1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十四年十一月十四日(月曜日)
午後一時四十五分開会
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委員の異動
十一月十日(木曜日)委員松嶋喜作君
辞任につき、その補欠として小林英三
君を議長において指名した。
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本日の会議に付した事件
○産業設備営団法及び交易営団法を廃
止する等の法律案(内閣提出)
○帝国石油株式会社法の一部を改正す
る法律案(内閣提出)
○帝国燃料興業株式会社法を廃止する
法律案(内閣提出)
○帝国鉱業開発株式会社法の一部を改
正する法律案(内閣提出)
○日本製鉄株式会社法の一部を改正す
る法律案(内閣提出)
○輸出品取締法の一部を改正する法律
案(内閣送付)
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001・小畑哲夫
○委員長(小畑哲夫君) これより委員会を開会いたします。最初に輸出品取締法の一部を改正する法律案につきまして国務大臣より提案理由の説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614793X00319491114/1
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002・稻垣平太郎
○国務大臣(稻垣平太郎君) 輸出品取締法の改正の理由を簡單に申し上げます。
現行の輸出品取締法は我国輸出品の品質の改善と海外における声価の向上を図るため昨年七月制定せられ本年三月より実施せられているのでありますが、世界的なドルの不足、ボンドの切下等に伴いまして今後益々その熾烈化が予想せられます国際市場における競争に対処して、我国輸出貿易の進展を図りますためには、価格の適正であるということは勿論でありますがこの品質の点においても改善を一段と図り我国商品の海外における声価を恒久的に維持向上さすということが一段と必要となつてきたのであります。ここにおいて政府におきましてはこの目的達成のための一の方法として輸出検査制度の確立についてつとに考究しで参つたのでありますが、これがためには現行の取締法についてもこれが改善強化を図る必要があると認め、ここに改正案を提出するようになつた次第であります。その改正の要点と申し上げますと、その第一は輸出品の海外における声価の維持向上を図りますためには、何と申しましても粗悪品を輸出しないようにすることが最も必要でありますので、特にこれがため必要があります場合には主務大臣が輸出品を指定して、通常の用法において正常の機能を果さないような輸出品についてはこれが輸出を防止するために輸出の最低の標準又は包装條件を設定し得るようにしたことであります。
第二の点は現行法によりますと、輸出品を検査しその結果によつて輸出品にそれぞれの等級の表示をなす責任者は輸出業者のみとなつているのでありますが、これは検査の実情にもそわない点がありますので、今回検査の責任者を輸出業者のみに限定せず実情によつては生産業者もその責任者となり得るようにしたことであります。最後に第三の点は国が行う臨検検査でありますが、輸出品取締法による検査は、これが輸出品に関する検査であるだけにこれが完全に励行されているかどうかということが非常に重要な問題となつてくるのであります。ここにおいてこの検査の励行の確保を図りますための臨検検査に関する規定についてもこれが整備を図り遺憾なきを期したいのであります。
以上が本改正案の提案理由とその内容の概要でありますが、政府におきましてはこの改正案の一日も速かな実施によりまして現在の事態に対処して参りたいと考えておりますので十分御審議の上御賛成あらんことを切望いたす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614793X00319491114/2
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003・小畑哲夫
○委員長(小畑哲夫君) 速記を止めて……。
午後一時四十八分速記中止
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午後二時四十四分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614793X00319491114/3
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004・小畑哲夫
○委員長(小畑哲夫君) 速記を始めて……石油資源の開発状況について政府委員から御説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614793X00319491114/4
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005・徳永久次
○政府委員(徳永久次君) それでは国内の石油資源の開発の状況を掻摘まんで申上げます。
御承知のように、国内の石油資源は日本の需要に比べまして非常だ貧弱でございまして、過去八年に全体の需要の一割しか賄えないという状況で来たのであります。最近の状況もやはり概数で申しますればその程度になつて参るわけであります。本年度の計画といたしまして、二十二万五千キロが生産目標になつております。この九月までの実績、すでに半年分でありますが、十一万一千キロ程出ておりますが、その後の秋田の八橋方面の状況は非常に好転しつつございますが、本年度の計画目標を十分に達成できるのではないか、むしろプラス・アルフアーになるのではないかという工合に予測いたしております。明年度は二十五万キロ明後年は二十八万キロと激増いたしまして、二十八年度に三十二万五千キロというのが一応の将来の開発目標ということにいたしてあるわけであります。国内の他の埋蔵資源はどのくらいあるかという問題でございまするが、これはまあこれまでの判明いたしておりまする推定の埋蔵によりますると、一千四百万キロというのが日本にあろうということになつております。これはまあ比較でございまするが世界の石油資源が五十億キロとなつておりまして、そのパーセントを出しますれば〇・〇〇二七%というような状況であります。今日本が出しておりまする数字から申しますると、約五、六十年分はあるという埋蔵状況になつておりますが、一応資源の関係はそういう程度であります。それでこの開発につきまして、只今政府が特にやつておりまする、と申しますか施策としましては、原油の生産につきましては戰争中できました帝国石油、これは今度提案申上げておりまする法律案の中に政府出資金を削除するという規定があるわけでございますが、これは戰争中特殊会社としてできまして、それまで石油の採掘関係は沢山会社も分れて小さくやつておりましたのを、効果的な開発を促進するという意味で鉱区を帝石に集中いたしまして、そこでやるということにすると同時に、帝石に対しまして法人税を免除するとか、若干の特典を与えて貰つてこれまでやつて来ておつたのであります。更に今度石油資源開発法というようなものがございまして、これによりまして石油の採掘に、試掘その他に奨励金を交付するとい、仕組になつておるわけでございますが、この奨励金の額は本年度におきまして約一億九千万円ございます。明年度といたしましてはこれが若干減少いたしまするが、一億三千万円を、これはまあこの国会で通過しなければ通常国会にかけて決まることでありますけれども、一応私共が大蔵省に明年度予算編成に関して折衝いたしまして、纏りておる数字がそういうふうに内定いたしておるわけでございます。この一億九千万円の使い方につきましては、石油資源の探査委員会という特別のコミツティーを作りまして、地質学者その他の專門家に集つて頂きまして、どこをどう探査したら一番効率的であろうかというようなことをやつて貰つて、その決つたあれに從つて運用されております。非常な大口としましては、新聞等にときどき出で参ります北海道の北川口において今試掘井戸を掘つておるわけでございます。これは戰争中もやりかけて中途半端に終つたのでありますが、地質学的な見方としまして非常に有望な鉱区であろうということになつておりますので、それをまあ戰争中やりかげて止めたのをもう少し深くまで掘つてみたいということで、目標二千二百メーターの深さまで掘るということを今着手いたしておりまして、現在千百メーターくらいまで掘進が進行いたしております。途中ガスが盛んに流出いたしておりまして、一応まあ極めて良好だということになつておるわけでございます。ただ結果は二千二百メーターのところまで到達しないとはつきりいたさないのであります。この北海道の北川口の試掘に対しまして、先程申しました一億九千万円のうち確か約六千万円だつたと思いますが、これを注ぎ込んでやつてみようということにいたしておるような状況でございます。国産原油の関係といたしましては、あら方以上のようなことを概括的に御承認頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614793X00319491114/5
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006・小畑哲夫
○委員長(小畑哲夫君) 輸入石油との関係というものは……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614793X00319491114/6
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007・徳永久次
○政府委員(徳永久次君) 輸入石油との関係でございまするが、これはお説のように明年度から広平洋岸の精製工場が復元再開されることになつておりまして、そのために原油の輸入の許可を貰いまして、その一部につきまして取敢ず競争入札の形で輸入をやつたわけであります。この結果入札されました値段を概算検討いたしてみますると、六千四、五百円だつたと思いますが、そういうような見当になつております。これは現在の国内の原油のマル公に比べますと一見非常に割安になつておるわけでございます。現在のマル公が九千何百円ということでございまして、約三割程度三千円くらいの開きがあるというようなことになつておるわけです。従いまして、この数字だけから完全に見て参りますと、非常に国内の原油の生産は不利じやないかというような印象、従つて国内の原油の生産会社が、今後うまく立つであろうかどうかというような、常識的な不安が持たれると思うのでありますが、一応常識的には尤もでございますけれどもいろいろ私共あれしております状況では、まだ非常に不安定な余地がございますが私共それ程心配いたしてないというのが結論でございます。そう心配しないという一番大きな問題は品質の問題でございます。輸入の際に或る程度品質につきまして條件もつけてございまするけれども、今後入りますものは、イラン、イラクとか近東地区の油田から出ました原液を買うのでございます。これでもまあ新らしく最近になつて非常にあの地区で原油の生産が殖えておりまして、それをまあ輸入するわけであります。いろいろまあ非公式に入つております情報によりますと、品質上いろいろなまあ問題があるようなわけでありまして、これを主として国内に入れてみまして、その精製工場で原油を使います際に、そこにどの程度国産の原油と比べまして有利かどうかということについては、相当の疑問が持たれております。これはまあ現実に年内に一部入つて参る筈でございますが、入つてみまするとその間の国産原油との比較がもう少し正確につくのじやないかと思いますが、まあ掻つまんで申しまして品質の差異というものが国産原油に対して或る程度有利に働きまして、言葉はちよつと曖昧でございますが、値段は非常に安いようであるけれども品質に関係があつて値段の程に開きにならない、結果としてそうまあ一応見透しております。
それから第二の問題といたしまして国産原油の出ます主な地帯というのは、御承知のように一番大きくは秋田地区で出ておるわけでありますが、今度入りますのが太平洋岸に入るわけであります。おのずから石油の製品になりましての競争需要地帯との関係がございまして国産原油は主として東北地区或いは北海道地区というようなものの需要を賄つておるというような状況でございますが、太平洋岸の精製工場に輸入原油が入りまして、それを処理して東北地区或いは北海道地区へ販売するということになるといたしまして、その競争関係を見てみますと運賃がこの程非常に割高なものでございますから、その輸送賃関係で千円ぐらいのハンディキャップというものが当然につくであろうというようなこともございます。更にまあ石油の輸入につきましては、従来から関税がございまして、現行法の関税はまだ改善されておりませんから、昔の価格に対する従量税ですから非常に安いものでございます。当時従量税の出来ております計算の基礎は、一割ぐらいになるようなものでやつておつたのであります。これはまあ近く改正されまして今の価格水準に合わされる税率というものが当然決められるというふうに予想いたしておりますが、我々まあその際にどの程度にして貰つたらいいだろうかというような研究を関係者との間に進めておるようなわけであります。ともかくいずれにしましても、或る程度の国産原油に対する関税上の保護ということはいたして然るべきものじやないだろうかとまあ考えております。その面からの幾らかの保護ということも出で参るのであります。まあそれやこれや考えまして結論的に、全然影響がないというふうに今直ぐ我々断定するわけではございませんけれども、表面の数字九千何百円と六千何百円との開きでどえらいことになつてしまう、まあそういう一見印象を受けるわけでありますが、それ程のことはないというぐらいに私共考えておるわけであります。まあ別途いたしたとしましても、司令部の技術的な指導によつて新らしい機械を搬入いたしましたり、その他技術的な改善によるコスト引下げということも著々と進行しておりますし、そこらの点で相当な競争はあるのじやないかという工合に考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614793X00319491114/7
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008・小畑哲夫
○委員長(小畑哲夫君) 何か石油並びに金属鉱業に関係して御質疑がございましたらこの際御発言願います。それでは提出法案について一應政府側にもう一度お尋ねいたしたいのですが、この会社法の一部改正案が結局政府の持株を譲渡するという途をお選びになるわけで、この制度の具体的な案と申しますか、どういう時期にどういう方法を以てお捌きになるか、それによつて国庫の收入を一面増したいというような提案理由でございますが、どの程度の見通しがありますか、そういうことをお聞きしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614793X00319491114/8
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009・稻垣平太郎
○国務大臣(稻垣平太郎君) 今の証券界の情勢を告ず考慮に入れますと今日これは相当の金額になりますから、これを放出するということは証券界を圧迫する問題も一面に考えなければならぬと存じております。従つて政府の放出でありますからそれを一面考えると同時に、又今の時期にすれば安く売らなければならぬ、まあ商売人から考えぬと思います。かれこれ比べ合せまして証券界を何といいますか、最も撹乱しない時期に、そうしてできるだけ有利な形においてこれが処分をいたしたいということを考えておるのであります。従つて今いつの時期に又いくらこれを放出するそういつたことをお答えする時期には達していないわけであります。尚宮幡君からその金額について……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614793X00319491114/9
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010・宮幡靖
○政府委員(宮幡靖君) 大臣のあとを次いでお答え申します。株式の政府の帳簿価格を申上げますと大体十二、三億。尚詳細に後刻株数と数字を集計して申上げます。鉱山関係と日鉄とを併せて大体十二、三億程度の放出になるわけであります。これは御承知のように大要は大臣から申上げました市場を圧迫してはいけない、又高く売るべきでない、かような方針もその通りだと存じますが、要は手続関係を、簡單に申せばこれも皆さん御承知のように持株会社整理委員会に一応株式は処理を委ねるわけであります。持株会社整理委員会は更に証券処理調整協議会に諮りまして、純資産額その他の情状を勘案いたしまして開放株式の価格を決定して頂くわけであります。併しながらかような大量な株式を一時に放出され又財産税の物納株式、或いは企業再建整備法によりますところの一般会社の放出株、これらは数で申しますると約三百六十万株ぐらいあつた筈であります。その点がまだ処理がついておりません。割合いで申しますと五六割が処理されまして、まだ四割乃至五割程度のものがそのままになつております。これに加えて一時に放出いたしますと市場は確かに動揺を来たすことは覆い難いことであります。この点については政府の財政收入を確保する意味から申しますと急速にこれを処分したいのでありますが、一般産業経済殊に証券市場を圧迫しないということの建前からその時期と方法には單に今までの手続法で決めてありますだけでは適当でないかように考えております。でき得べくんば一つの集団放出株と申しますか、まとまつてこれを引受けて頂きまする一つのシンジケート、引受団を作つて頂きまして、この方々に御承知のように証券金融は従来の融資準則丙でありましたものを乙に引上げまして、金融が可能のような事情に只今持つて行つておりますので、この引受団に適切なる金融をいたしまして一応保留して頂く、そうして市場の状況を勘案しつつ出して頂くかような方法を講じて参りたいと思います。併し証券処理調整協議会で決められまする価格は、従来の例から申しましても只今の物価事情、或いは逆に申しますと貨幣価値の算定等から参りますと比較的安いところに決まつております。従つて政府のこの処分によりまして非常にその他の株式に悪影響を与えるような株価を出すというようなことはないと、かように考えているわけであります。最近やりました鉱山関係で御承知の同和鉱業の株式がやはり開放されております。これは確か十四万株だと思つておりますがこれを持株会社整理委員会の処理によりまして、概ね中心となります幹事引受団は有名な証券会社の三社でありましたが、これに又副引受団というものが約二十何社かできましてこの株式を三丁に引受けまして、そうしてそれぞれ適当なる方法で割当てて、更に消化し切れないものは市場に上場いたしまして公売の方法による、これは大体非常によい成績で処理されております。但し評価の点におきましては、証券処理調整協議会の評価は大体百円見当でありましたが、市場へ実際売出されて捌かれた場合には百四十円から百五十円くらいの間で処理されている、かような実例もありますので、こういう方向でこれらの株式の処理をして参りたいとかように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614793X00319491114/10
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011・小畑哲夫
○委員長(小畑哲夫君) そういたしますとこの法律の狙いは、逆に考えましたときにそういう各会社が増資をしようという場合に、政府の財政支出をれによつて喰止めるというようなところに差当りの狙いがあるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614793X00319491114/11
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012・宮幡靖
○政府委員(宮幡靖君) 狙いという言葉が果して適当かどうかと思いますが、もはや政府が投資することの自由を持つておらないという言葉は言葉が過ぎますけれども、予算関係におきまして国家が企業といわず公企業へ概ね投資しないという方針になつておりますので、それを多少よけるという意味は確かにあるのでございまして狙いがそこにあるかどうかは御判断にお委せいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614793X00319491114/12
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013・小畑哲夫
○委員長(小畑哲夫君) 何か御質疑はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614793X00319491114/13
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014・島清
○島清君 私この先日の委員会の政府の提案理由の説明を拜聽しておりませんので、或いは重複になるかと思うのですが、法案の提出の主な理由といたしましては、政府の持つておられまするところの持株を処分したいというのが目的でございますか。それとも又各種の今政府が支持しておられますところの会社が増資を必要とするので、その法律に基きますると政府は出資をしなければならん義務が生じるので、更に政府はそれに増資するだけの予算的な措置ができないというようなことがこの法案を出された理由なんですか、どつちなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614793X00319491114/14
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015・宮幡靖
○政府委員(宮幡靖君) それは両方の理由があるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614793X00319491114/15
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016・島清
○島清君 そうしますともう一遍又伺いますが、この前何かシヤウプ勧告に基きますると、資産の再評価によリますると各産業とも非常なる赤字が出る、恐らく倒産の危險性すらあるとこう言われておつたわけでございますが、いずれも国家再建のために非常な重要な産業でございまするが、そういつたような襲い来るところの資産の再評価と睨み合せて、只今政府がこういつたような会社が両方の理由からこの法案を通過された曉に、非常な生産面に至大な悪影響を及ぼして来るような危険性はないでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614793X00319491114/16
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017・宮幡靖
○政府委員(宮幡靖君) 御配慮の点は御尤もであり又政府としましても全く同感の点でありますが、この只今の産業設備営団の方以外の四法案について申上げますと、この四つは同じような形をとつておりますが、ただ一つ帝国燃料興業の方だけがちよつと趣きを異にしております。これは御承知のこうに帝国燃料興業の持つております仕事は只今国内禁止業種であります。従いましてこの法人はどうしても予算的理由ではなくしで廃止しなければならないという状況にあります。会社自身がすでに解散いたしておりますので、それに伴う処置として法律を廃止したいということになります。その他の三つの方につきましては御心配のような点が極めて濃厚であります。元来がかような特殊会社の性質は政府の出資その他の援助に期待するところが多かつた。又民間事業といたしましては、資本の蓄積といい或いは集中といい、あらゆる面において一つの企業の危険と重圧があつた。それによつてやつて参りましたものですから、この際直ちに政府の投資的な繋がりを切り、将来の出資金に対しまする保障的な責務を解消するということは、端的に考えますれば極めて危險だと存じますが、それぞれ会社におきましてもすでに第二会社が出発いたしまして、第二会社で以て只今運営しております。又すでに今まだ処理の付かないものにつきましては、未開発鉱区等の順次お譲り渡しをするときにお譲り渡ししたものもございます。段々各企業が分散されまして企業にかかりますウエイトを順次輕くして参りまして、各企業がそのまま競争の原則と申しますか、創意工夫を擬らしまして競争してやつて行くように、いずれもここにあります法律を名乗りますところの会社というものは、近き将来におきまして解散いたして無くなるものでございまして、この事態の対処としては、シャウプ勧告案に基く再評価の問題の施行が明年一月一日でありましても、これらについては特殊会社の性質から考えまして、一応適用の除外を受けたいと現在考えております。解体いたしました各会社、第二会社なりその他新発足の会社につきまして、その評価というものは今後経営者の考え方によりましてこれは御研究を頂く、而も通産省としては全企業に対する再評価の問題は、先般企業局長から概畧の内容について数字でお示ししましたように、再評価を強制したり或いは納期を三ヶ年に区切つて、或いは税率を単純に六%の一率にして置いたような場合におきましては、仰せの通りに企業は倒産的な悲運に陷る。そこで強制再評価は必至であるけれどもその程度をどういうふうに緩和したらよかろう、或いは納税について特殊な方法を講ずる、例えば減価償却において法人税を免除される額の限度において納税をさして行く、かような方法で折角今大蔵省の方と交渉中でありまして、併しこれらもこの各国策会社そのままの体系で再評価の問題を論ずるような状況にはいたしたくないと思つております、それぞれの第二会社、或いは解体せられました会社、或いは新発足した会社、それによつてこの問題を考えたいと思つております。それにつきましては概要只今申上げましたように、成果を得ますか得ないかに拘わらず、只今切々として通商産業省としての立場から交渉中であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614793X00319491114/17
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018・小畑哲夫
○委員長(小畑哲夫君) 質疑は終つたものと見て差支ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614793X00319491114/18
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019・鎌田逸郎
○鎌田逸郎君 この法案は戰時中の集中生産とか、こういうことを生産するにおいては日本の地下資源というものは、おやりになつている方も経験あるかどうか分らんが、私はまあ多少経験があるから申上げるのだが、果して石油とか鉄とか又銅でもそうですが、根本的に政府の今後の施策があられるのか、この点を一つ具体的に御説明下さるようにお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614793X00319491114/19
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020・宮幡靖
○政府委員(宮幡靖君) 御尤もな御意見でありまして、石油事業につきましては、概要を申上げますると御承知のように石油資源開発法というようなものが残つております。これによつて助成を続けて参りたいと思います。それからその他の鉄の生産については先程鉄鋼局長から御説明申上げ、又大臣からも大方針をお話いたしたようなわけでありますが、それから帝国鉱業開発の方の、これは主に金属鉱業でありますが只今銅の問題等が大いに中心となつておりますが、これに対しましてもやはり何ヶ年計画とか或いは計画生産とかというような名前でなくして、必然的に国家が育成して参らなければならない鉱業としましてそれぞれの施策を講じております。殊に金につきましては是非最近五ヶ年の間に年産十トン程度の生産を上げたい、今のような殆んど顧みず忘れられておりました金鉱等につきましても、相当の保護助成を加えまして、これに再開或いはより以上の状況を持たしたい、かように考えております。細かいことにつきましては只今鉱山局長から説明させることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614793X00319491114/20
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021・徳永久次
○政府委員(徳永久次君) 鉱山の開発に政府がどの程度の保護助成をやるかというようなお尋ねかと思うのでありますが、私共原則的には当然今後まあ日本の経済は国際経済と一体化して発展して行くということから考えまして、国内だけの都合ばかりで保護育成するということは必ずしもまあ十分合理的な理由はないし、又結果として余りにも国内の資源を可愛がり保護育成いたしますことは、日本の経済全体を成立たして行かないことにもなりはしないだろうかということ一番大きくはそういうふうに考えなきやいかんじやないか。ただそれにいたしましても各国の例を見てみましても、鉱山地下資源の開発によりまして出ますものが、いずれも各工業原料の基礎的な原料でございますので、それがその国に或る程度あるということが、結果としてその国の工業の発達の基礎を固めるという意味合を持つておりますので、いろいろな形で各国でも鉱業の或る程度の保護ということはいたしておりまするので、まあその各国なんと言つたら誤弊がございますけれども、やつておる程度のことは日本でもやつて然るべきじやないかというようなふうに考えております。まあ大きくあれいたしまして一つ問題になりますのは関税であると思うのであります。これは品種によりまして無税にするもの、それから或る程度の保護を加えるもの、品種の違いによりまして異なつて参ると思いますが、それが一つ。それから或いは直接的のものの例としましては探鉱奨励金というようなもの、これは各国でもいろいろやつておるようでありまして、これは今後日本におきましてもやつて然るべきではないだろうか。今年度の予算では先程申しました石油に一億三千万円、金に一千四百万円というものしか認められておりませんが、まあ財政も段々軌道に乗つて参りますので、明年度あたりから金属鉱山の現在置かれております状況は非常に苦しいという点からも見まして、相当程度探鉱奬励金等を殖やして頂いていいんじやなかろうかというふうに考えまして、これも国会に諮つて初めて確定することでございますが、我々事務的に考えておりますのでは、明年度金の一千四百万円石油に一億三千万円、それから銅硫化関係といたしまして、明年度一億二千万円非金属鉱物といたしまして五百万円、それから別途現在動いております山でなしに、手をつけていない山についての新らしい鉱床の調査というような目的のために、民間の調査機関を利用してやりますものとして一千六百万円、更に別途政府が直接地質調査所の持つております調査機能で、これは金額は確定いたしておりませんが約一千万円程使つて、まあ資源の発見といいまするか、御承知のように鉱山業というのは、次々に仕事場を作つて参らなければならないのでございまして、その仕事場を作るために、臨時に政府がそういう財政的な援助を与えてやつて行きたいというようなことも考えております。尚技術的指導の面としまして、これは間接になつて参るわけでありますが、中小鉱山等に対しまして、本省及び地方の通産局の技術者が、いろいろと相談に乗り技術的な指導の面に与かつていることは勿論でありますが、別途同業者の団体の方に一つのコミツテイーを作つて貰いまして、そのコミツテイーに、各中小鉱山の経営或いは資源の調査等それから経営計画の建て方などについて、相談に乗つて貰うというようなこともやつて参りたいと思つております。政府が直接やつておりますものでは同じような技術の問題といたしまして鉱業研究所、これは組織上は通産省の鉱業技術庁の配下になつておりますが、そこで日本の特殊のものといたしまして、いわゆる黒鉱といいますか複雑な硫化鉱系統の鉱石がございまするが、それの撰鉱、精練、利用の仕方の研究を主目的にスタートいたしておりますが、そういうことをやつているわけであります。こういう調査、技術的な研究機能というものを今後できるだけ拡充いたしまして、その成果を各鉱山に周知徹底させるというようなとによりまして、間接に経営上のコストの切下げというようなものに援助を与えることを今後やつて然るべきではないかと思つております。さようなとをもやつて参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614793X00319491114/21
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022・鎌田逸郎
○鎌田逸郎君 政務次官に伺いますが、今御説明のように非常に机上の案としてはいろいろ出て来る、併しながら今日の状態は実際の面に即応しなければいかんと思う。そこで日本のような地下資源が非常に貧弱な場合には、これを根本的に或る程度までは外国と比較して不利でも、こういうような助成をしてこれだけはやらしてやろう、要するに金鉱は百万分の十以下のものはどうとか、或いは鉄であれば五〇%以下のものでも必ずものにしてやろうとか、それにはどれだけの外国に比較して差がつく、それに対して具体的の援助方法とか、補助方法なりそういうものを考えられた方がいいと思う。若しそういうような成案が政府の方にあれば、具体的にお示しを願いたい。又同時に数字的にも是非そういうように持つていつて頂きたいと思います。こういうふうに思うのですから、どうかそのように一つ……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614793X00319491114/22
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023・宮幡靖
○政府委員(宮幡靖君) 高邁なる御意見を伺いまして誠に同感でありまするが、只今鉱山局長から申しましたことは、この委員会に御報告するには極めで貧困な案で「これは全く恐縮いたしております。今後須らく御趣旨のような方向をとりまして、是非さような成案を得たいと念願いたしております。遺憾ながら只今のところでは鉱山局長が説明いたしましたより以上の成案を持つておりません、この点御了承頂きたいと思います。併しながら御趣旨は誠に御尤もでありまするから、その線に沿いまして極力特に日本の鉱業技術というものの振興ということに重点を置いて、只今通産行政の一般が動いております。鉱業技術振興のための国民運動も只今全国に展開いたしておるような次第であります。これに伴いまして御意見のような諸施策は是非研究させて頂きたいと思います。それぞれの成案を得て参りたい。ただ残念ながら本日申上げる案を持つておりませんことをお許し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614793X00319491114/23
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024・鎌田逸郎
○鎌田逸郎君 この際是非そのように希望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614793X00319491114/24
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025・小畑哲夫
○委員長(小畑哲夫君) 大体質疑の大半は終つたように思うのですが、如何いたしましよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614793X00319491114/25
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026・島清
○島清君 今委員長がおつしやつているのは何ですか、今議題に供されているものは六法案でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614793X00319491114/26
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027・小畑哲夫
○委員長(小畑哲夫君) 五つでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614793X00319491114/27
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028・島清
○島清君 その全部を一括してのお話ですか、それとも第一番目に謳つてあります産業設備営団ですか、それのお話でありますか、それとも全部五つ一括してのお話でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614793X00319491114/28
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029・小畑哲夫
○委員長(小畑哲夫君) 五法案について前回御承知の通り提案理由を承わりまして、今日尚それに詳細な質疑を重ねて参つて来たわけなんです。そこで尚質疑がございましたならば、次回に続行することにして、この程度で打切ろうかと思うので、こういう発言をしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614793X00319491114/29
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030・鎌田逸郎
○鎌田逸郎君 これは今日決めなければならないのではないわけでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614793X00319491114/30
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031・小畑哲夫
○委員長(小畑哲夫君) そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614793X00319491114/31
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032・鎌田逸郎
○鎌田逸郎君 人も少いようですから次回でどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614793X00319491114/32
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033・島清
○島清君 只今の鎌田委員の御提案に賛成します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614793X00319491114/33
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034・小畑哲夫
○委員長(小畑哲夫君) それでは次回に継続して本日はこの程度で散会することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614793X00319491114/34
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035・小畑哲夫
○委員長(小畑哲夫君) それではこれで委員会を閉じます。
午後三時二十八分散会
出席者は左の通り
委員長 小畑 哲夫君
理事
島 清君
廣瀬與兵衞君
委員
栗山 良夫君
平岡 市三君
中川 以良君
小杉 繁安君
境野 清雄君
阿竹齋次郎君
鎌田 逸郎君
宿谷 榮一君
国務大臣
通商産業大臣 稻垣平太郎君
政府委員
通商産業政務次
官 宮幡 靖君
通商産業事務官
(通商企業局
長) 石原 武夫君
通商産業事務官
(資源庁鉱山局
長) 徳永 久次君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100614793X00319491114/35
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