1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十七年十二月十八日(木曜日)
午前十時三十一分開会
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出席者は左の通り。
委員長 小泉 秀吉君
理事
岡田 信次君
高田 寛君
小酒井義男君
委員
入交 太藏君
植竹 春彦君
一松 政二君
小野 哲君
高木 正夫君
内村 清次君
中村 正雄君
前之園喜一郎君
深川榮左エ門君
鈴木 清一君
国務大臣
運 輸 大 臣 石井光次郎君
政府委員
大蔵省主計局次
長 石原 周夫君
大蔵省主計局給
与課長 岸本 晋君
運輸省鉄道監督
局長 植田 純一君
運輸省鉄道監督
局国有鉄道部長 細田 吉藏君
運輸省自動車局
長 中村 豊君
事務局側
法 制 局 長 奧野 健一君
説明員
日本国有鉄道副
総裁 天坊 裕彦君
日本国有鉄道営
業局長 津田 弘孝君
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本日の会議に付した事件
○公共企業体等労働関係法第十六条第
二項の規定に基き、国会の議決を求
めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○国有鉄道運賃法の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
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001・小泉秀吉
○委員長(小泉秀吉君) これより運輸委員会を開会いたします。
先ず公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件、並びに国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。御質疑のかたはどうぞ順次御発言を願います。運輸大臣は今ちよつと用事があるので少し遅れますけれども、政府委員のかた並びに国鉄関係のかたは来ておられますからどうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/1
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002・中村正雄
○中村正雄君 裁定に関しまして衆議院から議決いたしまして送付になつておりますこの案件について、ちよつと政府にお聞きしたいわけですが、予備審査のときにいろいろ質問いたしましたときに、国会の承認を求めておりますのは、一体裁定の全体かどうか。それから又政府がこれに対してどういう議決を求めようと考えておるかという質問をいたしたわけでありますが、その点に対しましての答弁ははつきりしておらなかつた。ところが衆議院におきまして一応議決して送付して参つたわけでありますが、これを見ますると、当時政府の考えておりました取扱いと異つておるように思うのですが、政府はこの裁定を国会の議決を求めて来る場合に、裁定の一項から四項まで全部を求めておるのかどうか、この点を最初にお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/2
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003・植田純一
○政府委員(植田純一君) お答え申上げます。この裁定は一体でございまして、従いまして一項のみならず二、三、四につきましても御審議をお願いする、又それぞれ切り離しては考えられない、かように存じております。ただ二項以下は団体交渉によつてきめるということが示されておるのでございまして、これは否認すれば別問題といたしまして、そうでなければ議決の趣旨としましては、勿論この二、三、四をこの趣旨通り認めて頂く、そして第一項につきましてはつきりとした議決を頂ければ、政府としては結構じやないか、かようにまあ考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/3
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004・中村正雄
○中村正雄君 法律によりますと、予算上資金上不可能な裁定に関してのみ国会の承認を要するようになつており、又国会で審議する権限があると思われるわけですが、一項から四項までについて国会の承認を求める。二項から四項までは、どの点において予算上質金上不可能なのか、その点を御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/4
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005・植田純一
○政府委員(植田純一君) 二、三、四につきましては、団体交渉によりまして額がきまるのであります。従いまして額は裁定だけではわかりません。たた裁定にもございます通り、「理由に示す趣旨に従い、」とございまして、この理由を見ますると、金額こそわかりませんが、若干額が殖えるということが、裁定の趣旨と考えられるのではないか、かように存ずるのであります。而も第一項におきましては、明らかに金額が計算上出て参るのでございまして、予算的に申しますると、一項、二項、三項、四項、区分けした予算になつておりませんので、全体として考えますると、提案の趣旨説明にもございますように、一項だけでも到底不可能である。二、三、四は金額こそわかりませんが、更にその上に或る程度の金額が加わつて来る。而もこの一、二、三、四を一つの裁定として考えました場合に、全体として不可能である、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/5
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006・中村正雄
○中村正雄君 その点についてお尋ねいたしますと、今補正予算が出ておりまするその補正予算の給与総額を見ますると、百七億弱の給与総額の追加になつております。この給与総額の追加の補正予算が通りますると、この裁定自体は予算上可能になる裁定と考えられますかどうか。言い換えれば、補正予算が通つてしまいますると、予算上不可能な裁定として国会の承認を求めておりまするこの裁定の案件自体は消減するかどうかという問題になるのですが、どういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/6
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007・植田純一
○政府委員(植田純一君) 極めて形式的に考えますると、予算が新たに成立いたしますると、その限度におきまして、この裁定に示しておりまするところのうち、はつきりと金額のきまつている限度におきまして可能になる、まあかように考えられるのであります。但しこの裁定の趣旨に、それによつて従うかどうか、副つておるかどうかということにつきましては別問題でございまするが、具体的に申しますると、第一項、第二項以下は別問題としまして、第一項のみ或いは可能になるということが考えられると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/7
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008・中村正雄
○中村正雄君 純法律的に考えますと、第一項は金額を明示いたしておりますから、八月から基準賃金一万三千四百円にしますると、幾らの金が要るということがきまるわけであります。二項以下は団体交渉によつてきめよう、こういうわけでありますから、或いは団体交渉をやらなければ金額がわからない、従つてこの予算が通りますまでに二項以下の金額がきまれば別でありますが、きまらない場合におきましては、予算上不可能な裁定というのは第一項に限定されておる。ところが予算書を見ますと、細目は別でありますが、予算総則の規定を見ますると、給与総額を八百十四億九千九百余力円にしておりまして、それにつきましては本俸が幾ら、手当が幾らと限定されておらない。従つて八月から一万三千四百円を実施するにつきましての現在の不足額というものは百七億以内でとまるだろうと思います。そうなりますと、この予算が通つてしまいますると、第一項は予算上本可能な裁定じやなくなる、二項以下は勿論金額は限定されて「おらない。従つて若し二項以下につきまして、団体交渉の結果金額がきまりまして、そのきまつた金額が予算上不可能な金額になりますると、いわゆる十六条の二項によりまする予算上不可能な協定になるわけで、そうすると改めて協定で国会の承認を求める、こういうように出して来るのが、純法律的な解釈じやないかと思います。そういたしますると、この予算が通つてしまいますると、第一項は八月から完全に実施できるだけの予算はあるわけでありますので、当然この裁定案件は国会に提案になりておりまするけれども消滅すると、こういうふうに解釈されるのですが、これに対してはどういうふうにお考えになつておりますか。もう一つ、と同時に、そういうふうであるにもかかわらず、衆議院のほうで十一月から実施と、こういうふうに書いておりますると、いわゆる現在の給与総額ではお金が余つて来るという結果になるわけなんですね。この点どういうふうにお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/8
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009・植田純一
○政府委員(植田純一君) 前段の御解釈は極めて法律的と申しまするか、法律そのものを形式的に解釈いたしますると、そういう結果になろうと考えます。
但し第二の点でございまするが、この団体交渉に委ねられております事項、勿論金額はその結果でないと確定いたしませんが、さき申しましたように、理由に示す趣旨に従いまして或る程度の増加経費を必要とする、そういう観点に立ちまして、政府としましては補正予算に一応の見込を立てて計上しておるわけでございます。従いましていわゆる一項を十一月以後実施するとした場合に給与総額が余るじやないかというお尋ねでございまするが、二項以下のいわゆる見込の増加経費につきましても計上いたしておるわけで、そういうことになるかと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/9
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010・中村正雄
○中村正雄君 ちよつと、そうするともう一つお尋ねしたい点は、今衆議院のほうで第一項について十一月以降実施すると、こういう議決をいたしまして参議院に送付して参つております。参議院がこれと同じ議決をいたしますると、この裁定に関します限りは十一月以降実施ということがきまるわけですが、若し参議院においてこの議決をするまでに、予算案自体が両院を通過いたしまして成立いたしますると、これは予算上不可能な裁定ではなくなるわけで、そうなりますると、公労法三十五条に従つてこの裁定は当局と組合を最終的に拘束することになりますから、当局は八月から一万三千四百円実施しなければいけない、こういう法的制約を受けると思うのですが、これに対してどういうふうにお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/10
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011・植田純一
○政府委員(植田純一君) 先ほども申上げますように、純法律的と申しまするか、まあそういう事態も起り得るかと存じます。併し仮にそうなつた場合におきましては、この二、三、四につきましては、当然或る程度の増加経費が必要であるということが、まあ裁定の趣旨だと存じまするが、その場合の、いわゆる今回の補正予算に一応の見込として含んでおりますところの財源は、恐らくなくなつてしまうのじやないか。成るほどそういう場合には協定によりまして、更に十六条第二項の手続に戻るということになりまするが、併しその場合におきまして、そういうような事態になりました場合に、本当に裁定の趣旨に副うておるかどうかということにつきましては、非常にまあ疑問と考えておりますし、政府としてもそういう事態に対しましては、今日のところ全然その場合の処置につきましては考えておらないというのが現状でございます発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/11
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012・中村正雄
○中村正雄君 いや私の聞いておるのは、この裁定第一項については、政府はまあ十一月から実施ということで一応予算の金額は計算されていると思いますし、又衆議院のほうもこの政府の考え方を体しまして、与党の諸君が十一月から実施という決定をなさつているわけなんですが、従つて衆議院の決定とは別にいたしまして、裁定というものを今、国会で現行の予算では履行不可能な裁定でありますので審議いたしておりますが、これを審議する前に、仮に今政府の提案いたしておりまする百七億弱増の給与総額を含めましての予算が通過いたしますると、これは第一項の八月から一万三千四百円というこれは実施可能な私は予算になると思うのです。そうなりますると、参議院におきましてこの裁定について衆議院と同じ意思表示をしない限りにおきましては、裁定について国会としての意思表示をしない限りにおきましては、当然予算が通過いたしますると、出ておりまする裁定、而も金額の明示されておりまする分につきましては、予算上不可能なものとは言えないと思いますので、当然政府には関係なくなつて、組合と国鉄当局との関係になつて来る。そうなれば国鉄当局は法律的に拘束を受けるわけですから、八月から一万三千四百円を実際上支給しなければいけない。そうして支給した上におきまして、二項以下につきまして団体交渉をやつた場合、若しきまりました結論が給与総額の枠を超えた場合は、改めて予算上不可能な協定として、国会にもう一度その協定を提案して承認を求める、こういう私結果になるのじやないかと思うのですが、従つてこれはまあ運輸省としてのお考えでも国鉄当局としてのお考えでも結構ですが、御相談願つて御返答願つてもいいと思うのですが、予算が通つてしまいますると予算上可能なものになると思いますので、第一項は八月から実施しなければならない国鉄当局は義務を負うと思うのですが、この点につきましてどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/12
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013・植田純一
○政府委員(植田純一君) 法律的にはそういうことになろうと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/13
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014・中村正雄
○中村正雄君 ちよつと今の点について国鉄の副総裁にも御答弁願いたいと思います。どういうふうにお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/14
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015・天坊裕彦
○説明員(天坊裕彦君) 国鉄といたしましては、仲裁裁定は守らなければならん義務を負つておりますので、特別の国会の御意思がきまらない限りは当然法律的にきめられた通りの線に沿つてきめなければならんと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/15
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016・中村正雄
○中村正雄君 そうしますと、一点確認しておきたいと思うのですが、この裁定につきまして国会の意思表示が出るまでに、予算案が通過いたしまして新らしい予算ができますると、この裁定に示されておりまする金額は履行可能になつて来ると、従つて第一項につきましては政府はどう考えておろうと、当局はどう考えておろうと、明らかに法律的に両当事者は拘束され、予算上は可能になるわけでありますから、国鉄としては八月から一万三千四百円を実施しなければならない義務を負うし、実施するだけの財源があるから当然履行される。それから二項以下につきましては今後当事者間の団体交渉によつてきまるわけで、それが給与予算の範囲内において妥結すれば問題ありませんが、給与予算外のもので妥結された場合にはそれが予算上不可能な協定を結んだことになりますから、次の国会に改めて承認を求めて来ると、こういうふうな道順になるということを確認して間違いありませんか。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/16
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017・植田純一
○政府委員(植田純一君) 私といたしましてはそういう解釈になると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/17
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018・中村正雄
○中村正雄君 国鉄の副総裁もそういう御解釈ですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/18
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019・天坊裕彦
○説明員(天坊裕彦君) おつしやる通りになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/19
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020・中村正雄
○中村正雄君 それからもう一つ衆議院の議決について政府の御見解を承りたいわけですが、衆議院の議決は第一項についてのみ承認の議決をいたしております。而もそれは十一月以降実施するものとしての一部承認です。二項以下については承認とも不承認とも言つておらない。ただ附帯事項につきまして附帯決議として一応の意思表示をしているだけであつて、二項以下は法律的には承認いたしているというふうには言えないわけですが、政府としてはこの裁定をお出しになつた場合は一項から四項まで全体を国会の承認を求めて来ている、求めるべきであると言つて出されているように今も政府委員からお話があつたわけですが、衆議院の承認というものは一項についてのみ、而も第一項の一部についてのみ承認いたしております。二項以下については形式上承認いたしておりません。従つてこれについては政府は二項以下の関係はどうなるか、どういうふうに御解釈になるか、これを承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/20
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021・植田純一
○政府委員(植田純一君) 政府といたしましての解釈と申しますか、それが当つているかどうか、こいつは又別になると思いまするが、私といたしましては、二項以下は団体交渉によつて解決するということが裁定の示しているところでございます。従いましてこの事柄は実質的に若干の増加経費を必要といたしますので、且つこの裁定は一つの裁定でございますので、全体としてこれは審議の対象になり、又審議しなければならない問題じやないか、かように考えておりまするが、議決の点になりますると、はつきりと政府として議決を求めておりますのは、この第一項につきましての議決が差当り必要なのでございまして、二項以下をその衆議院の議決において承認か不承認か、文字通り見ますとはつきりいたしておりませんが、当然これははつきりと二項以下を否認していない限りこの団体交渉によつてきめるという趣旨をそのまま認めたものであろう、かように考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/21
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022・中村正雄
○中村正雄君 この点につきましては午後の委員会に法制局長に出てもらいまして取扱いの点について一応見解を聞きたいと思いますので、委員部のほうで、午後の委員会に法制局長が出席するように御手配願います。
今大蔵省の政府委員が見えているというお話でありますので、この前私の質問いたしました点について大蔵当局から御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/22
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023・石原周夫
○政府委員(石原周夫君) 前回の中村委員の御質問のございましたときに私出席をいたしておりませんでしたので、承わつておりますところでお答えを申上げまするが、若し間違いがございますれば又お答えいたします。お尋ねの趣旨は、電電公社の今回の補正予算の政府関係機関の予算総則、それにおきまして十三条電電公社の給与総額の改訂の数字が出ております。これをほかの国鉄乃至専売公社の給与総額の改訂の場合と比較いたしまして補正率が高いではないかというお尋ねであつたように承知いたしております。これは十三条をお読み願いますると明らかでございまするように、電電公社は八月の一日に成立をいたしまして、それまでは政府の特別会計であつたわけでございまするから、ここに出ておりまする改訂前の金額は八月以降に属しまする分でございます。従いましてこれはそこに御覧になりまするように百五十四億という数字が出ておるわけでございます。これを国鉄或いは専売の場合と比較をいたしまするためには七月以前におきまする電気通信事業特別会計のその当時の給与額を合計してみなければならんわけであります。そうしてみますとこの百五十四億という数字は二百三十億に相成るわけでございます。従いましてその点の計算をいたしてみますと、電通がこの補正追加額が三一%、それから国鉄が三六%でございます。これに業務量の増加に伴いまするところの超勤その他の増加というようなものもいろいろごさいするので、そういうものをも絞りまして、最後の給与自身の引上率になりますると大体二割くらいのところに皆合う、非常に食い違いが出て参りますのは、今申上げました八月以降の分が加わつておる関係でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/23
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024・中村正雄
○中村正雄君 電電公社との振合いはわかりました。大体明瞭になつたわけですが、専売との関係はどうなつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/24
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025・石原周夫
○政府委員(石原周夫君) 専売との関係は今申上げました三十一、三十六が四十五というやや高いわけに相成ります。それは一つは業務量の増加によりまする超勤の増、これは葉たばこを二十六億見ました関係、そういうようなものを差引きましてべースのところで比較いたしてみますると、これは二四・五彩に相成ります。この数字はちよつと正確に見直す必要がございまするが、大体におきまして今回のべース・アップの分に加えてみまして昇給というようなことを考慮いたしますると、大体においてバランスがとれておると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/25
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026・中村正雄
○中村正雄君 ベース自体はこれはどの公共企業体もはつきりいたしておるわけで、結局人件費としましては基準ペースだけが問題になるのではなくして、総収入が問題になる。それが超勤の手当でありましようと、ほかの手当であろうともこれは勿論従事員になれば何も性質によつてお金の値うちが違うわけではありません。同じことであります。従つて今の専売の点でお聞きしたいのは、超勤の額が殖えたから給与総額の率が非常に上つておる、こういうお話であります。では、現在本予算に組んでおりまする一カ月当りの超勤の額は幾らになつておるか、補正しました一カ月当りの超勤の額は幾らになつておるか、ちよつとお教えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/26
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027・石原周夫
○政府委員(石原周夫君) それはちよつとこれを見まして申上げますが、御参考に今お手許にございまする業務量増加でどれだけ超勤が殖えましたか見ますと二億一千三百万円、ついでに国鉄と電通の数字を申上げますと、国鉄が六億五千三百万円、電通は二億一千二百万円、これはおのおの国鉄におきまする貨物の輸送量の増加、専売におきまするところの製造葉たばこの増加、電通の電信電話取扱数量の増加というようなものを見ておりますので、今のような数字が出ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/27
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028・中村正雄
○中村正雄君 増加の金額はよくわかるのですが、人員その他によつて相当の開きがあろうと思いますが、専売の一億一千、国鉄の六億五千、そういう数字になつておるわけであります。大体業務量の増加によつて超勤を殖やしておる。これは大体現在本予算に組んでおりまする超勤に対しまする率と同じものであれば、電電が三丁三三で、国鉄が三六、専売の四五という給与総額が急激に殖えるという理由にはならんと思います。なぜ専売のほうが四五%増というような急激な給与総額の増加率になつておるか、どこに原因があるか、これを一応御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/28
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029・石原周夫
○政府委員(石原周夫君) 今申上げましたように、超勤の増加額というものは、或いは率というものは、一律に申すまでもなく殖えるのでございませんので、業務の状況によりまして殖えるわけであります。今の殖え方につきまして申上げますれば、たばこの製造増加を二十六億を見ました。それを今交代制のあるところないところ、いろいろございまするから、そういうような関係をみまして両者の金額を盛つたわけであります。従いまして御指摘のような労務者の割合というようなことに相成りますれば、今の数字から申しますれば当然専売のほうが大きなものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/29
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030・中村正雄
○中村正雄君 その起動の割合が他の公共企業体に比しまして多いということが全体の給与総額が四五%の増というような大きな率を示しておる原因の主たる部分ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/30
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031・石原周夫
○政府委員(石原周夫君) その点につきましては御承知のように石炭手当は上り方が、御承知のように四千七百円が六千百円ということになりました。寒冷地手当は支給済みでございまするので、今回増額をいたしておりません。そういうようなこの給与総額の中で割合の殖えますもの、殖えませんもの、そういうものの関係があることも一つであります。それから昇給の見方につきましても、国鉄は昨年の八月裁定以来の昇給をずつと見て参つております。それに対しまして専売の御承知のような裁定というものは、これは昨年八月現在ということに裁定が相成つておりますので、そこから昇給を計算した場合にどうなるかという点もございます。そういうようなものが合いまして今申上げた割合の違いになつておるのでありまして、必ずしも超勤だけが唯一の理由ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/31
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032・中村正雄
○中村正雄君 寒冷地手当とか石炭手当、これは各企業体とも同じ問題だろうと思う。専売だけ特殊なものではありません。改訂なさるとしてもしないとしても大体似たり寄つたりのものだろうと思う。基準賃金は、この前の主計局長の話によりますると、基準賃金の増加率というものは国鉄が一番高くなつておると思うのです。そうして一番国鉄の基準賃金は高くなつているにもかかわらず、結論として出ておりまする給与総額の増加率というものは国鉄と専売と九%の開きがある。これが今おつしやつた業務給が人員の割に作業が多い関係で増加率が多いということは一つの原因にはなると思いますけれども、それが九%の差のつくような重大なものになつてはおらないと思うのです。言い換えれば、それはあつても恐らく基準賃金の上り方の国鉄の多い分を相殺する程度ではないか。そうなれば一割近くの増加率の多いところはほかに何か原因がなくちやならん。その原因がどこにあるのか。一応お聞きしたいのはその点なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/32
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033・石原周夫
○政府委員(石原周夫君) その点が今数字によりまして昇給の分が幾ら、業務最の増加によりまする超勤の増加が幾ら、或いは石炭、寒冷地も御承知のように職員の分布によりましておのおの構成が違つておりまするから、どの程度の数字になりますか、それを締めましてからでなければ申上げられませんが、各公社におきまして一律の増加に相成りません一つ理由であります。そういうようなものを締め上げて見ますると今申上げたような開きに相成るわけでありまするが、御指摘のような九%ほどの開きがそのうちのおのおのどういう割合であるということにつきましては、もう一遍正確な資料を今作つているところでございますので、作りました上でお答え申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/33
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034・中村正雄
○中村正雄君 その点でお願いしたいのは、三つの公共企業体の基準賃金の上ります率、それから今言つた超勤或いは昇給その他の一応、費目別に上る率を一応金額と共にお示し願つて、結論が三十、三十六、四十五になつているというふうに資料を御調製願いまして、今日に間に合わなければ明日の委員会にでも御提出願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/34
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035・岡田信次
○岡田信次君 先ほどの中村委員との質疑応答を伺つていますと、大体衆議院の議決通り十一月から実施するというと給与総額に剰余を生ずることになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/35
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036・植田純一
○政府委員(植田純一君) 先ほどのお尋ねは、二項以下はきまつておらん。これは団体交渉によらなければ金額はきまつておりません。きまつておるのは第一項の金額だけでございます。ところが予算のほうは、第一項につきましては十一月以降実施するという金額と、第二項以下につきましては、額こそきまつておりませんが、一応若干の経費が増加するという見込の金額を計上しておるわけなんであります。従いまして第一項だけ実施するとすれば、第二項以下のいわゆる見込の金額が残つておる。これはまあ当然ではないかと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/36
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037・岡田信次
○岡田信次君 そうしますと、第一項を八月から実施すると、大体百七億なにがしというものはすつかりなくなつちやつて、あとの第二項以下は実施できないということなんですか、簡単に言うと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/37
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038・植田純一
○政府委員(植田純一君) そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/38
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039・岡田信次
○岡田信次君 第一項要するに裁定を完全実施するというふうになると、今の百七億というものは更にどのくらいになるわけですか。見込だと思いますがね。いろいろの今後の団体交渉その他によつてはつきりしないと思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/39
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040・植田純一
○政府委員(植田純一君) 第二項以下は、先程も申上げております通りに、全く見込の金額でございまして、これがいくら要るかということは確定的な金額は弾き出せないわけであります。第一項につきましては八月から実施いたしますのと十一月から実施いたしますのと約四十億円くらいの差が出る計算になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/40
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041・岡田信次
○岡田信次君 そうすると、言い換えれば、大体この第二項以下の見込額は四十億くらいだ、四十億前後、まあ四十億くらいだというふうに解釈していいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/41
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042・植田純一
○政府委員(植田純一君) 正確には若干違いますが、大数的に申しますと、大体そういう数字を見込んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/42
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043・岡田信次
○岡田信次君 そうすると、裁定によりますと、第二項も実施期日は前項に準ずるということになつておる。ところが衆議院の決議のほうは第一項だけが十一月となつておる。第二項以下は衆議院のほうの意向としても七月、八月から実施しろという意向なんですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/43
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044・植田純一
○政府委員(植田純一君) その点につきましては衆議院の議決の文字の面からは明確でございません。これはこの点につきましても第一項に準じて実施するということになつておりますので、この十一月以降に実施されるものではないかと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/44
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045・岡田信次
○岡田信次君 もう一つ伺いたいのですが、そうしますと、金額のはつきりしているのは第一項だけ、第二項以下は余りはつきりしておらん。それで補正予算のほうにはとにかくはつきりした金額の分を実施する金はある、はつきりしない分はわからないということになつているのですから、そこで先ほど中村委員が言われたように補正予算が通過すれば大体この裁定ははつきりした分だけは実施するという意味合いで、もう国会で審議する必要はないということになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/45
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046・植田純一
○政府委員(植田純一君) 先ほど申上げましたのは、極めて形式的に解釈いたしまするとそういう結果になるのじやないかと、かように考えられます。併しこの二、三、四というものは金額こそはつきりしませんが、この裁定の理由の示す趣旨に従いますると、やはり若干殖やすということが裁定の精神じやないかと、かように考えられます。従いまして一項から四項まで一体としての裁定でございますし、一体として御審議願わなければならんのじやないかと、かように考えております。ただ極めて形式的に申しますると、二項以下金額がきまつていないのだから、一項のきまつている金額が予算の範囲内において可能になるということになれば、当然一項がその審議の対象でなくなるという結果になる。まあ併しそれが裁定のいわゆる本当の精神に副うておるかどうか、二項以下はどうでもいいのだ、これは全く後に任して一項だけはとにかく実施できるから実施するということが裁定の本当の精神に副うておるかどうかという点につきましては疑問でございまするが、純法律的、形式的に考えますると、一項は可能になる、かようなことになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/46
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047・小泉秀吉
○委員長(小泉秀吉君) ほかに御質疑ありませんか。ちよつと速記を止めて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/47
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048・小泉秀吉
○委員長(小泉秀吉君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/48
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049・中村正雄
○中村正雄君 一応運輸省にお聞きしたいわけですが、衆議院がこの附帯決議を附けましたときの大蔵当局と衆議院におきまする話合い、或いは附帯決議の出ました経緯等から考えて、いろいろな問題が残つておると思うんですが、この附帯決議の第二項に載つておりまする「第四項の年末手当については、国家公務員等との均衡を実質的に考慮した額を支給し得るよう政府並びに日本国有鉄道において努力すべきことを要望する。」こうなつておるわけなんで、大体国会の意思、衆議院の意思としては第四項につきましては国家公務員との均衡を考えなくちやいかん、これよりも下つてはいけないということをまあ最低の線にして、政府、日本国有鉄道に対して要望しておると思うわけなんですが、この国家公務員の年末手当等につきまして、その後新聞その他でいろいろなことが言われておるわけなんですが、これに対しまして予算委員会等で大蔵大臣も未だ態度ははつきりいたしておりませんが、運輸省として国鉄に対しまするこの国家公務員との均衡ということについて、仮りに国家公務員が今問題になつておりますような増額ということがありましたならば、当然それに均霑するようにやられることは当然でありますが、その場合の財政等につきましても現在の国家公務員との均衡をとるための財政措置は大体話ができていると思いますが、それ以上に国家公務員がなつた場合、財政措置につきましても同じような方法がとられるものと考えなければならないと思うわけなんですが、これに対しまして政府はどういうふうにお考えになつているか、一応政府委員でお困りであれば午後の委員会まででも御相談願つてなんらかの御答弁を願いたいと思います。それだけお聞きしておきまして私の質問を一応打切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/49
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050・小泉秀吉
○委員長(小泉秀吉君) 速記を止めて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/50
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051・小泉秀吉
○委員長(小泉秀吉君) 速記を始めて。それでは休憩をいたしまして、再開は一時半にすることにいたします。
午前十一時二十九分休憩
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午後二時二十四分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/51
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052・小泉秀吉
○委員長(小泉秀吉君) 大変お待たせいたしましたが、これから運輸委員会を再開いたします。公共企業体労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件を議題といたします。先ず御質疑のおありのかたは御質疑を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/52
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053・中村正雄
○中村正雄君 参議院の法制局長に来て頂きまして、法律解釈についての質問をいたしたいと思うわけですが、政府が提案いたしておりまする国鉄の裁定につきまして、国会の議決を求めて参つておるわけでありますが、裁定案は一項から四項まであるわけで、予算上不可能な部分といえば一項だけでありまして、二項以下は予算上支給が可能か不可能か未知数の問題でございます。従つて私たちの考えによると、国会の議決を求めて参つておりますのは、裁定の第一項であつて、二項以下は裁定の示すところに従いまして団体交渉をやり、団体交渉の結果きまりました金額が予算上可能なものであれば問題ありませんし、若し不可能な結果になつた場合は、公労法第十六条にいいまする、予算上不可能な協定でございますので、予算上不可能な協定が成立いたしました場合は、その協定を国会に提案して議決を求める、こういうふうに解釈するのが正しいのではないかと思うわけです。従つてお尋ねしたい点は、政府が出して来ておりまする裁定について、国会の審議を求めておりますのは、裁定の第一項だけだと考えるわけですが、法制局長としてはどういうふうに法律的に御解釈になるか、御見解を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/53
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054・奧野健一
○法制局長(奧野健一君) 仰せのように今回の裁定の第一項は、まさに金額の明確でありまして、これが予算上、資金上不可能な支出であるならば当然一項が承認を求める対象になることは問題ないと思います。そこで二項から四項の問題でありますが、仰せのようにこれは団体交渉によつてその結果金額が確定する未確定なものでありまして、でありますから、果してその結果が予算上、資金上支出の不可能な内容の協定ができるかどうか不明である。でありますから今直ちにこれは承認するとか、しないとかいう対象にはやや適当でないのではないか、そうして、団体交渉の結果、或る協定ができまして、その協定が予算上、資金上不可能な支出を内容とするようなものであれば、そのときに改めて国会に承認を求めれば事足るのであつて、従つて二から三、四、のものは対象としなくても、後日の問題とすることができるのではないかというような考えも勿論立つと思います。ただ併し二から四までの条件を見てみますと、理由の示す趣旨に従つて団体交渉によつて改訂するということになつておりますので、それが或る一定の理由に示す趣旨という一定の枠があり、それによつて団体交渉の結果は必ずや財政的の増加ということになることが明白である。そういう場合に、少しでも財政的に増加するということが資金上、予算上不可能なものであるというようなことが明白である場合において、それを承認の対象として取上げて、それ以上は出せないだろうということで、不承認にするというようなことになりますれば、今後はその交渉によつてたとえ協定ができてもそれは効果を与えられないというようなことも考えられるわけでありまして、これを対象に取上げなくても、次の段階において対象に取上げるということがあり得るからこれを対象にしなくてもいいと思いますが、併しこれを全然対象として取上げられないかと申しますと、只今申上げた理由によつて、必ずしもこれを対象に取上げられないものではなかろう。必ず財政の増加になり、その増加が資金上、予算上不可能な支出を含むものであるということが明確に予定ができるものであれば、それについて承認を求め、或いは承認をするとか、しないとかいうようなことが必ずしも不可能ではないというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/54
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055・中村正雄
○中村正雄君 ちよつと法制局長の御答弁のうち、わからない点が多いわけなんですが、一応国会の承認は別にいたしまして、そういう裁定が出ました場合、この裁定は公労法第三十五条によつて両当事者を拘束するわけなんです。従つて両当事者を拘束しまする意味というものは、一項につきましては八月からこれを払え、二項から四項については、団体交渉せよという一つの債権、債務といいまするか、拘束があるわけなんで、団体交渉の結果、どういう金が出るかということについては何ら拘束しておらないわけなんです。従つてこの裁定の効力というものは、一項については、何ぼの金を払えということをはつきり明示して、両当事者を拘束しておる。二項から四項については、いろいろ理由がありますけれども、団体交渉をせよという法的効果しかない。結論について何ぼ出すということは、予想もできなければ、効果もない。両当事者に団体交渉をしろという、これは債権、債務といいますか、そういう法的拘束力がありまして、従つて三十五条の但書によつて十六条を適用いたしておりますものは、この裁定につきまして両当事者を拘束しまする法的効果のうち、予算上、資金上可能、不可能な部分について十六条は適用になるわけで、そうなれば十六条によつて国会に出しておりますものは、二項から四項は除外されて、一項だけしか私は国会の審議権はないと思います。従つて私は二項以下は国会の審議権もなければ、又国会がこれを不承認にするということは、両当事者が団体交渉をしろということを承認できませんと言う実は国会に権限もなければ、両当事者が団体交渉をしなさいと言う必要はない。これはもう三十五条によつてはつきりきまつておりますから、国会の審議権はない。従つて私は政府の出して来ておりまする国会の議決を求めますものは裁定の第一項しかない。第二項以下は、今後団体交渉の結果一定の金額か出て、それが予算上支払い得る額になるかも知れません、或いは予算の枠を超える場合になるかも知れません。若し枠を超えた場合には、十六条の規定は適用になつて、国会の議決を求めて来る、こうなるわけで、今局長の御答弁でありますが、私の説のような御答弁もあるし、又そうでない御答弁もあるわけなんですが、国会の審議権は一項から四項まで全部に亘つておるのか、或いは一項だけか、若し一項から四項までとすれば、衆議院の議決は間違つておると思う。一項のみにしか、一項の一部分しか承認を与えておらない。あとは附帯決議で二項、三項に意見を言つておるだけで、若し事務総長や法制局長の言うように、四項まで審議しても差支えない、又政府の言うように、四項全部が審議の対象であるとすれば、二項以下は不審議になつておる。衆議院において承認しているのは一項の一部だけであつて、あとは全部承認しておらないから勢い国会の議決を得ないことになつて、二項以下は無効になつてしまう。この点はどういうふうにお考えになつておるか、もう一度御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/55
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056・奧野健一
○法制局長(奧野健一君) お尋ねと少し隔たるかと思いますが、参議院におきましては、衆議院から議決されたものが参議院において後議としてそれを対象として議決をするという取扱にこの前からなつておるのでありまして、然らば衆議院で議決されましたものが一体何であるかという点は、これは、ちよつと議決だけを見ますと、「本件は、」云々、これを承認するというのであつて、本件全体を承認して、一項については十一月以降ということだけであと全部を承認しておるのか、或いは一項だけについて二十七年十一月以降として一項だけを承認して、二項以下は別に承認とも何ともなつていないのか、その点はやや不正確で、むしろ衆議院に釈明を求めなければわからないと思いますが、とにかく参議院といたしましては、衆議院の議決したものを対象としてこれを同意するか、或いは修正するかということになるので、当面の問題といたしましては、衆議院で取上げた対象ということが参議院の議決の対象として審議することになろうかと思います。ただこの二項から四項の問題につきましては、仰せのようにまだ金額も不明であり、又一方団体交渉をしてその結果どうなるか不明であるのでありますから、団体交渉をやつて、その上で現われた協定が資金上、予算上不可能であれば、そのときに国会の承認を求めれば足るものではないかという議論は全くその通りと思います。併しながら又先ほどもちよつと触れましたように、それでは全然取上げられないかというと、先ほど申しましたように、少くとも一項でもうすでに不可能であるもの、二項、三項のものを何らかの形において改訂するということは増額するということであつて、それは毫も認められないことは今からもう確定しておるというような場合を想像いたしますと、若しそれを対象にして承認するということになると、将来これは否定されないので、承認されればそれによつて交渉し、改訂をする。併しその場合に、承認したからといつて、白紙委任状的にその金額まで承認されたかといいますと、そうではないと考えております。その場合に、又それが資金上、予算上不可能てあれば、改めて承認を得なければならないと思います。そういう意味で二項、四項について承認を与えなくても、実際問題としては、再び承認の対象になるということを考えれば大した意味はないように思いますが、それを不承認にして、否定しないという意味は持つことになるのではなかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/56
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057・中村正雄
○中村正雄君 法制局長の御答弁は、現実と議論と二つ一緒にしてやられているように思うわけですけれども、二項以下につきましても、これは一項でさえも予算上不可能なものだから、当然二項以下は、不可能だということになるというような現実論を中心にして、法律論と一緒に御答弁になつていると思いますが、二項以下につきましても、一項については予算上不可能であつても、二項以下は必ずしも現在の国鉄の予算では不可能じやございません。現実の予算として勿論金額によつて不可能な場合もあれば、可能な場合もあるわけで、必ずしも二項以下は現在の予算においては不可能なものではない。又よし現実論を離れまして、法制局長。ように理論的におつしやいましても、では二項から四項まで仮に国会で承認するといたしましてどういう法的効果が出るか、効果を私は伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/57
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058・奧野健一
○法制局長(奧野健一君) 若しこれを承認しないということになると、もはやこれを団体交渉によつて或る協定をなしても、或いはそれは無効であろうと思います。むしろこれは承認すれば、団体交渉によつて協定ができますれば直ちに効力を生じますが、それが若し資金上、予算上不可能であれば、改めて国会の承認を求めて、効力を発生せしめるということになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/58
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059・中村正雄
○中村正雄君 そうしますと、国会が二項から四項を承認しなかつたら、両当事者は団体交渉をする拘束を受けないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/59
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060・奧野健一
○法制局長(奧野健一君) 団体交渉は事実行為でありましようが、これによつてでき上るだろうところの協定が若し資金上、予算上不可能な内容のものであつた場合に、これを初めからそういうものがあつても不承認だといつたような見込で、承認をしないというような場合であれば、そこに制約を受けて来るということなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/60
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061・中村正雄
○中村正雄君 いや質問いたしておるのは、不承認ということを何も考えてはおりません。私は二項から四項について理由の示すところによつて、団体交渉するという法的拘束力は国会の承認であろうと、国会がどうしようと、三十五条によつて私は当然拘束を受けておると考えております。従つて何も国会が承認しなくても、二項、四項は当事者間が理由の示すところに従つて団体交渉し、一定の結論を出す義務を負つていると思います。従つて出まする金額というものが予算上可能なものであれば直ちに履行できますし、不可能なものであれば、十六条によつて国会の議決を求める、こうなつて来るわけであります。国会の承認がなくても、私は二項、四項については団体交渉をし、一定の結論を出す法的効果は両方とも設けられておると思います。不承認ということは問題になりません。従つて国会の承認がなくても、国会の承認があつても同じ効果だろうと思います。両当事者に対しましては、例えば国会が承認しましても、出ます結論は、予算の枠を超えた場合には、当然国会の議決を求めなければならない。たとえ国会がこれを承認しなくても、言い換えれば審議をして、承認を与えなくても出ました結論によつて予算上履行が不可能であれば、当然不可能な協定になるから、国会の議決を求めなければならないということと同じ結果になる。従つて私は承認しないということじやなくして、国会の議決の審議の範囲内ということは一項だけである。二項以下は国会の審議の範囲外だと思います。併し審議の範囲内にしてもいい。法制局長は現実論を言つておられますけれども、どれだけの効果があるかといえば私は何ら効果はないと思います。局長の答弁から考えても、私は公労法の示しておるのは、国会の議決を求めるのは、大体は裁定自体を求めておるのではなくして、三十五条によつて明らかなように、いわゆる出ました結論が予算上不可能な一つの条件をついて、そうして予算上不可能な部分を可能にするのは国会しかない。予算上不可能な部分について国会の承認を求めておるのであつて、裁定自体の承認を求めておるのじやない。予算上可能であれば国会に提案する必要はない。従つて一項から四項までを見れば二項からは未知数であつて、予算上履行不可能なのは一項だけであるから、私は今局長の答弁を聞きましても、二項以下が国会の審議の対象になることは考えられないわけであります。二項以下を対象にしなくちやいけないという積極的な理由をお示し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/61
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062・奧野健一
○法制局長(奧野健一君) 二項以下を対象にしなくてもいいと思います。それは現われた次の段階において承認するなり、しないなり、それが資金上不可能であるかによつてきめればいい。それでも全然できないかということになりますと、しても結局やれたと同じことになつて大した意味がないだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/62
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063・中村正雄
○中村正雄君 そうしますと、した場合に、国会は第二項以下不承認した場合に、法的効果はどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/63
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064・奧野健一
○法制局長(奧野健一君) 不承認をした場合に、いやしくもどういう改訂をして少くとも増額をして来ても、すでに予算上、資金上不可能なんだから、而もそれについては承認を与えないという国会が、そういう意思を以て不承認すると、これはたとえ協定が成立しても、それは資金上、予算上不可能な支出であれば、効力が生じないことになりはしないかという考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/64
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065・中村正雄
○中村正雄君 そうしますと、国会が不承認した場合も、当事者間の団体交渉をする法的拘束力を消滅せしめるものではない。不承認した場合に、出ました結論が予算の枠内であれば、当然当事者間を拘束し、履行するだけの債権、債務が生ずる。予算上不可能な協定に若し陥つた場合には、その不可能な部分につきましては、国会の議決を求めるまでもなく、当然これはもう効力を発生しない、こういうふうな解釈になるのか、それとも予算上不可能な場合には、やはりそこのところまでは考えて不承認とはしていないのだから、改めて予算上不可能な協定として国会の議決を求める政府は当然義務を負うかどうか、この点はどうお考えでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/65
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066・奧野健一
○法制局長(奧野健一君) 承認を与えなかつた理由がそういう先までを見通して、どうしても承認ができないという趣旨で承認を与えないものであつたとすれば前段の通りと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/66
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067・中村正雄
○中村正雄君 承認を与えない理由は、すぐには出ないと思います。今衆議院が審議しておりますが、これを承認するとかしないとか、こうなるわけであつて、一応裁判の判決と違いまして、理由は書きませんから、今おつしやいましたように、たとえ出ました結論が、予算上不可能な結論が若し出た場合には、これは絶対に国会の議決を求める必要はない、効力はないのだというようなことは書かないと思いますし、又予算上不可能な協定というときに、不承認をするというものであれば、予算上不可能な協定はできないと思います。協定である限りは、両当事者間の自由意思によりてやるわけでありますから、組合側が主張しても、当局側は予算上不可能なものに判を押す必要はございません。従つて承認した場合も、不承認した場合も、効果においては全然変りはないと思います。言い換えれば、国会で承認を求めてもかまわないと、こうおつしやいますけれども、これは公労法の三十五条、十六条の規定から見ても、又何ら実益のないものを国会の承認を求めるという必要もないし、理論的には、国会の審議が二項から四項まで若し及ぶとしますれば、出します結論は、一定の金額を指示しなければ結論は出せないと思います。団体交渉をしろというような意味の承認ではなくして、団体交渉をする場合に、二項については何ぼの結論になり、三項においては何ぼの結論になるという金額を明示した議決であれば、意義はありますけれども、団体交渉をせよという裁定を国会が承認するということ、これほど無意義な議決はないと思います。従つて一体どういうふうにお考えになつておるかわかりませんが、どうも法制局長の答弁だけでは、政府が国会の議決を求めておりますのは一項のみである、二項以下については、国会の承認を求める法的根拠もなければ、事実上の利益もないと思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/67
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068・奧野健一
○法制局長(奧野健一君) すつきりした形から申しますと、一項だけを取上げてやるのがいいのではないか、二項、三項はそのときになつて、協定内容如何によつて改めて承認するなりしないなりということが、一番すつきりした形ではないかと思います。併しながら二項から四項につきましても、場合によつては、一応この理由の趣旨に従い、云々というので大体の枠がわかりますし、そういたしますと、場合によつては、国会としては或る金額の限度内において承認するということもややあらかじめになりますが、そういうこともやつていいのではないか。二項から四項まではこの前の承認も或る一定の金額の範囲内において承認するというのをやりましたが、そういつた限度をきめて、その限度内においてこの二項から四項までの結果についてはあらかじめ承認を与えるという意味の承認ということも可能ではないかというふうに思いまして、必ずしもこれは二項から四項は対象になり得ないものであるというふうに全部きめてしまうのも如何かと思いますが、筋といたしましては、二項から四項まではあとからでいいのであうて、取りあえず一項だけが対象となるのがすんなりした形ではないか。ただ先ほど申しましたように、参議院といたしましては、衆議院で取上げた対象、衆議院で議決したのを対象としていたしますので、衆議院が一体全部を対象としてあるのか、一項だけを対象としてあるのかということが文面からは甚だ不明確でありますので、全体を取上げておるということになりますと、第一項だけを取上げておるのかということによつて、こちらの対象も違つて参りまするので、又議論はとにかくとして、よほど幅を持つて考えておかないと、抜き差しならんことにもなりはしないかと思いまして、筋といたしましては、一項だけで結構ではないかと思います。強いて二項から四項までを取上げられないかと言えば必ずしもそうではない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/68
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069・中村正雄
○中村正雄君 局長の言うように二項から四項までを取上げるといたしますれば、私は案の出し方において間違つてないと思いますのは、政府が国会の議決を求めて参つておるわけでありますから、やはり政府としては、その議決に対してどういう承認がもらいたいという意思表示をしなければいかんと思います。従つて国会が如何なる意思表示をなさつても結構だといつておりますが、二項から四項までの国会の審議をお願いすると政府が言つて来ておるのであれば、一応二項についてはこれだけの範囲内、三項についてはこれだけの範囲内、四項についてはこの範囲内という一定の意思表示をするか、或いは国会においてこれが審議の対象になつておるのであれば、議決の内容について今局長が言つておるように、二項については一応限度を示す、三項、四項については限度を示した、例えば衆議院の議決にありまする附帯決議の第二項にありますように、年末手当については、この額において、この範囲において承認するとか、この基準において承認するとか、こうなれば私は当然政府が求めて来ておるものに対する国会の答弁になると思います。ところが、今おつしやいましたように、衆議院から送付して参りました案について見ると不明確な点がある。私のこの次にお尋ねしたいのは、衆議院から送付したこの議決の内容でありますが、これは一体どういう意味を持つておるのか、という点についてお聞きしたいわけなんですが、その承認の本文のわけなんですが、これは一項だけを一部承認しておるのか、一項から四項までのうち、二項、四項は全部承認して、一項に限つて一部承認を出しておるのか、或いは又一項を一部承認しただけであつて、二項以下については、承認いたしておらないのか、この三つの考え方があると思います。法制局長は一体この文案を見て、衆議院の意思はどこにあるのか、衆議院の送付案の内容はどこにあるとお考えになるか、解釈願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/69
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070・奧野健一
○法制局長(奧野健一君) 実は、これは非常に私もわからないのでありまして、「本件は、」とあつてポツがあり、これを承認するという最後までかかりまして、又中に一項だけについて「十一月以降実施するもの」ということが挾まつておるだけで、これを承認するということで、それを全体を承認したというふうに読むのか、本件はというのは裁定だけについてはという意味で、一項中十一月以降ということについて一項だけを承認するという趣旨で、二項、三項、四項については何ら触れていない。言い換えれば、不承認ということにならざるを得ないことになりますが、ただ不承認だと仮定いたしますれば、附帯決議と、二項、三項に関することを議決いたしておりますから、不承認の趣旨でもなさそうであるということで、これはむしろ議決された衆議院にこの点をよほど釈明して頂かないと、これだけの文案でどうというふうに決定するのはむずかしいのじやないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/70
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071・中村正雄
○中村正雄君 その両院との法律関係になるわけですが、この衆議院から送付いたしました案について、衆議院の議決の内容は、意味がこういう意味であるという決定的な解釈権を持つのは誰が持つておるのか、ちよつと伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/71
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072・奧野健一
○法制局長(奧野健一君) この点についてはやはり衆議院である。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/72
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073・中村正雄
○中村正雄君 そうしますと法的にこの衆議院の議決の内容は何を意味するかという決定的な解釈をするものは衆議院であるといたしますと、参議院としてこの解釈を一体誰に聞いたらいいか、解釈権者は誰なのか、衆議院であれば、衆議院議長に聞いてその答弁を最終的な決定としてこれを基礎にして審議したらいい。或いは衆議院の労働委員長なのか、一体誰にこの釈明を求めればいいのか、その点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/73
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074・奧野健一
○法制局長(奧野健一君) 一応は衆議院の労働委員会の速記等によつて推測がつくと思いますが、それでもわからないということになると、今までには例がなかつたように思いますが、衆議院に対して、参議院議長から衆議院議長に照会するというふうなことになりますから、その点は前例もありませんし、その手続のことは詳しくここでは申上げかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/74
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075・中村正雄
○中村正雄君 一応まあ法制局長もその点についてはあと研究すべき点があると思います。又私どもこの衆議院の送付案を見ましても、何を意味するのかわかりません。従つてこの送付案の内容がはつきりしない限りにおいては、やはり参議院はこれを基礎にして議決の内容を知らなければいけないわけで、それをしなければ議決の方法がないわけなんです。これは一応法制局と事務局と両方で、その議決の内容を明らかにする手続をしてもらいたいということを一応申上げておきまして、次にお聞きしたいのは附帯決議でございますが、一応本文につきましてはこういうふうになつておつて、附帯決議の法的効果といいますか、どういう効果があるのか、それを聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/75
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076・奧野健一
○法制局長(奧野健一君) 法律的には効果はないと思います。政治的なそういう議決に際して、そういう希望といいますか、そういう意思を持つておつたことを表明しておるということになりましようが、法律的には直ちに拘束力を持たないものである。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/76
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077・中村正雄
○中村正雄君 従つて附帯事項の件については、政治的な拘束力はあるけれども、法律的な拘束力はない、さように解釈していいわけでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/77
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078・奧野健一
○法制局長(奧野健一君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/78
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079・中村正雄
○中村正雄君 大体最後の段階に来たと思うわけでありますが、衆議院の送付案を本にいたしまして審議し、或いは議決の内容をなすにいたしましても、衆議院の送付案自体が何を意味しているのかわからないという点がありますので、この点は今お願いいたしましたように、法制局と事務局で明らかにする手続を一つ御研究願つてその点を明らかにするということにいたしておきまして、一応法制局長に対しまする法的な質疑は私は打切りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/79
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080・前之園喜一郎
○前之園喜一郎君 中村委員から各点に亘つて詳細に御質問があつて余すところがないと思うのですが、私はいつでも、国会からこの裁定に対する決議を求められる法案が出た最初のときから非常な疑問を持つて、その都度いろいろ質疑をして来たわけでありますが、今中村委員の御質疑の中に法案の出し方が間違つておるしという御批判があつたように思うのですが、それに対する法制局長の御答弁はなかつたようです。これは十六条の第一項、第二項、つまり「予算上又は資金上、不可能な資金の支出を内容とするいかなる協定」こういうような協定があつた場合に「政府は、その締結後十日以内に、これを国会に付議して、その承認を求めなければならない。」こういうことになつておるのですから、これは中村委員がお話になりましたように、やはり裁定の内容についてこれこれの点は予算上又は資金上不可能な支出であるから承認はできないとか、或いは第二項以下であれば、今お話のようにこれこれの金額は承認できるとか、或いはできないとかいう具体的な内容を示して、国会の議決を求められるのが相当であるように思うのですが、それが法律的の非常にはつきりしない点もあるようでありますけれども、私どもは少くとも法案の出し方としては非常に間違つておるのじやないかという気持を常に持つておるわけでありますが、この点について法制局長の御意見を承わつておきたいと考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/80
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081・奧野健一
○法制局長(奧野健一君) この問題はずつと前から問題になつております点でありまして、政府は第一回からとにかく国会の議決を求めるのだ、公労法十六条第二項の規定に基いて、ともかく国会の議決を求める件ということで出して参つておりますが、この前検討いたしました場合にはそうではなくて、公労法第十六条第二項に示しておる通り、承認を求めるという形で持つて来るべきものではないか、殊に又それにつきまして、この前の公労法の改正によりまして理由を付して承認を求めて来なければならない形といたしましては、これこれの点は予算上、資金上不可能な支出を内容とする裁定或いは協定でありますが故に、その点について承認を求めるという形で持つて来なければならないのではないかというふうに法律的には考えておりますが、これでも大体公労法十六条第二項の規定により、こういうのでありますから、承認を求めるという趣旨の提案であるというふうに見て、現在におきましては大体慣例的にこの形で受理してやつて行つておるわけでありまして、一厳格に申しますれば、これくの点は予算上、資金上不可能であるからこの点について国会の承認を求めるという形で、国会としてはそれを承認するかどうかという形でただ漠然とした国会の議決というのでは、提案としては法律的ではないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/81
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082・前之園喜一郎
○前之園喜一郎君 厳格も不厳格も同じと私は思うので、こういうような法案の出し方は全く国会任せだというので、そういうような形になるので、私は議案としては全くなつてないと思う。むしろこれは我々がこの議案に基いて審議する必要はないのだということを考えておるわけであります。ただ私ども多少譲歩いたしまして、その具体的な問題として裁定第一項、これらについては予算に出ておる範囲内においては、資金上或いは予算上可能である、その他のものは不可能であるというような考え方になるのか、その点はどうもわかりませんけれども、第二項以下ではこれは全く議決を求められる趣旨というものは、どこにあるかということはわからないということになるのであります。国会においてこういうものは不承認だという議決を求められておるということは、これは十六条の趣旨によつて明らかであります。そうなればそういう理由をはつきりと示して、そうして予算上、資金上不可能であるということが国会の承認を求められる理由にならなければいかんと思うわけでありますが、そういうものは一つもない。一項の場合は予算というものがあるから、そこに多少の考慮の余地はあるとしても、二項以下については、私はこれは国会任せで政府は我関せず焉というような恰好に考えられるわけであります。これでは私どもは国会において審議することはできないのじやないかという、そういう気持を持つておるわけであります。その点重ねて一つ法制局長の御意見を承わつておきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/82
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083・奧野健一
○法制局長(奧野健一君) 如何なる場合にもこれは承認を求めるという形で以て議決を求めて来るものでありまして、不承認を求めるという形で議決を、不承認の議決をしてもらいたいというような趣旨で、議決を求めるというやり方は、公労法第十六条の第二項の趣旨に合しないものであつて、すべていやしくも裁定なり、協定が一応ありましたら、それが予算上、資金上不可能であれば、その点について承認を求めるという形で以て出て来るべきものであつて、勿論国会はそれに拘束はされませんから、承認するもしないも国会の自由でありますから、政府の出し方としては、公労法十六条の形で承認を求めるという形で持つて来るべきもので、不承認の議決を求めるというような趣旨で持つて来るということは法律的ではない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/83
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084・前之園喜一郎
○前之園喜一郎君 この衆議院の決議ですね。これはまあさつきからいろいろとお話があつたのですが、二項以下の決議というものはなかつたのでしようね。前段の「本件は、公共企業体等仲裁委員会裁定中第一項は、」ということをはつきり言つておる。「昭和二十七年十一月以降実施するものとして、これを承認する。」第二項以下については附帯決議で片付けておるということです。第二項以下の決議はなかつたというふうに見るのが相当じやないでしようか。最初にこれはあいまいな点があります。併し全部を通じて見るときにそういうふうに考えられまするが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/84
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085・奧野健一
○法制局長(奧野健一君) 先ほど中村委員が言われたように、これは一項だけが対象になるべきものだ、一項だけを対象にしておるのだというふうな前提だつたならば、この本文は一項だけについてこれこれの条件であつて承認するというふうにも読めます。併し「本件は、」というのはこれは国鉄関係の裁定全体というふうに読みますると、「本件は、」としてこれを承認するというと、一項だけについては二十七年十一月以降という条件をつけて、そのほかはこれを承認するというふうにも、「本件は、」という続きがら見ると見られますし、「本件は、」というのは第一題目だけを言つているので、これは一項だけの議決とも見られます。ただ附帯決議のあるところを見ますと、二項、三項、四項を取上げて、これを不承認するというような趣旨ではなかつたのではないかというふうにも見られます。ただ本文が一項だけを承認するということであれば、自然承認しないという、不承認ということにならざるを得ないのでありますが、でありますから、対象が何であつたかということによつて非常に変つて参りますので、これは相当対象の範囲をはつきりきめておかないと、これは内容が確定いたしかねると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/85
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086・前之園喜一郎
○前之園喜一郎君 文章が非常にあいまいでありますけれども、最初に謳い出してある本件というのは、これはいわゆる法案のことを言つておるので、法案の第一項は承認する、これだけのことを言つておるので、あとは附帯決議で、二項以下は全部決議の内容に入つていないというふうに考えるべきものじやないでしようかね。併しこれは初めが非常にあいまいですから、私どもも十分研究いたしまするし、又議案の取扱方、政府の提出の仕方については只今法制局長も仰せになりましたが、非常にあいまいである、間違つておるというようなことも考えられるので、このことも併せて研究いたしますが、参議院においてはこの法案の取扱方、又は衆議院の決議に対する我々の基本的な考え方をはつきりして、内容を審議したいと思いますが、局長の言われたように一層一つ御研究願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/86
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087・中村正雄
○中村正雄君 もう二つほど、もうたびたび来て頂くのも御迷惑だ患いますので御質問しますが、今予算が国会に出ておるわけで、七百八億が現在の予算の給与総額なのです。それではこの裁定は実施できない。特に第一項の八月から一万三千四百円という基準賃金はこの既定予算ではできないということで、予算上不可能な裁定として国会の議決を求めて来ているわけで、今度の補正予算を見ますと、これに百七億弱追加いたしまして、給与総額を八百十四億九千九百余万円と、こう改めて来ているわけであります。この給与総額でありますと裁定の第一項は完全に履行できる給与総額になるわけであります。そうしますと、この裁定審議中にこの予算案が両院を通過いたしまして、給与総額が、八百十四億九千九百余万円という予算が通りますと、自然第一項は履行可能な裁定になると思います。そうしますと審議中に今この予算が成立いたしますと、今審議いたしておりまするこの裁定の案件というものは自然消滅すると、こういうふうに解釈する結果になると思うのでありますが、国鉄なり、政府当局は大体そういう結果になると、こういうふうに前の委員会では言明になつておるわけでありますが、法律的にお考えになつた法制局長の御見解はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/87
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088・奧野健一
○法制局長(奧野健一君) 抽象的に申しますと、要するに承認するかどうかの議決のときを標準として、資金上或いは予算上支出が可能であるか、不可能であるかを決定すべきものであると思いますので、その議決のときにおいて予算上支出が可能であれば、もはや十六条第二項の問題からはずれて対象にならない、当然履行しなければならない予算ということになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/88
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089・中村正雄
○中村正雄君 まあ法制局長も、国鉄も、政府も大体同じ見解なのですが、重ねて政府に一応お願いしておく点は、政府は政府としての法制局があるわけなんで、もう一度今の解釈が政府の解釈と一致するかどうか確認願つておいて、若し午前中の政府の答弁が違つておるという点があれば明日の委員会で御発言願いたいということを一応お願いしておきます。
法制局長にもう一点お尋ねしたい点は、裁定の効力の問題でありますが、予算上不可能な裁定の場合、その場合裁定というものは国会の承認があつて初めて効力を発生するものか、或いは国会の不承認があつて初めて効力を消滅するものか、言い換えれば停止条件附の債権、債務か、解除条件附の債権、債務か、どちらを公労法は考えておるか、法制局長の御見解を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/89
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090・奧野健一
○法制局長(奧野健一君) その点はこの前から非常に議論のあつたところでございまして、一応は裁定はあつたのだけれども、不承認によつて消滅するというふうな説もあつたようでありますが、どうも十六条第二項からいたしますと、承認があつたときに遡つて効力を発生するものとするというのでありますから、やはり承認によつて、少くとも政府等の関係においては承認によつて効力を発生するものではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/90
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091・中村正雄
○中村正雄君 そうしますと、対政府はそうだが、両当事者間は国会の承認があろうと、不承認があろうと、履行可能か、不可能かは別にいたしまして、裁定の効力は永久に存続するものだというふうに考えるわけですが、若し国会で承認がなければ政府に対する効力はなくなるかも知れませんが、政府に対する債権がなくなると同時に当事者であります国鉄当局も債務が消滅する、こういうふうに考えるが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/91
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092・奧野健一
○法制局長(奧野健一君) その点は非常にむずかしい問題でありまして、協定の場合を考えて見れば、当事者としては履行不可能であつても一応債権、債務が協定によつてできるのではないか。ただ政府、少くとも予算との関係において十六条というものがあるのであるから、政府を拘束するというような意味の権利発生としては、承認によつて勧めて発生するのであるから、当事者間においては自然債務的といいますか、履行が、実行ができないものの債権、債務があると見るべきか。この点は解釈が分かれるところでありまして、如何ようにも、例えばこの前の地方裁判所等の判決は、とにかくこれは承認というのは、ただ履行若しくは政府との関係であつて、どうしても当事者間においては不承認であつても自然債務的に残るのだという考えをとつておるようでありますが、私ども今の考えではやはり承認を得なければすべての関係において効力を発生しないで終るというふうに統一的に見るべきものではなかろうかと疑問を持つて、一応そう思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/92
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093・中村正雄
○中村正雄君 一応法制局長に対しまする法的な質問は打切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/93
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094・小泉秀吉
○委員長(小泉秀吉君) ほかに法制局長に質問ありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/94
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095・内村清次
○内村清次君 私はまあ甚だ重要な問題のときに、中村君からも法制局長に聞かれたことだと思いますが、丁度私聞き漏らしましたもので、これは二度或いはだぶつて済まないと思いますが、これは従来参議院の運輸委員会におきましても、第一回の裁定国会承認に対しては異なつた議決をやつております。第二回の問題のときにおきましても異なつた議決をやつております。併し第一回の場合と第二回の場合とは幾らかその内容の点におきましても違いますが、又含みの点におきましても違つておるように私は記憶しております。それでこれは中村君が聞かれたと思いますが、異なつたときにおいて裁定全体というものが無効になつて来るか、後段は私は聞きました、後段は聞きましたが、無効になるものであるかどうかということの点についてもう一遍一つ聞かせて頂きたい。この点重要に存じますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/95
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096・奧野健一
○法制局長(奧野健一君) 承認されない場合、結局両議院の議決が一致しなければ承認しなかつたことになるわけでありますが、その場合でも裁定自体が無効になるとか、或いは協定が無効になるというのではなくして、支出不可能な、予算上、資金上支出が不可能な部分について効力を生じないだけのことで、その他の点については勿論裁定或いは協定は有効であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/96
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097・内村清次
○内村清次君 そうしますと、問題は参議院の議決の後において又国会がその問題に対しての資金額を通過させた場合、それが国会の会期内において通過させた場合において現在出しておりまするところの予算総則の金額にプラスされた百六億という金額の、そのほかに又追加された金額が、裁定の充当額として追加された場合のときにおいての問題は、これはどういうふうになりますか。もうすでにその前に国会は一通りの裁定に対するところの国会承認の問題について結論を出したわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/97
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098・奧野健一
○法制局長(奧野健一君) その点は非常にむずかしい法律問題でありまして、先ほど申しましたように、これは承認というのは支出ができない状態なんで、当事者間においても、勿論第三者の関係においても債務としては存在しておるのだ、少くともその当初において自然債務的に履行しなくてもいいかも知れないけれども、債務としてはずつと存在しておるのだ、ずつと続いて時効にかかるまではあるのだという見解をとりますと、その後何らかの事由によりまして予算が殖えたり、資金が殖えたりして支給することができるような状態になりますれば、当然元へ返つて十六条に触れないで、本来の裁定なり或いは協定の効力として履行しなければならない状態に当然復活するのではないかという議論がありまして、これは地方裁判所等はそういつたような見解であつたように記憶しております。そうでなくて国会の不承認ということによつてその部分に対しては効力を発生しないことに確定してしまつたというふうに解釈すれば、もはや今後そういうことがあつても復活しないというふうに解釈せざるを得ないと思うのでありまして、この点は両説分かれておりますが、只今中村さんにお答えしましたように、私としては現在あとの説を考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/98
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099・内村清次
○内村清次君 まあ私は最後の中村君の質問に対しての法制局長の答弁はよく聞きました。それは三十五条というものが主体になつて、そして当事者間というものはその裁定によつて拘束をされるという観点に立つて、その当事者間、特に又その裁定を受くべき側に立つもの、具体的に言えば労組側が裁定金額の全額に対しては当然権利があるのだというような観点から、国会承認額の即ち残額、裁定におけるところの全額に対するところの国会承認額の残額、それを法廷に争う、こういうようなことだけはこれは従来もやつたことであつて、あなたがおつしやるように地方裁判所もそれに判決を下しておるということはよくわかります。私が聞こうとするところは、この国会承認というものが一応なされまして、その金額はこれは国会の即ち意思によつてこの裁定問題に対するところの承認というのは一応されるわけであります。されましたその後において即ち予算関係において政府が追加して来た場合、而も会期が国会会期内において追加して来た場合においてはこれはどういうふうな関係になりますかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/99
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100・奧野健一
○法制局長(奧野健一君) 国会が承認を与えた場合でございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/100
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101・内村清次
○内村清次君 与えた後においてです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/101
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102・奧野健一
○法制局長(奧野健一君) 与えたならばそれによつて政府は拘束されて、予算上或いは資金上の措置によつて予算の追加を求めるというようなことによつて予算的措置を講じなければならない義務が出るものと思います。そして予算が成立すればそれの履行をしなければならないということになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/102
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103・内村清次
○内村清次君 それはもうわかつたのです。それはもう今まで従来やつた問題でありますが、そうでなくして一応百六億という、具体的に申しますと、事実によつて申しますと、百六億というのは予算総則によつて出して来たわけであります。それで衆議院の裁定に対するところの議決が又それに幾らかプラスしたところの議決というものがなされたその後において、参議院において議決を又仮になさなければならない議決があるかも知れませんが、議決をなされた後において更に政府のほうで、いわゆるこれは予算委員会においてなされるわけでありましようが、その際において又プラスしたところの金額が出されたときにおいては一体どうなるか。この会期中にそういう事実があつた場合のときにおいてはどうなるかということです。これはもう国会としては運輸委員会の議決の表示、それからそれが本会議にかかつたときの議決の表示のみが裁定に対する全金額になりますかどうですかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/103
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104・奧野健一
○法制局長(奧野健一君) お尋ねの趣旨は、例えば百億円というやつを国会で八十億円だけ承認したというような場合ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/104
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105・内村清次
○内村清次君 そうじやないのです。いや具体的に申しますと、そこに書いてあるように百六億だけは国会承認として政府が出して来て、政府の態度が出て来た。それに衆議院が又幾らかプラスしたような意思を表示した、参議院はまだ表示してない、まだ会期があるのですから、会期中に予算委員会なら予算委員会が又政府においてそれにプラスしたような金額を出して来るという意思の表示があつたとしたならばどうなるかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/105
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106・奧野健一
○法制局長(奧野健一君) 一応衆議院と参議院の議決が異なつた……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/106
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107・内村清次
○内村清次君 いやそれはわからん、どうなるか、実態において国会の問題は消滅するけれども実態は残るのだ、裁定自体が駄目になつたということを答弁されたのですね。そうですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/107
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108・奧野健一
○法制局長(奧野健一君) それが一応資金上、予算上不可能な部分として国会の承認を求めて、その部分について国会が承認を与えなかつたという場合は、その部分だけの効力は発生しないで終る、なくなつてしまうのじやないか。これは異説があるということを申しました。だから消滅してしまつたとするならば、幾らあとから予算ができても復活しない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/108
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109・内村清次
○内村清次君 議決されたならばね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/109
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110・前之園喜一郎
○前之園喜一郎君 私一つわからん点がありますから重ねてお伺いいたしますが、局長の意見は、今の国会承認でも当事者の債権、債務は消滅するのだという御意見ですね。東京地方裁判所は、結局これは当事者間は債権、債務が残るのだ、従つて資金上、予算上余裕ができれば払わなければならないのだ、こういう説なんですね。私どものほうはやはり地方裁判所の説なんです。これは地方裁判所に持出されたときからそういう形なんです。これはまあそうなるのだ。当然のことだろうという私ども意見を持つておるが、これは非常にむずかしい問題であります。今いろいろ御意見を承わりましたが、今局長が言われた御意見ですが、これは何かこれを根拠付けるような学説とか、そういつた判例でもお持合せがあれば、この次の機会でもいいのですがお示しを願いたいと思うのです。今局長の御意見の通りだとしても、この問題の第二項以了承認せずという決議になると、これは団交も何もできない。将来どういうような余裕ができてもやれないということになる。私どもはそういうふうに考えない。これは現状において予算上、資金上余裕がないのだ、払えないのだということであつて、将来までのことを言つておるのではないのだ。これは衆議院の承認された内容から言つても一応そういうふうに考えられるのですが、局長の該博な知識を持つていろいろと御研究になつた結果の御意見で、我々は傾聴するわけでありますが、もつと納得するような資料があればお示しを願いたいと思います。今でなくとも結構であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/110
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111・奧野健一
○法制局長(奧野健一君) なお中村さん、前之園さんの要望の点については、なおよく研究いたしたいと思います。
今議事部長から連絡がありまして、事務局長として向うへいろいろ釈明した結果は、衆議院では全部を対象にいたして、そのうちの一項だけについて、二十七年の十一月以降実施するものとして、一項だけを承認したのだということだということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/111
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112・中村正雄
○中村正雄君 そうしますと、そう意味を、衆議院送付案の意味を決定的にそうだとして審議するわけですが、只今の法制局長が、衆議院の事務局等から一応照会して出た結論はこうであります、と言つて、法制局長が今御答弁になつたわけでありますが、それを基礎にして我々が審議して権威があるものかどうか、これについて法制局長はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/112
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113・小泉秀吉
○委員長(小泉秀吉君) ちよつと速記をやめて下さい。
午後三時三十二分速記中止
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午後三時四十二分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/113
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114・小泉秀吉
○委員長(小泉秀吉君) 速記を始めて……。法制局長にほかにお尋ねすることはありませんか。それでは法制局長はあれとして……。今のような段階ですから、国鉄裁定の問題は次回に質疑を続行し、只今のような、中村委員の御発言のようなものは即刻議事部を通して衆議院のほうに十分確めるような手続をしてもらうということにして、もう一方の運賃のほうに進みましよう小。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/114
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115・小泉秀吉
○委員長(小泉秀吉君) 御異議がなければ運賃法に対して質疑を願います。
この機会においてちよつと御報告申上げますが、水産委員長秋山俊一郎君の名前で、参議院の水産委員長から運輸委員長に対して申入がありましたが、一応事務局のほうで朗読をしてもらいます。速記とめて……。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/115
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116・小泉秀吉
○委員長(小泉秀吉君) 速記始めて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/116
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117・中村正雄
○中村正雄君 ちよつと。国鉄でも運輸省でもいいのですが、お尋ねしたいのは、もらつておりまする資料の貨物等級関係の資料です。主な貨物の新旧等級比較、これで値上、値下の率をパーセンテージで現わしているわけですが、これは大体指数によつてパーセンテージを計算なさつていると思います。従つてこの値上、値下の率というものは、実際の運賃それぞれの物資について平均走キロがあると思いますが、そういうものをお考えかどうかわからないのですが、仮に二二%の値上げになつておるということになりますと、これはこの品種については運賃において二割三分の現行より値上げになるという、こういう意味ですか、どうですか、その点お聞きしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/117
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118・津田弘孝
○説明員(津田弘孝君) 二番目に砂利がございますね。砂利は八十五から七十九まで引くと、その減トンを加味した場合のあれが六でございますね。その六を八十五で割りますと、七%の値下り、そういう見方を指数の上げ下げでやつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/118
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119・中村正雄
○中村正雄君 従つて私のお聞きしておるのは、この指数の値上、値下の率というものと、実際の運賃の値上、値下の率というものと一致するかどうか、この点をお聞きしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/119
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120・津田弘孝
○説明員(津田弘孝君) それでこれが何と言いますか、等級の上のそれだけでございますから、これに今の砂利の例ならば、これは下つておるわけですから、一割の値上げがないと三%しか上らない、こういうことになるわけであります。実際のこの賃率を当嵌めて見ますと、大体この線で参りますれば、やはり多少遠距離逓減の率等におきまして、極めて僅かではございますが、そのカーブ等を違えているところがございまして、現実にはそれじや同じ距離で計つて見た場合に、果して七%値下りになつておるかどうかという点は一致しない点が若干ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/120
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121・中村正雄
○中村正雄君 そうしますと、この指数の上における値上、値下も実際運賃におけるのも大体間違いないものと見て考えればいいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/121
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122・津田弘孝
○説明員(津田弘孝君) 大体そうであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/122
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123・中村正雄
○中村正雄君 一〇%というものを考えればいいわけで、仮にこの指数で二五%の値上になつておるのは、実際は三五%の値下になつておると、仮に値上が一〇と書いてあれば現行と同じ運賃であると、こういうふうに考えればいいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/123
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124・津田弘孝
○説明員(津田弘孝君) 結構でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/124
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125・中村正雄
○中村正雄君 そういう表の見方から考えまして、この二頁の終りのほうの絹織物については値下率が二八になつております。それから綿織物は二九の値上になつておる。そうしますと、ちよつと常識上考えまして、絹織物のような高級品は現在よりも二八%安くなる、綿織物は現在よりも二九%高くなる。ちよつと我々としてこれは想定できないわけなんですが、なぜこういうふうな運賃の等級の改正をおやりになるのか、これをお伺いしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/125
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126・津田弘孝
○説明員(津田弘孝君) 今回の貨物等級の改正につきましては、毎度御説明申上げておりまするように、それぞれの物資の価格を以て現わせるところの負担、これに重心を置きまして、それに若干輸送原価或いは公共性というようなものを加味しまして、この三本を三つの要素といたしまして、機械的に技術的に又公共的な考慮という面からは、これはそれぞれの標準を与えまして、まあいわば全く何と申しますか、技術的に、数理的にすつと弾きましたもので、従来その標準、現在の等級におきましてのものと比べますると、或るものにつきましては、非常に値上り率の高いもの、或いは非常に値下り率の高いもの等々があるわけでありまして、これは現在のものを新らしい尺度によつて再編成する、再調整するというような点から申しますると、全くこれは止むを得ない一つの打出された結果だろうと思うのであります。そこで御指摘のように、絹織物のようなものが値下りになつて、綿織物のようなものが値上りになる、大衆的な綿織物のほうが非常に上り方がひどいというのは非常に不合理じやないかという御議論も御尤もでございまするが、これはやはりさつき申しましたような、三つの尺度を当嵌めて計算をいたしますると、こういう結果になるわけです。そこで物事はすべて数字や理窟だけでは参りませんので、やはり相当従来の沿革というようなこともこれは考慮に入れなければなりませんし、又社会公共性というようなものも、これは多分に入れなければならんというようなことで、これは再調整を更にいたしております。従いまして綿織物もこのような値上り率にはなつておりません。これは当分の間二割引と、これはもう遠距離割引ではございませんから、最初の一キロから割引をするというようなことを考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/126
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127・中村正雄
○中村正雄君 今お聞きしますと、結局負担能力、価格等が一つの基準になつておるというわけなんですが、一応私は常識的に考える場合に、絹織物のような高いものが負担能力が少くて、綿織物のような安い大衆ものが負担能力が多いという結論はどういうところから出るわけなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/127
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128・津田弘孝
○説明員(津田弘孝君) これは九月初め、九月一日現在のそれぞれの物資のトン当りの価格というものを全面的に全国的に調査をいたしております。それによりまして、その価格にそれぞれ応じまして、トン当りの価格が二百円までのものは十二級、四百円までのものは十一級、上のほうのものは百三十万円あたりですが、以上のものは一級にするという十二のそれぞれのクラスの中にすべての物資を当嵌めて参りました結果、その価格というようなものが一番の要素をなしまして、そういつたような結果になつておるわけであります。ですから値上り率とか、値下り率とかいうようになつて、問題を御覧になりますと、一見奇異に見られる点もあるのでありますが、実際にそれじや綿織物のトン当りの価格が幾らで我我は考えておるか、絹織物のようなものは幾らしておるというようなものは全部手許に材料を持つておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/128
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129・中村正雄
○中村正雄君 私のお聞きしておるのは、あなたのおつしやるそういう価格を基礎にして十二段階に分けるという基礎理念が絶対に正しいということを前提にすれば、そういう数字になると思いますが、私のお聞きしておるのは、そういう分け方が絶対正しいというところの理論はどこにあるかということをお聞きしておるのです。恐らく数字の結果でこうなるのはよくわかりますけれども、こういう結果が出るということは、そういう基礎理念によつてやられることが間違つておるのじやないかということを私は質問したいから聞いたのです。なぜこういう結果が出て、こういう分け方が正しいと社会が納得する妥当性がどこにあるか、それを聞いておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/129
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130・津田弘孝
○説明員(津田弘孝君) これはもう貨物等級というものは何と何のためにあるんだという根本的な問題に触れて来るわけでございますが、御承知のように、鉄道の旅客輸送におきましても、一等、二等、三等というふうな区別がございます。併しながら二等、一等の運賃を払えばそれだけ設備なり或いは輸送サービスなりで、上等な或いは快的なサービスなり設備を享受できるというようなふうに、何と申しますか、それぞれ払つたものに対する対価が違つておるわけでございます。ところが一方貨物の面におきましては、先ほど輸送原価を或る程度考慮要素の中に入れようということを申しましたが、実際問題として特別の場合を除きましては、非常に高いものを輸送いたしまする方法、手段も、又砂利のごとき非常に安いものを輸送する手段、方法も実は余り変りがない、コストにおきましても殆んど変りがないということが言えるのでありまして、それならば、なぜ一体砂利には低い等級を付け、又例えば酒には高い等級を与えるかということについての問題でございますが、これはもうどこの国でもそうでございますし、日本の国鉄におきましても、創始以来こういつた等級制度を持つているのでございますが、私の考えといたしましては、鉄道の全体の貨物運賃というものをそれぞれの持つ貨物、それぞれの貨物がその分に応じまして負担すると、何と申しますか、共同経済計算というような思想に基きまして、まあこういつた等級というものを作つているわけでございます。従いまして高い値段の貨物が高い運賃を負担するのは、これはそういつた共同経済、共同負担というような関係からいたしまして、これはまあ当然であろうというような理念に基くものと私は観念いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/130
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131・中村正雄
○中村正雄君 そういう理念から出るとしますと、絹織物のような高い価格のものに安くなつて、綿織物のような安い価格のものが上るという結論が納得できなくなる。言い換えれば現在の等級を押えましたときの絹織物と綿織物の価格の比率というものが現在大幅に変つておる。二十八と二十五を出したその基礎が変つておるという根拠があれば別でありますが、それだけの根拠があるかどうか、この点の二つについて理論の糸口としてお聞きしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/131
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132・津田弘孝
○説明員(津田弘孝君) それは中村委員のおつしやる通りであります。トン当りの価格がそれだけ違つて来ておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/132
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133・中村正雄
○中村正雄君 負担能力がそれだけ変つて来ておるということはどこに根拠があるわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/133
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134・津田弘孝
○説明員(津田弘孝君) トン当りの価格でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/134
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135・中村正雄
○中村正雄君 負担能力です。綿織物と絹織物とのいわゆる負担能力があるわけですね、それぞれ。従つてこれだけの差が出て来たというのはどういう数字が元になつておるのか、言い換えれば、これをきめましたのが昭和二十五年でしたか、いつでしたかわかりませんが、そのときの絹織物と綿織物の関係はこうなつておつた、だけれども今はこう変つて来ておるという、それが一つ。もう一つは、やはり十年、二十年一定の運賃なら運賃というきまつたものがあれば、経済はやはりそれに従つて運営されるわけなんですね。急激にこれを変更する、たとえ当時すでにきめましたときの価格の算定なり、きめましたときの等級表が不合理なものでありましようとも、長年の間これが均衡がとれてやつて来た、それが経済の実態になつておるわけです。これは法律上は時効制度と同じことでありますが、社会はこれを妥当なものと認めておる。従つてそれはたとえ正しいものであつても一挙に破るということは経済を欄乱することになる。そういう面から見て今度の等級改正は、こういう一見不合理のようになつて来て、これをこうしなくちやいかんという妥当性の根拠はどこにあるか、それを聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/135
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136・津田弘孝
○説明員(津田弘孝君) 今言われましたようなふうに、すべての経済取引或いは商業、社会生活というようなものが、現在の制度なり、秩序汚、或いは我々の関係で申しますれば、運賃或いはその体系、それに基いてすべて行われておりまするのに対しまして、急激にこれを変える、言葉はどうかと思うのでありまするけれども、革新するというような方向に持つて行きますることは、これはすべての二とに関係して、すべての事柄に関連いたしまして、これは避くべきことだと思つております。従いまして我々といたしましては、等級審議会で答申されましたところの、先ほど来申しておりまする三つの尺度、負担力、原価、公共性、こういつたものに照しまして打出されたところの一つの結果が、たとえそれが理論的に正しいものであつたにいたしましても、著しい影響のあるものに、従来と値上りの非常に著しいというようなものに対しましては、これをこの表を作りました以後におきましても調整をいたしつつあるような次第でありまして、この数日来も、これは等級改正の分と、それから一般の値上りが一〇%でございましたか、それを合せまして値上り率が原則としては三割を越えるものにつきましては三割以内なるようなふうに割引をするとか、その他の方法を以ちまして調整をいたしておるような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/136
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137・中村正雄
○中村正雄君 もう一つ、進んで私質問いたしますが、こういう結果の出ることは、十二に分けたところにこういう結果が出ておると思う。言い換えれば、最低を二百円とし、最高を百三十四万四千円ですか、それにして、最低の指数を七五とし、最高を二〇〇としておる、そこに私は根底があると思う。従つてなぜ最低を二百円にして最高を百三十四万四千円にしなければならんか、最低を七五の指数にし、最高を二〇〇に打切らなければならんかという、ここに私は問題があると思う。なぜこういう規格をきめなければならんか、この規格のために今言つたような綿織物と絹織物にこれだけの差が出て来るわけです。従つてそういう不合理をあえてしなければいけない計算の基礎が、今申しました七五と二〇〇というところにあるのだと思う。七五と二〇〇に何故しなくちやいけないかという根拠を御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/137
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138・津田弘孝
○説明員(津田弘孝君) これは等級改正の初めから申上げなければならんことに相成るわけでありまするが、なぜ最低を七五にしたかという点につきまして先ず申上げたいと思います。鉄道の貨物の経費を総体的に眺めまして、鉄道の貨物の経費の中には人件費、物件費その他利子、それから総経費的なものの何と申しますか、割付と申しますか、そういつたようなものがいろいろございまして、貨物のコストが出ておるわけでありまするが、我々国鉄を一つの企業として考えました際に、いろいろな社会政策的な面から、或いは国策に即応いたしまして、いろいろな原価を割りました、例えばその原価を一〇〇なら一〇〇といたします。その原価一〇〇を割つた運賃を設定しなければならない場合がこれはある。あるにいたしましても、輸送に要する直接の実費だけは、これは如何なる場合におきましても償うことにさしてもらいたい、こういう企業者としての一つの考え方を持つておるのであります。そこでそれではそういつた総経費的なものの割付なり、或いは資本に対する利子というようなものが一〇〇の中のどの程度の割合を占めているかという点でありますが、これは精密に計算をいたしておりまするが、大体一〇〇のうち七五というものが直接輸送に要するところの直接経費である。そこでまあ最低は七五のところで抑えようじやないかというのがこの等級審議会の答申でもあつたわけであります。それから最高のほうを下げる点でございますが、これは最近におきましては、鉄道の貨物が滔々としてトラックのほうに転移をいたしておる実情でございますので、何が故に転移をしておるかという理由につ冒しては、まあいろいろございますが、一つはこの鉄道の貨物がトラックに対しまして高過ぎるという点が一つの理由であります。勿論それがすビスの面、輸送の面いろいろございますが、一つの大きな理由は、貨物の運賃が高過ぎるということであります。そういつたような理由から、最高を二〇〇ということで抑えたわけでございます。その二〇〇と七五との間を十二のクラスに分けたわけでございます。ただ実は私ども最初はこの七五で抑えたいということを考えておつたのでありますが、その後いろいろと各産業或いは各省からのいろいろな御要望もございまして、この最低を七五でとめるのは、そこにやはり何と申しますか、多少無理な点があるのではないかというふうな御意見もございまして、我々もそこで若干の調整をすべきではないかというような結論に到達いたしまして、具体的には最低を七五で抑えずに、何と申しますか、野放しで七〇になるものもある、七二になるものもあるというようなふうに調整を最後的にはとつたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/138
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139・中村正雄
○中村正雄君 今の御説明によりますと、七五から二〇〇の間を十二にわける、而も七五というものが最低の直接の原価だと、こういうお話なわけなんですが、結局一〇〇以下のものはすべて運賃を割つて赤字で積出している結果になるわけですね、五級以上のものが大体コストを上廻る運賃になつておる。二〇〇でなぜ打切つたかということは、これはトラックとの関係で、そういう他の運送機関との関係で、やはり国鉄の輸送を確保する、一つの増収という、収入増という面から二〇〇で抑えたと、こういう御説明なわけなんですが、そうしますと、いわゆる国鉄の収入増と言いますか、そういう面を中心において考えられておるわけであつて、国のすべての物資が、先におつしやいましたように、共同で運賃を負担するという面は国鉄の増収を図るという面で相当制限を受けているという、まあ御答弁から私は印象を受けるわけなんです。そこに前に二五〇であつたものを二〇〇で切つているから、高級品が非常に……一割値上げをすると社会に言つておきながら、高級品は一割値上どころか現行運賃よりは一割も二割も安くなる。反対に大衆物資のほうは七五と最低を抑えておるために、一割値上と言つておきながら二割五分も三割くらいの運賃値上になつておる、こういうようになつておるわけですが、そうしますと、今おつしやいましたこの規格に従つて計算すれば、そういう結論にはなるかも知れませんけれども、この規格自体が、出た結論からみると、出た結論がおかしいというのであれば、基準自体にもう一度検討しなければならん点があるのじやないかと、こういう考え方を私は持つわけです。これは恐らく議論してもきりが付かないと思いますので打切りますが、一応今言われました分類に従つて、仮に十級のところで八百円という段がありますね、八三で八百円になつておるわけなんですが、その上が九級で八七で千六百円になつているのですが、仮に価格の区分として千円というものがあればどちらに入るわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/139
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140・津田弘孝
○説明員(津田弘孝君) それぞれ二百円まで、四百円までというふうにお考え頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/140
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141・中村正雄
○中村正雄君 そういたしますと、ここに非常に不合理ができると思いますのは、これだけの差がありますと、仮にその上になりますと、三千二百円の上は六千四百円のわけですが、大衆的なものはこの辺に多いと思うのです。一〇〇を割つているところだと思います。三千二百円までのものと、六千四百円のものになれば相当開きがあるわけですね、これを全部一緒に入れるという結果になると思うのです。従つてこういうところに私は五級以上の、一〇二以上のことは余り問題にしたくないと思うのですが、六級から大体九級の間、この間の区分が余りにも開き過ぎると思う。それから倍々になつておる。従つて僅か百円か、二百円原価が違うため、価格が違うために高い運賃を払わなくちやいかん、こういう点も私は十二に割つたところに大きな問題が残つているのじやないかと思います。従つて、いずれにしても一円というところで上になるか下になるかで陥落ができると思います。けれども、までで以て打切りますと、最も大衆に影響いたしまする六級から九級までの間におきまして、倍々と間隔を区切つて等級をきめておる。恐らく一番問題になるのはこの辺が一番問題になるのじやないかと思います。私はここに十二に区切つたところの大きな問題があるわけではないか、これに対しまする調整その他は何でお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/141
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142・津田弘孝
○説明員(津田弘孝君) 申すまでもなく、価格のうちに占める運賃の割合というようなものを一番敏感に感じまするのは下級品でございます。高級品では運賃というものがそれほど大きな要素をなしておりません。下級品では運賃というものが非常に大きな要素を持つわけであります。そこで下級品につきましては、できるだけそういつた額の区分を細かくすることによりまして、価格と運賃との関係を調整するという必要があると思うのであります。そこでこの六級以下の下級品、鉄道におきましては原価を割つておるような品物につきましては、二〇〇、四〇〇、八〇〇というような非常に細かい差で上つたり下つたりしておるのであります。これが上のほうに参りまして、六級までは倍々とやつておりますが、六級から五級は二倍半、五級から四級も二倍半、その次にはというふうに、上に上るほど何倍にするかという倍数を殖やしておるのは、ひとえに下級品につきまして運賃負担の公平を期しよう、こういつたような構想から出ておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/142
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143・中村正雄
○中村正雄君 それは四級以上のものになると余り例も少いですし、輸送量も少いと思うのです。大体輸送量が多いのは五から九までのが大体多くを占めておるだろうと思います。そういう面から、倍々で上はもつと倍になつておるとおつしやいますけれども、実際の負担する面において、一万円以上のものになりますと大して影響はないと思いますが、一万円未満のものになりますと倍々の段階の組み方は私は相当大きく影響して、言い換えれば、仮に千六百円と三千二百円のランクを見ましても、千七百円になれば三千二百円のランクに入る。千六百円ならば下のランクに入るわけですね。百円下ることによつて一割から違うと思いますが、これだけでも違つておる。こういうものの負担というものは相当大きいと思います。従つてこれをやはり調節すれば、仮に二千円のものであれば千六百円のランクに入れる。二千五百円以上のものであれば三千二百円に入れる。こういうふうに区分することのほうがまだ公平じやないかと思います。そういう点はどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/143
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144・津田弘孝
○説明員(津田弘孝君) 御尤もでございますが、すべてものを区分いたしますると、区分の境い目にありまするところが、或いは人が、まあ損をしたり得をしたりすることは或る程度止むを得ません。例えば税金の税率の分け方につきましても、そういうようなことであります。そこで今お話のございましたようなもので、例えば二十円ぐらい飛び出ておる、百円ぐらい出ておるというようなものにつきまして、二十円出ておるからお前は上のクラスだと言うことも余りに酢であるというような感じがいたしますので、そこにまあ常識的に、例えば一つの例を坑木について申上げますると、坑木はトン当り価格が三千二百二十三円でございましたか、六円でございましたか、そういつたような、ちよつと飛び出ておるのです。それを八級に上げるのは余り酷でございますので、九級に下げるというような操作等をいたしたものも相当ございます。ただこれは何の例でございましたか、不工製材、材木でまだ製材してないと申しますか、不工製材でございます。それが一トン当りの価格が九千何百円ということで、これを何とかもう少し下の等級に入れなければいかんというようなことでお話がございましたが、それを六千円以下に下げるということは、やはり実際の市場価格を更改して全部査定したわけでございますから、そう無茶なことは到底できませんけれども、僅かな差異で上に行くというようなものは気の毒でございますので、そういつた調整をいたしたものもございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/144
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145・中村正雄
○中村正雄君 そういうふうに聞きますと、僅かの差のものであれば調整も実際はやつておる現実なわけなんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/145
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146・津田弘孝
○説明員(津田弘孝君) そうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/146
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147・中村正雄
○中村正雄君 一応ほかのかたの御質問もあると思いますから、私はこの程度にしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/147
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148・鈴木清一
○鈴木清一君 非常に皆さん御質問をされましたので、又私は別な点から実は少しお尋ねしたいわけであります。まあお尋ねする前に、お断わり申上げておきますのは、考え方の相異の上から或いは相当お答えにくい点にまで及んでの質問をいたすかも知れんが、一応お含みを願つておいて、先ず第一にお尋ねいたします。今まで又再三ではありますけれども、運賃の値上げの問題が上つて来たわけでありますが、その原因はいわゆる国鉄の予算がないということと、又要求はしたが、政府に拘束されたがために、ほかの資金から出すことができなくて、これを利用者負担の形で運賃の値上げというものを出して来た、こういうことになつておるのでありますが、今まで再三に亘って運賃値上げを国会に申して来たときに、実は私どもも迂闊であつたのですけれども、国鉄の中の合理化という点についてはつきりした資料や何かのお示しがないわけでありますか。例えば国鉄は御承知のように、二十七年度におきましても、一千三億からの資材購入の多大な巨額を要しておるのであります。そのときにその需要の中で例えば六百四十万トンの石炭を購入したり、或いは三十五万トンの鉄鋼というような、セメントにいたしましても十五万トン以上買うことになりますけれども、御承知のように、国鉄は我が国最大の大消費事業であります。従つて国鉄の合理化ということを若し叫ぶ第一の前提は、こうした消費部面の節約についての資料なりが非常に不足でありますので、そこで私は少くとも大臣といたしましては、こういう大消費事業の中で、これを売つておりますところの、いわゆる石炭資本家というようなものが逆に今度は利潤を相当上げまして、配当にいたしましても三割、四割と言われておるのでありますが、こうした人たちに利潤を与えて、大消費事業の国鉄が少くとも他のその物資についても、そうした点を国家的見地から見て、もそつと公共性の意味から言つて、単価を決定することについては、国鉄あたりでもいま少し政府がこれに関与しても、諸物価の基礎になるところの単価等についての資本家との話合いについては、政府で或る程度関与するというような権限を打たなければいけないのじやないかと思いますけれども、そういう点についてはどのような工合に大臣としてお考えになるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/148
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149・石井光次郎
○国務大臣(石井光次郎君) 経営の合理化、消費面についての非常な関心を持つてしつかりやらなければならんということは同感であります。説明の資料が国鉄から出すべき必要なものがありましたら、勿論出させますが、お尋ねのうち、ちよつと監督官庁としての運輸省として、この合理化問題について石炭の負担の問題にまで入つて国鉄に協力して、そうして合理化を挙げたらどうだろうというお尋ねであります。私どもいろいろ説明を開くようなことはやる。そうして合理化を希うというようなことについての点は進んでまあ話もする。一個々々の品物を買う場合に、石炭は大よそこのくらいにすべきかどうかということは、すぐ私は国鉄の独立採算制ということを真向うにかざしております立場からすると、これは国鉄に責任を持たすほうが本筋だと私は思つております。ただ合理化に努めたいという点においてのいろいろお話合いはしたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/149
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150・鈴木清一
○鈴木清一君 私がこういう質問をいたしていますのは、いわゆる公共性におけるところの国鉄の企業の重大性から他産業に及ぶ関連もあり、諸物価に及ぶ関連もありますので、国鉄の消費という点については十分考慮を払わなければならんというところから出発したのでありまして、例えば御承知のように、今駐留軍との関係におきまして、国鉄当局が運賃についての協定を結んでおります。その協定を結ぶ中に、国鉄事業の中で一番重要であり、大衆性と言いますか、国鉄の経理上において一番重要でありまするところの、要するに優先順位とか、優先権とか、或いは順位というものが協定の中で結ばれておるはずだと思います。従つて国鉄の持つ地位というものですか、重要性というものについて、国家的に重要であるという観点から、大臣がお考えになられ、政府が考えられるなら、こうした協定について何らか政府としては態度が国会にあるべきである。こう解釈するわけです。然るにこの点については未だに私どもは国会でその点聞いておらないのでありまするが、総裁が駐留軍と結びました協定については、政府としてはどういう考えの下に監督官庁の大臣として考えておられるか。それで何の根拠法によつて協定を結んだかということを先ず一つお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/150
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151・植田純一
○政府委員(植田純一君) 代りまして私からお答えをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/151
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152・鈴木清一
○鈴木清一君 私はあといろいろ質問がありますので、あなたにお尋ねするときもあると思うのですが、大臣からその点私は非常に重要だと思いますので、はつきり一つお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/152
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153・石井光次郎
○国務大臣(石井光次郎君) お答えいたします。駐留軍の扱いにつきまして、どういうふうに扱うかという問題は、その基礎は行政協定に基いておるのであります。それから国鉄との間の駐留軍の輸送関係は、これは私契約になつておりまして、国鉄との間の契約で、これはその契約の内容は、大体余り高くもなく、余り安くもないというところで話がきめられておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/153
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154・鈴木清一
○鈴木清一君 そういたしますと、駐留軍と国鉄と結んである協定は、これは私契約であるので、大臣としてはどういう権限もないのだと、こういうお考えでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/154
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155・石井光次郎
○国務大臣(石井光次郎君) 監督官庁の立場でありまするから、国鉄のその契約についても見せられておりますから、見てあるのでありますが、コンマーシャル・ベースに基いてきめられておりまして、別に問題になるようなところはないと運輸省では思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/155
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156・鈴木清一
○鈴木清一君 私がこれをお尋ねいたしまするのは、曾つて日本が独立国家といたしまして、曾つての日本に軍隊が存在いたしておりました当時におきましても、いわゆる軍事供用令とか、或いは総動員法等によりまして、鉄道の公共性から鑑みて、要するに国民の利益を侵害する事業である限りにおいては、わざわざ立法化いたしまして、これを利用しておるわけであります。公共企業体になつたからといいましても、少くとも予算面上におけるところの権限は政府にあり、運輸大臣にあつて、総裁にはどうにもならないような事情である。それを改革し得ないのは、やはり今のところ公共事業としての特殊性を持つ国鉄の重要性からその結果が出ておるのだと思いますので、そういう意味から考えましても、日本がその当時においてさえ総動員法や、或いは軍事供用令等も出したのでありまするのにかかわらず、国鉄経営の中で一番響きます優先順位の問題、あとで詳しく御質問を専門家にお尋ねいたしたいと思つていますが、順位や優先権の問題が鉄道経営の中にどのくらい重大であるかということは、これは鉄道経営をしておられるかたがよく存じておるはずです。そうした順位やいわゆるその優先権等の扱い如何によつても、経営の合理化というものは莫大なるものになると私は解釈しなければならないと思う。それにかかわらず、ただ私経営の原理において、行政協定の範囲で結ばれたのだからという簡単な考え方から、監督官庁としてそのまま置かれるということについては私は不満を感じざるを得ない。勿論これは見解の相違にもなりましようけれども、では行政協定の何条によつて、恐らく七条だと思いまするが、協定の何条によつて……。又その協定の七条をどのように解釈されて、その協定を結んだということを政府として承認しておられるのか、この点お尋ねいたします。今一度復演いたします。それについて国鉄総裁が行政協定の中に結んだという場合は、御承知のように行政協定は四月二十日国会の承認を得ております。併し輸送協定の結ばれたのは三月三十一日になつております。そういう関連についても運輸大臣が知つておられたら御答弁願いたいし、又これは勿論総裁のほうへお尋ねする部面でありますけれども、知つておられたら、その間の事情も含んで御返答を頂きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/156
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157・石井光次郎
○国務大臣(石井光次郎君) ちよつとこちらに材料を持合しておりませんから、只今のことを取調べ、明日でも御返事申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/157
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158・鈴木清一
○鈴木清一君 私も実はこの問題は運賃値上等におきまして、一般国民に十分理解をさせなければ、率直に申上げますと、例えば総裁なり、運輸大臣には、運賃値上に対する不満というものは書類か何かで来ておる程度じやないかと思います。併し実際に現場で働く改札の諸君は、暴力を以てこれに反対されて、ときどき傷害事故を起しております。そのような実情の中で、一般国民に理解させるためには、等級等の問題よりも、むしろこの点をはつきり明らかにすべきである、こういう意味でこの前資料を御注文申上げたところが、残念ではありますけれども、資料がただ一片の紙切れで、ただ最近駐留軍の貨車は、このぐらいであるということぐらいしか残念ながら来ておりません。これは実は私はいささか軽視しているのではないかと思つて、自分のほうで資料を大体調査いたしまして、そうして御質問申上げておるのでありますので、どうか……。それでは今大臣のお言葉の中にありました行政協定の何条によつてこれは政府としては認めたか。そうしてその条文によつての解釈はこういう解釈で認めた、その点を一つこの次に御答弁願うことにいたしまして、その御答弁によつてここに改めて御質問申上げることにいたします。従つて今日は総裁お見えにならないようですから、私はこの点についての質問はこれで打切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/158
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159・小泉秀吉
○委員長(小泉秀吉君) 運賃法に関して大臣に御質疑ありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/159
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160・小野哲
○小野哲君 あとから参りまして恐縮ですが、先般丁度大臣が御出席でなかつたので、国鉄総裁だけに伺つておいたので、やはり両方から御意見を伺つたほうがいいと思いますので、大臣に伺いたと思います。運賃の理論上の問題はいろいろあるので、これは護国鉄当局との間でいろいろ質疑応答を繰返しましたので、この際はやめたいと思いますが、要は償却不足であるとか、或いは荒廃施設の取替費であるとか、そういうものがやはり運賃の構成要素として考えなければいけないのではないか、こういう考え方があるわけでありますが、国有鉄道の公共性なり、公共企業という立場から見て、運賃の政策的な意味をも兼ねた設計をして行かなければならないということは私は了承するのであります。ただその場合に問題は、国鉄の新線建設の経費の問題でありますが、今回の補正予算で五億円迫力計上をされておりますけれども、例えば北海道のごとき特殊な地方で、特に総合開発計画に基いて鉄道の新線建設等を考えなければならんというふうなところでは、特別な考慮が必要ではないか。従つて私の見解としては、北海道における鉄道新線建設は北海道開発費の中から支弁すべきであつて、今度における鉄道の開発とはやや趣を異にすべきではないか、こういう点が一つであります。もう一つは、今度は一般論といたしまして、原則として鉄道の建設費を独採制による国鉄の収入に依存してやるということが必ずしも適当でない、従つて今日においても資金運用部から借入をやつているということが現実の状態でありますが、この際政府としてはもつと国鉄新線建設の予算の制度の上において、或いはその運用の点について、更に検討される必要があるのではないか。若し国鉄運賃を相当政策的な意味を含んだもので、将来もなおやつて行くとするならば、さように非常に、何と言いますか、採算を割るような運賃をも国鉄は甘受しなければならんとするならば、その特定のものにつきましては、何らか政府がこれを補償するというふうな考え方を加味して行く必要があるのではないか。即ち建設費の問題と、それから政策を加味した運賃を設定する場合における何らかの補償的な考え方を加味する必要があるのではないか、こういう点につきまして運輸大臣の御所見と、若しこれらの問題につきまして大蔵大臣とも御協議が行われたとするならば、その経過をこの際併せて伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/160
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161・石井光次郎
○国務大臣(石井光次郎君) 初めてお尋ねの国鉄の取替等の改良費と申しますか改善費、それを運賃原価に入れるかどうかという問題、これは私は運賃原価の考慮に入れるべきものだと思つております。それから第二の新線建設、特に北海道方面の新線は、これは総合的にいろいろ考えなければならないので、北海道の開発のほうで考えてもらいたいと思います。これは実は私はまだその問題まで入つての話合いもしたことがないのでありまするが、只今の示唆を受けまして、こういう問題を研究をいたしてみます、話合いもいたしてみます。それから第三の、そういうふうな新線の建設は収入というようなことでは無理なことはわかつておるが、成るほど政策的な今度の運賃のように値上げをもつとしたいと思つてしないでおるという場合には、国家が特別の考慮を払うべきじやないかということでございます。これは運賃そのものが一割値上が適当だろうというようなことは、御承知のごとく経営面からばかり考えたのではないのでありまして、一般物価に及ぼす影響その他の国民生活の問題を考えて、国鉄がもつと上げたいというものを、先ず一割にしておいたらどうだということで、内輪の話は付いたのであります。同時にこれでどのくらいやれるだろうかというと、運賃値上のときに申しましたように、これだけでは老朽施設や改善等に使う分までの資金はちよつと出そうに思えないのであります。こういうような方面は政府のほうから金を出してもらう、そして修繕とか、改良とかいうものをやるということにして行くということを考えておりまして、今すぐに政策的な運賃だからといつて、それによつてマイナスのものは政府で持てという話を、すぐそこへ飛躍してまでは考えておりません。それを政府が、いろいろ国鉄としてやらなければならんものについてのいろいろ資金繰りその他について援助して行くということで運んで行きたいという考えを持つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/161
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162・小野哲
○小野哲君 運輸委員会におきましても、国鉄の運営につきましては制度上いろいろ検討しなければならない問題が論議されておるのでありますが、現行の日本国有鉄道法について、政府において何らか改正法案をお出しになるお見込みがあるのか、若しお見込があるとすれば、いつ頃お出しになるつもりであるか、それを伺つておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/162
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163・石井光次郎
○国務大臣(石井光次郎君) これは大きく言えば国鉄の根本的な問題もいろいろ論議の種になつております。昨日でありましたか、ここで質問を受け、私の心持を申したのでありますが、先ずそういうふうな根本的研究は研究といたしまして、多少これを直さなければならんものが、ほかの同種の公共企業体に比しても直すべき点があるように思うのであります。そういうようなところを目下研究いたしております。成るべく早い機会に手近なところより相談いたしたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/163
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164・小泉秀吉
○委員長(小泉秀吉君) 他に大臣に御質疑ありませんか……。それでは一つ私から大臣にお願いと言いますか、御注意して頂きたいことがありますが、この運賃改正問題に対して、国会の問題ではなく、総裁の権限でできる等級改正をこの際国鉄では便乗というか、いい機会としていろいろ審議会のようなものを作つて改訂しようとされて、本委員会においても各委員から随分辛辣な質疑応答があつてまだ決していないのでありますけれども、本委員会に対して水産委員長並びに農林委員長からそれぞれその委員会における決議を以て本委員会に申入れがあるのでありますので、これは同時に運輸大臣並びに国鉄総裁のほうにも行つておる趣きでもありますけれども、ここで等級改正に対しての質疑応答は主として営業局長が国鉄を代表して当つておられますが、この問題に対しては政府においても相当関心を持つて監督しておられるとは存じますけれども、今申しましたように、委員会のほかでもこの等級改正に対しての陳情等がありますことを御留意下されまして、この運賃改正品の問題の審議の過程において、そういう要請が達成されれば誠に結構でありますけれども、これはその後においても営業局長の話によると、今なおその問題について確定しておらないので、いろいろ補正的の改訂で審議しておるというようなことでありますから、運輸大臣においてもそのことを十分御留意なさつて、各委員会等の要請にも副うようにして頂きたいと私はお願いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/164
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165・石井光次郎
○国務大臣(石井光次郎君) 御注意有難くお受けいたします。同時にちよつと申上げて置きたいことは、誠に出ておりまする改正料率表等につきまして、筋は通つておるが実際的にいうと、それほど上つては困るという面が特に農林関係が多いように一目見てもわかるのであります。そういうふうな方面について農林当局と国鉄と打合せをされておりますし、何とか大きな筋は通りながらも、実際に即して国民生活にできるだけ影響の少いような線でやるように今後注意して監督をいたして参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/165
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166・小泉秀吉
○委員長(小泉秀吉君) 他に御発言がなければ、本日はこれで終了したいと思います。御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/166
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167・小泉秀吉
○委員長(小泉秀吉君) 御異議ないと認めます。それでは本日はこれにて散会いたします。
午後四時四十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101513830X01519521218/167
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