1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十八年八月三日(月曜日)
午後二時十九分開会
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委員の異動
七月三十一日委員山縣勝見君辞任につ
き、その補欠として横川信夫君を議長
において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 片柳 眞吉君
理事
宮本 邦彦君
森田 豊壽君
白井 勇君
委員
雨森 常夫君
川口爲之助君
佐藤清一郎君
重政 庸徳君
関根 久藏君
横川 信夫君
上林 忠次君
北 勝太郎君
河野 謙三君
河合 義一君
松浦 定義君
戸叶 武君
衆議院議員
足鹿 覺君
政府委員
農林省農林経済
局長 小倉 武一君
農林省畜産局長 大坪 藤市君
事務局側
常任委員会専門
員 安楽城敏男君
説明員
農林省農林経済
局農業保険課長 久宗 高君
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本日の会議に付した事件
○連合委員会開会の件
○閉会中に於ける本委員会の運営に関
する件
○理事の補欠選任の件
○農業災害補償法に基く家畜共済の臨
時特例に関する法律案(内閣提出、
衆議院送付)
○ 参考人の出頭に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02819530803/0
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001・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) 只今から農林委員会を開きます。
最初にお諮りをいたしたいことは、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案が近く議員提出で提案される予定でありますが、改正の個所は漁船の建造等に要する資金を融資の対象として拡張するということが法律案の骨子のようであります。そこで水産委員会と当農林委員会とどちらで審議をすべきかという点でありまして、理事会の御相談の結果は、漁船の建造等の資金ではあるが、併し資金全体の枠にも影響があり、又他の農林業等との資金の條件等との比較から申上げなければなりませんので、今回限りは水産委員会でやつてもらつて、それに対して当委員会が連合審査をいたすということで、理事会では決定いたしましたが、そういうことで処理いたしまして御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02819530803/1
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002・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) それでは水産委員会に対する連合審査でやつて行くことに決定いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02819530803/2
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003・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) 次に、会期中の議事日程及び閉会中の当委員会の予定についてお諮りをいたします。これ又理事会において、御配付をいたしたようなプランでやつて行きたいと存じまするが、御異議ございませんですか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02819530803/3
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004・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) 御異議ないと認めまして、情勢の変化に応じましては又御相談を申上げますが、この日程、或いは予定案でやつて参ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02819530803/4
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005・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) 次に日程に追加をいたしまして、理事の選任についてお諮りをいたしますが、小林亦治君が去る七月二十二日委員を辞任され、その補欠に赤松常子君が選任されました。又七月二十七日赤松常子君が委員を辞任され、再び小林亦治君が委員に選任され、その間理事が一名補欠になつておりますので、その補欠互選を行いたいと思いますが、その補欠互選は成規の手続を省略いたしまして、委員長において指名いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02819530803/5
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006・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) 御異議ないと認め、私より指名をいたします。小林亦治君にお願いをいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02819530803/6
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007・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) 次に日程に入りまして、最初に農業災害補償法に基く家畜共済の臨時特例に関する法律案を議題といたします。本法案は去る二十九日衆議院を、附帯決議が附いておりますが、原案通り通過して本委員会に付託せられております。本法律案については、すでに提案理由の説明を聞きましたので、本日より質疑に入るわけでありますが、その前に法案の内容について政府から補足的な説明を求めたいと存じます。なお本件についてはいろいろの問題もあるようでありまするので、日程にありまするように、明四日午前十時から関係者を参考人として出席を求めまして意見を聴取するようにいたしたいと存じます。参考人といたしましては、社団法人日本畜産会事務局長の横地敬二君、社団法人日本獣医師会常務理事小松純之助君、農業共済再保険審査会審査委員清澤光躬君、以上三名を参考人として出席を求めて意見を聴取したいと存じまするが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」「異議あり」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02819530803/7
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008・河野謙三
○河野謙三君 私は理事会でいろいろ御協議の結果、委員長がそういうふうなお諮りをなさつたと思いますけれども、私は参議院農林委員会の権威のためにこの審議に入ることは反対です。何故かと申しますと、先日の農業共済に関する一部修正の法律案で両院協議会を開いて、そのときに衆議院とのいろいろのいきさつ上、最後に決議をしたわけです、両院協議会の名において……。そこで農林大臣を呼んで決議に対する農林大臣の見解を求めたところ、来年の水稲までに間に合うように農業共済については全般に亘つて抜本的に改正をする用意がある。両院におきましても、すでに共済担ついては小委員会を設けて抜本的に改正しよう、こういうことになつているわけです。もとより私が今更言うまでもなく、こり間の両院協議会の問題の発端は、衆議院がたとえ一部の修正にしろ、又臨時的の措置にしろ、この農業共済について手をそめるということは、これは徒らに政府当局に農業共済の温存についての口実を与えるだけである、だから従つて反対である。そういうことで枝葉末節な字句にまでとらわれて、あの罰則規定までむ衆議院は削つたわけなんです。あえて申しますけれども、そういうことを言つた衆議院が、舌の根の乾かぬうちに、こういうふうな農業共済の一部修正についての法案に触れること自体が、衆議院自体が私は不見識だと思う。衆議院が不見識な真似わしたから、それに倣つて又参議が不見識な真似をするというようなことは私は断じて反対する。審議に入ること自体私は不見識だと思う。これは法案のよし悪しではありません。私はそういう意味において反対であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02819530803/8
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009・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) ちよつと速記を止めて下さい。
午後二時二十七分速記中止
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午後三時十二分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02819530803/9
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010・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) 速記を開始願います。私先ほど参考人の点をお諮りいたしましたが、この問題は少し保留いたしまして、只今衆議院議員の足鹿覺君が参りましたので、足鹿議員に対しまして質疑をして頂きまして、続いて政府から内容の詳細を聞いた上で、参考人を呼ぶごとの問題はその際に決定したいと思います。それでは足鹿議員が御出席をされましたので御質疑を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02819530803/10
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011・河野謙三
○河野謙三君 この際衆議院の足鹿さんもお見えになつたようでありますから、一つ特に質しておきたいのですが、御承知のように、先日農業共済の一部改正の法律案について衆参両院異なつた意見が出ましたので、遂に両院協議会まで持つて行かれたんですが、その際の衆議院の罰則規定を削りましたいきさつを伺いましたところ、罰則規定を削つたいきさつは、農業共済が根本的に出直さなければならん段階になつている。而も過去二年、三年に亘つて農業共済についていろいろと一部修正が行われたが、その一部修正は却つて農業共済を抜本的に出直すために、害にこそなれ益になつていない、こういうふうな意味合で抜本的改正について非常に急いでおられる。その結論としてこの罰則規定等の、当座のこれは農業共済の現制度であると考える以上はこういうものはいけないのだ、こういうふうなお考えであつたように承知しておりますが、改めてお尋ねしますが、私はそういうふうに心得たんですが、その私の申上げたいきさつに間違いございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02819530803/11
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012・足鹿覺
○衆議院議員(足鹿覺君) 只今の河野さんの御質問にお答えを申上げたいのです。御承知のように河野さんの御意見に私どもも根本的には一致しておるわけであります。と申しますのは、衆議院は先国会以来農業災害補償法の抜本的改正をやらなければならないというので小委員会も作り、その対策を練つておつたのでありますが、解散になつた。引続き今国会冒頭に小委員会を設けまして、農業災害補償法の抜本的改正をやろうということになりまして、その委員会を前後通じて相当回数開いたのであります。ところがたまたま只今当委員会で御審議になつております農業災害補償法に基く家畜共済の臨時特例に関する法律案が衆議院の農林委員会に付託になりましたので、これは抜本的な改正の問題と深い関連を持つので、全体委員会から小委員会に付託をして慎重審議をやるがよかろう、こういうことになりまして、小委員会に更に又付託されたわけであります。小委員会としましては、直ちに審議を開始いたしましたところ、審議の過程におきまして、この法律は題目の示すように臨時特例の法律であるはザであるにもかかわらず、内容においては実施法的な性格が非常に強いということが明らかになつて参りました。一方同じ家畜を診療しております獣医師会等から、生活権侵害だという強い意見等も、参考人を呼んで検討をいたしました際に、その代表からそういう強い意思表示もありました。従つて小委員会としましても、六人の参考人のうち一人の意見でありましたが、そういう意見があるということは何か問題を含んではしないかというので、更に埼玉県下に委員長を煩わしまして実地調査に参り、日曜日を潰して農業共済団体、又獣医師会、畜主等、たくさん現地でお集まりを願いまして、いろいろと実情を聴取し、且つ実際の診療所の運営等について調査をいたしたわけであります。ところがその結果、確かにこの家畜共済の制度そのものは農民から喜ばれておる地帯もある。又そうでなくて獣医師会と非常な摩擦を起しておる地帯もある。で、この両者を調べて見ましたところが、農民から非常に喜ばれておる点というのは、戦後急激に大家畜の導入が行われたために無獣医村地帯が相当ある。そういうところでは獣医師会との摩擦は全然なくて、診療所は農民のために非常に感謝され喜ばれておるという実情がある。ところがこの家畜共済の制度は必ずしもそういうところのみではなくて、従来から家畜が相当あり、獣医師の開業しているところにも設けられてあるために、そういう地帯においては非常な摩擦が起きていることが判明したわけであります。ところがこの法律案が今国会に提案されるまでに、すでに乙種制度としてこの制度は事実上実験の台に載せてあつた。ところがそのままで行きますと、百万頭を越える実験頭数になるということになりますというと、ますます開業獣医師のほうとの関係が、摩擦が激化する点も憂慮されましたので、いろいろな点を検討いたしました結果、本来の臨時特例たるの趣旨に鑑みて罠施の面も実験法にふさわしい運営をすることが妥当である。その結果、実験の結果どうあるべきかということは追つて結論が出るであろう、現在この法律の名目と農林当局が考えておられる内容というものに相当隔りがあるから、そこにも問題があるので、これは臨時特例に関する法律としてふさわしいような運営に当ることを当局が保証するならば、確約するならば、暫定的な措置としてこれは一応通していいではないか、こういうことに大体の各党の方針が定まりましたので、自由党の足立君からは、御存じのAB、A案、Bl、B2案と三本あつたものを、A案一本にしろという強い附帯決議の案が示されますし、私の私案として、ここに掲げておりまするようなものを中心としたものを私案として出しました。ところが改進党のほうにおきまして、いろいろと討議検討されたようでありますが、いろいろ御議論がありましたので、更に改進党の御意向を取りまとめ方を斡旋を申上げましたところ、大体お手許にありますような一から六までの項目について、農林当局が正式の委員会の席上において確約をして、行き過ぎはやらないということであるならは改進党も了承しようということになりまして、全員がこの附帯決議案で意向がまとまりました。で、この案を小委員会で決定をいたしまして、本委員会に中間報告を申上げましたところ、小倉農林経済局長から、この六項目については遵守して行くという正式委員会においての御確約がありましたので、直ちに会期も迫つておることでもあるし、上げることがよかろうということで満場一致この附帯決議を附して原案を一応通したわけであります。経過はそういう経過でありまするので、決してこのものを通すことが抜本的改正の支障になるというようなことはないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02819530803/12
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013・河野謙三
○河野謙三君 私はこの間の両院協議会の衆参両議院の質疑並びにその結論としてのこれと、今度のあなたのこの家畜共済の法案と矛盾があると、こう思つているんですよ。何かこう今暫定的であるとか、やれ特例であるとか、実験法であるとか言われておりましたけれども、私が承知しておるのは、それが実験法であろうが、暫定措置であろうが、臨時特例であろうが、一切合切農業共済の問題にはもう抜本的に出直すまでは触れないと、で、速かに政府は抜本的改正の案を持つて出直せと、こういう決議だつたように私は承知しておる。これは私の聞き違いじやないと固く自信を持つております。で、そういう決議をされたあとで、又そういう趣旨の決議であつたとすれば、そのあとで日頃最も筋を通すごとには忠実なあなたが、こういう扱いをされたことには非常に疑問があるので、特にあなたに御出席を願つたわけなんだが、この聞の両院協議会の速記録もあるはずですよ。併し私は速記録の一言一句にとらわれて、ここで理窟を言おうとは思わない。併しあなた、あれはあれとして、今度のやつはとにかく実験法である、臨時措置であると、こういうことについては農林省も言明さしてあるのだと、こう言われますけれども、それはどこまでもあなたこの間の決議なり、我々の質疑応答の取交わしと矛盾がないと思いますか。私は矛盾があると思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02819530803/13
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014・足鹿覺
○衆議院議員(足鹿覺君) 矛盾はないと思いますが、丁度参議院が衆議院の切除に反対をされて、あるはなきにまさると、まあ抜本的改正までは、衆議院は削つたけれども、政府原案は一応残してもいいではないかというお気持とそう大した開きはないと思うわけです。それは今私からも申上げましたように、これは所によつては相当獣医師会等との摩擦もあつて、いろいろとかくの批判はありますが、又所によつては農民から非常に感謝され喜ばれておるという事実用ある。これは事実です。従つてこれをいきなり審議未了にして廃案にすることが農民に対して親切であるかどうか、その摩擦があり、農民から指弾を受けるような地帯が若しあるとするならば、それをこの臨時特例によつてどう当局が運営で調整をとつて出るか、いわゆる実験法を如何にうまく運営して畜主の期待に副うような運営をやるか、やらんかということによつて出て来るのではなかろうか、従つてこれがあることが農民に非常に迷感を及ぼすというような事態は今のところ明瞭でない。ただ作物共済の場合と違いまして、例えば地域的に申しますならば、この実験法を要求している地帯というものは、中国、四国の一部、北海道というふうな地帯はこの実験法で速かにやつてくれという声が非常に強い。ところがその地帯の農民の声を聞いて見ると、その地帯によつては非常に感謝され喜ばれておるということはこれは事実であります。従つてこの臨時特例を内容的に検討しまするというと、今でも若干疑義のある点はあります。ありますが、併し全体を通じて水稲その他のような作物共済の場合と、この家畜共済の場合とはおのずから少し趣きを異にしていはしないか、水稲共済或いは農作物等の共済については私も河野さんと全く同様な意見を持つておりますが、その家畜共済の場合は水稲その他の農作物共済の場合とは少し情勢を異にしておる点もあるようであります。これは私が見誤まりであれば別でありますが、実際現地を調査して見ましたり、又参考人の意見を徴して見ましても、そうこれが農民に害のある制度だと断定は付かない。むしろどつちかというと消極的ではあるが、農民からも喜ばれておるという点において作物共済とは少し出所を異にしておるのではないか、そういうふうな点もあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02819530803/14
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015・河野謙三
○河野謙三君 私はこの法案のよし悪しとか、農民が喜ぶとか、喜ばないとか、そういう法案の本質について伺つているのじやないんですよ。ただ私たちはこの間の両院協議会以前、我々の気持としては、この間も罰則規定をああやつて衆議院で削つたものを復活させたようなわけで、どこまでも抜本的な改正は改正と、その間においてやはり修正すべきものは修正し、改正すべきものは改正して行つたらいいじやないかと、これが参議院の従来の方針だつたんですよ。ところが両院協議会後においては、あなたの趣旨に大いに我我は協調してあの附帯決議も同調してだ、そうして一部修正であろうが、臨時特例であろうが、暫定措置であろうが、とにかく衆議院の方針というものは一切手に触れまいという方針であつたから、それに協調したのであつて、我々本来両院協議会に至るまでの参議院の農林委員会の気持は、罰則規定を復活させたような気持であつて、これも勿論私たちはその意帳合において特にこれが実験法である、暫定措置であるということならば、これはこの考え方については少しも異論はないはずなんです。ところがこの間の両院協議会において、あなたのほうの要するに主張というものに大いに同調してああいう決議をした以上、決議の権威にかけても、又それに対して答えた農林大臣の答弁について、私はその後においてこういう扱いをするのはおかしいと、これを伺つているのです。いつどういう理由でそういう心境の変化がおありになつたかということを伺つているのです。心境の変化を私は伺つておる、こういうことなんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02819530803/15
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016・足鹿覺
○衆議院議員(足鹿覺君) 心境は別に変化してないのです。それはなぜかというと、今申上げましたように、これは参議院にしても、抜本的改正のために小委員会を我々と同じようにお作りになつた、又お作りになる腹構えを持ちながら、あの災害補償法の一部改正の監督規定その他の責任規定の強化については御同調になつた。併しそれは同調されたということは、飽くまでも抜本的改正について何ら支障になるものではない。心境を異にしておられるものではないと私どもも信じておる、でありますから、河野さんも、私どもがこの臨時特例を臨時特例らしくやることを当局が確約して、一応私どもは通したわけでありますが、そのこと自体から我々が抜本的な改正について心境を変化したわけでもなく、又変化する必要を認めません。私どもも会期中には継続審査の正式決定をいたしまして、閉会中もおな調査を進めることを方針にしておりますし、これは恐らく満場一致で農林委員会もその方針を御了承願えるものだというふうに考えておりますし、大いに勉強して、皆さんとも連絡をとつて抜本的改正に進んで行きたい。その結果この問題についても関連の上において大きく動いて来るという場合も出て来ましても、我々は何らの躊躇をするものではありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02819530803/16
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017・河野謙三
○河野謙三君 そうすると、最後にちよつと私は念を押しておきますが、今後におきましても、この種の臨時特例的なものが出される場合には、これには衆議院は、明日にも抜本的の改正を控えても、その前日においてもこういうふうなものである。極端に言えばですよ。こういうふうな臨時特例的なものなら審議に応ずる、こういうことですね。それからもう一つは、実検法である以上は、極く地域を限つて局部的に小規模にやる、こういうことですか、そういうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02819530803/17
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018・足鹿覺
○衆議院議員(足鹿覺君) これは第何項だつたか、この附帯決議の第四項ですが、本法が実験法たる趣旨に鑑み、二十八年度旭おいて実験の対象とする牛馬頭数はこれを五十万頭以内とすることというふうな附帯決議を付けております。政府の資料によりますと、大体実施を予定しておつたのは百万頭を越すのです。それでは実験法ではない。もう殆んど大家畜の大産地等は全部やつてしまうことになるのであつて、それであるならば実験法というような名前でなしに、家畜共済の一部を改正する法律案として出せ。臨時特例であるならば、やはり臨時特例らしく、本当に実験する趣旨を実際の上にも現わさなければいかんのではないかというので、これをパーセントで現わそうか、いろいろ検討したのでありますが、各派とも五十万頭というふうに区切つてやることがいいということで、パーセントということになりますると、又そこにいろいろ弾力性が出たり、実験法の趣旨を逸脱したりして、又問題を起してもまずいから、とにかく五十万頭ということに、ここにはつきりと線を引いたわけであります。これらに関しまして、政令等の案も取り寄せて検討して見たわけでありますが、これは政令の中にも出て来んのです。省令の事項が若干あるようであります。そういう点で、大体我々の意のあるところを御了承願えるのではないかと思いますし、それから一の二種類にするということについては、もとの政府原案は三本建であつた。A案とB1、B2と三つあつたわけでありますが、これを二本建にしようということは当局も了承しました。それについては政令の案を取寄せて見ましたところが、政令の中を一、二ヵ所、この点だけを改めて行けばいいということで、大体明らかになりました。大体了承したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02819530803/18
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019・河野謙三
○河野謙三君 私が一番最初に念を押したその趣旨で行けば、今後もこういうふうな臨時特例的なものが引続き出た場合には、これはこの間の決議とは全然相反しないという趣旨によつて、審議に衆議院が応ぜられるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02819530803/19
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020・足鹿覺
○衆議院議員(足鹿覺君) それは将来のことであつて、どういうものが出て来るか知りませんが、この今我々が決定してこちらへ御送付申上げたようは、これとほぼ同様な場合のものが出て来た場合には、やはり同様の考え方で処理せざるを得んと思います。併し全然新たに起きて来る問題について、これは根本制度の改廃について支障を来たすというような場合には、私どもは何らそれの審議に応ずることはできないと思います。併しそれは出て来たものによつてきめなければならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02819530803/20
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021・河野謙三
○河野謙三君 人柄を信じて、私はその言葉だけでは信ずるわけに行かないけれども、あなたの人柄を信じて私はこれで了承いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02819530803/21
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022・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) 他に御質疑はありませんか……。それでは引続いて政府当局から法案の内容について補足的説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02819530803/22
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023・小倉武一
○政府委員(小倉武一君) この臨時特例法案の骨子でございまするが、この臨時特例といたしまして、いわば実験的にいたします目的を申上げます。これは現在死亡、廃用、それから疾病、傷害というふうに、家畜共済の中に別別に二本建になつておりますのを合せまして、死廃病傷ということで、死ぬ場合、それから病気の場合というのを一本建にしようとするために必要な実験的な措置でございます。どういう事柄をこの実験によつて招致しようということでございますが、ほぼ三点ぐらいございまして、一つは、一元化によりまして疾病傷害の共済が普及いたしまするというと、それによりまして疾病傷害の危険率が低下するだろうということが期待されるのであります。この低下がどの程度低下するかということにつきましては、若干の事例がございますけれども、全面的に実施いたしまするとするならば、データーが足りませんので、この死廃と、それから疾病傷害の一元化によります危険率の算定をいたしたい、これが一点であります。第二点は、死廃病傷共済、この一元化をした場合の共済の実施の方法でございます。只今足鹿議員からお話がございましたように、この法案によりまする実施のいたし方といたしまして二通り考えておりまして、一つはA案、もう一つをB案といたしまして、BをBl、B2に分けております。A案と申しますのは、共済給付のうち、薬価、消耗品、こういうものを対象とするもの、Bは人件費等も含めたものを対象とするものであります。Bのうち、全体の共済金額は共済給付のうち八割程度でとどめるものと、六割程度でとどめるものと二通り考えておつたのであります。先ほど足鹿議員からもお話がございましたように、この三本建を整理いたしましてBを一本にする。即ち八割に統一して実施をして参りたい、このように考えております。このAとBのやり方について、果してどういうふうにやつたらよろしいかということについての問題を検討して参りたいというのが第二点であります。第三点は、先ほども御説明がございましたように、この共済制度によりまして疾病傷害の共済掛金が入りますというと、これによりまして獣医師なり、或いは組合の診療所で診療を農家がしてもらうことになるわけでございますが、この場合に、診療所と開業獣医師との協調の問題があるのでございます。先ほど足鹿議員からもお話がございましたような、衆議院の附帯決議にもその点が出て参つておるのでありますが、家畜衛生という点から見ますれば、開業獣医師のかたも、それから組合の施設としての診療所も相協調して診療に十分なことができるようになるべきのが当然でございまするので、その間の協調、協力の方法についての検討を詳細具体的にやつて参りたい、こういうのが今回の臨時特例の大きな狙いの点であります。
次は、この実験によります効果は、以上申しましたような諸点についての基礎資料を得る、将来の検討の材料を供すということのほかに、もう少し越えた大きな目的といたしましては、当初にお話しました一元化によりまして掛金率の低下、従つて農家の負担の軽減ができるという点が第一であります。それから第二点といたしましては、家畜共済が二本建になつておりますために、共済組合等の事務が若干複雑になつております。この点が一元化されれば簡素化されるということが相当期待できるのではないかというふうに考えております。これが臨時特例で以て実験をいたします最終的狙いの第二点であります。現行のこの実験によります予算措置としては、今申上げましたような掛金率の一部低下が予想されるということを見合といたしまして、一元化を実施するために特別会計のほうで共済掛金に対しての一部国庫助成を考えております。金額は三千六百万円程度容あります。これが大体本法案で考えております骨子でございます。それから実験をやる範囲でございますが、これは当初の考え方といたしましては、先ほど足鹿委員が乙種ということで御説明ございましたが、昨年から共済給付について甲種、乙種ということが分けてございまして、乙種につきましては、今回のA種と同じような考え方で実施をして参つておるのでございますが、この乙種を広汎に実施して参つておる地帯、それから又現実に死亡廃用と疾病傷害を一元化するということでございますれば、疾病傷害が相当普及しておるという地帯を選ばなければならんのでございますが、九〇%以上ぐらい普及している、こういう地帯がやはり最も実験しやすいところではないかというのが、これが第二の点でございます。第三といたしまして、全国的に実験をいたして参らなければ困りますので、以上申上げました二地帯以外につきましては、これは全体の組合の極く僅かを選びまして、これに実験をして参る、かようなつもりでおつたのであります。それが先ほど足鹿議員からお話になりました百万頭程度に相成るのであります。実験と称しながら一部実施ということに相成つておりまする点は、これは衆議院でもそういう意味の御説明をしたわけでございまするけれども、本当に臨時特例ということで、実験に限つたほうがよくはないかということでございまするので、衆議院の委員会の結論のように、私どもといたしましては、五十万頭ということが、法案が成立した場合の暁において考えております限度といふうに考えております。
概略でございますが、極く荒筋を申上げますと以上の通りでございます。なお詳細御説明をすべき点が多々あると思いますが、これは御質問に応じていたしたら如何かと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02819530803/23
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024・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) どうですか、A案とか、B案とか、ちよつといま少し説明をして頂くと……。それではお手許にこの説明資料というやつが配付をされておるそうですから、これによりまして保険課長から説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02819530803/24
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025・久宗高
○説明員(久宗高君) それではお許しを得まして説明資料の御説明をいたします。お配りしました資料の中に全部番号が、一番から十四番までふつてございますが、その一番最初に説明資料というのがございます。これを御説明しながら問題点に触れて参りたいと思います。只今政府委員から御説明いたしました通り、実験法の概略は只今御説明のありました通りでございますが、もう少し内容に具体的に触れまして特に特別の臨時特例法案を設けました理由と、それから問題になりました点、特に紛争のあります点、この三つに分けて詳細御説明いたしたいと思います。
先ず説明資料の第一のところを御覧になつて頂きます。ここに掲げましたのは牛馬の自然減耗と農家経済に及ぼす影響でございます。概略の数字を申上げますと、年々牛と馬を合せまして、約五万頭というものが自然減耗いたしておるような次第でございます。そのような結果、酪農地帯におきましては勿論のこと、生産地帯におきましても、農家の現金収入の過半が失われておるというのが現状でございますので、いずれにいたしましても、家畜の共済をここで進めて参る必要があるわけでございます。そこで家畜共済の実績から申上げますと、先ず加入頭数でございますが、加入し得る家畜は約三百万頭と見られるのでございますが、二十七年度の加入頭数は、死亡廃用共済におきましては二百九万頭、疾病傷害共済におきましては九十四万頭になりております。このように死亡廃用共済に対しまして、疾病傷害共済が余り伸びておりませんのは、その次に書きましたように、第一に、農家から見ますと家畜につきまして二種の掛金を払わなければならない、これが非常に面倒であるという面もあり、又あとで申上げますが、疾病傷害のほうにつきましては、現在は掛金が国庫負担がないわけでございます。又これを取扱います組合のほうから申しますと、非常な頭数に及ぶ家畜につきまして、一々全部一頭ごとに別に引受をいたさなければならない。支払も全部書類が違うわけでございまして、これが実際事務上こなせないという問題が現実の問題としてございます。そのために死亡廃用共済に対しまして疾病傷害共済がここに掲げましたような形で伸びていないのでございます。この点を基本的には何とかしなければいかんという問題があるわけでございます。
それから次に第三のところでございますが、どのくらい診療率があり、診療費はどのくらいかかつているかという問題でございますが、牛と馬について見ました場合に、三頁のところでございますが、牛につてまして三〇%、馬は七〇%以上が年に一度は診療を受けておることを示しておるわけでございます。つまり疾病の場合、診療にかかるケースが非常に多いというわけでございます。一回にどのくらいかかつておるかと申しますと、現在の共済では共済金は診療費の九〇%をカーバーしておりますが、牛について申上げますと、大体年間八百円程度、馬は一千円程度かかつているということが言えると思います。そこで以上のような事実に基きまして考えました場合に、家畜共済におきましては、この従来から死亡廃用共済と疾病傷害共済とを何とか一本にして行きたいということが当初から考えられておつたわけでございますが、これは申すまでもなく、農家が非常に気やすく共済にかけられるようにしたいということでございまして、勿論負担の問題も考え、更に手間の問題も考えて、そういうことを実は考えておつたわけでございます。こういうような点が農家の立場から見ました場合に、この二つの今分れておりますものが一本でなされることが非常に便宜がある、農家の面から見ても便宜があるということが一つと、さつき触れましたように、共済団体の側から申しますと、一頭ごとに全部二つの共済の手続をしなければならんというのが一本で扱えるということになると非常に事務も簡素化いたしますし、その全力を以て更に必要な事故防止でございますとか、家畜の飼養管理のほうに力を注いで参れるようなことが望ましいということが考えられるわけであります。又国の畜産政策の側から見ました場合にも、前述のような約十五万頭に近い自然減耗というものを、或いは早期発見、或いは早期診療というようなことの徹底によりまして防止し得る、これも又大きな狙いになるのではないかというふうに考えられるわけであります。ところが第五に掲げましたように、なぜそのようなことが従来実施できなかつたかと申しますと、二つの理由がございまして、一つはこの家畜共済が、疾病傷害を別々に進めました昭和二十二年当時におきましては、町村の約三〇%に当るものが無獣医村であつたわけでございます。従いまして疾病傷害というものを進めようといたしましても、その診療に当るべきものがないという事情にございましたので、すぐそれに取りかかるわけにいかんということが第一点。それから第二点は、家畜の疾病傷害を扱いました場合に、一体どの程度の被害率になるのかという、よるべき資料がなかつたわけであります。この二点によりまして、狙いは一元化したほうがよかろうということなんでございましたが、事実上できなかつたわけでございます。ところが現状におきましては、このイの事情、即ち無獣医村の問題は、その後非常に事情が変りまして、当時その無獣医村を対象にいたしまして、例の共済団体の診療所というものが設置されまして、約一千ヵ所を目標として進めましたところが、非常に希望があつて、それよりも更に進むような状態になつたわけでございます。又同時にその聞海外に出ておられました獣医師のかたがたが帰つて来られまして、そういう点からも埋つて来るということで、現状におきましては一般的に申しますと施設のほう、つまり医者のほうの関係は大体この共済を一偏にやりましても支障がない、むしろあとで申上げますように、地方的に競合するような事情さえ只今出て来ておるような次第であります。こういう点で施設の面から見ても不安がない。又同時に掛金がどのくらいになるかという点を二十二年度やりまして、一応のデーターが出て来ておりますので、大体の見当が付くというところまで参つたわけであります。それでこれを何とかして当初の狙いのように一本にしてしまいまして、そうして農家のほうも非常に便利になるし、又掛金もそれによつて、あとでこれも申上げますが、負担軽減が行われる、又事務も簡素化するということの狙いを以ちまして、この段階において一元化を進めるということになつたわけでございますが、この間直ちにこれを全面的に実施しますにつきましては、まだ十分に料率の問題についても確定的な見通しがないということと、もう一つは開業獣医師のほうと診療所の間に若干の紛争がございまして、これは地域的にはいろいろ度合が違いますが、そういう問題を解決するのに、なお検討を要すべき問題が多々ございますので、それを実験の過程におきまして調整して参りたいということで、約二年間の予定で以て実験をして行こうということに考えたわけでございます。それでこの第六のところに実験の目的と方法が書いてございますが、先ほど政府委員から御説明いたしましたように、第一の狙いは、死亡廃用共済と疾病傷害共済というのを一本にした場合に、今後は一つの料率が出て来るわけでございます。それが両方共一緒になりました場合に一体どういうような掛金になつて来るだろうか。この点はやつて見なければわかりませんので、どうしてもこれは一つの実験が必要になつて参るわけでございます。即ちここに法律を以ていたしましたのは、現行制度と異なる方法を以て権利義務が生じて参りますので、それを別の特別法によりまして或る方式を実地ゆ当つて見る。その結果出て来たデーターによりまして、従来二つに分れておりました死亡廃用共済と疾病傷害共済を一本にした場合どういうふうな料率になるかということを検討して見たい、こういうことでございます。この点が、基本問題としての関連も先ほどお話が出ましたが、基本問題において或る方策が付きました場合におきましても、そのときからすぐ取りかかれない。やはり或るデーターがそこに出ておりませんと、そういう乗り移りもできないと考えられますので、一応現在の制度よりも合理的であるということについて、データーをまとめておきたいというのが実験の第一の目的でございます。その結果、今確定的には申上げられませんが、少くともいきなり死亡廃用共済という問題の前に、疾病傷害共済、つまり、病気をしたり、傷を受けたりいたしました場合に、或る手当が付いて、その結果或る者は治る、そういう結果死亡廃用共済のほうの率が恐らく下るであろう。その結果もつと安い掛金で一本でやることができるのではないかという見通しを、或る程度でございますが、持つておるわけでございまして、それを数字的な確定的なものにいたしたいというのが実験の狙いでございます。従つて実験の規模もそういう形で、やかましく申しますと、こういうデーターで料率を変えても大丈夫という程度の実験の調査は比較的必要になつて来るというふうに考えておるわけでございます。それから第二の狙いといたしましては、先ほど局長から申上げましたように、従前と若干事情が変つて参りました結果、開業獣医師のかたと共済の診療所の関係が地方的には非常に問題を起しておりますのでこれを実験の過程でどう調整して参るかという問題でございます。
そこで具体的に方法の御説明に入りますが、只今お配りしました資料の中で資料の5と6を先ず御説明いたします。これの中で殆んど問題点が尽きると思います。それから資料の7、8、9はこれは要綱、法律案、政令、省令案でございます。それから10は現行制度との相違点、それから11が農家が負担すべき掛金の例、即ちこの実験によりまして、農家負担がどのくらい減るかという問題でございます。それから12番は、この予算の裏打ちの問題、それから13番は衆議院におきます審議の過程において(「ちよつと待つて下さい。この資料のどこにあるかわからない。」と呼ぶ者あり)このあとにお附けしまして資料に全部番号が打つてございますので、…。それから14番が最後に、先ほど足鹿委員のほうから御説明がありました附帯決議の内容でございます。
先ず一番問題になります実験の内容でございますが、資料の5を見て頂きたいと思います。資料の5といたしまして、こういうようなものがお配りしてございます。これは現行制度と実験案とはどう違うかというものを図示したものでございまして、現行制度におきましては、家畜共済制度は三つのことをやつております。即ち(イ)は死んだり廃用になつた場合の共済、これは義務加入制をとつております。つまり総会で決議いたしました場合に皆入るという制度でございます。それから疾病傷害共済、病気になつたり負傷したりした場合の共済、これは任意加入でございまして義務加入制はとつておりません。それから生産共済といたしましては、これは胎児から幼畜までの間をこれで繋いでおるわけでございます。即ち胎児から死んでしまうまで全部この生産共済においては保障してやつておるわけであります。それについての実際の方法でございますが、現在の死亡廃用共済におきましては、先ほどもお話しましたように、この死亡廃用共済と疾病傷害共済とは全然別にやつておるわけでございます。それを実験案におきましては一本にしてしまう。一本の死廃病傷害共済という形にいたしまして、実験をして参りたいということを考えておるわけでございます。そこで起つた違いを申上げますと、現在の死亡廃用共済の関係、疾病傷害共済の関係を死廃病傷共済にいたしました点、この点は同様でございます。従来と変りはございません。現在やつております死亡廃用共済の共済金額の最高は評価額の八〇%ということをいたしておりましてそして掛金の国庫負担がございますが、これは或る最低の線をきめまして、その二分の一までは国が持つてやろうという形灯なつて参つております。つまり死亡廃用共済につきましては、或る最低の共済掛金に対する……、共済金額に対する掛金の半分は国が持つているわけでございます。併しながら疾病傷害共済につきましては、これは義務加入制をとつておりませんし、掛金についての国庫負担は全然ないわけでございます。そういたしまして、同時にここに共済金額が甲、乙と分れておりますが、これはあとで又詳しく申上げますが、現在のところは、例えば乳牛について申しました場合に、年間二千円というのが枠でございまして、何回か診療を受けておりますうちに、その金額が二千円をオーバーするというところになりますと、そこで共済は打切られてしまうわけでございます。つまり年間の総枠があるわけでございまして、この点が農家のかたから見ますと、どうも工合が悪いというお話が出ているわけでございます。それで国庫負担がない、これが現状でございます。これに対して実験案におきましては、現在我々が持つておりますデーターによりましても、疾病傷害のいろんなことが進みますと、自然死亡廃用のほうに影響がある。つまり死んだり廃用になつたりする率が減るわけでございます。そういう意味から、若しこれが並行して行われるならば、相当死亡廃用のほうの危険率が減るだろう。これは現在程度のデーターでも或る程度それが言えますので、現在とつております死亡廃用共済の掛金が支払に充てられます場合に若干余剰が出るだろう。その部分を補助として返しまして、疾病傷害共済の部分についても掛金の補助ということをいたして参りたいということを実験と同時に考えておるわけでございます。即ち両者が一本で進めば死亡廃用の率が減るだろう。その率で以て実験の場合に補助して行きたい。疾病傷害の場合に国庫負担ということを持出します場合に、人間の健康保険との関係が出まして、そういうことになりますと、いろいろうるさいことがありますので、同じ特別会計の中で処理ができますので、そういう国の補助を考えてもできるだろう。即ち疾病傷害の場合も死亡廃用の場合と同じように、或る最低の二分の一程度は補助して行きたいということを考えておりまして、金額にいたしまして約三千六百万円の予算を組んでおるわけでございます。又同時に一本やる際に違います問題は、先はど現行制度のところで乳牛の例で申しましたが、二千円で頭打ちだと申しましたが、今度はそういう年間幾らという枠を設けないで行こう。即ち一事故の枠は設けるといたしましても、何回かかつてもいいということにいたしたい。そういたしますことによりまして、農家のほうとすれば一回の事故についての枠はございますが、年間何度かかつても共済が打切られることがない。こういう方法をとりまして、いわばそういう意味の無制限給付をやつて見たいということを考えておるわけでございます。又国庫負担につきましては、先にお話しましたように、死亡廃用のほうで余るものを予想いたしまして、それで国庫の補助をして行きたい、掛金の補助をして行きたいということを考えております。こういうような仕組でやるわけでございますが、特にこの案につきまして、いろいろ開業獣医師の人と問題となりました点、特に難点の出ました点につきまして申しますと、その次を一枚めくつて頂きたいと思います。そこが実は問題になつておるところでございます。これは具体的に農耕牛の例を取つたわけでございますが、左のほうは死亡廃用に関する部分、右のほうは疾病傷害に関する部分、こう分れます、これは今後は一本になるわけでございますが、便宜内容がわかつて頂きます意味で二つに分けたわけでございます。死亡廃用の点から申しますと、農耕牛で共済金額が二万円の例を申上げますと、国庫負担は農耕牛につきましては一万六千円までですが、半分までは国が見てやろう。一万六千円の半分までは国が見てやろうという考え方をとつております。先ほど申上げました最低の部分というわけでございます。そういう計算から申しますと、農耕牛の場合、死亡廃用の行き方では国庫負担が百四十六円ございまして、農家負担が二百十八円、掛金にいたしましてそういう形になります。で、この方が仮に四万円の金額で入るといたしましても、国庫負担の分は同じでございまして、つまり一万六千円に対する部分だけ、その半分について国庫負担があるという行き方をとつておるわけでございます。こういう形について最低の部分について死亡廃用の国庫負担があるわけでございますが、これに対して現行制度におきましては、疾病傷害については全然国庫負担がない。それで今度のやり方につきましては、その疾病部分と書きましたように、右の下のほうの部でございますが、二つの種類のものを設けて見よう、さつきA案とか、B案とかいうお話が出たわけでございますが、左のほうの図がA案でございます。つまり診療費のうち、薬価、消耗品費のみを対象とするもの、それから右のほうは診療費の八〇%を対象とするもの、こう二つに分けて、この二つの行き方を疾病傷害部分についてはとろうというふうに考えているわけでございます。
そこでこの図の御説明に入ります前に、お手許に配つております。六番の図を見て頂きたいと思います。なぜこのように二つに分けなければならないかという理由を御説明したいと思います。六と番号を打つた「国民健康保険と家畜共済の診療給付方法の比較」というものを御覧願いたいと思います。実は開業獣医師のほうから、よく国民健康保険と全く同様なやり方でやつてくれというお話が出るのでありますが、こういう方法をとれない理由も、これによつて御説明いたしたいと思います。左のほうに書きましたのが健康保険組合の行き方、右のほうが家畜共済の場合の行き方であります。で、国民健康保険の場合を申上げますと、これは市町村単位になつておりますので、組合員のほうは先ずその市町村の国民健康保険組合に保険料を納めるわけでございます。そこで納めますが、国民健康保険組合におきましては、全部この組合単位で一切合切賄う形になつておりまして、その他の再保険といつたものの繋がりは全然ないわけであります。そこでここに書きましたように、病気になりました場合、組合員のほうは、例えば開業保険医にかかるかたは、診療費の五〇%はその都度自己負担をしなければなりません。併し再保険もございませんので、給付限度をこの程度にいたしませんと、組合としては持てませんので、掛金はとりますが、その都度診療費としては五〇%その都度組合員からとる。その代り組合としてはその開業保険医に五〇%の診療費を払う。それによつて一〇〇の実際の診療ができるという形になるわけであります。こういう恰好をとつておりますと、開業保険医の場合でも、組合が直営で診療所を持つ場合でも同様になりまして、掛金は同じものが組合にかかつておりまして、直営診療所でいたします場合でも、診療費は、その都度五〇%程度は自己負担になる。あとのものは、薬価、消耗品費といつたものは組合のほうから参りますが、やはり同時に組合員からもその都度診療費をとるという形をとつて、これで運営されますので、全くやり方は同じようになるわけでございます。それから又医者のとられる金も点数その他によつて全部きちつときまつているわけであります。ところがこういう形が家畜共済についてとれません理由があるわけであります。と申しますのは、先ず組合員の負担から申しますと、この上のほうに、共済組合から連合会、連合会から政府へと、保険、再保険と繋がつておりますが、現在のようなやり方では、連合会と国との再保険の割合は、連合会が三、それから政府のほうに七というように、三対七という形で、七の分が政府のほうに再保険にプラスするのであります。即ちこれだけ大きなプールを後のほうに持つておりますのは、個々の農家のかたが疾病傷害にその牛をかけます場合に、その都度自己負担を出すことは非常に困難である。従つて成るべく大きく保険給付をいたしたいという考え方から、こういうような大きな政府の再保険と繋いでいるわけでございます。従つてこの例で申上げますと、組合員のほうは先ず掛金を八十というものをかけておきました場合に、その八十の掛金は共済組合から連合会にはそれぞれ保険として上りまして、それから連合会から政府に対しましては、さつきの七割、七かける八、五十六というものが再保険料として政府のほうに入つてしまうわけであります。そして若し事故があれば、政府のほうから再保険料として五十六が下つて参ります。それで連合会の三割の負担と合せまして、診療費として八十のものが開業獣医師のほうに入るわけでございまして、そのときに払わなければならないのは、二十が診療費としてそのときに負担するという形をとつております。これで御覧になりましても、約八〇%の保険が得られるわけでありまして、健康保険のほうと比較いたしますと、その保険の給付の内容が、よほどこのほうが充実しているわけでございます。つまりこういうことができますのは、要するに後ろに政府の大きな再保険がありまして、それによつて給付ができるということになるのでございます。ただこの場合に非常に困りまするのは、共済組合で、先にお話の出ましたように、無獣地帯で診療所を作つたという場合、或いはいろいろ費用が、仮に開業獣医師のほうとの関連で、もつと安く何とか組合でやりたいといつた問題もあるわけでございますが、そういつたような意味も含めまして、診療所が組合員によつて作られました場合を考えますと、若し健康保険のように、その市町村の組合で全部が賄え得るならば問題はないのでありますが、従来の行き方で参りますと、全部がとにかく組合に金が先ず入りまして、それが連合会、政府というふうに、上のほうに上つて行つてしまうわけであります。その結果若し事故がございませんと、その金は下りて来ないわけでございます。ところが診療所といたしましては、当然年間の経営費というものは事故がなくても必要なわけでございまして、そういうような部分が事故がないと下りて来ない、従つて診療所が非常に事故防止その他のために努力いたしました場合に、結果においては自分で自分のほうの首を締めてしまうような形になるわけであります。これは結局どこがおかしいかと申しますと、薬価、消耗品費のように、その都度要るものは確かに保険の対象としていいわけでございますが、経営費のような、その都度ということではなくて、年間を通じまして計画的に要るものまでが掛金の形で、従来上のほうに上つて行つてしまうというのがおかしいというふうに考えられるわけでございます。そこでこういうような形で、上のほうに繋いで参りますのは、先ほども申しましたように、末端の組合員に対する給付をよくするために再保険をしているわけでございまするから、そういうものは生じながら、且つ現実にはその都度要るものは保険にかけるか、経営的に要るものはその保険の枠から外して行こうという考え方をとらざるを得ない。この仕組から申しますと、とらざるを得ないということから、あとで申上げますA種、B種というものを考えて行こうということを思い付いたわけでございます。又同時に医者のほうで、人間の関係で申しますと、一応常識化されまして、点数できちつときめてしまうということもできるのでございますが、獣医関係におきましては、個人的な技術の差が非常に出て来ますので、国民健康保険のように、点数できちんと上のほうを切つてしまうというようなことでは実情に即しない、或る程度自己負担をしてもいいかたにかかりたいという農民の希望もあり、そういう点から我々といたしましては、従来点数で全部一律に切つてしまうというやり方をしておりませんので、その点がこの国民健康保険の行き方と違うわけでございます。以上のような仕組になつておりまして、要するに政府の再保険によりまして、給付の内容を充実したいと考えた場合に、どうしても診療所といつたような方法をとりました場合に、その経営費の大部分を切離すという必要が出て来るというところに問題の焦点があるわけでございます。
そこで元に返りまして、5の先ほどの図に返りますが、そういうような考えから、ここにA図とB図を設けたわけでございます。A図と申しますのは、疾病部分のところにございますように、診療費のうち薬価、消耗品費のみを対象とするもの、それからこれは主として診療所地帯においては、こういう行き方のほうが適合するだろう、それから又B図と申しますのは、診療費のうち薬価、消耗品費というふうに限定いたしませんで、現在の診療費の八〇%を対象とする行き方をとる。これは主として診療所地帯でないところに適合する方法だろうと考えるのであります。大体今までのデーターから見ました場合に、全体の診療費のうちの四〇%程度が診療費のうち薬価、消耗品費に相当する部分と考えられますので、その四〇%程度のところに限定いたしましたものと、それから只今言いましたように限定しないものと二つを作りまして、その両者を組合員によつて自由に選ばせようというのが今度の一元化の行き方でございます。と申しますのは、この5の最初の頁のところに、現行制度としまして疾病傷害共済につきましては、甲として乳牛については二千円、乙種としまして八百円というのが載つております。共済金額のところですが。これは昨年末試験的にやつて見たわけでございますが、ちよつとこれで計算いたしますとわかりますように、甲を百としまして乙の行き方というのは二四が八、つまり八百円、四〇%のところ、つまり薬価、消耗品だけを対象とする共済というものをやつて見たわけでございます。併しながら、これは主として組合の決議によりまして、その組合員が甲か乙かを決議によつてとるといつたような方法をとりましたけれども、結果においては組合員個人の獣医師の撰択の自由を奪うような形になる、こういうふうな経緯がございまして、こういう点は非常に困るというような御意見が開業獣医師のほうから強くあつたわけでございます。これは誠にその通りでございまして、組合員から見ましても組合の施設より非常に遠いようなところにある組合員のかたは、無理に金を出している結果、診療所でなければ損であるということで診療所にかかつてしまうというような形になつてしまうということもまずいと思いますので、こういう点を甲乙という形で処理いたしませんで、二つの制度をAとBというものを設けておりまして、これを組合で行うという場合におきましても、個々の組合員が、私は都合がいいからAをとるとか、開業獣医師のほうにかかつたほうが都合がいいからBをとるというような個々の撰択の自由を認めて参りたい、こういう考え方からAとBを作つたわけでございまして、この組合員の個々の撰択応任せるということを考えているわけでございます。その結果、従来の診療所の行き方で当初はよくても、非常に特権的な形になつてしまつて、十分組合員にサービスしていないというようなところでは、あまり組合員がA種を選ばないというような事情も起り得るわけでありまして、そういうふうなことによりまして組合の診療所としてのあり方も検討しなければならんというような問題が出て参るわけであります。又同時に個々の組合員で非常に遠いというようなかたが、組合の決議に縛られることなしに開業獣医師のほうを選ぶという途も開こう、こう考えているわけでございます。そういうためにA種、B種というものを考えたわけでございまして、極く概括的に申しますと、診療所が普通に営まれているところにおきましては、恐らくAのような形をとろうし、診療所のないようなところではB種をとると考えますが、仮に診療所があるところにおきましても、なお且つ個々の個人としてはBをとるというかたも出て参る、それでいいのではないかというふうにも考えております。その場合組合といたしましては、先ほど申しました全体の、従来考えておりました診療費のうち四〇%の分、即ち薬価、消耗品の部分だけが保険にかかりますから、これは事故が起りますれば、当然そのときに使つたものでございますから、上から保険で下つて来る。それで組合の診療所の経費に当てたようなものは保険として別にとりまして、その部分を補いまして、現実の診療が起りました場合は、農家はそのときの負担は要らないで、年度当初に賦課金を納めておきますと、そのときには全くそのときの負担はなしに診療の給付を受けられるという行き方をとりたいと考えているわけでございます。これが全部の組合員から賦課金を一律にとりまして、そうしてやる方法はどうかといつたような御意見も出たわけでございますが、そういうふうにいたしますと、これは非常に小さな保険のプールになつてしまいまして、到底そういうことはできない。従つて再保険というものはやはりその関連において考えた場合に、今申しましたように、診療所としましては一応個々の組合員がどれだけ希望するかという推定によりまして、この負担金をとつて実際の運営に当てて行くという方法をとりたいと考えているわけであります。ただ当初政府でも出しました案に特別賦課金ということが書いてございまして、何か共済団体の診療所の非常な特権であるように誤解を受けましたので、その点は衆議院でも問題になりまして、その名前は外したわけでございますが、ただ我々がその特別賦課金というのを入れましたのは、こういう形で従来掛金の中に入つておつた経営的な部分を外しました場合に、診療所が十分なサービスもしないで、ただ賦課金がとれるというようなことになつて、余計な金をとるというようなことになつてはいかんと思いましたので、大体従来の掛金の中から経営費と見られる部分に限定してしまおう、むしろ頭を抑える意味で特別賦課金というふうに申しまして、その経理も別にいたしたいと考えたわけでございますが、非常に誤解もありましたので、衆議院の附帯決議でもございますように、名前を変えまして、併しながら質実上その金額の頭を抑えるということは、やはり省令で規定するというようなお話も出ておりますので、そういう取扱いにいたしたいと考えているわけでございます。
大体以上申しましたところがこの法案の特に争いになりましたポイントでございまして、選択の自由というものを奪わないで、而も二つの行き方、特に再保険というような裏打を以て農家に対する十分な給付をやつて行こうという場合に、一応形としてはこういう二つの行き方を併用せざるを得ないかと考えているのでございますが、ただそれの残ります問題は、案施の過程におきまして、いろいろ間違つた事態が起りました場合、いろいろ紛争も起つてはいけないというような点が問題だろうと思います。特に従来はこういうような制度ができておりませんでしたので、開業獣医師と共済との間にいろいろ地方的に摩擦が起りました場合に、それをオフイシヤルに解決する機構がなかつた、今度の法案におきましては、中央には今度中央審議会がございますし、又地方にも審議会がございますので、その中に開業獣医師の代表のかたもお入り願いまして、特にこの法律の運用についての重要な事項については、具体的にそこで話合を付けながら進めて参りたい、こう考えております。そうしないと、個々の地域におきましては、全国どこでも紛争があるということではなくて、非常に地方的に問題が違いますので、一律には処理ができませんので、そういうような紛争がありました場合ば、正式に審議会においてその内容を検討できるような行政的な態勢をとりたい、そういうことによつて従来摩察を生じております開業獣医師との調整をとつて参りたいと考えているわけでございます。
大体以上が案の内容でございまして、具体的にどのくらいの掛金の国庫負担があるのかということは資料の十一を御覧頂くとわかります。乳牛の例その他の牛の例でここに害いてございますが、国庫の補助といたしましては、乳牛の五万円の例で申しますと、補助が四十円程度ということになります。それからその他の牛の例、これは二万円の例で申しますと約二十七円、それから馬の例で申しますと約百九円ということになります。こういうものを総計いたしまして、現在の予算に組んでおりまするのは約三千六百万円程度のものが、こういう補助という形で出るということになります。それからその予算の内容は十二の資料の中に附けてございますが、更にもう一つ附加えておきたいのは、五十万頭という数字が衆議院の附帯決議で附いておりますが、当初私どもといたしましては、百万頭というものを考えておつたわけでございます。その考え方は、実験の結果、量について或る決定的な数字を言えるようにということが一つと、もう一つは、現に甲種、乙種というような行き方で紛争を起しておりますところもございますので、そういうところを主体にいたしまして、その調整を行なつて参りたいという二つの意図があつたわけでございます。併しながら衆議院におかれましても、それも必要だろうが、やはり実験の趣旨という点を特に厳重に考えるべきであるという趣旨から五十万頭という数字が出たわけでございまして、これは現在のところ家畜の共済の料率が大体郡単位にきまつて来るわけであります。郡単位にきまりますから、又診療所の活動範囲もそれに近い形になりますので、郡単位に数字が出て参りませんと、それで以て全体を押すことが非常にできにくい、そういう考え方から、最小限度今後の料率をきめますのに、統計的に要請される最小限度の数字をきめて参りますと、五十万という数字が出ましたので、そういう点をお話しまして、大体五十万という数字が出たわけであります。一応以上のようなことになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02819530803/25
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026・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) ちよつと速記を止めて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02819530803/26
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027・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) 速記を始めて頂きます。それでは、政府当局から詳細な説明を聴取しましたが、本日は時間も大分過ぎておりますので、明日は引続いて先ほど申上げました三名の参考人を呼びまして意見を聞きまして、なお御質問があれば御質問を願つて、大体のところで小委員会のほうに本法律案を付託をして審議を行うということで御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02819530803/27
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028・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) 御異ないと認めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02819530803/28
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029・川口爲之助
○川口爲之助君 会期が延長になりまして大分好都合になつたのでありますが、なお提出法案はたくさんございます。会期中に議了し得るかどうかわからないのであります。この延長期間内に農林大臣の出席を求めまして、一般農林行政に対する御意見を承わりたい、こう考えておりますから、その機会をでき得れば作つて頂きたい。勿論これは委員の皆様の賛成を得なければならんのであります。会期中にそうした機会を一つ作つて頂きたいということを希望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02819530803/29
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030・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) 今川口委員から御発言がありましたが、その前に、この法律案の進め方については御異議ないと認めまして、さよう取計らいます。
なお只今の川口委員の御発言でありまするが、実は本日も農地問題その他につきまして農林大臣の出席を求めておりますが、遺憾ながら本日はむずかしいそうでありまするが、先ほど農林大臣としては、是非とも農林委員会にもつと積極的に出席を頂きたいという各位の御要望がありましたので、委員長からできるだけ早い機会に、又成るべく時間をたつぷりとりまして、すでにあげられております農地問題、或いは肥料問題その他一般の農政問題につきまして意見を聞く機会を作るべく努力いたします。それでよろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02819530803/30
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031・松浦定義
○松浦定義君 先ほどから農林大臣の出席がないのでどうかと思つていましたが、今日も今の委員長の報告ですと、今日は全然出席ができないというような様子のようですが、若しそうだとすれば、できるだけ早くと言いましても、明日はごの議案の審議状況でありますと、恐らく不可能でないかと、こう思うのですが、明後日という線をはつきりできるかどうか。それから川口委員からの御希望もありましたが、会期が相当長いかのように思いますけれども、明日が駄目で明後日というふうなことになると、余すところ幾らもないということになつて、別な法案の審議も又問題になつて来ると思うのですが、そういう点を一つきめておいて頂かないというと、自分といたしましても、先週から要求いたしてあるので、いろいろの関係上から、そう簡単にここで延ばされたことが、自分の個人的な責任においても必ずしもよい結果ではないという点もお互いにあると思いますので、明日駄目であれば、明後日は必ずというようなことを、一つあらかじめお聞取り願つてお決定願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02819530803/31
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032・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) それでは今お待ちを頂ければ、すぐさま連絡をとりまするが、明日の午前十時から開会の予定でありますが、開会の際までに、少くとも明後日までに相当時間を割いて出席を願うという連絡をとりまして、何分の御返事をするということで如何でしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02819530803/32
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033・松浦定義
○松浦定義君 実は先ほど衆議院のほうからも、こちらへ農林大臣が来ておるのではないかというようなことで、農林委員会が休憩になつたとか、何とかということを言つておるようなことで、こちらから言えば向うでやつている。向うから言えばこちらでやつている。而も本当のことはどうかというと、岡崎外務大臣の不信任案が上程されているので出られん。少くとも五時半頃までかかるということであるそうですが、岡崎外務大臣の不信任案は何も農林大臣が聞いておらなくたつて、採決のときに入ればいいと思うのです。その採決の場合も私たちは何も岡崎外務大臣の採決については、私どもはこの延長になつた関係から、特に私どもの会派としても、保利農林大臣が一人おつてもどうかということについては、そんなに私はこの委員会が再々に要求しておるにかかわらず、曲げてそこにおらなければならんということではないと思うのです。そういう意味から言うと、どうも先ほど河野委員も申されましたように、不成意極まる。若し大臣があの中に入つておつて、それでこれだけの期間を延ばされたということならば、やはり私どもとしては別な面から言分があるので、一つ筋を通して大臣は大臣らしく、まあこれほど強い要求があるのであるならば、そのために行つておるという事実がはつきりした限りにおいては、まあ今になつてからはやむを得んと思いますけれども、今後そういうようなことのないように、あらかじめ委員会を中心に考えてもらつて、党の問題とか、或いは政府関係の問題でそういう問題のためにということがないように、一つ十分政府においても善処されるように委員長から厳重に申入れして頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02819530803/33
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034・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) 承知いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02819530803/34
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035・河野謙三
○河野謙三君 私はこの際特に農林経済局長なり、その他農林省からおいでのかたから大臣に伝えてもらいたい。今まで政府が提案した法律案で、農林大臣は何回ここに来られました。我々は徒らに農林大臣をここに引張り出そうとは思わんけれども、少くとも農林大臣が責任を以て審議を要求しておる法律案に対して、最初から終いまで一度も顔を出さない。而も今まで審議した法律案数種の中には、農林大臣が顔を出さないで審議したのが多いいんだ。それで本会議というが、本会議は形式的に出ておるに過ぎない。我々は徒らに議事の進行を妨害しようとは思わないけれども、この点ははつきりこの委員会に大臣が出て来て、今のはもう数日前からの要求もあることなんですから、又今川口さんからも要求があるのだから、一応農林大臣がここへ来て、冒頭に我々の質疑に答えるまでこの審議をお断わりするということにしようじやありませんか。実際そういうことにしなければ審議できませんよ。私の意図するところは、決して徒らに審議を延ばそうというのじやないので、そのくらいにして審議しなければ駄目ですよ。だから我々はそういう意味において、明日冒頭に大臣が出て来るまで審議をしないと、何も今日要求して明日出ろというんじやない。もう数日前から要求しているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02819530803/35
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036・小倉武一
○政府委員(小倉武一君) 只今の委員会での皆さん方の御発言の趣旨、私どもよく聞いておりましたですから、御趣旨のほど十分大臣にお伝えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02819530803/36
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037・河野謙三
○河野謙三君 どうです。この際各委員に諮つてもらいたいと思う。大臣は来ないでも、お伝えはしてもらうんだ。伝えてもらつてもその返事は聞いておるわけじやない。伝えただけで来ないと言つたときに、明日からやるときに順次に審議を進められますか。過去において数時間、数日出ているのならやむを得ない。過去において何時間出た。ものの一時間と出ておりませんよ、この委員会に……。そんなあんた大臣ありますか。私は議員生活過去四年経験があるが、その間に総理大臣は一遍も会つたことがない。参議院をなめちや困りますよ。だから大臣の来るまで審議に入るか入らないかきめてもらいたい。落着いて施政方針をやつたことがないじやないか。この間の吉田さんの施政方針でおおむね了承する、併しあと二つばかり附加える、事務当局の書いた原稿をそのまま読んだ、それつきりじやないか、そんな施政方針てあるものか。このことについては、如何に与党の諸君でもこのことについてば言えないと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02819530803/37
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038・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) ちよつと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02819530803/38
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039・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) 速記を始めて下さい。
では暫らく休憩をいたします。
午後四時四十五分休憩
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午後四時五十五分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02819530803/39
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040・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) 休憩前に引続き委員会を開きます。ちよつと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02819530803/40
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041・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) 速記を始めて。本日はこれにて散会いたします。
午後四時五十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101614988X02819530803/41
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