1. 会議録本文
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000・会議録情報
令和七年四月十七日(木曜日)
午前十時開会
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委員の異動
三月二十七日
辞任 補欠選任
村田 享子君 熊谷 裕人君
三月二十八日
辞任 補欠選任
熊谷 裕人君 村田 享子君
三月三十一日
辞任 補欠選任
村田 享子君 斎藤 嘉隆君
四月一日
辞任 補欠選任
斎藤 嘉隆君 村田 享子君
四月九日
辞任 補欠選任
越智 俊之君 牧野たかお君
竹内 真二君 塩田 博昭君
梅村みずほ君 猪瀬 直樹君
四月十日
辞任 補欠選任
牧野たかお君 越智 俊之君
塩田 博昭君 竹内 真二君
猪瀬 直樹君 梅村みずほ君
四月十四日
辞任 補欠選任
越智 俊之君 石井 準一君
北村 経夫君 吉川ゆうみ君
四月十五日
辞任 補欠選任
石井 準一君 越智 俊之君
田中 昌史君 中曽根弘文君
吉川ゆうみ君 北村 経夫君
四月十六日
辞任 補欠選任
中曽根弘文君 田中 昌史君
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出席者は左のとおり。
委員長 牧山ひろえ君
理 事
田中 昌史君
長峯 誠君
森屋 宏君
古賀 之士君
梅村みずほ君
委 員
越智 俊之君
加藤 明良君
北村 経夫君
古賀友一郎君
松村 祥史君
宮本 周司君
辻元 清美君
村田 享子君
石川 博崇君
竹内 真二君
礒崎 哲史君
岩渕 友君
平山佐知子君
国務大臣
経済産業大臣 武藤 容治君
事務局側
常任委員会専門
員 山田 千秀君
政府参考人
内閣官房新しい
地方経済・生活
環境創生本部事
務局審議官 大森 一顕君
内閣府地方創生
推進室次長 松家 新治君
経済産業省大臣
官房審議官 井上誠一郎君
経済産業省大臣
官房審議官 奥家 敏和君
経済産業省商務
情報政策局長 野原 諭君
参考人
熊本県立大学理
事長
東京大学特別教
授 黒田 忠広君
Rapidus
株式会社代表取
締役社長兼CE
O 小池 淳義君
株式会社Gen
esisAI代
表取締役社長 今井 翔太君
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本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○情報処理の促進に関する法律及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案(閣法第一一号)(衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
○政府参考人の出席要求に関する件
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/0
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001・牧山ひろえ
○委員長(牧山ひろえ君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。
理事の補欠選任についてお諮りいたします。
委員の異動に伴い現在理事が二名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/1
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002・牧山ひろえ
○委員長(牧山ひろえ君) 御異議ないと認めます。
それでは、理事に田中昌史君及び梅村みずほ君を指名いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/2
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003・牧山ひろえ
○委員長(牧山ひろえ君) 情報処理の促進に関する法律及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
政府から趣旨説明を聴取いたします。武藤経済産業大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/3
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004・武藤容治
○国務大臣(武藤容治君) おはようございます。
情報処理の促進に関する法律及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
生成AIは、我が国の産業が革新的な製品、サービスを創出し、経済成長を実現するとともに、人口減少による構造的な人手不足等の社会課題を解決するために不可欠な技術であります。また、生成AIの利活用の急速な拡大に伴う計算需要の大幅な増加に対応し、生成AIの社会実装に関する他国への依存を低減するためには、国内において、半導体、データセンター等のハードウェアと生成AI等のソフトウェアが相互に連携の上、高度化していくエコシステムを構築するとともに、生成AI等のデジタル技術の利活用促進を牽引するデジタル人材の育成を進めることが急務であります。
加えて、半導体産業は、世界需要がこの十年で大きく増大する成長産業であり、経済効果も極めて大きく、既に投資、雇用、賃上げを通じた地域経済の大きな牽引役となっております。
諸外国においては、半導体・AI産業を基幹産業とすべく、必要な財源を確保しながら大胆な支援策を展開しているところ、我が国においても半導体・AI分野の大規模な官民投資を誘発することで、その成長需要を取り込むとともに、各産業の国際競争力の強化につなげていくことが必要です。こうした状況を踏まえ、情報処理の高度化を推進するための環境の整備を図るため、本法律案を提出した次第であります。
次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
まず、情報処理の促進に関する法律の一部改正です。
第一に、指定高速情報処理用半導体の生産を安定的に行うために必要な取組について、その実施に必要な資金の出資や施設設備の現物出資、必要な資金の借入れに関する債務の保証等の支援措置を講じます。また、これらの支援措置の対象となる者は公募により選定し、これらの支援措置に関する業務は独立行政法人情報処理推進機構が行います。
第二に、独立行政法人情報処理推進機構の業務に、情報処理サービス業を営む会社が大量の情報につき高速度での処理を行うことができる性能を有する設備の導入を行うために必要な資金に関する債務を保証することを追加します。
第三に、独立行政法人情報処理推進機構の業務に、情報処理に関する業務を行うために必要な専門の知識及び技能を有する者を養成し、及びその資質の向上を図ることを追加します。
第四に、政府は、令和七年度から令和十二年度まで、先端的な半導体の安定的な生産の確保等の施策に関する措置に必要な財源について、エネルギー対策特別会計の負担において公債を発行することができるものとし、その償還等に必要な財源に充てるため、財政投融資特別会計の投資勘定からエネルギー対策特別会計において今般創設する勘定へ繰り入れることができるものとします。
次に、特別会計に関する法律の一部改正です。
第一に、エネルギー対策特別会計に先端半導体・人工知能関連技術対策を追加し、先端半導体・人工知能関連技術勘定を創設した上で、独立行政法人情報処理推進機構に対する出資金等の歳入歳出項目を規定します。
第二に、今般追加する対策に必要な財源に充てるため、エネルギー需給勘定及び一般会計から今般創設する勘定へ繰り入れることができるものとします。
以上が本法律案の提案理由及びその要旨であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/4
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005・牧山ひろえ
○委員長(牧山ひろえ君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/5
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006・牧山ひろえ
○委員長(牧山ひろえ君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
情報処理の促進に関する法律及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に熊本県立大学理事長・東京大学特別教授黒田忠広君、Rapidus株式会社代表取締役社長兼CEO小池淳義君及び株式会社GenesisAI代表取締役社長今井翔太君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/6
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007・牧山ひろえ
○委員長(牧山ひろえ君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
速記を止めてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/7
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008・牧山ひろえ
○委員長(牧山ひろえ君) 速記を起こしてください。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/8
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009・牧山ひろえ
○委員長(牧山ひろえ君) 情報処理の促進に関する法律及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、参考人の皆様から御意見を伺います。
この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。
皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
次に、議事の進め方について申し上げます。
まず、黒田参考人、小池参考人、今井参考人の順にお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度、委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。
なお、御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、まず黒田参考人からお願いいたします。黒田参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/9
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010・黒田忠広
○参考人(黒田忠広君) おはようございます。このような貴重な機会、今朝いただきまして、誠にありがとうございます。
私は、学者として、あるいは教育者として、この半導体とAIの技術と産業の将来展望について意見を申し上げます。
では、お手元の資料、早速一ページめくって御覧ください。まずは歴史を振り返ります。
この地上に脳が誕生したのは約五億年前、そしてホモサピエンスが誕生したのは七百万年前と言われています。このホモサピエンス、これは非常に弱い生き物ですので、生存のためには助け合いが必要でした。そこで社会が生まれました。次に、社会の中で何をしたいかを思う心が生まれました。心を通わせるために脳は言語を獲得しました。さらに、曖昧な認識やあるいは独り善がりの思考を補う道具として、脳は数学を生み出しました。数学、当初、税金の計算や土地の測量などに使われましたが、やがて計算よりも数学の内部世界が興味の対象となり、数学は道具から思考に進化しました。十五世紀のルネサンスで記号代数が発明され、十七世紀になると微積分が考案されました。そして、数学は物理的制約を受けない普遍的な視座を獲得し、脳の中に宿ったのです。二十世紀に入ると、この数学をする自らの思考について数学をすると、そういった考察までが行われました。
このようにして、物理的直感や主観的感覚などといった曖昧なものを完全に脱ぎ捨てて脳からあふれ出した数学は、ついに計算する機械であるコンピューターを誕生させたのであります。
この初期のコンピューターには三つの技術課題がありました。
一つは、電子デバイスの信頼性が低かったことであります。当初は、電子の流れを気体の中で制御する真空管が用いられていました。熱電子を電極から放出するために電球のように輝き、そしてよく焼き切れました。そこで、固体の中で熱せずに電子を制御する半導体トランジスタが一九四八年に発明されました。デバイスの信頼性が格段に上がったことで、大規模な回路を作る道が開けました。
二つ目の課題は、より複雑な問題を解くためにより大規模な回路が必要になるということでした。数学者のフォン・ノイマンは、コンピューターの基本設計、いわゆる後にノイマン型アーキテクチャーと呼ばれるもの、これにより、プロセッサーとメモリーがあればいかに複雑な問題でも計算できると、こういうふうになりました。
そして、三つ目の課題は、回路が大規模になると人手では配線し切れないという問題でした。この問題を解決したのが一九五八年の半導体集積回路の発明であります。写真の現像技術を応用して、ちょうどコピーを取るように大規模な回路をチップに転写できると、こういうふうになりました。
このコンピューターが半導体にこのように出会って以来、半導体はコンピューターを高性能にし、そして、高性能になったコンピューターは更に複雑な半導体の開発を可能にするという進化の応酬、いわゆる共進化が始まり、ムーアの法則と呼ばれる指数関数的な成長を遂げたのであります。コンピューターはやがてインターネットを生み、インターネットは世界を覆い尽くしました。地上のあらゆるデータが仮想空間に吸い上げられ、ビッグデータが誕生しました。このビッグデータを用いてコンピューターが自ら機械学習できるようになり、加速度的に学習を積み重ねた結果、ついにAIが誕生したのであります。AIは社会と経済に革新をもたらし、第四次産業革命の幕を開こうとしています。現代はまさにそうした時代の大転換期にあるわけであります。
さて、AIと半導体が今後どうなるかについて、一つのシナリオを次のページでお示しします。
二ページを御覧ください。
現在のAIは学習の段階です。データセンターでGPUを用いて学習している神経回路網、これは言わば小学校で勉強している子供の脳のようなものでありまして、つまり全結合した神経網であります。そしてこれが、学習が続きますと、余り使われなかった結合がどんどんと刈り取られていき、効率の良いスマートな神経網が形成されます。これが成人の脳です。
AIの次の段階は、クラウドで学習を終えたスマートな神経回路網を用いて、エッジでエネルギー効率よく推論することです。その際に、ロボットの身体を伴った知能の発展、すなわちフィジカルインテリジェンスを追求することになります。数学が身体をそぎ落として脳に宿り、そこからあふれたコンピューターがAIをつくり、AIが今度は逆に身体を獲得しながらフィジカルインテリジェンスを磨くと。そのために必要になるのは、エネルギー効率の高い最先端の半導体技術で実現されたプロセッサーとメモリーであります。
次に、半導体市場を見てみましょう。
資料の三ページを御覧ください。
半導体の世界市場の大きさが青の棒グラフで示されています。オレンジの折れ線は、世界のこの半導体市場がGDPの何%であるかを示したものであります。かつて半導体市場はGDPの〇・二%程度でした。ところが、一九九五年頃に〇・二ポイントぽんと跳ね上がっています。その理由は、それ以前の家電のように、実空間を快適にする価値に加えて、PCやスマホのように仮想空間を創出し携帯できる、その価値が加わったからであります。そして、近年、更に〇・二ポイントが上積みされて、市場はGDPの〇・六%を目指しています。実空間と仮想空間を高度に融合する価値づくりが始まっています。
例えば、自動運転の例のように、実空間でセンサーが集めたビッグデータを仮想空間のデジタルツインでリアルタイムに解析して幾つかの未来を描き、その中から選択された未来を実現するためのアクチュエーターのパラメーター、例えばモーターの回転数ですね、こういったものを実空間に戻すのであります。さらに、このデジタルツインをお互いにつなぎ合わせることでより大きなシステム、例えばスマートシティー、あるいはスマート工場といったものを実現することができるようになります。
半導体産業は第三期成長期に入りました。これまで四十年掛けて築いた巨大な半導体市場が、もう一つぽんと目の前に現れます。二〇三〇年に市場は一・一兆ドルに拡大し、その七〇%はAI、半導体になると予想されています。
このようにAIは巨大な半導体市場を生み出しますが、同時にAIは危機も招きます。
次の資料、四ページを御覧ください。それはエネルギー危機であります。
AIサーバーの消費電力は従来サーバーに比べて六倍も大きく、世界の電力需給は逼迫します。二十一世紀の安全保障は、電力の供給能力と半導体の省エネ力で決まります。AI、半導体を省エネにする有効な手段は、先端半導体を用いてプロセッサーのエネルギー効率を高めることと、プロセッサーとメモリーを3D実装してデータの移動距離を短くし、エネルギー消費を低減することであります。我が国は、この二点に軸足を置いた半導体戦略を描いています。
次に、半導体事業に世界が公共投資する、その背景について説明いたします。
資料の五ページを御覧ください。
半導体は全ての産業に不可欠であり、経済安全保障上の戦略物資です。コロナ禍での半導体不足が国民生活や経済活動に大きな打撃を与えたように、半導体が欠けると社会が麻痺し、安全保障が危機にさらされます。石油が突然断たれた社会を描くことで、かつて堺屋太一氏はオイルショックへの警鐘を鳴らしました。同様に、今半導体に投資しなかった場合の将来リスクを考えるべきであります。
鉄は国家なりと言われたのは十九世紀、二十世紀は石油をめぐる争いが起こりました。これからは半導体が戦略物資であります。半導体は、天然資源の石油と異なり、人的資源であります。したがって、豊かな人材が鍵となります。日本の豊かな人的資本と地政学的リスクの低さが追い風となって日本に対する国際的な期待が高まり、世界から投資を呼び込んでおります。
さて、私は現在、九州で人材育成と地域創生に取り組んでいます。九州での取組を紹介することは、北海道や他の地域においても参考になるかもしれません。
資料の六ページを御覧ください。
二十一世紀を牽引するのはアジアです。そのアジアの産業拠点の中心に九州は位置します。九州では、産官学金が連携して、世界の優秀な頭脳を引き付ける地域の創生に取り組んでおります。
今から百年ほど前、土木の専門家である八田與一が台湾に赴き、ダムと用水路を建設し、不毛の大地を黄金色の穀倉地帯に変えました。用水路から水が流れ出したとき、地元の農民六十万人は神の水が来たと、こう喜び、感激の余り涙を流したそうであります。あれから百年がたち、社会は農耕社会からデータ駆動型社会へと進化しました。資源は水からデータに変わり、そしてインフラはダムから半導体工場に変わりました。日本と台湾の協力による歴史的な国家事業は、時代を超えてこのようにつながっています。
資料の七ページ御覧ください。
九万年前に阿蘇カルデラが出現し、地下水の受皿となる地下水盆が地中に形成されて、熊本に火の国、水の国が誕生しました。半導体の製造には大量の水が必要です。この地は半導体製造に適した約束の地であったと言えます。
熊本を火の国、水の国、そしてさらに半導体の国にするためには、豊かな知の森をつくることが重要です。キャンパスを造り、サイエンスパークを造り、国際頭脳循環の交差点にすることであります。これは、現代の課題に照らしてみると、火とはすなわち創エネ、再生可能エネルギーを意味します。水とはすなわち環境共生、環境循環を示唆します。そして、半導体は、先ほども議論したように、省エネが課題であります。専門家が一堂に会して議論をすることで世界平和に貢献する、ちょうどダボス会議のような阿蘇会議を創設することを提言します。
教育は国家百年の計です。鉄は国家なりと言われた一九〇〇年初頭に官営八幡製鉄所が九州に建設され、九州工業大学や九州大学の前身が設立されました。半導体は国家なりの時代を迎え、九州では次の百年を担う事業が始まっています。九州に立派なアカデミアとサイエンスパークを造り、次世代にバトンを渡すことがこの時代に生きる私たちの責務であります。
時代はますます不透明です。激動の時代を迎えました。私たちはいかに生き抜けばよいのでしょうか。
資料の八ページを御覧ください。
日本が二百年にわたる鎖国を終え、開花期を迎えた明治時代。それまでの階級社会から、社会の階層や出自を問わず、誰でもが学んで、資格さえ持てば博士や官吏、軍人、教師などになれた。新国民には少年のような希望がありました。作家司馬遼太郎は、そうした明治人の気質である楽天主義を歴史小説「坂の上の雲」で次のように描いています。上っていく坂の上の青い天にもし一朶の白い雲が輝いているとすれば、それのみを見詰めて坂を上っていくであろうと。
明治人のこうした楽天主義の精神的な支柱となったのは、恐らく吉田松陰であります。吉田松陰は次のような言葉を残しています。夢なき者に理想なし、理想なき者に計画なし、計画なき者に実行なし、実行なき者に成功なし、ゆえに夢なき者に成功なし。激動の時代を生き抜く力は夢にあると訴えたのであります。
現代風に言えば、この計画なき者に実行なしは次のように解説できます。すなわち、プラン・ドゥー・チェック・アクションのPDCAを回して、計画を修正しながら柔軟に行動せよと。さらに、来るべきAI時代は以下の説明が加わるでしょう。つまり、素早く行動しPDCAを多く回すほど多くのデータが得られると、多くのデータが得られるほどAIの学習は進み、成功する。もう少し一般化して言うならば、データの取得とは知見の蓄積であります。
したがって、計画なき者に実行なしは次のように言い換えることができます。計画なき者に素早い実行なし、素早い実行なき者に知見なし、知見なき者に成功なしと。素早い、つまりラピッドであることが大変重要であります。
そして、結論としてこうなります。夢なき者に理想なし、理想なき者に計画なし、計画なき者に素早い実行なし、素早い実行なき者に知見なし、知見なき者に成功なし、ゆえに夢と素早い行動なき者に成功なし。
最後に、資料の九ページを御覧ください。激動の時代を生き抜いた先人の格言を紹介します。
イギリスの元首相のウィンストン・チャーチルは、国難に当たって次のように述べました。目前に迫った困難や大問題にまともにぶつかること、そうすればその困難や問題は思っていたよりずっと小さいことが分かると。しかし、そこで逃げ出すと困難は二倍の大きさになって後で襲ってくる。インテルを創業したロバート・ノイスはこう語っています。安全な場所にとどまっていては成長などできない、革新的なことを成し遂げようとするなら楽観主義で突き進んでいくしかないのだと。チャーチルはまた次のような言葉も残しています。悲観主義者はあらゆる機会の中に問題を見出す、楽観主義者はあらゆる問題の中に機会を見出す。
私たちは、覚悟を決めた以上は楽観主義で夢を追い求め、迅速に行動することが重要であります。
以上の観点により、私は今回の法案に賛同いたします。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/10
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011・牧山ひろえ
○委員長(牧山ひろえ君) ありがとうございました。
次に、小池参考人にお願いいたします。小池参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/11
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012・小池淳義
○参考人(小池淳義君) ラピダスの小池でございます。
それでは、資料に従って御説明させていただきます。
まず、二ページ目を御覧ください。
最先端半導体ロジックの重要性について御説明したいと思います。左の図と右の図に大きな特徴を示しておりますが、これは、二ナノの半導体、これが重要な役割を示すという形で、特に高性能とそして低消費電力と、二つの大きな分野に分けられます。特に高性能の半導体は、皆さん御存じのサーバー、GPU、CPUとかですね、そういったものに使われてまいります。最近はAIのASIC、これも使われてくるようになってきました。これらは、皆さん御存じのように、データのセンター、データセンターの方に多く入っていくものでございます。
そして、右側の方でございますが、これはエッジコンピューター、エンドポイントと言われている分野です。皆さんよく御存じなのは、例えば自動車であるとかあるいはロボットであるとか、こういったものに広く使われていくものでございます。こちらの方は、どちらかというと低消費電力、こういった分野が必要になってまいります。
いずれにおきましても、二ナノの半導体は両方の用途に優れておりまして、これからどんどん広がってくるAIの需要の増加に対応していくものになります。
続いて、三ページを御覧ください。
こちらの方は世界の時価総額のランキングを示したものでございます。右側に現在の二〇二五年のを示しておりまして、左側に三十六年前のデータを示しております。
こちらを見ますと、日本のメーカーがかなり占めておりまして、何とトップ五十の中には三十二社が入っておりました。その中には、日本において、特に物づくりは半導体、この右側の方にマークがあります、半導体を重要と考えているところの企業が数多くありました。
ただし、右側を御覧ください、これを見ると大変なことが分かります。ほとんどの企業がアメリカである。そして、残念ながら五十社に入っているのはトヨタ一社しかないという形になっております。しかも、もう一つ言いますと、代表的なアメリカの企業であるアップル、エヌビディア、マイクロソフト、アマゾン、こういったところが主要な上の方を全部占めているという形になっておりまして、この右側のマークを御覧いただきますとよくお分かりのように、半導体関連の企業がほとんどであるという形が重要な点でございます。
続きまして、四ページを御覧ください。
こちらラピダスの設立で、もうほとんどの方が御存じだと思いますが、経営株主としては、東哲郎、そして私、小池淳義が経営株主になっております。あと、創業個人株主といたしましては、これは会社が設立する実は三年以上前から、若い学者であるとかあるいは准教授と、ずっとどうしたらいいかということを議論してまいりました。そして、この十二人が集まって、このラピダスをつくろう、今つくらないと日本は危ないという形で会社を設立することになりました。
もちろん我々だけではとても資金が足りませんので、下に書いてあります大手の企業八社の出資をいただいて、一応本格的にスタートができるようになったという形になっております。
続いて、五ページを御覧ください。
こちらの方は、我々のこのマウント・フジ・プロジェクトを使いまして、ずっとどういう会社をつくるべきかということを議論してまいりました。それは、極めて単純なことでありますが、人類の幸せのために半導体を作ろうという形であります。半導体は確かに人々を便利にしました。しかし、本当に幸せにしたのか、これが原点でありました。やっぱり人々を真に豊かに、人生を充実にするような半導体を作らなければならない、こういうことを考えて会社をつくろうというふうに決めたわけであります。
そのために三つの柱を決めました。
それは第一に、新産業、新製品の創設であります。半導体は、ともすると部品屋になってしまうんです。これは駄目でありまして、やっぱり最終製品は何であるか、お客様と一緒になって半導体を有効に使って、あるべき最終製品を共に作ろうというのが第一であります。
続きまして、二つ目は、先ほど黒田先生からありましたが、人材育成であります。半導体の人材は不足しております。これを徹底的に強化するために、日本のみならず世界の大学と連携して人材育成を行っていく、これが大事だと思っております。
三つ目です。これはもう言うまでもなくグリーン化です。地球は病んでおります。やっぱりグリーンイノベーションを起こすという形が極めて重要だというので、この三つの柱でもって進めてまいりました。
続きまして、六ページを御覧ください。
こちらの方は、この一枚でラピダスの進捗と計画を示しております。
先ほども述べましたように、ラピダスの誕生は二〇二二年の八月でした。そして、こちらの方の国の御支援、あるいは技術の検討をさせていただきまして、IBM、下の方にございますが、IBM、これはGAAという難しいトランジスタの、新しいトランジスタを二十年以上前から開発していたわけでありますが、こちらと共同研究をしようという形になりまして、いよいよスタートが始まりました。
ちょうど真ん中の下の方にありますニューヨーク・クリエイツ、こちらの方に約百五十人のラピダスのエンジニアを送り込んでおります。そして、いよいよパイロットが始まりますので、約八十人が千歳に帰ってきて、いよいよいわゆる試作が始まっていく、パイロットが始まってくるという状況になっております。
また、真ん中の上の方を見ていただきたいんですが、実は場所を北海道に決めました。グラウンドブレーキングという工場の出発点、これを二〇二三年の九月に行いました。それから順調に工場を造ってまいりまして、今年の、二〇二四の暮れには工場がほぼ完成いたしました。これはパイロットするための工場でございますが、そのときに装置の搬入を十二月から始めました。二百数十台の装置を入れまして、今年からいよいよ本格的に準備を進めております。
そして、第一クオーターにほとんどの装置を入れましたので、四月一日をもって一応半導体の開始ができるという準備が整ったわけであります。これによりまして、予定どおり四月から半導体のパイロットを始め、そしてこれのいろいろお客様の認定を進めながら、二〇二七年のちょうど真ん中ぐらいから量産を開始すると。これは、我々がビジネス計画を約七年前から作っておりましたけれども、一日も遅れなく計画を進めております。
続いて、七ページを御覧ください。
ラピダスの進捗を約三ページにわたって示しております。
最初に、左側に書いております研究開発でございます。我々、前工程でなく、後工程も含めて全部の生産をしていくというシステムになっております。もちろん、設計はお客様が行います。左下にありますように、前工程、そして後工程、これはパッケージというところですが、それに合わせてお客様の設計を支援する設計ソリューションという部隊を持っております。この三つの部隊をまとめて、世界に最も速い、どこよりも速いというサービスを提供するというのが我々の大きな特徴でございます。
そして、人員でございますが、先ほど、会社をスタートしたときには十四人しかいないと申し述べました。現在、四月時点におきまして七百五十人の従業員を持っております。これはほとんどがエンジニアでございます。優秀なエンジニアを集めることができました。
その下にありますのは、先ほど述べました工場の様子でございます。いよいよパイロットを始め、右側の方でございますが、パイロット部分、そしてこのパイロットを順調に進めて、左側の方に一応量産を進めていくということがほとんど完成していることがお分かりになると思います。
続きまして、八ページを御覧ください。
こちらの方、NEDOのプロジェクトの方について御説明させていただきます。
実はこちらの方に、これNEDO様の方で御準備いただいているものでございますが、二〇二二年度から、順次こちらの方、NEDO様の方の資産という形でこれが提供が始まっておりまして、私どもはこの資産を活用することによって研究開発を進めております。二〇二四年度までには約九千二百億円の資金をこのNEDO様の方に提供していただいて、我々はこの資産を使って研究開発を進めているという状況にございます。
そして、大変有り難いことに、NEDO様の方に、二〇二五年、そしてこの八千二十五億という、これは前工程と後工程を合わせた額でもございますが、これを提供していただくことによって、我々はこの研究の場所をお借りすることによって研究開発を進めているという状況にあります。そして、これを全て併せ持ちまして、我々といたしまして、ラピダスといたしましては、二〇二七年の量産をするということを順調に進めていきたいというふうに考えております。
続きまして、九ページを御覧ください。
九ページにおきましては、ラピダスの進捗の最後のページになります。
顧客の開拓でございますが、ちょうど昨日、ジム・ケラーが北海道に参りまして、我々の工場を見ていただきました。彼は非常に感動して、こんなに速くできる工場はない、こんなに速くプロセスを開発する工場は今まで見たことがないというふうに言っていただきました。非常に力強い、御存じだと思いますが、ジム・ケラーは設計の天才と言われている男ですから、非常に心強く思いました。もう一つは、クエスト・グローバルという、これシンガポールにある会社でございますが、こちらの方との提携も進めております。
こう言いますと、海外のお客様だけだという心配がおありになるかもしれませんが、左下にございますように、これは国内のプリファードネットワーク、こちらの方で設計していただいて、ラピダスが製造し、かつ、さくらインターネットはこれをうまく適用してデータセンターを展開すると、こういう国内のモデルの方も順調に進めております。
右側、御覧ください。
先ほど黒田先生からありましたが、電力の問題です。これは大変な問題であって、今から二〇三〇年まで行きますと、六倍ぐらいの電力が必要になってしまいます。よく御覧いただきますと、ほとんどの電力を使っていくのがAIです。今、これからAIが必要で、AIがますます重要になっていくと言っておりますが、電力の問題は避けられないんです。ですから、この電力を何とか削減するために、少しでも減らすために我々は二ナノの半導体をやるんです。二ナノがどうしても必要なんです。こういった形で世の中に貢献していきたいというふうに考えております。
続きまして、十ページを御覧ください。
これは、地元の貢献という形でございます。北海道の貢献でございますが、国やあるいは北海道のリーダーシップの下、日本版シリコンバレーのことですね、これを、負けないような北海道バレー構想というのを進めていただいております。これは、半導体関連企業並びに周辺産業の進出、そして大事な半導体人材を育成するという形を展開していくという構想でございます。こちらの方は、図で御覧のように、これバレーのようになっているんですね。僅か七十キロぐらいしかない幅でございますから、ここをバレーにして、半導体のみならず、あらゆる産業を活性して、そして北海道全体に広げて、日本を活性化し、世界に貢献すると、こういうふうな展開を考えております。
続きまして、十一ページを御覧ください。
こちらの方、北海道の成長に向けてラピダスが果たす役割、貢献について示したものでございます。こちらの方は、今までにない北海道の過去最大の投資及び経済波及効果をもたらし得るというふうに考えております。
左から御説明します。
まずは、半導体産業に必要なサプライヤー、材料とか装置であるとか、そういったものでございます。そして、我々ラピダスがこれを製造する効果、この二つを併せ持ちまして、民間団体の試算によりますと、これはANICでございますが、こちらの試算でありまして、この二つでもって約十八・八兆円、これは二〇三六年までの累積ですが、これぐらいの効果がある。さらに、この顧客の企業あるいはエンドユーザーを含めますと、更にはるかに大きな額が期待できるものと考えております。
最後のページになります。十二ページを御覧ください。
こちらは北海道におけます具体的な我々の活動について示したものでございます。
こちらの方は、現在、北海道大学の連携協定を進めております。昨年の六月に提携させていただきました。これ非常に、ちょうど左下の図でございますが、学生さんたちと一緒に授業を行って、いろんな悩み、いろんな貢献できることを議論してまいりました。
御存じだと思いますが、北海道は優れた方がおられますが、約七割の方が実は本州の方に帰ってくるんですね。働く場所がないんです。ですから、私どもとして、皆さん、学生さんが非常に喜んでくれたんですが、やっとラピダスができて、私たちが貢献できる場所ができたという形で非常に喜んでいただきました。
次に、真ん中の図でございますが、これは、半導体だけではなくて、北海道の別の産業にも貢献するという形で、ビジネスEXPOでその連携を強化させていただくということも進めてまいりました。北海道セミナーにおきましても、これは北海道庁と連携して進めております。
さらに、この右下にあるものでございますが、これ、皆さん御興味あると思いますが、小学校の出張授業でございます。こちらの方は、小学校に、このクリーンウェアの服を着せたり、右側の方で、一点一点、半導体がどういうものに応用されるのか、こういうことをうちの従業員を通して授業を行っております。数は多くありませんが、徐々に一つ一つやって、やっぱり若いときに夢を持つ、これが非常に重要なことですから、これに貢献すべく、いろいろな小学校をどんどんどんどん増やしていって、夢のある世界をつくっていきたいと考えております。
最後になりますが、先ほど黒田先生が「坂の上の雲」のお話をされました。私、これを聞いてはっと思ったんですが、実は北海道に私、昨日も行っていまして、それで、ボタンを、スイッチを押して、うちの従業員集めて、いよいよこれからパイロットをやるぞというところに、ひとつここで一発、みんなの従業員に一言言ってやろうと思ったんですね。黒田先生の言葉を借りてちょっと思い出したんですけど、そのとき一言言ってやろうと思ったのは、皆さんのおかげでここまで来ました。もうあらゆる支援をいただいてここまで来れたんですね。ですから、私、一言言いたかったのは、全従業員に向かって、私の心境は、天気晴朗なれども波高しという形で一応締めさせていただきました。
今後とも御支援をよろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/12
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013・牧山ひろえ
○委員長(牧山ひろえ君) ありがとうございました。
次に、今井参考人にお願いいたします。今井参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/13
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014・今井翔太
○参考人(今井翔太君) ジェネシスAIの今井です。
本日、私の方からは、まさに半導体を使わせていただいている立場のAI研究者の立場から、AI研究と半導体の関係についてお話しさせていただきます。よろしくお願いします。
二ページ御覧ください。まず簡単に自己紹介させていただきます。
私は、二〇二四年まで東京大学松尾研究室、松尾豊先生の下でAIの研究をしておりまして、そこで博士号を取得しました。そして、去年、自分の会社のジェネシスAIを創業しまして、現在、そちらの方のCEO、社長をしております。そして、今年から、今年の春からは国内国立大学の客員教授を拝命すると内定しております。そして、研究分野としましては、まさにAI、昨今は生成AIは非常に有名ですけれども、こちらの研究を行っております。そして、右下にございますのが私の著書になっておりまして、「生成AIで世界はこう変わる」というタイトルの本ですが、こちらは東大で一番売れた本、ベストセラーとなっております。
ということで、本題入っていきたいと思います。三ページ御覧ください。
本日、一応事業者のトップとして来ておりますけれども、完全に研究者としての、なぜそもそもAI研究に半導体が必要かというお話をさせていただきます。
まず、今のAIの進化に関するキーワード、これを押さえておけば現在のAIがなぜ半導体必要なのか分かるといった、そういうものをお話しさせていただきたいと思いますけれども、このキーワードはスケーリングです。スケーリングというものは規模を拡大するということを意味しますけれども、まさにこの規模を拡大するということが現在AI研究の一番重要な事項となっております。
AI研究のスケーリングとは、まさに巨大なAIですね、現在のAI、ニューラルネットワークというものを使っておりますけれども、人間の脳に相当するものです。人間の脳をコンピューター上で再現したこのAIというものを大規模に学習する、まさにこれ一つ目のスケーリングです。これが重要です。
もう一つ、これは最近出てきた研究の話でありますけれども、AIに考えさせる時間を長くする、こちらの方もまさに規模を拡大するということでスケーリング、非常に重要な内容となっております。
四ページ御覧ください。
こちらから少し研究のお話なので、ちょっと余り見慣れないような研究的な図が出てきますけれども、簡単にお話しさせていただきます。
スケーリング則というものがあります。二〇二〇年に出てきた人工知能の学習に関する説でして、まさにこのスケーリング則というものが現在の人工知能進化の根本になっております。そして、このスケーリング則があるから半導体が非常に必要とされているという状況です。
そして、このスケーリング則、何を意味するのかといいますと、AIの、特に昨今の生成AIの学習において重要な三つの要素、学習に使うデータ、そして計算量、そしてAI自体の大きさ。我々研究者は、パラメーター数とかニューラルネットワーク結び付きの多さを表す数でその大きさを表していますけれども、この三つの要素を増やしていくと人工知能の性能というのは無限に向上していくと。これがスケーリング則という説です。
そして、AI研究というものは、歴史的には、AI研究者というものは非常に難しい理論を組み立てたりとか、あるいは理論同士を組み合わせたりといった、いわゆるスマートな方法で発展してきました。ただ、現在の人工知能の発展というのは、先ほど申し上げたスケーリング則によって支えられているということで、つまり、先ほど言った三つの要素にどれだけお金を払えるかという問題になっております。実は難しい理論とかアルゴリズムは必要でないかもしれない、そういう説が主流になっています。
そしてもう一つ、これは昨年の後半に有名になった説ですけれども、推論時スケーリングという名前の付いたもう一つのスケーリング則があります。こちらは、AIに考えさせる時間を増やせば増やすほど性能が無限に上昇していくという説になります。
要点まとめると、現在のAIの性能というのは、それほど難しい、錬金術とかSFとかみたいな理論を必要としなくても、先ほど言った三つの要素に投資をして成長していけば物すごく性能上がると、そういうものがスケーリング則にて裏付けられているという状況になります。
五ページ御覧ください。
そして、スケーリング、先ほど言ったスケーリングにおいて、学習データ、計算量、AIの大きさ、このうち二つ、学習データとAIの大きさに関しては、我々研究者がある程度任意に大きくすることができます。ただ、最後の一つ、計算量、学習に使う計算量、要するにスーパーコンピューターということをどれだけ動かすかと。この点につきましては、まさにラピダスなどで生産される、これから生産されるであろうGPUと呼ばれている半導体の処理装置が必要になります。そして、現在のAI開発競争というのは、この半導体の保有数に左右されるという状況になっております。
真ん中に表が、アメリカの研究機関と日本の研究機関のこのGPUの保有数まとめた表がありますけれども、現在の最先端のGPUというのは一個大体日本円にして五百万円ぐらいします。そして、ちょっと順番前後しますけれども、日本の研究機関というのは、これを大体数千個から、もしかしたら現在公開されていない情報だと一万個とか持っている機関があるかもしれません。一個五百万ですから、これでも十分多い数です。
ただ、今アメリカの研究機関というのは、このGPUを何十万個と持っています。メタ社は六十万個、イーロン・マスクが経営するxAIは十万個から恐らく現在それ以上持っていると推定されますけれども、この半導体の保有数において、そもそもAI研究においてアメリカと日本というのは勝負になっていない、僕の師匠の松尾豊先生の言葉を借りると、戦闘機相手に竹やりで挑んでいると、そういう状況です。
そして、少しここから本質的なお話になりますけれども、我々研究者、人工知能の研究者は機械上で知能というものをつくっています。人間の知能というものを機械で再現しようとしているわけですけれども、人間の知能、非常に神秘的なものとして考えていらっしゃる方結構多いんですけれども、研究的な視点からすると、知能の本質というのは計算です。計算による情報処理こそが知能の本質だと現在は考えられています。
そして、現在、研究によって明らかになっている知見を踏まえると、人間レベルの知能を実現する、あるいは人間を超えた知能を実現するには膨大な計算力が必要です。つまり、先ほどから話題に出ている半導体による計算力が必要です。一応、計算というのは物質に非依存です。人間の脳でも計算できますし、半導体でももちろん計算できる。そして、昨今非常に注目されている量子コンピューターというものももちろん計算、AIの計算とかできますけれども、現時点では量子コンピューターなどの計算は汎用性に欠けます。ですので、少なくとも当分はAIの計算に適した装置というのは半導体のままだろうと、そういう状況です。
そして、このページの最後になりますけれども、この人工知能の開発、知能の実現において要求される計算量というのは極めて膨大です。そして、現時点では、研究者の視点から見ると、世界にはこの計算力というものは全く足りておりません。つまり、半導体が全く足りていないという状況です。
六ページ御覧ください。
ここまで、AIには計算力が必要だと、そしてその計算力によるスケーリングが必要だというお話をしてきました。
では、そのスケーリングによって現在のAI、特に生成AIが何をできるようになったのかというところですけれども、これはいろんなところで報道されているので御存じの方も結構いらっしゃるかと思いますけれども、もう三十近い言語を使用可能、医師国家試験合格、司法試験合格、そして一千万文字、日経新聞にして大体朝刊五十個ぐらいですけれども、これを瞬時に全て読むことができる、そしていろんな学問分野で博士号取得者レベルの能力を持っているというのが言語の生成AI。そして、動画像、音声だと、数秒ぐらいの音声データで、もうその人の声を全て人工知能で再現可能だと。そして、もう現実世界と見分けの付かない動画を生成可能。そして、そのほか、昨今は単なる生成ではなくてもっと複雑な作業をするAIエージェントというものが技術の主流になっていますけれども、このようなものになると、もう人間が指示をしたら自動的にソフトウェア設計を行うとか、あと自動研究を行うなどといったこともできます。
そして、これから詳しくお話ししますけれども、AIによって科学的発見をするだとか、あるいはもうロボットを制御すると、こういうこともできます。そして、今挙げた人工知能のこのすごい性能というのはまさにここ数年で急にできてきたというもので、これは先ほど説明したスケーリング、膨大な半導体を使用して学習して実現されている、そういう成果ということになります。
七ページ御覧ください。
そして、生成AIでスケーリングが重要だといっても、所詮今できているのはただしゃべるだけのAIではないかと、そんなものをこれ以上大きくしてどうなるんだと、そういう意見もございます。
ただ、この先ほどから言ってきたスケーリング則というものは、いろんなAIで確認されております。まず、左側、これは科学的発見ができるAIのスケーリングになりますけれども、一旦これ図の内容は無視していただいて構いません。これは何を示しているのかというと、人工知能が科学的発見をするときの間違える確率がどれだけ減っていくか、それが計算量、つまりGPUに任せた計算、学習によってどれだけ間違える量が減っていくかというのを表した図です。
そして、これは生物DNAのモデリング、設計みたいなものですけれども、そのほかにも、昨今、創薬の支援ができるたんぱく質の立体構造予測、あるいは半導体そのものの設計の最適化、無機結晶素材の発見、気象予測などもAIによってできるようになっています。そして、このスケーリングが進むと、将来的には指定難病の治療薬の発見などにもAIが応用できるかと思います。
そして、右側、こちら生成AIとは少し異なる、先ほど申し上げた複雑な作業ができるAIエージェントというものになりますけれども、こちらは割と最近まではそこまで複雑な作業できるというわけではありませんでした。人間が数分程度でできる作業をAIがようやくできるかという感じでしたけれども、こちら、つい最近ですね、ここ一か月ぐらいで出てきた研究によって、七か月でAIが達成できる作業時間二倍になっていると、そういう試算が出ています。
そして、この傾向が続くと、二〇二八年から三一年ぐらいには、人間が一か月でようやくできるような作業を完全に全てAIができるだろうというふうに言われております。こうなると、恐らく社内の事務の大半が自動化できると思いますし、ノーベル賞級の研究も一部はできるかと思います。また、安全保障、そのような分野においても非常に大きなあるいは脅威となる作業ができるかと思います。
八ページ御覧ください。
一月に中国企業が、型落ちの半導体で高性能の生成AI、ディープシークを開発したということで、エヌビディアの株価などが下がるいわゆるディープ・ショックというものが起きました。そして、これは僕も、私自身も非常にメディアとかに出て発言させていただいた内容ですけれども、現在のAI開発にディープシークというものができたのであれば大量の半導体要らないのではないか、そういう議論がありました。そして、これは部分的には正しいです。
これ、ディープシーク・ショックの後に実は最先端の生成AIいろいろ出てきていまして、オープンAI社が出したGPT4・5、そして、つい一週間前にメタ社が出したラマ4というものがあります。こちらは、少なくとも大きさ、AI自体の大きさでいうと過去最大のものです。過去最大のもので、先ほどから私が申し上げたようなスケーリング則に従えば問答無用で性能高いはずだと。ただ、これはそうなってはいません。研究者の観点からすると、そこまで性能高いわけではなかったと。
このことも踏まえると、確かに、実は言語を生成するAIに関して言うと、恐らくこのスケーリングのゴールというものは見えてきていまして、半導体というものをそこまで必要としないんではないかというお話は一応成立します。
ただ、下の方を御覧いただきたいんですけれども、AIという分野は非常に広大です。AIの未解決問題、曲がりなりにも人間の知能を再現しようとしているわけですから、いろんな分野が存在しまして、そちらの方は未解決です。先ほど言った科学的発見できるAIもそうですし、ロボット操作、識別をするAI、自動運転とかも入ってきますし、あるいは仮想的な物理空間を生成するようなAIもそうだと思いますけれども、こういう問題に関してはまだまだ全然学習が足りていません。スケーリングが足りていない、半導体が足りていないという状況です。
九ページ御覧ください。
人工知能研究者の究極目標は、汎用人工知能、略してAGIと言われているものを実現することです。これは、人間ができる全ての知的作業を同等かそれ以上に実行できるAIということで、恐らくこれが実現されれば人間の活動は全て代替できることから、科学、経済、政治、あるいは安全保障などの分野で大きな革命が起こることが予想されます。
そして、これは今まではSF的な出来事でした。人工知能研究者が議論をしても、我々が生きている間に実現できるのかという、そういうお話でした。ただ、チャットGPTが出てきて以降は、これは現実的な話となっております。
これは、日本の一研究者である私の意見などを参照するまでもなく、去年ノーベル賞を受賞したジェフリー・ヒントン教授、あるいは二〇一八年にチューリング賞を受賞したほかの二名の人工知能最先端の研究者も数年から十年以内に汎用人工知能が出てくるだろうと言っています。そして、それは恐らく、今のAIというものをスケーリング、つまり半導体などの計算資源を用いて大規模な学習することで実現するだろうということをオープンAIの共同創業者、元主任研究者のイリヤ・サツキバーも言っております。
十ページ御覧ください。こちら、まとめになります。
AIというのは人類最後の発明とも言われています。そして、究極目標は人間がやっていることを全てできるAIだと。歴史上、基本的には科学、政治、経済、安全保障なども人間が行ってきたわけですけれども、AIのこの目標達成されれば、恐らく相当程度のものをAIが代替するだろうと考えられます。
つまり、この近い将来にAIという技術を握った国がこのような分野で強大な力を得る、裏を返すと、これを握れなかった場合はこれらの分野で挽回不能な後れを取るということは、研究者視点でもそこまで飛躍した議論ではありません。
そして、そのAIの実現というのは、ここまでの研究の蓄積を踏まえると膨大な計算力に懸かっている。そして、この計算力の基となるのは半導体です。ただ、現在、半導体は世界的に不足しています。そして、サプライチェーンは非常に脆弱、台湾TSMCなどに依存している状況です。日本はこれをコントロールできる立場にありません。
今後の人類の歴史を左右する技術の基盤となる半導体に関して、日本の大きな挑戦、懸ける価値があるのではないかと思います。
私からの話、以上になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/14
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015・牧山ひろえ
○委員長(牧山ひろえ君) ありがとうございました。
以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
これより参考人に対する質疑を行います。
なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/15
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016・長峯誠
○長峯誠君 自由民主党の長峯誠でございます。
今日は大変貴重なお話をいただきまして、誠にありがとうございました。
まず、小池社長、小池参考人に、今日まさに日本とアメリカの交渉があって、まだ中身がつまびらかになっておりませんし、恐らくこの結果が出てくるのにはしばらく時間、そしてさらにそれが反映されるにはまた更に時間が掛かると思うんですが、まさに天気晴朗なれど波高しで、バルチック艦隊じゃなくてトランプ関税が襲ってきているわけでございますが、今時点の情報の中で、このラピダスが、例えばIBMとの協業であるとか、あるいは今の建設とか、あと販売先、こういったことでどんな懸念を持っていらっしゃって、どんな対応をされようとされているのかというのをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/16
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017・小池淳義
○参考人(小池淳義君) 長峯先生、御質問ありがとうございます。
おっしゃるとおり、私どもとしましては、やっぱりこの関税の問題は非常に重要だと考えております。私も先週アメリカにおりましたので、まさにトランプ大統領が発言されたことがアメリカ中で大パニックになっておりました。
私ども、あらゆる情報を通じて、当然、米国IBMも通じましてあらゆる情報を探っているところでございます。ただ、御存じのように明確なまだ方針が出ておりませんので、これからいろんな角度から検討していきたいというふうに考えております。
大事なことは、我々、最終目的は、いわゆる友好国の、連携している友好国のエコシステムをつくっていくことが大事だと思っておりますので、本質的には、長い目で見ていくとある程度落ち着くところに落ち着くというふうに考えております。
我々、製造するのは二〇二七年で、あと二年ありますので、それまでに十分な情報を集めて、先生方とも御相談しながら、きちんとした管理、そして、そのメリットとデメリットを分離しながら対応を取っていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/17
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018・長峯誠
○長峯誠君 ありがとうございます。
まだまだ様子がはっきり見えているわけではございませんので、ビジネスとしてしっかり対応していっていただくことをお願い申し上げたいと思います。
それで、黒田参考人と、これは小池参考人にもお伺いしたいんですが、先ほど今井参考人が御指摘されましたディープシークですね、ディープシークの出現によりまして、そんなにレベルの高い最新型の半導体ではなくてもAIは実装できるのではないかというお話がありまして、もう一つはEVですね、EVに対して逆風が吹いているという中で、そのハイスペックな半導体というのが評価されなくなるのではないかということで、株価等にも多少、エヌビディアの株価等にも影響いたしました。
この最先端半導体の将来の需要の予測といいますか、そういったものについての御見解というのを両参考人にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/18
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019・黒田忠広
○参考人(黒田忠広君) この最先端という言葉は時代とともに移っていきます。そのときで切り取りますと、今のような新しい革新が起こって、そんなに要らないんじゃないかという話はいつも出ます。しかしながら、それからやがて様々な更に需要が生まれてきたというのがこれまでの半導体の五十年の歴史であります。
したがって、十年後に今日を振り返ったときには、あのときにそういう議論もあったけれども、あのときから比べると更に高精度な大容量、大規模な半導体が必要になって、それが今社会の隅々に使われているねと、必ずこうなっているというふうに私は思います。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/19
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020・小池淳義
○参考人(小池淳義君) 長峯先生、ありがとうございます。
これは極めて重要な問題だと思います。ディープシーク・ショックは、与えた影響は、世界に物すごい大きなインパクトがございました。
これは、私が見るに二つのポイントがあると思っておりまして、一つは、やっぱりディープシークが中国において、オープン化という名の下に、あそこであのようなアイデアと、それからオープン化に成功したということですね、これは非常に気を付けなきゃいけないことだと思います。ただし、先ほど今井様もおっしゃっておりましたが、必ずしも最先端の半導体を使っていなかったということではないんですね。これはある程度業界では分かっておりますが、五ナノであるとか、その辺含めたような商品は使っております、半導体は使っております。
さらに、これからやっぱり幾らディープシークがオープンな展開をしたとしても、この先端の半導体は必ず必要になってきますし、これの要求に対しては猛烈な需要がございます。我々が類推いたしましても、今いろんな世界で爆発的なAIの需要が来ると言われておりますが、我々がビジネス計画を作ったときの計画に対して、実は数倍の需要がございました。このディープシークの新しい展開を見たときに、それを併せ持って計算しましても、ほとんど前、我々が推測した需要は十分にあるというふうに見ておりまして、このAI、あるいはこの先端半導体の必要な量は変わっていないというふうに考えておりますので、ディープシークによる影響によりまして元の線に戻った、今まで気違いのようなデマンドがあるというふうに言われていたのが元の線の需要に戻ったという形でありますから、全体のAIに対する需要に対して供給できる会社は極めて少ないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/20
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021・長峯誠
○長峯誠君 ありがとうございます。
おおむね今井参考人の見方と一緒というような感じで、これからもしっかりそういう需要は伸びていくということを伺ったところでございます。
続きまして、黒田参考人に、半導体の前工程と後工程というふうに分けますと、前工程の微細化というのは限界を迎えつつあるのではないかというような御意見もございます。これに対してどのように思われるか。また、後工程につきましては日本がある程度強みを持っているということでございますので、ここの今後の見通しについてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/21
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022・黒田忠広
○参考人(黒田忠広君) ありがとうございます。大変重要な御質問いただきました。
確かに前工程は微細化がますます難しくなっている、もう少し言うと、微細化に必要な投資が巨額になっている、経済的に難しくなっているという状況でございます。しかしながら、先ほども議論にありましたように、このエネルギー危機を乗り越えるためにこれはどうしても乗り越えなければいけないところでございますので、ここに投資をする価値は引き続きあると思います。
一方、ここでエネルギーが節約されるのは、計算をしているところのエネルギーであります。計算するためには、実は頻繁にデータをメモリーから持ってきて、またメモリーに戻すという操作が要るわけですね。これはメモリーとプロセッサーの協調作業になるので、プロセッサーだけが微細化されてもメモリーだけが微細化されても、その間を行き来する大量のデータが、その移動に伴うエネルギー損失があるというところ、そこは先ほど御指摘いただいた後工程のところがまさに重要になるわけであります。
ここには日本に優れた技術が点在しておりますので、これを集積して、かつ、先ほどの前工程に比べると投資効果が比較的、相対的に高いというか、前工程ほど大きな投資がなくても十分に大きな効果が期待できるという観点から、ここに投資をするというのは我が国の戦略としては極めて重要だと、こう考えております。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/22
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023・長峯誠
○長峯誠君 それと関連しまして、先ほど小池参考人の方から、前工程と後工程を一貫するというのが非常に大きな強みだというお話がございました。それによって世界一速い対応ができるというお話でした。
この前工程と後工程を一貫してやっているというのは同業他社ではないことなのか、ないとすれば、なぜ同業他社はそれをしてこなかったのか、その辺をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/23
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024・小池淳義
○参考人(小池淳義君) 長峯先生、ありがとうございます。
極めて重要なことだと思います。私どもの大事なビジネスモデルの一つの核を成す形になっておりまして、今まで、やっぱりこのファブレス、ファウンダリー、OSATモデルという、三つ分割して、分業作業で最高のパフォーマンス出すというのが今主流のビジネスモデルであります。ですから、ほとんどの企業は前工程、日本もよく、御存じのように、後工程を海外に出すというような形でやっておりまして、こちらの方は人件費がコストのほとんどを占めておりましたので、そういう時代もあったわけでございます。
ところが、先ほど黒田先生からございましたように、ここが重要な部分になってきたわけです。自動化も進んでおります。そういう形からしまして、私どもは、このスピードを速くする、そういった観点から、このIIM、我々の工場の方に世界で初めて前工程と後工程を一貫で行う、こういうようなシステムを考えたわけであります。
これで一つの大きなメリットがありましたのは、前工程と後工程は実は全然違う分野であって、エンジニアもほとんど交流がないんです。ですから、もうまさに、日本人であっても違う言語でしゃべっているということもよく言われています。我々がこれを一体化することによりまして、前工程のエンジニアと後工程のエンジニアがいつもコミュニケーションを取って、また、人員もシャッフルすることによって新しい技術が生まれようとしております。
これによりまして、単なる後工程、前工程を一貫にするだけじゃなくて、今までになかったような技術を、イノベーションを起こすということが大きなポイントになっておりまして、我々はこれを先陣を切って、この新しい工場、極端に言うと、今後は前工程、後工程ということを区別することさえなくなるんじゃないかということを私自身は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/24
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025・長峯誠
○長峯誠君 大変興味深いお話でございました。ありがとうございます。
続きまして、今井参考人にお伺いしたいんですが、先ほどのAIに対する投資額を見ますと、GAFAとの差は余りにも大き過ぎて、これってこれからどんどん開いていく一方なのではないかという気がするんですが、それを例えば国費で賄っていくというのはなかなか難しいんだろうというふうに思っています。そういう中で、どういったことをしていけばいいのかというのをちょっとお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/25
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026・今井翔太
○参考人(今井翔太君) 御質問ありがとうございます。
それはおっしゃるとおりでして、実際研究している身としても、GAFAなどのビッグテックとの差は非常に大きいというのを痛感しております。
ただ、これは少し歴史を振り返っていただく必要があるんですけれども、技術というのは、コモディティー化、小型化、オープン化など、サイクルがあります。最初、技術というものが登場したときは大体非常に大きくて、普通の人から見ても、これ何が有り難いのか分からない、使いにくいという、そんな感じになっています。これ昔、インターネットがそうでした。一九〇〇年代の中盤に出てきて、一般家庭に普及していなかったと。これが結局普及するのは一九九〇年代頃ですけれども、ようやくその時期にパーソナルコンピューターというものが一般家庭にも普及して、その時期にようやく、先ほど言ったGAFAという企業群、アマゾンとかグーグルとかの企業がその技術をもってして天下を取ったという状況です。
ですので、技術というのは大体出現したときは誰も扱えない、普及しない。ただ、それが普及期になるとみんな使うようになる。この普及期に何らかその技術を加工して工夫した企業とか、あるいは研究とかが言わば天下を取ると、そういうものが歴史的に見られます。
そして、これは恐らく人工知能も同じです。先ほど私の発表の中で、ディープシークは非常に型落ちの半導体でできる、実は半導体はそんなに必要じゃないかもしれないというお話をしました。これは、つまり言語生成とかの部分に関しては、先ほど申し上げた小型化、オープン化、コモディティー化のサイクルに一部入っているという状況です。この状況で何かアクションをした、すばらしい工夫をした国、研究機関、企業というものは、恐らくそこで覇権を握るということになると思います。
ですので、必ずしも日米とかの差が開いてピークのときに勝負を仕掛けるというのではなくて、このように、日本とかも使えるようになったところでアクションを仕掛けたところが勝つわけですね。
ここで勝つためにはやはり投資が、そもそもそのときにアクションをするための地力が必要です。技術者であったり、あるいは今回、ラピダスの半導体をしっかり作れるかということであったり。ということで、勝負を仕掛けるときは、実はビッグテックと我々の差が恐らく縮まっているときなんですね。そのときに、アクションをするときに必要なのはまさにその国の地力ということですので、今回のようなことは非常にやる価値があるのではないかと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/26
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027・長峯誠
○長峯誠君 最後の質問になりますが、今井参考人、そうなったときに、やっぱりAI人材というののボリュームがある程度ないといけないと思うんですね。今、日本の現状がどうなっているのか、そして、これから政策として、国が政策としてやるとしたら何をやっていくべきなのかをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/27
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028・今井翔太
○参考人(今井翔太君) 日本の人材は優秀です。私自身はこれまで一万人ぐらいのAI教育に関わってきましたけれども、皆さん非常に研究できますし、別に私は教育関わっていない、いろんな機関の研究者はもちろん私よりも優秀な人も非常に多くいらっしゃいます。
基本的に研究者は、これは私だけではなくて共通のせりふですけれども、必要なだけのお金を投資すれば、研究者は非常に、私はともかくとして、優秀ですので、お金を与えて、あとは放っておくという言い方はちょっとどうかと思いますけれども、前提となるものさえ与えていただく、あるいは、もう少し踏み込んだ発言をすると、海外、まさに研究の最先端が行われている海外、シリコンバレーとかとの交流を増やす。これは、日本で学会を開くだけの予算が必要とか、そういうお話になると思いますけれども、そういうところをやっていただければ、日本の人材は非常にAIに関して良いものになっていくのではないかなというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/28
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029・長峯誠
○長峯誠君 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/29
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030・古賀之士
○古賀之士君 三人の参考人の方々、大変貴重なお話をありがとうございました。立憲民主・社民・無所属の古賀之士と申します。
お話を伺っていまして、国内で次世代の半導体を量産していくということは、もう成功してほしいというのはもう重々、やまやまだということをまず大前提に様々な観点からお尋ねをいたします。
まず、長峯委員からも結びの質問にございました人材の育成について、これはお話をしていただいた順番にお尋ねをしようと思っております。
まず、黒田参考人にお尋ねをいたします。
大きな面でいきますと、全国で今後四万人の半導体の人材が不足するとも言われております。この辺の現状、そして、特に遅れてしまっては大変困る、可及的速やかに是非育っていただきたいという人材はこういう分野だというものがありましたら教えていただけないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/30
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031・黒田忠広
○参考人(黒田忠広君) 大変重要な御質問をいただきまして、ありがとうございます。
まず、端的に申し上げるならば、今の足りない人材を世界で取り合っている状況の中で、この同じパイの中で取り合っているのでは解決になりません。いかにこのパイを大きくするかという観点で考えたときに、幾つかポイントがありますが、ここでは一点だけまず申し上げると、やはり私は女性の活躍だと思っています。
これは、かつて東京大学に国会議員の先生方が視察に来られて、それで説明申し上げた後、ある女性議員の方から質問が出まして、何でこの集合写真に男の人ばっかり写っているんですかと言われて、あっ、なるほど、それは気が付きませんでしたと。調べてみると、日本の電子メーカーの新卒技術系採用の中に占める女性の割合って確かに一〇%ぐらいなんですね。台湾のTSMCを見ますと、これが二〇%あるんです。それから、私たちが教えている現場、工学部電気電子工学科のようなところの教室には、やっぱり女性は一〇%しかいないんですね。
驚いたことは、広島にあるマイクロンジャパンさんの女性の割合というのが四〇%を超えているんです。私、そのマイクロンさんに聞いてみたんですね。そうしたところ、やはりこれはダイバーシティーがこれからのイノベーションでは重要だという認識を強く持って女性を探している、女性を採用するだけではなくて、社内でもその活用、育成ということに徹底的に力を入れている、やがて女性が活躍するのを見て女性が自然と入ってくるまで私たちの仕事だと思って取り組んでいると、このように言われました。
確かに半導体というのは、私が半導体の産業界に飛び込んだ八〇年代の頃は、工場といいますと、危険な薬品を、重い薬品を持って混ぜてというようなことをやっていましたが、それは今の最先端の工場を見ますと、全部パイプでつながった廃液やロボットが天井を走り回っている。その装置から出てくるビッグデータを分析して、そして、どこが異常だ、どこを少し直さなければいけないということが工場の経営なんだろうと思います。
工場という言葉がもうもはや古いんだというので、ラピダスさんはIIMと、イノベーションですよね、イノベーションをする場所なんであると。もしそうなりますと仮想空間で仕事ができるわけですから、子育てをしながらでもこの工場のオペレーションに参加できるし、日本が真夜中のときにはヨーロッパが日中なんですから、ヨーロッパの女性に働いてもらうこともできるわけで、そういった時代に入っているにもかかわらず、採用する側も、あるいは学生たちもそういったことを知らない。あるいは、学生たちの親御さんも、えっ、工場に行って働くのという意識が残っている。ここを変えていくことが女性活躍の時代につなげる私は重要なことなんではないかなと、こう感じております。
ほかにもいろいろと重要なことがありますが、また機会がありましたら発言させていただきます。
私からは以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/31
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032・小池淳義
○参考人(小池淳義君) 古賀先生、ありがとうございます。
今まさに黒田先生がダイバーシティーのお話をしていただきましたけれども、私も全く同じ考え方を持っております。
ちょっと違った視点でいいますと、例えば、女性は我々もどんどん増やそうと思って頑張っているわけですが、違った観点から見ますと、一つは、やっぱり自分の人生を決めるのはいつなのかという形だと思うんですね。皆さんもそうだと思いますけれども、私も幼稚園のときに大工になろうと思っていました。ですから、もちろん大学で自分の将来を決めるということも当然あると思うんですが、もっと早い時期に自分の興味であるとか自分の向かうべき方向性を考え始めているんだと思います。
問題は、そういう機会が与えられるかどうかだと思うんですね。ですから、先ほど北海道の小学生にいろんな半導体の応用であるとかすばらしさを伝えるということをお話しいたしました。ですから、是非とも国の方々には、我々も民間も頑張りますので、若いときからそういういろんな興味を持てるような機会を与えると、こういうことは極めて大事だというふうに考えております。
そしてまた、反面は、多くの大企業が実はドクターの比率が非常に少ないんです。私も会社に入ってからドクターを取ったんですが、やはり一生、生涯勉強ですから、いつになったって構わないんですけれども、やっぱり深く学んだドクターを入れることは極めて重要だと思っています。
御存じのように、アメリカの企業は、ドクターといいますと、かなり高額のいわゆるサラリーで採用いたします。ところが、日本の場合は残念ながら、ドクターを採る、いわゆるマスターが終わって、残りの三年分のマスターの人と同じような値段で採るんですね。これではモチベーションは全然働きません。
ですから、やっぱりドクターの人に、やっぱり優れたドクターも日本の教育界はつくっていただく、そして、企業側も優秀なドクターをどんどん採って、そしてますます発展させていくという、こういう二面が必要だと思います。
やはり、こういった形から見ますと、その人材育成という観点においては幅広く、ダイバーシティーという意味においてもそうですし、若い頃からそういう夢を与えること、そしてドクターまで、あるいは皆様方も当然ドクターをこれから取ったって全然、もう何人かの方はドクターを取っている方もいられると思いますが、取っても構わないと思いますから、広い意味でやっぱりレベルを上げて、視野を広げて、世の中に貢献できるような知識をどんどん吸収していくということが極めて大事だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/32
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033・今井翔太
○参考人(今井翔太君) 僕の方からはもうちょっと、結構突っ込んだようなお話をさせていただきます。
必要な人材というのは、もちろん先ほどの二人の参考人がおっしゃった女性の方ですとかドクターを取った方ってもちろん重要だと思いますけれども、私の方からちょっと意識のところで、こういう人材を欲しいというところで、ステージを変えてしまうような発想ができる人というのが必要かなと思います。
ステージというのは、まさに今、研究のある土壌みたいな話ですね。今、人工知能という世界においてニューラルネットワークというものをみんな使って研究している、生成AIというものを使って、チャットGPTの基盤技術となっているものを使ってみんな研究しているという、もうみんなが立っているような研究の地盤があるわけで、これをステージというんですけれども、これをそもそも変えてしまうような発想ができる人というのは非常に重要かと思います。
先ほど、長峯先生の質問に対して、私の方から、日本にも勝ち目はあるかもしれないとお話ししましたけれども、確率としてそんなに高いかというと、正直自信はないというところです。五分五分あるかどうかという話だと思います。
一番、じゃ、勝てるところは何かというと、そもそも現在のパラダイムを変えてしまうことだと思います。そして、これ既に実例があります。オープンAIですね。オープンAIはチャットGPTというものを生み出したわけですけれども、あれは、少し汚い言い方になりますけれども、研究者にとってみれば狂気のやり方です。あれは普通の研究者の発想では出てこなかったようなものだと思います。
なぜかというと、チャットGPT、現在の生成AIの仕組みというのは、理論上は単なる穴埋め問題を連続でやっているだけなんですね。ニューラルネットワークは、単語の次の単語、次の単語を予測するという穴埋め問題、非常にうまいAIというのが現在の生成AIということになりますけれども、これは最終的にうまくいくんだと、これが人間のようにしゃべれるようになるんだと確信を持っていた研究者は、二〇一七、一八年頃のこの生成AIの基盤技術が出てきた時点ではほぼいなかったと思います。そんな中で、何兆というレベルの投資をして、ああいうチャットGPTというものをつくり上げて、まさに今の生成AIブームというものを到来させた、あれは相当クレージーというか、先ほど私が冒頭で申し上げたような、ステージを変えるようなマインドを持っていた人だったんだと思います。
そして、これはディープシークの人たちも同じです。ディープシークも、彼らはもうニューラルネットワークとかそういうレベルではなくて、基盤となるその半導体、GPUの計算機自体をどういうふうに構成すればいいのかという根本的なところから見直してやっている。これは、まさにもう根本からステージを変えてしまうような発想ですね。それで、ディープシーク・ショックというものを起こして、現在の生成AIの主人公の一つとなっているわけです。
ということで、日本でもそういうことができる人材が是非欲しいと思います。冒頭でも申し上げたように、そもそも海外の研究機関がつくった現在の生成AIブームというところのステージに立っているだけでは勝てるかどうか非常に怪しいところだと思います。ですので、そもそもそこの生成AIという基盤から、AIという本当に大きな基盤はそのままかと思いますけれども、生成AIというステージ以外のステージもつくり出してしまえる、そこで日本が戦えるんじゃないかということで、ステージを変えてしまうような発想ができる、そういう勇気がある人材は欲しいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/33
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034・古賀之士
○古賀之士君 それぞれの参考人の方々、貴重な御意見をありがとうございます。
私の持ち時間があと三分になってしまいましたので、簡潔に、次は三人の方、それぞれお願いします。
今の今井参考人からお尋ねをします。
そこで、昨日の私、本会議でも申し上げました。一体、その半導体を使って、新しい半導体を使って何をしていくのか。そういう人材も育てていく必要があると。ちなみに、米国のラスベガスのCESでは、今年、ヒューマノイドロボットが大変数多く出展された。そういう、国内でどうやってそういった産業を育成していくのが大きな鍵になってくるかと思います。
では、先ほどの順番とは逆に、今井参考人、黒田参考人、小池参考人に伺ってまいります。
国内の産業育成に関して、どういう人材が、そしてどういった産業や製品が我が国に必要だとお考えでしょうか。お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/34
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035・今井翔太
○参考人(今井翔太君) これは非常に難しい問題ですけれども、今回の半導体に関する法案というところで、そこと結び付けて言うと、もうハードウェアと一体になったソフトウェアを開発するレベルのことが必要かと思います。
今、我々は、ここにいらっしゃる皆さんも国民もiPhoneというものを使って、そしてその中でAIとかが動いているという状況ですけれども、そもそもそういうところから、根本から見直せるようなことが必要なのではないかと思います。実はiPhoneというのは、そんなに大きい半導体をあのiPhoneの中だけで動かせないんですね。我々研究者、非常に工夫しているんですけれども、iPhoneという装置ではそこまで実は大きなことはできません。
ということで、これからラピダス、いろいろな後工程、前工程で顧客と一緒に設計していくという感じはあるかと思いますけれども、そういうところからもう前提ひっくり返して、その作られた半導体で動くような、何ですかね、人工知能がこれから人間のパートナーとなる、一緒になって何でもやってくれみたいな時代が来たときに、もうその専用のハード、ソフトという、まとめてデザインしてしまえるような、そういう人材、作業が必要かなと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/35
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036・小池淳義
○参考人(小池淳義君) 古賀先生、ありがとうございます。
これは私も非常に重要なテーマだと思っております。先ほど私が三つの方針で進めてと言いましたけれども、やっぱり最終製品は何かということを極めて認識して進めていくことが大事だというふうにお話しさせていただきました。
我々の会社の内部では、ムーンショットに負けないようなジュピターショット計画というのがございまして、いわゆる本当の最終的な製品、先ほど人生を幸せにする、真に豊かにするということを言いましたけど、これは本当に何なのかということを議論を進めております。
我々は、もちろん、先端半導体を使って、これに対する今までになかったものを作ろうとしているんですが、これは実は簡単ではございません。もちろん、日本の中で今まで強かった、例えば自動車であるとかあるいはロボットであるとか、こういう部分は当然その一つの柱にはなっていくというふうに考えております。
私、個人的には、先生がおっしゃったヒューマノイドロボットというのはやっぱりもう一度日本が取り組むべき大きな課題だというふうに考えております。残念ながら、今のヒューマノイドロボットにおいては米国が一番になっておりまして、最近は中国が物すごい勢いでこれが進んでおります。ですから、もう一度、今まで日本のロボット業界は、いわゆる制御系のところではかなり行っておりましたけれども、これからはやっぱりAIを使った、あるいは先端半導体を使ったようなヒューマノイドロボットを使っていくことが、当然看護であるとかあらゆる産業に対する大きな影響を与えますので、ここのところを我々としては大きなマーケットにしていきたいと思いますし、国の方もこういった方面に強い人材を育成していくことが極めて重要だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/36
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037・牧山ひろえ
○委員長(牧山ひろえ君) 時間ですので、お答えは簡潔に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/37
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038・黒田忠広
○参考人(黒田忠広君) はい。
私も同じ意見です。AIがこれからは身体を共にして発展していく、フィジカルインテリジェンス、これが狙いだと思います。
そのためには、これまでのように、リチャード・ファインマンが小さい世界が面白いと言ってからナノテクノロジーを追求してきましたけれども、これからはビッグデータも使った要するに情報処理をどうするのかということで、物理から情報まで、デバイスからシステムまで、ハードからソフトまで、全体を俯瞰できるそういう人材の育成、これが重要になると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/38
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039・古賀之士
○古賀之士君 時間になりましたので、終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/39
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040・石川博崇
○石川博崇君 公明党の石川博崇でございます。
三人の参考人の先生方、今日は本当に貴重なお話をいただきまして、ありがとうございました。
〔委員長退席、理事古賀之士君着席〕
実は、折しも今、おとついから東京のビッグサイトでAI・人工知能EXPOが開かれておりまして、実は私も昨日会場に行かせていただきました。本当に多くの企業が、まさにAIであったりあるいは人材育成であったり関わっておられる。また、最先端の例えばAIクローン、あるいはAIエージェントなどの技術を見させていただくことができました。
三人の先生方に最初にそれぞれお伺いしたいのは、そこでちょっと議論になったのが、今後、AIがまさに人類のパートナーとなっていくと、人間と同等あるいはそれ以上の能力を発揮してくるということになった場合に、そのAIが判断をする、あるいは権限を行使する、そこに、当然人間にもミスはありますが、AIにもミスはある、そういったときに、例えば損害の取り方をどうするのかとか、こういったことについて、やっぱり法的な枠組み、あるいは国際社会の規格の今後の議論というのが極めて重要になってくるという議論がございました。
このAIあるいは人工知能に対してどのような社会の向き合い方が必要になってくるのかということを、それぞれ三人の先生方から御知見をいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/40
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041・古賀之士
○理事(古賀之士君) では、どの参考人から。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/41
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042・石川博崇
○石川博崇君 じゃ、AIのまず専門である今井先生から。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/42
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043・今井翔太
○参考人(今井翔太君) ありがとうございます。非常に難しい問題かと思います。
まず、これは私自身の意見ではないんですけれども、まさに人工知能を開発している事業者のトップ、例えばオープンAIのサム・アルトマンですとか、あとアンソロピックのダリオ・アモデイといった方たちは、そもそも、これから今の資本主義社会の労働関係が崩壊するのではないかというふうに言っています。
これは、私自身の発表にもありましたけれども、恐らく人工知能というものはこれからほとんどの人間の作業をやっていくことになるだろうということを踏まえると、恐らく大体正しいかと思います。その中で、責任はどこに生じるのかとか、その労働をすることはなくなった、少なくとも生産性に関して言うと、人間はやることがなくなるかもしれないというのはある程度妥当なわけですから、そういう人たちにどういうふうな生活基盤を与えるのかというのは非常に議論していくべきところかと思います。
ただ、これ、社会というより個人の意識というところになりますけれども、仮に人工知能というものがどれだけ発展して人間の作業を全て置き換えられるような状況になったとしても、責任を取る人間というのは確実に必要だと思います。もちろん、ここは、国会という場所は立法の場ですから、私の想像を超えた、例えば人工知能が責任を取るみたいな法案ができる、未来にできるかもしれませんけれども、少なくとも私自身は人工知能が責任を取るみたいな社会は少し考えにくいと思っております。
そもそも人工知能が責任を取るというのはどういうことなのかと、シャットダウンすればそれで責任取ったことになるのか、多分ならないと思います。責任というのは、責任を取る人間が何らかの、場合によっては拘束されるとか社会的に何か賠償とかが生じるというところで、AIというのはそれができません。できませんし、責任取ったと合意を取ることは恐らくできないかと思います。というところを踏まえると、人間はやはり責任を取るというところがこれから仕事の一つになってくるかもしれない。ということで、責任取れる人というのはやはりその分野の専門家だと思います。
これは一つの例ですけど、極端な例ですけれども、人工知能が何でもできる、じゃ、社長一人で、全ての従業員をAIにして、全て企業の活動成立するというのも原理的には考えられます。ただ、これ、例えば私自身は社長ですけれども、それをしたいかと思うと、それはしたくありませんと。なぜかというと、人工知能が何かやらかしをした場合、間違えてしまった場合の責任というのは、先ほどから議論してきたように人工知能自体は責任取れませんので、全て社長に直撃するわけですね。ただ、人間が仮にその従業員あるいは責任者の立場にいれば、一応そこで責任というのはある程度は止まってくれるということで、どれだけ人工知能が発展したとしても、恐らくその資本家というのは責任を取れるエキスパートな人間を必要とすると思います。
ということで、個人の意識として、人工知能が発展した社会においては責任を取れる勇気を持った人材になると、そういう意識が必要だと思いますし、そういう人がいっぱいいる社会というのは望ましいのではないかというふうに思います。
以上になります。
〔理事古賀之士君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/43
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044・小池淳義
○参考人(小池淳義君) 石川先生、ありがとうございます。
これも私も物すごく重要な問題だと思っておりまして、実は先ほど今井先生がおっしゃった、いわゆるシンギュラリティーですね、AIあるいはロボットが人間を超えるという時代が来ると。これは御存じのように、レイ・カーツワイルが、二〇四五年にシンギュラリティーが来る、人間を超えるという時代が来るというふうに言われておりました。もう彼が本を書いたのが二〇〇四年か五年ぐらいですからかなり前にはなるんですけれども、私はあの本に衝撃を受けまして、自分自身も八年ぐらい前にシンギュラリティーの本を書きました。やはり、これは、今の半導体のスピード、あるいは今のこの技術のAIのスピードをもってすれば、二〇四五年どころか二〇三〇年代の後半には必ず来ると思います。極めて重要な問題です。ですから、機械が、あるいはロボットが人間を超えてしまう、AIが人間を超えてしまう時代がもう目前に迫っているわけです。
ですから、先生がおっしゃったように、あらゆる規制であるとかあらゆるものは、これはEUを始めとして、あるいはアメリカでも議論は始まっております。私も是非、これは日本、真剣に考えるべき課題だと考えております。
これは、いろんな考え方があるんですけれども、結局よく詰めていきますと、果たして我々の倫理観であるとか一般的な概念が進化したロボットに通用するかどうかという極めて重要な問題になってきます。ですから、今まさにこの問題を議論する必要がありまして、しかも、これは科学的に証明して、議論をして、そのある程度の制約、教育をAIにもしていかないと、とんでもないことになるというふうに考えております。
ですから、やっぱりこれをしていくための体制と、あるいはそれを研究する部隊が科学的にやることが必要であって、欧米で異論のあるときには、その哲学とか倫理とか宗教といった問題に必ずこれはいろんな影響を受けるわけでありますけれども、日本においてはこれを超えたような形で、有識者の方であるとかいろんな研究者を集めて議論を今すぐ始めないと非常に危険な状態になるというふうに私は思っておりますので、是非そこを含めて、もちろん我々AIあるいは半導体の人間も参加させていただきたいと思っておりますが、強力に進めていただきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/44
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045・黒田忠広
○参考人(黒田忠広君) 二人の参考人と同じ意見であります、そこは繰り返しませんが。
しかし、現実に、サンフランシスコに行きますと無人のタクシーが走っていて、スマホで呼んで行き場所まで連れていってもらえます。中国でもそういうことはもう既に行っております。つまり、社会が求めることと、それから、その逆のいろいろな今日議論しているような問題との折り合いをどう取るかということは、この社会の議論の中で行われなければいけないと。
私、最近九州によく行くものですから、山間部に行きますと、お年寄りの方々、もう運転が難しいので免許証を返還しますと。しかしながら、食料を買い求めに遠くまで山を下りていかなきゃいけない。食料だけが自動運転の車で上がってくるのはいいと思いますけれども、医療の問題もありますよね。遠隔医療というので、インターネットを通じてお医者様に相談することはできるけれども、やっぱり自分が行かなければいけないときがあるでしょう。そういった需要が日本にはある。都市の需要と、またそういう山間部での需要というのはまた違うものがあるのかもしれません。
ちなみに、技術的には、先ほど言った仮想空間でのデジタルツインで、例えば、この場合幾つかの手段があるけれども、手段、これを取るとどういう法的責任が起こるのか、この場合には過去の事例から考えてその法的な損害はどうなるのかということも計算するという研究も実は行われております。
私からは以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/45
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046・石川博崇
○石川博崇君 ありがとうございます。
小池参考人まさに言われたとおり、今すぐにでも始めなければいけないテーマだというふうに思っております。これからますます加速度を増して成長していくAI、人工知能に、例えば哲学であったりとか倫理観、こういったことをどういうふうにプログラミングしていくのかということも含めて、また御知見をいただければというふうに思います。
続いて、小池参考人にちょっとお伺いをして、法案の審議がこれから始まってまいりますので、その関係もあって確認させていただきたいんです。
先ほど、ジョン・ケリーさんの話が出ました。東会長と長年の御友人であるというふうにも伺っております。
IBMとしてなぜラピダスさんを選ばれたんだろうというのが素朴な疑問としてございまして、IBMからすると、アメリカに生産工場があった方が関税の問題も発生しませんし、いいのではないかという素人的な考えもございますが、なぜこのラピダスさんが選ばれたというふうに感じ、もちろんラピダスの目指しているもの、熱意、そういったものが非常に評価を得たということだと思いますけれども、是非、小池参考人からお聞かせいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/46
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047・小池淳義
○参考人(小池淳義君) 石川先生、ありがとうございます。
済みません、私、ちょっと説明の仕方が悪かったんですが、昨日会ったのはジム・ケラー、いわゆる設計をする方の天才的な設計者なんですけれども、先生がおっしゃったのはジョン・ケリーで、彼はやっぱり優秀なIBMのまさにCTOをやって、まさに半導体をずっと引っ張ってきた研究者であるわけでして、私も非常に親しくしておりまして、彼を中心に進めてきた新しい半導体、トランジスタの構成しておりますGAA技術というのは、もう彼がまさに力を入れて進めてきた技術でございます。
なぜ、そのIBMあるいはジョン・ケリーを中心としたそういうIBMのチームが非常に日本に興味を持ったかといいますと、やはり、IBMが昔まさにすごい勢いで伸びて、今もすごい勢いで利益率を出しておりますが、この時代にやっぱり日本とのコラボレーション、日本人の物づくりの力というのを相当強く高く評価していたということが背景にあると思います。
ですから、もちろん世界中を国を見て戦略を向こうは練っていたと思うんですが、やはり日本人の力、例のアルバニーの研究機関は実は二〇〇〇年から始まっておりまして、そのとき、実は日本の多くのかなり強いエンジニアがあそこに行って一緒に研究を行っておりました。そのときに多分、日本人の技術力あるいはそういう物を作る力の偉大さについてはIBMは深く、しかも高く評価していたんだと思います。
そういう関係があって、IBMとしても日本のパートナーを探したいという形の縁がございまして、それで最終的には我々ラピダスにそういう声が掛かったという形になっております。よろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/47
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048・石川博崇
○石川博崇君 ありがとうございます。
もう一点小池参考人にお聞かせいただきたいんですが、四月に試作ラインの稼働がもう一日の遅れもなく始められたということ、本当に私自身も、これからの先を考えるとわくわくいたしますし、今後の二〇二七年の量産、あるいは二〇三〇年代の黒字化達成に向けて着実に進めていかれることだというふうに期待しておりますけれども、今後のことを考えたときに、その二〇三〇年代の黒字化に向けて今どういうロードマップを描いておられるのか。国としても、公募をした上で今後この法律に基づいて資金面の支援などもやっていきますが、マイルストーンを置いてしっかりと評価もしていくというふうになっております。
小池参考人の目から見て、今後の道筋の中で、何が課題で、どういうタイミングで何を乗り越えていかなければいけないかということについて御知見をいただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/48
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049・小池淳義
○参考人(小池淳義君) 石川先生、ありがとうございます。
確かにこれ、我々としては、やっぱり民間企業でございますので、国の莫大な御支援、今はNEDO関係からの施設をお借りして我々も研究を進めているわけでございますが、当然、量産が始まります二七年から、やっぱり自己資金の方をしっかりと集めることが必要になってまいります。
今のところはこれの準備を進めておりまして、主に我々に出資をしていただいております大手八社のところの増資の検討をしていただいております。こういう形でやっていくという形と、あるいは、今、政府関係者の方と議論を進めさせていただいておりまして、国としてのあるいは支援金であるとか研究費に関する支援金、あるいはそれに対する我々がいろんな銀行とかの借入れをするときの支援策とか、そういうことの議論を始めさせていただいております。
いずれにしましても、我々としては、三〇年に一度黒字化を目指しますが、長い目でもってこれを進めていくことが必要だと思っておりまして、当然一回でクローズする世界じゃないんですね。例えば、二ナノであるこれの一つのモデル、次にまた一・四ナノが来ます、その先にはまた一・〇ナノが来るという形で、各世代ごとにこれをずっとやっていく必要がありまして、断面においては当然その利益を確保して進めていくことであるんですが、この産業はずっと続けていかなきゃならないわけであります。
世界を見た場合には、やっぱり多くの企業、国といいますか、ほとんどの国が、アメリカを始めとして、当然、中国、台湾、あらゆる国がやっぱり国の国家産業として支援をしていくという形でありますので、そこを含めてまた一緒に御議論させていただけると幸いでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/49
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050・石川博崇
○石川博崇君 時間ですので、終わらせていただきます。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/50
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051・梅村みずほ
○梅村みずほ君 日本維新の会の梅村みずほと申します。よろしくお願いいたします。
本日は、黒田参考人、今井参考人には大変申し訳ないんですけれども、小池参考人にのみ御質問をさせていただきたいと思います。済みません。
日の丸半導体復活の道筋が見えたようで、いや、頑張ってほしいな、絶対成功させなければという思いでいるんですけれども、小池参考人はこれまでも様々な委員からの質問に謙虚にかつクリティカルに答えてくださっていて、非常に頼もしく思うと同時に、先ほど秋山真之の言葉も紹介してくださったかと思いますけれども、波が非常に高いところもあるだろうというふうに思っています。
そこでお伺いしたいんですけれども、七十三億円に民間出資がとどまっているというところですね、この要因をどのように分析していらっしゃるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/51
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052・小池淳義
○参考人(小池淳義君) 梅村先生、ありがとうございます。
これ、最初に会社をつくったのが、先ほど言いましたように二〇二二年の八月でございます。それで、やっぱり我々ラピダスとしては、民間で大した額では、まあ個人でこの会社をつくったものですから、それで大手八社の方にお願いをしたわけでございます。ですから、あのときは、初期の投資という形で各社約十億円ずつの出資をしていただきました。銀行は制約がありましたので三億円余りという形になったわけでございますけれども、これは全くのスターティングポイントでございます。
ですから、これから、先ほど述べましたように、この大手八社を中心として増資のお願いを現在しているところでございます。これを含めまして、この八社を中心として御支援を賜るという形と同時に、ほかの分野における出資の方々についてもこれからしっかりと詰めていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/52
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053・梅村みずほ
○梅村みずほ君 ありがとうございます。まだ皆さん様子見だと思うんですね。
先ほど今井参考人が五分五分だとおっしゃった。その言葉を、この法案、ラピダス法と呼ばれていますけれども、このプロジェクト成功すると思うかどうか生成AIに聞いてみました。そうすると、技術的観点、経済的観点、政策、地政学的観点、成功の可能性は五分五分というふうに結論で結んでいます。ただし、国策としては意義大。この先ほど申し上げた観点に、それぞれに成功要因と課題等を二、三項目ずつ出しておりますけれども、まさに、私もそうですけれども、成功の可能性は五分五分ではないか、ただし国策としてはやる意義はあるし、やらねばならないのが今なんだろうというふうに思っています。
例えば、サムスンはIBMと一緒にやって成功できなかっただとか、エルピーダの手痛い失敗があるだとかというような決して楽観はできないようなリスクというのも民間は分かっているからこそ、私も出資させてくださいという方が行列を成していない状況があるんではないかというふうに思っています。そして、何といっても、今回、国民が、これはもう貧しい国民も含めてです、納税をしている国民が一人一人の株主というようなある意味立ち位置でラピダスにお金が渡るということを是非とも受け取っていただきたいなと思っているんですね。
そこでなんですけれども、会社法でいうと、株主に正当な理由があって株主名簿の開示を求められた場合になかなか拒否できないというところがあるかと思いますけれども、ラピダスに関しては、今、株主十二名の方、名前出していらっしゃらない方がたくさんいらっしゃいますけれども、この名前を出していただいた方がいいんじゃないかという議論ありますけれども、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/53
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054・小池淳義
○参考人(小池淳義君) 梅村先生、ありがとうございます。
当然、我々も国民の大事な税金をいただいて、このプロジェクトの、これは我々の資金じゃございませんし、まだ資産でもございませんけれども、これで研究開発を進めさせていただいて、最終的には事業として成功していくということを考えております。
そういった中におきまして、個人の株主の話なんですが、もちろんこのメンバーは、ちょうど今から、六、七年前から集まってきた、個人の出資者が集まってできたわけでございまして、当然、若い、先ほど言いましたが、若いエンジニアとかあるいは若い准教授の方とか、そういう方の集団で、毎週水曜日の夜の八時から夜中の十二時、一時までずっと毎週研究をしまして、議論をしまして、累計で百三十八回やりました。
ですから、まさに、お金をもうけたいとか、そういうことを考えている人は一人もおりません。強い志を持って、このままでは日本が駄目になる、何が何でも二ナノを実現しようと、そういう高い志でこの議論と将来の計画を作ってまいりました。
もちろんいろんな制約があるとは思いますけど、今のところ、個人保護法の関係もございまして、この場では名前を公表することは、ここでは遠慮させていただきたい、差し控えさせていただきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/54
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055・梅村みずほ
○梅村みずほ君 ありがとうございます。
非常に厳しい質問をしているかもしれないですけれども、私も、この日本の産業界を担ってこられた、そして今、日本が経済停滞久しい中で、もう一度この経済競争力を復活させようと頑張ってくださっている、これだけのプレッシャーを受けながらも事業を成功させようとしてくださっている小池参考人に感謝と敬意を表しながらも、一方で、国民の代表として来ているので、そうですか、じゃ、お任せしますと言えないところもあって、黒田参考人の資料にもありましたように、戦略物資なんですよね、既に。これで二ナノの半導体作りましたと、でもTSMCはアメリカで先に出すでしょうと、量産するでしょうというような声も聞かれる中で、じゃ、どうやって顧客をつかまえていくんだとなったときに、ひょっとしたら中国もお客様にしなくてはいけなくなってくるのかもしれないというふうに思うわけです。
このカスタマーとして中国資本も排除はしないというようなお考えかどうか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/55
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056・小池淳義
○参考人(小池淳義君) 梅村先生、ありがとうございます。
確かにこれは重要な問題だと考えております。我々、国民の皆さんの応援もいただいて、しかも日本国としてやることは非常に重要なことだと考えておりまして、そういった全然予期しないような国であるとか個人が入ってくることは決して許されないことだというふうに考えております。こちらの方は、いろんな制約ができるような考え方、一般的に言われています黄金株のような形を政府の関係者の方々と詰めておりまして、その事態はなくすようにしたいというふうに現在のところは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/56
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057・梅村みずほ
○梅村みずほ君 ありがとうございます。
これはやはり民間の会社だけではヘッジできないリスクというのがあると思いますので、これは日本のこの国会の方でも様々な法整備が必要であると思いますし、この産業という文脈だけではない安全保障という観点でラピダスは非常に重要な位置にあるということ、そのためにも、一日も早くこの生産というものを軌道に乗せていただいて、世界的なマーケットを得ていくということが非常に重要だと思っています。
加えて言うならば、やはりその株主という点でも、じゃ、小池さんがおっしゃっているからそうなんだろうというふうに信じたいところはやまやまなんですけれども、じゃ、蓋を開けてみたらそのうち五名中国人でしたよというふうになったりすると、それは国会としてちゃんと追及したのかだとか、そういうようなこと問われるわけなんですね。私は、この国民の血税を使うということは納税をしている方のお金を使うということであり、その中には、もうすぐお昼、ランチタイムですけれども、五百八十円のお弁当を我慢してドリンク百円ぐらいとカップラーメンとで済ませる、そういった国民のお金も入っているというところなんですね。
なので、是非、重々もう私などに言われなくても分かっていらっしゃることだとは思いますけれども、公開は難しかったとしても、必ずやその分その疑いもずっと持たれ続けるし、いろんなことを言われる中で成功させていくという思いでいていただきたいなと思っております。
あと、質問としては、七百五十名以上いらっしゃる社員の方々、従業員の方々に対して、経営陣の、国としっかりとタッグを組んでいるこのプロジェクトを持つ意味をすべからく七百五十名に共有するというのは非常に難しいことなんですけれども、けれども、これだけの国策と言っていい事業ですので、全体の士気を保っていく、このミッションというものの重要性を理解していただくって重要だと思うんですけれども、それはどうやってやっていかれるのか、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/57
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058・小池淳義
○参考人(小池淳義君) 梅村先生、ありがとうございます。
これ重要なことですが、一点、よく御質問の意図が分かりました。今いる十四人の株主、個人の株主は全員日本人です。全員日本人です。先ほど言いましたように、非常に志が高くて、この国のために尽くそう、あるいは世界の人類のために尽くそうという集団であります。そこは間違いございませんので安心してください。
あと、その七百五十人のモチベーションという形なんですけれども、これは物すごく重要だと思っております。毎月、三十人から五十人の人間が毎月入社してくるわけです。ここに入ってくる研究者、エンジニアは、やはり何とかしようと、このままでは日本が駄目になる、半導体を絶対に成功させたいという熱い思いで入ってきてくれている従業員ばっかりです。
ですから、我々、あらゆるところでこの教育を行っておりまして、もちろん入社式は毎月行っております。毎月、私、二時間ぐらいお話をして、このできたやつや成立の経緯であるとか、我々がなすべき仕事であるとか、先ほど御説明しましたミッションということを丁寧に説明しております。全員、一生懸命これを聞いてくれておりまして。
あと、従業員におきましては、役員の部長レベルには毎週、そして全従業員は毎月ですね、かなり深い技術を何回も何回も議論しておりまして、そちらはウェブの場合であって、当然アメリカの従業員とかアメリカのマーケティングの人間もおりますからウェブの場合もあるんですけれども、できるだけ直接話をして全員集会をやるようにして、方向性であるとか、あるいは我々が向かわなきゃいけない形に関しての議論を深めてしっかりと進んでいくということは、これは一日も欠かさずに、あるいはこのしっかりとした進め方に基づいて推進しているというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/58
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059・梅村みずほ
○梅村みずほ君 ありがとうございます。
しっかりとお答えいただいて安心したのと、あと株主が全員日本人であり、志の高い方々だということで一層安心したんですけれども、やはり従業員の方々の中にも、日本はスパイ防止法もございませんので、ややもすればということがあり得る中、しっかりと時間を割いてコミュニケーション取りながら採用もされているというところ、引き続き継続していただければというふうに思います。
そうしましたら、最後に三名からちょっとずついただけるかな、ちょっと難しいな、済みません、じゃ、小池参考人に。
先ほどからの文脈で、多額の血税が使われるということです。必死に子育てをしながら働いているシングルマザーの方もいらっしゃいますし、お金がなくて結婚を諦めるようなそういった若者もいる中で、これだけの巨額投資が行われる、このプロジェクトを必ず成功させるという決意表明といいますか、お願いできればと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/59
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060・小池淳義
○参考人(小池淳義君) 梅村先生、ありがとうございます。
もちろんそのつもりです。やっぱりこれだけの大変な資金をやはり使っていく大事業でありますから、それは全員よく認識しておりまして、我々はやっぱり、確かに非常に難しい点はあるのは事実なんです。だけれども、全員が必ず成功させるという熱い思いを持っておりますから、そういう意味で、我々は従業員一人一人がこの強い決意を持っています。
先日も、お話ししましたように、従業員を集めて、本当に、試作のセレモニーを行ったんですけれども、全員がしっかりとした目で、輝くような目で私を見てくれました。ですから、必ずこれを成功させて、日本そして全世界に貢献していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/60
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061・梅村みずほ
○梅村みずほ君 ありがとうございます。
このラピダスから生み出される半導体というのは、後々日本を守ることになると私は思っています。日本を是非守ってください、そして成長させてくださいというのをお伝えしたいなと思っています。
あと三十秒、一分ぐらいあるかなと思うんですけれども、ちょっとこれは質問ではありませんけれども、お二方、黒田参考人、今井参考人のお話を聞いていても、これからAIによって人間が淘汰される時代も出てくるかもしれないなと思うこともあります。
二〇〇一年に私が見て衝撃を受けたスティーブン・スピルバーグ監督の「A.I.」という映画がありましたけれども、ほぼ四半世紀たって子供と一緒にもう一回見てみたんですよね。全く色あせないどころか、二〇〇一年に見たときに、ああ、百年後とか二百年後、こういう世界になるかもねと思っていた、ところが、今見ると、あと五年後、十年後、なっているかもねというぐらいになってきているわけです。そして、その先には、これ全然違うSF映画ですけれども、「第9地区」というエイリアンと人間が戦い合うみたいな、ああいうものとちょっとリンクしてくるというか、AIと人間が戦うというような世界線も見えてくるようで、将来への希望と恐ろしさとを内包しているという状況でございます。
けれども、参考人の皆様の御知見とともに、日本のために、私もこれから先頑張ってまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/61
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062・礒崎哲史
○礒崎哲史君 国民民主党・新緑風会の礒崎哲史です。
今日は、三名の参考人の皆さん、本当にありがとうございました。
皆さんの本当お話を聞かせていただいて、すごい世界だなというふうにも思いながら、驚きもありながら、また、ああ、そういう世界が来たらいいなというわくわく感もありながら、でも、AIが成長し過ぎると今度はという不安もありながら、何かいろんな思いを自分の中で今抱きながらお話を聞かせていただきました。
いろんな格言も飛び出しまして、ある意味、楽天主義でというようなお話もありました。私の場合、浮かんだのは、クレージーキャッツの植木等のそのうち何とかなるだろうと、まあそこまで楽天し過ぎるのはいかがなものかとは思いながらも、いい意味で前向きな気持ちでやっぱり取り組んでいく世界なのかなと、そんなふうにも受け止めた次第であります。
まず、今日は小池参考人の方からまずお伺いしたいと思います。
今回のこのある意味国策とも言えるプロジェクトです。非常に、過去、日本政府の様々な支援策の中でも非常に大きな額が今回動くということで、ただ、これは日本だけではなくて世界各国が同じように、日本と同等、それ以上の支援をするということになります。
本当に素朴な質問なんですけれども、なぜ半導体のこの事業、支援にはこれだけの多額なお金が必要になってくるのか、ちょっと素朴な疑問ですけれども、その点お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/62
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063・小池淳義
○参考人(小池淳義君) 礒崎先生、ありがとうございます。
皆さん、本当にこれは驚かれると思うんですけれども、何千億円という資金が必要になるというふうに言われております。これを、ほとんどの分を必要としているのが半導体の製造装置です。これがもうほとんどなんです。
例えば、例に出しますと、露光装置がございまして、EUVという装置ですけれども、オランダのASMLという会社が造っている装置なんですが、これは一台が数百億円します。一台だけで三百億円とか五百億円とかですね、そういう装置を、これを何台も入れなきゃいけないんですね、一つの工場に。ですから、莫大な資金が必要というのはそういう理由なんですけれども、そのEUVという装置はこれはもう絶対必要な装置で、いわゆる微細なパターニングをするために必須な装置だというふうに言われております。
それ以外にも、日本を代表する東京エレクトロンであるとか、あるいはアメリカのアプライド・マテリアルズ、ラムリサーチ、あるいはKLA、こういった装置メーカーがどんどん最新鋭の装置を造っております。かなり前までは大体数億円、一台当たり数億円という値段だったんですけれども、今は大体安いものでも五十億円とか百億円という高額な装置を実は相当な台数、我々のラインには入れなくてはなりません。
そういった形で、この半導体の特に前工程もそうですし、これから、先ほど言いました後工程もそうなんですけれども、そういった製造装置の値段が物すごく高い。こういう形が、我々のその半導体を作っていく上で大きな原因というふうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/63
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064・礒崎哲史
○礒崎哲史君 ありがとうございます。
そうしますと、ちなみに、先週ですかね、このメンバーで千葉の方にデータセンター、白井市の方ですね、IIJさんの方お伺いしてデータセンター見てきまして、そこでやはりデータセンターの方も、この半導体、最新鋭のものを使っていかないと処理能力が遅くなるということで、装置どれぐらいで入れ替えるんですかと言ったら、五年だと。普通の製造業でいったら五年で装置が入れ替わっていく、機械が入れ替わるなんというのはあり得ないと思うので、そういう意味でも、この業界というんですかね、この産業というのは本当に非常にやっぱり多額のお金がいろんな面で掛かるんだなということをそのときにも率直に感じました。
今、小池参考人の方からお話があった、製造装置が高い、で、更に高度なものを作っていこうとすれば更にこの装置は高くなっていくとすると、この産業を持続させていこうとすると、あるいは、新たな参入者ですね、ファウンドリー含めた新たな人たちが事業を起こそうとするたびに政府はこういう支援をやらないと、新しい参入される方たちというのが入ってこれなくなっちゃうのか。そういう意味でいくと、この産業の自主的な持続性というのは果たしてあり得るのかどうか。
そういう意味で、ちょっと難しい、急に小難しい質問になって恐縮ですけれども、じゃ、それに対して政府は今後やっぱりどういう支援をしていくべきなのか、あるいは業界として今後成長していくためにはどういう対応を取っていく、どういうことを想定していくべきなのか、ちょっとその点また小池参考人にお伺いしたいんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/64
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065・小池淳義
○参考人(小池淳義君) 礒崎先生、ありがとうございます。
これは極めて重要な問題だと私も思っております。確かに半導体は、先ほど言いましたように、二ナノであるとかあるいは一・四ナノと、どんどんどんどん微細化が進んでいきます。もちろん、後工程の方で、パッケージを作った技術でもってそこでバランスを取っていくという方法もあるんですけれども、やはり先端半導体を作っていく上では莫大な資金が必要になってまいります。
ですけれども、これは、先ほど国の御支援も必要だということを申しましたけれども、我々も今ゼロからスタートしてこれをいくので、初期の投資あるいは御支援というのはある程度必要になってくるわけでございますけれども、将来においては我々もどんどんこれを回収して、国にどんどん長い時期においてはお返ししていくというスキームを考えております。
ただし、重要なことは、先端半導体は、やっぱり国として資金も御支援いただくということはやっぱり将来においては考えなきゃいけない問題であることは間違いないと思います。これは、先ほど先生もおっしゃったように、あらゆる国がこれのことをやっていて、全産業を支えるキーであるという形で、これはずっと続けていく形になると思います。
ですけれども、私どもとしてみると、各世代ごとにおいては回収できるということを考えておりますし、これにおいては御説明できるような形で今考えておりまして、これが全体がリターンをして、単なる半導体産業だけではなくて、全産業がこれに対する恩恵を受けるという形で考えていただければ多分その帳尻が合ってくると思いますので、そこを含めて、引き続き御支援をお願いしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/65
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066・礒崎哲史
○礒崎哲史君 ありがとうございます。
第四次産業革命を迎えた産業構造でいけば、半導体がないということが多分もうあり得ないということからすると、それを前提にした政府の様々な経済政策含めた支援というのも考えていかなければいけないんだろうなというふうには今改めて感じた次第です。どうもありがとうございます。
では次に、人材育成の観点で黒田参考人と今井参考人のお二人にお伺いしたいというふうに思います。
やはりこの人材育成が何よりも重要だということはもう誰も異論はないというふうに思うんですけれども、その意味で、やはりアカデミアの世界でどのような人材を世の中に送り出していくのかという観点で見たときに何が必要なのかですね。
昨日、本会議の質問があったときに、私、文部科学大臣の方に質問したのは、いわゆる文系、理系の壁、やはり日本は自然科学分野の人材が、そもそもそこに進もうとする学生さんが少ないという、こうした課題もあって、その意味ではアカデミアの世界の方からまたいろいろな仕掛けも含めて変えていく必要が人材育成ではあるのではないかという問題意識を持っています。
その点で黒田参考人と今井参考人それぞれから、アカデミアの視点から見たときの人材育成としてこういうことをしてほしいという、その点、御意見を頂戴できればと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/66
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067・黒田忠広
○参考人(黒田忠広君) 礒崎委員、大変重要な質問をいただきまして、ありがとうございます。
ダイバーシティーが重要だということを先ほど申し上げました。そういう意味でいうと、本来は、文系、理系と分けて理系が働く職場なんだというのも考え直す時期にはあると思います。
工場の中はもうデータサイエンティストを求めているという話を先ほどしました。実際に工場を運営している、あるいは研究をしている人たちが集まる学会に行っても、一昔前までは物理の話をしていました、微細な物理の話をしていましたが、最近ではビッグデータをどう分析するかという話をしています。
時代とともに必要な人材というのはこのように変わっていくわけであります。したがって、アカデミアも柔軟にそういう時代の求める、あるいは次の時代が求める人材はどういう人材であるかという観点からそういう必要な人材を育成していくということが物すごく重要なことだろうと思います。
委員の御質問からは少し外れるかもしれませんが、先ほど小池参考人が、いつ職業決めるのか、若いときなんだと、だから若いときからそういう教育は重要なんだと、これも重要なポイントだと思います。
一方で、職業というのはいつでも変えられるんだと、三十代になって、四十代になって、ああ、こっちの職業、自分はこれからやろうと、そういう職業選択が何度もできる時代に入ったのも事実であります。したがって、そういう観点からリスキリング、学び直すという場を提供するということも重要なんだろうと思います。
先ほど、古賀委員のお膝元の福岡、ここには福岡半導体リスキリングセンターというのが二年ほど前にスタートいたしました。これは大変うまくいっておりまして、現在四十、これデジタル技術を使いますので、福岡に来なくても全国からアクセスしてそのリスキリングの教育を受けることができるんですけれども、これが今四十の都道府県からアクセスをいただいています。ほとんど全国からアクセスをいただいて、六百を超える企業から三千人を超える人が受講していると。ラピダスさんもこれを受講されるということが決まっています。
重要なのは、中小企業で働く皆さんはそんなまとまった時間を使って学び直すというのは難しいので、仕事の休み時間だとかそういう時間を使いながらデジタル技術を使って学ぶ、そこで必要な経費を福岡県は助成一〇〇%しています。そして、この試みは非常にいいということで、この試みが他県に今広がっているわけであります。こうした、アカデミアだけじゃなくて地域が一体になって、そして学生のときだけじゃなくて三十、四十になってもリスキリングできる、そういう国というものを全体でつくっていくというのが重要だと考えています。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/67
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068・今井翔太
○参考人(今井翔太君) 御質問ありがとうございます。
アカデミアで必要な人材ということ、質問でしたけれども、一旦、私の講演の中での内容になるんですけれども、昨今のAIというのは自動研究というものもできます。本当に最近話題になりますけれども、最近行われました大学入試ですね、共通テスト、あと各大学の二次試験において、生成AIというのは共通テストは九一%の正答率、そして第二次試験の東京大学の一番難しいとされている数学の試験でも合格、理科三類合格、一番難しい医学部に通ずる理科三類合格ラインというふうに言われております。
ですので、こういう背景踏まえると、これから時間経過とともに、研究における作業とか、そういうものは恐らくAIが相当部分担うことになるのではないかと思います。私自身は、東京大学博士課程で、そういった作業も含めて、計算をするだとか論文すごく頑張って書く、英語ですごく頑張って書くとかという、そういう訓練受けてきたわけですけれども、こういうところは、自分自身がそういうことを長年やってきた中で変な話ですけれども、恐らくAIが幾らかやってくれることになるだろうと思います。
ということを踏まえると、今後、アカデミアに必要とされる人材というのは相当変わってくるだろうと。これは、私自身は、アカデミアに限った話ではありませんけれども、二つ重要な素質が、あるいは意識があると思います。
一つは、問いを立てることができる力、あるいは価値判断をする力と言ってもいいかもしれませんけれども。作業はAIがするかもしれません。ただ、そもそもどういう研究をすべきなのか、その研究が社会においてどういった意義を持つのか、これはやはり人間が判断すべきところだと思います。
これは実際の研究、論文が出ているところでありますけれども、果たしてこの発展したAIを用いて一番いい研究できるのは誰なのかという研究ありまして、これはやはり熟練した研究者だったんですね。こういう研究者は、別に作業がうまいとか計算すごくうまいとかではなくて、その研究がどういう意義を持つのか、どういう学術的価値を持つのかということを瞬時に判断できる人たちなわけですね。なので、作業というものはほぼAIやるかもしれませんけれども、最終的にこれがどう生かされるべきか、どれだけ重要か、あるいは研究を始める時点でどういう方向性決めるかというところの能力は、AIが発展した今後も研究者、アカデミアに必要とされるところかと思います。
二点目ですけれども、これはアカデミアに限った話ではないです。変わり続ける意識を持つことが重要だと思います。
極端な話、今、小学生、義務教育とか受けている子供たちが高校を出て、大学を出て何らかの職業就きたいと考えているときに、その職業が残っているかどうかというのは正直なところ今怪しい時期です。AIというものが全て駆逐してしまうかもしれないと。そして、アカデミアに関して言っても、果たして今博士課程、修士課程とかで受けている訓練が今後役に立つのかどうか、これもなかなか難しいところだと思います。
なので、やはり今までの世界というのは、AIというものはそこまで発展が速くなかったので、人間が身に付けたスキルというのは今後も役に立ち続けるだろうという、ある種確信に近いものがあったわけですね。ただ、これは恐らく今後変わりますと。それは、はっきり言って、もう何が変わるのか、何が起こるのか、予想できないです。AI研究者も含めてどうなってくるのか予測できないとなると、もう重要なのは、何かが起きたときにそれに対して対応するしかないんだなと。そのための力、意識を身に付けておこうと、そういうところかと思います。
これは、一般も含めてアカデミアの人材にとって非常に重要だと思いますし、政府あるいは省庁とかでもそういうところの啓蒙が必要なのではないかというふうに思います。
以上になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/68
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069・礒崎哲史
○礒崎哲史君 終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/69
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070・岩渕友
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。
三人の参考人の皆さん、本日はありがとうございます。
初めに、小池参考人に幾つかお伺いをしたいというふうに思うんですけれども、参考人のインタビューも掲載をされている、ラピダス、日本製造業の復活へ最後の勝負というルポがあるんですね。これを見ますと、ラピダスの設立に当たって経済産業省から一つの提案があったというくだりがあるんですよ。
どういう提案かというと、ラピダスという無名の会社に七百億円もの税金が投入されることになった場合、国民の理解を得ることが重要になるので、産業界から広く支持を集めている企業とするために日本を代表する大手企業から出資を募ってはどうかというアイデアだったというふうにあるんですね。
これを受けて、いわゆる七十三億円の出資集まるということになっていると思うんですけれども、この日本を代表する大手企業から出資を募ってはどうかというアイデアが経済産業省から提案されたというのは事実でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/70
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071・小池淳義
○参考人(小池淳義君) 岩渕先生、ありがとうございます。
いろんなうわさが飛んでいるんですけれども、私どもとしては、先ほども述べましたように、この会社をつくろうというふうに決めたのは、先ほど言った十四人でこれをつくるということを決めさせていただきました。このためにいろんな研究を、先ほど言いましたように、何回も何回も議論して、まさに夜の八時から十二時あるいは一時、二時までやっていたというお話させていただきました。これをベースにして、取りあえずこの会社をつくろうという形を決めたわけでございます。
当然、そのときの資金というのは余り大きな額ではなかったです、個人のやっぱりその出資でやっておりますから。それにおいて、やっぱりこれだけでは駄目だから、いろんな企業にお願いしようという形で進めてまいりました。それを、先ほどおっしゃったように、国が決めたとかMETIさんが決めたということではなくて、もちろん我々はこういうことをやっていく上においてはいろんな企業の支援が必要だ、ラピダスって無名ですから、確かに、先ほどありましたように。ですから、だけど、やっぱりいろいろ我々内部で議論したときに、それなりの企業の方に出資をいただくということは有効な手段だというふうに考えておりましたので。
あと、もちろん、そのときにどういうふうに進めたらいいかどうかというので御相談したことはあると思います。ですけれども、やっぱり我々自身としては、そういう企業としっかりと出資をしていただくという形のお願いをして回ったわけです。実際に八社とですね、もう本当に大変だったんです、僅か二か月間でこれを交渉するわけでしたから。私自ら全部資料を持って、何回も何回も私の考え方あるいはその方針を御説明して、最後は納得していただいて八社の方に出資をいただいたという形であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/71
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072・岩渕友
○岩渕友君 そうしますと、経産省からアイデアが提案されたというのは事実ではないということでよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/72
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073・小池淳義
○参考人(小池淳義君) 岩渕先生、ありがとうございます。
それは正確には私はっきりしないところもあるんですが、私どもが考えていたのは、これは先ほど説明したとおりでございます。そして、経済産業省さんが、確かに、国のプロジェクトとしてこういうことをやるんだったら、そういうことの議論をした方がいいということも考えておられたのかもしれません。だけど、これは、我々自身としては、やっぱりこの八社の方にきちんと説明して御支援をいただこうという形で進めておりましたから、それがちょっとどっちが先かどうかというのは私ははっきり分かりませんけれども、ただ、私どもとしては、間違いなく日本を代表する八社にこの支援をしてもらうということを確信してやっておりましたから、これは私の方は事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/73
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074・岩渕友
○岩渕友君 ありがとうございます。
続けて小池参考人に伺うんですけど、先ほどの紹介したルポの中で、自民党の半導体の議連に小池参考人と東会長が招待をされて、小池参考人が経営計画をプレゼンしたというくだりがあるんですね。そのときに、この新ファウンドリーが本格的にビジネスを始める二七年までに資金は幾ら必要なのか、七兆円という試算を発表すると、会場がどよめいたというところがあるんですよ。
それで、研究開発と試作に二兆円、量産化に三兆円だというふうに理解をしていたんですけれども、この七兆円というのはどういう金額なのか、内訳がどうなっているのかということが一つと、そのルポの中で、小池参考人がインタビューに答えて、量産ラインの立ち上げに必要な三兆円の半分は、つまり一・五兆円ということだと思うんですけど、民間から集めたいというふうに述べていらっしゃるんですね。この考えは今も変わらないのかと、どういうふうに集める計画かというのを教えてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/74
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075・小池淳義
○参考人(小池淳義君) 岩渕先生、ありがとうございます。
これは、まず第一に言いたいことは、半デジ会議、私も途中から参加させていただいているんですけれども、これは、その各社の報告をしたりとか考え方を述べるという場ではなくて、あるいは決定をする、その場でいろんなことを決定する場ではございません。いろんな皆さんと意見交換をして、そして日本の半導体をどのようにすれば発展していくかという場でございます。ですから、そこにおいて私がそういう報告をするということは、参考例としてそういうお話をすることはあるんですけれども、決して私どもの会社がこうするんだとかああするんだとかいうことに関する審議をする場ではないんですね。
ですから、そういう形において、私は、一例として、一般的にこの半導体がどれぐらい資金が必要なのかというお話はしたことがあるかもしれません。それに関しては、例えば、一般的にこの先端半導体と言われていますのは、研究開発費に二兆円ぐらい掛かるだろう、そして実際に事業を行っていくためには三兆円ぐらいの額が掛かるというのは、これは一般的ですけれども、それぐらいの資金が掛かるというふうに業界では言われております。その数字を言ったという形でありまして。
あと、その中で、多分、一般的に三兆円の事業を実際に行うとなると、自己資金、あるいは自分のその出資をしていただける企業を半分近く集めなきゃいけないというのはこれは事実でありまして、そういうことをやっていかないと世界の半導体メーカーは存続しませんのですから、そういう形の御意見をというか提案を、皆さんに議論をしていくという意味において提案したということはあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/75
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076・岩渕友
○岩渕友君 ありがとうございます。
〔委員長退席、理事古賀之士君着席〕
続けて小池参考人に伺うんですけれども、IBMとアメリカの国防総省との関係などから見て、そのラピダスの半導体が、デュアルユースですよね、を含めて軍事利用されるんじゃないかという懸念持っているんですね。
武藤大臣は国会の答弁の中で、ラピダス社から現時点では軍事への利用は想定していないと聞いているというふうに答弁しているんですよ。さらに、大臣は、政府が将来の販売先について制限を課すことは慎重であるべきだというふうにも言っているんですけれども、この現時点ということは、将来的にはあり得るということなのか、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/76
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077・小池淳義
○参考人(小池淳義君) 岩渕先生、ありがとうございます。
この間もちょっと私述べさせていただきましたけれども、全く今はそういう、武器とかそういうことを使うということは考えておりません。やっぱり一番大事なのは、日本を守るということは自信ありますが、だけど、今のところにおいては、私どもはそういう、兵器を造るとか、それのための半導体を作るということは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/77
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078・岩渕友
○岩渕友君 現時点ではということなので、将来的にはもしかしたら考えることがあるかもしれないという理解でよろしいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/78
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079・小池淳義
○参考人(小池淳義君) ありがとうございます。
基本的に、私が言いましたのは、我々の会社の理念は、いかに人々を幸せに、そして幸福にするということを述べました。その時点において、永遠にそういう形に関する答えはノーです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/79
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080・岩渕友
○岩渕友君 実は、東会長が二〇二三年十月の講演で、重要な部分は国防の領域だと、そういう半導体を我々はまずアメリカのお客さんに届けることをやっていかなければならないというふうに述べているんですね。この発言は御存じだというふうに思うんですけれども、この発言はどんなふうに理解をされていらっしゃるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/80
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081・小池淳義
○参考人(小池淳義君) ありがとうございます。
ちょっと私、その詳しいいきさつはよく分かりませんけれども、我々がやっぱり考えているのは、あくまで原則として私が述べたことで会社は進めているという形において間違いはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/81
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082・岩渕友
○岩渕友君 ということは、小池参考人としては軍事利用はないと思っているということでよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/82
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083・小池淳義
○参考人(小池淳義君) はい、そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/83
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084・岩渕友
○岩渕友君 じゃ、続けてちょっと小池参考人に伺うんですけど、昨日の日経新聞で、「半導体 国際分業に転機」という記事が掲載されていたんですね。トランプ政権が米国への半導体投資を促す下で、今各国が半導体の内製化に力を入れているというような内容で、ラピダスにとって顧客獲得は一層難しくなるというように書いてあったんですね。四月二日付けの日経新聞にもいろいろ書いてあって、TSMCがアメリカに三つの先端ロジック半導体の工場を追加するということを紹介していて、日本にしか拠点がないラピダスに半導体の生産を委託する優先度は下がりかねないというふうに書いているんです。
非常に逆風の状況かなというふうにも思うんですけれども、こうした中で顧客が見込めるかということについてどうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/84
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085・小池淳義
○参考人(小池淳義君) 岩渕先生、ありがとうございます。
確かに、そういうふうにアメリカの方で考えていることはあるかもしれません。ですけれども、私どもとしましては、これはやっぱり友好国におけるグローバルなエコシステムを形成していくということが一番になっております。ですから、アメリカにおいて、確かにTSMCが、シーシー・ウェイがトランプに約束しましたように、アメリカに前工程を三つ造る、後工程を二つ造る、研究開発を一つ造るというようなお話をされたという話を聞いております。これ、確かに、いろんなバランスを考えてTSMCのシーシー・ウェイ会長も、CEOもそういう御発言をなさったんだと思いますけれども、将来は分かりません。可能性はいっぱいあると思います。
ただし、私が言いたいことは、この先端半導体を作るために必要なことは、もちろん研究開発は世界中の国がやっております。だけど、これをしっかりと量産して作り切れるという企業はそれほど多くはないと思っております。ですから、TSMCはすごい企業です、今の台湾においてこれを進めていく上においては必ずできるでしょう。だけれども、先ほど言いましたように、将来のいろいろなバランスを考えていた点においてはよく分かりません、それに関しましては。もうこれはいろんなバランスがありますから、お分かりのように、アメリカの方で必ずしも物づくりが得意でない、ある程度の環境がそろわないと作れないということもあると思います。
ただし、我々がはっきり言えることは、日本においては優秀な技術者あるいは物づくりの得意なエンジニアがいるということが必ずこの先端半導体を物にするという自信を持っておりますので、そこのところは、これからのアメリカあるいは日本、友好国との関係において我々の持っているポジションは極めて重要になっていくというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/85
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086・岩渕友
○岩渕友君 ありがとうございます。
次に、黒田参考人に伺いたいんですけれども、三月十一日付けの朝日新聞に、機械振興協会の井上特任研究員という方が、インタビュー記事が掲載されているんですけれども、これからも微細化が進むとする想定が、半導体ですよね、古いんじゃないかと、最先端の微細化半導体を作るよりも、ICチップを高度化する集積化技術に重点を置くべきじゃないのかと、この分野は製造装置や材料など日本メーカーが強いので、産業政策上、産業育成の効果が見込めるというふうに述べているんですね。
日本の強み生かすということは重要だというふうに思うんですけれども、こうした考えについて参考人がどんなふうにお考えになられているか教えてください。
〔理事古賀之士君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/86
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087・黒田忠広
○参考人(黒田忠広君) 岩渕先生、どうもありがとうございます。
私、その記事をもう一度読み返してみたいと思いますが、恐らく私が申し上げたことは今日申し上げたことと変わらず、微細化を進めることは今後も非常に重要であると同時に、いわゆるチップレットという時代に入りますので、様々なチップを組み立てる、特に3Dに実装するという技術は日本に強みがあるし、投資効果も高いので、今後はそこに投資するということも同様に重要になるという趣旨の発言をしたんだろうと思います。
私からは以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/87
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088・岩渕友
○岩渕友君 ありがとうございます。
最後に、今井参考人に、時間がなくてあれなんですけれども、先ほど参考人が紹介されていたトロント大学のジェフリー・ヒントン名誉教授なんですけれども、AIが人間のコントロールを超えるおそれについて注意を払う必要があると度々警告を発しています。
EUではちゃんと法整備されているんですけど、日本では事業者の自主性に委ねられていると。日本にどんなルールが必要だというふうにお考えでしょうか、お聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/88
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089・今井翔太
○参考人(今井翔太君) ありがとうございます。
法整備は少し僕の専門分野とずれますので難しいところもございますけれども、まず、冒頭のヒントン教授の、将来人間をコントロール、人工知能が結構危ないところに行ってしまうかもしれないというのは、これはおおむね事実かと思います。
ただ、EUとかの現在の法制度がそこまで極端なところを考えて整備されているかというと、そうではない部分もある。むしろ、どちらかというと、もう少し下の、下の方と言うと言い方あれですけれども、人工知能によって著作権とか侵害されるおそれのある、そういう人たちとか、データを持っていかれると少し困るかもしれないという、そういう人たちに対する法整備とかは恐らく進んでいると私は理解しております。
それはちょっと我々研究開発事業者からするとなかなか難しいところでして、一長一短、もちろん国民から見ると少し違うところがあるかもしれませんけれども、人工知能技術、今後非常にあらゆる分野を左右するところにおいて、やはり制限を掛けるとほかの国に後れを取ってしまうというところで、バランスというところがかなり難しい。
日本というのは、ある程度緩い方と言われています。ただ、私自身、研究者としていろんな意見、特にクリエーターの方たちから意見受け取っていますので、特にそういう直接的に人工知能の被害を受ける可能性のあるクリエーターの意見を取り入れた法整備というのは重要なのではないかなというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/89
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090・岩渕友
○岩渕友君 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/90
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091・平山佐知子
○平山佐知子君 平山佐知子です。よろしくお願いいたします。
今日は、本当に充実した御意見様々いただきまして、幅広いこれまでも議論が行われましたので、たくさん私も質問したいことはあったんですが、これまでの議論にあったので、そのほか幾つかお伺いしたいなと思います。
まずは、小池参考人に伺わせていただきます。
私は、去年の夏にラピダスの建設現場、視察をさせていただきました。今まで見たことないようなピッチというか速さで進んで、建築機材というんですか、あれが物すごい勢いであって、あっ、こんなにすごく速いスピードで行っているんだなという印象を持っているんですけれども、それから十二月には製造装置を搬入をされて、そして四月にはパイロットライン立ち上げということで、これに懸ける思いとか覚悟というのも今日もお聞かせいただきました。
そんな中で、世界の市場を見ますと、今年中には回路幅の二ナノ世代の半導体がもう出回るということを言われていますし、さらに二〇二七年になりますと、微細化もっともっと進んでいって、この回路幅一・四ナノ世代の半導体が出回るという予想も伺っています。
こういう中で、やっぱり素人的に考えると、ちょっと遅れてしまっているんじゃないか、それが十年なのか二年なのか何年なのかは分かりませんけれども、出遅れ感というのをどうしても感じてしまいます。そこでもやっぱりチャレンジをしていかなくてはいけないという思いも分かりますし、二ナノを達成、量産化達成した後にはやっぱり更に微細化に進むというお話もこれまでもありました。
その出遅れ感というか、遅れ、じゃ、取り戻せるのかとか、どこかで抜かせるのかどうかとか、その出遅れ感、特に問題がないのかどうか、その辺りの話をちょっと伺わせてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/91
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092・小池淳義
○参考人(小池淳義君) 平山先生、ありがとうございます。
我々の方の二ナノと言っておりましても、実はこれはいろんな種類の二ナノがございます。昨今発表されております二〇二五年に量産するであろうと言われる二ナノというのは、いわゆる初期型の二ナノでございます。ですから、私どもがこれ、今まさにパイロットを行ってこれから量産をしていくという二ナノというのは少し違います。
これは、サイズの方において、二ナノといっても実はいろんな種類の二ナノがあるんですね。我々の方の今まさにパイロットを進めておりますのは、サイズとしてもかなり小さい二ナノになっております。もちろん、二〇二五年に使われるであろうお客様は限定されたお客様になっております。大量に必要とする、そういうお客様になっておりまして、我々がこれから世界が必要にするいわゆる二ナノ、私どもの言っている二ナノですね、これが必要とするのは、やはり二七年以降にがあっとボリュームが上がってくるというふうに思っております。
もちろん、優れたT社においてはこれは早く行くと思うんですね。彼らはすごいですから、やはり我々の狙っているところもまた出してくる可能性があります。それに向けては、先ほど我々が申し述べましたように、スピードがあるんです。我々はスピードが圧倒的に速いんです。大体二倍から三倍ぐらいの速さでこれを製造し、しかもパイロットを回すことができます。ですから、歩留りの上がるスピード、あるいは開発をするスピード、量産に向かっていくスピードというのは圧倒的に速いんです。ですから、今その差が仮に一年あったとしても、これは十分にキャッチアップして、更にもっと先に行きますと、初期のところで遅れた部分がございませんから、必ずこれに追い付いて大きな世界になっていくというふうに考えています、技術的には。
もう一つちょっと言いたいことは、確かに二ナノの時代、確かに先端の二ナノ、あるいは我々が作る、失礼、初期の二ナノ、我々が作る先端の二ナノとあるわけですけれども、全体のマーケットは信じられないぐらい大きくなっていくんですね。ですから、真っ向から我々が勝負をして、ある程度必要だと言っている量に対して、世の中が必要としているAI半導体は全然足りないんです。ですから、真っ向から我々T社と戦うつもりはありません。ですけれども、ほかのところは、実はいろいろな情報から、非常に苦戦しているという話も聞いております。
ですから、我々は真っ向からT社と戦うつもりはなくて、この巨大なマーケットに対応して、我々のところがここを補足していく、あるいは互いにこれを振り分けてやっていくという世界に必ずなってくると思います。それでもまだ足りないんです。ですから、そういう形で我々のこの二ナノの技術ということをしっかりと進めていくということに関しては、今のところ自信がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/92
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093・平山佐知子
○平山佐知子君 ありがとうございます。
続けて、ちょっと今伺ったことに対してお伺いしたいなと。微細化だけが求められているものではなくて、やっぱりその需要、マーケットを見ていかなくてはいけないのかなということを思いましたけれども、先ほど長峯先生の質問であったかなと思いますけれども、前工程、後工程、一貫して行うことに強みがあるんだ、これもう世界初なんだというお話がありました。
その中で、じゃ、なぜそれが今までできていなかった、ほかのところでできていなかったという中で、その前工程と後工程ではもう言語が違うぐらいの、エンジニアが交流できないぐらいのその違いがあったからみたいなお話を伺って、なるほどと思ったわけですが、じゃ、なぜそこをやろうというところが現れなかったのか。そもそも慣習なだけだったのか、それともできなかったのか、そして、なぜラピダスさんがそれができるのかというところをもう少しちょっと詳しく伺いたいなと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/93
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094・小池淳義
○参考人(小池淳義君) 平山先生、ありがとうございます。
これはかなり核心的な御質問だと思います。非常に、実はビジネスモデル、先ほど御説明しましたけど、分業化が進んだんです。だから、日本においても、前工程が非常に進んでいても、後工程はコストの問題、当時の後工程は自動化が進んでいなかったので、ほとんど人件費だったんです。ですから、東南アジアに全部その後工程を出してしまったんです。もちろん、その方がコストが安いですから、日本としてはその方がメリットがあったわけです。
その後、先ほど申し述べましたように、そこの後工程の技術がレベルががんがん上がってきたんですね。ですから、技術が必要になってきましたし、自動化も進んできたんです。ですから、これによって、我々ずっと考えていたのは、前工程と後工程を組み合わせるともっと新しい相乗効果があるかもしれないということを申し述べましたけれども、そういう世界が少しずつ見えてきたんですね。
ところが、例えば後工程でやりますと、優れたほかのライバル会社はそうなんですけれども、そういうところはある程度償却が終わったラインを使って後工程をやっていたんです。もちろん、その方がコストは下がって、その当時、今もちょっとある程度そうなんですが、後工程は先端の装置が要らなくても済んだわけです。だから、ある程度償却が終わったラインを使って、それで後工程をやっているという形にはなっていましたから、一つの工場に前工程も後工程も同時に造ろうという考えや発想はなかったんです。
だけど、我々は一からこれをスタートするわけです。ですから、この後工程に関して新しい技術が要る、新しいそのアイデアが出るということができる絶好のチャンスだったんです。ですから、これをいろいろ考えて、今までになかった後工程の装置を開発する、プロセスを開発するということをやることの絶好のチャンスが我々に来た。これを組み合わせることによって新しいイノベーションを起こせるし、全自動でやりますからコストも下がりますし、いろんなメリットが出てくるという新しいビジネスモデルを今打ち立てたという形になっています。
ですから、もちろん先は分かりません。我々のこのやっていることを見て、ライバルも同じようなことを考えてくることは十分考えられます。だけど、大事なことはいつも先を行くことです。必ず先を考えて、ライバルに負けないように、次々にイノベーションを起こして、絶えず挑戦していくということが我々は一番大事だというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/94
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095・平山佐知子
○平山佐知子君 ありがとうございます。本当に絶えずチャレンジというところを受け止めさせていただきました。
また、三人の参考人の皆様に伺いたいんですけれども、そうすると、やっぱり日本がまずチャレンジをして独自のものを築いていくということが大切なのかな、日本の強みということも先ほどお話の中で出てきました。物づくり、世界に冠たる物づくりを、元々持っているこの日本の真面目さであったり、安定的に作れる力であったりとか、そういうものというのは必ずこの国内にはあると思うんですけれども、その日本の物づくりの強みをこの半導体にどう生かしていけるのかとか、人材の話もあります。
今までずっと話を聞いてきましたけど、人材とか物づくりとか製造とか、そういうところで日本独自のものというのは何か出していくべきなのか、それとも、そういうものは余り必要ない世界なのかということも、ちょっと大きな話になって申し訳ないんですけれども、三人の方にちょっとお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/95
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096・黒田忠広
○参考人(黒田忠広君) 先生、大きい質問ありがとうございました。
まさに、世界が協力して生きていく時代に入った中でいかに世界と連携するかは、自分が世界に貢献できるユニークな強みを持っているかということなんだと思います。全部を自分でやることはもうできません。したがって、自分が強いものを、世界から期待されるものを持っていれば、自分に足りないところは世界と連携することによって補って、一緒に作っていくことができると。まさにそういう時代に入った中で、日本の強みというのは最先端の半導体を製造する力であると、こう理解しています。
私からは以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/96
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097・小池淳義
○参考人(小池淳義君) ありがとうございます。
黒田先生にも通じるところがあるんですが、お答えにですね。日本人が、私が個人的に思っているだけかもしれませんけれども、非常に強いのは、ほかの国だと、これは俺がやったんだ、すごいイノベーションを起こしたのは俺だ、こう言うわけですね。これはひょっとすると文化的なものがあるのかもしれませんけれども、よく産業界で言われている暗黙知というような形であって、いろいろ自分の問題点を、あるいはチャレンジすることを共有化するんです。
これは私がやったとか、俺のものだというふうに言わなくて、そうじゃない、この問題点を解決するためにお互いに持っているデータをシェアしよう、本当にいいものを作ろうという意欲が強いんですね。私は、こういう国民は非常に珍しいと思います。だから、これは実は半導体の製造に物すごく向いているんです。
ですから、私はやっぱり、先ほど黒田先生がおっしゃったように、エコシステムでいろんなところでやっていく。我々は全てをやろうとしておりません。だけれども、この物づくり、半導体の物づくりについては日本は一日の長があるんです。ですから、これをうまく合わせて、むしろ世界中でこれを学びたいという人もいっぱいおられます。そういうときは是非日本に来ていただいて、この日本の半導体の物づくりを学んでいただきたいと思っていますし、先ほど言いました日本人が持っている特性、暗黙知のこの技術を使って半導体一緒に作ろうというところが我々の最大の強みだというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/97
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098・今井翔太
○参考人(今井翔太君) 御質問ありがとうございます。
日本の強みということで、私自身はAIの研究者ですので、若干AIの視点からのお話になりますけれども、そういう強みはあると思いますし、生かしていくべきだと思います。
これはちょっと日本の文化のお話、世界の文化と比較した日本の文化、AIに対する価値観のお話になりますけれども、世界的にはどちらかというとAI・VS・ヒューマンという意識があるようです。これは恐らくキリスト教とかの宗教的なところも根源はあるかとは思いますけれども、映画とかを見ていても、人間社会に何かAIという異物が侵略してくるみたいの多く見られます。
一方で、日本というのはAI・ウイズ・ヒューマンですね、ドラえもん、アトム、そのほかいろんな文化コンテンツありますけれども、ああいう人間以外の知的存在が人間を助けてくれるという、ああいう文化コンテンツ生み出してきたのは基本的には日本ですと。半導体とかまでそういうのが及ぶかどうか分かりませんけれども、そういうものを多分日本人は、人間をパートナーとしたAIを恐らくつくりたいと感じるはずです。
そうなったときに、これまでとは違う、GPU、CPUとかと違う、あるいはそうであっても若干特徴は違うものをつくらないとそういうものは実現できないということであれば、日本人というのは多分頭を絞って考えると思いますので、そういう文化資本的なところは日本強みあると思いますし、それを生かした物づくりを半導体にも絡めてできるかと思います。
先ほど小池社長の方からもありました暗黙知を生かすという点、これはまさにそのとおりでして、暗黙知のその経営理論、「知識創造企業」という本を書かれた野中郁次郎先生は日本の経営学者ですし、やはりそういうものが生かされる土壌が日本にはあると思いますので、そういうところも物づくり、まさに半導体は物づくりかと思いますので生かせると思いますし、それで世界に先行することはできるのではないかなというふうに思います。
以上になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/98
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099・平山佐知子
○平山佐知子君 時間が来ましたので終わります。今日はありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/99
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100・牧山ひろえ
○委員長(牧山ひろえ君) 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。
参考人の皆様に一言御礼を申し上げます。
参考人の皆様には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)
午後一時四十分に再開することとし、休憩いたします。
午後零時四十七分休憩
─────・─────
午後一時四十分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/100
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101・牧山ひろえ
○委員長(牧山ひろえ君) ただいまから経済産業委員会を再開いたします。
政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
情報処理の促進に関する法律及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局審議官大森一顕君外四名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/101
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102・牧山ひろえ
○委員長(牧山ひろえ君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/102
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103・牧山ひろえ
○委員長(牧山ひろえ君) 休憩前に引き続き、情報処理の促進に関する法律及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/103
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104・越智俊之
○越智俊之君 自由民主党の越智俊之です。
本日は質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
今回審議対象となっております情報処理の促進に関する法律及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案に関してですが、先ほど三名の参考人の方から御意見、貴重な御意見をいただきまして、大変有意義な勉強をさせてもらったと同時に、この法案の重要性を再認識したところでございますけれども、この法案は、生成AIの利活用の急速な拡大を背景として、最先端半導体の安定的な生産を可能とするとともに、AI向けのデータセンターの整備を促進し、あわせて、デジタル人材の育成を推進するものと承知しております。また、AI、半導体に対する支援の枠組みとして、昨年度閣議決定されたAI・半導体産業基盤強化フレームを可能とするため、エネルギー特別会計に新たな勘定を設けるなど、所要の措置を講じるものと承知しております。
その中でも、本法案の中核というべき半導体政策についてまず御質問いたします。
半導体についてですが、これはスマートフォンやパソコンに限らず、自動車や家電製品、そして医療機器といった多岐にわたる製品に使用されている重要な部品です。今や電子制御されていない製品を探す方が難しく、その裏には必ず半導体があるわけですから、国民の生活に非常に密接に関連しており、現代社会において極めて重要な役割を果たしていると言えます。そして、例えば自動運転車などの将来の技術やIoTを活用したDXを実現するためには、半導体の進化が不可欠です。加えて、半導体の進化の歴史は省電力性能の進化の歴史でもあります。世界的な課題でもあり、我が国でも力を入れて取り組んでいるGXの実現にも半導体の進化が大いに貢献することと期待されております。
さらに、半導体は経済安全保障の観点からも重要です。これまで述べてきたような重要な役割を担う半導体の供給、そして生産能力を他国に依存してしまうことは、地政学リスクの高まりや温暖化に伴う世界的な災害リスクの高まりを考えると、経済安全保障上の脆弱性を生じさせるおそれがあります。実際、二〇二一年から二〇二二年にかけて、コロナ禍によるサプライチェーンの混乱や災害などが原因で世界的に半導体不足が発生し、自動車や給湯器など多くの製品の生産、修理に悪影響が及びました。こうしたことを受け、世界中で自国内に半導体の生産能力を確保することが急務となっており、大規模な予算を投入して取り組んでいます。
こうした中、政府としても、自民党としても、二〇二一年頃より半導体産業に対して大規模な支援を行う方向にかじを切りました。かつて日の丸半導体と呼ばれ、一九八〇年代後半には世界のシェアの半分以上を誇った我が国半導体産業ですが、その後のビジネスモデルの変化や日米半導体協定などにより価格競争力の低下や技術革新の停滞を招くことになり、残念ながら、その後三十年以上、シェアは右肩下がりに衰退してしまいました。我が国半導体産業の復活が求められています。
しかし、過去三十年間の我が国半導体産業の凋落を見るに、これまでと同じやり方では半導体産業の再興は難しいのではないでしょうか。政府としても、令和三年度補正予算以降、大規模な予算措置を講じることで熊本へのTSMC誘致に代表されるような半導体への大規模投資を実現させてきましたが、こうした半導体産業復活に向けた現在の政府の取組に過去の失敗の反省はどのように生かされており、過去の政策とどのように異なるアプローチを取っているのでしょうか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/104
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105・武藤容治
○国務大臣(武藤容治君) 越智委員から過去の失敗の反省等について御質問をいただきました。
日本の半導体産業の凋落した要因、今も委員おっしゃっていただきましたけれども、国内企業の再編ですとか日の丸自前主義の技術開発に注力する傾向にあり、技術開発や販路開拓の面で海外との連携やグローバルな技術動向への対応が不十分であったこと、また、バブル経済の崩壊後に民間で将来に向けた思い切った投資ができず、政府も適切な支援を機動的に講ずることができなかったことなどの反省点があったと考えております。
その上で、現在の半導体政策、これは、ラピダスプロジェクトでは、米国のIBMやベルギーのimecといった海外トップクラスの機関との密接な連携を進めているところであります。また、半導体のユーザー側にも着目をし、顧客開拓につながる設計開発支援も行っているところです。また、適切な支援を機動的に実施できるよう、AI・半導体分野へ七年間で十兆円以上の公的支援を行う財源フレームを措置するなどといった方策を講じているところであります。
引き続き、過去の反省を真摯に受け止めながら、我が国半導体産業の復活に向けて全力で取り組んでまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/105
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106・越智俊之
○越智俊之君 御答弁ありがとうございます。
過去の失敗をしっかり分析した上で現在の大規模な支援を講じていることが確認できました。そのような反省と新たな方向性によって今般の半導体政策が一層効果的になるものと期待しております。
そして、日本の半導体産業を復活させるための基幹プロジェクトがこのラピダスプロジェクトであると理解しております。二十八から六ナノメートルのロジック半導体を生産する熊本のTSMCプロジェクトは、日本で生産されてこなかったものの、世界では各地で生産しており、TSMCも生産実績がある半導体を日本で生産しようというプロジェクトです。経済安全保障の観点からは、我が国で生産できる半導体を増やしていくことは非常な大きな意味があると考えますし、地域経済にも大きな影響を与えるものだと思いますが、言わばある程度成功の可能性が高いプロジェクトであるとも言えます。
一方、このラピダスプロジェクトは、二ナノメートルという、まだどの国でも、どの事業者でも量産が開始されていない最先端の半導体を量産しようというプロジェクトです。難易度が高いプロジェクトだと思います。しかし、こういった最先端技術を我が国が保有をするということは私は非常に重要だと思います。最先端技術を持たない国は最先端技術を持つ国のフォロワーにならざるを得ず、自立的に様々な物事を決めていくことができなくなってしまいます。ラピダスはたまたまIBMから技術供与を受けることができましたが、望んだからといって必ず供与を受けられるものでもないと思います。そういう意味では、千載一遇のこのチャンスを生かして、我が国に最先端半導体の技術の拠点を築かなければいけません。
そこで、改めて、ラピダスプロジェクトによって次世代半導体を日本国内で生産することの意義について御見解をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/106
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107・武藤容治
○国務大臣(武藤容治君) ラピダスが量産を目指す二ナノの次世代半導体でありますが、DX、GXなど産業構造が大きくパラダイムシフトを迎える中で、生成AIや自動運転等に不可欠なものであります。経済安全保障上も、先生がおっしゃられたように重要であり、グローバルな需要も特に大きく増大すると見込まれているところです。
このように、今後の経済、産業、生活に不可欠となるこの半導体を他国に依存して購入しなければ生きていけない国になっていくのか、あるいは、日本の中でこれを生産することによって国内に富を生み、世界にも貢献できるようになるのか、まさに今その分岐点に立っているものだと認識をしているところです。
二ナノの次世代半導体の量産は、海外のトップ企業も含め、いまだ実現に至っていない野心的な取組でもあります。これを諦めては我が国の国益を大きく損ねることになりかねないと、こうした強い問題意識の下で、国として一歩前に出る形で本プロジェクトを推進してまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/107
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108・越智俊之
○越智俊之君 御答弁ありがとうございます。
私も先ほど申し上げ、大臣も今おっしゃったように、このラピダスが目指している二ナノメートルの次世代半導体の量産については、世界中のトップメーカーを含めていまだ実現に至っていない非常に高度で難易度の高い技術です。最先端技術を保有することの必要性について私から先ほど申し上げましたが、一方で、これまででそうした技術を持たなかった我が国が本当に量産を成功させることができるのか、懸念する声もあると承知しています。
ロジック半導体については、TSMCが熊本に来るまでは、我が国の技術は世界のトップ企業に比べて十年以上の遅れがあるとも言われております。そこで、技術的に遅れていた我が国が難易度の高い最先端半導体の量産をどのように実現するのか、ラピダスプロジェクト全体のスケジュールを含めて、経済産業省の御見解をお聞かせください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/108
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109・奥家敏和
○政府参考人(奥家敏和君) お答え申し上げます。
ラピダスプロジェクトは、二〇二七年に二ナノ世代の次世代半導体の量産基盤の構築を目指すものであります。ラピダス社が量産を目指している次世代半導体は、海外のトップ企業も量産に至っておらず、難易度が高いという、これは事実です。他方で、二ナノ世代で用いられる技術は、三ナノ世代、古い世代の技術とは半導体の基本的な構造に大きな違いが存在します。製造技術も大きく変わることもあります。競合他社の先行優位が小さく、新規参入者には大きなチャンスがあるというふうに考えています。
こうした中、技術開発につきましては二〇二二年より開始しておりまして、先月の外部有識者による審査において順調に進捗していると評価もされています。また、北海道千歳市の拠点についても、今月のパイロットラインの立ち上げを開始しています。さらに、量産技術の確立に向けましては、ラピダスは、競合他社よりも短納期の生産方式を採用することで歩留りの改善スピードを向上させていく方針であります。
経済産業省といたしましては、二〇二七年の量産開始に向けまして、外部有識者による審査を踏まえながら、ラピダスの事業計画の進捗に応じまして必要な支援を行ってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/109
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110・越智俊之
○越智俊之君 このラピダスプロジェクトは、我が国の半導体産業、さらには日本全体の国益にとって極めて重要な意義を持っています。二〇二七年の量産開始を目指しているこのプロジェクトを何としても成功に導かなければならないと強く感じています。
しかしながら、これだけの大規模プロジェクトですので、これを進めていくに当たっては多くの課題に直面することは避けられません。例えば顧客獲得です。二ナノメートルのロジック半導体の生産と開発に挑戦しているのはラピダスだけではありません。日本のみならず、例えばTSMCやサムスンなどもこの最先端技術に挑戦しています。
卓越した技術と巨大な資金力を持つこうした世界的な大企業を競合として、ラピダスのような新興企業はどのように顧客を獲得していくのでしょうか。競合他社に対するラピダスの競争戦略と顧客獲得の状況について、経済産業省の御見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/110
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111・奥家敏和
○政府参考人(奥家敏和君) お答え申し上げます。
近年、最先端半導体の製造に要する期間が長期化しています。半導体設計企業などの顧客側においては、短納期製造を求めるニーズが高まっていると認識しています。ラピダスはその製造方法につきまして、複数のウエハーをまとめて処理する従来のバッチ方式ではなく、ウエハーを一枚ずつ処理する枚葉式を採用することなどを通じまして、受注から納入までの期間を短納期化することを目指しています。これによりまして、TSMCやサムスンなど既存の企業とは異なる競争軸で新たな顧客価値を提供する方針です。
こうしたラピダス独自の事業戦略に新たな価値が見出された結果だと考えておりますけれども、IBMがAI半導体の製造委託先にラピダスを活用すると公表し、ほかの北米の新興企業との連携も進んでおります。国内でも、ラピダス、プリファードネットワークス、さくらインターネットとの間でAI計算基盤の構築に向けた提携が発表されるなど、着実に進展が見られています。
今月から千歳パイロットラインの立ち上げが開始される中で、今後の試作結果を踏まえて顧客獲得が加速していくということを期待しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/111
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112・越智俊之
○越智俊之君 御答弁ありがとうございます。顧客の獲得に関しても、引き続きしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
こうしたビジネス戦略、差別化戦略が構築ができているということは、プロジェクトの成功に向けて非常に良い兆しだと感じています。これまでの日本は、しばしば、技術で勝ってビジネスで負けるといった評価を受けてきました。つまり、技術的な優位性を確保しながらも、ビジネス面での戦略や差別化戦略が不足していたために、結果として市場競争で敗れてしまうということが多かったということです。
ラピダスプロジェクトにおいては、単に技術的な進歩を追求するだけでなく、その技術をどのようにして市場で成功させるかのビジネス戦略を練り、それを実行に移すことが不可欠です。そして、ビジネスで負けてしまった過去の日本の半導体産業の失敗を繰り返さないように、半導体産業の凋落を反省材料として、ラピダスプロジェクトの進行においてそれらの教訓をしっかりと生かしていくことが必要だと感じております。
さて、私は、これまで商工会という団体の青年部の活動に打ち込んで、全国商工会青年部連合会の会長を務めるなど、中小企業や小規模事業者の支援、積極的に応援してまいりました。そのため、地域経済や中小企業への影響という観点から、半導体、AI、そしてデジタル政策についてお聞きしたいと思います。
中小企業・小規模事業者は、地域の経済、そして雇用を支える重要な存在であるということは言うまでもありませんが、経済的側面のみならず、災害からの復興を支え、地元のお祭りを支えるなど、地域の文化を継承していく存在でもございます。どのような産業政策も、地元の中小企業・小規模事業者を置いてけぼりにするようなものではあってはいけないと思います。半導体も、特にその工場には広大な土地や大量の水が必要であることを考えると、その多くが地方に立地するわけであり、この半導体投資は地域経済の起爆剤になると期待しております。地元である広島県にも、東広島市というところにマイクロンが大規模な工場を置いております。
そこで、お伺いいたします。我が国の半導体産業への投資により、どのような経済波及効果が期待できるでしょうか。特に、地域経済、地元経済や中小企業・小規模事業者、関連産業従事者への波及効果の観点からの影響についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/112
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113・奥家敏和
○政府参考人(奥家敏和君) お答え申し上げます。
半導体に関わります大規模投資は、地方経済に広範な波及効果をもたらす大きな起爆剤になるというふうに考えています。近年、熊本県、北海道、広島県など、半導体メーカーが大規模投資を行っておりますけれども、半導体製造に直接関わる装置、素材メーカーのみならず、中小企業を含めまして、関連するサービス産業等の企業集積、賃上げ、雇用創出が誘発されております。
例えば、TSMCの進出決定以降、公表されている情報だけでも、中小企業を含めまして八十六社の企業が熊本県への進出又は設備拡張を決定しています。また、TSMCの進出を契機に、九州地域におきましては、二〇二三年度の全産業の設備投資の伸びが過去最大の四六・二%を記録しているほか、熊本県では一人当たり雇用者報酬が年三十八万円増加すると試算されています。経済波及効果につきましても、TSMCが立地している熊本県では、二〇二二年から十年間で約十一・二兆円の効果という試算もあります。
経済産業省といたしましては、地元の関係機関とも連携しながら、地元企業とのマッチングや人材育成などを進めることによりまして地域経済の活性化につなげていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/113
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114・越智俊之
○越智俊之君 ありがとうございます。
熊本を始め各地に経済波及効果が現れているということですが、まさにこの半導体投資が地域経済の活性化に多大な貢献をしているということだと思います。
関連して追加でお伺いいたします。
今回の北海道のラピダスプロジェクトについては、まだ研究開発段階にあるため、地元への波及効果が現れてくるのはこれからだと思いますし、先ほど少し参考人からも発言ありましたけれども、経産省としてどのような地域経済への波及効果を見込んでいるのか、期待も含めてお答えいただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/114
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115・奥家敏和
○政府参考人(奥家敏和君) お答え申し上げます。
ラピダスが立地する千歳市によりますと、半導体製造装置メーカーのラムリサーチを始め、昨年末時点で既に三十七社の半導体関連企業が千歳市にオフィスなどの拠点設立を決定するなど、地域での産業集積も進みつつあります。また、周辺地域では、飲食店や商業施設の建て替えや道路などのインフラ整備も進んでいる状況です。民間企業による試算では、今後十四年間の累計で約十九兆円の経済波及効果が期待されているところであります。
ラピダスと道内企業とのマッチングなども進んでいると認識しています。例えばですけれども、パイロットラインに関連するソフトウェアの開発や従業員などの輸送などの業務の契約が既に成立していると認識しております。
経済産業省といたしましても、地元の関係機関、自治体とも連携しながら、地元企業とのマッチングや人材育成などを進めることによりまして地域経済の活性化につなげていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/115
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116・越智俊之
○越智俊之君 ありがとうございます。
北海道においても地域経済の活性化の効果が現れつつあるということは非常に喜ばしいことだと思います。地域経済の活性化という観点からも是非ラピダスプロジェクトを進めていただきたいと考えております。
先ほどから地元企業とのマッチングを進めていきますと御答弁いただいておりますが、私からも先ほども申し上げたとおり、どのような産業政策においても地元の中小企業や小規模事業者を置いてけぼりにしてはいけないと思っています。先ほどからおっしゃっているような経済波及効果も、既に半導体のサプライチェーンに組み込まれている関連企業のみが裨益するようではいけないと考えています。
しかし、何もしなければ、半導体には高い技術が求められるわけですから、地元の企業がそこに直接参入していくというハードルは高いと思います。半導体投資の効果を地元の中小企業や小規模事業者に広げていくために経済産業省ではどのように取り組んでいくのか、お答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/116
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117・奥家敏和
○政府参考人(奥家敏和君) お答え申し上げます。
世界で増加する半導体需要を取り込み、地域の中堅・中小企業にも波及させることは、地方創生や国内サプライチェーン強靱化の観点からも重要な論点です。
半導体産業では、産業の構造上、TSMCのような大手デバイス企業の直接の取引先は大手装置、素材メーカーが中心となり、地域の中堅・中小企業が直接取引できる機会は限られる傾向にはあります。他方、こうした装置メーカーへの部品の供給でありますとか、物流、メンテナンスなどの周辺産業などでは、地域の中堅・中小企業の参画と地域経済への波及効果が期待されるところです。
政府といたしましては、こうした波及効果を確実なものとするために、各地に産学官連携で設立いたしました人材育成等コンソーシアムなどを通じまして、大手半導体企業と地域の中堅・中小企業とのマッチングを実施しております。地元自治体とも協力して各地の実情に合わせた様々な取組を行っておりまして、具体的な成果も出始めております。
今後も、半導体関連投資が地域の中堅・中小企業や地域経済の活性化につながるよう、引き続き関係自治体と連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/117
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118・越智俊之
○越智俊之君 ありがとうございます。
是非、地元の中小企業・小規模事業者が置き去りにならない、むしろ彼らが主役となるような、そういった半導体政策を進めていただきたいというふうに思います。
その観点から、半導体についてもう一問質問したいと思います。
TSMCやラピダス、そしてマイクロンといった企業による大規模投資が進む中で、人材がこれらの企業に集中し、中小企業や小規模事業者から流出してしまうのではないか、あるいは中小企業・小規模事業者の採用が難しくなってしまうのではないかという懸念の声も上がっています。さらには、生活者の視点に立つと、大型投資に伴い、熊本では渋滞が深刻化しているとも聞いています。また、水を大量に使う半導体工場により地下水が枯渇するのではないかという心配する住民もいます。
光あるところに必ず影があり、人材不足や渋滞など、こうしたネガティブな影響に対してどのように対応していくのか、経済産業省にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/118
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119・奥家敏和
○政府参考人(奥家敏和君) お答え申し上げます。
半導体投資は、地域経済を牽引する起爆剤となり、歓迎する声も多い一方で、その大規模投資に伴いまして、人材確保や交通渋滞など周辺地域への悪影響を懸念する声も上がっていると承知しております。
例えば人材の確保についてです。半導体人材の育成、確保に向けて、地方経済産業局を中心に産官学で構成された人材育成等コンソーシアムにおきまして、半導体人材の育成、確保に取り組んでおります。こうした取組を通じまして、地域の人材のパイを増やすことで半導体企業と地元企業の人材確保の両立を図ってまいりたいと考えています。また、中小企業の人手不足の課題に対しては、省力化投資への支援を進めるとともに、経営課題への相談体制を整えることなどを通じまして懸念の解消につなげてまいりたいというふうに考えています。
渋滞への懸念や地下水枯渇への懸念につきましては、内閣府の下で創設されました地域産業構造転換インフラ整備推進交付金、これによりまして、熊本県や北海道、広島県など、大規模な半導体プロジェクトに係る道路や工業用水の整備などが進められております。
半導体投資の推進には地元の御理解、応援が不可欠と考えております。引き続き、関係省庁、地元自治体等と密接に連携して、地元の声に耳を傾けながら、課題に一つ一つ丁寧に対応してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/119
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120・越智俊之
○越智俊之君 全国各地で半導体産業における人材育成の取組が行われているということは地域経済にとって非常に喜ばしく、歓迎するべきことです。このような取組を通じて地域ごとに優れた技術者が育成されることは地域経済の発展に大きく寄与すると考えています。
しかしながら、少し視点を変えてみると、半導体というハードウェアに特化したスキルを持つ人材のみならず、生成AIなどのソフトウェアに関する技術の利活用推進、促進を牽引していくデジタル人材の育成も同時に進めていく必要があると思います。特に、日本はデジタル後進国と呼ばれるほど、こういった分野の人材が絶対的に不足していると思います。
先ほど、人材不足に対して中小企業に対する省力化投資への支援を進めていくという御答弁もいただいております。中小企業・小規模事業者で省力化を進めていくための鍵がまさにデジタル技術の活用だと思います。生成AIのみならず、クラウドで提供されるSaaSの活用も含めて、ソフトウェアの利活用促進、DX推進は欠かせません。
しかし、中小企業・小規模事業者でDXを進めていくに当たって課題となるのが人材です。経済産業省の資料によると、DXに取り組まない理由としては、知識や情報の不足、そしてスキルの不足、DX戦略の立案や統括を行う人材の不足、DXを現場で推進、実行する人材の不足が上位を占めています。要するに、デジタル人材が圧倒的に不足しているということだと思います。政府全体としても、二〇二二年度から二〇二六年度までに二百三十万人のデジタル人材を育成する目標を掲げていると承知しています。この目標に向け、現在のところは順調に推移しているとも聞いていますが、更にこれを加速させていかなければいけません。
今回の法案の一つの柱が、IPA、情報処理推進機構の業務にデジタル人材の育成を追加することです。そこで、このIPAがこれまで行ってきた取組及び今回の法改正を踏まえてどのような取組を行っていくのか、経済産業省にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/120
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121・奥家敏和
○政府参考人(奥家敏和君) お答え申し上げます。
IPAは、現行法の規定の範囲で、これまでも情報処理技術者試験の実施や運営、デジタル人材育成に関する指針の策定、また様々な教育コンテンツを展開する教育ポータルサイト、こういったものの立ち上げなどの取組を行ってきています。
成果といたしましては、まさにIT産業の勃興期、ソフトウェアをつくる人間がいないと、ソフトウェア産業をどう立ち上げていくのかという大きい課題があった、それに対応するために一九六九年から開始をしております情報処理技術者試験、こちら累計でこれまで約二千三百万人の応募がございまして、約三百六十万人の合格者を輩出するなど、まさにIT産業の根幹を担う人材育成、特に供給側でございますけれども、こういった人を育てていくという役割を果たしてきています。
また、まさにデジタル分野のトップ人材、これをどう育てていくのかという取組もしてきておりまして、二〇〇〇年にいわゆる若くて才能にあふれた天才のような人たちを育てるということで未踏事業ということを立ち上げまして、二〇〇〇年以降延べ約二千三百人を発掘、育成しまして、そのうちの何と約四百五十名が実際に起業するということで、まさにスタートアップの苗床としての役割も果たす、そんな人材育成の取組も進めてきているところです。
一方、まさに御指摘をいただきましたとおり、デジタル人材を、作る側だけではなくて、まさにDXを進めていくためには使う側で適切にどう人材を確保していくのかと、こういった課題も取り組んでいかなければいけないと。こういう問題意識の下に、御指摘をいただきましたとおり、政府全体として、二〇二二年度から二〇二六年度末までにかけましてデジタル人材を二百三十万人育成するという目標の下、関係省庁と連携しながら取り組んでおります。例えば文科省と経済産業省で協議会を回して取り組むとか、そういった形で有機的に連携しながら進めています。
今般の法律の業務追加では、こうした取組を更に前に進めていくために、例えばIPAが独自の人材育成コンテンツを作成して提供する、こういう新たな取組を行えるようにしていきたいというふうに考えています。まさに、ユーザー側では、AIを使うためにはデータをうまくマネジメントできないと実は現場使えません。データマネジメントの人材をどう育てていくか、こういったものについては実は余りカリキュラムなどもうまくそろっていないので、モデルカリキュラム、そういったものも用意をしながらしっかりと人材育成が進むようにしていきたいと、こういうような取組を一層充実させていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/121
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122・越智俊之
○越智俊之君 丁寧な答弁ありがとうございます。
この半導体のようなハードウェアの人材育成だけではなくて、ソフトウェアにおける人材育成を推進することは非常に重要だと思います。
加えて、先ほども御答弁いただきましたけど、ソフトウェアに関して、デジタルをつくる側と使う側のこの双方のスキル向上が不可欠であって、特に地方の地方ではこの使う側のデジタル人材が活躍できる仕組みを考える必要があるというふうに考えております。
そして、この法案が目指すのはハードウェアとソフトウェアが相互に連携の上で高度化していくエコシステムの構築と承知しております。このエコシステムを実現するためには両者のバランスの取れた発展が不可欠です。ハードウェアとソフトウェアがまさに車の両輪のように連携することが技術の高度化と産業の発展にとって欠かせません。
この視点に立ち、ソフトウェアにおいて最も発展が目覚ましいAIについてお伺いいたします。今後のAIへの支援方針について、経済産業大臣へお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/122
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123・武藤容治
○国務大臣(武藤容治君) ありがとうございます。
生成AIがあらゆる分野に導入される中で、産業競争力の強化、また経済安全保障の確保等の観点から、日本国内の事業者が競争力のある生成AIを開発することは極めて重要なことであります。
このため、生成AIの開発と開発されたAIの利用を一体的に行う必要性が高まる中で、個々の組織で蓄積されているデータや新たに収集するデータを活用し、各分野で専門性が高いAIを開発することが求められておるところでございます。
こうした観点から、AI開発に必要となるコンピューターの整備支援、またスタートアップ等の開発支援、人材育成を通じた利用の促進等に総合的に取り組んできております。
今後もAI・半導体産業基盤強化フレームを活用し、関係省庁とも連携をしながら、AI開発協力強化や利用促進に向けてスピード感を持って取り組んでまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/123
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124・越智俊之
○越智俊之君 御答弁ありがとうございます。
半導体の分野にとどまらず、AIを含むデジタル産業全体の国際競争力の強化に向けた支援について非常に大きな期待を抱いております。
ただいまの答弁にもございましたけど、生成AIの開発や利活用を進めていくためには、計算資源、つまりデータセンターの整備が重要です。
先日、この経済産業委員会による視察として、千葉県の白井市にあるデータセンターに行ってまいりました。生成AIの登場などによりAIの学習やデータ処理に必要となる計算能力が加速度的に増加していることを踏まえると、国内に大規模な計算資源を社会インフラとして整備する必要性を改めて認識することができました。
データセンターの立地には幾つかの重要な条件が求められます。安定的な電力がもちろん必要ですが、特にユーザーの大量のデータを安全かつ効率的に管理するためには自然災害への耐性が不可欠な要素だと感じました。
現在、東京圏や大阪圏などの大都市圏にデータセンターが集中している状況にありますが、これでは自然災害に対するリスクが高まります。そのため、災害対策の観点からデータセンターを地方に分散させることが必要になってくると考えています。
また、データセンターを地方に分散させることは地方にとっても経済効果をもたらすと考えます。残念ながら半導体工場に比べるとたくさんの雇用を生むわけではないですけれども、地方の慢性的な人手不足を考えると意味を成してくるとも考えますし、また、この固定資産税を通じた地方自治体の税収増加が期待され、それを住民サービスの向上につなげるということも考えられます。また、地域に根差した先進的なデジタルサービスの提供のインフラとなる可能性があるなど、地方経済の活性化にも寄与することができると思います。
さらには、生成AIの爆発的な利用拡大を考えると、それを支える計算資源の増加に伴い電力需要が増加することも想定されます。
こうしたことを踏まえると、やみくもにデータセンターを整備すればいいというものではないとも考えられます。災害対応を含めたレジリエンスの観点、そしてGXの観点を踏まえれば、まさにここは国が主導して政策誘導を図っていく必要があるのではないかと思います。
そこで、データセンターについて、レジリエンスやGXの観点を含めどのように整備を進めていくのか、経済産業省の御見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/124
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125・奥家敏和
○政府参考人(奥家敏和君) お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、生成AI、そういったものを進めていくに当たっても、データセンター、コンピューティングパワーを確保するということは極めて重要であります。
実は、生成AI、日本しっかり開発を進めていってもらおうということでまず私たちが取り組んだのは、実は生成AIに向いたコンピューティングパワー、GPUであるとかそういったもののいわゆるコンピューティングパワーが日本には実は欠けていて、能力のある人たちが使えないと。それをどうにかしようということで、生産基盤の確保から実は私たちは取り組んで開発支援を進めていった。まさに、そういったコンピューティングパワーを担うデータセンターを国内にしっかりと整備していくということは極めて重要な課題であります。
これまで、まさに委員から御指摘をいただきましたとおり、大規模自然災害への備えなどの観点、これは非常に重要でございまして、したがいまして、経済産業省は、総務省とともに、地方におけるデータセンターの整備を後押ししてきているところです。
また、今後は、AIに対応したデータセンター、こちらはかなり大規模な計算資源の整備をすることになって、投資の規模も大きくなっていくということが想定されます。民間だけでは十分な資金調達が困難であることも想定されると。
したがいまして、本法案では、そういったいわゆるAIデータセンターのようなところの設備投資をする際の資金調達を円滑化するために、債務保証を行うということを情報処理推進機構が行えるようにするための業務追加も今般の法改正の中身に盛り込ませていただいております。
また、本年二月に閣議決定をいたしましたGX二〇四〇ビジョン、こちらの方、電力の話、御指摘いただきました。電力と通信の効果的な連携、すなわち、いわゆるワット・ビット連携、これによりまして電力と通信基盤の整備を計画的に進めて、データセンターの地域への整備を目指す方針を示しています。この方針に基づきまして、現在、通信、電力、データセンターに関する産業界と政府の関係者が一堂に会したワット・ビット連携官民懇談会、こちらを立ち上げまして、時間軸も踏まえながら、データセンターの効率的な整備を進めるための論点を整理しているところであります。
今後、こうした場を通じながら、データセンターの整備に向けた議論を加速していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/125
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126・越智俊之
○越智俊之君 御答弁ありがとうございます。
半導体への投資のみならず、データセンターへの整備においても、地方という観点も踏まえて政策を進めていただきたいというふうに思います。
本日は、ラピダスプロジェクトを中心に、半導体の経済波及効果や人材育成、そしてデータセンターなど、幅広い分野にわたる質問をさせていただきました。ラピダスプロジェクトの成功を契機としてこの日本のデジタル産業全体が国際的な競争力を強化できるよう、政府には全力で取り組んでいただくとともに、その利益が地方の地方を含む日本全国で享受されるような政策の立案を進めていただきたいというふうに思います。
自由民主党としましても、半導体やAI産業が我が国の未来の産業競争力を左右する極めて重要な技術であると認識しております。引き続き、有意義かつ実効性のある政策提言ができるよう、党内でも積極的な議論を重ね、政府とも強力に連携しながら我が国の発展に向けて尽力してまいりたいというふうに考えています。
質問を終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/126
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127・古賀之士
○古賀之士君 立憲民主・社民・無所属の古賀之士でございます。
質問する機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
午前中は、この参議院の経済産業委員会、三人の参考人の方々から貴重な御意見や知見を賜りました。そのやはり思いは、一つは、この参議院の経済産業委員会の委員の皆様方はもちろんでございますが、今日も、傍聴や、それから見学でしょうか、若い方々を中心とした方々が今この経済産業委員会訪れていらっしゃいます。広くやはり国民の皆様方に、もう私たちにとってなくてはならない半導体、それをやっぱりしっかりと理解していただいて、そしてこれからの国の行く末を本当に左右する大きな法案であるということを理解していただこうということで今日の質問を考えてまいりました。昨日の本会議も、恐らく登壇の機会を与えていただいたのも、この情促法、未来の半導体を考えていくこの法案が極めて重要だということを恐らく認識していただきたいし、広く国民の皆様に理解していただきたいという思いからだと思っております。
それで、大前提となる質問を本当に基本的なところから伺わせていただきます。
広く国民の皆様にも関心を持っていただくために、まず、よろしければ大臣、半導体というのはそもそも何でしょうか。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/127
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128・武藤容治
○国務大臣(武藤容治君) 御質問いただきまして、ありがとうございます。
国民広く全般に知っていただくという意味でも、この法案についての半導体とは何かと。何となく某局の何とかに叱られるみたいな形で、ええっというところも正直あったんですけれども、それなりに今まで勉強してきたところもありますけれども、今回こういう意味で御質問いただきましたので。
半導体、これ、あるときは電気を通し、あるときは通さないという特性を持っている、電気をオンオフするスイッチの機能が実現できるものであるということです。いわゆる、我々からすると、スイッチとよく言っていますけれども、組合せ回路で様々な情報処理が可能になる、そういうものが半導体のベースであると思います。
こうした情報処理を行うロジック半導体のほかに、データを記憶するメモリー半導体ですとか、電流、電圧を変換するパワー半導体など、様々な種類が存在しているところであります。電卓ですとか、あるいは家電製品はもちろん、スマートフォン、また自動車、ドローン、航空機、宇宙関連など非常に幅広い製品に組み込まれており、経済、産業、生活にとってなくてはならない物質ということであると思います。怒られますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/128
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129・古賀之士
○古賀之士君 大臣自らが御答弁いただくこと自体がもう有り難いなと思っておりますので。
おっしゃるとおりです。スイッチのオンオフ、オンオフがあるから、いわゆる電流を通す通さない、したがって半導という言葉が生まれているというふうに理解をしております。
今大臣からお話がありましたロジック、それからメモリー、あるいはパワー半導体についても、これも細かく、時間が今日あれば伺ってまいりたいと思っております。
そして、例えば、一つの小さな最先端の半導体は一本の線に伸ばしてしまえば十キロにも及ぶというのは、この委員会の中でも披露させていただいたことがあります。そして、午前中の参考人のお話では、一個の半導体が実は五百万円もするというものもあるというお話もありました。そういったその半導体がこれから私たちにどういう生活、それから役割を担っていくのかというのは、もう大分皆様たちも理解をしていただいているとは思いますが、ただ、国際的な中で、世界各国がなぜこれまで、そして今後、半導体に近年かくも重視をする時代を迎えてしまったのか、この点についてお話を伺いたいと思います。
例えば、石油を超えた戦略物資であるという話も参考人からお話がありました、午前中。そして、半導体の戦争、チップウォーとも言われております。後れを取ってはならないと、もうとにかくしっかりと五年後、十年後、将来を見据えた半導体を作っていかなければ、国の行く末は大変なことになるというお声もあります。
それから、米国の国家戦略が、それこそ今、赤澤大臣が今米国にいらっしゃいますけれども、その戦略によっては日本の半導体の行く末はどうなっていくんだろうか。他国の韓国や中国、そして日本の九州熊本とも連携を図っているTSMCの動向、そして、今のトランプ政権というのは御存じのように二・〇と言われております。一・〇以来激化するこの米中の対立の中で、中国の半導体というのは現状どのようになっているのか。
非常に多岐にわたった質問をまとめてさせていただいて大変恐縮でございますけれども、お答えいただけないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/129
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130・野原諭
○政府参考人(野原諭君) たくさん御質問いただきましたが、まず、半導体の用途につきましては、先ほど大臣からも御答弁ありましたけれども、家電製品、自動車、医療機器、スマートフォンなど幅広い製品に使われているものでございまして、スイッチがない電子電気機器はありませんので、そういう意味で、毎日半導体のお世話にならずに生活している日本人は多分いらっしゃらないと思いますけれども、それぐらい身近なものでございます。
大きさや重さ、値段についてもいろいろ様々でありまして、先ほど参考人がおっしゃっていたみたいに、最先端のエヌビディアのGPUだと一個五百万円というような、五百万円というお話ありましたけれども、自動車だと千個、千五百個入っていますのでもっと小さい、少ない額になっております。
各国がなぜ近年これだけ重視されているかと。きっかけは、やはりコロナのときに半導体が不足した。これは日本だけではなくて世界的にそういう現象がありまして、それまでは半導体の重要性というのをそこまで、半導体企業のトップの方々も御家族から御理解なかったようでございますが、半導体、コロナのときには本当に重要な仕事を、パパが仕事をしているというのを理解したというふうに御家族から言われたという話も伺ったこともありましたけれども、それぐらい一般には、半導体の重要性というのはコロナをきっかけに理解が深まったと。それを起点にしまして、アメリカもヨーロッパも大規模に産業政策、半導体についての産業政策を展開するようになってきております。
成長するという見通しも非常にこのセクターについては共有されておりまして、十年で五十兆円から百五十兆円に三倍増する、あるいは二〇四〇年にはその更に倍になって三百兆円になるというふうな予測をされる方も、海外の企業の方もいらっしゃいます。そういう意味では、成長産業、重要であり、重要物資を扱う産業であり、かつ成長産業であるということで、各国が競ってこの分野に自国の生産機能を、自国に生産拠点を持つということで投資をされているということでございます。
いろいろ地政学的なリスクもございますので、将来的に半導体の需給が逼迫した場合には、半導体の供給は他国に依存することになるのか、それとも自国でちゃんと供給できるのか、あるいは他国に供給できる立場に立つのかということが分かれ道になってくるということでございまして、クリス・ミラーが「チップウォー」という本を出されていますけれども、そういうことを背景にされているものでございます。
各国、大変強力に支援策を講じておられまして、バイデン政権のときにアメリカは十四兆円規模、中国は十七兆円規模で財政出動をして支援施策を講じているという状況にございます。
概観を申し上げるとそういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/130
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131・古賀之士
○古賀之士君 野原局長、ありがとうございます。非常に多岐にわたる質問をまとめてお答えいただきました。
次は、我が国が、今三ナノが最先端と言われていて、次が二ナノ、その二ナノの最先端半導体を国内で量産していこうというこのプロジェクトを推進するためのこれ法案でございます。そのためには一体どういう国家戦略を持っていらっしゃるのか、二ナノ世代の半導体の位置付け、こういったものについてお話を伺えればと思います。大臣、よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/131
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132・武藤容治
○国務大臣(武藤容治君) ある意味で今局長がおっしゃったやつのちょっと繰り返しになるところもあると思いますけれども、この二ナノの次世代半導体というものは、今後普及が拡大していく、先ほど来ございました生成AIですとか、あるいは自動運転等に不可欠なものでありまして、もちろん経済安全保障上も極めて重要なもので、グローバルな需要も特に大きく増大すると今局長からも話がありました。
こうしたことから、二ナノの次世代半導体、我が国の未来を左右する非常な重要な物資と考え、そしてそれを自ら国内で生産するということが国富の創出や世界に貢献するという意義があると考えたところであります。二ナノの次世代半導体の量産を諦めたら国益を大きく損なわれる、損ねることになりかねない。このため、国として、国策としてこれを前に進めるという戦略の中でこれを今作らさせていただいたということだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/132
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133・古賀之士
○古賀之士君 いわゆる二ナノを作っていくというのは、午前中の話もありましたけれども、どこも、まだ企業も国も成し遂げていないという壮大なプロジェクトでございます。それをあえて、国費も投入し、そして民間からも広く投資を呼びかけてこの二ナノの次世代半導体を何とか、二〇二七年といいますから、実はもうそんなに時間はないわけでございます。
そして、一方で、その私たちが今まで培ってきた半導体に対する技術をどうやって応用していくのか、あるいは活用していくのかということを伺わせてください。
つまり、二ナノ世代、これは更なるこれ細分化を目指していくんでしょうか。日本の国内のいわゆる企業の中には、そういう細分化に対するいわゆる製造装置、これでトップシェアを持っているような企業もございます。そういったものとまたうまくリンクしていくのかどうかも含めて、どなたか御答弁いただければと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/133
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134・野原諭
○政府参考人(野原諭君) 今後の半導体産業の世界的な需要予測を見ますと、七ナノよりも微細の最先端のゾーンが大体七倍増に成長すると、二〇三〇年にかけてですね、というふうに予想されていまして、セグメントを取っていくと、最も伸びるのがこの最先端の部分になってまいります。
これ、最先端になればなるほど小さいわけですから高性能になり、同じ面積でたくさんのものを集積すると高性能にもなりますし、一つ一つが省エネになりますので、そういう意味では、低消費電力を実現するためにもどんどんシフトを、この先端の方へシフトしていくという流れになってまいります。その先端の部分のチップのところをやはり、日本の半導体産業を復活させようとすれば、そこをやっぱりチャレンジして取りに行くということがないと、日本の基幹産業として半導体産業を復活させることは難しいんじゃないかという問題意識でここに挑戦をしております。
そういう意味で、あらゆるものに将来的に入っていくということになると思いますが、まずはデータセンターでありますとか、あるいはその後、AI用の半導体ということになりますので、エッジの方で自動車でありますとかほかのデバイスにも入っていくことになると思いますし、将来的にはロボットでありますとかいろんなものにこのAIの最先端の半導体が搭載されていくという流れになってまいります。
これは一つの、微細化というのは半導体のイノベーションの一つの方向性でございますが、これだけではなくて、先端の後工程、半導体のチップを裁断した後に配線する工程を後工程と呼んでいますが、ここもイノベーションが起きているところでございまして、この分野、日本には優秀な素材メーカー、製造装置メーカーいますので、そういう日本のメーカーと協働することで、TSMCもサムスンもインテルも日本にRアンドDの投資をしていますので、日本をそこの、この分野の先端後工程のメッカにしていく必要もございますし、ラピダスもそこにも投資をしていますが、そういうところも投資をしていきますし、日本の強みである素材や製造装置、全体のマーケットが三倍に成長するということは、それだけ投資をしないとシェアを落としていくことになりますので、そういう意味では、製造装置や素材についてもやはりこの今回の投資フレームですね、予算のフレームを活用しまして投資をしていくことで、日本の素材、製造装置の強さというのもやはり強化していく必要があるだろうというふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/134
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135・古賀之士
○古賀之士君 ありがとうございました。
つまり、日本のやはりこれまでの強みもしっかりと生かしつつ、この将来の次世代半導体に向けてしっかりとその技術を継承していくということが他国と比べるとアドバンテージがあるし、これからもそのアドバンテージを引き続き保ったり、あるいはよりアドバンテージを得ていきたいというようなお考えかと思います。
一方で、複数のお話が出ておりますが、日の丸半導体のいわゆる凋落ということですね。更にその半導体のまだずうっと前の話にしますと、私、年が分かってしまいますが、真空管というものもありましたですね。真空管、委員の皆さん、御存じの方もいらっしゃいますよね。それぐらい昔の話だと思います。
真空管に例えると、例えばスマホですとかパソコンが真空管数千万個分であるとか一億個分であるとかというような話になると、どれぐらい今の技術が進んでいるかというのが分かりやすいかと思いますが、ただ、その真空管であり、その真空管の延長線上で開発されたトランジスタであり、そのトランジスタを更に集積回路にし、そして今の半導体につながっていくわけでございますが、その半導体までがすごくいい状況でした。
このお話、委員会の中でも出てくるのは、一九八八年当時、市場シェアが半分以上、日の丸半導体絶好調のときだったと。ただ、これ今の経産省さんは、その後の凋落の要因、これをまず大きく、大きく主要な原因でいくとどのように分析をされていらっしゃるか、お尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/135
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136・武藤容治
○国務大臣(武藤容治君) これ衆議院でもいろいろと御質問ありました。私どもとしては、ちょうどその真空管、私もよく分かりますけど、テレビの裏開けると真空管があったという時代です。
半導体産業ですけど、一九八〇年代、世界一の売上げを誇っていました。その後シェアを大きく落とすことになったわけですが、要因としては、貿易摩擦の結果として日米半導体協定による貿易規制が強まったことがあります。ちょうどあの当時、私の父が通産大臣やっていたときに、日米構造協議の中でこの半導体協定の見直しがありました。そこでいわゆる仕掛けを掛けられちゃったという反省もありまして、そういうところからがたがたがたっと、こういう来ているんですけれども、九〇年代以降、設計企業と製造企業が水平分業、これを行うビジネスモデルが隆盛する中でその潮流に乗ることができなかったことですとか、あるいはバブル経済崩壊後の不況がございました。民間で将来に向けた思い切った投資ができなくて、日本政府も適切な支援を機動的に講ずることができなかったことなどが挙げられます。
また、二〇〇〇年代以降になりますと、世界的にデジタル市場が伸展する中で、国内のデジタル投資が遅れ、半導体の顧客となる国内デジタル産業が低迷したこと、そして、国内企業の再編ですとか日の丸自前主義の技術開発に注力してしまい、技術開発や販路開拓の面で海外との連携やグローバルな技術動向への対応が不十分であったことなどなどの要因があったと分析をしておるところであります。
ちょうどその父の時代、よく言っていたのが、あの某Aさん、AメーカーさんとかBメーカーさんいろいろありましたけど、全部その会社の中で最初から最後まで仕上げようということで、なかなかこういう交流ができなかったこと等などが反省点としてあった。
ですから、今回も構造協議いろいろやっておりますけれども、しっかり負けないようにやっていかなきゃいけないなというのを気持ちを新たにしているところでもあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/136
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137・古賀之士
○古賀之士君 そういった、今大臣が御答弁いただいた大きな要因というのが恐らく五つぐらいあったかと思います。その五つの中で、一つずつ実は分析をして、そしてそれを教訓なりあるいは今後に生かしていくという思いでの質問です。
お答えいただきたいのは、例えば、一つずつ行きます。日米貿易摩擦によるメモリーの敗戦。これというのは、つまり、先ほど大臣は少しおっしゃいました、米国がというような部分で、つまり、この主語がはっきりさせておきたいところなんですね。そして、それが主たる要因であるならば、それに対するやはりこの対米政策というものを考えていかなきゃいけないということになるかと思います。
それで、二番目は設計と製造の水平分離の失敗。これは具体的には、ここからで結構です、現在のこの分析、そして教訓、学び、どのように考えていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/137
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138・野原諭
○政府参考人(野原諭君) 設計と製造の水平分離の問題でございますが、これは、元々この水平分業のビジネスモデルを編み出したのはTSMCの創業者のモリス・チャン氏でございまして、顧客に新しい価値を提供するということで、製造、受託製造を専業でやるということで、たくさんの設計会社がアメリカで生まれたわけですけれども、こういった流れの中で、日本は、日本の半導体企業というのは、基本的には総合電機メーカーの一事業部門、半導体事業部があったというふうな構造でございまして、十社以上当時はあったと思いますけれども、自社の最終製品の家電等に必要な半導体を垂直統合で自ら設計、製造していたという流れでございます。
そういう意味で、自社のビジネスモデルからすると、これ水平分業型で製造のところだけ受託先に出すというのが余り、何というんですか、自社のビジネスモデルがうまくマッチしていないというところがありまして、余り転換することへのインセンティブが強くなかったと思います。二〇〇〇年代に日本もファウンドリー構想あったんですけれども、結局その候補だった企業も親会社の方の経営方針で独立するのは駄目と、自社の部分の製造だけやれというふうな経営方針だったものですから、この構想自体は実現をしなかったと、そういう歴史でございます。
そういう意味では、そのビジネスモデルについては非常に重要でございまして、今回のラピダスについても、新しい顧客価値、今までTSMC、サムスン、インテルがやっていたものと違うビジネスモデル、違う顧客価値をお客様に提供するということで、じゃ、新しい価値を試してみたいからラピダス使ってみようというインセンティブがお客様の側にあるように設計をしないと、やはりその使ってみる、試してみるインセンティブがお客様にないということだとなかなか産業難しいということで、その辺をレッスンとして踏まえて取り組んでいるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/138
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139・古賀之士
○古賀之士君 ありがとうございます。
つまり、いわゆる設計から製造に至るまでを、やはり顧客を中心にシフトしていく、そして、それをしっかりとマッチさせていくことで有力な企業と言われているところにしっかりと支援をしていければということだと思います。
つまり、水平分離という流れが主流の今の中で、新しいまた考え方で新しい製造工程も考えていく、その余地も残しておく、そういう理解でよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/139
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140・野原諭
○政府参考人(野原諭君) そういう意味で、水平分業というのはもう既にそういうビジネスモデルをTSMCがつくって、かなり流布して、流通しているわけですけれども、そこのその構造に参入していこうとすると、やはりそこに新しい価値を提供しないと、成功するためにはそういうことが、そういう要素がやはり必要だというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/140
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141・古賀之士
○古賀之士君 ありがとうございます。
デジタル産業化の遅れ、これは日の丸自前主義のなかなか難しい、先ほどのメーカー同士のお話がありました。
こういった点も踏まえた上で、もう時間の関係もあるので、五つの要因の中の最後に質問させていただきますが、国内企業の投資の縮小。結局、本会議でも述べましたけれども、当時の最高の進んでいる半導体というのは四十ナノまででした。四十ナノだったんですが、残念ながら日本にそれを受け入れるだけの商品がなかった。一方、アメリカは、アメリカの設計得意とするところから日本以外の他国に様々なその四十ナノよりも高度な半導体を発注することによって、そして、それを商品化するところを米国でやった。だから、今のパソコンやスマホや、そして様々な産業に、データセンターなども含めてですが結び付いてきているという。ですので、こういうところの視点をしっかりと私たちはもう一度考えておく必要があると思っています。
と同時に、米国はもちろんですけれども、韓国、それから、今は一緒に協業をしている、九州で協業しているTSMC、でも、TSMCも、午前中の中でお話がありましたとおり、民間企業だけで、もう兆ではなくて、七十兆円だったと記憶していますが、そういう報道で、国内、米国国内に投資をしていくという発表も行っていく。
そういったことを考えていくと、やはりこの日本型の投資の戦略というものと、それからその二ナノ以上の半導体を使った日本の製品をどうやって作っていくということが大きなやはり教訓になっているような気が個人的にはするんですが、どのようにお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/141
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142・野原諭
○政府参考人(野原諭君) 御指摘の川下の、需要側の、需要サイドの産業の問題は非常に大きいと考えております。
そういう意味で、川下の産業の競争力の強化、需要の創出というのは非常に重要でございまして、例えば自動車でいきますと、先進の半導体のチップレットを開発、搭載するためのASRAというプロジェクトをトヨタを中心に日本の自動車産業始めておりますけれども、これに対する支援というのも半導体の関係の予算で支援をしております。
それ以外にも、半導体の、特に新しい先端半導体を使う設計プロジェクト、数々のプロジェクトを組成支援をしてきておりますし、これから予算のフレームもございますので、今後も続けて具体化していく、プロジェクトとして具体化していくことで、この川下の先端の半導体を使うユーザー側の産業のところの強化というのを取り組んでいきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/142
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143・古賀之士
○古賀之士君 それに関連して、まさに米国がトランプ二・〇政権になって、関税やその他の観点で懸念はないだろうかという質問に移らせていただきます。
例えば、設計もIBMさんと一緒に有力な企業はやっていくというお話でしたけれども、これ米国企業との提携、連携が、これ例えば米国の大統領が、トップがこれを知財流出というふうに言ってこないだろうかという心配もちょっとあったりするわけですね。それと関税の問題もそうです。そして、今TSMCの話をさせていただきましたけれども、いや、米国内で作ってよというようなことも言ってきてもおかしくないような今状況になってきているんですよね。
それに対して、やはり政府や経済産業省さんはどのような対応を取っておかれるおつもりなのか、お聞かせ願えないでしょうか。できれば大臣も後でお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/143
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144・野原諭
○政府参考人(野原諭君) 半導体の関連の関税でございますが、四月二日に発表されました相互関税の対象からは別表で半導体は除外をされております。また、四月十一日に、半導体製造装置とその部品についても相互関税の対象ではないというので除かれたという経緯になっておりますが、半導体に関する関税については来週発表するということをトランプ大統領はおっしゃっておられますし、実際のサプライチェーン自体の調査自体をやっておられますので、これは大統領の上級顧問のナバロ顧問が先週末のテレビで説明されていましたけれども、実際、半導体の形態で米国に輸入されているものよりも、半導体が搭載された別の関税のカテゴリーの製品としてアメリカに入ってきている方が多いと、したがってサプライチェーン調べなきゃいけないと、そういうような話になっておりますので。
こういった調査も踏まえて、どういうふうな半導体の関連の関税の御提案になるのか、その結果を踏まえて、よく精査をして対応策を検討する必要があるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/144
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145・武藤容治
○国務大臣(武藤容治君) 今、野原局長からお話ございましたように、まだ今現状として、皆さん、ここの場で私から申し上げることには控えさせていただきたいと思いますが。
古賀委員おっしゃられたように、アメリカに工場持ってこいよというのはもう彼の、トランプ大統領の今パターンになっていますので、一つの。そういう中で、今日、赤澤大臣が向こうとお話をして、その詳細はまだ分かりませんけれども、そういう形の中で、向こうと同じ方向性でウィン・ウィンになれるように我々としては交渉していかなきゃいけないんだろうと思います。
半導体そのものは、もう今世界中を駆け巡って一つのものができるというパターンがある中で、自動車もそうだと思いますけれども、決してアメリカだけでこれは処理できるものと私は思っていないものですから、そういう中で、これからも交渉の中で、ちゃんとした形でそれぞれが、はっきり言っちゃ、こういうふうに、いけないかもしれませんけど、ある意味で台湾も、中国との間の関係もあり、台湾、これ皆さん御承知のとおり、世界の半導体の多くの部分をもう台湾が今占めていますので、そういう意味でいうと、あそこが何か台湾有事がということになっちゃうとこれまた大変なことになりますので、そういう重要経済安全保障的な観点も含めてしっかりとアメリカとやっぱり協議をしていかなきゃいけない話だと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/145
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146・古賀之士
○古賀之士君 おっしゃるとおりです。その辺の難しさがあるんですね。と同時に、その半導体というのは、今おっしゃったように安全保障上も極めて重要な経済資源になってきているということです。
今日も、今、主権者たる有権者の皆様方も今傍聴されていらっしゃいますけれども、車を買おうかなとか、あるいは物を買おうかなと思われたときに、例えばその営業の方から、いや、済みません、ちょっとね、なかなか物が入ってこないんですよ、えっ、何でですかと、いや、半導体がどうも足りないみたいでですねと、もう納期が全然分からないんですよなんていう声を聞かれたことは一度や二度はおありになるんじゃないかと思うんですね。それを何とか、また暮らしの上で何とかしたいという思いもあって今進められている法案だというふうに理解をしております。
半導体といっても様々な種類があるのは御存じのとおりでございます。最先端の、今、次世代半導体のお話を今までさせていただきましたけれども、一方で、我が国としては、ほかの半導体、種類の、例えば三菱電機さんや富士電機さんが強い、先ほどお話が出たパワー半導体、それからソニーさんが強いCMOSセンサー、これは画像処理などにとても世界的なシェアを誇っております。それから旧東芝さん、現在のキオクシアさんのメモリーなど、こういったものもしっかりと重要な半導体の分野だというふうに考えておりますが、その辺を強固な基盤にしていくというお考えがあろうかと思いますが、その辺について是非御意見を、御答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/146
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147・野原諭
○政府参考人(野原諭君) 委員御指摘のとおりでございまして、これまでもパワー半導体につきまして、量産設備投資の支援に加えまして、次世代のパワー半導体について高性能化、低コスト化を目指した研究開発の支援を行ってきているところでございます。製造装置、部素材につきましても設備投資や研究開発を幅広く支援してきているところでございます。今回の七年間十兆円以上の公的支援を行うAI・半導体産業基盤強化フレームにおいて、ロジック半導体以外の半導体や装置、部素材も支援対象としているところでございます。
引き続き、そのような問題意識で戦略的に必要な支援を行ってまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/147
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148・古賀之士
○古賀之士君 本当に、パワー半導体やそれからCMOSセンサー、そしてメモリーなど、世界に冠たるシェアを誇っている日本の企業が多数頑張っておりますので、引き続きしっかりとその強固な基盤を支えていっていただきたいと思っております。
その中で、もう一度また最先端の半導体の工程などにちょっと戻らせていただきますが、作り方として、これも午前ちょっとお話が出ました、前工程と言われている微細化技術、それから後工程と言われる複数の半導体を一つのパッケージに収めていくということですけれども、それも、中でも特にチップレットの技術ですね、そして、半導体を平面上でなく立体的に積み上げていく三次元の実装というのも、恐らくこれからとてつもなく重要な分野になってくるかと思います。
この辺についてはどういう見解、見識をお持ちでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/148
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149・野原諭
○政府参考人(野原諭君) この点も委員の御指摘のとおりでございまして、後工程、チップレットに関しましては、日本の強みである製造装置、部素材メーカーと、TSMC、サムソン、インテルといったグローバルな半導体トップ企業が日本で後工程の技術開発を今我々が支援をしながら行っておりますし、ラピダスも後工程については取組を進めております。
後工程に必要になるパッケージ基板など部素材についても設備投資の支援を現在行っているところでございまして、今回講じるこの七年間のフレームを活用しまして、引き続き、これらの分野の研究開発、量産投資について支援をしながら日本のサプライチェーンを強くしていく取組を進めてまいりたいと、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/149
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150・古賀之士
○古賀之士君 その中で、例えばよく三つの分野が図で描かれております。設計と、それから前工程、後工程という三角形のような図ですね。それを考えていくと、設計部門に関しては今回IBMさんの支援を受けてということだそうですけれども、一方で、我が国のやはり設計の分野というのがもうちょっと、あるとは思うんですが、もう少し、いや、もっと頑張っていただきたいなと思ったりするんですね。そうすることで、前工程、後工程、そして設計とのバランスが非常に良くなっていくと。
というのは、やはり我が国の産業を支えていく上でやはりとてつもなく大事な部分じゃないかと思っています。元々、ですから、米国は、この設計分野に関しては一九八〇年代からもうとにかく一周も二周も先に進んでいるというような状況です。もう何せ自国でロケットを使ったり、月に人類を運ぶためにそういうものをどんどん使ってきているという、そういう歴史があるからですね。
しかしながら、日本も、やはりこれから先、その設計分野にもしっかりと注力が必要ではないかと思いますが、その辺についてお考えはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/150
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151・野原諭
○政府参考人(野原諭君) この点も御指摘のとおりでございまして、我々も設計能力の強化を図っていかなければいけないというふうに強く考えております。例えば、自動車用の先端半導体の設計開発支援、ASRAのプロジェクトの支援もしておりますし、ラピダスの協業相手としてプリファードネットワークスとの協業というのも発表しております。
それから、設計人材の育成も必要でございまして、最先端の半導体の研究開発、人材育成の機能を担っている技術研究組合のLSTCで世界最先端の設計プロジェクトへの人材派遣のプログラムを始めているところでございます。
これらの取組を通じまして、更にこれを分厚くしていくことで設計機能の強化を図っていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/151
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152・古賀之士
○古賀之士君 その人材の中には、恐らく海外の方、高度な技術を持った方々の協力を得て、そして日本に実際に住んでいただいたり、まあオンラインでという考え方もあるんですけれども、そういう日本に貢献をしていただく方々がいると思います。そのためにもやはり何が必要なのかと。やはり、高度な人材の皆様たちをしっかりと、あっ、日本のために貢献しようと思っていただくためのやはりある程度のフィーも必要になってくるかと思います。
となれば、やはり日本国内がまずしっかりと価格転嫁をやっていただいて、賃上げをしていただいて、そして、それがなかなかできない中小零細の企業の皆様たちにはしっかりとその辺の支援も行っていくという、まさに経産省さんの、あるいは中小企業庁さんの原点に戻っていく考え方も非常に重要だと思います。それによって、また日本のボトムアップ、底上げができていきながら、多くの産業が芽吹いていく、そういうきっかけを是非つくっていただきたいと思っております。
これから先、またいろいろな局面で大きな問題はあるかと思います。特に顧客ですね。設計をしていくのであれば、本来は、いい顧客の方といい関係をつくって、そしてどういう次世代の半導体がうちは必要なんだというところを受けて、そして作っていくというのが本来の私、姿じゃないかと思うんですね。でも、残念ながら、今はなかなかその辺が見えにくいような気がしてしようがありません。
この質問を結びにさせていただきますが、その顧客の獲得、それを、しかも、具体的に次世代半導体をどんなふうに作っていくのかというのはやはり大きな課題ではないかと思っております、現時点でも。それについて御答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/152
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153・野原諭
○政府参考人(野原諭君) 顧客でございますが、国内の顧客に関しましても、今年一月にラピダスとプリファードネットワークス、それからデータセンターのさくらインターネットで三社で協業を発表されたところでございます。それから、先端の自動車用の半導体の設計については、ASRAプロジェクトで先端のチップレットをやるということで取組が進んでおります。
発表になっていないものについても水面下で議論をしている企業は複数ございますので、日系の、国内の顧客についても議論を進めているところでございますが、今月から千歳のパイロットライン立ち上げが開始されておりますので、ここで実際に作ってみた試作結果というのが、データが夏ぐらいに出てまいりますので、それを基にお客様と具体的な、本格的な商談を進めていくと、そういうふうな展開になってくるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/153
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154・古賀之士
○古賀之士君 時間が参りました。今日はこれで終わらせていただきます。
御清聴ありがとうございました。
〔委員長退席、理事古賀之士君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/154
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155・村田享子
○村田享子君 どうも、皆さん、今日も御安全に。村田享子です。
私も、今日午前中の参考人の皆様のお話もお聞きをしました。また、今年の二月には立憲民主党としてラピダスの視察もさせていただきましたし、また、昨年は個人的に佐賀県のSUMCOさん、シリコンウエハーのSUMCOさんの工場も見学をさせていただきました。こういった日本の強みである半導体の部素材、そして製造装置、そしてそこをやっぱりより強くするためにもこのラピダスのプロジェクト、是非とも私も成功してほしいなと思っております。
ただ、午前中から議論になっておるのが、成功はしてほしいけれども、やっぱり巨額の国のお金、特に今物価高で苦しむ国民の皆様の税金を投じるという、ここはしっかり明らかにその意義であったり仕組みというのをしていかないといけないと思っております。
そこで、まずラピダスプロジェクト、これ午前中も議論になりました創業個人株主についてお聞きをしたいと思います。
午前中、ラピダスの小池社長のお話によりますと、六、七年前から、ラピダスが立ち上がる前から、志の高い若いエンジニア、准教授などで日本の産業盛り上げていこうということで議論を重ねて、そして二〇二二年に、経営株主が東会長、そして小池社長、そして十二名の創業個人株主の皆さんでこのラピダスが立ち上がったというようなお話でございました。
この十二名の創業個人株主なんですけれども、大臣は、この個人株主どなたであるのか、把握はされていらっしゃるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/155
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156・武藤容治
○国務大臣(武藤容治君) 十四名の個人株主についてお尋ねをいただきました。
個人株主は、ラピダスの役員、従業員が中心であると確認をさせていただいたところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/156
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157・村田享子
○村田享子君 細かくどなたかという個人名まで大臣は御存じだということでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/157
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158・武藤容治
○国務大臣(武藤容治君) 先般、名簿を見させていただきました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/158
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159・村田享子
○村田享子君 じゃ、その上で一点確認です。
午前中の梅村委員の小池社長への議論では、その中に中国人の方はいらっしゃらないということが明言されましたけれども、もう一点気になるのが、その十二名の中に例えば政府関係者であるとか国会議員の関係者はいないのか、これもしっかり国民に説明すべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/159
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160・武藤容治
○国務大臣(武藤容治君) ざっと見させていただきましたけど、いらっしゃいません。どなたもそういう関係者はいらっしゃいません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/160
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161・村田享子
○村田享子君 今、ざっと目を通されたと言われましたが、これ結構大事なポイントだと思っていて、大臣がざっと目を通して、まあいないなと思ったとしても、いや、意外にこの人があの議員とつながっていたとか、この方が政府関係者とつながっていたとかいうようなこともあると思うんですね。そこはしっかり確認すべきだと思うんですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/161
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162・武藤容治
○国務大臣(武藤容治君) 私がそういう意味で存じ上げている中ではいらっしゃいません。それ以上になりますと、これはプライバシー的な話になっちゃうんで個人名は控えさせていただきますが、そういう観点ではいないと思っていただいて結構だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/162
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163・村田享子
○村田享子君 これ、これまでの議論も出ました。政府が多額の投資をするその過程の中で、自民党の中の半導体の議連の話も出てきた。やっぱり国民の皆さんが、じゃ、いずれ株、このラピダスに国が出資をして、いずれ上場も目指しているということなので、株が上がるんじゃないかと、それを知っていた方がある意味その創業個人株主の中にいるんじゃないかなというのは、これは一つ疑問としてあると思います。
なので、そのざっと見るのに加えて、本当に関係者がいないんだよということを、やっぱり大臣であり、また経済産業省として国民の皆様にちゃんと示すということは、このラピダスのプロジェクトを盛り上げていく意味でも私は大事だと思います。その点いかがでしょうか。
〔理事古賀之士君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/163
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164・武藤容治
○国務大臣(武藤容治君) 先生おっしゃる意味で私も見させていただきました。一人一人全部ウィキペディアで調べたとか、そういうことじゃなくて、誰もいませんということでございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/164
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165・村田享子
○村田享子君 誰もいませんという大臣御答弁いただきましたが、後ほど、いや、実はというようなことがもう決してないように、そこはしっかり、また引き続きその点は確認していただきたいなというふうに思います。
その上で、このテーマ、やはり衆議院の方でも議論になっておりました。衆議院の附帯決議の十になるんですけれども、選定事業者役員等の既存個人株主が将来株式を売却した際に生じる利益について、国費の投入が株式価値の上昇に寄与した点も念頭に、小池参考人から、個人としては寄附や人材育成活動に使っていきたいとの発言があったことも参考に、引き続き国費の投入について国民の納得が得られるように努めていくことというものがあります。
このラピダスの既存の個人株主が将来株式を売却した際に生じる利益、これだけ国民の税金が投入をされているものです。この売却した際に生じる利益について政府はどう考えているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/165
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166・野原諭
○政府参考人(野原諭君) 衆議院の経産委員会の参考人質疑におきまして、ラピダスの小池社長が、IPOを通じて大きな利益が発生した場合には、例えば寄附などを通じて半導体の人材育成等に充てていきたいとの考えを示されたことは承知しております。
一般論としまして、経営株主等が保有する株式は私人が保有する財産であるため、その処分について何らかの規制を課すことについては慎重に検討すべきものと考えておりますし、また、その個人が自らの資金で投資した場合にリスクとリターンのバランスの中で一定のリターンを得ること自体は自然なことであると考えておりますが、他方で、多額の公的資金が投入されることを踏まえれば、経営株主等が受ける利益の在り方については国民から十分な理解を得る必要もあるというふうに認識をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/166
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167・村田享子
○村田享子君 ちょっと一つ教えていただきたいんですけれども、今回、こうした株式を売却した際の利益というような話になっていくことの一つとして、これから立ち上がっていくラピダスのようなベンチャー企業に国が多額の出資をするというところがあると思います。
こういったこれから立ち上がっていくベンチャー企業に国が多額の投資をする、これはこれまで、今まで例があるのか、それとも初めての取組なのか、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/167
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168・野原諭
○政府参考人(野原諭君) 官民ファンドではベンチャー投資をやっておりますので、その場合、投資して利益が出るとリターンとして官民ファンドに戻ってきているということはございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/168
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169・牧山ひろえ
○委員長(牧山ひろえ君) 村田局長。済みません。村田享子君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/169
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170・村田享子
○村田享子君 はい。村田局長です。
これまで官民ファンドではそのような例があったということなんですが、将来、このラピダスは私はもう本当に成功してほしいと思っています。ちょっと大臣に、これは通告はしていないんですけれども、成功してほしいなと、いずれラピダスが上場するときには、IPOのときには多額の利益を得てほしいなというのも私も思っています。衆議院の方でも、本法案に基づいて選定された事業者に対しIPAが現物出資をし、将来的に政府の保有株式に替えて適切なタイミングで株式を売却することなどにより公的資金の回収を最大限図っていくことを想定しているというお話ありました。これは、この点、そのように考えているということでよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/170
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171・武藤容治
○国務大臣(武藤容治君) 今、村田委員がおっしゃられたような形で考えているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/171
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172・村田享子
○村田享子君 先ほど、創業個人株主の上場して売却したときの利益については個人の資産であるからねというような御答弁ございましたが、国が適切なタイミングで株式を売却して公的資金の回収を図ろうとするのももう当然のことだと思うんですが、何というか、せっかくもうけたというか、利益出してほしいんですよ。その利益をやっぱりどう国民に還元されていくのかなというのも、今回、国民の皆さんが巨額の税金を使って応援していく上で、じゃ、その結果、どう国民のために何か還元されるのというのは一つ気になるポイントではあるのかなというふうに思うんですが、その点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/172
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173・奥家敏和
○政府参考人(奥家敏和君) お答え申し上げます。
きちっと回収をできるようにということを強く願って頑張っていくということでございますけれども、まだそういった意味では戻ってくるという状況が見えているわけでもございませんし、そういった意味ではその段階において考えるということだというふうに思っています。それは、今の段階でどうするということは、まだ検討しているわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/173
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174・村田享子
○村田享子君 これ、ちょっと私の一つのアイデアであるんですが、もう思い切ってもうラピダスの株式を国民の皆さんお一人お一人にお渡しするぐらいの、一回五万円の給付金よりよっぽどラピダスの株式をもらった方が国民の皆さんわくわくしませんか。やっぱりラピダス応援しなきゃなって。あっ、自分たちの税金で国がラピダスを応援すると、それを通じて株を国が入手をしまして、じゃ、それを国民の皆さんに株として還元しますよとなったら、もうみんなラピダスの行方を見守ります。
先ほどから、その需要側、ラピダスの半導体の需要先が大事だよねという話になったときに、もちろん日本国内の企業で働く皆さんも、いや、自分のラピダスの株の株価も上げたいから、ちょっとうちも需要先として何かラピダスの製品作れないかなみたいな、何か本当に国内の好循環が高まっていくと思うんですよね。
今ちょうど政府の方でも投資立国というのもされていますし、やっぱりスタートアップ企業を応援していって、それに投資をしてまた資産が増えていくというような中で、このラピダスってまさにその事例なんじゃないかなと思っていまして、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/174
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175・武藤容治
○国務大臣(武藤容治君) またここでお預かりしますと言うとまた問題になっちゃうので。
ある意味で議員の御提案というのは非常に興味あるものだとは思います。ただ、まだ上場前でもありますし、これからいろいろ検討していかなきゃいけない課題があります。NISAに例えば入れたらいいんじゃないかとかいうのもあるかもしれません、ひょっとして、そのときには。是非、そういう意味では、そういう意味で預からさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/175
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176・村田享子
○村田享子君 一回の給付金よりも、そして商品券よりも私はラピダスのこの株式がいいんじゃないかなと。
これ、たまたま私もこれ思い付いたときにちょっと調べてみたら、ZOZOTOWNで有名な、今も活躍されています前澤友作さんが、昨年、「国民総株主」という御本を出されて、国民一人一人が株式を持つということの意義について本書かれているんですね。その中で、やっぱり自分が株を持つことで投資にやっぱり興味を持つ、投資の教育といった意味もあるし、個人が自分もこの日本の経済活動に参加しているんだというその意識も高まって、それが日本経済を後押しするんだというようなことも言われていて、ああ、何かこういったアイデアもあるんだなと私も思ったところです。
今回、先ほど、ベンチャー企業に国が多額の出資するというのは初めてなんですかというお話お聞きしましたが、こうした本当に個社にこういう形で支援をしていくというのは、それまでそんなに例はなかったと思います。その意味で、何かこうした国の応援の形を今後もやるのかどうかというのも検討はされると思うんですけれども、それをどう国民も巻き込んで、国民の皆さんも一緒になって支援を、応援していこうよみたいな、それが日本全体の経済の好循環になっていくようなスキームというのも検討の余地が私はあるんじゃないかなというような点で、今回、ちょっと突拍子のない提案に思われたかもしれませんが、やらせていただきました。
ちょっと、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/176
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177・武藤容治
○国務大臣(武藤容治君) 今回のこの在り方、ラピダスについての仕組みづくりというのは、今ベンチャーの関係ではキャピタルであるんですけど、だけど、これだけの金額というのはあり得ないわけですよ。ですから、今回も皆さんからこういういろんな議論をいただきながら、国民の理解を進めながら進めていく、まず一つだというふうに思います。
今先生おっしゃられるようなやつは、例えばファブリンファンドとか、今アメリカでもいろいろ検討されていると、こう聞いています。そういう形がまたあるのかなと。いわゆる、半導体ももちろんなんですけど、世界がこういういろんな形で、いい意味で競い合う時代になってくると、やっぱりどういう投資をして産業を興していくのかというのはまた一つのまた別の見方があるのかなという気がしていますので、そこはそこでまた別の検討をしなきゃいけないと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/177
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178・村田享子
○村田享子君 また検討の方もよろしくお願いをします。
今大臣からも、今回、多額のお金を入れるというような話もありました。その上で、やっぱり今後ラピダスがどういった事業をしていくのか、私たち国会議員、そして国会でもしっかりチェックをしなければいけないと思います。
これも、衆議院の中で議論になったところでもございます。法案、情報処理の促進に関する法律の改正案の中では、第七十五条の二で、経済産業大臣は選定事業者に対し選定実施計画の実施状況について報告を求めることができるとしているんですが、やはりここに国会というのも必要だと思います。衆議院の附帯決議六で、量産開始までの間は、三月に一回、四半期ごとをめどに、政府は選定事業者の実施状況など国会に報告することというものがございます。
この衆議院の議論の中では、たしか、大臣、預からせていただきますと答弁をされておりましたが、この国会への報告、どう考えていらっしゃるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/178
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179・武藤容治
○国務大臣(武藤容治君) これ、本当に、田嶋先生始めとしていろんな方から御指摘をいただきました。
本件、多額の公金を特定の事業者に投入する事業であることから、国民への説明責任を果たすため、事業の進捗状況については適時適切に公表することが重要と考えております。これまでの国会審議の中でもこの点に関して多くの御意見を頂戴しており、政府として重く受け止める必要があると考えております。
このため、衆議院における附帯決議の趣旨も踏まえ、例えば、量産開始までの間、三月に一回をめどに国会に進捗を御報告し、公表していくことを想定しているところです。
その際、報告、公表する内容につきまして、透明性を確保する観点と、個社の競争上の優位性を阻害することがないよう事業者のビジネス上の機密事項等に配慮する観点とのバランスをよく取りながら、どのような内容が適切かを検討してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/179
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180・村田享子
○村田享子君 今検討をしていただいているということなので、一点ちょっと確認で、三月に一回ということなんですけれども、それは、国会で法案が可決、成立をしましたと、その瞬間からのカウントになってくるのか、ある意味、一番早くていつの報告をいただけるのかなというのはどう考えていらっしゃるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/180
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181・野原諭
○政府参考人(野原諭君) 附帯決議で選定事業者によるというふうに書かれておりますので、そういう意味で、法律に基づいて選定事業者を選定して、選定されて、それで三か月ごとの報告を申し上げるということになろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/181
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182・村田享子
○村田享子君 しっかりと国会の中で引き続きチェックをしていく、御報告の検討をよろしくお願いをいたします。
続いて、私もデジタル人材についてお聞きをしたいと思います。
デジタル人材、具体的にまずどんな人材なのかというのをちょっと知りたいなということと、あと、第一回半導体等の小委員会の資料では、DXを支えるデジタル人材については、政府全体の目標として二六年度末までに二百三十万人ということで取り組んできたということですが、現在どのような状況になっているのか、御答弁お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/182
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183・大森一顕
○政府参考人(大森一顕君) お答え申し上げます。
デジタル人材の育成につきましては、デジタル田園都市国家構想総合戦略におきまして、委員御指摘ございましたが、二〇二二年度から二〇二六年度末までの五年間に合計二百三十万人の育成を目指すという目標を設定し、取組を進めているところでございます。
そのデジタル人材ですけれども、同戦略では、専門的なデジタル知識、能力を有し、デジタル実装による各地域の社会課題解決を牽引する人材としており、具体的には、経済産業省が二〇二二年に策定したデジタルスキル標準において定義される、いわゆるビジネスアーキテクトやデータサイエンティスト、あるいはソフトウェアエンジニアやサイバーセキュリティー人材等、さらに、こういった人材に加えまして、様々な地域や産業分野におけるデジタル実装を行うために必要な専門的デジタル知識や能力を有する人材を想定しております。
これらの人材の育成に向けては、政府一丸となって積極的に取り組んでいるところでありまして、この五年間で合計二百三十万人のデジタル人材の育成を目指すという目標に対しましては、二〇二三年度までの二年間で計約八十四万人のデジタル人材の育成を行っており、これはそれぞれの年度目標の数値を上回って達成しております。
また、二〇二四年度につきましても、年度目標約四十八万人に対し、上半期で既に約四十四万人を達成しておりまして、政府の取組は着実に進んでいるものと認識しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/183
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184・村田享子
○村田享子君 今、人材ということでいうと、私もよくこの委員会で取り上げます製造業、あと、特に中小企業は今、人手不足となっております。また、農業もそうですし、今、経産省の関係でいうと原子力の人材というのも不足しているというようなことを聞いています。
各業界が人手不足というような中で、その中でどうデジタル人材を確保していくのか、そういったこの業界の人手不足をどうバランス取っていくのかというのも大事なところだと思うんですが、その点、大臣、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/184
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185・武藤容治
○国務大臣(武藤容治君) 製造業とか中小企業を始め、あらゆる分野で人手不足、これは深刻な問題だということはもうずっと昨今のいろんな課題でございますが、経済産業省としては大きく二つのアプローチで対応しようと思っております。
一つ目は、なるべく人手に頼らず、機械化、自動化を進めていくこと、いわゆる省力化投資補助金を通じて様々な業種での機械化、自動化を支援させていただいているところです。二つ目は、個別の産業分野の実態に応じたスキルの習得支援ですとか、半導体、原子力、洋上風力などの分野で産学官連携による人材育成を進め、各分野で必要とされるスキルを持った人たちを増やす取組をしているところであります。
デジタル人材についても、必要なスキルを持った人材の不足が指摘されていることでありまして、このため、デジタルスキル標準の策定、そして情法処理技術者試験の運営等に取り組んできたところであります。さらに、本法案を通じまして、IPA独自の人材育成コンテンツの作成や提供など、取組を拡大していくところであります。
あと、こういういわゆるラピダスのような次世代半導体、さっきの生成AIの話もありましたけれども、生成AIがどんどん進歩する中で、やはりそういうところの人手不足を補うというところも我々としては考えていかなきゃいけないことだろうと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/185
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186・村田享子
○村田享子君 そのデジタル人材の中で、今大臣の御答弁にもありました、情報処理推進機構が運営をしている情報処理技術者試験についてお聞きをしたいと思います。
こちらに関して、金属産業の関係で働いている皆さんでつくる労働組合、金属労協というものがございますが、そこの労働組合の皆さんから御要望がありました。というのが、この情報処理技術者試験というのは幾つかの国家試験があります。その試験のやり方なんですけど、CBT、指定された試験会場でコンピューターで回答をする方法と、PBT、指定された試験会場で筆記で実施をする試験と、二つの方式があるんですが、情報処理技術者試験なのに筆記の試験、このPBTが多いんだよねと。
あわせて、民間の今こうしたデジタル関係の資格試験だと、CBTか、若しくはオンライン監督試験といって、自宅とか職場で受験用のアプリケーションとかウェブカメラ、マイクを使用してもう実施できちゃう試験というのがあって、その民間の資格試験ではCBTとオンライン監督試験というのがもう主流になっているそうなんです。
国家試験の方でも、PBTではなくてこのCBTやオンライン監督試験方式にできないかというような要望と、あわせて、この民間資格試験の方だと随時試験が受けられる一方で、その国家試験の方は、試験会場、指定された試験会場に行かないといけないというのもあるんでしょうが、国家試験の方だと年に一回若しくは二回しか受けられないということで、この試験回数も増やしてほしいんだというような要望をいただいています。
これは、もうデジタル人材を国として増やすためにも、試験方式の工夫であったり実施回数の増加必要だと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/186
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187・奥家敏和
○政府参考人(奥家敏和君) お答え申し上げます。
まず、御指摘いただきました情報処理技術者試験につきましては、まずリテラシーレベル、まさにリテラシーレベルというのは供給側だけでなくて使う側も含めて全体ということになるわけですけれども、ITパスポート試験、これは一番入門的で、多くの方に実は受けていただいていて、まずこれを受けてデジタルの世界やれるようにしていくと。これは、いち早く受けやすくしようじゃないかということで議論して、二〇一一年からCBT化、コンピューター・ベースド・テスティングを実施をしたということです。
その後、少しでも広げていけるようにということで、二〇二〇年からは情報セキュリティマネジメント試験、二〇二一年より基本情報技術者試験、こちらもCBT化へ対応してきています。
御指摘をいただいています筆記の問題でありますとか、インターネット・ベースド・テスト、IBTのようなものですけれども、これよりも上の、全体、今、情報処理の安全確保支援士といういわゆるセキスペと言われているものまで含めると十三区分でやっているわけですけれども、上級試験になっていくと、筆記でかなり能力をしっかり確保する。実際に、チェックだけじゃなくて、書いてもらって、読んで解答する、確認するということになってくるので、そうなってくると、ちょっとなかなかすぐにCBTとかいうような形になるのはということで、ずっと実は検討しているということです。
IBTにつきましては、民間の方の試験、これいろいろあると思います。民間試験の場合は、特に特定ベンダー、例えば、昔でいうとシスコのデータベースの、オラクルのデータベースであるとか、今だとアマゾンとかそういったもの、特定の技術を使える能力を確認するというビジネスベースでかなり回っていく世界。こういったものになってくると、いわゆる先ほどカメラで確認するとか、そういったものも含めてやるということで考えると思うんですけれども、国家試験の方で、できるだけ受けやすい価格設定とかそういったものも考えて、政令でいろいろ価格の設定なんかも行いながらやっている試験ですので、不正検知の問題とか、そういったものまで考えるとちょっといろいろ悩ましいだろうということとか、いろいろ悩んでいるというのが実態です。
また、試験の回数につきましても、高度試験になればなるほど問題を作ること自体が非常にしっかりしないといけないということで、試験委員の方の確保とかそういったものも含めて考えないといけない。
こういったものも踏まえた上で、今、実は情報処理技術者試験の区分、高度処理、高度試験のところは特に実は供給側の技術者の方、元々、先ほどもお話ししましたけど、ソフトウェア産業の黎明期に人を育てるということを元々の目的で試験つくっていますので、そういうものから、先ほど御議論いただいているとおり、ユーザー側、使う側の方々の育成に資する試験にしていかないといけないんじゃないかということもまた今、実は議論している中で、区分の在り方とかそういったものも含めて、ちょっと運営の在り方、区分の在り方もちょっと考えようということで実は議論を進めているところでございます。
引き続き、課題があることを認識した上で、どう対応していくかということを検討を進めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/187
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188・村田享子
○村田享子君 今回の法改正で機構の業務に人材育成を明記するということにもなりましたので、いろいろ御検討はされているということですが、試験をより受けやすくする、で、デジタル人材を増やしていくというのも引き続きお願いをしたいと思います。
この人材の関係で、やはり、私ちょうど今週、井上審議官と決算委員会でこの人材育成に関する基金についていろいろ議論させていただきました。そのとき、経産省がやられているリスキリングを通じたキャリアアップ支援事業というものでございましたし、また、こうしたリスキリングでいうと厚生労働省の教育訓練といった幾つかの事業がございます。
このデジタル人材をやっぱり増やしていくという上で、いろんな各省庁が今支援事業を持っているという中で、そこのやっぱり連携が必要だなというふうに思っていますが、その点、文科省等の関係省庁、関係機関との連携、どう図っているんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/188
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189・奥家敏和
○政府参考人(奥家敏和君) お答え申し上げます。
デジタル人材のところ、まさに問題意識、政府全体で持っているということで、先ほども二〇二二年から二〇二六年で二百三十万人ということで目標を掲げているということでございまして、具体的に実際に、例えば経済産業省、私どもは文科省さんとの間で、経済団体と、あと大学、高専の方々の代表者も交えまして、デジタル人材育成推進協議会、これを二〇二二年から開催をしています。基金の話ございましたけれども、まさにこの協議会における議論を踏まえまして、成長分野を牽引する大学、高専の機能強化に向けた基金が創設されるというような形の、いわゆる成果が出るような形の取組進めています。
また、厚生労働省の取組と経産省の方が連携する形で進めているのが、第四次産業革命スキル習得講座制度というのがございます。こちらにつきましては、AI、データサイエンスなどの最先端分野のリスキリングを行うのに適している講座であるということで経済産業省が認定しているこの講座の中で、厚労省の指定を受けることができますれば教育訓練給付金の支給対象となるというような仕組みも組むことで、お互いの取組、シナジーが出る形で取組を進めているということでございます。
こういった取組をしっかり進めていって、不足していると言われているデジタル人材の育成、しっかり進めていきたいというふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/189
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190・村田享子
○村田享子君 今、基金の話が出ましたので、必要な財源の確保という点から、このAI・半導体産業基盤強化フレームにおける基金についてちょっとお聞きをしたいと思います。
今回のこのフレームでは、経済産業省が所管をする基金等からの国庫返納金の繰入れで必要な財源を確保するとありますが、まず一つ確認なんですけれども、この繰り入れることができる基金というのは現在既に交付済みの基金、お金ということでよろしいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/190
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191・奥家敏和
○政府参考人(奥家敏和君) お答え申し上げます。
まず、御指摘をいただきましたとおり、今般のAI・半導体産業基盤強化フレーム、こちらの方につきましては、産業競争力の強化やそれに向けた経済基盤の維持のために予算措置をしていた基金などから、国庫納付金の形で国庫納付されたものを活用しています。産業競争力の強化、経済基盤の維持、この目的に達している基金ということですね。
御指摘をいただきましたことにつきまして、まず、既に行われたものということだけではなくて、基金への新たな予算措置につきましては、一応、法律上はそこは、その目的の基金のところは一応いわゆる繰入れができる形になっております。ただ、構造、考え方としましては、基金自体が、基金自体の新たな予算措置につきましては、令和五年に行政改革推進会議で基金の点検・見直しの横断的な方針というものをまとめておりまして、真に必要な金額に限って計上しているということでございますので、これを前提に運営していくということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/191
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192・村田享子
○村田享子君 今、新たに積み増した基金から繰り入れることもこの法改正上はできるといったお話で、真に必要な基金をそもそも積み立てるんだから、を措置するんだからというお話だったんですけど、やっぱりその場合心配なのが、やっぱり繰入れも見越して基金の積み増しがちょっと実は起きるんじゃないのというところなんですね。その点、どうチェックしていけばよろしいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/192
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193・奥家敏和
○政府参考人(奥家敏和君) お答え申し上げます。
お答え申し上げましたとおり、まず、基金を積み増すといったようなことを念頭に置いては当然おりません。これはもう当然のことでございます。
その上で、基金、これから造成したり積み増すような場合でありましても、シンプルに申し上げますと、他の予算事業と同様に、予算編成過程において財政当局、さらには国会で御審議をいただいて決まるものでございますので、そこは適切にチェックがされて、御判断をされて基金が用意されていくということであるというふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/193
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194・村田享子
○村田享子君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/194
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195・石川博崇
○石川博崇君 公明党の石川博崇でございます。
午前中から本当にお疲れさまでございます。今日の質疑は私で最後でございますので、もうしばらくお付き合い賜りますようお願い申し上げます。
私からまず大臣に、今回の次世代半導体への支援を目指していく、行っていく、国民目線での意義についてお伺いをしたいと思います。
これまでも何人もの先生方から質疑がございましたとおり、これだけ巨額の公的支援を行う以上、国民の皆様の理解、そして国民の皆様からの支持、これをしっかり得ていくということが重要ではないかというふうに思います。ともすると、これまで経産省からの説明というのは、成長産業である、あるいはAIや自動運転で計算資源が必要になってくる、アメリカや各国も大規模な投資を行っている、あるいは経済安全保障の観点からも必要である、こういった説明が多いわけですが、それはそれで非常に大事なんですけれども、じゃ、国民一人一人にとってこの半導体への投資を行っていくということがなぜ必要なのかということをやはり国民目線で説明をしていただくことも極めて重要なのではないかと思います。
我が国が抱えている少子高齢化、あるいは地方創生、グリーン成長、こういった課題を解決するためにも、デジタル化、あらゆる産業でデジタル化を進め、そしてそれに必要となる半導体というものが必要になってくる、こうしたことも含めて、私たち国民一人一人の生活をいかに豊かにしていくのかということが分かるように、是非大臣からその意義を、できるだけ具体例も挙げていただいて御説明をいただきたいと思っております。よろしくお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/195
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196・武藤容治
○国務大臣(武藤容治君) ありがとうございます。
私も大臣になる前、いろんな半導体議連とかエネルギーの関係ですとかいろんなところで、先生方も皆さん、あそこの、千葉県のデータセンターを御覧になったと思います。私も印西のデータセンター行ったときに、世の中えらい変わってきたなというのが正直なところでありました。
生成AIというのが昨今出てきて、チャットGPT、これは二〇二二年にリリースされておると思いますけれども、ユーザー数が僅か五日間で百万人と、二か月後には一億人を突破するなど、まさに生成AIの驚異的なスピードの、我々の生活に浸透してきているというのがこの頃だというふうに承知をしているところであります。今後、更にこの生成AIが進化すれば、高度な自動運転、またAIロボットが当たり前のものとなって、人手不足などの様々な社会課題の解決に貢献する未来が予想されるところであります。
万博、この前も行きましたけど、そういうところも見させていただきましたけれども、こうした生成AIの発展にとって、次世代の半導体、これはまさに欠かすことができないものであると、それを他国に依存しながら、冒頭申し上げましたけど、生きていく国になるのか、あるいは、日本の中で生産することで国内に富を生み、世界にも貢献できるようになっていくのか、まさにその分岐点に今来ているというところだと思います。
二ナノの次世代半導体の量産、これはもう海外のトップ企業を含めて、先ほど来申したとおり、いまだ実現に至っておりません。こういう野心的な取組であって、海外企業も早期の市場投入を目指して各国がそれぞれ取り組んできているところでもあり、我が国も一刻も早く技術を確立する、この観点が必要であるというふうに思っています。
こうした問題意識を持って、本案を、本法案を通じて国内での量産体制、これを早期に確立していきたいというふうに思っているところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/196
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197・石川博崇
○石川博崇君 ありがとうございます。
具体例も挙げていただきながら御説明をいただきました。是非、今後とも、様々記者会見とかあるいはテレビ等、大臣様々出られると思いますので、国民目線で、しっかりこの重要性というのが伝わるような御尽力をいただければというふうに思っております。
続いて、午前中の参考人質疑で、長峯先生からだったと思いますが、も出ていました、前工程なのか後工程なのかという話でございます。
有識者の方の中には、微細化技術、つまり前工程というのはいずれ限界が来ると、それではなくて、日本が優位性を持っているICチップを高密度化していく集積化技術、後工程にしっかり力を入れるべきではないかというような御指摘もあるというふうに承知をしております。
私は両方大事だというふうに思っておりますが、この見解について経産省としてどのように考えているのか、御説明をいただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/197
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198・野原諭
○政府参考人(野原諭君) 委員御指摘のとおりだと、両方必要だというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/198
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199・石川博崇
○石川博崇君 もう少し御答弁いただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/199
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200・野原諭
○政府参考人(野原諭君) チップレット、複数の半導体を集積するチップレット技術でございますが、後工程、大変重要でございます。後工程の研究開発も支援をしておりまして、我が国の強みである製造装置、部素材メーカーとTSMC、これ、つくばで研究センターを持っておりますし、サムスン、今横浜に研究センターを立ち上げようとしております。それから、インテルとは後工程の自動化のプロジェクトを日本の製造装置メーカーと一緒に取り組んでおります。これも日本の国内で取り組んでおります。我々も支援をしているものでございますが、このような後工程の技術開発に取り組むプロジェクトについて支援をしております。ラピダスの後工程についても支援をしております。
これらの取組によりまして、この先端後工程、次の微細化と、もう一つの競争領域になっておりますので、ここの、この先端後工程のところも非常に強化をしていきたいと、このように考えております。委員の御指摘のとおりだというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/200
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201・石川博崇
○石川博崇君 ありがとうございます。
これもこれまで何度か出ている論点でありますけれども、やはりこのトランプ関税政策の動向というのが日々報じられる中で、今後の日米の協力というのがどうなっていくのか、今不透明なところが多いわけですけれども、ラピダスの課題の一つとして言われているのが顧客の開拓でございます。
小池社長も、シリコンバレーの企業がかなりの大部分を占めるということや、あるいはGAFAと打合せをしているという発言をされていますが、このアメリカの関税政策がどのようにこのラピダスの顧客開拓に影響を与えていくことになるのか、経産省としてどのように分析していますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/201
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202・野原諭
○政府参考人(野原諭君) 四月二日にアメリカから発表された相互関税の対象から半導体は除外をされておりますが、トランプ大統領から半導体についての関税も導入というのは繰り返し言及されていることは認識をしております。
一方で、半導体を含む製品は、前工程と後工程が別の地域で行われていることが非常に多うございます。チップを製造して、大体後工程、アジアのどこかに行って組み立てられると、そして、この組み立てられたものがその国の物品としてアメリカ市場に輸出されているケースが非常に多いわけでございまして、そうすると、半導体とは違うカテゴリーの税関の分類になって、しかも第三国の国の税、関税として掛かってアメリカ市場に入ってくると。その中にそのチップ自体が搭載されているということになってまいりますので、非常に影響は複雑でございます。
こうした点も考慮する必要がございまして、現時点でアメリカの半導体関税については詳細はまだ明らかになっておりませんので、発表にならないとどういう評価になるかというのは確定をしないと思います。
その上で、仮に半導体に関税が掛かった場合に、その関税の具体的内容に加えまして、例えばラピダスの関係でいきますと、二ナノの世代の半導体、アメリカ国内での需要と供給のバランスがどれぐらいなのかということによっても影響は異なってまいります。
TSMCのアリゾナ工場は、一号棟だけ稼働が始まりましたけれども、この後、二〇二八年から三ナノと二ナノ、二〇三〇年までに二ナノとその更により先端というのを生産開始予定というふうに元々発表されておりましたが、量産の規模は明らかになっておりません。先日発表になったのが四、五、六棟目なんですが、これはどのノードのものを作るか、いつ作るのか、どれぐらいの量なのか何も発表になっていないと、詳細は明らかになっていないという状況になっておりまして、これらの動向も注視する必要があると考えております。
特にアメリカの製造の部分は余り、製造業はないというふうにおっしゃっているようにサプライチェーンって余りありませんので、そういう意味で、チップ、前工程のチップだけじゃなくて、チップの周辺のメモリーとかほかの部品も要りますし、それを組み立てる施設も要るということで、サプライチェーンを一連そろえないと、関税が掛からないので、アメリカの国内では完結しないという構造になっていますので、そうすると、欠けているところがあると外へ出てまた戻ってくると関税が掛かるとか、欠けているものは外から入れるときに関税が掛かるとか、いろいろ複雑な要素がございます。
TSMC、台湾に非常にたくさん二ナノの工場を建てようと今建設していますので、そういう意味では、これの行き先としても最終的にほかのアジアの国を回ってアメリカ市場に入らないと、全部アメリカ以外の市場向けというわけでは元々なかったと思いますので、その辺の関係、台湾から輸出する分は日本のラピダスの千歳から出るものとぐるぐる回ってアメリカ市場に入ってくるところは全く一緒でございますので、そういったことも考慮する必要がございます。
また、ビジネスモデル上もTSMCとラピダスで、何度か御議論になっているように、ビジネスモデルをすみ分けて、全枚葉式で速く作る、今までのTSMCのビジネスモデルよりも短期間に発注から製造まで、納品までというようなビジネスモデルを組んでおりまして、ビジネスモデルもTSMCとすみ分けておりますので、そういうことも、ビジネスモデルがかぶっていないというところも影響してくるところでございまして、これらを踏まえて、引き続き、アメリカの側の関税の発表を踏まえて、どのように対処していくかということを相談して検討していくということになろうかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/202
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203・石川博崇
○石川博崇君 ありがとうございます。
今後、動きが、予測が非常に困難な中でいろんなことを検討されているというふうに思いますが、アメリカの動向にかかわらず、サプライチェーン先、顧客先の多様化というのはしっかりと進めていくことが重要ではないかというふうに思います。
アメリカが、GAFAも始め、圧倒的にこの需要としての、顧客としてのインパクトが大きいのは間違いありませんけれども、アメリカ以外の各国に対するアプローチの重要性についてどのように考えているのか。午前中、小池社長からの御説明によれば、シンガポールの企業との連携というものも説明されておりましたけれども、その現在の状況、手応え等についてお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/203
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204・野原諭
○政府参考人(野原諭君) AI用の、AIのインフラとか能力を持ちたいというのは、全世界の国々が皆AIの能力を持ちたいと思っていますので、そういう意味で、最終的な製品の仕向地としてはグローバルに市場はあるわけでございまして、半導体の設計会社としては確かにAMDとかエヌビディアとかアメリカにあるんですけれども、実際、彼らの売っている販売先の国はグローバルなわけで、必ずしもアメリカ市場だけではないわけでございます。
そういう意味で、そういう点もございますし、アメリカのみならず、EU、イギリス、オランダ、インドなど様々な国と半導体協力についてのパートナーシップを締結し、有志国の協力というのは進めてきているところでございます。民間企業と研究機関同士の連携も重要でございまして、ラピダスはIBMだけじゃなくてベルギーのimecともMOCを締結し、ヨーロッパのASMLとかプレーヤーとも協力して研究開発を進めているところでございます。
それから、国内の需要についても、プリファードネットワークス、さくらインターネット等々、需要開拓の取組をしておりますし、委員から御指摘あったように、シンガポールの拠点のインド系の会社でございますが、設計会社でございますが、クエスト・グローバルとの提携を発表されました。このクエスト・グローバル、たくさんグローバルな顧客を持っておりますし、大量の設計のエンジニアを、インド人のエンジニアを抱えておりますので、ラピダスプロジェクトに投入するということをCEOの方も表明されていますので、そういう協力も足掛かりとしながら取り組んでまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/204
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205・石川博崇
○石川博崇君 丁寧な説明ありがとうございます。
中小企業がこのプロジェクトにどのように関わっていくのか、先ほど越智先生からも御質問がございましたけれども、地域の中堅・中小企業がしっかりとこのラピダスプロジェクトのサプライチェーンに参画できるようにしていくことが私も重要ではないかというふうに思います。我が党の、半導体基盤強化プロジェクトチームというものをつくっておりまして、この半導体投資の効果を地域や中堅・中小企業に波及させることも提言をしてまいりました。
一方で、先ほども話がございましたが、この半導体のサプライチェーン、非常に高度化されておりますので、なかなか参入は容易でないというのが現実でもあるというふうに思います。この半導体産業復活に向けた大規模な支援が始まりつつ、今だからこそ高い技術を持った中堅・中小企業がサプライチェーンへの参画を可能にするような制度設計、これを国が旗を振って打ち出しをしていただきたいと思っております。
例えばですけれども、産学官連携を目的に各地域に設置されておりますコンソーシアム、こういったものを活用して中小・中堅企業とのマッチング、あるいは調達機会の確保、こういったものをアレンジする場を更につくっていくということも考えられるかと思いますけれども、経産省のお考えをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/205
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206・野原諭
○政府参考人(野原諭君) 世界的に増加していく半導体の需要を取り込んで、それを地域の中堅・中小企業に波及させていくことは、地方創生の観点から、国内サプライチェーンの強靱化の観点からも重要でございます。
委員御指摘のとおり、半導体産業、構造上、TSMCのような大手のデバイス企業の直接の取引先というのは大手の日本の製造装置メーカーであったり大手の日本の素材メーカーであったりというところが中心になりまして、日本、熊本の工場も日本全国に散らばるこういうその日系の素材メーカー、製造装置メーカーに発注が行くという形になりやすいんですけれども、そういう意味で、地域の中堅・中小企業が直接TSMCと取引をするというのは、なかなかそんなに容易なことではないということは言えると思います。
他方、この取引先のそういう製造装置メーカーの更に部品の分野が参入しているケースは結構あるわけでございまして、あるいは物流、メンテナンス等の周辺産業において、地域の中堅・中小企業の参画というのは見られるわけであります。
そういう意味で、委員からも御指摘のあった産学官連携の人材育成等コンソーシアム、ここは大企業と地域の中堅・中小企業のマッチングを実施しておりますので、こういう取組を更に拡大、高度化していくことで、地域の中堅・中小企業への波及というのを実現していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/206
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207・石川博崇
○石川博崇君 是非力強く進めていただきたいと思います。あわせて、やはり地域経済の活性化に資する取組に更に力を入れていただきたいと思います。
昨年、官房長官に我が党の半導体PTが提出した提言の中でも、経済安全保障だけでなく、地域振興の観点から大胆できめ細やかな支援が必要である点を強調させていただいております。
今回改正される法案の中には、これから事業者を公募して選定することになっているんですが、その公募に当たっての指針の中にも地域経済の活性化に寄与するということが書かれております。この地域経済の活性化への寄与に関する事項とは具体的にどのようなことを想定しているのか、我が党からの提言等も踏まえてしっかりと地域経済の活性化に結び付けていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/207
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208・野原諭
○政府参考人(野原諭君) この次世代半導体でございますが、あらゆる産業の発展、社会課題の解決に貢献し、地域の中小企業も含めて幅広い波及効果をもたらすため、今回の法律に基づいて、その量産を目指す事業者に対して各種の支援措置を講じることとしております。この支援の意義を担保するために、法律上、公募、選定の審査基準として、御指摘の我が国経済社会の発展及び地域経済の活性化への寄与に関する事項というのを指針に盛り込むこととしております。
具体的な指針のこの内容につきましては、今後、産業構造審議会の次世代半導体小委員会での議論を踏まえ、パブリックコメントを経た上で決定してまいります。その際、地域経済の活性化に結び付くよう、地域における人材育成など、公明党の半導体PTから御提言いただいた内容も十分踏まえて検討してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/208
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209・石川博崇
○石川博崇君 小委員会で御検討されるということですので、是非委員の皆様にもお伝えをいただきたいと思います。
その地域経済の活性化の観点で、千歳市への企業の進出動向についてもお伺いをしたいと思います。
先ほども話がございましたが、昨年年末時点で三十社程度の半導体関連企業が拠点設立を決定したというふうに経産省さんの資料にも書かれてありますが、そこに列挙されている企業名を見させていただくと、大半が海外勢でございます。日本企業は日本通運のみで、それ以外、オランダのASML、あるいはアメリカのアプライド・マテリアルズ、ラムリサーチ、ベルギーのimecと海外企業勢が大半を占めているわけでございます。
当然、まだフェーズが、ようやくパイロットラインが始まったばかりということでございますので、まだまだこれからということになろうかと思いますが、去年の年末から今に至るこの間に最新の国内企業の動向がどうなっているのか、特に地場企業の参画という観点からお聞きをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/209
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210・野原諭
○政府参考人(野原諭君) ラピダスプロジェクトは現時点で研究開発段階にありますので、TSMCが立地している熊本県と比べると、関連企業の進出はこれからという段階、これから進んでいくという段階だというふうに認識をしております。
ラピダスが拠点形成を進めています北海道の千歳市によりますと、昨年末の時点で三十七社の半導体関連企業が千歳市にオフィス等の拠点設立を決定したと。地域での産業集積が進みつつあり、これらの企業の中には、製造装置、研究開発、それから人材、物流関係等、日本企業も含まれているというふうに聞いております。
ラピダスと地元企業とのマッチング事例も少しずつ増加しているところでございます。例えば、パイロットラインに関連するソフトウェアの開発業務の契約というのを地元の企業の方との間で締結されたというふうに聞いております。
経済産業省といたしましても、地元の関係機関とも連携しながら、こうした取組を後押ししてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/210
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211・石川博崇
○石川博崇君 関連してですが、四月二日の朝日新聞に、半導体の原材料メーカーの千歳市への進出が本格化していないという記事がございました。特に原材料メーカー、様々危険物等も扱うわけですけれども、本州と陸続きでない北海道への運送は船で運送しなければいけない、量産を見込んで拠点も構えるとなれば大規模な投資が必要になるということから、この報道によればですけれども、多くのメーカーが様子見状態というふうに掲載されておりました。
このような投資をためらっている原材料メーカーをどのように後押しをしていくのか、経産省の御所見をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/211
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212・野原諭
○政府参考人(野原諭君) ラピダスでございますが、現時点では研究開発段階にございますので、関連企業の本格的な進出は、今後のラピダスの量産フェーズへの移行、それに伴う各社の投資計画に合わせて加速していくものというふうに想定をしております。
その上で、民間部門における予見可能性を高め企業の投資を後押しする観点から、今後七年間で十兆円以上の公的支援を行うAI・半導体産業基盤強化フレームを策定したところでございます。個別案件の選定は、優先順位を付けた上で、毎年度必要な予算を国会で御審議いただくこととなりますが、支援対象には、御指摘のこの半導体の部素材とか関連のサプライチェーンのところも含まれております。
御指摘の高圧ガスなどの輸送についてでございますが、昨年十一月に北海道経済産業局が事務局となって北海道半導体物流検討会議を設立し、検討を行っているところでございます。例えば、海上輸送の際、港湾などにおける高圧ガスの貯蔵方法が課題として挙げられておりまして、今後、業界ガイドラインの策定等によりあるべき貯蔵方法の明確化を図ることなどを検討しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/212
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213・石川博崇
○石川博崇君 引き続きしっかりと後押しをお願いしたいと思います。
視点を少し変えまして、私からも人材育成について御質問させていただきたいと思います。
先ほども議論に出ておりましたけれども、政府として二〇二六年度末までに二百三十万人のデジタル人材の育成を目指すということで、今回の改正法案でもIPA、機構によるデジタル人材の育成がポイントの一つとなっております。しかし、元々機構は、事業の三本柱の一つとしてデジタル人材の育成、先ほど来ありましたとおり、試験の提供等をやってきていただいております。
今回改めてその機構の業務に人材育成を明記する趣旨、また、これを明記することで具体的に業務にどのような変化があるのか伺いたいと思いますし、また、これまでの行ってきた機構の人材育成について、その成果や課題をどう認識しているかも併せてお答えいただけますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/213
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214・奥家敏和
○政府参考人(奥家敏和君) お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、IPA、これまでも現行法の規定の範囲内で、情報処理技術者試験でありますとか、あとデジタルスキル標準のようなものを策定するという取組を行ってきています。この中で、成果ということで、先ほども申し上げましたけれども、まさに情報処理技術者試験は一九六九年から累計で二千三百万人の応募、三百六十万人の合格者というような形で一定の役割を果たしてきているというふうに思っています。
一方で、DXというものを進めていくということで、供給側の技術者の育成だけではなくて、使う側の人をしっかりと育てていかないといけないという問題意識が非常に強くなっていると。
例えば、DXが進まない、取り組まない理由というのを情報処理推進機構、IPAの調査、DX動向二〇二四、ここで見てみると、知識不足、スキルの不足、人材の不足、こういったところが一番のネックになっているというようなことが実際に声として上がっているということでございまして、したがって、こういった需要に対応していく人材育成をやっていかないといけないだろうと。
その場合に、今回法改正で明確にデジタル人材の育成というものを追加することで、IPAが、これまではある意味間接的な形で環境をつくったりとか、そういったことをやっていたわけですけれども、コンテンツ自体を作って提供するとか、そういった自らまさに材料を作って提供するとか、こういうような取組をできるようにしようということでございます。
先ほども少し申し上げましたけれども、実際にデジタルを使ってDXを企業内で進めていこうとするときには、データをアナリスト的なものだけじゃなくて、データを管理うまくできる人とかを育てていかないといけない、ビジネスのところと連携した形でAIを使うことが分かる人がいないといけない、こういったところ、残念ながらやはりコンテンツ、ちょっと不足しているんじゃないか、そもそもモデルカリキュラムのようなものとかもないよねと。こういうようなものについて、まさにIPA自らが取り組んで提供していくというようなこととかはしっかり踏み込んで取り組んでいけるようにしていきたいというふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/214
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215・石川博崇
○石川博崇君 今回の法改正で、これまでの間接的な取組から、直接的、主体的にIPAが人材育成を行えるということで承知をいたしました。
この人材育成に関して、我が党の半導体PTからは、大学とかあるいは高専、工業高校など、地域や関係機関との連携で推進するように求めさせていただいております。
この点、二〇二二年に設立されました技術研究組合最先端半導体技術センター、通称LSTCの大学・地域・産業連携ワーキンググループというものがありますが、ここでは、大学、高専、地域、産業界などの相互の連携構築と強化を役割として進めるというふうに取り組んでいらっしゃるとお伺いしております。非常に期待もしたいなと思っておりますが、現在のこのワーキンググループの取組状況、また成果、あるいは今後の展望などについて御説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/215
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216・野原諭
○政府参考人(野原諭君) 御指摘のLSTCの大学・地域・産業連携ワーキンググループでございますが、東北大学の戸津教授を座長として、各地域の人材育成等コンソーシアム同士の連携促進を始め、大学、高専、地域、産業界などの相互の連携構築と強化を主な役割としております。
具体的な取組としましては、現在、アカデミアにおける半導体カリキュラムの検討のベースとなる標準的に求められるスキルの整理、見える化、各地域の人材育成等コンソーシアムや関連機関が先行的に取り組んできた優良事例やコンテンツの把握と他地域への横展開などを進めておられるというふうに認識をしております。
経産省といたしましては、引き続き、LSTC関係者と密接に連携しながら、半導体人材の育成、確保の取組を推進してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/216
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217・石川博崇
○石川博崇君 まだ一部地域での取組だという認識でございますので、是非、今おっしゃっていただいた横展開、しっかりと進めていただければというふうに思います。
もう一つ、LSTCのワーキンググループで、新産業創出人材ワーキンググループというものがございます。人材育成を行っていく上で、国内での連携も重要ですけれども、海外との連携というのも極めて重要ではないかと思います。ラピダスの東会長とIBMの技術開発部門のトップであるジョン・ケリー氏は二十年来の友人というふうにもお伺いしておりまして、こうしたグローバルな人脈を形成していくことが、後々非常に我が国にとっても重要な、効いてくる要素になると思っております。
そういう意味で、このLSTCの新産業創出人材ワーキンググループは、海外の教育機関や産業界との連携構築を役割の一つとされていらっしゃいます。具体的にどのような海外との連携構築に取り組まれているのか、例えばその進捗状況であったりとか、あるいはどういうことを目指していくのが目標であったりとか、御説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/217
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218・野原諭
○政府参考人(野原諭君) 御指摘の新産業創出人材ワーキンググループでございますが、東京科学大学の大橋准教授を座長としまして、半導体の新技術活用の促進が見込まれる新産業を複数抽出しながら、半導体側とユーザー側の双方を俯瞰していく人材育成の在り方を検討いただいております。
これまでの具体的取組としては、半導体業界のみならず、ユーザー産業、ファイナンス業界なども巻き込んだワークショップを開催しつつ、今後はアカデミア機関において具体的に展開していくためのカリキュラムの検討などを行っているものと認識をしております。
御指摘も踏まえて、取組をしっかり進めてまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/218
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219・石川博崇
○石川博崇君 ありがとうございます。
事前のレクでは、この海外の教育機関や産業界との連携構築、まだまだ準備段階でこれからというふうにお伺いをしております。是非、今このときだからこそ、この海外の様々な産業界あるいは教育機関との連携をこのワーキンググループ中心に進めていただくよう、強くお願いをしたいと思います。
ちょっと時間余らせているんですが、切りがいいのが今ですので、大変申し訳ありませんが、残りの質問は次回に回させていただいて、私の質問は以上で終わらせていただきます。
大変ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/219
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220・牧山ひろえ
○委員長(牧山ひろえ君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
午後四時九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121714080X00420250417/220
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