巻き起こりました。
実際、うっかり税金や保険料を滞納しただけで永住資格を取り消すことができると読み取れる条文であり、永住資格者が不安と懸念を持たれるのは当然のことであります。永住資格の取得に十年もの期間を要することを踏まえると、著しく相当性を欠いているとの指摘は的を射ていますし、そもそも長年にわたり日本に住み、社会に貢献してこられた方々に対して配慮を欠いていると言わざるを得ません。
法案審議でも故意という言葉の解釈をめぐって質疑が行われましたが、解釈上、故意という言葉には幾つかの異なる意味があります。刑法三十八条に規定する故意が、罪を犯す意思、つまり罪となる事実を認識した上で、その事実を意図又は容認することを意味している一方で、民法七百九条の故意は、自己の行為から一定の結果が生じることを知りながらあえてその行為をなすことを意味し、過失であっても不法行為の成立要件となります。つまり、改正条文上の故意が民法規定に基づいて解釈されると過失責任をも問われることとなり、そこに恣意的判断の余地が生じることとなります。
したがって、法案審議では、入管法上の故意は民法上の故意ではないことの確認を行った上で、幾つかの明快な答弁を得ています。
まず、過失や支払能力の欠如による公租公課の未払は一切永住資格取消しの対象とはならないこと、特別永住資格は日韓法的地位協定と入管特例法に基づき付与されたものであり、今次法改正の対象からは除外されること、過失による交通違反など根拠法令の異なる事案はその対象から除外されることなどを法務大臣答弁によって確認しております。
今後、法施行までの間に、答弁内容に基づき、法律条文の恣意的解釈が生じないよう、詳細な運用指針やガイドラインの整備を政府には求めます。
景気変動リスクを踏まえた国内労働市場との調整について指摘します。
外国人労働者の受入れ拡大に当たっては、事前に景気変動リスクを織り込んで国内労働市場との調整を行う必要があります。
今後、景気が悪化した際、日本人労働者との雇用の奪い合いが生じることも想定されます。実際に欧米諸国では景気後退時に移民排斥運動が生じている事例も踏まえると、中長期的な労働需給の観点から国内の産業別労働市場との調整が極めて重要であり、そのためには技能実習制度における分野別協議会や地域協議会の機能強化と意思決定プロセスの透明化が極めて重要となります。
また、特定技能産業分野の選定プロセスの透明化も必要です。
これまでの特定技能制度では、今後の国内労働市場に大きな影響をもたらすものであるにもかかわらず、特定技能対象分野の選定プロセスの透明性が欠けておりました。今回の法改正によって新たに特定技能産業分野の選定を行うことになりますが、特定の産業が直面している労働不足への場当たり的な対策としてではなく、有識者や労使等で構成される会議体を設置し、公開の場で議論を行うこと等を通じて選定プロセスを透明化する必要があることを指摘しておきます。
技能実習実施者による労働基準関係法令違反を踏まえた対処も急務であります。
これまでも原則として労働基準法、最低賃金法等の労働基準関係法令は適用されることとなっていましたが、実習実施者による労働基準関係法令違反は後を絶ちませんでした。
今回の法案審議を通じて、法務大臣から、国籍を問わず同一労働同一賃金を遵守させる旨の明快な答弁はありましたが、その具体的な手法は今後の検討に委ねられております。したがって、特に労働基準関係法令違反の多い安全基準違反、長時間労働、割増し賃金の未払などに焦点を当てた具体的な法令違反対策を法施行までの間に講じることを政府には求めます。
日本語教育の在り方についても今後速やかに検討の必要があります。
言語教育の不足は雇用の門戸を狭くします。言葉の壁のある在留外国人は労働市場から排除されがちとなり、低賃金、不安定な就労を強いられることで新たな貧困層を形成することとなります。貧困に陥った在留外国人は、必然的に社会保障制度への依存度を高めることとなりますが、これが自国民であれば当然の権利とみなされても、外国人の場合は、自国民が支払う税金によって生活する寄生者とみなされ、排除の対象となることは西欧諸国の事例からも明らかであります。
こうした過去の苦い経験から、西欧の移民受入れ国の対移民言語政策は、既に一九九〇年代以降、受入れ国の言語の習得を求めようとする方向に明確にシフトしております。
例えば、オランダでは、既に国内に定住している移民だけでなく、家族呼び寄せによって入国しようとする移民にまで、事前に母国でオランダ語のテストに合格することを義務付けております。また、永住権の取得にはより高いレベルのテストへの合格が条件とされており、社会保障の負担となる可能性のある移民の入国拒否を意図した言語政策を採用しています。また、ドイツやフランスでも、教育プログラムの受講を義務付けた上で、試験の難易度にその差はあるものの、制限期間内に言語試験に合格して言語を習得できるだけの素養のある移民のみが永住権を取得できることとなっています。
これらの言語政策は、いずれも労働力不足対策からではなく、雇用機会の拡大を通じて移民が福祉制度に依存することなく自立した生活を促すとともに、言葉の壁をなくすことを通じて地域社会との共生を図ることを目的としています。
残念ながら、こうした観点からの議論が日本ではまだ行われておりません。今後、労働移民に等しい外国人労働者の大量受入れが見通される中、社会の安定を図るためには、国費を投じてでも一定水準まで日本語力を高める取組を推進する必要があります。政府には、中長期的な視点から速やかに日本語教育の在り方を検討することを強く求めます。
一年を超える転籍制限について指摘します。
転籍制限について、法文上は、当分の間、受入れ対象分野ごとに一年から二年までの範囲内で設定すると極めて曖昧な表現となっていたことで大きな論点の一つとなりましたが、法案審議の中で、育成就労実施者による雇用契約違反が明らかになった場合は例外なく転籍要件を満たす旨の法務大臣答弁がありました。これにより、育成就労実施者への配慮を理由とした転籍制限の懸念は軽減されましたが、それでも一年を超えての拘束が労働基準関係法令との整合性を欠いている事実に変わりはありません。そもそも外国人労働者が働き続けたいと思える雇用労働環境を整えることが育成就労実施者には求められており、その実現に向けて関係省庁は取組を進める必要があることを指摘しておきます。
最後に、悪質な送り出し機関の規制の在り方について指摘します。
技能実習生が母国の送り出し機関に多額の借金をしている問題について、これまで日本政府の対応はせいぜい悪質ブローカーからの受入れを停止する程度にとどまっております。今回、最終報告書や政府方針において、監理団体等がより質の高い送り出し機関を選択できるように手数料等の情報公開を求めるとされているものの、手数料そのものを抜本的に見直す取組にはなっておりません。送り出し機関が実習生から徴収できる手数料の上限が定められているにもかかわらず、定められた上限額を守らず、様々な名目を付けて実習生に負担を上乗せしている送り出し機関が今も多く見受けられます。
こうした送り出し機関からの受入れを一切排除するなど、厳格な二国間協定を締結することを強く政府に求めて、討論といたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315254X02720240614/16
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017・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) これにて討論は終局いたしました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315254X02720240614/17
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018・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) これより採決をいたします。
まず、出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案の採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315254X02720240614/18
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019・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。(拍手)
次に、出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案の採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315254X02720240614/19
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020・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。(拍手)
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315254X02720240614/20
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021・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 日程第三 食料供給困難事態対策法案
日程第四 食料の安定供給のための農地の確保及びその有効な利用を図るための農業振興地域の整備に関する法律等の一部を改正する法律案
日程第五 農業の生産性の向上のためのスマート農業技術の活用の促進に関する法律案
(いずれも内閣提出、衆議院送付)
以上三案を一括して議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長滝波宏文君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔滝波宏文君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315254X02720240614/21
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022・滝波宏文
○滝波宏文君 ただいま議題となりました三法案につきまして、委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
まず、食料困難事態法案は、食料供給が困難な事態等において対策本部の設置等、重要な食料等の安定供給対策を講じようとするものです。
次に、農振法等改正案は、確保すべき農用地面積目標の達成に向けた措置の強化等を行おうとするものです。
次に、スマート農業促進法案は、認定制度の創設等、スマート農業技術の活用と開発を促進するための措置を講じようとするものです。
委員会におきましては、三法案を一括して議題とし、参考人を招致してその意見を聴取したほか、茨城県で現地視察を行うとともに、食料安全保障における国内生産強化の重要性、農地確保と地域開発の調整の在り方、スマート農業促進のための環境整備等について質疑が行われました。
質疑を終局した後、討論に入りましたところ、立憲民主・社民を代表して田名部委員より食料困難事態法案に反対、国民民主党・新緑風会を代表して舟山理事より食料困難事態法案に反対、農振法等改正案及びスマート農業促進法案に賛成、日本共産党を代表して紙委員より食料困難事態法案及び農振法等改正案に反対、スマート農業促進法案に賛成する旨の意見がそれぞれ述べられました。
順次採決の結果、食料困難事態法案及び農振法等改正案は多数をもって、スマート農業促進法案は全会一致をもって、いずれも原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、三法案に対しそれぞれ附帯決議が付されております。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315254X02720240614/22
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023・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) これより採決をいたします。
まず、食料供給困難事態対策法案の採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315254X02720240614/23
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024・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。(拍手)
次に、食料の安定供給のための農地の確保及びその有効な利用を図るための農業振興地域の整備に関する法律等の一部を改正する法律案の採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315254X02720240614/24
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025・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。(拍手)
次に、農業の生産性の向上のためのスマート農業技術の活用の促進に関する法律案の採決をいたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315254X02720240614/25
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026・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 過半数と認めます。
よって、本案は可決されました。(拍手)
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315254X02720240614/26
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027・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) この際、情報監視審査会会長から、情報監視審査会の調査及び審査の報告を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315254X02720240614/27
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028・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 御異議ないと認めます。情報監視審査会会長有村治子君。
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〔報告書は本号末尾に掲載〕
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〔有村治子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315254X02720240614/28
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029・有村治子
○有村治子君 情報監視審査会は、去る六月十二日、審査会規程第二十二条第一項に基づき、年次報告書を作成し、会長から議長に提出をいたしました。
本報告書は、令和五年五月一日から本年五月三十一日までの本審査会の活動を対象としたものであり、以下、調査及び審査の経過並びに結果の概要について御報告を申し上げます。
まず、行政における特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施の状況についての調査においては、政府が国会に提出した年次報告等について、説明を聴取し、質疑を行いました。
また、防衛省から特定秘密の不適切な取扱事案等について説明を聴取し、質疑を行うとともに、特定秘密を指定している十三の行政機関から特定秘密の指定等の状況について、それぞれ説明を聴取し、質疑を行いました。
さらに、防衛省から、海上自衛隊及び陸上自衛隊における特定秘密漏えい事案について説明を聴取し、質疑を行い、最後に、高市国務大臣及び内閣府独立公文書管理監に対し、それぞれ締めくくり的な質疑を行いました。
このほか、公安調査庁への委員派遣を行い、派遣先において特定秘密の提示を受けました。
本審査会における議論を踏まえ、本報告書では、特定秘密保護法施行十年間の運用について徹底的に検証をすること、漏えいを始めとする不適切事案の再発防止措置を早急に実施すること、漏えい事案が生じた場合には、速やかに審査会に報告するとともに、早期に公表をすること、重要経済安保情報保護活用法の成立を受けた特定秘密保護法の運用基準の見直しに当たっては、事項の細目について具体的かつ明確に定めること、重要経済安保情報に係る検証・監察の実施等を見据え情報保全監察室の体制を強化することの五項目を「主な指摘事項」として取りまとめ、政府に適切な対応を求めています。
なお、委員会等からの特定秘密の提出要求に係る行政機関の長の判断の適否等の審査については、委員会等からの要請などはございませんでした。
以上、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315254X02720240614/29
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030・尾辻秀久
○議長(尾辻秀久君) 本日はこれにて散会いたします。
午前十一時六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121315254X02720240614/30
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