1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十二年三月二十日(水曜日)
午後四時十六分開議
出席委員
委員長 石坂 繁君
理事 田中 龍夫君 理事 藤枝 泉介君
理事 松澤 雄藏君 理事 井堀 繁雄君
理事 島上善五郎君
青木 正君 臼井 莊一君
加藤 高藏君 菅 太郎君
椎名 隆君 牧野 良三君
佐竹 新市君
出席国務大臣
国 務 大 臣 田中伊三次君
出席政府委員
総理府事務官
(自治庁選挙部
長) 兼子 秀夫君
委員外の出席者
総理府事務官
(自治庁選挙部
管理課長) 櫻澤東兵衞君
大蔵事務官
(主計官) 相澤 英之君
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本日の会議に付した案件
国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法
律の一部を改正する法律案(内閣提出第七〇
号)(参議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604219X00419570320/0
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001・石坂繁
○石坂委員長 これより会議を開きます。
国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案を議題として審査を進めます。前会に引き続き質疑を続行いたします。井堀繁雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604219X00419570320/1
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002・井堀繁雄
○井堀委員 前回、自治庁長官にお尋ねをいたしておりましたことについて、なお続行いたしたいと思うのでありますが、他の都合で大臣御出席がおくれるようでございますので、その間大蔵省の主計官がおいでのようでございますから、一、二お尋ねをいたしたと思います。
大体御案内かと思いますが、この委員会で今審議をいたしておりまする国会議員の選挙等の執行経費の基準に関る法律の一部を改正する法律案のうちで、選挙に関係をいたしております人夫賃、嘱託の手当の単価に関係をいたしまして、こういう国の行います事業については、地方公務員については、地方公務員の給与規定に従って一定の額が定められ、また、この法律改正案の中でも、一般の地方公務員の給与実態調査の結果に基いて、超過勤務手当などの引き上げを必要とする経費を、この国会に承認を求めんとしておるわけであります。こういう関係で、私どもも、やはり、人夫賃については、同様その金額を定めるについては、法律的な根拠に基いて行われるものであろうと信じます。そういう意味で自治庁にお尋ねをいたしましたが、自治庁の今までの御答弁によりますと、大蔵省との折衝における経過からかんがみまして、自治庁の見解はあとで長官から正確な御答弁を伺うのでありますが、その前に、大蔵省といたしましては、この予算について折衝をなさったのでありましょうが、その節、人夫賃あるいは嘱託の手当の金額はどの法律に基いて御決定になったのか、あるいはそういう準拠すべき法律を全然持たないのであるか、この点についてお尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604219X00419570320/2
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003・相澤英之
○相澤説明員 ただいま御質問の人夫賃というものを何によってきめているかという点でございますが、御案内の通り、国家公務員の給与につきましては、一般職の職員給与法その他の法律によってきまっておりますが、賃金に関しましては、そのような統一的な法律はございませんので、もっぱら当該労務の質を勘案いたしまして、これを予算的な措置としてきめているわけでございます。ただ、前回予算委員会におきまして御質問がありました点に触れて申し上げますと、失業対策の賃金につきましては、緊急失業対策法におきまして一つの規定がございます。これは第十条に「労働大臣は、失業対策事業に使用される失業者に支払われる賃金の額を定める。この場合には、同一地域において同一職種に従事する労働者に通常支払われる賃金の額より低く定めなければならない。」この同一地域における同一職種に従事する労務者に通常支払われる賃金を、一応、一般職種別賃金、いわゆるPWを根拠として、それよりも低くきめているわけでございます。失業対策法の施行規則の八条によりましてこの十条の規定を受けて、「失業対策事業に使用される失業者に支払われる賃金の額は、同一の地域及び時期において同一職種に従事する労働者に通常支払われる賃金の額の百分の八十から九十までの額とする。」このように規定ができております。それで、現在失業対策事業の単価は、このPWの賃金基準を基礎といたしまして、その九割程度ということで予算の単価をきめているわけでございます。問題の選挙執行経費の基準におきましての賃金の単価は、大体この前主計局長から答弁がございました通り、失業対策事業における軽作業というようなものを一応のめどとして、折衝においてきめておるという形になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604219X00419570320/3
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004・井堀繁雄
○井堀委員 法律の根拠がない——前回私が予算委員会で主計局長にお尋ねいたしましたことをここで重ねて御答弁がありましたが、一体法律的根拠がないとおっしゃられておるにかかわらず、あなたも今主計局長の答弁を引用されておりましたが、緊急失業対策法の第十条、さらに規則の第八条ですか、この二つに規定されておりますことはわれわれもよく承知しておるわけであります。これと今回の場合とを私は比較してこの前予算委員会でお尋ねしたわけであります。あなたのお考えをはっきり聞きたいと思うのでありますが、法律に準拠しないでこの法律に盛られた人夫賃は計算された、こう答弁されておりますが、そうしますと、どうなんですか。一方緊急失対法に基く賃金は、法律の明文で、あなたも今説明した通り明らかです。実態調査の結果、PWの示すところによって予算単価が出ておるわけですが、これはたしか三百二円と政府は予算委員会で承認を求められ、衆議院の方は通過したわけです。この点はどうなんですか。三百二円というのは、額としては一般より一割ないし二割低いものか、こう法律の解釈ができるのか、この点に関するあなたの御見解をはっきりしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604219X00419570320/4
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005・相澤英之
○相澤説明員 失業対策の予算につきましては、私の所管ではございませんが、御説明申し上げますと、ただいま申し上げました通り、失業対策事業の単価は、PWを基準といたしまして、その八割ないし九割というところを一応のめどにしておるわけでありますが、予算上の措置といたしましては、一応PWの九割の線でこれを計上しております。そこで、三十二年の予算単価は、ただいま御指摘がございました通り、全国平均で三百二円になっております。これは従前の予算単価に対しまして七%ほどの上昇になっておりますが、これは、実はまだPWが決定しておりませんので、一応の調査に基くものから算出しているわけでございまして、実行の単価につきましては、これは地域別にどのように失業者が出るか、従って失業対策事業をどの程度にやるかということ、それから失業対策事業の事業種目をどのようにきめるかということによりまして、この結果としては多少の上下はございますが、大体予算単価を中心として、それにはまるように執行を考えていくというふうに従来なっておるのでございます。三百二円という単価は、これは調査の結果に基きましてPWを変えるという前提のもとに、その九割を重作業が六、軽作業が四というような割合で計算して算出した単価になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604219X00419570320/5
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006・井堀繁雄
○井堀委員 あなたの所管でないとおっしゃいましたけれども、その点お答えいただかぬと、きょう御出席をいただいた使命が達せられぬわけでありますが、どうですか、責任を持ってお答えできますか。できなければ、後日にしてもいいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604219X00419570320/6
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007・相澤英之
○相澤説明員 失業対策事業費の単価との関連につきましては、担当の主計官と一応打ち合せて参りましたので、ある程度のことはお答えできると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604219X00419570320/7
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008・井堀繁雄
○井堀委員 それでは、責任を持ってお答えができるそうでありますから伺いますが、これはもちろん法律に根拠のあることでありますから、論議の必要はないと思いますが、私の知る範囲によりますと、PWの結果については、まだ集計中で明らかではないと言っておりますけれども、一応労働省の中においてまだ発表しておりませんけれども、ある程度正確に近いものが把握されて大蔵省との間に折衝が行われたものと思うのであります。一体、大蔵省は、この法律の根拠によりますと、統計法第三条の第二項に指定統計第五十三号で明文化されているわけです。これはその方でも問題になるわけでございますが、見込みで三百二円という予算を出してきたというふうにもとれるわけです。しかし、そうだとするならば、PWの結果が、集計の結果、もっと高いものになるか、下るか、わからぬということにもなるわけです。一体、この辺は、大蔵省としては労働省と折衝された際に、これは法律にすでに明文化されていることでありまして、そういいかげんにあなた方ができるはずはない。法律以上の仕事は許されていないはずだ。でありますから、その以下に定めたということになると、われわれに提案してきた説明に大事な食い違いが出てくる、私はそう思うが、労働大臣のこれに対する説明は、ほかの記録を見ればわかるように、この法律に基いて三百二円の計算をしてきた。今あなたの説明によりますと、まだ集計中で結果はわからぬけれどもというお話があった。これは労働大臣の任務になるわけでありますが、その点はどうですか。正確な数字として予算単価を出されたのであるか。大まかなもので相談し合って作られたのですか。この点はっきりしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604219X00419570320/8
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009・相澤英之
○相澤説明員 今回の失業対策事業の予算単価の改訂は、昨年実施いたしましたただいま御指摘の屋外労務者賃金調査のたしか乙調査といわれるものだと思いますが、それを基礎にいたしまして、PWの改訂を予定し、それを基礎にいたしまして、従前の失業対策事業の種別、それから失業対策の吸収人員というもの大体踏襲いたしまして、算出している単価であるというふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604219X00419570320/9
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010・井堀繁雄
○井堀委員 もっとはっきり御答弁いただきたいと思うのです。さっき私が言いましたように、これは法律で定められておりますね。そうしますと、あなたのさっきの説明によりますと、統計法第三条第二項のPWに対する問題でありますが、指定統計第五十三号というのは、今あなたは乙調査と言われた。乙調査は三十一年の九月に行われておるわけです。それが集計中であるというお話があった。だからその集計の結果はまだ明らかでないというふうにもとれる。明らかでないものを根拠にして、一体三百二円という予算単価を出したのであるか。公表はしていないけれども、その集計に表われた数字は三百二円を出すに十分なものであるというふうにはっきりして、この予算単価を協定されたのかどうか。この点を聞いておるわけです。明確に一つ御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604219X00419570320/10
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011・相澤英之
○相澤説明員 昨年の九月に実施いたしました屋外労務者賃金調査は、その最終的な数字の確定はまだ見ていないようでございます。しかし、重要な地域につきまして緊急集計をし、それを基礎にして一応PWの改訂を予定してこの単価を算出したというふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604219X00419570320/11
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012・井堀繁雄
○井堀委員 これは大事なことですから、もう一ぺん伺いますが、私どもは、三百二円というものは、この法律に準拠して計算されたもので狂わないという説明を信用して、あの予算を審議してきた。もう衆議院は通って参議院にいっているわけです。しかし、今のあなたの説明によりますと、動くかもしれぬという疑いが出てきた。その点いかがでしょう。動くということなら私はまた考え直さなければならぬ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604219X00419570320/12
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013・相澤英之
○相澤説明員 昨年の九月の実態調査を基礎にいたしまして、全部の集計ではございませんが、大体の集計によりましてやりましたことは、先ほど申し上げた通りでございまして、担当の主計官からけさほどその説明を聞きましたところ、PWの地域別の数値がまだきまっておりませんが、三百二円の予算単価に大体なるのではないかという話でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604219X00419570320/13
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014・井堀繁雄
○井堀委員 くどいようですけれも、大体じゃ工合が悪いのですよ。これはあなたにお聞きするのは少し無理かと思って、実はきょうは大蔵大臣の出席を要求したのでありますが、おいでにならない。これは主計局長でも主計官でもけっこうでありますけれども、やはり責任を持って答弁願いたいのであります。ということは、すでに両院のうちの一つの院議は決定したのです。その決定の前提になるべきものは、これは、ほかの推定じゃなく、法律に基いて計算がなされ、その計算の上に盛り込まれた単価であるということを前提にして、われわれは審議してきたわけです。ところが、それがそうじゃないのだ、推計だとかあるいは一部分のものを抜き取って検討したのであるということなら、全体の集計が出てくると狂ってくる。違ってくるとこれを変更するということになる。法律はそのことを命じておるわけです。そうすると、予算全体に影響してくる問題で、非常に大事なところだと思いますから、正確な御答弁を願いたい。あなたが御答弁できなければ、私ども別に責任のある人に出席してもらって御答弁願うが、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604219X00419570320/14
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015・相澤英之
○相澤説明員 失業対策事業の予算単価につきましては、これは、私が申し上げるまでもなく、全国が一本単価の三百二円で施行されているわけではないのでございまして、その地域により、また作業の質によって、いろいろと賃金の格差があるわけでございます。予算単価としましては、一応の見込みによりまして重作業六、軽作業四というような割合をとり、また従前の実績を勘案しまして、大体どのような地域に、どのような程度の失業者の吸収をするかという予定を立てまして、集計して割った結果が、一人当り三百二円という数値になっておるわけでございます。従いまして、予算の実行におきましては、たとえば失業者の発生地域が従前の見込みよりも相当動いたというような場合、あるいは従前予定しておりました作業の種別が動いた場合、たとえばごく軽易な街路清掃というような事業を道路工事に振りかえる、あるいはその他の作業種目の転換がございます。このような場合には、当然、実行の結果といたしましては、どんぴしゃり予算単価にその通りなるということは期待できないわけであります。もちろん、予算の執行といたしましては、その予算にきめられた単価を守り、従いまして失業者の吸収予定人員を実際に確保できるように執行を考えるわけでございますが、実行の結果におきましては、きっちり三百二円ちょうどというふうには、なかなかならないのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604219X00419570320/15
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016・井堀繁雄
○井堀委員 あなたは、私の質問している意図がどこにあるかがよくのみ込めてないので、そういう答弁をされるかと思う。これは社会労働委員会で年々問題になっている。全国の日雇い労働者は、この予算単価の引き上げのための運動を熾烈に行なっておることは、あなたも御存じだと思う。しかし、それに対して、労働大臣の一貫した答弁は、PWの説明をも始終してきているわけなんです。ところが、今あなたの答弁を伺います。と、三百二円というのは全国平均単価です。ところが、今まで屋外労働者に対する労働省の一貫した態度は、法律できめられているのだから、それ以上のことはできないのだということを言っている。また私どもはそのことを信用してきた。今度改訂が明らかになってきたというのは、三十一年の九月に、俗にいう乙調査が行われた。それは統計法第三条第二項の規定に基いて労働大臣が行うことができる。その上に立って生まれたものが初めて予算単価として権威を持つ、しかし、それがぐらぐらするものでありますと、問題は方々に波及してくるわけなんです。しかし、あなたの言ったことは、これは速記録をずっと見ていただけばわかると思うのですが、法律の範囲を越えた解釈が入っているような気がする。いいですか。これはきまっているんですよ。乙調査の結果によって出てくるわけなんです。あなたのさっきの説明によりますと、全国的な集計ではない、その中から適宜抜き取ってやったものであって、集計の結果は違ってくるかもしれぬということであった。そうすると、三百二円は上るか下るかわからぬということになって、非常に重大なことになるのです。これははっきりさしてもらわなくちゃいけないと思う。だから、あなたが責任上はっきりした答弁ができないというのなら、そうおっしゃって下さいませんと、この審議を進めることが困難になるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604219X00419570320/16
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017・相澤英之
○相澤説明員 失業対策事業の単価のきめ方につきましては、私従前労働を若干担当した関係で幾らか知っておりますから申し上げます。屋外労務者の賃金調査の結果を基準といたしましてPWをきめますが、その調査結果そのままがPWになるのではないのでございまして、御案内の通り、現在PWの適用がございますのは、公共事業の就労労務者についての基準の単価としての適用があるわけでございます。そこで、屋外労務者の賃金調査を基礎にいたしましてPWをきめる際には、これは一ヵ月だけの調査でございますので、そのままをPWとして定めますと、従前の賃金との不均衡あるいは地域別における賃金の不均衡というような点が著しく先鋭化される場合もあるわけでございまして、これらの点はPWをきめる場合には若干の考慮を払うという姿になっているわけでございます。そこで、PWをきめたことを前提といたしましても、緊急失業対策法並びにその施行規則の八条、先ほど私が読み上げましたが、その八条の規定によりますと、「失業者に支払われる賃金の額は、同一の地域及び時期において同一職種に従事する労働者に通常支払われる賃金の額の百分の八十から九十までの額とする。」というふうに、この点は弾力性を持たしているわけでございます。この実行といたしましては、従前から九〇%の額で押える。予算単価もその通りになっておりますし、実行もそれを基準としてやるという形になっているわけでございます。
なお、詳細な点に御質問がございますれば、担当の主計官なり何なりが出席して御答弁申し上げた方がよろしいかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604219X00419570320/17
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018・井堀繁雄
○井堀委員 私があなたに聞いているのは、予算単価を出す基本的なものについて、動揺があるかないかということがはっきりしませんので——八〇%から九〇%までの間できめるということは規則八条できまっている。そこで、あなたは三百二円というものをその九割として計算されたという説明があったから、それはそれでいいのです。ですからその九割に相当する三百二円はわかったわけなんです。ただ、その対象になる基本的なものが、あなたはさっき、全国的な集計ではない、その中の部分的なものを取り上げて割り出してきたという説明をされましたから、そうだとすると、全国的な集計が出てきて変ったら、また変えなければならぬのじゃないだろうかという問題が出てくるから聞いているのです。変らないということであればそれでいいのです。けれども、あなたの説明を聞きましたので、疑いを生じてきたわけであります。それはいいのですよ。全国的な統計がどうなろうと、今まで労働省と大蔵省との間で折衝してきたその基本的なものは動かぬということであれば、話は次に続いていくのです。ぐらついてくると——一方には低いから上げてくれという要求が起っておるのに、上げられぬといって片方は断っている。法律だからしようがないといっている。ところが、今まだ法律の根拠がぐらぐらしていることになると、交渉の余地があることになる。これがはっきりしませんと、私がこれから自治庁長官にお伺いすることの対象それ自身がまたあいまいなことになるので、それで確かめているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604219X00419570320/18
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019・相澤英之
○相澤説明員 失業対策事業の来年度の予算単価の三百二円は、予算単価としては動かないというふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604219X00419570320/19
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020・井堀繁雄
○井堀委員 今、自治庁長官お聞きのように、日雇い労務者の全国平均賃金の予算単価は三百二円にきめられている。それは労働大臣が統計法の命ずるところに従って調査をした結果の上々立って算出されたもので、しかもそれは全国平均——統計上の計算ですからいろいろ説明されておりますけれども、一応三十一年の九月現在の乙調査という実態調査に基いて出てきた数字の上に立って、その九〇%、一割方安いところできめたものが三百二円だ、こう明確にお答えがあったわけです。その点を責任ある立場で明確にされましたので、これに疑いの余地のないものとしてあなたにお尋ねするわけであります。そうすると、そういう手続を経てできた全国平均三百二円で、三百二円に一割以上を加えたものを人夫の予算単価として取り扱っていくという考え方でないと、ある省においては三百円、ある省においては二百八十円ということになってきますと、これは法治国として——しかも、ことにこの内閣は、綱紀粛正という大きな誓いを立てて、厳正公正にやっていこうということであるが、これは法律に基いてやっていこうということである。こういうことは非常に重要なことだと思います。これは、あなたがこの前御説明になりました予算書の説明書に付加されました単価の比較表を拝見いたしますと、二百八十円と三百円の二口に分けて予算単価をここに提示されておるわけであります。その矛盾を一体どうお解きになりますか。これは自治庁長官にお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604219X00419570320/20
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021・田中伊三次
○田中国務大臣 いろいろ詳細な御質問をいただいておりますが、御承知の三十二年度の予算上における人夫賃の単価がたしか二百五十円内外であったと記憶しております。そこで、この二百五十円という単価でございますが、失業対策の場合と比べますと、今のお説の通り、遠慮をして一割減と踏んで見て三百二円という単価になっておるわけでございます。私の方の考え方は、失対事業に全く準ずる経費というものをだんだん考えてみたのでありますが、予算単価の二百五十円というものを基準にして、これをちょうどまん中に当る市に持っていってみよう。それから町村分は、二百五十円よりは勢い安く、二百二十円となっております。それから区の分は、それよりも少し高くなりまして今までのものより五十円上げて二百八十円、市の分と町村分とでは四十円ずつ上げております。こういう行き方でどうだろうかということで、この金額をきめたような事情と相なっております。どちらによるべきかということは相当議論があろうと存じます。失対事業の単価に右へならえということの方があるいは理屈が合うことかもしれませんが、一応予算上の単価によってそれをちょうどまん中に置いて前後三段に分けた、こういう事情となっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604219X00419570320/21
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022・井堀繁雄
○井堀委員 この予算のどこにもそれはないのです。それじゃ私の方からお尋ねしましょう。今まで二百二十円だった区の人夫賃は二百八十円とした、市の場合二百十円のものを二百五十円に上げた、町村の場合百八十円のものを二百二十円に上げた、こういうふうになっておる。ですから、一番高いところをとってみても二百八十円でしょう。今度平均したらまだずっと低くなる。私の伺いたいのは、この失対事業によるものを一般平均のものよりも低いものを定めたということについてです。三百二円に一割加えたものがPWなんです。法律にいう要するに平均のものでなければならぬわけです。だから問題はここなんです。一体選挙事務に携わる人夫賃をニコヨン以下にきめるということはどういうわけかということをお聞きすればすぐわかる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604219X00419570320/22
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023・田中伊三次
○田中国務大臣 これは私もあの答弁の際に言葉が足らなかったわけでありますが、私は専門家でありませんが、こういうふうに了解をしておる。ただいま仰せをいただいた失対の人夫賃の賃金単価二百二円ということは、これは重労働の場合の単価と、軽労働といいますか、軽い労働の単価と二種類のものを平均したもので、少し遠慮したものがお言葉の通り三百二円、こう心得ておるわけです。それで、軽労働の場合と重労働の場合と平均しておるのですが、私たちの今問題になっております仕事の内容から申しますと、これはまさに軽労働に当るもので、重労働には当らないわけであります。失対の単価も詳細にここに数字がないことは申しわけありませんが、私のいろいろやりましたときの記憶から申しますと、二百六十一、二円というところが軽労働の失対の単価となっておるのではないかと見ております。そこで、失対の場合と比較をしましても、選挙は非常に大事な仕事をさすことでございますから、むしろ失対以上の単価をとるということの方が、理想の上からは当然のことではあります。そういう事情でございますので、軽労働の場合の失対の単価と比べますると、あながちそう劣るものではない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604219X00419570320/23
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024・井堀繁雄
○井堀委員 重大な御答弁だと思うのです。あなたは、失対事業法のことを、専門でないから、立場が違うから、係が違うから十分知らないということでいいと思いますが、これはちゃんと規則に書いてあるのですよ。失対事業規則第八条の中で、さっき言ったように二割ないし一割安くせいということは書いてある。これはどういうことかといえば、言うまでもなく、失対事業は、労務の対価として賃金を支払うのじゃないのだ。社会保障の意味を加味されて作られた法律なのであります。ですから、ニコヨンは時間から時間までおればいいのです。しかも、これだけの仕事をやれと言って仕事を強制しちゃならぬことになっておる。そこには、老人もおれば、半病人もいてもいいわけです。とにかく、その限られた八時間の間に、その仕事場についておりさえすれば支払われるという意味の法律なのです。それだから一割ないし二割安いときめられておるわけです。それと、要するに法律によって予算単価というものが——あなたは何か軽労働、重労働と言っておりますけれども、それは失対事業の中には上と下とあります。ありますけれども、予算単価は全国平均なのです。だからその全国平均の場合は三百二円。ところで、あなたのここへ出されておるのは、村もあれば、区もある、町もあると言うけれども、全国平均したらニコヨンより下ということは間違いないのです。ですから、私があなたにお尋ねしているのは、今言ったニコヨンのように労務の対価として支払うべきものではなくて、社会政策的なものを加味した経費、それ以下に見積られるということは重大なことなのです。その理由をあなたはここで明らかにされなければならぬわけです。それは今までそういう根拠があったかなかったか知らぬけれども、今までの二百三十円のものを八十円に上げた、あるいは百八十円のものを二百二十円に引き上げた、この前の説明はこういう説明だったのです。そうすると、この前の予算自身に今言ったように矛盾があるわけです。だから、もとから直していかなけばならぬということになるかもしれません。しかし気がつかなかったかしれません。私も悪意でこういうことはやったんじゃないと思う。他の法律との関係に対して不用意のうちにこういうことになっていったんじゃないか。それなら気がついたときに改むべきものではないか。これを改めないでこのままやるということになると、私どもがあなた方のあやまちに同意を与えることになって、あやまちを二重に犯すことになります。説明が出たので初めてわかったわけであります。ですから、そうでないと言うならば、なぜニコヨン以下のものを何に基いてやるかという根拠を明らかにしなければならぬ。これは重大なのです。何か法律があるなら法律を説明して下さい。私はいろいろ調べたが、これ以外の法律はないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604219X00419570320/24
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025・田中伊三次
○田中国務大臣 何度も申し上げてはなはだ恐縮でございますが、この失対の三百二円ということは、この法律表示の基礎は、やはり言葉は重労働というのか軽労働というのか知りませんが、重労働と軽労働との平均をとったものを、今お説の通り計算の基礎に基いて出すと三百二円になる。だからこれと比較をしていただきますと、何も文句はないわけであります。その通り理論が筋が通るわけであります。政府のとっております基準は、政府の予算上における人夫賃の単価は二百五十円でございますから、その二百五十円をまん中に置いて、下を町村の場合は二百二十円、区の場合において二百八十円というふうに前後をとって三段にした。これ以上の説明は、結局事務当局にやらすよりほかにはいたしようはないわけであります。それはあしからずどうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604219X00419570320/25
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026・井堀繁雄
○井堀委員 これは田中長官大事なことなのですよ。あなたは何も食い違いはないと言われれば、見解の相違になるかもしれませんが、どっちも予算単価です。予算単価ですから、実際支払われるものは、高いところもあり低いところもあってもいいわけです。しかし、その予算単価が、今言ったように、一方では法律でちゃんときめてあるわけです。この法律できめられたものは九割なんです。一割安いのです。安いものが三百二円になっている。それから上なら、何ぼ上でもかまわないのですよ。低いものをきめるというのは、何かの根拠があれば別です。今あなたの御答弁によりますと、高いものも低いものもある。それはあるでしょう。ニコヨンだって三百二円が平均で、東京では四百円になっているものもあるかもしれません。選挙を手伝う者は三百円になるかもわかりません。それはいいのですよ、平均ですから。しかし、予算単価として出す場合には、三百二円を下ってはならぬじゃないかということに対して、あなたは私どもを納得させるだけの答弁をしなければなりませんよ。あなたでなく、事務当局でもけっこうです。どなたと私は言いませんけれども、どなたが言われても、法律を二通りに解釈することはできますまい、あなたも法律家だから。だから、ほかにあればいいのです。
そうすると、こういうことになりましょう。政府の正式の予算で見ていくところで、ニコヨン以下のものをきめてくるということになりますと、これはくずれてしまいますよ。別の意味であなた方の予算にも関係いたしますからね。町村や県が行う事業に対して、この労務者が雇用されるのですからね。そして特別失対事業なんというものが今出てきているでしょう。この失対では、労務の対価として基準をあまり動かすことが不適当なものだし、労働力の価値によって雇用することが事実上困難になっているものですから、格づけをしていこうという考え方がその法律で一本出てくるわけです。しかし、予算の単価を下回っちゃならぬ、平均は下回っちゃならぬという法律の精神で、自治団体は政府の補助金をもらってやっておるわけですからね。だから、これは全体が狂ってきますよ。だから、個々の問題だけでなしに、こういうものも要するに共通した解釈のもとになさるべき事柄の一番大切なものじゃないかと私は思う。しかし、あなたが、これは正しいのだ、間違いないのだと言うには、どこにその根拠があってそういうことになるかということになると、法律を持ってくるよりしようがない。この法律以外にありますまい。何かそれがあるなら、一つはっきりしなければならないでしょう。そんな無理を言っちゃいけません。あっさりかぶとを脱いで……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604219X00419570320/26
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027・田中伊三次
○田中国務大臣 かぶとは幾ら脱いでもいいのですが、事の筋を立ててお話をいただいておるわけでございますから、筋を立ててお話を申し上げることが誠実である、私はこう思って申し上げておるわけですが、同じことになりますけれども、失業対策の法規上定められたこの三百二円というものの基礎を分析してみると、軽労働という言葉はどうかしらぬが、とにかく軽労働と重労働とがある。その軽労働に当るものだというわけです。本法に規定しよう、ベース・アップしようというところの人夫賃は、これは重労働じゃないのです。軽労働だとすると、その三百二円の基礎となっている軽労働の基礎というものは、たしか二百六十円くらいと私は思っておる。軽労働の平均の基礎というものが二百六十円内外のものであるといたしますと、そんなに無理なものではなかろう。それから、今もあなた自身が仰せになりましたように、失対の単価が社会保障的の意味を持っているということ、これはお言葉の通りです、法律にも書いてあるのですから。ところが、私たちの考えているものは、これは失対事業としてやるのじゃない。失対の単価というものに比較して分析してみても、失対のうち軽労働としての単価と比較してみて必ずしも非難をさるべきものではない、こう考えることが一点。それから、本来は失対の単価と比較さるべきものではない、これは国の一般会計の予算単価と比較さるべきものである、こう考えて、それをまん中に置いて、高いものと低いものと三段にしておる。よくわかっておるわけなんです。そういうことなんであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604219X00419570320/27
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028・井堀繁雄
○井堀委員 あなたがそういう解釈をされますと、ほかで問題を起しましょうよ。そういうことよりは、これはもう明らかなんですよ。あなたがお認めになっているように、法律にはどこにも軽労働とか重労働とか書いてありませんよ。三百二円の予算単価でいくのです。執行上において平均にさえなればいいのです。そういう予算単価というものは、どこまでいったって同じことなんです。その予算単価が三百二円というものに対して——三百二円というのは、今言うように統計法から出てきている。その九割できめたということは明らかなんです。ですから、それ以上になっていればいいのですよ。十割以上ですね。これに一をかけた十以上のものなら、予算単価は何ぼでもいい。それ以下できめるということになれば、それを説明するだけの法律がなければならぬ。あなたの解釈する軽労働、重労働というものは、どの法律に書いてあります。失対法には書いてありませんよ。予算単価を定める。そして二十一日で換算する。だから二十四日働かせれば、あるいはそういうことが起るかもしれませんよ。就労日程を動かすとか、そういうことはあり得るかもしれません。しかし軽労働とか重労働とかいうものによって予算単価を動かしていいなんて、どこにも書いてない。だから、そういう主張をされたら、これはどうも大狂いがきますよ。どこにもありませんよ。法律のどこにそんなことがありますか。そうじゃないのですよ。今問題にされている予算単価というものは、やはり三百二円以上にきめてもらわねばならない。そうしてそれは、実際には、あなた言うように、予算単価以下で使っているところができたって一向に差しつかえない。平均して予算の操作上に合いさえすればいい。財政法に触れなければいいわけです。しかし、根本を動かしちゃいけませんよ。これがどういう法律に基くかということは非常に重大なことです。もしあなたがそういうことを言うと、こういうものに対して同意を与えるわけにいかない。事務当局でもけっこうです。こういう大事なこと——だから、こういう点については、そういうあれじゃなくて、今まで低いものをきめていたので、それにちょっとプラスしたらこうなったということであろうと私は思うので、そうだとすれば、その扱い方について善処しようじゃないか。この法律に書いてあるのじゃなくて、参考資料として出された数字なんです。だから、参考資料について検討していただいて、それを法律に触れぬようなものにしようじゃないかという相談なら、私は乗ります。しかし、違法じゃないと言うと、これはくずされてきます。大事な点でありますから、なおその点はっきり確認していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604219X00419570320/28
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029・田中伊三次
○田中国務大臣 法規の中をお読みになると、軽労働、重労働——軽労働の最低が幾ら、重労働の最高は幾らと書いてないのです。ないが、三百二円という法定の金額ですね、その積算の基礎を分析してみると、重労働をする失対もあるし、軽労働をする失対の単価というものはあるわけです。そんなところは議論のないところですがね。そこで、そういうふうにこれを適用することが、どれに右へならえをして基準を考えることがいいかという問題になってくると、分析をしてみなければならぬ。重労働と軽労働と合わして、そうして失対の単価三百二円というものが出ておるのですから、その内容においては、軽労働に相当する金額はどの程度のウエートを持っておるものか、これは何もおかしいことはないと思うのです。二百六十円内外であるということは、それは私は確かに記憶はある。その二百六十円前後から換算をしてみると、ここに三段を分かった単価というものは、あまり妙なきめ方ではなかろうじゃないか。しかし、これはもともと失対の単価によってきめようというのじゃなくて、一般会計の予算単価によってきめたということに中心を置いて、それをまん中にして前後二、段にしたんだ、こういうことです。しかしながら、どうしても失対の結論として出た三百二円にならわなければならないものだという見解に立って御議論になりますと、それはいろいろ御議論はありましょう。私は、三百二円の基礎にしておるものの中には、軽労働がある、その軽労働に匹敵すべきものである、そうすれば大した非難を受けるべき金額ではない、こういうふうに考えておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604219X00419570320/29
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030・井堀繁雄
○井堀委員 固執されるようでありますから、私も譲るわけにはいかぬと思う。あなたが私どもに審議を求めてきているのは、予算単価なんです。三百二円も予算単価なんです。あなたは今軽労働もあり重労働もあると言うが、それはありますよ。予算単価は三百二円でありますけれども、四百円もらう者もすれば、二百五十円しかもらっていない人もあるんです。それは一向差しつかえない。そのことを私はとやかく言っているんじゃない。ある村においてはニコヨン以下のものがあるかもしれない。ある市においてはそれ以上のものもあるかもしれませんが、そのことは問題じゃなくてわれわれが今審議しているのは予算単価をいずれにするかということなのです。その予算単価は、ニコヨンの問題はちゃんと法律に説明がうたってあるじゃないですか。それで、わざわざあなたのいらっしゃるところで大蔵省の主計官に説明を求めた。これは、今までの答弁で明らかなように、昭和三十一年の九月に全国的な調査が行われて、その集計中である、しかし、労働省と大蔵省との間には、その出るであろう集計の結果の上に立って、一割安で三百二円というものを出しました、こう明らかになっておるはずです。それが予算単価になっております、こう言っているんですから、これは間違いないと思う。それは一割安いのですよ。国が予算単価を出すのに、全国平均よりも低いものを持ってこなければならないということは、一体どういうわけですか。実際は高いところと低いところが出てきましょう。しかし、予算単価で議論するときには——しかも選挙は一番大事なことでしょう。民主政治を作るのです。よしんば人夫であろうと嘱託であろうと——それと同時に、出されておる説明をごらんなさい。あなたの方は、地方公務員の給与の実態を調査したところが、相当高い水準になったから、その水準に引キ合うように時間外の勤務手当をあげトう、日曜日や土曜日の特別出勤に対しても手当は増額しようというのです。その場合は、あなたの方は要するに法律で規定された平均をとられておるのです。当然なことですよ。公務員と同じようにするには、法律がなければいいが、片方は今言うように法律がちゃんとあるんですからね。だから、そういうことをやられたのでは、これはてんで思い思いにやられることになるじゃありませんか。実際予算が施行される場合は、財政法に基いて平均さえ狂わなければいいんですが、その原案自身がこれでは困るじゃないか。それをあなたが固執されることになりますと、白を黒と言いくるめようということになるわけであります。これはあなたと私と論議をしてきめるべきことじゃなくして、きまり切ったことじゃありませんか。どうしてそんなことをがんばられるのでしょうか。だから、予算単価は法律に合ったものにしよう、実際上の問題についてはこれこれになるというお話なら、それは私はうなずきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604219X00419570320/30
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031・田中伊三次
○田中国務大臣 何回申し上げても同じことでございますが、黙っているのもおかしいように思いますから申し上げますが、あなたのおっしゃるのは、予算単価だからとおっしゃるのでしょう。予算単価だが、失業対策の予算単価というものは、その内容を分析してみるといろいろある。これも間違いないものじゃないかと思います。いろいろある資料を集めてみて、平均をしてみて一割引いたものが単価の三百二円になっている。そこで、法律上規定せんとしております単価をどの程度に持っていくかということをきめるときに、どれに右へならえをするか。この予算単価に、三百二円に右へならえをしなければならぬというおしかりですが、これはどうも私にはのみ込めない。形式上の予算単価になぜ右へならえをしないかという御言葉が、はっきり申し上げると私にはわからないのです。私が適用せんとするのは、失対の仕事の内容というものは重いものと軽いものがある、こう考えると……。(井堀委員「それは失対をのみ込んでない」と呼ぶ)あなたはそうおっしゃいますが、失対を知らぬ政治家はありませんよ。失対の単価と同様の単価でなければならぬと仰せになることが、どういうことか意味がわからないのです。これはわかりましたから、いい加減なずぼらなことを言おうというのじゃない。これはここで仕事の規定をしております。単価は仕事内容の匹敵するものに右へならえをするということが私は筋ではなかろうか。それから失対々々と仰せになりますけれども、あれは本来は失対事業とは違います。そこで一般会計の人夫賃単価に右へならえをするということも一つの方法じゃないか、どうしてそれをいけないと仰せになるかというそこが、私は、議論じゃありませんが、どうもあなたの仰せになることがのみ込めない。何でしかられておるのかわからぬ。こういうわけだという説明をして下されば、それはあながち我を貫いてどうというのじゃないのです。ただ、単価をきめますときの、改正法をきめるときの数字の立て方、数字の考え方としては、一般人夫賃の単価によった。そうして失対のものも比較に出ました。しかし失対は軽労働の場合もあれば重労働の場合もある。これは種々雑多のものがある。それを平均したものから一割引いたものなんだから、軽いもの比較をしていくということで無理はたかろう、こういうことできまったそうでありまして、無理に我を貫こうという意向は私にはないわけです。その点は一つ御了承をいただいて、さらにお説を一つ承わりまして何か私の方に及ばざるところがあればいつでも直していいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604219X00419570320/31
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032・井堀繁雄
○井堀委員 私の説明の仕方がまずいように感じますので、それで実は時間をかけたわけなんです。あなたにいきなりお伺いをする前に、大蔵省をわずらわしてそれで論議をしたつもりでありますけれども、私の問い方が不十分か、あるいは問い方がまずかったかもしれませんが、もう一ぺん繰り返しますと、私の今失対関係のものを聞いたというのは、失対関係は法律になって明らかなんです。あなたは失対の実態の中には重労働もあれば軽労働もあると言いますけれども、法律にはありませんよ。(「あるのだよ」と呼ぶ者あり)法律にあるのは、全国のそれぞれの地域や時期において屋外労働の乙調査をやっている。屋外労働のそれぞれの調査をして、その平均より一割方安いところで予算単価を出すことになっておるわけです。だからそれは屋外労働である。このことは、あなたにも聞かなかったけれども、あなたの退席されたあとで兼子部長に聞いたんです。嘱託と人夫との違いは何かと聞いたら——まあ、嘱託と人夫の違いを聞いたのもおかしいと思いますけれども、人夫というのは主として屋外労働、嘱託というのは屋内労働だ、こういう御答弁がありましたから、それはそれでもいいと思う。だから屋外労働というのは言うまでもなく乙です。法律でいえぱ乙調査の対象になる。統計法にちゃんとそのことを規定してあるのですよ。私は多少これに関係して調査したことがございますから、法律については調べたつもりなんです。法的根拠は、統計法第三条第二項の規定に基く職業別賃金調査規則、指定統計第五十三号に基いてちゃんときまっているのです。きまったことに基いて調査をされて、その集計されたものをPWと言っているわけですが、附則によってそれより八〇%ないし九〇%の低いところにきめる。なぜ低いところにきめるかというと、それは労働の質に見合うような賃金ではないのだ、すなわち社会保障的な性格を持っており、社会政策的なものとしてこの賃金が計算されてくるからというわけなんです。これは法律には明らかなんです。その法律を出しているわけですからね。だから、平均というものは、今言うように労働の価値に対する正当な報酬じゃなくて、労働という形式をとらせてやっていこうという精神なんです。しかし、選挙事務というのは公けの仕事でしょう。その選挙事務を手伝わせるわけだ。これはニコヨンとは違いますよ。ニコヨンじゃありません。だからこそ一般公務員と地方公務員については時間外の手当を払うんじゃないですか。土曜日や日曜日出たときには特別手当を支給する特別の法律を出しておるんじゃないですか。だから、人夫やあるいは嘱託に対しては、やはり一人前の仕事を期待している。だから、そういう意味でニコヨンよりは高い賃金が計算されてくるということはあり得るとしても、それより低いという理由はないです。予算単価はそうきめられるけれども、ニコヨンの予算単価は三百二円であっても、二百五十円のところもあれば四百円のところもある。そのことを私は言っておるのじゃない。それがあるからといって、ニコヨンのうちのどこか中くらいの低いものを引いてあなたはおっしゃられるけれども、それは予算じゃありませんよ。実施面における議論です。実施面においてはそういうことは起るかもしれませんが、予算においてニコヨンより低いところを置くということになると、それはやはり今言うニコヨンの賃金をきめる法律の精神を越えた一つの新しい解釈を下すということになるのです。それは重大ですよ。こういう私の説明の仕方が悪いでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604219X00419570320/32
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033・青木正
○青木委員 関連して。井堀委員と自治庁長官の問答を聞いておりますと、私、お互いにこういう議論をしますと、何か平行線になってしまうのじゃないかという気がするのです。といいますのは、井堀委員の気持もよくわかるのでありますが、御承知のように国が選挙の仕事を市町村に委託する場合に、法律は基本額幾ら幾らと基準を規定しておるのであります。その基準を定めるに当りまして、配付せられました参考資料には、こういう積算で一応こういう基準額をきめたのだという法律の建前になって、そのこまかい数字が出ておるわけであります。そこで、われわれ公職選挙法の委員の一同の気持としては、常に前からの沿革がありまして、国が選挙の仕事を市町村に委託する場合に、今までのあり方から見ると非常に少いのじゃないか、大事な選挙を市町村に執行させるのには、もう少し国がめんどうを見るべきだ、こういう基本的な考え方があるわけであります。そこで、法律に出ております基本額をきめるに当りまして、配付になりました参考資料を見ますると、その基本額をきめるのに見方が少いのじゃないか、こういうのがお互いの考え方であります。たとえば人夫賃のごときも、失対の人夫賃よりも低いような根拠において積算してきているが、その積算の仕方が選挙の仕事の大事さということから考えると無理じゃないか、こういうことからきておるのでありまして、失対事業の三百二円のきめ方の問題に論議が入ってしまいますと、本来の井堀委員の考えというか、御質問の要旨も、その問題を議論しようというのではなくて、選挙費用というものはもう少し見てやらなければいかぬ、おそらくこういうことに議論があると思うのであります。そこで、私どもの考えといたしましては、積算の基礎がここにある。この積算の基礎が果していいのかどうか。また実際に、財政当局との折衝において、どういうことでこういう積算の基礎が出てきたか。この点を十分に研究いたしまして、できることならば、選挙が十分に執行できるように、国としても費用を見るべきではないか。こういう気持から井堀委員もおそらく質問なさっておると思うのでありますが、先ほど来の質疑応答を聞いておりますと、何か失対事業と選挙の人夫の金が安くていいかどうか、こういうふうな議論になってしまいますと、これは議論がはなはだほかの方に飛んでしまいまして、いつまでたっても議論が尽きないのではないかと思うのです。そうでなしに、一つ積算の基礎をきめる場合にもう少し高くすべきではないか、こう思うのでありますが、しかし、また、いろいろ財政の都合等もあるでありましょうし、また実際の選挙の執行に当りましては、この範囲内において現実に即するように人夫賃の支払い等もできることでありますので、そういう観点で検討する必要があるのではないか、私どもはこう思うのです。井堀委員のお気持もよくわかりはするのでありますが、どうも議論が失対事業のきめ方の議論に入ってしまいますと、いつになっても議論の果てしが尽きませんし、この委員会の目的からはずれるようなことになってしまってもと考えるのでありますが、むしろ、私は、そういう観点に立ちまして、事務当局から、大蔵当局とこの基準を改訂するに当りましてその間の折衝した経過と申しますか——本来ならば、井堀委員の言うように、少くとも失対の人夫賃程度までやるべきが当然とも考えるのでありますが、どうしてこういうような低い基準というか、積算の基準をとったか、むしろその折衝の経過を率直に御説明願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604219X00419570320/33
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034・兼子秀夫
○兼子政府委員 人夫賃につきましていろいろ御質疑、御意見がございましたが、現行の人夫賃が著しく低いのではないかということから出発いたしまして、今回の改訂を考えたわけでありますが、国の人夫賃の予算単価が二百五十円でございまして、これは軽作業と申しますか、そういうものの賃金の数字を基礎にとりまして、大蔵省として人夫賃をおきめになっておられるようであります。その二百五十円を基礎にいたしまして、町村の格差と申しますか、やはり従来の建前がありますので——従来区と市と町村と開いて三段階にきめておりましたので、二百八十円、二百五十円、二百二十円にきめた次第でございます。選挙公報の配布の人夫賃は別でありまして、三百円ときめております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604219X00419570320/34
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035・青木正
○青木委員 それでは、主計官に承わりますが、国の予算における人夫賃というのは、どんな場合に二百五十円になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604219X00419570320/35
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036・相澤英之
○相澤説明員 選挙の場合の人夫賃の基準をどこにきめるか。自治庁当局から、長い間改訂しないので、この引き上げの要求があったわけであります。そこで、先ほど選挙部長から答弁がございましたように、国の一般の場合における賃金——これは国の場合でもいろいろございますが、たとえば安いごく単純な計算をやるものにつきましては、二百二十円くらいの単価をとっているかと思います。それから軽作業につきましては大体二百五十円くらいの基準でやっているわけでございます。そういうような点を勘案いたしまして、前回の単価から約二割強引き上げる措置をしたわけでございまして、先ほど失業対策事業の単価が関連に出されておりましたが、この失業対策事業の単価の引き上げ率は、御案内の通り大体七%ということになっておるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604219X00419570320/36
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037・井堀繁雄
○井堀委員 これは、今青木委員から質疑がありまして、また一つ新しい問題が出されたわけです。国は軽労働に対しては二百五十円という一つの目安を持っておる。これは目安なら目安でけっこうです。しかし片方の失対事業の方は法律になっている。ですから、その予算折衝上どういう目安を置いてこういうものをおきめになるかということについて、私どもはとやかく言う筋でないかもしれません。しかし、ここで私は明らかにしておきたいことは、少くとも緊急失対事業法の精神を理解することができるなら、選挙のような重大な任務を遂行させる——屋外であろうと屋内であろうと、人夫であろうと嘱託であろうと、この失対事業の賃金以下に予算単価を持ってくるということでは、完全な業務を期待することはできぬじゃないか。というのは、失対法の精神にもありますように、これは正当な労務の報償として規定してあるものではないのです。この点に対して私は明確な御答弁をいただこうと思って、先ほど来お尋ねをしておるのでありますけれども、何回お聞きしても明快な答弁がいただけない。そのうちに二百五十円の予算折衝の基準が出てきておる。これは私と自治庁長官で議論しても何だと思いますから、いずれ大蔵大臣の出席を求め、この点については明確にいたしたいと思います。そうしませんと、われわれはニコヨン以下の労務しか期待できないような予算を承認することはできません。この点だけはっきり申し上げておきます。これは一つ十分大蔵当局との間のお話し合いを願って、しかるべくわれわれの了解のできるようなものにしてもらいたい。提案されている法案自身についてどうこう言っておるのではありません。こういう積算の基礎が具体的に出されてきますと、そういう点を明らかにしなければならぬと思いますので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604219X00419570320/37
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038・石坂繁
○石坂委員長 ちょっと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604219X00419570320/38
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039・石坂繁
○石坂委員長 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604219X00419570320/39
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040・田中伊三次
○田中国務大臣 御審議をいただいております、改正をしたいと考えて出しております案の三段の単価につきましては、その単価がまことに低いことにつきましては十分承知をしておるわけでございまして、将来機会のありますたびごとにこの単価を引き上げていくことに努力をいたしまして、将来の努力によって御期待に沿うて参りたいと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604219X00419570320/40
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041・石坂繁
○石坂委員長 他に御発言はありませんか。——他に御質疑がなければ、これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
次会は明後二十二日金曜日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後五時三十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604219X00419570320/41
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