1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年五月三十一日(土曜日)
午後一時五十一分開議
出席委員
委員長 田中 重彌君
理事 高塩 三郎君 理事 橋本登美三郎君
理事 長谷川四郎君 理事 松井 政吉君
石原 登君 井手 光治君
加藤隆太郎君 高橋 權六君
辻 寛一君 平井 義一君
福永 一臣君 畠山 重勇君
石川金次郎君 田島 ひで君
稻村 順三君
出席国務大臣
電気通信大臣 佐藤 榮作君
出席政府委員
電気通信政務次
官 平井 太郎君
電気通信監 山下知二郎君
電気通信事務官
(大臣官房審議
室長) 大泉 周藏君
電気通信事務官
(大臣官房人事
部長) 山岸 重孝君
電気通信事務官
(業務局長) 田邊 正君
電気通信事務官
(業務局国際通
信部長) 花岡 薫君
電気通信事務官
(経理局長) 横田 信夫君
電気通信技官
(施設局長) 中尾 徹夫君
委員外の出席者
電気通信事務次
官 靱 勉君
専 門 員 吉田 弘苗君
専 門 員 中村 寅市君
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五月三十一日
委員庄司一郎君、小峯柳多君及び小西寅松君辞
任につき、その補欠として平井義一君、高橋權
大君及び石原登君が議長の指名で委員に選任さ
れた。
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本日の会議に付した事件
日本電信電話公社法案(内閣提出第二一二号)
日本電信電話公社法施行法案(内閣提出第二一
三号)
国際電信電話株式会社法案(内閣提出第二一四
号)
本会議における討論者指名の件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X03319520531/0
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001・田中重彌
○田中委員長 これより開会をいたします。
日本電信電話公社法案、日本電信電話公社法施行法案及び国際電信電話株式会社法案を一括議題とし、審査を続けます。昨日の松井委員の質疑に対する佐藤電通大臣の答弁をお願いいたします。佐藤大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X03319520531/1
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002・佐藤榮作
○佐藤国務大臣 昨日欠席をいたしましたので、たいへん委員の皆様方に御迷惑をおかけいたしたと思います。この点あしからず御了承のほどをお願いいたします。当時政務次官並びに事務次官から御答弁をいたしたことだと思いますが、問題はなぜ会社をつくつたか、こういうお尋ねであつたようでありますので、この点につきましては、私からお答えする方が筋のように思いますので、両次官の答弁がありました際でありますが、特に私の所信もこの機会にごひろういたしたいと思います。
御承知のように電気通信省が所掌をいたしております電気通信業務につきまして、この機構を改正するという事柄につきましては、長い間の問題であつたのでありまして、国会の御意向もぜひともこれを公社にするようにというように伺つておつたのであります。従いまして電気通信省におきましても、国会の御意思等を尊重いたしまして、公社にすることについて種々検討をつけ加えて参つたのでございます。従いまして当初におきましては、公社案一本で種々計画研究されておつたという事実もあるのでございますが、この問題を取上げました私といたしましては、全国にわたり、しかも業務も多岐に広がつておりますこの事業を、いかにすれば十分目的を達し得るかというので、規模等におきましてもどの程度の規模がよろしいか、種々くふうをいたしたものでございます。従いまして一本のまま、在来からやつております電気通信省の所掌業務を全部一まとめにいたしまして、公社に移すことも一案には違いないのでありますが、その際におきまして、やはり企業能力等の観点も考慮し、また活動に便するというような点もいろいろくふういたしてみまして、この大きな規模のものを分割することがどういう影響を持つか。言いかえますれば、分割することによつてその機能をそこなうということはもちろん避けなければならないのでありまするが、進んでよりよい業績を上げるかどうかということで、いわゆる分割する方がその使命遂行上に役立つが役立たないかという点を、まず検討いたしたわけでございます。さらに分割可能なものがあるかどうかというような点で、種々くふうを重ねて参つたりでございます。しかし冒頭に申しましたように、国会等におかれましてこり公社への移行の御意向を拝承いたしましたのは、主たる本筋の公社への移行ということをお考えになつている、かように考えますので、この公社へ移行をする場合におきまして、国会の意思を尊重いたすといたしましても、そのくふうの余地はあるように私は考えて参つた次第でございます。従いましてこの公社への移行という事柄につきふしては、従業員もほぼ了承のできて中るような感がいたしておつたのであります。さらにそれにくふうを加えまして、分割する方がよりいい業績を上げると考えられるもの、また分割可能はりやいなやという点からくふうをいたしまして、国際部門だけはこれを分割いたし、別途の経営形態にすることが望ましいのではないか、なぜ国際部品だけ取上げたかといいますと、御承知のように電信電話はこれを一緒にやつておりますが、まず電信と電話を分割できないか、あるいは電信は国内一本で参りましても、電話が地域的に分割可能かどうか、こういう点ももちろで検討の対象になつたわけでございますが、御承知のように電話と電信は設備等におきましても共用いたしておる面が多分にありますし、またその収支状況等もこれを分割することはむしろ不適当なり、かような判断をいたしたわけでございます。また国内の電話を地域的に分割いたしますことは、その地域の利用状況等から考えまして、この種の施設が全国を通じて公正に、また均衡のとれた方向において発達さすべき事業でありますだけに、地域的分割もこれは当を得ないという結論に到達をいたし、国際部門につきましては、これは分割が可能であるばかりでなく、むしろ国際部門は外国との競争等のことを考えて参りますと、過去の経験等から見ましても、この際別途の経営にすることが一層望ましいのでははいか、またさらにさような場合におきましては外国等の例をもとりまして、これを公社組織にしないで会社組織にすることが望ましい、かような結論をもつて省議をまとめたような次第であります。従いまして経過等におきまして、あるいはこの国際電信電話会社というものが忽然として現われたとか、在来の経過から見てこれが出て来たことがどうも理解しがたい、こういうような御批判もいただいておるのでございますけれども、ただいま申し上げましたような経過、これが率直な経過の説明であるのでありまして、この点は私特にこれらの面におきましてくふうをいたしました次第でありますので、私から責任のあるお答えをいたす次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X03319520531/2
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003・田中重彌
○田中委員長 これにて右三案に対します質疑は終了いたしました。
井手光治君、長谷川四郎君、松井政吉君、稻村順三君より、日本電信電話公社法案及び日本電信電話公社法施行法案に対する四派共同修正案が提出されております。まず日本電信電話公社法案及び日本電信電話公社法施行法案に対する修正案について、その趣旨の説明を求めます。井手光治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X03319520531/3
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004・井手光治
○井手委員 ただいま一括して議題となりました日本電信電話公社法案及び日本電信電話公社法施行法案に対する修正案に関しまして、提案の趣旨並びに内容を御説明申し上げます。
本委員会におきましては、電信電話経営形態の適否が、わが国電気通信事業の将来を左右する重大案件たるにかんがみまして、すでに昨年八月以降十箇月にわたり、特に電気通信事業の経営方式に関する小委員会を設けまして、政府当局と協力し、詳細な研究を進めて参つたのでありますが、去る五月十日、法案の付託を受けまして、以来十数回にわたり会議を開いて、政府と質疑応答を重ねて参つたのであります。五月二十日には公社法案及び会社法案について公聴会を開催し、公述人の意見を聽取する等、愼重審議に当つたのでありますが、この二旬にわたる検討の結果委員多数の意見といたしまして、公社法案及び公社法施行法案については、政府原案につき、その大部分はこれを適当と認めますが、なお若干の点において修正を必要とするものとの結論に達したのであります。よつて委員会における審議の結果、必要と認められたる修正点を総合して、右二法案に対する修正案を作成し、自由党、改進党、日本社会党、日本社会党第二十三控室の各派共同提案として、ここに本修正案を提出いたした次第であります。以下右修正案の内容につきまして、概略を御説明申し上げたいと存じます。
まず日本電信電話公社法案におきましては、公社設立の本旨に重点を置きまして、十八項目にわたる修正をいたしておりますが、その大部分は、公社の財務、会計に関する大蔵大臣の権限を、郵政大臣の権限に一元化することを目的とした修正であります。
その最も主要なるものは、第四十一條の修正であります。第四十一條は予算の作成及び提出に関する規定でありまして、原案によりますれば、大蔵大臣は公社の予算に対して最終的調整の権限並びに閣議提出の権限を有し、郵政大臣は第一次的検討の権限を持つにすぎないのでありますが、元来公社予算は主上して建設勘定において、財政資金の貸付を受ける面におきましては、国家財政と関連を有するのであり、公社の事業全般について、国会に対して責任を負うのは郵政大臣であります。そこで公社に対する二重監督はできるだけこれを避けまして、監督権限をあげて郵政大臣に統一化するために、予算についても、郵政大臣は大蔵大臣と協議して必要な調整を行い、閣議に提出することに修正をいたしたのであります。
同様の理由により第五十四條第三項、第五十六條、第五十九條、第六十條第二項、第七十一條第四項、第七十四條及び第七十五條に所要の修正を加えまして、財務、会計に関する監督権限の一元化をはかつたのであります。
その他におきましては、公社の経営委員会の重要性にかんがみまして、第十一條第一項を修正して、委員の数を増加いたしたのであります。また理事の濫設を防止いたしますために、第十九條を修正いたしまして、理事の数の最高限を設けましたこと。第二十五條を修正して、役員の営利事業兼職を絶対に禁止したこと。公社の利益金は積立金として整理することを原則とし、でき得る限り公社運営上の弾力性を認めることによつて、ひいてはわが国の電信電話事業の復旧改善に資するのみならず、企業意欲を確立することに役立つものとの観点に立つて、国庫納付金制度は例外的措置であることを明らかにいたしまするために、第六十一條第一項の字句を改めましたこと、その他は主として立法技術上の修正にすぎないのであります。
次に施行法案に対する修正案は二項目でありますが、第一條第三項の修正は、公社の経営委員会の委員数の増加に伴う必要なる修正と、委員の任期終了期を国会開会の時期とするための修正であり、第四十三條の修正は地方税法の一部を改正する法律との調整上、必要な修正であります。
以上をもつて修正案の説明を終ります。前にも申し述べました通り、この修正案は本委員会がこの重要法案付託の使命にこたえまして、あらゆる角度から原案を精細に検討いたしました結果の集積でありまして、これによつて原案をより完璧なものにいたしたものと確信してはばかりません。何とぞ全会一致御賛成あらんことを希望して、私の説明を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X03319520531/4
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005・田中重彌
○田中委員長 右の修正案について御質疑はございませんか。——政府の意見を承ります。佐藤大臣、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X03319520531/5
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006・佐藤榮作
○佐藤国務大臣 ただいま修正案が出ておりますることにつきまして、皆様方の御審議の経過について批判をいたすつもりで立ち上つたわけでないことを私冒頭にお許しを得たいと思います。
第四十一條の修正の点でございますが、御審議の途上におきましても、種種政府としてお答えいたして参つた次第でございます。これは主として在来から持ちます大蔵大臣の予算編成権に関する重大なる変更規定だと、かように考えられるのであります。もちろん今回公社制度を採用するに際しましては、公社は政府の直接事業とは形態を異にいたしますので、大蔵大臣といたしましても、特別な関係において公社予算を処理すべきが理の当然のことだと思います。しかしながらたびたびお話申し上げましたごとく、今回御審議を賜わつております公社案そのものは、鉄道なりあるいは専売なり、すでにでき上つております公社等の取扱いと基本的には同一にならざるを得なかつた点があるのであります。それらの点は数次のお尋ねに際しまして、政府の所信を申し上げて参つた次第でありますが、ただいま修正を受けようといたします点は、まさしく私が指摘いたします鉄道公社あるいは専売公社等の先例から見ますと、ややその規定を異にいたしておる、かような感がいたすのであります。私は特に大臣といたしまして、政府側の一、二の意見をこの機会に開陳した次第でございます。何とぞ皆様方の御審議を賜わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X03319520531/6
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007・田中重彌
○田中委員長 これより三法案並びに公社法案及び公社法施行法案の修正案を一括して討論に付します。討論の通告があります。これを許します。橋本登美三郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X03319520531/7
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008・橋本登美三郎
○橋本(登)委員 ただいま提案されました日本電信電話公社法案、同施行法案及びその修正案並びに国際電信電話株式会社法案について、自由党を代表して原案のうち修正を除く原案並びに修正案及び国際電信電話株式会社法案に対して、賛成の意見を述べるものであります。
私小委員長といたしまして、これらの問題をほとんど半歳にわたつて、各党から代表委員が出られまして審議を続けて参つたのであります。その間における各党の小委員の各位が非常な熱心と友情の精神をもつて、この三法案について愼重なる審議を進められたことに対して、心からお礼を申し上げる次第であります。今回の電信電話公社法案に対して修正案が提出されましたが、この修正点は提案者から御説明があつた通り、少くとも現在日本で行われておる公共企業体の性格を明らかにしたものであつて、従来の国鉄あるいは専売公社、これらに適用せられておる公共企業体の精神は、必ずしも公共企業体の性格を明らかにしておらない。従つて今回新たに発足する公共企業体においてはぜひともこの点を明らかにして、あくまで日本の政府関係機関としての公共企業体の性格を明確にしたい。この一点に集中せられて、数十回にわたつて小委員会が開催せられ、また本委員会においても長期間にわたつての論議が進められたのであります。おそらく今回の公共企業体の法案が本会議を通過するということになりますれば、今後の公共企業体に対するところの本格的な企業体としての意味を残すことであり、同時に今まで不十分であつた国鉄あるいは専売公社の公共企業体に対して、何らかの示唆を與えることができるであろうとわれわれは確信しておるものであります。この点修正意見に十分でありますので、あえて詳しく申し上げません。
次の国際電信電話株式会社法案、この法案につきましても、われわれは愼重審議を重ねて参つたのであります。しかしながら残念ながらわれわれといたしましても、政府の原案に対しては多大なる不満を持つておるものであります。その理由は、政府と見解を異にいたしまするが、国際電信電話株式会社を民営の方針に持つて行くという根本原則にはかわりはないのでありますけれども、これらは重要なる公共機関であり、しかも国際関係を持つところの公共事業であつて、その基礎といたしましては、朗らかに狭い意味での公共性を持つておる。であるからこの組織に関しましても行動にいたしましても、その根本的な公共企業的性格を持つべきであるというのが、われわれの根本的な考え方であります。しかるに政府提案の原案におきましては、完全なる民営案を目標としておるのでありまするが、そのうちにおきましても、経済的な部面である資本関係においては、準民営形態をとろうとしており、しかも運営上においては、逆に政府の監督権が大幅に行われておる。こういうような形になつておりますので、われわれから変れば、この点においては非常に矛盾があるように考えられるのであります。ただ現在国際情勢を考え、かつまた国際電信電話が今後の平和日本の推進の上において一つの平和の戦士である、世界に働きかける重要なる機関として、それらが国家主義的な色彩を帶びたり、あるいは政府の機関として他の国々との連絡、あるいは交際を続けるということについては、いろいろな疑問も持たれる危険がありますので、その意味においての国際電信電話会社として民営事業として行くという根本方針については、われわれは政府と同感なのであります。ただわれわれが衰えるところのものは、もし万一将来において非常事態が起り、あるいはこういう通信機欄に対して国際的ないろいろな制約が行われた場合において、準民営でその基本が固められた場合においては、はたしてこれを防衛する手段が十分にあり得るかどうか、こういう点については非常に疑問を持つのであります。従つてこの法案の中におきましても、たとえばこの国際電信電話事業が何らかのいわゆる不可抗力によらざる事件によつて休止を行われた場合において、これを休止してはいけないという規定も入つておらない。あるいはまた万一これらが民営不適当であるということが認められた場合に、これを公共企業体なりあるいは政府に返す場合において、これを政府に接収する法的根拠を残しておらない。もちろん国会は最高機関でありますからして、これが法律をつくることによつて改正することは可能ではありますけれども、少くともこの法案にはそういうものが残されてしかるべきであろうと思うのであります。しかしながら政府は、これらに対する不十分な点については十分了承しておられるようでありますし、かつまたごの法律をもつてしても可能である。こういう見解を持つておられるようでありますから、われわれ自由党としては、今まで質疑を重ねましたその條項について政府は十分に考慮せられて、今後そうしたことのないように十分なるおとりはからいを願いたい、こういう程度の意見を述べまして、国際電信電話株式会社法案に対しては賛成の意を表し、かつまた日本電信電話公社法案及び同施行法案については、各派共同提案の修正案並びにそれを除く原案に対して、賛成の意を表するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X03319520531/8
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009・田中重彌
○田中委員長 長谷川四郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X03319520531/9
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010・長谷川四郎
○長谷川委員 議題となつております。る日本電信電話公社法案及び同施行法案、この修正案に対しましては私たちは改進党を代表いたしまして賛成をするものでございます。
この修正にあたりまして、與党の委員はまつたく惜気なく政府と鬪い拔いて、そしてわれわれの目的に一歩進み入れたということは、本国会始まつて以来の珍しい現象を呈したというように考えておるのであります。しかしその反対に、国際電信電話株式会社法案に対しましては、私はこれに賛成するわけには参らないのでございます。委員会においてときどき申し上げた通り、この法案そのものに非常な矛盾があるという点、突如としてこういうものが選挙を目前に控えて出て来たゆえん、これらに対してはどうしても納得し得ないのでございます。このような点に対しまして矛盾といつても、われわれは修正をしてという点にまでは行つておらない、全然矛盾を生じておるということにおいて、私たちはこの法案に反対をするものであります。以上をもちまして私の討論といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X03319520531/10
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011・田中重彌
○田中委員長 石川金次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X03319520531/11
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012・石川金次郎
○石川委員 社会党を代表いたしまして、日本電信電話公社法案、同施行法案、国際電信電話株式会社法案に対しまして、それぞれ賛否の意見を表明いたします。
まず第一に日本電信電話公社法案及び同施行法案に対しましては、修正案に賛成し、修正部分を除きます原案に賛成いたします。理由は、政府が提出せられました日本電信電話公社法案に対しましては、私たちはとうてい賛成し得ないものであります。原案の欠陥を補正するために、各党協力いたしまして修正案の作成に成功いたしましたことは、まことに議員の一人として欣快に存じます。もちろん公共企業体としての本公社案は、修正せられましても決して理想的ではございません。また公社の性格についてはつきりしたものを現わしておりません。また不満といたしまする点も多々あるのでありますが、現下の状況におきましてはこれ以上求めることはかたく、一応満足すべきものであると存じまして、その是正は公社の業務の経験とともになさるべきものであることを信じて、修正案に賛成し、修正部分を除く原案に賛成するものであります。この修正案の提出にあたりましては、自由党の委員諸士が野党たるわれわれと終始協調の態度に出られましたことは、感謝にたえないということを付言いたしまして、両法案に対する賛成理由を述べたわけであります。
次に国際電信電話株式会社法案に対しましては、反対をいたします。ここに反対の意思を表明したいと存じます。
まず第一に政府は本法案の提案理由におきまして、その主たるところは企業活動の自由なる機動性、これこそは今日の国際電信電話事業の運営に最も欠くべからざるものであり、必要なことである。国営においてはこれを期待することはできないがゆえに、この自由なる機動性を事業の上に採用するために、この法案を立案したと言われるのであります。企業活動の自由なる機動性とは、質問を通して了解するところによると、資本主義経済制度の中にあつて競争者としての資本を守り、利潤を追求し、もつて資本主義上の勝者たらんとする最高目的を達成するための必要な活動態勢と活動の自由とを意映するものであることが明らかになつたのであります。結局政府の言われるところの企業活動の自由な機動性というのは、資本主義内において有利なための必要な行動の自由ということと同一であります。しかし国際電信電話事業は、政府も言うごとく国民生活と密接に関係があり、近代産業の文化、政治、教育の根幹をなすところの、すなわち公共の福祉に重大な関係のある事業でありますことは、これ申すまでもありません。ゆえに本事業経営の第一は、公共の福祉のために経営すること、これが使命であると信じます。この公共の福祉に適合する範囲において、いわゆる企業活動の自由なる機動性は認められなければならないのであります。政府の法案は、自由なる機動性というその言葉で幻惑して、国営の内部において活動の自由なる機動性をはつきり確立すべきところの努力を避け、資本第一主義、利益第一主義、自己保存第一主義の民営会社にこの会社をゆだねんとするものでありまして、われわれはとうていこれに賛成し得ないのであります。もちろん政府は事業の公共的性格を確保するために監督保護を規定した、こうおつしやつでおるのであります。本法に規定があります。しかしながらこの規定もきわめて不満足であることは、質問において指摘したつもりであります。政府案によりますと、資本の本来の性格上、公共性は否定せられておる。自己保存の目的にのみ奉仕するものでありまして、利益あれば会社というものは御しがたき駻馬となる、そしていろいろな不祥事を起して参ります。反対に損失があればその負担を国民に帰すことは従来の例が示すところでありまして、会社案はとうていわれわれ賛成し得ないのであります。私はむしろ会社よりも公社によつて経営することが妥当であると考えておるのであります。
第二は本法案は、会社設立によつて、別に設立せられることになつた公社に対して悪い影響を與えるのであります。まずその一は、現在十数億の収入超過を見ておる国際電信電話事業を分断して公社より取上げることによつて、それだけ公社の経営に悪い影響を與えることは、これは自明のところであります。公社の今後の経営も必ずしも楽ではないかと存じます。楽観は許さぬものと存じます。この場合、公社にもでき得るだけ公社経済をゆるやかにしてやることが任務であるのにもかかわらず、これを取上げるということはまことに不当と言わなければなりません。ことに公社によつて機動性ができて来ると一方説明しておりながら、公社以上の機動性がなければならぬとして、会社に国際電信電話事業をまかせるというその意図はどこにあるのか、われわれは了解に苦しむのであります。
第三に本案に反対します理由は、本法案の内容を吟味いたしますと、幾多の欠点を持つておるのであります。まず二、三指摘してみましよう。その第
一点は、第四條において株式所有の資格を定め、外国の支配力を排除した。これはきわめて至当な規定であります。しかし近代会社における経営を見るのに、会社を支配いたしますものは、資本を持つておる株主よりも、多くは債権者が支配力を持つて現われて来ることが多いのであります、しかるにこの債権者が支配するであろうことを予防する何らの方法も講じておらないのであります。たとえば債権力が執行機関を握りばしないかという点に対しては、何ら予防を張つておらないのであります。また第二の点は、第七條の債権者保護の単独規定であります。これは必要かどうかということが疑える規定であります。しかも本條はその字義の明確を欠いております。なるほど政府はこれで間違いないと言つておりますが、法律的にあとで紛争が起つて参りますときに、実際において必ずこれが問題となつて来ると私は見ておるのであります。第三には、第六條の社債発行限度に特別規定を置いたことであります。会社の経営の健全というものを害する。何ゆえにまた商法の原則を一会社に対して與えるか、はなはだ懐疑にたえないのであります。もしもこれが真にいうところの一独立会社で、国家資本が入つているのだというならば、あるいはこの規定もまた必要であつたかもしれません。純粋なる株式会社、民間会社にしておいて、そうしてこれらの特権を與えたということは、考えなければならないのであります。
次に、公共的見地からいたしますところの監督権は、今橋本委員は監督権は多過ぎるがごとく仰せになつたのでありますが、これは私は足りないと思つておるのであります。政府は自由なる機動的活動という名にとらわれまして、監督権を軽くしておるのであります。たとえばこの種の事業は、あらゆる場合を予想して、非常事態における接収権限を政府が持つべきだ、私はこう思う。
第五には、設立委員の法律的地位が明確を欠いております。一体どういう責任を負うのか、どういう義務が負わされるのかということが書いてございません。お聞きしますと、商法に書いてあるのだと言われますが、商法には書いてありません。設立委員の選任が商法の規定で縛られない限り、さすればこの場合一体設立委員の義務というものはどうなつて行くのか、法的地位はどうなつて行くのかということについて明確を欠いておるのであります。
もう一つ、会社設立において、別に新しく発足する公社の発言権というものがきわめて薄いのであります。自分の財産をやる、自分の営業権を譲渡してやる、なぜ一体公社の発言権をなくしておいたか。本来ならば私的会社に物をやるならば、対等の立場において交渉をさせるべきであるのに、それに対する何らの保護規定もなくして、そうしてこれを公社よりほとんど奪い取る——語弊がありましようが、奪い取られるように規定したということは、公社自体をあまりかわいがらなさ過ぎると思うのであります。本来ならばもう少しいたわつてやつてもよかつたと思うのであります。さらに考えて参りますと、さらに新設し分断いたします結果が、人力の分断となり、技術の向上に阻害を與えるでありましよう、このことは明らかだと思われます。ときとところによつては二重の支出を必要とすることになるかもしれません。二重支出の欠陷が出て来るかもしれません。事務の取扱い上必ずそういうことを来すでありましよう。政府の期待するような効果をはたして一体会社によつて上げ得るかどうかということは疑問なのであります。会社が一定の技術員及び事務担当者を公社からわける結果として、これに対して退職措置を講じなければなりません。公社として一時に多額の金を出すということは、やはりこの場合愼まなければならないことではかつたか。われわれはこの点からも、この会社案に対して反対しなければならないのであります。
本事業は一体政府の保護のもとに生れた事業であつて、政府が必要としてこれを国営としたのでありますが、事業本来の性質から申しましても、公共的な政府の経営形態がよいものであると私は信ずるのであります。それを今会社案に変更いたしますことについては、これはどうしても賛成できないのであります。以上の理由によつて、法案の法律的内容から申しましても、根本的な経営の方針から申しましても、私は会社法案に反対せざるを得ないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X03319520531/12
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013・田中重彌
○田中委員長 田島ひで君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X03319520531/13
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014・田島ひで
○田島(ひ)委員 日本共産党を代表いたしまして、三つの法案の原案並びに修正案に反対いたします。
政府は本法案提出について、国営では設備の拡充資金が十分得られないのと、企業経営の基本である財務、会計、人事管理について、活発な企業活動を阻害される等の理由をあげております。今日日本の電気通信事業が当面するこのような課題が、單に企業形態をかえることだけで解決されるというのは、まつたく欺瞞もはなはだしいと言わねばなりません。電通事業は創立以来電信は八十年、電話は六十年の長い間、一貫して国営によつて運営されて来たのでありますが、過去の実績を振返つてみますと、まず第一にわが国の電信電話事業が、その発足の当初から純粋な軍事、警察機構の中枢的な国家活動の機関としての、本質的な性格を持つて来たことを見のがしてはならないのであります。決して日本国民の文化、経済、政治、社交上の近代的日常必需品として生れたものではなかつたのであります。たとえばアメリカでは電話を要求すれば三日の後には架設され、ロンドンでは二週間の後というぐあいでありますのに、日本では要求してから半年もたつて架設されればまつたく運のよい方でありまして、アメリカでは百人につき二十七台、スイスでは十八台といわれる電話は、日本ではたつた二台にすぎないというありさまであります。軍事、警察的な機関とじて、国民の税負担で事業の運営がなされて参りましたほかには、少数の軍事産業、特権階級を除いては、絶対主義天皇制の軍事的、半封建的国家権力のもとで収奪され、みじめな奴隷的な生活をして参つたところの一般国民大衆にとつては、電話は一個の財産であり、ぜいたく品であつて、大都分の者にとつては電話の架設などということは及びもつかないことであつたのであります。このような国民の負担でつくられ、軍事、警察、特権階級中心に発達して来た電通事業も、日本資本主義の発展とともに、国営にかかわらず平時においては一応収益状況はきわめて順調というより、高収益率をもつて経営されて来たと、政府自身の資料によつて示されておるのであります。この収益は軍国主義財政に吸い取られ、従業員の待遇改善も、施設保存、補充取替、建設拡充も満足に行われず、従つてまた国民大衆へのサービスなどまつたく顧みられなかつたのであります。すなわち電通危機の問題は、電通事業がたれの負担、だれの手によつて、だれのために、どういう目的に奉仕させられて来たかという点と、根本的に関連して来るのであります。常にこの事業の企業形態が問題になりますのは、戦争と関連して来ておるのであつて、すでに明治二十七、八年の日清戦争に民営論がなされ、次いで日露戦争、第一次世界大戦、今次大戦というぐあいに、戦争のたびごとに論ぜられて来たのであります。このことは日本の電通事業の軍事的性格と同時に、戦争による国家財政の軍事的収奪と、それのための建設費の削減、しかも他方では軍需産業による需要の増加で、資金と需要との間の矛盾に悩まされるという宿命を持つて来たのであります。特に今次大戦は、電信電話事業に最も苛酷な奉仕を要求したと政府自身申しておるのでありますが、その収益残は臨時軍事費特別会計への年々の繰入れとなり、機械の酷使は資本の食いつぶしとなつて参つたのであります。しかも空爆による施設、機械の破壊と、戦後第一次吉田内閣のインフレ政策の犠牲となつて、復興はまつたく忘れられて参つたのであります。たとえば二十三年度における逓信官僚すら四百億の建設資金を最低必要費として要求したにもかかわらず、わずか百九十二億に削られております。この上占領軍による施設の接収、回線の専用、サービス提供、料金の未遅払い、米軍に強制された米独占資本の事業管理形態であるライン・オルガニゼーシヨンの機械的な採用、それに伴う事業の復興に最も挺身して参りました従業員の首切り、人員の削減、警察、弾圧機関へのサービス、特に朝鮮戦争後の米軍、警察予備隊等への協力による事業の半身不随状態、加えて植民地政府官僚の汚職腐敗による食い荒し等、悪條件が積み重ねられて参つたのであります。それだけではありません。今日現われておる電通事業の危機が、従来との本質的な相違をしておるのは、サンフランシスコ條約と行政協定の結果、日本がはつきりとアメリカ帝国主義のアジヤ侵略計画の最後の足場として、軍事基地として第三次大戦に御奉公を務めさせられようとしておる点であります。わが党が本法案に反対する根本的な点は、このように経済的にはアメリカの植民地、軍事的にはアメリカの属国に追い込んでおる吉田植民地傀儡政府の手によつてこま切れにさせられ、日本民族の一大資産が失われようとしておるからであります。電信、電話の軍事的サービスという根本的な問題に目を向けないならば、單なる企業形態をかえるというような機構いじりによつては、何事も解決されないのであります。
この公社によつて電通事業がどれほど改善されるでありましようか。第一に、資金を民間と外貨借入れ等により、五百億程度調達できるかもしれないとたよりない見込みを述べておりますが、今日のような民間資本の貧弱な状態では、政府が予期する電信電話債券も、せいぜい政府資金等による引受けとなるぐらいで、結局は公衆負担か、労働者の労働強化による高能率を期待することが落ちでありましよう。そうでなければ日本の電通事業ば荒廃するにまかせられることになる。またもしも万一政府の言うような外資が入るとすれば、日本の現状では電通事業はただひとえにアメリカに利潤をみつぐイランの石油と化するのみであります。第二に、資産の再評価と減価償却、五百五十億の借入金の返還等によつて、首切りや低賃金、労働強化が必至となり、結局は日本の全電通労働者を虫ばむことになりましよう。第三に、資金の逼迫は、電話拡充は望まれないということになります。第四に、不正事件は一層広汎に行われ、予算の流用によりさらに促進されるでありましよう。
日本の電通事業の再建と真の発展は、それゆえに外国軍隊、売国政府官僚、戦争商人の汚れた手から、日本国民と電通労働者の手に電通事業をとりもどす以外にはありません。まず従業員に最低賃金を保証し、働く者に労働への熱意と創意を発揮させるよう、給與の確保、健康、福利、文化、教育施設の完備をはかり、従業員を増加し、ストライキ、デモ等組合活動の完全な自賠の民主的権利を保障しなければなりません。次に戦争に奉仕する電信電話を国民大衆の文化的必需品として、また平和産業の発展のためのサービスに切りかえること、特に現在電信電話の発展のためには、アメリカに強制されたバトル法の不法かつ破壊的な大陸封鎖を打破り、中ソ両国初め全アジア、全世界と平等互恵の自由な通商貿易を打立てることが望まれるのであります。特に予備隊、警察等、戦争や国民弾圧のための武器とすることをやめること、行政協定による米軍への施設、サービスの協力や、米軍の通信工事の停止を同時に行われねばなりません。何よりも国家予算の軍事的支出をやめ、これを大幅に国民の電信電話の建設に振り向けることであります。日本の電通事業の真に国民的再建の道は、あらゆるものにも増して一にも平和、二にも平和、三にも平和以外にはありません。これらのことはサンフランシスコ両條約、行政協定の廃棄、破防法、労働三法改悪及びゼネスト禁止法の粉砕、一朝鮮の侵略戦争の停止、日本、朝鮮、台湾等から外国軍隊の撤退、日本をアメリカのための戰争に導く傀儡吉田政府を打倒し、新しい民族解放、民主政府による平和政策によつてのみこれは実現されるのであります。以上をもつて反対の理由といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X03319520531/14
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015・田中重彌
○田中委員長 稻村順三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X03319520531/15
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016・稻村順三
○稻村委員 私は日本社会党第二十三控室を代表いたしまして、ここに提案されました日本電信電話公社法案の修正案並びに同施行法案の修正案に対して賛成の意を表し、国際電信電話株式会社法案に対しては反対をするものでございます。
従来国営であつた電信電話事業を公社に編成がえするというのが公社法案の目標でありますが、政府はその理由といたしまして、現行国営形態にあるところの隘路を打開するためだといつております。私はもとより国営形態の一つであるという意味において、公社という形態を必ずしも否認するものではありません。いなそれどころか、場合によつてはむしろ民主化された国営形態の一つとして考える場合もあり得ると思うのであります。しかし問題は本法案に盛られている内容であります。すなわち本法案が実施されたからといつて、現行国営形態の中に存在している隘路がはたして打開されるかというに、必ずしもそうだと断言することはできないからであります。むしろこの程度の公社法であるならば、現行国営形態のままにしておいて、現行法の一部改正をやつた方が、企業活動を活発ならしめるのには早道だとさえ思われる節が多いのであります。現に本法案は公社法案とは申しながら、本質的には現行の官吏によつて経営されている国営と何ら異なる点がないばかりでなく、なかんずく公社の予算編成にあたつては、国の財政に関する予算とまつたくひとしい手続をとつたり、主務大臣のみならず大蔵大臣が横から口を出してみたり、また総裁、副総裁が企業体内部の意向と無関係に内閣から任命されたり、従つて公社の最高決議機関たる経営委員会の決議を執行する実際的責任が、わずかに特別委員として経営委員会に出席することによつて負わされているにすぎないのでありまして、内閣に対してだけ責任をとつているが、経営委員会に対しては実質的には何ら責任を持たないようになつております。これではまつたく官吏でありまして、公社の総裁という役員ということには行かぬのであります。その官吏とまつたく同じ立場の総裁が総括するという意味で、公社と国営との区別が本質的にはつかないのであります。なかんずくわれわれが本法案による公社が、国営と異ならないと主張する最も有力な証左は、総裁、副総裁が内閣の任命であるととむに、公社の執行部を総裁や副総裁とともに形成している理事という役員が、この総裁の独断的任命になつていることであります。これらの理事を公社に対する出資者たる国家、公社債所有者たる民間投資家、従業員などの代表者たる資格とは関係なく、天くだりの総裁が一方的に任命することになつております。しかも審議過程における政府の答弁では、これらの理事の持つ執行権は、委任執行権であると言つております。それなら職員との区別がますますつかなくなるのでございます。わずかに総裁、副総裁に代理することができるということによつて、職員と役員と区別するというだけなのでございます。あらゆる団体において、役員たる以上、その団体に関する限り独立の執行権の一部を代表していなければならないここは、常識の教えるところであります。しかるに本法案の理事たる役員は、そうではないのであります。そうである限り名称のいかんを問わず、本法案に現われたる役員とは、高級の官吏である職員を意味するのであります。しかもこれが事実上の最高の機関でありまして、決議機関である経営委員会は人事に関する決定権を何ら持つていないのでありますから、有名無実の形式的な決議機関となるでありましよう。実質的には諮問機関以上の役割を果さないでありましよう。その結果として公社とは名のみであつて、本質的には現行国営と何ら異ならないのであります。
以上述べたところを要約いたしますと、このような公社をつくるというのであれば、なぜに特別法まで出して大げさに機構改革いじりをしなければならないか、その根拠を探すのはまつたく困難であるといわなければなりません。しかもこの点に関し政府委員の答弁がまちまちである、その考え方が全然まとまつておらない。固まつていない思想によつて立案したということは明らかであります。ここにおいて野党のみならず、與党の自由党においてすら、公社として出発する以上、かくのごとく中途半端な公社としてでなく、自主性を持つた公社として一つの性格を持たせようという動きが起つて来るのは当然であります。その動きが現われまして、自由党、改進党、右派社会党、労農党、農協党、社民党及びわが党などが一つになつて、最大公約数によつて公社法としての形式を整えようというための努力が払われて来た結果が、ここに提案された修正案であります。もとより主張を異にする各党の修正案の最大公約数であるという点で、各党にとつておのおのそれぞれの不満があることは事実でございます。わが党といたしましても、経営委員会に関係の労組代表が入つておらないこと、経営委員会たる資格制限の條件に、関係業者、関係官庁の官吏、公社の役職員というようなものが、一定期間野に下つてからでなければ任命することができないというようなものが挿入されておらないこと、総裁、副総裁の任命を経営委員会の推薦により国会の議を経て内閣が任命するというようにしていないこと、それから理事の任命は経営委員会の一議を経て総裁が任命するというふうになつておらないこと、また地方議会議員たるところの制限を削除しておちないこと、さらに休職に関する規定があまりにも細部にわたつて従業員の意向を反映する余地を残していない。従つてこれを大綱のみにとどめて、細部にわたつては従業員組合との間の団体交渉にゆだねておること、こういうようなことが全然考えられておらないこと、恩給法、共済組合法の準用に関する規定をさらに明確に経過規定であるということを示しておらないこと、真の独立採算制たらしめる立場がら、国庫に対する納付金に関する規定を削除しなければならないと思つておりますが、この点が明確でないこと、また国際電信電話が切り離されておるために、公社の体系上から申しましても実に不安定にされていること、これらのものが私たちは大きな不満であるということができるのであります。しかしながら今回の修正の特長は、何といつても全員ほとんど與党である自由党の委員たちまでが、党派心というものを越えまして、そうして純理につこうとするところの努力の中に苦鬪したその結論であるということでございます。従つて委員会の一般委員数を増して、多少でも公社の民主化に費そうとした努力や、また政府の監督も郵政大臣を通じてのみにとどめ、大蔵大臣の直接的監督に関する規定を最大限度に削除しようとして努力したこと、また国庫納付金に関しましては、残余が生じた場合には一応これを積立金とすることを原則として、国会が必要と認めた場合にのみこれを納付せしめることができるというふうにしたこと、これらのことによりまして、私たちは公社としてはまだ十分なものとは申すことができないといたしましても、法としての一応の形式は整つており、多少の一貫性が備えられて来たというふうに言えると思うのであります。従つてわれわれは、われわれの修正案がいれられなかつたことをはなはだ遺憾と思うのでありますが、一つにはこのような修正の方向に対しまして、全国電気通信従業員組合の意向もあることでございますし、また二つには、與党議員の諸君の努力というようなことを尊重するという意味から申しましても、私たちは今後できまする公社におきまして、公社の幹部と関係労組との間における折衝の経験を通じまして、さらに本法に改善が加えられるということを期待いたしまして、この日本電信電話公社法案の修正案に賛成するのでございます。
次に私は、国際電信電話株式会社法案に対するところの反対の理由を申し上げます。詳しくここに申し述べるよりも、最も本質的な一点だけを申しておきますと、それは先ほど石川委員からも指摘せられました通り、この法案におきましては、外国資本が債券の形をもつて入つて来ることを制限いたしておりません。しかもこの国際電信電話株式会社なるものの引受ける事業というものは、これは電信電話事業といたしましては最も収益の上るものでございます。しかしなお外国線その他の拡充の上から行つて、今後サービスをよくしようというならば、巨大なるところの資金を擁して改善をしなければならないというのが政府の意見でございます。従つて十三億何がしは大きなもうけではないというような答弁すらあつたのでございます。そうすればその資金は一体どこから調達されるか。国内の今日の情勢からすれば、おそらく外資に期待するところがはなはだ大きいのであろうと思うのであります。その外資が社債の形を持つて入つて来た場合、はたしてこれが外国資本に支配されないと言えるでありましようか。しかも国際電信電話が外国資本によつて支配されることによつて、国内の一切の電信電話事業まで支配されておるという例は、戰前の中国においてわれわれは明らかに発見するのでございます。私はこの意味におきまして、かような外国資本に奉仕するというような必然的な姿を持つておるこの国際電信電話株式会社法案というものを、ここに無理に通さなければならないという理由を発見するに苦しむのでございまして、かような今日の日本の置かれている民族独立の立場というものから考えましても、かようなものに対しては断固として反対せざるを得ないのでございます。
以上わが党の意見をここに申し述べた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X03319520531/16
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017・田中重彌
○田中委員長 これにて討論は終局いたしました。
これより採決に入りますが、その前に採決の順序について申し上げます。まず日本電信電話公社法案及び日本電信電話公社法施行法案、次に国際電信電話株式会社法案について採決を行いますが、各案に対する修正案は政府原案より先に採決をいたします。
それではまず日本電信電話公社法案及び日本電信電話公社法施行法案に対する修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X03319520531/17
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018・田中重彌
○田中委員長 起立多数。よつて本修正案は可決いたしました。
次にただいま修正と決定いたしました部分を除く政府原案について採決いたします。賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X03319520531/18
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019・田中重彌
○田中委員長 起立多数。よつて政府原案は修正案のごとく修正すべきものと決しました。
次に国際電信電話株式会社法案について採決をいたします。本案を原案の通り可決すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X03319520531/19
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020・田中重彌
○田中委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決すべきものと決定いたしました。
なおお諮りをいたします。ただいま議決いたしました三案に対する報告書につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X03319520531/20
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021・田中重彌
○田中委員長 御異議なしと認めまして、さように決します。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X03319520531/21
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022・田中重彌
○田中委員長 お諮りをいたします。ただいま議決いたしました三法案につきまして、衆議院規則第百三十六條によつて、本会議に上程の際、その討論者を指名しておきたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X03319520531/22
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023・田中重彌
○田中委員長 御異議なければさように決定いたします。
なお討論者の指名につきましては、委員長に御一任願いたいと存じまするが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X03319520531/23
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024・田中重彌
○田中委員長 御異議なしと認め、橋本登美三郎君、長谷川四郎君、松井政吉君、田島ひで君及び稻村順三君を本会議討論者に指名いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101304847X03319520531/24
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