1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和二十六年十一月十九日(月曜日)
午前十時四十六分開会
—————————————
委員氏名
内閣委員
委員長 河井 彌八君
理事 松平 勇雄君
理事 溝淵 春次君
理事 山花 秀雄君
楠瀬 常猪君
郡 祐一君
横尾 龍君
上條 愛一君
成瀬 幡治君
楠見 義男君
竹下 豐次君
栗栖 赳夫君
三好 始君
三浦 辰雄君
大蔵委員
委員長 平沼彌太郎君
理事 大矢半次郎君
理事 清澤 俊英君
理事 伊藤 保平君
理事 木内 四郎君
愛知 揆一君
岡崎 真一高
黒田 英雄君
山本 米治君
岡田 宗司君
菊川 孝夫君
野溝 勝君
松永 義雄君
小林 政夫君
小宮山常吉君
田村 文吉君
菊田 七平君
櫻内 辰郎君
森 八三一君
木村禧八郎君
—————————————
出席者は左の通り。
内閣委員
委員長 河井 彌八君
理事
松平 勇雄君
溝淵 春次君
山花 秀雄君
委員
楠瀬 常猪君
郡 祐一君
横尾 龍君
楠見 義男君
竹下 豐次君
成瀬 幡治君
上條 愛一君
栗栖 赳夫君
三好 始君
三浦 辰雄君
大蔵委員
理事
大矢半次郎君
清澤 俊英君
伊藤 保平君
木内 四郎君
委員
黒田 英雄君
菊川 孝夫君
野溝 勝君
松永 義雄君
森 八三一君
木村禧八郎君
国務大臣
厚 生 大 臣 橋本 龍伍君
政府委員
行政管理政務次
官 城 義臣君
行政管理庁次長 大野木克彦君
行政管理庁管理
部長 中川 融君
大蔵大臣官房長 森永貞一郎君
国税庁長官 高橋 衞君
事務局側
常任委員会専門
員 杉田正三郎君
常任委員会専門
員 藤田 友作君
常任委員会専門
員 小田 正義君
説明員
大蔵大臣官房文
書課長 村上 一君
—————————————
本日の会議に付した事件
○行政機関職員定員法の一部を改正す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
—————————————
〔河井彌八君委員長席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/0
-
001・河井彌八
○委員長(河井彌八君) これより内閣、大蔵両委員会の連合委員会を開会いたします。
行政機関職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。そして大蔵省の整理関係につきまして政府の御説明を求めます。説明員の大蔵省大臣官房文書課長の村上君の御説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/1
-
002・村上一
○説明員(村上一君) 大蔵省の今回の定員整理全体につきまして、簡単に御説明いたしたいと存じます。お手許に資料が差上げてあると存じますか、先ず現在の定員を御覧頂きますと、大蔵省の所管全体、いわゆる内部部局と、それから外局を通じまして、定員の総数は八万六千名ばかりになつております。このほかに附属機関といたしまして、専売公社がございます。これは形式的には定員法のここに掲げます定員の外になつております。そこでその欄をずつと御覧頂きました場合に、先ずいわゆる本省と申しまするのが千九百八十五名でございまして、約二千人でございます。それから地方支分部局というところに参りまして、財務局が約七千名でございます。税関が五千四百名でございます。それから外局が五つばかりございますが、そのうち圧倒的に多いのが国税庁でございまして、六万一千二百名の定員を特つております。内局と外局を通じまして、総数が八万六千のうち、六万一千名、七割以上のものが国税庁の定員でございます。従いまして大蔵省所管全体の定員縮小ということになりますと、国税庁をどの程度縮減するかということによつて大体の人数の目安がおのずから出て来るわけでございます。先ず本省の部局につきまして申上げますと、大臣官房を含めまして主計、主税、理財、管財、銀行、六局でございます。これは本省でございますので、各省と共通だと思いますが、主として所管全体を通じまして、企画的な仕事が主でございます。若干のいわゆる現場仕事に類するものも相当ございますが、大部分は企画的な仕事を預つておりますこの本省につきましては、そこの説明のところに簡単でございますが書き加えてございますが、今後大蔵省といたしましては、いわゆる外債の処理の問題でございますとか、連合国財産の返還、補償という問題、それから賠償施設を具体的に指定を解除する等の処理をする必要が起つて参ります。又各種の国際経済協定に加入いたします場合のその準備等の事務が増加することも予定されておりますので、そう多くこの場合整理することも仕事の面から言つて困難かと存じます。併しながら一般的な会計事務、それから人事関係の事務、それから、管理事務と申しておりますが、いわゆる庶務的な総括的な事務の面、それから特に渉外関係におきましては、来年度あたりからは相当根本的に縮減されるということが予定されておりますので、そういつた面を主として人員を削減いたしまして事務を削減する。かようなことを主眼といたしまして、本省におきまして二百十二名の定員縮小を予定しております。それから財務局でございますが、これも本省の、今申上げました各部局の出先官庁でございますので、ほぼ同様の趣旨によりまして管理事務、庶務事務というようなものを極力簡素化するという建前から千五百十八名の定員削減を予定しております。次に税関でございますが。これは比較的整理人員を最小限度にとどめてございます。と申しますのは、今後外国貿易がますます伸張しなければならない、又伸張するであろうということが考えられますので、税関の職員といたしましては、余り仕事の面から考えますと整理の余地が少いのでございまして、人事事務、或いは会計事務、そういつた管理面の仕事におきまして、若干整理の余地があるかと考えまして、二百九十三名の定員縮減を予定しております。
外局につきましては、証券取引委員会、これは百五十名足らずの定員でございますが、これにつきましては、説明のところに掲げておりますが、有価証券の届出事務を今法律で以て定めまして行なつておりますが、これは相当簡素化していいのではなかろうかと思いまして、実は法律案の改正を成るべく早い機会に提案して御審議頂きたいと思つております。そういつた面の簡素化、それから先ほど本省財務局等について申上げましたような一般的な人事、会計等の管理事務を簡素化するというような趣旨を以ちまして三十七名の定員縮減を予定しております。公認会計士管理委員会、これは定員十三名の小さな委員会でございますが、同様な趣旨から三名の定員縮減を予定しております。国税庁は先ほど申上げましたように、大蔵省の全体の定員として圧倒的に多い割合を占めておるのでございますが、これにつきましても一般的な趣旨は人事関係、会計関係、或いは渉外関係、そういつた管理部面の仕事を極力簡素化するという意味におきまして一万名程度の人員縮減を予定いたしております。なおこの点につきましては国税庁長官が参つておりますので、必要に応じまして補足的に御説明を加えたいと存じます。印刷庁、造幣庁、これはいわゆる現業庁でございますが、これらも現業部門につきましては定員整理の余地は殆んどないのでございますが、管理部門につきましては、本省、財務局等につきまして申上げましたと同様の理由で人事、会計、庶務、そういつた面で相当事務を合理化し、定員を縮減する余地もあるかと存じまして、それぞれ欄がこう入り組んでおりますが、造幣庁につきましては、百三十九名、印刷庁につきましては八千七百五十七名の定員に対しまして六百三十六名という定員縮減を予定いたしております。これらを合計いたしますと、定員八万六千名に対しまして一万三千百十八名の定員縮減になるかと存じます。
全体を通じまして今回内閣の御方針に即しまして定員の縮減を行い、事務をそれぞれ簡素化し、人員を整理いたしますことといたした次第でございます。この程度の定員縮小でございますれば、予定されたごとく、人事、会計その他の事務が簡素化されるということでございますれば、あとの事務運行に支障はないものというふうに私どもは考えております。
以上簡単でございますが、全体を通じまして説明申上げました。なお御質問に応じまして細部に亘り若し必要がございますれば御説明を加えることといたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/2
-
003・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 只今大蔵省全般に亘りまして整理の説明がありました。この際御質疑がありますればお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/3
-
004・松永義雄
○松永義雄君 大蔵大臣がお見えになりませんから長官に、先だつても外国旅行をして来られたので、その知識の一端をここで御披瀝を願い、且つ御意見を伺いたいと思います。それは今度の人員整理というものは、財政経済上英国の一つの行政費の削減というか、そうして考え方と似たものがあるのか、違つているのかという点をお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/4
-
005・高橋衞
○政府委員(高橋衞君) 私昨年米国の税務行政に関しましては、相当詳細に調査して参りましたが、英国は実は行つておりませんので存じておりませんのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/5
-
006・松永義雄
○松永義雄君 行つておらなくとも、若し何か考え方があれば……。要するに今度の人員整理というものは世界の現在の大勢から来る人員整理といつたような考え方か、それとも従来まあ定期的というか、臨機こうした人員整理が行われておる、そうした一体考えに基いているのか、こういう点を一点ちよつとお答え得ないだろうか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/6
-
007・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) 総体的な問題でございますから私からお答え申上げます。実はアメリカの国会も今年度になりましてから約一割の、これは天引のようでありますが、定員整理の案をやつておるそうでありますが、併し何も英国がどうしているか存じませんし、格別よその国がやつておるからという趣旨でなしに今回の行政改革は行なつており、その一環として国税庁その他の問題も出ておるということを一言私から申上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/7
-
008・松永義雄
○松永義雄君 はつきりお答えできなければ、何も強いてこちらは要求しようとは思わんのですが、世界のこの軍需ということに関連して来る財政、経済の観点から、財政上経費の節減、インフレの進行を幾らか緩和するという点から、財政の一面における削減というものが行われているらしくあるのですが、日本は軍需というのはないのですから、そういう考え方は日本では絶対にあり得ないのですけれども、このインフレーションということから何かそういう考えが出て来るのかどうか、インフレーシヨン防止のために何かそういう考えが出て来るのか、こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/8
-
009・木村禧八郎
○木村禧八郎君 松永君の質問に補足して、関連して、先ほど海外の、又はいろいろな外国の事情なんかと関係なくこの定員の縮減をお考えになつているということでありますが、御承知のように海外ではマーシヤル計画による対外援助の代償として各国ともみんな行政整理及びインフレ防止というものをこれが條件として要求されたのです。これはもう明らかなんです。どの文献を見ても、或いは日本においても、ドツジさんは直接には言いませんが、日本に対するアメリカ援助の代償としてそういうことを要求されていることは明らかでございます。殊に今度は対日援助がなくなりますけれども、今度は援助がなくなつた上に日本では防衛分担金とか、今度は逆に日本に新たなる講和後における負担が殖えて来るのであつて、これは今度の條約からそういう義務が出て来るのですから、その結果として、直接にはそうじやないでしようけれども、大きく国際的、政治的にはそれと関連していないということは言えないのじやないですか。やはり関係しておるでしよう。そのくらいのことは考えていないとしたらそれは非常におかしいと思う。松永さんの御質問はそういう意味であろうと、こう思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/9
-
010・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) 今回の行政改革は全く日本政府の独自のイニシアテイヴでやつているものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/10
-
011・松永義雄
○松永義雄君 さつきの僕に対する答弁の中にインフレと関係はないと言つておるのですが、これは大蔵大臣に追究して行くことですが、答弁をはつきりされないようですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/11
-
012・野溝勝
○野溝勝君 これは重大な問題と思います。松永君の質問は。定員法と財政経済との関係はあると思うのですよ。財政経済に関係なく定員法のこういうような実施はできないと思う。だからその見解をざつくばらんにあなたに聞きたいというのが松永委員の質問の趣旨じやないのですか。それに関する簡単な構想を話されたらいいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/12
-
013・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) 只今松永委員から御発言がありましたのは、イギリス、アメリカ等で何かやつておりまする財政経済関係と関係があるかというお尋ねであつたと思いまするが、そういう格別の関係はございません。今回の行政改革は日本政府の独自の考え方でやつているのだということを申上げたわけであります。野溝委員から今お話のございました財政的な関係は、勿論私が提案理由の説明にも申上げました通り、関係はございます。これは今日の日本の状態を見まして、飽くまでも民主主義的な行政運営をやつて行かなければなりませんけれども、これを財政負担をできるだけ減少いたしまして、簡素で能率的な、経費の少い行政組織を運営して行きたい。それが昭和六年以来総動員体制に入り、戦争が終りましてからも戦後特殊な事情がありましたので、できません部分もありましたけれども、今日独立後の日本にふさわしいそういつた行政運営をやりたいというのが基本的な目的でありまして、而も非常に大きな目的の一つに財政負担の減少という点がございます。ただインフレーシヨン防止というふうなことはどういう論理的な観点かわかりませんが、私どもの考えておりますることは、財政負担の減少ということは考えておりますが、これはインフレ防止の施策というふうな点では特に私は意識して考えておりません。なおその点についての関連を深くお掘り下げでございましたが、これはむしろ大蔵大臣の出席を待つて御質問を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/13
-
014・松永義雄
○松永義雄君 今お話の通りインフレという一つのシンボルみたいなものを出して余りくどくどしく條理的に話すと長くなりますから、大蔵大臣から答弁を求めたほうがよいと思いますから、このままにしておきます。何かの機会に一つ大蔵大臣に答弁をして頂けるように御配慮をして頂きたいと思います。
それで私の質問いたしたいことは、国税庁の関係でありますが、御承知の通り三十六年度予算の歳入は六千五百億円で、そのうち税収入は四千四百億、約六七%に達しておるので、国税庁の任務が如何に重大であるかということはこの比率によつてもはつきりいたしておるのであります。而して税務は所得税の決定賦課及び徴収というこの二つの方面に分れておることはこれは説明を要しないのであります。而してこの決定ということが如何に困難なること、及び税金を如何に捕捉して行くかということの如何に困難であるかということは繰返しくだくだしく言うことはないと思います。それはあらゆる産業に関係しておるのでありまして、医者や弁護士、或いは産業、商人、いろいろの仕事に関係しておるのでありまして、その知識は非常な高度のものを要する。而も税金を取るほうはどうかといつたら、差押えをやつて民衆の怒りを買うというような危険な行為をもあえてしたり、よくある話ですが、東北のほうへ行きますと、密造酒の摘発の場合に幾多の犠牲者が出ておる。これも喋々することを待たない。そのように智能とそうして体力とを非常に必要とする。而もその税金が入るか入らないかは国政を動かす上の重大なる歯車である。こうした思い任務を背負つておる国税庁の諸君たちが一体どういう待遇を受けておるかと申しますと、先ず超過勤務手当を見ましても、結論を申しますと、実際働いておる分の半分とか、三分の一しかもらつていない。一生懸命に働いても、而もなお規定があつてもらえないという状況で、そうして世間では憎まれまして、そうして一生懸命働いておる。国家の本当の土台石、下積みになつて働いておる。そのためにどれくらい犠牲者が出ておるか。そのためにどんなにたくさんの病人が出ておるかということを申上げますと、これを統計に見ましても、約一月以上休んでおるものは千七百三十四名あり、そのうち結核患者が千三百三十名、約七六%が結核にかかつておる。それではよそのお役所はどうかと申しますと、よそのお役所の罹病率、例えば外務省の例をとつて見ますと百分の三・六、こういつた数字で全く一般の罹病数の……、国税庁において千七百三十四名のうち千三百三十名というと約七六%、これくらいひどい結核罹病率を出しておる。如何に仕事が困難であるかということは先ずこの一点によつてはつきりいたしておるのであります。もらうものは、一生懸命働いても超過勤務は三分の一程度、そうして病気になる、これでは一体どうしてうまく仕事を運営して行くか。それらの人たちの気の毒なことは言うまでもありません。併しそのため国税庁の仕事の能率が上らないということになつたらこれは極めて重大であります。ただ戦争中から、只今長官ですか、橋本さんから御説明のあつたように、ここで整理しなければならんから整理する、こういつた単純な一つの考え方からこうした大きな任務を負つておるところの国税庁の仕事に差支えるような、若しここに整理をしたならば、それはただに首を切られる人の気の毒なことばかりではないのであります。先ず私は如何にその仕事の量の多いかということを一つここで説明いたします。極めて時間がかかりますから簡単に申上げます。
先ず戦争後は一般の民衆が民主主義を誤解して、そうして頽廃の気分に陥つておる。納税者の質が非常に低下しておる。そのために滞納が非常に多い。これはもう私が申上げるまでもない。そうして昔は所得税の納税者が或る一カ所に住んで、そうして或る仕事をしておる。大体そこに定置して引越しなんかしない。だから税務署としましては取調べには非常にやさしかつた。ところが終戦後はこれが乱れて、古い友だちが一体どこに行つたか、昔の名簿は残つておつても、その名簿が当てにならない。而も終戦後のこのインフレ、景気のいい悪いは別としまして、その景気の変動から来るところの幾多の納税者の境遇の変化というか、その調査は如何に困難であるか、これがしばしば間違いを起して来る原因であります。先ずここで数字を申上げて見たいと思うのです。納税者がどのくらい殖えたか、昭和十六年二百四十万人であつたのが、昭和二十六年には四百三十万人、倍率は一・七、調査が如何に困難であるかということについて労組の諸君の話によると、先ずその困難性というのは一・五倍になつておる。そうして調査期間はどうかといつたら、昔は所得税の決定というのは一回限りである。神田橋税務署に行つて一遍交渉すればそれでよい。ところがこれも皆さん御承知の通り、申告納税制度になつてからその都度変る。調査の回数もそのように殖えておる。そのようにくだくだして申しておると限りがありませんが、とにかく如何に困難であるかということがここにはつきりいたしておる。而も最近御承知のように法人税ということが問題になつていて、法人が如何に莫大な利益を挙げておるかということは私が喋々するまでもない。法人、いわゆる株式会社と称するものは、その利益金は一千万とか三千万という桁ではなくて、五億、十億といつたような莫大な金額である。このたび勤労階級が減税になる。それじや、その減税になつた金額がどこに見合うかと言つたら、電気料の値上げ、ガス代の値上げ等、先ずそのくらいのことでとんとんである。然るに法人の利益というものは、このインフレ景気の物価の値上りによつて莫大な利益を得ておる。片方は物価の値上りによつて莫大な利益を得ているのに、ベース・アツプのほうは物価に合せるとか、或いは減税によつてベースに合せるとか言つて……、そうして今までの生活を維持して行く、現在のままで維持して行くに過ぎないのに、この物価の値上りによつて莫大な利益を得ているところの会社は、その税金を納めるのに一体果して忠実であるか。この事情に対して十分な認識があるかどうかということは、しばしば大勢の人の口で言われていることでありまして、誰も知つているあの東京温泉はどうだ、耐久家屋の建築禁止だ……、この会社の莫大な利益が如何にインフレを刺戟いたしているか、そうしてあとからあとからベースが上つても追いつかない。法人から如何にして税金を把握して行くか、捕捉して行くかということが今の重大な仕事になる。昨年、一昨年まではまあ法人も楽ではなかつたでありましよう。けれども昨年の朝鮮戦乱以来というものの法人の超上り、及びその後における発展の仕方というものは驚くべきものがある。この法人から税金を取る……、何も私どもは金持だから金を取れとか、或いは法人だからすぐ金を取れと言うのではない。儲かつているから払つてもらつたらどうか。これを取るようにするのにはどうしたらいいかということを我々は考える。そしてそれがインフレ防止の方法になる。それにもかかわらず法人は、御承知の通り、法人になれば税金がまあ安くなると言つて、盛んに個人商店で法人に変つて行くのがありまして、最近法人の殖え方が著しいものがあるのであります。ここに統計がありますが、昭和十六年に法人の数は六万でありましたが、今は五倍になつて三十万になつている。そうしてあとからあとから法人は殖えて行く。法人になつたら税金が助かる。計理士は盛んに進めて法人の設立を刺戟いたしている。要は、如何に国税庁の仕事が殖えて行きつつあるかという点が私の申上げたい点であります。なお徴税事務のことですが、今まで市町村に委託したのが今度は国家でやるようになつた。或いは滞納の整理、一千億円に及んでいる滞納金、これをどうして整理するか。こう挙げ来たれば限りがないのですが、国税庁が怠けておつたら大変なことになる。而も一体それに対して最小限度どれぐらいの人員を必要とするか、これだけの仕事……、国家の任務を果してそうして日本の土台を固くして行くその重大なる務めを果して行くのに、どれぐらい人数がいるかといつたら約七万名であります。然るに今六万一千二百名のうち更に一万名を差引けば五万何がしと、これを減らして行こうと、それで果してこれだけの仕事がおできになる自信があるかということであります。あなたはできるとかできないとか、若しこれができると言つて、そうしてその場はそれでお答えは済むかも知れませんが、若しそのために仕事の上に実際に差支えができたらこれは重大な問題である。あなたが責任を感じて辞表を出してそれで片付くものではない。ここはあなたに勇敢に一つ主張してもらいたい。私は一つ一つこう逐條的に質問して行きたいと思つたのですが、他の委員の御質問もあろうと思いますので、一括今ここに申上げ御し質問する次第であります。御答弁を頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/14
-
015・高橋衞
○政府委員(高橋衞君) 只今松永さんから税務の仕事が如何に困難であり、又その仕事が如何に重要であるかということにつきまして、極めて御同情のあるところのお言葉をお漏らしを頂きまして誠に感激に堪えないところであります。率直に申上げまして、この際人員を整理するということは相当に苦痛を感ずるところではありまするが、併しながら行政整理ということが国全体の方策として妥当であるということである以上税務といたしましても、そういう工夫をこらして思い切つた施策を断行して、これを能率化し、以てこれが円滑な遂行を期して行きたいと考えまするし、又行き得るであろうという期待を持つておる次第であります。その理由を少しばかり申上げて見たいと思うのでありまするが、御承知の通り終戦後、今も松永さんがお話になりましたように、非常に経済、社会全般が混乱いたしておりました際におきましては税務署行政につきましても、私どもどうしたらこれができるかということについて非常な苦心もいたしましたし、又前途について非常な心配をいたしました。恐らく文字通り五里霧中というふうな恰好であつたと言つて差支えないかと思うのであります。ところがその後税制の改正によりまして、納税義務者の数が或る程度減つて参りました。即ち税務において一番困難な仕事は申告所得税の仕事でございます。これが昭和二十四年度の場合におきましては納税者の数が八百二十万であつたのであります。それが二十五年度においては今年の二月の確定申告において大体まとまつた数字が四百三十三万程度でございます。納税義務者数が相当減つて参りました。なお又インフレーシヨンも大体において横這いの状況になりまして、経済全般が安定して参りましたがために調査そのものも以前に比べますると相当楽になつたと申しますか、とにかく我々が自信を持つて調査をなし得るという段階に入つて参つたのであります。従いまして申告所得税だけの例をとつて見ますると、実は昭和二十四年度の仕事におきましては確定中告の期限であるところの昨年の一月末の場合におきまして、申告額が殆んど税務署として是認する程度に出ておるものが少なかつたのでございます。従つて税務署といたしましては一方申告の指導は非常に力を入れていたしたのでございまするが、その八百二十万の納税義務者のうち、実に四百十八万人というかたに対して更正決定の通知を差上げるというふうな事態に立至つたのでございます。そういうふうに多数のかたに更正決定の通知を差上げますると、結局その更正決定の審査請求という形にたつて半分以上が出て参ります。その審査の処理に要する調査のためにその次の年度の本来なすべき調査が殆ど阻まれまして実際の調査ができないというふうなことになりますので、昭和二十五年度の仕事をいたします際におきましては何とかしてこの従来の悪循環を断ち切りたいということで、税務職員諸君の非常な努力を要請いたしまして、二十五年度の際におきましては四百三十万という相当の減少をいたしまして、納税義務者に対しまして専ら申告の指導ということに、その基礎になるところの調査の充実ということに力を尽して頂いた次第でございます。その結果といたしまして二十五年度におけるところの更正決定の数は十一万七千件という非常に少い数にすることに成功いたしたのでございます。繰返して申上げますが、二十四年度の際におきましては四百十八万件という更正決定をしたのが、二十五年度におきましては十一万七千件という数に減少させることができたのでございます。従つてこれは二月末の確定申告であり、大体三月、四月の候に殆んど全部更正決定を終えたのでございますが、こういうふうに仕事を早期に整理することができましたために二十六年度といたしましては恐らく二十五年と比較いたしまして量質共に調査の面におきまして非常な格段の進歩を見たと考えておるのでございます。而して然らば税務職員がどの程度必要かという問題になりますと、これは恐らくは何人もなかなか回答しがたい問題であろうかと思うのであります。要するに納税義務者のうちどの程度の数を確実に調査をして行くことによつて全体の公平を得られるかという問題になろうかと思うのであります。勿論非常に極端なことを申上げますれば一人一人の納税者全部を調査するということが求められるかとも思うのでありますが、そういうふうにいたしますると厖大な税務官吏の数を必要といたしまするので、殆んどそういうことは考えられないことと思います。我々といたしましては二十五年度は数字の上では大体二〇%程度の人の調査をなし得たというふうに相成つております。併しながらその調査の質を考えて見ますると非常に劣つた程度のものでございます。米国におきましてはその質は相当充実した調査でありまするが、納税義務者に対して大体四%程度の調査が、これが最高の程度であり、それで一応満足している状況でございます。従つて日本といたしましても勿論これは納税者が協力する態勢になり、申告が信頼される程度になるということが前提に相成りますと思いまするけれども、とにかく幾分でも調査の数を少くして、而もなお且つ全体としての公平を保つという方向に我々が創意工夫をこらすということが要請されるのではないかと考えるのであります。
その次に我々が今困難な事態に直面しておりまするのは先ほども松永さんがお触れになりましたように滞納整理の問題でございます。この滞納の税額は、二十三年度から二十四年度に繰越しました税額が八百二十二億円であります。ところが二十四年度から二十五年度に繰越しました金額が実に千二百五十八億円という数字になりまして、私どももこれについては非常な今日なお苦慮をいたしておるのであります。ところがそれが昨年度中に相当、今までは滞納が累積する一方でございましたが、昨年度中努力をいたしました結果と、納税者の皆さんに非常に協力して頂きました結果といたしまして、とにかく年度を越しました滞納税額が九百四十五億というふうに或る程度、三割程度の減少を見ることができたのでございます。二十五年度から二十六年度にどの程度の滞納が繰越になるかということにつきましてはなお見込を立てにくい状況にございますが、今年の春国会の御審議を得まして国税徴収法も改正に相成りました。この改正におきまして徴収猶予又は分納の制度とか、又は執行停止処分の制度を新らしく作つたのでございます。これらが円滑に軌道に乗つて参りますれば、今後はこれが一挙に解決するということは困難でございますが、漸次解決して行けるのではないかというふうに期待しておるのであります。なおこの整理に関しましては先ほど文書課長から説明申上げましたように、管理部面におきましては、例えば予算関係の制度であるとか、人事関係の制度が現在非常に複雑なために、これにとられておるところの人員も相当数あるのでございます。これらの制度が今後簡素化されるであろうということを当然に予定いたしておりまするほかに、税制自体の、税法の手続等に関しましても、今後相当な簡素化を是非いたしたいというふうなことを考えておるのであります。その一つは、今回提案しておりまする税法の改正にも載つておるのでございまするが、従来扶養親族の控除に関しましては、それを申告することによつて初めて控除が認められる申告を條件にして控除が認められるという制度であつたのであります。ところが、失格するか否かという瀬戸際にあるようなかたが相当数としては多いのでございますが、これらのかたが申告を出さなければ控除を受けられない、従つて金額は僅かであるが課税をせざるを得ないというふうな事態にある階級のかたが相当多数あるのでございます。これらの人に関しましては、もともと納税義務が申告をすれば当然なくなるようなかたでありますから、非常に低い所得階級の人であり、それらの人に対してわざわざ非常な苦労をして申告書を出して頂いて、そうして税を取らないで済ますというような努力をしなければならない。そんな点に、私どもは非常に実際の税収にならんにかかわらず、非常な苦労があるという点を痛感して参りましたので、今回扶養控除によつて失格する場合におきましては、申告書を提出する必要がないという制度に改正するよう、今回提案申上げておる次第でございます。そのほかに二十五年度の改正の際におきまして、従来は予定申告に対しても仮更正決定という仕事をいたしました。先ほど松永さんもお触れになりましたように、一年間通じて調査をするということができなくて、各予定申告の段階において調査をして更正決定をせざるを得んというふうな事態にあつたのでございます。これを昨年度の改正におきまして予定申告は提出を願つておりまするが、予定申告が前年の所得金額の程度に出ておるならば、仮更正決定はしないという建前に変更いたしたのでございます。従つて私ども現在の仕事のやり方といたしまして、一年間を対象といたしまして途中において仮更正決定をするということを前提にしないで仕事をいたしておるのでございます。なお併しながらこういうふうに何と申しますか、名目的な予定申告をわざわざ出して頂くということは、税務当局といたしましても相当手数でもありまするし、又納税者にとつても相当手数でございますので、これも又法律として提案されてございませんけれども、私どもの意見といたしましては、何とかしてこれを予定納税制度、あらかじめ同じ税額の三分の一だけを納めておいて頂くという制度に改正して頂きたいというふうに考えまして、目下研究しておる次第でございます。そのほか今般の改正において提案されておりまするように、或る程度の減税も前提として考えておるのでございます。それらのことによりまして、今後或る程度、やはり先ほど最初に申述べました所得税の納税義務者の数も減少するでありましようし、その他滞納の金額も漸次減つて参ります。それらいろいろのことを考え併せて見まして、この程度の人員整理をいたしましても、やはり一歩一歩私どもは希望するほどの程度に急速に改善はなし得ないにしても、着実に或る程度の改善は今後なして行けるのではないかという期待を持つておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/15
-
016・松永義雄
○松永義雄君 もう簡単にいたしたいと思うんですが、今現在問題になつておるのは、申告所得税の問題であります。このことがもうやかましく言われておることで、それで、第一期の予定申告、今年のやつが五百三億でありまして、その申告の税額が全部完納されても、予算額の半分にも達しない。くだくだしい数字は余り言わないようにして省いておきますが、要するに予定申告が非常に少いと、で、税金が上らないと、このまま行つたら大変だと、それの理由は、個人が法人に移つたこともあるし、それから最近の経済情勢というものは、昔の金融資本に立戻つて、産業資本がだんだん大きくなつて、そうして個人の所得が少くなつたというようにまあ言われているのであります。この点の調査ということも、私は十分にしてもらわなければならん。よく言われることは、会社が儲かる、そうして法人の所得は殖えたと、併し勤労者の源泉所得税は遠慮なく持つて行かれる。而もその俸給はその生活に足りるか足りないかという程度、ベースアツプをやるというお役所の俸給でもそうだ、ところが申告のほうはこういうような始末、こういつたように、人員が必要であつても、だんだん少くなつて行くと言われる、或いは仕事が少くなつて行くということをあなたは言うけれども、それは私としては一部だと思う。而も半面こういうような現象が又出て来ておる。あなたは上のほうからこう言う、だから止むを得ないからこうするんだと言うが、今一万人の人間がこうなつて、この物価高に生活して行けるかどうかという瀬戸際で、その最低線の下に追い込まれておる。最近の世界の経済方針というものは、国民経済の安定が平和の唯一の途であるということになつておる。その不安定はどういうことになるかというと、どんないい民主主義を持つて行つても、どんな自由を持つて行つても、生活不安の前には一顧の価値もないんだ。その生活を不安に陥れるということが社会の秩序を破る基いだ、だから生活の安定をさせなければならん。そのために世界がいろいろの方策を講じているんです。この物価高に一万人の人が街頭に放り出されて、食うか食わずという境に追い込まれたならば、お前に憲法上の自由を与えるんだと言つたつて、飢えつつある猫の前に小判を並べたつて、それは何の役にも立たんと思う。例は少し当らないかも知れませんが……。世界がそういつたところに気を付け、そうして日本も又その情勢に応じなければならんにもかかわらず、こうして一万人の人を首切り、而もそれは国家の重大なる車を動かしておる者を、油をも得られるか得られないかというところに追い込むということ、そうしたことをやるということは私は不当だと思う。あなたの言葉では、上のほうから命令されて、そうして言葉を濁らして言つたが、困難なことはあなたは認められておるようであります、私の聞き違いかも知れんが……。あなたのほうも十分に一つ良心的に、主張することは主張して、そうして私は本当の健全なる日本に持つて行つてもらいたいということを申上げて、私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/16
-
017・木村禧八郎
○木村禧八郎君 松永君のに関連して御質問申上げますが、国税庁の一万二百八十名の税務官吏の整理の対象ですね、どういう面での整理が多いのですか、その点ちよつとお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/17
-
018・高橋衞
○政府委員(高橋衞君) 先ほど松永さんが御指摘になりました、申告所得税が七月の予定申告において約五百億余りの納税額にしかなつていない。従つて今後予算程度の収入を挙げるのには相当の困難があるだろうという御指摘でありましたが、この点は私ども全く同感であります。併しながらただ現在の税法の建前から申しますると、七月の予定申告は前年の所得金額に対しまして新らしい税法の税率を掛けた金額を申告すればよろしいという建前になつております。これは本年の本当の所得を算定されて提出されたかたが極めて少いという実情からいたしまして、税額が納税額において五百十四億円であるということにつきましてはそれほど私どもは心配いたしておりません。むしろ今年の所得がどの程度伸びているかということは、これは徴収の結果に基きまして結論をつけるより途がないと思います。それからいま一つは、今年度生産並びに物価が相当上昇いたしておりますような関係からいたしまして、所得も昨年申告された所得よりも相当大幅に増加しているかたが多いだろう。而もそういうかたにつきましては七月並びに十一月の納税が割合に少ししかしておられません関係から、二月の確定申告の際に思いがけないところの大きな税額を納めなければならないというような点からいたしまして、その点に相当期待をかけて政府としてもこれが滞納にならんようにするためには非常に苦労が要ると考えまして、只今いろいろと納税者の皆さんにもその点を御理解願いますと共に、一方におきまして納税貯蓄組合でありますとか、或いはそれに類するところの準備を是非進めて頂くようにお願いいたしております。
それから先ほど御質問に対する答弁を落しましたので附加えて申上げたいと思いますが、税務における長期欠勤者、一カ月以上の長期欠勤者の数は九月三十日現在におきまして千九百八十六名、これは約三%程度でございまして、税務であるがために数が極端に多いというふうには私どもは承知いたしておりません。而もこの長期欠勤者につきましては、今後はこれを定員外にすることができる、こういう制度に相成りましたので、この点は私ども非常に喜んでいる次第であります。従来とても健康診断の結果、執務に堪え得られないようなかたにつきましては、私どもはお勧めして何とかして休んで頂くということをして参つたのでございますが、何と申しましても、仕事が相当眼前に横たわつており、自分が休むことによつてその仕事が他の人の負担に加わるということになりますから、而も結核関係の病気は自覚症状が割合に少いというところから診断を受けてもなかなか休もうとしないのが実情であります。休もうとしないがために病気を昂進せしめて不幸な結果を見るという結論になつていることが非常に多い実情でありますので、私どもはそれらの人たちに対しましては何とか無理にでも休んで頂き休養しで頂くという方法を考えておつたのであります。ところがこういうふうにこれらのかたがたを定員外にするということになりますと、それらの人の分担を外して全然責任をなくするということが今後は可能と思いますので、こういう制度のできましたことにつきましては私どもとしては非常に喜ばしい次第であると考えております。
只今木村さんはどこからそれほど減らすかというお話でございますが、これはまだはつきりとどの税務署から、どこからというふうにはやはり決定しがたいのできめてはございませんが、大体仕事の数量の減つたところから、例えば申告所得税の関係でありまするとか、又は徴収の関係者とか、こういうふうな方面に整理の率が多くなるだろうということはこの際申上げ得ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/18
-
019・木村禧八郎
○木村禧八郎君 私が質問したいのは、例えば税務官吏のうちで不正をやつたとか、何かそういうふうな懲罰的な関係になる人ばかりが整理対象ではなくて、現に第一線で働いている人ですね、税務官吏の……そういう人がやはり対象になるのであるかということなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/19
-
020・高橋衞
○政府委員(高橋衞君) 国税庁の整理人員は御承知の通り一万二百八十名であります。そのうち九月三十日現在で欠員になつておりますのが千三百二十名であります。それから長欠者の数が先ほどお話いたしましたように、千九百八十六名でございます、約二千名。それでその他のかたが結局整理の対象にならざるを得ないと思うのでありますが、従来の過去一年ぐらいの実績を取つて見ますと、毎月の平均の減耗の数が、減耗と申しますのは、自然退職又は死亡等によります減つて行く数が四百三十名程度になつているのであります。これはこういう行政整理が言われ出して来ましてから急速に数が減つて来ておりますので、それらのことを考え併せますと、そういうふうな條件のなかつた月を考えますと大体四百五、六十名程度が普通になつております。そうしますと丁度九月から来年の六月一ぱいまで十カ月の期間がございますが、十カ月の期間に大体四千五百名程度の自然減耗があるのではないか。それから検察官その他警察等によりまして不正を発見されて懲戒免官とか、依願退職とかいうふうなものになつておりますが、昨年一年だけの数で八百名余りに相成つておると思うのであります。それらの数字をいろいろと勘案して見ますと、現実にどうしても定員が減るがためにおやめ願わなければならんという人の数はそれほど多くはないというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/20
-
021・木村禧八郎
○木村禧八郎君 併しまあ減ることは減るわけで、第一線の人が現実に出血することはもうこの数字から見ても明らかであります。それで私お聞きしたいのですが、御承知のように税の問題は、税率の問題も或いは控除の問題も重要ですが、一番重要な問題は所得の捕捉の問題ですね。この所得の捕捉が不公正であつたら、如何に税率を変えても調整しても控除を何しても意味がないと、極言すればそこまで言えると思うのです。ところが御承知のように今年度はどうでありますか。これは私はくどくど申上げません。併し朝日新聞の夕刊の「今日の問題」これは十一月十五日ですが、これを私は簡単ですから読んで見ます。それが一般の人の気持なんです。こう書いてある。「徴税成績がひどく悪いのには全く恐ろしくなる。事実はこうである。十月末現在営業者や農家などの申告所得者の納税状況は、予算に比べて僅かに一割七分であるという。富裕税にいたつては、五分七厘だというから、これでは税務署は何をしているのかと疑いたくなるほどである。ところが、すべての税金がそうであるというのではない。勤労所得税のように、天引しで徴税される仕組みのものは八割以上の好成績を挙げているのである。ここに、申告納税の問題がある。もともと申告所得税の収入は営業七割、農業九割、その他計七割五分程度と非常に控え目に見積つてある。この甘い見積りに対してすら納税成績は二割にも及ばないというのだから、徴税機構がどうのこうのと言つて見ても、これではお話にならない。富裕税のごとき、補正予算では収入見積りを半分以下に削るし、明年度は廃止する意向であるともいう。こんな事実を目のあたりに見せつけられては、月々源泉徴税を受けている簿給のサラリーマンの身になると、腹だたしさを通り越して、情けなくなる。こうしたことが、税務署の手加減一つでどうにもなるのだとすると、政治というものは全く恐ろしいものである。」これが一般の納税者の気持になつたら、これは国家財政の上に重大な問題だと思うのです。そこで税の捕捉ということが非常に重要なんでありまして、先ほども松永委員から個人が法人になつたのが随分ありますし、又申告所得者が八百何万人から非常に減つたと言いますけれども、これは農家が多いと思うのです。農業所得者が相当多いと思うのです。そこは割合に捕捉のできよいところです。そこで今第一線に働いている人を減らして所得の捕捉がうまく行くかどうか、これはすでに私はこの間大蔵大臣に質問したんですが、今度の税制改革でこれまで勤労所得者と、まあ給与所得とそうでない所得者との税の不均衡が著しく拡大したんです、この拡大したのをどうして調整するか、大蔵大臣に対しては勤労控除というものを引上げるべきだと私は主張したんですが、大蔵大臣はそうは行かないから税の捕捉というものをもつと公正にして調整をするつもりである、こう言われているんです。そうしますと所得の捕捉というものがこれから非常に重要になつて来るわけです。勤労者のほうは捕捉され、ほかの人はきちんと捕捉されない。これに対して又苛酷になつてはいけないわけです。それに対して公正な捕捉をするためには質のよい税務官吏をもつと私は殖やす必要がある、私は逆にもつと殖やす必要があると思う。そういう意味で私は……今自然縮減とか長期欠勤とか、こういう意味での縮減ならばこれは現に出血を伴わないからこれは私は諒とすることもできます。併しこれから、今のお話ですと、自然退職を補わないということになる。自然退職を補わない。そうなりますと、これは第一線の人はますます過重な、松永委員がさつき言われたように、非常にいやな仕事を過重労働でやつているんですからますます仕事は苦しくなると思うのです。こういうことは又徴税上にも弊害が起きて来ると思うのですが、これは国税長官はもうよく御存じのはずです。今実際に第一線に働いている人を縮減するどころの騒ぎではないと私は思うのです。さつきいろいろ説明がありましたけれども、今の徴税の実情というものを御覧になりましたならば、私はそれどころでない、若しこういうふうに減らせば税の捕捉というものはますますむしろルーズになる、そうすればますます徴税が不公平になる、そういう点、捕捉の点について国税長官はどう考えられるか、それと人員縮減との関係、公正に、これで捕捉できるのかどうかですね、この点お伺いしたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/21
-
022・高橋衞
○政府委員(高橋衞君) 只今お述べになりました朝日新聞の何ですか、何とかの欄につきましては、実は私も読んでおりまして、その記事は税の知識のないかたには非常に誤解を招く原因になるということを考えた次第でありまして、実は新聞社のかたにもそのお話をしておるわけであります。と申しますのは、七月の予定申告の年税額が五百十四億であるということは先ほど申上げましたが、その五百十四億は予算であるところの千百七十五億に対しては僅かに四三・七%の金額であります。而も納税義務者としてはその第一回の納期は七月末に来たわけでありますからそ三の分の一を納められればいいわけであります。従つて今日これが一七%であるということは何も申告所得税が非常に悪いということには私ども考えていないのであります。むしろ確定申告後においてこの成績が悪いというのであれば、これは十分私ども御指摘を受けなければならん点であり、十分反省を要する点であると思うのでありますが、今日このパーセンテージが少いということはそれほど御指摘になる事柄ではないというふうに考えております。併しながら勿論お話の通り申告所得税に関しまして特に営業関係につきましては十分に所得の把握をいたしまして、そうして正直なかた、特に青色申告等をしておられるかた、又は源泉で以て徴税されるかたとの公平を期するということは当然の事柄であり、私どもとしてもその点十分の力をいたしたいと考えておるのであります。而してそのために本年は二十五年度に比較いたし導すると非常な進歩を見ていると考えておるのであります。先ほどもちよつとお話をいたしましたが、昨年度は十月頃まで前年度の審査の請求の後始末に殆んど忙殺されておりまして、新らしい年度の所得の調査にかかりましたのは漸く十月過ぎてからでございます。従つてその期間も非常に短いし、又十分に職員の訓練もまだできておらない状態でございますので、能率も非常に悪いという状況でございましたが、今年は年度早々から大体前年度の仕事が整理が済んでおりますので、年度早々から例えば前年度の見直しをして見るとか、又は訓練に力をいたすとか、それから資料の調査に相当な力を尽しまするとか、その他の整理をいたすとかいうことをいたして参つておりますので、而も実際の調査についても九月頃から全員これに従事しておりまするので、今年度は特に量の点においてはそれほど大きく期待しておりませんが、質の場合においては相当いい調査が多くできるものと私どもは期待をいたしておるのであります。従つて今年度は昨年よりもずつといわばいい申告を出して頂けるその條件が整つて来ておるというふうに私ども考えておる次第でありまして、決して昨年、その前のような非常に悪い状態のままに推移するというふうには考えておりません。勿論私どもはこれを以て満足しておるものでございませんので、何とかしてこれが充実にあらゆる力を注いで行きたいというふうに考えまして、例えば教育等につきましても年間約五千名に亘るところの短期講習等をいたしておりまするが、又通信教育を三万名に対していたしておるという状況であります。一方税務職員の訓練の程度につきましても、例えば二十五年一月においては全税務職員の平均経験年数が三年二カ月でありましたが、今年の一月一日現在におきましては、これが四年三ヵ月と約一年ちよつと経験年数が伸びて来ております。これらのことは当初の時代におきましては一年の経験の伸びというものが非常に大きな力になつて参つておりますので、そういうふうな面からいたしまして、これは数字に現わすことは非常に困難でありますが、私どもは税務の実際の仕事が内容的に見まして相当よくなつて来ているというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/22
-
023・木村禧八郎
○木村禧八郎君 只今私が読み上げた朝日新聞のあれは素人に誤解を与えると言われましたが、成るほど納期関係では一割七分になつているのです。併し本年度の補正予算における税収入を御覧になれば明らかです。これは端的に現われていると思うのです、納期関係はそうです。併しながら法人は八百億も自然増収で出て来ておる。個人は四百七十九億ですか自然増収が出て来ておる。申告納税はむしろ予算よりも減るのです。而もじや、分配国民所得を見ますと、個人業所得が減つておるかというと減つていないのです。個人業所得が殖えております。なぜ法人だけが、この朝鮮動乱景気によつて法人だけが殖え、個人だけが殖えて、そうして申告納税者だけが予算より減るのか、この間の説明を私は聞いたのですがどうもこれは納得が行かないのです。個人業所得者でもこの動乱景気で景気が潤おわないはずがない。而も安本調査の分配国民所得の調査によれば個人業所得は殖えておるのです。それでいわゆる申告納税だけが予算より減る。これは私はどう見たつておかしいと思うのです。そういう点が私はやはりこの捕捉の関係も相当あるんのじやないか。そればかりじやないと思いますけれども、やはりそういう関係がある。それでこういう今度税務官吏を減らすことによつてそういう点が又激成されるのじやないか。勿論そればかりじやないと思いますけれども、自然減収になるわけです。この申告納税だけが。こういう点どういうふうに御説明なさるか。国民所得でも殖えておるのですよ、分配国民所得としては、それが自然減収になつておる。法人と個人だけが、この源泉徴収者だけが非常な自然増収になり、どうしてもこの点納得が行かないのです。それはやはりこういう税の捕捉の問題と関係ないかどうか。そういうふうな状況の下でこの税務官吏を減らしてよろしいのか、この点どういう事情ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/23
-
024・高橋衞
○政府委員(高橋衞君) これは予算の見積りの問題につきましては、これは主税局の主管でございまして、私から御説明申上げるのはどうかと考えますが、この予算の見積りにおきましてもむしろ税務行政の改善によつて申告がよりよくなるだろうという期待の税収の増をむしろ申告所得税には見込んでおるものでございまして、他の法人税又は源泉関係の所得税につきましてはそれらのものを見込んでないのでございます。而して当初予算から今度の改訂予算が申告所得税だけが減つておるということにつきましては、これは今年度の予算の見積りが昨年の七、八月頃の数字を基礎にして見積られておるのでございますが、その当時まだ二十五年度の所得金額なりその他各種の基礎になる数字が確定しておりませんでしたので、その前の年度の、割合に不十分な調査を基礎にしたものを数字の基礎にとつておつたのでございますが、丁度二十五年度の非常に詳しいところの階級別その他種類別のすべての計数がまとまりましたので、それを基礎にして二十六年度の今度の補正予算におけるところの脱収入額を計算いたしておるのでございまして、今年度の数字は相当実際に近いところの数字に見込はなつて来ておるというふうに私どもは見ておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/24
-
025・河井彌八
○委員長(河井彌八君) ちよつとお待ち下さい。木村君まだ質問は続きますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/25
-
026・木村禧八郎
○木村禧八郎君 簡単に……。これとあと一問だけあるのですが、それでやめます。まあ議論になるから……、ほかのかたの御質問もありますから、簡単にいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/26
-
027・河井彌八
○委員長(河井彌八君) それでは木村君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/27
-
028・木村禧八郎
○木村禧八郎君 まあ二十五年度の実績がわかつたといいますけれどもね、分配国民所得は殖えておるのです。明らかに所得が殖えておるのです。殖えておるけれども、二十五年度を基にしてやつたと言われますけれども、この点は議論になりますからやめます。あとは税務関係でなしに財務局で、簡単に質問いたします。財務局関係では千五百十八名の定員縮減をされる予定になつておるのでありますが、これは私地方へ行つてよく聞かれるんですが、どうも地方の殊に財務局は、公共事業費などのこの使用状況について財務局が、よく調査をする。これは重要な任務がある。ところがこれは地方から非常に毛嫌いされているんですね。この財務局の人たちはなぜならば余り地方に行つて詳しく公共事業費の使用状況を調査される、いやだから成るべく財務局などは廃止してくれという極端なことを言う人があるのです。私はこの財務局はむしろ最近の公共事業費の使用状況等から鑑みて、殊に地方においては相当有能な人を充実する必要があると思うのです、むしろ……。そういう状況の下で、千五百十八名、まあもともと多くないところでこれだけ減らすのでありますから、そういうところへ支障が出て来ないかどうか。むしろ私は地方、府県とか市町村が喜ぶんじやないか、そういうほうが徹底して調査できなくなると、こういう点はどういうふうにお考えになるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/28
-
029・森永貞一郎
○政府委員(森永貞一郎君) 財務局が非常に困難な状況の下にいろいろな仕事をいたしております点につきまして、その効果を認識して頂きまして、大部分の職員も恐らく喜ぶことと思います。今回の整理は主として人事行政の簡素化、会計面の簡素化、庁内の簡素化、そういつたようなことを主眼といたしておりまして、そのほか若干仕事の按分と申しますか、地方で今やつております仕事を中央で引受ける仕事も若干ございますが、そういつたようなことからここに出ておりますような千五百十八人という数字が出て参つたのであります。公共事業費の問題、これは最近活発に仕事もいたしておるわけでございますが、これもやり方で十分仕事ができるわけでございます。例えば万遍なく散漫な調査をやつておりますときには、まあ人手は要るわけでございますが、余り実績が挙がらない。それを或る一つの問題、或る一つの地域、そういつたところに集中いたしましてやれば、却つて効果が挙がる。それには勿論財務局だけに任しておくわけに行かないので、本省から人を動員いたしまして、そういつた機動的な重点的な運営をやつたほうが検査といたしましても恐らく効果が挙がるのではないか。大体このくらいの人員でこなして行けるのではないかという考え方で、この程度の人員の整理は可能である、そういうような判断をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/29
-
030・木村禧八郎
○木村禧八郎君 委員長ちよつと……。前に特殊財務部というのがありまして、終戦処理費関係のあれを調査されておつたんですが、今後講和後においては防衛分担金という形になつておると思うのですが、そういうものの監査関係ですね、それはどういうふうに今度なつて行くわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/30
-
031・森永貞一郎
○政府委員(森永貞一郎君) 講和條約後における防衛分担金の問題につきましては、まだ全然方針がきまつておりません。ここで私から御答弁申上げる段階に参つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/31
-
032・野溝勝
○野溝勝君 議事進行について……。ちよつとこの際お伺いしておきます。委員長に伺いますが、本委員会は相当重大な問題が論議されるのでございますが、大体委員長のお考えとしては、この合同委員会は、本日若し委員のうちから希望があれば、又明日も継続してやる御意思がありますか。それをお聞きしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/32
-
033・河井彌八
○委員長(河井彌八君) お答えいたします。御承知の通り非常に必要な審査でありまして、内閣委員会独自の審査というものもまだ十分にやれない。従いましてどうしても連合委員会を継続しなければならんというならばそれはお断りはしないでありましよう、併しそれは内閣委員会が決定をいたします。つきましては大蔵委員会の諸君が本日なお何と言いますか、できるだけ勉強して頂いてですね、簡潔に而もそうして要領を得られるように御質疑あることを希望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/33
-
034・野溝勝
○野溝勝君 そこでですね。御尤もな御意見でございますが、その趣旨に従つて審議を継続いたしたいと思います。そこで松永さんの先ほどの質問に関連して私は簡単に一、二質問申上げたいと思います。と申しますのは、先ほど聞いておりますと国税庁方面の担当者のお答えはです、馬鹿に人員整理をしても能率的には心配ないというような私は印象を与えられました。実にこれは不思議なんでして、かようなことであるとしたならば何で一体この前六万人も人を抱えていたのです。私は一カ年に国税庁の仕事がこの六分の一も低下したということを聞いてない。さようなでたらめのことを今まで放任しておいて、これからいよいよ滞納も、聞くところによると一千億もあるそうじやありませんか、そういつた処分はどうするのです。今の木村さんの御意見じやありませんが、滞納方面のかたがたは、この源泉課税のかたがたじやない。こういうほうの処置、扱いに対して、一体あなたがたは万違算なきを期し得られるという成案があつて御答弁されたのですか、それが第一点。第二点はあなたのほうから示された資料に基いて見ますと、大蔵省から示された資料ですか、経済安定本部、これについては主税局長も同席しておりますので、この資料を承認されたものと思います。これに基いて私は申上げるのでありますが、この資料に基いて昭和二十六年度の法人所得が四千四百六十億を出しております。かよるに厖大な数字を上げておきまして、出先の責任者とも言うべき国税庁の職員をかように厖大に整理して、果してこの徴税に対する成果を収め得ることができるかどうか。この点私は時間の関係もありますので、このニ点をお伺いいたしまして私の質問をこれで打切つておきたいと思いますが、この点について一つ御答弁をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/34
-
035・高橋衞
○政府委員(高橋衞君) 滞納の金額は十月末現在におきまして約一千四十二億に相成つております。この金額が依然として千億を超えておるということにつきましては、私ども非常に心配をいたしております。ただ過去における状態よりもだんだんこれが整理されて参りまして、今後において何とかして年々これを減らして行けるのではないかという十分な期待を持ち得る状況に相成つておることを申上げておきたいと思います。と申しますのは、滞納の整理に関しまして今年初め頃から一つの新らしい方式として流れ作業式な滞納整理方式を研究いたしまして始めて見たのであります。全国で約三百八十の税務署についてこの方式をとつておるのであります。横文字を使つて大変恐縮でございますが、インターナル・コントロールという方式を採用いたしまして、これによつて整理を経常的にと申しますか、流れ作業的に着実に一つ一つ片付けて行くという方式をとつて行きたいと考えておるのであります。この切替えをいたしましたのが七月に入つてからでございまして、これが本当に軌道に乗りましたのは、署によつて違いまするけれども、大体九月中旬頃かと思うのであります。従つて漸次この効果が現われて来るであろうという私どもは期待を持つておるのであります。こういうふうに内部の事務を流れ作業にし、そして全部の書類の整理をいたしまして、着実に一つ一つ片付けて行くという方式が軌道に乗りますれば、この滞納もこれは一時には勿論到底整理は困難でございますが、年々少しずつでも減らして参りまして、二、三年後にはまあ通常の大体健全な程度の滞納の税額並びに件数にせばめて行けるであろうという期待を持つておる次第であります。それから国民所得との関係でありますが、只今法人の所得についてお触れになりましたが、昨年来朝鮮動乱を契機といたしまして、法人の所得が相当増して参りました。従つてこれが如実に税収の面に反映して参りまして、今年度も当初の予算が六百三十六億でありますか、であるのでありますが、すでに八百億程度の収入を見ておるといる状況に相成つております。而してこれに対処するためにと、もう一つは個人から法人になつた、組織替えをいたしましたものが相当多数に上つておりますので、本年度当初から法人税のほうに幟員を相当数増加いたしまして、法人の調査を充実して参つて来ておるのであります。従つて増加いたしました法人の所得の調査ということについても従来よりも相当充実した陣容を以て当つておるという状況でございますので過去よりも幾分なりとも改善して行ける、こういうふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/35
-
036・野溝勝
○野溝勝君 この私の聞いた点についての御答弁がちよつと欠けておるように思うのです。と言うのは六万一千名からあつた職員を五万名に整理すると、大体一万幾ら整理するのですが、一体そんなに仕事の差というものが一年間に現われるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/36
-
037・高橋衞
○政府委員(高橋衞君) その点に関しましては、先ほど松永さんにも御答弁申上げたのでございますが、二十五年を例にとつて見ますと、二十五年当初において申告所得税だけで実に更正決定いたしました数が四百十八万名に上つておる。而もその六割程度が審査の請求をお出しになつて、その書類の整理をするのに十月頃まで殆んど没頭しておる。而もその審査の決定に際しましては誤謬訂正等も相当多数に上りましたために、やはり還付金をしなければならん。又それに附随するところの仕事が非常に多かつたのでございます。ところが二十六年度に入りましてからは二十五年度の更正決定が僅か十一万七千件というような事柄からいたしまして、そういうふうな過去の仕事のズレというものが、いわば従来からの悪循環というものが仕事の上で一応断ち切られた恰好になつたのでございます。その結果といたしまして、先ほど御説明申上げましたように、今年度は相当に余裕を持つて調査にも従事することができる状態に相成つておるといることを申上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/37
-
038・野溝勝
○野溝勝君 どうも私これについてもつとあなたともう少しく質疑を交わしたいのですが、私はそういう事務的な答弁でこれはあなたは我々をあれしようというようなことは実際ちよつとおかしいのであります。まあ今日は時間の関係もありますので、私は余り言いませんが、そういう事務的な答弁は僕はむしろこういう委員会においては避けてもらいたい。そこで高橋さんに一つ最後に注文と質問をしておくのですが、一体これだけのことをやるのにあなたは今のような事務的答弁でこれを粉飾しておりますが、これだけの問題についてはあなたのほうの職場におられる労働組合のかたがた、その他職員のかたがたから意見が強く出ておるのですよ。あなた自身も御承知の通りだ。そこで若しあなたが言われるような事務的のものであつたならばこれは私は納得する。そこで私自身も必要でない人員を徒らに抱いておけというような野暮なことを言うものではない。国民の一人としてさようなことは言えないと思う。さような私は暴論を吐くものではない。併し部署々々によつては相当必要な私は人員を擁さなくちやならんところもある。私どもの眼から見るならば今後所得税、特に法人税の捕捉などにつきましては徹底したやり方をやつてもらわなければならん。そういう点についてあなたの言われるような非常に能率的にできるというようなことだけでは私は済まされん。現にあなた自身言われておるように一千四十何億という滞納をあなた自身認めておるじやありませんか。今後私は今のような当局の昭和二十七年度の予算編成の方針の内容を見ても、あり方を見ても私はああいうような税収入が得られるということは思いません。併しかような一応仮定の上に立つて作業をして行くとしたならば、それに対するところの人員の配置というものは相当必要なんだ。そこでこれはあなたに申すのですが、若しあなたの意見を以てこれをやられるならば労働組合など、或いは職員の連中のかたがたからのいろいろな意見がないはずでありますけれども、意見がある。これらのかたがたとこの整理に当りまして調整をして行くところの何か相談をする機関を設けてあるのか。又今後相談して善処をしようとするのか。この点を一つお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/38
-
039・高橋衞
○政府委員(高橋衞君) 甚だ事務的な答弁ばかり申上げまして誠に恐縮でありますが、外国の例を申上げますのも如何かと存じまして控えた次第でございますが、米国の例を申上げますと、これは源泉関係の納税義務者を含んでおりまするが、米国では所得税の納税義務者数は五千三百万であります。それに対しまして、その他法人税その他の制度も大体日本と同じような制度に相成つておりますが、それに対して税務官吏の数は五万三千でございます。日本は源泉を含めまして千五百万足らずであります。これに対して税務官吏の数が六万一千二百人ということに相成つておりまして、又地域の差はこれはもう申上げるまでもなく非常に大きな地域差を持つておるということはよくおわかりだと思いまするが、徴税費の率を比較いたして見ますると、米国においては〇・五二%でありますが、日本の昨年の実績は二・八%ということに相成つております。その双方の面から考えまして、勿論これは国民の協力を求め、本当に民主的な運営によつて国民の協力を求め、そうして申告納税制度の軌道に乗るということについて初めてそういうふうなことに達し得るのであろうと考えますけれども、何とかして内部も能率化する、そうして国民に信頼されるところの、本当のいい税務行政にすることによつて、協力も得るということによつて、税務官吏の数も漸次減つて行く、徴税費の額も少くたつて行くということが私どもの一つの目標でなければならんかというふうに考えておる次第でございます。なおこれらの職場の諸君の御意見は十分私ども絶えずお聞きしておりますけれども、政府の方針と必ずしも一致していないという面が残ることは、これは止むを得ないかと考えておりますが、併しながらその理のあるところ、又私どもの同感し得るところについては、私どもの立場においてあらゆる努力は今までもいたして参つたつもりでございます。今後においてもそういうふうな心がまえを以て善処して行きたいと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/39
-
040・菊川孝夫
○菊川孝夫君 丁度橋本さんがおいでになりましたから、大臣にお聞きしたいのですが、今回の定員法の改正、国民負担を軽減するために行政費の節減を行うということにつきまして、私たちもこの趣旨に反対するものではありませんが、第一にお尋ねしたいのは、行政機構のうちで一番何と申しますか、金のかかるのは何といつても高級部門だと思うのでありますが、即ち局長、部課長というところを先ずこういう部門を減らさない限りにおいては、我々も官庁におりましたが、その連中の判をとるために未だに、戦前におきましても一つの立案書に何かちよつとした仕事をすると二十くらい判が要つた。今でも官庁へ行つてその立案書を見ましてもやはり二、三十、判がついただけで表面が真赤になつておるという立案書がどこにもあるわけでありますが、あなたは今回の定員法を改正されるに当りまして、先ずそういう方面に手を着けるということなしに、ただ天引というふうにお考えになつたのかどうか、この点についてお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/40
-
041・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) 只今御指摘のありましたように、少しまとまつた仕事でありますると判が二十で済むのが先ず中ぐらいな程度で、判が多いのはなかなか多い。お話がありましたように、この面において行政機構を簡素化し責任の所在をはつきりするということは私は非常に大切なことだと思つております。今回の行政改革に当りましては、行政事務の点、人員の点、機構の点を全部一緒に考慮いたしまして、前から何遍も内閣委員会において御説明を申上げたことでありまするが、今回の整理は、政令諮問委員会において、約三カ月ほど審議をされた結果の答申案を参考にいたしまして立案をいたしたわけであります。行政機構の改革につきましても、これも成るべく早く結論を得たいと思いましたが、これはなおいろいろ考慮をすべき部分がございまして、何といいましても一番基本になりますものは行政事務をどう捉えて行くか、その繁閑の度合に応じてどう按配して行くかということが、事務が一番の基本でありますので、政令諮問委員会の答申案もそういう建前でやつておりました。先ず行政事務の整理、簡素化、その繁閑に応じての定員の按配ということをここにまとめたものであります。天引ということでなしに、各般の行政事務について分類をいたしまして、それの繁閑に応じて定員の按配をいたしました。行政機構の改革についても成るべく早く成案を得まして、通常国会に提案をいたすようにしたいと思つております。その場合には只今お話のありました弊を矯めるようにいたしたいと考えております。併しその場合には、要するに局長なり、課長なりというものの数が変つて参るということでありまして、仕事自身は今回の定員法の基礎になりました仕事というものは必要であると考えておるのであります。この仕事を処理いたしまする場合に、それができるだけ責任者がはつきりしておつて、そうして簡素化して能率的に運営のできますように、只今御指摘のありましたように配慮いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/41
-
042・菊川孝夫
○菊川孝夫君 今の橋本さんのお話はちよつとおかしいので、実際にはそれは理窟はそうなるかも知らんが、あなたも官庁においでになつたのでおわかりの通り、局長を一人殖やしたらそいつに附属したといいますか、局長を殖やすための必要人員は殖えて来る。従つて今度局長を減らすだけだというお話でなしに、その局長を減らしたならば、それに附属した公務員も相当減るということになるのであります。それはおきまして、それでは今回の定員減少になるのは局長、部課長といつたような役付きの公務員ではなしに、一般に一線に働いておる公務員の数を減らすものであるかどうか、これだけをはつきりお答え願えれば結構であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/42
-
043・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) 部課長、局部課長付きといつたようなものは、本当に秘書でも置くものは僅かでありますが、本当の付きというようなものは極く僅かの人員であります。今までいろいろ御質問のありましたことは、局なら局がありますならば、その局の庶務、会計、人事というようなものを扱う総務的な要員がついておることであろうと思います。それは今回の整理に当りまして、人事の規定、会計の規定を簡素化いたしまするのと、それから今後来るべき行政改革におきまして、できるだけこの局課の整理ということも或る程度行うということを含めまして、そうしてこの整理案を立てておるわけであります。機構改革に伴いまして改めて更に人員を減らすものでございませんし、今お話のありましたような付きというようなのがどの範囲かわかりませんが、庶務、会計、人事というような面の官吏要員を整理いたすことにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/43
-
044・菊川孝夫
○菊川孝夫君 そうすると、今度機構改革をやつても人員が減らないというわけですか。単なる機構改革だけというお話ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/44
-
045・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) この次の機構改革をいたしまする場合に、勿論局長の数、或いは部課長の数というものは機構改革に伴つて減つて参りまするし、それから又或る種の行政委員会を一般官庁で扱うというふうにいたします場合に、委員会の数というものは減つて参りまするけれども、更に人員を整理をするということはこれは原則として考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/45
-
046・菊川孝夫
○菊川孝夫君 そういう点については内閣委員会の御関係ですから余り我々触れんことにして、それでは我々の委員会の直接関係のある問題に人りますが、今回の政府案によりますると、現業は五%、それから税務関係は一八%ということになつておるように聞いておりますが、この税務関係の中でいわゆる税務署の第一線に働くのは丁度個別訪問もいたさなければなりませんので、郵便局における郵便の配達と同じように、自転車に乗つて出掛けて行かなければならん場合もありましよう。同じような性格であると私は見ておるのですが、この税務関係の一八%というのは、これは第一線でそうした働く連中ではなしに、本当に税務署内において事務をやり、庶務をやり、会計をやり、人事をやり、或いは帳簿をつけると、こういう人を一入%に含んで、第一線に働いて徴税事務、或いは滞納処分等を行うものは、これは現業とみなして割当ててあるものと解釈してよろしいかどうか、この点について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/46
-
047・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) これはもう詳しい問題は国税庁長官のほうからお答えのあるのが筋だと思います。私総体の問題としてお話を申上げたいと思つております。国税庁の問題については、ただ現業であるから五%とか何とかいうことでありませんで、これも基礎の参考案にいたしました政令諮問委員会の答申案自身がそうであつたのでありまするが、飽くまでも事務の簡素能率化をできるだけ図つて行くということで、税法についても減税措置をできるだけ大幅にやつて、納税人員等もうんと減らして行きたい。従つて政令諮問委員会の答申案では、納税人員の激減に伴つてもつと大きく減らしてもいいという考え方を持つておりました。実際は税法改正のほうもそれほどまでには行きかねましたし、今日の税法の改正関係の問題、その納税人員や滞納者の整理とか、或いは戦後の不熟練な税務官吏がだんだん熟練して来たといつたような、いろいろな点を勘案いたしまして、今回の人員整理案を作つたわけであります。そこで勿論総体の人数の中には、庶務、会計、人事のような管理要員と、それから第一線で働く人たち等、全部含んではおりまするけれども、その場合に調査簿を持つて歩く人は現業者五分で、残りの分が何割か管理要員にかかつていると、こういつたふうの関係ではなく、従つて飽くまでも税務行政の仕事のあり方というものを基本に含んでやつたものであるということを、私から一般的な方針として申上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/47
-
048・菊川孝夫
○菊川孝夫君 それでは一般方式はわかりましたから、税務関係のほうへ……。
先ず我々の委員会として一番問題になつているのは、何といつても税金の捕捉率の問題、滞納の問題が一番大きな問題になつておりますので、この点から国税庁長官にお尋ねいたしたいと思います。税務行政におきましては、これは私は申上げるまでもなく、賦課、徴収の二面に分れております。
どうしてもこれは個々の納税者を調査いたしまして、個々の納税者に接触して行かなければならんと思います。而もこの現業は非常に高度の私は知識と調査技術というものを要するのだろうと思うのでありますが、一体一人前の税務官吏になるためには何年くらいの、あなたがたのほうでは勤続年数を考えておられるか。それから現在の在職年数別の人員構成は一体どうなつているかという点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/48
-
049・高橋衞
○政府委員(高橋衞君) 只今御質問の二つの点とも、非常にお答えのしにくい御質問でございますが、非常に素質のいいかたであれば二、三年で以て相当立派な税務官吏として能率を発揮して行く頭もできると思いますが、普通の状態でありますと、やはり五年なり十年を要するのではないかと考えるのであります。殊に税務に関しましては、税法に通暁するというふうなことだけが必要じやなしに、やはり経済情勢全般に或る程度の勘を持つていること、それから経験によりまして、この人の所得がどこに隠されておるか、これが信頼され得るかどうかというふうな判断を常時必要とするのであります。どの程度を以て満足すべき状況であるかという標準のおきどころによつても、これは違つて来る問題でありますが、まあ大体五年から十年程度の経験を経た人であれば、これは私どもは一人前として勤務して頂くということになつて行かざるを得ないかと考えているのであります。それから在職年限別の構成でありますが、これは只今ここに資料を持つておりませんが、先ほどもちよつと触れましたように、今年一月一日現在においては平均在職年数が四年三カ月に相成つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/49
-
050・菊川孝夫
○菊川孝夫君 それじや在職年限別人員構成は後刻大蔵委員会のほうへお出し願いたいと思います。
次に何と言いましても、今あなたがお話になつたように、税務官吏になりますると、普通の……私が先ほど申上げましたように、高度の知識とやはり調査技術と言いますか、勘ができて来るようにならなければならんと思うのでありますが、ところが今回の整理は逆効果を来たすのではないかという面を私は憂えるのであります。と申しますのは、人員を減らすのに希望を募るということをどこの官庁もそろそろやつているようでありますが、そうなりますると、永年勤続した、いわゆる二十年、三十年勤続した官庁の年字引というのはどこにでもあるわけですが、その連中が中心となつて運営をしているのですが、課長、局長が運営しているのでなく、本当の第一線はこの連中でもつている。ところが、そういう人たちは今回の退職金の特別措置或いは退職金に対する課税の特別措置等に伴いまして、相当退職の希望が出て来る。そうして税務署の一番生字引とも見られる連中は、今度は退職を希望するというような傾向がどこでも現われて来ていると思うのであります。従いまして人員構成のうちでも高度の勤続年数者、而も割合熟練した善良なる公務員を失うという結果になることを私は一番憂えるのでありますが、その点の御心配があるかどうか。私は構成人員のを頂いておいてそういう実績を一つお聞きしたいと思いますので、申上げているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/50
-
051・高橋衞
○政府委員(高橋衞君) 今回の行政整理におけるところの退職金が、従来の基準に対して八割増ということに相成つておりますが、従来の基準も、基準が勤続年数というものを或る程度基本にしているという関係からいたしまして、只今御指摘のような心配を私どももいたしているのであります。併しながら従来から大蔵省の伝統といたしまして、やはり仕事を何とかして円滑に立派にやつて行きたいということを皆考えておりまするので、相当退職金がありましても、やはり全体のために踏みとどまつて行きたいというふうな希望を持つているかたも相当あろうかと考えますので、何とかして整理後においても、先ほども繰返し御答弁申上げておりまするように、円滑に、又幾分でも改善を今後やつて行けるというふうに行きたいと考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/51
-
052・菊川孝夫
○菊川孝夫君 そうして今私が申上げました熟練した優良なる税務職員が、むしろ今の社会情勢と言いますか、政府の税金取立の苛酷さからして、この人たちの売行きが一番いい。これは率直に申上げまして、どこの法人でも、いわゆる合法的脱税と言つては語弊があるかも知らんが、我々に言わせればそうだと思います。合法的脱税の技術者として引つこ抜きに来る傾向があるだろうと私は思うのでありますが、こういう措置を国税庁長官がどう処置すると考えられているか。又割当てられた税務の一八%をどういうふうにして……、今の私の申上げましたような善良なる連中はどんどん引つこ抜かれて希望退職すると、こういう場合にそれを止めるについて、そうすればほかのほうへ廻さなければならん。一体割当てられた一万何千人の人員をどういうふうに捌いて行くつもりか、国税長官の御見解を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/52
-
053・高橋衞
○政府委員(高橋衞君) 先ほども松永委員の御質問に対して答弁申上げましたが、一万二百八十名のうち約三千名余りは現在欠員であつたり、又は長期欠勤者であつて、定員外になし得るものの数になつております。従つて約残りは八千名足らずということに相成りまするが、この八千名に対して大体月月四百五十名程度の自然退職者が従来の実績から考えまして約十カ月間でありまするから四千五百名程度のものが、出るものと考えるのであります。又監察官を今年の四月から百二十名に増員いたしまして、そうして部内におけるところの不正なり非行のある者、又その虞れのある者というものの調査を充実いたしますと同時に、これが予防的措置を考えている次第でありますが、これが昨年の実績で八百六十名程度あつたと思うのであります。これは懲戒、免戒、諭旨その他それにいやしくも関係のある者全部を引つくるめての数字でありますが、従つてそれらのものをいろいろ考え併せますと、実際にどうしても政府から干渉してやめて頂かなければならんというものの数は割合に少いというふうに考えているのであります。併して只今お話の一番売れ口のいいのは合法的脱税を図るために、相当経験年数の長いものが多いのじやないかというお話でありますが、私どもはそういうふうな虞れのある者は税務部内ではできるだけ排除いたしたいと考えております。又十年、二十年の勤続者は、とにかく長年の間いろいろな誘惑とも戦い、薄給に甘んじて、そうして清廉を保つて来たものでありまするので、たとえそういうふうな民間に入ります場合においても、そういうふうな習い性となつたところの良心的な態度というものは、さほど崩されるものじやないのじやないかという期待を持つている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/53
-
054・菊川孝夫
○菊川孝夫君 次に今世間一般に、昔は警視庁は一番怖いということになつておつたが、今は一番怖いのはあなたの管轄している税務署が一番怖いというのが社会通念になつている。その怖い税務署が人を減らすとなお不親切になつて来ると思うのであります。むしろこの際に余裕があるならば、税務相談を拡充いたしまして、この怖がつている人たちにサービスをして、そうして国民の納税意欲を高めるというふうに私は向けて行かなければならない、そうでなければだんだんと税務代理士が繁昌いたしまして、今や税務代理士が一番繁昌していることは私よくわかるのでありますが、而もどうも聞くところによりますと、税務代理士は、割合にそういうことはないとあなたは表面ここでお答えになつているが、税務代理士へ行かなければならん、税務代理士に行くと一般に金がかかるのであります。税務署はこういう複雑な法律をこしらえておいて……、ですから一般民衆にわかるようなサービス機関を作るべきだ、そこにあなたは充当すべきだ、そういう主張は大臣のほうにしなかつたか。世の中の風潮は税務署を怖い怖いと思つているのでありますから、喜んで相談に来られるように、仮に税務署に相談に来ても二日くらい行列を作つておらなければ間に合わんという事実がよくありますが、私も一遍そういう例にぶつかりまして、これは所得税の源泉徴収の問題でありまして、二、三年前でありましたが、年末調整の問題で間違えられたのが来まして、私は幸いそのとき国鉄の労働組合の委員長しておりましたのでその名刺を持つて行つて、忙しいから早くやつてくれと言つて税務署長にやつてもらつたのですが、普通の人に聞いて見ると、昨日から行列していると言つていました。そういうことでは私は駄目だと思います。その点は相当緩和はされましたが、未だに税務署に相談に行くと相当に待たなければいかん、勢い税務代理士のところに行かなければならん、行つてそこでは金を取られるといることになりますので、むしろ余裕ができたならば税務相談所を設けまして、拡充いたしまして、そういうふうなサービスをすべきではないかと私は考えるのでありますが、国税庁長官はこの点について今後配慮をされて行くのかどうか、こういう点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/54
-
055・高橋衞
○政府委員(高橋衞君) 終戦後税の負担が増加するに伴いまして、公平の見地から税法自体が非常に複雑になり難解になつて参りました。従つて税務についてよく御理解を願うためには、相当に御説明も必要でありますし、又その他の施設を相当に必要とする段階に相成つて参つております。これも米国の例を申上げて甚だ恐縮でありますが、米国におきましては主なる会社法人等におきましては、必ず税務の専門家がその会社に相当多数おりまして、自分の所の会社の税が適正に行われるようにできております。又公認会計士なり税務関係の会計士の数は、これは日本の現状と同じように、国税庁に登録をして、一々証票がなければその事ができないのでありますが、これらの人の数が全国で約五万人余りの数になつております。これらのかたが殆んど街角の至る所に看板を掲げまして、所得税に関する仕事をお世話をいたしておるのであります。勿論これは或る程度の報酬も必要になつておるのでありまして、帳簿まで完全にするものにつきましては月四、五十ドル程度、年に一回申告書を書くものは、百ドルから百五十ドルを支払つておるようであります。そういうふうな負担に堪え切れないかたは、結局税務署で全部お世話をして、申告書まで書くお世話をして差上げるという状況に相成つておるのであります。日本においても現在、元の税務代理士、新らしい法律の税理士の数はまだ五千人程度でございますが、これらの人が素質も立派になり、又公認会計士の数も多くなり、全体としてもつと数が殖えて、民間にあつてその負担に堪え得るかたがたの場合におきましては十分に税法の解釈なり、実際の運用なりについての相談相手になり得るという状況になつて来ることが私は望ましいと考えておるのであります。併しながらその負担に堪え得ないかたがたにつきましては、只今お話の通り私どもも何とかして税務署で親切に指導して差上げて、そうして間違いのないようにいたしたい、そういうふうに考えておるのであります。又先ほども触れましたように、そういうふうにいたしましても米国においては僅か五万三千の税務官吏で済んでおるのに、我が国におきましては六万を超えておるのでありますから、納税者の数その他の比率から考えまして、やはり減らされた数の範囲においてできるだけ親切に、又国民の信頼を得られるような方法で運用して行くことが私どものあるべき態度ではないかというふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/55
-
056・菊川孝夫
○菊川孝夫君 税行政の事務内容には、必ず第一線で、絶対整理不可能な仕事と、まあ比較的簡素化されて、先ほどもお話のような会計人事といつたような管理部面で整理可能な仕事があると考えるわけでありますが、そこで私は税務署の係別、税務署の係の中でも総務だとかいろいろあるだろうと思うのでありますが、税務署におきましては係別、国税局も或いは庁におきましてもその職務別に一つ整理可能な点を、職務をお示し願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/56
-
057・高橋衞
○政府委員(高橋衞君) まだ係別にどうして、どの税務署でどれだけ減らすということにつきましてはまだ検討して……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/57
-
058・菊川孝夫
○菊川孝夫君 どの税務署ということはいいのです、係別に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/58
-
059・高橋衞
○政府委員(高橋衞君) 全国的に見まして納税者の数が絶えず動いておるのでございます。それで問題は例えば二十六年度の大体の納税者の数がどの程度になるか、それから二十七年度の見込の納税義務者がどの程度になるかということを決定いたしまして、そうしてそれに基いて各係の定員を適正に配置したい、そういうふうに考えておるのでございます。而して定員法は一月一日から実施ということに相成つておりますから、二十六年度内は大体現状の人員で以て仕事がやつて行けるというふうに考えますので、私どもは二十七年の見込のいろいろな事実に基く、事実関係の資料を元にして、どこをどれだけ殖やすということを決定いたしたいと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/59
-
060・菊川孝夫
○菊川孝夫君 そうしますと、この算出した一万何千名というものは、どういう部面で減らすということさえも前提になさらず、とにかくこれだけは按分をいたすということだけ計画された一万何千名でございますか。どの部面で減らすのだということば全然考慮されない、税務署の、個々は別といたしまして、税務署のどういう部面においては、国税庁たらどういう部面において何名減らす、そうして按出した総計が一万というわけではなくて、頭の中で一万何千名、これをどつかへ割当てて行こうという、こういう計画でやつておるのですか、その点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/60
-
061・高橋衞
○政府委員(高橋衞君) 各局別、各税務署別の定員は、二十七年度のいろいろな基礎資料が整つた上で、それに基いて配分をいたしたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/61
-
062・菊川孝夫
○菊川孝夫君 そうすると、やはり頭ごなしの絶対数をこしらえておいて、それで以てそれを割当てるという行政整理である、こういう定員法の削減であると解釈してよろしうございますね。
その次にこの行政整理案の前提條件は、現在の税制、即ち本国会に提案されておりまするところの租税特別措置法を基礎にしてお考えになつておられるのであるかどうか、この点について、二十七年度とあなたはおつしやつていましたが、その点を基礎にして算出されているかどうか、この点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/62
-
063・高橋衞
○政府委員(高橋衞君) 現在提案されておりまする税法関係の法律が平年度化することを前提として考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/63
-
064・菊川孝夫
○菊川孝夫君 それじや具体的に一つ御質問申上げたいと思いますが、申告所得税の昭和二十五年度の納税者、二十六年の見込、それから新法によるところの見込、これを一つ数字でお示し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/64
-
065・高橋衞
○政府委員(高橋衞君) 二十五年度の実績が四百三十三万人であつたということは、先ほど御説明申上げました。二十六年度の見込については、これは単純な見込でありますが、税法の改正がなければ約四百九十万になると思うのであります。これが税法の改正によりまして、三百八十万から四百万程度、大体三百八十万というふうに見ておるわけであります。それから二十七年度につきましては、これは非常に困難な條件がつくかけでございます。と申しますのは、二十七年度において、生産なり、物価なりが或る程度増加するということを予定せざるを得ないかと思うのでありますが、物価の問題を別にしまして、生産は必ず或る程度の増進があることを期待いたしておる次第でありますが、そういう場合に、その生産が増加することによりまして、所得がどれだけ増加するかということを予定しなければならないのでございます。そんな関係からいたしまして、二十七年度の納税義務者の数を現在予想することは極めて困難でございます。若しもそれが或る程度確実性を以て予想できれば、現在においで大体どこにどれだけ減らすという見当もつけ得る次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/65
-
066・菊川孝夫
○菊川孝夫君 全然まだつかん。それでは現在におきまして、この申告所得に従事している人員というものは一体国税庁関係の人員の中からどれだけあるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/66
-
067・高橋衞
○政府委員(高橋衞君) 各係別の細かい数字は手許に持つておりませんが、何でしたら後ほど……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/67
-
068・菊川孝夫
○菊川孝夫君 後ほど私のほうの委員会へ御提出願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/68
-
069・高橋衞
○政府委員(高橋衞君) 承知いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/69
-
070・菊川孝夫
○菊川孝夫君 ついでに、それではそのうち調査に出る者と、整理をする、内部において整理をする者とこれはあるだろうと思うのでありますけれども、私はなぜこういうことを言うかというと、今税務の問題は非常に国民も真剣になつておるから私がお尋ねするのであつて、あなたがたのいやがらせというものではないのですから御了承願います。調査に出る者のうち何名か、その比率等を御参考にお出し願いたい。それから、今回の新税の適用によつて、現在の人員とその比率とを考えて、これは少し無理じやないかと思いますので、これは大蔵委員会として検討しなければならんと思いますから御提出願いたい。それから、次にこれは一番大きな問題、先ほどからも比率の問題について盛んに各委員も御質問申上げたのでございますが、給与所得、即ち源泉徴収されまするところの給与所得は、これは一番、根こそぎ持つて行かれてしまう、特に公務員関係は根こそぎ持つて行かれてしまうのでありますが、ところがそうした連中が、我我もその一部でありますが、その者から考えると、一般の申告所得は、どうも捕捉率は我々ほどは行つていないだろうというふうに考えるし、我々の委員会におきましても、たびたび大蔵大臣或いは主税局長にお尋ねしましても、その点はやはり認めておられるのでありますが、そういたしますると、申告所得の実額調査ということは大事な問題と思うのでありますが、実額調査は、納税著に対しまして、一体昭和二十五年度はどのくらいなパーセントだけは実額調査をやつておるものかどうか、この点を一つお伺いしたいと思うのであります。そうして又一体そのパーセンテージをどこまで引上げて行くおつもりでおるかどうか、この点を一つ御説明願いたい。これは大事な問題だと思いまして、いわゆる税の公平なる負担という見地から、私は絶対必要だと思うのですが、一体二十五年度の実額調査の割合、これを一つお示し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/70
-
071・高橋衞
○政府委員(高橋衞君) 税務署におきまする仕事をいろいろと分化いたしまして、内部の整理に当る者と、外部の調査に出る者とを漸次分業的の方向に持つて行きたいということは私ども念願しておるところでございまして、実は全国に二十二の基準税務署というものを設けまして、ここで以て内外事務の分離をどういうふうな方法でやつたら一番合理的であるかということを只今実験をいたしておるのであります。而してその他の署におきましても、大きな税務署については、内外事務の分離、それから各担当別に非常な区分をいたしておりますが、半分程度の税務署につきましてはそういうふうな区分をいたしておりません。内部事務に従事しております者も、例えば年末その他滞納の整理に一番適当な時期におきましては、それらのかたがたが外へ出てやはり税の徴収に当る、所得税関係におきましては、内部事務に従事しておつた者が、時期になりますれば、殆んど大部分の者が外に出て調査に当るというようにいたしておりまするので、後段の資料の御要求のありました内部事務の現実の調査に当る者はどれだけという数字は、これは本来分離できませんので、分離できたものの署におけるところの推定ぐらいはできますが、極めてアンビギアスな数字に相成りまするので御了承願いたいと思います。それからいま一つ、実額調査の点でございまするが、これは、先ほども御質問に対しまして、二十五年度は大体二〇%程度の実額調査はできたかと思うというふうに申上げたのでありますが、これは何を以て実額調査かという点が非常に問題になるのでございます。私どもは技術的に収支、収入も、経費も、全部総ざらい的に調べる調査を収支調査、こう申しております。それから、例えば経費のほうは、帳簿が非常に不完全であつて、到底調査ができないけれども、売上げその他の収入だけははつきりわかるというように、これは基本と申しまして、基本の調査と申しておるのでありますが、その双方を以ていわゆる実額調査と申しておるのでございます。その他のいろいろの課税標準の推定の基礎になるような調査をいろいろな名前で以て、例えば精密戸順調査とか、簡易実額とか、又は実況調査というふうな名称で以ていろいろな段階の調査を各納税義務者に対して当つておりまするので、これも又各局必ずしも全部同じ程度に同じ方法でいたしておりませんので、この数を取ることは非常に困難でございます。ただ一つ申上げたいと思いますのは、私どもは今後の調査に当るところの態度といたしましては、量よりも質に重きを置いて行きたいというふうに考えておるのであります。先ほどもちよつと触れましたが、米国におきましては全納税義務者の四%の調査をすることによつて全体の公平を保つという状況でございます。申告納税制度は、私から申上げますまでもなく、全部の納税者が大体において良心的であり、正直であるということを前提としておりますので、税務というものは、不正直な者、漏れの多そうな者を中心として、調査を充実し、更正決定その他によつて全体の公平を保つて行くというのが理想でございますので、私どもは何とかして正直な人を一人でも多くし、又信頼できる人をできるだけ作つて行くという方向に今日の努力を傾倒いたしまして、そして最も悪質なもの、最も漏れの多そうなかたから調査を始めて、而もそれを十分に調査をするということによつて、全体の公平を保つという方向に持つて行きたいと考えておるのであります。従つて今日の問題としては、どの人を調査するか、ということを決定することが非常に重要な問題と相成つて参つております。而して又、調査をする対象を選ぶ際におきまして、そういうふうに漏れの多いかた、又は従来の実績から申しまして、又は検討からいたしまして、どうもこれは間違いであるらしいと思われるかたを調査することは勿論でありますが、同時に高額の所得者に重点を置いて高額の所得者から順次調査を充実するという考え方を同時にとつておる次第でございます。従つて今後二十六年度なり二十七年度において、どの程度のパーセンテージの調査をするかという見込は立てておりません。実は二十五年度において、当初三割程度の実額調査をいたしたいというふうな目標を立てましていたしたのでございますが、二十六年度におきましても当初その程度の調査を、一応目標として立てて見たのでありますが、どうも目標を置いて調査するということは、一方においては税務官吏に過労を強いる結果を来たす場合もありますし、又その結果が納税者に非常に迷惑を及ぼすという結果を来たすこともありますし、又そういたしますると勢い正直な、調査をしやすいかたに調査をしてパーセンテージを上げるというふうなことになりやすい傾向を持ちますので、私どもはそういうふうな欠点を認めまして、すぐにも何%調査しろというふうな指令は全部撤回いたしておりますので、専らそういうふうな調査を要する対象から順次始めて、而もそれを質に重点を置いて、パーセンテージにかかわらず良心的に熱心にやつてもらいたいという指示をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/71
-
072・菊川孝夫
○菊川孝夫君 私もその高額所得者から、実額調査をおやりになるという方針については賛成なんでありますが、ところで問題は、アメリカの例をあなたはお引きになつたが、それはアメリカの国民生活に及ぼす税の影響というものと、日本における国民生活に及ぼす税の影響というものは、これはもう格段の開きがあり、そこで四%にやつているから、うちのほうも四%でいいのだという考えを持つたらとんでもない間違いでありまして、私たち申上げるのは、先ほどから各委員が申上げましたように、税のいわゆる公平なる負担、それから捕捉率の完璧を期するということは、これは大事だと思うのであります。その税が一方に片寄り過ぎてひど過ぎるというなら、その法律を変えなければいかん、税法を変えなければいかん。捕捉率をルーズにするということはあつていかんと思うのでありまして、その点からどうしても実額調査というものは、パーセンテージを殖やすほうがいい、殖やすほうが理想だと思います。どうしたつて申告したやつをやらなければやらないで、全然やらないのは別といたしまして、やる以上はパーセントを殖やすことが必要だ。ところが今回の人員の整理によつて、むしろ下つて行くという傾向があるのでありますが、その点心配ございませんか。その点が一点。さて国税庁長官がそういうふうなことを以て現在の税法の運営が公平……、私どもが先ほど申しました捕捉率の点、或いは税の公平なる負担という面から言つて、うまく運用ができておるというふうにお考えになりますか。何パーセントぐらいなパーセントであるかというふうに考えておるか、この点を一つお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/72
-
073・高橋衞
○政府委員(高橋衞君) 先ほどアメリカの例を申上げましたのは、これはやはりそういうふうな理想的な状況に申告納税制度の運用を特つて行きたい、というふうに申上げたのでありまして、現在の状態においてその程度で満足できるというふうには絶対に考えておりません。少くとも目標は置いておりませんけれども、実額調査が三十%程度は、やはり私ども心づもりといたしましてはできるのではないか、質に重点を置きまして、なお且つその程度はできるのじやないかというふうに考えておる次第でございます。而うして現在の税務行政が満足すべき状況かという点につきましては、私ども非常に不満足な、むしろ率直に申上げまして、私自身として不満足な状況であるというふうに申上げたがいいかと考えるのであります。併しながらこの二十五年度における状況は、これはいろいろ検討して見まして、相当なお欠陥を擁していますので、二十六年度においてはいろいろな施策をいたし、又いろいろな観点からいたしまして、相当に改善ができておるというふうに考えております。又先ほどもちよつとお答えいたしましたように、今後におきましても、その改善が或る程度年々なして行けるというふうに考えておるのであります。従つて急速に、これで国民の協力を求めるとか、或いは税務官吏の訓練を相伴うとか、いろいろな面がありまして、人が多いことによつて急速に改善できる問題ではないのでありまして、大体与えられた人員を以て今後も努力いたしまして、漸次改善して行けるのではないかというふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/73
-
074・菊川孝夫
○菊川孝夫君 今も率直に国税庁長官が言われる、私もそれはそうでなければならんと思います。不満足であるということにおいて、我々もそうだと認めざるを得ないし、国税庁長官も認められたのは率直でいいと思う。いい人をだんだん殖やして行くということは、私ども反対するのでなしに大賛成でありまして、大いにそうして行かなければいかんと思うのですが、現在でも相当戦後訓練されてよくなつて来て、それでさえも不満足である、更に不満足の上に無理が重なつて来る、しわ寄せされると思うのですが、例えば一例を挙げてお尋ねしたいと思うのでありますが、兜町の東京株式取引所でありますが、ここで日々二百五、六十万の株が取引されておると承知しておりますが、一体これに対して譲渡所得がどうなつておるか、この点についてどのくらい挙つておるのか、この点一つ参考資料にお尋ねしたい。一番極端な例を申上げたのでありますが、この譲渡所得がどのくらい挙げられておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/74
-
075・高橋衞
○政府委員(高橋衞君) 私どものところで譲渡所得だけを、特に株の譲渡所得だけを区分して所得のいろいろな調査をいたしておりませんので、その資料はここに持合わせておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/75
-
076・菊川孝夫
○菊川孝夫君 これは一般に経済問題をちよつと考えている者は一番狙つておるところなんでありますが、恐らくその二百五十万株の譲渡所得を扱つておる……、それではお尋ねいたしますが、あの譲渡所得を担当しておるところの日本橋の税務署……、担当されておると思いますが、一体日本橋の税務署の職員というものは何名あるのですか、大体きちつとした数はむずかしいだろうと思いますが、一体どのくらいですか。これは簡単におわかりだろうと思う。一番大事な税務署だろうと思う。田舎の名古屋のはしのほうの税務署を聞いておるのではないのですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/76
-
077・高橋衞
○政府委員(高橋衞君) 現在日本橋の税務署の職員はたしか二百四、五十名くらいおりはしないかというふうに考えております。これは若しも間違つておりましたら訂正させて頂きます。大体その程度だと思います。而して譲渡所得の関係につきましては、只今日々二百五、六十万株というふうにお話になりましたが、営業として会社がやつておるものはすべて会社の損益に入つて来ます。従つて譲渡して純然たる捕捉のできるものは個人であつて、営業じやなしに個人であつて、そうして売買によつて利益を得、又は損失をしたという差額が譲渡所得として挙つて行くものというふうに御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/77
-
078・菊川孝夫
○菊川孝夫君 一体その日本橋の税務署ですべてを扱つておる……、あなたの言われるには二百五十人、二百名内外の人でこれだけの株式の毎日の売買があつて、而もそれは譲渡所得を課することになつておりますが、それが完全に捕捉できておるとお考えになりますかどうですか。この点は一つ資料があつたら、これも一つ大蔵委員会あたりに提出してもらいたいと思うのでありますが、これが一番問題になる。恐らくやつていないだろうというふうに誰でも考えているのですが、一体これだけの譲渡に伴うところの利益があつて、これに対してこれだけかけているのだ、毎日の取引件数はこれだけだと、これを明らかに願つて、こういう疑惑は、僕は国民の前に明らかにすべきと思うのでありますが、完全に行つておるならそれは結構であると思うのでありますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/78
-
079・高橋衞
○政府委員(高橋衞君) 株の売買につきましては、取引員が一定数以上の売買をいたしましたものにつきましては、その事実を税務署に報告する義務を持つておるのであります。而して証券業者は、全部証券委員会によつて、完全な監督が行われておりますので、そういうような取引件数が報告すべきものが報告されていないということは、余り多くはないのじやないかというふうに考えておるのでございます。従つてその報告をすべて資料として、我々のほうの所得の算定をする資料に全部使われておりますので、御想像になりますような、すべて放任されているとか、乱雑になつておるというような性質のものではないと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/79
-
080・菊川孝夫
○菊川孝夫君 この問題につきましては、これは大蔵委員会、特に税務関係の問題で、この問題だけを取上げましても、私は捕捉率或いは税の公平な、今の税法は無理である。そういうことはやるのは無理である、法律を改正するならばいざ知らずでありますが、現に法律として存在しておつて、一方においてその同じ法律で以て一〇〇%取られているものと、相当見逃がしがあるものとがあつて、そういうことは追究しなければならないんじやないかと思うのでありますが、併しやつぱり日本橋の税務署では、大きいものを抱えておる、日本橋税務署でも人員整理の割当も行くことになるのでありますが、それはやはり税務署自体の実情に応じて殖やすものは殖やす、減らすものは減らすと、こういうように行くべきなんでございますが、こういう予定でございますか、その点をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/80
-
081・高橋衞
○政府委員(高橋衞君) 私どもの考えといたしましては、日本橋の税務署のごときところは、只今御指摘になりましたように経済の中心でありまして、全国の納税義務者に関係のある資料が一番入りやすい、従つて今後は、私どもは現在一定の仮定員を作つておるのでありますが、その定員にかかわらず、日本橋税務署のごときは庁舎に余裕のある限りは充実して行きたい、むしろ全体としては相当な減員でありますが、日本橋等の重要なものについては、むしろ相当に充実して行きたいというふうに考えておる次第でございます。従つてその人数がどの程度になるかわかりませんけれども、若しも庁舎に余裕があれば四百名近くの職員をあすこに置いて、そうしていろいろな資料、事務に更に進歩したやり方をやつて参りたいというふうに考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/81
-
082・菊川孝夫
○菊川孝夫君 次に私たちの委員会におきまして、今問題になつておりますのは、法人税法の改正でございますが、三五%を四二%にするのはいいか、悪いかいうことでありますが、むしろ法人税法を、法人税率を上げたならば、却つて逆に不正が行われまして、却つて税金が納まらん、むしろ税金を下げたほうかいいという意見もある。法人は儲かつている。社用族の跋扈は、これは明らかに今社会問題になつておる。その社用族が一体どういうところから出て来るかというと、税金を逃れる、まあどうせ税金にかけられるから、一つこの際交際費で以て使つてしまえというわけで、盛んに高級料理店を使う、これはあなたも新聞で御承知の通りでありますが、それを損金のほうに入れてしまうと税金のほうにはかからん、税金に取られるならば飲んでしまえ、折角資本蓄積という大きな目標のために、財政経済政策が推し進められているにかかわらず、資本蓄積どころか、最も資本蓄積をしなければならんところの、今儲かつておる会社が資本の散財を行なつておるということになつておるのでありますが、従つて法人税の改正が今大きな課題の一つになつておるわけです。その点からお伺いしたいと思うのでありますが、一体法人の数というのは昭和二十四、二十五年と、それから今年の数とどういうふうな経過を辿つておりますか、大体御存じの数で結構だと思うのでありますが、お示しを願いたいと思います。それと戦前の数と比べて、昭和十五年頃と比べて見ましてだんだん殖えておると思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/82
-
083・高橋衞
○政府委員(高橋衞君) 戦前においてはたしか五、六万程度であつたかと思いますが、年々その後増加して参りまして、最近の数字は確実なものは持つておりませんが、私の記憶では約三十万近くに相成つておると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/83
-
084・菊川孝夫
○菊川孝夫君 そこで私その社用族退治と、資本蓄積の政府の方針をですね、一つ支持するという意味からではないが、社用族退治のためにはどうしても法人が皆帳簿をつけておりますから帳簿を一々調べて行かなければならない、これは社用族退治のために、資本蓄積の上から大きな問題だと思いますので、と言いますか、いわゆる税の公平なる負担ということにもかかつて来ると思いますので、一件々々調査することが必要だと思うのでありますが、そうしますると、だんだんとこのように法人が殖えて、五万ぐらいであつたものが三十万人ぐらいになつておる。五万当時のこれに関与しておつた税務職員の数と、それから三十万になつたときの職員の数、これをはつきりと一つ検討して見る必要がどうしても起つて来ると思うのでありますが、この点を一つお出し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/84
-
085・高橋衞
○政府委員(高橋衞君) 戦前におけるところの統計は非常に不備でございまして、又先ほどちよつと触れましたように、内外の事務の分量は係別に細分されておりませんので、分業的扱いをやらずに、所得税をやる人も閑なときは法人税をやるというふうに相成つておりますので、戦前の統計はございません。それで現在どの程度の人間が主として法人税関係の事務に従事しておるかということを申しますと、大体二十五年度までは三千名程度が法人税の調査だけに従事しておつたのでありますが、この四月からこの職員も相当増加いたしまして、まだその数までに至つていないと思うのでありますが、大体四千五百名を目標にして、法人税の調査を充実して参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/85
-
086・菊川孝夫
○菊川孝夫君 そうすると、三千名といたしますると、一人百会社、百ということになりますが、大体法人を三十万として三千名といたしますと、百の法人ということになります。大体におきましてそういたしますると、一々その内容をですね、審査をするということに、調査するということになると極めて困難だと思いますので、これはどういうふうにして、その調査なんか殆んどできていないか……その点について一つお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/86
-
087・高橋衞
○政府委員(高橋衞君) 丁度昭和二十三、四年頃におきましては、申告国税の仕事も非常に忙しかつた関係もございましたけれども、一人が一カ月三十件から五十件の法人税を調査しておるというような時代もございまして、そういう時代におきましては、どうしても調査が十分に行きません。非常に不完全な調査になつておりますので、それでそのやり方を改めまして、新らしく法人税の関係の調査に従事して来ましたけれども、例えば四千五百人といたしますと、年に七十件、それなら十分と私たち見ております。私たちは年に七十件ならば十分調査ができると思うのでありますが、この三十万の法人のうちには欠損になる法人が多数あります。欠損の法人、それからこれは調査を要しないと見込まれる法人も担当数ございます。而して法人につきましては、青色申告制度も割合に、大体五割五分の法人が青色申告の届けをいたしておるのであります。従つてその状況も非常にいいというふうなことからいたしまして、この程度の職員を配置すれば法人については相当徹底した調査がなし得るというふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/87
-
088・菊川孝夫
○菊川孝夫君 只今おつしやつた欠損というのは、これは法人の、この通りに殖えたというのは、一番殖えた原因は先ず税金の面におきまして法人にしたほうが税金のかかるのが少いからして個人営業が法人にどんどん切替えられて行つたのであります。従いまして欠損だというふうに出しているのは果して欠損かどうかということを、これを調べて見なければ駄目だと思う。先ず税金を逃れるために法人に切替えたのでありますから、成るべく逃れるようにして行くのであります。それが果して実際の欠損であるかどうかということを調べるということが大事であると思う。もう一つは、今の、先ほど申上げました極端な話ですが社用族というのは、これは調査して見ますと、大抵これは税金で取られるのだから損金を殖やせというわけで、社用族は跋扈している。金融の逼迫ということもございますが、景気のいい会社こそは社用族が跋扈しているということになつておるのでありまするから、そういたしますると、果してその点が、そういうことで資本の逃避をさしておつたのでは困るからこれはどうしてもそんなものは損と認めないというふうに或る程度これは制約も考えなければいかんと思うのでありまして、そういうことから考えまして、どうしてもこれは法人の調査ということはもつと真剣に数を殖やして慎重にやる必要が私はあるのじやないかと思うのでありますが、果して今の法人、今度税法の改正に伴つて、法人税法の改正に伴つて、こういう傾向はより甚だしくなるのじやないか。そうするとあなたの考えておられる行政機関職員定員法の改正からして、むしろ減ることになるのですが、今四千五百名とおつしやつたけれども、これはこの定員決改正案が通過しない前のお話であります。通過するといたしますと、これは減ることになります。逆に今度は調査をしなければならんような傾向がだんだんと高まつて来ている。このギヤツプをどうして埋められるか。こういうふうに考える。青色申告だからそれを信用して行く。そういう方針で進まれるかどうか、この点をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/88
-
089・高橋衞
○政府委員(高橋衞君) 先ほど説明申上げましたように、法人税につきましては特に法人ごとに詳しい税の歴史と申しますか税歴というものをつけさせる。又はそれが新らしく法人になつたものであるかどうか、又はそれが公共種目に属するものであるかどうか、又は私のほうでは全般的な企業分析を相当深く突き進めてやつておりますが、そういうふうな企業分析から批判をいたしましてこの申告書が果して信頼されるかどうかというふうなところに相当勘を働かせまして、そうして調査すべきものと然らざるものとの選別をいたしておるのであります。これは帳簿が割合によく記帳されているという面から、又は全体的の計数と照し合せてそう間違いないというふうな面から考えまして、個人の場合よりもよほど法人の場合は見当がつきやすいのであります。従いまして法人税につきましては、今後職員の訓練と相待ちまして、漸次よくなつて行くかと思うのであります。殊に従来の査察の仕事が殆んど法人、殊に大法人に向けられておりました関係といたしまして、法人全般の記帳が非常によくなつて参り、又申告も非常に向上を示して参つております。従つて信頼し得るところの法人というものも相当出て来るのではないかというふうに考えるのでございます。なお全般論として、税が高くなれば高くなるほど調査なり徴収なりが困難になるということはこれはお説の通りであります。併しながらこれは全体として、国の経費を必要とする場合におきましては、或る程度そういうような結果が生ずることは止むを得ないと考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/89
-
090・菊川孝夫
○菊川孝夫君 只今お尋ねいたしましたように、今何と言いましても国民の間では警視庁よりも税務署のほうが怖いという時代になつて来ておりますので、従つて怖くない税務署にしなければならない、そのためにはサービスをしなければならない。ところが人を減らすと忙しくなつて参りましてどうしてもサービスが悪くなる、そのためにますます怖くなり、納税も低下する。又一面におきましては今も申上げましたように、社用族の跋扈等がありまして、儲けた連中が飲んだり食つたりして、折角の資本蓄積になるべきものがならん。こういうところは納税という徴税の方面から見ても、これは少し粛正する必要がある。それにもかかわらず、その傾向はだんだん上つて行くにもかかわらず、一方においては税務官吏の首を切る。而も先ほどいろいろ具体的にお尋ねいたしましたけれども、これはちよつと税務官吏を、税務関係の定員改正をやるということは無理だということが明らかになつて参りまして、我々としてはどうも納得できないと思うのでありますが、なお内閣委員会におきましては全般の問題からよく御審議願いまして、こうすることによつて角を矯めて牛を殺すというようなことになりましては、橋本さんは国民負担を軽減すると言つておられるが、税の公平負担がむしろ逆の不公平になることがだんだんひどくなるから、一面におきまして税務署のこれをやつてしまうと、折角よく養成した税務官吏が今度は逆に、この際退職金が少しもらえるからというので、或いは法人あたりから引張られて、むしろ合法的脱税の……国税庁長官はうまいことを言われましたが、そうなかなかうまく行つておつたら世の中は何も問題は起らないのであります。法人あたりの、むしろ税をうまく申告するほうに流れて行くという傾向を生ずる危険が極めて多いのでありますから、私は皆とは言いませんが、そういう人も起きて来る。そうでなくても税務代理士がたくさん街におりまして、そこへ行かなければ何ともしようがないというので、要らん金を払わなければならん。税金以外に又税務代理士に手数料を払つて処理して行かなければならん。こういう状態になつておりますから、こういうところはむしろ善良なる納税者を保護するという面から行きましても非常に無理である。頭からの天引の整理は、むしろこれは税法を根本的に簡素化いたしまして、中学卒業生であれば理解できる程度の税法になつたときに簡素化する。そうすれば税務署の仕事も簡素化になる。こういう根本的な措置をなさず、ただ頭ごなしに天引定員法の改正ということは無理である。こういういうふうに思う。今日の答弁でも賢明なる内閣委員の諸君はお察しになるだろうと思いますので、どうかこの点から我々この税金の完全なる捕捉、それから公平なる負担ということについては深甚なる注意を払つて税法を検討しておりますから、どうか御検討下されますようにお願いいたしまして、私の質問を打切りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/90
-
091・楠見義男
○楠見義男君 管理庁長官に極く簡単なことをお伺いしたいと思うのですが、それは先ほどの菊川さんの質問に関連しての問題なのですが、お伺いいたします趣旨は、実はこれから我々が各省別に入つて行く場合の審議の態度をきめる上においても必要なことと思いますので、そういう意味でお伺いするのでありますが、それは実は私どもは初め国税庁の職員については現業庁として見て、そうして先ほど高橋長官が言われたようないろいろ事務能率を改善すべき点等を考慮して、その整理が妥当であるかどうか、こういうように検討して行きたいと思つておつた。ところが橋本長官のお話では、先ほどの御答弁の趣旨は、国税庁は現業関係という点からの整理よりむしろ政令諮問委員会の答申に基く税務行政の簡素化方針に則つてやつておる、こういうような趣旨の御答弁があつたと思うのですが、そこで橋本長官として我々が審議するのにどういうふうに御希望するのか、即ち政令諮問委員会の答申というものを、内容を相当審査検討して、そうしてこの定員法の改正について検討してもらいたいというような審査上の御希望を持つておられるのか、或いは我々の最初に申上げたふうな一応政令諮問委員会の答申は、他日の行政機構改革の際に十分検討することに謙つて、一応現状を基礎にして、そうして各種の事務についてそれぞれ軽重の度合を勘案をして審査をしてもらいたいと、こういうふうな御趣旨であるのか、例えて申しますと、本日から直ちに総理庁に入るのでありますが、例えば首都建設委員会とか、国家公安委員会、こういうようなものは行政制度の改革に関する答申を見ましても、これはすべて廃止してしまつて、ほかの委員会のように今後どこかの省庁に統合されるというようなことが全然予定しておらない。証券取引委員会も大蔵委員会関係でありますが、これは大蔵省に統合されるようなふうになつておるのであります。そこで重ねて申上げますが、どういう態度でこの政令諮問委員会の答申をどの程度尊重してもらいたいということで今後の我々の審査に御希望になるのか、この点を一点だけお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/91
-
092・橋本龍伍
○国務大臣(橋本龍伍君) 結論を申上げます。国会の御審議につきまして私が勿論指図はできませんし、それから又希望を申上げるというのも筋が如何かと思いますから、私の率直な感じからいいますれば、ただやはり飽くまでも現状を基礎にして御審議を願い、又私どももそれで応答いたすべきでないか。要するに積み上げた沿革というものを御説明申上げ、政府でいたしました場合にも政令諮問委員会の答申案はこれを参考にいたしまして、そうして参考にしながらやはり現状を見ながら結果はこうなつたということであります。で、先ほど申上げました現業云々の問題に関しては、鉄道でありますとか、或いは郵便であるとかというものは、結局そういつたふうな利用する人たちがありさえすれば、仕事はどんどんむしろ殖えて行くが、減るどころではないというのに対しまして、税務署の仕事というのはやはりこの税法のあり方等で基礎が違つて参るという点でほかのと一律に並べた現業というふうに考えなかつたということを申上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/92
-
093・河井彌八
○委員長(河井彌八君) 大蔵委員会との連合会はこの程度でよかろうと思いますが、それは午後、休憩後に内閣委員会を開きまして決定したいと思います。
これにて散会いたします。
午後一時三十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101214871X00119511119/93
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。