1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
令和七年四月十八日(金曜日)
午前十時一分開議
━━━━━━━━━━━━━
○議事日程 第十五号
令和七年四月十八日
午前十時開議
第一 電波法及び放送法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
第二 児童福祉法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
第三 鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
一、重要電子計算機に対する不正な行為による被害の防止に関する法律案及び重要電子計算機に対する不正な行為による被害の防止に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(趣旨説明)
以下 議事日程のとおり
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121715254X01420250418/0
-
001・関口昌一
○議長(関口昌一君) これより会議を開きます。
この際、日程に追加して、
重要電子計算機に対する不正な行為による被害の防止に関する法律案及び重要電子計算機に対する不正な行為による被害の防止に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121715254X01420250418/1
-
002・関口昌一
○議長(関口昌一君) 御異議ないと認めます。平将明国務大臣。
〔国務大臣平将明君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121715254X01420250418/2
-
003・平将明
○国務大臣(平将明君) 重要電子計算機に対する不正な行為による被害の防止に関する法律案及び重要電子計算機に対する不正な行為による被害の防止に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の趣旨について御説明申し上げます。
まず、重要電子計算機に対する不正な行為による被害の防止に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
この法律案は、インターネットその他の高度情報通信ネットワークの整備、情報通信技術の活用の進展、国際情勢の複雑化等に伴い、そのサイバーセキュリティが害された場合に国家及び国民の安全を害し、又は国民生活若しくは経済活動に多大な影響を及ぼすおそれのある国等の重要な電子計算機のサイバーセキュリティを確保する重要性が増大していることに鑑み、重要電子計算機に対する特定不正行為による被害の防止のための報告の制度や通信情報の取得等の措置等について定めることにより、重要電子計算機に対する不正な行為による被害の防止を図ることを目的とするものであります。
次に、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。
第一に、特別社会基盤事業者が特定重要電子計算機を導入したときの特定重要電子計算機の製品名及び製造者名等の届出の義務を規定するとともに、特別社会基盤事業者が特定重要電子計算機に係る特定侵害事象等の発生を認知したときの報告の義務を規定することとしております。
第二に、内閣総理大臣は、特別社会基盤事業者その他の事業電気通信役務の利用者との間で当該利用者を通信の当事者とする通信情報のうち外内通信情報に該当するものを用いて必要な分析を行うこと等を内容とする協定を締結し、それにより通信情報の提供を受けることができることとしております。
第三に、内閣総理大臣は、国外通信特定不正行為に関係する外外通信、外内通信又は内外通信が電気通信事業者により媒介される国外関係通信に含まれると疑うに足りる場合において一定の要件を満たしたときは、サイバー通信情報監理委員会の承認を受けて、当該国外関係通信の通信情報の一部が複製され、内閣総理大臣の設置する設備に送信されるようにするための措置を講ずることができることとしております。
第四に、内閣総理大臣において取得した通信情報の中から一定の要件を満たす機械的情報のみを選別する措置を講ずる等、取得した通信情報の取扱いについての所要の規制を設けることとしております。
第五に、特別社会基盤事業者による報告等により得た情報、選別された通信情報、協議会を通じて得た情報その他の情報が重要電子計算機に対する特定不正行為による被害の防止に有効に活用されるよう、内閣総理大臣が当該情報の整理及び分析を行うこととした上で、整理又は分析した情報について、国の行政機関、特別社会基盤事業者、電子計算機等供給者等に提供する等の所要の規定を設けることとしております。
第六に、内閣総理大臣は、内閣総理大臣及び関係行政機関の長により構成される重要電子計算機に対する特定不正行為による被害の防止のための情報共有及び対策に関する協議会を組織するほか、当該協議会に、重要電子計算機を使用する者等の必要と認める者をその同意を得て構成員として加えることができることとし、被害防止情報を共有するとともに、所定の事項について協議を行うこと等としております。
第七に、いわゆる三条委員会としてサイバー通信情報監理委員会を設置することとし、その任務として、国等の重要な電子計算機等に対する不正な行為による被害の防止のための措置の適正な実施を確保するための審査及び検査を行うこととしております。
そのほか、所要の規定の整備を行うこととしております。
なお、この法律案の施行期日は、一部の規定を除き、公布の日から起算して一年六月を超えない範囲において政令で定める日としております。
政府といたしましては、以上を内容とする法律案を提出した次第でございますが、この法律案は衆議院において一部の修正が行われております。
第一に、通信の秘密の尊重についてであります。
この法律の適用に当たっては、第一条に規定する目的を達成するために必要な最小限度において、この法律に定める規定に従って厳格にその権限を行使するものとし、いやしくも通信の秘密その他日本国憲法の保障する国民の権利と自由を不当に制限するようなことがあってはならない旨を明記することとしております。
第二に、国会に対する報告事項の具体化についてであります。
サイバー通信情報監理委員会の所掌事務の処理状況に関する国会への報告は、所定の事項に係る承認の件数等が含まれていなければならないものとすることとしております。
第三に、検討規定についてであります。
政府は、附則第一条第四号に掲げる規定の施行後三年を目途として、特別社会基盤事業者による特定侵害事象等の報告、重要電子計算機に対する特定不正行為による被害の防止のための通信情報の取得、当該通信情報の取扱い等の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとすることとしております。
続きまして、重要電子計算機に対する不正な行為による被害の防止に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案につきまして、その趣旨を説明申し上げます。
この法律案は、重要電子計算機に対する不正な行為による被害の防止に関する法律の施行に伴い、重大な危害を防止するための一定の警察官又は自衛官による電子計算機の動作に係る措置に関する規定を整備するとともに、サイバーセキュリティ基本法その他の関係法律について所要の規定の整備等を行うものであります。
次に、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。
第一に、警察官職務執行法を改正をして、警察庁長官が指名する一定の知識及び能力を有すると認められる警察官は、サイバーセキュリティを害することその他情報技術を用いた不正な行為に用いられる電気通信等又はその疑いがある電気通信等を認めた場合であって、そのまま放置すれば人の生命、身体又は財産に対する重大な危害が発生するおそれがあるため緊急の必要があるときは、そのいとまがないと認める特段の事由がある場合を除いてサイバー通信情報監理委員会の承認を得た上で、当該電気通信等の送信元等である電子計算機の管理者その他関係者に対して、危害防止のため通常必要と認められる措置であって電気通信回線を介して行う電子計算機の動作に係るものをとることを命じ、又は自らその措置をとることができることとしております。
第二に、自衛隊法を改正して、内閣総理大臣は、重要電子計算機に対する不正な行為による被害の防止に関する法律に規定する重要電子計算機のうち一定のものに対する同法に規定する特定不正行為であって、本邦外にある者による特に高度に組織的かつ計画的な行為と認められるものが行われた場合において、これにより重大な支障が生ずるおそれが大きいと認められ、かつ、その発生を防止するために自衛隊が有する特別の技術又は情報が必要不可欠であること等により自衛隊が対処を行う特別の必要があると認めるときは、自衛隊の部隊等に当該特定不正行為による当該重要電子計算機への被害を防止するために必要な電子計算機の動作に係る措置であって電気通信回線を介して行うものをとるべき旨を命ずることができることとしております。また、当該措置をとるべき旨を命ぜられた部隊等の職務の執行及び自衛隊又は日本国にあるアメリカ合衆国の軍隊が使用する一定の電子計算機をサイバーセキュリティを害することその他情報技術を用いた不正な行為から職務上警護をする自衛官の職務の執行について、警察官職務執行法の必要な規定を準用することとしております。
第三に、サイバーセキュリティ基本法を改正して、サイバーセキュリティ戦略本部について、本部長は内閣総理大臣、本部員は本部長及び副本部長以外の全ての国務大臣をもって充てる組織とするとともに、その所掌事務について、重要社会基盤事業者等におけるサイバーセキュリティの確保に関して国の行政機関が実施をする施策の基準の作成及び当該基準に基づく施策の実施の推進並びに国の行政機関等におけるサイバーセキュリティの確保の状況の評価を追加することとしております。
第四に、内閣法を改正して、内閣官房に、内閣官房の事務のうちサイバーセキュリティの確保に関するもの等を掌理する内閣サイバー官を一人置くこととしております。
そのほか、重要電子計算機に対する不正な行為による被害の防止に関する法律の施行に伴い、情報処理の促進に関する法律、国立研究開発法人情報通信研究機構法、内閣府設置法等について、関連する事務の追加等関係規定の整備を行うこととしております。
なお、この法律案の施行期日は、一部の規定を除き、重要電子計算機に対する不正な行為による被害の防止に関する法律の施行日の日とすることとしております。
以上が、重要電子計算機に対する不正な行為による被害の防止に関する法律案及び重要電子計算機に対する不正な行為による被害の防止に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の趣旨であります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121715254X01420250418/3
-
004・関口昌一
○議長(関口昌一君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。山本啓介君。
〔山本啓介君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121715254X01420250418/4
-
005・山本啓介
○山本啓介君 自由民主党の山本啓介です。
私は、会派を代表し、サイバー対処能力強化法案及び同整備法案について質問をいたします。
サイバー攻撃は頻発化、巧妙化しています。四年前の東京オリンピック・パラリンピックでは、大会期間中の不正通信は四億五千万回に上りました。日本へのサイバー攻撃関連通信数は増加傾向にあり、昨年は六千九百億回近くとなっています。
昨年末、本邦航空会社がDDoS攻撃を受けましたが、攻撃対象は公的機関か民間企業かを問いません。
ウクライナ侵略でも、ロシアは、その一年以上前から政府機関や重要インフラ等情報システムに侵入しており、サイバー攻撃は有事の前兆でもあります。
身の代金目的の攻撃により、標的とされた病院や港湾で業務が停止した事案もあります。兵器開発や購入のための資金入手を目的としたサイバー攻撃も目立ちました。去年五月、北朝鮮を背景とする集団が暗号資産交換業者から奪った四百八十億円相当のビットコインは、核・弾道ミサイル開発の資金になっているとの指摘もあります。
本年二月の日米首脳会談共同声明では、サイバー空間分野における二国間の安全保障協力の拡大が確認されましたが、サイバー攻撃への対処能力の強化は、国民生活や経済活動はもちろん、安全保障、さらには我が国の国際的な信用にも直結しています。
そこで、サイバー空間の深刻な状況や欧米等の措置との比較を踏まえつつ、我が国や国民の平和と安全、そして国益を守り抜くために、本法案が絶対に必要なものであるという石破総理の認識をお聞かせください。
我が国に対するサイバー攻撃に関する通信の九九・四%が海外から発信されたものであり、また、攻撃元を隠蔽するために、踏み台と言われる乗っ取った機器を介して攻撃が行われています。そこで、サイバー攻撃を防ぐには、まず、海底ケーブル経由の通信、さらに攻撃元へたどって通信等を分析して実態を把握する必要があります。
本法案では、政府は、インシデント報告が義務付けられる基幹インフラ事業者とは協定を結び、通信情報を取得することが可能となります。
さらに、国家的な重大事態となりかねない脅威を糸口からつかまえるためには、海外からの攻撃により意図せず踏み台とされた事業者などから通信情報を取得、分析することも必要ですし、海外の攻撃インフラの実態把握のために、外国から日本を経由して外国へ向かういわゆる外外通信についても通信情報を取得していく必要があります。
これらの海外が絡む場合においても、通信の秘密とのバランスを調整しながら通信情報を利用していくお考えでしょうか。平大臣にお伺いします。
海外からのサイバー攻撃から国と国民の安全を守るためには、物理的な国境のないサイバー空間での対応が求められます。特に、海外からの高度かつ無限の飽和攻撃が現実のものとなっているだけに、これを何としても防がなければなりません。
本法案では、サイバー攻撃による重大な危害を防止するために、警察、自衛隊が国外の攻撃関係サーバーなどに対して措置を講ずることができるようになります。
そこで、自衛隊や警察が、いわゆるアクセス・無害化措置の実施主体になるとしても、その措置の実施に至るまでの内閣における判断体制、国家安全保障局との連携などについてはどのように考えているのでしょうか。総理にお伺いします。
今回、組織体制の整備としては、司令塔となる内閣サイバーセキュリティセンターの発展的改組などを進めます。同時に、例えば、情報通信研究機構に追加される事務を行う職員や通信情報を利用、分析する職員、サイバー攻撃による重大な危害の対処、調整を担う職員など、新たな取組を支える人材確保と育成も不可欠です。
そこで、政府における新組織を中心とした人材確保と育成について、どのように取り組むお考えでしょうか。この点を石破総理にお伺いして、私の質問を終わりたいと存じます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣石破茂君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121715254X01420250418/5
-
006・石破茂
○内閣総理大臣(石破茂君) 山本啓介議員の御質問にお答えをいたします。
サイバー攻撃の現状や本法案の必要性に関する認識についてお尋ねを頂戴をいたしました。
国家を背景とした高度なサイバー攻撃への懸念の拡大や社会全体におけるデジタルトランスフォーメーションの進展を踏まえますと、我が国のサイバー対処能力の向上はまさに喫緊の課題であります。
本法案は、我が国のサイバー対処能力を抜本的に強化するため、官民連携の強化、通信情報の利用、攻撃者のサーバー等へのアクセス・無害化といったサイバー安全保障分野における新たな取組を実現するためのものであり、欧米主要国において既に導入されている同種の制度等の内容も踏まえたものとなっております。本法案は、国民の皆様の安全な暮らしと我が国の平和と安全、そして国益を守り抜くために必要不可欠なものであると、このように考えておるところでございます。
アクセス・無害化措置についての内閣における判断体制等についてであります。
国、基幹インフラ事業者に対する一連の重大なサイバー攻撃の発生又は予兆を認知し、アクセス・無害化措置を実施する必要があると認められる場合には、国家安全保障の観点からこれが適切に行われますよう、私自身が議長を務める国家安全保障会議で速やかに審議いたしました上で、総論的な対処方針を定めることとなります。その上で、内閣官房に設置する新組織が、サイバー安全保障担当大臣の指導の下、国家安全保障局と連携して総合調整を行い、統一した方針の下で警察と自衛隊が緊密に連携して対処することとなります。
政府におけるサイバーセキュリティ人材の確保、育成についてであります。
サイバー攻撃の脅威が深刻化する中、今般の法案に基づく新たな業務に従事する職員を含め、サイバーセキュリティ人材の確保や育成は重要な課題であると認識をいたしております。
内閣官房や内閣府に新たに設置される組織におきましては、内閣サイバーセキュリティセンターの職員を引き続き任用することに加えて、サイバーセキュリティ分野の知識、経験が豊富な職員を関係省庁から受け入れたり、専門的な知見を有する民間の方々を採用することにより必要な人材を確保するとともに、研修、諸外国との交流、官民連携などを通じて職員の更なる能力向上を図ってまいります。
政府全体といたしましても、省庁間や官民での人事交流、即戦力となる人材の中途採用、省庁横断的な人的ネットワークの構築などを通じて、新たな知見や技能の修得、共有、効果的な取組の普及などを推進し、専門性の高い人材の確保、育成につなげてまいります。
残余の御質問につきましては、関係大臣より答弁をさせていただきます。(拍手)
〔国務大臣平将明君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121715254X01420250418/6
-
007・平将明
○国務大臣(平将明君) 山本啓介議員より、政府による国外が関係する通信情報の利用についてお尋ねがありました。
インターネットでの通信の経路はその途中で国境を越えることがあり得ることから、例えば外内通信であっても、さらには外外通信であっても、実際の送信者や受信者の両方が日本国民あるいは日本国内に所在する外国人である可能性が否定できないと考えております。
このため、本法律案においては、国外に関係する通信について、仮に日本国民あるいは日本国内に所在する外国人の通信の秘密に対する制約であったとしても合憲性を担保することができるとの観点も踏まえ、制度の在り方を慎重に検討したものであります。
具体的には、本法案における通信情報の利用は、何ぴとにも閲覧などの知得をされない自動的な方法によって不正な行為に関係があると認めるに足りる機械的情報、つまりコミュニケーションの本質的な内容に当たらない情報のみが選別をされ、分析されることになっています。加えて、独立性の高いサイバー通信情報監理委員会の継続的な検査の対象とするなど、通信情報の利用による通信の秘密に対する制約が公共の福祉の観点から必要やむを得ない限度にとどまることを確保した内容としております。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121715254X01420250418/7
-
008・関口昌一
○議長(関口昌一君) 木戸口英司君。
〔木戸口英司君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121715254X01420250418/8
-
009・木戸口英司
○木戸口英司君 立憲民主・社民・無所属の木戸口英司です。
会派を代表して、ただいま議題となりましたいわゆる能動的サイバー防御二法案について質問いたします。
法案の中身に入る前に、米国の関税措置について伺います。
今月二日にトランプ大統領が発表した相互関税をめぐっては、九十日間の一部税率の適用廃止や、半導体、電子機器の適用除外など、米国の対応が二転三転しており、いまだに混乱が続いています。
今回の追加関税は、第二次大戦以降の米国が主導してきた公平公正で安定的な自由貿易体制の推進の流れに反するものであり、米国に対し強く抗議の意を表するものです。
政府には、自由貿易を堅持する日本の立場を米国側に強く明示するとともに、国内経済にどの程度影響を及ぼすのか見極めた上で、日本企業や国民の暮らしを守るための速やかな対策を求めます。
十七日に行われた赤澤担当大臣とトランプ大統領との会談で示された、トランプ大統領の国際経済や関税措置に関する認識を伺います。また、その後、ベッセント財務長官らとの会談の結果を踏まえ、今後の米国との交渉の方向性、経済対策の必要性とその内容、実施するタイミングについて、石破総理に伺います。
このように国際社会が目まぐるしく動いている中で、我が国を取り巻く安全保障環境もサイバー空間を含めて大きく変化し、厳しい環境にあります。我々立憲民主党は、サイバー安全保障能力を向上させることは必要であるとの基本的な立場の下で、今般の法案が国民の権利を不当に侵害することがないかなど、法案の懸念点について検討を深めてまいりました。そして、衆議院において建設的な提案を行い、通信の秘密の尊重や国会報告の在り方などの修正につなげてまいりました。
しかし、修正が実現したとはいえ、今般の法案は、官民連携の強化、通信情報の利用及びアクセス・無害化措置という三つの柱で構成されていますが、国民の信頼に足る制度か、その実効性も含め、それぞれの柱の中でいまだ残された論点は多いと考えています。これらについて、以下質問していきます。
まず、立法事実に関連して、年末に集中して発生した大規模なサイバー攻撃について質問します。
DDoS攻撃により、航空会社や金融機関など大きな影響が生じました。我が国の基幹インフラ事業者のみならず、多方面の事業者に対し、社会に大きな混乱をもたらすサイバー攻撃が繰り返し襲っていることも、国民も強く実感させられました。
こうした最近の事案について、どこからどのような攻撃が行われ、なぜ防げなかったのか、いまだ明確な説明がありません。政府において、近時の大規模なサイバー攻撃、とりわけ年末の航空会社等の事案について検証が行われたのか、そうした検証が法案に反映され、今後の大規模なサイバー攻撃に対する防御に生かされていくことが重要と考えますが、石破総理に伺います。
あわせて、今回の法案は、主に基幹インフラ事業者を対象に措置が組み立てられていますが、実際にはより多くの分野に攻撃が仕掛けられています。社会全体のサイバーセキュリティ対策の強化について平担当大臣に伺います。
次に、法案の中身について伺っていきます。まず、官民連携の強化についてです。
政府は、平成三十年の法改正により、サイバーセキュリティ協議会を設置するなど、これまでも官民の情報共有の取組を強化してきました。これまでの検証を行うことなしに新たな取組を進めても、十分な効果が得られるとは思えません。
これまでの官民連携の取組、特にサイバーセキュリティ協議会に対しての評価と課題認識について石破総理に伺います。
また、本年五月には、重要経済安保情報保護活用法が施行され、経済安全保障分野におけるセキュリティークリアランス制度が開始されます。官民連携については、この仕組みも活用して情報共有を進めるとされています。事業者がセキュリティークリアランス制度を用いる場合には、従業員が適性評価を受ける必要が生じることとなります。加えて、基幹インフラ事業者等に対し、特定重要電子計算機の届出やサイバー攻撃を受けたときのインシデント報告等の義務付けや、ベンダーには脆弱性対応が求められるなど、個々の事業者に負荷が課せられることにもなります。
これらの取組は、全体としてサイバー対処能力の向上に資するものではあるものの、事業者等に過度な負担とならないことが重要と考えますが、支援を含めた制度設計の在り方について平担当大臣に伺います。
次に、通信情報の利用について伺います。
今般の法案では、サイバー攻撃の未然防止を図るとともに、政府が外外・外内・内外通信の情報を取得して分析を行うとされており、これまでの受動的な対応から大きな一歩を踏み出すことになります。
本法案の通信情報の利用における通信の秘密について、政府答弁では、何ぴとにも閲覧などの知得をされない自動的な方法によって不正な行為に関係があると認めるに足りる機械的情報のみ選別され、分析されるとし、独立機関による検査によってこれらの条件が遵守されることを確保するなど様々な措置が講じられると説明してきました。一方、これら様々な措置が機能し、通信の秘密が真に担保されるのか、政府に対する信頼にも係ることであり、懸念が払拭されたとは言えません。
さらに、取得する情報の中には、個人を特定するような情報やプライバシーに関わる情報が含まれる可能性が指摘されており、まさにここに国民の不安があると考えます。
政府が取得する情報にはどのようなものが含まれるのでしょうか。具体的に示すとともに、通信の秘密、プライバシーの保護に対する国民の不安を払拭できるよう、様々な措置に対する説明を改めて石破総理に求めます。
次に、制度の運用を監督する独立機関について伺います。
本法案では、いわゆる三条機関としてサイバー通信情報監理委員会を設置し、高い独立性の下で政府の取組を監督することとされています。委員会がその専門性を持って機能を発揮し、運用上も強力な監視、監督体制を構築することが不可欠です。
通信情報の利用において、機械的情報のみ選別され、分析されるとし、監理委員会による検査によってこれらの条件が遵守されることを確保するとしています。監理委員会の監督権限が機能するため、検査の内容と方法、頻度等について平担当大臣に具体的に伺います。
専門性の高い業務を円滑に実施するための事務局体制の規模感と人材の確保、育成に対する取組とアクセス・無害化措置に関する承認あるいは非承認が迅速かつ的確に行われるための体制構築についても平担当大臣に伺います。
これらの各措置を貫く基本原則が、憲法にも定められている通信の秘密の尊重だと考えます。一方、通信の秘密を尊重すべきことについては政府原案には明記されておらず、政府は、通信の秘密に対する制約が公共の福祉の観点から必要やむを得ない限度にとどまる制度であると説明し、条文に明記する必要性を認めませんでした。
しかし、今回の法案は、大量の通信情報を取得することを可能とする法案であり、運用に当たって、通信の秘密を尊重することが大変重要であることを踏まえれば、必要な規定であったと考えます。衆議院において法案が修正され、通信の秘密を尊重する旨の規定が盛り込まれたことに対する政府としての受け止め、この規定を踏まえた運用を行っていくことについての石破総理の決意を伺います。
アクセス・無害化措置について伺います。
アクセス・無害化措置とは、攻撃に使用されているサーバー等が判明したときに、攻撃サーバー等に対して遠隔でログインを実施し、攻撃のためのプログラムを確認した上で、プログラムの停止、削除などを行うとされており、これらはサイバー通信情報監理委員会の承認を得て警察や自衛隊が行うとされています。このアクセス・無害化措置が、対象や措置内容を誤ることなく、確実に実行されるように担保されなければなりません。
特に、監理委員会の承認を得るいとまがない場合、委員会へ事後通知することとしています。緊急的な状態においても、措置の内容について的確な判断を行う必要があります。そのような場合、警察、自衛隊が措置を誤らずに実行するための対処方針を立てることが必要と考えますが、石破総理の見解を伺います。
また、監理委員会は、事後通知を受け、実施された措置が適切かどうかを確認し、必要に応じて勧告することができるとされていますが、重大な勧告が出た場合の対応について石破総理に伺います。
政府答弁によると、国や基幹インフラ等に対する一連の重大なサイバー攻撃の発生又は予兆が認知され、これへの国家安全保障上の対応としてアクセス・無害化措置を実施する必要があると判断された場合、NSC議長たる内閣総理大臣の判断の下、NSC四大臣会合が開催され、速やかに議論し、総論的な対処方針の決定を行うとしています。
総論的な対処方針とはどのような内容を指すのか、また、個別のアクセス・無害化措置の執行に当たり事前にサイバー通信情報監理委員会が措置を承認することとしていますが、NSC四大臣会合の対処方針と監理委員会の判断が違った場合、監理委員会の判断が優先されるということでよいか、石破総理に伺います。
また、国外のサーバー等にアクセス・無害化措置を行う場合には、国際法上の観点からも妥当性を検討する必要があり、そのために、法案には外務大臣と事前に協議しなければならないことが盛り込まれています。
しかし、警察や防衛省・自衛隊からの協議の内容が、外務省として国際法上懸念があるアクセス・無害化措置であると判断される場合、措置を確実に止めることができますか。サイバー攻撃を受ける危険性が迫る限られた時間の中で、警察や防衛省・自衛隊からの協議に対し、国際法上許容される範囲内の措置となるよう的確な判断を下すための方針について、岩屋外務大臣の見解を伺います。
今回の法案では、アクセス・無害化措置の実施主体が外務大臣と何を協議するのか、条文上明確にされていません。アクセス・無害化措置が国際法上どの範囲まで許容されるのか、外務省としての判断基準について、岩屋外務大臣から明確な答弁を求めます。
世界各地の個人、組織に多大な損害、損失をもたらしているサイバー攻撃を効果的に防止、対処するためには関係国間の緊密、迅速な国際協力が鍵であり、国際法がこの課題にどのように規律しているか、あるいは規律すべきか、様々な議論が行われてきたことは承知しています。最新の脅威に対応する上で、慣習国際法や国連憲章等、現行の実定国際法の規律が及ぶ範囲について検証することが重要です。その上で、国際法のルールが整備されるよう、我が国として積極的に議論に参画し、リードしていくことが重要と考えますが、石破総理の見解を伺います。
今回の制度において、サイバー防御の実効性を高めると同時に、運用において国民の権利を大きく侵害することがないよう、その監督が極めて重要であり、民主的な統制を効かせるため、国会の関与が重要であることを指摘しなければなりません。立憲民主党は、衆議院の議論において、通信情報の利用、アクセス・無害化の両面において、国会に対して十分な措置内容の報告を行うことを政府に求めてきました。
報告事項の具体化として一定の修正がなされたことは評価いたしますが、政府は手のうちをさらすとの理由から、報告の内容はサイバー通信情報監理委員会の承認の件数など極めて限定されることとなりました。件数以外の情報についても適切に公開し、国民のサイバーセキュリティに対する意識の向上と政府の取組への理解の深まりが制度の発展につながると考えます。
修正で盛り込んだ項目を超えて、国会に対し可能な限り情報を公表していくべきと考えますが、石破総理の見解を伺います。
最後に、現在、世界では分断と対立が生じており、また、保護主義も台頭するなど、厳しい時代を迎えています。そうした中で、我が国は、志を共有できる各国と連帯し、自由で公正な社会を維持発展させていくことに貢献していくことがこれまで以上に求められています。
国民生活や経済活動の基盤と国家及び国民の安全を守ることを第一義としながら、本法案の措置により、いたずらに国同士の緊張関係が高まることとならないよう、国際協調を旨として取り組むことを求めたいと思いますが、こうした基本的な考え方についての石破総理の見解を伺い、私の質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣石破茂君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121715254X01420250418/9
-
010・石破茂
○内閣総理大臣(石破茂君) 木戸口英司議員の御質問にお答えをいたします。
合衆国の関税措置に係るトランプ大統領の認識及び我が国の対応についてのお尋ねをいただきました。
今般の協議における議論の詳細につきましては、外交上のやり取りであり、言及を差し控えますが、その上で、トランプ大統領からは、国際経済において合衆国が現在置かれている状況について率直な認識が示されると同時に、日本との協議が最優先であるとの発言があったとの報告を受けております。
赤澤大臣においては、お尋ねのベッセント財務長官を含む合衆国政府関係者との間で時間を掛けて率直かつ建設的な議論を行いましたが、日米間では依然として立場に隔たりがあります。
政府といたしましては、今回の協議も踏まえつつ、引き続き、政府一丸となって最優先かつ全力で取り組んでまいる所存でございます。
なお、米国の関税措置について、まずは影響を十分に分析をし、その上で資金繰り対策などの必要な対策を講じていく考えであり、新たな経済対策について検討しておるという事実はございません。
昨年末に発生した大規模なサイバー攻撃事案の検証と法案への反映についてのお尋ねをいただきました。
本法案を検討するに当たって開催したサイバー安全保障分野での対応能力の向上に向けた有識者会議では、過去に国内外で発生したサイバー攻撃事案を踏まえた議論が行われ、昨年十一月に提言をいただいたところであります。
御指摘の年末年始にかけて発生いたしました航空会社等に対するサイバー攻撃は、有識者会議から御提言をいただいた後に発生をしたものでありますが、内閣サイバーセキュリティセンターにおいて事案の分析を行い、本年二月四日に同種事案への具体的な対策を明記した注意喚起の文書を公表しておりますが、本件に関して事業者から寄せられた御要望も法案の検討に当たって参考とさせていただいたところでございます。
本法案による新たな制度の運用に当たりましては、その時々のサイバー空間の情勢、個別のサイバー攻撃の手法などの分析結果を活用し、我が国のサイバー安全保障に万全を期してまいります。
官民連携の強化についてのお尋ねをいただきました。
お尋ねのサイバーセキュリティ協議会は、サイバーセキュリティ基本法に基づくものであり、官民が相互に連携し、サイバーセキュリティの確保に資する情報を迅速に共有することにより、サイバー攻撃による被害の予防と拡大防止に一定の成果を上げてきたものと認識をいたしております。
他方で、国家を背景とした高度なサイバー攻撃への懸念の拡大や社会全体におけるデジタルトランスフォーメーションの進展を踏まえますと、官民連携の取組を更に強化する必要があるものと考えております。
このような問題意識の下、サイバー対処能力強化法案における情報共有及び対策に関する協議会につきましては、政府が新たな権限の下で収集した情報を内閣総理大臣が整理、分析し、その結果をサイバー攻撃による被害防止のために協議会の構成員に共有する旨を規定しております。また、政府が保有する秘匿性の高い情報についても共有できるよう、協議会の構成員による安全管理措置を法定しているほか、守秘義務違反に対する罰則の引上げも行っております。
この新たな法律の下で、官民連携を一層強化し、我が国全体のサイバーセキュリティの強化を図ってまいります。
通信情報の利用についてのお尋ねです。
サイバー対処能力強化法案に基づき政府が取得する通信情報には様々なものがございますが、通信情報の分析対象となるのは、何ぴとにも閲覧などの知得をされない自動的な方法によって選別された重大なサイバー攻撃に関係があると認めるに足りるIPアドレス等の機械的情報でございます。メールの本文やIP電話の通話内容のようなコミュニケーションの本質的内容に係る情報につきましては、何ぴとにも閲覧などをされることのないまま消去することとしております。
自動的な方法により選別される機械的情報には、例えば一定のメールアドレスのように、ほかの情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなる情報も含まれる可能性がありますが、こうした情報につきましては、ほかの情報と照合しない限り特定の個人を識別できないようにする非識別化措置を講ずることとして、プライバシーの保護にも十分配慮することとしております。
また、本法律案では、政府が取得した通信情報について安全管理措置を講じなければならないこと等を定めております。これらの措置が適切に講じられているか否かについては、独立性の高いサイバー通信情報監理委員会が検査を行うことといたしており、これにより、通信情報の利用等が法律にのっとって適正に実施されることを確保しております。また、通信情報を保有する行政機関の職員が通信情報が記録されたデータベースを正当な理由なく提供した場合などには、最高で四年以下の拘禁刑などの罰則を科すこととしております。
このように、通信の秘密の尊重等のため所要の枠組みが設けられているところであり、政府としては、引き続きこうした本法案の内容を丁寧に説明をし、広く御理解をいただけるように努めてまいります。
通信の秘密の尊重に関する衆議院での修正についてであります。
衆議院における法案修正では、サイバー対処能力強化法の運用に当たって、通信の秘密を尊重しなければならない旨を明記する規定が追加されたものと承知をしております。
国会で行われた法案修正について政府の立場から評価をすることは差し控えますが、この法案が可決されました場合には、こうした修正に係る御議論の内容を十分に踏まえながら、関係職員への周知や啓発等により、通信の秘密を尊重、徹底するよう取り組んでまいります。
サイバー通信情報監理委員会の承認を得るいとまがない場合の対応等についてであります。
この度の法案では、警察官及び自衛官がアクセス・無害化措置を実施する際には、権限行使の適正性を組織的に判断するため、警察庁長官等、又は防衛大臣が指揮を行うこととしております。
サイバー通信情報監理委員会の承認を得るいとまがない場合であっても適正に措置が行われますよう、平素から訓練、研修を徹底するとともに、適切に指揮を行ってまいります。
また、サイバー通信情報監理委員会は、アクセス・無害化措置の事後通知を受けた場合には、実施された措置が適切かどうかを確認し、必要に応じて勧告するものとされております。
政府としては、こうした勧告を受けることがないよう、常に法令を遵守し、措置の適切な実施に細心の注意を払ってまいりますが、仮に勧告がなされた場合には、これに従い、同種事案の再発防止に万全を期すなど、適切に対応いたしてまいります。
アクセス・無害化措置の実施に関する総論的な対処方針について、また、対処方針と監理委員会の判断が異なる場合についてのお尋ねをいただきました。
国、基幹インフラ事業者等に対する一連の重大なサイバー攻撃の発生又は予兆を認知し、アクセス・無害化措置を実施する必要があると認められる場合には、国家安全保障の観点からこれが適切に行われるよう、私自身が議長を務める国家安全保障会議で速やかに審議をした上で総論的な対処方針を定めることとなります。ここに言う総論的な対処方針とは、そのような一連の重大なサイバー攻撃、いわゆるサイバー攻撃キャンペーンの対応における基本的な方針であります。
その上で、この総論的な対処方針に基づき、サイバー安全保障担当大臣の指導の下で、内閣官房に置かれる新組織が、国家安全保障局と緊密に連携して、個別のアクセス・無害化措置の執行についての警察、自衛隊の役割分担等を速やかに決定し、その後、措置の実施主体たる警察又は自衛隊が個別の措置についての法的手続に入ることとしております。
仮に、この手続において国家安全保障会議で決定した総論的な対処方針に基づくアクセス・無害化措置がサイバー通信情報監理委員会に承認されなかった場合には、当該措置は実施されないこととなります。
他方、政府としては、承認を得られないことにより、必要な措置が実施できず、国、基幹インフラ等を守れないということがないように、常に法令を遵守し、適切な決定が行われますように細心の注意を払ってまいります。
サイバー攻撃に関する国際法のルール整備への我が国の参画についてのお尋ねです。
これまでの国連における議論の結果、国連憲章全体を含む既存の国際法がサイバー行動にも適用されることが確認されており、我が国も積極的に議論に参加してまいりました。
現在、国連全加盟国が参加可能なサイバーセキュリティに関する議論の場として、国連総会決議に基づき、国連オープン・エンド作業部会が設置されております。ここにおいて、これまでの議論の成果を基礎としつつ、サイバー行動に関する国際法を含め、国家の責任あるサイバー行動に関する議論が行われているところでございます。
引き続き、こうした国際社会における議論に積極的に関与いたしてまいります。
国会に対する報告についてお尋ねをいただきました。
衆議院における法案修正では、サイバー通信情報監理委員会から国会への報告内容に含まれるべき事項を具体的に列挙する規定等が追加されたものと承知をいたしております。
この国会への報告を通じて、能動的サイバー防御に係る制度の運用状況を国会に御確認いただくことは、運用の透明性を高め、国民の皆様の信頼を得ていく上で極めて重要であると考えております。
この報告では、御指摘の承認の件数だけではなく、勧告、違反の通知、懲戒処分の要求などの概要についても報告することとされておりますが、法律が規定する事項を上回る内容を国会に報告するか否かは、高い独立性を持つサイバー通信情報監理委員会において判断するべきものと承知をいたしております。
同委員会による報告に加えて、国会から、国会法等に基づく更なる報告等のお求めがありました場合には、関係法令にのっとって適切に対応いたしてまいります。
国際協調についてでございます。
サイバー空間における脅威には、どの国も一国だけでは対応できません。自国の体制及び能力を強化するとともに、同盟国、同志国と連携して対応していくことが重要であります。
今般の立法措置により我が国としてアクセス・無害化措置の実施が可能となりますが、効果的に制度を運用するため、同盟国、同志国とは情報収集、分析の段階から、より一層の連携確保に努めてまいります。
今般のアクセス・無害化措置は、国際法上許容される範囲内において、警察権に基づく必要最小限度の措置として行うものであり、いたずらに国同士の緊張関係を高めるものではないと考えておりますが、我が国の取組が国際的にも十分理解されることは重要であることから、平素から国際的なサイバーセキュリティの議論の場で情報発信を行うなど、我が国の考え方について積極的に説明をいたしてまいります。
残余の御質問につきましては、関係大臣から答弁をさせていただきます。
以上でございます。(拍手)
〔国務大臣平将明君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121715254X01420250418/10
-
011・平将明
○国務大臣(平将明君) 木戸口英司議員より、まず基幹インフラ事業者を含む社会全体のサイバーセキュリティ対策の強化についてお尋ねがありました。
基幹インフラ事業者は、サイバー攻撃によりそのシステムに障害が発生した場合に、国家及び国民の安全を損なう事態が生じるおそれがあり、官民連携してサイバーセキュリティの確保に取り組む必要性が特に高いことから、一定の電子計算機を導入した場合の届出や、サイバーセキュリティインシデントが発生した場合の報告を義務付けることといたしました。
一方で、基幹インフラ事業者と取引のある事業者や国として守るべき機微技術を保有する事業者などにおいては、サイバーセキュリティ対策を行っていくことも重要であります。
このため、本法案では、基幹インフラ事業者以外の事業者についても、サイバー攻撃による被害の防止のために国が情報提供を幅広く行うことや、情報共有と対策を進めるための官民協議会に構成員として参加をしてもらうことなどを可能とする規定を設けております。
こうした取組によって、基幹インフラ事業者のみならず、社会全体でのサイバーセキュリティ強化も図ってまいります。
次に、事業者の負担軽減と、支援や制度設計の在り方についてお尋ねがありました。
議員御指摘のとおり、セキュリティークリアランス制度に基づく適性評価の実施や本法案に基づくインシデント報告などに当たっては、民間事業者に一定の負担を掛けることは事実であり、その負担軽減は極めて重要であると認識をしております。
そのため、今後の詳細な制度設計やそれらの運用を検討するに当たっては、事業者に過度な負担を掛けることのないよう、引き続き、専門家や事業者の意見を丁寧に伺いながら進めてまいります。
次に、サイバー通信情報監理委員会についてのお尋ねがありました。
サイバー通信情報監理委員会は、自動的選別等が行われたときに速やかに、それが関係規定を遵守して行われたかを検査するとともに、それ以外の通信情報保有機関における通信情報の取扱いについても、本法案が定める一切の規定の遵守状況を継続的に検査することとしています。
この検査の具体的な方法としては、例えば、通信情報保有機関が委員会に行う通知の内容や状況を確認し、必要に応じ更に資料の提出を求める方法、定期的に通信情報保有機関で作成されている記録や資料の提出を求める方法、必要な場合に実地調査で通信情報の取扱状況を確認し、又は通信情報保有機関の職員に説明を求める方法などが考えられるものであり、また、これらの方法を組み合わせることも考えられていますが、いずれにせよ、検査の有効性と効率性の観点を踏まえながら、委員会によって判断されるものと考えております。
次に、サイバー通信情報監理委員会の体制や人材の確保、育成についてお尋ねがありました。
委員会においては、アクセス・無害化措置の承認に係る審査を含め、事務処理が迅速かつ的確に行われるよう、法律や情報通信技術に関して専門的知識等を有する者を委員に任命することとしております。委員会事務局の体制についても、適切な専門性を有する職員により必要な規模の体制が確保できるようにすることとしたいと考えております。
加えて、専門性の高い業務を円滑に実施できるよう、委員会事務局において、研修の実施などを通じ、人材の確保、育成に努めていくことも重要であると考えております。
以上でございます。(拍手)
〔国務大臣岩屋毅君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121715254X01420250418/11
-
012・岩屋毅
○国務大臣(岩屋毅君) 木戸口英司議員にお答えいたします。
アクセス・無害化措置に関する国際法上の判断についてお尋ねがありました。
国外に所在するサーバー等にアクセス・無害化措置を行うに当たりましては、国際法上許容される範囲内で措置が行われることを確保する観点から、実施主体が警察庁長官又は防衛大臣を通じてあらかじめ外務大臣と協議を行うこととされています。
この協議におきまして、外務大臣が、国際法上違法であって、その違法性を阻却できないと判断する措置の実施に同意することはなく、そのような措置が実施されることはありません。また、差し迫った危害に対処する上で、この協議を迅速に行うことは極めて重要であり、外務省として、平素から内閣官房、警察庁及び防衛省との間で緊密に連携して、協議を適切かつ迅速に行うことができるよう取り組んでまいります。
加えて、アクセス・無害化措置の国際法上の許容範囲についてお尋ねがありました。
武力攻撃に至らないものの、国や重要インフラ等に対する安全保障上の懸念を生じさせる重大なサイバー攻撃のおそれがあるなどの場合に、未然防止又は被害拡大防止のために国外のサーバー等へのアクセス・無害化措置を行うことは、国際法上、一定の状況において許容されているものと認識しております。
サイバー行動の国際法上の評価につきましては、個別具体的な状況に応じて判断されるため、一概にお答えすることは困難ではありますが、我が国が国際法上許容される範囲内で措置を行うことは当然であり、適切に対応してまいります。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121715254X01420250418/12
-
013・関口昌一
○議長(関口昌一君) 三浦信祐君。
〔三浦信祐君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121715254X01420250418/13
-
014・三浦信祐
○三浦信祐君 公明党の三浦信祐です。
ただいま議題となりました能動的サイバー防御関連法案について、会派を代表して質問いたします。
まず、米国の関税措置は我が国にとって国難であり、一連の関税措置の見直し、課題克服合意へ、自由貿易の旗手として、世界に先んじて総理が直接トランプ大統領と会って決着を付けるべきであります。今後の対米交渉について石破総理の決意を伺います。
サイバー空間では攻撃する方が圧倒的有利です。サイバー攻撃による被害は年々増加しています。特に、国、重要インフラ等へのサイバー攻撃は国民生活、経済、生命に重大な影響を及ぼすため、防ぐには、攻撃の芽を事前に摘む能動的な防御、対処能力の構築、官民問わず総力を挙げて取り組むべき課題です。
二〇二二年の安保戦略三文書策定に当たり、私は与党ワーキングチームに参画し、議論を重ねました。その上で、三文書の具現化へ詳細検討が必要と提案したのは、セキュリティークリアランスの導入、防衛装備移転、能動的サイバー防御の三項目でした。策定以来、着実に実現し、その最後が本法案です。能動的サイバー防御の実施には、官民連携の強化、通信情報の利用、アクセス・無害化措置について検討が必要と整理されました。これらに組織、体制整備等を加えて整理したのが本関連法案です。一刻も早く成立を期すべきであります。
サイバー対処に当たり、国民の皆様に御理解と御協力を得ていく視点から、総理、担当大臣に質問いたします。
まず、サイバー攻撃への即応力構築、対処には、官民連携の強化による関係機関の報告、連絡、相談体制の整備を図り、双方向での共有が不可欠です。国民生活に特に重要な基幹インフラ事業者の協力を得なければなりません。そのための方策と重要情報を扱う場合に備え、民間事業者におけるセキュリティークリアランスホルダー確保の促進への方策について総理に伺います。
次に、本法案において、サイバー攻撃の実態把握のために通信情報を取得し、自動選別により機械的情報を選別し、それを分析することが今回の取組の中核となるコンセプトです。この取組の技術的可能性とともに、AIの活用など、将来の分析能力向上に向けた具体的検討状況について伺います。その上で、このような技術は我が国が主体的に利用できるよう、国産化を図るべきです。平大臣の見解を伺います。
本法案で規定する官民連携、通信情報の利用、アクセス・無害化措置に関する法体系は、欧米主要国が先行し、能力向上、制度のアップデートが行われています。世界が実施しているサイバー防御制度や体制と整合が取れていることでサイバー防御への実効性が生ずると考えます。本法案が世界標準に合致している制度、体制となっているか、総理に見解を伺います。
政府による通信情報の取得、分析と憲法二十一条の通信の秘密との両立を図ることは必須です。公明党も強く主張し、通信情報の利用の適正確保のために導入する、独立した、いわゆる三条委員会であるサイバー通信情報監理委員会の役割と体制について、総理に伺います。
最後に、外国に所在するサーバー等に対してアクセス・無害化措置等を行うことについて、安全保障政策との整合性を確保する必要があります。政府としてどのようにガバナンスを効かせてアクセス・無害化措置を実施するのか、国際法上の違法性阻却の観点からも明確にすべきです。総理の答弁を求めます。
国民の生命と財産を守るため、能動的サイバー防御能力の構築へ政府が迅速に取り組むことを求め、質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣石破茂君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121715254X01420250418/14
-
015・石破茂
○内閣総理大臣(石破茂君) 三浦信祐議員の御質問にお答えを申し上げます。
合衆国の関税措置についてでございます。
一連の合衆国政府による広範な貿易制限措置は、日米両国の経済関係、ひいては世界経済や多角的貿易体制全体等に大きな影響を及ぼすものであります。
このため、私自身、七日にトランプ大統領と電話会談を行い、直接働きかけを行うとともに、今般、赤澤経済再生担当大臣を合衆国との交渉担当閣僚に指名し、合衆国に派遣し、協議に臨ませたところでございます。
赤澤大臣におきましては、トランプ大統領を含む合衆国政府関係者と時間を掛けて率直かつ建設的な議論を行いました。トランプ大統領は日本との協議を最優先としたいと述べましたが、日米間では依然として立場に隔たりがございます。当面は閣僚級で協議を継続することになりましたが、今後、この協議の推移を見ながら、私自身最も適切な時期に訪米をして、トランプ大統領と直接会談することも当然考えておるところでございます。
基幹インフラ事業者との協力及びセキュリティークリアランス制度の活用についてのお尋ねをいただきました。
国家を背景とした高度なサイバー攻撃への懸念の拡大や、社会全体におけるデジタルトランスフォーメーションの進展を踏まえますと、官のみ、あるいは民のみでサイバーセキュリティを確保することは極めて困難であります。このため、今回のサイバー対処能力強化法案におきましては、政府が基幹インフラ事業者を始めとする民間事業者から得る様々な情報を整理、分析するとともに、サイバー攻撃による被害の防止に必要な情報を政府が民間事業者に提供するなど、官民双方向での情報共有を推進し、我が国全体のサイバーセキュリティの強化を図ることとしております。
また、政府から提供する情報にはサイバー攻撃の目的や背景などの機微な情報も含まれ得ることから、事業者において当該情報を適切に管理していただく必要がございます。こうした観点から、例えば、協議会の構成員となる事業者につきましては、重要経済安保情報保護活用法に基づくセキュリティークリアランス制度の活用も想定をいたしております。基幹インフラ事業者等の協力の確保やセキュリティークリアランスの保有の促進のためには、事業者の皆様に、政府から情報提供を受けることの意義、メリットを感じていただくことが重要であります。事業者の視点に立ち、有意な情報の作成方法、協議会の効果的な運営方法等について必要な検討を進めてまいります。
本法案が世界標準に合致した制度、体制となっているかについてのお尋ねをいただきました。
令和四年に閣議決定をした国家安全保障戦略では、サイバー安全保障分野での対応能力を欧米主要国と同等以上に向上させることを目標に掲げ、その柱として能動的サイバー防御を導入することといたしました。
この度の法案では、欧米主要国と同様に、政府から民間への情報提供、一定のインフラ事業者からのインシデント報告や、通信情報の利用、アクセス・無害化などについて、必要な枠組みや権限を設けることとしております。サイバー安全保障分野の政策を一元的に総合調整する新たな組織を設けることともいたしております。
今後、更なる体制強化も進めながら、サイバー安全保障に係る取組を総合的に推進し、国家安全保障戦略に掲げた目標の実現に努めてまいります。
サイバー通信情報監理委員会の役割と体制についてであります。
お尋ねのサイバー通信情報監理委員会は、通信情報の利用などの審査、検査、アクセス・無害化措置の審査、確認などを任務とするものであり、サイバー対処能力強化の措置が法律にのっとって適正に実施されることを確保する上で極めて重要な役割を果たすものでございます。
委員会を構成する委員長一人及び委員四人につきましては、法律あるいはサイバーセキュリティ等のいずれかに関して専門的知識及び経験並びに高い識見を有する者で、人格が高潔である者のうちから、国会の御同意を得て、内閣総理大臣が任命することといたしており、委員長及び委員は独立して職権を行うこととしております。
また、委員会には、その事務を処理する事務局を置くこととしております。委員会による審査、検査等が公正かつ適正に行われることを確保するため、事務局の体制につきましても、適切な専門性を有する職員が十分に確保できるよう、政府として取り組んでまいります。
アクセス・無害化措置についてのお尋ねをいただいております。
国、基幹インフラ事業者等に対する一連の重大なサイバー攻撃の発生又は予兆を認知し、アクセス・無害化措置を実施する必要があると認められる場合には、国家安全保障の観点からこれが適切に行われるよう、私自身が議長を務める国家安全保障会議で速やかに審議した上で、総論的な対処方針を定めることとなります。
その上で、内閣官房に設置する新組織が、サイバー安全保障担当大臣の指導の下、国家安全保障局と連携して総合調整を行い、統一した方針の下で警察と自衛隊が緊密に連携して対処することとなります。
外国に所在する攻撃サーバーなどに対し、警察官又は自衛官がアクセス・無害化措置を実施する場合には、警察庁長官又は防衛大臣を通じて、あらかじめ外務大臣と協議しなければならないこととしており、これにより、国際法上許容される範囲内で措置を行うことを確保することといたしております。
残余の御質問につきましては、関係大臣から答弁をさせていただきます。(拍手)
〔国務大臣平将明君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121715254X01420250418/15
-
016・平将明
○国務大臣(平将明君) 三浦信祐議員より、本法案における通信情報の利用や分析に関し、技術的可能性や将来の分析能力向上に向けた検討状況、技術の国産化についてお尋ねがありました。
御指摘のとおり、通信情報を取得し、自動選別により機械的情報のみを選別した後分析をするという通信情報の利用に係る取組は、重大なサイバー攻撃による被害を防止をするという本法案の目的を達成するための重要な要素であると考えております。
自動選別や分析を実現するための技術については、官民双方からの高度なサイバー人材を確保するとともに、関係省庁の人的・技術的協力も得て、しっかりと対応してまいります。
さらに、サイバー空間の脅威の情勢が深刻化する中で、通信情報の利用に当たっては、巧妙化、複雑化していく攻撃にも有効に対処していけるよう、AIの活用も含め、今後の技術動向に応じた高性能なシステムの導入を通じて分析能力の向上を図ってまいりたいと考えております。
また、通信情報の利用に係る技術については、御指摘のとおり、我が国が主体的に利用できるようにすることは重要であり、国産の技術で利用可能なものについては積極的に取り入れてまいりたいと考えております。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121715254X01420250418/16
-
017・関口昌一
○議長(関口昌一君) 柴田巧君。
〔柴田巧君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121715254X01420250418/17
-
018・柴田巧
○柴田巧君 日本維新の会の柴田巧です。
私は、会派を代表して、ただいま議題となりましたサイバー安全保障関連二法案について、石破総理に御質問をいたします。
サイバー空間における他国による攻撃の脅威は、我が国においても急速に高まっています。国民生活がサイバー攻撃によって脅かされる事態が実際に目の前で起きている今、重要インフラに対するサイバー攻撃をいかに未然に防ぎ、国民の大切な情報をいかに守るかは、国家の存亡に関わる事態と言っても過言ではありません。
そういう中、本法律案は、我が党がかねてから強く早期提出を求めてきた能動的サイバー防御を実現する法案と理解しています。衆議院において、官民連携の強化策のほか、通信情報を利用するに当たって憲法に定められる通信の秘密との関係をどのように考えるか、また、アクセス・無害化を行うに当たって国際法との関係をどのように整理するのかといった既存の法体系との関係で多岐にわたる論点がありました。
そこで、衆議院での議論を踏まえ、実効性ある運用をどのように確保し、我が国のサイバー対処能力をいかにして強化していくかという観点から、以下お伺いをいたします。
まず最初に、衆議院での修正についてお尋ねをします。
本法案では、通信当事者の同意によらない場合であっても、重要なインフラ機能がサイバー攻撃によって損なわれることを防ぐ高い公益性があること等の場合に限って、公共の福祉の観点から、通信の秘密の保障の例外として情報が取得、分析できるものとなっています。
当然ながら、このような措置が憲法の保障する国民の権利と自由を不当に制限することのないよう、政府原案においても、第六十一条において、サイバー通信情報監理委員会は「毎年、内閣総理大臣を経由して国会に対し所掌事務の処理状況を報告するとともに、その概要を公表しなければならない。」とされていました。
しかし、条文上に具体的な項目が明示されていなかったため、我が党は、この規定は曖昧で不十分であるとみなし、条文に国会への報告が必要な項目を具体的に列挙して明記する修正案を各党に提案をいたしました。最終的に、我が党が提案した該当事項の承認件数やその概要という案に与野党の意見がまとまったことから、与野党六会派の共同で今回の建設的な修正に至りました。
そこで、衆議院での本法案の修正についての評価と、この修正を受けて、通信の秘密の保障や国会による民主的統制をいかに担保するのか、併せてお伺いをします。
次に、官民連携についてお尋ねをいたします。
本法律案では、情報共有、対策のための官民協議会の設置について定められていますが、官民の協議会におけるセキュリティークリアランス制度の活用による官民の情報連携や情報管理が重要になってきます。
また、同盟国、同志国との情報連携も重要であると考えられますが、それらの国とギブ・アンド・テークの関係を構築するには、内閣サイバーセキュリティセンターを発展的に改組して設置するとされる国家サイバー統括室(仮称)を始めとした関係部局職員のインテリジェンス能力の向上が欠かせないのではないでしょうか。
そこで、官民の協議会におけるセキュリティークリアランス制度の活用による官民の情報連携の強化や適切な情報管理にどのように取り組むのか、また、我が国のインテリジェンス能力の向上をいかに図るのか、併せてお伺いをします。
サイバー対処能力強化法案の第十二条では、基幹インフラ事業者以外の事業者等との協定が規定されており、同規定に基づき、医療機関が内閣総理大臣と協定を締結することは可能な仕組みとなっていますが、医療機関を狙ったサイバー攻撃が多発していることを鑑みれば、医療を経済安全保障推進法の基幹インフラの対象事業に追加した方が整合的であると考えます。
令和六年の常会で経済安全保障推進法の改正案が審議された際の参議院内閣委員会でも、「医療DXの推進に関する取組を実施していく中で、セキュリティ対策の強化を図りながら、引き続き基幹インフラ制度の対象に追加することを精査、検討すること。」といった附帯決議が付されてもおります。
そこで、経済安全保障推進法の基幹インフラの対象事業に医療を追加する必要性についての見解、そして同法のこの附帯決議案等を踏まえた政府の検討状況について併せてお伺いをいたします。
サプライチェーンには中小企業も組み込まれているため、サイバー攻撃に対する社会全体の強靱性を高める観点からは、セキュリティー対策が遅れている中小企業の対策が急務です。そこで、対策を前進させるためには政府による実効性の高い支援が必要ですが、今後どのような支援を行っていくのか。
また、三月十八日の衆議院本会議の総理答弁において、基幹インフラ事業者と取引のある中小企業にも官民の協議会に参加してもらうことを可能とする規定を設けていることが示されました。そして、それにより、サイバーセキュリティにつなげてもらうことを期待しているようでありますが、このような中小企業がどれぐらい官民の協議会に構成員として参加することを見込んでいるのか、併せてお伺いをします。
次に、通信情報の利用についてお尋ねをします。
今回の法案では、通信情報を利用して収集をした情報等を基に内閣府が総合整理分析情報を作成し、行政機関や基幹インフラ事業者に提供することとされています。総合整理分析情報の基となる情報としては、本法案に基づく情報以外の情報も活用して有用な情報としていく必要がありますが、どのような情報を使うことができるのか。また、同盟国、同志国からの情報提供、警察がサイバー犯罪捜査のための国際連携の中で得た情報、さらにはインテリジェンス情報なども活用していく必要があると考えますが、どうか、併せてお伺いをします。
国家安全保障戦略では、これまでのNISCを発展的に改組することとされ、本法案では、内閣官房に内閣サイバー官を新設して総合調整権限を強化するとともに、通信情報の利用に関する事務は内閣府が担うこととされています。
そこで、内閣官房と内閣府の新組織がそれぞれどのような権限を持ち、どのように連携してサイバーセキュリティ分野の対処能力の向上につなげていくのか、お伺いをいたします。
続いて、アクセス・無害化措置についてお尋ねをします。
本法案によって違法性が阻却される範囲は、不正アクセス禁止法に違反する行為が該当することは想定されますが、その他どのような行為にまで法令行為に該当することが認められるかという整理は行われているのでしょうか。事案ごとに措置の内容は異なるとはいえ、現場で措置を行う職員がちゅうちょして必要な対応を行うことができない事態を避けるためにも、判断基準や行ってよい措置の限界を一定程度整理しておくべきではないかと考えますがどうか、お伺いをいたします。
本法案についての政府の説明によると、アクセス・無害化措置は、国家安全保障会議において総論的な意思決定があり、その後、個別の措置について、警察、自衛隊の役割分担等を内閣官房が決定するとされています。
こうした流れは、アクセス・無害化の個別事案の対応を開始するときには当てはまると思いますが、その後、事態が進行していく段階ではどのように対応していくのか。衆議院での答弁では、内閣官房の新組織が実務上の司令塔機能を発揮し、サイバー安全保障担当大臣の指導の下、個々の措置の総合調整を行うとしています。
この点、例えば、当初は警察が対応することとしたが、事態が変化して自衛隊の対応が必要となる場合などにおいても、内閣官房による総合調整を行うことが困難にならないよう、内閣官房としても措置の状況を把握しておく必要があると考えますが、どのように対応していくのか、お伺いをします。
衆議院では、アクセス・無害化に当たって、国際法の観点から外務大臣と協議を行うことについて質疑が行われました。その中では、国際法上許容される範囲内で措置を行うとはしながらも、主権侵害に当たり得るかどうかは個別具体的な状況等に照らして判断する必要があり、一概に答えることは困難である旨、政府は繰り返し答弁をしています。事案によっては外国政府と情報を共有して連携して対応するなどの方法があり得るとはいえ、国際法上の観点の判断次第では、運用に慎重を期するばかりに期待した成果が得られない可能性があると考えられます。そこで、国際法の観点を判断するに当たってどのような姿勢で臨む方針か、お伺いをいたします。
最後に、この度の法案は、国家におけるサイバー安全保障に不可欠な最小限の法整備に着手したにすぎません。サイバー攻撃は今後ますます高度化、巧妙化していくことが予想されます。日本維新の会は、これからも国民の生命と財産を真に守ることのできる政策を積極的に提案し、実現していく決意であることを明確に申し上げて、私の質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣石破茂君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121715254X01420250418/18
-
019・石破茂
○内閣総理大臣(石破茂君) 柴田巧議員の御質問にお答えをいたします。
衆議院での法案修正に対する政府の受け止めについてのお尋ねをいただきました。
衆議院における法案修正では、通信の秘密の尊重を明記する規定、サイバー通信情報監理委員会から国会への報告内容に含まれるべき事項を具体的に列挙する規定、通信情報の利用に関する規定の施行後三年を目途として法の施行状況等について政府が検討を加えることとする規定の三点が追加されたものと承知をいたしております。
国会で行われました法案修正について政府の立場から評価をすることは差し控えますが、この法案が可決された場合には、こうした修正に至る御議論の内容を十分に踏まえながら、関係職員への周知と啓発等により、通信の秘密の尊重を徹底するとともに、サイバー通信情報監理委員会による公正な審査、検査等と丁寧な国会報告により、法の運用状況を的確に国会に御確認いただけるよう取り組んでまいります。
セキュリティークリアランス制度の活用による官民の情報連携の強化等についてのお尋ねです。
サイバー対処能力強化法案におきましては、政府が、事業者からインシデント情報、通信情報など様々な情報を得て、これらを整理、分析するとともに、サイバー攻撃による被害の防止に必要な情報を政府が事業者に提供するなど、官民双方向での情報共有を推進することといたしております。
政府から提供する情報にはサイバー攻撃の目的や背景などの機微な情報も含まれ得ることから、例えば、協議会の構成員となる事業者についてはセキュリティークリアランス制度の活用も想定し、適切な情報管理に努めてまいります。
同志国、同盟国とギブ・アンド・テークの関係を構築するにはインテリジェンス能力の向上が不可欠であるとの議員の御指摘はそのとおりであって、令和四年に閣議決定をいたしました国家安全保障戦略におきましても、サイバー安全保障分野における情報収集、分析能力を強化することとしております。
政府におきましては、昨年七月に内閣サイバーセキュリティセンターにサイバー空間におけるインテリジェンスを担当するユニットを設置するなどの取組を進めているところであり、引き続き、政府全体として、サイバー空間と実社会の双方においてインテリジェンス機能の強化に努めてまいります。
基幹インフラ制度への医療分野追加の必要性と検討状況についてのお尋ねであります。
近年、医療機関がサイバー攻撃を受ける事例が生じておりますほか、医療DXの推進やそれに伴う医療機関のシステム環境の変化が見込まれること等も受け、経済安全保障法制に関する有識者会議等において、基幹インフラ制度に医療分野を追加することについて検討を進めております。具体的には、医療の安定的な提供を確保する観点から、個別の医療機関や、今後医療DXに関するシステムの開発、運用の母体となる社会保険診療報酬支払基金のそれぞれについて、今年の夏までに結論を得るべく、政府として着実に検討を進めてまいります。
中小企業のサイバーセキュリティ対策についてであります。
我が国の経済の基盤となる中小企業のサイバーセキュリティ対策の強化は喫緊の課題であり、サプライチェーン全体の防護の観点からも重要であると認識をいたしております。
中小企業への支援策としては、例えば経済産業省において、サイバーセキュリティ対策の実施に役立つガイドラインの作成、システム異常の監視、緊急対応の支援などのサービスをまとめて提供するサイバーセキュリティお助け隊サービスを利用する中小企業への補助などの取組を実施しているところであり、引き続き、様々な施策を通じて中小企業のサイバーセキュリティ対策を支援をいたしてまいります。
また、今回のサイバー対処能力強化法案では、官民で必要な情報共有等を行うための協議会を組織することといたしており、基幹インフラ事業者と取引のある中小企業も、必要があると認める場合には協議会の構成員となっていただくことを想定いたしております。
協議会の構成員には資料の提出等の求めへの応諾義務等もありますことから、協議会の構成員に加えるに当たっては当事者から事前の御同意を得ることといたしております。そのため、法が施行されていない現段階において協議会に参加する事業者数の見込みをお示しすることは困難でございますが、必要な企業に御参加いただけますよう、協議会の意義等について適切に周知を図ってまいります。
総合整理分析情報についてでございますが、お尋ねの総合整理分析情報は、サイバー対処能力強化法案の規定に基づき政府が取得することとなるインシデント報告や通信情報のほか、委員御指摘のような関係省庁や外国政府から提供される各種情報や、サイバーセキュリティの専門企業が公表したサイバー情勢等に関する情報なども活用し、これらを一体的に分析することにより作成していくことを想定いたしております。
政府として様々な情報を収集、分析し、有用な総合整理分析情報を作成、提供することで我が国のサイバー対処能力の強化につなげてまいります。
内閣官房と内閣府に置かれる新組織についてでございます。
内閣官房に新設されることとなる事務次官級の内閣サイバー官は、国家安全保障局次長も兼ね、サイバーセキュリティ及びサイバー安全保障の事務について政府全体の総合調整を強力に行うものでございます。この内閣サイバー官を補佐する内閣官房の新組織は、現在の内閣サイバーセキュリティセンターが担っております行政各部の情報システムに対する不正な活動の監視、分析や、サイバーセキュリティの確保に関する助言などの事務に加えまして、アクセス・無害化措置などの運用に係る総合調整や重大なサイバー攻撃が発生した際の官民一体となった対処の調整などにも取り組むものでございます。
これに対しまして、内閣府に置かれる新組織は、サイバーセキュリティインシデントの発生時における基幹インフラ事業者からの報告の受理、基幹インフラ事業者等からの通信情報の取得とその分析など、新法に基づき、官民の連携強化や通信情報の利用等の事務を自ら行うものでございます。
内閣官房と内閣府に新設される組織は相互に密接に関連する事務を行うものでありますことから、担当職員を兼務させるなどして一体的に運用していくことを想定いたしております。これにより両組織の緊密な連携が確保され、サイバーセキュリティ及びサイバー安全保障の分野における取組を強力に推進することができるものと考えております。
アクセス・無害化措置についてでございます。
アクセス・無害化措置は、比例原則に基づき、重大なサイバー攻撃による危害を防止するために必要最小限度の措置として行われるものでございます。とるべき措置の具体的な内容は、個別具体の事案に応じてその都度適切に判断していく必要があり、法の規定以上の判断基準や措置の限界を定めることは困難ですが、警察官や自衛官による措置の実施については警察庁長官等又は防衛大臣が指揮を行うこととしているところであり、御指摘のように、現場の担当者がちゅうちょして判断が遅れるというようなことがないよう、適切に指揮を行ってまいります。
内閣官房に設置されることとなる新組織につきましては、警察や自衛隊を始めとする関係機関との間で、サイバー空間の脅威に関する情報、個別のアクセス・無害化措置の内容、結果などの様々な情報を共有し、御指摘のような事態の変化にも的確に対応しながら、司令塔機能を十分に発揮できるよう努めてまいります。
アクセス・無害化措置に関する国際法上の判断を行うに当たっての姿勢についてのお尋ねをいただきました。
国外に所在するサーバー等にアクセス・無害化措置を行うに当たりましては、国際法上許容される範囲内で措置が行われることを確保する観点から、実施主体が警察庁長官又は防衛大臣を通じてあらかじめ外務大臣と協議を行うこととされております。
この点、差し迫った危害に対処する上で、この協議を適切かつ迅速に行うことは極めて重要であり、平素から内閣官房、警察庁、防衛省及び外務省との間で緊密に連携して、協議を適切かつ迅速に行うことができるよう取り組んでまいります。
以上でございます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121715254X01420250418/19
-
020・関口昌一
○議長(関口昌一君) 竹詰仁君。
〔竹詰仁君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121715254X01420250418/20
-
021・竹詰仁
○竹詰仁君 国民民主党・新緑風会の竹詰仁です。
会派を代表し、ただいま議題となりましたサイバー対処能力強化法案及び同整備法案について質問をいたします。
令和四年十二月に策定した国民民主党安全保障政策二〇二二の中では、アクティブサイバーディフェンスの早期導入を提唱し、サイバー対処能力の強化を訴えました。一方、その後もアクティブサイバーディフェンス、能動的サイバー防御の導入は実現には至らず、令和五年七月には名古屋港のターミナルシステムが大規模なサイバー攻撃を受け、名古屋港は三日間機能停止に陥った事案が発生してしまいました。
こうした重大事案を踏まえ、令和六年四月、我が党は議員立法で、サイバー安全保障を確保するための能動的サイバー防御等に係る態勢の整備の推進に関する法律案を提出いたしました。また、同月、いわゆる経済安全保障版セキュリティークリアランス法案の参議院本会議質問で私自身が質問に立ち、その際にも、アクティブサイバーディフェンスは待ったなしで、すぐにでも法整備が必要である旨を訴えました。
今回の政府案は法案提出までにかなりの時間を要しましたが、その方向性は従前から我が党が主張してきたことと合致しており、責任ある国家安全保障体制の構築に向けた大きな一歩と評価した上で、石破総理に質問をさせていただきます。
まず、現状の日本のサイバー防御能力が本法案によりどれだけ強化されるのかについての展望、あるいは目標についてお伺いいたします。
各国のサイバー防御能力についての国際的な比較を行うため、一つの参考として、米国のハーバード・ケネディ・スクールが実施した国家サイバーパワー・インデックス調査があります。この調査によると、日本のサイバー防御能力の順位は二〇二〇年の九位から二〇二二年には十六位まで落ちています。また、アメリカの元国家情報長官であるデニス・ブレア氏が二〇二二年、そして二〇二四年にも日本のサイバー防御能力はマイナーリーグレベルと酷評しています。
石破総理は三月十八日の衆議院本会議で、今回の立法措置により、既に欧米主要国で取組が進められている官民連携の強化や、通信情報の利用、アクセス・無害化のための権限付与などを通じ、サイバー攻撃に関連する情報収集、分析能力や、重大なサイバー攻撃の対処能力の大幅な強化が可能となりますと答弁しておりますが、真にサイバー対処能力を欧米主要国と同等以上に向上させるためには、その制度を効果的に運用するとともに、日本が弱いとされるインテリジェンス能力を高める必要があります。
日本のサイバー防御能力はマイナーリーグレベルなどと評価されないために、具体的にどのようなことに取り組んでいくのか、石破総理の見解と決意を伺います。
次に、官民連携の強化、そして目指すべき成果について伺います。
官民の協議体について、例えば米国では二〇二一年にJCDC、ジョイント・サイバー・ディフェンス・コラボレーティブが設置され、政府機関とセキュリティーベンダー、グーグルのようなビッグテック等が連携し、情報共有が行われてきています。そして、JCDCでは、未公開情報を官民で共有し、起こり得る危機のシナリオを共同で研究しているとされています。
今回の法案では、米国のJCDCなども参考にして、協議会を設置するとの規定が盛り込まれると思いますが、民間企業が協議会に参加するインセンティブとして政府はどのようなことを考えているのか、それによってどれくらいの数の民間企業が協議会に参加することを見込んでいるのか。また、基幹インフラ事業は現在十五分野で二百を超える者が特定社会基盤事業者として指定されていますが、全ての者が協議会に参加することを想定しているのか、そして新たな協議会をどのように活用し、どのような成果を得ようとしているのか、石破総理の見解を伺います。
さらに、衆議院本会議で石破総理は、協議会においては、重要経済安保情報保護活用法のセキュリティークリアランス制度も活用して、適切な情報管理がなされるよう取り組んでいく旨の答弁をしておりますが、本年五月から始動する重要経済安保情報保護活用法のセキュリティークリアランス制度と今回の法案との関係、そして、これらの取組を産業競争力の強化につなげていくためのポイントや課題について、総理に伺います。
次に、通信情報の利用について伺います。
基幹インフラ事業者や電気通信事業者が政府に提供した通信情報について、仮に情報漏えいが発生した場合には、それらの企業の信用を毀損することにつながってしまう懸念があります。情報漏えいを回避するためにも、政府においては厳格な安全管理措置を講じることが重要になると思いますが、具体的にどのような措置を講じていくのか。また、今後、情報漏えいを回避する措置に伴う予算規模とその確保について、総理の見解を伺います。
次に、アクセス・無害化措置について伺います。
有効なアクセス・無害化措置を実行するために警察、自衛隊はどのようにしてそうした能力を身に付けるべく訓練等を実施しているのか、また、今後その能力をどのように強化していくのでしょうか。例えば、サイバーに係る共同演習等を通じ、アクセス・無害化措置を先に実施している米国や英国などの知見や技術を学んでいく必要もあるのではないでしょうか。また、我が国が誤ってアクセス・無害化措置をとることは避けなければなりません。ミスを防ぐにも先行する国に学ぶべきことがあると思います。誤ってアクセスし、無害化措置をとることをどのようにして回避していくのか。単にミスがないように留意するというものではなく、具体的なミス防止策について伺います。
次に、サイバーセキュリティ人材の育成、確保について伺います。
昨年十一月末の有識者会議提言では、政府が官民の人材育成の取組をしっかり把握した上で、産学官の共通認識を醸成するため、政府主導で、技術者に限らず、経営等に関わる者も含めたサイバーセキュリティに関わる人材の定義付けや資格の活用による可視化等を行うとされています。こうした提言を踏まえて、政府はサイバー人材の育成、確保についてどのような取組を行っていく考えなのか、総理の見解を伺います。
また、石破総理は防衛庁長官や防衛大臣を歴任されておられますが、特に自衛隊のサイバー能力についてはどのような認識をお持ち、今後どう高めていく必要があるとお考えなのか、考えを伺います。
最後に、偽情報対策をサイバー防御能力の強化と併せて行う必要性についても伺います。
サイバー攻撃と同時並行で、偽情報によって国家を混乱に陥れるようなことも十分想定されることであり、偽情報対策についても可能な限り早期に法整備を行う必要があるのではないでしょうか。
国民民主党は、令和六年四月に提出した議員立法の中で、偽情報対策について調査研究を行い、その成果を踏まえ、偽情報の拡散が国家及び国民の安全を損なうことがないようにするための措置についても提言しています。偽情報対策はこれまで主に内閣官房や総務省が担当してきたと思いますが、これまでどのような取組を行い、どのような成果を上げてきたのか。あわせて、サイバー攻撃と偽情報により社会的混乱が発生している事案も踏まえ、偽情報対策について法整備を行う必要性についても総理の認識を伺います。
能動的サイバー防御を導入するという趣旨に賛成ではありますが、重要となりますのは実効性の高い運用の確保だと考えます。本法案による能動的サイバー防御の制度についてどのようにして実効性の高い運用を行っていくのか、丁寧な説明と真摯な議論を求め、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣石破茂君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121715254X01420250418/21
-
022・石破茂
○内閣総理大臣(石破茂君) 竹詰仁議員の御質問にお答えを申し上げます。
我が国のサイバー対処能力を高めるための取組についてでございます。
令和四年に閣議決定をした国家安全保障戦略では、サイバー安全保障分野での対応能力を欧米主要国と同等以上に向上させることを目標に掲げ、その柱として能動的サイバー防御を導入することといたしました。
この度の法案では、欧米主要国と同様に、政府から民間への情報提供、一定のインフラ事業者からのインシデント報告や、通信情報の利用、アクセス・無害化などについて、必要な枠組みや権限を設けることといたしております。また、サイバー安全保障分野の政策を一元的に総合調整をする新たな組織を設けることといたしております。
今後、更なる体制強化も進めながら、御指摘のインテリジェンス能力の強化を含め、サイバー安全保障に係る取組を総合的に推進し、国家安全保障戦略を掲げた目標の実現に努めてまいります。
協議会の運用等についてでございます。
サイバー対処能力強化法案では、サイバー攻撃による被害の防止に必要な情報共有等を官民で行うための協議会を組織することといたしております。協議会の構成員には資料の提出等の求めへの応諾義務等もあることから、協議会の構成員に加えるに当たっては当事者から事前の同意を得ることとしております。このため、法が施行されていない現段階において協議会に参加する事業者数の見込みをお示しすることは困難でございますが、基幹インフラ事業者はもちろんのこと、これらの事業者と取引のある事業者や、国として守るべき機微技術を保有する事業者などにも協議会に参加をしていただくことを想定いたしております。
協議会の構成員に対しましては、重要経済安保情報保護活用法のセキュリティークリアランス制度を活用しつつ、政府から秘密を含む被害防止情報を提供することを想定いたしております。協議会の具体的な運用の在り方等につきましては今後検討を進めていくこととなりますが、協議会に参加することの意義、メリットを感じていただけるよう運用に努めてまいります。
このような取組を通じ、民間事業者を含めた我が国全体のサイバーセキュリティの強化を図ることにより、安定的な経済活動や我が国の技術的優位性を確保し、産業競争力の強化に寄与してまいります。
通信情報の安全管理措置についてでございます。
この度のサイバー対処能力強化法案では、内閣総理大臣は、取得した通信情報について、その安全管理のために必要かつ適切な措置を講じなければならない旨を規定いたしますとともに、サイバー通信情報監理委員会がその遵守状況を継続的に検査することといたしております。
安全管理措置の具体的な内容としては、例えば通信情報の取扱いの業務を行わせる職員の範囲を適切に定めることなどが挙げられますが、詳細については今後内閣府令で定めることといたしております。サイバー通信情報監理委員会とも協議をし、パブリックコメントの内容も考慮した上で適切な安全管理措置が講じられるよう検討を行ってまいります。
安全管理措置のために必要な予算規模につきましては、現時点でお示しすることは困難でありますが、法案が成立いたしました場合には、必要な予算が十分に確保できますよう取り組んでまいります。
アクセス・無害化措置に関する訓練や誤った措置を回避するための方策についてのお尋ねです。
警察及び自衛隊におきましては、これまで、大規模なサイバー攻撃を想定した訓練、研修、国内外の学術機関への職員派遣などを行ってきたところであり、例えばNATOの研究機関が主催するサイバー防衛演習にも参加するなどいたしております。引き続き、こうした取組を推進し、各国が持つ知見や技術も積極的に吸収をしながら、アクセス・無害化措置に当たる職員の能力向上に努めてまいります。
警察官及び自衛官がアクセス・無害化措置を実施する際には、権限行使の適正性を組織的に判断するため、警察庁長官等又は防衛大臣による指揮を受けなければならないことといたしております。アクセス・無害化措置については、あらかじめ高い独立性を持つサイバー通信情報監理委員会の承認を得なければならないこととし、当該措置が法律にのっとって適切に実施されることを確保いたしております。
先ほど申し上げたアクセス・無害化措置に従事する職員の能力向上の取組に加え、当該措置に係る規定を適切に運用することにより、万が一にでも誤ったアクセス・無害化措置が行われることのないように取り組んでまいります。
サイバーセキュリティ人材の育成、確保についてでございますが、サイバー攻撃の脅威が深刻化する中、サイバーセキュリティ人材の確保や育成は重要な課題であると、このように認識をいたしております。
政府といたしましては、今後、御指摘の有識者会議からいただいた御提言も踏まえ、サイバーセキュリティ人材に求められる役割、知識などを明確化することで、長期的なキャリアパスの明示を図るとともに、サイバーセキュリティの重要性に対する経営層の方々の御理解を促進し、サイバーセキュリティ人材の地位向上や処遇の改善などにつなげてまいりたいと考えております。
防衛省・自衛隊におきましては、これまで、サイバー専門部隊の拡充や情報システムのリスクを常時継続的に分析、管理する枠組みの導入、諸外国との共同演習などといった取組により、サイバー分野における最新の知見を積極的に導入しながらサイバー防衛能力を構築してきておるところでございます。
今後も、サイバー分野の専門教育の拡充や、諸外国とのサイバー防衛協力の強化などを進め、サイバー専門部隊の隊員が専門性を継続的に高めることができますよう、必要な取組を進めてまいります。
偽情報対策についてであります。
インターネット空間では、世界各国の情勢や多様な知識、意見を容易に入手できるという利点があります一方で、真偽不明の情報に翻弄されるおそれも存在しております。御指摘の偽情報も、適切な意思決定を阻害し、民主主義や国家安全保障に悪影響をもたらし得るものでございます。
政府におきましては、令和四年に閣議決定した国家安全保障戦略に「偽情報等の拡散を含め、認知領域における情報戦への対応能力を強化する。」と明記いたしました上で、外国からの偽情報等の収集、集約、分析や、偽情報等に対する対外発信などの対策を内閣情報官、内閣広報官、外政を担当する内閣官房副長官補兼国家安全保障局次長を含めた体制において一体的に推進をしております。
今後、生成AI技術の更なる発展に伴い、これを悪用した偽情報の脅威が増大していくことも強く懸念されております。AIにつきましては、イノベーションの加速とリスクへの対応を両立させる法案を今回、今国会に提出しているところでございますが、引き続き、偽情報対策に関する諸外国の事例についても情報収集を行いつつ、効果的な対策について不断の取組を進めてまいります。
以上でございます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121715254X01420250418/22
-
023・関口昌一
○議長(関口昌一君) 井上哲士君。
〔井上哲士君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121715254X01420250418/23
-
024・井上哲士
○井上哲士君 日本共産党を代表して、いわゆる能動的サイバー防御二法案について石破総理に質問します。
冒頭、昨日の関税問題での日米交渉について聞きます。
赤澤大臣は記者の質問に対し、トランプ大統領から安全保障の要求があったことを否定しませんでした。トランプ氏からどのような要求があったのでしょうか。在日米軍駐留経費の増額を始めとした日本の軍事費増大要求には応えるべきではありません。総理の見解を求めます。
サイバー攻撃から国民の生活の基盤を守ることは必要です。しかし、安保三文書に基づく本法案が国民の通信の秘密とプライバシー権を侵害し、先制攻撃に踏み込む危険のある、憲法と国際法に反する危険な法案であることが衆議院の論戦を通じても明らかとなりました。
従来のサイバーセキュリティ対策は、サイバーセキュリティ基本法に基づき実施されてきました。各府省においてもその強化が図られてきたはずです。にもかかわらず、本法案を必要とするのはどのような理由からですか。
この法案によって、膨大な個人情報を政府が吸い上げられる仕組みがつくられます。サイバー攻撃を防ぐために、なぜこれほどの通信情報を必要とするのですか。
総理は、通信の秘密に対する制約が公共の福祉の観点からやむを得ない限度にとどまると答弁し、通信の秘密を侵害する場合があることを認めました。
そもそも個人情報の取得、利用は、必要以上に収集せず、利用目的を明らかにし、目的外利用や第三者提供には本人の同意を得ることが大原則です。
ところが、法案は、電気、水道、ガス、金融などの基幹インフラ事業者に加え、自治体、家電や自動車メーカーなど、あらゆる民間事業者と協定さえ結べば、利用者の通信情報を送受信者の同意なく電気通信設備から取得することを可能としています。ほぼ全ての国民が利用者に当たることになります。
日本国内の通信情報は取得の対象外といいますが、外国のサーバーを経由したり、外国の通信事業者を利用している場合は対象となります。しかも、基幹インフラや電気通信事業者などが協定を結んでも、その内容を利用者に公表する規定はありません。結局、利用者本人の知らない間に、政府によって多くの国民の通信情報が取得されることになるのではないですか。
政府は、自動選別により、電子メールの本文などコミュニケーションの本質的な内容が取り除かれ、機械的な情報のみが取得されるので、通信の秘密は守られると言います。しかし、機械的情報とされるIPアドレスや指令情報なども通信の秘密の保護の対象になると衆議院の質疑で認めました。しかも、機械的情報には、サイバー攻撃に関係する機器などの探査が容易となると認めるに足る情報も含まれます。政府による恣意的な選別が行われない保障はどこにあるのですか。
衆議院での審議で政府は、法案が、協定当事者の同意があれば、警察や自衛隊が取得した情報をサイバー攻撃の被害防止以外の目的に利用することを可能としていることを認めました。なぜ目的外利用を可能にしたのですか。
名古屋高裁は昨年九月、岐阜県大垣警察署の公安警察が公共の安全と秩序の維持を名目に市民の個人情報を収集、保有し、提供を行ったことを違憲、違法とし、損害賠償と個人情報の抹消を命じました。警察は上告を断念しましたが、裁判の中で、警察の情報活動という事柄の性格上、その目的、対応などを明らかにすることができなかったのが判決の要因だと述べ、全く無反省です。このような組織に情報の目的外利用を認めれば、莫大な個人情報が警察の国民監視に利用されることになるのではありませんか。答弁を求めます。
独立性の高いサイバー通信情報監理委員会がサイバー攻撃による被害防止のための適正な実施を確保するため審査や検査を行うといいますが、そもそもこの機関は国民の人権を保障する機関なんでしょうか。内閣総理大臣によって任命された委員長外四名の委員で構成される委員会に独立性などがあるのでしょうか。
以上、本法案による情報の収集は明らかに個人情報保護のルールに反するものであり、憲法が保障する通信の秘密を侵害し、膨大な通信情報が政府に取得され、国民が政府の監視下に置かれることになります。
警察や自衛隊が国外のサーバーへ侵入、監視し、プログラムの停止や削除を行うアクセス・無害化措置は、相手国の主権侵害となるおそれがあります。石破総理は、アクセス・無害化措置を国際法上許容される範囲内で行うのは当然などと言い、緊急避難等の国際法の法理を援用して違法性を阻却できるかのように述べています。しかし、そのような国際的な合意はいまだ形成されていないのではありませんか。緊急避難の援用が認められるとの見解を表明している国はどこですか。お答えください。
サイバー攻撃に適用される国際慣習法を明文化されるタリン・マニュアルでも、国の根本的な利益に対する重大で差し迫った危険と利益を守る唯一の手段である場合という厳しい要件を課しています。
一方、警職法改正案では、「そのまま放置すれば人の生命、身体又は財産に対する重大な危害が発生するおそれがあるため緊急の必要があるとき」としており、タリン・マニュアルと照らしても違法性の阻却は到底認められないのではありませんか。
米太平洋軍司令官や国家情報長官を務めたデニス・ブレア氏が昨年五月の産経新聞のインタビューで、サイバー攻撃は、平時では企業攻撃や世論工作が行われる一方、有事はネットワーク上で運用される部隊の作戦が妨害される可能性があると述べ、能動的サイバー防御による能力向上は自衛隊と米軍の統合運用を大きく高めると発言しています。
警察と自衛隊にアクセス・無害化措置を行わせるのは、自衛隊と米軍の統合運用を高めるためにアメリカから求められたからなのではありませんか。
二〇一九年四月の日米2プラス2では、一定の場合には、サイバー攻撃が日米安保条約第五条の規定の適用上武力攻撃を構成し得ることを確認しています。
その直後の参議院外交防衛委員会での私の質問に当時の岩屋防衛大臣は、サイバー攻撃であっても、物理的手段による攻撃と同様の極めて深刻な被害が発生し、これが相手方により組織的、計画的に行われていると判断される場合には、武力攻撃に当たり得る、サイバー攻撃による武力攻撃が発生した場合も、防衛出動を命じられた自衛隊が必要な武力の行使として物理的な手段を講ずることが排除されているというわけではないと答弁をしています。
そうであれば、日本が行ったアクセス・無害化措置を相手国が深刻な被害と判断すれば、それを我が国からの武力攻撃とみなして物理的な手段で反撃することもあり得るということではありませんか。
さらに、自衛隊は、在日米軍へのサイバー攻撃についても同様の措置をとれるとしています。日本への攻撃がないのに、日本がアクセス・無害化措置を行えば、それが先制攻撃とみなされるのではありませんか。
本法案のアクセス・無害化措置は、それを端緒に戦争につながるおそれのある危険この上ないものと言わざるを得ません。
通信の秘密を侵害し、日本を戦争に巻き込むようなこんな法案は断固廃案にするべきだと求めまして、質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣石破茂君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121715254X01420250418/24
-
025・石破茂
○内閣総理大臣(石破茂君) 井上哲士議員の御質問にお答えを申し上げます。
米国の関税措置に関する日米協議についてお尋ねがございました。
今般の協議における議論の詳細につきましては、外交上のやり取りであり、言及は差し控えますが、同盟強靱化予算につきましては、日米両政府の合意に基づいて適切に分担されていると考えております。また、我が国の防衛費の在り方につきましては、我が国が主体的に判断をいたします。
サイバー対処能力強化法案の必要性についてでございますが、近年、機微情報の窃取、重要インフラの機能停止等を目的とする高度なサイバー攻撃に対する懸念が急速に高まっております。国家を背景としたサイバー攻撃も日常的に行われるなど、安全保障上の大きな懸念にもなっております。
昨今、サイバー攻撃の実行者は、マルウェアに感染させるなどして乗っ取った多数の通信機器を組み合わせ、攻撃用のインフラを構築した上で、攻撃者を隠蔽しながらサイバー攻撃を行うことが常態となっております。
こうした巧妙な手段による、手法による重大なサイバー攻撃に的確に対応いたしますためには、我が国におきましても、欧米主要国と同様に、法律により一定の要件を定め、独立機関の承認や検査などにより事務の適正性を確保した上で、必要最小限の範囲で通信情報の取得、分析や、攻撃サーバー等へのアクセス・無害化措置を行うといった能動的サイバー防御の制度を設ける必要性があると、このように考えております。
当事者協定を締結した基幹インフラ事業者の通信相手等への配慮と政府が取得した通信情報の自動選別についてのお尋ねです。
サイバー対処能力強化法案におきましては、事業者と協定を結び又は電気通信事業者の協力を得て政府が通信情報の取得、分析を行う際に、その事実を公表する規定は設けておりません。
しかし、政府が取得した通信情報につきましては、重大なサイバー攻撃に関係があると認めるに足りる機械的情報のみを自動的な方法により選別し分析対象とすること、コミュニケーションの本質的内容であるメールの本文やIP電話の通話内容などの情報は何ぴとにも閲覧等されることなく消去すること、独立性の高いサイバー通信情報監理委員会が法の遵守状況について検査を行うことなどを規定いたしております。したがいまして、御指摘のような恣意的な選別が行われることはなく、通信当事者の権利にも十分に配慮した制度としておるところでございます。
本法案により取得した通信情報の目的外利用についてのお尋ねです。
本法案では、事業者との協定に基づき政府が取得した通信情報につきましては、当該事業者の同意があれば、一定のサイバー攻撃の被害を防止する以外の目的で利用、提供することができることといたしております。
この目的外利用、提供の規定は、サイバーセキュリティ対策に資する分析を行うため、協定当事者の同意を得て、関係行政機関のほか、サイバー攻撃の動向について知見を有する民間のセキュリティー会社等に通信情報を提供し、利用することなどを想定しているものでございます。
この規定に基づき通信情報を提供する場合でありましても、当該通信情報は、何ぴとも閲覧等ができない自動的な方法によって選別した重大なサイバー攻撃に関係すると認めるに足りる機械的な情報に限られており、その中にサイバー攻撃と関係のないユーザーの情報などが含まれることはございません。このため、御指摘のような御懸念は当たりません。
サイバー通信情報監理委員会についてでございますが、お尋ねのサイバー通信情報監理委員会は、事業者の同意によらずに通信情報を利用する場合の事前の審査や、通信情報の取扱いに関する規定が遵守されているかどうかの継続的な検査などを行う組織であり、憲法で保障された国民の基本的な人権である通信の秘密への十分な配慮等を担保する上で極めて重要な役割を果たすものでございます。
この委員会は内閣府の外局ではございますが、いわゆる三条委員会として、ほかの行政機関と同等の立場で審査や勧告等を行うことができるものであり、委員長と委員が独立して職権を行うことが法律で明確に定められております。この委員会の委員長と委員は国会の同意を得て任命され、また、任命された後は、拘禁刑以上の刑事罰に処されるなどの法律で定められた事由がなければ罷免されることはございません。したがいまして、委員会の独立性は十分に確保されており、御懸念は当たらないものでございます。
アクセス・無害化措置の違法性阻却についてでございますが、これまでの国連における議論の結果、国連憲章全体を含む既存の国際法がサイバー行動にも適用されることが確認されております。
サイバー行動に適用される国際法について、自国の詳細な立場を対外的に明らかにしている国は一部にとどまり、他国の立場を包括的に示すことは困難でございますが、例えば、フランス、ドイツ、オランダ、コスタリカ、EUといった国や地域がサイバー行動に関する緊急状態の適用可能性について対外的に言及していると承知をいたしております。
また、いわゆるタリン・マニュアルは、サイバー行動に適用される国際法に関する研究の成果として専門家によって作成された文書であると、このように承知をいたしております。
その上で、サイバー行動の国際法上の評価につきましては、個別具体的な状況に応じて判断されますため、一概にお答えすることは困難でございます。
いずれにいたしましても、我が国が国外に所在するサーバー等に対してアクセス・無害化措置を行うに当たっては、違法性阻却事由として緊急状態を援用する場合を含め、外務大臣との協議を通じて、国際法上許容される範囲内で措置を行うことを確保いたしてまいります。
アクセス・無害化措置の導入経緯についてでございます。
国家を背景とした高度なサイバー攻撃への懸念の拡大等を踏まえますと、我が国のサイバー対処能力の強化は喫緊の課題でございます。
このため、国家安全保障戦略に基づき、国、重要インフラ等に対する安全保障上の懸念を生じさせる重大なサイバー攻撃の発生又は予兆を認知した場合に、その被害の未然防止又は拡大防止のため、アクセス・無害化措置を導入することといたしたものでございます。
我が国全体のサイバー対処能力の強化を目的として我が国として主体的に判断したものであり、御指摘は当たらないものでございます。
アクセス・無害化措置が武力攻撃や先制攻撃とみなされる危険性についてのお尋ねです。
アクセス・無害化措置は、比例原則に基づき、重大なサイバー攻撃による危害の防止のために必要最小限度の措置として行うものであり、措置の対象となるサーバー等に物理的被害や機能喪失等、その本来の機能に大きな影響を生じさせることは想定いたしておりません。
こうしたことから、今回整備するアクセス・無害化措置は、そもそも武力の行使と評価されるものではなく、武力攻撃や先制攻撃とみなされるようなものではございません。また、我が国に所在する米軍が使用する特定電子計算機の警護のための自衛隊による措置につきましても同様のものであり、武力攻撃や先制攻撃とみなされるものではございません。
以上でございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121715254X01420250418/25
-
026・関口昌一
○議長(関口昌一君) これにて質疑は終了いたしました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121715254X01420250418/26
-
027・関口昌一
○議長(関口昌一君) 日程第一 電波法及び放送法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。総務委員長宮崎勝君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔宮崎勝君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121715254X01420250418/27
-
028・宮崎勝
○宮崎勝君 ただいま議題となりました法律案につきまして、総務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、電波の有効利用を促進し、及び情報通信技術の進展等に対応した規制の合理化を図るため、特定高周波数無線局を開設することのできる者を価額競争により選定する制度の創設、無線局の免許状等及び基幹放送事業者の認定証のデジタル化、電波利用料制度の見直し等の措置を講じようとするものであります。
委員会におきましては、価額競争の導入経緯と具体的制度設計、無線局の免許状等のデジタル化に向けた取組、放送事業者が中継局を廃止する際の受信者保護等について質疑が行われました。
質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して伊藤岳委員より反対する旨の意見が述べられました。
討論を終局し、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121715254X01420250418/28
-
029・関口昌一
○議長(関口昌一君) これより採決をいたします。
本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121715254X01420250418/29
-
030・関口昌一
○議長(関口昌一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121715254X01420250418/30
-
031・関口昌一
○議長(関口昌一君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百三十八
賛成 二百二十
反対 十八
よって、本案は可決されました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121715254X01420250418/31
-
032・関口昌一
○議長(関口昌一君) 日程第二 児童福祉法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長和田政宗君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔和田政宗君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121715254X01420250418/32
-
033・和田政宗
○和田政宗君 ただいま議題となりました法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、保育に関する多様な需要に対応するために必要な人材の確保等を図るため、地域限定保育士の資格の創設、小規模保育事業の対象の拡大等を行うとともに、虐待を受けた児童その他の保護が必要な児童への対応の強化を図るため、保育所等の職員等による児童への虐待の通報に関する規定の整備、一時保護中の児童との面会制限等に関する児童相談所長の権限の強化等の措置を講じようとするものであります。
委員会におきましては、保育士の処遇や配置基準の更なる改善を進める必要性、保育士・保育所支援センターの法定化の効果、地域限定保育士制度の在り方、面会制限等の適切な運用に向けた対応等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党の井上委員より反対、れいわ新選組の大島委員より反対の旨の意見が述べられました。
次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。
なお、本法律案に対し附帯決議を行いました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121715254X01420250418/33
-
034・関口昌一
○議長(関口昌一君) これより採決をいたします。
本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121715254X01420250418/34
-
035・関口昌一
○議長(関口昌一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121715254X01420250418/35
-
036・関口昌一
○議長(関口昌一君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百三十七
賛成 二百十六
反対 二十一
よって、本案は可決されました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121715254X01420250418/36
-
037・関口昌一
○議長(関口昌一君) 日程第三 鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。環境委員長青山繁晴君。
─────────────
〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
─────────────
〔青山繁晴君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121715254X01420250418/37
-
038・青山繁晴
○青山繁晴君 ただいま議題となりました法律案につきまして、環境委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
本法律案は、最近における一部の鳥獣の生息地の範囲の拡大等に起因する人の生命又は身体に対する危害の発生の実情に鑑み、当該危害を防止するため、危険鳥獣の銃器を使用した捕獲等に関する制度を創設しようとするものであります。
委員会におきましては、本法律案の審査に先立ち、宮城県へ委員派遣を行うとともに、緊急銃猟を実施する市町村への支援策、捕獲従事者を始めとする専門的人材の確保、育成の在り方等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終局いたしましたところ、本法律案に対し、立憲民主・社民・無所属及び日本共産党を代表して川田理事より、「危険鳥獣」の用語を「緊急対処鳥獣」に改めること等を内容とする修正案が提出されました。
次いで、討論に入りましたところ、れいわ新選組を代表して山本委員より原案及び修正案に反対する旨の意見が述べられました。
討論を終局し、順次採決の結果、修正案は否決され、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121715254X01420250418/38
-
039・関口昌一
○議長(関口昌一君) これより採決をいたします。
本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121715254X01420250418/39
-
040・関口昌一
○議長(関口昌一君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121715254X01420250418/40
-
041・関口昌一
○議長(関口昌一君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百三十六
賛成 二百三十
反対 六
よって、本案は可決されました。(拍手)
─────────────
〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
─────────────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121715254X01420250418/41
-
042・関口昌一
○議長(関口昌一君) 本日はこれにて散会いたします。
午後零時二十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/121715254X01420250418/42
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。