1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十二年三月二十日(水曜日)
午前十時五十二分開議
出席委員
委員長 小枝 一雄君
理事 吉川 久衛君 理事 笹山茂太郎君
理事 白浜 仁吉君 理事 助川 良平君
理事 田口長治郎君 理事 中村 時雄君
理事 芳賀 貢君
五十嵐吉藏君 石坂 繁君
大石 武一君 川村善八郎君
鈴木 善幸君 中馬 辰猪君
永山 忠則君 八田 貞義君
原 捨思君 松浦 東介君
松野 頼三君 阿部 五郎君
伊瀬幸太郎君 石田 宥全君
石山 權作君 稲富 稜人君
川俣 清音君 久保田 豊君
楯 兼次郎君 日野 吉夫君
山田 長司君
出席政府委員
農林事務官
(農地局長) 安田善一郎君
林野庁長官 石谷 憲男君
委員外の出席者
農林事務官
(農地局管理部
長) 立川 宗保君
農林事務官
(農地局管理部
入植営農課長) 安藤文一郎君
農林事務官
(林野庁林政部
職員課長) 来正 秀雄君
専 門 員 岩隈 博君
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三月十九日
委員辻原弘市君辞任につき、その補欠として石
山權作君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十日
委員小川豊明君、中居英太郎君及び中村英男君
辞任につき、その補欠として赤路友藏君、楯兼
次郎君及び川俣清音君が議長の指名で委員に選
任された。
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本日の会議に付した案件
開拓融資保証法の一部を改正する法律案(内閣
提出第七号)
開拓営農振興臨時措置法案(内閣提出第八三
号)
春期闘争に伴う国有林野事業の経営等の問題に
関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X01419570320/0
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001・小枝一雄
○小枝委員長 これより会議を開きます。
開拓融資保証法の一部を改正する法律案及び開拓営農振興臨時措置法案を一括議題といたし、審査を進めます。質疑を続行いたします。石田宥全君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X01419570320/1
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002・石田宥全
○石田(宥)委員 開拓営農振興法案を主にいたしましてきのう一通り一般的な問題について質疑をいたしたのでありますが、きょうは振興法案を中心にして要点だけを質問いたしたいと思います。局長の答弁はややもすると冗長に流れまして、要点を捕捉しがたいような点がございますので、この点はもう少し要領よく答弁をしていただきたいと思います。
きのうからいろいろお話がありましたように、今日の開拓農家といたしましては、負債の償還問題が一番大きな問題になっておるわけでありまして、各種の負債の償還を延長し、経営の安定を見るまでこれは据え置きにするということが率直に申し上げて一番重要な点であろうと思うのであります。新法案では、災害資金にだけは十年以内の借りかえを認め、そのうち五カ年に限って利子補給を行うということになっております。しかも振興組合に限って振興組合の要件は政令にこれを譲る。およそ七割程度の開拓者が該当するのではないかと言われております。そこで根本的な考え方でありますが、開拓農家が償還に困っておるということは、ただ災害資金の償還だけに困っておるのではないということです。一般的な償還とこれとが合わさるからもちろん大きいわけでありますが、それを災害資金だけについての特例を認めたということは一体どういう理由に基くのか。災害資金さえ十年以内の借りかえを認め、そのうち五年の利子補給をやれば、これで振興ができるというふうな御認識を一体持っておられるのかどうか。根本的なこの点の考え方をお尋ねしたい。
〔委員長退席、笹山委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X01419570320/2
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003・安田善一郎
○安田(善)政府委員 開拓農家の負債の問題につきまして、営農振興するためにはいかにこの問題を処理するかにつきましては、石田委員の御意見もごもっともと思いますが、いかなる条件で幾ら借金をしていて、それが営農振興の重荷になっておるかの明確なものについて今回は措置をしようと思っております。すなわちいわゆる開拓者資金につきましては特別会計から政府資金が特に流れておるわけでありますが、これについても必要ならばその法律に基いて条件緩和を適正にするのがいいと思っております。この法律に基きまして、ただいま御指摘になりましたように、政令で定めるものについては天災融資法がかなり重荷になっておる、一番大きいものと思われる。それは営農振興をはばんだ累次の災害が開拓地の立地条件等から招来いたしましたことが大きいのでございます。これは償還期限を十年以内として借りかえせしめまして、利子補給は五年でこの計画を達成しようという法案でございますから、五年の間利子補給をしよう、こう思っておるわけであります。そのほかに個人負債があるではないかということだと思いますが、これは確かにあると思います。開拓農家の実情を見ますと、開拓入植の沿革からいたしまして、むしろ無利子のような、親戚、親子の間の負債もかなりあるようでございます。またこれをこの際直ちに整理ないしは条件緩和の対象といたしますと、その債務を確定することが、いろいろな条件、がたくさんありまして目下むずかしいのでございます。またこれを直接政府が延期する措置をとりませんでも、もう五年たてばこの法律に基く目標——営農類型と申しますか、営農を達成し得る見込みでございますので、明確でない債務、それからそれをやるとすると悪用されるおそれもございますので、一応それを避けたいということと、それを避けても営農が成り立つようにできるという見通しのもとにそうしたのでございます。なお個人債務につきましては、やはり開拓者が自分でどういうふうに処理しようかとか、普通の農協の資金へ借りかえをしようかということをまず第一に工夫をしていただきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X01419570320/3
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004・石田宥全
○石田(宥)委員 きのうの答弁と食い違うようですね。きのうの答弁では、二十三年当時の営農類型の耕地面積、家畜関係あるいは資金の関係等では非常に困難である、どうしてもやはり営農類型の改訂まで考えなければならない、ことしはできなかったけれども来年からはそれをやりたい、こういうお話であったわけであります。今の答弁からいうと、債務が確定していない面がある。それは多少そういう面はあるでしょう。しかしそれだからといって、災害資金だけに特別の措置をやって振興計画ができるのだという今の答弁のようなんですが、そうするときのうの答弁とこれは食い違っておる。今のような古い時代の入植者は、非常に悪条件が累積しておって、とうていこれではやっていけない。だから局長はそれに対して再検討する、ことしは間に合わなかったけれども、来年からは、営農類型の問題まで再検討します、慎重に検討を加えておると、きのうは言っておる。ところが今の答弁だと、そうじゃなくて、もうこれでどうにかやれるのだと思う。これは違いますよ。この災害資金はもちろんであるけれども、やはり少くとも政府資金一般について同一の措置がとられなければならないし、同時にただ五年に限って利子補給をするというようなこともはなはだなまぬるい話です。少くともやはり十年間の利子を補給しなければいけないし、そうしてさっき言ったように、根本的にその政策が間違っておったのだから、やはり一般の政府資金についても同様の取扱いをしなければならないというのが私どもの考えなんです。この点もう一度はっきりしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X01419570320/4
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005・安田善一郎
○安田(善)政府委員 昨日の答弁と食い違う気持は持っておりません。もし誤解が生じましたら、申し上げ方が悪かったのでありまして、その第一点は営農類型の点でありますが、今後の開拓政策に関しまして、新規入植について初めから地区計画を立て、営農類型を立てる際には、過去の実情を勘案しまして、営農類型を改訂する方が適当であろうと考えております。これは昨年来特に研究いたしておるようでございますが、まだ十分に成案を得ません。もし成案を得て実行に移しますと、これは開拓入植に関する、あるいは建設工事に関します予算単価の変更も来たさなければいかぬというわけでございます。しかし研究途上にございましても既入植農家の営農を安定させる目標を別途立てる際——と申しますのは、現在の営農類型、すなわち入植させるときに一応その営農が完成したときはどんな姿であるか、土地の状況、家畜の状況、生産手段の状況、粗収入等の目標の状況というものでございますが、それまで到達していない方であって、従来の耕地面積、生産条件、生産手段というようなものを持ちながら入植をすでにしておられる方でございますから、まず第一には当初予定の通りの営農類型まで早く到達してもらうということが耕地もすでに配分済みでございますから目標になると思います。しかしそれだけではまだ十分でございませんから、現在の営農類型、すなわち既入植者が入植をしていただいたときの一応の目標である営農類型でありましても、たとえば西日本等では乳牛を入れませんものでも入れるように今回措置をいたしましたり、建設工事の不足は補うことにいたしましたり、寒冷地につきましては寒冷地の特別対策を講じましたり、中小の家畜は増加するように、石田先生の根本的な将来への営農類型の改訂ではありませんが、本法に基いて現在の営農類型を基礎にしながら若干でも改善をはかる目標をとりたい、こういうふうに思っております。
それから負債の条件緩和でございますが、特別会計による開拓資金についても必要なものは条件緩和をしたいと思っておるわけでございます。
それからその特別会計から供給します資金は開拓者資金融通法によるわけですが、その資金は、入植するとき開拓農協がまず負債者になって組合員である開拓入植者のために借りて貸しておるわけであります。連帯になっておるというわけであります。それは国の債権管理法に基きまして、離農者等があった場合は、現在定着しておられる方の連帯債務があるわけでございますから、その法律に基きまして十年の償還延期をしたり、最後には免除する措置をとりたい。それから新たには天災法による融資につきましては償還期限が三年、五年、金利は三分五厘、五分五厘、こういう条件でございますから、金利はそのままにしながら、要するに償還元本を半分にする目標にしまして十年以内、そういうふうに新規に借りかえをしたい、その間の利子補給を五年としたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X01419570320/5
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006・石田宥全
○石田(宥)委員 だからきのう申し上げたように、昭和二十三、四年当時の当初計画まで達成できておらない部分が相当ある、それでまず目標に到達させる努力が必要だ、こういうことなんです。これはもちろんの話なんだけれども、すでに到達目標に達しないうちに、もう参りかかっている、それに活を入れなければ、呼び水をしなければ、当初の計画目標すら達成できない。そこで過重な負債の償還にも苦しめられておるという状態なので、今局長が答弁されたようなこそくな手段では立ち上れないじゃないか、こういうことなんです。だからこれはことしすぐということは困難であっても、十分検討を加えておいて、従来のような営農類型では困難なんです、将来安定した経営ができないということは、もう何人もわかり切ったことなんです。それをことしまだこういう状態に置くということは、これはやはり農地局長の怠慢だと思う。何といっても怠慢です。思い切ってこれはやらなければだめです。それはその程度にして、来年は一つしっかりしたものをぜひ打ち出してもらいたい。
そこで今度の振興法案でございますが、振興組合というものを作らせて、いろいろな計画を立てさせるということでありますが、その振興組合を認定するところの基準をどういうふうに考えておるか。一定の基準のもとにその組合の認定をなさると思うのですが、これが今の局長の答弁のような考え方に基いての認定であるというと、事実上振興はできない。これはやはりほんとうに開拓地区の農家が将来安心して経営ができるような基準を明らかにしなければならないわけです。ところが頭の中で資金ワクのことが問題になったりあるいは類型の問題が先入観念になっておったりしたのでは、やはりそういう一つの制約を加えるような結果になるのじゃないか。そうでなしに、ほんとうにその地区の開拓農家が振興できるという計画を立てる。そうすると今申し上げたように、政府の方から見ると、それでは資金需要に応じられない、家畜の導入も困難だ、開拒にしてもなかなか条件のいい土地はないのだから、面積をふやしてみたところで直ちにおいそれと条件がよくなるとは考えられないでしょう。これを認定される基準をどのように考えておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X01419570320/6
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007・安田善一郎
○安田(善)政府委員 その前の御質問と御意見につきましては今後よく努力をしたいと思いますが、あわせまして既入植者の営農が目標まで達しないところを早く達成せしめようというのが今回の法案であり、その措置でございますので、負債を整理する条件を緩和する消極面のほか、営農振興をする積極面の方も重要である、両方重要だと思っております。その点をも多少御評価を願いたいと思っております。
そこで振興計画になるわけでございますが、振興計画につきましては、あくまで開拓者として営農改善を自主的にはかろうとされる場合について立てていただこう、こう思っておるわけでございます。どんな計画を立ててもいいというわけではございませんので、自主的に自由に立てていただくのでありますが、知事の承認制をとりたいと思っておるわけでございます。これは予算、資金を勘案いたしまして一応農林省の指示を出したいと思いますが、そこは弾力性を持ってやりたいと思っております。第一には、かねて開拓地には地区計画が立って入植をしておるのが原則でございますが、昭和二十四年までの中にはまだ地区計画が適当に立たないですでに入植をされた方が相当多いものでございますから、その地区計画を立てて、それに従って承認をする基準にする、そういうことが第一であります。また昨日申しました新たな寒冷地対策とか、中小家畜対策とかその資金融通とか、債務緩和の条件とかについては、政府の投融資計画で立っておりますものがその基準になる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X01419570320/7
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008・石田宥全
○石田(宥)委員 それでは今度各組合ごとに営農振興計画を立てて、知事の承認を要する、これを審査し、それが適切なものであればこれを公認する、国はこれが達成に必要な措置を講じなければならないと思うのでありますが、知事の承認を得て出された振興計画を公認する場合に、今申されたようなことで一応措置をされるということであるけれども、知事が承認をした場合に国はただそれを認める、こういうことですね。それでは目標に具体性がない、実行の約束がきわめて弱いので、第六条によりますと、「その振興計画の達成に資するため必要な援助に努めるものとする。」こういうことなんですね。非常に抽象的であって、これはわからないですね。これがもっと具体的に明らかにならないと本気になって振興組合を作られないと思う。この点についてのもう少し具体的な点を明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X01419570320/8
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009・安田善一郎
○安田(善)政府委員 御参考までに申し上げます。御説明すべきであったと思いますが、第二条一、二の基準につきましては、経営規模の大きさに応じまして粗収入を考えるべきだと思いますので、一町二反から始まりまして八町まで——八町以上の北海道の分までございますが、農業粗収入二十三万円以下のものはこれを適用する、八町以上の規模の場合は五十万円以下の場合を適用する。その間は、従来営農類型というのは五つありましたのを、今回のこの法に基き安定目標というか訂正営農類型というか、それは全国を七つにした方が適当だと思いますが、二十三万、二十五万、二十七万、三十万、三十五万、四十四万、五十万ということにしたいと思っております。また債務の点でございますが、その開拓農家の年間償還額は農林省令で定める基準をこえていることという点につきましては、償還の金額が農業粗収入の一割以上に相当するようなものは支払いにくいであろうということで、一割以上にしたいと思っているわけであります。そういうことを含めました基準で、第二項に掲げてありますような国が行うべき営農改善計画に資するような開墾建設工事——手戻り工事も継ぎ足し工事もございましょうし、また道路、水路がまだついていない部分で新たにつける部分もございましょうが、これは従来の慣例では、一度打ち切りましたりするとその後は補助事業になるのを、この措置に関しましては全額国費負担の建設工事にする。従来の地区でありまして、建設工事が一ぺん終って途中で打ち切った場合でありますと、その両者については土地改良事業の補助工事になるのでありますが、それは政府が最初からの開拒建設工事のように全額国費でやろう、その他家畜その他の資金を供給するようにしよう、その他負債の償還猶予、または条件緩和を、先ほど申し上げたようにやろうということでございまして、知事の承認を得ました計画を受け取りますと、1知事の承認はあらかじめ国の予算、資金、法律の運用等においてやることを打ち合せをしておきまして、県と国との間に矛盾がないようにいたしまして、どうしても予算資金の範囲内とはなりますけれども、これは年々の予算で国会の御承認をいただきましてそれによって援助に努めようと思っているわけであります。
なおこの法律案に基きます振興計画の樹立及び達成は五年目標と一応私どもは思っておりますが、それで十分かいなかは出発してやり出してみないと必ずしもわからぬ点もあります。またその第一年度のままを五年間やろうとも必ずしも思っておりません。なお必要によって、第二年度以降においてはより大幅な国の援助をしなければならぬ情勢が出ますれば、それに応じて適当に措置すべきであると思います。他方振興計画そのものの中には、開拓農家とか、開拓組合とか、自分で努力をお願いすることも当然書かれるであろうと思います。援助のあることとないことと、ともに自主的に計画が立てられると思うのであります。その両者を待ちまして、特に開拓者の方々の努力を持ちまして遺憾なきを期したい、こういうように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X01419570320/9
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010・石田宥全
○石田(宥)委員 問うに落ちる、語るに落ちるということで、県の承認した計画も国においては、財政等の都合によって云々ということで、結局落ちはそこへ来るのです。だからどうしても法律の規定によって、これだけのことはしなければならないというふうに規定づけてやらなければ意味をなさないのです。作文としては、聞いておればなるほどりっぱに聞えるけれども、肝心な落ちになると予算措置がない、これじゃどうにもならない。だから営農類型等について根本的にこれを改訂する、そうしてその予算規模が法律上の制約を受けるようにならなければ、あなた方できないのです。予算の増額やいろいろなことも必要であるが、せっかく今度の長期資金への借りかえ、利子補給が行われるこの機会に、やはり相当年限の据え置きをする。そうして十年間にわたって利子補給をする、そういう措置が法律上決定されなければあなた方にできないことなんです。大臣が来て大臣がうまい答弁をしたって同じことなんです。農林省当局としては、そんなことはわかり切っておるからおやりになろうとお考えでしょう。けれどもそれはできない、だから私どもはうるさく言っておるわけです。それでは意味をなさないじゃないですか。局長の答弁そのものはりっぱだけれども、実が伴っていない。だから今度の法案は全くの看板倒れになって、開拓地の現状は放任されてしまう、こういうことになって、開拓者は振興計画の樹立なんかに忙殺され、政府は災害資金だけで処理して、あとは手まくらをかいてしまう、これでは開拓農家は死んでしまいます。だから私どもはうるさく言うのです。従来のような画一的な政策を打破して、真に現地に即応するような政策を実現するために、政府ももうわかっていることなんだから、過去の開拓行政の失敗を率直に認めて、そうして将来、開拓者のせっかく積み上げてきた従来の努力を生かすように、法令その他財政的な事情などに制約を受けない振興法となるようにしなければならない、こういう点について局長の努力が足りないのじゃないか。これは再検討をする必要がありはしないかと思うのです。きのう率直に財政事情で思うようにいかなかったとかぶとを脱いでおったけれども、しかしまだ実際の努力も足りない。どうか一つその点は、私どももできる限りみんなで協議しまして、この法案の修正もいたしたいと考えますけれども、局長の腹がまえも今までのようなことでなしに、もっと積極的な努力を要請してやまないわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X01419570320/10
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011・川俣清音
○川俣委員 関連して。今石田委員の質問の中にあったように、開拓者に対する財政上の措置をするための予算が常に削減せられておるわけでありますが、大蔵当局の考え方は、むだなところ、経済効果の上らないところへ資金を出すことあるいは財政上の措置をすることを非常にきらっておる向きがあるが、これは間違いであると思います。というのは、一方農耕地がだんだん宅地に押されてしまいまして、上田または収量の上るところの農地が、宅地にだんだん編入されていく。こういうときにその代替地を求めるということになると、条件の悪いところに求めていかなければならない。そこに開拓者の最も苦難な状態があるあるわけです。しからばこういう収量の上る土地を宅地に編入する場合に国が得る利益、またはいわゆる人口の増加というところからくる土地の値上り分は、減った分を困難な開拓で補っていくのでありますから、その資金の融通あるいは財政上の措置をこの面から求めていくことは決して困難なことではないと思う。一体なぜそんな条件の悪いところを開拓していかなければならないかということになると、その原因は農耕地がだんだん宅地に押されていっておるというところにある。そこから問題が発生してくるわけでありますから、その面からいって、国として当然な財政上の裏づけをすべきではないかと思うのだが、一体こういう点について大蔵当局と話し合いをしたことがあるのかないのか。ただ開拓者を条件が悪いか気の毒だうというだけでは、これはなかなか説得できないと思うのだが、一体農耕地がだんだん宅地に押されていくという問題について強く大蔵省と折衝したことがあるのかないのか、この点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X01419570320/11
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012・安田善一郎
○安田(善)政府委員 川俣先生の御意見につきましては、実は昨日も申し上げたことでありますが、考えたことがあるかどうかにつきましては、考えてみました。大蔵省と折衝したことがあるかどうかにつきましては、折衝したこともございます。今回はその他いろいろの事情を総合勘案いたしましてその措置をとらないことにいたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X01419570320/12
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013・川俣清音
○川俣委員 折衝したことがあると言うが、大蔵省の見解はどうだったか、この点明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X01419570320/13
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014・安田善一郎
○安田(善)政府委員 私どもの案は、農地が他の用途に転用される場合の差益金に当るものをどう概念するかはいろいろ研究はいたしましたが、とにかく国に納付してもらおう、こういう考えの案でございます。それは新憲法のもとでは税を徴収する方法しかないかもしれない、おそらくないであろうということで、それを川俣先生のご意見のように土地改良、特に開拓の方に使いたい、こういう方策でございました。目的税は必ずしも悪くはないわけでございまして、ガソリン税、等ございます。どういう種類の税であろうかということなどの研究がまだ必ずしも十分でないのと、これはわれわれが勝手に判断することではございませんが、たまたま旧地主団体等が農地補償といいますか、旧地主の補償財源などにそういうものを目当てにする運動あるいは意見が提起されたやさきでございます。まず旧地主の補償問題の方に明確な態度を示すべきであって、ごたごたにすべきではない、かたがた税の徴収方法とか税の性質等にまだ研究足らずの点もございましたので、今回やらないことになったのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X01419570320/14
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015・川俣清音
○川俣委員 そこで問題が二点派生してくるのです。一つは、農地の改廃に伴う造成の費用をここに見出すというのが今のあなたの御意見です。ところがもう一つは、国がすでに税金として回収しておる、というのは、土地の値上りによるところの価格に対してこれに課税しておりまするから、農地から宅地になることによって税収入がふえておるわけです。すでにそこから税収入の対象になる物件が存在する。しかもそれは農地が改廃したところから出るところの税収入であります。そこで農地の改廃に伴って造成をしていかなければならないのであるから、少くともその予算は目的税的でなくとも、国の総体の予算の自然増収などは、これらのものが有力な原因になっておるのでありますから、これらを財源として土地の造成に向けるということも折衝をされたかどうか聞いておるのです。あなたは前段の部分だけで折衝しておられる、後段の部分ではやっておられないように思う。この点についてお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X01419570320/15
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016・安田善一郎
○安田(善)政府委員 目的税でありません場合は、どういうところから税収等が出たかは一応概念として出て参りますが、またそういう国の収入がふえてくる分について、事農地関係から税収入のふえた分は農地造成とか土地改良に使っていただきたいという考えについては私どもは別に反対ございませんけれども、一般税収入というものが入りました場合に歳出をいかにするかということは、具体的なこまかいことになりますと大蔵事務当局と私どもとは違うかと思います。これは一般歳入、一般歳出として直接に額を関連せしめないで、必要な開拓予算、土地造成の予算を要求するということで処理するのがいいと思っておりますので、特にその直に計数をあげて、因果関係をつけて交渉はいたしません。しかしもともと土地改良は開墾、干拓だけはつぶれ地の状況がごうであれば必要であるし、財政規模がことしのようにある場合は、このぐらいの予算を要求すべきであるとして要求はして、その結果が農地局の予算になっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X01419570320/16
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017・川俣清音
○川俣委員 関連ですからもう一点でやめますが、あなたが石田委員の質問に対して、大蔵省との予算折衝においてなかなか困難を来たしておる、こういう説明で、思う存分というまでにいかないにしても、不十分だと考えるような予算措置もできないというから問題を起したのです。従って十分なる理由を付して当然予算上の措置が講ぜられる根拠をやはり明らかにする必要がある、そういうことなんです。自然増収のものをどこどこへ使わなければならないということではないんだけれども、有力なる根拠をここに見出してもっと熱意を持って予算折衝をすべきではないか。農業は直接の関係からは自然増収の姿は少いけれども、間接的にしかも農地の改廃等から起ってくる国の収入というものは大蔵省はあまり見ていないのです。従ってこういうところに根拠を持って強く主張しなければ、今後農林予算全体がだんだんつぶれ地と同じような結果になるのではないかということを憂えるがゆえに、なかなか折衝困難でありますという簡単な答弁では石田君は満足しておらない。そこでお尋ねしたのですから、今後あなたがその地位にあれば今われわれが主張したところを強く主張される用意があるかどうか、これだけ伺って質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X01419570320/17
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018・安田善一郎
○安田(善)政府委員 川俣先生の御意見は理論的には私どもかねてそういう「主張もいたしておりますが、なお一そう拝聴いたしまして参考にさせていただきたいと思います。
石田委員に対しましてなかなか困難であるということを財政関係の点について申し上げましたのは、すでに終戦後長年営農類型を予算上にも反映せしめて助成融資等をいたしまして、もう当初の目標であれば、入植をしていただいた方の営農振興で営農類型まで到達しておるはずであるという建前のもとに、到達してないという現実をどう解決しようか、こういうことの融資措置でございますので、なかなかむずかしい点がございました、なお一そう努力をいたします、こういうことを申し上げたのであります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X01419570320/18
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019・笹山茂太郎
○笹山委員長代理 それでは林野庁長官がお見えになりましたので、法案に対する質疑は暫時中止いたしまして、林野に関する件について調査を進めます。質疑の通告がありますのでこれを許します。石山委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X01419570320/19
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020・石山權作
○石山委員 林野庁長官にお尋ねする件は、最近官公労の賃上げについて三公社五現業がそれぞれ争議行為に入っております。一般の農事関係はじみな仕事でございまして、特に森林、山林というようなものは一年や二年、三年や四年で問題が解決がつかない業種であります。しかし日本の全般の産業とかあるいは工業の面から見ますと、森林、林業の占める経済的なウエートと申しますか、そういう点は最近は非常に重大さを加えてきておるというふうに私は思っており。ますそういうときにそれに従事する職員の方々がいろいろな点で不平不満を感じて話し合いの外で実力行使をするというふうな段階は、これはあまり好ましい現象ではないと思っております。今好ましいとか好ましくないとか言っても、実際は問題は進展しておるのであります。今進展しておる現状はどういうふうな状態であるか、それをまずお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X01419570320/20
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021・石谷憲男
○石谷政府委員 全林野の労働組合の現在の紛争状況についての御質問かと思うのでございますが、過般のベース・アップ並びに満十八才以上最低賃金八千五百円という要求をめぐりましての双方の話し合いの結果は、一応妥結するに至らないという状況が明らかになりましたので、その交渉の決裂いたしました事実を先月二十八日に双方で確認し合いまして、その後組合側から三月四日に調停の申請を行なってるわけでございます。この調停の申請に対しましての調停案の提示は三月十五日の夕刻でございまして、私どもといたしましては、すみやかに事態を収拾いたす必要があるというふうに考えまして、この調停案についていろいろ検討いたしたのでございますが、あれだけのお示しではなかなかこれを承服するわけにいかないということから、これを拒絶することに方針を決定いたしまして、翌三月十六日の夕方には労働委員会に仲裁申請をした、こういうような事実が進行いたしておるわけでございます。
この問題をめぐりまして組合との間に現在までの間どのような状況が展開されて参っておるかということでございますけれども、現在まで格別に双方が取り上げて考えなければならぬような紛争状況というものには実は立ち一入っておらぬのでございます。昭和二十八年一月一日以降公企労法の適用を受けまして、その後しばしばの機会におきまして、現地におきましては営林署等を中心といたしまする拠点団交といったような方式で若干地方秩序の乱れる憂いのあるような事態も実はあったのでございまするが、このベース・アップの問題につきましては、そのような紛争状態のあることを全然私どもとしては聞いて承知をいたしておりません。若干すわり込みといったようなことに相なろうかといったような事態もあったのでございますけれども、これらのことにつきましても、双方話し合いの上で解決をしておるというような状況でございまして、格別紛争らしい紛争という状態は今日までのところないような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X01419570320/21
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022・石山權作
○石山委員 こまかい点で林野庁長官が答えにくい点はほかの方でけっこうだと思いますが、皆さんの方で労使関係でお話し合いをしたけれども妥結に至らなかった——妥結に至った事項も重大な問題においてはあるだろうと思うが、たとえば十八才の最低賃金のお話も出たのでございますが、それらについて妥結に至らなかったけれども賛成する向き、たとえば最低賃金制というものはやはりやってあげなければ労使間はうまくいかぬというふうな前提のもとにお話し合いを進めた、しかし今の場合においてはというふうに、現実の問題を処理する場合においてそれは拒否の形になる、こういう場合もあり得るわけなのです。そういう中間の状態をもう少し説明願いたいものだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X01419570320/22
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023・石谷憲男
○石谷政府委員 ごく原則的な問題といたしましては、御承知のように全林野労働組合につきましては、新給与体系、新賃金体系の実施という問題をめぐりまして、一方は一昨年の暮れ、一方は昨年の春以来年余にわたりまして持続的に団体交渉をずっと持ってきておるわけでありまして、この団体交渉を通じまして一日もすみやかに林野事業にふさわしい給与体系の確立をはかって参ろうということで、双方努力しておる過程においての問題でございまするので、私どもといたしましては、この給与体系の確立の過程においてそういうような問題もあわせ含めて団体交渉によって問題の解決をはかって参ろうしやないかということと、それからもう一つには、組合の要求自体は一九五七年の一月一日という要求に相なっておりまする関係上、とうてい一月一日以降、少くとも本年度内のすでにきめられた予算の中におきましては、これらのことを了承するわけにいかない、こういうことがもとになりまして、やはり双方の話し合いがつかなかったというふうに御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X01419570320/23
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024・石山權作
○石山委員 今長官は双方の紛争がそんなに深まったものではないということを言っておられますが、林野庁関係の場合は、国鉄さんあるいは全逓さんと違いまして、日常の生活に直結しない問題だけに、特に今融雪期あるいは仕事にかかる以前の状態にあるし、作業にもあまり抵触しないような東北、北海道のようなところを控えておる場合が多いせいか知らぬけれども、問題が隠されておると思うのです。むしろ私は紛争は非常に重大な段階にあると思っておるというのは林野の場合には、普通の正規の官吏のほかに、民間でいえば臨時工といわれる方々まで組合の中に入っております。そしてこれが一つの賃金体系を要求しているのでございますから、私はやはり考え方自体からしますと、ほかの官公労の方あるいは国鉄、全逓のように簡単に問題が処理されないところがたくさんあるのではないか。私こういうような理由で、皆さんの方がよその現業よりもおくれておると解釈しておるのでありますが、そうでないとすれば、私は、労使間のアベック闘争だというふうに言われても、弁解の余地がないのではないかと思っております。というのは、特に申し上げたい点は、あまり目に触れないから、よそができてからこっちがのこのこ出かけた、よその現業と歩調を合せる、こういうふうなことになるだろうと思います。私はそういうことであってはいけないと思うのです。たとえばいろいろな問題が起きたにしても、とかく現業というものは、それぞれ独立採算制を持ち、企業の特殊性を持っておる。特に林野庁の場合には、長官を置いて問題を律していこうという態勢をとっておる場合に、よその現業が終ってからその跡をたどってのこのこ出かけて妥結するというようなことは、労使双方から見てもおかしいじゃないか。むしろ紛争が非常に重大化しているにもかかわらず、それを隠しているのではないかと思いますが、あなたの方ではいつ受諾するという気持でこの問題を見ておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X01419570320/24
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025・石谷憲男
○石谷政府委員 現在仲裁裁定を申請したおります関係のものにつきましては、裁定が出ました上で、これに忠実に従っている努力をすべきものである。先ほど御説明申し上げました給与体系、賃金体系の問題につきましては目下本年度内にはこれをまとめるということで日夜団交を続けておるという状況でございます。
それからついででございますが、ただいま御指摘をいただきました点について、私は先ほど紛争状態というものがないということを申し上げたのでありますが、これは要するに年度末の事態をめぐりまして、直接紛争のような状態にあることが目についておらないということを申し上げたわけでございまして、ただいまの御質問の中にありましたように、すべての問題がいろいろと隠されておるじゃないか、こういうことに関連いたしまして御答弁を申し上げてみたいのであります。なるほど国鉄、電々、郵政といったような他の公社、現業に比べますと、林野事業の実態は非常に今複雑だということははっきり言えると思うのであります。御承知のように作業をいたしております現場も非常に広大な地域に散在をいたしておりますし、それに従っておりますところの職員の職種の種類もなかなか広範多岐にわたっておるというようなわけでございまして、そこでこの作業の実態から見まして、現在私どもの方ではいわゆる定員外職員及び常勤職員という名称をもって呼んでおります月給制の職員が約三万二千六百ばかりおるわけでございます。それ以外にいわゆる年間雇用ではありますが常用作業員あるいは年間のある時期だけを雇用いたします定期作業員及び月給制、月ぎめの臨時職員、こういった日給制の職員が年度時期々々によりましてかなり変動がございますけれども、大体十万程度というようにお考えいただきたいと思うわけでありますが、かれこれいたしますと、年間を通じまして月給制、日給制の職員合せて大体十三万ないし十四万近いものが国有林野事業に従事をいたしておるというふうな現状でございまして、これらの給与の体系というものが、ただいま申し上げますように、勤務の実態からいたしまして非常に複雑な関係をとっておる、そういう状況でありまして、非常に事柄を扱って参ります上に困難を感ずる要素があるのじゃなかろうかというように考えるのでございまして、私どもはこういう実態に照らしまして、どのような体系のもとに賃金は払わるべきかということをかねてから双方の共通の問題としてやってきておるわけでございまして、今ごろになってそういうことをやっておること自体が、問題の解決を非常におくらせておるという御指摘を受けましても、それは文字通りそうだと思うわけでございますが、おくれながらも今申し上げるような状況で問題の推進をはかりつつある、かように御了承をいただきたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X01419570320/25
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026・石山權作
○石山委員 ここへ来て、あなたと私らと非常にのどかにやっておりますが、しかし下部へいきますと——私郷里が秋田なものですから、せんだってちょっと帰ったときにのぞいてみますと、これはよその県で営林局でやっているかどうかしりませんけれども、今までにない係というものをつけております。これは保安係というものをつけました。この保安係というものが何をやるかと申しますと、端的に申せば、新しく起きたこの問題に対しての監督官みたいな役目をなす。もっと言葉を悪く申しますれば、この争議行為に対して監視の目を光らせて摘発するだろう。あなたは、すわり込むぐらいしかなくて案外うまくいくだろうというふうにおっしゃっていますけれども、下部へいきますと、点取り主義をやろうとする仕組みにして、仲間のうちから抜擢したような形で出している。保安係というものは仲間を摘発する、こういうふうな役割を新しくこしらえている。それで下部では紛争が起きている。私は長官が言われておる仕事の多様性、こういうものは判定に非常に困難性があるということは了解できます。しかし地方へいきますと、農林関係のうちの林業の場合は、地方へいきますとほとんど管理職でございます。ですから私の方の地方の俗言で申しますと、だんなさんといって大へん上の方の役目でございます。だんなさんの言うことを聞かなければ山では何にもやれないのだ。ですから、私はこのだんなさんの一人々々の物の考え方によっては、管理職でございますから、一人の方の責任で五十人、六十人の人はざらに使っております。奥へ入りますと人によっては二百人、三百人の人を使っております。そういうふうな方に適合しないような給与体系を押っつけたとあれば——私は農林関係は言いたくないですけれども、汚職とか何とかの一番問題を起すところ、林野関係の場合は一石何ぼの金でございますね、ちょっと千石ぐらい何かされた場合には、すぐ何十万の価格になってしまうわけです。それから身分的なことを先ほどちょっと管理職に似ているというふうに申し上げましたが、これらが地方民に与える影響、現在非常に高価なものをわれわれの仲間が取り扱っておる、こういうふうなことを考えた場合、私は他の現業の面をとやかく言うのではないけれども、十分に独立採算制、いわゆる企業の自主性、こういうようなところから見まして、私たち相当力強く部内でこの問題を解決するだけの意図がなければ、林野関係というものは私はよくならぬじゃないか、特に私言いたいことは、労使の慣行ということを盛んに新聞の方々が指摘されておるわけでございます。労使の慣行ということでありますと、私特に皆さんのような場合に申し上げたい。これは民間の場合の労使の慣行というのはいろいろ自分の力で作り上げるのでございますが、官公の場合には労使の関係は上部の指揮命令権を持っておる人たちが非常に権限を持っておられるわけですね。ですから労使の慣行を作るとするならば、皆さんの方で私はほんとうにその慣行をうまくやろうという意欲がない限りは、とてもとてもよい労使の慣行などはでき上らないと私は思います。特によそを見てからやろうなどと、じっくりかまえられていては、上部機関でお話しなさる方は、長官の周囲の労務関係あるいは農林省との関係あるいは大蔵省との関係ぐらいのところで、少数の人間で問題は片づくと私は思います。しかし下の受けて立つところの組合の側になりますと、なかなかじっくり腰を落ちつけてそれを迎え討つというふうな態勢にはなり得ない、あなたは先ほど十万とおっしゃったでしょう。十万の人はなかなかたくさんの人間でございますから、私は時間がたてばたつほど、水をかけられる現象よりもむしろ燃える現象が多いというのが今の労働組合の現象でございます。ですから誠意があるとするならば、早期解決のめどをまず打ち出すというところの意欲がなければだめだ、そうして早期解決の一つの前例を出していただいて、その次は一つこの点は困難な問題なんだからどうやろう、時間をかけて話し合おうじゃないかというふうにお出しになれば、労働組合の諸君だって最近はいろいろ考えております。この問題は一気にきめるべき問題か、それとも時間をかけなければならない問題か、これはいわゆる中和剤として残すべき問題か、こういうふうなことは私は考えているだろうと思うのですよ。そういう点で私は長官にお問いしたい点は、まず調停を組合がのむにもかかわらず、原則的には賛成とか、拒否とかの一つの指示みたようなものを組合に与えるわけではないけれども、あなたの意欲のようなものを出しておけば、あるいはきょうあたり、あるいはあしたあたりやられるような問題が私は事前に防げたのではないか、こう思っているのですが、そういうことは何もなかったわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X01419570320/26
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027・石谷憲男
○石谷政府委員 先ほど現地においても大部分は管理者ではないかというお話がありましたが、公労法の上で管理者という扱いをいたしております者は二千名強でございまして、残りは全部林野の組合員、こういうことになっておるのでございます。従いましてただいま御指摘のように、現地において事実山の仕事をいたしております職員自体は組合員になっておるというような、いわば組合組織上の矛盾のように考える点も実はなくはないのでありますが、現状はそういうふうになっております。それから昭和二十八年一月一日以降公労法の適用を受けて今日に至っておるわけでございまするが、双方ともに十分な準備なしにこういう態勢に入ったわけでありますので、その間におきましては話し合いの進め方あるいはまとめ方等につきましても、きわめてふなれなところがあったのでありますが、次第になれて参りまして、最近におきましては決して他の方の出方を見て、あとからゆっくり事柄をきめていくという考え方は私ども毛頭持っておらないわけであります。やはり問題自体の内容が非常に特殊な事情にあるのが林野の組合であるということをお考え願いまして、私どもの誠意を尽しておりますところも御了承願いたいと考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X01419570320/27
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028・石山權作
○石山委員 抽象論のような気もしますけれども、労使の慣行が非常に叫ばれて、政治的方向に組合員が運動を進めておるということを政府機関の一部である林野庁の諸君のために私は言いたいのでございます。というのは皆さんの方でそういう意欲がないとすれば、さっきも申したようにどうしても実力行使、だんだん日時がたち次第非常手段に訴えざるを得ない思います。もし皆さんの方に意欲があって早期解決をするといえば、これはほんとうに経済的解決のいわゆる土俵があるわけでありますが、延ばされますとこれは必然的に一つの政治的なものと世間が見るわけです。組合としては経済闘争の延長にすぎない。運動の変化にすぎませんが、世間はそれを争議の激化であり、少しく常識を逸した問題である。政治闘争であるというふうにあとから追いかけて批判をするのですが、やる方から見れば経済闘争の延長にすぎない。これは私は決して慣行は作れないと思います。ですから、やはり長官としては調停の場合に受諾する機会があったのではないか。仲裁にかけてみても、それが出ることを予言するようなことを言ってはおかしいのでございますが、そんなに毛色の変ったものは出ないだろうということを皆さんおっしゃっておるのです。そうするとこんなことは前から予測されたことで、一つやってもらわなければならないと思う。(「社会労働だよ」と呼ぶ者あり)今社会労働という言葉もありますが、私は林野庁の業務をいかに遂行させ、いかにコストを安くして、日本の山林資源を大いに開発するかという基本のお話をしておるのですから、たまたま労務関係に少しく話が集中されたと思えば間違いのないことでございます。いい労使関係の慣行を築くためには、今の日本の労使関係からすれば、皆さんの方で一つ意欲を持っていただかなければ、どうしてもこれは世間から見るとアベック闘争だと批判をされ、残念ながらある意味で政治闘争だと批判され、ちょっとしたすわり込みであるなんといいながらも、それが一つの懲罰の方面まで発展していくというふうになります。ここのところは全国十万人の職員に対しても一つのアッピールにもなると思いますが、この場合あなたからこまかいことをお聞きするよりも、まず早期に解決するように一生懸命努力するというような御返答をいただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X01419570320/28
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029・石谷憲男
○石谷政府委員 現に団体交渉の問題になっておりまして、連日徹夜でもってやっている問題は、ただいま御説明申しました新賃金体系の確立に関する問題でございまして、これは組合側以上に私どもが早期妥結の決心と熱意をもって当っているということを申し上げたいと思うわけであります。それから仲裁の問題については、なぜ調停案をのまなかったかということでございますが、これにつきましては、指示された額の算定基礎が明らかでない。実際問題といたしますと、ああいう示し方では私どもはなかなか了承できないという点があるのであります。さらには給与特例法の規定にありますところの給与原則との関係が明確に規定されておらないということにつきましても、私どもといたしましてはなかなか了承できないのであります。さらに林野事業の特殊性といたしまして、すでに組合側と双方の話の上に立って事がきめられておりますところの雇用区分の制度があり、さらに賃金管理の制度というもの、があるわけでございますが、そういう制度の本旨から考えてみましても、ああいう結論的な数字だけで私どもがそれはよろしゅうございますというわけにはいかないということがこの調停案を拒否いたしました事由であるわけでありまして、必ずや裁定案が出て参りました暁におきましては、誠意をもってこの実施に当って参るのが当然の責務でございますので、そのようにしたいと決心をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X01419570320/29
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030・川俣清音
○川俣委員 関連して。今の説明の中に新給与体系という問題が出ましたが、林野の場合はかなり問題が多いと思うのです。一体新給与体系を先に立てて作業区分なり事業区分をしていくのか、あるいは現状の作業区分または事業区分に従った給与体系を作っていくのが、根本的な問題だと思うのでその点についてお尋ねいたしたい。
もう一つは、愛知用水公団とか農林漁業金融公庫とか森林公庫とか森林公団等の三公社五現業以外の一般公務員に右にならへをしておるものは、今度の公務員に対する給与のベース・アップに伴ってこれらもまた一般公務員並みの給与の引き上げをするのかどうか、この二点を一つ伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X01419570320/30
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031・石谷憲男
○石谷政府委員 新しい給与体系の問題を確立していく過程において、いわゆる雇用区分というものを現状のままで是認してその上に新しい給与体系を持つべきかどうかという問題でございますが、私どもは一応給与体系と雇用区分の問題とは一まず切り離して考えてもらいたい。しかしながら現在のいわゆる雇用区分の制度そのものが必ずしも最終的に確立したものとは考えておりませんけれども、各区分間の取扱いにつきましても、必ずしも現実に問題がなくはないという実態があることも御指摘の通りであります。一応雇用区分の問題と体系問題は観念的にも区分できると思いますので、区分した上で考える。ただし体系について論議して参ります場合において、雇用区分等の妥当性について問題がはね返ってくるような問題につきましては十分にこれを考えて参りたいと考えております。
次に公団等の仕事に従事しております職員の給与を引き上げるかという問題でありますが、これは私の方の所管でもございませんけれども、周囲がそういうふうにやって参れば引き上げざるを得ない問題ではないかと考えております。一応政府職員との均衡の上に立った給与ということになっておりますので、そのようなふうにはなるものだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X01419570320/31
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032・川俣清音
○川俣委員 もう一点だけです。先ほどの雇用区分と作業区分または事業区分というものと異った意味でお尋ねいたしたのでありますが、雇用区分の問題が出ましたので、もう一度お尋ねしておきたいのですが、三公社五現業の中で、いわゆる定員、定員外というものの比率を見ますというと、林野特別会計の定員及び定員外が、他の五現業と比べまして比率が非常に定員外が多い。しかも林野行政自体から見まして、また特別会計から見まして、かなり当然正当な公務員としての資格を持たなければならないような業務、すなわち検尺であるとかいう国の財産を決定するような重要な使命を持っておるものが、いわゆる定員外常動という形で、これは公務員法からいけば適用を受けることになりましょうが、ほんとうの身分の安定したものではないわけであります。あるいは定期作業員等においても検尺をさせるというようなことが起ってきておりまするので、この現在の定員が、一体身分の安定と申しますか、国の財産を管理する上から、また一般の広い民有林等の指導の面からいたしましても、関連して参りまする民有林の指導の面からいたしましても、身分を明確に定員内にしておくのが必要なのではないか。こういう点を解決しなければ、私は新給与体制というものは生まれてこないと思うので、今度の定員の問題については、農林省全体がもう少し熱意が足りなかったのではないかというきらいがあるわけであります。この点についてもう一度御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X01419570320/32
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033・石谷憲男
○石谷政府委員 お話のように、立木の数量の確定をいたしましたり、あるいは素材の品質の確定をいたしましたり、そういったような日常業務に従事しておりますところの定員外職員が決して少くないのでございます。これらの問題は、いわばその確定されました品質、数量等によりまして価格が違って参るので、常に責任をもって判断をいたさなければならぬ、こういうような立場に置かれておる職員でございますので、私どもはそれらの職員の持つべき責任に対応いたしまして、当然その職務は定員内の公務員というようなふうに持っていかなければ相ならぬものだ、かように考えておるわけでありますが、現状は約二万の定員内職員に対しましていわゆる月給制の常動作業員が一万二千六百名おるという現状になっておるわけであります。しかも事業自体から申しますと、その種の常勤作業員すら、これは一応予算上定員化されておりますが、なかなか定員の方は困難だということで、従いまして日給制の職員がそういうようになっておるということで、むしろ定員外に問題を持ち上げるべきものが、そのままにしておきますと、日給制の職員の方に問題が下っていくというのが現状であって、今申し上げました一万二千六百につきましても、昨年の一月に三千ふえてこの現状であるわけでありますが、こういった種類の問題につきましては、行政管理庁等でも非常に神経質に問題を取り上げられて事態の究明に乗り出しておるというような状況にありますので、私どもといたしましては、林野事業の実態を十分に解明いたしまして、そのような機会にはぜひとも定員内職員の定数をふやして、責任のある仕事は責任の持てる立場においてやっていくことにいたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X01419570320/33
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034・楯兼次郎
○楯委員 今石山委員から今次の紛争について話がありましたので、私二、三点だけ関連をしてお願いをしたいと思います。これは区切ってあなたの答弁を求めましても、衆人の一致することかと思いますので、一括してしゃべりますが、今日三公社五現業の紛争がこんなに長引いたり、あるいは世間に対して迷惑を及ぼすのは、一にかかって私は給与総額のワクがある、これを取り除かなければ円滑に今後といえども運営をしない、こういうふうに思っておる。この点は私はあなたも同じだと思います。従って私がお願いをしたいことは、少くとも独立採算制をとつておるこの政府機関が、あげて給与総額のワク撤廃に一つ歩調を合せて政府に要求をしてもらいたいということです。これは過去公共企業体が発足をいたしましたときには、労働関係法の適用を受ける機関はこういうものがなかった。ところが今の大蔵大臣である池田勇人氏が、それでは政府の権限が縮小するといいますか、力がなくなるというので、給与総額のワクを途中で作ったわけでありまして、これをとらなければこの労使の紛争というものは半永久的にワクの取れるまで続いていくと私は思います。あなたは先ほどから団体交渉を制度的に行なっておるとおっしゃいますが、今の公共企業体には、団体交渉を幾ら繰り返しても、組合側の要求をいれ実施をするだけの能力がないと思います。これは団体交渉という面から見れば無能力者だと私は思います。一銭といえども国会、政府の承認を得なければ出すことができない。こんなばかげた団体交渉はないと私は思います。それから今次のあの十一、十二あるいは十六日の紛争状態を見ましても、新聞、ラジオ等によって政府が放送をしておる点を見ますると、なるほどもっとものようにとれますけれども、ほんとうに内容を検討してみますると、こんなばかなことはないと思います。といいますのは、一体調停、仲裁と政府は言っておりますけれども、調停委員会の構成メンバーあるいは仲裁委員会の構成メンバーはほとんど同一人であります。従って同じ人が調停、仲裁という分れた委員会で論議をいたしましても、出る答えはまず同じである、こういうふうに見なければなりません。ところが政府は調停であるからのまないのだ、仲裁裁定であるからのむのだ、こんなことはへ理屈だと私は思う。従ってほんとうに今次の紛争をば円満に解決をしようという意図が政府にあれば、調停の段階で、今予算編成期にありまするから、その面の技術的な面は別といたしましても、調停案を労使が受諾をすれば、今次の紛争というものは円満に解決しておる。同一人の出す仲裁でなければ困るということは、これは国民を欺瞞する政府の弁解だと私は思うんです。で私はお願いにかえるわけでありますが、幾らわれわれが国会においてこういう、紛争に対して論議をしても、これは結論が出ない。従って根本的に解決をするということは、冒頭申し上げましたように、独立採算制をとっておる公共企業体は、給与総額のワクをとって、給与に対する自主的な権限を与えてもらうこと以外に私はないと思います。きわめて困難なことだと思いますが、一つ三公社五現業は政府に対して、ばかにするな、団体交渉をやっておるわれわれにびた一文も自主的に出すことのできないようなこんな法律があるか、なぜ給与総額のワクを取らないのか。こういう線で一つ強力にこの法律改正という面に尽力をしていただきたいと思います。
それからいま一つは、調停といい仲裁といい、これは同一人でありまするので、何も仲裁を待たずとも、この調停案けっこうじゃなか、三公社五現業の当局者が歩調をそろえて、政府に調停案を今後といえども一つ受諾をするように強力に働きかけていただきたいと思います。同一人でも、仲裁委員会の裁定でなければならない、なるほど法律にはそういうふうにきまっておるでしょう。拘束するというふうにきめておるでしょうけれども、結論は同じことです。従って調停の段階でこういう問題は解決をしていく、そういうふうに一つ今後といえども御尽力を願いたいと思います。せっかくこの調停委員会あるいは仲裁委員会があるにもかかわらず、今日まで政府は一回も実施しておらないのです。実施しておらないから、組合の方もいきり立ってああした状態になるので、そういう調停の段階で政府は受諾すべきであり、こういう方向に強力にやっていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X01419570320/34
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035・石谷憲男
○石谷政府委員 そのように善処いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X01419570320/35
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036・石山權作
○石山委員 労使の慣行を何べんも申し上げておりますが、特に政府機関の一部である林野庁の問題の場合は、やはり信じるか信じないか、誠意があるか誠意がないかというような問題にだんだん追い詰められていくだろうと思います。長官のお話を聞いていると、この紛争の問題はおそらくやわらかく取り扱っているのじゃないかという印象を受けました。しかし下部へいきますと、なかなか部内では強硬な方法をとってそれを締めつけようとしている傾向も見えます。政府は口を開けば、石田官房長官など厳罰だ、厳罰だと騒いでおります。現在もまだ、実質的にはやらないだろうけれども、政府の意向は変らぬというようなおどかし半分の言葉を吐いておるようでございます。しかし私は先ほど申した労使の慣行をよくするための一つの習慣として、林野庁長官の先ほどからのお話を善意をもって聞いているわけです。そして、あなたは善意をもって解決に努力されるだろう、紛争もそういうふうな目をもってながめて、終着駅へ着くだろう、こういうふうに考えているのですが、どうでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X01419570320/36
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037・石谷憲男
○石谷政府委員 労使双方の間におのずから形成されておる慣行は極力尊重さるべきであるという原則に基いて、私は組合との話し合いもいたし、問題の推進をはかって参っておるわけでございます。紛争のことでございまするが、双方とも紛争の発生は好まないところでございまして、お互いに事前に警告し合いながらやって参っておるという状況でございますので、私はこの事態が完全に終結するまでの間十分に双方が注意をいたしまして、解決困難な紛争状態というものに陥る事態は絶対避けたい、かように考えておる状況であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X01419570320/37
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038・石山權作
○石山委員 今の長官の言葉をそのまま信じて、これで質問を打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X01419570320/38
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039・笹山茂太郎
○笹山委員長代理 以上で林野関係は終りました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X01419570320/39
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040・笹山茂太郎
○笹山委員長代理 続いて二法案に対する質疑を継続いたします。
石田宥全君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X01419570320/40
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041・石田宥全
○石田(宥)委員 開拓融資保証法の一部改正について二、三御質問を申し上げたいと思います。この制度は、御承知のように、農手を借りられない農家に対する特別の融資制度であります。今回は三カ年の期限づきの小家畜導入のためということになっておるようですが大家畜については別に開拓者資金融通法によって行われる。今回の三千万円の出資金の額ですが、二億五千万円に三千万円追加出資を行われるという根拠はどこにあるのか。本来ならば、この出資を決定するに当って、開拓者の動向とかその経営状態に合致するように、いろいろな要因があって、それを積み上げて決定すべきものだと思う。ところが、これはほかの場合でも多くはそうなることですけれども、政府の出資額を決定してから、それに合せるようにそれに要する保証額あるいは加入予定戸数というものも算定してつじつまを合せる、これが普通の状態だと思う。今回の場合の算定の基礎をどういうふうに求めておるのか。やはり三千万円というものを前提にしてそれにつじつまを合せたにすぎないのか、あるいは開拓営農の現状から算出して、中小家畜導入はその程度でいけるというふうにお考えになっておるのか。その基本的な算定の基礎を伺いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X01419570320/41
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042・安田善一郎
○安田(善)政府委員 今回の出資の増加は、三十年度以降五カ年をもって綿羊を四万二百頭、豚を十九万二千四百頭、鶏を六十万羽以上でございますが、それを五カ年間に導入しようということでございまして、三十二年度には、そのうち大体五分の一でございますが、若干後年次の漸増をにらみまして、綿羊は七千六百頭、豚は三万八千三百頭、鶏十一万羽、その所要資金が一億八千万円でございますので、これは中金資金にたよりまして開拓農家が融資を受けて購入する予定額でございます。これを債務保証をいたしますのは、従来の例によって、出資金をもって債務保証は六倍するということになっておりますから、六で割りますと、三千万円ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X01419570320/42
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043・石田宥全
○石田(宥)委員 今いろいろ数字を示されたのでありますが、その程度の中小家畜の導入で開拓農家が一体どの程度救われるか、私は非常に疑問だと思うのです。不振開拓農家が、農外収入に依存しなければならないという弱体な経営形態から脱却しなければならない、そうして農業に専心して生計の維持ができるような方途を与えるような再検討が必要である。振興法に対する質疑の際にも申し上げておったのでありますが、さらに短期資金についてももっと資金を豊富にして十分な営農の形態を整えなければならないと思うのですが、そうするには、一体三千万円程度の融資で果して間に合うかどうか。なるほど国全体で言えば今お示しになったような数字でりっぱであるけれども、具体的に個々の農家にこれを割り当ててみた場合に、これはきわめて微々たるものであって、それによって営農の改善にどれだけ一体役に立つか。元来二億五千万円というそのこと自体が少な過ぎるし。しかるに今回三千万円しか増額をしないというようなことでは——さっきも振興法についての質問で申し上げたことでありますから繰り返しませんけれども、もう少し思い切ってこのワクの拡大をはかるべきではないかと思うのですが、どうお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X01419570320/43
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044・安田善一郎
○安田(善)政府委員 補助金及び政府資金の低利長期なもの、また短期でも適正な金利のものを開拓者には必要に応じまして供給するのが原則でございまして、その方向に進みたいと思っております。融資の場合は、やはり生産行為を通じまして償還をしていただくものでございまして、特に家畜等におきましては、飼育技術や耕種関係とのからみ合せの営農形態についてだんだんなれも要りますので、いたずらに資金ばかり供給して家畜を導入しましても、償還との見合いができないといけませんので、逐次堅実にやって参るのがいいと思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X01419570320/44
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045・石田宥全
○石田(宥)委員 これは議論しても押し問答になりますからこの程度にしておきます。
それから地方保証と中央保証の、バランスの問題について尋ねたいのであります。これはそのバランスがとれるようになっていなければならないわけであります。しかし昭和三十年の六月以降、地方保証協会の出資金額が中央のよりも上回っておって、三十一年の十二月末においては、地方が三億八千六百八十一万五千円出資しておるのに、中央保証協会の出資額は三億四千五百六十二万円にすぎない。両者の出資金の差額は四千万円、保証能力から言えばその六倍すなわち二億四千万円程度のものが死んでおる。逆にまた地方側より言えば、自分の出資金の保証能力がむだにならないために、中央の保証額の獲得のために争奪戦を演じなければならないという実情に置かれておる。今度三十二年度では三千万円の追加出資によって一応バランスがとれるように見えるのでありますけれども、今お話のように、今回の増資分は中小家畜の導入計画の実施に使用されることでありまするから、全く新規計画に充当されるのであって、従来のアンバランスについてはちっとも充当されない。開拓者の短期融資にどうしても従来のアンバランスの欠陥を残すことになると思うのです。せっかくこの制度ができて、中央においてまた地方においてそれぞれ資金を出資してこの制度を守っていこうとしておるのに、このアンバランスのために今申し上げましたような二億四千万円程度のものが全く死んでしまっておる。ということではいけないと思うのです。それについてはどういうふうにお考えになっておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X01419570320/45
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046・安田善一郎
○安田(善)政府委員 御指摘の点は、中央二、県一、開拓者関係一という割合を目途といたしておるわけでありますが、従来もこの関係で支障なく運用がついておるわけであります。厳密に申しますと、きわめて固定した出資割合ということにいたしますと、都道府県の出資が事実若干少いと思います。今回の中央保証協会に対する出資といたしまして二億五千万円、開拓者は二億一千万円、都道府県出資金が一億七千六百万円でございますが、県の事情もありますことと、今後努力をいたしますことで、当面協会の債務保証・損失補償には支障がないと思います。ただ資金の供給につきましては、従来出資割合等を基準にしまして、中央保証協会の保証額の都道府県別のワクを年間あらかじめきめておることがございまして、そういうふうにやりますと、必ず資金供給額がそれを下回ると思います。十分に債務保証を受けても、その最高限度のワク内に至る。場合によってワク内に至らない場合が出て参りますから、それは今後新年度におきましては、中央に都道府県間の調整ワクを使いまして、全国の総ワクが十分に使えるようにして運用したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X01419570320/46
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047・石田宥全
○石田(宥)委員 それは中央で各府県別のワクを作って、ワクぎりぎりまでやればというお話なのだが、そのワクを作る場合に、中央と地方の出資額のアンバランスの関係というものはどういうふうに処理されるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X01419570320/47
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048・安田善一郎
○安田(善)政府委員 必ずしも出資によりませんで、損失補償の方へどれだけ落ちたかという過去の実績とか、資金が供給ちれます際に、金融機関である中金及び系統金融がこの金融をしてもいいという信用度及びこれに対する態度にかかっておるわけでありますから、円滑にできると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X01419570320/48
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049・石田宥全
○石田(宥)委員 信用度その他でいわゆるワク外融資を認めておる、こいうことになるのですね。そういうふうにワク外にまで信用度が高まっておるという半面において、この償還についての協会の態度、府県協会並びに中央協会のこの償還についての強硬手段というか措置というか、これがかなり批判がございまして、全くこの生き血をすするようなやり方をやっておる。ずいぶんこれは批判も聞くのです。なるほどそういうような強硬な措置をやって別な何か融資がきた、それを償還に充てさせるというようなことで償還の成績を上げることによって信用度を獲得しておると思うのです。これがかなり開拓農家に対して痛手になっておるけれども、それはやはり次の融資等を考えて、やむを得ずやりくりをやっておるという実情にあるわけなんであって、そういうような強硬手段をとらなくてもいいようにするには、やはり資金ワクのアンバランスをなくして、そういう無理をしないように、この点はしなけれびならないと考える。
それから次にさっきちょっと話が出ましたが、保証の限度の問題ですね、中央保証協会の最高保証限度は、出資額の六倍と規定されておる。ところが従来の実績というものは四倍ないし五倍にしかすぎないと言われておるのです。これは地方の保証協会が開拓者の償還能力を考えて、今申し上げたように査定を厳重にし過ぎる。どうしても査定を厳重にするということになる。それから今申し上げたようなアンバランスから、農林中金の取扱い要領に束縛されて利用が伸びない。押えておいてワクの割当をくれないから、これは伸びないのです。これではお話にならない。上から押えておいてワクをきめておいて、これで不自由ないのだ、これは金貸し、心理の考え方だ。銀行屋の考え方なんです。
〔笹山委員長代理退席、委員長着席〕
いやしくも農地局あたりが、銀行屋のような考え方でこういう問題を取り扱われたのでは、開拓農家は生きていけはるずがないのです。ことに償還については償還延期あるいは代位弁済というようなものを受ける可能性もまた考える。そういうことを考えてきつき言ったようにいろいろ次の資金に充当させるとかいろいろなやりくりをするわけです。それでは十分に利用できるはずがないので、これについてはどうしても考え方の根本を改めてもらわなければいけない。そうしてせっかくできてある制度を、もっと開拓農家に十分利用させるように農地局としては特別な配慮をしなければならないと思いますが、どうですか。さっきおっしゃったように大体ワクは十分なんだ、そういう考えで一体いいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X01419570320/49
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050・安田善一郎
○安田(善)政府委員 石田委員のお考えと、基本的な考えに差はございません。三十年度の貸付の融資保証の実情の数字を申し上げますと四・六四倍でございますが、これを所期の目的の六倍まで貸しますように中央保証協会を督励いたしまして、合理的に推進をはかりたいと思って、先ほど具体案は申し上げた通りでございます。ただ金融は特に中金の資金に依存しておりますので、農民の貯金が原資であるということも考えなければなりません。放漫に流れるのは抑制しながら御指摘のような改善をはかりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X01419570320/50
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051・久保田豊
○久保田(豊)委員 関連。今の点に関連してお尋ね申し上げますが、これは全体としてもう少し科学的な基礎を農林省としては考えられる必要があるのではないかと思うのです。というのは、保証協会の短期の貸付が大体年十五億から二十億程度のようです。ところがかりにこれを十五万人の開拓者が利用し、一反歩あたりに対して肥料資金なら肥料資金としてもあるいはその他の資金としても、そういう額で生産の維持ができるはずはないと私は思う。少くとも倍額程度のものはどうしても要るのであります。結局現状はこの資金のワクが少くて借りられないから、他の方面でもって高利で借りるとか、あるいは親戚で七ところ借りをするとか、あるいは把料商をあちこち借り歩いてぶっつぶして歩く、ことしはとれたが来年はとれない、そういうような格好で、それは決して開拓の短期の資金全体を私はカバーしておるものじゃないと思う。こういう点については、今のような中期の小中家畜の導入資金もけっこうでありますが、せめて私は今の開拓資金について短期の年々の経営資金程度は安心して——もちろんぜいたくはいけませんけれども、他の借金はやめる、そうして高利のものもやめる、政府の方では開拓民の資金はこのくらいだと言っておられますけれども、実際はそういうものではおさまらないわけです。そういうものは経済を非常に圧迫する土台になると思うのです。ですからこの点については、金融機関的な観点から見ればこの程度でやっていった方が安心であろうという点はありましょうけれども、私はこういう点については、農林省としてはもう少し基礎的な基準を設けられて、それに合うような——大蔵省といえどもこれは拒否できないものじゃないかと思うのです。こういう点を一つお考えになって全体のワクをふやすということをぜひ考慮してもらいたいと思うがどうかという点と、それからここには開拓民の出資が相当あるわけですがこれがほんとうの出資になるかどうかということです。これはおそらく補助金とか借入金の頭をはって組合がむりやりにやったものだと思う。こういう出資の出せる開拓者というものは私はよほどうまくいっているところでなければ出せないと思う。これはやむを得ないことですが、今の段階では、さらに金を利用するためにはやむを得ぬことと思いますけれども、この点についてももう少し何らか具体策を講ずる必要があるのではないかというふうに考えるわけです。私はこれは金融面から言うと、いろいろほかの問題もありますけれども、開拓者が最低の生存を維持する基本ではないか、そのぎりぎりのところまできているのではないかと思うので、ことしすぐできないまでも、来年度においては、こういう点については根本的な改善をしていただきたいと思うのですが、この点のお考えを承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X01419570320/51
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052・安田善一郎
○安田(善)政府委員 第一点の、開拓者には特に短期の営農資金は、科学的に資金需要量を見積りまして、この制度の裏づけをいたしまして、供給増加をはかるべきじゃないか、こういうことに対しましては、そのように進めたいと考えております。特に今回の出資は中小家畜をねらった出資で、その基礎は従来の比率で若干の問題はあるかもしれませんが、支障なく動いているので御了承願いたいと思います。けれどもこれをもって十分とは思いませんので、来年以降も政府出資をはかりますとともに、中金も開拓者の組合も、すべて農協法によって骨子はできておりますから、共存共栄、相互扶助の建前で——不良貸付があってはいけませんけれども、最近までの実績によりますと、保証をする倍率は必ずしも六倍でなくてもいいのではないかと私は思っております。そのことについて寄り寄り中金とは、これを解決してワクを増加するように話し合いをしておりますが、まだ最終結論に達しておりませんので、中央保証協会の方々や開拓者の方々ともに中金とも話し合いまして、努力してできるだけすみやかにワクの増加をはかりたい、また将来にわたっては、科学的基準によりまして融資の確保をはかりたいと思っております。
第二点の開拓者出資は本法による保証協会ができます前にすでに基礎ができておったようでございます。これは御指摘のように、ほんとうの意味の出資でなかったかと思いますが、せっかくできましてうまく動いておりますものを、しいて過去を洗いませんでこれを育成するようにして、諸先生の御指導によって私どももやっていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X01419570320/52
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053・石田宥全
○石田(宥)委員 もう一点伺いたい。人事の関係ですが、中央の開拓保証協会は、農林省の農地事務局の所在地または北海道庁の所在地にそれぞれ支部を置いて業務の指導連絡等を行なっておりますが、その支部長は公務員である農地事務局の管理部長、北海道では道の農地部長がこれを兼任しております。経費の節約をはかる見地からこのようなことを行われておると思われますが、協会は農林大臣及び大蔵大臣の監督下にある法人であります。行政上監督の任に当る者が一方では監督される立場に置かれているということはおかしいと思うのです。経費が必要なら、そんな経費ぐらいは正規に別に予算を組んで農林省からこれを出すべきであって、そうでないと、この制度の正常な運営と発展に資するわけにはいかないと思う。これは相当重大な問題だと思うのです、が、この点はこのままにしておかれるおつもりか、これは一つ変えよう、こういうのか、変えるとすればどういうふうに変えようと考えておられるのか、この点だけ伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X01419570320/53
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054・安田善一郎
○安田(善)政府委員 お話の点は貧乏世帯を開きますときに、やむを得ないこととして出発いたしまして今日に至ったのだろうと思いますが、一昨日慎重検討の上そういうことをやめさせることにきめました。それの費用は——公務員法上は許可を受ければいいという解釈もありますけれども、私は本来監督官庁と特殊法人との関係はそうあるべきものだと思う。旅費、調査費等においては中央保証協会で負担をしていられるのでありますから、むしろ中金の支所の人とかあるいは重要点の数カ所には中央保証協会の人を置いて、他を節約してやっていただければできるので、それに関連しまして去年の災害についても、開拓者に向いましての農協資金がよく流れませんので、中金理事長と話しましてブロックごとに開拓農協に中金の人を中金の負担において駐在させて指導金融的に扱ってもらうことを約束しておりまして、すでに大半それの配置ができておりますから、それによってやっていこうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X01419570320/54
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055・小枝一雄
○小枝委員長 残余の質疑は後日続行することといたしまして、本日はこれにて散会いたします。
午後零時五十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X01419570320/55
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