1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十一年五月二十二日(火曜日)
午前十時三十四分開会
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委員の異動
五月二十二日委員近藤信一君辞任につ
き、その補欠として永岡光治君を議長
において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 松岡 平市君
理事
伊能 芳雄君
宮澤 喜一君
森下 政一君
小林 武治君
委員
井村 徳二君
大谷 贇雄君
川村 松助君
佐野 廣君
堀 末治君
横川 信夫君
小笠原二三男君
加瀬 完君
中田 吉雄君
永岡 光治君
松澤 兼人君
野田 俊作君
国務大臣
国 務 大 臣 太田 正孝君
政府委員
自治政務次官 早川 崇君
自治庁次長 鈴木 俊一君
自治庁行政部長 小林與三次君
事務局側
常任委員会専門
員 福永与一郎君
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本日の会議に付した案件
○地方自治法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○地方自治法の一部を改正する法律の
施行に伴う関係法律の整理に関する
法律案(内閣提出、衆議院送付)
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001・松岡平市
○委員長(松岡平市君) これより会議を開きます。昨日に引き続き地方自治法の一部を改正する法律案、地方自治法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理に関する法律案、以上二案を便宜一括して議題に供し、質疑を行います。質疑のおありの方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/1
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002・松澤兼人
○松澤兼人君 長官にお伺いいたします。今度の改正では普通地方団体というものを非常に明快に二つに分けて、都道府県と市町村というものに分けて、そして片方は地方団体の基本的なものとし、そして片方は包括的かつ広域的なものというふうに分けられたということは、非常にすっきりしているのでありますが、しかしまだそれで根本的な問題が解決されたと私どもは思わないのです。で、今後地方制度特に地方団体の性格あるいは権限、職能というものが、どういうふうになっていかなければならないかという見通しなり、あるいは構想なりというものを持っておいでになりますか、今後の改革の見通しについて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/2
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003・太田正孝
○国務大臣(太田正孝君) お言葉のように、今回市町村と広域の自治体である府県との一応ワクをきめたのですが、もちろん残っている問題がたくさんございまして、あるいは郡制の問題あるいは道州制の問題あるいはその他今後の検討によって解決しなければならぬ問題がたくさんあると思います。今回の制度は、昨日森下委員が言われた通り、はっきりしない点があるのではございますが、一応のめどをきめまして、ワクを定めたような次第でございます。郡制につきましてもほとんど昔とは性格が変って参りまして、あるいは経済団体の連合会とか選挙の関係とかいう以外には、ほとんど問題ありませんけれども、ただし再編成する場合のことも考えたいと思います。道州制につきましても問題が大きうございますし、また他の一面におきまして特別市を廃するというようなことをいたしましたが、これも問題を先に送ったようなことでございまして、地方自治体全般にわたっての問題として、かような点まで及びたい、こういう考え方でございます。もちろん地方制度調査会の答申等を待ちまして考えをまとめていきたい、かように考えておる次第でございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/3
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004・松岡平市
○委員長(松岡平市君) 委員の異動がありましたから御報告申し上げます。委員近藤信一君は辞任せられ新たに永岡光治君が委員に選任されました。
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005・松澤兼人
○松澤兼人君 大体私ども聞いているところによりますと、地方制度調査会の答申を基本としているということでありますが、まだ未解決の問題が地方制度調査会の方から答申されておらない。そこで現在改正法案の中で取り上げられているものが暫定的というか、あるいは第一次的といいますか、つまり根本的な大改革というものが将来くる、そういう見通しのもとにおける暫定的な改革とも考えられるし、そうして大改革に至る一つの道程として今回の改革がなされたものである。で、暫定的であると考える考え方の基本は、将来の大改革がある場合には、今回の改革というものもまた変動を受けるかも知れない。そのときにはそのときまた考え直して改革をするのだ。それからまあ道程的な考え方ならば、大改革は大改革として、今回の改革はそれに至る一つの手段というか過程であって、この改革は将来変らないものである。しかし未解決の問題は将来大改革をするということで、この二つの考え方に相当大きな開きがあると考えます。まあ長官が改正を御提案になりましたその意図はいずれにあるかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/5
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006・太田正孝
○国務大臣(太田正孝君) 今の松澤委員の言葉を借りて申しますれば、暫定的というより、部分的と申し上げた方がいいかと思います。つまりこれをきめておいて、あとで変えていくという意味よりも、基礎になる自治体の市町村なり、府県なりをきめていって、さらにその上に広い場合のワクをきめていこうという意味においては、部分的といっていいかと思います。しかしあとに広い道州制とか、いろいろな問題がきまるときに、全然変えないかということになりますと、それほどの固定じゃございませんが、一応は一部的にきめていく。一応というとまた暫定的に聞えますが、考え方は一部的というほどの考え方が今回の案の出たところでございます。暫定的といって、ちょっとおくという意味ではございません。広域な地方行政と、狭い地方行政との区分というもの及びこれの裏になっておりますあるいは合併という問題も、みな一部的にだんだん積み上げていこう、いわば下の方の問題をきめた、かように申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/6
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007・松澤兼人
○松澤兼人君 それで下の方はなるべく将来動かさないという基本的な態度で部分的な改革をしたのだ、しかし大きな改革というもの、全体的な改革というものは、近い将来に提案されるというお考えらしいのでありますが、しかし私は一挙に大改革をする方がいいか、あるいは部分的な改革を積み上げていく方がいいかというその利害得失の問題は、私自身としてもはっきりとした考えはないわけですけれども、ただしかし改革をやる場合には、それが小部分的な改革であっても、あるいはまたは道程的な改革であっても、やはりこれを動かさないで、それを含んだあなたのおっしゃる全体の改革ということが行われるということが基本的な態度でなければならぬと思うのです。さもなければ、今回の改正というものは非常に不安定なものであるし、そして政府の考え方が全体として那辺にあるのかということを知ることのできない地方は、今回の改正というものがいつまでのものかということを非常に危惧いたしまして、これに対する信頼というか、あるいはこの方針で極力地方行政を運営していくという、そういう気力というものに欠けてくるだろうと思う。そこで長官がおっしゃっていただきたいことは、やはりこの改革というものは、全体の一つの道程であって、そして将来の改革の一部分をなすものである。この点は将来よほどのことがなければ再び改正するという考えはないのだということでなければ、やっぱり地方は困るのじゃないかと、こう思うのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/7
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008・太田正孝
○国務大臣(太田正孝君) 松澤委員に申し上げますが、お話の通りの考え方を持っております。ただ私が申し上げるまでもなく、明治年間来ずうっと続いてきた自治体の姿をながめて、終戦後の現状をながめますというと、ずいぶん経済の発展、交通あるいは文化、全面にわたりまして非常な変化がきておるのでございます。いろいろな県境の合併問題などがその切実なる問題として起っておるので、結局広い区域にわたる国とのつながりの地方行政というものを考えなきゃならぬ段階にきておりますが、今回のものは暫定的でなく、ただいまのお話のように、これでやっていくのだ、そしてその上の大ワクの問題は、今検討中である、かよう御了承願いたいと思います。趣意として松澤委員のおっしゃったのと同じ考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/8
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009・松澤兼人
○松澤兼人君 そこで問題になりますことは、やはりこういう部分的な改革というものが行われた。それで都道府県に対しては、市町村と違う性格というものを与えた。これはいろいろ議論はありますけれども、まあ違った性格を与えたということはいいことだと思うのです。そうでなければ、都道府県とそれから市町村との間に同じ普通地方公共団体としてどこが違うんだという問題は、これまで始終起ってきた問題ですが、ここで性格が変ったということで、二つのものの取扱いというものが変ってきたわけであります。しかしそういう都道府県の全然新しい性格づけというものができましても、ここで問題になりますことは、やはり府県制というものを将来どうするかということが、ある見通しを持っていなければ、府県に新しい性格というものを付与いたしましても、あるいは規定いたしましても、結局それは暫定的であって、またこの府県の性格というものが変ってくるのじゃないかということを非常に心配するわけなのです。将来府県制というものが非常に大きな改革があっても、なお今回の府県の性格づけというものが変更しないでも済むであろうかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/9
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010・太田正孝
○国務大臣(太田正孝君) 今回の自治体を広域な府県と市町村とに分けましたのは、いわば行政の性質上の建前を分けたのでございまして、将来道州制とかいろいろなことになりますと、量としての範囲が非常に変って参るということが予想されます。けれども質といたしましては、市町村というもの、府県というものあるいは道というものとの関連は、この線に沿っていくべきものだと、かように考えて、この案を出しているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/10
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011・松澤兼人
○松澤兼人君 しかしもし将来府県制を大改革をやる、あるいはまたは道州制の問題を考えるという場合には、自然普通地方公共団体と考えられるものとは別個の性格なりあるいは権限なりというものを持つようなものが生まれるかもしれない。おそらく道州制というものはそういうものじゃないかと思うのですが、ただ現在の府県を統合して大きくしたというだけではなくて、違った一つの性格なり、権限を持つ大きなブロック的な行政機構を作るということが道州制のねらいじゃないかと、こう思うのです。そうなってくれば、自然に府県というものの性格というものは変ってきますし、そのときにはもう府県がなくなってしまうかもしれない、そういう根本的な改革にたえられるような現在の改革であるかどうか。そのときにはそのときとしてまた現在の規定づけというものを変えるということであれば、これはまた別でありますけれども、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/11
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012・太田正孝
○国務大臣(太田正孝君) 申し上げるまでもなく、たとえば非常に範囲が広いことになれば、今の府県の性質も違うし、あるいは権限もふえてくるのじゃないか、こういうことも考えられるのでございますが、何といたしましても、憲法にいわゆる自治の本旨に従ってやっていくという線には変りございませんので、非常な権能を持たして、そうして上下の別を明らかにするような考え方じゃございません。太い線としてはどこまでも自治という考え方のもとに上と下というよりも互いに協力してやっていくという考え方が筋にならなければならぬと思いますけれども、ただいまのお言葉の点は、今回すでにやっております地方制度調査会の答申ともあわせまして、御意見のほどを参照して参りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/12
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013・松澤兼人
○松澤兼人君 これは長官の個人的な見解でいいのですけれども、府県制と道州制の問題について、長官としてはどういうお考えをお持ちでございますか。これはもちろん衆知を集めて、地方制度調査会の答申を待って、自治庁としては態度をきめなければなりませんけれども、国務大臣としてこの問題に対してどういうふうにお考えでございましょうか。あるいは個人としてでもよろしいのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/13
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014・太田正孝
○国務大臣(太田正孝君) もちろん私未熟で、まだ研究が足りませんが、個人としての考え方から申しますと、昔の藩がだんだん県になってきた経過を——今日非常に経済、交通、文化が横に広がってきまして、何かこう汽車で通ると同じように、さらに飛行機で行く場合には一そうでございますが、境というものが、現在の府県というものの境が、私は非常に不自然なような感じさえ起っております。従って一定の単位の区画ができていく方がいいのじゃないか。現実におきまして、たとえば、例に引いちゃ悪いかもしれませんが、政治運動などが、四国、九州あるいは中国、北陸などというような区別をいたしまするが、あれも一つの便宜の政治行動から出たのじゃないかと見ておりますが、さらに税務関係におきましても、財務局というものの区分がある。それから郵政関係においても区分があり、鉄道関係においても区分がある。あるいは自然のそれぞれの目的のもとにああいう区分ができていることを考えますと、現在の行政区画としての各府県というものの不便な点は、あれは直しておるのじゃないかと思います。私はそういう大まかなねらいのもとに、将来の行政区画というものを設くべきじゃないか、これはまあ非常に私の未熟な考えでございますが、持っておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/14
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015・松澤兼人
○松澤兼人君 行政官庁別にブロック的な機構が置れてある。そこでこれは上からの施策を下に浸透させる、あるいは下の要望を上に反映させるということで、それはまあそれでいいんですけれども、ただその道州制というものをお考えになる場合に、大臣としてはその下に現在の府県制というものをそのまま存置するか、あるいはこれを廃止しちゃって道州制というものにかえるかということが、これが基本的な問題だと思うのですが、それについてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/15
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016・太田正孝
○国務大臣(太田正孝君) そこの点についてはまだ踏み切りができるほど勉強が足りませんあしからず。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/16
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017・松澤兼人
○松澤兼人君 そう謙遜されると……、それじゃ私の意見としましては、道州制ということになれば、どうしても今おっしゃるような、たとえば郵政局とか財務局だとか、あるいは国税局だとか、あるいは地検だとかいったものを総合したところの一つの役所になる、そういう役所になれば、自然いわゆる決議機関というものはないだろう、そこで大きな府県なりそれからいわゆる道州制の知事というものが出てくるんじゃないか、従って、そういう道州機構の長官といいますか、そういうものはもちろん官選である。で、府県制の場合にはまあ政府は官選しようとする考えを持っていらっしゃるかどうか。しかし、まあこれを地方公共団体とすれば、やはり公選ということを守っていかなければならない。そういうところに私は非常に大きな区別があると思う。ただ府県制というものを現在のままで置いておいて、その上にブロック行政機構というものを作れば、そうすれば、府県は現状維持、知事の公選だとか決議機関だとかいうものは存置される。けれども、もし道州制という形で府県を廃止してしまえば、全く官僚支配ということになるでしょうし、私はこの問題、非常に重要な問題だと思う。もちろん、現在の段階として、道州制を実施すべしという答申は、おそらく地方制度調査会から出てくるようなことはなかろうと思います。将来もやはりこの問題については研究しなければならないと思いますが、そこで問題を変えてお尋ねしたいことは、市町村——あるいは町村合併ということは盛んに行われました。次の段階としては、これは府県の統合問題が出てくるのじゃないかということを考える人もある。これは何と申しましても貧弱県などに対しては平衡交付金であるとか、あるいは交付税交付金であるとか、結局、持てる府県のものを取り上げて、これを持たないものに均霑させるという均衡的な措置が講ぜられなければなりませんが、これは一つにはやはり府県の規模というものが非常に小さくて、府県としての行政運営の資格がない。もちろん産業上の立地的な条件ということもあるでしょう。非常に小さい貧弱な県にありましては、幾ら積み上げてみたところで、やはり行政というものは非常に困難である。そうすれば、そういう持てるところのものをいつまでもいつまでも地方にやるよりは、むしろこれを府県として成り立っていくような規模の府県を新しく
こしらえたらどうだ、統合したらどうだという考え方が生まれてくるし、そういう主張をしている人がある。この府県の統合という問題については、自治庁として、あるいは将来どういうふうにしていこうとお考えでございますか。しばらくこれも全体の大改革に見合って取り上げたいというお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/17
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018・太田正孝
○国務大臣(太田正孝君) 後段の、あとに申されました案でいきたいつもりでございます。なかなか経済単位だけで考えましても、文化の点などももちろんございますが、広げるにもなかなかむずかしい状況にあるのじゃないかと思いますが、御趣意の、今、後段に述べられたような方向で行きたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/18
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019・松澤兼人
○松澤兼人君 府県制の問題は、まだいろいろあると思いますけれども、もう一つ変った問題は、特市の条項削除、あるいは特市というものを抹消してしまった。特別市制度……。この問題が今回提案されているわけです。これはおそらく地方制度調査会としては懸案で、今すぐにこれを廃止するというような考え方でなかったろうと思うのですけれども、この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/19
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020・太田正孝
○国務大臣(太田正孝君) 一応の解決として、さしあたりやったらどうかというのが地方制度調査会の答申でございました。事務配分によって一応やったらどうかと、削ってしまうかどうかという点については触れておりませんでした。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/20
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021・松澤兼人
○松澤兼人君 特別市制の条項というものはそのまま存置しておいて、これはまあ急速に実現するということは困難だから、都道府県の持っている権限の一部分というものを再配分、事務の移譲という形で実質を作っていったらどうだと、こういうことであったと思うのです。今回、地方制度調査会の答申を尊重するとおっしゃって出されたこの改正法案ですね。これに答申にない特別市制を削除したということがわからないのです。これはどうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/21
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022・太田正孝
○国務大臣(太田正孝君) 問題は一応事務配分によって特別市の問題の片がついたのでございますが、申し上げるまでもなく、特別市をどこへやるかということは、別にまた法律で定めなきゃならず、ずっと引き続いてこの状況におっていろいろな御意見、御主張等が鋭い姿において国会にも現われ、世間にも出ておるような次第でございます。先ほど申し上げました府県制度の根本的改革という線につなげていく方がしかるべきじゃないか、答申案にはお示しのようにきっぱりしたことはございませんでしたが、今回はそういう意味におきまして、これを削除した次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/22
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023・森下政一
○森下政一君 松澤君の質疑に関連して、私からもお尋ねをしたいのです。二十八年の地方制度調査会の答申は、私は当時調査会の委員であったのでよく承知いたしておるのですが、大都市制度というものについて、大都市というものは中小都市とはおのずから全く異なった特質を持っているものである、従って大都市制度というものは、何とか特殊の考慮を必要とするものだということは、もう支配的な空気であったのです。そこで大都市に関する限りは、おっしゃるように、さしあたって事務及び財源の配分によって大都市行政というものの運営の合理化をはからなければならぬということが答申に現われて参ったわけなんです。そこでそれを取り入れられて、今度十六項目の事務を大体全面的に指定市に移譲しようということが法案の中に現われてきたのだと思うのです。ところが、これも私はきのう太田長官に申し上げたのですが、どうも現内閣はいろいろな陳情に動かされやすい。そこで確固たる、厳然たる態度をもって、信念をもってやっていくことが少い。はなはだ遺憾だということを申したのは、たまたま十六項目ぐらいの事務を移譲しよう、そうして答申にこたえようということのかわりに、指定市所在府県の猛烈なる陳情によって、それに動かされて、特別市というものを眠らせてしまおう、こういうことになったのだと私は思うのです。それで私の非常におそれることは、一体自治庁の当局は、特別市の要求というものは何か、何が一体特別市の要請の中心をなしているのだ、この十六項ほどの事務をかりに全部が全部これを移譲したら、それでもう特別市の要求というものは、要請というものは、満たされているのかというと、そんなものじゃないと私は思うのです。長年、明治年代から大都市が特別市というものを要求して、それこそそのときそのときの政府に向って猛運動を展開してきた、というのは一体どういう要請に基くのだというと、こんな事務を移譲するというぐらいのことじゃないのです。もっと大きなものを持っているわけなんです。ところが十六項目を移譲すれば、もうそれで特別市を眠らせておいていい、これでもう特別市の要求は満たされたのだというような誤まった観念を植えつける心配がある。そんなものじゃないのだ、だから特別市というものは何も今すぐ法律を残しておいてもその通り実施できるわけのものではないと私は思うので、制度として、こういうことも考えられていいので、置いておいても一向差しつかえないじゃないか。もっともそういえば必要があれば必要なときは一時眠らせておいて、また必要があれば起してきたらいいのじゃないかというふうなことが言えるかもしれませんけれども、私はどうも十六項目を移譲すればもうそれで目的が達成したのだというふうな考え方がおありになるとすれば、これはとんでもないことだと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/23
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024・太田正孝
○国務大臣(太田正孝君) 私はむろん十六項目があればいいというものだと思っておりません。特別な性格、ことに行政力としても財政力としても非常に大きな力を持っておる五大都市等は、別な地方自治体における資格と申しますか、性質と申しますか、持っておるべきものでございますから、これで全部片づけたとは思いません。そういう問題も全部この制度調査会の意向にもそうあるように思いますが、大都市行政運営の合理化をはかるものとするという意味におきましても、問題はそちらの方で一つ根本的に考えていただきたい、特別な状況であると私は見ております。決して十六だけで片づくという意味にはとりません。ただ当面ということを、先ほど答申案にもあると申し上げましたが、当面のためにやったにすぎない。御趣意の点、私も全く同じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/24
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025・森下政一
○森下政一君 ただいまの御答弁で自治庁長官は大都市の要請である特別市という制度は、これはやはり考えなければならぬ、十六項目を移譲したから、もうそれで特別市なんというものは必要ないのだという考え方はしておらぬとおっしゃる、これはきわめて明瞭になりました。そこで私が重ねてここでお尋ねしておきたいのは、十六項目を大体移譲することになっておるけれども、おそらく自治庁は原則として十六項目は全部移譲しようというおつもりだろうと思うのです。法律に現われておるところでは「全部又は一部で政令で定めるものを、政令で定めるところにより、処理し又は管理し及び執行ずることができる。」ということになっている。「全部又は一部」ということになっている。私はきのうから、どうも現内閣は陳情によって動かされるということを懸念するということを言うのは、法律ではこうなっておるから、全部もしくは一部だから、また指定市所在の府県が、こんなものは移譲したくないというような猛運動をやってくる。法律はできても、その運動に左右される。初めはなるべく原則としては全部移譲したいというつもりであったけれども、そうでなくなった。すると五大都市の方は全部譲ってもらいたいということを言うに違いない。そうして府県と五大都市の実際問題としての力関係、どっちがうまく陳情するかということによって法律ができても空文に終る心配があるのじゃないかと懸念するのですが、一体その点どうなんですか、どう考えておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/25
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026・太田正孝
○国務大臣(太田正孝君) 御忠告の点了承いたしましたが、そんな陳情に動かされないで、少くとも私としては押し通すつもりでございます。全部もしくは一部とありますが、法律の書き方で、一部分的の場合がありますので、そういうことをしたのでございますが、大方針としてはこの線を強く、広く押し通すつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/26
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027・森下政一
○森下政一君 大臣は大方針として強くこれを押し通すということを言われるが、そこのところ小林行政部長どうですか。事務当局として今政令の内容というものを大体こうだということを発表できるのか、あるいは各省との連絡その他のためにそこまでまとまっていないというのであっても、必ずこれを全部移譲するようにはかろうて見せるという何かわれわれが安心する言辞を与えることができますか、記録に残して……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/27
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028・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) 今の政令の中身までは申し上げる段階ではございませんが、大臣が申し上げました通り、われわれは市民に対して措置をせぬならぬようなそういう問題は、これは全部おろすつもりでございます。ただ十六項目のうちで法律上は全部いく法律もずいぶんあります。法律によっては個々の条文で特殊な事務があります一ので、それはどの範囲まで残すかということは、やはりまだ議論が最終的にきまっておりませんが、考え方としましては、市民が直接行政費と密接してやらなければならないような仕事は、これはもう当然におろすつもりでおります。またそういう方向で話しが大体まとまると考えております。(「そんなばかなことはないじゃないか。片っ方が確定していないで、片っ方削るということはないじゃないか」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/28
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029・森下政一
○森下政一君 私は思うのに、これは自治庁のあなたがたといえども、ここで法律で指定都市といわれている、いわゆる大都市ですね、大都市の行政の実際に携わった経験が乏しいのだと思う。そこでこれをずっと、十六項目について一つ一つを取り上げて検討して見ると、ことごとくこれは大都市それ自体が扱うていないものはないわけなんですね、実際問題として。実際はそうなんです。伝染病の予防だとか何だとかということでも、あるいは伝染病が発生したときにどうするかというような措置なんかでも、第一線の事務というものは必ず都市の保健所のやる仕事なんです。あるいは伝染病のほかもそうなんだ。そういったことがどうものみ込めていないことによって、今度考えられるどれとどれは大都市におろしてもいいんだということを判断されるときに、単なる字句の上からだけの判断というようなことでものが処理されると、とんでもない間違いが起ってくるということを私は懸念する。そこで、今日は政令の内容を発表する段階にないとおっしゃるが、それはそうだろうと思うのだ。実際問題として。あなたがたは、少くともこの会期末までくらいには何とか各省との調整をはかりたいとか、あるいは自民党の政調会自体もこの会期末までくらいには、具体的な内容を決定したいという意向のように聞いているけれども、どうもそこが力関係で、陳情によって動かされるという心配が多分にあるのじゃないかと思うのです。この点は私は松澤君の質問を横取りして関連でお尋ねしているのだから、午後にもう少し時間をもらって質疑をしたいと思うのでありますけれども、どうもその点あやふやでこのままに私は見のがすことができない。せっかくこういうことを法律でうたわれても、実質が伴わぬということになる心配が多分にあるのじゃないかと思う。と同時に、きのう私がお尋ねしたことで、太田長官は、まあちょっとどういうおつもりだったか、私はそんなことを言うたのじゃないが、陳情に動かされやすい、情によって動かされることがあるのが現内閣の非常な欠点だということを指摘したが、陳情はいいと思うということを言われた。陳情を受けていいじゃないか。陳情の中にもいい陳情があるから、それは一向差しつかえない。ただ情によってその陳情を取り上げるとか、取り上げぬとかということをやるのはよくないけれども、陳情はいいと思うというようなことを言われたが、これは私は太田長官としては、非常に慎重に物を言うてもらいたいと希望するところであって、あなたが陳情はいいなんということを言われたら、これからもう地方団体がどんなに、今日以上に陳情に殺到するかもわからぬと思うくらいなんですね。今度のこの自治法の改正でも、これは三回目だと言うが、前回の改正と今度の改正とどこが違うのだということをずっと比較対照して説明をしてもらいましたが、どうも自治庁の考え方として、一貫して自治法をこの点だけは是が非でも改正しなきゃならぬのだというふうな太い線がどこにあるのかということの発見に苦しむ。そんなものはありはしない。結局今度の改正というものは、地方財政の赤字を何とかして解消しなきゃならぬという、あなたがたは非常な使命を負うておる。だから何とかして地方財政にゆとりがあるようにしたいということが前提になって、もう議会の点でも、委員会の点でも何もかもがこの財政にゆとりをつけようという観点に立っての私は改正だと思う。ひとり大都市制度に対して、十六項目の移譲をしようということがきわ立ったことであると同時に、また府県の性格というものを明確に表示された点が私は特筆すべき点だと、こう考えるわけなんです。そこまでの決意をしながら、しかも府県の性格を表示しておりながら、府県と市町村と、特に指定都市との事業上の競合というようなものはしてはならないと言われるけれども、何もこれで事業上の競合がなくなるのだという保障がない。あるいは十六項目を移譲することによって大都市行政の運営が非常に楽になる、合理化されると言いながら、それは陳情の力のまにまに、どっちにくるかわからぬような状態だというようなふうに考えられるが、そこで私も陳情はよろしいということをおっしゃらずに、厳然たる態度をもって、信念をもって処理するということになってもらわぬことには、陳情をどんどんやり出したりしたら、地方公共団体は赤字に次ぐ赤字の累積で、たまったものじゃないということになる。陳情というものに、そういうことに動かされない厳然たる信念をもってやるんだという考え方を一貫してもらわなければならぬと、私はこう思うわけなんです。そうじゃございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/29
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030・太田正孝
○国務大臣(太田正孝君) 私は少し私流の解釈があるかもしれませんが、陳情という意味の、その含む言葉が、政党人がこれに動かされるという意味ならば、森下委員のおっしゃる通りでございます。私は自分がこれに関係いたしましても、たとえば国体問題というものが起きまして、非常な陳情が起きました。私は静岡県に関係しておりましたが、断固として私は今日まではねつけて参りました。しかし事情はよく聞きました。私は陳情という意味が、イギリス流の行政などのごとく、民の声を聞くという意味ならば、私は悪いこととは思いません。しかし悪政にどうかするとゆがめられ、歪曲される本質を胎蔵している陳情という意味なら、森下委員と同じ考えでございます。私の言った意味は純な意味でございまして、実をいうと、役所は役所流の判断をする。地方の事情を聞かぬ点もこれは実際にあるのです。私自身のは、ほんとうに純でございます。いろんなことを要求されても、はねつけるべきものは相当はねつけていることを実際として申し上げていいと思いますが、ただ森下さんのおっしゃるのは、陳情に動かされるという、悪い言葉で言えば、党利党略と結びついてはいかんという御趣旨ならば、私はその点はおっしゃる通りの意味なんでございます。ただ何でもかでも問いちゃいかんという意味なら、どうも私とは違うのです。私もずいぶんこれでは苦しみまして、私が大蔵省の小役人をしていたときが、私の一番悩んだときでありましたが、自分はぽんぽん、ぽんぽんやったんです。陳情なんか聞きゃしません。——まあそれは聞くだけは聞いて直した点がございます。たとえばある地方の小さい川を直そう……。高橋大臣が、そんな川ないじゃないかと。地図持ってくるとありません。それじゃ荒川という国費をたくさん出している川がどこにあるか。そんなもの出てやしません。ありません。そこをよく知っている。私、現場まで行ったのですが、この川を直さなければならぬということは陳情のおかげでやったんです。あるいは潮風を受けておって困ったところの、越中島の工業試験所は何で移したかというようなことも、私が現場を見たから、陳情を聞いたからなんです。約十年に亘って陳情したが取り上げられなかった。陳情を聞いたからこれはできたと、今でも誇っている次第でございます。私の意味とおそらく違わないだろうと思います。私の言った意味はそういう意味でございますから、どうぞその点を、私が悪に加担する意味の陳情を受け入れるというものじゃないということは御了解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/30
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031・森下政一
○森下政一君 長い今日までのあるいは役人としての御生活、あるいは政治家としての御生活の中に直面されて、そのいろいろな例を引かれた。全くそれは敬服するのです。おっしゃることは私にはよくわかるんです。陳情に教えられて事を運んで、それが非常に結果的にはよくなったということも、それは大いにあるだろうと思います。従って私の申しますのも、そういうことを排撃しなければならぬ、いかぬということはみじんも言うているわけじゃないんです。ただ私が受けます印象では、現内閣はどうも陳情に左右されやすい。いはゆるそうあってはならぬことも、陳情によっては情に動かされて方針をまげるようなことがあるのじゃないかということを心配するのです。たとえば私は今度の自治法の改正が、前提として地方財政の赤字解消というところに根本を置いておいでになると、こう解釈しても間違いじゃないと思うんです。たとえば各種委員会の委員の報酬のごときも、日割計算でほんとうに出勤した日についてのみ報酬を出すというようなことを、厳たる基本としてお考えになる。これはやはり同じところから出発しているのだと思うんです。ところが衆議院で修正が行われており、きのう鈴木代議士が説明に来て、それから非常にたくみな文句で書いてあるが、一体これはどういう場合を予想しているのかということを聞いてみると、どういう場合を予想したも何もない、結局選挙管理委員会の陳情や、人事委員会の陳情や、各種委員の陳情をそのまま受け入れて、地方団体がもし月額あるいは年額で支給することの方が妥当だというふうに思うときにはそういうように条例できめてもいいというくらいにしているのだというような点、これはどうなければならぬ、こうなければならぬというような事実に直面して、この改正が不合理だということに気づかれたのではなく、結局これは陳情に動かされておる。これは自治庁が動かされたのではなく、自民党の政調会が動かされたと思うけれども、その陳情のまにまにどういうふうにでもなっていく。ことに私の不愉快に思うのは、売春防止法がきのう成立したばかりでありますが、その売春を業としている業者あるいは売春婦といったようなものがある種の魂胆をもって、大挙して集団的に自民党に入党を申し込んでおる、入党金を納めておる。大阪あたりにはそういう顕著な例があるらしい。そういうようなことを聞くと、私はほんとうに情ないと思うのです、全く。そういうことに左右されて、自民党が政府に向って政府の考えている根本の方針をまげさすなんということはありはせぬだろうか、私は非常に心配する。そういう意−味で、情に左右されるようなことがあってはいかぬということを私は申し上げるので、そこで、陳情を大いに聞こうということをうっかりおっしゃると、陳情次第によってどうにでもなるというふうに、誤まった印象を与えるということをおそれる。これは、松澤さんの質問をうっかりとりましたので、本論はまた午後にでも……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/31
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032・小笠原二三男
○小笠原二三男君 森下さん、ながなが関連をおやりになりましたが、関連して……。私聞いておって、ちっともはっきりした答弁はなかったと思うのです。それは、特別市の問題、なぜ特別市をはずしたかという適切な御答弁がない。なぜはずしたのですか、理由は何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/32
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033・太田正孝
○国務大臣(太田正孝君) 特別市の本質があるという森下委員に私も同調して申し上げた次第でございます。この問題をどうするかにつきましては、地方制度調査会の御検討を得てきめようということでございまして、ただ、いつまでも争いのあるこの問題をここにもっていくという地方制度調査会のきっぱりした答申を得たい、その上で政府の考えをきめてやっていきたいというのでございまして、ただ、これがあるために、その問題をいつどういうところに行うかということは法律事項になっております。今まで打っちゃっておかれまするから、それよりもこの方が早く検討していただくがいいと、こういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/33
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034・小笠原二三男
○小笠原二三男君 それは全くおかしな話で、わざわざ法律にあるのを削除して、削除した方が早く特別市というものを検討してやってもらえるという論理がどこにありますか。あなたはお認めになっているのですよ、特別市という性格のものの必要であること。お認めになっておって削除をして、削除する方がかえって特別市実現のために早いのだという、そういうばかな話はありますか。紛争が起っているから、一切特別市をなくしてしまうということで、この紛争をやめさせるということなら、それはそれで一つの考えです。しかし、その紛争のあることも認めながら、しかも、特別市の必要であることも認めながら、そうしてこの際削除し、そうして調査会の根本的な検討によってこれを実現する。私は非常におかしいと思う。調査会の方は、この問題は検討することがないために、特別市をやめるとも何とも答申していない。答申していないのに、この部分だけはあなたの方で削除してしまう。必要を認めながら削除してしまう。そんなことならば、削除の理由は全然ありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/34
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035・太田正孝
○国務大臣(太田正孝君) ちょっと私の言葉も足りませんでしたが、特別市と限定するよりも、もっと広い意味の大都市制度というのが地方制度調査会の考えでもあるようでございまして、そういう点を一切くるめてきめたい、こういう意味でございましたのです。私の言った意味は、片一方をやめちまうという意味じゃなく、さらに答申を得て、大都市制度としての一環としてもちろん考えていかなきゃならないが、問題を新たにいたしまして、その意味も含めつつ、さらに大きい大都市制度のもとにおいてやっていこうという考え方が地方制度調査会の中にあるということを知りましたので、そういう意味において申し上げたのでございます。(「それならば、それまで待っておったらばいい」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/35
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036・小笠原二三男
○小笠原二三男君 ますますおかしい。そういう調査会の方にお考えがあるならば、早晩何らかのものを打ち出して答申が行われるでしょう。そのとき自動的に特別市で行くか、大都市制度として他の名称をもってかえられるか、そのとき直したらいい。何かその大都市の方に、そういう特別市の実現の要求が強いときに、わざわざこれを削除して、なお紛争を激化する種をまく必要がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/36
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037・松岡平市
○委員長(松岡平市君) ちょっと鈴木次長から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/37
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038・小笠原二三男
○小笠原二三男君 これは政治的な問題ですよ。事務的なことじゃないですよ。大臣どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/38
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039・松岡平市
○委員長(松岡平市君) 鈴木次長、まず事務的にお答え下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/39
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040・太田正孝
○国務大臣(太田正孝君) 私はあとで補いますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/40
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041・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) ただいまの小笠原委員のお尋ねでございますが、大臣から申し上げましたように、今回は、当面の大都市に関する問題といたしまして、事務の委譲だけを行うということで、十六項目の委譲をすることにしたわけでございますが、この問題につきましては、反面この特別市制が現在の大都市制度の中にあるわけでございまするし、また都制という仕組も地方自治法の中にあるわけでございます。この点について、特別市を五大市等ではぜひ実施したいという考えが従来からあり、また五大府県の方では、それに反対である。こういうようなことがずっと長いこと続いておるわけでございまして、今回とりあえずこの事務の配分を行うことによって暫定暫定と申しますか、当面の差し当りの問題として、府県と五大市との間の主張の調整をすることにしていただいて、あと、根本的に大都市としての制度をどうするかということは、現在自治法上にある都制なり、特別市制なり、これら二つの仕組があるわけでございますが、それらの仕組もひっくるめまして、どういうふうに大都市制度を解決するのが最もよろしいかということで、根本の制度を一つ地方制度調査会に検討してもらう、こういうことになっているわけでございまして、お話のように、結論が出ますまでの間、特別市というものをそのまま存置しておくという行き方ももちろんあると思います。あると思いますが、政府といたしましては、一応この特別市の制度をこの際削除しておきまして、そうして将来地方制度調査会の結論が出ました際に、それに基いて自治法の規定をさらに改正するようにしていきたい。こういう考え方に立ったのであります。なぜそれじゃ削ったかということでございますが、それはやはり特別市賛成反対というようなことが、このような規定のありますことによってまた誘発される面もあろうかと思うのでありまして、この際は、事務配分によって両者の主張の調整を行なっておいて、制度上は一応これを削除いたしまして、今後根本的な制度のできましたところで一応の体系を整えて参りたいという考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/41
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042・小笠原二三男
○小笠原二三男君 あなたは語るに落ちているよ。ちっとも理論的な根拠はない、これを削除しようという……。ただ五大府県と五大市が紛争対立しておる。それで、十六項目を委譲するということについては五大府県は反対しておる。従って、特別市というものをはずすことによって、特別市の実現ということはできないのだ、都道府県は都道府県として権限を持つのだということで知事側を納得させ、そうして五大市の方には五大市の方で、大幅事務の委譲をやるということで、実質的に特別市に使えるようになっておるのだから、ここでまず手を打って、あと、その方はその方で、答申に待ってというような話なんです、正直な、本音のところは……。しかしさっきから森下さんが質問しているように、この十六項目というのは、全部または一部の事務の委譲で、しかも各省間の調整もとれていないという状況で、何がどう委譲されるかわからぬということで、五大市の方は反対しているのです。こういうやり方に反対しておる。片方が反対しておるのに、それで調整がつくでございましょうということは、それ自身としても、政治的な扱いとしてはおかしいことである。ちっともどっちも五分五分の解決になっておらぬ。五分と五分になっておらぬ。そうして知事側に納得もされない。それなのに、何ら理論的な根拠もない。この段階で特別市を削除するということは、不穏当もはなはだしい。しかも、調査会の答申に基いて自治法の改正をするのだという、そういう大前提の上からいえば、これは調査会の慎重な審議に待って手をつけられるということが客観的な政府としての扱い方のはずなんです。それをただ、どっちもどっち、両当事者に五分々々に与えたのだから、これで満足するだろうと、こういうようなことでは、満足するような与え方にもなっていないのだし、大体そういうことを根拠にして、何ら理論的根拠なしにこの特別市というものを削除するのは、これはけしからぬことです。いかがですか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/42
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043・太田正孝
○国務大臣(太田正孝君) ただいまの御質問でございますが、次長が申されたことも、私の言うことをかわって言ったのでありますが、五大都市が果してどう考えているかということと法律上の解釈と二つ、今、行政部長からもう一ぺんお聞きを願いたいと思います。その上で、なお私が補足するところがあれば御説明いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/43
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044・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) ちょっと法律技術的な問題ともからんでおりますので、その点、ちょっと私から説明させていただきたいと思います。
要するにこの特別市の問題は、現行府県制度を前提にして、直ちに実施することは適当でない。まあわれわれとしても、こういう考えを持っております。それが一点。しかしながら、大都市の実情にかんがみて、現在のままの一大都市行政のあり方、これもまた適当でない。従って、調査会の答申にもありました通り、事務配分を大幅に行うことによって、大都市行政にふさわしい一運営の体制を確立しなければならぬ。この結論ももうはっきりいたしておるのでございます。
そこで、今度の改正によりましては、要するに問題のある大都市問題をその事務の配分によって解決すべし、こういう結論が出たわけでございますので、われわれといたしましては、大都市に対するこの指定市の特例でもって規定する。そういたしますと、大都市につきまして、特別市の規定と大都市の事務配分の規定と、これはいわば矛盾しておる規定でございまして、現行の府県制度のもとにおいては、事務配分で解決するとすれば、理論的にいえば、特別市の規定を削って、そのかわりに事務配分の規定を入れる。これはまた一つの技術的な考え方であります。同じ対象に矛盾する条文が並んでおるということは、これは法律技術としてはおかしいのであります。要するに大都市につきまして事務配分をやるという改正でございまして、特別市の規定は、事務配分ではなしに、特別市という別の法律体系を作ろうというわけで、その特別市の規定は、現在の府県制度のもとにおいては、直ちに実現することは適当でない、こういう前提に立っておるわけでございます。しかしながら、特別市そのものをそれでは否定するのか。そういうことはさらさらないのでございまして、これは、今皆さんがおっしゃいます通り、特別市一の問題は、現在の府県制度の根本的改革の一環として、総合的にそれは考えないといかぬ。今の府県のままで、現在法律に書いてある通りの特別市というものをそのままやることは適当でない、こういう判断でございます。(「適当であるかどうか、それは調査会で答申に待つことじゃないですか」と呼ぶ者あり)そこで、今、調査会はごらんの通り大都市の事務配分によってさしあたりやる、府県制度については、さらに根本的な検討を加える、府県制度の問題もあれば、大都市制度の問題もある。その他の問題もある。そういう問題を総合的に検討して、その一環として、特別市の問題につきましても結論を出してもらう、そのときには、いわば今の府県制度がそのまま維持されるか、それが変るか、それはわからぬ次第でありまして、そういうものを総合的に立法化するのが法律の書き方といたしましても筋の通った考え方ではないか。あとはもう、政治的な御答弁は、これは大臣からお答えしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/44
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045・小笠原二三男
○小笠原二三男君 もう小林君に答えをするなと言いたくなるよ。この委員会に来て、よくぬけぬけとして、そんな表面切ってうまそうなことを言える。結局さっき森下さんが言う通り、特別市を削ったということは、知事の顔を立てたことで、知事の陳情を聞いたことなのです、陳情を聞いたことなのです。(「その通りなんだよ」と呼ぶ者あり)何をそれをごたごたとうまそうな理屈を言っておるのか、だから腹が立つのだ。あなたは、この法律の中に矛盾をはらむものを載せておくことはできぬと言ったが、それなら、地方自治法それ自身が一番先にできたときから矛盾をはらんでいる。何も十六項目を渡さぬということが矛盾だということではないのです。大都市が現実にある限り、都道府県がある限り、地方自治法上それは矛盾しておる、あなたの言う通りなら。何もそんなことは理屈でないですよ。要するに十六項目を渡すということに対する知事側の反対を緩和さす、そうして特別市の実現を見ないのだという保証を知事側に与えて、その陳情を聞いたということでしょう。大臣どうですか、そうなら、そうだとなれば、次の事に進んで、これは終るんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/45
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046・太田正孝
○国務大臣(太田正孝君) 私の考え方といたしまして、先ほど森下委員にもお答えしたのですが、ただいま小笠原委員の言われるごとくに、特別市制度をやめてしまって、知事側の了解を得るためにやるという、私はそうは思いません。どうしてもこれは、大都市制度の下に特別なる方法でもっていかなければならぬので、やめてしまうという考え方のもとではないのでございます。先ほど次長も申しました通り、そうする方がかえって制度調査会における根本方針をきめる上にも、今の規定があった方がいいか、ない方がいいかという結局議論になりますが、大都市制度をやめてしまうという意味におきまして、地方制度調査会にお願いしよう、こういうわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/46
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047・小笠原二三男
○小笠原二三男君 そんなら、最も筋の立つことは、大都市制度は、こういう性格で、こういう内容のものとするときまったときに特別市をはずすということで、五大市なり五大府県で了承するでしょう。ところが、何もそういう内容も何も示されないでもって、そうして特別市だけはずすということは、これは表面上からいえばやめたということなんです。やめたということなんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/47
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048・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) 私の申し上げましたのは、そういう意味ではないのでありまして、要するに現在の府県制度のもとにおいても、特別市の規定は従来ありますが、これをすぐ実施することは、いろいろ問題があって適当ではない。しかしながら、大都市の現状は、それを一日でも放置しておくことはできない。大都市には大都市の実情にふさわしいような事務を委譲さして、一元的な行政をやらしたい、これは調査会の基本方針で、われわれとしてもその通りだと思うのでございます。でございますから、大都市行政を現状のままにおいて行うにつきましては、事務配分の特例を設けて、大都市の実情にふさわしい行政を一日も早くやらせたい。そこで、大都市に対する特例を設けなくちゃいかん。しかしながら、特別市につきましては、現在の府県制度のもとにおいてはいろいろ意見があるから、府県制度の根本的改革とともに、その問題の基本的な方向をきめたい。こういうことがまさしく調査会の答申でございます。それでございますから、答申に従って、事務配分の規定を入れるとともに、さしあたりその規定を排除しておく、しかしながら、府県制度の根本改革をやるときには、当然その問題とともにあわせて考える、こういうことでございまして、技術的に同じ規定を二つ載せておくか削るか、こういう問題になれば、それは政治的にいろいろ問題もありましょうが、技術的な立場からだけ言いましても、同じ大都市につきまして同様の規定が残るというのは、技術的にもそれは妙じゃないかという、こういう理屈も成り立つということを申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/48
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049・小笠原二三男
○小笠原二三男君 大都市制度大都市制度と、何かうまそうなことをあなたは盛んに言っておるけれども、もう大都市制度の一つのあり方として、特別市というものが現行法にあるのです。これが適当であろうがなかろうが、あるのですよ。それでこれは、特別市というものはいかぬのだという論拠なら、削除するということは認められるのでしょう。しかしいかぬとは言わぬのです。ただ実施の時期あるいは性格等、まだまだ吟味する必要があるということが、現在まできている法律にある限りの政府側の建前でしょう。だから、大都市制度の中の一つの方式として、特別市というものは法律上認められておる。だから、全体として大都市制度を今後調査会が検討を加えられて、幾多の案をお出しになってきたときに、特別市が必要でないという結論が出ればはずすし、また特別市というものの内容がついてくれば、そのまま現行法が生きていくという、こういう姿が私は取扱いとしては正しいと思う。それをこれだけをすぽんと落してしまうということは、政府の意思いかんにかかわらず、法律上はもう出てないのですから、特別市というものはなくなったということなんです。消えたということなんです。これが関係地方に与える影響というものは、非常に大きいと私は思うのです。だから同じ陳情を聞くとするならば、しかも、こういうことが政治的に行われている陳情だとするならば、先ほど太田長官が言われたような、その陳情の聞き方をする限りは、私は特別市というものははずしちゃならぬと、これが特別市をはずすということならば、片側の陳情だけ聞いたという結果を現わしておるのです。何度うまいことを言っても、これはもう政治的な扱いとして落したと言わざるを得ない、調査会の答申に待って、その意思を尊重して、すなおに事務的に処理したものだということにはどこから考えてもならぬのです。あなたは、調査会の意思を尊重してやったんだと言われますが、調査会はそんなことは書いてないし、調査会の議論の段階の中に、特別市をなくしてしまう、そして別途考えるという結論はどこにも出ていない。何といってもおかしいよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/49
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050・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) もう一度、私の気持を申し上げたいと思います。特別市は、まあ調査会の答申には削れという規定はございません。その通りでございます。しかし大都市の問題については、事務配分によって合理化すべしと、さしあたってそういう結論でございます。これはわれわれとしては実現しなくちゃいけない。そのときに、だから特別市の規定をそのまま残しておくということはもちろん考えられます。当然考えられます。しかしながら、もう一つ法律技術的に考えると、さしあたって大都市につきましては、大都市行政につきいろいろ考え方があり、特別市のような考え方もあれば、事務配分という考え方も、これはあり得るわけでございまして、さしあたってすぐ動かす、法律の事務配分の問題を実施しようと、こういう結論をとれば、自治法は今日ただいまの行政を動かすのが基本でございますから、そういうものをやる以上は、そうでないのは、これは今後の府県制度の根本の改革とともに合せ考えるという、こういう考え方も成り立ち得るところだと思うのであります。むしろ技術的にいって、法律的に、同じ大都市について同じ規定を二つ並べておくのはおかしいし、これは現に法制局にもそういう意見が出ておったのであります。当然そうあり得ると思います。将来特別市を実施する、現に動いておれば別問題ですが、そうではなしに、特別市は別の法律で動かさなければならぬ、その法律を施行することについて、これは非常に議論があり、われわれとしては、必ずしも適当だとは思わぬ、現在の府県制のままで動かすことは。そうなると、結局事務配分で直ちに解決しようとすれば、現在の法律制度としてはそうやって、そして府県制度をさらに根本的に改革するのは将来の問題です。特別市を動かそうとするのは将来の問題です。そのときに合せて一本に考える。そういうことは成り立つと思う。あとは政策の問題としてお考え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/50
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051・小笠原二三男
○小笠原二三男君 これは、何度聞いても私は納得しない、何とあなたが言おうと、私は納得しないくらいのものを、これに重大関心を持つ当事者は納得するはずはない。従って、あなたが調査会調査会と言うから、これはどうしても調査会の会長を呼んで、どういう討議の段階か、私は聞く必要があると思う。また当事者に出てもらって、参考人なり何なりで聞く必要があると思う、納得できないのです。(「必要ない」と呼ぶ者あり)この点委員長において、あとで理事会が開かれる場合、御相談していただくことを強く要望しておきます。それから、私はまた関係者等に聞いて、まだまだこの問題は追及したいと思いますが、ただ一つ、今後に回って私お聞きしたいが、小林さんがちょっと後段に言いましたが、特別市を削除し、そして将来府県制度を考えるという場合に、またこの都市問題も考えられるのだからというような意味合いのことを言いましたが、私は、ほんとうにそういうことなら、もっとそこのところを考えれば、府県の性格が変ってしまった、従って特別市ということを削除することによって、厳然と都道府県は五大市の上に君臨する体制になる、こういう形で、何といいますか、この提案理由にもありますが、国と市町村との中間に位する地方公共団体としての都道府県の性格をもっと強く打ち出してくる、そのことで問題がだんだん発展していくというふうにも私は邪推される点があります。これは邪推ですから、答弁の必要はありません。あとで、今後府県の性格をもっと聞いてくれば、この点はだんだんはっきりしてくるだろうと思います。ただ私としては、どうしてもこういう理由のない削除の方式というものには賛成しかねる。関係当事者の公述を聞きたいと思いますので、委員長において、理事会を開いて御相談を、(伊能芳雄君「必要ない」と述ぶ)ここで必要あるなしを論議すれば時間がかかりますから、理事会等で御相談を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/51
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052・小林武治
○小林武治君 私、今の特別市の関係のことで、私どもの考えをお聞き願いたいこともありますが、これは、結果的には特別市の規定を削除したことに私は賛成いたします。それは何かと申せば、行政部長も言っておるように、現在の府県制のもとにおいては、かようなものを実施することはきわめて困難である、こういうふうに思うし、今でももう日本の府県が四十六にも分れて、細分化しすぎておる。ここへまた、ほとんど府県的なものが幾つかふえるということの趣旨にも、私どもは賛成できない。しかし、今小笠原君が言われるように、私はこのことはほとんど政府の発案ではなかったと思う。すなわち事務委譲のことがやられても、特別市の規定を全部削除するということは、おそらく私は陳情によって動かされたと思う。このことは動かされることはできまい。幾ら陳弁されてもさようなことであろう、こういうふうに思いますので、これについて、とにかく大都市というものが何らかの特別的な取扱いをしなければならぬということも、これは自治庁当局も認めておられる。こういうことでありまして、この点を削除しても、こういう精神は失ってない、また失わせたくないということでありますれば、おそらく最近の機会において、政府としてもこれを再検討する義務があろうというふうに思います。先ほどからのお話によれば、調査会々々々と言われておりますが、調査会は、今現にこのことを手がけておるとは聞いておりません。また調査会は今ほとんど冬眠状況にあると、こういっても差しつかえない。自治庁当局は、調査会に対してこの問題を近く何らか積極的に諮問すると、こういうふうな意向があるかどうか、その点をまず伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/52
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053・太田正孝
○国務大臣(太田正孝君) その意図のもとに、すぐ働きかけるつもりでございます。
それからもう一つは、客観的事実といたしまして、府県の性質と都市の性質と両方含んだがごとき大都市あるいは特別市というものが存在する限りにおきましては、これを処理すべきことは当然のことだろうと思います。私の言った意味は、削除するということが、小笠原委員の言うように、その問題を全然捨ててしまうという意味でないことは御了解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/53
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054・小林武治
○小林武治君 今の問題は、どちらかと申せば、特別市の規定を存置しても、あるいはこのまま削っても、どちらも別に強い意味はない、こういう、かうに思いまして、行政部長の言われるような矛盾は、この自治法ができたときから現われているので、今特にこれを削らなければならぬという理由は私はあるまいと思いまするが、もし、今言うように、これを削ったとするならば、なおさら政府は責任を感じて、これらの問題をただこの席でもって、これはなくなったのじゃないのだということを答弁されるだけでなくて、その実を示さなければならぬというふうに思えますからして、今言うように、最近の機会において、政府も何かの考えをもって積極的にこれに対処する、しかして地方制度調査会の方を一つ動かすということを、私どもは事実において期待するといいますか、見守っていきたいと、こういうふうに思いますので、長官の御返事を重ねて一つ伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/54
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055・太田正孝
○国務大臣(太田正孝君) 小林委員の言われる通りに、至急処理していく考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/55
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056・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) ただいま、大臣の申し上げました、その扱いの問題について、ちょっと補足して申し上げたいと思いますが、先ほど来御議論のございますように、府県制度、大都市制度につきまして、地方制度調査会では、残された研究項目として、その他四項目ほどございますが、そういう項目につきまして研究をすることになっているわけでありまして、御承知のごとく、国会の議員の方も御関係になっておりまするので、国会が済み次第、政府としましては、調査会を再開していただきまして、ただいま問題になっておりまする大都市制度なり府県制度の問題につきまして、検討するようにしていただきたい、こういうふうにかねて考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/56
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057・松岡平市
○委員長(松岡平市君) 午後一時から再開することにいたしまして、暫時休憩いたします。
午前十一時五十五分休憩
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午後一時五十分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/57
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058・松岡平市
○委員長(松岡平市君) 委員会を再開いたします。
地方自治法の一部を改正する法律案、地方自治法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理に関する法律案の両案について質疑を行います。質疑のおありの方は、順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/58
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059・松澤兼人
○松澤兼人君 午前中の質疑応答で、特別市制の問題について、だいぶ話があったのですが、結論といたしまして、どうもやっぱり納得できませんし、それに、どう理屈を言われても、今回特別市制の条項を削ってしまったということが無理であるというような考えを持つのです。で、今度の改正法律案で、大都市というものの特殊性にかんがみて、この規定をしたから、特別市制というものは実際上それに矛盾する、不必要な規定になったと、こう言うのですけれども、私はそうとは思わない。
〔委員長退席、理事宮澤喜一君着席〕
どんなに権限が府県から市に委譲されましても、やはりそれは、単なる大都市の行政内容が変ったというだけであって、特別市というものの持っている性格なり権限なりというものと同じものではないと思うんです。
そこで、もう一度お伺いいたしますけれども、大臣は、権限を委譲すれば、実質的に特別市制の実質上の内容ができるんだから、特別市制というものが要らないとお考えでございますか。その点明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/59
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060・太田正孝
○国務大臣(太田正孝君) 先ほど、小林委員のお言葉もございましたが、私は、考え方といたしまして、委譲の問題と特別市制の問題というものは別にいたしまして、先ほどお答え申し上げました通り、客観的に違っておるこの形態というものをよくきわめまして、なるべく早く答申を得るように、地方制度調査会にお願いしたい。もうその問題を忘れてしまうとか、全然考えのうちに入れぬとかいう意味ではございませんのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/60
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061・松澤兼人
○松澤兼人君 その点は、先ほど特に小林委員からも発露があって、地方制度調査会を近く開く考えがあるかどうかというような話があって、そうしたいという御意見の開陳があったわけでありまして、これはけっこうなことだと思うのです。そこで、近く地方制度調査会を開いて、府県制なり、あるいは大都市制なり、地方行政機構全体にわたって検討をしてもらい、答申を出してもらうという今日、特別市制ということをことさらに削除する必要がないんじゃないか、まあ、その答申がいつ出るかわかりませんが、あなた方も、できるだけ早く答申してもらいたいという意味で、早く諮問をなさるならば、もちろんその答申を早く出してもらうことに自治庁としては圧力をかけて、推進して、その結論をあなたの方で受け取って、全面的な地方制度の改革をおやりになるということが適当である。そういうお考えがあるのに、条文上特別市制というものをお省きになる、そのお考えが私たちにはわからないのです。何度尋ねても結局同じことだろうと思うのですけれども、私たちはそういう取扱いということが妥当でないということを強く考えますから、しつっこくお伺いしているわけでございます。そこのところはおかしくないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/61
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062・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) 午前中に申し上げましたことと結局同じことを申し上げることになるわけでございますが、特別市制の問題につきましては、現行制度のままでこれを実施しようといたしまするというと、いわゆる残存府県の問題をどういうふうに処理するかと、こういうような問題がすぐぶつかってくるわけでございまして、勢い府県制度の問題に触れざるを得ない。府県の統廃合あるいは道州制というような問題とからみ合せなければ、このまま現在の府県制のもとにおいて、特別市を実施するということには非常に無理がかかってくるというところに、今日まで十年間も制度があるにもかかわらず、特別市の問題が実行できなかったゆえんであろうと思うのであります。そういうような状況でございまするので、そういう根本的な問題は、さらに地方制度調査会において、全般の問題の一環として検討をしてもらって、その上で出た結論に従って、制度の上におきましても、実際問題としても解決をしていきたい。今回は、今回の指定都市制度のもとにおける事務の配分という方式で、大都市制度に対する今までの御要望を一応取り上げて調整をしておきたい、従って、根本的な改革と、今日行おうといたしまする暫定的当面の事務配分による改革との間におきましては、この制度をそのまま残していくというお考えも成り立ち得ると思いますけれども、私どもといたしましては、さらに根本的な結論が出ましたところで体系を整備するということにいたしまして、今回は取りあえずこの規定の中からはずしていく、こういう考え方に立ったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/62
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063・松澤兼人
○松澤兼人君 次長のお考えもよくわかるのですけれども、しかし、根本的な改革に関する地方制度調査会の答申を待っているということであれば、特別市制の条項というものは、そのまま置いておいてもいいのじゃないか。現在まで、地方制度調査会で、これをやめろとか何とかという意見があったならば、それは、これを取り上げて、やめるという改正をなさることもいいと思うのですけれども、この問題は触れずに、ただ事務の再配分といったような、委譲というようなことを考えろ、こういうふうに答申しているのですから、私は、基本的な原則というものは残しておいていいのじゃないか。それをはずすという理由はちっともわからない。また、それがあるから対立が起るということも、もちろん考えられます。しかし、そもそもこれはまあ、そういう規定があったから対立が起ったのではなくて、対立があったから、特別市制というものも、今すぐにはやらないけれども、将来できる時期がきたならば、特別市制というものもできるように、条文上は置いておこうということで、特別市制の条文はできているのでしょう。過去におけるやはり五大都市側と申しますか、あるいは大都市側の強い要望もあって、特別市制というものがやはり考えられた。これはそれ以前の地方制度調査会の答申の結果であろうと思うのです。だから、条文があるから対立が起ったのではなくて、対立があったからそういう条文をこしらえてあったというふうに解釈するのが当然だと思うのですけれども、次長いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/63
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064・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) これは、松澤先生もよく御承知のごとく、戦前におきましては、個別に特別市制を実施したいというような法律が、帝国議会に出たことがあったわけでございまするが、一般的な制度として、特別市という制度がなかったわけでございます。戦後一般的な制度として、特別市制度が地方自治法の中に設けられてから、実は特別市制設置運動、あるいはこれに対する反対運動というものが、やはり従来にも増して非常に熾烈になって参ったということは、これは事実だろうと思うのであります。特別市制の最も中心をなしました問題は、やはり二重行政、二重監督というようなところに私どもあると思うのでございまして、今回の府県からの五大市への事務の委譲、またそれに関連をいたしましての監督権の付与、許可その他の制度を作る、こういうようなことによって、当面のとにかく二重行政、二重監督に対する要望は満たし得るのではないか。そこで、それによってすべての特別市運動というものが目的を達するわけではもちろんない一わけでございまするので、根本的な改革は、これは調査会の結論に待って、特別市制度という形で大都市制度が解決されることになりましても、果して今のままの特別市制度そのままを取り上げるという格好になるかどうか。この辺も結論に待たなければわからぬわけでございまするので、一応指定都市制度、それによる事務配分というものをとりました以上は、現在ありまする特別市という制度を、一応この規定からはずしておきまして、結論が出ましたところで、おそらくはさらに研究の結果、改善の加えられた大都市に関する制度が考えられると思いますので、そういうものを書き加えていきたい、こういう考え方であります。ですから、そういう結論が出るまで、今の特別市制度は、そのまま残しておいたらいいじゃないかというのも、確かに一つの御議論と思います。思いますが、私どもといたしましては、一応これはこの中からはずしておいて、出ましたところの結論に従って、新しい大都市制度というものを自治法の中に書き加えていきたい、こういう考え方に立ったわけであります。まあこれは、両方の行き方があろうと思うのでありますが、私どもといたしましては、後者のような行き方をとった、こういう次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/64
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065・松澤兼人
○松澤兼人君 長官にお伺いしますけれども、これは、事務上は次長の考えられるような考え方になるかもしれません。しかし私は、次長が今お答えになりましたことを見ましても、やはり戦前から特別市制の運動というものがあった。この一般的な規定としての特別市制という条項があるために激しくなった、激しくなったということは比較的な問題です。今まで全然なかったものが、この条文のために対立が起ったというならばわかる。しかし、それはどこまでも比較上の問題で、過去数十年にわたって特別市制の運動というものがあった。あったから、やはりそういうことを取り入れて、原則だけは作っておこう、しかし、これを実施するのは適当の機会まで、新しい法律ができなければこれはできないようにしておこうということで、おそらくは妥協的な措置として、条文は置くけれども、それを実施するためには別個の法律が必要であるという、こういうこしらえ方になった。そこで長官にお伺いしたいことは、もし特別市制というものが、地方制度調査会の答申によって、やはり大都市制度というものがそういう形のものが適当であると答申があった場合に、この現在の自治法から特別市制というものを削った場合と、削らないで原則的な規定をしておく方と、地方制度調査会が、新しい一つの府県制も、それから道州制も、あるいは市町村制も考えて大改革をやる場合に、もしも大都市制度というものを特別市制の形において実現するというその場合に、どちらが楽だとお考えですか。われわれはまあ政党人としまして、一たんできておる原則的な条項をはずしてしまって、そうしてこれを再び起すということは、対立的な問題であるだけに、再び特別市制という条項を自治法の中に期待するということは、それはほとんど不可能に近いくらい困難な問題じゃないかと思う。あなたも政党に所属しておられるんですから、一たん消したものをもう一度復活するということは、どんなにむずかしいものであるかということをわれわれは考えるんですけれども、あなたは、地方制度調査会でこういう制度が必要であると言えば、簡単に自治法の中にこの特別市制の条項を復活する自信がおありですか。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/65
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066・太田正孝
○国務大臣(太田正孝君) 私としては、もちろん地方制度調査会で出ました場合には、新たなるものを入れる考えでございます。そうするよりほか、私のずっと話してきた順序もそれでございますし、先ほどお話のように、やめておいて入れるか、置く方がいいかという段階になりましての問題でございましたが、私としてはそうやるよりほかないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/66
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067・松澤兼人
○松澤兼人君 ちょっと一番おしまいのところを……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/67
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068・太田正孝
○国務大臣(太田正孝君) これをはずしておいて新たなるものを入れるか、こうやって置いておこうかということは、この問題そのものに相当の問題があろうかと思います。結局都道府県の区域外とするというところに問題があるのでございまするから、私は、新たなる大都市制度というものができました場合にはこの中へ入れていく、こういう態度をとっていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/68
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069・松澤兼人
○松澤兼人君 私の質問していることは、簡単に、政治上の問題として、まあ諮問されることは諮問される。その諮問が、やはり二重行政がいかぬとか、あるいは大都市には特別の権限を与えるべしというような、特別市制の形のものは必要であるという答申が出た場合に、一たん削除してしまった条項を、自治法の中に再び入れるということは非常に困難なことじゃないか。これは仮定ですが、もしも地方制度調査会においてそういう答申が出た場合に、今日一たん削ってしまったものを、再びこの中に入れるということが、地方制度調査会がそういう答申をしても、政治的な情勢は、それを復活することは非常に困難になるのではないかということを心配するので、政党に所属される太田長官は、どういうふうにお考えであるかということを聞いているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/69
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070・太田正孝
○国務大臣(太田正孝君) 私といたしましては、同じものができるかどうかは存じませんけれども、まとまったものが出ました場合には、必ずこれを入れていきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/70
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071・松澤兼人
○松澤兼人君 それがむずかしいだろうということを言っているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/71
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072・加瀬完
○加瀬完君 特別市制の問題と、指定都市の問題がだいぶ繰り返されて論議されておりますけれども、あらためて大臣の御見解を承わりたいんですが、現在現行法の中にあります特別市制というものは、一体お認めになるんですか、お認めにならないんですか。理想案としてでもいいんです。お認めになりますか、お認めになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/72
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073・太田正孝
○国務大臣(太田正孝君) 先ほど申し上げました通りでございまして、私は、客観的に見て、地方自治体の間に大都市制度というものが設けられなければならぬではないかと思っております。従って、一般の地方制度改準の中の重点といたしまして、この点を地方制度調査会でよく御研究を願いたい、こういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/73
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074・加瀬完
○加瀬完君 かりに、今おっしゃるように、制度的には大都市制度といいますか、特別市制というものが必要である。しかしながら、いろいろこれをすぐ実現することには問題があるので、将来にこの実現を待って、現在では、結局特別市側が要求しているところの、ある程度の条件を、十六項目でも十七項目でもいい、こういうふうに与えたんだということであるなら、御説明の通り私は受け取りたい。しかし、改正法によりますと、それは特別市制というものがなくなっておる。そうなって参りますと、特別市制という制度は認めたいんだ、しかし問題があって、これをすぐ百パーセント認めるわけにはいかない。だから、この程度の調和をはかりつつ実現をさせていくんだ、こういう御説明とは現実の法案は吻合して参らないということに私はなると思う。この点を、繰り返して恐縮でございますが、もう一度政府側の御態度を明確にさしていただきたいのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/74
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075・太田正孝
○国務大臣(太田正孝君) 先ほども申しましたように、制度調査会の答申も、さしあたって事務の配分をしたらどうか、つまり二重監督、二重行政を廃止するという、その点につきましてのさしあたってのやり方につきまして答申が出ておりますので、その点をこちらへ繰り入れてあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/75
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076・加瀬完
○加瀬完君 ですから、さしあたってこういうふうに特別市制というものをここに実現させるわけにはいかないけれども、懸案の問題をこの程度において解決したのだ、それで根本的な解決は将来の研究を待ちたいと、こうおっしゃるなら、特別市制というものを何もここで消さなければならない必要はないのじゃないか、これを消してしまっておるからには、特別市制というものはお認めにならない、こういうふうに客観的には判断をせざるを得ないじゃないか。これは先ほどから、いや特別市制というものは認めるのだ、しかしこの際は消して、将来また生かすのだ、これではどうも御説明の前後が合わなくなってくるという感じを、私は黙って先ほどから承わっておって感ずるのです。特別市制というものは認めるのだ、しかし、ここではさしあたって制度調査会の当面の急を要する問題だけの処理に当ったのだというのであるならば、なぜそういうように法案を打ち出さなかったのか、特別市制というものをなぜ消さなければならなかったか、消す理由はないじゃないか、こういうことが考えられるのでありますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/76
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077・太田正孝
○国務大臣(太田正孝君) 私の申します諮問に対する答申が、この現状における特別市の問題と全然同じでございましたならば問題もございましょうが、いかなるものができるかという点につきまして、全部答申案をまず第一に見たい、こういうのでございますから、手続論といたしまして、これを消しておいてやる方がいいか、置いておいてやる方がいいか、できたものが同じならば置く方がいいじゃないか、こういうお説と思いまするが、私といたしましては、現状の府県制のもとにおいてやるということは、非常にむずかしいじゃないかという判断がもとになっておりまして、従って、そのもとにおいて作られたる特別市制というものは、非常な困難が伴うのじゃないかとも思うのでございます。これは、もちろん私の将来に対する見通しでございますが、従って、できますものは、大都市制度としてどういうものが生まれるかという意味におきまして、現状のものを置く方がしかるべきじゃないか、しかも、同じものができた場合にはどうするのだ、こういうことでございますが、私としては、府県制の区域外とするというこの原則のもとにおける特別市制というものが非常なこだわりになってきたのでございまするから、大都市制度として答申を仰ぐ場合には、またそういう声もあるように聞いておりまするので、この点がはっきりしてくることを考えつつ、かような態度をとったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/77
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078・加瀬完
○加瀬完君 そうすると、結局は大都市制度というものについて、将来いろいろ改編をし、さらによきものを生むということについては考えておると、ここだけはっきりする。しかし、その大都市制度というものは、何も現行法の特別市制というものと、そのままのものとも限らない、同じものができるかもしれないけれども、あるいは違ってくるかもしれない。だから、大都市制度として新しく生まれ出るものは、これは新しいものなので、特別市制そのものとは違ってくるのだ、だから特別市制の方を取ったのだ、こういう御説明になると思う。そうすると、先ほどから繰り返されているように、特別市制というものはここで一応切って、今度大都市制度として特別市制が出てくるかどうかわからぬが、それは現行の特別市制とはまるっきり違ったものだ、これは理想的に、残しておいていいとか、手続上の問題ということでなくして、現実においては、現行法の特別市制というものは、これはもうはっきりと削り取ったのだと、こういうお立場になるのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/78
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079・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) これは、現行制度から法律的には削ったわけであります。しかし、削ったということは、将来調査会の結論が出ました場合に、どういう形の大都市制度が出るかということは、今はっきりいたしません。特別市の現在の制度と同じものが出るか、あるいはそれと変ったものが出るか、これはわからぬわけであります。私どもといたしましては、それはその結論を待って、これに書き加えていきたい、こういうことでございます。必ず現在の特別市と同じものが出るというなら、削る必要はないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/79
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080・加瀬完
○加瀬完君 だいぶはっきりして参りました。結局現行法の特別市制というものは、御否定なさっておるわけですね。一応手続の上とか都合の上でとかいうのじゃなくて、形式的にも、実質的にも、大都市制度としてどんなものが生まれるかしらないけれども、それは、現行の特別市とは直接関係があるということにはならないのだ、だから一応ここでは特別市というものは否定しておるのだ、こういうお立場と解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/80
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081・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) 制度的には削ったわけでございまして、削ったことは、否定するというように御了解されてもけっこうだと思います。ただ、実体としての大都市に関する制度というものを否定をしておるわけではございません。大都市に関する制度というものは、何らか必要であろうと考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/81
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082・加瀬完
○加瀬完君 大都市制度としていろいろ研究しなければならない、こういう必要があるという御説明は、その通りよくわかりました。しかし、大都市制度というものは、何も現行法の特別市というものとは直接関係があるものではない、現行法の特別市というものを否定をして、新しい大都市制度を考え出していくのだ、あるいは答申案が、現行法の特別市と同じような性格のものが出るかどうかはわからないけれども、それは将来の問題で、現在においては打ち切ったのだということには変りはないと解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/82
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083・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) 現行法の建前から申せば、法律的にはそうでございます。ただ将来、実体として同じようなものができるかもしれません。あるいはそれと異なる姿のものができるかもしれませんが、とにかく実体的に大都市制度というものを否定をしておるわけではございません。こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/83
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084・小笠原二三男
○小笠原二三男君 関連して。いろいろ論議がありますが、概念規定がどうも私にはっきりしない。大都市制度というのは、小林君が言うのには、現行の府県制において、これと並び存する独立権限を持った特別市というものは、これは実現も容易でないし、適切でないという考え方を持っておる。そうして鈴木次長は、先ほどの御答弁では、こちらの御答弁では、調査会の方に対して諮問をする、そうして研究してもらう、という場合の答弁では、何と言っておるかというと、府県制について検討を加えるとともに、この大都市制度についても研究をしてもらうということで、府県制がいかがになるかによって大都市制も考えられるのだという形で答弁をしておる。ところが、もう一つの論としては、現行の府県制においても、大都市制の問題はすみやかに結論を出して考えるべきではないかという議論も起り得る。それで今、特別市というものをはずす限りにおいては、現行の府県制において、それに特別市にかわるべき大都市制度というものが何らか生まれ出ることを緊急に早急に実現していくという、そういう意味で諮問するのか、そうでなくて、全体の地方自治の本旨に照らして、もう府県制から大都市制から一切が、行政単位なり組織のあり方として検討を加える中に問題が考えられていくとするのか。それによっては、もう時期的にも考え方においても非常に変ってくるわけなんです。ある角度から質問すると別なことを言い、ある角度から質問するとまた別なことを言い、どれがほんとうのところなのかわからぬ。もう一回、しっかり御答弁下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/84
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085・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) 要するに問題は、現行の府県制の建前のもとにおいて大都市問題をどう考えるか。それから将来の問題として、根本的な改革についてどう考えるか。この二つの問題に関連してのお話でございますが、現行制度の、要するに現行制度と申しますのは、今の府県の区域、あるいは現在の地方自治法の府県の制度、こういうものを建前にいたしまして、そういう前提のもとに、大都市制度をどう考えるかということになりますというと、現在自治法にあります特別市という制度は、成立後十年たちますけれども、実際問題としてなかなか行われない。行われない理由は、やはりもしもかりに大都市を府県の区域から独立いたしまして、特別市ということにいたしまするというと、残りの残存の、残りました郡部をどうするかと、こういう問題にすぐなるわけでございまして、それを一つの独立の県にするということになりますれば、これはまあ県の数がふえるというような問題になり、府県の統廃合というような一般的な考え方と相いれないことになります。また、さりとて一部にございまするような、残存府県と特別市とが何か組合を作って、共通の事項をやるといったような一つの案になりますれば、これはいよいよ複雑になるだけでございますので、今の府県の区域は、府県制度を前提として、特別市をそのままこれを実行するということは、実際問題として非常に困難が伴うと思うのでございます。そういうところから、私どもの案は、調査会の答申に基きまして、現行の制度のもとにおいては、指定されました都市に対しましては、その所在する府県から事務を委譲する、こういう建前で、しかもそれらの事務につきましては、二重監督はなくなすようにしたい、行政も二重にならないようにしたい、こういうことでいこうというふうに考えたわけであります。ですから、現行の制度の建前といたしましては、こういう案しかないのじゃないかというのが私どもの考え方であります。将来の問題といたしまして、府県制度の問題に関連をして、大都市制度の問題も考える。要するに全体の地方制度の根本的改革の一環として、大都市制度の問題も考えなければならぬ、こう思うのであります。そのゆえんは、今申し上げましたように、府県の区域というものに、どうしても特別市というような形で大都市制度を解決するといたしますると、触れてくるわけでございます。やはり府県の区域全体をどうするかというような問題とあわせて考えなければ根本的な解決ができないのじゃないかというのが大体の考え方でございまして、調査会の研究題目としても、道府県制度、道州制、大都市制度、あるいはそれに関連する執行機関の制度なり、税、財政制度なり、事務の配分の制度、こういうような六項目を研究するというのが調査会の今当面の根本的改革のテーマでございます。そういう意味で、根本的な改革に関する調査会の結論が出ましたところで、一応の体系の上にそれを取り上げていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
〔理事宮澤喜一君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/85
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086・小笠原二三男
○小笠原二三男君 そうすると、だんだんに筋はわかってきた。そうなれば、先ほど、法律上はなくなるが、これらのことについては、その精神は生きているのだとかなんとかでなくて、積極的に特別市というものは否定されたことなんです。そうしてそれにかわるべき、今の府県制における立場では、指定都市という形でまず問題が処理されたということになる。そうでしょう。そうしてあとの問題は、地方自治制度の根本的な改革にからんで、問題が起り得るとすれば起り得る可能性があるというだけのことであって、現在の政府の立場からすれば、特別市というものは積極的に否定されたのだ、こういう意味合いに私はなろうかと思うのですが、大臣いかがです。もうあいまいにしておかない方がいいですよ。はっきり所信をお述べ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/86
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087・太田正孝
○国務大臣(太田正孝君) ただいま次長から言われた線におきまして、かような制度が現状にあるのを削っておいて、新たなるものを作るが、作ったものが同じならば法律を削る必要もないじゃないか。筋はそこまで来るかと思います。新たなるものにつきましては、今根本的な府県の姿及び大都市の関係、「区域外とする。」いう問題が一番中心になる特別市の制度でございますが、府県の姿も変えなければならぬじゃないかという問題と、根本的に大都市制度というものはからんで考えたい、考えて答申を仰ぎたい、こういう考え方のもとに私どもは進むべきものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/87
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088・小笠原二三男
○小笠原二三男君 いや、どうもおかしい。どうも焦点が合わぬと思うんですね。鈴木次長の言うことからいえば明白になってきたわけだ。はっきりしておるのです。将来の府県制をどうするか。それによって市町村なり大都市制度をどうするか、そういう根本的な問題を検討するのにゆだねられてしまったわけなんです。現在の政府の立場としては、現在の府県制においては、特別市はあり得ない、あってはならないものとして否定されたということだと私は思うのです。そうでございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/88
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089・太田正孝
○国務大臣(太田正孝君) その通りでございます。今否定したというのは、削った意味はそういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/89
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090・松岡平市
○委員長(松岡平市君) ちょっと速記をとめて。
午後二時二十八分速記中止
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午後二時五十九分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/90
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091・松岡平市
○委員長(松岡平市君) 速記を起して。
先ほど来、特別市の本法案における削除、特別市の規定の削除の問題についての質疑応答を委員長として聞いておりまして、政府の答弁が政府委員あるいは次官、大臣、大ぜいでお答えになった関係上、徹底いたしておりません。この機会に、よく徹底的な最後的な御答弁を大臣からしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/91
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092・太田正孝
○国務大臣(太田正孝君) 政府側の答弁が区々にわたったごとき感じを皆様方に与えましたことは、私のまことに恐縮するところでございます。今、委員長のお言葉もありまするし、ここに政府の答弁を統一して、はっきり申し上げたいと思います。
すなわち現行府県制度のもとにおいて、現行法のままの特別市制を実施することはきわめて困難な問題がございまして、差しあたっては、大都市の実情に即した事務配分によって大都市問題を解決したいと思うのでございます。もっとも右の事務配分のみによっては、大都市問題は根本的に解決するものとは考えておりません。いわゆる特別市問題につきましては、さらに根本的に検討すべきものと考えておりますが、これは、府県制度の根本的改革の問題とあわせて解決すべきものと考えております。従って、大都市問題に関する差しあたっての二つの措置をとったのでございます。一つは、地方制度調査会の答申に基きまして、指定都市制度を設けて事務配分を行うこと、もう一つは、特別市の規定を削除することといたしたのでございます。さよう御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/92
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093・森下政一
○森下政一君 今の大臣の最後的な御答弁を納得するわけじゃありませんが、現段階においては、自治庁としてはそうお答えになるより答えようがないということだけは、私は了解することができます。そういう意味において、ひとまず午前中からの大都市並びに特別市の問題の質疑に対して、一応の、今日のところ終止符を打っておこう、こう思います。ところで、そうなってくると、今度の地方自治法の改正の中で大都市に関する特例ですね。いわゆる十六項目の事務移譲という問題が非常にまた大きく取り上げられなければならぬと私は思うのです。ことに特別市の制度が全面的に抹消され、その代償のような感じを与えておるわけなんで、これは、この法文の上で体裁よく委譲するかのごとくうたうというだけでなしに、真実全面的にこれを委譲する、自治庁側のお答えを聞いておると、原則として全面委譲だということを言われるけれども厳密に言えば、法文の上にも私はその点あいまいだと、問題を将来に残していると、またそこで、五大府県と五大指定市の力の関係で、どちらの陳情が勝つかということによって、十六項目が府県側に十項目まで留保せられ、六項目だけ指定市側に委譲するというようなことがないとも限らぬという危険を感ずる。そうなったんでは、特別市なんというのはもう問題にならなくなってしまうというだけでなく、実際指定市の行政の運営というものに、市民の便益どころじゃない、かえって不便になるというような結果が招来されぬとも限らぬ、こう思うのです。そこで小林さん、これは私の個人的なあなたに対する質疑ですが、自治庁側の意見を一つ率直に述べてもらいたいのですが、二百五十二条の十九というのが今度新しく挿入された。そこで、そこに書いてある文句をこういうふうにしてもらえば、一切の将来の紛争がなくなって、事がきわめて明瞭になると思うのです。あなたが得心すれば、私は自由民主党の諸君に頼んで、こうなることによって非常に明瞭になるのだということを納得してもらって、修正してもらいたいと思うくらいなんです。というのは、二百五十二条の十九に、「政令で指定する人口五十万以上の市(以下「指定都市」という。)又は指定都市の市長若しくは指定都市の委員会その他の機関は、左に掲げる事務の中都道府県又は都道府県知事若しくは都道府県の委員会その他の機関が法律又はこれに基く政令の定めるところにより処理し又は管理し及び執行することとされているものの全部」とあるものを、「されているもの」それからその次の「の全部又は一部で政令で定めるもの」を削って、よろしいか、「されているものを、政令で定めるところにより、処理し又は管理し及び執行することができる。」もう一ぺん申しますが、末尾の方です。「執行することとされているもの」、その次の「の全部又は一部で政令で定めるもの」、これを除いて、それから「政令で定めるところにより、」を削って「処理し又は管理し及び執行することができる。」と、こう修正すれば、政令の内容が何だかわからないという問題はなくちっやう。よろしいですか、法文の上できわめて明瞭に、この十六項目というものが指定市に委譲されるということになる。大体そうしたいという腹なんだから、あなた方の腹は。将来に紛議を残さない、あいまいではよろしくないということのためにこれだけのことをやって、そのかわり特別市を抹消し、大都市制度といったものに対する一応の解決がこれで与えることができるのだ、将来の紛議をなくすることができる、こうおっしゃれば私は納得できる。自治庁がそういう同じ見解を持っていれば、私は、十六項目一つ一つについて、どれは指定都市に移るのですかというような論議をかわすことなく、全体として委譲されるのだということを信頼して、自由民主党の方に、こういうように修正するから、納得して下さいと頼んで、これは全部同意されると思いますね。そういうような、法律があいまいなことがきっかけになって、残される紛争というものを抹消したいと思いますが、どうですか、御同意願えませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/93
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094・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) 今の問題は、これはごもっともな御議論だと思います。それで、ただこの問題は、「全部又は一部で政令で定めるものを、政令で定めるところにより、」こういう問題でございまするが、これは立法論の問題になりますが、もしやるとすれば、「政令で定めるところにより、」これはいいと思います。読みかえその他の規定の必要から、これは技術的の問題を申し上げるのでありますが、結局問題は、ここに書いた事務が百パーセントおろすかおろさぬかという問題で、百パーセントおろすということに法律がきまれば、それで問題は全部解決します。ただ、ここで一部残っておりますのは、これはわれわれといたしましては、もう基本的な方針はその通りにやらねばならぬと考えておりますが、何分にもいろいろな事務がございまして、一部のものは、どうしてもやはり府県というものの統一的な事務処理の立場上、残すものがあるのじゃないか。そこで、それはできるだけ減らすべきだというような基本的な考え方ですが、現在多少議論になっている問題点が実はあるわけです。その議論になっている問題点として、どういうものがあるかということを一応お聞き取り願いまして、私どもといたしましても、なるべくこの大都市制度の趣旨にかんがみて、できるだけおろすようにしたい、しかし、これにつきましては、各省の問題その他の問題がありますので、なお話を進めてみたいと、こう考えているわけであります。
そのことの一つの例を申し上げますというと、市の利益をこえて処理をしなくちゃならぬ事務があるのじゃないか。要するに市部と郡部にまたがるような事務、これも判断の問題がありますが、たとえば伝染病予防法の事務は、先ほど仰せられました通り、伝染病予防についての実施に関する事務は、これはもう全部市にやらすべきでありますが、普通の伝染病が発生して、予防注射、これは当り前な話で、その他検疫をやったり、ある程度の交通遮断をやったり、そういうような事務は、当然市にやらしていいのでありますが、この現行法を見ますというと、伝染病の疑似症が出た場合に、伝染病予防法の全部または一部の規定を適用するかせぬかというような事務が一応知事の権限としてあげられたわけです。まあ実際問題は、ほとんどの問題は今までも例がないのです。法律上そういう規定がある。そうすると、伝染病予防法を適用するかせぬかという問題になれば、これはむしろ一般的に考えていいんじゃないかと、こういうまあ問題がありまして、こういう問題は、これは府県の事務として残すのが適当じゃないだろうか。この判断の問題は別問題ですよ。
それから、たとえば検疫の仕事も、市内の検疫はもちろん当然市にやらせなければいけませんが、列車の検疫とかそういうものがこれはあるわけです。列車の検疫などというものは、実際問題については列車当局がやっておりまして、地方団体は普通はあまりやりませんが、法律上はあるのだから、そういうものは建前上、これはやっぱり県にそのままやっておいた方がよくないかと、こういう問題点が多少あるわけです。きわめて少い問題ですが……。それ以外の仕事はもうもちろん全部おろすつもりであります。そういう問題が一つ。
それからもう一つは、府県全般にわたる統一的な基準のようなものは残すべきじゃないかという議論があるわけです。基準は結局一本で、あとの執行事務はもちろん全部おろしますが、基準は、まあ市の特殊事情というようなものもありますが、そういうものは一本でもいいんじゃないかというので考えられておりますのが、たとえば食品衛生法とか営業三法というふうに、この基準を条例できめるという問題がございまして、この基準はもう一本でいいんじゃないか。それに基く許可とか、認可とか、検査とかと、そういう仕事はもちろん全部おろします。そういう問題が一つ基本になっております。しかし、これもおろしてもらったらどうだという強い意見があり、これは当然残すべきだという意見が、これはあるわけでございます。われわれは、今問題になっている点として、できたらおろす方向にこちらとしては持っていきたいと思いますが、そういう問題が一つある。
それからもう一つは、府県を通じて一つの組織機関で足る事務があるのじゃないか。つまり市部と郡部に別々の機関を作る必要がなしに、府県一本で、一つあれば済む施設のものをわざわざ二つに分けるのは、こういう際に一体適当だろうかと、こういう問題の例として、民生委員審査会というものがあるわけです。これは、民生委員法そのものについて、われわれは、自治庁の立場から言わせれば、あんな仕事は全部市町村におろしていいという、基本的にこれは考えておるわけです。民生委員の任命権が実は厚生大臣の権限になっておりまして、その任命をするために下で推薦をし、そいつを県の段階で審査をして、そうして厚生省に行く、実際は形式的な審査だろうと思います。一々民生委員のことはわかるものではありませんから……、しかし、その制度の基本的な問題は、われわれとして根本的に解決してもらいたいが、今日の段階で事務配分を考えるときに、一つで済むもの、おまけにこれは市民に対して直接事務を処理する問題じゃなしに、役所の内部の仕事なんだから、こういうものは一つでもいいんじゃないかという議論があるのです。こういうものもまあおろすべしという議論も、これは両方あります。
それからもう一つの問題は、これは例ですが、身体障害者更生相談所というものがございまして、これも府県に一つあればよし、特殊な仕事ですから、一つで一応は済んでおるわけであります。こいつは事実上のサービスですから、市自体が自主的にサービスをこういうものについてやられることは一向にかまいませんが、そういうものも一体どうするかというと、これは置いた方がいいと、積極的にこれは置けという議論は当然成り立つと思いますが、ともかく今、問題点として論議になっておる。
その他、これはもうほとんどあとありませんが、たとえば訴願の裁決という問題があるのです。訴願の裁決の問題は、市のやった処分に対する訴願の裁決の問題よりも、たとえば土地整理法で区画整理組合のようなものが処分をやったのに訴願をするという問題がありまして、その訴願裁決が知事になっている。これは訴願という問題が、知事を通らしめるということになりますが、一種の行政訴訟の裁決機関として、地方ではなるべくまとめておいた方がいい。実際は、今知事がやるという建前になっているから、また実例もほとんどないと思いますが、こういうものは府県に残しておく方が適当じゃないだろうかというふうな実は問題点があるわけでございます。大体そういう問題点が幾つか、今一応申し上げたようなことが残っております。こいつをさらに終局的にどうするかという議論が、私きわめて正直な話を申し上げているわけでありまして、私はもうできるだけおろす方向に、われわれとしても考えて行きたい。しかし、これにつきましては、各省の意見なり、その他各方面の意見を調整する必要がありますので、なおいましばらく御猶予をお願いいたしたいのであります。それ以外は、ここに書いてあります法律は、ですからもう百パーセントおろす事務が大半なのであります。今申しましたのは、ここに書いてある一つの法律の中の、またある一つの特殊な事務とお考え願っていいのでございまして、いやしくも市民に直接して、実施、施行せんならぬような仕事は、これは当然におろすものであるという基本的な考えでいるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/94
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095・森下政一
○森下政一君 先刻私は、今度の改正法の二百五十二条の十九、こういうふうに修正してもらいたいということに同意されるかということを申し上げたが、その次に、もう一つ付け加えておきたいと思うことは、一番末尾に、「処理し又は管理し及び執行する」で打ち切って、「ことができる。」という文句も削った方がはっきりすると思う。そういうふうに私は思う。
さて今、あなたの全面的に委譲したいと思っているけれども、多少問題があると、考慮を要するのじゃないかと思うとしてあげられたことは、市の区域を超えて処理しなければならぬところの事務、それから府県全般に亘る統一的な基準の設定に関するところの事務、府県を通じて一つの施設または機関をもって足りる事務、その他に特別な理由によって府県またはその機関をして処理せしめることを適当とするもの、この四つの例をおあげになった。その題目だけを、四項目うたったものを見ると、いかにももっともであるように聞こえるんですね。まことに妥当だというふうに、響くのは響く。しかしながら、これは結局一つの抽象論としてはいかにも合理的で、一応もっともで、府県側に保留しておいて差しつかえがないんじゃないかというふうな印象を与えまするけれども、さてこの中の、今、例示されたいわゆる十六項目の事務それぞれについて具体的に適用して見ますると、その事務が決して府県に保留すべき事務でないということが、私はむしろ明らかになるのじゃないか。抽象的な言葉としてはですよ。理論としては、あなたの言われたことがいかにももっとものように聞えるけれども、さて具体的に、その一つ一つの事務がほんとうに府県に残さなければならぬものだろうか。実際問題はどうなんだと、抽象論でなくて、実際問題はどうなんだと、こう検討してみると、私は、一つも府県に留保しなければならぬという妥当性というものを納得して得心することができぬ、こういうふうに思うのです。だから、非常に言葉は悪いが、抽象論でごまかされては困る。そんなことにごまかしを言われたのでは、これはもう指定都市がたまったものじゃない。特別都市という制度を法文の上で抹消されて、市制の合理的な運営を実際において行わしめるように、事務のこれこれの委譲をするんだ。数えてみれば十六項目もあるんだ、これで得心せぬのが悪いというふうに一応思われるけれども、やはり府県側に留保しておきたいものがあるが、留保しておきたいものは、その題目として言われると、いかにももっとものように響く。響くけれども、具体的に一つ一つの事務を取り上げてみると、決してそうじゃない。むしろ指定市に委譲すべきものじゃないかというふうに私は思えるのです。そこで一つ、私の言うことをお聞きとり願いたいのですが、市の区域をこえて一体的にしなければならぬ仕事、市をこえた区域を持っている府県がそれを処理するということは当然だというふうに一応響くのです。一応そういうふうに響くのです。そうすると、その意味で、あなたの読み上げられた市の区域をこえて処理しなければならぬ事務は、府県に残して置くのが原則としては正しい、こういうふうに考えられやすいのです。ところがその市の区域をこえて処理しなければならぬ事務として、あなたが例示されたものがそれに果して当るだろうかということを検討してみると、必ずしも当っていないと私は思うのです。
伝染病流行、もしくは流行のおそれのあるときに、その伝染病の疑似性に対して、伝染病予防法の全部または一部の規定を適用すること、これが市の区域をこえて処理しなければならない事務として、府県に残されるということになるわけでありますが、しかしながら、この伝染病の疑似性が発生したときに、これを検定するのは、医師の届出によりまして、第一に指定市の持っており、運営しておるところの保健所がやるのです、実際は。第一に市の保健所がこれを扱うのです。それから市の伝染病院、これが扱う。そしてその判定に基いて伝染病予防法の適用が決定されるということになりますので、どこまでも第一線のとっかかりの仕事というものは指定市がやっておる。現実にそうなんです。そうでしょう。具体的にそうなんです。だから、市の機関で決定すれば、それによって直ちに処置を講ずることがむしろ必要なことであって、さらに府県の機関を経て、知事の決定を受けることは、いたずらに二重の手続によって事柄の処断を遷延せしめ、遅延せしめるだけであって、何の役に立たない。私は大阪の出身であるので、大阪のことを申して恐縮でありますが、現に大阪市では、この制度のために大へんな被害を受けました苦い経験を持っております。それは、昭和二十二年に発しんチフス発生の際に、市側の方が患者発見と同時に検定して、伝染病予防法の適用を受けたのに対して、府側の決定が遅延したために、三千人以上に上るところの流行を見るに至ったというふうな苦い経験を体験しておるのです。第一線に、本当の仕事をしておる市が何もかも決定して、処置ができるというのなら、被害を最も少い範囲にとどめて、市民の不安を一掃することができたはずのものが、その決定がおくれたために、二重の手続を必要とすることのために、実質的な被害をこうむったという苦い経験を持っておるというふうなことに考えてみると、抽象的な理論として、文言としてうたうと、市の区域をこえて処理しなければならぬ事務といえば、それは府県に残しておいて担当するのが当然だというふうに響くけれども、実際具体的に、どこのどういう機関がその仕事をやっているのかといえば、市の機関なんです。だから、ちっとも実際問題としてはこれを府県に留保しておかなければならぬというふうなことは必要がないものだ。こういうふうに考えるのです。それから、ただいまやはり例示された中に、伝染病が流行し、または流行のおそれある場合に、船舶だとか、あるいは汽車の中の検疫というような事務があるとおっしゃいましたが、それを府県に留保すべき事務であるとされるのは、事務の実際を御存じないから、そういうふうな抽象論が出てくるんだと私は思うのです。なるほど交通機関は市の区域に限っておりません。市の区域をさらにまたいで、交通機関というものは発達しておるのです。府県の区域に限定されておるというわけのものではない。さらにそれをこえておる。それは同じことで、程度の差というだけの問題である。しかし、その問題は交通機関ではなくて、その検疫消毒、これなんです、問題は。交通機関そのものでなくて、その消毒あるいは検疫ということが問題になる。検疫消毒というものは、港や停車場や車庫、操車場などの一定の場所で行われるのでありまして、区域との関係はありません。実際には区域との関係はないのです。しかも、実施する機関はだれがやっているのかといえば、指定市、いわゆる市の保健所がやっているのです。市の運営している保健所がやるのです。検疫を実施すべきかどうかは、各地相互間の連絡できまる。その点では、全国的な連絡が必要でありますが、直接の現場に連絡がある方がよいので、この事務を府県に留保しておいて、指定都市に委譲できないという理由にはならない。委譲した方が、その現場で仕事をする機関との連絡さえとれればいいのであって、ちっとも私は実際問題は、府県に留保しなければならぬという理由はみじんもないと私は思う。あなたの言われるように、どうしてもそこに問題が残るなどというように解釈できない。
それから第二番目には、あなたは今、府県の全般にわたる統一的な基準の設定に関する事務ということをあげられたのです。府県の全般にわたる統一的な基準の設定に関する事務というと、これも文句の上では、抽象論としては一応合理的だというふうに考えられると私は思うのであります。一応正しいように響くのです。しかし問題は、府県全体を通じて統一の必要のある基準というのは一体何だ。府県全体を通じて統一の必要のある基準というものは、一体どういうことであるのか。今あなた方のおっしゃるのは、結局飲食店等の食品衛生法による許可、営業の基準の決定、これは食品衛生法できめられていると思うのですが、それから旅館、興行場及び公衆浴場の衛生条件に対する基準条例を定めること、こういうことを例としておあげになりまするが、これらは果して実際問題として府県に残さなければならぬものであろうか。これは説明としては、すでに基準がきまっているのだから、わざわざ分けてきめなくてもよいというような便宜論的な説明もおそらく行われるだろうと思うのです。ところが、これらの基準は、実は厚生省の定めるところの全国的な国家的最低基準に基いて、地方で状況に応じた基準をきめるための制度でありまして、府県を単位にしたのは便宜の問題にすぎない。国家的最低基準である実質を失わない限りにおきましては、適当な区域を考えて何ら差しつかえがない。県内に全部を通じて統一しなければならない理由はみじんも私はないと思う。全国的基準を下らない限りにおきましては、農山漁村とあるいは大都市と、生活環境の異なるに従って、その基準がむしろおのおの異なっている方が正しいとさえ考えられるのでありますから、現にあるからそのままというのは、一つの便宜論にすぎないのであって、取るに足らないところの議論である、こう申し上げても過言ではないと思う。衛生取締りの仕事は、市の保健所の仕事になっております。基準の決定が府県に留保されて、基準の維持が行われているかどうか調べる必要があるとして、市の検査に対する検査がさらに行われ、結果的に二重の検査が行われることは、従来の例から明らかで、それを拒絶するわけにもいかず、実際は指定市の市民が非常な迷惑をこうむるということになる。許可権を市に与えましても、府県が介入してくるおそれが多分にあるのです。大都市の実情に適した基準の決定、その適切な運用及び違反に対する処置と一貫せしむべきでありまして、これがなければ、現状と変りないおそれがあるというふうにさえ思える。だから、実際問題から考えてみますると、これを指定市に委譲して何にも私は不都合がない、こういうふうに思える。
それから第三に、今あなたのおあげになったのは、府県を通じて一つの施設または機関をもって足りる事務である。府県を通じて一つの施設があればいい、一つの機関があれば足りる事務、これは府県に残しておいていいのではないか、こう言われる。これも一応聞きますと、その響きはもっともな基準のようであります。ありますが、単なる現状の便宜で制度の問題を片付けるというわけにはいかない。市に委譲すべき事務権限は、委譲すればそれでよいので、それに施設、機関が必要なら設置すればいいということになる。施設や機関から権限をきめるという考え方は、逆な行き方だと私は思うのです。民生委員審議会の設置、身体障害者更生相談所の設置は、いずれも私は市に譲っていいと思う。民生委員審議会は、現に大都市におきましては、大都市の区と市の二重の推薦機関を経まして、府置の審議会に行くものであって、府県審議会の実質は経由機関にすぎないのです。また、市内の委員の数も、各都市と毛に指定都市におきましては千をこえておる。二重で、どちらか要らないとするならば、社会福祉の実施機関である市にまとめた方がむしろ便宜だと言うことができる。身体障害者更生相談所は、一般福祉行政の専門部門にすぎないのであります。一般福祉行政を実施する市にまとめる方がむしろ妥当ということが一章える。その方がよいと言うても過言ではありますまい。府県に一ヵ所で足りるというわけのものではなく、多々ますます弁ずるの種類のものであります。現在、財政上その他の理由から一カ所しか設けられておらないけれども、この機関を通じて行使される権限までも府県に留保しなければならぬというのは、私はむしろ木末転倒の議論だというふうに考えるのであります。
それから最後に、その他特別な理由によって、政府またはその機関をして処理せしめることが必要とするというふうなものが考えられる。これは特別な理由があれば当然でありますが、生活保護法または身体障害者福祉法等についての訴願の裁決または不服の申し立てを例におあげになりましたが、これは処分の執行者である市でなく、準司法的な決定機関である当事者の上に、第三者としての府県に残してもよい。しかし実際には、市において第一線の機関と本庁機関が分れておりまして、行政の仕事の本質から見て、市に移しても実際の弊害は何らないものだというふうに考えられる。こういうふうに、実際の問題を一つ一つ取り上げてみますると、あなたが例示された四つの、いかにも抽象的には原則として差しつかえがないように響くものでも、具体的な内容を調べてみると、むしろ市に移して一向差しつかえないじゃないか。むしろその方が便宜じゃないかというふうに考えられるものが多い。だから私は、今後あなた方が非常に苦労をして各省と折衝されて、政令の内容についていろいろな努力をされなければならないし、また同時に、もう必ず私の予想して、事実に現われてくると思うことは、政令でその全部もしくはその一部というものがきまるのだということになると、この法律が通りましても、指定都市所在府県とそれから指定都市と、この両者の間に陳情合戦です。そしてそのどちらにウエートを自民党が置くかということによって、この政令の内容が左右されるということになると、いわんや指定都市によって特別市というものが法文の上で抹消されて、その実をせめてとりたいと思っておるのだから、この十六項目の事務委譲については、それは命をかけて争うのじゃないかということを考える。この国会の会期を終った瞬間から、あなた方は非常な陳情合戦に直面されて、苦労されなければならぬ。同時に、国民の側から見ますと、これはにがにがしいことなんです、そんなことが展開されることは。だから、法律の上で明確にその争いが起らぬようにしてもらいたい。私はもう、あなた方にぜひ同意してもらって、自民党の多数の諸君の同意を得て、実際問題としてちっとも差しつかえないのだ。原則として、全項目を委譲したいというのが政府の腹なんだから、争いのないように、法律で明確にしてほしいということを訴えざるを得ないのです。おそらく自民党の良識を持った諸君は同調してくれるに違いないと、私確信を持っておる。どうですか、私の言うことは納得してもらえぬですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/95
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096・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) まあ法律の修正の問題になれば、そう私がとやかく申すわけに参りませんが、事務委譲の基本的な精神におきましては、森下委員と私は考え方が基本的に一致しておるのでございまして、できるだけそういう趣旨に従って事を進めたいと、こういうふうに存じております。ただ、まあ今いろいろ具体的な例もお話がありましたが、まあ私が申し上げましたような、これも抽象的に言うだけでなしに、私もすべての問題を具体的に存じておるわけではございませんが、そういう意見もあって、そこらの調節が必要である、こういうのが実情でありますので、それで率直に実は申し上げた次第でございます。われわれといたしましても、たとえば府県に機関が一つあればいいというようなのは、自治庁といたしましても、そこは正直申しまして、痛しかゆしの問題がありまして、先ほど森下委員もおっしゃいました通り、同じ場所に市と府が重複施設を作るというのは適当でないのじゃないかというような御意見と同様な問題で、つまり府県間に一つの施設で済ましておるものならば、そうして済ましておることによって、市民が直接えらい迷惑をこうむっておるというようなことは、もちろんこれは排除しなければなりませんが、そうでないようなものならば、それでもいいのじゃないか。わざわざ二つ作らせる必要があるか。まあ施設によっては、どうしても市に作らざるを得ない。まあかりに郡部がそこに作るならば、もちろん郡部のものだといっても、郡部に持っていくわけにはいかぬ。どうせ府県の中心は市でありますから、そこに作らなければならぬ。そうするというと、同じ市の地域に、市民対象のものと、回りの郡部対象のものと重複する。いわばそういう結果に事実上なるわけなんであります。ここらを一体どうするか。もちろんやるのだと言ってしまえば、可能でもありますし、事柄によっては、同じ場所だってなるべくたくさんあった方がいいじゃないかというものも、これはあるわけでございます。しかし、非常に特殊な仕事をやるものなんだから、これは、府県を通じてまずまず充実した施設が一つあればいいじゃないかというものも、これはあるわけでございまして、そこらの点が実は迷いが生じておると申しますか、まだ決断が出ておらぬもう一つの問題点なのでございます。
それから検疫の問題、条例の基準の問題、これも考え方の問題で、現に神奈川県と東京都が別でやっておるじゃないか。そうなれば、市部と郡部とだって、別だって一向にかまわぬじゃないかという理屈は当然成り立つと思いますが、これも踏み切りの問題で、こういう事務についての、いわば特別市だって、きわめて私率直な話を申しますが、この十六項目についてのいわば特別市なんだ。こういう考え方もあり得るわけでございます。そうなれば、それは一切がっさいやって、郡部とのつながりは別にやるということは、これは考えられるわけでありまして、十分可能ではあろうと思うのでございます。しかし、こういう基準が市部と、すぐに隣接しておる衛星都市が回りに幾つかありますが、そういうものがばらばらになったらどうだろうか。基準なんだから、基準だけは統一的にやって、それぞれの実施事務を責任を持ってやらしたらいいじゃないか。実施事務をやるのでありますから、事務が重複するようなことがあり得ぬじゃないかという理論も、実際も実はこれはあるわけでございます。しかし私は、基本的にはぎりぎりのところを申し上げましたが、これは、森下委員その他の委員、国会全体の御意思を尊重して、この問題は当然に解決させる、こういうふうに考えております。衆議院の方におかれましても、そういうもちろん御趣旨がいろいろあったわけでございまして、われわれといたしましては、政令ですから、政府の責任でやらなければいけませんが、当然国会の御意見も尊重し、また各方面の御意見も聞いて、最終的にやりたい。その場合には、当然御趣旨を十分に入れて実現いたしたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/96
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097・森下政一
○森下政一君 小林行政部長、あなた今御答弁の中で、われわれは今指定都市の行政の運営の第一線におるわけではないから、その実地については必ずしもよく知らぬということをおっしゃったが、はなはだ失礼だけれども、そうだから私は、この法案が通ったあとで、あなたがたのところへ必ず五大府県と指定市の猛烈な陳情合戦が行われるということを予想する。実際あなたがたも煩瑣にたえないだろうと思う。だから、そういうことを除く意味においても、できる限り法律でそこのところは明確にしておくことの方が、あなたがたを救うゆえんだと私は思うのです。それから今、たまたまあなたが府県に留保していいというものを四項目あげられたから、そうしてそれぞれについて例示されたから、それについて、抽象論としては響きはよろしい。だけれども、実際問題としては、市に移す方がかえって便宜だということを私は申し上げたのですが、一つ一つ、十六項目を拾っていってその説明をすることが私はできる。たとえば十六項目の一番最後に、「建築基準行政の実施に関する事務」というのがある。これらも将来一体どうなるのだということを、今日何でも建設省の意見では、住宅に関するものだけは市に委譲していいとか何とかいうようなことがあって、どうもその範囲がはっきりしないらしい。ところが、実際問題としては、もうこんなことは、こんな法律が出るまでもないのだ。たとえば兵庫県あたりでは、もうとっくの昔に解決をしてしまっているところの問題なんだ。ところが、現にまだ解決をしておらないところの名古屋であるとか、京都であるとか、あるいは大阪がある。もう横浜でも解決してしまっておると聞いておる。ところが委譲してない県がある。そこで、法律で書いてはっきりしないと争いができると思う。現に横浜が神奈川県では委譲されておる。神戸が兵庫県では委譲されておるというようなものが、なぜ同じように一体大阪で扱えないのだ、なぜ同じように京都府で扱えないのか、名古屋で同じことをやったらどういう弊害が一体考えられるのかということを考えてみると、実に府県当局というものが頑迷のためだと私は思うのですよ。だから、そういうことを今一挙にほんとうにきれいにはっきりさすためには、法律の文句の上で多少修正をしなければならぬが、あなた方も煩瑣な陳情を受けられる必要もなくなって、明瞭に十六項目が委譲されて、自由党の政調会も、あっちから陳情されて来るのにいろいろ使われたり、こっちから言うて来るのにいろいろ使われたりする必要もなくなってくる、そういうような、どの陳情なら陳情にウエイートを置くかなんということになると、すなわち太田長官が言われた、県で左右されるというような懸念の多いことは、もう法律の文句を明確にすることによって私は一掃してしまう方がいいと思うのです。そうお考えにならぬですか。と同時に、これはあわせて建築基準行政の委譲の問題ですね。現に神奈川県や兵庫県では解決しておるのだと、同じように解決するのだと、こう考えて間違いないじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/97
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098・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) まあ法律の修正の問題になれば、もうすでに衆議院を通った法律につきまして、とやかく申し上げることはいけませんから、御意見を差し控えたいと思いますが、今の事務の委譲は、おっしゃる通り、もうすぽっと一切がっさい国会できまってしまえば事柄はきわめて明瞭で、はっきりすることだけは間違いないことだろうと思います。そうしてまあ建築基準行政の話が出ましたが、これはもう森下委員がおっしゃる通りでございまして、五大市のうちでは二市が現にやっておる、それ以外に、五大市でない小さな市でも十余りあるところがございまして、これは建築基準法の趣旨からいっても市で、なるべく現場で仕事をやらせろという趣旨で、ただ建築基準行政をやるために必要な事務的機構が整備するかせぬかという問題で問題をまかしておったのでございまして、私は、現行法のもとにおきましても、力のあるところは当然にやらすのが筋だろうと考えております。ただまあ、この建築基準法は、今度法律でも考えております都市計画法とか、都市区画整理法とも関連がございます。家を建てる場合には、どうせおろすなら、都市計画行政とも一致しなければ、片方で市でやり、片一方で県でやるという問題も実はあり得るわけでございまして、今度の改正では、少くとも五大市につきましてそういう許可とか認可とか、承認とかいう処分は、これはもう全部おろすべしというのがわれわれの考えでございます。そういう方向で事をまとめたいと、特に建築基準行政はほかの市じゃ、ただいま現にやっておるものを、わざわざ法律まで作った特別の市で、そこにリザーブをつけるということは、私は必ずしも適当だとは考えておらぬのでございまして、そういう御趣旨の方向で問題を進めたいと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/98
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099・森下政一
○森下政一君 私は、たまたま建築基準行政の実施に関する事務を例に引いたのですが、それらも先刻申しますように、現に指定都市の中でも、横浜とか神戸では解決のついている問題だから、これは同じようになりますという言明をしてほしいくらいだ。言明ができなくては、やはり都市計画の仕事と一緒におろさねばいかぬとか何とかいろいろおっしゃると、今度本委員会に付託されております地方自治法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案の一部を修正してでも明瞭にしたいというような考えを持たざるを得ないということになってくるわけです。だからこれは、たまたま今それを例に取り上げたのだが、これはもう必ず指定都市には、兵庫におけるがごとく、神奈川におけるがごとく、すなわち横浜や神戸が実施していると同じようにさせますと言明ができるかどうか、一々確めていきたくなる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/99
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100・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) 今、全部の事務についてそうやるという言明という、言い方の問題でございますが、それは政令を具体的にきめなければ、そこまで私も申しかねますが、先ほど申しました通り、原則としておろして、残すものについて、さっきまあかりに四点申し上げたわけでございます。四点につきましても、考えておるものを申し上げたわけでございまして、それ以外のもの、これは全部おろすつもりでございます。それでございますから、基準とか何とか、都市計画とか区画整理などの問題に関連する問題は、われわれといたしましては、十分におろすという前提で、ものを考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/100
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101・森下政一
○森下政一君 私は、さらに地方自治法が審議される機会があると思いますが、あなたがある程度まで、あなたでも大臣でもある程度まで、私どもが納得ができる言質という、言葉は語弊があるかもしれないけれども、信頼をかけていいという御言明のあるまでは、執拗に食い下って、この問題を論議せざるを得ないのです。特別市を抹消されて、そのかわり実際問題として解決すると、実際にこの事務を委譲する暫定的な措置としては、これで大都市の運営ということに解決を与えると、こう言明しておいて、しかもその点があいまいだなんということになったら、これはあなた、さようでございますか、ごもっともですなんと言うておられない。実際あなた、立場をかえて議員になってごらんなさい。われわれの立場に。どうお考えになりますか。いいかげんに、ちゃらんぽらんに聞いておって、ごもっともでございますと言って引き下るわけにいかぬ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/101
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102・太田正孝
○国務大臣(太田正孝君) ただいまの事務委譲の問題につきましては、政令といたしましてのものを御審議を願った結果法律になる、そのときに、もうすぐ出したいという考えで、しかも私は、参議院の審議になる前にやれということを言ったほどでございますが、ときといたしましては、今国会中の終りまでには必ずこれを作り上げて、陳情等の余地のないようにするつもりでございます。さらに申し上げるのは、その四項目を申し上げましたが、この以外に問題を残しておるわけではございませんので、その四項目についても、抽象的に書けばこう見えるが、実際はこうだという、森下委員のお話も、そのまま私は今交渉中の各関係方面に伝えまして、御審議のしまいのころまでには、しっかりきまると思っております。これは、私からはっきり、少くも政令案は今国会中に案としては作っておくと申し上げておく次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/102
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103・森下政一
○森下政一君 どうでしょうか、大臣、大体きまった政令を急いでもらって、ここで言明してもらってからこれを議了することにしたら、私ども納得づくでこれを討論採決するということにしてもらうと、安心して採決に応じますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/103
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104・太田正孝
○国務大臣(太田正孝君) もちろん私の動かしておる方面と各方面とが話し合いがつかなければなりませんので、私は最も急いでおる方でございます。その点はどうぞ御了承願いたいと思います。なるべく御趣旨に沿うようにやりますが、私は一人でやるつもりじゃございませんので、そこの私の気持というか、心意気というか、私は森下委員の御意見に、気持は大体全部おろすよりほかないと、こう思っておりますが、どういう理屈があるか、今聞いておる最中でございまして、しかも問題は収縮して、四つになっておるのでございますから、非常に範囲も狭くなっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/104
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105・松澤兼人
○松澤兼人君 関係方面の意見を聞くなんと言うと、何だか昔のようなんですけれども、そういうことじゃないと思うのですけれども、それですから、もしはっきりしなければ、この委員会へ各省の責任者を呼んで、われわれは念を押さなければならぬ。きれいなことを書いているけれども、実はこうなんだといってまた言われたら大へんなことです。その責任はもちろん大臣がおとりになって、この四点以外のことは全部解決済みであると考えてよろしいですか。各省からだれが出てきても、それについては問題がないと……、問題がないんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/105
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106・太田正孝
○国務大臣(太田正孝君) 私の今知っている各省からの問題は、四つしかありませんです。今知っておる問題はそうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/106
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107・松澤兼人
○松澤兼人君 これは、今の四点、こう見てみましても、みんな厚生関係ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/107
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108・太田正孝
○国務大臣(太田正孝君) 建 築 では……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/108
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109・松澤兼人
○松澤兼人君 建築は別に問題ないでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/109
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110・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) 区画整理がありますが……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/110
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111・松澤兼人
○松澤兼人君 二つだけじゃありませんか、各省といったって……。各省の責任者に来てもらって、ここで言明してもらった方が早いんじゃないですか。そんなら、ここ数日のうちに、責任をもってあなたの方は言明できる段階になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/111
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112・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) これは、大臣がおっしゃいました通り、政府部内の意見をまとめたい、今現にまとめておる最中でございます。まとめて、その結果を代表して、自治庁の方から御報告申し上げさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/112
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113・松澤兼人
○松澤兼人君 数日中にそれができるのですか。三日のぎりぎりなんといったって、これは困りますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/113
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114・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) それはできると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/114
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115・松澤兼人
○松澤兼人君 この案が、まあどういう形になるかわかりませんけれども、議了されるという見通しがつきましたら、その際にあなたの方から御言明ありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/115
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116・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) そういう方に運びたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/116
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117・小笠原二三男
○小笠原二三男君 関連して、私もお尋ねしますが、この種の簡単な事務が「全部又は一部」ということでなければならないとされておる。しかるに、文教委員会の方にかかっておる教育行政の方の運営の法律案の方では、やはりこの二百五十二条の十九を引用しましてですね。教育委員会の権限は、都道府県教育委員会の権限と同等のものにして完璧に移してしまっておるようですが、そうですが、念のためにお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/117
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118・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) 今おっしゃいました通り、教育委員会の権限につきましては、指定都市に関する特例があの法律案の中に入っておりまして、そして、「指定都市を包括する都道府県の教育委員会は、……指定都市の設置する学校の県費負担教職員の任免、給与の決定、休職及び懲戒に関する事務を当該指定都市の教育委員会に委任する。」と、こういう形で、法律上当然委任という形をとっています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/118
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119・小笠原二三男
○小笠原二三男君 それで、この一般的な新しい性格を持つ県としては、義務教育その他の教育水準の維持ということが、県の方の仕事になっていますがね、これで見ると……。ところが実態は、指定都市に関しては、全部委譲してしまっているのですね。こういうことさえもやっている。すなわち市町村を包括する広域の地方公共団体たる都道府県は、教育水準の維持ということは重要な問題でしょうが、それでさえも、指定都市には全部移してしまっておる。
〔委員長退席、理事伊能芳雄君着席〕
全部移しているにもかかわらず、これくらいの簡単な事務が、「全部又は一部」ということでなければ移し得ないというようなことは、首尾一貫していないじゃないですか。あなたがさつき、市部と郡部との、何というか、均衡というか、連帯的な関係とかというようなことから、伝染病問題などを言っておりますが、教育の問題は、もっと包括的な広域な行政であってしかるべきですよ。それでさえも全部はずして、指定都市には移しているのに、法の体裁として、この法の条文では、「全部又は一部」という表現でなければならないというのは、この別な今申し上げた角度からいっておかしいと思う。やはり森下さんがおっしゃるように、これは全部まかせられるような実体になるということが正しいと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/119
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120・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) 今、教育事務につきましてお話がありましたが、これは、こと義務教育につきましては、百パーセント行くということではないのでありまして、給与の負担は府県に残るのであります。行くのは、任免、給与の決定、休職及び懲戒に関する実際の、現実の処分行為でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/120
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121・小笠原二三男
○小笠原二三男君 そこだけでなくて、もっとあとの方も……、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/121
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122・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) もっとあとの方は、研修の事務が行きます。そこで、給与に関する条例とか、そういう手数の条例というものは、やはり府県できめることになっております。そこらが府県全般として、統一的お郡部、市部を通じて教育費の負担等をやろうという考え方に出ていることと思うのでございます。大体この趣旨と、こっちの自治法の改正とは、互いに相談し合いながら、調子を合せて作っていく考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/122
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123・小笠原二三男
○小笠原二三男君 そんなら、まだまだ質問がありますが、きょうは問題点だけあげておきますが、私立学校につきましては、教育委員会が、県であろうが市であろうが、所管していないのですね。県一本で、私立学校審議会ですか、その事務局がやっている。指定都市という性格から言えば、大阪なら大阪市内にある私立学校について管轄する事務は市に移してもいいのじゃないか、こういう体裁から考えれば。何でそれを移されないのですか。義務教育の関係のものについてばかりでなく、私立高等学校なども、市の教育委員会が管轄しているのですから、そういう意味でお尋ねしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/123
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124・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) これはごもっともでございまして、この教育委員会法の改正に伴う法律は、御承知の通り、今申しましたような教員の任免権などは、従来すべての市町村にあって、これを府県に統一する。しかし、五大市だけは、五大市の使命からかんがみて、そのままにしておこう、これは自治法とバランスを合せたのでございます。そこで自治法は取りあえず十六項目を考えましたが、その場合も、教育委員会法とか、教科書法などを入れれば、前の案で十八項目になって参るわけですが、その以外にもっとおろしていいものがあるのじゃないかという結局御議論になると思います。私立学校だけでなしに、その他各方面の行政があり得るわけでございます。そこで、これはどの程度、どの辺までおろすかということで、いろいろ御議論があったのですが、結局今度の改正法では、地方制度調査会の答申を基礎にして、ほんとうの市民生活に密接した、民生とか、保健衛生、あるいは建築関係の事務についてせい、こういうことで調査会の答申もできてきましたので、今度は取りあえずそれにならおう、こういうことで、中身を一応決定いたしたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/124
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125・小笠原二三男
○小笠原二三男君 それじゃ、もう一つ問題点としてあげたいことは、都道府県の事務として、高等学校ということが規定されておりますね、ここでは。ところが市町村の方にも高等学校はあるのです。どうしてこういうふうに、一般的に高等学校は県のものと規定されているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/125
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126・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) これは、第二条の問題になってくるのでありますが、この第二条の四項でございますが、これはそうじゃないのでございまして、第二条の四項はいわゆる保管事務、普通には保管事務と言っておりますが、一般の市町村が処理することが不適当であると認められる程度の規模の事務を府県がやるという建前で、高等学校は普通の市町村ではこれは無理だろうと思います。だから普通の市町村では無理なような高等学校はこれは府県がやるぞと、こういう趣旨のことでありまして、高等学校を経営できる実力のある市は当然市自身もやり得る。まあ現に市自身もやれるように学校教育法の建前もそうなっております。現に経営しているところもあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/126
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127・小笠原二三男
○小笠原二三男君 それで今度は法案の扱いですが、教育委員会の関係のものがああいう特例的な法律できめられておりますが、教育の問題は地方自治としては固有の事務です。
〔理事伊能芳雄君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/127
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128・小笠原二三男
○小笠原二三男君 それが指定都市の特例法においてこの項に載せることの方があるいは本体のようにも思うのですが、向うの法案が通れば、こちらへ入ってくるものですか、条文の整理では……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/128
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129・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) これはいろいろ議論がありますが、教育を向うへ入れましたのは、向うの法律のままで問題が解決する建前になっておりますので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/129
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130・小笠原二三男
○小笠原二三男君 それで私、委員長にお願いですが、この教育委員会の問題が全面的に指定都市の場合に内容として移っておる。それでこの問題については、われわれの委員会として十分これは審議しなければならぬと思います。この二百五十二条の十九では「都道府県知事若しくは都道府県の委員会その他の機関が法律」云々とあって出ておるものですから、教育委員会は一つのこの法で言う委員会ですから、この教育委員会行政が指定都市において、どういうふうに行われるように今の法案が出ているのか。どういう考えを文部大臣は持っているのか、お尋ねしなければならぬ。これが従来申し上げておる連合審査をしてほしいという一つの理由でもあります。それで、多分理事会ではそういう話もあったろうと思うのですが、この扱いをどうするかということは、委員長において、前にもう一度やろうという話もあったようでありますが、この扱いについてお考えを願いたい。で、もしもその扱いができなければ、文部大臣にもいつかの過程においてはこの法案審議に出て来てもらいたい。そのことを私は抜き打ちはやりたくないから、ははあ、きたぞということをお知らせする意味においても申し上げておきます。何とかこの扱いについて考えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/130
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131・小林武治
○小林武治君 私も二、三の問題を一つこの際お尋ねしておきたい。なお、先ほどの小笠原君から言われたこの私立学校の問題なども、私は指定市に移していいと、こういうふうに考えております。それから事務委譲の完全実施、こういう点についても私は森下君の意見に同感である。従ってこういうことについても政府が万全の措置をとるべしということをまず申し上げておきます。
次の問題でありますが、私は今度の自治法の改正案が、前回の場合に比べて非常に退歩しておる、後退しておるということを遺憾に思っておるのでありまして、これは先ほど森下君から言われたように、与党というか、政府というか、地方の余儀なき陳情に負けて、ほとんど無制限に後退した、こういうふうに思わざるを得ないのでありまして、政府が確固たる考えを持っておやりになれば、かようなみじめな後退はあるまい、こういうふうに考えるのでありまして、その陳情に負ける、善悪にかかわらず陳情に負けると、こういうふうな態度は政府としても十分戒むべきであると、こういうふうに考えておるのであります。しかして政府は、この地方自治法の改正に当っては、地方自治の能率化あるいは簡素化と、こういうふうなことに大きな基本的な考え方があり、また地方自治の経済化、こういうことに考えがあると思うのでありますが、地方自治の経済化につきまして、私は現段階において大事なことは、地方議会について、ある程度の改正、規制を加えなければこの目的は達成できない。こういうふうに思っておるのでありますが、今回の改正では、その面について特に後退が顕著である、こういうことは私は非常
に残念に思っておるのであります。それで、それについて私は太田長官に伺っておきたいのでありますが、一体地方議会の性格、また地方議員の性質、こういうものと国会とどういうふうに区別して考えられておられるか、
こういうことをまず一つ伺っておきた
い。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/131
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132・太田正孝
○国務大臣(太田正孝君) 地方議会と国会との相対関係、あるいは地方議会の議員と国会の議員の相対関係、私がなまいきに申し上げる段ではございませんが、地方議会に対して望ましいことは、国会の方でとかくの非難があったような点は、もう受け入れてもらわぬようにしてもらいたいということは私の率直な感じでございます。たとえば国の方でたくさんの委員会を設けるから、こっちの方も設けるとかいうような考え方は、地域的に見ましても国会にならう必要はないと私は思っております。これはまあ見方でございますが。それから何としても国全体にかかる国会の立場と、地域的な地方議会とは、その取り扱う問題の本質からいっても、量からいっても違いますから、それに応じた態度をとってほしいと、まあ抽象的に申せばそういうことだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/132
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133・小林武治
○小林武治君 私は長官のおっしゃった通りだろうと思う。まあ国会、いわば国権の最高機関として、内閣も作れば、法律も作る、これと地方議会とは本質的な違いがあると、こういうふうに思いますので、待遇その他外面的に現われてくるものは、ほとんど県会は国会のまねをしておる。それが少しも不思議でないように世間で言われていることは私は非常にあやまちだと、こういうふうに思うのであります。ことに今の給与の問題、あるいは常任委員会の問題、各種の問題がほとんど国会のまねをしておる。本質的に相違するものが、外形あるいはそういういろいろの待遇等のことにおいて、全く国会に準じておるということは非常に大きなあやまちだと思います。こういうものをある程度是正しなければならぬというふうに思うのであります。ことに私は今常任委員会制度については、国会でもいろいろ問題でありますが、地方においては私は常任委員会制度の弊害がきわめて顕著である、こういうふうに思っておるのでありまして、常任委員会が縦の系統でできておるために執行機関に介入する、そうして理事者の仕事にまでこれが入っている。ある市によれば市長が何人いるかわからぬ。議長も市長の仕事をしておるし、あるいは副議長までそういうことをしておる。あるいは常任委員長が同様な理事者の仕事をしておる、こういうふうなことでありまして、私は市政その他において非常な紊乱を来たしておる、こういうふうに思うのであります。従いまして、過般の改正案において、これらの縦の系統の常任委員会というものを廃止するということは、私はきわめて適切な措置である。ある県は土木委員長が入札にも関与する。ほとんど入札の指名まで土木委員長がするというふうな極端な例まで出て来ておるのでありまして、県知事と土木委員長とどっちが上席だと、陳情は土木委員長の方にした方が有利だと、こういうふうなことまで現に行われておる。これらを改めるには、常任委員会の制度をある程度改正しなければなるまいと思うのでありまするが、遺憾ながら今度はただ若干の数を制限しただけで、こういうことであって、かようなことでは今の地方行政の混乱というものは救うことができない。また地方行政の財政の膨脹というものも、ここにある程度の原因があるというふうに思うのでありまして、今回は自由党なり、政府なりが地方議会のきわめて強力な陳情に負けて、そしてかようなものを出した。これはある程度やむを得ないかもしれませんが、この点について、将来、前の改正案に返るというふうな御意向がないかどうかということを伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/133
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134・太田正孝
○国務大臣(太田正孝君) 国会と地方議会の関係については、根本的に、内閣を作るという国会の使命とは違っておることは御指摘の通りでございまするが、今回の改正が前の改正より後退したというお言葉につきましては、私もきのう、比較する場合にそのことは申し上げたのでございますが、たとえば今御指摘の横割に、従来のように事務別に分けていくのは、たとえば予算とか、決算とかいうふうにやっていくのがいいのじゃないかという問題は、国会の方に第一問題があるのでございまして、ことに昔の読会制度をやめておる今日の国会制度におきまして、特に常任委員制度というものが確立されておる、その姿を地方の方にも移しているように思われるのでございます。今回は横割り、縦割り、どっちをとってもいいという建前にいきましたのでございますが、まずこの点におきまして、地方議会の英知及び地方議会の自治精神によってどういろ動きをするかということを見てからでないと私は申し上げられない。委員会の数の制限だけができた関係におきましても、同じような問題があるのじゃないか。実は漸を追って進んでいくというのでございますが、将来縦割り、横割り、どっちか一本にしていくというところまで踏み切っていくには、やはり地方議会の動きというもの及びその訓練というものの結果判断すべきものじゃないかと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/134
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135・小林武治
○小林武治君 今の常任委員会の問題は、前の改正案は五万以下の市あるいは町村にもこれを廃止する、私はまことに適切な措置だったと思うのでありますが、今回は町村にもそのまま存置する。町村等におきましては、ことに常任委員会の弊害が多いということを聞いておるのでありまして、私は次の改正の機会には、一つ政府も思い切って、町村などは常任委員会をおやめになった方がいいというふうに今から注文を申し上げておきたいと思うのであります。しこうして、今回の改正におきましては数の制限をされておる。この数の制限をされたことも一つの意味があるのでありまするが、常任委員は一つしかやれない。ところが小さいところは四つしか常任委員会がないということになりますると、現在におきましては、私はまことにけっこうな傾向だと思いまするが、ある市町村等においては議員の定数をみずから減少しておる。これは私は一つのいい傾向だと思っておりまするが、たとえばある市においては二十人の議員しかない、こういうふうなものがあるのでありまして、常任委員を担当する場合においても、非常に小さな委員会しかできない、こういうふうなことが言われておるのでありまするが、委員会の数を制限すると同時に、私は議員の数についても、こういう傾向を助長するための何らかの措置が政府においてとれないか、こういうことを考えますが、これはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/135
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136・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) 常任委員会の、ちょっと私聞きぞこないしたかもしれませんが、常任委員会の数は今こういうふうに書いてありますが、われわれも実は数の少いところで、ほんとうは所によっては私は要らぬ所があると思うのであります。十人や十二人の所で、さらに何か常任委員会を分ける必要があるかといえば、私はそういう所こそ議会は一体になって運営すべきものだと考えておるのでございます。ただ町村にも人口が三万あったり、四万あったりする所もあるものだから、その最高限のワクだけを押えておこうじゃないかということで、今度の改正ができたのでございまして、議員数が現実に少い所は、私は常任委員の数も当然、もし設けるとすれば、少く設けるのが趣旨でありまして、全体として動くのが不自由だから、さらに専門的に分れてやろう、こういう趣旨でございましょうから、そういうふうに考えておるのでございます。この限度にみんな上に上ってしまうということは、われわれの期待しているところでもなければ、この法律の趣旨でもない。その範囲内におきまして、それぞれの実情に即して必要最小限度に運営されることを衷心期待いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/136
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137・太田正孝
○国務大臣(太田正孝君) 今、小林委員の申された議員の数の問題でございますが、お話のうちにもありましたように、合併等によりまして相当減っている所もございます。また計画的に減らしている最も一番大きな例は、大阪の布施市であったと記憶いたしておりますが、大へんに節減されております。それから委員長の郷里の佐賀県もその一つであったと思いますが、かような傾向は非常によいと思います。ここで法律もしくは政府の考えによって議員の数を減らすという問題は、ただいまの傾向がうまくいくならば、その線を見ていった後に考えるべき問題ではないか。私のは少しぬるいかもしれませんが、何としても自治体の考え方を主にして考えておりますので、私どもはさようにして、今の傾向がもっと漸を進んで、りっぱな成績をあげて、内容の充実した地方議会になることを望んでいる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/137
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138・小林武治
○小林武治君 これは念のために伺っておきますが、町村等は条例で常任委員会を設けなくてもよろしい、こういうことはできると思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/138
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139・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/139
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140・小林武治
○小林武治君 それにつきまして、地方議会の議員の性格の問題であります一が、国会議員についてもいろいろの問題があるが、私は今の地方議会の議員といろものが非常な高い報酬を取っている。これは今回のも普通の委員等は実費弁償主義によってやる。これは私は当然の原則であるべきである、こういうふうに思うのでありますが、自治庁長官は、一体県会議員はこれによって生活もするのだ、こういうふうな考え方を持っているのか。名誉職か、あるいは専従職か、こういうことについてはどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/140
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141・太田正孝
○国務大臣(太田正孝君) 議員の生活方式が名誉職的であるか、あるいは専従職的であるかという問題につきましては、よく言われることでございますが、名誉職という規定は、昔の地方議会等においてはございましたが、無報酬の名誉職としては、私は今日の経済情勢から見てもできないのではないか。さりとて専従職として常勤的な役人のような立場にいくべきものでもない。従って、いわばその中間的なところにあるのではないかと思います。普通の役人のごとくにやるべきものではなく、さりとて無報酬の名誉職という意味で、昔の町長や村長や、あるいは町会議員があったようなわけにもいかないと思います。そこらあたりは今日の制度も中間性のところにいっているのではないか。ただし先ほどもお言葉がございましたが、国会議員にならえであって、あるいは年末給与をやる。しかし国会議員の方に退職金制度がなければ、今度はこれをはずすというような、何となく右にならえ式が見えておりますけれども、地方議会は地方議会、地方生活というものがもとになっておりますので、私はその点から判断すべきものじゃないかと思う。性質論としては専従職と名誉職と対立的なものとすると、名誉職的の色彩が強い。しかし昔のいわゆる名誉職の、ただで働くという意味の名誉職ではないと私は思います。対立的に言えば、名誉職と専従職となる場合におきましては名誉職の側であるが、しかしいわゆる昔から言われている名誉職におきましては、給与を得ておらぬ場合が多うございますから、そういう意味ではない。まあ中をとったような性質じゃないかと、こう思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/141
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142・小林武治
○小林武治君 これは実は県の専従の公務員にもいろいろ不平がある。私はかつて知事をやっておったのでありまするが、とにかく県会議員が部長以上の待遇を求める、要するに昇給の要求を……。でありまするが、これらに対して、とにかく朝から晩まで県庁に働いておるこれらの部長と、それからまあひどい言葉で言えば、あなた方と同じ待遇ということは、私は了承できないと言うて、しばしばこれらを断わってきた経験もあるのでありまするが、最近聞くところによれば、ほとんどもう県の上級職員、あるいはそれ以上に及んでいるようになっておる。これは私は今の県会あるいは地方議会の議員としての立場からいかがかと、こういうふうに思うのであります。ことに私は今回不思議に思うのは、政府では期末手当さえ議員に支給しよう、こういうふうに規定されておるのでありまして、この考え方は、私は期末手当をどういうわけで支給するかというと、国会議員に支給するからするのじゃないかと思う。こういうふうな考え方が一体政府自体にもあるのじゃないかと思いまするが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/142
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143・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) 期末手当につきましては、御議論がこれはあるのですが、これはわれわれとしても、いろいろ議論のあった問題でございます。ただ、今度まあ給与の建前を国家公務員に準じて種類を法定しよう、そうして法定したもの以外は出すことを禁止しよう、こういう建前をとったものでございますから、期末手当につきましては、これは国会議員の方でも出ておるようでございますから、そこで、地方も全部出しておるわけじゃございませんが、府県、市などはかなり出しております。町村は出しておらぬ方が多うございます。それでまあ出し得るということだけにしておくよりしようがないじゃないか、こういうことで期末手当の規定を入れたのでございまして、あげましたことは、当然に全部やれという趣旨じゃもちろんございません。ただそういう給与の建前を変えた結果、これを入れなかったら、禁止するという建前になるのはいかがかということで、やむを得ず入れたのでございまして、実情によってこの手当の支給されることを期待いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/143
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144・小林武治
○小林武治君 今のその考え方が、期末手当なるものの性質が一体どういうものに支給するのか、これは一つの常識的な考え方があろうと思うのでありますが、今規定がなくても、現に支給しているならばかまわぬでおけばいい。これはかえって奨励する、必ず全部に期末手当を支給するようにすると、この考え方が、私は国会がそうであるからして地方議会もそうであろうと、こういうふうな誤まった考え方を政府当局もしておるのじゃないかと思う一つの論拠にして、私はこれを申しておるのでありますが、無用なことだと思う、現にしておるなら……。退職手当の規定があるかどうか知らないでしておる。ことに私は、今地方議会が自由々々と言うが、自由も全くけっこうであるが、たとえば東京都のごときは退職手当をもらうというようなことが相当に行われている。また月給につきましても、やめるときに月給をもらって、再選してまたその月の月給をもらう、こういうふうなでたらめが行われおる。それは地方団体がやるからやむを得ないというかもしれませんが、そういうことをしておりながら、金が足りないと言って政府に頼るというふうなやり方は、これはきわめて遺憾なやり方であると思うのであります。そういうわけで、今の問題なども、わざわざまた政府が出しておらぬ県まで期末手当を出せるようなことをやった、こういうふうなことでありまして、その点の考え方が非常に間違っていないかと、こういうふうに思います。さっきの話じゃないが、だまってやっておったものもあるし、やらぬものが多くあったとすれば、これによってまた一律にやるというふうな問題が起きてくると、きわめて遺憾な措置であると思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/144
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145・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) 期末手当の性質は、今いろいろお話が出ました通り、やはりある程度勤務が非常に忙しくて、それで期末に特別に手当をやるような、そういう勤務の実態を基礎にしてこれは考えなくちゃならぬ問題だと思います。それでまあ地方議会につきましては、これはいいか、悪いかは別問題といたしまして、そういうふうに忙しく勤務をしている所もあるから、おそらく出しておった所もあるだろうと思います。われわれといたしましては、その点は地方と国会の運営とは違うのじゃないか。特に国会の期末における、年度末における運営と違うのじゃないかという議論も当然にあるのでございまして、あの規定は必ずしもわれわれは進んで入れた規定ではございません。しかしまあ給与を法定をして、国の職員に準ずる建前をとる以上は、そうしたそれに似通った実態にあるところも、これは事実上なきにしもあらずで、そういうところもございまして、規定の上だけは道を開いて行くよりしようがないのじゃないか。法律上これを禁止してしまうというのは、これはいささか行き過ぎじゃないか、こういう見解をとったのでございます。
それに相関連して、退職金の問題もお話が出たのでありますが、退職金も、われわれは性質上非常勤の職員に対しては退職金を出すべきものじゃないという基本的な考え方をとっておりますから、禁止することにしたのでございまして、これも実はいろいろ議論が出まして、国会議員につきましては国会法に一応規定がある。まあ実際の実施はほかの法律に譲っておりまするけれども、現実に法律が出ておらぬ以上は、われわれとしては、これはもう出すべきにあらずという見解であの規定を設けたのでございます。地方は地方としての実情に即して考えなくちゃならぬが、やはりある程度中央の制度も参酌せざるを得ない。そこで中央の制度につきましても、地方の実情へのはね返りというものも考えまして、これはぜひやはり中央でもお考えを願うはかなかろう、こういう気もいたすのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/145
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146・小林武治
○小林武治君 今お話でありまするが、期末手当などというものを書いたら全部出るということはきまってる。あなたがいやで書いたところが、結果においては全く同じで、その考え方が、これは国会議員と地方議会の議員というものが、ある程度似通ったような待遇その他を政府が考えているのじゃないか。これは長官にあらためて申し上げたいが、国会議員と地方議会の議員とは、それは本質的に違っている。従ってこれらの給与等も、必ずしも国会にならう必要はないのだというふうに思うのでありまして、その根本の考え方を持たなければ、これは適正な法律改正はできない、こういうふうに思うのでありまして、今のたとえば退職手当の問題なども、今度は規定がないかもしれませんが、これは将来またあなた方は出しているからと言って出すか、こういうことほどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/146
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147・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) 退職手当の問題は、今までまあ法律上の制限がなかったものですから、われわれは適当だとは考えておりませんでしたが、出しておったものがあるのは事実でございます。今後、今回の法律の改正によりまして、これはもう出せなくなります。将来の問題につきましては、われわれとしては今出す考え方はもちろんございません。ただ、先ほどちょっと申しました通り、国会議員についても退職手当を出す立法が実現したならばどうするかと、こういう問題があり得ると思いますが、それはそのときにわれわれとしても慎重に考えたいと、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/147
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148・松岡平市
○委員長(松岡平市君) ちょっと私から聞きますが、どうも小林委員の前提は、現在の国会議員と地方議会の議員とは本質的といいますか、ある程度相当違うのだ、こういうことを前提にして言っておられる。ところが小林政府委員の答弁は違うということを認めておらぬ。大体そういうことで答弁が出てくる。たとえば今の退職金の問題でも、先ほど来の御答弁を聞いておると、国会法に規定がある、支給するということ。ところが別な法律で支給しておらぬから地方議会の議員にも今度は支給せぬという規定を作った。そしてもし国会法に規定されておるような国会議員に対する退職手当が他の法律で実施せられる場合は、そのときはまた別個の考慮を払う。すなわち国会議員に退職手当をやるようになったならば考えざるを得ないものだと、どうするかは別だけれども、一応考慮はしなければならないのだ、こういうことですね。小林委員の立っておられる前提をあなたは認めない答弁ばかりしておられる。これはいつまでやってもそういう答弁では話にならぬと思うから、先ほど長官が、その点は相当に違うと御答弁になった点から一つ答弁をされるなり、あるいは長官が違うと言われたことは、自分はそうは思わぬということで答弁していただきませんと、いつまでやってもこれはケリがつかぬと思う。念のために、注意のため申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/148
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149・太田正孝
○国務大臣(太田正孝君) 小林行政部長の答えたことは、現実の問題を言っただけでございまして、国会、地方議会、国会議員、地方議会議員との違っておる点は、最初に小林委員に対して申し上げた通りでございます。ただ私の率直なる感じを申しますと、終戦後におきまして、やはり生活面に対する報酬等の考え方は一般的に変ってきたのじゃないか。つまり生きていくために必要な生活費というものは、その人の地位に相当したものがほしいという考え方と、最小限度の点がほしいという考え方とからみ合いまして、国会議員に対して地方議会の議員が、そういう点では旧来の地方議会当時とは非常に違ってきておる。旧来におきましては名誉職的なものが多かった。また給与を得る一般の自治体の役人にしても少なかったのでございますが、だんだん上ってくる傾向があるのじゃないか、この善悪は別として、事実はそうじゃないかと私は思うのでございます。従って生活費の問題になりますると、旧来の官吏において、予算の残額をもってやるという考え方が、賞与制度をとっておる今日におきましては、旧来の予算の建前等も違っておるのでございまして、こんな点からもやはり年末手当という問題は起ってくるのじゃないか。実は昨年の暮の問題におきましても、地方公務員の問題について私は考えさせられたのでございますが、ただし議員そのものについての立場からいうと、私どもは年俸三千円時代を過してきたので、むろん貨幣価値の点は違っておりますが、今日における国会議員の立場におきましても、また地方議会における建前におきましても、昔といいますか、古い制度のもとに今日の生活状況を考えていくことはできないと思います。しかし、それならば全部同じようにしていいかというと、むろん程度の問題があろうかと思いますが、そこで非常に行き過ぎでもあるという考えのもとに、地方議会議員の給与等を下げるということは実態としてなかなかむずかしいことであり、また相当考えた上でなければできないことかと思います。今、委員長の御注意にありましたが、本質的に仕事の分野が違っておるということは、はっきり部長の答弁のうちにも認めなければならぬことと思います。ただ給与関係につきましては、終戦後のこういう民主主義的な傾向のもとに動いてきた立場から申しますと、私は率直にかように感じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/149
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150・小林武治
○小林武治君 何だかよくわからない。だんだんぼけてきてしまっておりますが、要するに今のこの期末手当などという規定を作るということは、私は適当でないというふうなことを考えておりますから、その点だけ申し上げておきます。
それから次に私は一つお尋ねしておきたいことは、地方の市長とか、町村長というものが他転を兼務する、この問題について政府の考え方を伺っておきたいのでありますが、現在の規定におきましては、今の当該地方団体と請負いをしてはならぬとか、あるいは主として請負いをする団体の役員になってはいかぬ、こういうふうな規定だけでありまするが、現実の問題として、私は今の市町村長というようなものは、お話の昔の名誉職の時代と違って、全くその全部をその職務に捧げなければならぬ性格のものであるのでありまして、これがこの自治法の規定とは別に、他に常勤を要するような団体の役員をするというようなことが一体いいことかどうか。私はこれは全部絶対に排除しなければならぬ、避けなければならぬ、こういうふうに思いまするが、その点はどうですか、今の規定では私は不十分だと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/150
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151・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) 今お話の通り、知事、市町村長は、これは議員と違いまして、常勤を建前にすべき職であることは職務の性質上当然だろうと思うのでございます。ただ、これは今の公務員法では特別職という建前にして、いろいろ一般の公務員と違った、規制のわりとフリーな立場になっております。なっておりますが、これは法律上の規制の問題でありまして、当然専従の職務に従事すべきものは、専従の職務にそれぞれの責任において専念するのが私は当然の建前であろうと思います。そういうものが他に専従の職を兼ねていいかという問題になれば、私は実際の制度の趣旨というよりも、実際の道義的にも政治的にも、そういうことは兼ねることは私は決して適当だとは考えておりません。しかし今申しました通り、特別職としてそういう制約がございませんので、職務の許される限度で、かりにそういうことが行われたとすれば、それまで違法というふうには言うことはできがたいのじゃないか、こういうふうに考えるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/151
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152・小林武治
○小林武治君 これが今の地方行政の建前からして不都合であるとするなら、法律を修正したら、直したらどうか。実はこれは某市の関係でありまするが、一人の市長が他に専従を要するような職務をそのまま兼務している、これにつきまして、その地方の社会党の諸君から、これは不都合であるから自治庁の解釈を求める、こういうことがあったのでありまするが、これは法律解釈としてはやむを得ないというふうなお話でそのままになっておる。これは地方においても相当な物議をかもしておる、こういうふうに思うのでありまするが、当然その市長の職務に差しつかえがあるというふうな事態をそのままほうっておくということは、私は政府としてもきわめて怠慢である、こういうふうに思うのでありまするが、それがいけないというならお直しになったらどうかと、かような、要するに主として請負いをなす団体の役員などということでなくて、要するに他に常勤を要するような職務と兼ねてはいけない、こういうふうなように直したらどうかと思いますが、この点は長官はどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/152
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153・太田正孝
○国務大臣(太田正孝君) 将来におきましては、専従的なものにして、そしてほかの仕事に携わらぬという趣旨でいくべきものと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/153
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154・小林武治
○小林武治君 将来じゃなくて、今困る。それでよろしいとおっしゃるなら、それでまた考え方があるが、そういうことはすべきでないというなら、本人がそういうふうな道義的な責任を感じなければ、やはりある程度法制で定めるということは当然すべきことじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/154
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155・太田正孝
○国務大臣(太田正孝君) 結局、特別職全般にわたる問題でございまして、その踏み切りをしなければ、特別職はこうしなければならぬということを、原則を先にきめていかなければならぬのじゃないか、こう私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/155
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156・小林武治
○小林武治君 特別職にもいろいろあるのでありまして、国会議員とか、そういうものを言っているのじゃありません。その職務に専従するのが当然その職務の本質である、こういうふうなものが、その時間を当然だれが見ても避かなければならぬ、こういうふうなものを私は兼ねるということは適当でない、そういうふうにお考えになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/156
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157・太田正孝
○国務大臣(太田正孝君) 小林部長から申し上げまして、私は補いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/157
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158・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) これは特別職でも、今お話した通り常勤の建前にすべき職と、常勤の建前にすべきでない職と両方あるわけでございまして、常勤の建前にする職は、今の建前上は別にやかましい勤務時間だとか、何とか制限はございませんけれども、当然その職務の遂行に必要な勤務をなすべきことは私は当然の次第であろうと思います。ただ、それですから、そういう勤務に支障のあるような兼職をやれば、これはやはり適当でない。しかし今の建前はいろいろの段階もあり、専従を建前とする職務でも、自治体によって多少ほかの仕事に従事しても差しつかえないかりにゆとりがあって、また職務の執行の公正に影響のないようなことがあれば、それまで全部一律にいかぬというものもいかがかと、これはその人の政治的な責任と判断で、運用で合理的に適正を期すべき次第ではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/158
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159・小林武治
○小林武治君 今のは、当事者の常識があればこういう問題は起きないのです。しかし常識のない人には、何かこれを強要する方法を講じなければならぬ。これは国家としても当然の責任だと思うのです。やむを得ないとほうっておくのがおかしい。自治法というものは、町村長というものはおそらくこれに専念する、こういうことを当然予期しておる。国会議員と理事者というものは全く違う。従って私は今のようなのん気なことを言っているようであるなら、地方自治についていかにも無責任な態度だ、こういうふうに思わざるを得ないので、この問題について政府がするつもりがなければ、また私ども考える、こういうことに一応しておきまするが、そのことを一つ、そういうことがあるということを念頭においてもらいたい。
次の問題は、私はこの恩給の通算の問題を一つ伺っておきたいのでありますが、今度国と都道府県の公務員の恩給通算、こういうことはまことにけっこうなことでありますが、これについて、何か昭和二十三年以前にその任についた者に限ると、かような制限がついておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/159
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160・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) そういうことは全然ございません。今おっしゃいました二十三年の前のものならば、当然現在の恩給法でも大ていの人はつながっておるはずであります。当時官吏の身分があった者はそのまま恩給法はつながっておる。それ以後新しく府県吏員に採用された者について通算の必要があるのでございまして、むしろそのために作ったものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/160
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161・小林武治
○小林武治君 そうすると、その任についた期限に関係なしに、今後はこの規定が適用になる、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/161
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162・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) その通りです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/162
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163・小林武治
○小林武治君 それから都道府県の相互間の問題はどういうふうになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/163
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164・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) 都道府県相互間も通算することにいたしております。この通算は国家の公務員及び都道府県の公務員及び都道府県の相互の公務員並びに義務教育職員、これらの者の間は全部通算できるようになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/164
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165・小林武治
○小林武治君 この規定に都道府県相互間もできる、こういうふうに読めるようになっておりますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/165
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166・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) その通りでございます。これは都道府県は、第一項は恩給法に規定する公務員であった者、または他の都道府県の退職年金及び退職一時金に関する条例の適用を受ける者が当該都道府県の退職年金条例の適用を受ける職員となった場合、他の府県の者がこっちへ来た場合、こういうふうに規定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/166
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167・小林武治
○小林武治君 都道府県と市町村との間には「努めなければならない。」、こういうことになっておりますが、これはどういう程度の要求をしておるのか、「努めなければならない。」というのは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/167
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168・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) そこで市町村の職員と恩給法あるいは都道府県の公務員との間における退職年金の通算の問題につきましても、十分われわれ検討を進めたのでございます。特にこれは皆さんのお耳に入っておりましょうが、高等学校の職員についてその要望が非常に強かったのでございまして、われわれといたしましても、できるものならそういう方向まで問題をはっきりと解決したいと実は考えたのでございます。ところが実際は御承知のように、市町村でありますと相互にいろいろ給与のレベルも必ずしも一致しない、退職年金制度も非常にちぐはぐでありまして、十年でもらう所もあるし、十七年でもらう所もある、そういうふうに土台が非常にちぐはぐであるので、これを法律で一緒にするということは無理だと思います。しかしながら、実際に似かよったところで、支障のない範囲で、できるだけわれわれとしては通算措置を講ずるようにしむけたい、そういうことによってできるだけ基礎を統一いたしまして、そうして将来恩給法とのつなぎもつけたいという基本的な考え方なのであります。それでございますから、せめてその趣旨が徹底するように、自主的にやれるきっかけと申しますか、強い法律の精神というものを現わした方がよかろう、あとはわれわれといたしまして一つ指導をいたしまして、できるだけ事情の似かよったものは、こういう方向に踏み出すように指導いたしていきたい、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/168
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169・小林武治
○小林武治君 「努めなければならない。」ということは非常に弱いというか、そういう感じを持ちますが、これはもしやる場合には、都道府県と市町村が両方で条例を作ると、こういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/169
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170・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/170
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171・小林武治
○小林武治君 まあこの問題は、主として一つの都道府県内における市町村との関係がおもな問題であると思いますが、その必要はもう非常に痛感しておる、一般職員についても言われております。たとえば市町村が県庁の役人をもらいたいということが現在では非常に多いのでありますが、これがほとんどできないということでありまして、私は同一都道府県内のこれらの問題については、ある程度法律でもって規定されてしかるべきだ、こういうふうに思いますが、今後この扱いについては、何かそういうふうなお考えがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/171
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172・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) 私は基本的には、今、小林委員のおっしゃいましたのと同じ考え方であります。できるだけそういう方向に持っていきたい。それは根本的には恩給法との通算の問題になりますが、恩給法の通算の問題になりますと、先ほど申しました通り、恩給は国のつまり官吏優先で、市町村には必ずしもその官吏に相当する制度もはっきりしておらない。それからもう一つは、大ていの場合、市町村の場合、上から下に一方的な異動が多いだろうと思うのであります。市町村から府県に行く場合もないではありませんが、そういう場合も多いのでありまして、そうなるというと、今の建前は恩給の負担を、あまりめんどうな計算をするのは適当じゃないと思っておりまして、要するに最終退職時の負担者が負担すべしという建前で割り切ろうという考えでおるわけでございます。その結果、今直ちに市町村にすぱっとやるのは少しむりがあるのじゃないか。先ほど申しました土台になる恩給制度、給与制度が必ずしも均衡がとれていない。そういう意味でまず暫定的に第一段階の府県相互のことを実施し、あとは一つ指導で、できるだけ基礎が統一できるような方向を準備しながら、これを実施いたしまして、第二段の問題としてさらに一歩を踏み入れたい、こういう考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/172
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173・小林武治
○小林武治君 その点は一つ今後とも政府で適当な措置をもう一度考えてもらいたい。
次に、自治庁長官は非常にお疲れのようでまことにお気の毒でありますが、私は前の国会におきまして、今のような町村合併が進行した状態においては、郡の整理をぜひしてもらいたい、大臣も、できるだけ最近の機会においてこれをやると、こういうことをおっしゃっておられたのでありますが、これは何か進行しておりますか、どうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/173
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174・太田正孝
○国務大臣(太田正孝君) 郡の問題は、今日まあだんだん性格が弱いものになったといってもいいでございましょう。一つの郡の中に一、二カ町村しかないようなものも生じておる状況でございますが、なお選挙区の関係とか、あるいは経済団体連合会等の関係もございまするので、その後の問題といたしましては、一般の制度を直すときに譲っておりまして、今回はこの点には触れておりませんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/174
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175・小林武治
○小林武治君 今回触れておらぬことはお聞きするまでもなくわかっておりますが、今後どういうふうにお考えになっておるかということを一つお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/175
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176・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) 私からかわって御答弁申し上げたいと思いますが、これは今、長官が申されました通り、われわれといたしましては、郡の問題も当然再検討すべきものだと心得ております。特に町村合併が進みまして、一郡一市とか、一町村とかいう所も現にあるわけでございまして、これはこのままでおくのはいかがなものかと考えておるわけでございます。今の建前では、それぞれの府県が自主的に郡の編成が再編成できることにはなっておりまして、現に広島県でしたか、最近郡の境界変更をやった所もありますが、しかしながら、おそらくは自主的にまかしておった形では、この問題は合理的に進まぬのではないか。もう一つは、根本的には郡の問題は、長官が申されました通り、団体というよりも、単なる行政区画でもなし、いわば地理的名称ということになっておって、ただいろいろな他の法令で管轄区域をきめたり、選挙区をきめたりするときに押える基礎になっておる。しかしながら、これは事実上経済団体その他の団体構成の基礎にもなっております。地方の財政経済運営の一つの基盤ですから、私はやはり単なる地理的な名称だけということでなしに、事実上その基盤になっておるのだから、これを合理的に、われわれは町村合併がそこまで進んだので、今その問題に取り組まぬといかぬというので、地方の郡の現状と申しますか、実情と申しますか、そういうものも今調査中でございます。そういうものの調査の結果も待ちましてこの問題を考えていきたい。場合によっては、あるいは郡の再編成などという問題になれば、地方制度調査会などの御意見も聞くべき問題ではないだろうかということを部内でも言っておるのでございますが、われわれといたしましても、積極的にどうするという方向まできまっておりませんが、この問題は検討すべき時期にもうすでに達しておる、そういうことで着手を始めておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/176
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177・松岡平市
○委員長(松岡平市君) 暫時休憩いたします。
午後四時五十五分休憩
〔休憩後開会に至らなかった〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102414720X03619560522/177
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