1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十五年四月二十一日(金曜日)
午前十一時十四分開議
出席委員
委員長代理 理事 神田 博君
理事 有田 二郎君 理事 小金 義照君
理事 澁谷雄太郎君 理事 永井 要造君
理事 村上 勇君 理事 今澄 勇君
理事 有田 喜一君
阿左美廣治君 岩川 與助君
江田斗米吉君 門脇勝太郎君
小西 英雄君 首藤 新八君
關内 正一君 中村 幸八君
福田 篤泰君 福田 一君
前田 正男君 高橋清治郎君
加藤 鐐造君 松井 政吉君
松本 七郎君 伊藤 憲一君
風早八十二君 河野 金昇君
出席国務大臣
通商産業大臣 高瀬荘太郎君
出席政府委員
通商産業政務次
官 宮幡 靖君
通商産業事務官
(通商振興局
長) 岡部 邦生君
通商産業事務官
(資源庁石炭管
理局長) 中島 征帆君
委員外の出席者
通商産業事務官
(通商振興局経
理部長) 照田 弘久君
専 門 員 谷崎 明君
専 門 員 大石 主計君
専 門 員 越田 清七君
四月十五日
委員首藤新八君辞任につき、その補欠として佐
藤榮作君が議長の指名で委員に選任された。
同月十七日
委員風早八十二君辞任につき、その補欠として
木村榮君が議長の指名で委員に選任された。
同月十八日
委員木村榮君辞任につき、その補欠として風早
八十二君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十一日
委員佐藤榮作君、坂本泰良君及び山口シヅエ君
辞任につき、その補欠として首藤新八君、松井
政吉君及び松本七郎君が議長の指名で委員に選
任された。
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四月十九日
臨時石炭鉱業管理法の廃止に関する法律案(星
島二郎君外九名提出、衆法第一九号)
同月二十日
公益事業法案(内閣提出第一七八号)
電気事業再編成法案(内閣提出第一七九号)
同月十七日
朝日、丸山、内ケ谷三発電所建設促進に関する
請願(木村公平君外一名紹介)(第二四九一
号)
中小企業救済緊急施策に関する請願(今澄勇君
外十二名紹介)(第二四九五号)
電気料金改訂に関する請願(風早八十二君紹
介)(第二五一三号)
九州地方の電力問題に関する請願外二十八件(
尾崎末吉君紹介)(第二五四〇号)
同外四十七件(原田雪松君紹介)(第二五六五
号)
同外七件(村上勇君紹介)(第二六二六号)
電気事業再編成案における北陸地区帰属発電所
の容量増加に関する請願(橘直治君紹介)(第
二五六二号)
電気事業分断反対に関する請願(伊藤憲一君外
一名紹介)(第二五六三号)
同外一件(河野金昇君紹介)(第二五六四号)
九州地方の電気事業再編成に関する請願(小山
長規君外五名紹介)(第二五七六号)
元住友共同電力株式会社の電気設備復元反対に
関する請願(大西弘君外八名紹介)(第二六〇
二号)
四国地方の電気事業再編成に関する請願外三十
二件(三木武夫君紹介)(第二六二七号)
電気事業分断反対並びに那賀川電源開発促進に
関する請願外三十九件(三木武夫君紹介)(第
二六二八号)
同月十九日
農業用電力に関する請願(平川篤雄君紹介)(
第二六五〇号)
大牧発電所復元に関する請願(猪俣浩三君紹
介)(第二六五一号)
電気事業分断反対に関する請願(水谷昇君紹
介)(第二六七〇号)
同(今澄勇君紹介)(第二六七一号)
同(河口陽一君紹介)(第二七七九号)
電気事業分断並びに元住友共同電力株式会社の
電気設備復元反対に関する請願外百八十三件(
島田末信君紹介)(第二六七二号)
火薬類取締法案反対に関する請願(田代文久君
外一名紹介)(第二六八九号)
九州地方の電力問題に関する請願外七件(渕通
義君紹介)(第二六九〇号)
同外二件(瀬戸山三男君紹介)(第二六九一
号)
電気事業分断及び電気料金地域差設定反対に関
する請願(村上勇君紹介)(第二七五六号)
の審査を本委員会に付託された。
同月十八日
中小企業対策確立に関する陳情書
(第七六二号)
電気工事法制定に関する陳情書
(第七六三号)
電力分割案反対に関する陳情書
(第七六七号)
丸山発電所開発促進の陳情書
(第七七六号)
特別鉱害復旧臨時措置法制定促進の陳情書
(第七八〇号)
商工会議所法案に関する陳情書
(第七八三号)
大牧発電所を日本水力工業株式会社に返還の陳
情書
(第七九二号)
電力基準割当量増配に関する陳情書
(第七九四号)
同月二十日
商工会議所法制定促進の陳情書
(第八
一三号)
中小企業育成強化に関する陳情書
(第八一七号)
信用保証協会に対する国庫補助の陳情書
(第八三五号)
を本委員会に送付された。
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本日の会議に付した事件
公益事業法案(内閣提出第一七八号)
電気事業再編成法案(内閣提出第一七九号)
臨時石炭鉱業管理法の廃止に関する法律案(星
島二郎君外九名提出、衆法第一九号)
鉱工品貿易公団に関する件
通商庫業行政に関する件
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/0
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001・神田博
○神田委員長代理 これより通商産業委員会を開会いたします。
この際通商産業大臣高瀬荘太郎君より発言を求められておりますので、これを許します。高瀬通産大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/1
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002・高瀬荘太郎
○高瀬国務大臣 このたび私通商産業大臣兼任を命ぜられることになりましたのでよろしくお願いいたしたいと思います。御承知のように突然数日前に兼任を命ぜられた次第でありまして、従来の通商産業行政のこまかい経過について今引継ぎを受けて研究をしておる次第でございまして、まだ十分承知はいたしておりません。しかしお引受けをいたしました以上は、全力を盡しまして通商産業行政のために努力いたす覚悟でございますので、どうぞ皆様方からも十分の御指導御鞭撻、御協力をお願いいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/2
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003・神田博
○神田委員長代理 この際最近社会的政治的問題として、世上に喧伝されております鉱工品貿易公団に関する件につきまして、本日午後三時より通商産業行政の国政調査の面から通商産業省の詳細なる報告を求めたいと思いますが、このようにとりはからうに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/3
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004・神田博
○神田委員長代理 御異議なしと認めます。そのようにとりはからいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/4
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005・村上勇
○村上(勇)委員長代理 ただいまより去る十九日に付託になりました星島二郎君外九名提出、臨時石炭鉱業管理法の廃止に関する法律案を議題として審議に入ります。まず提案者より提案理由の説明を求めます。神田博君。
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—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/5
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006・神田博
○神田委員 ただいま議題に供されました臨時石炭鉱業管理法廃止法案を提案者一同にかわりまして、御説明を申し上げたいと思います。
臨時石炭鉱業管理法は、石炭の緊急増産のために、昭和二十二年九月二十五日当時の政府より衆議院に提案せられ、同年十二月八日成立し、翌年四月一日に施行せられたのであります。当時におきまして、本法の効果につきましては種々論議せられたところでありますが、昭和二十三年十二月、いわゆる経済九原則が実施せられ、日本経済が自由競争と自主性の回復の要請のもとにおかれて以来、石炭鉱業におきましても、急速に出炭能率の向上と経営合理化の努力が積極化いたしまして、昭和二十四年度におきましては、いわゆる四千二百万トンの出炭能力をほぼ回復いたしたのであります。従つて昨年夏以来石炭の需給状況は急速に緩和せられ、公団方式による買取り統制の必要も消滅いたしましたため、昨年九月、石炭統制は一部の銘柄を除き、価格、配給ともに全面的に統制を解除したのであります。
このような環境のもとにおきましては、本来石炭増産のため臨時的に立法された臨時石炭鉱業管理法は、すでにその意義を失うに至りましたのみならず、この法律に基く複雑な管理組織と、この法律が石炭業者に対して要求する煩瑣な手続は、もはや石炭の増産を必要としない今日においては、かえつて企業の自主性を阻害する向きすら少くないのであります。さらに増産施策の後退によつて、行政事務の分量が相当縮小した現在、特に石炭の生産行政のために、石炭局のような独立した地方機関を存置することが、その必要性に乏しいことは申すまでもないことでありまして、臨時石炭鉱業管理法の廃止と、これに伴う石炭局の廃止は、行政機構の簡素化及び国費の節約という意味合いにおきましても、きわめて必要なことであります。よつてわれわれは来年三月の本法失効の日を待たずして、本日ここに法律廃止の提案をいたした次第であります。
本法案提案の理由は右に盡きるのでありますが、臨時石炭鉱業管理法の廃止に伴いまして、石炭増産のための鉱区の調整と、石炭鉱業権についての使用権の設定を目的といたしました石炭鉱業権等臨時措置法も当然に失効する性質をもつておりますので、右に関しまして所要の経過措置を定めましたほか、臨時石炭鉱業管理法施行当時の命令、指示等に基く損失補償に関しても、なおその請求権が消滅いたさないよう、必要な規定を設けたのであります。
またすでに述べましたごとく、臨時石炭鉱業管理法の施行機関であります石炭局は、この機会にこれを廃止し、既存の通商産業局に統合するのを適当と認めまして、通商産業省設置法、行政機関職員定員法等につきましても、若干の改正を加えた次第であります。
顧みまするに、臨時石炭鉱業管理法施行以来、その以前に比較いたしまして、八百四十八人の政府職員を増加雇用いたしまして、昭和二十三、四両年度において、これに関する予算、合計一億一千六百万余円を計上しているのであります。これらの人員と経費の大部分は、法律の廃止とともに節減せられ、国民の負担軽減となることは論をまたない次第であります。
本法廃止に伴つて、ただちに懸念せられますことは、基礎法規の廃止のために、石炭鉱業が軽視せられ、基本産業としての適切なる施策を行い得なくなるのではないかという懸念でございます。元来臨時石炭鉱業管理法自体が、石炭鉱業の優位性の保障とは無関係でありまして、産業自体の重要度による行政上の取扱いは、法律の存否にかかわらず、何らかわりない点を考えますならば、ごうも危惧する必要はないと信じているのであります。
これらの点を考え合せますると、今日この臨時石炭鉱業管理法を廃止し、石炭行政制度を簡素化することは、石炭鉱業の自主性を回復し、わが国民経済を正常化する意義におきましても、最も機宜を得た措置と考えられるのであります。
何とぞ愼重審議の上、御協賛あらんことをお願いいたす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/6
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007・村上勇
○村上(勇)委員長代理 これにて提案理由の説明は終りました。
ちよつと速記をやめてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/7
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008・神田博
○神田委員長代理 速記を始めて……。
次に昨二十日に付託になりました内閣提出の公益事業法案及び電気事業再編成法案を一括議題として審査に入ります。
まず両案について政府より提案理由の説明を求めます。高瀬通商産業大臣。
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—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/8
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009・高瀬荘太郎
○高瀬国務大臣 電気事業再編成法案及び公益事業法案の御審議をお願いするのに先だちまして、その提案理由を一括御説明申し上げます。
まず電気事業再編成法案について、その概要を御説明いたします。申すまでもなく、電気事業の再編成は昭和二十三年二月、日発及び各配電会社が集中排除法による指定を受けて以来の懸案でありまして、ポツダム宣言の要請による経済民主化方策のきわめて重要な一環をなすものであります。政府としては諸般の客観情勢にかんがみ、すみやかにこの懸案を解決する必要を痛感いたしましたので、昨年十一月、通商産業省に電気事業再編成審議会を設置し、爾来再編成の方策を愼重に審議したのであります。
本法案は政府が審議会の答申及び参考意見を検討参酌した結果、到達した最終の結論を盛つたものであります。本法案の骨子は、経済民主化の要請に即応し、電力国家管理態勢を刷新し、電気事業の再編成を実施するため、集中排除法の指定を受けた日本発送電及び九配電会社を解体し、現在の配電区域をそのまま供給区域とする九箇の新電気事業会社を新設し、民有民営の基礎の上に、企業運営上活発なる創意を発揮せしめるとともに、発送配電一貫経営による責任体制を確立せんとするものであります。
その際これらの新会社はそれぞれ供給区域内の発送配電設備を保有することを原則とするが、各地域の電力需給の均衡を確保し、かつ水火力発電所を不可分の一体として運営せしめる見地から、特定の発送電設備については、その所在にかかわらず帰属を決定したのであります。
私はかくのごとき再編成によつて初めて電気事業の経営の合理化、供給力の増強、サービスの改善が招来せられ、ひいては電気事業に対する外資導入の再開の前提條件が成就するものと確信するものであります。すなわち今回の電気事業の再編成は、單に集中排除の要請に対応するという消極的見地のみならず、わが国の最重要の基礎産業としての電気事業の正常かつ健全な発達を促進するという積極的な目標のもとに実施せられるものでありまして、持株会社整理委員会のほか特に公益事業委員会が再編成実施の衝に当ることとしたのも、その一半の理由をここに求め得るのであります。なお本法案は再編成に伴う登録税の免除、電気事業会社の工場財団の特例、資産再評価法に対する例外規定等を定め、再編成の円滑なる実施をはかつております。なお、本法案においては、公益事業が民有民営の原則に徹すべき旨の要請に基き、国または地方公共団体の株式取得の制限を規定しておりますが、この規定を強行することによる混乱及び弊害を最小限度に防止するために、一定の猶予期間をも定めております。なお再編成法実施と同時に、電力管理法及び日発法中の国家管理に関する規定は、これを廃止することになつております。
次は公益手業法の概要を御説明します。公益事業法は、国家管理廃止後の公益事業行政機構及びこれによる公益事業の監督、調整に関する規定の大本を定めたものであります。すなわち本法は国家行政組織法の規定に基く総理府の外局として公益事業委員会を設置することとしております。公益事業委員会は、その範を米国のいわゆるレギユラトリ・ボデイにとつたものでありますが、わが国憲法が議院内閣主義を採用し、行政各部は内閣のもとに統一せられ、内閣を通じて国会に対して責任をとる建前をとつておりますので、委員会の性格につきましてもこれを行政部の一部とすることとし、総理府の外局とした次第であります。委員会は内閣総理大臣が両議院の同意を得て任命する委員五人をもつて組織し、委員長は委員の互選によつて定めることになつております。
公益事業委員会の使命は、公益目的の達成のため、電気及びガス事業及びその需要家並びに投資家その他利害関係者相互間の利害関係を調整し、これらの公益事業を指導監督し、特に料金その他経理面の監督によつて、間接に電気及びガス事業の運営を規正することにあるのでありまして、国家管理の場合のごとく、事業の経営に介入し、業務の細目に干渉することはこれを認めないこととなつております。また委員会が各種の重要事項の決定にあたつて聽聞の手続きを採用し、さらに委員会の処分に不服のある者に対し異議の申立てを許し、さらに委員会の処分に対する訴えを東京高等裁判所の専属管轄と定めていることも、公益事業委員会のいわゆるレギユラトリ・ボデイとしての性格から出ていることであります。
翻つて、今後公益事業委員会の実施せんとする行政は、公益事業の休廃止、合併、解散及び設備の譲渡等を許認可し、公益事業の会計基準を定め、資産価格を査定し、並びに資本金額の変更、利益金の処分、社債の募集、資金の借入等を認可し、電気及びガスの料金その他の供給條件の設定または変更を認可し、発電水利に関する調査、調整をすること等でありますが、この際特に指摘いたしたい点は、再編成後において、電力の地帶間融通の円滑な実施を確保するとともに、電気料金の地域差の拡大を防止するため、委員会が電力の融通及び料金の調整に関し、必要な命令を発する強力な権限を付與せられている一事であります。
終りに電気事業再編成法案は、電力の国家管理から電気事業民営への切りかえのための臨時立法であり、公益事業法は従来の電気事業法及びガス事業法にかわる恒久立法でありますが、同時に両法案が不可分の関係にあることは、再編成の実施事務の大半が公益事業委員会によつて担当せられている一事をもつてしても、すでに明らかであります。
以上が両法案の概要でありますが、何とぞすみやかに審議を進められ、可決せられんことを切望するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/9
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010・福田一
○福田(一)委員 ただいま御説明になりました電気事業再編成法案並びに公益事業法案の審議にあたりまして、この問題は非常に重要な問題であり、その産業に及ぼす影響その他国民の生活に及ぼす影響等を考えますると、愼重な態度をもつて審議しなければならないのでありまするが、そのためにわれわれとしてはいろいろと資料を提出していただきたいと思うのであります。
そこで、私はここで資料の要求をいたしたいと思います。大分ありますが、順次申し上げます。
まず第一に、全国の電力設備調書、すなわち事業者別の水、火力発電所、送電所、変電所、通信設備及び業務設備並びに事業者別の配電線の総延長、次に送電関係一覧図及び付表、次に全国電力需要調書、大口電力、小口電力、業務用、家庭用、これらについても事業者別に出していただきたい。それから需要家数と契約電力及び過去三箇年の使用実績、次に全国発生電力量、過去三箇年の水、火力別、地帶別、事業者別並びに月別、それから最豊水日——一番水が多い日であります。及び最渇水日——一番水がかれておる日の最大電力であります。次に過去三箇年間における地帶間融通電力状況書並びに電力調整令、その他電力需給調整方法及びその実施状況の説明資料、次に旧料金制と新料金制の概要、これはすでにもらつておるものもありますから、その分は省いていただいてもいいが、一応これらのものが必要だという意味で言つておるのであります。次に地帶別新旧料金比較表、これも多分いただいておると思います。産業別原單位電力消費量調べ。これもたしか一部分はいただいておると思いますが、来ておらないものもあります。それから製品別原価に占める電力料金調べ、及び地帶別製品の新料金による値上り調べ。次に農業用電力(灌漑、排水、脱穀、調整、共同作業別)の府県別需要量と料金調べ。次に再編成後における新会社設備帰属図。次に再編成後における新会社資産表、水火力発電所、送電線、変電所、配電線、建設工事仮勘定。次に再編成後における地帶別電力需給状況、今後五箇年間の予想をいただきたい。次に再編成後における地域間の、電力融通見込み量(今後五箇年間)及び融通契約の概要。次に再編成後における地帶別電気料金及びその制度、現在料金及び料金制度との比較及び今後の予想であります。次に水力賦課金を考慮せる場合と考慮せざる場合について示していただきたい。さらに再編成後における電気料金が各産業に及ぼす影響、賦課金を考慮する場合と、しない場合とがあるはずであります。これをやはり地帶別に一応出していただきたい。さらに再編成後における各社の收支の予想をひとつ出していただきたい。これは今後五箇年間における各社の收支予想であります。次に将来五箇年間における政府の電源開発計画、地域別、地点名、容量、建設費。次に右実施に必要な資金及びその調達計画、これは地域別、地点別であります。次に指定会社が引受ける新会社の株式の比率決定の基準、さらに現在の設備別帳簿価格と前項評価の比較表であります。これがわからなければ、新しくどういう会社ができるかということがわかりません。現在の各社株主数と新会社の株主数はどうなつておるか。さらに現在の各社解体及び新会社設立に要する諸費用があると思うのでありますが、これについての内容を示していただきたい。それから現在各社の従業員数及び新会社の従業員数、これは大体おわかりになると思います。さらにまた従業員の引継ぎ方法をどういうふうにされるか。以上の諸点について、すみやかに資料を提出せられんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/10
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011・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 私も資料の請求をいたしたいと思います。まず臨時石炭鉱業管理法の廃止に関する法律案についての資料を請求いたします。第一に公団廃止後の炭価の変動状況、これは各級別に願います。第二に同じく金融の需給状況。第三に同じく生産状況、これはすでに資料になつて各石炭局別に出ておりますが、特に各級別に、さらに各月別にお願いいたしたい。それから第四に全国炭鉱管理審議会における主要議事経過、これだけを要求いたします。これは審議に絶対必要なものと認めますので、できるだけすみやかに政府から提出されるよう、委員長から御要求を願います。それから電気事業再編成についての資料は追つて請求いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/11
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012・宮幡靖
○宮幡政府委員 ただいま福田委員から御要求の御資料は、この両法案を審議いたす上に、まつたく欠くべからざるものでありまして、その資料はことごとく準備いたしてお手元に差上げ、ごらんをいただきたいと存じております。但し一言御了解いただきたいことは、資料の中で、公益事業法が制定されまして、公益事業委員会の権限の中でなければ、勘案できない諸問題があります。一々はここでは申し上げませんが、その部分については、現在の事務当局におきまして勘案することは、いささか越権のようなことになろうと思いますので、この点だけを御了解願います。当然出すべきものは、徹夜いたしまして準備して、それぞれお手元に出すことにいたします。公益事業委員会にゆだねられますところの、たとえば、今度の新しい会社がどれだけの資本で構成されるかというような問題、あるいは株式の比率の問題にいたしましても、あるいは電力の賦課金の問題にいたしましても、あるいは需給調整の問題にいたしましても、これはかかつて公益事業委員会の、新会社成立に携わります方々のお考えくださることでありまして、現在では必ずしも確定的な想定ができないわけであります。資料はできるだけの努力を拂つてまとめることにいたしますが、一、二さような面において欠くるところがあるかもしれませんが、その点は事前に御了解を得ておきます。決して資料提出を回避いたさないことを、くれぐれも御了解願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/12
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013・福田一
○福田(一)委員 宮幡政府委員のお話の意味はわかるのであります。しかしながら、先ほど通産大臣から御説明がありましたように、この両法案は不可分の関係にあります。そして公益事業法によつてできるレギユラトリー・ボデイというものが、電力再編成と非常に密接な、一体不可分の関係にあるのでありますが、この再編成法案並びに公益事業法案というもののやることがはつきりわからない。いわゆる公益事業法案によつてレギユラトリー・ボデイができて、そのレギユラトリー・ボデイというものがわからないで、電力の再編成というものをきめることはできないと私は思います。こういう意味において、宮幡政府委員の御答弁というか、御説明は、どうも私は了解に苦しむところがあります。どうか、できるだけのことをするとおつしやつた気持を、さらに一層徹底せられまして、われわれがそこまでつつ込んで、この問題を研究して見ないと、ほんとうの結論が出ないという気持を持つているということを十分御了解の上で、この資料の御提出あらんことを希望するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/13
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014・宮幡靖
○宮幡政府委員 この問題は他の委員席からも掛声があるくらい重大な問題でありますので、誤解のないようにお願いいたします。私の説明の仕方で、あるいは御了解をいただけなかつたかと思いますが、公益事業委員会ができない以上は、やれないことが数多かろうことは、法案を一応ごらん願えば十分御了解いただけると思います。福田委員の仰せられることも、私個人としてはよくわかりますが、しかしここでお引受けして、他日になつて、これは公益事業委員会の権限内できめることだということは、これは遁辞になります。従つて事前において、公益事業委員会ができなければやれないものは、想定としては考えられるけれども、確定的な問題になりかねる。そういう意味で、資料の提出に苦しいものがありますので、御了解を得たのでありまして、決してそれを回避いたしたり、この問題の重要性というものを無視いたしたりするものではないのであります。特に大臣の説明いたしました提案理由の中の不可分という意味は、この法案について一貫して流れるところの過渡経済力集中排除法に対しまする処置は、持株会社整理委員会の規定で行けるわけでありますが、これは特異の関係で、それのみでは参りませんので、公益事業委員会にその権限を委讓することになる。公益事業委員会法なるものは恒久立法でありまして、再編成法はこれに対しまする臨時立法であります。恒久立法と臨時立法が、一応不可分的につながるのも、これはやむを得ないだろうと考えております。従いまして、臨時立法でありますものの、特別法として認められますところの公益事業法なるものができないと、この臨時立法の全部の資料は集まりにくいものであるということを申し上げた次第であります。この点ぜひ御了解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/14
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015・福田一
○福田(一)委員 ただいまの御説明によりますと、公益事業法の方が本体であつて、電力再編成の方はそれに従つてできるものであるようでありますが、私はむしろこれは逆に考えたいと思つておる。これは意見の相違であります。意見の相違でありまするが、電気事業の再編成がなければ、公益事業法などというものは今度出て来るはずのものではなかつたと私は考えておる。電気事業の再編成をするために、公益事業法というものが出て来たことは、これは明瞭な事実であると思う。これは意見の相違になりますからして、政府委員との間に、私がここで水かけ論をやつてもしようがないが、われわれはさように了解しておるということを御了解いただきたい。
第二は、想定はできても、公益事業委員会というものができないうちは、そういう資料は出せないというお話がありましたけれども、政府はかかる重大なる問題について本案を提出せられる以上は、公益事業委員会がいかなる事柄を行うのであるか、いかなる内容のことを取扱うかというようなことは——先ほど私が言つたこの電気事業再編成の方が、むしろ実体であるという見地からするならば、その方に重点が置かれて考えらるべきものである。従つて想定ということは、なるほど一応政府側としてはごもつともな言葉かもしれませんが、われわれとしてはちよつと解しかねるのであります。たといまだそれが想定でありましても、その想定によるところのものがなければ、そういう資料は出せませんということでは、この電気事業の再編成に関する審議は、私はできないのではないかと思う。どうしても想定という言葉で言いのがれをされることは、私は少し行き過ぎではないかと思いますので、宮幡政府委員の立場もよくわかりますけれども、しかし想定という言葉でお逃げなさることは、私としてはちよつと解しかねます。この点はやはり私たちが言つた、この材料は全部そろえるようにやつていただきたい。そうでないと、この法案の審議は非常にむずかしいということを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/15
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016・今澄勇
○今澄委員 今の福田君の申入れでありますが、われわれは同感であります。なおそのほかにもわれわれは、あと、四、五十資料の要求をいたしますが、少くとも私は、この際電気事業再編成法案のみならず、きよう提案の理由の説明があつた議員提出の臨時石炭鉱業管理法の廃止に関する法律案、なお今後出るその他の法律案についても、それらの資料を議員に示して、議員の審議権のもとに審議せしめて、しかる後これを採決するという方式をとらなければ——少くとも議会の審議というものはそうあるべきであるということを、私はこの際委員長に一言この委員会で確言をしてもらうと同時に、今後の審議をどういうふうにやるのかという委員長の信念を聞きたい。大体ほんとうの委員長はあまり出て来ないのだが、次々委員長がかわるということで、そういう態度がかわることはまことにまずい。あとで委員がやめなければならぬということが生ずることは、少くとも通産委員会ではやりたくない。臨時石炭鉱業管理法の廃止に関する法律案、電気事業再編成法、その他一切の今後出て来るこれらの法律案については、委員長は委員会の審議上、われわれの求めた資料を政府をして提出せしめ、その資料に基くわれわれの質議を十分取上げて、審議権を行使せしめる意思ありやいなや、まず私は委員長の所信を伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/16
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017・神田博
○神田委員長代理 委員長からお答えいたします。先ほど福田君、加藤君、またただいま今澄君から資料の提出について、るる御要求がございまして、委員長の所信いかんということでございまするが、私もまことに同感でありまして、さようなことは伺われるまでもないことであつて、十分政府を鞭撻して、出すべきものは委員長として当然これは政府に実行せしめたい、かように考えております。
なお委員長がときどきかわるということでございましたが、いろいろやむを得ないことでさようなこともあつたのであります。これはかわるとかわらないとにかかわらず、この委員会といたしましては、一貫したやり方とお考えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/17
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018・宮幡靖
○宮幡政府委員 これはまたいろいろ会議の段階において問題になるといけませんから、はつきりいたしておきますが、資料を出すことをしぶるというようなことは毛頭ありません。これだけはくどく申し上げておきます。しかしながら、この経済力集中排除法、持株整理委員会の権限、これだけではできない再編成でありまして、特別にできまする公益事業委員会であります。ただ電気事業ばかりではなく、ガスの事業も入つております。日本の公益事業というものは、どういうふうな統制をして行くかということが、中心になつて考えられるのでありまして、これができなければその処置ができないことは、明らかにこの法律案の中に書いてあるわけであります。そのことにつきましても、全然考えがないのかと言われたら困るが、そのようなものはかように考えておるということは申し上げられない。しかしこれら新しくできる公益事業委員会の五人の委員の方々が、確定的にこの通りの線できめるということは保証できないということになるわけであります。委員は資格においてもいろいろ嚴重な制限がありまして、政党活動の介入等特に回避いたしまして、まつたく独自の見解で進むものであります。こういうことでありまするから、これをもつて政府の方は本法案についての審議に、熱意がないような、言葉のあやにならないように御了解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/18
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019・神田博
○神田委員長代理 靜粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/19
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020・小金義照
○小金委員 ただいま聞いておると、資料について電力ばかり問題が出ておりますが、公益事業法の重要なる一部を占めているガス事業について、別段資料要求もございませんようですから、私から政府当局に資料の要求をいたしておきます。全国のガス事業の概況、これは製造能力並びにその需要戸数、それから原料炭の内訳、国内産あるいは外国産、または地方別——北海道炭が幾ら、九州炭が幾らというような区別、それからガス事業会社または地方団体でやつておるものがあれば、その資本金あるいは投下資金というようなものについて、ガス課長が常識的に考えて委員に配付したらば、審議の助けになるだろうと思われる資料を、全部整えて出していただきたい。これだけ要求しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/20
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021・神田博
○神田委員長代理 この際委員長からも政府側に要求申し上げておきたいと思います。くどいことになるかもしれませんが、ただいま福田君、加藤君、今澄君、小金君等より、本法案審議に関しまする資料の要求がございまして、重要法案であるので、なお今後続続資料の要求をしたいということでございまするが、これはただ四人だけの考え方ではなく、委員会全体の空気であるように考えておりますので、資料をできるだけ早くまとめてひとつ出していただきたい。資料の出方によりましては、法案の審議に非常な関係を持つことを、十分腹において御考慮願いたいと思います。
午前はこの程度にとどめまして、午後は二時より再開し、臨時石炭鉱業管理法の廃止に関する法律案の質疑に入り、午後三時よりは先刻決定いたしました通り、鉱工品貿易公団に関する件について、大臣より報告を求むることといたします。これにて休憩いたします。
午後零時一分休憩
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午後二時三十三分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/21
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022・澁谷雄太郎
○澁谷委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。
ただいまより臨時石炭鉱業管理法の廃止に関する法律案を議題として質疑に入ります。小金義照君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/22
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023・小金義照
○小金委員 ただいま議題に上りました法律案について、私は総論的な意味の質問をいたします。この法律案は先ほど神田提出者代表から御説明になりましたように、昭和二十二年の十二月の第一国会でこの法律が審議されまして、二十三年の四月一日から施行せられた、そうしてこれはもつぱら石炭増産のために当時の国情として緊急必要なものであるということで、制定せられたように了解しておるのでありますが、この法律の名前にもありますように、これは臨時立法であります。同時に附則でその有効期間を三年と定めておりますが、これらについて、当時この法律の審議をせられた提案者の代表者に一応の御説明を願つて、これは三年たつても、また必要であればこれを延長するし、必要がなければ廃止するのだという趣旨でやつたかどうかという点を御説明願えれば、けつこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/23
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024・神田博
○神田委員 小金委員にお答えいたします。臨時石炭鉱業管理法のできましたいきさつにつきましては、先ほど述ベました通りであります。ただいま小金委員からそのことにお触れになつておられましたが……。そこでこの立法に際しまして、臨時立法であるから期限をさらに延長するようなことも考えておつたが、あるいは石炭鉱業が立ち直つて増産が成功したならば、期限内でも廃止すると、こういうようなふうに考えておつたかどうかというお尋ねのように承つたのでありますが、当時水谷商工大臣の答弁を想起いたしますと、石炭が正常状態に返つたならば、必ずしも三年にこだわらない。そのときにおいて廃止する用意がある。こういうように私ども伺つております。御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/24
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025・小金義照
○小金委員 このいわゆる炭管法の廃止法律案の趣旨は、先ほど神田委員の御説明で、私はほとんど盡して余すところがない。こういう理由ならば本法案の提出されたことは、もつともであるということを十分うなづけますので、私は全部を了解いたして、質問は他の同僚議員に讓りたいと思いますが、ただこの臨時石炭鉱業管理法の廃止に関する法律案というのは、たつた一條でありまして、あとは組織法のようなものででき上つておる。通商産業省としては、こういうような組織法で私はもちろん運用はできると一応思いますけれども、管理局長がお見えになつておるから、その点これで何とか今後ますます石炭工業の重要性に適応した行政が、やつて行けるのだという見通しであるか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/25
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026・中島征帆
○中島政府委員 いろいろ問題がございますが、結論といたしましては、これでもできるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/26
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027・小金義照
○小金委員 この法律案を出すのは、きわめて私どもは時宜を得たものだと考えます。ただ問題は先ほど提案理由の説明の中にもありましたように、これを廃止するから石炭鉱業は軽視してもいいのだ、あるいは石炭鉱業の重要性が落ちたというような感じを與えたり、またそういうような方向に絶対に走らないように、今後の処置をとつていただきたい。これに対して、今は局長だけでありますが、政府に私はこの点を要望いたしまして、質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/27
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028・澁谷雄太郎
○澁谷委員長代理 中村幸八君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/28
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029・中村幸八
○中村(幸)委員 現行臨時石炭鉱業管理法は、午前中提案者よりの御説明がありましたように、昭和二十二年の十二月八日に成立しまして、翌年の四月一日に施行せられたのでありまして、当時本国会におきましては、本法の効果につきまして、きわめて活発に、種々の議論が闘わせられたことは、皆さま御承知の通りであります。その後日本の経済も漸次安定して参りまして、石炭鉱業におきましても、出炭能率の向上、あるいは経営の合理化等が促進せられ、特に労働組合運動のごときは、終戰後の混乱よりようやく落着きをとりもどしまして、健全なる組合運動が推進せられることになりまして、昭和二十四年度におきましては、出炭計画もほぼその目的を達成し得る能力を回復いたしました。石炭の需給状況は大体満足すべき状態となりましたにつきまして、昨年の九月に配炭公団は廃止して、一部の銘柄を除き、価格と配給の統制を解除することになつたのであります。そこで石炭増産のための臨時石炭鉱業管理法は、今日におきましてはその意義を失い、その本体を失いまして、不要となりましたので、来年三月を待たずに今回この法律を廃止いたしまして、あわせて石炭の生産行政推進のための石炭局を廃止して、通産局に統合する。そして人員と経費の節減をはかりまして、国民の負担の軽減をはかる、こういうようにいわば一石二鳥の処置をとることになつたのであります。まことに時宜を得たものであると考えるのであります。しかしながら先ほど小金委員よりお話がありましたように、今日この法律を廃止することになりましたと申しましても、石炭鉱業というものは、全然野放しにしてよろしいということではないのでありまして、現に石炭鉱業界におきましては、炭価の問題あるいは外国炭の輸入の問題、あるいは国内の炭田開発問題あるいは金融の問題、特に中小炭鉱の金融の問題というように、幾多の重要かつ困難な問題が山積いたしておるのであります。私は今後政府におきまして、一層積極的にこれらの重要問題を解決に導いていただきたいと、切に念願いたすものであります。この意味におきまして、私はこの際政府当局に対しまして、若干お尋ねをしてみたいと存じます。まず石炭の価格の問題でありますが、昨年九月統制が廃止せられまして以来、低品位炭におきましては、旧マル公に比較いたしまして、三割程度の低落を示している由でありますが、上級炭におきましては、統制時代に不自然に低位に置かれておつたということと、需要と供給の関係がいまだ十分マツチしておらないというようなことによりまして、上級炭は非常に高くなつておると聞いておるのでありますが、大体今日ではどのくらいこの上級炭が値上りになつておるのでありますか。また外国炭を輸入する場合に比較いたしまして、どのくらい高くつくのでありますか、この点を最初に承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/29
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030・中島征帆
○中島政府委員 炭価の関係におきましては、物価庁の方で詳細調査をいたすことになつておりますが、私の方でお答えできる範囲におきまして申し上げてみたいと思います。最近におきます炭価は、お話の通りに上級炭におきましては、公団当時に比べまして若干上つておりまして、その程度は五分ないし一割と言われておりますが、最近に至りますまで、自由販売になりまして以後、実際の炭価というものの数字は、きわめてつかみにくいという状況にありまして、従つて各種の情報を総合する以外に手がないのでありますが、その結果から見ますと、二百円から五、六百円くらいまでの値上りを示しておるものがかなりございます。しかし全般的にいつて原料炭が何割上つたかということをはつきりつかむ資料は、おそらく現在でもなかろうと思いますけれども、傾向的に申しまして、やはり一割くらいは上つているということは言わざるを得ないのじやないかと思つております。ただその値上りの内容といたしましては、御承知のように今年になりまして運賃、電力料金等の値上りがありましたので、その関係の値差というものを考慮に入れますと、必ずしもそれだけの幅だけ上つたというふうには申せないと思つております。しかし買う方にいたしましては、補給金も撤廃され、一方運賃は上るというような関係から、特に上級炭、原料炭につきましてはある程度の値上りを示しております。それ以下のものにつきましては相当値下りを見ておりまして、特に下級炭につきましては三割以上も下つている向きもございます。
次に原料炭と輸入炭との比較でございますが、これは品位と灰分、こういつたものを十分比較して算定して比べなければ、正確な結論は出ないのでありますが、單なる表向きの数字は、現在入つております開らん炭が十一ドル余りで約四千円くらいになります。日本の原料炭はこれも正確な数字ではありませんけれども、大体五千円内外というふうに承知しております。そういたしますとそこにかなりの開きがある。それから昨年入つておりましたアメリカ炭は二十ドル以上でありますから、従つて七、八千円かかつておりますが、これは灰分の関係で、これが十五、六ドルくらいまでは自由に買つても、日本のものに比較して高くないと言われております。米炭は二十ドル以下のものは最近まだ入つておりませんが、今後この程度以下のものが入つて来れば、日本の石炭より安く手に入ることになろうと思います。その見通しは何とも申しかねますが、アメリカの市場価格が六ドル、七ドルという状況でありますので、将来その程度の値段で入るということは考えられないことはないのでございますけれども、現在までのところは、米炭につきましてはそういうような値段の引上げは聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/30
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031・中村幸八
○中村(幸)委員 ただいまのお話によりますと開らん炭は十一ドル、すなわち四千円くらいである。内地の原料炭は五千円であるといたしますと、千円のそこに値差があるわけであります。この石炭の価格が国際水準より高いということは、石炭があらゆる産業の基礎産業でありまする関係上、輸出産業、特に上級炭に依存しております程度の大きい鉄鋼業等につきましては、これは死活の問題であると思います。国内の炭価を開らん炭の程度までさや寄せするということは、最も必要ではないかと思うのでありますが、そういう炭価政策につきまして、政府はどういう対策をおとりになるお考えであるか、この点をお尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/31
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032・中島征帆
○中島政府委員 特に原料炭につきまして、炭価が非常に高くて、従つてこれを使用します製品のコストを非常に上げている。従つて国際競争をするためには、まず石炭の値段を下げなければ、日本は立ち行かぬではないかという意見が、特に鉄鋼、化学工業方面から強く出ておりますが、石炭関係者としましても、事実炭価がきわめて需要家に対して苦しい條件を與えていることは、十分に承知いたしております。ただ現状の炭価を分析いたしますと、それぞれ理由のある原価から構成されておりまして、これを單純に引下げるということはなかなか困難であります。これをいかにして相当大幅に下げるかということにつきまして、先般来いろいろ研究いたしおりますが、私どもの今考えられます範囲は、たとえば最も容易な方法といたしましては賃金を下げるとか、あるいは材料費を下げるというようなことで行けば、問題はないかもしれませんが、そういうことができる次第のものでもございませんので、結局炭鉱内部において、合理化によつて炭価を引下げるということ以外に方途はないと思います。その方法といたしましては現在出されている原価の内容をいろいろ研究の結果、従来炭鉱におきまして出されているいろいろな資金が、非常に不足している。そのためにこれは戰時中から継続しておるのでありますが、そのために非常に石炭の生産についてむりが起つておる。これが現在原価の高い一番大きな原因だと私どもは考えておりますが、そういう問題に対しましては、今後いかなる方法によりますかは、研究問題でありますけれども、石炭鉱業に必要な資金というものは、特に長期の設備資金の獲得というものを十分に行うのでなければ、大幅な炭価の引下げ、ないしは石炭鉱業の合理化は不可能だというように私は考えております。大体この方法につきまして、産業合理化審議会の石炭部会等におきましても、先般来愼重かつまじめに検討いたしておりますので、いずれこの方面から適当なる対策も生まれて来ると思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/32
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033・中村幸八
○中村(幸)委員 ただいま御説明の通り炭価をむりに引下げることはできない。従つてまた人員の整理とか、あるいは賃金の引下げというようなことも、愼重に考えなければならぬ。そこで炭鉱の合理化ということに今後力を注いで行く、こういうお話でありますが、これは最も適切なお話でありまして、ぜひとも炭鉱の合理化ないしは炭鉱の機械化というようなことにつきまして、極力お骨折りを願いたいと思うのであります。それにつきまして、ただいまお話のように、長期設備資金というような問題につきましては、ぜひとも絶大なる御盡力を願いたいと思いますとともに、また他面外資の導入というようなことも必要になつて来るのじやないかと思いますが、この外資の導入につきまして、炭鉱方面にはどういうお考えであるか、承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/33
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034・中島征帆
○中島政府委員 炭鉱に対します外資導入につきましては、大分前にいろいろ研究したことがございますが、現実に外資側の考え方としましては、現状のような日本の炭鉱業に対しまして、思い切つた投資をするというまでの決心がついたところはないようでございます。受入れ側といたしましては、これも非常に込み入つた炭鉱々業に対しまして、部分的な外資導入をするということは、経理的にも非常に困難な点がございますが、特にまとまつて、しかも相当開発の効果のあがるというような地点なり炭鉱なりを二、三当りまして、受入れ方法といたしましては、ここなら外資を入れていただければ十分開発ができるというような資料も出しておるのであります。そういう点につきまして、われわれもその内容を十分検討の上で、外資導入の一つの案といたしまして、関係の方には出してはございますけれども、まだこれが具体化する曙光は何ら見えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/34
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035・中村幸八
○中村(幸)委員 炭価をむりに引下げることは困難である。そこで先般までは重要関連産業に対して補給金を出しておつたわけでありますが、この補助金と申しますか、そういうものを復活するお考えはないのであるか、この点承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/35
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036・中島征帆
○中島政府委員 以前は石炭鉱業自体につきましても、赤字補給でありますとか、いろいろな形の補給金的なものが出ておりましたが、現在これは全廃されております。それからそのほかに石炭を使用する産業に対しまして、いわゆる石炭補給金が出ておつたわけでありますが、需要者側に対します補給金は、一応私どもの所管外でもありますし、また問題とすべき事項でもないと思つております。石炭鉱業自体に対しまして、石炭の販売価格引下げのための補助金なり、補給金を出すということは今のところ考えておりません。その理由は、統制撤廃までにそういつたような石炭鉱業に対する補給金を徐徐に廃止いたしまして、しかも昨年の九月に全面的に統制を解除した石炭鉱業を、自然の自主的な形にゆだねたその過程において、石炭鉱業というものは相当自主的に合理化もいたしまして、経営の内容を改善いたしておるわけであります。従つて今日までそういうような方向で、経営の合理化をはかりました石炭鉱業を、この際また一種のおかかえ産業式にするということは、本来の経営合理化を妨げるという意味にもなりますし、また過去におきまするように、非常にルーズな経営を行いまして、かえつてむしろ炭価を引上げるというようなことにならぬとも限りませんので、そういう意味の石炭鉱業に対する補給金だけは、少くとも專管の事務当局としては避けたいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/36
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037・中村幸八
○中村(幸)委員 ただいまの御答弁で大体満足いたしました。
次にお尋ねいたしますが、わが国の石炭は戰時中の濫掘と戰後の増産に追われまして、確定炭量が非常に減少しております。またわが国の石炭は、現在わかつている範囲におきまして、今後数十年を出ずして掘り盡さるべき運命にあるのであります。そこで今後未知の炭量を調査するとか、あるいは探鉱をするというような方面に、積極的に奨励施策を講じていただきたいと思うのであります。こういう面につきましては、どの程度にお考えになつておるか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/37
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038・中島征帆
○中島政府委員 未開発地点の調査につきましては、以前からある程度行つて来ておりましたが、本年度の予算にも新規地区の炭量調査のための経費を計上いたしております。この炭量調査の内容を簡單に申し上げますと、一応地質的な調査をいたしまして、大体石炭の埋蔵せられる可能性を基礎的に調査いたしまして、その上でさらに有望な地盤にボーリングその他の方法によつてそれを確認する、こういうふうな方法をとるわけでありますが、現在政府がつかんでおります埋蔵量は、約二十年前、昭和七年の調査にかかるものでありまして、その後そういつたような基礎的な調査も行われておりませんので、今般これに相当の年数をかけまして、さらに全般的に徹底的な調査を行う計画でございます。それによつて調査をいたしますと、おそらくは現在予定されております埋蔵炭量百六十五億トンの二倍あるいはそれ以上にもなるかもしれませんが、いま少し具体的な調査をして、炭層の状態をしつかりつかむことによつて、日本の石炭鉱業の内容ももう少しはつきりした、また相当有望な数字も出て来るのではないかというふうに、私どもは期待しているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/38
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039・中村幸八
○中村(幸)委員 次に中小炭鉱の問題につきましてお尋ねいたしますが、この中小炭鉱は、統制時代に価格の面におきまして、また金融の面におきまして、かなりの保護を受けて来たのでありますが、公団等の撤廃によりまして保護を失いましたこれらの中小炭鉱は、現在休廃止するものが続出しているようなありさまでありまして、この中小炭鉱の中には優良な石炭を産出する炭鉱もありますし、他面におきましては、重大なる社会問題でもあると思うのであります。そこで政府におきましては、この中小炭鉱の問題につきましては、真劍に御考慮いただきまして、十分なる保護助成の道を講ぜられたいと考えております。本日も多数の中小炭鉱業者が、国会に陳情に参つているのでありまして、政府におきましては、どうかこの弱い業者の血の叫びをお聞き取りの上、善処せられんことを要望いたすものであります。特に金融の問題につきましては、公団廃止後最も苦境に立つているのであります。昨年暮れは幸い政府のあらゆる御努力によりまして、日銀のあつせんによります中小炭鉱融資も行われたのでありますが、今日におきまして中小炭鉱が市中銀行から資金を借り入れようといたしましても、ほとんど不可能な状態であります。政府はこの中小炭鉱に対する金融の道につきまして、何らか適切なる方策をお持ちになつておりますかどうか、この点をお伺いいたしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/39
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040・中島征帆
○中島政府委員 中小炭鉱は、特に統制時代におきまして金融機関と直接連絡がなかつたという点が、非常に大きな弱みでありまして、その結果配炭公団廃止後におきまして、今日所要の資金を市中銀行から融資を受けるということは、きわめて困難な状況でございます。従つて私どものなすべきことといたしましては、復金融資等の特殊な融資方法がなくなりました現在におきましては、そういう中小炭鉱を所要の金融機関に結びつける。ということが、唯一の手段でありまして、それ以上に、政策的な融資方法は、過去半年間いろいろ手を加えてみましたが、いずれも成功いたしませんでした。従つてそういう意味におきまして、中小炭鉱金融が、一般の市中金融に乘るような方法を講ずることが、唯一の問題であると思います。その意味におきましては、いろいろ日銀方面とも連絡を取つてやつておりますが、最近の事情を申し上げますと、ことしの二月ごろの状況を基礎にいたしまして、各炭鉱の経営実情並びに所要資金の金額等を調査いたしまして、そのうちで将来性のある、これは炭鉱の経理状況から見ましても、炭質から見ましても、将来性のある炭鉱につきましては、これは将来の償還能力もある、こういう意味におきまして、日銀当局の方にその融資を強力にあつせんしていただくように申出ております。これにつきましては、十分その調査の結果を尊重して、日銀支店を通じて、各地方の銀行等に対しまして、融資のあつせんをするというふうに申されております。また設備資金につきましては、これはいわゆる見返り資金がその性格上、中小炭鉱にははなはだ向きにくいような状況になつておりまして、しかも見返り資金のうちで中小企業向けの資金が月一億ずつございますが、これはまたその規模がきわめて小さく條件づけられておりまして、従つて炭鉱のごとき、いわゆる中小といえども、相当の規模ないし資金を要するものは、なかなかそれでは救いがたい。こういうふうに見返り資金によつて設備資金を獲得する方法が、現状といたしましては、きわめて困難であります。従つてさしあたりの設備資金の獲得のためには、やはり興銀、勧銀等、その他長期資金の融通のできる金融機関に対しまして、ただいま申しましたような方法により、炭鉱個別の状況を十分資源庁なり石炭局で調査して、あつせんするということ以外にないと思います。また制度的には、今の見返り資金がそういうふうな中小炭鉱にも向け得るように、またそれ以外の何らか別途の構想によりまして、できるだけの設備資金を獲得できるような方法を講じたいと思つております。これはいろいろな案をもつて関係官庁その他と相談をいたしておる最中であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/40
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041・中村幸八
○中村(幸)委員 この金融の問題は、優秀な大炭鉄においてさえも、非常に困難を来しておる現状でありまして、中小炭鉄の金融の困りようは、察するに余りあると思うのであります。どうか政府におきましては、今後とも絶大なる御盡力をお願いいたしたいと存じます。
最後にもう一つお伺いいたしますが、公団手持の貯炭は現在どうなつておりますか、お伺いいたしたいのであります。公団廃止当時約五百万トンの貯炭があつたのでありますが、これを市場を圧迫しないように、二十四年度中に処理するというような、関係筋からの指令があつたように聞いておりますが、現在この貯炭はどういう現状になつておりますか、この点をお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/41
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042・中島征帆
○中島政府委員 三月末の公団貯炭の実績は、帳簿上百八十六万二千トンということになつております。このうちですでに廃棄されたものは、これから除かれておりますが、さらにこの中で廃棄しなければならない数量も、これはかなりあるというふうに聞いております。従つて当時五百二万トンございましたものが、ここまで減少いたしまして、三百十何万トンというものが、この半年間に処分せられたわけでございますが、今日までの状況といたしましては、公団貯炭処分のために、特別に市場を圧迫するというふうな事例は、全面的にはなかつたように、私どもは承知いたしております。ただ部分的に、低品位炭鉱の販売地区等におきましては、若干そういうふうな点も出て来たようでございますけれども、当時私どもが心配いたしておりましたほど、これだけの貯炭を処分いたしましても、大きな影響のなかつたことは、きわめて幸いだと思つております。なおこの三百十何万トンの処分先は、最も多いところは進駐軍関係でありまして、それが約七十万トンございます。それから販売業者に売渡しまして、販売業者から小口その他に転売いたしたものが、百二十万トンほどございます。その他は官公署関係、日発、国鉄等でございまして、合せて三百十三万九千トンというものが、三月三十一日までの処分数になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/42
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043・中村幸八
○中村(幸)委員 三月末現在の貯炭百八十六万二千トンというのは、おそらくこれは非常に低品位の炭だけではないかと思うのでありますが、この点いかがでありますか。もしそうであるとすれば、今後これの数量を処分するということは、ほとんど不可能になるおそれがあり、ひいては公団の赤字を招くということにもなると思うのでありますが、これらの見すかしをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/43
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044・中島征帆
○中島政府委員 百八十六万二千トンのうち、一般炭が百二十三万五千トンほどございますが、このうちで、いわゆる低品位炭に属します下級炭が六十四万七千トンございます。従つて一般炭の半分は下級炭でございまして、これは今後も処分のきわめて困難なものだということになると思いますが、配炭公団の当局者にちよつと聞いて見ましたら、やはり百八十万トンのうちで六十万トンぐらい売れないで廃棄しなければならないものがあるのじやないか、こういうふうに言つております。この程度の廃棄炭は、現在公団が提出しております赤字の補填の予算の中には、計算に入れておりまして、従つて相当ストツクの中から売れないで廃棄すべきものが出るということは予定しておりまして、今の六十万トンという数字は、その予算に比べて決して心配する程度のものではない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/44
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045・中村幸八
○中村(幸)委員 一応この程度で打切つておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/45
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046・澁谷雄太郎
○澁谷委員長代理 次は今澄勇君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/46
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047・今澄勇
○今澄委員 私は今回自由党が議員提出法案として出された本法律案をながめて見て、その提案理由が非常に不明朗であるということを指摘したいのであります。本法律案が、いよいよこの国会も会期余すところわずかというころになつて、急に議員提出法律案で出たということについては、数々の政治的なねらいがあるであろうと思いますが、私どもはこのような、一国の産業関係に重大な法案については、十分国会の審議を盡さなければならない、かように考えております。本法律案の目的として、法案を見ると、現下の経済事情にかんがみ、これを廃止する必要があると書いてありますが、ここに私はまず第一番の問題があると思う。すなわちこの言葉を、自由党はまさかふまじめに言つたわけではないであろうと思いますが、これらの政策の行詰りを糊塗せんがために、いわゆる配炭公団の廃止並びに炭価の問題、あるいは産業全般にわたつた高カロリー炭の値上り等々、日本の地方税を含める一切の問題から、電力、ガスさらにこの石炭等の動力関係の値上りがもたらす、わが国経済全体の影響その他を考えて、いろいろながめて見ると、政府の政策は、漸次石炭行政については行き詰まつておる。この政治的にも行き詰まつた状態のもとで、自由党の議員諸君が、議員提出法律案として、この炭管法を出したということは、いわゆる政府の失敗を炭管法に転嫁しようとする一つのねらいがあるというふうに、われわれは考えなければならぬと思います。石炭が余つたから配炭公団を廃止した。配炭公団を廃止したから炭管法はもうその必要はない、そういつたようなものの考え方は非常にその真の理由を没却しておるものであつて、政策の行き詰まりから配炭公団を廃止した。配炭公団の運営のしようがないからやめてしまつた。それがひいて炭管法を問題にしなければならぬということになつたのであつて、これは炭管法が悪いのではなくて、いわゆる炭管法を運用する熱意が、一年有半にわたつて続けられた現在の吉田内閣についてはなかつたということを、われわれは言わなければならぬ。そこで質問の第一点は、本法律案の提出理由の中に、「現下の経済事情にかんがみ、これを廃止する必要がある。」と書いてあるが、現下の経済事情とはどのようにお考えになつておられるか、まずこれからひとつお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/47
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048・神田博
○神田委員 今澄委員のお尋ねにお答えいたします。ただいま御質問を承りましたところ、炭管法の廃止は何か政治的意図のもとに行われておる。そこで不明朗な気分がただよつているのではないか、そういうような前提のもとにお尋ねがあつたようにお聞きいたしたのであります。まずその点をひとつ十分御了承願いたいのでありますが、これは決してさような観点に立つて考えた結果ではないのでありまして、御承知のように、私がお答え申し上げるまでもなく、臨時石炭国管法が出ました経緯を振りかえつてみますれば、当時石炭が非常に出なかつた。そこで政府と経営者と労働者が三位一体になつて、石炭の増産をしたい。増産を目途としてできた国管法でございまして、今日の段階におきましては、石炭の増産も一応その効果を盡しておる。そこでこれを廃止するにいい時期ではないか。われわれこの法案の成立につきましては、申し上げるまでもなく、いろいろ反対の立場にあつて意見を異にしておつたのでありますが、今日これを廃止するにつきまして、当時の何かわだかまりを持つておつて、そうして政治的意図のもとに出したというようなことではないのでありまして、この法案が自然的に必要でなくなつた、増産を目標としておつた法案でありますので、すでにその目的は達しておる、かように考えておるのであります。なお経済上の必要がなくなつたというふうにお尋ねのようでありますが、廃止の理由はお手元にも差し上げてあります説明書、先ほど私が申し上げた通りでございまして、初めから終りまでよく読んでいただきますれば、その真意は十分御納得いただけるのではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/48
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049・今澄勇
○今澄委員 経済情勢に対する分析、その法案の中にうたつてある、それを説明してもらわなければならぬ。現下の経済事情にかんがみ、これを廃止する必要がある。いかに経済事情を見ておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/49
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050・神田博
○神田委員 これを読んでいただけばわかる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/50
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051・今澄勇
○今澄委員 今概略の理由は提案理由の中に書いてあるという話でありますが、この法律案ができた基礎となる今日の経済事情を、どのようにこれを提出した議員諸君が考えておるかということが、本法律案を審議するにあたつて最も必要なことであります。われわれはこの法律案が自由党の役員会において極秘裡にきめられ、しかもそれが府政の係官と数次にわたる折衝が続けられ、それらの状況をじつと見守つておつたのでありますが、議会における法制局においても、法制局がこれらの法律案についての組立てをいたし、しかもこれを各方面に折衝をしておる過程において、われわれはそれらのものが重要な法案である、社会党並びに民主党.国協党がかつて力を入れたこれらの法律案を廃止するということであるから、もし日本の経済界を正々堂々とわれわれと論ずるだけの雅量と自信があるならば、それらの法律案の提案にあたつては、事前にわれわれに内々でかような姑息な手段を弄さなくても、法制局に行けばこれらの法律案はいつでもわれわれが目に見ることができるというような、公明正大な処置がとられて、この法律案が本国会にかかつたものならば、われわれはかくのごとき質問はいたしません。しかしながら、この法律案はわれわれが法制局に行つて聞いても、これは神田君より絶対によそに見せてはいけないと深くとめられておるから、どうかかんべんを願いたいというような状態のもとにおいてできたこれらの法律案を、われわれが審議するにあたつて、その冒頭において何がゆえに炭管法を廃止しなければならないか。そのような日本の経済状態だということを、この法律案の理由の中にうたつてあるが、それらの経済状態についてはどういうふうな見解を持つているかということを、重ねて私は伺いたい次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/51
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052・神田博
○神田委員 ただいま今澄さんのお問いを承つておりますと、この法案を作成するに御相談がなかつた、なおまた秘密にこれをやつた、そこで不明朗なものがかもされておるということの前提のようでありますが、これは私が申し上げるまでもなく、今日のわが国の官庁が、われわれの考えだけでかようなことをやるということには相ならぬのでありまして、いろいろその筋と折衝する問題もありますので、未定稿なものを世に問うというようなことは、惑わすことにも相なろうかと考えます。そこで細心の注意を拂いまして、別に特に秘密にしたというわけではありませんが、われわれの力のみによつてこのものが通るとも、通らぬとも断定できないような環境下におきましては、やむを得ないことではないかと考えております。今日明るく出し得るような時期になりましたので出しておる、こういうことでありまして、決してその間不明朗なものではないというところを御了承願いたいと思います。
なおお尋ねの今日の経済界の状況を、どういうふうに見ておるかというようなことでございますが、これらの点につきまして、逐一お答えすることも、あるいは御要望に沿うことかとも考えておりますが、この法案の出し方、またこの法案の扱い方につきまして、前提がどうも納得なさつておられないようでありまして、それらのことが御納得が行かないようでありましては、お答えしてもなかなか御納得に相ならないのではないかというようなことで、先ほどもお答えいたしたのであります。私が先ほど来申し述べましたように、石炭国管が石炭の増産に必要だというので、この立法を見たのでありまして、今日の石炭が当時の状況と比べまして、需給状態がこれを廃止するに十分な状態に相なつておることは、私から申し上げるまでもなく、今澄議員は十分御了承だと思います。そこでそれらのことが十分御了承できれぱ、この法案の審議の材料といたしましては、十分だろうと考えておりますので、特にこの機会に私から今日の経済界がこうである、どうであるというようなことを申し上げる必要はないのではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/52
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053・今澄勇
○今澄委員 私は現下の経済界において、産業の最も重大な価格政策等は、すでに自由放任をするというけれども、片方では補給金の撒廃による原価の値上り、それに加える動力源としての電力の御承知のような値上り、それに地方税その他の問題で、かかる固定資産税、附加価値税その他の課税による原価の値上り、さらに石炭等についても、いわゆる高品位炭というようなものは、今日非常に値上りで、化学工業においてはこれらの石炭の値上りが非常に重大な脅威になつておる。このようなときに、これらの石炭は再統制をするか、あるいは石炭の不買同盟をやつてこれらの値を下げるか、海外から石炭の輸入をやつて値を下げるかというような産業界の問題となつておるというような、いろいろな経済界の実情について提出議員の代表としての神田君の説明を求め、これに対して私どもは詳細なるわれわれの分析と見解を申し述べるつもりでございましたが、なかなか御答弁がないようでございます。この法案が提出されるに至つた理由は、そのような政治的な問題でもなければ、そういつた不明朗なものでもないんだ。そういうふうな出発点であるから、経済情勢の説明ができないというようなお答えは、あまりにも幼稚千万であると思います。私はこの法律案が少くとも今日国会において当初から論議せられ、これらの法律案についての十分な審議をする期間が與えられておるならば、それは仰せの通りであると思います。しかしながら会期がいよいよ五月二日まで、まさにあと十日間ということになり、しかも法律案は電気事業、あるいは公益事業、あるいはこれらの炭管法等、重要法案の重なるところにこれが出て参つたということは、非常に国会の審議の上——にこれまで通産委員会はほとんど審議をするような法律案がなかつたのにもかかわらず、今日になつていきなりこんなによけい出して来たということについては、どうしてもそういうふうな意図があるものと思わざるを得ないのであります。しかもこれらのいわゆる政府官庁が出したいろいろの予算でも、あるいは今度通過した予算においても、いわゆる臨時石炭鉱業管理法案に基いたところの地方石炭局なり、あるいはその他の予算についての裏づけがない。これはどうしてもあわせて通さなけれぱならないような状態になつておる。それからいま一つは通産省の設置法の一部改正法律案ができて、この臨時石炭鉱業管理法を廃止することを前提として、石炭局なりその他の通産省の機構が、すでに前もつて予算をさわられておる。そのときにも私は内閣委員会において、臨時石炭鉱業管理法案を廃止することを前提として、政府はこのような通産省の設置法の一部をかえたのか、それとも今自由党で議論されておる廃止法案とは無閨係に通産省としてはこれをやつたかということを、宮幡政務次官に聞いたところが、宮幡君はこれは石炭鉱業の管理法を廃止することを前提として、われわれは二局を一局に改めたのだということを言われておるのであります。それらは速記録をごらんになればわかりますが、そのように少くとも政府と連繋をとつて、前々からこういうふうな過程で来ておるものが、突如として今日ここに出されて、われわれはまことに明朗な一つの法律案だというふうに解するわけには断じて参りません。それらのことから考えてみて、われわれは議員提出の法律案であるこの法案が、それらの提出者によつて不明朗なものがあるとは決して思いませんが、そういつたいきさつをここに明確にいたしただけでありまして、これは質疑でありますから、これに関する各自の判断は自由でしかるべきである。主観的判断が違うから答弁の必要がないということは、われわれ国会の議員の審議権を無視するものであると存じます。これは経済事情にかんがみてこれを廃止する必要があるという、その経済事情とはいかなるものであるかということを御答弁を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/53
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054・神田博
○神田委員 今澄君のただいまのお尋ねでございますが、なおお尋ねに関連いたしまして、私の真意がまず前提として御了承願えたというふうに拝聴いたしました。まことに欣快にたえないのであります。そこでただいま伺いますところによりますと、最近炭価が良質炭におきましては非常に高騰を続けておる、今日わが国の産業は石炭の高いところに、非常な復興の隘路があるというような御指摘でございました。私もまことに同感であります。ただ非常な値上りをしているということについては、必ずしもさようではないのではないか。良質炭においては私どもの官庁からいただいた材料によりましても、五%くらいしか上つておらない。もつとも一般のものが下つておる段階において、五%上るということはきわめて高い値上りである。こういう趣旨であるならば格別でありますが、炭価の値上りは低品位炭はむしろ二割、三割それより下つておる。良質炭は五%上つておるという、こういう状況と承知しております。この経済事情をいかように考えてこの法律を出したかということでございますが、私先ほどから申し上げておりますように、本法の目的はその立法の趣旨が石炭の増産であつた。その石炭の増産が今日の段階におきまして、一応目的を達成しておるではないか。そういう段階におきまして、この法律を廃止するということは、一方においては国費の負担の軽減になりまして、国民負担が軽減されて行く。また一面におきましては、企業の自主性というようなものが十分尊重されまして、さらに合理化が進められて行く。一石二鳥の効果をもたらすものである。こういうふうに申し上げておるのでありまして、漠然と今日の経済状態がどうであるか、説明しろ、こういうことでありますと、はなはだお尋ねも漠然たるようでありまして、なかなか御満足行くようなことを申し上げることも、またどういう意図であるか、はなはだわかりかねる次第でありまして、とにかくこの法律が制定された趣旨は一応終つておる。そこで今日さらりとこれを廃止するというようなことが、決してふしぎなことでもなければ、喜んで御賛成願えることではないか。かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/54
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055・今澄勇
○今澄委員 ただいまいろいろ、御懇切なる御答弁がございましたが、私どもはなかなか満足するわけに参らないのであります。そこで私は現下の経済事情にかんがみ、これを廃止する必要があると明確にうたわれておるから、その前提となつておるこれらの法文上の字句について、われわれが正確な御見解をひとつ承りたいと言うに至つたのは当然の結果でありまして、今の御説明ではまるつきり話になりませんが、これはまた留保いたしまして、他の同僚議員よりいろいろ審議の過程においてお尋ねするということにいたします。そこで私は今の臨時石炭鉱業管理法案は増産法である。そこでもはやその法律はないということになると、わが国において石炭を増産する必要はないのではないかという結論になつて参ると思いますが、提案者はわが国においては、石炭の増産をする必要はない。かように考えておられるかどうか。御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/55
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056・神田博
○神田委員 今日の段階におきまして石炭の増産をこの法律による必要はないのでありまして、石炭を増産する必要があるかないかということは、需要供給の関係にもよることでこざいまして、石炭の需要があれば石炭を増産し得る余地が十分ある。この提案理由にも述べておりますように、わが国の経済の安定確立につきまして、四千万トン掘るということについては、一応の目途も立つておる。そこで有効需要がふえて参りますならば、この法案がなくとも業者の自主性によつてそれを達成することができる。こういうふうに考えておるのでありまして、今日ただちに増産する必要があるかどうかということは、別問題ではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/56
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057・今澄勇
○今澄委員 石炭産業に関する国家の保護助成の意味において、臨時石炭鉱業管理法が果した使命は非常に重大である。さらに増産の上において、これが果した使命もまた重大であります。ことに労働者の保安あるいは危害、その他に対する一つの安全弁的な法律として、それが果した使命は非常に重大である。働く労働者の経営に関する自主的な協力を得る。この働く炭鉱労働者が、日本の石炭増産の達成の上に果した力も、また大きなものがございます。われわれはこういう意味において、これらの法律が過去において果したところの役割を考えますと、今日増産の必要がないからこれをやめるというような簡単な考えのもとに、これがもしつくられたものであるとすれば、これまた何をか言わんやであります。そこで私は政府委員に質問しますが、今四千二百万トンという数字がありましたが、 一体政府は本年度の石炭の生産目標を持つておられるかどうか。それから需要供給の建前から、日本の石炭は将来どういうふうになると政府委員は思うか。さらに低品位炭の向上と、優良高品位炭の稀少性について、将来どのような方策でこれを補おうとするか、これは政府委員からお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/57
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058・中島征帆
○中島政府委員 本年度の石炭の生産目標は、従来と違いまして、需給状況がきわめて緩和しておりますので、従来と同様の固さをもつて考えておるわけではございませんが、一応今日の需給状況からして、四千万トン程度を目標とすればいいのではないかということで、いろいろ施策を考えております。
それから将来の需給の見通しでございますが、日本の現在のごとき情勢のもとにおきまして、ここ一、二年のうちに一割、二割という増産をして、はたしてその生産された炭が順調にさばかれるかどうかという点につきましては、疑問がございますけれども、しかし日本の経済が健全なる発達をするためには、四千五百万トンくらいの炭がここに一、二年のうちにも必要だ、こういうふうに考えられます。ただしそれにはいろいろの条件がございまして、現在の情勢のもとに、それだけの増産をしました場合には、いろいろ問題も出て来ますので、本年度の生産目標は四千万トン程度で十分ではないか、こういうことであります。
なお低品位炭と高品位炭の問題でありますが、統制撤廃後、低品位炭はきわめて生産が制限されております。と申しますのは、低品位炭の品位向上をはかりました結果、この生産数量の内容の構成が、高品位炭に移りつつあるというのが現状でございます。従つて今後も自由競争の結果を見通しますと、逐次低品位炭は品質向上をいたしまして、価格から申しましても、品質から申しましても、最も使いやすい炭に、選炭その他の方法によつてかえて行くという方向になりつつございますが、また政府の施策としましても、そういうふうに生産がかわりますように、たとえば選炭機等のすえつけ等に対する金融方法を講じますとか、そういうような手段でもつて、逐次品質の向上をはかるというように持つて行かなければならぬと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/58
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059・今澄勇
○今澄委員 今神田君から、四千二百万トンという目標があるではないかというお話がありましたが、政府は大体四千万トン見当でいいという生産目標のようであります。そこで先ほど、同僚議員からいろいろ質問がありましたように、今日の中小炭鉱の非常な苦難と、これが崩壊の危機に直面しておるその原因は、政府がそういう石炭産業に関する保護であるとか、石炭産業に関する熱意を欠いて、これを自由販売制度のもとに放置して、しかもそれらの生産目標についても漠然たる目標を立て、しかも低品位炭についても、今御説明のごとき状態であるからして、これらの中小炭鉱が崩壌して行くのである。これに対する金融政策についても、これに対する保護助成政策についても、あるいは労務者の転換方策についても、あるいはまた炭住に住むこれらの労務者が、一般市中失業者としてほうり出された社会的な問題についても、何ら政府に熱意がないことは、このような臨時石炭鉱業管理法というような、国家がそのものに対する責任を負おうとする一つの法律を簡単に一擲し去ろうというようなところに、政府の性格の根本的な問題があるというふうに、われわれは断ぜざるを得ないのであります。そこで私は今いろいろ御説明になりましたが、今あなたが御説明になりました政府の数字の根拠となるべき基礎資料を——今の低品位炭の問題あるいは高カロリー炭の問題あるいは生産目標の今後の問題、日本における石炭需要の推移に関する見通しの問題、何がゆえに四千二百万トンを必要とするかという基礎的な日本産業の現下の問題についての資料を、今の御答弁に基いて私は要求いたします。これはこの次の委員会において私が質問する材料だから、この資料をひとつどうか委員長において御手配を願いたい。
それでは私は今いろいろと同僚議員の質問で、大体承つたのでありますが、配炭公団が廃止されて後の、いわゆる貯炭の推移、それから配炭公団廃止後崩壊に瀕しておる中小炭鉱に対する政府の転換というか合理化というか、それらのものに対する資金の融通並びに伝えられたいろいろの中小炭鉱に対する救済策がありましたが、その後杏としてそれらの問題はやみからやみに消えました。われわれがかつて委員会で聞いた中小炭鉱に対する十八億の融資であるとか、その他いろいろの問題が議論されましたが、それはその後一体どういうふうになつたか。配炭公団廃止後の石炭の価格の問題はどういうふうな推移をたどり、現在どういう状態にあるかということを、政府委員の方から詳しく御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/59
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060・中島征帆
○中島政府委員 配炭公団の貯炭の推移につきましては、三月末の推移は、先ほど申した通りでありますが、昨年の九月からの月別の数字は、いずれ資料として差上げたいと思つておりますが、概略申し上げますと、十一月ころまでは荷さばきはほとんどとるに足らぬ程度でありまして、実際の貯炭の荷さぱきは、十二月ころからぽつぽつ始まりまして、一月二月に比較的多量に入つた、こういうことになるのであります。
それから炭価につきましても、午前中に御要求がありまして、物価庁で詳細な資料を作製中でありますから、これは当局の方からの資料によつて御了承を願いたいと思います。
それから中小炭鉱に対する金融の問題につきましては、昨年公団統制撤廃当時から各種の案をもちまして、いろいろ協議また奔走したわけでございますが、お話の通りに今日まで政府の施策として大きな方法でもつて、この救済をはかるという措置は、具体的には実現しておりません。結局におきまして中小炭鉱を含む炭鉱金融の問題は、一般のコンマーシヤル・ベースで解決する以外には方法がないということになりまして、当局といたしましては個個の炭鉱別に各種の資料を集めてケース・バイ・ケースで、金融機関に対して金融をお願いしておる。こういうふうな状況であります。そのような方法で一応解決しておるところもございますが、なお問題は相当残つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/60
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061・今澄勇
○今澄委員 ただいまの政府委員の説明は、私はまことに当を得ておると思います。正直に申して、今日良心のある者が——中小炭鉱に対して配炭公団廃止後において公約した政府の政策あるいは政府に公約させることがまずい場合は、自由党の政調会の名において公約しておるものが数々あります。しかしながらそれらの政策が今日まで行われたということは、ただいま政府委員が言われた通り何一つありません。私は宮幡政務次官にお伺いしますが、先般配炭公団を廃止する際において問題が二つあつた。一つは貯炭の処理であり、一つは自由競争下における中小炭鉱をどのようにして救済するかという問題である。その問題についてはこのように考えておるというようないろいろな御答弁がありましたが、われわれはそのときに全国の中小炭鉱の諸君に、それらのことは政府のから念仏である。おそらくそういつた問題は、今日の客観情勢のもとにおいてはむずかしい。かるがゆえにわれわれは配炭公団を廃止することは断じて時期尚早であり、反対である。断じてわれわれは配炭公団を続けて、これらの問題の解決の目途がついた上で、政府はそのようなことを考えるべきであるということを申し上げましたところが、あなたは責任をもつて、それらの中小炭鉱については、あるいは見返り資金あるいは預金部の融資その他数々の條項を御答弁なさつたのでありますが、その後の中小炭鉱に関する政府の施策が進展しておらない理由と、それらの政府の施策が進展しておらないために、崩壊した、あるいは閉鎖したところの炭鉱の状能について、宮幡次官からひとつ、御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/61
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062・宮幡靖
○宮幡政府委員 中島局長から今澄さんのお話の仕方で申しますと、結論を申したわけでありまして、あるいは私がこまかい事務のことを存じておりませんので、お答えするのが適当かどうか存じませんが、お尋ねでありますから一応お答えいたします。これはしばしば今澄委員からごもつともなる御熱意ある御発言をいただいて、始終繰返して来たことでありますが、何分にも中小炭鉱の金融の問題につきましては、御指摘のような配炭公団を廃止するの可否を論じました当時、いろいろな構想を持つておりまして、関係方面と折衝を続けたのでありますが、残念ながらそれが許されなかつたわけであります。このことはよく御承知のことだと存じます。しかしこれがずんずん年末に差迫つて参りましたので、年末におきましては未拂金の整理のために、大体四億あるいはその他の資金、貯炭の倍加いたしましたものに対しては、その貯炭の量に対しまする一定金額を乗じましたもので約四億の金融をつける。こういうようなことで総額十一億六千万円の年末融資をいたしました。これも何もやつていないじやないかというような御意見のようでありますが、実は特別鉱害の調査団のお供をして参りましたその当時、福岡通産局へ私が寄つておりましたところが、出て参りました者が、年末の金融をしていただいてたいへんありがたかつた。あなたは借りられましたかというと、借りられました。それで今まで賃金の支拂いが停滞しておつたのが十一月分まではどうやら拂いました。ありがとうございましたというようなことのごあいさつをいただいた人が数人ありました。ところがそれと入れかわりにああいうことをやつていただいても、われわれのところにはびた一文貸してくれぬ、全然だめだ。お説のようにから念仏だという抗議を持つて来られた方も数名ございました。さような実情でありまして、財政資金と産業資金とを画然と区別いたします財政経済の建前が、昨年の四月以来進行して参りまして、金融はおおむねコンマーシヤル・ベース、かようなことになりますと、あつせんと費用の受入れ態勢とが合致したところでなければ、その目的を達成しておらないのであります。われわれが念願いたしました施策が、もし自由にやられたと仮定いたしますならば、それは相当に効果を上げたものと存じますが、さような実情でできなかつたことは、私からかようなまわりくどい話を申し上げなくても、今澄委員は十分御承知だと思います。従いまして中島局長のように結論的にはまことに乏しき施策であつたことは、肯定せざるを得ないわけであります。しかしながらそのほかについても、中小企業というものに対します金融については、爾来幾段階かの進展をいたしまして、最近では協調融資、信用保証制度の実現も近くなりました。見返り資金の問題は大炭鉱でありまして、これは大体予定の通り二十四年度分は行えたわけでありまして、近ごろでは中小炭鉱の特に小さなものについては、事業団体の結成等をあつせんいたしまして、商工申金を通じまして、個々の融贅をやつております。ところが中小炭鉱では一件三百万円限度でありますが、三百万円くらいの金なら借りても借りないでも同じだとおつしやられるのが、炭鉱業者の実情でありまして、そのわくの中からはずれて行くのであります。これはまことに困つたものでありまして、何とかいたしたいということで、いろいろ申し上げますと、また後刻今澄委員からしかられると困りますので、から念仏はこれ以上申し上げません。しかしながら、ぜひともこの実情を見送りまして、放任するという政府の考え方でないことを、特に御了解をいただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/62
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063・今澄勇
○今澄委員 大臣もお見えになりましたから、私のただいまの質問は留保して、鉱工品貿易公団の問題を承りますが、今の御答弁でも明らかなように、言葉というものは便利なものであつて、宮幡政務次官は非常に愉快に言われておるけれども、担当の政府委員は何一つ見るべきものはなかつたというふうにはつきり言つておる。私は今日今の政府のやつておる施策に対して、この席上で中小炭鉱のために、これこれをやつてもらいたいというような意見をいろいろ同僚議員から聞くけれども、そのように臨時石炭鉱業管理法案はどんどん廃止しようとするものの考え方では、中小炭鉱というものは永久に救われざる運命のもとにさらされておるということを強調して、私の本日の質問はこれでおいて、他は次会に留保いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/63
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064・澁谷雄太郎
○澁谷委員長代理 この際本案の質疑は暫時中止いたしまして、鉱工品貿易公団に関する件につきまして、通商産業大臣より報告を求めます。高瀬通商産業大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/64
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065・高瀬荘太郎
○高瀬国務大臣 御承知のように今回の鉱工品貿易公団公金消費事件というような不正な事件が超きましたことにつきましては、政府といたしましてもはなはだ遺憾に存じます。深く遺憾の意を表する次第であります。事件の内容につきましては、現在できるだけ急速にかつ詳細に調査を進めておる次第であります。また検察当局にもこれを持ち出しておりますので、検察当局としての取調べも進行をいたしておると考えておるのであります。従つて、近くその全貌につきまして、はつきりした御報告ができるかと思いますが、現在の段階では、まだその調査の途上にありますので、十分の御報告のできない状態にあるということを遺憾に思つております。しかし現在までのところ、判明いたしております事件の概要等につきまして、御説明をいたしたいと思いますが、それにつきましては担当の岡部局長から詳細御報告を申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/65
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066・岡部邦生
○岡部(邦)政府委員 事件の概要につぎまして御説明申し上げたいと存じます。現在までに判明いたしておりまするところは次の通りでございます。
昭和二十五年の一月中旬に鉱工品貿易公団の鉱山部の十二月末銀行預金の残高照合の際に、十二月中に入金済でありました百七十万円が未収金勘定に残つておりますことが発見せられまして、調査の結果次のように総額七千八百五十万円の公金費消事件を発見いたしました旨、本年の三月二十九日に同公団総裁より口頭をもつて通産省に報告がありましたので、通産当局といたしましては、右報告の遅延いたしましたこと、一月中旬に発見いたしましたものが、三月末に報告のありました点、及び検察当局に対します措置が末了でありますこと、及びこの善後処置に関しまして巌重戒告を加えますとともに、すみやかに書面をもって報告せられたい旨を伝達いたしたのでございます。ついで四月四日に同公団総裁より右に関します書面報告とともに、同公団の総裁、副総裁、鉱山部長及び経理部長の進退伺いが提出されたのでございますが、事件の全貌が明瞭に判明いたしましてから、その処置を講じることといたしまして、とりあえずただちに東京地方検察庁に連絡いたしまして、七日付をもつて通産省より東京地方検察庁に告発いたしまして、調査方を依頼したのでございます。
被害金額につきまして御説明いたします。現在までに判明いたしております被害金額は次の通りであります。一つは鉱産部経理課出納係早船惠吉、本年一月より行方不明で四月十九日逮捕されましたが、これの横領容疑金額は、石油、コークス代金外二十口、六千百九十五万九百十九円七十九銭。その次は元鉱産部経理課商品係川村哲の自供にかかる分、これは昨年七月退職いたし、現在は新日本海事興業株式会社取締役でございまして、四月十五日逮捕せられたのでありますが、これは昭和二十四年六月末産業復興公団へ支拂うべきスクラップ代金を約二箇月流用し、八月末早船と共謀し、右補充のため鉱産部の輸入物資拂下げ代金をさらに流用して、産業復興公団への支拂いを行った金額等三千七百九十一万四百十一円六十八銭。この二つの合計が九千九百八十六万一千三百三十一円四十七銭、右のうち現在までに回収いたしました金額が二千百二十九万五百四十三円一銭、差引現在までに判明しております被害金額は、七千八百五十七万七百八十八円四十六銭でございます。
事件の手ロを御説明いたしますと、早船、佐竹、川村等は、共諜の上、公団の物資拂下げ代金等を巧みに流用いたしまして、相手方商社に対しましては領収証書を偽造する等の方法によりまして、一時いわゆる浮貸しに利用して、鉱産部と経理部との間の未達勘定を計画的に作為いたしまして、きわめて巧妙に隠蔽いたしておつたもののごとくであります。
とりあえずの善後措置でございますが、鉱工品貿易公団といたしましては、右事件にかんがみ、かつ当省の勧告に基きまして、次の措置をとり、目下被害金額を精査いたしますとともに、債権の保全方につき鋭意努力中であります。 一つは、三月下旬より各業務部におきます代金受領を廃止いたしまして、公団本部経理部に統合いたしまして、各業務部門の職員の代金受領を禁止しました。二は公団本部経理部におきましても、原則として現金、小切手の受領を廃止いたしまして、公団の銀行口座入金通知をもつて相手方に代金受領書を発行することといたしました。それでもなお現金及び小切手を持つて参りますものにつきましては、銀行行員の派遺を求めまして、これに交付するということをいたさせております。その次は代金領収書の様式を改正いたしまして、右以外による領収書の無効の旨を関係商社に通告するとともに公示をいたしました。その次は関係商社、銀行等に対しまして、債権債務特に代金領収済み金額を照合中でございます。
なお本年四月以降におきましては、従来までの業務の整理に専念せしめることにいたしまして、本年度以降の政府輸出入は公団を関與せしめず、直接通産省においてその業務を実施することといたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/66
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067・澁谷雄太郎
○澁谷委員長代理 以上をもちまして高瀬通商産業大臣並びに岡部政府委員の報告は終りました。引続き本件に関する質疑をお許しいたします。小金義照君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/67
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068・小金義照
○小金委員 一億円前後の金が、きわめて簡単に消費されているという報告に接して、いまさら驚いていいのか悪いのかよくわかりまぜんが、まず驚くほかはないと思います。これは実は犯罪が起つてからいつも小言を言われまして、言い訳をされ、説明をされるのでありますが、大体公団方式というようなものを採用するときに重大なる欠陥を包蔵し、手抜かりがあつたのではないか、これをまずわれわれは反省しなければいかぬと思います。今後新しい制度を採用し、あるいはまた新しい機関を設けるにあたりましては、この点を十分考え、この災いを後の戒めとすることが、私は大事だと思うのであります。この意味におきまして、いささかただいまの報告に関連いたしまして御質問を申し上げます。第一に、一体公団を組織するときに、公団は純然たる官庁の仕事でもなく、民間がかつた自由活動と申しますか、そういう点を非常に取入れておるのと、これを動かすために民間人を採用する。しかもこれを官吏並の、あるいはほんとうの官吏としてこまかい俸給で縛つて、何ら官吏的訓練のない人に権限を與え、官吏の仕事をせしめることに、重大な欠陥があつたのではないかと思うのであります。この点について通産大臣のお答えをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/68
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069・高瀬荘太郎
○高瀬国務大臣 公団の組織、ことにそのその中での人事の問題について、非常に欠陥のあるような制度になつておつたのではないか、こういう御質問だと思います。公団の性質は今お話のありましたように、国家的な仕事を民間人の精神をもつてやつて、能率を上げて行こう。こういうところにあつたと思うのであります。従つてなるべく公団は民間人によつて構成すべきであるという方針でおつたおけであります。民間人が官庁的な仕事に今まで経験がないというようなところから、自然欠陥も起きやすいとは考えますけれども、民間人中特にそういう点で適任だと考えられます者を、相当慎重に考慮選考いたした上で、重要な地位の方々は採用されておると考えておるのでありまして、制度そのものの欠陥というよりは、やはり人事について十分慎重な選考という点が、欠けておつたというようなことがあるのではないかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/69
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070・小金義照
○小金委員 私はいかに人事に意を用いてりつぱな人を採用しても、役柄が役柄、組織が組織であるということは、非常に大事でありまして、公団方式というようなものは、使いようによればきわめて能率を発揮するのでありますが、今回のようなことが起る。また小さい事件としてはたくさん起つておるのではないか、こういうように考えます。たとえば民間会社であれば、株主も非常にやかましく言い、監査役も監査の目を光らして、いろいろな取締りをする。ところが監督者が役人である場合におきましては、一定の期限が来るまでは、監督の目を光らせて監査の実をあげるということはできない。その間に二月なり三月なり、この程度の金はちよつと融通して浮貸ししてもいいのではないかという気を起させる。ここにわたしはちようどねこにねずみや魚の番をさせておくような仕事になつて折るのではないかと思う。たとえぱどういうふうになつておるかわかりませんが、経理係あるいは出納係が二、三人共謀すれば、数千万円あるいは一億に近い金をごまかして、どうにも利用することができるというようなことが起つた。ここに私は魚やねずみをとることの達者なねこに、ねずみや魚の番をさしておいたというような結果になつて来ているのではないか。これらについて私は一体金を受入れする人だけで出すことが可能であるのか、あるいはまた偽造の受取りを入れておいて、それが数箇月間わからないで済ませ得たということについては、人が悪かつたということのほかに、制度あるいは運用自体において欠陥がなかつたか。この点を私は大臣または政府委員にお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/70
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071・高瀬荘太郎
○高瀬国務大臣 実際にこの鉱工品公団の今度起りました事件について調べてみた結果によりますと、確かに制度の運用上において非常な欠陥があつたと私は考えております。それは私どもの考えでも、金を受取る人を領収書を出す人とが同じであるというような場合には、どうしてもこういうような事件が起きやすいのであります。そういう点で、元来の規則ではそういうことができないようになつておると考えるのでありますが、それに違反したやり方をやつておるという点が認められるのであります。それからまた今局長の説明にありましたように、鉱産部と経理部との間の未達勘定を通しての不正であります。元来はそれはできないはずになつておるのであります。金はすべて経理部に持つて行くべきものであります。鉱産部が金を受取るべきものではない。初めはそういう組織になつておつたようであります。ところが実際やると鉱産部が各所にたくさんある。そこで金も一々各所の鉱産部で受取らないで経理部へ全部持つて行かなければならぬということが非常に不便だとか、やつかいだというような点から、だんだんに鉱産部がこれを受取つて、そうして経理部の方に持つて行くというふうにくずれて来ておるようであります。もしそういうことにならないで、金は必ず経理部に持つて行くということが実行されておつたならば、今度のような事件は起きなかつたと私は思つておるのであります。そういう点から見ますと、確かに人の問題だけでなく、そういう事務の手続の問題としても、今までやつておつた公団のやり方についてはこれを反省し、かえる必要がある。そういう意味で今局長から御説明いたしましたように、今後この種のことの起きないようないろいろな措置を講じたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/71
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072・小金義照
○小金委員 大臣も率直に欠陥のあるところをお認めになりまして、その欠陪が再ぴ生じないようた措置を、今とりつつあるというようなお話で、その点は了といたしますが、実はこれはいかに完全なものであり、またそういうことが再び起らぬように措置を講ずるにいたしましても、これはまた日がたつに従つてくずれれば元の木阿彌になる。そこで私はどうしても公団方式などというようなものはこれは過ちが起りやすい。ことにまた犯罪を防ぐためのいろいろのこまかい措置をやりますと、今度は公団としての能率のある働きができなくなる。これは痛し、かゆしになるおそれがあります。そういうようなことで、何かこの新しい組織に対しては経験がない初めてのことであるから、いろいろな不始末を生じがちでありましよう。しかし公団というものもいずれ廃止されるからということなのかしれませんが、存続する間はどうかひとつそういう過ちが起らないように——しかしまた公団というものはどうにも動きがとれないというような不便な機関になつても困ると思うのであります。むずかしいではありましようが、万全の措置をとつていただきたい。小さい事件でありましたが、ある地方の食糧事務所で、やはりこういうようなことが起りました。二十四、五歳の青年で前途有望な、しかもきわめてまじめなる青年が金をごまかした。その陰にはやはり婦人関係があつた。これは非常に大事な問題であつて、ほとんどアプレ・ゲールの若い人の途方もないことをするのには、そういうようにうしろのいろいろな関係が相当あります。これなどについても、身分不相応の車に乗つたり、婦人——と言つては語弊がありますが、そういう遊びをするという場合には、ほとんど例外なくただちに措置をとれば、こういうようなことがもつと被害が少くて済んだのじゃないかと、私は思うのであります。今後の監督については、私は人権の擁護と人間の平等ということと、職階制が混乱を来しておる、——平等というのは人間としての平等関係で、職務権限あるいは地位については決して平等ではないはずであります。これらの点について局長はどういうお考えを持つておられるか。一応の所見を伺わせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/72
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073・岡部邦生
○岡部(邦)政府委員 確かに今小金委員のおつしやいますように、そういう婦人関係等については、もう少し注意すればよかつたということは、現在公団の当事者から聞いておりますが、若千注意をして気がついたときには、すでに逃亡しておつたというようなことを聞いております。非常に遺憾に存じておりますが、できるだけ監視したいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/73
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074・小金義照
○小金委員 この問題はひとり通産省のみを責める問題ではなく、政府全体が、ことに経済安定本部等も、私は相当責任があるのではないかと思われます。そこで鉱工品貿易公団のみならず、いろいろな公団があります。また食糧公団であるとか、いろいろのものもあるので、内閣としては十分この点について御留意を願いまして、公団全体について、いわば公団白書というようなものでも作成されまして、国民を納得させて、そうしていずれこのしりぬぐいは国民の納めた税によつてなされるのではないかと私は考えますので、どうか大臣とせられましては、内閣において公団全体についての大掃除をした白書を、お示し願えればたいへん仕合せだと存じます。これだけ御注文申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/74
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075・高瀬荘太郎
○高瀬国務大臣 ただいまの小金委員の御注意を承りまして、私としても今後善処したいと思います。なお公団につきましては御承知のように、この鉱工品公団も近く廃止されるということになっております。その他の公団についても同じ事情にあるというようなことが、おのずから公団当局、公団の多くの職員の気持を弛緩せしめておるのではないか。どうせつぶれるのだ、やめるのだというような無責任な気持が、どうも起きやすいものだろうと思うのであります。その結果が自然多くの問題を起すということになるのではないかと思いますので、この点も今後十分に警告をいたしまして、問題のないようにして行きたい。そうして公団等にっいては経済調査庁が、相当の調査をしておるはずでありますから、その結果によりまして国民に納得の行くような方法をとりたいと私は思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/75
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076・小金義照
○小金委員 廃止される公団を前にして職員の気がすさみ、そのどさくさにアプレ・ゲールの訓練のない若い人たちが、よいかげんのことをする、これは実に恐るべきことであると同時に、まことにあわれむべき気の毒な状態であります。就職の先の見通しもなかなかできないので、すさぶのも一応もつとものように思われるのであります。罪をつくらないように仕向けるのが、内閣の政治の重要なことであるように考えますから、どうか重ね重ね御注意を願いまして、傷物、けが人を出さないように仕上げていただきたい。ことに問題が起つてから、そのけが人を世の中にさらし、そうして国民に不快なる思いと、負担をかけるということは、決していいことではない。大臣も十分その点は御了承のようでありますから、私は今の点を御注文申し上げまして、同僚議員の質問もあるようでありますから、一応私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/76
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077・澁谷雄太郎
○澁谷委員長代理 有田二郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/77
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078・有田二郎
○有田(二)委員 照田経理部長にお尋ねしたいのでありますが、照田経理部長はたしか大蔵省から通産省の方へ派遣された方と思います。照田経理部長も当面の責任者の一人でありますが、この事件に対してどういうようなお考えを持つておるか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/78
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079・照田弘久
○照田説明員 私昨年末大蔵省より通産省の通商振興局経理部長に派遣されまして、初めて貿易会計の経理を担当することに相なつたのであります。着任いたしまして、いろいろ研究して参りますと、まことに複雑な関係に相なつておりまして、これから改善の措置を講じたい、かように思つて鋭意努力をして参つておる最中に、このような事件の起きましたことは、まことに遺憾に存じておるような次第であります。先ほどから大臣、政府委員からお答えがありましたように、今後の経理の運営につきましては、万全を期して参りたいと考えておる次第でこざいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/79
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080・有田二郎
○有田(二)委員 目下調査中だからはつきりしたことは言えないかもしれませんが、とにかく少くも相当大きな金額になつているのですが、これはいつごろからこういう問題が起つたのか、以前の貿易庁時代からのずつと引続きのものであるか、つい最近のものであるのか。特に昨年の四月一日から貿易公団が二つの貿易公団に減らされて起つたものであるか、つい最近起つたものであるか伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/80
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081・岡部邦生
○岡部(邦)政府委員 ただいままでに、公団から報告が参つておりますところによりますれば、川村哲が鉱工品公団の拂うべき金を流用したのが、去年の六月三十日であります。それが最初でありまして、去年の十二月二十八日に早船が一括して六千万幾らという代金を横領したのが最後でございまして、その間約半年でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/81
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082・有田二郎
○有田(二)委員 それは百万円とか二百万円とかいう金なら別でありますが、少くもこれだけの大きな金額が現われて来るまでには、しかも大蔵省からわざわざ通産省へ照田経理部長というその方面の権威者が派遣されておるにもかかわらず、こういう事態になつたということについては、相当われわれとしては遺憾に思うこともちろんでありますが、どうも解せない点があるので、この点について照田経理部長の所感を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/82
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083・照田弘久
○照田説明員 お答え申し上げます。私着任しましてから鋭意公団関係の報告を聞き、また毎日の貿易会計の公団との受拂い状況を調べてみておりました。相当多量の物資を取扱わしており、また金額も厖大なものに相なつております。しかもまた他方において未収の金が相当にあるというようなことでありまして、第一にこの未収金を整理することはきわめて肝要であるわけであります。かように考えまして一月、二月、三月と、鋭意未収金整理のために、公団に対しても極力働きかけて参つて来たのでございまするが、その間におきまして、こういう事態が発見されて参りましたことは、まことに遺憾に思つておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/83
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084・有田二郎
○有田(二)委員 私も通産省の前の商工省に関係しておつたのでありますが、とにかく大蔵省からこういう専門の人が来ておられるから、金の面においては少くとも経理部長の方において、十分なる責任をとつておられるものであるとかような見解をとるものであります。こういう事態が起りましたのは、ただいま小金委員から安本の責任であるというようなお話がありましたが、さらに少くとも大蔵当局において、単に公団だけでなく、その他のあらゆる方面に対する一貫した経理上の監督あるいは指導というような点が十分でなかつたじやないか、こういうように考えられるのですが、さらに照田説明員の考えを承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/84
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085・照田弘久
○照田説明員 ただいまのお話ごもつともな点があるように考えるのでございまするが、公団法によりますると、公団は一つの独立の採算制を持ちました法人ということに相なつておりまして、貿易庁時代におきまして、一定の公団の経理関係の規定等を、当時の商工大臣の承認を得ましてこれに一任せられておる、こういうようなことに相なっておりまする関係上、私経理部長といたしましては、直接に公団の経理内容を徹底的に洗うというような権限も與えられておりませんし、貿易特別会計の運営という面におきまして、公団と資金の受拂いがある、かようなことに相なつておりましたので、また公団の経理自体を徹底的に調査をするにいたしましても、きわめて厖大な内容でありますので、とうてい若干の経理部員をもちましては、事実問題といたしましても、これまた困難な問題があるように見受けられまして、大蔵省の方に対しましても、これではいかがかと思うから、公団法なり公団の経理に対する根本的な対策も考慮していただきたいということを、たびたび申し上げておつたような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/85
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086・有田二郎
○有田(二)委員 よく事情はわかつたのでありますが、どうかひとつ大蔵省の方と十分御連絡をとつていただい亡、今小金委員からお話もありましたが、全体の面においてこういうようなことのないように、特にこういうような問題が起つて来たのは、やはり統制経済のしからしめるところであつて、統制経済をやつている限り、こういう問題は自然と起つて来るわけであります。しかも統制経済から自由経済へ移行されるという現段階におきましては、よけいそういううらみがあるのであります。ひとつ大蔵当局と十分御連絡をとつて再びこういうことのないように御注意が願いたいと思うのであります。私の質疑を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/86
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087・澁谷雄太郎
○澁谷委員長代理 次は加藤鐐造君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/87
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088・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 私の聞かんとする点は、すでに両君から御質問がありましたが、私はこの実に驚くぺき大問題を引起したところの原因というものを、つぶさに探究してみなければならないと思うわけであります。
終戦後の日本の経済の混乱から、いわゆる国をあげてのやみ経済という、そうした状態の中から、一般官庁あるいは公的機関における経理という問題が、非常にルーズになつて、その監督がはなはだ不十分であつたということは、言い得ると思うのであります。先ほど来お話がありました通り、公団の単なる一出納係が、一億になんなんとするところの大金をごまかすことができた、さらにそれが六箇月の長きにわたつて継続して行われておつたにもかかわらず、監督する立場にある人が、全然これを知ることができなかつたということは、まさに驚くぺき無責任なる監督者であると私は思うのであります。これは今大蔵省当局から、いろいろ法的に欠陥がある、またこうした厖大な品物を扱い金額を扱うものを、実際上に現在の機構では、経理の査察、監督は十分にし得るものではないというような御答弁がありましたが、しかしこれは驚くべき無責任な言葉であると思うのであります。先ほど来大臣からも、どうしてこうした一出納係が大金を動かすことができたか、またそれを早く発見することができなかつたかというような理由についてお話がございましたが、要するに、その言葉を信ずるならば、公団の機構の欠陥、それから経理の上における方法の欠陥、また監督者との間の関係が、はなはだ不十分である、こういう点に帰すると思うのであります。しかし私はこの際お伺いしたいのは、公団の不正事件というものは、昨年の夏ごろから特に次々と暴露しておるのであります。政府当局もそれを知つておられるはずである、また衆議院においても取上げられた問題がたくさんあるのであります。そうした事実が次々と現われておるにもかかわらず、政府はこの六箇月の長きにわたつて行われた犯罪を、どうして十分調査し、これを知ることができなかつたか。この点をひとつあらためて、大臣からお伺いしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/88
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089・高瀬荘太郎
○高瀬国務大臣 お話のありましたように、公団の問題については、かなり世間でいろいろとうわさをされておつた問題であります。そしてまた今までも幾つか事件も発見をされて問題になつておつたのでありますから、政府としてはこれを等閑に付しておったわけではありません。公団について、そういうことの起りやすい事情のあるということを考えまして、十分これを監督し、防止して行かなければらないということを考えて、各担当責任者に注意を與え、警告をしておつたのでありまして、各担当責任者も、むろんそのつもりでやつておつたはずでありますが、その監督の目が十分に届かなかつたのでありまして、その点ははなはだ遺憾だと思つております。○加藤(鐐)委員 従来問題が起るたびに、監督者の立場にある政府は、まことに遺憾であつたということを申されて、今後は気をつけ、十分監督もして、この責任を果すというようなことを言つておられますが、結局次から次へと事件はますます大きな問題になつて現われて来ておるのであります。そこで私は具体的な問題として、公団の経理とその監督者の立場にある通産省と大蔵省との関係をお伺いしたい。先ほど来の御答弁によりますと、いわゆる人事の任免は政府にあるが、経理の監督は十分し得る立場にないというようなお話でありましたが、そうすると経理の監査というものは、単に会計検査院のみであるかどうか。おそらく監督者の立場として毎月経理の報告を受けておられるのではないかと思いますが、この点はどういうふうになつておるか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/89
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090・照田弘久
○照田説明員 直接に公団の経理と申しますものは、公団内部の経理規程というものを設定いたしまして、貿易庁当時は商工大臣の承認を受けまして、公団が内部の経理をいたしておつた次第でございます。その他の事業計画、資金計画の認可とか決算の承認、こういう点については、最終的に経浩安定本部長官が責任を持つておられまして、その認可または承認を與えられます際には、大歳大臣、通産大臣に諮らなければならない、こういうことに相なつている次第でございます。私どもの通産省の通商振興局経理部といたしましては、公団の輸出入業務に附帯します業務として、代金の受け拂いをするということが入つて参つておりますので、お話の通り月末に報告を徴する、あるいはまた代金の納入等につきましては、毎日の代金納入書をもらいまして、政府の貿易特別会計に納入告知書を発行して収納している、こういうことに相なつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/90
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091・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 毎月それだけの報告を受けておられれば、その金額が大きいとか件数が多いから、十分の調査ができない、こういうことはあり得ないと思います。もしそれができないというならば、やはりそれだけの機関を充実すべきであると私は思うのですが、その点事実上できないと先ほどおつしやいましたが、私はそれは納得できません。もう一応その点、はたしてできないものかどうか、なぜできないかということを、具体的にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/91
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092・照田弘久
○照田説明員 きわめて多量の物費の代金でありますのと、公団自体が各業務部門がわかれておりまして、それぞれ一つの独立の会社のごとくに経理をいたしまして、公団の本部経理に月末に統合経理する、こういう仕組みに相なつておりまして、これは先ほど大臣からもお話がありましたように、当初のスタートの際におきまして、本部経理部に一本に統合すべき筋合いのものを、従来の四十三の輸出入組合等が統合せられまして、また事務所も方々に散在している、こういう関係から、本部経理部一本に経理を統合するということは、事実上不可能であるというのでスタートをしたようでございまして、その関係上、月末に公団本部の経理部にとりまとめまして、これをわれわれの方へ報告して来ることに相なつておるのでありまするが、そのほかに毎日の収入につきまして、政府の貿易特別会計に納入すべきものにつきましては、代金回収日報を握出させまして、それに対しまして、通産省の経理部としまして、納入告知書を発行して代金の収納をはかつておる、こういう実情に相なつておるのであります。実際問題といたしまして、きわめて多量の物資の代金でありまするのと、それを一々全契約と対照いたしまして処理するということは、とうてい通産省の経理部の事務といたしましては、不可能な状態に相なつておりますので、その点は公団の経理部を信用いたしまして、それに基いて収納して参つておったような次第であります。ただ今回の事件は、その公団の経理部にとりまとめます以前の、鉱産部の経理課におきまして、きわめて巧妙に領収書等を偽造する等の方法によつておりました関係上、発見することが困難であつた。こういうような状況に相なつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/92
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093・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 公団の経理方法が非常にルーズであり、また機構の上にも欠陥があつたという点は、すでに政府側から御答弁になりましたが、先ほども申し上げた通り、昨年以来大きな不正事件が次から次へ現われておる際に、そうした欠陥を十分に検討しないで、ただ公団の経理を信用した、人を信用したということでは、責任ある政府の答弁としては納得できないのであります。しかし同じことを繰返してもしかたがありませんから、この問題はまた後ほど他の機会にお伺いすることといたしまして、次にお伺いしたいことは、いわゆる鉱産部と経理部との事務が明確にわかれておらない。この点に不十分な点があつたというお話でありましたが、領収書は一体だれが出すのか。ただ一出納係りがかつてに出すことができるのか、その点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/93
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094・照田弘久
○照田説明員 その点は、公団の鉱産部の経理課長が委任されて、責任をもつて出す仕組みに相なつておりましたが、それを公団内部の経理規定に違反して行つておつたもののようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/94
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095・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 公団の拂下げ代金の未収入金額は現在どれだけになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/95
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096・照田弘久
○照田説明員 鉱工品公団におきまして、三月末現在におきまして、総額九十二億三千一百万円に相なつております。そのうち配炭公団の石炭代金が五十二億九千五百万円、油糧公団の大豆などの概算代金が十六億九千六百万円と相なつております。この油糧公団の大豆の代金は、四月になりまして価格が決定次第入る、こういうことに相なつております。配炭公団の石炭代につきましては、御存じのように、配炭公団が目下清算中でございますので、清算によりましてこの代金が入つて来る。こういうことに相なります。この二つの大口を除きますると、残額が二十二億三千九百万円ということに相なつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/96
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097・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 そうした厖大な未収入代金というものは、相当長期にわたつておるのではないかと思うのですが、そうした厖大な金額の未収入代金があるということについて、疑問を持つてそれを調査せられなかつたかどうか、その点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/97
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098・照田弘久
○照田説明員 お話の通り、私着任いたしましてから御意見の通りに感じまして、この未収入金をいかにして回収するかということを、公団側に対しましても厳重に督促をいたしますとともに、私どもみずからもいろいろ検討して参りまして、あるいは次官会議の決定により、強力にこの未収金を取上げ、あるいはまた省議の決定によりまして、悪質な未納者に対しては法令の措置をとり、荷渡しの停止をする。その他訴訟の手続きをとらせる、こういうことをやりました。なお二月、三月におきましては、この未収金を極力整理させるように、月別に目標額を公団に設定させまして、総裁以下各役員が一体になりまして、極力回収に努力する。こういう方向に向けて参つたのでございます。なお三月になりましてから、滞貨融資によりまして、相当の未収金が回収にも相なつておるような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/98
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099・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 今までの話を聞いておりますると、どうも私ども納得できません。はなはだ失礼なことを申すようでありますが、一体こうした問題を監督者の立場において知らなかつたということについては、われわれは大きな疑問を持たなければならぬ。極端に申し上げまするならば、一体監督官庁側の直接担当する立場の人との間に一切関係がなかったかどうか。この事件について何らかの関連がなかつたかどうかというごとについて、私どもは疑問を持つ。たとえば先ほどどなたか答弁になりました金の受取り等の方法についても、現金及び小切手で受取ることが許されておつたというようなことは、大きな金額を預る場所であるだけに、私たちは非常な疑問を持つ。この事件が起つて初めて当座入金通知をもつて領収書を交付するようにしたということをおつしやいますが、それは当然最初からそういう方法をもつて、監督者の立場として十分指示しておかなければならなかつた問題である。そうしなければ幾ら人を信用してみても、今日のような時代においてはごまかすことが幾らでもできる。善良な人といえどもやはり悪心を起すことになる。そういうような重大な問題が、きわめてルーズになつておつたということは、極端に申しまするならば、監督官庁との間に一脈の了解があつたのではないかとすら言い得るのであります。その点について政府当局としてはどういうお考えを持つておるか伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/99
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100・高瀬荘太郎
○高瀬国務大臣 今度の不正事件と直接何らかの関係を監督官庁である通産省の役人が持つておるのではないか、こういうような疑問についての御質問だと思いますが、私が今まで調べましたところでは、そういう事実がないと信じております。しかしながら検察当局でこれを取上げ調査をいたしておりますので、この調査の進行に応じまして、もしそういう事実が発見されたといたしますならば、もちろん法に基いて厳重なる処置をすべきである。また公団役員にしましても、現在明らかにされております人たち以外に、もし直接この事件に関係を持つ者があるならば、むろん刑法上の問題として、嚴重な処置を講ずべきだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/100
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101・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 最後にお伺いしたいことは、岡部振興局長は新聞の報ずるところによりますと、新聞記者に対して監督者としての道義的な責任は感ずるが、法律的な責任は一切ないということを語つておられるようでありますが、事実その通りのことをおつしやつたかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/101
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102・岡部邦生
○岡部(邦)政府委員 私は直接の監督者といたしまして、現在の段階におきましては、道義的の責任は十分感じるということを申しました。法律的の責任を感じないということ、その点は言うておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/102
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103・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 現在の段階においてという前提があれば、これ以上追究はすべきでないと思いますが、現在までの事件の報道せられた内容、あるいは今御答弁せられた範囲におきましても、法律的な責任があるのではないかと私は思うのであります。しかし事件はなお十分調査されておりませんので、この点は今日ここで追究いたしませんが、しかし私はただ一つお伺いしたいことは、道義的な責任といえども、責任は負わなければならないということであります。その点十分責任を負う心構えでおられるかどうかということをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/103
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104・高瀬荘太郎
○高瀬国務大臣 岡部局長はこれにつきまして非常に道義的な責任、行政上の監督者としての責任に、ついて深く感じておられます。私に対して文書をもつて進退伺いを提出しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/104
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105・加藤鐐造
○加藤(鐐)委員 質問はこれにて打切りまするが、ただ私は今までの政府当局の御答弁では、はなはだ事件の内容を知る点において不十分であると思いますので、私はこの事件についてはさらに公団の直接の責任者であるところの公団総裁、その他のこの事件について直接の関係のある、特に監督上の責任の地位にある人を、本委員会において招致して、本件の真相を十分調査したいという私の希望を述べて質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/105
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106・澁谷雄太郎
○澁谷委員長代理 次は風早君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/106
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107・風早八十二
○風早委員 本件につきましては、私は遅まきなであるけれども、政府当局は徹底的にこの問題の糾明をやるというような言明をしておられるようでありまして、この点はわれわれも非常に同感であります。特に高瀬通産大臣が新しく新任せられまして、これはおそらく何らこういう問題についての腐れ縁はない方であろうと確信するのでありまして、この意味でもこの撒底的な糾明ということに対しては、監督当局の最高責任者の一人として、きわめて適任者であると考えて、大いに期待しておるところであります。そういう立場からひとつ大臣に若干の質問をいたしたいと思うのであります。まず第一にこの事件というものは、昨年六月にさかのぼるわけでありますが、すでに 一月の初旬に組合の中闘の手でもつて摘発せられておるのであります。ところが公団当局はこれを摘発した中闘委員の二十名のうち十二名に対して不当な馘首をいたしまして、事件をもみ消そうとしておるのであります。しかしながらこの不正事実というものは、少くも昨年の六月にさかのぼるということは、すでに明らかになっておる通りでございます。どうしてもこれを隠しきるということはできないということになりますと、二、三の経理課員——大体今検挙せられておる人たちでありますが、この経理課員に因果を含めて退職をさした。これは相当の退職金をもらつたそうです。きわめて円満な退職。退職をさせまして、これで事件の発展をくいとめようとしたのであります。しかしながら組合側はそれから着々材料を収集いたしまして、大体の点を明らかにしております。そこで三月二十八日になりまして、これは機関紙を通じて発表しております。これによつて公団当局は非常に周章狼狽いたしまして、遂に四月十一日の全国指名手配になつたわけであります。私は第一に監督の責任のある通産大臣——安本長官はおられませんが、安本長官にもお聞きしたいわけであります。この事件の発覚は一月初旬である。全国指名の手配というものはそれから遅れること三箇月、組合によつて事件の全貌が発表せられました三月二十八日を起点にいたしましても、二週間もあとであります。この間において政府当局はこういう不正事件に処して、いかなる措置をとつて来られたか。この点をまずお伺いしたいわけであります。摘発者を馘首する。ひたすら事件を隠蔽する努力以外にはたして何をされたか。この点をまずお伺いしたいわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/107
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108・宮幡靖
○宮幡政府委員 ただいまのお話でありますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/108
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109・風早八十二
○風早委員 これは特に大臣にお尋ねしたいわけでありますから、そのつもりでお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/109
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110・高瀬荘太郎
○高瀬国務大臣 御承知のように、私は数日前突然通産大臣兼任を命ぜられたのでありまして、一月当時については全然知らないわけであります。従いまして当時すでに政務次官であられました宮幡政務次官の方が事情を知つておられるところから、かわりに答弁を願うことにいたしたのであります。従いまして詳しいことについて私よりは政務次官、局長から御答弁をすることをお許し願いたいのであります。私はただこの数日来いろいろと質問し、調査をいたしておるのでありますが、その範囲におきましては、今のお話の中に出ましたような事実について、そう詳しく通産当局は知つておつたというふうには感じないのでありますが、これらの点は政務次官及び局長から実際の事実をお答えするということにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/110
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111・宮幡靖
○宮幡政府委員 それではお答え申し上げまするが、公団に対しまする人事権と申しますか、役員の任命解任権はもちろん通産大臣の権限であります。それ以下の公団の職員に対しますところの人事権は、総裁にあるのでありまして、総裁の馘首権限は定員等の関係においては、適当な指示をいたしてありますが、個々の問題について十二人の者を摘発をしたがゆえに馘首されたかどうか、一向にさようなことは存じておりません。特に鉱工品貿易公団の労働組合は、当時種々な意見を私のところにお持ちになりまして、詳細な意見を聞いておりまして、さような事情は当時の委員と申しますか、委員長から私は承つたことがありませんので、どうぞ御了解願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/111
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112・風早八十二
○風早委員 今お答えの点でありますが、つまり私が特に不当馘首と申しましたのは、この馘首が明らかに不正の摘発をやつたというところに起因しておる。これはもちろん名目は公務員法その他の規定によりまして行われておると思います。しかしながら実際はそうであるということは私もまたいくらも証人を出して組合側からこれを証明させることができるのでありまして、宮幡政務次官はそうお聞きになつたと言われますが、私は全然私がさつき出した質問のような趣旨で聞いておるわけでありまして、この点は今特別に表わさないことにいたします。そこで今お尋ねいたしました大きな点は、馘首と不正摘発との関係ということと、もう一つすでに昨年の六月からの事件であり、その間にいろいろ内々——先ほど経理部長でありますか、比較的新しく任官せられた人たちが入つて来てどうも非常に複雑だ、非常な微妙な言葉で表現せられておりますが、結局これはたいへんだということを感じておられた。それ以後にその問題の糾明に対して、どういうふうな努力をされたか、また一月にすでに組合側からはこの不正問題は摘発せられております。それ以後におきましても一向にこれに対しては、何らの手が打たれておらないというふうに外には見えるわけでありますが、何をその間にされておつたか。全国指命手配は四月十一日でありまして、あまりにその間時がかせがれ過ぎているように思う。その結果実際につかまつたときにはみんな口が合つておる。非常によく口が合つておる。そういうふうないろいろな疑問の節もたくさんあるのでありまして、私どもは犯罪事実のいろいろな相互関連ということを、今問題にしておるのではないのでありますが、一体通産当局、安本当局としてどういう措置を監督官庁として講じておられたかということをお尋ねしておるわけであります。これは宮幡政務次官にどうぞ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/112
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113・宮幡靖
○宮幡政府委員 ごもつともなお尋ねだと存じます。実は大臣から冒頭において申し上げましたように、この事件は東京地検の手でいろいろと捜査及び調査中であります。かような関係で、内容につきましては公団総裁から報告があつた限度において申し上げたような状況であります。それ以上、この事件の全貌をはつきりさせるために、あらゆる手段を講じまして、毎日地検とも連絡をとつておりますので、徹底的に糾明いたしたい。これは先刻私大蔵委員会に呼ばれまして、共産党の竹村委員からもお尋ねがありました。そのときもはつきり速記録へ残して参りました。断然これははつきりするように進めて参りたい、かような趣旨でありますので、この機会にはあまりどういう監督をやつて来たかというようなことについてぱ、申し上げたくないのでありますが、それがためにかえつて誤解を招く点もあろうかと思いますので、物の管理と違いますから、あるいは言葉が不適当になるかもしれませんが、いわゆる通産省の監督というものは、総裁が存在いたします以上、善良なる管理者の注意を怠らなかつたという点において、一応責任の限界点があろうと考えておるものであります。私が昨年の六月通産省へ参りました当時、ただいま照田経理部長が申しましたように、どうも公団の行き方について、はなはだ納得の行かない様子があるというので、某事件につきまして私は徹底的に調査を総裁と副総裁と総務部長に命じました。その事件は横浜の支所に起りました事件でありまするが、最初は、俗な言葉で申しますと、新米の政務次官あたりが何がわかるということで、これは総裁、副総裁ばかりではなく、公団の労働組合までが私の態度に対しても批判的な目でながめておつた。その取調べ方もはなはだ手ぬるくありまして、私の納得の行かないところでありました。現に厳命を下しまして、これらの事件の全貌を洗つてみましたところが、はたせるかな輪入関税を利用いたしまして、横浜におきまする沖仲仕と結託をいたします浮貸しといわれるものの、ある種の全貌がわかつて参りました。これは幸いにいたしまして当時手配が早かつた関係で、すべての金を回収いたしまして実害ない結果になりました。しかしそれに関連いたしました有力なる一員、かつて公団に籍を置きました一員は、後におきまして間もなく、約一箇月後であつたと思いますが自決いたしました。自殺いたしましてこの事件に対する全部の責任を負つて、この終末をつげておるわけであります。その報告書はただいま私の手元に持つております。この件につきましては総裁、副総裁、総務部長を呼びまして、かような事実があるではないか、こういうことでは公団というものの経理がいかにも稀薄になる、運営が稀薄になる。かようなことでは困るから、断然注意をしてやつてもらいたいと申しました。特に会計組織、経理組織の上におきまする内部牽制組織というものがほとんど働いておらない、これは片山内閣当時つくりました経理規定でありまするが、これは決して私の目から見れば完全なものではありまぜん。しかしながらそれでさえもやつておればまだしもでありますが、むしろ悪いことをする機会を與えるような状況になつております。かようなことで国民にかわつてやる仕事がどうして円満に、また欠陥なく行くか、さようなことはわれわれには考えられない。また常任監事もあるので事故検査もやつたがよかろう。ところが当時は非常に公団の縮小整理をやつております関係上、労働組合の攻勢が激しくて、総裁はしばしば総裁室に軟禁されたというような当時でありましたので、総裁もはなはだおびえておる態度でありました。しかしこれは敢然として行うべきことを命じました。ことに一定の俸給をもらつておる人間が、二十数歳と思われる人間が、ダイヤモンドの指輪をはめておつたり、自動車を乗りまわしておつたりする現実を何と見る。これらは一々その人間の人権を侵さない程度におきましては、十分これらの理由をたしかめて、あやまちのないように事前に手配するのが総裁、副総裁の役目であることを嚴重に申し渡してありまして、それらの記録もございます。かような注意を行つて、しかもなおかつ総裁の直接の監督権の粗漏から、かようなことを繰返したものでありまして、われわれはこれを責任逃れの弁として申し上げるのではありません。事実といたしまして通産省は善良なる管理者の注意を怠らなかつたという点だけは御了承いただきたい。しかし事件につきまして直接総裁なり副総裁なりあるいはここにおりますが、岡部振興局長なり、本省の関係等に、それぞれの関係があるとしますれば、それはそのときにおきまして適当の措置を断固とることは、大臣から申し上げましたような趣旨でありまして、この点も決して秘中にいたしたり、隠蔽いたしたりするようなことは、毛頭いたさない方針で進んでおりますので、何とぞ事件の全貌のはつきりいたしますまで、諸種の事情は——これには一面には某銀行等も参加しておる、外部の会社等も関係しておるようなことも、うすうすわかるのであります。これらをここで今ぶちまけて申すことがよいか悪いかは、風早委員にもよくわかるのでありますから、最終結論の出ますまで、それらの点につきましての御質問は、きわめて不満足な回答しかできないわけでありますから、御了承をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/113
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114・風早八十二
○風早委員 今の宮幡政務次官の御答弁のうち、特にはなはだふに落ちない根本点は、これは今司直の手にかかつておるから、今までの監督状況を逐次報告するわけには行かない、こういうようなお話であります。監督状況の報告というものは、これは当然に国会に対してなさるべき義務があるものでございます。監督官庁としてそれは当然義務があるものでありまして、このことと、司直の手に、かかつており、目下捜査あるいは審理中であるというようなこととは、これは別問題であります。われわれがこの犯罪の内容に立ち入るという問題ではない。その監督の実情について、どういう努力をされたかという点を伺つておるわけでありまして、その点、今の御答えでは今捜査中ということで、あだかも逃げ込まれるような感を與えられることは、はなはだ遺憾だと考えます。さて今出ました総裁の問題でありますが、この総裁が組合員におびえておるというようなお話もありましたが、われわれも総裁に会つておりますが、あの総裁は、組合員におびえるような総裁ではありません。これは宮幡次官もたびたび会つたことと思いますから、むしろよく御承知だと思いますが、実に傲慢無礼な、あのくらい人を食つた人物は、私どもめつたに会つたことはありません。けさの新聞にずい分にぎやかに出ておりますが、昨日なんかも組合員が正当な組合の代表として団体交渉を申し入れに来ても、全然そつぽを向いて、絶対にこれに応じない。窓の方に向きまして、その背中に向つて団体交渉をやつておる。そうして団体交渉者が抗議文を出しますと、その抗議文をいきなり四階か、五階の窓から外に捨ててしまう。そういつたような、実に乱暴きわまる総裁であります。これは全然組合というものを認めておらないような、そういう態度をとつておる。こういう総裁が組合員におびえておるというようなことは考えられない。そのことをとやかく申す必要もありませんが、問題はそうでなくして、むしろ組合の、特に中央闘争委員会では、熱心にこの問題について糾明し、それを、総裁のところに持つて行つているわけです。そういう人たちをしりぞけて、そうして一部の、みずからもくさいところがあるために、事柄を隠蔽したり、またそのためにはおどかしをかけるといつたような人たちに、おびえておるのかもしれませんが、実際はそういう人たちを擁護しておる。そうしてこれを正しく追究して行こうとする組合員に対しては、少くともその結果におきましては、これはどういう理由をつけられたか、理由は別についておりますけれども、馘首せられておる。こういつたことがあるのでありまして、私は、監督者としても、あの総裁が実際公団の運営に対して、人事関係から言えば、おそらく安本の総務局長の責任だと思いますが、むろんそういうようなただ法律上の責任はとにかくといたしまして、通産省としても、実際ああいう総裁を置いておいて、組合員にほんとうに自発的に、十分に働かせるということは、これははなはだ困難である。そこからいろいろな問題が起きて来る。不正はこれを隠蔽し、それを摘発する者はこれをしりぞけるということでは、実際に通産省が不正の十分な追究に努力をされるという建前である限りは、これは捨てておかれない総裁であると考える。そういう点から見て、私は今までの政務次官の御答弁でははなはだ納得が行かないのであります。ただここでお尋ねしておきたいのは、この問題の検挙の仕方、その他を全体として見まして、これが非常に中途半端なところで食いとめられておるという事実がわかるのであります。大体課長以下で、食いとめられておる。特に羽鳥という、これは経理課長でありますが、この人のところで大体食いとめられておる。一切合財この羽鳥課長の手になすりつけられておるといつたような、これは捜査方針というよりも、そういう検察方針であるかのごとくに見える。そういうところが、私どもは非常に納得が行かないのであります。これはその背後に樋口次長という人物がおりまして、むしろ組合員の中では、この樋口こそがこの事件の元凶の一人であるということを、これは非常に多くの人から聞いておるのであります。こういつたような点から見まして、この事件の持つて行かれ方が、非常に不徹底であるように考えるのであります。これは検察当局のことであるというふうにただ言つてしまわれないで、やはり通産当局としても、そういう不徹底なところにとどめても、それは組合員のたくさんの目が光つておりますから、結局は出て来るわけであります。そのときになつてまた出て参りましたというのでは、これは実際の監督の任務を果していないということなのであります。そういう意味で、一つ徹底的に追究していただきたい。私は参考のために申し上げておきますが、今新聞紙上でにぎわしく出ております事件は、決して早船といつたような若い人の問題じやない。あの人とそれからその細君とのそういつたような逃避行——こういうふうなことが非常にはなぱなしく出ておりますが、実際そんな問題ではない。これはなかなか根が深いのでありまして、一例をあげましたならば、現在樋口次長、それから三木副総裁、仙波総務部長並びに吉田物資処理部長——これは前の総務部長であつたと思いますが、これはある意味で総裁よりも先輩でありまして、総裁のような顔をしておる人であります。この四人が、今千代田倉庫というようなものを、実際創設しつつあるわけであります。そういつたような事実も、すでに組合員の側からは明らかにせられております。それはむろん一方的な調査でありますから、これがただちに私はその通りだということを断言する考えは何ら持っておりません。しかしそういつたようなことも出ておるわけでありますが、倉庫の問題については、かねがね寄託価格というものを非常にふくらましまして、倉庫業者に不当なもうけをさせる。そうして結局倉庫業者から金品を収賄するといつたような、倉庫業者との結託で、相当大きな仕事ができておる。現にそういつたような具体的な事実も上つておるわけでありまして、これは東都製鋼会社、ここにマグネシア・クリンカー五十トンといつたようなものを、そこの倉庫に一応預けたということにしてありまして、それが去年のキテイ台風で流されてしまつたという報告が出ておりますが、公団の係員が実際にその倉庫に行つてみると、その倉庫はとうてい五十トンのマグネシア・クリンカーを入れる余地がないところである。どうも変だというので、実際調べたところが、ほかの倉庫にちやんとある。それはこの会社ではない。そういつたような非常な不正なこともあるのでありまして、これはすでに明らかにせられて、未然にその損害は防止せられたわけでありますが、そういつたようなこともそこに出ておる。これは非常に危険な問題であります。その倉庫は一体、公団の最高の役員が、自分の直接名義にならないにしても、そういうものをつくるということは、これははなはだ問題である。第一違法であります。そういうふうな点について、もう少し徹底的な調査をぜひお願いしたい。私どもはそう考えるわけであります。そういう点で、通産大臣の御所見を承つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/114
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115・宮幡靖
○宮幡政府委員 大臣からの御所見は、あとで申すようにお願いいたします。風早さんの今日の御質問は、慎重にかまえてのお尋ねで、その点につきましては、私は何も申し上げられませんが、通産省として申し上げ得ることは、善良の管理者の注意を怠らなかったということを申すのであります。十二名が馘首せられたということは、問題は先ほど申し上げましたように、人事権は総裁にある。もしそれが不当でありましたならば、人事院規則で、ひとつ訴願の手続でもおとりくださつたら、一層明らかになるのではないか。かように考えております。事件の全貌を明らかにするための追究の手はゆるめるな、これは大蔵委員会でも表明しましたが、その点は進んでやつております。なお事件の進み方があの程度で押えられておる感じがする。これは見方によつてそう見えるかもしれません。しかし通産省といたしましてはあらゆる機関を動員しまして、知り得ましたる証拠等につきましては、毎日極秘裡に地検の方へ連絡をいたしまして、この事件が途中で妙な形にならないように努力をいたしております。それはどんなふうな形でやつておるかということは、私の言いまわし方が悪くて、責任回避論に使つたというようなお言葉もありましたが、そうでなくして、そういうことに進めて行くために、いろいろな証拠隠滅等も起らぬように、通産省としてやつていますことは、きわめて秘密裡にやつていますが、これは最後の最後まで徹底して国民の前に全貌を明らかにして、謝罪すべきは謝罪し、処分すべきは処分するという方向に進みたいのでありますから、その点はぜひ御了承いただきたいのであります。
特に組合員の関係につきまして、組合は、こうおつしやつたが、これは一方的なことであるから、必ずしもそれを信ずるものではないという入念な御質問でありますので、そのお言葉に対して私が反撃的な意味で申すのではありませんが、労組に参加しておる方だけが、全部正しいのであつて、しからざる職員が全部不正だとは、私どもは考えられないのであります。一例を申しますと、ある品物が在庫しておる。その品物の売買について、これは不正も何も伴わない。おれがほしい、われがほしいというトラブルが起きましたときに、その品物を調べてみましたところ、意外にもその品物は、その担当者が神戸におきまして、出先において、これこそ課長でもなければ、係長でもない者が、特定の業者に値段もきめて売り渡してしまつて、在庫しておらなかつた。かような事実に対しまして、その行き方が非常に間違いであることを糾明いたしましたところ、反対に労組の何かの機関紙をもちまして、宮幡政務次官というやつは悪いことをしているやつだというような意味のことを書きまして、かえつて逆襲されたような事例もあります。従いまして労組は私のところへ始終仲よくてやつて来るのでありますが、この一方的判断によつてのみは私は困難だと思う。かような事例をあげて参りますと、非常に心配しておりましたので監督上の立場から、各方面の情報を入れまして、それぞれ担当の局長なり、部長なり、課長なりも注意を怠らなかつたわけでありますので、いろいろ題材はありますが、この事件を決して途中でしまつてしまうような隠蔽主義等は絶対とりません。しばらく猶予を與えてこの事件の成行きをひとつ御監視いただきたいと思います。
なお大臣からは所見の点をひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/115
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116・高瀬荘太郎
○高瀬国務大臣 いろいろお話がありましたが、むろんこれは徹底的に糾明しなくてはならないと私も考えております。しかし御承知のように、検察当局でありませんと、十分徹底した調査のできない部分が非常に多いのであります。通産省自体として調べ得る限度というものはやはりきまつております。そうしてことに重大な点になりますと、やはり検察当局の手を通さなければ、明らかにされ得ないものでありますから、私どもが検察当局を信頼いたしまして、検察当局にあくまでも厳正なる立場でもつて十分糾明をしてもらいたい、こういうつもりでおります。その結果によりまして、もし万一風早委員のおつしやるような事実が明らかにされるということがあれば、むろん断然たる処置がとられるものと考えております。今後の問題もありますし、また現在もし発見されないいろいろの不正の事実というようなことがあつてはならないのでありますから、通産省といたしましては、今度の問題を契機として、この点を一層厳重にやつて行きたいという考えで、通産省関係の三公団につきまして、さつそく不正行為防止についての考査委員会をつくろうということで、今案をつくつております。そうして今までやれなかつたような経理の調査もいたしたい。そうして業務の運営に関する改善もやつて行きたいということで、計画を今つくりまして、ここ二、三日のうちに出発いたしまして、できるだけのことをいたしたい、こういうつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/116
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117・風早八十二
○風早委員 人事権、人事の問題は、もちろん人事院に最終的にあるわけでありますが、やはり事はこの公団という大事な機構の運営に直接関係する人事問題でありますから、人事問題については、やはり特別な注意を絶えず公団に対して通産省としても與えてしかるべきでないかと思うのであります。ところが実際今回問題になりました人たちの中には、公団の職員としてその資格は最初から問題であつたんじやないかと考えられる人たちが相当多い。たとえば川村哲君、有川君、こういう人たちは、むろんこれは私の申す部類に入るわけであります。さらに村上秀次郎君、これなんかはたれが見ても、これは単なる満洲くずれのルンペンと言われておる。どうしてああいう人が入つて来るかといつて、みんな非常に困り、また不審に思つておるといつたような、そういう人を川村君の手でまたやすやすと経理課員という重要な部署につけておる。これらが今度問題を起しておる。川村君のごときは新聞でも日本の哲といつて満洲、上海を渡り歩いた相当の者であります。年齢は若いとしたところで相当なものでありまして、こういうのがあの中で跋扈しておるというような状態、そういうことになりますと、ただ人事々々といつても、これは人事院だというわけにいかない。もちろん人事院に対して、われわれは一応質問しなければならぬわけでありますが、今日おいでになつておる通産当局に対しても、こういうでたらめな人事に対しては、やはり責任を相当感じてもらいたいのであります。これからも人事については、一体をういう措置をとられるか、たとえば川村哲君は、それから今度一番問題になつております早船君なんか、これは現在は丸ビルの五百四号でありますか、国際鉄工株式会社といわれております、元は新日本海事興業だと思いますが、これは結局暴力団の組織であるとさへ言われておるわけであります。そういうことがはたして事実であるのかどうか。とにかくこういうことがすでに問題になつておる以上は、これらについても十分なる関心を持つていただきたい。そこに川村君なりあるいは早船君なりは、やはり前に属しておつた。そういうふうな関係が結局早船君の自供が新聞に出ておりますように、暴力団からの一つの脅迫におびえて逃げまわつたというようなことも出ておるわけだ。暴力団というようなものが、内部におきましてもそういういろいろな問題を起しておる。もう今さらこれはいかに不正に巻き込まれても暴露するわけにも行かない、みずからそこから抜け出るわけにも行かない。そういう非常に奇々怪々な問題が、この奥にひそんでおるということ、これはなかなか簡単な問題でありません。さらにもう一つ満洲くずれでありますが、福田利明君、この人はもつぱら警視庁の某高官と非常に密接な関係があると言われておる人物であります。そうなりますと今回の検挙、検拳のやり方そういうこと全体を通じまして、非常な疑惑を社会においても起すわけであります。これで一旦もう羽鳥課長くらいのところで問題が閉じられるということになれば大変なことだ。そういう点を十分に考慮いたしながら、通産省としては一体公団のこういう人事に対しては、どういう見解をとつておられるか。これはもう人事院だからわれわれの方には関係ない、ただ仕事の上で問題が起つて来れば、そこで初めて乗り出すのだ。こういうふうなきわめて管轄的なお考えでありますか、その点参考のために、ぜひ御所見を伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/117
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118・高瀬荘太郎
○高瀬国務大臣 御承知のように、公団人事につきましては、総裁、副総裁、理事等につきましては、通産省が関係を持つわけでありますが、下級の職員につきましては、公団自体の幹部において処理されるということになっておるのであります。実際にこれを実施した場合に、公団の下部職員に、はなはだ不適当な人間が出るというようなことがもしあるとすれば、これはやはり公団幹部の責任であると、私は考えておるのでありまして、たくさんある公団下級職員全部まで、通産省、あるいは通産大臣の監督のもとにすべての人事をやるということはできないことでありますし、また人事管理上はなはだ非能率なことじやないか、従つて総裁、副総裁、理事の責任においてやるのが適当である。それらの幹部諸君の手腕、識見、人格等の問題になると私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/118
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119・風早八十二
○風早委員 さらに今回の事件は、大体浮貸し関係で特に表面に出ておりますけれども、これは浮貸し関係の問題だけじやないのでありまして、先ほど倉庫の問題を申し上げましたが、さらに保険会社との関係で、保険料の割もどしという過程で、幾多の不正が行われておるということは、、特に鉱工品公団、貿易公団、繊維公団、産業復興公団についても同様であります。これらは今までしばしば指摘せられておるところであります。この際私は通産当局が、このいわゆる保険会社に対する代理店、いわゆる保険ボスといつてもいと思うのでありますが、こういう代理店として、協盛商事、あるいは三協実業、こういうようなものがあるということ、そういうものが一体どういうことをしておるかというようなことについて、認識しておられるかどうか、この点参考のためにお尋ねしておきたい。協盛商事は、大体井野碩哉、あるいは重政誠之、これはもとの農林次官であります。三協実業は、岸信介、こういう人が牛耳つておるのでありまして、これらのいわゆる保険代理店、こういうものが非常な大きな不正を実際に働くわけであります。公団の物資に対して保険をつけることは、通産省として当然の措置として、やらされておるのでありまして、当然でありますが、この保険料に対して割もどしをするということは、法律上は禁止せられておる。それを一割の割もどしをやらしておる。そういつたようなこと自身が、すでに問題であると思うのでありますが、その割もどしは、かりに繊維だけをとりましても、保険料四億といたしまして、その一〇%として四千万円というものが浮いて来るわけであります。こういうふうな問題は、大体公団の運営からいつても非常な不経済なものじやないか、実際保険会社との直取引というようなことが、すでに一方では叫ばれておるわけでありますが、そういう点なんかについても関連して、これらの中間にそういう代理店が存在してやつておることについて、どういう認識を持つておられるかお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/119
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120・宮幡靖
○宮幡政府委員 ただいまお話の保険会社の代理店のことでありますが、その会社の内容は何をしておるか深く知つておりません。この問題は大蔵委員会で竹村委員から、大体六億で、その一割としても六千万円の金が入っておるじやないか、これをどう見ておるか、こういうことでありましたが、その六千万円の割もどしでありますか、何でありますかは、これの使い道によつてその判断ができます。それをとつてよいかどうかということについても、いろいろな判断ができると思います。しかしながら根本は、もしそういうところに不正があるとするならば、今度臨時通商業務局にすべての公団事務を引継ぐことになつておりますので、保険制度も切りかえたいと思いまして、自家保険の方法も検討してみたのであります。しかしながら保険というものは危険の分散が必要であり、保険給付の確実であるということが保障されなければならぬのでありますので、自家保険がよいか、今の制度がよいか、いろいろ考慮せられますが、保険制度であります以上、これはやはり一般の保険会社を利用するのが正しい。しかしその保険料が意外に高率であつて、そうしてそこに割もどし等の不正ができる機会を與えておるといたしますれば、これはまた大いに是正しなければなりません。従いまして臨時通商業務局としての保険料は、従来一円三十五銭くらいのものであつたと覚えておりますが、それを交渉の結果今回は大体八十五銭の線に値下げをいたしまして、自家保険制度でなく、保険会社を利用する方に行きたいという方向に、ただいま進んでおるわけであります。もしこれを一円三十五銭から八十五銭に値下げされれば、おそらく割もどし等の不正は相当是正される、あるいは根絶されるのではなかろうか、結局は保険料の値下げに重点を置きまして、保険の目的を達成した方がよろしい、さような方針でただいま考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/120
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121・風早八十二
○風早委員 今回の問題で明らかになつております横領の金額は、大体七千数百万円に上つておりますが、そういうものの使途は一体どこに流れて行つたか、これについてはどういうお調べでありますか、これをひとつ伺いたい。この点を明らかにしてもらわないと、どんな疑問でも出て参ります。すでに暴力団の組織というようなものにもつながつておるという疑惑があるわけでありまして、そういう疑惑はまだ解消しておらない。また政治資金になるんじやないか、時節柄でありますから、人の目は光っております。そういう疑惑に対しても、これを明らかにすることはきわめて必要である。でありますから七千数百万円に上ると言われておるこの金は、どこに流れて行つたかということについて、お調べを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/121
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122・宮幡靖
○宮幡政府委員 それはせつかく調べておりますが、やはりこれは検察庁の調べが徹底して参らなければはつきりせぬわけでありまして、中には他人の名義で預けられました預金等が存在いたしておりますが、その他人名義の人も、またこのうちから引出してみたり、現に残高がなくなつてみたり、その金はおれの預金だと主張するような向きもありまして、なかなか容易にわからぬのでありますが、お説の通りこの問題を究明しなかつたら、この事件の全貌はわからぬのであります。しばもく時期をかしていただきまして、検察庁の御調査も進み、われわれの方といたしましても全力をあげまして、その点を明らかにして参るように、検察当局の捜査に協力いたす、かような態勢をとっておりますが、ただいまの七千万円のうち、それがどうなつておるという説明はできる段階になつておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/122
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123・風早八十二
○風早委員 最後に一点だけお尋ねいたします。これは特に通産大臣に伺いたいと思います。それは今回の直接の責任者でありますところの藤澤総裁、その他いろいろあるでありましようが、とにかこの総裁の責任であります。これを政府当局としてはどうとらせるつもりであるか。先ほど大臣のお話の中にも、この人事関係では、直接の責任は総裁にあると言われましたが、これは明らかなことであります。さらにその運営上、すでにこれだけの大事件を引き起して、これについて、実は藤澤総裁自身は、新聞でも、その他いろいろな対談でも、平気で言っておるわけでありますが、進退伺いを出した。しかしこれはただ単なる慣例として出したのであつて、決して自分がやめるというわけじやないのだ。こういうふうなことを放言しておるような状態であります。こういつたきわめて不都合なる総裁に対して、実際断固たる責任をとらせる必要があると思うのであります。そういう点については、通産当局としては、どういうお考えであるか、これをはつきり大臣に伺つておきたいと思います。またこの点こそわれわれが新しい高瀬通産大臣に期待する一つの点ではなかろうかと考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/123
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124・高瀬荘太郎
○高瀬国務大臣 総裁がどういうことを発言されましたか、それは私は知りません。ですからそれとは別個の問題といたしまして、総裁、副総裁が私のところに来て、非常に申訳がないと、深く遺憾の意を表されまして、文書をもつて進退伺いを提出されておるのであります。従つて私は総裁、副総裁みずから良心をもつて、責任を感じておられるのだろうと考えております。ただこれに対して、いかなる処置を講ずるかという問題は、先ほどからたびたびお答えいたしましたように、やはり十分に真相を究明いたしまして、事実を正確につかんでから決心すべきものと考えておるのであります。非常に重大ですから、憤重に処置すべき問題と考えております。私は何ら責任を回避させようとか、隠蔽させようという考えは持つておりません。実際正確な事実に基いて、処置をつけたい、こういう考えでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/124
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125・風早八十二
○風早委員 もう時間も大分経過いたしましたから、私はきようこれで打切りますが、大体今表面に一応出ておりますところは、氷山の一角でありまして、実際には非常に深い根があるということが、われわれとしても十分推測がつくわけでありますから、さらに徹底して、これは通産当局なり、あるいは安本当局なり、また人事院なり、検察当局なり、そういう各方面に対しても、いろいろ質問をしてみたいわけでありますが、今日のところは、一応これで打切りたいと思います。今だんだんと公団をつぶして行く過渡期でもあり、いろいろ問題はあり得るわけです。先ほどからも出ておりますが、これは公団自身の機構上からも、一部は来るかもしれませんが、主としてこれらの人事なり、運営の仕方、これに輿えられる根本的な方針から、いろいろこういう問題が来ているわけであります。これは今の保険の制度の問題なり、倉庫の問題なり、あらゆる点がすべて不正に結びつきやすいようにできているわけであります。そういう点で、ひとつ今後とも通産当局としては十分なる監督の責任をとつていただきたい。
最後に、大臣から言われました藤澤総裁に対する問題で、正確な事実に即してということは、もとより当然でありますが、ただいつまで待つたらほんとうに正確な事実が出るのか、それは判決確定を待って始めて出ることでありましようが、そういうなまぬるい問題ではないと思います。問題がすでに明らかになり、政治的な大きな影響を與えていることに対して、どういう断を下されるかということは、吉田内閣の政策、方針の一端を現わされるものであると、われわれは確信をいたします。そういう意味で、高瀬大臣の決意をお願いしたいわけであります。
きようはこれで私の質問は打切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/125
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126・伊藤憲一
○伊藤(憲)委員 先ほど福田委員から、本日は十二時までやつてよろしいという発言があつたのでありますが、大分時間も遅くなりましたし、先ほど同僚加藤委員からも希望がありましたように、ただいままでの審議を伺つておりますと、どうしてもこれは藤澤総裁並びに三木副総裁、それから仙波総務部長、吉田物資処理部長を本委員会に呼んで、お伺いしたいとも私は考えるのであります。従つて、この公団の幹部諸君を呼んで、この問題にって今後とも審査を進められることを確認していただければ、私は発言を留保いたしまして、本日はこれで打切りたいと思います。その点委員長において適当にはからつていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/126
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127・澁谷雄太郎
○澁谷委員長代理 先刻加藤委員よりもご希望がありました鉱工品公団の総裁その他の直接監督上の責任者に出席を求めまして、本件につきまして、委員長において、適当の機会に説明員として出席を求めることにいたします。本件につきましては、なお調査を続行することといたします。
本日は時間も大分経過いたしましたので、この程度にとどめて散会いたします。次会は明二十二日午前十時より開会いたします。
午後五時三十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100704793X03319500421/127
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