1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十九年三月一日(月曜日)
午後一時五十一分開議
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議事日程 第十四号
昭和二十九年三月一日
午前十時開議
第一 特定海域における漁船の被害に伴う資金の融通に関する特別措置法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X01419540301/0
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001・河井彌八
○議長(河井彌八君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。
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002・河井彌八
○議長(河井彌八君) これより本日の会議を開きます。
この際お諮りいたします。西川甚五郎君から、病気のため十五日間請暇の申出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X01419540301/2
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003・河井彌八
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。よつて許可することに決しました。
─────・─────発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X01419540301/3
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004・河井彌八
○議長(河井彌八君) この際お諮りいたします。
去る二月二十三日、内閣から、予備審査のため送付されました補助金等の臨時特例等に関する法律案を審査するため、委員二十五名からなる特別委員会を設置いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X01419540301/4
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005・河井彌八
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。よつて補助金等の臨時特例等に関する法律案の審査のため、委員二十五名からなる特別委員会を設置することに決しました。
本院規則第三十条により、議長が選定いたしました特別委員の氏名を参事に朗読いたさせます。
〔参事朗読〕
補助金等の臨時特例等に関する法律案特別委員
青柳 秀夫君 伊能繁次郎君
石井 桂君 黒川 武雄君
剱木 亨弘君 榊原 亨君
高橋 衞君 松平 勇雄君
横川 信夫君 吉野 信次君
上林 忠次君 島村 軍次君
高橋 道男君 常岡 一郎君
三木與吉郎君 小笠原二三男君
竹中 勝男君 成瀬 幡治君
三橋八次郎君 永井純一郎君
松永 義雄君 寺本 広作君
武藤 常介君 千田 正君
鈴木 強平君
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006・河井彌八
○議長(河井彌八君) 日程第一、特定海域における漁船の被害に伴う資金の融通に関する特別措置法案、(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
先ず委員長の報告を求めます。水産委員会理事千田正君。
〔千田正君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X01419540301/6
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007・千田正
○千田正君 只今上程されました特定海域における漁船の被害に伴う資金の融通に関する特別措置法案の水産委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。
先ず提案理由を申上げます。去る昭和二十七年一月十八日、李承晩韓国大統領は、韓国周辺の広汎な海域に亘つていわゆる李承晩ラインなるものを設定し、主権を行使することを宣言したのでありますが、更に、昨年九月八日、このライン内に出漁する我が漁船に対して拿捕、抑留の非常措置をとることを声明し、不法にも爾来多数の我が漁船を捕獲、抑留し、両国国交の大問題を惹起しておることは皆様すでに御承知の通りであります。この事件による我が漁船の被害は、平和発効後から今日までに捕獲、拿捕、抑留されたもの五十二隻に上り、このうちには政府の監視船一隻も含まれております。これらの漁船はいずれも正当に操業又は航行中に拿捕されたものでありまして、乗組員の大半は幸いに帰国することができたのでありますが、なお若干抑留者を残しており、一方拿捕された漁船は一隻も返還を見ておりません。かような事態を解決する方途としては、できるだけ速かに日韓会談を再開し、両国が合理的基礎に立つて漁業協定の締結に努力することが根本でありますが、まだ会談再開に至りませんので、先ず国内的に被害漁民を救済する意味において、捕獲された漁船の代船の建造を容易にし、生業を再開させることが緊要となつて参つた次第であります。
以上が提案理由の大要でありまするが、この政府原案の主なる点を簡単に申上げますると、先ず目的でありまするが、この法律案は、昭和二十七年四月二十八日、即ち講和発効の日から昭和二十八年十二月三十一日までの間に、政令で定める海域において漁船が正当に操業又は航行中捕獲、拿捕又は抑留されたため、その漁船の所有者が代船を建造し、若しくは取得し、又は他の漁船を漁業転換のために改造するのに必要な資金を公庫から借受ける場合のその融通を促進することを目的としておるのであります。第二点は、被害漁船所有者が漁具を取得するために必要な資金を融通する特例。第三点は、代船建造資金の貸付利率を年五分五厘とする特例その他を規定いたしております。この政府原案に対しまして、衆議院では修正議決して参りました。その修正点は、第一条「この法律は、昭和二十七年四月二十八日から昭和二十八年十二月三十一日までの間に、」とあるのを、「この法律は、昭和二十七年四月二十八日からこの法律施行の日の前日までの間に、」と修正して参つたのであります。これは本年一月以降、新たに二隻拿捕され、更に今後本法施行までの間に拿捕されるものがないとは保証できませんので、かように修正を加えたと衆議院側の説明があつたのであります。
次に、本法案の裏付となります資金計画について簡単に申上げますると、講和発効後から昨年十二月末までに拿捕されたもの五十隻で、このうち事業主体の千トン以上の漁船を所有し、三百人以上の従業員を使用しておるところのいわゆる資本漁業に属するものは九隻ありまするが、これは開発銀行から融資することにしておりますから、本法案の目的に該当するものでありません。本法案に該当するものは四十一隻であります。その所要資金は木船二億四千百余万円で、融資率は八〇%、鋼船八千二百五十万円で融資率が六〇%、漁具六千二十万円で融資率が八〇%で合計二億九千九十万円余であります。これに本年一月以降に拿捕された二隻分千三百万円を加えると、三億三百九十余万円で、この所要資金は本年度と来年度と両年度に亘つて確保いたすことになつております。
さて、以上が本法案の大要と資金計画の内容でありまするが、委員会におきましては、各委員と当局との間に活撥なる質疑応答が重ねられましたが、その大要を申上げますると次の通りであります。
論議の中心となりました点は、「本法案は、韓国に拿捕された漁船だけに適用されることになつているが、これと同様な条件の下にある他の各国に拿捕された漁船に適用されないことは極めて片手落ちではないか。本年二月十九日現在で拿捕されたまままだ帰らない漁船は、中共が百十九隻、台湾国民政府関係が三十一隻、ソ連が四十八隻、韓国関係でも講和発効前に拿捕されたままになつておるのが八隻ある。これらに何らの救済手段が与えられないで、李承晩ライン関係だけに政府が救済の手を差延べることは、それは勿論悪いということではないが、誠に不公平と言わなければならない。法は万民に公平であるべきであるにかかわらず、政府がかかる不公平な措置をとつた理由はどこにあるのか。」これに対する政府の答弁は、「確かに拿捕という事実は他にたくさんあるが、李承晩ラインの問題は、昨年九月韓国が拿捕を声明して突如大量拿捕が行われた。これは一時的突発的事態であつて、中共や台湾政府の場合等とは実態において違う点があると思う。又国際的立場も違う。それで臨時的措置としてかような手段をとつたのであつて、一方財政的な面から言つて、中共等に拿捕された漁船は相当大型のもので、資金的になかなか困難な事情にある」という答弁でありました。更にこれに対して、「然らば将来同様な事態が起つた場合、かような措置をとるか」との質問に対し、「その都度適当な措置をとるつもりである。ただ一般的には漁船保険の制度があるので、これをできるだけ普及徹底し、これによつて救済して行きたいと考えている」との答えでありました。
次に、「現行の特殊保険、いわゆる拿捕保険は国に九〇%再保険することになつているが、船主の負担が非常に重い点等から見て、これを一〇〇%再保とする意思はないか。漁業全体の損害補償制度、即ち現在の農業保険と同様な漁獲保険制度を設ける意思はないか。開発銀行から融資を受ける九隻分の二億七千百余万円の資金は確保されているかどうか」等の質問に対して、「いわゆる拿捕保険の一〇〇%再保の問題は、理想ではあるが、これが実現にはいろいろな問題があるので今後十分検討を加えてみたい。漁業災害補償制度の創設については、来年度に少額ではあるが調査費が計上されているので、これを実現するため努力をするつもりである。又開発銀行の融資分については、すでに昨年暮から話合いを進めており、順調にまとまる見通しを持つている」との答弁がありました。なお、質疑応答の詳細につきましては、速記録によつて御承知を願いたいと存じます。
以上で質疑を打切り、討論採決の結果、全会一致、衆議院修正通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
以上、御報告申上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X01419540301/7
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008・河井彌八
○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X01419540301/8
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009・河井彌八
○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。
本日の議事日程はこれにて終了いたしました。次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後二時六分散会
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○本日の会議に付した事件
一、議員の請暇
一、特別委員会設置の件
一、日程第一 特定海域における漁船の被害に伴う資金の融通に関する特別措置法案発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X01419540301/9
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