1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十四年二月二十四日(火曜日)
午後一時二十九分開議
出席委員
委員長 早川 崇君
理事 足立 篤郎君 理事 押谷 富三君
理事 小山 長規君 理事 坊 秀男君
理事 山下 春江君 理事 石野 久男君
理事 佐藤觀次郎君 理事 平岡忠次郎君
荒木萬壽夫君 奧村又十郎君
加藤 高藏君 鴨田 宗一君
進藤 一馬君 濱田 幸雄君
福田 一君 福永 一臣君
古川 丈吉君 細田 義安君
毛利 松平君 山本 勝市君
足鹿 覺君 久保田鶴松君
田万 廣文君 高田 富之君
廣瀬 勝邦君 松尾トシ子君
山花 秀雄君 横山 利秋君
出席政府委員
大蔵政務次官 山中 貞則君
大蔵事務官
(主税局長) 原 純夫君
委員外の出席者
大蔵事務官
(国税庁直税部
長) 金子 一平君
農林事務官
(農地局管理部
長) 庄野五一郎君
専 門 員 抜井 光三君
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二月二十四日
委員竹谷源太郎君及び横路節雄君辞任につき、
その補欠として足鹿覺君及び高田富之君が議長
の指名で委員に選任された。
同日
委員足鹿覺君及び高田富之君辞任につき、その
補欠として竹谷源太郎君及び横路節雄君が議長
の指名で委員に選任された。
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二月二十三日
国税徴収法案(内閣提出第一六二号)
同日
高級織物の物品税新設反対に関する請願(井岡
大治君紹介)(第一六二一号)
同外五十四件(大西正道君紹介)(第一六二二
号)
同(杉山元治郎君紹介)(第一六二三号)
同(高橋等君紹介)(第一六二四号)
同(服部安司君紹介)(第一六二五号)
同(古井喜實君紹介)(第一六二六号)
同(中垣國男君紹介)(第一六七五号)
同(柳谷清三郎君紹介)(第一六七六号)
同(大矢省三君紹介)(第一七一七号)
同外一件(日野吉夫君紹介)(第一七一八号)
同(砂原格君紹介)(第一八〇五号)
同(中馬辰猪君紹介)(第一八〇六号)
同外六件(福田篤泰君紹介)(第一八〇七号)
揮発油税等引上げ反対に関する請願(西村関一
君紹介)(第一六二七号)
同(木倉和一郎君紹介)(第一六七四号)
同(木村武雄君紹介)(第一七五二号)
同(松澤雄藏君紹介)(第一七五三号)
同(内藤隆君外一名紹介)(第一八〇三号)
同外一件(八田貞義君紹介)(第一八〇四号)
猟銃に対する物品税の小売店頭課税移行反対に
関する請願(原田憲君紹介)(第一六五〇号)
砂糖税引下げに関する請願(鳩山一郎君紹介)
(第一六七七号)
同(古川丈吉君紹介)(第一八〇八号)
同(赤路友藏君紹介)(第一七一四号)
同(鈴木茂三郎君紹介)(第一七一五号)
同(中馬辰猪君紹介)(第一七一六号)
多賀城町国有地の所管がえ等に関する請願(佐
々木更三君紹介)(第一七一二号)
同(竹谷源太郎君紹介)(第一七一三号)
入場税の減税に関する請願(館俊三君紹介)(
第一七一九号)
貴金属製品の小売課税軽減に関する請願(砂原
格君紹介)(第一七五四号)
は本委員会に付託された。
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二月二十三日
高級毛織物に対する物品税新設反対に関する陳
情書
(第三三二号)
同外二件
(第
三四〇号)
高級織物の物品税新設反対に関する陳情書
(第四二七号)
揮発油税等引上げ反対に関する陳情書
(第三三九号)
外地引揚教員等の身分取扱いに関する陳情書
(第三四九号)
元外地官庁所属職員の処遇に関する陳情書
(第三六五
号)
砂糖消費税法の一部を改正する法律案反対に関
する陳情書
(第三七〇号)
同
(第三八
〇号)
同
(第三八一号)
同
(第三八二
号)
同
(第三
八二号)
同
(第四一〇号)
同
(第四一一号)
同
(第四一二号)
遺家族及び引揚者国庫債券の繰上げ償還に関す
る陳情書
(第三七五号)
物品税法の一部を改正する法律案の一部修正に
関する陳情書
(第四〇九号)
塩業対策に関する陳情書
(第四二三号)
は本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
揮発油税法の一部を改正する法律案(内閣提出
第七五号)
物品税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
一一七号)
砂糖消費税法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一二七号)
入場税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
一三九号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/0
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001・早川崇
○早川委員長 これより会議を開きます。
まず参考人出席要求の件についてお諮りいたします。ただいま本委員会において審査中の揮発油税法の一部を改正する法律案及び入場税法の一部を改正する法律案の両案につきまして、それぞれ参考人の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/1
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002・早川崇
○早川委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。
なお、参考人には来たる二十六日出席を求めることとし、その人選につきましては、本委員長並びに理事に御一任願いたいと存じます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/2
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003・早川崇
○早川委員長 次に、内閣提出にかかわる揮発油税法の一部を改正する法律案、物品税法の一部を改正する法律案、砂糖消費税法の一部を改正する法律案及び入場税法の一部を改正する法律案の四法律案を一括して議題といたします。
質疑の通告がありますので、これを許します。横山利秋君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/3
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004・横山利秋
○横山委員 道路整備財源確保の必要にかんがみ揮発油税の税率を引き上げる。これが本法改正の理由だそうであります。本委員会がこの揮発油税につきまして審議をすることは、すでにここ数年来毎期々々でありますから、その論争の焦点もおのずから明白なところであります。ですから、この問題については、数字的なことよりも、より政治的な分野において討論をせらるべきが至当だと考え、私もまた、その意味において、大蔵大臣なりあるいは政務次官の御出席のもとに根本的な趣旨をただしたいと思うのでありますが、それまでに、先般の委員会において一部政府事務当局に質問をいたしました点から、少し質疑を続けていきたいと思います。
まず、この間お願いをいたしました数点にわたった資料につきまして、まだ本委員会に提示がございませんが、いかなる事情でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/4
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005・原純夫
○原政府委員 大へんおくれまして申しわけございませんが、実は、私どもの手は離れて——私どもと申してはいけないかもしれません。政府委員室には一両日前に送りつけたのでございます。それが参っていないということを今聞きましたので、至急取り寄せさせておりますから、間もなく持って上ることと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/5
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006・横山利秋
○横山委員 それではその政府の資料を基礎にして議論をすべきでありますから、少し私のこれからの質問がくつの上から足をかくような議論になるかもしれないと心配するわけでありますが、しかし、時間の関係上、この間の続きからそれじゃ質問をいたしましょう。
第一番目の問題は、これが「道路整備財源確保の必要にかんがみ」というのがうたい文句でありますが、一体、その道路整備財源とは、かりに道路を整備する必要がありとせば、それはだれが出すべきであるかという税の理論から、政府の意向をまずただしたいと思うわけであります。その点について、税制上、事務当局としてはどういう考えであるかということを、まずお伺いをいたします。簡潔に言って下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/6
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007・原純夫
○原政府委員 道路整備の財源を何で出すかということは、いろいろな条件を考えた結論として出ることであろうと思います。一つには、道路整備自体が非常に飛躍的に整備を向上させなければならぬ時期か、あるいは、イギリスあたりにおいて見られるように、もう整備はできてしまって、あとの維持補修というような機能をやればよろしいかという需要面の性格、それが結局財政需要としての大きさがそれによって大きく影響されるわけでありますが、そういう時期的な問題もあろうと思います。また、財源面において、一般財源にどれだけゆとりがあるかということもあろうかと思います。それからまた、各国とも、道路整備の財源に揮発油に対する税その他の税源を充てておることでありますので、いわば国際的なバランスといいますか、これは結局輸送費におけるコストの計算に税金がどれだけ入るかということにおいて、いわば国民経済の費用のうちに各国と比べてどれだけ税が入ってよろしいかという意味での一つの比較論があり得るわけであります。そういうような見地から、各国でどういうようなことをやっているかということも、一つのめどになるでありましょうし、また、最後に、課税いたします場合に、受益との関係、あるいは負担力との関係というようなこともあるだろうと思います。政府といたしまして、それらの全部を考えまして、その結論として、今回お願いしておるような五千五百円の引き上げをいたしたいというふうに考えた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/7
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008・横山利秋
○横山委員 私の尋ねたいことをそのものずばりで言いますと、このガソリン税については猛烈な反対運動が全国津々浦々から起っておる。この反対運動の声を集約していいますならば、おれたちばかりが何でそう負担せんならぬかということなんです。その人々も、道路をよくすることについては、われわれは何も反対するものではない、しかし、年々歳々減税々々というておるときに、おれたちばかりが年々歳々増税々々といわれるのは、そもいかなる理由であるかということなんです。それに対する説得力のある政府の答えがないのですよ。要すれば、道路を直すんだから、あなた方は道路を利用するのだから、あなた方の負担分はこのくらいは負担してもらわなければいかぬ、という理論がないということなんです。このくらいは国が当然めんどうを見ましょう、このくらいは受益者であるあなた方が負担してしかるべきだという理論がない。そこをあなたに聞いているのです。ここに三十二年度、三十三年度の道路整備事業費の調査表がありますが、それを見ますと、三十二年度を例にとって見るならば、揮発油税の税収額が五百三億九千四百万円、一般財源が四十九億五千三百万円、まさに九一%を揮発油税収によっておるわけだ。三十三年度を例に引けば八三%です。今度資料として要求しておりますが、道路整備五カ年計画の年度割は、どのくらい揮発油税収がその財源のパーセンテージを占めておるかわからぬのでありますけれども、少くともこれではもう安易に堕しておるのではないか。政府としてその受益者に対する負担をしてもらわなければいけませんよという説得力のある理屈というものがないではないか。それで、私は、あなたに、理屈があったら一ぺん言うてごらんなさいというて、機会を提供しておるわけです。だから、ここ数年来毎年々々もし政府が増税々々というのであるならば、それをまた受益者に対して納得してもらわなければいかぬ。なぜ受益者はこのくらいの負担が当然であるかということをいわなければならぬ。その理由については——私が今聞いておるのはこういうことですよ。金があるとか、ないとかいうことじゃないのですよ。国の財源と受益者の目的税たる揮発油税の財源と、その割合がこの辺が適当であるというあなた方の説得力のある理屈はないか、それを聞いておるのですから、そんな高等な理論でなくて、現実の今の政治の中で、受益者はこのパーセンテージくらいは負担すべきであるということがあるならば、言ってごらんなさい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/8
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009・原純夫
○原政府委員 ただいま申し上げましたことを数字的に若干敷衍して申し上げます。先般の会議でも申し上げましたように、この揮発油税の引き上げをこの程度いたしたいと思いましたのは、一つには道路整備の必要があるということと、片方で負担の面においてもそのくらいの負担をしていただいてもやむを得ぬ、負担力なきにしもあらず、という判断をいたしたわけであります。まずそういう意味で申し上げますと、揮発油の小売価格において揮発油税がどれだけの割合になっておるかということを国別に調べますと、日本はただいま五〇・七%でありますが、欧米各国におきましては、米国が三〇%であるのを除いて、イギリスは六〇%、西独は五四。八%、フランスが七七%、イタリアが七〇・九%というようなことになっております。日本よりもいずれも高い。そしてこの差を税額に直しますと五千円は優に上回るということになります。
〔早川委員長退席、山下(春)委員長代理着席〕
同様なことを別の面から見るために、一体揮発油税収入に対して国ないし地方団体が道路のために費している費用はどういう関係にあるか、各国の例を調べてみたわけであります。日本におきましては、これは三十三年度の数字でありますが、道路支出を一〇〇といたしまして、揮発油その他自動車関係の税の収入はそれの八二%、つまり税収の方が少い。税収よりもよけいの支出をいたしております。米英等におきましては、アメリカは一三四%、つまり税収の方が道路支出よりも三割四分大きい。三四%は揮発油税の税収を一般財源に使っておる。英国では五一七%、ですから道路のためにはわずかに五分の一しか使っていない。それからフランスでは一一八%、二割を他の用途に使っておる。西独では三二六%、道路には三分の一しか使っていないというような状況になっております。これらをごらんになっても、いわば国際場裏に競争するその競争の一つファクターである輸送費の原価に入ってくる税というものの地位として、この五千五百円の増は必ずしも不当ではないということが出て参ると考えております。
一方、税を負担する側のいたみ工合でありますが、まずその面では、たびたび申し上げておりますように、これは道路整備の金であるから、整備によって運行費が安くなる。安くなる額は実に膨大なものでありまして、私どもが先年来やっております方式、つまり運行費が二割なり三割なり安くなる、それでできた整備道路に自動車が年間何台何キロ走るか、そうすると一キロ当りで二割なり三割安くなる、その額を総計するとどれだけの利益になるか、これはつまりコストが安くなるわけでありますから、それだけ運賃を下げるか、あるいは利潤がふえるかということになります。これは、一度道路を整備しますと、一応私どもは十五年という計算でやっておりますが、改良道路などははるかに長い期間持つわけであります。そういう利益をずっと合計して参りますと、税負担の二倍くらいには簡単になってしまう。私どもと別途に鮎川さんのやっておりました調査会があります。三、四年前にやられたのでありますが、これによりますと、道路整備のために投資した金額の約四倍の利益が返ってくる。これはもちろん運送業者だけではなくて国民経済全般の利益まで入れるわけでありますが、実に四倍の利益が返る。よくいわれますように、すぐには返ってこないということは確かでありますけれども、毎年やっておりますので、そういう利益がどんどんふえて参るということになり、結局長い先にはネットとして運賃は下げられるか、あるいは利潤がふえるかということになるわけであります。その辺の関係は、本日ただいまお手元に差し出しました資料の四ページ以下に数字的に詳細したためてございます。
なお、負担の問題としていわれますのは、まず運賃に転嫁できるかどうかというのが一つ、転嫁できないとすれば、転嫁できないものをどこで吸収するか、運送業者のふところで吸収するならば相当なものになるという御議論が出ましたが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/9
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010・横山利秋
○横山委員 そんなことは聞いていませんよ。原さん、あなたは全部一ぺんにものを言おうと思って、僕が何を聞いているのか判断もせずに、ある材料を全部投げ出して説得しようと思ったってだめなんです。僕が言っておるのはこういうことなんですよ。目的税である、だからそれは道路に使うのだ、それはわかっている。問題は、国の道路を直すときに、受益者が負担する割合と、一般財源でこれを投入する割合について、政府として一つの目安を持っているか、持っているならば、その目安はこのくらいという数字を出せ、こう言っておるんですよ。わかりますか。それが年々歳々ぐらぐらして、結局は、一般財源を出し惜しみをして、ガソリン税の増税ばかりしておるじゃないか、どこまでいったらとめどがあるのかということを聞いておる。科学的に一般財源はこのくらいが妥当である、ガソリン税で道路を直すのにはこのくらいが妥当であるという一つの科学的基準を示せ、こう言っておる。あなたの言うような抽象的な外国の例とか、運行費が安くなるとか、そんなことではない。それらを含めてもよろしいが、大体今の政府といたしましては一般財源で道路整備費が何パーセント、ガソリン税によって道路を直す度合いは何パーセントであります、その理由は次の通りでありますという基準をはっきり申しなさい、こう言っておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/10
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011・原純夫
○原政府委員 何分増税ということでありますから、いろいろ御反対が多い。そういう際になるべくこの一般財源を出せという御議論はわかりますし、政府もそういう気持は失わないでおるわけでありますけれども、先ほど申し上げましたような計数から言うならば、各国との比較において、つまり国際的に競争する日本経済の運賃原価の構成要素として判断し、あるいは負担力等から判断するならば、今回の引き上げ程度は十分負担していただけるという筋合いが出てくるのではないかというふうに考えるというわけであります。各国比較でいくならば、各国は揮発油税その他自動車税関係の税収入を一般財源に相当使っておるというのがむしろ多い例であって、日本はやはり、こういう整備の時代でありますから、一般財源を持ち出しておるという意味では、各国よりも進んでおる。私の申しますのは、決して一般財源を出せという御要望を否定するわけではないけれども、やはりどこが限度かといえば、このただいま御提案をしておるものは決して限度を越えておるものではないというように申し上げておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/11
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012・横山利秋
○横山委員 とぼけて言っては困るのです。私の言っておるのはあ、そういう政治論争や社会党の主張などは何も持ち出していないんですよ。一つ事務的に質疑応答をしようという段階で、あなたが言う限度を越えていないというその限度は何だということを聞いておるんですよ。一般財源とガソリン税とのその比率を、今日の日本の政情のもとにおいては、何パーセントを一般財源から出すべきだと私は確信をいたします、そういう双方のパーセンテージの度合いを一つ科学的に聞かしてもらいたい、こう言っておる。それを、あなたは何かとぼけてあれやこれや話をなさるから、そういう話をなさると、私は逆に邪推する。あなたは、そういう根拠がないものだから、答弁を逃げておる、そういうふうにしか思えないじゃないですか。私は科学的、事務的、合理的に聞いておる。大体この道路整備五カ年計画をこれから徹底するに際しても、ガソリン税による度合いは何パーセントが正しいと思いますか、その理由は次の通りでありますということを政府としてもきめたであろう。それがきめられなくて、ガソリン税の増税がきまるはずがない。そういう非科学的なまた政治的なことでこのガソリン税がきめられるとしたならば、これはけしからぬ。だから、事務当局としては、そういうようなことがあろうとなかろうと、やはり道路整備財源のうちで目的税たるガソリン税が占める割合、比率というものはこのくらいが至当であるという何かがあったはずだ。それを出しなさいと言っているわけです。誤解してもらっては困る。私はまだ社会党の意を持ち出しているわけではありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/12
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013・原純夫
○原政府委員 非常にむずかしい御質問であります。これは、ただいまのようにガソリン税収が目的税のようになったのは、二十九年だったと思います。その前は揮発油税というものはなかったのかというと、あったのであります。あって、これは一般財源になっておったわけであります。従いまして、揮発油税全部を使うということ自体が、やはり一般財源との関係があったわけです。つまり従前一般財源であったものを道路財源に持っていったということがあるわけです。各国においてもただいま申し上げた通り揮発油税を一般財源に使っておるわけです。ですから、そういう意味で、揮発油税の全額を道路に使うということは、これは当然のことであるか、あるいはそこに一般財源との関係がすでにあると考えるかという問題が一つあります。それから、今の御質問のどれがちょうどいい比率かというのは非常にむずかしい問題で、やはりわれわれは方向的に考える。方向的ということは、道路整備が今日本では非常に緊急の必要であります。大きな金額が要る。いわば一種の建設時代であります。こういう時代に揮発油税に負担をかけていくということについて限度はどうか。その限度の中ならばこれは一応案として立ち得るのではないか。もちろん、一般財源にゆとりがある限り、あるいは工面してでも出せという議論があるだろうけれども、一般財源の方は一般財源で、これは国民年金だとか何だかだいって財政需要が多いわけでありますから、方法論としてはずばり比率がどれがいいということはむずかしい問題であって、方向的に揮発油税増徴の余地がありやいなやという角度でものを考えても一向差しつかえないのじゃないか、こういう方向で考えました経路をただいま申し上げておるわけであります。それを、もっとどぎつく、各国の小売価格における税負担の比率を、日本以外の西欧各国の比率の平均をとって、そして日本においてもその平均比率まではよろしいのだというような角度で計算すれば、これは一万円前後の増徴しかるべしというような数字にもなってくるわけです。あまりにどぎついから、そこまでは私は申し上げない。またそれが限度であるというところまでもにわかには申し上げられないものですから、申し上げてないわけですけれども、私どもは、そういうふうに道路整備の財源が今非常に緊急に膨大に必要であるということを考え、かつ、整備すれば、それによって受益がいくというようなことを考えて、方向的にものを考えるならば、揮発油税の負担はここまでいってよろしいかどうかというような問題の提起の仕方がある。それで、最初には、一般財源とこの目的税財源との比率はいかんという問題を私ども設定いたさなかったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/13
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014・横山利秋
○横山委員 わかりました。そうすると、きわめて大事なことでありますが、日本の道路を五カ年計画で直すに際して、一般財源とガソリン税財源との比率はいかにあるべきかということから出発をしなかった。そういうことはきめてかからなかったということでありますね。——わかりました。そうすると、その次は、私はそれに対する御見解を一ぺん大臣にお尋ねしたいと思いますから、ここでは次に移ります。
その次には、結局あとは受益者の負担能力ということと、それからあなたのおっしゃる点でいくならば各国との税の比較、こういう点がガソリン税の決定の事情である、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/14
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015・原純夫
○原政府委員 負担能力、それから受益の度合い、それから各国との比較。負担能力といいますのは、もちろん全部が運送業者に負担されるというふうに考えておりませんので、運送業者あるいは運賃を通じて国民一般ということを含めての負担能力であります。それらが、一応今すぐに思いつきます限りでは、一番大きなファクターだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/15
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016・横山利秋
○横山委員 第一が負担能力、第二番目が受益度合い、第三番目が各国との比較。それじゃそれから一つ進んで参りましょう。まず第一に、負担能力については、私は先般あなたに資料を要求いたしましたが、今提示された表の四ページの「揮発油税負担と道路整備による受益との関係」1「鮎川構想における受益総額「十一年間で投資額の四倍」とある。ここでございますが、これが政府の根拠でありますか。この鮎川構想がこの受益理論に関する政府の根拠でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/16
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017・原純夫
○原政府委員 鮎川構想と、それからそのページのまん中ごろに2として「走行費節約による直接受益額」、これは、鮎川構想に対比する意味において、政府が先年来とっている方法による受益額であります。二つやり方がある。鮎川構想は、直接の運行業者の受益のほか、たとえば沿道でほこりをかぶる度合いが少くなるというあたりまでを計算しておられまして、非常に広い。二番の方は、直接運行費の節約額ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/17
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018・横山利秋
○横山委員 それで、まず鮎川構想からいきましょう。鮎川構想は、ここに政府は三点にまとめておりますが、私鮎川道路調査会の具体的な統計表を持っておりますが、第一には、自動車運行経費に転嫁し得ると思われるものが七つに分けてございます。第二番目は、自動車運行に転嫁し得ないと思われるものを五つに分け、三番目にいずれとも判定しがたいものを三つに分けております。その第一点は、走行経費の節減として三四・二%というパーセンテージを使っているわけです。その以外の荷作り、梱包費節約、道路短縮による運賃節約等を含めて、この鮎川道路調査会のパーセンテージをどういうふうに政府としては利用なすっているのか。この表を科学的に見ますと、今日のような政府の一般財源と道路財源との比率というものは毛頭出てこないと思うのでありますが、その点は一体どういうふうに鮎川構想を考えていらっしゃるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/18
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019・原純夫
○原政府委員 鮎川構想で三四%が運行業者の直接受益であるから、道路整備費については財源の三四%を運行業者が持つというような御議論が出るわけでありますが、三四%といいますのは、これにありますように、利益が四倍出る。四倍出るものの三四%でありますから、一・三六倍になります。つまり負担の一・三六倍の利益がある。しかもそれは十一年間ですから、道路はもっと持つ。それを考えればもっとになるということになります。三四というのはごく直接の受益であって、その他の間接受益でありましても、道路運行業者の受益にはなるものであって、私ども、そういう意味から、この比率で道路整備の税による負担の割合をきめるのはいかがか。むしろ、受益の総額がそれだけ大きいのだから、税による負担の限界を画する一つの基準としてこれを考える方がいいのではないかというふうに考えております。元が四倍になるということをお忘れないようにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/19
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020・横山利秋
○横山委員 これは非常にあなたの方が、名古屋の弁でいきますと、こすいのです。なぜかというと、鮎川道路調査会の作りました三つに分け、しかもその一番比重の多い走行経費の節減三四・二%、ここから発して、ほかに自動車運行に転嫁し得ないと思われるのは二五・六%あるわけです。これを除外しなければいかぬということは、あなたの方でここに書いてある五の1の(3)「直接又は間接に自動車業者が受ける利益合計は受益全体の八六・八%となる。」ということを逆にいえば、この自動車業者以外の受益の割合は一三・二%という逆論が出てくるわけです。一般国民と国の産業経済という観点から見ますと、この八六・八%は常識的に考えても全く勝手な数字じゃありませんか。あれも自動車業者だろう、これも関係するだろうといって寄せ集めた数字というふうにあなたは思いませんか。いかに何と言ったって、道がよくなれば、自動車業者が直接間接に八六・八%だから、あとの人たちは一三・二%しか恩恵を受けないのだという理論は成り立たないでありましょう。あなたが一歩譲ってもらって、では直接が三七・二%である。ラップするところがある。そのラップするのを平均値で割ってみたらどのくらいになるかということを考えてごらんなさい。そうすると、やはり今の予算で盛られておる一般財源とガソリン税、その財源の比較論というものは、鮎川構想からいってもずいぶんあなたの方は間違いを犯しておる、この鮎川理論について勝手なでっち上げをしておる、こう思いませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/20
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021・原純夫
○原政府委員 そうでないということをさっきから申し上げておるわけでございます。というのは、三四%という割合をおとりになってはいけないので、総額においては、鮎川さんの計算では、六千六百億の投資に対して二兆五千億の受益がある、それの三割四分である。私どもの計算では、その三割四分は小さ過ぎる、直接をとっても三割七分と言っておりますが、そうしますと二兆五千億の三割七分ですから九千億くらいの受益が十一年間にあるというわけでありますから、税は今負担する、受益はあとでくるという時期的なずれはございますけれども、そういう意味においては全額負担していただいてもマイナスにはならないということであります。かつ、このお話は全部を運送業者が負担するという前提でのお話でありますが、私ども、それは必ずしもそうはならぬ、むしろ、原則としては、間接税は最終消費者まで転嫁されるということを前提としておりますし、またかりに運送業者の利益がこの分だけ食い込むというようなことになれば、運送業としては利潤率が全体として低下する。そこにはやはり資本の移動と申しますか、そういうことで強制されるならば、やってもつまらぬというので、運送サービスは減るというような例の規則が働くわけで、そういうことにはならない。やはり国民経済の必要とする運送は、そのコストを正当に払ったものへ最終的には落ちつくというふうに見ますので、その負担も、結局は運送業者だけでなくて、運送業者のサービスを受ける方にもいくわけでありますから、そうなると、かりに一部摩擦的に負担が残るとしても、今の三四%といわれたものの何分の一というようなオーダーのものが、運送業者の手元において負担になるというようなことになるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/21
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022・横山利秋
○横山委員 意見の相違というところでありますが、その次の問題に移りましょう。
今は受益の度合いでありますが、今度は負担能力の問題、その前に、この値上げ分の転嫁がいかに行われるか、だれが負担するかということが政府の構想の中に出てこなければならず、その負担をしなければならない人が負担する能力があるかという二段になると思うのであります。まずその点について政府側の説明を聞きたい。
〔山下(春)委員長代理退席、委員長
着席〕
それから、委員長にお願いしたいのでありますが、政務次官が一向まだ来ないのです。さらに督促をしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/22
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023・原純夫
○原政府委員 転嫁がどうなるかというお尋ねであります。非常にむずかしくて、これを精細に見通すことはきわめて困難であります。ただいま申しましたように、ガソリンというものは大体企業形態の大きさからいいましても脱税がない。もう全部のこれを使う事業が高い値段のガソリンを買う。そうなりますと、それによって運送する向きは、やはり運賃に対してそれを転嫁するというような方向にいくのではなかろうかというふうに思います。問題は、ガソリン自体でガソリンの価格がすぐ上るかどうかという問題、運賃がすぐ上るかという問題、二段になります。ガソリン自体の方は、本日お手元に差し上げました資料の三ページのまん中の四というところに「税率引上げと揮発油の価格との関係」というのが出ております。これは、前回三十二年四月に五千三百円の地方道路税を含めての引き上げをいたしましたときに、揮発油の小売価格はどうなったというのを見たわけであります。最初の横のワクで見ますと、三十二年三月には三万七千四百円であった。これは三十一年の六月三万一千六百五十円が、例のスエズ動乱等の影響でぐっと上ってきておったわけです。その上三十二年四月は五千三百円上げましたのが、ほとんど五千円は乗っかって四万二千四百円ということになっている。ここではほぼ完全に近い価格への上乗せが行われたわけであります。ところが、三十二年六月に下り、さらにもう一年たった昨年の六月、十月には三万六千四百円というふうになりまして、引き上げ前の三万七千四百円よりも逆に千円安くなっているというようなことになります。これは揮発油の需給あるいは運賃の値下りまたはスエズ動乱の冷却というようなことにもよりますので、なかなか判断のむずかしいところでありますが、事実をそのまま並べた。その下のは各年度の大体のレベルをとって表にしたものであります。これでも、三十二年度は、前の年の三万三千円から四万円というふうに七千円ばかり上った。三十三年度は逆に下っているというような状態になっております。今度こういう増税をやった場合に、やはりガソリンの価格はそれだけまずまず上るだろうと私どもは思いますが、昨日でしたかの新聞紙に見られるように、原油の価格が一割下った、運賃もだいぶ下っているというようなことがありますから、そういうものとの複合で価格が決定されてくるということになります。
第二段の運賃への影響にいたしましても、ただいまの三ページの表の上の三番にありますように、全部が運賃に転嫁されたといたしましても、一・九%ないし二・九%という程度のことでありますから、これが独立に運賃引き上げのファクターにはなかなかならないオーダーのものであります。他のいろいろなファクターと一緒になりまして、中にはこれを相殺するファクターがあるでありましょうし、中にはこれに加わるファクターがあるでありましょう。そのそれぞれの企業の種類、あるいは場合によっては企業体ごとに、そういう事態をはっきりして結論を出すということになりますので、運賃に対する転嫁の問題は、ガソリン価格自体に対する転嫁の問題よりも、よりクッションが多いということになるわけであります。長い問題としては、いずれ運賃には転嫁されるであろう、しかし、さしあたりどうなるかということは、あまりにも割合が小さいので、ほかのと一緒になった結論をここに出す以外にないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/23
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024・横山利秋
○横山委員 原さんにお願いしたいのだが、回答はなるべく簡単に、しかも腕曲に言わないで、ずばりと言ってほしいのです。たとえば、今の税率引き上げと揮発油の価格との関係の、三十一年六月には三万一千六百五十円であった、三十二年三月には三万七千四百円であるが、それが三十二年四月になって五千三百円がその上に乗っかって四万二千円になったけれども、そのうちに下ってしまいました、そこまで言ったのだから、石油業者がもうかっておるから、その中から値上げ分は転嫁されますというのかと思いますと、いやそうではないと思いますというような状態であります。何を言おうとしておるのかわかりません。もしも、あなたの言うように、需給状態で、あるいはスエズの動乱がおさまったから、あるいは原油の需給その他の事情があったからこうなったというなら、こういうものを出す必要はない。そうではなくして、これをごらん下さい、これによって石油業者がもうかっているのですから、石油業者がこの値上げ分を吸収いたしますから御安心下さいとおっしゃるなら、そう言ってもらいたい。私が今聞いているのは、もう一ぺん繰り返し申しますけれども、この転嫁はどこへ行くのか、どういうところで負担されるのか、そして負担される人は負担能力があるのかということをただしたいと思っているわけです。それに対して原さんのお答えはきわめて抽象的で、一体何が何やらわからぬと思うのですけれども、もう一ぺん御説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/24
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025・原純夫
○原政府委員 簡単に申しますれば、時間はかかるけれども、まずまず究極的には運賃に転嫁をされて、そして国民経済全般がこれを運賃という形でこなすことになるだろうというふうに思います。しかし、それに組み入れられるには、相当時間がかかるのではないかと思います。一方に、毎年の整備で受益、つまりコストの低下ということもありますから、そういうことも一応あわせて考えなければならぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/25
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026・横山利秋
○横山委員 では、さらに確認をいたしますが、時間はかかるけれども、運賃に転嫁されるということは、これは今すぐでないにしても、究極的には運賃の引き上げとなります、そこで転嫁が大衆にされます、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/26
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027・原純夫
○原政府委員 他のファクター、特に道路整備による受益が、そうやって時間がたっている間に利益がだんだん出てくるということがありますから、やはりこのファクターを考えるときには、その受益ということはコストが下ることですから、これは運賃が下るファクターが出てくる。それと相殺してみなければならぬ、さしあたりは相殺した残りがやはりプラスで出るだろうけれども、五年もたてばもうそれはゼロになる、あとはむしろ運賃引き下げのファクターに働くということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/27
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028・横山利秋
○横山委員 五年先のことを言っているのではありません。では、もう一ぺんあなたの言葉を整理いたしますが、そうしますと、このガソリン税の引き上げは、さしあたりはそれぞれの業界において負担増となる、そうしてそのうちにそれが運賃値上げに転嫁する、運賃値上げに転嫁していって、そのうちに今度は道路の整備がされてプラスの度合いが出てくる、そうして運賃が今度は引き上げの必要がなくなる、今度は業界がそれによってもうかってくる、こういう四段論法というふうに理解してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/28
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029・原純夫
○原政府委員 その通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/29
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030・横山利秋
○横山委員 わかりました。そこで、それではさしあたりはこの値上げ分は業界に負担をしてもらうというところであります。業界の負担の度合いです。今度はどういうふうに負担をするのかということです。今あなたと私との話に出ておるのは、たとえば石油業者、それから運送業者、こういうことになりますね。で、あなたの判断としては、どういうふうに業界がこれを負担していくことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/30
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031・原純夫
○原政府委員 私が申しましたのは、石油業者ないし運送業者、そういうところでの負担よりも、それらを越えてその運賃で負担する方が多いだろうと言っているわけです。ですから、石油業者、運送業者には理屈としては負担はむしろ少いのではないか。実際には前回あたりはその前の製油業者の利益が非常に多かったというのが、その後下ってきているというようなところにおいて、まあそこで吸収されたという見方も相当出ますけれども、こういう間接税の理論的な建前からして、負担は終局の運賃の格好でいくということが大部分ではなかろうかというふうに思っているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/31
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032・横山利秋
○横山委員 ちょっと聞き漏らしましたが、あなたのおっしゃることは、実際は業界が負担することなくして、運賃という形になる、ということは、直接に——これが、先ほどの話によれば、終局的に運賃引き上げをもたらすというお話のようでしたが、今のお話によりますと、これは直接的に運賃引き上げをもたらす、それによって業界にはそう影響はない、こういうお話に変ったように思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/32
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033・原純夫
○原政府委員 先ほど申しましたのは、こういうことです。運賃に響くとしても一・九ないし二・九、まあ二、三%の問題である。それだけで二、三%運賃引き上げをやるかというと、なかなかやりますまい。ほかのファクターでコストが下るファクターがあれば、それは飛んでしまいましょう。ほかに一〇%とか、七、八%というようなコストの上るファクターがあれば、合せて一割になるから、一割上げろというような議論が出てくるかもしれない。その辺は、この幅が小さいだけに、実際に運賃にはね返るには相当そういう経緯が必要であろう。その経緯の中で相殺するファクターで相殺されてしまうという場合があるだろうし、また加重されて実際運賃引き上げになる場合があるだろう。そういうことがあるから、すぐにはいかぬだろうという意味では、若干時期のおくれがあるだろうということを申し上げたわけであります。最終的には、やはり運賃においてこれを回収するということが、そういう理屈が貫徹するのではないかというふうに申しているわけですから、ある程度の時間を置いてそういう状態ができるというふうにお考え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/33
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034・横山利秋
○横山委員 そこのところがあいまいになってしまいましたが、いずれにしても、この運賃値上げというものをあなたは想定に入れて立案をし、答弁をしておられる。そのことは大蔵大臣並びに運輸大臣も御了承の上ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/34
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035・原純夫
○原政府委員 もちろん理の当然でございますので、政府部内でもそういうように考えております。ただ、これははでに運賃を上げるのだというのではないのでございますよ。運賃に響かざるを得ない、しかし響くについては一方でほかの要素もあるから、プラス、マイナスの要素があるからすぐにはいきませんよ。それらと一緒にしてよく見た上で、個々の企業に、あるいは各種の運送の種類別に事柄の結論を出して参るというふうに、政府部内として統一して考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/35
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036・横山利秋
○横山委員 議論が少し政治的になってきましたから、政務次官がちょうどいらっしゃったので、伺います。私はその点政府に明確にしてもらわなければならない。次官は、今いらっしゃったばかりで、ちょっと先ほどからの中心課題がおわかりにならぬかもしれませんけれども、要するに、このガソリン税の値上げはどこへ転嫁し、その転嫁をされた人は負担能力があるかという問題を今議論しているわけです。で、原さんは、それに対して、まず第一に業界が吸収し、吸収し得なかったときには運賃引き上げになる、運賃引き上げは政府部内でこれを了承しておる、そうしてそのうち道路がよくなるから、運賃値上げの必要はなくなる、最後には業界はもうかるという、四段論法といいますか、そういう議論をしておられるわけです。私が、きわめて問題は重大でありますから、政務次官にお伺いしたいと思うのは、まず第一に、このガソリン税の引き上げというものは、運賃値上げをもたらすものとして、政府関係部内は了承しておるかどうかということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/36
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037・山中貞則
○山中政府委員 正式に政府部内で意思の統一と申しますか、あるいは閣議で話し合いが出て了承したといういうような形のものは、私としては承知いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/37
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038・横山利秋
○横山委員 それでは少し話が違うじゃありませんか。政務次官にお伺いしたいのでありますが、私の言っていることは、政府は五千五百円なりあるいは軽油引取税の四千円なるものをだれに負担させようとしておるのかという議論です。今はだれに負担させようとしておるのか、負担させようとした人は負担能力があるかということで、議論を進めておるわけでありますが、政府が、そんな、だれに負担させようと考えていないということはないでありましょうから、当然そこに運賃値上げという議論が起っておるはずだ。起ってなければおかしいではないか。運賃値上げをさせないならさせないでよろしい。させるならさせるでよろしい。そこのところがあいまいになっておることはおかしいと私は言うのです。もう一ぺん重ねて政務次官の御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/38
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039・山中貞則
○山中政府委員 途中から聞いておりますので、あるいは答えが的確でない点があったら、お許し願いたいと思いますが、もちろん、揮発油税を引き上げるということを決定いたします際には、その課税客体がだれになるかは明らかなる事実でありまして、その結果がどう転嫁されるのかという議論については、少くともガソリン税を幾ら引き上げるか、また道路計画に要する財源をいずれにまかなうか等の一貫した議論の中には、これによって運賃の値上げをどうするんだというような議論は起っておりませんし、また、私大臣でありませんから、運輸大臣との関係は知りませんが、値上げ等の関係については、所管省は運輸省でありますから、それについて運輸省から申し入れその他の少くとも運賃値上げ等についてのことがあったことは、私は聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/39
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040・横山利秋
○横山委員 次官の率直な経過としての御報告は、これは了といたします。しかし、それでは私の質問に対する御答弁にならないのであります。私は政府が当然その点について言及し、結論を得て、ガソリン税の引き上げについての提案をなさるべきであるということを、確信をしておるわけであります。つまり、値上げはする、だれがそれを負担するか知りません、負担する人は負担能力があるかどうか知りません、というような御答弁になりかねないからであります。今のお話は。(山中政府委員「そうではない」と呼ぶ)だって、そうじゃありませんか。私は、その過程の中に、運賃の値上げという問題を政府が議論をしてないはずはないという考えであります。もし次官が御存じないならば、あらためて私は大臣なりあるいは運輸大臣なりにお伺いしなければなりませんが、その点はわかりました。その点は一つ明確に負担をさせられるべき人、その人の負担能力という点について、私はたださなければならぬと思っておるわけでありますから、では、あらためて、この点につきましては、運賃値上げの問題について政府側から次回に御答弁を正確に承わりたいと思います。次の問題に移ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/40
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041・山中貞則
○山中政府委員 ちょっと答弁しておきます。運賃値上げの議論につきましては、たとえば先般も松尾委員から御質問等がありまして、運輸省で先般行いました運賃値上げについてのいろいろ御批判、御見解の披瀝があったわけでありますが、運賃値上げの議論とこの問題を今ここで議論しなければならないということも当然のことだと思います。しかし、私どもがガソリン税を道路の五カ年計画の財源に充当することをきめ、それによって金額等を算定いたしまする場合のいろいろの検討の材料といたしましては、当然アメリカその他のガソリンを高度に消費する国々のガソリン税のかけ方あるいはそのパーセントというようなものを検討いたしましたり、また、アメリカ等のガソリン税は、その収入でもって道路をまかなった後、一般財源にも逆に充当するくらいの率がかけてあるというようなこと等もいろいろと検討いたしました。もっぱらその値上げの議論と、今おっしゃったような議論では重なりましょうが、私どもは、直接の関連性なく、ガソリン税をこれ以上げられるかどうかという議論についての検討で、一応道路財源にはこういう結果を結論として得たということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/41
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042・横山利秋
○横山委員 やっぱりそれは私の答えにはならないのであります。私は次の質問で各国との問題について言及をしたいと思っているわけでありますが、今次官がおっしゃった点については、これは別の問題であります。値上げというものが運賃値上げに与える影響、運賃値上げにもたらす影響というものについて、政府部内の答えが統一しておりません。これでは審議に差しつかえますから、次回に、正確に、その点は政府側の見解を統一して、しかるべき人からお答えをお願いいたしたいと思います。
その次は、原局長の言によれば、第三番目の問題です。第一番目が受益の度合いでありまして、第二番目が負担能力の問題でありました。第三番目が各国との比較論であります。各国との比較論をするに先だちまして、何と何とを比較するかということが実は重大であります。私どもも、日本の税金とアメリカの税金を比較する場合に、大蔵省の、「日本の財政」という毎年々々出ております私どもが非常に参考になる本でありますが、これを見ましても、「日本の財政」、常に税金を比較する場合に、国民所得と税金との比率を比較しているわけであります。そのつり合いの中で比較するわけであります。単に個々の税金がどっちが高いか安いかでなくて、国民所得の中で占める比率ということの方が実は問題なのであります。その議論がなしに、単純に比較いたしましたら、これは机上の空論といっても私は差しつかえないと思うわけです。先ほどアメリカあるいはどこやらと比較するという数字が出ておったのでありますが、その点について、いま一度政府側の各国比較論の内容を、簡単でいいですが、承わりましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/42
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043・原純夫
○原政府委員 各国との間の比較は、いろいろな角度でできるわけでありますが、計数は先ほど申し上げました。ただいま、アメリカあるいはイギリスその他の西欧諸国、いずれも国民所得が日本の何倍かあるじゃないか、従ってそういうところは高くていいはずだという含みでのお話がございました。この点については、私どもはそうは思いません。といいますのは、直接税でありますと、国民所得が三倍、五倍となるにつれて負担率が高いというのは当然でありますが、たとえばタバコ一つとってみましても、日本のピースは四十円、二十本入りにすれば八十円になるわけですね。アメリカあたりのそれに並ぶタバコは二十セントくらいではなかろうかということであります。二十セントといえば七十二円というようなことですね。その中での負担の比率の割合は、日本が六割五分、アメリカは五割弱だというようなことで、これは、お話とは逆に、アメリカはここでは日本よりも負担が低いというようなこと、大体為替相場に換算してみれば、絶対額で同じ程度のものになっているわけです。これは私、そういうことでなければ困ると思うのです。アメリカがいかに国民所得が多いといばってみたところで、ガソリンの税は——国民所得はアメリカが日本の九倍くらいありましょう。ですから、ガソリン税が九倍で、ガソリンは日本よりも五倍も六倍もするというようなことでは、これはやはりできる品物の値段が高くなってしまう、為替相場を切り下げせねばいかぬということになってしまって、これはとてもやれるものではないと思うんです。ですから、やはり国際比較においては、小売価格に占める比率自体、また小売価格の高がどうかというようなことを見てやっていけば、それでよろしいのじゃないか、国民所得の倍率によって調整するというのは、どうもこういう際にはよろしくないのではないかというふうに私考えておるわけであります。各国比較については、先ほど申し上げました小売価格に占める比率のほか、他の間接税との比較があるわけです。今ちょうど出ましたが、揮発油は先ほど申し上げました通りですが、酒でいいますと、各国の代表的な酒についての税率、対小売価格、税負担割合というものを見ますと、日本が四二%ばかり、それからアメリカが五二、英国は六六、フランスは三二。たばこですと、日本が六五、米国が四八、英国八〇、西独が五六。砂糖は、日本が四二、米国が一一、英国が六、フランスが二一というような数字になっております。かなりでっこまひっこまがありますけれども、まず揮発油について千五百円上げる程度のマージンは、先ほど申しました数字から割合簡単に出てくるのではないか。なお、揮発油税その他自動車関係の税収入を日本は全部道路整備に使うほか、一般財源を先ほど申したように十何パーセント出しておる。他の各国はそれのむしろ内ワクで道路整備をやって、ガソリンその他の自動車関係税収入のうち二割、三前、場合によっては五分の四までを他の一般財源に使っているというようなこと、その他国際比較はいろいろやれるわけですが、おもな比較をすればそういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/43
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044・横山利秋
○横山委員 あなたは、国民所得の中に占めるガソリン税の比較論はだめだ、こう言う。それは全然理屈がないわけではない。私も絶対論だと言っていない。けれども、その国民所得の中に占める割合論ということは、政府としてもいろんな場所で使っているわけです。この問題に関しては、それを全面的に排斥なさろうということは、いささか手前みそに過ぎると私は考える。これは運輸省から私が得た資料でありますが、政府の一方の運輸省においては、この国民所得に換算した場合における各国の揮発油価格、及び税額論もやはり税の一部としてとって議論をしているわけです。それによりますと、日本の国民所得に換算した場合の価格は、世界じゅうで一番高いのはイタリアの五十円十二銭、日本が三十四円、イギリスが十一円九十四銭、フランスが十九円二十八銭、ベルギーが十一円六十五銭、オランダが十五円九十三銭、こういう格好になっておる。
私は、ここで、翻ってこの各国比較というものはいかなる意義があるかということを、もう一度考えてみたいと思うわけであります。個々の税制について政府が各国比較論を持ち出しておるのは、常にガソリン税に限られておるといっても過言ではない。いつもガソリン税のときには各国の比較論が出てくる。そうであるならば、ほかの問題のときにも出てきてよろしい。いかなる理由があって、ガソリン税についてのみ各国との比較が論争されなければならぬであろうか。この論争する舞台、土俵場というものは適当なものであろうかどうかとなりますと、最後に突き詰めていったならば、この各国比較論というものは、日本の今われわれが大蔵委員会で議論をする参考の資料となっても、これが決定要素にはならないのではないか、私はこう考えるわけです。原さんは、先ほどから、ガソリン税引き上げの決定要素は三つある、その一つが各国との比較だとおっしゃる。私はきわめて奇異な感じがしてならぬのであります。よその国の税金が安いから、おれらの方の国の税金が高いから、ということで税金がきめられていいはずのものではありますまい。アメリカが、日本が、フランスが、イギリスがといって議論をしていって——私は私なりに国民所得に換算した場合の各国との比較論を持っておる。またあなたも持っておる。しかし、これは私の意見でなく運輸省の意見ですよ。そういう議論が、今の日本の負担をする人にとって、あるいは負担能力論にとってどういう関係があるでありましょう。それを原さんに伺いたいのです。どうしても各国比較論がこのガソリン税引き上げの三大要素になるという御意見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/44
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045・原純夫
○原政府委員 これは、道路整備というものは国民経済を活発に発展させる上に必要である。それの費用を何でまかなうか。いわば、そういう際においては、道路の整備というのは国民経済の構成要素の相当大きな部分として考えるわけです。そうなれば、やはりそういうものを不当に高くして、国際競争の条件、つまりコストを上げることはいいか悪いかという角度がなくちゃならぬと思います。そうなれば国際比較というのは当然出てくるわけです。しかし、間接諸税において国際比較をやるというのは、横山委員の言われるように、決してガソリン税について卒然と私ども持ち出しているのではありません。累次の税制調査会において、特に一昨年御要望があって根本的な検討を始めて以来、これは、たしか一昨年かその前か、この委員会にも資料をお出ししたと思いますが、あらゆる間接税について、できる限り外国のデータを集めてその比較をするということは、間接税の体系を考える場合の非常に有力な方法論であります。というのは、たとえばお酒になぜ今のような高い税率をかけるのか。物品税の中でもいろいろ問題がある。物品税とお酒というものの開きには、かなりはかりがたいむずかしさがあるわけです。というのは、やっぱり消費の性質が違う。物品税の系列のものは、中に奢侈品的なものがあり、またいろいろなニュアンスのものはありますけれども、やはり酒とかたばこというような嗜好品が重課されるということは、日本の過去の歴史からいっても、各国の例からいっても、そうなっている。そういう嗜好品重課の程度をどうするかというような問題になりますと、計量的にこれが幾らになるかというようなはじき方はなかなかむずかしいわけです。そうなれば、各国はどうしているか、あるいは日本は過去においてどうしたか、そういう場合に、それぞれ全体との調和がどうなっているかということを見るのは、非常に重大な方法論であって、私ども他の各税いずれもやっております。これは何回か資料をお目にかけたと思うわけであります。従いまして、今回もそれを相当大きな角度として取り上げるのは当然だと思います。なお、先ほど申しました各国との比較ということのほかに、やはり日本の過去との比較あるいは全体とのバランスというようなことも、補充的にそういうこともあるということをこの際つけ加えさしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/45
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046・横山利秋
○横山委員 政務次官にきょうガソリン税について伺ったことの締めくくり的な御質問をいたしたいと思います。締めくくりというのは、きょうの締めくくりでありまして、結論はつかないのであります。
原さんと私との質疑応答は、第一にここで意見が分れました。一つは、私が言うのは、国が負担する一般財源、それから目的税たるガソリン税財源、この二つで道路は整備されると思います。その度合い、割合は何がどのくらいの割合であるか、またその割合は何によってどういう理論できめられたかということを聞きましたところ、そういうことは考えていない、きめていない、こういうわけです。それが私には何としてもわからぬのです。私が言いましたのは、全国から猛烈な反対運動がわき上っておるが、その焦点となることは、何でおれたちばっかにこうも毎年々々減税のときに増税させなければならぬのかという言い方が、最も説得力があって、政治家たるわれわれに対して、これは気の毒だという感じを与えておる。ところが、それに答えるべきものがない。国がどのくらい銭を出すからあなた方も銭を出しなさいよという、このくらいという比率が何もないとおっしゃる。そういうことをきめてかかったのではないとおっしゃる。まことに奇怪千万な御答弁でありました。第二番目に、それでは何できめられたかといったら、負担能力と受益度合いと各国との比較論によってきまったと、こういう答えでありました。そこで問題になりますのが、第一番が、今あなたに御答弁を願ったのですが、負担能力といって、だれにどれたけ負担させるのか、その人は負担能力を持っているのかと言いましたら、運賃値上げであなたと原さんとの間に意見が違ったというわけです。それで、私は、政府を代表していらっしゃるあなたに、重ねてその点は調べて、政府部内の御意見をまとめてきていただきたいと頼んだところであります。そうして今度は各国の比較論に移っております。このガソリン税引き上げの決定要素が、よその国が高いからうちも安くてはいかぬ、高うしてやらなければいかぬ、簡単に言えば、こういうことですね。そんなことがどうしてガソリン税引き上げの決定要素になるか、とんと私は了解に苦しむのです。これは参考である、参考のために調べてみたというならばいざ知らず、よその国が高いからおれの国も高くしてやらなければつり合いがとれぬというようなばかなことがこの決定要素になったとしたならば、ゆゆしい問題であると思います。そうでありましょう。この点は、これは原さんといえば税金の大家であります。これは政治家たる人々がいろいろなサゼスチョンを与えて作っていかれたのでありましょうけれども、税の理論としては、原主税局長がやはり大蔵省の中における柱となっておる人であります。その柱になっておる人が、この決定要素として、三つのものをあげて、堂々として譲らぬということは、何としても政府の態度に対して不可解である。良識豊かな次官の御答弁を承わりたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/46
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047・山中貞則
○山中政府委員 非常にかたい条件の応答を今までしておられたと思うのですが、まあ私どもがたどりました過程を振り返りますと、道路については、これは諸外国に比べるまでもなく、国内の動脈とも言うべき国道においてさえもあのような状況でありますから、これは急速なる計画による改修、あるいは機能の向上が必要であろう、そのために道路五カ年計画を定めようということに一致いたしまして、しからばこれに要する国の負担をどうするかという議論になりました。一兆円を埋めるに当って、まず国がこれまで支出いたしておりました三十二年度の実績は五十億でございますので、この五十億はどうしても政府が年々負担する最低線でなければなるまい、初年度は百億のたな上げ資金のくずしも財源として充当できることであるので、一応五十億の線というものは初年度において確保できるが、次年度以降最低線として国庫負担を維持するという建前から、その他の財源をどこに求めるかという議論をしたわけでございます。しかし、根底には、もっと別な角度からの議論として、港湾とか鉄道あるいは道路、そういう基幹道路等のものは効果を数十年後に期待できるものであるし、その利益は長年にわたって国民が平等に受けるものであるから、この際建設公債を限定して発行して、その土地だけの納税者に恒久的な施設の負担を負わせるということは避けたらいいではないか、いわゆる公債発行論という議論も非常に強く、しかも有利な議論として、相当おそくまで過程において残ったのであります。しかし、結局今は公債発行の時期ではないという最終的な結論を得ましたために、では、財源にガソリン税を引き上げることによって、一兆円の道路予算というものを消化していこうという方針をきめまして、しからばガソリン税のわが国における現状からどの程度引き上げることが可能であるか、あるいは引き上げについてはわが国として無理のないと思われる線はどの程度までであろうかというようなことを議論をいたしました。その結果、今主税局長の答えましたような三つの要素等も当然検討の基本的な問題として議論がされたわけでありますが、そういうような過程をたどって、結果として現在提出いたしておりますような内容のガソリン税の引き上げを伴う道路五カ年計画というものに落ちついたわけであります。私は、税の専門家でもありませんし、かた苦しい個々の外国の数字等については、紙をもらって読めばできぬこともありませんが、そういうことよりも、いきさつはそういういきさつでやってきたのであります。なおまた、政府内において、その結果をどう処理しようとするのか、いわゆる運賃引き上げに直接つながるのか、つながらないのかということにつきましては、当然今後まだ議論の残るところでありましょうし、また当然そういうことを具体的に、政府として、また関係各省の間において、話し合いをし検討さるべきことでもあろうかと思いますが、私の現在知っております範囲では、先ほど申し上げました通り、現状としては一応ただいまのような経過をたどったにすぎないということを申し上げるほかないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/47
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048・横山利秋
○横山委員 私もおぼろげながら経過については了承しておりますから、この経過を理論的に組み立てて実はお伺いしたにすぎないのであります。といいますのは、あなたもおっしゃいましたように、道路をこれだけよくしたいということが、まず第一にワクがきまった。九千億が一兆ということにきまってしまった。そのワクはてこでも動かないように正確にがっちりきめておいて、今度は一般財源はどのくらい出るだろうかというと、一般財源はこのくらいというふうにこれまたきめておいてしまって、あと残るところはガソリン税ときめておる。そのときに、なるほど負担割合なりあるいは受益度合いなんかをお調べになったかもしれませんが、だからといっても、もうそれもにっちもさっちもならないというような状態のもとに議論をされたにすぎないのではないかというのが、私の考えておる経過なのであります。あなたもおっしゃるように、大体そういうことでありましょう。そうだとすれば、何だかんだと言いながら、その負担を受ける層、負担を受ける経営者ないし労働者、そちらの人たちだけがあるということになっておるのではないか。もしもそれが負担能力が十分にあるということであるならば、これはまた大いに議論もいたしましょう。私は、今政務次官の経過的御説明を承わりましたが、それではやはり納得ができません。実はきょう農業法人に関する同僚諸君の御質問があるそうでありますから、私は、ほかの問題もございますが、一応この辺でガソリン税についての質問を打ち切りたいと思います。次回にきょう問題となりました点についてお伺いいたしたいと思いますから、どうぞ一つ政府の態度をもう少し明確にしていただきたい。私のどうしても譲り得ないところは、将来のために道路というものは国と受益者とがどのくらい負担をすべきであるか。それは恒久不変の比率でなくともよろしいですよ。少くともこの状態のもとにおいてはこのくらいの比率が妥当である、こういうふうになったらこのくらいが妥当であるという、科学的な根拠というものを政府部内からお示し願わない限りにおいては、どうしても納得ができない。それが第一。それから第二番目には、今の運賃論です。運賃について明確な政府の御答弁を要求いたします。それに関連をして負担能力論について言及いたしたいと思います。ここに三ページ目にございますが、「自動車関係業者に及ぼす影響」、これはやや私の要求したものではないような気がするわけであります。一ぺん調べてみますが、やや私の要求した内容に乏しいような気がいたします。次回にはこれらの点を十分に一つお願いいたしたい。
それから、先般要求をいたしました点で資料の出てこないものがございます。一つは、たしか航空用ガソリンの免税及びその継続の必要性について資料を要求いたしました。それから洗たく屋の使用しておりますガソリンの状況について資料要求をいたしたはずであります。それから自衛隊の大型車が道路をこわす状況並びに修復状況について資料を要求したはずであまりす。それらについてお約束通り資料を提供することを要望いたしまして、きょうの私の質問をこれで一応終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/48
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049・原純夫
○原政府委員 ただいまの資料の御要望について、初めの二つ、つまり航空機用のガソリン並びに洗たく屋の使うガソリンは、私資料として御要求になったというふうに承わっておりませんので、あらためてお配りいたします。
それから、自衛隊の分はどうもつかみどころがない。むしろ自衛隊でも使うガソリンについては税を納めておるということでありますので、あと特車なんかが走るときにはゴムか何かを巻いてやっているというようなことを自衛隊では申しておりますが、数字にはちょっと載りかねるように思いますので、なおまた若干詳細を御説明することにして、資料にはちょっと出しかねるかと思いますので、御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/49
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050・横山利秋
○横山委員 自衛隊と道路の問題については、先年来ガソリン税が国会で議論されるたびに議論されている問題でありますが、今の原さんのお話によれば、問題の事案の性格並びに私どもの熱意のほどについて、少し軽率に考えていらっしゃるおそれがあると思うのです。今のお話の様子によれば、今日まで、この問題について、国会で答弁した以外に何もしていらっしゃらないような気がしてならない。それでは私ども断じて承服いたしかねます。資料がどうしてもできぬならできぬように、私は次回にこの問題を取り上げてお伺いしたいと思いますから、自衛隊と道路、その修復、それから今のお話の税に関する問題の答弁の材料を、一つ調べておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/50
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051・早川崇
○早川委員長 廣瀬勝邦君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/51
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052・廣瀬勝邦
○廣瀬(勝)委員 長官はおられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/52
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053・金子一平
○金子説明員 今会議をやっているので、ちょっと出られませんが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/53
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054・廣瀬勝邦
○廣瀬(勝)委員 それでは、最近問題になっております農業法人のことについて若干御質問したいと思います。
申すまでもなく、日本の農業が総人口の中で約半数を占めており、しかもその所得たるや国民総生産の二〇%を占めているにすぎない。この農村の貧困、農民の貧困ということに対して、やはり政治はもう少し常に親切であるべきだ、かように私どもは思うのであります。ところが、農村も農民自体も、やはり自分たちで自衛手段を講じて、細分化の問題、あるいは所得面の向上というふうな面から、農業法人というような形態が昭和二十七年以来鳥取、広島において取り上げられ、それが現在に至っておるわけであります。ところが、最近になりまして、この農業法人化の傾向が全国的にずっと広がろうとしておる。今日まで、国税庁の方としてはこれについてとやかく言わなかったところが、最近になって、それが全国的な幅でずっと広がってきて、それがいわゆる税収面に影響があるというような判断から出たのだろうと思いますが、この農業法人は違法であるというように一方的にきめつけて、この動きをたたきつぶそうとしておる。これらにつきまして私たちは非常に関心を示しておりますので、今日までのあらましの農業法人の経過、これについての国税当局のとってきた態度について、簡単に筋書きだけを説明して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/54
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055・金子一平
○金子説明員 ただいまお話しの農業法人の課税上の取扱いでございますが、実は、この問題が初めて税の関係で取り上げられましたのは、たしか昨年の三月、徳島県におきまして、ミカンの栽培業者が百数戸、有限会社を設立しようとした問題に始まるわけでございます。当時、徳島の農業法人につきましては、最初土地なりあるいはくだものの木でございますとか、これを現物出資しようとしたわけです。ところが、農地法上現物出資はいたしませんという県なりあるいは農業委員会の判断でございます。現物出資ができないということでは何ともいたしかねますので、そこで、この果樹の肥培管理だけを有限会社に請け負わすというような格好で、有限会社を作ったわけでございます。ところが、肥培管理を有限会社にやらすということ自体が農地法第三条の違反になるという、農林省なりあるいは法制局の見解でございましたので、税務署といたしましては、でき上った法人自体は否認するわけではございませんけれども、その果樹の栽培から生ずる所得は、依然としてもともとの個人の所得である、こういう判断のもとに、個人課税を慫慂いたしたわけでございます。大部分の会社が個人の申告をいたして、現在におきましては、二軒だけが、自分たちは法人であるということで個人の申告を出されませんので、税務署といたしましては、やむを得ず個人の更正をいたしたような次第でございます。鳥取のケースはこれは五、六軒だったかと思うのでありますが、お話のように昭和二十七、八年、あるいは最近のものでは三十一、二年のものもあるようでございますが、やはり農地法上の許可を受けないで設立いたしたのであります。徳島のケースがきっかけになりまして、そういう例があるということがわかりましたので、国税局なり税務署の方で調査いたしましたところ、やはり実態的には徳島と同じようなケースだということで、個人課税をせざるを得ないのではないか、こういう判断で、ただいま国税局も考えておりますし、また私ども国税庁といたしましても、そういう判断をいたしている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/55
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056・廣瀬勝邦
○廣瀬(勝)委員 今の御答弁の中にもおっしゃっておられましたが、設立登記された法人については否認しない、こういうふうにおっしゃいます。それでは、なぜ税法上それを法人として徴収面でもそういうふうに扱えないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/56
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057・金子一平
○金子説明員 御承知のように農地法上の許可を得ないでした出資、賃貸契約その他の使用及び収益に関する契約は、農地法第三条によりまして法律上絶対に無効でございます。従いまして、その田畑なりあるいは果樹として生ずる所得は、依然として法律上はその本来の所有者たる個人に帰属する、こういう格好になりまするので、国税庁といたしましては、法人の所得だとか、法人に所得が帰属するのだということを認めるわけには参らないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/57
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058・廣瀬勝邦
○廣瀬(勝)委員 それでは、なぜ今日まで法人としてお取り扱いされたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/58
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059・金子一平
○金子説明員 徳島の問題が起りまして、初めてこういったケースが表に出たわけでございます。それまでは農林省ももとよりでございますが、税務署の方におきましても、合法的にできた法人かどうか、そこら辺ははっきりわからなかったのでございます。問題がはっきりと取り上げられまして、やはり法律的に無効ということになりますと、私どもといたしましても、その法律の形式的な線に乗っかって課税という問題を考えていかなければならぬのじゃないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/59
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060・廣瀬勝邦
○廣瀬(勝)委員 今の私の質問は、なぜ今日まで法人として取り扱ったんだということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/60
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061・金子一平
○金子説明員 御承知のように、今日の法人税は申告納税になっています。特段の事情がなければ、税務署といたしましては、申告をそのまま受け付けまして、そのままのんでおるというのが現実でございまして、結局、法律的な条件を備えておるかどうかということは、あとから調査したり何かのきっかけでわかってくるというのが現実の姿でありますので、(「納得がいかない」と呼ぶ者あり)はっきり今のような点がわかりました以上は、その点に乗っからざるを得ないというわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/61
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062・廣瀬勝邦
○廣瀬(勝)委員 皆さんもおっしゃっています。納得がいかない、その通りなんです。今までその通り扱っておって、急に税収面で大きな穴があきそうな気配が出てきたら、これは大へんだというので、これを消しにかかった。つぶしにがかった。これがあなたたちの根本的な態度なんです。口を開けば税の均衡ということをしょっちゅうおっしゃるじゃないですか。なぜ農民がこういうふうなことをしなければいけなかったか、ここをなぜあなたたちは考えていただけないのですか。鳥取の例をあげたってそうでしょう。過去七年間、法人税として納めていますよ。それがなぜ今になっていけないのか。その根拠をはっきり言って下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/62
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063・金子一平
○金子説明員 今先生の御指摘の点は、実は私は、税の問題というよりも、税以前にやはり問題があるのじゃないかと思います。農地法上、今お話のような農業法人につきまして、はっきりと法人を認めるんだというような線が認められて参りましたならば、国税当局といたしましても、その線に歩調を合せて、やはり課税という問題を考えていくべきでございましょうが、農林省の本来の農地行政上の問題として農業法人は認めないんだという線が出て正式の許可が与えられてない、従って今申しましたような実施なりあるいは賃貸の契約その他の使用、収益に関する契約が法的に当然無効である、絶対に無効であるというようなことがはっきりいたして参りました場合には、課税当局といたしましては、その線と歩調を合せて課税ということを考えていくのが、私どもとしては当然の行き方じゃないかというふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/63
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064・廣瀬勝邦
○廣瀬(勝)委員 農林省は認めてない、そういうふうにおっしゃいますが、農林省はこれに対して見解を出しております。社会党にはおっしゃいませんが、自民党にはちゃんとおっしゃっておる。当該法人が有効に成立している場合には、農地法の許可の有無にかかわらず、いわゆる実質課税の原則を基準としてやれ、これが好ましいんだ、こう言っているじゃありませんか。あなたたちと農林省はそんなにも見解が違うのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/64
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065・金子一平
○金子説明員 農林省につきまして私ども方針を聞きました限りにおきましては、農地法しただいま問題になっているような法人につきましては許可を与える意思はないということをはっきり申しております。従いまして、私は、農林省の農地法上の方針がはっきりきまるのがやはり先決問題じゃないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/65
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066・廣瀬勝邦
○廣瀬(勝)委員 今の、農林省がはっきり言っているというのは、いつ、だれが、どこで言いましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/66
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067・金子一平
○金子説明員 農地局の管理部長に私伺っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/67
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068・廣瀬勝邦
○廣瀬(勝)委員 いつですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/68
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069・金子一平
○金子説明員 たびたび会っておりますが、半月前あるいは一月前、二回くらいにわたって今のような話を聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/69
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070・廣瀬勝邦
○廣瀬(勝)委員 管理部長おられるんだったら、すぐここに出席していただくように言うていただけませんか。——現地ではもう3月期の申告がきているのです。そしてどういうふうにこれが決定されるか。これは日本全農業の一つの新しい試みだ。近代化、合理化されていく日本農業のあすへの道として農民は考えています。いわゆる法解釈も、あなたたちと農林省は全くまちまちな法解釈のもとで実質的な苛斂誅求が行われる。こういうことについてどう思われます。何とかしなければいけない、せめて税法上だけでも何とかしなければいかぬ、徴収の面でも何とか考えてあげよう、こういう気持はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/70
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071・金子一平
○金子説明員 お答え申し上げますが、農地法ではっきりと農林省もこういった法人につきまして法人化を正式に認めるということでございましたならば、私はその実体があくまで法人であるものにつきましては、法人課税をいたして一向差しつかえないというふうに考えております。ただいまのところでは、先ほど来るる御説明申し上げましたように、農林省は認めないとはっきり申しております。また一方、法律論と離れて、現実の法人につきまして実体を調べてみますと、その経営の内容はほとんど個人時代と変っていないというような状況でございます。ただいま御指摘の法人につきましては、法人課税をしていくのはいかがかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/71
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072・原純夫
○原政府委員 ただいまのお尋ねは若干制度論にも当る問題でありますので、私主税局長でありますけれども、私から並行して申し上げたいと思います。実際にいろいろな商工業等で法人になっておるものとの権衡を柱に立てて、公平論というふうなお話が出ておると思うのでありますけれども、しかし、この点は、いわゆる法人成りということがかなり不自然な現象であるという印象を多数の人が持っております。農家が法人になるといえば、ますますそうだというふうな感じを持つ人が多いわけであります。そこで、私どもとしては、そういう税の制度では、法人と個人の境目というのはかなりむずかしい問題で、どうも悩んでおりますので、そこに問題は出るけれども、そういう商工業でこういうことがあるから、それを柱としてやるというふうなお考えでなくて、もう少し違った角度からのアプローチをされる必要があるのではないかというふうに、私どもは考えております。それは、具体的にいえば、現在青色申告という制度がある。まあ法人になられてきちんとして法人でやろうというふうな人は、青色に乗っかれるところではなかろうか。青色に乗っかりますならば、御存じの通りに専従者控除もある。もちろん法人になったところで専従者はないというところがあるかもしれませんけれども、大体そういうところが多い。そうすれば、そういうふうな家族従業員の給与が事業所得から控除されるという制度があるわけです。従いまして、まあやり方としてはどうもそういうような方向がより事態に穏当に乗っかるのではなかろうか。この議論は、青色というのが青色申告というものを要する条件を必要としておりますので、一般にもう少しこれを広げろというような議論もありますが、とにかく今そういう制度があり、何も法人だ法人だということを言われないでも救い得る道はあるのじゃなかろうか、またその線での議論が今後もあり得るのではなかろうかというふうに思いますので、制度論になりますので、ちょっと敷衍して申し上げたわけであります。現実に今農業法人としてやろうというふうに言っておられるところでも、これは青色に乗っかれば、今の専従者の給与の控除で相当税負担は変ってくる。まあ実例で計算すれば、その方があるいはけっこうじゃないかというような結論が出る場合も相当あるように私ども見ております。それにあわせて、今農地法上の取扱いの問題からくる議論というのが並行してあるわけですが、ただいまのもう一本の方の線を私敷衍して申し上げた方がいいと思いましたので申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/72
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073・廣瀬勝邦
○廣瀬(勝)委員 それはもういろいろ見解もございましょう。私どももそういうことも知っております。しかしながら、現実の今の問題として農業法人というものを考えてみると、あなたたちの今回のやり方は行き過ぎがある。たとえば、先ほどもおっしゃったように、個人所得ということを慫慂しておる。どこにあなた方にそういう権利がある。しかも、その過程において、税務署の人間をたくさんどんどん踏み込まして、人権じゅうりんのような事例が起きているじゃないですか。こういうふうないわゆる徴税指導というものは、やはりあなたたちも考えていただかなければならぬと思うのです。きょうここでちょっと問題を拾い出しただけでも、実に重要な問題だということは皆さんおわかりだと思います。きょうは三時半から本会議だそうですから、とてもこれだけの時間ではできません。いずれ日を改めまして、一つこの問題を微に入り細に入って伺ってみよう、日本農業発展のために私たちは取り組んでみたいと思います。あとずっと質問があるそうですから、私はこれでやめておきますが、きょうこのままでは終りません。今後ずっとこの問題につきまして当委員会で取り上げ、究明させていただきたいと思います。委員長もその点御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/73
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074・足鹿覺
○足鹿委員 関連。
ただいま廣瀬委員から農業法人の問題について御発言がありました。その点で、たまたま鳥取県下における事例を述べられました。また、金子部長も来ておられますので、私は一つその実情について申し上げて今度の対処される方針を伺いたい。
三十四年の二月五日、国税庁直税部の鳥取県下における農業法人の課税上の取扱いという文書を拝見しますと、いろいろと今部長が述べられたようなことを述べて、最終的にはその内容の架空性が顕著である云々という、いわゆるそういうことで結ばれておるわけです。その法人の登記は一応されておるということを認めており、さらにそれを架空性があると断じておる。これは、一国の行政のあり方として、法務省が設立登記を完了したことをもって、われわれは権威のある国の決定許可である、こう解釈するものであろうと思う。にもかかわらず、その次において内容の架空性が顕著である云々というようなことは、全く支離滅裂である。そういうことが果して許されるであろうか。そういう点について、その内容の架空性をあなた方はどういう手段によって御調査になったか。私どもが現地において調査をいたしたところによりますと、ある農園は、三十年の九月に税務署に出頭して、税務署で管内に法人のあることを聞いた。そしてそこでいろいろと税務署とよく打ち合せをして出発しておるのであります。その定款についても、農地に触れないということであるならば、それは別に法上の違反でもない。いろいろ確かめ検討した結果、税務署も同意をされておる。そうして三十一年の五月三十一日に第一回の所得税納期がきたので一応納入した。そして第二期の十一月の前に減額申請をお出しなさい、そういう指導を、現地の税務署は話し合いの上で、両者納得の上でやっているわけであります。そして、その減額申請を提出して、その結果として差額の払い戻しを行なっておる。その証憑書類も全部整っております。その後において三十二年が赤字になって納税をしておらない、こういう状態になっておる。現にその代表社員あるいは監事あるいは社員に対しては、その報酬に応じて源泉徴収を数カ年間にわたってあなた方ほおやりになっておる。これは、架空性どころか、あなた方自身が法人の登記によって法人と認められ、そうしてその正当性に基いてそこの社員あるいは代表役員等に対して源泉徴収までとられたということは、これは明らかに適法な処置なりとしてあなた方はおやりになったことではないでしょうか、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/74
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075・金子一平
○金子説明員 今お話しく架空性という言葉、その表現の仕方自体は問題といたしまして、その文章を手元に今持っておりませんが、そういう趣旨のことを言ったといたしますと、おそらくこういうことだろうと思います。法人自体の成立につきましては別に税務当局からとやかく言う筋合いではございません。有効なる登記ができれば、法人としては当然有効に成立しておるということは言うべきであろうと思います。ただ、税の立場から申しますと、所得税法でも法人税法でもいいのですが、所得税法で申しますと、三条の二という規定がございまして、その個人なら個人の実態をよく見て、そしてその所得がだれに実質的に帰属しているかという判断は、これは課税当局がやるべきであるということを書いておるわけであります。今お話しの農業法人について見ますと、法律的には有効な法人ができておりますけれども、別途農地法上は、やはりその農地の帰属は法律上当然無効になっておる。形式的に所得が個人に帰属しておるばかりでなく、その実際の経営の状況を調査いたしましても、個人時代と全然変っていないということで、第一線の税務署あるいは国税局が、私は、やはり個人として課税すべきものというふうに判断したという報告を受けておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/75
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076・早川崇
○早川委員長 足鹿君に申し上げますが、農林省の庄野管理部長が出席しております。質問がありましたら……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/76
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077・足鹿覺
○足鹿委員 それは、金子さん、ちょっとおかしいじゃないですか。現在の時点においてそれではどういう取扱いをなさっておるのですか。現地のあなた方の出先機関は、とにかく自分たちの手ではどうにもならぬ、中央の指令によって、中央の態度によって自分たちはきめるのだといって、現在はそのまま宙ぶらりんのままになっておる。たとえていえば農業法人の取扱いとでもいいますか、何か適法になされたものは、農地法上の問題については、管理部長がおいでになっておられますから、管理部長から先ほどの廣瀬君の御質問に対する御答弁があろうかと思いまするが、現在の時点において出先機関は今あなたが言われるような態度をとっておる。しかし、それは、出先機関の判断に基くものではなくて、あなた方の態度に基いておる。だから私どもは聞いておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/77
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078・金子一平
○金子説明員 説明がちょっと足りなかったかもしれません。法律的な見地は先ほど私るる申し上げました通りでございます。現地の判断も、やはり実態におきましては個人時代と変っていないという報告をよこしております。従いまして、所得税法の三条の二の規定に基きまして、やはり個人として判断せざるを得ないだろうというのが、国税庁としての判断でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/78
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079・足鹿覺
○足鹿委員 そんなばかなことはないですよ。それは、先ほど廣瀬君も言われましたように、数が少かった。徳島において非常に大量の法人登記が行われた。そこに税の執行上において大きな誤差が起きるという点に合わせて問題を大きく取り上げられて、しかも源泉徴収まで認めて適法に数カ年間そうしたものを、ことさらに架空性を力説して問題を提起した。別な機会があるそうでありますから、いずれまた私は機会を得まして申し上げますが、三十三年の十一月十一日に鳥取県のある農園法人に税務署が来まして、そして住宅に上って書類を引っぱり出す、ふろしき包みをといて中から書類を出す、また預金通帳まで提出をせしめる、財布をあけてみろと迫る。そういう、いわゆる架空性追及のために、あなた方の徴税の立場から、さようなことは合法的に認められるのでありますか。犯罪捜査の場合といえども、その検事の命令なくしては、さようなことはできないはずです。そうしてつけ込みノートからすべてのものを全部事実上押収でしょう。借用書をとったと一応言っておりますが、事実上は、大挙して十五人来て、全く家宅捜査同様の、本人の意思がどこにあろうと——一農民は、そういう状態に置かれたときの心理状態は正常な状態でないと思います。それを、住宅に上るのはともかくとして、預金通帳から財布に至るまで提示を求めるのは、明らかに行き過ぎであります。行き過ぎとお思いになりませんか。そういうことをやって、そこまでやって架空性を確めるということをおやりになったか。私は、それまでは、現地の出先機関とよく打ち合せをし、ちゃんと数カ年間においてその実績を上げたものが、にわかにさような方向へ変ったことに対しては、あなた方がその方針を授け、そこまでやれ、徹底的につぶせ、こういう方針を持っておったにほかならないのじゃないか。そういうことを御指示になった覚えがありますか、はっきり伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/79
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080・金子一平
○金子説明員 今御指摘の調査の方法あるいはこちらからの指示の有無等でございますが、私どもは、つぶせとかいうような気持は毛頭持っておりません。それで、実は、はっきり申しますと、徳島で先ほど申し上げましたようなケースが起りましたので、広島の国税局でも、やはり自分の管内にもなるほど、そういわれれば同じようなケースがあるのじゃないかということで、初めて気がついた。それで、税務署と共同で、私が聞きましたのは、たしか四軒調査に行きまして、一軒はちょっと離れておるのでお宅へ伺ったけれども、あとの三軒につきましては、協同組合に行って、協同組合に全部帳簿がございましたので、そこで拝見したというように聞いておるのであります。調査は、これはあくまで任意調査の建前でありまして、強制調査などということまではやっておりません。いろいろフリクションがあったやに聞きましたので、あとからでございましたけれども、調査のやり方等につきましては、誤解を与えないように厳重に注意を与えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/80
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081・足鹿覺
○足鹿委員 私が現在聞いておりますのは、そういうあなたの弁解を聞いておるわけではありません。あなた方にはあなた方の税務執行の上において重大な国の責任があるわけでありますから、それを正当に行使されることにおいて、われわれが何ら文句を言う筋合いはございません。しかし、今私が申し上げたことは、これは事実に基いたことであって、そういうふうにまでして架空性とやらいうものをでっち上げようという方針を指示されたかどうか、行き過ぎであったかなかったかということに対する、あなた方の反省と判断を求めておるわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/81
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082・金子一平
○金子説明員 私の聞いております限りでは、任意調査でございまして、相手方の同意を一応前提としてやったわけでございます。やはり経営の実態がどうなっているかを調べるにつきましては、財布の中まで調べるのは別といたしまして、預金帳もどんなふうになっておりますかということで見せていただくのは、これは調査のやり方としては通常やっておるやり方ではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/82
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083・足鹿覺
○足鹿委員 それは通常だとおっしゃるのですか。通常の徴税上の正当な行為としてお認めになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/83
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084・金子一平
○金子説明員 相手方の同意を得て、内容がどんなふうになっているか、名義がだれになっているかということを調べることは、通常あり得る調査だというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/84
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085・早川崇
○早川委員長 足鹿君、本会議の最初に委員長報告をやらなければなりませんから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/85
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086・足鹿覺
○足鹿委員 そういう点をもっと明確にするために、後日機会を与えていただきたいと思いますが、話のついでですからね。あなたは徴税上そういうことは同意の上あり得ると言われるが、その同意をせざるを得ないような、大挙して広島国税局から十五人、平素いろいろ相談に乗り話をしておった者は陰に隠れて——もちろん今まで相談に乗り指導した立場から面目ないでしょう。だから、広島国税局から、あなた方の方針に従って、十五名もどかどかと、ほとんど家宅捜査同様な状態、これは徴税上における正当なことだとどこまでも言い張られるのですか。第一、財布の現金まで調べるというようなことを徴税上合法な手段とお認めになるのですか。こういう事実については、率直に行き過ぎは行き過ぎと認めるべきではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/86
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087・金子一平
○金子説明員 私の聞きましたところでは、十五名とおっしゃるのは、これは延へで十五名ということで、広島からはそんなに数は行っておりません。それから、いろいろトラブルがあったことは聞いておるのでありますが、広島の局からは、そこまでの行き過ぎの調査はやっていないというふうに聞いておるのでございます。いずれにいたしましても、その点は、私は、行き過ぎがあれば率直にはっきりとすべきだと思います。調査自体は、今の預金通帳を見る、あるいは帳簿を一応拝借したのか知りませんが、証文を入れてお借りすることも普通あり得る調査だと思います。また、現実にやり方自体が非常に度を越した行き過ぎの調査であったかどうかという点につきましては、私は、広島局からの報告では、そこまで行き過ぎはやってないつもりだというふうに聞いておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/87
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088・足鹿覺
○足鹿委員 これは水かけ論になりますから、徳島の税務署の渡辺某という直税課長、それからそのときおいでになった人を、適当な機会に、理事会等で御相談になって、そうしてこの真相を明らかにしていただきたいと思います。まだいろいろな事例はたくさんございますし、証拠資料をたくさん持っておりますが、時間がありませんから、またあとにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/88
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089・早川崇
○早川委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は二十六日午前十時開会することとし、これにて散会いたします。
午後三時三十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103104629X01219590224/89
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