1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十四年一月二十七日(火曜日)
午前十時五十一分開会
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委員の異動
十二月二十三日委員稲浦鹿藏君、前田
佳都男君及び中村正雄君辞任につき、
その補欠として成田一郎君、井上知治
君及び柴谷要君を議長において指名し
た。
十二月二十六日委員小西英雄君辞任に
つき、その補欠として森田豊壽君を議
長において指名した。
一月二十六日委員後藤文夫君辞任につ
き、その補欠として杉山昌作君を議長
において指名した。
本日委員大和与一君、森田豊壽君、井
上知治君及び泉山三六君辞任につき、
その補欠として小柳勇君、前田佳都男
君、武藤常介君及び植竹春彦君を議長
において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 大倉 精一君
理事
江藤 智君
相澤 重明君
委員
植竹 春彦君
平島 敏夫君
前田佳都男君
武藤 常介君
小柳 勇君
柴谷 要君
杉山 昌作君
市川 房枝君
岩間 正男君
国務大臣
運 輸 大 臣 永野 護君
政府委員
運輸大臣官房長 細田 吉藏君
運輸省海運局長 朝田 靜夫君
運輸省鉄道監督
局長 山内 公猷君
説明員
日本国有鉄道総
裁 十河 信二君
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本日の会議に付した案件
○理事の補欠互選
○小委員会設置の件
○小委員の選定の件
○小委員長の指名の件
○捕獲審検所の検定の再審査に関する
法律の一部を改正する法律案(内閣
提出)
○運輸事情等に関する調査の件
(運輸省関係今期国会提出予定法律
案に関する件)
(日本国有鉄道志免鉱業所に関する
件)
(私鉄運賃に関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00319590127/0
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001・大倉精一
○委員長(大倉精一君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。
委員の異動を御報告いたします。
昨年十二月二十三日、中村正雄君、稲浦鹿藏君及び前田佳都男君が辞任、その補欠として柴谷要君、成田一郎君及び井上知治君、十二月二十六日、小西英雄君が辞任、その補欠として森田豊嘉君、去る一月二十六日、後藤文夫君が辞任され、その補欠として杉山昌作君、本日、大和与一君、その補欠として小柳勇君がそれぞれ選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00319590127/1
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002・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 理事補欠互選についてお諮りいたします。
成田一郎君が委員を辞任されましたので、理事が一名欠員となっておりますが、その補欠互選は、成規の手続を省略して、委員長から指名することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00319590127/2
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003・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 御異議ないものと認め、よって理事に成田一郎君を指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00319590127/3
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004・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 小委員会の設置についてお諮りいたしますが、運輸事情等に関する調査のうち、交通事故防止に関する調査のため、交通事故防止に関する小委員会を、先国会同様の構成をもって設置し、その小委員及び小委員長の選定は、成規の手続を省略して便宜委員長から指名することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00319590127/4
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005・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 御異議ないものと認めます。よって委員長は、小委員に江藤智君、平島敏夫君、成田一郎君、相澤重明君、柴谷要君、杉山昌作君、市川房枝君、岩間正男君を、小委員長に江藤智君を指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00319590127/5
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006・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 次に、捕獲審検所の検定の再審査に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、本案の趣旨説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00319590127/6
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007・永野護
○国務大臣(永野護君) 捕獲審検所の検定の再審査に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。
捕獲審検所の検定の再審査に関する法律は、日本国が、日本国との平和条約第十七条に規定する義務を履行するため、連合国の要請がありました場合に、旧捕獲審検所が検定いたしました事件で、連合国人の所有権に関係あるものを、国際法に従って再審査することを目的とする法律であります。
捕獲審検の再審査の要請について、平和条約におきましては期限が定められておりませんが、事柄の性質上、平和条約の効力が発生いたしました後、比較的短期間に連合国の要請が出尽すものと予想せられ、平和条約の実施のための国内法であるこの法律の存続期間は、当初三年と定められておりましたところ、各連合国の平和条約の批准の状況及び再審査の要請に関するその状況にかんがみまして、その後四回の改正が行われまして、現在七年と定められ、すなわち、昭和三十四年四月二十七日限り失効することとなっております。
しかしながら、現在なお、フランス及びギリシャ国からの要請にかかわる捕獲事件の再審査を継続中でありまして、これらの事件の審理になお相当の時日を要する見込みでありますところ、一、二の連合国政府との間に捕獲船舶について補償請求事件が目下懸案となっている事情等にかんがみまして、これらの事件についての再審査の要請も予想される現状にありますので、本法の存続期間をなお一年延長いたし、その間に連合国の模様を見たいと存じます。これがこの法律案を提案いたしました理由であります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00319590127/7
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008・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 本法律案に関する質疑等は次回に譲りたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00319590127/8
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009・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 異議ないものと認めます。よってさよう決定いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00319590127/9
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010・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 次に、今期国会に提出を予定される法律案について説明を運輸省当局からお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00319590127/10
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011・細田吉藏
○政府委員(細田吉藏君) お手元に差し上げました資料によりまして、本第三十一回通常国会に提出を予定いたしております法律案につきまして、概略を御説明申し上げます。
まず、第一は、運輸省設置法の一部を改正する法律案でございます。下に要旨が書いてございまして、別に法律案の要綱がございますが、四月一日から航空局の付属機関であります航空保安事務所、これを地方支分部局に昇格をさせる。なお、航空標識所というものがございますが、これはこの航空保安事務所の下部の機構にする。こういう、ことが第一点でございます。それから第二番目に、今、大体七月一日を目途にいたしておりますが、入間川で米軍が行なっております航空交通管制でございますが、これがわが方に返ることになっておりますので、これに伴いまして、地方支分部局として航空交通管制本部を新たに設ける。この二点が大きな点でございまして、この二つの支分部局を設けますことに伴いまして、運輸大臣の権限を一部これらの二つの支分部局の長に委譲する、航空行政の比較的軽微なもので早急を要するものを移す、こういう趣旨でございます。まるが書いてございますのは予算の関係があるものでございます。
その次は、国内旅客船公団法案でございまして、国内旅客船の半数に及ぶ老齢船を計画的に一掃いたしまして、海上交通の安全と海上旅客運送の合理化、近代化をはかりますために、新たに全額政府が出資をいたします国内旅客船公団を設置いたしまして、旅客運送業者と共同いたしまして旅客船の代替建造または改造を行います。これを、船を両者で共有いたしまして、旅客運送業者に使用させる、こういうことでございまして、予算案といたしましては、二億の政府出資を考えておるわけでございます。要綱につきましては、長くなりますので省略をさしていただきたいと思います。これも同じく予算関係の法案でございます。これらの法案の進行状況につきましては、あとで一括申し上げたいと思います。
次に、港域法の一部を改正する法律案でございますが、港湾事情の変化に伴いまして、港域を——港の区域を新たに決定し、または変更するというものでございまして、別表の改正が主でございます。これは、これだけではおわかり願えないと思うのでございますが、お手元に法律案の改正港一覧表というのがございまして、たとえば、北海道の伊達港以下九港は港域を新設する、あるいは北海道の釧路港以下二十五港については海域を変更する、こういったようなこと、あるいは港名を変更するといったようなものでございます。
次に、特定港湾施設整備特別措置法案でございまして、これは港湾特別会計を設けるための法律でございます。輸出貿易の伸長及び工業生産の拡大に対処いたしまして、重要な港湾施設を緊急に整備するために、運輸大臣が特定港湾施設工事を施行するものでございます。別紙要綱がございますが、この詳細につきましては省略をいたします。これ同じく予算関係の法律案でございます。
次に、港湾運送事業法の一部を改正する法律案でございますが、これは、当委員会でもたしかいろいろ問題になったことのある問題でございますが、港湾施設の近代化あるいは船型の大型化等の現状に対応せしめますために、港湾運送事業を、現在の事業法では健全な発達をはかることに欠けるところがあるということから、登録の基準を改めますとか、あるいは登録の拒否に関する規定を設けますとか、あるいは私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適用除外の範囲を広げるといったような、お手元の要綱にありますような、五つばかりの点につきまして改正しようとするものであります。
次に、中小型鋼船製造業の合理化促進に関する臨時措置法案であります。これは総トン数三千トン未満の鋼製の船舶を作ります造船業の設備の近代化、生産技術の向上、生産費の低減等をはかりますために企業の合理化を促進しようといたすものでございまして、中小型鋼船製造業につきまして、合理化基本計画というものを立てまして、それに基く合理化実施計画並びに資金について政府が確保に努める、こういうような趣旨の法案でございます。造船業の中小企業対策の一つとしまして提案しようとするものであります。
次に、捕獲審検所の検定の再審査に関する法律の一部を改正する法律案につきましては、ただいま提案理由の説明があった通りでございます。
次に、日本国有鉄道法の一部を改正する法律案でございますが、これにつきましては、お手元に要綱も実は差し上げてございません。日本国有鉄道の経営の実情にかんがみまして支社制度を強化する、なお、これに伴いまして理事の定数を増加する、その他二、三の点につきまして改正を計画いたしておるのでございますが、この件につきましては、要綱もまだ差し上げてございませんのは、関係省との話し合いその他につきまして非常におくれておりますので、まだ差し上げることができないような段階でございます。
次に、自動車ターミナル法案でございます。自動車ターミナルの整備を促進いたしまして、その適正な運営を確保いたしますために、自動車ターミナルにつきまして一部を免許制にするという法案でございまして、お手元に詳しい要綱が差し上げてございます。
最後に日本国際観光振興会法案、これもお手元に要綱が入っておりませんが、これにつきましても、先ほど日本国有鉄道法の一部を改正する法律案と同様な段階に今あるわけであります。趣旨といたしましては、海外観光宣伝を実施し、外客向け施設及び接遇の充実をはかりますこと、あるいは国際観光事業に関する調査、研究発表等の業務を行うために、日本国際観光振興会というものを新たに法律による法人として設置する、こういう趣旨でございます。
以上、非常に簡単でありますが、概略申し上げましたが、進行の状況につきまして申し上げたいと思います。
一番進行いたしておりますのは、ただいま提案になりました補獲審検所の検定の再審査に関する法律の一部を改正する法律案、それから一番初めの運輸省設置法の一部を改正する法律案、国内旅客船公団法案、港域法の一部を改正する法律案、これは閣議決定まで終了いたしておりますので、不日提案をいたすことに考えております。それから特定港湾施設整備特別措置法案、これは予算関係法案でございますので、私の方といたしましては非常に急いでおるところでありますが、関係各省の折衝をおおむね終了いたしましたので、次の閣議に出しまして、決定を見ますれば早急に提出いたしたい、そういうところまできておるものでございます。それから、次の港湾運送事業法の一部を改正する法律案、それから中小型鋼船製造業の合理化促進に関する臨時措置法案でございますが、この二つにつきましては、法制局の段階を終了いたしまして、一、二点他の省との間に問題が残されておりますけれども、大体の見通しが立っておりますので、これにつきましては特定港湾と同時か、あるいはまた少しおくれるのじゃないかと思いますが、これも二月早々には提出できる運びになるのじゃないかというふうに考えております。それから次の日本国有鉄道法の一部を改正する法律案並びに日本国際観光振興会法案につきましては、先ほどちょっと申し上げましたが、今のところはまだ見込みが立っておりませんが、私どもとしましては、できるだけ早く政府部内の意見をまとめまして、提出いたしたいと考えておるものでございます。それから最後に、自動車ターミナル法案がございますが、これにつきましては、今法制局で最終の審査を受けておるところでございまして、港湾運送事業法の一部を改正する法律案あるいは中小型鋼船製造業の合理化促進に関する臨時措置法案、これよりちょっとだけおくれるかと思っておりますけれども、法案の性質からいたしましても、ぜひとも私どもは早急に出したいと考えておりますので、前に申し上げました二つに引き続いて提出ができる見込みを持っております。関係者省との話し合いにつきましては、ほとんど終了に近い状況でございまして、法制局で最終の審査をしていただいているようなところでございます。
以上、大へん簡単でございますが、新国会の拠出予定法案につきましての御説明を終ります。
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00319590127/11
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012・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 次に、委員の異動がありましたので報告いたします。
森田豊壽君、井上知治君、泉山三六君が辞任し、前田佳都男君、武藤常介君、植竹春彦君が、選任されました。
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00319590127/12
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013・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 次に、日本国有鉄道志免鉱業所に関する件について説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00319590127/13
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014・柴谷要
○柴谷要君 その前に一つ質問。ただいま予定されております法律案の説明があったのですが、しばしば話題になり、かつ通常国会に間違いなく出てくると思っておった法律案がここに名を出しておらぬ。この経緯はどうなっておるか、一つ聞きたい。鉄道と道路の交叉に関する法律案、これは建設省と監督局で十分準備されている。少くとも通常国会にはこれは提案をしてもらいたいと希望しておる法律案だが、この進行状況はどうなっておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00319590127/14
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015・山内公猷
○政府委員(山内公猷君) この法律案につきましては、御承知の通り建設省といろいろ問題の点がございまして、現在その点について折衝中でございますが、まだ折衝の妥結の段階に至りませんので、この中には入っておりませんが、話がきまれば出したい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00319590127/15
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016・柴谷要
○柴谷要君 建設省との折衝のことは、二十六国会、二十七国会ごろから聞いておる。どういう点が建設省と折り合いがつかないのか、その点を一つ明確にしてもらいたい。そうすれば、これは時によっては建設委員会でもこれらの問題を取り上げて、大いに追及しなければならぬ。建設省側に非があるのか、それとも運輸省側にまだ努力が足らないのか。この点は一つ明確にしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00319590127/16
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017・山内公猷
○政府委員(山内公猷君) いろいろ各省との間、特に建設省との間に問題が多いわけでございますが、基本的には、新しく道路が敷かれる場合、既存の国鉄なり私鉄なりをオーバー・クロスする、あるいは逆の場合もあり得るわけですか、その間の費用の分担関係が、どういうふうにするのが一番合理的であるかということにつきまして、基本的な考え方でなかなか一致を見ないという点がおもな問題でございまして、これらにつきまして、われわれといたしましては、最も合理的な基準というものを発見するように、お互いに検討を続けておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00319590127/17
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018・柴谷要
○柴谷要君 最後に……。この法律案の趣旨は大かた皆さん御存じだと思いますが、非常にいい法律案だと、こういう希望している法律案がなかなか出てこないということについては、非常に遺憾だと思うのですが、今、聞くところによると、費用分担の面で建設省側がやはり難色を示しておると、こう考えるわけですが、この問題が解決すれば法律案として通常国会に出せるかどうか。なるべくこういういいものは早く出してもらうように、できるだけ相手側に対してもわれわれは努力してみたいと思いますが、重ねて申し上げておきたいと思いますが、大臣が一つ政治的手腕を発揮されて、すみやかに解決されて提案をしてもらうように努力願いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00319590127/18
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019・岩間正男
○岩間正男君 説明に入る前に、二つの問題でお伺いしておきたい。
一つは、きょうのに日程にある私鉄運賃値上げの経過についてもあとで伺います。これは委員長にお願いします。
もう一つは資料要求をしたいのでありますが、これは、全般的な運輸行政を今後検討するために、三十四年度以降における道路整備計画の資料、それからもう一つは、北海道、東北、九州等、その他各地における総合開発計画の概要、こういう計画に伴って運輸行政の問題が出て参りますので、これは建設関係であるかもしれませんが、総合的に考えなくてはならないので、ぜひ当委員会の資料として出してほしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00319590127/19
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020・大倉精一
○委員長(大倉精一君) ただいまの岩間君の要求資料を提出願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00319590127/20
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021・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 次に、大臣の説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00319590127/21
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022・永野護
○国務大臣(永野護君) 志免鉱業所の譲渡問題につきまして、従来の経過及び今日の状態、将来の見通しについて一応まず総括的な概論の御報告を申し上げます。
御承知の通り、志免炭鉱を分離すべきか、あるいは国鉄の経営に持続せしむべきかということは、ずいぶん長い間の懸案でありまして、これについて皆さんすでに御承知の通り、たびたび各種の委員会から、あるいは行政管理庁から勧告も出ておるのであります。従いまして、私が就任いたしましてからでも、最も重要な案件といたしまして、十分に検討をいたしたのであります。その結果、国鉄がこのままあの志免鉱業所の経営を持続するということは適当でない、何らかの方法でこれを分離するのが実情に合うと判断いたしたのであります。ただしこれは非常に大きな問題であり、ことに多数の、三千数百人の従業員の生活問題にも結びつく問題でありますから、その分離の方法については十分に慎重な考慮を払わなければならないと存じまして、昨年の十月四日に国鉄総裁から、これを分離したい、志免鉱業所調査委員会の答申の趣意を尊重して処理方針を決定したから、それを認めてくれという申請が出たのであります。自来、その国鉄の申請書に基きまして慎重審議いたしました結果、ことしの一月十日に、その分離したいという根本方針は認める。しかしその具体的の分離の方法については、先ほども申しましたようないろいろな事情がございまするので、十分慎重にやってもらいたい。特に従業員の処置についてはぜひ円満にやってもらいたい。これは強い要望事項として特記いたしました回答をいたしたのであります。従いまして、大体の方針が分離ときめましたものの、それを実現いたしますためには、私どもの特に要望しておる事項について十分なる了解を得てからやってもらうということにしておるのであります。その後の従業員との了解工作につきましては、まだ国鉄当事者から御報告を受けておりません。従いまして、そういう私どもの要望事項を十分に慎重研究されました結果が出て参りますると、今度は初めて具体的に、どこにどういうような条件で譲渡するかという具体的の申請が出て参ります。そのときにあらためて運輸省は、適当と信ずる方策を決定して指示する所存でございます。
こまかい御説明は、御質問においてお答えいたしますが、概略の経過は右のようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00319590127/22
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023・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 次に、国有鉄道総裁から御説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00319590127/23
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024・十河信二
○説明員(十河信二君) 大体ただいま運輸大臣からお話しになった通りでありまして、私就任いたしましてから後に、昭和三十年の十一月に行政管理庁から勧告がありまして翌年は運輸大臣の設置せられた国鉄経営調査会で同様の趣旨の答申がありました。また昨年の四月には行政管理庁から二回目の勧告がありました。私も、先刻運輸大臣からお話しのありましたように、事は重大でありますから、慎重の上にも慎重にと考えまして、運輸大臣の御了解を得て専門家に、権威ある学識経験者にお願いいたしまして、この炭鉱をどう処置したらよろしいか、切り離すとすればどういう方法で、いつ切り離したらいいかというようなことを検討いたしてもらいまして、その委員会の答申も、国鉄の経営から分離することが至当である。その分離は、財産ならば競争入札ということもあるけれども、こういう大きな炭鉱で、しかも深度が非常に深いのでありまして五百メートル以上の深度の層を掘っていかなければならぬ。また圧力あるいはガス等、非常にむずかしい技術上の問題点もあります。それらの点をいろいろ考慮いたしますと、三井、三菱、住友という九州で大手の炭鉱を経営した経験のある——そういう技術上の問題点をも十分考慮して、これに対処し得るような、この三社のうちどれかに譲り渡すが至当であろう。そういう趣旨の答申がありました。
なお、いろいろな、さっき運輸大臣からお話しのありましたように、三千数百の人が就業いたしております。それらの関係も考慮いたしますと、私どもとしては、できるだけ有利に処分をしなければならぬと同時に、それらの問題についても十分考慮しなければならぬ。ただいま運輸大臣からお話のありましたように、特にこの従業員の問題については十分考慮して、円満にいくような方法をとらなければならぬ、そういう趣旨の答申がありました。そういう趣旨で運輸大臣に申請をいたしました。運輸大臣は、一面において、さっきお話のありました従業員に対する特段の考慮を払えという強い要望を付せられるとともに、これは指名競争入札で売るべきであるという御指示がありました。私としましては、直ちにこの旨を労働組合の中央の本部と現地に通知をいたしまして、なお関係の町とかあるいは県とか、鉱害被害者というふうな関係の方面に、それぞれ常務理事を派遣いたしまして、折衝をいたしておるところであります。いずれも相当重要な問題でありますから、組合からも、その他の関係者の方面からも、まだ確定的な御返事を承わっていない。いろいろな運動は伝えられておりますが、確定的な御意見はまだ承わっていないというのが今日の現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00319590127/24
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025・大倉精一
○委員長(大倉精一君) ただいまの運輸大臣並びに国鉄総裁の御説明に対して御質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00319590127/25
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026・柴谷要
○柴谷要君 聞くところによると、大臣多忙で、ごく短時間しかここに在席できないというお話なんですが、そういうことになるというと、きょうはこの問題を質問をするということは非常に長くなると思うので、本日は質問をしないことにして、大臣がゆっくり腰を落ちつけておられるときに一つやっていきたいと思うのですが、大臣の在席時間どのくらいか、お尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00319590127/26
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027・永野護
○国務大臣(永野護君) 一時から本会議が衆議院にあります。それに出なければならぬのですが、その前にあすアメリカに立つ人がありまして、いろいろな新幹線の問題なんかで打ち合せをする必要がありますので、十二時から一時までの間にその打合会をしたい。従いまして、まことに恐縮ですけれども、十二時ちょっと前まで、できれば五分か十分前にここを退席したいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00319590127/27
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028・柴谷要
○柴谷要君 そうすると余すところ三十五分ということなんで、問題が問題だけに、次の議事予定は、委員長の手元にどのような議事予定になっておられるか、あとの経過を聞かしていただいて、それによって質問はきょうはしないということで、次回に回したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00319590127/28
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029・大倉精一
○委員長(大倉精一君) ちょっと速記とめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00319590127/29
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030・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 速記起して。
志免鉱業所問題に関する質疑は次回に譲りたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00319590127/30
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031・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 御異議ないものと認めます。
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00319590127/31
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032・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 次に、私鉄運賃に関する件につきまして、その後の経過について説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00319590127/32
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033・永野護
○国務大臣(永野護君) 大手私鉄十三社、申すまでもなく東武、西武、京成、京王、小田急、東急、京浜、名古屋、近畿、京阪、京阪神、阪神、西鉄、これが運賃改訂を申請して参っております。昭和三十二年六月の下旬から七月の上旬にかけてこれらの各会社からそれぞれ申請がございましたので、運輸審議会に諮問しておりましたところ、旧臘十二月十六日にその答申を受けたのであります。その答申の趣意は、これらの申請会社の経理内容は、前回運賃改訂のありました昭和二十八年以降、輸送施設の整備増強のための資金投入による支払い利子、減価償却費の増大並びに動力費、人件費の増加等が著しく増して参りまして、収入の増加が支出の増加に対応しないために、やむを得ず、ぜひやらなければならない補修費を圧縮して、目先収支のつじつまを合せているような実情でございまするので、保安の、つまり安全運転の責任を持っておる者の立場からいたしまして、どうしてもある程度の収入の増加を認めてやらなければならぬと考えましたのと、いま一つは、都市の交通がますます混雑いたしまして、ラッシュ・アワーは全く殺人的の運転状況になっておるのであります。従いまして、最低限度に安全運転、今度は進んで積極的に運輸の混雑を緩和する、サービスをするという、この二つの理由から、十三社のうちの七社を昨年十二月二十六日、残り六社を一月の二十一日に認可いたしたのであります。
この私鉄運賃が国民生活の上に及ぼします影響は非常に大きい、範囲も広いし、また相当程度の家計に影響が及ぶことは認めざるを得ないのであります。従いまして、そういう犠牲を大衆に負担せしむるのでありますから、その増収部分は今の値上げの本来の目的とする安全運転の確保とサービスの向上ということにのみ使うような厳重なる監督を実施する所存で、着々具体的にその方途を講じておるのでございます。従いまして、この増収による収益を他の付帯事業なんかに投資することは、厳重にこれを抑制する確信、所存をもって臨んでおるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00319590127/33
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034・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 本件について質疑のある方は、順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00319590127/34
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035・柴谷要
○柴谷要君 大手十三社から、営業報告書が運輸大臣の手元に出ておると思う。それによりますというと、各社の総収入は、毎年五%ないし一〇%ずつ増加している。それで今日の実情は卸売物価で言えば、横ばいの形である。
そういう形の中できているのですから、各社の利益はふえていると私どもは思うのです。そのふえているものは、どういう形で社内で蓄積されているかというと、まあ減価償却ですね、あるいは価格変動準備金、あるいは修繕費等で社内で蓄積されていると思う。そういう形の中で、私鉄運賃が上げられていくというのは、どうも不合理のような気持がするのですが、特に申請書の中には、各社とも赤字であるから、値上げをしてくれという理由にはなっておらない。設備改善ということになっておる。設備改善ということは、これを大衆に負担をさせるには、あまりにも名目が立たないのではないか、こう思うのですが、大臣が今回認可をされた理由ですね、これを一つお伺いしておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00319590127/35
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036・永野護
○国務大臣(永野護君) 各社の経理内容は、それぞれ相当の相違があります。従いまして、少し時間をいただきましたら、一社ごとに数字の御説明を申し上げなければ、正確な御返事にはならぬかと思います。
総括的に申しますると、この運輸審議会の答申案が、各社を総括したそうして各社別に、何が故に値上げを認めたかという理由が書いてありますので、これはお手元に差し上げておりますが、大体、私どもも、この運輸審議会の答申案は大体妥当だと、こう考えておるのでありますが、この運輸審議会は、相当の時間をかけて非常に熱心に、各社別に数字を皆とり寄せて、御研究になっておるのでありますが、その答申案が申しておりますことも、今御指摘になりましたような償却とかあるいは補修とか、それから、まあ人件費の増加、動力費の増加、利息の負担というようなことをあげておりますが、それらの内容は、各社によって多少違いますけれども、全体的に見まして、値上げしても、なおかつ赤字になるという報告書なのであります。各社とも全部、この値上げでバランスが合うと認定されている会社は、一社もないのであります。一番わかりにくいのは、減価償却でありまして、これは日々の運転には、差しつかえないのであります。従いましていわゆる大福帳式に、その日の収入でその日の支出を払えば、りっぱにやっていけるのであります。しかしそれは、疑いもなく自分の手足を食っておるのでありまして、なすべき償却をしないと、一どきに大きなそこに赤字が現われてくる、また、そういう経理でございまするから、当然取りかえなければならないレールやまくら木なんかの取りかえも怠られがちになっておるというようなこともございまするので、今の設備で今の人を運ぶだけでも、非常にある意味から申しますると、このまま進むと、非常に危険な状態が起るであろうということが予想されます上に、都市の交通の増加率は、非常に急ピッチであります。従いまして、今ですらある程度の危険を感じておるのに、これ以上乗客がふえますると、それのさばきがつかなくなるというような理由から、この値上げを認めたのでありまして、余裕のあるのを、さらに値上げを認めたというのではございません。それは、どの程度に各社の経理がなっておるかということを一社々々について、各種の経費の費目と収入の内訳を御検討願いまして、御説明申し上げなければならぬと、こう考えております。
しかし結論といたしましては、今柴谷委員の御指摘になっておりましたような償却及び補修についての十分なる積み立てをしておきながら、値上げをしたということにはなっておらないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00319590127/36
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037・柴谷要
○柴谷要君 あと、岩間委員からの質問があるようですから、私実は、これは本会議で大臣に質問することになっておりますので、今のような御答弁でなく、もっと今度は一つ、国民大衆に直接聞えるわけですから、もう少し明確な運賃値上げの理由を大臣に、一つ本会議でお願いしたいと思う。きょうは、私はこれで終っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00319590127/37
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038・岩間正男
○岩間正男君 私も二、三点お聞きしたいのですが、まず第一に、これは御承知のように十月初めの第三十国会の劈頭の委員会で、この問題が出たと思うのです。その当時私から、この各社の経営内容について資料がほしい、この資料について、十分に検討して、その結果いろいろな問題を抱えておるのでありますから、その点についてわれわれはここで相当問題をつきつめてみまして、そういうような意見を、国会の委員会の意見というものは、当然今度の運輸審議会の間では考えに入れて、そして国会の意思というものを、ここで反映されるものだとわれわれは考えている。
しかし、今度の経過を見ますというと、ほとんどそういうことはなかったわけです。むろんそれには、国会のああいうような空白時代があったということが理由になっておりましょうけれども、とにかく資料が出されたのは、十二月二十二日です。それで要求してから、約三月近くなるのですね。この間、何ら国会に対する報告はなかった。突如として内定して、値上げのことが決定されてから、資料が出されたということで、実際そこで論議をやっても、これはもう十日の菊というような感じになったわけです。
こういう点で、大臣はどうお考えになるのですか。国会の委員会の論議、そしてこれは国民の意思を反映しているわけでありますが、これに対して、私鉄運賃値上げの反対の意見というものが、院外ではほうはいとして起っているわけです。そういう点から、われわれは代表して質問しているのでありますが、この国会における意思というものを反映される意向があるのかどうか。そして今後のこういうふうな問題を決定される御意向があるのか。まあ、つきつめて言えば、国会の意思を尊重するお考えがあるのかどうか、この点を明らかにしなければ、ここの委員会の論議というものは、あまり有効でない、こういう感を非常に深くしたわけであります。
こういう点、どういうふうにお考えになっておるか、まずお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00319590127/38
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039・永野護
○国務大臣(永野護君) 民主政治の基本である国会の権威を軽視するなんということは、絶対にございません。非常に尊重して運営をしていくつもりでございます。
現に、運輸審議会の答申が出ます前にも、その率なんかにつきまして、閣内においても、相当の論議を尽しました。かなりこまかい数字の取りやりもございまして、この程度なら、やむを得ぬであろうというところへ落ちつきましたのを、また〇・三%くらいさらにそれを引き下げたようないきさつもございます。国会の審議は、十二分に今までも尊重しておるつもりでありますし、将来も大いに尊重する決心でおります。ただ、数字の配付が、御希望のときよりおくれましたことは、事務の遂行の上に、まことに恐縮だったと存じます。おくれましたことは、おわびいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00319590127/39
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040・岩間正男
○岩間正男君 まあ、国会の意思は尊重するというようなお言葉なんですが、今度の処置の中では、私はそうなっていないのではないかと思う。国会の意思を尊重されるならば、当然要求されておる資料が出て、その問題についても、十分検討して、そこで論議されて、そうしてその論議の結果、事を処理されるということが、当然私は、とられなくちゃならない方法だったと思います。
ところが、すでに運賃値上げが決定してから、資料が出される、これでは、なんぼ論議してみたって、もう大綱は決定されているのです。従って、国会の意思尊重ということにはならない。実際は、論議しても、何の役にも立たなかったというような結果になっているのではないかと思う。この点、ただいまのお言葉ですけれども、私は、こういうやり方は、国会のあの当時の事情があったにしても、まずいのではないか。なぜそれを急速に、ことに年末の場合に、どさくさみたいな感じを与えて、これを値上げをするか。しかも、正月の三日間だけは過ごして、四日か五日から、これをやるというような、あわただしい形で、これを値上げしなくちゃならないのか。こういう点から考えて私は、非常に妥当だとは考えられない。この点どういうふうにお考えになっておられますか、この経過についてです、これは結果論で、大臣の意思としては、尊重するつもりであったが、しかしできなかったというのであったら、また事は違うと思いますが、意思は尊重したのだと言われますと、われわれは、そう簡単に納得することはできない。
こういうことになっていると思うのですが、この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00319590127/40
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041・永野護
○国務大臣(永野護君) 先ほども申しましたように、この決定いたします途中には、各関係方面の意向は、十分に取り入れて、この案を作ったつもりであります。ことに、運輸審議会は、それの法制上の責任の機関でありますので、その方に対しては、もう洗いざらいの材料を提供して、公平な立場から、この運賃問題を処理していただいたのであります。私どもも、この運輸委員会における御審議には、できるだけの協力をするつもりであったのでありますが、先ほども申しましたように、岩間委員の御要求になりました資料が、御期待のときよりは期間がおくれましたことは、事務的にまことに恐縮に存じております。
しかし、それは決して国会の審議を軽視したことではないのでありまして、私の心持は、あくまでも民主主義的に、国会で十分な論議を尽して御審議を願いたい、こう考えておるのであります。その気持には、変りはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00319590127/41
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042・岩間正男
○岩間正男君 国会の意思を尊重されたと言われておりますけれども、大体この事件の経過を見ますと、昨年の八月でしたか、一昨年でしたか、中村運輸大臣のときに、運賃値上げはしないと、その理由を明らかにされておる。それが政府の方針だと。この問題も、十月初めの委員会では、私は詳細に申し上げたつもりであります。それとの関連で、政府の方針が変る、変更される。どうも一貫したものがない。同じ自民党内閣でありながら、大臣がかわったからというので、一貫した方針が貫かれていない。そういう点、どういう事情の変化が、その後起ったのか。運賃値上げは、ほかの問題に対して、すぐに波及する、そうして絶えず連関をもって、ほかの物価値上げを引き起す、そういうような点から、これはやめられておった。そのために、どのような変化があったかということについて資料を求め、さらに委員会で、この問題について論議をして、そうして明らかにしようと、こういうふうになっておった。そうして、委員会全体を貫いてきたものは、運賃値上げは妥当でないという空気だった。しかし、結論については、これは、運賃値上げをされたのでありますから、これは尊重されたということには、残念ながらなっていないのじゃないか。
私は、こういう点で、これは今後の問題ですが、むろん行政官庁に対しまして国会として事微細に至るまで、これは何も干渉する考えはないし、むろんそういう権限もないだろうと思う。
しかしながら、これはやはり大衆の生活と深い関係があるところの、一つの運輸行政の基本方針の問題にも関連があり、自民党の物価政策の問題とも深い関連を持つ問題で、軽々にすべき問題ではない、そういう観点から、国会の論議を集中しておったさ中に、ほとんど当委員会の結論とは、全く違う方向でもって、これは行われた。このことについては、やはり私は、これはいろいろ事情があったのかもわかりませんけれども、われわれとしましては、妥当だというふうには、ちょっと考えられない。時間をおいて、通常国会もあるのです、相当論議する期間があるのです。それは賛成、反対、いろいろ意見が分れてくるかもしれません。事情の変化によって、最初から当委員会として押してきた方針が変るかもしれませんし、そういうことはあり得ても、その後に決定されるということであったら、私は、これは国会の意思尊重ということも、言葉通りに受け取ることができると思いますが、実際は、そうなっていない。そこに私は非常に独断的な処置を見たのです。
この問題については、今後の運営のこともあるから、われわれとしては、非常に遺憾の意を表しておきたい。とにかく現実に、上げられてしまったのですね、一月四日から上っておる。また一月二十九日から、六社が上ろうとしておる。こういう問題について、それならどういうふうな一体処置をとられたのか。つまり、大臣の今の説明によりますと、二つの理由がある。一つは、安全運転の責任をとる立場から、もう一つは、都市交通の混雑緩和の立場から、この二つのものを貫くには、資金難である。その資金の調達ということを大きな眼目として運賃値上げをしたのだと、こういうことになっているのですが、しばしばわれわれは、ここで繰り返したのでありますけれども、この認可をされるときに、どういう条件で認可をされたのか、この点ですね。何か文書で、これを手交されたのか。その文書があるなら、これを資料として明確に当委員会に示してもらいたい。あわせてまた、運輸審議会の答申があったと、その答申も、参考のために当委員会に提出してもらいたい。私がこのことを要求しておりますのは、なぜかといいますと、しばしば私鉄の運賃値上げがされて参りましたが、今までの理由も、ほとんど大臣が今述べられたような前述の二点に尽きておったと思うのです。現実に値上げはした。ところが、実情は、そうなっているかというと、そうなっていない。大衆の混雑は、緩和されていないでしょう。安全運転は貫かれておるかというと、そうなっていない。そうして実際は、ただ値上げになって大衆の経済的負担を増しておるという結果になっております。こういうことが、再び繰り返される危険というものは私はあると思う。
従って認可せざるを得ないという、かりに事情か発生したとするならば、それに対して監督官庁としての立場というものは、一体どういうような立場をとるべきなのか、ここが当委員会の政治的な論議をする必要のある問題だと私は考える。こういう点から、このための処置として、一体どういうふうな処置をとられたか、これを明確に一つ示していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00319590127/42
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043・永野護
○国務大臣(永野護君) まず最初に、中村運輸大臣は値上げしないと言った、同じ内閣で、大臣が変ったからといって値上げをするのはけしからんじゃないかという御質問でございましたが、この点はまず本質に、全体の物価政策が変ったから、この運賃の値上げをしたのではないのでありまして、政策の問題ではなくて、目先の必要が迫ってきたという理由であります。従いまして物価政策は変ったのではございません。一貫しております。ただ客観的の事情が非常に変って参りました。中村運輸大臣が、値上げは全部ストップというときには、いわゆる神武以来の好景気が神武以来の不景気に急転直下したときでありますから、これを一時チェックいたしますためには、どんな不合理なことでも、ドラスティックな方法を講じて、急転直下する経済界の悪化の趨勢を食いとめなければならないという必要のために、そのときでも、いわゆる安全運転と、そしてサービスの向上という必要性はあったのには違いないのでありますけれども、経済界の急変に対処する臨機の処置といたしまして、いわゆる不合理とは知りつつも、ドラスティックなことで一斉にその値上げをとめたのであります。
ところが御承知の通り、だんだんとそのドラスティックな政策が、その効果をあげて参りましたのと、また客観的の世界経済情勢も変って参りましたので、日本の急直下的に悪くなって参りまする趨勢がチェックされました。横ばいのところまでは、まず食いとめ得たのであります。そうしてなお進んでは、アメリカの経済界の好転、そのほか世界的の経済界の好転を見込みまして、いわゆるなべ底景気から、ややはい上り得るような曙光を認めましたので、もうある程度の不合理是正という積極策に移ってもいい時期に達したと判断したのが昨年の暮であります。
従いまして中村運輸大臣のとっておりました政策と、私のとりました政策との間の差には、物価政策が、基本的に岸内閣の政策が変ったのではございませんけれども、客観情勢の変化が、非常に大きく影響しておるのでありまして、同じような経済界の急変化が継続しておりましたならば、そういう事情がありましても、必要性がありましても、あるいは昨年は運賃の値上げはできなかったかと、こう考えております。
でありますから、本来の必要性は、中村運輸大臣のときでもあったのであります。あったので、それはやらなければならぬということは知りつつも、客観情勢が、それを許しませんでしたので、危いなと知りつつも、それを見送っておったのでありますけれども、もう大体の客観情勢が見通しがつきましたから、やるべきことをやったと、こういうふうに御了承を願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00319590127/43
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044・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 速記をやめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00319590127/44
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045・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00319590127/45
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046・岩間正男
○岩間正男君 二つの問題でお尋ねしたい。今の問題と、もう一つは、どんな条件をつけたか。つまり二つの目的ですね。あなたのあげられた二つの目的をどう果すかということについて、少くともその問題があるのですが、その前に、第一の問題は、これは違うと思うのです。
私は速記録まで引いてこの前やったし、それからこの前の二十二日のあの資料を出してもらったときも、この問題について、これは相当やったのですが、また同じことを繰り返しておる。そうではない。
中村運輸大臣のなには、あくまで自己資金でこれをまかなうべきだ、大衆負担の値上げによって、そういうものをまかなっていくというような方式は正しくないというのが、あのときのはっきりした方針なんです。あなたは、政府は物価政策を変更しない、客観情勢の変化によってこうなったのだということを言われておりますが、ここのところは、私は非常に違う。それで果して一体、私鉄の運賃値上げが連鎖反応を起さないのか。これは起さない、起さないということを盛んに説明されておるが、すでに、それは起っておる。こういう実情については、いろいろ調査される必要があると思う。
それから物価政策は、変更しないのだといっても、この私鉄運賃を契機として、ほかのガスや、電気、ラジオ、新聞、そういう面について、いろいろな突破口になっておることは事実です。この事実を大臣は否定されてはいけない。これこそ客観情勢の変化である。
ですから、その第一の点については、私は納得することはできない。これは、もとの速記録もございますので、御検討いただきたいと思う。決してそういうことではない。今おっしゃったようなやり方で、目先の情勢の変化であって、それで今度運賃値上げの方向に変ったのだというやり方ではなかった。あくまで自己資金を調達してやるべきだと、それが当然である。大衆転嫁の運賃値上げというような方式は望ましくないというのが、中村運輸大臣の当時の説明であります、方針であります。そしてそれが、少くとも自民党のこれは方針であったと、われわれは了解しておった。そういうことで、われわれは考えておった。ところが、その点非常に違います。
それから第二の問題ですが、第二の問題について、これはどんな条件をおつけになったのですか。とにかくたとえば輸送量をどう増強する、それから車両はどうなるか、線路容量は増加するようにきめたのか。混雑はどのような計画で緩和するのか。それを何年計画でどういうふうにするのか。そういう具体的なものについては、これは相当指導監督しなければ、実効をあげることは非常に困難だと思います。運賃だけは、もう上っておる。結局、ただ取りというような感じを大衆は持っておる。そういう点で、これはどうなっておりますか、その第二の点についてお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00319590127/46
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047・永野護
○国務大臣(永野護君) 今度の運賃値上げを認可いたしますときに、各社あてに通達を出しております。これを読ませますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00319590127/47
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048・山内公猷
○政府委員(山内公猷君) 読みます。
旅客運賃の変更認可について
(通達)
昭和三十二年何月何日付第何号で申請のあった旅客運賃の変更については、昭和何年何月何日鉄監第号で認可されたが、今回の運賃改訂は、運輸審議会の答申を尊重して当局においても慎重に審議を重ねた結果、決定されたものであるから、運賃改訂による増収分は、いやしくも鉄道事業に直接関連のない事業に投資することその他不急不要と認められる部門に支出せず、あげて輸送諸施設、特に線路及び車両の改善整備に充当し、もって運転保安の確保、輸送力の増強及びサービスの向上をはかり、一般利用者に対し、運賃改訂による負担増加分を還元して公益事業としての使命を達成するよう努めるとともに、この際事業全般にわたって再検討を加え、極力経営の合理化をはかるよう努力されたい。
なお、改訂運賃実施後は、昭和三十一年五月十日鉄監第三八五号で通達したとおり、運賃改訂後の営業収支実績を詳細に報告されたい。右報告は、申請時の見込額と実施額とを対比し、特に営業費中の修繕材料費及び修繕経費について検討することを目的とするものであるから、当分の間これが使途内容を特に詳細に報告されたい。
これをつけて出しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00319590127/48
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049・永野護
○国務大臣(永野護君) ただいま朗読いたしましたような通達を出しておるのでありますけれども、これは、一片の通達にとどまってはいけませんので、そのために運輸省には、監督局という機関を設けておりまするので、それが空文に終らないように勉強して参る所存でございます。具体的の方法は、各社について、その方法も違うと思いますから、十分に検討いたしまして今の通達が、空文に終らないように懸命の努力を続けて参ります。
それから、同じことをたびたび繰り返して理論闘争になるようですが、中村君の説は、修繕それからサービスの向上は、自己資本でやるという点に重点がおいてあるような岩間委員の御説明でございますけれども、私の了解しますのは、それは全部ストップするから、といって、やらなければならぬことがあるから、自己の持っておるものでやれということを言っておるのでありましてその資金の出所を、自己資金に限るということが目的じゃなくて、自己資金に限らざるを得ないような政策をとったこと、すなわちドラスチックに運賃値上げをとめたから、自己資金によらざるを得ないことになるという、これは、結果論でありまして、自己資本でやれという、資金の出所を指定したものとは、私は了解しておらないのであります。とにかくこの際は、経済界が急変転いたしましたので、何でも、とにかく値上げのものは、一切いけないというような建前から押えましたために、それならば、やりたいことは自己資本でまかなってやれということが、結果として出てきたのだと、私はこういうふうに中村運輸大臣の説明を了承しておるのであります。
つまり理論の出発点と結論との間に、観測の食い違いがあるんじゃないかと、まあこういうふうな、理論闘争になるのでありますけれども、私は、そういうふうに読みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00319590127/49
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050・岩間正男
○岩間正男君 今の問題は、これは解釈論みたいなもので、中村運輸大臣の発言をめぐって、そんなことをやってみても、みっともないですから、あとでやりましょう。これは意見の相違で、そういうわけにはいかぬと思うんです。
第二の点ですが、第二の問題について、とにかく一つは、答申案の写しですね。それから、ただいまの通達、できれば、二十九年度ですか、この前の値上げのときの答申案は、どうだったのか、そのときの通達はどうなったのか、これもほしいです。というのは、同じことを出されているんじゃないかとおそらく、私は考えるんです。そういうものを出してしまって、あとで営々努力するという話がありましたけれども、その努力の仕方は、やはりあと回しなんだね。上げてしまって、あとは野となれ山となれという、今までの行政のやり方です。なるほどうまいことをここで言っても、これは、何にもなりません。国会のわれわれの論議は、幾分でもこれはお役に立ちたいと考えているわけです。そういう点から、一体どういうふうに、これを指導監督していくのか、今の一片の通牒、それから営々努力などという言葉を使ったにしても、実際はそうならない。私は、大体根本から言えば、そういうものを改善させて値上げするのが、これは当然、資本主義経済の私は原則だと思うのです。ですから、ここで何回も論議したわけです。ところが、そういうことはしない。いつも運賃値上げだけが先になる。取ってしまって、ふところが肥えると、もう仕事の方はあと回しになるということが、繰り返えされる危険性が十二分にあるわけです。従って各社に対して、何年計画というものを出さして、そうしてそういうものによって、はっきり検討して、そうしてそういう実情が実現されておるかどうかというそこまで私は入らなければ、これは、ほんとうに有効なものにはならんと思うのです。そういう点についての一体政策を持っておるのかどうか。
運賃値上げだけやってしまえば、あとは野となれ山となれで、実際われわれまた値上げした私鉄に乗ってみても、ぎゅうぎゅうすし詰めで、息もつけないようなやり方で運賃値上げされても、正月四日から、運賃値上げが始まっておるんです、もうぎゅうぎゅうすし詰めになっておるんです。こういう実情を考えると、全く国民が怒るのは当り前です。こういう実情については一体運輸省ははっきりそういう問題を解決する熱意があるのかどうか疑わしくなってくる。
そういう点から、まず第一に資料は、今申し上げましたような今度の場合と、この前の場合とをはっきり出してもらいたい。それから、これについての営々努力の内容、具体的に、どういうような政策を今後とられるのか、これについて意見をまとめて出していただきたい。
この点を、私は約束していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00319590127/50
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051・山内公猷
○政府委員(山内公猷君) 資料の問題でございますから、私から御説明いたします。
今回の答申案並びに通達につきましては、もちろん御提出申し上げたいと思います。ただ二十八年の場合におきましては、運輸省ではなくて物価庁が認可をいたしておりましたことでありますので、物価庁がなくなっておりますので、資料を探してみますが、ありましたならば、御提出いたしたいと思います。
それから、ただいまのお話の中で、将来の見通し、また従来やってきたことにつきまして、ちょっと私から簡単に御答弁申し上げたいと思いますが、実は、今度の運賃改訂をいたします非常に大きな理由となりましたのは、減価償却費が大きくなったということでございますが、それと動力費あるいは人件費というものが、昭和二十八年の一月以来、相当高騰しておったというのが、赤字を来たした理由でございましてその固定資産額を調べますと、二十八年当時よりも現在二倍になっておるわけであります。二倍になっておるといいますことは、結局それだけ輸送力増強の努力を続けて参ったわけでございますが、御承知のように、特に大都市集中の傾向が非常に強いために、輸送力の増加をいたしましても、なかなかお客さんのふえるのに及ばないという状況が非常に大きいわけでございまして今後もまた、ますますその輸送力を増強して参らなければならないわけでございますので、われわれの方といたしましては、今言いましたように私鉄も、輸送力の増強をいたしてやっておるわけでございますが、自己資本ではなかなかできない。もちろん他人資本そのものをわれわれの方は原価に投入していないのでありまして、借りてきた金利だけを見ているのでありまして、経営状態を見ると、借りてくることもできなくなるという結果になりまして、その結果、運賃改訂によります資本力の増大というものも考えまして、われわれの方は五カ年計画を出させて、厳重にそれを実施されるように、この通達文の趣旨に沿ってやって参りたい、こういうふうに考えておるわけであります。
各社につきまして五カ年計画の実施の計画書は、われわれの方に出させまして、それで見ております。たとえば最近におきましては、京阪神急行におきましては十三—梅田間の三複線計画というものが二月早々には完成するというように、各社ごとに輸送力の増強方針を出させまして、その工事を督励いたしておるわけでございます。
ただいまお話のありました資料につきましては、今言ったような事情でございますので、物価庁の資料は、ちょっと調べようがないのでありまして、ありましたならば御提出するということで御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00319590127/51
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052・大倉精一
○委員長(大倉精一君) ちょっと、速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00319590127/52
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053・大倉精一
○委員長(大倉精一君) 速記をつけて。
本日は、これをもって閉会いたします。
午後零時八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/103113830X00319590127/53
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