1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十三年六月七日(月曜日)
午前十時十九分開議
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議事日程 第四十二号
昭和二十三年六月七日
午前十時開議
第一 消防組織法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第二 雄武村漁港新設に関する請願(委員長報告)
第三 香深漁港築設に関する請願(委員長報告)
第四 手打漁港築港に関する請願(委員長報告)
第五 加茂漁港第二期修築工事促進に関する請願(委員長報告)
第六 知床半島漁港築設に関する請願(委員長報告)
第七 鹿部村小漁港修築に関する請願(委員長報告)
第八 川尻漁港修築に関する請願(委員長報告)
第九 伊万里漁港修築に関する請願(委員長報告)
第一〇 今和泉漁港修築に関する請願(委員長報告)
第一一 室津漁港修築に関する請願(委員長報告)
第一二 苫小牧漁港修築に関する請願(委員長報告)
第一三 尾札部船入ま改修に関する請願(委員長報告)
第一四 天塩漁港修築に関する請願(委員長報告)
第一五 音戸漁港修築に関する請願(委員長報告)
第一六 安浦漁港防波堤築設に関する請願(委員長報告)
第一七 船舶漁港船入ま拡張に関する請願(委員長報告)
第一八 加茂漁港第二期修築工事促進に関する請願(委員長報告)
第一九 久慈漁港修築に関する請願(委員長報告)
第二〇 穴井漁港築設に関する請願(委員長報答)
第一二 家串漁港築設に関する請願(委員長報告)
第二二 羽幌漁港修築に関する請願(委員長報告)
第二三 出雲崎港漁港指定に関する請願(委員長報告)
第二四 栄浜船入ま築設に関する請願(委員長報告)
第二五 深浦港の重要漁港指定に関する請願(委員長報告)
第二六 永井川信号所を停車場に変更することに関する請願(委員長報告)
第二七 日豊線に急行列車の運轉開始並びに霧島神宮駅を急行停車駅指定に関する請願(委員長報告)
第二八 要田簡易停車場設置に関する請願(委員長報告)
第二九 磐城西郷信号所を停車場に変更することに関する請願(委員長報告)
第三〇 興浜南線を雄武村字幌内まで延長することに関する請願(委員長報告)
第三一 小波渡信号所を停車場に変更することに関する請願(委員長報告)
第三二 霧島神宮駅構内諸施設に関する請願(委員長報告)
第三三 直江津駅より上越線に連絡する鉄道を敷設することに関する請願(委員長報告)
第三四 千葉、木更津両駅間電化促進に関する請願(委員長報告)
第三五 郡山、白石両駅間鉄道電化促進に関する請願(委員長報告)
第三六 流山町新制中学校の建築敷地に関する請願(委員長報告)
第三七 米原、敦賀両駅間電化促進に関する請願(委員長報告)
第三八 油津臨港鉄道線施設に関する請願(委員長報告)
第三九 米原、京都両駅間の電化促進に関する請願(委員長報告)
第四〇 和歌山縣の漁港災害復旧事業費國庫補助に関する陳情(委員長報告)
第四一 沼津、浜松間鉄道電化促進に関する陳情(委員長報告)
第四二 自由討議(前会の続)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100215254X04419480607/0
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001・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) 諸般の報告は御異議がなければ朗読を省略いたします。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100215254X04419480607/1
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002・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) これより本日の会議を開きます。日程第一、消防組織法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。治安及び地方制度委員長吉川末次郎君。
〔吉川末次郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100215254X04419480607/2
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003・吉川末次郎
○吉川末次郎君 只今議題となりました消防組織法の一部を改正する法律案につきまして、我々の委員会における審議の経過並びに結果について報告いたします。
先ず改正案の趣旨内容について申上げますれば、第一に、消防本部の設置、名称及び組織は市町村が定めることとなつていたものをば、市町村長が定めることに改め、又消防署の設置、名称、組織及び管轄区域は、市町村が定めることになつていたものを、市町村長の承認を得て、消防長が定めることに改めたのでありまして、政府当局の説明によりますれば、消防は、同法律第七條により、その市町村の條例によつて管理せられ、又同法第八條により、消防に要する費用も亦市町村の議会の承認を得て、当該市町村が負担することになつておりますから、消防本部の設置、名称及び組織等は、市町村長が規則によつて定めるのが実情に即するものとして改正せんとするにあるとのことでございます。又これに伴つてその内部組織である消防署の設置、名称、組織及び管轄区域は、消防的見地から、消防長が市町村長の承認を得て、これを定めることに改正することとしてあるのでございます。
第二に、市町村の消防職員の任命につきましては、市町村の消防長が、市町村長の定める基準により行うこととなつていたものをば、市町村長の承認を得て行うことに改めんとするのでありますが、当局の説明によりますれば、消防組織法全般を通ずる市町村及び市町村長の地位に鑑み、人事については、市町村長の承認を求めることを適当と考え改めることとしておるのでございます。以上が改正案の趣旨内容であります。
本委員会は本法案付託以來、愼重審議をいたし、苫米地官房長官及び國家消防廳長官との間に、種々熱心な質疑應答を重ねたのでございます。
次いで民主党所屬中井光次委員より、消防本部、消防署の設置、名称、組織、管轄区域等を定める場合に、市町村長が議会の議決を経ずして、單独に決定することは、いわゆる非民主的であつて、適当でないから、現行法の通り市町村がこれを定めるのが適当であるが、若しこれを修正するとすれば、警察法の條項と歩調を合せる意味で、市町村條例でこれを定めることとすべきであるという修正意見が提出されたのであります。これにつきましては、種々審議を重ねたのでございますが、諸般の情勢からいたしまして、この点の修正は一應取止めることといたしまして、この際は政府原案通りとするとの結論に到達した次第でございます。
次に緑風会所屬岡本愛祐委員より、原案に追加して左のごとき修正案が提出せられました。次にその大要を説明いたすことといたします。岡本愛祐委員提案の理由は、消防團の設置に関しては、二十三年三月政令第五十九号を以て消防團令を公布されておるが、消防團に関する基本的事項は、法律を以て規定すべきであつて、政令を以てこれを規定することは適当でない。よつて今回の消防組織法改定を機会に、第十五條の二といたしまして、消防團の設置区域及び組織は、地方的要求に應じて市町村長がこれを定める。消防本部を置く市町村においては、消防團は、消防長又は消防署長の所轄の下に行動し、消防長又は消防署長の命令があるときは、その区域外においても業務に從事することができる。消防團の定員、任免、給與、服務その他の事項は、市町村條例で、その訓練、礼式及び服制に関する事項は、國家消防廳の定める準則に則り、市町村規則でこれを定めると規定せんとするものであります。この修正案につきましては、本委員会は、審議の結果、全会一致を以て適当なものと決定いたました次第でございます。
かくして討論採決に入りましたところ、全会一致を以て、本委員会は岡本氏提案の修正案を一括可決いたしまして、これを衆議院に回付して衆議院の同意を求むべきものと決定いたしました次第でございます。以上御報告申上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100215254X04419480607/3
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004・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。委員長の報告は、修正議決報告でございます。委員長報告通り、修正議決することに賛成の諸君の起立を請います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100215254X04419480607/4
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005・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て委員会修正通り議決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100215254X04419480607/5
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006・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) この際日程の順序を変更して、日程第二より第二十五までの請願及び日程第四十の陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100215254X04419480607/6
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007・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。水産委員長木下辰雄君。
〔木下辰雄君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100215254X04419480607/7
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008・木下辰雄
○木下辰雄君 只今議題となりました請願第二十号外二十三件並びに陳情一件について、水産委員会におきまする審議の経過並びに結果を御報告いたします。
委員会は懇談会を一回と、それから五月二十七日と六月一日の両日に開会いたしまして愼重審議いたしました。今その経過を簡單に御報告いたします。
請願第二十号は、雄武村漁港新設に関する請願であります。紹介議員木下源吾君から請願の要旨につきまして詳しく説明がありました。同漁港にオホーツク海に面して優秀漁田に近く、漁獲も多く、北洋漁場を失つた今日、極めて重要な漁場の根拠地である。この際漁港の築設を急速に実施せられたいというのであります。
第二は、請願第四十六号、北海道の香深漁港築設に関する請願であります。紹介議員は同じく、木下源吾君から請願の要旨につきまして説明がありましたが、同漁港は禮文島における唯一の港で、先に継続事業として着手したが、戰爭と資材不足のために一時中止となつておるが、漁業上からも、一般交通上からも極めて重要であるから、速かに修築せられたいというのであります。
第三は、請願第六十号手打漁港築港に関する請願であります。紹介議員岡元義人君から請願の要旨について詳しく説明がありました。同港は薩摩半島西方の東支那海に通ずる甑島列島の南部に位する漁港で、東支那海の漁庫に接近する重要な港であり、他縣出漁船の根拠地としても必要な所であり、戰時中何らの修築をもなさなかつたために漁港として甚だ不完全であるから、この際百四十米の防波堤を至急築造せられたいというのであります。
請願第七十九号並びに請願第四百五十二号は、加茂漁港第二期修築工事促進に関する請願であります。紹介議員尾形六郎兵衞君から請願の要旨について説明がありました。同港は山形縣海岸線の中央に位して漁獲も一ケ年平均八十万貫乃至百万貫で、縣下漁獲高の七割を占める重要漁港であり、すでに第一期工事としては昭和十一年着工、昭和十五年完成したが、近時遠洋漁業の急速なる発展に伴い、大型漁船の増加は港内規模狭隘と水深の浅きことを痛感することとなり、殊に同港は運輸交通の面から見ても極めて重要であるから、速かに第二期工事を実施して貰いたいというのであります。
第五は請願第九十七号でありまして、北海道の和床半島漁港築設に関する請願であります。紹介議員木下源吾君から請願の要旨について説明がありました。同港はカムチヤツカ、北千島の有力な事漁場を失つた今日、オホーツク海知床半島周辺は特に有望なる漁田であるから、この漁港を完成せしむることは極めて肝要である。殊に網走から根室に至る数十浬の間に斜里港があるのみで、一般交通上からも必要であるから、速かに修築して貫いたいという趣旨であります。
請願第百五号は鹿部村小漁港修築に関する請願であります。紹介議員は板谷順助君で、同港は背後に函館市を控えた有力なる漁場に面する漁港であります。
請願第百二十一号は川尻漁港修築に関する請願であります。紹介議員岡元義人君から請願の要旨について説明がありました。同港は薩摩半島の南端にあつて、近く種子島、屋久島等いわゆる七島近海の好漁場に面する枢要漁港であるが、昭和二十二年六月の大風に船溜内西方護岸を破壊され、水深極度に浅くなり、漁船の出入も困難であるから、適かに修築されたいという趣旨であります。
請願第百二十六号は伊萬里漁港修築に関する請願であります。紹介議員は小林勝馬君外四名であります。同港は佐賀縣における主要漁港で、漁獲高も八十余万貫、三千二百余万円以上に達しております。
請願第百四十九号は今和泉漁港修築に関する請願であります。紹介議員前之園喜一郎君から請願の要旨について説明がありました。同港は鹿児島湾の西岸にある湾内屈指の漁港で、漁獲高も年間千二百余万円に達しておるが、同港は殆んど直線的海岸で、風浪に対する遮蔽施設もなく、昭和二十年の暴風雨の際、所有船の六割を流失破損したのであります。昭和十六年農林省も修築の必要を認め、すでに実地測量等も終り、築港の設計も完成したが、今日尚着工できない状態であるから、速かに着工して貰いたいというのであります。
請願第百五十六号は室津漁港修築に関する請願であります。紹介議員は寺尾豊君外二名であります。同港は高知縣の東端室戸岬に近接する重要なる漁港兼避難港であります。
請願第百七十九号は苫小牧漁港修築に関する請願であります。紹介議員は木下源吾君で、同君より請願の趣旨につきまして説明がありました。同港は北海道における太平洋岸の有力なる漁田に直面しており、岩手、宮城、青森等の漁船までも出入する枢要な港であるのみならず、運輸交通上からも重要な地位を占めておる外、浦河港から室蘭港に至る二百キロの海岸に一つの漁港、一つの避難港もない現状であるから、この際速かに同港を修築して貰いたいという趣旨であります。
請願第二百二十号は尾札部船入ま修築に関する請願であります。紹介議員は板谷順助君であります。同港は北海道の太平洋岸に面する有力なる漁業地を控えた最も重要な漁港であります。
請願第二百四十三号は天塩港修築に関する請願であります。紹介議員木下源吾君から請願の要旨につきまして説明がありました。同港は天塩川河口を修築して港湾として、これを漁港として利用せんとするものであります。天塩川口沖合は、各種魚族の有名な棲息地武藏堆があつて、漁業進展の余地が極めて多いが、漁港がないことが甚だ遺憾であるから、速かにこの漁港設備を完成して貰いたいというのであります。
請願第二百八十号は音戸漁港修築に関する請願であります。紹介議員は兼岩傳一君であります。同港は廣島縣有数の漁港で、大小三百八十余隻の漁船が本港を基地として内海漁業に從事しておるのであります。
請願第二百八十五号は安浦漁港防波堤築設に関する請願であります。紹介議員は同じく兼岩傳一君で、同港は廣島縣中央部にある縣下屈指の重要漁港であります。
請願第三百十二号は船泊漁港船入ま拡張に関する請願であります。紹介議員木下源吾君から請願の要旨の説明がありました。同港は礼文島にある重要漁港で、「にしん」の生産が多く、本年度のごときすでに目標を突破している現状であり、又北洋漁業を失つた今日、同港の修築により、漁田の開発は極めて必要であるから、この際速かに修築して貰いたいという趣旨であります。
請願第四百九十六号は久慈漁港修築に関する請願で、紹介議員は柴田政次君であります。同港は太平洋岸有数の漁港であり、避難港であります。
請願第五百二十二号は穴井漁港築設に関する請願であります。紹介議員は中平常太郎君であります。同港は愛媛縣宇和海の宝庫を控えておる枢要な漁港であります。
請願第五百二十七号は家串漁港築設に関する請願であります。紹介議員は同じく中平常太郎君であります。同港は愛媛縣最南端で、高知縣に接し、豊後水道の漁場に直面する枢要な漁港であります。
請願第五百三十二号は羽幌漁港修築に関する請願であります。紹介議員は木下源吾君外四名であります。木下君の説明によりますと、同港は北海道天塩國の中央部にある海陸物産の豊富な地で、「にしん」漁業の盛んな所であるが、日本海の強風浪に港口、港内を問わず土砂が溜り、船舶の出入が不可能となり、漁港としての機能を失うに至つたから、速かに修築して貰いたいというのであります。
請願第六百二十四号は出雲崎港漁港指定に関する請願であります。紹介議員田村文吉君でありまして、同港は新潟港と柏崎港の中間にあり、対岸佐渡ケ島へ最短距離にある港で、漁港として極めて重要で、漁獲高も新潟縣第一位にある。この際漁港として指定して、速かに修築を完了して貰いたいというのであります。
請願第六百八十九号は栄浜船入ま築設に関する請願であります。紹介議員は小林米三郎君であります。同港は北海道後志國の最南端であつて、住民の八〇%が漁業によつて生計を立てておる重要なる船入澗であります。
請願第七百六十三号は深浦港の重要漁港指定に関する請願であります。紹介議員は中平常太郎君で、同港は愛媛縣の最南端にある「いわし」、「かつを」、「まぐろ」等の重要根拠地であります。
次は、陳情第三百八十八号は和歌山縣の漁港災害復旧事業費國庫補助に関する陳情であります、本件は、昭和二十一年十二月二十一日に発生した南海震災により、和歌山縣下全体に亘り南部は地盤が〇・六メートル余隆起し、中部以北は反対に〇・六メートル余の沈下をしたため、漁港の殆んど全部に対し修築をなさなければならない状態になつたから、この際国庫補助を以て修築をなして貰いたいというのであります。
以上が請願及び陳情の要旨であります。次に審議に入りまして、愼重審議を重ねたのでありますが、各委員と農林省並びに運輸省当局との質疑應答の一二を申上げます。
小川久義委員から、請願陳情の中で第一國会で採択して意見書を附して内閣に送付したものについて、政府は如何なる措置を講じたのか、委員会においては十分に審議し、その中最も重要な請願を採択したのであるが、これらの請願に対する政府の措置を詳細に述べられたいという質問がありました。これに対して農林当局の答弁は、農林省では漁港、船溜関係を予算に組んで要求いたしましたが、本年度は四月以降暫定予算で、新規のものは本予算まで見送りとなり、而して本予算もその編成に当り公共事業費が甚だ減額されて、当初の要求では、本土九十三漁港の中、新規三十五、船溜十、北海道十七漁港の中、新規十三、これに風水害関係を加えて十一億五千万円で、これが通過すれば、十分期待に副い得ると思うが、これに対し安本において了解されたものが今のところ六十三港の中、新規五港に過ぎない。將來の物價改訂等も考慮し、追加予算を要求しなければ、更に事業量は減少するのではないかと思うとの答弁がありました。
更に丹羽委員、尾形委員、江熊委員、大島委員等からいろいろ質疑があり、これに対して農林省、運輸省の当局からの答弁は、綜合して次の通りであります。即ち雄武、知床、天塩、船泊、手打、久慈、栄浜、深浦、鹿部村、川尻、今和泉、尾札部、安浦、穴井、出雲崎の各漁港は、いずれも漁業振興上重要な所であるから、農林省としては速かに計画を立てて実施したい意向である、又香深、羽幌、苫小牧、伊万里、富津、音戸、加茂の各港は、漁業振興上から見ても、亦運輸交通の面から見ても重要であるから、運輸省においても急速に実施したいという答弁がありました。又家串港は船溜として実施する考えであるという趣旨の答弁がありました。
尚陳情第三百八十八合について農林当局から、本件は災害復旧で一部を施行したが、その後和歌山縣の全海岸に亘つて隆起と沈下があり、二十三年度予算編成当時にはこの問題がなかつたので、定められた予算の範囲内では実施ができないから、追加予算として計上するか、又は災害復旧費等の流用等で、急を要するものから実施するつもりであるという答弁がありました。
以上で質疑を終結し、種々討議の結果、全会一致を以て雄武港外二十三件並びに陳情第三百八十一号は、いずれも適切と認め、議院の会議に付し、意見書を内閣に送付すべきものと決定いたしました。以上御報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100215254X04419480607/8
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009・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情は、委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を請います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100215254X04419480607/9
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010・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は、全会一致を以て採択し、内閣に送付することで決定いたしました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100215254X04419480607/10
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011・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) この際、日程第二十六より第三十九までの請願及び日程第四十一の陳情を、一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100215254X04419480607/11
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012・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。運輸及び交通委員会理事小野哲君。
〔小野哲君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100215254X04419480607/12
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013・小野哲
○小野哲君 只今上程になりました請願第三号永井川信号所を停車場に変更することに、関する請願外十三件及び陳情第二百七十二号、沼津、浜松間鉄道電化促進に関する陳情の、委員会におきまする審議の経過及び結果を御報告いたします。
各請願及び陳情につきましては、委員会をたびたび開催いたしまして、紹介議員の熱心な説明と、政府の詳細な意見を聽取し、愼重に審議をいたしました。
先ず請願第三号永井川信号所を停車場に変更することに関する請願、第九十号小波渡信号所を停車場に変更することに関する請願、第百八十一号要田簡單停車場設置に関する請願、第三百七号磐城西郷信号所を停車場に変更することに関する請願は、いずれも停車場設置についての請願でありまして、設置のあかつきは、利用者も相当多い見込であり、願意は大体妥当と思われますので、これを採択し、内閣に送付を要するものと議決いたしました。
次に請願第二十一号興浜南線を雄武村字幌内まで延長することに関する請願、第四百十三号油津臨港鉄道線敷設に関する請願、第四百四十七号直江津駅より上越線に連絡する鉄道を敷設することに関する請願は、いずれも鉄道の敷設に関する請願でありまして、目下の國内事情では、鉄道の敷設は相当困難な事情もありますが、これら請願の鉄道は、沿線に多大の資源を有し、産業開発上重要な線でありますから、予算及び資材の事情ともにらみ合せ、願意に副うことが適当であるとの意見の一致を見まして、これを内閣に送付することを要するものと議決いたしました。
次に、第八十八号、千葉、木更津両駅間電化促進に関する請願、第九十四号、郡山、白石両駅間鉄道電化促進に関する請願、第三百九十八号、米原、敦賀両駅間電化促進に関する請願、第四百二十三号、米原、京都両駅間電化促進に関する請願、及び陳情第二百七十二号、沼津、浜松間鉄道電化促進に関する陳情は、いずれも鉄道電化に関する請願及び陳情でありまして、鉄道の電化は多額の予算及び資材を要するものでありますが、これらの線区は線路の状況や輸送量等から見まして、電化することを至当と認められますので、予算及び資材の事情とも考え合せ、願意に副うことが適当であるとの意見の一致を見まして、これを内閣に送付を要するものと議決いたしました。
次に、請願第百五十四号、日豊線に急行列車の運輸開始並びに霧島神宮駅を急行停車駅指定に関する請願、第百五十五号、霧島神宮駅構内諸施設に関する請願は、日豊線の幹線としての重要性に鑑み、急行列車の運轉を開始することが至当であるし、その場合は霧島神宮駅の利用度に照し、これを急行列車の停車駅に指定することも亦妥当と思われる。又停車場の諸施設は、贅沢に失しない範囲で整備する必要があるとの意見の一致を見まして、これを内閣に送付を要するものと決定いたしました。
次に請願第二百八十九号、流山町新制中学校の建築敷地に関する請願につきましては、その案件はすでに当事者間で大体円満に相談が進みつつある模樣でありまして、願意は大体妥当と認められますので、これを採択し、内閣に送付を要するものと議決いたしました。以上簡單に御報告申上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100215254X04419480607/13
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014・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) 別に御発言もなければこれより採決をいたします。これらの請願及び陳情は、委員長報告の通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を請います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100215254X04419480607/14
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015・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100215254X04419480607/15
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016・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) 日程第四十二、自由討議、本日の自由討議は前会の続きでございます。各発言者はそれぞれ発言時間を遵守せられんことを望みます。これより発言を許します。
〔岡本愛祐君発言者指名の許可を求む〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100215254X04419480607/16
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017・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) 岡本愛祐君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100215254X04419480607/17
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018・岡本愛祐
○岡本愛祐君 緑風会は井上なつゑ君を指名いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100215254X04419480607/18
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019・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) 井上なつゑ君に発言を許します。
〔井上なつゑ君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100215254X04419480607/19
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020・井上なつゑ
○井上なつゑ君 私はこれから医療問題について少し意見を述べさせて頂きとうございます。
先般來改正藥事法案を廻つてお医者さんと藥剤師さんとが対立された形のようになつておられますと伺つておりますが、伺いますところによりますと、この両者のかたがたの言分は、両方共この問題が解決できれば医療費が低減できるというのでございます。この両者間の問題の解決はいずれできることと思いますので、私は今日はそれをさて置きまして、この問題を通じて、医療費の問題が起つて参りまして、それに対する世論が高くなつて來たということは、見方によりまして、禍轉じて福となるといつた感じがございますが、願わくば今少し医療問題の細部に亘つて目を注いで頂きたいのでございます。と申しますのは、機会のございます度に私は官公立の病院の実情を視ることにいたしておりますが、その度に痛感いたしますことは、どういたしましたら一日も早くほんとの病院というものはどうあるべきか、眞の意味の看護婦というものはどうあるべきかということについて、政府当局は勿論、國民の総てが了解して頂けるかということでございます。私共が病院を訪問いたしますと、先づ第一に病院経営者であられます院長さんなり、事務長さんなりがお見えになりまして、病院の現況を御説明下さいました上に、次に見せられますところのものは必ずお医者さん達が長期に亘つて研究してこしらえられておられます機械器具を備えつけました診療室、治療室、手術室、エツクス光線室といつたいわゆる立派な治療設備でございます。あとは病室で大したことはございませんと、病室を見せようとせないのが普通でございます。病人の二六時中の生活をする大切な病室を見ないでは病院の観察をしたということになりませんので、私はいつも強引に病室を見せて頂くことを要求いたしておりますのでございます。御承知のように、仮に病気になりまして今入院いたしました上、致命的な部分を取つて頂きます大手術を受けたといたします。仮にその手術料が一万円ということになりますと、大変高價なようにも思われますが、実際それより高價なものは、時局下病人が療養生活に要する費用なのでございます。元來病院という字の語源のホスピタリチイは他人をもてなすという意味で、このホスピタリチイが変じて、ホスピタル、即ち病院となつたのでございまして、今日の病院の元祖は皆他所の人を泊めたり、行き倒れを救つて養つたりしたのでございます。それで病院へ病人の身体一つを持つて行けば、氣持のよいべツドの上に寝かせて下さる、お食餌も食べさせて下さる、お医者様も見て下さる、お藥も飲ませて下さる。而もその費用は病人の支拂われる範囲でというのが原則のように思われまするが、現在の病院では、病院と同一語源から出たホテルでさえ、寝具を供し、お食事を食べさせて呉れますのに反してまして、病院の病室は、いつの間にかすつかりその内容を一変いたしまして、まるで狭い間借り世帶としか思われないような哀れな状態に落ちておるのでございます。衞生的見地から炭火中の一酸化炭素が病氣の恢復に悪影響ありとの科学的理論もどこへやら、今日では病人の周囲には焜炉、鍋、釜、野菜類等生活必需品が一ぱいに散乱して、甚だしいときにはこれに木賃宿ではないかと、自分達の耳目を疑うようなことさえございます。(拍手)時に神の御手に引かれて安らかに眠りたいと願つておる重病人でさえ逃げ出すといつた所もございます。その上公の病院を伺いますと、前述のような病人を健全な魅力的な環境に置いて終始心身を打ち込んで病人を看護する直接の責任者である看護婦から、病室の整理監督又は病人の看護方法についての説明を聞くことは殆んどありません。
これを要するに、大切な病院の病室が恰も治療室の附属のように考えられておりますことと、現在の看護婦の大部分がまだ眞の看護婦としての責任を持つておられず、又看護婦としての、本当の看護婦本來の働きをしていないことによるのだと思うのでございます。先日も官立病院の看護婦の言うところを聞きますと、夜勤料を加えて一ケ月千五百円、それに対する勤労所得税八百円以上で、どうにも生活ができないので、毎月両親から小遣千円と、米若干とを取寄せているということでございます。その上労働基準法を適用して改善して欲しい寄宿舎の方はなかなか手が入れられませず、たとえ予算が通りましても、許可が下りましても物資の裏附がなく、疊一疊として自由にならないといつた始末でございますので、看護婦の生活も自然に不衞生的で、その上に日頃の煩瑣な勤務に、遂に抵抗力を弱めて、結核罹病率は自然に増加の一途を辿つているそうでございます。又自分の小遣を持ち出してまで看護婦として奉仕できる境遇の者ばかりではございませんので、病院の看護婦、診療所の看護婦は自然に減少を來すという状態にございます。
看護婦減員の影響は、直ちに患者にとつて甚だしいものとなつてまいります。普通でさえ病院の看護に関心の少い病院経営者は、時局下人件費の節約にむしろ懸命になつているわけでございますので、看護婦のないことを口実にして病人の看護を家人の手に委ねます。病人個人が専任の附添看護婦を傭入れますと、その一日の費用は、一日の病院入院料よりも遙かに高くなると思います。それで少しでも経費の低い附添婦という者を、ときには傭入れる場合もございます。固よりこれらの附添婦の人々には訓練、教育というものがしてございませんので、多くを望む方が無理かも知れませんが、中には去る六月四日の朝、お聽きになつたことと存じますが、ラジオの放送で申されましたような、安達ケ原の鬼婆のような、或いは又チヤールス・デイツケンズの書いたセイレイ・ガヤンプのような病人の寝具を剥ぎ取つたり、病人の食物を横取りしたりするようなひどいのもございます。その上に少しでも栄養價の高いものを買いますと、病人の食物だけで一日千円も要するというのでございます。これを見てもおよそ一日の医療費は御想像がおつきになることと存じます。結核のような長期療養を要する病気になりますと、たとえ財産の少々ある家庭にいたしましても、結論は患者を犠牲にするか、一財産を患者のために投げうつて、家族全体を犠牲にするかというところになるのでございます。新憲法下、これでは余りにも非文化的で、再建は望み薄いと存じます次第でございます。
去る四月の暫定予算に六・三制校舎設立費が六億余万円追加されましたのでございますが、その費用の中には、國立病院及び診療所の收入が繰入れられております。將來の我が國を背負つて立つ子供達のために、新校舎を建てられますことは、まことに結構でありますが、現在の國立病院の現状は決して決して満足なものではないということを子供達は勿論、國民全体に周知して頂きたいのでございます。
せめて私共勤労者が不幸にして病氣になりましたときには、先ず國立病院あたりから病院らしい設備をして頂きたいのであります。そうした病院に入れて頂きたいと存ずるのでございます。それには先ず第一にこれからの國立病院並びに診療所の收入を是非とも全部國立病院の病室整備のために使用して頂きたいことであります。次には政府も、病院経営者も看護婦も、みんなともに病院管理法を十分研究して頂きたいと存じます。かくすることは、現在の混沌たる病院内を整理して明朗に且つお互ひの職責を判明にすることによつて働き易くなり、ひいては病院にもたらします幸いは図り知れないものとなるのでございます。社会的弱者の人と言われております病人を入れます病院が、以上のように改善されますときにおいてこそ初めて國民の保険衞生思想も向上し、頽廃いたしました國民道徳観念も次第に是正されて参ることと信じて疑わない次第でございます。(拍手)又子供達にせめて一年一回でも花束を持つて、病院へ病人をお見舞させるような麗わしい氣持を起させることも、文化國家の体裁を整える過程に欠くことのできない必要事であると信ずるのでございます。御清聽ありがとうございました(拍手)
〔藤田芳雄君発言者指名の許可を求む〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100215254X04419480607/20
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021・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) 藤田芳雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100215254X04419480607/21
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022・藤田芳雄
○藤田芳雄君 無所属懇談会は阿竹齋次郎君を指名いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100215254X04419480607/22
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023・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) 阿竹齋次郎君の発言を許します。
〔阿竹齋次郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100215254X04419480607/23
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024・阿竹齋次郎
○阿竹齋次郎君 私は議事規則がこの議場で行われることを希望する者であります。これについて一言申述べたいと存じます。これはこの議会におきまして、議事規則の行われない実情を掴えて申上げて行くのでございます。〔「議会ではない國会だ」と呼ぶ者あり〕そこでなろうことならばこのことは本会議で議事進行上申すべきものだと思います。その手続を取つたのでございまするが、議長はこれをお許しなかつた、これには複雜なる議事運営の機構があることをお察し申しますから不服とは思いません。議長がその職務を行うことができるかできないかということは、一つにかかつて事務総長の働き如何によつて決るものでございます。議会におきまして、〔「議会ではない、國会だ」と呼ぶ者あり〕議会も國会も一緒でございます。さような言葉にはこだわる必要はございません。議会におきまして、議事規則の行われないということは、本当の議事ができない、議会の秩序が破れるのでございます。本参議院議長松平恒雄君は温厚篤実な人だと思つております。又謙讓の美徳を備えられた方だと思つております。議事の運営につきましては、少からざる御苦心、御努力をせられておることを十分認めなければならんと思います。故に松平議長の心情お察し申しまして、松平議長に御迷惑にならないように、この意見を続けて行きたいと思うのであります。どうぞ皆樣は議事規則擁護のため、尊重のために、私の発言をお許し願いたいのでございます。
そもそも議長の職務権限は憲法を基本として関係する法規に明らかに決められてございます。第一議場の秩序を維持すること。第二は議事の整理をすること。第三には事務を監督すること。第四には議院を代表することでございまするが、この中で議場の秩序を維持するということは、一番大きい問題でございます。これができなければ本当の会議はできません。(拍手)会議におきまして、議員をして正義公論を盡さしめ、決議においては嚴正公平。これが議長の重大なる役目でございます。故にこの重大なる意味に鑑みまして、先には議長たるべき者は党籍を離脱し、不偏不党、嚴正、公平の立場を取つた慣例もできておるのでございます。この重大なる議長の職務を盡させる者は誠に事務総長の働き如何によつて決るものでございます。(「ヒヤヒヤ」と呼ぶ者あり)表面は議長の責任なりと雖も、実際は事務総長の働きで決ります。(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)故に事務総長選任の途は一般の國会職員とは違つて投票で決めます。而うしてその位置を役員として、議長、副議長、常任委員長、事務総長。かくのごとく重大なる立場に置きます、そうして一旦事務総長となりましたならば任期がございません。何時までも自己の個人の都合上、或いは職責上の重大なることがなければその職を継続することができるという特典が與えられてございます。無任期でございます。一應選挙でやるものに無任期。事務総長の選挙以外には類例がございません。これは法の不備とは申しましようが、只今はかくのごとき状態になつております。でありまする以上は、苟も事務総長たるべき者は、人間的道徳、政治的道徳に充実せねばなりません。仮にも公務員として反省を欠くようなことがあつてはなりません。然るに小林事務総長は、その職責を誤まり、或いは自己の故意において行いまするか、この根本の建前を破壊いたします。こうなりますと、私共議員は坐視することができません。議長に迷惑にならんように、小林事務総長に御批判せねばならんと心得ます。きつい言葉を使わずに、穏かに解決いたしたいと思つて、今日まで四十日近くその時機を待ちましたが、(拍手)一切誠意ある態度を示しません。こうなれば止むを得ません。その事実を申しますならば、数々ございまするが、一例は四月三十日の本会議、着席なされた議員の数は、木札が立つております数は百三十一でございます。そのとき議席にいられた数は百五名でございます。そうしますと、百五名の半分は五十三名、五十二半となりますから五十三名、五分の一ならば三十一名となります。若し木札の立つていられるだけ議員が着席していられたものと勘定しますと、半数は六十六名となります。その五分の一は二十七名となります、この数でございます。そのときの議案は軽犯罪法案でございまして、これに対して修正案が提出せられております。議長はこの修正案を起立によつて問いました。起立せられた数が甚だ不明瞭でありましたので、私は認識困難、よつて議席から、記名投票によつて、これを決すべしという動議を提出いたしたのでございます。この動議を出した責任の上から言つても、これを黙殺することができません。動議は成立いたしましたので、議長はこの動議を議会に起立を以て問いました。起立せられた人数は三十人でございました。この三十人は正確なる三十人でございまして、余り日もなくして、三十人のお名前を皆列記して事務総長の手許へ提出してございます。及び百三十一名の数及びいられた百五名の人のお名前を皆列記して、事務総長の手許に出してございます。事務総長は、二十五だつたと、こう言います。百五名の五分の一、二十一名、超過するごと九名、三十人立つていられるのですから、百三十一木札の通りいられましても、要するにその五分の一は二十七名ですから、どちらから言つても、三十人が正確ならば、議事規則に背くということになります。そのとき議場からは、議長に向つて、「正確に勘定せよ、五分の一あり」という声が頻りに発せられたのであります。どうしても議長及び事務総長は計算を間違うことのできない環境に置かれた。事務総長は、一々人数を指を折つて計算せられた状態であります。そして議長に報告せられます。議長は事務総長の言葉を基本として決定せられました。即ち五分の一に達せず、事務総長の報告のままに議長は宣告を下されました。これは私共として誠に意外なことであつて、誰から見ても優に五分の一あつたということは、十目の見るところであつたと思います。こうなりますと、本院議事規則百三十七條に触れて來ることになります。百三十七條は、五分の一以上ある場合は記名投票によつて行なわねばならんことになつております。そのときの記名投票は、起立か或いは記名投票で決するかといつたときの問題とは違つて、一應起立によつても採決をしたのでありますけれども、それが不明瞭であつた。やり直しなのである。であるから、一層嚴重に調査決定すべきところの重大なる責任が議長にはございます。これをやりません。やらなければ、議会の秩序は破れたことになります。会議はできません。議会の名誉はなくなります。議会の神聖はなくなる。憲法の精神に背く。次は暴行、恐れなければならんと思います。この責任は、全くは事務総長の怠慢か、但しは故意かということになります。段々と増長して來て、三十人が起立しても、これを蹂躙する、これでは我々議会として坐視することができません。議会の敵でございます。もつともつと事務総長が勤勉なさるならば、議会のため或いは議院のためになるようなことが幾つかあると思います。ただ熱中するものは、議事部長寺光君との喧嘩、この喧嘩は院内知らぬ者はございません。これでは議会の專任職員或いは係員をどうして統御する権威がありますか。それも事務総長たる者の貫禄欠乏なりと断言せなければなりません。(「ヒヤヒヤ」と呼ぶ者あり、拍手)又一面には、寺光君も寺光君、上司に仕える道を心得ん。たとえ、まずい事務総長であろうとも、上司に対しては從順に服せなければなりません。元來は、横着と言うと言葉が過ぎましようが、傲慢不遜と言いましようか、この言葉が過ぎるならば、驕慢無礼、これも当嵌りませなんだら、生意氣である、猪口才であると申上げなければなりません。これでは百害あつて一益ございません。もう喧嘩は止めなさい。要するに、事務総長は、自己の重大なる責任を考え、議長の重大なる責任をとらなければなりません。自分の故意か或いは過ちか、いずれにいたしたところで、議事規則に背き、議長をして重大なる失態に陷れたのが事実でございます。議長は少からず議事の運営に苦心をなされている。この点に私共思いをいたしますときには、議長のために、義によつても事務総長を非難せざるを得ません。潔く事務総長は反省の実を挙げなければなりません。最前も申上げた通りに、普通の國会職員とは違う、一身の保障をせられた無任明の立場なのでございますから、政治的にも、人間的にも、飽くまで良心的でなければならんことを知つて貰わなければなりません。「りん」が鳴りました。要するに、議事規則を必ず励行されまして議会の秩序を維持すること、これを希望するために断じて小林事務総長の反省を促すものでございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100215254X04419480607/24
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025・松平恒雄
○議長(松平恒雄君) これにて今回の自由討議は終了いたしました。次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。本日はこれにて散会いたします。
午前十一時十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100215254X04419480607/25
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