1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年八月五日(水曜日)
午後零時五分開議
出席委員
委員長 中井 一夫君
理事 加藤 精三君 理事 佐藤 親弘君
理事 灘尾 弘吉君 理事 床次 徳二君
理事 門司 亮君 理事 松永 東君
生田 宏一君 熊谷 憲一君
前尾繁三郎君 三浦寅之助君
山本 友一君 吉田 重延君
橋本 清吉君 藤田 義光君
北山 愛郎君 滝井 義高君
伊瀬幸太郎君 大石ヨシエ君
大矢 省三君 中井徳次郎君
出席国務大臣
国 務 大 臣 塚田十一郎君
出席政府委員
自治政務次官 青木 正君
自治庁次長 鈴木 俊一君
大蔵政務次官 愛知 揆一君
大蔵事務官
(主計局次長) 正示啓次郎君
林野庁長官 柴田 栄君
委員外の出席者
総理府事務官
(自治庁行政部
行政課長) 長野 士郎君
専 門 員 有松 昇君
専 門 員 長橋 茂男君
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本日の会議に付した事件
町村合併促進法案(参議院提出、参法第五号)
地方自治法の一部を改正する法律案(門司亮君
外七名提出、衆法第七七号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/0
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001・中井一夫
○中井委員長 これより会議を開きます。
去る三日本委員会に付託されました門司亮君外七名提出にかかる地方自治法の一部を改正する法律案を議題といたします。まず提出者より提案理由の説明を聴取いたします。門司亮君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/1
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002・門司亮
○門司委員 それでは、ただいま議題になつておりまする地方自治法の一部改正に関する法律案の内容を提出者一同を代表いたしまして御説明申し上げたいと思います。
地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)の一部を次のように改正いたしたいと思います。それは、第二百五十条中の「政令の定めるところにより、自治庁長官又は都道府県知事」を「都道府県及び市にあつては自治庁長官、町村にあつてはあらかじめ自治庁長官の定める都道府県ごとの額の範囲内において都道府県知事」に改め、同条に次の但書を加える。「但し、自治庁長官の指定する事件については、自治庁長官又は都道府県知事の許可を要しないものとする。」、さらに、この法律は公布の日からこれを施行したいと思うのであります。理由は、地方起債の手続の簡素化をはかる必要がありますので、これがこの法律案を提出した理由でございます。
なお案の内容について、つけ加えて申し上げておきたいと思いますのは、現行の地方自治法の二百二十六条ないし二百二十七条におきましては、地方起債については、その当該議会の議決によつて地方起債ができるように規定されておるのであります。しかしながら、二百二十六条の但書において、なお二百五十条の規定の適用があるものということが書いてありまして、その二百五十条の内容は、今日までの地方起債の手続のことが規定してあるわけであります。もとより起債は、皆さん御存じのように、地方団体の議会においてこれを議決してそれがただちに行われるということが正しいのであつて、すなわち起債自身に対しましては、住民の十分なる監視がございまするので、この起債が行き過ぎたり、あるいは不当なる起債が行われようとは実は考えられないのであります。しかしながら、現在の国家財政の建前から、なお当分のうちこの二百五十条の規定を適用するとなつており、この二百五十条の規定において政令にこれがゆだねられておりまするが、この政令につきましては、すでに御承知のように、施行令の中に、起債の認可を得ようといたしまする場合には、大蔵大臣の認可をというか、協議をしなければならないような条項がありますので、この結果といたしまして、地方の自治体におきましては、起債をしようといたしまするならば、自治庁の長官が起債の認可の権限を持つてはおりまするが、この政令の定めるところによつて、大蔵大臣との協議が必要になつて参りまするので、勢い、各府県に出張所を持つておりまする大蔵省の財務出張所との間に了解を遂げなければならない複雑な問題が出て参ります。従つて、法律並びに施行令の面から申し上げまするならば、さしたる複雑性はないのでありまするが、実質の問題といたしましては、各公共団体は県知事に一応お伺いを立てて、さらに自治庁の長官の了解を得、さらに大蔵省の出先でありまする財務局等の了解を得ますることのために、七箇所あるいは九箇所ぐらいの場所に、一々陳情あるいは請願をしなければならないという複雑性を持つている。のみならず、大蔵省の出先は、その自治体の事業内容にまでいろいろなくちばしを入れる、というと語弊がございまするが、意見を申し述べて参りまして、起債の認可のために非常な困難と多くの手数を要しておりまするので、これを省略いたしまして、そうして政令を一応省きまして、起債のあらかじめきめられたわくの範囲内において、市町村の起債につきましては都道府県知事限りにおいて、これを認可することができるというように改め、額が大きくなりますのと、事業の内容等について多少の法律的の制約もございますので、市あるいは都道府県に対しましては、自治庁長官の認可を得るということにいたしたいと考えておるのであります。こうして地方起債の手続の簡素化と、さらに適正化をはかつて行きたいと考えておるのであります。これが案の内容の説明であります。何とぞ御審議の上、御賛同のほどをお願いしたいと思う次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/2
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003・中井一夫
○中井委員長 御質疑はありませんか。——それでは本議案はこの程度といたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/3
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004・中井一夫
○中井委員長 引続き町村合併促進法案を議題として、これより質疑を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/4
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005・門司亮
○門司委員 大蔵大臣は来られますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/5
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006・中井一夫
○中井委員長 大蔵大臣もしくはその佃のかわりになるべき者の出席を求めておりますが、大蔵大臣は渉外関係のため院外に出ておるとのことでありまして、今交渉中であります。とりあえず塚田国務大臣に御質問願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/6
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007・門司亮
○門司委員 それでは自治庁長官にお伺いをいたしますが、この町村合併促進法案の二十九条に、この法案によつて合併した町村に対しましては、財政上の優先権を与えようにいろいろ書いてございますが、この点については自治庁の長官と大蔵大臣との間に了解が十分にできておるかどうかということを最初にお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/7
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008・塚田十一郎
○塚田国務大臣 この点はごく大ざつぱな話合いは一、二度やつたことがあるのでありますけれども、こまかくこの法案に基いてどうこうという話合いはまだ実はいたしておらぬのであります。その大ざつぱな話合いをいたしましたときに、大蔵大臣は御承知のように、とにかく金のいる話ばかり多くて非常に困るという意見を申しておりました。まさに大蔵大臣としてはそう感じるであろうと思いますが、大体まだその程度であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/8
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009・門司亮
○門司委員 これは非常に重要なことで、ここに書いてあるようなことが、もし額面通りに受取られるということになると、これは単に形容詞の羅列であると考えれば一応それで済みますが、内容は必ずしもそうではないと私は思う。このことによつて合併町村に非常に大きな希望を与えるというようなことになつて参りまして、実際上の財政の措置が困難であるということになつて参りますと、合併後における町村の失望は、かなり大きなものが出て来ると思う。そこからやはり、せつかく合併はいたしましたがまたこれが御破算になるというような混乱を起しはしないか。従つて、事財政に関する問題でございますので、今の自治庁長官のお話のようなことでは、この二十九条をこのまま承認するわけには私ども参らぬのでありますが、自治庁長官は、今のようなことでなくて、もう少し詳しくお話できませんか。それとさらにもう一つ聞いておきたいと思いますことは、この中には大蔵省関係もありますし、さらに国有林野法に定める部分林の設定とか、あるいはこの払下げというような問題は、やはり農林関係とも関連を持つておりますから、こういう各省にわたるものについて、一体大臣は十分意見を調整されておるかどうかということであります。これを見てみますと、大体各省に関係あるように実は見えるのでありますが、この点についてひとつ今までの経過をお話し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/9
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010・塚田十一郎
○塚田国務大臣 私といたしましてはもちろん、いつも申し上げておりますように、この町村合併というものに非常に期待もかけておりますし、またこの法案の趣旨そのものに非常に賛成をいたしておりますので、私の考え方としては、ここに規定してあるように、予算措置を必要とするものと、その他いろいろな援助を必要とするものは、全面的にその精神を尊重して、閣議その他において主張したいと考えておるのであります。しかし一応今までの段階では、これは皆さん方のお手元に行つておるのではないかと思うのでありますが、町村合併促進法に対する各省の意見というものが、御承知のように出ておるのでありまして、その中に大蔵省の意見というものがあるのであります。これが大蔵省の率直な意見であると思いますので、この線に沿つてこれらの問題点について今後大蔵省と折衝して、なるべく法案の趣旨が実現できるように努力しなければならないと思うわけであります。もしお手元になければ、一応ここに書いてあります大蔵省の意見を、私から御披露申し上げることにいたしましよう。
まず第一に、この法案の第十三条、地方財政法の特例というところでありますが、これを大蔵省側は削除してほしいということを希望しております。その理由として、「現在、地方債の枠は、その需要額に対して極めて僅少であり、現在のやむを得ない起債需要額にも応じきれない実情にかんがみ、今日この種の特別な新規需要をまかなうことは事実上不可能である。合併町村の起債については、地方財政法第五条の制限内で優先的に扱うことが適当である。」こういう理由を付しておるわけであります。その次には第十六条、国有財産特別措置法の特例というところでありますが、これも削除してほしい。その理由としては、「第六条の新町村建設計画による学校、病院その他の施設の整備については、現行の国有財産特別措置法において広範な特例が認められているのであるから、それで充分であると考える。又合併町村なる故をもつて国有財産の貸付譲渡につき優遇措置を講ずることは、合併町村間においても不均衡を生ずることになり、又法案の規定が抽象的であるため、解釈上、本条を適用しうる財産の範囲も不明確且つ広範囲のものとなるおそれがあると考えられ、この点からも妥当でない。」それから次は第十七条、国有林野整備臨時措置法の特例等というところでありますが、「現行の内容のまま、合併町村につき更に五年間有効期限を延長することはやむを得ない。但し、延納期間を二十年とすることは現行各種の延納制度に比して長期に過ぎるので、やはり現行国有林野整備臨時措置法の例によることとされたい。なお、当然延納措置をとることとする表現には反対である。」それから第二十七条、町村合併促進のための補助金、これを削除してほしい。その理由として、「予算的措置を伴わないから反対である。」と書いてあります。それから部分林の造林についての補助、これは第二十九条の第四項であります。これを削除してほしい。その理由としては、「合併町村なるが故に部分林の造林についての補助金を交付することは妥当でないとともに予算的措置も講じられていないから反対である。」というのであります。それから第三十四条、この法律施行前の申請に係る町村合併についての適用関係というところで、同条中第十五条を削除してほしい。その理由としては、「町村合併促進法の趣旨から既に合併した町村にまでその効果を及ぼすことは妥当でないと思われるし、平衡交付金の増額的要求を含む『第十五条』の規定の適用は予算措置に反するから削除せられたい。」こういう理由が出ておるわけです。もちろんこれらのものは、大蔵省の立場からの一応の反対論でありまして、私はこれは全部大蔵省の考え通り承服しなければならないとも思つていないのであります。これは折衝を必要とする面であると考えております。従つてもしこの問題について御検討くださるならば、大蔵省も一緒にここへ呼んでいただいて、相方の意見をあわせてお聞き願う方が適切ではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/10
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011・中井一夫
○中井委員長 門司君に申し上げますが、大蔵大臣の出席の要求につきましては、今セイロンから代表者が来て、その折衝のために尽力しているそうです。そこで主計局長の出席を求めたのですが、これまた特別な用事のために出られないということで、今次長ならば出席ができるとの通告がありました。次長なんかはだめだというので、断つておきましたから、しばらく……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/11
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012・門司亮
○門司委員 この問題は、局長その他の事務的折衝ではございませんで、本日の段階では、政治折衝によつて解決する以外に方法はありません。従つて責任者——大臣もしくは次官に出てもらわなければ、話はできないと思う。その点は、委員長において心得ておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/12
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013・中井一夫
○中井委員長 まことに御同感に存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/13
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014・加藤精三
○加藤(精)委員 門司委員の言われるように、この法律案は、もし実施になつて施行の段階になつてから、いろいろな助成規定が動かなくなつた場合におきましては、非常に意外な感じを与えるばかりでなしに新しく合併しても何にもならないから、また解体の議も起るかもしれない危険が多分にあります。ただいま大臣からお伺いいたしますと、大蔵省の方でそういう予算措置を渋つているようでございますから、このままで通過させることはできないと思う、この点につきましては、私の意見といたしましては、この次の地方行政委員会の開会までに、地方自治庁の長官から何とかごあつせんいただきまして、提案者が努力することはもちろんでありますが、大蔵当局と折衝せられまして、ある程度の見通しを聞かしていただいて、この法律案の審議の土台をつくつていただきたいと思つております。委員会の皆さんの御同意を得ましたならば、委員長からそうとりはからつていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/14
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015・中井一夫
○中井委員長 ただいま加藤委員からの御発言でお聞きの通りであります。委員長において、これをしかるべくとりはからつてよろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/15
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016・門司亮
○門司委員 加藤委員の意見も私はごもつともだと思いますが、大蔵省は先ほど委員長のお言葉のように、いずれにいたしましても、責任者がこちらへ参ることだと思いますので、それは努力していただくことはけつこうでありますが、委員会自体は、やはり自治庁の長官にただすべきものは、この機会にただしておいて、できるだけ早く本法案の成立のためにお互いが努力することが必要だと思います。従つて、今の加藤氏の御意見の結論は、私ははつきりしないのでありますが、大臣のおいでになるまでの間も、やはり議案だけの進行は進めていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/16
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017・加藤精三
○加藤(精)委員 私が申し上げましたのは、この議案の他の部分の審議を中止しようという意味ではないのでございまして、この法案全体を通すのには、財政措置がもう少し明確にならなければ、国会としてこれを通すことは無責任だということです。そういうわけでございまして、本日の地方行政委員会の閉会後におきまして、大臣と提案者が大蔵省に御折衝願いたいという趣旨でございますから、さよう御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/17
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018・中井一夫
○中井委員長 門司君、ただいま加藤君の御意見でありますが、その趣旨においていかがとりはからいましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/18
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019・門司亮
○門司委員 それも私ははつきりしないのでありますが、どこまでもやはり大蔵大臣がここに出て参りまして、大蔵大臣の意見を一応聴取して、先ほど塚田大臣から一応聞きましたけれども、これをさらに大蔵大臣にただしたい。財政処置は、今の塚田大臣の意見だけを聞いてみると、大蔵省は反対しているようでありますが、いくら大蔵省が反対しても、われわれの認定で責任をもつて遂行できるという認定がつくならば、この法律は通してもいいと考える。従つて今の御意見のようなことも、一応大蔵大臣に出てもらいまして、そのあとの折衝にしていただきたいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/19
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020・中井一夫
○中井委員長 加藤君、ただいまお聞きの通りの門司君の意見ですが、どうですか。ちよつと速記をやめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/20
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021・中井一夫
○中井委員長 速記を始めてください。ただいま委員諸君からいろいろ御意見がございました。委員長といたしましては、この法案が通過して実施されますならば、承るところによると、数百億の冗費が年々省かれるということでありますから、従つて政府としては、多少の予算ぐらいは出しても当然だと思うのでありまして、結局大乗的の見地からすれば、これをやることによつて予算は多少いりましても、非常に国家のためになることは明らかであります。従つて私は、この法案はむしろ政府から御提出になつてしかるべき法案であつたとさえも考えておるのであります。幸いにして参議院からこれが出て参りまして、ぜひともその成立をわれわれは希望いたしておるのでありますから、この際大蔵省といたしましても、ないそでを振つてまで、相当の費用を出しなさることは、当然のことだと考えております。それゆえ、ただいま委員諸君の御発言の趣旨によりまして、ぜひ大蔵大臣もしくはこれにかわるべき責任者の出席を求め、この点を明らかにした上、本案の審議の結論を得たいと考えております。さよう御了承を願います。藤田君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/21
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022・藤田義光
○藤田委員 町村合併促進法案の審議が、大詰めに参りましたので、この際私は自治庁長官に数点お伺いしたいと思います。まず第一点は、われわれはこの促進法案を審議する途中におきまして、最も関心を抱いたのは、府県の性格の問題、また将来府県をどういうふうに持つて行くかという問題であります。この法案の三十七条あるいは自治法の第七条の問題等に関連しまして、同列の自治体としての府県、市町村を考えました際において、私たちはいういろいろの矛盾を感ずるのであります。従いまして、町村合併促進、民主主義の最低基盤である地方自治を発展させるためには、むしろ同列の府県の介入は必要でないのではないかという有力意見もあつたのであります。地方制度調査会で研究中でありますが、この際自治庁長官として、国家的見地から、府県制度をどういうようにするかという忌憚のないところを、お伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/22
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023・塚田十一郎
○塚田国務大臣 これは何にいたしましても、地方制度調査会でも検討中であり、私もまだ研究の段階にありますので、確定的な意見は申し上げられないのでありますけれども、しかし今までいろいろ検討いたしました結果、今到達をいたしております意見といたしまして、藤田委員が、全部はおつしやらなかつたのでありますが、私もおそらく結論としては同じようにお考えになつているのじやないかと思つております。これは最終のあり方としては、自治団体の二段階制というものは必要はないし意味のないものである。その場合にどちらをはずすかということであれば、府県段階の自治体というものははずした方がいいのじやないか、ただそこへ持つて行くためには、府県段階の方にもいろいろ問題があります。それは少くとも今まで考えて、ことに最近新憲法下で市長その他みな公選制でやつて参つておりますので、そういうものを一気に結局自治体としての性格を否認してしまつて、国の出先機関というような考え方にできるかどうかという点に問題がありますし、また将来残るべき自治団体としての市町村段階においても、やはり問題があると思うのでありまして、それは今のように、こうして小さなものがたくさんあつては、とてもそれが一つというわけには行かない、こういうように考えられまするので、両方の面から、つまり市町村段階はだんだんこの法律その他によりまして合併が促進されて、行政力、政治力が大きくなつて来るということが必要であり、それに伴つて府県段階というものは、事実上そう意味をなさなくなるという情勢が馴致された上で、無理のない形で自治段階制というところに持つて行つたらいいのじやないか、こういうように考えております。当面の措置としてはどうするかということでありますが、これも今のままの府県段階というものをいつまでも認めておれば、そこへ持つて行く機会というものは、なかなか来ないのじやないかと考えられますので、だんだんと府県の性格というものに自治団体としての性格と、それから国の機関としての性格とを合せたものに、とりあえず持つて行くというような構想でもできれば非常にいいが、こういうように考えております。そこまで行かないとするならば、今の自治団体としての府県に相当数国の官吏も一緒に置くというような構想も——今も一部分おるのでありますが、そういう考え方をもう少し広めて行くという考え方はどうだろうか、その場合にはその裏として当然国の出先機関はなるべく整理をして行く、こういうような考え方、その辺が今私として到達しておりますこの問題についての一応の結論でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/23
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024・藤田義光
○藤田委員 幸い行政管理庁長官をされておりますので、私はその問題に関連してさらにお聞きいたしたいことは、太平洋戦争の直前に発足しました中間機関、すなわち地方事務所制度のごときは、現にたしか鹿児島あたりにおいては任意設置か、あるいは廃止しているのではないかと了解いたしております。従いましていろいろ府県の性格を根本的にかえる問題は、なかなか大問題でありますが、とりあえず第一着手としては地方事務所制度の廃止、全国五百二十の郡にありまするところのこれらの制度に関しましては、この際町村が非常に促進法によつて数が減つた反面強化されますので、この際中間機関の存在は不用ではないかというふうに私は考えておりますが、この点何か構想がありましたら、ひとつお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/24
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025・塚田十一郎
○塚田国務大臣 府県自治体の方の機構改革の構想は、まだ国の方ほどは進んでおらぬので、その辺の点はまだ考えておらないのでありますが、しかし国の機構のあり方というものを考えて、出先機関をなるべく整理しようという考え方からすれば、それは当然府県の段階においては府県の出先機関である地方事務所を整理するのがいいのじやないか、しかし市町村が大きくなつて参りますれば、その条件が客観的にも備わつて来る、こういうように考えられるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/25
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026・藤田義光
○藤田委員 現在の市町村の歳入の大部分は補助金とか、起債とか、平衡交付金でございます。固有財源というものが五〇%を越えておる下部の自治体はほとんどないという状態でありますが、その際におきましても財源措置を講ずる場合においてはすべて県が介入し、県が監督しておるというのが、現在の自治法の建前であります。この問題に関しまして長官としての行き方は、応われわれも了承いたしましたが、地方制度調査会の結論が出た上におきましては、早急にこれを具体化される予定でありますかどうですか。何分にもこれは相当急速に解決してよい問題ではないかというふうに考えております。明後年の三月末には都道府県議会議員の任期も参りますし、知事の任期も参ります。従いましてその際におきまして何らか具体化する大きな措置を、この際準備してもよろしいのじやないかというふうに考えておりますが、時間的な見通しはいかがでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/26
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027・塚田十一郎
○塚田国務大臣 地方制度調査会からどのような御意見が出て参りますか、私もまだ最終的な結論は承知しておらぬのでありますが、しかし地方制度調査会から御意見が出て参るとすれば、練達堪能の方々がほんとうにお考え願つておりますから、実現できる案が必ず出て来るのではないかと考えております。従つてその案はなるべく早期に実施に移したいと考えておるのでありますが、ただしかし県のあり方というものについて、すぐに今度の知事、府県会議員の改選のときまでに、相当大きな根本的な改正ができるかというと、その点については私は今の考え方では若干まだ少し早いのじやないか、かりにできるにしても、もう少し準備をし、物の考え方もそういうように馴致してからでないと、無理ができるのじやないか、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/27
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028・藤田義光
○藤田委員 この促進法の先議をいたしました参議院におきましては、いろいろと財政措置に関しまして、関係官庁と連絡をいたしております。その際におきましては自治庁の次長あるいは行政課長が大体介入されておると思いますので、この死文徒法になることを、先ほども門司委員も言われましたように、われわれは非常に憂慮するのでありまして、現に市町村財政にも重大な関連があります西日本、あるいは和歌山の災害に関しましては、特別法が十数個もできるという状態でありまして、この特別法に関しましても死文徒法になるだろうと言われておるくらいであります。町村合併の促進の最大の眼目は、財政的な優遇でありますので、これがもし空文に帰しましたならば、ほとんどこの立法の趣旨は没却されてしまう。従いましてこの際市町村の財政を見ておられます塚田長官が、この点に関しましてどの程度の熱意と責任とを感じておられるかということが、この法律案を採決するにあたりまして、われわれ委員としては最も重大な関、心事でありますので、大蔵省もあるいは反対しましようし、そのほかの役所にもあるいは不平があるかもしれませんが、議員立法としましては、私たちはどういう不平、反対がありましても、どうしても国家的見地から町村合併は促進しなくちやならぬという非常な熱意を持つておるので、この点に関しまして、ひとつ御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/28
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029・塚田十一郎
○塚田国務大臣 私はいつかどこかでも申し上げたと思いますが、議員立法といたしましては、私は今度の町村合併促進法はヒットの一つである、このように考えておるくらいでありまして、非常にいい法律をつくつていただいたと、実は非常に感謝をいたしておるわけであります。この法律が実効を上げるか上げないかは、今藤田委員も御指摘になつたように、財政面において国がどの程度の援助をするかということにかかつて最大の関心事がそこにあるということは、まさに同感であります。従つて私もこの法律が出ます当初から、この点は自治庁長官として十分努力しなければならぬということは、十分覚悟いたしております。しかし今日このような国家財政の状態でありますから、大蔵大臣としては先ほど申し上げましたように、いろいろな反対の御意見が出るのは一応もつともでありますけれども、しかしまた国家財政の大きなわくの中で、おのずから必要の度に準じて、どういうものにどれだけの予算を組むということを決定さるべきでありますから、この必要性というものを、十分予算編成の際その他において強調いたしまして、この法律が制定実施になりますならば、御趣旨に沿うように極力努力をして実現を期したい、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/29
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030・藤田義光
○藤田委員 この法律審議に際しまして、問題になりましたのは多々ありますが、その一つの大きな問題としまして市と町村の問題があります。われわれはあえて町村合併促進法という法律案を議員立法で出そうとしておるわけでございますが、この市の行き方でございます。現在二百八十五の市を今後どういうように運営するかによつて、町村合併促進にも相当大きな影響があるわけでございます。この法案の末条に市の問題も加えてあるのは、そういう観点からいたしまして、人口による段階をつけるとか、あるいは人口による段階をつけなくても、市というものと町村合併促進には重大な関連があるから、何かここで法律措置を考えなくちやならぬのじやないかというふうに考えておるのであります。先ほど門司委員から提案がありました自治法の改正も、そういう観点から市というものに対する一つの町村と異なつた、たとえば福祉事務所の問題、自治警察の問題、その他いろいろ市固有の町村の持たざる事務もありますし、こういう問題に関連しまして、今日全国から市制施行の希望が殺到いたしておることは御存じの通りであります。町村合併促進と同様に、市に関しましても、従来の態度をそのまま続けまして、自治法第八条の必要条件が整備されましたならば、どしどしこれを認めて行かれる方針であるかどうかは、町村合併促進法の採決にあたりまして、相当大きな問題であります。この際自治庁長官として塚田大臣はどういうふうな構想を持つておられますか、府県と関連しまして、市に対する長官の御構想を簡単にお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/30
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031・塚田十一郎
○塚田国務大臣 これは私といたしましては、要件をそろえるようになりますれば、希望があればどんどん認めて行きたい、こういうように考えておるのであります。ただ私は日本の自治体にいろいろな規律をいたします場合に非常に困ります問題は、規模や行政力、財政力の非常に違います市、町村というような自治団体を一つの法律で律しようとするところに、非常に無理があると思うのであります。むしろ根本的には市を律する法律と、町村を律する法律をかえてもいいくらいだと思います。ただその場合に困難をいたしますのは、やはり市の中にも人員二万やそこいらの非常に小さい市があり、また非常に大きい市がありで、市と町村にわけてもそういう意味においてやはり大きい市と小さい市では規模が違うというような点で非常に困難がある。そういう意味において、自治団体はなるべく規模の同じようなものをそるえるということは、非常に規制が楽になるという意味においてよいと思うのでありますが、しかし今日の段階では少くとも市と町村というものについては、何がしか別な能力、財政力、それから行政力の別に応じて別な規定というものを、若干考えてもいいのじやないかということも、あわせて考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/31
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032・藤田義光
○藤田委員 ただいま御答弁の通り、たとえば先年問題になりました大阪市の隣接町村合併に際しましては、府議会の反対がありまして、これは成功いたしておりません。市の力が財政的にもあるいは人口、面積その他の点から強化されて参りますと、府県というものの存在価値に非常な影響を与えて参ります。また小さい、人口三万以上の市をどんどんつくられるというこことなりますと、町村合併促進法実施のあかつきにおきましては、いわゆる強化されたる町村とのけじめということが、非常に問題になつて来ると思うのです。それで市というものを、従来の人三二万というような線をそのまま存続されて行くおつもりであるかどうか。これはシヤウプ博士の勧告にもいろいろ意見があつたように了解しておりますが。この際市における人口の制限、財政力その他から考えまして、何か最低限度と最高限に関しましては、国家的見地から考えてみる必要があるのではないかと思う。最高限に関しましては、特別市制の問題があります。最低限に関しましては、特に町村合併促進法が可決されたあかつきにおきましては、強化されたる町村との区別の問題が、深刻な問題になつて来るだろうと思います。そういう観点からしまして、大臣のお気持をお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/32
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033・塚田十一郎
○塚田国務大臣 市という名称をつけるということの制限の点を緩和するか、あるいは市は三万以上にしておきましても、小さいものは市でも町村と同じように扱うか、扱い方にいろいろあると思いますが、しかし市という名前のものならば、全部一律に扱うということになるならば、やはり最低限の三万という数字はもう少し上げないと、新しくできる合併された町村というものとつり合いの点において、つり合いがとれなくなるということは、御指摘の通りだと思います。それらの点をひとつ総合的にもう少し検討して考えてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/33
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034・中井徳次郎
○中井(徳)委員 一、二大臣にお伺いしたいのであります。先ほどから大蔵大臣の出席その他でいろいろ議論がありました。私といたしましては、この合併促進法案を通すために、大蔵省の意見を大臣に確かめることはもとより必要でありますが、結論的には、どうせ色よい返事はなさらないと思いますので、とにかくこの法案を通すという気持でおります。そこで空文にならないようにという考え方もありますが、一、二その問題に関連いたしましてお尋ねいたしたいと思います。
この法案が通るといたしますと、たとえば二十九条でありますが。この法案に基きます予算の要求ということになりますと、二十九条によりまして、小学校、中学校の校舎の新築というような問題は、文部省の方から要求をする。二の消防自動車購入その他はあなたの方からおやりになると思います。三の病院とか診療所、隔離病舎、水道施設、こういう問題は厚生省からやる。四も厚生省がやる。五は建設省というふうになりまして、要求するところが非常に多種多数にわたるわけでありますが、これにつきまして町村合併促進法案に基きます経費については、一括して自治庁の方から要求をするというふうなこの形が可能であるかどうか、またおやりになる意思があるかどうか。
それからもしそのことが可能であり、おやりになるというお気持があつても、その方が合併しました全国の市町村のために、はたして有利になるかどうであろうかというようなことについて、御意見を伺つてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/34
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035・塚田十一郎
○塚田国務大臣 この法案の建前からいたしますと、自治庁長官として、予算の面において専管してやります分は、二十七条の町村及び都道府県に対して補助金を交付する、このための予算だけのように考えられましたので、その他のいろいろなものは、やはりその用途に応じまして、それぞれの所管の省が予算をとつてくれる、それを側面から援助をするという程度しかできないのではないか、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/35
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036・中井徳次郎
○中井(徳)委員 私は、いくら大蔵大臣を鞭撻し、自治庁長官を鞭撻しましても、なかなかこれは現実の問題としてできにくい、かような気が実際にいたすのであります。農林省関係あたりでも反対をいたしております。もちろん法律になりました限りは努力はされましようが、現実の面としてその効果がわれわれが考えているほど期待ができないと思いますが、この際自治庁において一括してやるという強いお気持をもつておやりになるお考えがないかどうか、ひとつ御研究を賜りたいと思うのですが、どうでありましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/36
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037・塚田十一郎
○塚田国務大臣 これは気持としては、私もこの町村合併というものの成果に期待をかけておりますから、そのようにしたい気持ではおるのでありますが、しかし今日の国の予算の建前といたしましては、いろいろ権限の問題などがありまして、実現というものはできにくいのじやないかというように、今一応考えられるわけであります。なお十分検討いたしたい、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/37
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038・加藤精三
○加藤(精)委員 今度の参議院提案の法律の二十八条の二項に、総理大臣が新町村建設計画の実施に関する事項についてあつせんを行うことができると書いてあるので、これはぜひやつていただかないと、どうにもならないのでございますので、ひとつそういう条文があるということを御記憶願つて、この全国の町村が半分あるいは半分以下になるという大事業を、自治庁の中に特別の部局を設けたり、それから町村合併促進の審議会でも設けたりしないでやろうとしたつて、なかなかやれそうもないように思うのでございます。
その点大蔵大臣でも来られましたら、またお願いしたいという希望を持つているのでございますけれども、それに対して大臣はどういうふうなお考えでありましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/38
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039・塚田十一郎
○塚田国務大臣 二十八条の二項に規定してある御指摘のあつせんは、極力これは努めたいと思つています。実施に移つたときにどういうぐあいになるか、今のところはつきりした見通しもつかぬのでありますが、非常にスムースに順調に進展して参つて、自治庁におきましても何かそれを専管する課なり、審議会が必要であるという見通しになれば、そのように措置いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/39
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040・北山愛郎
○北山委員 先ほどの藤田委員の質疑に関連しまして、大臣のこの法案に対する評価といいますか、それについてお伺いしたいと思います。先ほど大臣はこの法案はヒットであるというようにほめられたわけであります。ところが一方におきまして、将来の地方自治体のあり方は、現在の二段階制よりも一段階制の方が好ましいというような、注目すべき見解を示されたわけであります。そこでこの促進法によつて促進されて、規模が大きくなる町村がはたして大臣のお話になつたところの将来の一段階の単位になる自治単位として、ふさわしいものになると思つておられるのであるかどうか。それは非常に重大なことなのでありまして、それがこの促進法によつて、将来一段階の自治単位として完全なものができ上ることを、大臣は期待しておられるかどうかという問題なのであります。それがいずれかによつてこの法案が成立した場合に、財政その他の措置を政府がどの程度に考えるかということにも関連があると思うのです。その点をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/40
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041・塚田十一郎
○塚田国務大臣 先ほど申し上げました自治団体一段階制というものは、私が地方自治のあり方としての最終の理想の線を申し上げたのでありまして、具体的にそれでは今度これでもつて市町村が八千程度の人口規模で、数も半分くらいに減つたら、それでできるかというお尋ねであれば、私はやはりそれは無理だ、そういうように今も考えております。それから先般私がやはりこの委員会で申し上げましたが、町村合併というのは、今度の合併促進法によつて一応意図されている規模それから数というものは、一段の努力目標であつて、さらにそれがうまく行つて、また適当に時期が経過したときに、さらに第二段の同じような措置というものを考えて、相当程度に規模を大きくし、財政力、行政力を持つような自治団体ができて来るというときに、初めて一段階制というものがあるのだ、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/41
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042・大石ヨシエ
○大石委員 塚田大臣にちよつと申し上げたいのですが、きのう発言してそのまま帰つたのですが、とにかくこの市町村合併の参議院提出の原案を、一字一句でも訂正したら反対ですけれども、原案通りであるならば、賛成の意を表します。なぜそういうことを言うかというと、だんだん特別市制がたちが悪くなつて、そうしてなしくずしにこうなつて来ておる。たとえていうと、警察法の特例をしいて、そうして七十万以上の市には特別警察を置く、こういうふうになつて、人が知らぬ間になしくずしになつて、こうなつて来る。そういう傾向が若干ありますから、参議院の原案通りでなく、これに一字一句でも修正が加わりましたら、私はもう絶対に反対をして何をするかわかりません。それを承知しておつてほしい。なぐり込みを入れるかもわからない。それを承知しておつてくださいよ。どうぞ頼みますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/42
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043・塚田十一郎
○塚田国務大臣 御意見はつつしんで承つておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/43
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044・生田宏一
○生田委員 この間加藤さんからお話がありました町村合併の小委員会でできたので、話もまだ決定したわけではないそうですが、あの案によりますと、三十三条を五万ないし十万の制限を撤廃して、無制限に全部の市に適用したい、こういうことになりますと、自治法の七条に抵触して、自治法の改正をしなければならぬ、そこまで結果がなつて行くのではないかと思いますが、その点についてわれわれが意見をきめる上の参考に承つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/44
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045・中井一夫
○中井委員長 加藤小委員長から何か今の御意見に対し……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/45
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046・加藤精三
○加藤(精)委員 三十三条の府県知事が処分をしない場合に、内閣総理大臣が処分をなし得るという規定でございますが、これは七条の特例になるものと考えております。地方自治法の方で改正をしないでも、合併促進法の方で改正すれば、その特例規定が実質的には七条の改正と同じように作用する、そういうふうに了解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/46
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047・生田宏一
○生田委員 実質的には七条の改正と同じようなことになるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/47
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048・加藤精三
○加藤(精)委員 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/48
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049・滝井義高
○滝井委員 参議院から出ておる町村合併法案については、一応異存がないと思つておりますが、問題は現在のやはり客観的な地方自治の進み方というようなものを考えてみますと——現在たとえば大きな都市と言わなくても、十万、十五万の都市があります。そうするとその附近にヒンターランドとしての町村があるわけであります。ところが現在の経済的な結ばれ状態というものを見てみると、孤立的に同質的な町村が都市の周辺にあるわけです。これは経済的に見ると、その中心をなす市にみな結ばれておるわけであります。この町村合併ができて、そういう孤立的な、非常に財政力の弱い同質の町村が結ばれて行つても、それらのものがはたしてわれわれの頭に描いておる理想的な町村の形態であるかどうかということは、非常にこれは疑問が出て来るわけであります。当然それらの一緒になつた八千かあるいは一万そこらの町村も、やはり十万か十五万の市を無視しては、そこの経済の運営ができないというのが、私は現実ではないかと思う。そうしますと、町村合併の促進ができても、必然的に次の段階においては、その市を加えた市町村の合併の促進というものが、経済的な面から必要になつて来る。それを経済的な面で簡単に考えれば、市があつて、それらの町村というものはヒンターランドだ。これらのヒンターランドと消費都市としての市が結ばれて、初めてそこに私は一つの経済圏が形成されておると思うのです。そうしますと、やはりわれわれが頭に描くものは、それらの消費的な都市とヒンターランドの、生産性を持つておる町村とが一体になつたものが、初めて合理的な自治体ではないかと私は考えられるのであります。そうしますと、町村合併というのは、現在の第一段階としてはそういうものをつくるのが、第二段階としては、当然市と合体した広い生活圏というものが、私は考えられなければならぬと思うのですが、そういう点大臣はどうお考えになりますか。この町村合併だけで、ある程度強固な自治体ができるとお考えになりますか。これは非常に今の生田さんの質問とも関連しておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/49
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050・塚田十一郎
○塚田国務大臣 この点は、私もさつき申し上げましたように、これだけではそう期待できるようなものはできないのじやないかと思います。また期待できないものをどうしてやるのかということでありますが、それはやはり段階を追うて行かなければなりませんし、また期待ができないという面をカバーする措置として、国がいろいろ財政的なめんどうを見るということになつておると思います。従つてこの財政的なめんどうを見るというところに、非常に私は今度の合併の重点があると思います。そこで次の段階では、それでは市と町村とが合併にならないかということになると、そういう市の周辺の町村というものは、次の段階にはおそらく御指摘のようになると思います。しかしまた周辺にそういう適当な市のないところは、やはりその周辺の、それの中でもいくらか町がかつた、市がかつたものを中心にしてやはりなると思います。そういうようにして逐次——そういう場合にはおそらく御指摘のように、やはり経済関係というものが結びつきを決定する相当大きな要素になるだろうと私も考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/50
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051・滝井義高
○滝井委員 私の意見と大臣の意見は、同じような形が出て来ていると思います。そういう考えになつて来ますと、必然的に現在の日本の税制その他というものが、消費都市、たとえば入場税とか遊興飲食税の入るような都市は、非常に財政がゆたかである。しかも貧弱な町村を抱えているようなところには、いわゆる入場税とか、遊興飲食税、あるいは事業税というものはあまり入つて来ない。そうしますと必然的に、これはいつかも申し上げましたが、日本の資本主義の発展の不均衡の中に、必然的にそういう都市を中心とした促進形態が出て来なければならぬ運命的なものが私はあると思う。そうしますと、そういう運命的なものを是正するだけの抜本塞源的な改革が、地方制度調査会から出て来るかというと、これは私は出て来ないと思う。出て来ないとするならば、町村合併促進で小さな町村を合併しても、それらの町村というものが財政的に無力なんですから、必然的に国が、この合併促進法でつくつた補助あるいは助成というものを、三年とか五年の期間でなくて、永久に続けて行かなければならぬという形が出て来ると思う。それでなければ、それらの町村というものは、これはどうしても都市に行かざるを得ないという形が出て来るわけであります。そうしてみると、これはどうも合併はするけれども、地方自治というものをむしろこういう助成をやることによつて、阻害をするという形が出て来ると思う。もちろんこれを阻害しないというならば、抜本塞源的な地方制度調査会の改革というものが必要になつて来るわけです。この点の矛盾が、どうも私は理解が行かない点があるのですが、大臣はそういう点はどういうぐあいにして御解決になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/51
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052・塚田十一郎
○塚田国務大臣 多少私が、お尋ねの要点をつかみそこねているかもしれませんが、私が今お尋ねを受けた点で感じておりますのは、この合併促進法によるいろいろな財政援助というものは、あるものはそれによつて将来恒久的に、それらの合併してできた町村が、自己の財源を持ち得る措置になつているし、またあるものは、合併することをいくらか勧奨し進めるという意味において、何らかの刺激になるという形のものだと思います。しかしできた町村が、自治体として財政力がどうであるかという点は、私はむしろ新しくできた町村というものを頭に置きながら、今度の税制改革、また今度できなければ、その後にまた修正をする必要があるでありましようが、そういう税財政制度というものによつて、やはり成立つて行くようにして行かなくちやならない。従つてこの合併促進法による国の援助というものと、新しくできたそれらの町村というものが自治団体としてやつて行けるかどうかという問題は、やはり別に考えて、財政的な問題も考慮してやらなければならぬ、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/52
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053・滝井義高
○滝井委員 新しくこういう町村合併ができた町村が、依然として昔ながらの苦しい、自立のできない町村であるということは困りますので、当然こういう町村合併促進法ができているということを前提にして、地方制度調査会においても、それらの町村が自立できるような姿をつくるべく、御努力をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/53
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054・加藤精三
○加藤(精)委員 これは長官にお願いするのではなくて、この第十七条の関係を確かめておきたいのであります。それは、合併すれば国有林野を、その合併した町村に払下げができるのだということで、非常に待望している町村があるのであります。しかしそれはただ掛声だけで、合併はしたが払下げしないのだということになつては一大問題だというので、これを非常に危惧している町村があるのであります。だからこの点を特に政府当局の方から、本委員会において御答弁願つでおいた方が、本案成立に非常に便利だと思うのであります。従つてこの関係における林野庁もしくは農林省から、一言御声明を願つておいた方がいいと思うのであります。そうして、私は安心して関係町村が合併に邁進してもらうようにした方がいいのではないかということを申し上げるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/54
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055・塚田十一郎
○塚田国務大臣 この点は、私は御心配ごもつともだと思うのでありまして、やはりこの法案に対して、農林省としては反対意見が出ております。ですから農林当局を当委員会においてお呼びくださつて、十分検討しておいていただく方が適切ではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/55
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056・中井一夫
○中井委員長 一応質疑はございませんね。それでは本委員会はこの程度で休憩をいたしまして、二時から小委員会を開会……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/56
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057・門司亮
○門司委員 小委員会の前に、少くとも大蔵大臣かあるいは次官が出られませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/57
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058・中井一夫
○中井委員長 それを今申そうというわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/58
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059・門司亮
○門司委員 これが出ませんと、小委員会を開きましても——きようこの議案を上げようといたしますならば、少くとも速配録には一応大蔵省の意見をとどめておきたいと私は思う。先ほど自治庁の長官から一応のお伝えはありましたけれども、それは大蔵省の意見だというのではなくて、きわめて重大な問題でございますので、われわれの腹は一応きまつておつても、この審議の経過において、大蔵省の意見も聞かずに、これを処理したというようなことのないようにしていただきたいと思うのですが、どうしても出て来ませんか発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/59
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060・中井一夫
○中井委員長 お答えをいたします。それゆえ委員会を散会するとは申さず、休憩すると思したわけです。大蔵大臣出席のことにつきましては、さらに今要求を続けております。しかしその時間がはつきりいたしませんから、とりあえず二時に小委員会をお開き願い、そうしておいて、もし大蔵大臣が出て来るということであるならば、ただちに本委員会を開いてやつて行く、こういうようにいたしたいと思いますから、その間に大臣の出席の交渉をさらに続けて参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/60
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061・加藤精三
○加藤(精)委員 門司さんの御意見まことにごもつともであります。早く法律を通したくて小委員会を急ぐつもりだつたのでありますが、やはり大蔵当局の考え方を聞かなければ困る事情がございますので、小委員会を開くのを急がないで、午後も委員会を継続していただくしかないのじやないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/61
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062・中井一夫
○中井委員長 もし大蔵大臣が急に出て来ないというようなことになりますと、時間の空費がありはしませんか。従つてその間小委員会をお開き置きになつて、もし大蔵大臣が出て来るというならば、ただちに本委員会を開くということもいいのではないか。ことに小委員長のあなたの御意見を参照して、ただいま宣言をしたのですが三……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/62
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063・加藤精三
○加藤(精)委員 そうでありますが、それは大蔵省の大臣なり政務次官なり、二人のうちお一人は出そうなものだと思つて、そういう前提だつたわけでございますが、どうも今まで見えません。それでやはり門司さんの言われるのが正論だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/63
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064・中井一夫
○中井委員長 わかりました。それでは小委員長の御意見も参考といたし、あらためて宣言をいたします。
本委員会は午後二時よりあらためて再会をいたすことにいたします。
ただいまより休憩をいたします。
午後一時十四分休憩
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午後二時三十人分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/64
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065・中井一夫
○中井委員長 これより再開をいたします。
休憩前に引続き、町村合併促進法案を議題として、質疑を続行いたします。門司君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/65
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066・門司亮
○門司委員 大蔵政務次官がおいでになつておりますので、政務次官に一応お聞きをしておきたいと思います。
この町村合併促進法案の中に、直接財政に関係のある条分が十四条、さらに十七条、二十九条というようにずつとありますが、この内容を見てみますと、いずれも優先的にこれを処置する、但し予算の範囲という意味のことが書いてありますが、こういうことが法律として出て参りますと、やはり財政的に優先的にいたしましても、あるいはての他の方法にいたしましても、多少国にめんどうが見てもらえるのだということは、私は合併の一つの大きな示唆になるというように考えております。従つてこれの財政措置がどのくらいになるかわからないが、大したことはないと思いますが、しかしいずれにいたしましても、財政の措置が全然とれないということになつて参りますと、合併後における町村の失望といいますか、そういうものもかなり大きいと思いますし、かたがたこれを通すにいたしましても、われわれは責任上そういうことを一応確かめておきたい、こう考えましておいでを願つたわけであります。そういう意味で、ひとつ次官からでも率直に、この法案の通過後に対する大蔵省の心構えだけを、この際お聞かせを願つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/66
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067・愛知揆一
○愛知政府委員 まことにごもつともな御質疑でございますが、私どもの考え方といたしましては、第一条の目的にもございますが、さらにこの目的の裏に考えております思想といたしましては、すでに御審議の済んだ点もあろうかと思いますが、全体として資金の総合的な効率的運営ができるであろうということを期待しておるわけでございます。従つて個々の合併の場合と、全体を通じて大局から見た場合と、二つの観点があると思うのでありますが、総合的大局的に見て、財政資金が合理的にかつ効率を発揮して運営されるであろうという点から見れば、従来よりも金額の上においても相当節約できる点があろうと考えております。その半面におきまして、具体的な合併について、今御指摘のように、本条に書かれてあります通り、文字通りにこの法案が成立いたしますれば、財政計画としてもこの法文通りに責任を持つて善処いたさなければならないと考えるわけでございまして、ただいま御懸念のようなことは、私ども財政当局の立場としても考えておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/67
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068・床次徳二
○床次委員 ただいま門司委員からお尋ねがありましたことに対して御答弁かありましたが、徹底しておりませんので重ねてお伺いいたしたいと思います。具体的の例を申し上げますると、第二十九条のごとき規定であります。これは合併計画の実施を促進するために、小学校その他の文化施設の整備あるいは消防施設、あるいは病院、水道その他の衛生施設、あるいは厚生施設、土木施設等その他町村の建設事業等におきまして、やはり予算の範囲内において、新町村合併計画に掲げる事項にかかわる財政上の援助について、事情の許す限り合併町村のために優先的な取扱いをするということになつておるのであります。趣旨はよくわかるのでありますが、今日全国の市町村の状態を見ておりますると、合併を要すべき町村の配置の状態がかなり偏在しているということが言えるのであります。ある府県におきましては、ここに掲げられておりますような小さな町村はほとんどなくなつている。ある府県におきましては非常に小さな町村がいまだに残つているというように、極端な状態が現出されておるのであります。もしも二十九条につきまして、法令及び予算の範囲内において優先的にこれを取扱うということになりましたならば、明年度以後の市町村の事業に関しましては、かなり偏在をすることが予想せられるのであります。私どもは、かかる偏在がありますことは、一面合併促進のためにはいいと思いまするが、しかし合併するべくしてしないのではなくて、合併を要しない基準町村にまで達しておる町村のありまする府県におきましては、損をするということになるのではないか。かかる憂慮を与えました場合は、本法の効果は決して全国的によろしいものではないということをおそれておるのであります。従つて第二十九条のごときは、政府におきまして合併を促進助長するという見地におきましては、従来よりもより予算を増額する。特に合併したために要する事業援助につきましては、別わくにおきまして、特別の予算をさらに増額せられることが適当と考えておるのであります。これに書かれましたところの「予算の範囲内」という字句は、そのことを意味するかどうかということについて疑念がありましたので、お尋ねいたした次第であります。他の部分におきましては、特に合併の事務費等のものにつきましては、これは当然新しく別わくを計上せられるであろうということが推測されるのでありまするが、二十九条につきましては多少疑念が出て参りましたので、特にお伺いした次第であります。しかも政務次官は提案者でもありますので、この点よくおわかりであると思う。合併の趣旨を十分徹底せしむると同時に、すでに基準に達しておりまする一般町村が、政府の合併促進政策のために犠牲にならないように確保していただきたい。かような意味においてお尋ねをいたす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/68
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069・愛知揆一
○愛知政府委員 これもまたごもつともな御疑念であると思います。結論から申しますと、合併を要するところが偏在しておる結果、合併を要しないところについて、第二十九条は損をさせることのないように、こういう御趣旨だと思いますが、その通りに私考えております。それで優先ということは、従来の考え方よりはその分だけがプラスになる。別わくという言葉は率直に申しまして、多少練れない点があるかと思いますが、要するに俗な言葉で言つてプラス・アルフアとして考えるという意味に、私考えております。ただこれは、先ほど申しましたように総体的に考えますれば、合併するということによつて、資金の効率が発揚される、その結果総額的においては大局から見て国家の財政としての負担は軽減されるであろう、こういうことを基礎において考えておりますが、とりあえず合併したという場合において、第二十九条を優先ということをいかに考えるかということは、他の合併を要せざるところには損をさせない、言いかえればプラス・アルフアの考え方である、こういうふうに御理解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/69
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070・滝井義高
○滝井委員 さいぜん塚田国務大臣から大蔵省には町村合併促進に関するこういう意見があるのだという、いろいろのことをお伺いいたした。われわれが資料として今年三月に専門員室からいただいた各省の意見の中の大蔵省の意見を見ますると、大蔵省の意見がこの新しい法案には相当取入れられておるが、なお大蔵省で相当この法案には異論があるというように承つておるのですが、塚田さんからいろいろ御説明があつたが聞き落した点もありますので、この条項で財政的に非常に重要と思われ、しかも大蔵省と非常に意見が隔たつておるというおもな条項だけ、この機会に公式に大蔵省の見解を表明していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/70
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071・愛知揆一
○愛知政府委員 この法案につきまして事務的に自治庁当局と打合せが行われておりまする過程におきまして、いろいろ大蔵当局として心配になる点も相当あつたわけでありますが、結論的に、現われております法案の姿におきましては、財政当局といたしましてもその企図するところが、まことにけつこうなことであるということで、この姿の法案でございますれば、その各条は先ほど御指摘のありましたような点が、おもな条項でありますが、現在のところ財政当局として別に特にこれに異議があるという点はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/71
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072・滝井義高
○滝井委員 そうすれば、この法案が通れば大蔵当局においてもこの法案の骨をなす財政上の裏打ちというものは、全面的に責任をもつてこの法案の実践に協力する、こう了解してさしつかえありませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/72
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073・愛知揆一
○愛知政府委員 この法案がさようにして制定になりました場合におきましては、この案通り実施できまするように、財政当局としても責任をもつて御協力申し上げるつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/73
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074・滝井義高
○滝井委員 了承いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/74
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075・佐藤親弘
○佐藤(親)委員 農林大臣に伺うべきだが、何といつても大蔵省の方がしんしよう持ちだから伺つておかないとまずいので、はなはだ恐縮ですが、大蔵省に伺つておきます。十七条に書いてある通りだとすれば、これはよく間違つて町村関係では合併を非常に喜んでいるのは、国有林野整備臨時措置法の特例に従つて、国有林の払下げができるのだということをまつこうから信じて、そうしてこれがあるから町村参合併促進法案には賛成すべきものであると、こういうことが非常にえさになつて、進んでいるというようにうすうす聞くのであります。中には小さい村は合併すれば自然村会議員もだめになつてしまうんだし、村長も、議長もだめになつてしまう。そういうことでこれはだんだん追いまくられて、困ることをつくるものだというりようけんの狭い考えでありますが、しかしりようけんが狭いといつたつて、ばかにできないので、そういうことを考える代議士は、この次は落してしまえというように、なかなかむずかしい問題を包蔵しているのであります。さようなことがよしあろうとも、勇敢に利益になることについて努力するのが、代議士の職分でありますから、そういうことはどうでもいいのでありますが、間違つて国有林野の払下げのことを好餌として、そうしてこれに乗り込んで行く考えがあつたときには、大事なこの法案の成立まぎわにあたつて、これによつてばかにされたのだということのなきようにしたいというのが私の考えであります。そこで十七条の関係で、合併町村は必要に応じて、その地区内の国有林野を売り払つたり、また交換をしてもらえるのだとありますが、交換といつても交換するものがないのであります。何でもかんでも売り払つてもらう方がいいと思うのですが、もしそうだとすると、売り払つてもらえるのだと思つていたのに、実際合併してしまつてから、国土の保安上国有林野の経営上必要なんだから、これはできないと断られてしまうと、これが失望する原因をつくつて行く。だから農林当局に伺うのでありますが、その前に身上持ちの一番大事な大蔵省の方でも、何でもかんでもこの地区内の林野の払下げを合併条件として持つて来たならば、許してやるのだということになつてしまうのか、中には国土の保安上、国有林野の性質上、これは場合によつてはそうとも限らないのだ、そうして残し得るのだということをお考えになられるか、あるいはそうでなく、さらりとこの条文の趣旨の通りに払い下げをするということが本旨であるのかということについて、大蔵当局としての御意見をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/75
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076・愛知揆一
○愛知政府委員 第十七条の本質的な問題につきましては、これは農林当局からお答え申し上げた方がよろしいと思うのでありますが、大蔵省の立場といたしましては、この十七条にありますごとく、当該合併町村に対して、国有林野整備臨時措置法の例により、売払いまたは交換することができるという規定のもとに、この点も実は先ほどちよつと御指摘があつた点でございますが、大蔵省の国有財産を管理しております立場の管財当局としては、この売払い代金の支払いについては、特に五箇年間はすえ置き、その後十五箇年の年賦償還とするというようなことは、少し条件が甘過ぎるのではないか、こういう意見も事務的にはあつたくらいなのでありますが、農林省の御決定によつて売払いをするような場合においては、特に五箇年間すえ置きの十五箇年年賦償還ということは、町村合併のために適当な処置であろうということで、この点も大蔵省としては特に意見を申し上げないことにしたわけでございます。要するに国有林野を売り払うということを好餌として、合併を促進するのだというようなことは、少くとも大蔵省としては考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/76
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077・加藤精三
○加藤(精)委員 二十九条の新町村建設計画の事項について、愛知政務次官に具体的にお伺いしたいのです。これの賛成をきめるための必要事項と思いますので、具体的に実例をもつて大体の見当をお聞きしておきたい。一番わかりやすい保育所について一例をとつてお尋ねいたします。政府の方で毎年各公立の保育所に対して助成をするのは、大体百五十箇所内外でございます。これは二分の一が国庫補助で、四分の一が県補助というような形になつております。これにつきましては、年年非常な熱望がある。全国に同時に数百箇所町村合併が行われるというような場合に、保育事業というのは現在非常な熱望がありまして、そういう場合、数百箇所も同時に合併がありますと、優先的取扱いといいますと、みなそちらに吸収されてしまう。わが国の中には、すでにこの町村合併促進法で予定したよりも、よけい合併が促進されて、あまり弱小町村のない県もたくさんあるのです。それからまたこの合併関係のない町村でも、長年の間国庫補助の県内における順位というものがございまして、大体最も緊要だと県が認めるものから、順次毎年一府県に三つか四つくらいずつ助成されておるのが実情でありまして、来年こそは来年こそはと思つてその順番が繰上つて、その圏内に飛び込むのを待つているところが多い。そういうところは合併関係町村が半分、そうでないものが半分、最小限に見て半分くらいあるわけです。そういう県や町村に百五十の保育所に対する政府の補助の割当が、一つもなくなるということではたいへん困りますので、少くとも従来の補助対象の戸数並びに金額から見て三、四割くらいの歩増しの別わくをつけていただかないと、とても納らないと思つております。そういう関係から相当な国費が増すだろうと思います。これは物の考えようですけれども、もし合併ができ上りますれば、各地方団体の長の経費その他助役、収入役等の経費は、それだけ浮いて来るわけですから、そういうような場合、この法律の施行期間が済んだころには、おそらく年々四、五百億は下らない経費の節約になると思う。そういう経費の節約を導くためでありますので、こういう二十九条に列挙した事項について、特に考えていただくことができないか。また厚生省の政策で町村合併を考えないでも、百五十箇所が五百箇所になるなら、その五百箇所のまた三割か四割くらいの増という気持で、予算を編成していただくことは、合併による莫大な地方経費の節約から見れば、私はそういう情勢を馴致した方がいいだろうと考えますので、そういう観点から思い切つた別わく助成を考えていただくわけにはいかないか。もちろん法律案を直さないで、このままでけつこうですけれども、そのつもりでないと、どうも法律が通つた、町村は喜んだ、が実際は合併しようとしたところが補助がなく、途中でやめるということが、ひんぴんとして起ることを心配いたします。そういう事例に対処する方法を、具体的にお答えいただきたい。
次にこの町村合併促進法に対する各省の意見というものは、どうも地方財政法の第五条の範囲内で処理しろという御意見だつたのですが、第五条にはそんなものは規定してないのです。新町村建設に関し必要な経費とか何とかいうことが、第五条にあれば別だけれども、大蔵省の人はどうしてそんな回答をつけて来たのか。どつちにしてもこれは、先ほどの愛知政務次官の御答弁を承りますと、十三条のような場合も十分御考慮くださるように、私たち拝承したのですけれども、その限りにおいて、前の大蔵省の御見解と違つて、こういうものは第五条の範囲外でも考慮してくださると解釈してよろしいのかどうか。その二点をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/77
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078・愛知揆一
○愛知政府委員 まず第一に、第二十九条につきまして加藤さんから詳しくお尋ねがあつたのでございますが、事情は私から申し上げるまでもなく、私以上によく御承知でありますので、ただいま御指摘の通り、たとえば保育所の補助につきましてはまつたくお話の通りでありますが、従来のやり方は一県で、たとえば何箇所くらいということで、全国的に補助をきめておつたわけでございます。先ほど床次委員のお尋ねにお答え申し上げました通り、新町村建設計画の実施促進のためになるものは、従来のやり方でやります場合の被合併町村には迷惑をかけないでやりたい。やらなければこの二十九条が生きないと思うのでありまして、その意味におきまして、別わくというお言葉がごごいましたが、私はそういう趣旨で考えているわけでございます。ただこの際百五十箇所という、これは例でおあげになつたのでございますが、この機会に全国的に、たとえばこれを二百箇所にするとか、あるいは三百箇所にするとかいうことまでは、これに関連しては考えておらないのでありますが、要するに従来通りのやり方以上に、合併せざるところに損をさすようなことがあつてはならない。その限りにおいて別わく的な考え方をとる、こういうことを申し上げたつもりでございますし、ただいまのお尋ねに対しましてもそういうお答えを申し上げ、かつ私どもの気持、方針というものは、そういうつもりでいるわけでございます。
それから地方債の問題でありますが、この六点も先ほど申し上げましたごとく、この法案の作成にあたりまして、いろいろのお問い合せ等にに対しまして、一応大蔵省の事務当局として、いろいろの一考え方を申し上げたのでありますが、との段階でこの姿になつております限りは、冒頭に申し上げました通り第十一二条につきましても、文字通りこの通りにひとつ実現できますように、私どもとしてはやつて参らなければならない、こういう決心でいるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/78
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079・加藤精三
○加藤(精)委員 非常に簡単に申し上げますが、実例を一つとらないと、ものがはつきりしないから実例をとるのでして、最もわかり易い実例をとるのでありますが、百五十箇所というやつが、少くとも二百箇所くらいにならないと、実際の分配はうまく行かないのですよ。これはおそらく三箇年の間には、約四、五千の町村に関連した合併が行われると考えられます。そうしますと、優先的ということが従来のちよつと色をうけた優先ぐらいでは響いて来ないのです。同時にまた少ししか響いて来なくても、なお百五十箇所はほとんど全部そつちに行つてしまうくらいになります。七、八割は少くとも合併町村に行つてしまわなければおそらく目立たない。それで目立つ程度にやるには、百五十箇所が二百箇所ぐらいにならなければ、具体的には効果を発揮しない口具体的に効果を発揮するだけ、別わくをとつていただけるかということを、今設例の保育所について一応明確なお答えをいただきたい。それは事務家としてのお答えは、なかなか困難かもしれませんけれども、これは法案ができるかできないかの境目なんですから、どうぞひとつその点を明確にお答えいただきたい。それから十三条の問題は、これは新町村建設計画事業ということで、われわれは起債の特例をお願いしている。大蔵省の方としては小学校とか道路とか、そういうものは標準課率の税をとつた場合だけしか制限にならぬわけです。標準課率以上の場合も、以内の場合も、場合によつては新町村建設計画で、うんと一時的に臨時経費の莫大なものがいるときには、実際上政治上の理由で、そう課率を上げられない場合もありますので、そういう場合も標準課率以内の場合も制限していただけるかどうか。こういうことを具体的にお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/79
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080・愛知揆一
○愛知政府委員 この例としておあげになりました保育所の問題につきましては、私はごもつともだと思いますが、先ほど申しましたように被合併町村については従来通り考えて参ろう、それに損をさせない限度において優先的に、また二十九条を適用して参りますと、結果において百五十というものが幾つになるかは、これはいろいろとその仮説の場合によりましてお答えをしなければならないわけでございますので、二百箇所になるか、あるいは百九十箇所になるか具体的にお答えしにくいのでありますが、考え方といたしましては、その点は明確に、今の御趣旨を十分私どもとしては了解しておるつもりでございます。それから第十三条の関係は、地方財政法第五条第一項の規定にかかわらずということでありますので、その趣旨は標準課率以内の場合も詮議の対象になる、こういうふうに私は考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/80
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081・中井一夫
○中井委員長 愛知さん御苦労さまでございました。
林野庁長官柴田栄君が出席をされました。よつて林野庁に関係する懸案の問題について、質問の開始をいたします。門司君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/81
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082・門司亮
○門司委員 さきに私は大臣の出席を要求しておるのでありますが、大臣がまだお見えになりませんで、事務当局がおいでになつておりますので、事務当局としての意見を聞きます場合に、一応意見の調整だけをしておきたいと思いますが、きようの林野庁長官の答弁と農林大臣の答弁と大体——確実に同じものだということは私申し上げませんが、大体同じような御意見だと承つておいてよろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/82
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083・柴田栄
○柴田政府委員 大臣とも打合せて参りましたので、大臣のお答えと同趣旨でお答え申し上げますから、さように了承されてさしつかえないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/83
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084・中井一夫
○中井委員長 門司君、大臣の出席の御要求をなさつておりますが、今の答弁で大臣の出席はなくてもよろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/84
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085・門司亮
○門司委員 大臣のかわりに御答弁願えるなら、無理に大臣がおいでにならなくても、けつこうであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/85
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086・中井一夫
○中井委員長 了承いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/86
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087・門司亮
○門司委員 先ほど自治庁長官からの意見をお伺いしまして、さらにこの法案に対して関係各省から出て参つております意見書等をずつと見ますると、第十七条に対しては農林省は何か意見があるようなことが見えるのでありますが、この意見が今もおかわりになつていないかどうかということであります。これはきわめて重要な問題でありますから、その点はひとつ先にお聞かせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/87
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088・柴田栄
○柴田政府委員 本法案の審議過程におきまして、私どもは林野の立場から非常に心配をいたしておつた点があるのでございまするが、審議が済みまして現在の法案十七条に御規定になつております範囲におきましては、私どもも全面的に御協力申し上げ得るという考え方に立つておりますることをお答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/88
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089・門司亮
○門司委員 この場合、私は政治的な答弁としてそれ以上聞く必要はないと考えておりますが、幸い長官がおいでになつておりますので、一言だけ聞いておきたいと思います。それはこの第二項の「前項の規定により売払を受けた林野の経営については、あらかじめ国の承認を受けて定めた施業計画によらなければならない。」こう書いてありますが、この計画の中にはおそらく造林計画が必ずあると私は思います。従つてこの造林計画その他について格別の御配慮が願えるかどうか、この点をひとつお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/89
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090・柴田栄
○柴田政府委員 現在森林法に基きまして、森林計画を実施いたしておりますが、森林計画に基きまして、計画造林に対しましては造林の補助をいたしております。当然御相談申し上げまして、森林計画に入れていただくということになりますので、造林補助の優先的な対象になるというふうに私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/90
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091・門司亮
○門司委員 それではもう一言承つておきたいと思います。実は先日も非常に問題になつて議論をしたのでありますが、ちよつと私はつきりしませんでしたので、この機会に林野庁当局の意見を聞いておくことがいいと思います。国有林に対する現在の入会権の問題でありますが、これがもし合併されました場合に民法の建前から言えば、入会権は残るわけになりますが、これは所有者がかわつて参りますので、従つていろいろな問題を引き起す、たとえば今まで五つの村の入会権だつたところが、今度は三つの村が合併してそれの払下げを受けた、あるいは受けようという場合に、従来の五つでありました関係から、残された二つのものに入会権というものが、そこにそのまま残れば大した問題はないと思いますが、しかしそれが残るというようなことこなつて参りますと、払下げを受ける町村では、他人の利益のためにということは、少し行き過ぎるかもしれませんが、自分たちの権利以外に、やはり他人の権利がそこに入つて来る。そこで払下げは受けたいのであるが、そういう問題がなかなかうまく解決がつかぬために、これが延びるということになつて参りますと、この年限は五箇年であります。五箇年をもし過ぎると払下げを受けることができないという結果が私は出て来ると思う。さらにそういうときの入会権の買収その他の価格なども、具体的に申し上げますが、さつき申し上げましたようなことで、二つの、入会権を持つておつた人々の権利をなくしようと思えば、勢い買収しなければならぬ、合併した町村で払下げを受ける方が、これを買収して、その権利をなくさなければならない、そういう問題がここに起つて参りますので、そういう問題について林野庁で、もし解決の方法があるというような見通しがついておりますならば、この機会にお聞かせを願つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/91
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092・柴田栄
○柴田政府委員 入会権というのは、ちよつと実はよくわからぬのですが、現在国有林に対して地元がいろいろな程度で権益を持つておりまするが、一つには共用林野の制度がございまして、自家用薪炭林あるいは化繊用林を計画的に供給をする山を持つております。おそらくそういうものも今回の売払いには対象になる場合が出て来るのじやないかと思つておりますが、その場合に売払い対象の山を多少目的をかえまして、基本財産の造成等から、薪炭林を用材林に振りかえるというような御計画で、大体御相談が成り立つといたしますれば、国有林といたしましては、その残余の国有林についてさらに共用林の設定をいたして参らなければならぬ、かように考えておりますので、その際に他の地区における共用林の設定とあわせて御相談をしてお進めするということになるのではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/92
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093・中井一夫
○中井委員長 門司君、御質問はよろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/93
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094・門司亮
○門司委員 よろしゆうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/94
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095・佐藤親弘
○佐藤(親)委員 柴田長官に伺つておきます。門司さんから御質問の際に、この法案に対しての十七条というのがあるが、それに対して政府としても御協力くださる、すなわち言いかえれば十七条の削除は必要ないというふうに承つてまずよろしいかどうか、第一番にこれをお聞きいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/95
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096・柴田栄
○柴田政府委員 十七条に現在規定いたしていただいております内容ならば、現在進行いたしております林野整備法の内容とほとんど同一に取扱えるということで私はさしつかえないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/96
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097・佐藤親弘
○佐藤(親)委員 この町村合併について関係者、すなわち市町村とも重大な期待をかけておるのは、町村合併に対して十七条の国有林野整備臨時措置法の特例がすぐに活動できるのだというので、言いかえればあれがたくさんちようだいできるというので、関係町村住民は期待しておるのであります。そういう期待をしておるのに、いよいよ法案が通つて実施されて行くときにあたつて、重要な国家の所有に属する林野は、全面積の三割、すなわち大体七百八十万町歩政府で持つておると思うのでありますが、その重要な七百八十万町歩の国有林野をめぐつて市町村合併の関係者は、払下げを待望して、この合併法案の成立の希望を達成することに協力するという程度になつて来たように思うのでありますけれども、そこに食い違いが生じて、あとで十七条というのがあつたから、実際は合例は希望しないのだが、それに引きずられて合併法案の通過を望んでおつたというようなことがあると、それこそゆゆしき問題になるのであります。それで市という政府のお考えがあるかどうかということをお聞きするのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/97
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098・柴田栄
○柴田政府委員 十七条にも規定せられております通り、「国土の保安上及び国有林野の経営上必要なものを除く」とありますので、特に重要水源等の国有林につきましては、町村合併を促進するためにこれを解放しなければならぬということでは、将来に非常に禍根を残しますので、それ以外のところでありますれば、これを払い下げまして御活用願うということで御相談はいたして参るつもりでおりますが、ただいまのお話のように、国有林の払下げがあるから町村を合併するのだというようなことにおとりいただいても、必ず全部について国有林を払い下げるのだということにはならない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/98
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099・佐藤親弘
○佐藤(親)委員 全部が全部そうじやないんだということの区別でありますが、国土の保安上または国有林野の経営上必要なんだというので、そこに一一支障を来すようなことがあつては、せつかくの合併促進に対する関係市町村の待望が、無になることになるのでありますが、ただいまのお答えのように全部が全部払い下げてやるんじやないということは了承いたします。しかし、そこに食い違いができて、そういう理由のもとに払い下げをお許しにならぬということになつてしまうと、それこそせつかくの希望が雲散霧消してしまう。だから、国の承認を受けるのでありますから、その売払いや立木の伐採並びにその施業方法について監督できる立場に立つておられる政府は、さような状態においてなるべく手かげんをしないで、民意に沿うように努力せられるという趣旨のもとに、十七条はそのまま通してさしつかえないものというようなお考えであられることを、最後にお答え願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/99
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100・柴田栄
○柴田政府委員 国有林の払い下げをどういう程度に御期待になつておるかということについては、なかなかむずかしい問題でございますが、現在におきましては、この十七条の規定にありますような場合には、林野整備法におきまして一定の基準が客観的にできておりますので、それらに対しましては積極的に売払いを促進いたしまして、御協力を申し上げるということにいたすつもりでおることを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/100
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101・佐藤親弘
○佐藤(親)委員 いま一点お伺いします。払下げをすべき事項としては、まずその地元というものが一つ。それから県、たとえば栃木県なら栃木県にあるものは、栃木県に払い下げるというのが一つの条件。その次はその他のもの、こういうような条件に伺つておつたと思うのでありますが、合併した場合においても、やはりその趣旨は動かさないでお進めになるということに了承してよろしいかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/101
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102・柴田栄
○柴田政府委員 私どもは所在市町村を依然として優先いたすべきものであるというふうに考えておりますので、従来林野整備法によつて売り払つておりまする順序を、そのまま継承すべきである、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/102
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103・加藤精三
○加藤(精)委員 林野庁長官にお尋ねしますが、今までのたびたびの御答弁では、国有林野整備臨時措置法という法律があつて、それで適当にやつておるから、十七条というような規定はいらないというお考えのように受取られるのですが、この国有林野整備臨時措置法の方が町村合併促進法よりも優先的に働く、その方がより重く見られる法律であつて、町村合併促進法第十七条というものは、そういう意味からいえば無用の規定だ、そういうふうにお考えになつておられるのか、国有林野整備臨時措置法に対する特別法のように考えておられるのか。それを十分お聞きしておきませんと、提案者の御意見と林野庁長官の御意見とがそこまで食い違つておれば、私は問題だと思うのです。提案者にもここにおいでいただいて、何のために十七条を設けたかを承らなければならぬと思うのですが、その点についての柴田長官の御意見を承ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/103
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104・柴田栄
○柴田政府委員 国有林野整備臨時措置法は二十九年六月末をもつて、一応有効期間が切れます限時法になつておりますが、さらに整備法の趣旨に基いて売払い可能なものは、特に町村合併促進のために役立ち得るという場合には、これを特例として延長して参るということもさしつかえない、こういう考え方を私は持つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/104
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105・加藤精三
○加藤(精)委員 この施行期間の点だけで、国有林野整備特別措置法というものが働かなくなつたときに——それまでは眠らしておいて、それが済んでから初めて町村合併促進法の十七条が動き出す、こう理解してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/105
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106・柴田栄
○柴田政府委員 決して林野整備法を眠らしておくという考え方は持つておりません。ただ林野整備において売り払います場合にも、所在町村を対象といたしますので、今後町村合併促進によつて合併いたします町村は、当然それが合併町村の基本財産として利用されることになりまして、後段にあります延納等の特例は、遡及有効になると存じておりますので、現在これを促進いたしましても、同一の効果をあげ得ると私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/106
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107・加藤精三
○加藤(精)委員 そうしますと、林野庁長官の御意見は、延納の点以外は、国有林野整備臨時措置法でまかなえる、やつて行ける、こういう御意見でございますか。その払下げ部分林設定等の対象について、若干拡張をするというお考えは別段ないのでございますか。そこのところを念を押してお尋ねしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/107
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108・柴田栄
○柴田政府委員 これは場所によります。具体的な問題になりますと、地域あるいは地形等によりまして、面積その他に対しましては林野整備法におきましても、はつきりとした基準は設け得ないというのが実情でありますので、規定いたしております通り国土保安上及び国有林野の経営上必要がないと申します解釈を、計画的にお取扱い願うということが、はつきりお約束ができる範囲においては、促進をあわせて御相談いたして参る多少の目安があるのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/108
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109・加藤精三
○加藤(精)委員 私が承つたところでは、「経営上必要なもの」というこの「必要」という言葉を特に使つたということに意味があるように承つておりますが、林野庁長官の御意見がさような程度でございましたら、提案者にもう一回ここに来ていただいて、両方からお話をお聞きする必要があるように思うのでございますが、提案者をお呼びいただくことはできませんでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/109
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110・中井一夫
○中井委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/110
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111・中井一夫
○中井委員長 速記を始めてください。
それでは林野庁長官に対する質問、農林関係に対する質疑は、この程度でよろしゆうございますか。
〔「了承」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/111
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112・中井一夫
○中井委員長 それではさように了承いたしました。
本委員会はこれをもつて休憩といたし、ただちに小委員会を開催をいたします。
午後三時四十一分休憩
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午後三時四十一分休憩
〔休憩後は開会に至らなかつた〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101604720X03019530805/112
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