1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十五年二月十七日(金曜日)
午後三時十七分開会
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本日の会議に付した事件
○教育職員免許法の一部を改正する法
律案(内閣提出)
○教育職員免許法施行法の一部を改正
する法律案(内閣提出)
○公立大学に置かれた文部事務官等の
身分上の措置に関する法律案(内閣
提出)
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001・田中耕太郎
○委員長(田中耕太郎君) それでは只今から委員会を開きます。
議題の第一の教育職員免許法の一部を改正する法律案、尚これに関連しておりますから、次の議題の教育職員免許法施行法の一部を改正する法律案、この二つを一緒に議題といたしますことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715115X00519500217/1
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002・田中耕太郎
○委員長(田中耕太郎君) それでは先ず政府当局の提案理由の説明を求めます。文部政務次官平島良一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715115X00519500217/2
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003・平島良一
○政府委員(平島良一君) 只今議題となりました教育職員免許法及び同法施行法の一部を改正する両法律案につきまして、一括して提案理由を申し述べます。
昨年五月制定され九月一日より施行に至りました教育職員免許法は、教育職員の資質の保持と向上を図る目的を以て、新学制に即応し、幼稚園から高等学校に至るまでのすべての学校の校長、教員並びに教育委員会の教育長及び指導主事について画期的な免許制度を確立したものであります。
又同法施行法は、旧令による教員免許状を有する者等に対して新免許状を授與するなど当面の切換措置を規定したものであります。これらの法律により、各都道府県において着々新らしい免許状が交付され、又上級免許状を授與するための現職教育が活発に行われ、教育界に清新の気のみなぎりつつありますのは誠に御同慶に堪えないところであります。
ところで新免許制度及び切換措置は、教育職員の現在の身分に密接に関連しておりますので、両法の施行後各方面から種々の検討を求められ、また改正の要望もございました。政府といたしましては実施後間もないことでもあり、尚時日をおいて研究いたすつもりでありましたが、この際最小限度において不明瞭な点を明確にし、相互の不均衡をできるだけ少くすることは、教育職員の利益を擁護し地位を安定するため急を要するものと認めましたので、ここに教育職員免許法及び同施行法の一部を改正する法律案を提出することにいたしました。
これら法律案の内容の詳細については、政府委員より説明いたしますが、その大綱について簡單に申し述べます。
第一に、教育職員免許法施行法第一條及び第二條の改正であります。この二ケ條の規定は、旧令による教員免許状所有者又は旧制学校の卒業者等に対して、おのおの相当の新免許状を有するものとみなし、又は授與することができるものと定めた切換措置でありますが、各方面の要望により、相互の不均衡を是正するためその一部に改正を加えたのであります。
次に教育職員免許法施行法第七條の規定の有効期間を明確にしたことであります。施行法第七條の規定は、施行法第一條又は第二條の規定により新免許状を有するものとみなされ又はその授與を受けた者が上級の免許状を得ようとする際、現職者については免許法による原則を緩和して従来の経験年数を計算に入れ、より容易に上級の免許状が得られるよう措置したものであります。ところでこの施行法第七條の規定は、現職者についてできるだけ早く上級の免許状を得させるための特例でありますので、これは早晩廃止すべきものであります。施行法制定の際には諸般の事情を考慮して適当な時期にこの廃止措置を講ずるつもりでありました。併し教員養成の機関となるべき新制大学も幸い昨年度より発足し、昭和二十八年には新卒業生が出ることとなりましたので、これらの事情を考慮して施行法第七條の規定を昭和二十八年三月三十一日まで有効であることを明確にしました。この措置によつて本規定の適用を受けようとする者が容易にその目標を定め得るよう措置したのであります。こうしてこの施行法第七條の有効期間が制限されますと、この第七條の適用を受ける者と、受けることができなくなり免許法の本則によつてのみ上級の免許状を得られる者との間に不均衡が生じて参ります。この不均衡を少くするため教育職員免許法の一部を改正し、同法第六條第二項別表第四の特例を設けたのが第三点であります。
以上が教育職員免許法及び同法施行法の一部を改正する法律案の提案理由及び内容の大綱であります。何とぞ愼重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715115X00519500217/3
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004・田中耕太郎
○委員長(田中耕太郎君) 次に両法案の細目の説明を政府委員よりお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715115X00519500217/4
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005・剱木亨弘
○政府委員(剱木亨弘君) 教育職員免許法と、それから教育職員免許法施行法の件につきまして、只今改正の提案理由の説明がございましたが、それに少しく補足いたしまして私から各條文につきまして、御説明申上げたいと思います。
先ず教育職員免許法の一部改正でございますが、改正の第一点は、第三條の第三項の改正でございます。第三條第三項は盲学校、ろう学校及び養護学校の教員が各相当学校の普通の学校の教員免許状と、それからろう学校、盲学校、特殊学校の免許状と二枚の免許状が要るということになつている規定でございますが、そのうちで盲学校、例えば盲学校の高等部の特殊教科、即ち医療あんま、マツサージ、はり、灸だとか音楽、それからろう学校の高等部の理髪とか美容といつたようなものを担任いたしますのにつきまして、尚これらの人には普通の例えば高等学校なり、中学校の免許状を持たせるということは無理でございますので、この規定でそれを必要としないということに規定したわけでございます。
それからその次は附則を加えたのでありますが、先ず附則に第六項を設けたのでございます。又提案理由のところで説明いたしましたように、施行法の一部改正によりまして、施行法第七條の規定が昭和二十八年三月末日以後効力がなくなるので同年の四月一日以降はすべて免許法の第六條の、別表第四以下によつて上級の免許状を受けることになるのであります。ところが別表第四以下において上級の免許状を得るために必要な在職年数はそれぞれの免許状を得たあとにおけるもののみを計算することになつているのでございます。これで施行法第一條又は第二條によつて新免状に切換えられた旧令による教員免許状の所有者は、旧制の学校卒業者にこれを適用する場合には、施行法第七條の適用を受ける者と、同條の適用を受けることができずに別表第四のみによる者との間に均衡を図ることが必要でございますので、別表第四第三欄に掲げる在職年数を施行法第一條又は第二條の上欄の資格を得たときに遡つて計算できるように改正したものでございます。ちよつと面倒でございますが、新らしい免許状を得てから年限を計算いたしますのを、その免許状を得る資格がある前に遡つて在職年数を加算するというので、その加算の方法を有利にいたしたのでございます。
その次は第七項を加えたのでございますが、これはやはり前項と同じ趣旨に基く特例でございまして、別表第四は新制大学の教育を受けました者を基礎として定めたものでございます。従つて旧制度から切換えた者に適用する場合には、これとバランスを図るために、原則としてこの五年と、四五單位ということにいたしたのでございます。この項の適用を受けますのは、旧制專門学校の卒業者で中等教員の免許状を有する者及び試験検定又は経歴検定で中等教員の免許状を受けた者等でございまして、高等師範、修業年限四年以上の專門学校、それから旧制の大学等の卒業者の場合は、その次にあります第八項の五号、第六号の規定によるのでございます。第八項を新設したのでございますが、この項も施行法の規定によつて、旧制度から切換えたものに別表第四を適用する場合に、相互間並びに新制度とのバランスを図るための特例でございます。
尚別表第四の改正をいたしているのでございますが、幼稚園、小学校、中学校とのバランスを図るために、第四欄に規定する單位数一〇を一五に改めようとするのでございます。
別表第六を改正しておりますが、仮免許状の項の第二欄は、これは中の「第五十一條又は」は別表第三の規定と重複するのでこれを削除しようとしているのでございます。
別表第六の備考の改正は養護教諭の供給を容易にするために新制高等学校、旧制高等学校を卒業していない者も、これは現に養護教諭として現職にある者をできるだけ継続して行くことができるような機会を與えるために、この旧制の保健婦でありますとか、看護婦の免許を有する者は本法の規定によつて上級免状を受けることができるようにしようとするための改正でございます。大体免許法の改正は施行法の七條の規定の年限をこう限定いたしましたので、それによつて起りますいろいろな不均衡を是正するというために免許法の改正をいたしたのでございます。
それから教育職員免許法施行法の一部を改正する法律案でございますが、これは先ず第二條第一項の表の大体の改正が第一点でございます。でこれはこの第三号を改正しておりますが、三号の中に従来旧制度によりまする実業補習学校教員養成所令におきまする実業補習学校教員養成所が拔けておつたのでございまして、今回それを加えたのでございます。それから第七号でございますが、第七号は第三号及び第八号の改正に伴いまして、不用になりました青年師範及び青年学校教員養成所を上欄から削除したのでございます。それから第八号は、相互のバランスをとるために上欄に青年師範学校、青年学校教員養成所それから実業補習学校教員養成所を挿入いたしました。尚この第十三号及び第十四号の、十三号は学位を持つておるものでございますが、第十四号は官立学校、高專の卒業者をこれを削除したのでございます。でこれは他の部分との重複を避けてここで削除いたしました。それから第十五号の二を新たに附加えましたが、これは旧制の高等学校の教員の無試験検定指定学校、旧制大学でございますが、それの将来の卒業者に対して従来の卒業者と同じ新免許状を受け得る機会を與えるために新設したのでございます。それから第二十四号の二を新設したのでございますが、これは第一條第一項の表の第二号、国民学校の專科、第七号の旧制中学及び女学校実業学校の教員、第八号の旧制高等学校の教員、女子高等学校、專科の教員、及びこの表の第二号の青年師範卒業者、第三号の旧制青年学校の教員、実業補習学校の職員でございますが、これらの該当者で現に幼稚園の教員の職にある者に対しまして、幼稚園教員仮免許状を受け得るようにいたしたのでございます。以上の者は現在幼稚園教員としての実際の準備教育は十分とは言えないのでございますが、これらの現職者が非常に多いのでありまして、これらの者を救う意味におきましてこの教員、幼稚園の現職者といたしまして、これらの教員の資格を與える必要があるわけでございます。
それから第二十四号の三でございますが、前号該当者で三年以上幼稚園教員の経験を有する者に幼稚園教員の二級普通免許状を受け得る機会を與えたのであります。
第八條の改正は、第八條の改正前の規定によりますと、昭和二十六年四月一日以降は校長はすべて免許法による校長免許状を有する者でなければならないということになりまして、即ち一級免許状を必要とすることにいたしたのでございます。併しこれはその一級免許状をその期間の間で取ることは非常に困難でございますので、昭和三十年三月末日まで学校教育法施行規則の旧規定による校長資格を有する者を校長にしていいということになりまして、この校長の一級免許状を取る期間を延長いたしたのでございます。
尚附則第五項を新設いたしましたのは、施行法第七條は免許法第六條第二項、別表第四以下の経過的特例でありましたので、これは先程提案理由のところで述べましたように、この昭和二十八年三月には新制大学が完成いたしまして、そして新らしい卒業生が出るときでありますから、この機会にこの特例を廃止いたしまして免許法の本則によつて以後上級免許状を受け得るようにしようとするものでございます。尚非常に複雑でございますので、詳細に亘りましては御質疑に上りまして御説明いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715115X00519500217/5
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006・田中耕太郎
○委員長(田中耕太郎君) ちよつとお諮り申上げます。今日の議題の中にあります公立大学に置かれた文部事務官等の身分上の措置に関する法律案提案理由の説明を簡單なものでありますから、伺つたらどうかと思いますが……。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715115X00519500217/6
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007・田中耕太郎
○委員長(田中耕太郎君) それでは公立大学に置かれた文部事務官等の身分上の措置に関する法律案を議題といたします。政府当局の提案理由の説明を伺います。平島政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715115X00519500217/7
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008・平島良一
○政府委員(平島良一君) 只今議題になりました公立大学に置かれた文部事務官等の身分の措置に関する法律案の提案理由及びその骨子とするところを御説明申上げます。
公立の大学高等專門学校に勤務する事務職員、技術職員は現在官吏でありますが、これは当然地方公共団体の職員に切換えるべきものであり、この法律は、その切換えを行うためのものであります。すでに公立大学の教員及び高等学校以下の公立学校の職員の身分の切換えは終つておりますが、公立大学の事務職員及び技術職員のみは切換えが残つていたのでありまして、この法律により公立学校の職員の切換えを完了したいと思うのであります。
内容について御説明申上げますと、第一項には現在公立の大学高等專門学校に勤務する文部事務官、文部技官は、この法律により、その学校を設置する地方公共団体の職員に任命替えされることを規定し、第二項にはこれらの職員のうち休職、停職、減給中の者については、それらの措置を新らしい任命権者たる地方公共団体の長の行為とみなすということを規定し、第三項には、切換えられた職員が、公立学校の事務職員又は技術職員である限りは恩給を継続させるということを規定してあります。尚附則において従来の身分の根拠であつた「公立学校職員等臨時設置制」を廃止しようとするものであります。
以上簡單に御説明申上げましたが、よろしく御審議をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715115X00519500217/8
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009・田中耕太郎
○委員長(田中耕太郎君) 條文につきまして、政府委員の説明を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715115X00519500217/9
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010・剱木亨弘
○政府委員(剱木亨弘君) 法律が非常に簡單でございますので、ただ條文に亘ります前に、一言何故この法律の必要があるかということにつきまして、ちよつと御説明申上げます。
大体公立学校の教職員は当初から待遇官吏として取扱われて来たのでございますが、終戰後待遇官吏の制度が廃止になりまして、純然たる官吏となつたのでございます。併しながら地方分権の確立という面から見まして、これは当然に地方公共団体の職員であるべきものでございまして、昭和二十二年地方自治法の制定の際、この精神は明示されたのでございますが、暫定措置として当分の間官吏として身分の取扱いも従前の例によることとしておつたのであります。法的に申しますと、身分を切換えましたのは、事務職員につきましては、高等学校以下についてのみ昭和二十三年教育委員会法制定の際に切換えました。教員につきましては昭和二十四年教育公務員特例法制定の際に切換えたのでございますが、大学の事務職員につきましては以上のどちらにも含めるということが非常に困難な面がございましたので、この事務職員及び技術職員だけが切換えができていなかつたのでございます。これを今回切換えるということになつたのでございます。それから條文につきましては提案理由で御説明申上げました通りでございまして、重複に亘ると思いますので一応これで説明を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715115X00519500217/10
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011・田中耕太郎
○委員長(田中耕太郎君) 以上提案の理由、並びに細目の説明のありました三法案につきまして今日質疑に入りますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715115X00519500217/11
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012・藤田芳雄
○藤田芳雄君 三法案の説明だけを聞いて、質問は次回にしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715115X00519500217/12
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013・左藤義詮
○左藤義詮君 藤田さんの御意見ですが、ちよつと現職教育のことで免許法にも関係しておりますから、この機会に少し質問したいと思いますが、よろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715115X00519500217/13
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014・田中耕太郎
○委員長(田中耕太郎君) よろしうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715115X00519500217/14
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015・左藤義詮
○左藤義詮君 免許法の施行でいろいろ現職教育について実施されているのでありますが、この現職教育講座の経費は、これを実施する国立大学の費用であつて、これに出席をする教員の旅費、日当その他の費用は含められてないようでございますが、如何でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715115X00519500217/15
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016・剱木亨弘
○政府委員(剱木亨弘君) 予算的措置といたしましては、御質問の通りやはり講座の開設の方の経費になりまして、受ける方の経費は計上しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715115X00519500217/16
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017・左藤義詮
○左藤義詮君 この教員の研修を委員会にやらせる。その府県の委員会に対しては予算的措置がないために非常な困難な実情、たださえ財政権を持たない教育委員会でこれをやることに非常な困難を来たしておる実情があると思うのですが、これに対して当局の一つ御所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715115X00519500217/17
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018・剱木亨弘
○政府委員(剱木亨弘君) 私共もでき得るならば相当の経費を計上したいと考えたのでございますが、本年度におきましては現職教育の講座の経費につきましても尚且つ不十分でございまして、地方の教育委員会の経費をお助けできなかつたことを遺憾に思います。併しこの公立学校の教員の研修は本質的にはやはり地方公共団体の責任において行うべきものでありまして、尚教育委員会におきましても相当これにつきまして協力して頂きたいということを、今日要望して参つておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715115X00519500217/18
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019・左藤義詮
○左藤義詮君 折角国の方では二千余万円の予算を以て計画されても、これに参加する者の方が非常な費用のないために困つているような点が認められる。折角文部省がやつたことが独りよがりになつて、実際の研修を受ける者が喜んで行けないような実情になつている。まあ教育委員会の責任だというようなお話でありますが、教育委員会としては学校の設立その他のことに手一杯で、各府県とも非常に苦しんでいる実情であり、殊に教育委員会が自主的な財政権を持つておりませんので、この研修するところの費用を府県会等に折衝して十分取ることができないような実情であります。そうしますと、これは折角計画せられても、下の方としては、受ける方としては事実上は不可能なんですが、聞いても非常な無理をして泣き泣き折角のいい現職教育というものを非常な苦痛を感じながらやらなくちやならない、こういう実情になつていると思うのでありますが、これに対しては止むを得んから教育委員会でやるべきだというふうにしておしまいになるか、何かこれに対してお考えをお持ちになつておるか、伺つて置きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715115X00519500217/19
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020・剱木亨弘
○政府委員(剱木亨弘君) この文部省の方の予算には、今申上げましたように計上しておりませんが、ただ今回の平衡資金の中でこういう意味を加味しまして、一人当り旅費四千円を計上しております。それでこれは当然に教育委員会におきまして平衡資金の中から取つて貰いまして、計上して貰うことは十分期待しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715115X00519500217/20
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021・左藤義詮
○左藤義詮君 四千円というものはそうすると教員一人平均一年に四千円の旅費を計上しておるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715115X00519500217/21
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022・剱木亨弘
○政府委員(剱木亨弘君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715115X00519500217/22
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023・左藤義詮
○左藤義詮君 それにしましても、この教育免許法の仕事は非常に急速を要するので、一方から言えば非常に大きな負担を現職教員にかけておられるので、この免許法の精神から言うても現職教育というものは非常に急を要する状態となつておると思うのでありますが、それを大部分のものが六十日間も出席をする。四千円程度の旅費では、……この旅費というのは勿論現職教育だけではなしに、その他のいろいろな出張その他も含めているわけで、一般の国家公務員なんかに比べては教員の旅費というものは今まで非常に少かつた。だから四千円になつてもその方だけで実は手一杯だと思うのでありますが、それだけで今私が心配しているような教員が苦痛なしにこの現職教育が受けられるかどうか、その点の大体の見通しを一つお伺いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715115X00519500217/23
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024・剱木亨弘
○政府委員(剱木亨弘君) 勿論この免許法の趣旨といたしましては、できるだけ上級の免許状を得ますように研修をし、現職教育を受けるということの必要なことは申すまでもないのでございますけれども又一面例えば二級免許状を持つておる者が、必らずその人は上級免許状を取らなきやならんというふうに義務付けておるのではないのでございまして、特に二級免許状は終身でございますし、仮免許状も五年の期間がありますし、又更新しまして十年間は仮免許状で行けるということになつておるのでございます。従いまして、勿論早急にこの現職教育の機会を與えるということは必要ではございますが、国家財政の今日におきまして十分に全部の人に早急に與えるということは到底不可能でございますので、私共といたしましてはできるだけこれを将来に向つて拡充して行くということは希望しておりますが、現状においてはその程度で止むを得ないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715115X00519500217/24
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025・左藤義詮
○左藤義詮君 大体文部省の考えでは二万三千四百人、十二單位ずつ、こういう受講者を予定しておられるのでありますが、それに対して今旅費四千円とおつしやつたが、これをどれくらい府県では割当てるつもりであるのですか。現在の教職員の貰つております旅費、それだけでは甚だ不十分だと思うのであります。恐らく文部省の出張旅費に比べて非常に少いと思うのでありますが、一体それがどのくらいで四千円という数字が出るのでありましようか。数字が出ましたのでお尋ねするのですが。どれくらいが講習に出ない一人当り幾ら、受ける人はどのくらいのものがその人に当るのですか。その内訳を文部省の大体の一つ心組みを伺つて置きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715115X00519500217/25
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026・剱木亨弘
○政府委員(剱木亨弘君) 四千円で受けまして、一人当り実際にどれくらいかかるかということはちよつと只今計算できないのでありますけれども、併し全員に対しまして四千円含んでおりますということと、それから現職教育をいたします場所は相当近距離にあるというような点も考慮いたしまして、相当数のものが受けることができると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715115X00519500217/26
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027・左藤義詮
○左藤義詮君 その点の数字は次の委員会に一つ大体の……文部省が、二万三千四百人受けるということについては遠近の距離の差はありますけれども、一般の旅費とこの受講のための旅費は大体どのくらいの見通しを付けておられるか。その案をお示し願いたいと思います。
それから実はこういうことをお尋ねしますのは、ちよつと不便な土地で講習を受けるために学芸大学、或いは教育大学まで行くのは非常に困難な事情がある。そういうところで国としては上の方では、講座を開く方ではまあ二万三千四百人という相当のものをとつておるけれでも、一方を考えておられない、甚だ親心が届いていないとう、こういうような各府県の非常に苦しい実情を私共は陳情で受けておりますが、その辺についてもう少し考慮せられる御意思がないかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715115X00519500217/27
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028・剱木亨弘
○政府委員(剱木亨弘君) 現職教育につきましては、私共もできるだけのことはいたしたいと思つておりますが、徹力で十分のことはできませんので実に申訳ないと思つております。ただ遠隅の地におる者で現職教育を受けに行くことができないというようなものが相当多いことかと考えまして、これは二十五年度からその各府県の大学を中心にしまして教職員の通信講座を開いて行きたい、こういうふうに考えております。そのことにつきましては、只今準備を着々進めまして、できるだけ早く通信講座の開議をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715115X00519500217/28
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029・岩間正男
○岩間正男君 只今左藤委員の質問は非常に重要だと思うのであります。尤も今日は説明をお伺いして、この問題は後で徹底的にやろうと我々は考えておつたわけです。予算委員会におきましてもこの問題は徹底的にやらなければならんとこういうふうに思つておつたのでありますが、実際今の六千三百円ベースの、この末端の教員、殊に助教なんかの人の立場に立つて今文部省が規定しておるような教育が受けられると考えておられるのか。その点をお伺いしたい。どう考えておられるのか、実際。……こういうものを等閑に附してそうして犠牲だけは当事者にかかつて来る。そのためにぎゆうぎゆうとこれは苦しんでいる。それからもう一つは今費用の問題もありましたが、もう一つ大きな問題は、後任の問題です。教壇を離れて講習を受けに行くのですが、後任については考えておられない。それで後はブランクになつておる。それで後の授業のことを考えるとおちおちして、安心してそういう講習を受けていられないというような現状である。従つてこういうふうな面において予算措置をしなければ、これは單にこのようないろいろな拘束面が多くて、負う義務だけが多くて、実際面としましてはその負担が全部これは当事者にかかるということで非常な困難を来たしているのです。今の左藤委員の指摘しました問題は非常に重要な問題だと思うのでありますので、その二点はつきりお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715115X00519500217/29
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030・剱木亨弘
○政府委員(剱木亨弘君) 只今の公務員全体の俸給につきましても非常に窮迫しておりまして、これは講習を受けるていう人につきましては非常に困難を来たすだろうということは考えております。従いまして只今申しましたように、この平衡資金におきまして、地方で出す財源といたしまして一人当りの旅費について四千円を計上しておるのでございます。尚後段の御質問がございました講習に出たために後任がないというようなお話でございますが、これにつきましては、現職教育をやります計画としては大体夏休みを利用いたしまして、夏季休暇中におきまして相当の單位がとれるように講座を開議して行きたいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715115X00519500217/30
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031・岩間正男
○岩間正男君 いずれこの問題はです、はつきり我々は実際のこの講習を受ける今の経済的な調査を持つておりますから、これをもつと詳しく突き付けます。これで答えて頂きたいと思います。実際今のこの六三ベースの中で、助教がどれだけの待遇を受けて、二ケ月、三ケ月滞在して講習を受けておつて、その中でどれだけのものが要るか。今の四千円などというそれもまだ決つておらない、平衡交付金の中からとりたいという希望的観測の中でそういうことがやれるか。私達はこういう調査を突き付けます。これは論じなければならない。夏休みと言うけれども、これは夏休みだけではなかなかできない。私の側としましてもこういう点についてはいずれ後で徹底的に申上げたいと思う。この点は保留して置きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715115X00519500217/31
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032・河崎ナツ
○河崎ナツ君 ちよつと附加えて私も一つ、これはどうも適当なときにお伺いしたいと思つておつたのですが、今左藤委員からのお説を伺いましたのですが、別の問題で私は六月から全国を廻りましていろいろなことを伺つております。これは非常に実際問題としてこの賃金の方からもございますけれども、又別の方から学する場所、学芸大学のある所となりますと、県庁所在地に大抵ございますが、日本の県庁所在地というものは県としてどういう位地にあるかというと、大半のものは実に片寄つた所にありますから、県下の職員がそこに行くということになりますと、これは非常に苦労が多い、又費用も多い負担をしなければならん人達が多いのであります。これは一度私はずつと統計をとつて、それこそ各県の学芸大学の中心地と、それからそこに行く学校の人の不便なんどを調べてございますけれども、これは是非文部省は具体的にお考えになつて、そうしてこれが実施される曉におきましての、学芸大学に集まるための県下の教員の立場につきましては、これは具体的にお考えを願わなければならんと思つておるものでございまして、まあそういう方面からこれはとつくりお考え願いたいということを私も思つておるものの一人でございますということを附加えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715115X00519500217/32
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033・剱木亨弘
○政府委員(剱木亨弘君) 研修の問題でございますが、根本的の問題といたしましては、義務教育の設置者であります地方の教育委員会が、これは全責任を持つてこの公務員の研修をやるということは、教育公務員法の第十九條に明確に定めるところでございまして、文部省といたしましては、その大学におきましてこの講座の開設の責任を負わす限りにおきましては、その受入れるだけの講座を開設し、それからできるだけそれに便宜を與えるということが基本的な考え方であろうと思います。従つて時期といたしましては夏休みの期間を利用して、学芸大学の学芸学部といたしましては、この面におきましても相当の私共抵抗を受けると思いますけれども、夏休みを全部この講座に充てて参りたいと考えますし、尚遠隅の地にあります人々のためには地方教育委員会とも連絡いたしまして、出張して講座を開設するということも考えておるのでございます。それで勿論これに対しましては、私共教員に対して十分の考慮を拂つておるのでございますけれども、同時に又これはどうしてもこの地方教育委員会におきましても、相当に責任を持つてやつて頂くべき筋合でございまして、平衡交付金に四千円を計上してあるに拘わりませず、むしろそれよりもずつと大きなものを地方財源の許す限りこれを出して呉れるのが私共期待さるるべきであつて、四千円だけでこれは全部足りるかということは全然考えていないのでございます。これはやはり国の面からする面と、地方の面からする面と両々相協力してこの問題を解決して行かなければならんと考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715115X00519500217/33
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034・河野正夫
○河野正夫君 左藤委員から指摘された問題については、もつと文部当局とも論争を交さなければならん点が多々ある。私数えましただけでも七点ばかりあるのでありますが、今日は遅くなつているので、ただこの次の機会のために二、三注文をしておきたいと思います。今日手許に現職教育計画というのが配られましたが、私のこの前に要求いたしましたのはまだこれだけではないのでありまして、左藤委員からも質問が出ましたが、予算について通信教育乃至は現職の講習の予算が掲げらけておりますが、これはどういう單価で、どういう回数で、どうであるかという具体的な計数と説明書をこの次持つて来て頂きたい。
更に私がこの前に数字を求めたのは、現在の教職員の何パーセントが講習を希望しておると見ているのか。全員でないといたしましたならば、そしてその現職教育を受けたいという者に対して年度計画的にどれだけの途を開こうとしているか。文部省としてはかくかくである、地方委員会にはこの程度のものを文部省としては要請するという数量的なものを、小学校についても中学校についても高等学校についてもですけれども、それぞれの免許状種目に応じてその文部省の現職教育計画の基礎となる計数を示して貰いたい。これがなければ空論に終ると思うのであります。特に予算の面と関連して文部省が計上はしていないようですけれども、重要なのは例えば五万人の通信教育を行うといたしましても、この通信教育の事業費が計上されておつても、通信教育を受ける側においてはどけだけの金を支出すれば受けられるのであるか。或いは又免許状講習会を聞くとする場合において、仮に全国で本年度これこれの講習会があつて何万人が受けられるか。その場合に平均して一人当りどけだけの本人自身の負担が要るかというような予想も立てられなければならいと思うのであります。文部省としては四千円支給できる。併しながら本人としてはこのぐらいだ。更に又都道府県としてはこれだけの負担が大体要る、或いは当該市町久においてはこのくらいのものを持つて来なければならないといつたような計数的な予想というものを概括的でもよろしいのですけれども、お示しを願いたい。
更にもう一つ要求して置きたいのは、講習会等の開催について只今もお話がありましたように、これは主として教育委員会にその責任を持たせるというようなことでありましたけれども、このこういう免許法の出る前ずつと十年ぐらい前におきまして、教員の再教育というようなときには全国に教育会があつて、可なり努力した。その教育会の講習については文部当局も可なりその講習の受講者に対して優遇を與えておつたと思います。今日文部当局乃至は地方教育委員会て力が足りないならば、教育会乃至それに代わるべきものが或る程度の助言と承認を権威者の方から與えるということが必要であろうと思います。そういう団体がこういう免許状受與に関する努力をすることについて、これを認める用意があるかないかといつたようなことを、今日この席で承らなくてもよいのですが、この次に承りたいと思います。
更に教員養成決護、只今の現職教育計画でありませんけれども、教員養成計画についても、これは予算その他に関する計画を相当持つて貰いたいので、この点についてただ育英資金を増額したいという程度に止まらず、もつと優秀な人材を教育界に集めるためにどういう計画を持つておるか。こういう点についてこの次に明らかにして頂きたい。
最後に教育職員免許法或いは施行法というものが出ました。お蔭で私共の見るところでは、全国の教職員は免許状を得る、或いは上級免許状を得るということのために非常に熱心になつて来ておる、それだけ勉強してよろしいといえばよろしいのですけれども、この勉強する教員必らずしも学徒にとつてよい教員でない。曾て文検時代といいますか、專検、高検、或いは高文試験といつたようなものが盛んな時代には、教員が、腰かけにその学校に出ておつて、自分はよい勉強をするけれども、それはよき教員とはならない。ところがそういう風潮が非常にあると思います。その点についてくだくだしく新免許法にもある教員として必要なこの教育精神というか、現場を守るという気持を文部省はどうして今後育成して行こうとするか。この根本方針を大臣ととつくり相談の上お答え願いたい。本日はこの答弁を要求いたしません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715115X00519500217/34
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035・藤田芳雄
○藤田芳雄君 先程の左藤さんの口火から始まりましたが、これは一つ今の免許の與え方、及び今の免許法改正に重要な連関を持つものでありまして、簡單に済ますべき事項でない、皆さんも大分保留しておられますから、今日はこの程度にいたしまして、次回に譲つて頂きたいと思いますので、動議を提出します。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715115X00519500217/35
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036・田中耕太郎
○委員長(田中耕太郎君) それでは正式のと申しますか、両免許法に関する法律の改正案の質疑は次回から開始することに……(左藤洋詮君「材料を一つ」と述ぶ)材料は揃えて頂きたい。それでは本日はこの程度で散会いたします。
午後四時十一分散会
出席者は左の通り。
委員長 田中耕太郎君
理事
藤田 芳雄君
委員
河崎 ナツ君
河野 正夫君
岡崎 真一君
左藤 義詮君
大隈 信幸君
梅原 眞隆君
堀越 儀郎君
山本 勇造君
岩間 正男君
政府委員
文部政務次官 平島 良一君
文部事務官
(大学学術局
長) 剱木 亨弘君発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/100715115X00519500217/36
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