1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年四月十一日(金曜日)
午後二時五十分開議
出席委員
委員長 南 好雄君
理事 青木 正君 理事 石坂 繁君
理事 加藤 高藏君 理事 古川 丈吉君
理事 松澤 雄藏君 理事 井堀 繁雄君
理事 島上善五郎君
大村 清一君 加藤 精三君
高橋 禎一君 橋本登美三郎君
三田村武夫君
出席国務大臣
国 務 大 臣 郡 祐一君
出席政府委員
総理府事務官
(自治庁選挙局
長) 兼子 秀夫君
委員外の出席者
総理府事務官
(自治庁選挙局
選挙課長) 皆川 迪夫君
総理府事務官
(自治庁選挙局
管理課長) 桜沢東兵衛君
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本日の会議に付した案件
公職選挙法の一部を改正する法律案(内閣提出
第一五〇号)
公職選挙法の一部を改正する法律案(島上善五
郎君外八名提出、衆法第一一号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/0
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001・南好雄
○南委員長 これより会議を開きます。
この際お諮りいたします。さきに決定を見ました四月十四日開会の公聴会における公述人の選定につきましては、理事会において協議いたしました通り、公述人として坂千秋君、吉田直治君、吉村正君及び清水慶子君、以上四名の諸君に出席を求め、意見を聴取いたすことに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/1
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002・南好雄
○南委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/2
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003・南好雄
○南委員長 ついで、内閣提出、公職選挙法の一部を改正する法律案及び島上善五郎君外八名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案を一括議題とし、前会に引き続き質疑を継続いたします。
井堀繁雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/3
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004・井堀繁雄
○井堀委員 前会概略についてお尋ねをいたしましたが、どうも納得できるところまでなかなか参りませんで、非常に残念に思っています。本日は、多少趣きを変えまして、選挙運動の実際面と本法の改正に関連しての点をお尋ねいたしてみたいと思います。
今度の改正のねらいの重要な点は、選挙法の曜日でありまする公明選挙の理想へ近づこうとする点については、疑う余地はないと思うのでありますが、これの実施について、われわれといたしましては特段の配慮が必要だと思うのであります。それは、解放が必至であるし、選挙の期日も従って切迫しておる折柄でありまするだけに、この選挙法の改正の趣旨なり、あるいは改正された法案が適正にしかも誤まりなく施行されるということが、時間的に非常に困難になると考えるのであります。この徹底は、まず第一に、選挙管理の当面の責任者でありまする選挙管理委員会がこれを十分に理解するということが最も必要なことだと思います。それにはあまりに時間的に困難な諸事情が山積しておると思いますが、この点についてはいかようなる方法によって徹底させるか、また徹底の可能性について私は非常に疑いを持つのでありますが、自信があるとするならば、どういう処置でこういう効果が上るか、その御見解を一つ伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/4
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005・郡祐一
○郡国務大臣 このたびの改正もそうでありまするし、いつも気にしておりまするのは、何分にも選挙法は重要な法律であり、相当複雑な法律でありまするので、この趣旨を門違いなく事務の面にも伝え、また有権者にも仰せのように公明適切に選挙法を理解できますように、全国の選掌管理委員長もまたその点を非常に気にいたしておりますので、府県の選挙管理委員会の委員長その他も呼びまして、また自発的な会合もいたしております。そういう機会に時々指導もいたしておりまするし、いつもいたすことでありまするけれども、総選挙の時期等に相なりますれば、最も早く、府県の選挙管理委員会、さらにそれを通じて市町村の選挙管理委員会に、これらの趣旨の徹底はいたすつもりでおりまするが、概してこれは、選挙管理委員会の諸君が非常に勉強してくれますせいもありまするか、時を経るに従って選挙法の理解がよく進んで参りました。ただ、今の秩序保持の点などは、特に一つ気をつけて指導をいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/5
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006・井堀繁雄
○井堀委員 私がずっといろいろお尋ねをいたして参りました内容などについては、御案内のように、かなり選挙法の根本精神に触れる問題があり、選挙管理委員会としての任務権限などについてもきわめて重大な変化があるので、そういう問題を徹底させるためには相当の時日とかなり徹底した方法が考慮されなければならぬと思います。そういう具体的な自治庁の方針と申しますか、そういうものをこの際伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/6
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007・郡祐一
○郡国務大臣 三月の末に選挙管理委員会の会議もいたしましたし、それから特に昨日は常時啓発の担当者を呼び、また来週の末には都道府県の書記長の会同をいたす等を考えております。細目については政府委員から申し上げまするけれども、骨子といたしましては、選挙管理委員会が、一つには教育的と申しまするか、常時啓発の面で、有権者に対して自由な気持で公正な選挙をいたすようにという、有権者への啓発の意味の働きかけ、第二には、選挙法規を最も適正に執行させるということ、従いまして法規、特にこのたびの改正をいたしました要点を的確に把握させる。そして、これはいつも私自身感じておることでありますが、あまりに選挙法規というものを窮屈に考えると申しますか、誤まりなからんことのみをおそれますために、有権者なりあるいは候補者なりへの配慮において欠けておるというようなことのないように、一時は法律を忠実に執行する、法律をまずよく間違いなく知ってくれということを主といたしておりましたが、それよりやや進んで、法律に肉づけをいたすような指導をいたして参りたい、このように考えております。
詳細な点については選挙局長からお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/7
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008・兼子秀夫
○兼子政府委員 ただいま大臣から御答弁いたしました通り、三月二十五日に都道府県の選挙管理委員会の委員長会議を開催いたしまして、法律改正の動き並びに選挙の啓発関係の点につきましてとくと協議をいたしたのであります。特に事前運動の防止につきましては、特に指導いたしております。それから、昨四月十日におきましては、都道府県の常時啓発関係の、選挙の啓発の係、主任たちの会議をやりまして、事前運動の防止、選挙期間中の選挙の公正化の周知徹底というような点につきまして、一日会議いたしたのであります。それから、四月十九日は、都道府県の書記長を集めまして、法令の周知徹底並びに選挙管理の事務の細目につきまして、打ち合せをいたす予定をいたしております。なお、今回の改正は直接市町村の選挙管理委員会に関する規定は少うございまして、都道府県選事管理委員会が承知しておらなければならない規定が大部分でございますので、そういう点におきましても、都道府県を中心に指導をいたして参りたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/8
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009・井堀繁雄
○井堀委員 今伺いますと、三月の十日、三月の二十五日に都道府県選挙管理委員長並びにそれぞれの関係者をお呼びになって、趣旨を御徹底なさったということでありますが、これは一般的なことだと思うのです。しかし、今われわれが審議している法案は、まだ海のものか山のものかわからぬ。今衆議院の段階におきましても、十四日に公聴会をやるということが理事会で申し合せができておるだけであります。そういう事情でまだ公聴会も終ってない。さらに衆議院から参議院の段階を経て、審議が行われていくことも申すまでもない。そういたしますと、これが両院の審議を終って法律が施行されるということになりますと、まだかなり先になる。ところが、四月十九日に関係者をお呼びになって会議をお持ちになるというのでありますが、まさかこの法案の説明に入るわけにもいかぬのじゃないか。そうすると、法案の趣旨を徹底させるということになりますと、法案が両院を通過して、即日施行されるにいたしましても、かなり先になる。これと今回の総選挙ということが見通せなければならぬ。そこら辺の点について、全く暗中模索で、ここら辺をもう少しはっきりいたしませんと、どうも徹底させますといったところで、こういう法案はわれわれさえ長い時間かかってお尋ねしても、なかなか容易に理解ができない。どんな頭のいい選管の人々といえども、うのみにすることはできまいと思う。それで、その間の日数などについて、もうちょっと明らかにする必要があると思うのですが、そこら辺をもっとわかりやすく数字で展開してもらいたい。たとえば、参議院を何日ごろこの法案が通って、施行は何日ごろになるか。そこで選管の代表を呼んで説明をやるのか、あるいは自治庁が出かけていって御説明なさるのか、そこら辺のいろいろな方法などもあろうと思う。非常に大事なことですから、具体的に数字を入れて説明していただきさたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/9
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010・兼子秀夫
○兼子政府委員 法律案を内閣として提案いたしましたので、この法案につきまして説明をいたす予定にいたしておるのでございます。なお、今回のいろいろの御論議の点等も、十分御趣旨の点は伝えなければなりませんので、一応四月十九日をと予定いたしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/10
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011・井堀繁雄
○井堀委員 これはけしからぬ話です。法案は、あなたの方は原案を出されて、審議決定するのは国会の権限です。なまいき千万だということになるのです。これはやはり法案が成立してから、成立した法案について説明会をやるならいいのですが、原案をあらかじめ実施可能なごとき建前で説明するごときことは、私は三権分立の原則を破壊するおそるべき思想だと思う。断じて許すことはできぬ。そういう軽率な答弁は、国会軽視もはなはだしい。一応やはり両院議員の審議を経てからでなければならぬ。立法権を犯すような行政庁のやり方というものは、私は重大だと思う。十九日といったら、まだ参議院に回ったばかりです。あるいは参議院に回らぬかもしれぬ。今予定できるのは十四日の公聴会です。公聴会はいかなる性格のものであるかということは御存じでしょう。それを十九日に関係者を集めて法案の内容を説明するに至っては、不都合千万といわなければならぬ。自治庁長官はそういう点を事務当局に御命令になったのだろうと思うのですが、一体いかなる所存でそういう処置をなさったのであるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/11
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012・郡祐一
○郡国務大臣 政府委員がもう少し詳しく申し上げれば、十分気持を尽して申したのでございましょうが、ただいま言葉が短こうございましたので、私から一つ申し上げることにいたします。もちろん、御審議の段階におきまするものを、一つの案としても話すようなことはいたしませんけれども、こういう際でありますから、選挙管理委員会の書記長等はそれについていろいろな質問もし、国会の論議の模様等を新聞などで承知しております以上に、さらに詳しく知りたいということはあることでございますから、その程度において必要なものが誤まり伝えられないような措置をいたして参るわけであります。これは、終戦後第一回の二十一年の選挙、二十二年の選挙のときでございましたか、どちらかのときに、非常に大きい改正でございましたが、法文そのものを届けることができませんで、そうして公示のときにようやく——新聞の裁断もいたしません。新聞社に頼んで刷りましたものを届けるようなことをいたしましたが、そういうような際にはとかく間違いが起りやすいものでありますから、このたびも、それぞれの段階で、質疑に応じて十分に誤まりのないように、傾向をその段階において説明することでございます。もしできますならば、私は人を集めもいたし、またそれができません場合には、でき得る限り詳細な文書による通達をいたしまして、例などもあげ、気持をよく伝えましたる従来にない詳細な通達をいたしまして、そうして事柄の誤まりなきを期そうと思っております。立法府、行政府の仕事の限界などは、自治庁としては他の役所よりも心を使いまして守って参る。またその間における連絡の適切を期するという点は、お示しの通りことに気を使っておるところでございます。私はいつもそうでありますが、見ておりますと、選挙のときに聞かれて返事をしております書面の往復なども、どうも時期を失するようなことがあります。電話でもそうなのであります。それよりも、あらかじめ相当いろいろな場合を予想しました書類による通達というものを、事前に、あるいは事柄の段階に応じて、その事態が起って参りますれば、それに応じたものを、今度の来たるべき選挙においては特に気を使って出すようにいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/12
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013・井堀繁雄
○井堀委員 四月十九日に法案の説明をするということは、確かにこれは行き過ぎである。そういうことをしてはいけません。しかも、審議の過程にあるものを、提案者側の、すなわち、行政府の出した原案を説明するごときことは、これは、いつも人間の習癖として、先入観というものが動かしがたいものになることが多いのです。私はそういうやり方を計画されるお考えの中には、どうやら原案を国会でうのみにするがごとき誤まった見解を作ることにもなると思う。この点は慎重に扱うべきだと思う。
そこで、私お尋ねいたしておりますのは、もちろん十九日に法案が上るなどとは思っておらぬでしょう。だから、法案の成立の時期を政府としてはいつに予定されて、それが成立施行の時期が即日だということになれば、それから計算して、趣旨徹底のためのそれぞれの処置をとるというのが、これが順当な行き方です。ですから、まず第一に、提案者側としては早く通したいということは言うまでもない。しかし、衆議院の審議の経過についても、ある程度時日を費しておりますから、また、われわれも、できるだけほかの法案と違ってこういう法案は実施に当って間違いを起さぬようにする配慮も必要だと思っております。こうして他の委員会が休んでいるときも出てきて審議に御協力申し上げているという趣旨も、そういうところにあるのです。何日ごろ大体この法案が施行できるというお見込みでございますか、まずこの点をお聞きいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/13
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014・郡祐一
○郡国務大臣 本委員会におきましては、非常に連日の御審議をわずらわして、大体の御予定等を委員長、理事の打合会等でこしらえていて下さいまして、まことに感謝をいたしておる次第でございます。参議院に参りました場合も、法案の性質から見まして、可及的すみやかな御審議をお願いすることを希望いたしており、またそのような気持を持っていて下さるように私も考えておるのでございます。それにいたしましても、国会の御審議に必要な慎重な時間をかけていただかなければならぬことは当然でございます。その段階に応じまして十分な御議論があり、しかし、決定をいたしましたものについては、いささかも間違いのないように伝えなければ相ならぬと思うのであります。それで、本委員会における御質疑を通して見ましても、ことに選挙管理委員会の扱うべきこと、さらに立会演説会における扱いでありまするとか、ポスター等についての便宜の供与でありまするとか、こういう点について、御審議の過程に現われましたいろいろな重要な点というものを、特に重きを置いて伝達をいたしたいと思います。それで、必要に応じまして東京に招集することも考えまするし、自治庁の機能といたしまして、必ずしも選挙局だけの人間に限りませず、自治庁の機能を集中してブロック別の指導等ももし可能なればいたりしたいと思いまするし、そういう会議を設け、また文書によります示達、それから新聞、ラジオ等の御協力も十分得まして、詳細な実のあるところを伝えたいと思っております。それが可能だと思いますることは、このたびの衆議院の選挙に関しまする部分をとりあえず周知徹底いたせばよろしいのでありまして、地方議会の選挙等の問題につきましてはこれを区別して説明することが可能であり、またその方が適当かと思いまするから、特に次の総選挙に関係のありますことについて、委員長なり書記長なりを集めまして、従来の選挙の実績に徴しまして特に問題となります点を十分徹底をいたしておき、そしてその部分について遺漏なきを期し得まするならば——このたびの改正によって起ります点というのは、ただいま申し述べたような会議あるいは通達等、その他いろいろ公明選挙連盟も使いたいと思いまするし、報道機関の御協力も得て徹底をいたせば、誤まりなきを期し得るかと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/14
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015・井堀繁雄
○井堀委員 そのお心がけでおやりになることについてはごもっともだと思う。ただ、私どもとしては、せっかく一生懸命審議した法案が、実施の段階において不可能な事態が予測できる場合には、われわれ自身もやはり一連の責任を負うことになるわけです。でありますから、もうこの段階に来ますと、この法案が大体いつごろ成立するかということを見通してかからなければならぬ。これはわれわれの方にもその責めがあるわけです。だから、理事会などでその点を慎重に検討をして、忍びざるを忍んでも御協力を申し上げるという、かなり忍耐強い、かなり積極的な行為をもって、与党のいかがと思われるような点についても野党は協力してきているわけです。しかるに、これがいつ上るのか全くわからないという状態では、徹定するにも何するにも目標が立たぬのです。この問題と関連して、解散の時期などという、まことに総理以外には察知できないような問題もあるわけでありますけれども、それだけに、一方はできるだけ明確にしていかなければならぬ。本来なら私は総理に出席を求めて、ほかの委員会はとにかくとして、この委員会だけには解散の時期というものを——あるいは解散の時期について明言ができぬとするならば、次の総選挙に対して一体どのくらいの見当であるかということを政府が明らかにしなければ、この法案の審議をわれわれに要求することは、まことに勝手気ままな主張になってくると思う。これはある意味においては立法府を軽視する結果にもなる。これはほんとうに総理にお伺いしたかったのであります。その機会を得なかったので、あなたにお尋ねをしているわけであります。ことに、選挙管理委員会は、たびたび公けの機関を通じてわれわれにも陳情に来ております。政府にも要請が出ていると思うのであります。ちなみに、ここに私の手元にあります昭和三十一年の全国選挙管理委員の中央会議において採択された決議がある。その決議には「公職選挙法の改正は、選挙の直前しかもその選挙の種類ごとに改正されている傾向にあるが、選挙に関する基本法であるこの選挙法に権威あらしめるため、唯単にその選挙の種類ごとに改正するが如きことのないよう今後全般的に相当考慮すべきである」、こういう全国選管の大会の決議がなされている。さらに、われわれの手元に陳情に来られた人の説明によりますと、どうも政府は勝手で困る、選挙法がたびたび変って、しかもその時期が選挙間際に公示される、われわれといえども、そうすぐに選挙法のすべてを理解する能力はあり得るものじゃない、だから、そういうことのないように、厳重に立法府に籍を置くものとしては心得てもらいたいということを、きつく申し入れられた。ぜひわれわれはそれを誠実に守りたいものだと日ごろから考えておったのであります。でありますから、私は、本会議においても、社会党を代表してこの趣旨のことを政府に警告的の質問をして、総理もむろん軽々に改正をすべきものじゃないという同感の意を表されている。さてこの段階になりますと、果してその政府の主張が、この選管の当事者から要請されております強い希望に対してこたえ得るかいなかということは、非常に大事だと思いましたから、できるだけそれを明らかに具体的にいたしたいというので、お尋ねをしているわけであります。決して一方的な立場でものを判断するのではない。でありますから、いつこの法案が衆参両院を通って施行ができるかということに対して、政府にお見通しがないとするなら、この選挙法は今回の選挙に間に合わぬでもいいというのか、ぜひ間に合わしたいというのか、というような問題をどうしてもせんさくしなければならぬと思う。そういう点はある程度明らかにする責務がおありになると思う。いかがですか。その点を一つできるなら数字をあげて伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/15
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016・郡祐一
○郡国務大臣 おっしゃる通りでございまして、御論議の過程においていろいろな御意見がありましても、これを実施いたします際には、最も完全なる形において実施をいたしたいと考えます。従いまして、本法律案の両院の御議決というものは可及的にすみやかな時期ということを、私どもは期待いたしておるのであります。そのような意味合いで、当委員会がこういう工合に両党の御協力によって円満に進んでおりまする意味合いにおきまして、何と申しましても、このたびの法律は、地方議会に関しますること以外は衆議院の選挙に関することでありますから、両党の御協力を得て、参議院の審議というものはごく短期間に済ましていただきたいものだと考えております。
なお、選挙管理委員会の御主張の点は私も非常にごもっともだと思います。今井堀委員の仰せになりましたような趣旨で、選挙法の改正というもの、選挙のルールというものは、でき得る限り改正の機会を少くいたしまして、そうしていたすときには首尾一貫したものにいたしたいということは私も全くそのように考えております。このたびの改正が、ごらんの通り、地方議会に関係いたしますこと以外は運動期間、文書の数、これらを他の参議院議員その他地方議会の長または議員の選挙と同じように、はずを合せる、申さば、前回の改正ははずが合っていなかったのを、これでようやく貫したものにするという意味合いの改正でありますし、それ以外の選挙管理委員の三人を四人という点でありまするとか、立会演説会の秩序保持ということ、これは少しでもすみやかにいたした方がよろしいという考え方でありまして、それ以外にいろいろ考えたい点も私自身は持っております。ことに井堀委員が御熱心におっしゃいます選挙管理委員会の充実というようなことはぜひ考えたいことだと思っておりますが、さしあたりすべての選挙に通じまして、はずを合せますことと、緊急差しおきがたい事柄、そのことについては多くまぎれを生ぜずに、次の最も大きい選挙を行いまする際に実施いたしたい。選挙管理委員会の委員がとかく今まで指定市以外は三人でやりきれなかったというようなところを直しております点でありまするが、そういう意味合いで、ただいまの御主張と差がないことのように思います。しかし、これからの、ことに大きい意味合いでの改正というのは、ぜひおっしゃるように、研究も十分必要でありまするが、首尾一貫した形でしなければならぬと思っております。ことに選挙法と自治法との御指摘のような関係というものも、これは、ぜひ機会を得て、まぎれのないものにいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/16
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017・井堀繁雄
○井堀委員 私のお尋ねしておりますのは、一体いつこの法案が上って、そうして次の選挙に間に合せるとすれば、どれだけの周知徹底の時日を持ち得るかということをお尋ねしておるわけでございます。これは一つは審議権に言及することですから、提案者としてはいつなどということは言い切れないかもしれない、また言うべきでないかもしれませんが、しかし、そうだとすれば、一方には解散の時期、従って選挙の時期、ことに今度の選挙法の改正の中でこのことをやかましく言いますのは、二十五日間の期間を二十日間に短縮したということは、客観的な諸条件を判断いたしまするのに、もしこの法案の改正が不可能だとすれば、解散後どんなに急いでも、即日公示ということにしても、二十五日前に公示しなければならぬという法律の規定がある。ところが、これは改正されると二十日前に公示すればいいわけです。このことは、言うまでもなく、選挙の日をいつごろにするかということとの関係が出てくるわけであります。それは、従来たびたび選挙の時期を選ぶときに問題になりまするのは、有権者の方の側の一番よい時期を選ぶということも、これは大事なことなんです。そういう点で、農繁期を避けるとか、いろいろそういう点に配意が加えられたのであります。しかし、解散は思わざるところで起るものでありますから、これは逆になる場合もありますが、今日のように、一月に解散するかと思うと、ずるずるになる、あるいは秋になるというようなことを言ってみたり、いずれにしても任期の満了は来年の二月でありますし、これは通常国会すなわち常会との関係がありますから、事実上任期一ぱいやるということは国会軍営上適当でないということは一応常識上判断できますから、どんなにおくれても、常会召集前に新しい国会を成立せしめるという限度の中において選挙を取り行う、すなわち解散の時期をそれに合せていくというのが、一般の常識のようであります。しかし、今日世論は高まって、早期解放、しかも四月解散、五月選挙ということはもう既定の事実でにあるかのごとく、世論が成長してしまった。また、その世論に対して、総理は、これは否定できないという弁解をたびたびしておる。こういう点から判断いたしまして、この法律というものの成立の時期というものはなかなか微妙だと思う。こういう点に対して、われわれはわれわれの側の責任がありますが、自治庁としては、選挙法第六条にいう周知徹底の義務があるわけです。あなた方は、ごく簡単な改正だからとおっしゃられるかもしれませんが、しかし、よしそれが簡単なものであったとしても、それはそう簡単に文書で通達すればいいというものではない。法律書を配りさえすれば、それで実施できるものではない。しかのみならず、今回審議の過程でも明らかになりましたように、条文の改正の面で見ますと、ごくわずかな文字で表明できていても、よって起るいろいろな現象と法律の精神を賢く基本的なものとの関係が非常に深い、こういうことが明らかになってきておるわけです。従って、選挙管理並びにその事務を施行される人々については、やはり懇切なる説明がなされなければならぬ性質のものだと思う。今日どんなに宣伝機関が発達しておるからといっても、まさかラジオを通じて選管に趣旨を通達するわけには参りません。やはり、一堂に会して、質疑応答を重ねながら趣旨を徹底するという処置をとる以外に私はないと思う。こういう点に対して、いやその必要があるというなら、その期間をどのくらいお見込みになっておるのか。われわれにも明らかにする義務があるのではないかと思いますから、しきりに、見当でもいいから数字を入れて一つ御答弁願いたい、こう言っておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/17
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018・郡祐一
○郡国務大臣 私は、国会の御協力を得まして、できるならば、来週中であるとか、それを越しましても早々にできますように、これはもう政府と申しますよりも両党にお願いをいたしまして、そうして、おっしゃる通り、でき得る限りゆとりのあります周知の方法を講じたいと思います。先ほども申しましたが、選挙の公明正当な執行を期しますためには、選挙運動期間中といえども常に必要な指道はして参っておるのでありますから、私の方から人間を派遣いたしまして、ものが間違いなく行われますように——それはおっしゃるように何と申しましても質疑応答を通じて周知させることが一番適切でありますから、ある個所については委員長を集め、ある個所については志記長を集め、係を集めてといったような格好になるかと思いますが、あらゆる可能な措置を講じてみることにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/18
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019・井堀繁雄
○井堀委員 あなたの来週中にでもという御希望はいいのですけれども、今までの経過からおわかりのように、われわれが先ほど来言っておりますように、全面的に誠意を披瀝して、委員長の指図に従って懸命の勉強をしておるわけであります。この委員会は、特別委員会といわれているように、われわれは他の委員も兼ねて重要法案を審議しているわけであります。それをある程度犠牲に供して——恩着せがましく言うわけではありませんが、御協力申し上げておりますにもかかわらず、公聴会は十四日ということが予定されておるわけであります。公聴会が終って質疑もしないわけにはいきません。国会の呼びかけに応じて国民を代表して来られる公述人に対しまして、われわれは耳をかさなければならない。ただ聞きっぱなしで法案の審議に役立てないということでは、法の精神にもそむくわけであります。その短時日の間にいかに審議をいたすにいたしましても、聴取して即日討論に入るようなことはできますまい。やはりそこで公述人から意見を聴取して、それを参考にして提案者側にまた質疑をするなりして論議を重ね、よい結論に導くという努力が払われなければならぬ。とすると、どんなにぎりぎりにいたりしましても、十四日が月曜日でありますから、十五日の火曜、これでは少々審議に対して軽率のそしりを受けるような結果になるにいたしまりしても、衆議院の段階においては十五日、本会議にもかけなければならぬことでありましょうから、本会議を経て参議院に回りますと、来週中などということはとても問題にならない。そういたしますと、自然二十日が日曜日になりますから、日曜日も参議院が審議をしてくれるかどうか、それはよそのことですから、われわれが軽率に言うことはできぬのでありますけれども、一応特別委員会という委員会がある衆議院においても、このくらい審議をし、かなり大急ぎをした。そうすると、やはりこれに近い日数が参議院でも必要になってくる。解散即日公示をやるにしても、五月の半ばを過ぎなければどんなに早く選挙をやるにしてもできない。ところが、二十日前後になりますと、東北方面はおおむね農繁期に入ってくる。二十四、五日になりますと、全国的な農繁期の段階に入るわけであります。そういたしますと、選挙の時期としてはちょっとまずくなる。しかし、そういうものを配慮に入れないで抜き打ち解散をしなければならぬような事態が発生した場合は、これはおのずから別でしょうけれども、非常に慎重をきわめて今日まで解散の時期を明らかにしていない政府としては、ここら辺に対するある程度のつめどをもうつけなければならぬ。こういうように周囲から物理的に一つの限界がきておる。そういたしますと、農繁期を避けて早期に選挙を行うということが前提になりますならば、全国の選挙管理委員長もしくはそれにかわるべき責任者を集めて、法案の改正の内容などについて十分なる説明と、またそれに対する質疑を重ねて、これを間違いなく実施することについては非常な困難がある。というよりは不可能に近い事態になるのじゃないかと思われる。もちろん法律的には国会を通過すればそれで施行能力を持つのでありますけれども、これは他の法案と違ってそこら辺に問題がある。この点は政府としてはよほど考えなければならぬことだと思うのです。でありますから、こういう法案の審議の過程において最初からこういうことを質問したのでは困ると思いまして、今までいろいろな問題点を指摘してお尋ねをしてきておるわけでありますが、ここら辺で大体その辺のことを明らかにしておきませんと、ことに私はこの委員会の理事でもありますので、ここらをどうきめるかということについて、さらに両院制度の中にあっては参議院との連絡もあるわけです。わが党としてもやはりあらかじめわれわれの考え方も述べておかなければならぬ時期にきておるので、政府の意図をお尋ねしておるわけであります。でありますから、そういう周知徹底の期間がないとするなら、この法案はこの選挙には間に合わぬ、残念ながらこの次にやってもらうということにしなければならぬ。これは、私がいうのではなくて、時間的な制約を受けておる。しからざれば、法律の趣旨は徹底することはできぬ。できぬままでなまでやるということをわれわれが認める結果になる。ここら辺に問題が起ってくると思う。何かここであなたの方で十分な国民の納得のできるような説明ができましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/19
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020・郡祐一
○郡国務大臣 国会の御審議が慎重にかつ十分になされますことは、どの場合でも当然のことでございます。しかし、同時に、ただいまの国会の運営は両党がそれぞれ両院を通じて対策をきめてお扱い下さることでありまするし、三十一年の参議院選挙を前にいたしました法律にいたしましても、参議院に関係する法律であるからということで、衆議院では非常に早くお扱いを願えたのでございます。どうか、両党において、参議院側の審議もきわめて短かい時間で進み得ますように、お骨折りを、この席を通じてはまことに場所が違うかもしれませんけれども、お願い申し上げる次第でございます。それから、国民に対してまた候補者が最も安心して公明な選挙が行えますように間知徹底をはかり、誤まりなきを期します方途は、先ほども申しましたように、可及的会合も開きますし、文書の面でも、従来の経験に徴して、選挙の際にまだ不十分なところがあるような県あるいは市につきましては、それぞれ個別の指導もありまするし、その点においては遺憾なきを期して参る。これは私どもの責任でございます。それは万全を期して参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/20
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021・井堀繁雄
○井堀委員 この問題につきましては遺憾ながら明確な御答弁がいただけそうもありません。しかし、これは算数で割り出もことのできる事柄でありますから、何も立場を異にして論議をするということではなくて、この法案は時目的に実施に入るにはいかにも困難な事柄であるということが明瞭であるのであります。しかし、衆議院の段階では時間的に十分な余裕が残されておることでありますから、いかに二大政党の運営による国会とはいいながら、参議院の段階まで差し出がましいことを申しあげることは差し控えたいと思います。きっと参議院の段階ではこの問題は大きく出てくるであろうということを配慮しながら、非常な重い責任を感じておるわけであります。しかし、これ以上お尋ねすることはいかがかと思いますから、この辺にいたしておきます。しかし、非常に大事なことでありますから——もちろん、この法案が通らなかったからといって、選挙がやれぬわけではありませんから、その点はいささか責任が軽いのであります。
次に、この選挙法の改正の中で、地方議会の選挙区の関係と定数の問題をたびたびお尋ねしたのでありますが、今度の衆議院の解散に当って、衆議院の定数の変更が、国勢調査による人口増加があって、必然的にその改訂を迫られておる。また、部分的ではありますけれども、全国各地の当該者並びに選挙管理委員会から、われわれのところに、当然法律の命ずる変更をいたしてくれという陳情があるわけであります。非常にいい機会でありますし、またこの問題を明らかにする義務も感じますので、一つ自治庁の御見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/21
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022・郡祐一
○郡国務大臣 最近の国勢調査によりまして定数を変えますのを例といたすことに、選挙法には書いてございます。これはそのようにいたすのが趣旨でございますけれども、御承知のように、あの条文によりまする定数の改訂を今日までいたして参っておらないのであります。それで、そのことは、衆議院の選挙については現に中選挙区の制度をとっておる。中選挙区の制度、三人ないし五人という選挙区割をいたしておりまする場合には、これを人口によって改めます際には、現に二名というようなところを生じ、それからまた六名以上のものが相当数出て参ります。すなわち、府県間の数の異動ばかりでなく、その府県内の選挙区相互の間にも著しい変更を来たさなければならない。選挙区の廃合等をいたさなければならない。従いまして、例といたしまする原則を立てながら、ただいまの選挙区制のもとでそのような選挙区の急激な変更を試みますことは適当でない、このような考え方から、このたびは定数を変える措置を講じなかった次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/22
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023・井堀繁雄
○井堀委員 この問題は、今度の選挙法の改正の地方議会と国会との関係において、これは深く論議されなければならぬ事柄だと思いますけれども、先ほどの質疑にもありましたように、いかんせん、今度の選挙法の改正が、委員長の強い御要望もありまして、十分なる審議をする期間を奪われておる。短かい期間で討議をしております。非常に大事な問題でありますけれども、この問題は一応預けておきたいと思います。「しかし、近いうちに、これは解決を迫られておる問題でありますから、十分に御検討を願って、いい結論が出るように要望しておきます。
次に、直接今度の選挙と関係の起ってきます不在投票の点で改正をいたしておりますが、不在投票と関係しております問題は、たびたびわれわれの選挙のときにわれわれのところまで有権者から非常な不満を訴えてくる問題は、法でいきますと二十五条、二十六条の選挙人名簿の規定であります。どうもこれは人のやることでありますから、悪意でない限りにおいては、われわれは大目に見てきたのでありますが、非常に大勢の名簿の脱落がある。前選挙のときに、私の住まっておりまする市内で、たとえば、同一家族のうちで、むすこさんや娘さんは台帳に登録されておるにもかかわらず、そのおやじさんたちが漏れていたとか、こんなのはちょっと常識では判断できないわけです。それが一、二でありまするならばとにかく、数十人に及んでいた。それから市長選挙のときには二百なんぼかもありました。それで問題になりましたけれども、しかし、この法律の二十五条、二十六条の規定にありますように、登録の締め切りの期日以後になっておって、手続上いかんともしがたい。しかし法律の常識以上のものでない。ことにこういう法律のように有権者本位に考えられた法律が、この当然権利を持っておるものがその権利を行使することができない。もちろん法律は閲覧の期間を与えて、本人がそれを調査し得る。しかし、そういうことは実際上あり得ることではない。今日すべての有権者が自分が登録に漏れておるかいないか調べに行くことはできない。事実調査が行えないということは、あまりにも明瞭なんです。有権者の義務として法律は逃げております。こういう法律は全く公職選挙法などにおいては唾棄すべきことである。むしろ積極的な責任をわれわれが選挙民に負うべきことである。今度はその点に対して配慮が加えられておりませんが、法律改正をやらなくて、何か通牒その他でそういう失敗を補う道が考えられておるかおらないか、お伺いいたします。
〔委員長退席、松澤委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/23
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024・郡祐一
○郡国務大臣 現在基本名簿と補充選挙人名簿の規定をもって、それで運用しておるのですが、これは御指摘の通り選挙の基本になるものでありますから、確定判決以外に動かさないという非常に厳重な主義をとっております。これがいいのか、あるいは、たとえばよく日本の評論家などが引用いたしますソ連の投票率は非常にいいじゃないかということですが、ところが、あれは申請による分だけを名簿をこしらえておりますから、ソ連の民度と比較いたしまして、申請したものはほとんど投票いたしておりますから、一〇〇%の投票がないとおかしいくらいなんでありまして、それらの点が、名簿の調製の仕方としては最も広く有権者の利益のためにはかっておる日本の選挙法ではありまするけれども、しかしながら、同時に、これをいじらせますると、これはしばしば例のあることでありますが、調製いたします側の落度になりますために、こういう法律がありましても、書き込みまして、結局選挙全体の公正を害した結果になっているような事態がございます。私は、一体どうしたらいいのか、ただいまのような年々名簿を調製する形がいいのか、基本の名簿を加除していった方が、そして今御指摘のように徐々に間違いの点がわかって参りまするから、それを加除していくようなやり方にしたらよろしいのか、これは、名簿というものについては、私は何か工夫のしようがあろうと思います。しかし、何といたしましても基本的な問題でありまするから、そういうような点につきましては十分検討いたしたいと思います。これは、私も、この問題については、名簿の脱漏というのは最も遺憾なことでございまして、これについては、もう選挙制度調査会と申しますよりも、実際選挙を経験された人が一番このことは知っておられるのであります。その衆知を集めて、何とか遺漏は補って参るようにしなければいかぬと思いますけれども、ただいままだ確信のある結論に達しておらない次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/24
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025・井堀繁雄
○井堀委員 これは有権者のとうとい権利を奪うような結果になるわけでありますから、万全を期する道をぜひ一つお考えいただきたい。
そこで、当面しての問題でありますが、この二十条の基本選挙人名簿の調製については、そういう点でありましょうが、脱落をしたものに対してどのように訂正をしていくかということについては、行政的な配慮をあまり加え過ぎてもどうかと思うのです。それを証拠立てる、立証できる何かの方法があれば、何とか、締め切り後においても、そういうものに対する扱い方を配慮できぬものか。この法律ではできそうにもないようでもあるし、ちょっと考えると、できそうな気もいたすのでありますが、こういう点は何か選挙管理委員会の権限においてとか、あるいは市町村の義務においてとか、そういうような方法で、さっき一例を申し上げたように、ずっと何十年もそこへ永住して選挙権を行使してきた人が、全く事務の手落ちで脱落した。これは、どんなように申し開きをしても、常識としては申し開きができませんよ。相手を納得させることはできない。これはいろいろ立証する道はあります。住民登録もあれば、今言われた米の券などで、ごまかしのできないりっぱな法的な立証価値のあるものが提供されても、変えられないというようなことは、一体いかがなものであろうか。この辺について、やはり適切な御処置を講ぜられることができぬものか。この点一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/25
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026・兼子秀夫
○兼子政府委員 有権者の資格のある者が名簿から脱漏するということのないように、これは、都道府県選挙管理委員会を指導いたしまして、市町村に対して、そういうことのないように、常に指導をいたしておるのでございますが、制度といたしましては、これは、基本選挙人名簿の確定、それから補充選挙人名簿の確定、一定の期日でどうしても名簿は確定させなければならないものでございます。でございますので、補充撰拳人名簿の申請期間に間に合うようにしていく。脱漏に気がついて間に合うようにする措置を行政指導上できるだけとるということには、入場券をその前に間に合うように配るということによって、それが救済できるのではないかというふうに与えております。できるだけそういう配慮をいたすように指導はいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/26
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027・井堀繁雄
○井堀委員 そういたしますと、入場券、それはいろいろありましょうけれども、入場券を配付されてきて初めてわかるのですね。入場券が来たのか来ないのかわかる。当然登録されておると思って、入場券が一戸のうちに配達されぬものができたので、気がついて調べてみる。しかし、もうそれは締め切りの期日後だからだめだ。こういったような場合があるのですが、これはどっちがほんとうです。今の御答弁によると、入場券が配付されたときに漏れたことがわかったら、手続ですぐ直りますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/27
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028・兼子秀夫
○兼子政府委員 補充選挙人名簿の申請期間内に申請すれば、直されるわけであります。それで入場券を配付することによって、そういう機会を与えることが一つでございますが、さらに、地区によりましては、名簿の写しを回覧させるというようなこともやっておるようでございます。本来は御承知のごとく基本選挙人名簿の縦覧期間で見るという建前になっておるのでございまして、それの補完的方法としてはそういうことで市町村の選管がやっておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/28
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029・井堀繁雄
○井堀委員 閲覧期間中はわかっている。これはだめなんです。だから入場券を配付する時期をちょっと早目にするとか、そうしてとにかく、いつが締め切りなんて、そういうことを周知徹底する義務は法律には命じているけれども、選管はそんなことはやっていない。選挙法などを選挙民に周知徹底せしめるというような運動は、今日の選管はやっておらぬ。また今の選管ではやれない。周知徹底というのは、話し合いの会ばかりやるのが周知徹底ではない。選挙法ではこういう方法で確定されているというけれども、しかしそんなものは見に行けますか。だから、その写しを回覧させるとか、そういうことは選管の第六条の精神なんです。自治庁の仕事なんです。その自治庁の仕事が徹底していないから、こういう結果が起ってくるということになるわけです。だから、いわば行政の行き届きかないところにこういう権利を喪失せしめる結果になるわけでありますから、やはりその救済の道を考うべきではないか。今度はそいつを徹底してみたらいかがです。その方法が何かありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/29
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030・兼子秀夫
○兼子政府委員 脱漏防止につきましては、平素指導をいたしておるのでございますが、御趣旨に従いまして、次回の選挙におきましては徹底をはかりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/30
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031・井堀繁雄
○井堀委員 この点は私どもも御協力申し上げていきたいと思っておりますから、その点はぜひ実行に移してもらいたい。
時間もあれでしょうから、もう一つだけ聞いて、やめておきたいと思います。不在投票の点ですが、今度の改正は、市町村の地域を出ていくことによってなんでしょうが、手続の問題について、弊害の起らない範囲内でもつ簡素化するということでしょう。もっと簡素化できると私は思うのですが、この点についてのお考え方はどうですか。何か考えたことはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/31
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032・兼子秀夫
○兼子政府委員 不在者投票の手続の簡素化の問題でございますが、不在者投票そのものが本来の投票制度の例外でございますので、この手続をどういたしますか、非常にむずかしい問題があるのでございまして、十分研究いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/32
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033・井堀繁雄
○井堀委員 これは一つ、せっかくの改正を今度やっておりますので、この点もいろいろ論議すると、よい結論が出ると思うのであります。先ほど申し上げたように、この委員会の審議期間というものはまことに狭い範囲にワクをはめられましたので、また次の機会を見て、この問題を掘り下げて検討いたしたい。また、もちろん弊害が起ってはいけませんから、そういう点について御検討願いたいことを要望いたしまして、一応私の質問はこの辺で留保いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/33
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034・松澤雄藏
○松澤委員長代理 島上善五郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/34
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035・島上善五郎
○島上委員 今回の改正の、第百五十九条中「立会演説会の会場において演説を妨害し又は立会演説会の会場の秩序をみだる者があるときは、これを制止し、命に従わないときは会場外に退去させることができる。」というのを「退去させなければならない。」こう改めておるわけです。これはいろいろ問題がありますが、私は、今まで立会演説会で、妨害と申しますか、計画的なヤジ、特に酒気を帯びて計画的にヤジをして、ある候補者については演説を不能の状態に陥れるというような事実が多少あったことは聞いておりまするが、しかし、私ども地方へ行って調査したところによりましても、そういうような悪質な妨害はだんだん減少してきているということを聞いております。それはそうであろうと私ども想像もできるわけです。
〔松澤委員長代理退席、委員長着席〕
何となれば、一方においては選挙民の意識水準がだんだんと高まってきている。また、反面には、そういう酒気を帯びた者をトラックに乗せて会場から会場へ連れて歩いて妨害させるというようなことをいたしますれば、かえってその者に対する聴衆の反感が強くなって、選挙にはマイナスになるという結果をもたらすことは明らかでございます。そういう点から考えましても、演説会場における計画的な妨害というようなものはだんだんなくなってきてもおりまするし、今後もだんだんなくなるであろうということが想像されるのです。従いまして、その際、こういうふうに「させることができる」なっているものを「させなければならない」、こういうふうに改める必要というものは、私どもには考えられない。一体こういうふうに強くしなければならないという必要が、何を根拠としてあるのかということを伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/35
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036・郡祐一
○郡国務大臣 そういうような秩序妨害が漸次減って参りますということは、喜ばしいことであり、期待されることでありますけれども、立会演説会というものは有権者にとって各候補者を比較する非常に便利な機会である。ところが、島上委員御指摘のように、全国的には減って参ってきておることでございましょうけれども、なお相当悪質な者のあることも事実でございます。ところが、候補者にとりましては、この一カ所の立会演説会というものがきわめて大事な一つの真剣勝負の機会であります。そして、これは、選挙管理委員会の側から見ましても、権能は与えられておるけれども、これは私はそういう工合にこの法律を読むべきではないと思いますが、できるということが、してもしなくてもいいというような感じをむしろ持つ者もございます。そのために執行が非常にむずかしい。これは、ある意味においては、選挙管理委員会に一つの荷を背負わせることに相なりまするけれども、いやしくも立会演説会を主催する唯一の機関なのであります。その選挙管理委員会が権限を持ちますと同時に、その責任を持ち、そうして立会演説会が円満に運びますように、このことは選挙管理委員会がこれを執行して行きます上で相当仕事ではありますけれども、それはそれといたしまして、やはり、立会演説会の演説妨害、秩序妨害ということは皆無に帰しまするような措置はとるべきもので、従来の規定ではいかにも不十分であった、こういうのが改正の趣旨であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/36
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037・島上善五郎
○島上委員 私は、こういうような強い義務を課することによって、選挙管理委員会としては背負い切れない重い大きな荷物を背負わされたことになるのじゃないかと思う。もし実際に今まで多少ありましたようなきわめて悪質な立会演説会妨害だとすると、それを、今の選挙管理委員会の機構、能力、そういうようなものを考えますときに、実際に退去させることができるかどうか、私ははなはだ懸念するものです。なかなかできない。そうして、いや退去させる、させないでもって、そのことのためにかえって混乱を起こすおそれがある。小さくて済むことを、かえって大きくしてしまうというようなおそれがあると思うのです。これは、私ども立会演説会を実際にやっている経験からしまして、ヤジなんというものは、立会演説会の空気が高潮して参りますると、自然発生的というか、そういうような悪きわまって発する声援ヤジというものは、これを全然なくしてしまうということはできるものではないんです。程度の問題ですが、その程度の問題を選管が判断する際に、これは秩序を乱しておる、これは選事演説の妨害だといって退去させなければならぬというようなことは、非常にむずかしい問題だと私は思うのです。かえって混乱を引き起す。実際問題として考えられることなんです。退去させなければならないのですから、その演説者が、自分の演説の妨害をしたのにどうして退去させないのか、退去させなければならないという規定があるじゃないか、こういうふうにねじ込むこともあり得ることなんです。これは選挙管理委員会の実務担当者の意見をぜひ私はこの次の機会に聞きたいと思うのです。公聴会に公述人として選管の代表も来るようですから、機会がなければそのときでもいいのですが、実際問題として私は選管に不可能をしいることになるのじゃないかと思うのです。今までのたように「退去させることができるという程度でちょうどよいのです。その判断によって、退去させなくてもこよろしいわけです。ところが、選管では、これは自分の選管の力で、もってできないと思えば、かなりの妨害があっても知らぬ顔をしておる。ある者にとっては、少し妨害があれば、それを退去させるというような措置をとる。こういったような片寄った措置がとられるおそれもあるわけです。これは選管には大へんに大きな荷物、不可能をしいるという結果になる、どうしても実際の状況に適合しない、われわれはこう判断せざるを得ないのです。この点についてもう一ぺん実際の状況を考えて御答弁いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/37
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038・郡祐一
○郡国務大臣 ここにいうておりますように、注説を妨害し、または秩序を乱す、そのために演説が不可能になり、また会場が混乱をいたすという状態、また事実そういう例がございます。これは知事の選挙の際の報告でありますけれども、非常に激しい妨害で、候補者が、次の立会演説会場からあれがついて回るならできぬというて、棄権をいたしたという事態もございます。候補者に共鳴いたしまして悪きわまってこれを激励する、声を出しますような場合は、これはもちろん妨害にはなりませんし、また少々ヤジりましても、ヤジつた方が候補者のファイトをいよいよそそろ場合もあります。そうした場合に、この条文を発動することはないのでございまして、それはもう悪質に、それによってある候補の演説ができなくなってしまう、あるいはその場所の立会演説会を全部めちゃめちゃにしてしまうというような場合、しかもそういう場合がないとは保証できないのでございますから、この改正にあわせまして項を加えて、あらかじめこういう注意をするなり警告をいたすなり、そういう事態が起らない予防の措置を十分講じまして、それがむしろ突発的というよりは計画的な妨害でもあります際に、こういう根拠をはっきりしておくということが必要です。従いまして、これの運用については十分適切な指導を与えて参りまして、そうしておっしゃるように不可能をしいるようなことのないようにはいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/38
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039・島上善五郎
○島上委員 今御答弁にありましたような例というものは、きわめてまれな例です。私がさっき言ったように、そういうふうな露骨な妨害をしますれば、妨害をする方はマイナスになるのです。特に、選挙民のうちでも立会演説を聞きにいくような人は、一般の選挙民のレベルよりもさらにレベルの高い人ですから、あるいは積極的な関心を持っている人ですから、マイナスになる。そういう例は今まで多少あったことは私認めますけれども、することによって選挙にマイナスになれば、それをさらにやろうとする者はいないはずです。ですから、だんだんこれが少くなる。私は、むしろ、この法律改正をもってしてもどうすることもできないような知能的な妨害の方が、より悪質だと思います。制止できないような、制止しようとしたときはもう目的を達しておるような、たとえば自分の支持する候補者の演説のときは大いに拍手し激励する。これはもちろん妨害でも何でもありませんが、反対する候補者が立ったときに、会場の方々に入れておいて、一斉に立ってがたがたして帰る。これが非常に有力な有効な妨害手段です。これなどは制止できないのです。帰ってはいけないといって拘束するわけにはいかないのですから、聞きたくなければ帰るのは自由です。
それから、もう一つは、まじめな話をしておるときに、げらげら笑う。これなども演説の効果を半減させてしまう。こういうような悪質な知能的な選挙妨害はどうすることもできない。ですから、この法律は、せっかくこういうふうにいかめしい条文に改めましても何もならぬ、こういうことになると私は思う。実際の立会演説会の妨害、妨害する方からいえば有効な妨害をどうすることもできない、こういうことになる。ですから、こういうようなものは死文にひとしい。これは笑ったって、一斉に立って帰ったって、どうすることもできない。これは一体どうするのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/39
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040・郡祐一
○郡国務大臣 個々の態様は、これが限界だということはなかなかむずかしいと思いますが、こういう事態が起っておりますのは、現に次第に二大政党対立のルールのできておる大政党でなくて、私が先ほど知事選挙で申しました例は、極端な右翼がいたした場合でありますが、とにかく極端な分子がある程度計画的に——ただ笑うだけの戦術というのは、なるほど御指摘のようにむずかしいことでもございましょう。しかしながら、一カ所だけを妨害するのじゃなくて、計画的に動いておるというものが現実にございます。しかも、これは、その選挙区でほんとうに出したい人を応援すると申しますよりも、ただ無意味の妨害をいたすためにやっておるという例が遺憾ながらあるのでありますが、そういう者に対しては、現在の段階で差し迫った問題としては、やはり妨害を排除して秩序を維持するということが私は必要だと思います。その間の限界は、これは一拳にはむずかしいことであるかもしれないけれども、こういう精神を十分に徹底し、またこういう措置を当然責任としていたさなければ相ならぬということになれば、おのずからよい慣例がついてくるのじゃないか。取り締ることだけが目的ではございませんので、そうした方向に持って参りたい、これがこういう妨害の実例をなくしていきますならばけっこうなことだ、こう考えております。これらについては、あるいは、選挙管理委員会と申しますよりも、有力な政党の協力した力によって可能ならしめていくということを期待したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/40
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041・島上善五郎
○島上委員 それでは、伺いますが、一体実際に退去させることができますか、選管の今の力をもってして。もし計画的に今言ったような悪質な妨害となれば、これは、かなり人も動員してくるし、場合いによってはぐれん隊みたいな者を連れてくる場合もありましょうし、あるいはしょうちゅうを一ぱい飲まして連れてくる場合もありましょうし、それを立錐の余地のないほどの会場に、あっちに三人、こっちに五人と数カ所に分散している。これを実際に退去させることができるかどうか。また、退去させようとすれば、そこに相当の混乱が起る。混乱が起ると、もし私なら私が二十分という時間内で演説をしている——妨害は要するに演説の途中ですから、していないときに妨害が起るということはあり得ないことですから、しているときに妨害が起った、制止した、これを退去させるということになれば、会場に混乱が起って、そこでどうしても三分なり五分なりの時間が空費されてしまう。そういうことが考えられるし、それでもなお私は実際上退去させることができないという場合が往々にしてあると思う。むしろその場合が多いんじゃないかと思う。そうすると、演説者は、むしろ黙っておれば多少混乱しても演説がやれるのに、こういう規定があるために退去させようとして、そのことのために混乱が大きくなって、三分なり五分なり十分なり時間が空費されてしまうということになると、これは大へんなことになる。そういう場合と、それからそのときに演説者の時間が短かくなる。この時間が短かくなった場合には、その混乱した時間は計算しないであとへ延ばしますか。二十分の間に、途中で五分間そういうことのために混乱が起ったならば、たとえば八時十分までというのを八時十五分まで延ばしますか。これは、かりに延ばすとしたら、あとの弁士の時間がみな延びて、そして次の会場に行く時間がみな狂ってしまう、そういうことをお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/41
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042・郡祐一
○郡国務大臣 私は、候補者が幾らか言葉を切っていればもとへ戻り得る程度、そうした程度のときには、おそらくこの条文を発動することはないと思います。またそういう工合に指導いたしたいと思います。しかし、この条文の発動をしませんければ、ある候補者については全く演説が聴衆に聞き取れなかった、おそらくそこの判断となると、おっしゃるように非常にむずかしい場合があろうと思います。ある会場でそういう事態が起った、次の会場でも引き続きそういう事態を起して参ったというようなときに、初めてされる措置かもしれません。しかし、それにいたしましても、そういう状態は放置できないということは、私は、やはり、そのときの比較考量をいたしますならば、このたびの秩序保持の規定を発動いたしても、演説を進めさした方がよろしいのではないかと思っております。また、長い時間の狂いを生ぜしめてはほかの演説者へも影響することでございますけれども、ちょうど停電の場合の措置と同じように、選挙管理委員会がそれぞれ定めておりまする規定等によりまして、同じような措置をしてでも秩序の保持ははかるべきものだと考えております。私はこの規定を置きましても、警察官による執行というものは、なるべく避けて参りたいと思っております。選挙管理委員会の線によってやって参りたいと思っておりますし、現在の規定でも、警察官の執行を請求する場合というものはきわめて希有だと思います。しかし、それらの場合におきましても、こうした秩序保持のはっきりした義務づけをしておるということで、これからの不測の事態に対処できると思います。しかし、御意見のように、これはみだりに用いない。むしろ候補者並びに他の一般の聴衆とのよい判断によって、こういう強制手段に出ずに、立会演説会をなるべくなめらかにいたすということに、当然のことでございますけれども、指導の中心を置いて参りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/42
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043・加藤精三
○加藤(精)委員 関連して。
ただいま島上委員の御質問について、私いろいろ考えさせられるところがあったのでございますが、どうもこうした立法の際に裏から裏へと考えて、こういうずるいようなものがあったら、この法規が役に立たぬじゃないかというように考えますことも、用意周到なこととして必要なことと思いますが、大方の有権者は、そう悪知恵のつぼの中から出たほど悪い有権者ばかりでもないわけでありますから、一般の場合として強制規定を置きまして、それが順守される場合の方が多かないかという気がするのであります。翻ってわが国の現在の政治を見ますと、自由を破壊する者の自由を認め過ぎているような気がいたします。これは、わが国の政治の現段階におきまして、最も神聖な議決機関を構成します選挙というものについては、正義をもととする正しい姿において競争させなければならぬ、選ばさせなければならぬと思うのでございまして、そうした意味で、私は、強制規定になっているものは、強制規定の趣旨を守りまして、会場の秩序を乱る者がありますときには、必ず制止しなければならぬことに委員会に義務づけたらどうか。その制止に従わない者は必ず退去せしめることに義務づけたらどうか。そういう趣旨で法律の条文ができているんじゃないかと思うのでございます。そして自由を破壊する者の自由をあまりに寛大に認めるということは、現在の政治が十分にりっぱなものになっていない一つの大きな原因じゃないかと考えますので、そういう面から見まして、一つ希望があるのでございます。それは、立会演説会場が紊乱その極に達して、計画的なヤジ等によって演説不能になることがございます。会場の一つのコーナーにヤジ団が一組あり、他のコーナーに一組ヤジ団がありまして、そうして交互にヤジリ倒しまして、有機的、計画的な妨害行為のために演説がとうていできなくなることがございます。こういうような場合には、そういうヤジ団を警察官に依頼して退去せしめなければならないわけでございますが、法律に退去せしめなければならないとある以上は、退去せしめるのに相当な時間を要し、そのために演説の時間が足りなくなったときには、それによって損耗した時間は、これを選挙管理委員会におきましてプラスしてやる、そういう処置がとれないものであるかどうか。とることが現行法例の中でできると思うのでありますが、それにつきまして事務当局の局長さんの御意見を承わりたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/43
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044・兼子秀夫
○兼子政府委員 立会演説会が、喧騒の結果、泥乱の結果不能に陥って、演説時間が不可避的に短縮をされた場合、その損失時間を回復できるかというお尋ねでございまするが、先ほど大臣の御答弁にありました通り、府県の立会演説会の執行の管理規定でそういう定めをなし得ることにいたしておりますので、そのような場合にはできるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/44
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045・島上善五郎
○島上委員 そのようなことが執行規定でできる、こうおっしゃいますが、私は、実際の場合には、それからまた次の演説会に順々に時間があって回るのですから、大体この会場から次の会場へは大して時間の余裕もとらずに組んでいるので、一分か二分ならば大したことはなかろうけれども、相当な混乱が起って、これを退去させなければならぬ、退去させこるということになれば、実際には警察官の出動を待たなければできないという事態になるので、そうなると、これは一分や二分ではなくて、五分も十分もかかり、あるいはそれ以上もかかるということになると、立会演説会がめちゃめちゃになってしまう、こういうふうに考えなければならぬと思います。そう安易なものではないと思います。兼子局長は、役所の中で、机の上でそういうことを考えておりまするけれども、実際はそういうものではない。警察官が出動して、あっちにもこっちにも五人十人と計画的に会場の中に散らばしておいた者を退去させる。そういう悪質な者は、過去するとき、すなおに退去するわけはないのですから、相当混乱が起り、時間がかかる。そのことのために、その立会演説会自体も、その次の会場も、またその次の会場も、ほとんどめちゃめちゃにひとしい状態になるということを、予想しないわけにはいかぬと思います。ですから、この規定を置いて、強力に、退去させなければならないという義務規定ですから、それをやろうとすれば、事態が紛糾して、かえって混乱を起すという場合も、私は想像しないわけにはいかぬと思います。そこで、今も言った通り、選挙管理委員会の制止を聞かないでやる行動ですから、退去させるならば実力行使をしなければならない。口で言っても聞かないのですから、実力行使をしなければならない。そうなると、少数の選挙管理委員ではどうすることもできない。そのような場合を考慮して、警察官を絶えず立会演説会の行われる学校のどこかへ待機させておかなければならないということになろうかと思いますが、混乱が起ったら大急ぎで警察へ電話をかけて、車を飛ばして来るというようなことでは間に合わぬ。そうすると、この法律をこういうふうにしたことによって、立会演説会の行われる会場のどこかへ、いざというときにさっと出て来られるように、警察官を待機させておくというような必要が生じてくると思いますが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/45
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046・郡祐一
○郡国務大臣 私はそのようには感じないのであります。昔の政談演説会のような臨監の警察官がありますれば、手早いかもしれませんけれども、ただいまの制度では、選挙管理委員会がいたしております。島上委員が御指摘のように、確かに選挙管理委員会に重い義務を負わせております。しかしながら、警察官の出動を求めるということは、現行法にも書いてございますけれども、これは例外中の例外でございます。私は、火事を起してはいかぬということがあるからというて、いつもわきに消防を置くわけでもないのでありまして、従いまして、確かにおっしゃるように非常にむずかしい場合がございます。また、この退去については、退去不服従の罰則というものは、重い罰則がついております。こうした場合に、御設例になりましたような大部分は、この措置に出るようなことは少いのでありまして、計画的なものについて初めてこの条文を発動する。同時に、そのためにあるいは手ぎわよく結末をつけることが困難な場合も予想されるかもしれません。しかし、かというて、決してあらかじめ警察官に立会演説会場の近くにいてもらうというようなことはすべきでないことは、現行法と同じであり、またそういうことはいたさせないように処置をして参る考えでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/46
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047・島上善五郎
○島上委員 そういうような妨害をあらかじめ知るということは、選管として不可能だと思います。事前に今晩の演説会にはこういう計画的な妨害があるという的確な情報をつかんだという場合は、その混乱に備えるということもできましょうが、大体、選管では、そういう情報を集める機構があるわけではないし、またそういうことをあらかじめ察知することは不可能だと思います。大体突然起るのです。もちろんこっちの第一会場でそういうことをやったから、次の第二会場にも行くだろうということは、これは第ニ会場で何かの連絡で知ることはできましょうけれども、大体そういうような制止しても聞かないような悪質な妨害というものは、あらかじめ知ることができない。そうならば、実際問題として、選管の三人や四人の力でこれを退去させることができるかどうか。私はできないと思います。そうして、そのことのために、必ず混乱が大きくなるのです。できないことを選管にやれというにひとしいです。もし悪質な妨害をする者があるとすれば、それは一人や二人ではないはずです。十人、二十人、三十人と集団で来て、それが広い会場の中に数個所、五人、七人と散らばっておって、そうしてやるということであったら、これを今の選管の力で退去させることが一体できますか。私は、退去させることができるというはっきりした根拠をお聞かせ願いたい。どうして退去させることができるか。制止を聞かないような連中ですから、実力を行使しなければできないでしょう。今の選管の力でできますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/47
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048・郡祐一
○郡国務大臣 私はいろいろの態様の場合があろうと思います。それは、集団で暴力を用いるような場合には、これは実際当然に警察の執行の問題になって参ります。それに、立会演説会場でありましても、むしろ刑法上の犯罪になるような場合があろうと思います。しかし、そこまで極端に考えませんでも、私が先ほど例に申しましたのは茨城県で起った例でありますが、この場合には、数カ所で同じような妨害を演壇の前でいたしており、しかも、どこにおいてもこれを退去させる等の措置を講じませんために、知事候補者は以後の会場を数カ所棄権をいたした。しかし、同時に、その後におきましてはようやく選管以外の力でものを解決いたしまして、また幾つかを欠席をした後に元へ戻ったという例があるのであります。私は、御指摘のような点を選管が実力で執行できるかどうかということに相なるのだと思いますけれども、これはやはり選管の一つの仕事だ。なるほど選管の委員長は年を取って、それをやったら自分が引きずられるかもしれない。しかし、そのときには、選管の委員長が、選管の仕事に従事をいたしております者を指揮いたしましても、私はむしろやらなければ相ならぬことだと思う。そのときに、それでは「できる」と書いておいて、事柄をそのまま放置しておくということが、一体、これほど一方では立会演説会というものを重く見ながら、仕方がないのだという状態にほうってはおけない。長い間によくなることを期待をいたしましても、法としてはこうした秩序保持の規定を置いておく必要があるのだ。またそういう実例がある。そして、その場合には、何も警察官を待機させませんでも、法律上まずもってこれを主催いたしますものが処置をいたし、そうして処置できない場合の実力行使の手段を現行法の通り残しておきますならば——私も決してこれが楽なことだとは思いません。選挙管理委員会は、これはやっかいな荷を背負わされたと思うだろうと思います。思いますが、むしろ、私は、こうした規定を置くこと、そうしてそれを、選挙管理委員会の委員長等が、開会の初めに当って、十分この法律に書いてありますように周知をいたし、また場内にも書いてある、そうした場合に、政党のいかんを問わず、対立の候補者であっても、まじめなそれぞれの人たちの間には、同じような共通した考え方で、この精神を維持していこうということで、ものの秩序は守られていくのじゃないだろうか。何か、選挙管理委員会によっては、実際やれない場合もあるかもしれません。あるのかもしれませんけれども、法の手順としてはここまでは言っておく必要があるだろう。それで、これからの執行のどういうやり方かということについては、私どもも十分これは検討をしてみたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/48
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049・島上善五郎
○島上委員 今、その極端な場合のことではなしに、ちょうどこの法律で手ごろに処理できるような例をあげておりましたが、さっきからの御質問にもありましたように、大体極端な場合を想定しているわけです。この法律を作った趣旨は、極端な場合を想定している。極端な場合でなければ、今までの法律でも処理できるはずなんです。非常に極端な場合を想定して、私はこの法律を作ったんだと思います。ですから、そういう極端な場合には、選管にこれほど大きな荷物を課しても、退去をさせることができない場合が往々にしてあると思われる。法律にこういうふうに規定してありまして、退去をさせなければならないとなっておるのに、退去をさせることができなかった、こういうような事態が起りましたならば、そのときの責任は一体どうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/49
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050・郡祐一
○郡国務大臣 この規定を置きまして、実際やってみた。これは警察官に執行させましても実際にできない場合があるのでございます。そういうことでありますから、この法律にのって行動いたした、しかしながら十分な目的が達せなかった、従ってその者に対しては退去不服従の罰則を適用して、後になって判決があれば、一年以下の禁固に処せられるというような結果に相なりまして、その場においてはその結果がおさめられませんでも、私はそのことで選挙管理委員会に責任が起るというような事柄ではない。普通の法律の読み方と同じように読むべきことだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/50
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051・島上善五郎
○島上委員 どうも私は納得しません。納得しませんが、退去させなければならないことになっておるのに、退去させることができなくても、何も責任がないということになれば、そういう面においても、これは空文にひとしいことになると思うのです。どうも、この法律は、立会演説会というものは計画的な妨害があって効果が少いのだ、だからいっそやめてしまおうという考えが、この根底にひそんでおるのではないかと思うのです。もしそうだとするならば、これは大へんなことであって、立会演説会は、なるほど多少のヤジもありますし、ときさによっては極端な妨害もありますけれども、しかし、それにもかかわらず、立会演説会というものは今日の選挙運動の中ではきわめて重要なウエートを占めておるし、今後の導きょういかんによっては、そういうような秩序を乱すということは、現にだんだん減少しつつありますし、なくなっていきますから、そういうヤジとか妨害とかいったようなものを大きく考えて、そのことのために、大事な立会演説会をやめてしまおう、あるいは極度に減少してしまおうという考えがあるとするならば、これは私は本末転倒だと思うのです。立会演説会は多少そういう困難や妨害がありましても、今後ますます重要視していくべきものである、私はそう考える。この法律改正に際して、与党の中にはかなり有力な意見として、立会演説会を思い切って減少するか、もしくは廃止するか、そういう方向に持っていくべきであるという有力な意見があったそうです。私どもは、ますますこれを重視して活用していくべきものであると考えておりまするが、これに対する自治庁長官の考え方を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/51
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052・郡祐一
○郡国務大臣 秩序保持の規定を置きましたことも、立会演説会というものを可及的完全なものとして実行をいたしたい。また、立会演説会というものは、毎回の選挙においてそれぞれ効果をおさめて、御指摘のように次第に円滑な運用ができるように相なっております。立会演説会を廃止いたそうというような考えは持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/52
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053・島上善五郎
○島上委員 時間がありませんので、はしょりますが、今度「二十五日」を「二十日」にしようという改正です。先般、私が質問しました際に、二十日にしましても立会演説会の回数はそう減らないようにできるという御答弁だったと思いますが、私は、そのときは、他の問題もあって、あまりそれ以上突っ込んでは聞きませんでしたが、なかなか実際にはそうはいかぬと思うのです。最初告示して、立候補者の届出があって、その届出を待って立会演説の班の編成とし、氏名掲示の印刷物の準備をしといったようなことは、これは、期間が二十五日であった場合といえども、二十日であった場合といえども、変りない。それから、少くとも投票日の前日は、翌日の投票準備のために学校は使えないはずです。そういたしますと、五日間短縮したことによって立会演説会を実際に減少させないようにするとすれば、今まであまりやらなかった時間、たとえば土曜日、日曜日の日中やるとか、街頭のしかるべき場所における立会演説会を考えるとか、そうでもしなければ、回数の減少を防ぐことはできないと思うのです。回数は実際そう減らぬように措置できる、こういうお話でしたが、実際的に減らさぬようにするために、具体的にどういうことを考えておるのか。ただ、選管に、減らさぬように一生懸命努力しろ、こういうような抽象的な指令や指導では、そういくものではないと思うのです。回数を減らさぬようにするための措置を何か具体的にお考えになっておるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/53
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054・郡祐一
○郡国務大臣 これは、実際公示後、従来八、九日になりましょうか、経過しまして始めております立会演説会にややなれて参りました点、それから政党との協議等をできる限り早目にいたしますならば、また事実選挙運動期間が短縮いたされますと、それだけ公示から直ちに選挙は白熱して参ることでありますから、第一の点は、従来よりも早く立会演説会を始めることができる。そうして回数を維持して参る。それから、大都市等につきましては、これは島上委員などの方がよく御経験のことだと思いますけれども、日によりましては、人を寄せるのに都合のいいときにはもう一回くらい回数を増してもいい日があるのじゃないだろうか。これはそれぞれの地方々々の実情に応じなければなりませんが、公示後可及的に早く立会演説会の計画に入るということをいたしますのと、それ以外には個々の交通の状況だの、市街地の多いところが、しからざるところかということで判断をいたすべきことでありますが、従来のやり方にも改善を加えることが可能である、こういう工合に考えております。それぞれの具体的の相談を個々の件についていたしながら、ただ指図のしっぱなしでなく、実際できるような相談をこしらえて参る考えでおります。島上委員 準備を早くするといっても、準備期間を短縮するといっても、私は実際上はせいぜい一日かそこいらだと思うのです。今まで四日かかった、あるいは五日かかったのを三日にする、せいぜい一日短縮すれば最大の努力です。そうすると、五日間短縮することによって少くとも四日は損です。その四日間を埋め合せるためには、土曜日、日曜日の昼間やるとか、街頭の立会演説会をやるしかないのですよ。そういうことを具体的に考えることなしに、努力しなさいといっても、これはできるものじゃないと思う。東京なんかは夜三カ所やっているのです。第一会場から次の第二会場に行くのに、自動車がちょっと道をまごまごすればおくれてしまうような程度しか時間を見ていない。それを四回にするということは不可能です。ですから、結局、土曜日、日曜日の昼間やるか、街頭のしかるべき場所で——私は街頭で立会演説会をやろうと思えばできると思うのです。トラックを持っていって、拡声機をつけて、うしろへ候補者の氏名を掲示するしかけをちょっと考えてやればできるのです。そうでもしなければ、立会演説会の回数はどう努力しても四日分ないし三日分減るのです。三日分といったら、東京は一日三カ所ですから九回減るということになるのです。実際に減らさぬようにするためにはもう少し具体的なことを指示する用意がなければ、そうはいかぬと思う。これは選挙局長でもいいのですが、具体的にそういう用意があるかどうか、具体的にそういうことを考えないで、減少させないことができるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/54
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055・兼子秀夫
○兼子政府委員 従来、立会演説会は、選挙の公示がありましてから八日目ないし九日目に開始しております。今回、運動期間の短縮に伴いまして、四日なり、五日目には開始ができるものと考えております。そういたしますと、初めにおきまして一日あるいはおしまいの方で一日というものが、若干従来のスケジュールと違って参りますが、ほとんど従来のスケジュール通りできるわけでございます。そういう意味におきまして、回数は確保できるというふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/55
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056・島上善五郎
○島上委員 それでは、そういう従来の回数とほとんど変りないようにしろという指示を、選管に自治庁としてはされるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/56
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057・兼子秀夫
○兼子政府委員 そのように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/57
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058・島上善五郎
○島上委員 私は兼子局長の答弁は机上の答弁としか思えない。しかし、もう時間がないから、不満足ではありますが、次の問題をもう一つだけ伺っておきます。
今度ポスターがふえるわけです。ふえることは公営拡大の精神で私ども賛成です。しかし、このふえたポスターは、個人演説会の告知用ではなくて、選挙運動用ですから、選挙が始まってから最後まで、投票日まで張っておけるポスターです。中には八千枚のうち千枚か二千枚か三千枚か個人演説会用に使うものがあるとしても、今までは全部個人演説会用であった。従って、十日なら十日の演説会が済んでしまえば、その上に張れらても、だれかに破かれても仕方がないとしておった。そして、十日の演説会には、大体七日か八日、二、三日前に張るというのが常識です。今度は、八千枚もし全部選挙運動用にしようとすれば、してもいいのですが、そうすると掲示する場所に非常に困ると思うのです。掲示する際にはそれぞれ承諾を得なければなりませんので、特にこのような選挙運動用のポスターを初めからしまいまで——個人演説会のために二日ほど張らしてくれ、三日ほど張らしてくれ、そういうのと違って、全期間の二十日間張っておくのですから、目抜きの目立つような場所を見つけて承諾を得てということになると、これは今までと比べて何倍かの困難が伴う。そうなりますと、せっかく枚数をふやした公営拡大の精神が生かされないということになるわけです。そこで、個人の場合のことは個人の承諾を得るより仕方がないのですが、法律にあります地方公共団体、日本国有鉄道、専売公社、または日本電信電話公社が所有もしくは管理するものは、ポスターを掲示することができない。ただし、橋梁、電柱、公営住宅その他云々はこの限りでない。こうなっておりますが、一番多く利用され、かつ効果があるのは電柱です。ところが、この電柱は実際上電灯会社がなかなかうんと言わぬというような事態があって、電柱の利用も思うようにいかない。国の電柱でも、質屋の広告やそういったような広告ばかりで、そういうものを優先的に張らしておいて、選挙のポスターはなかなか張る場所がない。これが現状です。ですから、私はポスターをふやしてこの公営を拡大しようとする精神には賛成でありますが、これをほんとうに生かすためには、国の電柱、それからその他の電柱等には、むしろ、選挙運動期間中、たった二十日のことですから、優先的に選挙のポスターを張らせるような措置が考えられていいのではないか。もちろん、ポスターを張れば電柱がきたなくなるし、いろいろ張らせる方にとってはいやなこともあるかもしれませんけれども、そういったようなことに対しては、また選挙が済んだらこれをきれいにするという方法を別に考えるとしまして、たとえば、候補者一人について、そのポスターをきれいにはがして洗うための費用として幾らかとるというようなことをしてでも、電柱のようなものに優先的に選挙のポスターを張らせるということが考えられていいのではないか。まあ質屋の広告も必要かもしれませんけれども、それは、選挙が済んでから、またゆっくり広告すればいい。選挙運動の短かい期間中だけは、選挙のポスターを他の広告等に優先して電柱にと張らせるということが考えられていいのではないかと思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/58
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059・兼子秀夫
○兼子政府委員 ポスターの掲示につきまして、御承知のごとく百四十五条の制限があるわけでございますが、この第一項のただし書きによって、橋梁、電柱等はこの限りでないといってはずされておりまして、これは掲示できるような法の建前になっておるのでございますが、御承知のごとく電柱につきましては電力会社並びに電信電話公社の所有、管理するものでございまして、それぞれ広告会社等にそれぞれの期間契約をいたしておるのでございます。そういう関係がございまして、技術的にむずかしい点があるのでございますが、御趣旨の点もございますので、交渉いたしたいと考えます。府県によりましては、そういう交渉をして、短期間張るということを認めた地区もあったようでございます。今度交渉をしてみたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/59
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060・島上善五郎
○島上委員 これは一つ強力にやってほしいと思う。
まだ質問したいこともたくさんありますけれども、もう五時を過ぎましたから、本日は一応これで打ち切っておきます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/60
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061・南好雄
○南委員長 この際申し上げます。先ほど公聴会の公述人を決定いたしましたが、公述人の中に旅行その他の理由で当日御出席ができない方がありました等の場合は、公述人変更の措置等につきましては、委員長において適宜取り計らいたいと存じますので、さよう御了承願います。
本日はこの程度にし、来たる十四日月曜日午前十時より公聴会、午後一時より委員会を開き、質疑を継続することにいたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後五時五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804219X00719580411/61
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