1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年九月三日(木曜日)
午前十一時十一分開会
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出席者は左の通り。
理事
宮本 邦彦君
森田 豊壽君
白井 勇君
委員
川口爲之助君
佐藤清一郎君
重政 庸徳君
関根 久藏君
横川 信夫君
上林 忠次君
河野 謙三君
河合 義一君
戸叶 武君
松浦 定義君
鈴木 一君
鈴木 強平君
事務局側
常任委員会専門
員 安楽城敏男君
説明員
農林省農林経済
局長 小倉 武一君
農林省農林経済
局肥料課長 林田悠紀夫君
農林省農地局計
画部長 和田栄太郎君
林野庁長官 柴田 栄君
通商産業省軽工
業局化学肥料部
長 柿手 操六君
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本日の会議に付した事件
○臨時硫安需給安定法案(内閣送付)
○農林政策に関する調査の件
(硫安工業合理化及び硫安輸出調整
臨時措置法案に関する件)
(肥料問題に関する件)
(農村の副業問題に関する件)
(治山治水に関する件)
(ブラジル国の農業事情に関する件)
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001・宮本邦彦
○理事(宮本邦彦君) 只今から委員会を開きます。
先ず臨時硫安需給安定法案及び硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法案を議題といたします。本両法律案につきましては、前国会において提案理由の説明を聞きましたから、本日は先ず本法律案の内容及び参考事項等について政府から説明を聞き、続いて時間の許す限り審議に入りたいと存じます。政府側からの説明員として、農林省から農林経済局長小倉君、肥料課長林田君、通産省から化学肥料部長の柿手君が見えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/1
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002・柿手操六
○説明員(柿手操六君) それでは農林省の農林経済局長がちよつとほかの委員会に参つておりますので、私便宜先に御説明をいたします。
硫安関係の法案といたしまして、臨時硫安需給安定法案と硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法案の二つを去る十六国会に提出いたしまして、御審議を願つて現在継続審議になつておるのであります。これは両法案は実は姉妹編とも言うべきものでありまして、両方併せて硫安対策が完成するわけであります。便宜二つの法案に分けて提案をしておりまするので、この農林委員会のほうに臨時硫安需給安定法案が審議せられまして、通産委員会のほうで硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法案というのが付託されておるわけであります。両方関連がありますのでありますが、便宜私は通産省といたしまして、硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法案につきまして御説明をいたしたいと思うのであります。併しながら前々申上げます通りに、両方とも硫安施策の関係で一体をなすものでありますから、どうしてこういう法案を提案いたしましたかということにつきまして、或いは両方に共通な説明になるかとも存じますが、両方に触れまして御説明を申上げたいと思います。
昭和二十五年の八月に、硫安だけでありません、化学肥料全体について価格及び配給についての統制をいたしておりましたのを撤廃いたしたのであります。戦争中及び戦後不足物資、重要なる不足商品の供給が国内需要に対して不足しておりましたので、これの価格及び配給の適正を期するために、肥料は勿論であります、鉱工品物資、鉄、石炭等の重要物資につきまして統制をいたしておつたのでありますが、漸次戦後供給が潤沢になりまして、もはやその統制の必要がないという理由の下に、肥料につきましても、他の商品に比べますと一番遅かつたのでありますけれども、二十五年の八月に、国内の需要量に対して国内の生産はそれを上廻るという情勢になつたということから統制を撤廃いたしたのであります。併し肥料の特殊性から申しまして、国内の需要量に対しまして、国内の生産が上廻つたからというだけでは全面的に野放しにするということができない特殊な商品でありますので、これの輸出につきましては、輸出貿易管理令におきまして輸出を調整して行く、通産大臣が輸出を許可して行く、通産大臣が輸出を許可する場合においては、消費官庁である農林大臣の同意を得てやるというような制度を以ちまして、一応価格及び配給については統制を撤廃しましたけれども、そういうような調整を行なつて二十五年八月以来行政をやつて参つたのでありますが、御承知のように、昨年の夏頃までは、国内の価格よりも輸出価格が五ドル乃至十ドル有利に売れたという状況でありまして、輸出について、量の問題は幾分ありましたけれども、価格の問題についてはそう大した問題もなく経過して来ておつたのでありますが、昨年の秋以来、世界的に硫安の供給が殖えたということもありますが、非常に運賃の低落がありまして、従つて東南アジア地区における日本と西独、西欧あたりとの国際競争が非常に激しくなつて参りまして、国内価格よりも相当低い値段でなければ輸出ができないという状況に立至つたのであります。そこで御承知のような国内価格よりも外国に硫安を安く売るということは、国内の消費者の農家の側としては非常に不満である。そういうことをするのなら、そういうふうな外国に対して安売りをするのであれば、我々国内の消費者に対してもそういう価格で売つて欲しい。更にコストの関係、その他から見てそういう非常に低い価格では、或いはコストは切れるかも知れんけれども、その出血輸出による損を将来国内の主要消費者たる農家に転嫁して来ることになるから、そういうことは困るというような問題が起きましたのであります。ところがこの問題は、国内の生産を国際競争が非常に激しくつて、国内の価格よりも安く売るということは仮にできないということになりますと、勢い生産を国内の消費だけに落さなければならん。そういうふうに減産をいたしますというと、非常に国内の工業のコストが高くなつて参りまして、輸出もできない。国内の農村に対してもコスト高によつて高い価格で売らなければならないということになりますので、これの調整といたしましては、どうしても一日も早く日本の硫安のコストを低下する合理化方策を強力に講じまして、国際競争に耐えるように、増産を伴つて国際競争に耐えるように工業を育成して行く。但しそれには或る時間がかかりますから、その過渡的の期間は、或いは国内の価格よりも安くてもこれは売り向つて行く、そうして市場を獲得し、硫安工業の育成の時を稼ぐという方向がいいだろう、そういうふうにするためには国内の消費者に対していやしくも迷惑をかけないようにするために、やはり法律でメーカーのコストを調べる。そうしてコストを調べたら、そのコストに基きまして価格も農家に対する適正な価格をきめる。又数量の不足のことが起らんように、いやしくも国内の需要量に或る程度のリザーブを置いて、そうして輸出数量をきめて量的にも迷惑をかけんようにする。又そういうことにするために、その運用を適正にするために委員会を作るというようなことを考えたのが臨時硫安需給安定法でありまして、今私が御説明せんとするのは、その硫安のコストを低下することについて必要なる法的措置及びその或る期間硫安工業が国際競争に耐えて行くまでの臨時の輸出強行対策として硫安メーカーによる共同輸出機関を作つて、これに或る期間は起るべき損失をそこに棚上げをする、そうして漸次コストの低下に伴つて輸出が有利になつて行つた場合の利益でこれをなし崩して行くというような措置を必要とするという、それを目的といたしまして、日本硫安輸出株式会社というものを作らして行こうというのが、この硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法という法案の大体の骨組みであります。
その法案の各条について御説明をいたしたいと思いますが……、(「各条なんかいいじやないか、わかつているよ、二度目だ」と呼ぶ者あり)もう説明を省略さして頂いてやるなら……(「いいね」と呼ぶ者あり)それじやこの程度で……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/2
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003・宮本邦彦
○理事(宮本邦彦君) 次いで小倉経済局長から一応簡単に一つ硫安需給定安法案の御説明をお聞きします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/3
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004・河野謙三
○河野謙三君 議事進行で……。両法案に関する委員会ですけれども、それよりも目先この秋肥に対してどういう肥料対策をやつて、肥料の現況はどうなつておるかというようなことを極く簡単に経済局長から説明して頂くほうが私はむしろ緊急だと思うのですが、どうでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/4
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005・宮本邦彦
○理事(宮本邦彦君) 河野委員から説明は一度済んでおるから省略して、秋肥に対する農林省の対策と言いますか、準備について説明をお聞きしたいという御要求がありましたから、そういう意味で経済局長から御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/5
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006・鈴木一
○鈴木一君 台湾の輸出問題も一緒に聞かして下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/6
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007・宮本邦彦
○理事(宮本邦彦君) 鈴木委員から御要求がありましたから同時に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/7
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008・小倉武一
○説明員(小倉武一君) 先ず硫安関係でございまするが、供給につきましては前肥料年度からの繰越が十万トン、十二月までの生産を合せまして八━十二の間に供給といたしましては百二万トンを見込んでおります。内需でございまするが、これはなかなか推定が、特に秋肥の期間といいふうに限つて推定することも非常にむずかしいのでございますが、一応過去の実績等を主といたしまして八月から十二月までを六十七、八万トンに踏んでおります。
そこで次は輸出の問題でありまするが、只今のところ考えておりまするのは、前年度からの関係で小口のものは約八千トン、それから大口のものとして只今お尋ねの台湾向けのものを十二万トン計画いたしております。台湾向けの輸出につきましては、本肥料年度は丁度二十五万トンの輸出を考えておるのでありますが、秋肥の期間として十二万トンであります。そこでこの内需と輸出と合せまして丁度八十万トン余りになるわけであります。在庫といたしまして以上のような内需、輸出を見込みまするというと、十二月末で二十一万四千トンの在庫というふうに見ているのであります。
それから価格の点でございまするが、価格の点につきましては、全購連、メーカーの話合を以ちまして、八月が八百四十五円というふうにいたしております。なおこの秋肥の期間といたしましては、ほぼ八百五十五円というのを平均価格ということにいたしておるのであります。これがまあ硫安の関係でございます。同じ窒素質肥料の関係の石灰窒素でございますが、石灰窒素につきましては、これは前年度からの繰越しが非常に多うございまして、七万八千トンであります。生産は前肥料年度とほぼ同じく五十万トンを見込んでおります。五十万二千トンでございまするが、従いまして年間の供給といたしましては総計五十八万トンであります。これは秋肥と春肥に分けて考えることは硫安以上にむずかしいものでございまするので、分けては只今のところ考えておりませんが、或る程度の数量でございますれば、勿論国内の需要には全然心配はないのでございます。価格の点につきましては、御承知の通り相当安値を現出しておりまして、配給機構といつたような点も絡み合いまして、最近の需要が必ずしも円滑に伸びておるというわけには参りません。農林省といたしましては、勿論この熔成燐肥とか、こういう石灰窒素とかいつたような種類の肥料については奨励普及をいたしておるのでありますが、その割には最近になりまして需要が伸びて参りません。そこでこれは只今全購連、業界のほうでこの需要の増進、それから又価格の安定といつたようなことを考えまして話合を進めております。まだ結着は付かないようでございまするが、話合の結果によりましては、石灰窒素の肥料も或る程度安定し、従つて又需要も伸びて来るのではないかというふうに考えております。これについては只今のところ輸出の問題は起きておりません。
それから燐酸質肥料の問題でございまするが、これは年間の計画といたしましては、ほぼ前年のような数量、量的な計画をいたしております。ただ本肥料年度の繰越が比較的少くて八万八千トンでございます。生産といたしましては百二十八万トン、これは過燐酸でございまするが、見ております。その他熔成燐肥、化成肥料といつたようなものにつきましての繰越は四万九千トンで、生産は四十五万トン、両者合せまして燐酸質肥料といたしましては、年間の供給は百八十六万トン、かように見込んでおります。需要のほうは輸出を多少見まして、約十万トン程度の輸出も考えまして、内需百六十三万トン、合せまして需要を百七十三万トンというふうに見ております。この価格につきましては、前肥料年度の七月に最高、最低と申しまするか、一種の安定帯価格を作りまして、上限価格を五百円、それから下限が四百三十円、この基準は一六・五%のものでございまするが、さような上限下限の価格で七月以来行政的な安定策を講じておるのであります。
次はカリでございまするが、これは本年の異常な気候或いは水害、そういつたようなことのために非常に需要が伸びまして、前肥料年度におきましては、内需の総計が約四十万トンでございました。いろいろ緊急的な手配もし、要りもしたという実情もあつたのであります。従いまして繰越しになるべきものは殆んどございません。繰越はゼロというふうに一応見ております。従いまして四━九の輸入のズレがございまするし、それが新らしい下半期の外貨予算で三十六万トンと見ております。四━九が二十六万四千トン、合せまして、来肥料年度に見合うものとしては、六十二万四千トンを見込んでおるのであります。従いましてカリ肥料につきましては、相当需要が伸びましても、以上のようなことで対処できはしないかと思つております。尤も只今申上げました過燐酸、それからカリ質肥料につきましては、燐鉱石、それからカリの輸入の問題もございまして、十月、三月の外貨予算がまだ決定をいたしておりませんから、只今申上げました数字も、事務的に只今話合つておる数字で申上げましたので、近く外貨予算がきまることによりまして、これらの計画もほぼ確実にきまるというふうに御了解を願いたいと思います。概略でございまするが、御説明といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/8
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009・河野謙三
○河野謙三君 輸出の問題についての収量等は新聞で承知しておりますけれども、私はここに一つ誤解を招くことがあると思いますが、台湾の輸出の商談が、国会が終了になつた一日、二日後になつたら突然ああいう問題が起つたのはどういうわけですか。それは向うからの正式な書面の照会その他については、国会閉会後であつたかも知れません。併しこれだけの大きな台湾との輸出の取引につきましては、正式な書面の取交しの前におのずと事前の交渉が私はあつたはずだと思うのです。私の誤解というのは、何で国会が開会中にこういうことを、而も肥料の二大法案を提案してやつさもつさやつているときに、これと一番関連の深い輸出の商談を、なぜ経過報告をなさらなかつたのですか。世間は誤解していますよ。国会の開会中はうるさいから、この問題を出すと又面倒になるから、国会の閉会を待つてから商談を始めたという、私はそう解釈していない。勿論その後において手紙が来たのだと思います。ところがどうしてそれまでの経過を国会にこの法案の審議に絡んで報告ができなかつたのでしようか。誤解しちやいけませんよ。我々のほうは、私は特に柿手さんのほうから農林委員会に出しても、硫安が余つたのに輸出していけないということは衆参両院の過去の速記録を見ればわかります。何ともそんなことは言つていない。余つたものを輸出して外貨を獲得をする、それによつて綿を買う、必要資材を買う、当然なことですよ。ただそれが内需より優先して肥料メーカー本位の、内需より優先して輸出を扱うというような従来の通産省の持つておる思想というものに対して反抗した、そんなことはないと言うかも知れないけれども、古い証文を出せばありますよ。通産省の役人にすれば、あなたの部下の属僚が闇輸出をやつている、農林大臣の承認を経ない闇輸出をやつておる、こういう大胆なことをしておる。こういうことは通産省が如何に陳弁これ努めても、内需よりも輸出のほうが優先だという思想があつたから、それに対して我々はチェックしたわけで、何も輸出をしてはいけないということは誰も言つていない、そういうことを未だに誤解を持つておる。議会開会中だからこれを伏せておき、閉会になつたら早速やろう、こういう誤解を起すということは当り前だと思います。これは誤解であるなら誤解であるように、その誤解が解けるようにはつきりその経過を説明してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/9
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010・小倉武一
○説明員(小倉武一君) 只今のお尋ねでございますが、台湾の輸出問題につきましては、私どもの承知している範囲におきましては、本年の春頃台湾から三十二万トンだつたと思いまするが、輸出の問題がございまして、尤もこれは硫安業界のほうから台湾に代表者が相当参りまして、その後の話か前の話であつたか忘れましたけれども、とにかく今年の春頃そういう三十万トン余りに達するような輸出の話がございました。これは尤も具体的にいつからいつまでに、輸出価格は幾らといつたようなことではございませんで、台湾と相当長期に亙る輸出の協定ができそうであるというような話があつたのであります。それから台湾から硫安の業界のかたが帰られまして、その上の話では、価格がどうも折合わないということで決定をまだいたしかねておるという話を聞いたのであります。量の点につきましては、只今申上げましたような数字にほぼ近かつたと思います。そのまま決定をしないままに実はずつとその後具体的な話が私どものところに業界からもございませんし、ほかからも具体的な話もございませんので、そのまま経過しておつたわけでございますが、この前の国会が終る間際、終つてからになりまして台湾の輸出について相当具体的に話が進んでおるということを聞いたのであります。農林省といたしましても、その話を聞いた上、ほぼ一週間ほど費やしまして、通産省といろいろお話を仕合つた上、先ほど申上げたようなことに内定をいたしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/10
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011・河野謙三
○河野謙三君 まあ経過についての議会との私は連絡が悪かつたと思う。それは別にして、今の御説明の硫安の需給関係の中の内需の六十七万八千トンという中には、これは保留分は入つておりますか、いわゆる政府で考えておる内需に対する、今度の法案で言えば全購連をして一割程度のものは持たせるということになつておりますね。こういう意味の、法案は通つておりませんけれども、そういう意味の保留分は入つておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/11
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012・小倉武一
○説明員(小倉武一君) 只今お話をいたしました内需という分には、法案で言う保留分を計上いたしておりません。只今のこの秋肥の数字は、年間といたしましては約百七十万トン、硫安換算にいたしまして百七十万トンの秋肥に見合う数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/12
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013・河野謙三
○河野謙三君 そうしますと、内需には保留分は含んでいない、そうして需給バランスを作つて、その結果輸出の十二万トンくらいはいいだろう、こういうことで出ておりますが、それは私は国が悪いんだが、役所の人は頭はいいけれども経済を知りませんよ。最近の通産省で起つている問題は何です。綿紡の問題はどうです、綿の問題は……。何であれだけ紡績が暴騰しているんです。結局これは肥料の需給バランスと同じように、内需が幾らだ、綿を幾ら入れればいい、そうして需給関係も帳尻も合つておるからいいことになる、あれで繊維関係は合つているのです。ところで需給関係はぴつたり合つているかというと、そこで自由経済でありますから、誰か問屋筋が二人か三人買向つたとなるとすぐ需給が乱れる、これが経済であります。僕らだつてそのくらいのことは知つている。肥料も今の繊維関係と同じことをやつている、これで合つているんです。ところが肥料を若し売惜みをした人があつたらどうなります。誰か思惑をした人があつたらどうなる、現に過燐酸ではその現象が起つているでしよう。そういうことがあつたから今度あなたのほうから出した法案に、全購連には一割程度のものを保留させるということになつておる、需給関係を合わしただけで価格の安定はあり得ませんよ。法案は通ろうが通るまいが、政府の肥料に対する政策というものがあの法案の中に思想が出ておる。なぜ法案が通らなくても今の秋肥に対して、又来年の春肥に対してあの法案の趣旨に副つた、精神に副つた措置をとらないんです。そうしておいてから法案に保留をおいて、そうしてやるんだというようなものを我々の前に出しておいて、そうして実際に今目先きの秋肥に対してはそういうことをやつていない、これで一体いいんですか、私はそれを聞きたい、こういう内需の中に保留分を含まなければ駄目です。僅か二万トン、三万トンのものを全国の肥料商なり、その他のものが思惑をするのにわけがない、それをやることによつてすぐ需給のバランスを乱される、すぐに価格に影響を来たす、今硫安業者なり、又は全購連なり、若しくは過燐酸業者なりが全購連と価格の協定をする云々と言われる、私はこれもあとで聞きたいのですが、こういう協定は一体守られるとお思いですか。私はこの間聞いたら、過燐酸は、ここに群馬県の鈴木さんもおられるけれども、群馬県では協定価格より五十円高い。而も過燐酸はないと言つている、あなたのほうではないはずはないと言つている、過燐酸はある、あるけれども品物はどつかへ入つてしまう、ポケットの中に入つてしまう、そのために内需の中に保留分を含まなければならん、こういう計算上において今後の輸出の問題を扱つて行くんですか、私はこれを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/13
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014・小倉武一
○説明員(小倉武一君) 法案で申しまする調整分というのをどう取扱うかということにつきましては、法案が成立しない現段階、非常にむずかしい私ども問題だと思うのであります。これは制度の問題としてさようであると思いまするが、併しながら法案問題を一応離れましても、さような趣旨のものに近いものは、これは当然考えられて然るべきものでございまするし、又法案をかように御審議して頂いておるということから見ましても、そういう制度についての心構えを需給の面についても現わしておくということは勿論必要であるというふうに考えます。従いまして内需として申上げました数字には、勿論先ほど申しましたように入つてございませんが、需給調整用のものが、若し法案ができますれば相当程度実行可能のように輸出を考えて行くということにならざるを得ないと思うのであります。先ほど月末在庫について申上げましたが、本年の十二月末に二十一万トン程度のものがございますれば、その中から若干の法案の調整用保留分というものが考えられるのではないかと、かように思つております。ただその調整分を全購連等をしてできるだけ早い期間に買上げさせるということについては、これは勿論法案と関係なく技術問題としてもでき得ることでございまするけれども、現在のような経済状況の下におきまして、やはり経済的な結末について目度がございませんと、政府としても一方的に慫慂するというわけにも参りませんので、只今申上げましたようなことで処理をして行くほかなかろうか、かように考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/14
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015・河野謙三
○河野謙三君 私は法案が提案されてもまだ通過していないのだから、全購連に持たせるとか、それに金融措置をするとかということはできないことはわかつています。併しこうやつて需給バランスを作る以上は、法案が通ろうが通るまいが保留分としてあなたたちが考えておるように、年間を通じて一割前後のものは当然この内需の中に含めてお考えにならなければいかんですよ。それを含めて考えないで需給バランスを作つて、そうしてその結果輸出が十二万トンは可能であると農林大臣が判こを押した。これは何をやつているのか、考えが違つたのですか、私はそれを聞くのです。我々の手許に出している法案は考えが違つたのですか。若しあの法案が本当に農林省の考え方であり、真剣な政府の方針であるなら、当然法案が通ろうが通るまいが需給バランスを作るときには私はその中に入れておかなければいかんじやないかと思う。それを全購連に持たせなくても、需給バランスを作つて輸出可能分は幾らかという数字を出す場合には、内需の保留分というものは中に入れておかないとあなたたちは責任が持てないのじやないか。議論しているのじやない。過燐酸はどうです。そういうような計算の仕方をしているから、ちよつと一、二売惜しみをされたり、又思惑をされるとすぐに異常な相場が出るのでしよう。それを言つているのです。それともそうでなく、法案が通るまではもうそういうものはやりようがないから、従つてそういう数字の織込みようがない。従つてそういう数字は除外して、これからも通産省が要求する輸出についてはどんどん判を押して行くつもりですか、それを私は聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/15
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016・小倉武一
○説明員(小倉武一君) 実質問題といたしましては、これは今御質問のようななかなかむずかしい点がどうしても出て参ります。ただこの内需に調整用を見るかどうかにつきましては、調整用をどの程度にするかということについてやはりむずかしい問題が生じて参ります。そこで内需といたしましては、一応基本の消費に見合うものを掲げまして、調整用に相当するものは、私の先ほど申上げました数字では月末の在庫に含まれるものとして考えます。従いまして只今申上げました在庫と輸出、それから供給というものを睨んで考えました場合に、実はこの在庫というものが甚だ不十分であるように考えます。そこで今後の輸出につきましては、これ以上のことは差当り考えられないのではないかというふうに思うのであります。調整用保留ということについて、でき得まするならば、勿論内需に含めるということも可能でございまするけれども、只今申上げました数字の仕分けといたしましては、調整用保留分に相当するものを月末の在庫の中に見込んで考え方を整理いたしておるのであります。従いまして、お尋ねの点になりますが、法案に言うところの調整用保留という考え方を只今のところ捨てておるというわけではございませんで、むしろそれを前提として需給推算を組んでおるということであるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/16
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017・河野謙三
○河野謙三君 内需のほかに調整用というものは当然考えてやつておられると言われる。今後もそれは考えられると言われるけれども、私が目の前にもらつた資料ではそれが入つていないことははつきりしておる。これはエラーはエラーとして私は兜を脱いだらいいと思う。これから先は一つそういうことは原則をちやんと立ててもらいたい。先ほど申上げましたように、通産省の需給推算ならこういうものを作りますよ。農林省の需給推算はこれではいけません。通産省は今申上げるように、繊維類の需給推算というものをこの方式で立てておるから、今のような繊維業界がえらい混乱を来たしておるわけです。これは繊維業界の思惑によつてああいう混乱を来たしておる。だから繊維局と肥料局はこれは通産省の同じ穴の「むじな」だから、同じものを作るでしよう。通産省の私は需給推算なら納得するが、ところが農村を背中にしよつて需要面についての責任を持つておる農林省が、繊維局のやつておるような綿紡と同じような需給推算を立てて、これで大丈夫だというようなことは言えませんよ。だからもう判こを押して、新聞で見ると台湾のほうとの約束もできたようだから、国際関係もあるから、これは直すわけには行かないでしよう。今後起つて来る輸出の問題については、輸出は反対でないけれども、内需優先ということは今の吉田政府のもう根本方針であり、保利農林大臣も力強く言明しておる内需優先の線に沿うて需給推算を作るならば、今言うようなことはあなたたちの考え方、言つておるところの保留分、調整分、これを織り込んでやつてもらわなければ困ると思う。これはくどいようですが、今後は絶対にそういうことはしてもらいますまい。それを私はここで一遍伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/17
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018・小倉武一
○説明員(小倉武一君) ちよつとこの表の弁解めきますけれども、この表の作り方のまずい点もございます。それから調整用保留分というものをどの程度にするかということについてのいろいろ御意見もおありと思いますので、そういう点も考えますと、台湾向けの輸出は必ずしも悠々できるといつたような性質のものではございません。少くとも秋の間において、はそういうものではないと私ども十分考えております。ただ台湾との特殊の関係で、市場の確保といつたようなこともございますので、通産省のたつての要望もありまして、かような台湾向けの輸出について農林省も内々了承いたしておるのであります。但し只今御指摘のような点につきましても、これは一方特に農林省といたしましては重要な点でございますので、調整保留分という欄を特に設けまして、その点をはつきりしようかということも考えたのであります。通産省におかれましても、その点については何ら御異論ないものと思うのでありますが、そういう考え方は実はやはりこの法案の正式な成立と関係いたしまして、分けに配付する資料にそういう欄を特に設けるということについては如何かと考えられる節もございましたので、特別には欄を設けなかつたのであります。併し御趣旨の点は全く同感でございますので、今後需給バランスは時々改訂しなければならんと思いますが、そういう節は御要望の筋は当然でもあり、御尤もと思いますので、そういう欄を内需に入れまするか、或いは内需と別にもう一つ作りますかいたしまして、内需優先という趣旨を需給の表からも明瞭になるように一ついたしたいと思います。なお輸出につきましては、只今申上げましたような点もございますので、本肥料年度の秋肥の間におきましては、生産の側におきまして電力の割当が特別に増加になりますとか、或いはその他の事情で以て計画以上に特段の増産が可能であるといつた場合には、これ以上の輸出ということも考えられるかとも思いますが、只今御配付いたしましたような計画のようなことで推移する限りは、輸出につきましては、只今申上げました数量以上に輸出することは農林省といたしましてはいたしたくない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/18
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019・河野謙三
○河野謙三君 保留分についての考え方はいろいろあると、こうおつしやるけれども、これは国会側においては保留分については量的にも、方法においてもいろいろ考えがある。併し政府のほうは保留分については考え方を発表しておるじやないですか、内需に対して大体一割前後のものを保留分にすると法案にちやんと説明しておるでしよう。政府はちやんと……、考え方が二つも三つもあるわけじやない、政府はこういうふうに考えるといつて我々に相談をかけておる。いい悪いは我々議論がありますけれども、今政府が需給推算をやるときには、その政府の法案に盛つている考え方に基いてこの法案が通るまではやられたらいいじやないか、あなたの御意思通りやられたらいいじやないか。気に入らない気に入るの議論はあるけれども、今あなたのほうは、こうやるというところでやつたらどうか、こうやるから如何でございますと我々に相談して、実際にその通りやることはいいが、これはくどくは申しません。今御答弁によつて今後の扱いについてはつきりいたしましたから……。もう一つ伺いたいのは、硫安や過燐酸なんかがこの頃協定価格と申しますか、これは独禁法によつて違法だと思いますが、そういうやかましい議論は別にして、全購連と製造会社と協定してきめて、硫安の場合には八百五十五円とか、過燐酸の場合は四百幾らとかきめておりますが、これはどうして出て来た値段です。これは製造会社のほうでこの値段でなければ生産費が引合わんということで、需要者である全購連と相談してきまつた値段ですか、それとも従来の自由なマーケットにおいての経過においてこの程度でなければならんという値段ですか、それとも通産省や農林省がおぼろげながら抑えておるところの原価計算、これから生み出した値段ですか、どうしてこれは生れた値段ですか。定安帯価格とか何とか言つておるけれども、ちつとも安定じやない。とにかくその安定帯価格の問題は別にして、どういう理論的根拠によつてできたのか、これを私は伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/19
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020・小倉武一
○説明員(小倉武一君) 肥料部長からもお話があると思いますが、これはお尋ねのように理論的根拠というものは勿論持合せておりません。ただ只今申上げました価格、今回きまりましたと申しまするか、一種の協定的な価格でございまするが、そういうものがきまりました以前に、やはりほぼ同じ趣旨を以ちましてきまつておる価格があつたことも御承知の通りだと思いまするが、そういう関係がございまするので、例えば硫安で申しますれば、この前の安定価格がきまりましたその後の硫安について申しますれば、その後の原材料の関係の物価の動きといつたようなものを参酌いたしまして、この程度の価格が妥当であろうというふうなことが全購連と個々のメーカーとの話合できまりかけたのであります。丁度国会におかれまして本法案の審議中でございまして、私どもといたしましては、法案が成立いたしますれば、特に硫安につきましては生産費の調査、原価調査もできることと相成り、公定価格ということにもなろうから、従来の安定帯価格と差当りの繋ぎといたしましては、かようなことで一応価格の安定を図るということが適当であろうということで了承をいたしたのであります。過燐酸につきましても、ほぼ同じような考え方で、勿論法案の関係はございませんけれども、この前きまりましたときのその後の状況といつたものを、特に燐礦石の価格の値下りといつたようなものを織込みまして、先ほど申上げましたような価格に話合がきまつたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/20
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021・河野謙三
○河野謙三君 そうしますと、大して理論的根拠はない。この安定帯価格とか何とかというのは、たしか昨年の春ですか、夏頃から始めたと思うのですが、その後の改訂は、その出発点以後において起つた原料その他の物価の趨勢によつてきめておる、こういうことですか。ただその出発点は生産費とか何とかというような理論的根拠はないが、昨年でしたか、たしかあれは……。出発点以降において一、二回安定帯価格の変更があつたと思うのですが、その変更の場合には原料その他の値上り、値下りというものを計算して出した。それ以後においてはそういう理論的根拠はある、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/21
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022・小倉武一
○説明員(小倉武一君) 必らずしもそういう計数で以てぴつたりと弾いた数字ということではありませんで、御指摘のような数字を十分考慮いたしましてきまりました価格であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/22
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023・河野謙三
○河野謙三君 この安定帯価格というのは、役所は通産省がタッチしておりますか。それともノー・タッチですか、これは全く需要者並びに業者に任せておるのですか、ノー・タッチですか、それともタッチしておりますか。そのタッチの仕方は軽くタッチしているのか、それとも厚くタッチしているのか、そこらを教えて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/23
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024・柿手操六
○説明員(柿手操六君) 今年の秋肥の硫安及び過燐酸の価格について、全購連と各肥料メーカーとの間の価格の取りきめの事情でありますが、先ほど小倉局長からお答え申上げました通りでありますが、私のほうの側としてのタツチの仕方でありますが、これは過燐酸について申上げますと、この秋、八月から秋肥でありますが、過燐酸は硫安より少し肥料の時期が早いということから、特に前肥料年度の七月からやりたいということでありまして、七月の三日か、四日かに業界のほうから御相談があつたと記憶いたしておりますが、それは前の肥料年度の安定帯価格の中心価格というのは、これは一六%過燐酸でありますが、一叺五百十二円五十銭ということになつておるのであります。今度業界で全購連と話してきめようと思う価格が四百六十五円ということに大体したいと思うというお話があつたのでありますが、その差を見ますと四十七円五十銭になります。前年度に比べれば本年度の今きめんとする価格が四十七円五十銭一叺、安くなるということできめたいと思うといろお話でありまして、私どもの意見を求められたのでありますが、これは四十七円五十銭というのは前年度の安定帯価格をきめるときに、大体燐鉱石費というものはどのくらいだろうというのを想定いたしましたのが、過燐酸一トン作るのに必要な燐鉱石の費用が五千三百三十円というふうに見ておつたところから、今度来たるべき年度の燐鉱石の想定価格が四千百五十四円というふうに想定されるというのでありまして、この差引が一千百七十六円で大体四十四円くらい燐鉱石費というものが下る。それにはちよつと三円ばかり上廻つたところのものを値打ちするといつたところに話をきめたいということでありました。農林省方面とも連絡しまして、まあこの程度はやむを得んだろうというようなことで、私どもはそういう程度であればということで了承いたしておるのであります。硫安のほうでありますが、硫安は御承知のように……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/24
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025・河野謙三
○河野謙三君 ちよつと……、その経過でなく、その値をきめるについて、言葉を換えれば、この安定帯価格というのは通産省、農林省の指導監督の範囲なのかどうかということを私は聞いている。それとも全然我関せず焉、自由販売であるから民間の需要者なり、供給者のほうできめたのであつて、我関せず焉ということなのか、それを伺つている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/25
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026・柿手操六
○説明員(柿手操六君) 安定帯価格というのは、去年の夏から、二十七肥料年度の初めからそういうことを業界に慫慂しようということを、当時農林、通産、経済審議庁三者でそういうことを話合いました。そして全購連及びメーカー側に長期に亙る価格安定を期するために、取引価格をすぐきめたらどうですかということを業者に指導の立場から慫慂いたしまして、あの価格ができ上つた。今度も私のほうも勿論でありますが、農林省からもこういう価格で新年度はやつたらいいだろうということで案を示しまして、話をその線を中心にさしたのでなくて、全購連及びメーカーのほうで話をいたしましたものを両省に持つて参りました。まあこういうことでやりたいと思うという了解を得られたと、各省はそれに対しては大体その程度でよかろうということで了解したという程度で要請をしておつたというのですか、慫慂でやつておつたというものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/26
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027・河野謙三
○河野謙三君 そうしますと、了解を求めに来た、了解を与えたという経過においては、あなたのほうの指導、監督の範囲ですね、そうですね、そうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/27
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028・柿手操六
○説明員(柿手操六君) そうであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/28
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029・河野謙三
○河野謙三君 そうだとすれば、七月に数量が幾ら、八月に数量が幾ら、価格が七月に幾ら、八月に幾らときまつておりますね。その量的にも価格的にも、僅かなことは言いませんけれども、了解を求め、了解を与えられた線と大きな狂いが出た場合には、これは役所はどういう責任をとられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/29
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030・柿手操六
○説明員(柿手操六君) 今のお話は過燐酸のお話が主じやないかと思いますが、勿論価格を全購連と毎月その価格をきめるのでありますから、それに対する量が先ず条件であることは勿論でありますから、その価格で、その量で渡すということで話をしておりますから、それが非常に実行がそれに伴わないというような場合に、我々としてはそれを調整するということでやりたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/30
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031・河野謙三
○河野謙三君 それは如何なる形か、とにかく責任をとるというと大げさであるけれども、善処されますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/31
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032・柿手操六
○説明員(柿手操六君) 全購連とメーカーと約束いたしました価格にいたしましても、数量にいたしましても、その通りに行つておらん場合は我々は監督上の立場で、それをそうするように善処いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/32
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033・河野謙三
○河野謙三君 私はなぜそういうことを聞くかというと、やつていないのです。それはあなたの耳に入つておるはずです。あなたのほうで了解を与えた線で行つていないのです。値段も量も行つていない。それはお耳に入つていると思うのです。そういうものに対してどういう処置をとられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/33
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034・柿手操六
○説明員(柿手操六君) 値段についてその通り行つていないということは私は聞いておりません。その通り行つておるものと現在思つておりますが、受渡数量については必ずしもその通り行つておらないということがあるということを数日前から聞いております。それで課長及び係官を督励いたしまして、ぼつぼつ需要時期に来ますので、その契約数量を励行するように督励をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/34
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035・河野謙三
○河野謙三君 まあ私のように百姓のど真中にいる人と丸の内にいる人では大分感度が違うと思うのですけれども、感度が少し鈍過ぎるから、至急調べて善処してもらいたい。これは大変なことです。役所が付けた安定帯という名前、仮にも安定帯と付いておる。セーフティなんです。それがちつとも安定ではないのです。だから私は言うのです。同時に私は又ここで化成肥料の問題に入るのだが、過燐酸や硫安はないけれども、化成肥料ならあるということは事実なんです。それに対する一体責任をとつておりますか、化成肥料の生産制限をやつておりますか。私は生産制限をする権能はないと言つておりますけれども、あなたのほうで了解を求め、了解を与えた、量的にも価格的にも……。それに対する監督の責任があると言うならば、なぜ化成肥料の問題をやらないのです。田舎の肥料屋に行つて御覧なさい。過燐酸はありませんよ、硫安はありませんけれども化成肥料はあります。私がいつも言うように、我々の女房は八百屋に行つても魚屋に行つても野菜や魚も何もない、仕方がないから仕出し屋に行く。こういうところに追い込まれておるのが今の農村の実情です。過燐酸を買い、硫安を買いに行つても、それは肥料屋にはありません、化成肥料ならありますと、こう言うのです。農林省の報告によると、化成肥料の一俵、僅かの配合程度のもので八十円から百円農林省の調査でも口銭をとつておる。これは適正な口銭ですか。私はいつも言うように、これは一俵僅か程度の手数料で百円、八十円を出せということですね。仕出し屋の刺身や天ぷらと同じことです。百姓が仕出し屋の刺身や天ぷらを食つて経済が持ちますか。どんな田舎の経済の知識の乏しいおかみさんでも、農家のおかみさんが朝から晩まで仕出し屋の刺身や天ぷらをとつておりませんよ。ところが男のほうの仕事の畑や田のほうのことになると、やむを得ず仕出し屋の刺身や天ぷらに相当する化成肥料を買わざるを得ないところに追い込んでおる。これがあなたたち通産省、農林省、肥料行政の責任者として、これを一日として黙過できますか。あなたはどうするか、それを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/35
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036・柿手操六
○説明員(柿手操六君) 過燐酸の施肥が迫つておりまして、全購連と過燐酸メーカーとの間の単肥の受渡しが計画通りに参つておらないということにつきましては、御指摘の通りの事実があると私どもも存じます。先ほども申上げましたように、数日前からこれにつきまして督励をいたしております。秋に万々遺憾なきように努力をいたすつもりでおります。化成肥料の問題につきまして、前国会以来河野委員からいろいろ御指摘があるのでありまして、私どもといたしましても、農林省とたびたび化成肥料の問題について協議をいたしております。お説の通りの硫安、過燐酸、カリの単肥に比べますと相当割高に置かれておるということ、それから更にメーカーは必ずしもそう割高でなくても、途中においていろいろな経費を出したり、いろいろな販売方法に非常に冗費をかけておるというような点も認められますので、化成肥料の価格の適正化に関しまして、同省でそれぞれ関係業者に通達をいたしまして、今後とも化成肥料の価格の適正化を措置をしたいと思つておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/36
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037・河野謙三
○河野謙三君 最後に私は希望を申上げて質問を打切ります。今月の下旬に、又休会中に委員会が開かれるようになつておりますが、あと一カ月ありますから、その間に今私が申上げた点について十分御調査を願うと同時に、調査された結果について、これこれこういう指導をし、これだけの監督をした、そうして責任は十分とつたという御報告を願いたい。一カ月あれば幾ら感度が鈍くても多少あなたの耳に響くから、私は私なりにもつと感度を働らかせて調べて来る。そうして一カ月後においてお互いに報告し合いましよう。そうしてその際十分にあなたのほうで私の納得の行くような監督と指導をしたということの報告を期待して私の質問を打切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/37
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038・宮本邦彦
○理事(宮本邦彦君) ほかに御質疑はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/38
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039・鈴木一
○鈴木一君 輸出した場合に赤字になつておると一般に言われておりますが、本当に通産省として赤字であるという事実を各メーカーごとにはつきりと突きとめておるかどうか、そういう点についてはつきりした資料を出してもらいたいと思いますがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/39
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040・柿手操六
○説明員(柿手操六君) 赤字輸出というのは、いわゆるという字を付けて、いわゆる赤字輸出問題と言うておりまして、実は今度の法案でも通りまして、法律的に各社の経理を監督し、調査しまして、そうして出て来れば、これはオフイシアルな原価が出ますから、それと輸出価格との差が出血価格ということにはつきりいたしますが、目下のところはそういうような有権的な調査はしておらんのでありまして、大体類推的な価格の調査をいたしておるのであります。それから見ますと、今の六百円とか、七百円というところでは、これはそれぞれの各社の出血というものは、絶対額ははつきりしませんけれども、この程度では到底コストにペイしない、出血であるというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/40
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041・鈴木一
○鈴木一君 この法案を見ておりますと、メーカーのほうが勝手に赤字だ赤字だという宣伝をして、そうして輸出会社を作つて、輸出会社のほうは今のようなコストであつたら将来五年間で、この間聞いたら十五ドル下るというお話ですけれども、私ドイツだつて、イタリーだつてもつともつと国際競争に勝つために合理化するでしよう、結局この会社は赤字が必ず出るだろうと思うのです。その赤字は結局国家補償をしろということが狙いだろうと思うのです。そういうふうなメーカーの擁護というか、本当の意味のメーカーの擁護にならないメーカーの擁護の法案ではないかという感じを深くします。どうしてもそういう方法をとらなければやむを得ないというような、はつきりした我々の了解できるよりなデーターを出してもらいたい、ただ漫然と赤字だ、十五ドル下るということではなく、どこの工場ではどれだけ下る、それに対して融資をどれだけするかということをはつきりしたデーターを示してもらいたい、何かメーカーの擁護、日本のメーカーというのは本当に企業努力をしないで、困つて来るとすぐ国家補償に持つて来る。大衆にぶつかけて来るというようなことが非常に強いのです。これもその一翼ではないかという気がするのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/41
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042・柿手操六
○説明員(柿手操六君) この問題につきましては、肥料対策委員会の計画におきましても、一時はその出血による損失は最後は公的に処理すると、或いは国の予算でその損失を補償するというようなことも考えた過程もあつたのでありますが、それも御指摘のようなことで、損をしたら国が面倒を見るというようなことでは合理化の意欲も落ちますししますから、これはその損は挙げてメーカーの自主的処理にするということを特にはつきりいたしまして、この制度を作つたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/42
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043・鈴木一
○鈴木一君 そのときはそういうことを言つても、あとで必ず取引をして、そろつと補償のほうに持つて行く可能性が非常に強いのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/43
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044・柿手操六
○説明員(柿手操六君) それから今の輸出価格で各社がどのくらい損をしておるかということは、先ほど申上げましたように、有権的なコスト調査もないものでありますから、非常にはつきりこちらにお示しする材料はないわけであります。この制度を運用いたしますれば、それがはつきりすると思います。今の大体六百円、七百円というところではペイしないであろう、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/44
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045・鈴木一
○鈴木一君 通産省に期待しても無理だろうと思いますが、もう少しメーカーに対して強く、法律上の制度がなくても、国民にこれだけ大きな関心を与えておることだから強くメーカーに対して要求していいと思います。何かメーカーの手先になつてこういう法案を作つて来た、こういう感じがしてならないのです。我々消費者を代表しておるという点から言うのですが、そういう疑念どうしても解けないのです。
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/45
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046・河野謙三
○河野謙三君 それでは昨日ちよつと私がお尋ねしました農村の副業についての問題について、ちよつと経済局長にお尋ねしたい。昨日佐賀県でしたか、九州の災害地、恐らく佐賀県だと思います。「わら」工品の産地でありますから……、そこから「わら」工品をやりたくても原料の「わら」がない、従つて近県の熊本なり、大分なりその他から「わら」を引きたい。ところが「わら」を引いて「わら」工品をやつたのでは運賃その他が非常にかさむので、これは引合わない。こういうことで「わら」工品に対して運賃助成をしてもらいたい、こういう陳情であつたのであります。私はこれは尤もなことだと思う。思いますが、私が今承知しておる範囲では、農林省が一体副業の中でも最も重要な「わら」工品についてどういう方針を立てておられるか、それを私は非常に疑問に思うのです。というのは、食糧庁がやつておる麻袋の買付方針、これとの抵触が非常に起つております。又パルプ工業との関係の紙袋、この関係との抵触も非常に起つております。この方面の問題を合せ考えないでは、副業としての「わら」工品というものはどんどんと私は亡びて行くと思う。これはまあいつまでも「わら」工品でもあるまいということで、これを放つて置いて亡びるがままに放任するというのも一つの方法でしよう。それなのか、それとも農村工業の中の「わら」工品の占める地位、又この「わら」工品というものは非常に地域的に片寄つておりますから、これらの「わら」工品の重要産地たる農村に及ぼす経済的影響、こういうものを考えて、どこまでもこれは国が保護助成して行かなければならない、こういう従来の方針を相変らずとつておられるのか、それならば、そのように麻袋、紙袋、これらに対しての政策にそういう線が出て来なければならない、そういう線が出て来ていない。今紙袋とか何かのことを経済局長に聞くのは無理だと思いますが、少くとも農林省の管轄内におけるところの麻袋等については一体どういうふうにお考えになつておるか、これを、私は根本的な「わら」工品に対する方針を承わらなければ、昨日の陳情あたりも手の付けようがないと思います。これはどういうふうにお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/46
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047・小倉武一
○説明員(小倉武一君) 「わら」工品につきまして、根本的に最近のような紙袋の使用の発展でありますとか、更に麻袋の関係或いは又自給肥料の増産といつたようなこととの関連におきまして、「わら」工品をどう持つて行くかということにつきましては、御指摘の通り非常にむずかしい問題がございます。その点につきましてもいろいろお教えを受けまして、遺憾ないような方針を立てなければならんと思いますが、取りあえずの災害地の「わら」工品、特に米の出荷時期を控えましての問題といたしましては、これは目先の緊急な問題でございまするので、原料である「わら」の供給ということについて私ども只今いろいろ研究し、努力を重ねておりまして、お話の輸送の問題につきましては、これはでき得べくんば輸送費を補助したい、かようなことで予算的な措置も只今立案をいたしております。更に遡つての根本問題につきましても、これは勿論「わら」工品といたしましては物資が過剰気味なことになりますと、競争的な包装資材が出て参りまするので、戦時中のような無理な増産は勿論必要がないと思いまするけれども、肥料にいたしましても、或いはその他農産物の包装資材といたしましても、需要が相当依然としてあることは申すまでもないことでございまするので、そういう需要に見合うものといたしましての「わら」工品につきましては、円滑に農家が生産でき、又相当のそれによつて副収がある、こういうふうな措置は遺憾ないようにいたしたいと思います。但し御指摘のように、これは戦争中「わら」工品が非常に需要されたときからの問題でございますが、予算的な措置をすることが非常に困難な問題だつたのであります。それが引続いて今日に至つておりますが、今回の災害につきましては、できるだけ特段の措置をとりたいと、かように思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/47
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048・河野謙三
○河野謙三君 そうしますと、企業のうちに占める「わら」工品の地位というものの重要性は十分認識されて、従来と同様な方針でこれを衰微するがままに放任するというようなことは毛頭考えていないと、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/48
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049・小倉武一
○説明員(小倉武一君) 「わら」工品につきましての只今の方針でございますが、私どもさような方針で行きたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/49
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050・河野謙三
○河野謙三君 然らばここで一つ通産省の柿手さんに伺いたい。先ほどの台湾への輸出の問題で、新聞で見ますと、台湾のほうからこれは是非「かます」でもらいたいという要求があつた、それに応えて通産省であるか、メーカーであるか知らんけれども、日本側のほうからは、これは「かます」は困るから紙袋にしてもらいたいという回答をしておるという話がありますが、これはメーカーの意思ですか、それとも通産省の意思ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/50
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051・柿手操六
○説明員(柿手操六君) それは少くとも私はその問題に関係しておりません。通産省というふうに広くおつしやつたが、或いはどこに当るか、どこに対して言われたか知りませんが、私は「かます」は困るから紙袋にしろとか、麻袋にしろとか言つたことはありません。ただ九州の水害の結果、あの辺が相当「かます」や「なわ」の産地でありまして、国内の秋肥と競合するというようなことで、どうも、「かます」、「なわ」が不足するという懸念を業者かいたしまして、台湾にそういうことを交渉しておるのじやないだろうかということを私は想像しておりますが、そういう新聞記事を見て承知しておるわけでありますけれど、私のほうからそういうふうにしろ……、少くとも化学肥料はそういたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/51
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052・河野謙三
○河野謙三君 そうすると、新聞を見てあなたが承知しておられるのは当然でしよう。肥料部長さんが日刊新聞においてあらゆる事業に関連する新聞を見ていないというそんなばかなことはない、承知しておる……、承知しておられる。然らばそれを見られて、あなたは実際に台湾の要求に対して、メーカーは別ですよ、通産省としてはどういうふうな、肥料部長として方針なんですか、これはメーカーと同様紙袋ですか、それはやむを得ないとおつしやるのですか、あなただつて農林省の飯を食つたのだから副業関係のことをよく知つておられるはずです。あなたは半分は農林省に片足を突つ込んで片足を通産省に入れている、そこに柿手さんの存在価値があると思う。(笑声)そういう意味で柿手さんとして紙袋に対してどういう方針ですか、あなたの御方針が日本政府の肥料の方針になるのだから、あなたの御方針を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/52
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053・柿手操六
○説明員(柿手操六君) うまくどうもおだてられまして(笑声)何ですが、この問題につきましては、そういうことを業界から相談があつたことはないのでありますが、そういう情報を知つたときに、これは九州の水害の結果、国内の「かます」が払底したのだと思つて、これはやむを得ないだろうというふうにそのときに感じまして、現在に至つております。それについてそれは困るとか何とかいうことについて、ここで私が業界に意見を言うとか、何とかいうことは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/53
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054・河野謙三
○河野謙三君 然らばあなたはまだあなたの最終の意思決定もしていなければ、又何にも業界に働きかけていない、こういうのなら「わら」工品の問題について農林省と十分御連絡の上、この際は台湾もそういう希望をしておるのだから、国内の農村の副業の関係から言つても、多少の無理があつても台湾の希望に応えて「かます」で出すことは、日本の経済全体から見てプラスである、九州の災害地の一角で非常に「かます」不足になつた、これは仕方がない、今日の新聞を見ると台湾に輸出する工場の割当が新聞発表になつておりますね、それをああいう取りきめをすることがいいとか悪いとかは別として、ただああいう輸出工場別に取りきめをすることについては、東北、北海道から九州に至るまで硫安工場について全部割当になつておる。そうすると、九州以外は多少「かます」が余つておるけれども買手がない。こういう台湾の要求に応えて「かます」で出せると思うが、又出すように肥料部長としては農林省のほうと連絡の上、そうさるべきだと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/54
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055・柿手操六
○説明員(柿手操六君) これは一つ研究してみます。今すぐにここでどうも「かます」の需給事情を承知しておりませんので、国内にそういう資源があつて、又外国もそれを希望しておるのなら私はわざわざほかのものにしなくてもいいとは思いますが、私は先ほど申しましたように、「わら」工品の主要産地に水害がありましたので、国内でもどうもなかなか「かます」がないと農村も困ると思いまして、国内で「かます」を使えば輸出向きはちよつと払底するのだというふうに考えておりまして、別に副業関係のところまで考えておらなかつたのであります。向うも希望し、こつちも「かます」で出すのであれば、これは早急に措置すべきだとは思いますが、ここに「かます」についての予備知識がありませんので、はつきりしたお答えはできないのでありますが、研究はいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/55
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056・河野謙三
○河野謙三君 この問題についてはこれくらいにして……。あなたの腹がきまつていないようですが、きまつていないから「かます」の事情についてはよくわからんということなら、隣の経済局長と十分相談して、通産省の独断で「かます」とか、紙袋ということにきめないで、これは副業関係があるから農林省と十分密接な連絡をおとりになつて決定する、こういうふうに一つして頂きたいと思います。そういうふうなことができますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/56
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057・柿手操六
○説明員(柿手操六君) この包装については通産省が決定するというものではないのでありまして、業者と台湾との話合でございますから、私どもには決定権はないのでありますけれども、併しこれは先ほども申上げますように、こつちも供給が十分であり、国内が困らなければ、又国内の「かます」は十分にあつて台湾の要求にも応じられれば、これは強いてそれを嫌がるわけでもないのでありますから、そういうふうな状況をよく研究しまして、業者も指導いたしたいというふうに考えています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/57
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058・河野謙三
○河野謙三君 決定権がないということはわかつておるのですよ。法的に何も強制する権利はないのだけれども、併し実際問題としてすべて役所の指導を受け、監督を受けて動いているのが今の肥料業界すね、従つて輸出の問題等であなたのそういう御意思に反しでは絶対にやらないのだから、併しあなたの御意思を決定する場合に、つまり容器の問題に関しては、「かます」の問題に関しては農林省とよく相談して、聞く聞かないは別として、政府としてはかくかくな考えであるという意思を決定して、業界に私は御連絡を付かてもらいたい。業界に連絡を付ける場合に政府の意思が通産省の意思でなくては、事「かます」に関しては連絡があるべきですから、農林省と十分相談をして決定をしてもらいたい、筋が通つておると思いますがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/58
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059・柿手操六
○説明員(柿手操六君) よく研究いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/59
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060・河野謙三
○河野謙三君 研究じやなくて相談をやつて頂けますかと、こういうことです。私は何も農林省に頼まれたわけでも何でもないのですよ。通産省は「かます」のことはおれのほうに相談してくれとか、そんなことを言つて来てはいない、つまり今の農村におけるところの「かます」の問題は非常に大きな問題なんです。経済局長は案外簡単に考えられておられるけれども、これは将来「かます」の問題は私はよほどここに専門家の課長さんの林田さんも見えておられるようですけれども、日本の副業の「かます」の問題は、将来は悲観すべきものですよ。そこに農林省が保護と申しますか、助成をしなければいけないものですよ。こういう段階に来ておるのであつて、私はそういう意味で通産省と農林省とは十分よく相談をされてきめるのが当り前で、何も決定権を農林省が持つておるというのではない、ただそういう連絡をしてこの問題はきめる、業界に政府の方針を指示してもらいたい、こういうことですが、これも研究の問題じやなくて、ただ相談するかしないかです。相談するかしないかを研究するのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/60
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061・柿手操六
○説明員(柿手操六君) 小倉さんと十分よく相談しまして善処したいと思います。(笑声)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/61
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062・宮本邦彦
○理事(宮本邦彦君) 午前中はこのぐらいで終りたいと思います。休憩いたします。
午後零時四十一分休憩
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午後二時二十九分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/62
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063・宮本邦彦
○理事(宮本邦彦君) 午前に引続いて委員会を開会いたします。議題に追加して治山治水の問題を議題といたします。最初新聞の伝えるところによりますれば、農林省において治山治水計画を策定し、治山治水協議会に提出されたとのことであるから、今日これから同問題について政府の説明を聞こうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/63
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064・柴田栄
○説明員(柴田栄君) 最近打続きまする水害等に関しまして、従来の林野の実態と、その後のことに対しまする対策が極めて不十分な程度しかできていないということで、私ども自体といたしましても、根本的にこれが対策を考えなければならんということで案を練つておりましたところ、内閣に設置されました治山治水協議会において総合的に御審議を願うということになりましたので、先月の二十七日に協議会が開かれました際に、農林省の案として概要を御説明申上げました案がございまするので、林野関係に関しまして一応御報告を申上げたいと、かように考えております。
要綱につきましては、お手許にお配りいたしておると存じまするが、目的は今更御説明するまでもないと存じまするので省略させて頂きたいと存じまるが、この要綱の方針の重点といたしまするのは、一つには重要水源地域の指定をいたしまして、その重要地域に対しまして総合的に治山治水事業の重点的な実施をいたしたい、こういう考え方でおるわけでありまして、これに対しましては、重要地域というものを自然的な条件並びことれが流域全般に亙りまする経済的な諸要件を勘案いたしまして、全国の河川流域の中から、公益上重要な河川流域を選択いたしまして、大体現在私どものほうで検討いたしました河川は、重要地域として指定する対象を全国七十七河川程度具体的に選定いたしておりまするが、その上流水源地域を指定いたしまして、建設関係の河川改修或いは砂防事業等と有機的な関連性を保持しつつ、重点的に、でき得れば経費等も継続費の制度を認めて頂いて治山治水の事業を実施いたしたいというのが一点であります。
それから、その次には保安林の整備拡充の対策でございまするが、従来も保安林に関しましては、それぞれ国土保全の立場から、或いはその他の公共、公益性の立場から保安林を持つておりましたが、更にこの際水源地帯の荒廃を防止いたしまして、更に進んで保安機能の増強を図るために、これに対応するごとく保安林の整備を緊急に行わなければならん、この措置を講じたいということが二点であります。
更にかような措置をとりまして、治山事業を重点的に行いますると同時に、将来の災害の発生を防止する一つの重要な策といたしまして、造林事業の拡大実施を総合的に且つ計画的に推進いたしたい、かように考えておるのであります。それで御承知の通り、林野の災害防止の役割というものは、山が安定し、森林の密度が厚いということが必須条件でありまするが、最近の林産物の需給の逼迫状態からいたしますると、何としても全林野の生長量を増強するということを特に強力に手を打たなければ他の要求、即ち伐採を強要されるという要求に対応できないということで、災害の原因を招来するということで、この点は一つの重要な項目として挙げております。なお農林省といたしましては、これに関連いたしまして、食糧増産確保のために農地関係の恒久対策等をも同時に説明を申上げましたが、いずれ担当農地局から御説明を申上げると存じまするので省略させて頂きます。これが具体的な一応の事業計画をいたしておりまするが、その事業計画の概要を申上げると存じまするので省略させて頂きます。
これが具体的な一応の事業計画を持つておりまするが、その事業計画の概要を申上げますると、先ず荒廃林野或いは荒廃移行の林野に対しまする対策でありまするが、現在国有林につきましては約五万町歩、民有林につきましては約四十万町歩の荒廃地がございまして、年々頻発いたしまする災害の大きな原因をなしておりまするので、これに対しまして特に指定地域にありまする分を重点的に取上げまして、これは計画を、一応七年間に施行の計画を完了いたしたいという考え方で進めております。特に水源林の造成に関しましては、重点地区といたしまして、指定いたしまする地域だけに考えまして、これを五カ年間に完了いたしたいという計画をいたしております。その他急峻な山地の浸蝕予防の施設であるとか、農業振興等に関係いたしまする防災林の造成計画に関しましても、これを十カ年に計画する、総体といたしまして十カ年で治山事業を一応重点的に完了いたすという計画をいたしておりますが、これに関しまする数量的な関係は一応次の表に挙げておりまするので御覧置きを願いたいのでありまするが、多少の実際計画には変動があるかも知れんということを申し添えさして頂きたいのであります。この事業の実行につきましては、指定地域につきましては、でき得る限り国の直営事業といたすことが適当であろうと思われるのでありまするが、全部を直営事業で担当することもなかなか困難でありまするので、補助事業も相当並行させなければならんのでありますが、地域と重要度と計画的な実施等のために従来の補助率を引上げるということを考えておるのでございます。
次に保安林の整備拡充の実行方法でありまするが、保安林を国土保全上必要になる個所に合理的に配備いたしまするために、現在の森林法に規定いたしまする保安林のうちで、国土保全のための保安林でありまする水源涵養林、土砂流出防備林、土砂崩壊防備林につきまして、指定地域内につきましては、二十九年度から三カ年間、その他の地域につきましては四カ年間にとれが整備の計画を完了いたすという計画をいたしております。現在保安林の状況と今後の整備の数字は次の表に計画いたしておりまするので御覧置きを願いたいと存じますが、結局におきまして、現在国土保全のための対象となつておりまする保安林は全国で二百十七万町歩でございまするが、これを三百一万町歩まで増加整備をいたしたいという考え方でおります。なお保安林を整備いたしまして、併しながら、これを完全な管理と計画の実行をいたしませんと、折角保安林を整備いたしましても、その内容の整備ができないということのために、保安効果を十分に発揮いたすことができないということが、現状において最も大きな保安林の悩みでございまするので、これの管理関係に関しましても、指定地域内の保安林につきましては、三カ年間に保安林の管理実行計画を一応立ててしまいたい、その他の地域につきましては、整備と併せて四カ年間に管理実行計画を立てる、そうしてとれが実施に関しまする監視員の整備をいたしまして、その実行を見届けて参りたい、こういうふうに考えております。かような整備をいたしまする場合に、民有林に関しましては相当施業の制限を強化いたさなければならないという問題が起つて参りますので、その際森林所有者の申出等がありました場合には、これを国で買上げて管理するということも同時に考えなければならない、又制限に関しまする国の補償という問題も考えなければならん、これに対しまする対策をも同時に考えて行く、かようなことを考えておるのであります。
次には造林事業の拡大計画の目標でありまするが「昭和二十八年度末におきましては、一応国有林につきましては百十一万町歩、民有林につきましては四百十七万町歩程度の人工造林地を持ち得ると予想いたしておりまするが、先刻も申上げました通り、現状におきましては、林産物の需給の非常なアンバランスがありまして、このままでは大勢如何ともいたしがたく、伐採過剰という状況になりまするので、治山効果と併せて林産物の需給調整を図つて、国土の保全の目的をも達したいということで、拡大計画を立てておるのでありまするが、一つには、毎年生じまする伐採跡地に対しまする造林、これを昭和三十六年度までを目標といたしますると、国有林において九十二万七千町歩、民有林につきまして百七十二万町歩というものが生じまするので、これに対しまする造林の計画、これを年次に見て参りたいと思うのであります。
更にその次には、過去におきまする過伐に伴う伐採の手遅れ地、これが人工造林を要するもので手遅れになつておりまするのが、二十八年度末におきまして大体七十二万一千町歩程度が残ると思われまするので、これは昭和三十一年までに植栽を完了いたしたいというふうに考えております。更に人工造林地の拡大を考えまする場合に、薪炭林或いは粗悪林並びに天然林の一部、即ち百四十二万三千町歩に対しまして蓄積並びに成長量の集約的な人工造林地に積極的に転換いたすという計画を立てておるのであります。これを完了いたしますると、現在の官民有林を合せまして約五百二十八方万歩の造林地に対しまして、昭和三十六年度末におきまして、合計で七百四十三万町歩まで拡充いたしたいというのが計画の内容でございます。これは現在におきましては、全林野の約二一%程度しか人工造林地を持つておりませんが、この計画が完了いたしますると、約三〇%まで高め得るのでありまして、更にその後の拡充計画を以ちまして、約四〇%まで人工造林地々整備いたしますると、二十年後ぐらいには人口増加その他を考えましても、林産物の需要増加情勢に対応して、需給が可能になる見通しが立つと私どもは考えておる次第であります。なお造林事業の一つといたしまして、非常に林地の荒れておりまする掠奪林地に対しまする生産力の増強のための対策、それから人工造林の拡大に伴いまして薪炭林の減少に対しまして、薪炭林の改良を考え、或いは優良樹種の導入を考えまして、薪炭林の成長促進によりまして需給のバランスをとつて参るという対策も考えて参りたい、かように考えておるわけであります。
更に奥地等につきまして伐採計画の合理化、併せて搬出施設、即ち林道等が急峻地におきまして、ややもすると、災害の因をなすという危険なような箇所が相当に出て参る危険がございまするので、それらに対しましては、安全なる搬出施設を総合的に組合せて、森林伐採の合理化を強化いたして参るということを計画いたしております。
更に森林気象の観測事業でありまするが、この問題は、実は治山治水協議会におきましては別途に考慮するということになつておりまするので、或いは私どもの担当することにはならんかも存じませんが、一応現状におきましては、従来治山事業の計画の場合には、林野関係において整備いたしておりました山地気象の観測施設が、行政整理の結果、殆んど廃止になつてしまつておりまする今日、山地の気象、特に降雨量の記録等が全然ございませんことが、根本的な対策を考えまする場合に非常に科学性を失するということで、是非とも山地の森林気象、特に雨量観測網の復活を考えなければならんということで一応計画いたしておる次第であります。なお、これに附帯いたしまして、林業を積極的に振興いたしまして、森林所有者の協力を求め、計画的な実施を期するためには、一つには伐採規制の完遂を期するために、税制の改正或いは伐調資金の制度の拡充によりまして、適正な金融の裏付をする、更に当面いたしまする木材需給の安定を図るために、計画的な外材の輸入或いは木材利用合理化によりまする林産物の節約等も併せて施策をする必要があるということで、これらの点をも計画に含めておる次第でございます。これを経費の点から一応概算いたして見ますると、今私どもの計画いたしておりまする内容、只今申上げましたことを対象といたしまして、林野関係につきましては、事業費総額で見ますると、約七千五百億程度になるのでありまするが、このうち国費の負担分は総額四千六百八十六億程度と考えております。詳細は別表に附けておりますので、御覧を願いたいのであります。そのうち国有林野事業の特別会計分は事業費総額を国費で持つ、こういうことになるのであります。その他金融措置を必要とするものに造林事業、林道事業等がございまするが、これが約五十二億程度、かような一応計画を持つておりまして、これに対しまする二十九年度の一応の計画を以て予算の折衝をいたしたいという段階になつております。二十九年度は、事業費総額にいたしまして九百十一億六千六百万円であります。このうち、国庫支出の見込みが五百七十八億三千六百万円、融資五十一億という程度を計画いたしておりますることを申上げて御報告に代えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/64
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065・宮本邦彦
○理事(宮本邦彦君) 今日は林野庁から指導部長さんもお見えになつておられますので、どうぞそのおつもりで御質疑がございましたらお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/65
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066・白井勇
○白井勇君 今お話願いましたことは、私山のことはよくわからないのでありますが、大体従来とも、それは山林行政として当然これはやつておられたことだと思うのでありまするが、今のお話で、従来とられていないことで、今回の水害等によりまして特にその取上げ方が違つたやり方をやつておるとか、新たに従来やられていなかつたことをやられて行くという項目はどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/66
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067・柴田栄
○説明員(柴田栄君) お答えいたします。従来は私どもは特に重要水源について区域を画して計画的に実施するということはやつておらなかつたのでありまするが、今回の水害等を考えますると、総合的に、何といたしましても、国費の国家投資という問題の経済効率を徹底的に考えなければならんという見地から、重要地域を科学的に抽出いたしまして、そこを重点的に実施いたしたいという点が一つと、それに対応いたしまする保安林の整備という問題を計画的に行ない、且つ管理の面まで見届ける。従来は保安林を指定いたしまして、保安林の施業指定をして、所有者にお任せをし、監督をして行くという程度でありましたが、更にその施業計画に関しましても、実行計画にもつと深く入る、同時にこの実行に対しまする監督を強化する、こういう面まで行かなければ本当の効果が現われない、それを実施いたしたい、こういうことなんでございます。それを実施するといたしますれば、国家が更に大きな反対給付に対する責任を負わなければならん、そこでまあ必要があれば、所有者の御希望があれば買上げる、或いは補償の制度は現在森林法において規定はいたされておりまするが、実は殆んど補償いたしておらない。併し伐採制限を強化するとか、或いは国の方針を強化するということによつて所有権を大きく制限するという場合には、国家補償を真剣に考えなければならんということで、これを取上げる、これらの点を今回は特に強く打ち出して根本対策を考えて行きたい、こういう点であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/67
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068・白井勇
○白井勇君 それでよくわかりましたが、只今のような御趣旨でありますと、私もやはり日本の貧乏国の農業政策というものは、これは山林に限らず、やはり今のお考えのような考え方でこれから進みませんというと、なかなかうまく行かんのじやなかろうかというように私も考えます。そこで只今お話のありました第二の、方針のところの三のところで、この「指定地域又は治山治水上重要な地区」というのがありますが、その治山治水上重要な地域というのは、これは今のようなやはり考え方ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/68
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069・柴田栄
○説明員(柴田栄君) 一応指定区域につきましては重点的に計画を進めるということを申上げましたが、これは相当広範囲の流域を持つ河川の流域ということを一応考えておりますが、その他の地域につきましても、まあ例えば農業利水の関係で非常に重要な、小さいけれども重要な水源で荒れている所だとか、或いは崩壊が集中して公益保安上大きな影響を持つ土地、ヒンターランドであるというような所について、塙に重点的に考えるという意味においてこういう書き方をしておるわけでありますが、計画の対象をそういうものを全国で抜出して重要地域というのをもう一つ考えておるわけですが、これはそういう具体的なことをスポツトして考える……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/69
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070・白井勇
○白井勇君 やはり国家的投資の立場から見て法律に果して上るか上らないかというような面も考慮しての治山、治水上重要な地域ということなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/70
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071・柴田栄
○説明員(柴田栄君) そういう意味であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/71
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072・白井勇
○白井勇君 私もこの間あちこちの水害地地帯を見せて頂きました。例えて見ますと、東松浦郡の石倉山でしたか、あの地帯というものは、しよつちゆう動いておるという話ですが、あれは今の治山の技術を以ち、又今の国の財政力を以て如何にこれを徹底的に防止をしようというようなことを考えて見ても、これは国家的投資から見るというと、どういうものかという非常に疑惑を持つて実は帰つて来たのであります。現に山林局におかれても、金額は私忘れましたが、何年かの計画で何か三千万円か幾らか出ておる。そのうちの七百五十万円か何かというものが去年の秋投資をしたばかりで、運輸省においても山崩れの所をトンネルを一億円ぐらいかけまして作つた。それが去年の十二月に完成しておつて、すぐもう今回の地滑りですつかり埋つちやつた。もう回復の見込みがないだろうというようなことですね、あれは現場の一部の者に非常にかわいそうなことですが、ああいうような所にむしろ金をかける意味でも、むしろあれを回復するという措置こそ第一じやないかという感じを持つて来たのですが、まあああいう点についてはどうお考えになりますか、これはまあ具体的な話なんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/72
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073・柴田栄
○説明員(柴田栄君) 実は地滑り地帯に関しましてはお説の通り非常に厖大な経費をかけても、それで完全にあれを防止するという見通しはなかなか困難な現在の状況にあります。而もこれは林野、耕地、宅地等を総合されて考えなきやあならんという際に、国家投資の効率等を考えますると、徹底的にやるというところまでなかなか申上げにくい問題ですが、実は手が着かないということなんで、一応この重点地域には外してやるわけでございますが、併しこれは放置するわけに参らんと思いますので、建設或いは運輸或いは国鉄になりまするか、或いは私ども農地等も入りまして一応根本的に総合調査を進めさして頂いて御相談申上げる筋ではないかと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/73
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074・白井勇
○白井勇君 それからもう一点、私つい最近奈良を見て来たのですが、あすこで今山崩れをやつております所は、あれはやはり従来は山林地帯としましては非常にそういう心配のない所であつたというのであります。併し長い間の風化で自然にああいう恰好になつて来たという地帯なものか、或いはやはり従来とも山崩れが非常に心配であつた地点であつたのかどうでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/74
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075・柴田栄
○説明員(柴田栄君) 特に十津川流域じやないかと思いますが、あれは非常に奥地で、まあ林道もかなり進めておりますが、必ずしもまだ整備しておらないという関係で、林野としては相当充実した山であるというふうには考えておりますが、それでもただ林木だけで絶対に安心かと申しますと、なかなかそうは参らないということで、従来もでき得る限り治山事業は進めておりましたが、なかなか手が及んでないために今回の災害で相当被害を受けたという点がありまするので、従来もその点は無視してなかつたということと、将来やはり治山事業は相当施行しなければならんと、こういうふうに考えております。ただあの地域で一番今回の水害等で私ども心配になりますのは、地震によりまする地殻変動が水害を拡大しているという問題が相当大きな原因をなしていやしないかと思いますので、施行に当つては地殻の変動調査を併せて行わなければならんというふうに実は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/75
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076・戸叶武
○戸叶武君 この治山治水の問題は、今度の水害を中心として非常に大きく取扱われるようになり、特に電源開発或いは食糧増産なんかと結び付いて総合開発の方向へ行こうとしておりますが、この治山治水の基本対策というものは、当然そういう面から電源開発なり、或いは食糧増産の方向のいろいろの施設との結び付きというものを考慮することなしには、単独で進められない形が非常に多いのではないかと思いますが、そういう点については何か緊密な連絡をとつているのでしようか。特に電源開発の問題なんだが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/76
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077・柴田栄
○説明員(柴田栄君) その問題に関しましては、仰せまでもなく、先ほど説明申上げました重要河川の重要指定地域を選定いたしまする際に、一つには林野の現状、それに関連いたしまする包蔵水力の関係、それから更に利水の面におきまする耕地の面積、更に下流に及ぼしまする作業構造、経済力の問題、人口等を一つの係数ではじき出しまして重点を決定すると、こういう方法をとり、電源等と十分な連絡をいたして選定いたしたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/77
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078・戸叶武
○戸叶武君 それではそれに関連してお伺いしますが、予算委員会で四国を見ましたのですが、吉野川なり、或いは那賀川の流域なり、或いは高知県の室戸岬の日本の三大美林の一つである地域にダム建設の計画が進められておりますが、それに対して一番先頭に立つて反対しているのは林野局関係の労働組合でありますが、その根本的、基本的な反対運動としては電源開発によるダムの建設は、平和産業よりも軍需産業に利用される面が多いからという、そういう平和運動の一環として反対している点と、もう一つは、まあそこの人々の生活防衛のためでありましようが、挙げられている点に、あなたたちが説かれている今の流木の形式から陸運の方向へという点に対して、そうすると、陸運によると今までの筏流しの人たちの商売が駄目になるというような点や何かを列挙してやつておりますけれども、労働組合は別個だと言うかも知れませんが、国有林のそういう労働組合の人々や何かの動向に対してはどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/78
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079・柴田栄
○説明員(柴田栄君) ただ電源開発が日本の経済力の復興のために非常に重点的な事業であるということに対しまして、それが軍需産業を助長するのだというようなことは実は考慮はいたしておりません。ただ併し林業経営と電源開発という問題等を組合せまして、最も効率的な林業経営をいたすということを林業経営の計画の上に現わすということで、総合的に国力を増すという方向に実は計画をいたしておる次第でございますが、今組合側で申しておりまする一点としての林野の開発事業というものと、電力開発による軍需産業の助長という、そういう天秤は実は考えておらんのでありますが、林野経営に関しましては、決してそのために林業経営の経済効果を減少する、或いは事業を縮少するというような必要はないと私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/79
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080・戸叶武
○戸叶武君 町村合併の問題が各所に起きておりまして、特に例えば高知県なんかの国有林の多いところには、町村合併によつて国有林を払下げようというような運動も強力に起きているようであります。その一点として、とにかく国有林というのは名ばかりであつて、とにかく官僚の食い物になつておつて、とにかく成績を挙げていない。これをむしろ民有林なり、自治団体で管理すれば、あんなでたらめな管理じやなくて、もつと立派な管理をする。これはまあ口実でありましようが、そういう気運も出て来ておる。一面においては、今までメスが入れられなかつた国有林の運営の問題に対しては、相当これから日本の治山治水の問題に関連して、私は第三次農地改革ともこれは関連のある問題ですけれども、相当メスが入れられておると思うのですが、現状の下においてこの治山治水をやる場合に、国有林をもつと自治団体に移管するとか何とか、そういうような問題に対しては何か考慮が払おれておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/80
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081・柴田栄
○説明員(柴田栄君) 国有林の管理経営に関しまする御批判は、なお実情を十分に解剖を願いまして、御批判を頂きたいと、かように考えておりまするが、今日国有林野経営の合理化のために、林野整備臨時措置法を実施いたしておりまするが、この面におきましても、只今お話のありましたこととは非常に逆の面ばかり出ておりまして、私ども林野の管理上非常に難渋をいたしておるという事実を、これ又一つ御批判を願いたいと、こう思つておりますが、国有林のあり方に関しましても、国土の総合利用と林野のあり方というものを突き詰めまして、経済面の経営、国土保全のための主目的とする林野の経営という問題等から、総合的に国の管理いたすべき部面或いは民間において計画的に総合的に経済的に管理を願う面等は当然近い将来において御検討願わなければならん、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/81
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082・戸叶武
○戸叶武君 具体的に言つて逆な面とはどういうのですか、二、三列挙して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/82
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083・柴田栄
○説明員(柴田栄君) 只今お話がありましたところによりますと、国有林をお預りいたしておりまして、管理経営においてでたらめをやつておる。併し民間に移せば合理的に実施する、かようなお話でございまするが、林野整備おいて売払いまするのは、民有林を総合して経営を願う場合には、合理的に、且つ一層集約的にお使い願えるというところを売払をいたしておりまするが、その売払いました山の現状はたちまちにこれを全林伐採するというようなことによつて、おつしやることとは全く逆に山を荒してしまうという事実が方々に現われておる。このことが果して今先生のおつしやるような方向と一致しておるかどうかということが、具体的に一つそれを御覧願つて頂ければわかるのじやないか、こういうふうに考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/83
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084・戸叶武
○戸叶武君 私の言つておるのはそんなことじやない。これからの山林運営に対するやり方というものは根本的に変つて来ると思うのですが、国家の名において国家官僚がとにかくやつておるところの山林経営というものがいいか悪いかということは非常に検討される余地があると思う。今までの払下様式そのものから、殆んど林野局を中心とした問題になるようなでたらめが随所にあるので、列挙すれば幾らでもできますが、例えば秋田県におけるところの問題或いはその他の問題、今のような形で行くならば本当の今の国有林という形だけで、却つて農民を圧迫しておるような形式が多いのでありまして、この問題に対して我々はもつと資料を集めてから、ただ単に民間に払下げるとか、何とかいうことじやなくて、今のようなとにかく国家官僚によつて動脈硬化に陥つておつたところの国有林経営というものが、果して妥当かどうか、そういう問題に対して相当検討しなければならない部分の払下げそのものが、払下げの動機そのものから不純なものが多いので、荒廃するのは当り前でそんなことは問題じやないのだ。ここに起つているのを見ると、そういうような形において国家官僚の行なつているところの山林経営をし、又従業員諸君におけるところの今のダム建設に反対の運動、いろいろなばらばらの問題が出ておりますが、そういう問題に対して相当農林省当局においても資料を集めて対処しておかないと、当然国家の総合開発に対するいろいろな摩擦面というものが起きて来るので、そのときになつてから御存じないということでは私たちはまかりならん、こういうふうに思つているのです。事実上において電源開発がまじめに取上げられるときに、一番その先頭に立つて林野局の従業員諸君が反対運動を起して、その土地の人々と衝突するような事態が起きたときに、それに対して、それは労働組合の一つの行き方であるということだけで任せられるものかどうか。そういう問題も、一応資料がどれだけ集まつておるか参考にお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/84
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085・柴田栄
○説明員(柴田栄君) 組合側の主張というものを、組合の立場から或いはしているかも存じませんが、私どもは先生のお話の通り、総合開発の建前から検討いたしまして、或いは林野の他の地目への総合的な利用転換とか、或いは林業経営の電源流域に対しまする行き方等を考えて、若し組合側においてさような反対があるといたしますれば、組合側にもその趣旨を十分に了解させて協力させるような方法をとりたいと、かように考えておりまするが、実は組合側がさような動き方をしておるということを、大変申訳ないが、承知いたさないでおつたということをお答えいたさざるを得ないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/85
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086・佐藤清一郎
○佐藤清一郎君 私はこの治山治水の基本対策要綱というものを作り上げて、これが根本的対策を練るということにつきましては満腔の敬意を表する次第であります。ただ、爾来こういつたような計画というものが、単に林野庁だけの計画であつたり、又予算がここに伴わなかつたりする。ただいわゆる泰山鳴動して僅かな予算が出たというようなことであつては、何ら役に立たないと考えるのであります。特に私は今日まで治山治水の面から見て、農林省内部の農地局とも極めて関連があり、総合的にやればいいものを、勝手に林野庁は林野庁で、農地局は農地局の考え方で行つておるということが各所に見られるわけであります。又建設省とはこれ又極めてデリケートな、同じ政府の部内にありながら、建設省の計画と農林省の計画というものがいつも食違つておる。例えば栃木県の鬼怒川の上流のダムの建設に当りまして、今十数メートルやるあの蒿上工事をするならば、農業用の水利として非常に役立つと農林省では言つておるにもかかわらず、建設省だけであのいわゆる水害防止のためと、もう一つは発電のためにダムが建設されておるというようなことは、同じ国費を使つて同じ国土を開発するにおきましても、こういつたような実例は随所にあるわけであります。一たび水害が起きますると、農地局の計画した堰のためにこの水害が起きたのであるから、その袂附近は農林省で予算をもらえ、河川のほうは我々の建設省のほうでやるのだというような見地におきましては、随分いろいろ農林省と建設省が予算の分取り合いや或いは縄張りの関係で非常に困つておりますことは各所に私は見ておるわけであります。こういうような見地から見まして、本当に治山治水の根本的対策の要綱をきめられて、そうして本当に予算を盛り、日本の国土を再検討して、日本の将来の国土の生産を最高度に発揮せしむるような施策をとるということは最も大切なことでありまするから、これは林野庁の長官ばかりでなく、農林省内部におきましても十分検討せられ、そうして実施に当つては万全の策を講ぜられんことを切に私は希望いたしまして終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/86
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087・川口爲之助
○川口爲之助君 只今の御意見と大同小異であります。この案は農林省としての単独案であるため、只今の状況を見まするというと、少くとも二十九年度予算には国策としての治山治水事業ができ上げられるだろうと、こう考えております。そういたしますというと、との農林省案というものがそのうちに包含されることになるのではないか、こういう見方を持つておりますか、その点は如何でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/87
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088・柴田栄
○説明員(柴田栄君) 只今御説明申上げましたこの治山治水基本対策要綱と申しまするのは、先生のお話の通り、実は農林省で林野関係につきましては一応林野庁が起案いたしまして省議で決定した案でございまするが、建設省関係につきましても、建設省で案をお持ちになつておりまして、これが先刻申上げました治山治水協議会で御審議を願つて、統一しました基本対策として、内容も更に総合されて御検討願い、これに対しまする予算の措置或いは法的な措置をとる、こういうことに相成ると私どもは考えておりまするが、只今申上げました案は一応農林省だけの案と御承知を願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/88
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089・川口爲之助
○川口爲之助君 農林省の単独案だということでありまするが、要するに山を治めるということは、畢竟するに木を植えるということであります。その木を植えるためにはどうすればよいかというと、今奥地にも無立木地帯がたくさんある、その他民有林にもかなりそういう傾きがある。と同時に自然林も相当範囲に亙つている、これを整理する、いわゆる人工造林に変えて行くというためにはどうすればいいかという問題であります。これはまあ林野庁だけの案になりまするけれども、林道の開発ということが先ではないか。林道には国営も県単林道もかなり活撥に展開されておりまするが、聞くところによると、林道開発の年次計画というものが、勿論計画によつて年次は定めりれるでありましようけれども、余りに長きに失する虞れがないでもないと存える。予算を支出して林道の開発を行うという場合には、できるだけ短期間内に林道の開発をさしてもらいたい、その面において強力な監督指導をして行く、と同時に現在の規定を以ていたしましては、林道開設後の維持管理はこれが地元負担ということに相成つておるのではないかと思います。一雨来ればすぐに道が荒廃するということでは林道の価値というものはない。そこで林道維持管理に対する補助と申しまするか、そういう面も一つ特に御考慮を頂きたいと、かように考えます。この案の実施に当りましては、当然建設省との関連性を持つ総合的な治山治水計画ができると思いまするが、この場合におきまして河川の水利権、いわゆる重要河川、中小河川の水利権というものが建設省に権利があるように聞いております。そこでその農業用水との関連について、農業用水というものに対する権利がどの程度のものであるか、まだ寡聞にして我々はこれを知らないのであります。地方にはかなり水利権をめぐつて抗争、論議が行われております。でありまするからして、この計画を進める上においては、今後この水利権の問題をめぐつて明確なる線を一つ出して頂きたいと思います。その点を一つ特に御留意を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/89
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090・宮本邦彦
○理事(宮本邦彦君) 皆さんに申上げますが、お配りいたしました資料の中に農林関係がございますのですが、本日は農地関係の説明員を私のほうの手落で呼んでございませんでしたので、次回の今月末開かれる委員会のほうにこの問題を移したいと思いますから御了解を願いたいと思います。従いまして川口先生の今のお話の問題も、できればそのときに御一緒に一つ御審議頂きたいと思うのでございますが、御了解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/90
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091・宮本邦彦
○理事(宮本邦彦君) 次にブラジルの農業事情に関する件を議題といたします。最近農林省の農地局和田計画部長がブラジルの農業事情を視察して帰られましたので、これから和田部長のお話を本委員会は承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/91
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092・和田栄太郎
○説明員(和田栄太郎君) 農地局の計画部長でございます。私三月の末からブラジルの移民地の調査につきまして、農地局から、私ほか二人と、外務省から二人、大蔵省から一人調査に参りまして、七月末に帰つて参りました。委員長からその様子を報告するようにということでございましたので今日参りましたわけでございます。
初めにざつとブラジルの様子を申上げたほうが都合がいいかと思いますが、ブラジルと一口に申しましても非常に広い国でございまして、北は北緯五度ちよつと上から、南は三十四度四十五分までにも及び非常に南北に長いのでありまして、こちらで申しますと、海南島の南から樺太の北端までぐらいに相当する南北の距離を持つております。それから東西も大体似たような長さがありまして、西と東とでは時間が三時間違うというような広いところでございますので、一つかみにブラジルの様子をお話することが非常に困難でございます。従つて日本でいろいろブラジルの状態といつて新聞その他に報じられるのを見ますと、或る部分々々において誰かが体験されたような部分的な話が非常に多いというような状態でございます。そういう状態でございますから、私も今日全体の様子がわかるようにお話申上げられるかどうか非常に心配をいたしておるようなわけでございます。
ブラジルは御承知のようにアメリカの発見に八年ほど遅れまして、西暦一五〇〇年にポルトガル人に発見されまして、その後一八〇七年にポルトガル本国がナポレオンに占領されまして国王が一時ブラジルへ逃げて行つておつたというようなところでございます。でありますが、一八一五年に本国との間にいざこざが起りまして、ポルトガルの国王の王子が皇帝になつて独立したのでございます。その後一八八九年、丁度明治憲法の発布の年に当りますが、革命が起りまして共和政体をとつたのであります。現代はそのまま共和国として国内を二十の州とそれから五つの、これは直轄地方と申しております連邦政府の直轄しておるところの五つの地方と、それからもう一つ首府のあります連邦区、東京都といつたような、合計二十六の地方に分れて政治が行われておるわけであります。連邦政府には憲法があり、法律がありますと同時に、各州にも法律があつて、丁度アメリカ合衆国と似たような行政制度をとつておりますが、ただ違いますのは、連邦政府に軍隊を持つておると同時に各州が又軍隊を持つておるのでございまして、その点から見ますと、国民政府時代の支那の様子にかなり似ておるところがあるわけでございます。
それからこの国の面積でございますが、これは八千五百十六平方キロでございまして、日本の二十三倍ぐらい。もう少し詳しく申しますと、北米合衆国に日本とイギリス本土を加えた広さを持つております。
この国の地勢でございますが、この地図はわかりにくいかも知れませんが、この線で囲まれた所がブラジルでございます。地勢を申上げますと、このブラジルの西側に御承知のようにアンデス山脈がございます。それからこちら側の、反対側の大西洋岸に非常に海岸に接して海岸山脈がございます。このアンデス山脈は御承知のように二万何千フィートというような非常に高い山脈でございます。こちらの海岸山脈のほうは、一番高いところでも二千メートルに足りない程度の山でございます。非常に海岸に接しておるのでございます。それからこの附近海岸山脈の西側に南北に山脈がある、更にその西にも南北に山脈があり、又その西側に一つ東西に山脈があります。それからここにアマゾン河がありますが、このアマゾン河の北側に東西に一つ山脈があります。このアマゾン河の西側はこれは割合低い土地でございます。それから海岸山脈の外側、ここは非常に狭い地帯でございますが、ここは海に近く低いところでございます。
川について一つ申上げますと、アマゾン河が北部を東西に流れております。そしてアマゾン河に注ぐ大きい支流は全部南から北或いは北から南に流れております。それから海岸山脈の西側に一つサンフランシスコ河があります。これも南から北に流れ、河口附近で東に向いております。それから国の西端に近くアルゼンチンのブエノスアイレスに出ておりますラプラタ河が北から南に流れております。そうしまして、先ほど申しましたようにアマゾン河の西側、海岸山脈の外側、それからラプラタ河の西側も低地です。その他は大体高原のような地勢のところでございます。日本人の一番たくさんおるところはサンパウロ州でありますが、その首都サンパウロ市は海岸の近くでありますが、ここの標高は約七百メートルでございまして、ここのラプラタ河の支流のパラナ河のこの附近の標高は二百メートルくらいです。従つて海岸から内陸に向つて七百メートルからだんだんと二百メートルに下つて行くというような地形であります。大体ブラジルで現在比較的開けておる地帯の大部分は高原と申していいような地形のところでございます。で、大きく申しますと、比較的低い土地が国土全体の八分の三くらい、残りの八分の五くらいは高原地帯、こういうように大ざつぱに言えるかと思います。
それから気候でございますが、何しろこれが赤道でございまして、赤道面下から南緯三十四度ぐらい、九州の北の端くらいの緯度までのところに亙つておりますので、熱帯から亜熱帯、温帯というように分れております。そうして熱帯へ亜熱帯の地帯は雨の降る時期と乾燥する時期とが比較的はつきりいたしておりまして、夏の暑いときが雨季でございまして、冬は乾季になります。そういう関係上、夏の一番暑いはずのときに雨が多いために割合に涼しい、夏は非常に暑くはない。冬は天気がいいために割合温度が高いという状態でございます。それから南のほうの温帯地帯に行きますと、普通の九州あたりの気候を想像して頂けば大体似ておるわけでございます。雨量は海岸山脈の外側が海の影響を受けまして多いのでございまして、多いところは年間に三千ミリくらいな雨量になつております。それからアマゾンの奥のほうが二千ミリ余りの雨量を持つております。それから河口の近所も二千ミリくらい、そうしまして一番乾燥地帯はこの辺にございまして、少いところは年間雨量が五百ミリに満たないというところがあります。その他は今申しました雨量の中間にあるわけであります。こういう状態でございますから、大きい大陸であるにかかわらず、砂漠がない、非常に珍らしい大陸であります。それからどんな人間が住んでおるかということでございますが、これが発見された当時は、例のインデイアンがいたわけです。当時恐らく三百万人くらいインデイアンがおつただろうと言われております。現在はだんだん減りまして、純粋のインデイアンは百万人くらいいると言われております。ポルトガルが発見しまして、初めポルトガルの移民を送つて参つたわけですが、スペインもやつて来ますし、イタリアもやつて来るし、オランダもやつて来るというふうに世界各国から移民が行われましたので非常に混血が起つております。現在ブラジル人と一般に言われますのは原住民とこれらの白人との混血した、いろいろな割合で混血しておるのでありますが、広い意味に言われるブラジル人は白人も皆合わせて言われるのでございまして……、ちよつと申し落しましたが、発見後八十年くらい経ちまして、一五八三年から労力不足を補うためにアフリカから黒人を奴隷として入れております。それがこの国の奴隷禁止の一八五二年まで二百七十年くらい引続いてアフリカから黒人の奴隷を入れたわけであります。そういうのがそれぞれいろいろな状態で混血しまして、全体のブラジル人というのを造つておるわけでございますが、何にしましても白人の移民が圧倒的に多いために、白人の血がだんだん濃くなつて来る状態でございます。最近は純粋な白人が人口全体の六〇%くらい、黒人が一五%くらい、それから混血が二〇%くらい、それからそのほかの黄色が若干おる、こういうように言われております。
それから原住民については非常に獰猛な人種のように一般に言われておりますが、インディアンというのはそれほど獰猛な人種ではないらしいのでございまして、これは二つに大きく分けられておりまして、海岸地方に住んでおりますのはツピー族、山のほうにおりますのをパプイア族と言つております。ツピー族というのは相当文化の程度が高いのでございまして、別に荒つぽいことをしないそうでございます。パプイア族というのは山の中におつて幾分荒つぽいことをすることもあるということでございます。で、なおインデイアンは蒙古族が元入つて来たものだという学説がありまして、ブラジル人の中でもそれを信じておる人が少くないわけであります。曾つて日本人の排斥が起つたときに、或る学者が我々の祖先を忘れるなということを叫んで日本の移民の味方をしたといつたようなこともあつたそうでございますが、頬骨が出張つて色は我々より幾らか黒い程度で、背もあまり高くない、それから胴体が比較的長くて足が短い。それから服装、腰巻をするといつたようなことも我々とよく似ておるというので、蒙古から来たものだという説は相当行われておるということであります。それから言葉は山の中のパプイヤ族はこれは無論インデイアンの言葉を使つておるだろうと思いますが、普通文明人のいるところは広い国でありますが、全部ポルトガル語で統一されておりまして、地方語というのはないわけでございます。それから宗教は九五%までキリスト教の旧教のほうだそうでございまして、非常に熱心な信者で成立つておるということであります。従つて礼儀も正しいのでございまして、あの暑い国でありながら殆んど上着をとるということがないといつたほど礼儀をやかましく言う、それから宗教に非常に熱心でありまして、これは坊さんが政策上一つはやつておるだろうと思いますが、宗教のお祭りのある日は仕事をしないのが習慣でございまして、一年間を通じて数えて見ますと、一週間に二日くらい休みがある、宗教のお祭りがある。で、百姓でも宗教のお祭りの日は絶対に仕事をしない。お寺詣りをするということになつておるそうです。
それから教育でございますが、これは日本の六三三制に似ておりますが、小学校が短くて大学が長いという点、少し違いがあるが、大体よく似ております。併し教育の普及程度は非常に低いのでございまして、公式には就学しておるものが四〇%といつておりますが、これは学校の先生に聞きましても実は四〇%はないのだと言つております。日本の移民に聞きますと、先ず三〇%じやなかろうか、そう言つております。併し大学なんかは非常に整備されておりまして、いい大学がたくさんございます。
それから衛生状態でございますが、三、四月頃日本でもブラジル、殊にアマゾンの衛生状態が非常に悪いように一部の人に言われておりましたのでございますが、あの頃言われたような衛生状態は、アマゾン地方の或る部分における二十年くらい以前の状態が伝えられたようでございます。昔はサンパウロの近くのサントス港、ああいう海岸山脈の外側の海に近い低いところにある都会では、例の黄熱病が非常にはやりまして困つたのでありますが、これは非常に徹底的に媒介者である蚊を駆除しまして、その後野口英世博士等の血清の研究もありまして、今では全然黄熱病はなくなつております。それから日本で盛んに言われましたマラリヤとか、アミーバ赤痢などはアマゾン地方に非常に多かつたのでございまして、アマゾンの河口に近いアカラという日本人の移民地では、ひどいときには二百二家族その年いたそうですが‘二百二家族のうちでマラリヤで一年に六十三人死んでおる。それからアミーバ赤痢で六十五人ほど死んでおる。そういうひどい状態のときがあつたのでありますが、現在はすつかり改善されまして、今申しました植民地でも三年前からかやを吊らないで生活をしておる。私たちも二日泊りましたが、かやなしで泊りました。これは一つは戦争中の衛生医学の進歩に負うところが多いわけですが、特にアメリカが戦争中衛生状態の改善に力を入れたのが大きい直接の原因でありまして、この地帯が天然ゴムの生産地でありまして、アメリカが戦争中ここの天然ゴムを入手するために、交換条件として衛生状態の改善をやる、或いは発電をやる、それから船を供給するといつたようなことをやつて参りまして、今でもそれが続けられて参りまして、ここの衛生の改善に要する経費は半分アメリカが出しているそうであります。それで病院を建てたり、消毒薬を撒いたり、それから家庭へ特効薬を配布したりといつたよろなことをアメリカが半分金を出してやつた、そういうことで、大体私たちが訪ねて行くような程度の所には、昔流行したような病気は殆んどない、全然ないわけではないのでありますが、殆んどない。従つて普通に気を付けておれば、日本の田舎を旅行する程度に考えておつていいという状態になつております。
それから日本の今までの移民の状態でございますが、現在一口に四十万の日系の人がおると言われておりますが、去年の秋から今年の春にかけまして、東大の泉という助教授が半年ほどかかつて何百家族という日本移民の調査をしました結果から推計しまして、総数が三十二、三万ぐらいだろうと言つております。それから直接日本から向うに移住しました人が十八万人余りありますが、その人たちの中で現在生存しておるのは十二、三万くらい、従つて一世移民が十二、三万、向うで生れたのが二十万くらいということでございます。そうしてそれらの人の大部分はサンパウロ州に住みまして、そこでその大半は農業をやつておる。
少し順序が悪うございましたがブラジルの産業というのは、以前は無論農業が大部分を占めておりましたのでございますが、だんだん工業が発達して参りまして、特に戦争中工業が発達しまして、現在は農業生産が全体の生産の四〇%弱になりまして、鉱工業の生産のほうが多くなつておる、そういう状態であります。そうして而もその農業並びに工業の生産の、鉱山のほうは別ですが、工場のほうの生産のほうはサンパウロ、農業のほうもサンパウロ州が中心になつておる、そういう状態でございます。
又元へ戻りまして、日本移民のことを続けますが、日本移民がそのうちでどんな位置にあるかと申しますと、農産物で一番生産価格の大きいのは申すまでもなくコーヒーでございますが、そのコーヒーの六割余りがサンパウロ州で生産されております。そしてその二〇%くらいが日本人の生産であります。その次に大きいのは綿でございますが、綿の生産はサンパウロ州で六五%くらいありますが、そのうち三五%余りを日本人が生産しておるのであります。それから市場に出て来ます蔬菜、それから卵などは九〇%以上が日本人の手で生産されております。それから全体としては小さいのですが、養蚕のほう、これは現在ブラジル需要の八割くらいを国内で生産しておりますが、その殆んど全部が日本人であります。それからアマゾン地方では例のジュート産業というのを日本人が始めたわけでありまして、現在ブラジル需要の七割くらいまで生産をいたしております。それからもう一つ黒胡椒が七年くらい前からアマゾン河口の先ほど申しましたアカラの日本人植民地で生産が始められまして、現在ブラジル需要の七割くらいまでそこで生産をいたしております。そんな状態でありますので、ブラジルにおける農業移民としての日本人は非常に尊敬されておるという状態でございます。
話の順序が悪うございましが、ブラジルの農業のやり方でございますが、これは一口に言いますと、焼畑農業と言つていい農業のやり方でありまして、原始林を伐り倒して一カ月ほど乾かしておいて、それを焼払う、そうして焼残りの小さいものは片付けるが、大きい幹はそのまま置いておく。そうして邪魔になるところは避けながら空いたところへ「とうもろこし」であるとか、綿であるとか、豆であるとか、或いは陸稲であるとか、そういつたものを植えて行く、コーヒーも同じようにして植付けて行くというようなやり方です。そうしてコーヒーだとか、或いはココアとかいつたような永年作物の場合は、これはだんだん邪魔になるものを整理して長くその畑を使つて行くわけですが、米や「とうもろこし」や豆を作るところは四、五年作つて地力が悪くなつて来る、雑草が生えて来ると、もうそこはやめてしまつて、次に原始林を焼払つて又新たにやる、そういうやり方で一軒の農家で毎年作つております面積はいろいろですけれども、まあ五町歩から十町歩くらいを作つておる。木なんかの邪魔になるところなんかは避けて植えて行く、草も何もとらない、刈取るだけ、草が生えて来るようになつたらよその土地に移る、こういうやり方をいたしておるわけであります。従つてコーヒとか、ココアのような特産物を除きますと、殆んど世界市場でコストを争うて輸出のできるようなものはないわけでありまして、手農具でやつておりますので、小麦であるとか、「とうもろこし」であるとか、綿であるとか、綿は今輸出しておりますけれども、世界市場で競争するような作物は比較的少いのでございまして、主として自家消費と、それから地方消費に充てるようなものが多い、そういう状態であります。ところがドイツの移民は初めから定着する農業をやつておりまして、ドイツ移民が入るときは初めから牛を持つて来るそうでございまして、従つて堆厩肥を入れて同じ土地を長く耕して行くという行き方をいたしております。
それから日本の移民はもともと裸一貫で行つた人が多いものでございますから、初めはやはり略奪農業をやつて来て、なおそのやり方が継続されておる。併しだんだん日本移民も資本がたまつて来ましたものでありますから、だんだん施肥農業へ移りつつあるわけであります。進んだ人はコーヒー園に肥料をやるだけでなしに、灌漑施設までやつて行くという行き方をやつております。又蔬菜栽培をやつておる人たちは、これは無論前から肥料をやつておるのでありまして、ブラジル農業に人造肥料を導入したのは日本人であると言われておりますが、一般の人は今なお十分の肥料を用いないで農業をやつております。併しだんだん日本移民の中から施肥農業が始まりつつある、こういう状態であります。
日本の移民の状態をもう少し申しますと、初めは先ほど申しましたように、裸一貫で主としてコーヒー園の労働者として行つた人が多いわけですが、現在では農業に従事しておる日本人の中で労働者として働いておる人は極めて少い、向うの人に言わせると一人もいませんというくらいに少い。併し実際調査して見ますと、若干はいるようでありますが、大部分は経営者になつておるということであります。そうして非常に経済的に成功しておる人の例を申しますと、コーヒーの木を百二十五万本持つておるそうです。これが全部成木になりますと、幾ら少く見積つても六、七億円の価格を一年に生産するということになります。今移民の世話をしておられます松原安太郎さんという人はコーヒーの木を二十五万本持つておりまして、そのうち十八万本が今実を結んでおる。そのほかに牛を二千頭、馬を三百頭持つておるといつたような状態であります。それから水田は割合やつていないのですが、水田をやつておる或る人を見に行きましたが、その人は土地を二千七百町歩持ちまして、水稲を七百五十町歩作りまして、その跡作に二百五十町歩「じやがいも」を作つておる。そのほかに二十五町歩のトマトをやつておる。あと二千町歩くらいは牧場で、この牧場には牛が二千頭くらい入る牧場で、現在五百頭飼つています。又この農場には火力乾燥機や「もみ」の貯蔵庫を持ち、機械の修理工場を持ち、それから農具なんかもトラクターを十六台持つておりますが、例の刈取調整機、コンバイン、あれなんかも二十四尺幅を一遍に刈つて行つて、一緒に「もみ」にしてしまうという機械を四台持つておる。それから農地は全部耕地整理をして、灌漑施設、排水施設を完備して、洪水が来ないように堤防も自分で作つております。その人は裸一貫で三十年前に移住した人であります。そういう特殊の成功者がおります。それから余り成功してないグループはどんな状態かと申しますと、大体私らはブラジル拓植会社の経営地が四カ所ありますが、そこを大急ぎで廻つたのでありますが、そこは概して土壌がよくないので、特別に経済的に成功した人は現在は残つていないのでありますが、それで去年の販売高を見ますと、一番収入の少ないところで、一年の販売高が一戸当り三十六コントから六十五コント、少しいい村へ行きますと、一戸当り六十五コントから百二十コントくらいの売上を出しております。コントというのは現在の為替相場でありますと一万円足らずであります。去年は一万円よりかなり上であつたわけです。まあそんな状態でございまして、余り土壌のよくない、先ほど申しました去年一戸当り三十六コントから六十五コントくらいの売上をやつた村で、百五十戸ほど日本の移民がおりますが、そこでトラクターを集めて見ると、七十五台集まつたそうです。まあ余り土地がよくなくて、そのうちで少し成功に遅れたような人たちでもその程度にはトラクターを持つておる程度に行つておるわけであります。
それから最近松原安太郎さん、それから衆議院のほうの上塚先生なんかの骨折りで、五年間に九千家族の入植が許可されたわけでありますが、この行き先は国中どこへ行つてもいいというわけではないのでありまして、連邦政府の開拓地へ入れということであります。日本で国営開拓地があると同じように、連邦政府があちらこちらに開拓地を持つておりまして、そこへ入れ、こういうことなのでありまして、私たちはそこの実情を見るということが主目的であつたわけでありますが、この条件としましては、ブラジルの港へ着くまでは日本が何とかして連れて来いということでありまして、現在渡航費は政府が融資して行つておるという状態です。それからブラジルの港から開拓地まではブラジル政府で輸送し出てくれる、身の廻り品とか、農具とかいつたものは無税であります。土地はその地方の土壌、気候等から見てどんな経営をするかということに基きまして、三十町歩から五十町歩ほど当てがつてくれるわけです。それから薬局とか、学校、組合の事務所、機械の修理工場、日用品の販売所、トラツクのガレージ、教会、まあそういつた新らしい開拓地に必要な社会施設は連邦政府がやつてくれるわけであります。そのほかに日本の移民の行きますところには、一時住むために合宿所を作つてくれる、それから個人住宅を建てるための資金として二十コント、一口に言えば二十万円ほど貸してくれる。それから営農資金として二十コント以内貸してくれる。それから苗木や種は向うが用意してくれるし、手農具もくれる、こういつた条件です。そこで三年農業をやつておりますと、割当てられた三十町歩なり五十町歩の土地の仮所有権をれるわけであります。十年そこで農業をやつておれば所有権をくれる、そのときに測量費程度のものを金で納めるということになつておるわけです。私たち参りまして、三十町歩ときめられたところで、経営から見まして五十町歩なくてはやつて行けないというところは、五十町歩にしてほしいということをブラジル政府へ申し出て、五十町歩にしてもらう。それからここはどうしてもトラクターを使わなければいい経営ができないと思うところは、三軒に一台とか、五軒に一台とかいう割合でトラクターと、それに附属する作業機を貸してほしいということを向うに頼んだわけであります。政府としては、それは承知したと言つておりますが、どこの国でも予算相手のことでありますから、政府当局者が考える通りに実施できるかどうかということは今後の問題でありますが、これは承知したから骨を折ろうと、こう言つております。
それからざつと今年移民を入れました所の状態を申しますと、ここにドラードという植民地があります。ここは非常に土地のいいところでありまして、気候もコーヒーに向いておりますが、米でも、「とうもろこし」でも、綿でもできますが、コーヒーを主作物にしたらよかろうと思われますので、四十戸の予定を六十戸に増加してもらいました。それからこの附近にジャイバという所がありますが、これは潅漑施設をする必要がありますが、今年はその施設は間に合いませんので、今年はここは保留しておくことにしました。それからこの附近にウナという開拓地がありますが、ここは比較的条件がよいので、すぐ入れる。ゴムとか、ココアなどを主作物としておる、米と申しましても陸稲でありますが、米も「とうもろこし」も普通の作物は何でもできますので、三十戸の予定を四十戸にしてもらいました。それからアマゾンのほうは、ここのアマゾン河口から約二千キロ上流にアマゾナス州のマナウスという町がありますが、この近くに一つ開拓地を持つています。ここは向うとしては永年作物としてゴムとコーヒーを考えておりましたが、コーヒーはどうも余り向かないだろうということを言つておきましたが、ここはマナウス相手の蔬菜栽培も成立ちますし、それから無論自家用のものは何でもできますので、ここへ三十戸入れることにしました。それからこの附近、アマゾン河口から約七百キロ上流にモンテアレグレという所がありますが、そこも似たようなもので、そこも三十戸、それからここのアマパ州の首都マカパ市から北方百二十キロ附近にアマパ州の開拓地がありますが、ここも三十戸、それから先ほど申上げましたアカラへ三十戸入れることになりました。アラカの分は呼び寄せのようなもので、日本人農家が一戸で二軒とか、三軒とかの移民を引受けて世話してくれるというやり方であります。それから去年の暮に十七家族、アマゾンの例のジュート作りに送りまして、そのうち四戸が逃げたというので大分騒がれておりましたが、このジュート移民は今後は呼び寄せに任したほうがいいだろうというふうに私たちは考えております。と申しますのは、ジュート産業というのは日本人がそこへ始めたものでありますが、現在はジュートを栽培しておりますのは主として原地人でありまして、日本人も栽培をいたしておりますが、多くの人はジュート栽培をしておる原地人に日用品を貸付けまして、その代金代りにジュートを買うといつたような、昔の日本の米穀肥料商のような仕事をやつておるのでありまして、従つて日本人が行きましてジュート栽培者として移民して行くということは余り適当でない、現在商売をやつております人たちの親戚であるとか、知人が話合の上でその人たちを頼つて行つて、慣れてくれば支店長になるとか、或いはその家の番頭のような仕事をするといつたよらな形で移民するのが適当であるというふうに私たちとしては考えたわけであります。それからこのアマゾンの今年入れました所は全部ジュートではないのでありまして、向うではこれらの開拓地のある土地をテーラーヒルメと言つておりますが、これは固定した土地という意味だそうでありますが、つまり高台地なのであります。高台地に開拓地を作つておるわけであります。ところがアマゾン地方における高台地の農業経営形態というものは、まだしつかりとはでき上つていないのであります。これからまあアマゾンの高台地の農業というものを確立して行こうという段階にあるわけであります。従いまして私たちは技術的に見ましてこれだけの施設でやれば、先ず何とかやれるだろうという見通しを付けて、そのために是非必要な施設というものを要求したわけなんでありまして、必要最小限度の施設は是非やつてくれということを頼んだわけです。従つてそこへどんどん送るということはちよつと問題があるのじやないか、少し様子を見まして、向うの施設が、こもらから頼んだ通りの施設がやられているかどうかということを少し見た上で送る必要があるのじやないかというふうに考えております。それではもうアマゾンは来年送れないかと申しますと、そうではないので、アマゾン河沿いの低湿地、バルゼアと言つておりますが、この低湿地は満潮時には水が乗つかり、干潮時には水が引くといつたような土地でありますが、この土地には毎日二回ずつ泥水が上つて来まして、泥土を置いて行きますから、非常によく肥えた土地であつて、恐らく十年か、十五年は無論無肥料でやつて行ける土地なのです。今そこへ米を作ろうという計画ができています。ここにアマゾンの小さい支流でガマという川がありますが、そのガマ川の両岸を七十万町歩開発をしようという計画ができて、この間もちよつと新聞に出ておりましたが、今年から少し予算を付けて開発にかかつておるわけであります。この開発が進めばこれはたくさん送つて心配なしにやつて行けるわけであります。そういうような土地がこの各支流全部両側はそういう土地でありまして、これをどんどん開発するといううことになりますと、もうそれに応じて幾らでも移民が送れる。要は向うの政府がどれだけの面積、バルゼアを開いて行くかということにかかつておると思います。バルゼアに対する移民ならば先ず安心して送れるのじやないかというふうに考えております。
アマゾン河の状況を少し申上げておいたほうがいいかと思いますが、このアマゾン河は本流が六千キロあると言われております。鹿児島、青森間二往復くらいになりましようか。私たちは丁度河口からその三分の一くらいのところのマナオス市という所まで参りましたのですが、これが二千キロ余り河口からありまして、ここまでは一万トン級の船が入つて行けるわけです。そうして広さを申しますと、河口の幅が三百キロ、おおかた名古屋、東京間くらいです。そうしてこの本流のこの辺、河口から上流四千キロにイキトスという町がありますが、ここまでの間は一番川幅の狭い所で四キロくらいであります。ただ一つここにオビドスという所がありますが、ここは岩が迫つておりまして、一キロ八百くらいある。深さは四十メーターから六十メーターくらい。オビドスの所だけは深さ八十六メーターと言われております。それから勾配のない川でありまして、イキトスから河口まで平均四万分の一くらいの勾配でございます。殆んど勾配がないというわけです。どうしてそういうことになつたかと言いますと、初めここに山がありまして、それからここに山があるわけですが、こことここは大陸が別だつたというのです。即ちアマゾソ河のある附近は海だつたのです。その後、西方にアンデス山系が隆起して来まして、三方囲まれたような大きい入海になつたと言われます。そして長い間に山の泥がどんどん流れて海の中に溜つて参つたのでありますが、長い年月の後にこの地帯全体が隆起して陸続きになつた。こう言われております。ですから、この間はずつと同じ海の中で泥が溜つたわけですから勾配がないのは自然でありまして、ただ西方へは出られないものですから、川が当然東に流れて来たから少しずつ勾配が付いたという恰好なのであります。そういう状態でありまして、アマゾンの両岸の地帯は、ここの黄色の印が付いておる所ですが、ここは海の中で泥がだんだん堆積した所で、これは第三期の堆積と言われておりまして、これは非常にいい土壌というものではないのであります。まあ中くらいから、それ以下の土壌であります。これから奥へ入つてこの赤色のあります所、これは噴出岩でありますから、ここはいい土壌があるわけです。併しこれから奥へはまだ到底入れないのでありまして、今軍用道路を造るためにこの辺に探険隊が入つておりますけれども、隊長も何人も死んで、両方から行つてまだ出会わないということで、まだこの奥地は開発のできる時代ではないのであります。僅かにこの川沿いの附近だけが開発の対象になるわけであります。又この川の両側に少し赤い印が付いておりますが、これがその後にできました例の沖積層でありますが、その沖積層でも水の上に出てしまつた所は非常にエロージヨンを受けまして、粘土が流れまして、よい土壌の土地ということができないわけです。先ほど申しましたバルゼア、現在でも水が泥を運んでおる、そこだけが非常に肥沃な土地だということです。このように、割合から言えばアマゾン流域の肥沃な土地、肥沃な土壌は割合から言うと非常に少いのですが、絶対量から言うと驚くべき面積を持つているわけです。ガマという小さい川の両側だけでも今七十万町歩開こうとしておりますが、そのうちの三十五万町歩はバルゼアです。これが大体長さで九十キロ、幅が平均四キロであります。このくらい小さい支流一つで三十六万町歩ぐらいの当分無肥料で作れるいい土壌地帯であるわけですから、面積から行くと、非常に大きいわけです。
それから話が飛び飛びになりまして恐縮ですが、もう一つ大きいいい地帯はこの南西部のパラグアイ国に近い地帯でございまして、この濃い緑色に塗つてある所、これは国境でありますから、パラグアイ側は書いてありませんが、反対側にもあるわけでありまして、ここに青色に塗られた地帯がある、この青色に塗つてある所の土壌は非常にいい土壌でありまして、今このパラナ州の北のほう、との附近が気候的に見てコーヒーに適しておりますので、盛んにコーヒーを植えておりますが、ここですと、コーヒーを植えて置くと八十年は持つと言われる非常にいい土壌地帯です。このパラナ州の北のほうだけは開発されておりますが、南の方は全然開発されないで原始林に蔽れておるわけです。パラグワイも入れまして、このいい土壌の地帯、日本がこそつと入るくらいの広さを持つております。そういう所が原始林のまま置いておかれておるわけです。これは一つの有望な開発地帯で、現在ドイツ人が東の方からこう入つておるわけですが、この辺の気候のいい所へ入つておるわけです。それがだんだんこつちへ入りつつありまして、ここへ今入つております。これは終戦時にスイスへ逃げて行つたドイツ人だそうですが、これがスイス資本でトラクターからすつかり機械を持つて来たそうで、今二万町歩の開発を始めております。小麦を主にやつております、機械化経営、これは勿論私は成功すると思います。小麦はブラジルの輸入品のうちの第三位でありまして、従つてアルゼンチンから持つて来る運賃だけ安いわけです。土壌がよくて、多分これは当分は殆んど肥料をやる必要はないと思われますから、ここで機械経営をやればこれは必ず成功する、併し資本が要るというわけです。こういう広い地帯を開発しようと思えば、どうしても世界市場へ出るものでなくてはいけないわけですから、そうすると、どうしても機械化経営でなくてはいけないということになるのでして、資本が要る、併しこれはもう大きい有望な開発地帯であります。今の大統領の出身地はこの附近でありまして、ここにも来年は少し日本人を入れたいと言つておるそうです。それから非常に小さくなりますが、サンパウロ州のこの附近ですね、この附近は一番早く日本人の入つた所ですけれども、今だんだん日本人が減つております。併しここへ流れておる川のこちらの川が非常にいいのでして、いい泥を持つて来ておる。その川の流域が非常に肥えておりまして、まだ水田に適するというので、サンパウロ州の知事が非常に熱心に開発を希望しておるそうであります。で、どうせ稲をやるのだから、日本人も入れたいということを言つておるのです。私も二日間見に参りましたが、これは稲をやれば必ず成功するところだと思うのですが、これも併しちよつと土地の整備費に金がかかりますので、連邦政府か、或いは州政府が開拓計画を立ててやつてくれるのでなければ、ちよつと金がかかり過ぎて個人ではやれない、面積としてはこれは大したことはないのでありまして、概算して見ますと、小さく見積れば恐らく二十万町歩、大きく見積れぱ三十万町歩ぐらいあります。ここは恐らく数年中に日本人が入れるようになるのではないかと思います。それからそのほかに、この間も新聞に出ておりましたように、サンパウロ州で養蚕をやつておる日本人が、養蚕農家を入れたいということを言いまして、だんだん私がおる間に話が進んでおりまして、移民審議会の会長が必ず許可するというところまで、私がおるときに話が進んでおつたのですが、この間の通知では、審議会で正式に二百家族養蚕移民を許可するということをきめましたそうですから、養蚕移民を出すことができるというわけです。
それからなお申しますと、このサンパウロ州の一応開発が済んでしまいまして、飛行機の上から見ましても、もう開発すべき土地は、こつちのほうには殆んどないというふうに見えるのでありますが、併しここにも非常にいい土壌のところがありまして、この地図は間違つておりますが、この附近にも青い色のところがあるわけです。ここにコーヒーの非常に盛んなところなんかあるわけですが、そこらのところで荒した土地、一旦無肥料で略奪農業をやつて荒した土地、これは少し手を入れれば、なかなかまだ生産力はあると思うのです。で、そういうところの施肥農業をやつて行くには日本人は非常に適しておりますが、そういうところにも若し移民を許可してもらえるならば有望なところだろうと思います。向うでは五町か、七町かを焼畑農業式にやつておつてもちやんと生活のできて行くような非常に暮しよいところなんでありまして、日本人が行つて一生懸命に働けば必らず成功できるというところでありますから、送るのに相当金がかかりますけれども、できるだけ送つておいたほうがいいだろうというふうに考えられるのでありますが、現在はこの現地における移民受入れの態勢が全然できていないのでありまして、戦争前は移民会社がたくさんありまして、世話もしておりましたのですが、現在は戦争のときに向うの政府に管理をされてしまつて、そのまま、今だんだん権利が返つておりますけれども、何も仕事のできないような状態になつておるわけであります。その受入態勢を作るということが大事なことでありますし、それから従来割合農業技術者が向うへ行つていなかつたために、土地の選定にしましても、農業のやり方にしましても、今から考えますと、指導が十分でなかつたという点が反省させられます。そのために移民が、しなくてもいい苦労をしたということがございますので、ただ事務的な世話をするということだけでなしに、技術の指導ができるような人を送つて行くということが大事だろうと思います。併しこれは非常に面倒な問題でありまして、よその国に行つておる移民を日本の役人が行つて指導をするといつたようなことは、ちよつと避けなくもやなりませんので、どういう形で指導者を出すかといつたようなことは、相当研究を要する問題だと思いますが、一つの考え方としまして、ブラジルにもたくさん試験場がありますから、向うの試験場の職員にしてもらつて、そうして研究もするが、同時に日本の移民の技術指導もやるというふうな形も考えられるのではないかというふうに考えております。実際に向うの農事試験場には、ヨーロッパのたくさんの国から、非常に立派な世界的に名高い技術者が向うの試験場へ行きまして、そうして給料は本国政府からもらつております。給料は本国からもらつておりますが、研究費は向うの試験場の金を使つて、そうして研究をしております。そういう例がありますから、それと似たような行き方をすれば、よその国へ日本の技術者を送るということも可能なのではないかというふうに考えられるわけであります。
非常にばらばらした話でおわかりにくかつたかと思いますが、長い間有難うございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/92
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093・宮本邦彦
○理事(宮本邦彦君) どうも御苦労様でした。何か御質問がありましたら……。それでは本日はこれにて散会いたします。
午後四時三十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X00219530903/93
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