1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十二年三月二十六日(火曜日)
午前十時五十九分開議
出席委員
委員長 門司 亮君
理事 亀山 孝一君 理事 鈴木 直人君
理事 山中 貞則君 理事 吉田 重延君
理事 川村 継義君 理事 中井徳次郎君
川崎末五郎君 木崎 茂男君
纐纈 彌三君 櫻内 義雄君
徳田與吉郎君 丹羽 兵助君
福井 順一君 古井 喜實君
渡邊 良夫君 淺沼稻次郎君
今村 等君 大矢 省三君
北山 愛郎君
出席国務大臣
国 務 大 臣 田中伊三次君
出席政府委員
自治政務次官 加藤 精三君
総理府事務官
(自治庁行政部
長) 藤井 貞夫君
総理府事務官
(自治庁財政部
長) 小林與三次君
総理府事務官
(自治庁税務部
長) 奥野 誠亮君
委員外の出席者
専 門 員 円地与四松君
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三月二十五日
委員今村等君辞任につき、その補欠として稻村
隆一君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員稻村隆一君辞任につき、その補欠として今
村等君が議長の指名で委員に選任された。
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三月二十二日
地方公務員の停年制反対に関する陳情書
(第五五七号)
同(第六一七号)
法令外寄付金負担金の撤廃に関する陳情書
(第五五八号)
法令外寄付金負担金の撤廃等に関する陳情書
(第五五九号)
府県制度廃止等に関する陳情書
(第五六〇号)
町村議会事務局の法制化に関する陳情書
(第五六二号)
同
(第六五五号)
消防施設税設置に関する陳情書
(第五六三
号)
地方債対策に関する陳情書
(第五六
四号)
新町村建設促進に関する陳情書
(第五六五
号)
同
(第六五四号)
地方債の償還期限延長等に関する陳情書
(
第五六六号)
町村財政確立に関する陳情書外一件
(第五六七号)
国及び県営事業に対する町村負担金軽減に関す
る陳情書
(第五六八号)
町村道補修費補助等に関する陳情書
(第五
六九号)
合併不能町村の助成措置に関する陳情書外一件
(第五七〇号)
地方公務員の停年制実施に関する陳情書
(
第五七二号)
法人事業税率引下げ反対に関する陳情書
(第五七三号)
教育公務員の停年制反対に関する陳情書
(第五八七号)
都市公園整備に関する陳情書
(第五九一号)
雪寒地域道路事業の地方財政再建促進特別措置
法指定除外に関する陳情書
(第五
九七号)
地方財政確立に関する陳情書
(第六一九号)
同(第六五九
号)
地方行政機構の簡素化に関する陳情書
(第六四五号)
大規模償却資産に対する所在市町村の課税限度
額引上げ反対に関する陳情書
(第六五二号)
給与法改正に伴う獣医師の処遇に関する陳情書
(第六四八号)
地方公務員の給与改訂に伴う財源措置に関する
陳情書(第
六五六号)
公営住宅に対する国有資産等所在市町村交付金
免除に関する陳情書
(第六五七号)
住民税率引下げに関する陳情書
(第六五八号)
地方交付税の配分に関する陳情書
(第六六〇号)
警察法の指定推薦公安委員に関する規定削除の
陳情書(第
六七七号)
を本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
市町村職員共済組合法の一部を改正する法律案
(内閣提出、第二十五回国会閣法第七号)
昭和三十一年度分として交付すべき地方交付税
に関する特例に関する法律案(内閣提出第三三
号)
地方税法等改正に関する小委員長より報告聴取
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01519570326/0
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001・中井徳次郎
○中井委員長代理 これより会議を開きます。
委員長が事故がありまするので、私がしばらく代理を勤めます。
まず市町村職員共済組合法の一部を改正する法律案を議題として質疑に入ります。質疑があればこれを許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01519570326/1
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002・亀山孝一
○亀山委員 市町村職員共済組合法の一部改正法律案に関しまして質疑をいたしたいと思います。
まず第一に、恩給の年金の年限は十七年でございますが、この共済組合の年金の年限は二十年となっております。これを恩給並みに、すなわちこの二十年を十七年に改正するお考えがあるかないか、これを一つお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01519570326/2
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003・藤井貞夫
○藤井(貞)政府委員 現在、年金につきましては、御指摘のように吏員につきましてはいわゆる退隠料、これは条例でやっておりますし、またこれに対応いたしまして雇用員につきましては、共済組合の形をもちまして長期給付を行なっておるのであります。二本建になっておりますことにつきましては、基本的には問題があることは事実でございます。ただ従来の沿革、すなわち雇用員等につきましては、従来は長期給付ということは認められておらなかった、それを共済組合の給付の形において実施することにいたしたというような沿軍的な問題、あるいはこれを負担をいにします財源の問題等から考え合せまして、現在雇用員に対しましては長期給付の年限が二十年ということに相なっておるのであります。この点は地方職員だけの問題ではございませんで、国家公務員につきましても、恩給と国家公務員の共済組合の長期給付、この二本建に相なっておりまして、これはいずれも年限につきましては十七年、二十年ということに相なっておるのでございます。ただこのことが長い目で見まして一がいに雇用員にとって不利であるとは言いかねる点もあるのでございまして、と申し上げますのは、共済組合の場合におきましては、いわゆる加算率が恩給の場合とは異なっております。すなわち恩給の場合は十七年で恩給年限に達しました場合、その後の勤続年数につきましては、一年について百五十分の一ずつを加算をいたしていくわけであります。しかし共済組合の長期給付の場合におきましては、一年について四日を加算をしていくということに相なっておりまして、比率から申しますと恩給の場合の百五十分の一は、これを一年に伸ばしますと二・四日というようなことに相なっておりまして、従って長期勤続をいたしました者につきましては若干加算率が増加いたしますために、実際に入費いたします年金額というものが、不利にはならないというような状況には相なっておるのであります。しかしながら何といたしましても同じ公務員でございまして、それについての長期給付の年限というものが十七年、二十年というふうに異なっておりますことには問題があることは事実でございます。将来国民皆保険というような点が出て参りますに伴いまして、それらの一環といたしまして検討を加えて参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01519570326/3
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004・亀山孝一
○亀山委員 大体わかりましたが、次にいま一つ御賛同を申し上げたいと存じます。
それは、同じ市町村職員の年金制度について、雇用員に対しては共済組合、吏員については恩給組合、こういうように二本建となっておるのでございますが、これを一元化なさるお考えがあるかないか、ちょっとお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01519570326/4
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005・藤井貞夫
○藤井(貞)政府委員 この点につきましても先刻関連をして申し上げたことに尽きるのでございますが、いろいろ沿革的その他の事由から現在は恩給制度と共済組合の制度と、二本建に相なっておるわけでございます。これらの点につきましても、将来全般的な保険制度の一環といたしまして、これの統一ということにつきまして慎重に考慮をいたして参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01519570326/5
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006・中井徳次郎
○中井委員長代理 他に御質疑はありませんか。——別に御質疑もなければ、これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
ただいま委員長の手元に亀山孝一君より市町村職員共済組合法の一部を改正する法律案に対する修正案が提出されております。
まず、本修正案について提出者より趣旨の説明を求めます。亀山孝一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01519570326/6
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007・亀山孝一
○亀山委員 市町村職員共済組合法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する修正案を提出いたします。すなわちこの案を読んでみます。
市町村職員共済組合法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。
附則第一条本文中「昭和三十二年四月一日」を「昭和三十二年七月一日」に、同条ただし書中「健康保険法等の一部を改正する法律(昭和三十一年法律第 号)の施行」を「健康保険法の一部を改正する法律(昭和三十二年法律第 号)附則第一条後段の規定による同法の施行」に改める。
附則第四条中「昭和三十二年三月三十一日までの間は、」を「健康保険法の改正に伴う改正規定等の施行の日から起算して三月間は、」に改める。
附則第八条中「昭和三十二年四月 一日」を「昭和三十二年七月一日」 に改める。
附則第十三条中「昭和三十二年四月」を「昭和三十二年七月」に改める。
以上でございまして、これが提案の趣旨につきまして、概略を御開明申し上げたいと存じます。
市町村職員共済組合法の一部を改正する法律案は、今回健康保険法及び国家公務員共済組合法の改正が行われることに伴い、これに照応して必要な改正を行うことをその骨子とするものでありますが、健康保険法等の一部を改正する法律案が衆議院で修正可決されたこと等に伴い、本法律案におきましてもこれに関連して若干の修正を行う必要があると認めましたので、本修正案を提案した次第であります。
修正案の内容の概略を申し上げますと、第一は健康保険法等の一部を改正する法律案の修正に伴うもので、同法案のうち健康保険事業の国庫補助に関する規定以外の規定は、公布の日から起算して二ヵ月以内に政令で定める日から施行されることとされたため、本法律案の規定中健康保険法の改正に伴う改正規定の施行明日をこれに合せるものとしたことであります。
第二は、健康保険法の改正に伴う改正規定以外の反正規定の施行期日は昭和三十二年四月一日となっておりますが、本法律案が成立した場合の公布期日は、本法律案を提案いたしました際予定しておりました公布期日から三カ月余おくれることとなりますので、これを同年七月一日と改めたものであります。
以上、本修正案を提出しました理由並びに本修正案の内容の概略を申し述べたのでありますが、何とぞよろしく御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01519570326/7
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008・中井徳次郎
○中井委員長代理 本修正案について質疑がございますか。——別に御質疑がないようでありますから、次に原案並びに修正案を一括して討論に付しますが、討論の申し出はございませんか。——別に討論の申し出もありませんので直ちに採決いたします。
まず、亀山孝一君提出の市町村職員共済組合法の一部を改正する法律案に対する修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01519570326/8
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009・中井徳次郎
○中井委員長代理 起立多数。よって本修正案は可決せられました。
次にただいま可決いたしました修正部分を除く市町村職員共済組合法の一部を改正する法律案について採決いたします。本部分に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01519570326/9
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010・中井徳次郎
○中井委員長代理 起立多数。それでは、ただいま修正議決されました市町村職員共済組合法の一部を改正する法律案に関する委員会の報告書の作成並びに提出手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01519570326/10
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011・中井徳次郎
○中井委員長代理 御異議なしと認め、さように取り計らいます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01519570326/11
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012・中井徳次郎
○中井委員長代理 続いて、昭和三十一年度分として交付すべき地方交付税に関する特例に関する法律案を議題とし、質疑に入ります。亀山孝一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01519570326/12
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013・亀山孝一
○亀山委員 議題になっております、昭和三十一年度分として交付すべき地方交付税に関する特例に関する法律案につきまして、若干質疑をいたしたいと存じます。
地方交付税は国税三税の百分の二十五でありますのが、この法律の制度の結果、本年度の交付税は、百分の二十四余りにすぎないこととなるのでありますが、このことは地方交付税の本質からいって不都合ではないかと思うのでございますが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01519570326/13
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014・田中伊三次
○田中国務大臣 二五%の税率を一%引き上げるという措置を行いまして、法律の改正をお願い申し上げておりますことは、御承知の通りでございます。実質的にながめまして、この交付税法の改正が一%の引き上げで、果して合理的であるかどうかという問題でごさいますが、この問題に関しましては、かねてよりしばしばの機会に申し上げておりますように、第一は地方税収それ自体に、相当の量にわたりまして自然増収があるということ、もう一点は、国の財源の都合によりという、第二の理由等をあわせ考えまして、形式上一%引き上げるということに意見の一致を見た次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01519570326/14
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015・亀山孝一
○亀山委員 大体了承いたしました。次にこの制度は、当然年度内に交付すべき地方団体の財源を、国が一方的に交付しないこととするということは、地方自治の侵害ではないかと思うのでございますが、いかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01519570326/15
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016・田中伊三次
○田中国務大臣 本来は三十一年度に交付すべきもの、これが法律の命令でございますが、これを改正して、第一次補正及び第二次補正を合せました百十億のうち、大体八十六億円を三十二年度に加算をして交付をしようという措置でございます。これは考えようによりましては、交付税法に定めました交付をやらないで、次年度に行うという点につきましては、そういう疑いが若干起る余地がなくはなかろうというふうに考えるわけでございますが、三十一年分の精算をいたしました上で、三十三年度に至りまして、この八十六億円を国の一般人から埋める処置を講ずるものといたしますならば、必ずしもそういうふうな結論にはならぬのではなかろうか。しかしそれは、穴を埋めるのか埋めないのかということに結論がかかっておると存じますが、これは三十三年度に至りまして、地方財政の実情を見た上でその態度をきめようということになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01519570326/16
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017・門司亮
○門司委員 今のような答弁では、ちょっと聞いておかなければ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01519570326/17
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018・中井徳次郎
○中井委員長代理 ただいま委員長が見えたのですが、御質疑があるようですから、私が引き続いて委員長席を汚します。門司亮君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01519570326/18
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019・門司亮
○門司委員 私からちょっと質問をいたしておきたいと思うのですが、今の大臣の答弁を聞いておりますと、三十三年度に問題があったときに協議すればいいというようなお話のように受け取れますけれども、これは私は非常に大きな誤まりだと思うんです。平衡交付金の当時には、私は大臣の答弁でよろしいかと思います。平衡交付金のときには、御承知のように、地方財政需要額と地方財政収入額とのアンバランスを埋めるということであって、いわゆる国の裁量によってその数字が自由に動かされた。町の政府の都合で自由に動かされるということではいけないというので、交付税ということにして、数字を動かすことができないようにしてあるはずです。従って地方の既得の権利といいますか当然配布さるべきもの、交付金ではないのであって、当然これは地方の権利として政府がめんどう見なければならぬものである。大臣が今のような答弁をされるということになっては、おそらく交付説というものが何ものであるかということを御承知になっておるのかどうか疑わしい。ここでは大臣は必ず、この八十六億になりますか、この穴埋めをする、一般会計から必ず穴埋めをするという言質のない限り、この法律は通すわけにいかぬと思う。四千幾つあります地方の各自治体の非常に大きな問題だと思う。だからここでは大臣は、必ず一般会計から穴埋めをする、地方財政に穴をあけぬようにするということは、自治長官として当然なさるべき答弁である。三十三年度の財政を見てからということは、一体既得権をどうするつもりですか。法律できめられた額ですよ。平衡交付金ではないのである。平衡交付金の場合は、そういう答弁でよかったと思う。それではいけないからというのでこういう法律に直したのであって、この方法の精神を大臣が十分に御勘案願ったならば必ず一般会計が埋めるという声明ができるはずです。またなされなければならないはずです。もしそれがなされないとするならば、私は与党の諸君でも通すわけにいかぬだろうと思う。穴のあいたまま通っていいとは言われないと思う。何らの言質も与えておらない。与党の諸君がこのまま通していいと言うならおかしいと思う。
〔中井委員長代理、退席、吉田(垂)
委員長代理着席〕
もう一ぺん答弁をやり直して下さい。われわれの納得のいくように、というよりも、四千幾つの市町村の納得のいくように、答弁をやり直していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01519570326/19
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020・田中伊三次
○田中国務大臣 答弁のやり直しという筋ではないのでありますが、法律の改正を願いまして、改正のお許しが得られるならば、改正された法律に基きまして、八十六億の使い方をきめようというわけでございます。法律の改正がお許しいただけるならば、八十六億を三十二年度において使おう、硬い道は公債費の一部処理に充てよう、こういうことがその筋でございます。そこで残る問題は、本来、今公債費処理の対象となっておりますような種類の公債費については、国家の責任を明らかにして、国家が補給すべきものではないかという所論が台頭して参りまして、この所論の筋が通るものといたしますというと、自分の財源を先食いして、国家の行うべき補給を自分の財源で行なっておるということの結論が出るわけであります。そういう際には一体その財源を埋めるべきであるか、埋めるべからざるものであるかという問題については所論がないのですが、これはしばしば申し上げておる通り、方針がきめていない。しかしお説の通り、本来これは予算の折衝に際して、これを先食いするということの方針をとって法律の改正をお願いするということになった以上は、この八十六億の金はどうする考えかということについての意見は本来はきめるべきものである。私もそれをきめようとしてずいぶん長い日子をかけまして努力をしてみたわけでございますが、どうも意見の一致を見ない。そこで意見の一致を見ないままで法律票の改正を出しまして御審議のお願いをしておるというような事情でございます。私自身の考えとしましては、これは八十六億は一厘も欠けるところがないように、来たるべき時期において断じて処理したい、こういう念願でございます。念願でございますが、それを政府全体の方針がそういう考え方で一致しておるのかということになりますと、これはいいかげんなことを申し上げるわけには参りませんので、ありのままに申し上げることにしておるわけでございますが、それはいまだこれを穴埋めたするという方針が定かになっておるわけではない。しかし交渉の結果、こういうものは埋めないのだということであるならば断じて承服をせぬということで、埋めないという結論にも到達をしておるわけではないわけでございます。長い間閣議で論議をいたしました結果、これは将来の問題として深く考えよう、検討をしよう、こういうことになっておりますので、私の答弁といたしましては、これはあくまでもこれを埋めることに全力を尽す、こういうことが答弁の偽わらざる内容でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01519570326/20
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021・門司亮
○門司委員 どうも大臣の言葉ですが、もしそうだとすれば、ここに内閣総理大臣にでも出てもらって私どもは審議をする以外に、この法案を通すわけには、なかなかいかないと思う。これは私どもだけが了承する問題でなくて、都道府県の、あるいは市町村の全体の将来への非常に大きな問題であります。それから同時にこういうくせをつけるということはよくないことなんです。大臣は、今この八十六億の金は公債費の元利償還に充てるのだというお話でございますが、これも非常に大きな誤まりでしょう。先ほど大臣もお話しのように、まるっ切り自分の財産を先食いするようなことに間違いがないのでございます。地方財政を健全化することのために当然国が支払うべき性質であったものを、国の財政の都合上地方に迷惑をかけておるから、これを国で支払おうという考え方のもとになっておると思う。これは何といっても、この八十六億を公債費に充てようという考え方の出たときに、この問題は話がまとまっておると思う。この問題は大臣が好むと好まざるとにかかわらず一般会計から何らかの形で穴埋めをする以外に方法はない。もしそれがいやだというなら法律が許さぬのです。大臣も法律家だと思います。法律できめられたものを、あとからこしらえた法律でその使い道を一応法律できめて、使い道だけは法律できめるがあとの穴埋めは法律に従わないという理屈はどこにもないと…思うのです。だから、大臣がもしそれがはっきりしなければ、総理大臣に出てもらいまして、内閣の方針を開きましょう。こういう問題は事態がきわめて簡単でありますが、及ぼす影響は非常に大きいのであります。私はこの際一応大臣にお開きしたいのですが、内閣の意見がまとまっていないで、ただ使い道だけを法律できめて、あとは大臣は努力するつもりだというようなことでは、私は日本全体の自治体が承認しないと思う。また大臣も御承知のように、われわれもこの法律は改めた法律であります。昭和二十四年までは配付税であった。しかし配付税ということ自体がアメリカのシステムと少し違うので、シャウプが参りまして、そして地方財政を完全にすることのための一つの方法としてアンバランスを埋めたらいいじゃないか、きまった財源を必ずやるというようなことでなくて、アンバランスだけでよくはないかという、いわゆるアメリカの物の考え方、自治体は自治体として立つべきであって、足らない分だけを田が見てやるという形でよくはないかという制度に改めた。ところがこの制度になって参りますと、地方にどんな大きなアンバランスができても、つかみ分けみたような形になってくる。国の財政の都合で交付金がふえたり、減ったりしてくる。これでは地方の健全な発達はできないということで、地方制度調査会等で長い間議論して、そうして一応は地方に確定した自主財源として今日のような姿になっておるのであります。交付税という税金に改めたこの趣旨は、どこまでも生かすべきであると思う。内閣の意見がまとまっていないような不安定なものを出されては実際迷惑する。大臣の考え方だけで、努力するというような言質だけでこの法案を通すわけにはいかないと思う。これは与党の方は大勢だから、多数をたのんでお通しになれば通るかもわからぬが、筋が通らぬ話ですよ。だから、大臣の言明だけは、ここで必ず一般財政で埋める、今年は財政の都合でできないが、とにかく国が払うという建前が一応できた以上は、この田の払うべき建前に乗って一般財源から埋める、今年は財政の都合上こういう処置をとったというならば、あるいは了解ができるのであります。しかし来年はどうなるかわからぬ、内閣はそこまできめてないというのでは、はなはだ不安定だ。おれを信頼せいと言われるかしれませんが、なかなかそう簡単には参りません。だからほんとうに埋める気があるのですか、ないのですか。あなたの答弁ができなければ総理大臣に来てもらいましょう。そうでなければ池田さんに来てもらう。池田さんに来てもらって池田さんの考えを聞かないと——私ども仄聞するところによると、大蔵省はこの財源をもって埋めるというような考え方になっていないという食い違いがあるらしい。地方自治庁長官は、当然政府の責任を持つべきものはこういう形で八十六億出すんだとお話しになっておりますけれども、大蔵省に開いてみると、あれはそうじゃないのだ、とにかく地方財政が困るからああいう形にしたというようなうわさをわれわれは聞いておるのであります。従って、もしできますならば、政府の方でお話しを願えて、池田さんでも出てきてもらう。池田さんに、今年は財政の都合上こういう処置をとったが、三十三年度には地力に迷惑をかけないという言明でも得まするならば、あるいは了承できるかしれないが、しかしそのお言葉のない限りは、そう簡単にこの問題は承服するわけにいかないと思うのですが、大臣どうです。池田さんを連れて来、総理大臣もここに来てもらい、二人の大臣の保証を得るということはできませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01519570326/21
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022・田中伊三次
○田中国務大臣 これはこういうことなんです。公債費の対策を本年からどうしても第一歩を踏み出してやりたい。もうどんな形でも、どんな苦労をしても、公債費の対策を一歩やりたい、あれはこういう努力の現われなんです。これは申すまでもなく予算上独立の柱を立てて、その独立の柱を実行するために単独の立法をいたしまして、そうして公債要対策の筋を立ててやっていくということになれば、一番理想の上からは文句はないところなのです。文句はないのですが、財源の都合上それはやれない。やれないということに結局ぶち当りました結果、それでは第一次、第一二次の補正が見通されるので、その補正によるところの特別会計の収入をもって公債費に充てよう。しかしこういう不自然な、不合理なことを毎年々々やるということでは、私の方も了承できぬ。一年限りなら、今年一年だけということで、三十二年度に限ってこの不合理を承知の上で、しかしやらないよりやる方がいいという考え方に立って、この不合理をあえて一年だけやろうという、この改正をお願いしておるというわけであります。何をしておるのかとしかられると、頭を下げる以外に言うことはないのです。言うことはないのですが、今ここで大蔵大臣や総理大臣を呼んでいただいて、どうする考えかとお開きをいただくことも、これはどんなものか。三十三年度になっての予算折衝は別個にやるわけでありますから、一つ自治庁、長官を御信用していただきまして、私の念願としてはこれを第一年度のきっかけとしてこの処置をとったわけであるからして、これを国家が知らぬというわけにはいかない筋合いのものでございますので、あくまでもこれを埋めることに努力をするというお誓いをもって一つお許しをいただきまして、三十二年度限りのこの公債費の処置はやる。やらぬよりやる方がいいというお考えをもちまして、これに御賛成をいただきたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01519570326/22
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023・鈴木直人
○鈴木(直)委員 関連して御質問申し上げておきたいのですが、このいろいろないきさつは別としまして、地方交付税法の第六条の解釈を一つお聞きしたいと思うのです。それによりますと、「毎年度分として交付すべき交付税の総額は、当該年度における所得税、法人税及び酒税の収入見込額のそれぞれ百分の二十五に相当する額の合算額」とある。これはいいのですが、それに加えるのに、「当該年度の前年度以前の年度における交付税で、まだ交付していない額を加算し」という規定がありますが、それが毎年度の交付すべき交付額の総額だ、こういうふうになっているのです。この「当該年度の前年度以前の年度における交付税で、まだ交付していない額」というのはどういうことをさすかということを、お聞きしておきたいと思うのです。それは三十三年度において、かりにこの国会において百十億使うという決議をし、法律が通過してしまったという場合には、この法解釈は「まだ交付していない」ということであるから、百十億を引いてしまったあとの残りの部分だけが三十三年度の交付税の中に入るという解釈になるのだ。百十億も当然入るという解釈になるのじゃないか、その点の解釈を一応聞いておきたいと思うのです。
〔吉田(重)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01519570326/23
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024・小林與三次
○小林(與)政府委員 今のお尋ねの点は、かりに百十億を来年度使えば、三十三年度の場合になれば、その金額を差し引いた額が三十三年度で交付していない額になる。法律上はそういうことになろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01519570326/24
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025・鈴木直人
○鈴木(直)委員 今の政府の答弁によりますと、この国会において百十億を先食いするという予算的なり法律的措置をしなかったならば、百七十億程度のものが三十三年度の交付税となるのだ。ところがこの国会において決議をして百十億本年度及び三十二年度に先食いしてしまったということになれば、この地方交付税法の六条の規定によって、当然三十三年度としてはこの百十億を引いた残りを加算するということになってしまう。そういうことになりますれば、今門司君から質問もあり大臣から答弁もありましたように、せめてこの八十六億の分は三十三年度において国が追加をして出せという理論は法律的には成り立たないということになって、大蔵省においてはこの交付税を見ると、三十三年度においては八十六億を穴埋めする必要はないんだ、こういう建前をとってこられた場合に、先ほどの大臣の考え方と意味が違うということになりますが、それに対してはどう考えておられるか。要するに交付税法の第六条によれば、本年度ないし来年度食べてしまったところの百十億というものを差し引いた残額というものが、三十三年度の交付税として組み入れられることになってしまうのだから、八十六億をさらに三十三年度に穴埋めするという理論は、交付税の法理論上出てこないものである、こういうようなことを大蔵当局から言われた場合に、どういうふうにしてこの穴埋めをしろという理論が出てくるか、その点をお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01519570326/25
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026・田中伊三次
○田中国務大臣 お説の通り法改正によりまして三十二年度に八十六億使うという結果、交付税特別会計自体に、一般会計から穴埋めをするという理論は、理論としては出てこないと思います。ところが政治論といたしまして、これを観測をすると、一体今対象といたしますようなこの種類の公債費というものは、これは国家の責任において国庫が地方に補給すべきものである、こういう政治論はだれが考えても間違いのないところであります。そういう本来国家が補給すべきものを国家それ自体の一般財源を用いないで、これを交付税特別会計に持たせたということは政治的に見まして、八十六億の穴があいておることは間違いがない。そういう対象としております公債費は、国庫が負担すべきものであるという性質にかんがみますときには、政治論といたしましては、この交付税特別会計に何らかの形において税源をふやしていく、税としての原資はふえないということでありますから、一般会計から繰り入れの措置を新たに講じまして、ここに金を入れていくということは、政治論としては当然の理屈が出てくるのであろうと存じますので、今私が答弁に埋める埋めぬという言葉を用いておりますのは、そういう政治論から申しておるわけでございます。従って三十三年度に至りまして、これを埋めるという方針になります場合には法律の改正をいたしまして、一般会計から繰り入れていただく、こういうことになるものと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01519570326/26
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027・鈴木直人
○鈴木(直)委員 ただいまの大臣の答弁に、よって、問題の本質がよくわかりました。要するに現在大臣が考え、また質問者が申し上げているのは、この交付税法の第六条というものの法律論ではないのである。従って将来この第六条の法律論をもって大蔵当局あるいはその他が抗弁をするようなことがあっても、それは言うことをきかないのだ、これはいきさつから見ましても、この利子公債費問題は交付税でやるべきものではなかったのだ、八十六億というものは国費をもって支出すべき性質のものであるのだ。ところが予算の関係上、国費をもって支出することができなかったので、便宜的に交付税の先食いの形において八十六億というものを三十二年度の公債費に充てようとしておるのだ、これを交付税法の第六条の法律論から見ると、それは三十三年度においては穴埋めをする必要はないという交付税の法律論にはなるけれども、この政治上の建前から見るというと、それにもかかわらず公債費対策としてやむを得ず交付税を食ったのだから、この分については三十三年度においては当然団費で穴埋めすべきものであるという政治論を押し進めて、三十三年度の予算編成のときに、これを展開しようと考えておるのである、こういうようなはっきりした答弁をいただきましたので、その点は了承いたします。従ってこれは地方交付税法の第六条の法律論からやってこられても、それはだめなんだというところをはっきりしておいていただかなければならぬ、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01519570326/27
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028・門司亮
○門司委員長 川村君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01519570326/28
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029・川村継義
○川村(継)委員 今鈴木さんの方から、いろいろ質疑がありましたが、私も重ねてお聞きしたいと思います。この前三十二年度の交付税の提案理由の説明が本会議であって、そのときに私が一、二点質疑をした。私はそのときに、この交付税の額をそのままにしておけば、三十三年度に結局穴を生ずる結果になるのではないか、こう尋ねたら、大臣は、三十三年度に穴が出るんじゃない、三十一年度に穴が出るんだ、こうおっしゃった。そこで、私がお聞きしておきました問題を、もう少しお聞きしたいと思いますことは、今度三十一年度の第一次補正で百億組んだ。第二次補正で十億組んだ。結局法人税の四百億の増の中から百億を初め組んだ。あとは酒税の四十億の中から十億組んだ。この補正予算という処置をとらなかったら、一体どうなっているのか、こうなりますと、三十一年度には結局一千六百二十七億九千八百万円の交付税の額が組んであって、予定してあって、それを地方団体に交付しておる。そうすると、自然増収があったので当然その中から百分の二十五という率に該当するところの金が生まれてくる。その生まれてきたものを、被正予算を組まないでおけば、その額は三十三年度に加算されていくものじゃありませんか、そうでしょう。だから、補正予算という措置がなかったら、まるまる四百四十億の自然増収があったとするならば、交付税は百十億という加算が三十三年度になされねばならぬ、私はこう解釈したのであります。だから、そのままにしておけば三十三年度に結局これを出すべきものが、自然に地方団体の交付税として入っていくものが、今度補正予算を組み、しかも公債費対策としてやられたので、先食いになっておるのではないか、三十三年度に穴が出てきておるのではないか、こういうふうにお聞きしたわけですが、その点はいかがでございますか。私の見るところで間違いないと思うのですが、ちょっと大臣からその点もう一回お答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01519570326/29
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030・田中伊三次
○田中国務大臣 ただいま改正のお願いをしておりますのは、三十一年度としての第一次、第二次の補正を組むことが前提になって改正をお願いしておる、そういう三十一年度に補正を組むという前提に立ちますと、一口にいえば、補正を組む以上は、穴はいつあくのかというと、組んだ三十一年度にあきます、こういう答えより仕方がないのではなかろうか。しかし、これを三十一年度に組まない場合を想定をいたしてみますと、先生お説の通り、三十三年度に繰り越されていく。三十三年度にあらためて今やっておるような措置をするといたしまして、公債費対策という不合理なことをこういう交付税でやる、そういう前提に立ちますと、三十三年に穴があく、こういう対策を実行する年、予算を組んだ年にそういうことをやれば、そのときに穴があく、そういうような意味で申し上げたのでありまして、いずれもどちらが間違いということはないのではないか、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01519570326/30
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031・川村継義
○川村(継)委員 今鈴木委員の方から、法律論を否定されたような大臣のお言葉があったということを言われておりましたけれども、公債費対策という処置を一応抜きにして考えますと、当然今度やられたことは、交付税法の第六条から考えましても、結局穴があいているということに考えねばなりませんね。それを三十二年度に交付税額が非常に少いから、結局三十一年度に、まだほんとうの精算はできていないけれども、大丈夫これくらいあるというので、百十億だけの補正を組んで、それを特別な形で、三十二年度に交付税の形で何か出す、あるいははっきりと二七%なら二七%という形で出していくという形になりますと、この交付税の精神からしましても、はっきり余る、こういうことです。ところが交付税の先食いはちゃんとやっておりながら、しかもそのやり方が、こういう公債費の処理に使おうというようなやり方については、この前もいろいろ論議されましたように、どうも納得できない。この公債費の処理費というのを、この交付税の中から持っていって処理するのは、何といいましてもおかしいじゃないか。交付税はその交付税としてあるいは三十三年度なりに地方団体が自分の金としてもらっていいはずなんです。それを公債費対策としてやる、しかも公債費の処理問題は政府が責任を持ってやらなければならぬ額がちゃんとあるはずです。たとえば二十六、二十七年度の給与費の例の二十億、それからそのほかの災害対策費等の公共事業関係の百五十五の半分、これは大臣が言われた額ですね。そのほか二十九年には、あの例の譲与税の処理についての何億かがあるはずです。こういう元利の全額なりあるいは半額なり、政府がちゃんと責任を持って処置してやらなければならぬ額があるでしょう。それは別途やるべきが筋合いであって、この交付税の金を引っぱり出してやって、そうして先食いでないとか、法律には抵触しない、こういう形で持っていかれることは不本意だ、こういうふうに思うわけです。その交付税の中から八十六億を回すんだから、三十三年度は精算して残った分を加算すればいいという結果に、あるいはなってくるかもしれませんけれども、それでは筋が通らぬと思うのです。そういう点についてさっきからお話がありましたが、どうして交付税を横流してやったのか、なぜ二七%なら二七%にしてちゃんと出すようにしないのか。公債費対策はことしはこれができたんだからかんべんしてくれと大臣はおっしゃいますけれども、何しろ交付税でやったということは承認できないのじゃないか、こう思うのです。そこで当然三十三年度なりにこの八十六億というものは責任を持って処置されねばならぬと思うのですが、その辺のところをもう一回大臣からはっきりお聞かせおき願いたい。地方団体はその点について御答弁によっては明るい気持で進めると思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01519570326/31
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032・田中伊三次
○田中国務大臣 公債費対策をどうしてもやりたいという考え方からこういう不合理なやり方になった。しかし、こういう不合理なやり方になった理由はほかに理由はない、ただ一つ理由としては、国の財源が思うようにならなかったということ以外にほんとうに意味はないのです。そこで、国の財源にゆとりのある新しい年度が来たならば、これに対しましては政治的に国も責任を負うべきものを交付税としてやらしたことであるからという理由をもって、何らかの措置を講ずるということはもう当然のことである、私はそう信じておるわけであります。そこで今なぜ一体こういうことをしたのか、こう仰せられると、こういうことは感心はしないのだが、一年限りということでやったんだからお許しを願いたい。一年限りこれをやって、次の年度はどうするのか、こういうことに見通しがつかなければならぬのですが、これも私の希望的観測ではありますが、必ずそう持っていきたいと思っておりますことは、二年度目からは交付税の運用、配分において公債費対策を講じていこうということはやらない。これはやる気があれば一年限りの法律はお願いしないわけであります。本年に限りこれをやるのは、来年度からは本筋の公債費対策を講じていこう、すなわち独立の柱を立てた、予算に計上した費目を盛りまして、これを実行する必要のために別個単独の法律を設ける、こういう方法において国家の責任を明確にしていくことに努力をする。それをやるにいたしましても、本年度やはり不合理でもこの公債費対策を、交付税のワクの中においてでもこれをやっておるということがよいのではなかろうかと、こう考えましたときに、やらないよりはやるがまし、これをやっておけば来年は本来の姿にはまるのだ、こういう強い気持をもって、また見通しをもちまして、——しかしこういうことを明確にここで何らか文書にしてあるかというと、文書の表においてそういうことにしてあるということはあり得ないわけでございまして、そういうことはしてないわけでございますが、私どもはこのねらいは必ず命中するもの、また命中せしめる努力を払わなければ相済まぬもの、こういうふうに深く決意をいたしておるわけでございます。どうか不合理な点は御了承をいただきまして、お許しをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01519570326/32
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033・川村継義
○川村(継)委員 くどくなるようですが、最後に一つ。今大臣の言葉の中に、国の財源の都合でやむを得なかったということがありましたが、今度のことしのような国の財政も、いろいろ予算の組み方等やられておる場合に、百億足らずの公債費償還の問題を財源の都合によって云々ということは、どうも納得がいかないと私は思うのです。これはあとで三十二年度の交付税の改正法案のときにもいろいろお尋ねしなければならぬ問題があると思いますから深く触れません。
それから交付税の先食いで公債費を処置した、ことしきりこれをやっておくことが、将来一つの足がかりになるのだということでありますけれども、どうも公債費の問題は、前の川島長官のときからも必ずやるんだとかたく約束した。太田長官のときから三十二年度には抜本的に公債費対策をやるのですと公約してあるのです。それをこういう形でやられる、これが堂々と公債費の元利償還に関する法律というような形ででも出てくれば、よく話がわかるのですけれども、こういう形で出てきたということについては非常に私たちとしては不本意だ、特に先ほどから申し上げておりますように、交付税の食いつぶしになって三十三年度は一体どういうふうになるのだろうかということなどを非常に危惧しますから、特にその点心配しているわけです。この点はさっきから門司委員長がこちらの席から御質疑をやっておりましたときにも、なかなか大臣は誠意をもってお答えになっておりますけれども、この問題を、やはり公債費に充当した問題の金額をどうにかはっきりと処置するという方向を明確に出していただかない限りは、どうも法律はぱあっとしてだまされたような格好になってしまうという気持がしてなりません。その点について、特に大臣のこの後の御努力を希望申し上げると同時に、大臣のお考えを重ねてお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01519570326/33
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034・田中伊三次
○田中国務大臣 ここでもう一つ申し上げますと、どうしても公債費対策は足がかりを作りたいと苦労をいたしました結果、第一補正をやるのかやらぬのかという大蔵省に対する見通しについて話し合いをしましたときに、補正はやる考えだ、やる場合におきましてはどの税の増収を中心にしてやるのか、第一次は法人税と所得税だ、第二次は酒でいきたい、それでは三税ともこちらに金が四分の一くるものじゃないか、幾らくらいくるのかということになりまして、最初の考え方は、その当時の話としては大体九十五億から百億くらいということでございました。そこで、それではぜひ補正の金を用いて公債費対策をやってみたいということは、実は私の方から言い出しまして、これを了承を得ましたようなわけでございます。それはこっちが勝手にやって、大蔵省は了承してないなどということを大蔵省の人々が言うかもしれませんが、そんなわけではないので、これについては法律の改正というものが出ておるわけで、この法律の改正には大蔵省当局の意向を代表した池田大蔵大臣がこれに対してサインをしなければ、この法律は出ないわけでありますから、そういう知らないとか知るとかいう問題は今日ないものと思います。ただ政治的に今お言葉をいただきましたように、重要な事柄で、捨ておくべき事柄でないんだという政治的な観測に立つならば、この穴は埋めなければならぬ。一体その穴埋めなどをするよりは、わずか八十何億のものではないかということもありましたけれども、その話も出たわけです。わずかな金額でもいい、第一年度は表向き公債費対策をやろうじゃないか、金額が少くなるということはがまんをしようじゃないかという話もないわけであります。ないわけでありますが、公債費対策というものを表からやることになりますと、自治庁から要求しておりましたように、少くとも百九十五億。二十億と百五十五億、それから貧困団体の元利金の二十億計百九十五億というものが出ておったわけでございます。そういう百九十五億というような大きなものか数字としては出てくる、そういうことでここに二百億に近いような金はこのために使いかねるという結論になったものでありますから、これを縮小をいたしまして半額程度と見ただけでなく、さらに交付団体分のみということに局限をいたしました。不交付団体にはいかないような処置に結果としてはなっておるわけでございますが、そういうことが八十六億を使おうというような方針に、私が一言い出した結果やむにやまれずそういうことに落ちついた、これも理想の金額ではないわけでございますが、財源がこれだけしかゆとりがないわけで、ゆとりのある限度においてやるとするならば、こういう限度しか対策ができないということで、泣く泣くこういう対策をやったということが真相でございます。こういうようないきさつを私があくまで頭に置きまして、理屈は理屈として、通すべき筋がりっぱにあるわけでございますから、来年度におきまして——私ども再来年度以降におきまする対策といたしましては、理想の形の方にこれをもって参る、こういう変形的な形の例外的な措置は法律をお願いいたしておりますように、来年度限り、一年度限りにこれを局限して、二度とこれを繰り返さない、こういう決心でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01519570326/34
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035・中井徳次郎
○中井委員 それが結論だろうと思うのですが、今の御答弁に関連して最後に念を押しておきたいのは、川村君の御質問は公債費対策は公債費対策として、どうして単独立法をやらなかったかということであります。単独立法をやりますと八十六億というものは金に制約されておるといいますか、八十六億という金で別ワクになって、昭和三十三年度には何で増収があったかしらぬが、三税の増収分の二五%というものがまるまる入ってくるのであります。単独立法にしないで、交付税に入れたからこそ先食いという形になったのであります。従って大蔵省としては今年度はどちらにしても、今年度限りにおいてはあまり痛くもかゆくもないのです。それをどうして交付税に織り込まれて、単独立法にしなかったか、この点を念を押して伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01519570326/35
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036・田中伊三次
○田中国務大臣 大へんこの問題に熱意のあるお言葉をいただいて恐縮に存じますが、その理由の全部が財源の都合、つまり交付税の中でまかなわないで、単独立法でいこうということであると、極端に申しますと一厘も金の出る見通しがないという結論になった、よしそれではここに不合理であるけれども、交付税のワクの中でいこうではないかという決心をせざる得なかった事情でございます。但しこれは一つの足がかりになる、こういう見通しをとって私が好んで進んでこの方向を政府と相談をした、こういう事情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01519570326/36
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037・中井徳次郎
○中井委員 単独立法では一文も出ないで交付税なら百十億出たという。同じ金額ですよ、別に大蔵省の財政の都合でも何でもありやしない問題です。再来年の財政で、ことしのことではありません。どうして単独立法では一文も出ないのですか、その点がわからぬ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01519570326/37
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038・田中伊三次
○田中国務大臣 八十六億という金額は、交付税法の法律の命ずるところによって何に使おうが使うまいが、この収入があるわけでございます。単独立法で予算のワクの柱ということになりますと、交付税として渡すこの八十六億のほかに、別個に何十億かの金が要る、こういうことなんですね。そこでその別個の金は今年はどうしても出にくい。来年度以降の場合は来年度にならぬとわからぬのですが、とにかく三十二年度の予算としては出にくい、こういう見通しが結論としてなったものでありますから、中において扱うことになった、外で扱えば扱うだけの金が別個に要る、こういうことなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01519570326/38
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039・中井徳次郎
○中井委員 これでお尋ねを終りますが、別個に要るのではありません。同じ金額なのであります。ただ再来年大蔵省は、地方交付税法第六条に基きまして、ことしの増収分についての二五%を出さねばならぬ。ことしの予算の補正といたしましては、単独立法であろうが、地方交付税の三十一年度分としてというこの長い名称の法律案であろうが、金額はちっとも変らない。この点において大蔵省と自治庁の間にいろいろなかけ引きか何かあって、どうも自治庁の方は残念ながら押されてしまったということが私は実情であろうと思うのであります。これは決して田中さんの努力に水をかけるわけではありません。大いにがんばっていただいたことについては敬意を表しますが、将来はさらにもう一押しするくらいの元気でやってもらいたい、これを一つ希望して、この点の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01519570326/39
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040・門司亮
○門司委員 北山君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01519570326/40
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041・北山愛郎
○北山委員 問題はもう明らかだと思うのですが、大臣も三十二年度の公債費対策としては不十分であったということを認めておられる。要するに新年度の地方財政の問題については、まだまだやらなければならぬし、少くともほんとうの意味での地方債の元利償還についての対策は、別途作らなければならぬというふうに認めておられる。そこでお伺いするのですが、実は地方財政の再建団体の法律、再建特別措置法によりますと、地方財政の制度の改正等により財政が確立をしたと認められる年度以降においては、地方団体が赤字を出したような場合には地方債を許さない、制限するという規定が再建促進法の第二十三条にあるわけです。実はこれはある程度地方財政が確立した以後において、地方団体がそれでも赤字を出したという場合においては、借金を許さないぞというおどしの規定なんです。これは非常に地方団体としては気にしておるのです。そこで政令で定める時期ということをお伺いするのですが、昭和三十二年度においてはあなたは不十分だと認めておられるのですから、少くとも三十二年度はその政令で定める時期には当らないのだ、三十三年度以降において、また別の財政確立のための対策を立てた上のことだ、こういうふうに了解していいかどうか、この点を確かめておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01519570326/41
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042・田中伊三次
○田中国務大臣 公債費対策を本筋に乗せて確立いたしました上でなければやれない、こういうふうに御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01519570326/42
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043・門司亮
○門司委員長 他に御質疑はございませんか——別に質疑がなければこれで質疑を終了することにいたします。
次に本案に対します討論を行いたいと思いますが、討論の通告がありますのでこれを許します。北山愛郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01519570326/43
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044・北山愛郎
○北山委員 私は日本社会党を代表して、昭和三十一年度分として交付すべき地方交付税に関する特例に関する法律案に対して反対の態度を明らかにするものであります。
問題の点は、すでに質疑の際におきましても明らかになった通りでありまして、今度の特例対策は何ら地方財政に対する対策というべきものではないと思うのです。
まず第一点においてこの特例は、地方交付税法の基本原則というものを犯しておる。地方交付税法の第六条の、地方に交付する交付税の総額というものは国税三税の百分の二十五を交付するのだという原則、しかもそれは交付税という名前をつけて、本来地方税であるものを国が代行してとって地方に配付するのだという原則、これが確立されておる。それを本年度においては、百分の二十五であれば当然補正予算において百十億というものが地方団体に渡る金額です。ですからこの交付税法の原則によれば、百十億は本年度において地方団体に交付すべき地方団体の金です。地方交付税法第六条の原則というものを犯して八十何億というものをその中から減らしておる。今年の交付税を政府が減らしておるということ、これが交付税法の制度の最も大事な部分を犯してしまったのであって、今年度限りの問題だということを言われましたが、それは一つの悪い前例を作ったのである。税率をきめておいてそれを特例によって犯した、こういう悪い前例を作ったことにおいて、私どもはまず第一に賛成することができない。
それから、なお来年度の公債費対策として八十数億というものを見ておるのですが、これはいわば地方団体の金なんですね。地方団体の金を一時政府が預って、そうしてこれを三十二年度において新たに地方に交付するように見せかけて公債費対策というようなことを言うのはインチキである。本来地方団体の金なんですから、それを預って、しかもそれに公債費対策というようなレッテルを張りつけてやるということは私はインチキといわざるを得ない。そういうような意味におきましても賛成することができない。
また会計制度の上から言いましても、本来この百十億というものは地方団体の本年度の歳入になるべきものです。この繰り越しということは、やはり特別会計の場合においても、初めから予測されるような繰り越しということはいけないのじゃないか、初めからこれだけの分は来年度に回すというようなことは、本来の意味の繰り越しではないのであって、自然発生的に普通に経理した結果出てきた繰り越しといのものを認めておるのである。それを初めからこれだけの分はとって来年度に繰り越すというようなことは、会計年度独立の原則から見ても適当でない、違法だとは言わないが少くとも適当でない、こういう趣旨から言いましても賛成できないわけであります。
さらに、自治庁としては何とかして地方団体公債費対策として一つの橋頭堡を作ろうということで努力された御苦心はよくわかるのでありますが、しかし大蔵省の方では必ずしもそのようにとっておらない。これが三十二年度がきっかけになって、三十三年度も同じように地方団体の公債費対策として何らかの方法で三十三年度以降においてもやるのだというふうに原則が立てられればよいのですが、大蔵大臣の答弁を開きましても、その点は突っ放しておる。三十二年度限りで三十三年度はまだ別途考えるというようなことであって、必ずしも自治庁長官の努力というものが政府の統一された意思として決定されておらない。そこに私どもは非常な不満を覚えるわけであります。そこでこういうような変則な、しかも地方交付税法の本旨を侵害するような方法でなく、やはり政府としてはほんとうの地方債の元利償還の問題についての対策を用意すべきであって、このような変則なやり方は、先ほど申し上げたような理由で、悪く言えばこれはごまかしというふうに言わざるを得ないのでありまして、われわれは、公債費対策につきましても、あるいは地方交付税率の引き上げにつきましても、別途法案を作って、われわれの立場において、一つその実現に対して努力したいと考えております。このことは結局田中長官の御意思にも沿うことだというふうに考えております。従いまして、以上の理由によってこの法案には賛成しかねるという点をご明確にいたしておきます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01519570326/44
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045・門司亮
○門司委員長 鈴木直人君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01519570326/45
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046・鈴木直人
○鈴木(直)委員 私は自由民主党を代表しまして、政府提出の法案に対し賛成の意見を述べるものであります。
ただこの際一言申し述べておきたいと思いますことは、先ほどから質疑応答の間において、田中長官が確信をもって申された言葉を今さら深く思い起すものであります。もちろん政府といたしましては、公債費対策として、三十二年度に充当すべき八十六億の穴埋めを、三十三年度において別途国費をもって実施するということには現在なっておらないという田中長官のお話でございますが、しかしながら、昭和三十三年度の予算が編成になっておらない現在において、今その決定をするという余裕もないし、来るべき三十三年度の予算の編成の過程において、やらないよりは三十二年度よりこういう方法でやった方がよろしい、またそれ以外に国の財政上から見て方法はなかったのであるということは確かに事実でありますから、そういう意味におきましてこの政府案に賛成をしておるわけでありますが、ただ田中長官が言われましたように、元来債費政策は別途に国費をもってなすベきものであって、地方交付税によって行うべきものではない。もしそれをするならば、それに相応するところの地方交付税率の引き上げが十分行われた上すべきものであって、今まで与えられたところの二六%あるいは二五%という率の範囲内において公債費対策をするという筋のものではない、こういうお話であり、三十二年度にはやむなくこれ以外の方法はなかった、三十三年度には別途に考えたいと思うから、自分を信頼してもらいたいという確信のあるお言葉もありましたので、私はこれを信頼いたしまして、最善の案と言うことはできないけれども、この案は現実を見詰めた場合にやはり次善の案である、こういうふうに私たちは考えておるものでありまして、そういう意味においてこれに賛成するわけであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01519570326/46
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047・門司亮
○門司委員長 これにて討論は終局いたしました。採決いたします。昭和三十一年度分として交付すべき地方交付税に関する特例に関する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01519570326/47
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048・門司亮
○門司委員長 起立多数。よって本案は原案の通り可決いたしました。なお、本案に対する委員会報告書の作成並びに提出手続等につきまして、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01519570326/48
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049・門司亮
○門司委員長 御異議ないものと認めまして、さよう取り計らいます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01519570326/49
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050・門司亮
○門司委員長 この際地方税法改正に関する小委員長より地方税法の一部を改正する法律案に関する審査の経過並びに結果について報告したいとの申し出がありますので、これを許します。地方税法等改正に関する小委員長川崎末五郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01519570326/50
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051・川崎末五郎
○川崎(末)委員 ただいま報告を求められました地方税法改正に関する小委員会の経過並びに結果につき、その概要を御報告いたします。
申すまでもなく、今次川会に提案されました地方税法の一部を改正する法律案は、その立案の過程におきましても多くの論議が行われたところであり、その内容は、住民の租税負担の上にも、また再建の第一を踏み出した地方団体の財政運営の上にも、相当重大な影響を及ぼすべきことが予想せられますため、特に本小委員会を設置して、その内容のしさいな検討をゆだねられた次第でありますので、その趣旨の存するところに従い、小委員会としては、去る十三日より二十二日までに四回にわたって開会し各税目ごとに改正事項の逐条審議を行い、政府当局の説明を求めるほか、スキー・リフトに対する娯楽施設利用税、遊興飲食税における税率及び公給領収証の問題、軽油引取税の引き上げ、弁護士その他に対する事業税の問題などについては、参考人より実情並びに意見を聴取するなど審査に慎重を期し、委員の間に税制の根本に触れて熱心な論議がかわされ、傾聴に値する意見が開陳されたのであります。論議の一々については、報告を省略いたしますが、特に論議が集中し多数の意見の一致した点は次の諸点であります。
その一は、住民税の改正、特に第二及び第三課税方式につき、課税表準額の段階ごとの率を法定して、市町村にこれに準じた運用を行わせようとする点でありまして、課税方式を異にすることによって生じている市町村間の住民負担のはなはだしい不均衡を、この機会に是正しようとする趣旨自体には異論がないのであるが、政府は、この措置によって生ずる減収見込額四十九億円程度の大部分を、市町村税全般にわたる自然増収で補てんできるものとして、明確な財源補てんの措置を講じていないのであり、この点個々の弱小市町村の受ける影響が懸念されるのであります。特別交付税をもって激変を緩和するという程度では、きわめて不徹底、不安定であるとし、確固たる措置を講ずべきであるという意見が圧倒的でありました。
次に、遊興飲食税の改正において、徴税の簡素化のためとはいえ、飲食店等における三百円をこえ五百円までの飲食、及び旅館における八百円をこえ千円までの宿泊料に対する部分につき税率引き上げが行われることは、一方花代の引き下げを行うことと考え合せて、適当でないという論議が有力でありました。
このほか軽油引取税の増税の業界に与える影響であるとか、電気ガス税の非課税範囲の再検討ないし整理の問題であるとか、木材引取税にかえて山林に固定資産税を課する問題であるとか、多岐にわたる論議が行われました。
なおスキー・リフトを娯楽施設利用税の対象からはずす件につきましては、政府において行政指導によって善処する旨確約がありました。論議の過程を通じて、社会党所属の委員諸君からは、この際共同して小委委員会としての修正案をまとめるべきであるという御意見もあり、自由民主党所属の委員諸君においても、少なくとも前に述べました住民税の、減収補てんの措置並びに遊興飲食税の税率是正の二点については、修正の必要があるのではないかという意見が出ていたのであります。が、結局自由民主党側としては、党議にはかった結果、種々意見もあるが、日時も迫っているのでこの際は一応改正原案を認め、暫く実施の状況を見た上必要あれば将来是正するという立場に立つこととなり、従って小委員会としての修正案作成は遂に成案を見るに至らないという結果になったのであります。
ただこの際前述の二点については、地方行政委員県会としてわれわれの意の存するところを改正原案に対する附帯決議の形でとりまとめ、善処方を政府に申し入れるべきであるという意見が強く表明されたことを付言しまして、簡単ながら小委員会の報告といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01519570326/51
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052・門司亮
○門司委員長 ただいまの小委員長の報告に対しまして御質疑がございましたら、どうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01519570326/52
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053・大矢省三
○大矢委員 私は小委員長の報告というよりも、今の小委員長の報告に対しての政府、特に税務部長からの所信を承わりたいのであります。今お聞きの通り小委員会ではなかなか熱心に討議されて、いろいろ希望なども申されたようでありますが、結局は修正なしに、ここで附帯決議をつけるというふうな内容の報告があったのでありますが、これについて大臣または特に税務部長には、どういうふうにお考えになりますか。たとえは今かりに修正意見がまとまらなくとも、小委員会で熱心に討議された意思を十分尊重して、ああいう不合理な税制の税率に対してもあるいは免税点に対しても、その他いろいろな問題点について考慮される意思があるかどうか。私がこれを聞くのは、昨年満場一致でしかも参議院並びに衆議院において附帯決議をつけられたその意見が、全部とは言いませんけれども、全然考慮に入れていない結果が現われておる、むしろ逆なのであります。今申しましたように逆に税率なんかを上げておる、こういうことは実際われわれ委員の責任として、また権威の上からもはなはだ遺憾に感じますが、来たるべき次の国会においては今論議された問題について、どのように具体的に考慮されるか、ただ考慮しますという抽象的なことではなくして、また前のわれわれの修正の意見について無視されたことも考慮に入れて考慮しますか、その点をどういうふうにお考えになっているか、大臣及びその関係の税部部長から御意見を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01519570326/53
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054・田中伊三次
○田中国務大臣 この改正案は今日のこの段階においては最も適当と信じまして提出をしたわけではございますが、御審議の過程をだんだんと拝見いたしまして、御意見を拝聴いたしまするにつれまして、なお至らざるところが少くないというふうに反省をするわけでございます。従ってただいま小委員長より御要求をいただきました御意見に対しましては、単にここで善処をお約束するなどという簡単な考え方でなしに、この語録は慎重に、これを私たちの方針の中に移しまして、そして時をかけて慎重審議をいたしまして、極力この委員会の御意向に沿うように最善の努力をして参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01519570326/54
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055・中井徳次郎
○中井委員 今の小委員長の報告に対する質疑、あるいはまだ一般質疑が残っておると思います。それは一つ留保していただいて、本日はこの程度にされるように願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01519570326/55
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056・門司亮
○門司委員長 それでは本日の会議はこの程度にとどめまして、次会は明二十七日午前十一時より開会することといたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時二十七分散会
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