1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十二年四月二十五日(木曜日)
午後二時十九分開会
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委員の異動
四月二十三日委員吉田萬次君及び高田
なほ子君辞任につき、その補欠として
井上知治君及び坂本昭君を議長におい
て指名した。
四月二十四日委員井上知治君及び坂本
昭君辞任につき、その補欠として吉田
萬次君及び高田なほ子君を議長におい
て指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 岡 三郎君
理事
有馬 英二君
野本 品吉君
矢嶋 三義君
委員
川口爲之助君
近藤 鶴代君
林田 正治君
安部 清美君
高田なほ子君
松永 忠二君
湯山 勇君
国務大臣
文 部 大 臣 灘尾 弘吉君
政府委員
警察庁長官 石井 榮三君
警察庁警備部長 山口 喜雄君
調達庁不動産部
長 松木 豐馬君
自治庁財政部長 小林與三次君
法務省人権擁護
局長 鈴木 才藏君
文部省初等中等
教育局長 内藤譽三郎君
文部省社会教育
局長 福田 繁君
事務局側
常任委員会専門
員 工楽 英司君
説明員
文部省初等中等
教育局地方課長 木田 宏君
文部省管理局教
育施設部長 田中 徳治君
運輸省航空局監
理部長 吉行市太郎君
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本日の会議に付した案件
○教育、文化及び学術に関する調査
(羽田飛行場周辺の学校における騒
音防止に関する件)
(茨城県における焚書事件に関する
件)
(大分県及び佐賀県における教職員
の人事行政に関する件)
○社会教育法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/0
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001・岡三郎
○委員長(岡三郎君) これより文教委員会を開会いたします。
まず委員の異動について報告をいたします。四月二十三日高田なほ子君及び吉田萬次君が辞任され、補欠として坂本昭君及び井上知治君が選任されました。ついで四月二十四日坂本昭君及び井上知治君が辞任され、補欠として高田なほ子君及び吉田萬次君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/1
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002・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 先刻開会いたしました委員長及び理事打合会の経過について報告いたします。まず懸案の委員会提出法律案のうち、特殊学校における給食問題に関する件については、明日中に結論の出るよう努力することになりました。
次回の委員会については、明日金曜日午前十時より開き、社会教育法の一部を改正する法律案を審議し、採決まで完了することといたしました。なお、その後の委員会は来月六日開くことにいたしました。
ちょっと速記停止。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/2
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003・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 速記をつけて。
本日の日程は公報掲載の順序に行います。以上御報告の通り取り運ぶことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/3
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004・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 御異議ないと認めます。
まず羽田飛行場周辺の学校における騒音防止に関する件を議題といたします。
まず最初に前回羽田周辺における飛行場の騒音防止に関する件について各委員から御質疑があったわけでありますが、本日は調達庁不動産部長松木君からそのお答えを聞き、続いて運輸省、文部省からお答えを聞くことにいたします。
まず最初に松木調達庁不動産部長からお述べ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/4
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005・松木豐馬
○政府委員(松木豐馬君) 先々週の当委員会でお話のございました、ただいま委員長さんからお話の羽田飛行場周辺におきまする学校の防音対策についてでございます。あのときの話に従いまして、私どもといたしましては関係の文部省、運輸省と相談の上、直ちにこの問題に取り組みましたわけでございますが、御承知のように、あそこには九つの学校が周辺にございまするが、私どもといたしましては、まず机上におきまして大体の騒音の程度等につきまして検討をいたしました結果、さしあたり大森第一中学校、並びに大森第五小学校について、いわゆる特損法の規定に基きまするいろいろの条件に合致するかどうかを急いで取り調べることにいたしましたのでございますが、それに基きまして大体この二つの学校はこの机上検討によりまして該当するのではなかろうかという予定を立てたのでございまして、しかる上で去る十五日から十九日まで五日間にわたりまして、現場におきましていろいろの条件を実地調査いたすことにいたしました。一方対米軍関係のこれまでのあそこの使用状況並びに今後の見通し等についても直接調査をすることにいたしました。この前の委員会後、ずっとやって参ったわけでございます。特に現場におきまする調査には、御承知のように飛行機の発着の回数、飛行機の種類、騒音の程度、そういうふうなものを中心にいたしまして、関係の各省の御協力を得て五日間できるだけの調査をいたしたわけでございます。そうしまして、集まりました資料を総合検討いたしました結果は、やはりこの第一中学校と第五小学校は、非常に程度が高いのではございませんけれども、まずまず規定の条件に適合するという結果が出て参ったわけでございます。そこでさらに関係の文部省、運輸省とも協議をいたしまして、この二つの学校に対しては政府として防音措置を講ずるということに協議がまとまったわけでございます。
そこで、一方これが裏づけとなりまする予算措置につきまして、私の方で大蔵省とも協議いたしました結果、どうにか措置できるというめどがつきましたので、この二つに対しては本年度内に防音工事をいたすということにいたしたのでございます。この防音措置は学校の授業等の関係もございまして、本年度内と申しましても相なるべくばこの休み中にやりたい、休み中にやることを原則といたしておりまするので、さようにいたしたいと考えておるわけでございますが、学校当局からの申請を待ちましてさような運びにいたしたいと考えておるわけでございます。ただ大森第五小学校につきましては、学校の建物そのものが非常に何と申しますか、そう言っちゃ悪いかもしれませんが、ぼろけておりまして、せっかくこの防音工事をやりましても、学校が古くいたんでおる関係上十分な効果を上げ得るかどうかということにつきまして心配の点があるわけでございまするけれども、ともかくも政府としては工事をやるということをきめておりまするが、そこで相なるべくば地元当局等におきまして改築とかいうようなことがもし考えられれば、あわせてやった方が非常に効果的ではなかろうかと考えておりますが、今後この問題についてはよく相談して参わたいと、かように考えておるわけでございます。
なお、残りの学校につきましては、今後よく調査をいたしまして、善処して参りたいと考えておりますが、今までの出ております資料に基いて考えますると、程度が相当違うようでございまするからどうかと考えておりまするが、ともかくも十分調査をいたしまして、法規の定める条件に合致いたしまするならば続いて防音措置を、対策をやって参るということに相なろうかと考えておりまするが、あるいは調査の関係等で本年度にはできかねるかもわかりませんが、もしそういうものが出て参りまするならば、来年度におきましては十分予算措置も講じまして適切な工事措置をやって参りたいと考えております。
以上簡単でございますが、御報告いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/5
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006・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 以上御努力をいただいた結果の御報告をいただいて、非常に子供のためにありがたいと思うわけですが、運輸省の吉行さんの方から何かありましょうか、報告が。特別ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/6
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007・吉行市太郎
○説明員(吉行市太郎君) 特別にはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/7
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008・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 文部省の田中教育施設部長から一つ御報告を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/8
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009・田中徳治
○説明員(田中徳治君) 文部省といたしましては、調達庁、運輸省の御協力を得まして現場の実態調査をやった結果は、先ほど調達庁からお話申し上げた通りでございます。
なお、第五小学校の問題でございますが、これは相当に腐朽しておるということでございまして、この点はやはりせっかく防音の措置をいたすならば同時に実施しなければならぬというふうに考えまして、この点は東京都の教育庁の方にも連絡いたしまして、できますれば国家の補償の金をむだにしないように、東京都におきましても多少改築予算を計上いたしまして、そうして実施に移したいというふうにある程度了解がついておりますが、できますればやはり両方一緒に予算措置を講ずるようにしたいというふうに考えまして、東京都の方にはその申し入れをしてあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/9
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010・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 田中さんに申し上げますが、私も先般都の教育長と話しましたが、この点については知事の方とも折衝して、自分の方としても相当考えておるからという話があったので、一つ改築の点その他についても、やはり国費をむだにするということにならぬように一段と協力して何とか目鼻をつけてもらいたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/10
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011・田中徳治
○説明員(田中徳治君) 承知いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/11
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012・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 以上御報告をいただいたわけですが、何か御質疑がございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/12
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013・矢嶋三義
○矢嶋三義君 一言田中施設部長に伺いますが、私はこの報告を承わっておって経過を考えたときに、妙な感じがするのですがね。この特損法に該当するかどうかは、設置者の報告を待って政府関係機関は調査し、動くということになっているわけですか。そうだとすれば、結局この大森一中並びに第五小学校というのは設置者がぼんやりしておった、こういうことになるのじゃないかと思うのですね。大へんお困りになっておったと、そこで国会に持ち込んで国会から調査せよといったところが調査の結果は該当しておった。防音措置をしなければならぬ状況にある。かような政治では国民は全く行政官を心から信ずることができないと思うのですね。設置者の申請を待って扱うようになっているのか。その点明確にして下さい。もしそうだったならば、これを機会に文部省としては全国の都道府県教育委員会を通じて、防音措置をする必要のあるところがあれば申請せよと、それに基いて調査をして、しかるべき措置をするからという通牒をあらためて出して注意を喚起していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/13
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014・田中徳治
○説明員(田中徳治君) この騒音問題につきましては、設置者の申請によりまして全国的に実は調査をしております。たまたまこの羽田飛行場が最近になりましてこの問題が持ち上りまして、従って今までの資料はほとんどなかったわけでございます。このことはたぶんあそこの羽田の飛行場の拡張にからみまして、将来等の危惧を考えまして、こういう問題が早急にやはりできてきたのじゃないかと考えますが、文部省といたしましても、また調達庁といたしましても、全国的にこういった問題を取り上げますが、その際は設置者の申請によりましてこれを調査するということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/14
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015・矢嶋三義
○矢嶋三義君 この際設置者に注意を喚起してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/15
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016・田中徳治
○説明員(田中徳治君) 十分これから徹底するようにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/16
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017・野本品吉
○野本品吉君 私は今の矢嶋委員と全く同じことなんですが、実は私の郷里は旧中島の飛行場のあったところですが、そこが米軍に接収されて、ヘリコプターの部隊の訓練が行われ、発着が行われておる。で、やはり騒音の問題について地方の者から陳情その他がきておるわけです。これは今もお話を聞きますと、設置者の申請を待ってということですが、おそらく設置者から文部省なり調達庁なりへ申請が出ていると思うのですが、申請が出ているとすれば、私どものところへやかましく陳情その他がこないのだろうと思う。従って、飛行場周辺の学校で騒音に悩まされております。小学校の騒音の実態というものを全国的に御調査なすって、陳情だとかその他いろいろなことを待たずに、騒音問題について積極的な処置をしていくというような考え方で手配等を私ども強く希望を申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/17
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018・湯山勇
○湯山勇君 田中部長にお尋ねいたしますが、大森第五ですね。これは非常に建物が古くて、まあ目的を達しられないかもしれないということで、東京都の方との連絡もしておるということですが、ああいう震動の多い地区にあって、こういうずいぶん古いということであれば、これは危険校舎か何かそういう対象には入りませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/18
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019・田中徳治
○説明員(田中徳治君) 危険校舎につきましてはもちろん国家の補助がありますが、第五小学校につきましては危険校舎として対象に取り上げる程度にまだ及んでおりませんので、その点は困難だと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/19
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020・湯山勇
○湯山勇君 まあ一般的な基準からいえばいろいろ見方があると思うのですけれども、相当古くなっておって、しかもああいう特殊な地域ですから、他のところに比べてずいぶん震動も大きいのじゃないかと思います。そうだとすれば、そういうものについては、せっかくまあお骨折りいただいて、こういういい結論を出していただいておるわけですから、何かそういうふうな、相当もう古いということを認められるし、それを何とかしなければせっかくやった防音措置も役に立たないということであれば、特殊なケースとして、単に都だけに——まあ都に十分できる能力があれば別ですけれども、そうでなければ文部省としても危険校舎等の特別なケースとして取り上げるという措置があっても私は不当ではないというように思いますけれども、そういうことはできないものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/20
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021・田中徳治
○説明員(田中徳治君) 特にこの防音関係の補償に関しましては、今お話のありました点、十分研究したいと思っております。もちろんこれだけの問題ではありませんが、ほかにもこれに該当するものがあります。しかし基準に達しないでいて補助の対象に取り上げるということではせっかくの防音工事の補償がむだになりますから、その点は研究いたしますが、第五小学校におきましてはいま少し研究を要するかと考えます。なお、補償できなくても、場合によっては都が十分裏づけをするというようなことも都の方では申しておりますが、今申されましたようなことは今後起り得るケースでございますから、われわれとしても今後とも研究して参りたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/21
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022・岡三郎
○委員長(岡三郎君) ただいまそれぞれ質疑に答えられたわけですが、一つ文部省においても、これを機会にこういうふうな防音についての調査を徹底せられて、先ほど野本君から言われたように、陳情の弊を省かれるような措置をお願いしたいと、こういうふうに考えます。
それから、二枚以外の点についても、松木不動産部長から御親切な答弁があったわけですが、将来大型ジェット機の登場が確実に予想されておりまするので、こういった点についても今後とも調査いただくことになっておりまするが、よろしく願いたいと、こういうふうにお願いいたします。
以上で本件についてはよろしゅうございますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/22
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023・岡三郎
○委員長(岡三郎君) それでは、羽田飛行場周辺における防音問題については一応これで終ります。自後、この経過を見ていろいろとまた問題がありましたならば本委員会において検討することにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/23
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024・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 次に、これも同じく、先般来本委員会において問題になっておりました茨城県下における焚書事件について、人権擁護局でいろいろと御調査をいただいてきておったわけですが、前回は、その中間報告的な御調査の解明があったわけですが、本日はまとめた報告をお聞きしたいと思いまするのでよろしくお願いしたいと思います。
それでは、今の問題について人権擁護局から報告をいただく前に、灘尾文部大臣の方から申し上げたいことがあるということなのでそれを聞きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/24
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025・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 今週の月曜日の委員会に間に合うつもりで出かけたのでございますが、たまたま飛行機に故障が生じまして、その関係で帰るのがおくれてしまいまして皆様方に多大の御迷惑をおかけしたと思います。あしからず御了解をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/25
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026・岡三郎
○委員長(岡三郎君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/26
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027・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/27
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028・鈴木才藏
○政府委員(鈴木才藏君) それでは前回大体の点を御報告いたしましたが、今回まとめて御報告いたしたいと存じます。
まず本件の事件の起りました環境といいますか雰囲気というものを知っておく必要があると思うのでございます。本件の事件の起りました北富田小学校と申しますのは、水戸から水郡線の山方駅でありまして、それからさらにバス、徒歩で約二時間もかかるような非常に不便な所でございます。電燈もございませんでランプを使用しておる非常にへんぴな所であります。一般の住民の知識水準というものも相当低いように思われる所でございます。それから小学校の職員の構成でございますが、校長の島根政雄氏の外四人の先生がおられるのでありますけれども、校長のお年は五十一才でございまして、それから他の教務主任、それから助教諭、こういう方はみな二十代の若い先生方のみであります。しかもその四人の校長以外の教員の方全部高校卒の方でありまして、いわゆる資格を持っておる方ではないのであります。こういうふうな雰囲気のもとに本件が起きたのであります。その点も留意すべき点であろうと思うのであります。
それから問題の要点でございますが、校長が、問題になっております石沢助教諭に対していわゆる誓約書を強制的に書かしたのであるかどうか、それから石沢助教諭が持っておりましたいわゆる進歩的な本を焼いてしまえと言ったのであるかどうか、また石沢助教諭に対しましていわゆる進歩的な人たちと交際するな、そうしてそれに対して絶交状を書け、こういうことを強制したかどうか、この点でございます。調査の結果、前回大体述べた通りでございまして、校長並びに石沢助教諭の供述が完全に対立をいたしております。校長は絶対に誓約書を書くこと、焚書すること、絶交状を書くこと、それを強制した覚えはない、こう強く主張しておったのであります。それから石沢助教諭におきましては、校長から強制された、こういう主張なのであります。どこに真相があるかはっきりつかめませんが、私たちの方で調べました結果、校長は次のようなことを石沢助教諭に言ったのが大体真相ではないかと思われるのですが、それはまず今後まじめに授業をやる、こういうふうな誓約書を書け、あるいは約束状を書——そういう約束状を書けと言ったことは間違いのないところであります。ただ、その場合現在証拠に残っております誓約書の一項でございますが、進歩的な研究をしないこと、それから二項の進歩的な会合にも出席せず、また進歩的な人とも交際いたしません、こういうことを強制的に書かしたかどうか、これは非常に疑問なのでありますが、間接的に、こういう進歩的な研究をしておると、あなたの将来にもよくない、あるいはそれから学校全体が村民から不利な批判を受ける、それからでき得る限り今後進歩的な会合にも出席しない、またいわゆる進歩的な人と交際するということもよくない、こういうふうなことを申したことは事実であります。そして今申しました進歩的な研究をしない、進歩的な会合にも出席しないで、進歩的な人とも交際しない、こういうことがランプの事件がありました後、昭和三十一年の十一月九日の校長と石沢助教諭との会見の際の主たる話の内容ではなかったかと思われるふしがあるのであります。従いましてその校長の年令、地位というものと、石沢助教諭の年令、それから比較的弱い性格の点を考えますというと、石沢助教諭が相当強い心理的な圧迫を受けたということも認定されるように思われます。この点につきまして、校長がこの誓約書の全文を指示して石沢助教諭にそのまま書かしたかどうか、その点は今日はっきりと認定する資料がございません。しかしただいろいろの状況から判断いたしまして、石沢助教諭がこういう誓約書を書く心理的な一つの強制を受けたということは十分に認められると思うのであります。
それから木を焼いた事件であります。これも島根校長の供述の内容によりますと、そういう進歩的な本について善処したらいい、こういうふうな言葉を使っております。善処という意味が一体焼けという意味であるかどうか、これはその当時の両当事者の言葉のやりとり、そういうものから判断せざるを得ないのでありますが、やはり善処という意味の中にはある程度何か始末、処分——焼けじゃございませんが、処分という意味が入っておるのじゃないかとも考えられます。
それから絶交状の点でございます。これはちょうど石沢助教諭の部屋でランプの事故がございまして、そのランプの事故を石沢助教諭は校長に告げておらず、隠しておったわけでございます。それが、たまたまある時計屋に出しております焼けた置時計の件から校長が知るところとなりまして、昨年の十一月の九日に、校長が石沢助教諭の下宿先をたずねた。そうして果してぼやが出たかどうかを確かめに行った。ところがその日に石沢助教諭は不在であったのです、それが帰りましてから、急いでその日の午後七時ごろ島根校長をたずねて、その宿直室においていろいろ本件の動因となりますような話が出たわけであります。そのときに、きょうは君の下宿に行ったけれども、一体どこへ行っていたか。そうすると、木村という人の所へ行っていた云々という話から、その木村という方の村における評判を校長が知っておりまして、そのきっかけからいろいろ本件のような進歩的な人と交際しない云々の話が出ております。やはりそのときの零囲気から申しますと、木村という人の性格あるいは評判から、こういうふうな進歩的な人と交際しない方がいいだろうという話が出、そうして石沢助教諭といたしましても、校長から受けます一種の威圧からそういう誓いを、いわゆる進歩的な人と交際しない、絶交状を出すというふうな気持になったのじゃないか、こう考えられるのであります。従いましてこの誓約書の件、石沢助教諭がいわゆる進歩的な本をみずからの手で焼きましたこと、それから絶交状を出しましたこと、これは石沢助教諭がみずから進んでやったというよりも、やはり一つの心理的な強制のもとにやったのではないかという見方もあるのでございます。またそういう見方もできると思います。ただその点には石沢助教諭の性格の弱さというものも手伝っていると考えられるのでございます。
それからランプの事件でございますが、この点につきましては、石沢助教諭もだれか第三者の作為的な事故ではないかということを言っております。けれども関係者の、特に下宿先の人たち、それから石沢助教諭が信頼しております木村という方の供述、すべてを総合いたしますと、やはりこれは決して第三者の作為的な事故ではないように認定されるわけでございます。第三者と申しますと、結局下宿先の人か、あるいは警察、あるいは別のそういうふうな人の行動が想像されるのでありますが、全然そういう気配は見えないと認定をいたしました。あくまでこれは石沢助教諭の不始末、あるいは偶然の何らかの自然的な原因によって発生したものであろうと、こう考えるのであります。
その次に、この事件に背後があるのではないか、あるいは教育委員会、あるいは警察が背景になって島根校長をして年の若い石沢助教諭に対して前述のような誓約書、あるいは進歩的な本を読まないとか、進歩的な人と交際しないというようなことを言わせたのではないかというふうな疑いが持たれておるかもしれませんが、私たちの方で調べました結果によりますと、直接そういう背景はないように認定いたした次第であります。そういう根拠につきましては、また具体的にお尋ねがございましたら私たちの資料に基いてお答えいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/28
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029・矢嶋三義
○矢嶋三義君 局長承わっていますとね、この前の御報告と寸分変らないのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/29
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030・鈴木才藏
○政府委員(鈴木才藏君) ええ大体……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/30
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031・矢嶋三義
○矢嶋三義君 ええ大体じゃない。前進したところは一つもないわけですが、この前の委員会で、やはり学校長の監督は行き過ぎだ、また学問思想の自由を脅かすおそれがあるということを明確に答弁され、何らか措置を必要とすると、それに対してもし注意喚起とか警告を発したか、どういう措置をとられたか、本委員会に報告してもらいたい、こういうことを要請しておいたわけですね。きょう承わると寸分変っていない。前進していないわけですわ。今どういう疑問点があってどういう調査を進められているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/31
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032・鈴木才藏
○政府委員(鈴木才藏君) 私の方といたしましては、校長の石沢助教諭に対する態度、またそのとった措置が、石沢助教諭の学問の自由と申しますか思想の自由、そういうものを相当干渉しておる。この点において勧告をすべき事件であるように考えますので、ただどういうふうにどういう程度の勧告をするかということを今練っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/32
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033・高田なほ子
○高田なほ子君 大体この間の御報告とほとんど出ておらないようですが、問題は校長と石沢先生の言い分が全く対立しているというところに問題があったわけですので、私どもが期待したのはこの対立については当事者の言い分を聞いたのではこれは問題にならない。あくまでこれは平行線に行くだろうと思う。校長は少しでも罪をのがれたいというような気持から口を緘してこのことは、いや、やらない、やらないとそれは答えるでありましょう。しかし被害を受けた者は被害を受けたことを率直にそのまま述べるでありましょう。従ってそれは双方の言い分を聞いておったのではこれは調査にならない。一応はなってもそれは調査にならない。私が期待したのは、この二者の対立した意見はこれは傍証を固めることによってこれを裏づける以外にない。従って人権擁護局はこの二つの対立した問題にどのような傍証を固めて来られたか、これに非常に私は期待を持ったわけです。たとえばこの誓約書を書かせた、書かせないということには今は触れても本人もおりませんからどうにもならないのですが、問題は十一月の九日に校長宅において誓約書を書かせられ、その誓約書自体がその次の日の朝会で全職員に対して誓約せしめられたということなのであります。これが本人が自発的に誓約をしたものかしからざるものかということは、その場に居合せた他の四名の教職員からこういう問題を聞くことによって大体の傍証は固められると実は見ておったのです。こういう点についての傍証はどういうふうに固めて来られたのか、この点をお尋ねしたいと思います。そのほか傍証を固めるについてはたくさんあると思うのですが、本を焼かせたと本人は言う。しかし、校長は焼きなさいとは言わなかったのだ。善処しなさいと言ったのだというふうに言い張っておるようでありますが、しからばなぜ校長はその次の日に果して彼が本を焼いたかどうかということをわざわざ公務中に本を焼いた現場を検査に行ったか。善処しなさいということは焼きなさいということではなかったと言っておっても、しからばなぜその日に現場に行って本がどういうふうに焼けたかということを何がために校長は検査をしたのか、こういうふうな点は大きなこの傍証になるわけです。口では反対を言っても行動そのものが立証づけて来る。これは法務局の方ですから、われわれしろうとがそんな調査方法について申し上げるべき筋合いじゃないでしょうと思いますが、はなはだしく今の御報告を伺っておりますと、この二つの対立した重要な問題についての傍証固めというものについてはどうも触れられておらないのです。従いまして、一応どういう形でこれらの事実について傍証が固められて来たのか、詳細に御報告を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/33
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034・鈴木才藏
○政府委員(鈴木才藏君) 今の傍証の点でございますが、こちらから調べに参りまして調査した範囲の点になりますが、翌日誓約をいたしました当時の状況につきまして先生方からその当時の模様を聞いております。それから翌日校長がわざわざ石沢助教諭の下宿先に行って、果して本を焼いたかどうか確かめに行ったか、その点でございますが、確かに校長は翌日行っております。けれども、何のために校長が行ったかという点でございますが、これはやはり当事者の主観的な問題になるのであります。校長の言によりますれば、果して本を焼いたかどうか、そのあとを見に行ったというのではなしに、こういう事件が起きてもどうか石沢助教諭を追い出さないでもらいたい、よろしく今後頼むというふうに頼みに行ったという供述なのであります。その他校長がほんとうに本を焼いたかどうか確かめに行ったかということはどうしてもこれを認定する資料が、資料と申しますか傍証はないのであります。それは一つの解釈の問題になるほかはないと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/34
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035・高田なほ子
○高田なほ子君 せっかくお調べいただいたのですが、非常にあいまいじゃないでしょうか。十一月九日の日に校長は何がためにこの大家のうちへ行ったのか、それは校長は本人がこういうような不始末をしでかしたので、部下教員の不始末があってまことに申しわけない、今後ともぜひごめんどうをわずらわしたい、こういうような理由をもって校長は大家のうちに行ったと言われておるわけです。これは前にも御報告の中に若干そういう点が漏れておったわけです。十一月の九日に頼みに行って、またその次の日に、しかも公務執行中に書物を焼いた現場をなぜ校長が見に行ったかという、そういう疑問点についてはあまりすっきりしておらないのではないか、しかもこれは教員組合の方から調査に参ったときには、明らかに校長は書物を焼いた現場を臨検したと説明をしておる。はっきり見に行ったのだと説明をしている。こういう事実から見れば校長が書物を焼けと言ったということは、それから推して調べられると思うのです。しかも本人は八十冊焼いたというが、実際その灰の量から見ればそれほどでもないというように、本を焼いたか焼かないかという問題の争点をめぐってはかなりの資料が第三者側からあがっている。そういう資料を元にしなければ、双方の言い分だけを聞いたのではどうも調査にならない。大体物事を調べるためには、こうした貴重な傍証というものを固めていかなければその真実がわからないというのが常識でありますが、遺憾ながらこの傍証についてははなはだ脆弱であって、どうもたくさんの事件が山積されておるので、御調査もすみずみまで行かなかったのではないかと思いますが、そのことによってせっかくの人権擁護局の使命が果されず、封建的な色彩の濃い中で、最も弱い者が権力の中で屈服して泣いていかなければならないというこの人権じゅうりんが人権じゅうりんのそのままで終ってしまうということであったのでは、本委員会でこの問題を取り上げ、また擁護局に御苦労をわずらわした効果がないというふうに考えられて大へんに残念に考えます。
それからもう一点尋ねたいことは、校長は誓約書を受け取り、この誓約書が本人の訴えによってがぜん表面化した、そこで非常に校長はあわててしまった、すなわち十二月の二十日の日に茨城県教員組合の調査団が校長に会って真相をただした、そうしてその真相をただした中に、今言うような本を焼いた所へ見に行ったということもはっきり校長の口から述べられておる。そういうような問題が起ったその次の日に校長は八時半に児童の朝礼がありましたが、その朝礼のあとで校長の裁量に基いて全職員に職員室に緊急集合を命じた、そうして、こういう問題が外部に漏れると石沢君にも不利だ——お前にも不利だ、私にも大へん迷惑のかかることだから何とかこれはもう内部で解決できないものだろうか、こういうような内部的に何とか解決するために君から預っていた誓約書は返そう、誓約書をわざわざ石沢助教諭に返すことを校長自体から申し出てきたというこの事実は何を物語っておるか。校長が不当な誓約書を書かせないならば、何も正常な授業をわざわざ校長の一存で不正常授業にしてまでも、なぜ誓約書を返そうと職員会を開いてそこで自発的に言い出したのか。ここらあたりにも校長が誓約書を書かせるまでに至ったその経緯というものをおぼろげに読みとることができるでしょう。しかもこの職員会議は朝の九時ごろから、授業はもう全然自習状態にさせておいて、昼飯も食べずに、とにかく夕日の沈むまでこの問題のために職員と校長、なかんずく石沢氏と校長との間で、事を明白にすべきこと、そして条件なしに黙っているということはでき得ないのだという論争が繰り返されたという事情を私は聞いておるのであります。従って十二月二十一日のこの職員会での模様というものがどの程度調査され、その職員会の模様をめぐって校長のとった態度は、これは果して妥当な態度であったのかどうか。そしてそのいきさつから考えて、この誓約書は自発的に本人が書いたものであるかどうかということ、こういう認定は容易にできるのではないかと思うのです。もし御調査があればそれと、それからその間における職員の意見などもあったはずでありますが、承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/35
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036・鈴木才藏
○政府委員(鈴木才藏君) まずお断わりいたしておかなければなりませんのは、確かに調査が十分でなかったという御批判は甘んじて受けるつもりでおります。ただ私の方は役所でございますので、ある情況証拠から特定の事実を推認するということはよほど警戒を要する点があるのであります。先ほどおっしゃいました、この事件が起きまして後に職員会を開いた、そしてさきに石沢助教諭から受け取りました誓約書について話し合っておりました。その当時の状況も全部供述に詳しくございます。ただ私はこのように考えます。第一、問題のああいう誓約書を石沢助教諭に対して島根校長が強制的に書かしたかどうかという問題よりも、たとい自発的に石沢助教諭が書いたものであるにしろ、校長がああいう内容の誓約書を受け取り、かつ保管しておること自体は、私は非常に校長として非常識だと思うのであります。従いまして、あの校長が、この事件が起きまして、本件のような誓約書を持っておること自体、それを受け取ったこと自体に非常な過失を、あるいは非常識を感じて、何とかそれを円満に解決しようというふうになさったのではないか、こういうふうに解釈をしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/36
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037・高田なほ子
○高田なほ子君 一応そういう解釈は成り立ちましょうから……。しかしその行動についての解釈が、擁護局の解釈とまた私の解釈が相違したからといって、これは別に問題にはならないと思うのですが、問題は、校長が受け取ったこともそれは悪いでしょうが、そういうものを書かせたということに対する良心の苛責というものは、ここからおぼろげに引き出すことは可能だろうと思う。
それからその次に非常に疑問に思いますことは、一体その進歩的な書物ということについてどういうふうに校長から見解を尋ねて来られたか。進歩的な書物というものはどういう内容のものであったのか。擁護局がこの書物を見た場合にどういうふうな感じを持たれたか。これは感じになりますが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/37
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038・鈴木才藏
○政府委員(鈴木才藏君) 今お尋ねの進歩的な本というもの、それは校長がどのようなものを進歩的な本だと解釈したかということの調査はどうも的確な調査ができておらないように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/38
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039・高田なほ子
○高田なほ子君 調査ができていない……。それでは、木村氏をさしまして、校長は非常にこの人はまあ片寄った人であるというふうにきめつけて、こういう人とは交際してはならないということが話し合いにも出たでしょう、だから絶交状も書かせたのでしょう、そこで校長は木村氏という者に対してどういう認識を持っていたのか、これが非常に私は疑問だと思う、またこれは木村氏の所属する茨城県農業団体労働組合からも連合会として校長に抗議文が出ております。しかしこの抗議文に対しては校長は一言も自他ともに説明はしておらない。大村氏をさして赤だと言っているその根拠というのは、非常に不明確である。しかもこのことによって同氏の名誉は非常に傷付けられたと大村氏は述べています。またミチューリン農法を赤のことだと断定したというのは実に噴飯ものなのです、ミチューリン研究というものを知らない人が言っているので、これはまあ専門家に聞けば全く噴飯ものですが、これをもって赤ときめつけておるようであります。そから木村氏の研究範囲を赤のことばかり研究している、だからこういう進歩的な人はけしからぬというふうに、とにかく石沢助教諭の交友関係としての木村氏というのは、この校長にかかってはもうめちゃくちゃに誹謗を受けているわけです。で、こういう対人関係のものについては農業団体労働組合からも抗議文が出ておるようでありますが、交友関係について校長はどういうふうに見ておったのかというようなこと、特に木村氏が擁護局の調査によって、これに校長の言うがごとき条項に該当しておったかどうかという点の報告。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/39
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040・鈴木才藏
○政府委員(鈴木才藏君) いわゆる世上で、赤だという一つの日本語の言葉でございますが、それはその使われます地域によって非常に違うと思うのでございます。程度が違うと思うのでございます。私たちの調査員の報告に基きますと、村では木村氏を赤だという評判がされていたらしいのですが、実際はそういう方ではない、非常にまじめな農業の研究家のように見受けました。それからおそらくあの村では一番の見識を持った方のように見受けたのであります。大村氏の供述も全部詳しくとってございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/40
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041・岡三郎
○委員長(岡三郎君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/41
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042・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/42
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043・高田なほ子
○高田なほ子君 擁護局の方では木村氏についての御認識は、今説明があった通り、しかしこの林警部補というのは、木村氏からその後手紙が参りまして、朝日新聞の茨城版によると、林警部補は交友関係について本村氏を調べたことはない、ただその他の問題について木村氏を訪問したそのついでに交友関係のことについて尋ねたのだというふうに林警部補は言っておるし、擁護局の方もそういうふうに本委員会では御報告になっておる、ところがその後御本人の木村氏から手紙が参りまして、これは岡委員長にも御賢察を願うためにお渡ししてあるわけでありますが、その内容はあの新聞報道とは違うし、擁護局の報告とも違う。なるほど林警部補は私のところに別な用件でたずねたことはあったが、特に石沢氏との交友関係を調べるために私をたずねたという新しい問題が起ってきています。一体警察官が個人の交友関係のことについてただし抜くということは、これは私は職権の乱用だと思うのです。犯罪容疑でもあればこれは別問題ですが、何らの犯罪関係に関係なくして石沢氏との交友関係を個人に対して調査するということ、これはどのような形であろうとも許されていいことではない、こういう新しい事実に対しては私は十分擁護局の方でも、人権擁護の建前から警察官の職権乱用という点についても重視せられたいと思うのでありますが、これに対して私の報告に関して御報告がございましたら。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/43
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044・鈴木才藏
○政府委員(鈴木才藏君) それでは大体、大宮警察署の林警部補、これは警備係でございます、この人と大村安明氏との関係について調査したところを、もう少し具体的に申し上げます。私たちの調査によりますと、木村氏は今申しました大宮警察署の林警部補と二、三回会っております。ただ直接林警部補が木村氏の思想調査をする、あるいはしたという傾向は見えません。いや、言葉はちょっと誤解を受けると悪いのですが、林警部補が直接木村氏に会って木村氏の思想内容を聞きただしたという事実はないように見受けます。ただ間接的に木村氏が勤めておりました事務所の秋山栄子という方から、いろいろ木村氏のことについて聞き出そうというふうに努力しておったようには見受けられます。それからこの事件が起きまして後に林警部補が小学校に参りまして、そして小学校の女の先生からいろいろ聞いておるようでありますが、別の機会にこの事件について、林警部補は木村氏にいろいろ聞いておるようでございますが、大村氏の私たちの方の調査に対する供述によりますと、林警部補は別に木村氏と石沢助教諭との関係、それから石沢助教諭のことについて強制的に供述をさせようということはなかった、こういうことははっきり述べておられました。結局、あなたの村で大きな事件が起きましたね、というようないろいろの雑談で、林警部補はむしろ校長のやったことをいろいろ非難しておったということの話でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/44
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045・高田なほ子
○高田なほ子君 思想調査の問題に触れますが、直接思想調査をしたことはないといっても、これは直接本人に向って何を考えているかなどということは、それは幾ら何でも聞かないことで、思想調査というのは、いつも側の者からだんだん聞いていって思想調査をするのであって、それから石沢助教諭のことについても強制的に聞いたことはないというが、木村氏は何も強制的に聞かれる悪いこともしておりませんから、私は強制的に聞いたか聞かないかということではなくて、個人の交友関係について聞きただすという、そのことについても私はおかしいのじゃないかというのです。これは見解になるでしょうけれども、木村氏はそのとき突っぱねたらいいだろうとあなたはおっしゃるかもわかりませんが、何のために個人の交友関係などを聞かなきゃならなかったか。かりに私はどんな警部にどれどれと交際があるかと聞かれましても突っぱねますよ、理由がなければ。というように、人権擁護というのは強制的に聞いたか聞かないかというのではなくて、非常にデリケートな問題の発生の仕方が多くありますから、やはり人権を守るという建前において、警察権の特別な権力の乱用ということにわたらないような注意をしてしかるべきであったという感じをわれわれ持つわけです。時間もありませんようですし、最後に言わしてもらうならば、この種の問題は決して非常な大問題であるというふうには考えないかもしれません。けれども、学問の自由とか思想の自由とか、これを守っていくという建前から考えたときに、なかんずく封建的な農村地域の中ではこういうことが起りがちであり、権力のないものと権力のあるものとの間では、やはりいろいろな問題が起りがちであり、なかんずく最近学校の職場の中で非常に反動的な空気が見え、校長の職権というものが乱用されて、この種の問題がぼつぼつとして起っておることから考えたときに、実は私の主義としては、この当事者を委員会にでもおいでいただいて、もっともっと詳しく事情を聞いて、再びこういうような不祥な事件、少くとも良心の自由、それから本を焼かせたということは前代未聞の不祥事でありますから、こういう不祥事が起ることのないようにという、そういう賢明な意図のもとに実は取り上げさしていただいたわけです。一つ擁護局は、予算も少くて、仕事は山積しておって、はなはだどうもいろいろな調査方に御苦痛を感じていらっしゃることはかねがね私も承知であります。しかしその使命はきわめて実に大きくあり、また私どもが人権擁護局に期待するところは実に大きいものがあります。一そうの御奮闘を期待するわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/45
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046・鈴木才藏
○政府委員(鈴木才藏君) 今の高田委員のお言葉に対しまして、私一言申し上げます。私在野法曹から去る二月一日に人権擁護局長になったのであります。従来の人権擁護局のこういう人権侵犯事件につきまして調査の態度、方法その掘り下げ方というものを従来の記録から見ておりますと、やや遺憾な点があるように思います。これは人権擁護局の陣営、スタッフの能力あるいは人数の点からくるのでございましょうけれども、私は今後人権擁護局の日本人の基本的な人権を守る職務の重大、こういうものは非常に強く感じております。本件が起きまして後も、私はこの点が気になったのであります。本件というものは——いわゆる片いなかに起きましたこの本件が、ある強いバックの線に沿って起きた事件であるか、あるいは関係者の非常な非常識あるいは程度の低いために起きた事件であるか、これをまず見きわめて、こういうことを重点にして調査員に命じたのであります。あるいは調査の点が、警察がいろいろ事件を調査し、検察庁が取り調べますように強制的な方法もございませんので、調査が徹底しておらなかったためかどうか、知りませんが、全般的にこの事件を見まして私はこの校長のとった態度、それから石沢助教諭のとりました態度、こういうものは決して強い背後の——背後と申しますと、あるいは教育委員会、あるいは警察関係のそういうものを意味しますが、あるいはどこかの教育の方針についての強いあるバックのところからこういう事件が起きたかどうか、こういう点に関心を持って本件を見ますと、それは否定せざるを得ない。これは非常に校長としても能力のない、常識を欠いた五十過ぎた校長、それから石沢助教諭も、現在では相当いわゆる筋金が入ったと言われておりますが、彼がほんとうに尊敬しておりました木村氏の言によりましても、石沢助教諭は意思が薄弱な人であり、とうてい人のうわさするような主義者というタイプの人間ではない、こういう言辞から考えましても、これはやはりその雰囲気、あるいは程度の低い教養、そういうものから起きた一つの偶発的な事件じゃないか、あるいはそういう事件が起きますには、外部の広い波に左右される、あるいは空気に左右されることはございますが、本件については、やはりそういう偶発的な、非常識な人の、あるいはよく勉強してない素養の低い人たちの間に起きた一つの事件じゃないか、こういうふうに見たわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/46
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047・岡三郎
○委員長(岡三郎君) それでは、今後の人権擁護局のこれに対する措置等は他日にゆずりまして、一応ここで質疑を終りますが、よろしゅうございますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/47
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048・岡三郎
○委員長(岡三郎君) それでは、鈴本人権擁護局長にお願いいたしますが、これに基くところの島根校長に対する措置その他については、やはり経過を委員会としては見守っておりますので、どうぞこれに対してそのような措置がとられたならば、御連絡、御報告を願いたい、こう考えます。
それから文部省の方としても、それとにらみ合せて、本件については、背後関係はないが、珍しい事件であるという観点から、こういう問題が今後非常識であろうと何であろうと、発生せぬように何らかの措置をせられるようにしていただいた方がいいのじゃないかと思います。これについてお答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/48
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049・鈴木才藏
○政府委員(鈴木才藏君) 人権擁護局といたしましては、島根校長に対してすみやかにしかるべき措置をとり、至急に御報告いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/49
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050・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 文部省の方として……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/50
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051・内藤譽三郎
○政府委員(内藤譽三郎君) ただいま、人権擁護局長のお話のように、本件は非常に偶発的なものであると考えておるのであります。教育委員会といたしましては、すでに双方に訓告を与え、今期の昇給の停止を双方ともいたしておるのであります。なお今後こういうことの起きないように、県の教育委員会を通じまして、できるだけ地方教育委員会に指導を強化して参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/51
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052・鈴木才藏
○政府委員(鈴木才藏君) 最後に、まことに僭越でございますが、ちょっとつけ加えさしていただきます。それは、この事件が起きまして後の村民たちの考えでございます。今まであの地方の村民の人たちは、いわゆる進歩的な本を読むと、すぐ赤だというふうな、程度が低かったと思うのです。そして、校長が、こういういわゆる進歩的な本を読む、こういうことを助教諭に対して注意をするということは別に気にもしなかった。ところが、この事件が起きまして、村民の人たちが非常に学問の自由あるいは思想の自由、そういうものに対して、新しい、啓蒙された目を持ってきた。非常にいい事件であった。周囲がこの問題を取り上げたということは、やはり、現在の社会において、こういうことが問題点なのだという一つの一般の認識を得たというようないい結果をもたらしておるということを報告しておきます。この点だけ申しておきます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/52
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053・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 次に、大分県及び佐賀県における教職員の人事行政に関する件を議題といたします。御質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/53
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054・矢嶋三義
○矢嶋三義君 大分県及び佐賀県の人事行政について、先般の委員会から質疑をなしているわけでございますが、先般の委員会では、大臣並びに局長が出席しておられなかったので、その点質疑が残っております。その後佐賀県においては問題がきわめて重大に急進展いたしたようでございますので、若干時間をいただいて質疑を続けたいと思います。
質問の本論に入る前に、若干前提として質疑をいたしたいと思います。時間の関係上、簡明率直に御答弁を要請いたします。
まずお伺いいたしたい点は、人事異動があっても相当日数が経過していますから、おそらく都道府県教育委員会の資料を集計されていると存じますが、昭和三十二年度において小中学校の教職員は何人ふやされ、また昭和三十一年度末において卒業された学芸学部並びに教育学部卒業生は何%就職ができたか、数字を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/54
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055・内藤譽三郎
○政府委員(内藤譽三郎君) 私どもへの報告によりますと、北海道を除いて、約三千名の増員計画ができておるのですが、具体的にどの程度確実に充足されたか、まだ報告を受けていないのであります。従いまして、学芸大学の卒業生の就職状況、これについても、今のところ正確な資料はございませんので、早急に調査いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/55
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056・矢嶋三義
○矢嶋三義君 その点は早急に調査をお願いいたしておきます。たとえば、本日質疑の対象になっておる大分県、佐賀県等においては、さらに再建団体においては、新卒の就職率というものは希有、まれに見る低い率になっておるようでして、これは今後のわが国の文教政策上重大な問題だと考えますので、至急に資料を整えていただきたい。
ここでそれに関連して一つ承わっておきたいのですが、教育学部、学芸学部の卒業生のうちの教育奨学生は、一年以内に教職について奨学金を受けた期間の倍の期間勤むれば奨学金が免除されることになっておる。一年以内に就職できぬ場合には二年以内に就職すればいい、かような規定のあることは御存じの通りです。しかし、最近の教育学部並びに学芸学部卒業生の就職状況を見ておりますと、二年間にわたって教職への就職を熱望しながらもなおかつその職が与えられないというのが実情です。国家の手で養成した、かような教職員が就職できない、しかも二年間就職できないからといって、そこで奨学金をまるまる返せといわれても奨学生は非常にお困りだろうと思う。かような就職したいという意思を持ちながらも二年間にわたって職場が与えられないというような教育奨学生に対しては免除の規定を適用すべきだと、私はかような社会情勢にあると考えますが、文部大臣の御所見はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/56
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057・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 実情によりましては十分考えなくちゃならぬ問題だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/57
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058・矢嶋三義
○矢嶋三義君 次の委員会までその点は検討しておいていただきたいと思います。
次に伺いたい点は、本年度まで退職勧告は全国的にどのくらい行われたか、また、その際退職勧告される場合に、都道府県によってそれぞれの差異があるわけですが、大体何才くらいの教職員を対象にして勧告がなされたか、局長の知っておる範囲内においてお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/58
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059・内藤譽三郎
○政府委員(内藤譽三郎君) 本年の退職勧告は、まあ主として再建団体が中心でございまして、もっとも教育界としては例年三月の人事異動にはある程度の新陳代謝が行われておりますことは御存じの通りであります。特にその意味でやや無理な点がございましたのは大分とか、あるいは佐賀とか、あるいは山梨とか、長野とか、こういう点を聞いておるのであります。年令の点はまあ各県まちまちでございますが、大体四十七、八から五十五くらいまでが多いようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/59
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060・矢嶋三義
○矢嶋三義君 大臣に伺いますが、私が承知している範囲では、局長が今申されたように四十七才から五十二、三才程度に勧告が盛んに行われております。しかもその内容は明らかに男女差をつけております。共かせぎは大がい勧告の対象になって奥さんの方がおやめになっておるのが実情でございます。鹿児島県においてはそれをのがれるために真剣に先生が法的に離婚しようということを決意されたということが伝えられております。かように深刻です。これらの人事行政に関して大分県では始業式が一週間おくれた、佐賀県では四回にわたりこの人事異動の発令が出された。そういうことを織りまぜて、さらに後ほどお伺いいたしますような重要な事態が大分、佐賀に生まれて参っておるわけですが、かような事態が教育界に起り、教育水準を維持向上することに懸念される事態の起った理由はどういうところにあると大臣はお考えになっておられますか。またそういう事態を解決するのにはいかような方策をもってすればいいとかようなお考えを持っておられますか。根本的な問題でございまするので、お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/60
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061・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) お尋ねの問題はまことに悩みの多い私は問題だと思うのであります。今日地方によりましてはいろいろ問題が起っておりますが、その大きな原因は、一つには私は財政の面からくるのだろうと考えます。ことに今日は地方財政がかなり窮屈になっておりまするので、その対策として御承知のように財政再建計画というものを立てて、あるいはまた自主的にさような計画を立てて財政の立て直しをやって将来の発展に資する、こういうようなことになっております関係上、教育予算の面におきましてもある程度の制約を受ける、かような関係があるということを私は考えます。同時に、また退職等の問題につきましては、教育界におけるいわゆる新陳代謝と申しますか、だんだんと先ほどお話がございましたように、学校を出ていく人の就職も今日はよほど状況がよろしくないというこういうようなこともございますので、自然新しい人を採用するためには古い人にやめてもらわなければならぬ、かような関係も出てきておるように思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/61
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062・矢嶋三義
○矢嶋三義君 その国家財政並びに地方財政の実態のために若干の制約を受けることはいたし方がないというような御答弁でございますが、私は申し上げるまでもなく、本年度のわが国の国家財政というものは飛躍的に膨張しておる。地方財政計画においても約一千億円以上も膨張しておる。ところがその中における教育予算のふくらみ方というものは五十億そこそこ、そういうところに私は教育軽視の政策が表われておる。それが父兄の変った形における負担になっていっている。こういう点私は指摘せざるを得ないと思うのです。時間がかかりますから私意見は多く申し上げませんが、問題をしぼって一番この深刻なのは法に基く再建団体並びに自主再建計画を持っている団体、これに対しまして自治庁の方で相当の助言と指導をされているわけです。あの再建法が成立する場合には文部省と自治庁の十分なる連絡がなされ、また都道府県自治体においては教育委員会と県側の十分なる意見調整の上に行われるというようなことでございましたけれども、国家財政、地方財政が、さらに民間においては笑いもとまらぬほどいわゆる神武以来の景気と言っているにかかわらず、ただ教育界のみに多くこのしわ寄せがきているという点については文部大臣として何らかの私はこの所感と決意があられるはずだと思うのです。具体的には、法に基く再建団体並びに自主再建団体のその再建計画を、教育水準を守るという立場から自治庁と再検討される御用意はございませんかどうか、その点伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/62
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063・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 仰せの通りに今年度の予算は相当膨張いたしております。従いましてまた文教予算におきましてもかなり増額をいたしておるわけであります。私はしかし国の需要なり、地方の需要というものは、ただ単に教育だけではございませんので、従いまして他の方面にも必要な経費が要るわけでありますので、教育予算だけを確保するというわけにはなかなか実際問題としていきかねる、この点は一つ御了承願いたいと思うのであります。しかしながら教育の水準というものを守るという心持は、これはまたお互いに持たなくちゃならぬ問題でございます。われわれといたしましても苦しいけれども、教育の水準は守っていきたいという熱意は持っておるつもりでございます。なかなか実際問題といたしまして予算の点その他について地方によって窮屈な思いをしていただかなくちゃならぬと思います。これはお気の毒なことであります。お気の毒に思っておりますが、多少のことはこれはぜひ一つこの際のことでごしんぼう願わなくちゃなるまいというふうに考えている次第でございます。ただ再建計画にいたしましてもあまり極端な再建計画を立てておる、不合理な再建計画を立てておるというような場合におきましてはもちろんわれわれ気がつきますれば、これに対して自治庁とも十分連絡いたしましてその是正に努力いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/63
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064・矢嶋三義
○矢嶋三義君 文部大臣。この教職員というものは次代の日本を背負って立つ人を教育する人なんですが、従ってその教育者その人が人間として完成されてからこそ私はりっぱな教育を行われると思うのです。男性にしても女性にしても四十七才八才程度で教育予算が貧困なるがゆえにという理由をもって整理をされる、こういうことは私は日本の教育界にとってはまことに悲しむべき一大損失だと私は考える次第ですが、そういう点については大臣はどういう御見解を持っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/64
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065・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) お話しの御趣意につきましては格別変った考えはいたしておりません。四十八才でもう古過ぎてやめにゃならぬだろうというふうに私は考えておるわけじゃございませんが、実際の問題といたしまして何とかしなければならぬという場合にはある程度の標準を立てて、これを実行する以外に道がないのじゃないか、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/65
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066・矢嶋三義
○矢嶋三義君 日本においてはこの教育学部、学芸学部の卒業生が就職できない人が非常に多い、しかし教師が多過ぎるのじゃなくて、むしろ私は不足している実情だと思うのです。諸外国の例を私が申し上げるまでもございませんが、ともかく一学級に六十人程度を入れている学校というものがたくさんあるわけです。ところがいつも指摘されることですが、学校教育法の施行規則の十八条には、小学校は一学級五十人以内を標準とする。中学校は、五十五条において同様に、小学校に準じて一学級五十人以内を標準とすると、こういうはっきりした法的根拠があるわけですからね。これを大臣としては私は実現させる、この法を守るような文教政策をやる私は責任があると思うのですが、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/66
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067・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) お話の通りに、その基準に対してわれわれはこれを下回ると申しますか、上回ると申しますか、少くとも基準に近づけて参らなければならない、これは私の務めだと思って、おります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/67
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068・矢嶋三義
○矢嶋三義君 五十人以下というのは、五十を含んで四十九、四十八以下ですからね。明らかに現在地方財政計画等で内容に盛られているところの定員というのは法に違反していると思うのです。この一学級の収容人員というものは、子供の教育の効果が上るかどうかという、それに影響すると同時に、日本の教職員の定員というものに一番直接的に関係がある問題で、ここに私はガンがあると思う。従って国家財政、地方財政が非常に伸びて、笑いがとまらぬほど景気がいいなら、次代をになう子供の成長を見守るために、この法に規定された通りに、一度にこれに行かなくても、せめて五十五人以下くらいに持っていく、このくらいは私は大臣としてがんばってもらわなければいかぬと思う。ところが事実は、われわれも若干調査しているのですが、五十九、六十、六十一、六十二というようなところがたくさんあるのですね。この事態なるがゆえに全国にいろいろな問題が起ってきている。その一つの典型的なものとして現われたものが大分県、佐賀県の問題になってくるのです。これ以下質疑を続けて参りますが、この点、大臣、閣内において、責任上からも私は努力さるべきで、またぜひやってもらいたい。問題の根源はここにあるということをぜひとも大臣の御念頭に入れておいていただきたいと思うのですが、いかがでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/68
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069・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 私としましてばお話の通りに、この基準を維持するということに努力すべきことは、これは当然のことでございます。もちろん仰せまでもなく努力して参らなければならぬと存じております。ただ実際問題といたしまして、中央並びに地方の財政の実情がなかなかその通りに参りかねるというのが今日の実情でございますので、その点私は大いに遺憾としておるところであります。私の努力の足りません点はさらに御鞭撻をいただきまして、今後努力して参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/69
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070・矢嶋三義
○矢嶋三義君 せめて大臣として都道府県教育委員会に対して、施行規則十八条、五十五条の線に沿って努力さるべきだという通牒ぐらいは私は出していただきたい。ほんとう言ったらあなたの方で警告を発するとか、あるいは地方教育行政の組織及び運営に関する法律の五十二条によって私は措置要求をされなければならぬ性質のものだと、かように私は考える。直ちに私は措置要求をしろとまでは、そこまでは申しませんが、せめてこの条章を、これに沿って都道府県教育委員会は定数条例をきめるなり、教育政策を推し進めるべきだという通牒を私は出されるべきだと思うのですが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/70
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071・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) その点につきましては、あらためて通牒を出すまでもなく、私は地方としてもその考えをし、その努力は教育委員会もいたしておると思うわけであります。いかんせん実情がなかなかそこまでいきかねるということが、今日われわれ教育関係者の悩みでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/71
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072・矢嶋三義
○矢嶋三義君 この通牒を出されないという点は、私は通牒さえ出されないというのはおかしいと思うのです。そこに自治庁の財政部長がおいでになっておられますが、再建団体並びに準再建団体の教職員の定数を、再建計画承認を受ける場合に、自治体が自治庁と交渉する場合は、あなたの方が締めに締めているわけですよ。これはもう五十人以下の条章というものは全くネグレクトして、類似の何県に比べたら君の県は少し数が甘い、というような助言と指導をされておられるわけです。そういう点は文部大臣御存じでしょう。事実はそうなんです。だから私は文部大臣としては、再建団体あるいは準再建団体の財政計画について承認を与えて指導されるところの自治庁長官に対しても、さらに都道府県の知事並びに教育委員会に対しても、日本の教育の維持、向上していくためには法的な規定があるのだから、これに沿ってやられるべきであり、またやることが望ましいという意味の意思表示を私は文部大臣はされなければならぬ、かように私は考えます。いかがでございましょうか、これは疑点はないと思うのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/72
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073・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 仰せまでもなく、われわれといたしましては、自治庁に対しましても、また地方の教育委員会、関係当局に対しましても、さようなことは申しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/73
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074・矢嶋三義
○矢嶋三義君 自治庁の小林財政部長がおいでになっておられますが、団体個々についてはいろいろと違いはございますけれども、後ほど具体的に入って参りますが、相当再建計画そのものに無理な点がある。それから具体的には一学級の収容人員等をきめる場合、施行規則の十八条、五十五条を全く無視しておられるところに原因があって、あるいは大分県、佐賀県というようなああいう教育界においてゆゆしき問題が起ってきておるわけで、ただいまの文部大臣の言葉を聞かれたと思うのですが、再建計画の再検討を私はやっていただきたいし、今後再建計画の変更の申請があった場合には、十八条、五十五条の精神をくんで私は対処していただきたい、またそうされるべきだ、こう私は思うのですが、いかがでございましょうか、お答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/74
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075・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) 再建団体の再建計画の中におきましては、私は率直に申して、いろいろ無理なところが相当あるのじゃないかと私は思っております。これは教育だけの問題ではない、ほかの経費につきましても、ずいぶん赤字を再建するために、一般の仕事まで押えておれば事務も圧縮しておる。その他事業費その他も安くいたしておりまして、非常に苦労いたしておるということは、私は率直に言って事実だろうと思うのであります。われわれといたしましては、これは全くやむを得ぬこととして残念に思っておりまして、一般的な財源の増強によってこれをカバーすることを考えなければしょうがない、そういうことで財政上の財源の充実ということにつきましても、及ばずながら力をいたしておる次第でございます。幸いにして本年度におきましては、先ほど来お話の通り自然増も相当、交付税も多少はこれは伸びておるのでございまして、公債費の対策につきましても多少の措置はとられておる、こういうことでございまして、私はこの伸びを基礎にして、再建計画は当然もう一度修正変更の事態が起ってくると存じておるのでございます。まあ、もっとも歳出面におきましては給与改訂等の大きな問題もございます。それからいわゆる指定事業と申しまして、公共事業のワクを過去三年間の七五%に押えたりまでさえしておる状況でございまして、こういうことは長く続くべき事態で私はないと思うのでございます。そこで昭和三十二年度につきましては、そうした給与の問題、指定事業等の問題が全部確定し、交付税の配分の方法も確定したところで、もう一ぺん許す限り実情に合うような計画変更をそれぞれの団体でせざるを得まい、われわれもまたそういう考えで、変更の際には許す限り全体のバランスがとれて、しかも再建の目的が達し得るように、そうするような配慮はいたさなくちゃならない、こういうふうに存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/75
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076・矢嶋三義
○矢嶋三義君 文部大臣は都道府県の教育委員会に対して指導助言の権限を持っておるし、都道府県教育委員会は法の改正によって人事権を持つことになったわけですが、子供の前に立ってその人格の完成を目ざして教育をされる教師の人事を扱う場合の基本的態度というものは、私は三百にして尽して言うならば、公平であり、きわめて慎重でなければならぬと思う。で、大分県の場合ですね。自主再建計画に基いて整理をするに当って当初から、やめない人は地公法の二十八条で強制整理をするということを盛んに振り回して、まあいわば、だんびらをきかして、そしてこの年度末の異動に対処して参ったわけですが、かような私は態度というものは、起らなくていい争いを、紛争を起すおそれがあるのではないか、かような私は考えを持っているものですが、そういう点については大臣はどういう御見解を持っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/76
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077・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) お話の通りに教職員に関する人事は公正であり、また慎重でなければならない、これは当然のことだと存じます。
〔委員長退席、理事野本品吉君着席〕
大分県でどういうふうな措置をとりましたか、私つまびらかにいたしませんけれども、行き過ぎのようなことがある、あるいは非常に乱暴な措置をとるというようなことで、子供に悪影響を与えるというようなことがあっては、これはもちろん考えなければならない問題だと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/77
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078・矢嶋三義
○矢嶋三義君 次に内藤局長に法的なことを伺いますが、それはいわゆる新しい教育委員会法の審議は十分逐条審議が尽されなかったので依然として疑問が残ってるわけですが、あの中の市町村教育委員会の内申権ですね、この点について私は具体的な例をあげてお答え願いたいと思うのですが、市町村教育委員会の内申がなければ都道府県教育委員会は人事の立ち入りはできない。ところがその場合市町村教育委員会がたとえば十出す、そのうちの十が十全部その内申が受け入れられなければ内申を全部撤回する、こういうふうに都道府県教育委員会に市町村教育委員会が望んでいるということですね。こういう事態というものは、あの逐条解釈からどういうふうに解釈され指導されておられるか、要するに内申権と人事権の実際上の運用についての見解を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/78
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079・内藤譽三郎
○政府委員(内藤譽三郎君) 御承知の通り教職員の服務監督は、市町村教育委員会がするわけでございます。従って市町村の教育委員会が内申をいたしまして、それを県の方が——任命権は県の方の教育委員会にございますが、任命をする、これは府県と市町村との調整をとったわけでございまして、内申を待たないで府県が一方的に人事をすることは、これは好ましくないと思います。今のお話のように、全部が出そろわない市町村の場合に、全部内申いたしましても、府県の方ではそれを一々了解できないものもあるかと思うのであります。できるだけ私どもは事前に府県と市町村が協議をして、あとは摩擦の起きないように内申権を行使し、人事権が行使されることを私どもは期待し、またそういう指導をしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/79
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080・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それは一応聞きおきましょう。
次は、大分県といえば小さな県ですが、単年度に二百八十七人という整理、この計画ですね。佐賀県、これまた全国的に見てもきわめて小規模の自治体ですが、三十年度において四百八人、三十一年度において二百五十九人の先生を整理する、しかも佐賀県の場合は、小学校、中学校合せて約七千人の生徒、児童が増加するにもかかわらず、三十一年度単年度において二百五十九人を整理する、かような再建計画そのものは、私は無理だと思うのです。その証拠には大分県、佐賀県の教育関係者さらに父兄、PTAまで、こういう数字が打ち出される前に佐賀県の教育はこれでは守れないと、ずいぶんと県並びに議会側に陳情があったようですが、結論的には自治庁との話し合いで大分県は単年度二百八十七名、佐賀県は二百五十九名もの整理計画が立てられたようですが、このこと自体私は無理な計画だと考えるのですが、これらの教職員の定員について具体的に扱っている文部省の内藤局長並びに自治庁の小林財政部長はどういうお考えを持っておられるか、また今後いかように指導されていかれようとしておるか、その点を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/80
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081・内藤譽三郎
○政府委員(内藤譽三郎君) 大分県につきまして二百八十七人……私よく検討してみたんですが、
〔理事野本品吉君退席、委員長着席〕
やはり大分県の場合……佐賀県の場合が二百五十九名、少し無理ではなかろうかというのが私の率直な意見でございます。この点については自治庁の方でも再建計画についてお考えをいただくように十分な申し入れをして参ったのですが、ただ大分県につきましては、大分県当局ではこれで何とかやるというような御意見でございましたので、私どもの方としては大分のために特別に自治庁にはお話をいたしておりませんが、佐賀については私どもも無理だと思いますし、佐賀県当局も無理だという点で、ただいま自治庁にもこの点は十分連絡し修正方をお願いしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/81
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082・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) 今文部省からお話のありました通りでございまして、佐賀県の問題につきましては文部省の方からも御要求がございますし、地元の方におきましてもいずれ資料を付して計画変更を求めたいから、その際考えてくれるようにという御要求があったのであります。われわれといたしましては、再建計画の支障のない限りにおきまして、実情に合うような必要な修正は考えて差しつかえない、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/82
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083・矢嶋三義
○矢嶋三義君 そこで、そういう意味なら、佐賀の場合はこれは再建団体、大分は自主再建団体ですが、その再建計画から問題がだんだんと発展して参りまして、これから私伺う具体的な問題が起って参ったわけなんです。
まず大分の方から承わりますが、大分は大分県教育委員会としては教組とも協議をされ、そうして自主再建計画の二百八十七名は無理ではあるが、しかし議会できまり、自治庁の承認を得た計画であるから、二百八十七名だけは何としても整理せねばなるまい。校長であろうと、教員であろうと、助教であろうと、その二百八十七名の内容は関知しない。ともかく二百八十七名という頭数だけはそろえなければならぬ、かように大分県教育委員会できめました。それから県教組においても、この県会できまったことなら、それに対しては妨害的行為はとるまい。いわゆる闘争態勢を解いて、そうしてそのときに当初から振り回しておった地公法の二十八条の発動、この強制整理というものはいまだかつてわが国の教育界に行われたこともないし、また多年にわたって教職に尽された方々が最後に強権をもって職場から追われるということは、追われる人も感慨深いものがございましょうし、また子供に対する影響もあるので、地公法の二十八条の強制整理というものは避けよう、こういう話し合いのもとに年度末の整理人事が進められて参ったわけであります。
経過は申しませんが、結論的には四月六日の午後六時に十三人の教職員に対して大分県教育委員会は地公法二十八条を発動して強制整理をした。ところが、退職を勧告しておりましたからその計数を整理してみましたところが、約五十一人よけいに退職しておって、そうして休職者の復職その他を精算すると、結論的には十九名の先生が即座に進退を決しなければ不足だという事態が起って参ったわけであります。そこでこの二百八十七名を超過しても整理したのだから、過員というものはなくなったのだから地公法の二十八条というものは撤回さるべきである。経過から。そういう問題が起って紛糾を来たしているわけでございますが、法的な点については、先般法制局並びに人事院等の見解を承わったわけでございますが、大分県の再建計画を今後修正することは将来の問題といたしましても、当面起っているこの紛争については二百八十七名というこの自主再建計画の数字というものは、もうすでに超過して依願退職が出てきているわけでありますから、荒っぽい地公法の二十八条の発動というものは、私は撤回されるように、そうして円満に解決されるように私は文部大臣としては大分県教育委員会に助言を与え指導されるのが適切だと考えるのですが、大臣の御見解はいかがでしょう。ちょっと大臣の見解を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/83
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084・内藤譽三郎
○政府委員(内藤譽三郎君) ちょっと事実を先に御報告したいと思うのですが、実はこのお話のように二百八十七名を整理するということでしたが、ずいぶん努力いたしましてできるだけ地公法二十八条の適用を避けるように組合側とも県教育委員会が十分連絡をとられて、御努力されたわけであります。しかしながら期限が延び延びになりまして、四月六日まで待った。ところが四月六日までにどうしても十三名だけ足りなかった。やむを得ず地公法二十八条を発動して十三名を免職した。こういう事実でございまして、その後四月の七日、八日にあとから勧奨退職をしておりましたので、その分が出て参った、そこに食い違いが起きたのでございますが、この点は私ども非常に遺憾に思っておりますが、事実はさようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/84
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085・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 大臣の答弁はいいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/85
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086・矢嶋三義
○矢嶋三義君 もうちょっとしたら大臣の答弁を求めます。
大分県の教職員課長は、上京されて皆さんに報告されたことを言われていると思いますが、私は地公法の二十八条をもって教職員を整理する以上は、これは慎重に慎重を期して、法的にいっても一点のすきがないようにしなければならないと思う。ということは、私は時間がきて恐縮ですが、多くは申し上げませんが、あの中のやめさせられた中津市出身の校長さんは、県視学もやり、付属校にも勤務したことのある、ともかくりっぱな人であったというのですね。その校長さんが、今となって言われるには、自分はふつつかながら三十数カ年間大分県教育界に尽してきた。その末路がこういう日本に初めてある強権というような形では自分も下れない。もう金の問題ではない。涙を流しながら、私は会ったことはないのですが、先輩、後輩に話されたということを聞いているのですが、二十八条を発動するに当っては、何月何日までに退職願を出せば、退職割増金をかくかく出して、こういうように退職させる、以後は受け付けないぞ、そうしてその期日がきたならば、教育委員会としては、自分の行政機構をフルに動員して、そうして何名やめた、現在過員は何名だ——不都合にも大分県は法に基く定数条例をこしらえていない。実はこしらえなければならないのにこしらえていない。そのときに、予算上からしても、何名過員であるということを確認して、何名過員であるからここに地公法二十八条を発動する、こういう私は行政執行をやらなければ、この大分の場合、六日の午後六時云々はあとでつけた文句だと私は考えますよ。こういうことで、前から勧告しておるのに、あとからあの自然退職がよけいに出たというようなことは考えられないのですよ。三十日、三十一日、一日、二日としぼっていったのですから、あとから五十一人もよけいに退職願が出てくるということは考えられない。また大分県の新聞で校長一名、事務職員一名、それから教員十一名に二十八条を発動した。六日の午後六時に発表した。大分県の所管課長が文部省に来て木田課長にその通りに報告した。そうして去る十七日になって、あの事務職員のあの一名は発動していなかったと公式発表をしておりますが、これはいかぬことですね。地公法二十八条は決してこのようにもてあそんではならないと思う。こういう点について、私は相当に手落ちがあったし、また二十八条を発動するのに、明確な疑義がある。その一つとしては、事態のいかんにかかわらず、退職した人の辞令は三月三十一日になっているわけですからね。だから、大分県教育委員会に対して、文部大臣の名前で、昭和三十二年三月三十一日の大分県の教員の定数を報告しろと言ったら、三月三十一日、すなわち四月一日付で要請したら、オーバーして、やめた人は全部定員が落ちているわけですからね。そうでしょう。明らかに大分県の定員というものは、四月一日においては、もう過員というものはない。欠員ですよ。それを四月六日に言って、地公法を、過員だからといって発動しているということは、これは明らかに法的にも不備がある。これは私は法律を勉強なさった文部大臣としては、きわめて明快に御理解いただけると思うのですよ。従って、すでに一週間も始業式がおくれて、さらにごたごたしているわけなんですが、地公法の発動に不用意があった点は、こういう点は遺憾であったということを指導し、そうして、もう欠員になるほど整理しているのだから、撤回して、円満に大分県教育界をおさめるというような助言と指導を、私は文部大臣はなさるべきだと思う、と私はあえて文部大臣に申すことは、私はこの前大分に行ったときに、これは大分県の県内の問題として一日も早く処理して、教育界を平静にして、一週間の始業式のおくれたのを取り返すようにしたがいいだろうと言って、私は大分生れですからね、若干の人にお会いした。そのときにはそういうふうに言われておった。ところが、教職員課長は東京に来て本田課長に会ったらしいのです。そうして大分県に帰った。ところが、文部省は全面的に大分県の教育委員会の措置を支持する、それは言われなかったかもしれないけれども、新聞記事に出ているのです。県教組は、法廷闘争するなら法廷費用まで文部省が見ようといったというので、信じられぬけれども、新聞に出ている。それによって県側と教育委員会側は硬化した。これは売り言葉に買い言葉で、それならというので、先生方も硬化して、これは抜き差しならぬ事態になってきているわけで、かような激突状態に陥らせたのは、これはどういう言葉を文部省の方々が大分県の所管課長に話されたかも知らぬが、若干あなた方にも関係があるわけですね。私は、ひそかに若干責任があるのじゃないかと思っておるわけなんです。その追及はしませんが、大臣の御見解を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/86
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087・内藤譽三郎
○政府委員(内藤譽三郎君) 今矢嶋委員のお話しのように、私も不手ぎわであったことは認めているのです。ほんとうにこれが円満に解決されることを私どもも期待しておったけれども、ともかく、四月六日の日には二百八十七名にならなかったということも、これも事実なんです。そこで……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/87
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088・矢嶋三義
○矢嶋三義君 何の事実がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/88
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089・内藤譽三郎
○政府委員(内藤譽三郎君) そのときに、四月六日に、各地方事務所に人を派して調べたところ、これがまあ市町村の手元にあったかもしれない。その辺の点は、お話しのように不手ぎわは私もあったと認めるのです。少くとも地方事務所に集った集計によると、十三名の過員であった。そこで二十八条をやむを得ず発動したのだ、こういうふうに聞いております。それですから、お話しのように、市町村の、ないし市町村教育委員会のところに辞表があったかもしれない。そこまで調査を突きとめなかったというのは、私どもも粗漏であったというふうに感じているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/89
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090・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 大分県の今回の問題につきましては、いろいろ私も話を事務当局からも聞いております。また、ただいま矢嶋委員からもございましたが、今局長も申しましたように、非常に妙なケースになってしまった、こういうことだろうと私は思うのであります。法律的に言えば、大分県の処分というものは、あれで別に差しつかえないということも言えるかと思うのでありますが、実際の経過に徴してみまして、何らかやはり考えてみなくちゃならぬ点もあるのじゃないか、こういうふうに私も実は思っているのであります。この問題は、しばらく考えた上で一つ答弁をさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/90
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091・矢嶋三義
○矢嶋三義君 その点は、大臣に一つ検討していただいて、次の機会に答弁いただきたいと思います。ただ、文部省の公務員の方は、優秀な方ばかりおられるわけですが、よほど発言、助言、指導というものを注意していただきたいと思うのです。どうも二、三年前に比べると、少し言葉が適当かどうか知りませんが、文部省のお役人さん少し強気なところがあるようですね、すべての問題について。それは、愛媛の勤務評定の問題についても、これは公けの席上だからあまり言うといかぬから、七分くらいでとどめておきますが、相当私は問題点があるということを若干私はつかんで、少し強気過ぎます。これはどこからその力が出るのか、その力のソースはどこか、私は究明しておりませんが、都道府県教育委員会は、文部省の係官にしても、課長補佐にしても、ましてや課長とか局長となれば、これは金科玉条ですよ。それで、大分の場合、今度典型的に現われているが、文部省の意見というので、五段抜きで出て、一変して教育委員会と県側が硬化して、教組何するものぞ、法廷費用まで文部省が持ってくれることになったというので、勢い込んでいるというのですからね、こっけい千万だと思うのです。この点は、助言と指導される権限はあられるわけですから、それを私はとやかく言うわけではないのですが、やはり事教育のことであるし、しかも、子供の前に立つ先生のことなんですから、処分するに当っても、あるいは免職させるに当っても、きわめて慎重な態度をとっていただかなくちゃならぬと思う。
そこで、私次に佐賀の問題について、さらに若干承わりたいと思います。これらの点について、他の委員諸君も御質疑がありましょうから、私二、三点だけ伺いたいと思うわけですが、昨日大臣には個人的にはお目にかかったわけですけれども、佐賀県の教組の幹部に対して、逮捕令状が執行されたということを聞いて、私は実はびっくりしているわけです。いやしくも教職員を逮捕するに当っては、よほどの場合でない限り、明確な犯罪容疑があり、その必要があるのでなければ、私は軽率にやるべきでないと思うのです。その逮捕令状を執行した理由を、あとほど聞きたいと思いますが、あなたが伝え聞いているところを聞きたいと思いますが、私が聞いたところでは、佐賀県の再建計画における教職員の定数、教育予算、そういうものが佐賀県の教育水準を維持して行けないという全県的な世論を背景に、佐賀県の教職員組合が二月十四日、十五日、十六日、いわゆる三・三・四割で休みを合法的にとって、そうして集会をして、情勢を聞き、さらに県教育委員会に対して、教職員の待遇の措置要求を地公法四十六条に基いてやった、このことが地公法三十七条に違反するというので教育委員会が行政処分をした上に、さらに事件があって二カ月後の昨日になって検察権の発動をしたというように私は聞いているわけで、この問題について私はこれから質疑をいたしたいと思うのですが、現在までに文部大臣がキャッチされている経過と状況について、骨子をまず承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/91
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092・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 今回の佐賀県の事件は、私といたしましては、まことに遺憾なことだと考えておる次第であります。この遺憾と申しますのは、二月十四、十五、十六、この三日間にわたりましていわゆる三割、三割、四割の者が休んだ、そして要求貫徹大会というものを開いた。このことに端を発しまして、地方教育委員会が行政処分をした。さらにまた、昨日は警察権を発動するということになりましたことから、全体をまことに残念なことだと思っておる次第であります。私どもといたしましては、教職員の諸君が団体を作り、そうして法に許された範囲の行動をせられることについて、かれこれ言うわけではございません。ただ願わくば、法を逸脱しないように、法の範囲内で一つ行動をとってもらいたいというのが、私どもの念願でございます。この点につきましては、これは就任以来その考え方を周知徹底するように努めて参ったつもりでおるのでございますが、遺憾ながらかような事件が起りまして、今日までのような経過をとったわけでございますが、まことに残念に思っております。昨日の警察権の発動につきましては、教職員の諸君のとりました行動が地公法の三十七条でしたか、これに違反する行為である。そうしてその一部の者は六十一条にも該当する、こういうようなことから、警察権を発動したものと聞いておるわけであります。詳細なことにつきましては、政府委員から事実を御報告いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/92
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093・内藤譽三郎
○政府委員(内藤譽三郎君) 昭和三十二年四月二十四日の午前六時、佐賀県教職員組合役員の十二名に対して、地公法三十七条違反容疑で任意同行を求め、同行を拒否したために五名が逮捕された。それでこの十二名のうち十名に逮捕状が出ておるのですが、婦人の二名については、逮捕状は出ておりませんようです。一人は同行を拒否したので、処置が未定になっております。他の一人は、お母さんが病気のために、予定の時間に出頭できないで、午後に出頭の予定である、こういうふうに伺ったのであります。押収、捜査した個所が組合本部、支部、分会及び私宅、四十三カ所でございます。このうち分会等が学校の校内にございますので、学校における組合の分会を捜査したのが十四カ所と聞いておるのであります。捜査はできるだけ学童への影響をおそれまして、実際は五時四十分から八時半には終了して、児童への影響をできるだけなくするように努力した、こういうふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/93
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094・矢嶋三義
○矢嶋三義君 内藤局長にまず伺いたいのですが、局長は昨日新聞記者に会って、検察権の発動についてどういう見解を表明されましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/94
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095・内藤譽三郎
○政府委員(内藤譽三郎君) 私は、こういう事態が起きましたことは、非常に教育界のために残念なことである。そういうことのないように県の教育委員会でも、しばしば佐賀県の教組に対しては違法行為にならんように御指導されたし、また、文部省も従来から、しばしばこういうことのないように御注意をお願いするように努力して参った、今回ははなはだ遺憾ですが、こういうことになったということはこれはやむを得ないと、こういうふうに申しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/95
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096・矢嶋三義
○矢嶋三義君 こういうことを申されたと聞いたのですが、事実かどうか。それは佐賀県教育委員会は、地公法三十七条違反と断定をして行政処分をやった。だからつり合いがとれんから、検察権の発動があるのは当然だ。つり合いがとれるために、検察権が発動されたのだというふうに、あなたは談話を発表されたというのですが、それは事実ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/96
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097・内藤譽三郎
○政府委員(内藤譽三郎君) そういう意味ではなくて、私はこれは電話だと思うのでございますけれども、そういうような意味のことを向うから言われたのです。私はそういう意味ではないので、行政処分と刑重罰は別だ、建前が別であるということを私ははっきり申し上げております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/97
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098・矢嶋三義
○矢嶋三義君 佐賀県教育委員会は、地公法三十七条の違反であるとして行政処分を決定する以前に、文部省の所管局あるいは所管課に対して、何らかの助言と指導を仰ぎましたか、仰ぎませんでしたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/98
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099・内藤譽三郎
○政府委員(内藤譽三郎君) 本件についてのいろいろな御報告なり、あるいは御相談は受けたこともありますけれども、処分については、全然私どもは事前には聞いておりませんでした。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/99
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100・矢嶋三義
○矢嶋三義君 地公法の三十七条に抵触するから、佐賀県教育委員会は、行政処分をすべきだというような指導をされておりませんか、木田課長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/100
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101・木田宏
○説明員(木田宏君) 私どもの方で指導申し上げます場合には、処分をすべきであるとかないとか、そういう個々のことにまで立ち入って、お話を申し上げていることはないと心がけてやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/101
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102・矢嶋三義
○矢嶋三義君 そこで、地公法三十七条の違反であると認定したそのことについて、私は政府委員の見解をただしたいと思うのです。佐賀県の場合、二月十四、十五、十六日と、確かに三割、三割、四割で先生方が集会をもちました。私は聞いております。しかし、その際に、集会場においでになる先生方は、プリントを刷るとか、ともかくも学習計画を十分立てられて、そうして残っておられる六割、七割の先生方と生徒児童の指導について、十分の打ち合せをされて、しかも、労働基準法で保障されている有給休暇の願いを出し、それから地公法四十六条に規定されている勤務条件に関する措置の要求、これを県並びに教育委員会に出すために休ませていただくということを学校長に届けを出し、学校長はそれに対して許可を与えて、そうして先生方は集会場に集まって、そのときにおける佐賀県の教育予算等についての報告を聞き、そうして県並びに教育委員会にいろいろと陳情要請に参り、かような公務員の行動が三十七条の争議行為に該当するとは考えられない。こういうことは私はわが国の一つの労働慣行にすでになっていると思うのですが、これを直ちに三十七条違反だと断定して行政処分をやる、さらに検察権の発動をやるということは、これは私は組合運動に対する弾圧だと言えるのじゃないかと思うのですが、御見解いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/102
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103・内藤譽三郎
○政府委員(内藤譽三郎君) 本件が御承知の通りだいぶ前から計画されまして、二月の十四、十五、十六とこの三日間に三・三・四の割合いで一斉賜暇を指令した。この場合に問題点になりますのは、お話しのように賜暇をいつでも取れるかという問題ですが、確かに労働基準法に上れば、賜暇は使用者は与えなければならぬ義務があるし、当然勤労者の権利でありますが、しかし、いつ与えるかということは、学校の授業の正常な運営を阻害しない範囲で与えることができるのであって、従っ三二割四割という一斉賜暇が、学校の正常の運営を阻害するかどうかという点にかかってくると思うのです。少くとも三割四割というものが学校を休んだ場合には、大部分の児童は、自習なり、あるいは授業の繰り上げなり、あるいは放棄なりをせざるを得ないと思うのです。これは私どもは授業の正常な運営を阻害しているとこう認めざるを得ないと思うのです。そうすれば三十七条の違反になると思います。今お話のように大部分がそれでは賜暇願いを出して、受理されたかと申しますれば、これは承認されておりません。承認されて大会に参加した者はわずかに十一人でありまして、休暇願いを提出したが未承認のままに休んで大会に参加した者は、五千百七十一名となっておるのであります。こういう点を考えまして、私どもは本件が三十七条の違反であるというふうに考えざるを得ないと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/103
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104・矢嶋三義
○矢嶋三義君 質問を続けていくに当ってその数字を確かめますが、届けを出して校長からよろしいと承認を受けたのは十一人ということは、その数字はどこからつかまれましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/104
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105・内藤譽三郎
○政府委員(内藤譽三郎君) 佐賀県の教育委員会からです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/105
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106・矢嶋三義
○矢嶋三義君 この数字自体非常に問題がある。それは佐賀県教育委員会がそう言われたのなら、あなたはその通り答えられるでしょうが、むしろ許可されなかったのがそのくらいかもしれません。ただ平素先生方はお休みになるときは、電話をちょっとかけるとか、あるいは無届けで平素休むというような慣習が普通行われておるのです。このときだけかりにはっきり判をもらってから休んでいないからといって、直ちにこの三十七条の争議行為というように発展するということは、私は大きな飛躍だと思う。また、授業に支障があったといっても、たとえばある教師が病気で休む、そうすると非常に能率が、出ておいでになったときよりも落るでしょう。で、この佐賀県の場合に三割の方が学習計画を立てておられたにしても、三割の人が学校におられた場合とおられない場合との学習形態というものは、若干の差がある、しかし、それは一瞬期なら一学期、一年なら一年、教育計画全般から見た場合、直ちに非常にマイナスであった、こう断定することすら、私はなかなか断定できないと思う。しかも、それを一ぺんにこの三十七条の争議行為、かように認定することに、私は大きな飛躍があると思う。今までわが国においても届け出て早引けをするとか、あるいは先生方が有給休暇を取られても、学校運営上支障がなかったという事例も現にあるわけなんですね。だからそのときに佐賀だけに直ちに三十七条の争議行為と認定されて、行政処分をやられた佐賀県の教育委員会の見解というものは、あなた方が指導されたのかしらぬが、非常に私は飛躍していると思う、その点私は納得できません。もう少し納得できるように一つ説明して下さい。佐賀県教育委員会も、どういうふうに知らされたか知らぬが、学校運営上の支障事例という中にはこんなことが書いてあるのですよ、「流感の予後措置が十分にできなかった。それから課題学習は知能の低い子供には無理であったとか、合同体育の管理が主であったとか、あるいは授業を映写会に切りかえた、プリントによる学習があった。」とか、こういうのを支障のあったというようなことに書かれているわけですが、そういうことで、直ちにこの三十七条の争議行為というようなそういう飛躍的な断定がされるということは、どうしても私はこれは納得できない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/106
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107・内藤譽三郎
○政府委員(内藤譽三郎君) 各学校によりまして、そのときどきの事情で先生方が賜暇を取られる、この場合におそらく学校の運営上支障がないという見解で校長も許しておると思うのでございます。しかし、本件のように前々から計画され、三・三・四の割合で一斉に賜暇を取ると、こういうふうに指導もされ、また、現実に大体そういう結果になったわけであります。そういう形で要求の貫徹をされるということは、私どもとしてはこれは三十七条に違反する行為だろうと思うわけであります。ですから、もちろん職員の措置要求というものは、正当な形においてされることなら、これは十分手があると思う。そういう法に認められた範囲内で措置要求を妨げているわけじゃないのでありまして、こういう学校の授業の正常なる運営を阻害する、三・三・四の割合で学校を休むということは、私どもは正常なる学校の運営を阻害すると、こう考えざるを得ないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/107
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108・矢嶋三義
○矢嶋三義君 逮捕令状を執行された教組の幹部諸君は、法に保障されている年次休暇を取って、それから措置要求するために休ましていただきたいという届けを出して、そうして集会に集りなさいということを通達をした。しかも、その通達は二月十一日の組合の大会の決議に従って、それをそういう形で通達を出した。執行部は当然執行部として通達を出しただけなんです。それが一体逮捕令状の対象となり得るかどうかということですね、ちょうど山口警備部長ですかおいでになりましたが、今、佐賀県のことを伺っているのですが、佐賀県の場合、まあ三十七条に違反か違反でないかということは、ともかく一応横に置いて、佐賀教組の逮捕された幹部というものは、大会の決議によって先ほど申し上げましたように労働基準法で保障されている休暇の願いを出して、そうして地公法四十六条によって、関係者に措置要求をするから集まるように通達を出した。しかも、それは全部発表されている、秘密文書なんか何もありません。証拠隠滅をしょうなんか言ったって、証拠隠滅するものは何もありはせぬ佐賀県教組です。それからその十数名の人が逃亡するおそれも全くない。そういう人に対して逮捕令状を出すというのは、どういうわけですか。逮捕しなくったって任意出頭で十分調べられるじゃないですか。全く弾圧威嚇政治と言わざるを得ないと思うのです。私が今質問していることは、三十七条に私は違反しない、そういう見解を持っているわけなんだが、それは今ちょっとはずして、何がゆえにこんなものをしかも教師である人を、逃亡のおそれもなければ、証拠隠滅をはかるおそれもない、公公然と文書でやったことを逮捕するのか。その点私はまず山口警備部長から伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/108
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109・岡三郎
○委員長(岡三郎君) その前にちょっと一言申し上げますが、現在警察庁長官の石井榮三君、警察庁警備部長の山口君が出席しております。大久保国務相の出席の要請については、現在所要のため外出中で、まだ見えておりません。以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/109
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110・山口喜雄
○政府委員(山口喜雄君) もちろん、任意捜査で十分に捜査の目的を達成し得るものでありますれば、任意捜査の方法によることは当然であります。ただ、今回の場合は、佐賀県教組の執行委員会として休暇闘争についていろいろと相談をされ、あるいは協議をしておられる点もあろうかと思います。そういう点について取調べをいたします際には、場合によりましては、お互いに通報せられまして証拠隠滅ということもあり得るわけであります。そういう見地から、逮捕状を執行いたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/110
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111・矢嶋三義
○矢嶋三義君 そのあなたの説明では、逮捕状を執行したという納得できる説明に私はならぬと思います。執行委員会の議事録なんというのは全部あります。それから大会の決定に基いて出した通達などという文書も全部あります。佐賀県教職員から、あるいは本部を捜査したら、直ちに手に入ることじゃないですか、それ以外に何がございますか。そうして職員が話し合ってそして証拠隠滅するような余地が何がありますか。どういう場合があると御判断なさって逮捕状を執行されたのか、納得のいくように一つ御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/111
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112・山口喜雄
○政府委員(山口喜雄君) ただいまも申しましたように、佐賀県の教組の執行委員会として今回の休暇闘争の指令を出しておられるのを、指令を出します場合には、それはいろいろな正式の書類等もありましょうし、また、書類になってはおらないいろいろな協議、打ち合わせ等もあろうと、そういう点で三十七条違反の問題の真相をはっきりいたしますために、任意捜査によって目的を達成し得るならば、それはもちろん、われわれとしてはできるだけそういうようにいたしたいと思います。お互いの間に、場合によりましては通報する、あるいは証拠の隠滅が行われるということも考えられるわけであります。そういうわけで逮捕状を執行したのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/112
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113・高田なほ子
○高田なほ子君 関連して。これは佐賀県警察本部の独自の方針でもってやられたものですか、それとも警察庁の長官の方で、特別に掲示がされて行われたものですか。ここに至るまでの経緯について御説明をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/113
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114・石井榮三
○政府委員(石井榮三君) 御承知の通り、今日警察制度の建前といたしまして、個々の実情の執行部につきましては、佐賀県警察本部長が執行の最高の責任者ということになっておるわけでございます。中央の私どもの警察庁の方から、一々個々の事件の取扱いについて指揮をいたす建前になっておらないのでございます。従いまして今回の佐賀県の問題につきましても、中央から一々こうすべしという指揮をとっておるものではございません。ただ、問題がきわめて重要な問題でございまして、地方公務員法三十七条違反の問題として、佐賀県警察においては、御承知の通り昨日関係者の検挙をいたしたようなわけでございますが、これはこの地方公務員法三十七条違反の問題として警察が取り上げた初めてのケースでございます。従いまして、そういう初めてのケースを佐賀県警察として着手をいたすにつきましては、法律の解釈等につきまして、いろいろと現地のみの知識経験で、軽々に判断すべきものでないので、中央の私どもの方に法律の解釈等につきまして、事前にいろいろ打ち合せをしてきた。それに対してわれわれはまた法務省あるいは最高検等とも十分お互いに意見を尽しまして、その結果を現地の方に連絡をしている、こういう事前の連絡関係はあったのでございます。事件が昨日ああいうふうに関係者の検挙ということになりまして、事柄が事柄でございますから、現地の方から詳細一々報告するように私ども求めております。ただいまのところ概略は承知いたしておりますが、こまかい点については、まだ承知していない点が多々あるのでございますが、本日この委員会におきましてあるいはこまかい点についていろいろお尋ねがある場合には、御満足のいくようなお答えができない点があるかもしれません。その点はあしからず御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/114
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115・高田なほ子
○高田なほ子君 そうすると、指導は中央でもってやられているということになりますが、佐賀県の警察の本部からこういう処分をしたいがということが申し出られてきたのはいつごろでありますか。それに対していつ、どういうような回答が何月何日ごろされたのか、御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/115
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116・石井榮三
○政府委員(石井榮三君) 具体的なこまかい点は、所管部長の警備部長が詳細承知しておるかと思いますので、警備部長からお答えいたすことをお許し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/116
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117・山口喜雄
○政府委員(山口喜雄君) これは法律上の解釈その他いろいろな問題について、電話等でももちろん連絡は受けておりました。それから本部長も一度上京して参ったと記憶いたしております。時期をちょっとはっきり記憶いたしておりませんが、一度上京して来たと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/117
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118・高田なほ子
○高田なほ子君 その時期は今御答弁になれないのですか。概略でも……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/118
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119・山口喜雄
○政府委員(山口喜雄君) 正確な記憶を呼び起しまして、後ほどお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/119
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120・高田なほ子
○高田なほ子君 官房長にはどういう御相談をなさいましたか。官房長にも何か御相談をなすっているのではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/120
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121・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 官房長官ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/121
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122・高田なほ子
○高田なほ子君 ええ官房長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/122
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123・石井榮三
○政府委員(石井榮三君) 官房長官には何も相談はいたしておりません。御承知の通り警察は政治から中立を保たなければならぬのであります。一党一派に偏することなく、中正な態度で事に当らなければならぬというのが、警察の建前であるのでございます。従いまして、こうした事案の処置につきまして、政府からああしろこうしろという指図を受けるということはないのでございまして、この点は警察独自の判断に基いて行動をいたしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/123
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124・高田なほ子
○高田なほ子君 本問題にははずれますけれども、あなたがそうおっしゃられれば言わざるを得ないのであります。汚職の摘発を検察庁がやっていて、政府がうしろの方でごちゃごちゃと動けば、歯ぎしりをかんでもやめてしまうじゃありませんか。こういうようなのは、明らかに警察が政治にこれは干渉されて、それに屈服している証拠です。こういうようなことだから今のあなたがそうおっしゃると私は非常におかしくなってくる。なぜこういうことを伺うかというと、新聞にも何も、私どもも何も知らないというのに官房長官はすでに御存じであったような情報も寄り寄り聞くので、さしあたって官房長官あたりとこういうことは一つの弾圧方針としてきっと御相談になっているに違いないという底意を持って私は伺っているのです。こういう底意を持って聞いておりますから、はっきりお答えになれないのだろうと思いますが、以上私はそういう観点で質問したわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/124
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125・石井榮三
○政府委員(石井榮三君) 官房長官が昨日談話を発表されたとかという点でございますが、昨日の朝御承知のように佐賀県警察におきましてはこの事件の関係者のまず任意出頭を求めたと同時に、また関係の個所の捜索を実施したというのが事の起りでございまして、そうした今までに例のない、先ほど申しました通り、地方公務員法第三十七条違反の事件として警察が取り上げた最初のケースでもございますので、特に政府にも本日こういうことがありましたということを参考までに連絡をしたという事実はございます。事後連絡をしたということでございます。なおここにおられます文部大臣にも、これは文部省に関係のあることでございますので、昨日朝、佐賀県において警察としてはこういう措置がとられたということをこれまた御連絡申し上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/125
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126・矢嶋三義
○矢嶋三義君 警察庁長官に少し聞きたいと思うのですが、地公法三十七条違反である、だから検察権を発動してやれという、三十七条違反であるという法解釈の断定はあなたがして佐賀県警察にそれを指示したわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/126
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127・石井榮三
○政府委員(石井榮三君) 先ほどもお答えいたしましたように、地方公務員法三十七条を適用して警察が事件として取り上げた最初のケースでございますので、事前に十分これは法解釈その他について検討しなければならぬというので、現地の警察はわれわれの方に照会をしてきて、われわれ警察庁におきましては法務省、最高検察庁等の関係者と十分に審議を尽した結果そういうことになった次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/127
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128・矢嶋三義
○矢嶋三義君 長官の見解をそれじゃ承わります。佐賀県の場合ですね、先生方は有給休暇の願いを出しているのですよ。休暇願を出している。そして地公法四十六条による措置要求のために行くという届も出している。平素先生方が他の事故で休まれる場合も、それは欠勤届を出して校長の判をもらうようにするのが完璧でしょうが、平素はそういうことをやっていない。それで一部の人は届を出して校長の許可を得て、そうして集会場に行って情勢を聞いて県並びに委員会に対して勤務条件について陳情をする、残った生徒の学習計画は十分プリント等して立ててある。しかし若干の二、三割の先生が学校をはずしたから学校の授業形態が変ったと言っても、だから学校の上に支障があるという解釈をして、三十七条違反と断定することは私はきわめてこれは穏当でないと思う。ある場合には先生方は研究会に行って四人の先生で全校の生徒を遠足に連れて行く場合もあるわけです。その遠足に行く日のその授業形態と、それから教育効果というものを、全部の先生がおって教室に別々に入って授業をするのとでは違うわけだけれども、そういう場合もあって一年の学習計画というもので子供の一年間の授業というものが行われるわけです。もちろん佐賀県のような無理な再建計画が起って、そして先生方が県あるいは教育委員会にこれは困る、こうして下さいというような陳情というようなことは起らない事態の方が望ましい。そういう再建計画のためにこういう事態が起ったということはこれは遺憾なことですけれども、先生方がやられた範囲内のことはこれは私は法にそむいてないと思う。そういう事柄によって学校運営上支障があったというような認定をされたことはいまだかつてない。それを直ちに三十七条違反だという認定を下すということは私は非常に飛躍していると思う。これは弾圧ですよ。しかも私がさっき山口さんに伺っているように証拠隠滅するおそれは少しもないのですよ。大会で決定したものをただ通達を出すだけです。そんな通達は全部ありますよ。佐賀県の教職員の家宅捜索をすれば全部出てきますよ。逃亡するおそれもない。そういうのにぎょうぎょうしく逮捕令状を出してそして県下四十何カ所家宅捜索をするのだ。汚職事件か何かならそんなに捜査してもいいですよ。何がゆえに佐賀県の教職員の組合員の行動をかくのごとき飛躍をした考え方をもって弾圧する方針で臨むのですか。こういう事態を合法だなんと言って見送っている私は文部大臣の気持もちょっとわからないのです。いかに文部大臣は収拾されようとしているのか。これはあとで聞きたいのだが、長官が三十七条の違反だと断定した納得のできるような説明をしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/128
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129・石井榮三
○政府委員(石井榮三君) 勤務条件についての措置要求の権利のあることも、また労働基準法に三十九条ですかに基いて有給休暇を請求する権利のあることもこれももっともな当然のことであります。ただ有給休暇につきましては同じく第三十九条の第三項でしたか、ただし書きがついておるのでございまして、「請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。」という規定があるのでございます。従いまして学校の場合について言いますならば権限を持っておられる教育委員会なり、委任を受けている校長さんなりが学校の授業の正常な運営を妨げるおそれがある場合には有給休暇を申請されてもこれを許可しないということができるのであります。今回の佐賀県の場合には御承知の通り二月十四日ないし十六日の三日間にわたりまして三割、三割、四割の休暇を申請して一斉に大会に参加しようということになったわけでございまするが、その場合に各学校の校長さんは申請された休暇に対して許可をされなかったというふうに私どもは承知をいたしておるのでございます。そういたしますと、当然の権利として与えられた休暇でなくして職場を休むということになるわけであります。しかもそれが相当三割ないし四割という大量であるということからして学校の正常なる教育運営に支障を来たすという結果になったものと思うのであります。こうしたことは三十七条の規定これから考えまして許されないことであろうと思うのでありまして、特にそうした争議的な行為を企て、またはその遂行を共謀し、そそのかし、もしくはあおった者につきましては、地公法の第六十一条の罰則の規定がございますので、これを適用いたしまして、今回の佐賀県の関係者の逮捕に相なったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/129
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130・湯山勇
○湯山勇君 先ほどの高田委員の質問に関連して伺いたいと思うのですが、この問題は地公法三十七条違反の最初の事件である、ずいぶん慎重にやったと、こういうことですから、そういう重要な事件であれば当然担当大臣に対しても事前にお話があったと思います。そういう措置がとられたかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/130
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131・石井榮三
○政府委員(石井榮三君) 国家公安委員長たる大久保大臣にも事前に私から申し上げであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/131
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132・湯山勇
○湯山勇君 それはいつでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/132
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133・石井榮三
○政府委員(石井榮三君) 私どもの方は毎週木曜日の定例に国家公安委員会を開いております。先週の国家公安委員会の際に申し上げたと記憶いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/133
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134・湯山勇
○湯山勇君 それに対して大久保国務大臣はどういう見解でしたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/134
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135・石井榮三
○政府委員(石井榮三君) 国家公安委員会の各委員さん並びに国家公安委員長たる大久保大臣も了承されました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/135
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136・湯山勇
○湯山勇君 そうすると先週の木曜日にそういうことが大体内定したので、つまり大臣の了解を得た。それで大久保国務大臣から文部大臣に対しては事前には何の協議あるいは通知もございませんでしたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/136
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137・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 何もございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/137
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138・湯山勇
○湯山勇君 その問題また後にしまして、それから逮捕の場所ですが、逮捕したのはこの自宅での者もあるだろうし、それから組合本部のもあると思います。学校で逮捕したのはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/138
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139・山口喜雄
○政府委員(山口喜雄君) 学校で逮捕したのはございません。大部分自宅でございます。ただ一人所在がわからなくて探しておりましたが、佐賀市内で発見をいたしまして、逮捕令状が出ておることを告げまして逮捕いたした方が一人あります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/139
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140・湯山勇
○湯山勇君 それから学校の職員室のようなところを捜索した例はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/140
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141・山口喜雄
○政府委員(山口喜雄君) 支部で学校の中に組合事務所のあるところがたしか二カ所あったと思います。それから分会の十二カ所は全部学校の中に組合事務所があったのであります。従ってその組合事務所になっておる部分につきましては、学校の中でも捜索をいたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/141
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142・湯山勇
○湯山勇君 その場合に所管の教育委員会なりの了解は得てやられたのでしょうか。そういう手続なくておやりになりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/142
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143・山口喜雄
○政府委員(山口喜雄君) 所管の地方教育委員会の方には御了解を得ずに行なったものと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/143
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144・湯山勇
○湯山勇君 その点は明確ではございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/144
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145・山口喜雄
○政府委員(山口喜雄君) はっきり連絡なしにしたという報告は受けておりません、まだ。しかしながら私はおそらく各地方委員会に対して事前に連絡なしに捜索をいたした。普通の捜索の場合と同様に立会人を求めまして、そうして捜索いたしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/145
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146・湯山勇
○湯山勇君 立会人というのはどういう人ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/146
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147・山口喜雄
○政府委員(山口喜雄君) 当直の先生がおられれば当直の先生が立会人になられたと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/147
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148・湯山勇
○湯山勇君 次にお尋ねいたしたいのは、正常な業務というとについてですけれども、これは内藤局長からお尋ねした方がいいと思いますから、正常な業務ということは法によって措置されておるわけですから、正常な業務というのにも明確な法的な根拠がなければならないと思います。で、何法のどういう条文によって正常な業務というものが規定されておるか、局長から伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/148
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149・内藤譽三郎
○政府委員(内藤譽三郎君) 学校教育法及び施行規則、それに関連した通達等でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/149
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150・湯山勇
○湯山勇君 それを何条何項というように一つお示し願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/150
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151・内藤譽三郎
○政府委員(内藤譽三郎君) 学校教育法によりましてどういう教科を何時間教えるということは、これは明瞭に規定されております。そこで年間計画を立てて、一週間の授業時数というものがきまってくるわけでございます。この授業時数に従って、学校では授業の運営をはかっていくわけであります。それが正常なる学校教育の姿でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/151
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152・湯山勇
○湯山勇君 運営の面は、これは一応はずしてもらっていると思うのです。はずして考えるべきだと思います。この際は、従って学校教育法何条によってどれどれの教科を何時間年間にやればいいと、それ以外には法的には正常の業務の定義は、ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/152
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153・内藤譽三郎
○政府委員(内藤譽三郎君) これは非常にまあ多岐な法律にわたっておりますので、まず目的の項ですね、これは学校教育法施行規則の二十四条から教科の点、こういうものが一応全部かぶってくるわけでございまして、それに文部省の指導要領基準がございます。指導要領の基準に従う、こういうことでございますので、それのこまかく各条文については改めて出したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/153
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154・湯山勇
○湯山勇君 指導要領というのは、そういった根拠にはなり得ないと思います。基準ですから。やっぱり大体それに準じていけばいい。従って正常な業務というものに対する法的な根拠はないわけです、今言われた範囲以外には。そうすると結局正常な業務であったかどうかという判定は、学校教育法施行規則の四十六条、四十七条によって学校長の判定にかかると思います。他の第三者が、たとえば警察庁長官とか、その他の人がこれを判断する性格のものじゃないと私は思うのですが、局長の御所見伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/154
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155・内藤譽三郎
○政府委員(内藤譽三郎君) 学校教育の計画がございまして、学校教育を所管するのは教育委員会でございます。従って教育委員会の了承した計画であれば差しつかえないのでございますが、教育委員会の了承しない計画については、これは正常な業務とは言えないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/155
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156・湯山勇
○湯山勇君 教育委員会の、了承するとかしないとかいうようなことは、これは法的な根拠ないと思うのです。学校教育法施行規則によって授業終始の時刻は校長がこれを定める、はっきりしております。それから「非常変災その他急迫の事情があるときは、校長は、臨時に授業を行わないことができる。」ということも、ただしその場合には教育委員会に届け出ができる、こうなっておるので、そういう一日の授業をどうするとかということについては、ほとんど多くの場合は、中には承認を得るというのもありますけれども、大部分がこういう届け出で、校長の権限でやっておるはずです。従って学校長が業務を阻害されたという認定がない限り、私は今のような法的根拠だけに立てば、一年間にやるべきことはちゃんとやったという以上は、正常な業務が阻害されたということにはならないと思うのですが、これは局長から一つ伺いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/156
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157・内藤譽三郎
○政府委員(内藤譽三郎君) ただいまのように事実校長の権限に属するものもありますし、また教育委員会の権限に属するものもある。場合によって教育委員会の権限を校長に委譲する場合も個々のケースによってはございます。そこで教育委員会としては、それぞれの所管の学校については一般的な指揮監督権を持っております。そこで今回の事件は、教育委員会としてはこういう三、三、四の休暇闘争はしてはならぬということで、また校長にもそういう指示をしておりますので、校長も許可していない。ですから、もしこれは教育委員会として、その三、三、四の割合で休暇闘争が実施されたならば正常な学校教育の運営を阻害すると、こういうふうに判断したと私は思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/157
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158・湯山勇
○湯山勇君 私はそういう運用上の問題ではなくて法律の根拠だけをお伺いしておるのですから、そういう点だけにしぼってお答え願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/158
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159・内藤譽三郎
○政府委員(内藤譽三郎君) ですから学校教育法の面における学校教育のあり方の関係条文というものはございます。それから学校管理するところの委員会の地方教育行政の組織及び運営に関する法律、その他関係法律というものがあるわけでございまして、それにただいまのように地方公務員法、それからあるいはその関連の法律がございますので、そういうものが一応全部かぶってくるわけでございますから、それに基いて処置されたと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/159
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160・湯山勇
○湯山勇君 それじゃ次の機会までにその関係条文全部資料としてお出し願いたいと思うのです、具体的に。
それから正常な業務を阻害しないような配慮はなされていなかったか。この点は特に文部省としては非常に重要な点だと思います。いろいろ授業に支障のないように手配をやっていったかやっていかなかったか、文部省はどういうふうに御判断になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/160
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161・内藤譽三郎
○政府委員(内藤譽三郎君) ある程度の配慮はされたと思うのでございますけれども、現実に十数校は臨時休校をいたしておりますし、また自習その他によって教育上十分な配慮がされなかった。従ってPTA等においても非常な強い不満が現われたことも事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/161
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162・矢嶋三義
○矢嶋三義君 その十数校休校のやむなきに至ったというのはこれは把握が間違っているのですよ。佐賀県教職員組合が三、三、四の休みをとって集会を持つに当っては、残った七割、六割の先生は平素以上に勢力的にあの教育をやる態勢にあったわけです。ところが、PTAの方で臨時休校をやっちゃったわけです。そこで先生方としては子供を学校へよこして下さい、十分学習計画はありますからと呼びかけたくらいで、学校に残っている先生が教育計画の遂行ができないから臨時休校したのではないのだから、そこを取り間違えたら大へんだ。何ら学校には支障のないようにできておったのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/162
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163・内藤譽三郎
○政府委員(内藤譽三郎君) 私は現実に十数校が授業を、休校せざるを得なかったという事実を申し上げたのです。その他自習等があって、あるいは先ほどお話のように映画会とか、従来の普通の意味の正常なる学校教育は行われなかったと、こういう意味であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/163
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164・湯山勇
○湯山勇君 石井長官にお尋ねいたしますが、あなたは今有給休暇の問題についてお述べになりましたが、これは業務に支障のあるときには与えないことができるのであって、与えるのが本来です。従って当然御検討になったと思いますけれども、学校長が明瞭に与えないということを言ったかどうか。与えないと言ったのが何件ぐらいございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/164
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165・石井榮三
○政府委員(石井榮三君) 詳細正確に数字を把握いたしておりませんので、御満足のいくお答えができないのははなはだ遺憾でございます。私今日までの報告に接しておるところでは、各校長さんが申し合せをされて休暇申請に対して承認を与えられなかったと、こういうふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/165
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166・湯山勇
○湯山勇君 これは承認事項ではなくて業務に支障のあるときには校長からお前の有給休暇は与えない、そのかわりこうこうだという意思表示がなければ与えないということにはならないと思います、法の建前からいって。そこで問題は、ただその校長の意思表示がなかったから与えないのだということではこの法律の本旨に合わないわけです。そこではっきり校長が、君には与えない、そのかわり、これはかわりを与えなくちゃならぬことになっておりますから、そのかわりこの時期にこうという点がなければ違反だという判定にはならないわけですから、そういう点についてはどういうふうになっておるかをお聞きしているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/166
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167・山口喜雄
○政府委員(山口喜雄君) 十四日に実施するに至りますまでの経過を御説明申し上げます。佐賀県の教員組合で休暇闘争を指令されましたので、県の教育委員会は二月十一日に緊急委員会を開いて対策を協議されまして、今回の一斉休暇は学校教育の正常な運営を阻害するおそれがあるという観点に立ってこれを中止させることといたして、同日開催されました地方教育委員の理事会及び中小学校長会理事会あて中止をさせてもらいたいという勧告を出しておられます。地方教育委員連合会、中小校長会は県教育委員会の勧告に基いてそれぞれ二月十一日及び十二日に教員組合に対し休暇闘争をやめるように申し入れをされておるのであります。佐賀県教組はこれを拒否されまして、十三日鹿島小学校分会を除きまして、県下の教職員の約三割に近い千八百名の方が校長あてに年次有給休暇の申請書を提出されたのであります。これらの休暇申請に対して各校長が地方教育委員会の指示及び校長会の申し合せにより休暇を許可するわけにいかないということをはっきり申されましたのであります。さらに一部の地方教育委員会では、十三日午後の地方教育委員連合会の緊急総会の申し合せに基き、校長を通じて職務命令を発せられておるのであります。県の教育委員会は十三日夜徹宵して佐賀県教組と交渉をして休暇闘争の中止を勧告されたのでありますが、教組におかれましてはついにこれをお聞き入れにならずに休暇闘争に入られた、こういうような状況であります。私どもが連絡を受けておりますところによりますと、年次有給休暇申請書を出して承認を受けられまして休まれた方は十一名であります。ほかの大部分の方々はそういう承認を受けられずに休まれておられる、こういうふうに連絡を受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/167
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168・湯山勇
○湯山勇君 承認を受ける受けないじゃなくて、はっきり校長から休んじゃいけないと言われたのに休んだものが何名あるか。これは先ほど言われたように、十一名以外はみなそうだというように判断しておられるのかどうか、これをお伺いしておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/168
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169・山口喜雄
○政府委員(山口喜雄君) ただいま申し上げましたように、地方教育委員会及び校長会等の申し合せによりまして、それぞれの地方教育委員会あるいは校長さんから、今回の有給休暇をとることは認めるわけにはいかないということをはっきり意思表示をされておられるのであります。先ほど言いましたように、承認を得て、許しを得られまして大会に参加されたものは十一名であります。そういう承認を得られないままに休んで大会に参加された方が五千百七十名くらいあったという連絡を受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/169
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170・湯山勇
○湯山勇君 どうも私の質問の焦点と微妙な点において違っておりますので、重ねてお尋ねいたします。学校長の申し合せとか、地教委の申し合せ、その他で、そういう態度をきめたということと、それから一人々々の教員が出した有給休暇に対して意思表示を、それは許可しないのだ、休暇は許可しないという意思表示をしたということとは若干違うのです。そこで、あなた方の論法をもってすれば、十一名は承認を得て参加したということは、もう了解できないことだと思う、あなた方の論法をそのまま認めるとすれば。こういうふうにはきっり承認を得て出たものがある。それから校長がとめたにかかわらず出たものがあるかもしれません。しかし、その中間段階がきっとあるはずです。その中間段階を、校長会の申し合せがあったとか、地教委の申し合せがあったとか、そういうことによって、すべてが校長がとめたにもかかわらず出たのだというような断定は早計だと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/170
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171・山口喜雄
○政府委員(山口喜雄君) その地教委連合会の申し合せ、中小校長会の申し合せ等に基きまして、それぞれ教育委員会及び校長さんから、今回の有給休暇を認めるわけにいかないということを申されておるのであります。それにもかかわらず、許しを得られずに休まれた方がそれだけあった、こういうのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/171
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172・湯山勇
○湯山勇君 どうもおかしいのは、あなた方の論法からいえば、教育委員会の申し合せ、校長会の申し合せがあったのだから、一人も許可にならないはずです。ところが、現実に十一名という許可を受けたものがある。これが法事で許可を得たとか、病気で許可を得たとかいう特別な理由があればこれはまた別ですけれども、そうだとすると、当然個人々々が出した休暇申請に対しても、許可とするともしないとも言われないままで参加したものもあるのじゃないか。そういう調査はできておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/172
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173・山口喜雄
○政府委員(山口喜雄君) たびたび繰り返して申し上げておりますが、教育委員会も校長さんも、今回の休暇闘争、有給休暇を認めるわけにいかないということを申しておられるのであります。それにもかかわらず、その許しを得られずに休まれて大会に出られた方がそれだけあった。私の御説明で御了承を得られることと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/173
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174・湯山勇
○湯山勇君 得られない。つまり校長さんから各教員に、今回の休暇を許す許さないということを言ったか言わないか、これはお確かめになりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/174
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175・山口喜雄
○政府委員(山口喜雄君) それは一人一人呼ばれて、あなたはよろしい、あなたはいけないというように言われたかどうか、これはまだ報告を受けておりませんから存じませんが、少くも校長さんから何かのお集まりの際に、今回のことについては認めるわけにはいかないから休まないでほしいと、こういうことを言われれば、校長さんとしての意思を明らかに明示されておる、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/175
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176・湯山勇
○湯山勇君 そうすると、すべての校長が学校のすべての教員によくわかるように、今回のは許すわけにいかないということを言ったということは事実ですか、各学校において。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/176
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177・山口喜雄
○政府委員(山口喜雄君) 私どもに参っております報告によりますと、県の教育委員会及び校長さん方は、何回毛この問題について、今回はそういうことをしてはいけないということで、組合の方に説得をしておられるようにお伺いしております。そうして一部では業務命令が、職務命令が出ておるところもあるのであります。なお地方の各教育委員会あるいは校長さん方が先生方に対して、今回はそういうことをしないようにということを、これは明らかに申しておられる。それが何校あるかということは、私はちょっと手元に具体的な資料を持っておりませんが、その点はこれはもう間違いないものと私は連絡を受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/177
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178・湯山勇
○湯山勇君 ただいまの点がいわば推測になっておるということは、私はきわめて重大な問題だと思います。と申しますのは、あなた方が言われたのは、許可を得て出たものが十一名ある、こういうことをあなた方の方から言われたわけであります。そうしておいて今この段階になって、直接その全部に言ったかどうかわからない、こういうことでは、まことにこれは不用意じゃないか。慎重に慎重にやったと言われるけれども、その慎重の中に大きな抜け穴がある、こう私は判断いたしますが、この点いかがでしょうか。今言われたように、すべての校長さんが部下に言ったか言わないかの問題を、あなた方が言われるように、言ったということが正しければ、十一名許可されるということもないはずです。おわかりですね。ところが十一名許可されておるということは、そういうような、かりにあなた方は、校長さんが全部の教員に言ったと言うけれども、言わないでちゃんと許可しておる人があるのですから、そうすると今度は、すべての教員に今度のは許さないということが徹底しておったかどうかということについては、あなたは、言われたものと思うと言うけれども、その判断は決して正しくないのです。現に十一名というものは、そのワク外であります。例外であります。こういうことになるのじゃないかということをお尋ねしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/178
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179・山口喜雄
○政府委員(山口喜雄君) 五千何百人の方の中で承認を受けられて休まれた方が十一名ということは、逆にいいますと、それは十分に徹底しておったということになるのじゃないか、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/179
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180・湯山勇
○湯山勇君 今の答弁はけしからぬ答弁だと思うのです。二つに分けられる問題じゃないのです、この問題は。承認を得たものは、これはいいとして、承認を得ないし、とめられもしないというものもあるはずです。あなたの分類からいえば、受けたものと、受けないものと、こういう分類ですけれども、そうじゃなくて、この有給休暇の法の建前からいえば、許可しないことができるのであって、本来すべきものである。許可しない場合には、お前のは許可できないから他の日をかわりに与えるということを言わなくちゃならない。そういう操作がなされないわけですから、校長が許可するとも許可しないとも言わないのに行ったものもきっとあると思う。そのことはあなた方の示した資料及び先ほどの答弁からわかることで、これによって徹底しておったというようなことは、これは答弁にならない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/180
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181・山口喜雄
○政府委員(山口喜雄君) 休まれた方の状況等は、これは、県の教育委員会あたりから文部省に何か御連絡があると思いますから、文部省の方から一つお答え……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/181
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182・湯山勇
○湯山勇君 冗談じゃない。そんなこと聞いているのじゃないのです。文部省へは、大臣にも何にも了解を得なくて、あなた方だけで勝手にやったことなんです。一つ、もう少し正確にお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/182
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183・山口喜雄
○政府委員(山口喜雄君) 私の方で連絡を受けておりますのは、年次有給休暇請求書を出して、承認を受けて休まれた方は十一名、承認をされずに休まれた方は五千百七十一名、こういうように連絡を受けております。この数字に間違いはないと私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/183
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184・湯山勇
○湯山勇君 どうも……、押し問答になりますからやめますけれどもね。あなたよくわかっていないのです。あなたにはこの法律の趣旨がよくわかっておりません。で、すべての教員——出すのは一人々々です。そしてその中の、しかも全部が一緒に出すというのとはまたケースが違うのです。だから、初め三割なら三割の人が——十人おるところであれば、三人の人が出すのですから、それについては一々校長が判断を与えなくちゃなりません。それが個々に校長の意思が伝えられるか、あるいはまとめて伝えられるかは別です。しかし、校長が集まって会議をして決定したとか、あるいは地教委が集まって会議をしたとかいうことは、そのこととは関係ありません。間接的な関係はあるにしても、許可するしないのその問題とは直接関係はありません。ところが、あなたの言うのは、そういう会合で決定しておるから間違いないものだというのは、何も事実じゃなくて、これは推測です。そして、各教員に対して許可しないという校長の意思がそれぞれ伝えられたと、こう判断するところには大きな誤まりがある、こういうことを言っておるので、そのことを確かめないで、ただこのことだけからあとの五千百七十一名は、これは命令に反して行ったんだ、こういう判定は、これはきわめて危険な判断だ、こういうことを申しておるのです。おわかりになりましたでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/184
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185・山口喜雄
○政府委員(山口喜雄君) 私も先ほどから申しておりますように、そういう校長会とか地方教育委員会の連合会等で何回も協議されて、今回は認められないということで、その話し合いをお持ち帰りになって、校長さんが各学校で、個人々々、一人々々お呼び出しになったかどうか私は存じませんが、全体の先生方には、今回はそういうことをしてもらわないようにということを、これははっきり申しておられるものと思います。むしろ校長先生といたしましては、そういう申し合せ等があり、また校長先生の立場としては、県の教育委員会からも指示等も参っておることだと思いますので、あるいは地方教育委員会から指示が参っておることだと思いますので、そういうことを帰ってお伝えにならないというように考えることが、もう私どもとしてはおかしいんじゃないか、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/185
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186・湯山勇
○湯山勇君 そこでその問題ができるのです。あなたは、それを事実について確かめないで、そういうものと思うと今はっきりおっしゃったわけです。ところが、もしあなたの言われるように、すべての校長さんがその申し合せ通りやったとすれば、あなたのその推測が正しいとすれば、十一名許可されるという事態はおかしいのです。そうすると、あなたのこうだと判断したことが間違いだ、その通りにはなってないという証拠が、かりに十一名にしてもあるわけです。こういうことですから、あなたの、すべての校長さんが一人々々やったかどうかはわからないけれども、全部に必ずやったものと思うと、こういう判断は誤まりではないか、必ずしも正しくないのじゃないかということをお尋ねしておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/186
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187・岡三郎
○委員長(岡三郎君) ちょっと申し上げますが、十一名が許可を得てやった、あとは、だからその反対でみんな無許可で全部行ったのだと、こういうふうに言うから、それほど断定する資料がどこにあるのかと、こう聞いておるのです、問題の焦点は。その資料はないが、こういう経過でそう思うと、こう言われておるわけだ。だから、そういうふうな結論めいたことを言わないで、十一名は許可をとって行ったが、あとはやはり大体こういうふうな経過措置だから、許可が得られないで行ったと思うと、こう言われれば、それで問答は終っておるのですから、こういう経過をとっておるからこれだと断定して答えるところに問題のあれがあるのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/187
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188・内藤譽三郎
○政府委員(内藤譽三郎君) わかりましたから、私から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/188
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189・湯山勇
○湯山勇君 文部大臣や局長に事前に相談があったなら文部省から伺いますが、事前に相談がないなら文部省の話は聞かない方がいい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/189
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190・岡三郎
○委員長(岡三郎君) だから、つまり今の山口警備部長の答弁は、十一名以外はみんなそれは校長からいずれにしろ、とにかく言われて、許可を与えられないで行ったとはっきり言っておるわけだな。だから、その間においてまじりけのない、あいまいさは少しも回答の中にはないわけだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/190
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191・矢嶋三義
○矢嶋三義君 私はその問題で重大な発言がある。それは内藤局長はどこからそういう数字を聞いて来たか、さっき十一人、五千百七十一人という数字を言ったときに、私はその数字には疑問の点があると言っておいたわけです。ところが山口警備部長も同じ十一名、五千百七十一人という数字を出されたわけだ。警察庁としてはこの数字を根拠に違法だというので、確定解釈を下したと、こう言われるわけです。ところが数字は間違っておるのですよ。私のこの前佐賀県の教育委員会からもらった数字とこれとはっきり違っているのです。だからこんな数字はでたらめな数字だということははっきりしておる。県の教育委員会が責任をもってわれわれ社会党調査団に渡した数字と違うのだ。そういう数字を基礎に断定を下すというのは、非常に危険だ。しかも逮捕まで発展しておるのだからね。決して慎重とは言えない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/191
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192・松永忠二
○松永忠二君 今のそういった数字を、一体、警察庁の方ではどこから手に入れておられるのか。事前に文部省とも連絡ないというお話であるので、どこから一体どういう調査をとられておるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/192
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193・山口喜雄
○政府委員(山口喜雄君) これは、佐賀県の警察本部が佐賀県の教育委員会から、向うに照会をして得た資料でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/193
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194・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 先ほどの私の発言が、多少誤解されておるのじゃないかと思いますが、大久保委員長から、今度の検挙という事柄についての連絡を受けてはおらないということを私は申し上げただけのことでありますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/194
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195・松永忠二
○松永忠二君 そうすると、今の湯山委員の質問でもわかるように、一人一人の人が校長に対して賜暇休暇の申請をして、それについてその職員が校長から、困る、いついつならいいから休んでくれというふうなことを言われたのに、なおかつ、五千百七十一名がそういうことまであえて拒否して出たというのですか、その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/195
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196・山口喜雄
○政府委員(山口喜雄君) 恐縮ですが、もう一度……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/196
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197・松永忠二
○松永忠二君 今湯山委員からお話があったように、有給休暇の場合には、この日に休みたいということを校長に申し出る。校長は、この日では困る、だからいつならばいいから、この日に休んでほしいということをするだけの、つまり基準法によると義務があるのです。そういうことを校長がやったのにかかわらず五千百七十一名はそれをも拒否して出たというのか、そういうことについてはわからないと言うのですか、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/197
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198・山口喜雄
○政府委員(山口喜雄君) その点につきましては私まだ連絡を受けておりませんが、おそらく今回そういう有給休暇を一斉にとることはやめてもらいたいということを校長さんが言った、従ってほかの日にどうするということになれば校長さんは考えるというようにおっしゃったかもしれません。私は具体的にそういうことは報告を受けておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/198
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199・松永忠二
○松永忠二君 そういう点が最も大事なところであって、そこのところが、つまりそういうことまで拒否して出たのか、あるいはそういうふうなことをして承認を求めて、十一人だけが承認を求めて出たのか、そういう経過をとっていたかどうかわからないけれども、とにかく申し合せたのだから一人一人の教職員にはその趣旨がわかっただろうから、そこでそれをつまり伝えられたと思われるのにかかわらず唐津に集まったという者があるので、五千百七十一名はそれに該当するというふうに判断されて現状ではいると思われるのですが、それでいいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/199
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200・山口喜雄
○政府委員(山口喜雄君) 私が申し上げております資料のもとは、先ほど言いましたように、県の警察本部が、県の教育委員会から得ました資料、従ってその資料のもとは教育委員会の見解でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/200
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201・松永忠二
○松永忠二君 そうすると、そういうことについては県の警察からの報告に当って確認されたわけではないのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/201
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202・山口喜雄
○政府委員(山口喜雄君) これは警察本部で事件捜査の際にいろいろの資料を教育委員会の方にお願いといいますか、もちろん事件があるからといって資料をお願いをしたわけではないでしょうが、この前休暇闘争の際の状況を知らせていただきたいということは、これはお話をして資料が出ております。従って教育委員会としてそういう数字をお出しになれば一応それを尊重して参りたいということは当然のことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/202
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203・松永忠二
○松永忠二君 私の言ったことはそういうことではないのですよ。県の警察の本部が教育委員会から資料を得たかどうか、そういうことはわかりませんが、とにかく今のお話では県の警察本部からその事情を聴取したというお話だ、そうすると、その事情を聴取されて判断をされるときに、今言ったような賜暇休暇について手続をして、それを一人々々の教員が確認をしてなおかつ拒否をしたかどうかという点については、そこまでについては報告を確認したわけではなかったということでよろしいかどうかということを言っておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/203
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204・山口喜雄
○政府委員(山口喜雄君) 県の教育委員会が請求書を提出したが、承認をされずに休んだ者これこれという資料をお出しになるならば、私の方といたしましてはそういう方々は承認を受けずに休まれた方だと、こういうように了承いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/204
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205・岡三郎
○委員長(岡三郎君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/205
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206・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/206
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207・矢嶋三義
○矢嶋三義君 大臣に伺いますが、先ほど大臣は前言が十分でなかったからといって発言されましたあの言葉の内容は、佐賀県教組のとった行動は三十七条違反になる、従って何らかの措置をしなければということは大久保長官との間に話し合いがあったということですね、ただ昨日の検挙について大久保長官から連絡はなかったというだけで、三十七条違反であり、これを何らか処置をしなければならぬということについては大久保長官と前から話し合いがあった、かような意味で発言されたわけですね、念のために伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/207
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208・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 佐賀県の問題はだいぶ前からの問題でございます。従って佐賀県の状況につきましては文部省といたしましては教育委員会等を通じてその情報を入手する、あるいは状況を知るということに努めております。警察の方におかれましてはそれぞれ地方の問題といたしまして、地方の情報というものがあるわけでございます。そういうことで事態に対する情報の交換ということは、これはお互いの間にございます。しかしこれをどうするとか、こうするとかいう問題は、先ほど長官のお話にもございました通りに、これは地方の問題で、われわれは相談いたしまして、こうしたらいい、ああしたらいいという指図をしたことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/208
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209・矢嶋三義
○矢嶋三義君 三十七条適法であるか、違法であるかということについては大久保長官とかつてお話し合いをされたことがありますか、ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/209
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210・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 私は大久保長官とこの問題について話し合いをいたしたような記憶はございません。しかし私はこれは違法であるということはひとり大久保長官のみならず、その前にも諸君の前で話したことはあったかもしれませんが、別にこれを協議するとか相談をいたしたようなことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/210
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211・矢嶋三義
○矢嶋三義君 石井警察庁長官にちょっとここでお伺いしますが、事件があったのは二月十四、十五、十六日です、そうして約二カ月間以上経過しているわけですが、昨日になって警察権を発動したということは佐賀県教育委員会が行政処分をやったので、そこであなたの警察の方の動きとなったわけですか、その点どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/211
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212・石井榮三
○政府委員(石井榮三君) 二月十四日ないし十六日の事件について昨日になって初めて警察が検挙に着手した、相当その間に時間がたっておるではないかと、まさにその通りでございますが、これは事柄がきわめて大事な事柄であり、先ほども申し上げました通り、地方公務員法三十七条適用違反としての事件として警察が取り上げる最初のケースでありますので、慎重検討を要する、佐賀県警察としては実態を十分把握し、それを法律に照らして、果して違反であるかどうかという、最後の結論に到達するまでにはかなり時間がかかった。こういうことに相なるのでありまして、行政処分と司法処分とは、これはおのずから別個の立場でございますので、行政処分があったから、さらに司法処分をしなければならぬ、こういうものではないと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/212
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213・矢嶋三義
○矢嶋三義君 従来の取扱い方とはずいぶん違うと思うのです。従来公務員、特に教職員等の問題を取り扱う場合、警察並びに検察当局はどういう行政処分が行われたかというのを見守っておって、そして適正な行政処分がありますというと、検察権の発動をしなかったり、たとえしてあっても、それを中止するというのが、国家公務員に対しても、地方公務員に対しても、検察の今までのあり方です。そういう事例は数えるにいとまないほどあります。そういう事例と、この場合全く違っている。普通だったならば、あれだけの行政処分があった、それでは検察はここでとどめておこうというのが普通です。ところが行政処分があった後に、さらに検察が逮捕令状まで出しておる。これは全く異例中の異例です。あなたは行政と検察と司法と、別個で云々といわれますけれども、国家公務員、地方公務員に対して、事件があった場合は、大がい警察と検察と、それから公務員を所管している行政部とは、十分話し合いをして、そして問題を処理されるのが通例です。あなたの先ほどの答弁は訂正する必要があるのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/213
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214・石井榮三
○政府委員(石井榮三君) 従来もいろいろ学校の先生方の組合の運動として、いろいろな態様がございましたが、今回のように、休暇を申請されて、許可がないにかかわらず、しかも大量の人が連日にわたって休んで大会を持たれた。こういう事例は今までになかったと思うのであります。そういう意味で、私どももこのケースは異例のケースで、三十七条適用についても、そういう意味におきまして、現地においてはもとよりのこと、中央のわれわれの方といたしましても、慎重に検討をする必要があるということで、十分に時間をかけてやったのであります。従来行政処分があれば司法処分はないというのが通例ではないか、という、ただいまの御質問がございましたが、軽い行政処分程度で済む程度のものであるならば、おおむね従来はそういう実情であったと思うのでありますが、今回は行政処分もかなり重いようであります。それだけ、この三十七条違反の容疑が濃厚にあるということを、行政処分をされる方でもお考えになったのではないかと、かように考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/214
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215・矢嶋三義
○矢嶋三義君 その点私はまだ納得、理解いたしかねる点が多々あります。さらに二月十四日から二カ月以上慎重に慎重を期したといわれますが、それほど慎重に慎重を期して調べて、しかも佐賀県教組は秘密文書なんていうのは何にも流していない。休暇をとるなら何日にとるなんていうことを、だし抜けにやったのではない。何にも秘密通達なんか出しておりません。にもかかわらず逮捕令状を出して県下四十数カ所の家宅捜索という、それほどぎょうさんにやらなければ……私は違法でないと思うが、かりにあなた方が違法と見解をとっても、二カ月以上費してなおかつあなた方が違法と断定するような資料をつかみ得ない。どうしても、私は、四十数カ所を家宅捜索して、十数人に逮捕令状を出したというのは、全く芝居がかって納得できない。繰り返せば、しかも、証拠隠滅のおそれも、逃亡のおそれもないものを、その判断はどういう角度からなされておるのですか。どうしてもこの点納得できない。私は即時釈放してしかるべきだと思う。それで取調べができないような警察官だったらやめなさい。答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/215
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216・石井榮三
○政府委員(石井榮三君) 捜査の建前といたしましては、できるだけ任意捜査で目的が達せられるものならばそういたすことがこれは上策であると思います。人権の尊重という見地から考えましたら、当然そうあるべきであると思う。しかしそれでは捜査の目的が達せられないときには、やむを得ず強制その他の措置をとらざるを得ないのであります。昨日朝も、従いまして、佐賀県におきましては、まず関係者に一応任意出頭を求めたのであります。それにすなおに応じて下さった先生方もおありだと聞いております。そうでない方もあるようであります。任意出頭を拒否された方に対しましては、当初より逮捕令状を執行いたしたようであります。任意出頭で応ぜられた方につきましては、その後いろいろ事情をお聞きしまして、きのう一日のうちに目的を達するならば、それでお帰りを願えたのではないかと思うのでありますが、そうでなかった者にはやむを得ず逮捕令状を執行して、引き続き捜査をなさなければならぬということに相なったものと考えておるのであります。しからばその理由はどこにあるということになりますと、証拠隠滅のおそれ、あるいは逃亡のおそれがなければ強制留置する必要がないじゃないか、これは全くその通りであります。おそらく昨日各関係個所を捜査いたしまして、いろいろの資料も現地の警察としては収集したことと思います。しかしそれを一日のうちに全部終るということもおそらく事実的に困難であったことと思います。捜査しました資料を検討し、それと関係者の供述されたことと突き合わせて、それが合致することによって、初めて捜査の目的は達成されたのであります。そうしたことはきのうの一日では十分事が運ばなかったのではないか、従ってもし十分な供述を得られなくて、そのままお帰りになっては、また関係者の間で通報せられて、いわゆる証拠を隠滅されるおそれがある、こういうことから逮捕令状を執行しなければならなかったのではないかと考えるのであります。そういう点は昨日のことでありまして、一々事柄について私どもに詳細な報告が参っておりません。従って捜査の状況が昨日一日どういうふうに進展をいたしたかということにつきまして、私まだ報告に接しておらないのであります。そういうことではないかと先ほど申し上げましたように想像いたしておるのであります。要するに今後の問題といたしまして、われわれとしてはできるだけそうした目的を早く達成しまして、関係者の方々にも早くお帰りを願うということが必要でありますので、現地の警察を督励いたしまして、さように努力いたしたいと、かように考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/216
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217・矢嶋三義
○矢嶋三義君 私は文部大臣にお伺いいたします。この佐賀に起った問題は、国家組織を破壊するとか、あるいは治安に重大なる不安を与える、あるいは人命に影響するとかいうような、かような性質の問題でなくて、先ほどあなたがみずから認めたように、非常に過酷なる再建計画のために、佐賀県の教育は守れないと、何とかして佐賀県の教育水準を守りたいという、この教育愛の熱情というものから佐賀県の先生方が十分注意を払って、そして当局に交渉するために集会を持たれたのが二月の事件です。もちろんかような集会を持たれるような事態が起らなくて済めばそれにこしたことはございません。起ったことはまあ遺憾なことですけれども、しかしそれは再建計画が非常に過酷であり、教育を守るために万やむを得ず、先生方が十分注意をし、合法と信ずる範囲内において行動された、それをこの三十七条違反と、これは私はその認定というものはおそらく最高裁までいかなくちゃきまらないでしょうし、私はかような認定を断定するということは賛成できません、佐賀の場合にですね。どうしたって賛成できない。それを三十七条違反として行政処分をやって、さらに検察権の発動までやったと、どう考えても私はこれは理解できない。しかも私は、邪推めいたことを申し上げて恐縮でございますが、この問題は私は文部省から出ているのかもしらぬと思っている。おそらく文部省のどこかに三十七条、教育の正常なる運営を阻害する、こういう認定をまず真っ先に文部省からされて、それで行政処分があり、そういう解釈が成り立てば、検察権の発動もというように、あるいは私は文部省が根源ではなかったかというような感じもしてなりません。文部大臣みずから、先ほど私が言いましたように、学級定員の法規通りの毛のが確保できず、閣内の折衝は十分できず、そのために定員の問題が起っている、末端に、教育水準を守るためにというので、こういう問題が起っている。それを日本の教育界に警察権まで入れて、しかも早朝とは言え、あの小さい佐賀県で四十何カ所に家宅捜索をやり、現職教員に対して、任意出頭もできると十分判断されるにもかかわらず、逮捕令状を発行した。これは長く日本の教育史に残るでしょう。これは私は灘尾文部大臣時代に起ったという記憶が残れば、私はある意味において灘尾文政の汚点にもなりはしないかと思うのだ。こういう事態の原因を排除すると同時に、こういう行き過ぎた、飛躍した法解釈と、それに対するあたかも弾圧的な措置については、私は将来の日本の教育界のために文部大臣として、所管大臣として善処してもらいたいと思うのですが、大臣はどういう所感を今持っておられますか、承わりたいと思います。答弁次第では私は今後灘尾文政に対して考え直さなくちゃならぬと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/217
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218・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 今回の事件全体をながめまして、かような事態が起りましたということについては、先ほど申しましたように、私はまことに残念に存じております。かようなことがないようにありたいのが私の念願であります。私としましては、これも先ほど申しましたけれども、教員組合の諸君はあくまでも合法的に行動してもらいたいのであります。いかなる理由があるにもせよ、法規の、法令の範囲を逸脱するような行為は厳に慎しんでもらいたいと思っているのです。さような意味におきましてしばしば注意をいたしてあります。あるいはそれが原因となって佐賀県教委が何かの行動をしたということになるかもしれません。私は一般的には日本の全国の教育委員会に対して、教員諸君が法令の範囲内において行動してもらうようにということを強く申しておるつもりであります。今回の事件につきまして、三十七条の問題につきましては遺憾ながら私はこれまで県教委の報告を前提として考えまするならば湯山委員と見解を異にするのであります。私はこれは三十七条違反の行為であると、かように考えておる次第であります。従いまして佐賀県の教委がこれを違反として行政処分をいたしたことも、前回にも申し上げましたが、私はこれはやむを得ないと思います。またこれにつきまして警察当局が犯罪の容疑ありとして、その処置に出られたということもこれまたやむを得ない、まことに遺憾なことでありますけれども、やむを得ない問題と今日考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/218
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219・岡三郎
○委員長(岡三郎君) ちょっと私国務大臣じゃなくて、石井榮三君にちょっと聞きたいのだが、議事進行のためにも必要があると思うのですがね。私は委員長の立場として今までの問答を聞いていて、逮捕状というものをどう考えているか知らぬが、これは要するに非常に過酷な、定員削減、給与のストップ、こういうふうなものをやってきて、そして三十七条の行政処分をして、なお今回逮捕状を用意して、四十何カ所やったということは始めから最後まで酷に過ぎると私は思っている。非常に皆が苦しんで学校の教育を守ろうとやった、それで行政罰を受けて、それでしかもそのあげくの果てがそれを取り調べるということについて、必要があれば取り調べればいいでしょうが、四十何カ所も捜査をして、しかもその上に逮捕状を突きつけて、任意出頭とはいえ直ちにそれはもう前後の経緯から考えれば、始めから逮捕状でやっているというふうにもとれるわけです。そういうふうな形の中で私はほかのいろいろな事例と比較して、ほかの問題を判断してこれが果して公正かどうか。私はもう明らかにこれは弾圧であると認定せざるを得ない、こういうぎょうぎょうしいやり方で、たとえば先般の福岡の県知事が来た場合に、わざわざ鎌倉まで出かけて、鎌倉に出頭させて、しかもあれだけの容疑があるのに任意出頭で帰す、そういうふうな一方においてはやることをやりながら、片方はもう事実明白なんです、これは罪に陥れるための逮捕であって、調べるということよりもそれを確認させるための逮捕行為というふうに私たちだって考えざるを得ない。これは問題の焦点というものを考えていった場合に文教委員会としては、これはゆゆしい問題だと思う。やむを得ない問題と、とった処置がやむを得ないという問題とはこれは違うのですよ。だからそういう点で今後どれだけの調べ方をするかわからんが、とにかく新しい法令を適用する場合に、新判例を開くという形で功名心にかられてやったとは思わぬけれど、事教育の問題に関する限りにおいて慎重にやる、慎重にやるということは終始一貫それが慎重でなくちゃならぬと思う。しかもその中で法に照らして堂々とやるならやられてけっこうだと思うが、逮捕状を直ちに執行する、履行するということを、先ほど山口警備部長さんが言っておりましたが、逮捕状を執行する必要というものを先ほど御回答になったが、ほかの問題と関連して常識的に判断してどうですか、これは酷に過ぎるとは思いませんか。これは山口警備部長よりか、石井榮三警察庁長官に聞きましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/219
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220・石井榮三
○政府委員(石井榮三君) 今回の佐賀県の事件につきましては、私どももまことに遺憾に存ずるのでございます。県の財政の都合もあることでございますが、二百五十九名という大量の定員の削減ということは、これは教育関係の方々にとってはゆゆしい問題であることは、十分に私どももわかるのでございます。従いまして、そのために学校の先生方がいろいろとその問題の有利な解決のために運動せられるということも、これももっともなことだと思うのであります。それはあくまで合法のワク内においてなされなければならぬのでありまして、いかに目的が正しいことであるからといって、手段を選ばない、いかなる手段に訴えてもよろしいというものではないと思うのでありまして、法治国としましては、どこまで毛法律を順守し、法律のワク内において、いわゆる合法のワク内において行動しなければならぬことは、申すまでもないことであります。特に次代の国民を教育せられる立場にあられる学校の先生方といたしましては、率先法令の順守という態度をお示しいただきたいと、私どもかねがね思っておるのでございます。そういう見地からいたしますときに、今回佐賀県の先生方が行き過ぎた行為をなされまして、私どもは残念ながら地方公務員法第三十七条の違反としてこれを検挙しなければならぬということになりましたことは、まことに遺憾に思うのでございますが、これに対しましては、先刻来申します通り、現地の警察としましては、初めてのケースでありますだけに、慎重に実態の把握に努め、また法の解釈等につきましても十分研究を遂げまして、初めて昨日関係者の検挙並びに関係場所の捜査を実施したという次第でございます。逮捕状の執行が不備ではないかというお尋ねでございますが、先ほども申し上げましたように、捜査のあり方といたしましては、任意捜査で目的が達せられるならば、任意捜査を建前とするのが妥当であると思うのでありまして、人権の尊重ということは、われわれ捜査に当る者の基本的理念として、絶対に忘れてはならぬところであります。国民に迷惑をかけるということのないように、どこまでも人権を尊重しつつ、真実の発見に努めるという捜査のあり方こそ、今日の民主主義下の捜査のあり方であると思って、私は広くそういうことを第一線の警察官諸君にも注意を喚起し、また指導もいたしておるつもりでございます。従いまして、昨日の佐賀県の関係者に対しましても、最初は任意出頭を求めまして、それによって警察としての捜査目的を達成すべく努力をいたしたのでありますが、十分にその捜査方針をもって目的を達し得なかったために、やむを得ず逮捕状を執行するという結果に相なったものと報告に接しておる次第でございます。
さらに今後の捜査の進展につきましては、どこまでも人権の尊重ということ、また先ほど御指摘になりましたように、学校の先生方がこの事件で検挙されたということの生徒、児童等に与えます影響等もありますので、そうした点を十分考慮しつつ、できるだけすみやかに事案の解決をはかるということに最善を尽すように、重ねて現地の警察にもそれを督励いたしたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/220
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221・松永忠二
○松永忠二君 今のお答えでありますけれども、任意捜査をこういうふうにやってみたけれども、こういう点から逮捕状を出し、捜査令状を出してやらなければできないという段階に至ったという、そういう具体的な問題についてどういうふうな点を把握されておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/221
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222・石井榮三
○政府委員(石井榮三君) 先ほどもその点に触れてお答えしたと思うのでありますが、何分きのうのことでありまして、また関係者も多いことでありますし、どの人に対しての捜査がどういう状況であったかということを、私どもは一々承知をいたしておらないのであります。また、報告に接しておりません。従って、現地では必要でもないのに逮捕令状を執行して強制捜査をするはずはございません。任意捜査で目的を達せられるならば、そうすべきであります。これはかねがね第一線の諸君に要望し、またそういうふうに指導いたしておりますので、任意捜査で目的を達せられるならば、それをあえて強制捜査に切りかえるということはないと思いますが、逮捕状を執行せざるを得なかった事情にあったのではないかということを想像いたしております。それが具体的などういう事情であったかということは、先ほど来申し上げておりますように、この問題についての詳細な報告に接しておりませんので、ここで遺憾ながらお答えできないので、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/222
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223・松永忠二
○松永忠二君 そうすると、逮捕状を出し、捜査令状を出していくというやり方については、警察庁の方の指示を受けてやったわけではなくて、県の警察本部が自発的なこととしてそういう方法をとられたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/223
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224・石井榮三
○政府委員(石井榮三君) 最初にも申し上げたと思うのでございますが、現在の警察の建前といたしまして、各府県の個々の執行につきましては、中央の私どもも一々指揮をいたす権限はないのでございます。各都道府県の警察本部長が執行の最高責任者でございます。従って、今回の佐賀県の事件につきましても、佐賀県警察本部長が執行の最高責任者として、一々具体的な仕事の進め方を指揮してやらせるわけであります。私どもといたしましては、事柄が事柄でございますから、一応こういうふうにしたという連絡は、これは当然いただいております。私どもこれは関心を持っておる問題でありますから、現地から逐一報告をするようにと、報告は求めておりますので、連絡なり報告は受けておりますが、こちらからこうすべし、ああすべしという指揮をいたして一々やらすべきものではないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/224
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225・松永忠二
○松永忠二君 この解釈の問題について一、二お伺いをいたしたいわけでございますが、今度捜査令状、逮捕状を執行された人たちについては、いわゆる合法的に賜暇の休暇をとって、そうして要求措置の大会をやるということを指示し、またそういう点で事を取り運んだと思うわけでありますが、また事実そうであるように聞いておるわけでありますが、そういう合法的な措置をして措置要求をするということを指示をしても、なおかつ第三十七条の適用を受けるというのは、どういう法的な理由でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/225
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226・山口喜雄
○政府委員(山口喜雄君) 三十七条は、御承知のように、「同盟罷業、怠業その他の争議行為をし、又は地方公共団体の機関の活動能率を低下させる怠業的行為をしてはならない。又、何人も、このような違法な行為を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおってはならない。」、こういう規定であります。それに罰則がついております。従って、給与その他の勤務条件の改善等について努力をされます際にも、やはり法律で禁止しております行為、禁止しております事項に触れないようにしていただく、これはまあいわゆる先ほどから長官が言われました、合法の範囲内においてしていただく、こういうように私どもは解釈しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/226
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227・松永忠二
○松永忠二君 私の申し上げたのは、県の執行部が指示したのは、賜暇休暇をとって、そして措置要求の大会を集合するということを指令しておるのであって、非合法の賜暇休暇をとるとかというようなことを指示しているわけではないわけです。別に怠業の行為をするように指示をしておるわけではないのであって、賜暇休暇をとって、そうして集合して、措置の要求をするというふうなことが指示されていて、どうしてそれが怠業のあれをそそのかしたということになるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/227
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228・山口喜雄
○政府委員(山口喜雄君) 先ほどから申しておりますように、県教組からは十四、十五、十六の三日間有給休暇をとって、そしてこれこれの総決起大会に出席するように、こういうように指示をしておられるので、その有給休暇をそういうような三、三、四割というように県下全体の先生方が一度に多数、三日のうちに一斉に休暇をとって休まれるということは、学校教育の正常な運営を妨げるから、そういうことはやめてもらいたいということを県の教育委員会で、あるいは地方の教育委員会がこれを繰り返し述べて説得しておられる。それにもかかわらずなおその指令を出されて、そういうことを行うように指示されたという点が、先ほど言いましたように三十七条の違反になるのであります。結局有給休暇をとられる際には、先ほどからいろいろ御説明をいたしましたように、それぞれのやはり踏んでいく順序があるわけであります。そういう関係で、三十七条違反と、かように私どもは考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/228
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229・松永忠二
○松永忠二君 この指令を出した指令については、今言うような有給休暇としての合法的な賜暇を受けて集まってくるということを措置要求をしておるわけです。そういう措置要求を開くということであって、その怠業行為としての賜暇休暇をとって出てこいというようなことじゃないので、この点については、これを一方的に怠業行為というように決定をするということについては、これは少し従前のいろいろな他の労働組合等において実施されている状態から見ても、これが直ちに怠業行為というふうに解釈はできないと思うわけであります。その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/229
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230・山口喜雄
○政府委員(山口喜雄君) もちろん一般の民間の労働組合についてはそういう規定はございませんが、地方公務員については三十七条があるわけであります。なお過去においてこれに類似したような事態があったのに、それは別にそう取締りもしてないじゃないかということでございましたが、先ほどから御説明いたしますように、今回の佐賀県教組で行われました事態は、過去におきましてもこれは相当異例の事態であるとわれわれは考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/230
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231・岡三郎
○委員長(岡三郎君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/231
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232・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/232
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233・安部清美
○安部清美君 大臣にお伺いしたいと思いますが、佐賀県の問題を中心にしてでありますが、私ども文教委員になってから、最近になって、たとえば愛媛の問題にしましても、大分の問題にしましても、今回最も県下の注目を集めておるところの佐賀県の問題、ことに警察権が発動されたというがごとき問題が惹起しておるという一連の関係をずっと考えてみますというと、次第に、何と申しますか、権力的な空気がそういう問題ごとに私どもには強く感ぜられてならない。ことに愛媛の問題につきましても、静かに分析いたしてみますと、そういう感じがする。大分の問題にいたしましては、先生方を二十八条によってああいう処置をしなければならないような状態になっておる。今回はまた特に警察権が発動されるといったような、われわれいまだかつて聞いたことのないようなことが教育界においてわれわれの前に現われてきた、私は、この点について非常な不安を感ずるのであります。こういうふうなものが単なる佐賀県一県の警察本部長の考えだけで行われておるのじゃないかといったような感じさえ持つのでありますが、こうした教育界の一つの大きな流れに対しまして、大臣の一つの御所見を承わりたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/233
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234・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 私は今日の教育界において、権力主義的な風潮がかもされておるというふうには実は考えておりません。もしまたさようなことがありといたしまするならば、これは十分気をつけなければならぬことだと思っております。ただ、しばしば申し上げますように、これは私の気持から申しまするならば、ともかく教育関係の——教組の関係の諸君はできるだけ一つ気をつけて、合法の範囲内で行動をしてほしいということが一つであります。いま一つは、教育の場における秩序、あるいは行政の規律というふうなものはぜひ守ってもらいたいというのは、これは私の衷心からの願いであります。そういう意味におきましては、私は地方の諸君にいろいろ注文をいたしますけれども、決して権力主義的にものをやるとか、そういうふうな気持でやっていくなんということは毛頭考えておりません。もし御指摘のような風潮が一般的にあるといたしまするならば、これは十分絶縁に努めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/234
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235・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/235
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236・岡三郎
○委員長(岡三郎君) それでは速記をつけて。
以上で大分県及び佐賀県における教職員の人事行政に関する件の質疑を一応本日はこれをもって終ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/236
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237・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 次に社会教育法の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず提案理由の説明を求めます。
ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/237
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238・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/238
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239・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) ただいま議題となりました社会教育法の一部を改正する法律案についてその提案の理由を御説明申し上げます。
昭和二十四年社会教育法制定以来、わが国の社会教育は、これに基いて展開されて参っているのでありますが、もともと社会教育活動の領域は非常に広く、これに関する事業を行うことを目的とする団体もきわめて多岐にわたるのであります。
従来こうした社会教育関係団体については、その団体が自主的組織による民間団体であることにかんがみ、国及び地方公共団体は、これらの社会教育関係団体に対して補助を行わない方針のもとに、社会教育法にもその旨の規定が設けられているのであります。
しかしながら社会教育法制定当時とは異なり、現在ではすべての社会教育関係団体に対して一律に以上の方針で臨むことについては必ずしも実情に即さないものがあるのであります。
特に運動競技に関して全国的及び国際的な事業を行うことを主たる目的とする団体においては、当該団体のみの自主的活動にすべてを依存してしまうことはほとんど不可能な状態であり、現在このことが社会体育の振興上大きな問題となっているのであります。
このような団体については、その事業の性質及び規模等にかんがみ、当面の問題として、国は国家的見地からこれを援助する必要があると思われるのでありますが、これら民間スポーツ団体の活動を助成するため、国は緊急に必要な措置を講ずるよう各方面からも強い要望が起っているのであります。
以上のような理由により、社会教育関係団体のうちで運動競技に関する全国的及び国際的な事業を行うことを主たる目的とする団体に対しては、当分の間、国はその事業遂行に必要な経費について助成できる道を開き、これらの団体が円滑に事業を遂行できるようにいたしたいのであります。
以上がこの法律案の提案理由であります。何とぞ十分御審議の上すみやかに御賛成下さいますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/239
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240・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 社会教育局長の補足説明並びに本案に対する質疑は次回に譲り、本日はこれにて散会いたします。
午後七時二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02319570425/240
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