1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年七月八日(金曜日)
午後二時十二分開議
出席委員
委員長 原 健三郎君
理事 有田 喜一君 理事 今松 治郎君
理事 木村 俊夫君 理事 山本 友一君
理事 青野 武一君 理事 中居英太郎君
岡崎 英城君 堀内 一雄君
眞鍋 儀十君 伊藤 郷一君
關谷 勝利君 徳安 實藏君
栗原 俊夫君 下平 正一君
山口丈太郎君 池田 禎治君
小山 亮君
出席国務大臣
運 輸 大 臣 三木 武夫君
出席政府委員
運輸政務次官 河野 金昇君
運 輸 技 官
(船舶局長) 山下 正雄君
運輸事務官
(船員局長) 安西 正道君
運輸事務官
(自動車局長) 眞田 登君
運輸事務官
(航空局長) 荒木茂久二君
委員外の出席者
専 門 員 志鎌 一之君
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七月五日
委員椎名悦三郎君辞任につき、その補欠として
大倉三郎君が議長の指名で委員に選任された。
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七月四日
海上運送法の一部を改正する法律案(内閣提出
第四九号)(参議院送付)
六月二十九日
甲府、長野間の電化促進に関する請願(下平正
一君紹介)(第二八六二号)
大糸線全通促進に関する請願(下平正一君紹
介)(第二八六三号)
同月三十日
甲府、長野間の電化促進に関する請願(宮澤胤
勇君紹介)(第二九九三号)
雫石、生保内間の鉄道敷設にする請願(山本猛
夫君紹介)(第二九九四号)
宮之城線にデイゼルカー運転の請願(池田清志
君紹介)(第二九九五号)
肥薩線及び山野線にゼイゼルカー運転等の請願
(池田清志君紹介)(第二九九六号)
七月一日
新潟海上保安部出雲崎出張所設置の請願(三宅
正一君紹介)(第三〇八二号)
白棚鉄道開通促進に関する請願(粟山博君紹
介)(第三一四四号)
山野線にデイゼルカー運転の請願(池田清志君
紹介)(第一三九三号)
中央本線名古屋、中津川間の複線電化に関する
請願(早稻田柳右エ門君紹介)(第三一九四
号)
同月五日
福岡県下国鉄主要路線の電化促進に関する請願
(池田禎治君外三名紹介)(第三四〇三号)
肥薩線隼人、吉松間に気動車増発に関する請願
(池田清志君紹介)(第三四〇四号)
同月六日
戦傷病者に国鉄無賃乗車復活に関する請願(神
田博君紹介)(第三六〇二号)
焼津新駅並びに駅北口設置の請願(西村直己君
紹介)(第三六〇三号)
同(神田博君紹介)(第三六〇四号)
の審査を本委員会に付託された。
七月七日
日南鉄道敷設促進に関する陳情書
(第三一二号)
気象観測設備の拡充強化に関する陳情書
(第三一三号)
徳島、高知間に直通列車運転の陳情書
(第三一四号)
伊王島海区平瀬航路標識設置の陳情書
(第三四三号)
学校教職員の乗車割引復活に関する陳情書
(第三九一号)
土讃線電化並びにデイゼル化実現に関する陳情
書(第三
九二号)
大阪環状線敷設促進に関する陳情書
(第三九三号)
白棚鉄道敷設促進に関する陳情書
(第三九四号)
を本委員会に送付された。
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本日の会議に付した案件
参考人招致の件
自動車損害賠償保障法案(内閣提出第八六号)
日本航空株式会社法の一部を改正する法律案(
内閣提出第九三号)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/0
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001・原健三郎
○原委員長 これより運輸委員会を開会いたします。
このたび運輸省において船舶局長、船員局長並びに港湾局長等がかわりましたので、新任の船舶局長並びに船員局長がごあいさつを申し上げたいという旨の通知がありましたので、これを許します。船舶局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/1
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002・山下正雄
○山下政府委員 先月の三十日付で船舶局長を命ぜられました山下正雄と申します。至って浅学非才でございますが、今後大いに勉強をいたすつもりでございます。どうか一つ今後ともよろしく御指導、御鞭撻のほどをお願い申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/2
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003・原健三郎
○原委員長 次に船員局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/3
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004・安西正道
○安西政府委員 船舶局長と同日付をもちまして船員局長を拝命いたしました安西でございます。船舶局長同様よろしく御指導をいただきたいと存じます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/4
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005・原健三郎
○原委員長 これより日本航空株式会社法の一部を改正する法律案を議題といたし質疑を行います。
質疑がなければ、本案に対する質疑は終了いたしました。
この際、木村俊夫君より各派共同提案にかかる本案に対する修正案が提出されておりますので、その趣旨説明を求めます。木村俊夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/5
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006・木村俊夫
○木村(俊)委員 私は日本航空株式会社法の一部を改正する法律案に対しまして、日本民主党、自由党、日本社会党両派及び小会派を代表して、修正動議を提出いたします。
まず修正案につきましては、ただいまお手元に配付いたしました案文によりまして、御承知を願いたいと存じます。
次に修正の理由並びにその概要を、きわめて簡単に御説明申し上げます。政府原案は、助成策の拡充に対応いたしまして、政府の監督権の強化をはかっておるのでありますが、その内容を詳細に検討いたしましたところ、これら監督権は必要と認められる程度を越えて強化されることになっておりまして、その結果、会社自体の創意工夫による闊達なる企業意欲が阻害されるおそれを生じ、国際競争裏における本事業の健全なる発達を十分に期し得ない懸念が多いのであります。また御承知の通り、過日の本委員会における参考人の意見に徴しましても、各参考人はいずれもこれとほとんど同様の意見でありました。よって監督権の強化を緩和し、これを適正にいたしますため、次の諸点を修正いたしたいと存じます。
まず第一点は、取締役の人数を十五人以内に改めようとするものであります。
第二点は、役員の決定等に対する認可制及び兼職の制限を、代表取締役並びに常任取締役に対してのみ適用しようとするものであります。
第三点は、事業計画及び資金計画の実施並びに収支予算の執行についての監督命令の規定を、監督上必要なる指示の範囲にとどめようとするものであります。
以上の通りでございますが、何とぞ各位の御賛成をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/6
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007・原健三郎
○原委員長 本修正案に対し質疑があればこれを許します。關谷勝利君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/7
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008・關谷勝利
○關谷委員 修正案の提案者にお尋ねいたしたいと思まいす。この十二条の二の二項の修正であります。
これは指示ということに修正をせられることに相なったのでありますが、多少政府が提案をいたしておりましたのより緩和せられましたけれども、もともと政府が提案いたしましたあの条項は、以前に日航法が提案せられました際に、このように監督が行き過ぎになっては、干渉があまりに過ぎた場合には、企業が萎縮するようなことになるからというので、各党が一致して削除した条文であります。ところが今回これを提出せられましたのは、出資も増額をする、なお補助もするのだから、この際この以前に削除したものをつけ加える、こういうようなことになっているのでありますが、その当時の状況を申しますると、増資をせられるということは、すでにその当時の年次計画等におきまして発表をせられておりますので、当時からそれはすでに予定をせられておったのでありますが、そういう中でこれは削除せられた条項であります。しかるに今回増資をし、あるいは補助をするというふうなことで、出資がふえるから監督権を強化するのだ、こういうことになっておるのでありますが、そういたしますと、日航に対しましては、これから先も出資を増額することがまた計画をされているはずであります。そういたしますと出資がぶえるたびごとに監督権強化というふうなことになって、またこれを改正しなければならぬ。先ほどのこの条項を加えるというふうな意見の人々は、そういうような御意見だったように思うのであります。そういたしますと、次に出資を増加いたします際には、また監督権を強化しねければならぬ、こういうことにその論法からいくとなってくるのでありますが、将来出資を増加いたした場合は、またこれを監督権強化の方向に修正するのかどうか、その点だけを伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/8
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009・木村俊夫
○木村(俊)委員 關谷委員にお答えいたしますが、ただいまの従来の監督規定を削除したいきさつは私はっきり存じませんけれども、ただ申し上げたいことは、政府の原案に監督命令の規定がありましたのを削除いたしまして、監督上必要な指示の範囲にとどめました理由は、もともと政府出資並びに民間出資のアンバランス、並びに新たに補助規定が加わりましたので、この日航の性格が多少変化を来たしたという面におきまして、政府原案の監督命令もいけないととはないと思うのでありますが、ただいま趣旨弁明で申し上げました通り、果してこの監督命令が業務の円滑ねる運営を期し得るかどうかという疑いもありますので、この際は必要なる指示の範囲にとどめたらよかろうというので、われわれ共同提案者がそういう考慮のもとに修正をいたしたのであります。なお将来政府出資が増高いたしまするにつれて、再び監督上必要なる命令を規定すべきやいなやという問題は、今後の問題でございます。われわれ共同提案者といたしましてはその場合を予定しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/9
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010・原健三郎
○原委員長 これにて修正案に対する質疑は終了いたしました。
これより日本航空株式会社法の一部を改正する法律案及びただいま提出せられた修正案を一括して討論に付します。有田宣三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/10
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011・有田喜一
○有田委員 私は日本民主党を代表いたしまして、ただいま議題となっております日本航空株式会社法の一部を改正する法律案に関し、民主党、自由党、社会党両派並びに小会派の共同修正案に賛成し、修正部分を除く政府原案に賛成するものであります。
今回政府が日本航空株式会社に対してさらに十億円の追加出資をなし、またその国際路線運航に対して総額三億五千五百万円の補助金を交付することになりましたことは、日本航空株式会社のになえる重大使命と、その置かれたる現状にかんがみまして、きわめて適宜な措置であると思うのであります。かく政府の助成措置を厚くいたしましたことに対応して一現行法を改正して政府の監督を強化するの法的措置がとられることも、これまた当然過ぎるほど当然のことでありまして、その趣旨はまことにけっこうと思うのであります。しかしながら政府の改正原案は、取締役の員数にいたしましても一挙に大幅に減員することは、やや実情に沿わざるきらいがあるのみならず、取締役の選任及び兼職の制限規定に関しましても、いわゆる社外取締役と常勤取締役とを全く同様に取り扱うことは、これまた実情に沿わざるきらいなしとせざるをもって、私は今回の共同修正案通りにするを可と認めるのであります。第十二条の二第二項の修正のごときも、修正は決して監督をゆるめるという意味ではないのでありまして、政府に適切なる監督指導をしていただきたいという意味合いにおいて修正されたのであります。どうか運輸大臣におかれましてはわれわれの共同修正の意のあるところを了とせられるとともに、日本航空株式会社に対する三十億円という巨額の政府出資、並びに年額三億数千万円に上る莫大なる国庫補助は、これみな国民の血税から出されておるものであるということに思いをいたされまして、経理監査を適切に励行せられますと同時に、会社経理において一銭一厘といえどもむだなきように適切なる指導監督をなされて、いわゆる官の長所と民の長所を巧みに生かして、日本航空株式会社の運営を適切ならしめるよう、そうしてその所期の目的を達成せしめられんことを私は念願してやまないのであります。
なお中居委員よりいずれ提案されることと思いますが、御承知の通り日本航空株式会社は五十九億円に上る巨額の借入金があるのでありまして、これを低利長期のものに切りかえることはきわめて緊要と思うのであります。この意味において私は、電力や海運企業などと同様に、開発銀行よりの融資を低利ならしめ、かつその融資ワクを拡大するように、運輸大臣におかれて特に努力せられんことを強く要望いたしまして、私の賛成討論を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/11
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012・原健三郎
○原委員長 春野武一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/12
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013・青野武一
○青野委員 私どもの社会党も、この共同修正案については賛成でございます。ただ賛成の意思を表明する際に運輸大臣、政務次官、荒木航空局長に特に希望を申し上げて——強い意味ではあるいは要求という言葉が適切であるかもわかりません。それは今有田委員からのお話のように、日航は借入金が五十九億円程度あり、十数億の赤字が出ておる。しかも六十一名の外人パイロットは、はなはだしい人は機長で五十七万円という月給をもらっておる。六十一名の外人パイロットの一年間の給与額と、二百数十名の日本の関係者の給与とが相匹敵するというようなことでは、給与の額においても一年間四億円程度の赤字が出ておる。それから三億五千五百万円の国家補助金というものは、われわれも日航を一人前に育てるためには今日の場合適切であると思います。交通税二割のところを一割減額する。これら交通税を減免することによって一年間二億円の赤字の補償に役立つ、そういう点を考えてみましても、戦前、戦時中に比較いたしてみますると、日航は今大体百億円程度で事業を操作しておるが、貨幣価値を換算して常識的に考えても、私は三百億くらいの金をもって日航の経営に当らなければ十分な発達は期し得ないと思う。まあ具体的なことを申しますと、大体今東京から沖縄、そして香港に行っておる外国航路、これは東京から直接沖縄へ行かずに、東京から大阪に、大阪から福岡の板付に——そうして一晩中ぼんやり遊んでおる飛行機は、私の推定によれば一年間二億から三億程度有効に使えば収入が上る。福岡から沖縄、香港、こういう航路をとっていけば、赤字解消のために三億やそこらの金を浮かせることはたやすい。また聞くところによれば、議員連盟というのは解消しておるが、日航は毎月十万円の金をそういう類似団体に寄付をしているということも聞いておる。金は一年間にして百二十万円でございますけれども、こういう不当支出の点については、三木運輸大臣は監督権を発動して、これを阻止してもらわなければならぬと思います。具体的に経営の面についても、いたずらに経営を圧迫するのではなくして、建設的な監督あるいは命令を私は歓迎する。その意味から社会党は一応十二条の二の二項を削除することに実は話をまとめたのでありますが、今木村委員から御説明のように、命令を指示という字句に改正することによって賛成をしたのでありますが、特に私ども社会党左派として心配することは、東条内閣の当時のように、日本の航空会社が軍部の命令によってとにかく自由を失っていった、自主性をもぎ上げられていった、ひょっとするとアメリカあたりの命令が来て、アジアに風雲急を告げたと登には、これは民間自衛隊、航空自衛隊に切りかえられるといったようなことが、あるいは杞憂かもわかりませんが、そういうおそれなしとは言えない。原水爆の貯蔵を政府に要求するようね場合もありましょうし、日航という飛行機会社に対して全面的に海外出動、あるいは物情騒然となったときには、その命令が、とにかく運輸大臣にそれくらいの権限を持たしておかぬと意思を通すことができないというので、運輸大臣が外国の勢力のかいらいに捻るというようなことのために、監督権を強化するのであってはならぬと私は思います。ここに航空法を読んでみますが、これは昭和二十七年に通過しておりまして、以来二十七年、二十八年、二十九年と改正されております。そとで事業改善の命令として第百十二条において、四項目の具体的な運輸大臣の命令権・監督権が規定されております。それから百十九条には、事業の停止及び免許の取消し、これも具体的に二項目上っております。それから百二十五条の免許等の条件、これは本条と二項がございます。この三つをあわせてみますと、実は十二条の二の二項なんというものはあってもなくても同じですけれども、しかし私どもは日航の発展のために、国際的航空事業の発展のために、負けないようにやらしていくには、やはり圧迫する監督であってはならぬと思います。これを助長し、これを発展せしむるために、好意ある政府の監督があるならば十分伸びていくと思う。三十億円の出資、民間株の十三億、だからこれだけ当然監督権が必要だ、命令権が必要だという立場に立っていきますと、私は将来非常に危険だと思う節があるのです。そういう点を一つ運輸大臣、次官、航空局長が十分お考えになって、こういう規定はできておるが、運用の面で好意を持って日航を育てていき、国際的な競争場裏に打ち勝っていかしたいという考え方のもとに、善処していっていただきたい、そういうことを内容といたしまして、社会党左派といたしましてむ、小会派をも含めたただいまの各党の修正案に賛成し、その修正案以外の部分にも賛成をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/13
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014・原健三郎
○原委員長 中居英太郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/14
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015・中居英太郎
○中居委員 日本社会党を代表いたしまして、日本航空株式会社法の一部を改正する法律案に関し、先ほど木村さんから四党共同修正案が出されましたこの修正部分と、修正部分を除く原案に、賛成の意見を表明したいと思うわけでございます。
今回の日航法の一部改正は、同社に対する国家投資の増強と、助成金の支出に伴う政府の指示権を強化することがバック・ボーンだと私は思っておるわけでございます。戦後壊滅いたしましたわが国の航空界を再建するためには、政府はもっと積極的に航空事業というものに対して熱意を示しまして、また日航法が発足いたしましてから今日までの経緯を見ましても、このようなほとんど政府の資金をもってまかなう会社であるならば、むしろ国営あるいは公社という形を考えてもいいのではねいかと、私は理想的には考えておるわけでございます。しかしながら半面激烈な国際航空界に交わりまして、サービス競争の渦中に投ぜられまして、官庁の必要以上の干渉ということは大きな障害になるということも、また今日の段階においては遺憾ながら認めざるを得ないのであります。しかしながらこのような官庁の行き過ぎた干渉というものは、行政という別個の問題でございまして、わが国の行政のあり方をどうするかという面で検討していくべきものでありまして、これあるがために法の体系を乱したり、あるいはまた国家投資の監視を後退せしめるようなことがあってはならぬと思うのであります。運輸大臣はこれらのことを十分勘案いたしまして、会社のよりよき運営と国家投資の忠実な監視活用を期していただきたいと思うわけでございます。
さらに私はこの際附帯決議案を出したいと思うわけでございます。附帯決議案は案文を朗読いたしまして、趣旨の説明にもかえたいと思います。
日本航空株式会社法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案
今回政府は、日本航空株式会社に対する各種助成措置に対応して、必要なる範囲における監督権の強化を図るため、日本航空株式会社法の一部を改正せんとするものであるが、わが国航空事業の特殊事情にかんがみ定期航空事業の速かねる発展を図るため、政府は、速かに航空国策を樹立し、さらに助成策の一環として日本航空株式会社その他の定期航空事業者に対し開発銀行よりの融資を更に拡大し且つ之を円滑ならしめ、同時にその利子率についても之を電力、海運企業などと同様低利率ならしめ、もってこれら定期航空事業の経営基礎を確立させる必要がある。
右決議する。
この決議案を私は皆さん方にお諮りいたしまして、本法案に賛成の意を表するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/15
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016・原健三郎
○原委員長 これにて討論は終局いたしました。
これより日本航空株式会社法の一部を改正する法律案について採決いたします。
まず各派共同提案にかかる木村君提出の修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔起員総立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/16
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017・原健三郎
○原委員長 起立総員。よって本修正案は可決されました。
ついで右修正部分を除いた原案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/17
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018・原健三郎
○原委員長 起立総員。よって本案は修正議決すべきものと決しました。
続いてただいま中居英太郎君より提案せられました附帯決議を付すべしとの動議を採決いたします。本附帯決議を付するに御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/18
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019・原健三郎
○原委員長 御異議がありませんからさよう決しました。
この際ただいま修正議決されました法律案の委員会報告書の作成並びに提出手続等につきましては、委員長に御一任いただきたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/19
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020・原健三郎
○原委員長 それではさよう取り計らいます。
この際三木運輸大臣より発言を求められておりますからこれを許します。三木運輸大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/20
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021・三木武夫
○三木国務大臣 ただいま日本航空株式会社法の一部改正法律案に対して、修正案並びに各派の討論の節に述べられました有田委員、青野委員、中居委員の御発言、さらにまた附帯決議案の内容に盛られておる日本の航空事業の健全な発達をはかるために適切な処置をとれという御趣旨に対しては、今までも努力はいたして参りましたけれども、なお一そう努力をいたしまして、当委員会の決議の趣旨に沿いたいと考える次第でございます。
運輸省といたしましては、この法案は運輸省の提出法案の中の重要の法案の一つでございます。ある意味において日本の航空事業が立ちおくれていたにかかわらず、直接の補助を与えるという道は今までなかったわけでございます。それが今回初めてこういう道が開かれて、今後も数年間国際航空に対する政府の補助が継続されていく道を開いたわけでございます。それに伴って政府のある程度の監督権の強化も行われた一応日本の民間航空に対する一つの画期的血改正法案であったわけでございます。酷暑の折から御審議を進められて、この法案が修正可決せられましたことに対して、委員各位に敬意を表する次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/21
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022・原健三郎
○原委員長 次に自動車損害賠償保障法案を議題として質疑を行います。關谷勝利君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/22
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023・關谷勝利
○關谷委員 まず第一にお尋ねいたしたいと思いますのは、この保障法によって定められております死亡の場合は三十万円、重傷の場合は十万円、軽傷の場合が三万円、こういうことになっておるのでありますが、この金高はいかなる場合におきましても最高限度を払うのか、あるいはまたそれが死亡した場合にも、その事故の原因等によって最高三十万円よりも少い金額と申しますか、時によりますと十万円あるいは二十万円でも済ますことができるというふうなことになるのかどうか、この点をちょっと承わってみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/23
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024・眞田登
○眞田政府委員 事故の原因によりまして被害者の方にも過失がありましたような場合には、過失相殺ということで必ずしも三十万まで支払うということにはならない場合も多々出てくると思います。また被害者のいろいろな条件によりまして、多少ずつの金額の開きができることもあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/24
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025・關谷勝利
○關谷委員 そういたしますと、賠償額の決定ということは、その被害者とその保険加入者といいますか、自動車側と申しますか、その当事者間において賠償金高は決定するのか、あるいは保険会社がこれを決定するのか、その点伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/25
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026・眞田登
○眞田政府委員 一般の場合には被害者と加害者側とのお話し合いできまるのでありまして、加害者側が被害者に払いましたものを保険会社に請求するという形になるわけでありますが、被害者が直接保険会社に請求する道も開かれておりますので、その際には直接保険会社と交渉するという場合が起り得るわけでありますが、実際には加害者側もこれに参加していろいろと意見を述べるのでなければ、事故の実際の様子もわかりませんし、被害の程度その他についても、加害者のいろいろなそのときの状態の説明あるいは意見といったようなものによって変ってくるのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/26
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027・關谷勝利
○關谷委員 そういたしますと、現在、大体予定をせられておりますところの一万二千円とか、あるいは六千円というこの保険金額は、非常に高いものということになる。これは大体今までの事故の実績に徴しまして、死亡者に対しましては三十万円、重傷者に十万円、軽傷者に対して三万円というこの金高で割り出したものを自動車の車両数で割って、なお付加保険料というものをある一定の率で割り出して作っておりますために、この保険料を取りましたならば、結果におきましては莫大止金が余ってくる、その保険会社にはものすごい金が余るということになってくると私は思いますが、この点当局はどのように考えておられるか、ちょっと伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/27
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028・眞田登
○眞田政府委員 この保険料を算出いたします際には、実際に支払いました保険料を車両数で割ったのでございますが、実際に支払いましたと申しますのは、実は事故が起りました際に、死亡が何人、重傷何人、軽傷何人という過去の統計に、それぞれの三十万、十万、三万というものをかけ合せまして総計したものを総車両数で割ったわけでありますが、その際に責任率を八八%というふうに計算いたしておりますので、この八八%というのが一つの問題になると思います。今までの実際の事故の状況から大体八八%と見たのでありますが、なお一人当りの保険金額そのものもいろいろと相手の状態によって違った場合には、おっしゃるように多少安くてもいいのじゃないかというふうなことも出て参るかと思いますので、今後そういう点につきましては十分研究いたしまして、少しでも保険金の安くなるように研究して参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/28
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029・關谷勝利
○關谷委員 従来関係業者が支払って参りました実績等をいろいろ調査をしてみますと、東京あたりのような一番事故の多いところでも、一カ年一台について一万二千円というのなら十分まかない得るということが、東京あたりの業者の一致した言葉でありますが、さらにいなかの方へ参りまして事故の少いところにおきましては、営業用のタクシーあるいはハイヤーにおきましても非常に事故が少いために、今まで支払った実績によって賠償をした金高を調べてみると、大へん少い。従ってこういうふうな保険料は実に膨大ね保険料になって、これをもしかけたならば、ものすごい金が余るようなことになってくると一般に言われておるのでありますが、もし八八%というふうな責任率にいたしましても、この保険料というものが非常に高い。従ってこの保険料を集めた場合には、実際に一カ年間やって、賠償を払って、保険金を払ってみた場合に、会社へ残る金というものは莫大なものであるというふうに私は確信しておるのでありますが、そういうふうな場合には一度かけた保険金を、これは営利を目的としないということになっておるので、これは全部割り当ててそれを実際に要った経費等を返すようにするのかどうか、そのような条文はどこにも見当らぬのでありますが、この点をはっきりと伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/29
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030・眞田登
○眞田政府委員 現在保険にかけておりますのに比べてやや高いではないかという今お話でございますが、実際にこの法案で考えておりますような、死者三十万、重傷十万というふうな金額が支払われていたかどうかということも一つの問題で、それがもっと低い金額で済まされていたとすれば、保険料ももっと安かったということになるわけであります。なお先ほど申し上げましたように、責任率をどの程度に見るかによりまして保険料についての高低が相当出てくると思いますので、この点については十分検討して参りたいと思います。なお最初保険会社からの申請によりまして、保険審議会の議を経て大蔵大臣が決定いたします際には、そういった余分のものを取るというふうな形にならない保険料を作りたいと思いますが、将来作りました結果、余剰が出てくるというふうな場合には、次の年から保険料は下げてやっていくというふうにいたしたいと思います。余ったものを戻すというふうな保険料をきめることを全然考えておりませんので、法案についてもそういった事項を入れておらないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/30
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031・關谷勝利
○關谷委員 私はそれはまことに不都合な話だと思うのであります。もしこれがやってみてある一定の保険料をきめて、欠損ができた場合には、必ずこれは保険料を上げてくれというふうなことになって、これがみな加入者といいますか、業者の負担になってくることは間違いないのでありますが、これは余った場合には戻すのだ、こういうふうなことでなければ、向うが——会社の方はもちろん営利を絶対に目的としないということになっておるのでありますから、会社としてはもうけないという反面において、また損をしねいのだという議論が出てくるのでありまして、必ずそれは翌年の保険料を引き上げるというふうなことになってくるのであります。そういうふうなことに必ずなるといたしますと、この保険料を実際に取って、その金が余った場合には返すのだというようなことにでもするか、何かの方法を設けておきませんと、莫大な——私は今までいろいろ各方面に調査を依頼して調べてみますと、今度のような膨大な保険料をかけるならば、自家保障あたりは、ほとんど事故はなしで、それの十分の一ぐらいででも済むのではなかろうかというふうなことさえ言っております。余った場合には返すのだというふうなことを考えなければならぬと思いますが、余った場合には返すという方法を考え得られるのかどうか、この点を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/31
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032・眞田登
○眞田政府委員 最初保険料を算出いたします場合に、平年度て大体これくらいの事故が起るということで算定するわけでありますが、保険料の算出の基礎が甘かったかどうか、あるいはその年に事故が非常に少かったかどうか、そういうことで、余ってくる場合二様に考えられるわけであります。事故が少いために保険の掛金が余ったというときには、保険の無事故割り戻しというようなことについて研究してみたいと思っておるわけでありまして、最初の保険料の算出が甘いということは、その年に対してはその年は事故が少かったということとうらはらになるわけでありますから、そういう点については、適当な方法を研究してみたいというように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/32
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033・關谷勝利
○關谷委員 適当な方法といいますと、どのような方法でありますか、具体的に伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/33
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034・眞田登
○眞田政府委員 ただいま申しました無事故割り戻しというような方法でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/34
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035・關谷勝利
○關谷委員 そういたしますと、無事故割り戻しということは、その年に余ったといいますか、保険金と必要経費とを差し引きましたところの金高全部を、無事故の払い戻しというか、どういうふうになるか知りませんが、そういうふうな名目にしてでも、その剰余金というものを全部返すというようなことになるのかどうか、この点伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/35
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036・眞田登
○眞田政府委員 保険の経費は大体二年くらいを通して見るというふうに聞いておるのでありまして、一年々々で余ったものをすぐ返すと、翌年度は非常に事故が多かったために非常に不足するというようなこともあるわけであります。大体無事故の場合の割り戻しなどを考えます際には、幾ら余ったから返すというよりも、むしろ一定の率をあらかじめ予定しておいて、ある程度の年限を経て、それが大体とんとんにおさまるような保険科に修正していくべきだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/36
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037・關谷勝利
○關谷委員 この保険料というものが、大体予定されておる金高が示されておりますが、あの通りで取りますと、とにかくこれが相手に過失があった場合には減額することができるというようなふうに、そういう交渉をしていくということになりますと、この金は私はものすごく余ると思うのであります。ただ一定の割合、一割とか一割五分というようなものでなくて、相当な金高が余るというふうなことが考えられますが、当局はどのように考えておられますか。あれだけの金を取って、あれの半額というふうなところでも十分まかなえるようねことになるのではないか。もちろん死んだ場合に三十万円必ず出す、重傷の場合には十万円出す、軽傷の場合でも三万円出すのだといって、どんどん出していっての保険料の算定になっておりますから、このままで取っていきまして、いろいろ折衝して——被害者の過失による場合等が非常に多くなってきますが、そういうことでいろいろ調査をし、折衝してきめるということになって参りますと、私はこの保険料というものがものすごく余るという感じがするのでありますが、当局はどんな感じがいたしますか。半分以下でいいのだという感じがしないかどうか、伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/37
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038・眞田登
○眞田政府委員 先ほど申しました責任率の問題でございまして、これをどういうふうに考えたかと申しますと、使用しておりました運転手が被害を受けたときなどは、これをまずあらかじめ除きまして、かつ過失相殺を一割というふうに計算いたしましたので、一割二分を引いて八割八分というようになったわけでございます。その過失相殺部分がもっと多いかどうかということにつきましては、今後研究して、できるだけ正確な数字にいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/38
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039・關谷勝利
○關谷委員 これから研究してと申しましても、これはすでに十月から実施する、八月から店開きをするというか、事務を始めるのでありますが、その間にあってまだどの程度にやるかというような見当がつかないということは、悪くいえばはなはだ怠慢ではないかと思います。大体確信を持って、この程度ならやり得るのだという数字がもう出てこなければならぬのであって、この法案を審議するのに一番の重点はそこだと私は思うのでありますが、今までやっておりまするどの業者に尋ねてみましても、東京とかあるいは大阪というふうな事故の一番多いところでさえ、一台に年間一万円認めれば十分なんだ、いなかではとてもそんな費用は要らないので、十分の一あれば済むのだ、こういうようなことになっているのでありますが、どうもこの料率の算定に今の責任率を八八%に考えているというのが、今度は五〇%に直ちに減るというようなことも考えられる、大体その線に近い数字できめられるのではないかというふうに考えますというと、保険料収入というもので保険金を支払いましても、大へんな金が余る。その余る大へんな金をどう処分するかというととが、問題の中心になってくると思うのであります。その際に、これは初年度でありまするから、やってみなければわからぬことではありますが、最初におきましては、実際にそれをやってみて、余ったならば余っただけのを返すのだ、保険料の割り戻しということで返すのだというようなことで、大体一年やってみれば見当がつくと思うのであります。それから後にほるにいたしましても、保険料の算定ができてくるのだ、こういうふうに考えますので、最初のバスあたりの一万二んとうのいろいろな、多少の違いはあ千四百円というふうなものは納めはしても、実際に保険金の支払いというものが要らなかったなら、要らなかっただけのものは返すのだということを暫定措置にしてでも講ずべきじゃないか、こういうふうに考えるのでありますが、そういうようなことを考える余地はないかどうか、お尋ねしておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/39
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040・眞田登
○眞田政府委員 先ほどの八八%につきましては、われわれといたしましてはある程度研究いたしました数字でございますが、なおもっと安くなるのではないかというお話でございましたので、研究したいと申し上げたのであります。もし余剰が出ました場合にどうするかという問題でございますが、一つの方法としましては、異常危険に対する準備金をある程度除きまして、その他の部分については、事故のなかった者に払い戻すということについては、研究の余地が十分あると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/40
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041・關谷勝利
○關谷委員 言葉じりをとるわけではありませんが、研究の余地はあるという意味は、払い戻しをするのだというように解釈して差しつかえありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/41
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042・眞田登
○眞田政府委員 払い戻しをするという意味であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/42
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043・關谷勝利
○關谷委員 そのことについては、私は大体こんな膨大な保険料は要らないのだというように考えておりまするので、初年度やってみたらわかりますが、おそらくこれは半額以上のものが返ってくるのだというように考えております。これはやってみた場合に、今当局が八八%の責任率と考えておりまするのが、おそらく五〇%以下になるのではないかと思っておりまするけれども、その際には払い戻しをするという今の御意見によって、その点についてば私はもうお尋ねをいたしません。おそらく政令等で仮払金をやる場合に、十七条の第一項の政令で定める金額の場合でも、死亡の場合でも四割とか、あるいは重傷の場合でも二割、軽傷の場合は三千円というふうにきめておりますのは、その責任の所在によって少く払い得るというふうなことを見通しをつけておられるから、その半分以下の十二万円とか二割程度の二万円というようねことになっておるのだと思いますが、当局としても私は相当金が余るということは予期しておられると思いますので、この点はその際には払い戻しをせられるように申し上げて、今の御答弁がありましたので、私はそれで満足をいたします。
次にお尋ねをいたしたいのは、以前にもお尋ねをいたしたのでありますが、一事故当りの制限を設けるということは、保険というものの意味が非常に薄らぐような結果になって参りますので、この一事故当りの制限だけはどうしても撤廃すべきものである、このように考えておりますが、当局はこれに対してはどのような御意見であるか、伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/43
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044・眞田登
○眞田政府委員 この一事故当りの最高の限度を撤廃すべきであるというお話、まことにごもっともでございましたので、その後撤廃した場合にどういう結果になるかということをいろいろと調べてみましたが、前にも申し上げましたように、百万円を越す事故というのは非常に少いために、保険料がぶえる部分も大して多くございません。大体五%ないし一〇%程度しかぶえてこない。これは純保険料についてであります。従いまして、この限度を撤廃した方が実情に合うのではないか、こういうふうに現在では考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/44
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045・關谷勝利
○關谷委員 この点はまことにけっこうでありますので、それで満足いたします。
次に代理店の契約であります。代理店の費用というものは五%なり三%なりを見るわけでありますが、そういたしますと、これで相当止金になるわけであります。これはいろいろ業者その他からの要望書というふうなものがたくさん来ておりまするが、ほんとうの負担する者の団体、ユーザー団体に対して、この代理店というふうなものを契約をするというふうなことになると、たとえば多少金が余って参りますれば、その団体の賦課金というふうなものをそれをもって軽減することができるというふうなことになり、いろいろ指導育成、事故防止等のために活動するというふうなことができるので、負担義務者の団体にこれを扱わせろ、こういうふうなことになっておるのでありまするが、三十条によりますると、「その他の者」というふうなものが含まれておるので、非常にこの点を問題視しておるようであります。ごの点は私は原則的に負担義務者の団体にこれを扱わしめるのがほんとうである、このように考えておりまするが、これについての当局の意見、さらにまたこれは保険会社が代理店というものをきめるものでありまするがゆえに、運輸省が直接行政指導をやるというふうなことになりましても、非常にむずかしいと思います。大蔵省の方のこれに対しての圧力、行政指導の力の方が強い、こういうふうに考えられるのでありまするが、そういう場合に大蔵省をして、これをいわゆる負担義務者の団体に扱わしめるというふうなことを、運輸省との間に何かの申し合せというか、覚書というふうなものでも交換して、それに基いてほとんど全部代理店契約はこの負担義務者の団体にやらせるのだ、こういうふうな方法がとれるかどうか、この点を伺ってみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/45
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046・眞田登
○眞田政府委員 ただいまのお話のございました代理店契約を、実際に車を持っている人たちの団体に取り扱わせることは、私たちも賛成でございまして、この点につきましては大蔵省とも話し合いの上で、強力な行政指導をやりたい。なおこの趣旨についての覚書も交換したい、こういうふうな話し合いをいたしておりますので、その線に沿って大部分車を持っている人たちの団体が代理店を引き受ける形になると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/46
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047・關谷勝利
○關谷委員 大蔵省と覚書を交換するというお話もありますが、この覚書の案というものを、次の委員会の際までに、できましたならば一つ資料として御提出を願いたいと思います。
次に、今の事故防止のための割り戻しというようなことは、これは余った金を返すというようなことでありまするので、これは私は事故防止のために非常に役立つものと考えまして、この点は賛意を表しておりますので、どうか事故防止のために大きな割り戻し、余ったほとんど全額を返すという方向に持っていってもらいたいと思います。
次にお尋ねいたしたいのは、自家保障制度が認められておるのでありまするが、この自家保障制度を撤廃する意思があるのかないのか。もし自家保障制度を撤廃する意思がないとしたならば・かりにバスの場合には百台、あるいはタクシーその他の場合には三百台程度以上のもので、経営規模の強固なものに対しましては、自家保障制度を設けることになっておりますのと同じように、共済組合を作りまして、その台数に到達したものは連帯責任を負うというようなことになりましたならば、自家保障を認めておりますのと同じような扱いにすることができると思います。一方で自家保障を撤廃できないということになりましたならば、これは共済組合を認めるべきものであり、共済組合を認めほいというのであるならば自家保障制度というふうなものは撤廃すべ誉ものである、こうういうふうに考えておりますが、いずれにせられようとするのか、その点伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/47
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048・眞田登
○眞田政府委員 この法案は被害者の保護をはかることを究極の目的としておりますので、そのために強制保険をやっておるわけでありますが、しかしかなりの両数を持っておりまして、その結果ある程度危険の分散が可能であり、資力、信用もあり、事故率も少いという所有者には、強制積立金制度、仮渡金制度を全部適用しますれば、被害者の方に迷惑をがけることもなしに本法の目的を達すると思いますので、自家保障制度を認めて参りたい、こういうように思っております。ただそのあとの組合でやることに対して認めるつもりはないのかという御質問でございますが、組合自体がかなりの両数を集めますれば、危険の分散はある程度可能になるのでありますが、しかしこの自家保障制度というのは、自家保障者の担保力というものに待つところが非常に大きいのでありまして、組合自体の担保力というものが問題になってくるわけであります。現行の組合制度、あるいは現在いろいろと希望を申しておられる方々の集まりが、この趣旨に沿えるかどうか、あまり期待するのは無理ではないか、こういうふうに考えておりますし、なお保険業務にはかなり専門的な知識も必要でありますので、今回のこの制度の早急かつ円滑血実施のためには不適当ではないか、こういうふうに考えております。ただ将来の問題といたしましては、十分に研究して参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/48
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049・關谷勝利
○關谷委員 そういたしますると、今の御答弁によりますと、共済組合とか協会とかいうものを作ってやることは認めないのだ、その理由は担保力がないからだ、こういうふうなお話でありまするが、この賠償をするに足るだけのものを組合等で積み立てて届出をし、ほかでは使うことができ安いということにしておきますと、担保力は組合なり協会なりというものにもできるわけであります。なお今保険に対しては知識がといいますが、これはやはり保険をそれだけのものが一つになってやるという場合には、必ず保険の知識のある者といいますか、そういうふうな知識経験者というふうな者を雇い入れた形を整えて、そうして実際にやれるということになった場合には認めるということになるのかどうか、今のあなたの御答弁によりまする条件を満たせば、これはそういうふうなことは考え得られるのかどうか、一つこの点伺っておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/49
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050・眞田登
○眞田政府委員 現在のこの法案の建前で参りますと、組合というものは含まれない、こういうふうに法文上は読めるわけでございますが、それは今回の実施をできるだけ円滑に、かつ組合等でやりますと、最初は相当ないろいろの費用もかかり、またふなれなために思わしくないことが相当起るのではないか、また全部の車を保険にかけますと相当危険が分散されますが、三百両触りあるいは五百両というふうな車になって参りますと、百三十万両なら百三十万両のときのその保険料の積み立てだけでは間に合わない。危険率がもっと大きくなるわけであります。たとえば百両の場合にこれを認めたときには、約二倍の積立金を必要とする、あるいは三亘両の場合には一倍半ぐらいは必要とするであろうというような計算をしておりますので、保険会社にかけますときと同額の積み立てをするだけでは、自家保障としては十分な担保にはならない、こういうように計算上出て参るわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/50
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051・關谷勝利
○關谷委員 そういたしますと、計算上負担をし得るというだけの、何といいますか、みんなが金を出し合ってそれを積み立て、さらに知識経験のある者を雇い入れた場合に、そういうふうな条件が満たし得た場合にはやり得るというふうにも何やらとれるわけでありますが、その条件を満たしても、共済組合なり、協会というようなものは認めないというのか、その点を承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/51
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052・眞田登
○眞田政府委員 将来そういったものも認めて参りたい気持はあるのでありますが、現在すぐそういったものでスタートすることはむずかしいということで、現在は考えていないということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/52
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053・關谷勝利
○關谷委員 私とばかり押し問答しておっても何でありますから、ほかへも譲りたいと思いますので、その点はこの程度にして、私はこの点をよく御考慮を願いたいと思います。
なおこれは大臣にお尋ねをいたしたいのでありますが、これは社会保障的な色彩が非常に強いのであります。無過失の場合にむ保障をする、ひき逃げの場合にむ保障をするということになっておりますので、非常に社会保障的な色彩が強いのでありまするが、こういうふうなことをやろうとする際に、国が相当な負担をせずして、しかもそれが強制保険というふうなことになるのであります。国においてことしの予算あたりでは事務費程度のことでありまして、大した費用も認められておらないのでありまするが、将来これを大幅に国が補助をする、助成をするというふうな気持があるのかないのか、この点大臣のお気持を御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/53
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054・三木武夫
○三木国務大臣 今關谷委員の御指摘になりましたように、これはやはり政府がもう少し財政的負担をすべき性質のものだと思います。政府も六割ぐらいの危険負担はするわけですし・事務費の方も二千六百万円ぐらい補助しておるわけですが、やはりもう少し財政負担をすべきで、明年度の予算につきましては考えたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/54
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055・關谷勝利
○關谷委員 次に局長にお尋ねいたしたいのでありますが、政府が再保険をすることになっておるのであります。私はこん血ことなら、一向政府が再保険をする必要はないのじゃないかという気がするのでありますが、どうしても政府が再保険をしなければならぬというこの意味が、どうも私にははっきりうかがいとることができないのであります。再保険の必要はない、こういうふうに私たちは考えるのでありますが、当局はどういうふうに考えておられるか、お伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/55
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056・眞田登
○眞田政府委員 既存の保険会社の技術を活用しまして、この制度の運営をはかりますのには、やはりそういった保険会社を利用することがいいと思って保険会社ということにしたわけでありますが、本来は、この保険は社会保障的な色彩が非常に濃厚でありますので、やはりこの保険には国が介入した方がいいというふうに考えまして、ぜひ再保険はやって参りたい、こういうふうに思っております。また保険料率に営利の介入を否定しておりますので、しておりながらかつ強制引き受けという形をとっておりますので、先ほどお話のございましたように保険料が甘いとか辛いとかいう問題がありますが、非常に正確な数字が出ません場合には、あるいは危険がよけい起り得るということも考えらまして、そういったことを考えますと、全部その危険を民間の会社だけにまかせないで、国が再保険をすることによって、その一部を国が負っていこう、こういうのが望ましいのではないかとわれわれは考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/56
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057・關谷勝利
○關谷委員 もっとその点を突っ込んで御質問を申し上げたいのでありますが、あまり長くなりますからその問題はその点でやめますが、この保険法を実施いたしますと、保険会社といたしましては、他の保険が付加保険料というものを四〇%か五〇%というものを取っておるのですが、この点で非常に付加保険料の率が少くなる、そのためことさらに付加保険料がたくさん要るのだというので、初年度等におきましては、費用等をたくさん使うということに陥るのではなかろうか、このように心配するのでありますが、この保険をやった場合にほかの保険にどういうふうな影響を及ぼすか、あるいはほかの保険の付加料率が非常に高いがために、この方面にどのような動きが現われてくるかというふうなことについて、どんな見通しを持っておられるか、伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/57
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058・眞田登
○眞田政府委員 この保険の関係は、一般の保険会社が引き受けることになりますが、経理は全然別にいたして経理することになっておりますので、その点ははっきり区別されるわけであります。他がどういう影響を受けますか、この保険と一般の保険とは多分に性質が違っておりまして、募集をする必要もないし、いやなものは無理に引き受ける必要もないということで、性格が変りますので、そのためのいろいろの事務費等についても、違った見方からしなくてはならないのではないか、こういうふうに思いますので、将来ある程度の影響を及ぼすだろうと思いますが、すぐその他の保険料等に影響があるというふうに考えていないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/58
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059・關谷勝利
○關谷委員 その点はほかの保険のことでありますので、別に心配する必要はないので、この程度でやめます。
これは大臣に伺っておきたいと思いますが、自動車に対してこういうような強制保険をするのだということになりますと、これと同じような性格を持っておりまする海上におきまする旅客定期航路事業に対しましても、同様な強制保険というふうにやるのが、海陸の均衡をとるという意味においては望ましいことである、このように考えますが、この点は大臣はどういうふうに考えておられますか、これを伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/59
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060・三木武夫
○三木国務大臣 關谷委員御指摘の通りだと思います。やはり海上においてもこういう場合の危険があるわけでありますから、これはできるだけすみやかに海陸の均衡をとった立法を考えたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/60
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061・山本友一
○山本(友)委員 関連してちょっとお願い申します。この保険の外郭をじっと見ておりますと、社会保障的の性格を多分に持っておりますることは御承知の通り、その裏づけたるや何もない。しかもまたこの自家保険制度の問題でありますが、これなんかは社会保障制度的の性格を持つものなれば、強いものが弱いものをカバーしてやるというような通念上の操作が行われなくてはならない。それが強いものはあとに置いていってしまう。それから弱いものだけがやれ、こういうことは私は平凡なうちに非常に真理に欠けておるものである、かように考えます。これはあくまでも平等の線に立脚をして、そういうような不公平なことが起らないようにしてもらいたい。なぜならば、一方の自家保障制度はいろいろの担保力があって、補償が可能であるからということで言い得られるが、それなら同じ制度で組合制度でも、こしらえれば対象物はひとしいはずだ。それは認められ血いということは、あくまでも不公平である。そしてまた聞くところによりますと、これらの大資本家的の業者は、自家制度を認めなくては法案に反対だということを表明しておる。これを表明しておるということは、私どもの言うこの原則というものが、彼らに不利であるということを裏書巻しているということは、はっきりしておると私は思う。不利だからこれに反対をするということがはっきりしておるのでありまして、特定の大資本系統にはこういう特権を持たすということは、私は法案の原則の上に立って絶対反対だ。いわゆる大資本であろうが小資本であろうが、強制でありまする以上、対等の立脚で対処することが、原則の上において私は当然だと思う。こう考えておりますので、この自家保険制度は私は絶対に反対をするという理念を持っておるのでございますが、この平等がどういうところに——今の説明では私は納得がどうしてもいかぬ。それは業者から反復しておる事例によってはっきりしておる。得がいくから反対をするということになるのでありまして、従いまして私の言うことが真理であるということが言えるわけです。でありますから、私はこの点だけはっきり伺っておきたい。自余のことは、いろいろこの法案の明文上の問題もたくさん意見もありまするが、まずこの原則だけははっきりしておいてもらわぬと、国民のうちにあるいは業者のうちに甲乙をつけるという点は、私は絶対に不承認です。このことを大臣から伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/61
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062・三木武夫
○三木国務大臣 詳しくは自動車局長が申し上げましょうが、原則は山本さんの御指摘の通りだろうと思います。一つの過渡的ね処置としてのこういうものが、こういうことになったと思いますが、この一つの大きな原則論としては、私もあなたの言うことがやはりそうだと思います。しかしこういう一つの法案が、世界各国等ももうすでに何十年の歴史を持っておるのに、日本のみこういうものがない。これを今日の条件のもとで円滑に、こういう法案を実施するための過渡的ね処置としてこういうことになったと思いますが、そのいきさつ等につきましては自動車局長から申し上げることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/62
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063・眞田登
○眞田政府委員 反対しておりますと申しますのは、バスの関係の事業者に多いわけでございますが、最初の原案の際に、事故が起らなかった場合に積立金を損金に算入してくれという話がございまして、それは何とか一つ大蔵省に相談してみようという話をしておりましたので、そのうち事故を起さなければ損金に算入されると思い込んで、これは非常に得だ、こういうふうに、考えておることが一つでございますが、損金に算入するということについては、大蔵省ともいろいろ話し合いをいたしましたが、これはかえって不公平になるから損金には算入しないでおこう、こういう話をしておるわけでありまして、この点については自家保障をやるものについては損金に算入されると思ったのにということで、今の反対しておる人たちが非常にがっかりしておるということはございます。
それからもう一つは、事故の最高限度を前の保険の考え方では百万円というふうに考えておりましたので、保険をかけても大きな事故のときには百万円で打ち切られるような保険なら、自家保障にしておいてもらった方がいいのだというくらいの気持も持っておったようでありまして、最近いろいろお話し合いしておりますと、そういうふうになってくるなら自家保障をやるよりも、あるいは保険に入った方が安心かもしれぬな、こういうことを言っておられる方もあるわけでありまして、これはいろいろと会社の実情によって自家保障をやりたい、あるいは自分のところは自家保障の資格があるかもしれぬが保険に入ろう、こういう両方の方が出てくるのではないかしらと今考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/63
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064・山本友一
○山本(友)委員 大臣、局長の御意見を承わりましたが、私は現実論を申し上げる。そういうように自家保険制度を認めるということは、相互扶助の建前からいっても非常に矛盾があるということは今申し上げまして、大臣の御答弁を承わりましたが、かりにとの制度によりまして、現在の法案の目途から申しますと、死亡三十万円ということになっておりまするが、自家保険でやりますと、これは人間の通有性、事業家の通有性といたしまして、なるべく少くいこうという交渉が大てい持ち上ることは既定の事実です。そうするとせっかくこの法案で三十万円でいこうという目途、親心というものが、これらの自家制度の操作によって、政府の関係しておる者は三十万円もらったが、自家保険の方はいろいろ交渉して二十万円になったというような不合理も、こういうところから生まれてくる。ことに生命には値段がないのでございまして、この間の紫雲丸のごときも、百万円から二百万円になるやらわからない。これが一つの企業会社でございましたら、果してこういうように現実が行われるかということを考えました場合に、非常に運用面にも不公平が起る原因を知らなくてはならない、こういうところはどうお考えになりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/64
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065・眞田登
○眞田政府委員 自家保障の許可基準については、五十六条にありますのでお読み願っておると思いますが、経理的な基礎が確実で、事故を起すおそれがない、そういう人たちを厳選して、監督規定を設けてやっていきたい、こう思っておるのであります。実際には事故が起りました際に、今のようなお話で、一般の保険の場合との違いを申しますと、被害者とのお話し合いできまることは別に変りはないわけでありまして、自家保障だから安くなるというふうなことはなくて、むしろそういった信用のある会社はよけい払うのではないか、こういうふうに私たちは考えておるわけであります。またお話し合いがつかなければ、死亡の場合には四割払うという条項は、自家保障にも適用があるわけでありまして、従いましてお話がつかなければ、死者については三十万円に対する四割の、十二万円がとりあえずの費用のために渡されるということになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/65
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066・山本友一
○山本(友)委員 自動車局長のお話はまことに紳士的で、信用のある会社はより以上払うのだということなんですが、私もそうありたいと思いますが、現実を知った者から言いますと、そういうことはお話であって、ほんとうに現実ではありません。そういうものでは決してないことは、幾多の事例の上においてはっきりこれは立証ができるわけであります。第一今大臣のお話によりますと、海上にもこれを適用するということは、交通事業の原則に立ちまして当然そうあらねばならぬということを考えておるわけでありますが、かような事業もピンからキリまであります。幸いに国鉄のような何と申しますか、親方日の丸のようなところに乗った人は仕合せ、ところでこの前の相模湖のようなところに乗った人は一つももらえないというようなことが、現実の社会には行われておるのであります。しかもまたこれらの民間会社につきましては、私はいろいろ体験も持っておりまするが、そういう美しいことばかりでは成り立っていっておらぬのでありまするから、自家保険制度というものの原理はどうしてもこういうところに不公平がある。ある者は三十万円もらった、ある者は二十万円もらった、これもまた一つの民法上の義務がつきまとっておるのでありまするから、限度のないことになってくる。保険で三十万円の限度はもらったが、事業者はまだ民法上の義務が残っておるということも考えられるわけでありまするから、受ける方も義務者の方も平等な見地ということがあくまでも必要である。それでなかったらいけない。そんな特定の人に特定の権益をもたらすというような政治は、国民のためにする政治ではない。特定の人のためにそういうことをするのは実にけしからぬということを私は強く考えておるわけでございまして、そんな美しいものばかりではない。私の知っておる業者の中には、出すのは監獄から出すのもいやな人がたくさんおります。ですから私はそういうような特権をもたらすようなことは、いかなる場合にもいけない、不公平だと考えておりまするので、この点は一つ御勘考を願いたい。原則論では私は絶対に反対します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/66
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067・三木武夫
○三木国務大臣 率直に言いますと、やはり政府がもう少し財政的負担をやれば、そういうことにはならなかったのです。ですからそこに非常にむずかしい問題がある。私が過渡的な処置だと申しましたのは、政府はそういうととろにほとんど事務費だけしか出さないわけですから、やはり保険金に対して多少とも財政的負担が伴えば、あなたの言われるように原則を貫き得たと思うのです。そういうところに御指摘のような点もありまして、これはやはり将来検討すべき課題だと思います。ことに海上の方面でもこれと均衡をとろうとすれば、最初のすべり出しには政府のある程度の財政的負担というものを考えることが、こういう法案の趣旨を円滑にやるもとだと思います。それで相当努力をしたのでありまするけれども、なかなか実現をしなかったので、私が過渡的処置という言葉を使ったのは、そういう点で今後の海上におけるこういう立法に対しても、とくと考えなければならぬということなのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/67
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068・原健三郎
○原委員長 この際お諮りいたします。造船計画の実施等、海運行政に関しまして、参考人より意見を聴取いたしたいと思いますが、御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/68
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069・原健三郎
○原委員長 それではさよう決定いたしました。
なお参考人の選定、日時等に関しましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X02719550708/69
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070・原健三郎
○原委員長 それではさよう取り計らいます。
本日はこの程度にして、次会は公報をもってお知らせ申し上げます。
これにて散会いたします。
午後三時三十四分散会
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