1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年三月二十日(火曜日)
午後二時三十九分開議
出席委員
委員長 廣川 弘禪君
理事 志賀健次郎君 理事 篠田 弘作君
理事 薄田 美朝君 理事 松浦周太郎君
伊藤 郷一君 池田 清志君
大坪 保雄君 川村善八郎君
櫻内 義雄君 笹山茂太郎君
首藤 新八君 南條 徳男君
橋本 龍伍君 林 唯義君
松澤 雄藏君 本名 武君
山本 正一君 北山 愛郎君
小平 忠君 芳賀 貢君
門司 亮君
出席国務大臣
国 務 大 臣 正力松太郎君
国 務 大 臣 高碕達之助君
出席政府委員
北海道開発政務
次官 白波瀬米吉君
北海道開発庁次
長 田上 辰雄君
総理府事務官
(経済企画庁開
発部長) 植田 俊雄君
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三月十六日
委員田中正巳君、荻野豊平君、加藤精三君、小
島徹三君、高瀬傳君及び二階堂進君辞任につき、
その補欠として植木庚子郎君、渡邊良夫君、笹
山茂太郎君、志賀健次郎君、橋本龍伍君及び南
條徳男君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十日
委員植木庚子郎君、林唯義君、渡邊良夫君及び
瀬戸山三男君辞任につき、その補欠として首藤
新八君、池田清志君、松澤雄藏君及び櫻内義雄
君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員松澤雄藏君及び池田清志君辞任につき、そ
の補欠として山本正一君及び大坪保雄君が議長
の指名で委員に選任された。
同日
理事志賀健次郎君同月十六日委員辞任につき、
その補欠として同君が理事に当選した。
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本日の会議に付した案件
理事の互選
北海道開発公庫法案(内閣提出第六三号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/0
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001・廣川弘禪
○廣川委員長 これより会議を開きます。
この際お諮りいたします。去る十六日、理事志賀健次郎君が委員を辞任せられましたので、現在理事が一名欠員になっております。理事の補欠選任を行いたいと思いますが、理事の互選は、前例に従いまして委員長において指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/1
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002・廣川弘禪
○廣川委員長 御異議ないものと認めまして、委員長は志賀健次郎君を理事に指名いたします。
暫時休憩いたします。
午後二時四十二分休憩
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午後三時五十四分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/2
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003・廣川弘禪
○廣川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
北海道開発公庫法案を議題として、前会に引き続き質疑を続行いたします。質疑は通告順にこれを許します。北山君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/3
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004・北山愛郎
○北山委員 私は国土総合開発の一般的な問題につきまして、二、三高碕長官にお伺いをしたいのです。何としましても国土開発の基本になるのは、土地と資源の実態を把握しておらなければならぬ、こういうふうに思うのですが、この前門司委員からもいろいろ質問したわけでありますけれども、日本の国内の国土の実態がよくわかつておらない。これは私どもも同感でございまして、実は地方行政委員会におきまして、例の固定資産税の基準になる面積、これをいろいろ聞いてみましたところが、農林省が調査をした林業の統計と、固定資産税の方の台帳の統計とでは、まるで食い違いがあるわけです。その模様を申し上げますが、農林省の林業の統計によりますと、山林の面積につきましては、昭和二十四年は八百六十一万町歩、こういうことになっております。ところが昭和二十九年には千二百四十万町歩、これは山林の面積の国有地を除いた部分でありますが、昭和二十四年には八百六十万町歩であったものが、二十九年には千二百四十万町歩というふうにふえておる。これ自体が非常におかしいのでありますが、ところが固定資産税の基準になる山林の面積の統計を見ますと七百万町歩しかないのです。昭和二十六年には七百三十四万町歩、三十年には七百三万町歩と、少し減つておりますが、これは例の保安林等のいわゆる非課税になる部分を除きましても、農林省の統計とは三百八十万町歩ばかり狂いがあるのです。地方行政委員会におきましても、この点をいろいろ究明をいたしました。ところが農林省の方の統計も、実際は実測した面積ではない。実測した分もあるけれども、見込みである分もあるのだ。ところが台帳の方は、今申し上げたように、五割も少いわけなんです。日本の政府の統計として、こういうものしかないんだというようなことは、全く納得のいかないことだと思うのです。口を開くと、日本の国土は狭いんだ、人口は多過ぎるんだと言うているんですが、狭い国土ですらも実測ができておらぬ。まことに残念に思うのでありますが、この土地面積の調査について、一体高碕大臣はどのようになさるお考えであるか、こういうような実態について、一つ御所見を承わりたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/4
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005・高碕達之助
○高碕国務大臣 これは政府といたしましても、その点につきましては、非常な欠陥があるということを自覚いたしております。各方面の調査によって違つておる、これは大へんな間違いである。総合開発をいたします上につきましても、正確な実態を把握するということは、根本的に必要な事項である、こう存じまして、調査費がどのくらいかかるかというふうなこともいろいろ検討いたしてみますると、莫大な金を要する。三百十四億なんという大きな金がかかる。こういうふうに、調査費用だけでもそれだけかかるというようなことが出ておるわけでございます。しかしながら、これが莫大な費用がかかるからといって、捨てておくわけにいかない、予算の許す範囲において、逐次この実態把握について実行に移していきたい、こういう所存でおるわけなのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/5
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006・北山愛郎
○北山委員 この問題は、ともかく日本の国が近代的な政治を行い始めてから約一世紀にも近いわけんですが、肝心かなめの国土については、このようにまるで実測をいたしておらない。おそらく国民の中では、そんなことは知らないのじゃないかと思うのです。狭い、狭いといい、しかも何千万町歩あるという以上は、調べた結果であろう、こう思っているのが常識ではないかと思うのです。実は私自身もそう思っておつた。ところが、いろいろ聞いてみると、農林省の方にも調べがない、どこにもないというわけなんです。こんなばかげたことが、原子力などを云々する時代に許されるか、まことに驚き入っておるわけなんですが、ただいまの御見解で、国土調査をやりたいということなんですけれども、ことしの予算を見ましても、土地の調査費はわずかに一億八千万くらいです。これでもって三百億もかかるような調査をやつたならば、これは百五十年もかかるということになると思うのですが、これでいいかどうか、一体どういうふうな努力を今までやつてきたのであるか、予算要求なり何なり努力を払つて、しかも一億八千万くらいの予算しかとれないという事情、これを一つ承わりたい。委員会に対しては、調査費についてのいろいろな見込を出しておりますけれども、これはただ見込みであつて、それだけの予算の獲得のために、一体企画庁としてはどれだけの努力を払つたのであるか、どうも私は非常にその点を疑問に思うのです。大臣は知らなかったのではないかと思うのですが、その辺のところを承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/6
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007・高碕達之助
○高碕国務大臣 私どもも、各方面の調査によって、それがまちまちの欠陥が出ておるということは、従来知っておつたわけなのでありまして、これはどういうふうにやつたらいいか、果してどのくらいの調査費用が要るのだというようなことすらも、よくわからなかったようなわけで、これはうかつだったと言われれば、まことにその通りで、はなはだ私はうかつだと存ずるわけでありますが、ようやく最近に至りまして、どれだけの費用がかかるかということがわかったようなわけでありますから、今後はできるだけこのような事実をとらえまして、予算の獲得等につきましても努力いたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/7
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008・北山愛郎
○北山委員 とにかく日本の国土の総合開発ということを問題にしたのは、昭和二十五年ですか、そのころで、その前の戦時の始めころから、やはり同じような考え方があったはずなんです。ところが、今に至るまでそのようなまことにあきれ果てた状況なんですが、何としても外国の場合と日本の場合と、土地の利用の状況を見れば、すぐわかると思うのです。日本は狭いといっておりながら、山林の面積の比率炉非常に高いので、六〇%かあるわけです。ところがアメリカとか、もっと日本よりも広いところですらも、耕地面積というもの炉もっと日本よりも広くて、山林が少いわけです。山林の比率が少い。だから、この数字をもってみれば、日本はその狭い国土ですらも、その土地の利用について今まで怠慢であった、十分利用してなかったと言われても、やむを得ないと思うのです。こういう統計は、当然政府としてはすでにわかつていなければならないのです。未利用地を利用するためには、やはり土地の実測ということを当然考えなければならぬ。これは高碕さんばかりではない、今までの歴代の政府の大きな怠慢だと思うのです。
そこで、今気がついたと言われるのですが、この資料をいただきますと、三百億かかるとあります。一体どういうふうにこれから実際の調査をお進めになる考えであるか、もう少上具体的なところを承わりたい。と同時に、今まで国土調査をやつて、各市町村等に補助金を出しているわけですが、どの程度に進んでいるか、これもあわせてお伺いしておきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/8
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009・高碕達之助
○高碕国務大臣 この三百億という費用を要することが、ようやくわかったわけであります。これだけの大きな予算を見れば、一年にかりに三億とつても、百年かかるわけであります。しかし予算措置等から考えまして、もう少し有効適切にこの結論を得られる工夫はないだろうかということを、ただいま検討いたしております。どういたしましても、全体の数字を把握することが根本の問題であります。それに大きな費用を要するということになれば、差し迫つた問題といたしましても、必要欠くべからざる点からでも重点を置いて、調査にかかろうではないかというふうにただいま検討をいたしておるようなわけであります。
なお、第二の御質問の、各方面の調査の総合いたしましたことにつきましては、事務局の方から御報告申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/9
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010・植田俊雄
○植田政府委員 国土調査は、御承知の通り基準点の測量と地積調査の二つになっているわけであります。基準点測量は、地理調査所が従来五万分の一を作りますために必要といたしました三等三角点の中に、四等三角点を作つているわけでございます。この点数が、この法律実施以来二十九年度までに一万八百九十一点、三十年度の予定は千七百点でございます。地積調査の方は進捗度は非常におくれておりますが、二十九年度までに千三百平方キロ、三十年度に九百七十平方キロを実施する予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/10
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011・北山愛郎
○北山委員 そうすると、国土調査法によって、一億八千万の予算の中から、ことしは補助金として市町村にやるのは一億三千万ですか、この方法によって何カ市町村ぐらいをやるのですか。今までどの程度に調査が進捗しているか、その状況をあわせて承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/11
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012・植田俊雄
○植田政府委員 ただいままで申し上げましたのは平方キロで申しておりますが、これは町村の数字をただいま持ち合わせておりませんので、まことに申しわけございませんけれども、町村を全部指してやる場合でございませんで、その中の一部をやる場合もございます。三十一年度におきましては、ただいまお話の億三千万円の金でございすまが従来やつておりました府県につきまして、継続して実施して参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/12
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013・北山愛郎
○北山委員 これは国有林野についても同様だと思うのです。国有林の方は、たしか数年前にある程度の調査をしたようでありますが、昭和二十九年に立木の評価をやつた結果、現在国有林の立木資産というものは五千五百億になっております。民有林の方の財産も、これに匹敵するものではないかと思うのです。ですが、国有林野の方の調査も実は私、完全にやつておるかどうか非常に疑問だと思う。民有林に至ってはそのような状態で、しかも伝えられるところによれば、民有林については実測をすると五〇%どころじやなくて、二倍にも三倍にもなる、ある場所においては十倍にもなる、平均四、五倍になるといわれておるのです。だから、百町歩あるものが、実際は五百町歩もあるというようなことに、調べればなってくるわけです。そうしてくると、日本人は日本の国土の中にある、特に山林の資源の実態をつかまえていないのだ。またその利用方法についても考えておらぬのだ。これは非常に重大なことだと思うのです。従ってこの問題は、単に政府ばかりではなくて、国会としても、この委員会等で国土総合開発の促進をするために、その基礎となる国土調査の促進のための決議をやつてもいいくらいに思っておる。それほど重大だと考えるのですが、そこで、あとでこの委員会、あるいは国会の本会議等で、国土調査の促進に関する決議というようなものでもって、一つ政府のしりをひつぱたいて、この重大な問題、しかも忘れられている問題を進めていただかなければならぬ、私はかように考えるわけであります。
次にこれに関連いたしまして、国土調査法という法律があるわけですが、その法律を見ると、このように重要な国土調査を、国の責任によってやるという考え方に立っておらない。地方の市町村に頼むとか、あるいは土地改良課に頼むとか、あるいは、そういう団体でやりたいものがあったならば申請してこい、補助金を出しますよ、などという人まかせのような考え方に法律がなっておるのですが、これについてはどのように長官はお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/13
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014・高碕達之助
○高碕国務大臣 これはできるだけやはり国の責任を重くするようにしていきたい、各地方にまかしておいてできるものじゃないと思うわけでありまして、地方庁において希望があるからそれだけやらす。希望がないところはやらないということになれば、総合的の調査は何ら意味をなさないことと存じますから、将来国の責任において実行し得るようにこれを改正いたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/14
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015・北山愛郎
○北山委員 率直な御答弁でございますが、これもまた先ほど申し上げたところに関連をしての重大なことだと思います。市町村の中には、やはりその市町村内のいろいろな地域の開発なり振興をやるために、進んで国土調査をやろうという熱意のあるところがありまして、そして、そういう団体が積極的にやつておる。ところが補助金が少い、金は相当かかるというので、四苦八苦しておる状態なんです。これはやはりこういうように地方の団体まかせにしておるから、国土調査が進んでおらない、また実測の方も進んでおらない、こういうふうに考えるのです。ですから、思い切つて今大臣のお言葉を具体的に早く案を立てまして、そして法律を改正するなり、あるいは思い切つた予算をとるなり、そのようにして、日本の土地資源というものをまず早く正確に把握する、これが重要である、こういうように要望しておくわけであります。それから同時に、地下資源の方についても同じことが言えるのでありまして、地下資源などは、鉱山等のいろいろな鉱物の探鉱等については、何十年も何百年もやつておるのですから、大がい調べはできておる。これは私もそういうふうに考えておつた。ところが専門家に聞くと、今までやつておつたのは、いわゆる山師連中が上をなでたようにやつたのであつてほんとうの総合的な徹底した調査はやつておらない、地質の調査はやつておらない、かように聞いておるのです。この点についてはどのようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/15
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016・高碕達之助
○高碕国務大臣 私も御同感でありまして、現在までの地下資源の問題につきましては、大体民間の人たちが営利、採算というふうなことから地下資源を調査するというのがほとんど主体でありまして、国家としては、これをどういうふうにまとめていくかということをやつておるだけであつて、国自身が国の責任において地下資源をどれだけ調査したということにつきましては、遺憾ながら私は非常に不備だと存じます。最近におきましては、東北地方なり、北海道の地下資源というふうなことを考えますときに、この欠陥は最もはなはだしいものだ、こう存ずるわけでございまして、これは急速に進めたいというふうに私は考えておつたわけなんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/16
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017・北山愛郎
○北山委員 この土地と、それから地下資源、特に海底の資源なども含めて、一般的な資源調査ということは、われわれ日本にとつて当面最も重大な問題の一つだ。と同時に、こういう調査をやることによって、現在学校を終つても仕事がないというような、いわゆる知識階級に仕事を与えることができる。この表にもございますが、技術者、延べでもって百三十五万人、その補助者が千四百万、人夫三千五百万というように、たくさんの人に仕事を与えることができる。その仕事が、また国の建設のために役に立つ仕事になるというような、当面する知識階級の失業対策といいますか、雇用の拡大にまたあわせて役立つというような二重の意味を持っておりますので、一つこれは政府、特に経済企画庁としては真剣に考えていただきたいと希望いたしておきます。それから次に国土総合開発についてでありますが、いろいろな計画が今たくさんあるわけです。総合開発法に基く特定地域についても、すでに決定しておる部分が十九もある。調査中のものもまだそれ以外にあるというような工合になっておりますし、また道路あるいは治山治水、港湾、漁港、みなそれぞれあるわけなんですね。そういう計画というものを合せてみますと、莫大な事業費に上ると思うのです。国土総合開発法に基く特定地域の計画だけを、この配付された資料によって、見ても、十九の特定地域だけでも事業費が一兆九千億、それから調査地域を入れますと、さらに一兆二千億、合せてこの特定地域関係だけでも三兆円に及ぶわけなんです。それ以外に各省で作つておるいろいろな調査、それから町村合併等で市町村がやつております建設の計画、ああいうものをいろいろ合せるとこれは莫大な建設計画といいますか、そういうものがあるのですが、一体そういうものを、経済企画庁としては、どういうふうにこれをこなしていくつもりであるか。少くとも国土総合開発法に基く分だけでも三兆円というような事業費を伴う計画を作つて、最後にはこれをどうするつもりであるか、これを一つお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/17
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018・高碕達之助
○高碕国務大臣 基本的の調査等におきましては、これは政府の予算の許す限りにおいて、政府の責任においてこれを実行していきたいと存じますが、この実際開発いたします面につきましては、できるだけこれは採算というものを見てやらなければならぬ、こういうことが原則だと存じますから、かりに食糧増産計画にいたしましても、またはそのほかの山林開発にいたしましても、地下資源の開発にいたしましても、この問題につきましては、できるだけ民間資本を動員するというふうな方針をもって進みたい、こう存じておるわけであります。それについて、あるいは何かの金融の道をつけやすいような方法を講ずるということにいたしまして、限りある国費の予算をもって、それだけの大きな仕事をまかなっていくということには困難性がある、こういうふうな感じでありまして、できるだけ民間資本を利用いたしたい、こういうふうに考えて進みたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/18
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019・北山愛郎
○北山委員 しかし、今申し上げたようないろいろな計画の事業費というものは、今お話のような一般的な常識的な話だけでは、何ともならないんじゃないか。むしろ諸計画の調整ということがまずもって行われて、しかる後に実施の方法なり、そういうものが立てられ、実施ができるというのであつて、今のような一般的なお考えですと——これはしろうとなら、それでもいいと思うんですが、しかし、少くとも総合開発の本家本山が、そういうふうな漠としたお考えでこのたくさんの計画をこなすということは、私はどうも物足らない以上に、まことに残念に思うのですけれども、実際の政府の行政として、こういうふうな法律があつて、計画がどんどん出てきておるのです。これをどうするのであるか、もう少し事務的なお考えを承わりたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/19
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020・高碕達之助
○高碕国務大臣 この開発につきまして、主として公共事業に属するような、電源開発をするとか、治山治水をやるとか、あるいは道路を作るとか、そういった方面のことにつきましては、これはもちろん政府がこれに対して予算を各省に配賦いたしまして、各省の責任においてこれを実行させることにいたしたい、こう存じておりますが、えていたしますと、各省の計画階梯におきましても、また実施階梯におきましても、総合性を欠く点が非常に多いわけでありますから、その点につきましては、経済企画庁が中心と相なりまして、計画段階においても、実行段階においても総合的な調整をとつていきたい、こう存ずるわけでございまして、今回ごくわずかでございますけれども、大体五億円の予算をちょうだいいたしまして、総合開発の調整をするということを経済企画庁は実行いたしたいと思っておるのであります。本年はその初めの試みでありまして、わずか五億ではありますが、この利用価値のいかんによっては、さらにこれを増額いたしたい、こう存じておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/20
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021・北山愛郎
○北山委員 しかし、今申し上げた特定地域の調査地域の分だけ見ても三兆円になるんですよ。三兆円になる計画をそのままにして、ただ五億円そこらの調整費を置いて今のお考えを実行に移されるということは、これは計画的でもなければ、合理的でもないと思う。むしろ各特定地域の計画、それから今後の調査地域の計画、こういうものを総合的な観点に立って、いろいろ実施方法を考えて、そこで初めて経済効果というものが生まれてくるのであつて、それを、ただ出てきた計画をそのままにしておいて、五億や千億の調整費で調整をするなんという考えは、どうも企画庁長官として私はとらないのですが、それでいいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/21
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022・高碕達之助
○高碕国務大臣 理想的に申しますれば、計画にいたしましても、実施にいたしましても、一つの頭でやるということはこれは理想であると存じますけれども、現在におきましては、食糧増産は農林省がやる、そのほかの治山治水、道路計画等は建設省がやるという工合に、実施機関がそれぞれあるものでございますから、その方面に実施なり計画はまかせて、経済企画庁はこれを総合する仕事をやる、こう考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/22
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023・北山愛郎
○北山委員 それでは、この三兆円の仕事を一体何年でやるわけですか。そういう根本のめどがなければ、これは実行に移すわけにいかないんじゃないですか。ただ、できるだけのことをやるんだというだけでは、これは計画とは言えないんじゃないですかね。計画を立てる意味がないんじゃないですか。そういう根本のやり方を聞いているんですよ。三兆円というのは膨大な金額でありますし、それと国力という問題もあるでしょう。その緩急の順序炉ある。だから、各特定地域の計画は一体どういう順序で、どういうふうにしぼつてやろか、こういうことが必要になってくると思うのです。しろうとが考えてもそうだと思う。企画庁は、これを一体どういうふうにあんばいされるのでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/23
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024・高碕達之助
○高碕国務大臣 ただいまこの手元にあります材料でいたしますと、大体特定地域におきましては四千二百四十二億、こういう数字が出ておりますが、これは大体十ヵ年でやる、こういうふうな現在の計画なのでございます。なお詳細のことは開発部長から御説明を申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/24
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025・植田俊雄
○植田政府委員 ただいままで総合開発審議会で決定した計画は十六ございますが、今年度の予算編成までに間に合つた地域は、その中の十二でございますので、十二だけの計画で申し上げますと、十二の決定しました事業費総額は四千二百四十二億円でございます。これは全部炉公共事業費的のものではございませんが、A種公共事業と称しておる国費、地方費の支出によるものが二千七百十一億、B種公共事業と申しまして、電源開発でありますとか、あるいは鉄道の建設でございますとか、改良でございますとか、そういったB種公共事業が千五百三十一億でございます。いずれも計画はこれを十ヵ年計画ということにいたしておりますので、これを十で割りますれば、A種公共事業で申しますと、二百七十一億の予算をこの十二の特定地域に使わねばならぬということに相なるわけでございます。ところが、御承知の通り特定地域分として、事項の決定になっておる金額が六十七億でございます。それに事項決定になってないものを加えますれば、百億程度になるものと予想されますので、そういう意味からいいますと、審議会で決定された計画に比較いたしまして、すなわち当初の予定に比較いたしまして、三分の一を少し上回る程度のところになる、こういう実情に相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/25
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026・北山愛郎
○北山委員 三分の一くらい進捗しておるのですが、公共事業の分でなくても、一応計画に乗つておるのですから、経済企画庁の建前からするならば、単に国費の分だけに責任があるのであつて、それ以外の分は、ただ計画に乗せるだけだというわけには参らないのじゃないかと思うのです。総合的な資金計画なり、そういうものの中に、みな入ってこなければならぬわけです。そういうことを考えるならば、これは問題だと思うし、また特定地域の計画炉次々と出されてくれば、お早いが勝ちということになってくる。そういうことも計画的でないじゃないか。やはり国の、これだけの何千億なり、あるいは何兆円なりの事業をやるのですから、それは国家的な見地から取捨選択をしなければならぬのではないかと思う。それで総合圏発法のやり方は、地方から計画を出されて、そして早い順序で審議会にかけてその計画を決定していく。そして計画の中の一部だけは予算をつけていくというような、受けて立つような気持で今の総合開発が行われておるのではないか。ここに私はまた同じような問題炉あると思うのです。これだけの膨大な事業計画というものを、単に地方的な問題として、国はその計画に対して補助金をつけるというような考え方で、この総合開発が行われていいものか。そうでなくて、必要とあれば、かりにその地方が計画を作らなくても、政府から出かけていって、計画を作るというところまでいかなければ、ほんとうの国土総合開発でないのじゃないかと思うのですが、今までのままでよいものかどうか。こうなれば、さらに調査地域がどんどんふえて、それを一々決定をして、膨大な事業費のうちの一部を予算にできるだけつけるということでいったなら、これは何年たつても総合開発なんかできないと思う。こういう今までの行き方でいいかどうか。その根本の考え方を一つ長官から承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/26
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027・高碕達之助
○高碕国務大臣 国全体といたしまして、全面的にこれをながめて、そして順序をつけていくことが私は正当だと存じます。地方から出てきたからといって、地方の熱心さによって、これだけを先にやるというふうなことは、やらないつもりでございまして、それがために国土総合開発審議会というものを設けまして、検討いたしておるようなわけなのでございますから、そういう憂いはないと私は存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/27
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028・北山愛郎
○北山委員 今のお考えが正しいとするならば、現在の国土総合開発法の基本を変えていかなければならぬと思う。今の総合開発法は、地方から自主的に計画を出させて、これを中央で審議会にかけて決定するというように、あくまで受け身なんですね。そして総合開発というのは、何か地方的な利害にのみ関係するもので、国はすわつておつて、これに適当なりと認めただけの補助金を出すというような、のんきな考え方をしておる。こういう考え方のもとに、今までの総合開発法が立っておる。これを改める意思はないかどうか、これをお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/28
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029・高碕達之助
○高碕国務大臣 お説のごとく、法律が地方から出てきたものをまず取り上げるというように相なっておりますことは、欠陥だと存じておりまして、やはり国家の意思によって、全体を総合的に考えてやるべきものだと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/29
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030・北山愛郎
○北山委員 私は、国土調査法にしても、国土総合開発法にしても、そういう点が不満でありますし、またそれが、国土総合開発が進まない大きな原因だと思います。と同時に、今の総合開発法というのは、計画法であつて、実施法ではないのですね。だから、補助金の率がちょつと書いてあるくらいの程度であつて、計画を作る段階までは書いてあるが、その計画をどう実施するかということはさつぱり書いてない。いわゆる実施法がないのですが、この実施法を加えて、法律を根本的に直すお考え炉あるかどうか。そうしなければ、次から次へと新しい計画を作るだけなんです。そういう考え方では一向進まないから、これを促進するために、実施的な部面についての必要な諸規定をこれに加えるお考えがあるかどうか、これをお聞きしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/30
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031・高碕達之助
○高碕国務大臣 お説のごとく、現在の国土総合開発法というのは調査法でありまして、これを実施法に変えていくということは必要だと存じておりますが、それにつきましては、各省との間の連絡をよくとり、総合いたしまして考慮いたしたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/31
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032・北山愛郎
○北山委員 大臣から肯定的な御返答だけを得たわけで、大へんけつこうなことでありますけれども、次にお伺いしたいのは、北海道等にも関係がありますが、最近、農地の機械開発のために、外資を入れていくというような計画があるわけなんです。世界銀行等から金を借り入れろ。それからまた一方では、余剰農産物を入れて、その処分した円資金でもって、農業開発をやるというような計画が北海道にもあるわけなんですが、その計画を見ますと、愛知用水にしても、世界銀行から借りてくる分は、全体の所要資金のうちのほんの一部なんです。三百十億ばかりかかるうちで、たしか三十六億しかないのです。それから北海道等についても、おそらく同様な率だと思うのです。こういうような少しばかりの金を借りなければ、われわれの祖国の国土を開発できないものかどうか、私はこれは非常に残念に思うのです。機械だつて、あのくらいの土地を耕す程度の機械を日本で作れないことはないと思う。それを、わざわざ世界銀行の調査団に来て見てもらはなければ、農業開発ができないなどという情ない国じゃないと思うのですが、どうして農業開発についてこういうふうに外資を入れなければならぬのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/32
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033・高碕達之助
○高碕国務大臣 余剰農産物を受け入れます結果、比較的長期にわたって低金利の金が使える、こういうものを農業開発に使うということは、利息の負担という点から考えてある程度必要であろうと思いますが、世界銀行の借款につきましては、機械数等におきましても、日本において自給し得るような機械である場合には、必ずしもアメリカから持ってくる必要はない。従って、世界銀行の借款というものは、外国から技術なり機械を輸入するときにのみほぼ限定されておるようでありますから、こういうものは今後あまりたくさん利用する必要はないだろう、私はこう考えております。そういうわけでございまして、今愛知用水のお話がございましたが、愛知用水のごときは、新しい機械で新しい技術を持ってきたい、こういうふうなことから考えられたことであります。また北海道にいたしましても、実際問題といたしまして、新しい技術なり、新しい機械を持ってこなければならぬ、こういうふうな必要があった場合には、世界銀行から借りるということも一案かと存じておりますが、そういう必要がないものにつきましては、これは全部日本の自力でやつていきたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/33
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034・北山愛郎
○北山委員 そうすると、北海道の根室、釧路あるいは青森県、ああいうところの機械開墾というものは、必ずしもアメリカから機械を買わなくても、ある程度の機械は日本でできる、こういうふうに考えるのですが、どうでしょうか。そうなると、大臣は、北海道や東北等のそういう機械開墾については、なるべく外資でなくて、国内の資金あるいは技術でやりたい、こういうお考えと承わつていいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/34
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035・高碕達之助
○高碕国務大臣 ただいまお答え申し上げました通りに、これは技術上の問題でございまして、個々について検討をしなければ、私はどうこういうことは申し上げかねますけれども、外国の技術でなくていい、また外国から機械を持ってくる必要がないという場合には、国内の技術、国内の機械でやつていきたいと存じております。特に最近私の感じましたことは、ここ数年前と比較いたしまして、日本の開墾用の機械、特にアース・ムービング、土地を動かす機械はよほど格段の進歩をしたように存じておりますから、大体のものは日本でできると存じておりますが、専門の機械になると、これは一々私の意見を申し上げることはできないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/35
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036・北山愛郎
○北山委員 それから、先ほど世界銀行等から金を借りれば、利子が安いというようなお話でありましたが、利子が安いから世界銀行から金を借りる、こういうことでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/36
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037・高碕達之助
○高碕国務大臣 私は余剰農産物の話を申したのでありまして、世界銀行の利子は必ずしも非常に安いとは考えておりません。五分近くの利子を払つてやることでありますし、かつ大体が外国から物を輸入する場合に借りることでありますから、私はそんなに安いものとは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/37
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038・北山愛郎
○北山委員 利子が安いからということは、私は当らないと思うのです。利子を安くしようと思えば、やはりできないことはないんで、ほかの造船等については、安い利子で、利子補給をして、しかも莫大な金を貸したことは御承知の通りなのです。だから、造船についてやれるものならば、農業の機械開墾についてもできないはずはない。ただ、やろうと思わないだけだ。その分については、外国の資金を入れるというようなことは私は当らないと思うのでありまして、いかなる点から見ても、私は農業の開発については、何も外国の資金を、アメリカの資金を入れなければ、できないというものじゃないと思う。ところが、地方では世界銀行の調査団でも来れば、それで初めてできるものだというような考え方を持っておるところが多いのです。これはむしろ日本政府を期待しないで、外国の力によっておくれておる国土の開発をしようという考え方で、私は非常に危険だと思うのです。特に外資にはいろいろのひもがついておるわけなんで、火力借款についても御承知の通り、いろいろな好ましからざる条件がつけられておるのですが、今度の農業の開発の機械開墾等については、やはり同じような条件がつけられるのじゃないかと私は心配するのです。その点は大丈夫ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/38
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039・高碕達之助
○高碕国務大臣 世界銀行から借款をいたしますにつきましては、おそらく火力借款と同じだけの条件はつけられるということを、考えなければならぬと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/39
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040・北山愛郎
○北山委員 そうすると、特にこういう公共的な事業——ああいう発電所等の事業は、事業として一つの民間的な企業でありますから、まだしものこと、土地にくっついた、しかも公共性を帯びたような農業の開発等については、あの火力借款と同じような条件で、世界銀行等から金を借りるということは危険である、危険というか、好ましくないと大臣はお考えになっておるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/40
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041・高碕達之助
○高碕国務大臣 先ほど申し上げました通りに、その問題はケース・バイ・ケースで考えていきたいと存じておりますから、これは全面的に、そういうふうな世界銀行の借款をしないということを、ただいま私ははっきりここで申し上げかねるわけなのでありますが、現在やつております北海道の開拓、青森の開拓等は、余剰農産物の金を持ってくる、こういうことで、あれは一部分着手されておる、こう存じておるのであります。余剰農産物の問題につきましては、これは日本政府の自主的の考え方で実行することになっておりますし、また外国から物を買わなければならぬということもありませんし、しかも、これに対する金利というものは、世界銀行よりも非常に安くなっておるわけでありますから、これは実行に移されますが、それじゃ農業開拓について今後世界銀行の金を借りないかということについては、私はただいまはっきり借りないということは申し上げかねるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/41
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042・北山愛郎
○北山委員 大臣は、農業開発についてもおそらく火力借款と同じような条件になるだろう、こう言われたのですが、その条件については、私から申し上げるまでもなく、電力行政そのものを制約するような、あるいは日本の国の財産や、そういうものにいろいろな制約を加えるような条件がくつついているわけなんです。あれと同じよう血条件が、農業開発についてくっつくとすれば、私も好ましくないと思うのですが、ああいう条件ならば大臣は好ましくない、こういうふうにお考えになっている、こう了解していいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/42
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043・高碕達之助
○高碕国務大臣 火力借款の場合を考えてみますると、これを貸す世界銀行というのは、なかなか、悪くいえば因業と言えましようが、一つの国の会社でなくて、株主が世界各国にあるわけでありまして、株主に対する責任上、この責任を借りた国に持たすというふうなことに相なっておりますから、借りる方の側になってみると、非常に過酷な条件がついているわけなのでありまして、借りるということになれば、この条件はやはりのまなければならぬ、こういうことは覚悟せなければならぬと存ずるわけであります。そういうふうな意味からいってもこれは相当慎重に考慮しなければならぬことだ、こう存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/43
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044・北山愛郎
○北山委員 余剰農産物についてもいろいろ問題はあるのですがこれはもうおいておきます。あと二、三お伺いしたいのですが、機構の問題であります。今政府では、行政審議会の答申に基いて、御承知のように建設省と自治庁を一緒にして内政省というようなものを設ける、こういうふうな構想のもとに、いろいろ検討しておるやに聞いておるのです。こういうふうな、いわば地方自治行政の指導的な機構と、それから建設面を担当する事業官庁といいますか、そういうものとを一緒にするということは、それはできないことはないかもしれぬけれども、小くとも建設という面から見れば、やはり後退になりはしないか、こういう点をわれわれおそれるのですが、大臣はああいうふうな内政省のプランについて、どういうふうなお考えを持っておるか、それをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/44
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045・高碕達之助
○高碕国務大臣 この問題は一長一短ありまして、見る人によって非常に意見が異なっておりまして、政府自体におきましても、今相当考慮しておることでもありますし、党におきましても、その点は慎重に検討いたしておりますので、党との調整をとりました上においてこれをいいずれかに定める。ただいませつかく検討中であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/45
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046・北山愛郎
○北山委員 大臣はどのようにお考えかを承わりたいのです。というのは、ああいうふうな具体的な案があるわけでありますから、それについての国土開発という企画官庁としての今のお立場から、好ましいものかどうか、いろいろな御見解があると思う。ですから、それを承わりたいのです。少くとも私らから見ると、建設省と自治庁を一緒にするということは、やはり建設という仕事を、地方団体の仕事、地方自治体の仕事、主としてそういう仕事とみなしてやる、こういう考え方が入っていると思うのです。要するに、自治行政の中での建設ということでありますから、そこで、やはり地方団体に主として建設の仕事をやらせるというような考え方に立たないと、ああいう構想は出てこないのではないかと思うのです。そうでなければ、やはり直轄の事業系統というものを別個に持たなければならぬような感じがいたします。少くともそういう考え方は、建設あるいは開発という仕事をより発展させるという考え方とは、逆行するのではないか、こういうふうに心配するわけなんです。そういう心配がないかどうか、大臣はどういうふうにお考えか。この国土開発という面から、一つ内政省の案についての御見解があると思うのですが、それを率直に申していただきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/46
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047・高碕達之助
○高碕国務大臣 国土総合開発の観点からいたしまして、現在の自治庁と建設省が分れておつた方がいいか、あるいはこれを一本にした方がいいかということに相なりますれば、私は総合的にこの計画を立てるということにつきましては、何ら変りはないと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/47
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048・北山愛郎
○北山委員 しかし将来の内政省というものは、やはり地方自治体の指導といいますか、育成というような角度から、その中での地方自治体の業務としての建設を考えると思うのです。そうすると、もしも内政省ができてから、経済企画庁が会までのように国土開発という仕事を、計画事務を担当しておりましても、その下に内政省があるというような格好になります。その内政省の考え方は、地方自治行政という範囲で建設行政を考える。ところが、企画庁はそうではないと私は思うのです。そうすると、そこにいろいろと錯綜した複雑な関係を生じてきて、支障が起るのではないか、そういう点を、一例を言えば心配されるわけなんで、大臣がおっしゃるように差しつかえがないとは考えられないので、相当質的な変化が起ると思わなければならぬと思うのです。そういう点は心配がないかどうか、それを重ねて伺つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/48
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049・高碕達之助
○高碕国務大臣 それは私は一面の理屈だと存じます。これはよく検討いたしたいと思っておりますが、実行をする面になりますれば、やはりどうしても地方に頼まなければいけないことに相なります。あるいは建設省に頼む、それが今度合併したら内政省に頼むということに相なりますから、私はえらい変化はない、こう存じておりますが、ただいまの御意見は、私はよく参考として承わることにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/49
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050・北山愛郎
○北山委員 それから総合開発の仕事の中にあるのですが、国土総合開発法の第二条、宗義のところの第三号の中に、「部市及び農村の規模及び配置の調整に関する事項」という言葉があるのです。これについては、企画庁としてはどういうふうな仕事をお進めになっておるか、承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/50
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051・高碕達之助
○高碕国務大臣 これは私は非常な重要な問題と存じまして、計画を作るときにはこれを根本にしたいと思います。特に人口の配分というふうなこと、及び工場の立地条件というふうな点から考慮いたしまして、総合的に各方面の数字を検討いたしまして、計画を立てておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/51
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052・北山愛郎
○北山委員 産業の立地という問題については、その次の第四号にあるわけで、都市及び農村の規模及び配置ということは、もっと違つているのじゃないかというふうに思うのですが、これについて何らか企画庁で計画をしたものでも、実績でもあれば、承わりたいと思うのです。これは地方の都道府県等で総合開発計画、地域計画を作る場合には、なかなかここまでは及ばないのです。しかし総合開発にとつては非常に重要な事項だと私は思うのです。この事項がどういうふうに地域総合開発計画の中に生かされておるか、企画庁はどういうふうにこれを処理しょうとしておるか、一般的なことを承わりたいのですが、今の大臣の御答弁では、どうも少し漠として、産業立地のような問題でもあるし、どうもはっきりしないのです。もう一ぺん承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/52
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053・植田俊雄
○植田政府委員 二条に書いてありますのは、国土総合開発計画の中に盛り込むべき事項でございまして、これは全国計画、地方計画、府県計画、特定地域計画を通じての問題でございます。御承知の通り企画庁といたしましては、後進未開発であります特定地域の開発から手をつけておりますために、ただいままでの特定の地域におきましては、三号の色彩は必ずしも明確ではございませんので、ただいまの御質問の出るのは当然のことかと存じます。ただ先日この委員会でも申し上げましたように、われわれといたしましては、全国の開発計画を八つの地域にブレーク・ダウンいたしましたものを作るという必要性を痛感いたしまして、ただいまその準備作業中でございますので、その全国の計画をブレーク・ダウンする段階に参りますれば、この三号の項目というものは、どうしてもはっきりと打ち出していかなければならないと心得ておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/53
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054・北山愛郎
○北山委員 そうすると、この事項は地方の行政区画という問題に関連してくると思うのです。それから今までの農村の生活の形態、たとえば散村の形態であるとか、聚村の形態であるとか、あるいはその都市と周辺の農村との関連とか、そういうものもあわせ含んだ計画にならざるを得ないと思うのですが、これについては今までのところは何も実績はない、これからおやりになる、こういうわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/54
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055・植田俊雄
○植田政府委員 ただいまのところ、全然これに触れてないというわけではございませんが、特にこれを取り上げて、その問題だけを系統立った計画としておるものがないという意味で申しておきました。今後の問題としまして、全国総合開発計画を作り、これをブレーク・ダウンする段階におきましては、この問題は十分考慮しなければならぬ。たとえば一つの工場ができました場合に、その工場の労務者をその都市に住まわすべきか、それとも近傍の農村から通う通勤制度によるか、こういった問題も、同時に考慮いたさねばならぬ問題と考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/55
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056・北山愛郎
○北山委員 それから今のお言葉の中に、今までは後進地域の開発計画をやつておつたから、この問題はあまり触れる必要がなかったようなお話があったのですが、しかし私はそんなものではないと思うのです。一つの例を出せば道路の問題でも、道路の密度が高いほど文化が進んでおる、開発が進んでおるといわれておるのです。ところが、そうではなくて、道路があまり多過ぎてじゃまというか、不経済だという場合もあり得ると思うのです。道路の整理ということも、あわせて考えなければならぬじゃないか。だから、後進地域に道路網が不足だというふうに単純に考えて、すでに開発地域においては道路の密度が高度化しておるのだから、これは差しつかえないんだ、こう簡単には言えないのではないか。むしろ東京なら東京の周辺にしても、道路が乱脈である、あるいは多過ぎるということも言えるかもしれない。もう少し整理をする、道路をよけい通すのじゃなくて、道路付近に町なり村なりを集団させるというふうなことも、あわせ考えなければならぬのじゃないかということになれば、後進地域であろうが、既開発地域であろうが、やはり質的には、われわれが考えておる総合開発という意味においては、やり方は違うかもしれぬけれども、同じだと私は思うのです。日本の国のようなところは、北海道にしても純粋な処女地ではない、未開拓地ではない。未開拓地ならば、あんなふうな災害が起るはずはないと思うのです。ああいうふうに山を荒した結果起つてくるような災害に対して、多目的ダムをやらねばならぬというようなことは、これは処女地ではない証拠なのです。もっと複雑な、人間がある程度住んで、何代も暮らした地域なのだ、ですから、北海道にしても、それ以外の内地の、九州にしても、近畿地方にしても、四国にしても、私は質的には同じだと思うのです。ただ程度の相違であつて、従って総合開発ということを考える場合には、未開発地域を開発するという従来の素朴な考え方ではなくて、一切がっさい、国土の全域にわたって、あらためて新しい角度から開発をするという考え方でなければならぬ。そういうふうになってくれば、この三号というものは、やはりすでに開発されたと称する地域においても、都市と農村とのあり方というものをあらためて考え直すという意味において、私は非常に重要だと思うのです。これを取り上げないで、ただ後進地域を開発するのだというようなことは、これは素朴な考え方であつて、昔の開拓精神なのです。そうではない、もう日本の国は再開発の時代ではないか、こういうふうに考えて、国土総合開発についても、そう考えるのが正しいと思っておるのですが、この考え方について一つ大臣から承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/56
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057・高碕達之助
○高碕国務大臣 この国土総合開発という問題につきましては、従前未開発地域ということが取り上げられておりまして、それを考慮しておったということは事実でございますが、しかし未開発地域を開発するについては、やはり国家全体、国土全体からの問題を見なければならぬ。その点から申しますと、今度の経済五ヵ年計画は、見方によりますれば、国土の総合開発をするということの一翼でございますが、その点から申しまして、この五ヵ年計画におきましては、ただいま御指摘の第三条というものは一番重要な点だと存じまして、各産業別、各地方別等について計画を立てるということになりますれば、自然都市と農村との関係、こういうふうなことが織り込まれていかなければならぬということに相なりまするから、全国総合的に五ヵ年計画を立てますにつきましては、御指摘のこの第三条はこれを実行していきたい、こう存じておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/57
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058・北山愛郎
○北山委員 そういう考え方に立つと、今度国会に提案されました首都圏整備法案、それなんかはやはり国土開発の中の一環として、この委員会で審議する方炉適当じゃないかというふうに思うのですが、首都圏整備法案については企画庁は参画しておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/58
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059・高碕達之助
○高碕国務大臣 あれは当然私どもの方は関係いたしております。従いまして、こういうふうな計画も、一環として総合して考えていきたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/59
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060・北山愛郎
○北山委員 こまかい問題は二、三ほかにあるのですが、次に先ほどお話があったいわゆる総合開発の五億円の調整費、これはどのようにお使いになる計画になっておるか。たしか、こういうようなところにというので、例をあげられたこともどこかで聞いたことがあるのですが、五億円の調整費の使い道、その予定計画というものがあれば、この際お話をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/60
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061・植田俊雄
○植田政府委員 五億円の調整費は、予算書にも書いてございますように、特定地域と調査地域についてのみ使用することができることに相なっております。五億円の中の一部をさきまして、特定地域、調査地域の調査の調整に使いたいと存じております。その残額でございますが、大体これは四億七千万円程度を予定いたしておりますが、これは特定地域の事業の調整に使用いたしたいと考えております。この調整費は、各省の予算のアンバランスを発見いたしました後におきまして使うものでございまして、現在のところ、どの事業に使うということはきめておりません。現在のところ白紙でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/61
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062・北山愛郎
○北山委員 そうすると、たとえばダムの工事ができて、発電所はできたが、農業水利関係の施設の方が欠けておるというような場合に、アンバランスを補うためにお使いになるというわけでございますね。これに関連してお伺いしますが、今度地方財政再建促進法というものが出たわけです。そういたしますと、その地方財政再建促進法の適用になつた赤字団体、そういうものには、この調整費はつけられないとか、そういうふうなことはありますかどうですか。ちょっと聞いたことがあるものですから、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/62
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063・植田俊雄
○植田政府委員 調整費については、直轄の事業につけることもございまするし、補助事業につけることもございます。この調整費は、実行に当りまして、各省の予算に移しかえいたすわけでございますが、その調整費を使います事業の種類によりまして、その補助率通りに運用して参りたい。従いまして、従来その事業に対しまして三分の二の足らず前を出したのでありますれば、三分の二の補助率ということになるわけでございます。ただいま御質問のございました赤字のための再建整備に当りまして、その県ならその県の事業分量が減つて参るということになりまして、調整費を使う余地のない場合もあろうかと思いますが、これは必ずしもこの調整費だけの問題ではございませんで、全般の公共事業費的な予算の問題でございます。なお、赤字団体であるがために、国庫の補助率が高くなるような場合には、その同じ率で適用して参りたいと考えております。従いまして調整費なるがゆえに、赤字団体に対しての補助の仕方につきましても、何ら特別の差異はないものと心得ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/63
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064・北山愛郎
○北山委員 大体これで終りますが、ただいままでいろいろお伺いした中で、私が特に強調しましたのは、一番最初の国土調査の問題であります。これは非常におくれておる。おそらく一般の国民の方々が知らない程度に、意外にもこういうことが進んでおらない。私もびつくりしたわけでありますが、政府としても、今のような非常に緩慢な、熱意のないやり方ではいけないと思うのです。また国会としても、この国土調査を思い切つてやるというふうな、促進のための何らかの措置が必要でないか、こういうふうに思いますので、一つ最後に委員長さんにもお願いしておきますが、当委員会においても御相談をいただきたいと思うのです。総合開発という前に、やはり国土調査というものが非常におくれておる、これを急速に推進すべきであるというような意思表示を、国会あるいは委員会としてもすべきではないか、こういうふうに考えますので、一つこの点は委員長においてしかるべく取り計らいをお願いしたい、これで私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/64
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065・廣川弘禪
○廣川委員長 承知しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/65
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066・門司亮
○門司委員 私は最初に事務局に言っておきますが、国土の地籍調査の資料に「上記の面積は世界農業食糧統計年報(一九四八)FAOによる。」こう書いてあります。それは日本ではないのですか。この調査表は、日本から持っていったものを世界の年報として出しておるのか、一体どつちなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/66
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067・植田俊雄
○植田政府委員 この資料ができましたときに、私もただいまのような御意見が出るのじゃないかと思って、非常におそれたわけでございます。あのときに時間がございますれば、書き直したかった問題でございます。先ほど北山委員からお話のように、日本の国土の面積がまちまちであることの一つの証拠でございまして、これはFAOが作った資料ではございません。日本政府としてFAOに出した数字をとった、こういう意味でございます。これ以外にいろいろな数字がございますので、これを一番有権的なものとして国土調査の場合にはとつておる、こういう意味でございます。そういうふうな誤解も非常にございますが、一方先ほど北山委員のおっしやいましたように、国土の総面積については正確な資料がないということを裏づける証拠でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/67
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068・門司亮
○門司委員 ちょうどこのころは、アメリカから来て盛んに調査して行った時期だと思う。だから、向うさんが調べたものが確かで、向うさんが調査したものを持っていって、向うで発表したように考えられる。実に心細い話であって、自分の国が外国から先に調査されて、日本の地籍が外国にあるということはあり得ないことだと思うのです。しかし事実あるとすればやむを得ない。
資料についてはそれだけにしておきますが、この場合大臣に聞いておきたいと思いますことは、今この国土開発に関連した法律が実はたくさん出ております。国土総合開発の法律であるとか、あるいは調査法であるとか、離島振興法であるとか、北海道開発に関する法律であるとか、いろいろのものがあります。この法律をずっと読んでみますと、似たり寄ったりのことが書いてある。従ってこれを実施すると、役所が重なり合ってしまって、だれが責任者か、しまいにわからぬようなことになる。だから、もう少しこれを整理して一本にして、国土開発なら国土開発の法律にまとめて、その中の調査をどうするかという、一つのはっきりした法律にしていく必要がこの際あるのじゃないかというように考えるのですが、この点に対する大臣のお考えはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/68
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069・高碕達之助
○高碕国務大臣 私も、法律のことはまるでしろうとでありますけれども、よくいろいろ研究してみると、そういう点があるようでございまして、これはやはり法律を単一化していかなければならない、こういうふうに存じておるわけでありますから、よく検討いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/69
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070・門司亮
○門司委員 私はこの問題は、急速に案を立てて一本にしていく必要が実はあると思うのです。もし大臣にそういうお考えがありますならば、次の国会あたりにでも、何かお考えになってお出しになる御意思はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/70
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071・高碕達之助
○高碕国務大臣 十分検討いたして、相なるべく早くこれは結論を得たいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/71
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072・門司亮
○門司委員 その次に聞いておきたいと思いますことは、国土開発に対しまするいろいろな意見もございましょうが、問題は、非常に計画の功を急がれるというか、私は五カ年計画とか十カ年計画丁というようなことで、国土開発ができるとは考えておりません。それから同時に、調査が完了するとも考えておりません。だから、むしろ国はこういう法律はできるだけ一本にまとめて、はっきりした所管を置いて、将来は各省にあるいは仕事の関係で分断されるかもし由ないが、しかし、少くとも調査機関というものは一つの責任ある省でまとめて、あるいは省とまでいかなくても、一つの役所でまとめて、そうして相当の期間をかけてやるというはっきりしたものにしていただきたいと思うのです。そうしなければ、今のような五カ年計画で、あれもやろう、これもやろうでは、調査はとてもできっこない。一体何をやろうというのですか。地籍さえはっきりしていないのに、何をやろうというのですか。何もやれないと思う。だから、少くとも国土の調査をするのなら国土の調査を三年でも五年でもかかってやったらいいじゃないか。私はそういう計画性炉なければ、てんやわんやになって、これはめちゃくちゃだと思うのです。だから、そういうはっきりした意思があれば立てられると思うのですが、大臣の考え方はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/72
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073・高碕達之助
○高碕国務大臣 経済五カ年計画とか、あるいは六カ年計画を立てておりますが、これはそのめどを立てるだけであります。しかしながら、国土の調査というふうなことにつきましては、開発する前に十分調査するということが最も必要だと私は存じておりまして、その調査の基礎となるべき基本的な調査さえできてないということは、まことに遺憾だと存ずるわけであります。といって、これをやるについては非常に莫大な金が要る、こういうわけでありますから、これをいかにして予算の許す範囲において実績を上げるかということを考えておるわけであります。それにつきましては、そういうふうな仕事こそ、政党政派を超越して、長い目で見て計画を立てていく、こういうことが必要だと存じておるわけなんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/73
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074・門司亮
○門司委員 その次に聞いておきたいと思いますることは、国土開発に対する一つの順序と方法であります。これについて開発庁は何かお考えになっておることがございますか。今は総合的にいろいろなことが言われておりますが、総合的にいろいろなことを言われたって、とてもできやしない。問題は、先ほど北山君も言いましたように、開発法に都市及び農村の規模及び配置の調整なんと書いてありますが、こんなものが一体できようとは、だれも考えておりません。こんなものは、やろうといってもやれますか。こんなことをやろうとするには、ほんとうに地籍が十分にわかり、あるいは水利なら水利が十分にわかり、あるいは資源なら資源が十分にわかって、それに基く道路開発その他ができなければ、産業の計画性ということは考えられない。その上に立って、初めて都市あるいは地方自治体のあり方というものを、どうあんばいすればいいかという、いわゆる人為的な配合が出てくると思う。そういう計画性のないときに、ただ、ここに書いてありますような都市及び農村の規模をどうするとか、あるいはこれをどう配置するかというようなことは、これはとんでもないことであって、これをやろうといってもできはしませんよ。何でやろうというのですか。自由経済の資本主義の社会のもとで、野放しにしておいて、調査も十分にやらずにおいて、この町村はこういう規模でやるといっても、できっこない。これをやろうとするならば、はっきりしたものがあって、こういう町村はこの規模で成り立っていける、この自治体はこれでやっていけるというめどがなければ、これはやれぬと思う。だから、この機会にお聞きをしておきますことは、国土開発に対する一つの順序です。いわゆる水利を先に考えるのか、あるいは道路を先に考えるのか。何を先に調査するとか、どういう順序で、どういう形で行われるということの構想でもあるなら、この際発表しておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/74
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075・廣川弘禪
○廣川委員長 門司君にお伺いいたします。言葉の中では開発庁に質問のようでありますが、目は高碕国務大臣に向けているようです。どっちに御質問ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/75
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076・門司亮
○門司委員 高碕さんです。あとで向うの方に聞きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/76
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077・高碕達之助
○高碕国務大臣 これを実行いたしますにつきましては、まず調査をいたしまして、基本的な数字、基本的な実態を把握するということが必要でありますが、その前に一応計画というものは立てておく必要がある。これがいわゆる経済六カ年計画でありまして、この経済六カ年計画を、今日の経済五カ年計画に沿うように今後調査をいたして、その調査の実績によって実行に移したい、こう存ずるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/77
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078・門司亮
○門司委員 今お話の経済五カ年計画と国土開発計画の関係です炉、今の大臣の御答弁を聞いておりますと、どうしても私ども納得するわけに参りません。それで、国土開発の正力さんにお聞きをしておきたいと思います。今の経済企画庁の考え方は、しばしば五カ年計画、五カ年計画と言われておりますが、この五カ年計画に基いて一体国土の開発というものがどの程度にやり得るものであるか。これは私は今のところでは両方で相談でもしなければ、とても満足なものは出ないと思うのですが、それを受けて立つだけの国土開発の用意がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/78
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079・高碕達之助
○高碕国務大臣 これは私からお答えしますが、経済五カ年計画というものからいたしましても、その中には当然国土の総合開発というものを、総合的に検討することが入っているわけであります。当然これは五カ年計画の中に、国土総合開発計画というものを立てていくわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/79
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080・門司亮
○門司委員 そうすると、開発自体については別に案はないのだ、経済五カ年計画の中でこれが行われるのだという解釈のように聞えるのですが、そういうことになっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/80
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081・高碕達之助
○高碕国務大臣 当然五カ年計画の中に国土総合開発をするということが入っているわけであります。その五カ年計画の一部分であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/81
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082・門司亮
○門司委員 私、その点がどうもわからぬ。わからぬというのは、実際問題としてこれはできっこないというのが、ものの考え方です。経済五カ年計画というものがもしあるとすれば、また行われなければならぬとすれば、それは既定の規模の上に立っての経済五カ年計画というものはできるかもしれない。しかし、その中に国土開発を入れていくということになりますと、これは実施の面ではなかなか困難である。なぜ私がこれを言うかというと、国土開発計画というものは、三年や五年の一時のことだけで実施されようとは考えておられない。現在の状態の上において、経済計画をお立てになることはけっこうだと思います。しかし、それが国土開発もその中に含めているということになって参りますと、どう考えても、それはなかなかやっていけない。私はやはり国土開発というものは、一つのはっきりした基礎の上に立ったものでなければならぬと思う。地籍一つまだ満足にわかっていないでしょう。そうすると、食糧計画はどうなるんですか。(「幾らかは違うんだ」と呼ぶ者あり)幾らかどころじゃない。わかっていないんだ。これははっきり答弁しているじゃないですか。わかっていろんなら出してみたまえ。やってもいないんだから、あるはずがない。あるはずだというなら、各町村にわたって六百分の一の地図を出してごらんなさい。ないでしょう。経済五カ年計画というものは現在の状態の上に立ったものは立てられると思う。これは十分こしらえられると思う。しかし、それが国土開発というものと一緒になって、この中に国土開発が含まれているということになると、その達成は非常に困難だと私は思う。電源などにしてみたところで、今の状態の上に立って、五カ年後に国土開発の方でどのくらいのものが完成されてくるか。それがどれだけ完成されて、五カ年後には電源開発がどのくらいになるという数字がはっきり私は出てくると思うのだが、問題は、それに対するはっきりした国土開発の行き方というものが、おのおの別個の姿でいくことの方が問題が早いのだ。そういたしませんと、仕事自体が非常に散漫になる。いつまでたっても、満足なものができ上らない、私はこう考えるのです。日本に電源を開発して、あるいは河水を統制して、どれだけの食糧増産と、どれだけの電源ができるかということは、一応はっきりした調査の上に立ってやることが必要である。しかし、それには一つの基礎調査が必要だ。ところが、基礎調査はほとんどやられていないといってもいいくらいなんだ。地積もわからぬくらいでは、はっきりしたものが出ないと私は思う。(発言する者あり)与党は少し度胸がなければだめだぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/82
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083・廣川弘禪
○廣川委員長 門司君、どうぞ継続して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/83
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084・門司亮
○門司委員 私はそういう意味で聞くのですが、どうしてもこれはやはり五カ年計画に基く国土総合開発であるのか。それなら、はっきり聞いておきますが、国土総合開発というものは、やはり別に立てる必要があるのか。このけじめを一つはっきりしておいてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/84
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085・高碕達之助
○高碕国務大臣 私はこう感じます。国土総合開発のような大きな事業は、これは五年だとか、あるいは十年とかいう短期間でやるべきものではなくて、その全体の計画というものは、できるだけ長期に立てる必要があると存じますが、しかしながら経済五カ年計画は、少くとも最初の——この国土開発計画がかりに二十年という計画を立てましても、その最初の五年でありますから、その五カ年計画の中には、当然国土開発の一部分が入るべきものだ、こう考えるわけでありまして、現状におきましては、五カ年計画の中には、電力はこういうふうに開発する、河川はこういうふうにやる、未開発地はこういうふうにする、食糧増産はこういうふうにするということは当然入りますが、これは国土開発の五カ年間の一部分でありますから、さように御承知を願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/85
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086・門司亮
○門司委員 だんだん問題がはっきりしてきましたが、五カ年計画は、その中に国土開発が部分的に取り入れられていくというように解釈すれば、今の長官の答弁と同じように私はなると思う。ところが私どもの考え方で、これをもう一応聞いておきたいと思いますことは、それも一つの方法でありましょうし、一つの形であります。しかし、少くとも国土開発というものは、それと別な立場に立った、はっきりした国土開発というものの順序と方法がなければ、その中に織り入れていくにいたしましても、きわめてあいまいになっていくというように一応私は考えられる。従ってそういうことのために、国土開発と今の五カ年計画との間に、画然とした筋を一応引いてやった方が、私はやりいいのだというように考えられる。五カ年計画の中に取り入れていっても、片方は二十年だか三十年だか、国土計画の方には見当がついていない。しかしこれくらい開発されるだろうから、これを五カ年計画の中に取り入れていこうというあなた方のお考え、これも一つの考え方、これも一つの方法には間違いない。しかし国の総合的な開発をしていこうとするには、それとやはり別個の開発というものが、はっきりした態度で立てられるという一つの大きな制度がなくてはならないと私は思う。だから国土開発については、さっき申し上げましたように、こういういろいろな法律を一本に直して、はっきりしたものにしてやっていくというようなことの方が、私はまた必要ではないかと考える。だから、要約して申し上げますと、あなたの方のお考えとわれわれの考えと違っているところは、考え方は考え方としてそれでいいとして、別にそういうはっきりしたものを出していただく、そうして法律を一本にすると同時に、はっきりした計画を立てていただく。その場合の構想として、大体どういうものから手をつけていけば国土開発が容易に行われるかということを、一応参考のために聞かしておいてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/86
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087・高碕達之助
○高碕国務大臣 それはこの根本において、やはり実態を把握するということが根本の問題だと存じますけれども、先ほど御指摘のごとく、地積さえ判明していないじゃないか、これはまことに残念なことだと思います。そういうふうなことは当然調査が必要である。実態を把握する、そうして実行に移しますについては、財政の許す範囲においてまず交通網を作るということが大事だろう、道路を作るというふうなことも大事であろう、そうして着実に実行に移さなければならぬと思いますから、その計画はできるだけ長期にわたって立てていく、それでお話のごとく、五カ年計画とは別途に、十年あるいは二十年計画を立てるということは、私は一案だと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/87
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088・門司亮
○門司委員 もう一つだけ聞いておきたいと思いますが、もう一つは、そうした場合において、この法案だけをずっと読んでみますと、いかにも国土総合開発の方はある程度自主性を持ったように法律に書いてあります。ところが、その次この法律には、ほとんど自治体まかせになっておるのであります。国土調査の関係です これはほとんど自治体まかせです。それで問題になりますのは、そうした場合の国の方針は、自治体まかせで、やるところには補助金をやる、やらないところはそれでいいというような考え方では、私はいつまでたっても満足できないと思う。従いまして、さっき申し上げたように、法律を一本にして、はっきりした方がいいと私は考えておる。そうした場合にも、やはり国がはっきりやるという態度をお示しになって、そうして地方自治体の協力を求めるという立場に立つのか。この法律にあるように、地方の自治体が主体になって、そこにだけやろうというような考え方では、私はいけないと思う。国がはっきりした立場に立って、地方の協力を求めようというお考えになるのか、それをもう一度聞かしておいてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/88
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089・高碕達之助
○高碕国務大臣 これは当然国家の責任におきまして全面的に考えて、そうして地方々々に指導し、これを助成して、実行に移すべきものだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/89
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090・廣川弘禪
○廣川委員長 ほかに高碕国務大臣に対する質疑がなければ、一応高碕大臣に対する質疑は終り、次会より議案の内容についての質疑を行うことといたしまして、本日はこの程度にいたしたいと思います。
次会は二十三日金曜日、午後一時より開会することにいたし、本日はこれにて散会いたします。
午後五時二十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404321X00919560320/90
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