1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年四月十日(火曜日)
午前十時三十八分開議
出席委員
委員長 神田 博君
理事 小笠 公韶君 理事 鹿野 彦吉君
理事 小平 久雄君 理事 長谷川四郎君
理事 中崎 敏君 理事 永井勝次郎君
秋田 大助君 阿左美廣治君
宇田 耕一君 内田 常雄君
大倉 三郎君 菅 太郎君
菅野和太郎君 島村 一郎君
首藤 新八君 鈴木周次郎君
田中 角榮君 田中 龍夫君
南 好雄君 山本 勝市君
伊藤卯四郎君 加藤 清二君
佐々木良作君 佐竹 新市君
多賀谷真稔君 田中 武夫君
帆足 計君 松尾トシ子君
松平 忠久君 八木 昇君
出席国務大臣
国 務 大 臣 高碕達之助君
出席政府委員
経済企画政務次
官 齊藤 憲三君
総理府事務官
(経済企画庁計
画部長) 大來佐武郎君
通商産業政務次
官 川野 芳滿君
通商産業事務官
(大臣官房長) 岩武 照彦君
通商産業事務官
(重工業局長) 鈴木 義雄君
通商産業事務官
(公益事業局
長) 川上 為治君
委員外の出席者
専 門 員 越田 清七君
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四月六日
委員田中角榮君、多賀谷真稔君及び山本勝市君
自任につき、その補欠として佐伯宗義君、三宅
正一君及び久野忠治君が議長の指名で委員に選
任された。
同日
委員佐伯宗義君及び久野忠治君辞任につき、そ
の補欠として田中角榮君及び山本勝市君が議長
の指名で委員に選任された。
同月七日
委員篠田弘作君及び山本勝市君辞任につき、そ
の補欠として北村徳太郎君及び久野忠治君が議
長の指名で委員に選任された。
同月十日
委員久野忠治君辞任につき、その補欠として山
本勝市君が議長の指名で委員に選任された。
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四月六日
計量法の一部を改正する法律案(内閣提出第一
三七号)(参議院送付)
同月七日
繊維工業設備臨時措置法制定反対に関する請願
(加藤清二君紹介)(第一八五四号)
同(横山利秋君紹介)(第一八五五号)
同(春日一幸君紹介)(第一八八二号)
同(小笠原三九郎君紹介)(第一九二〇号)
山形県の石油及び可燃性天然ガス開発促進に関
する請願外一件(西村力弥君紹介)(第一八九
四号)
火災保険協同組合の法制化に関する請願(永山
忠則君紹介)(第一九二二号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
電源開発促進法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一四四号)
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001・神田博
○神田委員長 これより会議を開きます。
電源開発促進法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
質疑を継続いたします。質疑の通告がありますから順次これを許します。多賀谷真稔君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/1
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002・多賀谷真稔
○多賀谷委員 大臣も見えませんので、まず各論的なことからお尋ねいたしたいと思います。今度社債を発行いたします場合に、政府の保証ということになっておるわけですが、電源開発株式会社法は一般担保の規定が許されておるわけです。この一般担保の規定というのは、今問題になっております旧日鉄法にもこれがあり、あるいは一般の電気事業法にもこれがございますけれども、一体どういうような担保的な役割をしておるのか、これをお聞かせ願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/2
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003・川上為治
○川上政府委員 今の一般担保の問題についての御質問の趣旨がちょっとよくわからないのですが、もう一ぺん具体的にお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/3
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004・多賀谷真稔
○多賀谷委員 公益事業会にいたしましても、あるいは電源開発株式会社、あるいは東北興業株式会社、こういういわば政府出資並びに公益業につきましては、これはガスが入っておりませんけれども、一般担保の規定が許されておる。本来一般担保の規定が許される場合には、社債なんか発行いたします場合に、無担保でも大体貸し得る程度の能力があるというようなところから、一般担保の規定というのはあるのですが、この際社債を発行されるについて政府保証ということが必要になってきておる。それが必要であるほどならば、この一般担保の規定は非常に危険じゃないか、こういう意味でお尋ねをしておるのです。そこで一般担保の規定はどういう役割をしておるのか、これをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/4
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005・川上為治
○川上政府委員 一般担保の問題につきましては、電源開発とか、あるいは電気事業とか、そういう事業につきましてはどうしてもそういう規定を置かなければ、一面におきまして資金の確保ができないというようなことでありますので、そういう規定を置いてあると思うのですが、この社債に対する保証につきましては、単に借り入れについて、社債を発行するについて優先的に発行できるようにバックしておるというだけではなくて、たとえば社債の金利につきましても、ある程度これを安くし得るようにそういう保証をした方がよくはないかというふうに考えまして、社債の保証という規定を設けた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/5
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006・多賀谷真稔
○多賀谷委員 社債を発行されるについて、直接的な問題ではありませんけれども、今案は本委員会にも、旧日鉄法の一部を残してもらいたい、そのまま存続してもらいたい、こういうのがあるわけです。そこでこの担保の問題はやはりこの際われわれは明確にしておかなければならない、かように考えるわけです。と申しますのは、電源開発株式会社が永久に今の状態でずっといけばけっこうなんですが、そのうちに、これは採算がとれるようになったからというので民営に移す、純然たる民間会社にする、こういうことになりますと、またあらためて今の日鉄が、八幡製鉄及び富士製鉄が悩んでおるような状態になるわけです。そこで、公企業であろうと、私企業であろうと、やはり担保制度というものを確立しておかなければ、一元的にしておかなければ、企業の形態が変るごとにその担保の問題がひっかかって、そうして創設以来全然登記がしてない、こういうことになると非常に困るのでお尋ねをしており、さらに今社債の問題がありましたので、ついでにお尋ねをしておるわけですが、一体この一般担保というのはどのくらいの効力を実際持っておるのか、それをお聞かせ願いたい。どうも気休めのようなんですが、これはどう・読んでも先取特権があるといいましても、一体どういうようにやゆのか。きわめて気休めのような担保の制度になっておる。というのは、結局こういう会社は政府出資の会社であるから、本来は担保を取らぬでもいいのだけれども、無担保というわけにいかぬから、形式を整える意味において一般担保として先取特権を認めておる、こういうようなことしか考えられないのです。ですからそれをお聞かせ願いたい。こう言っておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/6
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007・川上為治
○川上政府委員 この問題につきましては私も十分研究いたしておりませんが、電発につきましてもこういう事例は今まで起きておりません。この条文につきましては、気休めの規定ということでは必ずしもないと私は思うのですが、電発に対しまして、この社債の債権者につきましては、やはり特別な先取特権を持つとかいうような規定を一応しておいて、それによって電発の資金なりそういうものが確保できるようにというような意味でこの規定ができているのじゃないかというふうに考えるのでありますが、今申しましたように、あまりこの問題については詳しく研究しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/7
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008・多賀谷真稔
○多賀谷委員 この際私はこれ以上あまりお聞きいたしませんが、実はやはり社債の発行というような問題がありますので、担保の問題は研究していただきたいと思うのです。なぜかといいますと、電源開発は特殊でありまして、一般担保のほかに、抵当権の工場財団抵当を認められておるわけであります。これは参議院で修正になって出てきている。最初政府原案には——政府原案といいますか、最初衆議院に出ました原案にはそれはなかったわけですが、参議院において工場抵当の規定が入っているわけです。こういうようになっておりますので、やはり担保の問題もこの際研究しておいていただきたい、かように考えるわけです。一般担保の問題は、先取特権を与えておれば金融がつくという話ですが、実際問題としては、一般担保をもらっても、抵当権と違いまして行使のしょうがないのです。ですから行使のしょうがないというようなのは、これはかなり担保力のある、無担保でもいいというような政府出資その他の会社に適用されるべき問題であるという意味ではないか、そういう一般担保を認めておきながら、今度は政府で社債の発行をする場合には保証するというのはいささか矛盾しているではないか、こういうことを考えるわけです。さらにあえて言うならば、これは長官も見えましたから聞くのですが、最初電源開発株式会社をこの促進法の中に入れ、担保の制度を設けたときは、社債の発行を予想しておったでありましょうけれども、ほとんどこれは政府保証ということを考えていなかったのではなかろうか。それほど政府の出資というものにたよっておった、要するに安い金にたよっておった、一般市中銀行から借りるということをあまり予想しておらなかったのではなかろうかと思うのです。ところが、だんだんん市中銀行に依存しなければならないような状態に国家の政策によってなって参りましたので政府保証という問題が起ってきた、かように私は理解をするのであります。それから、最初社債の発行の場合には、今一部改正で行われようとしておりますような条文を当然入れて出発すべきであったにかかわらず、それがないというのは、やはりほとんどを政府の安い金で遂行していこうというところに問題があったのではなかろうかと思うのですが、長官より一つその点をお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/8
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009・高碕達之助
○高碕国務大臣 お答え申し上げます。最初創立の当時のことにつきましては、私はちょうど電源開発の総裁でありましたから申し上げますが、当時の考え方といたしますれば、ただいまお話しのごとく、できるだけ政府出資でもって低金利の金を使わすという考え方で進んでおったのでありますが、その後の情勢からいたしまして——当時創立いたしましたときには民間資金が非常に枯渇いたしておりまして、いわゆるオーバー・ローンが非常に多かったのでありまして、とうてい民間の資金に依存することはできないというほどの発足でありました。ところが、御承知のごとく、昨年来民間の資金が非常に豊富になりまして、金利も逐次低下の状態であります。こういう場合におきましては、できるだけ政府出資を節減いたしまして、これにかわるに民間資金を運営したい、こういうことの意味から今回この促進法を改正いたしまして、民間資金を取り入れる、こういうことから発足したのでありまして、今の御説の通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/9
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010・多賀谷真稔
○多賀谷委員 民間の資金を取り入れるということですが、金利が同じであればけっこうですが、昨年並びにさらに二十九年度に比べて金利は、三十一年度の計画では、いろいろな資本構成の金利を平均して、どの程度になるでしょうか。安くなりましょうか、それとも高くなりますか、これをお聞かせ願いたい。これは局長でけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/10
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011・川上為治
○川上政府委員 平均しました数字につきましては今持ってきておりませんけれども、今までよりも若干安くなるというような考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/11
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012・多賀谷真稔
○多賀谷委員 どうも安くなるということ、それは民間の市中銀行の従来の利子よりも、今度市中銀行だけを比べれば安くなるのでしょうが、この電源開発株式会社が借り入れる金利が平均して果して安くなりますか、どうですか。社債の発行というのを出しておられるのだから、当然金利の説明はあってしかるべきですからお尋ねするわけです。一体安くなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/12
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013・川上為治
○川上政府委員 実は昨年度におきましては、日発におきましては若干つなぎの関係から市中銀行から借り入れました場合もございます。それからそれ以外の、たとえば一時的に借り入れた事例があるわけですが、本年度におきましてはそういう一般の市中銀行から借り入れないで、なるべく社債でこれをまかなうというような考えを持っておりますので、計算いたしますと大体昨年と同じくらい、あるいはそれよりも若干下るのじゃないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/13
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014・多賀谷真稔
○多賀谷委員 この料金の問題はきわめて重大な問題ですし、あとからおいおい聞きますが、三月三十一日というのはこれは政府が約束をした日ですから、私はもう少し——この電気料金は原価主義をとっておりますから直接原価が問題になる、しかも原価構成の六〇%が金利であるということになりますと、金利の問題はもう少し明確にしていただかなければわれわれはなかなか審議をするわけにはいかないのです。ですから、一体二十九年度まではどのくらいの金利になり、それが原価に占める率はどの程度であり、三十年度はどうだ、三十一年度はどうだ、今後はどういうようになるのだ、三十五年度においては原価はどういうようになるんだということを一つ明確にお示しを願いたい。少くとも三十一年度は一つ明確に示していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/14
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015・川上為治
○川上政府委員 実は今数字を持ってきておりませんが、大体の見通しは一応つけてやっておりますので、あとで数字を持って参りまして御説明申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/15
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016・加藤清二
○加藤(清)委員 関連して。ただいまの御答弁によりますと、金利は若干安くなる、こういうお話でございましたが、過ぐる日に本委員会で、冬料金を夏料金に移行してもらいたいという業界の希望のもとにそれが審議されました折に、何がゆえにこの電気料金を上げなければならないのかという私の質問に対しまして、ただいま多賀谷君がお尋ねの中に申しましたように、これは金利が高くなるからである、金利が非常に高い。コストに及ぼす影響のパーセンテージもお示しになって、やがて電発が計画をしておりますところの電源開発計画が実行に移された暁におきましては、ただいまよりも高くなる見込みですと言う。どれだけ高くなるかといったら、三割四分六厘は高くなります、それは金利のおかげでございます、こういう答弁があったはずでございます。その当時、局長は鉱山局長でいらっしやったので話が違えば別ですが、局長が変ったおかげで安くなるということならこんなけっこうなことはございません。ところが若干安くなるというだけでは、これはちょっと私もどそれを額面通り受け取るわけには参りませんから、この際おそれ入りまするが、新しい計画について若干安くなるところの数字を、はっきりわかるようなデータをお示し願って、こういう金利なるがゆえにこうだとはっきり示してもらいたい。今まで借りている金は市中銀行でなかったはずである、安い金利であったはずである。にもかかわらず高くなる、こう言うておきながら、今度は高いであろうと予想される市中銀行の金を借りて、それで安くなるとおっしゃるのだから、安くなることが反対ではない、けっこうなのですが、はっきりしたところを示しておいていただかないというと、すでに東北地方においても話に出ているように、特別契約の低料金は高くしなければならぬというような意向が出ておるようでございます。それとも関連を持ちまするので、この際はっきりとした電気料金のコストの表を——金利が変ってくれば当然かわるはずでございます、企業努力が変れば変ってくるはずでございまするから、はっきりとしたデータをここにお示し願いますよう、資料の提出を要求する次第です。答弁ができたら今やって下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/16
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017・高碕達之助
○高碕国務大臣 私ちょとかわって答弁いたします。
ただいま局長のお答え申し上げましたことは、市中銀行から現在電源開発会社が借りておるそれを、社債にかえることによってこれは安くすると、こういう意味でありまして、全体から申しまして、電源開発会社の資金源は政府資金をもってやりますときには、これは当分配難しないということになれば政府の出資はゼロでいい。ところが外国から借りるといった場合に、この間の余剰農産物等は別途でありますが、かりに世界銀行から借りてもやはりどうしても四分五厘ぐらい払わなけ出はならぬ、こういうことになります。私どもの現在考えておりますることは、電源開発会社の資金は政府出資等も入れまして、どうしても四分程度にとめたい、そういうふうな感じでやっておるわけなんでございます。これは初めから申しますと、初めは政府出資が多かったから、これはほとんど金利はなかった。それから現在のところ大体平均して四分ぐらいになっておる、これは私の勘でありますが、そう感じておりますが、この程度にとどめることにして、社債を発行すればそれに対しては今日やはり少くとも七分ぐらいの金利を払わなければならぬと思います。最低七分はかかるだろうと思います。そうすればそれにマッチするように、ある程度安い金利の金を調達するというふうな方策も講じていかなければならぬ、これは将来の問題でございますが、そう感じておるわけなんでございますから、今の御質問の金利の問題等につきましては、詳細に資料を作って差し上げたい思いますし、私どもも検討いたしたい、こう存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/17
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018・多賀谷真稔
○多賀谷委員 この改正案の、たとえば一部負担の問題でも結局電気料金の問題になるわけです。このままでは電気料金が高くなろから、何とか益金の上ったところからは一つ吸収したい、そうして電源開発会社が、あるいはそれだけでなくて電気事業が供給する電力を安くしたい、こういうところからこなければ、この問題の審議はできないのですから私はあえて聞いておるわけです。ですから一つ早急にこの点は、午後でもけっこうですから資料を出していただきたい。電気料金の問題、電力原価の高騰の問題を論ぜずして、われわれは経済的にはこの問題を論ずるわけにいかないのです。これは単なる権利義務の問題じゃないですから、それで私はやはりこの金利の問題あるいは料金の問題についても、一つ明確に説明を願いたい、かように考えております。
そこで続いて質問いたしますが、今やはり問題なのは、豊富な電力の供給という事態よりも、むしろ低廉な電力の供給という問題が皮肉にも悩みの種になっておる。そこでこれをどういうようにして、豊富にして低廉な電力の供給をするかということが大きな国家的な要請であることは、提案理由にも出ておる通りであります。そこで私はお尋ねいたしたいのですが、現在コスト局になっておる原因の多くは、先ほどもお話しになりました資本構成の問題・そのうちの金利の問題、資本費の問題であります。電気事業は本来固定資産の産業といわれるくらい固定費を使うわけですけれども、現実に水力開発がどんどん進行しますと非常に高くなる。そこでこれをもう少し火力の方に移せば当面の資金はそう入れなくて済むのじゃなかろうか、あるいは私が計算しましても二百億からの当面の資金が減る。そうすると当面のコストが今のように急速度に上昇することは避けられるのではなかろうか、こういうことを考えるわけですが、これについてはどういうように長官はお考えになるかお聞かせ願いたい。ことに、続いて参議院の修正によって、電源開発促進も火力が入ってきておるのです。ところが電源開発株式会社の方は全然火力の方は新設されるようになっていない。この点も一つどういう理由であるかお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/18
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019・高碕達之助
○高碕国務大臣 お答え申し上げます。単純に電気料金という問題から考えましたときには、今後の水力電気を開発するものは非常なコストがかかるわけでございますが、しかしながら、といって水力電気でも普通のやり方の流れ式をやるということでいけば、必ずしもそう高くかからないという状態でございまして、現に和田川のごときは流れ式をとっておりますと一キロワット六万七千五百円で上っておる。これは最近の状態でございます。ところが田子倉などでは今度はどうしても十六万三千円はかかる、非常な違いがあるようでございますが、これはなぜそんなに高くなるかということを掘り下げて考えてみますと、ダムの建設には相当奥地で建設しなければならぬということと、同時に貯水量を大きくして電気の質をよくする、こういうことのために多数の補償をしなければならぬ、埋没家屋があるから。そういうことに知恵を払っても今度は治山治水という方面から考えていけば、どうしても今後は相当コストが高くついても新しく山の奥地でダムを建設してそこに水を貯水するという方針をとることは、単に電力だけの問題でなくて、治山治水、またこの水を活用するということから見てもどうしても絶対必要である、こういうわけであります。そこでそのためには電力コストをなるべく下げるために、国家資金の許す限りにおいて低廉なる資金を出して電力料金の上らぬようにしたい、こう思っているわけでありますが、先ほど御質問の、政府が社債の保証をするとこういうことも、これは幾らか原価を低廉にせしめ、金利を低減するためにやるわけでありますから、これはどうしても今後とも上流における大規模のダムの建設は実行していかなければならぬ。それはどうしても国家資金を直接使っておる電源開発会社をしてやらしむべきものだ、こう思っております。一面から申しまして火力発電は、仰せのごとく建設の資金はよけい要りません。これは水力電気を開発するよりも安く参るわけでありますが、今後これに対してはだんだん石炭の消費量も減っておりますけれども、なおかつ発電には今後石炭を使っていかなければならぬ、こういうことでありますが、さしあたる電力の供給状態から申しますれば、火力発電をもって充てることはいいかと存じますが、これは必ずしも国家が低利な資金をもってやるという必要もないだろう、必要はあるといえばありましょうけれども、それよりも国家はもっと上流のダムを作るということに力を注ぐべきじゃないか。そうしてこれは各業者にまかしていっていいことだろう、こう存じてやっておるわけでありますが、電源開発会社におきましても必ずしも火力発電はやっちゃいかないという法律はないのでありまして、現状におきましてはこれは各業者にまかしてやりたいというわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/19
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020・多賀谷真稔
○多賀谷委員 大体お説はわかったわけですが、私は何も水力を断じて火力に切りかえろということを言っておるわけではございません。また現在の日本の老朽の火力をすぐに新鋭火力に変えろとも言っていない。むしろ今の老朽の火力は老朽の火力で調整的に使われておる。新鋭火力となると常時運転になる。そこで今の水力と火力の役割が逆になってくる。こういうことも承知しておるのです。しかし三十五年度までの計画で水力が三百四十三万キロワット、火力が二百五十七万キロワットを予定をされておりますが、この点はもう少し検討できるのではなかろうか、こういう意味で申し上げておるわけであります。これを逆にせいとか、そういうことは言っておるのではないのですが、現在非常に電力料金が高騰をしていっておる。そこでその問題について確かにダムを作ることは必要でございますけれども、もう少し検討の要があるのではなかろうか、果してこの六百万キロにおける割合が妥当であるかどうか、こういう点も検討の要があるのではなかろうか。ことに今や金利はだんだん高くなってきておる。政府資金のみに頼ることのできないような情勢になっておる。こういうときに最初からの計画をそのまま踏襲するということはかなり検討を要するんではなかろうかということを聞いておるわけですが、長官はどういうようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/20
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021・高碕達之助
○高碕国務大臣 私は各方面から考慮いたしまして、水力電気の開発につきましては、ただいまお話のごとく三十五年を期しまして千百七十四万キロはどうしても確保していきたい、こう存じておるわけなのでありますが、火力発電の方につきましては、今後よほど技術が進歩して参りまして——ただいまのところは、一番大きな発電機なり、いいものは外国から買わなければならぬ、こういう状態でありますから、これは十分考慮していかなければならぬ。これが国産品でもって外国品にかわらないものができるということになれば、これは私は当然検討を要することだと思いますが、ただいま外貨を相当持っておりますから、必要な外貨をこれに充てるということは考えられるのじゃないか。どの程度火力発電が国産で外国製品に負けないものができるかということにかかっておるので、そうなればこれは相当考慮すべき点がある、こう存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/21
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022・多賀谷真稔
○多賀谷委員 本委員会でこの前日立の社長の倉田さんに来ていただいて公述を願ったことがあるわけであります。そのときにわれわれはぜひ発電機もわれわれの手で作ろうと思っていろいろ研究しておる。ところがやっとわれわれが追いついた時代にはもう次のキャパシティのものが輸入してこられる。それでその次の研究をしてやっとそれに追いついたら、もうそれの倍くらいあるやつを輸入してこられる。これで非常に困りますという話を聞いたわけであります。それはもっともな話であります。今長官は何か日本の国産の機械が悪いから現在やむを得ず外国のものを買っておるのだ、買わざるを得ない、こういうことをお話しになっておりますが、次から次と幾何級数的にキャパシティの多いものを使われるとそれは国産も追いつきませんよ。ですからこの点はちょっとくらい能率が悪くても、今最高水準までいっておる機械をお使いになって、あるいは一台向うから輸入してくれば、数台の機械は国産でやる、こういう考慮が電源開発としても必要ではなかろうか、かように考えるわけです。その点についても、ちょっとそれますけれども、一言お聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/22
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023・高碕達之助
○高碕国務大臣 この火力発電の原価を安くするためには、逐次大規模の発電所に相なってきておるわけでございまして、これは外国におきましても七万キロが十五万キロになるということになっておりまして、そういうものができればやはり日本もできるだけ新しいものをとってやっていくということは進歩でありまして、これは機械のメンカーとすれば非常に困る点だと思いますが、困るということは、これはやはり進歩ということを意味するものと私は存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/23
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024・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そういう点は、一つ今後とも政府において指導して、十分調整をしながらやってもらいたい、かように希望しております。
続いて余剰電力の問題についてお聞かせ願いたい。休日とかあるいは深夜とかには電力が余る、こういう傾向が漸次出てきておると思うのです。要するに今もお話がありましたように、コンスタントに動いておる流れ込みの水力でありますと、どうしても常時これをやらなければならぬ、そうするとせっかく出力が出ましてもそれがむだである、こういう問題が起ってきておると思うのでありますが、一体どのくらい余剰電力が増大しておるか、これをお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/24
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025・川上為治
○川上政府委員 三十年度と三十一年度の余剰電力はどの程度ふえてきておるという数字は、今とこに持ってきておりませんが、これはわかっております。最近におきましては、ある程度のふえておりますことは事実であります。私の方の計画としましては、極力そういう余剰電力をなるべく利用するように、そしてたとえばカーバイド企業でありますとか、あるいは電気銑の企業でありますとか、特に電力を使うものにつきましては、余剰電力を使うようにという指導をいろいろいたしておりまして、三十一年度の電力の需給計画につきましても、私どもの方としましては、そういう考えで需給計画を作りたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/25
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026・多賀谷真稔
○多賀谷委員 局長の話をよく検討してますと、どうも矛盾に満ちたお話をなさっておる。たとえば今余剰電力をなるべく使うと言う。これはけっこうですけれども、カーバイドとか電気銑、こういうお話をなさっておる。局長の頭には今の電気銑というものは、東北は電力が足らない、ことに青森県あたりの電力が非常に足らないので、砂鉄を電力銑にして精製する、最近これは増加を見ておりますが、これが足らない、こういうことでお話になったのではないかと思います。余剰電力というのは現在火力からは出てこない、水力の方から出てきておる、火力の方は調整しておりますから。ところが今の問題の地点はむろし火力発電所か何か作らなければ補給できない、そういう地点にある余剰電力はだめなんです。ですから私は、もう少し勉強して一つ御答弁願いたい、かように考えるわけです。
そこで私は二十九年の上期の余剰電力を調べましたところが、八億八千万キロワット・アワーある。これは四国の上期の総発電量に匹敵するのです。ですからこの余剰電力という問題については十分検討していかなければならないと思うのです。と申しますのは、今後流れ込み式の水力発電所を作ってみましても、その会社自体をとりますと需給のバランスはとれてくるだろうと思う。とれて参りますから、オフ・ピーク時に今まで買っておりました電力を断わる、断わると、断わられた方の送電側の会社といたしましてはそれだけ余ってくる。それが結局余剰電力になってくる。ですからそういう点も十分総合的に検討する必要があるのではなかろうか。そこで一体余剰電力についてどういうようなお考えであるか。最大に利用するということはわかりきったことですから、一体どういう方法で利用させんとするのか、あるいは今後の計画に流れ込み式の水力発電所の新設計画があるとするならば、それは今申しましたような余剰電力となって終局的には現われてこないかどうか、これを一つお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/26
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027・川上為治
○川上政府委員 余剰の電力の利用につきましては、たとえば東京と東北の関係のごときを見ますと、これは来年度におきましては東京の方が相当余るわけでございまして、その余ったものにつきましては、東北においては最近産業の伸びが非常に激しいので、従って全体としては不足して参りますので、そういう場合におきましては東京の方から余剰のものを出してお互いに融通して、そうして余剰のものを極力利用するような方向に持っていきたいというふうに考えておりまして、大体三十一年度の計画におきましても東北に対しましては東京から相当の量を融通することにいたしております。また北陸に対しましても、最近非常に産業の伸びがあり、需要の伸びが大きくなっておりますので、関西の方からこれを融通するというような措置をとろうとしております。それから深夜につきましても相当余剰が出てくるわけでございますが、これは先ほど申し上げましたように、産業によりましては深夜において十分これを使ってもいい産業もあるわけなんですから、そうした産業においては深夜の電力を極力使うよりに、かつまたそれに対しましては深夜の電力料金をなるべく安くして、そして夜それを利用できるように持っていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/27
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028・多賀谷真稔
○多賀谷委員 局長が言われる余剰電力という定義がはっきりわかったわけですが、あなたの方はキャパシティがあって、そのキャパシティが余っておる、こういうことであるから先ほどから関西の電力を北陸に送るとか、こういうお話をなさっておる。私はそういうことを聞いておるのじゃないのですよ。要するにピーク時でないときに結局捨てていかなければならぬ電力ができているじゃないか、一体これをどうするのか、こういうことを聞いておるのであります。一つの会社は要するにキャパシティがあって、余ったものは、それを運転していないが、この電力は何も死んでおる電力ではないのです。それは送れる。これを融通しなければならないのは当然の措置であります。それを開いておるのではない。私の聞いておるのは結局ほとんど要らないときに、どうにも使いようがなくて電力を捨てておるじゃないか。この捨てておる電力の利用をどういうようにするのか、深夜のお話がありましたが、深夜はまさにその通り、休日もです。これを一体具体的にどういうように利用しようとされておるのか。これをお聞かせ願いたい、かように言っておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/28
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029・川上為治
○川上政府委員 現在産業に対しまして特別に統制なりそういうことはいたしておりませんけれども、今お話がありましたように、とにかく電気ができて、しかもそれを捨てなくちゃならぬというような、そういう事態になっておるものにつきましては、そういうことがないように、またその方面の産業に対しましては、極力そういうものを利用し得るような措置をとるようにということで、これは電力会社の方と各産業の会社の間でもいろいろ相談をしまして、こういう場合においては一つぜひ使ってもらいたいというようなことでいろいろ具体的にやっておるわけでございまして、今お話がありましたように、なるべくそういうものがむだにならぬようにしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/29
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030・多賀谷真稔
○多賀谷委員 どうも抽象的に言われても政策に乗ってこないと思うのです。できるだけないようにするといっても、ないようにできないのですよ。発電側では結局いかにして使うかというよりほかに方法がない。ですから先ほど私が申しましたように、昭和二十九年の上期だけでも、四国の上期の発電量と同じだけ捨てておる。これを石炭に換算しますと、五十八万トンの石炭をむだに消費しておる、こういうことになるわけです。これが今後常時の新鋭火力になりましても、常時運転ということがかなり問題になっておりまするし、また日本には流れ込式の発電があるわけですから、これをどういうふうに調整していくか、こういう問題になるし、これをいかにして使うかという問題は、労働問題と関連をしてきわめてむずかしい問題でございます。私商工委員ですからそういうことを話しておるけれども、労働委員になるとそういうわけにいかないので、深夜業さしたり休日させたらけしからぬじゃないか、こういうことをいわざるを得ない。そこでこういう非常にむずかしい問題をどう解決していくか、こういうところに大きな問題があるんではなかろうか思うのです。これは早く計画を立てておかなければ今後非常に困る問題になる。ただ負荷率が低下をしておると思うのです。一体今負荷率はどのくらいになっておるかお聞かせ願いたい。年でいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/30
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031・高碕達之助
○高碕国務大臣 今負荷率の問題は調べておりますが、私はこう思っております。稼働電力を捨てるということは、どうしても方法を考えなければならぬ。これを根本的に解決する道は、火力発電を持つことと、それから貯水池式の大きなダムを持つことと、この二つができなければ根本的血解決はできないと思っております。その方に進んでいきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/31
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032・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そこで私はまだ流れ込み式の水力発電所の新設というのが計画にあると思うのです。こういう点も一つの会社なら確かに採算もとれ建設費も安いのですから、私は意義があると思う。しかし日本全体を見ると、その分だけをどこかへ捨てなければならぬ、こういうことになりますので、今後流れ込み式の水力発電所の計画があるかどうか。あるとするならばそれはそういう事態にならないかどうか、これを一つお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/32
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033・大來佐武郎
○大來政府委員 御答弁いたします。今度の電力開発の六ヶ年計画の中には、やはり一部流れ込み式の発電所を計画しております。ただこの深夜間あるいは休日等におきます余剰電力、これは技術的にどうしてもある程度発生いたしますので、これは非常に無理して利用しようとすれば、むしろ使用者側で相当な不便がございます。量その他の点もございますが、できるだけこれを減らして参るという努力はいたさなければなりませんが、地点によりましては流れ込み式でなければ開発できない地点が多数ございますので、この余剰電力は避けなければなりませんが、それかといってそれだけの理由だけでこの流れ込み式を全部やめるというわけにも参らないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/33
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034・多賀谷真稔
○多賀谷委員 負荷率を私が調べましたのには、年負荷率が昭和十年が六五%、二十七年が——戦後ですが、七七・二%、二十八年が七四%、二九年が七〇%と漸次下ってきておる。かりに負荷率キ一七五%が六一五%に低下した、こいうように考えますと、この最低出力は使用量を一定といたしますと、一五%上昇しなければならぬ。そうすると最大需用電力が約八百万キロワットであるとするならば、新たに百二十万キロワットの発電所が必要である。要するに一〇%の低下によって百二十万キロワット発電所の新設が要る。これほど重要な問題です。ですから私はこの余剰電力の問題あるいは負荷率低下の防止の問題も一つ十分考慮していただきたい、かように考えるわけです。さらにその他の細部についてはあとから資料がありましたら御答弁を願いたいと思うのであります。
そこで私は長官がおられますので続いて質問をいたしますが、長官は三十年三月三十一日に参議院の予算委員会において、佐藤議員の質問に対して、例の新聞の掲載で問題になりました再編成の問題について、東北地方と東京、あるいは北陸地方と関西、こういうのが一本になったらいい、こういうお話をなさっておったようであります。あるいはそういう新聞が出ておったことに対する質問であったかもしれませんが、これについてどういうように現在お考えであるか、お聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/34
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035・高碕達之助
○高碕国務大臣 余剰電力をお互いに融通し合うことは、電力の効率的の使用ひいては電気料金を低下せしめる上において最も必要なことだと存ずるわけであります。その意味におきまして、今後電源開発がだんだん進行して参りますと、現在の電源開発会社を一つの融通会社にしてお互いの足らぬところヘ余ったものを持っていくというふうな考え方も一つあるのでありますが、これがいいか悪いかということはまだこれからよほど検討を要する点があると存じます。そういうふう点から考えまして、今日東北地方は東京地方と比較いたしまして今後の水力電気の開発ということについては相当の将来性を持っております。また北陸地方におきましても同様に、関西方面と比較いたしまして開発すべき水力資源を持っておるわけでありますから、これらのものは一本になってやった方が経営は楽だろうと、私はこう存じておるわけなんであります。これは私だけの考えでありますが、そういう点につきましては、政府といたし度しては今後の電源開発会社のあり方等から考え、また今後の発電がどういうふうになるか、火力発電になるかあるいは原子力発電が出るか、いろいろな問題を考慮いたしまして、さらに十分に慎重に検討いたした上できめたいと思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/35
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036・多賀谷真稔
○多賀谷委員 私は東北と東京、あるいは北陸と関西、あるいは水系を同じくしたり生産と消費という関係にあるものはやはり早く一本になった方がいい、かように考えるわけです。今お話になりました電源開発株式会社に融通会社の性格を持たせて、そうしてこれによって補うといいますか、調整していく、こういうような方向に進むがいいかどうかということについては議論がある、こういうお話でしたが、私はやはり電源開発株式会社の性格をもう少しはっきりしておいた方がいいんじゃなかろうかと考えるわけでございます。実は御存じのように衆議院において論議された場合には、周東前国務大臣も答弁をされておりますが、あくまでもこれは開発をやるのだ、卸売的な売電はやることがあるけれども、これはあくまで、も例外的だこういうように言っておる。ところがその後参灘院においていろいろ論議をされておりまして、附帯決議がついておりますが、参議院においてはむしろ逆に電力の供給を重点において、発電施設の譲渡または貸付というふうな場合は、特殊な必要のある場合のみをきかすのだ、こういうふうに食い違った意見がかなり出ておる。一体政府では、現在この会社をどういう性格な会社にしようとお考えになっておるのか、少くとも電源開発会社の問題について、促進法の一部改正というような問題が出てきております今日においては、やはり会社の性格をはっきりする必要がある、かように考えますのでお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/36
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037・高碕達之助
○高碕国務大臣 ただいまのお話のごとく、電源開発会社の性格といたしましては、電力を開発する、特に水力電気を開発するということにつきましては、これは非常に特殊の技術を要しますから、従前これが電力を供給する電力会社が開発しておるところに間違いがあった、こう存ずるわけで、専門の開発会社ができたということは、日本の電力開発に対して非常な進歩だと存じておるわけであります。その意味から申しますと、電源開発をいたしまして、その開発会社が電力の供給会社になるということについては、疑問があると思うわけであります。開発は開発ということを専門にやらすということでやったらどうかということは、これは有力なる一つの意見と考えておるわけであります。ただここで考えますことは、現在の水力電気の開発につきましては、大体三十五年度におきまして千百万キロワットを出す。ところが未開発のものは今後なお千万キロワットと申しますし、あるいは六百八十かとも申します。これはただいま調査するわけになっているのでありますが、その電力を開発してしまったときに、開発会社はどうなるか、こういうふうなことも考えなければならぬ。そのときには東南アジア等の外国の電源を開発してもいいじゃないか。この技術を持っているということは、私は非常に国として大事なことだと思う。どこの国にもこんなりっぱな大きな専門の開発会社というものはないわけでありますから、これを専門的に生かすということも非常に重要だと存じまして、そういう点から考えますと、今後この電源開発会社をいずれの方向に持っていくかということは、非常に重要な問題と存じまして、政府といたしましても慎重に今検討しているようなわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/37
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038・多賀谷真稔
○多賀谷委員 どうも有力な学説だけをお話しになったのでは困るのでありまして、長官は幸いにしてその関係の最高責任者でもあるのですから、私はやはり長官がおられるときに性格をはっきりしておいてもらいたいと思うのです。鳩山内閣もいつまで続くかわかりませんし、大臣だっていつおやめになるかもわかりませんから、こういう非常な適任者を大臣に得ておるという場合に、私はこの際性格をはっきりしておいてもらいたい。かように考えるわけです。一つ大臣もこの席で、もう少しはっきり答弁はできませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/38
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039・高碕達之助
○高碕国務大臣 ただいまの段階では、私は、はっきり政府として申し上げかねます。けれども私の考えを率直に申し上げさしていただきますれば、昔船合会社が造船所を持っておったというのは間違いだったと関心います。造船は造船会社かやる、船の運航は船会社がやるのがよいのでありますから、専門化するということは私はいいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/39
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040・八木昇
○八木(昇)委員 関連して。ここの点は私も非常に重大な点だと思うのであります。今回下流増の部分についての法案を提出しておられますけれども、しかしこれが果して是と考えるか非と考えるかということを判断するには、今後一体電源開発会社がどういう方向をたどっていくという政府の方針であるのか、その点が明確でありませんと、これは判断をいたしかねるのは当然だと思うわけなんです。そこで、私どもの受けております印象では、電源開発会社が設立せられた当初の目的というものが、それとなしに、なしくずし的に変化をしておるかのごとく、一応見受ける。そこでこの際もう一度明確にしておいていただきたいと思うのは、ずっと遠い将来は別として、当面はどういう方針かということ、その点は、この電源開発促進法の電源開発株式会社の章のところでは、はっきりとこの会社は電源開発をすみやかに行うということが目的だ、そうしてその行うべき事業について内容と目的を明示してあるわけです。そしてその中で重点的に書いておりますのは、「発電施設及び送電変電施設の貸付又は譲渡」こういうことが第一の事業にあげてあります。ところが実際にはそういう発電設備を作ってそれを貸し付けたり譲渡をした例は一つもございません。全くない。そうして実際は卸売業を全部やられておるか、今日やられるおつもりのようであります。その点少くとも今後数ヵ年間一体電源開発会社はどういう運営をするつもりかという点をこの際明確にしておいていただきたい、こう思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/40
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041・高碕達之助
○高碕国務大臣 ただいま現在の問題といたましては、北海道の糠平付近の開発につきましては、これを北海道電力に渡すということで、これは問題はないのであります。それから猿ヶ石は東北電力に渡すということで問題はないと思いますが、今後の佐久間のごときでございますと、これは受け入れ態勢を、どちらに渡すかということになりますと、これは東京と中部電力と両方に分けるということになりますから、それではその設備をどこへ払い下げるか、あるいはどこへ貸し下げるかということになれば、それならまた別の会社を作ろうじゃないかという案も出てくるということにもなるのでありますから、そういう場合は当然電源開発会社がこれを持って、両方調整してやったらいいじゃないか、こういうことで現状は進んでいるわけでありますが、この問題はさきの電力の再編成と一緒にからんで、全面的に考慮していかなければならぬ問題でありまして、つまりここで政府の方針はAかBと言われると、私はまだきまらぬといってお答えするほかないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/41
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042・八木昇
○八木(昇)委員 多賀谷さんの御質問中の関連事項ですから、あまり多く質問できませんが、しかしそうおっしゃっておられますけれども、実際問題としては、送電設備なんかも当初の構想よりはずいぶん延ばしておられると思うのです。佐久間関係につきましても、送電線をやはり東京まで電源開発会社の方が引っぱられるのでしょう。しかし私は東京電力の方でも、送変電設備というようなものについては、電力会社で十分にやる意思があるのではないか、こう思うんです。それでどうもやはり実際はずいぶん変化をしてきているように見受けている。そこでそこら辺を、いずれこの法案の審議の過程においては、もう少し明確に政府側の見解を、通産大臣とも御相談の上きめておいてほしい、こう思うわけです。
それからもう一点は、そういうふうに漸次電源開発会社のやる仕事が拡大をして、その目的と任務というものも当初より幅広くなって参りますと、やはりこれは電源開発会社の実際に行なっている仕事に対する批判も漸次痛烈になって参ります。ところが実際そのやっております仕事の内容を見ておりますと、私は非常に遺憾な点が多々ある、こう思うのです。その一例を佐久間と秋葉にとってみますと、当初建設費は昭和二十八年三月の電発会社の発表によると、佐久間発電所は二百三十三億円の総工費という発表です。ところが二十八年の五月、その工費の見積りが十二億円だけ増加して二百四十五億円になった。それからまた一年たって昭和二十九年の発表によりますと、さらに十五億円増加して二百六十億円、そうして二十九年の九月から一年を経過いたしました三十年九月には、驚くなかれ三百三十二億に飛び上った。こうなります。それが今度は本年三月の電発会社の総工費の見積りによりますと、またこれが飛び上って三百六十億円になっておる。従って当初二百三十三億円の総工費の見積りをして電源開発会社を発足さして、佐久間の開発をやるというて政府資金をどんどんこれに投入さして、そのくらいの金でそういう大きな電源開発ができるのなら国家的見地から国も惜しみなく金を出すべきであろうなんということで、二百三十三億でできるだろうといったものが、ことしの三月の発表ではそれが百二十七億円もプラスされて、三百六十億となっている。私は非常に遺憾な事態であると思う。これを秋葉ダムについて言いますともっとひどい。二十八年の発表では八十九億の予算総額の見積りが、本年三月の発表では百億、これがふえて百八十五億円になっている。これを御母衣について見ても、糠平について見てもそうなんです。元来こういうむずかしい地点の電源開発ですから、当初の見積りよりはどうしても経費がかさんでくるであろうということは一般的に言える。しかし電力会社あたり、北海道電力や東北電力、北陸電力のやっておる水力開発のものと比較しますと、電力会社のやっているものも当初の予算よりは幾らかはふえてはおりますけれども、こんなべらぼうなものはないのです。でありますからそういうふうな点についていかなる見解を持っておられるか、今後いかなる責任をおとりになるか。電発会社が電力会社に一方的に下流増の利益をよこせ云々なんというみみっちいことを言い出す根拠には、何かわれわれ割り切れぬものを感じます。その点も一つ取締り当局としての御見解を承わっておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/42
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043・川上為治
○川上政府委員 佐久間あるいは秋葉の工費が予定よりも非常に高くなった、この問題につきましては私どもの方としましても非常に問題に考えておるわけなんですけれども、何と申しましても佐久間の開発につきましては、とにかく非常に画期的な開発であり、また機械等につきましても外国の大型の機械を入れておるとか、あるいはその開発それ自体といたしましても、われわれが今まで想像していた以上に大きなものであったというような問題もありますが、それ以外にたとえば国鉄の飯田線のつけかえ工事をどうしてもしなければならなかった。最初はそういう予定でなかったのですが、あとでそういうようなことをしましたとか、あるいは最近いろいろ問題になっておりま す補償費の問題、これが最初の予定よりも非常に多くなってきた。たとえば佐久間におきましては建設工費全体の大体二割程度補償費がかかっておる、これはいろいろな事情がありまして、どうしてもそういう補償をしなければならぬ状態になったわけなんです。そういうようなことで最初の計画よりも現在におきましては非常に高い状態になっておるわけでございます。私どもの方としましては佐久間のこういう例をとりまして、今後御母衣でありますとか、田子倉でありますとか、そうした方面の開発につきましてはなるべくよけいな金がかからぬように努力したいと思うのでありまして、たとえば補償費につきましても、非常に大きな割合を佐久間については支払っておるわけでございますけれども、今後補償費につきましては、なるべく一定の基準以上のものは出さないようにというようなことを考えておるわけでございまして、実は補償費の特別な法律を作りたいというような気持を持っておるわけでございます。今申し上げましたように、佐久間につきましてはわれわれが今まで考えていたよりも非常に違った様相のために、非常に変ったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/43
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044・多賀谷真稔
○多賀谷委員 実は私もその調査をしておったわけでありますが、非常に疑問になる。佐久間は今お話がありましたように、昭和二十八年では二百三十三億が三百六十億になり、秋葉が八十九億が百八十五億、御母衣が百六十一億が二百七十四億、糠平が百四十九億が百九十七億、それから奥只見が二百一億が二百四十三億、田子倉が百八十四億が二百十九億、こういうふうにどれもこれもみなこれは算術級数でなく、幾何級数的に上っておる。こういう感じを持つ。なるほど電力会社がやっております水力工事は比較的工事が容易な地点かもしれませんけれども、しかしこれはほとんど若干の値上げでしかない。北海道のやっておる層雲峡が二十八年十二月と三十年八月とを調べてみますと、二十四億が三十一億、東北のやっておる上田が三十二億が四十一億、同じく東北の本名が三十六億が四十八億、東京の小田切が二十一億が二十八億、北陸の神通川第一が六十二億が六十六億、関西の丸山が百八億が百七億と、これは下っております。同じく関西の椿原が四十三億が四十七億、こういうふうにあまり大差がない。電源開発の方はえらい差を生じておる。こういう点も一つ私はこの際明確にしておいていただきたい。かように考えるのです。抽象的でなく、件数が多いものでありますから、今答弁してくれとは言いません、若干こういう理由で上ったのだということを書類で資料として出していただきたい。かようにお願いをしておきます。
さらに今質問がございましたが、実はこの発電施設及び送電変電施設の貸付または譲渡というのはこの事業の範囲の二番目に誓いてあることになっておる。ですから条文の体裁からいうとやはり開発したものはこれはすぐに譲渡または貸付をするのだというのが大体条文の本則であります。われわれそれをあえてたてにとって言うわけではありませんけれども、東北の膽沢、猿ヶ石のような、だれが考えても東北電力に譲渡してよいようなものまで依然として持っておる。これはふに落ちない、再編成とは関係なくこの程度のものは東北電力に譲渡してよいのではないか、こういうふうに考えるのでありますが、一体長官はどういうふうにお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/44
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045・加藤清二
○加藤(清)委員 関連して、ただいま資料の数学的要求がございましたが、これはやはり国家の貴重な金が使われております上に、ただいまの局長の答弁では何がゆえにそのようにふえたかの問題についてわれわれは詳細了解することができませんので、今多賀谷君が要求いたしましたように、数字的にその内容がはっきりするような資料を至急に提出願いたいのでございます。これが第一点。
第二点は、この工事は、請け負われた仕事で行われておるはずでございます。つまり電源開発会社はその金を下請に支払っておるわけでございますが、これとの契約が行われて支払われておるはずでございます。従いまして電源開発会社と下請会社の契約書が年年歳々変っておるのじゃないかと思われますので、その契約書の推移がよくわかりますような資料、つまり昭和二十七年以来だんだんふえて参りましたところの変更された古い契約書、新しい契約書というものを、これは至急にとれると思いますから、至急御提出願いたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/45
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046・高碕達之助
○高碕国務大臣 膽沢・猿ケ石の問題は、私はあのくらい簡単なものはないというふうにお説の通り考えております。それでもやはり根本の電源開発会社の性格に関係するわけでありますから、今日それははっきり申し上げかねるわけでございまして、はなはだ残念でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/46
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047・加藤清二
○加藤(清)委員 その資料が出せるか出せぬか答弁して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/47
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048・川上為治
○川上政府委員 佐久間の工事費がどういうわけで最初の契約よりもふえたかというような計数的な推移につきましては、私の方としましては、できる限り資料を出したいと考えております。ただあとでお話がありました、その契約の年々の更改とか、その契約が違ってきたという資料につきましては、これは非常に膨大な資料ではないかというように考えますので、その点につきましては、はっきりここでそれを全部お出しすることができるということは言い切れないのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/48
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049・加藤清二
○加藤(清)委員 その支出がふえたればこそ、いわゆる収入となるべき予算、これがふえたはずでございます。支出の方が、つまり契約書、こういうことになっていくわけでございますから、それがわからないでだんだん予算がふえていったということになると、これはおかしな話になってくるのです。従って妙な疑いを差しはさまないためにも、ここではっきりとした資料を提出なさることが、すっきりとさせて、やがてこの事業を円満に遂行させる基ではないか、かように考えますので、これは出せれないものを出せというわけではございませんから、はっきりした事実を、何も新しいものを作ってもらいたいというのではない、過去の実績をここへ出してもらいたいというのですから、出せないはずはないと思うのでして、至急出していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/49
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050・多賀谷真稔
○多賀谷委員 今膽沢・猿ヶ石の問題を聞きましたところが、これは性格に関係があると言われますけれども、法律を行政運用で曲げてもらっては困るのです。二十三条の二号、これは明らかに「貸付又は譲渡」というのが大きな業務内容になっておる。供給よりも前に書いてある。ですけれども、私はどちらを優先せいということを形式論では言いません。言いませんが、この条文があるならば、だれが考えても膽沢や猿ヶ石のようなのはこれに該当するのです。長官も認められておる。それを将来の性格の問題に関連をして、どういうようになるかということがわからないから、これに対して貸付または譲渡するわけにいかない、こういうのはいささか法律の運用を曲げて解釈されておる。やはり法律の範囲内において電源開発株式会社はなくてはならないと思う。その範囲内における性格の論議はいいのですが、法律を曲げるような論議をされることは非常に困る。ですから私は当然すみやかにやられるべきである、かように考えるが長官はあくまでも性格の問題でこれを逃げられるのかどうか、これをお聞かせ願いたい。そこまでいきますと、全く運営いかんでは法律が死文化する、これは死文の条文じゃございません。生きておるのですから、その点を一つお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/50
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051・高碕達之助
○高碕国務大臣 政府委員から答弁いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/51
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052・大來佐武郎
○大來政府委員 確かに二十三条の事業には「貸付又は譲渡」ということがございまして、三に「電気事業者に対する電気の供給」ということになっておりますので、法律の問題によってではなくて、運用の問題としてまだ措置が決定しておらない段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/52
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053・多賀谷真稔
○多賀谷委員 一つ、こういう点はすみやかに決断をしてもらいたい、かように希望いたしまして次に進みたいと思います。
同じくこれに関連があるのですが、今話がありました送電線の問題にいたしましても、三十年度の電源開発が占める工事のうちで、二二%も送電、変電の工事に使われておる、こういう状態です。これについては電力会社の方でぜひ自分の方でしたい、こういう希望がある。こういうことならば、これも一つ性格の問題を明確に早く出していただいて、こういうものは電力会社で容易にできるのですから、許されるとするならばすみやかにそういう処置をしてもらいたい、これを希望しておきます。
そこで私は今提案になっております法案の本論に入りたいと思うのですが、まず最も大きな問題は、やはり一部負担の問題であろうと思うのです。そこで私は一部負担の法律概念について、この前局長に、今度お聞きいたしますから、明確にしておいてもらいたいということを申し上げましたので、一つ局長から御答弁を願いたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/53
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054・川上為治
○川上政府委員 下流増に関しまする法理論につきましては、この前申し上げた通りでございまして、たれかある種の施設を行いましたときに、これによりまして生じました利益、この利益を受ける者との間に利益の調整をするということは、私はやはり必要なことではないかというふうに考えておるのであります。特に社会的なあるいは経済的な公平をはかるという点からいいましても、その程度が非常に大きい場合におきましては、すなわちその利益の程度が非常に大きい場合におきましては、私は法律によりまして何らかの規制をする必要が生じてくるのじゃないかというふうに考えるのであります。本件につきましては、いわゆる上流におきましてそういう施設を設けまして、下流におきましてその施設のために非常に大きな利益が生ずるというような場合におきましては、やはり社会的な、経済的な負担の公平という点からいいましても、あるいは受益者負担というような思想からいいましても、下流増の下流の利益者に対しまして、ある程度の一部負担をさせるということは、私は当然なことではないかというふうに考えるのであります。この電源開発関係が非常に進んで参りますと、相当奥地の未開発の地域に膨大な金をかけまして開発をしなければならないのでありますが、一方その電源開発につきましては、極力豊富低廉な電力を出すような要請をされておるわけでございます。従いまして、この電力のきわめて豊富低廉なものを出さなければならぬ、同時にまたその反面におきましては、開発に対しまして非常に費用がかかるというような場合におきましては、下流の方で利益がありますならば、その受益者に対しましてある程度の負担をかけまして調整するということが、私はやはり社会的な、経済的な方面から見て正しいことではないかというふうに考えるのであります。従いまして、本件につきましても、私どもの方としましては、先ほども申し上げましたように受益者負担的と申しますか、受益者負担ということが中心をなしました性格のものではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/54
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055・多賀谷真稔
○多賀谷委員 局長の答弁は、この前お話し申しましたがと言われますけれども、この前お話し申しましたがというそのお話ときょうの話とは若干食い違いがある。またよく吟味してみますと、あなたがおっしゃっておる公平なる負担というのは、私法上の概念ですか、これをまずお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/55
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056・川上為治
○川上政府委員 公平な負担ということにつきましては、これは私法的にも私は言えるのじゃないかと思うのですが、もちろん公法的な問題でも、しょっちゅうそういう問題が起きると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/56
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057・多賀谷真稔
○多賀谷委員 今度規定されんといたします義務は、公法上の債権債務になるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/57
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058・川上為治
○川上政府委員 これは公法上のいわゆる債権債務というようなことではないと思うのですけれども、やはり普通の公共事業と同じような性格を持ったものではないかというふうに考えておるのであります。というのは、電源開発というものはやはり一種の公共的、公益的な事業でありますので、そういういわゆる公共事業に準ずるものではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/58
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059・多賀谷真稔
○多賀谷委員 どうも幾ら局長のお言葉を私がいろいろいいように推定をしても、結局はっきりしない。そこで公平の負担ということを言われますと、この前もちょっとお話をしたのですが、公平の負担ということになりましても、一方の方は、要するに上流の方は損害は受けていない。ですからたとえば鉄道が駅を作った、あるいは鉄道の新設をした、それによって地代が値上りをした、店が繁盛した、こういうこととはどう違うのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/59
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060・川上為治
○川上政府委員 鉄道の場合におきまして、鉄道を作ったために地代が非常に上ったとか、そのために非常な利益が出てきたというのとは、大体似ておる面もありますけれども少くとも下流増の問題につきましては、はっきりと相当莫大な利益が生ずる点においては、私は、問題としては違ったケースではないかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/60
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061・多賀谷真稔
○多賀谷委員 では土地の値上りというようなものと下流増の利益というのとは若干違う——あなたの方ではかなり違うとおっしゃったかはっきり覚えておりませんが、要するに違うのだ。こういうことになりますと、道路法あるいは都市計画法による道路を作った、そうするとその道路によってその付近が、今まで安い土地が非常に高くなった、これは道路法の規定によって受益者負担というのがあります。そうすると、道路法の場合は、別に間接的といえば語弊がありますが、直接的な関係でなくても、やはり道路法の方は若干負担をさせておる。そこで土地の値上りというようなものと下流増というものとは非常に違うのだという理論は浮んでこないように思いますが、浮んできますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/61
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062・川上為治
○川上政府委員 鉄道の場合につきましては、その土地の値上りとかそういうのは何ら目的としないのですが、電力の場合におきましては、上の方でダムを作りますと、下の方の増加利益というものも考えてやっておるわけでございまして、しかも下の方の増加利益というものが非常に大きいというような場合にこれは適用をすることにいたしておるわけなんですが、要するに上の方でダムを作る場合におきましては、下流の増加ということも勘定に入れて考えておるわけでございますので、その点鉄道の場合等とは若干違うのじゃないか、しかも利益そのものについては非常に大きな違いが生ずるのじゃないかというふうに私は考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/62
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063・多賀谷真稔
○多賀谷委員 どうもはっきりしないのですが、最初から上流者の計画に下流増の問題は入れておる、こう言われれば、鉄道の場合だって鉄道ができる、道路ができる、この場合には計画に入れておるといえば、入れておることになる。これは道路の場合だって、鉄道の場合だって、道路とか鉄道とかは区別するところがない。それは主体は違います、しかしその得た利益というものについて見ると、道路の場合と鉄道の場合とは何ら区別するところがない、私はかように考える。主体は違います。主体が違いますから、一つはとれる、一つはとれないのですが、この場合には関係はなく、しかもこの場合でも、初めから道路を作る場合には受益者負担、こういうのを考慮してやっておりますから、考慮しておるといえば考慮しておる。あなたの方では下流の方の増を初めから上流は考慮しておるというが、特別にどういう措置をとっておるのですか。下流増というものができるために、上流には特別にどういう施設をしておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/63
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064・川上為治
○川上政府委員 道路の場合・鉄道の場合、これは実際法律的にいうと同じようなことになると思うのですが、これは結局政策的な問題であって、鉄道の場合におきましても、どうしても受益者負担としてとらなければ鉄道を敷設することができない、しかし将来この鉄道を敷設することによって、経済的に非常に大きな効果があるというような場合におきましては、法律でこれを強制するならば、これは受益者負担を課せられるのではないかというふうに私は考えますけれども、この電力の場合におきましては、上の方にダムを作ることによって、明らかに下の方で非常に豊富な電力が獲得できる。しかも上の方にダムを作るということは、社会的に経済的に非常に大きな効果をもたらすのだというような点が、非常に違った問題ではないかと考えますの、で、これはやはり受益者負担的な思想によりまして、下流増の利益によって、上の方の工事の一部の負担をするということは可能ではないかというふうに考えておるのでありまして、結局政策問題として、こういうものについては私は下流増で負担をさせるということはできるのではないか、またそうさせるべきではないかというふうに考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/64
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065・多賀谷真稔
○多賀谷委員 私はこういう考え方は全然いけないから、これを反対党の立場から否定して議論しておるのではありません。何か新概念が浮かんで、それが納得できるということになれば、われわれは賛成にやぶさかではないのですから、一つそういう点に焦点をしぼって答弁していただきたい。私が今お聞きいたしましたのは、下流増を予定して上流で初めから計画したから、こういうことをおっしゃったから、下流増ということが予定をされるならば、下流増のある場合とない場合では、上流で何か特別な施設が要りますか、こう聞いておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/65
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066・川上為治
○川上政府委員 その問題につきましては、これは結局上の方でダムを作ります場合に、非常に大きな一ぱいのものを作る、下流増のことを考えてそういう施設を作るか、あるいは下流増のことはそれほど考えないでするかという問題になるわけでありまして、もし下流増の問題を考えて上の方で一ぱいの非常に大きな施設を作るというようなことになりますと、結局非常に大きな資金なりが必要であるということになるわけでございます。そういう点におきましては、下流増を考えた場合と考えない場合とは非常に違ってくると私は思うのでありまして、電力政策として、また電気事業者としましては、やはり下流増のことを考えて、その上の方で大きなダムを作るということにすべきじゃないかと考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/66
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067・田中武夫
○田中(武)委員 ただいまの多賀谷委員の質問に関連して一言お伺いいたします。先ほどの川上局長の御答弁によると、今多賀谷委員が質問いたしましたいわゆる下流増の問題と、たとえば駅ができてその付近が利益を得る、この問題とは、質的には違わない、しかし量的には大きな利益を受けるのである、こういうふうにもとれるのでありますが、この二つの問題はいわゆる質的には同じと考えておられましても量が違う、いわゆる受ける利益の量がうんと大きいからということになるのですが、もしそうだとするならば、量の点において何を基準にして、どの程度ならばこういうことが考えられるとおっしゃられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/67
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068・川上為治
○川上政府委員 私は法律論的には、質的には今の鉄道の場合とこの下流増の場合、これは同じようなものではないかと考えるのですけれども、量的にはこれは非常に問題があるわけでありまして、上にダムを作ることによって下の方に膨大な電力を増加させるということになりますと、私はやはりそういうものを調整するためには法律をもってやるべきじゃないかと考えるわけでございます。今お話がありましたように、私の方としましては質的には同じと理論的には思うけれども、やはりこういうケースについては法律で規制すべきじゃないかと考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/68
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069・田中武夫
○田中(武)委員 それじゃ今の御答弁によると、この二つの問題は質においては変らないということをお認めになるわけですね。そして量において違う、こういうことですが、量という問題は相対的な問題になってくる。著しく下流が利益を受ける場合、こういうことになれば抽象的になるのですが、たとえば鉄道を作って駅ができることによって土地が値上りして商売が繁昌するという場合、多数の人が土地を持っておる場合と一人の人が土地を持っておる場合と、そこに量が変ってくる。その量の問題について一体どこを基準に考えておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/69
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070・川上為治
○川上政府委員 これはなかなかけじめはむずかしいと思うのですが、先ほども私申し上げましたように、鉄道の場合はその土地の値上りとかそういうことは、大体の場合はほとんど考えないで鉄道は敷設せられるじゃないか、そういうように考えるのですが、今度の電力の場合におきましては、下流の増加ということを考えて上の方にダムを作るという場合でありますので、質的に大体同じだと申し上げましたが、その点はやはり違った点が私はあるじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102404461X02919560410/70
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071・神田博
○神田委員長 暫時休憩いたします。本会議散会後再開いたします。
午後零時十九分休憩
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