1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年二月二十日(木曜日)
午前十時二十八分開会
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委員の異動
本日委員前田佳都男君辞任につき、そ
の補欠として西田隆男君を議長におい
て指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 藤田 進君
理事
上原 正吉君
大谷藤之助君
永岡 光治君
委員
近藤 鶴代君
迫水 久常君
苫米地義三君
前田佳都男君
松村 秀逸君
伊藤 顕道君
田畑 金光君
千葉 信君
松本治一郎君
矢嶋 三義君
島村 軍次君
八木 幸吉君
国務大臣
通商産業大臣 前尾繁三郎君
国 務 大 臣 正力松太郎君
国 務 大 臣 津島 壽一君
政府委員
内閣官房長官 愛知 揆一君
防衛庁経理局長 山下 武利君
科学技術政務次
官 吉田 萬次君
科学技術庁長官
官房長 原田 久君
科学技術庁長官
官房会計課長 杠 文吉君
通商産業大臣官
房長 齋藤 正年君
事務局側
参 事
(委員部第二
課) 川上 路夫君
常任委員会専門
員 杉田正三郎君
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本日の会議に付した案件
○通商産業省設置法の一部を改正する
法律案(内閣提出)
○今期国会における本委員会関係の内
閣提出予定法律案に関する件
○国の防衛に関する調査の件
(防衛庁の昭和三十三年度予算に関
する件)
○国家行政組織に関する調査の件
(科学技術庁の昭和三十三年度予算
に関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00419580220/0
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001・藤田進
○委員長(藤田進君) これより内閣委員会を開会いたします。
まず、一昨十八日、先議として付託されました通商産業省設置法の一部を改正する法律案につきまして、政府から提案理由の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00419580220/1
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002・前尾繁三郎
○国務大臣(前尾繁三郎君) 通商産業省設置法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
改正の要点は、第一に、通商局に振興部を設置することであります。今後におきまするわが国経済の安定的成長を期するためには、輸出の振興がその基本的要件であることは言うまでもないことでありまして、通商産業省としてもあらゆる施策を結集して努力を重ねておりますが、この際通商局に新たに振興部を設置いたしまして、海外における貿易振興の中核体としての日本貿易振興会の運営の強化、今後ますます活発化するものと期待される海外諸国との経済協力の促進並びに輸出保険、輸出検査、意匠の奨励及び盗用の防止等の事務をあわせ行うことによりまして、輸出の振興に関する行政の態勢を格段に強化することといたしました。
なお、意匠に関する奨励の事務は、従来特許庁において行なっておりましたが、最近において輸出品の意匠の改善及び外国品の意匠の盗用の防止等、意匠問題が国際的にも国内的にも重要な問題となっている状況にかんがみまして、これを通商局において行うこととし、あわせて従来特許庁の付属機関として設置されていた意匠奨励審議会を本省の付属機関とすることといたしました。
第二は、軽工業局にアルコール事業部を設置することであります。アルコール専売事業は、約一千四百名の職員を擁し、年間売り上げも三十数億円に達しており、加えて公共企業体としての特殊性にもかんがみ、アルコール事業部を設けて業務体制を確立し、より一そう事業運営の合理化をはかることといたしました。
第三ば、金沢繊維製品検査所高岡支所を本所に昇格させることであります。高岡支所における輸出絹人絹織物の検査高は、富山県下における繊維産業の発展に伴って逐年増加の一途をたどり、昭和三十二年度においては全国検査高の二二%に達し、既設の九検査所に比較しても福井繊維製品検査所及び金沢繊維製品検査所(高岡支所を除く。)に次ぐ地位を占めておりますので、この際本所に昇格させることにより、その機能の充実をはかるとともに、民間検査機関の指導監督にも万全を期することといたしました。
第四は、特許庁に工業所有権研修所を設置することであります。最近における急速な技術の進歩と経済の発展に伴い、工業所有権出願は、急激に増加するとともに、内容的にも高度化、複雑化の一途をたどっております。このため、三十一年度以降引き続き特許庁の審査、審判関係要員の増加を行なって参りましたが、このたび工業所有権研修所を設置して、審査、審判に必要な職務上の研修を行い、審査官、審判官の職務能率の向上をはかることといたしました。
以上がこの法律案の提案理由であります。何とぞ慎重御審議の上、御賛同あらんことを切望いたします次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00419580220/2
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003・藤田進
○委員長(藤田進君) 本件の審議は後日に譲ることといたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00419580220/3
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004・藤田進
○委員長(藤田進君) 次に、今期国会における本委員会関係の内閣提出予定法律案に関し、その内容、提出時期等について、政府から説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00419580220/4
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005・愛知揆一
○政府委員(愛知揆一君) ただいま委員長からお話がございましたような件について、御説明申し上げます。
当内閣委員会に対しまして、政府としてすでに提案いたしました法律案、あるいは今後提出をいたそうと考えておりまする案件が、件数が非常に多いので、当委員会におかれまして非常に御迷惑と存じますが、何分ともによろしくお願い申し上げる次第でございます。
そこで、本日は法律の件名とその要旨、それから提出の見込みの時期、それから衆参両院のいずれかに先議をお願いしたいと考えております区分、それから予算関係の区分、大体以上四つの点を中心といたしまして、御説明を申し上げたいと思います。
お手元に差し上げてございます参議院内閣委員会付託予定法律案という表について申し上げたいと存じますが、まず、その表の中で、すでに国会に提出済みのものが、ここにございますように、十一件あるわけでございます。この提出済みのもの、それから提出予定を一応いたしておりますものが十九件あるわけでございます。この調べは、各省庁において御審議をお願いしたいという予定をも含めて取りまとめたものでございますから、今後の検討の結果、若干件名の変更や追加削除、あるいは先議をお願いする区分の変更等があり得るかと考えております。
それから、上に「参」と書いてございまするのは、備考にもございますように、一応参議院に先議をお願いいたしたいというものを示したものでございまして、その他は一応衆議院に先議をお願いするか、あるいはいずれにお願いした方が適当であろうか未定のものと、両方が含まっておるわけでございます。それから提出予定の方で※じるしがついておりますのは、最近に提案ができる、具体的に申せば二月中には御提案申し上げることができると見込まれておりますものに、※じるしのしるしをつけてある次第でございます。そのしるしのございませんものは、提出の時期がいまだ決定していないものでございます。それから、〇のしるしがついてございますものが、いわゆる予算関係法律案と称せられるような種類のものでございます。
そこで、提出いたしました十一件につきましては、提案の理由等を大体お聞き取りいただいたかと思いますので、これは一応省略いたしまして、提出予定十九件、この概略を御説明申し上げたいと存じます。
その順序に申し上げますと、まず、憲法調査会法の一部を改正する法律案でございますが、これは、憲法調査会事務局の事務を円滑に処理いたしたいという考え方から、現在定員が七人になっておりますものを十二人に、すなわち五名増員をさせていただきたいというのが、憲法調査会法の一部を改正する法律案の内容でございまして、本件は最近の機会に御提案申し上げる準備はできておるわけでございます。
それから一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案でございます。これの要旨は、御承知のように、昨年人事院勧告が出ております。その人事院勧告の中で、通勤手当を支給することが妥当であるという勧告でございますが、その分を人事院勧告に従いまして支給をいたしたいということで、これは予算関係の法律案でもございますが、そういう内容でこの案を作っておるのでございます。
それから、その次に栄典法案でございます。これはいまだ提出の時期も来ておりませんのでございますが、現行の栄典制度を整備するために、法律をもって栄典制度の基本的な事項を定めることが適当であると考えまして、一応これは用意をしつつあるわけでございます。
それから次の総理府設置法の一部を改正する法律案、本件は、現在総理府の本部の付属機関として、御承知のように、南方連絡事務局というものがあるわけでございますが、この南方連絡事務局は、現在の南方連絡事務局におきまして、北方の地域 その地域というのは政令で定めたいと存じておりますが、国後、択捉、歯舞、色丹というような所の北方地域についての関係の事務の連絡調整をいたしますことにして、名称も従って変えまして、なお、この局を総理府木部の内部部局とするということを適当と考えておるわけでございます。本件につきましても、予算関係のことでもあり、最近の機会に御審議をお願いするように提案いたしたいと考えております。
それから恩給法等の一部を改正する法律案、これはいわゆる旧軍人遺家族等の恩給等の増額を規定せんとするものでございます。これも最近の機会に法案として御提案申し上げるつもりでございます。
皇室経済法施行法の一部を改正する法律案、この要旨は、内廷費の定額が現在三千八百万円でございます。これを五千万円に増額する。それから皇族費のお一人当りの定額が現在百九十万円でございますが、これを三百万円に増額せんとするものでございまして、これも最近の機会に正式に御提案申し上げることになっております。
行政管理庁設置法の一部改正法律案、これは内容が三つございまして、一つは、行政管理庁の地方の部局と申しますか、まあ支分部局とでも申し上げた方がいいかと思いますが、要するに地方部局の所掌事務を拡充いたしまして、本庁の各局の事務を分掌させることが適当であると考えております点が一点でございます。従って、これに伴いまして、名称を管区並びに地方行政管理局というような名称に改めるということが第二でございます。第三は、管区行政管理局の部を増置いたしまして、三部制にするというのがその内容でございます。
それから行政機関職員定員法の一部を改正する法律案、これは、昭和三十三年度の各省庁の事業予定計画に即応いたしまして、三千六百七十二人の定員の増加を規定せんとするものでございます。それが一つでございます。それからいま一つは、定員外の職員一万九千六百十三人の定員化をはかるというのが一つの内容でございます。この二つをこの中で規定をせんとするものでございます。
それから防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案、これは、先ほど申しました一般の公務員と同様に、通勤手当を新たに設置しようとするのが一つ、いま一つは航空手当等を増額いたしたい、この二つがこの内容になっておるわけでございます。
それから法務省設置法の一部改正法律案でございます。これは内容が四つございます。一つは、官房に部を設置するということ、それから一つは、いわゆる戦犯でまだ拘置されておる戦犯在所者の減少に伴いまして、巣鴨刑務所施設を東京拘置所として復元をするということが一つの内容でございます。それから入国管理事務所出張所の名称及び位置を、法務省令で定めることができるようにいたしたいということでございます。いま一つ、法務研修所に支所を設置いたしたい。以上四点が本件の内容になっておるわけでございます。
それから外務省設置法の一部を改正する法律案でございますが、これは内容が三つございまして、一つはアジア局に次長一人を置くということでございます。それから一つは、国際協力局の名称を国際連合局に改めるということでございます。それから一つは、外務省近畿連絡事務局というものを大阪府に置く。以上三つの内容を盛るものでございます。
次に、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、これは、特別職の職員の現在の給与は、一般職の職員に比しまして非常な不均衡が出てきておりますので、これを是正いたしたいというのが内容でございます。
それから公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案、それから次に、国家公務員共済組合法の一部を改正する法律案、この二つは、それぞれ内容が同様でございまして、健康保険法の一部改正法が施行されますのに伴いまして、それに平仄を合せた所要の改正をはかろうとするものでございます。
昭和二十八年十二月三十一日以前に給付事由の生じた国家公務員共済組合法等の規定による年金の額の改定に関する法律案、これは、先ほど申し上げました恩給法等の一部改正に関連いたしまして、所要の改正を行いたいというのが内容でございます。
農林省設置法の一部を改正する法律案、これには内容が二つございまして、付属機関でありまするバレイショ原種農場の所掌事務に、災害対策用としての雑穀種子の生産に関する項目を加えたいというのが、一つであります。いま一つは、種畜牧場の所掌事務に種畜家畜についての試験研究に関する項目を加えたい、この二つがその内容でございます。
運輸省設置法の一部を改正する法律案は、大臣官房に統計調査課を置くということ、それから海運調整部を廃止いたしまして、海運局に次長を置くということ、それから付属機関でありまする航空保安事務所と航空標識所を本省の地方支分部局とする、こういう内容でございます。
郵政省設置法の一部を改正する法律案は、電務局を設けること、それから電波監理局に部制をしくということが、主たる内容になっております。
最後の建設省設置法の一部を改正する法律案、その要旨は、道路局に二つの部を設置するということでございます。それから地方支分部局として、北陸地方建設局及び四国地方建設局を増置する、こういった内容を盛るものでございます。
以上は、最初に申し上げましたように、各省庁におきまするただいま現在の予定を取りまとめたものでございますので、今後検討の結果、若干の訂正があり得ることを御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00419580220/5
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006・藤田進
○委員長(藤田進君) ただいまの御説明に対して、御質疑のある方は御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00419580220/6
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007・矢嶋三義
○矢嶋三義君 二つだけお伺いしますが、運輸省設置法の一部を改正する法律案は〇がついていないのですが、これは予算に関係ないのかということと、それから提出予定法案について、今御説明があった通りですが、これ以外に法案は出ないものと当委員会は考えて、委員会を運営していって間違いございませんね。その二点だけ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00419580220/7
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008・愛知揆一
○政府委員(愛知揆一君) 第一点は、予算に関係ないというふうに考えております。
それから第二点のお尋ねは、これ以上はないつもりで現在おります。ただ、先ほど申し上げましたように、件名、件数等につきまして若干の変更があることを、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00419580220/8
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009・藤田進
○委員長(藤田進君) ちょっとお伺いしますが、この参議院先議が二件、あとは大体後議になることのようですが、これはどういう考え方できめましたか、参議院の先議、後議の考え方。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00419580220/9
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010・愛知揆一
○政府委員(愛知揆一君) 考え方といたしましては、予算関係の法律案はどうしても、原則的に衆議院先議にならざるを得ない。それから、それ以外のものにつきましては、参議院にできるだけお願いをしたいという政府としては心組みでおるわけでございますが、これは国会の方の御意向も十分に取り入れまして、今後においても善処いたしたいと考えております。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00419580220/10
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011・藤田進
○委員長(藤田進君) 他に御発言もなければ、次に、本委員会の調査に関連いたしまして、本日は防衛庁及び科学技術庁関係の昭和三十三年度予算の内容について、説明を聴取することといたします。
防衛庁の予算について御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00419580220/11
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012・津島壽一
○国務大臣(津島壽一君) 三十三年度の防衛庁予算について、まずもってきわめて概略を申し上げます。詳細にわたりましては、山下経理局長から説明することにいたします。
三十三年度の防衛庁予算は、お手元にありまする資料に示してあるように、総計千二百億六千万円ということに相なっております。三十二年度予算に比しましては、約百九十億円余りの増加でございます。しかしながら、三十二年度予算には、三十一年度から未済繰り越しとして百四億円が追加されまして、現在それを執行しておるわけでございまして、そういう意味におきまして、実質的には三十二年度予算は千百十四億円となるわけでございます。従って、その千百十四億円に比しますと、千二百億円余の三十三年度予算は約八十六億円の増である、こういうことを申し上げていいのでございます。
さて、先ほど申し上げた百九十億円余りの増加でございますが、これは大体、内容的に見まして、いろいろ見方はございまするが、そのうちで、まずもって、三十二年度以前に、将来国庫の負担となる契約をしたために、三十三年度に当然予算化しなければならない金額が、三十三年度の予算の上に計上されるわけでございます。過去の国庫債務負担行為の二十三年度における予算化のための金額が、三十三年度予算の中に組まれておるわけでございます。その金額は大体百七十六億円ございまするが、しかし、三十二年度においても同様前年度以前の国庫債務負担行為の歳出化の金額がございまして、これは百二十八億円でございましたから、この部面からする増加約四十七億円というものが、当然予算化の増になるわけでございます。三十三年度の予算は、前年度に比して、そういうものをしょっている予算なのでございます。
それ以外に、歳出面においての増加のおもなものは、後刻御説明申し上げまするが、これはその中から二、三の項目を摘出して申し上げるわけでございます。
陸上自衛隊の一万増勢が、大体二十六億円の増加を計上いたしております。
それから、施策として最も重点を置きました問題は、航空事故の防止ということでございます。この問題につきましては、今回の予算において最も重点を置いて金額の計上をいたしておるわけであります。すなわち、三十三年度には約三十五億円を、事故防止対策というような意味で、滑走路の整備であるとか、整備員の関係その他において計上いたしております。もっとも、この金額は現年度三十二年度においてもありましたから、純増加という点から申しますというと、三十二億円でございまして、前年度の三億円に対して三十五億円計上したということでございまして、この費目からは約三十二億円増加を見ておるわけでございます。
なお、技術の開発という点に相当施策の重点を置いたわけでございます。この二十二年度に対する技術開発の予算の増加は十五億円でございます。これはしさいに申しますと、この金額の中には三十二年度の国庫債務負担行為を歳出化したものがございます。その金額は八億円でございまするから、三十三年度にネット増加したものは約七億円と、こう申し上げていいと思います。
なお、後刻説明申し上げますが、部隊の環境の改善といったような点において、現年度に比して三十三年度は約二億円ばかり増加しておるわけでございます。
以上、申し上げた諸項目五つばかりございまするが、これらの金額を総計いたしますというと、全体の予算の計数が千二百二十八億円くらいになるだろうという見込みでございます。しかし、現実の予算は千二百億円でございまするが、これは五%の庁費その他の節減をいたしましたからでございます。その節減額は、大体これは閣議の決定によるものでございまして、その金額は約二十七億円ばかりでございまして、それだけ経費の節約をいたしたわけでございます。従って、その金額を千二百二十八億円から控除いたしますと、千二百一億円ばかりになるような大体の計数でございます。これを要しますれば、現年度予算に比して百九十何億円の増加でございまするが、過去の国庫債務負担行為の関係、その他今申しました重点施策等によって、ここに百九十何億円の増加を見ておる、こういうことでございます。
なお、この場合に一言付言いたしたいと思いますることは、三十二年度の予算の執行の状況でございます。これは毎年相当多額の繰り越しというものを計上してきたことはまことに遺憾でございまして、本年においては、特に私は就任以来、この点について適正なる予算の使用、また時期において適実をはかるということにおいて、予算の執行部面を円滑をはかって参ったわけでございます。従って、今日まだ、年度末でございませんから、的確な計数を申し上げるということは時期尚早でございまするけれども、今日までの実績、またすでに契約その他の実情から申しまして、現年度三十二年度の、前年度の予算の未済繰り越しを含んだ予算現額千百十四億円のうち、三十三年度に未済繰り越しとして繰り越される金額は大体三十億円見当と見ております。御承知のように、三十二年度の繰り越しは総額においては二百二十六億円、そのうち今申しました、百四億円というものがいわゆる未済繰り越しで、三十二年度において契約可能な金額となっておったのでございます。従来は大体二百何十億というものが繰り越されたのでございますが、三十三年度においては繰り越し未済というものを極力減少して、三十三年度の予算の上においてはその繰り越しからする増加ということは期待しないという建前になっておるということも、三十三年度の予算を御審議下さる丘において一応御考慮に置いていただきたい、こう存ずる次第でございます。
なお、各費目のことについてはここで省略いたしまして、資料によって局長から御説明申し上げますが、全体といたしまして、防衛庁の予算関係のみならず、全体の防衛費の関係でございます、これは御承知のように、施設提供費、また日米分担金というようなものを、この二者を合計して、全体の防衛費というものが、国の防衛費が算出されるわけでございます。三十三年度においては、この経費は合計して千四百六十一億円ということになります。三十二年度においては、千四百十一億円でございました。すなわち、防衛庁費千十億円、施設費等百三億円、日米分担金二百九十八億円、合計千四百十一億円に対して、三十三年度におきましては、防衛庁費千二百億、施設提供費七十五億円、分担金百八十六億円、三者合計が千四百六十一億円、こうなるわけでございまして、防衛費全体としての二十三年度の増加は五十億円ということに相なっている次第でございます。
この場合、これに関連して、一応歳出総額に対してこの全体の防衛費——防衛庁費のみならず、他の二項目を加えての防衛費の割合でございますが、三十三年度においては、一兆三千百二十三億円に対して、今申しました千四百六十一億円でございますから、その歳出総額に対する防衛費の割合は一割一分一厘ということに相なるわけでございます。これは三十二年度、現年度における一割二分四厘よりは、率においては低下しておる次第でございます。また、三十一年度の一割三分六厘に比べても著しく低下いたしておるわけでございますが、五十億円の増にかかわらず、全体に対する防衛費の割合は低下しているというのが計数上に現われているところでございます。
なおまた、国民所得との割合でございますが、防衛費、すなわち三十三年度におきましては千四百六十一億円でございますが、これの三十三年度の見込みの国民所得に対する割合は一・七二%、すなわち一分七厘二毛という計数になるのでございます。三十二年度におきましては、これが一・七〇ということで、約二厘。もちろん国民所得の計数は推定でございまして、予算の計数とは比較にならぬ程度のものでございますから、その点は留保申し上げるわけですが、そうでございまして、三十一年度一・八四、一分八厘四毛に比べても非常な減少を見ている。大体横ばいというか、そういった程度のものでございます。
はなはだ、こういうことを申し上げるのはいかがかと思いますが、国民所得に対する一分七厘二毛、防衛費の歳出総計に対する割合が一割一分一厘といったような計数は、漸減の傾向をたどっているわけでございまして、各国の国防費と歳出総額の計数等もしさいに調べまして、国連の報告その他の統計等とりましても、大体三割以上、大きいものは六割以上、歳出総額の中に国防費が入っているということで、一割台のものは、少くとも今日の統計に現われたところにおいては、ないということを申し上げて差しつかえなかろうかと思うのでございます。
なお、重点施策その他につきまして申し上げることが適当かと思いますが、これは書面によりまして詳細に申し上げることにいたしまして、大体概要をここに申し上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00419580220/12
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013・山下武利
○政府委員(山下武利君) 昭和三十三年度防衛庁予算案につきまして、補足して御説明申し上げます。便宜、お手元に配付申し上げました資料につきまして、ごらんを願いたいと存じます。
まず、第一ページでありますが、ここは予算の総額を計上してございます。一番下の欄をごらん願いますと、三十二年度の予算総額一千十億円に対しまして、三十三年度は千二百億六千万円、差引百九十億六千万円の増加でございます。
これを組織別に申し上げますと、陸上自衛隊におきまして五百七十六億一千九百万円、海上自衛隊におきまして二百五十六億七千万円、航空自衛隊におきまして三百二十七億三千五百万円、合計いたしまして千百六十億二千五百万円、官房各局、統合幕僚会議並びに付属機関を合計いたしまして四十億三千四百万円、合計千二百億六千万円と相なっておるわけでございます。
二ページは国庫債務負担行為の一覧表でございます。三十二年度の総計二百億六千一百万円に対しまして、三十三年度は二百八十億四千四百万円を計上してございます。差引七十九億八千三百万円の増加であります。
このおもな内訳を申しますと、まず海上自衛隊の航空機購入というところに、三十三年度に百五十二億三千二百万円を計上してございます。これのおもなものはP2Vという対潜哨戒機でございますが、これを国産を開始するというために、国庫債務負担行為を計上したのでございます。なお、航空自衛隊の航空機購入が、前年度に比較しまして相当大きく減少いたしておりますのは、現在進行中のF86並びにT33という国産機がだんだんと契約を終りまして、ごく一部のものが残っているという結果でございます。増加いたしますものと、減少いたしますものを差し引きまして、さっき申しました七十九億八千三百万円の増加ということに相なっておる次第でございます。
三ページは継続費の一覧表でございます。これは全部海上自衛隊に属するものでございますが、潜水艦建造費につきましては、昭和三十一年度に御承認を得ました年割額を計上してございます。三十二年度に御承認を得ました昭和三十二年度甲型警備艇建造費は、総額が三十六億六千九百万円の既定額でございましたが、年度途中に艦種の変更その他がありまして、一億九千九百万円を増加する必要に迫られまして、改定額として三十八億六千九百万円を計上してございます。ただし、契約が若干おくれました関係から、三十三年度の年割額は六億九千一百万円を減少してございます。昭和三十三年度に新しく計画いたしますものといたしまして、昭和三十三年度中型警備艦建造費四十一億九千三百万円を計上し、その三十三年度年割額は十二億七千六百万円でございます。
次のページは、予算積算のもととなりました定員の一覧表でございます。三十二年度におきまする予算定員は、一番下の欄でごらん願いますが、自衛隊と一般職員とを合計いたしまして、二十二万三千五百二人おります。三十三年度の予算定員は二十四万一千七百十八人、一万九千二百十六人の増加でございます。
おもな内訳を申し上げますが、陸上自衛隊におきまして自衛官一万人、一般職員百人の増加、海上自衛隊におきまして自衛官千二百九十五人、一般職員三百二十一人の増、航空自衛隊におきまして、自衛官六千七百人、一般職員七百名の増加でございます。そのほかに、建設本部並びに調達実施本部に振りかえます職員八十一名を差し引きまして、陸海空の自衛隊で一万九千三十五人の増加でございます。官房各局、統合幕僚会議、付属機関におきまして、統計百八十一名の増加でございます。合計いたしまして、一万九千二百十六人の増加と相なっている次第でございます。
第五ページは、この予算編成に当りまして重点を置いた事項を列挙したものであります。
まず、第一点といたしましては、昭和三十三年度予算編成方針の趣旨にのっとりまして、極力節約を旨といたしますとともに、繰り越し及び不用額を皆無にするということを目途にいたしまして、実行の可能かつ確実な経費のみを計上いたしております。
第二点は、航空事故防止及び救難対策のための経費に重点を置いたのでございます。陸海空を合計いたしまして、三十五億三千一百万円を歳出に、十五億七千一百万円は国庫債務負担行為に計上してございます。ここで直接的なものと間接的なものというふうに区別して御説明を申し上げておりますが、直接的なものといたしましては、たとえば飛行場の整備、救命用飛行機、あるいは高速救命艇の購入というふうなものでございます。また、間接的なものといたしましては、通信施設とか、あるいは修理用の備品の整備というようなものを考えております。
第三点といたしましては、環境改善のための経費でございます。現在パイロット並びに一般隊員の環境は必ずしも良好というわけでありませんので、これをできるだけ改善をはかるという意味におきまして、合計いたしまして七億円を計上してございます。
第四点は、技術開発関係経費に重点を置いたことでございます。陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊並びに技術研究所を合計いたしまして、三十三年度は二十四億一千三百万円を計上してございます。この内訳は、陸上兵器、海上兵器、航空機、あるいは誘導兵器等の関係の各種の試作委託等に関するものでございます。
次のページは、その他の若干こまかい事項を一括してあげてございます。第一には、殉職したジェット・パイロットに対しまして、新たに特別弔慰金を支給することにいたした点でございます。第二点は、自衛官の募集につきまして、量並びに質の確保をはかるために、募集関係の経費を増額いたしたことであります。第三点は、広報関係の経費を増額いたしたことであります。この募集関係と広報関係の経費は若干重複計上されてございます。第四点は、衛生局を新設いたしまして医務対策の飛躍的な拡充をはかることにいたした点でございます。第五点は、航空自衛隊の定員につきましては、単に正面兵力の増加のほかに、従来の後方支援関係の不均衡を是正しまして、訓練体制の強化をはかるために、約三千人の定員を増加してございます。
次のページは、予算編成の前提といたしました昭和三十三年度の自衛隊の勢力の一覧表でございます。
まず、陸上自衛隊におきましては、先ほど御説明いたしましたように、三十三年度末定員といたしまして、自衛官十七万人、部隊職員一万一千九百八十一人、計十八万一千九百八十一人を予定いたしております。予備自衛官は、昭和三十二年度末九千五百人の予定でありますが、これを千五百人増員いたしまして、三十三年度末には一万一千人を見込んでおります。
部隊の編成といたしましては、混成団一、空挺団一、その他地区施設隊若干等を編成する予定であります。
次に、海上自衛隊でございますが、先ほども説明いたしましたように、昭和三十三年度末定員は、自衛官二万五千四百四十一人、部隊職員二千二百十二人、計二万七千六百五十三人を予定いたしております。
艦艇といたしましては、米国より二千五十トン程度の大型警備艦二隻、並びに救命艇八隻の供与を期待しております。国産いたしますものといたしましては、警備艦は中型千七百トンばかりのものを二隻、四百五十トン程度の駆潜艇を一隻、三百四十トン程度の中型掃海艇を四隻、救命艇二隻を予定いたしております。なお、艦艇の貸与に関する協定によりまして、米国から貸与を受けております艦艇のうちで、警備艇ゆり型の二十二隻を米国に返還をする予定にいたしております。そのほかのことは、昭和三十三年末の艦艇見込みは、次の一覧表にあります通り、各種艦艇を合計いたしまして、隻数において四百二十五隻、トン数において十一万一千八百八十一トンと相なる予定でございます。この中には、各年度末、この三十三年度末において建造中のものが計上してございます。
次に航空機でありますが、R4DQというのが、これが電子関係の訓練用の飛行機でございますが、これが四機、それからS2Fという対潜哨戒機、これが十七機、これの供与を受けることを予定いたしております。そのほかにS−55六機、S−58二機、これはいずれもヘリコプターでございますが、これを購入する予定でございます。それから先ほどちょっと申し上げましたP2Vという大型の対潜哨戒機、これの四十二機を、国産を開始するという予定にいたしております。以上の結果、三十三年度末におきますところの航空機の見込み数は、三十二年度末の百五十七機に対しまして、百九十七機となる予定でございます。
部隊の編成といたしましては、陸上及び海上各部隊並びに教育機関に若干の改編を行う予定でございます。
次に、航空自衛隊におきましては、先ほど申し上げましたように、三十三年度末定員といたしまして、自衛官二万六千六百二十五人、部隊職員三千四百二人、計三万二十七人を予定いたしております。
航空機につきましては、現在生産に着手いたしております戦闘機のF−86F、練習機のT−33A、中間ジェットにつきまして既定計画を遂行していくとともに、新たに米国からF−86Dという全天候戦闘機、これが六十機、それから輸送機のC−46、これが六機、供与を受ける期待を持っております。なお、救難用のヘリコプターといたしまして、H−19十一機を購入を予定をしております。以上の結果、三十三年度末の航空機の見込みは、三十二年度末の見込み八百一機に対しまして、九百九十機になる予定でございます。
航空自衛隊の部隊の編成といたしましては、航空総隊司令部、航空北部方面隊司令部、航空中部方面隊司令部、航空四部司令所を編成する予定であります。また、第二航空教育隊、管制教育団を新設いたします。また、航空警戒隊、いわゆるレーダー・サイトでありますが、七カ所の運営維持をする予定であります。またF−86Dの供与に伴いまして、その教育部隊を新設する予定でございます。
次のページは、予算編成の前提といたしました相互防衛援助計画による米国援助の期待額でございます。陸上自衛隊におきましては、装備品その他を合計いたしまして八十九億三千万円、その他米国に留学いたします学生七十七人、海上自衛隊におきましては、艦艇、航空機その他を合計いたしまして七十三億九千八百万円、留学生百十一名、航空自衛隊におきましては、航空機その他の部品、合計いたしまして二百七十二億三千四百万円、留学生百三十人を予定しております。金額の合計は四百三十五億六千二百万円でございます。これに対応いたします三十二年度の期待額は四百十二億円見当でございます。
最後のページは、先ほど申し上げましたP2Vの国産化計画の概要でございます。生産計画といたしましては、三十四年度に六機、三十五年度に十二機、三十六年度に十二機、三十七年度に十二機、合計四十二機が完成をする予定でございます。日米間の経費の分担といたしましては、日本側が百五十一億四千八百万円、全体の四九・三三%、米国側が百五十五億五千八百万円、全体の五〇・六七%、合計いたしまして三百七億六百万円でございます。年度別の予算計上予定額といたしましては、三十三年度に計上しておりますのが一億九千四百万円でございます。以下は見込みでございますが、三十四年度におきまして十七億一千七百万円、三十五年度四十億六千四百万円、三十六年度五十億七千六百万円、三十七年度四十億九千五百万円、合計百五十一億四千八百万円でございます。
以上をもちまして、昭和三十三年度予算の補足説明を終ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00419580220/13
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014・藤田進
○委員長(藤田進君) 先刻委員の異動がございました。参事に報告いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00419580220/14
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015・川上路夫
○参事(川上路夫君) 御報告いたします。
前田佳都男君が辞任されまして、西田隆男君が補欠として選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00419580220/15
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016・藤田進
○委員長(藤田進君) 次に、科学技術庁の明年度予算の内容について御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00419580220/16
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017・正力松太郎
○国務大臣(正力松太郎君) ただいま議題となっております科学技術庁の予算案について御説明を申し上げます。
わが国産業の発展と国民生活の水準向上を期するためには、国内資源をできるだけ有効に利用するにはもちろん、新技術の開発、新製品の創造等により輸出の振興を期さなければなりません。そしてこれを可能ならしめる最も重要な方策が科学技術の振興であり、これによって生ずる研究成果がその強力な推進力となるものであると信じます。しかし、戦後におけるわが国の科学技術の水準は、遺憾ながら、いまだ低位にあるというほかなく、これを向上せしめることこそ、刻下の急務であるといわねばなりません。
これに対処するため、政府は重要政策の一環として科学技術の振興を大きく掲げたものでありまして、昭和三十三年度当庁予算案は、この政策を強力に実施するための各種事業に必要な経費として歳出予算額九十五億三千七百五十九万七千円、国庫債務負担行為額五十一億四十万円を要求し、これを前年度予算歳出予算額七十二億七千二百十三万四千円、国軍債務負担行為額四十四億八千万円にくらべますと、歳出予算額三十二億六千五百四十六万三千円、国庫債務負担行為額六億二千四十万円の増額となっております。以下予算要求吾の順を追ってその大綱を申し述べます。
まず、一、科学振興費関係として一億四千五百二十七万円を計しいたしました。その内訳は、次の通りであります。
(イ) 科学技術者の海外留学。わが国の科学技術の振興をはかるためには、各省庁の関係職員を海外先進諸国に留学せしめ、そのすぐれた点を習得せしめることが緊急の要務と信じ、このため、四千二百二十二万円を計上いたしました。
(ロ) 発明実施化試験の助成。優秀な発明考案であって、経済的理由からその発明を実施化することが困難な個人または中小企業者に対して、実施化試験のための費用を補助して、実用化をはかる必要があります。このため二千三百四万円を計上いたしました。
(ハ) 科学技術情報活動強化。内外における最新の科学技術情報の収集、分析及び提供に関する業務を行うことを目的として、昨年度発足いたしました日本科学技術情報センターに対して、その業務の強化をはかり科学技術水準の向上に寄与させるため、政府出資金及び補助金を交付する経費として八千万円を計上いたしました。また、海外の科学技術に関する最新の動向を迅速に知るため、科学技術アタッシェの増強をはかることとし、ウインに一名派遣するための経費を、外務省から要求しております。
次に、二、原子力平和利用研究関係として七十七億二百五十四万円を計上いたしました。この内訓は次の通りになっております。
(イ) 日本原子力研究所。まず実験用原子炉については、昭和三十五年度に国産一号炉を完成することを目標として諸般の準備を行なっておりますが、CP−5型炉については、組立、完成を促進して、昭和三十三年度中に運転を開始したいと考えております。また試験用動力炉については、世界各国の原子力開発の趨勢とわが国の国情とを勘案して、最も適切な型の炉を購入いたしたいと考えております。このほか、原子炉に関する各種設計、計測制御、原子炉燃料、炉体材料等の研究を推進せしめることとして、日本原子力研究所が、良にわが国原子力研究の中核的機関たり得るよう、その機能の拡充整備をはかることとしております。このため、四十五億円と、別に国庫債務負担行為の額三十一億六千百四十万円を計上いたしました。
(ロ) 原子燃料公社。原子燃料公社においては前年度に引き続き、核原料物質の探鉱を積極的に行い、昭和三十二年度より建設中の精鉱中間試験工場の完成をはかるとともに、それらの操業による核燃料物質の試験年産を開始することとしております。このため、十二億五千万円を計上いたしました。
(ハ) 核燃料物質等の購入等。日本原子力研究所に据えつけられたもの及び今後据付予定の研究用原子炉等に使用される濃縮ウラン等を購入及び借用する経費として、六千四百六十九万円を計上いたしました。
(ニ) 原子力関係技術者の海外派遣。原子炉築造等に必要な技術者を、海外先進国へ派遣して、原子力関係技術者の養成訓練を行うこととし、前年度に引き続き正千四百七十七万円を計上いたしました。
(ホ) 原子力平和利用の研究。原子炉築造等のため必要な資材、機械装置、計測器等の製造技術等を、民間において研究している者に対し、その試験研究を助成するため、二億七千万円と、これとは別に国庫債務負担行為額一億円を計上いたしました。また、原子力の開発、利用等について、今後の計画を進める上に国として解明しておかなければならない試験研究テーマを民間等に委託研究させるため、二億円を計上いたしました。
(ヘ) 核原料物質の探鉱奨励。国内における核原料物質の開発を早急に実施できるよう、核原料資源の賦存が予想される地域に存在する鉱山に対し、積極的に調査探鉱をなさしめるため、補助金として、三千万円を計上いたしました。
(ト) 国立機関の原子力試験研究。関係行政機関等における試験研究については、固有の研究分野に関連して原子力の開発、利用等の促進に直接関係する研究テーマに対し、それぞれの特色に応じた活動を期待することとして、六億七千百五十六万円を計上いたしました。
(チ) 放射能測定調査研究。大気、海洋、地表、動植物等について人工放射能及び自然放射能の分布、状況を、組織的に測定調査して将来の原子力時代に備えるため、国立機関及び公立衛生研究所等に、その調査を実施させるため、三千六百二十四万円を計上いたしました。
(リ) 放射線医学総合研究所。放射線医学及び放射線による障害に関し総合的試験研究を行う目的で、昭和三十二年度に発足した放射線医学総合研究所は、目下千葉市に施設の建設を行のうておりますが、これが完成に努力するとともに、研究体制をすみやかに整備するため、五億六千九百三十三万円とは別に国連債務負担行為額一億二千万円を計上いたしました。
三、所掌試験研究機関関係として十八億六千九百八万円を計上いたしました。その内訳は次の通りであります。
(イ) 航空技術研究所。六カ年計画をもって整備する予定で、昭和三十三年度においてはその第四年度として、遷音速風洞を初め、ジェット・エンジン、機体関係等主要研究設備の整備をはかることとし、年度内に、遷音速風洞については大部分の契約を終らせ、ジェット・エンジン研究設備等については一部運転を開始したい予定でおります。このため十一億二千五百六十二万円と、別に国軍債務負担行為額十五億八千万円を計上いたしました。
(ロ) 金属材料技術研究所。新年度は、整備五カ年計画の第三年目に当り、各種の研究設備も逐次整備されましたが、引き続き試験研究用機械、試作用語装置を整備いたしまして、わが国唯一の金属材料に関する総合的試験研究機関としての機能をすみやかに発揮せしめたいと考ています。このため四億一千三百四十六万円と、別に国庫債務負担行為額一億三千九百万円を計上いたしました。
(ハ) 特殊法人科学技術研究所(仮称)。株式会社科学研究所を特殊法人科学技術研究所(仮称)に改組して、その研守体制の整備拡充をはかり、もって特色ある研究活動を強化することとし、前年度に引き続き政府出資を行う予定でおりますが、さらに新年度には、国家的に有意義であって、企業のみでは開発の困難な新技術々開発するために必要な経費八千万円を含めまして、総額三億三千万円を大蔵省所管政府出資金として、別途要求いたしております。
最後に、四、一般行政費関係として一億五千六十八万円を計上いたしました。その内訳は次の通りであります。
(イ) 科学技術会議(仮称)。科学技術振興の基本的政策を確立し、国の諸施策にこれを十分浸透させる目的で、新たに総理府に諮問機関として科学技術会議(仮称)を設けることといたしております。その構成は、内閣総理大臣を議長として、関係大臣四名のほか常勤二名を含む学識経験者四名からなり、その審議事項としては、科学技術に関する総合的かつ基本的な政策の樹立、長期的かつ総合的な目標の設定、総合的な重要研究の推進方策の樹立、及びこれらに関する日本学術会議から政府に要望された意見等についての検討等が考えられておりますが、このための人件費、事務費として一千五十七万円を計上いたしました。
(ロ) その他。当庁の内部部局におきまして、科学技術振興のための長期計画の策定、資源利用方策樹立のための総合的構造的調査の推進、内外科学技術の動向調査及び広報活動の強化、並びに電子技術の振興をはかるため、当庁の付属機関として電子技術審議会の設置等を行う経費として二千六百八十七万円を計上いたしました。
以上のほか、当庁における一般事務に必要な経費等を合算して、昭和三十三年度予算要求額は、歳出予算九十五億三千七百五十九万七千円、国庫債務負担行為額五十一億四十万円となります。
近時、世界各国における科学技術振興の熱意は、きわめて大なるものがありまして、その成果は、まさに画期的な段階に達しており、従来の宇宙観すら一新されねばならない時期に際会していると言わねばなりません。
このときに当り、天賦の資源に恵まれないわが国が、世界先進諸国に伍しつつ、なお文化国家建設の理想を達成するためには、科学技術の振興のほかにはないと確信いたしまして、以上申し述べました諸施策を強力に推進いたしたい所存でおりますので、何とぞ十分に御審議の上、すみやかに御賛成を賜わらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00419580220/17
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018・藤田進
○委員長(藤田進君) 補足がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00419580220/18
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019・原田久
○政府委員(原田久君) ただいまの大臣の御説明に関連いたしまして、事務的に補足説明をさせていただきたいと思います。
横刷りの資料がございますので、それに基きまして補足の説明をさせていただきたいと思います。項目的には、ただいま大臣から大体骨子となるところの御説明がありましたので、そのうち付加する点だけについて御説明をお許しを願いたいと思います。
まず第一のこの表でございますが、一番左に事項がありまして、その右に三十三年度要求額(A)というのがございます。そのさらに右に前年度予算額(B)というのがございまして、その次に差引増減額(A)マイナス(B)と書いてありまして、備考にはその要点を記入してございます。とういう表でございまして、まず、事項について申し上げますが、科学技術振興費関係で、その一に科学技術者の海外留学渡航の経費として四千二百二十二万八千円計上されております。これは関係各省の研究者を海外に派遣して、海外の最新知識を吸収していただく経費でございますが、これが前年度に比べまして大幅に増額されておることでございます。この内訳といたしましては、一般留学として二千三百万円、それから国連拡大技術援助計画として千九百万円組まれておりますが、延べ留学予定者の数は百二十四名予定しております。
それから、次の2の御説明は省略いたしまして、新技術の開発促進でございますが、これがカッコ書きで八千万円計上してございます。注にございます「特殊法人理化学研究所(仮称)に出資金別枠として計上」とございます。これは今回仮称を取りまして、理化学研究所法案を提出する予定になっております。この理化学研究所の一つの事業といたしまして、新技術開発の事業をやることに予定しております。その経費として八千万円を計上しておるということでございますので、御承知置きを願いたいと思います。
次に、日本科学技術情報センターでございますが、これは昨年御審議いただき、昨年八月発足いたしたものでございます。発足に当りましては、政府出資金、補助金合せまして七千万円、ほか民間の寄付金、出資金合せまして七千万円、計一億四千万円で昨年発足したわけでございますが、昭和三十三年度におきましては、政府は一千万円増をいたしまして、出資金三千万円、補助金五千万円、計八千万円で事業を整備するという内容になっております。人員といたしましては三十人ほど、これは国家公務員ではございませんが、増加させる予定になっております。
次に、一欄飛びまして、6に多数部門の協力を要する試験研究助成という欄が、前年度二千五百万円とありましたのが、本年ゼロになっておりますが、これは備考にもありますように、「別途大蔵省計上経済基盤強化資金等(科学技術振興費)により処理」となっているのでございますが、昨年は多数部門の協力を要する研究といたしまして、クロレラという研究テーマを選びまして、日本食生活協会に補助いたしまして、農林、厚生、それから通産、その他関係方面の御協力をいただいて発足したわけでございますが、そういった事業を来年度はどうしてやるかという問題につきましては、備考書きにあります経済基盤強化資金の中の科学技術振興費において、別途補正予算を組んで要求するということに政府部内で打ち合せになっておりますので、そういう問題は、そこで取り上げるということになりますので、ここでは計上していないわけでございます。
次の7の総合的重要研究促進特別措置というのも、これも空欄になっておりまして、同様の措置をとる。同様と申しますと、経済基盤強化資金の方から補正予算を組んで要求するという考え方を持っております。政府といたしましては、この予算編成の当初に当りまして、科学技術庁といたしましては二十億円の要求を予定をしておったのでございますが、そういった経済基盤強化資金というものができるということになりましたので、ここでは計上いたしませんことにいたしたのでございます。なお、この関係は、先刻、大臣から御説明がありました科学技術会議においても、この重要研究の促進関係の問題は審議されるだろうと期待しているものでございます。御説明を付加いたします。
次に、原子力関係の表がございますが、このうち付加的に御説明いたします点といたしましては、6でございますが、6の核原料物質の探鉱奨励というのがございます。金頭としては三千万円でございまして、従来、通産省の探鉱奨励金として通商産業省に計上しておったものを、今回からは、核原料物質の探鉱奨励金でございますので、科学技術庁関係予算に計上してみたわけでございます。金額としては変化はございません。
次に、九番目の放射線医学総合研究所でございますが、この研究所には定員が三十名増加いたしておりますことを御報告申し上げたいと思います。
次に、次のページに移ります。試験研究機関関係でございまして、これは科学技術庁関係の付属研究機関でございますが、航空技術研究所につきましては、六カ年計画でその設備の整備を進めておりまして、昨年は遷音速風洞の施設をその半ば、半分の予算を計上いたしまして着工いたしておりますが、昭和三十三年度におきましては、その残りの後半の遷音速風洞を中心とする設備の強化に充てる予算といたしまして、ここに掲げてありますような予算を計上した次第でございます。金額としましては十一億二千五百六十二万三千円ということになっておりまして、このほかに債務負担行為がございます。債務負担行為として十五億八千万円を計上しておりますが、そういう予算をもちまして、航空技術研究所の設備の整備をはかりたいということでございます。人員といたしましては三十人の増員が認められております。
次に、二赤目の金属材料技術研究所でございますが、これは一昨年発足いたしました研究所でございまして、旧海軍技術研究所跡に施設を整備中でございまして、昭和三十三年度につきましては、引き続きその内容の整備をいたしたいというので、経費として四億一千三百四十六万三千円を計上しております。定員につきましては四十人の増員を認められております。
三番目の放射線、医事総合研究所は、先刻説明いたしましたので、重複いたしますから、説明を省略いたします。
四番目の特殊法人理化学研究所でございますが、先刻、大臣の予算についての大綱の御説明の中におきまして、特殊法人科学技術研究所(仮称)というふうに御説明がありましたが、これは政府といたしまして、いろいろ検討いたしました結果、名称を理化学研究所という名称として、法律案を近く国会の御審議に上程する予定にしておりますので、その点御修正をお願いいたします。(仮称)といたしておりますのを理化学研究所というふうにいたしまして出すことにいたします。金額といたしましては、三億三千万円でございます。その内訳に、全国科学技術振興費のIの3の新技術の開発促進というので八千万円という説明をいたしましたが、その八千万円を含めまして三億三千万円でございまして、理化学研究所の研究部門関係といたしましては二億五千万円、それから開発部門関係が八千万円、計三億三千万円と相なるものでございます。特殊法人理化学研究所設置法案の説明に基きまして、詳細にまた御説明をする機会があるかと思いますが、現在は株式会社科学研究所と相なっておりますのを、今回特殊法人というふうに変えますので、従来、毎年一億ないし一億五千万円ずつ出資しておりましたのを、二億五千万円に増額いたしまして、先刻の新技術の開発と合せまして、三億三千万円となったわけでございます。
次に、四番目の一般行政費関係について補足説明さしていただきますと、科学技術会議設置の費用でございますが、これは常勤議員二人をお願いする予定になっておりますが、その方の給与とか、あるいは初度調弁費というような経費を含めました金額として、一千五十七万四千円が新規に計上されております。
それから、あと二番目の科学技術振興長期計画作成というのは、科学技術会議において審議する原案の準備をする経費として二百十四万九千円が認められたものでございます。
三番目の資源の総合利用方策調査も、二千百十五万円と、前年に比べまして増加になっておりますが、この増が七百四万七千円増になっておりますが、これは従来、科学技術庁の資源局で、資源調査会という審議機関と一体的に資源問題をいろいろな角度から検討して参ったのでありますが、それを総合的な取りまとめをしたいということになりまして、その経費が入ったので増額されたものでございます。
あと五番目の電子技術の振興でございますが、今回、電子技術審議会を設置いたします予定にしております。その経費として、わずかでございますが、三十四万八千円を計上したわけでございます。
それから技術士法の施行でございますが、これは昨年御審議をいただきまして制定された法律に基きまして、予備試験を本年、この二月にいたしまして、八月ごろには本試験をいたすという段階になっておりますので、そういった試験の費用を中心にします費用として九十八万円を計上しております。
その他は説明を省略さしていただきます。
本庁関係につきましても、定員として五十四名の増員が入っております。
以上、簡単でございましたが……。失礼いたしました。ただいま五十四名と申しましたが、五十九名でございまして、修正をお願いいたします。研究所関係が百名、三研究所百名と、計百五十九名の増員を見たわけでございまして、現在定員が四百十七名、それに百五十九名増加になりますので、全員といたしましては五百七十六名ということに定員が増加する予定になっております。
以上、大臣の御説明の補足をさしていただいた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00419580220/19
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020・千葉信
○千葉信君 先ほど正力国務大臣の説明された中に、説明書と食い違っている。まあ、いわば読み違いをされたところがかなりあります。速記録にはその通り登載されているようです。その中で意味の違う、たとえば国有と固有という点なんかについては、意味が明らかに違いますから、一つ速記録等についての訂正、皆さんがお差しつかえなければ、委員長に取り計らっていただきたいということを希望するのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00419580220/20
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021・藤田進
○委員長(藤田進君) お諮りいたします。ただいまの御発言、ごもっとものように思いますので、委員長において善処いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00419580220/21
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022・藤田進
○委員長(藤田進君) さよう取り計らいます。
なお、今後は注意していただくようにお願い申し上げます。
それでは、他に御発言もなければ、本日はこれにて散会いたします。
午前十一時五十七分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102814889X00419580220/22
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